「け」漢方処方



【漢方け】


桂蓍湯《本草彙言》
「桂枝湯黄蓍・柴胡・人参」
◎傷寒、裏虚表実にして発散の薬を与え、邪汗出でず、身体煩燥、六脈空数なるを治す。
◎此方は桂枝加黄蓍湯の変方にて、外感後、自汗止まず、時々身熱、脈虚数なる者を治す。
◎桂枝湯の証にして久虚なる者を治す《傷寒翼方》
◎此方の一等もつれたる者:「医王湯鼈甲」《勿誤薬室方函口訣》





桂姜草棗黄辛附湯[1-1]《金匱要略》
「桂枝3両、生姜3両、甘草2両、大棗12枚、麻黄2両、細辛2両、附子 (炮)1枚」
右七、以水七升、煮麻黄、去上沫、内諸薬、煮取二升、分温三服、當汗出、如蟲行皮中即愈。
◎気分、心下堅、大如盤、邊如旋杯、水飲所作、桂枝去芍薬加麻辛附子湯主之。
《金匱要略》水氣病脉證并治第十四。

① 心下堅大にして悪寒・発熱・上逆するものは桂姜草棗黄辛附湯之を主る。
② 朮は水を利するを主る。
③心下堅大にして、小便不利するものは、枳朮湯之を主る。


桂姜草棗黄辛附湯[1-2]《金匱要略》《漢方治療の実際》
「桂枝・生姜・大棗各3、甘草・麻黄・細辛各2、附子0.6」
◎桂姜草棗黄辛附湯は、その方、桂枝去芍薬および麻黄附子細辛湯を合するなり。しかして桂枝去芍薬湯は頭痛・発熱・悪風、汗ある等の証を主る。しかして腹中に結実するものなし。麻黄附子細辛湯に曰く、少陰病、発熱と。為則按ずるに、謂うところの少陰病は、悪寒甚だしきものなり。故に附子を用ふ。附子は悪寒を主るなり。2湯の証に依って之を推すに、心下堅大にして悪寒・発熱・上逆(=のぼせ)するものは、桂姜草棗黄辛附湯之を主る。朮は水を利するを主る。夫れ秦張(張仲景を指す)の疾を治するや、その証に従って因を取らず。因は想像なり。
方中にその証在り。斯れその方意を知らずんば、則ち未だその証に中る能はざるなり。それその方意を知るは、薬能を知るに在り。能く薬能を知って後、始めて与(とも)に方を言ふべきのみ。」
[方意]=薬方の意味。この方はどんな病証のものに用いるか?の意味。
[証に中る]=病証が薬方に適中する。
◎桂姜草棗黄辛附湯証=心下堅、大なること盤の如く、辺旋杯の如し。
[盤の如く、辺旋杯の如し]=盆のように、まわりはさかずきを伏せたようで、ふくれあがって硬い。《薬徴》
◎此れ本、雑病を治するの方、今運らし、少陰表寒の証を治し、更に妙なり《傷寒翼方》
◎本方は外表陽気を持て主と為す。故にその験、汗出ずると虫の皮中を行くが如しとに在り。《雑病論識》
◎手足身冷え、悪寒骨疼、腹満腸鳴、麻痺、或いは浮腫、或いは咳、難病の動かし難き者。《龍野ー漢方処方集》
◎「桂枝去芍薬湯麻黄附子細辛湯」《大塚敬節》
◎種々のこじれた疾患によく用いられる。《大塚敬節》
◎この方は、陰の気と陽の気とが離ればなれになっているのを、一転して調和せしめる方剤で、古来、種々の難症、痼疾に用いられた《大塚敬節》



桂姜草棗黄辛附湯[1-3]《金匱要略》
★適応症及び病名(五十音順)
[1]悪性腫瘍
[2]遺尿
[3]栄養失調の浮腫
[4]悪寒
「5」かぜ:
☆70歳女性。普段から風邪をひきやすい、主訴はかぜで、痰も多い。痰は切れやすく泡沫状のものが出る。体温は38℃内外で、ときどき悪寒がする。食欲はあるが、寝ているので粥食を食べているという。大便は下痢の傾向があり、その際軽い腹痛を訴える。舌に苔はなく、顔色は蒼白で、脈を診ると沈細弱である。聴診上乾性のラッセルがある。腹部は一体に軟弱である。
以上の所見によって、私は桂姜草棗黄辛附湯を与えた。このさい附子は1日量0.5を用いた。それを飲むと、その晩、少し汗が出て、からだが軽くなった。翌朝は体温が36℃にまで下がった。4、5日たつと痰が減少し、咳も軽くなった。10日目から床を払って起きた。すると又37℃に体温がのぼった。そこで床につくようにして、引き続き前方を与え、通計35日で全治した。《大塚敬節》
[6]肝硬変
[7]顔面蒼白
[8]気管支炎     
[9]心因性疼痛
[10]心気症
[11]心下堅
☆気滞と水毒で心下に塊が出来る。これを除く処方。
[12]神経痛
[13]腎臓病
[14]舌腫瘍
[15]喘咳
[16]喘息
[17]難病の動かし難きもの
☆白血病・悪性腫瘍・肺結核・梅毒・etc
☆凡そ大気の一転は万病を治する極意なり《勿誤薬室方函口訣》 
[18]脱疽:
☆鳥取県士族の平岡邦直、60歳は、かって愛知県に寄留していたが、今から5、6年前、左足の小指が突然痛くなり、医者にかかって30日ばかりで治った。ところが明治22年9月に帰郷するにあたって、再発し、帰宅後、鳥取病院にかかって治療を加えたが、2ヶ月ばかりの間に、疼痛は次第に激しさを加え、小指の先端がビランしてきた。そこで11/15に入院し、12/17に切断した。しかし侵蝕はますます増劇し、疼痛は耐え難く、眠る事も、食べる事も出来ない状態となった。そこで2/28に余に治を乞うた。
これを診るに、身体に血色なく、肉は落ちて骨だけとなり、精神は恍惚としており、舌には灰白の苔があり、脈は微細で、1日にわずかに薄い粥を1杯足らず食べるだけである。局所を診るに炎症が膝の上まで拡がって、紫暗色となり、腐肉の凸凹している状は、くさった魚の腸(はらわた)のようで、脛骨は露出して膝まで見える。
そこで予は診断して、“毒はもう尽きている。腐蝕がますます甚だしいのは石灰酸を注射するからである。疼痛がひどくて眠れないから、たびたび麻酔薬を服用せしめるから、意識が朦朧としているのである。また食欲の無いのは、キナ塩を長期間服用しているからである”と、自分が思うに、古諺に薬を服せざれば中医を得とあるが、これはこのような場合を言ったものであろうと。そこで衰弱がひどいから、難治であることを告げたところ、患者の言うのに、院長にまた股から切断しなければなるまいと云われたが、自分はもうここまで悪くなってしまっては、今更手術をしても何の益があろう。自分は死を覚悟しているが手術をすれば死期を早めるだけのことである。出来ることなら、疼痛が少なくなって、少しでも楽になればそれで満足ですと。
そこで患者を入院せしめて、内服には桂姜草棗黄辛附湯人参を与え、 外用には左突膏に鶏子白を混ぜて用いた。これが3/2のことである。すると2、3日で疼痛が無くなり、6、7日たつと腐肉と健康な肉との分界が現れ、食が少し進み、30日ばかりで腐肉が脱落し、食気が大いに出て、追い追いに快方に向かい、瘡口も癒着し、5/26には帰宅した。ただ露出した骨はまだ脱離しない。惜しいことをしたものである。初めから石灰酸を用いないで、清潔な水を用いていたら、不具者にはならなかったであろうに(和漢医林新誌弟147号)
[19]蓄膿症:
☆余の同村の医師、故岡村直枝氏はかって余に、つぎのような話をした。岡村氏は前に脳漏を病み、数種の方剤を呑んだが効無く、近隣及び京都の諸大家にも治を乞うたが、治らなかった。こんな風で3年間も苦しんだ末、ある日、《金匱要略》水気篇の桂姜草棗黄辛附湯の条を読んで、大いに発明するところがあり、脳漏という病気は、太陽経の病気を治する方剤であるから、効くかも知れないと考え、1服これを呑んだところ、鼻梁と額の上のこわばった感じが急にとれ気持がよくなった。2日飲んだところ、臭い膿の出るのが減じ、3、4日の服用で奇効を奏した。このようにして、4、5日の連服で病の大半は治し、16、7日で数年の痼疾が洗うように治ってしまった。そこでますます古書の精実さを信じ、このような妙方が自分の机の上にあるのを知らずして、却って遠くの名医の門を叩くのははずかしいことではないかと悟り、その後は、脳漏には必ずこの方を用い、数剤も飲まないうちにいつも効があった。脳漏の一病は緩急軽重ともに、この一方で足ると。(前田文良・和漢医林新誌第21号)
[20]手足厥冷
「21」乳癌:
☆一婦人乳癌結核、処々糜爛し、少しく翻花に兆しあり、時々出血す。戌午初春に至りて疼痛甚だしく、結核増長してはじめて臥床にあり。正月28日、桂姜草棗黄辛附湯を与えて45日、疼痛退き結核減じて、床を起って事を視ること平日の如べて陰陽相得ずして労咳をなし、咳血、吐血、顔色脱して為すべからざるに、此湯を与えて起死回生を得しことありと。《勿誤薬室方函口訣》
[22]ノイローゼ
[23]肺結核の難症:
☆一婦人労咳を患う。咳血気息、肌熱手を烙く如く、肌膚削脱し、脈細数なり。予視て死症とす。一医ちかって治しべしとし、桂姜草棗黄辛附湯を用いて全癒を得たり。予大いに敬服して、これにならいて大気一転の理を発明して、乳岩、舌疳、及び諸翻花瘡など、数十人を治し得たり。翻花瘡に本方を用いたる意は、陰陽相隔たり気の統制なき故、血肉相得その気乃行、大気一転その気乃散と云うに本づきて、此湯を擬したるなり。《勿誤薬室方函口訣》
[24]白血病
[25]腹水
[26]腹痛
[27]腹満
[28]腹冷
[29]浮腫
[30]片麻痺
[31]麻痺
[32]慢性関節リウマチ
[33]腰痛症


桂香丸《東醫寶鑑》
「桂心1両、麝香1銭」作末し飯で緑豆大の丸剤。白湯で15丸飲み下す。
◎雑果を食べ過ぎて腹が張り、気の急する者を治す。


桂香散[1-1]《医学入門》《古今方彙》
「辣桂(桂枝)・川芎・当帰・細辛・菖蒲根・木香・木通・藜・麻黄・甘草各2分半、天南星・白各4分、紫蘇子1分、葱白」水煎。
◎風虚(肝と腎の陽気の弱き処へ風気が籠りたるを云う)も耳聾を治す。

桂香散[1-2]《東醫寶鑑》
「天南星(炮)・白各1銭、辣桂・川芎・当帰・細辛・菖蒲・木香・白藜 ・麻黄・甘草各7分、紫蘇葉7葉、生姜3片、葱白2茎」水煎服。
◎風虚耳聾を治す。


桂香散[2]《東醫寶鑑》
「草豆蔲()・良姜(炒)・白朮・縮砂・炙甘草・生姜(切)・厚朴(姜製) ・大棗肉各1両、青皮(炒)・訶子肉各5銭、耳桂2銭半」水1杯で煎じて 乾かし、団子をつくって粗末にして、毎回3銭を沸騰湯に塩を少し入れて、 空腹時に服用。
◎脾臓が冷えて腹痛するとき。


桂枝黄蓍湯(一名黄蓍桂枝湯・桂枝苦酒湯)《東醫寶鑑》
「黄蓍2銭半、桂枝・芍薬各1銭半、甘草1銭」を作1貼し好酒3分、水1 杯半で煎服。
◎黄汗を治す。


桂枝黄芩湯《東醫寶鑑》
「柴胡2銭、石膏・知母各1銭半、黄芩・人参・半夏・甘草各1銭2分、桂枝1銭」水煎服。
◎桂枝芍薬湯を飲んだ後、寒・熱のひどいのは、太陽・陽明・少陽の合わさった病で、この薬方を使う。



桂枝加黄蓍湯《金匱要略》
「桂枝3両、芍薬3両、甘草2両、生姜3両、大棗12枚、黄蓍2両」
右六味、以水八升、煮取三升、温服一升、須臾、飲熱稀粥一升餘、以助薬力、温服取微汗、若不汗更服。
◎黄汗乃病、両脛自冷、假令発熱、此属歴節。食已汗出、又身常暮汗出者、此労氣也。若汗出已、反発熱者、久久其身必甲錯。発熱不止者、必生悪瘡。若身重汗出已、輙軽者、久久必身瞤、瞤即胸中痛、又従腰以上必汗出、下無汗、腰髖弛痛、如有物在皮中状、劇者不能食、身疼重、煩躁、小便不利、此為黄汗、桂枝加黄蓍湯主之。
(輙=チョウ、すなわち。髖=カン、こしぼね。)
《金匱要略》水気病脉證并治第十四。
「腰髖弛痛」=髖はもものつけねのことだから、腰から股関節あたりがだるく痛む
○桂枝湯証にして黄汗、若しくは自汗盗汗する者を治す《方極》
○按ずるに、「若」の字はまさに「或」の字につくるべし。「盗汗」の上に亦、まさに「或」の字あるべし。《方極刪定》


桂枝加黄蓍湯《金匱要略》《漢方治療の実際》
「桂枝湯黄蓍3」
◎桂枝湯の証にして黄汗あるいは盗汗ある者を治す。《吉益東洞》
◎両脛冷え、汗出で発熱、身甲錯或いは悪瘡、或いは身瞤、胸中痛、腰から上に汗が出て腰痛し、劇しい者は食すことが出来ず、身疼痛煩躁小便不利する。《龍野ー漢方処方集》
◎=「黄蓍桂枝五物湯甘草」《大塚敬節》
★桂枝加黄蓍湯(腰から上に汗、自汗盗汗<黄汗>、精神不安、下肢冷感、頭痛発熱悪風、胸中煩躁・疼痛、悪瘡、脈浮虚)
★適応症及び病名(五十音順)
[1]足が冷える
[2]アトピー性皮膚炎
[3]黄汗:
☆発黄、黄汗の2症、その発汗すべき者は、此方を用い、温覆して以て汗を発す可し。《類聚方広義》
[4]黄疸:
☆黄疸脉浮。《龍野ー漢方処方集》
☆諸種の黄疸にして、尿量減少し、或いは身体疼重、倦怠等を覚え、脈浮弱なる証。《奥田謙蔵》
☆黄病、小便を利するに宜しき者は、茵蔯五苓散の類を用いる。当に汗を以て之を解すべき者は、麻黄醇酒湯の類を用いる。自汗、盗汗有りて身重き者は此方を用いる。《類聚方集覧》       
[5]悪風
[6]潰瘍
[7]かぜ <虚弱者>
[8]風邪をひきやすい
[9]下肢の冷感
[10肩こり
①[黄蓍]の入った処方は肩こりに有効《大塚敬節》
[11]顔面神経麻痺
[12]顔面浮腫<軽>
[13]気の上衝<+>
[14]虚弱者の感冒 
[15]胸中痛
[16]胸中煩躁
[17]筋肉リウマチ」
☆痙病の陰位に属する者:「防風附子」《雑病翼方》
[18]倦怠感
[19]座骨神経痛
[20]しびれ
[21]自汗 <上半身>
[22]湿疹:
☆(分泌物多い)
☆幼児の水疱性皮膚炎、とびひ、小児ストルフルスに応用する。
☆8歳少女。2ヶ月前から、手足に水泡性の発疹を生じ、1つ良くなればまた新しいものを生じ、なかなか治らない。蚊や蚤に噛まれてもみな水泡になると云う。夜尿症の持病もある。
桂枝加黄蓍湯を与える。1週間飲むと大部分よくなり、2週間で全治した。《矢数道明》尿の回数も減じた。《大塚敬節》
[23]小児ストロフルス
[24]小便不利
[25]痔瘻(肉の盛り上がりが悪い)
[26]ジンマシン(固定ジンマシン)
[27]精神不安
[28]大腿部疼痛<牽引性>
[29]知覚異常  
[30]蓄膿症
[31]中耳炎
☆体質の虚弱な人で、慢性に移行し、薄い膿が長引き、なかなか治らないというものに長く内服させる。小児の場合にほんぽうがよい。虚の甚だしいものには帰蓍建中湯を用いる(漢方診療医典)
[32]盗汗:
☆5歳の男児。色が白く、肥えていて、元気そうだが、よく盗汗が出てよく風邪を引くという。風邪を引くと長引く。高い熱は出ないが、いつまでも咳が出る。
桂枝加黄蓍湯を与えたが、3ヶ月ほど続けて飲んでいるうちに、筋肉の締まりが良くなって、風邪を引かなくなり、」盗汗も出なくなった。《大塚敬節》

[33]多汗症

[34]床ずれ
[34]とびひ:
☆水疱を形成する幼児の皮膚炎に効く。膿疱を形成する俗にトビヒという皮膚病にもよく効く。《大塚敬節》
[35]のぼせ
[36]皮膚炎
[37]疲労倦怠
[38]フルンケル
[39]浮腫 <腰から上・上半身>
☆顔面、手足に軽度の浮腫を現し、或いは自汗、盗汗等ありて、脈浮虚なる証。《奥田謙蔵》
[40]腰痛症 <牽引性>
[41]脈 <浮虚>



桂枝加葛根湯[1-1]《傷寒論》
「葛根4両、麻黄(去節)3両、芍薬2両、生姜(切)3両、甘草(炙)2両、大棗(擘)12枚、桂枝(去皮)2両」
右七味、以水一斗、先煮麻黄、葛根、減二升、去上沫、内諸薬、煮取三升、 去滓、温服一升、覆取微似汗、不須啜粥、餘如桂枝法將息及禁忌。
◎太陽病、項背強几几、反汗出悪風者、桂枝加葛根湯主之。
《傷寒論》辨太陽病脉證并治上第五。

桂枝加葛根湯[1-2]《傷寒論》
「葛根4両、麻黄(去節)3両、甘草(炙)2両、芍薬3両、桂枝2両、生姜3両、大棗(擘)12枚」
右七味、以水一斗、先煮麻黄葛根、減二升、去上沫、内諸薬、煮取三升、去滓、温服一升。覆取微似汗、不須啜粥、助薬力、餘將息桂枝法。
◎太陽病、項背強几几、反汗出悪風者、宜桂枝加葛根湯。
《傷寒論》辨可発汗病脉證并治第十六。

桂枝加葛根湯[1-2]《傷寒論》《漢方治療の実際》
「桂枝湯葛根6」
○桂枝湯証にして項背強急する者を治す《方極》


桂枝加葛根湯[1-2]《傷寒論》
◎葛根湯の虚証、項背がこり汗が出る者《龍野ー漢方処方集》

★適応症及び病名 (五十音順)
[1]汗をかきやすい
[2]インフルエンザ
[3]胃腸型感冒
[4]悪風
[5]かぜ
[6]肩こり
 ①胃腸虚弱。
[7]感冒:
☆感冒の初起等にして項背強急し、悪寒、発熱し、自汗出づる症。《奥田謙蔵》
[8]気の上衝<+>
[9]急性胃腸炎
[10]関節痛
[11]驚癇
[12]首筋がこる:
☆肩背痛、頭首の旋回困難にして、脈浮緩、数なる等の証。《奥田謙蔵》
[13]頸腕症候群
[14]結膜炎
[15]下痢
[16]項背がこわばる(項背強)
[17]五十肩
[19]三叉神経痛
[20]自汗
[21]小児麻痺(初期)
[22]神経痛
[23]身体疼痛
[24]頭痛
[25]知覚異常
[26]のぼせ
[27]日本脳炎(初期)
[28]熱性病初期:
☆熱性病の初起等。《奥田謙蔵》
☆四時の傷寒、初めて覚える者は、宜しく之を服すべし。《聖済総録》
[29]脳膜炎(初期)
[30]背痛
[31]破傷風:
☆驚癇及び破傷風、角弓反張する者は、即ち項背強急几几の状也。此方に宜し。《類聚方集覧》
[32]発熱
[33]半身不随
[34]ヒステリー
[35]皮膚化膿症:
☆痘瘡初起、軽症の者は、此方に宜し。起脹貫膿の際は桔梗、黄蓍等を加え、収靨以後は大黄を加え、以て余熱を解し、残毒を駆るときは則ち眼疾患、痘癰等の厄有ること無し。麻疹の初起、軽症の者も亦之を主る。《類聚方広義》
[36]腹痛
[37]副鼻腔炎(急慢性)
[38]偏頭痛
[39]発疹
[40]麻疹初期:
☆麻疹、及びその余発疹病の初起等。《奥田謙蔵》
[41]脈浮弱
[42]めまい

       

桂枝加桂湯[1-1]《傷寒論》
「桂枝(去皮)5両、芍薬3両、生姜(切)3両、甘草(炙)2両、大棗(擘)12枚」
右五味、以水七升、煮取三升、去滓、温服一升。本云桂枝湯、今加桂満五両。所以加桂者、以能泄奔豚氣也。
◎焼針令其汗、針処被寒、核起而赤者、必發奔豚。氣從少腹上衝心者、灸其核上各一壯、與桂枝加桂湯、更加桂二両也。
《傷寒論》辨太陽病脉證并治中第六。

桂枝加桂湯[1-2]《傷寒論》
「桂枝(去皮)5両、芍薬3両、生姜(切)3両、甘草(炙)2両、大棗(擘)12枚」
右五味、以水七升、煮取三升、去滓、温服一升。本云、桂枝湯、今加桂満五両、所以加桂者、以能奔豚氣也。
◎焼針令其汗、針処被寒、核起而赤者、必發奔豚。氣從少腹上撞心者、灸其核上、各一壯、與桂枝加桂湯。
《傷寒論》辨可発汗病脉證并治第十六。

桂枝加桂湯[1-3]《金匱要略》
「桂枝5両、芍薬3両、甘草(炙)2両、生姜3両、大棗12枚」
右5味、以水7升、微火煮取3升、去滓、温服1升。
◎発汗後、焼針令其汗、針処被寒、核起而赤者、必發奔豚。氣從少腹上至心、灸其核上各1壯、與桂枝加桂湯主之。
《金匱要略》奔豚氣病脉證治第八。

桂枝加桂湯[1-4]《傷寒論》《漢方治療の実際》
◎上衝甚だしきものは、桂枝加桂湯之を主どる。桂枝湯の方内において桂2両を加う。
若し、急、満の證あるものは、則ち桂枝湯を与えるに宜しからず。
凡そ上衝は、上逆の謂には非ず。氣、少腹より上りて胸を衝く、是なり。
煩して脈浮、数、満の状なきもの。
「桂枝湯」の桂枝を6にする。
◎桂枝湯証にして、上衝劇しき者を治す。《方極附言》



桂枝加桂湯[1-5]《傷寒論》
★適応症及び病名
[1]嘔吐
[2]悪風
[3]関節痛
[4]気の上衝:<>
[5]逆上感
[6]灸後の発熱:
☆灸後発熱し、脈浮大にして弱なる証。《奥田謙蔵》
[7]クシャミ
[8]自汗
[9]心悸亢進
☆心悸亢進より、頭痛が主目標。
心悸亢進が主目標であれば、桂枝甘草湯を考える。
☆発汗の後、寒熱無く、脈浮にして、心悸亢進あり、下肢寒冷にして頭部熱する証。《奥田謙蔵》
☆下でとくとくとして根があるような感じの動悸。《百一貫》
[10]神経性頭痛:
☆神経頭痛等にして、その発作に際しては頭痛忍ぶ可らず、或いは部痛に汗出で、或いは嘔吐を発し、或いは煩躁悶乱し、而も脈候に著変無き証。《奥田謙蔵》
[11]心臓神経症
[12]心煩
[13]頭痛:
☆虚弱体質で、のぼせの激しい常習性頭痛。
☆天曇りて雨降らんと欲する毎に頭痛する者も、また当に之を服す可し。《類聚方集覧》
☆余の妹、20歳の頃、頭痛を患い、あたかも錐にて刺すが如く劇痛忍ぶべからずと、余アンチピリン・ミグレニン等の知れる限りの洋薬を投ずと雖もその効無し。よって本方を用いしに、1服にて少し安く2服にして大いに軽快し、2日を出ずして全快せり《湯本求真》
☆42歳男性。数年前から常習頭痛を患い、種々の手当を加えたが、大抵の薬はすぐ胃にさわるので、漢方の書物を読んで、桂枝加桂湯を作って呑んだところ、すぐに頭痛が止んだ。
しかし2、3日服薬を休んでいると、また頭痛がくるという。何とかして根治したいという。私はこの方の連用をすすめ、2ヶ月あまり飲み続け、多年の頭痛を忘れた。《大塚敬節》
[14]ノイローゼ
[15]のぼせ
[16]鼻水
[17]発熱
[18]煩躁
[19]ヒステリー:
☆「ヒステリー」等にして、特に頭痛、或いは逆上感甚だしき証。《奥田謙蔵》
[20]冷えのぼせ
[21]腹部大動脈の搏動亢進
[22]不安感
[23]不眠:
☆発汗を行いて後、熱候去り、身体重くして頭眩し、二便やや難、逆上感甚だしくて睡眠不安の状あり、脈浮虚にして大なる証。《奥田謙蔵》
[24]偏頭痛:
☆偏頭痛、及びその類似疾患等。《奥田謙蔵》
[25]耳鳴り
[26]めまい
[27]目眩
[28]やけど(火傷)による精神不安



桂枝加厚朴杏子湯[1-1]《傷寒論》
=「桂枝加厚朴杏仁湯」
「桂枝(去皮)3両、甘草(炙)2両、生姜(切)3両、芍薬3両、大棗(擘)12枚、厚朴(炙去皮)2両、杏仁(去皮尖)50枚」右七味、以水七升、微火煮取三升、去滓、温服一升、覆取微似汗。
◎太陽病、下之微喘者、表未解故也、桂枝加厚朴杏子湯主之。
《傷寒論》辨太陽病脉證并治中第六。


桂枝加厚朴杏仁湯[1-2]《傷寒論》《漢方治療の実際》
「桂枝湯厚朴1、杏仁4」
◎桂枝湯の証にして胸満微喘する者を治す。《吉益東洞》
◎本と喘症有る、之を喘家と謂う。喘家、桂枝湯の症を見はす者、此方を以て汗を発するときは則ち癒える。若し、邪に因てその勢急に、邪、喘に乗してその威盛なる者は、此方の得て治する所に非ざる也。宜しく他方を参考し、以て治を施すべし。拘拘たる可らず。《類聚方広義》
◎「桂枝湯厚朴・杏仁」
◎此方は風家喘咳する者に用いる。
◎老人などつねに感冒して喘する者、之方を持薬にして効あり。《勿誤薬室方函口訣》
◎虚証の表熱と喘咳《龍野ー漢方処方集》
★桂枝加厚朴杏仁湯(虚弱、喘鳴、自汗、咳嗽)
★適応症及び病名(五十音順)
[1]インフルエンザ
[2]悪風
[3]咳逆(夜間咳逆)
[4]感冒:
☆感冒性疾患にして、自汗出、或いは悪寒し、喘咳し、微煩して脈浮数なる証。《奥田謙蔵》    [5]気管支炎:
☆老人の軽症気管支炎。《奥田謙蔵》
[6]気管支喘息:
☆無熱の喘息。
☆喘息の初起。《奥田謙蔵》
☆哮喘《方読便覧》
[7]胸痛
[8]胸満
[9]自汗
[10]頭痛
[11]喘咳(ケイレン性の咳嗽):
☆下後腹痛虚脹し、喘咳を発し、微汗ありて脈尚数なる証。《奥田謙蔵》
☆後世の参蘇飲を用いる処に効あり。軽邪にて喘する者に用いる。しかし小青竜湯の如く水気ある者には用いない。持病に喘息ある人、初起に用いる、風邪をひいて起きそうな時に用いる《百一貫》
[12]喘鳴:
☆虚弱な人で、かぜをひくと、すぐ喘鳴を訴え麻黄剤を使用しにくい場合に用いる《大塚敬節》
[13]熱性病初期
[14]肺気腫
[15]肺結核症
[16]発熱
[17]鼻カタル
[18]腹痛(寒冷・咳嗽で増悪する)
[19]腹満
[20]麻疹初期
[21]老人のかぜによる咳





桂枝加芍薬湯[1-1]《傷寒論》
「桂枝(去皮)3両、芍薬6両、甘草(炙)2両、大棗(擘)12枚、生姜(切)3両」
右五味、以水七升、煮取三升、去滓、温分三服。本云桂枝湯、今加芍薬。
◎本太陽病、医反下之、因爾腹満時痛者、属太陰也、桂枝加芍薬湯主之。大實痛者、桂枝加大黄湯主之。
《傷寒論》辨太陰病脉證并治第十。
《傷寒論》辨発汗吐下病後脉證并治第二十二。
○桂枝湯証にして腹拘攣甚だしき者を治す《方極》
○按ずるに「甚」は、まさに「劇(はげしき)」に作るべし。「腹」の字はまさにこれを刪る拘攣は豈ただ「腹」のみならんか《方極刪定》

