「て」漢方処方


【漢方て】
 

定癇丸《証治準縄》《中薬臨床応用》
「胆南星・蝎尾・烏梢蛇・姜半夏・白附子各8g、熊胆・明礬各4g、蜈蚣(去頭足)1匹」作末し小豆大の丸剤。朱砂をまぶす。毎回2~3丸。
◎破傷風
◎小児の熱性ケイレン
◎テンカン。

定悸飲《多紀櫟窓》《龍野ー漢方処方集》
「茯苓4.0g、桂枝・牡蠣各3.0g、白朮・甘草・呉茱萸・李根皮各2.0g」
◎「苓桂朮甘湯呉茱萸・牡蛎・李根皮」
◎此方は《外台秘要方》の牡蛎奔豚湯に本づきて製せるなり。奔豚のみならず、諸動悸の症、衝逆の勢ある者は、此方を斟酌して用いるべし。《勿誤薬室方函口訣》
◎奔豚、発作性心悸亢進。


定生丹《東醫寶鑑》
「雄黄・朱砂・乳香・半夏・木香・肉豆蔲・百草霜格銭、沈香1銭、阿魏・硃砂各5部、緑豆40粒、烏梅40個を湯に漬け核を去る、梅肉を搗いて梧子大の丸剤。百草霜で衣をつけ、陰干しにして毎回1丸をかみ砕いて、姜湯で口をゆすいで呑み込み、陳麦餅を焼いて噛み下して薬を押し込むようにする。
◎反胃を治す。

定志丸[1]《和剤局方》
「遠志・菖蒲・人参・茯苓」
◎近眼。

 

定志丸[2]《東醫寶鑑》
「人参・白茯苓・茯神各3両、石菖蒲・遠志(製)各2両、朱砂1両(半分は衣をつける)」粉末にし蜜で梧子大の丸剤。米の水で50~70丸づつ服用。
◎心気の不足と健忘。神魂の不安と驚悸・恐怯・悪夢に使う。

 

定志珍珠粉丸《東醫寶鑑》
「蛤粉・黄柏(炒)・人参・白茯苓各3両、遠志・蒲黄・青黛各2両、樗根白皮1両」粉末にし、麺糊で梧子大の丸剤。青黛でくるんで空腹時に、姜塩湯で50丸飲む。
◎心虚の夢泄。


定心元《東醫寶鑑》
「麦門冬1両、石菖蒲・枸杞子・甘菊各5銭、遠志2銭半」作末し蜜で梧子大の丸剤。熟水で30丸飲む。
◎固い肉が瞳を覆う者。

 

定神至宝湯《寿世保元》《古今方彙》
「生地黄・橘紅・貝母・茯苓・黄連・遠志・菖蒲根・酸棗仁・枳実・括楼仁・括楼根各等分、甘草(少許)、生姜」水煎。
◎諸癇にて神智寧からずして、時に狂躁多言を発し、好んで怒り、面容沢ならざるを治す。

定喘化痰湯《東醫寶鑑》
「猪の蹄甲49個」きれいに洗って乾燥、毎甲に「半夏・白礬各1字」を入れて缶に漬けて封じて煙りが出ないようにし、赤くなったら冷まして細切り、「麝香1銭」を入れ糯米飲で1銭を調下する。
◎喘を治す。

定喘化痰湯《東醫寶鑑》
「陳皮2銭、半夏・南星各1銭半、杏仁2銭、五味子・甘草各8分、款冬花・人参各7分、姜5片」水煎服。
◎咳と痰喘を治す。


定喘湯[1-1]《万病回春》《東醫寶鑑》
「麻黄3銭、杏仁1銭半、片芩・半夏・桑白皮・蘇子・款冬花・甘草各1銭、 白果21個の皮は捨て、砕いて黄色くなるまで炒って剉作1貼し、随時髄煎 服。
◎哮喘の特効薬。

 

定喘湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》
「麻黄3銭、款冬花・紫蘇子各2銭、白果(炒黄)21枚、甘草1銭、杏仁・黄芩各1銭半、桑白皮(蜜炒)・半夏各2銭」水煎温服。
◎哮吼喘急するを治す。

 

定喘湯《摂生衆妙方》《中薬臨床応用》
「銀杏12g(去殻破砕)(炒黄)、麻黄3g、款冬花9g、姜半夏3g、桑白皮9g、 蘇子9g、黄芩6g、杏仁6g、甘草5g」水煎し2回に分服。
◎慢性喘息性気管支炎。

 

定喘湯《摂生衆妙方》
「桑白皮、黄芩、白果、麻黄、蘇子、款冬花、半夏、杏仁、甘草」


定喘湯[2]《東醫寶鑑》
「阿膠・半夏・麻黄・人参各4両に甘草を入れる。そして4両の桑白皮に、 上記のものと罌栗2銭を蜜で混ぜ、生姜3銭を煎服。
◎肺が弱く長い間喘滞している。




定痛散[1]《東醫寶鑑》
「蒼耳子・骨砕補・自然銅・血竭・赤芍薬・白附子・当帰・肉桂・白芷・没 薬・防風・牛膝各7銭半、虎脛骨・亀板各5銭、天麻・檳榔・羗活・五加皮各2銭半」作末し毎回1銭を温酒で調下する。
◎風毒が皮膚と骨髄の間を攻注してあちこち痛み、昼には静かで夜は激しく、筋 脈が拘攣して屈伸出来ない者を治す。

