つらい症状(病名)

IgA腎症

⇒慢性腎炎の一種。

■30才の女性。「4年前に血尿が出る為に検査を受けたところ、IgA腎症と診断されました。薬を飲み続け月に一度通院して尿検査を受けていますが、血尿は続いています。今後、妊娠や出産などに影響はないでしょうか?1997.7.6《朝日新聞》(槇野博史・岡山大医学部教授に聞く)

<1>初めて報告されたのが約30年前で。軽い病気とみなされていたこともあり専門家以外にはなじみの薄い病気でした。ところが、1993年に日本の患者の追跡調査で、IgA腎症と診断されてから20年後に、4割近い人が[重い腎不全]に陥っていることが分かりました。

<2>日本人の慢性腎炎のなかで最も多い病気だと分かりました。腎不全で血液透析が必要になり腎臓の組織検査を受けた人の約3割がIgA腎症という報告があります。

<3>IgAとは?“病原体などから体を守る抗体の一種で、タンパク質で出来ています。IgA腎症は、尿の濾過装置である腎臓の糸球体に本来は体を守るはずのIgAが沈着して害になっているのです”

<4>どんな症状が出るのでしょうか?

“自覚症状はほとんどありません”

“主な症状は、血尿と尿にタンパク質が混じるタンパク尿です”

“血尿は目で見て分かることもありますが、尿検査で初めて分かる場合もあります”

<5>診断方法を聞かせて下さい。“まず、24時間分の尿をためて、タンパク質の量や腎機能などを調べます。IgA腎症と断定するには、腎臓に針を刺して組織のごく一部を採取し、顕微鏡で調べる腎生検が欠かせません” 

<6>原因は?まだ良く分かっていません。

 

噫気(あいき)  

=漢方の病証名。⇒げっぷのこと。

噯気(eructation)ともいう。胃内のガスが食道を経て口内へ音をたてて逆流する現象。

満腹のときに出る、俗におくびという。啘逆(ヤクギャク)とは異なる。

◎五気の病む所、心は噫をなす。《素問宣明五気論》

◎噫は飽食の息、即ち噯気なり。《景岳全書》

【漢方療法】(あいき)

<1>胃中の欝火と膈上の粘稠痰、飲食の欝結が兼ねる:[袪痰丸]

<2>食べた後、腐気を吐き出す: [二陳湯+蒼朮・神麹・麦芽・黄連(薑炒)]

<3>渇気が胸にあって、食べなくても、いつも噫気が出る: [六君子湯+沈香] [六君子湯+沈香・厚朴・蘇葉] [六君子湯+沈香・厚朴・蘇葉・呉茱萸]

【漢方薬】(#あいき)

■黄芩湯

■黄連湯

■加味導痰湯《寿世保元》

■甘麦大棗湯(あくびが多い、

■枳殻散(心下に積があって痞満、腐った卵のようなゲップ)

■袪痰丸[1](胃に痰火があって出る)

■匀気丸(気が虚し、ゲップがこみ上げる)

■生姜瀉心湯+茯苓=拡張の軽症で、茯苓沢瀉湯を用いるような口渇が無く、胃部の膨満、圧重感、嘔吐、噫気、胸やけなどのある者に用いる。噫気は酸臭を伴うのを普通とする。(漢方診療医典)

■小調中湯(飲酒で)

■星半湯《万病回春》(噫気を治す)

■旋覆代赭湯

■二陳湯《万病回春》

■二陳湯+蒼朮・神麹・麦芽・黄連(姜炒)(食べた後、腐気を吐き出す)

■破欝丹(婦人に多い、連発してもゲップがすっきり出ない、ゲップが出ないと心臓の上が苦しくなる)

■茯苓飲(上腹部がつかえ苦しい、胃部振水音、舌苔白潤)

■茯苓飲合半夏厚朴湯(悪心嘔吐、気鬱不安、胃内停水)

■理中湯《万病回春》

■六君子湯+沈香(食べなくても、いつも噫気が出る、虚証)=六君子湯+沈香・厚朴・蘇葉(食べなくても出る、虚証)

 

アカシジア akathisia=「静座不能」

アカシジアとは、静座不能、着座不能あるいは静止不能とも呼ばれる錐体外路症状の1つで、現在では主にドパミンD2受容体拮抗作用を持つ抗精神病薬等の副作用として発現する。古くは、エコノモ脳炎の後遺症として記載された症状である。

<1>主な症状は、

*座ったままでいられない

*じっとしていられない、

*下肢のむずむず感や灼熱感等の自覚症状があり、

*下肢の絶え間ない動き、足踏み、

*姿勢の頻繁な変更、

*目的のはっきりしない徘徊(タシキネジア)などが特徴的である。

<2>また、不安、いらいら感、不穏感等も見られる。

<3>自覚症状の多くは、歩行や運動により軽減される。これはアカシジアの大きな特徴の1つである。

<4>これらの症状は、夜間に増悪する傾向があり、睡眠障害を伴うことが多い。 症状の出現は薬物の投与開始または増量後数週間以内に発現するが、通常これは可逆的なものであり、投与中止や減量により消失または軽減する。

症状の改善には、抗コリン作用を有する抗パーキンソン薬(アキネトン、アーテン等)の投与が有効である。また、最近の研究では、薬剤誘発性のアカシジアにビタミンB6が有効であることが示されている。

◎運動的に落ち着きがない状態で、内面的な動揺を感じる程度~静かに座ったり横になったり~眠ることができなくなる程度まで。

 

#アカラシア achalasia

=「弛緩不全」「噴門無弛緩症」 消化管の接合部で平滑筋弛緩が出来なくなること。特に、壁内神経節細胞の変性、退化によって嚥下に伴う食道-胃括約筋の弛緩が不能になるこを指す」

アカラジアとは本来は、消化管の相接する2つの器官の接合部の平滑筋が弛緩障害を起こしてて通過障害に陥ることを意味するが、実際には食道と胃の接合部である噴門の解放困難症にだけ用いられている。

《辞典》 ⇒食道下部から噴門部の、頑固で持続的な機能的通過障害と、拡大を起こす神経筋疾患。70%の者に嘔吐が見られる。

「食道アカラシア」は食道の運動障害の1つで、胸につかえ感を覚えたり飲食物が就寝中に口に戻ったりすることがある。日本医科大学付属病院の岩切勝彦助教授は「きちんと治療すればつかえ感などが無くなり、QOLがぐんと高まる。軽症の場合は診断が付かないことがあるが、軽視せずに専門医に診てもらうことが大切」と語る。

口から入った水や食物は食道を通って胃に入りますが、このとき食道の一部が収縮し胃に向かって順々に伝搬します。いわゆる蠕動運動で、これによって寝転がっていてもも逆立ちしていても飲食物は胃に送り込まれます。 普通は飲食物が食道にはいると同時に食道下部の括約筋が開きます。この下部食道括約筋が開かなくなったり、開きが悪くなったりするのが食道アカラシアです。同時に蠕動異常も見られます。 下部食道括約筋は胃から食道への逆流を防いでいますが、必要なときに開かないと飲食物が食道に滞留してしまいます。

【症状】(食道アカラシア)

「#胸のつかえ」

「#胸痛」

「#食欲が無くなったり」

「#急いで食べると食物を吐く」

「#就寝中に咳やヨダレで枕を汚す」

食道アカラシアの患者数は10万~20万人に1人と言われている。 女性にやや多く、年齢差はない。

検査は、直径4mmの細い管を鼻から食道に入れて、下部食道括約筋が十分に開くかどうかをみる内圧検査をします。

【治療】(食道アカラシア) 食道に風船を入れて、開かなくなった下部食道括約筋を広げるバルーン拡張術があります。 または、手術で下部食道括約筋を広げます。

 

 

アキレス腱炎achllobursitis=「アキレス腱嚢炎」    

【民間療法】ビワの葉。ツワブキ。

【漢方療法】(アキレス腱炎)「ケイレン、痛み」 [芍薬甘草湯]

アキレス腱反射が遅くなる: 「脚気 」「甲状腺機能低下症」

 

#アジソン病 morbus Addisonii

=Addison病=慢性原発性副腎皮質機能不全。「慢性副腎皮質不全症」

イギリスの医師Thomas Addison(1793~1860)が1855年に初めて記載した疾患で、副腎皮質の両側が慢性に侵されるもの。

■アジソン病の臨床症状は

#無力症状、易疲労性より始まり、 #皮膚粘膜に黒褐色のメラニン色素沈着(青銅病) #食欲不振* 悪心 *下痢または便秘などの消化器症状が認められ、

■アジソン病の所見として

#低血圧 *低血糖 *小心臓 *筋力低下などが認められる。 #血中好酸球・リンパ球は増加傾向 *血清ナトリウム・重炭酸塩・水分含量の低下 *血清カリウム値は上昇

#副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)に全く反応しないことで診断。

#副腎皮質が両側性・慢性に侵される、  

*慢性原発性副腎機能低下の病態。

アジソン病はあらゆる年齢層に起こり、ほとんど性差がなく、そして代謝性ストレスや外傷がある時に臨床的に顕在化する傾向がある。

#副腎疾患の1つ。「副腎疾患」には:

「①Cnshing症候群」:

1.中心性肥満(moon face)

2.高血圧・糖尿

3.皮膚線条(サーモンピンク)

4.無月経・多毛。

「②Addison病」:

1.皮膚色素沈着 

2.無力症・低血圧・低体温 

3.胃腸障害。

「③Conn症候群」:

1.高血圧 

2.多飲・多尿 

3.周期性の四肢麻痺 

4.筋力低下。

「④褐色細胞腫」:

1.高血圧 

2.頭痛・発汗・代謝亢進 

3.高血糖

 

【Addison病の病因】

①結核性: 「肉芽腫によるもので、発展途上国で増えてきた」

②自己免疫機序による: 「米国におけるアジソン病の約70%は副腎皮質の特発性の萎縮が原因で、おそらく自己免疫的な機序による。」③副腎の破壊: 1.腫瘍 2.アミロイドーシス 3炎症性の壊死など④薬物投与: ケトコナゾール(抗真菌薬)のようなステロイドの合成を阻害する薬物の投与でも引き起こされる

【Addison病の症状】

① 「脱力感・疲労・起立性低血圧が初期症状である。

②下垂体機能低下症による二次性副腎機能低下症以外では通常色素沈着が増強する。

③色素沈着の増強は体の露出部、非露出部ともにビマン性に黄褐色を呈するのが特徴で、特に圧のかかる部位(骨隆起)、皮膚のひだ、瘢痕、伸筋側の皮膚に生じる。

④額、顔、首、肩の黒い雀斑;白斑領域:および乳輪や、唇、口腔、直腸、膣などの粘膜の青黒色の変色として起こるのが一般的である。

⑤体重減少、脱水、低血圧、心臓の縮小はこの疾患の後期に特徴的である。

⑥食欲不振、悪心、嘔吐、下痢がよくみられる。

⑦代謝低下とともに寒さに耐えられなくなつこともある。

⑧めまいと失神発作が生じることもある。

⑨心電図は低電圧とPR間隔とQT間隔の延長を示すこともある。

⑩脳波はα波の全般的は徐波化が起こる。

⑪徐々に発症して初期症状が非特異的であるため、初期にはしばしば神経症と誤診することがある。体重減少、脱水、低血圧、および小型の心臓などはアジソン病の後期にみられる特徴である。」(メルクマニュアル)

1.色素沈着が特徴:望診の時に口中の色に注意すること。副腎皮質刺激ホルモンの分泌過剰による。

2.悪心・嘔吐・食欲不振。

3.体重減少(成人)・体重増加不良(小児)。

4.易疲労・脱力感・全身倦怠。

5.低血糖。

6.低血圧症状

 

【Addison病の検査所見】

1.血漿コルチゾール低値or尿中17-OHCS低値。

2.血漿ACTHの増加。     

【漢方薬】(アジソン病)

#木防已湯

 

 

朝起きられない
■低体温の子、体の目覚め遅い 「起床直後の体温が36℃に達しない低体温傾向の子供は、昼頃迎えるはずの1日の体温のピークが夕方にずれ込んでいることが、日本体育大学の研究グループの調査で明らかになった。 体の目覚めも遅く、日中も活動が鈍いことを示している。 通学意欲のなさを訴える子が低体温傾向の子供に多いことも分かった。 調査したのは、日体大・学校体育研究室の正木健雄教授ら。東京都内の国立大付属校の協力を得て、中1と高1の男子生徒の1日の体温の変化を調べた。 調査結果によると、対象となった73人のうち、起床時の体温が36℃台だったのは59人。36℃未満は12人で、37℃台が2人いた。 36℃未満を低体温群、36℃台を平均群と分類して、それぞれの体温の変化をみたところ、平均群は正午頃に体温のピークを迎えたが、低体温群ではピークが午後4時~午後6時頃にずれ込んでいた。 ピーク時の体温をみると、平均群では約36.8℃だったが、低体温群では36.4℃ほどまでしか上がらなかった。 アンケートでは、平均群では半数を超す生徒が「通学意欲あり」と答え、「意欲なし」が2割足らず。低体温群では、「意欲なし」が3人に1人に達した。 調査を中心になってまとめた同大大学院博士課程の野井真吾さんは「低体温傾向の子は、体のリズムが学校生活と合わないという問題を抱えている。夜型の生活に関係がああるとも考えられる」と話している。2000.3.15《朝日新聞》

 

■思春期の起立性調節障害 「午前中は立ちくらみや低血圧で動けない。午後になると回復するが、「怠け病」と誤解されることも少なくない。2006年9月、日本小児心身医学会が診療指針を作成した。
★(指針)

以下のうち4項目が週に1日~2日見られると、心理社会的な要因の関与があると判断。

○学校を休むと症状が軽減する。

○身体症状が再発・再燃を繰り返す。

○気にかかっていることを言われたりすると症状が悪化する。

○1日のうちでも身体症状の程度が変化する。

○日によって身体症状が次から次へと変化する。 指針では、問診のほか、寝た状態を約10分間続けてから立ち上がり、[血圧][心拍数][心電図]などを計測し、症状を4タイプに分類する。

たとえば、

『#起立直後性低血圧』は、立ち上がった直後に血圧が20以上低下する。患者全体の2割を占め、症状がひどくなると血圧が69以上下がることもある。日本人に多い。

『#神経調節性失神』は、起立中に意識低下や意識を失う発作を伴う。スエーデンで多く、日本人にはほとんどいない。 高校生のAさんは、春頃から、朝起きられなくなった。寝床と離れようとすると[立ちくらみ]や[めまい]がする。顔色も悪く、腹痛や頭痛があることもある。ところが、昼を過ぎる頃になると、何故か体調は回復する。

【治療法】 薬物療法 ストレスを低減するカウンセリング

【日常生活】

・水分を1日1.5㍑~2㍑と十分に摂る。

・塩分は特に制限は無いが、余分に摂る方が良い。

・寝た状態や座った状態からは30秒以上かけて、ゆっくり立ち上がる。

・朝、起床時は頭を下げたままに歩き始める。

・早寝早起きなどの生活リズムを守り、日中は眠く・だるくても身体を横にしない。

・テレビゲーム、パソコン、テレビは1日1時間以内にする。

■おすすめの朝食:

「梅干し&牛乳」 「まず、梅干しのおかげでたっぷり分泌される唾液が胸やけの原因の胃酸を中和し、洗い流してくれる。このときに出る唾液は普通より中和力が高いのだ。そして、その刺激が脳から胃に伝わり、胃を広げて食欲を感じさせてくれるはず。そこへ栄養価の高い牛乳を飲む。牛乳は胃壁を保護し、たっぷり分泌された胃酸から胃を守る働きもある。梅干しだけを食べてしまうと、大量の胃酸で胃が傷つく恐れがあるので要注意。 食欲が無くても何日か、この組み合わせを試してみよう。続けているうちに、朝食を食べる習慣がつき、夜食を摂らなくても済むようになるはずだ。 (NHKためしてガッテン)



#アシドーシスacidosis

組織及び血液から余分に酸が分離され体内に蓄積される =「酸性血症」。

体内の酸の蓄積、または体内からの塩基消失によって起こる病的な状態。

血中の酸と塩基の関係が、酸優位の状態になったものをいう。極めて単純に考えると血液の酸性アルカリ性は、炭酸による酸性と重炭酸(重曹)にろるアルカリ性の相対的な濃度~比率によって左右されると理解される。随って

アシドーシスには、発生機序から見て2通りの型に大別される。 すなわち、

①炭酸の酸性が強すぎるものが呼吸性アシドーシスである。

②一方、血中の重炭酸の少なすぎるものが代謝性アシドーシスである。しかしアシドーシス傾向が一次的に生じて血中炭酸または重炭酸値が正常値からズレると、直ちに呼吸性、腎性、腎外性(体内組織による)調節機序が生理的に作動して、炭酸と重炭酸の比率(血液pH)を正常値に戻そうとする。したがって、炭酸または重炭酸の正常値からのズレだけではアシドーシスの原因判定とその治療は不可能であり、患者の肺機能の良否、尿毒症傾向の有無、電解質異常の有無、その他の病態などから総合的に判断して処置する必要がある。

○呼吸性アシドーシスの判定は、動脈血炭酸ガス分圧の異常な上昇があり、それと同時に血中の重炭酸塩上昇・血清のクロール値低下が「顕著でない」ときは決定的である。 呼吸性アシドーシスの発生は、その原因が肺または気道にあることが多く、低酸素血症を伴うことが多い。しかし換気の積極的な改善策を講じないで単純な酸素療法だけを行うと、動脈血炭酸ガス分圧はやがて60mmHg以上に達して昏睡・死に至る。 呼吸アシドーシスの治療は多くの場合、換気の改善がすべてである。

○代謝性アシドーシスの原因は、尿毒症などの腎障害、糖尿病性ケトーシス、激症の膵炎、十二指腸液の腹腔内漏出、敗血症、高Cl血症、(尿路直腸瘻)、アミノ酸輸液の過剰などによる。

*遠位腎尿細管性アシドーシス: 「遠位尿細管の尿のpHが低下していない腎尿細管性アシドーシス」

*過塩素性アシドーシス: 「血漿中の塩素増加を伴う代謝性アシドーシス」

*飢餓性アシドーシス: 「カロリー不足の後に起こりやすい。ケトン体蓄積によって起こる代謝性アシドーシスの1つ。」

*近位腎尿細管性アシドーシス: 「近位尿細管の機能不全で起こる腎尿細管性アシドーシス」

*呼吸性アシドーシス(respiratory acidosis): 「体内の二酸化炭素が過剰に蓄積することで起きるアシドーシス」

*腎性過塩素性アシドーシス:

*腎尿細管性アシドーシス: 「腎機能の障害から起こる代謝性アシドーシスの1つ」

*代償性アシドーシス(compensated acidosis): 「代償機構がpHを正常に戻した状態」

*代償性呼吸性アシドーシス: 「血液のpHが腎臓の代償機構によって正常に戻された呼吸性アシドーシス」

*代償性代謝性アシドーシス: 「血液のpHが呼吸性代償により、正常に戻された代謝性アシドーシス」

*代謝性アシドーシス: 「市内の酸・塩基平衡が塩基の喪失あるいは重炭酸以外の無機や有機酸(不揮発性)の増加により、酸性に傾いた障害状態」

*炭酸過剰性アシドーシス

*糖尿病性アシドーシス(diabetic acidosis):「治療されない糖尿病のとき起こる。ケトン体の蓄積によって生じる様々な代謝性アシドーシス」

*乳酸アシドーシス:*尿毒症性アシドーシス: 「酸排泄力が落ちてアシドーシスを起こした慢性腎不全の状態」

*汎発性遠位腎尿細管性アシドーシス:

*非呼吸性アシドーシス:

◎代謝性アシドーシス(metabolic acidosis)「原因疾患の検索を行い、その治療をはかることが必要。たとえば、糖尿病性ケトアシドーシスではインスリンによる糖代謝の是正と適正輸液が望まれる。」 「代謝性アシドーシスを急速に補正する場合は、pH7.15以下、意識障害・循環障害等の症状を示す時である。治療はアルカリ剤の投与である。」

処方1:sodium bicarbonate Meylon(7%,8.4%) 投与量=不足塩基量(mEq)×体重(kg)×0.2で計算。 まずその量の1/2を静注し、10~20分後、血液ガス分析を行い適宜追加する。 Naを含むこと、二酸化炭素を発生するため、血液ガス分析のみならず電解質測定も行うこと。 アルカリ剤のため配合変化を来しやすい、Ca+イオンとは沈殿を生じる。 酸素解離曲線を左方移動させるため、組織低酸素状態を起こすことがある。 小児では、細胞外液量が多いので計算量の1.5~2倍必要。

◎アシドーシス治療薬 炭酸水素ナトリウム

 

アスペルガー症候群

■長崎市で4歳児を誘拐殺人した事件 「補導された中学1年生(12)の少年審判で、長崎家裁(伊東浩子裁判長)は2003年9/29、「防犯カメラを発見して動転し突き落とした」と認定し、少年を児童自立支援施設に送致することを決定した。行動の自由を制限する「強制的措置」を1年間とれるとしており、少年は同日夜、さいたま市の国立の施設に入所した。審判には少年と付添人、少年の両親も出席した。付添人は「妥当な決定」とし公告しない方針。 犯行に至る要因として、幼児からの障害に加え、両親の厳しい態度や不仲、環境の変化で精神的負荷がかかり、他人の痛みに無関心な資質が増強されたとした。 決定理由で伊東裁判長は、少年の資質について、幼稚園の頃から注意に過剰反応し、予想できない行動をしていたと指摘。他人とのつながりを求める指向が希薄で、強いこだわりを示すことから「広汎性発達障害の一種、アスペルガー症候群」と判断した。しかし、「障害そのものが直接非行に結びつくものではない」とした。2003.9.30《日本経済新聞》

■軽度の発達障害 「知能や言葉に問題はないものの「友達が著しく少ない」「特定のことにこだわる」などの特徴がある軽度の発達障害で、他人とのコミュニケーションが苦手なことが多く、イジメや引きこもりなどの原因の1つと考えられている。 芦屋大学は井上敏明特認教授を迎えてアスペルガー研究所を設置した。20069/8《日経》

 

 

#アテトーシス(athetosis)

=「アテトーゼ」 ゆっくりとした、屈曲した、ねじれるような動作が、休み無く起こる、特徴的な異常状態。特に手で激しく不随意的に起こる。

片麻痺後に起こり、片麻痺舞踏病(posthemiplagic chorea)として知られる。

◎主として手の指または足の指に出現する緩慢な一種独特の異常運動で、捻転、屈曲、進展など、様々な運動を見るもので、筋緊張は絶えず変化している。 重症にあっては四肢だけでなく、体幹・顔面・頸筋にも波及する。

<1>先天性または小児期に発病する特発性アテトーシス(Vogt病)

<2>症候性アテトーシスとしては *脳性マヒ *脳溢血

◎種類 両側性アテトーシス・・・出産時の外傷によって起こる先天性両側性テトーゼ…性対麻痺に伴って起きる■錐体外路性不随運動の1つ。 

#反射的or正常な運動意志によらないで自発的に出現する不随運動には以下のものがある。

<1>振顫(振戦)tremor

<2>舞踏病様運動choreic movement

<3>アテトーゼ

<4>ヘミバリスムスhemiballism

<5>ジストニアdystonia

<6>ミオクローヌスmyoclonus

<7>チック

<8>Meige症候群

◎アテトーゼは舞踏病と異なって異常運動が指・手根・腕・足に著明に認められ、筋の緊張は亢進or時間的変化を示し、異常運動は舞踏病よりも遅い。

 

(症状)手の指・足の指が異常運動を起こす。

<1>運動様式は指を青虫様にくねらせ、腕関節の屈曲・回内、前腕及び腕の回内・外転運動から回外・内転運動を示す。

<2>閉眼による影響は少ないが、睡眠時には異常運動は消失している。

<3>随意運動によって増強を示す。

<4>呼吸は正常。

<5>小児脳性マヒ・脳炎の後遺症が多い。

 

#アデノイド adenoid  《腺様増殖症》       

⇒咽頭・扁桃の増殖・肥大。  

のどの周辺には多くのリンパ組織があります。

(咽頭扁桃(アデノイド)もその1つで、鼻の奥のほう、口蓋垂(コウガイスイ=のどちんこ)の裏側にあります。              

【民間療法】

<1>アカザ(全草の黒焼き)

<2>アキノキリンソウ。                 

【漢方療法】(アデノイド)

■「葛根湯」 鼻閉塞を主訴とし、頭重・頭痛を訴えるものに、+川芎・桔梗各2.0g石膏5.0gを長期間服用させる。(漢方診療医典)

■「荊芥連翹湯 」体格は普通または一見して丈夫そうに見え、浅黒い色をした遅鈍型の小児で、慢性鼻炎や慢性中耳炎などを合併している者の体質改善に(漢方診療医典)

■「小建中湯」(だるい、甘党、体力なし) 体質虚弱でかぜをひきやすく、やせ型で腹筋は薄く緊張し、疲れやすく、よく夜尿症などある者に長期間用いてよい(漢方診療医典)

■「小柴胡湯 」一般にアデノイドの症候があり、腹診上胸脇苦満を認め、頸部リンパ節が腫れたり、神経過敏の傾向があるものによい。+桔梗2,0g石膏5.0gとして用いる(漢方診療医典)

 

アトピー性白内障                 

■アトピー性皮膚炎に伴う白内障・網膜剥離が増加。「第34回日本網膜硝子体学会総会」「第35回日本白内障学会」

■こすらない・叩かない

「中学2年生の子供がアトピー性皮膚炎の合併症で白内障になり、左目に人工レンズを入れました。右目は点眼液で治療中です。」

●白内障はお年寄りに多いと思っていたのですが、相談の方の様な場合は、症状が異なるのでしょうか? 水晶体が濁るという症状は同じです。水晶体は透明な凸レンズで、角膜から入った光は水晶体で屈折して網膜で像を結びます。白内障のほとんどは老人性で、60歳頃から濁ってきます。それ以外には、強い打撲を受けたり、何かが刺さったりした場合も水晶体が濁ります。

●合併症で白内障になるのはどうして? アトピー性皮膚炎は湿疹性の病気です。重症の方の約3割に合併症が目に起こります。そのうちの約1割が白内障です。原因はハッキリしませんが、外傷説が最も有力です。かゆみを我慢できずに手でこする。皮膚科医がこすらないように注意するとつい強く叩いてしまう。こうしたことが何年も続くと水晶体が濁ります。

●他にも原因はあるのですか? ステロイド内服薬の影響も心配です。ある程度の量を少なくとも1年飲み続けると、白内障が起きることがあります。軟膏は、顔に少し塗るぐらいなら大丈夫ですが、全身に塗ると、皮膚から吸収される量が多くなります。最近は皮膚科で内服薬をあまり使わなくなったので、アトピー性皮膚炎の人の白内障の原因は外傷がほとんどと考えられます。

●予防は出来ますか? 定期的に眼底検査し、皮膚科と連絡を取りながら、こすったり叩いたりするのを抑えるのが大切です。こういうことが10数年続くとにごってきます。幼児にはまず起きませんが、10代後半から30代でなりやすい。子供は親が気をつけないといけません。目をこするなど日頃のしぐさに注意してください。

●治療法は? 視力が著しく下がると手術をすることになります。いったん溷濁が生じると薬物では元に戻らないからです。

●人工レンズを入れるそうですが? 手術は水晶体の濁りを取るのが目的です。局所麻酔で10分から20分で終わり、日帰りも出来ます。しかし、人工レンズを入れるかどうか、私たちの病院では条件があります。15歳以上で網膜剥離の無い人が対象です。アトピー性皮膚炎の合併症は、網膜剥離が起きやすいので手術に支障が出ます。網膜剥離も、目を叩くことで網膜に穴が開くということが強く疑われています。 ●人工レンズは安全ですか? 日本で白内障手術に人工レンズが普及し始めて約20年。それ以上のデータはありませんが、今のところ危険は無いとみられます。材質はプラスチックやシリコンなど。10代で入れても生きている間に劣化や変質はしないと思います。 ●取り替えなくてもいいですか? 水晶体を瞬間的にピントを合わせます。手術で水晶体を取って人工レンズを入れると、視力は出ますが、ピントが1点でしか合わなくなります。将来的には眼鏡で補うか、場合によってレンズを入れ替える必要があるかもしれません。

●手術費用と術後の注意点は? 保険が適用され、片方が5~6万円。直後は寝ているときも金属のついた眼帯を当てていた方がいい。過激な運動は最低1週間避けて、あとは普通の生活でかまいません。」(内尾英一・横浜市立大学医学部助教授)2000.7.9《朝日新聞》

 

アトピー性皮膚炎atopic dermatitis)

⇒atopyとは、一定の物質に対する、人間の先天性過敏症。Cocaが命名。ギリシャ語の「奇妙な」という言葉に由来する。(参照→化学物質過敏症)

◎IgE抗体によって起こるⅠ型アレルギー反応であるアトピー性皮膚炎。

◎定義:アトピー性皮膚炎とは、よくなったり悪くなったりを繰り返す、かゆみのある湿疹を主な病変とする疾患。患者の多くはアトピー素因を持つ。(日本皮膚学会1995年より)

アトピー素因とは、

①家族歴

②既往歴:気管支炎、アレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎のいずれか、あるいは複数の疾患。

③IgE抗体をつくりやすい素因。                      

◎診断基準(アトピー):

(日本皮膚学会1995年より) 下記の(1)(2)(3)の項目を満たすものを、症状の軽重を問わず、アトピー性皮膚炎と診断する。その他は急性あるいは慢性の湿疹とし、経過を参考にして診断する。

(1)かゆみ。                   

(2)特徴的な皮疹とその分布。

(2-1)皮疹は湿疹病変, 

(急性):紅斑、湿潤性紅斑、丘疹、漿液性丘疹、鱗屑(リンセツ)、痂皮。             

(慢性):浸潤性紅斑、苔癬化病変、痒疹、鱗屑、痂皮。

②皮疹の分布。(2-2)左右対称に起きるよく起きる場所:額、眼の周囲、口のまわり、くちびる、耳たぶの周囲、首、手足の関節部、体幹部。

●参考となる年齢的な特徴:乳児期:頭、顔に始まり、しばしば体幹・四肢に下がる。幼小児期:くび、ヒジ、膝の病変。思春期・成人期:上半身(顔・首・胸・背)に皮疹が強い傾向。

(2-3)慢性・反復性の経過: しばしば、新旧の皮疹が混在する。乳児では2ヶ月以上、その他では6ヶ月以上を慢性とする。

[診断の参考項目](アトピー性皮膚炎)       

●家族歴(家族や親戚にアレルギーの人がいるか)気管支喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎

●合併症(同時に起こしている病気)「気管支喘息」「アレルギー性鼻炎」「結膜炎」「毛穴と一致する丘疹による鳥肌様皮膚」「血清IgE値の上昇」 (正常値の10~11倍)

【アトピーの特徴】

<1>乾燥肌(皮脂が少ない)。

<2>皮膚のきめが粗く、毛穴に丘疹があり、鳥肌のようになる。

<3>発汗が少なく汗をかくとかゆい。

<4>イライラするとかゆくなる。

<5>目の下・首・手のひらにシワが多い。

<6>眉の外半分が薄い。

<7>目の下に色素沈着。

<8>はたけ・フケ。

<9>耳切れ。

<10>唇が荒れ、切れやすい。

<11>関節の内側が対称的に皮疹。

<12>白色描記症:(先の丸い棒で皮膚をこすると、普通はこすったあとが赤くなるが、アトピーでは白くなる)

<13>ズック靴皮膚炎。

 

◎アトピーの正体 Quark NO179 p48~p51

「アトピー性皮膚炎はアレルギー性の疾患であると長い間、信じられてきた。確かにアレルギー性疾患ではあるのだが、従来考えられてきたアレルギー反応はいわば脇役であって主役は別にいたのである。奥平博一・東京大学医学部物療内科講師に説明いただいた。“まず従来の説を説明しましよう。アレルギー反応を起こす物質アレルゲンが体内に入ると、ヘルパーT細胞の刺激でB細胞からIgE抗体が放出され、マスト細胞(=肥満細胞ともいう)を活性化します”活性化したマスト細胞からは細胞障害性のあるヒスタミンなどが放出される。このヒスタミンが鼻粘膜に作用すれば、鼻水・クシャミなどのアレルギー性鼻炎の症状があらわれ、気管に働けば、喘息を起こす。皮膚ではジンマシンなどの症状が起きる。アトピー性皮膚炎もこの機構で起きるものと考えられてきた。事実、アトピー性皮膚炎の症状の一部はこの機構で起きている。症状のほとんどがこの反応で説明出来る人もいる。だがそうではない場合の方が多いのだ。たとえば、皮膚のかゆみはヒスタミンが原因である。だから抗ヒスタミンを使用することで、かゆみを抑えることは出来る。だが、湿疹は一向に良くならない。これがアトピー性皮膚炎のナゾをされてきた。しかしアトピー性皮膚炎のかゆみと湿疹とは、別な反応によって起きていることが分かってきた。 “アレルゲンによるマスト細胞の刺激からヒスタミン放出に至る反応は即時型アレルギー反応と呼ばれていますが、もう一つ、遅発型アレルギー反応というものがあるんです”(奥平講師) この反応は、喘息の研究で明らかになってきたものだ。アレルゲンを吸い込むと15分~20分後に喘息の発作が起きる。これは先ほどの即時型アレルギー反応である。 ところが、6~10時間後にもう一度発作が起きることが1980年代に見つかったのである。これが遅発型アレルギー反応である。 1985年オランダのデ・モンシーによって遅発型喘息反応を起こした患者の肺に[好酸球]が集まっていることが見つかった。この好酸球が遅発型アレルギー反応の主役だったのである。好酸球は細胞内に非常に刺激性の強い物質を蓄えている。この物質が放出されると皮膚や粘膜に強い炎症が起きるのである。アトピー性皮膚炎の症状は好酸球によって起こっていたのだ。 “このことが発見されるまで、好酸球はマスト細胞から放出される物質に反応して集まると考えられていました。そして好酸球はアトピー性皮膚炎を治すために皮膚に集まってくる善玉の細胞だと思われていたのです”(奥平講師)好酸球が活性化されるプロセスはこうなっている、アレルゲンをが侵入してマクロファージがそれを食べ、ヘルパーT細胞に渡すところまでは即時型アレルギー反応と同じだ。ヘルパーT細胞は、B細胞を活性化する物質を出すと同時に、好酸球を呼び寄せる物質も出していたのである。“これがインターロイキン5(IL-5)という物質でした。実際にアトピー性喘息の人のリンパ球にアレルゲンを作用させると、大量のインターロイキン5が放出されました。喘息ではない人のリンパ球ではこの現象は起きませんでした。”(奥平講師) アトピー性皮膚炎の人は、アレルゲンに反応してどんどんインターロイキン5を作ってしまう体質を持っているのである。 さらに研究は進み、ヘルパーT細胞の中でどのようにしてインターロイキン5が作られるのかも明らかになってきた。 “細胞は様々なタンパク質を作る工場です。T細胞にアレルゲンの刺激が伝わると、それがきっかけで、連鎖的な分子生物学的な反応が起きてきます”  (奥平講師) たとえて言えば細胞は自動車工場のようなものである。ただ普通の工場が生産指示書などの情報で動くのに対し、細胞は伝達物質のやり取りで稼働する。言ってみれば工場に大型トラックのタイヤを渡すと、そのタイヤにあうトラックを作ってくれるようなものだ。タイヤを渡すと、そのタイヤの型を取り、そのタイヤに合う車の設計仕様書を探しだし、コピーを取ってくる。後はそのコピーに従ってトラックを大量生産するのである。設計仕様書に当たるのが遺伝子という訳だ。 ここまで分かってきたことで、ステロイドがなぜ効くのかも明らかになってきた。ステロイドは設計仕様書に書いてある情報の受け渡しをストップするのである。ただ、ステロイドはヘルパーT細胞だけでなく、多くの細胞に働きかけるので、副作用も出てくるという訳だ。 ただし、以上の機構については、まだ充分に解明されていない部分もあるようだ。 “アトピー性皮膚炎の発症機構として、インターロイキン5の作用は重要です。しかし皮膚が炎症を起こすと、アレルゲンのみでなく刺激物質なども侵入しやすくなり、細菌の増殖も起きてきます。そこで第2、第3の炎症反応が起きてくる。アトピー性皮膚炎の湿疹の部分を調べると、種々の免疫細胞が複雑に関与しているようです。様々な免疫系に働きかけるステロイドが重要性を増してきたといってもいいでしょう”(中川秀巳・東京大学医学部助教授)◎ステロイド剤とはいったい何だろう?「正体は、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)はよく似た薬である。副腎皮質ホルモンは副腎という臓器で作られる。ステロイド剤は言ってみれば生薬なのである。 “副腎皮質ホルモンは、ストレス症状を緩和するホルモンなんです。アレルギー反応を抑える他、血糖値を上げるまど、非常に多くの細胞に働きかけます。ところが、ストレスが長く続くと、このストレスを緩和するホルモンが充分に作られなくなってきます”(奥平講師) アトピー性皮膚炎の患者さんの体内はこうした状態になっているのだ。そこにステロイドを使うと、ステロイドの抗炎症効果とストレス緩和効果が発揮され、症状が収まっていく。ひどい症状でも2~3週間で見違えるほど良くなる。ここで薬を止めたくなる。だが、それが危険な落とし穴なのだ。 “治療上必要量のステロイド剤を使っていると、体内で自前のステロイドがだんだん作られなくなることがあります。これは副腎抑制という現象で、ホルモンバランスを保つ為なんですね。外から補給されているから体内では作らなくなる訳です。だからステロイド剤を急に止めると、副腎皮質ホルモンがなくなってしまう。すると、アトピー性皮膚炎が急激に悪化する現象が起きます” (奥平講師)体全体にストレス抑制ホルモンが足りなくなるのだから、全身症状が現れる。[激しいだるさ][筋肉痛]、さらに悪化した皮膚炎症。これが『リバウンド現象』と呼ばれている症状である。世間ではこれもステロイド剤の副作用の1つと考えられているが、ステロイド剤が原因なのではなく、急に投与を止めた為に体内でステロイド不足が起きたのだ。リバウンド現象は、体がステロイドを欲しがっているサインなのである。 奥平先生は血液検査で[血中のコルチゾール]の量や[好酸球]の数をチェックしながらステロイドを使っている。コルチゾールは体内で作られる自前としてのロイドだ。ステロイド剤を使用することで、コルチゾールが減少してくれば、副腎抑制が始まった印であるわけだ。 “こうして副腎皮質ホルモンの様子を見つつ、ステロイドの副作用をコントロールしながら使うことで、必要な量のステロイドを使うことが出来るようになったのです”

◎ダニ対策をしましょう。

<1>ダニは乾燥で死にます。但し死んだダニもアレルゲンになります。

<2>ダニは室温20~30℃、湿度60から80%を好みます。

<3>環境改善チェックポイント

タタミの上のカーペットは最悪。

カーペットを→フローリングに。

ソファー:布・革製を→合成に。

ゴミパック→週に1回交換する。(1週間で卵がかえる)

タタミ・フトン→防ダニ製品に交換。

植物:室内→室外へ。

クッション:1ヶ月に1回、丸洗いする。

座布団:1ヶ月に1回、丸洗いする。

 

◎川島眞・東京女子医科大学皮膚科教授著「アトピー性皮膚炎」より。

<1>「塩もみ」は絶対にしないこと。「天然の塩を使って皮膚をもむ塩モミが、美容の為にエステティックサロンなどでよく行われています。塩でもむと角層を剥がすので(スクラブ効果)、肌がスベスベになるのです。 健康な肌に適度に行うならば美容効果があるのは確かですが、アトピー皮膚の方がこれをおこなうのは問題です。アトピー皮膚は刺激に弱い皮膚なので、塩もみするとすぐ悪化してしまいます。数ある民間療法の中で最悪の方法です。」p114。

<2>水療法は有効か?「アルカリイオン水、超酸性水など様々な水が宣伝されていますが、ウイルスや細菌のつきやすいアトピー性皮膚炎にとっては、意味がないとは言えませんが、はっきりと効果があるかどうか、それを示すデーターがありません。」

<3>海水浴、林間学校「海水浴や林間学校で症状が良くなることがある。これは塩分や紫外線の効果よりも、転地療法としての効果と考えられる。」p111。

<4>眼をたたいたり、強くこすったりしないこと。 理由は、白内障、網膜裂孔、網膜剥離を起こさないためです。

<5>安易に食事制限しないこと。「過剰な食事制限は子供のからだの成長や、脳の発達を阻害するという問題を引き起こします。アトピー性皮膚炎は食餌抗原の検査で陽性でも、食事制限なしにコントロールが可能なことが多いのです。特に成人の場合、食事アレルギーの検査(IgE-RAST)が陽性の人でも、食事制限の必要はまずないと言って良いでしょう。」

