<る>つらい症状

ルイレキ《瘰癧》
   《リンパ腺結核》
*瘰癧は頸部リンパ腺炎、

*馬刀癧はルイレキ、

*結核はリンパ腺の腫脹、

*癭瘤はこぶ、

*耳瘡は外聽道炎、

*鬢疽(ビンソ)は頭部耳に近き腫れ物。《古今方彙》

⇒主に、頸部リンパ節の結核をさす。
<1>『鼠瘻』『癧子頸』『頸癧』『老鼠瘡』ともいう。
<2>小きいものを『瘰』、大きいものを『癧』という。
<3>初期には形は豆粒の如く、皮膚の色は変わらず、次第に大きく成長し、或いは丸く、或いは長く、或いは単発し、或いは累々として珠を連ねた様で、これを横に押せば移動し、これを上から押さえると痛み、久しく放置して治療しないと壊破し、つぶればおさめがたい。

◎女子瘰癧は、

①逍遥散貝母・夏枯草・牡蛎・瓜蔞子・青皮
②瘰癧加味
③虚者:加味帰脾湯

◎主薬:瘰癧には、夏枯草を主薬とすべし《万病回春》

【処方名-五十音順】
■益気養栄湯《万病回春》
■黄蓍建中湯
■黄連阿膠湯
■海藻玉壺湯《外科正宗》
■活血化堅湯《外科正宗》
■加味帰脾湯
■甘草乾姜湯
■柴胡桂枝乾姜湯
■柴胡通経湯《万病回春》
■柴胡清肝湯《外科枢要》
■紫蘇烏薬湯《万病回春》
■紫蘇厚朴湯《万病回春》
■紫蘇香附湯《万病回春》
■紫蘇連翹湯《万病回春》
■散腫潰堅湯《万病回春》
■梔子清肝散《外科枢要》
■十全大補湯
■十全流気飲《外科正宗》
■小建中湯
■小柴胡湯
■真武湯
■清肝益栄湯《外科枢要》
■清肝解欝湯《外科枢要》
■大黄牡丹皮湯
■当帰建中湯
■補中勝毒湯《寿世保元》
■抑気内消散《万病回春》
■瘰癧加味逍遥散

【参考】世医此の症(清湿化痰湯)を瘰癧として誤治すること有り。瘰癧は塊に根有りて深し。此の塊は根なく浅し。又、手を以て推すに痛まず、瘰癧は痛むなり。混ずべからず。清湿化痰湯は凡て湿痰流注経絡関節不利と云うが目的なり。《勿誤薬室方函口訣》

【民間療法】
<1>アカメガシワ。
<2>ウツボグサ。
<3>オナモミ・オミナエシ・カラスウリ・キハダ・キランソウ・クララ・クリ・クルミ・サルトリイバラ・スズメ・スッポン・タニシ・ツルドクダミ・トウゴマ・ドジョウ・ニンニク・ヒヨドリジョウゴ・マムシ・ミツバチ・レンギョウ・ワタ。

【臨床例】
☆《井觀醫言》より
「鴻野大太郎の妻、20余才は、瘰癧を患うこと半年で、項背は強ばり痛み、精神が沈滞して気色があがらず、常に微かな悪寒を覚えて、月経は或いは来たり、或いは来たらず、その量も多少不同であった。
頸の左右と、付け根のところに珠数を連ねたように結核がこり、腹は引き連れ痛んで微かに張り、大便は34日に1行という状態であった。脈はやや数であったから、これに葛根加朮附湯を与え、毎夜大黄䗪虫丸を1匁を服せしめて卅余日を経過した。すると、項背の強ばるのは大いに和らぎ、心気もやや伸び伸びとするに至ったが、瘰癧は依然として少しも良くならなかった。
ここに於いて湯薬を止めて、夏枯草煎2剤づつを用い、凡そ20日にして、その結核が半ばを減ずるに至り、残りのものを縮小してきた。堅硬の度も大いに和らいだが、夏枯草煎の臭気を嫌って、強いて服用すると嘔吐を催して、ために食欲が大いに減退するので、葛根反鼻湯に転じ、また大黄䗪虫丸を30余日服せしめた。
結核は全部消退するには至らなかったが、気分や身体の調子は頗る爽快になって、経水も順利し、翌年には1子を挙げた。」《荒木正胤》



 羸痩(るいそう)emaciation   
=「やせすぎ」
⇒個人が維持している一定の体重が急速に、or徐々に減少する場合を羸痩という。臨床的には標準体重より20%以上少ない者を羸痩とする。
■高齢者はやせ過ぎに注意して
「65歳以上の高齢者では、太りすぎより、痩せすぎの方が死亡率が高くなるなど健康上の危険が多いことが分かったと、米ワシントン大などの研究グループが発表した。」1998.4.26《朝日新聞》
■不健康なやせ
「最近の国民栄養調査によると、20歳代の若い女性の実に約半数にあたる47%が病的に痩せているという。身長160cmの20代の女性の体重が45kg以下ならば痩せていると考えてよい。肥満が有害なように過度の体重減少も有害である。
まず、エネルギーが足りないので心身の活力が減る。20歳代の女性で運動週間のあるものは14%に過ぎず、不健康な実態が明らかになっている。運動時に階段を上がるのが苦痛ならば、気をつけた方がよい。特にその原因である不自然な減食、不規則な食生活は生活のリズムを狂わせる。20歳代の女性の約2割が朝食を欠食している。
原因となる特別な心身の疾患が無いのに、体重増加に対して異常な恐怖心を持つようになると危険である。これは女性らしい容貌を損なうだけでなく、「無月経」になりやすく、子の健康にも有害である。妊娠時の低栄養が胎児の臓器の発達を損なって、成人後に様々な疾患を起こすこともある。
肥満やヤセには各種の遺伝子の影響がある事が分かってきたので、一般的なエネルギー摂取量を適用するよりは、適正体重の維持を目安にするがよい。不健康なヤセでは、生殖に必要な脳下垂体の黄体化ホルモンが低下し、代謝を維持する甲状腺ホルモンの一種が極度に低下するので医学的に診断が出来る。
体重減少に対する対策は、特定の食品や薬ではダメで、総合的な栄養の改善が必要である。