桂枝加芍薬湯《傷寒論》《漢方治療の実際》
「桂枝湯」の芍薬を6とする。


桂枝加芍薬湯《傷寒論》
◎桂枝湯証にして、拘攣劇しき者を治す《方極附言》
◎桂枝湯証にして腹拘攣甚だしき者を治す《方極》
◎病人、攣急して時に痛み者は、桂枝加芍薬湯之を主どる《医聖方格》
◎腹痛或いは下痢《龍野ー漢方処方集》
◎目標:
「胃下垂症などがあって、腹部で振水音を証明し、ガスが充満していて、腹満はあるが、腹部に充実感のない者」《大塚敬節》
【腹証】
《腹証奇覧翼》
“桂枝湯の腹状で、一等張りが強く、三指で按ずるに、筋ぱり引きつるものがある。この証は腹満とあるけれども実の腹満ではない。腹皮が拘攣して張り満つるものである。それ故、按じても底に答えるものがない”
《大塚敬節》
“この方を用いる腹満は、大承気湯などを用いる腹満と異なり、腹直筋が緊張して腹部の表面を硬くふれるが、腹全体は弾力に乏しく内部に充実した感がない”
★適応症及び病名 (五十音順)
[1]移動性盲腸
[2]胃腸炎(急・慢性)
[3]悪風:
☆此方に附子を加えて、桂枝加芍薬附子湯と名付ける。桂枝加芍薬湯の証にして、悪寒する者を治す。又、腰脚攣急し、冷痛、悪寒する者を治す《類聚方広義》
[4]かぜ:
☆からだの弱い小児の感冒で頭痛もあるという場合、桂枝加芍薬湯を用いてよいことがある。このさい心下部の痛むこともあり、臍傍の痛むこともある。脈は緩で顔には赤味がある。もしこれに動悸が伴うと小建中湯を用いる《大塚敬節》
[5]咳嗽により誘発された腹痛:
☆咳嗽頻発するが為に腹筋攣急、疼痛する者に、此方を権用す《奥田謙蔵》
[6]潰瘍性大腸炎
[7]過敏性大腸症候群
[8]ケイレン性便秘
[9]結核性腹膜炎
[10]下痢:(泥状・粘液便)
☆46歳男性。裏急後重を伴う下痢があり、20分ぐらいの間隔で便通があった。白い粘液がたくさん出る。大便をガマンしていると、身震いが来る。腹痛はほとんど無い。食欲はあるが、味がよく分からない。口臭はあるが舌苔はない。口渇が少しある。大便のたびごとに尿が出る。脈は左手では浮大、右手では沈小弱である。腹満がある。診断は大腸炎である。右手の脈をみる。真武湯の証のように見える。しかし真武湯の証にしては裏急後重が強すぎる。左脈は浮大であるが力がない。いずれにしても大黄は禁忌である。そこで桂枝加芍薬湯を用いることにした。3日分の服用で、大便は1時間半から2時間に1行となり、大いに気分が良いという。更に3日分を与え全治した。《大塚敬節》
[11]限局性腹膜炎
[12]原因不明の腹痛
[13]痔核
[14]痔瘻:《奥田謙蔵》
[15]しぶり腹
[16]食中毒
[17]大腸炎:
☆軽症の大腸炎で、腹痛、下痢があって、裏急後重を兼ねる者に用いる。裏急が強いときは大黄で用いる。《大塚敬節》
[18]大腸カタル
[19]脱肛
[20]腸炎・腸カタル              
[21]腸結核
[22]直腸潰瘍
[23]虫垂炎
☆軽症に用いる。腹部が一体に膨満し、腹痛は右側下部に限局しているが、脈が緩で、全身状態の良い者に用いる。慢性の者にも用いる(漢方診療医典)
[24]登校拒否
☆虚弱な児童で反復性の臍疝痛や下痢、便秘がみられるものを目標に用いる。脈は弱く、腹部は膨満、腹直筋は拘攣して硬くツッパリ、棒を2本立てたようにみえる(漢方診療医典)
[25]熱性下痢:
乳幼児下痢症
☆軽症の大腸炎で腹痛、下痢があって裏急後重をかねる者に用いる(漢方診療医典)
[26]発熱:
☆発汗の後、微熱尚去らず、腹軟にして虚脹し、之を按ずれば痛み、或いは下痢する証。《奥田謙蔵》
[27]腹直筋拘攣
☆胃下垂症などがあって、腹部で振水音を証明し、ガスが充満していて、腹満はあるが、腹部に充実感が無い者を目標とする。このような場合、多くは腹直筋が緊張して触れる。そしてこの場合には脈にも力がない《大塚敬節》
[28]腹痛 :<自発痛・圧痛>
☆消化不良に因する腹痛等。《奥田謙蔵》
☆43歳女性。いままで大病に罹ったことはない。1/21の夕刻。突然、激しい腹痛を覚えたので、近くの胃腸専門の医師を招いて注射をしてもらった。医師は軽い虫垂炎だから盲腸の部を冷罨法するように指示した。ところが、この夜また腹痛に堪えられなくなり医師を呼んで注射をしてもらった。その翌日も2回。其の次の日は3回も鎮痛剤の注射をうけた。そして駆虫剤を飲まされた。
其の次の日、発病5日目に、私に往診を依頼してきた。初診時の症状は次のようであった。患者は腹痛のため、苦悶の状態であるが、4日間ほとんど眠らず、飲食物もほとんど摂っていないのに、あまり衰弱していない。顔色は比較的よい。脈は大きくて緩である。体温は37℃。悪寒も発汗もない。足は冷たくはないが、湯たんぽを入れている。唾液が無いため言葉が出にくい。腹部は膨満していて、どこを圧しても痛む。特に回盲部の圧痛が強い訳でもない。
虫垂炎という診断はおかしい。腸捻転にしては、脈がよすぎるし、一般状態もよすぎる。大した病気でもないものを、誤治によって、こんなことにしてしまったのではないかと考える。
病名の判断はつかなくも、漢方では治療方針がたつ。この患者には、腹満、腹痛、便秘、口乾があるが、便秘は医師が続けてやった鎮痛剤のために、腸管の運動が制限せられた結果であろうし、口乾もまたロートエキス内服剤が入っているためであろう。腹満の甚だしいのは、5日間便秘していることも原因であろう。そう考えてみると、腹満、便秘があっても、うっかり大承気湯のようなもので下すのは危険である。その証拠が脈に現れている。大にして緩という脈は、下剤を用いる脈ではない。ただここで注意しなければならないのは、《金匱要略》に“腹満があって、これを按じて痛む者は実であり痛まない者は虚である”という条文があり、この患者は按圧しても痛むから実証ではないかという疑問が生まれる。実証であれば下剤の入ったもので下さなければならない。ところで、私の経験では、結核性腹膜炎などは、腹満もあり、按圧すれば痛みもあるが、実証として下剤を用いて良い場合は、ほとんど無い。してみれば、この条文も無条件で参考にしてはならない。
さて、こんな風に考えて、私はこの患者に桂枝加芍薬湯を与えることにした。この薬方は《傷寒論》の太陰病篇に出ていて、腹満、腹痛があり、嘔吐や下痢のある場合に用いることになっているが、嘔吐や下痢がなくても消化機能が衰えておれば用いて良い。
私はこの患者は大黄の入った下剤で下すような裏実の証ではなく、裏虚の証と診断したから、桂枝加芍薬湯を用いたのである。もし手足が冷たく、脈が弱く、腹満がなければ真武湯を用いてかもしれないが、この患者は手足は冷えないし、脈は大で緩であったから真武湯を否定した。緩脈はゆっくりした落ち着いた脈で、病気が重篤でないことを示している。
患者はこれを飲むと3時間ほどで、次から次ぎと放屁が出て、腹痛は大いに軽快した。翌日も引き続き腹痛はときどき起こったが、非常に軽くなった。其の夜、8時頃、黒褐色の軟便がたくさん出た。気持がよくなった。其の夜はよく眠れた。
翌日は食欲も出て、毎日自然便があるようになり、腹満も去り、みずおちに少し圧痛が残り、少しつかえる気味だという。そこで半夏瀉心湯に転方した。これを5日分飲むと、胃のつかえは良くなったが、便秘するようになり、下腹が張るという。そこでまた桂枝加芍薬湯とし、これを7日間飲んで患者は病気を忘れた。《大塚敬節》
[29]腹膜炎
[30]腹満:<虚満>
☆或いは発汗し、或いは下して後、熱候去り、腹柔軟なるも虚脹し、或いは疼痛を発し、便通に著変無き証。《奥田謙蔵》
☆傷寒論では腹部が膨満して時々腹痛を訴える者に用いている。この方を用いる腹満は大承気湯などを用いる腹満と異なり、腹直筋が緊張して腹部の表面を硬くふれるが、腹全体は弾力に乏しく内部に充実した感がない。腹証奇覧翼では“桂枝湯の腹状で、一等張りが強く、三指で按ずるに、筋ばり引きつるものがある。この証は腹満とあるけれども実の腹満ではない、腹皮が拘攣して張り満つるものである。それゆえ按じても底にこたえるものがない”と説明している 《大塚敬節》
[31]ヘルニア
☆還納性ヘルニアで、しばしば腫瘤状となり、時々腹が張って腹痛を訴える者に用いてよい。やせ型の老人によく奏功する(漢方診療医典)
[32]慢性大腸炎 
[33]脈: <浮弱>
[32]盲腸炎
[34]腰痛症:
☆腰痛を発する証。《奥田謙蔵》
[35]裏急後重 :<軽>
☆軽症の大腸炎で、腹痛、下痢があって、裏急後重を兼ねる者に用いる。裏急が強いときは大黄を加えて、桂枝加芍薬大黄湯を用いる。ともに、腹直筋が緊張して膨満の傾向がある。
46歳男子、8日前より裏急後重を伴う下痢があり、20分ぐらいの間隔で便通があった。白い粘液が沢山出る。大便をガマンしていると、身震いがくる。腹痛はほとんど無い。食欲はあるが、味がよく分からない。口臭はあるが舌苔はない。口渇が少しある。大便のたびごとに尿が出る。脈は左手(浮大)右手(沈小弱)。腹満がある。診断は大腸炎である。
右手の脈を診ると真武湯の証のように見える。しかし真武湯の証にしては裏急後重が強すぎる。左脈は浮大であるから力がない。いずれにしても大黄は禁忌である。そこで桂枝加芍薬湯を用いることにした。3日分の服用で、大便は1時間半~2時間に1行となり、多いに気分が良いという。更に3日分を与え全治した。」 《大塚敬節》




桂枝加芍薬生姜人参湯《傷寒論》
⇒「桂枝加芍薬生姜各一両人参三両新加湯方」。
「桂枝(去皮)3両、芍薬4両、甘草(炙)2両、人参3両、大棗(擘)12枚、生姜4両」
右六味、以水一斗二升、煮取三升、去滓、温服一升、本云桂枝湯、今加芍薬生姜人参。
◎発汗後、身疼痛、脉沈遅者、桂枝加芍薬生姜各一両人参三両新加湯主之。
◎按ずるに、当に心下の痞硬、或いは拘急、或いは嘔の証有るべし。《吉益東洞》
桂枝加芍薬生姜人参新加湯は、その証具らざるなり。その発刊後、身疼痛を云ふは、是れ桂枝湯の証なり。然れば則ち芍薬生姜人参の証闕くるなり。《薬徴》
◎桂枝加芍薬湯証にして、心下痞硬し、及び嘔する者を治す。《方極附言》
◎疝家、寒熱こもごも作り、心下痞硬し、胸腹攣痛して嘔する者を治す《類聚方広義》
◎身痛、脉沈遅の者。《龍野ー漢方処方集》
★適応症及び病名 (五十音順)
[1]嘔吐:
☆諸種の嘔吐、心下痞硬し、脈沈遅なる証。《奥田謙蔵》
[2]肩こり
①首の真後ろがら、背中にかけて凝る。
②虚証。     
[3]頭痛:
☆発汗の後、頭痛して尚微熱有り、四肢疼重倦怠を覚える証。《奥田謙蔵》
[4]腹痛:
☆発汗法を行いて後、腹微満して痛み、或いは乾嘔を発し、或いは身体痛み、或いは尚少しく汗出づる証《奥田謙蔵》
☆腹痛し、或いは乾嘔し、四肢拘急し、微汗出づる証。《奥田謙蔵》
☆腹痛、四肢拘攣し、心下痞塞の感ありて食思無き証。《奥田謙蔵》


桂枝加芍薬大黄湯[1-1]《傷寒論》
=桂枝加大黄湯
「桂枝(去皮)3両、大黄2両、芍薬6両、生姜(切)3両、甘草(擘)12枚」
右六味、以水七升、煮取三升、去滓、温服一升、日三升。
◎本太陽病、醫反下之、因爾腹満時痛者、属太陰也、桂枝加芍薬湯主之。大實痛者、桂枝加大黄湯主之。
《傷寒論》辨太陰病脉證并治第十
「大實痛」=便秘して腹がひどくいたむ。


桂枝加芍薬大黄湯[1-2]《傷寒論》《漢方治療の実際》
「桂枝湯」の芍薬を6とし、大黄1を加える。
◎桂枝湯の証にして腹拘攣甚だしく、而して停滞有る者を治す《吉益東洞》
◎桂枝加芍薬湯証にして、腹中大実痛する者を治す。《方極附言》
◎腹中攣急し、大実痛する者は、桂枝加大黄湯之を主どる。《医聖方格》
◎此方に附子を加えて、桂枝加芍薬附子大黄湯と名付ける。疝家、発熱、悪寒し、腹中拘攣し、痛腰脚に引き、或いは陰卵腫し、二便不利の者を治す。又、乾脚気、筋攣骨痛し、或いは十指冷痺指、大便難なる者を治す《類聚方広義》
◎此方は温下の祖剤なり。温下の義《金匱要略》に出で、寒実の者は是非此の策無ければならぬなり。《勿誤薬室方函口訣》
◎此方の一等重き者に:「厚朴七物湯」
◎虚証の腹満腹痛、便秘又は下痢《龍野ー漢方処方集》


桂枝加芍薬大黄湯[1-3]
★適応症及び病名  (五十音順)
[1]移動性盲腸
[2]過敏性腸症候群
[3]篏頓ヘルニア:「附子」
[4]感冒:
☆感冒に食物停滞を兼ねる証。《奥田謙蔵》
[5]急性腸炎
☆下痢の回数は多いが、1回の量は少なく、腹痛と裏急後重があって、たえず便意を催す者に用いる。多くは左腹部の腹壁は緊張して、圧痛があり、あるいはS状部に索状物を触れることがある(漢方診療医典)
[6]月経困難:
☆月経が快通せず、桂枝茯苓丸でもやろうというような証で、疼痛の強い者にこの方を用いることがある。《大塚敬節》
[7]下痢:
☆寒熱無く、腹痛後重する者を治す《雑病翼方》
☆腹拘攣微痛し、熱無く、下利快通せざる者。
[8]痔
[9]子宮内膜炎:「附子」
[10]大腸炎
[11]胆石症:「附子」
[12]胆嚢炎:「附子」
[13]虫垂炎:<急性・慢性>
[14]腸疝痛(腹満感ある)
☆腸疝痛等にして、腹満緩ある所為《温病条弁》。《奥田謙蔵》
[15]尿路結石:「附子」
[16]熱性下痢:
☆熱性下痢、或いは赤痢等にして、下痢すること1日に10数回、腹痛甚だしく、脈浮数にして力無き証。《奥田謙蔵》
[17]冷え症
[18]腹痛:
☆小児、宿食化せずして腹痛する者を治す。若し嘔する者は大黄を倍す。凡そ此方を用いるには、宜しく大黄を倍加すべし。《類聚方集覧》
☆腹全体が膨満し、ことに下腹がふくれて、この部を按圧して痛みの強い者に用いる。《大塚敬節》
[19]腹部の圧痛
[20]腹部の抵抗
[21]腹膜炎:(慢性)
[22]腹満:<虚証>虚満
☆時に痛む。
☆《傷寒続論》に曰く、吐すが如くして吐せず、利せんと欲す、桂枝加芍薬湯。利せず、上下通ぜず、腹満痛して頭疼発熱する者は桂枝加芍薬大黄湯と、これ乾霍乱なり。《雑病翼方》
[23]不眠症:
☆某、年20有餘。腹中拘急し、大便硬く、飲食常の如し、ただ眠らんと欲し、眠る能わず、来たって診を余に乞う。診にて曰く、子の眠る能わざるは心気の為す所に非ず。その病胃中に在り、経に曰く、胃不和なれば則ち臥安からずと、是なり。乃ち桂枝加芍薬大黄湯を与え、一剤にて知り、九剤にして癒える《先哲医話》
☆この方は、夜が来ると、腹が張って安眠できないという者によい。便秘しなければ桂枝加芍薬湯でよい《大塚敬節》
☆20歳余、腹筋が緊張して硬く、便秘し、食欲はいつもと変わりないが、眠ろうとして眠ることが出来ない。 そこで不眠の原因が腹にあるとして、この方を与えたところ、1日分で効果があり、9日分で全治した。《荻野台州》
☆直腸癌を疑われるような症状で、大便が快通せず、粘血便が出て、夜が更けると、下腹部が膨満して、眠れないという者に、この方を用いた。すべての症状が消失して、安眠を得るようになった。《大塚敬節》
[25]便秘:<常習>
☆便が切れぎれ・すっきり出ない・細い。
☆脈緩にして滑、時々発熱し、下腹部拘痛し、便通頻繁にして渋痢する証。《奥田謙蔵》
☆腹が張って大便が快通せず、下剤を用いると、渋り腹になったり、腹が痛んだりして快通しない者に良い。《大塚敬節》
☆腹部は膨満し、腹直筋は緊張していることが多いが、腹部は弾力に乏しく、大柴胡湯や大小承気湯のように充実した感じが少ない。又、脈にも力がない。《大塚敬節》
☆胃下垂症・胃アトニー症・腸管狭窄症などから来る便秘に用いる機会がある《大塚敬節》
☆大黄の量は1日量0.3g~1.0gくらいで効くことが多い。《大塚敬節》
☆44歳女性。長い間、便秘に苦しんでいる。下剤を飲むと通じはあるが、腹が痛んでとても気持ち悪い。下剤を飲まないと1週間でも通じない。そのためが腹が張ってときどき軽い腹痛があり、腰痛もある。月経は正常である。腹診すると、腹部は一体に膨満して下腹部はことに脹っている。腹直筋はやや緊張している。胸脇苦満はない。私はこれに桂枝加芍薬大黄湯を与えた。大黄は1日分0.7gを入れた。これを飲み始めて、2日目、自然便のような気持ちよい通じがあり、中1日をおいて、また気持ちよい通じがあり、その後は1日置きによい便が出るようになり、腰の痛みも取れ、腹も脹らなくなった。しかし薬を止めると便秘するので、3ヶ月ほどの間は、毎日これを呑んだ。それから後は飲まなくても自然に通じがあるようになった。《大塚敬節》
[26]慢性関節リウマチ:「附子」
[27]卵巣炎:「附子」
[28]裏急後重:
☆痢病の熱邪薄く裏急後重する者に効あり。《勿誤薬室方函口訣》
☆発汗の後、5、6日を経て尚微悪寒し、脈少しく浮にして腹満あり、稍や下痢して裏急後重の状有る証。《奥田謙蔵》
☆裏急後重あって熱症無く、日に三四回下痢する者:「乾姜」
☆熱あるとき:「葛根湯」
☆大黄剤が使えない者:「建理湯人参茯苓」
[29]赤痢


桂枝加朮烏湯
◎骨槽風、久瘡口収まらない者を治す《方読便覧》




桂枝加朮附湯[1-1]《吉益東洞》《龍野ー漢方処方集》
「桂枝・芍薬・大棗・生姜各3.0g、白朮4.0g、甘草2.0g、白川附子1.0g」
    


桂枝加朮附湯[1-2]《吉益東洞》《漢方治療の実際》
「桂枝湯朮4、附子0.5」
◎麻痺、疼痛。
★適応症及び病名
[1]結毒流注:
☆「烏薬消毒丸」《方読便覧》
[2]産後の疾患:
☆産後、脚の立たざる症に本方or「大黄附子湯」《橘窓書影》
☆産後ならびに諸病後に、脚の立たざる症あり、桂枝加朮附湯或いは大 黄附子湯を用い、証に随って紫円を時々用ゆべし、本症はとかく附子がよろし《老医口訣》
[3]小児麻痺
[4]耳聾:
☆「桂枝加朮苓烏頭湯応鐘散」《方読便覧》
[5]神経痛
[6]脊椎カリエス:
☆久漏瘡、枯骨となり癒えざる者:烏薬消毒丸」
[7]脊椎脊髄腫瘍
[8]打撲:
☆(年月を経るもの)《勿誤薬室方函口訣》
☆年月を経たる者:「梅肉散」《雑病翼方》
[9]脱疽(激しい痛み):
☆「荊芥」《勿誤薬室方函口訣》


[10]半身不随
[11]附骨疽:
☆実する者を治す「烏薬・角石」《方読便覧》
[12]慢性関節リウマチ:
☆冷え症で血色悪く、筋肉に緊張が弱い。
[13]関節痛

[14]脳溢血後遺症:

☆《大塚敬節》“患者は65歳の痩せた男子で、7ヶ月前に脳出血で倒れ、その後、右半身不随を訴え、目下は杖をついて、どうにか歩ける程度であるが、右手は箸を持つことが難しい。手にも足にも、シビレ感があり、冷えて困るという。大便は1日1行脈は弦浮大 臍上で動悸が亢進し、腹筋は一体に緊張している私はこれに桂枝加朮附湯を与えた。附子は1日量0.5を用いた。ところが、これを飲むと妙なことがおこった。ある日、患者の長男だという40歳ぐらいの方が、私の診察室をおとずれ、「あの薬はたいへんよく効いて、おかげさまで、父はとても元気になりましたが、母から苦情が出ました」という。その苦情というのは、あの薬を飲み始めて20日ほどたつと、父親が毎晩、母に乗りかかって、そのために母が眠れないので何とかしてほしいというのである。附子に性欲を亢進せしめる力のあることは聞いていたが、その効果に私はおどろいた”

☆やや虚証の人で、冷えや湿気により痛みの増強するもにに用いられる(漢方診療医典) [14]強皮症

☆虚証で、レイノー症状、四肢関節の疼痛、腫脹、筋肉痛のある者に用いる(漢方診療医典)


桂枝加朮附合強神湯《本朝経験》《龍野ー漢方処方集》
      「桂枝・芍薬・大棗・白蚕各3.0g、白朮4.0g、甘草・棕櫚草各2.0g、紅花 1.5g、白川附子・干姜1.0g」
    ★適応症及び病名
     脳血栓
     脳出血
     半身不随



桂枝加附子湯[1-1]《傷寒論》
      「桂枝(去皮)3両、芍薬3両、甘草(炙)3両、生姜(切)3両、大棗(擘)12枚、       附子(炮去皮破8片)1枚」
       右六味、以水七升、煮取三升、去滓、温服一升。本云桂枝湯、今加附子、       將息如前法。
    ◎太陽病、発汗、遂漏不止、其人悪風、小便難、四肢微急、難以屈伸者、桂枝加     附子湯主之。
                    《傷寒論》辨太陽病脉證并治上第五。
         《傷寒論》辨発汗後病脉證并治第十七。



桂枝加附子湯[1-2]《傷寒論》
  =桂枝附子湯《東醫寶鑑》
      「桂枝・附子(炮)各3銭、白芍薬2銭、甘草(炙)1銭、薑5片、棗2枚」        水煎服用。
    ◎傷寒で汗が多くて止まらず、四肢が拘急するとき。


桂枝加附子湯[1-3]《傷寒論》
    ◎「桂枝湯附子0.5」《漢方治療の実際》
    ◎桂枝湯の証にして悪寒あるいは支節微痛する者を治す。《吉益東洞》
     桂枝附子湯は、桂枝を用ふること桂枝加附子湯よりも多くして上衝の証なし。     蓋し闕文なり。桂枝加附子湯条に、猶ほ桂枝の証あり。いわんや此の湯におい     て桂枝の証なかるべけんや。
○微痛の下に、おそらくは「以て屈伸し難き」の4字あらん《方極刪定》
    ◎桂枝湯証にして、悪寒し、及び肢節微痛し、以て屈伸し難き者を治す。《方極     附言》
    
    ◎病人、汗漏れて止まず、その人悪寒し、四肢微急し、以て屈伸し難く、或いは     小便難なる者は、本方之を主る。《医聖方格》
    ◎中風偏枯、痿躄、痛風、小便不利、或いは頻数なる者を治す。又、黴瘡、結毒、     筋骨疼痛し、諸瘍疽、膿尽きず、新肉生せず、遷延して癒えざる者を治す。     応鐘、伯州、七宝、十幹、梅肉の類、宜しきに随ひて之を兼用す」《類聚方広     義》
    ◎此方も汗出悪風に用いるのみならず、その用広し。《勿誤薬室方函口訣》
    ◎この方は桂枝湯に附子を加えたもので、烏頭桂枝湯とその組成はよく似ている。
「桂枝湯烏頭・蜜」=烏頭桂枝湯
「桂枝湯附子0.5」=桂枝加附子湯






桂枝加附子湯[1-4]《傷寒論》
★適応症及び病名
     [1]運動麻痺:
        ☆足痿弱、歩行する能わざる者に「紫円」兼服して速やかに癒える。           《吉益東洞》
        ☆偏枯、老壮年を論ぜず、用いるべし。その急迫する者は「紫円」を以         て之を下す。《先哲医話》
        ☆中風偏枯、発作時あるは多く癇家に属す。:「白朮茯苓」。時々「紫         円」を以て之を下す。《先哲医話》
        ☆発汗を行いて病尚解せず、手足拘急し、歩行するを得ざる証。《奥田         謙蔵》
[2]悪風
     [3]肩関節周囲炎
     [4]関節痛:
        ☆関節「ロイマチス」、及びその類似疾患にして、熱候なき等の証。           《奥田謙蔵》
     [5]寒疝:
        ☆寒疝、心腹疼痛、手足厥冷、身体拘急するを治す《療治茶談》
        ☆この方はもと《傷寒論》に出た方であるが、尚因は寒疝と治する最上         の神方だとして、これで神効をとるという。これはこの人の使い覚え         である。自分も尚因の経験にたよって用いてみたが、著効を得たこと         がたびたびある。但し、甘草をこの通りに入れては甘すぎて病人が嫌         がることが多い。また、この方に呉茱萸を加えると更に効力を増すも         のである。《療治茶談》
     [6]感冒
     [7]口眼斜:
        ☆偏枯口眼斜する者「控涎丹」《山脇東洋》
     [8]こわばり:
        ☆発汗が過ぎて体液が減少し、小便が出しぶり、四肢がひつれる者に用         いる《大塚敬節》
     [9]産後の疾患:
        ☆産後の漏汗、四肢微急に用いる。《勿誤薬室方函口訣》
        ☆風湿、汗出て止まず、小便難、四肢微急し、以て屈伸し難き者を治す。         《備急千金要方》
        ☆産後営血虚損し、汗出で日に止まず、形体困怠するを治す。:
           「地黄」《聖済総録》
        ☆産後風湿にて虚汗止まず云々を治す。《備急千金要方》
     [10]自汗:
        ☆陽虚し自汗するを治す《葉氏録験方》
     [11]四肢疼痛:
        ☆烏頭湯や烏頭桂枝湯の場合のように激しくない。《大塚敬節》
        ☆《傷寒論》“太陽病を発汗したところ、それから引き続いて汗が漏れ         止まず、悪風を訴え、小便が出にくく、四肢が少しつれて屈伸するの         に骨の折れるのは、桂枝加附子湯の主治である”というところにヒン         トを得たものである《大塚敬節》
        ☆1男子、41歳。4、5年前から、膝が少し痛んだ。しかし年中痛む         のではなく、時々起こる程度であった。ところが今年になって、両方         の膝が痛むようになった。右は軽くて左はひどい。膝の痛む時は、胸         の方も冷えて痛む。又、左の肩背が凝って、シビレ感があり、腹筋は         拘攣し、右胸下に痞硬があり、左臍傍に停水があって鳴る。頭汗があ         り、呼吸促迫の気味もあり、脈は弦数である。先生はこれを診察して、         《備急千金要方》の半夏湯の証に似ているが、これはきっと桂枝加附         子湯の証であろうと、これを与えたところ、数服飲んだだけで全治し         た《豊浦遺珠》
紫斑病
☆単純性のもので、数ヶ月、軽微の出血がつづき、手足が冷え、倦怠感のあるものに用いて效を得た(漢方診療医典)
     [12]痔瘻
     [13]小児麻痺
     [14]神経痛:
        ☆神経痛或いは麻痺性疾患にして、熱候著しからざる等の証。《奥田謙         蔵》
     [15]頭痛
     [16]脱汗
     [17]打撲の疼痛
     [18]堕胎後の疾患:
        ☆堕胎後の陰痙、筋脈攣し屈伸し得ず、脈虚微なる者を治す。《本朝 経験》
     [19]知覚麻痺:
        ☆微熱ありて自汗出で、尿利減少し、手足脱するが如き感あり、脈浮に         して力無き証。《奥田謙蔵》
     [20]中耳炎
     [21]手足冷たい
     [22]盗汗
[23]尿不利:
        ☆大汗出でて寒熱去らず、身体微痛し、尿不利、脈浮にして弱なる証。         《奥田謙蔵》
     [24]脳出血
     [25]冷え性:
        ☆虚弱な、血色のすぐれない冷え症も者に用いる《大塚敬節》
☆冷え症で、夏でも足袋をはかないと板の間を歩けないとか、足が冷え         ると腹が張って痛むなどという者に用いる《大塚敬節》
     [26]皮膚潰瘍
     [27]皮膚掻痒:
        ☆身体に痒を覚え、これを掻くに鈍麻感ある等の証。《奥田謙蔵》
   [28]皮膚化膿症(滲出液)
     [29]腹痛:
        ☆寒疝(寒冷or冷物を食して腹痛する)を治す。
        ☆寒疝気を治す:「川楝子・茴香」《方読便覧》
        ☆疝による腹痛には、この方の応ずる者が多い《津田玄仙》
        ☆この方を用いる腹痛と当帰四逆加呉茱萸生姜湯を用いる腹痛との区別         はむつかしいほどよく似ている。ともに冷え症で、足が冷えても腹が         痛むと言う者がある。夏でも足袋をはかないと板の間を歩けないとい         う者もある。《大塚敬節》
        ☆57歳の背の高い中肉の男性。2年前に胃潰瘍の手術を受けたが、そ         の後、下腹部がつれるように痛み、疲れると下痢する様になった。冬         になると下腹部の痛みが強くなり、夜はことに激しく痛み、そのため         に安眠出来ないという。痛む場所は臍の両側で、腹直筋の外側に沿っ         て、鼠径部に及んでいる。腹直筋は攣急し、臍の上で振水音を証明し、         腹部は全般的に軟弱で、按圧すると、あちこちでグル音がする。食欲         は普通にあり、大便は1日1行ある。足がよく冷える。脈は遅弱であ         る。私はこれに桂枝加附子を与えが、翌日から腹痛が軽くなり、夜間         も安眠できるようになった。しかし休薬するとまた痛むので、3ヶ月         ほど続けて飲み、いつしか痛みを忘れてしまった。ところがその翌年         も1月になると、同じ様な症状で来院した。この時も同じ処方を用い、         3週間で良くなった。そのあと下痢の傾向があり、時々下痢するので         真武湯を与え、これですっかりよくなった。《大塚敬節》
     [30]慢性関節リウマチ
[31]慢性副鼻腔炎


