<さ> つらい症状・病名



サイクロスポーラ
■下痢を起こす感染症
「ネパールの国際協力事業団(JICA)医学教育プロジェクトのチームリーダーをしていた小原博博士から、昨年4月にお手紙をいただいた。
『サイクロスポーラ』という新しい原虫が、ネパールに来た旅行者から検出されています。先生に送りました便は、その患者から採取したものです。これをきれいに写真撮影していただけませんか」
この原虫は、1986年にハイチとメキシコの旅行者の下痢便中に初めて見つかった。クリプトスポリジウムとよく似た原虫だが、それより大型(7~9マイ クロメートル)で、より球形近く、抗酸染色で陽性を示す。
この病原体の正体は長らく不明であった。4年前の93年になって初めて、これがサイクロスポーラという原虫であることが確認された。サイクロスポーラは1870年、モグラの腸管で見つかったのが世界で最初の報告だった。その後、ヘビ、ネズミでは検出されていたが、人間からは1986年までは感染例は報告されていなかった。
その後、サイクロスポーラはネパールでしばしば見られるようになった。89年6月~11月にかけて、長引く下痢を主訴に、カトマンズ市内のクリニックを訪れた外国人旅行者55人の便中に原虫が検出された。これらの症例を含めて、ネパールでのこれまでの報告例はすべて、免疫機構の正常な外国人が発症したものだった。このように、サイクロスポーラ症は、先進国の人たちが、散発的に感染する下痢症に過ぎなかった。
ところが、昨年になって米国内でサイクロスポーラによる集団感染が起こった。全米20州で1465人の患者が集団発症し、うち987人からこの原虫が確認された。この広い範囲で発生した集団下痢症の原因はグァテマラから輸入されたラズベリーであった。
今年になっても引き続き、米国内で発生している。6月~7月にかけて、バージニア州などで起こったが、今度はバジル入りの食品が感染源だった。同州の例は、ある会社の昼食会に出されたバジル入りのパスタとサラダが原因とされたのだ。今年だけでも米国やカナダで本症の患者が1450人に達している。英国やドイツ、日本では集団感染はまだ見られない。
しかし、昨年3月、東南アジアを旅行して帰国した日本人にサイクロスポーラが検出された。いつ日本で、サイクロスポーラの集団下痢症が起こるのか。私はその日が間近に迫っているような気がしてならない。(藤田紘一郎・東京医科歯科大学教授)1997.12.8《朝日新聞》


 

サイトメガロウイルス感染症 
cytomegallovinus(CMV)
⇒全身のリンパ節腫脹を伴う感染症。
「サイト(細胞)を大きくするところからそう呼ばれている。成人の90%はおそらくこれに襲われたことがあり、ほとんどは無症状に終わっているが、ごく少数は肝萎縮や単球増加症あるいは呼吸器疾患などを発症している。多くのウイルスについても言えることだが、何故これによって病気になる人とならない人がいるのかは分かっていない。
サイトロメガロウイルスは母親が妊娠中に初感染した場合に、新生児に重い先天性の異常を引き起こすことがある。風疹も先天的欠損症の原因となるが、定期的な予防接種で風疹を撃退した国々ではサイトロメガロウイルス感染症がもっとも要注意。
サイトロメガロウイルスはヘルペス群のウイルスに属し、長い潜伏期間のあとで再び活性化する能力を持つため発症したときにそれを撃退しようとしても、なかなかうまくいかない。
サイトロメガロウイルスの粒子はあらゆる動物性ウイルスのなかで最も大きい部類だが、それでも200ナノメートル(1/500万㍍)で、光学顕微鏡では見ることが出来ない。ゾウリムシはサイトロメガロウイルスの1000倍の大きさがある。
このサイトロメガロウイルスはヒトの体内での生活に驚くほどうまく適応し、それ以外のところを嫌う。幼児の原因不明の死の背後にひそむ病原体を突きとめようと、長年にわたる研究の結果、1956年に唾液腺組織からこのウイルスが分離された。このため「唾液腺ウイルス」の別名もある。

◎CMVは

血液・尿・喀痰・乳汁・頸管粘液・精液などに存在する。
無症状でも尿中に排泄する。

◎症状:

無症状から肺炎・肝炎・伝染性単核症様疾患まで多彩。
リンパ節腫張は、先天性・後天性のいずれでも認められる。

◎検査:
尿・咽頭粘膜・血液からのCMV(サントロメガロウイルス)の分離
尿中の封人体(先天性CMV症)
血清反応


 

サイレントベビー
(静かな赤ちゃん)   
■親が抱いてあやせば、赤ちゃんの心は育つ
●泣き笑いせず無表情
「山口県小群町で小児科医院を開く柳沢慧院長(62)は1980年代中頃、来院する赤ちゃんの「異変」に気づいた。山口大医学部の小児科助教授を辞め、開業まもない頃のことだった。
待合室は通常、赤ちゃんの泣き声が響きわたっていると思っていたが、以外と静か。笑ったり、グズったり、「アー」「ウー」などの言葉を発したりする赤ちゃんが少ない。無表情でさえあった。そんな『サンレントベビー』を抱く母親も総じて、言葉少なで、あやすこともない。
3歳2ヶ月の女の子の母親は「言葉をあまり発しないので発達の障害があるのではないか」と訴えた。確かに動きも少なく、ほほ笑みもないが、発達に異常はない。「おとなしくて、扱いやすい子」と説明した。
柳沢院長は、抱っこしてよく話しかけるように母親を指導すると、赤ちゃんは見違えるように表情が豊かになっていった。同様の指導を続けた結果、現在、院内は赤ちゃんの元気な声が聞こえるようになった。
「会話のない親子関係で、赤ちゃんは心を閉ざしていく。サイレントベビーが成長して、他人とのコミュニケーションが苦手な若者となっているのではないか」と推測する。
普通の子供達が突然、暴力を振るう「キレる」現象。「相手の顔を見ないで済むからこそ、本心を語り合える」として流行するポケベル、携帯電話。そんな現状に柳沢院長は、サイレントベビーの成長した姿を重ね合わせてしまう。
●こもりきりの中学生
「不登校とまではいかないが、時々、学校へ行きたがらない中学1年生の息子を持つ関東地方の母親(48)も、思い当たる節がある。
この中学生は、ほとんど自分の部屋にこもりきり。親子の会話も無い。夕食も黙々と食べると、すぐに部屋に戻る。中学生を指導している心理カウンセラーは「外界へ目を開かせるためには、自信を持たせることが大切」と方策を模索している。
閉じこもりの原因について、カウンセラーは「乳児期の育て方に問題があったのではないか」と考えている。父親は仕事が忙しいと言って子供の寝顔を見るだけ。専業主婦の母親は1人で子育てと格闘した。夜泣きをする赤ちゃんに閉口し、目を見ず、話しかけもしないで、おしめを換えた。おしめの口乾を減らすため紙おむつを使用。「徐々に、赤ちゃんが無表情になっていったような気がする。外出する時も乳母車に寝かせきり。抱っこすることも少なかった」
「抱かれる子供は良い子に育つ」(PHP研究所)の著作がある国立京都病院の石田勝正医師は「抱きぐせがつくと、赤ちゃんが甘えることを覚えるのでいけない、とよく言われますが、これは間違い。生後1日目からの母親とのスキンシップを通して、赤ちゃんは自分の存在感をつかみ、外界からの圧力に負けない健康な心を育てていく」と主張する。
これまで母親の目を見て笑わず、天井の明かりばかり見ているようなサイレントベビーを100人以上診察。6ヶ月未満の乳幼児を持つ母親に「2、3ヶ 月間、よく抱いてあげて」と指導すると、急速に赤ちゃんらしい笑顔が戻った。
80年代以降、経済的な豊かさの中で親子関係や子育てについての考え方が多様化。そのはざまでおろそかにされた乳児期の子育ての「ツケ」が中高生の心を荒廃させているかもしれない。柳沢院長は「赤ちゃんを抱っこし、あやすだけでいい、それで親子のきずなは確実に深められる」と話している。


 

