「さ」漢方処方

【漢方さ】


済陰丸《東醫寶鑑》
「亀板・黄柏各2両半、牛膝・菟絲子・各1両2銭半、当帰・知母・鎖陽各1両、陳皮・虎骨・山薬・白芍薬・縮砂・杜仲・黄蓍(塩水炒)・熟地黄各7銭、枸杞子5銭、破故紙3銭半」作末し熟地黄を酒で蒸して膏を作って梧子大の丸剤。空腹時に塩湯で70丸飲む。
◎陰虚労症を治す。




済生紫蘇子湯《東醫寶鑑》
「白朮2銭、蘇子・人参各1銭、大腹皮・草果・半夏・厚朴・木香・陳皮・枳殻・甘草各5分」剉作1貼し「姜3、棗2」入れ水煎服。
◎心配事と思慮が脾・肺を傷つけ、心腹が脹満し喘促して胸が一杯で腸が鳴り、大小便が不利で、脈が虚で渋い。

済生腎気丸《厳氏済生方》
=「牛車腎気丸」
「六味地黄丸牛膝・車前子・附子・肉桂」

済生茯苓湯《医学入門》《古今方彙》
「半夏・赤茯苓・陳皮各1銭、甘草・桔梗・枳実各5分、生姜」煎じ温服。
◎停蓄支飲及び筋痺、脉痺を治す。

済生防風湯《医学入門》《古今方彙》
「当帰・赤茯苓・独活・赤芍薬・黄芩・秦艽各5分、甘草・桂心・杏仁各2分半、防風1銭、生姜」煎じ温服。
◎血痺、肌痺、皮痺を治す。

済川煎《景岳全書》《中薬臨床応用》
「当帰12g、牛膝6g、肉蓯蓉9g、沢瀉5g、升麻2.5g、枳殻3g」水煎服。
◎腸燥による便秘。


済川煎《張景岳》
「当帰 牛膝 肉蓯蓉、沢瀉 升麻 枳穀」
◎体液が枯れ、腸がかわき、大便困難。


採毒散《雑病翼方》
「白扁豆」


犀角飲《医学入門》《東醫寶鑑》
「犀角屑2銭、羗活・黄芩・車前子各1銭、白附子・麦門冬各5分」水煎し食後服用。
◎黄膜が上がって瞳が痛み閉渋の者を治す。

犀角飲《医学入門》《古今方彙》
「犀角2銭、黄芩・車前子・羗活各5分、白附子・麦門冬各2分半」水煎
◎脾胃が風熱や食毒を受け、下瞼より黄膜を生じ、上衝黒暗して痛み渋りて開き難く、或いは小眥の中に赤脉を生じ、漸々にして睛を衝くを治す。



犀角飲子《東醫寶鑑》
「犀角螃屑・木通・石菖蒲・玄参・赤芍薬・赤小豆・甘菊各1銭、甘草5分、姜5片」水煎服。
◎風熱による耳の腫痛・膿水を治す。

犀角飲子《医学入門》《古今方彙》
「犀角・菖蒲根・木通・玄参・赤芍薬・小豆(赤)・甘菊各5分、甘草2分半、生姜」煎じ温服。
◎風熱上に壅りて両耳聾し、外をお閉じて内は腫痛し、膿水流出するを治す。
◎左甚だしければ:「蔓荊子生地黄」
◎右甚だしければ:「桑白皮麦門冬」
 
 

犀角解毒湯《寿世保元》《古今方彙》
「犀角・牡丹皮・赤芍薬各1銭、生地黄5分、黄連・黄芩・黄柏・山梔子」水煎。
◎麻疹已に出て大便下血し、或いは小便下血し、吐血衂血し、或いは二便閉渋し、瘡疹は緻密にして熱渇し亦痛む者を治す。


犀角玄参湯《東醫寶鑑》
「犀角螃屑1銭、升麻2銭、黄芩1銭半、香附子・玄参各1銭、人参5分、甘草3分、大青葉1銭」水煎服。
◎発斑を治す。

犀角散《東醫寶鑑》
「車前子・枸杞子各1両、槐子・五味子・青葙子・牛蒡子(炒)・茺蔚子・胡黄連各7銭半、犀角屑・羚羊角屑各5銭、兎肝1典」作末し毎回2銭を、食後に槐子煎じ湯で服用。
◎失明を治す。


犀角地黄湯《備急千金要方》
「犀角3両、地黄8両、芍薬3両、牡丹皮2両」
◎傷寒及び温病で、まさに発汗すべくして之を発せず、内に、畜血ある者。
◎及び鼻衂血・吐血つきず、瘀血・面黄・大便黒き者を治す。
◎瘀血を消化するを主る。
◎此方は、内に瘀血有りて吐血・衂血する者を治す。《勿誤薬室方函口訣》
◎もし蓄血による吐血・衂血甚だしき者:「桃核承気湯」に非ざれば効なし。犀角地黄湯は第二に処すべし。
◎それ蓄血の証は、小便不利に在るなり。故に昼日やや減じ、夜に発熱譫語する者は瘀血未だ行らざるなり。「桃核承気湯」にて之を下し、後に「犀角地黄湯」を用い之を調う。《傷寒翼方》
◎《有持希藻》曰く、大便黒き者、即ち是れ血便なり。血便はその色紫黒にして、臍の四辺小腹必ず痛む。傷寒中に此証あらば則ち極めて危悪の候。《雑病翼方》
◎熱あり、狂の如き者:「黄芩」。
その人、脈大に来ること遅く、腹満せざるも自ら満すと言う。《傷寒翼方》
◎傷寒のみならず諸病に運用すべし。
◎血淋:
☆小便淋瀝し、出血疼痛忍び難きを治す《方読便覧》
◎衂血:
☆《外科正宗》陽明積熱、牙腐爛し、出血止まず、及び歯衂を治す《雑病翼方》
☆「黄連解毒湯」《児科方要》
◎走馬牙疳:
☆「黄連解毒湯」《児科方要》
☆走馬疳に「三黄湯」《雑病翼方》
◎吐血:「三黄瀉心湯「《方読便覧》
◎風眼:
☆破潰し、出血止まざる者:「三黄湯」《先哲医話》


犀角地黄湯《漢方治療の実際》
「犀角・地黄各4、芍薬・牡丹皮各3」
    

犀角地黄湯《備急千金要方》《東醫寶鑑》
「生地黄3銭、赤芍2銭、犀角・牡丹皮各1銭」

犀角地黄湯《備急千金要方》《中薬臨床応用》
「犀角3g(剉作沖服)、生地黄30g、牡丹皮9g、赤芍薬9g」水煎服。
犀角の代用に牛角60gでもよい)
◎皮下出血
◎血小板減少性紫斑病による鼻出血、歯根出血、吐血。

犀角地黄湯《古今方彙》
「犀角、生地黄、牡丹皮、芍薬」水煎。
◎胃火盛んにして血熱妄行し、或いは吐血、衂血、便血するを治す。
◎本、《備急千金要方》に出ず。

犀角地黄湯[2]《済世抜萃方》
「瀉心湯《傷寒論》犀角・地黄」
◎吐血。
◎熱甚だしく、胸中に血積するを治す。


犀角消毒飲[1-1]《和剤局方》《古今方彙》
「牛蒡子4銭、荊芥・防風各3銭、甘草1銭、犀角1銭半別に(ホウ、ヤスリですりおろすこと)して細末となし湯煎に入れず。左を細く切り1服を作り、水2盞にて煎じ1盞に至り、犀角を調えて服す。
◎大人、小児、内蘊邪熱、咽膈不利、痰涎壅嗽、眼赤瞼腫、腮項結核、癰腫表に聚り、遍身風疹、毒赤及び瘡疹已に出で、未だ出でず快透する能わざるを治す。並びに皆小児の疹痘出でんと欲し及び已に出で熱未だ解でざるを治療す。急ぎ此薬三四服を進む。

犀角消毒飲[1-2]《東醫寶鑑》
「鼠粘子4銭、荊芥・防風各2銭、甘草1銭、犀角1銭半」水煎し犀角汁で調合して服用。
◎丹毒・斑疹・疹を治す。



犀角消毒飲[1-3]《和剤局方》《古今方彙》
「荊芥・防風各1銭、犀角・甘草各5分、牛蒡(微炒)4銭」水煎。
犀角なければ升麻に代ゆ。
◎風毒(転移性の膿腫)赤紫、丹瘤(熱毒のために皮膚に赤い塊が出来る)壮熱、狂躁して睡臥不安、胸膈満悶し、咽喉腫痛して九道の血の妄行あり、遍身の丹毒を治す。
◎及び痘疹至に出で、未だ出でず快透する能わず、已に熱出でて解せざるには急ぎ宜しく此を服すべし。
◎《万病回春》には黄芩あり。


犀角消毒飲[2]《勿誤薬室方函口訣》
「牛蒡子6分、荊芥8分、防風・甘草各4分、犀角・黄芩各5分」
六味、水三升、以水、煮取一升。
◎放点稠密、凹陥して凸起せず、あるいは行漿の時(発痘)に至って平陥紫黯なる者、犀角消毒飲に宜し。《雑病翼方》

犀角升麻湯《普済本事方》《東醫寶鑑》
「犀角1銭半、升麻1銭2分半、防風・羗活各1両、川芎・白附子・白・黄芩各7分半、甘草5分」水煎し食後服用。
◎中風で鼻・額(ヒタイ)・唇・頬車・髪際が疼痛し、口を開けられず、左ヒタイと頬の方が硬く糊を付けたように、四方から引っ張られるような気がする者と、手で触ると疼痛する者を治す。
◎陽明胃経の風熱毒を治す。

犀角升麻湯《普済本事方》《古今方彙》
「犀角7分半、升麻・防風・羗活・川芎・白芷・黄芩・白附子各5分、甘草1分半」水煎し漱(そそ)ぎつつ服す。
◎胃経が風毒にて気血凝滞し麻痺不仁、鼻額の間の痛み、唇口、頬車、髪際が牙に連なりて腫痛し、口開く能わざるを治す。



犀角旋覆花湯《備急千金要方》
「犀角3両、旋覆花2両、橘皮3両、茯苓3両、生姜3両、蘇葉1握、香1升、大棗12枚」
◎脚気腫満し、或いは行起渋弱、小便秘渋し、喘息気喉を衝き、食嘔して下らざるを治す。
◎此方は、脚気の水気、上胸腹に盛して嘔気を発し、或いは気急喘息する者を治す。《勿誤薬室方函口訣》
◎此方は水気嘔逆を主とし、「沈香豁胸湯」は気急促迫を主とする。
◎瘴毒脚気、はじめ嘔逆を覚え、煩悶頭昏、不食なり、宜しく以下の方を服すべし《太平聖恵方》「木香、檳榔、半夏、犀角、旋覆花、橘皮、茯苓、蘇葉、甘草」。按ずるに此方は犀角旋覆花湯に変方。嘔を治す、特に優れる。《方読便覧》

犀角大黄湯《聖済総録》
「犀角・大黄各1両、川芎半両、石膏2両、牛黄半分、竹葉」
◎剛痙、壮熱、頭痛、筋脈舒展する能わざるを治す。
◎此方は剛痙、壮熱を治する薬ばれども、中風初起、熱甚だしく「続命湯」《金匱要略》を与えて応ぜざる者、此方にて一下するときは病ゆるむものなり。《勿誤薬室方函口訣》
◎痙病の裏に在る者の治法なり《雑病翼方》
◎その証劇しく、胸満口噤、臥、席に着かず、脚攣急、齘歯(歯ぎしり)、脈反って伏弦なるは、邪気已に裏に入る。陽明に在りと為す《雑病弁要》


犀角大青湯《張氏医通》
「犀角、大青葉、玄参、升麻、黄連、黄芩、梔子、生草」


犀角湯《備急千金要方》
「犀角2両、羚羊角1両、柴胡3両、梔子3両、黄芩3両、射干3両、大黄4両、升麻4両、香1升」
◎熱毒四肢に流入し、歴節腫痛するを治す。
◎此方は、歴節の熱甚だしく、一身に入り、四肢節々痛腫して、越婢湯や続命湯の症にて一段痼をなしたる者なり。四苓湯《諸病源候論》に熱毒の痛風を挙げて陽結と云う、即ち此症なり。《勿誤薬室方函口訣》
◎市谷の抹香屋妻、両脚腫痛、日哺より熱を発し、その痛忍ぶべからず、徹夜号泣す。余、此方を与えて熱漸く減じ、一月にして痛全く安し。
◎《華岡青州》は、痛風熱甚だしく烏附の剤投じ難き者にしばしば用いて奇験を奏すと云う。
◎歴節風、升陽に在る者の治法なり《雑病翼方》

犀角湯《金匱翼方》
「犀角湯《備急千金要方》羚羊角・黄芩・梔子・大黄・香玄参・連翹・麦門冬・芒硝・木通・沈香・甘草」
◎余かって、手十指独り腫大する者、此薬を与えて癒える。
◎傷寒後、手足腫れて紅き者、此を与えて癒える。《雑病翼方》

犀角湯《医綱》
「犀角・茵蔯蒿・地黄・梔子各(大)、茯苓・麦門冬各(中)、竹葉、生姜」
◎傷寒後、伏熱心にあり、怔忪、驚悸、眠睡し得ざるを治す。
◎此方、瀉心導赤散の変方に係り、而も簡捷なり。証に因って之を試み、反って奇なり《傷寒翼方》
◎此方は傷寒大熱解する後、心胞絡に餘熱蓄在して、心煩、驚悸などあり、小便赤濁、或いは微咳嗽する者を治す。

犀角湯《張渙》
「犀角・茯苓・麦門冬・人参・甘草・黄芩各半両、地黄」
◎癇を退け、心神を鎮む。
◎此方は小児驚癇に用いる薬なれども、大人肝虚内熱の症、あるいは熱病後、心神安からざる者の効あり。

犀角湯《医学入門》《古今方彙》
「犀角・玄参各1銭、連翹・柴胡各6分、升麻・木通各8分、沈香・射干・甘草各5分、芒硝・麦門冬各4分」水煎。
◎結腸(手足腫れ諸脉留結して熱をなして腫満す)にて肢腫れ便閉する者を治す。

犀角湯《東醫寶鑑》
「犀角・玄参各1銭、升麻・木通各8分、連翹・柴胡各6分、沈香・射干・甘草各5分、芒硝・麦門冬各4分」水煎服。
◎結陽症で、四肢が腫閉する者を治す。

犀角麻黄湯《備急千金要方》
「犀角・麻黄・黄芩各2両、生姜3両、石膏4両、桂枝・甘草・杏仁各3両、防風・独活・防已・川芎・蒼朮・羚羊角・当帰各2両」
◎風毒脚気を治す。
「風毒」=寒暑湿鬱蒸は人を傷く、みな風毒と名づく《脚気提要》
◎脚気、太陽に在る者の治法なり《雑病翼方》
◎専ら、脚気、実熱に属する者を治す《方読便覧》
◎此方、能く脚気腫、脈数にして小便赤渋し、毒気血分を犯し、発熱する者を治す。《高階枳園》
◎此方は風毒脚気の主剤なし。風毒脚気の候は《備急千金要方》及び《太平聖恵方》の悉く身えたり。
◎湿気外邪を挟んで発熱腫満する者、此方に非ざれば効なし。
◎もし此症、誤治し内攻する者、「大陥胸湯」に非ざれば救うこと能はず。《勿誤薬室方函口訣》
◎脚気痿弱の症、「附子湯」《備急千金要方》を用いる《和田東郭》
◎胸中一物あるが如く、脇肋膨張して却って快からざる者、「越婢湯木瓜檳榔」を使う。その甚だしき者に、犀角麻黄湯。
◎此方、専ら脚気風毒、腫痛し、寒熱する者を治して効あり。一方、「茯苓、附子、細辛、独活、羚羊角、杏仁、人参」あり。《脚気提要》


犀地清神湯
「犀角・鮮地黄・銀花・連翹・広欝金・鮮石菖蒲(後入)・梨汁(冲)・竹瀝(冲)・生姜汁(冲)煎服」


犀地清絡飲《通俗傷寒論》
「犀角汁(冲)4匙、牡丹皮8g、鮮地黄32g、連翹(去心)6g、淡竹瀝(冲)2瓢、生赤芍6g、原桃仁36g、生姜汁(冲)2滴」煎服。

犀連承気湯《通俗傷寒論》
「犀角汁(冲)2瓢、川楝子3.2g、枳実6g、鮮地黄汁(冲)6瓢、生錦紋大黄12g、真金汁(冲)40g」煎服。



柴葛解肌湯[1]《傷寒蘊要》
「小柴胡湯葛根・芍薬」
◎脈弦長、少陽と陽明の合病にして熱ある者を治す。
◎柴葛解肌湯《浅田家方》の症にして、汗出、煩渇せず、脈弦長なる者。《勿誤薬室方函口訣》


柴葛解肌湯[2-1]《傷寒六書》《古今方彙》
「柴胡、黄芩、葛根、羗活、赤芍薬、桔梗、甘草、石膏、生姜、大棗」
◎足の陽明胃経受症、目痛み、鼻乾き、眠るを得ず、眼痛み、脈来ること微洪なるは宜しく解肌すべし。
◎陽明経に属する病を治す。
◎本経、汗無く悪寒するには:「黄芩麻黄」


柴葛解肌湯[2-2]《傷寒六書》《古今方彙》
「柴胡・黄芩・乾葛・芍薬・羗活・白芷・桔梗・石膏・甘草・生姜・大棗」水煎し温服。
◎足の陽明胃経受症。
◎目痛み、鼻乾き、眠るを得ず、眼(ガンキョウ、まぶた)痛み、脉来ること微洪なるは宜しく解肌すべし。
◎陽明経に属する病を治す。其の症陽明腑症は則ち別に治法あり。
【加減方】
<1>本経、汗無く悪寒するには・・・黄芩、麻黄。

柴葛解肌湯[2-3]《傷寒六書》《漢方後世要方解説》
「柴胡4、葛根・黄芩・芍薬各3、羗活・白芷・桔梗・甘草・大棗・生姜各2。石膏5」
◎太陽陽明の合病、頭、目、眼、眶(キョウ、まぶた)痛み、鼻乾きで、眠らず、悪寒して汗無く、脈微洪を治す。
◎此方は桂枝湯、麻黄湯にて発表しても快癒せず、汗が出ないで却って熱勢加わり、柴胡の証があって表証尚解せず、白虎の証でもなく、熱が盛にして頭痛、身体疼痛、鼻衂等があり、上部閉塞し、甚だしきは譫語狂躁の状など生ずる者に用いる。
柴胡・黄芩・芍薬・甘草=心下肝部胸脇を暖めすかし
葛根=上部肌表を疎通し
羗活・白芷・桔梗=上部の緩解し
石膏=上部の熱を鎮墜清涼し、又肌肉の熱を疎通する。
★適応症及び病名
肺炎の一症
熱性病の一症
流行性感冒
 

柴葛解肌湯[3-1]《浅田家方》
「柴胡4、黄芩・桂枝・半夏・葛根・芍薬各3、麻黄2、石膏5、甘草1。生姜1.5」
◎太陽・少陽の合病、頭痛・鼻乾・口渇・不眠・四肢煩疼・脈洪数なる者を治す。
◎此方は余家の新定にて、麻黄・葛根、二湯の症未だ解せず、既に少陽に進み、 渇甚だしく、四肢煩疼する者に宜し。
◎浅田家方は、麻黄湯、葛根湯の2証未だ解せず、而も少陽に進んで嘔渇甚だしく四肢煩疼する者に宜い。《矢数道明》

柴葛解肌湯[3-2]《浅田家方》《龍野ー漢方処方集》
「柴胡・半夏・葛根各4.0g、麻黄3.0g、桂枝・黄芩・芍薬各2.0g、甘草1.5g、 石膏6.0g、干姜1.0g」
◎感冒で頭痛鼻乾き口渇し不眠、四肢煩疼脉洪数の者。
★適応症及び病名
怒りっぽい
悪寒
悪心
胸脇苦満
狂躁
口渇
高熱
錯乱状態
衂血
身体疼痛
頭痛
譫語
発狂
鼻が乾燥
不眠
無汗


柴葛二朮湯《古今方彙》
「柴胡、白朮、陳皮、乾葛、蒼朮、羗活、防風、荊芥、甘草、生姜」水煎。
◎瘧疾初に発し、憎寒壮熱、頭疼み汗ある者汗なき者を治す。



柴陥湯[1-1]《本朝経験》
「小柴胡湯小陥胸湯」
◎小柴胡湯の消炎鎮痛作用が更に強化される《大塚敬節》

柴陥湯[1-2]《通俗傷寒論》《中薬臨床応用》
「柴胡9g、黄芩6g、黄連3g、法半夏5g、括楼仁15g、枳実4.5g、桔梗6g、生姜5g」水煎服。
◎胸痛を伴う咳嗽
◎痰が多い
◎痰がすっきり出ない

柴陥湯[1-3]《東醫寶鑑》
「半夏3銭、瓜仁・柴胡各2銭、黄芩・黄連各1銭、人参7分、甘草5分、姜5、棗2」水煎服。
◎熱実結胸と水結痰結を治す。



柴陥湯[1-4]《漢方治療の実際》
「小柴胡湯括呂仁3、黄連1.5」
◎胸中の熱邪が心下の水と併結する者を治す。
◎此方は誤下の後、邪気虚に乗して心下に聚まり、その邪の心下に聚まるにつけて、胸中の熱邪がいよいよ心下の水と併結する者を治す。《勿誤薬室方函口訣》
◎此症の一等重き者:「大陥胸湯」なれども、此方にて大抵防げる。
◎鑑別:《浅田宗伯》
「柴陥湯」:胸から心下まで痛む者。
「柴胡枳桔湯」:胸が詰まった葉に痛み、或いは肺癰に鳴ろうとする者。
「柴梗半夏湯」:両脇まで刺痛し、咳嗽の甚だしい者。
◎鑑別:

「括呂枳実湯」参照á「括呂枳実湯」
「柴陥湯」:咳嗽・胸痛・粘痰。
「括呂枳実湯」:咳嗽・胸痛・粘痰・気急。

◎目標:
「胸脇部に充満圧迫感があって、咳嗽時または深呼吸時に胸痛を訴える点にある。また体温上昇、食欲不振などがみられることもある」。《大塚敬節》
「熱性の胸痛、或いは心下痛、咳嗽」《龍野ー漢方処方集》
★適応症及び病名(五十音順)
[1]咽喉炎
[2]往来寒熱
[3]かぜ
[4]咳嗽
☆咳嗽による胸痛。
☆上焦熱盛んに痰咳する者:「竹茹」
☆疹已に出で胸満喘急する者は、毒気内攻して肺気壅塞するなり、柴陥湯に宜し。《麻疹心得続録》
[5]肝炎
[6]感冒
[7]気管支炎:
☆感冒後に気管支炎になり、痰が切れにくく、強い咳をすると、胸から腹に引きつれて痛むという者《大塚敬節》
[8]気管支喘息
[9]急性胃腸炎
[10]急性腎炎
[11]胸脇苦満(著明)
[12]胸痛:
☆傷寒、結胸を治す:「枳実・桔梗・山梔子」《傷寒翼方》
☆肋膜炎・気管支炎・肺炎などで、胸痛を訴える者に用いる《大塚敬節》
[13]胸膜炎
[14]口がねばる
[15]血管運動神経浮腫
[16]肩背強急
[17]口乾
[18]口苦
[19]ジフテリア(=馬脾風)
☆初起に:「竹茹」《勿誤薬室方函口訣》
[20]上気道炎
[21]心筋梗塞(初期)《矢野》
[22]心下痞
[23]深呼吸が苦しい
[24]舌苔 <白膩>
[25]胆嚢炎
[26]濃厚な喀痰
☆熱盛んな者には、竹茹《勿誤薬室方函口訣》
☆痰が<黄色痰稠>
[27]肺炎
[28]疲労倦怠
[29]百日咳
[30]肋膜炎
☆乾性肋膜炎の特効薬。
[31]肋間神経痛:
☆みぞおちから脇腹にかけて。重苦しくつまる感じで、抵抗と圧痛のある者。

     


柴香散《東醫寶鑑》
「枳実・地骨皮・三稜・莪朮各1銭、柴胡・黄芩各7分、赤芍薬・厚朴・香薷・黄連・延胡索各5分、甘草3分」剉作1貼し、水煎服。
◎心腹に気があるが、塊にために少し通じ、又は膨張し、寒熱往来する者を治す。

柴梗湯《東醫寶鑑》
「柴胡2銭、黄芩・半夏・枳穀・桔梗各1銭、人参7分、甘草5分、生姜5、大棗2」水煎服。
◎胸膈の満悶・痞痛を治す。

柴梗半夏湯《東醫寶鑑》
「柴胡2銭、瓜蔞仁・半夏・黄芩・桔梗各1銭、青皮・杏仁各8分、甘草4分、姜3片」水煎服。
◎痰熱による胸痞・脇痛のとき。

梗半夏湯《医学入門》《龍野ー漢方処方集》
「柴胡・半夏各4.0g、桔梗・杏仁・瓜蔞仁各3.0g、黄芩・大棗各2.5g、枳実・青皮各2.0g、甘草1.5g、干姜1.5.g」
◎発熱、咳嗽、胸満、両脇刺痛する者を治す。これ邪熱、痰を挟み攻注するなり。
◎「柴胡枳桔湯青皮・杏仁・人参」《勿誤薬室方函口訣》
柴胡枳桔湯証にして咳嗽甚だしき者に用いる。《勿誤薬室方函口訣》
◎発熱咳嗽、胸満脇痛する者。
★適応症及び病名
肺炎:
☆柴陥湯の証にして、胸に牽引痛と咳嗽がある《済世薬室》
胆石症

柴胡飲子《金匱要略》
「柴胡8分、白朮8分、檳榔4枚、橘皮5分、生姜5分、桔梗7分、枳実5枚、甘草3分」
◎五臓の虚熱を退く。
◎此方は四逆散の変方にして、時々肌熱を発し、或いは瘧状の如く、二三日苦悶する者を治す。《勿誤薬室方函口訣》
◎脚気初起、傷寒に似て発熱する者に効あり。
◎腹中熱有り、将に下痢せんとする者、先ず之を与える。

柴胡飲子《宣明論》《古今方彙》
「人参、当帰、黄芩、柴胡、大黄、甘草」
◎一切の蒸積熱及び血虚発熱、脈洪大実弦数の者を治す。


柴胡飲子《東醫寶鑑》
「柴胡・黄芩・人参・当帰・赤芍薬・大黄・甘草各1銭」剉作1貼し、姜3片入れ水煎服。
◎肝熱を治す。

柴胡加桂湯《傷寒論》《古今方彙》
「柴胡3銭、黄芩・桂枝各2銭、半夏1銭、甘草4分、生姜大棗」水煎温服。
◎半表半裏の症、盗汗、身熱し衣を去るを欲せず、及び満せず、硬せず、但だ、心下妨悶(いためもだえる)するを治す。之を支結百病という。
◎ここに若し頭疼悪寒あらば、「小柴胡加桂」値千金なり。


柴胡加芒硝湯《傷寒論》
「柴胡2両26銖、黄芩1両、人参1両、甘草(炙)1両、生姜(切)1両、半夏20銖、大棗(擘)4枚、芒硝2両」
右八味、以水四升、煮取二升、去滓、内芒消、更煮微沸、分温再服。不解更作。
◎傷寒十三日不解、胸脇満而嘔、日哺所発潮熱、已而微利、此本柴胡證、下之以不得利、今反利者、知医以丸薬下之、此非其治也。潮熱者、実也。先宜小柴胡湯以解外、後以柴胡加芒硝湯主之。
《傷寒論》辨太陽病脉證并治中第六。
《傷寒論》辨発汗吐下後病脉證并治第二十二。


柴胡加芒硝湯《傷寒論》《漢方治療の実際》
「柴胡6、半夏5、黄芩・人参・大棗・生姜・甘草各3、芒硝2」


柴胡加芒硝湯《傷寒論》
◎「大柴胡湯芒硝2両」
◎此方は《成無已》は小柴胡湯に加ふれども、《医学入門》に従って大柴胡湯に加ふべし。何となれば、柴胡証にして陽明に及ぶ者に用ゆればなり。《勿誤薬室方函口訣》
◎故にその熱候、鬱々として微煩にはあらで、日哺所潮熱を発するなり。
◎芒硝は即ち胃中凝滞の実熱を去る為に用いる。《金匱要略》には芒硝一味を大黄に伍せずして用ゆれども、解凝利水に用いる。此方とは趣意異なる。《勿誤薬室方函口訣》
◎その既に陽明に及び、而して少陽未だ解せず、心下急、鬱々微煩する者は、「大柴胡湯」なり。胸脇満して嘔し、日哺所潮熱を発するは、「柴胡加芒硝湯」と為す。《傷寒弁要》
◎潮熱、下痢、胸脇満、嘔。
★適応症及び病名
[1]悪心
[2]嘔吐
[3]胸脇苦満
[4]口渇
[5]口苦
[6]口唇乾燥
[7]食欲不振
[8]心下痞硬
[9]潮熱:
☆<日哺所=夕方4時頃>
[10]熱病誤下後
[11]腹満<実満>
[12]便秘
[13]痢疾:
☆痢疾の初起は発表を以て緊要と為す。もし将に噤口痢にならんとする者は、早く大いに之を下すべし。大柴胡湯芒硝に宜し。《先哲医話》



柴胡加竜骨牡蛎湯[1-1]《傷寒論》
「柴胡4両、龍骨・黄芩・生姜(切)・鉛丹・人参・桂枝(去皮)・茯苓各1両半、半夏(洗)2合、大黄2両、牡蠣(熬)1両半、大棗(擘)6枚」
右十二味、以水八升、煮取四升、内大黄、切如碁子、更煮一両沸、去滓、温服一升。本云柴胡湯、今加龍骨等。
◎傷寒八九日、、下之、胸満、煩驚、小便不利、譫語、一身盡重、不可轉側者、柴胡加竜骨牡蠣湯主之。
《傷寒論》辨太陽病脉證并治中第六。
《傷寒論》辨発汗吐下後病脉證并治第二十二。

■鑑別
[大柴胡湯](肝鬱・寒熱症・心下急・鬱々微煩)
柴胡6・黄芩3
[柴胡桂枝乾姜湯](肝鬱・腹動・虚証)
柴胡6・黄芩3
柴胡7・黄芩3(小柴胡湯
柴胡5・黄芩2(柴胡桂枝湯)
[苓桂朮甘湯](癇症・心下悸・胃内停水・脈沈)
[抑肝散加陳皮半夏](癇症・腹動・神経症状・臍傍大動悸・虚証)
[甘麦大棗湯](狂状・急迫・神経症状甚・腹筋拘急)




柴胡加竜骨牡蛎湯[1-2]《傷寒論》《漢方治療の実際》
「柴胡5、半夏4、大棗・生姜・人参・龍骨・牡蠣・桂枝・茯苓各2、大黄1」
原方には鉛丹があるが、一般には、これを去る。また甘草を入れることがある。
◎小柴胡湯の証にして胸腹動あり煩躁、驚狂、大便難、小便不利する者を治す。《吉益東洞》    
◎此方は肝胆の鬱熱を鎮墜するの主薬とす。故に、傷寒の胸満、煩驚のみならず、小児驚癇、大人のテンカンに用いる。《勿誤薬室方函口訣》
◎本症は胸中煩して嘔せず(小柴胡湯)と、少陽中風胸満而煩とあるものより、一等深きもの、煩、驚、各自が一証である。《傷寒論識》
◎柴胡加竜骨牡蛎湯証にして、虚に属する者:「升陽散火湯」《傷寒翼方》


