薬物<も>

【薬物名も】 

モクズガニ

○産地:兵庫県西脇市 そのまま全部を細かく刻み、生姜・サンショウで味付けし、つなぎを入れて団子にして醤油味で煮る(カニ団子)   

 

モグラ  

=「むぐら」   

◎ヨーロッパモグラ(european mole)は唾液に毒が入っていて、咬んでミミズを麻 痺させ食料として貯蔵する。  

【効能・効果】     

○陰蝕爛瘡:        

*「焼末して米飲で2銭調下する。」     

○かぜ:         

*肉を焼き作末し飲む。or黒焼きし作末して飲む。     

○切り傷:         

*黒焼き末を塗布。     

○解熱:

*黒焼き(土龍霜)         

*肉を焼き作末し飲む。or黒焼きし作末して飲む。     

○子宮の病気:

*黒焼き(土龍霜)         

*肉を焼き作末し飲む。or黒焼きし作末して飲む。     

○痔:         

*黒焼き末をゴマ油で練って塗布する。     

○痔瘻:        

*「焼末して米飲で2銭調下する。」     

○出血:《津田玄仙》の推奨。

生きたむぐらの腸を去り、腹に紅花をいっぱいに硬く詰め込んで、それを黒焼きにする。軽い出血なら、これを瘡口につけるだけでよい、大きな瘡口だと、この薬を2摘み、舌の上に置くとたちまち出血が止まって、傷が治ることが速い。また吐血・衂血など、その他の出血には、内服して効がある。《大塚敬節》     

○心臓病:         

*肉を焼き作末し飲む。or黒焼きし作末して飲む。     

○喘息:        

*「モグラの黒焼き末天花粉」同量混ぜて飲む(著効)。         

*肉を焼き作末し飲む。or黒焼きし作末して飲む。     

○疔癰:        

*「モグラ黒焼き末山梔子末」酢の煎汁で練って塗布する。     

○吐血:         

*肉を焼き作末し飲む。or黒焼きし作末して飲む。     

○鼻血:         

*肉を焼き作末し飲む。or黒焼きし作末して飲む。     

○腫れ物:         

*肉を焼き作末し飲む。or黒焼きし作末して飲む。     

○百日咳:

*黒焼き(土龍霜)         

*肉を焼き作末し飲む。or黒焼きし作末して飲む。     

○冷え症:

*黒焼き(土龍霜)         

*肉を焼き作末し飲む。or黒焼きし作末して飲む。     

○瘭疽:         

*黒焼き末をゴマ油で練って塗布する。     

○扁桃炎:            

*黒焼き末をノドに吹き込む。     

○盲腸:         

*肉を焼き作末し飲む。or黒焼きし作末して飲む。     

○淋病:         

*肉を焼き作末し飲む。or黒焼きし作末して飲む。  

 

 

 

モスアゲート MOSS AGETES   

=苔めのう。

⇒内部に植物が入っているように見える石。   

モスアゲート(赤・緑):      

ファーンアゲート       

ツリーアゲート(白・緑)   

◎応用:解毒。       

どのような原因に対しても浄化の役を果たしてくれます。あなただけでなく、あなたの周囲も清めます。   

◎(D・L・メラ)      

緑色:血を解毒する      

赤色:血を清める         

体に余分なストレスを起こしているときに、運動を助ける。  

 

モズ【百舌鳥】  

【効能・効果】     

○小児の話せないとき使う。  

 

モズク   

■O-257抗菌性    

「水産物加工販売の「海産物のきむらや」(鳥取県境港市)は、島根大学と共同研究でモズクに病原性大腸菌O-257に対する抗菌作用があることを発見、特許庁に特許を申請した。 発見したのは、同社の矢倉美代開発研究室研究員と島根大学の松田英幸生物資源科学部教授。研究実験は3月に島根大学実験室で実施。同社の製品である、三杯酢で調味した味付け沖縄モズク、味付け糸モズク、味付けメカブを使い、人間の体温に近い37℃と食品の冷蔵温度である20℃でO-257を大量混入、生理食塩水や大腸菌の培養に使うM9最小培地との比較実験をした。その結果、     

<イ>37℃では、O-257がM9最小培地で増殖、生理食塩水では菌数がほぼ変わらなかったのに対し、モズクやメカブでは2g当たり200万個の菌が24時間後には検出されなかった。 

<ロ>20℃では、O-257は、M9最小培地で増殖、生理食塩水でもわずかに増殖していたが、味付けモズクは2g当たり72万個の菌が5日後に検出されなくなり、味付けメカブも93万個が8日後に検出されなくなった。味付け沖縄モスクの場合は79万個が9日後に60個に激減した。 調味液の三杯酢そのものの抗菌作用も実験したが、モズクやメカブほど強い抗菌作用は見られなかった。  

◎モズクにはかねて整腸作用があることが知られており、    

◎2年前にはヤクルト本社がモズクの成分に胃潰瘍の治療効果があることを確認。2997.5.29《日経産業新聞》   

■沖縄 「全国生産のほぼ全量を占める沖縄県。向かったのは那覇市から来るまで北へ約時間の本部町。有数の木防已湯好きの養殖地で、4月から始まった収穫は最盛期を迎えていた。朝6時過ぎ、地元の漁師、天久勝治さん(47)、晴樹さん(40)兄弟の船で出発した。「モズクは長時間、直射日光や雨にさらされると変色してしまう非常に繊細な海藻で、収穫にも気を遣う」と勝治さん。15分ほどで養殖地に到着。深さ2.5mの海底には、モズクが根付いた網が一面に広がっていた。収穫は2人の共同作業だ。1人が虫からモズクをホースで吸い上げ、もう1人が船上で、海藻や小魚などを除きながら、70kg入りのかごにためていく。晴樹さんが海に潜ってまもなく、1本20~30cmの長さのモズクが、海水とともに勢いよくホースから出てきた。濃いアメ色をしている。早速、取れたてを1~2本、口の中に放り込んでみた。プルプルと弾力がある、シャキシャキした小気味よい食感。勝治さんは「今年は年初の日照り不足で、生育状況が良くない」と顔を曇らせる。  収穫作業が終わると、午前11時を回っていた。モズクがどっさり詰まったかごを、そのまま船で加工場へ運ぶ。機械で一気に荒い、塩漬け。貯蔵タンクで4~5日寝かせた後、全国へ出荷される。沖縄で養殖技術が確立され大量に生産されるようになったのは、ここ20年ほど。当初、年間1000トンだった県内生産量は、今年には17000トンに膨らむ見通し。 琉球大学の諸木田茂充教授によれば、沖縄のモズクは太さが1.5~3.5mmと他地域より太い。胞子や網が石に着生しやすく、洋食に適しているという。 モズクの栄養特性はここ10年で徐々に実証されてきた。最大の特徴は、表面のぬめり成分にフコダインという水溶性の食物繊維を豊富に含んでいる点。2003.5.31《日本経済新聞》

