薬物<ほ>


ポインセチア
【基原】トウダイグサ科ユーフォルビア属
【学名】Euphorbia pulcherrima
【英名】Christmas Flower
【成分】フォルボールphorbol
・・・葉や茎をちぎると出てくる白い汁に含まれる有毒成分
【作用】皮膚炎

■トウダイグサ科
「トウダイグサ科には世界で2000種もある非常に大きなグループで、フォルボールはその多くの種に含まれている。しかし、毒と薬は紙一重。ポインセチアの掘るボール入り汁は、かっては民間薬として利用されてきた。メキシコのインディオたちは、骨折や打ち身をなおすために、この白い汁を塗布していた。皮下出血を散らす作用があるという。
また、漢方では同じ科のホルトソウの種子を解熱や利尿に使い、東南アジア原産のハズという植物は、葉が殺虫剤に、種子は強力な下剤になるという。」
■キリスト教
「ポインセチアの原産地はメキシコ。南米のインディオたちは、この花を清純のシンボルとして愛でていた。1825年、メキシコのアメリカ大使だったJ・R・ポインセットが本国に持ち帰った。かれの名をラテン語読みでつけられ、ポインセチアとなった。
キリスト教でクリスマスが本格的に祝われるようになったのは、教皇ユリウス一世の在位(337~352)の頃で、当時はヒイラギが使われていた。
野生種のポインセチアの葉は細長く、つややかで厚みもあり、緑のギザギザが鋭く、どこかヒイラギに似ている。また、私たちが花だと思っている、あの赤い部分は、じつは葉の延長ともいえる苞(ホウ)(つと)で、緑色からしだいに赤に染まっていく。」





ホースラディッシュ (西洋わさび)
 アブラナ科
【学名】Armoracia rusticana
【別名】[山葵大根][西洋わさび]

(山わさび[北海道])
【英名】Horseradish(ワサビダイコン)
◎生の根。

【成分】

・シニグリン:

「配糖体の一種で加水分解されると、マスタード・オイルを生じ る。」
・ビタミンC
・アスパラギン:利尿作用
・樹脂

【効能・効果】
〇強力な循環刺激薬
〇抗菌作用
〇利尿作用
〇痛風
〇リウマチ
〇外用:関節リウマチ
   血行促進

【注意】
<1>外用で、皮膚に水疱を生じることがある。
<2>甲状腺機能が低下している者は禁忌。
<3>「チロキシン」を服用している時は不可。
○相互作用
 [レボチロキシンナトリウム]・・

●甲状腺機能検査に異常がでる(西洋わさびに甲状腺機能抑制作用がある)





ホウセンカ (鳳仙花)
=「急性子」「鳳仙子」

【効能・効果】
○胃潰瘍:
  種子を炒って作末し10g/日飲む。
○胃ガン:
  種子を炒って作末し10g/日飲む。
○切り傷:
  生花汁を外用。
○魚肉の中毒:
*種子(急性子)を作末し0.5~3g/回飲む(著効)。
*「種子・青い松葉」同量を黒焼きし、2g/回飲む(著効)。
○食道ガン:
種子を炒って作末し10g/日飲む。
○打撲:
花を煎服。(駆瘀血・通経作用)
○動脈硬化:
種子を炒って作末し10g/日飲む。
○とげ、小骨が喉に刺さった:
種子(急性子)を作末し0.5~3g/回飲む(著効)。
「種子・青い松葉」同量を黒焼きし、2g/回飲む(著効)。
○難産:
花を煎服。(駆瘀血・通経作用)
○腫れ物:
生花汁を外用。
○腹痛:
花を煎服。(駆瘀血・通経作用)
○虫さされ:
生花汁を外用。



ホウレンソウ(ほうれん草)

菠薐草 Spinach
=冬が旬の野菜。アカザ科の越年生草本。アルメニア~イランが原産。
菠薐は中国語でペルシャのこと。

【成分】
βカロチン
ビタミンB群
ビタミンC
ビタミンE・・・流産、不妊症
葉酸・・・悪性貧血に効く
ビタミンK・・・止血作用

マンガン・・・造血に必須
亜鉛・・・強精、新陳代謝に不可欠
リン
マグネシウム
ヨード
カルシウム
ナトリウム
カリウム
リジン
トリプトファン
シスチン
クロロフィル・・・・血液中の有毒物を浄化。ダイオキシンの排泄を促進
ビオチン・・・・皮膚の新陳代謝を高める。湿疹や脱毛に。
シュウ酸・・・ネズミの食物中に毎日3%のシュウ酸を与え続けて1ヶ月後に結石ができた。人間に換算すると、1日3kgを1ヶ月生のまま食べ続けたことになる

【効能】(ほうれんそう)
〇胃腸を浄化・再生
〇脳下垂体ホルモンの分泌を正常化
〇体内の尿酸を排出させる

◎品種:
東洋系品種:(中国で秋まき栽培で成立)
山形赤根
烏城
西洋系品種:(北ヨーロッパで品種改良)
ビロフレー
ミンスターランド
両群交雑種:
豊葉(標準品種の1つ)
治郎丸
ぬくしな
一代雑種:
ソロモン
おかめ
オラクル
アトラス

■がん増殖を抑制
「神戸学院大学の水品善之准教授らは、ほうれん草に含まれる物質が、ガンの増殖を抑えることを突き止めた。葉緑体の膜が含む糖脂質という物質で、人工的にガンを発症させたマウスに注射したところ、糖脂質を与えないマウに比べて、増殖率を半分に抑えられた。
人間の胃ガン細胞に糖脂質の水溶液を加えたところ、24時間前後で約8割が死滅した。ガン細胞のDNAを複製する[ポリメラーゼ]という酵素の働きを糖脂質が抑え、ガンの増殖を防いだとみている。
文部科学省の助成金を受けた研究」2007/12/20産業

■農薬
「めいきん生協(名古屋市)が2008年10月下旬「コープ藤が丘」で販売したホウレンソウから、国の基準値(0.01ppm)の260倍(2.6ppm)の農薬『トクチオン』が検出された。問題のホウレンソウは10/26~10/28にかけて販売された。



ホオズキ
=ナス科の植物
ホオズキの根を「酸漿根」という。
◎根を煎服すれば、
     通経作用
     鎮咳作用
     解熱作用
     利尿作用
◎果実・全草を煎服すれば、
     利尿作用
     瀉下作用
     解熱作用
◎果実を生食すれば、
     寄生虫の駆除作用
  

【効能・効果】
○イボ:
果実の生汁を塗布する。
○外耳炎:
果実の生汁を塗布する。
○かぜ:
根(酸漿根)を10~15g/日、煎服する。
○肩こり:
果実・全草を煎服する。
果実を生食する。
果実の生汁を塗布する。
○月経不順:
根(酸漿根)を10~15g/日、煎服(著効)。
○月経閉止:
根(酸漿根)を10~15g/日、煎服(著効)。
○口内炎:
果実・全草を煎服する。
○こしけ:
根(酸漿根)を10~15g/日、煎服(著効)。
○産後の子宮出血:
根(酸漿根)を10~15g/日、煎服(著効)。
○産婦人科の諸疾患:
根(酸漿根)を10~15g/日、煎服(著効)。
○痔:
果実・全草の煎汁で洗浄する。        
○子宮ガン:
根(酸漿根)を10~15g/日、煎服(著効)。
○子宮の病気:
果実を赤くなる前に採集し、黒焼きし作末してそのまま飲む。or蜂蜜で練って飲む。
○小児の疳:
果実を生食する。
○痛風:
果実・全草を煎服する。
○難産:
根(酸漿根)を10~15g/日、煎服(著効)。
○にきび:
果実・全草を煎服する。
○乳汁不足:
根(酸漿根)を10~15g/日、煎服(著効)。
○百日咳:
果実を赤くなる前に採集し、黒焼きし作末してそのまま飲む。or蜂蜜で練って飲む。
○腹痛:
果実・全草を煎服する。
果実を生食する。
○めまい:
果実・全草を煎服する。
  

【注意】
妊婦は流産の危険がある。



ホオノキ
【効能・効果】
○嘔吐:
根皮を煎服する。
○かぜ:
実を煎服する(著効)。
根皮を煎服する。
○気管支・食道の異物感:
根皮を煎服する。
○胸腹部の膨満感:
根皮を煎服する。
○下痢:
 「根皮・実」10~20g/日煎服する。
○喘息:
根皮を煎服する。
○中風:
根皮を煎服する。
○糖尿病:
「根皮・実」10~20g/日煎服する。
○発熱:
実を煎服する(著効)。
○腹痛:
「根皮・実」10~20g/日煎服する。
○便秘:
根皮を煎服する。
○腰痛:
「根皮・実」10~20g/日煎服する。
○リウマチ:
乾燥葉を作末し酢で練って塗布する。


ボケ  

【効能・効果】
○霍乱:
果実を煎服する。
○脚気:
果実を煎服する。
枝・葉・根を煎服する。
○こむらがえり:
果実を煎服する。
枝・葉・根を煎服する。
○消渇:
内皮を煎服(著効)。
○疔:
黒焼き末にしゴマ油に混ぜて使う。
○吐逆:
果実を煎服する。
○吐下:
枝・葉・根を煎服する。
○吐瀉:
果実を煎服する。
○熱性下痢:
枝・葉・根を煎服する。
○浮腫:
果実を煎服する。
○淋病:
内皮を煎服(著効)。