サーズ
(SARS)
■感染パターン
「2002年~2003年にかけて中国を中心に猛威をふるった重症急性呼吸器症候群(SARS)。急速な感染の広がりの背景には『スーパースプレッダー』と呼ばれる患者の存在が浮かび上がっている。
米疾病対策センター(CDC)などの報告では、1人で約100人以上に感染させた患者の存在が判明している。
患者の体質が原因なのか、あるいはその両方か?
現時点では理由はハッキリしないが、その解明に関連する理論がある。科学技術振興機構の「複雑数理モデルプロジェクト」の総括を務める合原一幸東京大学教授は、『スモールワールド(小さな世界)』と呼ばれる型のネットワークでSARS感染が広がったと視ている。
遠く離れた一面識もない人であっても6人の仲介者がいればつながる。『6次の隔たり』と呼ばれ古くから知られる現象だが、1998年に米コーネル大学のダンカン・ワッツはカセらはこの現象を数学的に説明する理論を作った。スモールワールドの理論だ。
「小さな世界」では、ネットの大きさにかかわらず、その構成員間を意外なほど短い経路で結べるのが特徴。人間のネットワーク(人脈)はこの特徴を持つ。世間は意外に狭いのだ。
感染者の場合は、たとえば感染者が航空機に乗ると、居住場所が勤務先などの異なる人間集団を超えてたちまち感染を広げる。世界を狭くする「ブリッジ(橋)」の働きをしかねないのだ。
「SARSの流行パターンは、エイズなど性感染症やコンピューターウイルスの広がりとは明らかに違う」と合原教授指摘する。
「株式保有関係でミリ限る日本の企業社会は欧米と大差ないのでは?」と話すのは、ATRネットワーク情報学研究所(京都府精華町)の相馬亘研究員。
相馬氏らは自動車産業などを対象に株主企業と株を保有されている企業を線で結んだネットワーク構造を調べた。
その結果、非常に多数の企業の株を保有する少数のハブとリンクを1~2本しか持たない多数のノードから成ることが分かった。専門用語で言えば『スケールフリー』。
体内のタンパク質の相互作用ネットワークなどと共通点を持つ。
さらに、あるリンク数を持つノードがいくつかあるか?というリンク数の分布を調べると、欧米企業を対象にした既存の研究結果と類似した。「経済学からは異論があるかもしれないが」と前置きした上で「日本企業の株保有関係が特殊であるとはいえない」と相馬氏。2005.12.20《産業》




サナダムシ

=「寸白虫」
【臨床例】
☆《井觀醫言》より
「寸白虫の症は甚だ少ない。世俗では婦人病の一種を寸白(すばこ)という。けれども、寸白虫の症は男子に多く、婦人に至っては稀で、小児には絶無といってよい。
その害も回虫に対して甚だしくはない。ただ下腹部が膨満したり、あるいは引きつれて痛み、腰や腿が疼んで重くなったり、顔色が青くなって、やつれたように見えるだけである。診察してみて、これが的確に寸白虫だと診断することはなかなか難しい。
これを駆除する方法も多いけれども、有効適切なものは至って少ないが、余は簡単で、確実な方法を1つ発見した。それは乾烏賊(するめ)1枚を炙って、全部食べ尽くすのである。それを全部食べられない者は、ただ噛んでその汁を飲むだけでも良い。そして、その後に檳榔と木香とを各1匁づつ細末にして、白湯で送下すれば、必ず虫が下るのである。」《荒木正胤》
「回虫の駆除については尾台先生の橘黄談、《類聚方広義》の大黄甘草湯、甘草粉蜜湯条の標註を参看、蟯虫を去るには、大黄牡丹皮湯が最も有効である。」《荒木正胤》

 


サヴァン症候群
=「イディオ・サヴァン」
映画レインマンのモデルは、キム・ピーク氏
山下清 TBS「金スマ」
2012年日本人ピアニスト 磯村やすゆき(山口県光市)
天才画家スティーブン・ウィルシャー(38才)
時間で同じ行動をする

◎右脳が左脳より発達し、天才的能力を発揮するもの。
未熟児で生まれ出る者に多い。
サヴァン患者は自閉症や他の精神発達障害を持つ。彼らは、驚異的な記憶力や能力を示す。ある者は、ある日付を言えば、それが何曜日であったのかを即座に返答できる(カレンダー計算)。そのうちの1人、キム・ピークは、米国の都市や町の主要道路・市外局番・郵便番号をことごとく記憶している。丸暗記している本も数千冊以上にのぼるという。映画「レインマン」の主人公はこのキム・ピークをモデルにしたもの。
またある者は、音楽に関して優れており、一度聞いた曲を完全にピアノやバイオリンで演奏することができた。
絵画に優れている者は、一度見た景色を、再び見ないで詳細に描くことができる。
サヴァン症候群の原因はまだ解明されていないが、大脳の左半球の損傷が原因の1つとされる。
後年になって発症した痴呆症患者のなかには、絵画などの才能が突然出現する者のいることが、近年明らかになった。


サメ肌
■数年前から両足に赤いブツブツ
「18歳、女性。数年前から両足に赤いブツブツした点みたいなものが沢山出来、普段は茶色に見えます。アトピーでしょうか?」
「俗に、さめ肌と呼ばれ、ケラチンという水に溶けないタンパク質(角タンパク)が毛の組織(毛包)の入り口をふさいでいるのです。
ケラチンは表皮の一番外側の層(角層)の主成分で、ツメや毛もケラチンで出来ています。ラムネのビンの栓のように、毛包の入り口をふさぐので角栓とも言います。
角栓は赤ニキビや白ニキビにもあります。毛穴が詰まると、皮膚の脂(皮脂)が毛包にたまり、皮膚表面の脂分が減ってドライスキンになります。
さめ肌は専門用語で『毛孔性角化症』と言いますが、ニキビと同様に思春期から出現し、35歳を過ぎると自然に治ります。ニキビが皮脂の多い場所で出来るのに対し、さめ肌は腕や太股の外側及び耳の前に出来ます。
治療はビタミンA酸をぬるのが最も良く効くのですが、我が国では市販されていません。従って効き目は劣りますがビタミンAの入った軟膏or尿素軟膏を塗るしかありません。
子供のアトピー性皮膚炎でも、さめ肌が背中や胸に出来ますが、この場合は毛穴だけでなく、汗の穴も角栓でつまり、汗が出ずに皮膚の中にたまってアセモが出来やすいのが特徴です。毛孔性角化症とアトピー性皮膚炎は合併することがありますが、別の病気です。」(須貝哲郎・池田済生会病院皮膚科部長)


サルコイドーシスsarcoidosis
=「類肉腫症」ともいう。
慢性進行性全身性の原因不明の肉芽腫性細網症で、皮膚・肺リンパ節・肝・脾・眼・手足の小管骨を含むほとんど総ての臓器組織を犯す。
⇒特異性肉芽性炎症で結核病変に似る。
◎好発年齢:15~40才に多い。
◎好発時期:特になし。

◎症状:
<1>発疹:(50%)
①部位:顔面に蝶形に見られる。
皮膚、リンパ節、肺などが好発部位。
②性状:小結節型、大結節型、ビマン性の肥厚浸潤。
③発疹の出現時間:特になし。
<2>リンパ節腫脹
<3>肺・指骨X線で骨膜の変化
<4>骨髄の稀薄化
<5>シェーグレン症候群がある。

◎血液像:
低色素性貧血
白血球数:正常~減少
単球:増加

◎検査項目:
胸部X線
指骨X線
痰検査
梅毒血清反応
ツベルクリン反応
皮膚生検
血液像
Kveim反応
    
◎1982年、厚生省特定疾患「肉芽腫性肺疾患」調査研究班の診断基準
本症は多臓器を侵す肉芽腫性疾患で、以下の臨床的・病理組織的、ならびに生化学的・免疫学的特徴を有する。
[Ⅰ]臨床的特徴:

両側肺門リンパ節腫張(BHL)を特徴とする。
肺野散布影を伴うことが多い。

眼病変として、以下の病変がしばしば認められる。
①ブドウ膜炎
②網膜病変

表在リンパ節腫張や皮膚病変(皮疹・皮下結節)がこれに次いで多く認められる。

その他、次の病変が認められることがある。
①唾液腺:(耳下腺炎)
②中枢および末梢神経系:(顔面神経麻痺)
(尿崩症)
③肝臓・脾臓:(腫大)
④心臓:(刺激伝導障害)
⑤指趾骨:(鼻梁欠損像)
⑥腎臓:(高カルシウム尿症)(血尿)
⑦筋肉

[Ⅱ]病理組織学的特徴:
病理組織学的所見:類上皮細胞からなり壊死をほとんど伴わない肉芽腫性病変を次の(a)and/or(b)において認める
(a)生検:腫張リンパ節(触れない時は右前斜角筋リンパ節)
経気管支肺生検(TBLB)
皮膚・肝臓・筋肉(骨格筋特に心筋)の生検組織
(b)kxein反応:抗原注射後3~6週目の注射部位生検組織
[Ⅲ]参考所見
生化学的所見:
①血清アンジオテンシン変換酵素(ACE)が高値になることが多い。
②血清リゾチームも高値を示すことが多い。
免疫学的所見:
①ツベルクリン反応はしばしば減弱し、
②血清γーグロブリン増加所見を示すことが多い。

[Ⅳ]診断基準:
①臨床的特徴が本症に一致し、
②他疾患が除外出来るが、組織学的裏付けの無いもの。
③この場合BHLがあれば単独でも診断の確実度が高いが、
④BHLのない場合は2個以上の臓器組織に罹患を認める必要がある。

(BHL)=胸部X線像による分類のⅠ期で、肺門および縦隔リンパ節腫張期を指す.


