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副作用情報    厚生労働省のサイトから

 

 

30 歳代、女性

既往:生来健康。アレルギー疾患や薬剤アレルギーの既往なし。

 

2 年前、頭痛の際に、市販のアスピリンを初めて内服し、3 時間後に口唇の腫れに気づくも、2~3 日で自然消失。

 

その2 ヵ月後に、同じアスピリンを内服し、口唇と眼瞼の浮腫、頸部の蕁麻疹、および軽度の咳が出現したが、自然消失。以後、アスピリンなどの内服は避けていた。

 

今回、感冒様症状で近医を受診した際、ロキソプロフェンと抗菌薬の処方を受けた。


内服30 分後から、蕁麻疹と口唇浮腫に気づき、さらに1 時間後に全身蕁麻疹、血管性浮腫、呼吸困難、嘔気をきたしたため、救急車で搬送される。


来院時の理学所見

意識清明。

体格中等度。

SpO2 95%、血圧76/38、脈拍112/分、整。

心音:純。

口唇、眼瞼に特に強い血管性浮腫と全身の広範囲な蕁麻疹を認める。

喉頭の発赤と腫脹あり。胸部では、軽度の喘鳴を聴取。


経過:

NSAIDs 不耐症による蕁麻疹/血管性浮腫、アナフィラキシーと判断し、経鼻酸素2L 開始し、下肢挙上の後、アドレナリン0.2 mL(0.2
mg)筋肉内注射施行。その後、末梢ルートの確保に時間を要したため、マレイン酸クロルフェニラミン5 mg を先に筋肉内注射した。

これにより、血圧は96/50 まで上昇し、呼吸困難と喘鳴、皮疹は改善した。

次に、ベタメタゾン10 mg+アミノフィリン250 mg+マレイン酸クロルフェニラミン5 mg+ヒスタミンH2
拮抗薬を乳酸加リンゲル液500 mL に溶解し、2 時間で点滴静注。その後、再び息苦しさと血管性浮腫が増悪したため、2 回目のアドレナリン0.2 mg を投与し、奏効した。

 

再燃や遷延化のリスクがあるため、その後は病棟で、補液を続けながら、経過観察としたが、血管性浮腫、蕁麻疹はゆっくり消退し、全身状態も安定したため、NSAIDs 不耐症の説明を十分に行い、患者カードを携帯させ翌日退院となった。


解説

30 歳代にアスピリン内服で発症した典型的NSAIDs 不耐症(皮疹型)である。このようなケースは、アスピリンのみに対するアレルギーと誤解されやすいが、頻度からいっても、NSAIDs 不耐症のほうが多く、使用歴がなくてアスピリンで蕁麻疹/血管性浮腫を生じていることは、強くNSAIDs 不耐症を疑う。したがって、NSAIDs 全般が禁忌となる。誘発症状は、アナフィラキシーまでいたっており、アドレナリンが第1 選択薬であり、奏効する。



静注ステロイドは、NSAIDs 過敏喘息例で、コハク酸エステル型ステロイドの急速投与で、悪化することが確認されており、NSAIDs 過敏皮疹でも、悪化の可能性を考え、リン酸エステル型ステロイドを点滴で用いることが望ましい。

 

遷延化症例も多いため、1 日は経過観察入院が必要であり、今後のNSAIDs 誤使用を防ぐための、指導と患者カードも大切である。

 

2017年06月20日