ホースラディッシュ        (Hoseradish,Aemoracia rusticana)
【ハーブ】
アレルギー
「副鼻腔を掃除するには少量のホースラディッシュに及ぶものはありません。日本食を好むものであれば、日本のホースラディッシュ、すなわちワサビ(wasabi)を試みてください。」


「ホースバーム」(Horsebalm)及びモナルダ種の各種
(→「瘀血」「高山病」「アルツハイマー」)
【ハーブ】
◎「カルバクロール」「チモール」
アセチルコリンの分解を防ぐ有用化合物であるカルバクロールを含んでいます。また、ホースバームはチモールを含み、これも同時にアセチルコリンの分解を防ぎます。
◎「血液能関門」
ホースバームのいくつかの化合物は血液能関門を超えることが出来ます。それらはシャンプーやスキンローションとして使用しても効果があると思います。



ホソバタイセイ(和名)→「ウォード」


ホタテ貝
■成分
遊離アミノ酸中に
・アルギニン・・・323mg/100g
・タウリン・・・・・784mg/100g
■カドミウム除去
「プラント設計・施工の釧路技研(北海道釧路市)はケイオーエンジアニリング(東京杉並区)と共同で、ホタテのウロ(中腸せん)に含まれるカドミウムの除去装置を開発した。処理前にウロを洗浄しなくてもいい新手法を採用。処理後のウロは家畜飼料に再利用できる。
ウロを茹でた後、2~3mmに裁断し、3時間ほど第二塩化鉄溶液に漬けて、カドミウムを溶液内に抽出する。
ウロには通常1kg当たり40~100mgのカドミウムが含まれる。」2003.7.2《日経産業新聞》
■水虫薬
「新素材開発・製造ベンチャーのチャフローズコーポレーション(横浜市・笹谷社長)は2006年1/11、八戸工業大学と共同で、ホタテ貝の抗菌作用を利用した水虫薬を開発し、米国で販売する。
2005年10月までに米国での臨床試験を完了。7割の患者に有効だった。
ホタテ貝を一定温度で焼成し粉末にしたものを蒸留水に溶かして使う。水虫菌は皮膚のケラチンを栄養として繁殖するが、この薬を使うと焼成貝殻の成分である強アルカリ性カルシウム類が皮膚を覆って繁殖を防ぐ」
■貝殻をシックハウスに
「2010年、アイエスト(IEST)はホタテの貝殻を使った壁剤を販売。」
■大量死
2010年、青森県の陸奥湾で、全国第2位の水揚げを誇る特産のホタテが大量死している。専門家は夏の猛暑で水温が異常に高かったことが原因と指摘。


ホタル
■絶対発光量を測定
「東京大学の秋山英文准教授らにチームは、生物の発光量を絶対値で測定できる装置を開発した。ホタルの発光効率を調べたところ、従来の定説を覆す結果が出た。
共同研究者であるバイオ機器メーカーのアトー(東京文京区)をつうじて1年以内の実用化を目指す。
開発した装置は、CCD(電荷結合素子)やレンズ、鏡から構成する。
ホタルやクラゲの発光は、光が散るため、集めた光の量から全体を推測していた。光を集める効率を一定値に「仮定」し、絶対値を求めていなかった。集光効率は、試料の量や容器の色・形状で変わる。
研究チームは、試料の量や容器を実験環境に即した集光効率を計算する手法を開発した。新装置で発光量を求める過程に組み入れ、絶対値を求められるようにした。
ホタルの発光量を発光物質の分子数で除して、発光効率(量子収率)を求めた。1959年に約88%と報告されていたが、新装置では約41%と定説よりも低いことが判明。
成果はネオチャー・フォトニクス(電子版)に発表」
■ホタルの光で、ガン観察
ホタルの発光は、ルシフェリンという物質が、ルシフェラーゼという酵素と反応して光る。天然のホタルが出す光は波長が560ナノ㍍ぐらいの黄緑色の可視光。
バイオの実験で培養細胞を光らせる時に使われている。
この波長(560nm)の光は、体内の血液に吸収されやすいため、体の奥深くにあるガンを検出するためには、700nmよりも長い波長の光が必要になる。
2012年、電気通信大学の牧昌次郎助教らが開発した新技術は、発光物質の分子構造を様々に変え、695ナノ㍍の発光に成功した。
波長が700nmに近づくと近赤外線と呼ばれ、体内の血液に吸収されにくくなる。体の奥深くで光っていても筋肉や皮膚などを透過し、外部から観察できる。


ホタルイカ
■富山湾
「富山県の滑川市は、県の中央部からやや東寄りにあり、富山湾に面している。市の背後にそびえる剣岳を源流とする早月川の河口に発達した土地だ。富山湾は、日本海に向かって大きく開けた湾で、その海底には1000メートルを越す深い谷が延びている。
このため富山湾は天然のいけすのような構造となり、回遊魚を呼び寄せ、沢山の魚介類がすみついている。
立山連峰などの山々から流れ下って海に注ぐ川に含まれている豊かな有機物が、エサの豊富な漁場を形成している。
特に有名なのがホタルイカで、滑川市の沖合はその生息地として知られている。胴体の長さが5cm前後のイカで、ホタルのように体が発光する。産卵のために滑川沿岸に集まってくる春~初夏にかけてが漁期。」
■寄生虫
ホタルイカの内蔵には旋尾線虫という寄生虫がいます。ホタルイカの躍り食いが流行ってから、発症が増えた。零下30℃で4日以上冷凍すれば幼虫は死ぬので、内蔵付き刺身は冷凍品が多くなった。



ホッキョクグマ
◎肝臓は有毒
「エスキモーは肝臓は食べない。肝臓には高濃度のビタミンAが含まれているため食べると、頭痛・吐き気が起こり、時には皮膚炎を起こすため。」


ホッコクアカエビ
⇒「アマエビ」「北欧アマエビ」ともいう。
◎雌雄転換する。生まれたときはすべて雄で、2~3年後には雌になって卵を持つ。




ホップ
アサ科
⇒ホップはもともと雌雄異株だが、現在栽培されているホップのほとんどは雌株。受精すると種子をつけてしまい、ビール原料として使用するのに不都合なため、株の移植で未受精の雌株ホップだけを増殖させている。1998.11.10《日経産業新聞》
【学名】Humulus lupulus
【英名】Hops
◎乾燥した雌花穂(球果)。
【成分】精油(1%以下)
      苦味樹脂複合体(3~12%)
      濃縮タンニン
      フラボノイド配糖体
      脂肪
      アミノ酸
      発情性物質:男性の性欲を抑制する。
   アスパラギン(2.6%):利尿効果が少しある。

【薬理作用】
〇鎮静作用
〇催眠作用
〇細菌繁殖を抑制する
〇女性ホルモンを補う
〇食欲増進効果

【効能・効果】
[1]不眠症
[2]鎮静作用
[3]消化管の平滑筋を弛緩させる。
①急性限局性小腸炎
②クローン病
③神経性胃炎

【参考】
ホップを収穫する女性は、月経不順や月経停止になることがある。これはホッ プの発情ホルモンを手から吸収するためである。
■糖尿病の合併症
「秋田県総合食品研究所の研究グループは、ホップの中から、糖尿病の合併症に関わっているアルドースリダクターゼを阻害する成分を発見。この有効成分がアルファー酸及びイソアルファー酸であることを確認した。
糖尿病性網膜症
糖尿病性腎症
神経障害など糖尿病合併症の治療及び予防に有効。
特許あり、018-888-2000」2005.12.8《産業》
■インフルエンザ予防
「サッポロビールは2007年にも、インフルエンザの感染予防効果があるとされるホップ由来の素材をマスクやうがい薬などに供給する。
ポリフェノールの一種『フラボノール』を含むホップの抽出物。信州大学大学院農学研究科の保井久子教授と共同で動物実験して確認。すでに用途特許を取得。」






ボツワナ・アゲート  

BOTSWANA AGATES
⇒アフリカ産。縞めのうの一種。
ラベンダー色。
◎古代アフリカ人は、性エネルギーの表現を高めるために。多産の儀式にしばしば用いた。
◎寂しい心の痛みを和らげてくれます。孤独感を癒す。
◎人混みのなかで過敏になっているあなたを守ってくれます。
◎応用:方向が定まらない状態。



ホテイウオ(布袋魚)
■コッコ(北海道)
深海魚の1つ。全身が軟骨とゼラチン。冬の北海道で。



ボノボ →「チンパンジー」
■平和を愛する
隣り合ってすんでいる2つのボノボの群れが出会うと、ボノボは興奮して声をあげるが、ケンカはしない。その代わり老若男女すべての組み合わせでセックスをする。
男女だけでなく、男子同士、女性同士もある。
男女のときは男性器を女性器に挿入するので、行動の定義上、セックスとしか呼びようが無い。
一方、同性同士では、対面して抱き合い、互いの性器をこすりあわせる。