■ストレスも大きな原因「子供の時のアトピーが大学受験で再発した。炎症はヒジや膝の内側だけだったのに、結婚後全身に広がった。就職して残業が続くうちに突然湿疹が出て、アトピーと診断された。厚生省は長期慢性疾患総合研究事業で、昨年秋の1週間に東京医科歯科大学と藤田保健衛生大の皮膚科を受診したアトピー性皮膚炎の患者のうち169人を抽出して調べた。16歳以上が86%を占め、その5割近くが炎症とかゆみが強い重症や中等症で、治療の効果がなかなか見られない人が多かった。藤田保健衛生大の上田宏教授は“成人ではアトピーの原因や悪化させる要因が小児に比べもっと複雑で治療も難しい”と話す。 免疫のメカニズムや遺伝子など基礎研究が進む一方、原因究明や治療は一筋縄では行かないというのが専門家たちの一致した見方。そんな中、以前にも増して注目されているのがストレスの問題だ。 日本アレルギー学会は今年5月、医師と患者のパートナーシップをテーマに取りあげ、「心とアレルギー病」と題したシンポジュームを開いた。皮膚は「外界との接点であり、さまざまな摩擦が炎症という形で現れる場所」という考え方も紹介された。 「アトピーは体と心のSOS。ストレスがあっても自覚していない人もいる。仕事も家庭もうまくいっていると思っている人に意外に患者が多い」と玉置さんは指摘する。 入院にはそうした日常から離れ、病気と向き合う時間を提供する意味もある。繊維メーカーの営業をしているGさん(29)は、入院したときは症状がひどく食事も出来ないほどだった。 「猛烈なラッシュにもまれて通勤し、出張や残業の毎日だった。それが当たり前と思っていたけど、考えが変わりました」と話す。 クリニックの相談員のK(27)さんも以前は重症のアトピーで悩んでいた。 「外出するもの人に会うのもいやで、何で私だけがと思い詰めていた。でも自分を責めず、いたわってあげようと思ったらすごく楽になり。症状も良くなった」と振り返る。  アトピーと精神状態は密接につながっている。1997.7.27《朝日新聞》

■秋生まれに多い。

<1>「8年前、東京都内で患者660人のデータをもとに統計解析した。その結果、9月~11月までに生まれた子供のアトピー発症率が、それ以外の月に比べて4割ぐらい高かった。」 

<2>「依然に旧東ベルリンの専門家が調べたら、8月~10月に生まれた子供の発症率が群を抜いていたのだが、ほぼ同じ結果が出て驚いている」 

<3>「今年3月、ブラジルのサンパウロ市内にある日本人学校に協力してもらい、幼稚園児から中学生まで合計800人を調査した。このうちアトピーの症状があった104人のデータをもとに、生まれ月ごとの発症率を探ったところ、結果は見事に北半球を逆。3月~4月生まれの患者が特に多かった。アトピー発症には季節的な影響があると思われる。」と山本一哉・愛育病院皮膚科部長は言う。

どうして秋生まれだとアトピーになりやすいか?「明確な結論を出すためにはさらに研究を重ねなければならないが、一番有力なのは母体への紫外線に原因を求める解釈だ。秋に生まれる子供たちは、 春先から夏にかけて胎内にいる。この時期の大きな特徴は強くなる紫外線 だ。」「これまで紫外線(特に波長が長い[UVA])は体にいいとも言われてきた。確 かにビタミンDが補給出来るメリットもあるが、今日の豊かな生活ではその 必要性はない。むしろ最近の研究では、紫外線(特に波長が短い[UVB])を たくさん浴びると身体の免疫能力が落ちることが分かってきている。紫外線を受けると皮膚の中にあるランゲルハンス細胞に影響し、免疫メカニズムの 発現に何らかの障害が起きると見られている」 ただ、紫外線が悪いというのなら、もっと多量の紫外線を浴びていると思わ れる熱帯地方の子供たちに患者が多いはずだが? 「もともとそこに住む人たちの皮膚の色が身体を守っているのだ。問題は近 年の都会的な生活環境にもある。密閉した家屋、エアコンによる空調などが 原因で私たちは以前よりもずっと乾燥した環境の中に居る。そうなると、皮 膚はカサカサになり、外部の刺激から身体をガードする保護機能は低下する。 こうなると、もともと免疫力に問題がある子供はゴミ・ほこり・ダニなどの 刺激で炎症を起こしやすくなる」「さらに秋生まれの子供は出生後、空気が一番乾燥している冬を迎える。生 まれたばかりの弱い肌は、ちょっとした刺激に敏感だ。湿疹が出て、かゆくてかきむしったりすると、症状がひどくなり悪循環になる」

どんな対策が考えられるだろう? 「アトピーは遺伝的な体質なので、親・兄弟に患者がいる場合には、生まれてくる子供も他の子供に比べて発症率が高かった。つまり、今日の日本のように高齢出産になるほど子供がアトピーになる傾向がある。こうした条件 に当てはまるハイリスクは夫婦が秋頃に出産を迎える場合には、特別にケア が大切だ」 洗ったままは禁物>「妊娠中は、日傘をさしたり、帽子をかぶったり、或いは紫外線が強い日中 はなるべく外出を控えるなど、誰でも知っていることを守ってほしい。子供が産まれたら、紫外線に当てすぎないように配慮をしてもらいたい。ベビ ーカーの中で知らない間に直射日光に当てているケースがよく見られるが、 気をつけたい」「さらにスキンケアを心がけてほしい。皮膚から汚れを取り除いて清潔に保 つこと。ただし、洗ったままにしておくと乾燥して皮膚の保護機能が損なわれるので、適切な外用薬やローション・クリームを塗って保護すること」「母親は自分の肌には入念な手入れをするが、子供に対しては日常のスキン ケアを怠りがち。しかし、そうした基本的なケアをなおざりにしたまま、 様々な治療をはしごしても、アトピーは良くならない。しっかりした医師 を選び基本的なケアを学んでもらいたい」聞き手・平田浩司。1997.5.31《日 本経済新聞》

■肌の表面を守る「鐘紡は皮膚の表面を保護している物質「セラミド」の合成を促進するビタミンを発見した。皮膚に与えることでセラミドを増やし、傷んだ皮膚を改善することが可能。セラミドの合成を促進する物質はこれまでほとんど知られていなかった。鐘紡は皮膚の回復力を高める化粧品などに利用出来るとみて実用化をめざす。セラミド合成を促進するのはナイアシンBというビタミンの一種。セラミドを作る機能を持つ皮膚の表皮細胞に与えたところ、セラミドの生産量は約4倍に高まった。1リットルに1mgという極めて低い濃度でも効果がある。ナイアシンBは細胞がセラミドをつくる時に必要な酵素の働きを強める作用があると考えられるという。ネズミの荒れた皮膚にナイアシンBを薄く塗ると肌荒れを改善する効果があることも確認した。セラミドは皮膚表面の角質層に含まれる物質で、水の蒸発を防いだり、外敵の侵入を防ぐなど重要な機能を持つ。不足すると肌荒れ・乾燥肌になるが、現在は合成セラミドを外から補う手法が一般的。皮膚の内部の細胞を活性化して自発的にセラミドをつくらせれば高い効果が期待出来る。1996.6.24《日経産業新聞》

■洗いすぎ「東京医科歯科大学教授・西岡教授によると、皮膚は真皮と表皮の2層から出来ている。この2層が体内の水分を一定に保ち、病原菌や有害物質の侵入を防いでいる。 さらに、外的から身を守っている2種類(皮脂・常在菌叢)のものがある。

<1>毛穴から分泌される皮脂。これが皮膚を薄く覆い、外敵の侵入を防ぐ第一のバリアーになっている。体を洗いすぎると、当然、「皮脂」も失う結果、ドライスキンといってカサカサの肌になってしまう。ドライスキンになると、皮膚が過敏になる。ほこりや紫外線、汗のような弱い刺激でも、湿疹や炎症の引き金となる。

<2>『常在菌叢』人間の皮膚には、表皮ブドウ球菌やニキビ菌、真菌類が約10種類ほどの細菌が住み着いている。これらの細菌叢が病原菌を寄せ付けないようにしているらしい。これらの常在菌は、体を洗った後では一時的に9割はいなくなると言う。朝シャンをし、抗菌グッズを使い、「におい消し」を振りかける。最近の日本の若い男性や女性の出勤前の光景を見ていると、何だか悲しくなる。(藤田紘一郎)1997.12.22《朝日新聞》

■汗に免疫物質(sIgA)が少ない。[sIgA]=分泌型免疫グロブリンが、健康な人より少なく、その為に、皮膚に細菌が付着しやすくアトピー症状が悪化すると考えられている。「緑膿菌に代表されるシュードモナスという細菌が皮膚をもろくさせる酵素「セラミダーゼ」を分泌していることが、九州大学医学部付属病院の今山修平講師 (皮膚科)らの研究で分かった。緑膿菌は河川や下水に広く分布、皮膚や腸内に常在している。セラミダーゼは皮膚の一番外側にある脂質セラミドを分解させ、これがアトピー性皮膚炎患者の皮膚の防御機能を弱める原因の一つと見られている。セラミダーゼは、これまでほ乳類しか持っていないと考えられていた。しかし、今山講師らは、アトピー性皮膚炎患者の意見健康そうな皮膚上にも異常な細菌層が出来ることに注目。この菌層を調べたところ、緑膿菌がセラミダーゼを持っていることが分かった。1997.5.2《朝日新聞》

■汗不足で悪化? 「アトピー性皮膚炎の患者は健康な人に比べると汗が出にくい傾向があることを杏林大学医学部の研究グループが見つけた。風呂上がりの汗の量が健康な人と比べて、額の部分では約58%、汗が出にくいことでアトピー患者は皮膚の温度が高くなりすぎ、炎症が悪化している可能性が考えられるという。 研究を実施したのは塩原哲夫教授と早川順助手ら。40人の患者と同数の健康な人の計80人を対象に、風呂に10分間つかった後、額や首、ひじ、背中の皮膚から発汗量を測定した。その結果、すべての部分で患者の発汗量は健康な人より少ないことが分かった。湿疹が出ていない場所でも汗の量は少なく、特に額や背中で出にくかった。 アトピー性皮膚炎は皮膚の外敵防御機能の低下が原因の1つと言われる。発汗が不足し皮膚の角質の水分が減れば、バリアー機能は低下。また汗不足で皮膚の温度が上がれば湿疹がひどくなるとみられる。」2000.10.9《日本経済新聞》

■治療に有望な化学物質 「鐘紡と岐阜大学農学部の木曽真教授らの共同チームはアトピー性皮膚炎などのアレルギー治療薬として有望な化学物質を開発した。アレルギーを引き起こす白血球の過剰な働きを阻害する機能があり、動物実験でも効果を確認した。 アルルギーは体内細胞に異物が入った時、異物を破壊する好中球やリンパ球など白血球が血管からその細胞に過剰に放出されて発生すると考えられている。開発した物質は、白血球が細胞へ放出されるのを抑える働きがあり、これによってアレルギーを軽減する。開発では、血管から細胞への白血球を送り出すスイッチ役の『セクレチン』と呼ばれるタンパク質に注目。このタンパク質の働きを抑えれば、アレルギーが防止できると考え、セクレチンと結合しやすい糖鎖を人工的に合成する事を目指した。糖鎖はブドウ糖などが数珠状につながっており、セクレチンと結びつく機能を維持しながら大量合成が容易な化学物質を作ることを試みた。 その結果、糖の一種であるラクトースを主要な骨格に持つ分子量約1000の化学物質を開発し、「GSC-150」と名付けた。アトピー性皮膚炎に近い症状を起こしたマウスに静脈注射したところ、皮膚の細胞に多量にあった好中球が減り、アトピーの症状も改善した。1997.9.9《日経産業新聞》

 

「皮膚 (skin)」とは、

<1>あなたを包んでいる外皮というだけのものではなく、それをはるかに越えるものです。

<2>体で最大の器官です。

<3>皮膚は巨大な排泄器官で、汗で運ばれてきた体の多くのプロセスで生じた老廃物を毛穴から排出します。もしも、他の排泄器官(腎臓・大腸)が本来の機 能を有効に作用しないときに、皮膚がそれらに代わって毒素を体外へ出そう とします。

<4>皮膚は、体から一部の物質を外に出し、他の物質は体内に安全に止めておき ます。他方、皮膚は一部の物質を体の中へ吸収し、筋肉とその下にある器官に害を及ぼす多くの物質を排除します。このために皮膚は『半透明』だと言 われます。 

<5>物質が皮膚を通過出来るかどうかを決定する要因は、それを構成している分子のサイズです。 例えば、ガーリック油を足の皮膚にすり込むと、10分後にガーリックが その吐く息に検出されるのです。このことは、10分のうちにガーリック油が 皮膚を通過して血流に吸収され、肺に帰る脱酸素した血液にすでに到達していることを意味します。

■免疫抑制剤、顔面に効果 「決め手のないアトピー性皮膚炎の治療に日本で開発された新薬が登場、効果を上げている。 昨年11月、世界に先駆けて認可された免疫抑制剤『タクロリムス軟膏』。元は移植医療に用いられていた薬剤を塗り薬にしたもの。特にステロイド(副腎皮質ホルモン)外用剤では十分に炎症を抑えるのが難しかった顔面の治療に有効だ。 埼玉県の大学4年生S子さん(23)は、アトピー性皮膚炎が悪化すると、真っ先に顔に症状が出てしまうのが悩み。腕や背中のかゆみもつらいが、それにも増して赤く腫れた顔は人目が気になって気分も重くなる。 症状がひどくなった昨年末、東京都千代田区の東京逓信病院を受診、皮膚科部長の江藤隆史さん(46)のすすめで、顔に初めてタクロリスム軟膏を使うことにした。腕や背中に塗っているステロイドは、アトピー性皮膚炎の炎症を抑えるのに高い効果がある。だが、健康な細胞にも作用するため、特に顔や首では、皮膚が薄くなるなどの副作用が出やすい。 一方、タクロリムス軟膏は、ステロイド外用剤と異なり、免疫にかかわる細胞だけに働く。このため赤くほてって皮膚が光るようになったり、血管が浮き出たりなどの副作用がない。 使い始めの数日間はピリピリとした使役間が気になったS子さんだが、2週間後には周囲からも「ずいぶんきれいになったわね」と驚かれるほど、症状が改善した。今は周に1、2回使う程度で、普段は保湿クリームだけで調子が良い。「赤ら顔がイヤで。外出がおっくうな時期もあったが、これで就職してもがんばれそう」と話す。 江藤さんはこれまで約200人にタクロリスム軟膏を処方している。その9割以上はS子さんのように顔の症状で悩んできた患者だ。「顔の炎症を抑えることは、患者さんの生活の質向上という点で極めて重要」(江藤さん) アトピー性皮膚炎は良くなったり悪くなったりを繰り返すのが特徴だが、タクロリスム軟膏は薬を使わなくて済む状態が長く保てる利点もあるようだ。 また東京の会社員(46)は、自分の判断でステロイドを中止したところ症状が悪化。それでもステロイドを拒否したため、タクロリスムで症状をひとまず落ち着かせるケースもあった。 治療の基本は、幅広い強さのランクの薬があり、症状に応じて使い分けできるステロイド外用剤だ。「最終的には切り替えなくてなならないが、こういった緊急避難的な使い方も出来る」と江藤さんは話す。 タクロリスムの研究開発に携わった自治医大皮膚科教授の中側秀己さん(46)によると、移植医療で使われる注射や飲み薬では、腎臓障害など重大な副作用が出た例がある。このため外用剤の使用量は1回量最大5g、1日10g以内と制限、16未満の使用は出来ない。一般の薬局では買えない医師の処方薬だ。 使用上の最大の難点は、肌がピリピリする刺激感で、臨床試験で8割の人が訴えた。数日で静まる場合が多いが、個人差も大きい。「専門家に十分説明を受け、慎重に使って欲しい」と中川さんは訴えている。

■ストレスが悪化の要因 「アトピー性皮膚炎は小学生ぐらいまでに自然に治るとされてきた。だが、思春期以降も持ち越したり、再発したりして難治化するケースが増えている。 「現代社会におけるストレスなど心理的な要因が、大きく影響しているのではないか」と神戸労災病院皮膚科部長の清水良輔(47)は指摘する。 昨年10月、神戸市内のYさん(27)は、全身のかゆみで眠れないほど悪化し、受診した。理工系の大学院に学び、昨春就職した会社で即戦力のエリート技術者と期待され、いきなり大仕事を任された。毎晩午前零時過ぎまで残業し、休日も出勤する生活が続いた。 学生時代は忘れていたアトピー性皮膚炎が再び顔を出し始めたのは6月頃。盆休みで一息ついたものの、その反動か、休み明けはいっそう、あわただしい会社生活。「ついていけない」と思うようになると同時に症状も悪化。上司から「休んで治療に専念するように」と言われたほどだ。 「どういう時期に症状が悪くなったのか、逆に調子が良かったのは鈍化時か?。本人が気付くのが治療の第一歩」 こう言う清水さんは署心事、必ず患者と共同で「年表」作りを行う。入学・卒業や就職、引っ越しや身近な人の死など、出生以来の体験や出来事を書き出す。その横には、その時々の気持ちと皮膚症状の変化を波形グラフで表す。 年表に書き出してみると、症状が生活上のストレスと密接な関係が見られる場合が少なくない。入院した重要患者約100人について調べたところ、6割の人が幼い頃の身近な人の死や家族との葛藤、受験のストレスなどの体験を悪化の要因として挙げた。 学生時代のYさんは、専門書を読みふけり、より楽しいデザインに頭を巡らすのが最大の楽しみだった。ところが修飾語は、役所との煩わしい紅椒や単調な図面書きに忙殺されるばかり、「時間的な忙しさだけでなく、就職前に抱いていた理想と現実の仕事のギャップが大きかった」と振り返る。今は治療のため休職中で、この春に心機一転をはかるつもりでいる。 ストレスがどのような仕組みで症状の悪化を招くのか? 心身両面からの治療に取り組む九州大心療内科医師の十川博さん(49)は、「ストレスで刺激された交感神経が免疫作用を乱して、アレルギーを悪化させるように働くのではないか」と説明する。 アトピー性皮膚炎の場合は特に、イライラして皮膚をかくことが症状の悪化に直結する。かといって、かゆみを我慢することもストレスになる。また、外見が気になり、かゆみで眠れなかったりと、症状の悪化が二次的なストレスとなる悪循環に陥りやすい。 さらに、治療をめぐる情報が混乱しているための不安感もストレスになりやすい。 「出来るだけ日常生活の中で、ストレスを発散できる方法を身につけて欲しい」と十川さん。医療の側にも、患者の生活相談にも当たるなど心理的な面から支え、信頼を築く働きかけが求められている」

■かゆみ信号を遮断 「2010年、塩野義製薬はアトピー性皮膚炎の「かゆみ信号」を遮断する新薬候補の第2相治験を国内で始めた。手や顔に塗布して使う。 体内の神経に存在し、痛覚や免疫反応などとの関連が強い「カンナビノイド受容体」に働きかける効果が期待されている。 アトピー性皮膚炎の患者の体内ではアレルギー反応などで炎症が起き、かゆみ信号を発する神経伝達物質が生まれる。その信号が脳に届いた段階で手や顔などにかゆみを感じる仕組みだ。体内の信号伝達経路はまだ完全に解明されていないが、痛覚や炎症にかかわるカンナビノイド受容体で信号を遮断すれば患者はカユミを感じない可能性がある。

■仕組みの一端を解明 2013年、兵庫医科大学の山西清文主任教授は三重大学と共同で、アトピー性皮膚炎が起きる仕組みの一端を解明した。 遺伝子操作をしたマウス実験で、皮膚の細胞に存在する特定のタンパク質の量が増えると発症することを確かめた。 成果は米科学アカデミー紀要(電子版)に掲載 山西主任教授らは、表皮細胞に存在する「インターロイキン33」というタンパク質に注目。通常のマウスに比べてこのタンパク質を約10倍作るマウスを遺伝子操作で作った。 その結果、清潔な環境下で飼育しても、顔や耳、首などで皮膚炎の症状が出た。発症率は100%だった。 組織を採取するなどしえ調べたところ、インターロイキン33の影響で白血球の一種でアトピー性皮膚炎の原因となる「好酸球」が増殖していた。                        

【西洋薬】(アトピー性皮膚炎)

<1>ステロイド

<2>「プロトピック」藤沢薬品 リンパ球の働きだけを抑えるので、副作用が少ない 顔面・首筋に効果が高い。 タクロスリム

■重症アトピー新薬効果 「重症のアトピー性皮膚炎による顔のただれを減らす新薬が有効であることを確認。23日から岐阜市で始まる日本なれるぎー学会で発表する。大阪大学の玉井克人助教授らは、成人の重症患者の顔や手足に新薬の入った軟膏を塗布。症状が重いほど効果があり、いったん収まったカユミやただれが一層激しく再発する「リバウンド」も3ヶ月後でも起きなかった。しかし、手足など顔以外の症状には効果が低かった。2003.10.22《日本経済新聞》

【芳香療法】 (アトピー性皮膚炎)       

<1>ベルガモット <2>メマツヨイグサ油                                   【宝石療法】(アトピー性皮膚炎)         

・アンバー ・コーラル                 

【栄養療法】(アトピー性皮膚炎)

<1>亜鉛の摂取(15mg/1日)が効果的です。

<2>ビタミンC、B群、E

<3>ナイアシンB(→セラミドを活性化)

【漢方処方名】(アトピー性皮膚炎)         

■茵蔯蒿湯         

■越婢加朮湯                   

■黄芩湯                     

■藿香正気散                   

■桂枝加黄蓍湯                  

■十味敗毒湯                    

■消風散                     

■治頭瘡一方                   

■薏苡仁湯

 

〇紫外線照射:治療効果が高く、肌に優しい365㌨㍍

 

アナフィラキシー anaphylaxis

⇒フランスの生理学者リシエーRichetは、1902年にイソギンチャクの触手から抽出した毒素をイヌに注射し、毒素に対する免疫状態を賦与する目的で実験を行っていたが、2回目の毒素注射を少々間をおいて行ったところ、期待した免疫状態とは逆に、かえってより微量の毒素に対して過敏となり、激しい症状を起こしてイヌが死亡したことから、防御prophylaxisに対して無防御という意味からAnaphylaxieと命名した。アナフラキシーという現象は、抗原抗体反応に基づく生体反応と定義され、

<1>全身性にくる場合を:アナフラキシーショック

<2>局所性にくる場合を:局所アナフラキシーという。

◎抗原抗体反応によって放出されたケミカルメディエーターが、平滑筋や血管に作用することによって生じる。

(1)咽頭浮腫----ヒスタミン           

(2)気管支痙攣--ロイコトリエン         

(3)血管虚脱----ブラジキン

 

【漢方処方】(アナフラキシー)          

■甘草湯:(炎症<軽>、ケイレン性)

【西洋医学】 <1>1000倍のエピネフリン0.2~0.4?を直ちに筋注。必要があれば20分経過後に再注射しても良い。 <2>抗ヒスタミン薬の筋注or静注。低血圧をさけるために点滴で投与するときは10分以上をかけて実施。 

<3>アミノフィリンの静注は気管支拡張に有効。 <4>喉頭浮腫が強いときは気管切開が有効。 

<5>輸液:hypovolemiaの矯正のために等張液(5%dextrode液+生食水)の輸液。 

<6>ステロイドの作用は緩徐で、数時間を経て発揮されるので、急を要するときは無効。エピネフリンや抗ヒスタミン投与後に与えると良い。

 

アニサキス症anisakiasis

◎アニサキス症:<1>激しい腹痛だけ。ただ痛いだけ。<2>下痢しない<3>発熱しない。<4>食べたものをよく問診すること。アニサキスは海の回遊魚に多い。

■正露丸 2010年、大幸薬品は正露丸に含まれる「木クレオソート」にサバなどの寄生虫「アニサキス」によって引き起こされる腹痛症状を和らげる効果があることを発見。特許出願した。

アフリカ睡眠病

■検査法の臨床試験 2011年、栄研化学とビルゲイツ財団などが資金提供する基金「FIND」は、意識障害などに陥り死に至る難病「アフリカ睡眠病」を高感度で診断できる検査法の治験を始める。 栄研化学の遺伝子増幅技術「LAMP法」を使い、1時間ほどで結果が出るという。 アフリカ睡眠病は、サハラ以南に生息するハエ「ツェツェバエ」に刺されることで寄生虫「トリパノソーマ」が体内に侵入して感染する。発症すると中枢神経に障害をきたし、錯乱状態や意識不明状態に陥って死に至る場合が多い。

■アフリカ睡眠病と結核 2013年、北海道大学の鈴木定彦教授と梶野喜一准教授らは、アフリカで多くに死者を招いている「アフリカ睡眠病」と結核を、低価格で素早く検査できるキットを開発した。 1検体当たり約100円で、1時間で感染の有無を診断出来る。 研究チームはこの技術をザンビア共和国に供与した。

 

アフター性口内炎aphthous stomatitis

⇒口腔粘膜の表面や舌の辺縁に白斑を生じ、浅い潰瘍を形成するもの。口腔の痛みや熱感がある。◎原因:ウイルス説、    アレルギー説。

 

アルカローシス alkalosis

=「アルカリ症」。体内にアルカリが蓄積したり、体内から酸が失われたりすることで起こる病的な状態。

◎種類: *高所アルカローシス: 「高所にて、血中や組織中のアルカリ度が増すこと」 *呼吸性アルカローシス *代償性アルカローシス: 「代償性機序でpHが正常値に戻った状態」 *代謝性アルカローシス: 「身体の酸・塩基平衡が、アルカリの蓄積または非炭酸または固定(非揮発性)酸の喪失によりアルカリ側に移行する障害」 *代償性代謝性アルカローシス *代償性呼吸性アルカローシス *低クロル血症性アルカローシス: 「低ナトリウム血症、低カリウム血症を伴った低クロル血症で見られる代謝性アルカローシス。長引く嘔吐による塩化ナトリウムや塩酸の消失で生じる」 低カリウム血症性アルカローシス

◎代謝性アルカローシス: 「きわめて多くの原因に起因するため基礎疾患の鑑別が重要。まず電解質の補正から始め、効果がないときに酸化剤を与える」 「一般的にはpH7.55以上が補正の対象になる」

 

アルコール性肝障害

alcoholic hepatopathy⇒アルコール中毒による肝障害。

◎診断基準:1986年、文部省科研費総合研究班。「アルコール性」とは、長期間にわたる過剰の飲酒が肝疾患の主な原因と考えられるもので、禁酒後に種々の臨床症状や検査成績の明らかな改善が認められるのを原則とする。判定するには、過飲歴と筋腫による改善を確認する必要がある。種類:①アルコール性脂肪肝:②アルコール性肝炎:③アルコール性肝硬変:④アルコール性肝線維症:⑤常習飲酒家の慢性肝炎:⑥非特異化あるいは正常肝:⑦重症アルコール性肝障害:

■アルコールへの耐性「日本人は概して、欧米人に比べアルコールに弱い。人口1人当たりのアルコール消費量は先進諸国で最低で、ワイン好きの多いフランスの半分にも達しない。その理由の一つは日本人の肝臓にある。肝臓は一種の「化学工場」。栄養素を貯蔵・合成するほか、食物中の様々な有害物質や腸内で発生した毒物、あるいは服用した薬物などを分解する。 口に入れたアルコールは80%以上が胃をはじめとする上部消化管から吸収された後、肝臓で分解される。酒に強い弱いが肝臓の分解能力に左右される。もともと酒に強い人でも少量の飲酒で顔面が赤くなり、吐き気・動悸・頭痛をきたす人もいる。最初は飲めなくても飲酒の機会が増えるとだんだん強くなる人もある。アルコールは肝臓にあるアルコール脱水素酵素、ついで中間代謝物であるアセトアルデヒドの脱水素酵素の働きによって分解され、最終的には二酸化炭素と水になる。アルコールに強いか否かはこれらの酵素の量によって左右される。アルコール脱水素酵素は飲酒の機会があれば肝臓で増量されるが、ある種のアセトアルデヒド脱水素酵素が肝臓にもともと欠損している人がいる。こうした人はアセトアルデヒドが血中に溜まり、この物質が気分を悪くする。日本人の約半数はこの酵素を合成する遺伝子を生まれつき持たないとされる。アルコールに対する強弱の個人差はあるが、長期間にわたる多量の飲酒は必ずと言って良いほど、肝臓の機能を弱らせる。まず、脂肪肝・肝繊維症・アルコール性肝炎、ついでアルコール性肝硬変の順に進行する。「雨垂れ石をうがつ」のたとえがぴったりである。だから、飲める人でもビールは大ビン1本、日本酒なら2合以下にしておくのがよい。多少なりとも肝臓に不安のある人はこれ以下に控える必要があることは言うまでもない。(大阪市立大学医学部教授・木下博明)1997.1.18《経済新聞》

■アルコール性肝炎の発症のカギ 「米ノースカロライナ大学の研究グループは腫瘍を死滅させる働きがある物質が、アルコール性の肝炎や肝硬変の発症に深く関係していることを発見した。アルコールを飲み過ぎるとこの物質が出来やすくなり、その作用で肝細胞が傷つけられるという。肝炎や肝硬変の新しい治療薬を開発するのに役立つ成果だとしている。 この物質は『TNF-α』と呼ばれるタンパク質で腫瘍を壊死させる働きがある。全身の様々な細胞や組織で作られているが、肝臓内では外部から侵入した細菌を攻撃する「クッパー細胞」がこのタンパク質を作っている。 研究グループはTNF-αがくっつく肝細胞表面の受容体が無いマウスを遺伝子操作で作成。このマウスと通常のマウスの両方にアルコールを混ぜた高脂肪思量を週間与え、肝臓の様子を比較観察した。その結果、通常のマウスは肝細胞が多き苦葵ずつ浮いたのに、遺伝子操作マウスは肝細胞が全く傷つかなかったという。 アルコールを大量に摂取すると、腸内細菌が出す細胞刺激物質が腸管から肝臓に入り込みやすくなることが知られている。研究グループはこの刺激物質によってクッパー細胞の働きが活発になり、TNF-αが大量に作られ、肝細胞が傷ついて肝炎や肝硬変になると推定している。1999.10.8《日経産業新聞》

■久里浜方式「夜9時。ポワンポワーンと物寂しい鉄琴の音が、病棟の長い廊下に響く。旧日本軍の消灯ラッパのメロディーだ。国立療養所久里浜病院(神奈川県横須賀市)にあるアルコール専門病棟。鉄琴で滅灯を知らせて回る日直の患者に、テレビを見ていた患者が「お疲れさん」と声をかけた。 「依存症は治らない」と言われた時代に考案された同病院の入院治療法は「久里浜方式」と呼ばれ、多くの回復者を生んできた。入院期間は一律3ヶ月。患者は自治会を作り、朝5時の起床から夜10時の消灯まで日課を協力しながらこなす。月に一度、全員で地元の三浦半島や対岸の房総半島を15kmほど歩く「行軍」もある。 同院は、アルコール専門治療をする国の基幹病院として、全国の医師や看護婦らを対象に依存症の研修を実施し、過去3000人以上が受講。多くの病院が之に似た治療法を導入してきた。だが、「自治会が医師と対立して治療効果が上がらないこともある」「入院期間が一律なのは不合理」「行軍など時代に合わない」。こんな批判も一部に出てきた。 名誉院長の河野祐明さんは、作家のなだいなださんらとともに30年以上前に久里浜方式を編み出した生みの親だ。「依存症は生活習慣病で、回復はそう簡単ではない。入院は、断酒にて生活習慣を帰る訓練期間にすぎない。久里浜方式の神髄は患者の人権中心の考え方であり、治療法は時代とともに見直されるべきだと思う」と語る。 かって患者の多くはブルーカラーだったが、最近の同院の外来受診者の1/4はホワイトカラーや主婦、学生。近年は、退院後1年断酒を続ける率が、3割をなかなか超えないのが悩みだ。退院後1年ごとに患者の約4%が亡くなり、10年後には生存率が6割を切ってしまう。 4月に院長になった白倉克之さんも、「背景が多様化し、入院しての集団治療が合わない患者もいる。人により、早めに通院に切り替えるなどの見直しは不可欠です。そして何より予防と、重症化する前の早期発見に力を入れないと回復は難しい」という。同院は依存症になる前の『プレアルコホリック』段階での治療も実験的に始めている。大量飲酒の問題はあるが、幻覚は経験していないなどの症状の人が対象だ。「依存症という山頂に行ってしまう前に、中腹で引き返してもらう」と臨床研究部長の樋口進さんは狙いを語る。「依存症に至ると家族関係は壊れ、社会的地位も失い、断酒しても回復に膨大なエネルギーが必要な事が多い。失ったものが少ない段階でならより回復しやすいはず」プログラムはまず、6ヶ月の断酒を目指す。入院はせず、周1回2時間のミーティングに月の1度以上は参加してもらう。そこで患者同士が近況を話したり、医師がアドバイスしたりする。首都圏に住む自営業男性(50)は、今年3月からプログラムを受け始めた。景気が悪くなり赤字続き。あれこれ考えると寝付けず、毎晩飲んだ。量を増やさないと眠らなくなり、翌日は二日酔い。血糖値などは正常で、近所の内科医には「大丈夫」と言われたが、「アル中になるんじゃないか」と心配してきたのだ。 最初、6ヶ月の断酒は無理だ、と思った。だが、ミーティングで他の参加者が、つい飲んでしまったことを下手な言い訳をしながら話す姿が妙におかしくて、「自分の姿だ」と断酒を決意した。 取引先との飲み会でも、「今、ドクターストプだから」で通し、「やれば出来る」という自信がついた。半年後、医師と相談して、仕事関係の酒席では少しだけ飲むことにした。心の支えにと、今も月に2回程度、ミーティングには妻と参加している。197.12.21《朝日新聞》

 

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症
ABPA

=アレルギー性気管支肺真菌症⇒かなり若年期から喘息様症状で始まり、何回か肺炎様の一過性浸潤を伴い、末期には慢性呼吸不全の状態になる。末期のX線像は広汎な線維性変化、多数の薄壁の空洞ないしbullaが広汎に分布する。 結核による荒廃した肺(devastated lung)に似る。

 

アルツハイマー病

Alzheimer's basket cells =1907年、ドイツの精神科医、A.アルツハイマー博士が初めて報告した病気。
◎痴呆症の一種。<1>早い時期から診断可能。<2>進行すると家族の顔も分からなくなる。<3>40歳代からの発症があり、しかも進行が早い。<4>患者は、紙に立体図形が描けない。

◎アルツハイマー型痴呆は、
脳の中に特殊な変化が起こって次第に脳が萎縮し、ひどい痴呆になってしまう病気。初期症状:
①職場で手紙の住所や日付を書き間違える。

②つじつまが合わない文章を書くようになる。

③人の名前を忘れる

④ものをしまった場所を忘れる⑤約束を忘れる。

進行症状:
①通勤の道を間違える。

②家の中でトイレと台所を間違える。

③自分の年齢が分からない。

④言葉の最後の数語を反復させる。

⑤1語を反響させるかのように何度も繰り返す。

⑥鏡に映った自分に話しかける。

⑦人形を子供と信じて撫でたり、あやす。

⑧食事をしたことを忘れ、食べたばかりなのに“食事はまだ?”と催促する。

⑨乾いた洗濯物を、また洗濯機に入れて洗おうとする。

早い人は40歳代後半に始まり、5年で重症化する。
重症化すると、
人格が変化し、感情的に不安定になり、徘徊したり、環境に適応出来ずに様々な問題を引き起こし、ついには精神の荒廃状態に陥り、言葉を発することも出来なくなり、寝たきりになる。

 

■アルツハイマーの症状:

①物忘れ(海馬)、②パジャマで出かけようとする、③怒り出す ④普段は会話は普通、 ⑤かゆみ止めと思って接着剤 *お皿のガラを食べようとする ⑥灰皿があるのに皿に

 

■アルツハイマー病→ 見つけるには
①さくら・ネコ・電車 ②100~7を順に引いてください

③もう一度、3つの項目を答えてください。 筋肉が刺激→成長ホルモン→BDNFが増える→海馬の神経細胞が復活

 

【民間療法】(アルツハイマー病)○ガラナ ○緑茶 〇魚を食べていた「ギンさん」はアミロイド斑が出来ていたにも関わらず、アルツハイマー病を発症しなかった。 アルツハイマー病は老人斑が出来るとそれを処理しようと免疫細胞が働着始めるのだが、老人斑だけでなく正常な神経細胞も攻撃することで、脳の神経細胞が炎症を起こす。それをDHAが修復することが分かった。

魚をを1日80g食べていた人は発症し、1日120g食べていた人は発症していない。発症しても1/5だった。

必要量: マグロのトロ→(2切れ) タイの刺身→(5切れ) イワシ→2匹 サンマ→1匹

 

アレルギー allergy

⇒アレルギーの発症にはヒスタミンが関与していることが知られており、ヒスタミンが肥満細胞から遊離される際には、ヒアルロニダーゼ(酵素)が介在している可能性が高い。この酵素はさらに結合組織を破壊し、炎症系の細胞の組織への浸潤や血管の透過性を促進する。 ◎概説: 「抗原抗体反応の結果惹起される生体反応で、抗原に対して個体が病的に反応する状態をアレルギーという。臨床的にはその症状がアレルギーによると思われるが抗原不明の場合もある。 先天的にアレルギー素因があるときは抗原感作の既往が無いにも関わらずアレルギー症状を呈することがあり、これをアトピーという。」

■アレルギー反応と疾患:

Ⅰ型(アナフィラキシー型):・アナフィラキシー・アレルギー性鼻炎・花粉症 ・気管支喘息・消化器系アレルギー・ジンマシン

Ⅱ型(細胞障害型):・新生児溶血性疾患)・グッドパスチャー症候群・薬物アレルギー・輸血反応・慢性甲状腺炎

Ⅲ型(免疫複合体型):・過敏性肺臓炎 ・血清病・糸球体腎炎

Ⅳ型(遅延型):・移植拒絶反応・細菌・ウイルス・カビ感染に伴う反応・腫瘍免疫・接触性皮膚炎・ツベルクリン反応

■アレルギーは免疫反応が自分の体に不利に働いて起きる病気。「人間にはもともと免疫系という、自分の体を構成しているものとは異なったものを排除して、自分の体を健康に保とうとする仕組みが備わっている。具体的には人間の体の中に細菌やウイルスなどの異物(抗原=アレルゲン)が侵入すると、それに対抗する物質(抗体と呼ばれるタンパク質)が出来て、無害化して体外へ排除しようとする反応が起きる。抗原と抗体が結びつく反応が抗原抗体反応(免疫反応)で、抗体は抗原とカギとカギ穴のような関係でピッタリと結びついて抗原をブロックし、人間の体を守る大切な働きをしている。  ところが、この免疫反応は常に有利に働くとは限らない。奥村康・順天堂大学医学部教授によると、1つの免疫系が善玉(免疫)と悪玉(アレルギー)の両面、つまりジキルとハイドの両方の性格を持っており、ある特定な人の体内では何らかの異常が生じて、普通の免疫反応を越えた過剰な反応が起こることがあると言う。この現象がアレルギーである。 この過剰反応の火付け役が実は免疫グロブリンである。
抗体はグロブリンというタンパク質から成り、免疫に関与するところから、免疫グロブリン(Ig)とも呼ばれている。その分子量の大きさによってIgE、IgD、IgA、IgM、IgGの5つに分類される。このうち、IgEなどが引き起こす病気が一般的にアレルギーと呼ばれる『Ⅰ型アレルギー』。奥村氏によると、発症のメカニズムの概略は例えば花粉・ダニなどの抗原と反応するIgE抗体が体の中に出来ると、そのIgEは体中に存在するマスト細胞(肥満細胞)に結合する。この細胞はちょうどダイナマイトが入った弾薬庫みたいなもので、粘膜にスギ花粉が付着するとそれが引き金となってマスト細胞が脱顆粒、つまり弾薬庫が爆発する。  そしてヒスタミンをはじめ強い生理活性を持つメディエーターが放出され、くしゃみ・鼻水を引き起こす。“普通の花粉症は一過性のものだが、脱顆粒が全身で仕掛け花火のように次々起きると、呼吸困難・血圧低下をきたし重篤になるケースもある”と奥村氏。1997.10.18《日本経済新聞》

◎アレルギー対策

<1>原因物質のアレルゲンが体内に入らないようにする<2>病気が起きてから→原因のアレルゲンを突き止め、2度とそのアレルゲンが体内に入らないようにする。

<3>マスト細胞のレセプターにまでIgEが到達してしまったら、レセプターから細胞内にシグナルが伝わるのを抑える抗アレルギー剤を使う。それが不可能だったら、マスト細胞の脱顆粒現象を起こりにくくするた め、マスト細胞の細胞膜を薬剤で強化する。 

<4>脱顆粒してしまったら、出てきた化学伝達物質を抑える薬剤を投与し、重 篤な症状まで起きたらステロイド剤を使う。

■天気とアレルギー

「安保教授らは“快晴の日に急性虫垂炎の患者が多い”


■食物アレルギーなぜ増える?