■かき揚げ 沖縄ではモズクとタマネギなどを一緒に掻き揚げにする

■種子 「2010年、バイオ企業のサウスプロダクトと大阪市立大の橋本秀樹教授の研究チームは、沖縄産モズクの有効成分機能の共同研究を始めた。 培養したモズクの種から光合成に重要な役割を果たしているタンパク質を周出精製、太陽光を効率よくエネルギーに変換する構造を解析する。 このタンパク質はFCPと呼ばれるもので、フコキサンチンやクロロフィルという色素などで構成され、コンブやワカメなど褐藻類に含まれている。FCPは光合成の基幹成分だが、高純度のFCPの抽出精製が難しく、含有量が少ないことから研究がされてこなかった。 橋本教授の研究チームはモズクの種子から高純度のFCPの抽出精製技術をこのほど確立し、各色素の配置や機能などFCPの構造解析を始めた。太陽光を効率よくエネルギーに変換する仕組みを3年以内に明らかにし、FCPを太陽電池材料など新エネルギーに応用していくことを目指す。」  モズクガニ(→津蟹)  もち米 保存には、密封容器にわさびを入れておくとカビない。  

 

モッコク   

=「厚皮香」   

⇒葉・樹皮を採集し乾燥する。  

【効能・効果】     

○黄疸:        

*葉を10~15g/日煎服する(著効)。     

○肝臓病:        

*葉を10~15g/日煎服する(著効)。     

○心臓病:        

*樹皮を作末し飲む。     

○腎臓病:        

*葉を10~15g/日煎服する。     

○虫垂炎:        

*葉を10~15g/日煎服する。     

○浮腫:        

*葉を10~15g/日煎服する。     

○肋膜炎:        

*葉を10~15g/日煎服する。

 

もも(桃)

■熟れすぎを防ぐ薬剤

2017/01/26 横浜市立大学の嶋田幸久教授らは、農業・食品産業技術総合研究機構などと共同で、果実が熟れすぎて柔らかくなるのを抑える薬剤を開発した。 エチレンは植物ホルモンの一種で、植物の成熟を促す働きがある。 野菜や果実をリンゴと一緒に冷蔵庫で保存すると腐りやすいのは、リンゴから発生するエチレンが影響している。 研究グループは植物の成長を促す「オーキシン」と呼ぶホルモンに注目した。 オーキシンはエチレンの合成を促す働きもある。 研究グループはオーキシンが植物の中でできるのを抑える「AOPP」という物質を見つけており、その物質の分子構造を少し変えることで機能を高めた。 植物の体内でオーキシンは元となる原料が酵素の働きで変化してできる。原料と酵素を用意して開発した薬剤を混ぜてみたところ、オーキシンの合成量は何もしない状態の2割に抑えられた。 成熟してから収穫するため傷つきやすいモモの果実で試した。 臭覚の翌日に薬剤を噴霧し、3日後に調べたところ、桃が柔らかくなりすぎるのを抑えていた。 オーキシンはエチレン以外にも老化を進める物質の合成も促す。  

 

もやし   

○特有のにおいを消す・・・水から入れてゆでる。   

○ヒゲ根を去ると、「銀目」となり高級素材になる。  

 

モリアオガエル

○日本の固有種で本州の山地に広く生息している。産卵期は5~7月頃。池の畔に生えている木の枝にメス1匹とオス4~5匹がしがみつき、卵子と精子を含んだ年生の高い透明の液体を足でかき混ぜてアワを作り出す。約10cmのスポンジ状の丸い塊を作る。 精子は頭部がコルク抜きに似た形。尾が横方向に伸びている。 京都大学の久保田洋・准教授らのチームは、コルク抜きのような形をした精子が、尾の部分を巻いたりほどいたりして頭部を回転させながら進んでいることを発見。精子は1秒間に約4μm前進し、その間に頭部が3回転していた。さらに、粘性が泡の中と同じ状態を人工的に作り、運動を詳しく調べた。その結果、頭部が反時計回りで開店する際に前進し、尾を巻き取る力で頭部を回転させていた。  

 

モルヒネ   

◎副作用:吐き気、便秘、ねむけ。   

◎モルヒネだけで鎮痛効果が無いときは、抗ウツ剤。  

鎮痛薬治療の長所と基本方針  

鎮痛薬投与は、痛みの訴えに対する最初の治療法であり、薬以外の治療法が効果を上げないときに再用いられる方法である。鎮痛薬の投与は、どの科の医者にとっても短期間で習熟でき、しかも高率に有効で、再発した痛みにも対応できる。その実施には多額の費用を必要としない。  

基本的には、鎮痛効果をいつも維持して痛みの再発を防止し、同時に薬の副作用を回避しなければならない。そのため以下の方針を守る。

1)なるべく簡便な経路で投与する。経口投与を基本とし、それが不可能なときには直腸内に投与し、それも不可能なときに、初めて注射をする。

2)投与量を個々患者の必要度にあわせて決める。除痛に至適な投与量とは、少なくとも5時間にわたり痛みを除去する量である。少量で投与を開始し、効果と副作用を観察しながら次第に増量する。

3)時間を決めて規則ただしく投与する。頓用方法とは痛みの訴えを待って投与する方法。痛みのない状態を維持する。

4)ある薬が効果不十分なら、効力が明確に強い薬に切り替わる。

5)モルヒネ投与の要否は、痛みの強さによって決める。予想される生存期間の長短で決めてはならない。

6)副作用を確実に防止する対策を併用する。

7)適応があるときには鎮痛補助薬(抗不安薬、抗うつ薬など)を併用する。

8)個々の処方はなるべく単純化する。2つ異常の薬を配合した処方では増量するときに、不必要成分まで増量され、副作用増加につながる。

 

3、モルヒネについて

「モルヒネ」はopioids の1つである。opioids は主として鎮痛薬として用いられているが、他の多くの薬理学的効果も併せ持っている。opioids は数種の密接に関連する受容体に作用し、三群の神経ペプチド(enkephalins、endorphins、dynorphins)の幾つかの性質を共通して持っている。

【opioids 受容体】 CNS においては、μ、κ、δと命名されている主要な3種類のopioids 受容体が存在している。さらにこれら受容体のそれぞれに2つの subtype が存在する。

鎮痛にはμ受容体(大部分は脊髄上部 )とκ受容体(主として脊髄内)の刺激が関与すると考えられている。

・「μ受容体」 モルヒネのμ受容体に対する親和性は、δおょびκ受容体に対する親和性の約10倍で、モルヒネおよび他のモルヒネ様アヘン類作動薬は主としてμ受容体との相互作用によって鎮痛作用を生じるとされている。その他、μ受容体刺激によって呼吸抑制、縮瞳、胃腸運動の減少および幸福感(多幸感)が生じる。