 ポプラ
【学名】Populus tremuloides
【英名】American aspen、quaking aspen
       (アメリカヤマナラシ)
【使用部位】樹皮
【成分】配糖体
      ポプリン
      精油
【効能・効果】
抗炎症作用
関節炎
リウマチ



ホヤ
=脊椎動物に最も近い無脊椎動物。
   

■海のパイナップル
「ホヤは雌雄同体で、卵から生まれた子供は遊泳して岩礁に着生する。浮遊している幼生期にセキツイを持つ形に似合わぬ高等動物である。
津軽、今別町東部漁協の藤巻密男さんが、船の上で取れたてのホヤを割いてくれた。熱気球のような頭に並ぶ2つの突起を切り落とす。その2つの突起とはホヤの口と尻である。それがネジのプラスとマイナスのようになっている。体水(ホヤ水)は、ホヤの身を洗ってぬめりを取ったり保存水に使うが、これは口の方だけを切って取り出す。尻の方から開けると排泄物でやっかいなことになるらしい。
そこは漁師、委細かまわず真っ二つに縦割りにするとホヤ水とともにナタデココのようなゼラチンがはじけ飛んだ。親指で皮と身をはがし、バケツでくんだ海水でザッと洗うと「どうぞ」と差し出した。海のパイナップルといわれるのはその表面の形状よりも、身の光る黄の色の印象かもしれない。
ホヤの記述は、今から1060年前の「土佐日記」に登場する。紀貫之が土佐守の任満ちて京へ帰る途中、室戸岬の手前で女性たちが、水浴をする。海の神様の心を鎮めようと、その際、葦の陰に隠れたつもりでスソをあげて見せる。「老海鼠(ホヤ)のつまの貽鮨(イズシ)、鮨鮑(スシアワビ)をぞ」がそれ。ホヤは男性の象徴でホヤに連れ添うイガイとアワビは女性の象徴だ。
「グリコーゲンがカキの2倍もあり、形容し難い甘いうまみはまさにこれなんです」青森の郷土料理研究家・千葉彩子さん。1996.8.25《日本経済新聞》」
■ゲノム解読
「京都大学など日米共同チームは12/12、海に住む無脊椎動物の中でヒトに比較的近いホヤのゲノム(全遺伝情報)の解読を終えたと発表した。生物進化を解明する研究に役立つ。ホヤは病気に関係する遺伝子の働く時期や場所を調べやすく、医薬品開発にも利用出来るという。12/13のサイエンスに発表。」2002.12.13《日経産業新聞》
■凍結乾燥技術
「コンビが技術を開発。2003年10月から健康食品を販売する。ホヤは栄養価が高く、動物段階ではアトピーへの効果が立証されている。ホヤはタウリンを大量に含み、ハロサイアミンというホヤ独自の成分を含んでいる。」2003.9.30《日経産業新聞》
■ガン抑制遺伝子に似ている
ホヤの精子から発見したタンパク質『Ci-VSP』の働きを岡村康司・大阪大学教授が解明した。自然科学研究機構生理学研究所・米カリフォルニア大学との共同成果で、2008年6の尼でミー紀要(電子版)に発表。
Ci-VSPは細胞膜にあり細胞外からの電気信号を化学信号に変換し内部に伝える。化学信号を担っているのが『PIP3』などのリン脂質で、PIP3をPIP2に、PIP2をPIP1に変換していた。
研究チームはPIP3を分解する『PTEN』というガン抑制遺伝子が作るタンパク質とも比較した。タンパク質を構成するアミノ酸の重要部分を調べたところ1カ所異なるだけでPTENはPIP3しか分解できなくなっていた。
PIP3は人間にもあり、増えすぎると[脳腫瘍]や[子宮ガン]を引き起こすとされている。その理由はPTENの分解能力が低下してPIP3の濃度が高まるためと見られている。」
■体内時計・・・発見
「2009年、産業技術総合研究所などのグループは、10/26、生物の体内で24時間のリズムを刻む生物時計をホヤから発見した。
脊索動物のホヤの一種で「カタユレイボヤ」から発見。
■中枢神経
2011年、筑波大学などのチームは、無脊椎動物のホヤの中枢神経を調べ、赤ちゃんの時の中枢神経細胞の一部が大人のホヤの中枢神経細胞になることを発見した。
定説では、赤ちゃんに相当する「幼生」のときの中枢神経細胞は成長する過程でいったんすべて無くなり、大人になると別の細胞が中枢神経を形成すると考えられていた。
発見したのは筑波大下田臨界実験センターの笹倉靖徳准教授、堀江健生研究員らで、甲南大学、沖縄科学技術研究基盤整備機構との共同研究。
成果は1/3のネイチャー(電子版)に掲載。
ホヤは幼生のときは中枢神経がグリア細胞と呼ばれる細胞などでできている。笹倉教授らは、グリア細胞などがひかる幼生を作り、大人と同じ形に変わるまで観察。その結果、幼生時のグリア細胞の一部が大人の中枢神経細胞に変化していることを突き止めた。



ボラージ Borage(→ボリジ)
◎γ-リノレン酸が主成分。
◎γ-リノレン酸の効能
<1>アトピー性皮膚炎を改善する。
<2>血中コレステロールを低下する。
<3>PMS(月経前症候群)を改善する。
<4>アルコールによる肝臓負担を軽減する。
<5>糖尿病患者の神経病変を軽減する。
<6>慢性関節リウマチを軽減する。
<7>悪性神経膠腫の抗ガン作用。


 ボリジ
【学名】Borago officinalis
【英名】Borage、bugloss、burage
【和名】(ルリジサ)
【使用部位】◎花、葉、種子。
【成分】粘液
      タンニン
      精油
      カリウム
      カルシウム
γーリノレン酸:
<1>アトピー性皮膚炎を改善する。
<2>血中コレステロールを低下する。
<3>PMS(月経前症候群)を改善する。
<4>アルコールによる肝臓負担を軽減する。
<5>糖尿病患者の神経病変を軽減する。
<6>慢性関節リウマチを軽減する。
 <7>悪性神経膠腫の抗ガン作用。
  

【効能・効果】
抗抑鬱薬
母親の母乳量を増やす(葉、種子)
発汗作用:熱湯の浸出液




 ポリチーニ
■キノコ
「値段が高いキノコはトリュフだろう。フランス人は黒、イタリア人は白を好む。が、なんと言っても効果。代わりにというわけではないが、「ポルチーニ」がある。大きくて肉厚で、香りもマツタケほどではないが、まあまあだ。
サケのグラッパを醸造している北イタリアの町、バッサーノ・デル・グラッパのレストランのオーナーが「けさ早くから採ってきた」といって、うれしそうに見せてくれた。そのまま焼いたやつに、香りのいいオリーブオイル、塩、コショウと、好みでニンイクのみじん切りを散らす。ステーキのように、ナイフで切りながら食べる。シンプルだが、うまい。」2003.7.5《日本経済新聞》


 ボルドー
【学名】Peumus boldo
【英名】Boldo、boldus
【使用部位】◎葉。
【成分】アルカロイド
      精油
      フラボノイド配糖体
      樹脂
      タンニン
【効能・効果】
泌尿器の感染症
胆石


ホワイト・クォーツ WHITE QUARTZ
◎いつも宝石と見られている訳ではありませんが、カボッションやビーズの形にカットされて使われています。(D・L・メラ)
◎治療効果
<1>腺の腫れ:
<2>熱を和らげる:
  ローマ人は、ビーズにして使用。
◎あなたの希望を刺激させる。夢をかなえてくれる。
◎夢を安定させ、夢を実現するのを防いでいる心のブロックを除く。
◎応用:自分の価値の低下。  


ホワイトホアハンド
【学名】Marrubium vulgare
【英名】White horehound
【和名】(ニガハッカ)
【使用部位】◎地上部。

【成分】苦味質(マルビイン1%以下):
①心拍を正常化する。
②体内で分解し、胆汁の分泌を促す。

③去痰作用がある。
      ジテルペンアルコール
      アルカロイド(少量)
      精油(極微量):動脈を拡張させる。
      セスキテルペン
      タンニン
      サポニン
      樹脂

【効能・効果】
<1>神経質な感情を鎮静化する。
<2>温浸出液---発汗作用
<3>冷浸出液---消化器を強壮する苦味健胃薬。
<4>呼吸器疾患
<5>苦味健胃薬



 ポンカン
◎ノビレチン→「オーラプテン」
ノビレチンはポンカンに多く含まれ、オーラプテンとともに発ガンの原因である活性酸素産生を抑制する物質であることが解りました


 ボーンセット
【学名】Eupatorium perfoliatum
【英名】Boneset、feverwort、agueweed、thoroughwort
      (「骨つぎ草」の意味)
【使用部位】◎地上部。
【成分】フラボノイド:クェルセチン
             ケンフェロール
             ルチン
             エウパトリン
   テルペノイド(セスキテルペンラクトン)
      精油
      樹脂

【効能・効果】
[1]風邪
[2]インフルエンザ
[3]健胃
[4]デング熱(=ブレイク・ボーン・フィーバ-)
[5]筋肉リウマチ
[6]神経性胃炎
[7]末梢の血液循環を刺激して発汗作用

