薬物<ち>


 チクセツニンジン=「竹節人参」


チコリ
【学名】Cichorium intybus
【英名】Chicory(チコリ)、wild succory、blue sailors
【和名】(キクニガナ)
【原産地】地中海沿岸
【利用部位】生の根・葉。
【成分】
<1>根・地上部----ラテックス
<2>根:イヌリン(58%)
   苦味質(ラクツン、ラクツコピクリン)
   シコリイン
   タラキサステロール
   タンニン
   糖類(果糖)
   ペクチン
   不揮発性油
    アルカロイド
   セスキテルパン(焙焼で):抗菌作用
<3>地上部:イヌリン
      果糖
       樹脂
      シコリイン
      エスクレチン

【効能・効果】タンポポに類似する
<1>調理:白菜のような色でサクッとした歯触り。鉄分やカルシウム・ビタミンなどが豊富。サラダやグラタンの他、1枚ずつ葉をはいでチーズやキャビアなどをのせて食べる。新顔の野菜。
 コーヒーの代用
<2>強壮薬
<3>胆汁の分泌を促進
<4>胆石の特効薬
<5>利尿作用
<6>体内から尿酸を排出する
<7>心拍数を抑える
   ・動悸
   ・不整脈
   ・心房細動
<8>血糖降下作用

■糖類「DFA3」
「ファンケルは北海道大学や日本甜菜製糖と共同研究している糖類「DFA3」を摂取しても、血糖値の上昇や肥満、虫歯を誘発しないとする実験結果をまとめた。DFA3は西洋野菜「チコリ」の根から抽出した物質に酵素を反応させて作った糖類。健康な成人9人にDFA3やラクチュロース(オリゴ糖の一種)などの糖類10gを水200mlと一緒に摂取させ、血液や呼気を採取・計測した。
その結果、血糖値やインスリンは上昇せず、ラクチュロースと比べても下痢や胃腸障害を起こしにくかったという。2003.3.26《日経産業新聞》
■DFAⅢ
「ビート糖最大手の日本甜菜製糖は10億円を投じて、自社のパン用イースト工場(北海道清水町)に新型盗塁「DFAⅢ」の量産工場を新設した。サプリメント用の多糖類として注目されるDFAⅢの供給を今月からまずファンケル向けに始める。
DFAⅢはチコリという野菜の根などに含まれる多糖類物質『イヌリン』を酵素で反応させて生産する新たな二糖類の一種。甘い味だが、食べても血糖値が上昇しない。酸や熱に強く、カルシウムやミネラルの吸収を促進する効能がある。
供給を受けるファンケルはDFAⅢを「ツイントース」の商標で用いる。2004.3.4《日経産業新聞》




チーズ
◎製法:
<1>ヨーロッパ型=レンネットを使って凝乳・熟成する。 
 レンネットは、子ウシの第4胃にある凝乳酵素。
<2>モッゴル型=レンネットを使わない。
 発酵型で、ヨーグルトから水分を除き、それを乾燥して固めたもので、クルートとかジャミートとか呼ばれる。

◎牛乳の主要タンパク質であるカゼイン(酸で固まり、タンパク質の80%を占める)を凝固させ、その後ホエー(乳清と言われ、20%含まれ、酸で固まらない)を脱水処理で除去するという製造過程で、乳糖は大部分除かれる。乳糖は1%以下にまで除去されるので、乳糖不耐症に対する人類の知恵と言われる。



チーゼル
【学名】Dipsacus fullonum
【英名】Teasel(チーゼル)
【和名】オニナベナ
【分類】マツムシソウ科、2年草
【原産地】北アフリカ
◎根を利尿、健胃、去痰に使われた。


チタン
■用途広がる
「チタンは鉄の2倍の強度を持ち、重さは鉄の60%、さびにくさはステンレスを遙かにしのぐ。
チタンは18世紀末に英独で相次いで発見された。リチル鉱石に閉じこめられているため、ギリシャ神話で知手に封じ込められた巨人タイタンにちなんで名付けられた。
1946年に現在も主流のマグネシウム還元法と呼ぶ製造法が開発された。日本では52年に住友チタニウムがチタンの半完成品であるスポンジチタンの国産化に成功。」



 チャ(茶)→茶葉チャヨウ
 白折(茎茶)
玉露・・・一芯二葉を摘む。


チャイブ
【学名】Allium schoenoprasum
【英名】Chives
  (アサツキ)
【分類】ユリ科、多年草
【原産地】北半球
【使用部位】葉。
【成分】精油(イオウを含む)
【効能・効果】薬草としては用いない。



チャービル
【学名】Anthriscus cerefolium
【英名】Chervil
【和名】ウイキョウゼリ
【分類】セリ科、1~2年草
【使用部位】生の葉。
【成分】精油
【利用】調理用
【効能・効果】




チャボイナモリ
■抗ガン物質
「千葉大学のチームは、植物が抗ガン作用のある物質を作り出す仕組みを突き止めた。抗ガン物質は毒性があり、本来は植物自体にも悪さをするが、植物は細胞を作るタンパク質を一部変異させて、毒性から身を守っていた。
成果は米科学アカデミー紀要電子版に掲載
コーヒーノキと同じアカネ科の「チャボイナモリ」という植物は抗ガン物質を作り、ガンの治療に利用されている。抗ガン物質はDNAの複製や細胞分裂を阻害する毒性をもつが、植物自身に害が生じない理由はこれまで不明だった。
細胞分裂に重要なタンパク質の遺伝子を様々な植物で解析。抗ガン物質を作る植物では、特徴的なアミノ酸の変異が複数見つかった。



チューリップ
■機能性プラスチック
「2009年、富山県立大学の加藤康夫準教授らは、チューリップから機能性プラスチック原料を製造する方法を開発した。花弁などに含まれる抗菌作用のある抽出物に、同じくチューリップから採りだした酵素を加え、アルコール性溶媒などで分別したところ、プラスチック原料ができた。
成果は3/27の日本農芸化学会で発表
原料になるのは、「チューリッパリン」とよぶ物質。もともとチューリップに存在し病原菌に感染したときに枯れないように作用する。物質に含まれる成分は「α-メチレン-γブチロラクトン」と総称され、バイオプラスチック原料や液晶パネル用フィルム、リチウム電池電解液に使える。
チューリッパリンの存在は知られていたが、チューリップの中から安定的に取り出す簡単な方法が無かった。加藤準教授らはチューリッパリンの前駆物質から効率よく変換する特定の酵素を分離。この酵素を用いることで、前駆物質からの変換率はほぼ100%になった。



チョウザメ
■1997.1.11《日本経済新聞》
「キャビアで有名な『ダウリアチョウザメ』の雌が10日早朝、岩手県釜石市のサケ定置網にかかり、釜石魚市場に約10年ぶりに水揚げされた。このサメが体長が約2m、重さ46kgと、通常の倍近い大きさにもかかわらず、産卵後だった為、期待されたキャビアは入っていなかった」
■全国の主なチョウザメ養殖場1998.2.8《日本経済新聞》
<1>鹿児島県指宿市
<2>宮崎県小林市:オオチョウザメとコチョウザメを交配し食肉用に開発した「ベステル」を養殖。91年に国内で2番目に人工孵化に成功。
<3>岡山県玉野市
<4>兵庫県朝来町

