<い> つらい症状・病名


1型糖尿病


■1型糖尿病
「大阪府富田林の小学6年生M君(12)は、1時間目の授業終了のチャイムが校内に響き渡ると、いつものように保健室に出向いた。
決して具合が悪いわけではない。M君や友達にとっては保健室はサロンのようなもの。養護教諭を交えておしゃべりをしながら休み時間のひとときを過ごす場になっている。
だが、この日は違った。
「なんだか眠い」
そう言って、ベッドに横になると、そのまま眠ってしまった。声をかけても、頬を叩いてもM君は一向に目を覚まさない。
突然の意識不明だった。M君の持病について承知していた養護教諭は、眠っているM君の口から少しずつジュースを流し込んでいく。M君は、それを無意識に飲み込んでいった後、何事もなかったように目を開けた。
インスリン依存型糖尿病による低血糖症状だった。
血中のブドウ糖を体内に取り込むインスリンが不足することで、ブドウ糖を唯一のエネルギー源とする脳が働かなくなってしまう。このため、急に眠ってしまったり、頭痛やだるさに襲われたりする。
普通、糖尿病と聞くと、「食べ過ぎ」や「運動不足」などの成人の生活習慣病を連想しがち。ところが、「Ⅰ型」のインスリン依存型糖尿病の場合、生活習慣とは無関係に子供に発症することが多いため、小児糖尿病とも呼ばれる。

■インスリン依存性糖尿病治療に新手法
「横浜市立大学と臨床検査会社の保険科学研究所、米マウントサイナイ医科大学の共同チームは糖尿病の新しい遺伝子治療の手法を開発、マウスによる動物実験で効果を確認した。
新手法は膵臓から血糖値を下げるホルモンのインスリンが放出されないインスリン依存性糖尿病(IDDM)の治療を狙った。導入したのはインスリンの濃度が下がると生産量が増える「PEPCK」という酵素とインスリンの遺伝子。インスリンが不足する場合のみ血糖値が下がる仕組み。血糖値の濃度に応じて遺伝子の働きが変動するため血糖値が下がりすぎる恐れはない。 1998.3.20《日経産業新聞》

■難しい管理
「19歳のA子さんは、8歳の時に糖尿病を発病した。この春、友人と旅行。旅先の救急病院から主治医に「朝から胃痛・吐で何も食べられずインスリンを注射していないが、血糖が257と上昇した。どうしたら良いか?」という問い合わせが午後2時に入った。即刻、朝食前に注射すべきインスリン量の2/3を注射し、同時に電解質と糖分を含む水分を静脈内に点滴で入れるように依頼した。A子さんは新幹線で因る11時過ぎに東京駅に到着。当病院へ直行し、輸液治療を続けた。数日で回復し退院した。
27歳のB子さんは2歳の時に糖尿病を発病。インフルエンザ様感冒で2、3日食事がとれず、低血糖を警戒してインスリン量を半分しか注射していなかった。こまめの血糖チェックを怠ったために、知らず知らずに高血糖になってしまった。のどが渇き、食事を摂っていないので糖分を含むものがいいと思って、サイダーを何回も飲んだという。高血糖のだるさで意識が朦朧(もうろう)として眠ってしまったらしい。
翌早朝、姉が急変したB子さんを発見。全身蒼白で意識が無くショック状態で近くの病院の集中治療室に収容。血糖値1500と正常の10倍に達し、ショック感も伴い、大量の尿失禁があった。ひどい脱水で脈も弱く、呼吸も少なく、体温32℃と冷たくなっていた。インスリンと水分を静脈内に大量注射して死を免れたが、発見が後れ命を落とす人もいる。20歳代になると自己判断で治療するようになるが、疲労で血糖チェックやインスリン注射が自分で出来なくなった時が危険である。(田苗綾子・国立小児病院内分泌代謝科)1999.5.10《日本経済新聞》

■遺伝子発見
「千葉大学と東京医科歯科大学などのグループは、子供のうちに発症するⅠ型糖尿病にかかわる遺伝子を突きとめた。病気のモデルラットで、この遺伝子に異常があることを見つけた。治療法開発の手がかりになると期待している。現在、患者で同じ遺伝子に変異があるかを調べている。
千葉大の清野進教授と横井泊英助手、東京医科歯科大学の米田嘉重郎助教授らの成果。
Ⅰ型糖尿病を自然に発症するラットのDNA(デオキシリボ核酸)を詳しく調べたところ、免疫の働きを調節する「Cb1b」という遺伝子に変異があった。このラットに正常型の遺伝子を導入すると、発症を抑えられることも確かめた。」2002.7.16《日経産業新聞》

■CD137
「自己免疫異常により血糖値調節ホルモンのインスリンが作れなくなる『1型糖尿病』の治療の手がかりとなるタンパク質を、マウス実験で見つけた。
免疫細胞の一種であるT細胞の表面にある受容体『CD137』が、1型糖尿病の発症に深く関与しているとみている。
1型糖尿病のモデルマウスに、CD137を標的とする抗体を作って投与したところ、投与していないマウスと比べ糖尿病の進行を抑えることが出来た。

■劇症1型糖尿病
「2000年に大阪医科大学第一内科の今川彰久講師が発見した。今まで健康体であったのが突然、糖尿病と宣告される。
1週間ほどでインスリンを産生する膵臓の細胞が悪化する。原因は不明だが、特定のHLA(白血球の型)のタイプを持った人が、何らかのウイルスに感染することが引き金になると考えられている。
日本糖尿病学会の調査では約300人の患者が報告されているが、実際は1万人ほどいると推定されている。
糖尿病の兆候は見られない。・・・・発症前の健康診断で“異常なし”と言われ、倦怠感を覚え、会社を早退した。“寝れば治るだろう”と休んだが、ノドの渇きがひどく、嘔吐で、食事ものどを通らない。そしてその夜、昏睡に陥った。
治療・・・・インスリン注射。



イボverruca

■跡残らぬ凍結療法
「60歳代、女性。数年前、右の手のひらに小さなイボが4個出来ました。それがだんだん大きくなり、手の甲にまで広がってきて心配しています。
広がってくるようなウイルス性のイボは、放っておいても抗体が出来て自然になくなることもあります。逆にどんどん大きくなり、他の皮膚に移って数も増えてくることが多いのです。免疫の弱い人は自家感染といって自分の皮膚にはどんどん広がりますが、他の人にはなかなか移らないのがイボの特徴です。
アトピー性皮膚炎の人はイボのウイルスにすかれる体質です。従って、イボを引きちぎったりすると、その汁が他の皮膚について新しいイボが出来るのです。
ウイルス性のイボには、足底や手のひらに出来る埋没性の圧迫で痛みを起こすイボ(アリ塚イボ)があります。
普通のタイプのイボは表面に盛り上がるので痛みはありません。
普通のタイプのイボは、液体窒素で凍らせてとる方法が最も広く行われており、これは健康保険も使えます。跡形が残らずきれいにとれるのが利点です。焼いてとる方法では傷跡が残ります。凍結療法は冷たさで神経が麻痺して痛みがありませんので、麻酔の必要もありません。
『アリ塚イボ』の場合は、凍結療法はうまくいきませんので、ブレオマイシンという制ガン剤をイボの中心に注射して落とします。
高齢になって主に首筋に出来る細長い糸状のイボは高周波で簡単にとれて跡形も残りません。」

■青壮年になってイボが急に増えた者------食生活を見直す必要がある。

■顔のイボ
「40歳の女性。20歳くらいから目鼻の下、こめかみに米粒より小さい平らなイボが多数出来ています。皮膚科を受診したところ、積極的な治療法はなく漢方薬を飲むように言われました。」
●どんな病気ですか?
顔に多数できる平らなイボは、『青年性扁平疣贅』と呼ばれています。ウイルスによって起こり、20歳前後の女性に多く見られます。顔のほか手の甲にも出来やすく、米粒より小さくて普通の皮膚の色か淡い褐色をしています。よく似た症状が現れる病気に汗の出る管が増殖する『汗管腫』がありますが、見分けるには皮膚科の医師の診断が必要です。
●どういうウイルスですか?
ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)といいます。HPVには様々な型があって、きちんと分かっているだけで80くらいあります、このうち扁平疣贅を起こすのは一部の型です。発症するまでに数ヶ月かかるので、どこから感染したのかは良く分からないことがほとんどです。他にも、子どもの手足に比較的大きめのイボが出来る『尋常性疣贅』や性感染症の1つで外陰部にトリの鶏冠(トサカ)のようなイボが出来る『尖圭コンジローム』などがHPVに関係しています。型はそれぞれ違います。
●治りにくいのでしょうか?
残念ながら直ぐには治りません。インフルエンザのように激しい症状を起こすウイルスと違って、細胞と共存していつまでも体の中に残ろうとする性質があります。しかし、発症してから数ヶ月、数年経つと、自然に治ることが多いようです。治りかたに特徴があって、突然赤みが出てきてかゆくなり、その後数週間で一斉に治ってしまいます。何がキッカケなのかはよく分かりませんが、免疫機構が突然働きだして治ります。一度治ってしまえば、同じ型のウイルスによる再発はありません。
●自然に治るのを待つしか手がないのでしょうか?
抗ウイルス剤やワクチンは無く、今のところ確実な方法はありません。自然に消えるのを手助けします。相談の方のように、ヨクイニンという漢方薬を使って免疫を活性化させるようにします。ニキビに使うイオウを含んだローションなどで人工的な刺激を与えて治ることもあります。自然に治ると言っても治療をした方が治りは早くなります。
●取り除くことは出来ませんか?
『尋常性疣贅』や『尖圭コンジローム』ならば液体窒素で凍らせて取り去る後方がありあmすが、『扁平疣贅』は原則として使いません。色素が沈着したり跡が残ったりするので、顔に多数出来ている場合には適さないのです。そのまま放置していても、ガンになるなどの心配はないので安心してください。目立たない場所なら、液体窒素を使うこともあります。それが炎症のキッカケに名手、周りが治り始めることもあります。
●他人に移らないのでしょうか?
患部をひっかいた手で他人の皮膚に触れたりすると、移してしまう恐れはあります。ただ、感染力は痛くないので、直接の接触を避ければ、それほど神経質になる必要はありません。
●どんなことに注意したら良いでしょう?
なかなか治らずに悩む人も多いと思いますが、発症から数年以内に80%以上の確立で治ります。興味深いことに、イボが取れるという暗示療法で効果が見られたとの報告もあります。なぜかは分かりませんが、免疫の働きに関係があるのかも知れません。あきらめずに、いずれ治ると信じて治療を続けることが大切です。(浅田秀夫・大阪大学講師)2000.8.27《朝日新聞》

【芳香療法】(いぼ)
<1>レモン油を1滴だけ稀釈しないで、爪楊枝につけて、イボの中心に落とします。そして、イボの上に乾いた絆創膏を当てて覆っておきます。イボが縮ん で取れてしまうまで、毎日繰り返す。
<2>比較的短期間に、多数のイボが出来たとき。これはウイルスに対する抵抗性が低下していることを示します。
①ガーリックのカプセルを服用(3~6回/1日)
②ローズマリー・ゼラニウム・ジュニパーの各精油またはこれらをブレンドしてリンパマッサージに使う。
③ビタミンEを適切レベルに保つ。
<3>イボの異常発生が、交通事故や人との死別といった精神的外傷を受けた後に起こることがあります。この場合にはそれに応じた治療方法を選択します。

【民間療法】(いぼ)
○アオギリ・なめくじ・ハトムギ
○扁平状のイボ:

①ニンニクを薄く切って貼っておく。

②その上に灸をすえる。
○突起状のイボ:イボの根もとを、糸でくくる。
  

【漢方薬】(イボ)
■越婢加朮湯
■藿香正気散
■麻杏薏甘湯
■桂枝茯苓丸
■当帰芍薬散
■薏苡附子散
■薏苡附子敗醤散





イボ痔 hemorrhoid
=内痔核。
◎イボ痔と肝臓機能とは関係が深い。血液循環が悪い結果、イボ痔になっているのだが、例えば、お風呂に入ったり・アルコルを飲むと血行は良くなるが、アルコールを飲んだ人のイボ痔は必ず悪化する。《螺王人》

【食養生】《螺王人》
絶対に、食べてはいけないのは、
<1>もち米が入った食品。
<2>牛肉。
<3>アルコール。
<4>就寝の3時間前の食事。
<5>脂っこい食事が続く。
<6>刺激物をたくさん。
以上の食事を続けると、悪化しやすい。
  
【漢方薬】(いぼ痔)
■乙字湯・・(実証の痔、脱肛、痔出血)
■桂枝加芍薬湯
■桂枝茯苓丸
■四逆散
■大黄牡丹皮湯
■当帰建中湯
■当帰芍薬散
■八味地黄丸
■麻杏甘石湯
■麻子仁丸
■六味丸
         




イライラ
【芳香療法】
<1>安息香
<2>クラリセージ
<3>サンダルウド
<4>ジュニパー
<5>乳香
<6>ネロリ
<7>バラ
<8>ベルガモット
<9>マージラム
<10>メリッサ
<11>ラベンダー
  

【宝石療法】(イライラ)
<1>[真珠]
<2>[カルセドニー]・・・感情が鬱積してイライラする人に。
<3>[ジルコン]

【民間療法】(イライラ)
<1>カノコソウ・カラスビシャク・シャクヤク・トウキ・ハス<2>ウスバサイシン・オウレン・カキ・カギカズラ・カラスウリ・キカラスウリ・キク・サフラン・シオン・シソ・セキショウ・ナツメ・ニンニク・ノビル・ハチク・ムクゲ・メハジキ。
  

【鍼灸】(イライラ)
「筋縮穴(第9椎の下)」《沢田流聞書鍼灸眞髄》
  
     

イレウス ileus              
=腸閉塞。 (参照→「鼓脹」)
paralytic ileus《麻痺性腸閉塞症》
⇒機能的腸閉塞症の1種。腸管内容の通過が障害された状態で、疼痛、悪心、嘔吐、排便・排ガスの停止、鼓腸などの症状がある。

◎種類:(イレウス)
■機械的イレウス(intestinal obstruction):
<1>閉塞性(単純性)
  1.異物・糞塊・癒着などが原因。
  2.腹痛は初め著明でない。

<2>絞扼性(複雑性)
  1.腸軸捻・腸重積・篏頓などが原因。
  2.腸間膜の血行停止を伴う。
  3.突然激烈な腹痛で始まる。            初期より反射性の嘔吐。
<3>機能的(麻痺性)
  1.腹膜炎・開腹手術が原因。
  2.鼓腸・排便・ガス排出停止、腸の蠕動運動も停止。
  3.嘔吐。
■機能的イレウスがあり(ileus)
   (金芳堂ー内科診断学p428)
  

【漢方薬】(イレウス)
■芍薬甘草湯
■大建中湯
■大柴胡湯
■烏頭桂枝湯
■大烏頭煎
■烏頭湯
■九痛丸



インシュリン抵抗性
⇒糖尿病の治療薬インシュリンが効かなくなるもの。
■サリドマイドが有効(参照→サリドマイド

 


インスリノーマ insulinoma
⇒ラ島B細胞の腫瘍に基づく、インスリン過剰産生によるもの。
◎症状:
低血糖症状:
  ・発汗・脱力感・皮膚蒼白・動悸・傾眠

  ・ケイレン・昏睡。
過食のため肥満していることあり。
   

◎検査:(インスリノーマ)
*空腹時の血糖値
*Whipple's Triasの確認
*IRI
*CPR値
*負荷試験

■血糖値、下がりすぎても
「糖尿病は膵臓から分泌されるインスリンの不足によって血液中の糖(血糖値)が高くなり、全身に様々な障害を起こす病気だ。歯科医s、このインスリンが逆に過剰になっても血糖値が下がりすぎて特有の症状が現れる。
Kさんは32歳の会社員。2年前より早朝空腹時にめまい・むかつき・発汗などが時々見られた。これらの症状は運動時にも起こるようになったが、食事をとると回復した。そのため過食気味になった。
ただ、2ヶ月前から意識消失やケイレンなどが加わったため、テンカンの疑いで精神科を受診した。だが空腹時の血糖値は1dlあたり45mgで正常値(70~110mg/dl)に比べて低く、症状はブドウ糖の注射ですぐに直った。さらに血中インスリンの値が、正常よりも高かったので、インスリン産生腫瘍(インスリノーマ)が疑われた。コンピューター断層撮影装置(CT)検査、血管造影検査で、膵臓の左側の1cm台の腫瘍が発見されたので、手術で薬4cmの腫瘍を摘出した。以後、低血糖発作はなくなり、普段の生活に戻っている。
血糖値を下げる作用があるインスリンは膵臓のホルモン産生細胞(β細胞)から分泌される。その分泌は血糖苓桂朮甘湯によって自動的にコントロールされている。つまり血糖値が上昇すればインスリンの分泌が増し、血糖値が低下すればインスリンの分泌も減少する。しかし、β細胞に腫瘍が出来ると、インスリンが常に過剰に分泌され、低血糖になる。
インスリノーマの最良の治療は摘出手術である。ただ、腫瘍の大きさが直径2cm程度と小さいため、たとえ開腹しても発見することが困難なことがある。そこで手術前にCT検査や血管造影検査で、その部位を調べたり、膵臓の各部医から流れ出る静脈血液中のインスリン値を測定したりして、腫瘍がある場所を推測する。手術中には超音波で腫瘍の位置を確認する。インスリノーマの摘出に成功すれば、1時間以内に血糖値が上昇する。これは手術成功のあかしとされている。」(木下博明・大阪市立大学医学部第二外科教授)2000.8.21《日本経済新聞》



インスリン受容体異常症
◎種類:

☆A型インスリン受容体異常症:
 A型は黒色表皮症、多毛、polycystic ovaryなど、高アンドロジェン血症による症状が認められることが多い。

☆B型インスリン受容体異常症:
 B型はSjögen症候群、PSSなど自己免疫疾患を伴うことが多い。
   

◎[A型]診断基準:(インスリン受容体異常症)

1987年、厚生省ホルモン受容体機構調査研究
臨床症状:
 ①若年層、とくに女子に多い。
 ②耐糖能の低下
 ③黒色表皮(acanthosis nigricans)を伴うことが多い。
 ④多毛、原発性無月経、多嚢胞卵巣(polycystic ovary)を伴うことがある。

検査所見:
①ブドウ糖負荷試験における耐糖能の低下
②血漿インスリンまたはCペプチドの高値
③外因性インスリンに対する反応の低下
④インスリン受容体抗体はない。
⑤血液細胞、脂肪細胞において、インスリン結合能の低下が認められる。
⑥培養細胞においても同様のインスリン結合能の低下を認める。
 培養細胞=皮膚線維芽細胞やEBウイルスにょり形質転換したリンパ球。
      

除外規定:
①以下の疾患による2次的受容体異常。
(a)成長ホルモン過剰
(b)副腎皮質ホルモン過剰
(c)インスリン非依存性糖尿病
(d)単純性肥満
(e)肝疾患

②原発性インスリン受容体異常を伴うもの。
(a)leorechaunism
(b)Rabson-Mendenhall症候群

③lipoatrophic diabetes
Werner症候群
筋緊張性ジストロフィー
        

④異常インスリン血症
 家族性高プロインスリン血症
   

 

◎[B型]診断基準:(インスリン受容体異常症)

1987年、厚生省ホルモン受容体機構調査研究班
臨床症状:
①成人、女子に多い。
②インスリン抵抗性糖尿病ないし軽度の耐糖能の低下。
③但し、時には低血糖を主徴候とすることもある。
④他に自己免疫疾患を伴うことが多い。
(a)Sjögen症候群
(b)PSS
(c)SLE
⑤黒色表皮症(acanthosis nigricans)を伴うことが多い。

検査所見:
①血糖:耐糖能の低下を認める。但し、低血糖を来す場合もある。
②血漿インスリンor Cペプチドの高値
③外因性インスリンに対する反応低下
④患者血液細胞のインスリン受容体の結合能の低下を認める。
⑤インスリン受容体抗体が証明できる。
⑥血沈亢進、γ-グロブリンの増加、他の自己抗体が陽性
      

除外規定:
①以下の疾患による2次的受容体異常。
(a)成長ホルモン過剰
(b)副腎皮質ホルモン過剰
(c)インスリン非依存性糖尿病
(d)単純性肥満
(e)肝疾患
②lipoatrophic diabetes Werner症候群
  筋緊張性ジストロフィー
③異常インスリン血症
  家族性高プロインスリン血症
④他の原因のよる低血糖:
(a)インスリノーマ
(b)インスリン自己免疫症候群

 


インスリン分泌過剰症
=インスリン分泌異常症(insulopathic)
⇒機能的ランゲルハンス島細胞腫

◎症状:低血糖発作
  過食に引き続き肥満を来す。
◎均整のとれた肥満。


インフルエンザ(流感) influenza
⇒感冒(common cold)は徐々に発病するが、インフルエンザ(流行性感冒)は急激に高熱になって発病する。
144通り(Hに16タイプ、Nに9タイプ)のウイルス
◎欧米ではインフルエンザを「フルflu」と呼び、エイズや肝炎など特定の病気を起こすウイルスと同様に位置づけ、普通の風邪とは区別している。
   

◎チェックしましょう:
高熱・頭痛・関節痛

⇒(「ツツガ虫病」と鑑別必要→症状:虫さされ)
   

◎インフルエンザの診断は
<1>蛍光抗体法によって抗原を証明、
<2>血清反応、
<3>うがい液でウイルスの証明で確定。
「診断キット」:

10分間で判定OK、日本ベクトン[ディクレティジェンFluA]

■検査で誤診
「インフルエンザの感染の有無を迅速に診断する検査試薬の一部に、間違った検査結果を表示する可能性があることが7/4日分かった。大阪府公衆衛生研究所の調査によると、誤判定が出たのは以下のの2製品。
ニチレイ(東京都中央区)の『ジースタットフルーA&Bキット』と・・感染している患者の6割近くを陰性と判定。
三菱化学ヤトロン(東京都中央区)の『プロラストチェックFiuA&B』 感染している患者の5近くを陰性と判定。 」2003.7.5《日本経済新聞》
   

■解説
「インフルエンザの病原体はウイルスの水準からすると、小さくて複雑な構造をしている。タンパク質と脂質の薄い層に保護された、表面がざらざらの球体をなし、その中に遺伝物質として動物の染色体によく似た長い螺旋状の鎖を持っている。その球体は、表面に700個以上もあるタンパク質の突起を使って宿主を襲うのだが、抗原と呼ばれるそのタンパク質は赤血球細胞と溶けあうようにしてその膜を突破する。ウイルスが増殖するには遺伝物質の鎖がほどける必要があるが、その過程で子孫を死なせるかと思えば、次世代の能力を高めるなどの、様々な「エラー」が生ずる。ヒトの免疫系の抗体はタンパク質の突起に立ち向かっていくのだが、ウイルスの抗原のほうは時間の経過によって移動標的のように変化、つまり「変異」することが出来る。従って、ヒトはインフルエンザの一つの変種との勝負に勝っても、部分的に変化した相手から再試合を いどまれることになるのだ。「不連続的抗原変異」という大きな変化の結果、とくに強力な新変異株がどこかに現れると、それは急速に世界中に広がる。
しかも、インフルエンザウイルスは乾いた粘膜のなかで何時間も生き続ける。
インフルエンザを確実に防ぐ方法はないし、かかってしまえば有効な薬もない以上、ワクチンだけが唯一の医学的な防御手段である。毎年、次の冬季にはどの種類のインフルエンザが優勢になるか。情報を集めた上で予測することになる。例えば、アメリカの疾病管理センターは1994年3月、世界中の120の研究所から集めた1500のインフルエンザウイルスの標本を研究して、94年から95年に流行が予測される3つの株からワクチンを作ることにした。AテキサスとBパナマ、A山東(1993年からA北京のかわり)である。
重大な合併症を起こす危険のある人々の為に7000万人分のワクチンが4つの製薬会社によって製造された。こうしたウイルスに対する免疫はワクチン接種後1~2週間以内に出来上がる(ワクチンは殺したウイルスから作るので、予防注射からインフルエンザに罹ることはない。ただ、ワクチン株の培養にはニワトリの卵を使うので、卵アレルギーの人は、ワクチン接種は避けるべきである)。60歳以上の人々の場合、ワクチンによってインフルエンザ罹患率は半減する。ワクチンを接種してもインフルエンザに罹ることはあるが、その場合は症状が軽くてすむだろう。
インフルエンザAウイルスは現在最も一般的なもので、1933年に感染した人々の喉(ノド)から発見された。さらにB型が1940年に、比較的めずらしいC型が1947年に発見された。これら3つが基本的なインフルエンザウイルスで、その変異株は[B香港][Aニュウージャージ][Aバンコク]などと、一般的にはそれぞれが流行を起こした場所の名で呼ばれている。
1918年以降、インフルエンザAは57年と68年の2回、不連続的抗原変異を起こした。新しいウイルスの自然界のエサ場は恐らく、ブタと水鳥-----カモやカモメ-------で、それらが糞を介してヒトを含めた他の生物に周期的にウイルスを移すのである。1980年には、インフルエンザウイルスAがアザラシの間で流行し、それらを助けようと世話をした人々が結膜炎に罹った。
「A Field Guide to Germs by Wayne Biddle・春日倫子訳」p37~42より。
   

■ブタ体内で新ウイルス?
「A型からC型まであるインフルエンザウイルスのうち、最もよく流行を起こすのが、A型。その人間型は1933年に発見されたが、豚型はその3年前に見つかっている。馬やカモ・アヒル・ニワトリなどの鳥類に感染する型も確認されている。
 さらの1970年代に香港大学のK・F・ショートリッジ教授が中国の豚を調べ、人間型や鳥類のウイルスも持っていることを見つけた。鳥型は人間には移らないが、豚には人間型も鳥型も移ることが分かってきた。
 1970年代後半にはドイツの研究者によって、世界的に大流行した香港風邪(1968年)のウイルスと、その前に流行したアジア風邪ウイルスを比べると、8本の遺伝子のうち6本が共通し、残り2本は鳥のウイルスと共通していたことが明らかになった。こうした経緯から、人間と鳥のウイルスが同時に豚に感染し、豚の体内で遺伝子が交じり合う「交雑」を起こしているらしいとの見方が出てきた。
  ●8本の遺伝子
「名古屋市大医学部の中島捷久教授(ウイルス学)は93年、遺伝子の進化の速度から香港型ウイルスが生まれた時期を逆算した。その結果、鳥と人間とのウイルスが交雑して67年末ごろに豚の中で生まれたと推定する。中島教授は「普通のウイルスは遺伝子が1本だがA型インフルエンザウイルスは8本の遺伝子を持っていることが特徴。交雑で新型に変身することで大流行を起こす」とみる。
 アジア風邪と香港風邪は流行経路から中国南部から起こったと見る研究者が多い。しかし、なぜ中国南部が新型ウイルスの発生地と考えられるのか。
 ショートリッジ教授は80年代前半、中国南部で豚を通してウイルスの遺伝子が交じり合う可能性が高いことを指摘した。その第一の理由として挙がられるのが、人間と豚、アヒル、ニワトリなどが接近して暮らしている生活様式だ。庭先の豚がアヒルなどのウイルスを含んだ糞を吸い込む。人間からもウイルスが移る、という訳だ。
 もう一つの理由として、根路銘国昭・国立予防衛生研究所・呼吸器系ウイルス研究室長は「南寧では春秋に小さな流行期がありながら年間を通してウイルスが見つかる」と話す。冬に集中して流行し、夏にウイルスが消える日本とは対称的だ。年中感染の機会が有れば、新型ウイルスが生まれた時に人間社会に定着しやすい。
●要警戒「H7」
「次の大流行がはたして起きるのか。根路銘室長や中島教授が警戒するのは鳥で流行してきたH7という型が人間に入ってくることだ。毒性が強く「トリペスト」とも呼ばれ、鶏舎のニワトリを全滅させるほどの被害をもたらす。ショートリッジ教授は95年、中国南部の豚からH7ウイルスの抗体を見つけたと報告している。1997.1.10《朝日新聞》
   

■スペイン風邪のウイルス解明
「1918年ごろ大流行し、1年間で2000万人以上が死亡した史上最悪のインフルエンザ。80年前の死亡したの陸軍兵士の病理組織からウイルスの基本構造が判明。リード博士によると、患者のウイルスはブタのインフルエンザウイルスの類似型と判明、ウイルスがブタの体内で変異し、新型となって人間に感染したことが分かった。」
   

■65歳以上が死者の9割
「いま流行のインフルエンザは「A香港型」とみられる。中島捷久・名古屋市大教授(ウイルス学)が「そもそも高齢者にとってインフルエンザは命にかかわる病気だ」と指摘する通り、95年までの6年間のインフルエンザによる死者のうち65歳以上は9割前後を占める。
  高齢者の死に結びつきやすいのは、高齢者では痰や咳が多く、病変が気管や肺にまで及んでいるのと、高齢者は呼吸器の感染防御機能が弱くなっていて、肺炎を起こしやすいことが挙がられる。また、高齢者は肺炎を併発しても熱がそれほど高くならず、発見が遅れることがある。1997.1.29《朝日新聞》
   

■免疫細胞総動員
「“インフルエンザにかかると免疫細胞が総動員されます。病状の経過を見れば、免疫の仕組みが良く分かるでしょう”国際免疫学会連合会長の多田富雄・東京大名誉教授はこういう。
 会社員Aさんの例を見よう。
冬の朝、満員電車の中で、隣の男性が何度も激しいせきをしていた。Aさんは顔をそむけたが、ウイルスを吸い込んでしまう。2日後、鼻水やクシャミが出始めた時、100万を超えるウイルスが、Aさんの鼻やのどの粘膜細胞で悪さをしていた。
 感染した粘膜細胞の表情は、通常時とは少し違ってくる。そんな変化に[NK細胞]がいち早く気付き、ウイルスの潜む粘膜細胞を殺していく。もちろん、ウイルスの方もどんどん細胞を破壊する。これらの細胞の死骸は、アメーバに似た[マクロファージ](白血球の1種)が食べて掃除する。
4日目、帰宅したAさんの体温は37℃。
死骸を食べたマクロファージが、「ウイルスの味がするぞ」と叫び始めたのだ。叫び声を聞いた[キラーT細胞]は、マクロファージから教わったウイルスの特徴を手がかりに、」感染細胞を探しては殺す。キラーT細胞も大声を出して仲間を増やすので、Aさんの熱は38℃を超え、せきも激しくなる。高熱は免疫の効率を上げるためだが、Aさんは堪らず会社を休んでしまった。最初の朝から6日目のことである。この一連の反応を『細胞性免疫』といい、ウイルス感染の際に働くことが多い。
 同じ頃、Aさんの体の中では、別の反応も進んでいた。
マクロファージの叫び声を、[ヘルパーT細胞]が聞きつけたのだ。この細胞は免疫の司令官。キラーT細胞を元気づけるとともに、[B細胞]も指揮することができる。「ウイルスをたたけ」と命令されたB細胞は、抗体というミサイルを発射する。抗体に取り付かれたウイルスは、感染力が弱まっていく。抗体が体液の中を流れるため、この反応を『液性免疫』という。
 細胞性免疫と液性免疫の両方が働いたおかげで、ウイルスは体内からいなくなった。7日目の朝、気分良く目覚めたAさんは、“休んだ日に病院でもらった薬が効いた”と考えた。しかし、多田さんは言う。“治ったのは、医師や薬のおかげではありません。あなた自身の免疫力に感謝するべきでしょう”」      1997.10.19 《朝日新聞》
   