【注意】
アルコールの浸出液や熱湯の浸出液で冷えたものは、少量なら消化器を強壮するが、多量だと強い下痢又は吐を引き起こすことがある。




 ホンダワラ
■エタノール
「ホンダワラの大量生産し、それをバイオエタノール生産の原料にする計画が進んでいる。日本海の中央に広がる大和堆(3万平方㌔)という浅瀬でホンダワラを育てる。」


 ホンビノスガイ
■北米原産
「1998年に千葉市の海辺で初めて見つかった外来種。北米の大西洋岸ではクラムチャウダーの原料として有名な貝だ。
東京湾で白い大粒の二枚貝が増えている。浅瀬から水深20㍍弱の海底まで東京湾全域に生息している。アサリやシオフキなど在来の貝がすめない酸素欠乏状態でも、泥の中でも生きていける。」


 蜂蜜(ほうみつ)
■砂糖に比べて糖質は低いが、ビタミン、鉄分を含む。抵抗力の弱い1歳未満の乳    児には避けた方が良いとされる。1996.9.22《朝日新聞》
○気の不足を補う。
○脾気を養う。
 「脾薬に入れると良く、粥に混ぜて常服する。」
○下痢によい。
 「蜜と姜汁1合を温水で飲む。」
○口唇の瘡を治す。
 「いつも塗っておく。」
○卒心痛。
 「蜜と姜汁各1合を水で混ぜ、頓服。」
○熱気を解く。




 蒲黄(ほおう)  TYPHAE POLLEN
【基原】各地の沼地・水中に自生する多年草。
ガマ科(Typhaceae)寛葉香蒲Typha latifolia L.ガマの成熟した花粉を乾燥。
★《神農本草経》:「蒲黄」「香蒲」で収載。
【性味】味は甘、性は平。
【帰経】肝・心包経。
【分類】止血薬。
【薬性歌】“蒲黄味甘崩疼主 生則破血炒可補”
蒲黄、味甘。瘀を逐い、崩を止む。血を補うには炒を用い、血を破るには生に宜し。《万病回春》

【効能・効果】
◎止血・通経・利尿剤として
<1>種々の出血
<2>小便不利
<3>血滞経閉
<4>産後の痛み
<5>心腹痛
<6>血淋
<7>打撲傷
<8>癰腫
◎一切の破血を止める。
「炒ったものを冷水で2~3銭づつ服用。」
        生は補血に。
◎崩漏と赤・白帯を治す。
「蒲黄(炒)末2銭を温水で調服し、又は丸服」
◎重舌と舌の生瘡を治す。
  「少し炒って振りかける。」
◎妬乳と乳癰の腫痛を治す。
  「生の根を裂いて貼る。食べてもよい。」
◎産後出血の多い症を治す。
◎小児の虚熱に良い。
◎打撲傷で血が内にあって煩悶する症を治す。
  「蒲黄末3銭を熱酒で調下する。」
◎慢性結腸炎で膿血便:「五霊脂、葛根(煆)、肉豆蔲(煆)」
◎排尿痛、血尿:「滑石」各同量煎服。
  

【修治】
<1>(生):瘀血を去る。
<2>(炒):止血。
  

【配合処方】
蒲黄散
蒲灰散《金匱要略》[蒲灰、滑石]






 蒲公英(ほうこうえい)
【処方名】:[蒲公英][公英][黄花地丁]
【基原】各地に自生する多年草、キク科タンポポの根。
キク科Compositae蒲公英Taraxacum mongolicum Hand.-Mazz.の根をつけた全草。
【性味】味は苦甘、性が寒。
【帰経】肝・胃経。
【分類】清熱解毒薬。
【薬性歌】“蒲公英苦除食毒 消腫潰堅結核属”
【効能・効果】 (参照→タンポポ)
◎清熱・解毒・結を散ず。
<1>乳癰・疔瘡。
<2>淋病。
◎妬乳と乳癰の腫痛を治す。
「裂いて忍冬藤と煎じて避けを少し入れて煎服。」
◎強壮剤となり、消化不良・乳汁不足に。
 根・全草:1日10~15g煎服」
「葉:1日20g煎服」
◎乳汁不足:
 「蒲公英10g、ハコベ5g、苡仁5g」煎服。
◎乳腫:
 「蒲公英忍冬」

【臨床】
    <1>急性乳腺炎:膿瘍を形成していない段階で使用する。
         処方「乳癰湯」
    <2>急性黄疸型肝炎:トランスアミナーゼ値が高いとき。
         処方「蒲茵湯」
    <3>上気道炎:30~60g煎服。
    <4>扁桃炎:30~60g煎服。
    <5>急性結膜炎:煎液で洗眼。
  【薬対】
    『蒲公英+夏枯草』
    『蒲公英+括楼仁』
    『蒲公英+菊花』
    『蒲公英+金銀花』
  【配合処方】
    乳癰湯
蒲茵湯
    蒲公英湯
    欄尾清化湯


 蒲公草
   ⇒「地丁」
   ○性は平、味は甘く、無毒。
      <1>婦人の乳癰腫を治す。
     疔腫の特効薬。《医学入門》


 炮姜(ほうきょう)
  【基原】ヒネショウガを(炮炙)して表面を黒く焦がしたもの(黒姜)
      性質は残す。
  【性味】味は辛、性が大熱。
  【効能・効果】
     ◎温裏、止血
     ◎陽虚の出血を治す
       <1>吐血
       <2>不正性器出血
  【薬対】
    『乾姜+葉』
  【配合処方】
     生化湯《景岳全書》  




 蚌蛤(ぼうごう)=はまぐり。


 硼砂
   ○性は暖、味は苦辛、無毒。
  【薬性歌】硼砂、味辛。喉の腫痛を療す。膈上の熱痰に、み化して立(たちどころ)       に中る。《万病回春》
  【効能・効果】
       <1>痰をなくす。
       <2>咳嗽を止める。
       <3>結を散らす。
       <4>喉痺を治す。
     ○努肉と血。
       「硼砂1銭、竜脳半分を作末し、燈心草で薬末を搗いて1日6回垂らす。」
     ○舌に腫脹が出来て治らないとき。
       「末にし生姜に埋め、腫れたところをこする。」
     ○咽喉痺に良い。
       「うがいor唾と混ぜて呑み下す。」
  【薬能】
    《薬性提要》
      “甘、微にして凉、上焦の痰熱を除き、津を生じ、咽喉、口舌の諸病を治       す”

 蓬砂=硼砂

 法製半夏
   ⇒大半夏1斤を石灰1斤に水7椀を混ぜ、盆に入れてふるって滓を去り、半夏を漬    けて昼には日向に出し、夜には露に当てること7日間、そして水できれいに3~    4回洗って3日間漬けて泡を抜くが、毎日3回ぐらい水を変えて、乾燥させた後    白礬8両・皮硝1斤を盆に水7~8椀を注いで、半夏と漬け7日間、昼は晒し夜    は夜露にぬらし、水出洗うこと4回、3日間泡を抜いて毎日3回水を変え取り出    して乾燥後、甘草・薄荷各4両、丁香・枳実・木香・白姜・陳皮・書皮・枳殻・    五味子・縮砂各5銭、白豆・肉桂各3銭、沈香1銭を切って、水15椀に混ぜ    半夏を一緒に入れ14日泡出しして晒し、夜は夜露に当て、頻繁にふるい日が来    るとすくい出して、白布でくるんで熱い部屋に安置して容器でかぶせ、線香2~    3本燃え尽きる時間ぐらい経った後、半夏を選んで出して乾かして使う。

 鳳仙花
   ⇒「金鳳花」
   ○杖瘡を治す時、蓮根の葉を搗いて貼る。《医宗金鑑》


鳳仙子
=「急性子」
【基原】ツリフネソウ科ホウセンカの種子を乾燥
   [薬性歌]“鳳仙子温能軟堅 難産骨噎可痊”
    ★禁忌及び注意★
      1.毒草

 