柴胡加竜骨牡蛎湯[1-3]《傷寒論》
★適応症及び病名 (五十音順)
[1]イライラ:
☆癇症(神経がイライラする症)にて、煩驚なく、四肢掣縦(不自由)、心志不安者は:「大黄・鉛丹芍薬・釣藤鈎・羚羊角・甘草」《勿誤薬室方函口訣》
☆癇症、夜安眠を得ず、喜笑止まず、あるいは痰喘壅塞し、精神爽やかならざる者を治す。《傷寒論識》
[2]咽喉異物感
[3]インポテンツ
[4]陰痿(神経性の)
[5]萎縮腎
[6]運動障害
[7]円形脱毛症
[8]往来寒熱
[9]驚きやすい(易驚)・怒りっぽい(易怒)
☆驚癇、或いは心気不定の者、之を主どる。《類聚方集覧》
[10]潰瘍性大腸炎
[11]角膜混濁:
☆1聾者、角膜曇濁して胸腹に動があり、時に或いは頭眩する。よって柴胡加竜骨牡蛎湯を与え、芎黄散を兼用し、且つ一方を点眼し、1ヶ月ばかりにして癒えた。《上田椿年》
[12]脚気
[13]肩こり:
①神経過敏、興奮しやすい。
②臍上動悸、
③心下部膨満・抵抗あり、
④胸脇苦満。    
⑤上腹部膨満し、不眠、めまいを訴える。
☆神経過敏で興奮しやすい、便秘するなどの症状があって肩凝りを訴える者《大塚敬節》
☆神経症・心臓病・高血圧症などで肩凝りのある者に用いる機会がある《大塚敬節》
[14]仮面うつ病
[15]肝炎(急・慢性)
[16]肝硬変
[17]感情不安定
[18]癇症:
☆この方を癇症や癲狂に用いてしばしば効を得た。当今の病人は、気鬱と肝うつの病人が10中の7、8である。肝欝が募ると癇症となる。婦人はわけても肝欝と癇症が多い。この場を会得すれば当今の雑病の治療も困難ではない。《傷寒論》では胸満、煩驚、小便不利の者に用いている。この数症の中で、胸満が主症で、煩驚、小便不利が客症である。    畢竟、胸満するから自然と胸中が煩する。煩するから精神が不安で事に触れて驚くようになる。気が胸に上って結ばれるからそこに鬱積してめぐらない。それで小便の不利が起こる。それ故にこの方を用いる標準は胸満である。もちろん大小便の通じ悪く、煩驚があれば正面の証である。さて癇症は色々の証を現す病で、夜床につくと、眼に色々のものが見えたり、また水気が臍の下から攻め上がって呼吸が促迫して、脚気衝心のようになったり、発作のたびに手足がひきつれ、ひどいときは痙病のように、反り返る。夜間たまたま眠ると夢を見、種々の症状を現す。このような場合、胸満、煩驚、小便不利があれば、必ずこの方を用いるが良い。《餐英舘療治雑話》
☆府下大久保余丁町の鈴木由喜は年が40歳あまり。ある日突然眼を見張って、まばたきをせず、訳の分からないことを口走り、屋根に登ったり、垣根を飛び越えたりして走り騒ぐようになった。またひどい大食で、鰯魚のなますを大きな盆に1杯入れてあったものを半分も食べて、まだ飽きたらないもののようである。その上、からだや四肢を団子大のものが走り回るようになった。そこで人々は狐つきだとして、神に祷ったり、仏にお願いをかけたり、針をしたり、灸をしたり、刺絡をして血をとったり、薫法をして煙を嗅がせたり、ありとあらゆることをした。こんな風で100日ほどたったが、依然として治らない。ところがたまたま団子大のものが3つも4つも左の顎のところに集まって、瘰癧のようになり、ひどく歯が痛むようになった。すると、いままでの狂躁状態がピタッと止み、ただ訳の分からないことをいうだけとなった。そこで余に往診を乞うた。
余はこれを癇症と診断して、柴胡加竜骨牡蠣湯を与えたところ、歯痛が治まり、瘰癧の様なものも、だんだん消え、妄語もまた止んで10日あまりで全治した。その後は感冒のような軽い病気にかかっても、他の薬剤よりも、柴胡加竜骨牡蠣湯の効く場合が多くなった。(福富元・和漢医林新誌第76号)
[19]気が小さい
[20]気の上衝 <>
[21]灸後の煩躁
[22]胸脇苦満:<>
[23]胸満煩驚:
☆胸満感ありて心悸亢進し、身体微痛し、脈弦遅なる証。《奥田謙蔵》
[24]強迫神経症
[25]恐怖症:
☆怵惕、煩満の状ありて、精神昏乱し、時には譫語を発し、脈緊急なる証。《奥田謙蔵》 (怵=ジュツ、恐れる)(惕=テキ、恐れる)
[26]狭心症
☆「黄連1.5g、葛根5.0g」狭心症や心筋梗塞の発作時に用いるのではなく、平素服用することで、発作を予防する効がある。神経過敏で、精神感動によって発作を起こすもので、心下部が膨満し、臍上で動悸が亢進し、不眠、煩悶の状あるものに用いる。《漢方診療医典》
[27]狂乱:
☆狂症、胸腹の動甚だしく、驚懼(キョウグ)人を避け、兀(コツ)座、独語し、昼夜寝ねず、或いは猜疑多く、或いは自死せんと欲し、床に安んぜざる者を治す。《類聚方広義》
兀(コツ)=白川静は髪の毛を剃り落とした頭の側面の象形だとする。
[28]筋肉攣縮(ピクピクひきつる)
[29]ケイレン:
☆《大塚敬節》
“14歳の男児。乳児の頃、中耳炎にかかった。昭和29年に突然意識を失って卒倒して、激しい痙攣を起こした。それが毎年少しずつ悪化し昭和34年には、3月、5月、6月、7月、10月に大きな痙攣発作があり、昭和35年には2月と3月に大発作があって、4月に当院に治を乞うた。
腹診すると、臍部で動悸が亢進している。胸脇苦満は右側で極めて軽微に証明されるが、ほとんどわからない程度である。およそ乳幼児や少年に柴胡剤を用いるときは、胸脇苦満は、あまりはっきり現れないことが多い。腹部もあまり膨満していない。この点は大人の場合とは違っている。
私はこれに柴胡加竜骨牡蛎湯大黄甘草を与えた。これで効がなければ、釣藤鈎、芍薬を加えることを予定していた。
ところが、これを服用し始めてから昭和35年、36年は1回も発作を起こさず。37年8月現在まで約年3ヶ月全く健康である。”
[30]眩暈
[31]肩胛骨の酸痛
[32]言語障害:
☆《橘窓書影》
“戌申(つちのえさる)の役の時、沼田候が心を悩ます事多く、和平の のち、“忽然として言語蹇渋、半身不随、腹裏拘急、時々欝棒、人事 を省せず、精神快々として楽しまず百治效なき者”に、柴胡加竜骨牡 蛎湯大黄鉛丹芍薬釣藤羚羊角甘草を与え、数日で著効を得た例が 出ている。”
[33]高血圧症:
☆「釣藤鈎3.0、芍薬3.0」《大塚敬節》
☆大柴胡湯の証にして、心悸亢進、息切れ、胸内苦悶などを訴え、また神経症状が強いような場合に用いる。《大塚敬節》
☆72歳の婦人。
「4年来の高血圧で最高血圧は240mmまで上がったことがあるという。心臓肥大があり、動悸・息切れを訴える。頭痛・肩こりはないが、軽いめまいがある。
胃下垂で胃が変形していると言われたことがある。食欲が無く、便通は普通。睡眠は精神安定剤を飲んでも4時間ぐらいしか眠れないとこのとである。手足が冷えて手がふるえる。本人は唇や声もふるえると訴える。
体格はやせ型で、顔色は普通、脈は弦で、左のヘソのかたわらに拍動を触れ、ヘソの上部に圧痛がある。舌には白いコケが目立っている。血圧は(160-90)であった。降圧剤を服用しているとのことである。
柴胡加竜骨牡蛎湯エキスを与えたところ、20日後には声と手のふるえが止まり、血圧は(130-80)に下がり、1ヶ月半後には降圧剤を中止したが、その後も血圧は安定して、全身状態が好転した。」《矢数圭堂》
「34」高脂血症に対する柴胡加竜骨牡蛎湯と大柴胡湯の効果【EBM】
(対象):
インスリン非依存型糖尿病に高脂血症を合併した患者32例。
(Evidence)
1件の症例集積研究において、インスリン非依存型糖尿病に合併した高脂血症では証を考慮して投与後(12週)、有意に総コレステロール値の低下を認めた。しかし、大柴胡湯はこの条件では有意な改善が求められなかった。
[35]高所恐怖症
[36]甲状腺機能亢進症
☆発病初期で体力があり。胸脇苦満、腹部膨満を認め、興奮しやすくて疲労し、動悸、不眠などを訴えるものに(漢方診療医典)
[37]更年期障害
[38]五十肩
[39]四十肩(腕)
[40]子癇:
☆「鍼砂」《雑病翼方》
[41]自閉症
☆腹力充実、胸脇苦満、気分変化の大きさ、物事の興味喪失、興奮、癇症、独語などに(漢方診療医典)
[42]自律神経失調症状
[43]神経過敏
[44]神経衰弱症
[45]神経症:
☆この方は大柴胡湯を用いるような腹証の患者で、臍上で動悸が亢進し、神経過敏で、驚きやすく、興奮しやすい者に用いられる《大塚敬節》
☆癲狂、驚悸、不眠、健忘の症でも、胸脇にかかる者は、小柴胡湯、大柴胡湯、柴胡桂枝乾姜湯、柴胡加竜骨牡蛎湯の4方を症に随って選んで用いるがよい。この他に、これらを例として、柴胡別甲湯の類、或いは後世家ならば逍遙散、抑肝散などの類を広く用いる。後世家は、柴胡桂枝乾姜湯の処へ逍遙散を用い、大小柴胡湯の処は大方抑肝散を用いる。以上の4方の内で、動悸をよく治する者は柴胡加竜骨牡蛎湯である。柴胡桂枝乾姜湯を用いるような動悸で、この方を用いても効のない時は格別に、胸満、煩驚がなくても、柴胡加竜骨牡蛎湯を用いて、よく動悸の治まるものである。また柴胡加竜骨牡蛎湯を用いて効のある程度の動悸には必ず多少の胸満、煩驚の症がそうものである。
柴胡桂枝乾姜湯を柴胡加竜骨牡蛎湯とはよく似ていて、動悸が主である。胸満、煩驚の証は姜桂湯にもあるけれども、姜桂湯の方は虚証で、龍骨牡蠣湯の方は実証である《方輿輗》
[46]【EBM】神経症に対する柴胡加竜骨牡蛎湯の効果
(対象)
イライラを主訴とする神経症患者15例。♂10例♀5例。年齢は28~68歳、平均47.0歳。漢方医学的所見は全例が実証。

自覚症状の消失、軽快、不変によって、それぞれ著効、有効、無効と判定。
(結果)
著効2例(16.7%)、有効6例(40.0%)無効7例(43.3%)で、有効率は53.3%であった。副作用は認めなかった。
[47]心悸亢進:
☆神経性心悸亢進症
☆発作性頻脈(発作性心悸亢進)
☆柴胡加竜骨牡蠣湯を用いる目標は、胸満・煩驚である。そこで、上腹部から胸部にかけて膨満し、物に驚きやすく神経が過敏になり、臍部で動悸が亢進し、大便は秘結し、心悸亢進ある者の用いる。この方は神経性心悸亢進に用いるばかりでなく、バセドウ病・高血圧症・更年期障害などに用いた。《大塚敬節》
☆34歳の肥満した女性で、主訴はめまいと発作性の心悸亢進で、その他に肩凝り・頭重・胸内苦悶・上腹部の膨満感・小便不利などを訴える。この病気は2年前の分娩から起こり、いろいろ手当をしたが良くならないという。顔色は少しく潮紅を呈し、脈はやや浮にして力がある。鳩尾の部分で振水音を証明する。軟弱ではない。大便は毎日1行あるが、思うように快通しない。月経が遅れがちである。
以上のような症状であるから、柴胡加竜骨牡蛎湯を与えたところ、大便が快通し、すべての症状が軽快した。ところが2ヶ月ほどたってまた来院した。患者の語るところによると、5ヶ月目に流産したが、その後で、めまいが起きて、フラフラして歩くのに困るという。こんどは肩凝りと頭重はないが、胸のふさがる感じがある。それに便秘もなく、上腹部の膨満はあるが、前のように抵抗がなく、軟い、そこでこんどは半夏厚朴湯を与えたところ、3週間の服薬ですっかりよくなった。《大塚敬節》
[48]心筋炎
[49]心筋障害
[50]心筋変性症
[51]心下部に抵抗感(心下痞)
[52]心下部に膨満感
[53]心臓神経症
☆胸脇苦満をと心下部膨満のある患者で、神経過敏で、発作性に心悸亢進を訴え、呼吸促迫と胸痛のあるものに用いる。また、不眠、肩こり、めまい、便秘を訴えるものもある。腹診すると、臍傍で動悸の亢進しているものもある(漢方診療医典)
[54]心臓喘息
[55]心臓弁膜症:
☆心臓弁膜病等にして、胸脇苦満、浮腫、動悸、神経過敏、小便不利、便秘の傾向ある証。《奥田謙蔵》
[56]腎炎:
☆慢性腎炎で、浮腫なく、血圧高く、息切れ、耳鳴り、便秘して、尿量減少する者。
☆臍上で動悸の亢進を認める。
[57]水腫
[58]小児驚癇
[59]小便不利(尿不利)
[60]身重(下半身)
[61]頭重:
[62]頭痛:
☆大柴胡湯を用いるような患者で、臍のあたりで動悸が亢進し、神経症状の強い者に用いる《大塚敬節》
☆患者は50あまりの婦人で、数年前から激しい頭痛を患い、ヘソの当たりの動悸が上にのぼって、それが胸にまで響き、頸項がとても強ばりひきつれ、一昼夜ほどたつと、今度は、頭に突き上がるようなひどい痛みがきて、堪えられない。このような発作が月に2回も3回も起こる。(中略)脈をみると、沈んで、突っ張った脈で、速い。腹をみると、季肋下が膨満して腹部で動悸が亢進し、腹筋が少し緊張している。そこで柴胡加竜骨牡蛎湯を与えたところ、4、5日たつと、6、7年前から止まっていた月経があり、それきり頭痛が起きなくなった。《和漢医林新誌ー西川市令》
[63]精神分裂病:
☆16歳男。体格強壮、隆々たる筋骨の運動選手で、勉学と運動選手の責任との矛盾に悩んで神経衰弱となり、快々として楽しまなかったが、病状悪化して太息をもらし、独語するようになった。ついに狂躁状態を呈して、室外に飛び出し、屋根に登り、塀を登って高声放歌するようになった。初診の前日まで2週間ほど騒擾を繰り返していたが、診察の日は欝状で、不眠、頭痛、食欲不振、鼻閉塞を訴え、応答はすこぶる不活発である。
脈は沈遅、腹部は右季肋下反応陽性で臍上で動悸を認める。事志と異なり、計画と実行の矛盾に悩むときに起こる精神的葛藤はやがて肝胆の気鬱となる。すなわち柴胡加竜骨牡蠣湯鉛丹大黄を与えたとこ ろ、翌日から睡眠可能となり、以来狂躁状態はほとんど無くなった。
以来快方の一途をたどり、服薬4ヶ月におよんで廃薬し、就学可能となった。《矢数道明》
[64]精力減退
[65]性的神経衰弱
[66]舌質:<紅>
[67]舌苔:<白苔~黄・やや膩>
[68]譫語
[69]譫妄(せんもう)
[70]嘈雑(そうざつ=胸やけのこと):《方読便覧》
[71]早漏
[72]対人恐怖症
[73]帯下:
☆あまり血色の良くない肥満した婦人が、胃が悪いといって来院した。主訴は、いつも胃が重く、胸がつかえているというのであるが、その他に胸焼け、肩の凝り、めまいもあるという。大便は便秘の傾向がある。
腹診するに、腹部は全般的に膨満し、とくに心下部が張っている。大柴胡湯にしようかとも考えたが、柴胡加竜骨牡蛎湯にした。
これを2週間ほど飲んだ時、患者は云った。
「先生、あの薬はこしけにも効きますか、こしけが止まりました」
患者は初診の時、私に、帯下の下りることを話さなかったが、よほどうれしかったらしい。
その後、気をつけていると、この処方で帯下が良くなった者が、2、3人あった。《大塚敬節》
[74]大動脈瘤
☆動悸、息切れ、胸痛、胸部の圧迫感などがあり、神経質になって、不安感、不眠などを訴え、上腹部が膨満して、便秘する者に用いる、大動脈瘤の成因が、狭心症と類似の動脈硬化性病変にあると考えて、黄連1.5、葛根5.0を加えてよい(漢方診療医典)
[75]立ちくらみ
[76]多夢
[77]血の道症:
☆胸に圧迫感があり、ヘソの上orヘソ横に不快感、腹部大動脈の亢進、みぞおちに突き上げる動悸、のぼせ、頭痛、めまい、不眠、疲労感がある者。
[78]中風:
☆中風の一種に熱癇(脳卒中で熱あるもの)と称するものに、よく応ずる《勿誤薬室方函口訣》
☆《橘窓書影》
“管沼織部正の老女、千代野70余歳は、ある日、卒倒してから、顔がゆがみ、左の手足が動かなくなり、頭は破れるかと思うほど痛み、顔は赤く、舌は強ばって、物を言うことが出来なくなった。大便も出ない。診察してみると、腹はひきつれ、みずおちで動悸をふれる。そこで余は熱癇の正証と診断し、先ず風引湯を与え、次いで柴胡加竜骨牡蛎湯中の鉛丹を去り釣藤鈎、芍薬、甘草、羚羊角を加えて与えたところ、3日後には、諸症軽快し、起きあがって歩くことが出来るようになった。た

だし、言葉はもつれて用意に話が出来ない。そこで前方を続けたところ、100日余りたって、やや平生通りに、話をすることが出来るようになった。
余はいままで中風で、実証の者は、みな《金匱要略》に言うところの熱癇に属するものとし、その重い者には風引湯、柴胡加竜骨牡蛎湯鉛丹釣藤芍薬黄連羚羊を用い、軽い者には、四逆散棕櫚葉紅花白蚕及び抑肝散芍薬黄連羚羊角を用いたが、全治する者が少なくなかった。ところで、大小の続命湯及び桂枝加朮附湯の証に属する者は、ある程度は治っても全治することは難しい”
[79]テンカン:
☆《徐霊胎》曰く、此方能く肝胆の驚痰を治す。之を以て癲病を治せば必ず効ありと。
☆症候性癲癇様発作等。《奥田謙蔵》
☆按ずるに、此方は能く肝胆の驚痰を下す。之を以て癲癇を治すれば必ず効あり。《傷寒類方》
☆癇症、時時寒熱交(コモゴ)も作(オコ)り、欝欝として悲愁し、多夢升寐、或いは人に接するを悪み、或いは暗室に屏居し、殆ど労(肺結核)の如き者を治す。狂、癇の2症も、亦当に胸脇苦満、上逆、胸腹動悸等を以て目的と為すべし。癲癇、居常胸満、上逆し、胸腹に動有り、毎月23発に及ぶ者、常に此方を服して(きびしか)らざるときは、則ち屡(しばしば)発するの患無し。《類聚方広義》
☆この方で著効を得ることがしばしばある。但し、1年も用いて発作の止まない者は、この方の適応証でがない。私は釣藤鈎3.0芍薬3.0甘草2.0として用いている《大塚敬節》
☆《大塚敬節》
“少年9歳。2歳の頃から時々ひきつけがあり、6歳になって、癲癇という診断をつけられた。痙攣を起こして卒倒するような大発作は少ないが、1回20秒~50秒くらい意識の消失する程度の発作が、多い日は10数回もあった、そこで某大学で手術をうけたが、やはり意識の消失は止まなかった。
体格は中肉中背で、血色はすぐれない。
私はこれに柴胡加竜骨牡蛎湯大黄釣藤芍薬甘草を与えた。これを用い始めて、5ヶ月たつと、全く発作が止み、その後2年間服薬を続けた。その間1快も発作がなかった。”
[80]動悸 :
☆<臍上動悸>
☆実証の動悸に柴胡加竜骨牡蠣湯。
☆虚証の動悸には、柴胡桂枝乾姜湯。《勿誤薬室方函口訣》
☆矢数道明氏は抑肝散加陳皮半夏湯の証と柴胡加竜骨牡蛎湯の証が似ていて間違う場合のあることについて、次のように述べている。
神経症、血の道などはとかく腹部大動脈の亢進を伴うことが多いものである。柴胡加竜骨牡蛎湯の時は心下部が比較的堅く張っていて、         いわゆる胸脇苦満という心下部に抵抗圧痛があり、臍傍あるいは臍上に比較的限局性の動悸を触れることが多い。この証が長引いて虚証に移行し、腹筋がすっかり軟弱となり、胸脇苦満という症状はみとめられずに、心下より左臍傍まで、大きい長い動悸がつかめるように触れるものには抑肝散加陳皮半夏湯が良いと私は思っている。ところが中間型や移行型があって、類症鑑別を要することもしばしばである。
私は現在も柴胡加竜骨牡蛎湯を随分多くの場合に使っているが、この薬を呑んでひどい反応を起こしたことが一度ならずあった。仙台の人で、血圧も高く慢性腎炎があり、神経質の人で、柴胡加竜骨牡蛎湯の正証と思って、鉛丹・大黄を去って与えた。服薬を始めると、食欲が全く衰え、嘔吐下痢が起こった。しかしこれは一時的の反応と思って3日間ガマンして呑んだが、すっかり病人になって寝込んでしまったとのことである。速達で問い合わせがあったので、1週間服薬を中止して、それらの症状が去ってから再び服用して結果を知らせてくれるように返信した。薬を止めて1週間、やっと普通になったので、1日分を煎じて飲んでみたら、同じように負うとと下痢を起こったので中止してしまったということである。これはどうしてもいわゆる瞑眩現象とは思われないので、この患者に抑肝散加陳皮半夏湯を与えたところ、始めて著効を得たという《大塚敬節》
[81]動脈硬化症
☆神経質の患者で動悸と胸部の圧迫感をおぼえて安眠せず、胸脇苦満、心下痞満、便秘のあるものに用いる(漢方診療医典)
☆長く服用すると、肝と腎の機能が調整されてコレステロールがとれ、全身状態が改善される。
[82]登校拒否
☆体質的には実証で胸脇苦満、心下部の抵抗がある。臍上に動悸を認め、心悸亢進、不眠、煩悶、憂うつ感、神経過敏、集中力低下などの精神神経症状がみられる。脈は緊張強く、便秘の傾向がある、小児の場合は胸脇苦満はくすぐったがるタイプが多い。(漢方診療医典)
[83]難聴
☆大柴胡湯と小柴胡湯の中間程度の胸脇苦満があって、心下部に抵抗を触れ痞満し、臍上または臍傍に動悸を認め、腹部大動脈の亢進による神経症状があり、病気を気にし、のぼせ、不眠、煩悶の状あるものに(漢方診療医典)
[84]禿頭=はげ
[85]日射病:
☆熱病、胸脇満して嘔せんと欲し、煩驚して心下悸し、小便少なく、譫語し、休作時有り、一身尽く重く、転側す可らざる者は、柴胡加竜骨牡蛎湯之を主どる。《医聖方格》
[86]尿毒症
[87]ネフローゼ
[88]熱性病:
☆熱性病、逆上して精神昏み、身体倦怠の状ありて安臥せず、二便渋滞し、脈数急なる証。《奥田謙蔵》
[89]ノイローゼ:
☆がっちりタイプで、見かけによらず神経過敏で、のぼせ、不眠、便秘傾向の者。
☆胸脇苦満と、臍上で動悸を認める。
[90]のぼせ
[91]脳溢血:
☆《矢数道明》
“横浜の患者で61歳になる頑健そうにみえる老紳士が、付き添いと共に足を引きずって来院した。
発病は昨年11月13日、選挙運動で疲労困憊していたが、この夜突然、猛烈な頭痛が起こって、その痛みは形容しがたい程激しく、15分間意識不明に陥っていた。この時血圧は173ミリ、先ず脳溢血であろうと言われ、応急処置をしてもらった。
その後、意識は回復したが、右足が無力になって、引きずって歩くようになった。東京の有名病院の2、3を歴訪したが、Y病院では脳出血、Z大学病院では脳底の腫瘍であろうとのこと。先ず治療法としては的確なものはないから、安静を守って経過を待つように言われた。
その後の訴えとしては、首筋の強直感がつよく、首を回すことが出来ない。軽い言語障害があって、ろれつが回らない。また字を書くことが困難で、自分では分かったつもりで書くが他人がみると間違っている。記憶力も減退し、発病後、右眼の視力障害も起こって右側視野が狭くなった。また右の足がだるく自分では階段など上り下り出来ず、膝が自由に挙がらないので引きずって歩く。2人の肩を借りて来院した。
発病前は67.5kgあったが、半年後52kgに減少し、諸症は漸次進行状態にある。初診時の血圧は120しかない。
脈は沈、舌苔なく露出不可能、腹証は心下堅く、胸脇苦満、臍上の動悸をみとめ、右項部堅く緊張し、胸部聴診上ギーメン(=ギー音:乾性ラ音の一種)を聴取し、呼吸困難を訴え、長年喘息の気味がある。
膝蓋腱反射両側共に減弱し、足搦はない。大小便共に普通、膝蓋腱反射が減弱しているところからずれば中心性麻痺よりも末梢性麻痺と診られるが、発病時の猛烈な頭痛、舌露出不能や言語障害、書字欠落症状などは中心性麻痺に傾いてくる。はたしてZ大学病院の診断のように脳腫瘍であれば、内服治療の効果もそれほど期待されないと思う。せっかくの希望に対して答え得るがどうか“すこぶる不安であった”
腹証は先ず柴胡剤が考えられ、柴胡加竜骨牡蛎湯の“一身尽く重く転側すべからざるもの”をこの運動麻痺、不随症状に該当させてこの方を用いた。鉛丹・大黄を去る。
服薬3日目から足の軽くなったのを自覚し、1週間後、再度来院の時は、駅の階段を独りで昇降できた。前回のことを思うと生まれ変わったようであると非常の喜びようである。視力も少しは良いし、喘息気味の方も軽快し、物忘れも少なくなった。心下部の抵抗圧痛がとれ、血圧も120-70に安定した。ただ首を右へ回すと首筋が凝って引っ張られる。   引き続き服薬中であるが、ますます好調である”
[92]脳出血
[93]脳症
[94]脳底動脈硬化症
[95]バセドウ病:
☆バセドウ病等にして、動悸、不眠、多汗、神経過敏にして驚愕し易く、胸脇苦満ある証。《奥田謙蔵》
[96]梅核気
[97]半身不随:
☆《傷寒論》に一身ことごとく重く、転側すべからざる者に用いてあり、脳出血、脳軟化症などから来る半身不随に用いる機会がある。《大塚敬節》
[98]煩驚:
☆「救逆湯」は竜骨牡蛎を以て太陽火逆の驚狂を鎮め、柴胡加竜骨牡蛎湯は竜骨牡蛎を以て少陽誤下の煩驚を鎮む。《傷寒論識》
☆煩驚=邪熱が胸中に客在する症候で、精神不安、驚狂、奔豚、煩躁を兼ねるもの。
[99]煩躁:
[牡蛎][黄連][竜骨]、同じく煩躁を治し、しかも各主治するところあり。中は黄連の主るところなり。
臍下は竜骨の主るところなり。しかして、部位定まらずして胸腹煩躁のものは牡蛎の主るところなり。
[牡蛎]胸腹の動をを主治するなり。旁ら驚狂・煩躁を治す
桂枝去芍薬加蜀漆竜骨牡蛎湯(驚狂・起臥按からず)牡蛎5両
牡蛎湯(喘息息迫して胸中動ある)        牡蛎4両
牡蛎沢瀉散(身体水腫し腹中動あり小便不利)   牡蛎(諸薬等分)
柴胡姜桂湯(微煩)               牡蛎3両
桂枝甘草竜骨牡蛎湯(煩躁)           牡蛎2両
柴胡加竜骨牡蛎湯(煩驚)            牡蛎1両半
[100]煩悶
[101]ヒステリー:
☆「ヒステリー」等にして、胸脇苦満、腹部膨満感、煩驚、心悸亢進、不眠、呑酸嘈雑を発する証。《奥田謙蔵》
[102]肥満
[103]【EBM】子宮収縮剤(塩酸リトドリン)による頻脈に対する効果

[104]不安感
[105]不安神経症:
☆49歳女性。7、8年前から頭痛(頭頂痛)が常にあって、動悸がして不安が起こり、乗り物には恐ろしくて乗れず、音に敏感になって驚きやすく、疲れやすく、欠伸が多く、おっくうで仕事をする気にもならず、入浴するのも面倒でならない。今年に入ってから特にひどく、顔ばかりのぼせて足が冷え、足裏に氷をつけているように感じる。時々立ちくらみや不眠がある。
以前はホルモン注射をすると一時楽になったが、この頃は効果が無いと言う。
現症。体格中等、肉づきやや肥満型、体質は冷え症でのぼせ性、夏は肥って調子が良いという。
精神症状の主なものは、不安、心気的訴え、不眠、精神作業能の減退などであり、また知覚異常その他より、自律神経症状も推定された。
身体的には、血圧164-90mg/Hgでやや亢進しているほかには、理学的診断上著変を認めない。
漢方的には、便秘、食欲不振、胸焼け、白苔、月経やや遅れ気味である。脈は沈でやや弦、腹部は筋肉の緊張がよく、左側胸部に自発痛及び圧痛があり、且つ左季肋下に軽度の抵抗を認め、心下部に抵抗、圧痛(心下痞硬)を認めた。
治療及び経過。柴胡加竜骨牡蠣湯、(大黄1.5)を投与。1週間後、明らかに気分がよくなって、頭が軽くなったという。左側胸部の疼痛は、自他覚的で消失した。血圧144-86。
2週間後、気分はよいが月経の際、頭痛が起こる。しかし以前ほど強くないという。血圧128-74。
5週間後、手がむくまなくなった。墓参に行って来たが不安が起きなかった。動悸は時に起こることがあるが、対して気にならない。血圧に対して不安が無くなった。血圧136-84。
約1ヶ月半後、結婚式に参列して、疲れたら震えが出た。
約2ヶ月服薬を続け、患者は非常に気が楽になり、仕事も出来るようになったといって廃薬した。(山田光胤・日本東洋医学誌第12巻1号)
[106]不整脈
☆胸脇苦満、心下部痞満、便秘のあるもので、頻脈症の発作があるものに用いる(漢方診療医典)
[107]不眠症:
☆神経衰弱性不眠症等。《奥田謙蔵》
☆大柴胡湯を用いるような患者で、物に驚きやすく、動悸がしたり、興奮したりする病状があって、安眠できない者に用いる《大塚敬節》
[108]発狂:
☆婦人の発狂:「鉄砂」《勿誤薬室方函口訣》
☆婦人狂疾を発し、歌唱時無く、垣を越え屋上に上がり、或いは罵詈雑言、親疎を避けず、衣を棄てて走るなどを治す:「鉄砂」《傷寒論識》
[109]腹水
[110]便秘
[101]麻痺
[102]慢性関節リュウマチ
[103]慢性腎炎
☆浮腫はないが、血圧が高く、尿量が少なく、便秘、心悸亢進、胸部圧迫感などのある者に用いる。肥満体質で、胸脇苦満、上腹部の膨満がある(漢方診療医典)
[104]慢性腹鼻腔炎
[105]慢性便秘(臍下動悸を伴う)
[106]耳鳴り
☆神経衰弱、神経質、ヒステリーなどに現れた耳鳴で、精神不安定、心悸亢進、不眠、眩暈を伴い、腹部に動悸を認め胸脇苦満の証のあるもの(漢方診療医典)
[107]胸苦しい
[108]メニエール症候群
☆本方は上衝し、停滞している気と水を順通するというものである。また胸滿煩驚という病態は自律神経に失調を意味していて、腹部大動脈の亢進による腹部神経症状があり、上衝、心悸亢進、不眠、煩悶を訴えるものによい(漢方診療医典)
[109]めまい(眩暈)
☆肥満して、上腹部が膨満し、胸脇苦満があり、臍部で動悸が亢進し、興奮しやすく、驚きやすく、動悸、息切れなどを訴える者のめまいに用いる。《大塚敬節》
☆血圧の高低に拘わらず用いることが出来るが、血圧の高い場合に用いる機会が多い《大塚敬節》
☆45歳男性。数年前から軽いめまいを訴える。眼のせいかも知れないと眼鏡をいろいろ変えてみたが良くならない。原因が分からないから、治療法がないと云われたこともある。
腹診すると、胸脇苦満があり、大便が快通しないという。詳しくいろいろ尋ねると、この患者は外観によらず神経質で、つまらないことを気にするたちで、夜は安眠出来ないという。血圧は最高160最低94であった。
私はこれに柴胡加竜骨牡蠣湯を用いたが、徐々にめまいが遠のき、不安感が去り、安眠出来るようになった。《大塚敬節》
[110]めんどう(大儀):
☆動作不活発       
[111]火傷(やけど)による煩躁
[112]やけど:
☆火傷後の発熱等。《奥田謙蔵》
[113]ゆううつ
[114]【EBM】抑うつ状態に対する柴胡加竜骨牡蛎湯の効果

(Evidence)
1件の症例集積研究において、抑うつ状態の強い神経症患者に対する柴胡加竜骨牡蛎湯の有効率(軽度改善以上)は78.3%であった。症状別では、全身倦怠、易疲労、不安、抑うつ、心気、易怒、心血管系症状に特に有効であった。
[115]夜泣き:
☆小児の夜啼証等にして、腹部に動悸ある者。《奥田謙蔵》
[116]卵巣機能不全
[117]副作用:
患者:50代女性。
使用理由:更年期障害(合併症なし)
1日投与量:7.5g
投与期間:約6ヶ月
副作用発現経過:
37日前:全身倦怠感出現(投薬薬5ヶ月後)
21日目:38.9℃の発熱を認め、その後、労作時息切れが出現。
発現日 :近医受診し、胸部X線にて異常陰影を指摘される。
3日後 :本院入院
4日後 :内服薬を中止
20日後:胸腔鏡下肺生検を施行。
25日後:プレドニゾロン20mgより治療を開始。
39日後:退院し、外来で経過観察。
使用薬剤:酢酸メドロキシプロゲステロン
結合型エストロゲン
☆改訂後の添付文書:(重大な副作用)
「発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音(捻髪音)等が現れた場合には、本剤の投与を中止し、速やかに胸部X線等の検査を実施するとともに副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処理を行うこと。また、発熱、咳嗽、呼吸困難等が現れた場合には、本剤の服用を中止し、ただちに連絡するよう患者に対し注意を行うこと」
   



柴胡陥胸湯《通俗傷寒論》
「柴胡1銭、半夏(姜)3銭、川煉8分、桔梗(苦)1銭、黄芩1.5銭、瓜蔞仁(搗)5 銭、枳実1.5銭、生姜汁4滴」水煎服。」



柴胡枳桔湯[1]《傷寒蘊要》
「小柴胡湯人参括楼仁・枳実・桔梗」
◎小結胸、脈弦数・口苦・心下硬痛。あるいは胸中満硬し、或いは発熱し、或いは日哺潮熱し、往来寒熱・耳聾・目眩を治す。
◎此方は、結胸の類証にして、胸脇痛み、咳嗽短気、寒熱ある者を治す。此の類に3方あり。《勿誤薬室方函口訣》
<1>胸中より心下に至るまで結痛する者:「柴陥湯」
<2>胸中満して痛み或いは肺癰を醸さんとする:「柴胡枳桔湯」
<3>両脇まで刺痛して咳嗽甚だしい者:「柴梗半夏湯」
世医は「瓜蔞枳実湯」を慨用すれども、上の3方を弁別するに如くはなし。
◎脉弦数、口苦く心下硬痛、或いは胸中硬満、或いは脇下硬満、或いは発熱、或いは暮方に潮熱を発し、或いは往来寒熱し、耳聾目眩、或いは咳嗽短気する者《龍野ー漢方処方集》
★適応症及び病名
肺炎
胆石症
胆嚢炎
肋間神経痛

柴胡枳桔湯[2]《通俗傷寒論》
「柴胡1~1.5銭、黄芩(青子)1~1.5銭、半夏(姜)1.5銭、鮮生姜1銭、枳穀1.5銭、新会皮1.5銭、雨前茶1銭、桔梗1銭」

柴胡枳桔湯[3]《東醫寶鑑》
「麻黄・杏仁・枳殻・桔梗・柴胡・黄芩・半夏・知母・石膏・乾葛各1銭、甘草5分、姜3片」水煎服。
◎傷寒で胸脇が痛み、熱で咳をし、喘息して痰が盛んな者を治す。


柴胡枳桔湯《漢方治療の実際》
「柴胡・半夏各5、生姜・黄芩・括呂仁・桔梗各3、甘草1、枳実1.5」


柴胡枳穀湯《東醫寶鑑》
「大青葉・生地黄・石膏各1銭半、柴胡1銭、枳殻・黄芩・梔子・知母・麦門冬・乾葛各5分、升麻4分、甘草2分」水煎服。
◎妊婦が傷寒で発熱し、口が渇き、腹が脹満して便がつまり、たわごとを言って発狂する者を治す。

柴胡既済湯《溯源集》《勿誤方函口訣》
「小柴胡湯麦門冬・竹葉・附子」
◎熱無く脈沈、足冷を治す。

柴胡芎帰湯[1-1]《東醫寶鑑》
「柴胡・乾葛・川芎各1銭、桔梗・当帰・赤芍薬・人参・厚朴・白朮・茯苓・陳皮各7分、紅花・甘草各3分」剉作1貼し、「姜3、棗2、梅1」を入れ水煎服。この後、人参截瘧飲を飲む。
◎夜に発する陰瘧を治す。

柴胡芎帰湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》
「柴胡・桔梗・当帰・川芎・芍薬・人参・白朮・乾葛・茯苓・陳皮・厚朴各1銭、紅花・甘草各3分、生姜、大棗、烏梅」水煎し食遠に服す。
◎夜間の陰瘧を治す。
◎陽分を引き出せば即ち散ず。

柴胡芎帰湯[2-1]《万病回春》《古今方彙》
「香附子・当帰・竜胆・木香・砂仁・甘草各5分、柴胡・川芎・白芍薬・青皮・枳殻各1銭半、生姜」水煎。
◎肝火盛んにして而して木気実し、左右脇下が痛むのをなおす。

柴胡芎帰湯[2-2]《万病回春》《漢方後世要方解説》
「香附子2、当帰3、竜胆2、木香2、砂仁2、甘草2、柴胡4、川芎3、芍薬3、青皮3、枳殻1、生姜1」
◎此方は四物湯より地黄を去り、柴胡を加え、肝火の亢ぶるを抑え、気を順らす剤である。よく神経質の者に現れる、原因不明の胸痛、特に右肝臓部の胸脇痛を訴うる者に用いてよく奏功する。
木香・香附子・砂仁=諸気を行らす。
当帰・芍薬・川芎=血を補い燥を潤す
青皮・枳殻=気を破る
柴胡・竜胆=肝火を瀉す。
★適応症及び病名
原因不明の胸肋痛
血の道症の胸痛
肋間神経痛