 桂枝去桂加白朮湯《金匱要略》
     「白朮2両、附子1枚半、甘草1両、生姜1量販、大棗6枚」
右5味、以水3升、煮取1升、去滓、分温3服。1服覚身痺、半日許再服、3服都盡、其人如冒状、勿怪、是朮附並走皮中、逐水氣未得除故耳。
◎傷寒89日、風湿相搏、身體疼煩、不能自轉側、不嘔、不渇、脉浮虚而者、桂枝附子湯主之。若其人大便、小便自利者、去桂枝加白朮湯主之。
=桂枝去桂加朮湯
「《金匱要略》の白朮附子湯は、すなわち《傷寒論》中の桂枝去桂加朮湯にして、分量はその半を減ずるなり。蓋し朮、蒼白を別つは古にあらざるなり。故に今、方名を称するには《傷寒論》に従ふ。《外台秘要》の朮附湯もまた同方にして、分量は古にあらざるなり、みな従うべからず《薬徴》」
「桂枝去桂加朮湯」(附子3枚、白朮4両、生姜3両、甘草2両、大棗12枚)
「白朮附子湯」(白朮2両、附子1枚半、甘草1両、生姜1量販、大棗6枚)
「朮附湯」(白朮3銭、附子2銭、甘草1銭、姜3、棗2)


桂枝加竜骨牡蛎湯[1-1]《金匱要略》
    =「桂枝竜骨牡蛎湯」
      「桂枝・芍薬・生姜各3両、甘草2両、大棗12枚、竜骨・牡蠣各3両」
       右七味、以水七升、煮取三升、分温三服。
    ◎脉得諸動微緊、男子失精、女子夢交、桂枝加竜骨牡蠣湯主之。
                    《金匱要略》血痺虚労病脉證并治第六。
    ◎原文解説:
      「失精家」=夢精・遺精のある人の意。《大塚敬節》
      「小腹弦急」=下腹の腹直筋の突っ張っていること。《大塚敬節》
      「脉」=大きく幅のある脈で外側が硬く、内がうつろの感じの脈で、古人           は葱の切り口に指をあてた感じの脈だと述べている。《大塚敬節》

 

桂枝加竜骨牡蛎湯[1-2]《金匱要略》
    =「白竜湯」《万病回春》
    ★処方解説
    A[方剤分類]・・・鎮静剤
      B[八綱弁証]・・・裏寒虚証
      C[六経弁証]・・・太陰病
      D[衛気営血弁証]・気分
      E[臓腑弁証]・・・心(腎)陽虚・散證
      F[方剤帰経]・・・心・心包・胆経
      G[効能・効果]・・補陽安神、収斂。
    ◎「桂枝湯竜骨・牡蛎各3」《漢方治療の実際》
    ◎桂枝湯の証にして胸腹動ある者を治す《吉益東洞》
○「胸腹」の下に、まさに「臍下」の2字あるべし《方極刪定》
◎病人、頭痛、身疼し、或いは小腹弦急し、休作時有り、而して汗出で、男子失     精し、女子は夢交し、しばしば盗汗する者は、桂枝加竜骨牡蛎湯之を主どる。     《医聖方格》
    ◎鑑別:小建中湯
     「桂枝加竜骨牡蛎湯はおよそ小建中湯の証で動悸の亢ぶる者に用いる。この動      悸は胸から腹にあるものである。この症には遺精などがありがちであるが、      癇にこの方を用いるときは、遺精を目的にせずに、動悸を目標にしてやるも      のである。しかしみずおちが塞がるから多くは遺精がある。この方の証は虚      証の癇症である。富貴・安佚の人に多くあるものである。さて心中煩悸とい      う症状は小建中湯にもあるけれども、この方の心中煩悸のところへ小建中湯      を用いてみるに、悪くはないが効はない。この証には、不眠、往来寒熱、夜      夢みることが多いという症状などもある。
桂枝加竜骨牡蛎湯は、今云う癇症に多くあるもので、健忘でも癲狂でも不      眠でも、腹中が拘急して動悸の亢ぶる者に用いる。いずれ小建中湯の証で動      悸の亢ぶる処にゆくものと心得て良い。動悸がさほど無い者には小建中湯が      良い。
小建中湯も今云うところの癇に多く用いられるもので、これは軽重といっ      て良いものだが、ただ、心中煩悸の症があれば小建中湯でよいが、これを按      じて胸腹に動悸が強ければ桂枝加竜骨牡蛎湯の証である。また動悸のあると      ころに小建中湯などを用いてみても、効が無いから、小建中湯に茯苓を加え      て茯苓建中湯として用いみるに、それでも治まらないものである。いずれこ      れは龍骨牡蠣でなければならないとみえる。
後世にと名付けたのは、煩悸のことである。動悸が強いとがそう      ものである。また動悸が強くてものそわないものもある。のことを      心怯ともいう。動悸もも治法は1つで、小建中湯や茯苓甘草湯のゆくこ      とがある。《方輿》
  【腹証】
   《長沙腹診考》
     “1書生、年20ばかり、気鬱閉、短気ことに甚だし、診するに上逆して胸腹      動あり。桂枝加竜骨牡蛎湯を与えて治す”



桂枝加竜骨牡蛎湯[1-3]《金匱要略》
    ★適応症及び病名  (五十音順)
     [1]汗が出やすい
     [2]インポテンツ:
         ☆固精起陽《方読便覧》
     [3]息切れしやすい
     [4]遺精:
         ☆上衝し、胸腹部に動悸有り、下腹部痛み、眩暈し、脱毛多く、不眠、          遺精等を発する証。《奥田謙蔵》
         ☆事に触れて驚き易く、時に冷汗を出し、遺精の傾向あり、全体虚弱          にして腹力無き等の証。《奥田謙蔵》
         ☆気力衰え、面色青白、少しく身体を労すれば夢交遺精を発する証。         《奥田謙蔵》
     [5]遺尿:
     ☆小児の遺尿に《浅田宗伯》
        ☆私はこれを遺尿症に用いる時は、臍部の動悸の亢進と神経質で物に感         じやすい点や寝ぼけるというところに注目している。《大塚敬節》
  [6]萎縮腎
     [7]陰痿:
         ☆陰痿にして、下腹部強急の証ある者《奥田謙蔵》
         ☆神経症状がない者にはá「八味地黄丸」を考える。
     [8]陰茎硬直症
     [9]陰頭<寒冷>
     [10]円形脱毛症
     [11]驚きやすい(易驚)
     [12]顔色が悪い
     [13]下腹部のひきつれ(少腹弦急)
    [14]下腹部軟弱無力     
眼精疲労
☆かすみ目、のぼせ、足の冷え、不眠があり臍上に動悸、腹直筋緊張があるもの(漢方診療医典)
[15]期外収縮
[16]気の上衝:<>
[17]逆上
[18]狭心症
[19]胸腹の動悸
[20]虚労
[21]月経不順
[22]下痢
[23]眩暈
[24]健忘症
☆癇症で、腹中が拘急し、動悸がたかぶる者《荒木正胤》
☆癇症で、動悸がなければá「小建中湯」が良い。《方輿》
[25]コルサコフ症候群
[26]交感神経緊張症
[27]口唇乾燥
[28]高血圧症
[29]更年期障害
[30]興奮しやすい
[31]座骨神経痛
[32]四肢倦怠
[33]しびれ
[34]耳鳴
[35]自汗
[36]自律神経失調症状  
[37]小便閉:
☆諸薬無効の者に特効あり《和田東郭》
[38]小便頻数:
☆尾州殿の老女、年60歳、小便頻数、1時間に5~6度上厠、少腹弦急して、ほかに苦しむ所無し。此方を長服して癒える。《勿誤薬室方函口訣》
[39]小児ケイレン   
[40]食が細い
[41]女子夢交
[42]神経症:
☆神経過敏
☆神経衰弱
☆桂枝加竜骨牡蛎湯は柴胡加竜骨牡蛎湯に似て、便秘せず、腹部膨満、胸脇苦満にないものである。そこで体力のあまり強壮でない、疲れやすい人の神経症に用いる機会がある《大塚敬節》
☆健忘、癲狂、不眠、いじれも腹中拘急、動悸亢ぶる者に、桂枝加竜骨牡蛎湯を用ゆべし。《方読弁解》
[43]心臓神経症
[44]心悸亢進:
☆神経性心悸亢進等。《奥田謙蔵》
[45]身体疼痛
[46]頭痛
[47]精神分裂症
[48]精力減退:
☆桂枝湯に龍骨と牡蠣を加えたもので、精力減退、疲労を主訴とするものに用いるが、夜尿症、遺精、神経症、不眠症などにも用いる。《大塚敬節》
☆患者は血色のすぐれない、背の高いやや痩せ気味の男性。近頃、疲労が甚だしく、精力が減退し、ほとんど性欲が無いという。
腹診してみると、腹部は一体に緊張に乏しい。下腹部は下になるほど削ったように厚味がなくなっている。
こんな状態であったから、私は八味丸を与えた。ところが1ヶ月近く、これを呑んだが、何の効もないという。そこで詳しく腹診してみると、臍の上部に約2cmくらいの鉛筆の芯のような硬いものを皮下に触れた。葛根湯を用いる証には、この芯のようなものに圧痛があるが、この患者のそれには全く圧痛を欠いている。こんな腹証は、桂枝加竜骨牡蛎湯の証にみられることがある。
そこで桂枝加竜骨牡蛎湯にしたところ、10日目ぐらいから、めきめきと元気が出てきて、疲労を覚えなくなり、2ヶ月ほどたつと、血色も良くなり、肉付きも良くなった。《大塚敬節》
☆48歳、やや痩せ気味の色白の男性。2、3年前より精力が衰え、疲れやすく、まったく性欲がなくなったといって来院した。
この患者は腹直筋がやや緊張し、臍部で動悸が少し亢進している。私はこれに桂枝加竜骨牡蛎湯を用いたが、これを呑むと、わずかに10日で性欲が亢進してきた。ところが困ったことに、下痢するという。そこでこれを休んで、半夏瀉心湯にしてみた。すると、下痢は止まるが、性欲の方は、サッパリ駄目だという。そこで桂枝加竜 骨牡蛎湯にしたところ、これで性欲はつくがまだ下痢するという。仕方がないので、半夏瀉心湯と桂枝加竜骨牡蛎湯を交互に呑むこと          にして、2ヶ月ほどで良くなった。《大塚敬節》
[49]性的神経衰弱:
(性欲異常)
☆性欲減退。
☆平素、体力なく強健でない者の、一時的な性欲亢進によって起きる 疲労と異常興奮。《荒木正胤》
☆性的潔癖性・淫乱も含む。
☆失神に効く《東醫寶鑑》
[50]舌質<やや淡白><湿潤傾向>
[51]舌苔<微白苔>
[52]前立腺肥大症
[53]早漏
[54]帯下
[55]対人赤面症
[56]脱毛症:
[57]多夢
[58]血の道症:
☆虚弱体質で、神経が亢ぶり、のぼせ、頭痛、不眠、心悸亢進、驚き やすく汗が出やすい者。 
☆ヘソの下や胸腹部に動悸がある者。
[59]疲れやすい(易疲労)
[60]テンカン:
☆「桂枝白薇・附子・鉛丹」
☆「桂枝白薇・附子・鉛丹・阿膠」《方読便覧》
[61]盗汗
[62]動悸:
☆(臍の周辺で)を自覚する
☆腹部で動悸を覚える者。
☆胸部の動悸に:牡蠣、
下の動悸に:竜骨。
[63]禿頭=はげ:
☆円形脱毛症ではなく、どことなく脱毛が多く、のぼせて、フケが多く、疲れやすいという者に用いる《大塚敬節》
☆《金匱要略》の条文に“夫れ失精家は、小腹弦急、陰頭寒く、目眩、髪落つ云々”とあるによる。小腹弦急は下腹部で腹直筋が突っ張っている状で、陰頭は陰茎の先端である。しかしこれは男子に限らず、女子の脱毛にも用いる《大塚敬節》
[64]尿量増大
[65]寝小便:
☆此方は虚労失精の主方なれども、小児の遺尿に効あり《勿誤薬室方 函口訣》
[66]ノイローゼ:
☆虚弱タイプで、疲れやすく、冷えのぼせて、小水の近い神経質な者。
[67]のぼせ:
☆体は頑丈でなく、神経過敏で、ちょっとしたことで興奮し、のぼせる者《大塚敬節》
☆足が冷えて、のぼせ、フケが多くて困るという者に、この方を用いて効を得たことがある。《大塚敬節》
[68]はげ:
☆禿髪病、体質虚弱にして常に逆上感有る等の者。《奥田謙蔵》
[69]バセドウ病 
[70]排尿回数 :
☆<多い>
[71]発熱:
 ☆不規則な発熱。
[72]煩驚
[73]煩躁:
☆火傷後、或いは灸後の、煩躁、発熱等。《奥田謙蔵》
☆牡蛎・黄連・竜骨、同じく煩躁を治し、しかも各主治するところあり。中は黄連の主るところなり。臍下は竜骨の主るところなり。しかして部位定まらずして胸腹煩躁の者は、牡蛎の主るところなり。《薬徴》
[74]疲労倦怠:
☆大学受験で、猛烈に勉強している学生に、この方を長期間呑ましたことがある、これを呑むと、疲労の回復が早く、よく勉強できると云って喜ばれた。《大塚敬節》
[75]貧血:
☆少年期の原因不明の貧血に用いて著効を得たことがある《大塚敬節》
[76]フケ:
☆頭にフケの多い者があり、頭髪のしきりに抜ける者に良い《大塚敬節》
[77]不安感
[78]不眠症:
☆神経衰弱性不眠症等。《奥田謙蔵》
☆癇症で、腹中が拘急し、動悸がたかぶる者《荒木正胤》
☆癇症で、動悸がなければá「小建中湯」が良い。《方輿》
[79]腹部大動脈瘤
[80]腹直筋<下腹部>緊張(下腹部拘急)
☆下腹部で腹直筋がひきつれて、小腹弦急の状を呈し、八味丸の腹証によく似ていることがある。《大塚敬節》
[81]発作性頻脈     
[82]夜尿症
[83]夜泣き
[84]慢性下痢
[85]脈:
<大・無力>
[86]耳鳴り
[87]無気力
[88]夢交:
☆西山英雄氏は、38歳の未亡人で、強度の疲労を主訴とする者にこの方を用いて著効を得た例を報告している。その中で、患者は「実は先生、時々熟睡中に、相手は誰だか判らないが、交接していて、オルガズムスに達して、驚いて目を覚します。そんなときは両手を胸に置いて、固く誰かを抱きしめているような感じです。隣に寝ている男の子供をみて、羞しいやら、○○やら、何ともいえない感じです。その翌日は、店に立って居られないくらい、疲れるのです。何とか、これが起こらないように、治してほしい」と述べている。
西山氏は、これに桂枝加竜骨牡蛎湯を与えたところ、10日目に来た患者は、「おかげさまで、随分良くなりました」とうれしそうにいった。
[89]夢精
[90]目眩
[91]やけど(火傷)による精神不安
[92]腰痛症
[93]卵巣機能障害
[94]冷汗
[95]鬼交症
☆婦人、心気欝結し、胸腹の動甚だしく、寒熱こもごも起こり、経行常に期をあやまり、多夢驚し、鬼と交わって淸を洩らし、身体ようやく羸痩し、その状、あたかお労に似たり、孀婦(そうふ)(やもめ)、室女(オールドミス)、情欲妄動して遂げざるもの、多くこの症あり。此方によろし《尾台榕堂》

[96]不整脈

☆虚証で神経症傾向のものに用いる。臍上悸を触れることが多い(漢方診療医典)

 

 


桂枝加苓朮附湯《漢方治療の実際》
「桂枝湯+茯苓・朮各4、附子0.5」
★適応症及び病名  (五十音順)
[1]神経症:
☆60余歳、男性。高所より墜落して頭部を打撲し、失神したる事ありしに、後外傷性神経症に罹り、頭痛・眩暈・耳鳴・健忘・精神欝幽、振顫(震戦)、脚弱等を発し、ために神身無能、数年薬を廃すと云ふ。診するに脈沈弱にして、閉目直立せしむれば震戦著しく、動もすれば倒せんとする。腹診するに腹直筋は両側共に攣急すと雖も、左側強く、臍の周囲及び下に瘀血塊あり。按ずるに痛み、腹壁は一般に軟弱にして冷感あり。下肢冷却、尿頻数、大便秘結す。よって本方の附子を3倍して、桂枝茯苓丸(3倍)を合方し、抵当丸(5.0/1回・1日3回)を兼用し、1週間分処方した。服薬するや尿量増加し、黒便を多量に下し、全治した。《湯本求真》
[2]慢性関節リウマチ:
☆体力が衰え、血色すぐれず、手足の冷える者。


桂枝甘草湯[1-1]《傷寒論》
「桂枝(去皮)4両、甘草(炙)2両」
右二味、以水三升、、煮取一升、去滓、頓服。
◎発汗過多、其人叉手自冒心、心下悸欲得按者、桂枝甘草湯主之。
《傷寒論》辨太陽病脉證并治中第六


桂枝甘草湯[1-2]《傷寒論》
「桂枝(去皮)2両、甘草(炙)2両」
◎発汗過多、其人叉手自冒心、心下悸欲得按者、属桂枝甘草湯。
《傷寒論》辨発汗後病脉證并治第十七。


桂枝甘草湯[1-3]《傷寒論》《漢方治療の実際》
「桂枝4、甘草2」
証(叉手して自ら心を冒(おお)ふ)《薬徴》
「叉(さ)手」=両手を組み合わせて心臓の部にあてて、動悸を鎮めようとする。
◎上衝急迫する者を治す《方極》
◎桂枝甘草湯の証に其の人叉手して自ら心を冒うと曰う。為則按ずるに、叉手して心を冒う者は悸して上衝するを以ての故なり。《重校薬徴》


桂枝甘草湯[1-4]《傷寒論》
    ★適応症及び病名 (五十音順)
[1]息切れ
[2]気の上衝:<>
[3]呼吸困難
[4]心悸亢進:<激しい><発作性>
☆発汗が多すぎて、動悸する者に用いる《大塚敬節》
☆心悸亢進の激しい時に、頓服として用いるに適する《大塚敬節》
[5]バセドウ病
[6]ヒステリー



桂枝甘草附子湯
桂枝甘草附子湯条に、上衝の証なし。為則按ずるに、此の方は桂枝甘草湯に附子を加ふるものなり。桂枝甘草湯条に上衝の証あり。然れば則ち此の湯も亦当に上衝の証あるべし。それ此の証を脱するや明らかなり。《薬徴》



桂枝甘草竜骨牡蛎湯[1-1]《傷寒論》
「桂枝(去皮)1両、甘草(炙)2両、牡蠣(熬)2両、龍骨2両」
右四味、以水五升、煮取二升半、、去滓、温服八合、日三服。
◎火逆下之、因焼針煩躁者、桂枝甘草竜骨牡蛎湯主之。
《傷寒論》辨太陽病脉證并治中第六


桂枝甘草竜骨牡蛎湯[1-2]《傷寒論》
証(煩躁)《薬徴》
◎胸腹に動ありて急迫する者を治す《方極》
◎興奮、煩躁腹動《龍野ー漢方処方集》


桂枝甘草竜骨牡蛎湯[1-3]《傷寒論》
★適応症及び病名 (五十音順)
[1]興奮:
☆灸又は加熱療法後
[2]心悸亢進:
☆心悸亢進の激しい時に、頓服として用いるに適する《大塚敬節》
[3]バセドウ氏病:
☆動悸のほかに、不安の念が強く、足が冷え、食欲は進まず、痩せて顔色も蒼い:「半夏厚朴湯」《大塚敬節》




桂枝羗活湯《東醫寶鑑》
「桂枝・羗活・防風・甘草各1銭半」水煎服。
◎太陽瘧で自汗し、頭や項が痛む者を治す。



桂枝去桂加茯苓白朮湯《傷寒論》
「芍薬3両、甘草(炙)2両、生姜(切)・白朮・茯苓各3両、大棗(擘)12枚」
右六味、以水八升、煮取三升、去滓、温服一升、小便利即愈。本云桂枝湯、今去桂枝、加茯苓白朮。
◎服桂枝湯、或下之、仍頭項強痛、翕翕発熱、無汗、心下満微痛、小便不利者、桂枝去桂加茯苓白朮湯主之。
《傷寒論》辨太陽病脉證并治上第五。
《傷寒論》辨発汗吐下後病脉證并治第二十二。
◎桂枝湯の証にして、心下悸し、小便利せず、上衝せざる者を治す。《方極附言》
◎病人、橋脚冷痛し、時に攣急し、小便少なく、或いは肉瞤筋する者は、桂枝去桂加苓朮湯之を主どる。《医聖方格》
○桂枝湯証にして、小便不利し、上衝せざる者を治す《方極》
   桂枝去桂加苓朮湯
○脈経は桂枝去桂加茯苓朮湯に作る《方極刪定》
◎頭痛項強、発熱、心下満微痛、尿利減少《龍野ー漢方処方集》

★適応症及び病名
[1]悪心
[2]感冒(胃腸型の風邪)
☆汗下を行いて後、表熱尚未だ全く去らず、胸部煩満を覚え、尿不利、腹部時々微痛する証。《奥田謙蔵》
[3]急性胃腸炎
[4]筋肉がケイレンする
[5]首筋がこわばる(項強)
[6]頸腕症候群
[7]下痢:
☆下痢の後、日を経て尚微熱あり、腹部膨満を覚え、尿利渋滞し、脈微沈にして数なる証。《奥田謙蔵》
☆下痢、腹痛を発し、或いは尿不利等の有る証。《奥田謙蔵》
[8]腎炎
[9]心下痞満
[10]頭重
[11]頭痛
[12]二日酔い
[13]尿不利:
☆神経性心悸亢進にして、尿利著しく減少する証。《奥田謙蔵》
☆肩背或いは頭項強急し、心下膨満し手少しく痛み、尿不利の証ある者。《奥田謙蔵》
[14]ネフローゼ
[15]ヒステリー:
☆「ヒステリー」等にして、時々痙攣を発し、或いは腰痛耐え難く、胸満感あるも心下を按ずるに軟、尿利甚だしく渋滞する証。《奥田謙蔵》
[16]慢性頭痛
[17]むち打ち症
[18]無汗
[19]腰痛症





桂枝去芍薬加蜀漆牡蛎竜骨救逆湯[1-1]《傷寒論》《金匱要略》
「桂枝(去皮)3両、甘草(炙)2両、生姜(切)3両、大棗(擘)12枚、牡蠣(熬)5両、蜀漆(洗去腥)3両、龍骨4両」
右七味、以水一斗二升、先煮蜀漆、減二升。内諸薬、煮取三升、去滓、温服一升、本云桂枝湯、今去芍薬、加蜀漆牡蠣龍骨。
◎傷寒脉浮、医以火迫劫之、亡陽、必驚狂、臥起不安者、桂枝去芍薬加蜀漆牡蠣龍骨救逆湯主之。  《傷寒論》辨太陽病脉證并治中第六。
◎火邪者、桂枝去芍薬加蜀漆牡蛎竜骨救逆湯主之。
《金匱要略》驚悸吐衂下血胸満血病脉證治第十六。

「驚狂、臥起不安」=驚狂臥起安からず=おどろきやすく精神不安で静かにジッとしておれない。


桂枝去芍薬加蜀漆牡蛎竜骨救逆湯[1-2]《傷寒論》《金匱要略》
=「救逆湯」=「桂枝去芍薬加蜀漆龍骨牡蠣湯」
    

桂枝去芍薬加蜀漆竜骨牡蠣湯[1-3] 《漢方治療の実際》
=「救逆湯」
「桂枝・生姜・大棗・蜀漆各4、甘草2、牡蠣6、龍骨5」
★適応症及び病名 (参照→「救逆湯」)


桂枝去芍薬加皀莢湯[1-1]《金匱要略》
「桂枝3両、生姜3両、甘草2両、大棗10枚、莢(去皮炙焦)2枚」
右五味、以水七升、微微火煮取三升、分温三服。
◎治肺痿吐涎沫。
《金匱要略》肺痿肺癰嗽上氣病脉證治第七。


桂枝去芍薬加皀莢湯[1-2]《金匱要略》
◎桂枝去芍薬湯証にして、濁唾、涎沫を吐する者を治す。《方極》
◎咳する者は、おおむね上気、胸満す。桂枝去芍薬湯にて、以て上気、胸満を治し、更に皀莢を加えて、以て涎沫を駆る也。《類聚方広義》
★適応症及び病名
[1]咽痛:
☆頻りに粘痰を喀出し、咽痛する等の証《奥田謙蔵》
[2]気管支炎:
☆腐敗性気管支炎等にして、発熱甚だしからず、且つ未だ衰弱加わらざる証。《奥田謙蔵》
☆乾性気管支炎等《奥田謙蔵》
[3]喘息:
☆喘息にして粘痰有り、喘鳴止まざる等の証《奥田謙蔵》


桂枝去芍薬加附子湯《傷寒論》
○桂枝去芍薬湯証にして悪寒する者を治す《方極》


桂枝去芍薬湯《傷寒論》
「桂枝(去皮)3両、甘草(炙)2両、生姜(切)3両、大棗(擘)12枚」
右四味、以水七升、去滓、温服一升。本云桂枝湯、今去芍薬、將息如前法。
◎太陽病、下之後、脉促、胸満者、桂枝去芍薬湯主之。
《傷寒論》辨太陽病脉證并治上大五
◎太陽病、下之後、脉促、胸満者、属桂枝去芍薬湯。
《傷寒論》辨発汗吐下後病脉證并治大二十二

桂枝去芍薬湯は頭痛・発熱・悪風、汗ある等の証を主る。しかして、その腹中に結実するものなし。


桂枝去芍薬湯《傷寒論》
◎桂枝湯証にして拘攣せざる者を治す《方極》
◎桂枝湯症にして、拘攣せざる者を治す。《方極附言》
◎病人、脈促、上衝して胸満し、頭に汗出じる者は、桂枝去芍薬湯之を主る。《医聖方格》

【腹証】《腹診配剤録》
“胸満して腹中に苦しむ所無し。唯その人、胸満し、心気安からずと謂う”



桂枝去芍薬湯《傷寒論》《漢方治療の実際》
「桂枝湯-芍薬」
★適応症及び病名
[1]息切れ
[2]悪寒
[3]風邪
[4]気の上衝<+>
☆故なくして上逆し、胸満感を訴える等の証。《奥田謙蔵》
[5]胸痛
[6]呼吸困難
[7]自汗
[8]頭汗

[9]ドキドキする
☆表証已に去れるも、胸中欝満して苦悩し、脈なお少しく数なる証。《奥田謙蔵》
[10]のぼせ
[11]肺結核
[12]不安感         
[13]胸がつまる:
☆発汗を行い、或いは下して後、表証尚解せず、上逆を感じ、胸中満悶し、その脈数にして力無き証。《奥田謙蔵》



桂枝救逆湯《金匱要略》
「桂枝(去皮)3両、甘草(炙)2両、生姜3両、牡蠣(熬)5両、龍骨4両、大棗12枚、蜀漆(先去腥)3両」
右為末、以水一斗二升、先煮蜀漆、減二升、内諸薬、煮取三升、去滓、温服一升。
◎火邪者、桂枝去芍薬加蜀漆牡蛎竜骨救逆湯主之。
《金匱要略》驚悸吐衂下血胸満血病脉證治第十六。
◎参照→「救逆湯」


桂枝苦酒湯《東醫寶鑑》
=「桂枝黄蓍湯」
「黄蓍2銭半、桂枝・芍薬各1銭半、甘草1銭」を作1貼し好酒3分、水1杯半で煎服。
◎黄汗を治す。
「黄汗」=衣が黄色に染まる汗



桂枝五物湯[1-1]《吉益東洞》《勿誤薬室方函口訣》
=「桂枝桔梗湯」
「桂枝、茯苓、桔梗、黄芩、地黄」各等分。
◎上衝、咽喉刺痛し、或いは瘡を生ずる者を治す。
◎《吉益東洞》曰く、牙歯疼痛する者を治す。
◎《吉益南涯》曰く、血毒上に迫る者にて、その証、牙歯疼痛、両頬腫痛し、或     いは舌の強痛するを治す。
◎熱有って大便せざる者を治す:「大黄」
◎伏熱ある者:「石膏」
◎此方の一等重き者:「柴胡清肝散」《寿世保元》
◎「柴胡清肝散」の虚候を帯ぶる者:「滋陰降火湯」


桂枝五物湯[1-2]《吉益東洞》《漢方後世要方解説》
「桂枝4、茯苓8、桔梗3、黄芩4、地黄4」
或いは大黄を加えて、熱あり大便せざる者を治し、或いは石膏を加えて伏熱する者を治す。
◎此方は出所不明とされ、東洞の経験によって牙歯の疼痛、或いは口舌糜爛の症に効ありとして伝えられてきた。浅田宗伯は此方の一等重き者を保元の柴胡清肝散とし、清肝散の虚候を臣多ものを滋陰降火湯とした。
桂枝=衝逆を治し、血脈を通ず。
桔梗=腫瘍を治し、咽喉通歯痛を治す。
黄芩=上焦の湿熱を治し、瘡瘍を治す。
地黄=瘀血、留血、諸熱を治す。