■高齢者には怖い病気
「インフルエンザが猛威を振るっている。宮城県の老人施設では、集団感染で7人が肺炎を起こすなどして亡くなった。健康な人なら、罹っても1週間ほどで元気になるが、体力のない高齢者では命に関わる怖い病気だ。昨シーズンは約7000人もの高齢者らが死亡したというデータがある。
世の中に「風邪薬」と名の付くものは多い。しかし、原因となるウイルスを叩くことは出来ず、インフルエンザに効果はない。
予防にはワクチンが有効で、米国の高齢者は7割が予防接種を受けるなど、欧米では普及している。しかし、日本では接種率が0.5%に過ぎず、先進国の 中でも際だてインフルエンザの流行に無防備だ。
そうした状況の中で、初のインフルエンザ治療薬『アマンタジン(商品名シンメトレル)』が昨年22月に承認され、使えるようになった。厚生省がメーカーに承認申請を促し、国内の臨床試験なしでスピード承認する異例だった。厚生省の強い危機感の表れと言える。
この薬はこれまで、日本では脳神経の障害で手足の動きが思うようにならないなどの症状が出るパーキンソン病に使われてきた。それが何故インフルエンザに効くのだろうか?
もともとは59年に米国で抗ウイルス剤として開発された。インフルエンザウイルスは、体内の細胞に取り付くと、殻が破れ、遺伝子が飛び出し増殖する。この薬は、殻が破れるのを妨げ、ウイルス増殖を防ぐ。
インフルエンザに罹ったパーキンソン病の患者が、たまたまこの薬を飲んでパーキンソン病の症状も改善されたため、パーキンソン病に治療薬としても承認された経緯があるからだ。
●感染後使用は要注意
「川崎市の日本鋼管病院の菅谷憲夫・小児科長によると、この薬をあらかじめ飲んでおくと、インフルエンザ発病を予防する効果が75%ほどある。米国では、流行期に1、2ヶ月、毎日予防内服するよう推奨。老人ホームなどで感染者が出たら、全員が飲むよう勧告している。
感染後もすぐに服用すれば、症状が軽くなり、発熱などの期間が1~2日短くなるという。だが、感染後に使用すると、薬に耐性を持つウイルスが3割程度に現れ、薬が効かなくなる。若い人と高齢者が同居している場合、若い人が先に感染して薬を服用、耐性ウイルスが現れたら、高齢者は治療できなくなり、危険にさらされる。
菅谷科長は「ふだん健康な人が、仕事や受験の都合でこの薬を使うことは勧められない。高齢者や、心臓病、気管支喘息、重い糖尿病などの患者に使えば、死亡や重症化を避けることが期待出来る」と話す。
ただ、「安易にこの薬を出す医療機関も多いのではないか」と懸念する専門家もいる。メーカーのノバルティスファーマによると、小児に対する安全性は確立していない。
現在、別の治療薬の開発も急ピッチで進んでいる。その1つは吸入薬の『ザナミビル』。やはりウイルス増殖を抑えるが、耐性の問題はないとされる。A、B2つのタイプがあるウイルスのうち、アマンタジンがA型だけに有効なのに対し、こちらは両方に効く。今年中に承認申請される見通しだ。
インフルエンザ対策の基本は予防接種で、アマンタジンなどはそれを補完する薬。菅谷科長は、高齢者や心臓病などの人には、まずワクチン接種を行い、効果が現れるまでの10日間ほどをアマンタジンでしのぐといった使い方を提唱している。」

■抗A型インフルエンザ合成DNA薬
「A型インフルエンザに有効な遺伝子治療薬の開発に、千葉工業大の高久洋教授(生物化学)らのグループが世界ではじめて成功した。エイズなど他のウイルス感染症の治療にも応用が期待されている。
インフルエンザにはA、B、C型があるが、特に大流行を起こしやすく、恐れられているのがA型。高久教授らは、A型インフルエンザウイルスの8本の遺伝子のうち『PB2』と呼ばれる遺伝子に注目。この遺伝子のウイルスタンパク質の合成が始まる起点となる部分にピタリとはまり、ウイルスの増殖を強く阻害するDNAを化学的に合成した。さらに周囲を脂質の膜で包み、DNAが血中から口・鼻の粘膜や肺の細胞に移行しやすくした。
この合成DNA薬を、インフルエンザで肺炎を起こしたマウスに静脈注射をしたところ、2週間後で最大74%のマウスが生き残り、肺炎も完治した。DNAを投与しなかったマウスはすべて死んだ。
この結果は、現在米国で承認されているインフルエンザ治療薬『リバビリン』」と同じ程度だが、合成DNA薬の方が毒性や副作用が少ないという。
高久教授は「合成DNA薬はこれまでの治療薬と違ってウイルスの変異を誘導しないため、エイズへの応用も有望」と話している。」

■解熱剤使わず安静に
「インフルエンザウイルスは閉鎖した空間でくしゃみや咳で飛び散った飛沫の中のウイルスで空気感染する。ウイルスは冷たい場所でよく増え、公園では増殖できなくなる。真冬に流行するのはこのためだ。流行時には寒い所に長居しないことだ。
電車や教室内でマスクをすることは、空中に飛散したウイルスを含む粒子が鼻や口に直接入るのを妨げ、ノドを冷やさないように出来るので、意味があるかもしれない。葛湯を飲むと良いと言うのは、ノドや体を暖めるからだろう。
治療には解熱剤を使わない方がよい。頭痛がひどくて眠れない場合にだけアセトアモノフェンを少量使う程度にして、解熱剤を使わず安静にしている方が早く治る。解熱剤を使用して無理をするとこじらせる元になる。日本ではインフルエンザワクチンは効果がないとして学童への集団摂取が中止された。有効と主張する意見もあるが、私が分析したところ有効性を裏付けるデータはなかった。
最近導入されたアマンタジンとA型インフルエンザの薬は30~40%のヒトが罹る大流行で4、5人に使って1人を治療したり予防出来る。A型インフルエンザが流行しているなら良いが、昨シーズンのように大流行していないと恩恵を受けるのは、20~30人に1人程度。とても100%の治療や予防効果が期待できる特効薬ではない。」(浜六郎)1999.12.13《日本経済新聞》

■近く承認されるインフルエンザ薬
「英グラクソ・ウェルカム者のインフルエンザ薬「ザナビル」が近く承認される見通しだ。商品名はリレンザ。国内での第3段階の心象試験は省略され、海外の試験データを使って異例の早さで手続きが進んだ。背景には、昨冬のインフルエンザで多くの死者が出たこと、ザナビルが之までにない仕組みで効く新しい薬ということなどがある。しかし、国内外の臨床試験の評価では、効果を疑問視する声もある。
「ザナビルは出来るべきして出来た約。よく分からないけど効く薬とは訳が違う」とグラクソ社の日本法人臨床開発第一部の明日だ邦章さん。
この薬は、インフルエンザウイルスの表面にある酵素ノイラミニダーゼに働く。ウイルス増殖に重要な役割を果たすこの酵素を邪魔すれば、インフルエンザを治療できると考えられていたが、なかなか理屈通りにいかなかった。オーストラシアのベンチャー企業がコンピューターやX線解析などを使ってザナビルを作った。グラクソ社がライセンスを受け実用化した。
酵素ノイラミニダーゼは人の歳墓標面のシアル酸を切り離す働きがある。シアル酸の基本部分のノイラミン酸を分解する酵素という意味でついた名前だ。
インフルエンザウイルスの表面にはシアル酸と結合するタンパク質があり、細胞に侵入するとき、まず、この部分がシアル酸にくっつき、そこを足掛かりにして細胞膜の内側に入る。
細胞の中でウイルスが増殖すると、外に飛び出していく。このとき、細胞表面のシアル酸がウイルスに鳥餅のようにくっついて離れられなくなってしまう。また、ウイルスはシアル酸を含む細胞膜の一部を使って自分の膜を作るので、ウイルス同士がくっついて身動きがとれなくなる。これらを防ぐため、ウイルスはノイラミニダーゼでシアル酸を切る。
ノイラミニダーゼの働きを封じれば、ウイルスは細胞から他の細胞へ移って行くことが出来なくなるはずだ。そこで、ノイラミニダーゼとくっつきやすい物質として、シアル酸と構造のよく似たものが作られた。だが、シアル酸を切る酵素は人間も持っていて、ノイラミニダーゼを邪魔する物質はこれらも邪魔してしまうため、副作用が出てうまくいかなかった。
●隙間埋める
そんな中、オーストラリアのグループがノイラミニダーゼの結晶化に成功し、1983年、ノイラミニダーゼの立体構造を英科学誌ネイチャーに発表した。コンピューターの三次元画像を使った研究で、ノイラミニダーゼにシアル酸が結合しているとき、部分的に隙間があることを見つけた。
この隙間が埋まるようにシアル酸分子の形を変えたのがザナビルだ。 ノイラミニダーゼとの結合の強さをコンピューターで計算すると、シアル酸よりずっと強かった。逆に、人間の酵素との結合は弱く、ほとんどくっつかない。人間の酵素には同じ隙間がないため、形を変えた部分が邪魔になるのだ。
この成果は93年、ネイチャーに発表され、グラクソ社が各国で臨床試験を始めた。今年2月にスウェーデンで承認され、オーストラリア・欧州連合・米国と続いた。
日本での試験も94年に始まり、今年8月厚生省に承認された。
スイスのロシュ社も米国のベンチャー企業ギリアード・サイエンシズ社と共同で、96年にザナビルとは別な部分に手を加えたノイラミニダーゼ阻害剤「オセルタミビル(商品名タフミル)」を開発した。今秋、スイスや米国で承認された。ザナビルが口から吸い込む粉末なのに対し、こちらは飲み薬だ。
ザナビルはウイルスが主に増えるノドの細胞にだけ直接可決方式なた、え。体内に入ることがほとんど無く、料も少なくて済む。オセルタミビルは全身に行き渡るので、ノド以外でも増えるウイルスへの効果も期待できる。
●副作用少ない
これらノイラミニダーゼ阻害剤は、これまでのインフルエンザ薬にはない利点をいくつか持っている。
まず、副作用が非常に少ない。とくにザナビルの臨床試験での副作用報告は偽薬と差がつかなかった。さらに、インフルエンザのA型にもB型にも効く。
薬の効かない耐性ウイルスも生まれにくい。実験室で耐性ウイルスが出来たが、増殖能力が弱く、人間の体内で増えるのは難しいと見られている。
ノイラミニダーゼが阻害剤とくっつきにくくなる様な変化を起こせば、ウイルスは耐性を持つことになる。しかし、そうなると、ノイラミニダーゼはシアル酸とも結合しにくくなり、増殖は困難になる。A型だけでも9種類のノイラミニダーゼが知られているが、ザナビルとオセルタミビルはいずれの酵素も阻害する。

■風邪と“別格”甘く見ないで
「風邪は鼻やノドなど上気道の急性の感染症の総称で、性格には「風邪症候群」という。感染原因のほとんどはウイルス。その種類は200を超えると言われる。
ここ数年、冬に流行しているインフルエンザもその仲間だが、“別格”と考えた方がいい。急に39℃を超える高熱が出ることや、頭痛や筋肉痛、関節痛などの全身症状が特徴で、大人も苦しむ。
大阪市立総合医療センター中央臨床検査部長の巽陽一さんは「高齢者や乳幼児、慢性疾患の患者さんが感染すると合併症なども起こり、死亡する危険性が普通考えるよりも高くなる。インフルエンザは危険な病気なのです」と話す。
今年1~3月のインフルエンザによる死者は、高齢者を中心に1000人を超えた。
厚生省は今年、「インフルエンザは風邪じゃない」と訴えるリーフレットを作り、「普通の風邪とは全く違う病気。甘く見てはいけない」と強調。高齢者施設での感染防止ガイドラインを作った。来年3月末まで「インフルエンザ相談ホットライン」(03-5285-1231)で一般からの相談に応じている。
例年、インフルエンザ流行は1月になってからと言われるが、「大阪府内では、もうインフルエンザが原因の学級閉鎖が出始めました」と大阪府立公衆衛生研究所ウイルス課長、。奥野良信さんは言う。
ここ数年、インフルエンザウイルスの中でもA香港型が流行してきた。「今シーズンはAソ連型にも警戒が必要です。この型に対する免疫を持っていない人が多い空で、早めに流行し始めるかもしれません」と奥野さん。
ウイルスは、患者のくしゃみ・咳などで飛び散り、別の人が吸い込んで親友。免疫に勝ったウイルスが競う粘膜の細胞内で増えて発症する。
厚生省では感染の予防法としてワクチン接種を勧めているほか、
 ▽外出時はマスクをする
 ▽帰宅時には手洗い、うがいを心掛ける。
 ▽睡眠を十分取り、栄養に気を配る。
 ▽室内を適度な湿度に保つ。
 ▽なるべく人混みに出かけることを避ける。
を挙げる。
 ●手洗い、案外効果
大阪市立総合医療センターの巽さんは「案外軽く見られているのが手洗い。インフルエンザウイルスなどは、界面活性剤に弱いので、よく手を洗って」という。
もし罹ってしまったらインフルエンザも風邪も休養が第一。たいてい、体力のある大人なら1週間ほどで回復するとされるが、早めに医療機関にかかることも大切だ。

■アンチセンスで増殖抑制
「千葉工業大学の研究チームは人工の遺伝子を使ってインフルエンザを治療する新しい技術を開発。動物実験で効果を確かめた。インフルエンザウイルスに結合して活動を押さえ込む人工遺伝子を、ウイルスに感染した細胞に効果的に送り込むようにした。
●米国で特許出願中
新手法は相手の遺伝子にくっついて働きを妨害する「アンチセンス」という人工の遺伝子を利用する手法を改良したもので、千葉工大の高久洋教授が中心になって開発した。インフルエンザウイルスの遺伝子はリボ核酸(RNA)と呼ぶ物質で出来ているが、これに対応したアンチセンスRNAを作り、ウイルスに感染した細胞にうまく取り込まれるように工夫した。
アンチセンスRNAの両端には拡散を接着させて安定性を高め、体内で簡単には分解されないようにした。これを細胞膜に似た脂質膜の小さなカプセルでくるみ、注射で投与する。脂質膜カプセルは肺に集まる性質を持っており、インフルエンザウイルスに感染した肺の細胞に接触すると両者の膜が融合、細胞内にアンチセンスRNAを放出してウイルスに作用させる仕組み。
インフルエンザに感染したマウスを使った実験では、5mgを投与した場合に平均で55%のマウスが7日以上生存、同25mgを投与した場合には74%が生存した。何も投与しなかったマウスは3日ですべて死亡した。
通常のアンチセンスは血清中の酵素の作用を受けるなどして4時間程度で分解されてしまうほか、単独で使うと、感染細胞の表面にくっつくだけで、中にまで入り込みにくい。安定性を高めた上、脂質膜カプセルを利用することでこれらの難点を克服した。」2000.3.24《日経産業新聞》

■増殖の仕組み
「東京大学医科学研究所の河岡義祐教授と広島大学の藤井豊助手らは、人間の体内でインフルエンザウイルスが増殖する仕組みを解明した。インフルエンザには決定的な治療薬がないが、今回の成果を手がかりに効果の高い治療薬やワクチンを開発できる可能性がある。成果は米科学アカデミー紀要に発表。
研究グループは人間の培養細胞にウイルスの遺伝子であるRNA(リボ核酸)を送り込み、ウイルスがどれだけ出来るかを調べた。全部で8本あるRNAが一塊りになって細胞膜に包まれ、新たなウイルスになることがわかった。RNAを1本でも減らすと増殖する量が極端に少なくなった。
8本のRNAが細胞膜に取り込まれるには、各RNAのうち、タンパク質を作る情報を持つ特定部位が欠かせないことも確認。」2003.1.28《日本経済新聞》

■鳥インフルエンザ
「香港で通常は人間に移らない鳥のA型インフルエンザウイルス(H5N1)に家族5人が感染し、うち2人が死亡したことが分かった。H5N1は1997年に初めて香港でヒトへの感染が確認され、6人が死亡している。
香港当局の発表によると、家族5人は旧正月で1月中旬から中国福建省の親類宅を訪問。1月28日に次女(8才)が肺炎を起こし、現地の病院で死亡。父親(33)も香港に帰ってから肺炎になり、2月17日に死亡。長男(9)も発熱などの症状が出て入院したが、快方に向かっている。
H5N1は長男と父親から検出された。香港衛生当局によると、ウイルスは97年に流行したものとは微妙に異なっているという。」2003.2.21《日本経済新聞》

■ワクチンで副作用
「1998年~2003年4月にかけてインフルエンザワクチン接種を受けた9人が肝機能障害を発症し、うち2人が死亡していたことが分かり、2003年8/28、厚生労働省は医薬品・医療用具等安全情報を出して、医療機関に注意を呼びかけた。死亡したのは70代と80代の男性。
さらに、喘息発作の副作用も11例報告された。
また、インフルエンザ治療薬「リン酸オセルタミビル(タミフル)」では2001年以降に、急性腎不全や白血球減少などの副作用が報告されている。」2003.8.29《日本経済新聞》
「2002年度にインフルエンザワクチン接種による副作用で1歳女児が死亡していたことが判明。主治医の報告では死因は急性脳症」2003.1.7《日本経済新聞》

■スペインかぜ・・・鳥インフルエンザに類似
「米厚生省・疾病対策センター(CDC)は2005年10/5、1918年~1919年にかけて世界中で大流行した悪性インフルエンザ『スペインかぜ』の原因ウイルスが、近年アジアなどで発生している鳥インフルエンザウイルスによく似ていることを突き止めたと発表。
CDCの研究グループはスペインかぜで亡くなった患者の肺組織の標本を集め、それらに残っていた原因ウイルスの遺伝子の断片を発見。それらを組み合わせて、ウイルスを人工的に再現するのに成功した。
このウイルスの遺伝子構造を調べたところ、人間に感染するインフルエンザウイルス(H3N2型など)よりも、鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)によく似ていることが判明。
研究グループは鳥類で流行していたウイルスが、わずかな突然変異で、人間社会でも大流行するようになったと推測している。」2005.10.6《日経》

■吸入型
「第一三共は、2007年4/18、国内で開発中の吸入型インフルエンザ治療薬の臨床試験を11月から始める。タミフルやリレンザと同じ「ノイミラーゼ阻害剤」と呼ぶ種類の薬。細胞内で増殖したウイルスが外に出るのを防ぐ。

■鼻粘膜に投与
「国立感染症研究所と財団法人・阪大微生物病研究会は、様々に変化して流行するインフルエンザウイルスにも対応できるワクチンを開発した。鼻の粘膜jに投与するため呼吸器や腸管などに抗体ができ、感染そのものを防ぎ、接種しやすい。
増殖しないインフルエンザウイルス成分と人工RNAを合わせて投与する。体内ではウイルスの抗体ができるが、皮下に注射するワクチンと違う種類の抗体ができるため、変化するインフルエンザウイルスに対応できる。マウスやカニクイザルで効果を確認した。20079/3

■新型ワクチン
「国立感染症研究所と化学及血清療法研究所は、新型インフルエンザワクチンを自前で製造するのに欠かせない独自技術を開発した。新型ウイルスを弱毒化する工程で必要になる最適な培養細胞を見つけ、ワクチン開発に利用可能なことを確認した。」

■呼吸不全
「新型インフルエンザに罹ると重度の呼吸不全や免疫機能が暴走する。その原因の一端を秋田大学・オーストリア科学アカデミー分子生物学研究所などのチームが突き止めた。
成果は2008年4/18のセル電子版に発表
今井由美子・秋田大学主任研究員らは毒性が強くて新型インフルエンザに変異すると云われる鳥インフルエンザウイルス(H5N11型)を使って実験した。
マウスの肺に投与したところ、肺から『酸化リン脂質』が分泌されることが分かった。之を引き金に本来は病原体の侵入を見張る役目を担っているタンパク質『TLR4』が過剰に働くようになり、炎症物質が大量にできた。
遺伝子操作でTLR4を欠損させたマウスにも。呼吸不全の症状が現れたが症状は軽かった。さらに研究チームは、鳥インフルエンザウイルスに感染・発症して死亡した患者の肺で、免疫が過剰に働いた痕跡を見つけた。」

■沖縄の樹木から
「根路銘国昭・国立感染症研研究所元室長は、沖縄本島北部の名護市周辺(山原やんばる)で「生物資源研究所」の所長として、地元に自生する約2000種類の植物を採集。これらのおがぐずなどの成分にインフルエンザウイルスを死滅させる効果がある事を突き止めた。

【西洋薬】(インフルエンザ)
<1>A型のみ:
「アマンタジン(商品名:シンメトレル)」:
  (副作用:ふらつき・不眠)
▼耐性が拡大
「2005年9/21、CDC(米疾病対策センター)のチームが、人で毎年流行するインフルエンザウイルスが、比較的安価な治療薬アマンタジンに対する耐性を急速に獲得し、中国や香港で耐性ウイルスの割合が70%近い深刻な事態になっているとランセットに掲載。
「この薬は新型ウイルスの治療にはもう役に立たないだろう」とCDCは警告する。2005.9.22《日経》

<2>A・B型に:
「リレンザ」(ザナビル):欧州で承認、豪州で発売。

<3>ABC型に有効:
 「T-705」富山化学が開発中
 「比較的単純な構造で生産しやすい。インフルエンザウイルスに重度に感染させたマウスに[T-705]を投与したところ、すべてのマウスが3週間後まで生存した。一方、[T-705]を投与しなかったマウスは7日以内に死んだ。」2000.10.18《日本経済新聞》

<4>GM04-001(開発番号)
アミノ酸の一種ペプチドが主成分。インフルエンザにくっついて細胞内に入りこむのを阻止する。既存薬は細胞から出て行くのを止める仕組み。

■T-705
富山化学の古田要介氏は従来と全く異なるインフル薬の開発を主導中。
“誰か、ウイルスを入れ忘れたのではないか?”1998年、富山市の研究所で新薬候補のスクリーニングをしていた時、培養皿の中に、不自然にきれいままの細胞を顕微鏡で見つけた思わず声を上げた。
通常ならインフルエンザウイルスを細胞に実験中の細胞に感染させると、一目で分かるほどボロボロになる。
ところが、ある化合物を投与した細胞はウイルスに感染しても全く変化しないことが分かった。
2009年現在、インフルエンザ治療薬は「タミフル」と「リレンザ」の2種類が広く使われている。いずれもウイルスが人の細胞内に侵入した後に、増殖して再び外に脱出するのを様ゲル仕組みだ。
これに対して開発中の「T-705」は、ウイルスが細胞内で増殖するときに働くRNAポリメラーゼの働きを抑え、細胞内のウイルス増殖そのものを妨げる。
T-705が注目される理由の1つに、H5N1型にも有効なこと。H5N1型ウイルスに感染させたマウスにタミフルを投与しても10匹中2匹しか生き残れなかったのに対し、T-705を投与したマウスはすべて生き残った。
また、タミフルやリレンザは発症後48時間以内に投与しないと効果期待できないが、T-705はマウスでは96時間後の投与でも有効だった。
  

【芳香療法】(インフルエンザ)
<1>初期:
①ティートリー:
 「1~3滴をバスタブに入れて熱い沐浴をすると、発汗させて治療」
②ユーカリラベンダー:沐浴及び精油バーナーで蒸散噴霧。
    

<2>回復期:
①ベルガモット
①ローズマリー

【光線】
■H9N2型
「2009年、東芝マテリアルは、光触媒でインフルエンザウイルスの働きを抑制できることを確認した。蛍光灯の光を照射するだけで感染能力をほぼ完全に失うという。」
  

【色彩療法】
    <1>緑色
    <2>青色
    <3>赤紫色
    <4>紫色
  

【民間療法】
    緑茶

  

【処方名-50音順】(インフルエンザ)
■葛根湯
■桂枝加葛根湯    
■桂枝湯
■柴胡桂枝乾姜湯
■柴胡桂枝湯
■小柴胡湯
■小青竜湯
■参蘇飲
■清上防風湯
■川芎茶調散
■大柴胡湯
■調胃承気湯
■当帰四逆加呉茱萸生姜湯
■白虎加人参湯
■防風通聖散
■麻黄細辛附子湯
■麻黄湯
■麻杏薏甘湯

 

■リレンザ
「タミフルが効かない「H5N1型」の鳥インフルエンザウイルスに対し、別の藥である「リレンザ」が効く可能性があるとする研究成果を英国立医学研究所がまとめた。
タミフルはインフルエンザウイルスが増殖するのに不可欠な酵素「ノイラミニダーゼ」の働きを抑えて治療を早める。タミフルが効かないH5N1型を調べたところ、ノイラミニダーゼの構造の一部が変異すると効果を失わせることがわかった。
リレンザはこの変異があっても、効果がほとんど変わらなかった




インフルエンザ脳症
(参照→「急性脳症」)

■発症9時間、幼い命奪う
「何でも萎え歌にして歌っては、家族を笑わせた。その子はしかし、わずか3歳で、瞬く間に先立っていった。
Yさん(37)は98年、次男恭平ちゃんをインフルエンザによる急性脳症で亡くした。
その年2月2日朝、高熱が出た。2日前の夕方から熱っぽく、だるそうにしていたが、この朝は39℃。かかりつけの小児科に連れて行った。
待合室で2時間待つ間にも、熱は40.3℃に。普段好きなジュースも「変な味がする」と言って飲まない。「インフルエンザ」と診断され、解熱剤と抗生物質を渡された。
帰宅して解熱の座薬を使うと少し熱が下がり、アイスクリームを食べた。Yさんの膝に抱かれ、長男(5)がしているテレビゲームを見ていた後、異変は起きた。
「目が痛い」と言って、布団に入ろうとして歩き出した途端、ドーンという音ともに倒れ込んだ。驚いて抱き上げると、「回る、回るよ!」と叫び、体がピーンと硬直していた。
午後8時半、かかりつけの医師は不在。近くの病院へ向かった。ここでも小児科医はおらず、診察した外科医は「熱性ケイレン」といい、ケイレン止めの薬を入れた。「30分ぐらいで落ち着いて眠るでしょう」と、診察室を出ていった。
しかし、長男は眠るどころか、ベッドに横たわって目を見開き、まばたきもしない。呼びかけても口をパクパクさせるだけ、嘔吐もした。
明らかに様子がおかしい。だが、繰り返し看護婦に訴えても、「もどすのは熱のせい。大丈夫」と言うばかりだった。
「もう、この病院を当てに出来ない」。Yさんは、受診先を換えることを決めた。我が子を抱き暗い廊下を歩いて病院を出るとき、ここを頼ってきた自分が、ひどく惨めだった。
迎えに来た夫の車で、市内の公立の夜間診療所に直行。診察した小児科医は見るなり、「これは重症」と、設備の整った県立病院への転送を手配した。
午後10時30分。県立病院に到着。激しいケイレンが起きた。「急性脳症です」と医師。懸命の治療でも呼吸が乱れ、心拍は弱まった。
「どうしても、ダメですか」
ふるえる声の夫に、医師は力無く首を振った。翌朝未明に死亡。発症から9時間後だった。原因はノドから検出されたA型インフルエンザウイルスとみられた。

■58人が急性脳炎で死亡
「今年1月~3月末までにインフルエンザと診断された患者のうち、217人が急性脳炎・脳症を発症し、58人が死亡していたことが25日、厚生省が実施した発の全国調査で分かった。5歳までの乳幼児が発症者の8割を占め、回復した患者のうち4割に後遺症が残っていることも明らかになった。
インフルエンザ脳炎・脳症は急性脳症の一種で、ウイルスや細菌の感染で起きるとされる。乳幼児に多く、高熱が出てから意識障害やケイレンなどを起こすまで症状の進行が早いのが特徴。
発症後の経過を見ると、約4人の1人の割合の57人が死亡、17人が病状の経過観察中。回復した142人のうち、ほぼ4割にあたる56人に歩行障害や知的障害などの後遺症が残ったという。
今回の調査によると、発症者の中にインフルエンザワクチンの接種を受けていた人はいなかった。急性脳炎・脳症に対するワクチンの効果について厚生省は「一般にワクチン接種を受けている乳幼児はほとんどいないうえ、科学的な研究結果もないため何とも言えない」としている。」1999.6.26《日本経済新聞》

■解熱剤で高い死亡率
「子供が熱を出すと、親も医師も解熱剤に頼ることが多い。こうした傾向に再考を促すデータが昨年暮れ、厚生省研究班により、まとめられた。
調査対象は、昨年1~3月に報告されたインフルエンザによる脳炎・脳症のうち、分析可能な202人。年齢別にみると、1歳が最も多く、0~5歳で80%を占めた。
研究斑員で国立感染署研究所感染症情報室長の岡部信彦さんによると、幼児に多いのは、繰り返しインフルエンザに感染して免疫がある大人に比べ、子供は抵抗力が不十分なことなどが考えられるという。
脳症患者の65%は解熱剤を使用していた。そのうち、メフェナム酸(商品名:ポンタール)を使った患者の死亡率は67%、ジクロフェナクナトリウム(同ボルタレン)では52%、解熱剤を使わなかった患者の死亡率は25%。これを元に統計学的に処理すると、死亡の危険度は、使わなかった場合に比べ、、それぞれ4.6倍、3.1倍高かった。
岡部さんは「これら2種類の薬は高熱時に使われる傾向がある。熱が高いと死亡率も高く、このデータさけで解熱剤が脳症の犯人とは言い切れない。しかし、詳細な検証が必要。現段階では、これらの薬はできれば使わない方が良い」と話す。
一方、薬の評価を行う医薬ビジランス(監視)センター代表で内科医の浜六郎さんは「熱の高さを考慮した研究班の解析でも、死亡率は解熱剤を使った方が高い。別な解析方法では、危険性は明らか」と指摘する。
インフルエンザにかかり、熱や鼻汁、タンなどが出るのは、ウイルスを撃退するための正常な炎症反応。メフェナム酸など2剤は、非ステロイド系抗炎症剤と呼ばれ、炎症を抑える力が強い。「こうした薬を使うと、ウイルスと戦う力を弱める。敵と戦う援軍を、背後から襲うことに等しい」と浜さん。
ウイルスに感染させたウサギの実験。メフェナム酸を飲ませると、リンパ節内のウイルス量が。飲ませない場合の1000倍になり、死亡率も4倍以上。
インフルエンザが脳症を起こす理由は、よく分かっていないが、ウイルスを抑えるために体が出す物質(サイトカイン類)が過剰に出て、脳を壊すという見方が提唱されている。解熱剤を使うと、この物質がいっそう多く出るのではないかという。
浜さんは「熱で脳が侵される心配はない。これら2剤だけでなく、非ステロイド系抗炎症剤を解熱剤として使うことを禁止すべきだ。」と腫脹。「頭痛などで眠れず、薬を使う場合も抗炎症作用の弱い汗とアミノフェンを最小限使うにとどめたい」としている。安易な解熱剤の使用は、避けた方がよい。
予防や治療は可能なのだろうか?