定痛散[2]《万病回春》《東醫寶鑑》
「当帰・地黄(生)・細辛・乾姜・白芷・連翹・苦参・黄連・川椒・桔梗・烏 梅・甘草各1銭」水煎し、含んで飲み下す。
◎虫牙の痛みを治す。

 

定吐飲《万病回春》《古今方彙》
「半夏2両、生姜1両、薄桂3銭」水煎温服。
◎吐逆にて諸薬を投じて止まざる者を治す。

 

定吐紫金核《万病回春》《古今方彙》
「丁香・木香・藿香・人参・白朮・半夏各2銭」作末し、沈香・朱砂を衣とし、姜汁を糊にして棗大の丸剤。或いは煎湯と為すも亦可なり。
◎嘔吐を治す。

定肺湯《東醫寶鑑》
「紫菀茸・五味子・橘皮・蘇子・杏仁・桑白皮・半夏・枳殻・甘草各1銭」剉作1貼し、「姜5片、紫蘇葉5片」を入れ水煎服。
◎上気し喘嗽する。

 

定肺湯《袖珍方》《古今方彙》
「枳殻、陳皮、白豆蔲、五味子、半夏、紫蘇葉、桑白皮、杏仁、甘草、生姜」水煎。
◎上気して喘嗽するを治す。




定風餅子[1]《東醫寶鑑》
「川烏・川芎・南星・半夏・乾姜・天麻・白茯苓・白附子・甘草(生)」各等分に作末し、姜汁糊で芡実大の団子をつくり、朱砂で衣をし、毎日1つを 姜湯で食べる。
◎痰厥頭痛と嘔吐・めまい。
◎中風の面喎鼻渕・痰厥・頭痛・眩暈・嘔吐を治す。
◎風病の再発防止に《資生》

 
      

定命散《東醫寶鑑》
「朱砂・寒水石・麝香」各等分。粉末にし毎回半銭を新水で服用。
◎血汗を治す。

丁字湯《医事小言》
「牡蛎1銭半、柴胡8分、芍薬7分、枳実6分、呉茱萸6分、甘草3分」
「茯苓飲呉茱萸・甘草」
◎参照→蔓倩湯 《原南陽》
◎久腹痛、宿水を吐し、食を得れば痛劇しく、噫気酸臭ある者を治す

 

丁香膠艾湯《衛生宝鑑》
「芎帰膠艾湯《金匱要略》-甘草+丁香」
◎漏崩走下止まず、自ら臍下氷の如く覚え、白帯の物多く、まま、悪露水の下るあり。時に鮮血止まざるあるを治す

丁香散《東醫寶鑑》
「苦丁香5銭、川烏(炮)・草烏(炮)・白芷・猪牙皀・細辛(角炮)各3銭、胡 椒1銭、麝香少々」作末し竹筒で肛門に薬を吹き入れる。
◎大小便の不通を治す。



呈星海一方《呈星海医按》
「遺糧、白鮮皮、金銀花、荊芥、薏苡仁、木通、薄荷、当帰、防風」
◎黴毒の筋骨疼痛を治す。


葶棗散《東醫寶鑑》
「葶藶子(炒黄)」作末し大棗10枚を濃く煎じて棗は捨て、2銭を調服する。
◎水喘・面浮を治す。

葶藶丸[1]《東醫寶鑑》
「葶藶子の隔紙炒に、「沢瀉・椒目・桑白皮・杏仁・猪苓各5銭」作末し、 蜜で梧子大の丸剤。葱白湯で30~50丸飲む。
◎涌水症を治す。
「涌水」=腹は固くもなく、水気が大腸に注がれると鳴って、ちょうど水を貯めて おいたのに似ている病勢。

 

葶藶丸[2]《東醫寶鑑》
「葶藶子・防已・木通・杏仁・貝母各1両」作末し蒸し棗肉で梧子大の丸剤。 桑白皮湯で50丸飲む。
◎肺気が喘促し、面に浮腫が出る者を治す。

葶藶丸[3]《証治準縄》
「葶藶子、大棗、杏仁、貝母、木通、防風」

葶藶散《医学入門》《東醫寶鑑》
「甜葶藶子(炒)・瓜蔞仁・桑白皮・升麻・葛根・桔梗各1銭、甘草5分」剉作1貼し、姜3片入れて水煎服。
◎熱いものを食べて嗽を発する。酒の飲み過ぎで喘急。

葶藶散《医学入門》《古今方彙》
「葶藶・括楼仁・薏苡仁・桑白皮・升麻・葛根・桔梗各1銭、甘草5分、生姜」煎じ温服。
◎煎炒(煎じつめたものと火で炒ったもの)、及び酒を過食し、以て喘急を致し臥することを得ず、及び肺癰等の症を治す。

葶藶大棗瀉肺湯《金匱要略》
=「葶藶大棗湯」
「葶藶(熬令黄色搗丸如弾子大)、大棗12枚」
右先以水三升、煮棗取二升、去棗内葶藶、煮取一升、頓服。
◎肺癰喘不得臥、葶藶大棗瀉肺湯主之。
◎肺癰胸滿脹、一身面目浮腫、鼻塞淸涕出、不聞香臭酸辛、欬逆上気、喘鳴迫塞、葶藶大棗瀉肺湯主之。
◎支飲不得息、葶藶大棗瀉肺湯主之。

○葶藶大棗湯証=肺癰・胸満脹、一身面目浮腫。《薬徴》
以上一方、葶藶搗きて丸とし、弾丸大の如くす。
葶藶は搗いていると油があるので丸剤となる。それを弾丸大にまるめる。弾丸大はアオギリの実の4倍大。
[胸満脹]=胸がいっぱいに充満してはっている。
○葶藶大棗湯証=咳逆・上気・喘鳴迫塞。又曰く、息するを得ず。《薬徴》
[喘鳴迫塞]=ゼイゼイとのどが成って、呼吸がつまるようになる。

