薬物<け>


【薬物名け】


ケイトウ
⇒類似の「ノゲイトウ」「アオゲイトウ」も同様に用いる。

【効能・効果】(けいとう)
○切れ痔:
花の煎汁を外用する(著効)。

○強壮剤として:種子10g/日煎服。

○月経過多:花を煎服(著効)。

○月経困難:花を煎服(著効)。

○こしけ:花を煎服(著効)。

○痔:全草を10~15g/日煎服。

○痔出血: 花を煎服(著効)。

○痔瘻(じろう):花の煎汁を外用する(著効)。

○小便不利:全草を10~15g/日煎服。

○心臓病:全草を10~15g/日煎服。

○腎臓病:全草を10~15g/日煎服。

○赤痢:全草を10~15g/日煎服。

○血の道:全草を10~15g/日煎服。

○腸出血:花を煎服(著効)。

○便秘:全草を10~15g/日煎服。

○腰痛:全草を10~15g/日煎服。




#ケシ(罌栗)
(参照→「アヘン」)
【基原】ケシ科ケシ属。
【学名】Papaver somniferum
【英名】Opium Poppy
【成分】
【作用】麻薬作用、鎮痛作用

◎発見
「ギリシャ神話によれば、アヘンの発見者は、大地を司る豊穣のの女神デネテールだった。デメテールが最初にケシを発見したのは、古代ギリシャ語のケシを意味する[メコン]と呼ばれる土地だった。」

◎アヘンの採れるケシ
[ソムニフェルム]と[セチゲルム]という2種類がある。そのうち、麻薬用として現在栽培されているのはソムニフェルム種で、品種改良によって朔果は卵大に育つ。しかし、原種に最も近いといわれるセチゲルムのほうは、せいぜい親指の先ほどでしかない。

ケシの花と言いますと一般の方はポピーを思い浮かべられるでしょう。しかし、薬学を卒業された方は薬用で麻薬のケシを思い浮かべられることでしょう。薬用のケシは、学生時代、生薬学の教科書でお目にかかったのが最後の方が多いのではないでしょうか。原植物名をPapaver somniferum Linneと言い、この未熟果実に傷を着け出てくる白色の乳液を放置しておく黒褐色に変化します。これを乾燥し粉末にしたものがアヘン(阿片、Opium)末です。乾燥アヘンは国内で年間約5kgが供給されているにすぎず、不足分(約100~120トン)はインドから輸入されています。その内8~10トンがモルヒネの原料として使われ、残りがコデイン、ジヒドロコデインなどの原料として使用されています。モルヒネは癌の末期患者の鎮痛剤として用いられ、その必要量はますます増加の傾向が有り、輸入増の確保、国内での栽培が検討されています。モルヒネの単離は、薬学の始まりと言っても過言ではないでしょう。阿片は、人類が数千年も昔から鎮痛薬として用い、古代エジプト以来、錬金術師などがその「精」を追及してきました。19世紀の初頭、ドイツの薬剤師Serturnerは、阿片の中から塩基性物質を結晶として単離し、鎮痛・催眠性を示すことからMorpheus(夢の神で眠りの神Somnus の息子)に因んでMorphineと命名しました(1806年)。その研究成果は、化学者の注目を有機化合物の研究に向けさせる大きな力となりました。

モルヒネをメチル化すると鎮咳性の強いコデインに、アセチル化するとヘロインに誘導することができます。モルヒネは麻薬性を有しているため、非麻薬性鎮痛剤の合成が行なわれていますが、未だモルヒネに勝る鎮痛作用を示す化合物は得られていませ ん。近年、脳内からモルヒネと同じ受容体に作用する、オピオイドペプチド(鎮痛ペプチド)が見つかっています。モルヒネの絶対立体構造は究極の構造決定手段であるX線結晶解析によって決定されました。モルヒネの構造は紙の上に書くと平面的ですが、逆T字型の構造をしているのがわかります。

ケシの乳液(あへん)は大変苦く、一度なめると一生忘れられない味です。植えてよいケシ(ポピー)と、植えてはいけないケシの簡単な見分け方は、薬用のケシはポピーに比べ、全体的に白っぽい(ワックス質である)、毛が少ない(ほとんどない)、葉などをもむと大変嫌な臭いがする、などです。ケシの種子は、「あんパン」の上にのっている小さな粒です。大麻の種子と同じように、麻薬性の化合物は含まれないため、食用として用いられています。

◎日本におけるケシ栽培
「「津軽」と聞いて、地名以外に何を連想するだろうか。現代ならリンゴやしゃみせんなどさまざまなものが思いつくだろうが、その昔、大阪地方では、「津軽」はアヘンを意味していた。
実は、日本でのケシ栽培が初めて行われたのが津軽だといわれている。日本におけるケシ栽培の歴史に詳しい弘前大学医学部の松木明知教授は、もともとドイツのライン河畔原産であったケシが中近東や地中海に広がり、九~十世紀にはアラビア商人によってインド、スリランカからスマトラに運ばれた。スマトラからの南蛮船が日本の若狭に入港してきたのが1412年。このとき、たまたま同じ港に入っていた津軽の北前船の船乗りに、南蛮船の乗組員がみやげとしてケシを渡したのではないかと推測している。
 津軽藩ではアヘンを使った秘薬「津軽一粒金丹」を製造していたというから、観賞用だった花がいつからかアヘン採取用の花に変わってしまったと考えられる。
 アヘンから分離されるモルヒネには強力な鎮痛作用があり、ガン性疼痛には欠かせない。副作用として眠気や便秘が起こるので、古代より、アヘンを睡眠剤に用いたり、下痢止めに使っていた記録がある。
ケシは中国にも紹介されていたが、鎮痛剤としてはあまり注目されなかった。麻黄や附子(ぶし)といった優れた鎮痛作用を持つ生薬があったためと思われる。
 また紀元前の仏典には釈尊が柳の楊枝を噛んで歯痛を直したという記録がある。近代になって柳からアスピリンが発見されたことを考えると合点が行く。痛みを止める植物は古代より経験的に数種見つかっていたと考えられる。
有効な鎮痛作用を有しているとはいえ、アヘンは麻薬である。麻薬は体内に入ると神経を刺激して、不快になったり、快感を覚えたりする。回を重ねるごとにそれはどうしようもないほどの快感に変わり、次第に量を増やさないとその快感は得られなくなる。薬が切れた時に訪れる苦痛は想像を絶するものがある。中毒になると薬のためには何でもするという怖さがある。麻薬は法律の下、厳重に散り扱わなくてはならない。
 津軽とはアヘンなり

◎モルヒネ
麻薬性鎮痛効果の特効薬モルヒネ成分を含んでいる植物は、ケシ科の中でも、和名「真正ゲシ(学名パパヴァー・ゾムニフェルム)」と「渥美ゲシ(学名パパヴァー・セチゲルム)」の2種類に過ぎない。ケシは新石器時代より栽培されており、スイスの湖上生活者の住居祉発掘の折、ケシ粒が出土している。この種子は、ギリシャ・コルンンカ島・シシリー島の野生種とは明白に異なっている。朔果から得られるアヘンに関しては、ニカンドス(ギリシャ人)の紀元前2世紀の作品『テリアカ』に出てくる。“ケシの果汁を飲むと深い眠りに陥る”の言葉は、テリアカのことであって、この用語は東洋にまで及び、日本でも平安時代には知られていた。
 モルヒネの分子式は、1931年のリービヒによる炭水素分析法の発表から炭素17、水素19、酸素3、窒素1とされた。
 モルヒネの全合成に成功したのは第二次世界大戦後の1952年のことで、米国ロチェスター大学のM/ゲェーツによってニトリルの接触水素化による閉環という手段の導入であった。

#ゲッケイジュ(月桂樹)
(参照→「オイゲノール」「高山病」)
⇒春、葉腋に淡黄色の小花を密生する。葉は9月、果実は10月。
【学名】Laurus nobilis
【英名】Bay、sweet bay、sweet laurel
   (ベイ)
【使用部位】葉・精油。
【成分】精油(1~3%):ゲラニオール
           シネオール
           オイゲノール
           テルペン
    タンニン酸
    苦味質
  

【効能・効果】(ゲッケイジュ)
<1>生の葉は消化機能を促進する。
◎血管拡張作用→「高血圧」

○胃アトニー:
・果実5~10g/煎服。or作末し1~2g/回飲む。

○胃炎:
・果実5~10g/煎服。or作末し1~2g/回飲む。

○疥癬:
・生葉を火で炙って患部に塗布する。
・葉を蒸留して得られる精油(月桂油)を塗布する。
・乾燥葉を入浴料とする。

○神経痛:生葉を火で炙って患部に塗布する。
・葉を蒸留して得られる精油(月桂油)を塗布する。
・乾燥葉を入浴料とする。

○打撲:
・生葉を火で炙って患部に塗布する。
・葉を蒸留して得られる精油(月桂油)を塗布する。
・乾燥葉を入浴料とする。

○腫れ物:
・生葉を火で炙って患部に塗布する。
・葉を蒸留して得られる精油(月桂油)を塗布する。
・乾燥葉を入浴料とする。

○リウマチ:
・生葉を火で炙って患部に塗布する。
・葉を蒸留して得られる精油(月桂油)を塗布する。
・乾燥葉を入浴料とする。
  

【参考】
<1>ゲッケイジュはローレルとも呼ばれるが、同じローレルの名で知られる『セイヨウバクチノキ(Prunus laurocerasus)』は猛毒なので要注意。