■ドーマン法で脳障害回復
「インフルエンウイルスによる脳炎などで脳に障害を受けた長男に、米国で開発された知的・身体的訓練法『ドーマン法』を行い、就労できるまでに回復させた大阪市のSさん夫婦が「脳障害センター」を設立、同訓練法の紹介などを行っている。
Sさん夫婦の長男が5歳だった時に、インフルエンザにかかり、3日間、高熱に苦しんだ後で言葉が不自由になり、感覚の大半を失った。医師は「半年経てば良くなるのでは?」などととぼけたことを言っていたが、あまり回復せず、夫婦で様々な訓練法を模索した。そんな中で、新聞で、米国フィラデルフィアで人間能力開発研究所を主宰するグレン・ドーマン博士が開発したドーマン法を知った。
損傷をのがれた脳細胞を再開発して、知的・身体的に発達させようとする訓練法がドーマン法。具体的には、腹這い・歩行・ランニングなど乳幼児が成長に応じて行う運動を、脳症者に繰り返し行わせ、それぞれの運動で使われる脳の部分を開発させる。一方で、絵本などを使った知的訓練も実施する。
大きな成果が上がったケースもあるが、当時、わが国ではほとんど導入されていなかった。
Sさん夫婦は渡米し、ドーマン博士から教えを受けた。帰国後、腹這いで1km以上進むなどのハードな訓練を連日夜遅くまで行った。訓練には、温かな目で見守る保護者が根気よく付き添うことが不可欠。」


インポテンス impotence   
=(性交不能症・陰痿)
⇒性欲、勃起、性交、射精、オーガズムと進む一連の性行動のうち、どれかが不十分なために性交が出来ないこと。 
   

◎チェックしましょう: 

→「Shy-Drager症候群」「HAM」
→冷感症、貧血。
   

◎若い人のインポと高齢者のインポでは原因も治療法も異なります。
   

◎治療は以下の症状で分かれます。
<1>その気になれない。
<2>立たない。
<3>もたない、すぐ終わる。
<4>しんどい、終わるとガックリする。
<5>いつまでも射精できない。
   

◎電磁波の影響をもろに受けるのが、「眼球」と「睾丸」です。
   

■「性的回避」
「2人にセックスのないことが“発覚”したのは、よくある会話がきっかけだった。首都圏で研究職に就く30代前半の夫と、20代後半の妻。結婚後1ヶ月、実家の母親から「孫の顔を」と水を向けられた妻がそれとなく打ち明けて、「大変だ」ということになり、埼玉県のあるカウンセラーに相談を持ちかけた。
 夫は30歳をを過ぎて上司や親に「そろそろ身を固めたら」と言われ、勧められるままに見合い結婚。「その気」はあるがなかなか性行為につながらない、それを自分でも真剣に受け止めていて、「妻から変に思われるんじゃないかと焦りもあった」と複雑な心境を漏らしたという。
  [セックスレス・カップル]--------。

順天堂大学浦安病院(千葉県浦安市)などで性障害を訴える患者に接してきた精神科医・阿部輝夫さんは、特別な理由がないのに2人の合意した性交や性的接触が2ヶ月以上なく、その後も長期に渡ると予想される場合をそう定義し、治療にあたっている。
 もちろん、「倦怠期」「2人の合意」などが理由で、特に困っていない人も多い。阿部さんが注目するのは夫の「性的回避」。生殖機能に問題がなく性欲もあるのに、妻との性行為に臨めないケースで、8、9年前から、20代後半~30代前半の男性に増えているという。
「気持ちはあるのに、なぜか、できないんです」
「トライしてみたんですか?」
「いやあ」
「試して見ればいいじゃないですか」
「はあ」
診察室で、妻や親族に連れられてきた夫は、被告席に座らされたかのようにうなだれていることが少なくない。こうした男性を見続けてきた阿部さんは、「みんなまるでコピーを取ったみたいにそっくり」と驚いている。
 一人っ子、時間を決めた人工栄養保育、冷たく無機質な雰囲気の家庭、母親からの過干渉ーーといった成育歴の共通点がまず一つ。性格的には、批判に弱く、失敗や恥を恐れ、消極的な対人関係しか結べないーーなど「回避性人格障害」の診断基準に当てはまる場合が多い。
「親子のふれあいが適切でなかったことが人間形成に影を落とし、性生活の障害につながっているのではないか」と阿部さんは指摘する。阿部さんは、患者に自分自身を見つめ直させる精神療法などで、気長に治療に取り組んでいる。しかし、効果は妻の対応などでも左右され、これまでに、「性的回避」の男性の約1/3が結局は離婚しているという。 1996.12.17《日本経済新聞》

■「セックスしたい脳」と「セックスする脳」
「セックスしたい脳」=「性交する前に興奮する脳」。大脳皮質、特にその「前頭葉」にある。
「セックスする脳」=「性交中に興奮する脳」。別名を「性中枢」といって、脳幹にある。脳幹でも特に「間脳」の「視床下部漏斗部」にある。
「セックスする脳」が入っている間脳は、その外側を包んでいる「人の脳」である大脳皮質によってコントロールされている。したがって、大脳皮質が健全であっても、すなわちセックスしたいと思っても、下部の「セックスする脳」、すなわち視床下部に故障があれば、人間はセックス・レスとなる。
逆に、何か強い精神的なストレスなどがあると、ストレスは大脳皮質の前頭葉を直撃するから、「セックスする脳」が健全であっても、「セックスしたい脳」の方から抑制信号が送られて、これまたセックス・レスとなってしまう。
例えば、今流行の「テクノストレス・インポ」などというのは、毎日のように長時間コンピューターを扱っている為に前頭葉がやられた結果である。またコンピューター技術者が、しばしば色気と共に食い気もなくしてしまうのは、「セックスする脳」に隣接して食べることを司る「摂食中枢」があるからである。(石濱淳美著「心と体を活かす性」より)。

■脳で性ホルモン合成
「東京大学の川戸桂教授らは、生殖器のみで作られると考えられていた性ホルモンが脳内で合成されていることを発見した。性ホルモンを合成する酵素をラットの能の実験で発見、取りだした脳細胞中でホルモンが合成されることを確認した。
川戸教授らは記憶を司る大脳の海馬という場所に性ホルモンの合成酵素である『チトクロムP450』という酵素があることを発見。大脳を取り出して観察したところ、脳の細胞中で性ホルモンが合成されていた。
更年期の女性は、女性ホルモンの血中濃度が低下する。この時期にアルツハイマー型痴呆を発症することがあり、女性ホルモンを補充する療法によって、痴呆を改善する効果があることが臨床的に知られている。
今回の成果は、こうした臨床の効果を分子レベルで説明できる可能性があるという。」2003.12.25 《日経産業新聞》
  

【芳香療法】
<1>以下の精油を使って、パートナーの女性がマッサージを施すのが効果的です。
 ①サンダルウッド
 ②ジャスミン
 ③ネロリ
 ④クラリセージ
<2>アルコールは男性の精力の最大の敵です。
  

【色彩療法】
<1>緑色
<2>オレンジ色
<3>赤紫色
<4>緋色

【民間療法】(インポテンス)
<1>ウコギ。
<2>ヒルガオ。
<3>カワラケツメイ・コノテガシワ・サンシュユ・ニラ。
 

  

【漢方療法】
◎陰痿=七傷の疾患:

[還少丹][五精丸][上丹][膃肭補天丸][固本健陽世][九仙霊応散]
  

【処方名-50音順】(インポテンス)
■膃肭補天丸(虚損陰痿)
■回春散(陰冷を治す)
■加減内固丸    
■還少丹・(下部脈が細く、陰痿して立たないとき)
■帰脾湯
■九仙霊応散(男子の陰湿による不能)
■桂枝加竜骨牡蠣湯
■呉茱萸湯[6](厥疝の上逆して陰が冷える)
■五精丸(腎虚陰痿に)
■柴胡加竜骨牡蛎湯
■三黄瀉心湯
■四逆散
■小建中湯
■十補丸(寒疝の陰冷と、小腸・膀胱の奔豚)
■上丹(労傷・虚損と男子の不能)
■小柴胡湯
■助陽散(急陰冷を治す)
■清魂湯(外腎が冷え前陰が痿し、陰嚢が湿ってかゆい)
■大烏頭煎
■大柴胡湯(精神的インポ)
■治陰痿不起云々方
■天雄散
■人参養栄湯
■八味地黄丸(早漏)
■補中益気湯
■抑肝散
■抑肝散加陳皮半夏湯
■苓姜朮甘湯
■六味丸




いじめ(いじわる)
■言い返す言葉覚え強くなる。
「小学4年生の女の子が友達を突き倒し、大けがをさせてしまった“事件”があった。
彼女はクラスの中でいじめにあっていた。

「のろい」

「一緒に遊んでもつまらない」

「うざったい」

というのがいじめる側の理由だった。母親は、何かと娘がクラスメートたちと交われるようにと、誕生会にいじめ側の子供たちも招くことにした。夜遅くまでかかって母親と一緒に作った招待カードを渡しながら、母親から教えられたとおり女の子は言った。「お誕生日会に来てね」。
しかし相手の少女から返ってきた言葉は「や・だ・よ」だった。そして其の子はカードをこれ見よがしに捨てた。女の子はどう言ってよいか分からず黙って立ったままだった。それから急に目の前の女の子を両手で突いたのである。不意を突かれた少女はそのままコンクリートの廊下に仰向けに倒れ後頭部を強打した---------。これが“事件”のあらましである。
 ほかにどんな方法があっただろうか。

「そんなこと言わないでおいでよ。○○ちゃん、来ないとつまんないよ」とあくまでもお願いする、

「へっ、あんたなんか来なくていいよ」と悪態をついてやる。さっと無視して別な友達の所へ行ってしまう・・・。

女の子はいずれの方法も取ることが出来なかった。ただ怒りだけがあった。
自分がどのように言い返したら良いか困ってしまいそうな場面が描いてある一コマ漫画。吹き出しの部分には何も書いていない。「こんな時どんなふうに言い返したらよいだろう?」。女の子と一緒に考えてみる。とっさには出てこない言葉でもゆっくり考えてみるといろんな言い方が思いつく。それらの「せりふ」を漫画の中に書き入れ、それを台本にしてロールプレイング(役割演技)をする。これまで言ったことのない言葉も使ってみる。次に役割を交換してやってみる。彼女が「いじめ役」、私が「いじめられ役」である。
 こうしたロールプレイングを繰り返すうちに、彼女はこれまでの自分のボキャブラリーにはなかった表現を、たくさん身につけていった。表現が変わると人間関係も変わっていく。はっきり言い返す言葉を獲得した彼女は、いじめをはね返すようになっていった。菅野純1996.4.24《日本経済新聞》」
   

■A少年と祖母の愛情    
「祖母の死後、A少年の行動が変わったと言われる。少年にとって祖母はどのよ うな存在だったのか?
 8年前、連続養女誘拐殺人の犯人として逮捕された宮崎勤もおじいちゃん子だったと言われる。彼もまた祖母の死後、行動が著しく変わるのである。それまで暴力などふるったことのない彼が、妹の髪をつかんで引きずり回して殴ったり、祖父の形見分けをしていた親族たちに“出て行け”と怒鳴り散らしたりする。父の髪の毛をつかんで車のドアの何回も頭を打ち当てた、とも報告されている。彼自身は、昏睡状態の祖父を見て“どうしようか、どうしようか”とオロオロし、“気が付いたら、ころっと感情を失ってしまった”と述べている。
 祖父はA少年にとってどんな存在だったか。彼は幼い頃から、手の障害について悩んでいた。外見的には変わらないが骨の異常のため、手のひらをクルッと回す「ちょうだい」の動作が出来なかったのである。人が何かあげようと近寄ってくると、彼の心はこわばってしまう。どう受け取ったらよいか分からない。買い物も釣り銭のないように神経を使う。しかし幼稚園では手首をくるくる回したり、手を取り合って踊るお遊戯があり、そのたびに相手の手を払いのけたりしながら、彼は友達のいない「変な子」になっていくのである。
  しかし、両親は我が子がそんなに悩んでいるとは全く気付いていなかった。彼も話さなかった。彼が心を許したのは祖父ともう一人、両足が不自由で軽度の精神遅滞のあった使用人だけだったと言う。幼い頃一番よく遊んだのは?という問いに、「おじいさん」と彼は答えている。
 祖父母は子供の親と異なり、子供を躍起になって躾けたり、カッカしながら勉強させたりする必要がない。ただ純粋にかわいがり、ひたすら子供を受け入れ、温めようとする。世の中には様々な理由で、A少年のように祖父母的な無条件の愛情をたくさん必要とする子供がいる。A少年もそんな子供だったのではないか?(菅野純・早稲田大学教授)1997.7.16《日本経済新聞》

■脳科学で
「“なぜ返済能力を超えて借金する人が絶えないのか?”“不利益を被っても他人にイジワルするのか?”従来の経済学では説明が付かない人間の行動を脳科学で調べる『ニューロエコノミクス(神経経済学)』が盛んになってきた。
大阪大学の西條辰義教授は「イジワル」を対象にした研究を始めた。自分に不利益になることが分かっていても、相手にダメージを与える選択をあえてする人の脳を調べる。イジワル行動は、米国人に比べて日本人で顕著に見られる。
目先のことと将来のことでは考える脳の部分が別々で、脳の中で競り合っているとされる。




イチゴ状血管腫
■早めに治療始めるのが効果的
「2歳9ヶ月の男児。生後10日ほどで、鼻の下が赤くなり始め、鼻から唇にかけて腫れが広がりました。『イチゴ血管腫』と診断されましたが、半年ごとの経過観察以外、特に治療はしていません。その後、徐々に赤みは取れましたが、栗ビルの腫れが残り、右半分が下がっています。初めて聞く病名で、この先心配です。」(岩手・H)

◎イチゴ状血管腫とは?
毛細血管が異常増殖して起きる赤アザの一種です。赤く隆起して、切ったイチゴを肌の上にのせたように見えるのが特徴です。原因は分かっていません。皮膚の表面や
もう少し不快皮下組織に生じるタイプもあります。出来る場所や大きさは様々です。

いつ頃現れるのでしょう?
もう1つの代表的な赤アザである『単純性血管腫』が、生まれたときからあるのに対し、イチゴ状血管腫の場合、生まれた直後にはありません。生後2週間~1ヶ月ぐらいたってから、赤い斑点が現れて広がり、盛り上がってきます。生後半年~1年ほどで勢いが弱まり、その後は徐々に縮退して、5、6歳くらいまでに無くなります。後には、ちりめん状のシワが残ることもあります。

治療の方針は?
小学校に入る頃までには自然に消えるので、目の周りに出来て視界を遮るなどの妨げがなければ、そのまま放っておいて構わない、というのが従来の考え方でした。しかし、最近になり、症状が出始めた段階で積極的に治療すれば、あざの広がりや盛り上がりを抑えられ、短期間できれいに治すことが出来ることが分かってきました。

どのくらいで治るのですか?
例えば、放置すれば6歳まで消えないアザが1、2歳でなくなることもあります。早い段階で治療を始めるほど効果的です。出来れば隆起が始まる前が望ましいのですが、この段階では、ほかの赤アザとの識別が難しいので注意が必要です。

どんな治療法がありますか?
パルス色素レーザーを患部に照射して、異常な毛細血管を破壊する方法があります。費用がかかるのが難点でしたが、1996年に保険適用対象になってから、治療手段の1つとして使われる要になりました。

具体的に説明してください
直径2~10mmのレーザー光を患部に敷き詰めるように照射します。その際、輪ゴムでパチンとはじかれるよな痛みがあります。患部の大きさにもよりますが、大柴胡湯合いたい数分で終わり、出血もありません。赤黒い跡が出来ますが、1、2週間で消えます。これを1、2ヶ月の間隔を開けて、数回繰り返すうちに、徐々に城っぽい部分が増えて、色が薄くなってきます。1回の照射で、すぐに消える訳ではありません。
レーザーが難しいケースは?
目のそばに血管腫がある場合と、皮下にあるものには不適です。

他にどんな治療法がありますか?
ステロイドの投与や、ドライアイスで患部を凍らせる方法などがあります。」
(橋本透・東京慈恵会医科大学医師)2000.1.9《朝日新聞》



いびき  snore   
(参照→「睡眠時無呼吸症候群」)
=睡眠時の異常呼吸音。振動が規則的で、周波数が比較的低いいびきはあまり問題にならない。

不規則で高音、時々引きつるような音がするのは要注意。

【鍼灸】(いびき)
[印堂][上星][迎香]
  

【漢方療法】(いびき)
■葛根湯加川芎辛夷・(鼻づまり、首の後がこわばる、濃い鼻汁、頭重)
■奪命丹・・(喘嗽でいびきをかき、上気する症)
■兜鈴丸・・・(喘促でいびきをかき、眠れない)
■防風通聖散



いんきん
⇒以下の疾患の俗称。
<1>頑癬。
<2>図画性湿疹
<3>湿疹状白癬。

【民間療法】(インキン)
<1>クサノオウ。
<2>アマガエル・ウメ(梅)・ギシギシ・クロモジ・ザクロ・スベリヒユ・タケニグサ・ツワブキ・ドクダミ・ニンニク・ヒガンバナ・ユキノシタ。

  
【漢方療法】(インキン)
■小柴胡湯
■土瓜根散
■八味地黄丸


E型肝炎
=潜伏期間・・・平均6週間
インドや中国では原因ウイルスに汚染された水を飲んで感染。日本では海外帰国者が持ち帰る病気で、国内に原因があるとは思われていなかった。
2003年、国内で感染した人が4名出た。
E型肝炎の検査は医療保険の対象外。通常、肝障害が疑われ場合、病院ではA型・B型・C型のウイスル検査はするが、E型はまずしない。

■E型肝炎ウイルス
「ややA型肝炎ウイルスに似て、糞口接触と汚染された水を介して宿主から宿主へと移るウイルス。アジアやアフリカ・メキシコで流行した肝炎の病原体として新たに認められた。」
(A Field Guide to Germs by Wayne Biddle)春日倫子訳より。

■E型肝炎、酷似ウイルス、ブタから検出
「国内で3人の死亡が確認されたE型ウイルス(HEV)と、よく似た遺伝子構造を持つウイルスが、栃木県内の養豚場のブタから検出されていたことが22日分かった。
E型肝炎は人間とブタ、ヒツジなどに感染する人獣共通感染症(人畜共通感染症)で、国内の動物からの検出は初めて。国内患者と今回ブタから検出されたウイルスの関連は不明という。
厚生労働省結核感染症課は「E型肝炎は人の便から飲み水を経て感染するという考え方が一般的。ブタからの感染があるかどうか早急に検討したい」としている。国立感染症研究所によると、ウイルスに感染したブタの肉は、通常の加熱処理で危険はなくなる。
ブタのHEVは、自治医大分子病態治療研究センター(栃木県南河内町)の岡本宏明助教授らが12カ所の養豚場で計186匹のブタの血液を検査したところ、3カ所の養豚場で見つかった。」2002.7.22《日本経済新聞》

■生肉に要注意
「発熱などの症状を訴え受診したAさんは急性肝炎と診断された。父親など家族や友人も相次いで発症し、当初は約2ヶ月前の海外旅行で感染したと見られていた。しかし、医師らが詳しく調べると、知り合いの猟師から譲り受けたシカ肉の生肉を、病気になる約7週間前に食べていたことが判明。切り分けて冷凍保存しておいた残りの肉片からもAさんたちと同じタイプのE型肝炎ウイルスが見つかり、なまにくが直接の原因と分かった。
調査に当たった、東芝病院(東京品川区)の三代俊治研究部長は「E型肝炎ウイルスは完全に土着化した」と指摘する。
E型肝炎は海外旅行者が持ち込む輸入感染症とされていたが、最近、渡航歴の無い患者が増えている。特に、野生動物の生肉を食べたことが原因と見られる例が、2003年になった相次いで報告されている。鳥取県ではイノシイの肝臓を生で食べた2人の男性がE型肝炎に感染、このうち1人は劇症肝炎を発症して死亡した。北海道では市販のブタレバーからE型肝炎ウイルスが見つかった。
寄生虫感染症に詳しい宮崎大学の名和行文副学長の研究室には、全国の医療機関から年間で400~500件の検査依頼がある。名和教授らは主な12種類の寄生虫について、感染の有無を2時間あまりで同時に判定・診断できる技術を持つ。午前中に依頼があれば午後には診断結果を報告できる。
陽性と診断されるのは全体の約4割。特に多いのが動物由来の回虫だ。トリやウシのレバーを食べて感染したケースが目立つ。幼虫のまま人間に感染して肺炎や肝機能障害を起こす。命に関わることは無いが、まれに幼虫が神経に入り込んで麻痺することもある。
回虫に次いで多いのが、「肺吸虫」。モクズガニや、それを食べるイノシシに幼虫が潜んでいる。名前の通り、肺に吸い付くように寄生し、セキや血痰・呼吸障害の原因となる。このほか最近3年間だけでも30種類以上の寄生虫感染が見つかっている。一般に、寄生虫感染は効果的な薬もあり、命に関わることはあまりない。しかし肺吸虫症はレントゲン写真で肺ガンと誤診され、不必要な入院検査まで実施した事例もあるという。「おかしな症状が出たら、以前に生肉を食べたかどうかを考え、寄生虫感染を疑うことが大事」(名和教授)だ。
E型肝炎ウイルスは63℃、30分の加熱で感染力を失うとされる。2003.10.7《日本経済新聞》

■輸血で
「北海道の病院で心臓外科手術を受けた男性が、輸血が原因と見られるE型肝炎ウイルス(HEV)に感染していたことが2005年11/1分かった。
輸血によるHEV感染は北海道で2件、東京で1件起きており、今回で4例目。
男性に輸血された血液の献血者は1人で、その血液を検査したところ、HEV感染が判明した。献血者は「ブタのホルモンやレバーを食べたことがある」と話している。
ブタやイノシシの肝臓や生肉などを食べることで感染するE型肝炎は、感染後2~9週間の潜伏期間を経て発症するが、初期はウイルス量が少ないため検査をすり抜けた可能性がある。さらに時間のかかる高感度の核酸増幅検査(NAT)の結果が出る前に血液が使われた。」2005.11.2《日経》

■マングース
「沖縄県に生息するマングースがE型肝炎ウイルス(HEV)を保有していることが、厚生労働省のE型肝炎研究班(主任研究者:三代俊治・東芝病院研究部長)の調べで分かった。
沖縄県ではハブなどを駆除するために海外から持ち込んだマングースが野生化している。沖縄県中央食肉衛生検査所の中村正治。主任技師らが捕獲したマングース100匹の血液を分析した。
100匹中1匹からは感染を示すウイルスのRNAを検出。また、この1匹を含む21匹から、過去に感染していたことを示す抗体が見つかった。
ウイルスの型は沖縄県内のブタから検出したものとよく似ていた。」



胃アトニー gastroatonia
=胃アトニー症 gastric atony
⇒atonyは、筋の緊張が消失又は衰弱した状態。
⇒胃アトニーは胃無力症のことで、胃の壁の筋肉がゆるんで無力化し、胃の運動や消化作用が弱まった状態のことで、食事をすると胃がふくれて膨満感と圧重感を覚えます。一般に空腹時には苦痛がほとんど無いのが特徴で、食欲不振の原因になります。
  

【食事の要点】(胃アトニー)
*イチジク
*胡椒
*そら豆(胃の筋肉を強める)
*パセリ
*ハチミツ
*麩
*ヤマイモすり下ろして食べる。(消化酵素アミラーゼ4~5%含有)

【民間療法】(胃アトニー)
○アカマツ・アキグミ・アロエ・イカリソウ・イワタバコ・ウツボグサ・エビスグサ・オオジシバリ・オウレン・オオバコ・オケラ・カワラケツメイ・キササゲ・キハダ・キンカン・鶏卵・ゲッケイジュ・ゲンノショウコ・玄米・サフラン・サンショウ・スイカズラ・スッポン・センブリ・タカサブロウ・タンポポ・チョウセンニンジン・ツリガネニンジン・ニラ・ニンニク・ノアザミ・ハコベ・ビワ・フキ・ヘチマ・マタタビ・ミカン・ヨモギ・リンドウ。
○ハブソウゲンノショウコ
  

【処方名-50音順】(胃アトニー)
■安中散
■茵蔯五苓散
■甘草瀉心湯
■甘草粉蜜湯
■甘麦大棗湯
■桂枝加芍薬蜀椒人参湯
*この処方は小建中湯大建中湯-膠飴である。胃腸のアトニーがあって、便秘し、大黄などの入った下剤を用いると、腹痛を訴えて、気分が悪い者に、本方を用いると、大便が快通する。(漢方診療医典)
■桂枝加芍薬大黄湯
*胃アトニーばかりでなく、腸もまたアトニー状となって、便秘し、下腹部の膨満を訴えるものに、本方が良い。大黄の量は0.3~1.0くらいまでの少量がよい(漢方診療医典)
■呉茱萸湯
■五苓散
■四君子湯
■生姜瀉心湯
■小建中湯
■小半夏加茯苓湯
■真武湯
*腹部が軟弱無力で、脈も沈弱、沈遅弱などで、血色がすぐれず、手足は冷え、下痢気味のものによい(漢方診療医典)
■旋覆代赭湯
■大建中湯
■大黄甘草湯
■通脉四逆加猪胆汁湯
■当帰芍薬散
■人参湯
■半夏厚朴湯
■半夏白朮天麻湯
*六君子湯の証に似ていて、頭痛、めまいを訴え、足冷を訴えるものによい(漢方診療医典)
☆茯苓飲
*腹にも脈にも比較的力があって、胃の膨満感、停滞感があって振水音もあり、噫気が出たり、胃液が口に上がってきたりする者に用いる。胸やけや噫気の多いものには呉茱萸2.0、牡蛎3.0を加えるとよい(漢方診療医典)
■茯苓沢瀉湯
■附子人参湯
■平胃散
*軽症の胃アトニー症で、心下痞、腹部膨満感のある者には、平胃散を用いる。また胃に刺激を与えて、機能の亢進をはかる目的で、香砂平胃散を用いることもある(漢方診療医典)
■補中益気湯
■六君子湯
*病状が一段と進み、血色が悪く、気力が衰え、脈にも、腹にも力がなく、食後にねむけを催し、体がだるく、頭重、めまいなどを訴える者には、六君子湯を用いる。もしみずおちのつかえがひどく、気分が沈みがちであれば、香砂六君子湯とする(漢方診療医典)
■苓桂朮甘湯
*半夏白朮天麻湯証よりも、実証で、腹にも脈にも力があり、心下部が膨満し、めまい、動悸を訴え、尿利の減少のある者によい。腹診によって、振水音を証明し、臍部で動悸の亢進を触れるものが多い(漢方診療医典)

【臨床例】
☆44歳、主婦。
「胃アトニーで、暖かくなると胃の調子が悪くなる。肩こり、のぼせがあり、手足が冷え、生理の前後になると頭痛がする」
「父親と妹がガンで無くなっているので、胃腸専門病院で胃カメラとレントゲン検査を行ったが胃アトニーの他には異常はないとのこと。食事は野菜を主にして肉類や香辛料を制限している。常に便秘がちで下剤を常用し、小水は近く、生理不順である。」
「体格は細長いやせ形。栄養顔色ともに不良。脈は細く、腹診しると腹部全体が軟弱無力で、臍上で動悸の亢進をふれる。」
「最初、六君子湯を与えたが、苦いとのことで、人参湯蜀椒に変えた。これを飲むと、便通があって、肩こり、頭痛が取れ、胃の調子が良くなった。70日間の服用で、体重が4kg増えて48kgになった。 (寺師睦宗著「成人病の漢方療法」p72~73)


胃アニサキス症 gastric anisakisasis
⇒海産魚を生食後急激な腹痛で発生する。



胃液分泌過多症gastrorrhea

【処方名-50音順】
■黄連湯
■甘草粉蜜湯
■呉茱萸湯
■五苓散
■柴胡桂枝乾姜湯
■四逆散
■小青竜湯
■真武湯
■大黄甘草湯
■大柴胡湯
■当帰芍薬散
■人参湯
■半夏厚朴湯
■茯苓飲
■茯苓沢瀉湯
■苓桂甘棗湯
    
    

胃炎 Gastritis
◎胃炎は、胃の内側の粘膜に炎症が起きる病気で、急性タイプと慢性タイプがあります。
   

■胃炎・胃潰瘍の原因。
「ピロリ菌は大きさが数ミリ/1000程度で、83年にオーストラリアの研究者が胃炎患者の胃から見つけた。強烈な胃酸にも耐え、胃や十二指腸の粘膜に住み着いて『ウレアーゼ』と言う酵素を分泌する。この酵素は食物などに含まれる尿素をアンモニアに換え、胃酸を中和してピロリ菌が住み易い環境にする。と同時に、このアンモニアが粘膜を痛めると考えられている。
ピロリ菌に感染している日本人は10歳で10%、20歳で20%、30歳で30%程度と年齢と共に増加、40歳以上では急増し。70%以上の人の胃に住み着いていると見られている。欧米では平均で20%前後で、先進国の中で日本の感染率は際だって高い。発展途上国での感染率は70%ぐらいと考えられている。
感染経路はよく分かっていないが、唾液の中からも検出され、経口感染が多いと考えられている。40歳以上の感染率が高いのは、子供の頃の衛生環境が影響しているらしい。
胃炎患者の80%以上、胃潰瘍患者の95%以上がピロリ菌に感染ていたと言う調査報告もあり、サルにピロリ菌を飲ませると胃潰瘍になることも確かめられた。逆に、抗生物質で胃の中のピロリ菌を殺してしまえば難治性胃潰瘍が治りやすくなる。再発は1/10に減った。
94年6月、世界保健機構(WHO)の国際ガン研究機関(IARC)はピロリ菌が胃ガンの原因の1つだとする報告を発表した1995.12.16《日本経済新聞》      