 防已(ぼうい)SINOMENI CAULIS ET RHIZOMA
    (参照→木防已)(参照→漢防已)
  【基原】暖地の山野に自生する落葉つる性木本。
      ツヅラフジ科オオツヅラフジの茎または根茎・
     中国産:
       <1>「粉防已」:ツヅラフジ科シマハスノハカヅラStephania tetrandra S.Mooreの根。中             国での通称「漢防已」
            【成分】tetrandrine。demethyl tetrandrine。
                fanchinoline。
       <2>「広防已」(木防已):ウマノスズクサ科Aristolochia fanchi Wuの根。
             通常2縦割り。輸入される唐防已がこれ。
       <3>漢中防已:ウマノスズクサ科Aristolochia heterophylla Hemsl.の根
       <4>「木防已」:ツヅラフジ科アオツヅラフジCocculus trilobus(Thunb.)DC.の根。
     日本産:
       <1>「漢防已」:
          イ)ツヅラフジ科オオツヅラフジSinomenium acutum Rehder et Wilsonの茎・ 根茎。★日本薬局方の防已。
            【成分】sinomenine。
          ロ)ツヅラフジ科 清風藤Sinomenium acutum(Thumb.)Rehd.et Wils(オオツ ヅラフジ)を漢防已としている。
            【成分】sinomenine。disinomenine。tuduranine。
sinoacutine。
       <2>「木防已」:ツヅラフジ科アオツヅラフジCocculus trilobus(Thunb.)DC.の茎・根。
     ★《重校薬徴》
       “防已は漢木の二種あり、余が家は漢防已なる者を用う。按ずるに防已は        漢中より出ずる者は之を漢防已と謂う。譬えば漢朮、遼五味子の如し、        後世之を岐って二とす。其の茎を之を木防已と謂う、誤りと謂うべし。        木防已を試用するに終に寸効なし。漢防已はよく水を治す、是に於いて        断乎として之を用う、陶弘景は大にして青白色、虚軟の者は好く、黒点        木強なる者は佳しからずと曰う。李当之は其の茎は葛の如く蔓延し、其        の根は外白内黄桔梗の如し。内に黒紋あり車輻解の如きは良しと曰う。        雷は凡そ木条にして色黄腥きは用うるなかれ、皮皺上に丁足子あるは        用うるに堪えず、惟だ心に花文あり黄色なる者を要すと曰う。蘇頌は漢        中に出ずるものは之を破るに文、車軸解を作し黄実にして香しと曰う。        蘇頌は木防已は用うるに堪えずと曰う。”
     ◎防已:一般に漢防已と呼ばれているオオツヅラフジの根を用いている。木防        已と呼ばれているアオツヅラフジより優れている。《大塚敬節》
  【性味】味は辛苦、性は平、無毒。
  【薬性歌】“防已気塞癰腫減 風湿脚痛膀胱熱”
     防已、気寒。風湿の脚痛、熱積膀胱に。癰を消し、腫を散ず。《万病回春》
  【効能・効果】
       <1>湿風と口眼斜
       <2>手足の疼痛
       <3>瘟瘧熱気を治し
       <4>大小便の通りを良くさせ
       <5>水腫・風腫と
       <6>脚気
       <7>膀胱熱をなくし
       <8>癰腫の悪結を散らし
       <9>すべての瘤と
       <10>疥癬虫瘡を治す。
     ◎膀胱の熱を冷ます。
       「水煎服」
     ◎十二経脈を通す。
       「水煎服。」
     ◎湿風の口・面の斜を治す。
     ◎主薬の防已は、末梢血管を拡張し、胸管リンパ流出を増大させる。木防已湯      《金匱要略》《龍野ー漢方処方集》
  【修治】
     ◎皮を去り、(酒浸)し洗う。《万病回春》
【成分】sinomenine
       <1>リウマチ・神経痛の疼痛を軽減する:内服、皮下注射。
       <2>中枢神経作用:(マウス・犬・蛙)  
          イ)自発運動を抑制。
          ロ)血圧降下。
          ハ)子宮運動を少量で促進、多量で抑制。
       <3>脳下垂体後葉ホルモン作用を増強する。
       <4>histamine遊離物質。
  【薬理作用】
     <1>抗アレルギー作用
     <2>抗炎症作用
     <3>抗アナフィラキシー作用
     <4>鎮痛作用
     <5>血圧降下作用
     <6>自発運動抑制
     <7>リンパ形成促進
  【薬能】
    《神農本草経》
       “風寒、瘟瘧の熱気、諸癇を主る”
       “邪を除き、大小便を利す”
    《薬性提要》
       “下焦の湿熱を除き、二便を利す”
    《古方薬品考》
       “尿を瀉して水腫当に消すべし”
《薬徴》
防已、水を主治するなり
    《重校薬徴》
       “水を主治す”
    《古方薬議》
       “水を利し、湿を去る”
    《中薬大辞典》
       “水を行らし、下焦の湿熱を瀉す”
       “水腫膨張、湿熱脚気、手足攣痛、疥癬瘡腫を治す”
  【薬対】
    『防已+桂枝』=利湿作用。兵部の水滞によるリウマチ、神経痛、浮腫に。防已            茯苓湯
    『防已+石膏』=清熱利水作用。裏部の水滞による心臓性浮腫、心臓性喘息に。            木防已湯。
【考徴】
(4両)
木防已湯証=支飲。 (人参:君薬)
防已茯苓湯証=四肢腫る。 (茯苓:君薬)
防已黄蓍湯証=身重し。又曰く、腫陰に及ぶ。(黄蓍:君薬)
[腫陰に及ぶ]=浮腫が陰部のあたりにまで波及している。
(1両)
已椒藶黄丸証=腸間に水気あり。
防已地黄湯
☆木防已湯は人参を君となす。故に心下痞堅して水ある者を治す。
防已茯苓湯は茯苓を君となす。故に四肢聶聶として動き、水腫の者を治す。
防已黄蓍湯は黄蓍を君となす。故に身重く汗出て、水腫の者を治す。
仲景氏の防已を用ふるや、未だ以て君薬たるものを見ざるなり。しかしてその水を治するや、的然として明らかなり。
【品考】
防已、漢・木の2種あり。余が家に用ふるは、謂うところの漢防已なるものなり。
為則按ずるに、木防已の漢中(=今の陜西省)に出づるもの、之を漢防已と謂ふ。譬えば、漢尤・遼五味子の如し。後世岐(わか)ちて之れを二とし、その茎、之を木防已と謂ふ。誤まれりと謂ふべし。余試みに謂ふところの木防已なるものを用ふるに、終に寸効なし。しかして謂ふところの漢防已は、能く水を治するなり。是において、断乎(だんこ)之れを用ふ。陶弘景曰く、大にして青白色、虚軟のもの好し、黒点木強のものは佳ならずと。李当之曰く、その茎、葛の如く蔓延し、その根、外曰く、内黄なること桔梗の如く、内に黒紋あり、車輻の如く解くるもの良なりと。頌曰く、漢中に出づるもの、之を破るに、文車輻を作りて解け、黄実にして香し。茎梗は甚だ嫩(よわ)く、苗葉小にして牽牛(=あさがお)に類す。その茎一頭を折りて之れを吹くに、気中より貫き、木通(=あけび)の如く然り。他処のものは、青白虚軟、又腥気(=なまぐさい)あり、皮皺の上に丁足子あり、木防已となづく。蘇恭曰く、木防已は用に任(た)へずと。
[李当之]=三国時代の魏の人。
[車輻の如く]=車輪の幅のような形にくずれる。漢防已を刻んだところは、ちょうど車輻のようになっていて、指先でもむと崩れる。
[蘇恭]=蘇敬。新修本草を作った。
   ■腎障害
「国内では流通していない漢方薬で腎障害を起こす例が続いているとして、厚生労働省は2004年4/23、医薬品・医療用具等安全性情報を出して注意を呼びかけた。承認されているものと名前が似ており、中国などで間違えて購入するケースがあると見ている。
 同省によると、最近報告されたのは、腎毒性のある“アリストロキア酸”という成分を含む『広防已』という生薬による腎障害。同成分を含む漢方薬は日本では認められておらず、承認されている別の生薬『防已』と誤ったものとみられる。
 このほか、中国などでは、同成分を含む植物を用いた『関木通』や『青木香』『南木香』が、含まない別の生薬『木通』や『木香』と同じ略称で売られている場合があるという。
 渡航先で購入したり、インターネットで個人輸入して腎障害を起こしたりする例が報告されている。2004.4.23《日本経済新聞》





 防風(ぼうふう) 

 SAPOSHNIKOVIAE RADIX
【基原】

日本の中部以北の山地に自生する多年草。
*セリ科イブキボウフウ又はオオバノイブキボウフウの根・根茎(和防風)。
*海辺の砂地に自生する多年草、セリ科ハマボウフウの根も代用。
        (参照→浜防風)
<1>関防風:セリ科Umbelliferae 防風Ledebouriela seseloides auct.non H.Wolffの根。
<2>川防風:Ligusticum branchylobum Franch.
<3>雲防風:Seseli mairei Franch.:S yunnanense Franch.
【性味】味は辛甘、性は微温。「温・瀉・燥・升・散」
【帰経】膀胱・肝・脾経。
【分類】辛温解表薬。

【薬性歌】“防風甘温骨節痺 諸風口噤頭暈類”
防風、甘温。能く頭暈を除く。骨節の痺痛、諸風、口噤に。《万病回春》

【効能・効果】

(発汗・発散・袪風・止痒・鎮痛・鎮痙)
○表を解し、風をしりぞけ湿をおさえる。
<1>風寒の感冒・頭痛。
<2>風湿痺痛。
<3>風寒湿痺

○発汗・解熱・鎮痛剤
<1>感冒(発熱して無汗)
<2>頭痛
<3>関節痛
<4>四肢拘攣
<5>破傷風の痙攣・抽搐
<6>目の充血
<7>咽部の疼痛
     

○偏頭痛:「川芎・白芷」
○風寒を疎散し、勝湿・鎮痛の効あり。
*風寒or風熱の風邪
*悪寒・発熱
*頭痛・身体痛
*眼の充血
*咽部疼痛
*風寒湿痺
*関節の痠痛
◎止汗と盗汗を止める。
       「水煎し服用。」
◎めまい・痛みを治す。
       「煎・末服。」
◎風脇痛に。
       「水煎服。」
◎四肢のケイレンを治す。
       「煎・丸服。」
◎頭と身と梢に分けて、上中下三部の風邪を治す。
◎36種の風を治す。
◎ヒ素及び食物の中毒を去る:「甘草」煎服。