「食物アレルギーは特定の食物を食べると唇が腫れたり、ジンマシンが出る。ひどい場合はショックで重い症状を引き起こすこともある。

<1>食物アレルギーを持つ乳幼児:

(イ)全体の13%。うち10%は重い症状を引き起こしていた。(ロ)原因食物:・卵--55%・牛乳---24%・その他(チョコレート・ピーナッツ・大豆・チーズ・小麦・そば・カニ・えび)(ハ)果物・野菜のアレルギー:
*メロン、リンゴ、スイカ、桃、トマト、ナスの順

*口やのどが腫れて痒くなる。
*ひどい時は下痢・腹痛が起きる。。

<2>“花粉症の抗体を持っている人は、同じ植物である穀物や野菜などに対する抗体も持っている比率が高い”と池沢善朗・横浜市立大学医学部助教授。さらに“抗体が口に入った食物を拒否するのがアレルギーですよ”

<3>“旧西独、東独のどちらにアレルギーは多いと思いますか”と藤田紘一郎・東京医科歯科大学医学部教授は訊ねた。アレルギーは特に、日本と旧西独の子供たちに増えている。旧東独の子供の方が血液中の抗体値は高いが、寄生虫に感染している比率が高く、アレルギーの発症が抑えれれていると言う。藤田さんは“日本人は清潔さを重視しすぎる。腸内にも大腸菌やビフィズス菌などがいて共生している。寄生虫や細菌もすべてが悪者ではない。子供はどろんこになって遊ばないと、後でしっぺ返しを食う”と言う


アレルギー性結膜炎

■抗原の特定を 「アレルギー性結膜炎はかゆみ・目やに・瞼の腫れ・涙などの症状が現れる。
子供の場合「白目が、ゼリー状にふくれて眼から飛び出す」といった結膜浮腫で眼科を受診することも多い。 アレルギーの中でも即時型という反応によって起きる。この反応はダニの糞・スギ花粉・屋内のチリやほこりなどの抗原が体内に侵入して、その抗原を攻撃するIgEと呼ぶ抗体が体内で作られることで生じる。 抗原と抗体が反応すると肥満細胞と呼ばれる細胞からヒスタミンなどの物質が放出される。すると眼球結膜・眼瞼・結膜・鼻粘膜などの血管が拡張し、血管の透過性が高まる。この反応は抗原が再び体内に入って、わずか10分という短い時間で生じるが、抗原に対して過剰に反応すると強いかゆみや充血が現れ、アレルギー症状が生じると言われている。 結膜炎の治療法は抗アルレギー剤の点眼が、第一選択肢である。これは肥満細胞からヒスタミンなどの物質が放出されるのを阻止する効果がある。副作用も少ないが症状がひどくなると効果が得られないことも多い。従って異常を感じたら早めに眼科医に相談することが大切である。 すぐに効果が得られる治療としてステロイドの点眼が使われることがある・炎症やアレルギー反応を抑えて症状を著しく改善する。ただ、眼圧の上昇や白内障・感染の危険などの副作用と隣り合わせのため、眼科医の適切な指導の元で使用するのが望ましい。いずれにせよ、アレルギーの根本的な治療法はなく、対症療法が中心となる。 ひどい場合は血液検査で抗原を突き止め、原因物質を排除する努力が大切である。(川瀬英理子・子置く率小児科病院眼科)2000.4.10《日本経済新聞》

 

アレルギー性紫斑病
anaphylactoid purpura =[アナフィラクトイド紫斑]
=[ヘノッホ-シェーンライン紫斑病]。
⇒扁桃炎などの上気道感染症に罹り、1~2週間後ジンマシン様の丘疹・紅斑など の皮疹が体の左右に見られ、紫斑となる。 発熱・頭痛・倦怠感・関節痛を伴う。

 

アレルギー性肉芽腫性血管炎
(AGA) =allergic granulomatous angitis ⇒1951年、ChurgとStraussにより、気管支喘息、好酸球増加、肉芽腫血管炎を主徴とする疾患として、結節性多発動脈炎から独立された。(Churg-Strauss症候群)
◎診断基準:

<1>臨床所見:
①気管支喘息

②好酸球増加

③血管炎症候群

<2>検査所見:①白血球数増加--10000/μ?以上②血小板数増加-400000/μ?以上③血沈亢進--60mm]/時以上④血清IgE増加-600U/?以上⑤リウマトイド因子--陽性

 

アレルギー性鼻炎 allergic rhinitis

=「枯草熱hay fever」 ⇒クシャミ・鼻水(水様性)・鼻づまり・鼻がかゆいクシャクシャするなどの症状が、ハウスダスト・花粉などの吸入性抗原によって起きるもの。

◎病因:
イネ科植物キク菊科植物芳香ある花の花粉家庭内の塵埃食物・細菌に感作されて起きる

◎症状:(アレルギー性鼻炎)*くしゃみ*水様鼻漏*軟口蓋*咽頭の掻痒感*眼粘膜の充血・流涙*セキ・呼吸困難から喘息に移行することあり。

◎検査:(アレルギー性鼻炎)
好酸球増加症鼻汁中好酸球増加血中IgE抗体上昇花粉・塵埃による鼻粘膜の刺激試験

【西洋薬】(アレルギー性鼻炎) 「バイナス錠」:バイエル薬品、2000.5.19発売。 一般名(ラマトロバン) トロンボキサンA2受容体拮抗剤と呼ばれるタイプの製品。 鼻づまりにも有効 眠気を起こさない。

【栄養療法】 (アレルギー性鼻炎)<1>もち米を食べないようにしましょう。(理由)ヒスタミン様物質を含んでいる為。

【漢方薬】(アレルギー性鼻炎)

■温経湯

■越婢加朮湯 アレルギー性鼻炎で顔がほてり、口渇を訴えるものに。多汗、尿量減少、口渇を訴えるものに用いる。アレルギー性結膜炎を併発している者にも(漢方診療医典)

■黄蓍建中湯

■藿香正気散

■葛根湯 本方は顔面や項背部に炎症充血症状があって緊張感があり、目、耳、鼻に及びその粘膜に炎症充血が起こるものに用いられる。アレルギー性鼻炎で常に肩こりがひどく、風邪を引きやすく、クシャミの頻発する者に本方でよいことがある(漢方診療医典)

■葛根湯加川芎辛夷

■甘草附子湯 かぜをひきやすく、クシャミが頻発し、背が冷えてゾクゾク寒気がし、鼻汁が流れるように出て、頭痛や上衝のあるものに(漢方診療医典)

■玉屏風散

■桂枝加朮附湯

■桂枝茯苓丸

■桂姜棗草黄辛附湯

■香蘇散

■柴胡桂枝乾姜湯

■四逆散

■十全大補湯 全身的に衰弱している傾向があり、顔色も蒼く貧血していて皮膚も枯燥し、気血ともに虚しているという者で、鼻粘膜は乾燥しがちで、しかもクシャミが頻発してアレルギー性鼻炎といわれていたものに本方でよくなったものがある。それほどひどくないときに加味逍遙散で体質が改善されたこともある(漢方診療医典)

■小柴胡湯

■小青竜湯 心下部に水飲があって、表の邪気を伴い、この水飲が動揺して上昇して、クシャミの頻発、鼻汁過多となって、はなはだしいときは涙が出てよだれが流れ出す。(漢方診療医典)

■辛夷散    

■葶藶大棗瀉肺湯

■当帰芍薬散

■桃核承気湯

■当帰四逆加呉茱萸生姜湯 冷え症で風邪をひきやすく、凍瘡などのできやすい人で、アレルギー性鼻炎といわれているものには他の処方よりも本方で体質が改善され、クシャミ頻発が治ることがある(漢方診療医典)

■人参湯

■排膿散    

■排膿散及湯

■排膿湯

■麦門冬湯 この処方は気の上逆によって、咽喉部の刺激感、乾燥感、痙攣性咳嗽などが起こるものによい。クシャミの頻発する状態があたかも痙攣性咳嗽と似ていることから、これを大逆上気の証としてアレルギー性鼻炎のクシャミに用いるのである。小青竜湯は鼻汁が流れるほどであり、本方はあまり鼻汁が多く出ないのが特徴である。(漢方診療医典)

■半夏瀉心湯

■白朮附子湯    

■麻黄加朮湯

■麻黄細辛附子湯 陰証の鼻炎で用いる機会がある

■麻黄湯

■苓甘姜味辛夏仁湯 本方は小青竜湯に似ているが、さらに麻黄で胃腸障害を起こすもの。心下に胃内停水が認められもの(漢方診療医典)

■苓桂朮甘湯

 

あかぎれchapped

=亀裂。⇒真皮又は真皮に達する細く深い腺状の切れ目。

◎原因:<1>栄養失調。<2>血行不良。<3>ストレス。

【民間療法】
<1>カラスウリ。<2>サネカズラ。<3>ナスビ。<4>ヘクソカズラ。<5>アロエ・サンショウ・シイタケ・シュンラン・シラン・スギ(杉)・センダン・タバコ・トウキ・ハス・ヒガンバナ・ヘチマ・ミカン・ユズ。

 

あがりやすい

=脳の中枢系が興奮した状態。 ⇒スピーチ・面接・発表会などで上がって、実力が出ない。 精神的なストレスが罹ると、ノルアドレナリンが増えて、血流を増加させる。 上がるとそれを抑えようとして、血中の副腎皮質刺激ホルモンが増える。 「セロトニンがノルアドレナリンを抑制する。そこでセロトニンを作るのに必要なトリプトファンが多く含まれている食事が必要になる。トリプトファンを多く含むものには豚肉・鶏肉・卵・牛乳などがあります。ところが、これらが吸収されるには2時間以上必要です。」

◎あがった症状:  目線が定まらない  唇をなめる

◎普段からの訓練法: 腹式呼吸でゆっくり吸って(5 ~10 回)、ゆっくり吐く(10 回)。これで呼吸中枢の側にある縫線核を刺激し、セロトニンが多く分泌される。

◎上がらないための食事:

★3時間前(スピーチなどの) ①カツ丼(豚肉100g)や鰻重を食べる(ビタミンB1の効果) ②生のタマネギ60g(硫化アリル) ③シイタケスープ(エリタデニンが血圧低下させる) ④ニンニク+牛乳 ⑤アシタバ・アスパラ
★直前(スピーチなどの)  ①チョコレート  ②ケーキ

◎直前にすべきこと。

①体を温めておくこと。暖かいタオルなどで温めておくと、副交感神経が働き、あがりにくくなる。 ②筋弛緩法: 屈伸運動をする。 ガムをかんだり、マッサージで顎の筋肉をゆるめること。
■左手使い右脳を鍛える 「オリンピックなどの大舞台で負けた選手が、しばしば口にする「プレッシャーで力を出し切れなかった」。スポーツに限らず、人前に出ると頭が真っ白になってうまくしゃべれない人がいる。時には大きな失敗につながるプレッシャーの正体と、その対策は?・「自律神経の交感神経だけ過剰に反応したのが、プレッシャーのかかった状態です」と磯子中央。脳神経外科病院の土田隆先生は説明する。興奮を促す交感神経と、安静を保とうとする副交感神経のバランスが崩れ「あがった状態」になってしまうのだ。 自律神経の偏りが問題だから、克服にはバランスを取り戻してやればよい。プレッシャーを受けると人間は無意識のうちに口で呼吸するから、意識して鼻で呼吸し、副交感神経を刺激すると、緊張が和らぐという。「水を飲んだり、手足を温める、空間を暗くするのも、交感神経の抑制に効果がある」と土田先生。 右脳のトレーニングもおすすめ。あがり症の人は、緊張すると、言語処理を担当する左脳を中心に働かせようとして混乱を招く。日頃あまり使わない、不安などの感情を担当する右脳を鍛え、バランス良く処理する葉になればプレッシャーに強くなる。右脳は体の左側を支配しており、日常生活で左手を積極的に使うのが有効。左利きの人に何でも器用にこなす人が多いのはこのためだ。左側の鼻だけで呼吸するのも、右脳を刺激する効果があるという。 プレッシャーは決して悪いものではない。プレッシャーがかかると血液中に「副腎皮質ホルモン」と呼ばれる物質が激増する。追いつめられた時に「火事場のバカ力」を生み出すホルモンで、一時的に身体能力を大きく高める。ただ、一般に心拍数が平常時の2割を超えると、血流が極端に速くなり、身体機能や思考能力は低下する。 諸刃の剣とも言えるプレッシャーをうまくコントロールすれば、プラスのパワーを引き出し、練習以上のプレーをみせることが出来る。2003.7.23《日本経済新聞》

 

悪性リンパ腫  

malignant lymphoma 
⇒頚部リンパ節腫張として初発することが多い。通常は無痛性。 「リンパ球」は血液細胞の1つで、白血球と同じように骨髄中の造血幹細胞から分化・成熟していくので、リンパ腫と白血病とは同じ系統の病気です。 白血病は→血液の中を流れて増殖する液状の腫瘍 リンパ腫→リンパ組織の中で成育する固形の腫瘍。」 「造血幹細胞から分化したリンパ系細胞は、免疫機能の担い手として、細胞免疫を担当するT細胞と、液性免疫を担当し、免役グロブリンを産生するB細胞とに分かれるが、リンパ腫は、免疫グロブリン遺伝子をもつ染色体の異常によってガン遺伝子が活性化し、その結果、リンパ球細胞がガン化して発症すると考えられている。」

【分類】 ホジキン病 非ホジキンリンパ腫

◎リンパ節の生検が必要。自己診断リスト:以下の症状が2週間以上続く。早期悪性リンパ腫に見られる症状:○最近、顔色が悪くなった。○首の付け根が腫れている。○1ヶ月以上微熱が続いている。○ダイエットもしないのに、急に痩せた。○脇の下や、太ももの付け根に硬いシコリが出来た。頻度は少ないが、要注意な症状:○疲れやすくなった。○やたらと寝汗をかくようになった。進行ガンor他の疾患も考えられる症状:○最近、立ちくらみする。○ノドに圧迫感があって、呼吸しづらい。○食べ物が飲む込みにくい。

 

■免疫細胞療法 「瀬田クリニック(東京世田谷区)は6/5、患者自身の免疫細胞のは働きを高めて悪性リンパ腫を治療する「免疫細胞療法」の臨床研究を、戸口率国際医療センターと共同で始めたと発表した。 共同研究では免疫不全を起こすウイルス感染症の後に発症する悪性リンパ腫を対象に、様々なガンの治療への応用が進む『活性化自己リンパ球療法』の効果を検討する。 同療法は免疫機能を担うリンパ球を患者から取り出して特殊なタンパク質などを加えて培養し、活性化させた上で体内に戻す。このリンパ球が、ガン細胞やウイルスに感染した細胞を攻撃する。」2003.6.6《日経産業新聞》

■飲酒 「米エール大学などの研究グループは、飲酒する人の方が飲酒しない人よりも、非ホジキンリンパ腫にかかる危険性が低いことを突き止めた。 非ホジキンリンパ腫は白血球のリンパ球がガン化する悪性リンパ腫の一種で、日本では年間約1万人が罹患している。 非ホジキンリンパ腫への飲酒の影響は1万人以上のデータを統計的に処理して分かった。 ○酒の種類や量、年齢や性別、喫煙などは非補腎リンパ腫の発生しやすさに関係がなかった。 ○非ホジキンリンパ腫のタイプによっては効果に差があった。」2005.8.17《産業》

■投薬が効かない患者 「癌研究会癌化学療法センターとオリンパスは、リンパ球がガン化する悪性リンパ腫の患者の中に、薬による治療の途中で遺伝子が変異し、薬が効かなくなるタイプの患者がいることを突き止めた。 同センターの畠清彦臨床研究部長らが解明したもので、患者がもともと持っている遺伝子特徴ではなく薬物が引き金になっている可能性が高いと考えられている。2005年12/10の米血液学会で発表。 リンパ腫の中で日本人に多い「びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫」の患者で調べた。 一般に、抗体を使ったリツキサンという薬と4種類の薬を併用しているが、治療当初は良くなるが、途中から薬が全く効かなくなる患者が2割近くいることがわかった。詳しく調べると、リツキサンが結合するB細胞表面のCD20と呼ばれる部分が薬の影響で変異を起こし、表面でなくなっていた。」

■ウイルス 「高田賢蔵・北海道大学教授らは、悪性リンパ腫を引き起こすウイルスの原因遺伝子を突き止めた。成果は2006年12月米科学アカデミー紀要電子版に掲載。 このガンは臓器移植後の患者やエイズウイルスに感染した人が発病しやすい。 悪性リンパ腫を引き起こすエプスタイン・バー・ウイルスを調べた。エストロゲンという女性ホルモンに反応して働く遺伝子を組み込み、ウイルス内の「EBNA3C」という遺伝子も連動して働くようにした。この遺伝子改変ウイルスを人の免疫細胞であるBリンパ球に感染させ、エストロゲン培養液に浸した。 すると、Bリンパ球がリンパ芽球様細胞という細胞に変化し、ガン化して増殖した。エストロゲンが入っていない培養液に変更すると増殖が止まった。

 

あくび chasmus=「欠伸」。

⇒中枢神経の異常或いは疲労に伴って生じる一種の不随運動。
【漢方療法】(あくび)

■甘麦大棗湯(あくび(欠伸)をよくする)

■小建中湯(食後に多い)

■消風散(なまあくび)  

◎あくび ◇酸素不足を補うために、自然に起きる深呼吸の一種と考えられてきた。ところが、米メリーランド大学のロバート・プロビンが、血液中の酸素や炭酸ガスの濃度を変えて実験しても、あくびの頻度には違いが無いと報告。 ◇あくびは、眠気をもよおしたり、精神の緊張がゆるんできた時が多い。 ◇口を動かすのは、主に笑筋(咬筋)の働きによる。あくびをすると笑筋が思いっきり引き伸ばされる。さらに約20ある顔の筋肉が笑筋とも連動する。 あくびによって笑筋からの強力なインパルスが脳へ届き、神経細胞を刺激される。その結果、意識レベルが向上し、サッパリとした気分になる。 つまり、あくびによる自然な深呼吸は、ガス交換を促すためというより、笑筋の筋紡錘から 脳へ覚醒のシグナルを送ることが目的と考えられる。笑筋以外にも、脚や手腕の骨格筋では筋紡錘の機能が発達している。したがって、あくびとともに手足も思いっきり伸ばし、それらの筋の筋紡錘からも脳へのインパルスをできるだけ増加させると、覚醒効果がより高くなる。 笑筋を強く引き伸ばす動作: ・大声を上げる・ものをほおばる・大笑いする ・歌を唄う (永田晟著「呼吸の奥義」)

 

あせもmiliaria

=「栗粒疹」「水晶様汗疹」⇒汗は汗腺の出口である汗口から体外に排出されるものですが、汗をかいてそのままにしておいたり、汗の蒸発が遅れて汗が皮膚の表面に長時間とどまっていたりすると、汗口がつまったり、又、高熱の為に障害が起きると、汗が十分に出なくなります。そうすると、その部分がかぶれて、皮膚一面に赤い小さな発疹が出来、汗がしみてヒリヒリします。しばらくすると透明な水ぶくれとなって強いかゆみを伴います。汚れた手などで掻いたりすると、化膿して湿疹になることがあります。

■ぶどう球菌 「ユニ・チャームはブドウ球菌が、あせもの発症と関係があることを実証したと2006年4/4発表。これまであせもの原因は解明されていなかった。 徳島大学大学院の滝脇弘嗣助教授・三菱BCLと共同で研究発表した。 成人男性の腕にラップを48時間巻き付けあせもを誘発する実験で、ラップを書いていない部分と比べると、ブドウ球菌は1000倍に増えた。 抗菌剤を塗布しラップを巻き付けると、あせもの発症は半減したため、「ブドウ球菌が炎症を誘導する可能性がある」(滝脇助教授) 成果は4/20の日本感染症学会で発表。

【民間療法】(あせも)<1>キランソウ。<2>クリ(栗)。<3>ナスビ。<4>ネナシズラ。<5>ワレモコウ。<6>オナモミ・カキドウシ・カラスウリ・キカラスウリ・キュウリ・クマザサ・クララ・サクラ(桜)・サラシナショウマ・スイカ・スイカズラ・ドクダミ・ニワトリ・ハコベ・ビワ・ベンケイソウ・ミツバチ・モモ(桃)・ヤマイモ噯・ヨモギ・ユキノシタ。

 

 

胃炎Gastritis

◎胃炎は、胃の内側の粘膜に炎症が起きる病気で、急性タイプと慢性タイプがあります。

■胃炎・胃潰瘍の原因。「ピロリ菌は大きさが数ミリ/1000程度で、83年にオーストラリアの研究者が胃炎患者の胃から見つけた。強烈な胃酸にも耐え、胃や十二指腸の粘膜に住み着いて『ウレアーゼ』と言う酵素を分泌する。この酵素は食物などに含まれる尿素をアンモニアに換え、胃酸を中和してピロリ菌が住み易い環境にする。と同時に、このアンモニアが粘膜を痛めると考えられている。ピロリ菌に感染している日本人は10歳で10%、20歳で20%、30歳で30%程度と年齢と共に増加、40歳以上では急増し。70%以上の人の胃に住み着いていると見られている。欧米では平均で20%前後で、先進国の中で日本の感染率は際だって高い。発展途上国での感染率は70%ぐらいと考えられている。感染経路はよく分かっていないが、唾液の中からも検出され、経口感染が多いと考えられている。40歳以上の感染率が高いのは、子供の頃の衛生環境が影響しているらしい。胃炎患者の80%以上、胃潰瘍患者の95%以上がピロリ菌に感染ていたと言う調査報告もあり、サルにピロリ菌を飲ませると胃潰瘍になることも確かめられた。逆に、抗生物質で胃の中のピロリ菌を殺してしまえば難治性胃潰瘍が治りやすくなる。再発は1/10に減った。94年6月、世界保健機構(WHO)の国際ガン研究機関(IARC)はピロリ菌が胃ガンの原因の1つだとする報告を発表した1995.12.16《日本経済新聞》      

■ピロリ菌と胃炎「62歳の女性。10月に胃カメラの検査で胃炎があると診断され、そのおりに “ピロリ菌を殺す抗生物質を飲んでおいたら胃炎・胃潰瘍・胃ガンの予防になる”と聞きました。自覚症状がなくても検査で菌があれば殺す必要があるのでしょうか? ◆病気との関係は?青山信郎・神戸大助手は「はっきししているのは、ピロリ菌は胃の粘膜を荒らすことです。菌を飲む実験で胃炎が出来ました。オーストラリアの研究では、十二指腸潰瘍320例中の94%、胃潰瘍で115例中の62%の人にピロリ菌がいました。 菌がいないのは痛み止めを飲んでいたのが原因で胃潰瘍になった人で、それ以外はほぼ100%です。潰瘍が治っても薬を止めると再発していた人が、ピロリ菌を除菌すると再発を非常によく抑えられました。早期の小さいガンを取った後、約5年で約1割の人に2個目のガンが見つかるのが、除菌すると見つからないとう報告もあります」 ◆本当に予防になりますか?(青山助手)「ピロリ菌がいると必ず潰瘍になると誤解して恐れる人がいますが、ならない人の方が多いんです。100人の感染者で潰瘍になる人は3人、胃ガンは0.5人。その人たちは予防になりますが、残りの96~97人は除菌しなくてもなりません」 ◆感染者は多いんですか?(青山助手)「日本人は10代で約20%、20代で約30%、30代で約40%と増え、40歳以上では約75%前後の高率になることが、北海道大の浅香正博教授による約400人の調査で分かっています」 ◆どんな検査法がありますか?(青山助手)「血液に菌の抗体があるかを見る方法、胃の組織を採って菌を培養する方法などがあります。抗体検査は感度が高いので、出なければいないことがはっきりしますが、擬陽性の場合があります。逆に培養法は感度が悪く、陽性なら100%いますが、陰性の診断が難しい。複数の検査を組み合 わせる必要があります」 ◆除菌すべき人は?(青山助手)「大方の意見が一致しているのは、潰瘍になった人です。ピロリ菌がいても、そのまま何もなければ、ほっておいてもいい。相談者の場合、これまで潰瘍になっていないので、あえて積極的に除菌する対象ではありません。それでも、ガン予防予防などのために除菌したい人はいるでしょう」 ◆除菌はどうやって?(青山助手)「プロトンポンプ阻害剤という、胃酸の分泌を抑える薬と、抗生剤を組み合わせ、通常の治療の2倍量を1週間~2週間飲みます。抗生剤は2剤又は1剤。抗生剤2剤で除菌率85~90%の良好な効果が得られています。◆副作用はあるのでしょうか? (青山助手)「一番多いのは下痢などの消化器症状です。報告は5%~70%とバラツキがあります。飲み始めて3、4日後から2、3日という場合が多い。ひどいときは出血性腸炎が起きますが、私たちのところでは300例で1人も出ていません。また、抗生剤の一方はペニシリン系で、アレルギーの問題があります。300例中で3人がアレルギーの発疹が出ましたが、薬を飲み終えた後でした」 ◆費用は?(青山助手)「私たちは研究費を使って無料でしていますが、自己負担のところもあります。きっちりした判定と治療をすれば、検査も含めて5、6万円 ぐらいです。 欧米では胃潰瘍が多いが、日本人は胃潰瘍が多いなど傾向の違いがあって、欧米の報告が必ずしも当てはまらない為、日本人のデータを確認中です。データが集まれば保険が認められる可能性は高いでしょう」1997.1.19《朝日新聞》

【色彩療法】<1>オレンジ色<2>青緑色<3>藍色

【漢方療法】(胃炎)

■安中散

■烏梅丸

■益胃湯《温病条弁》

■黄芩湯

■黄連解毒湯

■黄連湯

■甘草瀉心湯

■甘麦大棗湯

■帰脾湯

■九味檳榔湯

■蒿芩清胆湯

■香蘇散

■呉茱萸湯

■五苓散

■柴胡桂枝湯

■柴平湯

■梔子豉湯

■四逆散

■沙参麦門冬湯

■生姜瀉心湯     

■小建中湯

■小柴胡湯

■小半夏加茯苓湯

■参蘇飲

■清胃散

■大黄甘草湯

■大柴胡湯

■丹参飲

■当帰湯

■二陳湯

■麦門冬湯

■半夏厚朴湯

■半夏瀉心湯

■白虎湯

■茯苓飲

■附子粳米湯     

■防風通聖散

■六君子湯

■苓甘姜味辛夏湯 

■苓桂朮甘湯
【民間療法】<1>アカメガシワ・アキカラマツ・アマドコロ・アロエ・イワタバコ・ウコン・エビスグサ・オケラ・カミツレ・カワラケツメイ・キササゲ・キハダ・クマヤナギ・クロモジ・鶏卵・ゲッケイジュ・ゲンノショウコ・コンブ・サフラン・ショウブ・センブリ・タカサブロウ・タラノキ・タンポポ・ツルナ・トウガラシ・トウゴマ・トロロアオイ・ニガキ・ニンニク・ヒキオコシ・ホオノキ・ヨシ。

 

胃瘻(いろう)

PEGとは、より快適な日常生活を送るための、 患者、介護者双方に負担の少ない経腸栄養法です。 PEGは、口から十分に栄養が取れない患者さんのために、内視鏡(胃カメラ)を使っておなかの壁と胃の壁を通して小さな穴(この小さな穴のことを胃瘻( いろう )といいます)を造り、その穴にチューブを入れる手術です。そのチューブを通して栄養を摂取します。 口から十分な栄養がとれない患者さんで、長期間にわたり使用ができる方。点滴、中心静脈栄養や、鼻から管を通して栄養補給をされているほとんどの患者さんにご利用いただけます。特に高齢で口からの食事に障害があるだけで長期入院されている患者さんには、今後、在宅や療養型施設でも管理のしやすいPEGが注目されるでしょう。 約5分~10分で終了する患者さんに負担の少ない手術です。全身麻酔の必要がないので患者さんに対しても負担が少なくてすみます。 手術後は、約2週間を経過すればピアスの穴のようにおなかの穴(瘻孔)が完成し、傷の状態ではなくなります。瘻孔(ろうこう)周辺を常に清潔に保ち、自然乾燥をさせていれば、消毒やガーゼをあてる必要はなく普段どおり入浴もできます。定期交換で長期にわたる使用も可能。観察を怠らなければ、大きなトラブルになることはありません。 口から十分に栄養がとれるようになったら、胃瘻チューブを抜くことも可能です。抜くことは数分で終了し、抜いたあとの穴は翌日にはふさがります。

【漢方薬】(いろう)

■三物黄芩湯

■四物湯

■十全大補湯

■大防風湯

■当帰建中湯

■茯苓甘草湯

■補中益気湯

■牡蛎沢瀉湯

■苓甘姜味辛夏仁湯

【民間療法】<1>イチョウ。<2>ハス。<3>ヤマノイモ。<4>マムシ。<5>アマドコロ・ウナギ・クサスギカズラ・クマ・クルミ・クワ・コイ・ゴマ・ サネカズラ・サンシュユ・シカ・ジャノヒゲ・ツルドクダミ・トチバニンジン ・ナツメ・ナルコユリ・ネナシカズラ・ハトムギ・ワラビ。

 

 

1型糖尿病
■1型糖尿病 「大阪府富田林の小学6年生M君(12)は、1時間目の授業終了のチャイムが校内に響き渡ると、いつものように保健室に出向いた。 決して具合が悪いわけではない。M君や友達にとっては保健室はサロンのようなもの。養護教諭を交えておしゃべりをしながら休み時間のひとときを過ごす場になっている。 だが、この日は違った。 「なんだか眠い」 そう言って、ベッドに横になると、そのまま眠ってしまった。声をかけても、頬を叩いてもM君は一向に目を覚まさない。 突然の意識不明だった。M君の持病について承知していた養護教諭は、眠っているM君の口から少しずつジュースを流し込んでいく。M君は、それを無意識に飲み込んでいった後、何事もなかったように目を開けた。 インスリン依存型糖尿病による低血糖症状だった。 血中のブドウ糖を体内に取り込むインスリンが不足することで、ブドウ糖を唯一のエネルギー源とする脳が働かなくなってしまう。このため、急に眠ってしまったり、頭痛やだるさに襲われたりする。 普通、糖尿病と聞くと、「食べ過ぎ」や「運動不足」などの成人の生活習慣病を連想しがち。ところが、「Ⅰ型」のインスリン依存型糖尿病の場合、生活習慣とは無関係に子供に発症することが多いため、小児糖尿病とも呼ばれる。
■難しい管理「19歳のA子さんは、8歳の時に糖尿病を発病した。この春、友人と旅行。旅先の救急病院から主治医に「朝から胃痛・嘔吐で何も食べられずインスリンを注射していないが、血糖が257と上昇した。どうしたら良いか?」という問い合わせが午後2時に入った。即刻、朝食前に注射すべきインスリン量の2/3を注射し、同時に電解質と糖分を含む水分を静脈内に点滴で入れるように依頼した。A子さんは新幹線で因る11時過ぎに東京駅に到着。当病院へ直行し、輸液治療を続けた。数日で回復し退院した。 27歳のB子さんは2歳の時に糖尿病を発病。インフルエンザ様感冒で2、3日食事がとれず、低血糖を警戒してインスリン量を半分しか注射していなかった。こまめの血糖チェックを怠ったために、知らず知らずに高血糖になってしまった。のどが渇き、食事を摂っていないので糖分を含むものがいいと思って、サイダーを何回も飲んだという。高血糖のだるさで意識が朦朧(もうろう)として眠ってしまったらしい。 翌早朝、姉が急変したB子さんを発見。全身蒼白で意識が無くショック状態で近くの病院の集中治療室に収容。血糖値1500と正常の10倍に達し、ショック感も伴い、大量の尿失禁があった。ひどい脱水で脈も弱く、呼吸も少なく、体温32℃と冷たくなっていた。インスリンと水分を静脈内に大量注射して死を免れたが、発見が後れ命を落とす人もいる。20歳代になると自己判断で治療するようになるが、疲労で血糖チェックやインスリン注射が自分で出来なくなった時が危険である。(田苗綾子・国立小児病院内分泌代謝科)1999.5.10《日本経済新聞》

■劇症1型糖尿病 「2000年に大阪医科大学第一内科の今川彰久講師が発見した。今まで健康体であったのが突然、糖尿病と宣告される。 1週間ほどでインスリンを産生する膵臓の細胞が悪化する。原因は不明だが、特定のHLA(白血球の型)のタイプを持った人が、何らかのウイルスに感染することが引き金になると考えられている。 日本糖尿病学会の調査では約300人の患者が報告されているが、実際は1万人ほどいると推定されている。 糖尿病の兆候は見られない。・・・・発症前の健康診断で“異常なし”と言われ、倦怠感を覚え、会社を早退した。“寝れば治るだろう”と休んだが、ノドの渇きがひどく、嘔吐で、食事ものどを通らない。そしてその夜、昏睡に陥った。 治療・・・・インスリン注射。

 

イボverruca
■跡残らぬ凍結療法 「60歳代、女性。数年前、右の手のひらに小さなイボが4個出来ました。それがだんだん大きくなり、手の甲にまで広がってきて心配しています。 広がってくるようなウイルス性のイボは、放っておいても抗体が出来て自然になくなることもあります。逆にどんどん大きくなり、他の皮膚に移って数も増えてくることが多いのです。免疫の弱い人は自家感染といって自分の皮膚にはどんどん広がりますが、他の人にはなかなか移らないのがイボの特徴です。 アトピー性皮膚炎の人はイボのウイルスにすかれる体質です。従って、イボを引きちぎったりすると、その汁が他の皮膚について新しいイボが出来るのです。 ウイルス性のイボには、足底や手のひらに出来る埋没性の圧迫で痛みを起こすイボ(アリ塚イボ)があります。 普通のタイプのイボは表面に盛り上がるので痛みはありません。 普通のタイプのイボは、液体窒素で凍らせてとる方法が最も広く行われており、これは健康保険も使えます。跡形が残らずきれいにとれるのが利点です。焼いてとる方法では傷跡が残ります。凍結療法は冷たさで神経が麻痺して痛みがありませんので、麻酔の必要もありません。 『アリ塚イボ』の場合は、凍結療法はうまくいきませんので、ブレオマイシンという制ガン剤をイボの中心に注射して落とします。 高齢になって主に首筋に出来る細長い糸状のイボは高周波で簡単にとれて跡形も残りません。」
■青壮年になってイボが急に増えた者------食生活を見直す必要がある。
■顔のイボ 「40歳の女性。20歳くらいから目鼻の下、こめかみに米粒より小さい平らなイボが多数出来ています。皮膚科を受診したところ、積極的な治療法はなく漢方薬を飲むように言われました。」 ●どんな病気ですか? 顔に多数できる平らなイボは、『青年性扁平疣贅』と呼ばれています。ウイルスによって起こり、20歳前後の女性に多く見られます。顔のほか手の甲にも出来やすく、米粒より小さくて普通の皮膚の色か淡い褐色をしています。よく似た症状が現れる病気に汗の出る管が増殖する『汗管腫』がありますが、見分けるには皮膚科の医師の診断が必要です。 ●どういうウイルスですか? ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)といいます。HPVには様々な型があって、きちんと分かっているだけで80くらいあります、このうち扁平疣贅を起こすのは一部の型です。発症するまでに数ヶ月かかるので、どこから感染したのかは良く分からないことがほとんどです。他にも、子どもの手足に比較的大きめのイボが出来る『尋常性疣贅』や性感染症の1つで外陰部にトリの鶏冠(トサカ)のようなイボが出来る『尖圭コンジローム』などがHPVに関係しています。型はそれぞれ違います。 ●治りにくいのでしょうか? 残念ながら直ぐには治りません。インフルエンザのように激しい症状を起こすウイルスと違って、細胞と共存していつまでも体の中に残ろうとする性質があります。しかし、発症してから数ヶ月、数年経つと、自然に治ることが多いようです。治りかたに特徴があって、突然赤みが出てきてかゆくなり、その後数週間で一斉に治ってしまいます。何がキッカケなのかはよく分かりませんが、免疫機構が突然働きだして治ります。一度治ってしまえば、同じ型のウイルスによる再発はありません。 ●自然に治るのを待つしか手がないのでしょうか? 抗ウイルス剤やワクチンは無く、今のところ確実な方法はありません。自然に消えるのを手助けします。相談の方のように、ヨクイニンという漢方薬を使って免疫を活性化させるようにします。ニキビに使うイオウを含んだローションなどで人工的な刺激を与えて治ることもあります。自然に治ると言っても治療をした方が治りは早くなります。 ●取り除くことは出来ませんか? 『尋常性疣贅』や『尖圭コンジローム』ならば液体窒素で凍らせて取り去る後方がありあmすが、『扁平疣贅』は原則として使いません。色素が沈着したり跡が残ったりするので、顔に多数出来ている場合には適さないのです。そのまま放置していても、ガンになるなどの心配はないので安心してください。目立たない場所なら、液体窒素を使うこともあります。それが炎症のキッカケに名手、周りが治り始めることもあります。 ●他人に移らないのでしょうか? 患部をひっかいた手で他人の皮膚に触れたりすると、移してしまう恐れはあります。ただ、感染力は痛くないので、直接の接触を避ければ、それほど神経質になる必要はありません。 ●どんなことに注意したら良いでしょう? なかなか治らずに悩む人も多いと思いますが、発症から数年以内に80%以上の確立で治ります。興味深いことに、イボが取れるという暗示療法で効果が見られたとの報告もあります。なぜかは分かりませんが、免疫の働きに関係があるのかも知れません。あきらめずに、いずれ治ると信じて治療を続けることが大切です。(浅田秀夫・大阪大学講師)2000.8.27《朝日新聞》

【芳香療法】(いぼ)

<1>レモン油を1滴だけ稀釈しないで、爪楊枝につけて、イボの中心に落とします。そして、イボの上に乾いた絆創膏を当てて覆っておきます。イボが縮ん で取れてしまうまで、毎日繰り返す。

<2>比較的短期間に、多数のイボが出来たとき。これはウイルスに対する抵抗性が低下していることを示します。 ①ガーリックのカプセルを服用(3~6回/1日)②ローズマリー・ゼラニウム・ジュニパーの各精油またはこれらをブレンドしてリンパマッサージに使う。③ビタミンEを適切レベルに保つ。

<3>イボの異常発生が、交通事故や人との死別といった精神的外傷を受けた後に起こることがあります。この場合にはそれに応じた治療方法を選択します。

【民間療法】(いぼ)

○アオギリ・なめくじ・ハトムギ○扁平状のイボ:
①ニンニクを薄く切って貼っておく。
②その上に灸をすえる。○突起状のイボ:イボの根もとを、糸でくくる。

【漢方薬】(イボ)

■越婢加朮湯

■藿香正気散

■麻杏薏甘湯

■桂枝茯苓丸

■当帰芍薬散

■薏苡附子散

■薏苡附子敗醤散

 

イボ痔 

hemorrhoid=内痔核。◎イボ痔と肝臓機能とは関係が深い。血液循環が悪い結果、イボ痔になっているのだが、例えば、お風呂に入ったり・アルコルを飲むと血行は良くなるが、アルコールを飲んだ人のイボ痔は必ず悪化する。《螺王人》

【食養生】《螺王人》絶対に、食べてはいけないのは、

もち米が入った食品。>牛肉。アルコール。就寝の3時間前の食事。脂っこい食事が続く。刺激物をたくさん。以上の食事を続けると、悪化しやすい。  

【漢方薬】(いぼ痔)

■乙字湯(実証の痔、脱肛、痔出血)

■桂枝加芍薬湯

■桂枝茯苓丸

■四逆散

■大黄牡丹皮湯

■当帰建中湯

■当帰芍薬散

■八味地黄丸

■麻杏甘石湯

■麻子仁丸

■六味丸

 

イライラ

【芳香療法】<1>安息香<2>クラリセージ<3>サンダルウド<4>ジュニパー<5>乳香<6>ネロリ<7>バラ<8>ベルガモット<9>マージラム<10>メリッサ<11>ラベンダー

【宝石療法】(イライラ)

<1>[真珠]

<2>[カルセドニー]感情が鬱積してイライラする人に。<3>[ジルコン]

【民間療法】(イライラ)<1>カノコソウ・カラスビシャク・シャクヤク・トウキ・ハス<2>ウスバサイシン・オウレン・カキ・カギカズラ・カラスウリ・キカラスウリ・キク・サフラン・シオン・シソ・セキショウ・ナツメ・ニンニク・ノビル・ハチク・ムクゲ・メハジキ。

【鍼灸】(イライラ)

「筋縮穴(第9椎の下)」《沢田流聞書鍼灸眞髄》

 

イレウス ileus              

=腸閉塞。 paralytic ileus《麻痺性腸閉塞症》

⇒機能的腸閉塞症の1種。腸管内容の通過が障害された状態で、疼痛、悪心、嘔吐、排便・排ガスの停止、鼓腸などの症状がある。

◎種類:(イレウス)

■機械的イレウス(intestinal obstruction):

<1>閉塞性(単純性)  

1.異物・糞塊・癒着などが原因。  

2.腹痛は初め著明でない。

<2>絞扼性(複雑性)  

1.腸軸捻・腸重積・篏頓などが原因。

2.腸間膜の血行停止を伴う。

3.突然激烈な腹痛で始まる。初期より反射性の嘔吐。

<3>機能的(麻痺性)  

1.腹膜炎・開腹手術が原因。  

2.鼓腸・排便・ガス排出停止、腸の蠕動運動も停止。

3.嘔吐。

■機能的イレウスがあり(ileus)   (金芳堂ー内科診断学p428)

【漢方薬】(イレウス)

■芍薬甘草湯

■大建中湯

■大柴胡湯

■烏頭桂枝湯

■大烏頭煎

■烏頭湯

■九痛丸

 

 

インスリノーマ insulinoma

=ラ島B細胞の腫瘍に基づく、インスリン過剰産生によるもの。

◎症状:低血糖症状・発汗・脱力感・皮膚蒼白・動悸・傾眠・ケイレン・昏睡。過食のため肥満していることあり。

◎検査:(インスリノーマ)