■ピロリ菌と胃炎
「62歳の女性。10月に胃カメラの検査で胃炎があると診断され、そのおりに “ピロリ菌を殺す抗生物質を飲んでおいたら胃炎・胃潰瘍・胃ガンの予防になる”と聞きました。自覚症状がなくても検査で菌があれば殺す必要があるのでしょうか?
◆病気との関係は?
青山信郎・神戸大助手は「はっきししているのは、ピロリ菌は胃の粘膜を荒らすことです。菌を飲む実験で胃炎が出来ました。オーストラリアの研究では、十二指腸潰瘍320例中の94%、胃潰瘍で115例中の62%の人にピロリ菌がいました。
菌がいないのは痛み止めを飲んでいたのが原因で胃潰瘍になった人で、それ以外はほぼ100%です。潰瘍が治っても薬を止めると再発していた人が、ピロリ菌を除菌すると再発を非常によく抑えられました。早期の小さいガンを取った後、約5年で約1割の人に2個目のガンが見つかるのが、除菌すると見つからないとう報告もあります」
◆本当に予防になりますか?
(青山助手)「ピロリ菌がいると必ず潰瘍になると誤解して恐れる人がいますが、ならない人の方が多いんです。100人の感染者で潰瘍になる人は3人、胃ガンは0.5人。その人たちは予防になりますが、残りの96~97人は除菌しなくてもなりません」
◆感染者は多いんですか?
(青山助手)「日本人は10代で約20%、20代で約30%、30代で約40%と増え、40歳以上では約75%前後の高率になることが、北海道大の浅香正博教授による約400人の調査で分かっています」
◆どんな検査法がありますか?
(青山助手)「血液に菌の抗体があるかを見る方法、胃の組織を採って菌を培養する方法などがあります。抗体検査は感度が高いので、出なければいないことがはっきりしますが、擬陽性の場合があります。逆に培養法は感度が悪く、陽性なら100%いますが、陰性の診断が難しい。複数の検査を組み合 わせる必要があります」
◆除菌すべき人は?
(青山助手)「大方の意見が一致しているのは、潰瘍になった人です。ピロリ菌がいても、そのまま何もなければ、ほっておいてもいい。相談者の場合、これまで潰瘍になっていないので、あえて積極的に除菌する対象ではありません。それでも、ガン予防予防などのために除菌したい人はいるでしょう」
◆除菌はどうやって?
(青山助手)「プロトンポンプ阻害剤という、胃酸の分泌を抑える薬と、抗生剤を組み合わせ、通常の治療の2倍量を1週間~2週間飲みます。抗生剤は2剤又は1剤。抗生剤2剤で除菌率85~90%の良好な効果が得られています。
◆副作用はあるのでしょうか?
(青山助手)「一番多いのは下痢などの消化器症状です。報告は5%~70%とバラツキがあります。飲み始めて3、4日後から2、3日という場合が多い。ひどいときは出血性腸炎が起きますが、私たちのところでは300例で1人も出ていません。また、抗生剤の一方はペニシリン系で、アレルギーの問題があります。300例中で3人がアレルギーの発疹が出ましたが、薬を飲み終えた後でした」
◆費用は?
(青山助手)「私たちは研究費を使って無料でしていますが、自己負担のところもあります。きっちりした判定と治療をすれば、検査も含めて5、6万円 ぐらいです。
欧米では胃潰瘍が多いが、日本人は胃潰瘍が多いなど傾向の違いがあって、欧米の報告が必ずしも当てはまらない為、日本人のデータを確認中です。データが集まれば保険が認められる可能性は高いでしょう」1997.1.19《朝日新聞》

【色彩療法】
<1>オレンジ色
<2>青緑色
<3>藍色
  

【漢方薬】(胃炎)
■安中散
■烏梅丸
■益胃湯《温病条弁》
■黄芩湯
■黄連解毒湯
■黄連湯
■甘草瀉心湯
■甘麦大棗湯
■帰脾湯
■九味檳榔湯
■蒿芩清胆湯
■香蘇散
■呉茱萸湯
■五苓散
■柴胡桂枝湯
■柴平湯
■梔子豉湯
■四逆散
■沙参麦門冬湯
■生姜瀉心湯     
■小建中湯
■小柴胡湯
■小半夏加茯苓湯
■参蘇飲
■清胃散
■大黄甘草湯
■大柴胡湯
■丹参飲
■当帰湯
■二陳湯
■麦門冬湯
■半夏厚朴湯
■半夏瀉心湯
■白虎湯
■茯苓飲
■附子粳米湯     
■防風通聖散
■六君子湯
■苓甘姜味辛夏湯 
■苓桂朮甘湯

【民間療法】
<1>アカメガシワ・アキカラマツ・アマドコロ・アロエ・イワタバコ・ウコン・エビスグサ・オケラ・カミツレ・カワラケツメイ・キササゲ・キハダ・クマヤナギ・クロモジ・鶏卵・ゲッケイジュ・ゲンノショウコ・コンブ・サフラン・ショウブ・センブリ・タカサブロウ・タラノキ・タンポポ・ツルナ・トウガラシ・トウゴマ・トロロアオイ・ニガキ・ニンニク・ヒキオコシ・ホオノキ・ヨシ。




胃がもたれる
(参照→「胸やけ」)
=「胃もたれ」

= 胃の動きの悪化ではなく、(動いてない感じ) 胃が重い 胃液は・・・2㍑/日出ている。

◎症状:

・お腹が張る
・息がくさい
・食欲不振

■胃もたれと胸やけ
「あなたの胃の不快症状は胃もたれ?それとも胸やけ?胃もたれは文字通り胃部が重苦しいとき、胸やけは胸がムカムカする感じ。そのとき、実際に胃の中では何が起きているのか?
●学生10人がギョウザにトライ
最高記録は1人94個、ギョウザをお腹一杯食べた翌朝。胸やけがした人は2人、胃もたれを感じた人は4人。胃液に反応して黒く染色する試薬をつけ、それぞれの胃の中を内視鏡で見ると、
胸やけした人は胃液が食道まであふれてきている。胃液の強い酸性のために食道の壁が荒れてヒリヒリ痛む状態が、胸やけの正体。ちなみに胃液の酸性度は1~1.4pH。あの酸っぱい梅干しの酸性度が3。単位が1下がると、酸性の強さは10倍になるから、胃液の酸性度は梅干しのざっと100倍ということになる。
一方、胃もたれを感じた人は変色部分が少なく、胃液があまり分泌されていないことが分かる。胃の動きも鈍く、消化が襲いので、食べ物がいつまでも胃にとどまる。これが胃もたれの原因。」(NHKためしてガッテン参照)

■胃液の分泌量はどうして変わる?
「胃は平常時の酸性度を保とうとする。酸性度が下がると、胃は入ってくる雑菌などに備えて早く酸性度を戻さなければならない。そのため、盛んに胃液が分泌される。実験から、酸性度が下がる条件がいくつかあることが分かった。
まず、運動時は胃液の分泌が抑えられる。牛乳や食事、おやつ、タバコも酸性度を弱めることが分かった。夕食準備中には食欲が刺激されただけで胃液が分泌された。又、熱い湯に入ると胃液の分泌は抑えられる。就寝中の分泌はやや抑えられる。胃も休んでいるのだ。以上のことから、食後すぐに熱い風呂に入ると、胃液の分泌が抑えられ、消化に良くないと言える。食後すぐ寝るのも、酸性度が元に戻らないので、消化不良や胃もたれを起こしやすい。ただし、食後横になるのは、胃がリラックスするので良い」(NHKためしてガッテン参照)

■胃腸に優しい夜食のとり方は?
「夜食を食べると翌朝、胃がもたれた感じがするのはなぜ? 夜食をとった場合ととらない場合では、胃の働きに意外な違いがあった。
 ●就寝中に胃は掃除される。
夜食を摂ってすぐに寝た場合、就寝中でも胃は盛んに働き、日中に普通に食べた時と同じスピードで消化された食べ物が胃から出ていく。もたれ感は睡眠中に胃の働きが弱まって、消化し切れなかった食物が残るために起きるのではないらしい。
夜食を摂らず空腹状態で寝た場合、就寝中、胃は中に何もないのに強い収縮運動を始めたあ。この空腹時に起きる胃の収縮運動は、胃に残った食べ物のカスや余分な胃液を掃除するために行われる。収縮は夕食から7時間後に第1回目が始まり、以後、間隔を置いて計3回、1回約10分続いた。就寝前に夜食を摂り、夜食から7時間後には起床して朝食を食べた場合。掃除することが出来ない。胃の中に残った食べ物のカスや胃液がもたれ感の原因となる。そこで、胃にやさしい夜食の食べ方は、起床の7~8時間以上前に消化の良いものを食べることだ」(NHKためしてガッテン)

【処方名-50音順】(胃もたれ)
☆帰脾湯
☆茯苓飲
☆附子人参湯



新事実
医学雑誌・・全く違うタイプの胃もたれがある

◎胃が働きしぎて起きる胃もたれ
*徐々に悪化し、吐くまでに。お茶も水もダメに
*胃の働きを抑える薬で改善した。酸を抑える薬
*胃の中が空でも胃もたれが起きる。
→(胃液が腸に入ると胃の動きが止まる)
*腸管ブレーキ(センサー)
→脳と胃を動かす筋肉に信号を送る


「胸やけ」は胃酸が多すぎて起きる




機能性胃腸症

(症状)
①もたれ感

②痛みが長期間続く

③どんどんやせてゆく

④常に、おなかのどこかが悪いと思い続ける

⑤ストレスでももたれ感が出る

⑥おなか全体が腐っている感覚

川崎医科大学付属病院  

エコー検査 画像を見せる(確認)・・安心感
患者が自分の目でみることが大切
バイオフィードバック療法


胃カタル
=カタル性胃炎(catarrhal gastritis)
⇒胃炎を見よ。
「catarrh」⇒組織の破壊を起こさない、粘膜の滲出性の炎症と粘膜上皮細胞の剥離が存在すること。

【民間療法】
<1>センブリ、
<2>ヤブコウジ、

【処方名-50音順】
■黄連湯
■乾姜黄芩黄連人参湯
■甘草瀉心湯
■桂枝加附子湯
■厚朴七物湯
■三物備急丸
■四逆湯
■生姜瀉心湯
■竹葉石膏湯   
■人参湯   
■半夏瀉心湯
■附子人参湯
■平胃散



胃ガン

cancar of the stomach, gastric cancer
○胃ガンの初期はたいした自覚症状のないこともあり、また胃炎や胃潰瘍にまぎらわしい病状を訴えるものもある。

よくみられる症状としては食欲の減退、嗜好の変化、胃部の停滞感、噫気、悪心、嘔吐、腹痛などで病気の進行につれて、体重が減少し、疲労、倦怠感が甚だしくなり、悪液質となる。
漢方薬では胃ガンを確実に治すことはできないが、自覚症状を軽減し、進行を抑制することは、ある程度可能である。

◎発生場所は、幽門部が最も多く、体部小彎、噴門の順です。
  

自己診断リスト:以下の症状が2週間以上続く。
早期胃ガンに見られる症状:
 ○最近、食欲がない。
 ○空腹時に、胃が痛むようになった。
 ○以前より、胃が重く感じ、もたれる。
 ○嘔吐物のなかに、血が混じっていた。
 ○上腹部が張り気味で、気分がすぐれない。
 ○イカスミの様な真っ黒な便が出た。
 ○最近、油っぽい料理(カレー・肉料理)が苦手になった。
 ○ダイエットもしていないのに、急に痩せてきた。
 ○今まで丈夫だったのに、急に胃の調子が悪くなった。


頻度は少ないが、要注意な症状:
○みぞおちのあたりが断続的に痛む。
○時々、吐き気がある。
○飲み過ぎなどの思い当たることが無いのに、嘔吐した。
○同じ物を食べても、味が違うように感じる。

進行ガンor他の疾患も考えられる症状:
○よく胸焼けする
○食べ物を呑み込みにくい。ノドがつかえる。
   

 

■緑茶
「静岡県の緑茶産地で、胃ガン死亡率が全国平均より極端に低いことから、緑茶には抗ガン作用や消化器系の発ガン抑制に効果がある、との研究報告もある。     1996.8.4《朝日新聞》」
   

■胃ガンの「免疫化学療法」:高い2次ガン発生率。
「免疫力を高める免疫賦活剤と抗ガン剤を併用する『免疫化学療法』で胃ガンを治療すると、新たな発ガンの危険性が増大する疑いがあるとして、大阪大学医学部第二外科の藤本二郎講師らの研究グループが、22日から大阪で開く日本消化器外科学会で発表する。胃ガン手術患者を追跡調査したところ、同療法を受けた人の二次発ガン率は、手術だけの人の7倍近くも有ったという。免疫化学療法は1980年代に盛んに実施され、免疫賦活剤は年間数百億円のベストセラー医薬品だった。
これまで、抗ガン剤については、体内で作る活性酸素が細胞を傷つけ、ガンを生むことがあると指摘されている。免疫化学療法では免疫賦活剤が抗ガン剤の発ガン作用を促進した疑いがあるという。
今回の患者にはクレスチン・ピシバニール・レバミゾールが使われていた。1996.2.6《朝日新聞》より」
   

■親が胃ガンの人、気を付けて
「40歳未満の進行性胃ガンは、家族に胃ガン経験者がいると、そうでない場合に比べて約9倍もなりやすいという調査を順天堂大医学部の菊地正悟講師らのグループが発表した。
「関東周辺の10施設から報告してもらった713人の胃ガン患者を調査。年令を

(1)40歳未満、

(2)40歳以上~50歳未満、

(3)50歳以上~60歳未満、

(4)60歳以上、

の4段階に分け、両親が胃ガンになった人だけを選び出し、その患者が進行ガンかどうかの要素を加えて統計処理した。
その結果、家族歴がある場合、ない場合と比べて進行性胃ガンになる確率は(1)が9.1倍、(2)が1.0倍、(3)は0.4倍、(4)は0.8倍と差が出た。
菊地講師は「まだ遺伝子レベルで突き止めた訳ではないが、家族歴がある人は定期的に診断をするなど気を付けてほしい」と話している。1996.11.3《朝日新聞》
   

■悪性胃ガン----------カドヘリンが関与
「悪性の胃ガンに深く関わっている遺伝子を持つ家系を、ニュージランドのオタゴ大学がん分子研究所のリーブ教授らが見つけた。同国に住むマオリ族の6世代98人の大家族で、そのうち最近30年間に25人が胃ガンで死亡している。染色体を調べた結果、特定の遺伝子が変異を起こしていた英科学誌ネイチャー(3/26日号)に発表された。
ある種のガン細胞の中には、この遺伝子が突然変異を起こしているものがあり、浸潤や手にに関係していると分かっていた。しかし、正常な細胞中に存在し、親から子に遺伝する例が判明したのは初めて。この遺伝子が、ガンの進行だけでなく、最初の発生段階から関与していることを示唆している。
変異を起こしていたのは、カドヘリン遺伝子。その結果、カドヘリンが正常に作られなくなる。カドヘリンはタンパク質の一種で細胞同士をくっつける「のり」の働きをする。
京都大の竹市雅俊教授が1980年代に発見した。国立がんセンター研究所の広橋説雄副所長らのこれまでの研究で、悪性ガンの一種である『スキルス胃ガン』組織の細胞では、約半数の患者でカドヘリン遺伝子に変異が起きている。
リーブ教授の今回の研究で、カドヘリン遺伝子の変異が世代間で引き継がれていることが実証された。今回見いだされたマオリ族の家系で、この変異遺伝子を持つ家族のうち約7割がスキルス胃ガンとなり、そのほとんどが40歳代で発症していた。1998.3.30《朝日新聞》

■悪性胃ガン・・・早期発見
「千葉大学と東京医科歯科大学、北里大学の研究グループは、悪性胃ガンの血液診断法を開発し、2005年9/16、日本癌学会で発表。
血液1滴で内視鏡検査で見つからない早期の悪性胃ガンが発見できる。今後は、大規模臨床試験で検査精度を高める予定。
開発したのは、若い女性に多い、進行が速いスキルス胃ガンなどの低分化型の胃ガンを見つける診断法。スキルス胃ガンはレントゲン検査や内視鏡検査では見つかりにくく、見つかった時にはすでに手術できない患者が6割に達する。また、手術しても5年生存率は15~20%と低い。
千葉大の根津雅彦助手と野村文夫教授らがスキルス胃ガン患者の血液を高性能な解析装置で分析、血液に含まれる6個のタンパク質断片が診断に使えることを確認。診断精度は90%」

■進行ガンに4剤
「深酒をした後、胃のむかつきが2~3日続く。以前はそんなことはなかったのに------。

「胃潰瘍かな?」。長野県の富士見町役場に勤める小林忠久さん(49)は、昨年秋からそう感じるようになっていた。
同年10月下旬、町の集団検診を受け、2週間後、役場の厚生課から病院で精密検査を受けるように言われた。そのうち、首の左側が腫れてきた。触れると、グリグリするシコリがある。
役場から徒歩5分の距離にある富士見高原病院で、胃内視鏡と超音波の検査を受け、首のシコリを手術で取った。そして12月上旬、小林さんは主治医の小松修・消化器科長から、胃ガンの告知を受けた。

■術後の抗ガン剤で死亡
「胃ガンの切除手術後、副作用のある抗ガン剤投与で死亡したのは、病院側の医療ミスだとして、死亡した愛知県扶桑町高雄、千田道子さん(当時53歳)の夫で製麺業一さん(64)ら遺族が、同県大口町の医療法人「医仁会」(小林勝正理事長)を相手取り、約6700万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が8日、必要のない抗ガン剤投与治療を行い、副作用の観察など注意義務を果たさず、医師側に過失があった」などとして、原告の訴えを全面的に認め、請求全額を支払うように命じた。
判決で、佐藤裁判長は、①早期ガンの再発率は極めて低い。②抗ガン剤は胃ガンに対しては腫瘍を小さくする効果はあっても、切除手術後では治療効果は認められない。-----などと認定。抗ガン剤を投与するにあたっては「重い副作用に配慮し、異常があれば、投与を中止したうえ、感染防止対策など、必要な措置をとるべき義務があった」と述べた。

■ピロリ菌、実は促進役
「胃ガンの発生に関わっているとみられていたヘリコバクターピロリ菌は、単独で発ガン作用を持つのではなく、ガンの成長を促進する「プロモーター」作用が主体であることを、愛知県がんセンター研究所の立松正衛・腫瘍病理学部長のグループが突き止めた。」2000.9.2《《日本経済新聞》

■検査薬
「堺化学工業は血液を調べるだけで2時間でわかる検査薬を開発した。」2000.11.6《日経産業新聞》

■異常な糖分子
東海大学の水落次男教授と東京大学の幕内雅敏教授らの研究グループは、胃ガン細胞に表面に異常な糖の分子が出来ることを発見した。この分子は正常な細胞にある糖とは種類が異なっており、異常な糖分子が多い患者ほど手術後の生存率が低いことも分かった。
摘出手術を受けた71人の胃ガン患者の病理組織を調べたところ、異常な糖分子が多い患者ほど癌が進行していたほか、血管へのガン細胞の浸潤やリンパ節への転移などが激しかった。この分子の含有量で患者を2つのグループに分けて比較すると、異常分子が多いグループの術後5ねん生存率は60%程度にとどまり、少ないグループの90%と大きな開きが出た。2001.1.15《日本経済新聞》

■副作用少ない遺伝子治療
「長崎大学の研究グループは、副作用の少ない癌の遺伝子治療法を開発した。患部を加熱したとき、に働き出す治療用遺伝子をガン細胞に送り込み、温熱療法と組み合わせた。」2002.7.12《日経産業新聞》

■高齢者
「胃ガンでは組織のタイプに大きな特徴が認められた。早期ガンの中でも粘膜に存在する粘膜内ガンは、高分化ガンと呼ばれるガンであれば内視鏡による切除だけで済む。85歳以上の早期ガン患者の97%がこれだった。
一方、40歳未満では高分化ガンは10%に過ぎず、残りは粘膜内ガンでも手術が必要な低分化ガンだった。」2003.6.8《日本経済新聞》

■抗ガン投与を1/200
「愛知県がんセンターは、胃ガン患者に投与する抗がん剤量を1/200に減らせる新技術を開発。研究成果は2005年9/14日本癌学会で発表。
新技術は転移または再発した胃ガン患者を想定。愛知県がんセンター研究所の池原謙主任研究員らが開発。抗がん剤を1マイクロ㍍の特殊なカプセルに封入し、体内にはいると免疫細胞がそのカプセルを取り囲むように工夫した。免疫細胞はガン細胞に集まるため、そこで抗がん剤を放出させることで少量でも効果がある。マウスの実験で、従来の200分の1の抗ガン剤でもガン細胞が縮小した。
抗がん剤は吐き気や倦怠感などの副作用が出やすい。さらに転移したり再発すれば投与量を増やす必要が出てくるが、副作用で治療を断念する患者も少なくない」2005.9/14 《日経》

■DNAメチル化
「国立がんセンターと和歌山大学の研究グループは、胃ガンのDNA(デオキシリボ核酸)のメチル化と呼ぶ変化によって発症することを発見した。
胃ガン患者ではDNAの2%~4%にメチル化が起きていた。胃ガンの主因とされるヘリコバクター・ピロリ菌が感染するとメチル化が起きることも確認した。
DNAにメチル基がくっついてメチル化が起きると、タンパク質がうまく作れなくなる。多くのガン細胞でもガンの発生を防ぐがん抑制遺伝子の周辺のDNAでメチル化が起きていることが分かっている。」2005.12.8《産業》

【民間療法】
○アカメガシワ・カワラタケ・サルノコシカケ・ジュズダマ・タラノキ・ツルナ・フジ・ヒシ・マタタビ・リンドウ。
○ニンニク
  

【処方名-50音順】(胃潰瘍)

■茵蔯五苓散
■烏頭赤石脂丸
■黄連湯
■括呂薤白半夏湯
■枳実薤白桂枝湯
■起癈丸
■九痛丸
■四君子湯
■小建中湯
■旋覆花代赭石湯
*半夏瀉心湯を用いる患者よりも、体力が衰え、心下痞硬、食欲不振、噫気のある者に用いる。
胃腸の蠕動不安、軽い腹痛、嘔吐を伴う者に用いて良い。
また胃ガンの患者で、体力の衰えて者の便秘にも、本方はよく効く(漢方診療医典)
■大烏頭煎
■大黄甘草湯
■大陥胸丸
■大承気湯
■調胃承気湯
■抵当湯
■半夏瀉心湯
*あまり体力の衰えていない患者で心下痞硬、食欲不振、悪心などのある者に用いる、もし噫気の多いときは、生姜瀉心湯を用いたほうがよい。
幽門ガンの患者に、半夏瀉心湯を与えたところ著効があって、2ヵ年あまりも生き延びた例がある。その患者を診たときは、発病10ヵ月ほどたっていて、幽門はほとんんど塞がっていたが、手術の予後の良くないのを知っている患者は、漢方治療を希望して来院した。そこで心下痞硬と心下部の鈍痛を目標に半夏瀉心湯を与えたところ、食が進み、心下のつかえが取れ血色も良くなり、肉がつき、治ったのではないかと思うほどによくなった。このようにして、レントゲン検査では依然として癌は消えていないにの、患者は病気を忘れて、2カ年あまり仕事をしていた。(漢方治療)
■半夏地楡湯
*胃痛、嘔吐、出血などがあって、味の濃い薬のおさまらない者に用いる。これは大塚家の家方で、胃ガンの患者に常用した。(漢方診療医典)
■茯苓飲
■利膈湯
*噴門癌で食物を嚥下するとまもなく吐き、そのときに粘液を多く混ずる者に用いると、嚥下が楽になる。これも一時的で、多くはまた吐くようになる(漢方診療医典)
■六君子湯
*病気が進行して、食欲が無くなり、悪心、嘔吐、貧血、浮腫のあるものに用いると、食欲が出て、気力が回復する。
これを用いて、床を払って、外出できることができるようになる者もいる。
また手術後、再発した者に用いて、一時軽快するすることもある。
癌そのものは、良くなっていないのに、一時的であるが、自覚症状がよくなり、元気になる(漢方診療医典)
  


胃潰瘍
⇒胃が空のときは[—1]の酸性であるが、食べ物が入ると—が7の中性近くなったり様々に変化する。ストレスが溜まると胃液の分泌が止まったり、逆に過剰に分 泌されたりする。
胃液に含まれている食べ物のタンパク質分解酵素[ペプシン]は[—3.5]で最も よく働くので、胃酸が少なくても、又多すぎても作用しなくなり、消化不良や下 痢、腹痛の原因となる。
胃液が出過ぎると、胃の粘膜を侵し、消化性の潰瘍となる。

■男に多く、40才代に最も多い。
 「胃潰瘍と十二指腸潰瘍は、発生する場所は違いますが、その症状などにおいて共通するところが多く、両方が同時に存在することもあります。
欧米では十二指腸潰瘍が圧倒的に多いのに、日本では胃潰瘍が非常に多い。
なぜこのような差があるのかよく分かっていない。胃潰瘍は酸の関与が比較的少なく、十二指腸潰瘍は酸の関与がより大きいというのが、定説だが、」
   

◎潰瘍の主な症状としては、
<1>みぞおち(鳩尾)を中心とした胃部の痛み・吐血・胃酸過多で、
<2>一般に、胃潰瘍では食後に、十二指腸潰瘍では空腹時に痛むことが多いと されています。
<3>また、痛みの他に胃部圧迫感・胸やけ・げっぷなどの症状もありますが、全く自覚症状の無い場合もあります。

◎潰瘍が出来る原因については、
<1>心配事・不安などの精神的ストレス。
<2>ピロリ菌

【時間医学】
〇夜中から朝にかけて発症しやすい。その理由は、胃酸の分泌が夜多く、朝少ないからです。
(田村康二著「病気の時刻表」p21)
   

■緑茶で胃潰瘍を退治。(→薬物:緑茶)
   

■H2ブロッカー副作用で12人死亡。
「胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの治療薬、『ヒスタミンH2受容体拮抗剤』(H2ブロッカー)の副作用で、重い血液障害を起こす例が相次いで報告されていることから、厚生省は27日、医薬品副作用情報に記載し、医師らに対し改めて注意するように呼びかけた。94年9月以降、同省に報告された副作用例は136 件にのぼり、内12例が死亡している。ただ、死亡した患者の大半は肝障害など重い疾患を持ちその上に胃潰瘍などを併発していた。
H2ブロッカーは胃酸分泌を抑制する作用を持つ胃潰瘍治療で柱になる薬。81年にシメチジンが承認されたのを始め、塩酸ラニチジン・ファモチジン・塩酸ロキサチジンアセタート・ニザチジンの5薬が製造され、年間出荷額は薬価ベースで計約1613億円。同薬の使用対象となる患者は全国で約216万人いる。1996.3.28《日本経済新聞》より」

■H2ブロッカー
「胃には食事だけでなく、細菌など病原微生物も入ってくる。胃液は病原体も攻撃し、病気から体を守る感染防御機構を兼ねている。ただし胃液が出過ぎると胃の粘膜も攻撃する為、胃潰瘍が出来やすく、また治りにくくなる。
H2ブロッカーは血中に入って作用し、胃酸の分泌を抑えて胃潰瘍の治りをよくする。Hはヒスタミンの意味。通常の抗ヒスタミン剤はH1を抑制し、花粉症のクシャミや鼻水を止める。
逆に、H2ブロッカーで胃酸の濃度が下がると、胃中の細菌が増えて感染も増えるという問題がある。又、他の感染防御機構、例えば白血球を作り出す骨髄や、免疫で重要な役割をしているリンパ球の働きも抑えてしまう。
だから腎臓や肝臓が悪くて抵抗力が弱っている人は副作用が出やすい。病原性大腸菌O-157などによる腸炎でも胃の痛みから始まるが、これにH2ブロッカーを使用すると腸炎が重くなる危険がある。高齢者では痴ほう症状が、ケイレンの素質がある人はそれが起きやすくなり、一般薬としては問題があると考える。(浜 六郎・医薬ビジライセンスセンター所長)1997.11.17《日本経済新聞》  
   

■たばこ吸う人は感染続きやすい。
「胃潰瘍や胃ガンとの関係が注目されている細菌『ヘリコバクター・ピロリ』は、タバコを吸っている人の胃のなかで細菌感染しやすいことが愛知県がんセンター研究所疫学部の浜島信之室長らの調査で分かった。10日から横浜市で始まった日本癌学会で発表した。従来、喫煙者は非喫煙者に比べて胃ガンの死亡率がやや高いと指摘されており、ピロリ菌と胃ガンとの関係が改めて論議を呼びそうだ。
浜島室長らは同センターの受信者を対象に、ピロリ菌の抗体検査とともに食事など生活習慣に関するアンケートを実施。50代・60代を中心にした男性63人から結果が得られた。
その結果、タバコを吸っている人27人のうちピロリ菌感染者は26人(96%)、吸っていない36人のうち感染者は26人(72%)で、喫煙者は感染率が高かった。食生活や飲酒とピロリ菌感染率との関係も調べたが、はっきりした結果が出たのは喫煙だった。女性では喫煙者数が少なくて比較出来なかった。
ピロリ菌は子供の頃に経口感染して大人になっても感染が続くとされる。浜島室長は「子供の時に感染しても、その後、抗生物質などで細菌が死ぬこともある。子供の時は非感染者も同様に感染していたと考えられ、喫煙者は感染が持続しやすいことを示しているのではないか」と話している。
胃潰瘍患者はピロリ菌を除菌すると再発防止に役立つという報告がある。胃ガンとの関係では、患者はピロリ菌の感染率が高いといいう報告があるものの因果関係はまだはっきりしない。ただ、国立がんセンターなど疫学調査で喫煙者の胃ガンの死亡率(男性)は非喫煙者の約1.45倍という報告があり、浜島室長は「ピロリ菌は関係を解く糸口になるのではないか」とみている。 1996.10.11《朝日新聞》

■喫煙が再発を招く
「嗜好品と潰瘍には深い関係がある。私たちの研究では、喫煙は明らかに胃粘膜血流を低下させる。このため、少なくとも急性胃粘膜病変の直接的な原因になりうる。
また、十二指腸潰瘍が治癒した後に、喫煙者と非喫煙者にそれぞれH2-ブロッカーと偽薬を投与して、再発率を調べた疫学的調査では、当然ながら非喫煙者でH2-ブロッカーを投与された群が最も再発率が低く、喫煙者で偽薬を投与された群の再発率が最も高かった。さらに喫煙により再発抑制効果が打ち消されるという結果になっている。潰瘍の患者さんは喫煙を控えるべきである。
私たちの調査では、胃潰瘍と喫煙、ピロリ菌との関係では、ピロリ除菌により再発は約1/10に低下するが、このうち再発したのは喫煙している人が圧倒的に多かった。完全に再発を防止するには、除菌した後に禁煙する必要がある。」
(川野淳・大阪大学医学部保険学科・病態生体情報学教授)サイアス99/8p48
   

■亜鉛カルノシン錯体(プラプレジンク)
「これは最近我が国で開発された、亜鉛とアミノ酸が2個連結したジペプチド(カルノシン)との錯体である。」
<1>カルノシンは、脊椎動物の筋肉などに高い濃度で存在する化合物。
<2>β-アラニンとL-ヒスチジンの2個のアミノ酸が連なって結合した化合物であり、傷を治す作用や、炎症を防ぐ効果をもっている。一方、亜鉛は必須微 量元素であり、障害を受けた組織を種福したり、免疫作用を調節するなど幅 広い生理作用を持っている。
<3>潰瘍薬シメチジンより少ない量で治療を促進する。亜鉛或いはカルノシン単独では作用が認められないため、錯体の形で作用していると思われる。
<4>亜鉛カルノシン錯体は、服用中止後も潰瘍が再発しない。
<5>又、ヘリコバクター・ピロリの増殖を抑えることが確認されている。   (桜井弘著「金属は人体になぜ必要か」p187~p190講談社参照)