◎浮腫、咳逆、喘鳴、迫塞し、胸満強急する者を治す。《吉益東洞》
◎此方は肺癰の初起及び支飲を治す。《勿誤薬室方函口訣》
◎按ずるに、寒熱汗有り、咳逆し、口中卒々として乾燥す。欬すれば即ち隠々として痛み、脈数にしても実なる者は是れ邪、肺に陥り、実熱を為す者なり。更に之に喘を加え臥するを得ざる者は、これ肺癰将にならんとす。此方に宜し。《雑病翼方》
◎《陳念祖》曰く、支飲の満して肺気閉するを治す。気閉すれば、則ち呼吸自如たる能わず。此の苦を用い、降して以て実邪を泄す。
◎《孫兆》の治験
吐痰しばらくの間、已に升餘、欬して已まず、面色鬱黯、精神不快。兆曰く、肺中痰有り、胸膈不利す。当に仲景・葶藶瀉肺湯を服すべしと。一服にして已に胸中快利を覚え、ほぼ痰無し。
◎《外台秘要方》は葶藶・杏仁各1升、大棗60枚、合搗いて膏の如くにし、蜜を加え、梧子大の丸剤、桑白皮飲にて六・七十丸を飲下す。大便通利を以て度と為す。又本方より奪出す。《雑病翼方》
◎《太平聖恵方》支飲久しく差えず、大腹水腫、喘促止まざるを治す。《雑病論識》
    

★適応症及び病名(葶藶大棗瀉肺湯)
[1]気管支炎
☆腐敗性気管支炎、及びその類証にして、喘咳甚だしく、そのために安眠出来ない証《奥田謙蔵》
☆気管支炎、及びその類証にして、特に胸満の感甚だしき等の証《奥田謙蔵》
☆水気心胸に聚まり、而して腹中空虚に、喘咳して臥することを得ざる者は、之を主どる《類聚方広義》

[2]肺癰
☆肺癰云々の2症に、此方を用ふるは、その膿未だ成らざるに乗して、之を奪う者也。若し発熱、悪寒、煩渇等の症有る者は、当に越婢加半夏湯、麻杏甘石湯、麻杏甘湯、大青竜湯等を選び用ふべし。兼ねて十棗湯を服し、時に紫円、白散等を以て、之を攻むれば治するを得ん。《類聚方広義》

[3]浮腫
☆傷寒の後、上気して喘激しく、身面腫れ、小便渋るを治す《聖済総録》

 

葶藶大棗瀉肺湯《金匱要略》《東醫寶鑑》
「葶藶子(炒黄)」作末し蜜で梧子大の丸剤。大棗20枚を水3升で2升めで 煎じ棗が捨て、1丸を入れて再び煎じ1升になったら頓服する。
◎肺癰で喘満し、寝られない者。

 

葶藶大棗瀉肺湯加味《中薬臨床応用》
「葶藶子9g、大棗6g、桑白皮12g、党参9g」水煎服。
◎胸腔内の水分を排出する。

葶藶木香散《東醫寶鑑》
「滑石3両、白朮・葶藶子・猪苓・赤茯苓各1両、木香・沢瀉・木通・桂皮 ・甘草各5銭」作末し、白湯で3銭調下する。
◎水腫で腹が脹って小便が赤く、大便の出ない症。

 

堤気散《寿世保元》《古今方彙》
「黄蓍・人参・白朮・当帰・白芍薬・乾姜・柴胡・升麻・甘草(炙)・羗活」水煎。
◎脱肛は脾肺の虚寒なり。此方に宜し。

 

堤肩散《寿世保元》《古今方彙》
「防風、羗活、藁本、白芍薬(炒)、川芎、黄連(酒)、黄芩(酒)、甘草、生姜」煎服。
◎風熱が肺に乗じ、肩背強直して痛みを作すを治す。
◎湿には:+「蒼朮・防已・薏苡仁」
◎気虚には:+「人参」
◎血虚には:+「当帰・地黄」
◎汗多ければ:+「黄蓍」


提肛散[1-1]《漢方治療の実際》
「川芎・当帰・白朮・人参・黄蓍・陳皮各2、甘草・升麻・柴胡・黄芩各1.5、黄連・白芷各1、赤石脂0.5」
◎「補中益気湯黄芩・黄連・白芷」《大塚敬節》    

★適応症及び病名(提肛散)
脱肛
☆これは老人・虚人の脱肛をおさめる薬である。すべて脱肛に2種ある。大便が秘結して起こる実証のものには大黄剤が良い。提肛散を用いる場合は、大便は通じながら、元気が、下に抜けて脱肛しておさまらないもので、補中益気湯などで引き上げるのと同じ手段である。その内、脱肛は虚実に拘わらず大腸に熱を持つものであるから、黄芩・黄連の2味の寒涼剤で清熱するこころがあって、面白い組方の方で、至ってよく効くものである。また老人・小児などで結糞が詰まって、出ようとしても出ない時など、大抵は元気の衰えた為であるから、この方に大黄or猪胆汁を加えて用いるが良い。気持ちよく通ずるものである。《梧竹楼方函口訣》



提肛散[1-2]《龍野ー漢方処方集》
「川芎・当帰・白朮・人参・黄蓍・陳皮・甘草各4.0g、升麻・柴胡・黄芩各 2.0g、黄連・白芷各1.0g、赤石脂6.0g」右粉末とし1日6.0gを3回に分服。
◎脱肛。