<5>愛知県一色町
<6>神奈川県相模原市
<7>千葉県成田市
<8>茨城県つくば市
<9>新潟県六日町
<10>山形県村上市
<11>岩手県釜石市
<12>北海道江別市
<13>北海道美深町:昨年、ベステルの人工孵化に成功。世界のチョウザメ6種類を水族館で展示。
■金魚にチョウザメ細胞を移植
2014年、チョウザメの受精卵から取り出した生殖細胞を金魚の胚に移植すると、孵化した金魚の体内で生殖細胞が藍藻や精巣にに発達する生殖腺にたどりつくことを北海道大などの研究チームが突き止めた。
卵や精子のもととなる細胞の機能には、種を超えた共通性があることを示す成果。
北海道大学の山羽悦郎教授らはチョウザメの生殖細胞1つを特殊な染料で染めて金魚の胚に移植。金魚が孵化するまでの課程を追跡。チョウザメの生殖細胞が卵巣に含まれても金魚はチョウザメの卵を産まないが、山羽教授は「近縁種のチョウザメ同士なら異なる種の卵を産む可能性がある」と指摘する。
山羽教授のグループは調査の過程で、チョウザメが通常の魚類のように卵の一部で細胞分裂が進むのではなく、両生類のように卵の全体で分裂が進むことも確認した。
■泡で成長促進
精密バルブ製造のフジキンは、マイクロナノバブルを使い、チョウザメの成長を促進させる技術を開発した。
1992年に人工孵化に成功し、99年からは卵から水槽で完全養殖を実現している。
酸素から作ったマイクロナノバブルは直径が50マイクロ㍍。その一部は1マイクロ㍍以下になる。水中に長くとどまって水槽の汚れを分解する細菌の働きを高めたりする。
水に溶けている酸素の濃度がそれ以上溶けない飽和状態になっていた。
■宮崎県小林市
1983年、水産試験場内水面支場で旧ソ連から200匹を受け入れた。
2016年には親魚、養魚、稚魚を合わせて24000匹。
名水百選「出の山湧水」で育てている。
シロチョウザメとシベリアチョウザメを育てている。



 チョウジノキ Clove,Syzygium aromaticum
(参照→「オイゲノール」)
チョウジcloves(丁字)は熱帯常緑樹のチョウジノキの乾燥つぼみです。
血液希釈能のある薬物(抗凝集薬)としての化合物であるオイゲノールを含有するハーブです。

◎以下のハーブもオイゲノールを含有します。
「チョウジノキClove」
「オールスパイスallspise」
「ベーラムbayrum」の葉
「ガランガルgalangal」
「ニンジン(carrot)」種子
「シュラッビイバジルshrubby basil」
「シナモンcinnamon」
「ゲッッケイジュ」の葉
「マジョラム」



チョウセンアサガオ
     (→ダツラ)

「朝鮮朝顔」。別名[キチガイナスビ][マンダラゲ][イガナス]

【基原】ナス科チョウセンアサガオ属の1年草。
【学名】Datura metel
【英名】Datura
【成分】ヒヨスチアミン
スコポラミン
アトロピン
【作用】精神錯乱、譫妄、幻覚
◎有毒部位:全草。
  掘り起こした根をゴボウと間違えて中毒する。
◎有毒成分:スコポラミン
      アトロピン
◎中毒症状:

*口や喉が乾き、皮膚温度の上昇、倦怠感、脱力感、
*腹痛、下痢、
*瞳孔散大
*錯乱、幻覚、精神分裂病や急性アルコール中毒に似た症状。
*重症では呼吸困難、ケイレン。
   

◎24時間生存すれば、ほぼ回復する。死亡率は低い。

■全身麻酔
「江戸時代の外科医・花岡青州がチョウセンアサガオの調合薬で全身麻酔を行い、乳ガンの手術をしたのは1805年(文化2年)だった。世界の熱帯・亜熱帯で24種が知られている。そのうち青州が使ったと思われるのはインド原産のダツラ・メテルという種類である。」
チョウセナサガオには麻酔作用はあるが、エーテルや笑気ガスのように眠りをもたらすことが出来ない。
■中国へは
「イブン・スィーナ著の《医学規範》は、十一世紀~十七世紀にわたって西欧医学の基本原書となった。そこに記述がある。
明を代表する李時珍(1518~93)が《本草綱目》で、この植物について触れているが、いつ頃中国へ入ったかは不明。
園芸用にはチョウセンアサガオ、薬用には曼荼羅華と呼んで区別した。」
■兵庫県で
「兵庫県三木市に住む53歳と25歳の母子が有毒植物のチョウセンアサガオを食べ、めまいやケイレンなどの症状を訴えて入院した。2人は今月9日、知人から「自宅の畑でとれたゴボウ」をもらい、調理して食べたが、実際はチョウセンアサガオだった。知人はゴボウを植えたことは無かったが、「どこからか種が飛んできて生えたのだろう」と考えたという。
チョウセンアサガオの根はゴボウ、実はゴマによく似ている」2003.4.15《日本経済新聞》


チョウセンアザミ(和名)→「アーティチョーク」


tyoma
苧麻
カラムシ

(苧、枲、学名:Boehmeria nivea var. nipononivea)は、イラクサ目イラクサ科の多年生植物。南アジアから日本を含む東アジア地域まで広く分布し、古来から植物繊維をとるために栽培されてきた。同様に繊維をとるために栽培されるラミー(Ramie、学名:B. nivea var. candicans)もこの種に含まれる。
日本で麻(アサ)の材料に使われる。 線維になるとアオサ
昭和村で栽培。カラムシの線維 新潟に送られ、越後上布に加工される


チョコレート
■運動能力を高める
「鳥居鎮夫(東邦大名誉教授)によると、体育学生にチョコレートを食べさせた場合、ダッシュに要する時間が短縮したという。チョコレートは運動能力を高めるようだ。注意力や集中力に特有の脳波変化を測定して、やはりチョコレート摂取の効果を確かめている。この効果は、チョコレートの香り成分の刺激によるもので、その主因は[フェニルアセトアルデヒド]という揮発性物質らしい。(五明紀春・女子栄養大学教授)1998.2.2.《日本経済新聞》
■ブラックチョコ
「動脈硬化予防には、ブラックチョコレート。チョコに含まれる動脈硬化を防ぐ成分は、ミルクを加えたり、牛乳と一緒に食べた時には、人体に十分吸収されないことが、イタリア国立食品栄養研究所と英グラスゴー大学の共同研究で明らかになった。
チョコレートには、緑茶にもあるエピカテキンなどのフラボノイド(ポリフェノール)が含まれ、悪玉コレステロールの酸化を防ぐ効果が知られている。共同研究グループは25~35歳の健康な男女12人に、
①ブラックチョコ100g
②ブラックチョコ100g+脂肪分の多い牛乳200ml
③ミルクチョコ200g
を別々の日に食べてもらった。4時間後の血液中のエピカテキン量を調べたところ、ブラックチョコだけを食べた①の場合に比べ、②の場合は46%、③の場合は69%も少なかった。2003.8.31《日本経済新聞》
■ダークチョコが下痢を抑える
「米小児病院オークランド研究センターの研究グループは、ミルクをほとんど加えないダークチョコレートに下痢を治す効果があることを突き止めた。
下痢は細菌などが原因で長が吸収する水分が減少するために起きる。研究グループは小腸の内壁をも模擬した細胞培養実験で、カカオ豆に含まれるフラボノイドの働きを調べた。すると、フラボノイドが長にある『CFTR』と呼ばれるタンパク質に結合して、腸が水分を吸収しないようにを抑えることが分かった。」2005.10.5《産業》