■過剰な心配は不要、定期検診を
「23歳、大学生の息子ですが、目がかすむようで眼科を受診したら、内科を紹介され、サルコイドーシスと診断されました。医学書を見ると原因不明の難病とあり、驚いています。自然に治ることもあると言われましたが、とても心配です。」

●サルコイドーシスとは?
「類上皮細胞肉牙腫と言われる異常な細胞の集まりが、リンパ節、肺、目、皮膚、心臓、神経を侵す全身性疾患。発見から100年以上たつが、原因は不明。何らかの抗原に対する細胞性免疫の過剰反応が関与すると見られる。患者は増加傾向に在り、10万人あたり約5人。
●原因は分かっていないのですか?
「何らかの刺激によって起こる免疫異常と考えられています。これまで細菌やウイルス、化学物質などいろいろな原因が考えられてきましたが、解明されていません。遺伝や環境なども関係するようで、民族差や地域差もあります。
●年齢で発症に差がありますか?
「日本では男性は20代、女性は50代に大きなピークがあります。」
●どのような症状が出るのですか?
<1>肺の入り口にある左右の肺門のリンパ節が大きくなるのが特徴:(8割)
病変が進むと-①せき、②息切れ
<2>「ブドウ膜炎」などの目に異常が出る:(6割)
①かすみ目、②飛蚊症
<3>「結節性紅斑」などの皮膚症状:(2割)
<4>心臓や肝臓、神経が侵されることもあります。
①不整脈、②心不全

●診断方法は?
「臨床症状とX線写真やCT(コンピューター断層撮影)、気管支鏡検査、血液検査などの結果から診断します。「リンパ腫」「肺ガン」「結核」などほかの病気と区別しにくい場合は、病変部の一部を取って病理的に調べることもよくあります。
●どんな治療をするのですか?
「病変部位によって呼吸器科、眼科、皮膚科、循環器科、神経内科などが対応します。ただ、この病気は自然に治ることが多く、胸部X線写真に異常は、7割の人で発見後5年以内に消えてしまいます。内科では、とくに自覚症状や機能障害がなければ様子を見ます。原則として、病状が重い場合や進行が著しい時は、内服のステロイド剤を使用します。副作用に免疫力の低下があるため、肺炎などの感染症に注意が必要です。眼科や皮膚科ではステロイド剤の点眼薬や軟膏が使われます。
●死亡する例もあるのですか?
「極まれですが、心臓の病変による突然死や肺の病変の悪化による死亡もあります。」
●原因不明と聞くと心配です。
「自然に治る例も6~8割と多いので、過剰な心配はしないこと。ただし、胸部のX線検査などの定期的な診察は続ける必要があります。また、[息切れ][動悸][めまい][目のかすみ][見慣れない皮膚の異常][首のリンパ節のはれ]など、いつもと違う症状に気づいたら、早めに医師に相談してください。全身性の疾ですので、この他にもいろいろな症状が出る場合もあります。
●日常生活での注意点は?
「医師からとくに注意を受けない限り、ふつうの生活で結構です。ただ、ステロイド剤を内服している時は、[過労]や[睡眠不足]を避けて下さい。」
(阿部直・北里大医学部講師)1998.3.8《朝日新聞》

 

【漢方薬】( サルコイドーシス)
■温清飲
丘診や結節などの皮膚症状や眼症状のあるものに用いる(漢方診療医典)

■桂枝茯苓丸
瘀血があり、ブドウ膜炎などの眼症状があるものに用いる(漢方診療医典)

■柴苓湯
ステロイド治療が必要なもので、柴苓湯併用はその副作用防止や脱ステロイドに有用である(漢方診療医典)

■小柴胡湯
胸脇苦満があれば用いてよい(漢方診療医典)

■人参養栄湯
肺サルコイドーシスで、食欲不振、疲労倦怠。咳嗽、息切れ、貧血などがあるものによい(漢方診療医典)



サラセミア 
thalassemia
=溶血性貧血の1つ。
⇒遺伝的にヘモグロビン合成の量的異常を起こしている疾患。
<1>低下しているのがα鎖であればα-サラセミア、β鎖であればβ-サレセミアといい、β-サラセミアが多い。
<2>患者が、heterozygota(ヘテロ接合体)であれば、貧血は軽い(minor) homozygote(ホモ接合体)であれば、majorと呼ぶ。

◎症状:
*脾腫
*低色素性貧血
*標的赤血球(target cell)の存在
*血清鉄上昇
*赤血球破壊亢進


サルモネラ症

salmonellosis
「サルモネラ属の菌には種類が多く、2200の菌株が知られている。1885年にこの有害微生物を記載したアメリカの獣医ダニエル・E・サーモンからこの名前がついた。」
=サルモネラ感染によりもたらされる疾患全般を指す。
急性胃腸炎、嘔吐、下痢を伴う食中毒、まれに敗血症や腸チフス・パラチフスとして発現する。

■<1>サルモネラ菌の一種によって起きるのが『腸チフス』
<2>[腸炎サルモネラ菌]:
腸チフスでなく、食中毒を引き起こすサルモネラ菌が問題になっている。
③腸炎サルモネラ菌の場合、鶏の体内で殻が出来る前に卵の内部が汚染される。

④生卵の危険を周知する必要がある。多数の卵から大量生産した液卵の方が個々の卵よりもさらに危険が大きい。
⑤卵黄中の腸炎サルモネラ菌は、常温ではもちろん、10℃でも増殖する。ゆで卵は7分間、落とし卵は5分間、目玉焼きは両面各3分間、加熱しないと殺菌出来ない。
(吉川昌之介・日本歯科大学教授)1997.9.28《日本経済新聞》
■ミドリガメ
「2005年3月と10月、千葉県内でミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)のサルモネラ菌によって女児が重症の感染症に罹患した事例が報告されていた。
女児2人は一時重篤な状態になったが、すでに回復している。
文部科学省は2006年3/9までに、飼育に当たる児童・生徒に注意を徹底するように都道府県教育委員会などに緊急の指示を出した。
幼稚園と小学校については「飼育を控えるべきだ」としている。
手軽で買いやすいミドリガメを育てている学校は多いとみられる。
国立感染症研究所の病原微生物検出情報によると、1人は家でミドリガを飼育していた1歳3ヵ月の女児で、熱性ケイレンで入院。39.6℃の高熱が出て、足の硬直を起こした。検査でサルモネラ髄膜炎と分かった。
もう1人は5歳2ヵ月の女児で、急性腸炎と敗血症を起こした。飼っていた家の水槽の水の多量の菌が検出された。2006.3.9《日経》
■は虫類から感染
「カメやトカゲなど爬虫類のペットが人気になっている。だが、爬虫類の多くが食中毒の原因となるサルモネラ菌を持っている。ペットの糞便などを介して菌が人の手に付着し口に入ると、胃腸炎のほか、重症化すると敗血症や髄膜炎などになる。
2005年、千葉県で乳幼児が敗血症と髄膜炎になった。原因はミドリガメからの感染が疑われています
2006年5月、新潟県で生後7ヵ月の乳児が高熱で入院し敗血症と診断されています。原因となったのはリクガメでした。
は虫類はもともとサルモネラ菌を効率で保菌しています。特にヘビは高く、他の動物や環境から感染するというより、親から子へ遺伝するようです。は虫類は感染しても通常は無症状です。
人が感染すると、初期症状は[発熱][下痢][腹痛][血便][嘔吐]などが見られます。胃腸炎を似た症状ですが、安易に<下痢止め>などの市販薬を使うのは避けましょう。
症状が重くなると[ケイレン][意識障害]など中枢神経症状が現れます。入院して輸液や除菌剤の投与が必要になります。
健康な大人が重症化するのまマレですが、軽い胃腸炎で処理されているケースも多いと思われます。
昨秋以降、北海道で1500羽以上の大量のスズメが死亡したものサルモネラ菌が原因だと見られています。宇根有美・麻布大学助教授らがスズメの死体からサルモネラ菌の一種「ネズミチフス菌」を検出しています。