例えば女子栄養大学では「四群点数法」と言う方法を勧めている。

1群:乳製品・卵-----(250kcal)
2群:肉・魚・豆-----(250kcal)
3群:野菜・果物-----(250kcal)
4群:穀類・砂糖・油

間食も摂って身体を慣らす。バランスのとれた食事で健康を回復することを勧めたい。(香川靖雄・女子栄養大学大学院教授)1999.2.1《日本経済新聞》
     

羸痩をきたす疾患】 
<1>甲状腺機能亢進症 
<2>下垂体機能低下症 
<3>Addison病 
<4>褐色細胞腫 
<5>副甲状腺機能亢進症 
<6>神経性食思不振症 
<7>ガン:ガンによる痩せの原因は、トキソホルモン。
■甲状腺機能障害
「会社勤めの主婦Aさん(28)はここ数ヶ月でめっきり痩せた。ぽっちゃりした顔はぎすぎすした顔になり、目も大きくなった。特にダイエットもしていない。食欲も旺盛だ。深夜まで働き、翌日は早朝から仕事をしても平気だ。ただ少し疲れ気味。ご主人に相談すると「最近、体が熱く汗はかくし脈も速い」といわれ、大学病院に行った。
活動的で新陳代謝が良くて痩せる一因に甲状腺機能亢進症がある。甲状腺は首の真ん中や下にある蝶型の組織で、甲状腺ホルモンを分泌する。これが少ないと気力はわかないし、体も動かない。心臓さえ動くのを忘れてしまう。細胞に働きかけて細胞の機能を高め代謝を促す。
甲状腺機能亢進はバセドー病や甲状腺腫瘍で起こる。バセドー病は比較的若い女性に多い。中年以上の女性や男性にもみられる。20~30代では、痩せ・体温の上昇・頻脈などが典型的な症状で、中年以上では動悸・不整脈・息切れなど。放置すると心不全や不整脈を招く。A子さんはメルカゾールを飲んで良くなった。
薬物療法以外に手術や放射線治療をする。
■女性の
「ボランティアとして参加した250名の女子大生の24時間尿を集め、分析。その結果、
尿中に排泄されたイソフラボン量は平均10マイクロモル(マイクロ=1/100万)(モル=分子量の単位)で、兵庫県の住民検診の平均値(約15モル)より3割少ない。毎日大豆を食べていると尿中のイソフラボン量は40マイクロモル、週に3~5回だと25マイクロモルになる。10マイクロモルは、大豆を全く食べていないかどうかという境目の数値だ。
尿中のタウリン量は、毎日の食事で摂る魚の量の目安になる。女子大生の平均値は住民検診の6割程度だった。
体重(kg)を身長(m)で2回割って出てくる数値がBMIで[18以下]は痩せすぎと判定される。20歳女性の20~25%がやせすぎという。
痩せすぎの女性が妊娠し子どもを有無となると、どうしても低体重で低栄養の赤ん坊になりやすい。」
  

【処方名-五十音順】  
■河車大造丸(腰膝がだるい・ふらつく・羸痩)
■還元丹(精髄を充実させ、元気を出させ、肥らせる
■混元丹(虚労・痩せ・痰嗽・鬼疰)
■桂芍知母湯
■啓脾湯(胃腸虚弱、痩せて顔色悪い、消化不良、下痢)
■柴胡清肝湯(やせ型が多い)
■左帰丸(腰膝に力が入らない・羸痩)
■滋陰至宝湯
■四君子湯(痩せて顔色が悪い者
■十全大補湯
■清暑益気湯
■大防風湯(栄養失調による運動麻痺、体力低下)
■天真元(脾胃が弱り、食欲不振、津液が枯れ、痩せる者)
■当帰芍薬散(貧血、冷え性、疲れやすい、月経不順、神経症状)
■人参養栄湯
■半夏白朮天麻湯
■補陰丸(陰虚・寝汗・遺精・夢泄・咯血・唾血・羸痩)

【宝石療法】
<1>[エメラルド]
  
   


類中風(るいちゅうふう)
⇒火・気・湿によって来る卒中類似の病。
「中風」は風によって来る。

【処方名-五十音順】  
■加味四物湯
■加味二陳湯
■加味附子理中湯
■加味六君子湯
■十味香薷飲
■清燥湯
■薛立斎類中風治法
■調気散
■補中益気湯
■木香順気散

 

涙嚢炎
【処方名-五十音順】  
■葛根黄芩黄連湯
■五苓散
■小青竜湯(咳嗽、喘、鼻水、)
■苓桂朮甘湯(めまい、なみだ目、小便不利)


流注
⇒膿の流注をいう《大塚敬節》
=寒膿瘍。
◎《諸病源候論》の風毒腫は即ち流注なり《方読便覧》
【処方名-五十音順】
■大黄牡丹皮湯


流注毒
◎《落合》「漢洋病名対照録」は流注毒を寒性膿瘍としているが、リンパ管炎、リンパ節炎や多発性癰疽などを指す。《勿誤薬室方函口訣》
【処方名-五十音順】
■追風通気湯《万病回春》

 


流注膿瘍
【処方名-五十音順】  
■黄蓍建中湯