ケフィア
■アレルギー改善
「中央アジアのコーカサス地方で伝統的に作られてきた「ケフィア」という発酵乳の一種に、食物アレルギーの改善効果があることを、台湾の国立虎尾科技大学などのグループが見つけた。
実験ではマウスにケフィアを飲ませ、アレルギーの原因となる体内の抗体の一種『免疫グロブリンE(IgE)』の量を測定した。ケフィアを飲ませて3週間後、タマゴの白身に含まれるアレルギー原因物質『オボアルブミン』に対するIgEの量が減少していることが分かった。200610/19《産業》




ケラ(螻蛄ロウコ

【効能・効果】
○石淋と水道を治す。
「7枚を取って塩2両と瓦の上で焙って末にし、温酒で1銭調服する。」
  
 

ゲルセミウム・エレガンス
【学名】Gelsemium selegans
【英名】Chainese Gelsemium
【中国名】:「胡蔓草」「鉤吻」
【基原】マチン科、ゲルセミウム属。常緑の蔓性、鮮やかな黄色い花が房状につく。
インドから中国南部にかけて分布。
ゲルセミウム属には3種類ある。
<1>センピルヴィレンス・・北アメリカに分布。
<2>ランキニ・・・・・・・北アメリカに分布。
<3>エレガンス・・・・・・中国から東南アジアに分布。

【成分】ゲルセミンgelsemine
    コウミンkoumine

【作用】痙攣、呼吸困難
  

【薬理作用】(ゲルセミウム・エレガンス)
◎中枢神経麻痺作用。呼吸麻痺を起こす。
◎地球上で最猛毒の植物
「猛毒」の基準(厚生省の毒性基準)

=致死量・・・・・5mmg以下。
・青酸カリ・・・・・・・/・4.4mmg
・アコニチン(トリカブト)・/・・0.116mmg
・ゲルセミシン(ゲルセミウム)・・0.05mmg
ゲルセミウムアルカロイドの構造的特徴であるインドール部に猛毒要因。
     

◎アヘンの毒消し・・・山岳民族(モン族)の言い伝え。
Quark MAY 1996 number167より」

◎毒草
「かっては、前人未踏の山間地帯の少数民族だけが、「葉っぱ3枚で死ぬ」といっていた毒草。毒性分はアルカロイドで、その致死量はゲルセミンで0.05mg/kg、60kgの大人でもわずか3mgで死んでしまう。青酸カリよりも遙かに強烈な毒。
東南アジアの少数民族の中には、この毒草をつねに隠し持ち、自殺に備えていた。生の葉は噛むと、耐え難いほど苦いが、乾燥したものを作末して飲めば、味わう間まもなく死亡する。[携帯に便利][速効性][失敗がない]の3拍子そろっている。
ベトナムではこの植物を『ランゴン』と呼ぶ。しかしそれを知るのは生育地に住む少数民族に限られる。花の時期こそ黄色い鮮やかさが目を引くが、ハート形をした葉はどこにでもありそうな常緑のつる性植物で、1年中見られる。
◎正倉院
「正倉院は奈良時代の宝物が治められている。756年聖武天応崩御後、光明皇后によって献納された遺品が納められた。60種類の生薬があり、60番目に「治葛(ヤカツ)」の名で収蔵されている。
正倉院には詳しい説明のある《神農本草経》の写しが残されている。それによると、「治葛」とは、別名と断りがあり、ほかに「鈎吻」と「断腸草」の名前があげられている。「鈎吻」の名の由来は、「食べると口に引っかかる」ことからとあるが、実際はこの葉を食べても、キュリのようにシャリシャリするだけで、苦いのを別にすればノドにひっかかるとな思えない。それおりも、若いつるの先端が、あたかもヘビが鎌首をもたげたように不気味にみえるところから名付けられたようだ。現在、正倉院に残っているのは、13kgあったのが390gでしかない。
中国の王充著《論衡》には、治葛の「治」とは、地名で、中国の東南地方を指すとある。「葛」とは、つる性植物のこと。
神農本草経のダイジェスト版には、ベトナム山中に産するとある。



ケルプ
(参照→「アイリッシュ・モス」)
【学名】Fucus vesiculosus
【英名】Kelp、bladderwrack
【使用部位】全草。
【成分】粘液
   マンニトール
   精油
   カリウム
   ヨウ素
   ミネラル類
【効能・効果】
<1>ミネラルの供給
<2>リウマチ
<3>甲状腺の機能低下に伴う浮腫


ゲンゲ
■富山湾
「富山平野は富山湾に面し、富山県のほぼ中央部を占めている。平野の中ほどを神通川が、ゆっくり蛇行しながら富山湾に注いでいる。
富山湾は天然のいけすと言われるほど魚の豊富な海で、日本海からいろんな魚が入り込んでくる。そこへ富山湾を生息圏とする魚介類も加わる。ブリ・タラ・イカ・エビ、そして珍魚のゲンゲ。
ゲンゲは呼び名もへんてこりんであるが、深海魚の一種で冬が旬。大きさは25cm前後で、細長くて扁平。顔立ちはかわいいのに、全身ヌルヌルした半透明のゼラチン質で覆われているため、だいぶ損をしている。
吸い物や煮物、焼いたり天ぷらにするなど、白身で上品なうま味がある。絶品なのは干物で、軽く炙って食べるとタラの干物に近いが、アミノ酸が濃縮している完二で、脂も乗っており、タラよりはるかにうまい。
焼いて身をほぐしお茶漬けにしたらまたうまい。身の中に閉じこめられていたうま味が、熱湯で一瞬のうちに解放される」(永山久夫・食文化史研究家)2006.



 

#ゲンゴロウ(龍虱)
=「龍蝨」 (→「虫」)
◎ゲンゴロウ科(Oytiscidae)の昆虫は、一般に龍虱リュウシツとい、広東、福建省、タイ北部では食用とする。

◎種類:
「ゲンゴロウ(Cybister japonicus)」
「コガタノゲンゴロウ(Cybister tripunctatus)」
「ガムシ(Hydrophilus acuminatus)」ゲンゴロウとして売られているが別種。
   

◎老人の夜間頻尿に。(広東、武漢の民間療法)

◎胸の分泌腺から、ステロイド骨核をもった物質を分泌する。その主成分は[コルテキソン]および[テストステロン]などの4-3ケトステロイドである。

◎昆虫類にはスクアレンからステロイド骨核を組み立てる合成系はなく、ゲンゴロウにメバロン酸を注射しても分泌腺中のステロイドには取り込まれない。しかしコレステロールはよく取り込まれる。


 

ゲンチアナ
【学名】gentiana lutea
【英名】gentian、tellow gentian、bitter rnoot
【使用部位】乾燥した根および根茎。
【成分】

苦味配糖体:アマロゲンチン:

〇食欲増進
〇胃液分泌促進作用
〇蠕動運動促進
〇胆汁分泌促進
ゲンチオピクリン
スゥルチアマリン
アルカロイド:ゲンチアニン:抗炎症作用
       ゲンチアルチン
キサントン
トリテルペン
糖類
精油
  

【効能・効果】
健胃


 

#ゲンノショウコ (源の証拠)
■フウロウソウ科
東日本では白色、西日本ではピンク色の花をつける。
開花直前~花の盛りの頃、根元より刈り取り乾燥。
【別名】牛遍、のがへり。
【効能・効果】
〇下痢止めの妙薬。飲み過ぎても便秘を引き起こさない
○胃潰瘍:
 15~30g/日煎服
「ゲンノショウコ・決明子」煎服。
○胃痛:
 15~30g/日煎服
○胃腸虚弱:
 15~30g/日煎服
○ウルシかぶれ:濃い煎汁を外用。
○脚気:
 15~30g/日煎服
○切り傷:濃煎汁を外用する(著効)。
○下痢:
・「ゲンノショウコを黒焼きにし米糊で丸薬としてもの」=[牛遍丸]《津田玄仙》 牛遍丸は一切の痢疾を治する甚だ妙なる和方なり。黒霜糊丸とし、毎服20丸、白湯を以て送下する」《療治経験筆記》
・「単なる下痢止めではなく、腸の機能を調和する」《大塚敬節》
・「裏急後重の気味ある下痢に良く効く」《大塚敬節》
・15~30g/日煎服(一切の下痢に著効する)
○こしけ:
 15~30g/日煎服
○魚の中毒:
 15~30g/日煎服
○子宮内膜炎:
 15~30g/日煎服
○しもやけ:濃い煎汁を外用。
○十二指腸潰瘍:
 15~30g/日煎服
「ゲンノショウコ・決明子」煎服。
○心臓病:
 15~30g/日煎服
○腎臓病:
 15~30g/日煎服
○赤痢:
 15~30g/日煎服
○大腸炎:
 15~30g/日煎服
○腸カタル:
 15~30g/日煎服
○腫れ物:濃い煎汁を外用。
○腹痛:
 15~30g/日煎服
「ゲンノショウコ・決明子」煎服。
○便秘:
 10g/日、薄く煎じて飲む。