さびしい(寂しい)
■最愛の夫亡くし、茫然自失
「60歳代の主婦です。昨年、最愛の夫を病気で亡くしました。主人の愛は私の命でしたから、いやしがたい寂しさに茫然自失の日々を過ごしています。体調もすぐれません。
なるべく旅行したり外出したりするようにしていますが、一緒だった主人がいないので、むなしさが残るばかりです。周囲の人達は「歳月がいやしてくれる」と言って慰めてくれますが、主人恋しさ、いとしさ、寂しさは募るばかりです。
子供は2人いますが、この厳しい時代にそれぞれ仕事と家庭を持って生きているのに、私のことで煩わせたくはありません。
いっそあちらの世に行けば、ふたたび主人に巡り会えるのでは、という思いにとらわれる自分が怖くなります。どうすれば立ち直れるのか教えてください。
「最愛の人を失って、寂しさに茫然自失の日々をお過ごしとのこと。まわりの人の慰めも空虚に響くばかりでしょう。愛が深ければ深いほど、悲嘆の深いのは当然のことで、無理に気を紛らわせようとなさると、かえってゆがみが生じたりするものです。
そうした状況の中でお読みになるのはつらいかも知れませんが、お薦めしたい本があります。私の師であり友人であるカウンセラーが、夫を失ってから立ち直っていく3年半の心の動きをつづったもので、アメリカ人と日本人の違いから来る相違点はいくつもあるでしょうが、共感なさるところがたくさんあるような気がします。
(「さよならを告げるとき」メリー・M・グールディング著、日本評論社)

■同居の娘夫婦や孫が無視する
「70際の女性。15年前に夫を亡くし、娘夫婦の家に同居するようになりました。一緒に暮らすようになって、
はじめ頃は、娘夫婦とケンカしながらも言いたいことを言い合ってやっていました。ところが数年前から、娘夫婦と孫たちが、私のことを無視するようになったのです。
食事の時も自分たちは楽しそうに話しているのに、私は相手をしてもらえません。私の方から話しかけても、まともに返事をしてくれません。体の具合が悪くなった時などは、車で病院まで送ってもらいたいのですが、やってくらないので、ハイヤーを呼びます。
娘は「一緒に住んでいるだけでいいじゃないか」と言うのですが、家族がいるのに話してもらえないのは寂しくてつらいのです。
これからますます年をとっていくのに、毎日がこんんあ状態で、友人に愚痴ばかりこぼして楽しくありません。どうすればいいでしょう?
「私の尊敬するアスリン伯母さん(本当は友人の伯母さん、当時85歳)に若さの秘訣を聞いたら、「年をとるのは本当にイヤだけど仕方ない。せめておしゃれをするわ。それと他人に何かしてあげること。だって何かしてもらおうと思うと、つい思い通りにならない時に愚痴が出るでしょう。愚痴は若さの大敵ですよ」と言いました。
本当におしゃれで、とびきり美味しいパイを焼く料理名人。そばにいるだけで気持ちが明るくなる女性でした。実際はひどいリウマチで車イスの生活でしたが-------------。
彼女のもう1つの秘訣は、夜ベッドに入ってから自分に言う感謝の言葉。左足の小指からはじめて順に言います。「今日はどうもありがとう。愛してるわ」って。そして一番痛いひざには一番丁寧にお礼を言うそうです。こうして頭のてっぺんにいくまでに、ぐっすり眠れてしまうのです。
93歳で亡くなるまでこういう生き方をしたアスリン、人生の達人だったと思いません?



さむがり(寒がり)
(参照→「寒冷過敏症」)
⇒普段から寒さを感じやすい。
褐色細胞が増えると、寒さに強くなる
◎たくさん着込んでもよくありません。
<1>たくさんの衣類を着込むと、衣類同士のすべりが悪くなり、体が動かしにくく、皮膚を圧迫して血行不良を招きます。
<2>体を温めるのは、衣類で包まれた空気の層の厚さです。例えばコートの下に、あまりに沢山の衣類を着込むと、かえって空気の層が減少したり、同じ空気の量がおなじなのに、着込んだ衣類の重みで身体を圧迫して血行不良を引き起こし、体を冷やします。体を温めているのは、体内を流れる血液の中の赤血球です。
■寒がり、甲状腺異常も
「子供の体温の異常というと発熱が思い浮かぶ。体温測定で子供に熱があるか否かを心配する人はいても、熱を十分に作り出せない病気を疑う人は少ないだろう。しかし、「寒がり」に病気が潜んでいることもある。
前頸部にチョウの形をした甲状腺という組織があり、ここから甲状腺ホルモンが分泌される。甲状腺ホルモンは、熱代謝など様々な代謝にかかわっている。分泌が過剰だと暑がりになり、汗を多量にかいて冬なのに水でシャワーを浴びたりする。逆にこのホルモンが不足すると肌は乾燥してカサカサになり、むくみが出て寒がりになる。
体に必要な熱を十分作り出せないので、寒い季節などはしっかりした防寒対策をしていないと体温が低くなりやすい。
甲状腺ホルモンは、子供では身体や脳の成長発達に不可欠。成長過程で甲状腺機能低下症になると、背の伸びが阻害されたり、疲れやすいといった症状がみられる。特に成長障害は100%認められる症状である。体重の増加はまずまずなもに背が伸びない。以前より寒がりになったと言う場合は、甲状腺ホルモンが不足している可能性があるので、専門医を受診した方がよい。甲状腺機能低下症は苦情線ホルモン剤を継続服用すれば良くなる。
このホルモンに関連した体温調節障害に『神経性食思不振症』がある。急激な体重減少が見られ、皮下脂肪が非常に少なくなっている。同時にホルモン系も障害されている。
皮下脂肪と甲状腺ホルモンの不足が相乗して、大変寒がりになる。時には直腸温で35℃以下の低体温近くになることもあり、このような場合は適切な保温が必要である」(堀川玲子・国立小児病院内分泌科)1999.12.20《日本経済新聞》
■細胞が皮膚温度を感知
「2009年、自然科学研究機構・生理学研究所の富永眞琴教授らのチームが、細胞そのものが皮膚で温かさを感知していることを解明した。
30℃を超えると表層の細胞がATPという情報伝達物質を放出し、近くの神経を刺激していることが分かった。
皮膚細胞に熱を加えた際に、ATPの放出量に応じて流れる微弱電流がどのように変化するかを調べた結果、「温かい」と感じる30℃を超えると電流量が急に増え、皮膚細胞からATPが放出されていることが分かった。
40℃を超えると、皮膚に入り込んでいる感覚神経が直接反応し始め、温度の高低によって細胞と感覚神経が役割分担していることが分かった。

【漢方療法】(さむがり)
■九味檳榔湯

■桂枝人参湯

■大建中湯

■当帰芍薬散

■人参養栄湯

■八味地黄丸

【民間療法】
<1>トウガラシ



さむけがする
chill
(寒気がする)
⇒普段は正常だが、たまたま寒さを感じること。
  

【漢方薬】(さむけがする)
■温脾湯

■葛根湯

■五積散

■四逆湯

■芍薬甘草附子湯

■真武湯

■蘇子降気湯

■大黄附子湯

■人参湯

■八味地黄丸

■保元湯

■麻黄細辛附子湯


細菌性心内膜炎
bacterial encarditis
⇒発疹を伴う感染症。

◎症状:
・心雑音
・発熱
・脾腫
・発疹:
・Janeway斑(手掌足底の1~5mmの無痛性小斑点)
・splinter heamorrhage(手指の爪甲下の赤褐色線状斑)
・結節:Osler結節(指の先端の有痛性結節)




細菌性髄膜炎
○ワクチン→ヒブワクチンで防げる
■インフルエンザ菌
「インフルエンザ菌b型(Hib)は細菌性髄膜炎の主要菌。インフルエンザウイルスとは異なる。細菌性髄膜炎は脳と脊髄を覆っている髄膜に炎症が起きる感染症で、症状として発熱・頭痛などが現れる。治療は抗生物質を投与する。
髄膜炎にはウイルスが原因となるものもある。
フランス製薬大手のサニフィ・アベンティスグループのサノフィパスチールは、小児の発熱や頭痛などを引き起こす細菌性髄膜炎の予防につながる日本初のワクチンを投入する。」2006.4.19《産業》




細菌性リンパ節炎

bacterial lymphadenitis
⇒リンパ節腫張を伴う感染症。

◎症状:
リンパ節腫張:有痛性
その他:蜂巣炎、軟部組織感染、リンパ管炎


細菌による感染症
=大きさ0.2~1.0マイクロ㍍

◎種類:
・形態別(球菌・桿菌・らせん菌)
・グラム染色で染色されるグラム陽性菌:ブドウ球菌、 連鎖球菌
・染色されないグラム陰性菌:大腸菌、

       赤痢菌
◎一部を除いて熱で死滅する。
◎以下の菌の出す毒素は、細菌が死滅してもその毒性は失われない。
・ボツリヌス菌・
・破傷風菌・
・ジフテリア

◎細菌毒素による中毒には、抗生物質は効かない。


細菌尿bacterieria
⇒腎尿路の細菌感染症では、尿に細菌が証明される。尿培養で尿1ml中に、コロニーが105以上であれば、臨床的に尿路感染症と診断される。