・μ1(高親和性):脊髄上部作用性の鎮痛効果に関与するとされる。

・μ2(低親和性):その他の作用の中で呼吸抑制や胃腸作用に関与するとされる。

・「κ受容体」 μ作動薬耐性の動物で減弱されない主として脊髄作用による鎮痛作用を生じる。縮瞳や呼吸抑制はμ作動薬によるものよりも弱い。κ作動薬は、多幸感でなく、不快な 精神異常感(見当識の喪失感や離人感)を起こす。

・「δ受容体」 血液‐脳関門を通過できる選択的作動薬がないので、人におけるδopioids 受容体の刺激効果は明らかでない。 μ、δおよびκ受容体は別個の分子構造体であるが、3つの型のopioids 受容体の全ては、いくつかの特徴を共通して持っている。これら全ての受容体は、CNS および筋層間神経叢の両者においてシナプス伝達を主として抑制的に制御することによってその機能を発揮する。受容体の存在部位は一様でないがしばしばシナプス上部神経末端に認められ、そこで作用して興奮性神経伝達物質の遊離を減少させる。

【薬理学的性質】 上記のように、モルヒネはμ受容体に作動薬として働き、CNS 及び腸管に対する主な作用を発現する。しかしまた、δ及びκ受容体に対しても多少の親和性を持つ。その効果は著しく多様性であり、鎮痛、傾眠、情緒変調、呼吸抑制、消化管運動減弱、吐気、嘔吐及び内分泌と自律神経系の変化が含まれる。 

《中枢神経系》 モルヒネ様薬物は、鎮痛、傾眠、情緒変調および精神混濁を発現する。

<1>鎮痛 (特徴)意識の消失なしに鎮痛作用が起こる。 鎮痛の作用は比較的選択的で、他の種類の感覚は鈍麻しない。 侵害受容性疼痛には有効であるが、神経障害性疼痛には通常効き難い。 (機序)いくつかのCNS 部位(脊髄および脊髄上部)において痛み刺激に対する反応を鈍らせる。  

<2>情緒変調 opioids 様ペプチドによって青斑の活性は抑制される。青斑はノルアドレナリン作動性ニューロンおよび高濃度のopioids 受容体の両方を含有し、警告、混乱、恐怖および不安の感情に重要な役割を演じているとされている。 ※opioids が多幸感、静穏および他の気分変化を起こす機序は完全には明らかにされていない。 

<3>体温 opioids は視床下部性温熱調節機構の平衡点を変化させ、体温は通常軽度に低下する。しかし長期間の大量投与では体温は上昇する。 

<4>内分泌 神経内分泌に及ぽす効果としては、モルヒネが視床下部に作用してGnRHおよびCRHの遊離を抑制し、LH、FSH、ACTH、βエンドルフィンの血中濃度を低下させる。血中のPRL およびGH 濃度は上昇する。これはおそらくこれらのホルモン分泌に対するドパミン・ョ抑制が減弱したことによる。 κ作動薬はADH の分泌を抑制し利尿を起こすが、μopioids 作動薬投与は、人において抗利尿効果を示す傾向がある。

《呼吸》 (作用)呼吸抑制。

・意識レベルの低下を起こさせるよりも少ない用量でも呼吸抑制が起こる。

・モルヒネ中毒で死ぬのはほとんどいつも呼吸停止によるものである。

・治療量のモルヒネは呼吸活性のすべての相(呼吸数、毎分呼吸量および1回呼吸量)を抑制し、そしてまた不規則な呼吸や周期性変動呼吸を起こす。 (機序)脳幹呼吸中枢のCO2に対する反応性を低下させることによる。 呼吸リズムを調節する橋および延髄中枢をも抑制。 ※高濃度のopioids 受容体が、延髄領域に発見されている。(μ2) 《悪心および嘔吐効果》 モルヒネ様薬物によって起こる悪心、嘔吐は不快な副作用であり、延髄の最後野にあるchemoreceptor trigger zone(CTZ)の直接刺激によって起こる。モルヒネ投与後でも決して嘔吐しない人もいるし、投与すればその都度嘔吐する人もある。   《心血管系》

(作用)

・仰臥位をとっている患者に治療量を投与しても血圧や心拍数および心律動に大きな影響はみられない。

・末梢血管の拡張、末梢血管抵抗の減少および圧受容体反射の抑制が起こる。 →仰臥位患者が頭高位をとると、起立性低血圧とか失神を起こす。 (機序)末梢動静脈の拡張にはいくつかの機序が関与していて、ヒスタミン遊離が時には低血圧に大きな役割を演じている。

《胃腸管》 作用は主として腸管のμおよびδopioids 受容体を介して発現する。 ・胃  (作用)・通常塩酸の分泌を減少させる。 ※しかし時として刺激症状が出現し、塩酸分泌を増強する。   

・比較的低用量のモルヒネは胃運動を滅少させる。 →胃内容排泄時間が延長する。(食道逆流の可能性の増加)

・胃前庭部および十二指腸上部の緊張も増加させる。

・小腸 (作用)・胆管、膵臓および腸管分泌を減少(小腸での食物の消化遅延)

・非駆出型の律動性分節性収縮の振幅は普通増加する。

・静止時の緊張は増大し、周期的な痙縮が起こる。   

・駆出型の収縮は著明に滅少する。 ※腸内容の通過が遅延するので水はより完全に吸収され腸管分泌は減少する。 →腸内容の粘稠度を増加させる。

・大腸 (作用)

・駆出性の蠕動波の減少あるいは消失。

・緊張は増強して痙縮に至る。 →内容物の通過は遅延し、便の脱水が起こり、便の前進が障害される。

・非駆出型の律動的収縮の振幅は通常強められる。

・肛門括約筋の緊張が増大し、直腸膨満に対する反射性弛緩反応が減弱する。

・胆道 (作用)

Oddi 括約筋を収縮。 →総胆管内圧が短時間のうちに10倍以上に上昇し、効果は2時間以上持続する。 ※モルヒネ投与患者にしばしぱ見られる血漿アミラーゼおよびリパーゼ値上昇の原因となる。

《皮膚》 (作用)皮下血管を拡張し、皮膚を紅潮させる。 (機序)一部はヒスタミン遊離による。 ※全身投与後、時にみられる発汗やある種の掻痒感はこのためである。 《瞳孔》 (作用)縮瞳。 ※縮瞳作用に対してある程度の耐性が生じるが、opioids の循環血液中濃度が高値である嗜癖者では縮瞳が持続している。 (機序)縮瞳は動眼神経核の自律神経部に対する興奮作用に由来する。