柴胡去半夏加括呂湯《漢方治療の実際》
「柴胡6、人参・黄芩・甘草・大棗・生姜各3、括呂根5」

◎柴胡去半夏加瓜蔞湯はその証具わらざるなり。渇するを以ての故に、半夏に代ふるに瓜蔞を以てするなり。今、諸(これ)を、世に謂ふところの瘧疾にして胸脇苦満して渇する者に試みるに、甚だ効あり。その胸脇苦満の証あるなきは、則ち終にしらざるなり。然れば則ち胸脇苦満の証、それを脱するや明らかなり。《薬徴》
[瘧疾]=マラリヤ


柴胡去半夏加括蔞湯《外台秘要方》《金匱要略》
「柴胡8両、人参3両、黄芩3両、甘草3両、括蔞根4両、生姜2両、大棗12枚」
右7味、以水1斗2升、煮取6升、去滓、再煎取3升、温服1升、日2服。


柴胡去半夏加括蔞湯《外台秘要方》《金匱要略》
◎小柴胡湯の証で渇し、嘔せざる者を治す。《吉益東洞》
◎「小柴胡湯-半夏+括蔞根4両」
◎小柴胡湯証にして、渇し、若くは微嘔する者を治す《方極附言》
◎此方は瘧疾発渇を治す《勿誤薬室方函口訣》
(参照→去加柴胡湯)
◎病気がひねびて疲れを生じた者。《龍野ー漢方処方集》
★適応症及び病名
[1]気管支炎:
☆腐敗性気管支炎等には、証に由り少量の白芥子を加う。《奥田謙蔵》
[2]瘧疾:
☆長引く瘧(労瘧)に用いるは、清涼滋潤を主とするなり。
☆大渇大熱の甚だしきは:「小柴胡湯半夏知母・麦門冬・黄連」《雑病翼方》
[3]小児の諸瘡:「荊芥・防風・連翹」
[4]ジンマシン
[5]腎盂炎
[6]喘息
[7]痘疹:
☆餘毒ある者に:「荊芥・防風・連翹」
[8]胆嚢炎
[9]肺炎
[10]肺結核:
☆肺結核、及び其の類似疾患にして、日潮熱甚だしからず、骨立羸痩し、手掌、足蹠煩熱に堪えざる証。《奥田謙蔵》
[11]マラリア:
☆本草綱目、柴胡の部中、往々、往来寒熱を以て、その主治となすなり。夫れ世に謂うところの瘧疾は、その寒熱往来するや劇し。しかして柴胡を用ひて治する者あり、亦治せざる者あり。是において之を仲景氏の書に質(ただす)すに、その柴胡を用ふるや、胸脇苦満の証あらざるなし。今乃ち諸(これ)を胸脇苦満して関越往来する者に施すに、その応響の声におけるがごとし。ただに瘧にみのあらず、百疾然り。胸脇苦満の証なき者には、則ち之れを用ひて効なし。《薬徴》
☆「マラリア」様疾患にして、口舌乾燥感あるも、冷水を欲せずして、但だ水にて漱がんと欲する証。《奥田謙蔵》
☆「マラリア」。及びその類似疾患にして、慢性経過を取り、漸やく疲労し、口中乾燥感ある証。《奥田謙蔵》




柴胡桂枝乾姜湯[1-1]《傷寒論》
=「柴胡桂姜湯」「姜桂」
「柴胡半斤、桂枝(去皮)3両、乾姜2両、括楼根4両、黄芩3両、牡蠣(熬)2両、甘草(炙)2両」
右七味、以水一斗二升、煮取六升、去滓、再煎取三升、温服一升。日三服、 初服微煩、復服汗出便愈。
◎傷寒五六日、已発汗而復下之、胸脇満微結、小便不利、渇而不嘔、但頭汗出、 往来寒熱、心煩者、此為未解也。柴胡桂枝乾姜湯主之。
《傷寒論》辨太陽病脉證并治下第七。
《傷寒論》辨発汗吐下後病脉證并治第二十二。



胡桂枝乾姜湯[1-3]《傷寒論》《漢方治療の実際》
=「柴胡姜桂湯」=「姜桂湯」
「柴胡6、桂枝・乾姜・黄芩・牡蠣各3、括呂根4、甘草2」
◎小柴胡湯の証にして、嘔せず、上衝して渇し、胸腹動ある者を治す。《吉益東洞》
◎胸脇苦満して、胸腹に動有り、乾嘔し、上衝し、渇する者を治す。《方極附言》
◎胸脇滿して微結し、渇して嘔せず頭汗出でて、往来寒熱し、心煩する者。
胸脇滿して上逆し胸腹に動あるもの
瘧疾、悪寒甚だしく胸脇滿して胸腹に動ありて渇するもの
◎労、肺痿、肺癰、瘰癧、痔瘻、結毒、黴毒等、久しきを経て癒えず、漸やく衰憊に就き、胸満、乾嘔し、寒熱も交も作(オコ)り、動悸、煩悶し、盗汗、自汗し、痃嗽し、乾し、咽乾口燥、大便溏泄し、小便利せず、面に血色無く、精神困乏し、厚薬に耐えざる者は、此方に宜し。《類聚方広義》
◎此方も結胸の類症にして、水飲心下に微結して、小便不利、頭汗出ずる者を治す。《勿誤薬室方函口訣》
◎胸脇満微結、小便不利、渇或いは口唇乾燥、頭汗或いは盗汗、心煩、或いは往 来寒熱、或いは腹動、或いは咳、或いは咯血。《龍野ー漢方処方集》
◎この方は、柴胡剤の中で最も虚証になった者に用いる方剤である《大塚敬節》
◎目標:
「この方を用いる患者は、血色が悪く、筋肉の緊張も弱く、腹部は一体に断直に乏しい。また胸脇苦満も軽く、それと分からない程度である。臍部で動悸の亢進していることがある。便秘することはなく、ややもすると下痢に傾く。脈にも力がない。口が渇くと訴える者がある。一口に云えば、柴胡加竜骨牡蛎湯証の虚証である」。《大塚敬節》
【腹証】
《腹診配剤録》
“小柴胡湯の如くにして、之を按ずるに力無く、亦苦満少なくして動気甚だし”
【参考】
◎方中の括呂根は、キカラスウリの球根であって、カラスウリの球根ではないということである。もし誤って土瓜根(カラスウリの球根)を用いると、食欲不振、嘔吐などを起こす事がある。《大塚敬節》



柴胡桂枝乾姜湯[1-4]《傷寒論》
★適応症及び病名(五十音順)
[1]アレルギー性鼻炎
[2]イライラ
[3]インフルエンザ(流感)
[4]胃液分泌過多症
[5]胃潰瘍
[6]胃下垂
[7]胃酸過多症
[8]息切れ
[9]うつ病
[10]おたふくかぜ
[11]横隔膜下膿瘍
[12]黄疸
[13]往来寒熱
[14]怒りっぽい
[15]かぜ(感冒):
☆老人または虚弱な人が、風邪をこじらせたり、肺炎になたりした場合に用いられる機会がある《大塚敬節》
[16]かぜをひきやすい
[17]咳嗽:
☆体力衰え、腹力もなく、冷え症で、貧血の傾向があり、動悸しやすく、歩くと息が切れたり、また盗汗が出たりするような場合で、咳の出る者に用いる《大塚敬節》
☆咳血、心下水有り、左肋及び脇下拘急し、動悸する者:「呉茱萸・茯苓」《先哲医話》
[18]喀痰:
☆肺結核で動悸・息切れ・咳嗽があり、喀痰に血が混じる程度の者。多量の喀血には向かない。《大塚敬節》
[19]肩こり
①虚証。
②臍上動悸して体力がない。
③往来寒熱、
④小便不利、
⑤口唇乾燥、
⑥頭汗。
⑦肩から背中にかけて凝ることが多い。
☆柴胡加竜骨牡蛎湯証の虚証タイプで、肩凝りの有る者《大塚敬節》
☆癒着性の腹膜炎があったり、胃アトニー症などがあって、肩や背の凝る者によい《大塚敬節》
[20]脚気:
☆脚気及びその類似疾患。
[21]体がだるい・重い
[22]肝炎
[23]肝臓機能障害
[24]乾嘔
[25]乾咳
[26]感情不安定
[27]眼精疲労
[29]気管支炎
[30]気管支拡張症
[31]気管支喘息 
[32]気の上衝 <>
[33]基礎体温が低い
[34]脇下微結(脇下重圧感)
[35]胸脇苦満
[36]胸膜炎
[37]頸部リンパ腺炎
[38]頸部リンパ腺結核
[40]月経不順
[41]血小板減少性紫斑病
[42]瘧疾:(マラリアなど)
☆寒多く熱少なき者に用いる。
☆《峰普済方》曰く、瘧、多寒に熱少なる者は痰瘧なり。熱少なくして脈浮なれば則ち疑い無し、之を吐すべし。もし脈遅微なる者は悪寒瘧なるのみ、柴胡桂枝乾姜湯に宜し。《雑病翼方》
【瘧】=オコリ、間歇熱。
[43]眩暈
[44]肩背強急:
☆婦人、積聚、水飲を兼ね、ときどき衝逆し、肩背強急する者。
[45]痃癖(げんぺき)
☆肋下或いは臍傍に痃癖有り、之を按ずれば則ち痛み、微に寒熱あり、盗汗、咳嗽し、神気憂鬱し、身体削痩する者を治す。:「鼈甲・芍薬」《高階枳園》
「黄蓍・鼈甲」or「呉茱萸・茯苓」
【痃】=臍のそばが筋張って盛り上がっている状態。
【癖】=両脇の間にある隠れた積塊をさす。
[46]口渇:
☆激しい口渇でなく、口乾の傾向がある。
☆口が乾いて、少しずつ水っぽいものを口に入れることを好む者がある《大塚敬節》
☆括呂根・人参・知母・麦門冬・地黄などは体液を増し、滋潤の効があるから、口渇の有る者に用いられる。柴胡桂枝乾姜湯は体力が衰え、動悸・息切れなどがある患者で口渇が有る者に用いる。《大塚敬節》
[47]口苦
[48]口唇乾燥
[49]更年期障害
[50]抗生物質を使用しても下がらない熱。
[51]五十肩
[52]臍上動悸
[53]産褥熱
[54]ジンマシン
[55]耳下腺炎
[56]耳鳴
[57]四十腕
[58]歯槽膿漏
[59]湿疹(頭部~上半身)
「京師東洞街の賈人、大和屋吉五郎は、毎歳発生の時、頭面必ず熱す。頭上に瘡を生じ、痒(ようそう)盛んにして之を掻くときは即ち爛れ凋落の候に至るときは則ち藥せずして自ら已ゆるもの数年来。診治を求む。
先生之を診す。心下微動す。胸脇支満して上気殊に甚だし。柴胡姜桂湯及び芎黄散をつくりて之を飲むこと一月所(ばか)り、諸證全く已ゆ。爾後、復発せず。と」
[60]諸種の熱病
[61]紫斑病
[62]小便不利
[63]上腹部振水音
[64]食欲減退
[65]自律神経失調症状
[66]腎盂炎
[67]腎炎(急・慢性)
[68]心悸亢進
☆神経性心悸亢進等。《奥田謙蔵》
☆虚証の特発性頻搏症に有効。 《矢野》
☆臍下でのつのつとして根が無いような感じの動悸。《百一貫》
[69]心筋梗塞
[70]心下微結
[71]心身症
[72]心臓神経症
[73]心臓弁膜症:
☆心臓弁膜病にして、虚状加わり、尿不利、心悸亢進甚だしき等の証には:「苓桂朮甘湯」《奥田謙蔵》
☆心臓弁膜症で浮腫のない者に用いる機会がある《大塚敬節》
[74]心煩:
☆心煩あり、微熱去らず、睡眠すれば、盗汗出、覚醒すれば微しく渇し、舌面白滑にして、大便渋痢し、尿利減少する証。《奥田謙蔵》
[75]神経過敏
「京師知恩街の紙舗政右衛門は、病みての後、怯悸し、障戸の響きを畏る。其の抵觸するところ皆、紙條を粘して之を防ぐ。居常飲食するに味なし。百事皆廢す。然して行歩を妨げず。但、橋梁に遇ときは則り、乗輿してなお過(よぎ)ること能わず。百治、効なし。此の如きものは凡そ三年。
先生、此を診す。上気殊に甚だし。脇下拘滿し、胸腹に動あり。心中安からず。桂苓朮甘湯及び、芎黄散(大黄1、川芎2)を作りて此を飲む。数日。上逆稍減ず。また柴胡姜桂湯を為(つく)りて、之を飲む。数月にして、諸證皆徐く。居ること二、三日、家に蓋匠を召して、政右衛門、正に廡下(ぶか)に出でて、自ら指揮す。脩葺(しゆうしゆう)、偶々意の如からざることあり、走りて屋に上がる。之に就きて、その梯を蹈(ふ)むの易きを知らず。久之して自ら覚り、之を家人に語る。余、之を其の家人に聞きてしか云う」
怯=怯というのは虚弱あるいはビクビクするという意味。胆気が不足すると驚きやすくなるし、中気の虚弱によっても起こる。
悸=心中が跳動すること。心虚し血少ないときと、水飲の場合がある。
上気=喘息、逆気や心臓性の喘息も指す。気の上衝のこと。
乗輿=乗り物に乗る
蓋匠=屋根を作る大工
廡下(ぶか)=大きな家のひさしの下(軒下)
脩葺(しゆうしゆう)=屋根を修理する
[76]神経衰弱:
☆神経衰弱様疾患にして、欝々として楽しまず、身体疲倦し、胸満感あり、臍上に動悸劇しき証。《奥田謙蔵》
[77]進行性手掌角皮症
[78]水腫:
☆心下和せず、築々として動悸する者は、水気と持病の積聚と合して心下へ聚る者なり。:「茯苓」《勿誤薬室方函口訣》
[79]膵臓炎
[80]頭汗
[81]頭重
[82]頭痛
[83]精神異常:
「某生徒、読書苦学す。かって発憤するところあり、遂に机に倚りて、寝を廃すること七昼夜。已にして独語し妄笑す。前儒を摘(あば)き指して罵詈(罵詈雑言)口に絶えず。久(きゆうし)之して人は其の狂疾を覚ゆ。先生之を診す。胸肋妨脹し、臍上に動あり。上気して降らず。柴胡姜桂湯をつくりて之を飲む。時に紫円を以て之を攻むること数日。全く常に復す。」
発憤=意気を鼓舞すること
前儒を摘(あば)き=今までの指導をした先生の悪口をいって
胸肋妨脹=脇腹が張って隆起する
[84]精神分裂病
[85]舌質<乾燥>or<湿潤>
[86]舌苔<無苔~微白苔>
[87]喘息:
☆此方は微結が目的にて、津液胸脇に結聚して五内に滋さず、乾咳出ずる者に宜し。《勿誤薬室方函口訣》
☆此方は小青竜湯などの心下水飲に因って痰咳頻りに出る者に非らず。ただ表症より来たって身体疼痛無く、熱ありといえども脈浮ならず、或いは頭汗、盗汗出で、乾咳する者に用いる。
[88]そばかす
[89]帯下
[90]帯状疱疹
[91]打撲
☆(山田業精・和漢医林新誌第176号)
「本郷3丁目の志母谷氏の母は60歳である。かって縁側から落ちて、したたか前額を打ち、その部分が腫痛していたが、2、3日で腫がとれた。ところが左の眼瞼の周囲が紫黒色になった。そこで私に治を乞うたので、紅花と菊花の2味を等分に合わせて、濃煎して温湿布したところ3日ですっかり良くなった。」「また45歳女性。ある日、車に乗ろうとしていて、誤って転倒し、面部を打って、そこに紫黒色の斑点が出来た。そこで前と同じもので湿布したところ、その斑点は全部なくなった。」
「打撲跌損傷を治する秘方があり、重傷で死に瀕するようなもので、まだ脈さえあれば、これがノドを下れば蘇生するという処方をあげている。それは11月に野菊の花を、枝・葉もつけたままで採って、陰干ししておき、必要なときに野菊の花1両に、童便と無灰酒をそれぞれ1椀ずつ加え、煎じて熱いものを呑むとある。」
「本郷元町2丁目の消防夫、年62。かって屋上から墜ち、強く左の胸肋を打撲し、ひどく痛むので、私を迎えた。そこで卵白をつけたところ、数日で疼痛が軽くなったが、起臥するたびに、ひきつれ痛み、息を吸うたびに攣痛する。しかもしきりに咳をするので、左脇下が膨満して苦しい。そこで、再診するに、脈が沈遅で緊を示し、舌上には苔がなく、食欲は平生と変わらない。左脇下は痞硬して動悸があり、気分がふさいで外出するのを嫌がり、毎夜盗汗が出る。大小便は平生と変わらないが、尿の色が少し赤い。よって柴胡桂枝乾姜湯芍薬を与えたところ、3日で大効があり、遂に全治した。」
「丸山田町の鋸の目立て職の妻、年30が、かって夫に打擲され腰から背・脇まで疼痛して、堪え難く、咳が出て、呼吸が促迫し、悪寒発熱し、盗汗、不食、二便不利があり、その上、奔豚気のように時々下腹部から心下に突き上げてくると云う。診察してみると、脈が沈緊で、舌上に白苔があり、心下が石のように硬い、そこで柴胡桂枝乾姜湯茯苓杏仁甘草湯を与え、卵白を痛むところに塗ったところ、5、6日で全治した。」
「1男児、5、6歳。豚児と遊戯をしていたところ、外から1人の児が来て、竹杖でその児の頭部をなぐったので、すぐに倒れて気絶しそうになった。そこで冷水をそそぎかけたところ蘇生した。ところが、次に耳と鼻からも出血した。私はこれに抑肝散菊花を与えて全治せしめた。」
[91]だるい:
[92]胆石症
[93]胆嚢炎
[94]蓄膿症
[95]中耳炎
[96]血の道症
[97]手足冷えやすい
[98]テンカン
「京師室街の賈人、升屋徳右衛門の家僕、宇右衛門は年二十有餘。積年、癇を患う。一月に一発する。或は再発す。或は発せず・然れども間三月なれば必ず発す、と。
先生之を診す。胸腹微動し、胸下支満し、時にありて上衝す。乃って柴胡姜桂湯及び滾痰丸を作りて之を飲ましめ時に梅肉散を以て之を攻む。出入すること一歳ばかり、復び発せず。
[癇は小児の痙攣性疾患を指す。10才以上を癲といい、10歳以下を癇ということもある。また、女子の月経が始める前後で癲癇を分けることもある。20歳を過ぎるて治しにくい癲の事例]
[99]盗汗(ねあせ):
☆今日のように抗生物質の無かった時代には、肺結核で、熱が上下して、盗汗の有る者によく用いた。《大塚敬節》
☆盗汗が止まない時:「黄蓍茯苓」《大塚敬節》
[100]動悸 :
☆<臍上動悸>
☆柴胡加竜骨牡蛎湯を用いるような場合で、患者の体力が衰えて、虚証になっている者に用いる。患者は貧血し、動悸・息切れを訴え、胸脇苦満は軽微かまたはほとんど証明出来ない程度で、腹力は弱く、臍上で動悸が亢進しているような者に用いる。《大塚敬節》
☆腹診すると、季肋下に強い抵抗を証明することなく、(胸脇苦満は僅微である)。僅かにみずおちにつかえるものがあり、腹力は一体に弱く、臍部で動悸が亢進している。このような症状で、息切れや咳嗽を訴える者である。《大塚敬節》
☆動悸が激しいときは:「呉茱萸2.0茯苓3.0」《大塚敬節》
☆郡山候の留守居の滝内蔵之進の妻は、年が40歳あまりであるが、臍傍に塊状のものがあって、時々鳩尾に突き上げてきて、動悸がして歩くことが出来ない。腰から下には浮腫があり、顔色は貧血して萎黄状となり、月経が不調である。多数の医者がこてを治療したが寸効なしという。そこで余はこれを診察して、云った。原因は水塊にある。そこで先ずその水を巡らし、併せて血の巡りをよくすれば良いと。柴胡桂枝乾姜湯呉茱萸茯苓を与え、鉄砂丸を兼用した。これを数日間服用すると、小便が夜中に5、6行も快利し、臍傍の塊も次第に減じ、数旬ののちにすべての症状がとれた。《浅田宗伯》
[101]糖尿病
[102]どもり
[103]軟便:
☆便秘せず、むしろ軟便である《大塚敬節》
[104]尿量減少
[105]尿閉
[106]ネフローゼ
[107]ノイローゼ
[108]のぼせ
[109]肺炎
[110]肺気腫
[111]肺結核:
☆肺結核で動悸を訴える者に用いる機会がある《大塚敬節》
☆9歳の男児。約20日前から、毎日38℃内外の熱があり、肺門結核の診断を下されて、治療中であるという。
主訴は、発熱と盗汗である。食が進まず、口が乾き、舌には白苔があり、大便は1日1行。
柴胡桂枝乾姜湯を与える。これを5日分飲むと平熱となり、15日後には、普段通り元気になり、1ヶ月後には、通学出来るようになった。《大塚敬節》
☆遠州の1農夫、30余歳。昨年から頭冒感があり、時に少し血を吐く、また盗汗が出て、往来寒熱し、少し口渇を訴え、臍傍の動悸がひどい。
先生はこれに柴胡桂枝乾姜湯を与えたところ、治った。《成蹟録》
☆大野善八郎の妻、50余歳は、感冒の後、いつまでも熱が下がらず、時々マラリアのように熱が出て、盗汗もあり、胸腹の動悸がひどい。その上、まめい、耳鳴があり、また肩から背にかけてひどく強ばり、頭は大きな石をいただいているように重く、耳は大きな鐘を撞くようである。こんな状態で多くの医を招いて治を乞うこと1年あまりに及んだが、少しも効がない。
余はこれに、柴胡桂枝乾姜湯黄蓍甲を用い、数十日で熱が減じ、盗汗が止んだ。そこで黄蓍甲を去って、呉茱萸茯苓を加え、六味地黄丸鉄砂丸を兼用して全快した。」《橘窓書影》黄蓍は盗汗を治するため、甲は固着した熱を去るため、呉茱萸茯苓を入れるのは、動悸を鎮めるためである《大塚敬節》
[112]バセドウ病
[113]発熱:
☆熱に上り下りがあり、悪寒が強く、脈に力がなく、盗汗が出たり、頸から上だけ汗が出たりする者に用いる。血色も優れず。足が冷えるという徴候もある。《大塚敬節》
[114]ヒステリー
[115]冷える
[116]鼻炎・鼻カタル
[117]皮膚炎
[118]皮膚枯燥
[119]疲労倦怠
[120]脾腫
[121]腹痛:
☆左脇下より刺し込み緩み難き者:「呉茱萸・茯苓」
[122]腹部で動悸する:
  ☆(胸腹動)
[123]腹部軟弱
[124]腹膜炎:
☆結核性腹膜炎
[125]不安感
[126]不眠症
☆寝苦しく、夢をよく見る。夢見が悪い。
☆不眠症、耳鳴し、恐怖し易く、或いは発汗し易い証《奥田謙蔵》
☆体力が弱く、血色がすぐれず、急いで歩くと息切れがし、口が燥き、臍部で動悸が亢進する。こんな患者で、寝苦しい、夢を多く見る、夢に脅かされるというような場合によい《大塚敬節》
[127]不定愁訴

【EBM】不定愁訴に対する効果 (対象患者) 不定愁訴を主訴に受診した患者で、明らかな精神科疾患と診断された患者及び悪性腫瘍術後の患者、そのほか、医師が不適当と判断した患者を除外した41例(うち更年期障害37例)                      

(Evidence) 1件の証を考慮した症例集積研究で、Kupperman閉経期指数の変化は、  著明改善0% 改善:80.0% 軽度改善:10.0% 不変:10.0% であった
[128]偏頭痛
[129]扁桃肥大
[130]頬が紅い
[131]麻疹
☆微熱、盗汗、全身倦怠感、神経質などを目標に用いられる(漢方診療医典)
[132]マラリア:
☆「マラリア」様疾患にして、寒戦著しきも、発熱甚だしからざる証。《奥田謙蔵》
☆マラリアにして、治を失し、あたかも再発する観を呈し、その発作激烈ならず、病勢衰えたりと雖も、独り臍上の動悸強く、容易に治に赴かざる証《奥田謙蔵》
[133]慢性胃炎
[134]慢性肝炎
[135]耳鳴り
[136]めまい
[137]盲目:
☆1漁夫、21歳。眼を患い、医生某、治を施すこと1年にして百端効無く、烏睛(黒目、虹彩のこと)全く曇闇(どんあん)した。ここにおいて医生の術尽き、これに謂って云うに、無効の薬を長服するよりは、早く家に帰って、盲者の業を学ぶ方がよい。たとえ、能くこれを治すと云う者があっても、必ずこれに欺されてはならないぞと、ここにおいて漁夫は大いに失意して、茫々然となて帰来し、医生の言を父母に告げ、相対して泣いた。
隣人はこれを見るに忍びず、来たって治を乞うた。到って診するに、胸脇苦満し、且つ動がある。
先生は微笑して云うに、このような証がどうして不治であろうぞ。200日足らずで、必ず全癒すると。家人はその言を喜び、且つこれを疑った。そこで柴胡桂枝乾姜湯と解毒湯を併進し、且つ一方を点眼すること10余日にして少しく明を得。続いて前方を与えること100余日にして、果たして旧に復した。《上田椿年》
☆潮深の1漁夫、40歳。両眼が腫痛し、白膜は紫色の筋を帯び、烏睛がまったく曇暗した。1医生が治を施すこと7年にして寸効もなく、来たって治を乞うた。これを診るに、寒熱往来して胸腹に動があるので、柴胡桂枝乾姜湯を与え、芎黄散及び甘汞丹を兼用して、その上に刺絡を施すこと数次にして、4ヶ月ばかりで全治した。《上田椿年》
[138]夜尿症
[139]夢におびやかされる
[140]腰脚寒冷
[141]卵巣機能不全
[142]リンパ節炎
[143]リンパ腺炎
[144]ルイレキ
[145]肋膜炎:
☆本郷元町の消防夫、鈴木鉄五郎という者、歳が62であるが、かって屋根から落ちて、大いに左脇部を打撲し、ひどく痛むようになった。そこで鷄玉白(卵の白味)を貼ったところ、そのうちに痛は軽くなったが、起臥するたびに、ひきつれつように痛み、吸気のたびに強く痛み、さかんに咳が出るようになり、左脇下が膨隆してきた。脈をみるに沈遅で緊を帯び、舌には苔なく、食欲には変わりがない。   左脇下は痞硬して、動悸があり、気分が重くて外出が嫌である。毎夜盗汗が出る、大小便は平素と変わらないが、尿がやや赤い。そこで柴胡桂枝乾姜湯芍薬を与えたところ、3日の服用で大効があった。《山田業精》



柴胡桂枝乾姜湯[2-1]《東醫寶鑑》
=「柴胡桂姜湯」
「柴胡3銭、桂枝・牡蠣各1銭半、天花粉・黄芩各1銭、乾姜・甘草各8分」剉作1貼し水煎服。
◎邪が半分は表、半分は裏にあって、寒・熱が往来するとき。



柴胡桂枝湯[1-1]《傷寒論》
「桂枝(去皮)、黄芩1両半、人参1両半、甘草(炙)1両、半夏(洗)2合半、芍薬1両半、大棗(擘)6枚、生姜(切)1両半、柴胡4両」
右九味、以水七升、煮取三升、去滓、温服一升、本云人参湯、作如桂枝法、加半夏、柴胡、黄芩、復如柴胡法。今用人参作半剤。
◎傷寒六七日、発熱、微悪寒、支節煩疼、微嘔、心下支結、外證未去者、柴胡桂枝湯主之。
《傷寒論》辨太陽病脉證并治第七。


柴胡桂枝湯[1-2]《傷寒論》
「柴胡4両、黄芩1両半、人参1両半、桂枝(去皮)1両半、生姜(切)1両半、半夏(洗)2合半、芍薬1両半、大棗(擘)6枚、甘草(炙)1両」 
右九味、以水六升、煮取三升、去滓、温服一升、日三服。本云、人参湯。作如桂枝法、加半夏柴胡黄芩、如柴胡法。今著人参。作半剤。
◎傷寒六七日、発熱、微悪寒、支節煩疼、微嘔、心下支結、外證未去者、柴胡桂枝湯主之。
《傷寒論》辨可発汗病脉證并治第十六。


柴胡桂枝湯[1-3]《傷寒論》
「柴胡4両、桂枝(去皮)1両半、黄芩1両半、芍薬1両半、生姜1両半、大棗(擘)6箇、人参1両半、半夏(洗)2合半、甘草(炙)1両」
右九味、以水六升、煮取三升、去滓、温服一升、日三服。
 ◎発汗多、亡陽譫語者、不可下、與柴胡桂枝湯和其栄衛、以通津液、後自愈。        

《傷寒論》辨発汗後病脉證并治第十七。
◎=「柴胡加桂湯」《古今方彙》

柴胡桂枝湯[1-4]《外台秘要方》《金匱要略》
「柴胡4両、黄芩・人参・芍薬・桂枝・生姜各1両半、甘草1両、半夏2合半、大棗6枚」
右九味、以水六升、煮取三升、温服一升、日三服。
◎治心腹卒中痛者。
《金匱要略》腹満寒疝宿食病脉證治第十。

柴胡桂枝湯[1-5]《東醫寶鑑》
「柴胡2銭、桂枝・黄芩・人参・芍薬各1銭、半夏(製)8分、甘草(炙)6分」を剉作1貼して「姜5片、棗2枚」を入れ、水煎服。
◎傷寒の動気が築痛する者を治す。
◎少陽瘧に寒熱の往来する者を治す。


柴胡桂枝湯[1-6]《漢方治療の実際》
「桂枝・黄芩・人参・芍薬・生姜・大棗各2、甘草1.5、半夏4、柴胡5」
◎柴胡桂枝湯証=肢節煩疼。(←芍薬)
[肢節煩疼]=四肢の関節が気持ち悪く痛む。
◎小柴胡湯、桂枝湯、二方の証、相い合する者を治す《吉益東洞》
◎「小柴胡湯桂枝湯」
◎此方は、世医風薬の套剤とすれども、左にあらず、結胸の類にして心下支結を目的とする薬なり。《勿誤薬室方函口訣》
◎発熱微悪寒、関節煩疼、微嘔、心下支結、或いは亡陽譫語、或いは心腹卒中痛。《龍野ー漢方処方集》
◎桂枝湯証の悪寒と関節の痛みの他に、小柴胡湯証の嘔がみられ、腹証では心下支結がみられる。《大塚敬節》
【腹証】
《腹診配剤録》
“心下に物無く、中の辺に凝り有り、これ即ち支結なり”
《大塚敬節》
 “柴胡が主薬。四逆散の腹証に似ている。この場合胸脇苦満や心下痞硬の程度は軽く、腹直筋が腹表に浮かんだように硬く触れる。ことに右の季肋下で腹直筋を表面に突っ張ったように触れる。しかし、膨満しているのでもなく、脱力しているのでもない。中等度の力がある。”



柴胡桂枝湯[1-7]《外台秘要方》《金匱要略》
★適応症及び病名(五十音順)
[1]アレルギー性疾患
[2]イライラ
[3]インフルエンザ
[4]胃炎
[5]胃潰瘍:
☆49歳の男性。
「10数年来胃下垂と言われていた。1ヶ月前から病状が悪化し、会食後と空腹時に鳩尾が痛み、全身がだるく、起立時にめまいがして、左胸部と背部に痛みが放散するという。口の中にツバがたまり、胸焼けがあり、腹がゴロゴロ鳴る。胃は骨盤まで下垂しているという。
レントゲン検査をすると、胃の上部と十二指腸に潰瘍があり、潜血反応が陽性であった。診察すると、鳩尾のあたりではっきりした圧痛があり、腹直筋に軽い緊張があるが、腹全体はへっこみがちである。全身が衰弱しており、手術が勧められた。
はじめ堅中湯+呉茱萸牡蛎を与えてみたが、あまり好転せず、柴胡桂枝湯+牡蛎小茴香とし、摂生に注意したところ諸症状が好転し、5ヶ月間服用したあとで再検査したところ、手術の必要なしと言われた。」《矢数道明》
[6]胃酸過多症
[7]胃酸減少症
[8]胃・十二指腸潰瘍
[9]胃痛
[10]胃腸カタル
[11]黄疸
[12]嘔吐
[13]悪心
[14]往来寒熱
[15]怒りっぽい
[16]かぜ
☆風邪をひきやすい者の体質改善に。《中医処方解説》
☆熱性病、発汗剤を服して後、嘔気ありて心悸亢進し、食欲減退し、頭痛、微悪寒等なお解せざる証《奥田謙蔵》
[17]咳嗽
[18]過敏性腸症候群
[19]川崎病
☆川崎病の回復期に用いられる。胸脇苦満、食欲不振、反復性上気道炎を目標に用いる(漢方診療医典)
[20]肝炎
[21]肝臓機能障害
[22]肩こり  
①胸脇苦満<軽>。
②心下支結。
③腹直筋緊張.
④頭痛。
[23]癇癪
[24]関節炎
[25]関節痛:
☆歴節支節煩疼し、表證未だ解せざる者:「犀角」《雑病翼方》
[26]眼精疲労:
☆上気頭痛し、眼目闇翳する者を治す:「菊花」《方読便覧》
[27]感冒
[28]気の上衝<+>
[29]気管支炎     
☆気管支炎の体質改善には、小柴胡湯。《中医処方解説》
☆【EBM】反復気道感染症に対する柴胡桂枝湯の効果