チョロギ
【基原】中国原産の多年草。シソ科植物。
【別名】長老木、千代老木。
 日陰が多い野山に自生。高さ60cm前後。初秋に薄紫の花をつける。
京都・貴船当たりの北山や比叡山山麓。
◎巻き貝に似た3cmほどの白い地下茎が食用される。日本では江戸時代から和え物や吸い物に使われてきた。
正月料理には、梅酢に漬けて赤く染めたものが、黒豆に添えられる。
  

【効能・効果】(チョロギ)
◎低酸素状態の脳細胞を活性化する。
(京都薬科大学・山原助教授がマウスで実験)


チリ
【学名】Capsicum frutescens
【英名】Chllies
(シマトウガラシ)
【使用部位】果実
【成分】酸アミド型辛味成分(カプサイシン 1.5%以下)
   カロチノイド
   フラボノイド
   ビタミンAC
   精油
  

【効能・効果】
〇血液循環刺激薬
“チリは強力で持続性のある心臓刺激薬であり、その効果はどの器官にも及ぶ”(T.J.ライル博士)
〇発汗作用
〇食欲増進(少量で)
  

【注意】
◎過量になると、以下の症状を来す
*胃腸炎を起こす
*肝臓・腎臓に損傷を与える



チンパンジー
■行動時に
2012年、京都大学の明和政子准教授や平田聡特定准教授らは、ヒトが他者の顔を観察した上で、その行動を学ぶことを実験で確認した。
それに対しチンパンジーは相手の顔をほとんど見ないで、動かした物ばかりに注目する。
人がコップにジュースを注ぐ映像を見せ、その際の視線の動き方を調べた。人の場合、赤ん坊でも動作の前後を通して人の顔をよく見た。一方、チンパンジーはコップやジュースばかり見て、人の顔を見ることはほとん無かった。
ボノボにチンパンジーの全身を見せると、顔に注目した。次にチンパンジーの顔だけを見せると、特に目の部分を注視した。
■チンパンジーがどれくらいチンパンジーを殺すか?
2014年ネイチャー
観察期間・・・

タンザニアのゴンベ(54年間)

タンザニアのマハレ(49年間)
ギニアのボッソウ(38年間)
ボッソウでは1例も観察されていないのが、152例の殺害があった。
隣り合う群れ同士の抗争で相手を殺すことが多い。
オスが殺し。オスが殺される。
1対1でなく、平均8対1。多数が犠牲者をなぶり殺す。
チンパンジーは殺しを命じない。自ら殺す。
誰かを殺すように命じるのは、人間だけである。
松沢哲郎・京都大学霊長類研究所教授
■チンパンジーとボノボ →「ボノボ」
約600万年前、ヒト属の祖先とチンパンジー属(パン属)が分かれた。
パン属はさらにチンパンジーとボノボに分かれた。
ヒト属は、われわれサピエンス人とネアンデルタール人に分かれた。
■瞬間記憶
2016年
チンパンジーの子どもが、人間のおとなよりも知的に優れている面がある。
それは、見たものを一瞬で覚える瞬間記憶の力だ。
人間にはとうてい覚えきらない数字をチンパンジーの子どもは楽々と覚えることが、松沢哲郎・京都大学霊長類研究所教授らの研究で明らかになった。
3組のチンパンジーの親子で研究。こどもたちが4歳(人間で言えば6歳)のころから数字を教えた。
画面にまず、白丸が出て、それを指で触れると、画面のでたらめな場所に1~9までの数字が出てくる。これを1,2,3・・・9と順次に触れることができれば正解。
毎日30分ほどの訓練を続けたら、子どもたちは約6ヶ月でできるようになった。
この段階で、人間とチンパンジーを比較。
9つ全部を覚えるのにかかる時間はチンパンジーの大人と人間の間で大差はなかった。が、チンパンジーの子どもは人間の大人よりよくできた。
時に「アユム」を名づけられたチンパンジーは、9個の数字を記憶して、最初に1を触れるまで、0.5秒しかかからない。しかもほとんど間違えない。
http;//langint.pri.kyouto-u.c.jp/al/
■5年に一度のペースで子どもを産む
生まれてから最初の3ヶ月間、子どもは一日中母親にしがみついている。
年の近い兄弟はいない。
死ぬまで産む続ける。孫の世話をする「おばあさん」という社会的役割がない。
父親という社会的役割がないので、子育ては基本的に母親が1人ですべてをこなす。



竹実
<1>心膈をすっきりさせる。
<2>気を増す。


竹茹(ちくじょ) BAMBUSAE CAULIS IN TAENIS
【基原】中国原産、日本で広く栽培される高さ10m内外の常緑竹。
イネ科ハチクなど青竹の表皮を去り、白い部分を薄く削って綿状にしたもの。
【性味】 寒瀉潤降平
【帰経】
【分類】化痰止咳薬。  
【薬性歌】“竹茹止嘔除寒痰 胃熱不寝堪”
竹茹、嘔を止め、能く寒熱を除く。胃熱、に。寐ねざるを安んじ歇(や)む。《万病回春》
【効能・効果】

(解熱・鎮静・鎮)
◎清熱涼血、煩を除き、吐を止める。
<1>吐衂崩中
<2>煩熱吐
<3>胎動不安
◎酒を飲んで頭痛したときに良い。
「青竹茹3両、水5升を煎じて滓をとり、冷たくして卵3箇を入れてかき混ぜ、再び煎じて飲む。」
◎嘔を治す。
「青竹茹1升を煎服。」
◎解熱、涼血、鎮除煩剤
<1>吐血・衂血
<2>煩熱
<3>崩漏
<4>小児驚癇
  

【修治】
<1>製姜汁:止化痰の力が強くなる。
  

【薬能】
《古方薬品考》
“味淡く苦くして、靖凉なり。故に能く痰火、逆上を降瀉す”
《古方薬議》
“味甘寒、、寒熱、肺痿、唾血、傷寒の労復を主どる”
  