*空腹時の血糖値*Whipple's Triasの確認*IRI *CPR値*負荷試験

■血糖値、下がりすぎても 「糖尿病は膵臓から分泌されるインスリンの不足によって血液中の糖(血糖値)が高くなり、全身に様々な障害を起こす病気だ。歯科医s、このインスリンが逆に過剰になっても血糖値が下がりすぎて特有の症状が現れる。 Kさんは32歳の会社員。2年前より早朝空腹時にめまい・むかつき・発汗などが時々見られた。これらの症状は運動時にも起こるようになったが、食事をとると回復した。そのため過食気味になった。 ただ、2ヶ月前から意識消失やケイレンなどが加わったため、テンカンの疑いで精神科を受診した。だが空腹時の血糖値は1dlあたり45mgで正常値(70~110mg/dl)に比べて低く、症状はブドウ糖の注射ですぐに直った。さらに血中インスリンの値が、正常よりも高かったので、インスリン産生腫瘍(インスリノーマ)が疑われた。コンピューター断層撮影装置(CT)検査、血管造影検査で、膵臓の左側の1cm台の腫瘍が発見されたので、手術で薬4cmの腫瘍を摘出した。以後、低血糖発作はなくなり、普段の生活に戻っている。 血糖値を下げる作用があるインスリンは膵臓のホルモン産生細胞(β細胞)から分泌される。その分泌は血糖苓桂朮甘湯によって自動的にコントロールされている。つまり血糖値が上昇すればインスリンの分泌が増し、血糖値が低下すればインスリンの分泌も減少する。しかし、β細胞に腫瘍が出来ると、インスリンが常に過剰に分泌され、低血糖になる。 インスリノーマの最良の治療は摘出手術である。ただ、腫瘍の大きさが直径2cm程度と小さいため、たとえ開腹しても発見することが困難なことがある。そこで手術前にCT検査や血管造影検査で、その部位を調べたり、膵臓の各部医から流れ出る静脈血液中のインスリン値を測定したりして、腫瘍がある場所を推測する。手術中には超音波で腫瘍の位置を確認する。インスリノーマの摘出に成功すれば、1時間以内に血糖値が上昇する。これは手術成功のあかしとされている。」(木下博明・大阪市立大学医学部第二外科教授)2000.8.21《日本経済新聞》

 

インフルエンザ(流感) influenza

⇒感冒(common cold)は徐々に発病するが、インフルエンザ(流行性感冒)は急激に高熱になって発病する。144通り(Hに16タイプ、Nに9タイプ)のウイルス◎欧米ではインフルエンザを「フルflu」と呼び、エイズや肝炎など特定の病気を起こすウイルスと同様に位置づけ、普通の風邪とは区別している。

◎チェックしましょう:高熱・頭痛・関節痛
⇒(「ツツガ虫病」と鑑別必要→症状:虫さされ)

◎インフルエンザの診断は<1>蛍光抗体法によって抗原を証明、<2>血清反応、<3>うがい液でウイルスの証明で確定。]

■解説「インフルエンザの病原体はウイルスの水準からすると、小さくて複雑な構造をしている。タンパク質と脂質の薄い層に保護された、表面がざらざらの球体をなし、その中に遺伝物質として動物の染色体によく似た長い螺旋状の鎖を持っている。その球体は、表面に700個以上もあるタンパク質の突起を使って宿主を襲うのだが、抗原と呼ばれるそのタンパク質は赤血球細胞と溶けあうようにしてその膜を突破する。ウイルスが増殖するには遺伝物質の鎖がほどける必要があるが、その過程で子孫を死なせるかと思えば、次世代の能力を高めるなどの、様々な「エラー」が生ずる。ヒトの免疫系の抗体はタンパク質の突起に立ち向かっていくのだが、ウイルスの抗原のほうは時間の経過によって移動標的のように変化、つまり「変異」することが出来る。従って、ヒトはインフルエンザの一つの変種との勝負に勝っても、部分的に変化した相手から再試合を いどまれることになるのだ。「不連続的抗原変異」という大きな変化の結果、とくに強力な新変異株がどこかに現れると、それは急速に世界中に広がる。しかも、インフルエンザウイルスは乾いた粘膜のなかで何時間も生き続ける。 インフルエンザを確実に防ぐ方法はないし、かかってしまえば有効な薬もない以上、ワクチンだけが唯一の医学的な防御手段である。毎年、次の冬季にはどの種類のインフルエンザが優勢になるか。情報を集めた上で予測することになる。例えば、アメリカの疾病管理センターは1994年3月、世界中の120の研究所から集めた1500のインフルエンザウイルスの標本を研究して、94年から95年に流行が予測される3つの株からワクチンを作ることにした。AテキサスとBパナマ、A山東(1993年からA北京のかわり)である。 重大な合併症を起こす危険のある人々の為に7000万人分のワクチンが4つの製薬会社によって製造された。こうしたウイルスに対する免疫はワクチン接種後1~2週間以内に出来上がる(ワクチンは殺したウイルスから作るので、予防注射からインフルエンザに罹ることはない。ただ、ワクチン株の培養にはニワトリの卵を使うので、卵アレルギーの人は、ワクチン接種は避けるべきである)。60歳以上の人々の場合、ワクチンによってインフルエンザ罹患率は半減する。ワクチンを接種してもインフルエンザに罹ることはあるが、その場合は症状が軽くてすむだろう。インフルエンザAウイルスは現在最も一般的なもので、1933年に感染した人々の喉(ノド)から発見された。さらにB型が1940年に、比較的めずらしいC型が1947年に発見された。これら3つが基本的なインフルエンザウイルスで、その変異株は[B香港][Aニュウージャージ][Aバンコク]などと、一般的にはそれぞれが流行を起こした場所の名で呼ばれている。 1918年以降、インフルエンザAは57年と68年の2回、不連続的抗原変異を起こした。新しいウイルスの自然界のエサ場は恐らく、ブタと水鳥-----カモやカモメ----で、それらが糞を介してヒトを含めた他の生物に周期的にウイルスを移すのである。1980年には、インフルエンザウイルスAがアザラシの間で流行し、それらを助けようと世話をした人々が結膜炎に罹った。「A Field Guide to Germs by Wayne Biddle・春日倫子訳」p37~42より。

■免疫細胞総動員「“インフルエンザにかかると免疫細胞が総動員されます。病状の経過を見れば、免疫の仕組みが良く分かるでしょう”国際免疫学会連合会長の多田富雄・東京大名誉教授はこういう。会社員Aさんの例を見よう。冬の朝、満員電車の中で、隣の男性が何度も激しいせきをしていた。Aさんは顔をそむけたが、ウイルスを吸い込んでしまう。2日後、鼻水やクシャミが出始めた時、100万を超えるウイルスが、Aさんの鼻やのどの粘膜細胞で悪さをしていた。感染した粘膜細胞の表情は、通常時とは少し違ってくる。そんな変化に[NK細胞]がいち早く気付き、ウイルスの潜む粘膜細胞を殺していく。もちろん、ウイルスの方もどんどん細胞を破壊する。これらの細胞の死骸は、アメーバに似た[マクロファージ](白血球の1種)が食べて掃除する。4日目、帰宅したAさんの体温は37℃。死骸を食べたマクロファージが、「ウイルスの味がするぞ」と叫び始めたのだ。叫び声を聞いた[キラーT細胞]は、マクロファージから教わったウイルスの特徴を手がかりに、」感染細胞を探しては殺す。キラーT細胞も大声を出して仲間を増やすので、Aさんの熱は38℃を超え、せきも激しくなる。高熱は免疫の効率を上げるためだが、Aさんは堪らず会社を休んでしまった。最初の朝から6日目のことである。この一連の反応を『細胞性免疫』といい、ウイルス感染の際に働くことが多い。同じ頃、Aさんの体の中では、別の反応も進んでいた。マクロファージの叫び声を、[ヘルパーT細胞]が聞きつけたのだ。この細胞は免疫の司令官。キラーT細胞を元気づけるとともに、[B細胞]も指揮することができる。「ウイルスをたたけ」と命令されたB細胞は、抗体というミサイルを発射する。抗体に取り付かれたウイルスは、感染力が弱まっていく。抗体が体液の中を流れるため、この反応を『液性免疫』という。細胞性免疫と液性免疫の両方が働いたおかげで、ウイルスは体内からいなくなった。7日目の朝、気分良く目覚めたAさんは、“休んだ日に病院でもらった薬が効いた”と考えた。しかし、多田さんは言う。“治ったのは、医師や薬のおかげではありません。あなた自身の免疫力に感謝するべきでしょう”」1997.10.19 《朝日新聞》
■高齢者には怖い病気「インフルエンザが猛威を振るっている。宮城県の老人施設では、集団感染で7人が肺炎を起こすなどして亡くなった。健康な人なら、罹っても1週間ほどで元気になるが、体力のない高齢者では命に関わる怖い病気だ。昨シーズンは約7000人もの高齢者らが死亡したというデータがある。 世の中に「風邪薬」と名の付くものは多い。しかし、原因となるウイルスを叩くことは出来ず、インフルエンザに効果はない。 予防にはワクチンが有効で、米国の高齢者は7割が予防接種を受けるなど、欧米では普及している。しかし、日本では接種率が0.5%に過ぎず、先進国の 中でも際だてインフルエンザの流行に無防備だ。 そうした状況の中で、初のインフルエンザ治療薬『アマンタジン(商品名シンメトレル)』が昨年22月に承認され、使えるようになった。厚生省がメーカーに承認申請を促し、国内の臨床試験なしでスピード承認する異例だった。厚生省の強い危機感の表れと言える。この薬はこれまで、日本では脳神経の障害で手足の動きが思うようにならないなどの症状が出るパーキンソン病に使われてきた。それが何故インフルエンザに効くのだろうか? もともとは59年に米国で抗ウイルス剤として開発された。インフルエンザウイルスは、体内の細胞に取り付くと、殻が破れ、遺伝子が飛び出し増殖する。この薬は、殻が破れるのを妨げ、ウイルス増殖を防ぐ。 インフルエンザに罹ったパーキンソン病の患者が、たまたまこの薬を飲んでパーキンソン病の症状も改善されたため、パーキンソン病に治療薬としても承認された経緯があるからだ。

●感染後使用は要注意「川崎市の日本鋼管病院の菅谷憲夫・小児科長によると、この薬をあらかじめ飲んでおくと、インフルエンザ発病を予防する効果が75%ほどある。米国では、流行期に1、2ヶ月、毎日予防内服するよう推奨。老人ホームなどで感染者が出たら、全員が飲むよう勧告している。感染後もすぐに服用すれば、症状が軽くなり、発熱などの期間が1~2日短くなるという。だが、感染後に使用すると、薬に耐性を持つウイルスが3割程度に現れ、薬が効かなくなる。若い人と高齢者が同居している場合、若い人が先に感染して薬を服用、耐性ウイルスが現れたら、高齢者は治療できなくなり、危険にさらされる。 菅谷科長は「ふだん健康な人が、仕事や受験の都合でこの薬を使うことは勧められない。高齢者や、心臓病、気管支喘息、重い糖尿病などの患者に使えば、死亡や重症化を避けることが期待出来る」と話す。 ただ、「安易にこの薬を出す医療機関も多いのではないか」と懸念する専門家もいる。メーカーのノバルティスファーマによると、小児に対する安全性は確立していない。 現在、別の治療薬の開発も急ピッチで進んでいる。その1つは吸入薬の『ザナミビル』。やはりウイルス増殖を抑えるが、耐性の問題はないとされる。A、B2つのタイプがあるウイルスのうち、アマンタジンがA型だけに有効なのに対し、こちらは両方に効く。今年中に承認申請される見通しだ。 インフルエンザ対策の基本は予防接種で、アマンタジンなどはそれを補完する薬。菅谷科長は、高齢者や心臓病などの人には、まずワクチン接種を行い、効果が現れるまでの10日間ほどをアマンタジンでしのぐといった使い方を提唱している。」

■解熱剤使わず安静に 「インフルエンザウイルスは閉鎖した空間でくしゃみや咳で飛び散った飛沫の中のウイルスで空気感染する。ウイルスは冷たい場所でよく増え、公園では増殖できなくなる。真冬に流行するのはこのためだ。流行時には寒い所に長居しないことだ。 電車や教室内でマスクをすることは、空中に飛散したウイルスを含む粒子が鼻や口に直接入るのを妨げ、ノドを冷やさないように出来るので、意味があるかもしれない。葛湯を飲むと良いと言うのは、ノドや体を暖めるからだろう。 治療には解熱剤を使わない方がよい。頭痛がひどくて眠れない場合にだけアセトアモノフェンを少量使う程度にして、解熱剤を使わず安静にしている方が早く治る。解熱剤を使用して無理をするとこじらせる元になる。日本ではインフルエンザワクチンは効果がないとして学童への集団摂取が中止された。有効と主張する意見もあるが、私が分析したところ有効性を裏付けるデータはなかった。 最近導入されたアマンタジンとA型インフルエンザの薬は30~40%のヒトが罹る大流行で4、5人に使って1人を治療したり予防出来る。A型インフルエンザが流行しているなら良いが、昨シーズンのように大流行していないと恩恵を受けるのは、20~30人に1人程度。とても100%の治療や予防効果が期待できる特効薬ではない。」(浜六郎)1999.12.13《日本経済新聞》


■増殖の仕組み 「東京大学医科学研究所の河岡義祐教授と広島大学の藤井豊助手らは、人間の体内でインフルエンザウイルスが増殖する仕組みを解明した。インフルエンザには決定的な治療薬がないが、今回の成果を手がかりに効果の高い治療薬やワクチンを開発できる可能性がある。成果は米科学アカデミー紀要に発表。 研究グループは人間の培養細胞にウイルスの遺伝子であるRNA(リボ核酸)を送り込み、ウイルスがどれだけ出来るかを調べた。全部で8本あるRNAが一塊りになって細胞膜に包まれ、新たなウイルスになることがわかった。RNAを1本でも減らすと増殖する量が極端に少なくなった。 8本のRNAが細胞膜に取り込まれるには、各RNAのうち、タンパク質を作る情報を持つ特定部位が欠かせないことも確認。」2003.1.28《日本経済新聞》

■ワクチンで副作用 「1998年~2003年4月にかけてインフルエンザワクチン接種を受けた9人が肝機能障害を発症し、うち2人が死亡していたことが分かり、2003年8/28、厚生労働省は医薬品・医療用具等安全情報を出して、医療機関に注意を呼びかけた。死亡したのは70代と80代の男性。 さらに、喘息発作の副作用も11例報告された。 また、インフルエンザ治療薬「リン酸オセルタミビル(タミフル)」では2001年以降に、急性腎不全や白血球減少などの副作用が報告されている。」2003.8.29《日本経済新聞》 「2002年度にインフルエンザワクチン接種による副作用で1歳女児が死亡していたことが判明。主治医の報告では死因は急性脳症」2003.1.7《日本経済新聞》


■沖縄の樹木から 「根路銘国昭・国立感染症研研究所元室長は、沖縄本島北部の名護市周辺(山原やんばる)で「生物資源研究所」の所長として、地元に自生する約2000種類の植物を採集。これらのおがぐずなどの成分にインフルエンザウイルスを死滅させる効果がある事を突き止めた。

【芳香療法】(インフルエンザ)

<1>初期:

①ティートリー「1~3滴をバスタブに入れて熱い沐浴をすると、発汗させて治療」

②ユーカリラベンダー:沐浴及び精油バーナーで蒸散噴霧。


<2>回復期:①ベルガモット①ローズマリー

【色彩療法】<1>緑色<2>青色<3>赤紫色<4>紫色
【民間療法】緑茶

【漢方薬】(インフルエンザ)

■葛根湯

■桂枝加葛根湯    

■桂枝湯

■柴胡桂枝乾姜湯

■柴胡桂枝湯

■小柴胡湯

■小青竜湯

■参蘇飲

■清上防風湯

■川芎茶調散

■大柴胡湯

■調胃承気湯

■当帰四逆加呉茱萸生姜湯

■白虎加人参湯

■防風通聖散

■麻黄細辛附子湯

■麻黄湯

■麻杏薏甘湯

 

胃アトニー gastroatonia

=胃アトニー症 gastric atony⇒atonyは、筋の緊張が消失又は衰弱した状態。 ⇒胃アトニーは胃無力症のことで、胃の壁の筋肉がゆるんで無力化し、胃の運動や消化作用が弱まった状態のことで、食事をすると胃がふくれて膨満感と圧重感を覚えます。一般に空腹時には苦痛がほとんど無いのが特徴で、食欲不振の原因になります。

【食事の要点】(胃アトニー)

*イチジク*胡椒*そら豆(胃の筋肉を強める)*パセリ*ハチミツ*麩*ヤマイモすり下ろして食べる。(消化酵素アミラーゼ4~5%含有)

【民間療法】(胃アトニー)

○アカマツ・アキグミ・アロエ・イカリソウ・イワタバコ・ウツボグサ・エビスグサ・オオジシバリ・オウレン・オオバコ・オケラ・カワラケツメイ・キササゲ・キハダ・キンカン・鶏卵・ゲッケイジュ・ゲンノショウコ・玄米・サフラン・サンショウ・スイカズラ・スッポン・センブリ・タカサブロウ・タンポポ・チョウセンニンジン・ツリガネニンジン・ニラ・ニンニク・ノアザミ・ハコベ・ビワ・フキ・ヘチマ・マタタビ・ミカン・ヨモギ・リンドウ。○ハブソウゲンノショウコ

【漢方薬】(胃アトニー)

■安中散

■茵蔯五苓散

■甘草瀉心湯

■甘草粉蜜湯

■甘麦大棗湯

■桂枝加芍薬蜀椒人参湯 *この処方は小建中湯大建中湯-膠飴である。胃腸のアトニーがあって、便秘し、大黄などの入った下剤を用いると、腹痛を訴えて、気分が悪い者に、本方を用いると、大便が快通する。(漢方診療医典)

■桂枝加芍薬大黄湯 *胃アトニーばかりでなく、腸もまたアトニー状となって、便秘し、下腹部の膨満を訴えるものに、本方が良い。大黄の量は0.3~1.0くらいまでの少量がよい(漢方診療医典)

■呉茱萸湯

■五苓散

■四君子湯

■生姜瀉心湯

■小建中湯

■小半夏加茯苓湯

■真武湯 *腹部が軟弱無力で、脈も沈弱、沈遅弱などで、血色がすぐれず、手足は冷え、下痢気味のものによい(漢方診療医典)

■旋覆代赭湯

■大建中湯

■大黄甘草湯

■通脉四逆加猪胆汁湯

■当帰芍薬散

■人参湯

■半夏厚朴湯

■半夏白朮天麻湯 *六君子湯の証に似ていて、頭痛、めまいを訴え、足冷を訴えるものによい(漢方診療医典)☆茯苓飲 *腹にも脈にも比較的力があって、胃の膨満感、停滞感があって振水音もあり、噫気が出たり、胃液が口に上がってきたりする者に用いる。胸やけや噫気の多いものには呉茱萸2.0、牡蛎3.0を加えるとよい(漢方診療医典)

■茯苓沢瀉湯

■附子人参湯

■平胃散 *軽症の胃アトニー症で、心下痞、腹部膨満感のある者には、平胃散を用いる。また胃に刺激を与えて、機能の亢進をはかる目的で、香砂平胃散を用いることもある(漢方診療医典)

■補中益気湯

■六君子湯 *病状が一段と進み、血色が悪く、気力が衰え、脈にも、腹にも力がなく、食後にねむけを催し、体がだるく、頭重、めまいなどを訴える者には、六君子湯を用いる。もしみずおちのつかえがひどく、気分が沈みがちであれば、香砂六君子湯とする(漢方診療医典)

■苓桂朮甘湯 *半夏白朮天麻湯証よりも、実証で、腹にも脈にも力があり、心下部が膨満し、めまい、動悸を訴え、尿利の減少のある者によい。腹診によって、振水音を証明し、臍部で動悸の亢進を触れるものが多い(漢方診療医典)

 

 

 

胃がもたれる =「胃もたれ」= 胃の動きの悪化ではなく、(動いてない感じ) 胃が重い 胃液・・・2㍑/日出ている。

◎症状:
・お腹が張る・息がくさい ・食欲不振

■胃もたれと胸やけ 「あなたの胃の不快症状は胃もたれ?それとも胸やけ?胃もたれは文字通り胃部が重苦しいとき、胸やけは胸がムカムカする感じ。そのとき、実際に胃の中では何が起きているのか? ●学生10人がギョウザにトライ 最高記録は1人94個、ギョウザをお腹一杯食べた翌朝。胸やけがした人は2人、胃もたれを感じた人は4人。胃液に反応して黒く染色する試薬をつけ、それぞれの胃の中を内視鏡で見ると、 胸やけした人は胃液が食道まであふれてきている。胃液の強い酸性のために食道の壁が荒れてヒリヒリ痛む状態が、胸やけの正体。ちなみに胃液の酸性度は1~1.4pH。あの酸っぱい梅干しの酸性度が3。単位が1下がると、酸性の強さは10倍になるから、胃液の酸性度は梅干しのざっと100倍ということになる。 一方、胃もたれを感じた人は変色部分が少なく、胃液があまり分泌されていないことが分かる。胃の動きも鈍く、消化が襲いので、食べ物がいつまでも胃にとどまる。これが胃もたれの原因。」(NHKためしてガッテン参照)

■胃液の分泌量はどうして変わる? 「胃は平常時の酸性度を保とうとする。酸性度が下がると、胃は入ってくる雑菌などに備えて早く酸性度を戻さなければならない。そのため、盛んに胃液が分泌される。実験から、酸性度が下がる条件がいくつかあることが分かった。 まず、運動時は胃液の分泌が抑えられる。牛乳や食事、おやつ、タバコも酸性度を弱めることが分かった。夕食準備中には食欲が刺激されただけで胃液が分泌された。又、熱い湯に入ると胃液の分泌は抑えられる。就寝中の分泌はやや抑えられる。胃も休んでいるのだ。以上のことから、食後すぐに熱い風呂に入ると、胃液の分泌が抑えられ、消化に良くないと言える。食後すぐ寝るのも、酸性度が元に戻らないので、消化不良や胃もたれを起こしやすい。ただし、食後横になるのは、胃がリラックスするので良い」(NHKためしてガッテン参照)

■胃腸に優しい夜食のとり方は? 「夜食を食べると翌朝、胃がもたれた感じがするのはなぜ? 夜食をとった場合ととらない場合では、胃の働きに意外な違いがあった。  

●就寝中に胃は掃除される。 夜食を摂ってすぐに寝た場合、就寝中でも胃は盛んに働き、日中に普通に食べた時と同じスピードで消化された食べ物が胃から出ていく。もたれ感は睡眠中に胃の働きが弱まって、消化し切れなかった食物が残るために起きるのではないらしい。 夜食を摂らず空腹状態で寝た場合、就寝中、胃は中に何もないのに強い収縮運動を始めたあ。この空腹時に起きる胃の収縮運動は、胃に残った食べ物のカスや余分な胃液を掃除するために行われる。収縮は夕食から7時間後に第1回目が始まり、以後、間隔を置いて計3回、1回約10分続いた。就寝前に夜食を摂り、夜食から7時間後には起床して朝食を食べた場合。掃除することが出来ない。胃の中に残った食べ物のカスや胃液がもたれ感の原因となる。そこで、胃にやさしい夜食の食べ方は、起床の7~8時間以上前に消化の良いものを食べることだ」(NHKためしてガッテン)

【漢方薬】(胃もたれ)

■帰脾湯

■茯苓飲

■附子人参湯

 

 

陰虚(いんきょ)   

<1>陰虚の症状:

毎日午後になると悪寒があって発熱し          

日暮れに微寒、          

治りかけるときに必ず脈が弱くなる。   

◎主薬:

陰を補うには、当帰・熟地を主薬とすべし《万病回春》  

【漢方薬】(いんきょ)    

■加減四物湯(陰虚・労損)    

■加減補陰丸(陰虚を治し、陰を補い、陽を扶ける)    

■加味補陰丸(陰虚を補い、陰火を降ろす)    

■坎既済丸    

■虚潜丸(陰虚労症)    

■混元丹(虚労・痩せ・痰嗽・鬼疰)    

■済陰丸(陰虚労症)    

■滋陰降火丸(陰虚の症を治す)    

■滋陰降火湯(皮膚浅黒い、痰<痰稠>、乾咳、乾性ラ音、発熱無汗、便秘、陰虚火動)    

■四君子湯(気虚、顔面蒼白、食欲不振、言葉に力がない、胃腸虚弱、腹部軟弱、下痢腹鳴、四肢倦怠)    

■四物湯(貧血、皮膚枯燥、動悸<臍上>、神経症状、腹部軟弱、脈沈弱)    

■瀉陽補陰湯(過度の酒色による真陰の妄泄、陰虚火動)  

■潤腸湯(虚証、便秘<常習性>口乾<夜中>、腸内燥熱、皮膚枯燥、体液枯燥、老人の便秘)    

■清滋坎湯    

■大造丸(六脈の虚・微、血気の衰弱)    

■大補陰丸(陰火を降ろし、腎水を壮健にする)    

■太上混元丹(五臓の労損)    

■二宜丸(陰虚)    

■入門大造丸(気血の虚弱、陽茎がしなびる、顔色が黄色い、大病後に声が出ない)    

■補陰丸(陰虚・寝汗・遺精・夢泄・咯血・唾血・羸痩)  

■補陰散(陰虚・火動の症を治す)    

■補陰瀉火湯(陰虚・火動)    

■補天丸(陰虚の保健薬)

■補天大造丸(陽気を壮健にし、腎水を増やす)    

■補中益気湯    

■六味丸

 

院内感染   

■レジオネラ菌   「レジオネラ菌による感染症は、76年、米国フィラデルフィアのホテルで在郷軍人大会の出席者が集団発症し、30人以上の死者が出たことが最初の報告例。 レジオネラ菌は土の中でアメーバなどに寄生しており、たまり水などに飛び込むと繁殖する。ビルなどの室内では空調用冷却水や給湯器の湯、加湿器、循環式の浴槽などで検出され、温泉でも繁殖しているとの報告がある。36℃前後で良く繁殖する為、空調冷却水がこの温度になる5月~9月にかけて特に注意が必要と言われる。微少な水滴と一緒に肺に吸い込むと感染するが、水を飲んで感染することはない。感染すると、発熱・呼吸困難・腹痛・吐き気・下痢などの症状に加え、肺炎を起こす。薮内英子・大阪市立大医学部研究員によると、特に新生児が感染しやすいということはなく、糖尿病・ガン・肝硬変などの患者が罹りやすいとの報告があると言う。米国の研究では、死亡率は約20%とされるが、早期にマクロライド系の抗生物質を投与すれば大事に至らない。1996.7.10《日本経済新聞》」

■新型アデノウイルス--------乳幼児に肺炎「結膜炎や喉頭炎などを起こすアデノウイルスの新型による院内感染で、3人の 乳幼児が相次いで死亡していたことが4日までに厚生省に入った連絡で分かった。従来の型より肺炎など重い症状になりやすく、特に心臓や呼吸器に疾患がある幼児が感染すると、もとの病気を悪化させて危険な状態に陥る恐れがある。  死亡したのは生後6ヶ月~2歳までの3人の乳幼児。いずれも心疾患や気管支異常で千葉県内の同じ公立病院に入院していたが、今年2月から3月にかけて肺炎を起こして死亡した。 調査の結果、国内では珍しい七型のアデノウイルスに感染した患者がこの公立病院に入院していて、院内で3人の乳幼児が感染した可能性が極めて高いことが分かった。アデノウイルスは国内では三型が最も多く、プールで感染しても結膜炎やのどの腫れ、発熱などを起こす「プール熱」の原因ウイルスとして知られる。一方、今回の七型は海外では多いが、つい最近までは国内での報告例がほとんどなかった。1996.4.5《日本経済新聞》」 

■MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)    「昨年2月、長野オリンピックに観戦に来ていた男性(48)が腹痛を訴え、長野県内の病院に運ばれた。緒言うの血管が詰まる『腸間膜動脈塞栓症』と診断され手術後、東京の聖路加国際病院に転院したが、高熱が続いていた。「熱の原因が分からない」と外科から相談を受けた同病院感染症科医長の古川恵一医師は、栄養補給のため患者の胸の静脈に入っているカテーテル(管)に目を留めた。「カテーテル感染かも知れない」 細菌がカテーテルの先端で増え、患者の血液に入って全身に広がり、敗血症などの中毒症状を起こすのがカテーテル感染だ。担当の医師は、すぐカテーテルを抜き、その先端部と患者の血液を検査したところ、MRSAが検出された。 専門医と素早く連携 「医療現場で抗生物質が乱用された結果、MRSAのように治療薬が効かない「耐性」を持った細菌が広がっている。命を落とさないためには、感染症に詳しい専門医の知識が必要だ。 古川医師は、MRSAの治療薬とされるバンコマイシンを投与したが、血液から菌が消えなかった。一時は、敗血症を起こして意識不明となり、集中治療室に。3種類の抗生物質を組み合わせた治療で回復し、4月に退院できた。 感染症に幅広く対応する新薬は、何にでも効く反面、耐性菌を生みやすい。原因菌を早く突き止め、その菌に絞った役を選べば、治療効果も上がり、耐性菌の出現も防げる。同病院は、どの科の患者も血液培養検査で菌が検出されれば、感染症科に連絡がいき、古川医師が治療に参加する仕組みになっている。 院内感染は、医療従事者を介して広がることが多い。欧米では院内全体の感染に目を光らせ、予防策を練るのは、感染症対策ナースという専門の看護婦の仕事だ。古川医師とともに働く感染管理婦長の柴田清さんは、アメリカでこの研修を受けた。「感染管理には病院のシステム全体を見直さなくては」と柴田さん。感染対策の基本は、手洗いだが、外来や病室に洗面台がない病院が多い。同病院では液体石鹸とペーパータオルを置いた洗面台が全病室とナースステーションにある。 柴田さんらの調査で、カテーテル感染は、医師が手術用のガウンなどを身につけ、患者の体を大きな無菌の布で覆って挿入すれば、感染率を下げられると分かった。このため医師に挿入手法の見直しを提言した。 血液や汚物がついた医療器具を病棟で持ち歩くのは、耐性菌を広げる危険もある。同病院では使った医療器具はすべて密閉式ワゴンで中央材料室に運び、一括して滅菌している。 一部の隔離では不十分「日本は感染症に対し、あまりに無防備」とアメリカの感染症対策を知る古川医師や柴田さんの目には映る。専門医が少なく、各診療科の壁が高いので、統一した対策がとれない。 現在、院内感染対策として、各病室に消毒液を置き、月に1度対策委員会を開くと、診療報酬加算が認められる。そのため、消毒液を置き、患者を粘着マットを置いた部屋に集めて、感染対策とする病院が多い。 しかし、同病院は病室に消毒液を置かなかった。石鹸を使った手洗いで十分効果があるからだが、消毒液でないと加算は認められない。粘着マットも効果がないことを調査で調べた上で、使っていない。 「転院患者を調べると、病院側が気づかなくても、MRSAが検出されることが多い。一部の人の隔離という考えでは太刀打ち出来ず、患者ケアの質を守るために、対策を見直すべき」と際端さんは警告している。

■手洗いより感染防げる? 「多くの病院がもらっている国の院内感染対策費を、最も対策が進んだ病院がもらえない。そんな奇妙なことが起こっている。 東京都中央区の聖路加国際病院(520床)は原則個室で洗面台があり、紙タオルと液体石鹸が常備されている。医師らは患者に触れる前後、必ず手を洗う。 同病院には、全国でも珍しい院内感染対策の専門ナースである柴田清・感染管理婦長がいる。吉川恵一・内科医長(感染症)は約4年前まで米穀ベス・イスラエル病院の感染症専門医だった。「院内感染は主に医療従事者を介して怒ります。防ぐには確実な手洗いがベスト」と2人。感染予防の総本山、米疾病対策センター(CDC)のガイドラインや1991年に厚生省健康政策局指導課長が出した通達も「石鹸と流水による手洗い」を強調している。 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の横行で、国としても院内感染対策が急務になった。厚生省は関係学会の要望を受けて96年4月、病院に対策を求める代わり、入院患者1人1日5点(\50)の保険加算を実施したが、聖路加国際病院は97年夏、都から「国の基準違反」として加算金全額を返還させられた。 対策の基準とは、「感染対策委員会の設置」などの他、「各病室の入り口にMRSAに効く速乾性消毒薬を設置する」この消毒薬はアルコール溶液で、手にすり込んで使うタイプ。病院の手洗いの設備が不十分なための策で、柴田さんらは、手洗いで出来るなら条件を満たすと考えていた。しかし、国が求めたのは「消毒薬」だった。 多くの病院は競って消毒薬を置いた。加算金は年に200億円(厚生省保険局医療課)にもなる。が、聖路加国際病院は「層毒薬は、壁や老化を変色させ、美観を損ね、目に入ったり、火災につながったり安全上も問題がある。手荒れも少なくない」と設置せず、年800万円もの収入源をあきらめた。 消毒薬は、医療関係者が患者に接するたびに、見舞客も入室前に、手や指の消毒に使う建前になっている。しかし、活用されているかどうか、効果の有無などは問われない。「予防対策の保険点数がついたこと自体が画期的なことだし、手の消毒をした方がいいのは確か」と、推進した学会幹部の医師の説明もあまりはっきりしなかっった。」1999.11.14《朝日新聞》

■点滴の栓 「病院では点滴台を引っ張って歩いている患者をよく見かける。栄養剤や薬を直接、血管に送り込む点滴は効率がよい。しかし、怖いのは細菌感染だ。点滴バックの中身はすべて無菌になっている。 「ところが、多くの病院で普通に使っている器材で細菌混入の危険性があります。」と静岡県の県西部浜松医療センターの矢野邦夫・感染症科長は警告する。 点滴の管の途中には、たいてい何個かの三方活栓がついている。点滴の「本管」と「支管」をつなぐ分岐点の栓である。 肩の静脈から栄養剤を入れたり、腕の静脈から抗ガン剤や抗生物質を入れたりする場合、点滴の管の中は1日中、あるいはかなり長時間つながれている。この管を使って、別の薬を短時間だけ入れるときに、三方活栓のうち、普通は閉めてある「支管」の栓を開けて薬を入れる。 その時に菌が入る。「栓の周囲にくっついている菌、空中の菌、手や器具からの菌などです」と矢野さん。 米国では1970年代から問題になり、最初は針を刺すタイプ、次は針を使わないタイプの閉鎖注入システムが普及し、三方活栓はほとんど使われなくなった。米疾病対策疾病センター(CDC)は96年の「血管内器具の感染予防ガイドライン」で、sんぽう活栓内の液を培養すると、45~50%細菌が出る、と公表している。 浜松医療センターは昨年11月から三方活栓を止め、米国で主流の閉鎖注入システムを導入した。ピタッと閉じた圧縮ゴム製の栓の中心に切れ目が入っている。プラスチックの細い管の先をグッと押し込むと開き、抜くと菌も通さない。約200回は使えるという。 矢野さんが専門誌の先月号に発表した論文によると、菌が確認できた敗血症は昨年1月~5月までで26件あったのが、採用後の今年1月~5月は13件と半減した。カナダのトロント小児病院は95年、このシステムの採用により、骨髄移植での敗血症発生率が11%から4%に減った、と報告している。 日本では国立小児病院など数十病院が集中治療施設(ICU)や一部病棟で採用している。病院全体で切り替えたのは97年夏に東京の榊原記念病院が初めてで、浜松医療センターが2番目だった。 「日本の感染対策は米国に比べ30年は遅れています」と矢野さんは指摘する。1999.11.21《朝日新聞》 ■強い抗生物質、使用慎重に 「60歳代の腎臓病患者から、他の抗生物質が効かない緑膿菌を検出しました。『メロペネム』を使いたいのですが?」「患者はどんな状態ですか?」 大阪府堺市の市立病院。内科医長の藤本卓司さん(41)は昨年夏、同僚の内科医から、強い抗生物質の使用許可を求められた。この患者は腹膜炎を起こし、別の抗生物質を使ったが、効果なし。藤本さんはOKを出した結果、患者は回復した。 藤本さんは月の数回、こんなやりとりをする。 緑膿菌やMRSAなど、多くの抗生物質が効かない耐性菌は、院内感染の原因になる。藤本さんは院内の感染制御チーム(ICT)の一員として、耐性菌を生む「抗生物質の乱用」を防ぐための監視役だ。 堺病院では耐性菌に効くメロペネムやMRSA除菌用の『ムピロシン軟膏』など4種類の抗生物質を「連絡薬剤」として、使用をする際は藤本さんに相談しなければならない。いずらも広範囲の菌に効いたり、代役の無い切り札的な薬だが、使いすぎると耐性菌を生みだしやすい。 強い抗生物質が頻繁に使われた結果、耐性の無い菌が死滅し、耐性菌だけが増殖した。院内感染を防ぐには、耐性菌を生む強い薬を温存する必要がある。それには広範囲用の薬ではなく、患者ごとに菌を特定し、効く範囲の狭い薬を使うべきだ。 「しかし、抗生物質や細菌検査に疎い臨床医は少なくない」と藤本さんは、冊子を作って配布して院内で検出される菌の傾向や病気別に適した抗生物質を解説。「グラム染色」という最近の鑑別法も医師自ら行うことを勧めている・ グラム染色は、献体に色素液を塗って顕微鏡で見ると、色や形などから菌の種類が推定できる検査。10分ほどで適切な抗生物質を選ぶことができる。 ICTの定例会では薬剤師が、毎月の注射用抗生物質の使用量を種類。病棟別に報告、点検する。80年代に普及した第3世代セフェム系と呼ばれている強い薬の使用量が急増した病棟があると、使い方が適切か、医師に説明を求めることもある。 ICTの活動で、堺病院は、第3世代セフェム系の使用量が93年当時の約6割まど減る一方、効く範囲が狭くてあまり使われていなかったペニシリン系などの古い薬の使用量が10倍近くに増えた。 「本来、薬の処方は主治医の裁量だが、連絡薬剤の導入などで、抗生物質を慎重に使う意識が浸透しつつある」と藤本さん。 ■セラチア菌 「大阪府堺市協和町の特定医療法人同仁会の「耳原総合病院」で今年5月から7月にかけて、腸内細菌の一種、セラチア菌に入院患者計15人が感染し、このうち60~90歳代の入院患者計7人が死亡していたと3日午前、同病院が発表した。」 ■プチダ菌 「愛知県豊橋市の市立豊橋市民病院で、入院患者5人が6月中旬、プチダ菌などの院内感染し、女性1人が敗血症で死亡していた。 滅菌処理していない使用済み注射器を再使用していたため。 プチダ菌は、流し台や排水口などの湿った場所に生存する。病原性は弱く、健康な人が感染しても影響がないが、重い疾患や免疫力の低下している人は発熱や尿路感染症をまれに起こす。」 ■手が問題 「院内感染で大切なのは足下より手元の除菌だった。午前9時過ぎ、静岡県西部浜松医療センターのナースセンターでは、職員がぞうきんと洗剤を手にとってカルテを収めた1000冊あまりのファイルを一斉に拭き始める。病室では看護師がドアノブなどを丁寧に拭いて回る。 「病院内の掃除はまず床というのが常識だが、それでは院内感染は防げない」、感染経路は手についた菌が傷口や医療器具から体内に入るケースが大半。「手で触れるところを調べて除菌を徹底すべきだ」 院内感染対策を徹底している病院は日本ではまだ一握り。ネックになっているのが専門家不足。日本感染症学会など関連学会が認定する院内感染対策の専門医は3658人に達するが、通常業務と兼任がほとんど。日本看護協会が認定する感染管理認定看護師は100人あまりで、9000強の病院数に及ばない。米国では250床に1人の専任看護師が配置されている。 患者自身が“良い病院”を見分けるには、 ①病室入り口の消毒液がきちんと使われているかどうか ②外科医に手術後の院内感染率を聞くことが可能かどうか ③抗生物質の使用に制限を設けているかどうかをチェックする。2003.6.2《日本経済新聞》

 

陰嚢水腫(いんのうすいしゅ)(→フィラリア病)

■大きさ変化 「1歳の男児。フロにはいるときに、右の陰嚢がピンポン球くらいに腫れているのに、母親が気づいた。おさえると少し硬い。痛みがないのでそのままにしておいたところ、翌朝には腫れはすっかり良くなっていた。 3日後、再び同じような腫れが見られた。病院で陰嚢に水が溜まっていると言われた。 陰嚢水腫と呼ぶ病気だった。胎児期には下腹部にある鼠径部と呼ばれるところに、男児では陰嚢まで、女児では外陰部まで腹膜の袋が存在し、おなかと交通している。妊娠後期にこの袋は自然に閉鎖されるが、閉じずに残るとおなかの中の臓器がこの中に放出する。小腸が脱出する場合を[外鼠径ヘルニア]、腹水が溜まる場合を[陰嚢水腫]という。外鼠径ヘルニアと陰嚢水腫は脱出するものの違いだけで原因は同じである。 水腫はヘルニアよりやや硬めに触れる。超音波検査で水が溜まっていることを確認する。水腫とお腹が交通している場合は[交通性陰嚢水腫」と呼び、押さえると小さくなったり、大きさがしばしば変化する。ヘルニアを合併する場合もある。お腹と交通が無く、末端の腹膜の袋に水が溜まる場合は[非交通性陰嚢水腫]と呼び、大きさの変化はない。 交通性陰嚢水腫は手術が必要。(和佐勝史・大阪大学大学院医学系研究科助教授)  

【漢方薬】 (いんのうすいしゅ) 

■越婢加朮湯    

■橘核散  

■五苓散    

■三白散    

■蝉退散(地べたに座って急に陰嚢が痛くなる)    

■天台烏薬散    

■土瓜根散    

■半夏厚朴湯    

■防已黄蓍湯(上半身、足がむくむ)  

【臨床例】☆《井觀醫言》より 「かって余《尾台榕堂》は一老人の陰嚢水腫に針を刺して治療した。すると、陰嚢から出たものは、あたかもウドンのような筋で、椀に一杯ほども出た。 その色は灰白色で、その質は粘滑で光っており、半透明で、あたかも蓴菜(ジュンサイ)の如きものであった。針刺してから後は全く平復して何等のこともなかった。 かようなことは従前の医書には全く書いてないことである。真に奇事というべきである。」《荒木正胤》          

 

 

【漢方薬】(陰嚢湿疹)    

■荊芥連翹湯

■十味敗毒湯    

■消風散

■竜胆瀉肝湯    

■消風散(口渇、内熱、分泌物多い、かゆみ<極甚>、あせも、ジンマシン、頑固な皮膚病)    

■十味敗毒湯(神経質、胸脇苦満、過敏性体質、化膿・疼痛)■大柴胡湯(実証、筋肉質、胸脇苦満、心下部緊張、便秘)  ■防風通聖散(赤ら顔、便秘、尿濃い、腹部緊満、腹部膨満感、舌苔黄厚膩、舌質紅)    

■竜胆瀉肝湯(実証、皮膚浅黒い、手掌湿潤、くすぐったがり、下焦の疼痛・腫脹、脈緊)

 

ウイルソン病(Wilson病)

=「肝レンズ核変性症」 セルロプラスミンは血清銅を運搬する肝由来の血漿蛋白。Wilson病で低下するほか、急性相反応蛋白として炎症で増加する。 セルロプラスミンは肝で合成される、分子量約13万2,000、α2-グロブリンに属する蛋白である。  血清中で銅の運搬にあずかるほか、貯蔵鉄の動員、活性酵素のスカベンジャー等の機能を有している。この蛋白の遺伝的欠損はWilson病として知られている。Wilson病は、肝硬変、進行性錐体外路症状およびカイザー・フライシャー角膜輪を3主徴とする常染色体劣性遺伝疾患である。発症年齢は4~60歳と幅広い。セルロプラスミンの大部分は肝で分解され、胆管から排泄されるため胆汁うっ帯をきたす疾患で上昇する。

「先天性銅代謝異常症」。この病気は、肝臓や脳に銅が溜まって肝臓障害や神経症状が起きる。遺伝性の病気だが、治療法が確立されている。早く治療を始めれば、発症を防ぎ、学校や職場に戻ることも出来る。   

◎家族的に発病。肝硬変と脳レンズ核の変性をみる。銅代謝異常がある。   

◎日本人は3~4万人に1人が発症し、欧米諸国より発症率が高い。小学校高学年から中学校低学年にかけて、肝臓障害などで発症するケースが多く、[激症肝炎]などを起こした場合は死に至ることもあるという。

◎腎臓障害による血尿、白内障、精神障害を引き起こす例もある。   

◎病状(三大主徴):①大脳基底核の変性 ②肝硬変 ③角膜縁の褐色環。      

<1>錐体外路系の症状:振顫/ 筋強剛/不随運動

<2>精神症状

<3>肝臓(正常~腫大)

<4>黄疸(末期に)

<5>腹水(末期に)   

◎検査:ceruloplasmin低下(20mg/Œ以下)     Kayser-Fleischer環の証明。  

【漢方薬】芍薬甘草湯厚朴

 

機能性胃腸症
(症状)

①もたれ感

②痛みが長期間続く

③どんどんやせてゆく

④常に、おなかのどこから悪いと思い続ける

⑤ストレスでももたれ感が出る

⑥おなか全体が腐っている感覚

川崎医科大学付属病院  エコー検査 画像を見せる(確認)・・・安心感 患者が自分の目でみることが大切 バイオフィードバック療法

 

 

ウェストナイル熱 「西ナイル熱」

■蚊が媒介する 「昨年の夏にニューヨークでウェストナイル熱と呼ばれる脳炎がはやり7人が死亡した。蚊が媒介するウイルスが原因で、人間が感染する前に鳥類がたくさん犠牲になったという。このウイルスは、アフリカやアジアでは知られていたが、米国で発見されたのは初めてだった。 蚊が媒介する病気の代表格は日本脳炎だが、それ以外にマラリア・黄熱病・デング熱・象皮病のフィリラリアなど種類は多い」2000.5.8《日本経済新聞》

 

 

ウェルシュ菌

■食中毒 「アメリカでは一般的な食中毒の原因菌で、とくにウシやニワトリの加工肉に多い。自然界のどこにでもいるこの菌の胞子は、最初に食品を調理するときの高温に耐える場合があり、そうなると食品が冷めるに従って発芽し、適切に冷蔵されないと増殖する。その食品が十分に再加熱されないまま食卓に供されると、生きた菌を食べてしまい、8~16時間後には激しい腹痛と下痢に苦しむことになる。 1933年にオハイオ州とヴァージニア州で大規模な集団中毒が起こった時の汚染コンビーフが原因だった」(参照→「クロストリジウム」)

 

ウェルニッケ・コルサコフ症候群

Wernicke-Korsakoff syndrome  

⇒1881年ウェルニッケが発見。1887年コルサコフが発見。

◎コルサコフ症候群:

<1>病変部はウェルニッケ脳炎と同じ。

<2>多発性神経炎に併発する疾患で、以下の症状を主症状とする精神疾患。        

①記銘力欠損        

②見当識喪失        

③健忘症        

④作話症

<3>この疾患の直接の原因はビタミンB1の欠乏とされている。

<4>その他の誘因:[慢性アルコール中毒][感染症][肝硬変][ガン]

 

ウエルニッケ失語  

⇒感覚失語 Wernicke「言葉によるコミュニケーションがうまく出来ない、ということをうまく生かすとより深いコミュニケーションに到達することが出来る」「ことばの海へ/失語症ケアのはじまりと深まり」遠藤尚志著)

Q:おはようございます。

A:はい

Q:朝起きて何するんですか?