 

■PPI(プロトンポンプ・インヒビター)
「食事すると、胃壁の細胞には“胃酸を分泌せよ”という神経伝達物質の信号が伝わる。その物質の1つである。ヒスタミン2(H2)の働きを止めるのがH2ブロッカー。一方、胃酸を細胞から胃に送り出す『プロトンポンプ』と呼ばれるポンプの働きを妨げ、参の分泌を止めるのがPPI。前者が胃酸の分泌経路の一部だけをブロックするのに対し、後者は様々な経路で作られた胃酸全体の出口をふさぐので、より効果が高いと考えられている。
胃潰瘍は、薬で一旦治っても、大半は1、2年で再発する。しかし、抗生物質でピロリ菌を退治すると、ほとんど再発せず、抗生物質にPPIを併用すると、さらに効果が高いことが分かったからだ。

■ピロリ菌除去薬承認へ
「胃の中にすみつき、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの原因になる『ヘリコバクター・ピロリ菌』を除去するための薬剤について、厚生省の中央薬事審議会・特別部会は7日、医薬品として承認することを了承した。ピロリ菌の除菌療法はすでに欧米では標準治療法として普及しており、胃潰瘍などの再発防止に大きな効果があるとされている。このため、国内でも早期承認と保険適用を待望する声が出ていた。来月中にも正式承認される見通し。同省では今後、保険適用の条件などについて協議する。
特別部会で了承されたのは、抗生物質のアモキシシリン(成分名)、クラリスロマイシンと、抗生物質の抗菌力を高めるプロトンポンプ阻害剤「ランソプラゾール」。この3剤を併用することによって、ピロリ菌を除菌する効果が認められた。」

■飲み合わせ
「胃潰瘍の薬シメチジンには、カフェインの解毒作用を止める働きがある。コーヒーと一緒に飲むと、吐き気がしたり、気分が悪くなったりする。」1999.11.28《朝日新聞》

■薬剤性の粘膜傷害
「非ステロイド性消炎薬(NSAIDs)で胃の粘膜などにビランを引き起こし潰瘍にまでなることがある。NSAIDsによる傷害は胃からの出血があるのが特徴。
体内では酵素シクロゲナーゼ(COX)によってポロスタグランジンという物質が作られています、プロスタグランジンのある種のものには炎症作用や発熱作用などがありますが、抗消炎剤であるNSAIDsはこのCOXの働きを抑制して体の痛みや腫れを和らげます。
COXには1と2の2種類があり、プロスタグランジンを通じてCOX1は胃の粘膜保護に、COX2は粘膜の修復にも関係しています。胃の粘膜にはビランなどが常に起きていますから、修復は大切な機能です。COXの働きを抑制するので、粘膜の修復が進まなくなります。
1991年に、日本リウマチ財団が関節リウマチの痛み抑制のために3ヵ月以上NSAIDsを服用している1008人について調査。その結果、62%の方に胃の粘膜にビランが見つかり、15%は胃潰瘍になっていました。
高齢者が多くなり、抗血栓作用を期待して脳梗塞や心筋後続の予防にNSAIDsを使う人が増えています。そのため、胃の粘膜潰瘍に悩まされる方が増えています。
NSAIDsを服用していると、広範囲に胃潰瘍が多発し、場合によっては穿孔します。ところがNSAIDsには鎮痛作用があるため、胃の痛みに気づかずに突然出血することになります。出血がひどいと血圧が下がり、脳梗塞や心筋梗塞が起こりやすくなります。また、低酸素状態から体の組織障害に陥ることがあります。
欧米ではNSAIDsと、胃の粘膜保護作用があるプロトンポンプ阻害薬やプロスタグランジンとの併用が予防策として確立されています。日本では医療保険の関係でプロトンポンプ阻害薬との併用が難しい。」2005.11.22《日経》

【民間療法】
○アイ・アカメガシワ・アマドコロ・イワタバコ・ウシ・オオイヌタデ・カニ・キンミズヒキ・クサノオウ・ゲンノショウコ・サルノコシカケ・ジャガイモ・ジュズダマ・ジュンサイ・シラン・スベリヒユ・タケニグサ・タラノキ・タンポポ・ツルナ・トロロアオイ・ナスビ・ノビル・ハス・ホウセンカ・ヨモギ・ワレモコウ。
  

【芳香療法】
◎胃の内壁は精油類で容易に損傷を受けます。精油はたとえ希釈したものであても、それを経口的に摂ることは止めましょう。精油は皮膚から吸収させるほうがより効果的です。
  

【色彩療法】
<1>レモン色
<2>藍色

【処方名-50音順】

漢方治療では、胃潰瘍と十二指腸潰瘍の区別をしない(漢方診療医典)
■安中散
*胃痛があり、口に水が上ってきたり、胸やけがしたりするものに用いる。患者は冷え症で、腹に力なく、臍部で動悸が亢進し、脈にも力のない者を目標とする。本方を用いてよい患者には、甘味を好むものが多い。(漢方診療医典)
■黄連湯
■加味逍遥散
■甘草湯
*傷寒論に“少陰病、咽痛のものは甘草湯を与う”とあって、本方は咽痛ばかりでなく、腹痛、痔痛、四肢痛などで急迫症状の激しい者に用いて効があり、ヨーロッパでは胃潰瘍の薬として評判になり、日本でも追試して薬効が認められた。しかし少陰病の徴候のある胃潰瘍に用いることが望ましく、そうでないと、尿利減少、浮腫、血圧上昇などが現れる。(漢方診療医典)
■帰脾湯
■堅中湯
*桂枝湯に半夏と茯苓を配した処方で、腹直筋は緊張しているが、腹筋は弾力に乏しく、心下で振水音を証明し。胃痛、嘔吐を訴える者に用いる。これにも呉茱萸、牡蛎を加えるとよい(漢方診療医典)
■五苓散
■柴胡桂枝乾姜湯
■柴胡桂枝湯
腹壁が厚くて弾力があり、一般に腹筋の緊張を触れる者に用いる。
また腹筋の緊張を触れなくても、腹力のある者によい。
痛みや胸やけのある者には、茴香、牡蛎を加えてもよく、便秘の者に大黄を加える(漢方診療医典)
■三黄瀉心湯
止血の目的で用いる。また胃痛のある場合にも用いるが、その痛みは激しくない。腹部には弾力があり、軟弱無力の腹ではない。
便秘の傾向の者には三黄瀉心湯を用い、便秘の傾向が無ければ黄連解毒湯を用いる。酒客の吐血にはこれらの処方はよく効く。(漢方診療医典)
■四君子湯
潰瘍が慢性となり、貧血し、気力、体力ともに弱く、浮腫、食欲不振の者に用いる。胃痛の強い者や嘔吐のある者には丁香茯苓湯を用いる。
■四逆散
柴胡桂枝湯証に似て、左右の腹直筋の緊張の強い者に用いる。これに呉茱萸1.5、牡蛎3.0を加えても良い(漢方診療医典)
■梔子甘草黄連湯(=梔子甘連湯)
大塚敬節の経験で、みずおちから胸に向かって激しく痛む者によい。
堪えがたいような激しい痛みを訴える者に頓服として用いて著効がある。(漢方診療医典)
■小建中湯
病気が長引き、体力が衰えた患者で、痛みの強い者によい。腹壁はうすく、腹筋が緊張しているが、弾力に乏しい者を目標に用いる
■清熱解欝湯
上腹部の疼痛を主訴とする者に用いる。ことに精神過労ののちに発病した者によい。患者はまだ体力があり、舌は乾燥の傾向があり、苔のあることもある。腹にも、脈にもある程度の緊張がある者を目標とする。出血があっても、これで良くなる(漢方診療医典)
■旋覆花代赭石湯
胃痛は軽いが、噫気が止まず、胃部膨満、蠕動不安があって、腹力の弱い者に用いる(漢方診療医典)
■小柴胡湯
■大黄甘草湯
■大柴胡湯
■桃核承気湯
■当帰湯
冷え症で、血色悪く、腹壁の緊張が弱く、脈も遅弱の患者で、痛みが心下部から胸に放散し、それが背にまで透ような者によい。
肋間神経痛とか、狭心症というような病名がつけられている患者に本方で治るものがある(漢方診療医典)
■半夏瀉心湯
十二指腸潰瘍を度々繰り返し、出血多量で、脳貧血を起こして昏倒したこののある人に、潰瘍を予防する目的で、心下痞硬を目標にして、本方を用い、2年くらい連用した。その後10年あまりになるが、この患者は再び潰瘍にかからない。この患者は平素は食事が胸につかえて、あまり食が進まないが、急に食欲が出てくると、潰瘍の前兆だと述べた。ところが、この薬を飲むと、食欲がなだらかになって、食が進みすぎることがなくなった(漢方診療医典)
■茯苓瀉心湯呉茱萸牡蛎甘草
心下痞硬があって、振水音を胃部で証明し、胸やけがあり、胃痛が長引く者に用いる(漢方診療医典)
■平胃散
■ 六君子湯

  
■ピロリ菌安易な除菌は禁物





胃拡張 gastrectasis
⇒一般に消化不良性の愁訴があり、煩渇・皮膚乾燥があり、著しく痩せている。胃部に振水音を証明し、胃の運動機能が低下し、胃液遊離塩酸は多くの場合過剰である。

【民間療法】
<1>イカ・サンショウ・ショウガ・ニラ。
  

【処方名-50音順】
■茵蔯五苓散

■甘草瀉心湯

■桂枝人参湯

■厚朴生姜半夏甘草人参湯

■呉茱萸湯

■五苓散

■生姜瀉心湯茯苓
胃拡張の軽症で、茯苓沢瀉湯を用いるような口渇が無く、胃部の膨満、圧重感、嘔吐、噫気、胸やけなどのある者に用いる。噫気は酸臭を伴うのを普通とする。(漢方診療医典)
■清熱解欝湯《万病回春》
■旋覆代赭湯
■人参湯
■半夏厚朴湯
幽門痙攣のために、胃拡張の症状を停止、胃部の膨満、嘔吐を訴える者に用いる(漢方診療医典)
■半夏瀉心湯
■茯苓飲
■茯苓沢瀉湯
口渇と嘔吐と尿利の減少を目標として用いる。五苓散を用いる目標と似ているが、五苓散の場合は、吐いて水を飲むとすぐにまた吐き、吐くとノドが渇く、飲むとまた吐くという状態を繰り返すが、茯苓沢瀉湯の嘔吐は、1日に1~2回の嘔吐で、前日または前々日あるいは、それ以前のものを吐く。この点が違っている。上腹部は膨満していて、この部でひどい振水音を証明する。このような場合に、茯苓沢瀉湯をのむと、口渇が止み、尿量が増加し、嘔吐も止む、幽門癌のために胃拡張を続発した患者に、本方を用いて、短期間ではあったが、嘔吐のおさまったことがあった。(漢方診療医典)
■平胃散
■四逆散
■四君子湯
■梔子豉湯
■梔子大黄湯
■生姜瀉心湯
■小建中湯
■小柴胡湯
■旋覆代赭湯
■☆大烏頭煎
■丁香茯苓湯
六君子湯を用いる場合より、さらに病症が進み、衰弱もひどく、嘔吐、腹痛が止まず、四肢厥冷、脈沈遅弱となった者に用いる。(漢方診療医典)
■当帰湯
■六君子湯
六君子湯や香砂六君子湯、化食養脾湯は全身の栄養が衰え、貧血し、皮膚がうすくなって弛緩し、四肢は冷えやすく、脈は微弱となり、心下痞、食欲不振の者に用いる。(漢方診療医典)

  


胃下垂gastroptosis
⇒胃下垂とは胃の位置が正常よりも下がっている状態のことで、一般に長身でやせ型の人に多いとされています。胃が下垂していても、胃機能は正常に活動していることが多く、何の苦痛も無いのが普通ですが、レントゲン検査で胃下垂症ですと診断がつくと、急にいろいろな愁訴がでてきて、病気になる人があります。
胃炎・胃アトニーなどを伴うと、胃痛・胃部膨満感・胸やけ・吐き気・食欲不振などの症状を訴えるようになります。重症になると、神経症状を併発し、不眠・頭重・記憶力減退などがみられます。
  

【食事の要点】
・パセリ・納豆


玄米ごはん
大根
【民間療法】
○エビスグサ・サンシュユ・サンショウ・ソテツ・タラノキ・フキ・ヨモギ・ リンドウ。
  

【処方名-50音順】
☆安中散
☆茵五苓散
☆延年半夏湯
胃下垂の患者で左の肩背のこりを訴える者に用いる。なお、気分沈鬱、胃内停水、心下部の牽引性疼痛、膨満感、足冷、剣状突起の下端に接する心窩部における起立時の著明な圧痛などがある。(漢方診療医典)
☆甘草瀉心湯
☆加味逍遙散
胃下垂の患者で、血の道症の訴えのある者に用いる。頭重、肩こり、めまい、動悸、便秘、月経不順などのある者によい(漢方診療医典)
☆甘麦大棗湯
☆帰脾湯
☆厚朴生姜半夏甘草人参湯
☆呉茱萸湯
☆五苓散
☆柴胡桂枝乾姜湯
☆四君子湯
☆小建中湯
☆大建中湯
☆当帰芍薬散
☆当帰湯
☆二陳湯
☆人参湯
☆半夏厚朴湯
経産婦によく見られるタイプで、腹壁が弛緩し、腹腔が異常に大きく、胃部の圧重膨満感と牽引性の腹痛を訴える者に用いる。また頭重、不眠、精神抑うつ、不安感などを訴える者に用いる。人工流産の後で、神経症状を訴える者に、胃下垂のものがあり、半夏厚朴湯が適するものがある(漢方診療医典)
☆半夏瀉心湯
☆半夏白朮天麻湯
☆茯苓飲
☆茯苓飲合半夏厚朴湯
☆補中益気湯
胃腸の虚弱を回復し、弛緩下垂を緊張させる効があるが、ひどく胃腸が衰弱しているときには、かえって食欲の減退することがある(漢方診療医典)
☆六君子湯
☆苓桂朮甘湯


【臨床例】
☆家永三郎氏の経験
「昔から胃下垂で下痢に悩まされてきました。体重も若いときに45kgがピークで、その後はずっと41kgしかなく、これではとても長寿は望めそうにない。
7~8年前に主治医が、いっそ漢方を試してみてはと進めてくれて紹介された先生のところへ行ってみたところ、平胃散と半夏瀉心湯と甘草瀉心湯の3種類の処方を合わせて飲むといいと教えてくれました。
しかも私が大変忙しいことを知っていて、わざわざ親切にも上の3処方を合わせた錠剤を作ってくれました。朝と晩の食前40~50分に、これと整腸剤のビオフェルミンを合わせて飲むのです。とてもいいですね。ちょっと下痢するかなと思った時でも、これを飲むと必ず持ち直します。おかげで元気にやっています。」



胃ケイレン gastrospasm
     (参照→胆石症)
【鍼灸】
「梁丘、中、脾兪、足三里」《沢田流聞書鍼灸眞髄》
「頓挫には梁丘に灸する。根治には、中、脾兪、足三里などが大切で、あとは全体療法をやる。」
「梁丘は胃痙攣を頓挫させる妙穴です。けれどもあまり継続して灸をすえると便秘を起こすおそれがあります。便秘を起こしたら心経の神門穴へすえなければいけません。梁丘穴は従来は膝の直上2寸の処にあったが、銅人形によると膝関節の外側の角をのぼる2寸の処です。そうして銅人形の方が正しい。」《沢田流聞書鍼灸眞髄》
  

【民間療法】(胃痙攣)
<1>ゴシュユ。
<2>ゴボウ。
<3>センブリ。
<4>ニワトリ。
<5>アキグミ・アズキ・アマガエル・イボタノキ・ウコギ・ウメ・カヤツリグサ・カワラヨモギ・キク・ギシギシ・キハダ・キンミズヒキ・クマヤナギ・ケイトウ・サイカチ・サンショウ・シソ・シャクヤク・センブリ・ダイコン・タン ポポ・ニンニク・ヒキオコシ・ビヨウヤナギ・ホオノキ・マタタビ・マムシ。

【処方名-五十音順】胃ケイレン
甘草瀉心湯
甘草湯(炎症<軽>、ケイレン性)
甘麦大棗湯
桂枝加芍薬湯+芍薬甘草湯
五積散
呉茱萸湯
四逆散
芍薬甘草湯(ケイレンする、疼痛)
芍薬甘草附子湯:(寒証、ケイレン性疼痛)
小柴胡湯
小柴胡湯+芍薬甘草湯
小柴胡湯+小建中湯
小柴胡湯+大建中湯
小柴胡湯+桂枝加芍薬湯
旋覆代赭湯
附子粳米湯
茯苓飲



胃酸過多症chlorhydria
(参照→「胸やけ」)
=「過酸症 hyperacidity」
⇒胃酸過多とは胃液に含まれている塩酸の酸度が異常に高い状態のことで、これによって胃部の圧迫感・不快感・胸やけ・げっぷなどの症状が起こるときに胃酸過多症といいます。

漢方の治療では、胃酸過多症であとうと、過少証であとろうと、それによって、治療の方針が変わるのではなく、胃の機能を回復せしめて、分泌障害を治するようにすればよい(漢方診療医典)

【鍼灸】《沢田流聞書鍼灸眞髄》
「膏肓穴(心兪の外方。肩胛骨の内縁陥中。一般書の神堂穴に当たる)」  
「天と肺兪と膏肓とへ灸する」
「膈兪、膏肓」:

       膈兪の1行又は至陽が効く。重いものは膏肓が必要。全体療法が要る。
  【処方名-五十音順】
     安中散
       食前、食後を問わず、臍傍に疼痛のある者に用いる。また嘔吐を訴え、す       っぱい水を吐くことがある。腹壁は弛緩して栄養が悪く、臍傍で動悸の亢       進を認めることがある。食欲が異常に亢進したり、甘味を好むものがある。       牡蛎のかわりに、代赭石を用いて、頑固な噫気、胸やけの止むことがある。       (漢方診療医典)
     烏梅丸
     黄連湯
     括楼薤白白酒湯
     枳実梔子湯
     救逆湯
  呉茱萸湯
  五苓散
     柴胡桂枝乾姜湯
     柴胡桂枝湯
心下部の疼痛を主訴とする者に用いる。噫気や胸やけのある者には、茴香2.0、牡蛎3.0を加えるとよい。胸脇苦満と腹直筋の緊張を目標にする(漢方診療医典)
     四逆散
     梔子乾姜湯
     梔子湯
     梔子大黄湯
     小陥胸湯
     生姜瀉心湯
       心下痞硬、胃部膨満、噫気、胸やけのある者を目標にする(漢方診療医典)
     小建中湯
       冷え症で、腹力が弱く、腹痛を訴えるものによい。嘔吐、噫気、胸やけな       どの無いものに用いる(漢方診療医典)
     小柴胡湯
     小青竜湯
     旋覆代赭湯
生姜瀉心湯よりも虚証の患者で、腹力も弱く噫気、胸やけのある者に用いる(漢方診療医典)
     大柴胡湯
腹力があり、胸脇苦満が強く、便秘している者を目標にする。噫気、胸やけ、胃痛の有無にかかわらずに用いてよい(漢方診療医典)
     当帰四逆加呉茱萸生姜湯
     当帰芍薬散
     人参湯代赭石
       一般に胸やけは空腹時の歌えることが多いが、食事の直後に胸やけを訴え       るものがある。
患者は血色の悪いやせた婦人で、胸やけが主訴である。発病数ヶ月で、某胃腸病院へかかっているが治らないという。食事をすると胃が張って苦しくてたまらない、胸やけは食後すぐに起こる。食べなければ起こらない。肩こりがひどくて便秘し、腹部は軟弱で、振水音を証明する。この患者には茯苓飲、安中散、生姜瀉心湯、小陥胸湯を与えたが効無く、人参湯代赭石を与えて著効があり、胸やけは急激に減じ、大便も毎日あるようになり、4ヵ月で全治した(漢方診療医典)
     半夏瀉心湯
     茯苓飲
六君子湯
食欲が無く、悪心があり、食後に胃の膨満を訴えるものによい(漢方診療医典)
     苓甘姜味辛夏仁黄湯
     苓桂朮甘湯
     苓桂甘棗湯
【民間療法】
    <1>イカ。
    <2>ゴボウ。
    <3>センブリ。
    <4>ニワトリ。
    <5>アカメガシワ・エビスグサ・カキ・クチナシ・ゴマ・スズメ・ダイコン・ツ     ルナ・ドクダミ・ミカン・ヨモギ・リンドウ。


胃酸欠乏症 inacidity
=無酸症 anacidity, Ä
【民間療法】
    ○梅干し。
  【処方名-五十音順】
     小建中湯
     小柴胡湯
     人参湯

 

胃酸減少症 hypoacidity
=低酸症 hypacidity
⇒胃液総酸度が30以下、塩酸含量0.1%以下、pH1.59以上。
  【処方名-五十音順】  
    烏梅丸
    括楼薤白白酒湯
    枳実梔子湯
    柴胡桂枝湯
    梔子湯
    梔子乾姜湯
    生姜瀉心湯
    小柴胡湯
    人参湯
   【民間療法】
    <1>サンシュユ。
    <2>アロエ・イカリソウ・イワタバコ・梅干し・オケラ・カワラケツメイ・キサ     サゲ・キハダ・クマヤナギ・鶏卵・ゲンノショウコ・サフラン・センブリ・タ     カサブロウ・タンポポ・ニンニク・リンドウ。
■クエン酸

 胃・十二指腸潰瘍
  【処方名-五十音順】  
    柴胡桂枝湯
    四逆湯
    四君子湯
    平胃散
   


胃弱
=胃腸虚弱
■繊維の多い野菜、油っこいものは胃の負担
「胃に良いと思う食品をお母さん・お父さん各100に聞きました。お母さんは①おかゆ、②煮込みうどん、③煮魚、④ゆで卵、⑤チーズ。お父さんは①チーズ、②唐揚げ、③トウフ、④煮魚、⑤サラダ。正解は?
人工的に作った胃液に食品を溶かしてみると、チーズは大きな固まりでもよく溶ける、サラダの生野菜は12時間たっても溶けない。鶏のササミはどんどん溶ける。鶏の唐揚げはなかなか溶けない。
胃液に含まれている消化酵素はタンパク質しか消化しない。従ってタンパク質を含まない野菜・果物などはほとんど胃で消化されない。胃の調子の悪いときは、繊維の多い野菜は胃の負担になるので、避けた方がよい。逆にチーズや白身魚などの良質のタンパク質は、痛んだ胃壁を回復させる。また、同じタンパク質でも、調理法によっては消化が悪くなる。生の鶏ササミは胃液によく溶けるが、同じ肉でも唐揚げは油が消化を妨げるので、なかなか溶けない」(NHKためしてガッテン参照)
  【処方名-五十音順】  
 加味帰脾湯
 啓脾湯
    香蘇散
    四君子湯
    小半夏加茯苓湯
    真武湯
    清心蓮子飲
    人参湯
    半夏厚朴湯
    半夏白朮天麻湯
    茯苓飲合半夏厚朴湯
    平胃散
    六君子湯




胃腸炎 gastradenitis
  【処方名-五十音順】  
    桂枝加芍薬湯
    桂枝人参湯
    五積散
    柴胡桂枝湯
    柴苓湯
    四逆散
    四君子湯
    参蘇飲
    真武湯
    竹茹温胆湯
 防風通聖散


胃腸型の感冒
  【処方名-五十音順】  
    香正気散
    九味檳榔湯
    桂枝人参湯
    香蘇散


胃食道逆流症
(参照→「逆流性食道炎」)



胃神経症
  ⇒器質的病変がなく、機能的・神経症的反応で症状がでる。
  【処方名-五十音順】
     胃苓湯
     九味檳榔湯
     香蘇散
     四逆散
     小建中湯
     女神散
     茯苓飲


 胃痛 gasteralgia
(参照→「機能性胃腸症」)
 胃のあたりの疼痛。
   ⇒胃痛は、俗に心口痛と称せられ、その病は中焦に起こり、痛みは心下にあり、痛    みに緩急あり、病気の過程に長短がある。
   ◎症候分類
      <1>寒による胃痛
      <2>熱による胃痛
      <3>痰による胃痛
      <4>血による胃痛
      <5>虫による胃痛
   ■寄生虫感染
     「広島に住むSさん。仕事と酒が大好きで。美食家でもある。その彼がある日、     生きのいいサバを食べたところ、翌日に激しい胃の痛みを覚えた。その痛みは     差し込むような突き刺すようなもので、熱こそ出なかったが脂汗を流した。
某中央病院を受診。診察の際に急性胃炎と言われ、注射を受けて痛み止めの     薬をもらった。しかし、痛みは軽くなるどころかひどくなるばかり。そこで胃     潰瘍や胃穿孔ではないか?とのことで胃内視鏡による緊急検査の結果、数ミリほ     どの[アニキサス]という虫体が見つかって摘出した。
それでも、Sさんはその後数日のむかつきと胃部の鈍痛が取れずに苦しんで     いた。「魚を食べて当たったのでしょう」と早とちりして告げたのは自分だが、     その医師がいわゆる食あたりであろうと単純に判断したことを恨んでいる。
アニキサスはイルカやアザラシの胃にすむ成虫の卵がオキアミに入り、それ     がアジ・サバ・イカに食べられて幼虫となる。これが人の胃に入ると、粘膜に     食い込んでいく。この際に強い痛みを引き起こし、局所アレルギー反応を示す。     胃壁に肺ってしまうと『好酸球性肉芽腫』となる
魚類の生食による寄生虫感染は決して少なくない。また、冷蔵技術の発達と     流通の拡大により、その発生地域も広がりつつある。前述のアニキサス症も、     原ライニシンを生食する北欧諸国や多くの海産魚を生食する日本に多く見られ     ていたが、最近では欧米にお先進諸国にも発生している。サケ・マス類の生食     による『広節裂頭条虫症』も、本来北陸や三陸地方に多かったが、今では九州     や沖縄にも見られるようになった。
しかし、これらの寄生虫は一般に細菌よりも弱く、加熱処理で殺すことが     出来る。地元の方は経験的な知識があるので被害に遭うことは案外ない。そう     した知識のない素人が、グルメを気取って時折被害に遭う。火の通らない調理     法の場合には、躍り食いや刺身は要注意。グルメブームの昨今ではあるが、美     食はほどほどにしたいものである。」(巽典之・大阪市立大学医学部教授)      1997.8.11《日本経済新聞》
  【処方名-五十音順】
     安中散
  茵蒿湯
     黄連解毒湯
     黄連湯
     甘草湯
  桂枝加芍薬生姜人参湯
     桂枝生姜人参湯
     五積散
     柴胡桂枝湯
     四逆散
     芍薬甘草湯
     小柴胡湯
     当帰芍薬散
     八味地黄丸
     半夏瀉心湯
     附子人参湯
     六味丸

【民間療法】
    <1>センブリ。
    <2>ニワトリ。
    <3>アキグミ・アマガエル・イボタノキ・ウコギ・ウナギ・オケラ・カキ・キハ     ダ・キンカン・クサノオウ・クチナシ・ゲンノショウコ・サンショウ・シャク     ヤク・チョウセンニンジン・トウモロコシ・トチノキ・トチバニンジン・ナベ     ズミ・バショウ・ミカン。

胃熱(いねつ)
   ⇒
胃熱を知らんと欲するには手足の心が皆熱する者が是れなり。
  【処方名-五十音順】
  竹茹湯《済世全書》


胃病 gastropathy
  【漢方療法】  
   <1>胃が重いと:[平胃散]
   <2>胃が弱いと:[異功散][補中益気湯]
   <3>食欲がないとき:[養胃進食湯]
  【処方名-五十音順】
    異功散
平胃散
    養胃進食湯

胃部で振水音
   ⇒胃内停水
  【処方名-五十音順】   
     安中散
     胃苓湯
  五苓散
     四君子湯
     小青竜湯   
     小半夏加茯苓湯
     真武湯
     二陳湯
     二朮湯
     人参湯
     半夏厚朴湯
     半夏白朮天麻湯
     茯苓飲
     平胃散
     六君子湯
     苓桂朮甘湯


胃部の疼痛
【処方名-五十音順】
     安中散
  茵蒿湯
     黄連湯
  桂枝加芍薬生姜人参湯
     桂枝生姜人参湯
     五積散
     柴胡桂枝湯
     四逆散
     芍薬甘草湯
     小柴胡湯
     当帰芍薬散
     八味地黄丸
     半夏瀉心湯
     附子人参湯
     六味丸


胃部の不快感 gastric dysphoretic
   ⇒胃のあたりが気持ち悪い。
  【処方名-五十音順】
     黄連湯
  呉茱萸湯
     二陳湯

胃部の膨満感 gastric turgescence
  【処方名-五十音順】
     三黄瀉心湯
     参蘇飲
     人参湯
     茯苓飲
  茯苓飲合半夏厚朴湯


胃風(いふう)   
   =頭に汗多くして風を悪み、食飲下わず塞いで腹満し寒を食すれば泄す、形痩せ腹    大なり。胃風は面腫を発する。
⇒六腑の風証の一つ。
     <1>風冷が虚に乗じて脾胃に客し、水穀を消化出来ず泄瀉するもの《漢方用語       大辞典》。
     <2>胃風は顔が腫れる。
   「胃風之状、頸多汗悪風、食飲不下。鬲塞不通。腹善満。失衣則脹。食寒則泄。     診形痩而腹大。」 《黄帝内経素問》第42第4節
  【処方名-五十音順】
    荊防敗毒散    
    犀角升麻湯
    消風散
    升麻胃風湯


胃反
   =「胃翻」「胃飜」「反胃」ともいう。
   ⇒胃拡張のこと。
朝に食すると夕暮れに吐し、or夕暮れに食すると朝に吐す。その吐いた物は、不消化物で、元気なく、舌は淡紅色で、脈は細く無力。
営衛倶に虚し、その決起不足して停水、積飲、胃にあるときは、臓冷ゆ、臓冷ゆるときは、脾磨せず。脾磨せざるときは宿穀化せず、その気逆して胃反するなり《諸病源候論》

  