 ケンポナシ


 京子⇒「蔓荊子」

荊芥(けいがい) SCHIZONEPETAE HERBA
【基原】中国原産。
 シソ科(Labiatae)ケイガイアリタソウSchizonepeta tenuifolia Briq.の花穂をつけた全草(荊芥)。又は花穂(=「荊芥穂」参照)を乾燥。
★《神農本草経》:「假蘇(かそ)」
牧野博士は假蘇(かそ)の葉が落藜に似ているとの記載などから推察して、假蘇(かそ)には、シソ科のメボウキOcimum basilicum L.をあてている。
【類似生薬】
裂葉荊芥 Schizoneoeta tenuifolia Briq.
香薷   Elsholtzia patrinii Garcke
【使用部位】花期の地上部
【産地】日本(鳥取県)
中国(江蘇省、河北省、浙江省、河南省、湖北省、江西省)
韓国
北朝鮮
【性味】味は辛、性は微温。 「温・瀉・燥・降・散」
【帰経】肺・肝経。
【分類】辛温解表薬。
【薬性歌】“荊芥味辛清頭目 表寒袪風瘡蹙”
 “味辛、能く頭目を清くし汗を表にし、風を袪り瘡を治しを消す”
【効能・効果】(荊芥)

(発汗・鎮痙・袪風・透疹・止痒)
◎発表・袪風・鎮痙剤、腫塊を消散させる。
:血分に入り血熱を散じる為。
<1>目の充血
<2>感冒の発熱・頭痛
<3>咽喉腫痛
<4>瘡傷腫毒
<5>頸部リンパ腺炎
<6>風疹
<7>産後の中風・血痙厥
<8>吐血・衂血・便血・崩漏:(炒用)
<9>下顎・歯肉の化膿性疾患(発頤)。(頤=イ、おとがい)
<10>口舌に生じた膿疱

○表を解し、風をしりぞけ、血をおさめる。(発表風・利頭目)

◎(炒用)すれば
<1>吐血
<2>子宮出血
<3>下血
◎発汗・解熱に使う。
「水で煎じて服用。」
◎頭がまわり、めまいを治す。
 「煎・末服。」
◎手足の筋急に。
「煎じて食べる。症状が軽いときは、おしたしにして食べる。」
◎血風を治す。「水煎服。」
◎産後の要薬なり。《証治要訣》
◎中風の斜及び一切の風に。「煎じて汁を飲む。」
◎傷寒による頭痛に。「濃く煎じて服用。」
◎咽喉炎・扁桃炎:「桔梗・甘草(生)」
“咽痛には必ず荊芥を用いる” 
  

【薬理作用】(荊芥)
<1>解熱作用
<2>抗菌作用
<3>皮膚の血液循環を促進作用
<4>汗腺の分泌を促進
<5>瘡・癬の病変組織を破壊し吸収する作用。

【修治】
(生):発表作用にすぐれる。
(炒):止血作用にすぐれる。

【薬能】(荊芥)
《神農本草経》
“寒熱、鼠瘻、瘰癧、生瘡を主り、結聚した気を破り、瘀血を下し、湿痺を除く”
《本草綱目》
“風熱を散し、頭目を清し、咽喉を利し、瘡腫を消す。”
“項強、目中黒花及び生瘡、陰、吐血、衂血、下血、血痢、崩中、痔瘻を治す”
《中薬大辞典》
“発表し袪風し理血する。炒炭は止血する。”
“感冒発熱、頭痛、咽喉腫痛、中風、口噤、吐血・衂血・便血・崩漏、産後の血暈、癰腫、瘡疥、瘰癧などを治す”    

【薬対】
『荊芥+薄荷』
『荊芥+防風』

=発表作用。風湿の邪による頭痛・発熱を治す→川芎茶調散
=解毒作用。湿疹、ジンマシン、中耳炎、鼻炎を治す。 (十味敗毒散)

【配合処方】
荊芥連翹湯
荊防敗毒散



荊芥穂(けいがいすい)
【基原】中国原産。
シソ科(Labiatae)ケイガイアリタソウSchizonepeta tenuifolia Briq.の花穂を乾燥。
【性味】味は辛、性は微温。
【帰経】肺・肝経。
【分類】辛温解表薬。
【効能・効果】
◎産後の出血過多。
◎産後の血暈。
◎血崩と血漏の止まらないのを治す。
「焼いて末にし毎回2銭を童尿で調和する。」



荊三稜⇒「三稜」

桂円⇒「竜眼肉」

 

桂枝(けいし)
【基原】クスノキ科(Lauraceae)ケイCinnamomum cassia Blume.の若枝。
★《神農本草経》上品に「箘桂キンケイ」「牡桂」で収載。
中国南部。ベトナム・セイロンに産するクスノキ科の桂の枝の皮。
【性味】味は辛甘、性は温。「温・補・燥・中・散」
【帰経】心・肺・膀胱経。
【薬性歌】“桂枝小梗行手臂 止汗舒筋手足痺”
 桂枝の小梗、手臂に横行し、汗を止め、筋を舒べ、手足の痺を治す。《万病回春》
  

【効能・効果】(桂枝)
(解表・鎮痛・健胃・通絡)
◎発汗、解肌、温めて経絡を通す。
○陽を通す。
◎汗を止める。「秋と冬にだけ煎服。」
  

【薬理作用】(桂枝)
(中薬大辞典)
①抗菌作用
②抗ウイルス作用
③利尿作用
桂枝を含む五苓散を麻酔したイヌに0.25g/kg静注したところ、尿量は明らかに増加したが、桂枝の単用による静注(0.029g/kg)の利尿作用は他の4薬の単用よりも顕著であった。したがって桂枝は五苓散における主要な利尿成分の1つ。
<1>解熱作用
<2>抗アレルギー作用
<3>中枢抑制作用
<4>心臓抑制作用
  

【薬能】(桂枝)
■《神農本草経》
“上気逆、結気、喉痺、吐吸を主り、関節を利し、中を補い血を増す”
■《薬性提要》
“経を温め、脈を通じ、汗を発し、肌を解し、陽を益し、陰を消し、百薬を宣導する”
■《古方薬品考》
“桂枝は前鋒発表の宰宗”
■《薬徴》
“桂枝、衝逆を主治するなり”
“旁ら奔豚・頭痛・発熱・悪風、汗出でて身痛するを治す”
「衝逆」=つきあげる
「悪風」=悪寒の軽症。風にあたるとゾクゾクとかんじる
■《重校薬徴》
“上衝を主治す”
“故に奔豚、頭痛、冒悸を治す”
“発熱、悪風、自汗、身体疼煩、骨節疼痛、経水の変を兼治する”
“范成大、桂海志に、凡そ木葉の心は皆一縦理あり、独り桂は両道ありて、圭(くろきびの香り酒を用いるときの玉器)形の如し、故に字は之に従うと云う。陸佃埠雅に桂は猶お圭なりと、宜しく百薬を導いて之が先聘(ヘイ、もとめる)通便を為すこと執圭(シツケイ=朝臣)の便の如きなりと云う。為則按ずるに字を制するの説は、范は之を得るとなす。蓋し其の見る所を以て之を言うなり。陸は則ち失ず。蓋し臆を以て之を測りて、説を強いて作るなる従うべからず。
“《傷寒論》に、桂枝は本解肌と為すと曰う。此れ仲景氏の意にあらず。取らず。蓋し注語の誤りて本文に入るなり。”
“冠宗は、漢の張仲景は桂枝湯を以て傷寒の表虚を治すと曰う。是れ善く《傷寒論》を読まざるの過なり。《傷寒論》中に間々表裏虚実を説く。然して絶えて仲景の口気に似ず。疑うらくは後人の入(ザンニュウ)する所なり。凡そ仲景の桂枝を用うるは専ら上衝を治すを以てなり。桂枝湯の条に上衝するものは桂枝湯を与うべし。若し上衝せざるものは之を与うべからずと曰う。桂枝加桂湯の条に気小腹より心に上衝すと曰う。苓桂朮甘湯の証 曰く、気胸に上衝しと、以て見るべし。按ずるに苓姜朮甘湯、桂枝附子去桂加朮湯の二方は、共に曰く、小便自利と、是に由て之を観るに、上衝は則ち桂を用い、下降は則ち否らず、斯に徴するに余の言を以てすべし、蓋し虚実の説は仲景の言う所、古訓を失せず、后人の入する所は、則ち古訓に合せず、宗は善く書を読まず、入の説を挙げて、以て仲景の直訣を為し、妄りに之の説を為すは過なり。”
■《古方薬議》
“上行して気血を発泄透達す”
“故に肌表の邪気を発解するなり”
■《中薬大辞典》
“発汗解肌し、経を温め、脈を通ず”
“風寒の表証、肩背肢節の酸痛胸痺痰飲、経閉を治す”
  