A:今週でしょ。頭も痛かったし

Q:駅は何ていう名前かな?

A:そうね、七時ごろかな      

やりとりがかみ合う気配は一向にない。6月上旬の東京・国分寺の西東京警察病院。男性患者のAさん(54)が質問に懸命に答えながら言語訓練を受けていた。地方公務員のAさんは今年1月末、脳卒中で倒れ、言語を操る左脳に損傷を受けて「失語症」になった。3月から週一度、言語訓練を受けている。失語症とは、言語中枢が損傷されて言語機能が失われ、「話す聞く読む書く」が不自由になる症状をいう。損傷の部位により障害の程度や種類は様々だ。Aさんの場合は冗舌に話せるが理解する能力が著しく低下し、会話が成立しにくい「ウエルニッケ失語」に当たる。幸いのも先月下旬、Aさんは余り言葉を交わさずにすむ仕事に変わり役所に復帰した。 失語症の患者は、言葉を介さない知的作業には何ら支障を来さず、人格も以前と変わらない。ただ、それまで当たり前と考えていた「話す」ことが出来なくなるストレスに加え、周囲の様々な誤解がのしかかってくる。全国失語症友の会連合会(東京・新宿)の橋本一夫理事長(54)は34歳の時、脳卒中で失語症になり、訓練で言葉を取り戻した。橋本理事長は自分の体験に照らしてこう指摘する。「言葉は本当に大切なんです。言葉を失ってしまうと、人間の社会的な価値が8割方失われてしまったような気になるものなのです」。

 

ウルシかぶれ

■「正体」 「あるゴルフ場で働いているアルバイトの男子学生キャディ51人について調べました。その中の多数がハゼやウルシにかぶれた経験を持っていた。 そこでまず、特にひどくかぶれるという13名の高校生に目隠しをして、右手(または左手)にはウルシ(又はハゼ)の葉を、「これはクリの葉だ」と暗示してすりつけてやり、左手(又は右手)には無害なクリの葉を、「これはウルシ(又はハゼ)だ」といって、するつけてやった。 その結果、驚いたことに、その中の9人までが、クリをウルシだと言ってつけた方にだけ皮膚炎が現れ、ウルシをクリだと言ってつけた方には何の変化も見られなかったのである。そればかりでなく、残りの4人の中で2人は両腕に(クリをウルシといってすりつけた方にも)皮膚炎が現れた。 結局、ひどくウルシはハゼにかぶれたことのある13人のうち11人までが、見事に暗示に反応して、実際には有毒なウルシやハゼの葉に触れていないのに、皮膚の病変を起こしたわけである。 さらに第2のテストを行ってみた。 ウルシ(又はハゼ)をすりつぶし、そのエキスをウルシ(又はハゼ)と思われる高校生の腕に、「これはウルシ(又はハゼ)の液だ」と言って塗りつけ、反対の腕には「これはただの水に色を付けたものだ」と暗示して塗りつけた。3日後、ウルシの液だと言って塗った方にだけ皮膚炎が現れ、水だと言って塗った方には、本当はウルシの液が塗られていたにもかかわらず、何の反応も現れなかった。 さらにもう一歩進めて、今度は真っ暗な室内で、黙ってウルシやハゼを腕にくくりつけた場合と、明るいところで本人に反れと分かるようにしてウルシやハゼをくっつけた場合とを比べた。すると、暗示に良く反応する者では、暗室では皮膚炎が起こらず、明るいところでだけ反応が現れた。暗示に関係なく体質的に派生する者では暗室でも皮膚炎が発生することが分かってきた。そこで11日目には、液体の色はそれまでと全く同じだが、ウルシエキスが含まれていないものを、本人には、今までの液体と同じだということにして腕に塗りつけてみた。ところがやはり、この11番目の青い点の下からも、3日目には赤い晴れが現れ、やがて水ぶくれやかさぶたにまで発展してきた。」(池見酉次郎著「心療内科」中公新書)

【民間療法】○アカマツ・イセエビ・イヌザンショウ・かつを節・カニ・キキョウ・キハダ・キランソウ・キンミズヒキ・クリ(栗)・ゲンノショウコ・サンショウ・スイカズラ・スギ(杉)・ドクダミ・ドジョウ・ニラ。・ニワトコ・ハス・ヒヨドリジョウゴ・ミツバチ・ユキノシタ。  

 

【漢方薬】(うるしかぶれ)

■化斑解毒湯《外科正宗》

■三白散《外科正宗》

 

うおの目 heloma

=「魚の目」「鶏眼」

⇒皮膚の表面には、毛や爪をつくっているのと同じ、丈夫なタンパク質(ケラチン)で出来た角質層があります。魚の目は皮膚の一点に繰り返し刺激が加わると、その部分の角質が厚くなって出来ます。    

【民間療法】<1>クサノオウ・ハチ・ユズ。

2>鴉胆子油の塗布  

 

うわごと delirium  

=「譫妄」「譫言」⇒高熱が出たりして、訳の分からないことをしゃべること。

◎漢方医学では「譫語」と「鄭声」がある。

「譫語」=体の衰弱無く、声が大きい、明瞭なうわごと。実証。

「鄭声」=体が衰弱、低くつぶやく、意味不明にうわごと。虚証。  

【漢方薬】(うわごと)     

■茵蔯蒿湯  

■黄連解毒湯    

■柴胡加竜骨牡蛎湯    

■柴胡桂枝湯    

■柴胡連翹湯    

■大承気湯    

■竹茹温胆湯    

■調胃承気湯  

■猪苓湯    

■桃核承気湯    

■白虎加人参湯  

■防風通聖散

 

うそつき

■脳の「側坐核」が活発 2014年、京都大学の阿部修士特定准教授らの研究。 報酬を期待する際に働く「側坐核」という領域の活動が活発な人ほど、嘘をつく割合が高かった。 研究グループは20~30代の学生ら約30人を対象に、2種類の実験で抗活動を測定した。

(第1の実験) 表示される画像に従ってボタンをうまく押せば、お金がもらえる仕組み。報酬への期待が大きい人は、側坐核の渇仰が活発だった。

(第2の実験) コインの表裏を予測。正解するとお金がもらえるが、不正解だと失う。結果を予測してあらかじめ申告しておく場合と、心の中で予測するだけで当たったかどうかは自己申告にゆだねる場合の2条件で試した。申告しない場合の正答率が不自然に高ければ、お金を得るために嘘をついたと見なされる。 この結果、 第1の実験では、側坐核の活動が活発な人ほど、第2の実験で嘘をつく割合が高かった。 第1実験で側坐核が活発だったのに、嘘をつかなかった人は、理性的な判断や行動絵お司る脳の領域「背外側前頭前野」がよく活動していた。

 

欝証 (うつしょう)

=精神的不快、気機欝結の引き起こす病証であり、虚証・実証に分けられる。

【漢方薬】(欝証)

■火欝湯《万病回春》

■加減六欝湯《万病回春》

■加味導痰湯《寿世保元》

■括樓枳殻湯《万病回春》

■解欝腸胃湯《万病回春》

■散欝湯《済世全書》

■逍遙散《医貫》

■升陽散火湯《医学正伝》

■食欝香砂平胃散《万病回春》

■滲湿湯《万病回春》

■当帰活血湯《万病回春》

■二陳湯+枳実

■茯苓滲湿湯《医学正伝》

■分心気飲《万病回春》

■本方六欝湯《医学正伝》

■木香調気散《万病回春》

■六味地黄+柴胡+芍薬《医貫》

 

欝症(うつしょう)

=「鬱症」。漢方の病証名。七情の気が欝滞して起きる病証。 「欝」という症は、つもって集まって散らない症で、当然上がらねばならないのが上がらず、下るべきものが下らず、変化すべきものが変化しない。この為に伝化すべきものがその正常さを失い、六欝の病となる。

【漢方薬】(欝症)

■瓜蒂散(飲食正常、言語動作が緩慢、大便5~7日に1回)《漫遊雑記》

■加味帰脾湯

■加味逍遥散

■加味・麴丸

■瓜蔞枳殻湯(痰欝を治す)

■甘麦大棗湯

■寛中湯

■帰脾湯+地黄

■荊芥連翹湯

■桂枝茯苓丸

■解欝調胃湯(気分が火のなかに詰まって刺痛)

■香砂平胃散(食欝を治す)

■柴胡桂枝乾姜湯

■散欝湯(食欝を治す)

■芍薬甘草附子湯(ケイレン性疼痛、冷痛)

■朱砂安神丸

■順気活血湯(血欝を治す)

■正気天香湯

■生韭飲(血欝と、胃脘に瘀血があって痛む)   

■小建中湯

■升発二陳湯(痰欝を治す)

■清火安神湯驚悸・心神慌乱する者)

■清熱解鬱湯

■千金温胆湯+黄連+酸棗仁《橘窓書影》

■東垣消痞湯(腹皮の裏が微痛、心下痞満し、飲食不思)

■二十四味流気飲(気鬱腫満初めて起こるを治す)

■麴丸(すべての欝を治す)

■麴保和丸(欝を開き気を運行させ、積を消し、熱を散らす)

■半夏厚朴湯

■分気補心湯

■防已地黄湯

■木香調気散(気欝を治す)  

■木香流気飲

■抑肝散+芍薬+羚羊角《橘窓書影》

■抑肝散加陳皮半夏湯(気分が重い、腹部で動悸、頭がふらつく、肩こり)

■苓甘姜味辛夏湯+人参《建珠録》

■六鬱湯(あらゆる欝火を下す)

 

鬱冒 (うつぼう)

=漢方の病証名。気がふさいでめまいして、一過性に人事不省に陥るが、すぐ元に戻るもの。

◎平素病気もしない人が、卒地で死人のようになって、身体を動かすことも出来ず、人の見分けもつかず、目を閉じて開けられず、又、人の見分けはしても、言葉を聞くのを嫌がり、めまいしてする病状。

原因は汗を多く出し、血が少なくなると気が血に合わさるので、陽が流れて上昇して下りず、気が壅塞して運行出来ないので、死んだのと同じようになる。気が去り、血が戻ると陰陽が再び通ずると、しばらくして覚める。血厥とも言う。

 

鬱血性心不全  

⇒ポンプとしての心機能が障害されて、血液循環が機能が不十分となり、体循環・肺循環に鬱血(congestion)をきたす状態。あらゆる心臓疾患の末期症状として現れる。

◎診断:

症状:①安静時・運動時の動悸、息切れ、②呼吸困難、③起坐呼吸 ④静脈怒張、チアノーゼ、⑤肺鬱血、体静脈の鬱血、⑥尿量減少、全身浮腫、腹水。⑦肝腫大、脾腫大、

理学的所見:
*心音第Ⅲ音*ギャロップリズム*肺野の湿性または乾性ラ音
胸部X線像:
*心陰影拡大*上肺野の血管陰影の拡張*間質性浮腫*肺胞性浮腫*胸水

◎New York Heart Associationの診断基準。
[A]左心不全の診断基準:

胸部X線像による左室の急激な拡大。
Ⅲ音または重合奔馬調がある(但し、僧帽弁閉鎖不全が無い場合)
左室造影で拡張した左室が証明され(大動脈弁及び僧帽弁閉鎖不全が無い場合)、心係数が2.7/分/㎡以下である。
僧帽弁および大動脈弁閉鎖不全、左室の著明な肥大がないときに、(a)安静時の左室拡張終期圧が10mmHg以上、左房または肺動脈楔入圧の平均が12mmHg以上で心係数が2.7/分/㎡以下である。(b)背臥位での中等度の運動時の左室拡張終期圧が14mmHg以上で、運動に伴う1回拍出量の増加がないか、または酸素消費量100‹の増加に対して800‹以上の心拍出量の増加が得られない。(c)左室の拡大があるときに肺鬱血や肺水腫が見られる。
大動脈弁狭窄または閉鎖不全がある時、胸部X線像で急激な左室の大きさに変化を生じた時。
僧帽弁狭窄または閉鎖不全があるとき、左室拡張期圧の上昇があること。

[B]右心不全の診断基準:

胸部X線像で急激な右室の拡大がある。
Ⅲ音または重合奔馬調が右室上で聞かれ、呼吸で増強する。
肺動脈または右室で交互脈がみられる。
肺動脈または三尖弁の障害や右室の強い肥大がみられないとき、右室造影上右室が拡大し、心拍出量が2.7/分/㎡以下である。(安静時)
肺動脈弁または三尖弁の障害や右室の強い肥大が見られないき、(a)安静時、右室拡張終期圧(or右房圧)が5mmHg以上で心係数が2.7/分/㎡以下である。(b)背臥位での中等度の運動で右室拡張終期圧が5mmHg以上で、運動に伴う1回拍出量の増加がないか、または酸素消費量100‹の増加に対して心拍出量の増加が800‹に達しない。(c)右室が拡大し、全身に鬱血の所見がみられる。
三尖弁狭窄または閉鎖不全があるとき、右室拡張終期圧が上昇している。肺動脈弁狭窄または閉鎖不全があるとき、右室造影で右室の拡大があるか、右室の大きさに急激な変化がみられるとき。

【漢方薬】(うっ血性心不全)

■九味檳榔湯

■牛車腎気丸

■八味地黄丸

■木防已湯


打ち身   

◎痛みのメカニズム「痛みは神経伝達物質の一種[グルタミン酸]が脊髄にある受容体タンパク質に働いて起きる。グルタミン酸と受容体の仲介役には、サブスタンPなどがある」

【色彩療法】<1>藍色<2>オレンジ色<3>レモン色

【漢方療法】(打ち身)

■雲南白薬

■黄連解毒湯

■葛根湯

■桂枝茯苓丸

■五積散

■三黄瀉心湯

■七里散

■身痛逐瘀湯

■疎経活血湯(下腹部瘀血、しびれ、四肢疼痛<遊走性>、水毒)

■治打撲一方(打撲による腫れ・疼痛)

■通導散■桃核承気湯(実証、のぼせ、足冷、下腹部痛)

■復元活血湯    

【民間療法】<1>イカ。<2>カキ。<3>キク。<4>サンショウ。<5>ソクズ。<6>ツワブキ。<7>ナンテン。<8>ネギ。<9>ノビル。<10>ヤマモモ。<11>ワレモコウ。<12>アオギリ・アセビ・ウメ・ウツボグサ・カタツムリ・カラタチ・キハダ・キランソウ・クサノオウ・クチナシ・ゲッケイジュ・サンショウ・シラン・スイカズラ・スイセン・スギ・セキショウ・ダイコン・ドクダミ・ドジョウ・トチノキ・ナルコユリ・ニシキギ・ニッケイ・ニラ・ニワトコ・ニンニク・ハハコグサ・ヒガンバナ・ビヨウヤナギ。

 

うつ病   Depression  
◎症状:
⇒感情の憂鬱と意欲の抑制が主症状で、思考抑制、不安、悲観的観念、不眠、頭重、食欲不振などがみられ、自殺することもある。
気分の障害
周期性がある。
病相(憂鬱になっている期間)が過ぎれば完全に元に戻る。
うつ気分があるからといって、患者が悲しみを体験しているとは限らない。

(イ)悲しみの余り“さめざめ泣く”ということも無い。

(ロ)おっくう・イライラがあり気分が重く沈んではいるが、患者は “感情が湧いてこない”とか、 “悲しいという気持ちすらなくなった”とか訴えるのである。
身体症状が必ず伴う。(正常の悲哀反応との違い)

(イ)食欲不振

(ロ)体重減少

(ハ)便秘。その他の自律神経症状。

◎発症状況:
(イ)正常な悲哀反応は、愛する人と死別したときなどの、誰でも悲しくなって無理のない状況で生じるが、鬱病は必ずしもそうではなく、仕事や家 庭は順調で心配事の無いときの転勤などで発症している。
(ロ)死別、財産の喪失などの他に、引っ越し、転勤、あるいは家族構成の変化、例えば:
*子供の誕生・*娘が大学に入って家を出る・*息子が結婚して嫁と同居するなど。
(ハ)共通するのは『秩序の変化』。慣れ親しんだ生活の仕方やリズムが、変化するときに鬱病が発症する。

◎患者の性格:(イ)きちょうめんで完全主義者。(ロ)責任感が強く、(ハ)対人関係でも波風を立てない人。
◎きちんとした性格の人が秩序の変化に対応出来なくなると鬱病に陥る。ただし、患者自身は自分の性格や発症状況について自覚していないことがほとんど。原因を自覚していない点で、『正常な悲哀反応』と異なる。正常な悲哀反応では悲しみの理由がその当人にはよく分かっている。(成田善弘)1997.6.30《日本経済新聞》

■チェック
以下に示す症状から4つ以上がかなり持続的に認められれば、「うつ状態」または鬱病が強く疑われる。(貝谷久宣著「脳内不安物質」より)

*ほとんど1日中、気分が落ち込んでいる。

*何に対しても興味や喜びがもてない

*食欲がない

*3日以上続く不眠、または過眠がある。*頭の回転が鈍い

*理由もなくイライラする。

*疲れやすく活力が出ない

*やる気が起こらない

*些細なことに申し訳ないと悩む

*自分は価値のない劣等な人間と思う

*根気がない

*簡単なことが決断できない

*特に朝方に憂鬱になる。

*いつもより2時間早く目が覚める

*生きていても仕方がないと思う。

■診断・・・脳内血流で 「労大病院を運営する独立行政法人・労働者健康福祉機構は、労働者の脳内の血流を調べ、うつ病の診断に役立てる新しい評価方法を開発した。単光子放射線コンピューター断層撮影装置(SPECT)を使って実施する。うつ病の診断は医師の問診など経験に頼る部分が大きいが、この手法を組み合わせればより客観的な評価が可能になる。 同機構の香川労災病院のグループが、うつ病に罹った40~50歳前後の労働者25人の脳血流量を調べたところ、18人で脳の左前頭葉の特定部分の血流量が低下していた。さらに、うつ病が治りつつある時期の脳血流を調べると、75%の患者でこの部分の血流が回復していた。」2008/7/28産業

■うつで増える血中物質 2009年、産業技術総合研究所と国立精神・神経センターなどはうつ病の患者の血液中で増える物質を突き止めた。脳内でこの物質が増えると神経細胞が障害を受け抗うつ薬の効きが悪くなる可能性がある。 発見したのは『proBDNF』というタンパク質。 脳の神経細胞の成長を促す因子である「BDNF」ができる前の前駆物質で、proBDNFが増え過ぎるとBDNFの量が減少して神経細胞が働かなくなり、うつ病が悪くなるとみられる。 うつ病と診断された患者約200人を調べたところ、健康な人約500人と比べて血中に含まれるproBDNFの量が約2倍多かった。 また[統合失調症]や[躁鬱病]などの患者よりも2倍以上増えていた。 脳で作られたものが血中へ漏れ出た可能性がある。 うつ病の診断は気分や食欲、睡眠状態などの問診だけで診断しており、客観的に調べる方法が求められている。

■うつ病のタイプ

仮面うつ病:
①便秘や食欲不振などの消化器症状、 ②頭痛・めまいなどの神経症状、 ③身体各部の慢性的な痛みなどの身体症状を主として訴え、 ④ゆううつな気分についてはあまり訴えない人。 ☆こういうタイプは、身体症状によて精神症状がマスク(仮面)されているという意味で、仮面うつ病と呼ばれている。 ☆最近多いのは、ゆううつな時にそのことをそれほど自覚せず、『むやみに食べてしまう』タイプである。
鬱病患者が『過食』をするなど以前はほとんど考えられていなかった。

行動に出るうつ病:☆若年者に多い。☆『それまではまじめで成績も良かった子供が急にだらしなくなり、学校の規則にいくつか違反したり、学校をさぼったり、ときには万引きなどの非行に走る』ことがある。 ☆問題行動の背後に実はうつ病が隠れていることがある。

産後うつ病:☆出産後1週間程度で母親の気分が沈み、数日間涙もろくなることがある。これをマタニティー・ブルーあるいはミルク・ブルーといい、多くの産婦に認められる。 ☆産後1ヶ月~数ヶ月の間に母親が抑鬱的になることがある。①子供の世話が出来ない。②子供がかわいくない。③自分は母親として失格ではないかと悔やむ。④乳児の無視、虐待、子殺しに至ることもある。☆周囲が子供の世話をしない母親を道徳的に責めて、母親をますます窮地 に追い込むこともまれではない。

季節性うつ病:(1)冬季うつ病: ①毎年冬になるとうつ状態に陥るが、春になると改善する。②発症は年周期であるが、その背景には季節によって変わる日照時間の 長さの変化によって起こる生体リズムの障害が重要な役割を果たして いる。 ③治療には光線法が有効。「朝方2500ルクス以上の高照度光を2~3時間照射し、日照時間を延長することで、患者の生体リズムをつかさどる「生体時計」を春が来たと錯覚させるのである。」

■うつ病になりやすいタイプ 「まじめで几帳面」 「責任感が強く頼まれたら“NO!”と言えない」 「対人関係で細やかな配慮を欠かさないで周囲に気を遣う」 …こんなタイプの人がうつ病になりやすいと言われてきた。
うつ病になった後も「迷惑ばかりかけて申し訳ない」と過度に自分を責め続ける。
自分の至らなさでうつ病になったと感じ病気自体を隠したがる。 症状はほとんどいつも抑うつ気分が続き中高年に多く見られる。 専門的には…「メランコリー親和型」と呼ばれるうつ病。

●他罰的なディスティミア親和型
ところが最近ではその逆の新しいうつ病が増えてきた。 「ディスティミア親和型」と呼ばれ若い人を中心に多く見受けられる。 頑張り屋で我慢強い人が陥りやすいと言われる「メランコリー親和型」に比べ 「ディスティミア親和型」は周囲のせいで自分が理不尽な目に遭っていると感じる。 言い換えると… 「自罰的なメランコリー親和型」に対し「他罰的なディスティミア親和型」…という分け方。

■体内のリチウム濃度測定、容易に「工業技術院物質工学工業技術研究所は、躁鬱病の予防・治療薬に使われる金属リチウムの体液中の濃度を簡単に測定する方法を開発した。リチウムにだけくっつく特殊な有機化合物を開発。結合に伴い色が黄色から褐色に変わり、色に応じて濃度が分かる。体液中のリチウムはナトリウムと見分けにくいが、約10000倍の選択性で判別するという。リチウムは使用量を越えると副作用もあり、血液採取により短時間で測定できれば副作用の防止にもつながる。1996.7.8《日経産業新聞》」

●順調願いウツ病に
「順調希求」。「78歳の女性が不眠を訴えて、神経科外来を受診。よく聞いてみると、3ヶ月前より、息子夫婦と同居するようになってから、気分が憂鬱で、イライラし、眠れない。頭が重く、胸に圧迫感があるという。元来、神経質で、ささいなことが気になり、取り越し苦労をするという。軽度の欝病と診断し、抗ウツ剤と睡眠剤を投与した。1週間後、眠れるようになったが、ウツ気分が取れないとのことで、さらに抗ウツ剤を追加した。1ヶ月ほどで、ウツ気分も改善したが、頭重感と胸部圧迫感が頑固に続いた。この人は、頭がすっきりしてほしい、胸のつかえがすっきりとれてほしいという希望がとても強く、体のどこかが少しでも具合が悪いと、それを受け入れるのが難しいという傾向があった。これを専門的には『順調希求』と呼ぶ。これはいつも順調でありたいという気持ちがとても強くて、不調な状態を受け入れにくく、欝病になりやすい人の性格特徴の1つになっている。誰でもいつも順調でありたいと望むが、その望み方が強すぎるわけだ。  この患者の場合も「順調希求」が強すぎて、それがウツ状態の回復を遅らせた。80近くになると、ウツ状態をきっかけにして、自律神経系が敏感になり、頭が少し重かったり、胸の圧迫感があったりするのは避けられないことも多い。「まあ、こんなものだろう」程度に受け止めて、症状を無視しておれば、次第に落ち着いてくるものだ。順調であることを望み過ぎると、少しの体の不調が気になり、神経が疲れて、ウツ状態になることがある。体の不調が重大な病気の前触れであることも、もちろんあるが、多くの場合、気にしない方が健全な精神生活につながるようだ。(大阪大学人間科学部教授・柏木哲夫)1996.12.21《日本経済新聞》

●永山素男・日本赤十字社医療センター精神科部長に聞く。◇うつ病とはどんな病気ですか?

<1>気分が落ち込んで悲しく寂しい気分になり、何に対してもおっくうで疲れやすくなります。考えも集中出来ません。自分がつまらないものに思えて、なかには死を考える人もいます。<2>こうした症状が時間にによって変化し、朝に重くて夕方から軽くなるのが特徴です。<3>20歳代で初めてかかる人が多く、40歳代から60歳代の人にも多い。女性がかかりやすい病気です。

◇日常的に気分が落ち込んで、憂鬱(ゆううつ)だと思うのとはどう区別しますか?

<1>症状の強さ・長く続く点が違う。うつ病の方が重い。

<2>食欲が落ちて、体重が減少

<3>よく眠れない。

<4>便秘。

<5>無月経。

<6>性欲低下。
◇どうして起こるのですか?身体的、性格的な素因と、きっかけとなる出来事の組み合わせで起こると考えられています。 <1>きまじめで責任感の強い人に起こりやすい。

<2>遺伝的素因は、少ない。

<3>きっかけは様々で、悲しいことやつらいことの経験が多く、なかには昇進や子供の結婚がきっかけになることもあります。

<4>一生のうちに一度以上欝病にかかる確率は5%~10%と推定され、比較的多い病気です。

<5>脳内の神経伝達物質の一部の機能が低下している。

◇治療

<1>薬物療法:(イ)抗うつ薬で脳内の機能低下している神経伝達物質の機能を高める。(ロ)抗不安薬(ハ)入眠剤。<2>精神的休養が大切で、仕事を休んだ方が良い場合が多い。
◇周囲が気を付けることは?<1>通院を進める<2>叱咤・激励は禁物。    1997.2.16《朝日新聞》より。

■勇気もってカミンングアウト 「私はバリバリのウツ(鬱)です」。女優の木の実ナナさんが語りかける製薬会社の新聞香校が話題を呼んでいる。イライラや不安な気分からなかなか回復できない「うつ病」に悩んでいる人は多い。周囲に理解がないと、これを隠そうと苦しみは倍加する。そんななか木の実さんのように自らウツ病を告白、いわゆるカミングアウトして周囲に理解を求める人も出てきた。心の病だからと偏見を持たれがちだった「うつ」を巡る状況が、少しずつ代わり始めている。

●広告に大きな反響 ある時、人前で笑うことが出来なくなり、いくら自分を励ましても症状は良くならない。こみ上げてくるイライラから、スタッフにもつい八つ当たりしてしまう。更年期を迎え、5年間、うつ病と闘う生活をしていた木の実ナナさんは、そのスタッフから「大丈夫ですよ。これからは一緒に治していきましょう」と励まされ、立ち直るきっかけをつかんだ。 「笑顔を忘れないで」と木の実ナナさんがエールを送るこの全面広告は、うつ病の新薬の開発を勧めている塩野義製薬が普及させる啓発運動「DANCEプロジェクト」の一環で企画した。これを見た人から400通以上の手紙が寄せられ、同時に掲載した治験者募集には6000件以上の電話が殺到した。 プロジェクトチームの塩野芳嗣さんは「数多くの手紙を読むと、ウツがひどくて効率が上がらないので病院に行きます。などと職場でいえる米国のような環境が、日本でも夢ではないと思い始めた」と手応えを感じ始めている。

米国の精神学会の診断基準では

<1>体重が5%以上変化する。

<2>集中力が減退する

<3>自殺を考える----- といった5つの症状が2週間以上続く状態をうつ病という。

脳動脈硬化などの病気からくる「身体因性」、試験に落ちたなどの要因がはっきりした「心因性」、これといった理由がないのに不安になる「内因性」に分類される。 厚生省の患者調査では(96年度)によると、うつ病で治療を受けている人は約20万人いるが診断を受けていなくても鬱状態の人は多い。国立精神・神経センターなどが国内の18歳以上の220人から聞き取り調査したところ、米精神学会の基準にあてはまる人は30人と、7人に1人になる結果が出た。

●治療:

「電流ケイレン療法」

「磁気刺激療法」弱い電流で脳を刺激する。

「認知療法」

-うつ病患者には、

✩「確かな根拠の無いまま結論を急ぐ」

✩「すべて自分のせいにする」

✩「成功か失敗か、両極端な考え方をする」傾向が強い。

こうした「認知のゆがみ」をカウンセリングで修正する。2000.4.24《日本経済新聞》

■セロトニン 「脳の中では様々な物質が働いている。その1つにセロトニンがある。これは神経細胞同士が連絡するときの神経伝達物質だ。ウツ状態の人ではセロトニンが少なくなっている。 セロトニンの原料は、体内で合成できないトリプトファンというアミノ酸だ。トリプトファンが少ないとセロトニンも少なくなり「ウツ」が進展する。10年ほど前、米国のデルガドが、血中のトリプトファン濃度と「ウツ」の程度を見る指数との関係を調べた。結果は、トリプトファン濃度が下がるにつれ、ウツ指数が高くなったと言う。 浜松医科大学の高田明和教授は「トリプトファンが脳に取り込まれるためには、ブドウ糖が欠かせない」という。20006.5《日本経済新聞》

■肥満とうつ病に密接な関連がある 「肥満とうつ病に密接な関連があることが分かった。肥満の人は肥満でない人に比べて「気分が優れない」「不安」といったウツ症状にかかる確率が25%高いとしている。また、学歴が高い人や収入が高い人にその傾向が見られる。 調査は男女9000人を対象に、ハーバード大学が個人面談した。肥満の定義をBMI30以上とした。2006.7.5

■行動的絶望 「2009年、名古屋大学大学院の海老原史樹文教授らは、逃げ場のない水槽内を泳がす「強制水泳テスト」などをマウスに実施して、ストレスを与える実験を重ねたところ、通常陥るはずの行動的絶望にならず、躁状態に近くなるマウスがいることが判明。 分析の結果、これらのマウスは『Usp46』という遺伝子が欠損していた。正常なUsp46を導入したところ、躁状態から行動的絶望に変わったという。

【西洋薬】(うつ病)

☆プロザック(塩酸フルオキセチン): 「米イーライリーは、週1回服用するだけですむ鬱病の治療薬を開発し、FDAに承認を申請した。これまでは毎日薬を飲む必要があったが、その手間が省ける。 新薬は以前から販売されている『プロザック』を週1回投与型に改良したもの。プロザックは過食症への適用も承認されているほか、パニック障害や外傷性ストレス障害(PTSD)についての治験も進められているという」2000.4.6《日経産業新聞》

☆MAO阻害剤: 「ノルアドレナリンやセロトニンが足りないとウツ病になる(モノアミン理論)。ウツ症状を改善するためにMAO阻害剤が使われる。 MAO阻害剤には以下のものがある1.フェネルジン    

2.トラニルシプロミン    

3.イソカルボキサジド

〇MAO阻害剤を服用している人は、以下のものを食べたり飲んだりしてはいけない。

1.チーズ 2.ワイン 3.ビール 4.コーヒー 5.レバー 6.レーズン 7.酵母製剤 以上のものには『チラミン』という物質が含まれているからです。チラミンは、アミノ酸のチロシンが脱炭酸酵素によって二酸化炭素が抜け落ちて出来る。ノリアドレナリンによく似た物質である。 ノルアドレナリンやアドレナリンの量はMAOによってコントロールされている。ところが、MAO阻害剤を服用すると、MAOの働きが著しく抑えられろ。そこへチーズなどをたくさん食べると、チラミンが大量に供給される。そうなると、脳に入ったチラミンはMAOに分解されること無く神経細胞に取り込まれる。そして、ノルアドレナリンの入っている小包を刺激するので、ノルアドレナリンが神経末端から放出される。そうすると、交感神経が異常に興奮する。このため、血圧が急激に上昇するので、脳卒中の危険性が高まる。

☆三環性抗ウツ薬: 1.イミプラミン 2.コロミプラミン 3.アミトリプチリン 「アルコールと三環性抗ウツ薬を一緒に摂取すると、血中のアルコール濃度が急激に上がる。原因は良く分かっていない。」

☆「トレンドミン」(一般名:ミルナシプラン)(ヤンセン協和) =セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)。 脳内で神経伝達物質のセロトニンやノルアドレナリンの濃度を高める効果がある。副作用が少ない。

SNRIは脳内の神経伝達物質であるセロトニンとノルアドレナリンの量を調節することで、抗ウツ作用を発揮する。それに対し、SSRIはセロトニンのみを選択的に調節する。どちらのタイプも、従来抗ウツ剤の主流だった「三環系」「四環系」といわれる薬剤と比べ、のどの渇きやめまい、便秘などの副作用が少ないのが特徴。

SSRIは、三環系などの薬に比べて副作用は少ないものの効果は劣るという指摘があるが、SNRIは旧世代の薬と同等の効果があり、さらに効果が早く現れる。2001.3.8《日経産業新聞》

☆「デプロメール」(明治製菓)  「ルボックス」(藤沢)  「パキシル」(スミスクライン) =選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)。 うつ病・ウツ状態のほか、強迫性障害に対する効能・効果も初めて取得。SSRIは神経伝達物質の1つであるセロトニンの量を調節する働きを持ち、すでに海外では高い実績があった。欧米では抗うつ剤の市場の3/4を占める。「三環系」「四環系」に比べ、ノドの渇きやめまい・便秘といった副作用が少ない。欧米では仕事で悩みを抱えるビジネスマンが福与イウする良い温経湯になり市場が拡大。日本でも「ハッピードラッグ」などの名で並行輸入業者が紹介、承認前からも愛用者も少なくないと言われる。2000.10.12《日経産業新聞》   

●パキシル 「うつ病の治療薬として広く使われている塩酸パロキセチン水和物(商品名・パキシル)を18歳未満の重症のうつ病患者に投与した場合、自殺の危険性が増すことが2003年10/20」までに判明。厚生労働省は輸入販売元のグラクソスミスクラインに対し、18歳未満の大うつ病性障害患者への投与を禁止するよう添付文書の改訂を指示した。同省は「急に投与を中止すると、めまいや知覚障害などの症状が出る危険性がある。中止する際には徐々に減量してほしい」と強調している。 同社によると、グラクソ本社が英国で実施した7~18歳の患者に対する臨床試験では、大うつ病性障害の患者に対しいては有効性が確認できず、逆に自殺を考えるようになるなどリスクが2倍以上になったという。パロキセチンは、選択的セロトニン再吸収阻害薬(SSRI)と呼ばれる新しいタイプの抗ウツ薬。」

【芳香療法】(うつ病)    

<1>ベルガモット<2>バジル<3>カミルレ<4>クラリセージ<5>ゼラニウム<6>ジャスミン<7>ラベンダー<8>メリッサ<9>ネロリ<10>パチュリー<11>サンダルウッド<12>イランイラン

【宝石療法】    

<1>[ルビー]<2>[珊瑚]<3>[ガーネット]

【栄養療法】(うつ病)

<1>トリプトファンと炭水化物を一緒に摂取する。

<2>ナイアシンアミド500mgを1日2回。

<3>高タンパク食をさける。

<4>ビタミンB6の製剤を控える。 【臨床例】☆慍鬱の例「大炊相公(宮中の主厨長官)の臣、田太夫は、憂慮過多、久しくして熱鬱を生ず。四肢重惰。志気錯越して居常安からず。灸刺、諸薬、並べて效なし。《吉益東洞》先生之を診す。芍薬甘草附子湯をつくりて之を飲むこと数十日、更に又、七寶丸をつくりて之を服す。此の如きもの凡六次。而して全く常に復す。其の父甲州君、年すでに九十餘、生来、醫薬を信ぜず。以為(おもえらく)「益無けん」と。是に至りて大いに先生の術を崇ぶ。家人に謂いて曰く、余、如し病あらば、其の頼るところは、唯東洞あるのみ。 後数年、傷寒を患う。心胸煩熱し、譫語妄語し、小便不利して食進まざるもの凡そ六日 家人乃ち、先生を召して是を視る。心胸煩満、四肢に微腫あり。乃って茯苓飲を作りて之を飲む。水数升を吐出して癒ゆ。始め甲州君年六十に及び、盛夏と雖も、重衣をして猶寒し。以為(おもえらく)、老いて衰えるなり、と。是より後は、更に綺絺(キチ、うすぎぬ)を服しても少壮の時と異ならず。之を以て之を視るときは、蓋し病なり。老衰には非ざるなり。」《建珠録》