胃無力症gastoadynamic
  【処方名-五十音順】   
     帰脾湯
     大建中湯
     補中益気湯
  


息が詰まる
  【処方名-五十音順】  
    清胃散
    補中益気湯

息切れ (SOB)                 shortness of breath
   ◎チェック→「サルコイドーシス」「大動脈症候群」
   ◎分類(Hugh-Jonesの分類):
     [第1度]:同年齢の健康人と同様に仕事が出来て、歩行、階段の昇降も健康人          と同じに出来る(正常)。
[第2度]:平地では同年齢の健康人と同様に歩行できるが、坂や階段は健康人          なみには登れない(軽度の息切れ)。
[第3度]:平地でさえ、健康人と同様に歩なかいが、自分のペースでなら1km          以上歩ける(中等度の息切れ)。
[第4度]:休み休みでなければ、50mも歩けない。(高度の息切れ)。
[第5度]:話をしたり、着物を脱いだり、身の回りのことをするにも息切れが          する(極めて高度の息切れ)。
  【鍼灸】
    男子。顔赤く息切れするという。
     「天、身柱、心兪」灸する。
  【処方名-五十音順】
黄蓍建中湯
     黄竜湯
  帰脾湯
     九味檳榔湯
     桂枝加竜骨牡蠣湯
     桂芍知母湯
  五苓散
     柴胡桂枝乾姜湯
     四君子湯
     梔子湯
     炙甘草湯
     小建中湯
     生脈散
     参散
     清暑益気湯
     清肺湯
     喘四君子湯
     大承気湯
     人参湯
     人参養栄湯
     麦門冬湯
     八味地黄丸
     半夏白朮天麻湯
     白虎加人参湯
     防已黄蓍湯
     補中益気湯
    苓桂朮甘湯
     六味丸
【民間療法】
    <1>ニワトリ。
    <2>コウモリ・スッポン。
  【宝石療法】
    <1>[真珠]
  
【西洋医学】
◎原因から:
<1>肺性:
(1)肺実質性:
1.Bisolvon 3T 分3。
2.Mucosolvan 3T 分3。
3.Pectite 300mg 分3。
(2)気道閉塞性:
1.Venetin 12mg 分3。
2.Theodur 200mg 分3。
(3)肺血管性:
1.Opalmon 30μg 分3。
2.Adalat-L 20~40mg 分2。
3.Prostandin(PGE)40~60μg(3~4時間かけ点滴)
4.Minipress 1.5~6mg 分3。
<2>心性
<3>心因性:
(1)過換気症候群
(2)心臓神経症





息苦しい
普通は横隔膜を使って肺の換気能力を揚げているが、マラソン選手は肋骨の筋肉を使って肺の換気能力を高める

水中で息を止めても苦しくならない(息こらえ)
酸素は関係ない。
吐いた息の12%が残っている
肺に溜まっている二酸化炭素の量が、頸動脈のセンサーが働いて呼吸せよ。
思いっきり吸い込んで、一気に吐く、これを3回繰り返す→水中での時間が延びる。
普段の呼吸では、肺の中に二酸化炭素が残ってしまう。
 
  【処方名-五十音順】  
     九味檳榔湯
     炙甘草湯
  小柴胡湯半夏厚朴湯


育児ストレス
   ■ふつうの母親がキレる
    「育児に伴うストレスから、幼い我が子をたたき、暴言を浴びせる母親が増えて     いるのではないか-------。女性の投稿誌「わいふ」編集長の田中喜美子さんは、     最近の母親たちの変化を心配する。育児雑誌の漫画にも感情に任せて子に手を     上げる姿が頻繁に登場するという。
「キレやすい」のは少年ばかりではない。母親にもそういう人が増えている--------。     話を聞いても最初のうちは信じられなかった。ところが、昨年、子育ての通信     教育「ニュー・マザリングシステム(NMS)」をスタートさせ、より多くの母     親を知るなかで私は自分の不明に気が付いた。
私の間違いは、子供を叩いたり、ひどい言葉を浴びせかけたりする母親たち     が、子供を愛していない特別の母親、と思い込んでいたことにある。そうでは     なく、我が子を愛している普通の母親のなかに、そういう人が増えているのだ。
もっとも感情的に怒る女性は昔もいて、そういう状態は「ヒステリー」とい     う名で表されていた。かっての妻たちの「ヒステリー」は、彼女たちが置かれ     ていた全体的な抑圧状況から生まれていた。ところが現代の若いお母さんたち     は、「豊かな社会」の申し子である。母親に手をかけられて育ち、学歴も男な     み、ある意味では自由を謳歌して暮らして来た彼女たちが、生まれて初めて体     験する不自由で孤独な境涯、それが「子育て」なのである。この現実はそれ自     体で、子育てをストレスに満ちたものにしてしまう。
もう一つの原因は、乳幼児期の徹底的な母子密着と子供の甘やかしにある。
     NMSの最新データによると、添い寝で乳幼児を育てている母親はいまや60     %に近い。しかし12年前の日仏女性資料センターのデータを見ると、添い寝     は8.9%しかいない。この10年でいかにすさまじい勢いで密着育児が広が     ったかが見て取れる。
そのうえ母親が子供にかける時間の多さは、ここ10年で飛躍的に増えた。     1日15時間、赤ちゃんを抱きっぱなし、という母親さえ見られるほど、泣け     ば抱き上げ、時間かまわず母乳をやり、寝るときは添い寝という密着育児が広     まっている。
過度の母子密着は子供の甘えを助長する。こうして何かにつけては泣きわめ     き、寝るにも起きるにも手が掛かり、母親にしつこくまつわりつく乳児が数多     く育っている。そして母親たちのほとんどは子供とはそんなものと考え、そこ     に子供の未来を損なう大きな問題が潜んでいることに、まったく気づいていな     い。無理もない・聞こえてくるのは「スキンシップが大切」という大合唱なの     だから。
ところがその一方、この状況に耐えられなくなるのは他でもない、当の母親     なのだ。だだっ子で手のかかる我が子を持て余すうち、彼女はいつの間にか子     供に手を上げるようになる。
「最初はぶつのはお尻より下、と決めていた。そのうち自制が効かなくなり、ほ     おや頭をぶつようになった。どこまで叩いたら彼は泣くのを止め、自分の気が     済むのか。悪循環のなかで出口が見えなくなっていた」
これは若い母親から「わいふ」に寄せられた手記の一部だ。こうした文章を     読む人は、目のつり上がった暴力ママの姿を想像する。しかし、このお母さん     たちはごく普通に明るい、子供を愛している女性なのだ。1998.3.14《日本経済     新聞》
   ■「育てる」より「育つ」
    「お腹が大きい臨月間近の妊婦さんの集まりのとき、「いま、お腹の中の赤ちゃ     んをを育てているという感じですか?、それとも育っているという感じです      か?」と質問したら、ほとんどの人が「育っている」と答えた。「育つ」は自     動詞で「成長する、大きくなる」という意味だから、お腹の赤ちゃんには直接     手をかけていないけれども、育っているということである。
妊婦は栄養をとったり、運動に注意したり、睡眠をとったりということで、     絶えず赤ちゃんが育ちやすい環境をつくっている。
ところが、赤ちゃんが生まれて1、2ヶ月たった時に、お母さんに同じ質問     をしたら、今度は「育てている」であった。
「育てる」は他動詞であり「成長させる、大きくなるようにする」(広辞苑)とい     うのだから、お母さんが一生懸命手をかけて、育てなればという様子が目に浮     かんでくる。
同じ赤ちゃんを、お腹の中で見えないときは、育つ胎児を見守っているけれ     ども、目の前にすると育てるという気持が強くなり、その当たりから育児不安     がつきまとってくる。
そして育児や子育てという言葉を何となく、目や耳にするにつけて、「育つ」     から「育てる」の意識が強くなっていく。その結果、どういう人に育てるか?     それにはそうしたら良いか?が、日常の育児につきまとってくる。更に、将来     一流の学校に入れるために、今から他に負けないようにという教育のレールに     乗せかねない。
外国での子育てという言葉には、日本で言うような育てるという意味ではな     くて、例えばケアーというように、「そばにいて注意する、見守る」という意     味合いのものが多い。すなわち、子供は育っていくという意味でとらえた、ゆ     とりのある育児である。
日本では育てようとするから、成長発達していく子供に、特定のことを教え     込んだりしかねない。
その結果、本来持っている発達がゆがめられて、自立し始める頃に、子供ら     しさが見られなくなってしまう。友達と遊べない、言葉がおかしい、乱暴する     など、集団とのかかわりがおかしくなったりする。
それには、子供本来の発達の順序を経過していかなければならない。毎日の     遊びを通しての生活体験を、富士山のすそ野のようにだんだんと重ねていくの     である。
車ならすぐに五合目まで登ることが出来るし、ヘリコプターなら、頂上まで     容易に到達するが、子供の発達はそのようなわけにはいかない。時間をかけて     力を蓄えて、その合目に合った体験をしながら、登り詰めていきたい。
「育っていく子供」を見守っていく、楽しい育児に転換したいと思う。(巷野悟 郎・聖徳大学教授)1999.1.4《日本経済新聞》
   ■赤ちゃん同士の遊び----------脳刺激
    「東京・青山にある「こどもの城」は国立の総合児童センターで、音楽や体育、     遊び、視聴覚など子供に関係するいろいろな部門がある。そこの小児保健クリ     ニックでは、今日的な問題を抱えた子供達の相談を受け持ってる。
ココロジーということで小学生や中学生に起こっている、いろいろな問題を     考えた時、その遠因は心やからだの基礎が発達する乳幼児期にあると考えたい。     生まれてから2、3歳までの子育ては、母と子、親と子の触れ合いがいかに大     切かということである。
もう一つ強調したいのは、育っていく子供の立場から考えたとき、子供同士     の触れ合いが大切であるということだ。ときには本能を丸出しで行動できる「子     供同士の遊び」が必要である。
こどもの城では、「赤ちゃんサロン」といって、生後3~4ヶ月頃から歩き     始める頃までの母子の集まりをしている。毎回50組~100組くらいが、満     員電車の中のような状態で時を過ごす機会を待っている。およその月齢でグル     ープ分けをして、赤ちゃん同士の遊びを見守る。
普段の母と子だけの生活だと、平穏無事な育児が多いから「何もこういうと     ころで、知らない赤ちゃんと一緒になって余計なことをしなくても」と、初め     は戸惑いの様子も見られるが、やがて同じくらいの赤ちゃんを見ているうちに、     全体の雰囲気に巻く込まれていくようである。
3~4ヶ月の赤ちゃんでも、お互いに顔を見合わせるように寝かせると、、     ジッと見つめている。それは緊張や本能的な同族意識で、やがて相手に対し積     極的な行動に出る。小さな手で触ったり、髪の毛を引っ張ったりする。密林の     中で、敵を警戒しながら、遊んでいる野生の動物に帰ったよう。恐らく脳の中     では活動電流が激しく飛び交っているに違いない。
1時間半の集まりだけれど、その間に昼寝をする赤ちゃんはほとんどいない。     普段は昼寝の時間なのに、寝るどころではない緊張感が、子供達の間に走って     いることを、ほとんどのお母さん方は感じ取るようである。そして後日聞いて     みると、その日は昼寝をしないで早寝をして、朝までぐっすり寝たという。
現在、活躍している大人たちと話をすると、「自分たちが小さい頃はよく遊     んだものだ」という言葉を聞くことが多い。子育ての中で若いパパ、ママたち     に、子供同士の遊びの大切さを、声を大きくして教えてほしいと思う。(巷野     悟郎・聖徳大学教授)1999.1.18《日本経済新聞》



異型小発作群
   ⇒狭義:欠伸発作のみをさす。
    広義:①点頭テンカン
       ②ミオクロニー発作
       ③失立発作


異型肺炎
=マイコプラズマやクラミジアなどの病原体によって起こる肺炎。

異食症
=鉄分不足からくる。

異蛋白血症 dysproteinemia
   ⇒血症タンパクの異常が主要な病態をもたらすもの。
       <1>アルブミンの異常:
          低アルブミン血症
       <2>グロブリンの異常:
          免疫不全症候群
          低γグロブリン血症
          多発性骨髄腫
          H鎖病


移植片対宿主病(GVHD)
(参照→「骨髄移植」)
   ⇒骨髄移植後の主な死亡原因である。
   ■サリドマイドが有効。(参照→サリドマイド)


一酸化炭素中毒
   ⇒一酸化炭素は、無味無臭。
「一酸化炭素が毒性を持つのは、一酸化炭素がヘモグロビンと結びついて、カルボキシルヘモグロビンを形成することが主な理由である。
ヘモグロビンはオキシヘモグロビンになることによって、生体中で役割を果たしている。ところが、酸素と一酸化炭素という2種類の物質が、どちらもヘモグロビンと結びつこうとして競争した場合、一酸化炭素が勝つ。一酸化炭素とヘモグロビンとの結合の強さは、酸素とヘモグロビンとの結合に比べ、300倍も強く、オキシヘモグロビンから酸素をどかしても、くっついてしまう。
オキシヘモグロビン+COæ カルボキシヘモグロビン+O2
カルボキシヘモグロビンの血中量が、オキシヘモグロビンをはるかに凌ぐことになって、中毒する。
   ◎中毒症状:  1mg/1(空気量)
第1段階:生体が酸欠状態になり、オキシヘモグロビンの欠如により、細胞           が窒息状態になる。
        ①ひどい頭痛
        ②めまい・耳鳴り
        ③皮膚が黒ずむ
        ④脈拍が増える
     第2段階:細胞中のいくつかの酵素が一酸化炭素と結合し、炭水化物・リン           ・窒素の代謝が乱れ、原形質のタンパク質量が変化する。
        ①中枢神経が犯され、正常な判断力を失う
        ②手足が言うことを効かなくなる
        ③脳障害
        ④振顫麻痺(パーキンソン症)
     後遺症:
        ①心臓・血管系の障害
        ②妊娠中では、胎児が奇形になることが多い。
◎解毒:
     オキシヘモグロビンの量を正常するために、酸素を十分含む空気を吸い込み      続けることが大切。
絶対安静にして、保温する。
     ビタミンC
     ノボカインの静注

  【処方名-五十音順】
     麻黄加朮湯
■ありふれた毒
「東京都江東区で1999年11月、一人暮らしの男性(73歳)が入浴中に倒れているのが見つかり、病院に運ばれたが、すでに心臓が止まっていてまもなく亡くなった。この男性は2週間前にも心臓病の治療で病院にかかっていたので、病院は家族に心筋梗塞の疑いがある」と伝えた。
ところが、翌日未明、葬式のため泊まったこの男性の長男(41歳)が、同じ浴室で倒れ、後を追うように亡くなった。検視の結果、2人とも風呂釜の工事ミスにより一酸化炭素中毒死と分かった。じつは、男性の血液検査をしたとき、血中の一酸化炭素濃度が41.7%と、一酸化炭素中毒を疑わせる数値が出ていたのだが、既往歴が死因の判断を誤らせたのだった。
札幌では1997年10月、80歳同士の夫婦が一戸建ての浴室で死んでいた。一酸化炭素中毒で、死後約1週間経っていた。浴室の灯油式湯沸かし器の煙突にスズメがわらくずで巣を作っていたことから、警察は、煙突がわらくずで詰まり、浴室に排ガスが充満したと判断した。
1997年11には、熊本県・阿蘇中岳の火口付近(1323m)で、観光客の男性2人が倒れて病院に運ばれ、1人が死亡、1人が重体(翌日死亡)となった。火口には火山ガス(亜硫酸ガス)が常に発生していて、濃度によって立ち入り規制がしかれるが、当時は全面規制中だった。
二酸化炭素ガスやメタンガス自体は人体にはほとんど無害だが、それが空気と入れ替わって充満し、相対的に酸素が足りなくなると、ヒトは直ちに意識を失い、窒息する。災害や事故で起こりやすい。マンホール・ゴミ廃棄場などでメタンガスが発生したり、古井戸・船倉・鉱山などで二酸化炭素が溜まっているのを知らずに立ち入れ窒息することもある。(死因事典p109~)



意識がもうろう
=意識混濁clouding of consciousness。
   ⇒意識朦朧
  【処方名-五十音順】
     安宮牛黄丸
  黄連解毒湯
     加減復脈湯
     牛黄清心丸
     犀角地黄湯
     紫雪丹
     至宝丹
     滌痰湯
     清瘟敗毒飲
     清営湯
     蘇合香丸
     大承気湯
     鎮肝熄風湯
     桃核承気湯
     導痰湯
     八味地黄丸
     反鼻交感丹料
     石滾痰丸
     羚羊角釣藤湯




意識障害                  disturbance of consciousness
⇒意識障害の程度を4段階に分ける。(南山堂ー医学大辞典)
     <1>無関心
     <2>傾眠(sopor)   (参照→「傾眠症」)
     <3>昏迷(stupor)
     <4>昏睡(coma)
   ◎意識が一過性に短時間失われる状態=「失神」
    意識が完全に消失した状態=「昏睡」
     <1>「昏睡」状態においては角膜反射消失・瞳孔対光反射消失・括約筋弛緩し、       刺激に応答を示さず、口中に入れた液体を嚥下しない。
     <2>昏睡においては「失神」と異なって脳循環を良くするような処置(安静・       仰臥・血圧を保つ為の強心剤など)をしても簡単には意識の回復を示さな       い。(金芳堂ー内科診断学p202)
   ■電気使って脳を刺激
    「手足の動きが滑らかになり、声を出して笑うようになった。今は杖なしで歩い     ています」。
福岡県相馬市の古美術商菊池成行さん(57)は脳深部刺激療法の手術を受けた     次男昭男さん(28)に回復に目を見張る。
      明男さんは今年6月、車で出勤途中、交通事故に遭い、脳を損傷した。10     日たっても意識が戻らず、医師の言葉は「回復の見込みはありません」。
「背筋が寒くなりました。家に連れて帰るよう言われましたが、家にはクモ膜下     出血を患った妻がいる。大学まで卒業した息子をあきらめることが出来ますか」     と菊池さん。雑誌の記事を片手に7月末、東京都内の日大板橋病院脳神経科を     訪れた
同大の片山容一教授は、脳深部刺激法を行うかどうか迷った。事故から日は     浅いとはいえ、CTやMRI(磁気共鳴映像法)では脳の萎縮が始まっている。     脳刺激法は22歳以下の若い人ほど効果があり、20歳代後半から回復力が落     ちる。しかし、脳波を検査してみると、若干反応があったため、家族に「回復     出来るかどうか分からないが、今よりレベルが上がる可能性もある」と説明し     た。
脳深部刺激法は、頭に小さな穴を開け、視床と呼ばれる部分に数個の電極を     埋め込む。電極から延びた電線を皮膚の下に通し、胸のあたりに埋め込んだレ     シーバーにつなぐ。レシーバーを外から電気で一定時間刺激すると、脳の奥に     電気刺激が伝わる仕組みだ。
手術後、心なしか明男さんの目線がしっかりしていた。朝、昼、晩の30分     づつ通電すると、目を大きく見開き、硬直した手足が動くようになった。東北     地方の病院で、手術後3ヶ月間、積極的にリバビリを続けた結果、今では言葉     を話し、自分の手で食事も出来る。
●未知の部分まだ多く
    「片山教授によれば、脳や脊髄への電気刺激は、脳の中でも意識や覚醒剤に関係     する部分に働き、脳血流量を増やし、脳代謝を活発にする。神経回路を活性化     させる神経伝達物質の量も増やす作用もある。
しかし、脳の中のどのような変化が意識レベルの改善につながるのかは分か     らない。効果がすぐ表れた例もあれば、外見上変化が無いこともある。電気刺     激法は意識障害の治療としては保険が利かず、自己負担は100万円を超える。
「脳深部ではなく、脊髄に刺激電極を埋め込む脊髄刺激電極を取り込む藤田保健     衛生大の神野哲雄教授(脳神経外科)が100例の手術結果を分析したところ、     手術後1年以内に何らかの変化があった人は43%。大脳皮質や視床へのダメ     ージが少なく、脳血流量がある程度保たれていないと効果が期待できない。
「神野教授は“臨床症状は同じように見えるが、植物症と言っても、いくつかの     状態がある。その状態の人が手術の適応になるのか、検討が必要だ”と話す。
神野教授らが主催する[意識障害の治療研究会]では、過去4年間にわたって     検討し、患者の状態と反応から慢性期意識障害の程度を判定する評価尺度も作     成した。これを使って障害を受けた脳がどの程度までなら回復可能なのか臨床     研究を進めている。
【西洋医学】
<1>急性意識障害の評価(意識レベル):
JCS(Japan Coma,3-3-9度方式)
Ⅲ 刺激しても覚醒しない(deep coma,coma,semicoma) (300)
3.まったく雨後中井
2.手足を少し動かしたり顔をしかめる(徐脳硬直を含む) (200)
1.払いのける動作をする (100)
Ⅱ 刺激すると覚醒する(stupou,lethargy,hypersomnia,somnolence,drowsiness)
3.かろうじて開眼する (30)
2.痛み刺激で開眼する (20)
1.呼びかけで用意に開眼する (10)
Ⅰ 覚醒している(confusion,senselessness,delirium)
3.名前、生年月日が言えない (3)
2.見当識障害 (2)
1.清明とはいえない (1)
付“R”:不穏   Ⅱ-3-R(30-R)
“Inc”:糞尿失禁 Ⅰ-3-Inc(3-Inc)
<2>バイタルサインの把握:
「呼吸数と呼吸様式(浅いとかチェーンストーク呼吸であるとか)、脈拍数と不整の有無や緊張の具合など、血圧、体温を迅速に把握する。
これらに異常が認められれば必要に応じて直ちに治療を開始する。呼吸・循環の維持が中心」
  <3>気道の確保:
<4>静脈確保:
<5>血液採取と緊急検査:
(1)動脈圧ガス分析
酸素吸入や呼吸管理の指標となる。ヘパリン採血。
指標(Pao2 100mmHg以上、Paco2 40mmHg前後)
(2)基本検査:
血清電解質、血液ヘモグロビン、血糖値、血液型
<6>導尿および経鼻胃管挿入:
膀胱にバルーンカテーテルを挿入し持続導尿を行う。
<7>酸素吸入:






 異常発酵
  【処方名-五十音順】  
   生姜瀉心湯
     小建中湯
     大建中湯
     大承気湯
     半夏瀉心湯
  



異痛症
■脊髄のタンパク質増加
「手術や感染症などで神経が傷つき、衣服が肌に触れただけでも痛みを感じる『異痛症』の主な原因を国立医薬品食品衛生研究所の井上和秀・代謝生化学部長らが解明した。痛みの情報伝達にかかわる脊髄内のタンパク質が増えるためで、この働きを妨げれば異痛症を治療できる可能性が高いという。
異痛症は手術やガン・糖尿病・感染症などによって手足の神経が傷ついて起こる痛覚過敏の一種。一般的な鎮痛剤は効果が無く、現在までのところ有力な治療法は確立していない。
井上部長らの研究チームは、脊髄の中にある『P2X4プリン受容体』と呼ぶタンパク質に注目。このタンパク質が神経障害性の痛覚過敏を示すラットの脊髄で増えていることを確認した。このタンパク質の働きを妨げた結果、痛みを示す行動が減少したという。
研究チームはこのタンパク質が、脊髄内で免疫機能を担う『ミクログロリア』と呼ぶ細胞の中にあることも確認。ミクログロリア細胞が痛みの伝達に関わっていることを明らかにした。
井上部長は「傷ついた神経から漏れ出る物質で脊髄のミクログロリアが活性化し、このタンパク質を盛んに作ることで痛覚過敏が起こるのではないか?」と考えている。
研究チームは今後、痛みの伝達機構などをさらに詳しく分析する。研究成果は8/14付けのネイチャーに掲載」2003.8.14《日経産業新聞》



萎黄症(いおうしょう)
=「痿黄」
⇒体は黄色く艶がないが、両目は発黄していない。
■平胃散
  

痿厥(いけつ)
=痿証の1つ。手足が萎え力が入らず冷える症状。
痿証と厥証が混じり合った証。



萎縮腎 contractted kidney 
《腎硬化症》 
◎すべて慢性の腎疾患は最終的には萎縮腎の状態となる。大きさは縮小し、重量は50~70g(正常は100g)となり、硬化する。《医学大辞典》

◎症状:夜寝ると、咽喉がカラカラに乾く。
  

【処方名-五十音順】
     甘草乾姜湯
     桂枝加竜骨牡蠣湯
     柴胡加竜骨牡蛎湯
     小建中湯
     真武湯
     大柴胡湯
     当帰芍薬散
     人参湯
     八味地黄丸
     麻子仁丸
     苓桂朮甘湯
     六味丸



萎縮性胃炎 atrophic gastritis
⇒慢性胃炎の一つで、胃腺の破壊、消失をその本態とする。中高年にみられる胃炎の中で最も頻度が高い。《金芳堂ー内科診断学》
  

【処方名-五十音順】
     益胃湯
     沙参麦門冬湯
     麦門冬湯



萎縮性膣炎
■更年期から
「60代の女性。排尿時に痛みを感じるようになった。そこで、泌尿器科で膀胱炎を調べたが、尿には異常が見られなかった。
更年期を過ぎると膣の粘膜が萎縮することで、医科のような症状が起きることがある。
・頻繁にトイレに行きたくなる
・ときどき出血する
・おりものに茶色っぽいがつく
・排尿時にしみる
・排尿時に痛がゆい」



痿弱(いじゃく)
⇒足に力が入らない。
  

【漢方療法】
<1>筋骨の痿弱:

[加味四斤元][五獣三匱丸][鹿角膠丸][養血壮筋健歩丸]
   

<2>湿熱の痿弱:

[神亀滋陰丸][三妙丸][加味二妙丸][加味四物湯] [滋血養筋湯]
   

<3>長夏の湿熱で痿弱:

[健歩丸][四製蒼柏丸][二妙蒼柏散][清燥湯]

<4>焦痰を兼ねる痿弱:

[二陳湯蒼朮・黄柏・白朮・竹瀝・姜汁]
<5>血虚の痿弱:[四物湯蒼朮・黄柏]
<6>気虚の痿弱:[四君子湯蒼朮・黄柏]
  

【処方名-】(いじゃく)
■加味四斤元(肝腎が弱り、脚膝の疼痛・痿弱。又は風寒湿の気で脚痛)
■加味四揚湯(湿熱による両脚の痿軟・無力)
■加味二妙丸(両腕が火に炙られたようで、だんだん腰胯に至てマヒ・痿軟する)
■健歩丸(湿熱により脚膝に力なく、屈伸出来ず、腿腰が重い)
■五獣三匱丸(肝腎の不足から両足が痿)
■三妙丸(湿熱が下流して両脚がマヒ・痿弱)
■滋血養筋湯(気血ともに弱まり、痿軟して動けない)
■四製蒼柏丸(湿熱により脚膝が痿弱)
■神亀滋陰丸(美食する人が湿熱に腎を犯され脚膝痿弱・無力)
■清燥湯(長夏の湿熱による両脚の痿厥)
■抑肝散加陳皮半夏
■養血壮筋健歩丸(気血ともに弱く、両脚の痿軟で歩けない)
■鹿角膠丸(両足の痿軟。長い間寝ていたため起きられない)
■六味丸

 


遺精(いせい)oneirogmus
=失精。早期に精液を泄らすもの。
=性交しなくて射精が起きる現象。
<1>夢を見て遺精する(=夢精)と、
<2>夢を見ないで精液を漏らす(=滑精)を含む。
◎遺精に種々あり
<1>熱に属する者は「清心蓮子飲」。
<2>肝積に因る者は、左の腹拘攣、あるいは左右ともの拘攣する者、又痞塊ある者なり。「四逆散」の類にて遺精自ずから止むなり。四逆散の症は 脈数疾なり。
<3>疝より発する者は臍の左右或いは小腹に塊あり、又動あるか、鳴か、ならば必ず疝のしわざなり。治疝の方にて自ずから止むなり。

◎主薬:遺精には、龍骨・牡蠣を主薬にすべし《万病回春》
  

【処方名-五十音順】(いせい)
■加味帰脾湯
■加味二陳湯[1]
■帰元湯《万病回春》
■帰脾湯《薛立斎十六種》
■枸杞湯《医学入門》
■桂枝加竜骨牡蠣湯
■兼済湯《済世全書》
■五苓散
■三黄瀉心湯
■滋陰降火湯   
■四逆散
■四物湯《薛立斎十六種》
■四苓散
■十全大補湯《薛立斎十六種》
■小建中湯
■神湯《医学入門》
■清心湯《万病回春》
■清心蓮子飲
■大分清飲
■大補陰丸
■樗根白皮丸
■人参養栄湯
■八味地黄丸
■茯神湯《証治準縄》
■保精湯《万病回春》
■補中益気湯《薛立斎十六種》
■補中益気湯-柴胡陳皮五味子・阿膠・熟地黄・山茱萸《軒岐救正論》
■益智固真湯《寿世保元》
■養心湯《万病回春》
■苓姜朮甘湯
■六味丸《薛立斎十六種》

【民間療法】
○サフラン・ソバナ・ヤマイモ・マタタビ。
○[ニンニク黒ゴマハチミツ]

 
【鍼灸穴】:[心兪][白環兪][膏肓兪][腎兪][中極][関元]



遺伝子の欠損
■新例を発見
「米ノースカロライナ大学の研究グループはヒトの細胞で遺伝子の修復機能を働かなくなる『遺伝子欠損』の新しい例を発見した。
太陽光への反応が過敏になる色素性乾皮症という遺伝病の細胞などで見つけた。遺伝子欠損の仕組みを調べれば、ガンや老化のメカニズム解明に役立つと期待される。
反応性が高い活性酸素によってデオキシリボ核酸(DNA)が傷つけられても、普通はそれを修復する機能が働く。しかし特定の遺伝子欠損が起きるとこの機能が働かなくなり、ガンが出来ると考えられている。乳ガンの原因となる『BRCA1遺伝子』が知られているが、新たな例が見つかったことで多面的な研究が進みそうだ。」2000.4.26《日経産業新聞》


遺伝性球状赤血球症 
hereditary spherocytosis(HS)
⇒溶血性貧血の1つ。

◎症状:
3主徴:

脾腫・黄疸・胆石(ビリルビン結石)の合併。
赤血球像:球形赤血球(spherocyte)
◎治療:脾臓摘出が極めて有効。



遺伝性グリシン尿症
⇒腎尿細管障害症の1つ。常染色体性優性遺伝。
◎病因:腎尿細管のグリシン再吸収不全。
◎症状:
      感染に対する抵抗性が低下する
      腎結石
      グリシン尿




遺伝性血小板機能異常症 
◎種類:

<1>血小板無力症
<2>Bernard-Soulier症候群
<3>Chédiak-Higashi症候群
<4>Cyclo-oxygenase欠乏症
<5>Essential athrombia
<6>Gray-platelet症候群
<7>Hermansky-Pudlak症候群
<8>Storage pool病
<9>von Willebrand病
<10>Wiskott-Aldrich症候群


遺伝性楕円赤血球 
hereditary slliptocytosis
⇒溶血性貧血の1つ。

◎病因:赤血球膜の4.1KD(キロダルトン)タンパクの異常が関連。
◎治療:脾臓摘出。


遺伝性晩発性皮膚ポルフィリア
   =「先天性プロトコプロポルフィリア」参照。


遺毒 (いどく)
=先天性梅毒。
⇒小児に生じる瘡。「胎毒」。
◎遺毒は乃ち未生の前にあり、胞胎にあって禀受す。父母、楊梅瘡の後、余毒いまだ尽きざるの精血、孕成る故に、既に生ずるの後、熱湯にて洗浴し、衣物に薫せられ、外熱、内毒を触動して必ず肌膚の表に発す。先ず紅点を出し、次に爛斑をなす。甚だしきものは口角、穀道(=しり)、眼(=まぶた)、鼻面の皮肉、倶に壊れ、多くは乳哺を妨げ、啼叫安からず。《外科正宗》