【耐性、身体依存および乱用傾向】 すべてのopioids 薬物は繰り返して用いることにより耐性と身体的依存が生じる。この薬物依存形成の可能性は、これら薬物を臨床的に使用するときの大きな制限の一つとなっている。 毎日の反復投与によって、治療効果に対するある程度の耐性が生じ、ある程度の身体依存も同じように生じてくる。その強さは、適用した医薬品の種類、適用頻度や用量で変わる。薬物依存に発展する危険は存在している。

【吸収、分布、運命および排泄】 (吸収) 一般的にopioids は胃腸管から容易に吸収される。モルヒネを含むほとんどのopioids では、非経腸的投与よりも経口投与のほうがその効果ははるかに弱い。しかし、もし肝における初回通過代謝やクリアランスの変動が補正されるならぱ、モルヒネの経口投与によっても十分な痛みの寛解を得ることが可能である。また静脈内投与するとその作用は速効性である.

(分布と運命) 治療濃度のモルヒネが血漿中に存在する時、その約1/3はタンパク質と結合している。モルヒネそれ自身が組織中に残存することはなく、最終投与の24時間後には組織含有量は非常に少量となる。モルヒネの主要な作用部位はCNS であるけれども、ごく少量のみがかなり遅い速度で血液‐脳関門を通過するにすぎない。 モルヒネ代謝の主な経路はグルクロン酸との抱合であり、活性および不活性の代謝物が産生される。 モルヒネ‐6‐グルクロニドはモルヒネより活性が強い。

(排泄) 未変化体で排泄されるモルヒネは非常に少なく、主としてモルヒネ‐3‐グルクロニドとして糸球体ろ過によって排泄される。全排泄量の90%は最初の日に排泄される。

【副作用と急性毒性について】 モルヒネおよび関連opioids は、呼吸抑制、悪心、嘔吐、めまい、精神昏迷、不快感、掻痒、便秘、 胆道内圧上昇、尿閉、および低血圧、まれにせん妄などの副作用をもつ。また、鎮痛作用喪失後、 痛みに対する感受性の亢進がある。 臨床的使用における投与量過多などによって起こり、opioids 中毒を強く示唆するものとして昏睡、 帽針頭大(ピンポイント)の瞳孔、呼吸抑制があげられる。

【モルヒネの臨床用途】 ・経口モルヒネの投与の実際 ・モルヒネ製剤(末、錠、水溶液)を用いる場合 投与開始量は5~10・/回、4時間ごと。ただし、他のオピオイド鎮痛薬、たとえばブプレノルフィン(レペタン)の継続投与が効果不十分な場合にモルヒネに切り替えるときには、ブプレノルフィンの1日投与量(・数)を100倍した値を6等分して、モルヒネ投与開始1回量(・数)とする。 投与を始めたら、鎮痛効果と副作用を観察して投与量を増減する。 ・投与の翌日、痛みが消えて眠気があれば50%減とする。 ・痛みが残っていれば増量する。もし軽度の眠気があれば減量せずに投与を続けると、数日で 眠気が消失するので、それから増量を試みる。 ・増量は、原則として10→l5→20→30→40→60→80・/回の順序で行う。増量のつど痛みが 軽減し、痛みが消失する投与量に達することができる。この量は、80%以上の患者で5`30・/回、ときに200・/回以上となる。3~4回の増量で全く効果がなければ、モルヒネが奏効しない痛みの可能性があるので、痛みの性状について再検討する。 ・便秘や嘔気などの副作用対策を行う。 ・1日に必要なモルヒネ量が求められたら、徐放錠に切り替えてもよい。 ・硫酸モルヒネ徐放錠(MSコンチン錠)を用いる場合 ・塩酸モルヒネ製剤を用いて上記のように1日分の必要投与量を求め、それを2分割してl2時間ごとの徐放錠投与に切り替えるのが一般的な使用法である。l2時間ごとより4時間ごとの投与の方が初期の投与量調整に時間がかからないためである。徐放錠を用いてモルヒネ投与を開始するには、投与開始量を10~20・/回としてl2時間ごとに投与し、塩酸モルヒネの時と同様に、20→30→40→60→80・/回と増量していく。少数の患者では、8時間ごとの方が12時間ごとより副作用が少ないことがあるが、4時間ごとや6時間ごとの投与は徐放錠の特性を活用した投与法ではない。

・徐放錠を噛んだり、割ったり、水に溶かしたりすると、徐放機構がなくなり、危険な副作用発生につながる。・塩酸モルヒネの場合と同じ副作用対策が必要である。

 

モロコシ(ソルガム)

■ゲノム解読 食料や飼料のほか、サトウ、アルコール、バイオ燃料の原料として幅広く利用されている主要穀物。 2009年1/29ネイチャーに米ジョージア大学などのチームがゲノムを解読したと発表。 モロコシはイネ科だが、トウモロコシとは別の属。アフリカ原産で干ばつに強い。  

 

モロヘイヤ   

⇒シナノキ科ツナソ属の2年草。

(和名:タイワンツナソ)    

アオイ科に属するエジプト原産の野菜。 種子には・・・・強心配糖体のオリトリサイドが含まれる。 家畜が種子が実ったモロヘイヤを食べて中毒死した。   

■エジプトの食卓に5000年    

「モロヘイヤは、エジプトを中心にした中東、アフリカ地域やフィリピンが主産地。エジプトでは「ムルヘーヤ」といい、もとは「ムルキ=王家」と「ヤ=もの」で、「王家の野菜」に。日本導入時に「王菜」という呼称もあった。日本でモロヘイヤの普及に努めた拓殖大学教授の飯森嘉助さん(59)によると、本格的に導入したのは1984年ごろだった。77年ごろ、エジプトから取り寄せたわずかな種を仲間内で育てたり、試食会を開いたりしていた。「カイロ留学時代に食べたモロヘイヤスープが忘れられなくて」それが、79年に大学に依頼した栄養分析結果が出て、「普及」の気運が高まった。「ホウレンソウを上回り、間違いじゃないかと、再分析してもらったほどの高栄養価だった。こらなら普及できる」  

モロヘイヤ ホウレンソウ エネルギー73kcal 25kcal タンパク質 3.6g 3.3g 脂質 0.6g 0.2g カルシウム 298mg 55mg 鉄 22mg 3.7mg カロチン 6400μg 5200μg ビタミンB2 - - 0.23mg ビタミンB2 - - 0.23mg ビタミンC 64mg 65mg もう一つのモロヘイヤ料理は「ベサーラ」といい、そら豆と乾燥品を使う。      1996.7.7《朝日新聞》」

 