セロトニンとうつ病 セロトニンはセロトニン作動性神経内で合成され、シナプスに放出され、受容体に作用したあと、 神経終末に再取り込みされます。その後MAOによって不活化されます。セロトニン受容体には多くの受容体があり、 脳内には5HT1A、5HT1C、5HT1D、5HT2、5HT3の5種類の受容体があります。 セロトニン作動性神経は中脳の縫線核にあり、大脳皮質、海馬、線条体、視床下部へと神経を送っています。 セロトニンは覚醒・睡眠リズム、不安、情動と関連を持っていると言われています。 5HT1A受容体は受け手側と送り手側にあり、下垂体ホルモンやステロイドホルモンの分泌を促します。 うつ病の感では、受け手側と送り手側の5HT1A受容体の感受性が落ちているのではないかと言われています。 三環系抗うつ薬はセロトニンの神経終末への再取り込みを抑制します。 非三環系抗うつ薬でも同様の働きを持つものが多いようです。 MAO阻害薬はセロトニンの代謝を行うMAOを阻害してセロトニンの作用を増強します。 抗うつ薬を慢性的に投与すると5HT2受容体数の低下がみられます。 ノルアドレナリンとうつ病 ノルアドレナリン作動性神経は脳幹部の橋と延髄に細胞が存在し、そこから脳の多くの部位に神経をのばしています。 ノルアドレナリン作動性神経は覚醒・睡眠リズム、不安、情動、意欲、下垂体ホルモンの分泌などの作業を行っています。 ノルアドレナリンは躁病やうつ病との関係があります。 はっきりとしたきっかけがなくても起こってくる内因性うつ病では、α2受容体作動薬のクロニジンによる 成長ホルモン分泌反応が弱かったり、視床下部では受け手側のα2受容体の感受性が低下していると考えられています。 そう病でもクロニジンによる成長ホルモン分泌反応が弱く、うつ病が回復し、症状が消失した状態でも同様の所見がえられます。 つまり、この反応はうつ病の係りやすさとの関連を示しています。 三環系抗うつ薬を投薬すると、送り手側のノルアドレナリンのトランスポーターに作用し、ノルアドレナリンの再取り込みを抑制します。 また、抗うつ薬を慢性的に投与することで、脳内のβ受容体の感受性を低下させます。 その他、不安や覚醒・睡眠リズムを調節していることから、不安神経症、心身症、睡眠障害との関連も注目されています。

■バイオフィードバック療法 脳の働きを本人がfMRIで見ながら自ら気分を制御する、うつ病の新たな治療法。 松田哲也・玉川大学脳科学研究所准教授 気分や感情の変化には脳の奥深くにある「扁桃体」と呼ぶアーモンドの粒程度の部位が関わっている。たとえば、恐怖を感じるとき、fMRIで見ると扁桃体は活発な活動を示す信号を出している。 うつ病などの精神疾患では気分や感情がうまく調節でいなくある。自分の気分や感情を示す扁桃体の状態を自分自身でみて把握出来れば、適切な状態へ改善しやすくなるかもしれない。 マイナス思考といった自分の考え方を認識したうえで変えていき、うつ病などの治療をする「認知行動療法」とよく似た手法だ。 松田らの実験では健康な人がfMRIの画像を見ながら「悲しい」感情になろうとすると、画像は思った通りに変わった。鬱病 →「抑うつ症」「メランコリー」「葉酸」

 

 

運動障害 ⇒(運動機能失調)、運動失調 ataxy

◎複雑な運動が合目的的に円滑に遂行出来ない状態。

<1>脊髄性失調症

<2>小脳性失調症

<3>大脳性失調症

<4>前庭性失調症       

(南山堂ー医学大辞典)

◎原因:     

<1>血管障害     

<2>腫瘍     

<3>炎症     

<4>多発性硬化症     

<5>脊髄小脳変性症(SCD)     

<6>Parkinson  

【漢方薬】(運動障害)

■黄土湯

■桂枝茯苓丸

■桂芍知母湯

■五積散

■柴胡加竜骨牡蛎湯

■真武湯

■疎経活血湯

■当帰四逆湯

■二朮湯

■二陳湯

■八味地黄丸

■苓桂朮甘湯

■薏苡仁湯

■苓桂朮甘湯

 

運動不足

◎適切な運動量=脈拍×時間=(138-年齢/2)×25分間。例えば、45歳=138-45÷2=(115.5回/1分間)の脈拍の運動を25分間続ける。

=笑顔が出来る運動量=話しながら出来る運動量。◎この運動量で、運動能力を維持出来る。

◎筋肉に力を入れる時間=6秒間でOK。

■ガン予防効果 「日頃の運動不足を解消するだけで、ガンを9%ぐらい予防できる。 運動を殆どしていない人は、胃ガンや大腸ガン・肺ガン・乳ガン・子宮ガンなどになりやすい。 なぜ運動をすると、癌が予防できるのかも分かってきた。たとえば運動によって「インスリン」というホルモンの分泌量が下がり、血液中の濃度がほどほどになる。インスリンは、血糖をコントロールするう物質として知られるが、細胞を分裂させる作用もある。このホルモンが過剰に働くと、ガン化を促進してしまう。

 

運動麻痺

①こわばりが主体:膝の下を軽く叩くと、足が飛び跳ねます。麻痺していても、筋肉の痩せは無い。

②末梢神経障害から

*こわばりよりも、筋肉がフヌケになる。*階段は降りるときより、昇りが大変になる。*膝の下に腱を叩いても反応しない。*筋肉は栄養障害から、痩せてくる。

【漢方薬】(運動麻痺)

■烏頭桂枝湯

■烏頭湯

■越脾湯

■越婢加朮湯

■桂枝加朮附湯(四肢疼痛、麻痺)

■桂枝加附子湯

■桂芍知母湯

■柴胡加竜骨牡蛎湯

■四逆散

■四物湯

■芍薬甘草附子湯(ケイレン痛、冷痛)

■十全大補湯

■小続命湯(顔面神経の)

■真武湯(脊髄疾患による運動麻痺・知覚麻痺

■走馬湯

■続命湯

■大柴胡湯

■大防風湯(栄養失調)

■抵当湯

■当帰建中湯

■桃紅四物湯(脳血管障害・ふるえ)

■独活寄生湯(脳血管障害)

■白朮附子湯

■白虎湯

■防已黄蓍湯(色白、汗かき、小便不利、だるい)

■補陽還五湯(小児麻痺)

■六君子湯胃弱、胃内停水、消化不良、元気がない)

■苓桂味甘湯

 

A型肝炎

⇒経口感染。潜伏期間2日~6週間。

◎症状:発熱(特徴)倦怠感・食欲不振・悪心・嘔吐・上腹部圧迫感などで始まる。

■A型肝炎ウイルス「危険性が最も低いA型肝炎ウイルスはポリオウイルスに似ていて、20面体 の殻に遺伝物質のRNA鎖1本だけといった組成で、肝臓の中でしか増殖しない。このウイルスはヒトの他、少数の霊長類にしか感染しないこと、ほとんどの場合汚染された糞便が媒介となることが分かっている。A型肝炎はしたがって「不潔病」であり、衛生設備の不十分なところや衛生状態が良くないところなら、どこでも発生しやすい。ポリオと同じように、貧しい国々の人々は幼時期にA型肝炎に感染する傾向があるので、症状は一般に軽くてすむ。ところが、富裕な成人の旅行者がこのような場所に出かけていて感染すると、重症になる場合がある。アメリカでは広範囲の流行はもはや起こらなくなっているが、保育所やゲイの間で起こる事が多く、汚染された水や生の食品、例えば、汚染された海で採れた生の貝が原因となっている。成人患者となると、[吐き気][嘔吐][暗色の尿][黄ばんだ目と皮膚]といった古典的な症状すべてが現れるのが普通である。 市販されているワクチンはまだない。(A Field Guide to Germs by Wayne Biddle)春日倫子訳より。

 

ADHD

=「注意欠陥・多動性障害」
■教育現場の認知度低く「落ち着きが無く、集中力に欠け、苛立ちを抑えきれない子供が増えている。その原因として最近、注目されているのが、ADHD(注意欠陥・多動性障害)と呼ばれる病気だ。米国ではすでに300万人が治療を受けているが、日本では学校や親の認知度も低く、対応が遅れている。学級崩壊の一員と考える向きもあるだけに一刻も早い対応が望まれている。 都内に住む小学校1年生のA君は授業中、じっとしていることが出来ない。車の前に突然飛び出して親を驚かせたことも。大学病院の精神科を受診したところ、ADHDという聞き慣れない病気と診断された。

●出現率は5.3%「ADHDの診断基準には米国精神学医学会が作った[DSM-Ⅳ]と世界保健機関 が作った[ICD-10]と呼ばれるものがある。DSMは不注意の症状を9項目、多動性と衝動性の症状を9項目挙げ、それぞれ6つ以上の症状が少なくとも6ヶ月以上持続するする場合としている。これらの症状は学校、家庭、診察室などのうち2カ所以上で現れ、7歳以前の発症を条件にしている。 国立精神衛生研究所のグループが画像処理技術を使ってADHDの子供の脳を調べたところ、注意を司る大脳などの一部が小さくなっていることを突き止めた。シカゴ大学やカリフォルニア大学は、ADHDの子供の多くにドーパミンという神経伝達物質の受容体とトランスポーターというタンパク質の遺伝子の異常を報告している。 市川副院長は「患者の7~8割は大きくなると普通の人と変わらなくなるが、2~3割は治らない」と指摘する。治療法としては、「自信をつけさせることが第一」(市川副院長)という。ADHDの子供は周りから怒られたり、怠け者などと言われ、自己評価が下がっている。市川副院長は「良い点を伸ばすようにほめることを心掛けることが大切」と強調する。注意をするときもクドクド言うのではなく、「こうした方がうまくいく」などと分かりやすく注意する方が良いという。 ●投薬で改善効果 「米国ではメチルフェニデートなどの薬も治療に使われている。約3割で著しい改善、軽度の改善も含めると7割近い患者で効果があるという。この薬は覚醒作用があるため、不眠や食欲不振などの副作用があり、通常は朝と昼の2回投与されている。日本でも軽度鬱病や睡眠障害の薬として認可されているが、ADHDには対象にされておらず、患者の中には認可を求める声もある。 上林部長は「ADHDはまだ認知度が低い。親だけでなく、学校の先生や教育相談室のカウンセラーに理解してもらう必要がある」と指摘。また、「3歳児検診の時に診断して、養育体制を考えるようにした方がよい」と早期対応の重要性を強調する。1999.1.4《日本経済新聞》

■脳の微細な障害が原因 「“公園デビュー”したころから、長男は他の子どもとは違っていた。砂場でよそのこのシャベルを奪い取って泣かせるが、すぐにポイッと投げ捨て、滑り台へ走る。それも1回で飽き、次はブランコへ。遊びの関心がめまぐるしく変わる。千葉県のA子さん(35)は、我が子を追いかけ回し、周りの母親たちに頭を下げ続けた。 「元気がいいっていうのと、何かが違う」。その傾向は、幼稚園に進み、一層ハッキリした。じっと座っていられず、教室から飛び出す。「家庭でのしつけはどうなっているんですか」。迎えに行くたびに園長に言われ、幼稚園は辞めた。 小学校では休み時間が終わっても教室に戻らず、平気で砂場で遊んでいる。担任の求めで、A子さんは毎日、長男を監督するため、隣の空き教室で待機しなくてはならなかった。 長男が8歳になった今年夏、市の教育相談の紹介で病院の児童精神科を受診し、「注意血管・多動性障害(ADHD)」と診断された。 ADHDは、気が散りやすく注意力が維持できない。注意欠陥(Attention Deficit)、動き回る「多動性障害(Hyperactivity Disorder)」の症状が現れる。 教室でじっとしていられない、指示に従えない、人の話を聞けない、授業中も上の空でボーッとしている、忘れ物が多い、といった特徴がある。 これらの1つひとつは多くの子どもにも見られるが、7歳未満から、学校や過程など2つ以上の環境でみられ、日常生活に著しい支障がある場合などが診断の要件だ。 男子の方が多く、脳の神経伝達物質の働きの異常によると考えられている。「しつけや両親の不和など心理的な理由によるものではなく、脳の微細な障害が原因。自閉症やほかの精神疾患とも違うことを確かめて診断します」という。 「子育ての問題じゃなかたんだ」

■薬物投与 「言葉が遅れ気味で、小学校に入っても、落ち着いて人と話が出来ない。食事の時もテーブルに座っていることはなく、家のあちこちで食べ散らかす。注意しても耳に入っていない様子。東京都内のT子さん(42)は、小学4年生の長男を(10)をかわいいと思えず、手を挙げることがしばしばあった。 「あんた、子どもを虐待してるの」。実家に帰省した時、母親から言われ、ハッとした。長男がおびえたような目でT子さんを見ていた。 医師の診察を受け、「ADHD」と診断された。 ADHDは脳の神経伝達物質ドーパミンの働きの異常によって起きると考えられている。そこで、ドーパミンの働きを改善する薬「メチルフェニデート」を服用することになった。 朝と昼に飲むと、キリッと姿勢が良くなり、ある程度は先生や親の指示を聞くことが出来るようになった。 「車の前に飛び出すといた多動性障害による衝動的な行動を防いだり、学校生活に適応したりするために役立ちます」 ADHDの子どもは気が散りやすく、興味のないことには関心が向かわないため、学業不振に陥りやすい。「学校で楽しく過ごすためにも、勉強についていくのは大切」と、薬を飲んでから勉強することを勧める医師もいる。中学生以上では、試験など集中力を維持する必要がある時に限って薬を飲み、自己コントロールに役立てる、といった使い方もある。 ただ長期間使い続けると効果が弱まるので、週末などに薬を休むといた工夫がいる。また食欲減退や、顔がひくひくするなどのチックや、幻覚・妄想などの症状が出ることがる・
■イオンチャンネル 「米エール大学などは脳の神経細胞の伝達機能を強める分子機構を明らかにした。“集中できない”“落ち着きがない”などの症状が見られる注意欠陥多動性障害(ADHD)、認識障害、統合失調症などに。 記憶や認識にあっ変わる脳の神経細胞には、情報を受け取るための特別なイオンチャンネルがあることが分かった。

 

 

A型肝炎

⇒経口感染。潜伏期間2日~6週間。◎症状:発熱(特徴)倦怠感・食欲不振・悪心・嘔吐・上腹部圧迫感ばどで始まる。
■A型肝炎ウイルス「危険性が最も低いA型肝炎ウイルスはポリオウイルスに似ていて、20面体 の殻に遺伝物質のRNA鎖1本だけといった組成で、肝臓の中でしか増殖しない。このウイルスはヒトの他、少数の霊長類にしか感染しないこと、ほとんどの場合汚染された糞便が媒介となることが分かっている。A型肝炎はしたがって「不潔病」であり、衛生設備の不十分なところや衛生状態が良くないところなら、どこでも発生しやすい。ポリオと同じように、貧しい国々の人々は幼時期にA型肝炎に感染する傾向があるので、症状は一般に軽くてすむ。ところが、富裕な成人の旅行者がこのような場所に出かけていて感染すると、重症になる場合がある。アメリカでは広範囲の流行はもはや起こらなくなっているが、保育所やゲイの間で起こる事が多く、汚染された水や生の食品、例えば、汚染された海で採れた生の貝が原因となっている。 成人患者となると、[吐き気][嘔吐][暗色の尿][黄ばんだ目と皮膚]といった古典的な症状すべてが現れるのが普通である。市販されているワクチンはまだない。(A Field Guide to Germs by Wayne Biddle)春日倫子訳より。

■抗体保有率が低下「日本人のA型肝炎ウイルス(HAV)の抗体保有率が年々低下して感染しやすくなっており、特に劇症肝炎になりやすい中高年は注意が必要。厚生省の食品衛生調査会食中毒部会が29日までに、こんな見解をまとめ、注意を呼び掛けた。 A型肝炎は汚染された魚介類などを食べることで感染、冬から春に発生が集中する。潜伏期間が15日~50日と長く、その間もウイルスが排泄されるため感染が広がりやすい。同省の感染症サーベイランスによると、最近10年では90年の1881人を最高に、年間350人以上の患者が出ている。 国立感染症研究所による年齢別のHAV抗体保有調査では、73年には15歳未満の保有率が1%以下で、15歳~25歳未満が約10%、30歳未満で約60%だった。しかし、保有率1%以下の年齢層は84年には30歳未満、94年には40歳未満仁摩で拡大している。 これは戦後の衛生状態の改善で幼少期のA型肝炎感染が減ったため。 A型肝炎は麻疹(=はしか)と同様、子供が罹っても軽症で済むが、成人、特に中年以降では劇症肝炎になるなど重症化しやすい。年間約700例の劇症肝炎のうち、10~20%がA型によるとされるが、92年以降、A型の劇症肝炎は増えているという。 1997.11.29《日本経済新聞》

 

栄養失調症  dystrophy

◎栄養状態が悪いかどうかの臨床検査:(メルクマニュアル第17版p15)

ヘマトクリット、ヘモグロビン、RBC、赤血球に関する指標、WBC、リンパ球、及び白血球分類百分率を含む全血球計算値。
アルブミン、グロブリン、プレアルブミン、トランスフェリン、及びレチノール結合タンパクを含む血漿タンパク。
血漿窒素。BUN、クレアチニン、尿酸。
総コレステロール、トリグリセリド、LDLコレステロール、及びHDLコレステロールを含む血漿脂質。
血漿電解質: Na+、K+、Cl-、HCO32-、Mg2+、Ca2+、HPO42-。
ビタミンおよびビタミン依存物質: 血漿中のビタミンA、ビタミンE、25(OH)D3、ビタミンK、ビタミンC、葉酸、及びビタミンB12 尿中のチアミン、リボフラビン、及びN1-メチルニコチンアミド ならびにRBC中のケトール転移酵素およびグルタチオン還元酵素
ミネラル:  血漿中の鉄、亜鉛、銅、およびマンガン、  尿中のナトリウム、亜鉛、銅、マンガン、およびリン
尿窒素、尿素、クレアチニン、尿酸、ヒドロキシプロリン、3-メチルヒスチジン
抗原に関する皮膚テスト(細胞性免疫の評価のため)

【必要な栄養素】

タンパク質

<1>タンパク質は、炭素・水素・酸素・窒素・硫黄、と微量の燐・鉄・ヨウ素・コバルトなどから成り立っている。

<2>人体の細胞を構成する基本的な物質であり、血液・ホルモン・消化液の原料でもある。

<3>タンパク質を分解したものは、アミノ酸と呼ばれ、22種類発見されている。そのうち10類のアミノ酸は、直接食物から摂取しなければ体内で合成できないもので、「必須アミノ酸」と呼ばれている。

<4>[必須アミノ酸]には、イ.トリプトファン。 ロ.ロイシン。ハ.リジン。 ニ.メチオニン。 ホ.ファニルアラニン。 ヘ.スレオニン。 ト.イソロイシン。 チ.バリン。 ヌ.ヒスチジン。  ル.アルギニン。

<5>タンパク質不足によって生じる影響。

イ.栄養不足から水腫病(むくみ)を起こしやすくなる。(トリプトファン・メチオニン・ロイシンの不足)

ロ.成長が止まる。 (リジン・ロイシンの不足)

ハ.発育が遅れ、神経過敏になる。(バリンの不足)

ホ.体重が減り、筋肉が弛緩する。(トリプトファンの不足)

ヘ.疲れやすい:(シスチンの不足)

ミネラル

◎完全静脈栄養のための1日必要量:       

水: 30~40‹(/kg体重/日)

エネルギー:(体温1℃上がる毎に12%ずつ増加する) 治療中の患者 30kcal(/kg体重/日) 手術後の患者:30~45kcal(/kg体重/日) 異化亢進状態の患者:45~60kcal(/kg体重/日)

アミノ酸:

治療中の患者 1.0g(/kg体重/日)   

手術後の患者 2.0g(/kg体重/日)

異化亢進状態の患者 3.0g(/kg体重/日)

ミネラル(成人の場合) 酢酸塩/グルコン酸塩 90mEq カルシウム 15mEq 塩素 130mEq クロム 15mg 銅 1.5 mg ヨウ素 120mg マグネシウム 20mEq マンガン 2 mg リン 300 mg カリウム 100mEq セレン 100mg ナトリウム 100mEq 亜鉛 5mg ビタミン(成人の場合) アスコルビン酸 100mg ビオチン 60mg コバラミン 5mg 葉酸 400mg ナイアシン 40mg パントテン酸 15mg ピリドキシン 4mg リボフラビン 3.6mg チアミン 3mg ビタミンA 4000 IU ビタミンD 400 IU ビタミンE 15mg ビタミンK 200mg(メルクマニュアル第17版p20より)

■単身赴任者の食生活 「単身赴任者の栄養摂取状態を危惧して食事調査を実施したことがある。対象は札幌・東京・大阪・福岡の4地域の約100社の上場企業で働いている単身赴任者303人と自宅通勤者95人。調査期間は1週間とし、朝食・昼食・夕食・間食で摂った食事の内容と量をもれなく記入してもらった。18種類の食品群摂取量及び25種類の栄養素摂取量を年齢階級別に分けて算出した。 その結果、最も注目されるのは、若い単身赴任者と中高年の栄養摂取量の違いである。1日の栄養摂取量をみると、若い単身赴任者はタンパク質・脂肪・食物繊維・カロチン・ビタミンB1・B2、カルシウム・鉄・カリウム摂取量が若い自宅通勤者に比べて低かった(統計学的に有意)。この中で最も低かったのはカルシウムとビタミンCであった。 中高年になると単身赴任者と自宅通勤者の栄養素摂取量の差はなくなるし、むしろ単身赴任者の摂取量が多い場合もある。これを細かくみると、若い単身赴任者の朝食の栄養素摂取量が低いことが利いているし、特に東京の単身赴任者にこの傾向が顕著であった。 若い単身赴任者は物価や通勤時間の影響を受けて、朝食を抜くなど食生活にしわ寄せがきているものと思われる。逆に中高年の単身赴任者は健康への不安があり、充実した食生活を心掛けているように思われる。 近年、摂取異常が問題視されている「食塩過剰摂取」と「マグネシウム摂取不足」が単身赴任者、自宅通勤者双方に見られることの、気になる点である。(糸川嘉則)1999.7.12《日本経済新聞》

■過度の抑制、働き低下 「日本人の中には、ある意味で栄養状失調状態の人が多いのではないか」-----。浜松医科大学の高田明和教授は言う。“飽食”の弊害が叫ばれ、過食や栄養過多・ダイエットが話題になる時代になぜ? 高田さんは食物中の糖質(炭水化物)の割合が減少することで、頭の働きが低下するのではないかと懸念する。 よく言われるように、日本人の食生活が“欧風化”するにつれ、食事で取る糖質の割合が減り脂質が増えてきた。厚生省の国民栄養調査によると日本人は1975年から総エネルギーの63.1%を糖質から摂取していた。しかし、その後徐々に低下し、97年には57.4%になった。

〇糖質の摂取量不足は弊害をもたらす。

<1>脂質が増える: 「エネルギー摂取における脂質の比率が高まり、高脂血症や心臓病などの危険性が増える。成人の脂質エネルギーの適正比率は、20~25%とされる。」

<2>脳の栄養失調: 「脳は活動するために大量の(ブドウ糖=グルコース)を必要とする。グルコースの供給源は糖質です。 アイルランドのD・ベントンという人の1996年に発表したデータによると、20歳の女性186人にブドウ糖を飲ませた後、物語を聞かせどれだけ覚えているかをテストした。 その結果、血液100‹中のブドウ糖量が113mgの人たちの記憶度は、ブドウ糖量65mg未満の人たちに比べ約40%高かった。」2000.5.29《日本経済新聞》

 

HAM

(HTLV-1 associated myelopathy)

⇒レトロウイルスの[HTLV-1]が関与し痙性脊髄麻痺を呈する疾患。
◎熱帯地方に存在するTSP(tropacal spastic paraparesis)と基本的に同一疾患であることが確認された。
◎診断:(HAM)

<1>慢性痙性対麻痺があり、発症も進行も緩徐。

<2>血清HTLV-1抗体を認める。

<3>髄液中にHTLV-1抗体を認める。(他の疾患にない特徴)<4>輸血後発症がある。

<5>HTLV-1抗体陽性者が多い地域ほど罹患率が高い。

◎症候:(HAM)

<1>慢性痙性対麻痺

<2>両下肢の筋力低下(特に近位部)

<3>初期:膀胱障害。後期:便秘

<4>インポテンツ、性欲減退

<5>刺痛、ジンジン感、灼熱感が強い。

 

 

LD児

=「学習障害児」⇒知能全般には問題がないものの、「落ち着きがない」「記憶能力が乏しい」「集団行動が出来ない」など行動、学習面の一部に偏りがみられる学習障害児。

◎特徴:(LD児)

<1>“い”と“こ”の区別がつかない。

<2>学習上で特異的なつまづきが見られる。例えば、他の教科には問題がないのに、漢字の書取だけが極端に苦手。<3>的外れな受け答えをする。

<4>言葉に文法的な誤りが多い。

<5>集中力に欠ける反面、何かにひどく固執することがある。

<6>手先が不器用。

<7>運動が苦手。

<8>人への関心が薄い。

<9>話し相手の表情が理解出来ない。

<10>女子より男子に多い。


◎ケア次第で治ることも
米国では学習障害児対策が法律で決められ、治療教育のための補助金もつき、1人1人の学習障害児の持つハンディがどのようなものであるかを認識して、他の得意なところを伸ばすような治療教育システムが実行されている。学習障害の子は、知能全体は正常レベルであり、別の特定の能力がかえって優れている場合もある。 日本の教育現場は1人1人の個別指導には手が回らない画一教育が大勢で、学習障害児への無理解は、[先生にしかられる]、[級友にバカにされる]、などから[不登校]や[いじめ]につながりやすい。ADHDの子供は先生の制止にも従わないことも多く、学級崩壊の引き金になってしまう場合もあるであろう。 学習障害は、ケアが良ければ、成長とともに自然に治っていくケースも多いと言われている。一方、無理解の中で放置されると、親、先生や他の子供たちとの人間関係がうまくいかず、情緒障害や行動障害につながりがちで、青年期まで尾を引き、社会的なトラブルを起こしやすい気の毒な場合もある。

◎化学物質の影響も懸念 なによりもまず、米国のように学習障害児のハンディを理解した、個別の治療教育システムを整備することが必要だろう。治療に関しては、米国では特定の中枢刺激薬がADHDの症状の改善によく使われているが、一種の覚醒剤なので注意が必要である。米国でも根本的な治療法の開発はこれからだ。 次にどうして学習障害児が増えてきたのか、原因を知り、予防することが最も重要だ。妊娠中や出産時の異常の可能性も指摘されている。 内分泌攪乱化学物質(環境ホルモン)の危険性をまとめた本『奪われし未来』(シーア・コルボーン他著、翔泳社)では、五大湖の化学物質汚染や油症事件によって生じたと思われる脳の軽い発達障害の例から、母胎や母乳を通じて発達中の子供の脳に入った化学物質の影響が懸念されている。脳はヒトの体内でも最もデリケートな器官だが、特に脳が一番発達する胎児から乳児期は、環境からの有害物質も脳に入りやすい時期で、危険である。 学習障害のような、いくつもの原因がからんでいて、解析が難しそうな現象の研究には疫学調査が重要な役割を演じる。実態を正確に把握するために、また、疑わしい要因を浮かび上がらせて危険を避け、治療法を確立するために、大規模な疫学調査を早く行う必要がある」1999.5.27《朝日新聞》

■判断基準------学業不振と間違えないで 「知能は普通なのに読み書きや計算など特定の学習能力に障害のある『学習障害(LD)児』の指導について検討してきた文部省の調査チームは2日、学習障害の定義を明確化した上で、学校現場での実態把握方法の試案などを盛り込んだ報告書をまとめた。LD児は単に勉強についていけない学業不振児と混同されやすく、誤った指導がいじめや不登校を招くと指摘されている。報告書はLD児を出来るだけ早く把握し、学習の遅れを補うための少人数指導など適切な対応を取ることが重要だと提言している。 報告は学習障害の定義を「基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算するまたは推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すもの」とした。95年3月の中間報告での定義を見直し、学習障害の対象となる「能力」に含まれていた運動能力、社会適応性を除外し、範囲を限定した。 早期把握のため、学校現場での判断基準として①国語、算数(数学)の能力に、小学2、3年生では1学年以上、小学4年以降では2学年以上の遅れがある②普通の能力を示し教科が1つ以上ある③知能検査では全般的な知的発達に遅れがない----などを示した」1999.7.3《日本経済新聞》

■LD児に専門家チーム 「LDは“学習する力を出し切れない”という意味。知的発達に遅れはないが、読み書きなど基礎学力の一部につまづくことが多いのが特徴だ。中枢神経系の機能障害が原因と推定されているものの、詳しいことは未解明。得意な才能を発揮する場合も多く、アインシュタインやエジソンもそうだったと見られている。日本人は少なくとも2~3%が該当すると言われるが、実生活で“落ち着きがない”“やる気がない”などと誤解されることが少なくない。 日本LD学会長の東京学芸大教授、上野一彦さんは「知識を整理している脳の一部の引き出しがきしみがちで、知識が取り出しにくい状態」当帰芍薬散説明する。 文部省の調査研究協力者会議は昨年、LDの判定基準や行政が行うべき施策をを提言。之を受けた同省は新年度、15都道府県・政令市でモデル事業を始めることにした。実施自治体は近く決まる予定。成果を【民間療法】ながら順次、全国へ広げていく考えだ。 具体的には、教育委員会内にLDに詳しい心理学の専門家や特殊教育の担当教員などからなる「専門家チーム」を設置。また、LDを学校全体で理解しバックアップするため、小中学校数校に担任や交腸、養護教諭などからなる「校内委員会」を作る。保護者の小異抱くがえられれば、LDと見られる子供を専門家チームが詳しく判断し、最適な支援策を助言する。 平行して、LDの専門家がすでに行っている小中学校の巡回指導も回数を増やす。LD児は指導や訓練によって、学力や社会性などを身につけるのは十分可能。 先月、出版された著書「ありのままで」(教育史料出版会)でLD児の長男(16)の子育て体験を綴った女優の五十嵐めぐみさん(45)は「私も親の会を知り、適切な助言と訓練を受けるまではどうしていいか不安だった。情報不足で相談先を持たず、途方に暮れている親は今も少ないはず」と話す。 上野さんも「LDのような軽度の障害に対する行政施策は遅れていたので、新年度の事業は一歩前進」と評価する。その上で「読み書きなどの一部が苦手だが、別な部分で人より秀でた能力を持つLDの子供を周りが支援することは、真の意味での個性尊重につながる」と話している。」

 

SIDS

(乳幼児突然死症候群)

⇒生後6ヶ月以内の赤ちゃんが、眠っている間に呼吸が停止し、回復せずに死んでしまう病気。乳幼児2000人に1人の割合で発生し、乳幼児の死因解剖が一般的になっている欧米では、赤ちゃんの死亡原因の1位と報告されている。東京女子医大の仁志田博司教授(新生児学)によると、原因はまだ詳しく解明されていないが、母親がタバコを吸ったり、赤ちゃんをうつぶせに寝かせることにも関係があるという。   

■犠牲者 「元気だった赤ちゃんが何の前ぶれもなく眠っているうちに死ぬSIDSの犠牲者は、1995年から厚生省の統計で把握できるようになり、同年579人、96年526人、97年が538人と、毎年500人で推移してきた。その9割は1歳未満の乳児期に起きている。厚生省の調査ではSIDSの発症リスクは」

①うつぶせ寝は仰向け寝の3倍

②人工乳は母乳の4.8倍。

③父母とも喫煙する家庭は非喫煙家庭の4.7倍 それぞれ高くなるという結果が出た。 (死因事典p216~)


エキノコックス症

■秋田の女性感染 「秋田県保険衛生課は22日、同県下の60代女性がエキノコックス症に感染したと発表した。 エキノコッックスは北海道を中心に感染者が出ている寄生虫で、4月施行の感染症予防法で厚生省への報告対象とされた。同課によると、同法施行以降、北海道以外で感染が報告されたのは初めてだが、過去には20都道府県の70人以上が感染したとする資料もあるという。 エキノコックスはサナダムシの仲間の寄生虫。卵を口にすることで人体に入り、肝臓に寄生する。肝臓障害を起こし、放置すると死亡するという。潜伏期間が長く、5~30年に及ぶ。 同課によると、この女性は6月から腹痛を訴え、病院で診察を受けた。痛みが続くため9月に再受診し、今月13日にエキノコックス症と診断された。この女性は30数年前に5日間北海道旅行をしたという。」1999.10.23《日本経済新聞》

 

 

エクボン症候群

 Ekbom syndrome =「restless legs syndrome」

■夕方から膝下に不快感

ムズムズ脚症候群はレストレス・レッグ・シンドロームと呼ばれ1960年に米国のエクボン博士が初めて記載した。1997年日本睡眠学会に現状調査の依頼があり、日本でにわかに注目されるようになった。この病気の特徴は、40~60歳の女性に多く見られ、夕方から夜間にかけて膝から足首の部分がムズムズし不快な気分になる。その不快感は皮膚表面ではなく深部の筋や骨に生じている様に感じられ、寝れなることもある。そして、膝から足首にかけての下腿をときに擦り合わせると言う。 この病気の臨床検査としては、睡眠ポリグラフ検査や機能性磁気共鳴画像装置(MRI)を利用した検査などがある。ただ、これらの検査を実施するための装置を備えている病院は少なく、確実に診断できる病院はほとんどないともいえる。

この病気の基礎疾患には貧血・尿毒症・妊娠・糖尿病・結核・肝炎・肺炎などの感染、胃切除後の下肢静脈血栓などがあるが大多数は原因不明である。昔はヒステリーや神経衰弱などと考えられていた。ドーパミン作動薬が一時的に有効であるが、夜間下肢運動症などの病気と鑑別する必要があるとされる。日本における患者数は50歳代で約3.5%程度との報告があり、決して少なくない。 このように神経症状を主に訴える病気は、客観性のある一般的な臨床検査が行えず、評価が非常に難しい。(巽典之・大阪市立大学医学部教授)2000.5.1《日本経済新聞》

 

エコノミークラス症候群

=エコノミー症候群

■長時間すわって血栓 「長時間旅客機の座席に座り続けて、足の血管内に血の塊が出来て、それが肺につまって起きるいわゆるエコノミークラス症候群。胸の痛みや呼吸困難になったり、呼吸が止まることもある。血管の内壁が傷ついている人や、血の固まりやすい人が発病しやすいという。専門家は水分補給や足の運動などに注意すれば予防できるとする。 専門家によると、血の塊(血栓)は、機内で長い間足を動かさずにいるために血が流れにくくなって起きる。足の膝の裏などにある深部静脈でできる。血栓が血流に乗って肺に到達し、肺の血管で詰まって発症する。このため、肺塞栓症とも言われる。

●成田で年間100件 これまでは太ももを骨折して手術後に病院のベッドで長時間寝たきりに人に見られたのが、旅客機のエコノミークラス利用者などに発症例が目立ち始めた。軽症も含めると成田空港だけで年間100~150件起きているという。 救急医などが設立した日本旅行医学会は「座席の狭いエコノミークラスが危険で他のクラスは安全のような誤解を与える」として、ロングフライト血栓症という呼び名を提案している。

長時間飛行によって機内の湿度は5~15%程度になる。これだと1時間に約80ccの水分が無意識のうちに体の表面から蒸発する。仮に12時間の飛行ならば1㍑近い水分が体から蒸発することになり、血栓が出来やすくなる。 血栓が出来る恐れがあるのは、過去に血栓の出来た経験のある人や足の血管の内壁が傷ついている人、血の固まりやすい人など。 血管の内壁が傷ついている人は、患部を修復しようと血小板が集まり血の塊が出来やすい。加齢で血管内壁が傷ついてきている中高年のほか、サッカーや格闘技など激しいスポーツをする選手などは注意が必要という。足の骨折直後の人、糖尿病や高脂血症など生活習慣病の患者も血管が傷ついている可能性がある。 血が固まりやすいのは妊婦や経口避妊薬を飲んでいる人。50歳以上の女性も更年期障害でホルモンバランスが崩れているため固まりやすいという。 予防のポイントとして、篠塚医師は「まず、血液の循環を良くすること」と説明する。ベルトなど体を締め付けるものは緩める。足は組まずに血の巡りを妨げないようにする。水はジュースを補給する。ただしアルコールやコーヒーには利尿作用があるので、それ以外のもので水分を補給する。 こまめに足を動かすのも重要だ。座ったまま深呼吸をしながらかかとやつま先を上げ下げする運動を、1時間に1度、3~5分続けると効果的という。 長時間飛行の後、膝の裏側が腫れて痛みを感じたら、着陸しても席を立たずに乗務員を呼ぶのが良いという。体を動かした途端に血栓が肺へ流れる恐れがある。すぐに血管外科や循環器科へ行く。早期発見できれば薬物などで治療できる。飛行中や着陸直後のほか、約1週間後に発症するこもある。」2002.8.27《日本経済新聞》

●発症を予防する7カ条

①水分をとる(アルコール・コーヒーは避ける)

②1時間ごとに機内の少し離れたトイレに行く。

③座席で3~5分間、足の上下運動をする。

④ゆったりした衣服を着て、ベルトをゆるめる。

⑤血行が悪くなるので足は組まない。

⑥睡眠薬は使わない。

⑦長いフライトの前後は禁煙する。

■タクシー運転手 「勤務中に肺梗塞で死亡した大阪の男性タクシー運転手(当時57)に対し、大阪労働局が長時間座り続けたことによるエコノミークラス症候群が原因だったとして労災認定していた。 認定によると、運転手は2000年7月、大阪市のビル2階の飲食店まで客を呼びにゆき、階段を降りる途中で倒れた。病院に運ばれたが3日後に死亡。死因は肺の血管が詰まる肺梗塞と診断された。 遺族の労災申請を受けた大阪労働局の調べて、運転手は約7時間20分にわたり、ほぼ座り続けて勤務していたことが判明。運転手に血栓が出来る病歴など無いため、大阪労働局はエコノミークラス症候群と判断、2003年7/14日に労災認定した。」2003.8.7《日本経済新聞》

■数ヶ月後もリスク 「2004年10月に発生した新潟県中越地震の際、自家用車で寝泊まりした人は、数ヶ月経過してもエコノミー症候群(肺塞栓症)を起こしやすい状態にあることが2005年7/9、新潟大学などの調査で判明。 当時、車中で避難生活をしていた人で肺塞栓症で死亡している。新潟大学呼吸循環外科の榛沢和彦医師は「非難直後の危険性はかなり知られるようになったが、慢性期の危険も明らかになった」として、車中泊を経験した人の実態把握や検査の必要性を訴えている。 地震直後と2004年11月~12月、2005年2月~3月も3回、主に車中泊経験者を対象に下肢静脈エコー検査を実施。肺塞栓を起こす可能性がある血栓が出来ていた人は、地震直後は約3割だった。 2回目は83人中10人(12%) 3回目は32人中7人(22%) と2回目より3回目の方が増えていた。健康な人で血栓が出来ている人の割合は0.6%程度なので、非常に高率といえる。 2005年7月現在でも、被災地の外来患者の10~15%に血栓が見つかる。

■東日本大震災 運動不足 水分摂取の不足 津波の打撲によって、血栓ができやすくなる。 震災では、血栓以外に高血圧が増えている。 ストレス→腎臓からの塩分の排泄が悪くなる→循環血液量が増える。


 

壊疽(えそ)  

=脱疽ともいう。⇒四肢の動静脈に炎症が起こり、そこに血栓が出来て内腔を塞ぎ、血液が流れなく なって、その末梢組織が壊死に陥り、紫色や黒色に変色した状態。

■ウジ虫で治療(マゴットセラピー)

「糖尿病や脚の動脈硬化で起きる壊疽の治療に、ウジを使う『マーゴットセラピー』(マーゴット=ウジ虫)が広がりつつある。 その手法は、無菌のウジを2~3日間、患部に置き、ガーゼなどで覆う。そうすると抗生物質でも効かなかった耐性菌を殺菌したり、キズの回復を促す作用がある。 ウジ虫がキズの回復に有効なことは昔から知られている。戦場で負傷した兵士のキズがウジがわくことで早く回復・治癒したことから、19世紀に欧米で広がった。抗生物質の登場で廃れていたが、耐性菌が出てきたことで再び注目されている。 日本医科大学では19名が治療を受け、8割が成功した。岡山大学・埼玉医科大学などでも行っている。 壊疽は糖尿病や動脈硬化で脚の血流が低下する『下肢閉塞性動脈硬化症』 で起きることが多い。従来は、カテーテルという細い管を血管に入れて広げたり、血管を移植するバイパス手術が行われていた。 そのほかに、血管を増やす細胞を注射する療法では、「単核球」という白血球の一種を動脈硬化を起こした血管の周りの筋肉に注射する。 壊疽が悪化すれば敗血症で死亡したり、脚を切断すると患者の生存率(2年以内)は約50%に低下する。(参照→「バージャー病」)

【漢方薬】(えそ)

■桔梗湯

■当帰四逆加呉茱萸生姜湯(対称性のえそ)

■排膿散及湯(肺壊疽、部分的な化膿症)

■麻杏甘石湯(肺壊疽)

■麻杏薏甘湯

 