【薬対】
▼『桂枝+黄蓍』=表虚による自汗を治す。防已黄蓍湯
▼『桂枝+甘草』=気の上衝
▼『桂枝+枳実』=胸の痞塞を押し開いて、気を下げる効がある《大塚敬節》
▼『桂枝+呉茱萸』
▼『桂枝+地黄』=強壮剤、全身倦怠を治す。
▼『桂枝+芍薬』=緩和剤(方向転換)
  筋及び内臓痛を治す。桂枝加芍薬湯。
▼『桂枝+大棗』=止汗作用を表す(方向転換)
▼『桂枝+丹参』
▼『桂枝+桃仁』=瘀血による血行不良、生理不順、冷え性を治す。
悪血による生じる、冷え症、生理不順、生理痛、血行不順を治す。  桂枝茯苓丸
“血分排達に意に取るなり”《浅田宗伯》
▼『桂枝+人参』=胃中の陽気を助けて心下痞堅を緩める(木防已湯)《勿誤薬室方函口訣》
▼『桂枝+茯苓』=気の上衝によるのぼせ、頭冒感を治す。
気の上衝に伴って生じる、めまい、頭痛、不安感を治す。 苓桂朮甘湯
▼『桂枝+附子』=寒湿による関節痛及び神経痛を治す。桂枝加附子湯。
▼『桂枝+牡蛎』=気の上衝、不調和により起こる煩躁、動悸、不眠を治す。 桂枝加竜骨牡蛎湯。
▼『桂枝+麻黄』=発汗作用を強める。(相加)
表実無汗の者に対する強い発表作用
▼『桂枝+生姜』=表虚自汗の者に対する軽い発表作用
▼『桂枝+白朮』=表湿による痛みに。桂枝加朮附湯
  

【注意】(桂枝)
◎煩乱に用いるべからず。《済陰綱目》
  

【考徴】
(桂枝5両)
桂枝加桂湯証=気、少腹より心に上衝す。

(桂枝4両)
桂枝甘草湯証=その人、叉手(さしゆ)して自ら心を冒(おお)ふ。心下悸して按を得んと欲す
[叉手して]=心臓の部分に左右の手を組んでのせて、動悸を鎮めようとする。為則按ずるに、叉手して心を冒ふは。して上衝するを以ての故なり。悸して上衝するを以ての故なり。
桂枝甘草附子湯
桂枝甘草附子湯条に、上衝の証なし。為則按ずるに、此の方は桂枝甘草湯に附子を加ふるものなり。桂枝甘草湯条に上衝の証あり。然れば則ち此の湯も亦当に上衝の証あるべし。それ此の証を脱するや明らかなり。
桂枝附子湯
苓桂甘棗湯証=奔豚を作さんと欲す
苓桂五味甘草湯証=気、少腹より胸咽に上衝す

(桂枝3両)
桂枝湯証=上衝。また曰く、頭痛・発熱、汗出でて悪風
苓桂朮甘湯証=気、胸に上衝す。

☆以上の諸方を歴觀するに、桂枝の衝逆を主治するや明らかなり。頭痛・発熱の輩(たぐい)は、その旁治するところなり。仲景の疾を治する、桂枝を用ふる者、十の七八に居る。

茵蔯五苓散
烏梅丸
温経湯
黄連湯
葛根湯
甘草附子湯
桂枝加葛根湯
桂枝加厚朴杏仁湯
桂枝加芍薬湯
桂枝加芍薬大黄湯
桂枝加竜骨牡蛎湯
桂枝生姜枳実湯《金匱要略》
桂枝人参湯
桂枝茯苓丸
桂芍知母湯
五苓散
柴胡加竜骨牡蛎湯
柴胡桂枝乾姜湯
柴胡桂枝湯
炙甘草湯
小青竜湯
小柴胡湯
小建中湯
続命湯
桃核承気湯
当帰四逆加呉茱萸生姜湯
八味地黄丸
麻黄湯
木防已湯

【品考】
《薬徴》
“桂枝、気味の辛辣(=ひりひりとからい)のものを上品となす。李晃は気味の厚薄を以て、桂枝と肉桂を分かち、遂に上行下行の説を構ふ。是れ憶測なり。従ふべからず。桂枝や肉桂や桂心や、一物にして三名なり。桂心の説は陳藏器、李時珍之れを得たり。”
[桂心]=桂枝と肉桂と桂心とは同じもので名を異にしているが、桂心というのは、表面のガサガサして凸凹のある味のないところを削り去ったものだと陳藏器はのべている。
《重校薬徴》
“桂枝は東京桂枝と称する者を良と為す。交趾桂枝と称する者之に次ぐ。辛辣にして甘味ある者上品なり。李景は気味の厚薄を以て、桂枝と肉桂とに分ち、遂に上行く、下行の説を講く。是れ臆測なり。従うばからず。桂枝と肉桂と桂心は一物にして、之の名称を立つのみ。宜しく桂枝と称する者を用うべし。”


桂枝尖(けいしせん)

 

桂心(けいしん)
【基原】「桂皮」の基原<1>ハを参照。「肉桂」の別名。
【薬性歌】“苦辛心腹冷 下胞失音蠱瘀靖”
【効能・効果】
◎《神農本草経》
<1>九種の心痛を治す。
<2>三虫を殺す。
<3>腹内の冷痛を治す。
<4>風寒を治す。
<5>五労・七傷を治す。
<6>九竅を通す。
<7>関節を良くする。
<8>精をつける。
<9>目を良くする。
<10>腰膝を温める。
<11>風痺を除く。
<12>痃癖癥瘕を散らす。
<13>筋骨をたくましくする。
<14>肌肉を丈夫にする。
<15>胞衣をおろさせる。

◎失音を治す。
「細末にして唾(ツバ)に混ぜて呑み込む。」
「咽喉がかゆくて痛む失音不語には、桂心・杏仁各1両を粉末にし桜桃大の蜜丸。綿でくるんで吸って飲み込む。」
◎寒疝痛と四肢の逆冷。
「桂心末1銭を熱酒で調下する。」
◎産後の血瘕を治す。

【配合処方】
還魂湯



 

桂皮(けいひ) CINNAMOMI CORTEX
(参照→「セイロン桂皮」「ニッケイ」)
【基原】クスノキ科(Lauraceae)ケイCinnamomum cassia Blume.の樹皮を乾燥。
<1>広南桂皮・東興桂皮:C. cassia Blume.が原植物。「Cassia bark」
イ)「官桂」:5~6年の幼樹の樹皮。=(桂通)
ロ)「企辺桂」:10年の樹幹皮。=(清化桂)
ハ)「桂心」「板桂」:官桂を整形したもの。(参照→桂心)
ニ)「桂砕」:官桂の塊片。
<2>ベトナム桂皮:C.obtussifolium Nees.が原植物。
★セイロン桂皮:
C.verum J.S.Presl(=C. zylanicum Nees)の幹皮でコルク層を除いたもの。
  

【性味】味は甘辛、性は大熱、小毒。

【効能・効果】(桂皮)
<1>温め経脈を通す。
<2>肝肺の気を良くする。
<3>霍乱の転筋を治す。
<4>胎を下す。
     

○腹内の冷痛。
「煎・末服。」
○体表の陽気を補い血行を良くするので、発汗・解熱・のぼせを抑える効果がある。
○中枢神経の興奮を鎮静し、水分代謝を調整し、体表の毒を去り、これを和解する作用があるから、頭痛・発熱・のぼせ・感冒・身体疼痛などに応用される。
  

【成分】C. cassia Blume.
<1>精油:1.0~3.4%
*cinnamaldehyde(=cinnamic aldehyde):75~90%
*cinnamyl acetate。
*phenylorooyl acetate。
*cinnamic acid。
*salicyl aldehyde。
<2>ジテルペノイド
*cinnzeylanine
*cinnzeylanol
  

【参考】
<1>桂皮油には、発ガン性のある成分[サフロール]を含有。(→ガン)

【芳香療法】
◎以下の精油類は、毒性・皮膚刺激などで、芳香療法に使用すべきでないとされる。(国際芳香療法家連盟)
Cinnamomum cassia(カシア)
Cinnamomum zylanicum (シナモン皮)
    