提盆散《東醫寶鑑》
「葱白1枚の汁に草烏の細末」をまぶして団子をつくり、肛門に入れておくとすぐ通る。
◎大小便の不通。

抵聖散《東醫寶鑑》
「烏賊骨3銭、乳香2銭、枯白礬・乾臙脂・軽粉各1銭、麝香5分」細末にし耳の中に、きれいな紙にくるんで入れる。
◎耳の中に膿が出て、治りにくい者。





抵当丸[1-1]《傷寒論》《龍野ー漢方処方集》
「水蛭1.2g、虻虫1.4g、桃仁1.0g、大黄3.0g」
粉末とし蜂蜜で4丸に作り、1丸に対し水400ccを以て煮て280ccに煮詰め1回に服用。
◎瘀血、月経不順、下腹膨満、小便自利。
○按ずるにまさに「抵當湯證にして緩のものを治す」

抵当丸[1-2]《傷寒論》《漢方治療の実際》
「水蛭・虻虫・桃仁・大黄各1」
以上を煉蜜で丸とし、1日3回、1回に3服用。


抵当丸[1-3]《東醫寶鑑》
「水蛭・虻虫各7個、桃仁6個、大黄3銭」作末し蜜で丸めて2丸作り、水1杯で1丸を煎じて7分ぐらいになったら頓服する。2分して7分ぐらい煮詰め頓服し、効かなければ再服する。
◎蓄血が下にあって熱はなく、便は黒く、健忘・気狂いのようになる者を治す。
◎小腹が脹って、小便をたれる者を治す。

 

抵当丸[1-4]《傷寒論》《龍野ー漢方処方集》
★適応症及び病名 (抵当�丸)
■精神異常:
☆瘀血が原因で精神異常を呈する者に用いられる《大塚敬節》


抵当湯[1-1]《傷寒論》
「大黄3両、桃仁20枚、水蛭30枚、蝱蟲30枚」
右4味、以水5升、煮取3升、去滓、温服1升。不下更服。
◎太陽病、六七日表證仍在、脉微而沈、反不結胸。其人發狂者、以熱在下焦、少腹當鞕滿、小便自利者、下血乃癒。所以然者、以太陽髓經、瘀熱在裏故也。抵當湯主之。<辨太陽病脉證并治中第六>
<辨可下病脉證并治第二十一>
◎陽明證、其人喜忘者、必有蓄血。所以然者、本有久瘀血、故令喜忘。屎雖鞕、大便反易、其色必黑者、宜抵當湯下之。 <辨陽明病脉證并治第八>
◎病人無表裏證、発熱七八日、脉雖浮數者、可下之。假數不解、今熱則消穀喜飢、至六七日、不大便もの、有瘀血、屬抵當湯。
<辨発汗吐下後病脉證并治第二十二>
◎不仁經水不利下、抵當湯主之。
<婦人雑病脉證并治第二重に>
○抵当湯証に曰く、少腹滿云々。又曰く経水利下せず。
■「少腹鞕滿」=下腹が硬くて膨満している。
■「経水利せず」=月経が止まっている。

薬徴の水蛭→[血証]=ここでは瘀血(停滞している血)の意。
“為則按ずるに、血証を診するや、その法3あり。
1に曰く、少腹鞕満して小便利する者は此れ血ありとなす。利せざる者は、血なしとなすなり。
2に曰く、病人腹満せずして自ら腹満を言ふなり。
3に曰く、病人喜忘、屎鞕しと雖も大便反って易く、その色必ず黒し、此れ血ありとなすなり。
仲景氏血証を診するの法、玆(これ)に外ならず。”
[喜忘]=健忘に同じ。

[屎鞕し]=大便は硬いが出やすく、その色が黒い。




抵当湯[1-2]《傷寒論》《龍野ー漢方処方集》
=抵當湯
「水蛭0.6g、虻虫0.6g、桃仁0.6g、大黄3.0g」
粉末とし水200ccを以て煮て120ccに煮詰め、3回に分服。
◎小腹鞕満し、小便快利し、或いは腹満たざるに、その人我れ満てりと言ひ、或いは屎鞕しと雖も、大便すること反って易く、その色必ず黒き者を治す。《方極附言》
◎瘀血、下腹膨満、小便自利、大便の色黒く、或いは忘れっぽく、或いは狂の如き者。《龍野》
【腹証】
《腹診配剤録》
“臍下より横骨(経穴名)、大横(経穴名)の辺に至るまで鞕満し、而して小便自利し、大便必ず黒し。此れ瘀血の候也。凡そ瘀血無くして小腹鞕き者は、必ず小便利せず。知らずんばある可らず”