再生不良性貧血 aplastic anemia
⇒骨髄の造血能が低下して末梢血液の赤血球・血小板及び顆粒球が減少する疾患。
・幹細胞障害にもとづく生成低下による汎血球減少症。
◎特異的検査所見はない。
◎赤血球生成が障害される疾患で以下に分類される。
特発性:原因不明
症候性:薬剤が原因
    放射線
◎症状:「貧血(正球性正色素性)症状、出血素因、及び感染症の頻発がみられる。」
<1>息切れがする、頭痛がする、階段を上ると胸がドキドキするなどの症状があり、
<2>貧血による顔面蒼白、
<3>下腿浮腫、感染、出血傾向が主なもので、
<4脾腫・リンパ節腫はない。
<5>同時に白血球が減少するので、感染しやすく、風邪をこじらせたり、傷が化膿しやすくなったりします。さらに出血が起こりやすいので鼻血・皮膚のアザ・歯茎の出血・胃腸の出血・最もひどい場合には脳出血を起こす事があります。(三浦恭定著「血液と健康」参照)

◎診断基準:
1.再生不良性貧血患者では一般臨床所見として貧血・出血傾向・時に発熱する。
2.末梢血において汎血球減少症を認める。
[汎血球減少症]
=成人で赤血球数(男)400×104/mm3、女350×104/mm3以下。
白血球数 4000/mm3以下。
血小板数 10×104/mm3以下。 の状態をさしている。
3.汎血球減少の原因となる他の疾患を認めない。
1)例えば以下の疾患。
悪性リンパ腫
ガンの骨髄転移
感染症
巨赤芽球水性貧血
骨髄繊維症
多発性骨髄腫
Banti症候群
白血病
myelodysplastic syndrome
2)以下の疾患との鑑別が必要。
・発作性夜間血色素尿症(PNH)
・myelodysplastic syndrome(MDS)

4.汎血球減少症に、下記のような検査成績が加われば診断の確実性が増加する。1)末梢血における相対的リンパ球の増加。
2)末梢血の網赤血球絶対数が正常よりも増加していない。
(絶対数=赤血球×%)
3)骨髄穿刺所見で細胞数がしばしば減少するが、減少が認められない場合でも巨核球の減少とリンパ球比率の増加を認める。
なお、造血細胞の異形性は顕著でない。
4)骨髄生検所見で造血細胞の減少。
5)血清鉄値の上昇と不飽和鉄結合能の低下。
6)放射性鉄の血漿中から消失時間(PID)の延長と赤血球交代率(RIT)の低下。
 

(再生不良性貧血の原因):
<1>原因不明:①先天性、ファンコーニ貧血・・
        ②後天性、特発性
<2>二次性 :

①放射線照射
②化学物質:ベンゼンなどの有機化合物、殺虫剤、TNT

クロルデーン、
      アニリン
      砒素
③薬剤:

必ず貧血を起こす:抗ガン剤
まれに起こすことがある:「クロラムフェニコール」「サルファ剤」「抗ケイレン剤」「金ゾル」「白髪染め」「農薬」
④感染症:ウイルス肝炎
<3>電離放射線
    

(治療):
<1>比較的軽い人:タンパク質同化ホルモンや男性ホルモンを使うと、約半数の人はよくなります。
(理由)①幹細胞の増殖を刺激するためと考えられている。
②男性ホルモンには造血刺激さようがあり、女性ホルモンには造血抑制作用があるから。
<2>重症:骨髄移植。
  

【漢方薬】(再生不良性貧血)
■加味帰脾湯
■四物湯
■双料参茸丸【中成薬】
■当帰補血湯
■人参湯
■保元湯

◎淫羊藿
◎枸杞子
◎鶏血藤
◎菟絲子
◎巴戟天
◎反鼻
◎鹿茸


再発性角膜上皮びらん
■高い再発率、
「45歳の女性。左目に激痛を感じて2日間目が開けられず、眼科で『再発性角膜びらん』と診断されました。痛みの1ヶ月ほど前に、本の角を目に入れてしまったのが原因らしいのですが、なぜ時間がたってから痛んだのでしょうか?
●どんな病気ですか?
角膜は厚さが0.5mmぐらいで、上皮・実質・内皮の3層からなっています。その上皮が剥がれてしまった状態です。激しく痛んで、異物が入った感じがしたり、まぶしさを感じたりします。涙が止まらなくなることもあります。
●原因は?
ツメや紙、木の葉によって、軽くてもやや深い傷が出来た場合がほとんどです。赤ちゃんをだっこしていた時に引っかかれたり、本のページをめくっていた時や、藪に分け入った時に目に入ったろした時に、上皮と、その下にあって上皮と実質を接着している基底膜に傷が付くのです。
●起こるまでに、ずいぶん間があるようですね?
上皮の傷自体は1週間もあれば治ってしまうのですが、基底膜の回復には時間がかかります。そして突然、上皮が剥がれてしまうのです。早ければ1~2週間、遅いときは半年後ということもありますが、多くは1~2ヶ月後に起こります。眼科に来て、「そう言えば先日------」と、思い当たる方が多いですね。
●原因は外傷だけですか?
それほど多くはありませんが、病気による角膜の変性や、糖尿病でキズの治りが悪いことから起こる場合もあります。
●治療法を教えてください。
3つあります。
<1>まず、眼帯をして、角膜を保護する目薬をさしたり、ビタミンなどの軟膏を付ける方法。
<2>生理食塩水などの目薬で乾燥を防ぎながら治療用ソフトコンタクトレンズをつけておく方法。
<3>剥がれた部分を細い針でつつく方法で手術になります。
●目を針でつつくというのは怖い気がしますが?
上皮と基底膜だけでなく、実質まで傷つけることで刺激を与えて組織の修復を促します。つつくのは最初だけです。欧米でも広く行われています。麻酔もしますから痛くないので安心してください。
●治療期間と再発の可能性は?
目を強くこすらないなど、十分に用心しても1、2ヶ月はかかります。再発率も高く、2、3回経験する人がほとんどです。目覚めたときに突然、痛みが起きて、不安を感じる方が多いですね。
●再発を防ぐには?
最も良くないのが乾燥することです。来院者も、梅雨時は少なく、冬場に多いようです。寝ているときも上皮が乾いてまぶたにへばりつきやすくなるので、目を開けたときに剥がれることが多いのです。目を開ける前に目薬をさすのが一番なので、何度も再発した人は枕元においています。
●痛みがとても激しいそうですが?
痛み止めの目薬のありますが、傷の治りを悪くしてしまうので、使わない方がいいでしょう。(崎元卓・日本大学医学部教授)2000.7.30《朝日新聞》


最低血圧が高い
⇒拡張期血圧が高い
【漢方薬】
■九味檳榔湯
■七物降下湯



最低血圧が低い
◎以下の場合、最低血圧が下がります。(→低血圧)
<1>脚気(Beriberi)
<2>動脈硬化が進むと下がる。



催乳
【漢方療法】  
■下乳方

【民間療法】
○鯉・通草
○タンポポ~全草・根を1日10~20g煎服。
○「タンポポ10g・ハコベ5g・薏苡仁5g」煎服。
    


臍炎
【漢方薬】
■黄蓍建中湯


臍下不仁
【漢方薬】 
■炙甘草湯
■八味地黄丸


臍腹痛
=臍腹痛
【漢方薬】
■芍薬甘草湯


臍腫(さいしゅ) 
⇒小児の臍に出来る栗にような腫れ物で、軟らかく痛む。
【漢方薬】
■五通膏
■柏墨散(臍風と臍腫で泣き、乳を吸えない)

 

臍風(さいふう)
⇒新生児の破傷風のこと。

別名:「撮口」「噤風」「風」「七日口噤」「四六風」「七日風」
=歯を堅く閉じ、強直性の痙攣・角弓反張・顔面が苦笑したようになるなどの症状を現す。
主に断臍時の不潔、或いは臍帯を早くはずしたりして、局部に傷をつけ感染することによって生じる。
   
【漢方療法】
[臍風三証]=臍風の三つの危険な状態。
「一に撮口を曰い、二に噤風を曰い、三に鎖肚を曰う。不同と曰うといえども、皆臍風なり」
■香螺膏(臍風で腫が堅い症)
■臍風散
■全烏散(臍風を治す)
■柏墨散(臍風と臍腫で泣き、乳を吸えない)