著効4例(22%)有効12例(67%)、不変2例(11%)、悪化は0例。
投与中止後に保護者に回答を依頼した質問票では、発熱頻度の低下、食思不振の改善などが認められた。
②【EBM】反復気道感染症に対する柴胡桂枝湯の効果
(結果)
著効6例(23.1%)、有効15例(57.7%)不変4例(15.4%)無効1例’(3.8%)
[30]急性肝炎
[31]急性大腸炎
[32]強迫症
[33]恐怖症
[34]胸脇苦満
[35]胸痛
[36]胸膜炎
[37]虚弱体質
☆神経関節炎体質のものに用いる。この処方の服用で頭痛、腹痛、四肢痛が治るばかりでなく、喘息、リウマチ熱などにも罹りにくくなる(漢方診療医典)
[38]筋肉攣縮
[39]口が苦い
[40]月経前緊張症
[41]月経不順
[42]結膜炎
[43]減酸症
[44]肩背強急
[45]更年期障害
[46]自家中毒
☆自家中毒を起こす子供の体質改善に。《中医処方解説》
[47]自汗:
☆自汗、盗汗等ありて、その脈浮数なる証《奥田謙蔵》
☆瘧、身熱して汗多きを治す。《証治準縄》
[48]子宮出血:山田業精が用いた。
[49]湿疹:
☆4歳の男児。
「生後2ヶ月より湿疹が顔面と背部に現れ、1歳頃から喘息の発作が始まり、小青竜湯その他の処方を用いたが、柴胡桂枝湯にかえたところ、1ヶ月後には発作の軽いものが疲労時に一度出ただけで、すっかり軽快してしまった。」《矢数圭堂》
[50]紫斑病
☆東京の某大学の病院に入院している少年が、すでに半年近くになるのに、全然軽快しないので、漢方の薬が欲しいというので、診察した。主訴は発作的にくる腹痛で、血尿が出る。下腿には広範囲にわかって溢血斑がみられ、健康な皮膚はいくらも残っていない。私はこの患者に柴胡桂枝湯を用いた。《金匱要略》に“柴胡桂枝湯は心腹卒中痛の者を治す”とあるによったのである。ところが驚いたことに、朝と正午に、この薬を飲んだだけで下腿の溢血斑が夕方には全部消えた。腹痛もそれきり起こらなくなり、血尿も出なくなった。しかし尿中の蛋白は2ヵ月あまり陽性が続いた。この患者は6ヵ月の服用で治療を中止したが、その後3カ年あまりになるが再発していない。
この経験によって、一婦人の血小板減少性紫斑病に、本方を用いてみた。この間は別に、腹痛を訴えるわけでもなく、衂血、口腔内の出血、皮膚の溢血などが主訴であったが、やはりよく効いた。
紫斑病には、止血の目的で、帰膠艾湯、黄連解毒湯、温清飲、黄土湯などを用いたことがあるが、柴胡桂枝湯ほどによく効いたものはなかった。(漢方診療医典)
[51]斜頚
☆腹証や症状が抑肝散加芍薬甘草に似ているが、やや実証で、抑肝散加芍薬甘草の効かないときいは本方を用いるがよい。胸脇苦満の証がハッキリしているものに用いる。
16歳の高校2年の女子であったが、右胸乳筋の頻繁案発作性痙攣による斜頚であった。恥ずかしいといって学校を休んでいる学校で字を書くときにひどく首が右へ曲がってしまう。腹証は両腹直筋が板のように緊張していた。肩こりがひどいので初め葛根湯を与えていたが、1ヶ月間で少しも効かないので、抑肝散加芍薬厚朴にしたところ、これで肩こりはほとんど消失した。そこで学校に行くようになったが、寒冷期に入って逆転した。胸脇苦満の証が強いので、柴胡桂枝湯加厚朴にした。これを飲んで一層経過がよくなっったので約7ヵ月継続して全治した。(漢方診療医典)
[52]十二指腸潰瘍
[53]食欲不振
[54]腎盂炎:
☆急性腎盂炎で、腎臓部が痛み、熱が上下する者。
☆腎臓部に疼痛があって、往来寒熱、悪心、嘔吐などある者を目標に(漢方診療医典)
[55]腎炎:
☆腎炎の体質改善には:「柴胡清肝散」
[56]心気症
[57]心下支結:(心下の腹直筋が緊張して不安がある)
☆脈をみると、浮弦で、腹をみると、左右の季肋下に突っ張るものがあって、腹直筋を棒状に硬くふれる、これが心下支結である。《大塚敬節》
[58]心下痛:
☆私は最近3年間に、心下部疼痛を主訴とし、胃潰瘍・慢性胃炎・胃酸過多症・慢性胃炎・急性胃炎・胃下垂症・胃ガン・胃痙攣・十二指腸潰瘍・胆石症・胆嚢炎・肝炎等の診断を受け、一般内科の諸治療にもかかわらず、好転せず、漢方療法を希望した患者に対し、柴胡桂枝湯牡蠣・小茴香を投薬したものが、概算142名に及んでいる。
その適応症候として定型的なものは、心下部の自発痛と、胸脇苦満と、心下支結である。すなわち左右の腹直筋緊張し、特に右の肋骨弓下部に抵抗があって、心下部正中線、鳩尾の部位に抵抗と圧痛または苦悶を証明する者によく奏効するようである。《矢数道明》
[59]心下痞
[60]心身症
[61]心腹卒中痛:
☆この方を心腹痛に用いることがある。なるほど《外台秘要方》に卒痛とある通り柴桂湯の心腹痛は卒然と発したものでなければ効のないものである。しばしば試みてみるに、心痛でも腹痛でも長く日を引いた者には効かない。2ヶ月にも3ヶ月にもなる者には効がない。2、3日前から心痛・腹痛して癒えない者に用いると能く効のある者である。柴桂湯のゆく腹痛は腹候で用いるようにする。柴桂湯呉茱萸茴香は、痛が腰にかかる者に良い。《有持桂里》
[62]神経質
[63]神経症:
☆不安神経症
☆ストレスによって発病する諸症に芍薬の量を増やして応用《相見三郎》
☆50歳女性。10数年前に肺結核を病んだことがある。今度の病気は5、6年前からで、時々カッカッと灼熱感を覚えるようになり、更年期障害だろうと云われた。ところがその後、非常に気分が沈んで、ひどい時は食事も出来ないほどであった。しかし、こんな強い気分の悪さは3ヶ月毎に周期的に繰り返され、その間は起きていることすら出来ない。その間、整体療法をやった時に、1年半ほど発作がなく元気であった。しかしまた再発したので、玄米食・野菜を主とした食療法をやったり、断食道場に入って断食をやったりした。そのためか、1年間は無事であった。昭和36年7月に父の死に逢った時も何ともなかった。ところが10月の中旬より、またまた気分が沈んで何をする気もしないので、断食をやってみたが、こんどは効が無く、気分は沈む一方である。しかし安眠は出来る。患者は少し右に傾いて歩く傾向がある。
初診は昭和36年12/15。栄養、血色ともに悪くない。脈は沈小である。腹診すると右に軽微の胸脇苦満があり、臍上で動悸が亢進してい。大便1日1行。月経は47歳で閉止している。
私はこれに柴胡桂枝湯を与えたが、これを飲み始めてから、却って気分が沈み、心配になったが、12/26になって、急に気分が明るくなった。歩くときは右に傾かない。ただ少し便秘する。1/8には大便も快通し、気分もよい。1/17、とても気分がよい。顔に軽い浮腫がある。背が強ばる。1/27、とてもよい。その後、流感にも罹ったがますます元気。4/5、近来になく仕事が出来る。その後まったく再発のきざしはない。《大塚敬節》
☆52歳男性。食品加工会社を経営して多忙な生活を送っていたが、1年半ほど前から神経症となり、不安、取り越し苦労を主訴として、次第に体力を消耗し、某大学病院に入院中である。
血色すぐれず、脈浮数、舌に白苔があり、便秘の傾向がある。酒はやめているが、タバコは20本くらい呑んでいる。初診時の血圧は170-120。腹診してみるに、左右に胸脇苦満があり、臍の左側から臍上にかけて動悸が亢進している。
12/27、柴胡桂枝湯を20日分投与。患者はこの薬を持って郷里に帰省。翌1/10再来、人間が変わったかと思うほど明るい表情で血色も良い。気分も良く、元気が出て、仕事をする気力が出たと喜ぶ。この日の血圧は164-100。この日20日分投与。ますます元気で、血圧も150-90内外である《大塚敬節》
☆20歳女性。未婚。6歳の時に小児麻痺にかかり、その後、右脚に軽度の運動障害が残っている。一昨年、腎炎にかかったがこれは治った。
この患者には幼少の頃からテンカンがあるが、それが何時発病したか、はっきりしない。小学校に通う頃には、時々意識消失を伴う痙攣発作があり、小学5年生の時、食事中に、茶碗を落とすことが度々あった。しかし3年間の服薬で一旦は痙攣発作が止み、10ヶ月後に再発した。最近は、大発作はないが、朝起きる前に、時々寝床に尿を失禁することがあり、気分がムラでイライラしたり、焦ったり、猫が私に乗り移っていると言ってみたり、ソワソワしたり、考え込んだりして、家事のことは何1つとしてしないと云う。
初診は昭和37年2/11、体格も小柄で、血色は普通である。脈は浮大数である。腹部は左右の腹直筋が緊張し、ことに臍の左右の部分が硬い。心下に圧痛はあるが胸脇苦満はない。臍上で動悸が亢進している。しかも振水音も証明できる。大便はやや秘結がちである。月経は順調であるが、月経前になると腹を立てて困ると云う。
私はこれに柴胡桂枝湯を与えたが、2.19の再来の時、母親の云うのに、この頃は気分が落ち着き、朝は起こされなくても、一人で起きて、掃除をするようになり、考え込むことがなくなった。それに昨日は一人で風呂に行く気になった。これは全く珍しいことであると云う。2/25、ほとんど常人と変わらなくなった。性格が変わって、別人のようになったと、母親が喜んで、何遍も礼をいった。《大塚敬節》
[64]神経衰弱
[65]身体痛・身体疼痛:
☆此方はよく痛に効くものである。手足の痛や腰の痛などにも効がある。大柴胡湯や小柴胡湯の証で身体のどこかに痛のある者には柴胡桂枝湯を用いると良く効くものである。《有持桂里》
[66]膵臓炎
[67]頭重
[68]頭痛(側頭部)
[69]舌苔 <微白苔>
[70]譫語
[71]大腸炎
[72]胆石症
[73]胆嚢炎
[74]血の道症:
☆婦人、故なくして憎寒、壮熱し、頭痛、眩暈し、心下支結し、嘔吐、悪心し、肢体酸、或いは痺し、欝欝として、人に対するを悪み、或いは頻頻として欠伸する者、俗に之を血の道と謂う。此方に擬し。或いはかねて瀉心湯を服す。《類聚方広義》
[75]中耳炎
[76]虫垂炎
☆虫垂炎の初期で、腹痛がまだ右下腹に限局する前で、腹壁が一体に緊張しているものに用いる。(漢方診療医典)
[77]テンカン:
☆《大塚敬節》
“患者は40歳の婦人。昭和36年1月頃より、左の下肢に広範囲にわたって発疹ができたが、それほど痒感はなかった。ところが2月から1ヶ月の1回~2回の痙攣発作を起こすようになり、そのたび意識が消失し、この発作は夜間が多かったが、まれに昼間に起こることもあった。医師の診断は癲癇であった。
初診は昭和36年5月5日で、主訴は意識消失を伴う痙攣発作で、頭痛と頭重がある。便秘の傾向があるが、胃散を飲むと、通じがつくという。
患者は血色の良い肥満した体格で、腹部は著しく膨満し、胸脇苦満が強い。月経は正常である。足が冷えるという。下肢には浮腫があるが、私はこれに柴胡加竜骨牡蛎湯大黄芍薬甘草釣藤黄連を与えた。
ところが6月1回、7月1回、8月1回、9月1回、10月1回という状態で全く効がみられない。そこで12月2日に、柴胡桂枝湯に転方した。すると12月の発作は無し。1月も、2月も、3月も、4月も、5月 も、ずっと発作がない。
半年間、柴胡加竜骨牡蛎湯を用いている間、毎月あった発作が柴胡桂枝湯に転方した月から全く発作がなくなったことは注目すべきことである”
[78]盗汗:
☆陽明病、脈浮にして緊なるは必ず潮熱し、発作、時有り、但だ脈浮なる者は、必ず盗汗出ず。柴胡桂枝湯なり。《傷寒六書》
[79]登校拒否
☆やや虚証のもので、自汗の傾向があり、胸脇苦満とともに上腹部の緊張を認める者に用いる。(漢方診療医典)
[80]特発性血小板減少性紫斑病(1TP)
☆ITPやそれに関連した腎炎・胃潰瘍などに有効なことがある
[81]特発性頻搏症
[82]乳腺炎
[83]ネフローゼ
[84]寝小便
[85]ノイローゼ:
☆胸脇苦満と左右の腹直筋の緊張を認める者。
[86]のぼせ
[87]肺炎
[88]肺気腫
[89]肺結核
[90]背痛
[91]発熱:
☆発熱し、汗出で、気有り、身体疼痛し、或いは胸痛を覚える証《奥田謙蔵》
☆発汗剤を服して後、なお発熱し、四肢煩疼し、汗出でてし、或いは頭痛し、或いは悪寒し、脈浮なる証《奥田謙蔵》
☆熱と悪寒があって、悪心などもあり、身体もまた痛むという症状があるが、これらの症状は激しくないのが特徴である。《大塚敬節》
[92]ヒステリー
[93]B型肝炎
[94]微熱がとれない:
☆発汗、期を失し、胸脇満ちてし、頭疼、身痛し、往来寒熱し、累日癒えず、心下支結し、飲食進まざる者、或いは汗下の後、病なお解せず、又敢えて加重せず、但だ熱気纒続して去らず、胸満し、微悪寒し、嘔して食を欲せず、数日を過ぎて、癒えるが如く、癒えざるが如き者、まま之れ有り。当にその発熱の期に先立ちて此方を用い、重複して汗を取るべし《類聚方広義》
[95]フリクテン
[96]腹痛:
☆寒疝腹痛用いる。
☆腹疼悪寒する者:「黄芩」《普済本事方》
☆腸疝痛等にして、寒熱往来する証《奥田謙蔵》 ☆疝家、腰腹拘急し、痛、胸脇に連なり、寒熱休作し、心下痞硬して嘔する者を治す。《類聚方広義》
[97]腹直筋緊張 <>
[98]閉経:
☆心下支結して経閉する者:「大黄」《奥道逸》
[99]ヘルニア
☆心下部と腹部全体が緊張しヘルニアを起こして時々腹痛を訴える者に本方を長期にわたって連用し、体質が改善されるとヘルニアも治ることがある(漢方診療医典)
[100]偏頭痛
[101]マラリヤ:
☆「マラリア」、及びその類証《奥田謙蔵》
[102]慢性胃腸炎:
☆胃痛を訴える者。みずおちつかえ、へそ横の下腹部が疼痛、腹直筋が緊張する者。
[103]慢性肝炎:
☆28歳の婦人。
「10年来の慢性肝炎で、胃下垂があり、全身倦怠、食欲不振、鳩尾がつかえて苦しいという。肩こり・腰の冷えがあり、痔核の痛みと出血がある。
体格・顔色は普通で鳩尾が硬く緊張している。舌には白いコケがある。柴胡桂枝湯を10日分与えたところ、食欲がでて倦怠感もとれ、気分がよいというので、6ヶ月間続けて飲ませてたら全身症状が好転した」《矢数圭堂》
☆【EBM】慢性ウイルス性肝炎に対する柴胡桂枝湯の効果
(結果)
AST値、ALT値はともに柴胡桂枝湯投与8週間が投与前に比較して有意に低下。
γ-GTPも同様に有意な低下を示した。またプロトロンビン時間は柴胡桂枝湯投与により有意に増加した。
ALP、アルブミン、血小板数、ヘモグロビン濃度には変化が見られなかった。
HCVウイルス量の検討は6例においてのみ実施され、柴胡桂枝湯投与により全例で低下し、1例では検出感度以下となった。
[104]耳鳴り
【EBM】慢性耳鳴に対する柴胡桂枝湯の効果
(対象患者)
(結果)
有効度は著効7.7%、有効15.4%、やや有効15.4%、有効以上23.1%、やや有効以上38.5%。
(付記)
キシロカイン静注試験を9例に施行しえたが、この試験で耳鳴が消失軽快したのは7例であった。軽快した7例での柴胡桂枝湯の有効率は有効28.6%、やや有効28.6%で全例に対する有効率より高かった。
また、キシロカイン無効であった2例は柴胡桂枝湯は無効であった。
[105]無月経:
☆胸脇苦満を目標に用いる《大塚敬節》
[106]盲腸炎:
☆腸癰生ぜんとして腹部一面に拘急し、脇下へ強く牽きしめ、その熱状、傷寒に似て非なる者に宜し。《勿誤薬室方函口訣》
[107]夜尿症  
☆本方を夜尿症に用いるのは、相見三郎氏の創見である。この方はストレスの解消に役立つので、ストレスによる夜尿症によい。種々の治療法で効果のないものが、本方で著効を得ることがある。この方は腹診うえでは、胸脇苦満と腹直筋の緊張を認めることになっているが、小児の場合はこれに拘泥しなくてもよい(漢方診療医典)
[108]卵巣機能不全
[109]リンパ節炎
[110]肋膜炎
[111]肋間神経痛
[112]流感
[113]流行性耳下腺炎
☆睾丸炎や卵巣炎を併発したものに用いる(漢方診療医典)
[114]緑内障



柴胡解毒湯[1-1]《医学正伝》
「小柴胡湯黄連解毒湯」
◎少陽陽明の合病、脇痛、嘔逆、自利、脈弦長にして沈実なるを治す。
◎此方は傷寒のみならず、凡て胸中に薀熱あり、咽喉に瘡腫、糜爛を生じ、或いは目赤頭瘡、あるいは諸瘡内攻し、壮熱煩悶する者を治す。《勿誤薬室方函口訣》
◎瘡瘍:肝胆経を狙て柴胡を用いるが定石なり《勿誤薬室方函口訣》


柴胡解毒湯[1-2]《漢方治療の実際》
「小柴胡湯黄連3、梔子3、黄柏2」
★適応症及び病名(五十音順)
[1]口内炎:
☆タクシー運転手。3ヶ月前から咽喉が塞がったようで不快で、無理に開こうとして咳をすると、痰は出なく、呑み込もうとすれば下らない。     そうかと言って吐こうとしても吐けない。そのうち咽頭部に痛みを感じ、酒・タバコを止めてみたが良くならない。疼痛はカサブタのようなものが出るので、病院の診察を受けたところ、咽頭炎と言われた。 患者は40歳、顔色はやや黒く、元気がない。脈は沈んで緊張している。腹部は腹直筋が緊張している。舌は白苔で舌根の方は黄色である。咽喉は私には良く診えない。大便は普通。自覚症状からみると後世のいわゆる梅核気に酷似している。
即ち、これに適する薬方に半夏厚朴湯がある。しかしこの薬方の証は、この患者の初期症状で、後には疼痛があり、次いでカサブタが出るようになったから、他の薬方の証を考えなくてなならない。それには加減凉膈散という薬方がある。
そこで私は咽喉腫痛を目的として、加減凉膈散に竹葉を加味して投薬したのであるが、10日間服薬せしめて効がなかったのである。実は私はこのような咽喉不利疼痛には多くは本方にて大抵治しているが、この度は残念ながら失敗したのである。そこでこのカサブタは喉中に糜爛があって出てくるのであろうとし、柴胡解毒湯に転方したのである。その口訣には、凡そ胸中蘊熱ありて咽喉に瘡腫糜爛を生ずるものあり、また諸瘡瘍は肝経をねらって柴胡を用うるが常席なりとあって、必ずしも胃腸疾患とは限らず、このような喉頭疾患にも適切であることが明らかである。
柴胡解毒湯を服用すること15日で全治した。《高橋道史》



柴胡建中湯《普済本事方》
「柴胡桂枝湯黄芩」
◎腹疼悪寒する者を治す。

柴胡厚朴湯《外台秘要方》
「柴胡・厚朴各10分、茯苓・橘皮・蘇葉各8分、檳榔5分、生姜12枚」
◎心腹脹満を治す。
◎此方は柴胡湯の位に在りて脹満する者を治す。《勿誤薬室方函口訣》
◎少陽の属する腹満の治法なり《雑病翼方》
◎本方の証は腹は痛まず、硬くもない。産後の腹満にこの証あり。《済世薬室》
◎もし実する者は:「大柴胡加鼈甲湯」
◎虚気の腸満には:「厚朴生姜甘草禿人参湯」



柴胡三白湯《浅田家方》
「小柴胡湯白朮・茯苓・芍薬」
◎此方は「参胡三白湯」の症にして熱勢一等甚だしき者を治す。
◎暑痢、嘔渇、腹痛止まざる者を治す。

柴胡散《聖済総録》
「柴胡・地黄・黄連・茯苓・地骨皮各1銭、知母・甘草各5分、鼈甲3分、枳実1分」
◎熱病後の虚労・煩熱・四肢疼痛・小便赤黄・食を欲せず。
◎此方は大柴胡湯の変方ににて、世のいわゆる風労なる者に用いる。《勿誤薬室方函口訣》
◎按ずるに、労の病、凶候具わらずと雖も、脈数なる者はついに必ず死す。
◎《仁斎直指方》に云う、虚労の脈、大抵は多くが弦、或いは浮大、或いは数なり。みな虚労の候なり。
<1>大なるは治し易く、血気未だ衰えず斂めて止むべきなり。
<2>弦なるは治し難し。血色すでに耗す、未だ之を調補し易からず。
<3>もし雙弦を帯びれば則ち賊邪脾を侵すと為す。これ尤も難治なり。
<4>数を加うれば則ち殆(あやう)し。《雑病弁要》
◎骨蒸:
☆骨蒸の初起には効あり。
☆虚する者には、「秦艽扶羸湯」に宜し。



柴胡散《証治準縄》
「柴胡・防風・赤芍・荊芥・羗活・桔梗・生地黄各4g、甘草2g」以上を粉末にし、煎湯にして服用。 


柴胡散《太平聖恵方》
「旋覆花湯《聖済総録》」に同じ。
◎肺気暑熱、大便不通、時々咳嗽、喘息、促急するを治す。《方読便覧》

柴胡地黄紅花湯《本朝経験》
「柴胡8両、黄芩4分、生地黄1銭、紅花3分、甘草2分、大棗2分」
◎憎寒壮熱、紳志正しからず、耳目は見聞を妄し、言語錯乱するを治す。《雑病翼方》


柴胡地黄湯《普済》
「小柴胡湯地黄」
◎小柴胡加地黄湯《普済本事方》を参照

柴胡地黄湯《峰普斉方》
「小柴胡湯地黄」
◎小柴胡加地黄湯《普済本事方》を参照



柴胡四逆湯
「小柴胡湯茯苓四逆湯」
◎《原南陽》奇験ありと云う。
◎傷寒陰症に用いる《医事小言》       
◎参照→益元湯[1]《傷寒六書》

柴胡四物湯(一名三元湯)《保命集》
「小柴胡湯四物湯」
◎日久しい虚労、微に寒熱有る者を治す。
◎此方は小柴胡湯の症にして、血虚を帯ぶる者に宜し。
◎小柴胡湯地黄に比すれば、血燥を兼ねる者に験あり。
◎麻疹:餘熱解せざる者:「柴胡四物湯」に宜し。
◎《保命集》は、虚労寒熱を主とすれども、広く活用すべし。

柴胡四物湯《東醫寶鑑》
「柴胡・生乾地黄各2銭、人参・半夏・黄芩・甘草・川芎・当帰・赤芍薬各1銭」を剉作1貼し、姜3、棗2を入れ水煎服。
◎三陰の温瘧を治す。
◎夜に発する症を治す。


柴胡地骨皮湯《東醫寶鑑》
「柴胡・地骨皮各2銭半」水煎服。
◎膀胱の熱が小腸に移り、上へ口糜となった者を治す。


柴胡勝湿湯《蘭室秘蔵》《漢方後世要方解説》
「柴胡・茯苓各3、当帰・竜胆・沢瀉・甘草・黄柏・羗活・麻黄根・防已各2、升麻1、五味子・紅花各0.5」
◎両外腎冷え、両脾陰汗し、両陰痿え、陰嚢湿痒気を治す。
◎麻黄根は麻黄と其の作用相反し、汗を止むるものであるが、市販の麻黄そのまま用いても効果を認められる。
◎此方は湿熱の毒、陰部に発するを治する。
◎陰嚢湿痒、両髀(両股)陰汗を目標として陰嚢湿疹に用いて有効である。
◎柴胡、竜胆=肝経に入り、陰部下焦の湿熱を除く。
茯苓、沢瀉、羗活、防已=湿熱を利尿によって除く。
麻黄根=湿を去り、汗を止む。
升麻=熱を清くし、毒を解す。
★適応症及び病名 (五十音順)
「1」陰嚢湿疹:
☆毎年夏期暑熱多湿の侯に陰嚢大腿内側、臀部までも発疹拡大し、痒甚だしく荏苒として癒ざる者に続服させると、再発なく治癒する。《矢数道明》
「2」陰部掻痒症



柴胡升麻湯[1]《東醫寶鑑》
「柴胡・黄芩・半夏・升麻・葛根・枳実・桔梗・知母・貝母・玄参・桑白皮・甘草各7分、生姜3片」水煎服。 
◎傷寒咳嗽・声がれ・咽痛を治す。


柴胡升麻湯[2-1]《医学入門》《古今方彙》
「桑白皮・黄芩各6分、升麻5分、荊芥・赤芍薬・前胡・柴胡・石膏()、・乾葛各1銭、生姜」水煎。
◎時行瘟疫、壮熱悪風、頭痛体疼、鼻塞咽乾、申姜煩満、寒熱往来、痰盛咳嗽、涕唾粘稠の者を治す。



柴胡升麻湯[2-2]《東醫寶鑑》
「柴胡・前胡・葛根・赤芍薬・荊芥・石膏各1銭、桑白皮・黄芩各7分、升麻5分、姜3、豆10粒」煎服。
◎流行の瘟疫で頭痛がし、熱がある者を治す。



柴胡清燥湯《温疫論》
「柴胡・黄芩・橘皮・甘草・知母・天花粉・生姜・大棗」
◎下後、まま、緩剤を服す。
◎《尾台榕堂》先生は明の呉有可が温疫論に於て、傷寒と温疫は畢竟同一だとする意見を古今の卓説であるとし、その中で述べている呉氏の創方を尽く追試し、ただ柴胡清燥湯と柴胡養栄湯の2方は古方の遺漏を補うに足るが、その他の方剤は一切用うるに足らむ駄方であると結論した。(尾台榕堂著「井觀醫言」荒木正胤譯より)




柴胡清肝散[1-1]《外科枢要》《古今方彙》
「柴胡1銭半、黄芩・人参・川芎各1銭、山梔子1銭半、連翹・桔梗各8分、甘草3分」水煎。
◎疽及び肝胆三焦風熱怒火の所謂右、或いは項胸痛みを作し、或いは瘡毒発熱するを治す。



柴胡清肝散[1-2]《寿世保元》
「柴胡・黄芩・地黄各1匁、黄連・当帰各1匁5分、牡丹皮1匁、梔子・川芎各6分、升麻1匁5分、甘草3分」
◎肝経の怒火、風熱脾に伝え、唇腫裂し、or繭唇を治す。
◎此方は口舌唇の病に効あり。
◎清熱和血の剤にして、上部に尤も効あり。
柴胡・黄芩:肝胆のねらいとし、
升麻・黄連:陽明胃経の熱を冷まし、
地黄・当帰・牡丹皮:牙より唇吻の間の血熱を清解し、血を消散す。



柴胡清肝散[1-3]
「柴胡・白芍・山梔子・黄芩・牡丹皮・当帰・青皮・甘草・釣籐鈎」
★適応症及び病名(五十音順)
[1]繭唇
[2]口内炎:
☆口舌唇の病に効あり《浅田宗伯》



柴胡清肝散[2]《明医雑著附》《古今方彙》
「柴胡・黄芩各1銭、黄連・山梔子各7分、当帰1銭、川芎6分、牡丹皮1銭、升麻8分、甘草3分」水煎。
◎肝胆二経、風熱怒火、頸項腫痛、結核消えず、或いは寒熱往来小柴胡湯、して痰を吐くを治す。
◎又、婦人暴かに怒り、肝火内に動き、経水妄行し、胎気安らかざる等の症を治す。
◎若し脾胃弱き者は:「黄芩黄連茯苓」
★適応症及び病名(五十音順)
[1]口内炎:
☆58歳女性。いつもは朗らかにやってくるが、この度は元気がなく、言葉も渋り、ロレツが廻らないから非常に聞きにくく、まるで別人の感じがあった。自覚的には口舌唇が疼み、食事は多くのものが刺激するし、近頃では好きなタバコも遠慮しているという。初診は9/20である。舌は白苔で数条の小裂皺がある。唇は乾燥して荒れてところどころに小裂傷がある。口腔は乾燥して口蓋はことに荒れている。腹部は腹直筋が緊張し臍上に動悸の亢進を見る。
薬方。方函に柴胡清肝散がある。口訣には、此方は口舌唇の病に効あり。柴胡黄芩は肝胆のねらいとし、升麻・黄連は陽明胃経の熱を冷まし、地黄・当帰・牡丹皮は、牙歯より唇吻の血熱を清解し、瘀血を消散するという基づいて、本方を投薬し、外用として和口散を兼用したのである。柴胡清肝散の方は「柴胡・黄芩・地黄・黄連・当帰・牡丹皮・梔子・川芎・升麻・甘草」以上10味で、和口散は蒲黄と鍼砂の混剤である。20日の服薬と塗布で全治した。(高橋道史・漢方の臨床第7巻第2号)

 

柴胡清肝湯[1-1]《一貫堂》《漢方後世要方解説》
「柴胡2、当帰・芍薬・川芎・地黄・黄連・黄芩・黄柏・梔子・連翹・桔梗・牛蒡・花粉・薄荷葉・甘草各1.5」
◎疽(ビンソ)及び肝胆三焦、風熱怒火の症、或いは項胸痛みを作し、或いは瘡毒発熱するを治す。
[原方]柴胡4、黄芩・人参・川芎・梔子各3、連翹・桔梗各2、甘草1」
◎此方は主治の如く、頸部リンパ腺炎を治すのが本旨であるが、小児腺病体質に発する瘰癧、肺門リンパ腺腫、扁桃腺肥大等上焦に於ける炎症充血を清熱、和血、解毒せしめる能がある。腺病体質は多く父母の遺毒を受け、肝臓鬱血して、食物に好き嫌いあり、神経質にして発育が障碍される。本方を続服して体質改善を図るときは諸リンパ腺の疾患を治し、結核の予防治療に効がある。
黄連解毒湯=三焦の実火を瀉す。
四物湯=血熱を凉まし、血燥を潤す。
桔梗=膿を去り咽喉腫痛を散ず。
牛蒡=結を散じ、咽喉を利し、腫瘡の毒を散ず。
天花=膿を排し腫を消す。
メンタ=気を下す。




柴胡清肝湯[1-2]《一貫堂》《龍野ー漢方処方集》
「当帰・芍薬・川芎・地黄・連翹・桔梗・牛蒡子・括楼根・薄荷葉・甘草各2.5g、黄連・黄芩・黄柏・山梔子各1.5g、柴胡2.0g」
★柴胡清肝湯:(皮膚浅黒い<青白い>、くすぐったがり、虚弱、やせ形、頸部リンパ腺腫大)
★適応症及び病名(五十音順)
[1]咽喉炎
[2]怒りっぽい
[3]驚きやすい(易驚)
[4]顔色青白い
[5]化膿傾向
[6]癇が強い(癇症)
[7]感情不安定
[8]関節リウマチ
[9]気管支炎
[10]くすぐったがり
[11]口がねばる
[12]首が細い
[13]頸部リンパ腺腫    
[14]口苦
[15]口内炎
[16]上腹部の知覚過敏
[17]小児の疳
[18]小児の神経質     
[19]小児の腺病体質の改善
☆本方は小柴胡湯と同じく、胸腺リンパ体質の改善とくに扁桃炎、滲出性中耳炎を繰り返すものに用いられる(漢方診療医典)
[20]小児の発育障害
[21]食欲不振
[22]腎臓炎
[23]腎臓結核
[24]心下痞
[25]精神薄弱児
[26]腺様腫
[27]食べ物の好き嫌いが激しい
[28]中耳炎
[29]手足に汗かき(べとついた汗)
☆帰宅すると靴・靴下が湿っている《螺王人》
[30]乳様突起炎
[31]肺門リンパ腺炎
[32]ヒステリー
[33]鼻炎
[34]皮膚色=浅黒い     
[35]不安神経症
[36]腹直筋が緊張しやすい
[37]腹膜炎(初期)
[38]副鼻腔炎(急慢性)
[39]扁桃炎
[40]扁桃周囲炎:
☆扁桃腺肥大《矢数道明》
[41]膀胱炎
[42]膀胱結核
[43]慢性扁桃炎
[44]やせ型が多い
☆切れ長の目をしていることが多い《螺王人》
[45]リンパ腺炎
[46]リンパ腺腫(頸部・顎下)
[47]ルイレキ
[48]肋膜炎
[49]わがまま
   

柴胡清骨散
「柴胡・青蒿・秦艽・知母・炙甘草・鼈甲・胡黄連・地骨皮・薤白・猪胆汁・童便」

柴胡清熱飲《医宗金鑑》
「柴胡・黄芩・赤芍・生地黄・生知母・地骨皮・麦門冬(心を去る)・甘草・生姜・灯芯」水煎服。

柴胡雙解散《傷寒六書》《古今方彙》
「柴胡・黄芩・半夏・人参・甘草・陳皮・白芍薬・生姜・大棗」水煎。
◎足の少陽胆経、耳聾・脇痛・寒熱、嘔して口苦、脉来ること弦数なるは半表半裏に属す。宜しく和解すべし。
【加減方】
<1>小便不利する:+茯苓。
<2>嘔には:+陳皮・竹茹・姜汁。
<3>痰多き者:+括楼仁・貝母。
<4>口渇:+知母・石膏。
<5>心中飽悶:+桔梗・枳殻。
<6>心下痞満:+枳実・黄連。
<7>小便不利、大便泄瀉:+四苓散。

柴胡疎肝散[1-1]《張氏医通》
「四逆散梔子・姜」
「柴胡・橘皮各2銭、川芎・芍薬・枳殻各半銭、甘草5分、香附子半銭、山梔子1銭、姜1斤」
◎脇痛、血、上へうつるを治す。
◎瘀血ありて痛をなす者に宜し《勿誤薬室方函口訣》
◎上焦瘀血の治法に属す。《雑病翼方》



柴胡疏肝散[1-2]《張氏医通》《漢方治療の実際》
「柴胡疎肝湯《医学統旨》梔子3、乾姜1」
「柴胡・芍薬各4、枳実3、甘草2、香附子・川芎各2、青皮2、梔子3、乾姜1」
★適応症及び病名(五十音順)
[1]胸痛:
☆瘀血による胸痛に用いる《大塚敬節》
[2]大動脈瘤
☆胸背痛、胸部の圧迫感、呼吸促迫などを目標にして用いる。一婦人、大動脈瘤にかかり、嚥下時の胸痛、体動時の胸苦しさを訴えていたが、本方を用いてからこれらの愁訴を忘れることができた(漢方診療医典)
[3]吐血:
☆癇癪もちの時、ともすると寒熱往来し、脇痛し、吐血する者を治する効があり、吐血が強ければ牡丹皮を加えるとよい。《百々漢陰》
[4]肺ガン:
☆48歳男性。昭和28年12/20、突然喀血し、H医師の診察によって肺結核と診断せられたが、T医師は肺ガンと診断した。そこで翌年の3月、上京して某大学病院で診察を受けたところ、肺ガンと診断せられた。その頃から、左胸部の疼痛が激しくなり、呼吸が苦しくなってきた。咳は、たまにしか出ないが、胸や背に響いて苦しい。3月下旬から、横臥すると息苦しくて眠ることが出来なくなり、ほとんど徹夜で机にもたれてうたた寝をする程度だという。そこで4/3に当院に治を乞うた。この日、患者が持参したレ写真をみると、左肺上葉一面にガンが拡がっている。
腹診すると、胸脇苦満は軽微であるが、腹直筋は突っ張って、腹壁は一体に緊張している。そこで、最後のつなと私を頼ってきた患者を、むげに断りかねて柴胡疎肝散を与えた。ところが、この処方が驚くほど奇効を奏し、5日後には、胸の苦しいのが大変楽になり、安臥出来るようになった。食欲も出た。10日目には、ほとんど苦痛は去った。     患者は治るという自信を持つようになり、私も手柄をしたような気分になった。1ヶ月ほどたつと、患者は川や海に釣りに出掛けるほど元気になった。ところが5ヶ月あまりたったある日、何となく胸が苦しいという。そしてレントゲンで診てみると、ガンはずっと拡がっている。自覚的には、大変楽になっていたが、ガンは良くなっていたわけではなかった。そして、その次の年を待たずに患者は死んだ。《大塚敬節》
☆65歳女性。1月下旬、帯を結ぶ辺りの腰の部分が痛んで起居が困難になり、近くの医師の治療を受けたが軽快せず、当院に治を乞うたので、補陰湯を与えた処、15日分の服薬で全治した。それから2ヶ月ほどたって、息が苦しくなってきた。そのためよく眠れない、腹がすくと、よけいに息が苦しいという。そこで加味温胆湯を与えた。その後これが効いたのか、効かなかったのか、しばらく来院せず、4月中旬、肺ガンと診断せられたから、何とかなるまいかという相談を受けた。
患者は左胸背にかけて激しい疼痛を訴え、咳嗽、喀痰があり、時々血性の痰が出るし、レ線で左肺にガンとおぼしき陰影がある。体温の上昇はない。腹筋は一体に板のように硬く、寝返りをするにも痛みがはげしく、便所にも行けない。そこで前の患者のことを思い出して、柴胡疎肝散を用いてみた。すると、驚いたこことに、これを飲み始めて4日目から、胸背痛が急激に軽快し、7日間の服用で、自覚的苦痛は全くなくなった。そこでこれを引き続き与え3週間ほどたってから、レ線で調べてみると、陰影が小さくなっていた。そして6/25の検査では、陰影は全く消失していた。《大塚敬節》