◎精油(桂皮油):

*抗菌作用があり、大腸菌、ブドウ球菌、アルビカンス菌の発育を抑える。
*毛細血管の老化に有効
*しみ・しわ・たるみ・冷え症
*老化は毛細血管が減少する
*40歳代から血管の減少で、肌が影響
*心臓や肺に酸素や栄養が不足する
*神経も血液が必要

中国産の桂皮でデーター 
外側(血管壁細胞)と内側(内皮細胞)をつなぐ・・・Tie2
桂皮の成分が「タイツー(Tie2)」の活性化を高める→血管拡張作用
 八つ橋



桂通=「桂皮」基原<1>イを参照。

景天
【効能・効果】
○疹の悪痒を治す。
  「裂いて汁を取って塗る。」


珪藻
■工芸品のようま殻をまとう
池や海に生息する植物性プランクトンが珪藻。
身にまとう殻は工芸品のよう。
水中の二酸化ケイ素を取り込んで作る。
規則正しい構造が自然にできる仕組みは、バイオミネラリゼーション(生体鉱物現象)ともいう。
金仁華・神奈川大学教授は、実験室で珪藻が持つポリアミンという有機分子を人工合成し、水ガラスなど二酸化ケイ素の原料と混ぜてみた。すると、二酸化ケイ素が有機分子を媒介にして、約30分でたわしのような構造ができあがった。
その構造は珪藻の殻を連想させた。


 

軽粉
(⇒水銀粉)
=甘汞の近似せる水銀化合物。
【効能・効果】
○酒渣を治す。
「軽粉と硫黄を作末して唾と混ぜてもみ、また軽粉・硫黄・乳香・細辛を作末して唾に混ぜて貼る。」

【薬能】(軽粉)
《薬性提要》
“辛にして冷、蟲を殺し痰を刧(ウバ)い、積を消し、瘡を治し、歯より邪欝を出す。”

【配合処方】
烏梅散
腋臭摺薬
後七宝丸
前七宝丸
続七宝丸

【参考】
◎軽粉の毒を解すには、六物解毒湯《黴癘新書》《勿誤薬室方函口訣》






鶏殻袋
=鶏の胃袋。
○鶏の胃袋をそのまま土で固く封をして焼いて、姜を炒った香附末半両を入れて神麹糊で梧子大の丸剤。空腹時に姜湯で呑み下す。」


鶏冠
=ニワトリのとさか。
■ヒアルロン酸
「茨城県五霞町のキューピー工場の一角に、養鶏業者の元から鶏の鶏冠(とさか)が次々と運び込まれる。お目当ては1個平均50gの鶏冠に0.3%含まれる多糖類の一種『ヒアルロン酸』だ。この物質は人間の体内で粘性のある溶液になる特性があり、目薬・関節炎の治療、白内障の手術助剤などの医薬品原料に使われている。
「キューピーとしては医薬品を積極的に手掛ける意思はなかったが、製薬会社との出会いや協力が大きかった」とファインケミカル部の模擬重昭部長は振り返る。
同社は85年頃にすでに化粧品原料としてヒアルロン酸の開発を終えていた。ユーザー業界の間ではキューピーが純度の高いヒアルロン酸を作れるとの評判が高まり、そんなときに紹介されたのが目薬大手の参天製薬だった。開発テーマなどのアドバイスを受け、94年3月には厚生省から医薬品の承認を得た。」



鶏冠花
【効能・効果】
○血痔に。
 「濃く煎じて飲む。」


鶏冠血
【効能・効果】
○白癜風・癧傷風に。
 「丹雄の血を塗る。」


鶏冠石 Raelgar
   (⇒「雄黄」「ヒ素」)
◎産地:群馬県甘楽郡下仁田町西ノ牧
   (堀秀道著「楽しい鉱物図鑑」より)
<1>濃赤色、透明な硫化鉱物。成分は硫化砒素で、恐ろしい感じもするが、水溶性ではないので直接毒にはならない。
<2>輸送、光、湿気に弱い。
<3>古代から知られており、紀元前315年にギリシャのテオフラトスがその著に 記載している。
<4>中国では古くから「雄黄」の名で薬として利用。
<5>中国では赤色の鶏冠石を「雄黄」とし、黄色の石黄(Orpiment)を「雌黄」と した。

鶏血藤

鶏骨香

鶏屎(けいし)
【効能・効果】
 ○水腫・気腫・湿腫に使う。


鶏子(けいし)
【効能・効果】
○失音に。「水で煮て水で飲む。」
○心病に「生で飲む。」
○赤白痢の長引く者。
「醋で煮て空腹時に食べる。又は、作末して1銭を酒で服用。」
○咽喉を開き、又咽喉のつまる症。
「生卵1箇を黄身は捨て、朱醋を入れたものを、灰に埋めて熟して熱い内に1~2回食べる。」
○心胸の煩熱に使う。
○哮喘を治す。
○産後の血暈と風を治す。


鶏子黄(けいしおう)
=卵黄
【薬能】
《古方薬品考》
“その味甘くして厚し。故に能く虚損を補う”
《古方薬議》
“味甘平、心を鎮め、血を補い、咽を清ふし、音を散じ、驚を定目、嗽を止め、利を止む”



鶏子白衣
   (⇒鳳凰衣)=鶏子白
⇒ニワトリの卵殻内膜。
【効能・効果】
○肺熱を冷ます。「生で呑み込む。」


鶏心檳榔(⇒檳榔子)


鶏舌香
=ちょうじ(丁字)の未開花。
○末に作るは難し。白米78粒を入れて研磨すれば末にできる。

【薬能】
《薬性提要》
“辛にして湿、胃を煖め、腎を補い、胃冷えて、泄利するを治す”

【配合処方】
前七宝丸《古方兼用丸散方》


鶏蛋衣(⇒鳳凰衣)ニワトリの卵殻内膜。

鶏蛋花⇒キョウチクトウ科


鶏腸(けいちょう)
【効能・効果】
○遺尿と小便の不禁を治す。
「焼いて温酒に混ぜて飲む。」


鶏腸草(けいちょうそう)
=石胡セキコズイ)キク科トキンソウの全草。
【効能・効果】
○小児の赤白痢。
「汁1合を取って蜜で混ぜて食べる。」
   

鶏頭実(=仁)
【効能・効果】
○精気を補強し、精を秘蔵する。
「散・丸どちらでも良く、粥で服用。」




鶏内金
⇒ニワトリの砂嚢の角質内壁。

 

鶏肉
■あっさり味に
「東北大学農学部の研究グループは、脂の乗り過ぎを防ぎ、アッサリとした味の鶏肉を作り出す新手法を開発した。
鶏には特殊な抗体(タンパク質)を与え、エサの中に過剰に含まれる脂肪分が体に蓄積できないようにする。脂肪の量を半分に出来、ブロイラー独特の臭みも抑えられると言う。消費者の健康志向とグルメ志向を同時に満たせる技術として期待が高まりそうだ。
エサの中に含まれる脂肪は、一旦分解され血液中に溶け込んだ後『リポプロテインリパーゼ(LPL)』と呼ばれる特殊な酵素の働きで、脂肪組織の中に取り込まれる。
研究グループは、まず、LPLの働きを阻害するモノクロナール抗体と呼ばれる物質を開発、この抗体を1日1回鶏に注射したところ、1週間で体脂肪が約半分に減ったという。
又、分解後の脂肪が組織に吸収されずに残っていることを、血液検査で確かめた。
ただ、現在の手法では、鶏の食欲が落ちやすく、体重の伸びがやや鈍る傾向がある。1999.413《日本経済新聞》

 

鶏尿
【効能・効果】
○穀脹と諸脹を治す。

鶏
【効能・効果】
○遺尿と小便の滑数不禁を治す。
「衰黄皮を焼いて灰末を2銭づつ温酒で調服。」

 

鶏抱卵殻
【効能・効果】
○耳の中が膿んで痛いとき。
「皮を炒末して香油で混ぜ耳に入れる。」

鶏卵
【効能・効果】
○心痛。
「卵1個を好醋2合に混ぜ、温服。」
○紫癜風・白癜風に。
「醋に浸して一夜置き、針で小さい孔をあけ、砒霜と緑豆末を少し入れて混ぜて、石で砕いて粉にし青布につけてこする。」
○小児の疳痢に良い。