遺尿症(いにょう)
enuresis
=遺尿。 「遺溺」 (参照→夜尿症)
⇒漢方の病証名。小便失禁・寝小便のこと。
⇒不随意に尿をもらすことだが、排尿のコントロールは3才以下では出来ないのが普通なので4才以上を病的とする。(南山堂ー医学大辞典)
  

【処方名】(いにょう)
黄蓍建中湯
桂枝加竜骨牡蛎湯
五苓散
滋陰降火湯《万病回春》
滋栄養衛湯《済世全書》
     四君子湯
     参蓍湯《万病回春》
     真武湯
     人参白虎湯《万病回春》
     八味地黄丸
     白虎加人参湯
     白虎湯《傷寒論》
     茯苓甘草湯
     補中益気湯《寿世保元》
     苓姜朮甘湯
     六味丸沢瀉牡丹皮五味子・遠志・鹿角膠《軒岐救正論》




痛みが激しい megalgia
(参照→「異痛症」)
   =「我慢出来ない痛み」「痛みがひどい」。
   ◎疼痛をやわらげる緩和ケア・・・日本緩和医療学会が96年に設立された。
    「緩和ケアの初歩であるモルヒネの適切な使い方すら満足出来ない医師が少なく     ない。」
   ■ペインクリニック 1998.3.16《日本経済新聞》
     「『ペインクリニック』と呼ばれる診療科を訪れる患者が年々増えている。日     本語に訳すと、痛み(ペイン)の診療所(クリニック)で、麻酔科の医師が担     当する。原因不明のものも含め慢性の痛みが主な対象。単なる痛み止めだけで     なく根本的な治療に役立つことがあり、時には花粉症など痛みのない病気を治     療出来るケースも報告されている。
●患者、10年前の2倍
      都内に住む男性Aさん(62)は1年ほど前からほおや唇に刺すような痛みを感     じ、日が経つにつれて強くなってきた。とうとう、しゃべろうとしたり、食べ     ようとしたり、風を感じたりしただけでも激痛が走るほどに。歯が痛い感じも     するので歯科医で抜いてくれるように頼んだが、どこも悪くないと言われ、順     天堂大学付属順天堂医院のペインクリニックを紹介された。
生け花に使う剣山で引っかき回されたような痛み、と表現される三叉神経痛     と診断され、わずか0、5‹の薬をほおの神経に注入しただけで痛みが消えた。     帰り道に「久しぶりにうどんを思いっきりすすった」。再発しても飲み薬があ     り、さらに進んだ治療法もあると聞かされ、Aさんはしっかり安心している。
●神経ブロック
      代表的な治療法は神経ブロック。痛みの原因となっている神経などに薬を注     射する。一時的に痛みが和らぐだけでなく、これを繰り返すことで病気が治る     ことも多い。「痛みのどんな症状で神経のどの部分が悪いのかが詳しく分かっ     てきており、各種の薬の使い分けも進歩してきた。」と順天堂大学医学部の宮     崎東洋教授は説明する。
例えば、腰痛などを起こす「椎間板ヘルニア」は、痛みを抑えているうつに     手術しなくても回復することが多いし、神経痛では薬が切れた後も神経痛が「休     養」状態に入ることがあり、中にはそのまま治るケースもある。また、痛みが     ない「花粉症」などのアレルギー性鼻炎でも、人により可能性は3~5割程度     だが、治った例がある。
薬の注入方法の技術改良も進んでおり、患者が自分の痛みに応じて在る程度     薬を安全に増量できる手法もある。点滴のように痛み止め薬を数十時間送り込     む場合だが、東京医科歯科大学が「KーPCA」という器具を開発し、入院患     者用に使っている。1回増量したら一定の時間がたたないと薬が充填されない     構造なので、注入し過ぎる心配もない。
夜中に痛みが強くなっても患者は気兼ねして我慢することが従来はあった      が、この手法なら看護婦を呼ぶ必要もなく、病院の負担も減る。
●対象(痛みのあるもの)
        ①偏頭痛・群発頭痛など慢性頭痛
        ②三叉神経痛などの顔面痛
        ③首・胸・腰などの椎間板ヘルニア
        ④帯状疱疹(ヘルペス)→プロスタグランジンD2が関与。
        ⑤帯状疱疹後の神経痛
        ⑥寝違え、肩こり、末梢血行障害(手足の冷え・しびれ)
        ⑦手術後の痛み、ガン性の痛み
        ⑧その他の原因不明の痛み
      ●対象(痛みのないもの)
        ①顔面神経麻痺
        ②アレルギー性鼻炎
        ③視神経炎、角膜潰瘍
        ②突発性難聴 
■痛みを決めるタンパク質
「米ジョンズホプキンズ大学のチームは、痛みに対する感受性を決めるタンパク質を発見した。痛みが神経に伝わりやすくなる仕組みが分かったことで、副作用を抑えた新しい痛み止め薬の開発につながる。
特定したのは『Pirt』と呼ぶ膜タンパク質。
これが出来ないように操作したマウスと正常なマウスに、トウガラシのカプサイシンやマスタードなどの刺激物質を投与した。操作したマウスは痛みを感じるまでの時間が長かった。
痛みはある特定の神経細胞上の分子によって制御されている。この分子がいったん開くと膜の内外に電位差が生じて脳に痛みを伝える。Pirtはこの分子に働きかけ、トウガラシの刺激を伝わりやすくしているという」2008/5/20
■痛みを定量的測定
「2009年、東海大学工学部の槌谷和義准教授らは、注射の痛みを定量的に測る方法を見つけた。太さが違う注射針をマウスの皮膚に刺し、唾液中の[αアミラーゼ]の量を測定した。針の直径が太くなるとアミラーゼの量が変化、痛さの指標として使えることが分かった。
体に痛みが感じると唾液中のαアミラーゼが増えることはすでに知られている。槌谷準教授らは10匹のマウスの皮膚に直径が35~200マイクロ㍍の6種類の太さの針を刺し、アミラーゼの増加量を測定した。
95マイクロ㍍までは大きな変化はなかったが、100マイクロ㍍の時に95%の確率で変化した。
  【色彩療法】
    <1>藍色
    <2>すみれ色
    <3>紫色




(シナプス)
痛みが伝わる
 ↑
グルタミン酸

(シナプス)
末梢→グルタミン酸が放出→中枢神経

コノトキシン(イモガイの毒)
モルヒネの1000倍




移植片対病(GVHD)
■腸の特定部位が発端
「東京大学と慶応義塾大学のグループは、白血病治療などで移植した骨髄細胞が患者の体を攻撃する移植片対病(GVHD)の発端になる場所を突き止めた。腸の粘膜にあるパイエル板という部位で始まることが分かった。
東大の松島綱治教授と村井政子研究員、慶大の石川博道教授らの成果。マウスを使った実験でパイエル板のないマウスはこの病気を起こさなかったのに対し、通常のマウスは移植したリンパ球による攻撃で生存率が極端に落ちた。
パイエル板は食物や腸内細菌など異物に晒され続ける場所。「常に免疫機構が活溌に働いているため、異常な免疫反応のキッカケとなりやすい」(村井研究員)とみている。
白血病や様々な自己免疫疾患は骨髄移植で完治することが期待できる。ただGVHDなどが障壁となっており、放置すると死に至ることもある。」2003.1.27《日本経済新聞》




移動性盲腸 mobile cecum
   ⇒腸管の固定過程の障害によるもの。
     ①上方6cm、内方2cm以上移動するもの。
     ②回盲部が痛んだり、不快感があったりし、便秘することが多い、
     ③20~30代で発症することが多い。
  【処方名-五十音順】
     桂枝加芍薬大黄湯
     桂枝加芍薬湯



噎膈(いっかく)   
   =膈噎=噎塞。
⇒漢方の病名。
     噎=呑み込むときに咽がふさがっているような感じがあること。
     膈=胸郭がつかえて飲食を飲み下せない。
   ◎噎は普通、膈の前期症状なので、合わせて噎膈という。
   ◎胃ガン・食道ガン・食道ケイレンなどに見られる。
  【処方名-五十音順】
    瓜実丸・・・(噎膈と痞痛が背まで来て、喘息がひどく煩悶する)
    九仙奪命丹・・(反胃と噎食に)
    五膈寛中散・・(五膈による、食物の下らない者)
    紫沈丸・・・・(吐いて痛む者)
    順気和中湯・・(嘔吐・反胃・雑・呑酸・噎膈、痰水を吐く、心腹の刺痛)
    神奇散・・・・・・(噎膈と反胃による血虚)
    梔子乾姜湯
神仙奪命丹・・・・(気欝嘔吐、噎、食物の下らない者)
    聖灰散・・・・・・(噎食病、食べたらすぐ吐く)
    生津補血湯・・・・(年少の人の噎膈による胃の血が乾き、便なく、              食物が消化しない)
    棗肉平胃散
    当帰養血湯・・・・(老人の痰結と血枯)
    丁香透膈湯
    八仙膏・・・・・・(噎食を治す)
    平丸・・・・・・(膈気で食べられない者)
    利隔湯
    硫汞丹・・・・・・(反胃による吐逆に)


 噎食
⇒胃反で食物を吐出し、気が下がらないもの。
【処方名-五十音順】
    九仙奪命丹・・(反胃と噎食に)
    聖灰散・・・・・・(噎食病、食べたらすぐ吐く)
    八仙膏・・・・・・(噎食を治す)







犬・猫回虫症(イヌネコ回虫症)
=医師や獣医師に届出義務がある感染症法の対象外。
子イヌの約7割がイヌ回虫を持っているので定期的に獣医師から駆虫薬をもらってイヌに飲ませましょう。家庭では決まった場所で排便するようにしつけて、糞を長期間放置しないように。ペットにふれたら手をよく洗うのが予防の基本です。指の付け根や爪の間までしっかり洗いましょう。
庭や公園の砂場には夜間にスプリンクラーを作動させてネコなどが近づかないようにしましょう。
   ■ほとんどの人は自然治癒
    「先日、「小学3年の息子のことで」と、あるお母さんから相談の電話がかかっ     てきた。
「犬や猫の糞を異常に毛嫌いして、糞の落ちている道は決して通ろうとしま     せん。靴などに少しでも糞がつけば、その靴を捨ててしまいます」。犬や猫の     糞の中にいる寄生虫の卵に少しでも触れると失明する、と聞いたからだそうだ。
私が、今年初めの朝日新聞「現代奇人伝」に、犬や猫の糞を拾って歩くのが     好き、と載ったのを読んでいて、「お聞きしますが、犬や猫の糞に少し触れた     ぐらいでは失明することはありませんよね。そうだったら、子供に藤田先生の     言葉を伝えたいのですが」という。
電話の向こう側で本当に困っているというお母さんの姿が想像された。
      確か5年きらい前だったろうか、「砂場を黄害から守れ」という住民運動が     起こり、公園の砂場をフェンスで囲んだり、夜間、ビニールシートで覆ったり、     ガスバーナーを使って砂を焼いたりしたことがあったことを覚えている人も多     いだろう。
あれは、犬や猫の回虫に子供が感染するのを恐れた処置だったのだ。
      砂場に落ちている犬や猫の糞の中に、回虫の卵がいて、それを子供が口の中     に入れると回虫の卵が小腸で孵化し、幼虫が網膜まで行って失明する、という     説が流れたためだった。
調べてみると、日本全国どの公園にも確かに犬や猫の回虫の卵があった。し     かし、それが子供の口に無いって失明する確率は、ほとんどゼロに等しいこと     も、その後の調査で分かった。
私の教室の赤尾信明講師は犬回虫の幼虫を長期間、培養液で飼育している。     この培養液での飼育によって犬・猫回虫症の正確な診断が初めて可能になる。
彼によると、日本人の1.6%が犬や猫の回虫に感染した経験があると言う。
ただし、その大部分は肝臓が一時的に腫れただけで、後は自然に治ってしま     った、いわゆる不顕性感染で、ごくまれに網膜組織に移行することがあるとい     うことだ。
現に、犬・猫回虫症の患者は、日本では1963年以降、たかだか200人しか     報告されていない。
まして、犬回虫の幼虫が眼球組織がら検出された例は、日本では1例にすぎ     ない。」(藤田紘一郎・東京医科歯科大学教授)1998.5.11《朝日新聞》
■手洗いをする
「公園の砂場などで回虫の卵が口から入り発症する。目や臓器の障害を引き起こすほかに、まれに失明することもある。イヌの体内にはイヌ回虫(トキソカラ・カニス)、ネコの体内にはネコ回虫(トキソカラ・カティ)が寄生していることがある。糞便に産卵された回虫の卵(虫卵)は10~14日で虫卵包蔵卵になります。これが人の口から入ると小腸で孵化し、幼虫が全身の臓器や器官を移動します。
人への感染経路でもっと多いのが公園などの砂場です。野良猫などが夜間に砂場で排便していることが多く、糞が分解した後でも砂に虫卵が付着しています。
症状には
・幼虫が目に移行して起きる『眼移行症』があります。レンズの役目をしている硝子体に炎症や混濁が生じて視力低下や視野狭窄が起きます。まれに失明に至ることがあります。片方の目にだけ症状が出るのが特徴です。内臓に移行した場合、多くは肝臓肥大し発熱を伴います。
・潜伏トキソカラ症
眼移行や内臓移行のどちらも当てはならいが、腹痛や頭痛。、全身の倦怠感、食欲不振などを伴います。」



犬・ネコに噛まれたとき
   ■細菌150種検出
    「犬や猫に噛まれて熱を出しなど、感染を起こした患者らの傷口から150種類     以上の細菌を検出した、と米カリフォルニア大学ロサンゼルス校のデービット     ・タランは博士らが14日発行の米医学誌ニューイングランド。ジャーナル・     オブ・メディシンに発表した。
咬み傷によく見られる細菌がほとんどだったが、従来は咬み傷から感染する     ことが知られていなかった。細菌も見つかった。
米国内では咬み傷治療のため推定で年間30万人が病院に通う。犬では3~     10%、猫では28~80%の人が細菌に感染。髄膜炎や心内膜炎を起こす例     もある。」1999.1.20《朝日新聞》

【処方名-五十音順】  
    黄連解毒湯


居眠り
   ⇒参照→「傾眠症」
  →「睡眠時無呼吸症候群」

痿躄(いへき)
   =いざり、あしなえのこと。
肢体が萎えて動けなくなる病証。下肢に力が入らなくなり、次第に手に及ぶこ とがある。皮膚は艶が無くなり、無感覚となる。
虚すれば則ち痿躄し、坐して起つ能わず。《霊枢経脈篇》
   ◎主薬:痿躄には、参蓍を主薬にすべし《万病回春》
  【処方名-五十音順】
    香養胃湯《医学入門》
    加味四物湯《医学正伝》
    参帰養栄湯《万病回春》
    清燥湯《脾胃論》
    大防風湯《和剤局方》
  【臨床例】
    ☆いざりが治った例
     「丸亀侯の臣、勝田九八郎の女弟、痿躄を患う。諸治效なし。
       《吉益東洞》先生之を診す。體内動し上気殊に甚だし。桂苓朮甘湯をつ      くりて、之を飲ましむ。須臾にして坐尿すること二十四行。乃ち忽然として      起居す。」《建珠録》
    ☆痿躄
     「京師四条街の賈人、三井家の家僕三四郎は、四肢憊惰。時ありて心腹切痛し、      居常、欝欝として気志楽しまず。諸治效なし。一醫某なる者あり。《吉益東      洞》先生の異能あるを以て之を(むか)えんことを勸む。賈人の曰く「固よ      り先生の名を聞く。然れども古方家、多くは峻薬を用う。是を以て懼れてい      まだ請わざるのも」と。醫乃って更に諭す。且つその害なきを保す。
遂に先生をえて之を診す。腹中攣急し之を按じて弛まず。乃って建中湯      をつくりて之を飲む。その夜、胸腹煩悶し、吐下傾くが如し。賈人大いに驚      懼す。某醫を召して之を責む。醫の曰く、東洞用うるちところ、峻剤に非ず。      疾、適々発動せるのみ。と。賈人なお疑う。
又、先生を召し、意、復び服することなきを欲す。先生の曰く、余、処す      るところ吐下の剤には非ず。而して此の如し。その甚だしきものは、蓋し、      彼の病毒勢すでに敗し伏するところなし。因って自ら潰遁せるのみ。益々攻      むるにしかず。と。賈人乃ちその言に服す。先生乃ち還る。翌早、病者自ら      来り、謁して曰く、「吐下の後、諸證脱然とす。頓に、平日の如きなり」と。      《建珠録》



入れ歯が合わない
■入れ歯
「保険診療でお願いします」
前歯の場合「硬質レジンの前装冠でお願いします」
保険外のセラミックとあまり変わらない。
“一生もの”なんてあり得ない。
色合わせは「ビタ社のA3でお願いします」
  80%の日本人の場合、この色で合う。白い色がいい人はA2。
■強度3倍
「名古屋工業大学の中西英二教授らは、入れ歯などの歯科材料にプラスチックとゴムの複合粒子を加え、強度を3倍高めることに成功した。」2003.1.10《日経産業新聞》
■インプラント(人工歯根)
「歯科用インプラント(人工歯根)が日本で本格的に普及してから20年近くなる。義歯(入れ歯)の欠点を補いシッカリ噛めるなど、到着した火とのQOLの向上につながる。インプラント治療を多く手がけている鶴見大学歯学部口腔顎顔面インプラント科の小久保祐司助手は「他の治療法との利害得失を説明し、治療前にきちんと診断・検査できる医療機関を選ぶことが基本」と指摘する。
インプラントは手術で切り取った顔面の修復や人工股関節などで使われますが、歯科用は身近です。
「歯科用インプラントは欠損した歯を人工的に回復するものです。最も必要なのは生体適合性があり、長年装着しても強度などが変わらないこと。その根拠や実績がないといけません。現在のシステムを確立したのはスウェーデンのブローネマルク教授で1965年のことです。長期間の臨床応用で有用性を証明しました。たとえば下顎では装着して10年後でも95%以上のインプラントが歯として機能を十分に保っていました。」
「一般的に材料としてはチタンを使います。この金属は強度や耐腐食性が高いほか、オッセオインテグレーション(骨結合)といって、顕微鏡で見るとチタンと骨組織が直接結合し、シッカリと固定されます」
●どのように治療するのでしょうか?
「装着する部位をレントゲンで検査し、インプラント治療が可能かどうか、どのように装着するかを決めます。その後、局所麻酔のもとドリルで顎の骨に穴を開けてチタン製インプラントを埋め込みます。使用する部位によって異なりますが、インプラントの長さは6~18mmです。しっかり固定されたら、骨から頭を出している支台部の上に人工の歯を付けます」
「インプラントが骨組織としかり結合するには少し時間が掛かります。下顎で3ヶ月、上顎は少し軟らかいので6ヶ月が目安です。条件が良ければ下顎で1ヶ月以内ですむこともあります。その間は、仮の入れ歯をします」
治療の際に注意すべき点はなんでしょうか?
「まず、。きちんとした治療前診断が出来るかどうかがポイントです。下顎には太い神経があり、事前の検査が不充分なため、これにインプラントが触れるとシビレなどが起きます。出血や骨折などのほかドリルで穴を開ける際に骨が焼け、跡で痛みが出ることもあります。骨の硬さなどを考慮し、手加減しながら治療する必要があります。
健康保険の適用外なのですべて私費治療になる。大手病院で高度先進医療の対象になっている場合、必要な医療品費などの保険が適用される。一般には25~35万円・2003.3.25《日本経済新聞》






飲家
   =水毒のある病人。平素留飲ある人。

飲食傷
   =急性胃腸カタル等をさし、「飲傷」と「食傷」がある。《古今方彙》
  【処方名-五十音順】
    雲林香砂六君子湯《万病回春》
    葛花解醒湯《内外傷弁惑論》
    香正気散《医学正伝》
    加味平胃散《医方考》
    枳実大黄湯《万病回春》
    枳朮湯《金匱要略》
    行気香蘇散《古今医鑑》
    香砂平胃散《万病回春》
    香砂養胃湯《万病回春》
    香砂六君子湯《内科適要》
    内消散《万病回春》
    不換金正気散《寿世保元》
    平胃散《和剤局方》
    補中益気湯《医方考》
    養胃湯《万病回春》


飲心痛
⇒漢方の病名。九種心痛の1つ。
症状:胃痛
乾嘔吐涎
悪心煩悶
水


飲病(飲症)
   ⇒(1)飲んだ水が消化出来ずに病になることを飲症という。
    (2)痰との比較:痰は火炎の重灼で起きる症で、濁っている。飲の色は澄んでい      る。
  【漢方療法】
◎種類:
<1>留飲=水が心下に溜まり、背筋にいつも手の平ぐらいの冷いものがある          感じで、四肢の節々が痛み、咳がひどくなる。
      <2>癖飲=水癖が両脇の下にある。
          処方:[十棗湯][三花神裕丸]
      <3>痰飲=水が胃腸間に溜まり、音を出す症で、非常に肥るか・痩せるかす          る。処方:[苓桂朮甘湯][神朮丸](→痰飲)
      <4>溢飲=水を飲むと流れて四肢に周り、汗が出なければならない症に、汗          が出ず、身体が重く痛む症。
          処方:[小青竜湯]
      <5>流飲
      <6>懸飲=飲んだ水が背筋の下に溜まり、咳などで痛む症。流飲ともいい、          水が脇間に溜まって音がする。水が流れているうちに脇下に溜まり。          咳や唾を吐くとき痛み感じ、それでも水が飲みたくなる症。
          処方:[十棗湯][三花神祐丸]
      <7>支飲=咳が逆上して寝ていられず、もたれかかって腫病のような症状。          処方:[小青竜湯][茯苓五味子湯]
      <8>伏飲=胸膈上に痰が詰まり喘咳、亦は吐く。
          処方:[三花神裕丸][控涎丹]
  【処方名-五十音順】
    山梔子散(胸膈が焼け付くようなとき)
    神朮丸(酸水を嘔吐するとき、胃でポチャポチャ)
    茯苓五味子湯(支飲と手足の冷痺。唾が多いもの。小腹の気が胸と咽喉           にのぼり、顔がほってたようになりめまいする症。)

 咽乾
【処方名-五十音順】
     黄連解毒湯
     酸棗仁湯
     三物黄湯
     小建中湯

 咽喉
  【処方名-五十音順】
     黄蓍散《証治準縄》
     加味四君子湯《万病回春》
     駆風解毒散《済世全書》
     荊芥湯《三因極一病証方論》
     牛蒡子湯《医学入門》
     滋陰清火湯《寿世保元》
     四物湯黄柏・知母・荊芥・防風《薛立斎十六種》
     逍遙散牛蒡子・桔梗・香附子《軒岐救正論》
     清咽利隔湯《薛立斎十六種》
     清上養中湯《寿世保元》
     清涼飲《万病回春》
通関散《寿世保元》
     抜粋桔梗湯《医学入門》
     補中益気湯黄連・黄《薛立斎十六種》
     補中益気湯黄連(or牛蒡子)《薛立斎十六種》
     射干湯《医学入門》


咽喉炎 pharyngolaryngitis
【色彩療法】
<1>緋色
    <2>緑色
    <3>青色
  【宝石療法】
     アンバー
  【漢方療法】
   ◎主薬:咽喉腫痛には、桔梗・甘草を主薬とすべし《万病回春》
  【処方名-五十音順】
     葛根湯
     甘草湯
     甘露飲
  桔梗湯
     銀翹散
     柴陥湯
     柴胡清肝湯
     梔子湯
     沙参麦門冬湯
     小柴胡湯
     清燥救肺湯
     蒼耳散
     桑杏湯
     通脉四逆湯
     麦門冬湯
     半夏厚朴湯
     半夏散及湯
     養陰清肺湯
     凉膈散

咽喉腫痛
  【処方名-五十音順】  
     一物瓜蒂湯
     小柴胡湯加桔梗石膏
     大柴胡湯
     調胃承気湯
    茯苓杏仁甘草湯


咽喉神経症
<1>「咽喉頭異常感症」 (参考→漢方の「梅核気」)
イ)何もしないのに、のどに違和感を覚える、感覚障害。
 咽頭=口を開けた時に舌の奥に見えるのどの部分。喉頭=のど仏のところ。
ロ)“のどの玉がつまっている様な感じ”
 “ツバを飲み込む時引っかかってチクチクする”
ハ)食べたり、飲み物を飲み込む時には、感じない。
<2>食道上部の憩室:食道の一部が外側にポケット状に膨らむ疾患。手術で治療。
<3>老化現象:4000~7000個あると言われる味蕾細胞が衰えて起きる。
<4>亜鉛不足。
<5>咽頭ガン、喉頭ガン。
  

【処方名-五十音順】
  加味逍遥散
     茯苓飲合半夏厚朴湯



咽喉痛
  【芳香療法】
    以下の精油を使って、蒸気吸入します。
       ①安息香
       ②ラベンダー
       ③タイム


 咽喉の病症
   「咽」=三に接して胃に達し、物を呑み込むことが出来る。
   「喉」=五臓を通じて肺につながって気を伺う。
   【咽喉の病症】
    <1>単乳蛾
    <2>乳蛾
    <3>単喉閉
    <4>咽閉
    <5>纒喉風:熱が咽喉につまって腫が外にまではみ出し麻痺してかゆく、腫の大         きい症。
         [解毒雄黄元][如聖勝金散][竜脳破毒散][一字散][二仙散]              [玉鑰匙][巴豆煙][雄黄散][仏手散][白礬散][氷梅丸]
    <6>急喉痺:牙関・・・[一字散][二仙散]
         毒が詰まる[如聖勝金錠][解毒雄黄元][竜脳破毒散][奪命散]              [玉鑰匙][巴豆煙]
    <7>懸雍垂:懸雍は上顎に出る症。
           [塩礬散][吹喉散][玄参散][硼砂散]
    <8>梅核気:咽喉のあいだに障碍があって、吐いても出ず、呑み込んでも入らな          い、ちょうど梅の実のようなものがかかっている症。
[加味四七湯][加味二陳湯]
    <9>尸咽
    <10>穀賊
    <11>骨硬
    <12>咽喉痛:[上清元][加減薄荷煎元][竜脳膏][荊黄湯][必用方][甘桔湯][金消          丸][清火補陰湯][絳雪散]
    <13>咽喉瘡:[発聖散人参・荊芥・黄柏(蜜炙)][利隔湯][牛蒡子湯][清火補陰          湯][加味四物湯][通隘散][仏手散][発声散][治喉痺生瘡方]
  

【処方名-五十音順】
    加減薄荷煎元・・・(風熱と咽喉腫痛)
    加味四物湯・・・・(喉痺・喉痛・喉瘡)
    甘桔湯・・・・・・(咽痛)
    桔梗湯・・・・・・(咽痛、咳嗽、喀痰、舌苔微黄、少陽病)
    玉屑無憂散・・・・(骨子などが咽喉につかえて降りない)
    金消丸・・・・・・(咽喉が腫れる)
    荊黄湯・・・・・・(風熱で咽喉疼痛)
    鶏内全散・・・・・(喉閉・単蛾・蛾)
    解毒雄黄元・・・・(喉閉・口噤)
    絳雪散・・・・・・(咽喉の熱痛・腫塞)
    牛黄凉膈元・・・・(咽喉腫痛・口舌生瘡・頬の赤腫)
    牛蒡子湯・・・・・(咽喉腫痛・牙関緊急・瘡雍)
    七宝散・・・・・・(喉閉・単蛾・蛾)
    消火補陰湯・・・・(喉痛・喉閉・生瘡)
    上清元・・・・・・(咽喉腫痛と口舌生瘡)
    如聖勝金散・・・・(咽喉急閉と単蛾・蛾・結喉・重舌・木舌)
    吹喉散・・・・・・(咽喉腫閉塞)
    青竜胆・・・・・・(咽喉閉塞・腫痛、単蛾・蛾)
    清涼散・・・・・・(咽喉腫痛)
    大柴胡湯・・・・・(咽喉腫痛、実証、筋肉質、心下部緊張、便秘)
    胆礬散・・・・・・(咽喉の痺・腫塞)
    発声散・・・・・・(咽痛生瘡で、声が出ない)
    半夏桂甘湯・・・・(腎傷寒・咽痛)
    備急丹・・・・・・(咽喉閉)
    必用方甘桔湯・・・(風熱で咽喉腫痛、喉痺に特効)    
    普済消毒飲子・・・(流行性咽痛)
    仏手散・・・・・・(風熱による咽喉の腫痛)
    利膈湯・・・・・・(咽喉生瘡)
    竜脳膏・・・・・・(喉痺腫痛)

咽喉の乾燥感
 黄連解毒湯
    酸棗仁湯
    三物黄湯
    小建中湯
    麦門冬湯

咽喉痞塞感
  【処方名-五十音順】  
 加味逍遥散
    柴朴湯
    半夏厚朴湯



咽喉不利
   ⇒息にむせて、のどが詰まること。
「是れ府蔵の冷熱調わず、気上下して哽、渋結して喉間を搏ち呑吐利せず、或いは塞がり、或いは痛むなり」《諸病源候論》
  【処方名-五十音順】  
    清肺湯
    麦門冬湯


咽中の異物感(咽中炙臠)
  【処方名-五十音順】  
    半夏厚朴湯)
    茯苓飲合半夏厚朴湯

 咽頭炎 Pharyngitis
   ⇒リンパ節腫張を伴う感染症。
   ◎症状:
     咽頭痛・咽頭発赤
     発熱
     リンパ節腫張:
        有熱性。
        EBウイルスによって、頚部の他に、腋・鼠径部のリンパ節が腫れる。
     嚥下困難:A群溶連菌によって時に起こる。
     水疱形成:アデノウイルスによって咽頭に起きる。
     脾腫:EBウイルスで起きる。
◎種類:
      萎縮性咽頭炎
      壊疽性咽頭炎
      潰瘍性咽頭炎
      カタル性咽頭炎
      角化性咽頭炎
      顆粒性咽頭炎
      乾燥性咽頭炎
      急性咽頭炎
クループ性咽頭炎
      ジフテリア咽頭炎
      腺性咽頭炎
      増殖性咽頭炎
      疱疹性咽頭炎
      蜂炎性咽頭炎
      蜂織炎性咽頭炎
      ペスト性咽頭炎
      膜性咽頭炎
      慢性咽頭炎
      胞性咽頭炎
  【民間療法】
    <1>ヒオウギ。
    <2>ユキノシタ。
    <3>イチジク・イナゴ・梅・オオバコ・カキ・カミツレ・カンゾウ・キキョウ・     黒豆・ザクロ・サラシナショウマ・紫蘇・ツリガネニンジン・トロロアオイ・     フキ・ミカン・ヨシ・リンドウ・ワレモコウ。
  【宝石療法】
    <1>[真珠]
  【処方名-五十音順】
     葛根湯桔梗石膏
     甘草湯
     甘露飲
  桔梗湯
  銀翹散
     柴陥湯
     柴胡清肝湯
     梔子湯
     沙参麦門冬湯
     小柴胡湯
     清燥救肺湯
     蒼耳散
     桑杏湯
     大柴胡湯
     通脉四逆湯
     麦門冬湯
     半夏厚朴湯
     半夏散及湯
     養陰清肺湯
     凉膈散


