ホログラム

「まず、大きなガラス製の円筒の中に小さなガラス製の円筒を入れる。円筒の間隙にはグリセリン液をたっぷりと注入する。そのグリセリン液の上に不溶性のインクを1滴たらし、外側の円筒を時計回りの方向にゆっくり回す。

すると、インクのしずくは次第に糸のように細長く引き延ばされていく。外側の円筒をさらに回転させると、インクはついに見えなくなってしまう。

ここまでのプロセスで何が起こったのか?
インクの1滴は、細かく見ていけば微小な集合体と言えるだろう。だからそれぞれの粒子は、外側の円筒を回したことで回転するグリセリンの速度に乗って運ばれていく。

グリセリンの回転速度は、円筒の中心からの半径によってそれぞれ違ってくる。したがって、インクを作る微粒子も、グリセリン液のそれぞれの速度に乗って異なった距離を移動することになる。つまり、次第に分散していくのだ。最後には見えないほどに散らばってしまう。

では、今度は外側の円筒を逆回転させてみよう。どうなるか?
見えないインクが糸状に引き延ばされた形で現れ、やがてもとのインクのしずくに戻るのだ。これは何を意味するのか?
ボームによれば、これこそが「秩序」なのである。

微粒子の集合体であるインクの1滴が、回転するグリセリン液のなかに織り込まれて見えなくなっても、依然として、それらの粒子は元のしずくとして何らかの秩序を保ってグリセリン液のなかに存在している。

さらに、今度は、3滴のインクをさっきと同じ手順で、1滴づつ順番にグリセリン液のなかに織り込んでいく。
そして、
どのしずくも見えなくなったとき、円筒を逆回転させてみる。

どうなるだろうか?

まず、最後に織り込んだしずくが現れる。
3番目のしずくだ。
さらに逆回転させると、2番目のしずくが出現する。
しかしこのとき、さっき出現したしずくは円筒が回転しているので再びグリセリン液の中に消えてしまう。そして、一番最後に織り込んだしずくは、まだ織り込まれたままだ。
つまり目に見えるのは、2番目のしずくだけとなる。


この3つのしずくは、実は我々の常識的な時間感覚である過去・現在・未来を現している。
そして、しずくを再現させる「開示された秩序(逆回転によってしずくが再現されるのを、ボームはこう呼んだ)」のなかでは、過去・現在・未来の3滴のインクはそれぞれが独立して存在するように見える。

しかし、見方を変えるとどうなるか?

2つのしずく、つまり過去と未来のしずくは「織り込まれた秩序(最初の回転のインクが消えていく動きをボームはこう呼んだ)」の中にある、その意味では、目の前にある現在のしずく以外の2つのしずくも間違いなくそこに存在するのだ。
確かに、目に見えるのは現在のしずくだけであり、「開示された秩序」だけだが、どんな地点でも、過去の事象と未来の事象が浸透し合って液の中には存在している。
ボームは、「開示された秩序」のエネルギー(情報)の奥に潜む、この「織り込まれた秩序」のエネルギー(情報)こそ、現実の本質であると主張する。
そしてわれわれの脳はこの「本質」のホログラムの一部であり、本質と共鳴し合って意識の振動を生み出すと主張する。
量子力学が明らかにしたのは、存在の不確定性である。

あらゆる実体は客観的に独立して存在しているのではない。
非実体的な無数の波動によってつくられている。


このことは、宇宙のすべての実体に当てはまる。
そうだとすれば、宇宙は必然的に1つの巨大なホログラムと考えてもおかしくない。なぜなら、相交わる2つ以上の波動があれば、干渉縞のホログラムが形成されるのである。
その結果、交差する無限の波動に満ちた宇宙が1つのホログラムとなるのは当然である。
そして、ボームはそれらホログラムの断片に、宇宙の全時空に関する情報がすでに含まれていると主張する。

全時空の情報とは、
宇宙の始まりから遠い未来までのすべての情報だ。
それが、脳を含めた宇宙のあらゆる部分にあらかじめ織り込まれていると主張する。
ボームによれば
エネルギー(情報)と意識はイコールなのだ。
情報=意識

意識はエネルギー(情報)になって現れる

2016年06月25日