◎黄身の色はキサントフィル
市販で売られているたまごのほとんどは、着色料(色素を植物などから科学的に抽出したもの、科学的に合成したもの、稀に、植物などそのもの)を使用しています。
(実際に、ヘキサン抽出は有害性が認められています。)
では、「黄身の色は薄い方が良いか」といえば、そういうわけでもありません。
たまごの黄身は、キサントフィルという名前の色素です。→「カロチン」
■食中毒急増
「病原性大腸菌(Oー157)が猛威をふるう陰で、もう一つの新顔の菌による食中毒が急増している。サルモネラ菌の一種、サルモネラ・エンテリティディス(SE)。数年前から、この菌による食中毒で死者も出ている。この菌は多くの場合、鶏卵を経由して口に入るとされる。
今年、SEによる死亡事故が東京都と山形県で起きた。西日本でも、今年は死者は出ていないが、ここ数年広がりを見せている。
大阪府食品衛生課などによると、大阪府内で今年に入ってサルモネラ菌による食中毒が7件発生。そのうち、SEが原因と確認されたものは、6月1日に河内長野市の病院で給食を食べた入院患者140人が食中毒を起こした例など、5件にのぼる。
されに、この8日~10日にかけて、枚方市の菓子店で製造。販売したシュークリームを食べた住民46人がサルモネラ菌による食中毒にかかり、1人が入院した。これもSEによる疑いがあり、大阪府は菌の特定を急いでいる。
また、92年には、4月~5月にかけて、大阪・京都・滋賀・広島の4府県で計2200人を越える患者が発生し、1人が死亡している。
国立予防衛生研究所には、全国で人から検出されたサルモネラ菌が集められる。1988年までは、SEが占める割合は3~7%程度だった。ところが89年は24%と、トップに。94年には56%を占めるまでになった。
東京都立生成研究所の伊藤武・微生物部長は「多くの場合、SEは卵料理から見つかるので、卵が主な原因と考えられる」と話す。サルモネラ菌は熱に弱い。しかし、半熟程度では菌が生き残る恐れがある。たくさんの卵を一つの容器に入れて割り入れて、長時間置くのが一番危ない。1つでも卵が汚染されていると、菌が全体に広がるからだ。
ただ、あまり神経質になる必要はない。農水省が94年に約2000ヶ所の産卵農場を調査したところ、SEを持つ親鳥が確認されたのは4ヶ所だけだった。汚染卵は10000個に1個の割合とも言われる。
「たとえ菌がいる卵でも新鮮なうちに冷蔵庫で保存すれば、生で食べても問題はないはず」と、農水省衛生課の関谷順一さん。 伊藤部長は「古くなると、たとえ1個でも中毒を起こす可能性が出てくる」と、1週間以内をメドに食べることを進める。1996.7.12《朝日新聞》」
■賞味期限義務づけ-----サルモネラ食中毒急増
「サルモネラ菌による食中毒が急増している。3月半ばには東京・神奈川・岩手で計約1100人の児童・生徒が発熱、下痢を訴えるなど、昨年を大きく上回るペースだ。鶏卵を主な汚染源とするエンテリティディスという菌(SE)が目立ち、複数の抗生物質が効かない耐性菌も数多く見つかっている。食中毒シーズンを前に、農水省は4月、数種のサルモネラ菌を家畜の[届け出伝染病]に指定し、厚生省も鶏卵の賞味期限の表示を義務付ける方針を決めた。
厚生省はこのほど作成した家庭用の手引書などで、
肉などは容器やポリ袋に入れて冷蔵庫の他の食品と接触しないように保存すること。
冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫はー15℃以下で維持するように。
卵もパックのまま冷蔵庫で保存する。
肉・卵は70℃以上で1分以上、中心部までよく加熱すること。
生食の場合、賞味期限に注意して、新鮮なうちに食べる必要がある。と呼びかけている。1998.5.26《朝日新聞》
 
■卵アレルギー
「キューピーは藤田保健衛生大坂文種報徳會病院(名古屋市)と共同で、卵アレルギーの人がアレルギー症状を起こしにくい体質に改善する際のメカニズムを解明した。
マウスを使った実験では、低アレルゲン化した卵白を食べさせると、アレルギー反応を抑制する物質がどれだけ増え、アレルギー反応を引き起こす物質がどのように減るかを調べた。
卵白には通常、10種類以上のタンパク質が含まれる。低アレルゲン化した卵白は、加熱してゆで卵状になったものを粉砕し水で洗った後、タンパク質の一種『オボムコイド』を除去して作る。
実験はマウスの腹腔内に通常の蛋白液を投与し卵アレルギー体質にした後、オボムコイドを除去した卵白を含むエサを8週間与えた。最終日の5日前から、胃の中に再び通常の卵白溶液を投与し血清と糞の中の抗体価(卵白に対する)なそを測定した。
その結果、ボムコイドを除去した卵白を、より多く含むエサを投与したマウスの方が、アレルギー反応が低下していた。」2005.12.1《産業》
■ゆで卵・・・殻がきれいにむける
★両手鍋に水75cc(お玉1杯)
 卵4玉
 フタをして中火で6分
 火を止め(7分間)(半熟には3分)
 できあがり
■殻を人工合成
「2008年、国立シンガポール大学のグループは、鶏卵の固い殻を人工合成する実験に成功した。
鶏卵の殻では成分の98%が炭酸カルシウムだが、残りの2%はタンパク質が占めている。建物でいうと炭酸カルシウムがレンガに相当し、レンガ同士をつなぐセメントに当たるのがタンパク質になる。」
■タンパク質
「バイオ企業のファーマフーズは広島大学と共同で、病気の治療に期待されるタンパク質が含まれた卵を有無ニワトリの開発に取り組む。
まずニワトリの胚性幹細胞にタンパク質の遺伝子を導入し、ニワトリの卵にこの細胞を注射。遺伝子が殻の中にある受精卵に入る。この卵から生まれたニワトリを雌雄そろえて交配すれば、タンパク質を含んだ卵が埋めるメンドリ(雌鶏)になるという。
松田治男・広島大学教授と堀内浩幸助教の技術を元に、卵に効率よく医薬品の元になるタンパク質を作る基礎技術の開発を進める。
動脈硬化などの下人になる悪玉コレステロールを取り除くタンパク質の卵での量産化を目指す。
人間の体内でコレステロールを運ぶ遺伝子で、抗体は血中に含まれる悪玉コレステロールを取り除く。人工透析のように外部に採りだした血液にこの抗体を加えれば悪玉コレステロールを除去できると考えられている。
ニワトリは年間300個の卵を産むため、生産コストはプラントで作る場合の1/1000ぐらいになる。」




 

血竭
【薬性歌】血竭、味。跌撲、傷損、悪毒、瘡癰に。血を破るに準(のり)あり。《万病回春》
【効能・効果】
<1>一切の悪瘡・疥癬を治す
<2>金瘡の血を止める。
○金瘡の出血と痛みを止める。・・余り多く使うとかえって膿が出来る。
       「粉を貼ると良い。」



血管拡張作用がある精油【芳香療法】
⇒瘀血に有効。
<1>ブラックペパー
<2>ジュニパー
<3>マージョラム
<4>ローズマリー
<5>ガーリック

血管収縮作用がある精油【芳香療法】
⇒発赤・腫脹に有効。
<1>カミルレ
<2>サイプイレス


 血耳片(⇒鹿茸)
 血藤(⇒紅藤)アケビ科
 血珀⇒「琥珀」参照
 血余炭(⇒乱髪霜)

 

決明子
【性味】 ≪涼瀉燥降散≫
[薬性歌]“決明子甘除肝熱 目痛収涙止鼻血”
“能く肝熱を除き、目疼み、涙を収めなお鼻血を止む”《万病回春》
【効能・効果】

(消炎・緩下・利尿・降圧・子宮収縮作用)
○肝火を清くし、目を明らかにし、べんを通ず。
<1>青盲目赤
<2>大便燥結
<3>風熱頭痛
○肝熱を冷ます。「粉末にして服用。」
○頭風を治し、目がはっきりする。
「偏頭痛に作末し水で濾して太陽穴に塗る。」
○赤・白膜と腫痛、涙の出るのを治し、肝熱を除く。
「毎朝1匙を空腹時に食べると、100日目に見られる。」
○角膜潰瘍
○急性結膜炎
○高血圧からくる頭痛
○便秘
○癰瘡瘍
○緑内障


月季花⇒コウシンバラの花蕾。

月石(⇒硼砂)


 

月桃(ゲットウ)
学名をAlpinia speciosaといい、沖縄地方に自生するショウガ科ハナミョウガ属の植物です。多年草で、3メートル程度まで育ち、花は30センチほど垂れ下がり穂状に開花します。月桃の精油は葉から水蒸気蒸留法で抽出され、トップノートはユーカリに似た香り、ベースは甘く濃い香りです。
精油成分は少なくとも105成分が存在し、テルペン系炭化水素4種、アルコール類7種、エステル類2種などが含まれています。
テルペン系炭化水素は、β-ピネン、p-シメン、D-カンファー、α-フムレン
アルコール類は、シス-ヘキセン-1-オール、リナロール、テルピネン-4-オール、ボルネオール、α-テルピネオール、ミルテノール、ゲラニオール
エステル類は、酢酸ゲラニル、桂皮酸メチル  