【配合処方】
     温胆湯
     瓜蔞枳実湯
     橘皮竹茹湯
     舒筋立安湯
     清肺湯
     竹茹湯
     竹皮大丸
【品考】
竹茹=ハチクのあまはだを削ってわたのようにしたもの。


竹節三七(Panax japonicum C.A.Mey.)
分類:理血薬
効能:消腫の効力が、参三七[人参三七]より強い。


竹節人参(ちくせつにんじん) PANCIS JAPONICI RHIZOMA 
【処方名】:[竹節人参][竹参][土参]
【別名】竹節三七。
【基原】山林の樹陰地に自生し、地上部がオタネニンジンによく似た多年草、ウコギ科トチバニンジン、一名チクセツニンジンの根茎を湯通しして乾燥。
【性味】味は甘苦、性は温。
【帰経】肝・脾経。
【効能・効果】
◎解熱、袪痰、健胃作用。
  

【薬理作用】
<1>抗アレルギー作用
<2>消炎作用
  

【薬能】
《重校薬徴一品考》
“心下痞硬に大いに効あり”
《中薬大辞典》
“咳を止め、痰を化し、瘀を散じ、血を活かす”
“咳嗽多痰、労傷吐血、跌打損傷、癰腫、外傷出血を治す”

【薬対】
『竹節人参+柴胡』=解熱、去痰、健胃作用。心下部の痞塞感に。小柴胡湯。
【配合処方】
    参連湯

竹葉(ちくよう)
   ⇒「淡竹葉」「苦竹葉」を参照。
【薬対】
『竹葉+石膏』=清熱作用。心火により起こる煩熱、鼻出血、口内炎を治す。 竹葉石膏湯
『竹葉+木通』=利尿作用。心火により起こる尿の異常を治す。導赤散


竹瀝(ちくれき)
【薬性歌】“竹瀝味甘除痰火 虚熱渇煩汗亦妥”
竹瀝、味甘。陰虚痰火、汗熱、渇煩に。効、鎖を開くが如し。《万病回春》
  

【効能・効果】(竹藶)
<1>中風。
<2>胸の熱。
<3>煩悶
<4>卒中による失音・不語。
<5>痰熱による昏迷。
<6>消渇
<7>破傷風
<8>産後の発熱
<9>小児の驚癇
<10>一切の危急な疾病。
○目が赤く、開けられず、又、膜が出る症。
「竹瀝に黄連を入れて一夜置いて汁を取って点眼する。」
○毛髪に膏薬のような粘着物があるとき。
       「塗る。」
○卒中風で口噤してしゃべれず、煩悶するとき。
「竹瀝1升をつづけて飲むと良い。」
○破傷風で死にかかったとき。
「2~3升を灌入すると、すぐ生き返る。」
○風に。
「竹瀝2升に生葛汁1升、姜汁5合を混ぜて飲む。竹瀝湯という。」
○傷寒の労復症に。
「煎じて熱服。」
○消渇を治す。
○時気の瘟疫で、熱があって煩躁する症を治す。


地衣
⇒これは湿った土地に陽が当たった時に出来た、いわゆる苔の種類である。屋上に出るのは「屋遊瓦苔」といい、垣のは「垣衣」、または「土馬駿」、地のは「地衣」、井戸のには「井苔」、水中の石の上のには陟釐(チョクリ)という。《神農本草経》

○性は冷、微毒。
<1>卒心痛と悪中を治す。


地奨(ちしょう)
⇒日陰の地を堀り、中に溜まる水。
○熱渇・心の煩悶を治す。


知母(ちも)
【処方名】:[知母]
【基原】中国の華北、東北部や朝鮮に自生し、日本でも栽される多年草、ユリ科ハナスゲの根茎。
ユリ科Lilliaceae 知母Anemarrhena asphodeloides Bge.(ハナスゲ)の根茎。
【性味】味は苦、性は寒、無毒。寒補潤降散
【帰経】肺・胃・腎経。
【分類】清熱瀉火薬。
【薬性歌】“知母味苦熱渇除 骨蒸有汗痰咳舒”
知母、味苦。熱渇能く除き、骨蒸汗あるに。痰皆舒ぶ。《万病回春》

【効能・効果】(知母)

(解熱・消炎・止渇・鎮静)
<1>熱病煩渇:
*熱性病による煩渇・消渇。
<2>労咳骨蒸:
*肺熱による咳嗽。
<3>大便燥結:
*腸燥による便秘に用いる。
<4>小便黄少
<5>血糖降下
◎滋陰、降火、潤燥、滑腸。
<1>骨蒸の熱労と
<2>腎気の虚損を止める
<3>消渇を止める:
*虚して口が渇く者に用いる。
<4>久瘧
<5>黄疸を治し
<6>小腸を通し
<7>痰をなくし
<8>心肺を丈夫にする
<9>産後の疲れをいやす。
○胎動不安
◎腎陰の不足を補い、熱を治す。
「塩水で炒り、丸剤・煮て服用。」
◎骨の熱労を治す。
       「丸・煎服。」
◎汗のある骨蒸を治す。
◎骨蒸の虚労を治し、陰気を補う。
「切って5銭を煎服。丸服。」
◎熱瘧に。
       「煎じて食べる。」
【修治】
◎皮毛を去る。《万病回春》
◎(生):胃火を瀉す。
◎(酒炒):腎火を瀉す。《万病回春》
◎(塩酒炒):酒に塩を少しばかり加えて、浸し乾かし炒る。
  

【薬理作用】
<1>解熱作用
<2>呼吸抑制作用
<3>心臓抑制作用
<4>抗菌作用
<5>溶血作用
  

【薬対】
『知母+黄柏』=性神経の興奮を抑える。
『知母+人参』=内熱または津液不足による口渇、煩渇。麦門冬飲子
『知母+桂枝』=関節リウマチに対する鎮痛効果を高める。
『知母+酸棗仁』=大脳の興奮を抑え、煩躁・不眠を治す。
『知母+麦門冬』=鎮咳作用。寒熱性咳嗽、虚労性咳嗽に。滋陰降火湯
『知母+石膏』=清熱鎮静作用。高熱に伴う煩躁、狂躁、不眠に。白虎湯
『知母+地黄』=清熱作用。内熱、津液不足による口腔・鼻腔・皮膚・関節などの炎症に。消風散
  

【配合処方】
■桂芍知母湯
■酸棗仁湯
■白虎加人参湯
■白虎湯
  

【注意】
鉄器を忌む。《万病回春》


茶(チャ)
(参照→「麦茶」「緑茶」)
【効能・効果】
○頭や目をすっきりさせる。」
     「煎服。」
○久心痛に。
「茶湯に醋を入れて少し飲む。」
○沸かしてたくさん飲めば吐く。
○宿食を消化させる。
「温めて飲み、雀舌茶もよい。」
◎血管拡張作用→「高血圧」
○柿に中毒した時:
 茶を作末し飲む(著効)。
○結膜炎:
茶の煎汁で洗浄する。
○下痢:
・茶に生姜の絞り汁を入れて飲む。
○興奮・利尿・鎮痛剤:
・茶を作末し飲む(著効)。
○口内炎:
・茶の煎汁で洗浄する。
○腎炎・腎臓病:
・茶を濃く煎じて飲む。
○心臓病:
・茶を濃く煎じて飲む。
○頭痛:
「茶・川芎・葱白」茶代用。
○ただれ目:
茶の煎汁で洗浄する。
○糖尿病:
・茶の粉末を飲む。
○浮腫:
・茶を濃く煎じて飲む。