【修治】
蘆を去る。《万病回春》
(炒):止血作用を表す。
        イ)出血(血便・不正性器出血)
        ロ)出血を伴う細菌性下痢

【薬理作用】
<1>解熱作用
<2>鎮痛作用
<3>抗菌作用

【薬能】
<1>《神農本草経》
“大風、頭眩痛、悪風、風邪、目盲でもの見えないもの、風が身を行周し骨節疼 痺、煩満するを主る”
<2>《薬性提要》
“表を発し、肺を清し、風湿を去り、頭目滞気を散ず”
<3>《古方薬品考》
  “風を逐い、骨節の瘀を散ず”
<4>《古方薬議》

“風を逐うに、最もよく上部の風を去る”
<5>《中薬大辞典》
      “発表・袪風・勝湿・止痛。”
      “外感風寒、頭痛、目眩、項強、風寒湿痺、骨節酸痛、四肢攣急、破傷風を 治す”
    
【薬対】
『防風+黄蓍』

『防風+荊芥』=風湿の邪による頭痛、発熱を治す。川茶調散
 湿疹、ジンマシン、中耳炎、鼻炎を治す。荊防敗毒散。
    『防風+秦』
『防風+羗活』=風湿の邪による、関節痛、神経痛、リウマチを治す。
        疎経活血湯
    『防風+川』
    『防風+蒼朮』
    『防風+天南星』=「玉真散」《普済本事方》
    『防風+天麻』
  【配合処方】



 螃蟹
○吹乳に特効。
「足は捨て、焼いて作末し毎回2銭を黄酒で調服。」

 


 螃蛤(ぼうごう)
○反胃・噎膈を治す。
「きれいに洗って指の長さぐらいの深さの水に入れて、香油を小さいさかずき (盞)1杯をふりかけ、白麺をまぶすと螃蛤はつばを吐く、吐いたら蛤は捨て、 水ごと毎回5分を淡焼酒で調下する。」


 芒硝(ぼうしょう)NATRIUM SULFURICUM

【処方名】:

[芒硝][朴硝][元明粉][玄明粉][馬牙硝][芒消]

【基原】

<1>天然の含水硫酸ナトリウムNa2SO4・10H2O=「朴硝」
<2>風化して結晶水を失った風化消:Na2SO4・2H2O=「玄明粉」「元明粉」
        (別名「灰様芒硝」)
<3>古来の芒硝:結晶硫酸マグネシウムMgSO4・7H2O=「馬牙硝」
(別名「瀉利塩」)、正倉院に保存。近年まで硫酸ナトリウムをあてていたが、正倉院にある芒硝が硫酸マグネシウムであることからこれが正しいとされる。徳川時代はすべて硫酸ナトリウムを用いた。
★《神農本草経》:「朴硝」「消石」で収載。
「消石」=「火消」=

*硝酸カリウム KNO3)又は
*チリ消石(硫酸ナトリウム NaNO3)

○《薬徴》
硝石、和漢別なし。朴硝。芒硝。硝石、本是れ一物。しかして各形状を以て之を名すくなり。その能異なるなし。しかして芒硝の功勝れり。故に余家之を用ふ。
朴硝=天然に採集した不純物を含む硫酸ナトリウムで、芒硝(芒消)はその再結晶せしめたものをいう《大塚敬節》
★《類聚方広義》
“芒硝は、李時珍は、諸消は晋唐より以来諸家皆名を執って猜(うた)って、総て定見なしと曰う。惟だ馬志に開宝本草に、消石を以て、地霜錬成して芒硝、馬牙硝と為す。是れ朴硝は錬出する者とは、一言に定り、諸家の惑を破る諸家は蓋し硝石は一名芒硝、朴硝は一名消石なりに因って、朴の名相混じ遂に弁を費し決せざるに致る。而して、消に水火の二種あるを知らず、形質同じと雖も性気迥(=カイ、はるか)に別なり。惟だ《神農本草経》の朴硝、消石の二条は正と為す。これ別録の芒硝嘉祐の馬牙硝、開宝の生消は倶に多出に係りび帰しび之く、神農に列する所の朴硝は即ち水消なり、二種ありて煎錬するに細芒を結出する者を芒硝と為し、馬牙を結出する者を牙硝と為し、其の底に凝って塊と為る者は、通じて朴硝と為す。其の気味皆にして寒なり。神農に列する所の消石は火消なり。亦二種あり、煎錬するに細芒を結出する者を芒硝と名け、馬牙を結出する者も亦牙硝と名づけ亦生消と名づく、其の底に凝って塊と成る者を通じて消石と為す。其の気味皆辛苦にして大温なり。二消、皆、芒硝、牙硝の称あり、故に古方に相代るの説あり。唐宋より以下用うる所の芒硝、牙硝は、皆是れ水消なり、是に因って之を観れば、長沙の方中硝石は則ち《神農本草経》の所謂火消にして芒硝なり。当に火消の芒硝を用うべし。今薬舗に呼んで火消細芒とする者は、棹様焔硝と称するもの是なり。堅の功最も勝る。又按ずるに朴硝は水消にして未だ煎錬を経ざる者、是なり。時珍の謂う底に凝りて塊を為す者を通じて朴硝と為すは誤なり。夫れ仲景氏の方は、晋唐以来能く之を講明する者なし。亦能く之を使用する者なし。”
《薬徴》
「堅を(やわら)かにするを主る。故に能く心下痞堅・心下石鞕・小腹急結・結胸・燥屎・大便鞕を治す。しかして旁ら宿食・腹満・少腹腫痞、これ等諸般の毒を治するなり。
・[心下痞堅]=みずおちがつかえて硬いこと。痞はつかえることで、患者の自覚症状。堅は医者が診察して他覚的に抵抗を覚えて硬いこと。
・[少腹急結]=下腹部に腹診によって急迫性の痛みを訴える結条物。瘀血の腹証」
・[心下石鞕]=みずおちが石のように硬い。
・[結胸]=胸が石のように硬く隆起している状態。
・[燥屎]=乾燥して硬くなった糞。
・[宿食]=食物が消化せられず胃腸内に停滞していること。
・[小腹腫痞]=下腹の一部が腫れてつかえたような状態。
【性味】味は苦、性は寒。 寒瀉潤降散
【帰経】胃・大腸・三焦経。
【分類】攻下薬。

【薬性歌】“芒硝苦寒除実熱 積聚燥痰及便窒”
芒硝、苦寒。実熱、積聚に。痰を蠲(のぞ)き、燥を潤し、便閉を疏通す。即ち朴硝なり。因って再び煎煉し、傾けて盆の内に入れ、芒硝を結成す。       《万病回春》

【効能・効果】(塩類下剤)
◎熱を瀉し、燥を潤し、堅を軟にする。
<1>実熱積滞
<2>大便燥結
<3>停痰痞満

◎月経の不通と血閉と癥瘕を治す。
「末にし1銭を淡水湯と空腹時に調服する。」
◎一切の疹を治す。
   「水で煮て塗る。」
◎積聚を溶かし、大小便を利する。
  「温湯で1~2銭を調服。丸・散服。」
【薬理作用】
<1>瀉下作用
<2>鎮痙作用
<3>抗ケイレン作用