抵当湯[1-3]《傷寒論》《漢方治療の実際》
「水蛭・虻虫・桃仁各1、大黄3」
以上を細末とし、法の如く煎じ、1日3回に分服。


抵当湯[1-4]《東醫寶鑑》
「水蛭(炒)・虻虫(炒去足・羽)・桃仁(留尖)各10枚、大黄(蒸)3銭」剉作1貼し水煎服。
◎一切の瘀血。
◎結胸・譫語・漱水。



抵当湯[1-5]《傷寒論》
★適応症及び病名 (抵当湯)
[1]胃ガン
[2]遺尿
[3]鬱血斑
[4]運動麻痺
[5]黄疸
[6]怒りっぽい(多怒)
[7]肝硬変
[8]記憶喪失
[9]記銘力減退
[10]狂状<発狂>
[11]胸満
[12]結核性腹膜炎
[13]月経異常
[14]月経の色<暗黒色><塊あり>
[15]月経不順
☆婦人、経水不利の者、棄て置きて治せざれば、後必ず胸腹煩満し、或いは小腹鞕満し、善饑、健忘、悲憂、驚恐等の症を発し、或いは偏枯、癱瘓、労瘵、鼓脹、膈噎等の症を醸成し、遂に不起に至らん。早く此方を用いて血墜を通暢し、以て後患を防ぐ可し。墜撲折傷、瘀血凝滞し、心腹脹痛し、二便通ぜざる者、経閉し、少腹鞕満し、或いは眼目赤腫し、疼痛し、瞻(セン、みる)視すること能はざる者、経水閉滞し、腹底に有り、腹皮青筋を見はす者は、並に此方に宜し。若し服すること能はざる者は、丸と為し、温酒を以て送り下すも亦佳なり《類聚方広義》
[16]月経閉止
☆月経閉止し、下腹部鞕満する証《奥田謙蔵》
[17]健忘症
[18]黒色便
[19]錯乱
[20]子宮ガン
[21]子宮筋腫
[22]四肢煩疼
[23]小腹硬満
☆鞕満の鞕は硬で、下腹部が硬く膨満しているということである《大塚敬節》
☆比較:
   抵当丸には、「小腹満」
   桃核承気湯には、「小腹急結」
[24]静脈瘤
[25]食道ガン
[26]食道狭窄症
[27]神経衰弱
☆婦人、常に憂鬱し、月経の色黒くて、時期定まらず、下腹部及び腰部絞痛し、全身に倦怠を覚える証《奥田謙蔵》
[28]身熱
[29]精神分裂病
☆譫語を発し、或いは精神錯乱し、四肢煩疼し、時々身熱を現し、下腹部鞕満し、之を按ずるに鞕き証《奥田謙蔵》
☆瘀血が原因で精神異常を呈する者に用いられる《大塚敬節》
[30]譫妄
☆精神明瞭を欠き、或いは譫妄に陥り、腹痛あり、尿利快通し、其の脈沈緊なる証《奥田謙蔵》
☆譫語し、腹痛し、口舌乾燥し、尿利快通し、熱候なく、脈緊にして渋滞する証《奥田謙蔵》
☆血、胸に結ぼれ、譫語し、小腹満ち、水にて嗽ぐも嚥みことを欲せざるを治す《医宗必読》
[31]脱疽
[32]テンカン
[33]糖尿病
[34]ノイローゼ
[35]煩渇
[36]半身不随
[37]悲傷
[38]腹水
[39]腹痛
[40]腹部膨満
[41]目が痛い
[42]夜尿症
[43]憂鬱(ゆううつ)



程氏萆薢分清飲《医学心悟》《中薬臨床応用》
「萆薢9g、黄柏9g、石菖蒲5g、茯苓12g、白朮9g、蓮心6g、丹参5g、車前子12g(包煎)」水煎服。
◎急性尿道炎
◎混濁尿
◎尿量減少
◎排尿困難
◎残尿感




泥金膏《東醫寶鑑》
「蚯蚓糞2分、焔硝1分」水で濃く混ぜて塗る。
◎小児の丹毒・腫毒を治す。

 

敵痰丸《東醫寶鑑》
「黒牽牛子(頭末)3両、皀角(酥炙)2両、白礬枯・半夏麺・陳皮各1両」粉末にし水で梧子大の丸剤。姜湯で40~50丸服用。
◎痰飲を治す。


溺血一方《寿世保元》《古今方彙》
「小薊・生地黄各2銭、通草・蒲黄(炒)・滑石・竹葉・当帰・藕節・山梔子・甘草各6分、赤茯苓・車前子各8分」水煎。
◎溺血を治す。

鉄脚丸《東醫寶鑑》
「大皀角(焼存性)」作末して酒麺糊で梧子大の丸剤。酒で30丸呑む。
◎大小便の不通を治す。


鉄砂丸
「鉄の粉末を丸にしたもの」
還元鉄を代用しても良い《大塚敬節》
◎各種の出血のうち、貧血して、その回復の遅れる者に、適当の煎剤を本方として、この丸を兼用する。《大塚敬節》
◎浅田宗伯は子宮出血が長引いて貧血甚だしく、浮腫・皮膚甲錯の状ある者に六君子湯厚朴香附子黄連を本方として、この丸を兼用して著効をあげている。《大塚敬節》


鉄砂散《東洞家塾方》
=「鐵砂散」
「鐵砂・蕎麦各12銭、大黄6銭」
右3味、杵き篩い2味を末となし、蕎麦粉に和し、水を以て之を練り緑豆大の丸剤。毎服1銭、清酒を以て之を下す。日に3回。
◎黄胖病を治す。

 

鉄砂大黄丸
「剛鉄砂・蕎麦各3.0、大黄6.0」
右三味、各別に細末にし、水にて煉り、作丸。1回2.0~4.0を酒服する。
◎発黄し、諸般の貧血、或いは萎黄病類似の疾患にして、心悸亢進、足部の浮腫等を現す者に効あり。《古方兼用丸散方》


鉄弾元《東醫寶鑑》
「五霊脂2両、川烏(炮)1両、乳香・没薬各5銭、麝香1銭」作末し水で弾子大の丸剤。毎回1丸を薄荷酒で化下する。
◎中風の喎斜・癱瘓・涎潮・語渋・筋攣・骨痛を治す。