○二日酔い:
・茶を濃く煎じて飲む。
○扁桃炎:
・茶の煎汁で洗浄する。
○水虫:
・茶の煎汁で洗浄する。

⇒茶は摘んで放置すれば発酵する。
「その変化を抑えたのが「緑茶」、手を加えて半発酵させたら「ウーロン茶」、さらに発酵させて「紅茶」となる。
      
■うまみ成分[テアニン]
「テアニンがカフェインによる興奮作用を抑える働きがあることを発見し、ラットの脳細胞を用いた実験で、東京都神経科学総合研究所の共同チームが確認した。
実験はラットの胎児から取り出した大脳皮質にコーヒー1杯分に含まれるカフェインを与えた後、テアニンを徐々に加えて効果を調べた。カフェインによって起きた興奮作用がテアニンの量を増すほど減少し、カフェインの2倍に相当するテアニンを入れたところ興奮作用が半減した。
 『テアニン』は生体で脳髄にある障壁を通過して脳内に入ることが知られており、人間でも同様の抑制効果が起きている可能性が高いとみている。
 又、テアニンが脳神経細胞の伝達機能を担うカルシウムイオンの放出を促すことも実験で確認。1997.7.16《日経産業新聞》
■お茶でアレルギー抑制
「アサヒ飲料は独立行政法人・農業技術研究機構の野菜茶業研究所などと共同で、アレルギー症状を抑える効果が期待できる茶飲料を開発する。野菜茶業研は茶葉の一品種『べにふうき』に抗アレルギー成分が含まれることをしめす実証試験を進めている。アサヒ飲料は有効成分を十分に維持できる茶飲料の製法を研究し商品化を目指す。
野細茶研はアレルギー予防食の開発を目的にこれまで約40種類の茶葉の成分を分析。その中から「べにふうき」に含まれる渋味成分の一種『メチルカテキン』に、アレルギーの原因となるヒスタミンの体内分泌を抑制する効果があることを見つけた。
メチルカテキン(メチル化カテキン)は「やぶきた」など、日本で主流の一般的な茶葉には含まれていないという。
べにふうきうを定期的に摂取すれば、花粉症やアトピーなどのアレルギー症状を抑える効果が期待できるという。野菜茶研は今後、静岡県立大、九州大、東京大保健管理センターなどと協力し、抗アレルギー作用について研究を続ける。2002.10.2《日経産業新聞》

チャ乾留物
(チャの葉を乾留して得られたものをいう。)     ツバキ科チャ(Camellia sinensis O.KZE.)の葉より製した茶を、乾留して得られたものである。有効成分は特定できないが、アミノ酸、カフェイン、タンニン、カテキン類を含む。 製造用剤 Tea dry distillate
チャ種子サポニン
(チャの種子から得られた、サポニンを主成分とするものをいう。) ティーシードサポニン サポニン ツバキ科チャ(Camellia sinensis O.KZE.)の種子を、ヘキサンで脱脂した後、エタノールで還流抽出して得られたものである。主成分はサポニン(ティーサボニン等)である。 乳化剤 Tea seed saponin
チャ抽出物
(チャの葉から得られた、カテキン類を主成分とするものをいう。) ウーロンチャ抽出物
緑茶抽出物   ツバキ科チャ(Camellia sinensis O.KZE. )の葉より製した茶より、室温時、温時又は熱時、水、酸性水溶液、含水エタノール、エタノール、含水メタノール、メタノール、アセトン、酢酸エチル又はグリセリン水溶液で抽出したものより得られたものである。成分としてカテキン類を含む。なお、チャの葉の処理方法によりウーロンチャ抽出物と呼ばれるものがある。 酸化防止剤
製造用剤 Tea extract


茶葉(チャヨウ)
【生薬名】茶葉《本草便読》
【異名】苦荼(クト)、茗(メイ)、臘茶
【基原】ツバキ科の植物。茶の嫩葉。嫩(ドン)=若い。
【原植物】チャCamellia sinensis O. Ktze.
常緑低木
【成分】
茶葉はプリン類アルカロイドを含み、カフェイン(1~5%)を主とする。
このほか微量のテオブロミン、テオフィリン、キサンチンを含む。
茶葉のタンニンは主としてガロイル-l-エピガロカテキンで、そのほかに少量のl-エピガロカテキン、ガロイルエピカテキン、エピカテキンなどを含む。
カフェインは茶葉の中ではほとんどがタンニンと結合しており、春の若葉に含まれるカフェインが一番多い。
【薬理】
茶葉の薬理作用は主にキサンチン誘導体(カフェインおよびテオフィリン)により生じ、その他大量のタンニン酸を含むので、収斂、抑菌およびビタミンP作用をもつ。
①中枢神経系に対する作用



丁香(ちょうこう)   
【処方名】:[丁香][公丁香]  
【基原】モルッカ群島原産。熱帯各地に栽培される常緑高木。
 フトモモ科(Myrtaceae)チョウジノキ Syzygium aromaticum(L.)Merr.et Perryの花蕾を乾燥。
★《開宝本草》:「丁香」   
【性味】味は辛、性は温、無毒。熱補燥升散
【帰経】肺・胃・脾・腎経。
【薬性歌】“丁香辛熱温胃虚 心腹疼痛寒嘔除”
  丁香、辛熱。能く寒嘔を除き、心腹の疼痛に。胃を温むること暁(さとる)べし。《万病回春》

【効能・効果】(チョウジ)

(健胃・整腸・駆風)
<1>脾胃を温める。
<2>霍乱を止める。
<3>腎気・奔豚気を治す。
<4>冷えによる腹痛を治す。
<5>精力を付ける。
<6>足腰を温める。
<7>酒毒を散らす。
<8>風毒の諸腫を治す。
◎芳香性健胃・興奮剤
◎脾を温める。
「煎じでも、末でもよい。」
◎胃を温める。
「煮・末服」
◎腹の冷痛を治す。
「煎・末服。」
  

【薬対】
『丁香+呉茱萸』
『丁香+柿蔕』
『丁香+肉桂』
  

【配合処方】
丁香柿蔕湯[丁香、柿蔕、党参、生姜]
丁香茯苓湯[丁香、附子、茯苓、陳皮,桂枝、乾姜・縮砂]
丁香呉茱萸湯[丁香、呉茱萸、豆、人参、蒼朮、黄芩、升麻、当帰、柴 胡、半夏、茯苓、乾姜、甘草]
  