柴胡疏肝散[2]《医学統旨》
「柴胡・芍薬各4、枳実3、甘草2、香附子・川芎各2、青皮2」

柴胡疏肝散[3]《景岳全書》
「柴胡・枳殻・白芍薬・香附子各6.0、川芎5.0、甘草(炙)3.0」水煎服。
◎胸脇痛
◎腹部膨満感



柴胡疎肝湯[1-1]《漢方治療の実際》
「柴胡・芍薬各4、枳実3、甘草2、香附子・川芎各3、青皮2」


柴胡疎肝湯[1-2]《医学統旨》
「柴胡6.0、芍薬・香附子・川芎各3.0、枳実・甘草・青皮」

柴胡疎肝湯[1-3]《医学統旨》
「柴胡・芍薬・香附子各4.0、甘草・川芎各3.0、青皮・枳実各2.0」

柴胡疎肝湯[1-4]《医学統旨》
「四逆散莎草・川芎・青皮」
◎左脇痛を治す。
◎参照→理気平肝散《医学統旨》
◎此方は四逆散の加味ゆえ、脇痛のみならず、四逆散の症にして、肝気鬱塞し、痛を覚え、或いは衝逆して頭疼、肩背強急する者を治す。
◎平素腹裏拘急、心下痞塞、ややもすれば気上逆絶せんとし、肩背強急、夜安眠するを得ず。柴胡疎肝湯を与え、朱砂安神丸を兼服せしめ、諸証大いに安し。《橘窓書影》


柴胡疎肝湯《一貫堂》
「当帰・芍薬・川芎・地黄・桃仁・牡丹皮・柴胡・桂枝・陳皮各3.0、枳殻・紅花・甘草・大黄・芒硝各1.5」


柴胡聡耳湯《東醫寶鑑》
「連翹3銭、柴胡2銭、人参・当帰・甘草各1銭」剉作1貼し「姜3片」を水2盃に入れ、1盃になるまで煎じた後、滓を去り「蛭米5分、虻虫3枚、麝香1分」を入れ食後煎服。
◎耳(耳だれ)・耳中乾結・耳鳴り。

柴胡知母湯《東醫寶鑑》
「柴胡・知母各1銭半、蒼朮・黄芩・乾葛・陳皮・半夏・川芎各1銭、甘草(炙)7分、姜3、梅2」水煎し、早朝と午後に服用。
◎熱瘧と瘴瘧を治す。

柴胡調経湯《東醫寶鑑》
「蒼朮1銭半、柴胡1銭、羗活・独活・藁本・升麻各7分、葛根・当帰・甘草各5分、紅花2分」水煎服。
◎血崩が止まらない者。

柴胡通経湯《万病回春》《古今方彙》
「柴胡、連翹、当帰尾、黄芩、牽牛子、三稜、桔梗、甘草(生)、紅花」水煎。
◎馬刀瘡で項側に瘡ありて堅く而して潰えざるを治す。


柴胡湯[1]《備急千金要方》
「柴胡8両、芍薬3両、黄蓍3両、桃仁50枚、乾姜8両、呉茱萸2升、当帰3両、甘草」
◎産後、往来寒熱し、悪露尽きざる者を治す。
◎此方は、産後、悪露下らずして往来寒熱する者を治す。《勿誤薬室方函口訣》
◎故に、桂苓丸、折衝飲の類を与え、血去らず寒熱を発する者を治す。
◎悪露尽きて寒熱止まざる者:小柴胡加地黄湯に宜し。

柴胡湯[2-1]《東醫寶鑑》
「柴胡・赤芍薬・川芎・当帰・青皮・草竜胆・梔子・連翹各1銭、甘草5分」煎服。
◎肝火が起きて、目が赤く腫れ痛む者。

柴胡湯[2-2]《万病回春》《古今方彙》
「柴胡・芍薬・川芎・当帰・青皮・山梔子・連翹・竜胆各1銭、甘草5分」水煎食遠に服す。
◎肝火盛んにして木気実し、或いは脇痛み、或いは気が左辺より起こる者を治す。
◎目紅く腫痛するは倶に肝火なり。

柴胡湯[3]《万病回春》《古今方彙》
=「柴平湯」
「柴胡・黄芩・半夏・蒼朮・厚朴・陳皮・青皮・枳殻・神麹・山子・三稜・莪朮各等分、甘草半減、生姜、大棗」水煎。
◎積塊が熱に属する者は宜しく清火すべし。

柴胡湯[4]《外台秘要方》
「柴胡、枳実、生姜、白朮、甘草、檳榔」

柴胡湯[5]《外台秘要方》
「柴胡、当帰、青木香、犀角、檳榔、甘草」


柴胡破瘀湯《東醫寶鑑》
「柴胡2銭、黄芩・半夏・赤芍・当帰・生地黄各1銭、桃仁・五霊脂・甘草 各5分」水煎服。
◎熱が血室に入る症。血室に入ると経水は出たり止まったり、昼は朗らかだが夜 になるとたわごとを言い、まるで鬼に憑かれたようになる。
◎蓄血症。


柴胡半夏湯《医学入門》《古今方彙》
「柴胡・半夏各1銭半、黄芩・白朮・陳皮・麦門冬各1銭、甘草5分、生姜、大棗」水煎温服。
◎傷風、発熱悪寒、頭痛汗無くして咳嗽し、
◎協熱自利(=表に熱があり、裏に寒があって下利する)を治す。
◎兼ねて一切の痰症にて状は傷寒に似たるを治す。
【加減方】
<1>小便不利には・・・茯苓。
<2>冬月無汗には・・・麻黄。
<3>三時無汗には・・・紫蘇葉。(三時=春夏秋)
<4>冬月有汗には・・・桂枝。
<5>三時有汗には・・・防風。
<6>喘嗽には・・・・・白朮、杏仁・桑白皮。
<7>酒熱には・・・・・黄連。
<8>食積には・・・・・山子・神麹。
<9>痰脇下に伏し痛みを作す・・・白芥子。
<10>痰盛にて喉中牽鋸の如き・・竹瀝・姜汁。
<11>痰稠して膠の如きに・金沸草・前胡。
<12>胸膈痞悶には・・・枳殻。

柴胡白虎湯
「柴胡・黄芩・石膏・天花粉・知母・粳米・鮮荷葉・甘草」

柴胡百合湯《傷寒六書》《古今方彙》
「柴胡・人参・黄芩・百合・知母・陳皮・鼈甲・甘草・生姜・大棗」煎じ服するに臨み「生地黄汁」を入れ温服する。
◎傷寒えたる後、昏沈・発渇・而して譫語失神及び百合(神経衰弱様の疾患)、労復(労働することのより再発する病気)、食復(快復期に食事を誤りたるために病の再発すること)などの症を治す。


柴胡鼈甲湯[1-1]《聖済総録》
「柴胡・鼈甲・茯苓各1両、黄芩・知母・桑白皮各3分、甘草半両」
◎傷寒、潮熱解せず、or時に寒を作し、瘧状の如き者を治す。
◎此方は少陽の壊症にて、潮熱あるいは瘧状の如き熱を発し連綿解せざる者に宜し。世医は「小柴胡湯鼈甲」を用ゆれども、此方を是とする。《勿誤薬室方函口訣》
◎熱気固着するもの:「胡黄連」
◎左脇下より少腹に至りて攣急冷痛する者は 柴胡加鼈甲湯に宜し《先哲医話》
◎慢性気管支炎に此症がある。《済世薬室》



柴胡鼈甲湯[1-2]《外台秘要方》
=「柴胡別甲湯」
「柴胡8両、枳実6分、芍薬8両、蒼朮6分、鼈甲8両、檳榔7箇、甘草6分」
《済世薬室》では「杏仁」として用いる。
◎痰癖、心腹痛み、冷喘息を兼ねる者を治す。
◎此方は「集験一方」とありて、方名なし。
◎《鎌田碩庵》此の名を冒して、喘息の痃癖より来る者にしばしば効を得たり。
◎「四逆散鼈甲・檳榔・朮」にして、痃癖、心腹痛を治するが主なり《勿誤薬室方函口訣》
◎「解労散」《楊氏家蔵方》は、此方の一等軽き者なり。
◎労立ちの胸脇にかかり、寒熱往来して咳嗽する者に「柴胡鼈甲湯」「解労散」を用いて、大小柴胡よりは反って効あり。《勿誤薬室方函口訣》
◎瘧母も治す。これにて治せざる者は「柴胡加芒硝湯」なり。


柴胡別甲湯[1-3]《漢方治療の実際》
「柴胡5、朮4、芍薬・檳榔各3、土別甲・枳実各2、甘草1.5」
◎この方は鎌田硯庵の口伝を得て、浅田宗伯が痃癖からくる喘息を治すために用いたもの。《大塚敬節》
★適応症及び病名(五十音順)
[1]喘息:
☆箕輪大関横街、百姓喜右衛門、前の年にいろいろ心配事があって気を使い、そのため胸がふさがり、鳩尾が塊のように硬くなった。そのためか今年になってからは、その時の気候に感じて、喘息が起こり、発作時には昼も夜も物に寄りかかったままで横になることが出来ない。その上の冷汗も流れて、飲食も進まない。医者は哮喘(喘息)と診断して治療したが効がないという。そこで自分は、この病人を診察して云った。これは痃癖が上に迫って、呼吸を妨げて喘息を起こしたのであると、よって外台の柴胡別甲湯を与え、上迫の甚だしい時は麻黄甘草湯を兼用した。すると数日呑んだだけで喘気が徐々におさまり数ヶ月の苦悩が全く去った《橘窓書影》





柴胡防帰湯《医学入門》《古今方彙》
「柴胡・人参各1銭、当帰3銭、川芎1銭半、半夏・陳皮・防風各8分、甘草5分、生姜、大棗」煎服。
◎産後の発熱が難産にて力を傷つけ、及び亡血過多、悪露尽きず、子無くし、乳を蒸すの4症に因らず、果たして外感に係り、風寒、表症、脈実、食を挟み、血を積むを治す。
◎量は体にて加減す。


柴胡養栄湯《温疫論》
「柴胡・黄芩・橘皮・甘草・当帰・芍薬・地黄・知母・天花粉・生姜・大棗」
◎表に余熱ありて血燥する者を治す。
◎此方はのちの「柴胡清燥湯」と伯仲にして、
<1>下後、胃中の津液乏しきなりて余熱未だ徐かず。ややもすれば再び胃に陥らんとする勢ある者が、:「柴胡清燥湯」     
<2>下後、血液枯燥して余熱之が為に去る能はざる者:「柴胡養栄湯」
◎麻疹:収後、身体枯痩、虚熱去らざる者《麻疹心得続録》


柴胡抑肝湯《寿世保元》《古今方彙》
「柴胡・赤芍薬各2銭半、青皮2銭、牡丹皮1銭半、蒼朮・香附子・山梔子・甘草・地骨皮各1銭、神麹・川芎核7分、連翹・生地黄各5分」水煎温服。
◎寡居(やもめぐらし)、独陰無陽、色欲心萠而して多く遂げず、是を以て悪寒発熱、全て瘧に類する者を治す。



柴胡連翹湯《東醫寶鑑》
「柴胡・黄芩・枳殻・赤芍薬・桔梗・瓜蔞仁・梔子仁・連翹・黄連・黄柏・甘草各8分」剉作1貼して、姜3片を入れて水煎服。
◎傷寒に発熱して譫語を言い、呻吟して睡臥でかない者を治す。


柴粳半夏湯《漢方治療の実際》
「柴胡・半夏各4、桔梗・杏仁・括呂仁各2、黄芩・大棗・生姜各2.5、枳実 ・青皮各1.5、甘草1」


柴芍六君子湯《本朝経験》
「六君子湯柴胡4・芍薬3」《漢方治療の実際》
◎四逆散の證に胃虚を兼ねる者を治す。
◎此方は脾気虚「芍薬」と云う意にて、脾気病は腹筋拘急して痛み、又胸脇へ引きつける形ある故に、柴芍と伍するなり。《勿誤薬室方函口訣》
◎肝実脾虚し腹筋拘急して痛み、或いは胸脇へ引付ける者。《龍野ー漢方処方集》


柴前梅連散《東醫寶鑑》
「柴胡・前胡・烏梅・胡黄連各2銭」剉作1貼し、「童尿2杯・猪胆1枚・猪脊髄1条・韭白半銭」を入れ水煎服。
◎骨蒸労熱が治らない者。

柴蘇飲《本朝経験》
「小柴胡湯香蘇散」
「小柴胡湯香附子4、蘇葉1、陳皮2.5」《漢方治療の実際》
◎傷寒後の耳聾を治す。
◎此方は小柴胡湯の証にして欝滞を兼ねる者に用いる。《勿誤薬室方函口訣》
◎耳聾:少陽の余邪欝滞して解せざるが故なり。
☆暴に耳聾して頭鬱冒する者、百発百中《方読便覧》
◎傷風:《方読便覧》

柴陳湯《東醫寶鑑》
「柴胡2銭、黄芩・半夏・赤茯苓・陳皮各1銭、人参7分、甘草5分、姜5、棗2」水煎服。
◎痰熱による胸膈の痞満を治す。

 

柴平湯《医方考》《古今方彙》
「柴胡、黄芩、半夏、人参、陳皮、甘草、厚朴、蒼朮、生姜、大棗」水煎。
◎瘧発する時は一身尽く痛み、手足沈重、寒多くして熱少なく脈濡なる者を治す。

柴平湯《東醫寶鑑》
「柴胡・蒼朮各2銭、厚朴・陳皮・半夏・黄芩各1銭、人参・甘草各5分、姜3、棗2、梅1」水煎服。
◎すべての瘧を治す。
(腹部膨満感・口がねばる)
 
 

柴朴湯《本朝経験》
「小柴胡湯半夏厚朴湯」
「小柴胡湯厚朴3、蘇葉2、茯苓4」
★適応症及び病名(五十音順)
[1]咽喉部の異物感
[2]悪心
[3]咳嗽
[4]喀痰
[5]感情不安定
[6]感冒(かぜ)
[7]気鬱
[8]気管支喘息  
[9]気管支炎   
[10]口がねばる
[11]口苦
[12]呼吸困難:
☆大柴胡湯を用いる場合よりも、やや体格が劣勢で、胸脇苦満も軽く、便秘の傾向の無い者によい。《大塚敬節》
☆ある夜、私は喘息発作で苦しんでいる32歳の女性を診察した。その際腹診しようとしたが、息苦しくて仰臥出来ないので、坐って前かがみになっているままで腹をさすってみた。胸脇苦満はないようである。
この患者は少女時代から喘息があったが、最近次第にひどくなり、呼吸困難ばかりでなく、咳が頻発する。脈は小さく沈んで触れにくい。私は処方の選定に迷った。そしてとにかく小青竜湯を与えてみた。ところが2ヶ月ほど呑んだが、あまり効果が無く、相変わらず、咳と呼吸困難の発作が来るという。
そこで1日、発作の収まっている時に、診察してみた。ところが腹診すると、左右に著明ではないが胸脇苦満がある。この程度の胸脇苦満は坐位で診察すると証明できないことが多い。腹直筋はあまり緊張していない。そこで私は小柴胡湯半夏厚朴湯を与えた。すると、これを飲み始めて、喘息発作は全く起こらなくなった。風邪を引いてひどい咳を出した時も、呼吸困難はこなかった。そこで約3年、患者はこれを飲み続けた。その間1回の発作もなく、体重も4kg増加した。そして休薬してから約2年になるが発作は起こらない。《大塚敬節》
[13]食道ケイレン
[14]食欲不振
[15]心下痞
[16]神経質
[17]舌苔 <白膩>
[18]喘息
[19]喘鳴
[20]痰(タン)が出る
[21]動悸
[22]ノイローゼ
[23]梅核気
[24]反芻症
[25]ヒステリー
[26]疲労倦怠
[27]不安感
[28]不安神経症
[29]腹部膨満感
[30]めまい
[31]脈 <弦滑>
【副作用】
肺炎:1996年以降、12人。1998.3.5《日本経済新聞》


柴苓湯《世医得効方》
「小柴胡湯五苓散」
◎本、麦門冬、地骨皮有り、今之を去る《勿誤薬室方函口訣》
◎傷風。傷暑・瘧を治す。
◎瘧にて寒熱を発し、病が半表半裏に在り、陰陽を分たざるを治す。《古今方彙》
◎小柴胡湯の証で煩渇下利する者《龍野ー漢方処方集》
★適応症及び病名(五十音順)
[1]IgA腎症
☆胸脇苦満があり、口渇、尿量減少、浮腫などを目標にして用いられる。そのほか食欲不振、悪心、下痢などを伴うことある(漢方診療医典)
☆【EBM】IgA腎症に対する効果
(Evidence)
IgA腎症の改善率67.9%。2年間の柴苓湯治療による尿所見正常化率は46%で、対照群より有意に高かった。
[2]胃腸炎(急・慢性)
[3]嘔吐
[4]悪心     
[5潰瘍性大腸炎
[6]感冒(かぜ)
[7]肝硬変
[8]肝臓疾患
[9]関節リウマチ
[10]顔面神経麻痺
[11]顔面の腫れ(浮腫)
[12]急性胃腸炎
[13]急性腎炎
[14]クインケ浮腫=血管神経性浮腫(アレルギーの一種)
[15]口がねばる
[16]下痢(水瀉性、尿量減少・口渇)
[17]口渇:
☆発熱、口渇し、裏虚の証《雑病翼方》
【EBM】向精神薬による口渇に対する効果
(Evidence)
抗精神病内服時の口渇に対する改善度は87%であった。全般改善度でも、やや改善以上が90%と高い改善率を示した。
[18]口苦
[19]サルコイドーシス
☆ステロイド治療が必要なもので、柴苓湯併用はその副作用防止や脱ステロイドに有用である(漢方診療医典) 
(Evidence)
1件の症例集積研究において、サルコイドブドウ膜炎および眼サルコイドーシスの前眼部と眼底の炎症を有意に改善した。
[20]三叉神経痛
【EBM】三叉神経痛に対する効果
(対象患者)
CBZ(カルバマゼピン)内服中の特発性三叉神経痛患者26例(♂7例♀19例)
(結果)
著明改善6例、改善8例、やや改善10例、不変2例、悪化例はなく、改善以上の有効率が53.8%だった。
VASの平均は、治療前8,3±0.3から治療後は0.8±0.2へと著明に改善した。
なお10例(38.5%)でCBZの減量が可能であった。
[21]食欲不振
[22]暑泄
[23]腎炎(急・慢性)
[24]腎盂炎
[25]心下痞
[26]身熱
[27]水腫
[28]小児疾患:
☆はしかで下痢する。
☆腹中癖塊あり、発熱口乾、小便赤きを治す:「大棗生姜莪朮三稜胡黄連」=浄府散《古今医鑑》
☆【EBM】感冒性消化不良症による下痢に対する効果
(Evidence)
乳幼児の感冒性消化不良による下痢に対して、柴苓湯あるいは柴苓湯と整腸剤の併用による治療は整腸剤のみの治療に比べて、有意な症状の早期改善が見られ、重症化し脱水症に陥る患児も少なかった。
[29]ステロイド療法の副作用軽減
[30]舌苔<白膩>
[31]全身性エリテマトーデス
ステロイドの大量投与時に、柴苓湯が併用される。柴苓湯はステロイドの効果を増強する作用と、副作用を予防する効果があるとみられる(漢方診療医典)
[32]前立腺肥大
【EBM】前立腺肥大に対する効果
(結果)
自覚症状では、投与前と比較して、投与4週後、8週後で有意に自覚症状の改善を認めた。
全般改善度では、著明改善1例、改善2例、やや改善5例、不変4例だった。やや改善以上が66.7%。
日中尿量は、投与8週後では、投与前と比較して優位に増加し、また夜間尿量は、減少傾向を示した。また夜間排尿回数は、投与8週後に、投与前と比較して有意な減少を認め、尿比重も投与前後で有意な低下を認めた。
[33]帯状疱疹後神経痛(PHN)
【EBM】PHNに対する効果
(Evidence)
1件の症例集積研究において、柴苓湯のPHNに対する有効率は亜急性期症例で69.2%、慢性期症例で60.0%だった。
[34]多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
【EBM】多嚢胞性卵巣症候群に対する効果
(薬物投与)
柴苓湯エキス(8.1g/日)を1~2ヶ月間投与。
(評価方法)
基礎体温表および経膣超音波で排卵の有無を確認した。
(結果)
柴苓湯投与で21例中12例(57%)が排卵した。
無効例には、クロミフェン100mg/日と柴苓湯を併用したところ、3例が排卵した。この3例は柴苓湯投与前にはクロミフェンに抵抗性の症例だった。
クロミフェン=経口剤の排卵誘発剤
また、LH値は投与前12.1±5.9mIU/mlから投与中5.4±3.6mIU/mlに有意に低下した。
[35]多発性筋炎
☆ステロイド大量使用時に柴苓湯を併用する(漢方診療医典)
[36]タンパク尿
☆無症候性タンパク尿に用いる(漢方診療医典)
[37]手足の腫れ(浮腫)
[38]透析関節症
【EBM】透析関連骨関節症に対する効果
有効例のうちで柴苓湯を3~6ヶ月投与後に投薬を中止してみ関節痛を訴えない症例があった。小柄な高齢者で下肢のむくみが出現したため、柴苓湯を1.2~1.5g/日に減量しても関節痛に十分な有効な症例があった。
[39]糖尿病性腎症
☆胸脇苦満があり、口渇、尿量減少、浮腫などを目標にして用いられる。そのほか食欲不振、悪心、下痢などを伴うことある(漢方診療医典)
☆【EBM】糖尿病性腎症に対する柴苓湯の効果

[40]特発性血尿
【EBM】特発性血尿に対する柴苓湯
(薬物投与)
柴苓湯エキス(9.0g/日)を28日間投与した。
(Evidence)
4週間服用後の血尿の消失は49例中16例(33%)。有効率は68%であり、特発性血尿患者に対する血尿の改善作用が有意に認められた。
[41]尿量減少
[42]妊娠中毒症
[43]ネフローゼ
☆胸脇苦満があり、口渇、尿量減少、浮腫などを目標にして用いられる。そのほか食欲不振、悪心、下痢などを伴うことある(漢方診療医典)
☆【EBM】ネフローゼ症候群に対する効果
(対象患者)
組織学的に微小変化型が疑われるネフローゼ症候群患者221例。

[44]熱射病:
☆暑疫(夏の流行病)には別して効あり《勿誤薬室方函口訣》
[45]煩渇
[46]不育症
(Evidence)
1 件の症例集積研究において、自己免疫異常(非同種免疫異常)不育症に対する妊娠率は43.0%、流産阻止率は64.2%、生児獲得率は27.6%であった。
自己免疫異常同種免疫異常不育症に対する妊娠率は31.6&、流産阻止率は68.0%、生児獲得率は21.5%、
純粋型同種免疫異常不育症で、リンパ球移植療法が無効例で妊娠率70.3%、流産阻止率は66.7%、生児獲得率は46.9%だった。
[47]浮腫
[48]変形性膝関節症
【EBM】変形性膝関節症に対する柴苓湯の効果

(Evidence)
1件の症例集積研究において、変形性関節症の自覚症状に対する有効率は50%であった。
[49]慢性肝炎
[50]慢性糸球体腎炎
【EBM】慢性糸球体腎炎・ネフローゼ症候群に対する効果
(付記)
尿タンパク排泄量の減少効果は、尿タンパク排泄量(前値)が1.0g/日未満の群で減少率が顕著で、開始時のCcrが50ml/分以上の群では投与後12週以降に有意な減少が認められた。
[51]メニエール症候群
☆腹力中等以上で、口渇、口苦、胸脇苦満、尿量減少、浮腫などを目標に用いられる(漢方診療医典)
[52]リュウマチ  
[53]脈 <弦滑>
[54]【副作用】
☆肺炎:1996年から39人。1998.3.5《日本経済新聞》

   
柴苓湯《万病回春》《古今方彙》
「小柴胡湯四苓散」生姜、大棗、煎じる。
◎麻疹已に出て寒熱瘧に似たる者を治す。


柴苓湯《東醫寶鑑》
「柴胡1銭6分、沢瀉1銭3分、白朮・猪苓・赤茯苓各7分半、半夏7分、黄芩・甘草各6分、桂心3分」剉作1貼し姜3片を入れ水煎服。
◎傷寒熱病に発熱し、下痢する者。

再障方《中薬臨床応用》
「鶏血藤15g、何首烏24g、牡丹皮9g、熟地黄15g、五瓜竜30g、地捻30g、茯苓15g、白朮15g、当帰12g」水煎服。
◎再生不良性貧血


再造飲子《勿誤薬室方函口訣》
「空倉痘方白芷、牛蒡子、地黄、白朮附子、升麻」


再造散《山脇東洋》
「欝金5銭、皀角刺1銭、大黄10銭、牽牛子・反鼻各6銭」
「通天再造散《三因極一病証方論》反鼻」
◎大風を治し、及び黴毒、新痼を択ばず、之を服して可なり。
◎《桂里》曰く、もろもろの血毒を治し、兼ねて久淋を療す。《勿誤薬室方函口訣》

再造散《傷寒六書》《古今方彙》
「黄蓍・人参・桂枝・甘草・附子・白芍薬(炒)・細辛・羗活・防風・川芎・生姜(炒)・大棗」水煎。
◎頭疼、発熱、項強、悪寒汗無く、発汗の薬を二三用いて汗出ざる者は、此れ陽が虚して汗を作す能わざるなり。
◎夏月は:「黄芩・石膏」。

左帰飲《景岳全書》《中薬臨床応用》
「山茱萸3g、熟地黄30g、枸杞子6g、山薬12g、茯苓9g、甘草(炙)3g」水煎服。
◎口燥、盗汗、足腰がだるくて力がない


左帰丸《景岳全書》
「熟地黄、牛膝、亀板膠、鹿角膠、山薬、枸杞子、山茱萸、兎絲子」
◎真陰不足・虚熱・自汗盗汗・遺精・淋瀝・失血・眩暈・耳聾・口燥咽乾・腰痛・腿軟。

左金丸料《丹渓秘伝方訣》
「黄連6匁 呉茱萸1匁」
◎肝は火実を蔵し、左脇痛を作すを治す。
◎此方は左脇痛を主とす。
☆或いは「沈香降気湯」
☆或いは「参連湯」
◎嬰児頓嗽:《先哲医話》
◎逆:諸治無効の者、熊胆を与えて効あり。又左金丸料を与えしばしば効あり。
◎噤口痢:禁口冷痢に属する者。呉茱萸・黄連各等分と為して用いる。《勿誤薬室方函口訣》

左金丸《丹渓心法》
「黄連(姜汁炒)、呉茱萸(塩水泡立てる)」を粉末にして、水又は蒸餅で丸にして、白湯で50丸服用。

左金丸《丹渓心法》《中薬臨床応用》
「黄連180g、呉茱萸30g」作末し丸剤。1日1~3回1.5~3gづつ服用。
◎嘔吐
◎噫気、呑酸、口臭、口苦、上腹部膨満
◎肝胃不和



左金丸《東醫寶鑑》
「片芩6両、呉茱萸1両」作末し、蒸し餅で梧子大の丸剤。空腹時に白湯で30~50丸飲む。
◎肺金を補い、肝木の火を治す。
◎下焦の熱に。



左突膏《漢方治療の実際》
「瀝青800、黄220、豚指58、ごま油1000」先ずごま油を煮て水分を去り、黄・豚指を入れて溶かし、終わりに瀝青を入れて溶かし、温かい中に布で濾し、更に煮て粘稠性を高める。


左脾丸《東醫寶鑑》
「山肉3両、連翹・陳皮・蘿葡子(炒)各5銭、赤茯苓・半夏各1銭」作末し粥で緑豆大の丸剤。温水で50~70丸飲む。
◎食積を治す。



左竜丸《東醫寶鑑》
「野糞(炒)(一名左幡竜)・江鰾焼・白蚕各5銭、雄黄1銭、蜈蚣2条、天麻2銭」作末し3貼に分けて、先に2貼を焼飯で梧子大の丸剤、朱砂で衣を付けて20丸作り、巴豆丸1丸を加えて服用して、2服目には2丸を加えて温酒で飲む。便がよく出ることを原則とする。朱砂丸を服用して病が治ればすぐ止め、もしが止まらないときは羗麻湯を服用。
◎破傷風が中に入って症を発して目が直視し、大小便が秘渋する者を治す。

鎖陽丹《東醫寶鑑》
「桑蛸(炙)3両、竜骨・白茯苓各1両」粉末にし、糊で梧子大の丸剤。 茯苓塩湯で70丸服用。
◎脱精・滑泄を治す。

細辛膏《東醫寶鑑》
「細辛・川椒・乾姜・川芎・呉茱萸・附子各7銭半、角屑5銭、桂心1両、猪油6両」猪油を煎じて膏を作って一夜置き、酒に前の薬を漬けて猪油で煎じるが、附子が黄色くなったら止め、綿でくるんで鼻孔をふさぐ。
◎鼻が詰まり、鼻水が止まらない者を治す。

細辛散《東醫寶鑑》
「麻黄3銭、桂皮・羊脛骨灰各2銭半、羗活・草豆各1銭半、当帰4分、藁本・蒼朮各3分、防風・柴胡・白芷各2分、細辛1分」作末し、先に温水で口をゆすいですりつける。
◎頭と歯が痛い。

細辛湯《普済本事方》《中薬臨床応用》
「細辛1.5g、桂枝0.5g、製半夏6g、茯苓9g、桔梗3g、生姜6g、甘草3g」
◎外感風寒で、鼻づまり(鼻汁が多い)、痰がからむ。

莎芎散《東醫寶鑑》
「香附子・川芎各5銭、黄連・梔子各2銭半、木香・乾姜各1銭半、檳榔・黄芩(酒)・芒硝各1銭」作末し毎回2銭を、熟姜湯で痛むときに調服。
◎平素、熱薬の飲み過ぎでなる者を治す。

莎芎湯《東醫寶鑑》
「香附子4両、川芎2両」粉末にし、毎回2銭、清茶で服用。
◎衂血を治す。


催生飲《万病回春》《古今方彙》
「当帰、川芎、大腹皮、枳殻、白芷」各等分。水煎温服。
◎産生し難きは燥渋堅斂によるなり。之を治す。
◎「五積散牛膝倍加」も可なり。



催生湯《万病回春》《古今方彙》
「桃仁(炒)・赤芍薬・牡丹皮・茯苓・肉桂各1銭」水煎。
◎産を候(キザ)し、母腹痛し腰痛して漿水下るを見れば方に服すべし。


催乳方《牛山活套》《漢方後世要方解説》
「露蜂房・熟地黄」黒焼きにして糊で梧桐子大の丸剤。毎服50丸、大麦の煮汁にて用いること2週間。
◎乳汁不足


梅油《中薬臨床応用》
「梅花(花蕾が開花しはばかりの)6g」落花生油orごま油60gに2週間浸 けて使用。局所に1日2~3回すり込む。
◎麻疹後に皮疹が潰瘍になったもの。
◎小児の顔面部の乳痂
◎軽度の火傷



撮風散《証治準縄》
「蜈蚣、釣藤鈎、白蚕、全蝎、朱砂、麝香」


擦牙止痛方《東醫寶鑑》
「黄蜜蜂巣1箇に川椒を入れ一杯になるようにし、再び白塩1銭で巣口を封じて「白芷・羊脛骨灰各1銭」をといで、先に口をゆすいだ後すりつけ、穴があると薬末を穴の中につめる。

擦牙方《東醫寶鑑》
「牙歯痛には、胡椒・撥を使うと必ず歯牙中の浮熱が発散する。升麻・寒水石と薄荷・荊芥・細辛の類で補佐する。牙痛に清涼薬を使って、もっとひどくなったときは、撥・細辛・川椒・荊芥・薄荷・樟脳・青塩を作末してこすりつける。
 

三一胃気丸《東醫寶鑑》
「熟地黄・生乾地黄・山薬・山茱萸各4両、牡丹皮・白茯苓・沢瀉・鎖陽・亀板各3両、牛膝・枸杞子・人参・麦門冬・天門冬各2両、知母・黄柏(並塩炒)・五味子・肉桂各1両」作末し、蜜で梧子大の丸剤。温酒or塩湯で70 ~90丸飲む。
◎虚労を治し、心と腎のあらゆる臓の精血を補養する。


三一承気湯《東醫寶鑑》
「甘草3銭、大黄・厚朴・枳実・芒硝各1銭」剉作1貼し「薑3片」を入れて煎じ、半分程になったら、カスは捨てて「芒硝」を入れもう1回煎じて服用。
◎傷寒で雑病が中に深く入って、大小便が通らない症。



三因琥珀散《東醫寶鑑》
「琥珀・海金砂・没薬・蒲黄」各等分に細末にし、毎回3銭を空腹時に萓草根の煎じ湯で調服する。
◎五淋の渋痛、小便に膿血が出る者を治す。

三因散聚湯《古今方彙》
「檳榔子・半夏・当帰各4分、杏仁・桂心・茯苓各1銭、附子・川芎・甘草各5分、陳皮1銭、枳殻・厚朴・呉茱萸各1銭半、生姜」水煎。
◎九気積聚、状はの如く、気に髄って上下あり、発作時あり、心腹痛、腰脇を攻刺し、小腹脹し、大小便不利する者を治す。


三因葱白散《東醫寶鑑》
「川芎・当帰・熟地黄・白芍薬・枳殻・厚朴・莪朮・三稜・赤茯苓・肉桂・乾姜・人参・川練肉・神麹・麦芽・青皮・茴香・木香各5分」剉作1貼し、「葱白2茎、塩1匙」入れて水煎服。
◎寒冷の気が膀胱に入って痛むとき。


三黄丸《漢方治療の実際》
「大黄・黄芩・黄連」以上等量を作末し、米糊で丸にする。1回2~3、1日3回。


三黄丸《東醫寶鑑》
「大黄()・黄芩・黄連」各等分に作末し、蜜で梧子大の丸剤。空腹時に30~50丸飲む。
◎三焦の積熱を治す。

三黄枳朮丸《東醫寶鑑》
「黄芩2両、黄連(酒炒)・大黄()・神麹(炒)・白朮・陳皮各1両、枳実(麩炒)5銭」作末し、湯浸蒸し餅で緑豆大の丸剤。白湯で50~70丸飲む。
◎肉にあたり、美味や湿麺などを食って悶乱し、不快な症。