【薬能】
    《神農本草経》 
       “消石:五臓の積熱、胃の張閉を主り、飲食の蓄結するを滌去し、陳きを        推し新しきを至らし、邪気を除く”
  “朴硝:寒熱邪気を除き、六府の積聚を逐い、結固留癖を治す”
    《名医別録》
       “芒硝:五臓の積聚、久熱胃閉を主り、邪気を除き留血、腹中に痰実し結        搏するを破り、経脈を通じ大小便及び日水を利し、五淋を破り陳きを推        し新しきに致す”
       “朴硝:胃中に食飲熱結するを主り、留血、閉絶、停痰痞満を破り陳きを        推し新しき至す”
    《古方薬品考》
       “芒硝:専ら熱結を消す”
       “朴硝:宿食、煩熱を降泄する”
《薬徴》
“堅を(やわら)かにする。を主る。故に能く心下痞堅・心下石。少腹急結・結胸・燥屎・大便を治す。しかして旁ら宿食・腹満・少腹種痞、之れ等諸般の難解の毒を治するなり。”
“芒硝は堅塊を主治するや明らかなり。堅を(やわら)かにするの功あり。故に旁ら宿食・腹満・少腹種痞、之れ等諸般難解のものを治するなり”
    《重校薬徴》
       “芒硝:堅をやわらかにするを主る”
       “故に結胸、心下痞硬、満、燥屎、大便難、宿食、少腹急結、堅痛、腫        痞等の諸般の解し難きの毒を治し、潮熱、譫語、血、黄疸、小便不利        を兼治する”
       “芒硝は堅を主るや明らかなり。朴硝は之を芒硝、消石に比すれば、其        の力較(やや)劣る”
《薬徴》
「堅を(やわら)かにするを主る。故に能く心下痞堅・心下石・小腹急結・結胸・燥屎・大便を治す。しかして旁ら宿食・腹満・小腹腫痞、之れ等諸般の難解の毒を治するなり」
    《古方薬議》
       “芒硝:能く堅を軟らげ実を去る”
    《勿誤薬室方函口訣》
       “芒硝一味、大黄に伍せずして用いるは、解凝利水の用とする”
       “胃中の凝滞の実熱を去るために、大柴胡湯に伍して用いる”
    《中薬大辞典》
       “芒硝:熱を瀉し、燥を潤し、堅さを軟らぐ”
       “実熱積滞、腹脹便秘、停痰積聚、目赤腫痛、喉痺、癰腫を治す”
  【薬対】
    『芒硝+大黄』=瀉下作用。腹部の異常緊張、膨満。圧痛、不快感および小便不            利を伴う実熱、乾燥性便秘に。 大承気湯
    『芒硝+硼砂』
  【配合処方】
   <1>朴硝:
     橘皮大黄朴硝湯《金匱要略》
     大黄牡丹皮湯
   <2>芒硝:
  大承気湯
     桃核承気湯
   <3>消石=「硝石」。焔硝(焔消)。硝酸カリウムであるが、古方家は芒硝の別名と        した。
・硝石、和漢別なし。朴硝・硝石、もと是れ一物。しかして各形状を以て之を名づくるなり。その能異なるなし。しかして芒硝の功勝れり。故に余家之を用ふ。《薬徴》
     大黄消石湯《金匱要略》
     消礬散《金匱要略》
     調胃承気湯
■考徴
大陥胸湯証=5両、(心下痛み、之を按じて石)《薬徴》
大陥胸丸証=5両、(結胸は項亦強ばる)《薬徴》
柴胡加芒硝湯=6両
調胃承気湯証=2両、(腹腸満。又曰く大便通ぜず。又曰く吐せず下さず心煩)
大承気湯証=3合、(燥屎。又曰く、大便し。又曰く、腹満。又曰く。宿食)
大黄牡丹皮湯=3合、(小腹腫痞)
木防已去石膏加茯苓芒硝湯=3合、(心下痞堅)
大黄硝石湯証=4両(腹満)
橘皮大黄朴硝湯証(鱠之を食して心胸間に在って化せず、吐せんとして出です)
桃核承気湯証=2両(少腹急結)
消礬散証(腹脹)
  【注意】
    ★芒硝は他薬と同時に煎じると、他薬の成分の抽出を著しく阻害するので、必ず、     他薬を煎じ終わった後から、加えて溶かした方がよい。
  【参考】(堀秀道著「楽しい鉱物図鑑」より)
    江戸時代の科学者、平賀源内は伊豆田方群の船原峠産の明礬石から芒硝(含水     硫酸ソーダ)を製造したと、その著『物類品』に記している。


 虻虫(ぼうちゅう) TABANUS
  【基原】<1>アブ科(Tabanidae)のアブTabanusu属ウシアブ(三角牛虻)Tabanusu trigonus Coquillett
      <2>アブ科(Tabanidae)のキアブAtylotus属フタスジアブ(双斑黄虻)。
  【性味】味は苦、性は微寒。
  【効能・効果】
     ◎処女の月経不調と血・積血・血閉などを治す。
       「羽根と足を去り(炒)、醋湯で末服・丸剤。」
     ◎通経、駆血剤
       <1>月経閉止
       <2>堕胎
       <3>結
       <4>胸腹中の古い蓄血
  【薬能】
    《神農本草経》
      “木:”
    《薬徴続篇》
      “血、少腹満を主治し、兼ねて発狂、熱、喜忘、及び婦人の経水不利       を治す”
    《古方薬議》
      “味苦、血を遂ふことを主どり、積聚、堅痞、、寒熱を破り、血脈、       及び九竅を通利し、賊血の胸腹、五臓に在る者を除く”



 宝荳(ほうとう)
=宝豆、ルソンカ(呂宋果)
フジウツギ科の植物、呂宋豆(ルソントウ)の熟した果実。
苦寒、大毒




茅香花
   ○性は温、味は辛、無毒。
       <1>吐血と鼻衂
       <2>灸瘡
       <3>金瘡を治し
       <4>血と痛みを止める
 
 茅根
   ○性は寒、味は甘く無毒。
       <1>血・血閉・寒熱を治し
       <2>小便の通りを良くし
       <3>五淋を下し
       <4>客熱と消渇を除き
       <5>吐衂血を治す


 実
   ⇒「白麻」《医学入門》
   ○性は平、味は苦、無毒。
       <1>赤・白・冷・熱痢を治す。
       <2>癰腫を散らす。

 朴硝
   ○性は大寒、味は苦、小毒。
     <1>腹脹を治す。
     <2>大小便の不通。
     <3>月経不順
     <4>五臓の百病
     <5>六腑の積聚を排泄する。
   ○喉痺に。
     「口中に入れて吸って汁を飲む。」
○死胎の出ない症を治す。


 樸(ぼくそく)
   クヌギ・ナラ・カシワなどのQuercus属の樹皮

 補骨脂=「破故紙」参照。


 北投石
◎放射線を出す石。ホルミシス。
 玉川温泉。

 干し柿=乾柿
   ○脾気を壮健にし、又脾が虚弱で消化されないときに使う。
     「牛乳と蜜で混ぜ煎服。」
   ○腸胃を丈夫にする。
     「常食する」



 蛍石
=中国に偏在する天然の蛍石(フッ化カルシウム)
光の波長ごとの屈折率の差(波長分散)が通常の光学ガラスと比べて小さく、色収差を少なくできる
高級カメラのレンズや天体望遠鏡で使われている。
■フッ酸廃液から
「フッ素化学大手の森田化学工業(大阪市)は、堺事業所で建設していたフッ酸のリサイクルプラントを稼働した。半導体の製造過程で出るフッ酸廃液を、高純度のフッ化カルシウム(蛍石)に再資源化できる。蛍石の回収能力は年間3000トンで、半導体メーカーなどの利用を見込む。
フッ酸は半導体や液晶パネルのエッチング剤などに使われる。原料の蛍石は中国からの輸入がほとんどだが、価格が高騰している。
森田化学はフッ酸廃液から98%という高い純度の蛍石の生成に成功。」2005.8.19《産業》
■最大のレンズ
「キャノン子会社のキャノンオプトロン(茨城県結城市)は100億光年離れた星の光も分析できる天体望遠鏡用の巨大なレンズを作った。ガラスより高性能は蛍石製で、1枚が直径約40cm重さ20kg。
スミソニアン天文台から1991年に受注、15年かけて完成した。すでに10枚納入し、最後の2枚を2006年5月に送る。
ガラス製のレンズでは20億光年が限界だった。」
■人工合成
2015年、純度99.95%以上の合成蛍石を作ったのが岩谷産業。
合成蛍石から作った蛍石レンズは、光学レンズメーカーが要求する「400ナノ~800ナノ㍍の可視光線域で90%以上の透過率を有すること」を満たす。
■放射線が通過した痕跡が残る
ツバメの足に蛍石の輪を付けて個体ごとに被曝線量を測ることができる




 鵓鴣(ほつこ)=イエバト(家鳩)
   ○風・白癜風・癧傷風に。
     「焼いて食べる。」


牡丹皮(ぼたんぴ) MOUTAN RADICIS CORTEX
【基原】ボタン科PaeoniaceaeボタンPaeonia moutan Sims.の根皮。
中国西北部の原産で、シャクヤクと同様に薬用として伝わった。中国では百花の王と称せられ、かっての国花でもあった。

★薬用には一重で、紫紅色の花をつける在来種が用いられる。
★すなわち牡丹の根で、山中にある単葉なのが良く、2月~8月に採って水洗 後、すぐに又は4~5日天日乾燥した後、竹ベラで皮部を裂きながら木芯を 取り去り、皮だけをさらに天日乾燥する。
【性味】味は辛苦、性は微寒、無毒。

「涼中平平散」
【帰経】心・肝・腎経。
【分類】清熱涼血薬。
【薬性歌】“牡丹苦寒通経血 無汗骨蒸血分熱”
牡丹、苦寒。血を破り、経を通じ、血分熱あり、汗なき骨蒸に。《万病回春》
  

【効能・効果】(牡丹皮)

(消炎・活血・駆瘀血・降圧)

○体内の熱を発散させ、しこりを除く、そのため、虫垂炎など下腹部にシコリが出来る疾患に用いる。
<1>癥堅と瘀血
<2>婦人の経脈不調
*月経不順
*月経痛
*子宮内膜炎
<3>血瀝と腰痛を治し
<4>落胎させる
<5>胞衣を降ろし
<6>産後の一切の血気と産前産後の血の道症
<7>癰瘡の膿をなくし
<8>打撲の瘀血を散らす

○月経不通を治す。「煎じ・末・丸剤。」
○清熱涼血、血を散ず
<1>熱病発斑・驚癇
<2>吐衂・下血
<3>経閉癥瘕
*子宮内膜の充血を引き起こすので、閉経に応用。
<4>腸癰