【注意】
◎気血勝つ者は丁香を与うこと勿れ。その気を益すを以てなり。《万病回春》
  

【参考】
丁字油:イ)歯科で消毒、防腐、止痛に用いられる。
    ロ)歯磨粉の香料
    ハ)顕微鏡用標本の透明剤。
    ニ)刀剣の錆止め料。
    ホ)染料:丁字染。
    ヘ)作り方:水蒸気蒸留で製造。


丁公藤
 ⇒南藤。
○性は温、味は辛、無毒。
<1>治風・補血する。
<2>陽道を起こす。
<3>腰脚を強くする。
<4>痺を治す。
<5>白髪を防ぐ
<6>風邪を治す。
◎清酒で服用《本草》

鳥牛尿
○脚気と水腫に。
「鳥牛雄の新尿を飲む。」


樗根白皮
○性は涼、味は苦く、小毒。
【薬性歌】“樗根味苦腸風痔 瀉痢崩湿澀精髄”
樗根、味苦。瀉痢、帯崩、腸風、痔瘻に。湿を燥かし、精を渋らす。《万病回春》

【効能:効果】
<1>赤白の下痢と
<2>痔疾
<3>腸風による瀉血
<4>口鼻のなかの疳虫と
<5>赤疥
<6>下血を治す。
○崩漏と赤・白帯を治す。
「白根を一握り、水1升で煎じて2回に分けて服用。又蜜丸で服用。」
○赤白痢と久痢による腸滑不禁に使う。
「皮一握り、陳米1合、葱白3茎、甘草3寸、鼓2合を水煎し空腹時に服用。丸薬にすると固腸丸となる。」
○血痔・腸風・臓毒に。
「皮を(酒蜜炒)し作末して棗肉で丸め、酒で30~50丸呑む。」



 苧麻根=「苧根」参照


苧根
○性は寒、味は甘く、無毒。
<1>小児の丹毒
<2>婦人の漏胎下血
<3>産前産後の心熱煩悶
<4>五淋
<5>天行の熱疾
<6>大渇
<7>大狂
<8>箭毒により蛇・虫の毒をなくす。
○哮喘を治す。
○妊婦の胎が動いて落ちようとし、腹部が痛んでたまらないとき使う。
○小児の悪毒瘡を治す。


楮実子(ちょじつし)
⇒「楮実」
○性は寒、味は甘く、無毒。
<1>陰痿を治す。
<2>筋骨を強くする。
<3>性交を扶ける。
<4>虚労を補う。
<5>足腰を温める。
<6>顔色を良くする。
<7>肌膚をきれいにする。
◎水に漬けて浮いたのは捨て、酒で煮て蒸し、焙って乾かし使う。《医学入門》

 [薬性歌]“楮実子味甘治陰痿 壮筋明目補虚奇”
   ○肝熱での出る症。
     「細末し蜜湯で1銭を食後服用。」

楮実の樹皮
<1>水腫の脹満
<2>血暈
<3>金瘡の出血を止める。

楮実葉
<1>刺風
<2>身瘡
<3>悪瘡


釣藤鈎(ちょうとうこう)   
【基原】中国、日本などの暖地に自生する落葉つる性植物。 
 アカネ科(Rubiaceae)のトウカギカズラUncaria sinensis(Oliv.)Havil. およびカギカズラU.rhynchophylla(Miq.)Jacksonの茎枝の一部を付けた鈎棘を乾燥。
【性味】味は甘微苦、性は微寒。無毒。寒瀉平降中
【帰経】肝・心包経。
【薬性歌】“釣藤微寒児驚癇 手足口眼刪”
(=ケイ,気が狂う)(=ショウ,ひきつけ)刪(=サン,けずる)

【効能・効果】(釣藤鈎)

(鎮静・鎮痙・解熱・降圧)

<1>小児の十二驚癇
<2>客忤
<3>胎風を治す。
◎熱を清し、をおさめ、風をなくし、鎮痙する。
<1>小児高熱・驚癇
 イ)高熱によるケイレンに、小児成人を問わず。
 ロ)重症のケイレンには弱い:「全蝎・天麻・羚羊角」
<2>頭痛眩暈
<3>高血圧によるふらつき・めまい。
◎鎮痛鎮痙剤として
<1>高血圧で頭痛・眩暈
<2>脳動脈硬化症
<3>ひきつけ
<4>癇症。
◎繁用処方に釣藤鈎を加味して応用する。
<1>高血圧
<2>ウツ病
<3>パーキンソン症候群    
<4>脳血栓
<5>テンカン
  

【薬理作用】
<1>鎮静作用
<2>降圧作用
  

【薬能】(釣藤鈎)
《名医別録》
“小児の寒熱、驚癇を主る”
《李時珍》
“釣藤は手足の厥陰の薬であって、足の厥陰は風を主り、手の厥陰は火を主る。驚癇・眩暈はいずれも肝風相火の病である。釣藤は心包を肝木に通ずるもので、風が静まり火が息むから、それで、大人の頭旋・目眩・肝風を平にし、心熱を除き、小児の内釣腹痛、発斑疹のような諸証を除く”
《本草綱目》
“大人の頭旋、目眩を治し、肝風を平らにし、心熱を除く”
“小児の内釣腹痛、発斑疹を治す”
《中薬大辞典》
“熱を清し、肝を平にし、風を熄め、驚を定める”
“小児の驚癇、、大人の血圧の偏高、頭暈、目眩、婦人の子癇を治す”

【薬対】
『釣藤鈎+菊花』=降圧作用。肝のたかぶりを抑える作用で、高血圧、目眩、頭痛、四肢のしびれ、目の充血に。釣藤散
『釣藤鈎+犀角』
『釣藤鈎+全蝎』
『釣藤鈎+天麻』

【配合処方】
     釣藤散

【参考】
◎アルカロイドのリンコフィリンを含むが、20分以上煎じると降圧成分の一部が分解する。


猪牙皀⇒「皀莢」参照。


猪肝(ちょかん)
○冷泄・湿泄・滑泄を治す。
「猪肝を薄く切って訶子皮末を塗り、とろ火で焼いたのを空腹時に噛んで飲み込む。」
○目を良くする。又、肝熱・目赤・疼痛を治す。
「猪肝を薄く切って五味と醤油・醋を混ぜて食べる。」
○脚気に。
「醋に混ぜて食べる。」
○湿に克つ。
「煮て食べる。」
○浮腫の脹満に。


猪脂
=野猪脂
○乳の出ないとき。
「油を1匙すくって、温酒1盃に混ぜて1日3回飲む。」
○五疸と胃中の乾尿による発黄を治す。


猪心
○安定剤。驚悸・癲狂・健忘を治す。
「丸剤、散剤に良い。」


猪腎(ちょじん)
○膀胱の補強に効く。
「茹でて食べる」
○腎虚腰痛に。
「腰子1枚を薄く割って椒塩末でまぶし、杜仲末3銭をしみ込ませ、荷葉でくるんで、弱火で焼いて噛み下す。=腎丸。」
○産後の骨節痛を治す。