 
桂枝五物湯[1-3]《吉益東洞》《漢方治療の実際》
「桂枝4、茯苓8、桔梗3、黄芩・地黄各4」
◎この方は《吉益東洞》の愛した処方で、歯痛に用いる。《大塚敬節》


桂枝五物湯[1-4]《吉益東洞》《龍野ー漢方処方集》
「茯苓・乾地黄各4.0g、桂枝・桔梗・黄芩各3.0g」
◎のぼせ、咽喉痛、或いは歯痛、或いは舌痛。 
★適応症及び病名
[1]アンギナ
[2]咽喉炎
[3]口舌糜爛
[4]口内炎:
☆口内潰瘍
[5]歯根炎
[6]歯槽膿漏
[7]歯痛
[8]舌炎


桂枝四七湯《東醫寶鑑》
「桂枝・半夏各2銭、白芍(酒炒)11銭半、白茯苓・厚朴・枳穀各7分、人参・紫蘇葉・炙甘草各5分、生姜3、大棗2」水煎服。
◎寒邪による心痛。



桂枝芍薬知母湯[1-1]《金匱要略》
⇒「桂芍知母湯」
「桂枝4両、芍薬3両、甘草2両、麻黄2両、生姜5両、白朮5両、知母4両、防風4両、附子(炮)2両」
右九味、以水七升、煮取二升、温服七合、日三服。
◎諸肢節疼痛、身體魁羸、脚腫如脱、頭眩短氣、温温欲吐、桂枝芍薬知母湯主之。         《金匱要略》中風節病脉證并治第五。

桂芍知母湯[1-2]《漢方治療の実際》
「桂枝・知母・防風・生姜・芍薬・麻黄各3、朮4、甘草1.5、附子0.5」


桂枝芍薬知母湯[1-3]《金匱要略》
◎「葛根加朮附湯葛根大棗知母防風」
◎此方は身体(木のこぶ)と云うが目的にて、歴節数日を経て骨節が木のこぶ(瘤)の如く腫起し、両脚微腫ありて、わるだるく、疼痛の為に逆上して頭眩乾嘔などする者を治す。《勿誤薬室方函口訣》
◎四肢或いは関節疼痛、痩せて脚が腫れ力が抜け、或いは関節だけが腫れてこぶの様になり、頭眩、息切れ、むかつく者。《龍野ー漢方処方集》
★桂芍知母湯(四肢疼痛、関節腫脹、知覚麻痺<下肢>、身体枯燥、羸痩、呼吸困難、乾嘔)

桂芍知母湯[1-4]《金匱要略》
=「桂枝芍薬知母湯」
★適応症及び病名
[1]足跟痛:
☆特効あり。もし湿熱甚だしき者は当帰拈痛湯に宜し《方読便覧》
[2]足に力が入らない
[3]息切れ
[4]運動障害(下肢の)
[5]悪寒
[6]顔色悪い
[7]鶴膝風(ひざ関節の変形・疼痛)
☆表寒の症状がないときは、「烏頭湯」を考える。
[8]下肢の知覚麻痺:
☆足首腫れて、靴脱するが如く、行歩すること能わざる(脚腫如脱)を治す。
[9]脚気:
☆能く痛痺転筋不仁を治す《脚気提要》
[10]乾嘔(むかつき)
[11]関節炎
[12]関節痛 <激しい>
[13]関節腫痛(疼痛)
☆関節に発赤・熱感・疼痛がある《中医処方解説》
[14]急性副鼻腔炎
[15]筋萎縮
[16]呼吸困難
[17]座骨神経痛
[18]四肢疼痛
[19]しびれ感(痛んでシビレ)
[20]神経痛
[21]身体枯燥
[22]頭眩
[23]頭痛
[24]舌質 <淡紅>
[25]舌苔 <白苔>
[26]多発性関節炎
[27]短気
[28]知覚麻痺
[29]痛風:
☆痛風なる者は風熱骨節に入るなり。発汗すべし。麻黄湯に宜し。桂芍知母湯も亦之を主る。表証やめば、当に禹功散を以て之を下すべし。《先哲医話》
[30]尿不利
[31]発熱
[32]冷える
[33]皮膚枯燥
[34]疲労倦怠
[35]変形性関節症
[36]片マヒ(片麻痺)
[37]末梢神経炎
[38]慢性関節リウマチ:
☆栄養が悪く、痩せて関節が腫れ、周囲の肉が落ち、皮膚がカサカサし てツヤがない者。
☆患部に熱感がない。
☆急性・増悪期の疼痛にも。
☆これで全治しなくても、疼痛が軽減し、患部の腫脹が減少する場合がかなりある《大塚敬節》
☆この方を用いる目標は、関節の腫脹、疼痛と皮膚が枯燥してガサガサしている点にある《大塚敬節》
☆62歳男性。痩せて皮膚がガサガサしてツヤがなく、枯燥の状態である。発病はこの年の4月で、全身の関節が次々と痛み、ついには屈伸が不能となって、人手を借りなければ寝返りも出来ないほどになった。四肢の関節は腫脹しているが、木のこぶのようなひどい腫れ方ではない。脈は微弱で、手足は冷えやすい。こんな症状であったから、桂芍知母湯を与えたところ、徐々に手足の屈伸が自由になって、その年の暮れには歩行が出来るようになった。《大塚敬節》
[39]腰痛症
[40]羸痩(やせ)
[41]歴節風:
①陽に在る者:越婢加朮湯
②陰に在る者:烏頭湯
③身体が羸痩衰弱した者:桂芍知母湯

    



桂枝芍薬湯《東醫寶鑑》
「桂枝1銭、赤芍薬・知母・石膏・黄各2銭」水煎服。
◎瘧の寒熱症を治す。




桂枝生姜枳実湯[1-1]《金匱要略》
「桂枝3両、生姜3両、枳実5枚」
右三味、以水六升、煮取三升、分温三服。
◎心中痞、諸逆心懸痛、桂枝生姜枳實湯主之。



桂枝生姜枳実湯[1-2]《金匱要略》
◎心中痞、諸逆、心懸痛、《龍野ー漢方処方集》
◎この方は枳実薤白桂枝湯に似て、胸へ差し込んで痛む者に用いる。およそ桂枝と枳実とを組み合わせた薬方は、胸の痞塞を押し開いて、気を下げる効があるものである。《大塚敬節》
◎[心中痞]=胸につかえる気分があること。《大塚敬節》
◎[諸逆]=種々の衝逆をいい、何かが胸に突き上がってくるのを云ったものである《大塚敬節》
◎[懸痛]=



桂枝生姜枳実湯[1-3]《金匱要略》
★適応症及び病名
[1]胃痛
[2]気管支喘息:
☆1少女の激しい発作を、この方を用いて緩解せしめた。この少女は色が浅黒く痩せて、麻黄の入った小青竜湯・麻杏甘石湯などを用いると、これを吐出し、却って気分が悪いと云う。蘇子降気湯、人参湯、なども用いたが、更に効がない。腹部は一般に軟弱で、心下部にも力がない。患者が云うのに、何かが突き上がってきて、ただ胸が塞がって苦しいと云う。そこでこの方を頓服として用いたところ、胸の塞がりが取れて、数日間、何も食べられなかったのに、粥を食べるようになった。そして、追々と元気になった。《大塚敬節》
[3]胸痛:
☆和久田寅は、胸中が堪えられないほど痛み、それが発作性にたびたび起こり、数日治らなかった者に、胸中痞満・衝逆の状を診て、この方を与えて1服で全快せしめた。《大塚敬節》
☆死ぬのではないかというほどの胸痛に用いた。《北尾春甫》
[4]心臓病
[5]胆石症
[6]肋間神経痛


桂枝石膏湯《東醫寶鑑》
「石膏・知母各3銭、黄2銭、桂枝1銭」水煎服。
◎太陽と陽明の合病で、熱多く、寒少ない者を治す。


桂枝湯[1-1]《傷寒論》
「桂枝(去皮)3両、芍薬3両、甘草(炙)2両、生姜(切)3両、大棗(擘)12枚」
右五味、咀三味、以水七升、微火煮取参升、去滓、適寒温、服一升、服已須臾、歠熱稀粥一升餘、以助薬力、温覆令一時許、遍身微似有汗者益佳。不可令如水流離、病必不除、若一服汗出病差、停後服、不必盡剤。若不汗、更服、依前法。又不汗、後服小促其間、半日許令三服盡。若病重者、一日一夜服、周時觀之、服一剤盡、病證猶在者、更作服。若汗不出、乃服至二、参剤。禁生冷、粘滑、肉麪、五辛、酒酪、臭悪等物。
.「禁生冷、以下」の十五字、玉函、千金、千金翼共に無し。是なり。《類聚方広義》
◎太陽中風、陽浮而陰弱、陽浮者、熱自発。陰弱者、嗇嗇悪寒、浙浙悪風、翕翕発熱、鼻鳴乾嘔者、桂枝湯主之。方一。
《傷寒論》辨太陽病脉證并治上第五。
◎太陽病、頭痛、発熱、汗出、悪風、桂枝湯主之。
《傷寒論》辨可発汗病脉證并治第十六。     ◎太陽病、初服桂枝湯、反煩、不解者、先刺風池、風府、却與桂枝湯則愈。十一。          《傷寒論》辨太陽病脉證并治上第五。
《傷寒論》辨可発汗病脉證并治第十六。  
◎服桂枝湯、大汗出、脉洪大者、與桂枝湯、如前法。若形似瘧、一日再発、汗出必解、宜桂枝二麻黄一湯。方十二。
《傷寒論》辨太陽病脉證并治上第五。
《傷寒論》辨発汗後病脉證并治第十七。
◎太陽病、外證未解、脉浮弱者、當以汗解、宣桂枝湯。方十二。
◎太陽病、外證未解、不可下也、下之為逆。欲解外者、宜桂枝湯。十四。
◎病常蔵無他病、時発熱、自汗出、而不愈者、此衛気不和也。先其時発汗則愈、宜桂枝湯。二十。
◎傷寒発汗已解、半日許復煩、脉浮数者、可更発汗、宜桂枝湯。二十三。
傷寒、醫下之、続得下利清穀不止、身疼痛者、急當救裏。後身疼痛、清便自調者、急當救表、救裏宜桂枝湯、救表宜桂枝湯。四十五。
◎太陽病、発熱、汗出者、此為栄弱衛強、故救邪風者、宜桂枝湯。四十七。
◎傷寒大下後復発汗、心下痞、悪寒者、表未解也。不可攻痞、當先解表、表解乃可攻痞。解表宜桂枝湯、攻痞宜大黄黄連瀉心湯。二十六。
《傷寒論》辨太陽病脉證并治下第七。
◎陽明病、脉遅、汗出多、微悪寒者、表未解也、可発汗、宜桂枝湯。二十一。            《傷寒論》辨陽明病脉證并治第八。
◎病人煩熱、汗出則解。又如瘧状、日哺所発熱者、属陽明也。脉實者、宜下之。脉浮虚者、宜発汗。下之與大承気湯、発汗宜桂枝湯。二十六。
《傷寒論》辨陽明病脉證并治第八。
◎太陰病、脉浮者、可発汗、宜桂枝湯。方一。
《傷寒論》辨太陰病脉證并治第十。
◎下利腹脹満、身體疼痛者、先温其裏、乃攻其表。温裏宜四逆湯、攻裏宜桂枝湯。
《傷寒論》辨厥陰病脉證并治第十二。
◎太陽病、外證未解、脉浮弱者、當以汗解、宜桂枝湯。方一。
《傷寒論》辨可発汗病脉證并治第十六。
◎陽明病、脉遅、汗出多、微悪寒者、表未解也、可発汗、属桂枝湯證。
《傷寒論》辨可発汗病脉證并治第十六。
◎太陽病不解、熱結膀胱、其人如狂、血自下、下者愈。其外未解者、尚未可攻、當先解其外、属桂枝湯證。八。
《傷寒論》辨可発汗病脉證并治第十六。
◎傷寒不大便六七日、頭痛有熱者、與承気湯。其小便清者、知不在裏、續在表也、當須発汗。若頭痛者必衂。属桂枝湯證。十五。
《傷寒論》辨可発汗病脉證并治第十六。
◎下利腹脹満、身體疼痛者、先温其裏、乃攻其表、温裏宜四逆湯、攻表宜桂枝湯。
《傷寒論》辨可発汗病脉證并治第十六。
◎下利後、身疼痛、清便自調者、急當救表、宜桂枝湯発汗。十七。
《傷寒論》辨可発汗病脉證并治第十六。
◎太陽病、頭痛、発熱、汗出、悪風寒者、属桂枝湯證。十八。
《傷寒論》辨可発汗病脉證并治第十六。
◎太陽中風、陽浮而陰弱、陽浮者熱自発、陰弱者汗自出、嗇嗇悪寒、浙浙悪風、翕翕発熱、鼻鳴乾嘔者、属桂枝湯證。方十九。
《傷寒論》辨可発汗病脉證并治第十六。
◎太陽病、発熱汗出者、此為栄弱衛強、故使汗出、欲救邪風、属桂枝湯證。二十
《傷寒論》辨可発汗病脉證并治第十六。


桂枝湯[1-2]《傷寒論》
「桂枝(去皮)3両、芍薬3両、生姜3両、甘草(炙)2両、大棗(擘)12枚」
右5味、以水7升、煮取3升、去滓、温服1升。
◎吐利止而身痛不休者、當消息和解其外、宜桂枝湯小和之。方三。
《傷寒論》辨霍乱病脉證并治第十三。


桂枝湯[1-3]《漢方治療の実際》
「桂枝・芍薬・大棗・生姜各4、甘草2」
◎上衝、頭痛、発熱し、汗出で悪風し、腹拘攣する者を治す《吉益東洞》
◎上衝し、頭痛し、発熱し、汗出でて悪風する者を治す《方極》
◎《陳念祖》曰く、此湯、表症之を得れば肌を解し栄衛を和すると為す。内症之を得れば気を化し陰陽を調う。今人ただ傷寒の首方為るを知るのみ。此れ「妊娠篇」に於いて、列して第一方と為し、以て千古庸医の夢を喝醒す。《雑病翼方》
◎桂枝はよく気血を宣達し、諸薬の嚮導となる。是を以て、上は頭頂に抵り、下は四肢に及び、内は上衝の気を散じ、外は身体の疼痛を治す。故に桂枝湯は下後に用いて持って衝逆を散じ、霍乱後に用いて以て消息し、その外、胎前に用いては以て胎を安ずるなり。《勿誤薬室方函口訣》
◎もし夫れ証に軽重緩急の差あれば、増損去加して以て制するなり。《古今薬議》
<1>上衝の勢劇しく少腹より心下に迫るとき:桂枝を倍加する。
<2>ただ気、胸中に満するとき:「芍薬」
<3>胸満ことに甚だしく、叉手心を冒い、且つ心下悸するとき:「姜棗」以てその勢を単にす。
<4>もしその下悸し、奔豚を作さんと欲し、或いは少腹より胸咽に上衝するとき:「茯苓」以て之を降滲す。
<5>疼痛以て屈伸し難きとき:「附子」
<6>烏頭、葛根、附子、黄蓍、膠飴、大黄、之を桂枝湯に加えて以てその変化を極む。
<7>麻黄、石膏を得て発汗を為し、
<8>桃仁、地黄を配して血分に行き、
<9>苓附を併せて水気を利する。
【腹証】《腹診配剤録》
“凡そ桂枝湯類の腹状は、大抵下に悸有るも、微にして知り難く、悸無き者も間々亦之有り”


桂枝湯[1-4]《傷寒論》《方機》
「桂枝、芍薬、生姜、各3両。大棗12枚。甘草2両。5味、咀(ふそ)し、水7升を以て微火に煮て3升を取り、滓を去り、寒温に適し1升を服す。
服し己(おわ)って須臾(すゆ)に熱稀粥(ねつきじゅく)1升を(すす)りて、以て、薬力を助け、温覆すること一時(いっとき)許(ばか)りならしめて、偏身(ちゅうちゅう)として微かに汗あるに似る者は、益々佳なり。水の流漓(りゅうり)なるが如からしめず。病、必ず徐かず。若し、一服して汗出で、病差(い)えば、後服を停む。必ずしも剤を盡さず。若し汗せずんば、更に服すること前法に依る。又汗せざれば、後服小しく其の間を促し、半日許りに3服をして盡さしむ。若し病重きものは、1日一夜服し、周時に之を觀る。1剤を服し盡して病症なおあるものは、更に作り服す。若し汗出でざる者は、乃ち服して2、3剤に至る。
頭痛、発熱(ほつねつ)、汗出で、悪風するものは、正證なり。頭痛の1證も亦(また)、まさに此の方を投ずべし。若し、咳嗽し逆に因りて、頭痛するものは、則ち此の湯の治すところに非ざるなり。
悪寒、鼻鳴、乾嘔は外邪の候なり。此の方之を主どる。脈浮弱、或いは浮數(ふさく)にして悪寒するものは、證具わらずと雖も、亦此の方を用い、浮數、浮弱は、蓋し桂枝湯の脈状なり。汗、吐、下の後、更に湊(あつま)ること一證又、発熱、汗出でて身疼痛するものは、此の方なお用ゆべしと為す。若し脈浮、緊にして疼痛するものは則ち此の湯の治すところに非ず」




桂枝湯[1-5]《傷寒論》
    

★適応症及び病名 (五十音順)    
[1]インフルエンザ(流感)
[2]インポテンツ
[3]遺精
[4]胃腸型感冒
[5]悪寒
[6]悪心
[7]悪阻(=つわり)
[8]悪風
[9]乾嘔・・・吐きそうになる気分になること《大塚敬節》
[10]関節痛
[11]感染症
☆諸般の熱性病、頭痛、逆上して煩悶し、稍や便秘の傾向あり、少しく腹満を覚え、食欲減ぜずして唯身体を露出するを嫌う証。《奥田謙蔵》
[12]感冒(かぜ)
☆頭痛、発熱、微悪寒し、自汗出で、脈浮緩にして数なる証。もし脈浮緊にして、汗無き証は、此方の禁忌とす。《奥田謙蔵》
☆悪寒または悪風を伴う熱で、脈が浮かんで弱く、やや拍動の速い者を目標として用いる。《大塚敬節》
☆10歳の少年。2日前、突然さむけがして38℃の熱が出たので、風邪だろうと考えて、市販のかぜ薬をのんだ。その依る、あせが出て、翌朝体温はほとんど平常となったが、悪風があり、頭が重く、からだがだるいと云う。脈は浮いているが弱い、食欲は変わらない。そこで桂枝湯を与えたが、1日分をのみ終わらないうつに、悪風が去り、頭痛もとれて、元気になった。《大塚敬節》
[13]寒冷ジンマシン
[14]寒冷による腹痛
[15]逆上感
[16]急性腸炎:
☆腸「カタール」等の初起にして、浮脈を呈し、軽度の発汗を促すべき要ある証。《奥田謙蔵》
[17]虚弱
[18]筋肉痛:
[19]下痢後の身体疼痛
☆吐瀉の後、発熱して自汗出で、身体疼痛を覚える証。《奥田謙蔵》
[20]原因不明の熱
[21]自汗
[22]気の上衝
☆寒熱既に去り、脈浮にして力無く、唯逆上感あり、結膜充血し、耳鳴し、食欲及び二便に著変無き証。《奥田謙蔵》
☆足が冷えて、のぼせるという症状を訴えるものがある。《大塚敬節》
[23]産後の下痢:
☆産後における下痢性疾患等。《奥田謙蔵》
[]湿疹:
☆痤疿(ザビ=にきび、小さな腫れ物)を治す。「葛根防風」《方読便覧》
[24]神経衰弱
[25]神経痛 :
☆腰神経痛、及びその類似疾患等。《奥田謙蔵》
☆「ロイマチス」様疾患等。《奥田謙蔵》
[26]身体疼痛
☆既に発刊法を行い後、寒熱無く、食欲もまた著変無く、唯全身に疼痛、拘急を覚える証。《奥田謙蔵》
[27]頭痛
☆頭痛して自汗あり、渇するも舌苔無く、時々発熱あり、身体重く、脈浮弱なる証。《奥田謙蔵》
☆凡そ頭痛、発熱し、悪風、悪寒し、その脈浮にして弱、汗自ら出ずる者は、中風、傷寒、雑病を問わず、みな此方を用いる事が出来る。惟だ脈浮・自汗を以てその主と為すのみ。《傷寒附翼》
[28]舌苔<微白苔>
[29]丹毒
[30]妊娠悪阻
[31]のぼせ
[32]発熱
☆発熱し、微しく腹満有り、汗出でて渇し、食を欲せず、悪寒有り、日を経るも尚解せざる証。《奥田謙蔵》
☆発熱し、汗出で、腹微満し、或いは腹痛し、或いは心煩し、脈浮弱なる証。《奥田謙蔵》
☆発熱し汗出で、心下部痞塞し、食を欲せず、脈浮なる証。《奥田謙蔵》
[33]煩悶
[34]鼻水
[35]鼻閉
[36]鼻鳴
[37]皮膚虚弱
[38]皮膚掻痒症:
[39]皮膚知覚異常
[40]疲労倦怠
[41]腹直筋攣急:<右>
[42]腹痛(寒冷による)
[43]腹満
[44]偏頭痛
[45]慢性関節リウマチ
[46]脈浮弱
[47]目の充血
[48]腰痛症




桂枝湯[2]《東醫寶鑑》
「枳殻1両、桂枝5銭」作末し、毎回2銭を姜棗湯で調下する。
◎びっくりして肝を傷つけ、脇骨のなかが疼痛する者。




桂枝二越婢一湯《傷寒論》
=「桂婢各半湯」
「桂枝(去皮)・芍薬・麻黄・甘草(炙)各18銖、大棗(擘)4枚、生姜(切)1両2銖、石膏(碎綿嚢)24銖」
右七味、以水五升、煮麻黄十二沸、去上沫、内諸薬、煮取二升、去滓、温服一升。本云、當裁為越婢湯、桂枝湯、合之飲一升。今合為一方、桂枝湯二分、越婢湯一分。
(銖=シュ、目方の単位)
◎太陽病、発熱悪寒、熱多寒少、脉微弱者、此無陽也。不可発汗、宜 桂枝二越婢一湯。
《傷寒論》辨太陽病脉證并治上第五。
◎発熱多く悪寒少なく脉微弱の者。《龍野ー漢方処方集》
    

★適応症及び病名
[]咽痛
 ☆咽痛から始まる風邪。
[]悪寒
[]咳嗽
[]かゆい
[]間欠性跛行症
☆「苓朮附」本方を服用していると、1ヵ月もたつと、だんだん長距離の歩行が可能になるが、軽快しても服用を続けることが必要である(漢方診療医典)
[]関節痛<劇痛>
[]顔面紅潮
[]急性熱病
[]筋肉痛
[]口渇
[]口舌乾燥
[]自汗
[]身体疼重
[]心煩
[]頭痛
[]熱感
         ☆局所の熱感がある。
[]発熱
[]ベーチェット病
[]慢性関節リウマチ
☆体力の衰えなく、ノドが渇いて、小水が出なく、手足が冷える者:「朮附」
[]腰痛


桂枝二麻黄一湯《傷寒論》
「桂枝(去皮)1両17銖、芍薬1両6銖、麻黄(去節)16銖、生姜(切)1両6銖、杏仁(去被尖)16箇、甘草(炙)1両2銖、宜桂枝二麻黄一湯。
右七味、以水五升、先煮麻黄十二沸、去上沫、内諸薬、煮取二升、去滓、温服一升、日再服。本云桂枝湯二分、麻黄湯一分、合為二升、分再服。今合為一方、將息如前法。 (銖=シュ、目方の単位)
◎服桂枝湯、大汗出、脉洪大者、與桂枝湯、如前法。若形似瘧、1日再発者、汗出必解、宜桂枝二麻黄一湯。
《傷寒論》辨太陽病脉證并治上第五。
《傷寒論》辨発汗後病脉證并治第十七。
◎桂枝湯証多く、越婢湯証少なき者を治す《方極》
◎風湿、痛風、初起寒熱休作し、肢体疼重、或いは攣痛し、或いは走注腫起する者は、此方を以て汗を発し、後、加朮附湯を与える可し。応鐘散、蕤賓丸を兼用す。《類聚方広義》
◎汗が沢山出た後で脉洪大瘧の如き者。《龍野ー漢方処方集》
    

★適応症及び病名
[1]咽痛
[2]感冒(汗出て治らない者)         
[3]悪寒:
☆悪寒、発熱、頭痛久しく止まず、殊に悪寒甚だしく、脈浮大にして数、舌上乾燥し口渇有る等の証。《奥田謙蔵》
[4]咳嗽
[5]関節の疼痛
[6]顔面紅潮
[7]急性熱病:
[8]呼吸困難
[9]ジンマシン
[10]自汗
[11]身体疼痛:
☆筋肉或いは関節疼痛し、少しく浮腫を現し、脈やや大なる等の証。《奥田謙蔵》
[12]頭痛:
☆頭痛、発熱し、悪風、悪寒し、身疼腰痛し、脈浮にして、数、或いは舌少しく乾燥する等の証。《奥田謙蔵》
☆頭痛甚だしく、汗流れるが如く、唇口乾きて渇し、而も悪寒止まずして衣服を重ねんと欲する等の証。《奥田謙蔵》
[13]発汗後
☆発汗して治らず、すっきりしない。
[14]発熱
☆発熱を繰り返す者。
[15]発疹<少ない>
☆熱性病にして、4、5日を経、発斑する等の証。《奥田謙蔵》
[16]皮膚の掻痒感
[17]鼻汁<量多い>
[18]マラリア:
☆「マラリア」様疾患にして、寒熱発作劇しきも、尚その初期における等の証。《奥田謙蔵》
[19]老人性掻痒症



桂枝桃仁湯[1-1]《婦人大全良方》
「桂枝湯桃仁・地黄」
◎経道通ぜず、臍をめぐって痛む寒疝。
◎此方は虚候の経閉、乾血労の初起に用いる。《勿誤薬室方函口訣》
◎経後の腹痛、或いは去血過多は、血虚なり。「当帰建中湯」に宜し。
◎経前の腹痛痛は、血気凝滞なり。「桂枝桃仁湯」に宜し。
◎《雞峰普済方》に曰く、経候頓然として行らず、痛心腹に上攻し、死せんと欲す。或いは行らざるに因って積結漸々に塊を成し、臍腹下に覆杯の如く、久しくして内癥瘕と成って治すべからず。本方に宜し。《雑病翼方》
◎腸覃(腸外に出来た肉)を治す:「檳榔・枳実」《婦人秘科》


桂枝桃仁湯[1-2]《東醫寶鑑》
「桂皮・赤芍薬・生乾地黄(酒洗)各2銭、甘草(炙)1銭、桃仁30、姜3、棗2」水煎服。
◎寒気が血室に入り血が凝結し運行できない為、月経が不通、臍の周りが冷たい、疝痛、脈沈の者。


桂枝人参湯[1-1]《傷寒論》
「桂枝(別切)4両、甘草(炙)4両、白朮3両、人参3両、乾姜3両」
右五味、以水九升、先煮四味、取五升。内桂、更煮取三升、去滓。温服一升、日再夜一服。
◎太陽病、外證未除而数下之、遂協熱而利、利下不止、心下痞硬、表裏不解者、桂枝人参湯主之。
《傷寒論》辨太陽病脉證并治下第七。
《傷寒論》辨発汗吐下後病脉證并治第二十二。


桂枝人参湯[1-2]《傷寒論》《漢方治療の実際》
「桂枝4、甘草・朮・人参各3、乾姜2」
◎[協熱下痢]=体表には熱があり、胃腸には寒があって、下痢しているものを云う。だから、人参湯を用いるような患者で、悪寒・発熱があると、この方を用いる。《大塚敬節》


桂枝人参湯[1-3]《東醫寶鑑》
「桂枝・甘草各2銭、人参・白朮・乾姜各1銭」水煎服。
◎支結を治す。


桂枝人参湯[1-4]《傷寒論》
「人参湯桂枝」《大塚敬節》
    証(利下止まず)《薬徴》
「利下」=下痢《大塚敬節》
◎人参湯の証にして上衝急迫劇しき者を治す《吉益東洞》
◎桂枝人参湯は其の証詳かならざるに似る。然して其の外証未だ除かずと云うを観るに、表裏未だ解せずと云うは則ち其の頭痛、発熱、悪風、身疼痛等の証あるを知るべし。是れ人参湯中に桂枝四両を用うる所以なり。学者諸を思え。《重校薬徴》
◎病人、利止まず、心下痞硬し、心腹時に痛み、頭に汗出で、心下悸し、平臥すること能わず、小便少なく、或いは手足冷える者は、桂枝人参湯之を主る。《医聖方格》
◎此方は恊熱利を治す。《勿誤薬室方函口訣》
◎下利を治するは理中丸に拠るに似たれども、心下痞ありて表症を帯ぶる故、《金匱要略》の人参湯に桂枝を加える。方名苟もせず。《勿誤薬室方函口訣》
◎目標:
「頭痛、悪風などの発熱症と下痢、又は腹に冷えがある者」《龍野ー漢方処方集》
「表熱裏寒証、頭痛、頭汗、発熱悪風、下痢、心下痞、四肢倦怠、心腹疼痛」《螺王人》
    