モンシロチョウ   

■モンシロチョウにガン細胞殺す物質     

「モンシロチョウの体液に人間の胃ガン細胞を殺す物質が含まれていることを国立がんセンターの小山恒太郎博士らの研究班が確かめた。20日から横浜市で開かれる日本癌学会で発表する。研究班はアゲハなど27種類のチョウの仲間の体液を抽出し、人間の胃ガン細胞の一種のTMKー2という培養細胞に対する働きを調べた。   その結果、モンシロチョウのさなぎと成虫から得られた体液だけが、200万倍に薄めても、48時間、37度の環境でガン細胞の半数以上を殺す働きがあった。原因物質は分子量約25万のタンパク質らしい。  昆虫は抗菌性のタンパク質を分泌して異物の侵入から体を守る。今回見つかった物質は別の働きを持つとみられ、小山博士は精製を進める」2996.20.7《朝日新聞》  

 

もち米(餅米) ⇒でんぷんの一種「アミロース」の含有量がゼロ。  

 

もも(桃)   

⇒白花種のつぼみor未開花を採集し、乾燥させる。(古くなると効かなくなる)    

桃膠:桃の木よりしみ出る樹液・樹脂。  

【効能・効果】     

○あせも:        

葉の煎汁or葉の乾燥末を蜜で練って塗布。    

○黄疸と全身が金色になった者を治す。「根を使う。」     

○回虫駆除:生葉汁を飲む。     

○脚気:        

白桃花5~10g/日煎服or作末し1~2g/回飲む。  

○下腹部の痛み:桃仁を3~5g/日煎服。     

○下痢:桃膠を飲む(著効)。     

○月経困難:桃仁を3~5g/日煎服。     

○月経時の腰痛: 桃仁を3~5g/日煎服。     

○月経不順:桃仁を3~5g/日煎服。     

○口渇:桃膠を飲む(著効)。     

○三虫・尸虫を殺す。「葉の汁を絞って飲む。」 

○産前産後の疾患: 桃仁を3~5g/日煎服。    

○湿疹:葉の煎汁or葉の乾燥末を蜜で練って塗布。

○シミ:「白桃花・冬瓜仁」各等分を作末し、蜜で練って塗布する(著効)。     

○腎炎:白桃花5~10g/日煎服or作末し1~2g/回飲む。     

○腎臓病: 桃仁を3~5g/日煎服。     

○頭痛もち: 乾燥葉で枕をつくる。    

○積聚を散らす。「桃花萼を使う。」萼ガク=花の裏の付根で、蒂の上。     

○ソバカス:「白桃花・冬瓜仁」各等分を作末し、蜜で練って塗布する(著効)。葉の煎汁or葉の乾燥末を蜜で練って塗布。    

○血の道: 桃仁を3~5g/日煎服。     

○にきび:

葉の煎汁or葉の乾燥末を蜜で練って塗布。 

○肺病によい。     

○腫れ物: 白桃花5~10g/日煎服or作末し1~2g/回飲む。葉の煎汁or葉の乾燥末を蜜で練って塗布。(鼻中の腫れ物)     

○風項で突っ張って首が回らないとき。「葉を蒸して布袋に入れて、首に巻く。」     

○フケ:葉の煎汁or葉の乾燥末を蜜で練って塗布。

○便秘:白桃花5~10g/日煎服or作末し1~2g/回飲む。     

○天行病で汗の出ない症を治す。(桃葉)     

○尿利減少:桃膠を飲む(著効)。     

○耳だれで、膿が出て痛む: 熟した桃をゴマ油に漬け、白色となったところを耳に入れる(著効)。    

○やけど:葉の煎汁or葉の乾燥末を蜜で練って塗布。     

○淋病:桃膠を飲む(著効)。

■1年で開花 「2010年、宇都宮大学農学部の山根健治準教授らは、桃の種をまいてから1年で花を咲かせる技術を開発した。 春に圃場に植え替え、苗木がある程度育った7月頃から、花の芽がつくのを押さえる植物ホルモン「ジベレリン」の働きを弱めて花芽が早くできるようにした。 モリンダ・シトリフォリア =「ノニ」 二千年間秘薬として愛用されていた驚異の鎮痛即効フルーツ モリンダ・シトリフォリアは代替医療のチャンピオン アメリカから大ブームが起こる。タヒチ産に特に注目集まる 臨床医も驚くほど幅広い治療効果が 2章  全国で驚くべき体験談が次々と 「余命一週間」と言われた肝臓ガンの進行が止まった 痛みが一分で消え狭心症の恐怖からも解放! リウマチの検査結果が好転してつらい痛みも鎮まる 捻挫の痛みが治まり正座できるまでに 膝痛、首の痛み、筋肉痛、生理痛がなくなる 末期の肺ガンが好転し激痛が消えた 心配していた大病後の体調不良が驚くほど好転 高血圧がびっくりするほど改善 高脂質血症、高血圧が改善し頭痛が一切なくなる 首・肩・腕のこりがほぐれ肌もきれいに ひどい肩こり、腰痛が改善し大腸ポリープも消える 便秘と痔の痛みにすごい効果 子供のぜんそくと主人の血糖値に効果が 難病と言われる膠原病の症状が改善 脳梗塞の症状が劇的に改善 どうにもならない膝痛がわずか四日で 「アトピー三兄弟」の汚名返上! 六カ月で六キロ無理なくダイエット 妊娠中毒症が回復し便秘も生理痛もすっきり解消 椎間板ヘルニアのひどい腰痛が楽になった アレルギー性の花粉症が治り体重も一カ月で四キロ減 血糖値が驚くほど下がった 3章  科学的実験データで治療効果が証明 臨床現場や研究機関で治療効果を確認 これが治療効果を裏付ける成分 炎症抑制や抗ヒスタミン作用 アメリカでは研究機関が研究調査を報告  消化器系及び心臓の疾患に対する治療効果  ガンに対する治療効果 日本でも盛んに研究が行われる モリンダ・シトリフォリアにはこんなに幅広い治療効果が  免疫システムの増強と抗ガン作用  血圧を下げる効果  鎮痛効果  体内エネルギー増強作用と精神安定効果  抗菌効果 4章  これが「モリンダ・シトリフリア」の上手な利用法 現地の人々はこんな風に利用してきた 代替医療に取り入れるには  〈ガンとは〉  〈心筋症とは〉  〈脳卒中とは〉 モリンダ・シトリフォリアはなぜ効くのか おいしてく飲みやすいジュースが開発される 好転反応(クリーニング・リアクション) 日々の健康管理に利用するには  モルヒネ ■内服液 「大日本製薬は、ガンなどの激しい痛みを抑制するモルヒネ製剤の事業を強化する。国内初となる内服液製剤の製造承認を今春に厚生労働省に申請、はやければ2003年にも発売する。 モルヒネは患者の苦痛の程度に応じて経口薬、座薬、注射薬を使い分け1日5mg~7gを投与する。内服する液体のモルヒネは30mg経口薬で効かなくなった患者に、少し投与量を増やす場合などに使われる。これまで国内製薬企業は製造していなかった。 大日本製薬が製造承認申請の準備を進めている内服液はモルヒネ含有量が5mgと10mgの2種類で、投与量のきめ細かい調整が出来るほか、長期保存に向いているという。 また、99年11月に発売したカプセル剤や顆粒の経口モルヒネ剤「カディアン」の販売量が急増している。」2002.1.23《日経産業新聞》  砂   ○性は熱、味は辛酸、有毒。  