猪胆(ちょたん)
=ぶた(家豚)の胆嚢。 
○小便不通を治す。
「胆汁を熱い酒に入れて飲む。」
○大便の不通を治す。
「導便法に詳しい。」

【薬能】
《古方薬品考》
“味苦涼、以て心胸を清ふし、肝火を瀉す。質滑沢、能く燥を潤ほし脈を通ず。又穀道中(=直腸内)に灌ぎて能く大便を通ず”
《古方薬議》
“大寒、骨熱、労極、傷寒、渇疾、小児の五疳を主取り、蟲を殺す”



猪腸
○下焦の虚竭を治す。
「蒸して食べる。」

猪蹄
○老人の顔色を良くする。
「大猪蹄1具を奨で煮て阿膠と混ぜ、夜顔塗り、朝洗う。」
○婦人の乳脈を運行させる。
「猪蹄4と通草4両、水1斗を同時に煎じ4~5升になったらつづけて飲む。」


猪肚(ちょと)
○骨蒸熱労を主治する。
○虚損を補う。
「1個をきれいに洗って黄蓍・地黄を切って中に入れ、肚の四辺に醇醋を塗り、重湯で軟らかくなるまで蒸して、常服する。」
○渇を止める。



猪肉
(参考→「肝炎」)
○血痔・腸風・瀉血に。
「野猪肉2斤を切って混ぜ、よく煮て食べる。」


猪乳
○小児の驚癇に良い。

猪肺
○哮と喘急と肺痿の吐血を治す。


猪
○遺尿を治す。
「良く洗って焼いて、空腹時に温酒で飲む。」

猪糞
○流行の黄疸を治す。
○天行の熱病と温毒にいる大熱の症を治す。(牝の猪糞)

猪木葉
○木腎を治す。
「雄猪葉を晒して乾燥、作末して酒糊で梧子大の丸剤。空腹時に塩湯で30丸飲む。」

猪苓(ちょれい)POLIPORUS
【基原】ブナ、ミズナラ、カエデなどの根に寄生するサルノコシカケ科(Polyporaceae)チョレイマイタケPolyporus umbellatus(Pers.)Friesの菌核を乾燥。中国、日本の北海道、長野県に産する。
日本産:軽質、くびれが多い(=真猪苓)
中国産:硬質、(=唐猪苓)
◎一名「朱苓」で8月に採って陰干しする《本草》
【栽培】
気候土壌
猪苓はおもにカバ・カエデ・クヌギ・ヤナギなどの腐食した根に寄生し、涼しくやや乾燥した山の斜面が生育に適している。
猪苓の栽培には日陰の斜面の林の下で、肥沃湿潤、腐植質に富み、排水の良い土壌を選ぶ。
【採集】
南方では1年中。
北方は夏、秋が多い。
掘り出した後、泥や砂を除き、日干しし、乾燥し風通しの良い場所に置く。
猪苓は地下に隠生するため、地上に苗は無く、見つけにくい。河北では、猪苓のある場所は土壌が肥沃で黒くなっており、雨水の浸透も速いため、小雨の降った後文字面が乾いていることを目安に探す。

【性味】味は甘苦、性は平、無毒。平平燥中散
【帰経】腎・膀胱経。
【分類】利水滲湿薬。
【薬性歌】“猪苓味淡水湿緊 消腫通淋多損腎”
猪苓、味淡。水を利し、淋を通じ、腫を消し、湿を除く。多く服すれば腎を損ず。《万病回春》

【効能・効果】(猪苓)

(利尿・通淋)
◎解熱、止渇、利尿剤
<1>腫腸と腹満を治す。
<2>水道を利す。
<3>淋疾
<4>瘧を治す。
◎小便を良く通す。「煎服。」

【修治】
◎砂石を去る。《万病回春》
【成分】
エルゴステロール、ビオチン、糖類、タンパク質

【薬理作用】(猪苓)
<1>利尿作用
<2>抗菌作用
<3>抗腫瘤作用
  

【薬能】(チョレイ)
《神農本草経》
“瘧を主り、蠱せずを解毒し、水道を利す”
《薬性提要》
“湿気を滲み、水道を利し、表裏を分解し瘧を治す”
《古方薬品考》
“善く燥し、尿道を泄利す”
《薬徴》
“猪苓、渇して小便利せざるを主治するなり”
《重校薬徴》
“渇して小便不利を主治す”
《古方薬議》
“小便を利し渇を除く”
《中薬大辞典》
“利尿し、滲湿する”
“小便不利、水腫脹満、脚気、泄瀉、淋濁し帯下を治す”
《荒木正胤》
“猪苓は深山落葉の積む浅い山中に猪(ブタ)の糞のように生えるキノコ”
“猪苓は浅地に生えるから、比較的、体表にある水毒を去る”
“その色が黒いので身体の下部に停滞する水毒を逐う”

【薬対】
『猪苓+大腹皮』
『猪苓+茯苓』
『猪苓+茯苓+白朮』=「猪苓散」《金匱要略》
『猪苓+滑石』=熱の偏在を伴う尿不利、血尿、排尿痛、嘔吐、浮腫に。猪苓湯。

【配合処方】
■五苓散
■猪苓湯

【考徴】
(等分)
猪苓湯証=渇して水を飲まんと欲し、小便利せず。
猪苓散証=水を思う者。
[水を思う]=水を欲しがる
(18銖)
五苓散証=小便不利・微熱消渇。

【品質】
《重校薬徴》
“猪苓は漢産を良と為す。宜しく実大にして皮黒く肉白き者を撰ぶべし。”



地楡(ちゆ) SANGUISORBAE RADIX
【基原】各地に自生する多年草、バラ科ワレモコウの根・根茎。
【性味】味は苦酸、性は微寒、無毒。
【帰経】肝・大腸経。
【分類】止血薬。
【薬性歌】地楡、沈寒。血熱に用うるに堪えたり。血痢、帯崩(帯下・崩漏)に。金瘡に痛みを止める、胃弱き者には少し用う。《万病回春》

【効能・効果】 (参照→ワレモコウ)
<1>婦人の七傷
<2>帯下病
<3>産後の痛
<4>血痢を治し
<5>膿を出させ
<6>金瘡を治す
◎涼血止血
<1>下血・血崩・血痢
<2>痔瘻
◎衂・吐血を止め、結陰便血を治す。
「水煎服。又は蜜を混ぜて飲んでも良い。」
◎帯下の12種病を治す。
1.赤の多いこと。
2.白の多いこと。
3.月経不通。
4.陰蝕(婦人の陰中に生瘡すること)
5.子宮が固くなること。
6.子宮の門がひっくりかえること。
7.交合するとき痛むもの。
8.小腹の痛むこと。
9.子宮の門が閉まること。
10.子宮の冷たいこと。
11.夢に鬼と交合すること。
12.五臓が定まらないこと。
◎この他に又、崩漏を治す。
 「煎じ・末服」
◎下痢を治す。
 「3合を水煎し空腹時に服用。」
◎慢性腸カタルに著効。
 「毎日10~30g煎服」
◎癰疽・打ち身・捻挫に著効あり。
 「生根をすりつぶして塗布、又は貼る。