桂枝人参湯[1-5]《傷寒論》
    

★適応症及び病名 (50音順)    
[1]足が冷える
[2]胃腸炎<急性・慢性>:
☆腸胃「カタール」等にして、或は吐し、或いは下し、悪寒なくして脈数弱なる証。《奥田謙蔵》 
☆吐瀉を発し、心下痞硬し、腹痛し、小便不利、渇して熱飲を好み、且つ発熱、悪寒し、四肢惰痛を訴える等の証。《奥田謙蔵》
[3]悪寒
[4]悪風
[5]花粉症
[]感覚異常:
☆手足に麻痺感或いは知覚異常あり、心下痞硬し、脈浮数にして舌苔なき等の証。《奥田謙蔵》
[6]感冒(胃腸型)
☆頭痛、発熱し、汗出でて悪風し、肢体倦怠し、心下支し、水瀉傾くるが如き者は、夏秋の間に多く之れ有り。此方に宜し。《類聚方広義》
[7]急性膵臓炎
[8]急性大腸炎 
☆腹痛便血なく、悪寒烈しく脈緊の者。《勿誤薬室方函口訣》
☆急性大腸炎の発病当初に用いる機会がある。発病が水様性の下痢で始まり、腹痛、裏急後重が軽く、悪寒が強く、脈がしまっている者に、桂枝人参湯を用いる。もし悪寒・発熱があって、下痢していても、裏急後重が強ければ葛根湯を用いなければならない。《大塚敬節》
☆傷寒論では協熱下痢に、本方を用いている。桂枝人参湯が理中湯に桂皮を加えたものであるから、理中湯を用いるような下痢で、表熱を帯びた者を目標とする。急性腸炎の初期で、下痢もあり、熱もあるものに用いるので、葛根湯証との鑑別が必要である。葛根湯証では、脈が浮数で力があり、裏急後重を伴うけれども、桂枝人参湯では脈弱でやや緊を帯びることがあるが、下痢に、裏急後重を伴うことはない。(漢方診療医典)
[9]協熱利
[10]下痢
☆(水様性下痢・泥状便・腹痛・嘔吐・臭いなく・色うすい)
☆虚痞下利を治するの聖薬なり《傷寒論識》
☆発汗し、或いは下し、頭痛、発熱し、心下痞硬して痛み、下痢頻々、腹中雷鳴し、その脈浮にして弱なる証。《奥田謙蔵》
☆発汗を行いて後脱汗止まず、少しく悪寒し、下痢頻々、或いは嘔吐を発して胸満を覚え、脈数なる証。《奥田謙蔵》
☆少しく熱候ありて下痢頻発し、心下軟くして痛み、或いは気ありて職を欲せず、脈数にして弱なる証。《奥田謙蔵》
☆夏月冷物を食して水瀉腹痛し、或いは冬月寒冷に遭いて下痢を発し、悪寒、発熱し、脈浮弱なる証。《奥田謙蔵》
☆下痢の初期に発汗法を行いて治せず、表証は尚在り、心下痞硬する等の証。《奥田謙蔵》
☆平日下痢し易き習慣在り、少しく食物多きに過ぐれば直ちに下痢し、発熱、悪寒する等の証。《奥田謙蔵》
☆治痢攻徴篇には“痢疾のはじめ頭痛と悪寒があり、脈が沈遅の者或いは悪風があって、脈が浮弱で数十行も下痢する者には桂枝人参湯がよい。逆挽湯もまたよい。先ず此方を与えて、表証(悪寒・発熱)を治するとともに裏(胃腸)を温めてやるがよい”とあり、逆挽湯は桂枝人参湯茯苓・枳実である。《大塚敬節》
☆傷寒論では協熱下痢に、本方を用いている。桂枝人参湯が理中湯に桂皮を加えたものであるから、理中湯を用いるような下痢で、表熱を帯びた者を目標とする。急性腸炎の初期で、下痢もあり、熱もあるものに用いるので、葛根湯証との鑑別が必要である。葛根湯証では、脈が浮数で力があり、裏急後重を伴うけれども、桂枝人参湯では脈弱でやや緊を帯びることがあるが、下痢に、裏急後重を伴うことはない。(漢方診療医典)
[11]さむがり
☆手足の冷えが強い時は:「人参」
☆腹痛が強いときは:「肉桂」《中医処方解説》
[12]四肢倦怠
[13]常習性の頭痛
[14]小便自利
[15]食欲不振
[16]神経性心悸亢進症
[17]心下痞硬
[18]心下動悸
[19]心腹疼痛
[20]頭汗
[21]頭痛 <常習性>(慢性)
☆内臓の寒証の人が頭痛を訴えるとき《中医処方解説》
[22]軟便
[]乳幼児下痢症
☆水溶性の下痢で始まり、腹痛、裏急後重が軽く、悪寒が強く脈がしまっている者に用いる。胃腸が弱く、食欲があまりなく血色もすぐれない者に平素これを飲ませておおくと体質が丈夫になる(漢方診療医典)
[23]尿量多い
[24]発熱
☆人参湯証で発熱ある者。《螺王人》
☆平素から人参湯を服用している者が突然発症《中医処方解説》
[25]表熱裏寒証
[26]疲労倦怠
[27]頻尿
[28]慢性胃腸炎
[29]脈<浮弱数>
[30]流感
[31]レイノー病



桂枝茯苓丸[1-1]《金匱要略》
「桂枝・茯苓・牡丹(去心)・桃仁(去皮尖熬)・芍薬各等分」
右五味、末之、煉蜜和丸如兎屎大、毎日食前服一丸、不知、加至三丸。
◎婦人宿有癥瘕病、經断未及三月、而得漏下不止、胎動在臍上者、為癥痼害。妊娠六月動者、前三月經水利時、胎也。下血者、後断三月衃也。所以血不止者、其癥不去故也、當下其癥、桂枝茯苓丸主之。
《金匱要略》婦人妊娠病脉證并治第二十。

○拘攣し、上衝し、心下悸し、経水に変あり或いは胎動く者を治す
按ずるに「経水」の上に、まさに「及」の字あるべし。然らずんば、男子の病を治するの方に非ざるに似る。(方極刪定)
刪=サン、けずる

桂枝茯苓丸[1-2]《金匱要略》《漢方治療の実際》
「桂枝・茯苓・牡丹皮・桃仁・芍薬各等分」作末し、煉蜜で丸とし、1日3回、1回3服用。

桂枝茯苓丸証=胎動。
[胎動]=胎児が母の腹中で動く。
“桂枝茯苓丸証に曰く、胎動臍上に在りと、為則按ずるに、蓋し謂ふところの奔豚なり。しかして憶測すべからず。旁例を以て之れを推すに、上衝。心下悸・経水変あり、或は胎動の者、此の丸の主るところなり。”《薬徴》
○拘攣し、上衝し、心下悸し、経水に変あり或いは胎動く者を治す《方極》
○按ずるに、「経水」の上に、まさに、「及」の字あるべし。然らずんば、男子の病を治するの方にあらざるに似る《方極刪定》
◎経水変有り、或いは胎動、拘攣、上衝し、心下悸する者を治す。《吉益東洞》
◎此方は瘀血より来る癥瘕を去るが主意にて、凡て瘀血より生じる諸症に活用すべし《勿誤薬室方函口訣》
◎鑑別:
「桃核承気湯」・・・・・如凶、少腹急結とあり、
「桂枝茯苓丸」・・・・その不去故也を目的とす
「温経湯」・・・・・・・・上熱下寒の候あり。

◎実証で顔面口唇などが欝血性で、肩こり・頭痛・めまいなどののぼせ症状があり、下腹痛、月経不順、子宮出血などある者。《龍野ー漢方処方集》
◎《湯本求真》慢性病はすべて、瘀血が原因であるとして、桃仁・牡丹皮の入った処方と柴胡剤を合方した。
“瘀血の証あれば柴胡の証あり、柴胡の証あれば瘀血の証あり”

◎目標:《大塚敬節》
<1>腹診上、瘀血の腹証がある。(参照→桃核承気湯・大黄牡丹皮湯)
<2>便秘の徴候無く、下腹部に圧痛のある部位を認める。しかし、まれにはこれらの腹証のはっきりしない場合もある。

【腹証】
《腹診配剤録》
“臍下に塊有りて悸し、若くは痛む”
《大塚敬節》
“下腹部に充実した感触の抵抗を触れる部があり、この部を按圧すると疼痛を訴える。この抵抗は左下腹に触れることもあり、右下腹に触れることもあって、場処は一定していない”
    



桂枝茯苓丸[1-3]《金匱要略》
    

★適応症及び病名 (五十音順)
[1]アレルギー性鼻炎
[2]アレルギー性皮膚炎:
☆30歳の女性。パーマネントをかけ薬品にかぶれて頭部全体から頸部にかけて皮膚炎を生じ、結痂性膿疱を多発し、夜間の瘙痒と熱感激しく不眠を訴える。
腹診上、著明な瘀血所見と、三陰交の圧痛著明且つ頭部のフケが多いのを目標にして桂枝茯苓丸に薏苡仁を1日20g加えて投薬した。
腹部瘀血所見の改善に平行して頭部の皮膚炎次第に軽快し、瘙痒感もとれ、フケも減少す。《坂本正夫》
[3]あかぎれ
[4]朝のこわばり
[5]足が冷たい(足が冷える)
[6]足がほてる
[7]イライラ
[8]イボ
[9]鬱血斑
[10]鬱病(ウツ病)
[11]打ち身(打撲):
☆桃核承気湯より症状が緩慢な者を目標とする《大塚敬節》
☆打撲の後遺症に:「甘草・生姜」=甲字湯《原南陽》
☆打撲の疼痛:「大黄附子」《浅田宗伯》
[12]瘀血:
☆《劉紹》曰く、此方、世人は単に破血の剤と為す。此れおそらくは然らず、蓋し、癥瘕の生ずるは陰気渋滞に原づく。故に方中、桂枝茯苓を以て主と為す。又掲ぐるに方名を以てす。見る可し、その扶陽和栄よりして破血逐瘀に及ぶ者なるを。《雑病論識》
☆瘀血による疼痛を治する効があり、上肢または下肢の打撲後の疼痛に用いられる《大塚敬節》
[13]悪露残留:
☆産後悪露尽きず、或いは経後、瘀血痛を作し、漸く内癰と成らんとするを治す。《本朝経験》
☆産後、悪露尽きざれば則ち諸患錯出し、その窮、ふ可らざるに至らん。故にその治は瘀血を逐ふを以て至要とす、《類聚方広義》
[14]カルブンケル(癰)
[15]下肢の疾患:
☆25歳の婦人。お産の後で左下肢が大きくなった。それに左の足は重くて、長く座っていられない。もう半年以上になるが、少しも良くならないという。桂枝茯苓丸料を与えた。腫脹がすっかりとれるまでに半年あまりかかったが、それと同時に、顔のニキビもきれいによくなった。《大塚敬節》
☆下肢が冷える。
☆福井侯の臣、杉山源十郎の妻、年30は、左の足が瘤のように腫れ、軟らかくて赤色を帯び、時々痛んで歩くことが出来ない。医は皆、風湿あるいは傷冷毒としてこれを治したが効かない。余はこれを診して、瘀血によるものであるから、血を温めて、血行を良くしなければならないと云って、桂枝茯苓丸料に附子を加えて与え、当帰湯加荷葉礬石で痛むところを温湿布した。すると月経がどっさり下って、腫痛が自然に忘れるように良くなった。《橘窓書影》
[16]下腹部の腫瘤
[17]下腹部の抵抗と圧痛
[18]角皮症
[19]角膜炎
[20]鵞掌風
[21]肩こり(肩痛)
①顔面・口唇が鬱血している。
②のぼせ。
③月経不順。
[22]眼瞼炎
[23]眼精疲労
☆眼痛、充血。赤ら顔、冷えのぼせがあり、臍傍の圧痛(瘀血)があるもの(漢方診療医典)
[24]眼底出血
[25]感情不安定
[26]肝斑
[27]顔面紅潮
[28]ギックリ腰
[29]気の上衝
[30]強皮症
☆瘀血によるもので、下腹部の抵抗圧痛を訴え、体力のある者に本方がよい。薏苡仁10.0gを加えるとよい(漢方診療医典)
[31]筋炎
[32]頸管カタル
[33]経閉
[34]下焦の血瘀
[35]月経異常:
☆月経久しく止まず、下腹部に拘攣疼痛等有る証。《奥田謙蔵》
☆経水不調、時時頭痛し、腹中拘攣し、或いは手足𤸷痺する者、或いは経期に至る毎に頭重、眩暈し、腹中・腰脚痛する者を治す《類聚方広義》
☆稀発月経
☆過少月経
[36]月経困難症:
☆月経の始まる前、または初日に疼痛が来る月経困難症に用いる。当帰建中湯では月経の全期間を通じて痛み、或いは月経が終わる頃になっても痛む傾向がある。桂枝茯苓丸を用いる患者は、当帰建中湯や当帰芍薬散などを用いる患者よりも、腹力があり、弾力に富んだ腹をしている。《大塚敬節》
☆丸とせず煎剤として用いる《大塚敬節》

【EBM】月経困難症に対する桂枝茯苓丸の効果
桂枝茯苓丸の月経時短期投与法により、著効は16例(53%)、有効は8例(27%)、無効は6例(20%)であった。
(付記)
鎮痛剤の使用は、著効群で7.3個から1.4個、有効群で8個から4.5個に減少した。
[37]月経痛:
☆生理中ずっと腹痛・腰痛。
[38]月経不順
☆婦人、血行障害ありて月経順調ならず、或いは下腹部が痛み、或いは腰痛し、或いは足膝部疼痛する等の証。《奥田謙蔵》
☆「紅花・甘草(大黄)」を用いることあり《済世薬室》
☆19歳の未婚の女性。3年前より黄色を帯びた帯下があり、最近は下腹部に疼痛を訴えるようになった。その上、月経が不順になり、3ヶ月も4ヶ月も月経をみないことがある。婦人科では子宮発育不全と診断したという。
その他、肩凝り、頭痛があり、腰や足が冷える。大便は硬い。
腹診すると、左下腹部で腸骨の付近に、抵抗と圧痛を証明する。私はこれに桂枝茯苓丸を与えたが、これを7日飲むと、月経が始まり、腹痛も軽快し、頭痛、肩凝りもよくなった。しかし帯下には変化がない。しかし気分が良いので、あと1週間の服薬で休薬してしまった。すると、翌月は月経があったが、翌々月からまた月経が止まった。そこでまた前方を与えた。今度は2週間ほど呑むと、月経が始まった。引き続き7ヶ月呑んだ。すると毎月、月経があるようになり、帯下もほとんど下りなくなった。《大塚敬節》
[39]血液の循環障害
[40]血栓性静脈炎:
☆本方で血栓性静脈炎を治した例が数例あり、発病後1カ年以内のものによい。多くは、瘀血の腹証がみとめられることで、本方を用いる。
発病2ヵ月の婦人では、20日間の服用で全治したが。発病半年あまりの婦人では、全治までに、半年以上かかった(漢方診療医典)
[41]血尿
[42]血分腫:(=月経なく水気を発する。瘀血からきた水腫)
☆《浅田宗伯》は“桂枝茯苓丸に車前子と茅根を加えて、血分種および産後の水気を治す”
☆産褥下肢血栓症にこの方を用いて著効を得た。1人の患者は27歳の女で、2ヶ月目に流産し、その後、掻爬術を受けたという。ところが数日を経て、左下肢に浮腫を生じ、漸次増大し、平素の2倍ほどになり、緊満感が甚だしく、起座が困難の状態になった。産婦人科医は産褥下肢血栓症と診断して、手当をしてくれたが、何の効もないという。    大小便および食欲に異常はない。私は瘀血によるものと診断して桂枝茯苓丸を与えたが、数日の服薬で腫脹がどんどん消散、20日で全治した。《大塚敬節》
☆20歳女性。平素から軽い心臓弁膜症があったが、ほとんど自覚症状はなかった。ところが1ヶ月ほど前から、急に全身に浮腫が現れ、呼吸が苦しくなったという。医者は心臓が悪いからだという診断で、ジギタリス剤を用いているらしかった。ところが、これを飲んでも効がないばかりか、食欲が無くなったという。脈をみると、沈濇で、臍上で動悸が亢進し、下腹部が膨隆して抵抗がある。月経が6ヶ月も止まっているという。そこで、瘀血による血分種と診断して、桂枝茯苓丸料を与えたところ、2ヶ月ほど服用した。その後、この患者は結婚し、3年ほどになるが、妊娠しないということで来院した。しかし浮腫はその後現れないということだった。
[43]血瀝痛:
☆=(血瘀によって起こる痛み)
☆大黄・附子。《済世薬室》
[44]結節性紅斑:
☆20歳の未婚の女性。平素は頑健で著患を知らず。2週間前より四肢と腰に疼痛を覚え、微熱が出た。医師は結節性紅斑と診断したという。
下腿には数個の指頭大の隆起した紅斑があり、圧痛がある。食欲は少なく、大便は3日に1行。月経は遅れがち。
腹診上、やや左によった下腹部に圧痛がある。
以上の所見から、私は桂枝茯苓丸大黄を与えたが、2週間で結節は消失した。《大塚敬節》
[45]結膜炎
[46]眩暈
[47]肩背強急
[48]睾丸炎(急性)
[49]高脂血症
☆腹診で血の証が認められる女性に用いる。のぼせ、高血圧などを伴っていることが多い。(漢方診療医典)
[50]高血圧症:
☆48歳の女性。
「1年前から月経不順となり、更年期障害と言われ、ホルモン注射を受けた。気分がイライラし、外出すると顔がモヤモヤし、フラフラめまいがして歩けないという。天気の悪いときは症状がひどい。頭痛・動悸・腰痛・左下腹の引きつるような痛み・のぼせ・首筋のこり・足のほてりとむくみなどがあって、生きた心地がしない。
体格・栄養はともによい。顔は赤い方で、脈は沈んでかたい。腹は充実して左のヘソの当たりから下にかけて、押すと抵抗感と圧痛がある。数年前から血圧が(210-110)ぐらいだという。初診時は(170-110)であった。
桂枝茯苓丸を与えると、10日分で前記の諸症状が警戒し、血圧も(140-95)に下がり、腹部の状態も良くなり、数ヶ月間服用したところ全治した。」《矢数道明》
[51]口乾
[52]口唇鬱血性
[53]虹彩炎
☆《小倉重成》が瘀血による虹彩炎12例の治験を発表。その大部分が桃核承気湯、大黄牡丹皮湯、当帰芍薬散、大柴胡湯等を2~3方ずつ合方したもので奏功している《大塚敬節》
[54]甲状腺腫
☆甲状腺腫の患者で腹診で瘀血の腹証を認めたときには薏苡仁(漢方診療医典)
[55]更年期障害
【EBM】更年期障害に対する桂枝茯苓丸の効果
[56]紅斑
[57]黒色便
[58]黒斑
[59]肛門周囲炎
[60]五十肩
[61]骨粗鬆症
☆体格中等度以上で、瘀血の所見があり、のぼせがある者に(漢方診療医典)
[62]骨折
[63]骨盤内炎症(鬱血症候群)
[64]骨盤腹膜炎
[65]座骨神経痛:
☆座骨神経痛:「附子」《大塚敬節》
☆48歳の女性。約1年ほど前から月経が閉止している。その頃から左の腰から足にかけて痛む。医師は坐骨神経痛と診断して、注射をしてくれたが、よくならない。便秘がちである。腹診すると、左下腹の筋肉が緊張し、左腸骨付近に圧痛を証明する。よって桂枝茯苓丸料大黄1.0を与えたところ、10日分の服用でいちじるしく軽快し、20日分も飲み終わらないうちに全治した。《大塚敬節》
[66]サルコイドーシス
☆瘀血があり、ブドウ膜炎などの眼症状があるものに用いる(漢方診療医典)
[67]産後の眼疾患
“産後、眼疾患を患うものに、出血がひどくて、視力の弱ったものがあり、悪露が残って、瘀血が攻めのぼって種々の険悪な症を呈するものがある。之には桃核承気湯、下瘀血湯、桂枝茯苓丸、芎帰膠艾湯、八味地黄丸の類を選用するのがよい”《眼科一家言》
[68]子宮筋腫
[69]しもやけ
[70]手掌角皮症:
☆「+薏苡仁」《大塚敬節》
☆33歳の女性。10年前に結婚したが未だに子がない。約5年前から月経が長引き、或いは1ヶ月に2回もあって、とかく全身の違和感を覚えて、いろいろ治療を試みたが無効であった。訴えを聞くと、常に下腹部が張り、黄色の帯下が多く、腰が冷え、いつも腰へ風が吹き込んでいるようだと云う。上衝や肩こりがあり、月経の時に風邪を引くことが多く、また下痢する。同時に、数年前から両手指掌が荒れて冬になると亀裂を生じ耐え難い疼痛があり、口唇も乾燥して荒れるという。
見たところでは血色は大変良く、上衝して赤すぎるぐらいの顔色である。体格はしっかりして均整のとれた肢体である。脈は沈遅で力があり。腹は全面拘急し、両腹直筋は特に拘攣して、臍の左方及び右腸骨に圧痛を証明する。
以上から考えると、桂枝茯苓丸の正面の証とみて差し支えないであろう。私は料とし、手指の荒れるのを皮膚甲錯とみて苡仁を加えて 投薬した。当時2度目の出血が8日間続いて止みそうに無いとのことであったが、本方を1貼服用したら翌朝ピタリと止血してしまった。しかし本方を服用してから翌月は正しく1ヶ月目に来潮して5日間でキチンと済んだ。
それと同時に、両手掌の角化症が8分通り治ってしまった。《矢数道明》
[71]心筋梗塞
☆弁膜症の患者で、瘀血の徴候のあるものに用いる。
19歳お未婚の婦人で、兼ねて弁膜症があったが、たいした愁訴もなく、医療を受けていなかったところ、それまで順調であった月経が2ヵ月ほど閉止し、そのためが全身に浮腫が現れ、動悸、めまいを訴えるようになったという。腹診してみると、下腹に抵抗と圧痛があり、瘀血に腹証を認めたので、桂枝茯苓丸車前子茅根を与えたところ、1ヵ月もたたないうちに月経が通じ、諸症状が消失した。車前子・茅根各3.0を加えたのは、尿利を良くして、浮腫を去るためであった。浅田宗伯に勿誤薬室方函口訣に桂枝茯苓丸の項に“車前子、茅根を加えて血分種(月経が停止して浮腫を来した状態)及び産後の水気を治する”とある(漢方診療医典)
[72]ジンマシン:
☆27歳男子。体格中等、栄養も普通。1年以上前からジンマシンで苦しんでいる。発斑はやや赤く、大きいが、全身に散在して出る程度で、痒くて眠れないほどではない。口渇もなく、便秘もしていない。
そこで十味敗毒湯を与えた。2週間服用したが、何の反応もない。そこで葛根湯石膏としてみた。これも1週間の服用で効がない。ところが、この頃、ジンマシンは夜が特にひどく、昼間は軽いというので、瘀血の証を疑って、ていねいに腹診してみると、右下腹に抵抗と圧痛を認める。瘀血の腹証である。そこで桂枝茯苓丸を与えた。これを飲むとその夜から著効があり、7日の間、1日だけ痒く、他はカユミを忘れていたという。《大塚敬節》
[73]痔核:
☆男子の痔疾患等《奥田謙蔵》
[74]痔出血
[75]四十肩(腕)
[76]湿疹:
[77]子宮筋腫
☆「鼈甲・甘草」《済世薬室》
☆「茅根・車前子(大黄)」《済世薬室》
【Evidence】
①1件の多施設症例集積研究において、内診および超音波、CTによる検討がなされ、62%の症例で筋腫子宮の大きさが縮小した。
②2件の症例集積研究で内診および超音波で筋腫子宮の大きさの変化を検討し、有意の縮小効果は得られなかったが、月経困難症と貧血に改善を認めた。
③1件の比較臨床試験において、桂枝茯苓丸群は無治療群に比べ3ヶ月後から推定子宮重量が有意に減少した。6ヶ月後の時点で桂枝茯苓丸群は半数の症例が15%以上推定子宮重量が減少したのに対し、無治療群で15%以上推定子宮重量が減少したのは5.2%であった。
[78]子宮後屈
[79]子宮出血:
☆子宮出血にして、或いは凝血、粘液を交え、腹拘攣し、身熱、頭痛する等の証。《奥田謙蔵》
☆妊娠中に子宮より出血するときは、止血の目的で芎帰膠艾湯を用いる。これで出血が止んで流産が防止できる出来ることがある。しかし早産や流産の後、胎盤が残留していて、出血の止まない時、又は、胎児が死亡しているような場合には、桂枝茯苓丸や桃核承気湯を用いるのが良い。これで奇妙に胎盤や死胎が排出せられる《大塚敬節》
[80]子宮退縮不全
[81]子宮内膜症
[82]子宮付属器炎
[83]死胎:
☆毒物を食し、或いは誤って毒薬を服し、胎気を傷動し、下血止まず、胎いまだ損ぜざれば此れを服して安かる可し。已に死せば之を服して下るべし。《雑病翼方》
☆婦人小産、下血至多、子腹中に死し、その人憎寒、手指口唇爪甲青白、面色黄黒、或いは胎は上心を搶けば悶絶死せんと欲し、冷汗自ら出で、喘満食せざるを治す。《雑病翼方》
☆妊婦、顛仆して子腹中に死し、下血止まず、少腹攣痛する者に之を用いれば胎即ち下る。《類聚方広義》
[84]紫斑(紫斑病)
[85]習慣性流産
[86]出血<出血傾向>
☆吐血、或いは逆経にして、下腹部拘攣する等の証。《奥田謙蔵》
☆血淋、腸風、下血し撰び用いれば皆効有り。《類聚方広義》
☆瘀血による出血に用いる。《大塚敬節》
☆一女子20歳許り、1日大いに衂血出て止まらず、一旦軽快し、また発して止まざる者、桂枝茯苓丸を服し頓に癒えたる者あり、此人平常より経水順調ならずと謂い、又、顔面血色良きより本方を服せしめたり、これは所謂瘀血が上衝して鼻血として出たものの如し、併し此婦人経水閉止とまではいかざりしなり《古方薬嚢》
[87]出血性メトロパシー
[88]手術後の不定愁訴
[89]出産:
☆妊娠臨盆に之を用いれば催生に尤も効有り《類聚方広義》
☆産後、眼疾を患う者に、出血がひどくて、視力の弱ったものがあり、悪露が残って、瘀血が攻め上って種々の険悪な症を呈するものがある。これには桃核承気湯、下瘀血湯、桂枝茯苓丸、芎帰膠艾湯、八味丸の類を選用するが良い《眼科一家言》
☆産後已に数十日を過ぎて它異症無く、但だ時時臍を遶りて刺痛し、或いは痛腰腿に延く者、経閉、上衝、頭痛し、眼中に翳を生じ、赤脈縦横、疼痛、羞明し、腹中拘攣する者を治す《類聚方広義》
[90]耳鳴
[91]腫瘍
[92]静脈怒張
[93]静脈瘤
[94]自律神経失調症
[95]腎炎
[96]心悸亢進
[97]心臓病
[98]神経質
[99]神経衰弱
[100]神経痛:
☆血分に属し動かし難きは:「桂枝茯苓丸附子」しばしば験あり。《橘窓書影》
☆打撲の後遺症として、手足の神経質要の疼痛に用いる《大塚敬節》
[101]進行性手掌角皮症
[102]尋常性痤瘡
[103]ジンマシン
[104]水腫(体内に必要以上の水分が停留して、浮腫(むくみ)を起こす病証。)
“産後に悪露の出が悪くて、そのために起こった水腫には、たいていは桂枝茯苓丸で瘀血を下せば、水腫も自然に消失する”《有持桂里》
[105]頭重
[106]頭痛
[107]舌質:<紫><斑>
[108]全身性エリテマトーデス
SLEに用いてよいことが多い。腹証その他によって瘀血証を確かめて用いるものである。ステロイド剤長期投与により瘀血が生じやすい。(漢方診療医典)
[109]喘息
[110]前立腺炎
[111]前立腺肥大
[112]そばかす
[113]帯下:
☆赤白帯下を治す:「鶏冠花・紅花・蒲黄(炒)」《本朝経験》
[114]大動脈瘤
☆腹部の大動脈瘤に用いることがある。腹診して、悪血の腹証を認めるものを目標とする。症状によって、大黄を加える(漢方診療医典)
[115]胎盤残留
[116]打撲症:
☆血瀝痛(悪血による疼痛)及び打撲疼痛に:「大黄・附子」《済世薬室》
☆打撲の軽症を治す:「川芎・当帰」《本朝経験》
☆打撲に原因する諸種の疾患に用いる《大塚敬節》
☆打撲による皮下出血が広範囲に及び、紫斑となり、下肢血栓症のように腫れたものなどに用いる。またむち打ち症の軽いものにも広く用いられる。むち打ち症には葛根湯桂枝茯苓丸料としても用いられる(漢方診療医典)
[117]脱肛
[118]血の道症:
☆ヘソ横~下腹部に抵抗と圧痛を認め、頭痛、腹痛、肩こりする者。
[119]蓄膿症
[120]中心性漿液性網脈絡膜症
☆婦人などで月経異常を伴い、腹部に血を認め、経過の長引くものによい。小柴胡湯や大柴胡湯と合方してもよい。
30歳のバーのマダムで、シッカリした体格である、1年前から視力障害を訴え、眼科では白内障と中心性網膜炎といわれた。有名な眼科専門医を歴訪したが、どこでも失明不治を宣告されてしまった。頭痛、肩こりがひどく、月経時に特にひどい。人工流産を数回繰り返したことがある、下腹部臍傍に瘀血症状が顕著である。桂枝茯苓丸を10日分服用すると、肩こりや頭痛、首筋のこりがウソのようにとれ、20日後には少し視力が回復し、1ヵ月後にはピンポンができるようになった。2ヶ月後には新聞が読めるようになり、4ヶ月後には左右とも視力0.9まで回復し、主治医はまさしく漢方による奇跡的治癒と言った(漢方診療医典)
[121]虫垂炎:
☆亜急性~慢性。中ぐらいの体力があり、ときどき右下腹部が痛み、下腹部が張り気味で、少し強く押すと圧痛がある者。
☆軽症虫様突起炎等には、証に由り大黄を加う。《奥田謙蔵》
☆《原南陽》は、「甘草・大黄」で腸癰を治す。
☆腸癰:「甘草・薏苡仁・大黄」《雑病翼方》
☆亜急性のもので、慢性の者にも用いる機会がある。一般状態は軽く、熱も無く、腹痛は軽く、右下腹部に鈍痛と圧痛があるものに用いる。これに薏苡仁10.0を加えてもよい。(漢方診療医典)
[122]手のあれ:
☆手掌・手甲の荒れる者に:「薏苡仁」《大塚敬節》
[123]テンカン
[124]凍傷
[125]動脈硬化症
[126]にきび:
☆27歳女性。色の浅黒い体格が良い。便秘の癖があり、いつも下剤を飲んでいるという。面疱は、顔一面に出ていて、月経前にはひどくなる。大きいやつは赤小豆大となり、先端に膿を持つことがある。月経の初日に腰痛がある。脂っこい物と香辛料を好む。腹診してみると、左右の腹直筋は攣急し左腸骨窩に抵抗と圧痛がある。
そこで桂枝茯苓丸料に大黄を加えて与えた。翌月の月経時には、腰痛はほとんど無く、面疱も増悪せず、段々減少する。3ヶ月後には、ほとんど全治の状態となったが、流感にかかり20日ほど服薬を休んだところ、又少し逆転したが、その後、3ヶ月間服薬を続け、面疱も月経困難症もともに全治した。《大塚敬節》
☆色白で、月経が遅れ気味で、帯下があり、腰痛のない面疱の女性に、桂枝茯苓丸大黄を与えたが効無く、清上防風湯大黄を4ヶ月服用して全治した。《大塚敬節》
[127]乳腺腫瘍
[128]乳腺症
[129]尿路結石:
☆左側の尿管に結石があって、時々激しい腹痛を起こす患者を診察し、左側腸骨の内側に抵抗と圧痛のあるのを目標に、この方を用いたところ、2週間で、赤小豆大の血塊が排泄されて、それきり全治した。《大塚敬節》
[130]ネフローゼ
[131]熱性病:
☆熱性病の後、余熱退かず、苦煩、咳嗽し、渇して心下痞硬し、或いは嘔し或いは吃逆を発する等の証。《奥田謙蔵》
[132]ノイローゼ
[133]脳梗塞
【EBM】無症候性脳梗塞に対する桂枝茯苓丸の効果
(EVIDENCE)
1件の多施設症例集積研究において、12週間投与は無症候性脳梗塞(142例)に対して、投与前に比べてHDS-R、apathyスケール、SDSを有意に改善し、有用度がやや有用以上は60%であった。
[134]のぼせ
[135]バージャー病(閉塞性血栓性血管炎)
☆下肢の冷感と疼痛を主訴とし、間欠性跛行をきたす。大塚敬節氏は、下肢切断を奨められいた青年に、タバコを禁じ、野菜を主食にして桂枝茯苓丸を与えて全治せしめたことがある
[136]肺結核
[137]麦粒腫
[138]鼻血
☆月経障害による代償性衂血に最もしばしば本方が用いられる。実証で瘀血が多く、症状が激しく便秘しているものには桃核承気湯がよい(漢方診療医典)
[139]皮下膿瘍
[140]皮膚炎
[141]肥厚性鼻炎
[142]ヒステリー
[143]腓腹筋の疼痛
[144]疲労倦怠感
[145]ひび
[146]冷える(冷え性)
[147]鼻炎。鼻カタル
[148]皮下膿瘍
[149]フルンケル()
[150]ブドウ膜炎
[151]副睾丸炎
[152]副鼻腔炎
[153]腹直筋攣急:<左の>
[154]腹痛:
☆産後悪露尽きず、腹痛、大便燥なる者:「大黄」《本朝経験》
☆蓄血に因り腹大脹満する者は血蠱となる。その証、発作時有り、或いは夜に至って腫れ、旦(あした)に至れば則ち減ずるの類なり。《先哲医話》
☆月経困難症、卵管炎、卵巣炎などの子宮付属器炎からくる腹痛、虫垂炎、尿管結石などからくる腹痛に用いられる。《大塚敬節》
[154]腹膜炎(慢性)
[155]浮腫:
☆産後に悪露の出が悪くて、そのために怒った水腫には大抵は桂枝茯苓丸で、瘀血を下せば、水腫も自然に消失する《有持桂里》
☆産後の水気を治す:「車前子・茅根」。《済世薬室》
☆他の1人は25歳の婦人、お産のあとで左下肢が大きくなった。それに左の足は重くて、長く坐っておれない。もう半年以上になるが、すこしも良くならないという。これにも桂枝茯苓丸料を与えた。この患者の場合は腫脹がすっかり取れるまでに半年あまりもかかったが、それと同時に、顔のニキビもきれいに良くなった。《大塚敬節》
☆20歳の処女。平素から軽い心臓弁膜症があったが、ほとんど自覚症状はなかった。ところが1ヶ月ほど前から、急に全身に浮腫が現れ、呼吸が苦しくなったという。私はこの患者の父親を往診し、ついでにこの患者を診察した。医者は心臓が悪いからだという診断で、ジギタリス剤を用いているらしかった。ところが、これを飲んでも効かないばかりか、食欲が無くなったという。脈をみると、沈濇で、 臍上で動悸が亢進し、下腹部が膨隆して抵抗がある。月経が6ヶ月も止まっているという。そこで、瘀血による血分腫と診断して、桂枝茯苓丸料を与えたところ、服薬5日目に月経があり、2週間で、浮腫の大半がとれ、2ヶ月ほど服薬した。《大塚敬節》
[156]婦人肥満症
[157]不正性器出血
[158]不妊症:
☆28歳、結婚して5年になるが、妊娠しないと云う。色は浅黒く、筋肉の発育もよく、頑丈な体質である。月経はほぼ順調であるが、月経の初日に腰痛がある。
婦人科で診察を受けたところ、子宮の発育が良くないと云われた。 私はこれに桂枝茯苓丸を与えたが、2ヶ月目から月経時の腰痛がなくなり、8ヶ月目に妊娠し、男子を無事分娩した。《大塚敬節》
☆当帰芍薬散:虚弱で疲れやすく、色が白く、筋肉の締まりが悪い。
桂枝茯苓丸:筋肉がしまり、血色もよい。
☆山梨県から不妊症の患者が引き続いて3人来て3人とも成功した。これらの人々は結婚後4年から8年間、1度も妊娠しないというもので、皆がガッチリした太った体格で、一見女丈夫である。顔色も良く、下腹部、臍傍に抵抗と圧痛があり、かって内膜炎や卵管炎などの既往症があって、瘀血充満と認められる者ばかりであった。3人とも桂枝茯苓丸料を1、2ヶ月間服用しているうちに、妊娠した。 《矢数道明》
[159]不眠症
[160]偏頭痛
[161]便秘
[162]慢性肝炎
[163]脈 :<沈緊遅>
[164]耳鳴り
[165]無月経:
☆肥満した29歳の女性。月経が5ヶ月止まっている。ホルモン注射を2ヶ月も続けているが、効が無いという。
自覚症状としては、肩凝りと頭重があるだけで、ほかに訴えはない。腹を診ると右下腹部に抵抗と圧痛があり、腹部は全般に緊張に乏しい。
私はこれに桂枝茯苓丸料を与えたが、7日呑んだ時、月経が始まった。《大塚敬節》
☆北欧系の少女、17歳。体格は大柄でよく肥満している。この少女は1年に1回ぐらい、少し月経らしいものがあるだけで、それをひどく気にしているが医師に診てもらうのが、嫌だという。それでも 漢方の先生になら診てもらってもよいということになって、腹診してみた。
腹部は全体に緊張し、ことに下腹部は緊満しているが、この部を強く按圧すると痛むという。
私はこれに桂枝茯苓丸料を与えたが、なかなか月経が来朝しない。しかしこの少女は注射が嫌いであったから、辛抱強く飲み続け、3ヶ月目にやっと、しるしぐらいの月経があり、5ヶ月目から規則正しく月経があるようになり、大変喜んだ。《大塚敬節》
[166]ムチ打ち症
[167]メトロパチー(機能性出血)
[168]メニエール症群
☆本方は瘀血(血塞、うっ血、血凝滞)があって、気の動揺によって神経症状が起こったものに用いる。メニエール症候群は内耳の血行不全、循環調節不全によって起こるといわれているが、この処方はそれらの循環不全を治すものと思われる。本病は婦人の更年期によく起こるものであるが、それはこの血行不全や自律神経失調と関係がある。たいてい、腹診すると臍傍から下腹部に抵抗と圧通があり、赤ら顔でのぼせ症である。
50歳の肥った赤ら顔の不仁、半年前。手洗いに起きたとたんにひどいめまいがして倒れ、2週間頭を上げられず、激しいめまいで苦しんだ。血圧は120mmHgである。大学病院の婦人科や耳鼻科でメニエール症候群と言われた。その後つねにフラフラして真っ直ぐに歩けない。耳鳴りがしていつも蝉が鳴いている様である。危なくて一人で外出できない。月経時にはめまいがひどい、臍傍臍下に抵抗・圧通があり、瘀血がハッキリしている。桂枝茯苓丸料を与えたところ、10日分飲んで再来のとき、横断歩道を真っ直ぐに駆け足で渡ることができ、足元がしっかりしたと喜んだ。半年ぐらい続服してほとんど良くなった(漢方診療医典)
[169]めまい
[170]面疱
[171]網膜炎(視力がない):
☆30歳女性。初診昭和33年2/6。患者は昨年11月に右視力障害を訴え、眼科の診断を受けたところ、白内障と中心性網膜炎という病名であった。いろいろ治療してもらったが好転せず、ほとんど視力が無くなってしまった。そしてついに不治の宣告を下されたので、他の大病院の眼科や伊豆の眼科の長老に紹介され診てもらったところ、残念ながら手遅れで失明に近いと云われた。
この患者は銀座の大きなバーのマダムで、堂々たる貫禄で顔色もよく、主訴は右側の視力障害と頑固な頭痛、肩と首筋の凝りであった。頭痛は月経時に烈しく、月経は遅れ勝ちで、かつ子宮後屈があると云われたことがある。8年前に出産1回、人工流産数回を繰り返している。腹証は瘀血による下腹部反応が顕著であたので、桂枝茯苓丸に大黄0.3を加えて投与した。
10日間の服用によって、肩凝りや首筋の凝り、それと頑固な頭痛がウソのように取れて、20日後には視力の回復を自覚し、1ヶ月後にはピンポン遊びが出来、2ヶ月後には悪い方の眼で新聞が読めるようになった。
4ヶ月後には左右とも視力が0.9となり、発病当初からの主治医は全くの奇跡で、漢方が効いたことを率直に認めると言っているとのことである。《矢数道明》
[172]盲腸炎
[173]夜尿症
[174]腰痛症:
☆腹診して左下腹部に抵抗と圧痛を認める者。
☆泌尿器及び婦人科疾患による腰痛。
☆打撲後の腰痛。
☆瘀血に起因する疼痛で、便秘がなく、疼痛に急迫症状がない。したがって堪えがたいような腰痛には用いない。《大塚敬節》
☆打撲による腰痛、産後の腰痛などにも用いる《大塚敬節》
☆腎石、卵巣炎、卵管炎などがあって、腹痛とともに腰痛を訴える場合にも用いる。《大塚敬節》
☆体力中等度から実証の者の腰痛で、のぼせを伴うような腰痛で、瘀血所見のある者にもちいる(漢方診療医典)
[175]卵巣炎
[176]卵巣機能不全
[177]卵巣嚢腫
☆浮腫あれば、「琥珀・車前子・茅根」《済世薬室》
[178]リウマチ
[179]流産後
[180]流産癖
      