円形脱毛症

■5歳の息子に円形脱毛症、自然に治る? 「円形脱毛症には、直径2、3cmの脱毛斑が1個の単発型、2以上の多発型、頭全体に広がる全頭型、さらに頭だけでなく全身の毛が抜ける汎発型があります。 病気の原因は不明ですが、遺伝的素因・アトピー素因・自己免疫異常・精神的ストレスなどが関連しているのではないかと考えられています。ある時、前兆も自覚症状もなく、突然、脱毛が始まり、本人はもちろん家族もビックリします。 しかし、脱毛の程度が軽く、脱毛斑が2、3個であれば数ヶ月で自然に治ることが多いようです。治っていくときには、脱毛斑の中心部に産毛が生えてくることもあります。 一方アトピー素因のある場合や脱毛の程度が重い場合は治りにくくなります。治療には、血管拡張作用のある薬を塗ってマッサージする方法、ステロイド外用剤の使用など局所療法と、内服療法とがあります。 家庭でn注意点としては、本人が気にしますので、その不安感を取り除いてやることが大切です。食生活に特に注意する必要はありませんし、洗髪もいつも通りにして結構です。 年齢や脱毛の程度によって治療方法が異なります」

■免疫異常 「円形脱毛症は毛髪がまとまって抜け落ち、コイン状のハゲが出来る病気だ。脱毛の範囲は数センチメートル~頭部全体に広がることもある。出来る場所は、頭髪が多いが、眉毛やまつげ、陰毛など、全身のどの部分でも起こる。軽症ならそのまま放って置いても半年~1年で治ってしまうが、重症の場合は脱毛部がどんどん広がったり、再発を繰り返す。 円形脱毛症はストレスによって発症すると思われてきた。ところが、どうもそうではないようである。患者さんの発症前の生活環境について統計的な分析をした研究によると、強い精神的ストレスを感じていた人より、ほとんどストレスが無い人の方が多かった。 それではそうして脱毛がおこるのだろうか?最近は自分自身の免疫系によって毛包が攻撃されて脱毛するという『自己免疫疾患説』が有力である。例えば、インスリン依存性糖尿病などの自己免疫疾患を持つ人やアトピー性皮膚炎などのアレルギーのある人、ダウン症患者など、免疫系に異常がある人では円形脱毛症の発生率が高い。また、脱毛が起こっている毛包の周囲には明かな炎症反応が認められ、リンパ球が集まって自信の毛包を攻撃しているように見受けられる。 そこで、リンパ球が脱毛の原因かどうかを確かめる実験が行われた。患者からリンパ球の一種であるTリンパ球を採取して、バラバラにした毛包組織と一緒に培養した。このTリンパ球を患者の頭部皮膚を移植したネズミに注射すると脱毛が生じたが、毛包組織と培養していないTリンパ球では脱毛は起こらなかった。この結果は、毛包組織と反応して活性化したTリンパ球が次々と周囲の毛包組織を破壊することによって、円形脱毛症が生じることを示唆する。 ところで、ヌードマウスという、Tリンパ球が作れないために、体毛の発育が悪く、ほとんど裸に見えるマウスに、普通のマウスから骨髄細胞(リンパ球のもと)と胸腺を移植して免疫系を回復させたところ、体毛も発達し始めた。 Tリンパ球は、ある場合には脱毛にかかわり、また別の場合には発毛にかかわる。微妙なバランスが必要なようである。 それではストレスは全く関係ないのかというと、おそらく間接的な影響はあると考えられる。ストレスを受けると、脳の視床下部からホルモンが分泌されて副腎皮質を刺激し、副腎皮質ホルモンのコルチゾールが多量に分泌されるようになる。コルチゾールは免疫系の働きを抑制するので、ストレスによって免疫系のバランスが崩れることは十分考えられる。」(坂崎貴・島根大学講師)2000.12.10《日本経済新聞》

【民間療法】○アオギリ・クララ・クワ・ショウガ・チョウセンニンジン・トウガラシ・ニンニク。  

【漢方薬】■荊芥連翹湯■桂枝加竜骨牡蠣湯■小柴胡湯■大柴胡湯 ■通竅活血湯 ■防風通聖散

 

炎症 inflammation

◎炎症というのは、傷害や脅威に対して体が反応する方法の1つです。これは細菌・負傷・刺激物との接触によって引き起こされるもので、体の防衛機構が動員されていることの徴候です。この範囲では、炎症は体に有益なプロセスとみることが出来ます。それは、血液の供給が増大することと、局所的に体温が高まることと相まって、感染を抑制し、治りを早めるからです。 しかし、治癒のプロセス以上に炎症が続けば、非常な痛みや掻痒感を起こします。

■炎症を抑えるタンパク質 「田中貴志・理化学研究所員らは、ウイルスや細菌に感染すると起こす炎症反応を適切に抑えるタンパク質を発見した。免疫細胞の核にある『PDLIM2』で、このタンパク質が無いマウスでは炎症反応が2~3倍に高まった。 炎症反応は病原体と闘う必須の免疫機能が引き起こす反応だが、過剰反応するれば逆にアレルギー反応を引き起こす。 免疫細胞の『NF-κB』と呼ぶタンパク質が活性化すると起こり、このタンパク質が分解されると免疫反応は静まるのが基本的な仕組み。 研究チームは、NF-κBを分解に導くタンパク質『PDLIM2』を発見した。細胞核内でこのタンパク質に結合すると、分解酵素がある部位まで運ばれることが分かった。 PDLIM2が欠損した免疫細胞では、NF-κBの分解が妨げられ、炎症反応に必要なタンパク質が2~3倍過剰に生産された。また毒素を注射した欠損マウスでは、野生型に比べ死亡率が2倍に高まり、炎症反応が過剰に起こっていることが分かった。 過剰は反応を抑える治療薬を開発するため、NF-κBを不活性化する研究はあるが、未だ効果的な薬は無いとい。 成果は2007年4/30付けのネイチャー・イムノロジー(電子版)発表。20075/1

【芳香療法】<1>カミルレ<2>ラベンダー

 

エボラ出血熱    

=エボラウイルスによる熱性伝染病。   

◎感染経路:経皮感染or飛沫感染。   

◎潜伏期間:4~16日   

◎症状:マールブルグに類似。致死率が高い。

■免疫を破壊 「エボラのウイルスは、生体のウイルスに対する免疫を破壊して、感染者の体内で増殖することを米マウントサイナイ医大などの研究チームが突き止め、24日付の米科学誌アカデミー紀要に発表した。 インターフェロンは、生体内で作られ、ウイルスの増殖を抑え込む。ところが、エボラ出血熱ウイルスが持つ『VP35』というタンパク質にはインターフェロンが作られるのを妨げ、生体の防御機構をくぐり抜ける働きがあることが、培養細胞を使った実験の結果、分かった」2000.10.25《日本経済新聞》

■ウイスルを1時間で検出 「科学警察研究所と東京大学医科学研究所は、致死性が高く生物テロに使われる恐れも指摘されているエボラウイルスを迅速・簡単に検出できる技術を行動開発した。1時間程度で分かり、検査装置がない現場でも使いやすい。 エボラ出血熱の流行は、現在、アフリカに限られているが、生物テロに使われる可能性があるほか、世界的な流通網や交通網により、他の地域でアウトブレイク(突発的な流行)する可能性も指摘されている。 検出法はまず調べたい資料に含まれているRNAを抽出、試薬などを混ぜて63℃に温める。試料にウイルスが含まれていると、25~30分で目視で確認できるほど白濁する。」2006.1.24《産業》

■ゴリラ アフリカ・コンゴのゴリラがエボラ出血熱で大量に死亡。

 

 

エルシニア感染症    =「Yersinia感染症」 Yersinia enterocoliticaの経口感染により起きる。 哺乳類・トリ・カエル及び糞による汚染された物質から分離される。 「ブタやウシなどの家畜が保菌し、汚染された食肉や牛乳・水などを通じて経口感染する。発症するのは小児が多く、腹痛や下痢・発熱などを起こす。多くは自然に治るが、まれに敗血症を起こすなど重症化し、死亡するケースもある。感染すると血中に細菌が混入するため、輸血によっても感染する。海外では死亡例が報告されている。5℃以下でも増殖するため、低温保管された血液からも感染する恐れがある。」

◎症状: 1)嘔吐 2)腹痛 3)下痢 4)発熱 5)咽頭痛

◎感染源 ブタ肉などの食肉

◎Yersinia=スイスの細菌学者。

◎エルシニア属: 「Enterobacteriaceae科のグラム陰性、通性嫌気性、桿状~卵形の細菌。 O抗原の存在下に多くの血清型がある。」   

■輸血で感染? 「関西地方の病院で輸血を受けた60代の女性患者が輸血用血液に含まれていた細菌に感染して死亡していた可能性が高いことが2003年10/3、判明。日本赤十字社を通じ医師から報告を受けた厚生労働省は因果関係を調べ、7日の血液事業部会安全技術調査会に報告する。 厚労省によると、女性は9/22に慢性腎不全で透析を受けていたが、貧血を起こしたため赤血球製剤の輸血を受けたという。その後敗血症によるショック症状を起こし、多臓器不全で9/25に亡くなった。 病院が女性から採取した血液を調べたところ、食中毒菌「エルシニア」と見られる細菌を検出。残っていた輸血用血液からも同じ細菌を検出した。10/2に日赤を通じて厚労省に「輸血による感染の可能性が高い」と報告。 これまで輸血でエルシニアに感染、死亡した例は報告されていない。輸血用血液を介した細菌感染は白血球の除去でほぼ防げるが、日赤は1999年に指摘を受けながら、実施していなかった。日赤は保管検体の検査など因果関係を調べるとともに、同じ献血血液から分離した血漿の使用を停止した。」2003.10.4《日本経済新聞》

 

 

エンテロウイルス感染症

⇒発疹を伴う感染症。

◎症状:

発熱:無菌性髄膜炎を伴うことが多い。

発疹:斑丘疹性、深紅色~鮮紅色  孤立性で色素沈着  落屑をみるのは稀。

■64タイプ 「三菱化学ビーシーエルは夏場に用事に流行する「手足口病」や脳炎など様々な疾病の原因である「エンテロウイルス」の早期診断法を確立した。遺伝子の塩基配列を分析。60種類以上ある同ウイルスの血清型のうち、どのタイプに感染しているかを4~10日程度で正確に判定する。 エンテロウイルスには64種類の血清型が確認されており、型によって手足口病、ヘルパンギーナ、髄膜炎、脳炎など様々な疾病を引き起こす。国内で最も臨床例が多い感染症ウイルスで、海外では脳炎による死亡例も出ている。従来の分離培養方法では培養に1ヶ月以上かかるほか、培養しても型の判定が困難なケースが多かった。 具体的には、患者の検体内のウイルスから遺伝子を取り出し、「PCR法」と呼ぶ増幅法で特定の遺伝子を増やしたうえで、塩基配列を解析する。 早期治療が可能になるほか、血清型熱の治療法確立にも役立つ。エンテロウイルスと同じウイルス科で、101種類の型を持つライノウイルスにも対応できる。」2003.8.22《日経産業新聞》

 

 

 

 





Wernicke脳炎

=1881年ウェルニッケが発見。

<1>「出血性上部灰白質脳炎」と名付けた。

<2>症状:

・眼球運動麻痺     

・歩行運動失調     

・意識障害

<3>慢性化するとコルサコフ症候群に移行する。

⇒第3脳室および第4脳室やシルヴィウス導水管の周囲に起こる急性の出血性炎症。

◎一般脳症状の他に眼筋麻痺が見られる。◎飲酒家に多い。

 

 

 

Willis動脈閉塞症

occlusive disease in circle of Willis

=ウイリス動脈輪閉塞症=(モヤモヤ病)

脳の底部で動脈が相連なって輪状をなしているのをウイリス大脳動脈輪という。Thomas Willisは、イギリスの解剖学者(1621-1775)

◎診断基準: 

<1>脳血管撮影が診断に不可欠。

<2>症状:(小児)

(イ)片麻痺、単麻痺、感覚異常、不随意運動、頭痛、ケイレンが反復的発作的に出現。

(ロ)知能低下

(ハ)固定神経症状

(ホ)病側が左右交代して現れることがある。

<3>原因:不明。特別な基礎疾患(動脈硬化、髄膜炎、腫瘍、Down症候群、Recklinghausen病、外傷、放射線照射・・・)は見られない。

<4>発症年齢:2つのピークがある。(イ)0~9歳:-虚血性脳血管障害を呈することが多い。(ロ)30~39歳:-出血性脳血管障害を呈することが多い。

 

Woff-Parkinson-White症候群

=「WPW症候群」ともいう。

不整脈の一種。

特徴:①心電図上、PQの異常短縮 ②QRSの延長③QRSの立ち上がり部分にデルタ波を持つ。   

◎房室間の副伝導路(Kent束)を通過した興奮が正規の伝導路を通過した興奮を一種の融合を生じることに起因すると考えられている。



O-157

=「O-157:H7」 異なった血清型が40種類あり「腸管出血性大腸菌」と総称される。

この種の大腸菌は2種類のベロ毒素[VT1][VT2]のどちらか、または両方を作り、別名、「ベロ毒素産生大腸菌」とも呼ばれる。⇒病原性大腸菌の一種。
普通は牛などの腸内に居るが、人間の体内に入ると赤痢菌の一種と同じくベロ毒素を作る。大腸菌は菌の型によって分類番号が付けられ、ベロ毒素を作るものとしては「Oー1」「Oー18」「Oー26」など10種類以上ある。その中で、最も食中毒の報告が多いのがO157。発症までの潜伏期間は4~9日間。激しい腹痛と水のような下痢が頻繁に起こり、腸からの出血が始まる。さらに悪化すると溶血性尿毒症や脳症になり死に至ることもある。1996.7.16《日本経済新聞》」

⇒大腸菌の一種。 「157番目に見つかったオー抗原(細胞の一番外側にある糖脂質)を持つ大腸菌という意味でO-157と命名されました。

大腸菌は腸の中に存在するごくありふれた存在で、ほとんどは人間に害を与えません。O-157は「病原性大腸菌」で腸管出血性大腸菌と呼ばれています。 牛の腸に存在している時には牛に害を与えないのに、人間の体内に入ると害を及ぼす。 普通のありふれた大腸菌にウイルスがとりついて激症化したもの。

◎O-157の種類:
ベロ毒素の産生様式から3種類が検出されています。現在、変種が200種以上見つかっています。

【特徴】:(イ)感染経路がはっきりしません。(ロ)感染力が極めて強い。O-157=わずか100個以下でも感染する腸炎ビブリオ=100万~1000万個ないと感染しない。(ハ)酸にも強い:胃酸では死なない。(ニ)低温に強い:冷凍しても死なない。(ホ)毒性が強い:ベロ毒素は細胞内のリポゾーム(タンパク質を合成する装置)の働きを妨害し、腸管出血性大腸炎を引き起こします。これがもとで溶血性尿毒症症候群などの合併症を併発し、死に至らせることもあります。 (ヘ)これまでの治療パターンが通用しない。バクテリアの治療は抗生物質で簡単に治りましたが、バクテリアであるO-157は抗生物質の使用によって、ベロ毒素を増加させることもあり、抗菌剤の使用に関しては意見が分かれています。バクテリア:O-157、赤痢、結核、破傷風。ウイルス:エイズ、C型肝炎、エボラ出血熱。

【症状】(O-157)

<1>初期の症状:

*強い腹痛

*激しい下痢(水のような下痢が続く)

*熱はあまり出ない。

*体がだるい

*感冒に似た症状

*潜伏期間:4~9日間。

<2>病状が進むと:

*血便。

*尿が出にくくなる。

◎治療の注意点

*下痢止め:厳禁。使ってはいけない。

*抗生物質:使わない方がよい。

*漢方処方:大承気湯を使う。

◎近くの病院で、小児用HUS人工透析が出来るかどうか、確認しておくこと。

◎接触で感染しません。口から体内に入る経口感染のみ。

(予防):食べ物、飲み物に注意すれば良い。

<1>牛の腸内にいるので、肉をさわった手・包丁・まな板で生野菜をさ わらない。

<2>しっかり加熱する。特にミンチ肉。電子レンジに要注意!電子レンジは、加熱ムラがあります。

<3>調理用具をしっかり消毒する。

◎「清潔さとは縁遠い発展途上国にはO-157の発症が全く見られないという事実を、私たちは真剣に考えるべきだと思う。衛生状態が悪かった時代には、「きれい好き」は、有効だったかもしれない。しかし、衛生状態の良くなった現在では、日本人のこの「きれい好き」は皮肉なことに自らの健康をむしばむ結果を招いているのではないか?」(藤田紘一郎・東京医科歯科大学教授)1997.10.6《朝日新聞》

 

O脚

■2歳すぎに判断「B君は1歳6ヶ月になり、歩き方がしっかりしてきた。母親はB君がかわいくて仕方がないが、よく見ると下肢が彎曲していて「O脚」のようである。近所のお母さん方に、早く治さないと大人になって格好の悪い足になる、と言われ急に心配になり私の処へやってきた。 足をそろえてみると、膝の下の部分が大人の指が2、3本ぐらい入る隙間がある。通常、2歳半になって両側の足くるぶしをそろえたときに膝の内側が大人の指3本以上開く時、O脚と呼ぶことになっている。 赤ちゃんは母親のお腹にいる時、両足を抱え込むようにしていることから2歳ごろまではO脚であることが多い。それ以降は関節の柔らかい子供を中心にむしろX脚となり、7、8歳に良い形になるのが正常の発達過程である。 しかし、くる病や軟骨無形成症などの全身的疾患や、プロント病という脛骨近くの骨端軟骨板が内側に垂れ下がった場合には自然には治らない。従って、2歳を過ぎた頃にO脚がはっきりしている場合、または膝下が異様に開いていると思われる場合にはX線検査を受けることを勧める。 2歳半を過ぎて先に述べた基準を超えている場合にはバネの力を用いて徐々に矯正するような仕組みを持つ装具を就寝時に用いる。装具による治療後も脛骨近くの生長帯が長軸に対し20度以上傾斜している場合や、片側だけの彎曲の場合は手術を必要とする。 B君の場合、まだ1歳半で全身的にも問題のない健康時であることから、このまま様子を見て良いと伝えた。(坂巻豊教・国立小児病院整形外科)1998.5.16 《日本経済新聞》◎チェック:「くる病」




黄疸(おうだん) jaundice

⇒黄疸とは血中ビリルビンが増えて皮膚・粘膜・などの組織が黄色く染まる状態。

■先天的溶血性黄疸

「我々が持っている細胞の周りを取り巻いている細胞膜は、半透膜と呼ばれる。すべての物質を透過させるのではなく、ある物質を選択的に通す性質がある。一般的に、この膜を透過するのは分子量が小さい物質であり、タンパク質のような大きな分子は通らない。半透膜を、濃度が異なる2つの液体の境界に入れると、水は膜を通って濃度の低い液から高い液の方へ移動する。この水が移動する力を浸透圧という。

さて、我々の体の中には様々な物質のイオン(電気的な性質を持った原子または分子)がある。これらをひっくるめて塩(えん)と呼んでいるが、細胞の内と外の塩濃度を比べると、細胞内の方が20%くらい高くなっている。これだと浸透圧によって、細胞の中に水がどんどん入り込むことになる。 これを防いでいるのがイオンポンプと呼ばれる仕組みである。特に重要なのがナトリウムーカリウムポンプである。これはナトリウムイオンを細胞の中から外にくみ出し、代わりにカリウムイオンを中に取り入れている。その結果、細胞内部は塩濃度が上がり、同時に水も出ていくようになっている。ところが、細胞の外はもともとナトリウムが多く、逆に内はカリウムが多いから、これらのイオンのくみ出し・取り入れは濃度勾配に逆らって、低いところから高いところへと行われる。 細胞の内と外の塩濃度にあまり差がないと、「ポンプ」は正常に作動して細胞は普通の状態でいる。しかし、周りの塩濃度が低くなると、細胞はどんどん入り込む水をくみ出せなくなる。赤血球の場合、膜のすきまからヘモグロビンが漏れ出てくるようになる。これを[溶血]という。赤血球をはじめ人間の細胞は、普通、0.9%の濃度の食塩水と同じ塩濃度の中が最適な環境である。この食塩水濃度を0.48%にまで下げると、赤血球は溶血しはじめ、0.33%で完全に溶血する。この時赤血球の膜に異常があると、もっと高い濃度、例えば0.7%くらいのところで溶血を起こす。こうした異常の中でも最も有名なのは[先天的溶血性黄疸]である。この時は、本来はせんべい形の赤血球が球形をしている。原因は色々あるが、代表的なのが、赤血球の中にあるグルコース6リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD)という酵素の先天的異常である。G6PDは赤血球の中でブドウ糖(グルコース)が分解される際に働く。と同時に、赤血球の膜にある不飽和脂肪酸が酸化されるのを防いでもいる。赤血球の膜は絶え間なく酸素を透過させていりので、どうしても脂肪酸をはじめ膜を構成している物質は酸化されてしまう。G6PDが正常に働かないと、酸化された物質を元に戻せなくなってしまうので、膜がもろくなり、ちょっとした刺激でも破壊され、溶血を起こしてしまうのである。  G6PDは、遺伝的異常が最も起きやすい酵素であることが知られている。(浜松医科大学・高田明和)

【芳香療法】    

<1>カミルレ   

<2>ペパーミント    

<3>レモン    

<4>ローズマリー    

<5>タイ

【色彩療法】<1>レモン色<2>赤色<3>黄色<4>赤紫色【民間療法】○アカネ・アシ・アスナロ・アロエ・ウコン・ウツギ・梅・エビスグサ・黄連・オトギリソウ・オモト・カキドウシ・カラスウリ・カワラケツメイ・カワラヨモギ・キカラスウリ・クサニオウ・クチナシ・クマヤナギ・クララ・シカ・シジミ・セリ・大根・タニシ・タンポポ・チガヤ・トウモロコシ・ナンテン・ニワトリ・ニワヤナギ・ハトムギ・ヒヨドリジョウゴ・フジバカマ・ホオズキ・ミシマサイコ・ミヤマトベラ・ムラサキ・メギ・モッコク・ヤマゴボウ・ヨシ・ヨモギ。 

【漢方療法】

⇒すべて黄を発する病は、小便の不利から来るの大部分だが、例外として、溝血の発黄だけは、小便が良く出る。これは熱が下焦に溜まった津液を消耗させると小便が不利になり、下焦に詰まって熱が、ただ血だけが消耗させ、津液は消耗出来ないので小便が良く出る。

◎発黄の証に茵蔯蒿を用いざる者甚だ多きは如何と曰う、答えて曰く、発黄に五苓散の証を具うる者は茵蔯五苓散之を主り、発黄し心胸不安、小便不利、腹微満する者は茵蔯蒿湯之を主り、若し乃ち一身尽く黄し腹脹り大便必ず黒く時に溏する者は消礬散之を主り、発黄し心中懊膿し熱痛する者は梔子大黄豉湯、発黄し腹満、小便不利して赤く自汗出ずる者は、大黄消石湯、発黄し頭痛、悪風、自汗、盗汗する者は、桂枝加黄蓍湯、発黄し胸脇苦満、腹痛してする者は小柴胡湯、発黄し裏急腹中痛、小便自利する者は黄蓍建中湯、発黄し喘咳身体疼痛する者は麻黄醇酒湯之を主る。此れ皆其の全証に随いて処方するのみ。《重校薬徴》

◎主薬:

発黄には、茵蔯・梔子を主薬とすべし《万病回春》

黄疸には、茵蔯を主薬とすべし《万病回春》

◆五種の黄疸

<1>黄疸:[茵蔯五苓散][茵蔯三物湯][陶氏茵蔯湯][加減胃苓湯][茵蔯散]

<2>酒疸:「アルコール中毒による肝障害が原因。全身及び眼が黄色、顔は黄色く発斑(赤い)、食欲不振、吐き気、心中懊、足のほてり、排尿困難、尿赤黄色となる」[半温半熱湯][梔子大黄湯][葛朮湯][酒煮黄連元][辰砂妙香散]

<3>穀疸:[茵蔯梔子湯][茵蔯湯][牛黄散子][紫金丹][穀疸丸][小温中湯][大温中湯][鍼砂丸]

<4>女労疸:「慢性疲労又は発熱時の性行為が原因。額が暗黒色になり、手足の裏が夕方からほてり、軽い発汗がある。排尿困難はない。」[礬硝散][石膏散][秦飲子][腎疸湯][六味丸]

<5>黄汗:[蓍蔯湯][桂枝黄蓍湯]

◎分類:

『陰黄』=身体と顔が黄色く、肢体重く、背が冷たく、心臓の下に塊があって自汗し、脈細の症。 寒湿が裏で停滞して起きる。全身及び顔面が黄色・心下痞硬・自汗・身冷背寒・肢体沈重・頻尿などの症状

[茵蔯茯苓湯][茵蔯橘皮湯][茵蔯附子湯][茵蔯四逆湯][茵蔯姜附湯][茵蔯呉茱萸湯][茵蔯附子乾姜湯][五苓散][八味地黄丸][人参湯][六味丸]

『陽黄』=湿熱が裏で薫蒸して起きる。急性肝炎・急性胆嚢炎などで、眼の黄色が鮮明・発熱口渇・心中懊悩・悪心嘔吐・尿黄赤・尿量減少・大便秘結・腹部脹満・舌苔黄膩となる。

[茵蔯五苓散][加減胃苓湯][大分清飲]『疫癘発黄』=「瘟黄」[瘴疸丸][茵蔯瀉黄湯][済生茵蔯湯][苦参湯]

◎ビリルビン値を下げる薬物。

<1>茵蔯蒿 <2>欝金

【漢方薬】

■茵蔯橘皮湯

■茵蔯姜附湯

■茵蔯蒿湯 :急性肝炎による黄疸によく用いられる。(漢方診療医典)

■茵蔯呉茱萸湯

■茵蔯五苓散 :本方は五苓散に茵蔯蒿を加えたもので、五苓散の証があるものに用いる。茵蔯蒿湯を用いた後で、本方を用いることがあり、また初めから本方を用いることがある(漢方診療医典)

■茵蔯梔子湯

■茵蔯散

■茵蔯三物湯

■茵蔯四逆湯

■茵蔯瀉黄湯

■茵蔯茯苓湯

■茵蔯附子乾姜湯    

■茵蔯附子湯    

■温白元

■越婢加朮湯

■蓍蔯湯

■黄連解毒湯

■黄連散

■加減胃苓湯

■葛朮湯

■苦参散

■桂枝加黄蓍湯

■牛黄散子

■穀疸丸

■呉茱萸湯

■五苓散

■柴胡桂枝乾姜湯

■柴胡桂枝湯    

■済生茵蔯湯

■三黄瀉心湯

■紫金丹

■四逆湯

■梔子乾姜湯

■梔子豉湯

■梔子柏皮湯:黄疸の軽症で腹満も、胸脇苦満もなく、悪心、嘔吐、便秘、尿利減少なども無いものに用いる(漢方診療医典)

■炙甘草湯

■小温中丸

■小建中湯: 胆石の患者で、黄疸が現れて治らず、衰弱したものに著効があったと矢数有道氏が報告(漢方診療医典)

■小柴胡湯■如神散    

■瘴疸丸

■秦飲子

■鍼砂丸

■腎疸湯

■棗子緑礬

■石膏散     

■退黄丸

■退黄散

■腿金丸

■大温中丸

■大黄甘草湯

■大黄硝石湯 :本方も急性期を過ぎて黄疸がとれず、便秘、腹満、尿利減少のものに用いる(漢方診療医典)

■大柴胡湯+茵蔯蒿湯

■大分清飲

■胆道排石湯2号方

■鼻退黄法

■桃核承気湯

■当帰白朮湯 :黄疸が長い間にわたって治らず、虚証になったものに用いる。黄疸に効くいろいろな方剤を用いても効が無く、心下の堅塊も縮小しないものに用いる。本間棗軒は本方の奇効を推奨している(漢方診療医典)

■陶氏茵蔯湯

■人参湯

■八味地黄丸

■半温半熱湯

■礬硝散

■復肝2号方

■茯苓滲湿湯     

■麻黄醇酒湯

■麻黄連軺赤小豆湯: 日立製作所病院長の川西和夫氏は、本方が肝炎に効のあることを認め、かって亜慢性黄色肝萎縮症に本方を用いて奏功した例を報告(漢方診療医典)

■万病元

■緑礬丸

■六味丸




嘔吐(おうと) vomiting

【漢方療法】

*嘔:声あって物の出ない

*吐:物が出て声のないもの。

*嘔吐:声と物が同時にあるものを嘔吐とした。

◎原因:《大塚敬節》

急性伝染病の初期:

<1>幼児に多い。小柴胡湯を用いる機会が多い。

<2>小児麻痺・疫痢・麻疹・インフルエンザ・肺炎・猩紅熱・急性伝染聖肝炎・ワイル氏病・流行性脳炎・髄膜炎

<3>《傷寒論》に“嘔して発熱するものは柴胡の証備はる”の句があり、嘔吐に引き続き発熱するものには柴胡剤を用いる場合の多いことを述べている。

消化器病:

<1>酒客にみられるアルコール性胃炎の嘔吐:早朝空腹時が多い。

<2>胃拡張では:朝食を夕方に吐き、夕食をを翌日吐いたりする。《金匱要略》に“朝に食して暮に吐し、暮に食して朝に吐き、宿穀化せざる者を胃反と曰ふ”とあり、後世になって、胃反を反胃と呼ぶようになった。「茯苓沢瀉湯」「丁香茯苓湯」「生姜瀉心湯」などが用いられる。

<3>澼嚢と呼ばれた病気では、4、5日も前に食べたものを吐き、胃反では、腹痛を伴わないで、たやすく吐くのに、澼嚢では腹痛を伴うもの。「茯苓沢瀉湯」「丁香茯苓湯」「生姜瀉心湯」などが用いられる。 

<4>幽門痙攣による狭窄でも吐く。これは乳幼児に多く見られる。これは漢方でいう水逆性の嘔吐で五苓散が良く効く。

<5>急性食道炎・食道痙攣・食道狭窄・食道ガンなどで嘔吐:梔子の配剤された処方(ex.利膈湯)が用いられる。

<6>肝臓・胆嚢疾患で嘔吐:柴胡を主薬とした大柴胡湯・小柴胡湯などを用いる。

◎分類:

<1>冷症=顔色が青く、手足が冷え、食べた後しばらくして吐く。処方:[加味二陳湯][丁香安胃湯][加減理中湯]

<2>熱症=顔色が赤く、手足に熱があり、食べた後すぐに吐く。処方:[保中湯][和桔梗湯][黄連竹茹湯][清熱二陳湯][葛根竹茹湯][加味橘皮竹茹湯]

<3>大病後に胃が熱し、虚煩・嘔吐する:[竹葉石膏湯姜汁]

<4>清水を吐く、or冷涎が出る:[二陳湯白朮・白芍薬・升麻・神麹・麦芽・乾生姜(土炒)・黄芩・黄連・梔子]

<5>肝火が胃から逆上して嘔吐:[抑青丸]

<6>胃が弱くて嘔吐:[四味藿香湯][加減四君子湯]

<7>長患いで胃が弱り嘔吐:[藿香安胃散][藿香平胃散][比和散]

<8>痰飲嘔吐:[茯苓半夏湯][小半夏湯][大半夏湯]

◎諸薬無効の者:「麝香・桂心」末とし、調服する。《先哲医話》

◎主薬:姜汁・半夏を主薬とすべし《万病回春》

■抗がん剤の嘔吐に・・・・「塩酸トロピセトロン」(ナボパン)

【芳香療法】 ベイチ博士の救急薬   

<1>カミルレ(ストレスから)    

<2>ラベンダー(ストレスから)    

<3>ブラックペパー(かぜから)    

<4>マージョラム(かぜから)    

【民間療法】

・酢・ハラン・ミソハギ(鼠尾草)・連翹

【漢方薬】

■安中散

■胃苓湯

■茵蔯五苓散

■烏梅丸: 回虫のための嘔吐(漢方診療医典)

■黄連湯

■黄連竹茹湯《万病回春》(胃に熱があって嘔吐し、煩渇して脈が速い)

■薤白粥(嘔逆を治す)

■藿香安胃散《医学正伝》(脾胃が弱く嘔吐する)

■藿香平胃散《医学正伝》(脾胃の虚弱で嘔吐)

■葛根竹茹湯(胃熱と嘔吐)

■加減四君子湯(長患いで飲食を受け付けず、食臭を嗅ぐとすぐ吐く者を治す)

■加減理中湯(胃が冷え、清水と冷涎を嘔吐し、脈沈遅

■加味橘皮竹茹湯《医学入門》(胃熱による渇症と嘔吐、食べられない)

■加味二陳湯《万病回春》(胃が冷え嘔吐する)

■加味六君子湯《万病回春》

■加味理中湯《万病回春》

■乾姜半夏人参丸烏梅丸 頑固に続く嘔吐、ことに妊娠悪阻の嘔吐に、乾姜半夏人参丸烏梅丸で著効を得ることがある。金匱要略に“妊娠、嘔吐止まざるは乾姜半夏人参丸之を主る”とあり、小半夏湯、小半夏加茯苓湯を用いて止まないときに用いる(漢方診療医典)

■啓脾湯

■香砂平胃散《万病回春》

■呉茱萸湯 :激しい頭痛を伴う嘔吐ことに偏頭痛に用いられているが、頭痛が無くても、吐く場合にも用いられる。金匱要略に“嘔して胸滿する者は呉茱萸湯之を主る”とあって、多くの場合、嘔吐すれば胸がすいて胸滿が減ずるのを常とするが、もし吐いても胸滿が減ぜず、ますます胸がはるのは呉茱萸湯を用いる目標である。呉茱萸湯の嘔吐では、悪心を伴い、吐物の1回量は少なく、五苓散証のように多量の水を吐くことはない。 呉茱萸湯証では、心下痞満があるので、小柴胡湯や半夏瀉心湯証に似ているので、鑑別を要する(漢方診療医典)

■五苓散 :乳幼児の風邪や急性胃腸炎などのさいに五苓散でなければ治らない嘔吐がくることがある。熱のある場合でも、熱がない場合でも、どちらでもよい。 はげしい口渇と尿利の減少があって、嘔吐を繰り返して訴える者を目標とする。嘔吐は1回に大量の水をドッと吐くのが特徴で、吐いた後で、水をほしがり、それを飲んでしばらくたつとまた吐く、吐くとまた水をほしがるので、このさい尿の出が少なくまいかをたずね尿利の減少があれば五苓散の適応症である。 多くの場合、1回または2回の服用で嘔吐が止み、口渇も無くなり、熱のある場合は発汗し、尿利が増加して下熱する。 また嘔吐に下痢を兼ねることもあり、嘔吐に腹痛を兼ねることもあり、嘔吐に頭痛を兼ねることもある。この場合でも口渇と尿利の減少を目標に用いる。(漢方診療医典)

■柴苓湯

■三霊湯《本朝経験》

■四君子湯

■四味香湯(胃虚と嘔吐で、粥・薬を受け付けない)

■紫沈丸(吐いて痛む者)

■順気和中湯

■小柴胡湯 :急に熱の出た場合に、嘔吐のくることがある。乳幼児には特に多くみられる。傷寒論に“嘔して発熱する者は、小柴胡湯之を主る”とあって、嘔吐に引き続いて熱の出る者に、小柴胡湯を用いてよい場合がある。 急性肝炎、胆のう炎、流感、猩紅熱、腎炎などの初期に本方が用いられる。 胸脇苦満、心下痞硬、舌の白苔などを目標にして用いる。 乳児が乳汁を吐いて止まない者に、小半夏湯。呉茱萸湯などを用いて効がなく、この方を用いて著効のあった例が方輿輗に出ている。(漢方診療医典)

■小半夏湯 :この処方は半夏と生姜との2味からなる味の淡泊なもので、嘔吐して、飲食物はもちろん、薬も受け付けないという者に用いて、嘔吐を止める効がある。 金匱要略には“もろもろの嘔吐、穀下るを得ざる者は、小半夏湯之を主る”とある。この処方に用いる生姜は、必ず生のひねしょうがを用いなければならない。(漢方診療医典) 1口づつ冷たいものを飲む。

■小半夏加茯苓湯( 小半夏湯に茯苓を加えたもので、心下に停水があって、嘔吐するものを目標にする。金匱要略には“先ず渇して後に吐するは水心下に停るとなす。此れ飲家に属す。小半夏加茯苓湯之を主る”とあり、また卒に嘔吐し、心下痞し、膈間に水あり、眩悸があり、また口渇があるものに用いるので、五苓散との鑑別が必要になる。小半夏加茯苓湯では、五苓散の場合のような激しい口渇は無く、また1回に大量の水をドッと吐くということはなく、悪心があって、吐く、しかし小半夏加茯苓湯を用いても、嘔吐が止まらないようであれば、五苓散を考えてみるがよい。(漢方診療医典) 1口づつ冷たいものを飲む。)

■参萸湯《済世全書》

■参蘇飲

■清胃保中湯《寿世保元》

■清熱二陳湯(痰火による嘔吐、涎沫)

■生津補血湯(セイシンホケツトウ)

■大黄甘草湯(食べてすぐ吐く)

■大建中湯

■大柴胡湯(激しい嘔吐) 小柴胡湯を用いても嘔吐が止まず、便秘、腹満、胸脇苦満のあるもの(漢方診療医典)

■丁香安胃湯(胃が冷えて嘔・吐・する)

■丁附治中湯《医学正伝》

■竹茹湯《寿世保元》

■猪苓散(先に嘔逆、あとで渇症、嘔吐し水をほしがる)

■当帰四逆加呉茱萸生姜湯

■二陳湯

■人参湯 :傷寒論に“霍乱、頭痛、発熱、身疼痛、熱多く、水を飲まんと欲する者は、五苓散之を主る。寒多く、水を用いざるものは、理中丸之を主る”とあり、理中丸は人参湯を丸薬にしたものである。霍乱は嘔吐と下痢を主訴とする病気であるが、下痢しないで嘔吐だけのこともある。そこで、五苓散は“熱があるため”であり、人参湯は“寒があるため”であり、ここに両者の区別が生まれる。 人参湯証では、水を飲みらがらないばかりでなく、尿色はうすくて尿量も多く、冷え症で、口にうすい唾液のたまる傾向がある。脈も沈遅、遅弱の者が多い。(漢方診療医典)

■半夏厚朴湯

■半夏瀉心湯(胸元がつかえる、下痢、腹鳴、吐き気)

■半夏白朮天麻湯

■白朮湯《医学正伝》

■比和飲《寿世保元》

■茯苓飲

■茯苓飲合半夏厚朴湯(悪心嘔吐、気鬱不安、胃内停水)

■茯苓沢瀉湯 :本方は五苓散の猪苓のかわりに甘草と生姜を入れたもので、茯苓沢瀉湯も口渇と尿利の減少を伴う嘔吐に用いられるが、五苓散と違うところは、五苓散証ほどに、口渇がはげしくないのと、水を飲んでもすぐに吐くことは無く、また回数も頻繁に繰り返すことはない。 朝食べたものを夕方吐いたり、夕方たべたものを翌朝吐いたりする。 金匱要略には“胃反、吐して渇し、水を飲まんと欲する者は、茯苓沢瀉湯之を主る”とあり、幽門狭窄、胃拡張などで吐く者に、本方を用いる機会がある(漢方診療医典)

■茯苓半夏湯《万病回春》(痰飲が胃につまり、嘔吐が止まらない)

■平胃散(太陰病、心下痞塞、腹部膨満、食後腹鳴)

■保中湯《万病回春》(痰火による嘔吐、飲食が下らない)

■六君子湯

■理中加丁香湯《医方考》

■苓桂甘棗湯 :幼児の自家中毒症、ヒステリー性の嘔吐などに用いる機会がある。 幼児の自家中毒症には人参湯や五苓散をもちいてよい場合もあるが、下痢または臍の辺りで動悸が亢進し、それが胸に向かって突き上げてくる気味で吐く、そのとき、腹痛を伴うこともある。 神経性の嘔吐に用いることもある。 本方は発作性の心悸亢進を主訴する者に用いる処方で、古人が奔豚と呼んだものを目標とする。金匱要略には“少腹より起こって、咽喉に上衝し、発作すれば死せんと欲し、復た還り止む。皆驚恐より之を得る”とあって、精神的のショックによって起こる心悸亢進を主訴とするびょうきである(漢方診療医典)

■和中桔梗湯(上焦に熱があって、食べるとすぐに吐く)



黄斑変性症(おうはんへんせいしょう)

◎錐体細胞(色を判別)の大部分が黄斑部にある視細胞の一種。桿体細胞は明暗を感じる細胞で共に網膜上にある。錐体細胞には判別できる色の違いから3タイプある。人間の視細胞には4タイプある。

■老人性視力障害の原因物質「米国のコロンビア大学の研究チームは、老化に伴う視覚障害に関与していると見られるビタミンA誘導体の大量合成技術を確立した。このビタミンA誘導体は『A2E』と呼ばれ、網膜中で特に視覚が鋭敏な黄斑と呼ばれる部位が老化に伴って異常を来す『黄斑変性』に関わっているとされる。研究チームは量産が可能になったことからこの病気の研究が進むとみている。 黄斑変性は米国の65才以上の老人3400万人のうち、約170万人の視覚障害の原因で、老化の失明の主要因となっている。研究チームは96年以降の研究からこの病変の原因物質としてA2Eの疑いが強いとみて、その合成法 を探っていた。ただ、合成が難しく、病気の解明に十分な量を確保できなかった。研究チームは量産技術の確立でA2Eが病変につながる理由などがわかるとしている。 1998.12.13《日経産業新聞》

■老人性円盤状黄斑変性症の新治療法「米チバビジョン社とカナダのバイオ企業であるQLTフォト・セラピューティクス社は共同で、失明率の高い老人性黄斑変性症の新たな治療法を開発、臨床試験で効果を確認した。 この病気は眼底中央部に異常な血管が出来て出血するのが特徴で、50才以上の人の失明の主因となっている。新治療法では光感受性の物質とレーザーを併用し、異常な血管からの出血を止める。」1999.1.21《日経産業新聞》

■加齢黄斑変性症

=高齢者に発症し、極度の視力低下を招く。視細胞を支える網膜色素上皮細胞が壊れ、失明と進む。 「57歳の男性。眼科で加齢黄斑変性の初期と診断されました。徐々に視力が衰え、放っておけば失明の恐れもあるということです。今後の生活で、進行を少しでも遅くする方法を教えてください。また、十数年来、週末にゴルフをしていますが、、サングラスをかけた方がいいでしょうか?