戴陽症
=頭疼無く、身熱あり、躁悶、面赤、飲水口に入るを得ず、乃ち気弱、無根の虚火上に泛(ウカ)ぶを治す。名付けて戴陽症 という
【漢方薬 】
■陶氏益元湯《傷寒六書》


逆爪 hangnail
   =「さかむけ」

逆まつげ(さかまつげ)
⇒「挙毛倒睫」
◎多くは上まぶたにある。敗毒散を用いる。もし久しく治らなければ葛根湯に当帰と附子を加えて用いる。《柚子流眼療秘伝書》
  

【漢方薬】(逆まつげ)
■葛根湯+当帰+附子
■助陽和血湯《東垣》
■敗毒散

 

砂眼(さがん)
⇒眼の内胞が赤く腫れ、砂状のものが出来、渋痛・掻痒・流涙する。
【漢方薬】
■桃核承気湯


痄腮(さくさい)
=流行性耳下腺炎。


錯乱(さくらん)
=錯乱状態。
【音楽療法】
エオリア調の旋法(センポウ、旋律を形作る音階)
【漢方薬】 
■三黄瀉心湯


酒が嫌いになる
=嫌酒
【民間療法】
・オナモミ


酒の飲み過ぎで病気
=(酒飲み)
【漢方療法】   
<1>飲酒過多で病気:[葛花解醒湯][酒蒸黄連丸][百盃丸][対金飲子][解酒化毒散][葛黄丸][升麻葛根湯]

<2>飲み過ぎて頭痛・嘔吐・眩暈:[補中益気湯-白朮半夏・白芍薬・黄芩・黄柏・乾葛・川芎]、[対金飲子+乾葛・赤茯苓・半夏各1銭]

<3>酒を飲んだ後、風にあたって熱が出、頭痛:[防風通聖散+黄連2銭、蓮鬚葱白10根]

<4>酒後のかわき:[五豆湯]

<5>泥酔して房事を行って病になる:[人参散]

<6>蓄血で胃口が痛む:[大調中湯][八物湯+縮砂]

 

[益脾丸](酒を飲んでも酔わないようにする)
[葛黄丸](過飲による熱・吐衂血で、死にそう)
[葛花解醒湯](飲酒過多で病になり、嘔吐・手足がふるえ、精神朦朧・食欲減退)
[葛花散](酒を飲んでも酔わないようにする)
[解酒化毒散](酒に傷つき発熱、小便が赤く渋い)
[五豆湯](酒後のかわき)
[三豆解醒湯](酒による頭痛・嘔吐を治す。酔わないようにする)
[酔郷宝屑](酒を飲んでも酔わないようにする)
[酒蒸黄連丸](過飲による腸胃の熱、吐血・下血)
[小調中湯](吐き気・おくび)
[升麻葛根湯](過飲による膈の熱、口瘡・咽喉痛)
[神仙不酔丹]
[対金飲子](酒食にあたったのを治し、胃を和らげ、痰を消す)
[大調中湯](蓄血で胃口が痛む)
[人参散](泥酔して房事を行い病気。酒に酔うと平静さを失う)
[八物湯加縮砂](蓄血で胃口が痛む)
[百盃丸](酒が胸膈に停滞し、顔色が黄色く、日ごとに痩せてくる)
[平胃散](飲み過ぎで下痢)
[防風通聖散加黄連2銭、蓮鬚葱白10根](酒飲後に、風に当たって頭痛)
[補中益気湯去白朮、加半夏・白芍薬・黄芩・乾葛・川芎](飲み過ぎて頭痛・嘔吐・眩暈)
[万盃不酔丹]
[竜脳湯](酔を醒まし、飲食を消化させる)

■酒で
「酒の飲み過ぎで体をこわしたり、酒乱で家族や他人に暴力を振るうなど、「酒害」の実態をつかみため、国立療養所久里浜病院の樋口進・臨床研究部長を主任とする厚生労働省の研究班が7/30日までに、初の全国調査に乗り出した。
「百薬の長」のイメージの陰で、長引く不況を背景にアルコール依存症の増加が懸念され、飲酒運転、イッキ飲みによる急死なども深刻化している。厚労省は健康増進計画「健康日本21」で節度ある飲酒の普及を掲げており、調査結果を参考に寛大な“酔っぱらい天国”返上を目指す。
「米国では10人に4人が酒で不快な経験をしたことがあるという研究報告があり、日本でも影響は深刻なハズ。飲酒運転を繰り返す人はアルコール依存症の可能性が高く、刑事罰だけでなく教育・治療が必要だが、日本ではまだ対策が不十分だ」と樋口先生は語る。2003.7.30《日本経済新聞》







 酒に弱くなった
(参照→「カンジダ」)
■酒の強さは脳次第?
「酒に強いか弱いかを左右する脳の遺伝子を日本の研究グループが見つけ、24日発行の米科学誌サイエンスに発表した。
発見したのは理化学研究所脳科学総合センターの宮川剛研究員と岡崎国立共同研究機構・生理学研究所の八木健助教授らで、酒への感受性を半価させつ脳の遺伝子としては3つ目。「酒の強さ」には、アルコールを分解する酵素が関係している事が分かっているが、脳の中枢神経も拘わっている事が更に裏付けられた。
この遺伝子は[fyn]と呼ばれ、恐怖感を弱める事が知られている。研究グループはこの遺伝子を欠損させたマウスを作り、行動を調べた。マウスを仰向けにすると、通常は1秒以内にひっくり返って4本の足でたった状態に戻る。だが、体重1kg当たり3.5gと、泥酔状態になる量のアルコールを注射したマウスでは、戻るのに40分ほどかかり、この遺伝子を欠損させたマウスは80分と、2倍の時間がかかった。
宮川研究員は、「アルコールを分解する酵素や、脳で働く様々な遺伝子の作用が総合して、酒への感受性は決まる。この遺伝子は其の1つだ。ヒトにも同じ遺伝子があり、酒への強さに関係していると思う」と話している。    1997.10.24《日本経済新聞》


嗄声(させい)hoarseness
=しわがれ声、かすれ声、がらがら声、濁った声、力んだような不自然な声、弱々しい声などの音声になる状態。
◎嗄声を引き起こす疾患:
甲状腺腫
喉頭炎(急・慢性)
喉頭の結核・梅毒・ガン
ジフテリア
縦隔腫瘍
食道ガン
声門水腫
大動脈瘤
ヒステリー
  

【漢方薬】(嗄声)
■甘草湯(炎症<軽>、ケイレン性)
■甘草瀉心湯
・神経衰弱、ヒステリーなどによる嗄声で胃腸障害があって心下痞硬、精神不安などを訴える(漢方診療医典)
■桔梗解毒湯
・梅毒による失声に(漢方診療医典)
■桔梗湯(咳嗽、喀痰、舌苔微黄)
■響声破笛丸
・演説や歌を唄うことで嗄声を起こした
■駆風解毒湯
■滋陰降火湯
・結核による咽痛、失声で乾咳が甚だしく、皮膚浅黒く乾燥し、便秘の傾向のあるもの(漢方診療医典)
■辛夷清肺湯
■清肺湯
■麦門冬湯
・咳嗽が激しく続いて嗄声をきたし、甚だしいときは失声し、喉内に灼熱感や乾燥感などあるものに桔梗・紫苑・玄參各3.0g(漢方診療医典)
■半夏苦酒湯
・喉頭結核で咽痛が激しく、嗄声する者に用いる。炎症があって潰瘍に近い状態のときに(漢方診療医典)
■半夏厚朴湯
・気管支炎で含嗽が続き、その後で嗄声を来したり、失声を起こした者。あるいはヒステリー、神経衰弱に現れた失声にもちいてよいことがある(漢方診療医典)
■百合個金湯
・喉頭結核その他の場合で、喉痛と嗄声に用いられる(漢方診療医典)