 桂枝茯苓湯《勿誤薬室方函口訣》
「桂枝茯苓丸車前子・茅根・大黄」
◎瘀血変じて水腫を成す者を治す。
◎一方、「-大黄+琥珀」


桂枝附子湯[1-1]《傷寒論》
「桂枝(去皮)4両、附子(炮去皮破)3枚、生姜(切)3枚、大棗(擘)12枚、 甘草(炙)2両」
右五味、以水六升、煮取二升、去滓、分温三服。初一服、其人身如痺、半日許復服之。三服都盡、其人如冒状、勿怪。此以附子、朮、併走皮内、逐水氣未得除、故使之耳。法當加桂4両。此本一方二法。以大便鞕、小便自利、去桂也。以大便不鞕、小便不利當加桂。附子三枚恐多也、虚弱家及産婦、宜減服之。
◎傷寒八九日、風湿相搏、身體疼煩、不能自轉側、不嘔、不渇、脉浮虚而濇者、桂枝附子湯主之。若其人大便鞕、小便自利者、去桂加白朮湯主之。
《傷寒論》辨太陽病脉證并治下第七。
《金匱要略》痓湿暍病脉證第二。





桂枝附子湯[1-2]《傷寒論》《漢方治療の実際》
「桂枝4、附子0.5、生姜・大棗各3、甘草2」
◎桂枝去芍薬湯の証にして、身体煩疼し、自ら轉側し能わざるを治す。《吉益東洞》
◎桂枝附子湯は其の桂枝を用うること桂枝湯より多くして上衝の語なし。蓋し闕文なり。桂枝湯、葛根湯、苓桂朮甘湯等は皆上衝の証あり。況んや此の湯に於てをや、其の闕文たるや明らかなり。《重校薬徴》
○桂枝去芍薬湯証にして身体疼痛し、自ら転側し能わざる者を治す《方極》
◎身体疼痛、脉浮虚。《龍野ー漢方処方集》
◎鑑別:甘草附子湯(参照→甘草附子湯)


桂枝附子湯[1-3]《傷寒論》
    

★適応症及び病名
[]悪寒
[]化膿症
[]関節痛
[]関節リウマチ:
  ☆痛み激しくない者。
  ☆慢性関節リウマチ
[]気の上衝<+>
[]脚の攣急
[]筋肉リウマチ
[]寒がり
[]自汗
[]神経痛
[]身体疼痛
[]手足冷たい
[]尿頻数
[]のぼせ
[]瘭疽
[]ベーチェット病
[]麻痺
[]面疔





桂枝附子去桂加朮湯(白朮附子湯)《金匱要略》
「白朮2両、附子(炮去皮)1枚半、甘草(炙)1両、生姜(切)1両半、大棗6枚」
右五味、以水三升、煮取一升、去滓、分温三服、一服覚身痺、半日許再服、三服都盡、其人如冒状、勿怪、即是朮附並走皮中、逐水氣未得如故耳。
◎傷寒八九日、風湿相搏、身體疼煩、不能自轉側、不嘔、不渇、脉浮虚而濇者、桂枝附子湯主之。若其人大便、小便自利者、去桂加白朮湯主之。
《金匱要略》痓湿暍病脉證第二。
◎其の人冒状の如し、怪しむ勿れ、即ち是れ朮附皮中を並び走り、水気を逐い未だ除くを得ざる故にもと曰う。此れ亦瞑眩の謂なり。《重校薬徴》
○桂枝附子湯証にして大便硬く小便自利し、上衝せざる者を治す《方極》
○「上衝せず」の3字は、まさに「大便硬」の上に在るべし《方極刪定》


桂枝麻黄各半湯[1-1]《傷寒論》
=「桂麻各半湯」
「桂枝(去皮)1両16銖、芍薬・生姜(切)・甘草(炙)・麻黄(去節)各1両、 大棗(擘)4枚、杏仁(湯浸去皮及両仁者)24枚」
右七味、以水五升、先煮麻黄十二沸、去上沫、煮取一升八合、去滓、温服六合。本云桂枝湯三合、麻黄湯三合、併為六合、頓服、将息如上法。
◎太陽病、得之八九日、如瘧状、発熱悪寒、熱多寒少、其人不嘔、清便欲自可、一日二三度發。脉微緩者、為欲愈也。脉微而悪寒者、此陰陽倶虚、不可更発汗、更下、更吐也。面色反有熱色者、未欲解也、以其不能得小汗出、身必痒、宜桂枝麻黄各半湯。
《傷寒論》辨太陽病脉證并治上第五。
《傷寒論》辨発汗吐下後病脉證并治第二十二。


桂枝麻黄各半湯[1-2]《傷寒論》《漢方治療の実際》
=「桂枝麻黄各半湯」
「桂枝3.5、芍薬・生姜・甘草・麻黄・大棗各2、杏仁2.5」
★桂麻各半湯(顔面赤い、発熱無汗、皮膚掻痒、便秘なし)
    

★適応症及び病名
◎桂枝湯、麻黄湯の二方の証、相半ばする者を治す《吉益東洞》
◎此方は外邪の壊症になりたる者に活用すべし。《勿誤薬室方函口訣》
◎表証があっても発汗し難く、顔赤く身がかゆい者。《龍野ー漢方処方集》


 桂麻各半湯[1-3]
[1]咽痛
[2]悪寒:
☆微しく自汗出で、腰痛或いは腰部筋肉の緊張を覚え、頭痛、眩暈し、寒熱発作連日止まざる等の証。《奥田謙蔵》
[3]嘔吐はない
[4]咳嗽
[5]顔が赤い(顔面紅潮)
[6]かぜ:
☆小児の感冒にして、発熱、咳嗽し、顔面熱して赤色なる等の証。《奥田謙蔵》
[7]かゆみ:
☆特に挙げるべき原因無くして、身体に瘙痒を発する等の証。《奥田謙蔵》
[8]寒冷ジンマシン
[9]急性熱病
[10]項背痛
[11]座骨神経痛
[12]自汗
[13]湿疹:
☆痘瘡、熱気灼くが如く、表欝して見點し難く、或いは見點稠密に、風疹交々出て、或いは痘起脹せず、喘咳、咽痛する者は、此湯に宜し。《類聚方広義》
☆つかまえどころがない場合に、《村井琴山》は桂麻各半湯や大青竜湯を用いている。《大塚敬節》
☆私はかって、1青年の瘙痒を桂麻各半湯で治したことがある。その時皮膚にはほとんど発斑も発疹もなかった。《大塚敬節》
☆老人が夜間になると瘙痒を訴え、皮膚に著変のない者《百々鳩窓》
[14]身体疼痛
[15]頭痛:
☆頭痛、発熱し、汗無く、悪風、悪寒し、或いは身体疼痛し、或いは咳し、脈浮にして緊ならず弱ならざる当の証。《奥田謙蔵》
[16]知覚異常
[17]知覚鈍麻:
☆知覚鈍麻、或いは知覚異常ありて、その脈浮なる等の証。《奥田謙蔵》
[18]熱感
[19]にきび
[20]二便に変化なし
☆下痢・便秘・排尿異常なし。
[21]はしか
[22]発熱(熱多寒少)
[23]皮膚炎
[24]皮膚掻痒症
☆分泌物少ない。
[25]風疹:
☆風疹発せんとして発せず、痛痒甚だしく、或いは発するも十分ならず、或いは腹痛する等の証。《奥田謙蔵》
[26]変形性関節炎
[27]便秘なし
[28]マラリヤ
[29]麻疹
[30]麻痺
[31]腰痛症:
☆一男子、風邪後、腰痛止まず、医疝として療し、その痛ますます劇し、一夕此方を服せしめ、発汗して脱然として癒える。《勿誤薬室方函口訣》
[32]流感



桂枝竜骨牡蛎湯
「桂枝・白芍・竜骨・牡蛎・生姜各3両、甘草2両、大棗12枚」
◎失神に効く。

桂枝竜牡湯《中薬臨床応用》
「桂枝9g、竜骨30g(打砕先煎)、牡蛎30g、桑椹15g、金桜子12g、白芍薬12g、生姜9g、大棗15g、甘草(炙)6g」水煎服。
◎腎陽虚で
◎夢精
◎滑精
◎下痢
◎帯下、不正性器出血


桂朮湯《東醫寶鑑》
「桂皮1銭半、白朮・麻黄・細辛・甘草各1銭、枳殻・乾姜各7分半、姜3片」水煎服。
◎気分の病を治す。

桂婢各半湯《東醫寶鑑》
「石膏2銭、桂枝・芍薬・麻黄各1銭、甘草3分、生姜3、大棗2」水煎服。
◎太陽病で脈が細く、身体がかゆくない症。

桂附湯[1]《東醫寶鑑》
「桂枝・炮附子」各2銭。煎服。
◎自汗が流れて止まらないとき。

桂附湯[2]《東醫寶鑑》
「附子(炮)3銭、肉桂1銭、黄柏・知母各5分」煎服。
◎白帯・なまぐさい体臭を治す。

 桂附湯[3]《東醫寶鑑》
「桂皮3銭、附子(炮)2銭」作1貼し「姜3、棗2」を入れ水煎服。
◎陽虚・血弱・虚汗不止の者を治す。

 桂附理中湯《軒岐救正論》《古今方彙》
「理中湯附子肉桂」
◎房労、傷寒にて頭目疼痛、発熱して燎くが如く、口燥き唇焦げ、嘔逆、煩悶、脈浮数、力無く、尺細にして脱する如き者を治す。


桂麻各半湯《東醫寶鑑》
「麻黄1銭半、桂枝・芍薬・杏仁各1銭、甘草7分」を作1貼して「姜3、棗2」を入れ、水煎服。
◎太陽病で脈が細く、身体がかゆい症。

桂苓飲子《寿世保元》《古今方彙》
「猪苓・沢瀉・桂枝・甘草・黄柏・知母・白朮・山梔子・滑石・生姜・燈心草24茎」水煎。
◎傷寒にて初めて症を得て熱なく、狂言・煩躁不安、発狂をなし、而し下薬を用いて死する者多し、此の因を知らず邪熱膀胱に結ぶ、名付けて狂症の如しという。


桂苓甘露飲[1-1]《劉河間》
「茯苓・甘草・白朮・沢瀉・官桂・猪苓・石膏・寒水石・滑石」
◎中暑で湿を受け、水をたくさん飲んで、頭痛・煩渇し、小便不利。

桂苓甘露飲[1-2]《東醫寶鑑》
「滑石2両、赤茯苓・沢瀉・石膏・寒水石・甘草各1両、白朮・肉桂・猪苓各5銭」を細末にし、熱湯で服用。蜜or姜湯を少し入れると良い。
◎傷暑・煩渇・下痢・霍乱・吐瀉を治す。 
◎伏暑で煩渇し、引飲する症。

桂苓甘露飲[2]《東醫寶鑑》
「滑石1両、石膏・寒水石・沢瀉・白朮・乾葛・赤茯苓・甘草各5銭、人参・桂皮・香各2銭半、木香1銭2分半」を作末し、毎回2銭を白湯で       調下する。
◎伏暑に水を飲み過ぎて下痢する症。

桂苓甘露飲[3]《寿世保元》
「五苓散滑石・甘草」
◎邪熱、膀胱に結び、小便不通

桂苓五味甘草湯《金匱要略》
「茯苓4両、桂枝(去皮)4両、甘草(炙)3両、五味子半升」
右4味、以水8升、煮取3升、去滓、分3温服。
◎青龍湯下已、多唾口燥、寸脈微、手足厥逆、氣従小腹上衝胸咽、手足痺、其面翕然如醉状、因復下流陰股、小便難、時復冒者、與茯苓桂枝五味甘草湯、治其氣衝。
《金匱要略》痰飲嗽病脉證并治第十二。


桂苓五味甘草去桂加乾姜細辛半夏湯《金匱要略》
「茯苓4両、甘草2両、細辛2両、乾姜2両、五味子・半夏各半升」
右6味、以水8升、煮取3升、去滓、温服半升、日3服。
◎満即止、而更復渇、衝氣復發者、以細辛、乾姜為熱薬也。服之當遂渇、而渇反止者、為支飲也。支飲者、法當冒、冒者必嘔、嘔者復内半夏、以去其水。
《金匱要略》痰飲嗽病脉證并治第十二。


桂苓元《東醫寶鑑》
「桂心・赤茯苓」等分を作末し煉蜜とまぜ、1両を8丸につくり、毎回1丸服用。
◎暑月に冷温に傷ついて吐く症。

桂苓湯《東醫寶鑑》
「桂皮・赤茯苓・当帰・川芎・赤芍薬・莪朮・三稜・桑白皮・檳榔・蒼朮・大腹皮・瞿麦・青皮・陳皮・甘草各5分、子・大黄()各2分半」を剉作1貼し「姜3」を入れ水煎服。
◎血分の病を治す。


桂苓白朮散《東醫寶鑑》
「滑石1両、寒水石・石膏・沢瀉・甘草各5銭、白朮・白茯苓・人参・桂枝各2銭半」作末して、毎回3銭を白湯or水で調下する。生姜湯も良い。
◎中暑による霍乱・吐瀉・煩渇の者を治す。

桂霊散《東醫寶鑑》
「桂心・五霊脂・良姜(炒)・厚朴(製)」各等分を作末し、熱い錯湯で1銭を服用。
◎心腹の大痛に。

荊黄湯[1]《東醫寶鑑》
「大黄(酒炒)・荊芥穂・防風各2銭」水煎服。
◎風熱眩暈を治す。

荊黄湯[2]《東醫寶鑑》
「荊芥4銭、大黄1銭」水煎、空腹時に服用。
◎風熱で咽喉が痛む者。

荊黄解毒湯《方読便覧》
「黄連解毒湯荊芥地黄」
◎痼疾久しく癒えず、水分の動亢ぶる者を治す。


荊芥散《東醫寶鑑》
「荊芥穂」作末し毎回1銭を、童便1杯で調合して熱服する。
◎血暈を治す。


荊芥湯[1]《東醫寶鑑》
「川椒・白塩・露蜂房各1銭、葱白3茎」煎じて、熱いうちにうがいをし、冷えたら吐き出す。
◎風熱歯痛を治す。

荊芥湯[2-1]《三因極一病証方論》《古今方彙》
「荊芥半両、桔梗2両、甘草1両、生姜」水煎。
◎咽喉腫痛し、語声出でず。唾を嚥むにも痛み甚だしきを治す。


荊芥湯[2-2]《東醫寶鑑》
「桔梗2両、甘草1両、荊芥穂5銭」を粗末にし、毎回4銭に生姜3片を入れて、水煎し徐々に服用。
◎咽喉腫痛・語声の出ない症。


 荊芥湯[3]《雑病翼方》
 「荊芥」
◎衂血を治す。

荊芥連翹湯[1-1]《万病回春》《東醫寶鑑》
「荊芥・連翹・防風・当帰・白芍・川芎・柴胡・枳穀・黄・山梔子・白・桔梗各7分、甘草5分」水で煎じて食後温めて服用。
◎両耳の腫痛。(腎経に風熱があるため)

 荊芥連翹湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》
「荊芥・連翹・防風・当帰・川芎・白芍薬・柴胡・枳殻・黄芩・山梔子・白・桔梗各等分、甘草半減」水煎。
◎両耳腫痛する者を治す。
◎腎経に風熱あるなり。
◎鼻渕にて胆の熱を脳に移すを治す。
◎[耳病門]の「連翹湯」枳殻薄荷、生地黄。

荊芥連翹湯[2]《東醫寶鑑》
「荊芥・柴胡・川芎・当帰・生地黄・赤芍・白芷・防風・薄荷・山梔子・黄芩・桔梗・連翹各5分、甘草3分」水煎服。
◎鼻渕を治す。


荊芥連翹湯《漢方治療の実際》
「当帰・芍薬・荊芥・連翹・防風・川芎・柴胡・枳実・黄芩・梔子・白芷・桔梗各1.5、甘草1」


荊芥連翹湯[3-1]《一貫堂》《漢方後世要方解説》
「当帰・芍薬・川芎・地黄・黄芩・黄連・黄柏・山梔子・連翹・荊芥・防風・薄荷葉・枳殻・甘草各1.5、白芷・桔梗・柴胡各2」
◎両耳腫痛するものを治す。《万病回春》
[原方]荊芥・連翹・防風・当帰・川芎・芍薬・柴胡・枳殻・黄芩・山梔子・白芷・桔梗各2、甘草1
◎此方の主治は原方の如くであるが、耳病に限らず、解毒症体質の改善薬として広く応用される。清熱、和血、解毒作用あって、青年期における腺病体質者に発する諸症に用いてよい。一般に皮膚浅黒く、光沢を帯び手足の裏に油汗多く、主として上焦に発せる鼻炎、扁桃腺炎、中耳炎、蓄膿症に用いられる。脈腹共に緊張ある者である。


 荊芥連翹湯[3-2]《一貫堂》《中医処方解説》
「黄連・黄芩・黄柏・山梔子・当帰・川芎・熟地黄・白芍薬・連翹・荊芥・薄荷・防風・柴胡・白芷・桔梗・枳殻・甘草(炙)各2g」水煎服。       
 
 荊芥連翹湯[3-2]《一貫堂》《龍野ー漢方処方集》
「当帰・芍薬・川芎・熟地黄・黄連・黄芩・黄柏・山梔子・連翹・防風・薄荷葉・荊芥・甘草・枳殻各1.5g、柴胡2.0g、白芷・桔梗各2.5g」    