【効能・効果】     

<2>     

<2>積聚     

<3>瘀血     

<4>爛胎を散らす。     

<5>冷えをなくし肌をきれいにする。  

 

 

模樹めのう   

◎血糖値を上げる(D・L・メラ)   

◎応用:旅行者の石。       身の安全と持久力を助ける。  草(もうそう)   =「莽草」《神農本草経》 「芒草」《山海経》  

 

木酢酢

■正露丸 「2009年、大幸薬品は、下痢止めの大衆薬の正露丸の副産物を農薬に転用する技術を確立した。正露丸の有効成分はブナや松などを焼いた木煙を蒸留してつくる。この木煙から派生する木酢酢の品質を高め、イネの病気を防ぐ農薬として生産する。 木煙を蒸留して得られる最初お木酢酢は不純物が多い。 温度などの条件を変えながら蒸留を繰り返しメタノールやホルムアルデヒドなど有害な不純物を取り除く、主成分の酢酸やフェノールだけが残った純度の高い木酢酢を精製する。 この純度を均質にできないと農薬としては使えない。 正露丸の主成分は、木煙からでるタールを元につくるクレオソート。1kgの木材を焼いて得られるクレオソートは約15g。」  

 

木炭  

【効能・効果】     

○一切の香臭を奪徐し腐敗を遏絶する。     

○臭穢腐蝕の膿瘍に塗布する。       

 

木瓜(もっか)  

【薬性歌】“木瓜味酸脚腫湿 霍乱転筋膝拘急”   

木瓜、味酸。湿腫の脚気、霍乱、転筋、足膝の力なきに。《万病回春》  

【効能・効果】      

○平肝舒筋・和中湿。       吐瀉転筋       溶質痛     

○消痰に使う。       

「木瓜の肉を取り、搗いて、ふるいにかけ蜜で煉って姜汁・竹瀝を入れて煎じ、3~4回2匙づつ食べる。」     

○筋と血の補益剤。「煮て服用。」

○肝に入ると筋骨を強くし、すべての筋病に良い。「煮・丸服。」     

○脚気を治す。 「濃く煎じて飲む。」     

○湿痺と腰脚の湿気を治す。 「煎・丸服。」  

○霍乱・吐瀉の止まらない症。転筋の症。「煎服。」     

○嘔逆を治す。「煎服。生姜と煎じても良い。」  

 

木槿   

○性は平、無毒。  

【効能・効果】     

<1>腸風      

<2>瀉血      

<3>下痢のあとの渇症を治す。     

○不眠に良い。「煎じて飲む。」  

 

木香(もっこう)AUCKLANDIAE RADIX (SAUSSUREAE RADIX)  

【処方名】:[木香][広木香][唐木香]

【基原】インドカシミア地方に自生し、中国で栽培される多年草。キク科サウススレア・ラッパの根。   

唐木香・青木香・土木香・川木香の4種類。     

<2>唐木香=インド木香=広木香=雲木香=老木香:       

キク科(Compositae)のAuckkandia lappa Dcne.の乾燥根<2>青木香:ウマノスズクサ科(Aristolochiaceae)   ウマノスズクサAristolochia debilis Sieb.et Zucc.および マルバウマノスズクサ A.contorta Bunge.の乾燥根。     

<3>川木香:キク科Vladimiria souliei(Franch.)Ling(=jurinea souliei Franch.)の乾燥根。     

<4>土木香:キク科オオグルマInula helenium L.の乾燥根。  

【性味】味は辛苦、性は温。「温補燥中散」  

【帰経】脾・大腸経。  

【分類】理気薬。  

【薬性歌】“木香微温能和胃 行肝瀉肺散滞気”     

木香、微温。滞を散じ、胃を和し、諸気能く調え、肝を行らし、肺を瀉す。《万病回春》  

【効能・効果】(木香

(健胃・整腸・駆風・止痛)     

◎健胃・気を整え・止痛。       

<1>胸腹脹痛。       

<2>吐瀉痢疾       

<3>疝痛     

◎心腹の一切の気を治す。       

「木香は気を調節し、滞気をなくし、腹中の気がうまく回転しないときに、粉末or煎服。」     

◎下痢と痢疾を治す。「煎・末服。又は黄連を合わせ丸服。」     

◎九種の心痛を治す。       

「作末し酒に混ぜて呑む。木香が胸腹間の滞塞した冷気を排泄させ、橘皮・肉豆蔲・生姜で補うのが最も良い。」     

◎健胃・整腸・利尿剤で       

<1>食傷       

<2>嘔吐       

<3>腹痛       

<4>脚気  

【修治】    

(瘕):熱い灰に埋めて焼く=下痢を止める。  

【薬理作用】    

<1>鎮痙作用    

<2>降圧作用    

<3>抗菌作用    

<4>抗真菌作用    

<5>整腸作用    

<6>腸の蠕動促進作用  

【薬能】    

《神農本草経》       

“邪気を主り、毒疫うぃ辟け、志を強く、淋露を主る”    

《中薬大辞典》       

“気を行らし止痛、中を温め胃を和す。中の寒、気滞、胸腹の脹痛、嘔吐、泄瀉、下痢、裏急後重、寒疝を治す”  

【薬対】    

『木香+黄柏』    

『木香+黄連』    

『木香+橘皮』    

『木香+苦参』    

『木香+香附子』    

『木香+山楂子』    

『木香+砂仁』    

『木香+青皮』    

『木香+白芍』    

『木香+白朮』    

『木香+神麹』    

『木香+檳榔子』    

『木香+茯苓』

『木香+陳皮』=健胃整腸作用。胃アトニー、胃下垂、寄生虫などによる腹部の膨満感、腹痛、胃痛、胸痛、嘔吐、消化不良、下痢、食欲不振。葛花解醒湯。  

【配合処方】     

栝楼枳実湯     

枳縮二陳湯     

帰脾湯     

九味檳榔湯     

香砂六君子湯     

牛膝散     

椒梅湯     

参蘇飲     

喘四君子湯     

蘇合香円     

貝母湯     

茯苓補心湯     

木香順気丸  

 