座骨神経痛 sciatica
⇒座骨神経の支配域に放散する神経痛。座骨神経は骨盤から始まり、いくつかの脊髄神経に枝分かれします。そして仙腸関節の下から臀部へ、股関節のうしろへ延び、ももを下って膝のところで2分岐して、ふくらはぎから足へと下りていきます。疼痛は大腿部の後面から下腿足部に放散する。
◎片側が連続的に痛む。
◎原因:デザインの悪い椅子に座る
   ・すわった姿勢が悪かった
    ・ズボンの尻に財布を入れたこと
   ・糖尿病
   ・アルコール中毒
   ・外傷
   ・打撲
   ・脊髄疾患
   ・動脈硬化症
   ・婦人科疾患
【芳香療法】
    <1>痛みがひどい---カミルレ・ダランダーで冷湿布
【色彩療法】
    <1>青緑色
    <2>藍色
【漢方療法】(坐骨神経痛)
■烏頭桂枝湯
■烏豆湯
■烏頭湯
■黄蓍建中湯
■葛根加朮附湯
■葛根湯
■甘草附子湯
■芎帰膠艾湯
■羗活勝湿湯
■九味羗活湯
■桂枝加黄蓍湯
■桂枝加朮附湯
■桂枝加竜骨牡蠣湯
■桂枝茯苓丸
■桂芍知母湯
■桂麻各半湯
■痺湯
■五積散
■牛車腎気丸
■芍薬甘草湯
■朮附湯
■小建中湯
■身痛逐瘀湯
■疎経活血湯
■大烏頭煎
■大黄附子湯
■大柴胡湯
■大防風湯
■桃核承気湯
■当帰建中湯
■当帰四逆湯
■当帰四逆加呉茱萸生姜湯
■当帰芍薬散
■独活寄生湯
■人参湯
■八味地黄丸
■防已黄蓍湯
■防風通聖散
■礬石湯
■麻黄湯
■麻黄加朮湯
■麻杏薏甘湯
■苓姜朮甘湯
■六味丸



挫傷bruises
  【芳香療法】
<1>初期:ヒソップ・フェンエル・ラベンダーを冷湿布
<2>後期:ローズマリーでマッサージ
     ブラックペパー・カミルレ・ラベンダー

 

挫閃(ざせん)
   =挫傷と閃傷を一つにした名称。
◎挫傷とは、体表に鈍器の直接の打撲を受けて肌肉などの軟部組織に損傷をもたらしたもの。
◎閃傷とは、躰幹を突然旋回したり屈伸したりして筋膜・靱帯・腱などが急激に引っ張られることによって生ずる損傷をいう。
  【漢方薬】
■当帰鬚散《医学入門》



 痤瘡(ざそう) acne
⇒普通は、「にきび」=尋常性痤瘡のことをいう。
◎毛嚢に一致した脂腺単位の炎症性丘疹。
  【漢方薬】
■加味逍遥散
■桃核承気湯
■当帰芍薬散
  

【芳香療法】
ラベンダー(鎮静作用、治癒作用)
ベルガモット(収斂作用、抗鬱作用)
ゼラニウム(皮脂の分泌のバランスをとる。リンパ系を刺激し毒素を除く)
ローズマリ(リンパ系を刺激し毒素を除く)

 

撮口(さっこう)
⇒臍風三症の一つ。別名:「撮風」「唇緊」。
口唇を堅く閉じ、魚の口のようにつぐむのを特徴とする。さらに舌がこわばり、唇青く、痰涎が口にあふれ、呼吸促迫し、啼き声が出にくく、身熱面黄などの症状を伴う。これは小児が胎中において熱を受けたり、母の邪熱が伝染したり、入浴の際に風に当たったりすることにより起こる。
  【漢方薬】
■宣風散・・・・・・(臍風と撮口で夜泣き、乳が吸えない症)
■調気益黄散・・・・(噤口・撮口・臍風の三症を治す)

 

産育
  【漢方薬】
■加味芎帰湯《万病回春》
■芎帰湯《和剤局方》
■牛膝散《婦人大全良方》
■牛膝湯《医学入門》
■五積散《三因極一病証方論》
■催生飲《万病回春》
■催生湯《万病回春》
■三合済世湯《寿世保元》
■失笑散《婦人大全良方》
■十全大補湯《万病回春》
■脱衣散《万病回春》
■奪命丹《婦人大全良方》
■平胃散《婦人大全良方》
■補中益気湯《万病回春》
■無憂散《婦人大全良方》
■来甦散《医学入門》


 

産後
  【漢方薬】
■芎帰調血飲《万病回春》
■芎帰湯《和剤局方》
■四物湯《寿世保元》
■十全大補湯《婦人大全良方》
■増減柴胡湯《証治準縄》
■独参湯《済世全書》
■補虚湯《医学入門》
■補中益気湯《婦人大全良方》
■六君子湯《万病回春》


産後の瘀血
  【漢方薬】
■芎帰調血飲
■疎経活血湯(産後の血栓性疼痛

 

産後の悪露が止まらない
◎主薬:産後の悪露行らざるには、益母草を主薬とすべし《万病回春》
  【漢方薬】
■芎帰膠艾湯

 

産後の悪露滞留
=「産後の悪露残留」
  【漢方薬】
■芎帰調血飲
■桂枝茯苓丸
■生化湯
■失笑散
■通導散
■桃核承気湯
■排膿散及湯

 

産後の血脚気
⇒産後の起こる下肢の運動麻痺。
  【漢方薬】
■加味四物湯
■亀板湯
■四物湯
■ 十味挫散
■疎経活血湯
■大防風湯
■独活寄生湯
■補陰湯


産後の脚弱
  【漢方薬】
■四物湯

 

産後の虚労
=産後の衰弱
⇒産後で疲れやすく・消化不良・咳嗽・悪寒・頭痛・めまい・口渇・盗汗などの症状がでてくる。
◎主薬:産後の虚熱には、炒黒の乾姜を主薬とすべし《万病回春》
  【漢方薬】
■芎帰調血飲
■十全大補湯
■大防風湯
■当帰建中湯
■人参養栄湯
■白薇湯
■補虚湯

 

産後の痙病
◎産後の発痙:
・実症:荊桃承気湯
・虚症:烏荊円《和剤局方》

 

産後の下痢
◎産後の下痢:《勿誤薬室方函口訣》
<1>心下に水結ありて雷鳴下痢し、口中赤爛して飲食進まず、《医宗金鑑》のいわゆる糜瀉なり。「甘草瀉心湯」に宜し。
<2>腹中虚寒、飲食すること能はず、食後たちまち腹痛刺すが如くにして暴泄する者、「調中湯」なり。
<3>腰以下有水気者:「真武湯良姜」
<4>腸胃間に熱ありて水瀉止まざる者:「四苓散車前子」
  【漢方薬】
■甘草瀉心湯
■桂枝湯
■建中湯
■ 四苓散+車前子
■四物湯
■真武湯+良姜
■調中湯
■白頭翁加甘草阿膠湯《金匱要略》



産後の口内炎
☆産前後、口舌赤爛し惞痛する者:
<1>実証:「麦門冬湯石膏」「三黄石膏湯」
<2>虚実の間:加味逍遥散
<3>虚証:「附子湯当帰」《先哲医話》



産後の後陣痛
  【漢方薬】
■四物湯(貧血、皮膚枯燥、動悸<上>、神経症状、腹部軟弱、脈沈弱)
■六君子湯

 

産後の子宮不全
  【漢方薬】
■芎帰膠艾湯(収縮不全による出血)
■補中益気湯(回復が不十分)

 
産後の出血
  【漢方薬】
■芎帰膠艾湯
■四物湯
■桃核承気湯

   ◎貫衆(子宮収縮により止血)
   ◎田七
   ◎馬歯哯
   ◎益母草

産後の諸病
◎産後の水気:

■桂枝茯苓丸+茅根+車前子
■琥珀湯《山脇方函》
  

【漢方薬】
■芎帰調血飲(産後の調整に)

■五積散(産後の消化不良・食欲不振)
■四君子湯(産後の浮腫) 
■四物湯(産後の頭痛
■十全大補湯(産後脚気、産後の閉経)
■女神散(産前産後の通治
■麦門冬湯(産後の喘息

【民間療法】(産後の手当)
<1>オミナエシ。
<2>キリ。
<3>クマツズラ。
<4>コウホネ。
<5>トウキ。
<6>ニシキギ。
<7>ハコベ。
<8>イナゴ・イノコズチ・ウマ・カギカズラ・カボチャ・ガマ・カマキリ・クロマメ・コイ・サル・シカ・シオン・セキショウ・センブリ・ナスビ・ボタン・ミカン・メハジキ・モモ・ワレモコウ。
  

【臨床例】
☆産後の水腫
「京師、御幸街の賈人(あきんど)、菱屋五郎兵衛の妻、年三十ばかり。分身の後、通身洪腫し、腫已ゆるときは腰脚、委して起居すること能わず。
而して陰中に二骨ありて突出し、左右相支う。百治すれども収まらず。遂に蓐を去らざるは凡そ七歳。《吉益東洞》先生の名を聞きて診治を求む。
心下痞し、臍の傍に塊あり、大いさ覆杯の如く、その脊骨戻曲し、右腰眼上に挑するもの寸許り。消石大圓を為(つく)りて之を飲ましむること十餘日。陰中大いに臭穢を下すこと三日ばかり。痞去り塊解す。是において脊骨は故に復す。突出せる骨は忽ち亦没失す。則ち能く起居す」《建珠録》