月長石⇒「ムーンストーン」参照

芡実
[薬性歌] “芡実甘味能益精 腰膝湿痺酸疼”

芡仁(=鶏頭実)
【効能・効果】
○長く常用すれば、軽身・不飢・耐老に効く。
「芡仁粥は粳米1合に鶏頭実末2合を入れて粥を作って食べる。」
○腰脊痛。
「作末し粥を作って食べる。」
○芡仁・菱仁ともに食料ね代わる。
「搗いて乾かし実を取って粉を作り、蜜で混ぜて食べる。」


 

萱草根(けんそうこん) 
萱草=ワスレグサ

◎牧野云う、和産なし。シナカンゾウと新称す
【効能・効果】
○小便の渋痛を治す。沙石淋をおろす。
「根の汁を絞って空腹時に飲む。」
○大便の不通を治す。
「生姜一握りと叩いて汁を取り呑む。」
○酒疸を治す。
【薬能】
《本草綱目》
“主治、沙淋、水気、大熱、衂血、吹乳、乳癰”



 

巻柏
イワヒバ
蒼楡湯《医学入門》



 

牽牛子(けんごし)PHARITIDIS SEMEN
【処方名】:[黒丑][黒牽牛][黒白丑][二丑][牽牛子][白丑]
【基原】ヒルガオ科(Convolvulaceae)牽牛Ipomoea hederacea Jacq.(マルバアサガオ)。       Pharbitis nil Choisyの成熟種子を乾燥。
★《名医別録》で収載。
「名医別録(中国・4世紀)によると、牽牛という名前はアサガオとウシが取引されたという故事に由来するという。アサガオの種子・牽牛子は、漢方では痰や水液の滞留によって起こる様々な病気に、下剤や利尿剤として用いられてきた。熱帯アジア原産のアサガオが、薬としてヒマラヤの彼方から中国にもたらされたとき、それはウシと交換されるほどに価値あるものであったろう」井上勝六著「成人病を防ぐ現代人の食事学」p47参照。
◎白いのを=「白丑」
 黒いのを=「黒丑」。9月に子を取って使う。《医学入門》

【性味】味は苦、性は寒。有毒。
【帰経】肺・腎・大腸経。
【分類】峻下逐水薬。
【薬性歌】“牽牛苦寒利水腫 蠱脹痃癖散滞壅”
“苦寒、水を利し腫を消し、蠱脹、痃癖、滞を散じ壅を除く”
黒きは水に属し効速やかなり。白きは金に属し、効遅し。《万病回春》
  

【効能・効果】 (牽牛子)
<1>気を下す。
<2>水腫を治す。
<3>風毒を除く。
<4>大小便の通りを良くする。
<5>冷膿を下す。
<6>虫毒を出させる。
<7>胎を落とす。
     

◎水腫を消し、痰飲を逐い、気分の湿熱を除き、二便を利す。
<1>気逆壅滞
<2>喘満腫脹
<3>大腸の風秘
     

◎下剤として服用。
「粉末・丸剤にして」
◎癃閉して小便の不通を治す。
「頭末2銭を取って木通と梔子の煎じ湯で調服する。」
◎大小便を通す。
「大便が不通だと黒い牽牛子(半生半炒)を毎回2銭姜湯で調服する。」
◎風秘結渋に
「少し炒って作末したもの1両、桃仁(麩炒)5銭を蜜で梧子大の丸剤。温水で30丸飲む。」
◎腰痛に冷膿がおりる症を治す。
「半生半炒して頭末1両に硫黄1分を炒れ、粉末にし3回に分けて服用。」
◎脚気せ腫満したとき。
「頭末を取って作末し、蜜で丸め毎回5丸づつ姜湯で呑み下す。」
◎黒いのは水を治し、白いのは気を治す。
「頭末を取って2銭を調下すると治る。作丸して服用。」
◎五種の積聚と痃癖・気塊を治す。
「黒丑の頭末を半分は生・半分は炒って蜜で梧子大の丸剤。就寝時に姜湯で呑む。」
◎水気と蠱脹を治す。
◎峻下、利尿剤として(1回0.3g~1.5g)
<1>便秘
<2>急性関節炎
<3>脚気
<4>尿閉
<5>浮腫
◎止血剤:「生葉の絞り汁」
  

【修治】
◎研り爛らかし頭末を取り用いる。《万病回春》
◎頭末を用いる:粗末として一番篩を用いる。これを頭末と名付く。一番篩の外は細粉、日麩にして用いるべからず。もし一番篩の中にも皮と粉と混じっていれば択び捨てる。
  

【薬能】(牽牛子)
■《王好古》
“牽牛は、気薬で導けば気に入り、大黄で導けば血に入り、大腸を利し、水積を下す。白色のものは気分の湿熱が上攻して喘満するを瀉し、血中の気を破る”
■《李東垣》
“凡そ牽牛を用いて、少量の場合は大便を動かし、多量の場合には水のように泄下す。これは気を瀉する薬である”
■《薬性提要》
“辛、熱にして毒有り。下焦の欝過を通じ、水を逐い、大小便を利す”
■《勿誤薬室方函口訣》
“蓋し、利水の品、郁李仁は上に係りて、、桃花より緩に、営実は中位に在りて、牽牛子に比すれば最も俊なりとす。又尤も峻なる者を甘遂とし、その甘遂の重を巴豆とするなり”
  

【薬対】
『牽牛子+小茴香』
『牽牛子+沈香』
『牽牛子+子』
 

【配合処方】舟車丸
  

【注意】
  ◎妊娠は服することを忌む。《万病回春》




 

蜆粉
○心胸の痰水を除く。
「焼いて白灰に作って飲む。」



元明粉⇒「玄明粉」参照。
玄胡⇒「延胡索」参照。
玄胡索⇒「延胡索」参照。

 

玄参(げんじん) SCROPHULARIAE RADIX
【処方名】:[玄参][元参][烏元参][黒玄参]
【基原】山野に自生する多年草、ゴマノハグサ科ゴマノハグサの根。
ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae)のScrophularia ningpoensis Hemsl.
★足の少陽腎経の君薬。
◎肉堅く黒き者佳なり《万病回春》
  

【性味】味は苦鹹、性は微寒、無毒。 寒補潤降散
【帰経】肺・胃・腎経。
【薬性歌】“玄参苦寒清相火 消腫骨蒸補腎可”
“苦寒。無根の火を清くし、腫を消し、骨蒸、腎を補うも亦可なり”《万病回春》
  

【効能・効果】(玄参)

(解熱・生津・止渇・消炎・降圧)
<1>熱毒遊風を治し
<2>虚労を補い
<3>骨蒸・伝尸・邪気を治し
<4>腫毒・瘟・瘰癧を散らす
<5>腎気を補い目を明るくする。
     

○滋陰、降下、解毒、利咽、潤燥、滑腸の効能あり。
○熱性病による煩渇・発斑
○便秘
◎消炎・治瘡
<1>咽喉炎:咽喉部腫痛・癰腫
<2>鼻炎
<3>癰腫
<4>血栓閉塞性の脈管炎、血栓性動脈炎。
<5>腎性高血圧
<6>糖尿病
<7>頸部リンパ腺結核
  

【薬理作用】(玄参)
<1>降圧作用:(顕著)
<2>強心作用:(軽度)
<3>血管拡張作用:
         下肢血管を拡張する。
<4>血糖降下作用:(顕著)
<5>解熱作用
<6>抗真菌作用
  

【薬能】(玄参)
■《神農本草経》
“腹中の寒熱積聚を主り、女子の産乳余疾を療し、腎気を補い人をして目を明らかにせしむ”
■《李時珍》
“腎水受傷、真陰失守、孤陽無限、発為火病、法宜壮水以制火、故玄参与地黄同効”
■《中薬大辞典》
“滋陰し、降火し、除煩し、解毒す”
“熱毒の煩渇、発斑、骨蒸労熱、夜寝不寧、自汗盗汗、傷津による便秘、吐血衂血、咽喉腫痛、癰腫、瘰癧を治す”
  

【薬対】
『玄参+牛蒡子』
『玄参+犀角』
『玄参+地黄』=滋陰清熱作用。虚火上炎による咽喉腫痛、温熱病による煩渇などを治す。増液湯。
『玄参+牡丹皮』
『玄参+牡蛎』
  

【配合処方】
「玄参解毒湯」《外科正宗》
(玄参、梔子、黄芩、荊芥、桔梗、甘草、地黄(生)、葛根)
「玄参升麻湯」(玄参、升麻、甘草)
「玄参治咽湯」
「増液湯」《温病条弁》(玄参、麦門冬、地黄(生))
「養陰清肺湯」
  

【常用量】4.5~9g


 