三黄解毒丸《東醫寶鑑》
「黒丑頭末4両、滑石3両、大黄・黄連・梔子各2両」水で梧子大の丸剤。温水で30~40丸飲む。
◎一切の熱毒・癰腫・瘡傷・驚悸・歯ぎしりを治す。

三黄解毒湯《傷寒翼方》
「黄連解毒湯甘草」
◎大熱、譫語、発斑、発黄、吐衂、下血の証を治す。

 

三黄梔子湯
=「八仙飲子」に同じ。
「治酒査鼻方《本朝経験》黄連黄芩・葛根」


三黄瀉心湯[1-1]《傷寒論》
「大黄2両、黄連1両、黄芩1両」
右三味、以水三升、煮取一升、頓服之。
◎心氣不足、吐血、衂血、瀉心湯主之。
「心氣不足」=こころもちがおちつかない(大塚敬節)

三黄瀉心湯[1-2]《傷寒論》《龍野ー漢方処方集》
=「瀉心湯」
「大黄2.0g、黄連・黄芩各1.0g」水120ccを以て40ccに煮詰め、頓服。
《金匱要略》では「瀉心湯」、後世方では「三黄瀉心湯」と呼ぶ。
◎心煩し、心下痞に、之を按んじて濡なる者を治す。《吉益東洞》
◎《金匱要略》瀉心湯の条に心気不足、吐血、衂血、瀉心湯之を主ると曰う。即ち不足と云い、又瀉心と云う。是れ後世の論説に由って起こる所なり。為則按ずるに《千金方》の不足を不定に作る是れ仲景の古なり。蓋し心気不定は煩悸の謂なり。故に心中煩悸し心下痞して諸証を発する者に此湯を用うれば皆治す。啻(シ、ただ)に吐血衂血のみならざらんや、是に因って之を観れば不定の煩悸たるや明らかなり。《重校薬徴》
◎心気不定、心下痞し、之を按ずるに濡(ナン)なる者を治す《方極》
◎吐血、衂血、諸血症にして、その人心下痞硬し、欝欝として熱煩し、大便硬く、劇しき者は舌黄にして、面目赤し。瀉心湯之を主どる。《医聖方格》
◎此方は上焦瀉下の剤にして、その用尤も広し。《和剤局方》「三黄湯」の主治熟読すべし。但し気痞と云うが目的なり。《勿誤薬室方函口訣》
◎心気不足:
は《備急千金要方》では「心気不定」となっている、いずれにしても、気分が不安でイライラして落ち着かないのを云ったものである。
興奮したり、気分がイライラしたり、落ち着きを失ったり、狂躁という状態がよく見られる。
又、幻覚を訴える者もある。《大塚敬節》
◎のぼせを引き下げ、気分を落ち着かせ、興奮を静め、便通をつけ、炎症を去り、出血を止め、食を進める効があるので、応用範囲が広い。《大塚敬節》
◎宋板の傷寒論や成本傷寒論では大黄と黄連の2味であるが、康平傷寒論では、これに黄芩が配剤されている。《大塚敬節》
【腹証】
☆《腹証奇覧翼》
“心下痞して一物あるごとく覚え、手を以て之を按ずるうちに散りうせて何もなく軟らかにして両傍にもまた大竹を立つる如きものもなく只何となく心下の痞を覚ゆるもの”
“三黄瀉心湯は心気不定・心下痞する者を治する。不定は心中が何となく按じてみると却って、思ったほどには踊らないものである。また血気に熱を帯びていると云うのが目標で、吐血、衂血、痔疾、下血、便血、狂乱等の証がある。これは心気不定によるのである。要するに、心下痞、心中煩悸して不定なものが、腹証の準拠である”
☆《大塚敬節》
“腹部は膨満せず、胸脇苦満・腹直筋の緊張を認めず、ただわずかに上腹部に痞える気味がある。このつかえるところを腹診してみると、底には抵抗があって、軟弱無力ではない。”



三黄瀉心湯[1-3]《傷寒論》《漢方治療の実際》
=「瀉心湯」《金匱要略》
=「大黄黄連瀉心湯」《康平傷寒論》
「大黄・黄芩・黄連各1」以上を振り出し剤とする場合には、これに熱湯100‹を加え、3分間煮沸し、滓を去って頓服する。
◎三黄瀉心湯は、のぼせ、上逆、不安感、興奮、出血などの症状があって、便秘の傾向の有る者に用いる。《大塚敬節》
◎この症を患う者、常に眼光鋭く、感気とりとまり無く、また安眠なり難く、心 いそがわしく。或いは好んで物を忘れ、或いは物を案じ過ごし、或いは怒り悲しみ、或いは狂乱の如くなり、或いは時として死をも顧みずの類にて、胸中結毒のためなり。《長沙腹診考》
◎すべてこの方を大病人に用ふるは麻沸湯にて振り出すべし。《梧竹楼方函口訣》
    


三黄瀉心湯[1-4]《傷寒論》
★適応症及び病名(五十音順)
[1]イライラ
[2]インポテンツ
[3]胃潰瘍
[4]胃部膨満感
[5]遺精
[6]唖(おし)
[7]黄疸:
☆黄疸、身体、面目皆黄なるを療す。《外台秘要方》
☆熱性黄疸には、証に由り茵蔯を加える。《奥田謙蔵》
[8]おたふくかぜ
[9]怒りっぽい
[10]外傷性出血
[11]顎下腺炎
[12]肩こり
①精神不安.。
②顔面紅潮。
③心下痞、胃部膨満停滞感、
④便秘。
[13]喀血:
☆気分がイライラして落ち着かず、吐血・喀血する者《大塚敬節》
[14]逆上:
☆狂の如き者、眼目痛し、赤脈怒張し、面熱して酔えるが如き者《類聚方広義》
[15]癇:
☆胸中動甚だしく、大便秘結し、舌上胎有る者:「石膏」《方読便覧》
☆癇証百端枚挙すべからずして、眼胞惰、数瞬し、呼吸促迫、唏(=すすり泣く・なげく)するが如きの類、三黄瀉心湯最も効あり。
☆衝逆甚だしく自汗出ずる者:「牡蛎」
☆もし諸怪証を見す者:辰砂丸を兼用する。《先哲医話》
[16]肝火上炎
[17]眼瞼炎:
☆その他の炎症性眼疾患に応用。
[18]眼底出血:
☆高血圧症患者の眼底出血《大塚敬節》
[19]感情不安定
[20]顔面紅潮
[21]気の上衝:
☆気痞上逆する者:「川芎」=竜騰飲《賀川》
[22]驚悸:
☆驚悸、或いは発狂等の証《奥田謙蔵》
[23]金瘡:
☆《陽斎随筆》
“自分が若い頃、嘯堂先生に就学したことがある。その頃、藩の医者が争事をして、武士に切られたことがある。切創は鎖骨を切って背まで通り、切先はあごにかかり、下顎骨で止まっていた。その医者は反り返って眼をみつめ、煩躁の状を見せていた。外科の医者は縫合術を行った。先生は三黄瀉心湯を与えて、自若として驚かず、これで効を収めることが出来た。先生は常に金瘡には三黄瀉心湯が良い。これは気を落ち着かせる効があって、人参などの及ぶところではないと云われた。その後、東都に就役したとき、同じ班に長尾順庵という外科医がいた。この人は金瘡の治療が上手で、是も先生と同じ考えで、金瘡には三黄湯より他には無いと云うことであった。その頃、引間正順という人と三黄瀉心湯について語り合ったことがある。
ある日、常盤台の方に火事があって、5、6人の怪我人が出た。その時、正順は辻番所で治療にあたったが、1人がしきりに反り返って止まない、そこで三黄湯を作って呑ましたところ治った時、1人の狂人が刃を振り回すので、森田某という士が、これを取り鎮めようとして、頭に浅い切創をうけて、血が雨のように流れた。そこで自分は早速に三黄湯を振り出して与えた。その後、その士が自分の御礼をいって云うのに、先程の振り出しはまことに結構な薬でした。1服で気分が明るく、サッパリして、のぼせがいっぺんに静まり血もおさまりましたと。三黄瀉心湯はまことに金瘡の主方である”
[24]口が苦い
[25]月経代償性出血
[26]血尿:
☆本朝経験、血淋を治す:「紅花」。按んずるに尿血と血淋と相似たり。毒、尿道に在って痛む者は淋と為す。毒、膀胱に在って痛まざる者を尿血と為す。《雑病翼方》
[27]血便:
☆下血。腸胃実化に属する者に宜し。《先哲医話》
☆酒客、欝熱し、下血する者《類聚方広義》
[28]結膜炎:
☆風眼痛、尤も甚だしき者を治す。
☆赤脈睛を貫き、緊渋開き難く、日と火を悪み、大便秘結する者を治す。:「川芎・薄荷」
☆大便滑なる者:「薄荷・連翹・竹葉」《方読便覧》
[29]結膜黄濁(目がきたない)
☆黄疸がある時は、茵蔯蒿。
[30]結膜充血:
☆目が赤い。
☆結膜出血
[31]肩背酸痛(肩背強急)
[32]幻想:
☆幻覚
☆尾藩の士、某、その君の東行に従ひて旅立ちけるが、その日の夕方、旅館にて厠に登りしに、きんかくしの版の先に3尺許りの青色の鬼、ふと現れたり。大いに驚き、脇差しにて斬りつけたりしに、忽ち消え失せたり。大いにあやしみ、居たりしに、その夜、膳に臨む時に、かの青鬼また膳の先に出でたり、ただうづくまり居て、外に害もなさず。その人驚き、傍人に、是を見るやと問ふに、他人は見ることなし。そのまま食し終わりたるに鬼もまた消え失せたり。
翌朝。厠に登りしに、また鬼の出ること前の如し。その後は1日の中に2、3度づつ必ずこの鬼現れ、目に遮りて、ただ是のみ心に障りて安からざりしかば、道中、3、4日にして引き返し、名古屋に帰り、医師に談じけるに、是は心火の病なりとて、三黄瀉心湯を多く服せしに、鬼の出ること、その数、日々に減じ、1月ばかりして鬼も見へず全癒したり。
これらのこと世の中に間々ありて、急に妻の顔色が牛の如くに見 へ、或いは婢の顔が馬の如くになり、或いはわが子の形、鬼の如く見え、その人大いに驚き、抜き打ちなどして、狂妄の名を取ることあり。これ皆“心気不定”の所為にして、その人鎮心省思せば、薬を服せずとも、自治すべし。蓋し三黄瀉心湯を用ふるは至極のことなり(浅田宗伯・温知医談第78号)
[33]高血圧
[34]口臭
[35]口内炎:
☆口舌腐爛し、脣風、走馬疳、喉痺、熱、腫痛し、重舌、痰胞、語言すること能はざる者、針を以て横割し、悪血を去り、液を取るを佳と為す《類聚方広義》         
☆口疳:「承気湯薄荷」《方読便覧》
(口疳=小児の疳病で、口舌、咽喉に瘡を生じる。)
☆口内炎の初期で、口舌が乾き、水分を欲しがり、便秘の傾向がある者に用いる。便秘の傾向がなければ黄連解毒湯を用いる(漢方診療医典)
[36]虹彩炎
[37]更年期障害(更年期の不定愁訴)
[38]興奮しやすい:
☆のぼせ気味で、血色が赤味を帯び、気分が落ち着かない者《大塚敬節》
[39]黒内障
[40]五十肩
[41]昏倒
[42]耳下腺炎
[43]子癇:
☆子癇の発作が頻々と起きるとき《大塚敬節》
☆妊娠の癇症これを子癇と云う。羚羊角くらいにては治せぬものなり。三黄湯鉄粉、大続命湯などのよき症あり、所謂る有故無損なれば堕胎をを恐れず用ゆべし。古人妊娠白き物を見て黒きと云ひ、黒き物を見ては白きを云うは子癇を発する兆なりと云う。相違なきことなり。また婦人急に物に驚くことあり、癇症を発するの兆なり。柴胡加竜骨牡蛎湯の症なり《老医口訣》
[44]子宮出血:
☆《大塚敬節》
“私はかって1処女の子宮出血に、この方を用いて著効を得たことがある。この患者は多血質で、冬でも足袋をはけないというほどであったが、はじめ芎帰膠湯や桂枝茯苓丸を用いて効無く、三黄湯で始めて止血した”
[45]歯根出血:
☆歯槽膿漏で出血傾向のある者に用いる。便秘しないなら黄連解毒湯を用いる。歯槽膿漏がなくても、歯齦から出血する者によい。《大塚敬節》
☆場合により「石膏」《大塚敬節》
[46]歯根腫痛
[47]歯痛:
☆歯痛、或いは歯腫痛を発し、顔面紅潮せる等の証《奥田謙蔵》
[48]四十肩(腕)
[49]痔:
☆痔の出血(鮮紅色)
☆腸痔、腫痛し、下血する者《類聚方広義》
☆痔疾の疼痛、或いは出血等《奥田謙蔵》
[50]衂血:
☆時無きを治す。《普済本事方》
☆実熱衂血:「川芎」《仁斎直指方》
☆諸薬無効の者:「荊芥」奇効あり。「側柏散」と虚実の別あり。《先哲医話》
☆《大塚敬節》
“10年ほど前、私はひどい衂血に悩んだことがある。診察中であったが、ぽたりと何か鼻から落ちた。血である。しかし大したこともないので、気に留めないでいたところ、だんだんひどく、ダラダラと流れるほどである。脱脂綿でタンポンしてみたが、のどへ流れてくる。そこで瀉心湯を作って呑んだところ、呑むや否や、どっと堰を切ったように、血が吹き出てきた。物を言うことも出来ないのである。血は鼻から口から噴水のように流れるのである。妻はこの様子を見て、ビックリ仰天して、近くの内科の先生と耳鼻科の先生を呼んだ。そのうちに出血はやや下火になった。内科の先生はカチーフの注射をしてくれた。そして耳鼻科の先生は、タンポンをしてくれた。それで翌日から診察が出来るようになったことがある。 後で考えたことであるが、この時、瀉心湯を呑んで、一時ひどい出血を起こしたのは、瞑眩であっただろうと。そころが、その後、肺結核で喀血している患者に瀉心湯を呑ませたところこの時も呑むや否やひどい喀血が始まった。そこでまた考えた。これは煎じたてのひどく熱いやつを呑んだ為ではあるまいか?と、自分が呑んだ時も、熱いやつがのどを通ると、どっと血が出たことを思い出した。
三黄瀉心湯は、頓服で用いるときは沸騰している湯で、振り出しにして呑ますことになっている。煎じて呑ますのではない。しかしやや冷めて呑みやすくなってから呑ますべきで、慌てて煎じたての熱いやつを呑むのはよくないに違いない。そう考えた私は、それからは、熱いやつを呑まさないことにしているが、そのようにしてみると、呑むや否やどっと出血がひどくなることななくなった”
[51]出血:
☆《金匱要略》瀉心湯、大黄は芩連に倍とし、寒以てを行らすの法なり、「柏葉湯」は吐止まざるを治し、温以てを行らすの法なり。《雑病翼方》
☆本朝経験、金刃傷及び墜打損傷、昏眩不省にして血出でて止まらざる者、宜しく急に此湯を与右べし。《雑病翼方》
☆本朝経験、血箭を治す。(血箭=下肢のリンパ管の炎症で出血しやすい病気)
☆牙縫出血は動脈自潰の致す所、止まざれば則ち亦人を殺す。「牙衂」と名づく。三黄瀉心湯犀角、ならびに烙鉄とす。《方読便覧》
[52]失神
[53]耳出血
[54]
[55]習慣性便秘
[56]酒査鼻
[57]小児麻痺    
[58]心悸亢進
[59]心下痞:
☆胸中に血積するを治す:「犀角地黄」《済世抜萃方》
[60]心身症
[61]心煩:
[62]神経過敏
[63]神経質
[64]神経衰弱
[65]人事不省
[66]ジンマシン
[67]水ガン
[68]頭重:
☆のぼせて、頭が重く、足が冷えるという場合、蘇子降気湯を用いることがあるが、この場合は顔全体よりも頬に限局して桜色が見られる。三黄瀉心湯の場合は、顔一体が紅潮する。降気湯は足冷が主であり、瀉心湯ではのぼせが主である。《大塚敬節》
[69]頭痛:
☆のぼせ、めまい、耳鳴、顔面紅潮、頭痛などの有る者《大塚敬節》
☆気分がイライラして落ち着かず、安眠出来ず、食のすすまない者などで、腹部は膨満せず、表面には抵抗はないが、自覚的には、心下部につかえた感じを訴え、腹底に力がある者に用いる《大塚敬節》
☆63歳女性。数年前、胆石症の時、大柴胡湯を与え、大小数個の石を排出したことがある。今度の主訴は、のぼせと頭痛で、ひどいときは、眼が見えなくなる。顔は紅潮し、腹部はやや膨満している。 私はこれに瀉心湯を与えたが、2週間分を飲み終わらないうちに、全快し、その後、4年間再発しない。《大塚敬節》
☆多血質の血色の良い人が多く、貧血性の者は少ない《大塚敬節》
[70]精神異常:
☆精神不安
☆精神分裂病
☆24歳男性。口どもりて語ること能はず、また時として夜中に目覚めて、自ら身体の大なることを誇ることあり、来たりて診を乞う。
診するに、心煩甚だしく、心下痞す。瀉心湯を与える。数ヶ月ならずして諸症悉く治り、言語意の如し。《長沙腹診考》
☆心中煩悸し、心下痞する者に用いる《長沙腹診考》
[72]赤痢
[73]舌炎
[74]舌苔 <黄色>
[75]喘息:
☆逆して、大便軟利する者を治す《医林集要》
☆喘息は至って強く来る者によし。《梧竹楼方函口訣》
[76]譫妄(せんもう)
[77]早漏
[79]帯下:
☆婦人赤白帯下、その病多く心下に根底す。故に「三黄瀉心湯阿膠滑石」を与え「化毒丸」を兼用す。《先哲医話》
[80]立ちくらみ:
☆産前後、血暈、欝冒する者《類聚方広義》
[81]打撲(打ち身):
☆打撲、或いは爾余の外傷に因する眩暈、或いは失神等にして、顔面紅潮する証《奥田謙蔵》
☆瀉心湯は打撲、損傷などで、目がくらんで意識を失って醒めないもの及び血が出て止まないものを治す。《証治摘要》
☆打撲、損傷の直後に用いる。この際には、熱湯を入れて2、3分間煮沸してすぐ滓を濾して、頓服として用いる。およそ打撲などの外傷を受けた後は、気が転倒しているので、三黄瀉心湯を用いて、気分を鎮めることが必要である。《大塚敬節》
☆出血のある時は勿論、出血のない時でも用いる。《大塚敬節》
☆この方は実に打ち身、出血の一大妙方である。打撲すると、みな気が逆上して昏眩するものである。その時此方を用いて心下をくつろげると良い。血が出ない者にもよい。血が出るものには、尚更よい。《有持桂里》
☆高いところから転落したり、突発的に打撲を受けたり、或いは交通事故による追突などでショックを受けた直後に、精神感動がはなはだしく、不安、恐怖、のぼせ、興奮などあって、顔面紅潮して気分の落ち着かないときや昏迷を起こしているようなときに、本方は、興奮を鎮め、出血を止め、吸収を早くする効がある。実熱の証すなわち体力があって、貧血のないものに用いる(漢方診療医典)
[82]丹毒:
☆「犀角・紫円」《方読便覧》
[83]血の道症:
☆瀉心湯は家君、血暈及び俗に血の道の薬と称する者にこの方を用いる《証治摘要》
☆58歳女性。7、8年前の、丁度月経の閉止する頃に、腎盂炎にかかり、それが治ってのち、腎盂炎の時に経験したような悪寒が、1日の中に数回背中を通り、その後で背中が燃えるように熱し、その熱感は下から起こって上に通り過ぎる。その時、体温を測っても、平温であるという。その他、絶えず、気分がイライラして落ち着かず、耳鳴があり、大便は秘結する。こんな症状が7、8年の間、毎日続き、医師の診察を受けても、神経だとて相手にしてくれないと云う。
昔からこのような症状を、血の道と呼んでいる。一種の神経症である。この気のいらつく感じ、背中が燃える感じ、便秘という症状は、三黄瀉心湯を用いる目標である。
そこで10日分の三黄瀉心湯を与えた。これで症状はたいへん軽快したが、患者は6ヶ月間引き続きこの薬を呑み、ついに全治した。《大塚敬節》
[84]腸出血
[85]テンカン:
☆先ず三黄瀉心湯数剤を与え、冷水を以て灌腸す。後「紫円」を服す。《方読便覧》
[86]痘瘡:(天然痘のこと)
☆痘瘡には、胃実し、声唖する者有り。必ず口渇し、熱盛にして、大便秘結し、その瘡起発を欠く。三黄瀉心湯に宜し。又、大便閉結し、脹悶し、痘発すること斎しからず、並に起長せず、形色赤紫なるは三黄瀉心湯を用いて、之を通ずれば、則ち痘起り易く、而して色、順に転ず。《痘瘡宝筏》
☆痘瘡、熱気熾盛にして、七孔出血する者《類聚方広義》
[87]吐血:
☆傷寒吐血を治す《聖済総録》
☆酒客吐血、瀉心湯に宜し、止まざる者は理中湯《方読便覧》
☆吐血、衂血、及び爾余の出血諸病にして、心煩し、安静ならざる証。《奥田謙蔵》
☆若し吐血止み難き者には、証に由り犀角を加える《奥田謙蔵》
☆酒客の吐血にも、まことに良く効く。この際黄連解毒湯を用いてもよい。《大塚敬節》
[88]動悸:
☆“心気不定”の不定を“煩悸”の意味に解釈すれば応用が広がり、“心煩”となせば方用狭くなることを、知らない者が多い。《長沙腹診考》
[89]動脈硬化症
☆三黄瀉心湯や黄連解毒湯は、脳動脈硬化のある患者で、逆上の気味があり、顔面充血しやすく、気分が落ちつかず、めまい、耳なり、不眠などのあるものに用いる(漢方診療医典)
[90]どもり
[91]難聴
☆のぼせ気味で顔面紅潮し。不安、興奮し、心下部の痞えをおぼえ、気分の落ち着かぬというものに。実証で脈に力があり、便秘の傾向がある(漢方診療医典)
[92]ノイローゼ
[93]脳溢血(予防・療養)
☆中風、卒倒して人事を省みず、身熱し、牙関緊急し、脈洪大にして、或いは鼾睡、大息し、頻頻として欠伸する者、及び省後の偏枯、緘黙不語、或いは口眼斜し、言語蹇渋し、流涎、泣笑し、或いは神思恍惚、機転木偶人の如き者は、此方に宜し《類聚方広義》
☆脳溢血、及びその類証伸して、脈浮大、数なる証《奥田謙蔵》
☆卒中を治す《雑病翼方》
[94]脳血栓
[95]脳出血:
☆脳出血にも用いる。発病初期に用いる機会が多い《大塚敬節》
[96]脳出血後遺症:
☆《大塚敬節》
“顔の赤い、がっちりした体格の56歳の男子が、夫人につれられて来院した。この人は3年前に軽い脳出血にかかり、その後、歩行が不自由になり、左手がシビレ、言語が滑らかに出なくなった。その上、腹がたちやすく、1日中イライラして怒っているという。脈をみると弦大で、腹部は一体に緊張している。
三黄瀉心湯を与える。これを2週間分飲み終わる頃より、気分が落ち着き腹か立たなくなり、1ヶ月ほどで歩行が確かになり、3ヶ月目には、1人で青森まで旅行し、何の故障もなく帰宅した。”
[97]脳充血<>
☆脳充血、及び其の類証《奥田謙蔵》
[98]脳底出血       
[99]脳膜炎
[100]のぼせ:☆顔面が酒でも呑んだ様に潮紅を呈し、気分がイライラして落ち着かず興奮傾向のある者。《大塚敬節》
☆多血症:高血圧症の者に用いる機会が多い。《大塚敬節》
☆便秘の傾向があれば三黄瀉心湯を、不眠傾向があれば黄連解毒湯を用いる《大塚敬節》
[101]発狂:
☆発狂錯乱
☆心膈実熱し、狂躁して面赤き者を治す。《名医方考》
☆発狂する者、「三黄瀉心湯芒硝」を与え、兼ねて瀑布泉に灌するを妙と為す。《先哲医話》
☆発狂、眼光榮榮として、据傲(キョゴウ、おごる)、妄語し、昼夜牀に就かざる者、心下の痞、心中煩悸の症有るや、瀉心湯を用いれば、その効響くが如し《類聚方広義》
☆17歳女子。麻疹を患ひ、余熱解せず、ついに狂症を発す。その脈弦数、夜間、怔忡、驚悸、眠らず。1医抑肝散を与ふ。治せず。漸くにして頸筋に癰を発し、好んで暗室に坐す。鄰家の木履(ばくり)の声を聞くもまた驚く。因って遂に鄰家に乞うて木履を禁ずるに至る。その後、山脇道策を乞て診せしむ。道策云ふ。火熱のなす所と、此方を処方して癒ゆ。癰もまた続いて癒えたり。《梧竹楼方函口訣》
[102]半身不随:
☆偏枯、語言蹇渋、大便秘する者を療す。《方輿輗》
[103]煩躁
[104]ヒステリー
[105]鼻出血(鮮紅色)       
[106]皮下出血
[107]皮膚炎:
☆乾燥性の皮膚疾患。
[108]不安感
[109]ふけ
[110]フルンケル:
☆癰疔内攻し、胸膈寃熱し、心気恍惚たる者《類聚方広義》(寃=エン、ぬれぎぬ)
[111]腹痛:
☆心下卒然として痛み、尋常の腹痛の諸薬を用いて効なき者《梧竹楼方函口訣》
[112]二日酔い:
☆宿酔。《奥田謙蔵》
[113]不眠症:
☆心中煩して不眠し、心下痞する者《長沙腹診考》
☆頭が冴えてなかなか眠れず、便秘する者。
☆気分が落ち着かず、つまらない事が気にかかり、便秘して眠れない。
☆のぼせて、便秘し眠らない。
☆昭和26年12/5、38歳の女性が頑固な不眠で診を乞うた。この患者は、その前々年の9月からめまいが起こり、ビタミンBの注射を続け、その方は軽快したが、いまでも月経時にはめまいがある。それに前年の7月頃から不眠症となり、同時に肩凝り、腰痛なども訴えるようになり、最高血圧が160となった。この不眠はなかなか頑固で、睡眠薬を多量に飲むと僅かに眠れるが、睡眠薬を飲むと胃のぐあいが悪くなって食欲がなくなる。そのためだんだん痩せてきた。尿中のタンパク・糖はともに陰性である。
この女性は色の白い方で、腹は筋張ったように堅く、大便は秘結気味で、足が冷え、左眼の視力が弱い。
鍼灸師が鍼とマッサージをしてくれたので、肩の凝りと腰痛はとれたが、不眠は依然として続き、そのため廃人のようで仕事もできない。8月と9月は月経が少なかった。目下ホルモン剤の注射を続けているという。
この患者には、三黄瀉心湯に梔子を加え、大黄を0.5として与えたが、これで気持が落ち着いて眠れるようになった。
三黄瀉心湯に梔子を加えると、黄連解毒湯の黄柏の代わりに大黄を入れた方剤となる。この患者に黄連解毒湯を用いても、効果はあったと思う。《大塚敬節》
[114]偏頭痛
[115]便秘:
☆大黄・黄連・黄芩は、いずれも充血を去り、炎症を止め、興奮を鎮める作用があるので、三黄瀉心湯を用いる患者は、血色が良く、顔面が潮紅し、のぼせる傾向があり、気分が落ち着かず、不安・不眠等の傾向があって、便秘している《大塚敬節》
[116]めまい:
☆主婦。年末に多忙を極め、数日間、十分に睡眠をとらなかったためか大晦日の夜からひどいめまい困っていると云う。この女性は、平素から勝ち気で、あまり病気をしたことがない。
往診すると、氷嚢をあてて寝ている。のぼせてたまらない、脳充血らしいという。顔面は紅潮している。脈は浮いて大きく力がある。血圧は高くない。
こんな状態では、沢瀉や朮の入った処方が効くとな思われない。黄連の入った処方を用いる必要があると考えた。《原南陽》という          大家の著した《叢桂亭医事小言》という書物には、めまいには、黄連や石膏を用いるとあったのを思いだした。そこで私は黄連・黄芩・大黄の3味から出来ている三黄瀉心湯を、煎じないで振り出しにして飲ませた。この処方を振り出しにするには、沸騰している湯の中に、2、3分間、以上の3味を浸して、その汁を飲ますのである。この際、この患者は便秘の傾向があったので、1回の分量を次のようにした。黄連1.0黄芩1.0大黄1.0を熱湯100‹に浸出せしめる。
この処方は、急激にきた病気に頓服的に用いるには、振り出しにして用いた方が良く効く。
さて、この患者は、これを飲んで30分ほどたつと、気分が良くなったと言った。めまいも軽くなったので、そのうち眠ってしまったので、家族の者も安心した。3日間の服用で家事を手伝えるようになった。《大塚敬節》
☆55歳女性。初診は昭和33年8/16。3年前から右の耳鳴が始まった。今年になってめまいが始まり、3/19に激しいめまいが起こって、医師を呼んだ。その時の血圧は120-70であった。
6月になって、夜中に又めまいが起こったが、2時間くらいでよくなった。ところが、一昨日まためまいが起こり、今度はサッパリせず、床についたきりである。
患者には不安感があって、便所へもゆけない。肩凝りもあり、便秘している。食欲はある。脈は沈んで力がある。右に胸脇苦満があって、上腹部は全体に緊張している。
私はこれに三黄瀉心湯梔子を与え、大黄1.0を用いた。胸脇苦満があったから大柴胡湯を考えないわけではなかったが、不安感を去るつもりで三黄瀉心湯にしたのである。ところが、これが大変良く効いて、その夜からめまいがなくなり、不安感がてれて、よく眠れた。便通も快通する・そこで前方を続け、1ヶ月もたたないうちに、家事が出来るようになった。
ところで、耳鳴だけが依然として残っているので、これを治してほしいという。そこで大柴胡湯にしたところ、この薬はどうもからだに合わないようだから、前の薬にしてくれと云う。こんな風で三黄瀉心湯梔子を1年半ほど飲み続け、外出も出来るようになった。その後、患者はしばらく休薬していたが昭和35年7/6に来院した。その時は、メニエール氏症候群のめまいと嘔吐と耳鳴とを訴え、項部が何とも云えない不快感で苦しいと云う。下向いてタタミにあるものを拾ったり、頭を振ったりすることが出来ない。もし強いて、それをやろうとすると激しいめまいが起こって、嘔吐が起こるという。胸脇苦満は依然として存在する。この日血圧は112-70であった。ところで黄連解毒湯大黄四逆散を与えたところ、7/9に発作があったきり、多年にわたる、めまい・耳鳴が消失して完全に健康を回復した。この治験で考えられることは、この患者は三黄瀉心湯梔子である程度の効果はあったが、まだ証と方が合致していなかったのである。《大塚敬節》
[117]耳鳴り:
☆高血圧症、脳充血、更年期障害などの時にみられる耳鳴りに用いる機会が有る《大塚敬節》    ☆逆上、顔面紅潮、便秘、不眠などがあって耳鳴りを訴える者《大塚敬節》
☆59歳女性、かねてより高血圧があり、一昨日より耳鳴りとめまいがある。頭を少し動かしても、悪心、吐があり、顔は上気して紅潮しているが足は冷たい。大便は2、3に1行という。腹部は軟弱であるが、心下部を強く圧すると抵抗がある。三黄瀉心湯を与える。これを2週間飲むと、以上の症状は消散した。
三黄瀉心湯証では足が温かいと訴える者が多いが、逆上の甚だしいときは足が冷えるという者がある《大塚敬節》
[118]虫歯:
☆齲歯疼痛し、歯縫出血する《類聚方広義》
[119]ムチ打ち症
[120]妄想
[121]網膜炎        
[122]目眩
[123]やけど(火傷)
☆火傷後の発熱等《奥田謙蔵》
[124]翼状片
[125]雷撃
[126]淋疾患:
☆老人淋疾を患い、45年治せず、或いは死に至る者は是れ積年の毒、膀胱に流注するなり、その治は胸中に在り、宜しく「三黄瀉心湯滑石・阿膠」「化毒丸」を兼用すべし。《先哲医話》
[127]わきが:
☆腋臭:《方読便覧》
[128]脈 <有力>


三黄瀉心湯《傷寒論》《古今方彙》
「黄連、黄芩、大黄(酒浸)」各等分。水煎し温服。
◎心火にて胸膈実熱、面赤く、狂躁の者を治す。


三黄瀉心湯[2]《東醫寶鑑》
「大黄3銭、黄連・黄芩各1銭、生地黄2銭」水煎服。
◎熱がひどくて、吐血の多いとき。


三黄瀉心湯[3]《金匱要略》《中薬臨床応用》
⇒「瀉心湯」
「大黄6g、黄連3g、山梔子9g」水煎服。
◎血熱妄行による吐血、血尿、衂血、血便。


三黄熟艾湯《医学入門》《東醫寶鑑》
「黄芩・黄柏・黄連・熟各1銭半」水煎服用。  ◎傷寒で大下痢し、熱痢が止まらない。
◎痘瘡正しく出で収まるに似て収まらず、下利黄臭膿血、身大いに渇するを治す。
◎或いは「糯米、紫草、甘草」を加えるも亦好し。《古今方彙》

三黄勝湯《東醫寶鑑》
「三黄石膏湯《東醫寶鑑》麻黄・豆芒硝・大黄」に「薑1片、棗2枚」入れ水煎し、熱いときに「泥漿清水2匙」入れて調服する。
◎陽毒で発狂し、ひどい症。


三黄石膏湯《漢方治療の実際》
「黄連解毒湯石膏10、麻黄3、知母5」

三黄石膏湯《傷寒六書》
「黄連解毒湯石膏・麻黄・香(又知母)」
◎陽毒発斑を治す。
◎此方は陽毒発斑を治するが主なれども、麻疹、熱毒甚だしく、発し兼ねる者に宜し。
◎「黄連橘皮湯」の証にして、熱悶甚だしく、狂叫走らんと欲し、六脈洪大、躁渇、死せんと欲し、或いは譫語止まず、鼻、時に衂を加え、身目倶に黄なる者に効あり。《傷寒翼方》
◎丹毒:《勿誤薬室方函口訣》

三黄石膏湯《傷寒六書》《古今方彙》
「黄連・黄芩・黄柏・山梔子・麻黄・石膏・香・生姜・細茶」水煎。
◎陽毒、発斑、黄身朱を塗れるが如く、眼珠火の如く、狂叫して走らんと欲し、六脉洪大、燥熱、死せんと欲し、鼻乾き、面赤く、過経(=10日以内のこと)解せず、已に壊症となり、表裏みな熱し、発汗せんと欲して、熱病退かず、
◎又復之を下し、大便遂に頻し、小便不利し、又錯あるを治す。
◎温病にてこの症となる者、又汗ありて後、三焦熱を生じ、脉洪にして譫語して休まず、夜を尽くして喘急し、鼻時に衂を加え、狂叫して走らんとするを治す。

三黄石膏湯《東醫寶鑑》
「石膏3銭、黄芩・黄連・黄柏・山梔子各1銭半、麻黄1銭・香半合」剉作1貼し「薑3、細茶一握り」入れて水煎服用。
◎陽毒の発斑に身体が黄色く、目が赤く、狂って踊り。叫び、六脈が洪大の症を治す。