鉄破紫虎湯《中薬臨床応用》
「鉄包金30g、穿破石30g、北紫草12g、霊芝9g」水煎服。
◎肺結核
◎肺ガン
◎咳嗽、喀血、胸痛。

鉄破《中薬臨床応用》
「鉄包金60g、穿破石60g、阿膠9g(溶解)、白芨12g、栝楼仁9g、杏仁9g、 川貝母9g、紫苑9g、百合9g、枇杷葉12g」水煎服。
鉄包金と穿破石を2時間煎じてから他の薬物を1時間煎じ、最後に阿膠を溶かす。毎日1剤を温服し、2番煎じもとるとよい。
1ヶ月を1クールとし、服用を1週間停止してから次のクールを始める。
◎肺結核で
◎やせる、顔色が青白い、
◎動くと息切れする
◎咳嗽、喀血、喀痰
◎胸痛、嗄声
◎微熱、盗汗
◎食欲がない、下痢。

鉄分散《東醫寶鑑》
「半夏(円白)・南星・真鉄粉・白附子・羗活各2両、川烏1両半、大朱砂・琥珀(紅明)・白殭蚕各1両、白礬(煆)5銭、全蝎50箇、金箔30片」粉末にし、毎回4銭を生姜4両の汁で服用する。あまり辛いと温水を少し混ぜて飲む。
◎癲狂・歌笑・裸休症・水や火を恐れない者。

 

跌打外洗方《中薬臨床応用》
「蘇木9g、当帰尾12g、赤芍薬9g、劉寄奴9g、路路通9g、沢蘭6g、乳香9g、没薬9g」水煎して患部を1日2~3回、20~30分づつ洗う。
◎打撲捻挫

 

跌打活血湯《中薬臨床応用》
「紅花6g、桃仁6g(打砕)、蘇木6g、当帰尾9g、赤芍薬9g、枳殻6g、木香1.5g、乳香4.5g、没薬5g」水煎服。
◎打撲捻挫

 

跌打散《中薬臨床応用》
「䗪虫(去頭足)15g、自然銅(煆)9g、骨砕補9g、当帰9g、紅花9g、乳香9g、没薬9g、沢蘭9g、赤芍薬9g、続断9g」作末に1回3~6g、湯or黄酒で服用
◎打撲損傷で内出血
◎骨折。

 

跌打酒《中薬臨床応用》
「当帰60g、紅花30g、蜀椒30g、肉桂60g、樟脳15g、細辛15g、乾姜30g」95%アルコール2000ccに7日間浸ける。
◎活血、止痛、消腫する
◎打撲、脱疽、凍傷

 

跌打腰腿痛散《中薬臨床応用》
「牛膝・杜仲・続断・乳香・没薬・木瓜・麻黄・馬銭子各18g」作末し、1回3gを湯で服用。廃薬は止痛を目印とする。
◎打撲捻挫による腰腿痛。

天王補心丹[1-1]《道蔵・蘭台軌範》
「人参・茯苓・玄参・桔梗・遠志・当帰・五味子・麦門冬・天門冬・丹参・酸棗仁・生地黄・柏子仁」
◎心血不足・清神不安・健忘・心悸亢進。

 

天王補心丹[1-2]《世医得効方》
「人参、玄参、丹参、茯神、遠志、桔梗、当帰、天門冬、麦門冬、五味子、柏子仁、酸棗仁、生地黄」

 

天王補心丹[1-3]《摂生秘部》《中薬臨床応用》
「人参・玄参・丹参・茯神・遠志・桔梗各15g、五味子・当帰・天門冬(去心)・麦門冬(去心)・柏子仁(炒)各30g、生地黄120g」蜂蜜で小豆大の丸剤。辰砂12~15gをまぶす。1回9gづつ湯で服用。
◎不眠。


天王補心丹[2]《東醫寶鑑》
「生乾地黄(酒洗)4両、黄連(酒炒)2両、石菖蒲1両、人参・当帰(酒洗)・五味子・柏子仁・酸棗仁(炒)・玄参・白茯神・丹参・桔梗・遠志各5銭」作末し蜜で梧子大の丸剤。朱砂で衣をつけ就寝時に「燈心・竹葉」の煎じ湯で30~50丸服用。
◎心を和らげ、保神し、・驚悸を治し、記憶力を養う。

天花散《東醫寶鑑》
「天花粉・生乾地黄各2銭、乾葛・麦門冬・五味子各1銭、甘草5分」剉作1貼し、粳米100粒を入れ煎服。
◎消渇を治す。


天華散《済世全書》《古今方彙》
「括楼根・生地黄各1両、麦門冬・五味子・乾葛・甘草各3銭、糯米」水煎し頻りに服す。
◎消渇を治すこと神の如し。
    

天香散《東醫寶鑑》
「南星・半夏」共に7回湯で洗い、「川烏・白芷(生)各1銭」水煎し姜汁半盃を入れて少し服用し、頭上に鍼を打つ。
◎新・久の頭風が発し、しびれ・嘔吐・食欲不振。

 

天津感冒片【中成薬】
「金銀花・連翹・薄荷・淡豆豉・牛蒡子・荊芥・竹葉・桔梗・羚羊角」
◎風邪(風熱型)・急性中耳炎・耳下腺炎・ヘルペス

天真元《東醫寶鑑》
「肉蓯蓉・山薬・天門冬各10両、当帰12両」を精羊肉7斤の中に入れて、紐で結び、糯米酒4升で煎じ、酒が無くなったら、再び水2升を注いで煎じ、羊肉が粘土のようになったら、「黄蓍末5両、人参末3両、白朮末2両、熟糯米飯末10両」を混ぜ、かき混ぜて搗いて梧子大の丸剤。毎回100丸、1日3回服用。
◎内傷に脾胃が弱り、食欲不振、津液が枯れ、痩せる者。