●黄斑とは何ですか? 黄斑は、カメラにたとえるとフィルムにあたる網膜の真ん中にあり、視力を保つ大事な場所です。この黄斑に、老化のため異常な血管が生えたり、萎縮したりして網膜を傷める病気が加齢黄胖変性症です。50代以上に起こりやすく、視野の中心がぼやけたり、ゆがんで見えたりします。最初は片方の目に起こり、程度も軽いが、進行すると視力低下を招き、失明につながることもあります。

●異常な血管とは? 網膜が脈絡膜と接する部分に網膜色素上皮細胞が並んでいます。年をとると網膜色素上皮の働きが低下し、老廃物がたまり、その老廃物に刺激されて脈絡膜から異常な血管が発生します。この新生血管はもろくて、血液や水分が漏れて網膜が盛り上がり黄斑の機能が低下します。 ●欧米では患者数が多いと聞きましたが? 日本でも増えています。厚生省の研究班の疫学調査によると、患者数は1993年は14400人で、87年から1.7倍に増えました。男性に多いのも特徴です。

●何が原因ですか? 遺伝や年齢のほか、タバコが危険因子であることが分かっています。禁煙しても15年以上続けないと影響が無くならないので、若いうちから気をつけてほしいですね。 ●どう予防すればいいですか? アメリカの研究に、濃い緑色野菜に含まれるカロチンの摂取が少ないとなりやすいという結果があります。肉より魚を食べる方がなりにくいという報告もあります。太陽光線も良くないと言われており、サングラスは紫外線をカットできるものを選んでください。」2000.4.30《朝日新聞》 ステイーブン・プラット医学博士:カリフォルニヤ大学サンディエゴ校臨床医学助教授 「最近になって、我々の眼の網膜、眼球および黄斑部にあるカロチノイドは、このルティン/ゼアキサンチンだけで、これがわれわれの眼の健康を守ってくれるカロチノイドであることが分かりました。  このルテイン/ゼアキサンチンは、我々の肝臓内でつくられるHDL(善玉コレステロール)によっで血清中にまじって眼の網膜と黄斑部に運ばれます。  黄斑部にルテインとゼアキサンチンが十分にあると、黄短部が健全に保たれ、青白色に対する反応、すなわち"まぶしさ"を防ぎ、映像感覚が鋭くなり物がはっきりと見えるようになります。ちょうど日中にサングラスをかけた時と同じ効果が得られます。  眼の中には、適度に脂肪分がないといけませんが、酸化した脂肪は黄斑部の疾病の原因になりますので、眼の健康を保つためには、眼球を含めて網膜と黄斑部にだけみられるルテイン/ゼアキサンチンを多く補充して脂質の酸化作用を防ぐことが肝心です。  植物中のルテインの抗酸化効果は強力で、太陽光線のもとでルテインが欠乏すると植物は数分で死んでしまいます。  また、タバコを一服すると天文学的な数のフリー・ラジカル(活性酸素)が産生されます。アルコール類も例外ではありませんが、赤ぶどう酒はビールよりもフリー・ラジカルの産生度が少ないことは興味深いことです。  これに関連する面白い例があります。南洋のフィジー島の人たちはタバコを多く吸いますが、肺ガンにかかる人がその割に少ないのです。調査の結果、普段からルテインを多く含んだ食べ物を多く摂っていることがその理由であることが分かりました。  ルテイン/ゼアキサンチンやリコピン等の植物色素には、肺ガンや前立腺ガン、乳ガン、結腸ガンその他のガンを予防する働きがありますが、それらの植物色素(カロチノイド)は、単一で摂るとかえって害となることが多いことが分かってきました。 有名なフィンランド・ショックというベータ・カロチンだけを使った実験結果がそれを明らかにして、世界にショックを与えました。 ルテインの働きで最も注目すべきものは、眼の黄斑部の健康にとって大切であるばかりでなく、女性の子宮頚管ガンの予防や、糖尿病患者特有のインシュリン耐性に対して効果がある事が分かっています。 言い換えれば、インシュリンの効果を正常化することで糖尿病治療に効果を発揮します。 結論的に、各種の植物色素(カロチノイド)は、自然のままの状態で丸ごと摂取することが最も良い効果を、すなわち相乗効果をあげます。 これが、われわれの健康にとっては最高の食事療法です。

■半導体で視力再生 「網膜の働きを代行する半導体チップの開発が進んでいる。関西文化学術都市にある奈良先端科学技術大学大学院大学。大田淳・助教授の研究室では大学院生たちが珍しいLSIの設計・開発に取り組んでいる。用途は人間の目に埋め込む人工視覚チップを目指している。高齢化とともに日本でも網膜が正常に機能しなくなる目の病気が増えてきている。米国の失明原因第1位の加齢黄斑変性症はその1つ。年ととるにつれて視細胞などがうまく働かなくなり、信号の光電変換ができなくなる病気だ。網膜色紙変性症も同様に信号の切り換えが困難になる病気。 こうした病気には視神経に信号を送る残りの網膜細胞には問題がない。このため、視細胞と人工視覚チップを置き換えれば光を取り戻せる可能性がある。」「LSIではなく、再生医療技術を使って目を修復しようとしているのが京都大学病院探索医療センターの高橋政代医師らだ。視細胞などになる最適な細胞を探している。」2003.3.9《日本経済新聞》

■ナノ光線で治療 「独系光学機器販社のカールツァイス(東京新宿区、ラリーハンセン社長)は、失明の原因にもなる「加齢黄斑変性症(AMD)」をナノテクノロジー(超微細技術)を駆使して治療する医療機器を日本で発売する。正常な網膜を傷つけることなく、これまで国内で有効な治療法が無かったタイプのAMDを直せるようになる。 AMDレーザー治療装置「ビズラスPDTシステム690S」の輸入承認をこのほど取得した。承認対象は、網膜に生まれる異常な血管からの出血が原因で視界の中心が見えなくなる「中心窩下脈絡脈新生血管を伴うAMD」。 治療では、新生血管に貯留する性質の薬剤を患者の静脈に注射。新生血管に集まった薬剤を狙って、波長689ナノ㍍

の非熱レーザー光を83秒間照射する。薬剤が活性化し新生血管を閉塞させ、視力の衰えを防ぐ仕組みだ。 1999年にスイスで実用化されて以来、世界65カ国、25万人がこの治療を受けたという。2003.12.22《日経産業新聞》

■RNA干渉で臨床(→RNA干渉)

「米アキュティファーマシューティカルズ社は2004年10月に臨床試験を開始した。そのRNAi医薬品は化学合成した短い二重鎖RNA(siRNA)製剤。血管増殖因子VEGF遺伝子の発現を抑え、加齢黄斑変性症の原因である病的な血管増殖(新生血管)を治療する。」

「創薬ベンチャーのジーンケア研究所は効果的な投与法を開発。特殊加工をしたリポソームを呼ぶ微小カプセルで包み込んだ人工RNAを静脈注射し、ガン細胞の増殖を抑制することにマウス実験で成功した。人工RNAが遺伝子の修復に関わる酵素の働きを抑え込む。ガン細胞は傷ついたままでも細胞分裂しようとする特徴があり、修復機能が働かなくなると最後は死滅する。2008年からヒトへの臨床試験を目指す。」 「日本新薬は独自技術で薬剤のもとになる人工RNAをつくることに成功した。長さが従来より2~4倍の人工RNAを効率よく作ることに成功した。しかも、米社の特許を回避できる。]

■加齢性ドライ型黄斑変性症

「治療薬開発のベンチャー「アキュセラ(米シアトル・窪田CEO)」は、2006年末、米国で第一層臨床試験に入る。対象疾病は、網膜の中心部に異常が発生し、失明に至る加齢性ドライ型黄斑変性症。推定患者数5千万人。 この疾患は目が受けた光の刺激によって網膜色素上皮細胞に障害が起き、本来は無い老廃物のような物が蓄積する。老廃物に対する免疫反応が起きて細胞が死ぬ。そのため見るのに重要な黄斑が萎縮する。 アキュセラの治療薬は光の強弱を感じる視細胞「桿体」にビタミンA誘導体を供給する。光の刺激を受けにくくして発生原因を取り除く。マウスを対象にした前臨床試験では、通常のマウスは2週間で失明し、服薬したマウスは視力を維持できた。2006.3.28《日経》

■酸化ストレス 「慶応大学の坪田一男教授、今村裕講師らの研究チームは#活性酸素などの酸化ストレスが、高齢者に多い目の病気を引き起こすことをマウスで確認した。酸化ストレスが老化の原因になるという説を裏付ける結果と見ている。 成果は米国科学アカデミー紀要に掲載。 実験は、酸化ストレスに弱いマウスを作り、加齢黄斑変性症という目の病気になるかどうか調べた。SOD(スーパーオキサイドディスムターゼ)という酸化ストレスを除去する酵素を作れなくしたマウスを使った。 このマウスは年を経るにつれて目の脈絡膜という部分に血管が増えるなど加齢黄斑変性症の典型的な症状が見られた。若いマウスも蛍光灯に長時間当てると同じ症状が起き、目も皮膚と同じように光によって老化が促進されることが分かった。 これまで年をとると酸化ストレスが増えるのか、酸化ストレスが増えるから老化するのか?議論が分かれていた。」20067/12《産業》

■角膜の血管増殖

「東京大学の渋谷正史教授など日米共同研究グループは、目の角膜が透明性を保つタンパク質を突き止めた。動物実験で血管を増やす別のタンパク質の働きを抑え込んでいることを確認した。成果は2006年10/20のネイチャー電子版に掲載。 角膜にある『sf1t-1』というタンパク質に着目した。角膜にはもともと『VEGF-A』という血管新生を促すタンパク質が存在しているが、何故か血管が無く透明。 そこでマウスを使った実験で、遺伝子操作などによってsf1t-1が働かないようにすると、角膜に血管ができ、次第に増えていった。 sf1t-1は体全体に存在するタンパク質で、#血管新生を押させる働きが以前から知られていた。たとえば、胎盤では強く働き、母親と胎児の血管が増えすぎてつながらないようにする役割を担っていると見られている。」

■飲むサングラス 「米創薬ベンチャーのアキュセラ(ワシントン州)が2007年1月末、加齢黄斑変性症の軽症患者向けの飲み薬の臨床試験を始めた。 加齢黄斑変性症は光を感じるセンサーである網膜の細胞が死に、視力が弱っていく病気。光で異常をきたすのは、網膜にある2種類の細胞のうち、光をモノクロで検出する桿体。桿体が光の刺激を受けて過剰に活性化し、有害な老廃物が周りにたまり、栄養不足になって死んでいく。同社の薬はビタミンAに似た構造の化合物で、桿体に作用して活性を抑え、有害な老廃物がたまるのを防ぐ。独自の作用であたかもサングラスをかけたように、光からの網膜への刺激を抑える。 現在、製品化されている加齢黄斑変性症の薬は桿体が栄養不足を来した後、さらに症状が進行し網膜の血管ができて(新生血管)、視力が著しく衰える「ウエット型」と呼ぶ重症患者向けのみ。 同社の薬を使えば、網膜内に血管ができる前の「ドライ型」と呼ぶ軽症段階で治療できる。20072/19《産業》




#瘀血(おけつ)

⇒「瘀」の意義には以下の2説があります。 単に停滞している血液とする説。 停滞した血液に、老廃物としてのきたなさを加える説。

【漢方療法】(おけつ)

◎《女科百病問答補遺》に云う。婦女多く血に病む。変証多端亦識り易からず、その人、痴の如く、狂の如く、あるいは泥便黒く、あるいは痛処あり。皆瘀血の証なり。凡そ一証を見さば血を以て治す。《雑病翼方》

◎瘀血には必ず醋湯を使う。

◎主薬:
瘀血破るには、帰尾・桃仁を主薬とすべし《万病回春》

【漢方薬】(瘀血)

■桂枝茯苓丸

■疎経活血湯

■治打撲一方

■通導散

■桃核承気湯

【芳香療法】

<1>ブラックペパー<2>ジュニパー<3>マージョラム<4>ローズマリー<5>ガーリック

★(駆瘀血作用のあるハーブ)
血液を希釈する9種の化合物を含有する・・・
「ニンニク」
「トマト」
「デイル」
「フェンネル」
「タマネギ」
「ダイズ」
「辛味トウガラシ」
「セロリ」
「ニンジンcarrot」

★抗凝集活性のある成分→

✩「チモール(thymol) 」

✩「メントール(menthol) 」

✩「メントン(menthone)」

以上の成分を多量に含有する(含有量の多い順):

①ミント(mints)

②「ホースバーム」(Horsebalm)

③モナルダ種の各種 「

④タイム」(thyme)

⑤「ヌードマウンテンミント」(nude mountain mints)

⑥「ヤグルマハッカ」(wild bergamot)

⑦「ウィンターセイヴォリー」(winter savory)

⑧「マウンテンディタニー」(mountain dillany)

⑨「レモンミント」(lemon mints)

⑩「バジル」(basil)

⑪「カリフォルニアゲッケイジュ」(california bay)

■タンパク質が増加 「ツムラと済木育夫・富山医科薬科大学和漢薬研究所教授は、瘀血の患者の血液を分析し、健康な人より増加するとみられるタンパク質を発見した。そのうえで、このタンパク質の増加を簡単に検査できるプロテインチップを試作した。」2003.5.13《日経産業新聞》

 

 

おし(唖)

【漢方薬】

■三黄瀉心湯

■小柴胡湯

【臨床例】☆唖と癲癇が治った例。「山城、淀藩の士人山下平左衛門は、《吉益東洞》先生に謁して曰く、「男ありて、生まれて5歳。瘂にして癇、日に一発或いは再発す。虚尫羸憊して、旦夕斃を待つ。且つその悶苦の状は日一日と甚だし。父母の情として坐視するに忍びず。願わくば、先生の術に頼りて幸にひとたび起つを見れば、死すと雖も悔いなし」と。先生は因って為に之を診す。心下痞、之を按じて濡(ナン)。乃って大黄黄連湯とつくりて之を飲ます。百日ばかり。痞去りて癇は復発せず。而して胸肋妨張し、脇下支満す。瘂は尚故の如し。又小柴胡湯及び三黄丸を作りて、之を與う。時に大陥胸丸を以て之を攻む。半歳ばかり。一日乳母、兒を擁して門に倚る。適々馬を牽きて過ぎる者あり。兒忽呼びて曰く「牟麻(ムマ)=ウマウマ」と父母喜び甚だし。乃ち襁負して(=耳を疑いながら)倶に來り、之を先生に告ぐ。先生試みに糖菓を拈して、以てその呼を挑む。兒忽ち復呼びて曰く「牟麻」と。父母以為(おもえ)らく「願いに過ぐ」と。踊躍して自勝せず。因って前方を服すること數月、言語卒に常の兒の如し。」《建珠録》

☆唖と癲癇「江州、大津の賈人、銭屋七郎兵衛の男、生まれて五歳、病、瘂と癇を兼ぬ。癇は比日(=近頃)必ず発す。且つその骨體委弱して自ら凝坐すること能わず。《吉益東洞》先生之を診す。胸肋妨張し、脇下支満す。小柴胡湯及び滾痰丸を作らして、之を飲む。時に紫圓を以て之を攻むること数月やや能く手足を用う。癇復び発せず。先生の曰く「更に之を服せば瘂も亦治すべし」と。然れども賈人、瞑眩の頗る甚だしきを以て、疑懼して決すること能わず。事故に托して、謝して罷む。」《建珠録》

☆唖がものを言うようになった「越中、小田、中村の勝楽寺の後住、年十三、生まれて瘂を病む。その現住、来謁して曰く「余の後住は、敢えて言語の能通ずるを願うにあらず、幸いに先生の術に頼りて(も)し、佛名を得れば足れり。その剤、峻烈を畏懼するところに非ず。縦(たと)い死に及ぶも亦悔いなし。 《吉益東洞》先生之を診す。胸肋妨張して物ありて之を支うるが如し。乃ち小陥胸湯及び滾痰丸をつくりて之を與え、月餘、七寶丸をつくりて之を飲むこと数日、此の如きものは凡そ六次。でいり二歳ばかり。乃ち言らずということ無し。」《建珠録》

 

 

オーバートレーニング症候群

■運動後の疲れ 「ハードな練習を繰り返したマラソン選手などが不振に陥り、日常生活で疲労感を訴え、回復しないのを、病的な疲労として『オーバートレーニング症候群』とされています。 川原貴・国立スポーツ科学センター統括研究部長は、“私がこの症候群に注目したのは、箱根駅伝予選会を目指していた選手を診たのがキッカケです。この選手は練習量を2倍に増やし、1ヶ月に600km以上を走り込み、自己記録瘀を更新していました。ところが、徐々に疲労が強くなり、不眠など日常生活にまで支障がおこり入院しました。うつ病が疑われて、抗うつ剤を服用しても効果がない。退院後も走るとすぐに疲れ、結局退部することになりました” 練習による通常の疲れと違って疲労感が長引き、成績が低迷するのが特徴です。不眠やウツを伴うことから中枢神経系や自律神経・内分泌系の異常が想定され、慢性疲労症候群と同じような状態と考えます。2007/10/30日経

 

オーバーユース症候群

=「使いすぎ症候群」

■ツボ 「この病気は運動練習のし過ぎや不適切な練習をするうちに徐々に痛みが生じ、腰痛症、肩こり、ひざの痛みなどがあらわれます。 主婦Aさん(54)はテレビの健康番組で見た散歩を毎日始めました。最初は心身共に快調で、調子に乗って散歩の時間を長くすると腰痛になりました。ガマンできる程度だったので、散歩時間を増やせば治るだろうと頑張って歩いていたら、腰痛はひどくなり、体中にこりが起こり来院されました。 骨に異常はなかったので筋・筋膜性の腰痛と判断して針治療を実施。散歩は中止するよう指示しました。経穴は左右肋骨一番下を結んで背骨と交差する第2腰椎から指幅4本分外側の「志室(ししつ)」、第2仙骨孔にある「次髎(じりょう)」、太もも後方中央にある「殷門」、尻の筋肉の横じわ中央の「承扶」、ふくらはぎの中心線上にある「承山(しょうざん)」など。 Aさんは数回の針治療で回復しました。(石野尚吾・北里研究所東洋医学相好研究所診療部長)2003/1/7《日本経済新聞》


オーム病

⇒鳥類(特にオーム)からヒトに伝染する腸チフス様伝染病。

◎病原はクラミジア。

◎症状:
発熱、頭痛、咳、疲労感など風邪に似た症状。

◎重症になると、激症肺炎による呼吸不全で死亡することがある。

◎予防:ペットに口移しでエサを与えない。糞に触れたときは、よく手を洗う。

■小鳥にえさ口移しは危ない「知人の息子に悠君という13歳の男の子がいる。青森県の悠君宅は庭は広く、何本か植えられた大きな木の1つに、昨年春、モズが巣を作った。5月、その巣にカッコウがやってきて、モズの卵のそばに自分の卵を産んだ。カッコウは、自分の卵をほかの鳥に温めさせ、かえったヒナも育てさせる「托卵」という習性がある。 6月のある時、モズの巣にカッコウのヒナがかえった。そして、そのヒナは先にあったモズの卵を巣からけ落とした。モズの親たちは、かえったカッコウのヒナを自分の本当の子供と思ってせっせと餌を運んでいた。 この様子を毎日観察していた悠君は。「自然界のおきて」の不条理さに腹を立てながらも、モズの親鳥のいない間をぬって、巣の掃除やヒナの世話などをしていた。 そのうちカッコウのヒナが毛を逆立てて、鼻水を出し、下痢をして死んでしまった。悠君はそのヒナを巣から取り出して、庭に丁寧に埋葬した。 ところが、悠君はその後1週間目に発熱した。初めは微熱だったが、そのうちに38℃の高熱になった。湯君は近くの小児科医を訪ね、かぜ薬とかぜ用の抗生物質をもらって、飲み続けたが、一向に下がらず、39℃の熱が4日間も続いた。高熱の割に本人は元気だった。 ただし、発病3日目から激しいせきが続いていた。小児科医は首をかしげ、マイコプラズマの検査を試みたが、結果は陰性だった。 悠君のお父さんは、「熱が下がらないのは、日頃から体を鍛えていないからだ」と怒り出した。 動物好きの悠君は、「オウム病」という、鳥から人間に感染する病気を本で読んだことがあり、それを思いだした。すぐ病院に向かい、「モズの巣をよく掃除していた」と医師に告げたのだった。 「オウム病」の特効薬をもらって飲んだところ、その夜から悠君の熱は劇的に下がり、頑固なセキもウソのように消失した。 オウム病の病原体は、細菌よりも小さなクラミジアで、インコ、カナリアなどの小鳥から感染する。診断がつかないと死亡することもある。 小鳥がカゼ症状を示して死んだ場合は、オウム病に感染している可能性が高いので、疑わし鳥の死体には触れず、かごなどは熱湯で消毒するように心がけてほしい。また、小鳥に口移しでエサを与えるなどの濃厚な接触は避けるべきであろう。(藤田紘一郎・東京医科歯科大学教授)1998.5.18《朝日新聞》

■実態を調査 「ペットや家畜からうつる感染症の中で、細菌のクラミジアが原因の「オウム病」、リケッチアによる「Q熱」は、治療が遅れると死亡することもある病気だ。 平井克哉。岐阜大農学部教授は、家畜微生物学の専門家として80年、国内で初めてオウム病の実態を調査した。オウム病は、鳥かごを掃除する際などに、飛散したフンを吸い込んだりして感染し、呼吸器系統が侵される。 東海地方を中心に流通の各段階で3年かけて調べた結果、菌が卸売業者やペット店などで想像以上に広がっている状況を明らかにした。 また、肺炎などの症状を起こすQ熱は、52年の国立研究所の調査では日本国内には存在しないとされていたが、抗体の検出技術が進歩した90年以降に人や家畜を幅広く調べたところ、国内にも広く分布し、患者も相当数いることを突き止めた。 調査がキッカケとなり、オウム病とQ熱は、99年に施行された感染症法の対象に盛り込まれた。また、両疾患の遺伝子診断法を確立し、Q熱の予防ワクチンの開発研究に尽くしてきた」

 

 

オンコセルカ症 ■寄生虫によって起きる、河川盲目症。 2015年、ノーベル賞受賞した大村智・北里大学特別栄誉教授が見つけた「エバーメクチン」。 土壌細菌の1つ、放線菌。 それをメルクが改善し、「イベルメクチン」として発売。

 

 

おこりっぽい (多怒)=「易怒性」

■怒りっぽい還暦男性「『精神科医の落語診断』などの著書がある昭和大学医学部客員教授の中田輝夫さん(精神医学)は「年を取ると、それまでまるくなっていた性格の地金が出てくるんですよ」と解説する。 ex市民グループが運営している東京都多摩市の喫茶店。60代とおぼしき男性、みけんにシワを寄せて「おい、注文したやつを早くもて来い」と切り出した。70代の新米ウエートレスが、注文をとっておきながら忘れてしまったらしい。 「ごめんなさい、ご注文はなんでしたっけ」と尋ねたのが悪かった。「いいから、さっき頼んだのを持ってこい」の一点張り。何度尋ねても注文内容を明かさない。結局「年寄りだと思ってバカにするな」と吐き捨て、出ていった。 東京都老人総合研究所が中高年約3000人を対象に実施した「中年からの老化予防に冠する心理学的調査」によれば、サラリーマン生活から完全に退いて一番精神的ストレス抱えていたのは還暦前後の人たちだった」 「同調査は、完全に引退した年齢を①50~59歳②60~64歳③65歳以上------に分けて、引退後とその2年後の[精神的健康]#1を測定した。(28点満点で、健康が損なわれるほど点数が高くなる) それによると、60代後半以降に仕事を辞めた人は引退2年後にはむしろストレスが低くなっていた。ところが特に59歳までに仕事を辞めた人は精神的健康レベルが引退後の約4点から2年後には約8点に悪化していた。 (#1)[精神的健康]=精神状況を推し量る為の心理学的用語。よく使われる簡単な調査では、①疲れやすいなどの身体症状②不安や不眠の症状③「いつもより何かするのに時間がかかる」などの活動障害④抑鬱症状の4つの側面から点数化する。東京都老人総合研究所の調査では、50代以降は親しい人との死別など悪い出来事が多くなり、度重なると精神的健康は著しく悪化する。ただし、周りから励まされたりしている人は悪化の度合いが低かった。悪い出来事の後、1年以上たつと周りの支えが少なくなり再び悪化する揺れ戻しも見られるという。

●接し方のポイント「ムシャクシャしている男性に、周りの人間はどう接したらいいのか?<1>まず、上手にやんわり受け流すことが肝要。昭和大学の中田教授は「ムシャクシャ男性はわざと無理難題をふっかけてくる。いちいち振り回されていたらきりがないから、文句の言葉じりに真剣にかかわる必要はない」と助言する。冒頭の喫茶店の例で言えば「また忘れちゃいましたねえ」くらいに対応すればいい。 <2>次に受け流すとは言っても、ぞんざいに扱うことはご法度。「また来て下さいね」と、さりげなく相手の存在を認めておくことが大切だ。 <3>その人の居場所を提供することもカギ。学習の場でも市民グループでもよい。その男性にふさわしい活躍の場について家族や友人が情報提供するのが望ましい。一般にカルチャー教室は女性が多く、男性は圧倒されることも。これに対して大学の公開講座や自治体のシルバー大学講座には、男性参加者 が多いので入りやすい。居場所を得て第二の人生に軟着陸できれば、ムシャクシャが軽減される。1998.2.1.《朝日新聞》

(易怒性を引き起こす有害因子)。

<1>キシレン。

<2>高所障害。

<3>水鉛。

<4>騒音。

<5>タリウム。

<6>超音波。

<7>トルエン。

<8>トリクロロエチレン。

<9>鉛。

<10>熱消耗。

<11>ベンゼン。

【宝石療法】 <1>[珊瑚]  

【漢方薬】(怒りっぽい)

■黄連解毒湯

■加味逍遥散

■柴胡加竜骨牡蛎湯

■柴胡桂枝乾姜湯

■柴胡桂枝湯

■柴胡清肝湯

■三黄瀉心湯

■四逆散

■小柴胡湯

■大柴胡湯

■竹茹温胆湯

■釣藤散

■抑肝散

■抑肝散加陳皮半夏

■竜胆瀉肝湯

 

 

肝炎(かんえん)       

◎肝臓:約3ポンド(1.36kg)の重さ。   

◎肝疾患に伴う皮膚変化(望診)     

<1>手掌紅斑     

<2>クモ状血管腫     

<3>女性化乳房     

<4>ばち指     

<5>つめ(白色爪white neil)     

<6>皮膚の色素沈着     

<7>黄色腫     

<8>便の色。        

 

■肝炎ウイルス     

「日本の患者に肝炎を起こしているのはA・B・C・Gの4つの型のウイルスだ。体内のウイルスについては、血液中の抗体や抗原、核酸の有無や量がいい情報源で。特にB型肝炎ウイルスでは、抗原と抗体で病気の程度が良く分かる。      ①ウイルス表面のかけらであるHBs抗原は「ただいまウイルス感染中」

②それにくっつくHBs抗体は「ウイルスに感染したことがある」。

③ウイルス内部にあるHBe抗原は「ただいまウイルス活発活動中」、

④それにくっつくHBe抗体は「ウイルスは不活発になった」ということを表す。      

“最近、HBe抗原を作らないで増える変異ウイルスも一部で見つかっているので、診断が要注意”と大阪大学医学部の林紀夫講師。A型では、発病してすぐ出現するIgMHA抗体が、急性肝炎の指標になる。       

最新の検査法は核酸の量を調べる方法だ。B型・C型はほぼ実用化の段階になり、最新のG型には今のところ核酸の検査しかない。林講師は“C型慢性肝炎患者にインターフェロン治療するかどうかなどの判断はこの検査でしています”と述べる。1996.4.14《朝日新聞》」   

■輸血でG型肝炎に     

「日本の輸血用血液がG型肝炎ウイルスに汚染され、実際に輸血で感染した患者がいることを虎ノ門病院(東京都港区)の消化器科グループが確認した。G型肝炎ウイルスは1995年に米国で遺伝子が確認されたばかり、簡単な検査法も未開発で、肝炎や肝臓ガンをどの程度起こすかもはっきりしていないが、B、C型肝炎やエイズのような感染症の拡大を未然に防ぐため早急な対策が必要と、研究者らは指摘している。輸血による感染を確認したのは同病院の熊田博光部長、茶山一彰医長、小林正宏医師ら。肝臓ガン手術では出血を止めるため、通常、新鮮凍結血漿や血小板などを輸血するが、同病院では肝臓ガン手術を受けた患者の手術前後の血液を、自ら開発した遺伝子検査で調べた。 92年~94年までに手術を受けた後、1年以上経過を観察できた患者が55人いたが、このうち、手術前からG型肝炎ウイルスに感染していた患者は2人だけ。手術後1ヶ月では新たに7人(12.7%)が感染していたことが明らかになった。    態を見守っていくのが重要」と話している。          

■新型ウイルス発見      血清から特定     「新たに見つかった肝炎ウイルスは患者のイニシャルから付けられた名前で『TTウイルス(TTV)』。自治医科大学の真弓忠教授と岡本宏明講師らが昨年末に報告、各国の研究者に注意を促した。 肝炎ウイルスは東南アジアなどで生水を飲んだりしたりして感染する[A型]、輸血などで感染する[B型]や[C型]など6種類がこれまでに見つかっている。        

「A型」:-東南アジア、食事で感染 (経口)      

「B型」:推定150万人。患者の血液で感染。(輸血・性交渉)        

「C型」:推定200万人。 (輸血・性交渉)        

「D型」:-国内感染わずか。 (輸血・性交渉)     

「E型」:国内発症例なし。 (経口)    

「G型」:1995年発見。 (輸血・性交渉)

「TTV」:-劇症肝炎と慢性肝疾患の約半数から発見。 (輸血・経口)

真弓教授らはこの6種類のウイルスに感染していないにもかかわらず、肝炎を起こしている患者の血清を調べ、3人から新たなウイルスを見つけた。 ウイルスを探す場合、これまでは体内の免疫系がウイルス撃退のため作り出す抗体を調べる方法が取られてきた。真弓教授らは血清中に含まれる遺伝子をしらみつぶしに調べ、人間に由来しないものだけを効率的に取り出す方法を導入、これが決め手になってウイルスの特定に成功した。」 ●20年前から流行「この報告を受けて国内の研究者が調べてみると、劇症肝炎や慢性肝炎の患者の約半数、糖尿病の透析患者では約4割、薬物乱用者では約3割が新型ウイルスの感染者だった。日本赤十字が77年に製造し凍結保存していた非加熱製剤からも新型ウイルスが見つかり、このウイルスが20年も前から蔓延していたことも分かった。 新型ウイルス発見が原因不明の肝炎に迫ると見られているのはその特徴からだ。新型ウイルスは輸血を受けた患者からも見つかっており、感染経路としてはまず輸血が疑われている。だが、便の中からウイルスが見つかった例も報告され、食物などを通して経口感染している可能性もあると言う。 これまで知られている6種類の肝炎ウイルスは経口感染するのが2種類、輸血などで感染するのが4種類。輸血では血液からウイルスを除去する技術が確率したが、輸血後肝炎が発症する患者がまだ数%いる。肝硬変も肝ガンも5~10%、死亡率が高い劇症肝炎では4割の患者の原因が不明だ。新型 肝炎ウイルスはその病原の疑いが濃く、原因不明患者が一挙に経る可能性がある。 治療法の研究も早速始まっており、山梨医科大学のグループは肝炎の治療薬として広く使われているインターフェロンを投与すればウイルスが消滅したとの成果を発表した。同大学の坂本穰医師は“新型ウイルスによる肝炎の治療法にある程度見通しが得られた”と話している。」

●病原性に疑いも「もちろん慎重な研究者のなかには新型ウイルスを疑う人もいる。新型ウイルスは感染しても発症しないケースが約20%もある。この比率は他の肝炎ウイルスより高く、“感染しても発症しないウイルスではないか”と病原性という見方に疑いをはさむ向きもある。 日本の研究者は過去に、肝炎ウイルスの研究で先行しながら最終段階で外国研究者に追い抜かれるという苦い経験を味わっている。」1998.5.3.《日本経済新聞》

■肝炎の新ウイルス解明    

「日本人のほとんどが感染。特定型のみ病原性」    

「肝炎を起こす新しいウイルスとして注目されている[TTウイルス]の全遺伝情報(ゲノム)が解読された。日本人のほとんどがこのウイルスに感染しており、このうち特定の遺伝子の型だけに病原性があることが明らかになった。自治医大の真弓忠教授グループは、このウイルスが世界に広く分布し、遺伝子の型が極めて多様であることも見付けた。病原性は、日本人の大人で約10%が感染している遺伝子型Ⅰだけにあった、極ありふれたウイルスが人間と共存し、特定の遺伝型が病気を起こすケースとして関心を集めている。 肝炎ウイルスはA、B、Cなど計6種が分かっている。しかし、現在もこれらの既知のウイルスがないのに、輸血などで肝炎になる場合があり、その病原ウイルスが追究されている。その有力候補に浮上しているのがTTウイルスだ。 真弓教授らは97年、国立金沢病院に保存されていた輸血後肝炎患者5人の血液のうち3人から新しいウイルスの遺伝子断片を分離し、男性患者のイニシャルからTTウイルスと名づけていた。この遺伝子断片を手掛かりに、日野茂男鳥取大享受らが約3900塩基あるTTウイルスの遺伝情報をすべて解読した。人に感染するウイルスとしては初めて1本鎖環状のDNAを遺伝子として持っていることを確かめた。 ウイルスことに遺伝子の変異が大きく、19までの遺伝型に分類できた。国立金沢病院の保存血液から最初に見つかった[遺伝型Ⅰ]が肝炎などの原因になりそうなことも分かった。ほかの遺伝型は今のところ、病原性はないという。 大人の遺伝型Ⅰの感染率は、日本で約10%、アフリカで約50%、欧米で低く、英国で2%と推定されている。1999.4.4《日本経済新聞》

■新型ウイルスの検査技術を開発 「臨床検査大手のSRLはTTウイルスと呼ぶ新型の肝炎ウイルスの検査技術を開発し、特許出願した。 これまで原因不明とされてきたタイプの肝炎を起こすとみられるウイルスで、患者の血液からウイルスの遺伝子を検出して感染を判定する。慢性肝臓病の原因究明や予防の他、輸血による感染を未然に防ぐのい役立ちそうだ。 TTウイルスは自治医科大学の真弓忠教授らが1998年に学会報告した新型ウイルス。肝炎ウイルスには生水飲用などで感染するA型、輸血で感染するB型やC型など6種類が知られていたが、これらのいずれにも感染していないのに肝炎を起こした患者の血液を調べて発見した。TTは患者のイニシャルに由来する。 新技術はウイルスが持つ遺伝子を手がかりに感染を判定する。TTウイルスは遺伝子の特徴によって数種類に分かれるが、SRLはこのうち肝炎を起こすとみられるタイプを特定した。患者の血液を採取してこの遺伝子の有無を調べ、感染を見つける。 肝炎ウイルスの感染者は国内で数百万人と推定され、一部は慢性肝炎や肝硬変を起こした後、肝臓ガンになる。こうした肝臓病で年間に約33000人が亡くなっており、原因不明の肝炎も多い。TTウイルスの感染を確実に検査できれば、原因がよく分からなかった症例についても究明が進むと期待されている。 ただ、TTウイルスに感染しても発症しない例があり、厚生省の研究班がTTウイルスに病原性があるかどうかを詳しく調査中。」2000.9.25《日本経済新聞》

■輸血でE型肝炎感染 「北海道室蘭市の病院で2002年に心臓手術を受けた60歳代の男性が輸血でE型肝炎ウイルス(HEV)に感染、発症したことが2003年1/18分かった。輸出によるHEV感染が確認されたのは国内で初めて。道内では別の献血液からもHEVが検出された。E型肝炎は主に飲食物による経口感染のためウイルス検査はしていなかった。 日本赤十字社は未知の肝炎ウイルスなどによる感染を防ぐため、肝炎になると血中に増える酵素『ALT』を検査しているが、男性に輸血した献血液は検査に合格していた。同血液センターは「感染した直後に採血されたか、軽い感染だった可能性がある。輸血以外で感染した可能性も否定できない」としている。 同センターは原因が不明ながらALT値が高く、不合格となっていた18人分の献血液を改めて検査したところ、6人分からHEVを検出した。このため、日赤は全国のALT値が高く、不合格になった献血液を抜き取り調査し、HEVが混入していないかどうか検査するという。 E型肝炎は動物と共通する唯一の肝炎ウイルスで、ブタ・ヤギ・ヒツジ・ネズミなどにも感染する。血液を介して感染するB型、C型と異なり、こうした動物の糞が混じった水などを飲んで感染すると言われ、海外では洪水の多い国などで流行することが多い。 2002年7月に北海道と東北地方で3名がHEVによる劇症肝炎で死亡していたことが確認された。」2003.1.18《日本経済新聞》  

【芳香療法】    

<1>ローズマリー<2>カミルレ<3>サイプレス<4>タイム<5>ペパーミント<6>レモン <7>ゼラニウム    

【宝石療法】 グリーンジェード

【民間療法】    

<1>ヒガンバナ。<2>モッコク。   

<3>アカメガシワ・アスナロ・イチイ・イワタバコ・ウコン・ウド・ウツボグサ・ウラジロガシ・エビスグサ・オウレン・オオバコ・オオムギ・オナモミ・カラタチ・カラスウリ・カワラヨモギ・キササゲ・クガイソウ・クコ・クサノオウ・クチナシ・クマヤナギ・クララ・スイカズラ・スベリヒユ・タンポポ・ツルドクダミ・トウモロコシ・ナズナ・ニワトコ・マンネンタケ・メギ・ヤブコウジ・リンドウ。  

【漢方薬】     

■一貫煎(慢性肝炎・脂肪肝)    

■「茵蔯蒿湯」 急性肝炎で、熱が出て、何となく気分が悪く、胸がふさがったようで、食欲が無く、悪心のある者。このような場合には黄疸が無くても用いる。 口渇と尿不利と便秘が目標となるが、これが顕著に現れないこともある。流行性肝炎の大部分は、本方でよい(漢方診療医典)

■「茵蔯五苓散」 口渇と尿の不利と黄疸を目標として用いるが、黄疸の無いものが用いても良い。急性、慢性を問わず用いる。 黄疸と腹水があて、肝硬変症と診断された患者に、本方を用いて、腹水がとれ、黄疸もなくなり、健康を回復した患者がある。(漢方診療医典)     

■越鞠丸     

■黄連解毒湯     

■加味逍遥散     

■甘露消毒丹     

■血府逐瘀湯(慢性肝炎・肝硬変)        

■蒿芩清胆湯(急性肝炎)  

■呉茱萸湯     

■柴陥湯     

■柴胡陥胸湯(急性肝炎)     

■柴胡加竜骨牡蛎湯     

■柴胡桂枝湯     

■柴胡桂枝乾姜湯     

■柴芍六君子湯(慢性肝炎)     

■柴苓湯     

■柴平湯(急・慢性肝炎)     

■三仁湯(急性肝炎)     

■四逆散     

■十全大補湯     

■逍遥散(慢性肝炎・肝硬変)     

■小建中湯(慢性肝炎、)   

■「小柴胡湯+茵蔯蒿湯」: 本方は亜急性または慢性に移行したものに用いる機会がある。肝の肥大があり、疲労、倦怠、食欲不振があり、大便の快通しないものに用いる。大便の快通するものには大黄を去ってもちいてよい。 血清肝炎には本方を用いることが多い(漢方診療医典)

■「小柴胡湯+茵蔯五苓散」: 肝の肥大があり、口渇と尿の不利があり、あるいは黄疸や腹水のあるものに用いられる。(漢方診療医典)     

■梔子大黄湯   

■「大柴胡湯茵蒿湯」:小柴胡湯+茵蔯蒿湯を用いる証よりも実証で、腹部が膨満し、便秘し、肝も肥大しているものによい(漢方診療医典)     

■知柏地黄丸(慢性肝炎)     

■当帰芍薬散     

■当帰補血湯(B型肝炎)     

■当帰竜薈丸(急性肝炎)

■「人参湯+五苓散」 :某大学病院に入院中の肝硬変症の39歳男性。腹水と下半身の浮腫と黄疸があり、衰弱がひどくて寝返りもできない。この患者には、衰弱がひどい点に、眼をつけて人参湯を与え、腹水と尿の不利に眼をつけてこれに五苓散を合して与えたところ、その夜から尿量が増加し、2週間ほどで腹水と浮腫が去り、1ヵ月ほどで黄疸もなくなった。(漢方診療医典)     

■八珍湯(慢性肝炎)     

■復肝2号方(急性肝炎)

■「分消湯」 :肝硬変からきた腹水が、これでとれることがある。45歳の女性。胃潰瘍の手術後、肝硬変になり、腹水がたまった者に、近代医学の治療に本方を併用したところ、3週間で腹水がとれた。(漢方診療医典)     

■防風通聖散(急性肝炎)     

■補中益気湯(慢性肝炎)   

■竜胆瀉肝湯(急性肝炎) 

■凉膈散(急性肝炎)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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