玄明粉
[薬性歌]
“辛、能く宿垢を蠲き積を化し、痰を治し、諸熱療ならず”
玄明、味辛。能く宿垢を蠲(のぞ)く。積を化し、痰を活かし、諸熱療すべし。《万病回春》

【修治】
◎磁盆の内に露すること一宿、之を収む。宜しく冬月に製すべし。《万病回春》

【注意】
◎朴硝1斤、蘿葡1斤を用い、同じく煮て蘿葡熟するを度と為す。《万病回春》



 

芫花(げんか)
さつまふじ(薩摩藤)の花蕾。
【基原】ジンチョウゲ科Thymelaeaceae芫花Daphne genkwa Sieb.et Zucc.フジモドキの蕾を乾燥したもの。経年で毒性が減少する
【性味】味は辛苦、性は温、有毒。
【薬性歌】
“寒苦、能く脹蠱を消し、水を利し湿を瀉し、欬痰吐を止む”

【効能・効果】(芫花)

(瀉水遂痰・殺虫療瘡)
○二便を通利し、痰飲を駆逐するのみならず、毒を下して殺虫する。
<1>心腹の脹満
<2>水腫
<3>寒痰
<4>咳嗽
<5>蠱毒
<6>癰腫
<7>悪瘡
<8>虫・魚・肉の毒を消す。
◎五臓と水道を通利する。「煎・末・丸服。」
○肝硬変で腹水が重症:「大戟・甘遂・二丑」
     
【薬能】(芫花)
《薬徴》
“水を逐うことを主どる也。旁ら咳、掣痛を治す”
“為則試みに芫花1味を服するに、必ず大いに水を瀉す。”
[水を瀉す]=水様の大便を下す
《重校薬徴》
“水を通利するを主る”
“《本草綱目》の芫花の条に唐慎微曰く、三国志に魏の初平中に青牛先生あり常に芫花を服し年百余歳常に五六十の如しと云うと。李時珍は芫花は乃ち下品の毒物なり。豈久しく服するに堪えんと曰う。此れ方外迂恠(恠カイ=怪)の言にして信ずるに足らず、為則は方外迂恠の説は固より疾医の道に於いて取ることなし。然して下品の毒物なりと謂いて久服するに堪えざるは過なり。其の証ありて其の薬を用い、以て其の病を尽す。豈久服に堪えざらんや。且つ品隲(シツ)薬物の上中下は本草の妄なり、学者眩む勿れ。”
《古方薬議》
“味辛温、逆上気、喉鳴、喘、咽腫、短気を主どり、水気、腸満を瀉し、蟲を殺す”

【配合処方】
十棗湯
【弁誤】
“本草の芫花の条、慎微曰く、三国志に云ふ、魏の初平中、青牛先生あり、常に芫花を服す。年百余歳にして常に五六十の如しと。時珍曰く、芫花は乃ち下品の毒物、豈に久服に堪えんや。此れ方外迂怪の言、信ずるに足らずと。為則曰く、方外迂怪の説、固より疾医の道において論ずることなし。下品の毒物、豈に久服に堪へんや。時珍過てり。病毒ありて毒薬以て之を攻む。豈に久服に堪へざらんや。学者眩さるることなかれ。”
[慎微]=蜀の人。証類本草を編纂した。
[三国志]=晋の陳寿の著。
[魏の初平]=後漢の沫、献帝の年号(190~193)
[青牛先生]=後漢の封君達衡のこと。
[方外迂怪の]=世捨て人の間違ったあやしい言葉。

【参考】
○ラットLD50:9.25g(生葉)/kg。ひきつけて後、呼吸困難で死亡。



芫荽(げんすい)
【処方名】:[芫荽][香菜][芫荽草]
【基原】セリ科コエンドコロの全草を乾燥。
【性味】味は辛、性は温
【帰経】肺・胃経
【分類】辛温解表薬。
【効能・効果】
◎透疹作用。:風疹・麻疹などのウイルス性の伝染病に対し、皮疹を十分に体表から透発させることによって全身症状を軽減すること。


芫荽子(げんすいし)
【基原】芫荽の果実。
別名:「コリアンダー」、胡荽子。
【効能・効果】
◎肉芽の形成を促進。





原蚕蛾
⇒『蜻蛉』に同じ。
【効能・効果】
○精気を補強し、泄精を止める。
「焼いて粉末にし、丸散薬どちらでも良い。」
○壮陽精力を強くする。
「焙って粉末にし、1銭を酒で服用。丸服もよい。」



玄米 (げんまい)

●玄米を軟らかく炊きあげる方法
・炊く前に10分間・から煎りする
・コメ3合にプレーンヨーグルトを大さじ3杯を加えて炊く
・20時間で4~5回水を換えると、発芽玄米になる。
似たものに・・・
イタリアのトラットリアに「ファッロ」がある。湯がいてサラダに用いる

◎玄米ごはん
<1>基礎体力をつける。
<2>作り方:
「玄米5、ハトムギ3、あずき2」の割合で、圧力釜で炊く。

◎炊き方
「近頃、IH型といって、玄米の時間と水の分量もセットした電気釜が市販されるようになり、私も現在使用中。家内と2人分約300gを2日間水に浸けておいて、炊く前にビールを大さじ2杯、みりんと酢、食塩を少々、水を規定の目盛りまで入れスイッチオンでOK。これはもう主食の醍醐味である」

■発芽玄米
「発芽玄米は、玄米を一定温度の水に浸けて0.5~1mm程度の芽を出したもの。軟らかいだけでなく、眠っていた酵素が目覚めて活性化し、新芽の成長に必要な栄養素が増えるという。体の不調を整える『ギャバ(γ-アミノ酪酸)』は白米の10倍近くになるとされる。」
■発芽玄米の製造
「真空凍結乾燥(FD)加工食品製造のおむすびころりん本舗(長野三郷村)は自社のFD処理設備を使って発芽玄米を短時間で製造する技術を開発した。最大で1日5トンの生産能力。
わずかに発芽させた玄米は、胚乳部分の栄養成分が分解しており、普通の玄米よりも消化吸収しやすい。」2001.4.2《日経産業新聞》

■発芽玄米に血糖値抑制効果
「ファンケルは発芽させた玄米の食後の血糖値の上昇しやすさが、白米の6割程度にとどまることを突きとめた。糖尿病になる恐れが高い人などの血糖値の上昇を抑えるのに有効という。
血糖値の上昇のしやすさは、グリセミック・インデックス(GI)という指標で測る。白米・発芽玄米・白米と発芽玄米とを混ぜたものを男女14人に食べてもらい、食後の血糖値からGI値を計算した。
白米のGI値・・・・・・・・81
発芽玄米・・・・・・・・・・・・53
白米2、発芽玄米1・・・68
白米1、発芽玄米2・・・60
2002.7.24《日経産業新聞》」
■発芽玄米を作る
「ハウスウエア製品製造の加藤産業(新潟県三条市)は内部を真空状態にすることで玄米から発芽玄米を作れる装置を開発した。温水を入れて約1日間おいてから、電子レンジで数分温める。電気釜方式による製品と比べて価格が安く電気代もほとんどかからない。販売はフレイズ(新潟県燕市)が担当する。」2003.5.20《日経産業新聞》
■発芽穀物で
「農業生産法人の松家農園(北海道東川町)は、発芽状態の穀物を原料にした新しい加工食品作りに乗り出す。発芽穀物は穀物に主文を含ませて新芽を0.5~1mm出した後、乾燥させて成長を止めた状態のもの。」2003.8.20《日経産業新聞》
■発芽玄米でパン
大阪府立大学の森田尚文教授らは、添加剤を使わないで発芽玄米入りパンをふっくらと焼き上げる技術を開発した。小麦に発芽玄米を混ぜて焼く前に2つの酵素を加える。
「発芽玄米入り」のパンであると食品表示するには、発芽玄米を30%以上入れる必要がある。ところが、発芽玄米を入れるとグルテンの継ぎ目が切れてしまい、炭酸ガスが抜けてしまうため、パンがしぼんで小さくなってしまうな点があった。そのため現在では添加剤を入れてその問題を解決している。
研究チームは『ヘミセルラーゼ』と『フィターゼ』と呼ばれる酵素が、添加剤の代わりになることを発見。添加剤を入れたパンと違和感が無かった。」2004.6.23《日経産業新聞》
◇西原克成著「6つの生活習慣でがん難病を治す」
玄米には発芽抑止物質、アブシジン酸、フィチン酸というかなりの猛毒が入っている・・・
アブシシン酸[1](アブシシンさん、アブシジン酸、英: abscisic acid、ABA)は、植物ホルモンの一種[2][3]。構造的にはセスキテルペンに属する。休眠や生長抑制、気孔の閉鎖などを誘導する。また乾燥などのストレスに対応して合成されることから「ストレスホルモン」とも呼ばれる。




玄武岩
海の中は、ずべて玄武岩(1種類)で出来ている。大陸は花崗岩(ほとんど)で出来ている