【修治】(生):熱傷に用いる。
    (炒):止血に。

【薬理作用】
<1>収斂作用
<2>抗菌作用
 イ.濃煎液を外用する。やけど・あせも・湿疹・痔に。
  

【配合処方】
■清肺湯
■地楡煎
■当帰連翹湯


鴆(チン)
1992年にシカゴ大学の研究者達によって有毒鳥が実在することが報告された。それによると、ニューギニアに棲息する鳥類のなかに、羽根・皮膚・筋肉などに有毒物質を含むものが居ることが分かった。いずれもPitohui属の鳥で、
hooded pitohui
variable pitohui
rusty pitohui
の3種類。これらの鳥の有毒成分がマウスに対する毒性として分離された結果、この成分はコロンビア産の矢毒ガエルの有毒アルカロイドであるバトラコトキシンのい副成分としてすでに単離報告されているホモバトラコトキシンと一致することが分かった。
=3種類のピトフィーを考えられている。
「冠頂鳥ピトフィー(P・ジクロウス)」・・体重65g
「変異ピトフィー(P・キローセファラス)」体重85~90g
「錆色ピトフィー(P・フェルギネゥス)」・体重100g

◎鴆毒
「鴆毒による殺害に関する記事は「漢書」の2件、「後漢書」に1件出てくる。「高五王伝」の“趙隠王が呂太后により密かに長安に送られ鴆殺される”という記述と、「王奔伝」の“安思閻皇后諱姫は宮人李氏の皇子保を生んだということでついに李氏を鴆殺した”と述べている。これらのことから、後漢時代までは鴆は中国内に確実に棲息していたことを物語っている。
 1992年のサイエンスに、ニューギニア島に棲息する鳥類(ピトフィー属)の羽からステロイド系アルカロイドが検出された。3種類のピトフィーから、すでに南米原住民の矢毒に使用していた毒カエルの毒と同じ『ホモバトラコトキシン』が検出・分離されたのである。しかも、皮膚や羽毛に多量に含有し、筋肉や内臓には比較的少ないというのである。“鴆を丸ごと酒に入れる”のは意味があったのである。この抽出物をマウスに皮下注射すると、強直性ケイレンを起こして死んだ。すでに南米産毒カエルから抽出・分離されたホモバトラコトキシンに関して、1969年、徳山孝らによって米国化学会誌において体重1kg当たりのLD50は3マイクロ㌘お報告されている。
 サイエンス誌の報告者、J・P・ダンバチャーらによると、このピトフィー毒鳥を捕獲するとき、強烈なる麻痺と灼熱感が口腔と鼻腔を襲い、クシャミの連発にこまったらしい。
 エチル基をもつホモバトラコトキシンのみでメチル基を有するバトラコトキシンは検出されなかったのは、代謝系は鳥類のほうが両棲類より進化している証拠かもしれない。」


珍渦虫(ちんうずむし)
■欧州の海底にすむ生物
2013年、珍渦虫が卵から成長する過程を、筑波大学などの国際チームが世界で始めて明らかにした。
珍渦虫の成体は体長1~3㎝で、腹側に口があるものの脳や生殖器官、肛門などが無い。
135年前に発見された。海底100㍍の泥の中にすむ。
研究チームは真冬にスウェーデンでこの虫を採取。実験室で飼っていたところ、卵と幼生を9匹発見した。幼生は楕円形で約0.2㍉㍍。
体表の繊毛を動かし、回転しながら泳いでいた。外部に口、目、手足などは無かった。
幼生は5日ほどで、筋肉を使って体を収縮させ、成体とほぼ同じように行動した。



 珍珠⇒「真珠」参照。


陳倉米(ちんそうまい)
○胃腸を調整する。
「飯・粥にして」


陳皮(ちんぴ) CITRI LEIOCARPAE EXOCARPLUM
【基原】ミカン科の黄熟した果皮=「橘皮」
  黄熟する前の果皮=「青皮」
  古くなった橘皮=「陳皮」「陳橘皮」
ミカン科(Rutaceae)柑桔Citrus reticulata Blancoの果皮。
<1>中国産:ミカン科(Rutaceae)オオベニミカン、コベニミカン
<2>日本産:ウンシュウミカンCitrus unshiu Marc.(陳皮)
コウジC.leicarpa Hort.ex Tanaka(橘皮)
★《神農本草経》:「橘柚」で収載。
    (参照→オレンジ)
【性味】味は辛苦、性は温。 温中燥中散
【帰経】肺・脾経。
【分類】理気薬。
【薬性歌】“陳皮甘温順気功 和脾留白痰取紅”
  陳皮、甘温。気を順らし、膈を寛くす。白を留むれば脾を和ず。痰を消すには白を去る。《万病回春》

【効能・効果】

(健胃・成長・痰・鎮)
  

【修治】
◎温水を用いて略洗浄す。水を用いるべからず。《万病回春》

【薬理作用】(陳皮)
<1>hesperidin:
イ)コレステロール値を低下させる。
ロ)胃の運動、尿量を抑制する。
<2>少量で心臓を興奮させ、多量で心臓を抑制する。

【薬能】(陳皮)
《神農本草経》
“胸中の熱、逆気を主り、水穀を利し、久しく服すれば臭を去りて気を下す”
《薬性提要》
“陳橘皮:中を調え、膈を快くし、滞を導き、痰を消し、気を理し、湿を燥かす”
“青橘皮:肝を瀉し、気を破り、疾を消す”
《古方薬品考》
“脾を健かにし、逆気を靖降す”
《重校薬徴》
“逆を主治し、旁ら胸痺、停痰、乾嘔を治す”
《古方薬議》
“気を下し、飲を駆る”
“生姜と配して胸痺、、気逆、停痰を治す”
《中薬大辞典》  
“理気、調中、燥湿、化痰”
“胸腹脹満、飲食不思、嘔吐逆、咳嗽痰多きを治し”
“魚、蟹毒を解す”

【薬対】
『陳皮+生姜』=健胃鎮嘔作用。気の滞り、気逆あるいは湿滞による嘔吐、食欲不振、腹満、腹痛、下痢を治す。六君子湯。
『陳皮+半夏』=鎮咳作用。湿による咳嗽、胸閉塞感を治す。二陳湯。

【配合処方】
■橘皮竹茹湯
■柴胡飲子
■二陳湯

【注意】
◎久しく泡すれば滋味尽く去る。《万病回春》


鎮痛作用にある精油(sedative oils)
◎鎮痛効果と中枢神経系を鎮静します。
<1>カミルレ
<2>ラベンダー
<3>ベルガモット
<4>ネロリ
    以上が鎮痛効果の高い精油
<5>バラ
<6>安息香
<7>クラリセージ
<8>ヒソップ
<9>ジャスミン
<10>マージョラム
<11>メリッサ
<12>サンダルウッド
マッサージと沐浴が有効です。