天仙膏


天仙藤散《淮南陳景初》
「天仙藤・制香附子・陳皮・甘草・烏薬・木瓜」を等分に刻み、毎回20gに生姜3片・紫蘇葉5葉を加え水煎服。

 

天仙藤散《証治準縄》《中薬臨床応用》
「天仙藤9g、香附子6g、陳皮5g、紫蘇葉6g、木瓜6g、大腹皮6g、烏薬9g、当帰身97g、甘草(炙)3g」水煎服。
◎妊娠浮腫。


天鼠散《東醫寶鑑》
「蝙蝠」羽根・足を去り、ゆでて作末、米飲に混ぜて服用。
◎久咳嗽が起きて、諸薬の効ないとき。


天台烏薬散《東醫寶鑑》
「川楝子10箇、巴豆14粒(炒黒去豆麦)・烏薬・木香・茴香(炒)・良姜・青皮各5銭、檳榔3銭」細末にし毎回1銭を温酒で調下する。
◎小腸気を治す。

 

天台烏薬散《医学発明》《中薬臨床応用》
「烏薬9g、木香3g(後下)、小茴香5g、青皮6、高良姜5g、檳榔子9g、川楝子9g」水煎服。
◎寒疝
◎小腸ヘルニア
◎副睾丸炎
◎痛みが臍周辺まで放散。

天台散《東醫寶鑑》
「烏薬・陳皮・麻黄・枳殻・川烏・白殭蚕・桔梗・白芷・乾姜・防風・羗活・当帰・天麻・続断・威霊仙・甘草各6分、乳香・没薬・麝香各3分」剉作1貼し水煎し「乳・没・麝3味」を細末にしたのを入れ調服する。
◎中風の癱瘓と疼痛。

天地煎《東醫寶鑑》
「天門冬2両、熟地黄1両」作末し蜜で梧子大の丸剤。人参湯で100丸飲む。
◎虚労による血の不足、口が乾き、咽喉が乾燥して、怔忡・恍惚、小便が赤く濁る者を治す。

 

天竺黄散《証治準縄》
「白殭蚕、天竺黄、欝金、山梔子、蝉退、甘草」

 

天柱元《東醫寶鑑》
「蛇合石(醋)7回焼いて細末にし、麝香少々入れ、飯で芡実大の丸剤。毎回1丸を荊芥湯に姜汁2~3滴垂らして調下する。
◎項軟に。
◎小児が風邪で頭が回らず、骨が軟らかくなって前に垂れ、又、後ろにのけぞるとき。

 

天破湯《中薬臨床応用》
「天門冬97g、麦門冬9g、穿破石24g、山慈姑12g、鉄包金24g、白蒺藜18g、黄蓍15g、甘草(炙)5g」水煎服。
◎肺痿
◎肺膿瘍

 

天麻黄蓍湯《医学入門》《古今方彙》
「天麻・白芍薬・神麹・羗活・茯苓各3分、人参・黄連各4分、当帰5分、黄蓍・甘草・升麻・乾葛・黄柏・蒼朮各6分、沢瀉7分、柴胡9分」水煎温服。
◎手足麻木し、兼ねて風症あるを治す。

 

天麻丸《雞峰普済方》
「天麻、川芎」

天麻丸《東醫寶鑑》
「生乾地黄4両、羗活3両半、当帰2両半、天麻・牛膝・萆薢・玄参・杜仲・独活各1両半、附子(炮)5銭」作末し蜜で梧子大の丸剤。毎回100丸を空腹時に温酒or白湯で飲む。
◎風を治し、血を補う。栄衛を運行し、筋骨を強くする。

 

天麻駆風湯《中薬臨床応用》
「天麻6g、釣藤鈎(後下)・菊花・連翹・茵蔯蒿各9g、白蚕・竹茹・山梔子・葛根各6g」水煎服。
◎髄膜炎・日本脳炎による筋肉攣縮に。

天麻散《婦科準縄》
「天麻30g、白附子(炮)20g、天南星(炮)20g、半夏(湯洗7回姜制)20g、乾全蠍(炒)20g」を細末となし、毎回4gを生姜・薄荷酒といっしょに服用。   随時、口をこじ開けて少しずつ注ぎ込む。

 

天麻散《衛生宝鑑》
「半夏、天麻、甘草、茯苓、白朮、生姜」


天麻釣藤飲《雑病証治新義》
「天麻・釣籐鈎・生決明子・山梔子・黄芩・川牛膝・杜仲・益母草・桑寄生・夜交藤・朱茯神」煎服。

 

天麻釣藤飲《験方》《中薬臨床応用》
「天麻9g、釣藤鈎18g(後下)、石決明18g(先煎)、山梔子6g、黄芩9g、杜仲12g、牛膝15g、夜交藤12g、茯神9g、益母草15g、桑寄生15g」水煎服。
◎メニエール
◎高血圧
◎脳動脈降下症(シビレ・ふるえ)

天麻半夏湯《東醫寶鑑》
「天麻・半夏(製)各1銭、橘皮・柴胡各5分、黄連3分、姜3片」水煎服。
◎風痰で眩暈し、吐きたい者を治す。


天門冬飲子《医学入門》《東醫寶鑑》
「天門冬・茺蔚子・知母各1銭、人参・赤茯苓・羗活各7分、五味子・防風各5分」水煎服。
◎瞳がまっすぐでない者。
◎眼睛が中に帰する能わざるを治す。名づけて「轆轤転関」と曰う。