◎体質的に浅黒く手足の裏に油汗多く、脉腹共に緊張ある者。《龍野ー漢方処方集》
   

★適応症及び病名 (50音順)
[1]浅黒い<皮膚>
☆浅黒く光沢がある。渋紙色と表現する書もある。
[2]咽頭炎
[3]鬱病
[4]円形脱毛症
[5]化膿傾向
[6]感情不安定
[7]癇症
[8]胸腺リンパ体質
[9]頸部リンパ腺炎
[10]結核性痔瘻
[11]くすぐったがり
[12]喉頭炎
[13]ジンマシン     
[14]湿疹
[15]上顎洞化膿症:
 ☆急慢性《矢数道明》
[16]衂血
☆慢性肥厚性鼻炎、副鼻腔炎、鼻茸などに起こる衂血には升麻0.5g牡丹皮2.0g(漢方診療医典)
[17]手掌足蹠(手のひら・足の裏)に脂汗
[18]神経衰弱
[19]尋常性痤瘡
[20]青年期の腺病体質の改善
[21]舌苔<白苔>
[22]増殖性腎炎
[23]中耳炎:
☆急性中耳炎:「蝉退・蔓荊子各1.2」《矢数道明》
☆小柴胡湯を用いる時期を過ぎ、なお耳痛を訴え、分泌物が多く、熱も続くものには本方に蝉退・蔓荊子各2.0gを加える。本方を長期服していると慢性に移行せずに治癒することが多い(漢方診療医典)
[24]肺尖カタル
 ☆肺浸潤初期《矢数道明》
[25]肺結核:<増殖型>
[26]はげ
[]鼻炎
☆これは粘液性または膿性の分泌物のあるもので、皮膚の色が浅黒く、腹壁が緊張しているものによい。もし、鼻汁に血液を混じるようなときは牡丹皮2,0g升麻0.5g(漢方診療医典)
[27]肥厚性鼻炎     
[28]皮膚炎
[29]腹直筋の緊張
[30]扁桃炎
[31]扁桃周囲炎
[32]副鼻腔炎
☆上顎洞炎に罹りやすい体質傾向のうちで、筋骨質で皮膚の色浅黒く、腹筋が緊張して覆審すると笑って手を払いのけるほど過敏なものがある。手足の裏が湿りやすいものが多い。葛根湯が効かないものに試みてみるとよい(漢方診療医典)
[33]耳だれ
[34]面疱メンホウ:
        にきびや顔の吹き出物。
[35]肋膜炎



荊槐散《東醫寶鑑》
「荊芥穂・槐花(炒)」等分。作末し、牙歯にぬる。又は少しずつ飲む。
◎牙宣出血。

荊蘇湯《東醫寶鑑》
「荊芥穂・紫蘇葉・木通・橘紅・当帰・辣桂・石菖蒲各1銭」水煎服用。
◎失音症を治す。

荊桃承気湯《本朝経験》
「荊芥、桃仁、大黄、芒硝、甘草」
◎草薬を以て堕胎し、毒気上攻し、心胸急迫、項背強直、牙関緊急、悪露下らず、便溺秘閉、憎寒壮熱、大渇引飲、腰腹絞痛する者を治す《雑病翼方》


荊蓬煎元《東醫寶鑑》
「三稜((酒浸3日)・莪朮((酒浸3日)・夏には1日目に取り出し、巴豆肉38粒と石器で炒り、黄色くなったら巴豆は捨て、湯水に漬けて白いのは捨てたもの3両、木香・枳殻・青皮・茴香(炒)・檳榔各1両」作末し麺糊で緑豆大の丸剤。姜湯で30~50丸飲む。
◎癥塊と冷・熱の積聚を治す。
◎痰癖を治し、宿食を消化させる。

荊防解表湯《時氏処方学》
「荊芥 紫蘇葉 杏仁 防風 赤茯苓 白 陳皮 建麹 葱白 生姜 煎服」

 

荊防敗毒散[1-1]《万病回春》《古今方彙》
「防風、荊芥、羗活、独活、柴胡、前胡、薄荷、連翹、桔梗、枳殻、川芎、茯苓、金銀花、甘草、生姜」水煎。
◎癰疽、疔腫、発背、乳癰等の症で壮熱甚だしき者、頭痛拘急し状は傷寒に似て一二より四五日に至る者を治す。
◎一二剤にてその毒は衰え軽き者は内自ら消散す。

 

荊防敗毒散[1-2]《万病回春》《漢方後世要方解説》
「防風・荊芥・独活・羗活・柴胡・前胡・連翹・桔梗・枳殻・川芎・茯苓・金銀花各1.5、生姜・薄荷葉・甘草各1」

 

荊防敗毒散[1-3] 《漢方治療の実際》
「防風・荊芥・羗活・独活・柴胡・前胡・薄荷・連翹・桔梗・枳実・川芎・ 茯苓・金銀花・甘草各1.5、生姜3」

荊防敗毒散[1-4]《万病回春》《龍野ー漢方処方集》
「荊芥・防風・独活・柴胡・前胡・薄荷葉・枳殻・川芎・桔梗・金銀花・連翹・茯苓各2.0g、甘草・干姜各1.0g」
◎化膿症で悪寒発熱頭痛疼痛する者。
    

★適応症及び病名
[1]カルブンケル
[2]筋炎
[3]犬毒:
☆犬毒を治す:「馬銭子」
☆もし腹大なる者:「大承気湯」《方読便覧》
[4]シビレ感(痛んでシビレ)
[5]乳腺炎
[6]皮下膿瘍
[7]フルンケル
[8]リンパ腺炎



荊防敗毒散[2]《証治準縄》
「荊芥穂・防風・羗活・前胡・柴胡・枳穀(麩炒)・桔梗・赤茯苓・川芎各4g、人参・甘草各2g生姜3片」水2杯で8分に煎じ、空腹時に服用。
寒のひどいものには、葱3本を加える。



 荊防敗毒散[3]《東醫寶鑑》
「羗活・独活・柴胡・前胡・赤茯苓・人参・枳殻・桔梗・川芎・荊芥・防風各1銭、甘草5分」水煎服。
◎瘟疫と大頭瘟を治す。

 

荊防敗毒散[4]《摂生衆妙方》《中薬臨床応用》
「荊芥・防風・羗活・柴胡・前胡・枳殻・茯苓・桔梗・薄荷各6g、川芎・甘草各3g、生姜2g」水煎服。
◎感冒・インフルエンザに初期。
◎発熱・頭痛・鼻閉・咽喉痛・結膜炎など。

 

荊防敗毒散《摂生衆妙方》
「荊芥、防風、羗活独活、川芎、柴胡、薄荷、前胡、桔梗、枳殻、茯苓、甘草、生姜」

経験烏鬚酒《東醫寶鑑》
「毎年の冬の10月の壬・癸日に東向の枸杞子2升を搗いて、好無灰酒2升と磁器内に入れて21日たったら開封し、生地黄3升を添えて入れてかき混ぜ、紙で三重に口を封じ。立春30日前に開けて空腹時に1杯づつ温めて飲む。
 ◎髪を黒くし、身体を丈夫にする。

 
経験二防飲《東醫寶鑑》
「熟地黄・人参各1銭、白朮・黄蓍・当帰・川芎・白芍薬・杜仲・萆薢各7分、防風・防已・羗活・牛膝・甘草各5分、附子(童便浸3日炮)7分」剉作作1貼して「姜3、棗2」を入れ水煎服。
◎痢疾後に脚が痛み、まるで刀で切られたような痛さで、腫が大きく歩けない鶴膝風を治す。

 

経験方[1]《活人心統》
「沈香、紫蘇葉、白豆蔲、柿蔕」

 

経験方[2]《活法機要方》
「地楡、蒼朮」

 経験方[3]《簡便単方》
      「白朮、車前子」


 経効瘧丹《東醫寶鑑》
「真阿魏・雄黄各2銭半、朱砂1銭半」沸騰湯で阿魏を泡立たせ、雄黄を粉にして混ぜ、麺粉で梧子大の丸剤。毎回1丸を人参湯で、空腹時に冷服する。
◎瘧母が癖をつくって寒熱のとまらない者を治す。



 軽粉剤・・・・吉益東洞がよく使った




 頸淋巴結炎方《中薬臨床応用》
「浙貝母18g、夏枯草15g、生地黄15g、玄参15g、牡蛎(生)30g(先煎)」水煎服。
◎頸部リンパ腺結核

瓊玉膏《朱丹渓》
「生地黄10.24kgを臼に入れて突いて汁を絞り、人参 細切り960g・白茯苓細切り1.92kg・精製した白 蜜6.4kgを磁器に入れ、油紙を五重にし、その上に厚い布でかぶせて堅く密封して銅鍋に入れる。そして底にきれいな木で橋渡しておいて、煮立ってもふきこぼれない ようにしておいて、桑の木で3昼夜煮る。煮詰まると熱湯 を注ぎ入れ、煮終わったら磁器を取り出し、又その上に濾紙で堅く密閉して、一昼夜井戸に吊しておく、そしてこれを取り出して、又前法のごとく一昼夜煮込む。これを少し 取り出して、まず神に捧げた後、一日に2~3回、1~2 匙温酒で服用する。酒を飲めない人は、百沸湯で服用する
。精製するときは鉄器を使わないこと。」
◎労瘵治し、滋血・補気に有効。又百損を補い、百病を除く。

瓊脂膏《東醫寶鑑》
「生地黄20斤を蒸して汁を取り、滓を去る。白蜜2升を煮て泡を捨てる。生姜2両を蒸して汁を取り、滓を去る。まず先に弱火で地黄汁を沸かし、そこへ鹿角膠1斤を入れ、次に真酥油1斤・蜜・生姜汁を入れ煎じ、飴のようになったら磁器に貯蔵。1~2匙づつ温酒で調下する。
◎燥病を治す。

鶏黄散《東醫寶鑑》
「卵の白身は捨て、黄丹1銭を入れて振って厚紙でくるみ、塩泥で固く封をし、火で焙って作末し、毎回2銭を米飲で調下する。
◎子癇を治す。

鶏肝散《南京中医学院験方》
「炉甘石24g(制) 赤石脂・滑石(飛)・胡黄連・各20g 辰砂16g  青黛12g 石決明40g 雄鶏肝1個


鶏血藤湯《中薬臨床応用》
「鶏血藤15g、半楓荷30g、当帰15g、牛膝9g、楓香寄生15g、海風藤15g、豆豉姜15g」水煎服。
◎風湿による痺痛。

鶏清元《東醫寶鑑》
「大半夏(生)」を末にし「鶏子清」で梧子大の丸剤。少し乾くと猪苓筴で混ぜ、弱火で炒り、猪苓末は養薬の為器中に貯蔵し、白茯苓の煎じ湯で空腹時に30~50丸飲む。
◎小便が濁ったとき。

鶏舌香散《東醫寶鑑》
「丁香100枚、白芍薬(酒炒)2両、良姜1両、甘草(炙)5銭」作末し毎回2銭を陳米飲で調下する。
◎心腹の冷痛を治す。

鶏蘇散《東醫寶鑑》
「鶏蘇葉・黄蓍・生黄・阿膠・白茅根各1銭、麦門冬・桔梗・蒲黄(炒)・貝母(炒)・桑白皮・甘草(炙)各5分、生姜3片」水煎服し、黄丹を鼻孔に注ぎ入れる。
◎衂血が止まらない。

 

鶏蘇散《傷寒標本》
「薄荷3g(後下)、甘草(生)3g、滑石18g」水煎服。
◎熱射病によるふらつき、発熱、口渇、尿赤。


鶏腸散《東醫寶鑑》
「鶏腸(焼)・牡蠣粉・白茯苓・桑蛸(蒸)各5銭、辣桂・竜骨各2銭半」剉作し毎回2銭に「姜3片、棗2枚」入れ水煎し空腹時に服用、or作末し1銭を米飲で調服する。
◎小児の遺尿不禁。

鶏頭丸《東醫寶鑑》
「雄鶏頭の焼いたもの、鳴蝉焼いたもの3、大黄()or甘草(炙)各1両、当帰・川芎・遠志・麦門冬各7銭半、木通・黄蓍各5銭」作末して蜜で緑豆大の丸剤。空腹時に米飲で5丸づつ1日3回服用。
◎小児の病後に、話せない症を治す。

鶏内全散《東醫寶鑑》
「の胆袋・黄皮の陰干しして細末したもの各1銭、緑豆粉3銭」を生蜜で丸剤にし、口中で噛み下す。
◎喉閉と単乳蛾・雙乳蛾に特効あり。

 

鶏腠散《東醫寶鑑》
      「鶏1具、鶏腸1具、猪(炙焦)1箇」作末し1銭づつ酒で服用。
    ◎小児の遺尿。

鶏鳴丸《東醫寶鑑》
      「知母(炒)4両、旋覆花・陳皮・馬兜鈴・麻黄・甘草(炙)各1両、桔梗・人       参各5銭、阿膠珠・款冬花・五味子各4銭、杏仁・子(炒)・半夏(製)       各3銭」作末し蜜で梧子大の丸剤。毎回1丸を烏梅・姜・棗の煎じ湯で1       日3回噛み下す。
    ◎18種の咳と哮喘、吐血のあらゆる病勢を治す。


鶏鳴散[1]《備急千金要方》《漢方治療の実際》
      「大黄1、当帰・桃仁各4」
    ◎打撲症に用いる。

鶏鳴散[1]《備急千金要方》
「大黄 当帰 桃仁」
◎高きより堕下し、崩中する者を治す。
    ◎此方は打撲の主薬なり。《勿誤薬室方函口訣》
    ◎此れ金瘡打撲の通治の方にして、その用尤も広し。
    ◎重物の圧迫、或いは高きより墜下し、熱を作し、吐血、下血止まらず、或いは     血内に在り、胸腹脹満し、喘粗気短を治す。兼ねて能く悪血を打去す。《太     平聖恵方》
    ◎打撲損傷、内壅死せんとするを治す:「麝香」《施丹端効方》
    ◎乱打し、血心を攻むるを治す:「蘇木・紅花」《医方指南》

鶏鳴散[2-1]《時方歌括》《朱氏集験》
 「檳榔、橘皮、木瓜、呉茱萸、紫蘇葉、桔梗、生姜」
 ◎脚気第一の品薬、男女を問わず皆服すべし。もし風湿に感じ、流注脚痛忍ぶべ     からず、筋脈浮腫する者、宜しく之を服すべし。
    ◎「唐侍中一方桔梗」《勿誤薬室方函口訣》
◎脚痛浮腫《龍野ー漢方処方集》
    ★適応症及び病名
      脚気:
☆小便不利の者:「茯苓4.0g」《龍野ー漢方処方集》
        ☆気のある者:「半夏」《済世薬室》
        ☆動悸のある者:「茯苓・大黄」
        ☆動悸の激しい者:「竜骨牡蛎」


 鶏鳴散[2-2]《証治準縄》《中薬臨床応用》
      「檳榔21g、陳皮・木瓜各30g、呉茱萸6g、紫蘇葉9g、桔梗・生姜15g」粗       末にし水煎し3~5回に冷服。
    ◎両脚が腫脹して重い感じがする脚気。


鶏鳴散[3]《三因極一病証方論》
 「大黄40g(酒蒸)、当帰尾12g、桃仁27粒(炒める)」以上を酒で煎じて、       鶏が鳴くときに服用し、次の日に血がおりると治る。折傷にも有効。
    ◎刀傷・打撲傷に。
    ◎血がたまって悶絶して死にそうな者を治す。


鶏鳴散[4]
「大黄、杏仁」
◎この方は、三因方には種々の損傷で瘀血がとどこおり集まって、こらえにくいほどに痛む者を治すという。《大塚敬節》
◎この方は元来、粉末にして酒で呑むことになっているが、酒で煎じて呑んでも良い。《大塚敬節》
    

★適応症及び病名
打ち身(打撲):
☆1男子、20歳余。ある時、打撲して意識を失い、訳の分からないことを口走るようになった。腹を診ると、膨満し、目には涙を流している。    脈を診ると力がある。そこで鶏鳴散を酒で煎じて与えたところ、蘇生した。蘇生後、再診してみると、舌には黄柏の粉を塗ったような苔がつき、呼吸は促迫し、胸は塞がったように苦しく、頭は裂けるかと思われるほど痛いという。そこでまた前方を与えたところ、黄色の水を茶碗2杯ほど吐いた。吐いた後は、胸の気持も良くなったと云うので、続けて5、 6貼も呑ましめてから、腹を診たところ、圧痛を訴えるので、小承気湯を与えた。すると穢物を2日間も下して全快した。《積山遺言》
「ここに腹に圧痛があったので、小承気湯を与えたとあるのは、《金匱要略》に“腹満して、これを按じて痛む者は実であり、痛まない者は虚である”との理論によって、実と判断して、小承気湯で下したのである。しかし、腹部が膨満していて、圧痛がある者にも虚証があって、下してならない者がある、例えば、腹膜炎などは下して良い者は、ほとんどなからである。」《大塚敬節》
☆本方は打撲直後の腫れと痛みの激しいものに用いると奏功する(漢方診療医典)



鶏鳴散加茯苓《漢方治療の実際》
「檳榔4、木瓜・生姜各3、橘皮・桔梗各2、蘇葉・呉茱萸各1、茯苓4」
◎脚気様の症状に用いる。


鶏鳴散加苓《時方歌括》《漢方後世要方解説》
「茯苓5、檳榔4、木瓜・生姜各3、橘皮・桔梗各2.5、蘇葉・呉茱萸各1」
◎脚気を治する第一品薬、男女を問わず皆服すべし。若しくは風湿に感じ、流注痛忍ぶべからず、筋脈浮腫する者並びに宜しく之を服すべし。
◎外台脚気門に「唐侍中一方」として記載「方中桔梗なし、即ち桔梗を加えて鶏鳴散とし、白朮・茯苓を加えて双解散と名づけ、脚気剤となす」と。
◎此方は実証の脚気に用いる。胸満気急、気上衝を目標とする。即ち萎縮性脚気を除く初期脚気、浮腫性脚気、衝心脚気、神経性脚気等に心動悸、心窩部膨満、浮腫、腓腸筋圧痛を目当として用いる。此症にして更に実証甚だしく、便秘の者には前方或いは大柴胡湯又は防風通聖散を用いる。

■檳榔=気をかぶり、水を逐う、痰を去る
■木瓜=湿腫、脚気、転筋、足膝無力を治す。
■橘皮=気滞を順らす。
■蘇葉=風寒を発表し、諸気を下し、脹満を除く
■呉茱萸=気を下し、中を温め、湿を除く
■桔梗=気を下し、滞気を散じ、諸薬を胸部に作用せしむ。
    

★適応症及び病名
[1]脚気:
☆浮腫性脚気
☆衝心脚気
☆神経性脚気
[2]こむらがえり:
☆腓腹筋のケイレンに良く効く《大塚敬節》
[2]腎炎
[3]妊娠浮腫
[4]疲労倦怠:
☆脚気で、足がだるく、また足がしびれ、または足に浮腫がある者によい。《大塚敬節》




鶏矢醴散《東醫寶鑑》
「鶏糞(白いもの)・大黄・桃仁各等分」作末し毎回2銭を姜湯で調服する。
◎穀脹で朝食べたら夕方には食べられない者を治す。
◎気脹・水脹・蠱脹を治す。


鶏舌香散《東醫寶鑑》
「丁香100枚、白芍(酒炒)2両、良姜1両、炙甘草5銭」を作末し、毎回2銭を陳米飲で調下する。
◎心腹の冷痛を治す。





啓膈散《医説》
「沙参 丹参 茯苓 川貝母 欝金 縮砂仁殻 荷葉蒂 杵頭糠」
◎噎膈の初期に嘔吐・悪心して食を納めることができない者。

啓峻湯《張氏医通》《古今方彙》
「人参・黄蓍・当帰・白朮(炒枯)各1銭5分、陳皮8分、甘草(炙)5分、肉桂5分、茯苓1銭5分、乾姜(炮)4分、肉豆蔲・沈香各8分、附子(炮)1銭5分」水煎温服。
◎気滞硬満の者は:「黄蓍厚朴」


啓脾湯[1-1]《万病回春》《古今方彙》《漢方後世要方解説》
「人参・白朮・茯苓・蓮肉・山薬各3、山楂子・陳皮・沢瀉各2、甘草・生姜・大棗各1」(煎服or蜜丸)。小児1日量。
◎食を消し、瀉を止め、吐を止め、疳をケシ、黄を消し、腹痛を定め、脾を益し、胃を健にす。
◎此方は「四君子湯」を基礎として消食の剤を加えたもので、小児疳瀉と呼ぶ所謂小児の消化不良症に最も屡々用いられるものである。
他に大人にても脾胃虚弱即ち慢性胃腸炎にて諸薬応ぜぬ水瀉性下痢に広く応用される。
余は腸結核の初期に用いて卓効を収めたことがある。脈腹共に虚状にして微熱ある者によい。
■人参・白朮・茯苓・甘草=四君子湯で脾を補う
■山楂子・陳皮=食を消化す
■蓮肉=瀉を止む
■沢瀉=渇を止め湿を除く。


啓脾湯[1-2]《漢方治療の実際》
「人参3、朮・茯苓各4、蓮肉・山薬各3、山子・陳皮・沢瀉各2、甘草1」



啓脾湯[1-3]《万病回春》《古今方彙》
「人参・白朮・茯苓・蓮肉・山薬各1両、山子・陳皮・沢瀉・甘草(炙)各5銭、生姜、大棗」水煎。或いは細末となし、蜜丸となす。
◎食を消し、瀉を止め、吐を止め、疳を消し、黄を消し、脹を消し、腹痛を定め、脾を益し胃を健やかにす。
◎消化不良、慢性胃腸カタル、腸結核。《龍野ー漢方処方集》
    

★適応症及び病名
[1]胃腸虚弱:
☆病後の胃腸強壮剤《矢数道明》
[2]嘔吐
[3]顔色悪い
[4]虚弱
[5]下痢(発酵性)
☆水様性下痢(泡状のこともある)
☆慢性の下痢に用いる《大塚敬節》
☆真武湯や胃風湯を用いるような下痢で、これらを用いても効をみない 時に用いてみるがよい。《大塚敬節》
☆42歳女優で、平素から胃腸が弱く、下痢するクセがある。半年前から下痢が始まり、なかなか止まらない。そこで腸結核を疑われて、ストレプトマイシンやパスを用いたが、それでも下痢は止まらなかった。
患者は痩せて脈が弱く、舌には苔がなく、腹部は軟弱で、振水音を著明に聞く。月経は規則正しくある。肩が凝りやすく手足が冷える。        私はこれに真武湯を与え、7日分飲んだが変わりなく、1日2、3回も下痢が止まない、そこで啓脾湯に転方したところ、2週間分で、下痢が1日1回となり、1ヶ月あまりで下痢が止んだ。真武湯で止まらない下痢が啓脾湯でとまったり、啓脾湯で止まらない下痢が真武湯で止まったりする。《大塚敬節》
[7]手術後の胃腸虚弱
[8]消化不良:
☆小児の消化不良《矢数道明》
[9]小児の癇癪
[10]上腹部振水音
[11]食欲不振
[12]舌質<淡白><胖大>
[13]舌苔<無苔~白苔>
[14]軟便
[15]腸結核:《矢数道明》
[16]微熱
[17]疲労倦怠
[18]貧血性(貧血傾向)
[19]腹痛
[20]腹部軟弱
[21]脈弱
[22]慢性胃腸炎 
[23]慢性下痢
[24]羸痩(やせ)




啓脾元《東醫寶鑑》
「甘草1両半、人参・白朮・青皮・陳皮・神麹・麦芽・縮砂・乾姜(炮)・厚 朴各1両」作末し蜜で丸め、毎回1両で10丸つくり、米飲で1丸づつ噛み下す。
◎脾胃を和らげ、食欲を増進させる。


軽効散《東醫寶鑑》
「柴胡2銭、大黄・当帰・赤芍薬・犀角各1銭、甘草5分」水煎服。
◎目に打撲傷を受けた者を治す。


却労散《婦人大全良方》
「芍薬6両、黄蓍・甘草・人参・当帰・茯苓・地黄・五味子・阿膠各3両、生姜、大棗」水煎。
      (→人参養栄湯《聖済総録》)
◎労嗽、寒熱、盗汗あり、唾中紅線有るを治す。
◎心と腎が弱くなり、労嗽を2~3回やっても痰が出ず、夜になると発熱し、熱がひとしきり上がると寒くなり、ときどき盗汗し、四肢だるく、食欲なく、痩せて顔色が黄色くなったとき。



 下瘀血湯[1-1]《金匱要略》
「大黄2両 桃仁20枚 虫20枚(熬去足)」
右三味、末之、煉蜜和為四丸、以酒一升、煎一丸取八合、頓服之、新血下       如豚肝。
◎産婦腹痛、法當以枳実芍薬散、假令不愈者、此為腹中有乾血着臍下、宣下血     當主之、亦主経水不利。



 下血湯[1-2]《金匱要略》
    ◎下毒痛し、及び経水不利の者をなおす。《方極》
   【腹証】
     《腹診配剤録》
       “下腹部微しく実満し、下に凝滞あり。或いは小塊一二を認むることあ        り。之を按ずれば即ち痛む。”
    ★適応症及び病名
     [1]月経痛:
        ☆月経痛等にして、平日便秘の傾向ある証。《奥田謙蔵》
     [2]月経不順:
        ☆諸種の月経不順にして、下腹部に微満、拘攣を認むる等の証《奥田謙         蔵》
     [3]月経閉止
     [4]小児の疳:
        ☆下血湯に、乾漆2両を加え、蕎麦(ソバ)の糊にて丸と為し、小児の         疳疾、癖塊、諸薬効無く、羸痩、腹満し、飲食を欲せず、面身痿黄、         浮腫し、唇舌白、我は殷紅にして、肌膚索沢、巨里跳動し、黄胖の         如く、兼ねて蟲有る者を治するに、奇効有り。乾漆は、黒色、光亮         (リョウ、あきらか)なる者を佳と為す。《類聚方広義》
     [5]腹痛:
        ☆産後の腹痛等にして、下腹部結実、拘攣する証《奥田謙蔵》
☆産後、腹中結実、拘攣し、或いは煩満して、痛む者は、当に枳実芍薬         散を用いて之を和すべし。若し癒えざる者は、その人必ず乾血有る也。         下血湯に宜し。乾血は、久血也。《類聚方広義》
[6]不食病:
☆木の実ばかり食べて他のものを食べず、骨と皮ばかりになっていた娘         に、腹証によって、血があると診断して下血湯を用いて全治せし         めた。《燈火医談》



下気円《勿誤薬室方函口訣》
      「辰砂、乱髪霜、大黄、紫檀、莎草」


下虫丸《東醫寶鑑》
      「乾蝦蟇(灰)3銭、苦楝根皮・貫衆・木香・桃仁・蕪・檳榔各2銭、       鶴虱1銭、軽粉半銭、使君子肉50個」作末し糊で麻子大の丸剤。毎       回10~20丸を肉汁で飲む。
    ◎蛔疳を治す。

 下虫散《東醫寶鑑》
      「使君子肉・檳榔各1銭、大黄5分」作末し、苦練根の煎じ湯で調下する。
    ◎腹内の諸虫を治す。

 下乳方《中薬臨床応用》
      「通草6g、穿山甲(炙)9g、王不留行9g」水煎服。
       猪蹄と一緒に煎じるとさらに有効。
    ◎乳汁が少ない。


 外科蟾酥丸《外科正宗》
      「蟾酥、軽粉、銅緑、枯礬、寒水石、胆礬、乳香、没薬、麝香、雄黄、蝸牛、       朱砂」


外染烏雲膏《東醫寶鑑》
      「五倍子(製)5銭、銅(未製)2銭、明礬・白塩各1銭半、 没石子2箇」を黄       色くなるまで炒って、作末して濃い茶で調合し、重湯が黒くなったら使う。
◎白髪に。

解欝湯《医学入門》《東醫寶鑑》
「柴胡・黄連・黄・地骨皮・黄蓍・生地黄・熟地黄・白芍」等分。水煎服。
◎衂血


 解欝調胃湯《万病回春》《古今方彙》
      「陳皮(塩水洗)・白朮各1銭、川芎6分、茯苓1両、当帰尾1銭2分、神麹       ・麦芽各7分、桃仁4分、赤芍薬(酒)8分、甘草(生)4分、香附子8分、       山梔子(塩水炒)各1銭2分、生地黄(姜汁攪拌・晒)8分、生姜」水煎熱服。
    ◎胃(胃の内腔)の血液が耗損し、痰火内欝し、水漿下り易く而して食物消し     難きを治す。もし噎膈の症(のどのつまる病)或いは気分の火が中に壅遏して     時に刺痛をなす者は皆怒憂思慮にて心を労するに由り致す所なり。
◎胸膈刺痛するには:「姜黄」
    ◎胸、噎悶するには:「枳殻」
    ◎胸内煩熱するには:「黄連」
    ◎大便不利には:「大黄(酒蒸)」
◎痰あれば:「半夏、姜汁地黄」
    ◎飲食美ならざるには:「白朮地黄」
    ◎吐には:「香地黄川芎桃仁」

解欝調胃湯《東醫寶鑑》
      「梔子(塩水炒)・当帰(酒洗)各1銭2分、白朮・陳皮・白茯苓各1銭、赤芍       薬(酒浸)・生乾地黄(酒洗)(姜汁炒)・香附米各8米、神麹(炒)・麦芽(炒)       各7分、川芎6分、桃仁・甘草(生)各4分、姜3片」水煎服。
    ◎気分が火のなかにつまって刺痛する。



 解欝和中湯《万病回春》《古今方彙》
      「赤茯苓・香附子(童便炒)・枳殻・山梔子各1銭、半夏・前胡各8分、神麹       ・黄連・紫蘇子・厚朴(姜炒)各7分、陳皮1銭2分、青皮(醋炒)5分、甘       草(生)4分、生姜」水煎温服。
◎胸膈痞満、内熱し夜安臥せず、臥すれば即ちますます悶える者を治す。



解欝和中湯《東醫寶鑑》
      「陳皮1銭2分、便香附・赤茯苓・枳穀・山梔子(炒)各1銭半、半夏・前胡       各7分、黄連(姜汁炒)・神麹(炒)・厚朴・青皮・紫蘇子(炒)各5分、甘草4       分、生姜5片」水煎服。
◎痞満で熱があって、安眠出来ない症。


解肌湯《外台秘要方》
「葛根湯黄」
      「葛根4両、麻黄3両、芍薬2両、黄2両、甘草1両、大棗12枚、桂枝       1両」
    ◎天行病二三日、頭痛、壮熱する者を主治とす。
◎此方は葛根湯の症、壮熱甚だしく少陽に進まんとする者を治す。
    ◎疫症、熱強く汗無き者、世医「達原飲麻黄」などを用ゆる場にして、一段強     く発すべき症あれば、此方を与えるべし。《勿誤薬室方函口訣》
    ◎痘瘡の初起、敗毒散を用いる症に、此方の行く所あり。
    ◎麻疹、泄瀉する者。
    ◎中風傷寒、脈浮、発熱往来し、汗出でて悪風し、頸項強ばり、鼻鳴り、乾嘔す     る者を主る。《傷寒翼方》