◎応用
<1>熱病吐血・衂血
<2>血熱斑疹
<3>急性虫垂炎
<4>神経性皮膚炎
<5>アレルギー性鼻炎
<6>癰腫瘡毒。

【成分】
    アルギニン:[1.0%]

【薬理作用】
<1>エタノールエキスに、抗アレルギー作用。
<2>paeonol
*虫垂突起炎の化膿菌に対する抗菌作用
*抗炎症作用
*中枢抑制作用:鎮静作用
*抗菌作用
*抗痙攣作用
*毛細血管の透過性を低下する。
  

【薬対】
『牡丹皮+菊花』

『牡丹皮+金銀花』

『牡丹皮+桂枝』

『牡丹皮+赤芍薬』

『牡丹皮+大黄』=清熱作用。発赤、疼痛、腫脹、化膿などを伴う皮膚のできもの。打撲や捻挫、虫垂炎に持ちいる。大黄牡丹皮湯

『牡丹皮+桃仁』=調経作用。血実性の悪血を伴う局所の血液循環不全による女性の月経閉止、月経痛、月経不順に用いる。桂枝茯苓丸
  

【配合処方】
■温経湯
■活血散瘀湯
■加味逍遥散
■瓜子仁湯
■瓜蔞仁湯
■芎帰調血飲
■桂枝茯苓丸
■大黄牡丹皮湯
■丹皮野菊湯
■丹梔四物湯
■桃仁湯
■八味地黄丸
■牡丹散《和剤局方》
■鼈甲煎丸
■蒲公英湯
■薏苡仁散


 牡蛎(牡蠣) OSTREAE TESTA
【基原】イタボガキ科(Ostreidae)マガキCrassostrea gigas Thunb.イタボガキOstrea densekamellosa Lischke. イワガキCrassostrea belcheri Sowerbyなどの左殻。
【性味】味渋、性は微寒。「平補燥降収」
【帰経】肝・胆・腎経。
【分類】安神薬。

【薬性歌】“牡蠣微寒主澀精 痰汗崩帯脅痛平”
牡蛎、微寒。精を渋らし、汗を止む。崩帯、脇疼に。老痰袪散す。《万病回春》

【効能・効果】

(鎮静・鎮痛・消腫・収斂・解熱・止汗)
◎制酸、止渇止汗、鎮静剤
<1>骨蒸労熱
<2>遺精、崩漏、帯下
<3>瘰癧(頸部リンパ腺炎)
<4>自汗盗汗
◎大腸・小腸を丈夫にする。
◎大小便の自利・盗汗を治す。
◎泄精・帯下・脇痛に応用。
◎鬼交・泄精・精滑不固を治しす。
 「火に焙ったり、酢に漬けたりすること7回、醋糊で梧子大の丸剤。毎回50 丸づつ塩湯で服用。『固真丸』という。」
◎汗を止める。「粉末にして塗る。」
◎腎の補強に良い。
◎大小腸を治す。
 「粉末にし米飯に混ぜるか、丸剤」
◎崩漏と赤・白帯を治す。
 「粉を醋に混ぜて丸を作り、再び研細末したものを艾醋湯で丸め、これ また艾醋湯で50丸を飲み下す。」     
◎小便の度の多いのを治す。「丸服・末服。」
◎大小便、遺尿を治す。
 「牡蠣粉・白礬枯を等分に作末し、2銭を1日3回酒で調服する。」
◎煩熱を除去する。
◎酒後の煩熱を治す。
  「肉を取って姜・醋を混ぜて食べる。」
◎虚労と乏損を治す。
  「煮て食べると良い。」
◎動悸:
*竜骨:臍下の動悸。
*牡蠣:胸腹の動悸。
◎火傷:牡蛎末一味を麻油に調し、塗布する《勿誤薬室方函口訣》
  

【修治】
(生):鎮静・軟堅・解熱作用が強くなる。
(煆):収斂・固渋作用が強くなる。

【薬能】
■《神農本草経》
“傷寒、寒熱、瘟瘧洒洒、驚恚怒気を主り、鼠瘻拘緩、女子の帯下赤白を除く、 久しく服すれば骨節を強くし邪鬼を殺して年を延す”
■《薬性提要》
“堅を軟らげ痰を化し、脱を収め汗を斂め水を行らす”
■《王好古》
“牡蠣は足の少陰に入り、堅を(ゼン、やわら)かにする剤である”
“柴胡と用いれば能く脇下の硬を去り”
“茶と用いれば能く項上の結核を消し”
“大黄と共に用いれば能く股間の腫を消し”
“地黄と共に用いれば能く精を益し収渋して小便を止める”
“腎の経の血分の薬である”
■《薬徴》
“牡蛎、胸腹の動を主治するなり”
“旁ら驚狂・煩躁を治す”

[胸腹の動]

=胸と腹の動悸の亢進。
“牡蛎・黄連・竜骨、同じく煩躁を治し。しかも各主治するところあり。中は黄連の主るところなり。臍下は竜骨の主るところなり。しかして部位定まらずして胸腹煩躁の者は、牡蛎の主るところなり”
“牡蛎の治する所は驚狂、煩躁、失精にして竜骨を以て復た差別なし。為則此に従事すること久しく、始めて牡蛎の主治は胸腹の動なるを知る”

 

(考察)

①桂枝去芍薬加蜀漆竜骨牡蛎湯(驚狂・起臥按からず)牡蛎5両
②牡蛎湯(喘息息迫して胸中動ある)        牡蛎4両
③牡蛎沢瀉散(身体水腫し腹中動あり小便不利)   牡蛎(諸薬等分)
④柴胡姜桂湯(微煩)               牡蛎3両
⑤桂枝甘草竜骨牡蛎湯(煩躁)           牡蛎2両
⑥柴胡加竜骨牡蛎湯(煩驚)            牡蛎1両半

《古方薬品考》
 “溢を除き、且滑洩を渋す”
《重校薬徴》
 “胸腹の動を主治し、驚狂、煩躁、失精を兼治す”
《古方薬議》
 “驚を斂め、水を泄す”
《中薬大辞典》
“陰を斂め、陽を潜じ、汗を止め、精を渋し、痰を化し、堅を軟らげ、驚癇、 眩暈、自汗、盗汗、遺精、淋濁、崩漏帯下、瘰癧、瘤を治す”
  

【薬対】
『牡蛎+黄蓍』=収斂作用。神経症状をともなう盗汗。自汗、失精に用いる。牡蛎散《和剤局方》

『牡蛎+甘草』=健胃作用。神経症状を伴う胃腸障害に。安中散。

『牡蛎+亀板』

『牡蛎+鼈甲』=滋陰退熱作用。陰虚による発熱に。大定風珠湯《温病条弁》

『牡蛎+桂枝』

『牡蛎+玄参』

『牡蛎+五味子』

『牡蛎+山茱萸』

『牡蛎+紫根』=消腫作用。瘰癧、リンパ腺腫に。紫根牡蛎湯。

『牡蛎+白芍』

『牡蛎+茜草』

『牡蛎+竜骨』=鎮静作用。胸腹部の動悸をともなう驚狂、煩躁に用いる。柴胡加竜骨牡蛎湯。

【考徴】
(5両)
■桂枝去芍薬加蜀漆竜骨牡蛎湯証=驚狂・起臥按からず。
(4両)
■牡蛎湯
“牡蛎湯条に曰く、瘧と。牡蛎沢瀉湯条に曰く、水気有りと。その挙ぐるところの証、蓋し具らざるなり。他の例を以て之れを推すに、喘急息迫して胸中動ある者は、牡蛎湯之れを主るなり。身体水腫し腹中動あり、渇して小便不利の者は、牡蛎沢瀉散之れを主るなり。”
(3両)
■柴胡姜桂湯証=微煩
(2両)
■ 桂枝甘草竜骨牡蛎湯証=煩躁。
(1両半)
■柴胡加竜骨牡蛎湯証=煩驚。
(等分)
■牡蛎沢瀉散
  

【品質】
    《重校薬徴》
“牡蛎は殻の陳久の者を良と為す。余の家用は塾丹に出る者にして、坊間に鬻(ひさ)ぐ所の者は用に堪えず”
陳久のもの=古くなったもの、新しいものは臭気が強く使用に堪えない。
坊間=世間に売っているもの。



 母乳
■ガン細胞を殺す物質
「2010年、スウェーデンのイエーテボリ大学とルンド大学の研究チームは、母乳の中にガン細胞を殺す物質があることを突き止めた。「HAMLET」という物質で、実験では40種類のガン細胞を死滅させる性質を持つことで確認した。
HAMLETはタンパク質と脂肪酸の複合体。
数年前に母乳の抗菌性を調べている研究で偶然発見されていた。今回、膀胱ガンの患者にHAMLETを与えて尿を調べたところ、死滅したガン細胞が見つかった。実験では皮膚ガンや脳腫瘍など40種類のガン細胞を殺す効果が確認できたという。HAMLETは健康な細胞には影響を与えない。


 母丁香
○白髪に。
「生蔓汁とけずって白髪の抜けたところへ塗る。」