 

産後の神経症
【漢方薬】
■芎帰調血飲
■桃核承気湯
■女神散
■八珍湯

 

産後の衰弱
【漢方薬】
■芎帰膠艾湯
■十全大補湯

 

産後の胎盤残留
【漢方薬】
■血府逐瘀湯
■桃核承気湯



産後の脱肛
【漢方薬】
■四物湯
■補中益気湯

    
産後の発熱
【漢方薬】
■加減湯
■五積散(産後の感冒のよる発熱)

   ◎知母

 

産後の肥立ち
【漢方薬】
■芎帰調血飲
■芎帰調血飲第一加減
■当帰芍薬加附子湯(冷え症、月経痛、体力低下、更年期障害、頭重、めまい、冷えが強い)

●キリの実~煎服。
●すっぽん

 

産後の腹痛
【漢方薬】
■生化湯
■当帰建中湯

【民間療法】
<1>オオバコ。
<2>ニシキギ[衛矛]~果実5~10g煎服。又は枝葉10~15g煎服。

 

産後の便秘
【漢方薬】
■加味逍遥散
■潤腸丸
■潤腸湯

産褥熱(さんじょくねつ) 
  puerperal
⇒分娩又は産褥期に、各種の細菌が性器内感染をおこす創傷熱をいう。
分娩10日前後に、38℃以上の発熱が2日間以上つづいたもの。

◎種類:

①主として連鎖球菌感染による敗血症。
②腐敗菌感染によって生じた毒素による中毒症。
  

【漢方療法】(産褥熱)
◎産褥には、とかく地黄剤の証が多く出るものである。産褥熱、腎盂炎、肺結核などで体温が高くて、口舌がひどく乾燥し、手足に煩熱の状があれば、三物黄芩湯、小柴胡湯加地黄、炙甘草湯などの地黄剤の証でないかよく診察するがよい。《大塚敬節》
  

【漢方薬】(産褥熱)    
■芎帰調血飲
■柴胡桂枝乾姜湯
■三物黄芩湯
■炙甘草湯
■小柴胡湯
■小柴胡湯+四物湯
■大黄牡丹皮湯
■竹皮大丸
■当帰芍薬散



三叉神経痛 
trigeminal neuralgia
(参照→「特発性三叉神経痛」)
=「疼痛性チック」
⇒三叉神経(眼神経・上顎神経・下顎神経に別れ、顔面の皮膚感覚と咀嚼筋を支配する)の疼痛。
    (参照→片頭痛)
「40歳以後の女性に多い。好発部位は三叉神経第Ⅱおよび第Ⅲ枝の領域である。発作性に起こる変側性の激しい顔面痛で、誘発部位を有し、食事・談話・洗顔・騒音などにより増悪する。前駆症状として発作直前に患部のカユミ・違和感を自覚することがある。」
◎症状:(三叉神経痛)
・顔面の片側に
・刃物で刺されるような激しい痛みが、発作的に起きる。
・痛みは、数秒~数分でいったん消えるが、何度も繰り返す。
   

◎原因:(三叉神経痛)

・かぜ
・インフルエンザ
・耳鼻歯科の疾患
・糖尿病
・内分泌疾患
・中毒
・外傷
・原因不明----特発性三叉神経痛


■痛みの原因、MRIで確認
「39歳、女性。昨春より化の左側に痛みを感じるようになり、三叉神経痛と言われました。薬を飲んでいますが、痛いのはあまり変わりません。薬をずっと飲み続けるのはイヤだし、化の痛みなので精神的にも参っています。根本的に痛みを取るための手術を受けたいのですが、大丈夫でしょうか>
●手術で痛みが消えますか?
手術は根本的な治療法です。その前に、痛みの原因を突き止めなければなりません。三叉神経は脳神経の1つで、顔面の感覚と運動を司っています。一般的に、三叉神経痛の90%は、脳幹へ入る三叉神経の根っこの部分に動脈がくっついて圧迫しているのが原因です。残りは脳腫瘍などの別の病気によるものです。
●診断は難しいのですか?
いまでは磁気共鳴断層撮影(MRI)で神経と血管を両方写すことが出来るので、圧迫を確認できます。脳腫瘍も専門医がMRIで調べれば、まず見逃すことはありません。
●血管の圧迫を取り除く手術方法を教えてください?
耳の後ろに直径2cmほどの穴を開け、手術用の顕微鏡で脳の奥を覗きながら、三叉神経と血管を離します。離した血管は、再び神経を圧迫しないように綿に引っかけて小脳と大脳の境の膜にくっつけたり、縫いつけたりします。
●むつかしそうですね?
血管が神経を圧迫している場所は7cmほどの深さにあります。小脳を少しずらして、頭骸骨との間に幅1cmほどの隙間を作り、頭にあけた穴から微細な神経や血管を扱うのでかなりの熟練を要し、平均2時間ぐらいかかります。数日の入院が必要ですが、翌日から普通に生活できます。
●効果とリスクは?
ほとんど場合、麻酔から覚めるとウソのように痛みが消えています。傷口さえふさがれば、通院の必要もありません。頭の手術なので、耳が聞こえなくなったり、フラフラしたりする後遺症も考えられますが、経験豊富な病院だとリスクもほとんどありません。
●手術の成功率は?
熟練の度合いで異なります。医師に実績を聞いてください。頭の手術ですから。私(田草川豊・三井記念病院脳神経外科部長)は、顔面ケイレンを会わせて年間200件近く手術をしています。成功率は約90%で、残りは手術はうまく言ったのですが、痛みが再発するケースです。
●他の治療法は?
大きく分けて、抗テンカン剤(カルマバゼピン)による薬物療法と、神経をマヒさせて痛みを消す神経ブロックがあります。どちらも根治療法ではなく、副作用のリスクもありますが、この薬は初期には特によく効き、神経ブロックも1年ぐらいは痛みを抑えられます。
●他の病気の可能性は?
目や耳・歯の病気でも、同様の痛みが起こります2000.3.26《朝日新聞》

◎診断の要点
  三叉神経痛には、臨床上や病理学上の徴候が無いので、痛みの物理的原因を探し出す必要があります。以下の疾患との鑑別が必要。
<1>腫瘍
<2>脳幹部の血管障害
<3>多発性硬化症=若い女性に多い。
<4>橋の病変=感覚運動マヒが生じることが多い。
<5>延髄病変=角膜反射消失と温痛覚消失を起こす。
<6>ヘルペスの疼痛=眼神経に好発し、痛みの後で、典型的は発疹が出る場         合が多い。
<7>片頭痛=検査結果は正常だが、燃えるような疼痛が、長引く。
<8>シェーグラン症候群
<9>慢性関節リウマチ
  

【漢方薬】(三叉神経痛)
■桂枝加葛根湯    
■五苓散
■小柴胡湯葛根湯《大塚敬節》
■清上蠲痛湯
■麻黄細辛附子湯

【西洋医学】(三叉神経痛)
(1)Tegretol 200~ 800mg。 分2~4。少量より始め、効果を見ながら増量する。
(2)Rivotril 2~ 6mg。 分2~3。少量より始め、効果を見ながら増量する。
(3)Aleviatin 200~300mg。 分3。
(4)Bufferin 4T。 分2。



 三尖弁閉鎖不全
◎三尖弁tricuspid valveは右房室弁で、4つある心臓の弁の1つ。




山嵐瘴気
⇒体内に積聚が出来て円盤のようになり、心腹が痛み、悪化すると死亡する。
  【漢方薬】
■正気天香湯
■神仙九気湯


残尿感
  【漢方薬】
■加味逍遥散
■五淋散
■逍遥散
■清心蓮子飲
■腸癰湯
■猪苓湯
■猪苓湯合四物湯
■八正散
■補中益気湯(疲労、酒淋
■竜胆瀉肝湯(小便黄赤、小便淋濁、目が充血、)
■六味丸


霰粒種(さんりゅうしゅ)
■切開
「ソフトコンタクトを使っているAさん。数日前より右の上まぶたが重く感じ、鏡で見ると少し腫れている。眼科を受診したところ、麦粒種と言われ、目薬を処方された。1週間、点眼したが、いっこうに良くならないので、総合病院で検査を受けた。検査の結果、霰粒種と診断された。霰粒種は、涙に脂分を供給するマイボーム腺にできる慢性的な肉芽腫性のはれもので、良性ではあるが、目薬の効きが悪く、大きくなると切開して排膿する必要がある。」