三黄知母湯《本朝経験》
「三黄瀉心湯知母・石膏各10、甘草1.5」《漢方治療の実際》
◎歯痛を治す。
◎此方は上部熱甚だしく、歯痛或いは歯衂する者を治す。《勿誤薬室方函口訣》
もし、齲歯或いは疽、牙疳の類にて痛甚だしき者は、「桃核承気湯」に非ざれば効なし。
◎此方と「葛根黄芩黄連湯紅花・石膏」にて口瘡を治するとは、古方者流の工夫に出で、面白き経験なり。
◎衂血:「茅花」or「茅根」
◎舌瘡腐爛、一切の歯痛:「知母紅花」
◎心気不足、種々の癇症を治す:「知母朱砂」

 

三黄湯《備急千金要方》
「麻黄5分、独活4分、細辛2分、黄蓍2分、黄芩3分」
◎中風、手足拘急し、百節疼痛し、煩熱、心乱、悪寒し、日を経て飲食を欲せざるを治す。
◎心熱は:「大黄2分」
◎腹満は:「枳実1枚」
◎此方は続命湯の証の一等重き者なるが故に、煩熱心乱を致すなり。
◎《三因極一病証方論》に云う、兼ねて賊風、偏風、猥腿風、半身不遂、失

三黄湯《東醫寶鑑》
「大黄()・黄芩・黄連」毎回1銭、水煎服。
◎三焦の積熱。

 

三黄半辺蓮湯《中薬臨床応用》
「黄芩9g、黄連6g、田基黄15g、半辺蓮30g、金銀花15g、野菊花15g」水煎服。
◎毒蛇咬傷(タイワンコブラ、マムシ)
◎さそりの刺傷
◎蜂の刺傷

三黄宝蝋丸《医宗金鑑》
「藤黄160g、天竺黄・大戟・劉寄奴・血竭各120g、雄黄80g、当帰尾60g朱砂・孩児茶⇒阿仙薬・軽粉⇒水銀粉・乳香・琥珀・麝香各12g」以上を細かく砕き、さらに黄蝋960gを用いて溶解し、薬をいれて平均にかき混ぜる。重病には毎丸4g、軽い者には毎丸2g、熱い黄酒で服用。

 

三黄補血湯《東醫寶鑑》
「升麻・白芍薬各2銭、熟地黄1銭、当帰・川芎各7分半、地黄(生)・柴胡・黄蓍・牡丹皮各等分」水煎服用。
◎六脈が弱く衂血・吐血するとき。

 

三乙承気湯[1]《劉河間》《古今方彙》
「大黄・芒硝・厚朴・枳実各半銭、甘草1銭、生姜」煎服。
◎消渇、胃中に熱ある者を治す。

三乙承気湯[2]《寿世保元》《古今方彙》
「承気湯木香、檳榔子」
◎裏に邪あり、実して便せず、脈実にして喘する者を治す。


三化湯《活法機要》《古今方彙》
「小承気湯羗活」水煎。
◎中風にて九竅ともに閉じ、唇緩く、舌強ばるを治す。《雑病翼方》


三化湯《保命集》
◎内に便溺の阻格あらば、復三化湯之を主る。《雑病翼方》

三花五子丸《東醫寶鑑》
「密蒙花・旋覆花・甘菊・決明子・枸杞子・菟絲子(酒製)・鼠粘子・地膚子・石決明()・甘草」各等分に作末し蜜で梧子大の丸剤。 食後、麦門冬湯で50丸飲む。
◎目に黒花と飛蚊がみえ、障の出る者を治す。

三花神祐丸《東醫寶鑑》
「黒丑頭末2両、大黄1両、芫花・甘遂・大戟各5銭、軽粉1銭」作末し水で小豆大の丸剤。最初は5丸、次は服用するごとに5丸づつ加えて、温水で飲む。
◎一切の水湿の腫と、脹満を治す。
◎中満・腹脹し喘嗽する者を治す。
◎湿熱の沈積による疾患を治す。

三散《東醫寶鑑》
「独活・白朮・木瓜・大腹皮・紫蘇葉各1銭、檳榔(麺でくるんで)・陳皮・沈香・木香・川芎各7分、甘草(炙)5分」作末し毎回3銭水煎服。
◎脚気が心を衝いて症憫し、大小便が渋滞する者を治す。

三散《究原方》
「三湯《伝家秘宝》大黄」
=三和散。
◎脚気腫を発し、大便渋し、気満す。《方読便覧》


三湯
   =三和散《和剤局方》

三湯《伝家秘宝》
「大腹皮2分、蘇葉1分5厘、独活2分5厘、沈香2分、木瓜3分、川芎4分、蒼朮4分、木香、甘草3分、檳榔4分、橘皮2分」
《和田奏庵方函》には木香なく、生姜あり。
◎三焦気逆を治し、大便秘滞を解し、胸腹満脹を下す。
◎此方は気の壅滞を疎利するが主意にて、畢竟腹気の壅滞するより色々の症を生じ、或いは大便秘結、小便不利、或いは腹張り、或いは腰疼み、或いは背疼み、手足痛み、或いは面腫、手足腫れ、或いは腹中痞塊を生じ、種々の患を為すを治す。
◎《衆方規矩》に云う、筋攣急する者は気滞なり。此方に宜し。
◎腫瘍:
☆脹内に形指の如きものあり、之を按じて累々として転動する者、此方を用いる要訣なりと。
 (=セン、ふくらはぎ)            (脹=ゼンチョウ、①腓腹筋、②承筋穴の別名)
☆此症にして、虚寒に属する者:「補腎湯」に宜し。《勿誤薬室方函口訣》
◎脚気:
☆小腹不仁、疝に属する者を治す。《世医得効方》に云う、脚気やや癒え、常に三湯を服せ。「苡仁」
弱人は更に「朮附湯」に宜し。《脚気提要》
☆疝気に脚気を兼ねるもの。腹の具合悪く、脚気があって脚がしびれる者に使用。《済世薬室》
☆《和剤局方》に云う、脚気上攻し、胸腹満悶し、大便不通を治す。按ずるに気血壅滞すれば則ち筋脈不利し、三焦不和、運輸不健、此湯を用うれば則ち欝滞開き、而して三焦通ず。



三癇丹《東醫寶鑑》
「蜈蚣1条、牛胆南星2銭、全蝎・防風・白附子・遠志・蘆薈・延胡索・辰砂各1銭、麝香1字、金箔・銀箔各3片」作末し糊で梧子大の丸剤。金銀箔で衣をし、毎1丸を薄荷湯に入れて飲み下す。
◎急驚が癇になった者を治す。


 

三奇湯《備全古今十便良方》
「桔梗、甘草、訶子」作末し砂糖小塊と煎じ、細かく吸う。
◎寒に感じて声出でざるを治す。


 

三建湯《和剤局方》《古今方彙》
「烏頭・附子(炮)・天雄(炮)各2銭」水煎。
◎真気不足して元陽久しく虚し、寒邪攻め冲(ノボ)り、肢節煩疼し、腰背酸困し、 自汗、厥冷、大便滑泄、脈微なる者を治す。


三光膏《東醫寶鑑》
「朱砂・雄黄・硼砂」各等分に細末にし乳汁で調合して椀内に塗って土に伏せておき、黄色くなるまで中からいぶして、使うとき香油を少し入れて炒って眼角に滴らす。
◎犯土傷眼を治す。点眼薬。

三甲復脈湯《温病条弁》
「生亀板40g,、生鼈甲32g、炙甘草・乾地黄・生白芍各24g、麦門冬・阿膠各16g、麻子仁12g、生牡蛎80g」

三甲復脈湯《温病条弁》《中薬臨床応用》
「牡蠣(生)15g、鼈甲(生)23g(打砕先煎)、亀板(生)30g(打砕先煎)、甘草(炙)18g、乾地黄18g、白芍(生)18g、麦門冬15g(不去心)、阿膠9g(溶解)、麻子仁9g」水煎服。
◎熱性疾患の後期
◎夜間に発熱し朝には解熱。
◎口唇のただれ、歯の乾燥。

三五七散《東醫寶鑑》
「防風2両、山茱萸・乾姜(炮)・赤茯苓各1両半、附子(炮)・細辛各7銭半」作末し毎回2銭を温酒で服用。又は7銭を切って「姜3、棗2」を入れ水煎服。
◎風寒が脳に入って頭痛・目がくらむ者。


三香散《東醫寶鑑》
「沈香・白豆・紫蘇葉」各等分に作末し、毎回1銭を柿蔕の煎じ湯で調下する。
◎胃が冷え、咳逆する症。


三合済世湯《寿世保元》《古今方彙》
「当帰3銭、川芎2銭、枳殻2銭、香附子1銭半、紫蘇葉8分、大腹皮1銭半、甘草7分」水煎。腹痛甚だしきを待って之を服す。
◎産に臨みて難し、或いは一二日下らざる者を治す。

三合湯《東醫寶鑑》
「烏薬順気散二陰湯香蘇散羗活・蒼朮」水煎服。
◎背心の痛みを治す。

三合湯《医方考》《古今方彙》
「八物湯半夏、陳皮」
◎転胞の者は妊娠して卒かに小便するを得ざるなり。之を治す。

三合復明湯《古今方彙》
「陳皮、半夏、天安(炒)、茯苓、茯神、遠志、酸棗仁、黄連、黄芩、山梔子、大黄(酒)、枳実、甘草」水煎。
◎癲狂にて初めに驚叫・罵詈雑言を発し、親を避けず、踈(ハダシ)にて高きに登り、而して歌い、衣を棄て而して走る等の症を治す。


三根飲《東醫寶鑑》
「五倍木根・蒼耳草根・臭樗根白皮」各等分にし、毎回7銭に、「姜3、大棗2、黒豆36粒、糯米49粒」を入れて空腹時に服用。
◎休息痢の長引く者。

三根湯《中薬臨床応用》
「土牛膝根60g、梅根60g、無患子根60g」水煎服。
◎喉痛。


三才丸《東醫寶鑑》
「天門冬・熟地黄・人参」各等分。粉末にし蜜で梧子大の丸剤。100丸づつ酒で服用。
◎血の少ないのを補う。

三才湯《温病条弁》
「人参、熟地黄、麦門冬」

三才湯《温病条弁》《中薬臨床応用》
⇒「三才封髄丹」
「人参9g、天門冬6g、生地黄15g」
◎陰虚の微熱
◎貧血、結核、病後の衰弱による微熱。


三才封髄丹《衛生宝鑑》
「天門冬、人参、熟地黄、黄柏、砂仁、甘草」

三子湯《類証方》
「五味子、菟絲子、蛇床子」


三子養親湯[1-1]《皆効方》
「紫蘇子 白芥子 蘿葡子」各等分。
◎およそ人、年老い、形衰え、痰気に苦しみ、喘嗽し、胸満するを治す。
◎熱ある者:「小陥胸湯」《勿誤薬室方函口訣》
◎此方は、老衰或いは虚劣の人、痰喘胸満して浮腫する者に効あり。
◎一老婦人、痰喘より追々上部水気を発し、気急促迫する者、此方に「琥珀一味」を点服して即験あり。

三子養親湯[1-2]《東醫寶鑑》
「紫蘇子・蘿葡子・白芥子各1銭」紙の上に置いて、かすかに炒り、細かく砕いて煎服。
◎咳が急にひどくなる者を治し、養脾、食欲増進させる。

三子養親湯[1-3]《韓氏医通》《中薬臨床応用》
⇒「三子湯」
「白芥子・蘇子・子各3g(微炒)」くだいて水煎服。
◎慢性気管支炎
◎肺気腫
◎滲出性肋膜炎
◎多量のうすい痰
◎胸脇部が脹って苦しい


三子養親湯[2]《済世全書》《古今方彙》
「白芥子(研)8分、蘿葡子(研)7分、紫蘇子(研)・天南星各8分、半夏9分、黄芩・赤茯苓各8分、陳皮・枳実各6分、甘草2分、生姜」水煎。
◎老人の痰嗽気喘を治す。


三七湯《臨床常用中葯手冊》
「三七、茜草、生地黄、枸杞子、蓮子、石膏、茅根、藕節」


三将軍円《起死回生方》
「呉茱萸・木瓜・大黄」各等分。
◎脚気腹に入り、衝心し、大便不通を治す。《勿誤薬室方函口訣》


三将軍元《東醫寶鑑》
「呉茱萸・木瓜・大黄」各等分に作末し米糊で梧子大の丸剤。枳殻湯で50~70丸飲む。
◎脚気が心臓を衝いて大小便不通の者を治す。

三生飲[1-1]《和剤局方》
「南星(生)1両、川烏(生去皮)・附子(生去皮)各半両、木香1分」
◎治卒中、昏不知人、口眼斜、半身不遂、咽喉作聲痰。

三生飲[1-2]《和剤局方》《古今方彙》
「天南星(生)2銭、川烏頭(生)・附子(生)各1銭、木香5分、生姜」水煎服用。 
◎卒中昏(クラ)く人を知らず、口や目がゆがみ、半身不遂、痰気上壅(ふさぐ)者は此方を主る。
◎兼ねて痰厥、気厥などの証を治す。
◎中風で痰涎がつまり、言語が出にくい。
    

三生飲[1-3](一名順気飲)《東醫寶鑑》
「南星(生)2銭、川烏(生)・白附子(生)各1銭、木香半銭」剉作1貼し、姜15片入れ水煎服。
◎卒中風に痰塞し、昏倒して人事不省になり、沈んで熱のない者を治す。


三生丸《東醫寶鑑》
「半夏・白附子・天南星」各等分に作末し、姜汁浸蒸し餅で緑豆大の丸剤。食後、姜湯で40~50丸飲む。
◎痰厥頭痛を治す。

三消丸《東醫寶鑑》
「黄連」きれいに細末にし、冬瓜の自然汁に入れて餅を作り、陰干しにして作末すること7回、再び冬瓜汁で梧子大の丸剤。大麦仁煎じ湯で50~70丸飲む。
◎消渇を治す。

三茱丸《東醫寶鑑》
「山茱萸・呉茱萸各2両、破故紙(炒)1両7銭、川楝肉1両、斑猫1皿(炒赤去猫)、黒丑頭末(炒)1両、青塩・青皮・茴香(炒)各3銭」作末し醋麺糊で梧子大の丸剤。桃仁15粒と温酒or塩湯で30~50丸飲む。
◎気疝の腫痛を治す。

三仁粥《東醫寶鑑》
「桃仁・松海子仁各1合、郁李仁1銭」共に搗いて、水でこし、汁を取って粳米を少し入れて粥を作り空腹時に食べる。
◎便秘を治す。老人・虚弱者に良い。

三仁丸《奇効良方》
「柏子仁、麻子仁、松子仁」

三仁丸《中薬臨床応用》
「柏子仁9g、麻子仁9g、甜杏仁9g」水煎服。
◎便秘
◎老人、産後の便秘



三仁元《東醫寶鑑》
「郁李仁・杏仁・苡仁各1両」作末し糊で梧子大の丸剤。米飲で40~50丸飲む。
◎水腫で喘息が激しく、大小便が不利な者を治す。


三仁湯《温病条弁》
「苡仁・滑石各24g、杏仁・半夏各20g、白豆仁・厚朴・通草各8g」甘瀾水で煎服。

三仁湯《温病条弁》
「杏仁、白豆仁、苡仁、厚朴、通草、滑石、淡竹葉、半夏」

三仁湯《温病条弁》《中薬臨床応用》
「白豆6g、苡仁(生)18g、杏仁15g、滑石18g、通草6g、淡竹葉6g、製半夏15g、厚朴6g」水8杯の水で3杯まで煎じ、3回に分けて服用。
◎腸チフスに初期
◎頭重
◎胸が苦しい
◎全身倦怠
◎尿量減少
◎泥状便
◎舌苔白膩
 


三神丸[1]《東醫寶鑑》
「橘紅2両、延胡索(醋製)・当帰(酒炒)各1両」粉末にし、酒糊で梧子大の丸剤。艾醋湯で100丸飲む。
◎処女の月経不調・腹痛を治す。

三神丸[2]《東醫寶鑑》
「二神丸木香1両」
二神丸=「破故紙(炒)・肉豆(生)・棗・生姜」
◎脾腎が弱く下痢する者。

三神丸[3]《東醫寶鑑》
「枳殻・角()・五倍子(炒)」各等分に作末し、蜜で梧子大の丸剤。空腹時に温水で50~70丸飲む。
◎長く座る職業の人・飽食により諸痔が発したとき。

三精丸《東醫寶鑑》
「蒼朮(天の精)・地骨肉(地の精)各1斤、黒桑椹(人の精)20斤」を混ぜて汁を絞り、その上に薬末を汁に入れ混ぜる。そして密封して昼は日向に、夜は月の光を受けさせ、自然に乾燥したものを蜜でまぶし小豆大の丸剤。毎日10丸づつ酒又は湯で服用。
◎長期間服用すると長寿になる。


三聖丸《和田東郭》
「蛇黄・禹余粮各3両、鍼砂5両」米醋2升を用いて煮て乾かし糊丸とす。
◎水腫、虚実の間に在る者を治す。
◎《寧固》曰く、水気気道を衝き、或いは浮腫、喘満、小便秘渋し、気急煩躁する者を治す。

三聖丸《和田東郭》《漢方治療の実際》
「蛇黄・禹余粮各3、鍼砂5」以上3味を作末し、米醋2升で煮て、乾かし、糊で丸とする。
 


三聖丸《東醫寶鑑》
「白朮4両、陳皮1両、黄連5銭」作末し神麹糊で緑豆大の丸剤。姜湯で50丸飲む。
◎嘈雑を治す。

三聖膏《東醫寶鑑》
「風化石灰半斤」作末し、瓦器で炒って淡紅色になったら取り出し、熱が冷       めたら「大黄末1両」を入れ、火鉢の外で搗いて炒り、又熱が冷めたら「桂       心末5銭」を入れて少し炒り「糯米」を入れ黒膏を作って厚紙or油紙に       広げて患部に貼る。
    ◎積塊に貼る。

三聖散《東醫寶鑑》
「防風3両、風蔕2両、藜蘆1両」粗末にし、毎半両を飲むとき、齎汁3を       茶盞で先に2盞(サン=さかずき)を3~5回沸かして他器に移して置いて、       次に水1盞(サン=さかずき)を入れて煮詰めて、3回程度沸かしたら、先       の汁2杯を一緒に入れて2~3回沸かして、カスは捨てて、澄清を取って       温かいうちに徐々に飲み、吐くことを限度とする。
◎この処方は汗吐などに使用する方法で、防風は発汗させ、風蔕は下痢させる。
◎陰癇と癲狂を治す。

三聖散《儒門事親》
「防風、瓜蒂、藜蘆」

三聖丹《東醫寶鑑》
「半夏(製)2両、南星()1両、甘草(生)半両に半星二味を作末して姜汁と       混ぜ、冬には10日・夏には5日・春秋には7日間を置いて取り出し、再       び作末して甘草末を入れて混ぜ、竹瀝1椀を入れてしめし、再び焙って乾       燥すること10数回、竹瀝が全部なくなるまでする。就寝時に1匙を口に       入れ、竹瀝を噛んで飲み込む。
    ◎乾性の痰嗽。
◎慢性の痰嗽に良い。




三石湯《温病条弁》《中薬臨床応用》
「寒水石9g(打砕先煎)、滑石9g、石膏(生)18g、杏仁9g、竹茹6g、金銀花9g、       通草6g」水煎服。
    ◎夏期の急性熱性伝染病
    ◎高熱、煩渇
    ◎舌苔黄

三仙丸《東醫寶鑑》
「半夏・天南星各1斤」を粉末にし姜汁で調合したものを、艾葉又は楮葉を       かぶせ、黄色になるまで蒸し、晒して乾燥5・6月頃に麹をつくる。毎回      「麹4両に香附子末2両」を入れ、姜汁糊で梧子大に丸め姜湯で50丸飲む。
◎湿痰を治す。

三仙散
    「三聖散に同じ」


三仙丹《東醫寶鑑》
「蒼朮2両と葱白一握りを(炒)黄色くなったら、葱は捨て「川烏1両、塩5       銭」と(炒)、広がるのを限度とし、茴香3両(炒)を作末し酒糊で梧子大の       丸剤。温酒で50~70丸飲む。
    ◎虚労症で腎と膀胱が冷え、耳が遠くなり、目が見えなくなる。


三仙湯《東醫寶鑑》
「蒼朮4銭、乾地黄2銭、牛膝1銭」剉作1貼し水煎服用し、又作末して醋       糊で梧子大の丸剤。空腹時に30~50丸酒で飲み下す。
    ◎山嵐瘴気の時行瘟瘧を治す。

三疝湯《東醫寶鑑》
「車前子2銭4分、茴香1銭6分、葱白1銭2分、沙参8分」水煎服。
◎膀胱気の腫痛。

三退散(一名催生散or蛇蛻散)《東醫寶鑑》
「蛇退1条、蝉退14枚、男の頭髪を卵大に焼いて」作末し、2回に分けて       温酒で調下する。
◎難産・横産、又は胎児が腹の中で死んでいる症。

三退六一散(一名滑胎散)《東醫寶鑑》
「益元散1両、男子頭髪(卵大に香油をかける)、蛇退5枚、穿山甲1片」       それぞれ焼いて作末し、水煎して髪灰を入れて調服する。
    ◎催生に特効あり。


三豆解醒湯《東醫寶鑑》
「葛根2銭、蒼朮1銭半、陳皮・赤茯苓・木瓜・半夏各1銭、神麹7分、沢       瀉5分、乾生姜3分、黒頭・緑豆・赤小豆各2銭」水煎服。
    ◎酒のよる頭痛・嘔吐などの毒を消し、酒を飲んでも酔わない。


三白飲《東醫寶鑑》
「鶏子清1個、白蜜1大匙、芒硝3銭」を涼水で混ぜて調下する。
    ◎傷寒の熱症がひどく、狂走する。


三白丸(一名雄黄丸)《東醫寶鑑》
「大白半夏1両、白礬・雄黄・白砒・巴豆霜各3銭」白礬で溶かして砒末を       入れ、焙って乾かし、砕いて炒って前薬と作末して姜汁麺糊で栗米大の丸       剤。桑白皮湯で10丸飲む。
    ◎吼気を治す。

三白散[1]《東醫寶鑑》
「白丑頭末1両、桑白皮・白朮・木通・陳皮各2銭半」作末し毎回2銭を姜       湯or桑白湯で調下する。
    ◎膀胱気と熱による陰嚢の腫脹、大小便の不通を治す。

三白散[2]《済世全書》《古今方彙》
「白朮、白芍薬、白茯苓、沢瀉、厚朴、黄連、環境、烏梅、生姜」水煎。
    ◎一切の泄瀉に神の如し。

三白散[3]《外科正宗》《古今方彙》
「芫粉1両、軽粉3銭、石膏3銭」作末し韭英汁(ニラの葉を杵いた汁)にて       調えて紙に敷き被う。若し韭英汁無ければ涼水にて調え敷く。
    ◎漆瘡の甚だしき者を治す。


三白湯《東醫寶鑑》
「白朮・白茯苓・白芍薬各1銭半、甘草(炙)5分」剉作水煎服。
    ◎一切の下痢に効く。

三痺湯《医学入門》《東醫寶鑑》
「杜仲・牛膝・桂皮・細辛・人参・赤茯苓・白芍薬・防風・当帰・川芎・黄       蓍・続断・甘草各7分、独活・秦艽・生地黄各3分」剉作1貼し「薑5片、       棗2枚」入れて水煎し服用。
◎風痺で気血が凝滞し、手足がしびれる。
    ◎血気渋滞し、手足拘攣、風痺の症を治す《古今方彙》



三品一条瘡《漢方治療の実際》
「礬石3、砒石1.5、雄黄0.3、乳香0.2」以上を作末し、壺の中で焼いて、       粉末にし、うすい糊で練り、線香の状として、瘻孔に挿入する。


三補丸《東醫寶鑑》
「黄芩・黄連・黄柏」各等分に作末し、蒸し餅で梧子大の丸剤。空腹時に白       湯で50~70丸飲む。
    ◎三焦の積熱を除去し、五臓に火をなくす。

三補枳朮丸《東醫寶鑑》
「白朮2両、陳皮(去白)・枳実各1両、貝母8銭、黄連・黄芩・黄柏(塩水       炒)・白茯苓・神麹・山子各5銭、麦芽・香附子(醋炒)各3銭、縮砂1       銭」作末して、荷葉でつくったご飯で梧子大の丸剤。姜湯で70~80丸飲       む。
◎脾胃を補い、痰をなくし、熱をさまし、消化させる。


三味湯《本朝経験》
「香、益智仁、木香」
       右三味、振り出し、一名「神祖袖薬」「益智飲」。
    ◎傷食を治す。
    ◎《医事説約》に云う、傷食、腹痛、呑酸、吐せず、瀉せず、七転八倒する。急     に三味、振り出しを以て吐を取る。吐瀉後は煎湯可なり。

三味湯《聖済総録》
      「甘草乾姜湯芍薬」
◎肺痿、涎沫多く、小便数の者を治す。

三味安神丸《東醫寶鑑》
      「破故紙(炒)・茴香(炒)・乳香」各等分に作末し蜜で梧子大の丸剤。塩湯で30       ~50丸飲む。
    ◎下が虚して、腎気が真元に入らず、変じて何かの病になる症。


三味鷓鴣菜湯《漢方治療の実際》
      「海人草5、大黄・甘草各1.5」

三味鷓鴣菜湯《撮要方函》
 「鷓胡菜2銭、大黄1銭、甘草1銭」
◎回虫を下す。
◎此方は駆虫の主剤なり。鷓胡菜の方、種々あれども、此方と「七味鷓胡菜湯」にて大抵事足れりとす。《勿誤薬室方函口訣》
◎もし鷓胡菜の応ぜざる者:鶴虱を与えるべし。
◎寸白虫:鷓胡菜は効なし。「梅肉丸」を与えるべし。
◎小児、毒頭瘡、虫癖、腹痛する者を治す:「甘草蒲黄・苦楝皮」



三味天漿子散《東醫寶鑑》
「天漿子・白蚕・全蝎各3分」作末し、薄荷湯で調下する。
    ◎慢驚風を治す。

三妙丸
 


三妙散《医学正伝》《中薬臨床応用》
「黄柏・蒼朮・牛膝各9g」粉末にして内服。
=「二妙散牛膝」
    ◎下肢の運動麻痺
    ◎しびれ
    ◎腫脹
    ◎疼痛
    ◎湿熱下注
    ◎感染性末梢神経炎
    ◎脊髄神経根炎


三物黄芩湯[1-1]《金匱要略》
「黄芩1両、苦参2両、乾地黄4両」
右三味、以水八升、煮取二升、温服一症、多吐下蟲。
◎治婦人在草蓐、自發露得風。四肢苦煩熱、頭痛者、與小柴胡湯。頭不痛但煩者、此湯主之。《備急千金要方》

三物黄芩湯証=草蓐に在って自ら発露して風を得、四肢煩熱に苦しむ。《薬徴》
「草蓐」=草のねどこの意であるが、古代にあっては、お産の時には草を敷いて        その上でお産をしたので、、個々では産褥のこと《大塚敬節》
「発露して風を得」=分娩のさいに下半身を露出していたために外邪が侵入して病気になったというので、今の産褥熱をさしている。風は外邪のこと。
「四肢煩熱」=手足がポカポカと気持ちが悪くあつく、フトンから出して冷たいものにあてたい。《大塚敬節》

三物黄芩湯 [1-2]《金匱要略》《漢方治療の実際》
「黄芩・苦参各3、地黄6」
◎《備急千金要方》地黄(生)を使い「苦参湯」と名付ける。
◎心胸苦悶する者を治す。《吉益東洞》
◎此方は蓐労のみに限らず、婦人血症の頭痛に奇効あり。《勿誤薬室方函口訣》



三物黄芩湯[1-3]《金匱要略》
      「黄芩・苦参各3、地黄6」
★適応症及び病名(五十音順)
     [1]足がケイレン
     [2]回虫
     [3]夏期に悪化する
     [4]脚気(夏の)
     [5]喀血
[6]乾血労:(=閉経後に体力衰え、衰弱した状態)
☆頭痛、煩熱が目的なり。《勿誤薬室方函口訣》
☆手掌煩熱、赤紋ある者を血の候とす。乾血労、此の候ありて他の証候なき者に的治する。《勿誤薬室方函口訣》
     [7]乾癬:
        ☆(乾燥性・かゆみ強い)
     [8]頑癬:
        ☆(乾燥性・かゆみ強い)
     [9]顔面紅潮
    [10]胸中煩熱
     [11]月経不順
  [12]月経閉止
     [13]下血(血便)
     [14]下痢
    [15]眩暈
    [16]倦怠感
    [17]口渇
    [18]口舌乾燥
    [19]口内炎
  [20]更年期障害
  [21]産褥熱:
        ☆産後の婦人等にして、手掌、足蹠に煩熱を覚え、口舌乾燥に苦しむも、         敢えて飲料を欲せず、ただ水にて嗽がんことを望む証《奥田謙蔵》
        ☆婦人草蓐に在り、自ら発露し、四肢苦煩熱し、寐する毎に口舌乾燥し         て嗽がんと欲し、胸中熱痞し、更に諸症を発し、一二時にして止むと         雖も、睡りに就くときは、則ち復た前症を発する者を治す《医聖方格》
     [22]しもやけ
    [23]四肢煩熱:
        ☆四肢煩熱する者、兼用は黄連解毒散《方機》
     [24]湿疹
        ☆かゆみ激しく、熱感あり。
     [25]手掌(足蹠)煩熱:
        ☆諸般の病後にして、手掌、足蹠、煩熱に苦しむ証《奥田謙蔵》  
☆夏月に至る毎に、手掌、足心煩熱して堪え難く、夜間尤も甚だしくし         て、眠ること能はざる者を治す《類聚方広義》
     [26]小児の栄養失調(=疳労)       
    [27]自汗
     [28]自律神経失調症
     [29]ジンマシン
        ☆かゆみ激しく、煩躁する。
    [30]身熱:
        ☆凡て婦人、血熱解せず、諸薬応ぜざる者を治す。
  [31]頭痛:
        ☆婦人血症の頭痛に奇効あり。《勿誤薬室方函口訣》
        ☆頭痛、煩熱が目的なり。《勿誤薬室方函口訣》
        ☆旧友尾台榕堂の長女、産後血熱解せず、午後頭痛甚だしく、ほとんど         蓐労状を具す。余此方を処方して、ようよう癒を得たり。その後、そ         の症発動するときは自ら調剤して之を服すと云う。
        ☆血熱からくる頭痛に用いる。血熱は、産後の婦人に多くみられる。そ         の特徴は、煩熱と口乾である。煩熱は熱にもだえ苦しむという意で、         手足を出したがる。口乾は口が乾燥して、水で口をすすぐことを好む、         しかし、多量に水を飲みたがらない。《大塚敬節》
☆「竹皮大丸」は、上逆による頭痛が主で、
         「三物黄芩湯」の証では、煩熱による頭痛が主になる《大塚敬節》
        ☆日本橋通り4丁目の卯助の妻は、産後に煩熱を発し、頭痛は破れるよ         うで飲食が進まず、日に日に痩せ衰え、医者は蓐労(産後の肺結核)と         診断して、治療を謝絶したと云う。
そこで余はこれに三物黄芩湯を与えた。すると、4、5日の服用で、         煩熱が大いに減じ、頭痛を忘れた。その頃、悪露がまた下って腰痛を         訴え、腰が折れるようだと云うので、小柴胡湯四物湯に鹿角霜を兼         用したところ、全快した。
余は血熱を治するに竹皮大丸、三物黄芩湯を用いて、しばしば奇効         を得た。《橘窓書影》
     [32]舌燥咽乾
     [33]舌質 <紅>
     [34]舌苔 <無苔>
     [35]タムシ
     [36]血の道症
     [37]動悸
     [38]凍傷
     [39]吐血
    [40]夏まけ・夏バテ
    [41]ノイローゼ
    [42]肺結核
    [43]白癬症
    [44]発熱(虚熱):
    [45]煩躁
  [46]煩熱:
        ☆骨蒸労熱、久咳、男女の諸血症、肢体煩熱甚だしく、口舌乾涸し、漆         器欝塞する者を治す《類聚方広義》
        ☆諸失血の後、身体煩熱、倦怠し、手掌、足下熱更に甚だしく、脣舌乾         燥する者を治す《類聚方広義》
        ☆小柴胡湯は、四肢煩熱して、頭痛、悪風小柴胡湯、して食を欲せざ         る等の症有る者を治す。此方は、外症已に解し、但だ四肢の煩熱甚だ         しく、或いは心胸苦煩する者を治す。《類聚方広義》
    ☆<1>小柴胡湯--------[煩熱、胸脇苦満、寒熱往来、頭痛]
         <2>白虎湯-----------[煩熱、舌苔乾燥、身熱、煩渇]
         <3>温経湯-----------[煩熱、小腹拘急、手掌煩熱]
         <4>八味地黄丸-----[煩熱、足裏煩熱、渇、小便不利]
     [47]皮膚のかゆみ(乾燥性)
        ☆激しいかゆみ
        ☆局所ー暗赤色。
     [48]皮膚枯燥
     [49]不安感
     [50]不眠症
        ☆布団の中へ足を入れると眠れない。
        ☆手足の煩熱のために眠れない者に用いる《大塚敬節》
        ☆33歳女性。4年前に出産。その後、不眠が続き、どうしても治らな         いという。どんな風に眠れないと問うに、手足がやけて、火照って、         それが苦しくて眠れないと言う。
私はこの手足の煩熱を目標にして、三物黄芩湯を与えた。1週間分         を飲み終わって来院した時は、6、7時間眠れるようになり、手足の         煩熱も良くなったと喜ぶ。《大塚敬節》
        ☆夏になる毎に手のひらや足の裏が気持ち悪く灼けて、それが夜間はと         くにひどく、そのために眠れない者を治す。《類聚方広義》
     [51]腹部軟弱
     [52]分娩時(産褥時)の出血
     [53]ほてり(手掌・足心)
     [54]水虫:
        ☆俗に水虫と呼んでいる病気は、麻杏甘湯、苡附子敗醤散、防風通         聖散、十味敗毒湯などで、大抵は良くなる《大塚敬節》
        ☆22歳の女性。両方の手足に数年前から水虫が出来て、表皮が乾燥し、         とろどころ裂け、痒がある。そのために、靴のはけないこともあり、         今までいろいろの治療をしたが良くならない。大小便、月経、食欲に         も異常なく、その他に苦しいところはない。
初めに、麻杏甘湯を用い、次に十味敗毒湯を用い、これで効無く、         服薬1ヶ月を経て、患者が激しい口渇を訴えるようになったので、十         味敗毒湯石膏として与えたが、依然として止まない。そこで、この         口渇は、地黄剤を用いる場合の口渇ではないかと考え、三物黄芩湯を         与えたところ、口渇や止み、手足の乾燥は潤い、疼痛は減じ、しこぶ         る軽快した。その後私は消風散を水虫に用いて効を得たことがあった。         消風散には、地黄も苦参も配剤さられている。《大塚敬節》
        ☆三物黄芩湯を内服さしめると同時に、消風散(苦参倍加)の煎汁で湿布         する《大塚敬節》
        ☆25歳女性。5年前より両側指趾の水虫に悩まされ、夏季より秋にか         けて増悪し、ツメまで侵され爪床は完全に消失した状態になっている。
体格中等度、両便正常、月経不順(2ヶ月に1度)、頭部にフケ多し、         診るに下腹部ことに左側下部に血を示す圧痛あり、三陰交の圧痛も         著明、足は両側とも熱感があって夜間火照りを感ずるという。
自覚症状を取ることが薬効を知らせる有力な手段と考え、三物黄芩         湯7日分投与し、苦参350gを煎じて、両指趾の局所の洗滌を命じた         ところ、痒感も次第にとれて3ヶ月にして完全に痒は消失し、湿         潤していた局所は乾燥し爪の新生が見られた。
服薬8ヶ月に及び廃薬した。、爪は全部新生し、再発を見ない。《坂         本正夫》
     [55]耳鳴り
  [56]めまい(眩暈)
     [57]やけど(火傷)
     [58]卵巣機能不全
       