木賊(もくぞく) EQUISETI HERBA  

【基原】北半球の温帯に広く自生し、又は栽培される常緑の多年草。      

トクサ科(Equsetaceae)トクサEquisetum hyemale L.の全草を乾燥。  

【性味】味は甘微苦、性は平、無毒。  

【帰経】肺・肝・胆経。  

【分類】辛凉解表薬。  

【薬性歌】“木賊味甘益肝臓 退瞖止痛消腫良”     

木賊、味甘。肝を益し、翳を退け、よく月経を止め、更に積聚を消す。《万病回春》  

【効能・効果】     

◎疏風退翳        

<1>肝と胆を良くする。        

<2>目を良くする。        

<3>瞖膜をなくす。        

<4>腸風下血。        

<5>血痢        

<6>風を除去する。        

<7>月経不順        

<8>崩中帯下。     

◎収斂・止血剤として:茎を2日20g煎服。     

<1>痔出血       

<2>腸出血        

<3>月経過多     

◎肝胆の補強。目を明るくし、眼疾と瞖膜を治す。

「童便に漬けて一夜置き、晒して乾燥、節を取って作末し、点眼or煎服。」     

◎腸風・血痔・脱肛。       

「槐花・桑耳を共に煎じて服用し、作末して脱肛に塗り、そして押し込む。」     

◎発汗する。「節を捨てて使う。」  

【薬理作用】    

<1>消炎作用    

<2>収斂作用    

<3>利尿作用  

【薬対】    

『木賊+菊花』    

『木賊+蒼朮』    

『木賊+白蒺藜』  

【配合処方】    

菊花散[木賊・菊花・白蒺藜・蝉退・羗活]    

急結炎方[木賊・菊花・白蒺藜・決明子]    

神消散[木賊・蝉退・穀精草・甘草・蒼朮・蛇蛻]  

密蒙花散[木賊・菊花・石決明・潼蒺藜・羗活]  

【注意】    

<1>飲み過ぎると、足腰が立たなくなったり、 

<2>血尿が出ることがある。  

 

木天蓼(もくてんりょう)

【基原】山地に自生する落葉つる性低木、マタタビ科マタタビの果実に、マタタビアブラムシという昆虫によって出来た虫こぶを、熱湯を注いでから乾燥する。マタタビ科(Actinidiaceae)マタタビActinida polygama(Sieb.et Zucc)Maximの果実に、タマカ科(Cecidomyiidae)の昆虫マタタビタマカが刺傷して瘤状になった虫を乾燥。 ★《新修本草》に収載。 

【性味】味は辛、性は温。  

【効能・効果】 (参照→「マタタビ」)     

◎浮腫:夏期にマタタビの茎を切って出る液を飲む。  

【薬能】    

<2>《新修本草》      

“木天蓼、味辛、温、小毒がある”      

“結、積聚、風労、虚冷を主治する”      

 

木通(もくつう)AKEBIAE CAULIS  

【処方名】[木通][潼木通]  

【別名】通草、万年藤、万年。  

【基原】各地の山野に自生する落葉つる性木本。 

<1>日本産:アケビ科(Lardizabalaceae)のアケビAkebia quinata(thunb.)Decne.を輪切りにして乾燥。     

<2>中国産:      

イ)大通草:ウコギ科カミヤツデ(→通草)     

ロ)小通草:キブシ科      

ハ)梗通草:マメ科      

ニ)関木通:ウマノスズクサ科キダチウマノスズクサHocquartia manshuriensis Nakaiの茎。 寒苦2.4g~4.5g/日。「興奮心臓、降圧」      

ヘ)淮通:ウマノスズクサ科      

ト)川木通:キンポウゲ科      

チ)白木通:アケビ科Akebia trifoliata Koidzumi var.australis Rehd.  寒苦3g~22g/日。「降下利水、清熱通乳」     

★《神農本草経》の「通草」 (→通草)  

【性味】味は苦、性は寒。 寒瀉燥降散  

【帰経】心・肺・小腸・膀胱経。

【分類】利水滲湿薬。  

【薬性歌】“木通性寒滞可寧 小腸熱閉及通経”《万病回春》        

木通、性寒。小腸の熱閉に。竅を利し、経を通じ、最も能く滞を導く。  

【効能・効果】(消炎・利尿・催乳)     

◎清熱血尿、血脈を通す。       

<1>淋病、小便不利       

<2>乳少

<3>経閉     

◎小腸を通す。「水煎服」     

◎五淋を治し、関格を開き、又、小便の数が多く痛む者を治す。「煎し、空腹時に飲む。」     

◎清熱利尿、脈絡の循環を良くする。      

イ)肝硬変       

1)腹水がある: 「車前子・絲瓜絡・白茅根・王不留行]

2)腹水・腹壁に怒張:「絲瓜絡・王不留行・地竜・丹参・欝金・甲珠」       

3)口中に瘡、尿赤、排尿困難: 「生地黄・黄柏・大青葉・甘草」

ロ)急慢性肝炎       

2)黄疸、食欲不振、疲労、舌苔黄膩、尿量少、尿黄色:「茵・梔子・欝金・白茅根・車前子」  

【修治】     

◎皮を去る。《万病回春》  

【薬理作用】     

<1>利尿作用     

<2>抗炎症作用  

【薬能】    

《神農本草経》      

“悪虫を去り、脾胃の寒熱を除き、九竅、血脈、関節を通利す”    

《薬性提要》      

“湿熱を除き、小便を通じ、関節を利す”    

《古方薬品考》      

“竅を開き、水道を通利す”    

《古方薬議》      

“能く血脈を開き、寒熱不通の気を通す”    

《中薬大辞典》      

“瀉火行水し、血脈を通利する” “小便赤渋、淋濁、水腫、胸中煩熱、喉痺咽痛、遍身拘痛、婦女経閉、乳汁不偏を治す”  

【薬対】    

『木通+黄蓍』    

『木通+牛膝』    

『木通+車前子』=清熱鎮痛作用。尿道炎、月経不通、関節炎などによる排尿痛、             月経痛、腰痛、腹痛、関節痛などに。竜胆瀉肝湯《薛氏》    

『木通+沢瀉』    

『木通+淡竹葉』    

『木通+冬葵子』    

『木通+茯苓』=利湿作用。小便不利による浮腫、水腫に。木通散《産科発蒙》    

『木通+防已』  

【配合処方】     

香川解毒剤     

変製心気飲     

分心気飲  

【注意】    

<1>1回60g以上使用しないように:腎不全が生じることがある。    

<2>妊婦には要注意。   

 