 

天門冬丸《証治準縄》《中薬臨床応用》
「天門冬45g、百合・前胡・川貝母・半夏・桔梗・桑白皮・防已・紫苑・赤茯苓・生地黄・杏仁各23g」細末にし蜂蜜で小豆大の丸剤。1日3回、20 丸づつ生姜湯で服用。
◎肺陰虚の咳嗽
◎老人の慢性気管支炎
◎痰が出にくい

天門冬膏


天門冬飲


天門冬合剤《張炳光・中医雑誌1995年1月号》
「天門冬・麦門冬・百部根・仁・橘紅」煎服。

 天門冬酒方《医学入門》
「天門冬の根を裂いて汁を絞り、糯米と同量で醸造する。」

 

天門冬湯《東醫寶鑑》
「天門冬・遠志・白芍薬・藕節・麦門冬・黄蓍・阿膠珠・没薬・当帰・生地黄各7分、人参・甘草各3分、姜3片」水煎服。
◎思慮傷心で吐血・衂血。

 

天門冬湯《外台秘要方》
「葛根湯-大棗+天門冬・杏仁・人参」
◎風湿、体疼、悪風、微腫するを療す。《雑病翼方》

天雄散《金匱要略》
「天雄(炮)3両、白朮8両、桂枝6両、竜骨3両」
右四味、杵為散、酒服半錢匕、日三服、不和、稍増之。
◎失精、臍下動あり、上衝悪寒し小便不利なる者を治す《吉益東洞》
◎それ失精・夢交は水気の変なり。故に朮をもって主薬となすなり《薬徴》
◎天雄散は《金匱要略》載せて桂枝加竜骨牡蛎湯の条後にあって其の証を挙げず。李時珍は《本草綱目》天雄条附方中に天雄散方を載せ、男子の失精を治すの方なりと曰う。方後に張仲景の《金匱要略》と曰う。然らば則ち《金匱要略》に本づくに男子失精、女子夢交は桂枝加竜骨牡蛎湯之を主るの下に天雄散も亦之を主るの六字を脱するや明らかなり。其れ失精夢交は多くは水気の変なり、故に朮附を以て君薬となる。唯だ二方の証状は確かに弁別あり。《重校薬徴》
◎大明に水臓を暖め精を益すと曰うは誤なり。精を失する者は水気の変なり。仲景の天雄を用うるに朮と与にするは特に水を治するのみ、精を益し水臓を暖むるが如きは毒薬の能くなす所に非ざるなり、従うべからず。《重校薬徴》
◎此方は桂枝加竜骨牡蛎湯の症にして陰寒に属する者を治す。
◎一人常に陰嚢冷を苦しみ時に精汁自ら出ずる者、此方を丸として長服して癒える。《勿誤薬室方函口訣》
◎陰痿失精《龍野ー漢方処方集》

 

天霊盖散《東醫寶鑑》
「天霊蓋(両指大を檀香湯で洗って酥炙)、檳榔5箇、甘遂・阿魏・麝香・安息香各2銭、朱砂1銭」作末し、毎回3銭を調服し、別に薤白・葱白各14茎、青蒿2握、甘草・桃枝・柳枝・梅枝が東に伸びたもの各5寸、桑香皮・石榴根皮各1片」を童尿4升を1升になるまで煮て、3回に分服し、1服するごとに前の薬末を入れ五更初に調服し、男の飲むのは女が煎じ、女が飲むのは男が煎じ服用後吐き気があったら白梅を食べる。五更初頃になると労虫・悪物・黄水・黒糞のようなものが下る。万一下らないともう一度飲み、万一排泄が止まらないときは竜骨と黄連を等分に作末し3銭を白水で調服し、白粥で補う。
◎瘵虫を治す。

 

点瞖膏《東醫寶鑑》
「朱砂2銭、硼砂1銭半、蕤仁21粒」搗いて「真珠爛・石膏各半銭、熊胆2分半、麝香1分」細末にし蜜で混ぜて蒸す。それを磁器内で貯蔵したところへ秦皮煎じ湯に少し入れて銅の箸に付けて垂らすと良い。
◎瞖膜を治す。点眼薬。

 
貼臍膏《東醫寶鑑》
「甘遂」作末し麺で調合し糊のようにして臍と臍の下の固いところへ塗り、 別に「甘草」を煎じて飲むとすぐ通じる。
◎大小便の不通。

貼痞膏《東醫寶鑑》
「水紅花子2銭、大黄・朴硝各1銭、石灰(酒醋)1塊卵大」搗いて膏を作り、絹布に広げ、痞塊の上に貼った後、熱い餅をまわりに貼り、布巾でくるんで3日目に取ると肌色が墨のように黒くなる。
◎積塊に貼る。

顛倒散《東醫寶鑑》
「大黄・滑石・皀角各3銭」を小便の不通には「滑石3銭」を加え、大便の 不通には「大黄3銭」を余分に加え、大小便の不通の場合には「大黄・滑石各3銭」を加えて作末したものを、毎回3銭空腹時に温酒で調服する。
◎大小便の不通。


転舌膏《医学入門》《東醫寶鑑》
「凉膈散加・石菖蒲・遠志」作末し蜜で梧子大の丸剤。朱砂で衣をつけ、毎回1丸を薄荷湯で化下する。
◎事風に舌がかたく、話せない者。

田螺膏《東醫寶鑑》
「大きい田螺8~9箇」蓋をして埋めておくと水になる。これを鶏の羽根で塗る。
◎痔瘡の腫痛に。