解噤丸《東醫寶鑑》
      「黄連8両、生姜4両」を同時に炒って、姜を捨て黄連を取って作末し、       陳米飲で梧子大の丸剤。70~80丸服用。赤痢には、陳米飲で呑み下し、       赤白痢には陳米橘皮湯で呑み下す。
◎噤口痢を治す。


解語丸《海蔵》《東醫寶鑑》
      「白附子・石菖蒲・遠志・活・全蝎・天麻・天南星(牛胆製)・白彊蚕」等       分を作末し、緑豆大の蜜丸。毎回50~70丸を姜湯で服用。
◎中風で話し方が正しくない者。

解語湯《永類鈴方》
      「桂枝7銭半、防風1両、独活半両、附子1両、羚羊角7銭半、甘草、酸棗       仁1両、天麻1両」
    ◎心脾経、風を受け、言語蹇渋、舌強ばり転せず、涎唾溢盛す、及び淫邪陰神を     搏ち、内昏、鬱塞、心脈閉滞し、暴かに言う能わざるを治す。
    ◎此方は中風の言語蹇渋を主とす。《勿誤薬室方函口訣》
    ◎言語蹇渋に虚実の別あり。
      <1>実する者:痰迷心竅なり。「続命湯」「滾痰丸」の類を用いるべし。甚だ             しき者は吐剤を与える。
      <2>虚する者:此方なり。《勿誤薬室方函口訣》
             此方の一等重き者:「神仙解語丹」
      <3>内熱有る者は:①《本草彙言》の一方。
②犀角一味。
    ◎《陳念祖》曰く、中風脾緩に舌強ばらず語らず、半身不遂を治す。



解語湯《永類鈴方》《龍野ー漢方処方集》
      「桂枝・独活・防風各3.0g、天麻2.0g、羚羊角末0.5g、甘草・白川附子各1.0g、       酸棗仁6.0g」
    ◎虚証の言語障害、舌不自由、流涎。
    ★適応症及び病名
       脳出血後の言語障害。
 

解酒化毒散《東醫寶鑑》
      「滑石4両、葛根1両2銭半、甘草7銭半」作末して冷水or熱湯で2~3       1日2~3回調服する。
    ◎酒に傷つき発熱し、小便が赤渋する者を治す。

解暑三白散《東醫寶鑑》
      「沢瀉・白茯苓・白朮各2銭を作1貼して生姜3片、灯心20茎を入れ、       水煎服。」
◎暑熱水を飲み過ぎて吐瀉になった症。

解毒丸[1]《東醫寶鑑》
      「黄・黄連・山梔子・滑石・牽牛子各5銭」作末し、水で梧子大の丸剤。       温水で30~40丸服用。
    ◎一切の熱毒・癰腫・瘡傷・驚悸・歯ぎしりを治す。

解毒丸[2]《東醫寶鑑》
      「板蘭根4両、貫衆(毛を去る)・青黛・甘草各1両」作末し蜜で梧子大の丸       剤。青黛で衣を付け、精神が朦朧としたら中毒の症で、急いで15丸をか       じって水で飲み下す。
    ◎飲食・その他の中毒を治す。
    ◎死にかかった者を治す。

解毒剤《香川修徳》⇒参照「香川解毒剤」

解毒金花散《東醫寶鑑》
      「黄連・黄柏各2銭、黄・白朮・赤茯苓・赤芍各1銭」水煎服。
◎熱毒膿血を治す。

解毒散《保赤全書》
      「忍冬化毒湯《痘疹救逆方》牡丹皮桃仁茯苓防風」

解毒四物湯《寿世保元》
      「温清飲地楡・槐花・阿膠・側柏葉」
◎大便下血を治し、糞便糞後を問わず。

解毒四物湯《東醫寶鑑》
「黄・黄連解毒湯四物湯」
    ◎崩漏で、色赤黒く腐った匂いがし、腹痛する者。

解毒天漿散《外科正宗》《古今方彙》
      「括楼根2銭、防風・防已・皀角刺・白鮮皮・連翹・川芎・当帰・南藤・木       瓜・金銀花・蝉退・苡仁各1銭、甘草5分、山帰来2両」水煎。服する       に臨みて酒を入れる。
◎下部にある瘡には:「牛膝」


解毒湯《漢方治療の実際》
    =「香川解毒剤」


解毒湯《東醫寶鑑》
      「黄連・黄・黄柏・山梔子・連翹・槐花(炒)各1銭、細辛・甘草各5分」       煎服。
    ◎臓毒を治す。

解毒防風湯《活法機要》《古今方彙》
      「防風1銭半、地骨皮・黄蓍・芍薬・荊芥・枳殻・牛蒡子各7分半」水煎。
    ◎発斑、及び疹、痒痛する者を治す。


解毒雄黄丸《和剤局方》
「雄黄 欝金 巴豆」
◎纏喉風・急喉痺・あるいは卒倒して歯を食いしばり、
人事不省の者。

解毒雄黄元《東醫寶鑑》
      「雄黄・欝金各2銭半、巴豆(去皮)14粒」作末し、錯麺糊で緑豆大の丸       剤。茶清で7丸を服用。
◎喉閉・口噤を治す。

解熱下痰湯《万病回春》《古今方彙》
      「紫蘇子・白芥子・枳実・黄連・桔梗・楼仁・杏仁・烏梅・黄柏・甘草・       生姜」水煎。
    ◎傷寒にて結胸、痰あり、熱あり、気滞あり、並びに咳嗽・失声するを治す。


解表升麻湯《万病回春》《古今方彙》
      「柴胡、消磨、藁本、活、防風、麻黄、蒼朮、陳皮、甘草、当帰、生姜、       葱白」煎服。
    ◎遍身壮熱して骨節疼痛するを治す。

 解表徐煩湯⇒大青竜湯《傷寒論》


解表二陳湯《東醫寶鑑》
      「二陳湯紫蘇葉・麻黄・杏仁・桑白皮・紫・貝母・桔梗各5分、姜3片」      入れて煎服。
    ◎哮吼を治す。

解酒化毒散《東醫寶鑑》
      「滑石4両、葛根1両2銭半、甘草7銭半」を作末し、毎回2~3銭を       服用。
◎酒に傷つき発熱・小便赤渋。

化痰清火湯《東醫寶鑑》
      「南星・半夏・陳皮・蒼朮・白朮・白芍薬・黄連・黄・梔子・知母・石膏       各等分、甘草3分、姜3片」水煎服。
    ◎雑を治す。

化斑湯《東醫寶鑑》
      「人参白虎湯に同じ」
    ◎陽毒・温毒・熱毒・発斑を治す。


血極膏[1]《東醫寶鑑》
「大黄を作末して醋熬して膏をつくって鶏頭大に丸め、毎回1丸を熱酒に       まぜ、就寝前に服用すると、大便が良く出るが、1~2回下ると、経水が       自然に下りる婦人の妙薬である。   
       ★本方当帰頭⇒「単大黄膏」という。
◎月経不通。

血極膏[2]《東醫寶鑑》
「大黄を酒蒸し9回、それを9回晒したもの4両に、血竭・没薬各5銭を加       えて丸剤。70~80丸を四物湯で服用。
◎月経が出ない(無月経)、諸薬が効なく病勢が危篤な者。

血竭散[1]《傷科補要》
「血竭・発灰・茅根・韮根」各等分
童便にて煎服

血竭散[2]《東醫寶鑑》
      「蒲黄2銭、竜骨・明礬各1銭、寒水石()4銭、血竭5を作末して、       少しづつ瘡上にまき、紙を貼る。
◎牙疳悪瘡。

血竭散[3]《東醫寶鑑》
      「血竭・牡蛎粉・髪灰」を等分に作末して、麝香を少し入れてツバで調合       して塗る。
◎痔瘻で痛むとき。

血府逐瘀湯《医林改錯》
「桃仁16g、当帰・生地黄・牛膝・紅花各12g、赤芍・枳穀各8g、桔梗・川       芎各6g、柴胡・甘草各4g」

血府逐瘀湯《医林改錯》《中薬臨床応用》
      「当帰9g、川芎3g、生地黄9g、桃仁9g、紅花3g、柴胡6g、赤芍薬9g、枳       殻6g、牛膝6g、桔梗6g、甘草3g」水煎服。
    ◎頭痛(肝気欝結による血)


 
血余帰母湯《中薬臨床応用》
      「乱髪霜9g、当帰(炭)9g、益母草15g、何首烏9g、生地黄18g、大棗8g」       水煎服。
    ◎不正性器出血
    ◎吐血

血余散《東醫寶鑑》
「髪を皀角水で洗って、晒して乾かした後、白茅根の煎湯または醋湯で服用。
◎衂血・吐血・便血・内崩。

決明元《東醫寶鑑》
      「麦門冬・当帰・車前子各2両、青子・防風・枳穀各1両、・細辛・じゅう伊      ・枸杞子・決瀉・生乾地黄・石決明・黄連各5両」を作末し、梧子大の蜜       丸。空腹時に、麦門湯で50~70丸服用。」
◎熱病の後、目の膜がかすむ者。

決明散《東醫寶鑑》
「石決明・草決明・黄芩・甘菊・木賊・石膏・赤芍・川芎・羗活・蔓荊子・甘草各7分、生姜5片」水煎服。
    ◎風熱の毒気で内障になろうとする者。

決明子湯《中薬臨床応用》
      「決明子(炒黄)9g、柴胡9g、黄連6g、淡竹葉9g、防風6g、升麻3g、細辛1.5g、       菊花9g、甘草3g」水煎服。
    ◎目の充血
    ◎目が痛い
    ◎羞明
    ◎涙が出る
    ◎結膜炎

決明夜霊散《証治準縄》
      「石決明、夜明砂、猪肝」



結陰丹《東醫寶鑑》
「枳穀・威霊仙・黄蓍・陳皮・椿根・白皮・何首烏・荊芥穂各5銭」作末し、       酒糊で梧子大の丸剤。米飯に酢を少し混ぜて、50~70丸服用。
◎血便。

結核一方《寿世保元》《古今方彙》
「黄芩1銭3分、枳実・紫蘇子・貝母・連翹各1銭、白芥子8分、海藻・香附子・桔梗各7分、甘草3分」水煎、食後服用。
◎痰核、気核(梅核気)を治す。


結毒喉癬一方《広算記》
「桔梗・甘草各2銭、竜胆・射干各1銭、遺糧5銭、山豆根1銭」
右六味、牛黄を送下す。
◎此方《華岡青州》にて直ちに喉癬湯と名づけ、咽喉結毒の主方とす。

 

潔矩三和湯《医学正伝》《古今方彙》
「陳皮・甘草・紫蘇葉各7分、厚朴・白朮・檳榔子っかう1銭、海金砂4分、木通2分、生姜」水煎。
◎水腫、腸満倶に之を用いる。
◎気を順らし、脾を和し、湿を除き、水を利す。

月華丸
「天門冬・麦門冬・生地黄・熟地黄・山薬・百部・沙参・川貝母・阿膠・茯苓・獺肝・三七・桑葉・菊花を煮て膏にし、蜜で練って弾丸大にする。1丸ずつ、1日3回。」

月季酒《中薬臨床応用》
「月季花3g、当帰9g、丹参9g」適量の黄酒に浸けて服用。
    ◎無月経
    ◎稀発月経
    ◎月経の色がうすく少量
    ◎元気がない
    ◎便秘、大便が硬い






兼金散《東醫寶鑑》
「黄連・細辛」各等分に作末し、脱脂綿で患部を拭いてからぬる。
◎熱毒で口舌瘡になる者を治す。

兼済湯《済世全書》《古今方彙》
=[汗症門]の「白竜湯」なり。
◎男子失精、女人夢交、自汗盗汗を治す。


元戎四物湯《王好古》
「当帰・白芍・川芎・熟地黄・桃仁・紅花」
◎打撲・損傷の血、臓結便秘。

元陰湯[1]《本朝経験》
「六味地黄丸黄連・白芥子」
◎傷寒壊症、舌上黒苔あり、乾燥して亀裂。精神恍惚、津液枯渇し、熱劇しく、如何ともできない者を治す。
◎上盛下虚、舌上黒苔あり、精神恍惚なる者に奇効あり。夫れ内熱解せず、しばしば清火して熱退かざるは、人、寒涼以て熱を去るべきを知り、壮水以て火を去るべきを知らざるなり《傷寒翼方》

元陰湯[2]《本朝老医伝》
「六味地黄丸白芥子・防風・黄蓍」
◎麻疹後数日、熱退かざる者を治し奇効あり《雨森牛南》
◎熱性の流行病に効あり。《救瘟袖暦》
◎此方は《本朝老医伝》の伝にて面白き考えなり。傷寒数日を熱解せず壊症になる者は、鍋に物の“焦げ“着いたようなものなり。無理に“焦げ”を取らんとすれば鍋を損ずるなり。先ず水を入れて潤してから火にかける時は、その“焦げ”が自然と取れるなり。傷寒に六味地黄丸を入れるは、先ず水を差すなり。 黄連・白芥子を加えるは火にかける意なり。《勿誤薬室方函口訣》

玄金散


玄胡索散[1]《東醫寶鑑》
「延胡索1両半、桂心・滑石・紅花・紅麹各5銭、桃仁30枚」を作末し、湯に浸した蒸し餅で梧子大の丸剤。錯湯で50~70丸服用。
◎瘀血で心痛する者。

玄胡索散[2]《東醫寶鑑》
「延胡索(炒)・当帰・蒲黄(炒)・赤芍・官桂各1銭、姜黄・木香・乳香・没薬各7分、炙甘草・生姜7水煎服。 
◎婦人の傷寒で、血が胸につかえて、心腹が痛む症。

玄珠転苗丹《東醫寶鑑》
「五味子8両、巴戟・遠志・枸杞子・山薬・白茯苓・肉蓉・百部根・杜仲・蛇床子・防風・柏子仁・菟絲子各2両」作末し蜜で梧子大の丸剤。温酒or塩湯で50~70丸飲む。
    ◎五臓の保養に特効あり。

玄参散《東醫寶鑑》
「玄参1両、升麻・射干・大黄(酒洗)各5銭、炙甘草2銭半」作末し、5銭を水煎し、温いうちに含んで、呑み下す。
◎懸雍垂腫を治す。
懸雍垂⇒咽喉の病症の1つで、上顎に出る症。
参升麻湯《活人書》《東醫寶鑑》
「玄参・升麻・甘草各3銭」水煎服。 
◎傷寒発斑・煩躁・胆語・咽喉閉痛。

玄参治咽湯《中薬臨床応用》
「玄参12g、地黄(生)18g、沙参9g、玉竹9g、四葉参30g」水煎。
    ◎慢性咽喉炎
    ◎扁桃炎

玄参貝母湯《東醫寶鑑》
「防風・貝母・天花粉・黄柏(塩水炒)・白茯苓・玄参・白・蔓荊子・天麻・半夏(製)各1銭、甘草5、生姜3」水煎し食後服用。
◎耳に熱があって汁が出、かゆい者   

玄参牝貝湯(=消瘰丸)《医学心悟》《中薬臨床応用》
「玄参30g、牡蛎120g(先煎)、浙貝母30g」
牡蛎を4.5杯の水で2.5杯まで煎じ、玄参・貝母を入れて1杯まで煎じ詰め温服する。
    ◎頸部リンパ腺炎
    ◎頸部リンパ腺結核

玄菟固本丸[1]《必用方》
「兎絲子(酒製)4両・熟地黄4両・生乾地黄4両・天門冬(酒炙)4両・麦門冬(酒炙)4両・五味子(酒浸、芯を去る)4両・茯神(酒浸、芯を去る)4両・山薬(炒)3両・蓮肉2両・人参2両・枸杞子2両」を作末し梧子大の丸剤。毎回80~90丸、温酒または塩湯で服用。

玄菟固本丸[2]《東醫寶鑑》
「菟絲子1斤を酒に作って浄末8両、熟地黄・生乾地黄・天門冬・麦門冬・五味子・茯神各4両、山薬(微炒)3両、蓮肉・人参・枸杞子各2両」作末して梧子大の丸剤。温酒or塩湯で80~90丸飲む。
◎虚労による下元の衰弱した者を治す。

玄菟丹《東醫寶鑑》
「菟絲子(酒浸)10両、五味子7両、白茯苓・蓮子肉・山薬各3両」作末し、別途に山薬末3両を作って、菟絲子漬けた酒で糊を作り梧子大の丸剤。空腹時に米飲で50~70丸飲む。
    ◎三消渇を治す。

玄霜膏
「烏梅汁・梨汁・柿霜・白砂糖・白蜜・蘿菖汁各4両、生姜汁1両、赤茯苓8両を乳汁に漬け、乾かすこと9回・款冬花・紫末各2両」を土鍋に入れて煮て膏をつくり、弾丸大の丸剤。就寝前に服用。

玄霜雪梨膏[1-1]
「雪梨60個を芯を取って皮をむいて汁を取ったもの・生藕・生地黄汁・麦門冬を煎じて汁を絞ったもの・生蘿菖汁・白茅根汁」以上の汁を良く濾過して炭火で煮、煉蜜1斤、飴糖8両、柿霜8両、姜汁半杯を入れて粥のように煮て、3~5匙ずつ、1日3回服用。
◎咳・嗽・唾・喀血・吐血・心労。

玄霜雪梨膏[1-2]《東醫寶鑑》
「雪梨60個の芯と皮は捨て、汁を取って20鍾子、蘿汁10鍾子、生地黄汁10鍾子、麦門冬を煎じて汁を取って5鍾子、生蘿葡汁5鍾子、茅根汁10鍾子」を濾過して滓を去り煮る、「煉蜜16両、飴糖8両、柿霜8両、姜汁半杯」を入れ再び煮ると粥のようになって膏となる。これを毎回3~5匙食べる。
◎労嗽の治らない症に使う。痰を消化させ咳を止め、喀血・唾血を止める。

 

玄白散《万病回春》《古今方彙》
「大黄・生地黄・赤芍薬・当帰尾・檳榔子・牽牛子(赤痢には黒、白痢には白、赤白には黒白相雑し、兼ねて半生半炒を用いる)・枳殻・莪朮・黄連各2銭」水煎し空心に温服。
◎暑月には:「香」


芡実丸《東醫寶鑑》
「芡実500個、七夕蓮花鬚・山茱萸各1両、白蒺藜5両、覆盆子2両、龍骨5 銭」作末し蜜で梧子大の丸剤。空腹時に蓮肉を煎じた湯で60~70丸服用。
◎交合する前に射精する者。
◎夢泄に効く。




健胃保和元《東醫寶鑑》
「白朮2両、枳実・山楂肉・橘紅・麦芽各1両、神麹・白豆蔲・木香各5銭」作末し、粳米飯で梧子大の丸剤。白湯で50~70丸服用。
◎消化を補い、脾を養う。


健脾丸[1]
「白参・白朮・陳皮・麦芽・山楂子・枳実」
◎脾虚で気弱く、飲食消化せず。

健脾丸[2]《東醫寶鑑》
「白朮5両、白茯苓・白芍・半夏(姜製)各3両、陳皮・神麹・山楂子・当帰(酒洗)・川芎各2両」を作末し、荷葉の煮た水で米糊をつくって梧子大の丸剤。白湯で100丸呑む。
◎脾胃を壮健にし、食欲増進、消化を良くする。

健脾丸《中薬臨床応用》
「神麹9g、山楂子9g、麦芽12g、陳皮6g、党参6g、白朮6g、枳実6g」水 煎服。
◎食欲不振
◎消化不良
◎胸腹が脹って苦しい


健脾資生丸《先醒斉医学広筆記》
「当帰、白朮、白扁豆、石蓮肉、芡実、茯苓、山子、山薬、神麹、薏苡仁、沢瀉、藿香、橘紅、白豆蔲、桔梗、甘草、麦芽、黄連」



健脾退翳丸《中医雑誌1958年10月号》
「白朮・遠志肉各1両6銭、蒼朮・杭菊花・鶏金・白蒺藜・蔓荊子・紅花・檳榔・莪朮・木賊・枳実・生地黄(炒)・三稜各1両2銭、使君子1両、蝉退8銭、竜衣・甘草各4銭、製大黄・養肝散各5両、清肝翳活血丸末4両。以上の薬を作末して、蜜で練って3銭の丸剤とし、毎服半丸ないし1丸。」

健脾和胃湯⇒香砂六君子湯。

健歩丸《東醫寶鑑》
「防已1両、羗活・柴胡・滑石・瓜蔞根(酒洗)・炙甘草各5銭、沢瀉・防風各3銭、苦参・川烏各1銭、肉桂5分」を作末し、酒糊で梧子大の丸剤。葱白・荊芥煎湯で70丸服用。
◎湿熱によって脚・膝に力が入らない、屈伸出来ない、腿・腰が重い者。

 

健歩虎潜丸(=虎潜丸)《中薬臨床応用》【中成薬】
「虎骨、鎖陽、牛膝、熟地黄、当帰、白芍、桑寄生、黄柏、亀板」1日1~2回、6~9gづつ、食前にうすい塩水で服用。
◎骨格の発育不良
◎筋肉の運動麻痺
◎病後の腰痛、下腿無力。

健忘一方《寿世保元》《古今方彙》
「当帰・生地黄・白朮・玄参各1銭、川芎・白芍薬・茯苓・知母(酒)・黄柏(酒)・麦門冬・山梔子・甘草各5分、生姜」水煎。
◎物忘れ、読書辛苦して而して房労ある者を治す。


建中湯《活幼心法》
「人参2銭、黄蓍3銭、白朮・当帰各1銭5分、附子・乾姜・桂枝各1銭、丁香5分、甘草1銭」
◎痘、淡白にて頂陥み、腹鳴下痢、寒顫咬牙するを治す。
◎此方は痘毒内陥して下利寒戦の者を主とす。《勿誤薬室方函口訣》
◎癰疽、諸瘍、及び産後の下利止まず寒戦する者に効あり。
◎もし毒内攻して下利戦慄する者は:「真武湯反鼻」《勿誤薬室方函口訣》

建中益気湯《保命歌括》


建理湯《勿誤薬室方函口訣》
「建中湯理中湯」
◎此方は方意相反して効を相同じくす。建中湯は胃中を潤す薬なり、理中湯は胃中を燥かす薬なり。《勿誤薬室方函口訣》
◎もし胃中潤沢無く、血気行らず、拘急或いは腹痛すれば、胃中の水穀ますます化すること能わず、遂に内潰して下利をなす。故に二方を相合して効を奏するなり。《勿誤薬室方函口訣》
◎《百々漢陰》曰く、人の脾胃というものは、人家の台所にある“カマド”のようなものである。常に水を流さざるを得ない処なので、なるべく乾くように世話を焼かないと、カマドばかりが朽ちる。人に脾胃も水穀を受け込む処なので、なるべく水気の巡るように、乾くようにしないと、朽ちて傷むものです。
◎大腸炎の一証、下剤や附子剤が不可も者に用いる《済世薬室》
◎後重があれば、「桂枝加芍薬湯乾姜将軍」なり《済世薬室》


建瓴湯(けんれいとう)《衷中参西録》
「生地黄 淮牛膝 杭白芍 柏子仁 生代赭石 生竜骨 生牡蛎 煎服」



堅中湯《備急千金要方》
「半夏3両、大棗50枚、茯苓・芍薬・乾姜・甘草各3両、桂枝2両」
右7味、本、大棗無く、大黄有り。
今、茯苓を以て之に代える。或いは当帰を加え、或いは呉茱萸を加える。
◎此方は小建中湯の変方にてその用広し。
◎古方家は、小建中湯茯苓を用ゆれども、此方の伍用がはるかに勝れり。《勿誤薬室方函口訣》
◎利後、腹中拘急し、水穀化せざる者。
◎慢性胃腸炎:腹壁薄く緊張し、腹力がなく、胃内停水があり、食後に腹痛・嘔吐する者。

堅中湯《備急千金要方》《漢方後世要方解説》
「半夏・茯苓各5、桂枝4、芍薬・大棗・乾姜各3、甘草1」
(或いは当帰3、呉茱萸1.5を加える)
◎虚労内傷、寒熱、嘔逆、吐血するを治す。
◎此方は小建中湯の変方で、古方を以てすれば小建中湯茯苓を用いたき場合によい。
主として、胃潰瘍、胃拡張等の慢性に経過したもので、腹壁両直腹筋薄く緊張し、而も腹力無く弱く、胃内停水もあって食後の腹痛、呑酸、雑、時々嘔吐を発する者に用いられる。

★適応症及び病名 (50音順)
[1]胃潰瘍
[2]胃拡張
[3]慢性胃炎:



芫菁膏


蠲飲枳実丸《東醫寶鑑》
「黒牽牛(子頭末)3両、枳実(麩炒)・半夏(製)・橘紅各1両」を作末し、麺糊で梧子大に丸め、毎回50丸を姜湯で服用。
◎遂飲・導気・清膈・消痰に応用。

蠲痛元《東醫寶鑑》
「延胡索1両、川練肉・茴香(炒)各5銭、白丑頭(未炒)・当帰・良姜・青皮・木香・烏薬各2銭半、全蝎(焙)7枚」を作末し、綿汁で梧子大の丸剤。焼縁灰で調合した酒で30~50丸を呑む。
◎小腸・膀胱気痛を治す。

蠲痺解毒湯《保嬰撮要》《古今方彙》
「蠲痺消毒散《外科枢要》独活皀角刺白鮮皮羗活」

蠲痺消毒散《外科枢要》
「蠲痺湯[1]《楊氏家蔵方》黄蓍防風甘草白・遺糧」
◎時瘡、肢節筋攣を治す《勿誤薬室方函口訣》

蠲痺消毒散《外科枢要》《古今方彙》
「姜黄・独活各5銭、白朮・当帰各1銭半、赤芍薬1銭、白芷5分、山帰来」       水煎。
◎時瘡にて肢節筋攣を治す。


蠲痺湯[1-1]《楊氏家蔵方》
「当帰・羗活・姜黄・芍薬・黄蓍・防風各60g、甘草20g 生姜」
◎風湿相打ち、身体煩疼し、項臂痛重し、挙動困難す、及び手足冷痺し、腰腿沈重、筋脈無力なる者を治す。
◎此方は麻痺筋攣の要薬とす。
◎風寒湿三気合して痺を成すと云うが目的なり。《勿誤薬室方函口訣》
◎臂痛の湿に因る者を治す《方読便覧》
◎按ずるに此方は痛痺の套剤なり。或いは「附子・苡仁」その力更に捷やかなり。《脚気提要》

蠲痺湯[1-2]《済世方》
「当帰、芍薬、黄蓍、片姜黄、羗活、炙甘草、防風、生姜、大棗」
◎身体ひどく痛み、項背ひきつれる。

蠲痺湯[2]《万病回春》《古今方彙》
「当帰・赤芍薬・荻・羗活・欝金・甘草(炙)各等分、生姜」水煎。
◎臂痛が湿に因る者を治す。
◎兼ねて風湿相搏ち、手足冷痺し、四肢沈重の者を治す。

蠲痺湯[3]《東醫寶鑑》
「大豆蘖1升」炒って作末し、毎回1銭を1日2回、温酒で調服。
◎手が冷えて麻痺した(⇒冷痺)者。
◎体が冷え熱がなく、腰脚が沈重した者。


蠲痺湯[4]《医学心悟》《中薬臨床応用》
「海風藤12g、独活3g、羗活3g、桂心1.5g、当帰9g、川芎2.5g、桑枝9g、       乳香2.5g、木香2.5g、甘草(炙)1.5g」水煎服。
    ◎風湿による関節痛
    ◎脚気の浮腫
    ◎寒気を伴う腰膝の無力感



巻柏散《東醫寶鑑》
「巻柏の東向きのもの(塩水で半日煮て、再び甘冷水で半日煮て焙乾)・黒・甘遂・檳榔」作末する。五更初に、葱白湯の濃く煎じたもので、巻柏・牽牛子・甘遂各1銭、檳榔2銭を調服する。
◎久年の脚気で難治の者。

捲廉散《証治準縄》
「炉甘石4両、朴硝5銭、黄連(細砕し煎じ汁・去滓)7銭」まず炉甘石の粉末を坩堝(るつぼ)の内に入れ、口をあけたままで外が霞色になるまで焼き、次に黄連・朴硝を水浸し、それを吹き付けてからさらに乾燥させ、次に「膩粉(別磨)・砂(別磨)・白礬(半生・半吹き付け)・黄連(末)各5銭、青銅1両5銭、白丁香(別磨)・乳香(別磨)・鉛白霜(別磨)・青塩(別磨)・胆礬(別磨)各1両」前の薬といっしょに合わせて磨り、毎回少量、眼にさす。

牽牛散[1]《普済本事方》
「牽牛子・木通・白朮・桑白皮・木香・肉桂・陳皮」

牽牛散[2]《沈氏尊生書》
「牽牛子・大黄・檳榔子・雄黄」


牽正散[3-1]《証治準縄》
「白附子・白彊蚕・全蠍(並生)各等分」作末し毎回2銭を熱酒で調下する。
◎中風で口眼がひきつれる。

牽正散[3-2]《楊氏家蔵方》
「白附子、白殭蚕、全蝎」

牽正散[3-3]《楊氏家蔵方》《中薬臨床応用》
「製白附子6g、白殭蚕6g、全蝎3g」水煎服。
    ◎中風で痰が多い
    ◎脳卒中の顔面神経麻痺
    ◎半身不随



蜆子水《東醫寶鑑》
「生きた蜆子を、5日間水に入れて置いて、毎日その水で手や顔を洗う」
◎痘痂が落ちても、そのあとが黒く、凸凹がある痘後に、これで洗う。

 

減瘢散《東醫寶鑑》
「鉛粉1両、軽粉2分半」細末にし。猪脂で調合して1日3回塗る。
◎痘痂が落ちても、そのあとが黒く、凸凹の形があるとき。