■個人輸入漢方薬、生兵法は禁物    

「国内で承認されていない漢方薬を中国などから輸入、医師の処方無しに服用して副作用が出るケースが増えている。知人からの勧めをキッカケに飲み始めたものの、慢性腎不全といった重い副作用に苦しむ例もある。漢方薬には副作用がないと思われがちだが、薬である以上使い方を誤れば毒にもなる。専門家は「飲む前に必ず医師や薬剤師に相談して欲しい」と呼び掛けている。 関西に住む20代後半の女性Aさん。全身の倦怠感を訴えて病院で診断してもらったところ、重い腎障害に陥っていることが分かった。結局腎臓の機能は回復せず、人工透析を受けるのを余儀なくされた。大阪大学付属病院第一内科(掘正二教授)では、こうした重い例から自覚症状のないものまで含め、患者が中国産の漢方薬を飲んでいたケースが相次いでいるという。 ●発ガンや催奇形性「Aさんの場合、原因はアトピー体質を改善する目的で飲んでいた中国産の煎じ薬だった。知人を介して中国から手に入れ、3年間に渡って毎日飲んでいたという。第一内科の以来を受け阪大大学院薬学研究科の東純一教授と高橋京子助手らが生薬の成分を分析したところ、『木通』から腎障害を引き起こす『アリストロキア酸』が検出された。この成分には腎障害に加え、発ガン性や催奇形性もある。 輸入された煎じ薬による副作用は90年代初めに欧米で指摘され始めた。痩身目的のスクールに通っていた人の中に腎機能障害の症状が相次ぎ、調査の結果[アリストロキア酸]が原因の1つと特定された。『中国ハーブ腎症』と呼ばれるこの症状は、その後国内でも報告された。昨年10月には名古屋で、中国産の漢方薬の服用が原因で腎不全になったとして輸入業者に損害賠償を求める訴訟も起きている。

●一部は成分不明    「輸入漢方薬の国内での使用実態は明らかでないが、個人輸入などを通じ流通量 は増えているという。東・阪大教授は「来院して副作用が明らかになる例は氷山の一角」と、副作用の広がりを懸念する。症状の軽いものや、不調を自覚しても病院を訪れないケースが数多くあると考えられると言う。 国内で承認され処方される漢方薬と異なり、輸入産の漢方薬の中には成分がはっきりしないものもある。 又、本来薬として扱うべき成分が健康飲料や健康食品として販売される例もあり、「薬という認識なしに飲んでいる人も多いはず」(上島悦子・阪大病院病棟薬剤部長)と専門家は指摘する。 また生薬の呼び名が日本と中国で統一されていないことも間違った服用の一因になっている。例えばAさんの副作用の原因だった木通は、中国ではウマノスズクサ科の植物ひゅらいの生薬を流石、日本ではアケビ科由来で異なる種類。     日本の木通には腎障害を起こす[アリストロキア酸]は含まれていないため。似た生薬と思って中国の木通を飲むと危険だ。同じ木通でも中国では場所により指す物質が異なることもあり注意が必要と言う。 こうしたことから、厚生省は「国内で承認されていない薬の個人輸入・服用は思わぬ副作用の原因となるので十分に注意してほしい」と訴えている。     1999.4.26《日本経済新聞》  

 

木鼈子(もくべつし)  

【基原】ウリ科   

○性は温、味は甘、無毒。  

【薬性歌】木鼈、甘温。能く瘡毒を追い、乳癰、腰疼に。腫を消すこと最も速し。《万病回春》

【効能・効果】      

<1>結腫をなくす。      

<2>悪瘡      

<3>肛門痔腫      

<4>婦人の乳癰を治す。  

 

木防已(もくぼうい)  

【処方名】:[木防已][広防已][防已]

【基原】ウマノスズクサ科Aristolochiacaea 広防已Aristolochia Westlandi Hemsl.の根を乾燥。  

【性味】味は苦辛、性は寒。「寒瀉燥降散」  

【帰経】膀胱・肺経。  

【分類】利水滲湿薬。  

【効能・効果】(利尿・解熱・鎮痛・風)  

【成分】mufangchin A(C20H24O9)、 mufangchin B mufangchin C  

【薬理作用】    

<1>鎮痛作用    

<2>利尿作用

【配合処方】     防已黄蓍湯     

 

木防已湯  

【薬能】    

《薬徴》 (→防已)“水を治することを主どる”  

《古方薬議》“味苦平、邪を除き、大小便を利し、理を通じ、癰腫、悪結を散じ、脚気を洩し、血中の湿熱を瀉す”

《勿誤薬室方函口訣》 “水道を利する”(木防已湯)  

 

没食子(もっしょくし)Gallnuts   

ブナ科の植物の若芽が変形し瘤になったもの。   ⇒「無食子」   

○性は温、味は苦、無毒。      

<2>赤白痢      

<2>陰瘡      

<3>陰汗      

<4>小児の疳痢を治す。   

【薬能】 没食子能く胸中の膠痰を去る。《先哲医話》   

【鑑別】色が少し黒く皮に穴ないのを薬用。《本草》  

 

没薬     

=「ミルラ」(myrrh)   

⇒リビア・イランの半砂漠化した地域、紅海沿岸地方及び北東アフリカの各地に生育する、強健でトゲをもつ低木が産出する一種の樹脂です。

◎(Commiphora myrrha)の木が多い。カンラン科ミルラノキ属。   

○性は平、味は苦、無毒。  

【薬性歌】《万病回春》

“没薬温平能破血 撲損瘡傷痛可絶”     没薬、温平。瘡を治し、痛みを止め、跌打、損傷に。血を破るに通用す。  

【効能・効果】       

<1>結と宿血を散らす。       <2>痛みを止める。       

<3>打撲傷       

<4>筋骨の折傷       

<5>痛       

<6>金瘡       

<7>杖瘡       

<8>悪瘡       

<9>痔漏の腫毒       

<20>目の中が赤くただれるのを治す。     

○杖瘡で腫れ、痛くてたまらない症を治す。       「細く切って2銭を熱い酒で調服。」  

【芳香療法】

◎精油は、樹脂を水蒸気蒸留して抽出。濃い赤褐色。非常に濃厚で、ビンから出す前に温める必要があります。

◎精油の活性成分:

ピネン            

ジペンテン             

リモネン             

カジネン             

蟻酸/酢酸/没薬酸/オイゲノール/アルデヒド類/ アルコール類     

◎古代ギリシャの兵士は、小袋に没薬の軟膏を入れて戦地に赴いた。     

◎効能:       

<1>殺菌消毒作用       

<2>浸出性湿疹       

<3>水虫       

<4>口内の潰瘍(没薬チンキ)    

【注意】      

通経作用があるので、妊婦は使用不可。