     



三物白散《金匱要略》
=「桔梗白散」
      「桔梗・貝母各3分、巴豆(去皮熬研如脂)1分」
       右三味、為散、強人飲服半銭匕、羸者減之。病在膈上者、吐膿血、膈下者       瀉出、若下多不止、飲冷水一杯則定。
    ◎治而胸満、振寒、脉数、咽乾不渇、時出濁唾腥臭、久久吐膿如米粥者、為肺     癰。     《金匱要略》肺痿肺癰咳嗽上氣脉證治第七。


三物白散《金匱要略》《東醫寶鑑》
      「桔梗・貝母各3銭、巴豆去皮心し、煎じて油のようになったもの1銭を作       末して混ぜ、和白湯で半銭を服用するが、弱い人は半分にする。もし下       痢が止まらない時は冷粥1椀を飲む。
    ◎寒実結胸を治す。


三物白散《金匱要略》
★適応症及び病名
       胃潰瘍
息切れ
       咳嗽
       喀痰<濃厚>
       急性肺炎
       ジフテリア
       食中毒
       心胸部痛<劇痛>
       心下痞
       心不全
       肺壊疽
       肺水腫
       肺膿瘍
       煩躁
       百日咳
浮腫




三物梓葉湯=家方三物湯《和田東郭》


三物備急丸《金匱要略》
      「巴豆霜、蒼朮、乾姜」
 

三拗湯《識病捷法》
  「麻黄湯桂枝」
    ◎凡そ喘気実し、参蓍の薬を服する過多なるは、此方を用いて之を瀉す。《勿誤     薬室方函口訣》
    ◎咳嗽、経年癒えず、餘に他症無く、服薬効無き者を治す。
    ◎産後咳嗽、此方最も良し。《雑病翼方》

三拗湯《和剤局方》《古今方彙》
「麻黄(根節不去)・杏仁(皮尖不去)・甘草(生)各1銭半、生姜、大棗肉」水煎温服。
◎風寒にて咳嗽喘急するを治す。
◎「荊芥、桔梗」=「五拗湯」《万病回春》

三拗湯《東醫寶鑑》
      「麻黄・杏仁・甘草各1銭半」剉作して、姜5片入れて水煎服。
    ◎風寒を感じて咳きをし、声が重く、失音の者。

三陽湯《東醫寶鑑》
      「羗活・防風・石膏・柴胡・白芷・川芎各1銭、荊芥・升麻・葛根・芍薬・       細辛各5分、連根葱白3茎」水煎服。
    ◎三陽が合わさって頭痛する。


三稜化積丸《東醫寶鑑》
      「三稜(酒煮)6両、山肉4両、大黄(酒蒸)・檳榔各3両、莪朮(醋煮)・木       香・青皮・陳皮・香附子(醋炒)・枳実・厚朴・縮砂・神麹(炒)・麦芽(炒)       ・南星(姜湯泡)・半夏(姜製)・蘿葡子(炒)・黄連(炒)・桃仁・乾漆(炒)・       甘草各1両」作末し醋糊で梧子大の丸剤。白湯で40~50丸飲む。
    ◎諸般の積聚を治す。


三稜枳朮丸


三稜消積丸《東醫寶鑑》
      「三稜・莪朮・神麹各7銭、巴豆に米を混ぜ(炒黒)米を去る・青皮・陳皮・       茴香各5銭、丁香皮・益智仁各3銭」作末し醋糊で梧子大の丸剤。姜湯で30       ~40丸飲む。
    ◎生・冷物に当たって、消化されず、腹が脹る者を治す。

三稜煎《東醫寶鑑》
      「三稜・莪朮各4両、芫花1両」共に磁気に入れ、米醋5杯を入れて封をし、       灰火でって乾いたら取り出し、醋が少し残っているところを炒って乾燥、       醋糊で緑豆大の丸剤。姜湯で15丸飲む。
    ◎食・酒癖・血・気塊を治す。

三稜煎《選奇方》
      「三稜、莪朮、青皮、半夏、麦芽」


三稜煎元《東醫寶鑑》
      「大黄8両、三稜()・莪朮()各1両」作末し、大黄末を醋煮して粥にな       ったら稜・朮末を入れて緑豆大の丸剤。白湯で30~50丸飲む。
    ◎婦人の血積・血塊・血蠱を治す。

三稜煎元《東醫寶鑑》
「三稜(生)細切り作末し8両を醋3升に漬けて煎じ、膏を作って神麹・麦芽       (炒)各3両、青皮・乾漆(炒)・蘿葡子(炒)各2両、杏仁・砂(飛研)各1       両を作末し、三稜膏で梧子大の丸剤。姜湯で20~30丸飲む。
    ◎肉積を治す。
    ◎脾が弱く肉食にあたると脹って痛む。

三霊湯《本朝経験》
「莎草、紅花、檳榔」
    ◎虫積の嘔吐する者を治す。
    ◎《提耳談》に云う。大人小児、回虫癖積泄瀉、吐、腹痛、及び噤口痢、霍乱、     上吐、下泄、凡て諸病の脈弱、不食、胸満気逆、嘔吐、悪心、危急なる者を治     す。
    ◎此方は回虫の嘔吐を主とする薬なれども、諸嘔吐に兼用すべし。
    ◎血症の嘔吐に尤も効あり。《勿誤薬室方函口訣》

三和散[1-1]《和剤局方》《東醫寶鑑》
「川芎1銭、紫蘇葉・沈香・大腹皮・羗活・木瓜各5分、木香・白朮・檳榔       ・陳皮・炙甘草各3分」水煎服。
    ◎あらゆる気が鬱滞して疼痛する者。
    ◎気滞と便秘。
    ◎治七情気結、五臓脾胃不和、心腹脹急、大小便秘、寝食倶廃。
    ◎治三焦不和、心腹痞満、大便秘難及脚気上攻腹脹。《観聚方》

三和散[1-2]《和剤局方》《古今方彙》
      「沈香・紫蘇葉・大腹皮・羗活各4分、木香・白朮・檳榔子・陳皮・甘草各3       分、川芎1銭2分、木瓜2分、生姜」水煎温服。
◎七情の気、五臓に結び、脾胃和せず、心腹腸急、大小便秘し、寝食倶に廃する     を治す。
    ◎五臓調わず、三焦和せず、心腹痞悶し、脇肋脹し、風気壅滞し、肢節煩疼し、     積聚をなし、及び背痛、腹痛、飲食に妨げあるを治す。
    ◎大便秘結するを治す。
    ◎七情の気痛みて実する者を治す。
    ◎渇せざる者は乃ち気秘のみなり。未だ以て硝黄を施すべからず、秘甚だしけれ     ば再び枳殻蘿葡子皀角刺を加える。《医学入門》


三和散[1-3]《和剤局方》《漢方後世要方解説》
    =「三湯」
      「沈香・蘇葉・大腹皮各2、白朮・川芎各3、木香・陳皮・檳榔・木瓜各1.5、       生姜・甘草各1」(《和田東郭》は加茯苓とす)
    ◎五臓調わず、三焦和せず、心腹痞悶、胸肋慎腫、風気壅滞、肢体煩疼、頭面虚     浮、手足微腫、腸胃燥渋、大便秘難を治す。年高く気弱しと雖も、並に之を服     すべし。又、背痛脇痛飲食を妨ぐることあり、及び脚気上攻し、胸腹満悶大便     通ぜざるを治す。《和剤局方》
◎此方は五臓調わず、三焦和せず、心腹痞満し、脚気胸を攻め、大便不通の症を     治す。《牛山方考》
    ◎此方は気鬱し、血滞り、増激して筋攣急、疼痛を発する者を治する。気血留滞     する時は筋脈通利せず、上中下の三焦和せざるに至る。即ちこの方は欝滞を解     して三焦を相和せしむるを以て三和散と謂う。又、血秘、気秘、風秘の3秘を     和するを以て三和と名づけるという。その候は腹部に気血欝滞して心下痞硬し、     腹皮攣急、腹脹り、腰疼み、背疼み、顔面手足腫れ、大便秘、小便不利し、又     脚気腓腸筋の攣急によい。  
    ◎本方証は、心下痞硬、腹皮攣急、脈腹共に実状で、気鬱により以上の諸症を発     するものに用いられる。《矢数道明》
    ◎香蘇散の変方。
     [香附子沈香、羗活、大腹皮、木香、白朮、檳榔子、木瓜、川芎]
◎沈香・木香・陳皮・紫蘇・大腹皮・檳榔=皆気を順らし、滞を開き鬱を破る
     川芎=血滞を散じ、脇痛を和らぐ。
     羗活=風湿を逐うて痛みを除く
     木瓜=筋脈を利し、脚気転筋を治す。
     白朮・甘草=脾気を助け、心腹を和らぐ。
[主治]
《牛山方考》
“此方は五臓調わず、三焦和せず、心腹痞満し、脚気胸を攻め、大便不通の       症を治する妙剤なり”

[目標]
《勿誤薬室方函口訣-三湯条》
“此方は気の壅滞を疎利するが主意にて、畢竟腹気の壅滞するより、色々の症を生じ、或いは大便秘結、小便不利、或いは腹張り、或いは腰疼み、或いは背疼み、手足痛み、或いは面腫手足腫れ、或いは腹中痞塊を生じ、種々の患をなすを治す。悉くは局方三和散の主治を読んで知るべし。《衆方規矩》に云う筋攣急するものは気滞也、此方に宜し。亦脹(腓脹筋)内に形指の如きものあり、之を按じて異々として転勤する者此方を用ゆる要訣也と。亦一徴となすべし。又此症にして虚寒に属する者は補腎湯に宜し”
《当荘庵家方口解》
“此方の主意は筋攣を和すると云うが目当てなり。故に疝気肝経に滞る故、筋強ばり攣するなり。腹筋脹痛、或いは下攣痛、腰脚攣む病によし。疝気に良きと云うことは俗に言うこと也。畢竟順気にして筋を和する故に上記の症によし、”
《蕉窓方意解》
“腸胃燥渋、大便不通の症、心下痞硬、腹皮攣急して、動悸もなく、脈腹共に実したる様子にて、背筋痛等の症は、いかにも三和散にて大便通すべし。  腹部脈状共に力無く、任脈水分に動悸亢ぶるものは腎水肝血共に虧損するの候にて所謂血燥の症なり。此の様子にて大便不通に者には、四物湯に甘草、麦門冬、阿膠、効果などを加えて用ゆれば、大便ほどなく通ずるものなり”
《漢陰臆乗》
“此方一切の疝気に用ふ神功あり。三焦の不和を治する故三和の名あり、心       腹痞悶、脇肋脹、大便秘難等に症が此方の目当て也。畢竟気の不和より       来れるものなり。又飲食すれば中に棚を架したる如く、つかへて下らざ       る様に思うも此方效あり。又大便秘閉して大黄を用ゆれど腹痛するのみに       て思うように下らぬ者あり、此れ又気閉なり。此湯を与ふれば大便快通す       るなり。又気閉より来る小便不通によし。全体の行き方、分心気飲に類す       れども、分心気飲は温剤也。熱疝の者には悪し、此は冷熱に竝び用いて妨       げず、さて気を回すことも一等するどし。一切の諸症疝より来るもの見ば、       此方を用いるべし”(疝気条)
      “脚気大毒熱はなけれども、とかく胸先満じて大小便不利する者に用いる”
     《餐英舘療治雑話》
      “古今方書に七疝の目あり。余多年治術を試みるに他の疝は少なく、気に属       する疝は十中に七八なり。今僻に三和散を用ゆ。加茵蔯・川楝子、名つけ       て大如意湯と云う。これを用ゆるに百発百中、影の形に随ひ、嚮の声に応       ずる如し、今言に発し、楮に書することを得る丈の訣を挙げて示す。第一       心腹脹急或いは両脇下に凝りあれども右の凝り甚だしく、大便秘結、小便       或いは利し、若しくは不利ならば尚更よし、肩背はり、或いは疝積背に着       きて七九の辺はり、四逆散の証にも又七九の辺はる者あり、弁別すべし。       或いは肩背筋攣急し、或いは腰脚筋はり、或いは脹引きつり、脚気の如       く、或いは腹より脇肋へかけ、きくりと息を引き留め、或いは腹より肩へ       かけて筋引きつり、或いは睾丸引きつり、疝にて上件の証候二つ三つもあ       らば必ず效あり。婦人竝に失意の人、此方の応ずる証多し、三和散は心下       竝びに右にて痛むものに效あり。左にて痛むには效なしと知るべし。然れ       ども右に凝り痛む者は食積痰飲等を挟む証あり、部位にのみ拘わる可から       ず。”
     《医学六要》
      “疝は肝経の湿熱に属す、寒疝、水疝、気疝、血疝、孤疝、筋疝、疝を七       疝とする”

[薬能]
《医方口訣集》
      “此の症皆挟む所有って、気血之が為に欝滞する。故にこれ病を成すなり。       是方たるや、沈香・国交・陳皮・紫蘇・大腹皮・檳榔子、皆気を順らし、       滞を開き、鬱を破るの品なり。川芎は血滞を散じて厥陰少陰経に入る、脇       痛を和ぐる所以なり。羗活は風湿を逐うて足の太陽経に入る、皆痛を除く       所以なり。木瓜の酸温能く筋脈を利し、脚気竝びに転筋を治す。白朮・甘       草の甘苦温脾気を助け、心腹を和らぐ。夫れ気血欝滞するときは即ち筋脈       利せず、三焦和せず、一度び此湯を用ゆれば則ち、欝滞解けて三焦和す、       三和の名ある所以也”
《蕉窓方意解》
      “此方、沈香、木香の香にて胸中開き、紫蘇、羗活にて再び胸中を開き、       右の四味相合して胸中稍(ヤ)々疎通す。また芎は主薬にして右の四味に       力を添え、峻に胸中を推し開き、檳榔、木瓜に甘草を和して峻に心下を推       し緩め、白朮、大腹皮、陳皮、生姜の四味にて胸中をすかし、水気を下し       水道へ消導する也。按ずるに此方茯苓を用ひざること立方の瑕疵と云うべ       し、余常に茯苓を加えて用ゆ、白朮にも力を併せ、消導殊に宜しきように       覚ゆ”


 
三和散[1-4]《和剤局方》《漢方治療の実際》
    「沈香・蘇葉・大腹皮・羗活各2、甘草1.5、木香・陳皮・檳榔・木瓜・生       姜各1.5、朮・川芎各3」
★適応症及び病名(五十音順)
     [1]陰嚢攣痛:
       ☆攣痛or腫大《当荘庵家方口解》
     [2]脚気:       
       ☆乾脚気で、腓腹筋攣急甚だしい者《矢数道明》
     [3]肩こり:
       ☆気鬱による肩背攣急する者《矢数道明》
     [4]ケイレン
     [5]こむらがえり:    
     [6]小便閉:
       ☆気鬱により小便の通じない者《矢数道明》
     [7]せき:
       ☆咳き久しく止まない者:「蘇子・杏仁」《当荘庵家方口解》
[8]疝気:
       腸疝痛
       ☆所謂疝気であって、疝気の中に包含される現代病名は、腸神経痛、慢性        淋疾、慢性膀胱炎、慢性尿道炎、慢性精管炎、慢性睾丸炎、慢性前立腺        炎、鼠径ヘルニア、所謂腰痛、坐骨神経痛等に現れる諸症を指すもの        ようである。即ちこれらの疾患で腹が張り、腰背が痛み、手足疼み、顔        面・手足が腫れ、筋肉攣急し、大便秘結、小便不利等の症があって、脈、        腹共に力のある者に広く用いる。《矢数道明》
☆茴香、川楝子を加えるのもよい《矢数道明》
     [9]寝違い:
       ☆頸筋引きつり、寝返りも出来ない者で、行気香蘇散、烏薬順気散などで        効無しの者《当荘庵家方口解》
     [10]腹膜炎の一症:
       ☆慢性にて浸出液のないもの、腹満を主とする。
     [11]腹攣急:
       ☆頭痛已まず、腹攣急する者《当荘庵家方口解》
       ☆産後大便渋滞し、腹攣痛する者《当荘庵家方口解》
     [12]ヘルニア
☆古名疝気といわれていたものの症で、胃腸の不安定によりガスが停滞し、大小便の通利が悪く、ヘルニアを起こし、腹部疝痛を起こすものに、この方がよいことがある(漢方診療医典)
     [13]便秘:
       ☆大黄を用いて腹痛のみを訴え通じない者、腹が張り、胸痞えなどする者        によい。「桃仁・枳殻。紅花」《矢数道明》
       ☆大便渋滞し、残る気味ある者にスラリと通ず《当荘庵家方口解》
     [14]腰痛:
       ☆ようよう匍匐して起きられない者《当荘庵家方口解》
     [15]リウマチ:
       ☆手足痛みて腫れざるによし《当荘庵家方口解》
     [16]リンパ腺の凝滞:《当荘庵家方口解》
【禁忌】
     気血ともに虚し、脈腹共に力無く、胃腸の虚弱者には用いてはいけない。
     気を散ずる薬だからである。心下の虚実を見て用いることが必要。心下空虚の     者に用いれば、虚を虚さしめる。《矢数道明》




三和湯[1]《全幼心鑑》
「麻杏甘石湯石膏」
    ◎脾胃虚弱者の肺経の寒邪。

三和湯[2]《東醫寶鑑》
「生乾地黄・白芍・川芎・当帰・連翹・大黄・朴硝・薄荷・黄芩・甘草各7       分」水煎服。
四物湯調胃承気湯凉膈散。 
◎熱結・血閉を治す。


三和湯[3](一名矩三和湯)《東醫寶鑑》
      「白朮・陳皮・厚朴各1銭、檳榔・紫蘇葉各7分半、木通・大腹皮・白茯苓       ・枳殻・海金砂・甘草各5分」剉作1貼し姜3片入れ水煎服。
    ◎気脹で大小便が不利。

三和[4]《東醫寶鑑》
      「三和散に同じ」
    ◎気滞と便秘。


刪繁建中湯《勿誤薬室方函口訣》
      「黄蓍建中湯半夏」
◎肺虚損不足を療し、気を補う。(→虚証)

刪繁浄府湯《蔓難録》
「柴胡4分、黄芩3分、半夏3分、茯苓2分、山子2分、莪朮2分、沢瀉2       分、甘草1分」
    ◎蛔家の熱利、心腹脹痛する者を治す。
    ◎此方は《拓植彰常》の伝にて、簡便にして用い易し。
    ◎少小の驚癇、陰に似て陰に非らず、陽に似て陽に非らず。数十日醒めざる者は     癖疾に属するなり。刪繁浄府湯之を主る。《雑病補亡論》
    ◎腹部にしこりがあって発熱する疾患。
       sx結核性腹膜炎など

醋墨法


醋煮三稜丸《東醫寶鑑》
      「三稜(醋煮)4両」竹刀で切って晒し乾燥、「川芎2両、大黄(醋煮)5銭」醋       でり作末し、醋糊で梧子大の丸剤。毎回30丸を醋湯で飲む。
    ◎血蠱を治す。

砂糖元《東醫寶鑑》
      「砂糖1両、縮砂末1銭」蜜少々入れて混ぜ、30丸服用。五味子肉末半銭       を入れても良い。
    ◎脾胃を調養する。


山甲下乳湯《中薬臨床応用》
      「穿山甲(炮)5g、王不留行9g、木瓜9g、黄蓍18g、木通6g」
       水煎服。
   ◎乳汁分泌不足。


山麹朮丸《東醫寶鑑》
      「白朮(炒)2両、神麹(炒)・山肉(炒)各1両半、黄芩(炒)・白芍薬(酒炒)       ・半夏(姜製)各5銭」作末し、青荷葉でくるみ、ついた飯で梧子大の丸剤。       白湯で50丸呑む。
    ◎老人の肥りすぎで、飲食が脾を傷つけ、常に下痢する者。

山梔子散《東醫寶鑑》
      「山梔子」粉末にし、沸湯で1銭服用。

山梔地黄湯《東醫寶鑑》
      「山梔子1銭2分、生地黄・赤芍薬・知母・貝母・瓜蔞仁各1銭、天花粉・       牡丹皮・麦門冬各5分」剉作1貼し水煎服用する。
    ◎先に痰が出、あとから血が出る症状に使う。

山梔仁湯《医学入門》《古今方彙》
      「山梔子仁・白鮮皮・赤芍薬・升麻各2分、寒水石・甘草各1分、紫草、薄       荷(少許)」水煎温服。
◎痘疹及び班毒の状が蚊の咬みたるが如く、毒盛んにして黒色をなすを治す。

山精丸《東醫寶鑑》
      「蒼朮(水に3日浸し、竹刀で皮を剥き陰干し)2斤、黒桑椹(1斗の汁に      蒼朮を漬け晒し乾燥すること9回)・枸杞子・地骨皮各1斤」を粉末にし梧      子大の丸剤。毎回100丸を温湯で飲む。
◎湿痰を治す。

山薬消渇飲《中薬臨床応用》
      「山薬・生地黄各15g、黄蓍12g、天花粉・麦門冬各9g」水煎服。
    ◎糖尿病(軽度~中等度)。

山薬湯《中薬臨床応用》
      「山薬30g、茯苓15g、草豆・葛根()・金銀花各9g、甘草(炙)6g」水煎       服。
    ◎脾虚による下痢で、水様便。

散欝湯《済世全書》《東醫寶鑑》
      「陳皮・赤茯苓各1銭半、蒼朮・白芍薬・川芎・梔子各1銭2分、枳殻・香       附子各1銭、甘草5分、姜3片」水煎服。
    ◎食欝を治す。
    ◎欝を開き気を順らし塊を消す。《古今方彙》

散和傷湯《医宗金鑑》
「番木鼈子・紅花・生半夏各20g、骨砕補・甘草各12g、葱鬚40gを水5杯       で煎じ、数10回沸騰させ、患部を燻洗する。」

散火湯《万病回春》《古今方彙》
      「黄連・芍薬(炒)・山梔子・枳殻・陳皮・厚朴・香附子・川芎各1銭、木香       ・砂仁・小茴香各5分、甘草3分、生姜」煎服。
◎乍(タチマ)ち痛み乍ち止み、脈数の者を治す。
    ◎是れ熱痛なり。
    ◎痛み止まざれば:「延胡索乳香」

散結救蔵湯《石室秘蔵》
「人参、白朮、甘草、附子、当帰、肉桂」
    ◎蔵結、少腹と臍膀と牽痛し、以て前陰に至るを治す。《傷寒翼方》

散血消腫湯《東醫寶鑑》
      「川芎2銭、当帰・半夏各1銭半、莪朮・木香・縮砂・芍薬・甘草各1銭、       人参・桂皮・五霊脂各5分」剉作1貼し、「姜5、棗2、紫蘇葉4片」入れ       水煎服。
⇒「人参芎帰湯烏薬芍薬」
    ◎血脹で煩躁する者を治す。

散邪湯《万病回春》《古今方彙》
      「羗活・紫蘇葉・荊芥・川芎・白芷・麻黄・白芍薬・防風各1銭、甘草3分、       生姜、葱白」水煎し一宿を露し、次の早(アサ)温服す。
◎瘧疾の初発で憎寒壮熱、頭疼身痛、汗無きを治す。
◎痰あれば:「陳皮」
◎湿あれば:「蒼朮」
◎食を挟むには:「香附子」


散治紫癜風方


散聚湯《東醫寶鑑》
「厚朴・呉茱萸・枳殻各1銭半、陳皮・杏仁・桂心・赤茯苓各1銭、川芎・附子(炮)・甘草(炙)各5分、半夏・檳榔・当帰各4分」剉作1貼し、姜3片入れて煎服。
◎六聚と化が気について昇降し、心腹を刺痛、大小便が不利の者を治す。

散腫潰堅湯[1-1]《万病回春》《古今方彙》
=「消腫潰堅湯」
「昆布(水)、海藻、黄柏(酒)、知母(酒)、括楼根、桔梗、三稜(酒)、莪朮(酒)、連翹、黄連、黄芩(酒)、白芍薬(酒)、乾葛、升麻、柴胡、当帰尾、甘草(炙)、竜胆(酒)、生姜」水煎。
◎馬刀結核、硬くして石の如く、或いは耳下にありて欠盆中に至り、或いは肩上に至り、或いは腋下に及び、瘰癧頬下に遍く、或いは頬車に至り、而して潰れず、或いは瘡已に破れて水を出すを治す。
◎及び、瘤を治す。

散腫潰堅湯[1-2]《蘭室秘蔵》
「黄芩、知母、黄柏、竜胆草、天花粉、桔梗、昆布、柴胡、升麻、連翹、甘草(炙)、莪朮、三稜、菊花、当帰尾、芍薬、黄連」

散腫潰堅湯[1-3]《万病回春》《漢方後世要方解説》
「当帰・芍薬・柴胡・黄芩・黄連・連翹・黄柏・知母・括呂根・桔梗・竜胆・葛根・山陵・莪朮各1.5、昆布・海藻・升麻・生姜・甘草各1」
◎この方は瘰癧に屡々用いられるが、結核性の頸部リンパ腺種の外、馬刀(まてがい)の如く大きく鶏卵大にも及ぶリンパ腺、永年腫脹し次々と続けて耳下肩上等に及ぶものに長服せしめる時は、続発を防ぐことが出来る。
◎初期形小なるは、「小柴胡湯桔梗・石膏」に良く、長年に及ぶ大きさ鶏卵大に達して石の如く硬きは、此方が良い。
急性化膿性のものには、「托裏消毒飲」が効がある。
◎山陵=痃癖を消し、気滞を順し、血行をよくす。
莪朮=痃癖を破り、滞を消す
海藻=を消し、癧を散し、を破る。



散腫潰堅湯[1-4]《万病回春》《龍野ー漢方処方集》
「昆布・海藻・黄柏・知母・天花粉・桔梗・三稜・莪朮・連翹・黄連・黄芩・葛根・升麻・柴胡・当帰・甘草・竜胆各1.5g、干姜0.5g」
★適応症及び病名 (五十音順)
[1]頸腺炎、
[2]頸部リンパ腺腫:
☆形大にして硬きこと石の如く、次々と続発するもの《矢数道明》
☆永年腫脹し次々と続けて耳下肩上等に及ぶもの《矢数道明》
[3]るいれき、



散腫膏
「黒梔子320g、紫荊皮320g(炒って紫色にする)、全当帰・赤芍・天花粉・威霊仙・防風・白芷・五加皮・防已・川牛膝・丹参・木瓜・姜黄・羗活各80g、川芎・秦艽・連翹各40g 甘草24g」の薬を細末にして、混和し、蜜糖・飴糖を半々に加えて、糊状に調製する。


散熱飲子《東醫寶鑑》
「防風・羗活・黄芩・黄連」各等分に切って、5銭づつ水煎服。
◎目が赤く腫れ疼痛する者。

 


酸棗人湯《備急千金要方》
「酸棗仁湯《金匱要略》石膏」
◎余熱あって煩躁して眠るを得ざる者。《雑病論識》


酸棗仁丸《証治準縄》
「酸棗仁(炒)、茯神、遠志、柏子仁、防風、枳殻、生地黄、青竹茹」煉蜜で丸剤。

 

酸棗仁湯[1-1]《金匱要略》
「酸棗仁2升、甘草1両、知母2両、茯苓2両、芎2両」
右五味、以水八升、煮酸棗仁得六升、内諸薬煮取三升、分温三服。虚労、虚煩不得眠、酸棗仁湯主之。

酸棗仁湯[1-2]《金匱要略》《漢方治療の実際》
「酸棗仁15、知母・川芎各3、茯苓5、甘草1」

酸棗仁湯
“酸棗仁湯証に曰く、虚煩、眠るを得ずと。為則按ずるに虚煩は当に煩躁に作るべし”
[虚煩]=心身が疲れてわずらわしい。
◎煩躁して眠るを得ざる者を治す。《吉益東洞》
◎為則案ずるに虚煩は煩躁に作るべし。《重校薬徴》
◎此方は心気を和潤して安眠せしむるの策なり。《勿誤薬室方函口訣》


酸棗仁湯[1-3]《金匱要略》
★適応症及び病名(五十音順)
[1]頭のふらつき
[2]イライラ
[3]咽乾
[4]顔色悪い
[5]肩こり
①不眠嗜眠、
②胸中煩躁、腹部軟弱、
③多夢、驚悸、
④疲労。
[6]驚悸:
☆健忘、驚悸、怔忡の3症は、此方に宜しき者有り。証に随いて黄連、辰砂を撰び加う。《類聚方広義》
[7]胸中煩悶
[8]虚労
[9]健忘
[10]口乾
[11]高血圧
[12]嗜眠症:
☆昼夜昏睡し、数日目覚めざる者木防已湯、亦まま此方の宜しき者有り《類聚方集覧》
☆煩して眠ることを得ざる者。煩悸して、眠り寤めざる者《方機》
  (寤=ゴ、さめる)
☆東洞先生、1病人、昏々として醒めず死状の如く、5、6日に及ぶ者を、此方を用いて遂に効あり。円機活法というべし《類聚方広義》
[13]焦燥感    
[14]自律神経失調症
[15]心悸亢進
[16]心臓神経症
[17]心神恍惚
[18]神経衰弱:
☆神経衰弱様疾患にして、身体羸痩し、不眠の傾向あり、故なくて心 悸亢進し、細事に驚き易き等の証《奥田謙蔵》
[19]身熱
[20]頭重
[21]頭痛
[22]舌質 <紅>
[23]多夢
[24]盗汗:
☆酸棗仁湯で盗汗がやんだり、便通がつくことがある《大塚敬節》
[25]動悸
[26]軟便
[27]寝つきが悪い
[28]眠りが浅い
[29]のぼせ
[30]バセドウ病
[31]煩躁
[32]疲労倦怠
[33]不安神経症
[34]不眠症:
☆胸中煩躁して、眠るを得ざる者を治す。《方極附言》
☆病人、眠ることを得ずして、虚煩する者は、酸棗湯之を主どる《医聖方格》
☆眠るを得ざるに3策あり。《勿誤薬室方函口訣》
<1>心下肝胆の部分に当たりて停飲あり、之が為に動悸して眠るを得ざるは、「温胆湯」の症なり。
<2>もし胃中虚し、客気膈に動じて眠るを得ざる者:「甘草瀉心湯」
<3>血気虚燥、心火亢ぶりて眠るを得ざる者:「酸棗仁湯」《金匱要略》。
「帰脾湯」《厳氏済生方》は此方に胚胎するなり。
☆脱血過多、心神恍惚し、眩暈して寐ねず、煩熱し、盗汗し、浮腫を見はす者は、此方当帰芍薬散に宜し。《類聚方広義》
☆諸病久久にして癒えず、羸、困憊し、身熱し、寝汗し、怔忡し、口乾き、喘嗽し、大便溏に、小便渋り、飲啖味無き者は、此方に宜し。証に随ひて黄蓍、麦門冬、乾姜、附子等を選び加う。《類聚方広義》 (=オウ、弱い)
☆心身共に疲れ切っている虚弱者で、昼はウトウトして、夜になると目が冴えて眠れない者。
☆病後の不眠等《奥田謙蔵》
☆餘熱有る者:「石膏」
☆62歳男性。数年来、不眠、頭重、耳鳴、肩凝りを訴え、疲れやすく、食もまた進まないという。
いままでいろんな睡眠薬を用い、また2年間、医師の治療を受けているが、良くならないと云う。
患者は痩せ型で、腹部に力がなく、臍部で動悸がやや亢進している。私はこれに酸棗仁湯を与えたが、1ヶ月余りの服薬で、耳鳴、肩凝り、頭重がとれ、5、6時間の安眠が出来る良いようになり、記憶力を増進した。そこで小柴胡湯に転じたところ、食欲が出て、体重も増加した。
ある日、患者が云うのに、この頃は性欲が旺盛なって10数年前の若さにかえったと、そこでますますこれを続服したところ、10数年前からの痼疾であった痔核もまったく全治した。《大塚敬節》
[35]腹部軟弱
[36]ほてり
[37]めまい
[38]もうろう感
[39]夢をよく見る(多夢)
[40]脈 <弱>
[41]コルサコフ症候群

 


酸棗仁湯[2-1]《万病回春》《東醫寶鑑》
「酸棗仁(微炒)・人参・白茯苓」各等分。粉末にし、毎回1銭に水1杯を入れ、7分まで煮る。睡眠が必要なときは冷服。不眠が必要なときには熱くして飲む。
◎不眠又は多眠を調節する。

酸棗仁湯[2-2]《万病回春》《古今方彙》
「人参・茯苓・酸棗仁(皮を微炒、和す)各等分」水煎。
◎多く睡り、及び睡らざるを治す。
◎睡を要さざれば即ち熱服し、睡を要すれば冷服す。


酸棗仁湯[3-1]《証治準縄》《東醫寶鑑》
「石膏2銭半、酸棗仁(炒)・人参各1銭半、知母・赤茯苓・甘草各1銭、桂心5分、生姜3片」水煎服。
◎虚煩不眠を治す。

酸棗仁湯[3-2]《証治準縄》《古今方彙》
「酸棗仁・人参各1銭半、石膏2銭半、茯苓・知母・甘草各1銭、桂心5分、生姜3片」水煎。
◎汗吐下後に昼夜眠らざるを治す。

酸棗仁湯[4]《東醫寶鑑》
「酸棗仁(炒)2銭、麦門冬・知母各1銭半、茯苓・川芎各1銭、乾姜・甘草(炙)各2分半」剉作1貼し水煎服用。
◎傷寒が治った後、虚煩し寝られない者を治す。


酸棗仁湯《証治準縄》《古今方彙》
「酸棗仁1両半、遠志・黄蓍・蓮肉・人参・当帰・茯苓・茯神各1両、陳皮・甘草各半両、生姜、大棗」煎服。
◎心腎の水火交わらず、精血虚耗し、痰飲内畜(動悸のこと)、怔忡恍惚、夜臥不安なるを治す。


杉節湯《東醫寶鑑》
「杉木節4両、大腹皮1両、檳榔7箇、青橘葉49片」剉作し、水煎服用。
◎脚気が腹に入り、心臓を衝いて危険なとき

蚕砂散《中薬臨床応用》
「蚕砂120g、緑豆粉(炒)120g、枯礬70g」作末し酢で練って患部に湿布。
◎打撲捻挫


蚕珠定驚湯《中薬臨床応用》
「白蚕3g、真珠末1g(沖服)、釣藤鈎5g、白芍5g、丹参5g、羗活2g、鶏血藤5g、酸棗仁(熟)3g」水煎服。
◎小児の熱性痙攣
◎破傷風による痙攣

蚕矢湯《霍乱論》《中薬臨床応用》
「蚕砂9g(包煎)、木瓜6g、呉茱萸3g、通草3g、製半夏6g、山梔子9g、黄芩6g」水煎服。
◎腹痛、嘔吐、下痢


珊瑚寧心方《中薬臨床応用》
「珊瑚18g、旱蓮草12g、丹参9g、紫石英9g、胆南星3g」水煎服。
    ◎テンカン
    ◎脳卒中
    ◎角膜混濁
    ◎頭部外傷後遺症