 咽頭結核
  【処方名-五十音順】  
     麦門冬湯

 咽痛
【民間療法】
    <1>桔梗。
    <2>カラスビシャク。
    <3>ダイコン。
    <4>トンボ。
    <5>ノビル。
    <6>ヒオウギ。
    <7>ホウセンカ。
    <8>イナゴ・ウシ・オキナグサ・オトギリソウ・カタツムリ・カボチャ・キンカ     ン・クチナシ・ゴボウ・ゴマ・サネカズラ・サラシナショウマ・ツユクサ・ナ     タマメ・ナンテン・ハチク・ハトムギ・ハマゴウ・ヘチマ・ミカン・ミヤマト     ベラ・モグラヤブコウジ・ヤマゴボウ・ユズ・リンドウ。
  【処方名-五十音順】
     甘草湯
  桔梗湯
  銀翹散
     桂麻各半湯
     小柴胡湯加桔梗石膏
     辛夷清肺湯
     清肺湯
     排膿散及湯
     百合固金湯
  防風通聖散
     麻黄細辛附子湯


 陰痿(いんい)
   =痿陰のこと。勃起力欠乏のこと。
  【漢方療法】
    陰痿=七傷の疾患:[還少丹][五精丸][上丹][膃肭補天丸][固本健陽世]             [九仙霊応散]
  【処方名-五十音順】
     膃肭補天丸
 回春散
     加減内固丸 
     還少丹
  帰脾湯
     九仙霊応散
     桂枝加竜骨牡蠣湯
     呉茱萸湯[6]
     五精丸
     柴胡加竜骨牡蛎湯
     十補丸
     上丹
     小柴胡湯
     助陽散
     清魂湯
     大柴胡湯
     人参養栄湯
     八味地黄丸
  補中益気湯
     抑肝散加陳皮半夏
     六味丸
【民間療法】
     <1>ガガイモ、
     <2>イカリソウ、
     <3>ウコギ、
     <4>クコ、
     <5>ゴシュユ、
     <6>ネナシカズラ、
     <7>ナルコユリ、
     <8>サンシュユ、
     <9>ナンテン、
     <10>ニンニク、
     <11>ムベ。


 陰核腫大
   =陰核肥大症(clitorimegaly)
   ◎陰嚢腫大(=陰腫)を含む。
  【処方名-五十音順】
 五苓散
    蝉退散


 陰汗
   =《古今医統》に曰く、下焦湿熱行らず以て汗出ずることありて常に乾かざる是な    り。

 陰虚(いんきょ) (→虚労)
   ⇒血虚の症。
   <1>陰虚の症状:毎日午後になると悪寒があって発熱し
           日暮れに微寒、
           治りかけるときに必ず脈が弱くなる。
   ◎主薬:陰を補うには、当帰・熟地を主薬とすべし《万病回春》
  【処方名-五十音順】
    陰虚暴絶治法
    加減四物湯・・・・(陰虚・労損)
    加減補陰丸・・・・(陰虚を治し、陰を補い、陽を扶ける)
    加味補陰丸・・・・(陰虚を補い、陰火を降ろす)
    坎既済丸
    虚潜丸・・・・・・(陰虚労症)
    混元丹・・・・・・(虚労・痩せ・痰嗽・鬼)
    済陰丸・・・・・・(陰虚労症)
    滋陰降火丸・・・・(陰虚の症を治す)
    滋陰降火湯・・・・(皮膚浅黒い、痰<痰稠>、乾咳、乾性ラ音、発熱無汗、               便秘、陰虚火動)
    四君子湯・・・・・(気虚、顔面蒼白、食欲不振、言葉に力がない、胃              腸虚弱、腹部軟弱、下痢腹鳴、四肢倦怠)
    四物湯・・・・・・(貧血、皮膚枯燥、動悸<上>、神経症状、腹部軟              弱、脈沈弱)
    瀉陽補陰湯・・・・(過度の酒色による真陰の妄泄、陰虚火動)
    潤腸湯・・・・・・(虚証、便秘<常習性>、口乾<夜中>、腸内燥熱、皮              膚枯燥、体液枯燥、老人の便秘)
    清滋坎湯
    大造丸・・・・・・(六脈の虚・微、血気の衰弱)
    大補陰丸・・・・・(陰火を降ろし、腎水を壮健にする)
    太上混元丹・・・・(五臓の労損)
    二宜丸・・・・・・(陰虚)
    入門大造丸・・・・(気血の虚弱、陽茎がしなびる、顔色が黄色い、大              病後に声が出ない)
    補陰丸・・・・・・(陰虚・寝汗・遺精・夢泄・咯血・唾血・羸痩)
    補陰散・・・・・・(陰虚・火動の症を治す)
    補陰瀉火湯・・・・(陰虚・火動)
    補天丸・・・・・・(陰虚の保健薬)
補天大造丸・・・・(陽気を壮健にし、腎水を増やす)
    補中益気湯
    六味丸


 陰虚火動
   
   ◎傷寒、頭痛発熱、口乾き、しばしば発表解肌の薬を服し、而も日哺発熱なお甚だ    しく、あるいは日に軽く夜に重きを治す。これ陰虚火動なり。《傷寒翼方》《集    験良方》
   <1>症状:発熱咳嗽喀痰多く午後から夜にかけて熱発多く、顔面も紅潮し唇赤く、        小便も赤茶色に着色するもの。
      午後から夜にかけて発熱、
      発熱時には顔が赤く・唇紅になる。
      小便が赤く渋い、
      咳嗽して吐痰し咯血、などの症。
      潮熱・盗汗・遺精・夢泄などの症状を伴う場合もある。
  【処方名-五十音順】    
    陰虚生内熱湯・・・(陰虚・煩熱)
    坎既済丸・・・・(労損)
    坎膏・・・・・・(潮熱・盗汗・咯血)
    後坎丸・・・・・(虚火が動いて遺精し、盗汗・痰嗽・潮熱
    滋陰降下湯
    四物湯
瀉陽補陰湯・・・・(過度の酒色による真陰の妄泄、陰虚火動を治す
    清肺滋飲散・・・・(酒色で陰虚火動、のどに瘡が出来、声がれ、痰嗽              ・喘息で寝られない)
    清滋坎湯・・・・(陰虚火動による潮熱・盗汗・痰喘)
    先坎丸・・・・・(虚火が動いて遺精し、盗汗・痰嗽・潮熱)
    補陰丸
    補陰瀉火湯・・・・(潮熱・盗汗・痰嗽・咯血・脈多く沈、痩せる)
    六味丸


 陰虚面浮(いんきょめんふ)
   ⇒房事過多・過労などで肝腎肺が虚して陰虚になり、顔がむくむ者。
    顔面のほてり・痛みがない。
  【処方名-五十音順】
     帰脾湯
  八味地黄丸
     六味丸

 陰茎硬直症
   =「陰茎強直症(priapism)」「プリアピスム」  
  【処方名-五十音順】
桂枝加竜骨牡蠣湯
     八味地黄丸
     六味丸



 陰茎の掻痒・疼痛
   =「陰茎痛(phallodynia)」「陰茎腫痛(phalloncus)」
  【処方名-五十音順】
    清心蓮子飲・・・・(陰茎の腫れ・疼痛)
    八味地黄丸
    補中益気湯
    六味丸
   

 陰戸腫(いんこしゅ)
   ⇒陰戸は陰門に同じ。陰門腫痛を見てください。
  【処方名-五十音順】
  加味逍遥散
     四物湯
   


 陰戸出(いんこしゅつ)
   ⇒外陰部にできる鶏冠状or陰茎状の突起物。腫痛が激しく・排尿痛・血尿を伴う。    バルトリン腺の嚢腫・腺炎・腺膿瘍などで見られる。
  【処方名-五十音順】
     帰脾湯   
     柴胡四物湯
     補中益気湯(鶏冠状の突起物が外陰部に出来る)
     竜胆瀉肝湯

 陰狐疝(いんこせん)
=「鼠径ヘルニア」「陰嚢ヘルニア」。


 陰尸(いんし)
⇒尸病の1つ。
「陰尸は軆虚して外邪を受け、陰気を搏つによって陰気壅積す。初めて著れるの状は、皮膚の内に起こりて物の状は蝦蟆に似たり、宿を経て身の中の尸虫と相搏って、杯の大きさの如し。動揺して掣痛し堪え忍ぶべからず。この多くは天雨に因りてこれを得るなり」《諸病源候論》

 陰症発斑
=「陰斑」。虚寒証に属する斑。
   ⇒胸背・手足に発斑する、蚊や蚤に刺された様な形で、微紅色。
斑点は淡紅色ではっきりしない。
四肢は逆冷し、清穀を下痢し、脈は浮大無力or沈微。
  【処方名-五十音順】
     升麻甲湯
     調中湯
  八味地黄丸
     理中湯
     六味丸



 陰瘡(いんしょくそう)
   ⇒男女の陰部に出来る伝染性の潰瘍。
  【処方名-五十音順】
    加味逍遥散・・・・(外陰部“膣口”の腫痛)
    疳湿散・・・・・・(婦人の陰瘡を治す)
    麝香丸・・・・・・(婦人の陰中が長い間冷え、子が無く。又白帯が下              りるとき)
洗湯・・・・・・(婦人の陰瘡を治す)
    銅緑散・・・・・・(男女の陰湿瘡、虫瘡を治す)
    藜蘆膏・・・・・・(諸努肉が茸のように突き出るとき)
    硫鯉丸・・・・・・(陰門内の疳傷で、虫が汁のように出て、臭い)
    竜胆瀉肝湯・・・・(疼痛、怒りっぽい、手足の裏が湿潤、目の充血)


 陰水(いんすい)
=水腫病の2大分類の1つ。
   ⇒陰証に属する浮腫。脾腎の虚弱により、水の調節が出来なくなり水腫となったも    の。
   ◎症状:
     下肢が先ず腫れ、
     脉は沈遅、
     顔色多くは青白く、煩せず渇せず、
     小便は渋少にして清く、大便は多く洩れる。
  【処方名-五十音順】
    五皮飲
疎鑿飲子《厳氏済生方》


 陰吹(いんすい)
⇒女性の陰道より、声響を帯びる気を排出する病証。
「胃気下泄、陰吹して正喧す、此れ穀気の実なり」《金匱要略》

 陰頭癰(いんずよう)
   ⇒漢方の病名。「亀頭癰」ともいう。
亀頭部が紫色に腫痛するもの。


 陰疝(いんせん)
=漢方の病名。
   ⇒陰狐疝の別名にして、俗に[せん]と称し、鼠径ヘルニヤ、陰嚢ヘルニヤのこと。
寒邪が肝経を経て睾丸を侵し、陰部が腫痛するもの。


 陰癬(いんせん)
=漢方の病名。
⇒癬が下半身に生じたもの。

 陰疽(いんそ)
   =足の腿夾縫の下三寸に生じ、痛み陰子を通じて少腹に及ぶもの。
   「陰疽は右腿、夾縫の下3寸に生ず。痛み陰子に通じ、小腹も亦疼む」《外科正    宗》
  【処方名-五十音順】
    内托復煎散

 陰唇腫瘍
  【処方名-五十音順】
    土瓜根散

 陰(いんたい)
   =陰(いんたい)に同じ。
  【処方名-五十音順】
    当帰四逆加呉茱萸生姜湯



 陰腫
   =鼠蹊ヘルニヤ。


 陰(いんたい)
   =陰嚢腫大、鼠蹊、陰嚢、陰唇部における仮性腫瘍、陰嚢ヘルニヤ及び子宮脱など    を指す。


 陰気(いんたいき)
⇒睾丸の1核が偏墜し、or腫れor腹に縮み入り耐え難い疼痛のもの。


 陰脱
以下の意義がある。
漢方の病名。「陰挺」に同じ。子宮脱のこと。
分娩で損傷を受け、or房労により陰門が開いたまま閉じず、痒み・痛み・出  水するもの。


 陰挺(いんてい)
=「陰脱」「陰」「陰菌」「陰痔」ともいう。
⇒女性陰部が下墜したり、陰道口の外に出る病証。


 陰頭部が冷たい
  【処方名-五十音順】
    桂枝加竜骨牡蠣湯


 陰嚢寒疝
    ⇒陰嚢が寒冷して牽引痛があり、石の様に硬くなり、陰嚢の成長が止まったり、     勃起不能になる。
  【処方名-五十音順】
    五積散
    呉茱萸湯附子・胡蘆巴・烏薬・茴香
    小建中湯
    暖肝煎
    当帰四逆湯
    人参湯
    幡葱散

    


 陰嚢水腫(いんのうすいしゅ)
   =陰腫
    (→フィラリア病)
■大きさ変化
「1歳の男児。フロにはいるときに、右の陰嚢がピンポン球くらいに腫れているのに、母親が気づいた。おさえると少し硬い。痛みがないのでそのままにしておいたところ、翌朝には腫れはすっかり良くなっていた。
3日後、再び同じような腫れが見られた。病院で陰嚢に水が溜まっていると言われた。
陰嚢水腫と呼ぶ病気だった。胎児期には下腹部にある鼠径部と呼ばれるところに、男児では陰嚢まで、女児では外陰部まで腹膜の袋が存在し、おなかと交通している。妊娠後期にこの袋は自然に閉鎖されるが、閉じずに残るとおなかの中の臓器がこの中に放出する。小腸が脱出する場合を[外鼠径ヘルニア]、腹水が溜まる場合を[陰嚢水腫]という。外鼠径ヘルニアと陰嚢水腫は脱出するものの違いだけで原因は同じである。
水腫はヘルニアよりやや硬めに触れる。超音波検査で水が溜まっていることを確認する。水腫とお腹が交通している場合は[交通性陰嚢水腫」と呼び、押さえると小さくなったり、大きさがしばしば変化する。ヘルニアを合併する場合もある。お腹と交通が無く、末端の腹膜の袋に水が溜まる場合は[非交通性陰嚢水腫]と呼び、大きさの変化はない。
交通性陰嚢水腫は手術が必要。(和佐勝史・大阪大学大学院医学系研究科助教授)
  【処方名-五十音順】
 越婢加朮湯
    橘核散
 五苓散
    三白散
    蝉退散・・・・・・(地べたに座って急に陰嚢が痛くなる)
    天台烏薬散
    土瓜根散
    半夏厚朴湯
    防已黄蓍湯・・・・(上半身、足がむくむ)
  【臨床例】
    ☆《井觀醫言》より
     「かって余《尾台榕堂》は一老人の陰嚢水腫に針を刺して治療した。すると、      陰嚢から出たものは、あたかもウドンのような筋で、椀に一杯ほども出た。
その色は灰白色で、その質は粘滑で光っており、半透明で、あたかも蓴菜      (ジュンサイ)の如きものであった。針刺してから後は全く平復して何等のことも      なかった。
かようなことは従前の医書には全く書いてないことである。真に奇事とい      うべきである。」《荒木正胤》

       

 陰嚢湿疹
    (参照→疝タイセン)
  【処方名-五十音順】
    荊芥連翹湯十味敗毒湯
    消風散竜胆瀉肝湯
    消風散・・・・・・(口渇、内熱、分泌物多い、かゆみ<極甚>、あせも、              ジンマシン、頑固な皮膚病)
    十味敗毒湯・・・・(神経質、胸脇苦満、過敏性体質、化膿・疼痛)
    大柴胡湯・・・・・(実証、筋肉質、胸脇苦満、心下部緊張、便秘)
 防風通聖散・・・・(赤ら顔、便秘、尿濃い、腹部緊満、腹部膨満感、              舌苔黄厚膩、舌質紅)
    竜胆瀉肝湯・・・・(実証、皮膚浅黒い、手掌湿潤、くすぐったがり、              下焦の疼痛・腫脹、脈緊)

 陰嚢が肥大
  【処方名-五十音順】
 五苓散

 陰嚢ヘルニア
  【処方名-五十音順】
 五苓散





 陰俳(いんはい)
=「」に同じ。
 は、言葉が話せなくなること。は、四肢痿し、動かせないこと。
⇒中風の症候の1つ。
「内奪して厥すれば俳をなす。これ腎虚なり」《素問脈解篇》


 陰部潰瘍
=陰部の潰瘍
(参照→ベーチェット病)
  【処方名-五十音順】
    温清飲
    竜胆瀉肝湯
   

  
 陰部湿疹
  【処方名-五十音順】
    治頭瘡一方・・・・(化膿傾向、熱感発赤、水泡滲出物、舌苔黄)
    竜胆瀉肝湯・・・・(実証、皮膚浅黒い、手掌湿潤、くすぐったがり、              下焦の疼痛・腫脹、小便黄赤、脈緊)  








 陰部掻痒症(陰嚢がかゆい)
  【芳香療法】
    <1>沐浴:カミルレ-6滴
    <2>沐浴:ラベンダー-6滴
    <3>カンジダ・アルビカンス:没薬ラベンダー
  【処方名-五十音順】
    茵蒿湯
    烏竜腎(腎臓風の下注による瘡癬)
 越婢加朮湯
  乙字湯(痔の疼痛、外陰部の湿疹・かゆみ)
    活血駆風散(腎臓風、陰嚢の湿痒と両脚に瘡癬が出る)    
    四生散(腎臓風による脚の瘡癬、耳鳴り・かゆい)
    藜散(耳鳴・めまい・下注して陰が湿して瘡痒)
    小柴胡湯(胸脇苦満、往来寒熱、食食欲不振、舌白苔、微熱、神経質)
 椒粉散(陰嚢の湿痒)
    乳香竜骨散(外腎の湿痒)
    白虎加桂枝湯   
    八味地黄丸
 竜胆瀉肝湯(手足の裏が湿潤、くすぐったがり、湿熱)
   ◎土瓜根散   
   ◎蛇床子
   ●SQUALENEの塗布が有効。

 陰部の腫痛
(参照→ベーチェット病)
  【処方名-五十音順】
    加味逍遥散・・・・(外陰部“膣口”の腫痛)
    疳湿散・・・・・・(婦人の陰瘡を治す)
    麝香丸・・・・・・(婦人の陰中が長い間冷え、子が無く。又白帯が下              りるとき)
洗湯・・・・・・(婦人の陰瘡を治す)
    銅緑散・・・・・・(男女の陰湿瘡、虫瘡を治す)
    藜蘆膏・・・・・・(諸努肉が茸のように突き出るとき)
    硫鯉丸・・・・・・(陰門内の疳傷で、虫が汁のように出て、臭い)
 


 陰門が出る   (→)
陰門とは、女子の外陰部のこと。

 陰門腫痛
   =「陰部腫痛」

  【処方名-五十音順】
    一捻金丸・・・・・(婦人の陰挺の諸薬効なきとき)
    疳湿散・・・・・・(婦人の陰触瘡を治す)
    枳橘熨法・・・・・(婦人の陰腫が石のように固く、痛みに堪えかね、              大小便ともに苦しいとき)
    麝香丸・・・・・・(婦人の陰中が長い間冷え、子が無く、or白帯が下              りる)
    洗湯・・・・・・(婦人の陰触瘡を治す)
    桃核承気湯・・・・(実証、のぼせ、足冷、下腹部痛)
   銅緑散・・・・・・(男女の陰湿瘡・虫触瘡)
    土瓜根散
    藜蘆膏・・・・・・(諸努肉が茸のように突き出るとき)
    竜胆瀉肝湯・・・・(陰部の疼痛・腫痛・突出物)
    硫鯉丸・・・・・・(陰門内の疳傷で、虫が汁のように出、くさい時)

   ●SQUALENEの塗布が有効。
 


 陰陽易(いんようえき)
   ⇒傷寒病が治った後、陰陽が未だ和合しないうちに、房事にふけると、陰腫が発生    し、それが腹に入って絞るように痛み、婦人は腰・足・腹が内痛するのを陰陽易    と言う。
     男が病のあと女と交合して発する症を=陽易といい、
      女が病のあと男と交合して発病する=陰易と言う。
     易というのは、陰陽が互いに感じながら、その毒を現すことで、それはちょう    ど物をあれこれと換えるのと同じことである。
   病症=熱が胸に上衝し、頭は重く、四肢が拘急し、小腹が絞るように痛み、手足       がしびれ、即死することもある。

  【処方名-五十音順】
    鼠糞湯・・・・・(男子の陰易に)
    乾姜湯
    焼散・・・・・・(陰陽易を治す)
    青竹茹湯・・・・・(労復と陰陽易)
    赤衣散・・・・・・(陰陽易に特効)
    竹皮逍遥散・・・・(労復と易病)
    竹皮湯・・・・・・(陰陽易と労復)
    人参逍遥散・・・・(女労復の虚弱した者)

 陰陽水
   ⇒以下の意義がある。
水と沸騰水を混和したもの。
河川の水と井戸水を混和したもの。


 陰陽疽(いんようそ)
   ⇒「背上の麻木常ならず、時に晴れ、時に(くぼ)み、忽ち軟らかに忽ち硬く、乍ち寒く     乍ち熱す。これを陰陽疽と名づく」《証治準縄》

 陰陽毒
⇒疫毒を受けて咽喉に内鬱し、血分に侵入した病証。重症。
陽毒と陰毒に分けられる。
 陽毒:
    熱が上に壅ったため、顔の斑点が錦紋のようになり、咽喉が痛み、膿血    を吐く。
 陰毒:
    邪が経脈を阻害するため、顔目が青く、咽喉痛と打撲痛がある。
「それ陰陽毒病を弁ぜんと欲する者は、始め病を得し時、手足指を看るべし。冷なる者これは陰。冷ならざる者は陽なり」《諸病源候論》

 陰陽両虚
   ⇒気血が不足した症。
   
  【処方名-五十音順】
    異類有情丸(虚労を治し、気血の不足を治す)
黄蓍十補湯(虚労を補い、血気を養う)
    加味虎潜丸(虚労を治し、心腎を補う)
    加味十全大補湯(虚労による気血の衰弱に)
    究原心腎丸
    凝神飲子
    古庵心腎丸
    固真飲子(陰陽が虚し、気血の不足、食欲がなく、五心が煩熱し、自汗・精気な         く、歩行に無力、下痢、咳をすると痰が多い、脈沈弱)
    滋陰大補丸(虚労を治し、心腎を補う)
    滋血百補丸(虚労を治し、血気を補い、陰を滋養する)
    滋腎百補丸(虚労を治し、血気を補い、陰を滋養する)
    十全大補湯(虚労による自汗、陰陽を調和させる)
    沈香百補丸(虚労を治し、血気を補い、陰を滋養する)
    是斉補丸(気血を補う)
    和湯(心力の疲労、気血が傷つき、又、房事のあと労役し、又大病の        あと疲れ・元気のない症)
    二至丸(虚労による気血の消耗)
    人参養栄湯(虚労による気血の不足、痩せてだるく、気短・食欲不振。又寒熱に          よる自汗)
    八物湯(虚労の気血両虚を治し、陰陽を調和させる)
    補益養栄湯(虚労による気血の虚、五労・七傷)

 陰痒(いんよう)
⇒女性の外陰部or陰道内に掻痒感があること。甚だしい場合は疼痛を伴い、常に 浸出液があり、痛痒感が耐え難いもの。
カンジダの類も含む。
陰道にキズor出来物が出来る陰痒の重症を「陰」という。
    

 陰冷
   ⇒前陰部に寒冷感を感じ、触れると冷たい
  【処方名-五十音順】
 八味地黄丸


 黄(いんおう)
⇒以下の意義があります。
 漢方の病証名。
   眼・面・身ともに黄ばみ、汗が出て衣服を染め、涕唾黄色く、小便が汁   色のもの。
 36黄の1つ。《聖済総録》

 
⇒「」には以下の意義があります。
かぜの熱で出来る小さな吹き出物(=かざほろし)。
酒・タバコなどの中毒。


 疹(いんしん)
=ジンマシンのこと。「」「風疹塊」ともいう。
   細かく赤い発疹が皮膚表面に現れるもの。多くは脾に属し、隠々として皮膚のあ    いだにあるので、疹という。赤いイボのようなものが出てかゆいばかりで痛ま    ない。
    <1>春に多い、温毒:[升麻葛根湯牛蒡子・荊芥・防風]
    <2>赤疹=涼しいとなくなる:[胡麻散]
    <3>白疹=温まるとなくなる:[消風散]
    <4>赤や白になったりする:[防風通聖散芒硝豆・葱白・麻黄倍加]
    <5>瘡になったとき:[加味烏荊元]
<6>一般に:[樺皮散][清肌散][加味活散][犀角消毒飲]
   
  【処方名-五十音順】
    烏薬順気散
 黄蓍建中湯
    回春凉膈散 
    樺皮散・・・・・・(肺臓の風邪で満身疹でかゆく、瘡が出来て、疥              瘡になる症)
    加味烏荊元・・・・(疹が頭面に出来て赤く腫れてかゆく、瘡となっ              て皮がむける)
    加味活散・・・・(疹のかゆい症)
    枳実酒・・・・・・(全身に白疹が出て、かゆい)
    荊防敗毒散
    胡麻散・・・・・・(風熱疹が全身に出て、かゆく、瘡疥の症)
    十神湯
    升麻葛根湯
    清肌散・・・・・・(赤・白疹が出来てかゆい)
 防風通聖散



 院内感染
(参照→「B型肝炎」「薬剤耐性」)
   ■慶大病院--------新生児死亡
    「東京・信濃町の慶応大学病院(神崎仁病院長)で、新生児3人がレジオネラ菌に     よる院内感染で肺炎の症状を示し、うち女児1人が死亡していたことが9日、     明らかになった。病院内の新生児室にある加湿器から散布された水分を介して     感染していた可能性もあり、同病院は詳しい検査の為米国疾病管理センター(CD     C)に調査を依頼。1996.7.10《日本経済新聞》」
■レジオネラ菌
    「レジオネラ菌による感染症は、76年、米国フィラデルフィアのホテルで在郷軍人大会     の出席者が集団発症し、30人以上の死者が出たことが最初の報告例。
レジオネラ菌は土の中でアメーバなどに寄生しており、たまり水などに飛び     込むと繁殖する。ビルなどの室内では空調用冷却水や給湯器の湯、加湿器、循     環式の浴槽などで検出され、温泉でも繁殖しているとの報告がある。36℃前     後で良く繁殖する為、空調冷却水がこの温度になる5月~9月にかけて特に注     意が必要と言われる。
      微少な水滴と一緒に肺に吸い込むと感染するが、水を飲んで感染することは     ない。感染すると、発熱・呼吸困難・腹痛・吐き気・下痢などの症状に加え、     肺炎を起こす。薮内英子・大阪市立大医学部研究員によると、特に新生児が感     染しやすいということはなく、糖尿病・ガン・肝硬変などの患者が罹りやすい     との報告があると言う。米国の研究では、死亡率は約20%とされるが、早期     にマクロライド系の抗生物質を投与すれば大事に至らない。1996.7.10《日本経     済新聞》」
■新型アデノウイルス--------乳幼児に肺炎
    「結膜炎や喉頭炎などを起こすアデノウイルスの新型による院内感染で、3人の 乳幼児が相次いで死亡していたことが4日までに厚生省に入った連絡で分かっ     た。従来の型より肺炎など重い症状になりやすく、特に心臓や呼吸器に疾患が     ある幼児が感染すると、もとの病気を悪化させて危険な状態に陥る恐れがある。
 死亡したのは生後6ヶ月~2歳までの3人の乳幼児。いずれも心疾患や気管     支異常で千葉県内の同じ公立病院に入院していたが、今年2月から3月にかけ     て肺炎を起こして死亡した。
調査の結果、国内では珍しい七型のアデノウイルスに感染した患者がこの公     立病院に入院していて、院内で3人の乳幼児が感染した可能性が極めて高いこ     とが分かった。
      アデノウイルスは国内では三型が最も多く、プールで感染しても結膜炎やの     どの腫れ、発熱などを起こす「プール熱」の原因ウイルスとして知られる。       一方、今回の七型は海外では多いが、つい最近までは国内での報告例がほと     んどなかった。1996.4.5《日本経済新聞》」
   ■MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)
    「昨年2月、長野オリンピックに観戦に来ていた男性(48)が腹痛を訴え、長野県     内の病院に運ばれた。緒言うの血管が詰まる『腸間膜動脈塞栓症』と診断され、     手術後、東京の聖路加国際病院に転院したが、高熱が続いていた。
「熱の原因が分からない」と外科から相談を受けた同病院感染症科医長の古川恵     一医師は、栄養補給のため患者の胸の静脈に入っているカテーテル(管)に目     を留めた。「カテーテル感染かも知れない」
細菌がカテーテルの先端で増え、患者の血液に入って全身に広がり、敗血症     などの中毒症状を起こすのがカテーテル感染だ。担当の医師は、すぐカテーテ     ルを抜き、その先端部と患者の血液を検査したところ、MRSAが検出された。
専門医と素早く連携
「医療現場で抗生物質が乱用された結果、MRSAのように治療薬が効かない「耐     性」を持った細菌が広がっている。命を落とさないためには、感染症に詳しい     専門医の知識が必要だ。
古川医師は、MRSAの治療薬とされるバンコマイシンを投与したが、血液     から菌が消えなかった。一時は、敗血症を起こして意識不明となり、集中治療     室に。3種類の抗生物質を組み合わせた治療で回復し、4月に退院できた。
感染症に幅広く対応する新薬は、何にでも効く反面、耐性菌を生みやすい。     原因菌を早く突き止め、その菌に絞った役を選べば、治療効果も上がり、耐性     菌の出現も防げる。同病院は、どの科の患者も血液培養検査で菌が検出されれ     ば、感染症科に連絡がいき、古川医師が治療に参加する仕組みになっている。
院内感染は、医療従事者を介して広がることが多い。欧米では院内全体の感     染に目を光らせ、予防策を練るのは、感染症対策ナースという専門の看護婦の     仕事だ。古川医師とともに働く感染管理婦長の柴田清さんは、アメリカでこの     研修を受けた。
「感染管理には病院のシステム全体を見直さなくては」と柴田さん。感染対策の     基本は、手洗いだが、外来や病室に洗面台がない病院が多い。同病院では液体     石鹸とペーパータオルを置いた洗面台が全病室とナースステーションにある。
柴田さんらの調査で、カテーテル感染は、医師が手術用のガウンなどを身に     つけ、患者の体を大きな無菌の布で覆って挿入すれば、感染率を下げられると     分かった。このため医師に挿入手法の見直しを提言した。
血液や汚物がついた医療器具を病棟で持ち歩くのは、耐性菌を広げる危険も     ある。同病院では使った医療器具はすべて密閉式ワゴンで中央材料室に運び、     一括して滅菌している。
一部の隔離では不十分
    「日本は感染症に対し、あまりに無防備」とアメリカの感染症対策を知る古川医     師や柴田さんの目には映る。専門医が少なく、各診療科の壁が高いので、統一     した対策がとれない。
現在、院内感染対策として、各病室に消毒液を置き、月に1度対策委員会を     開くと、診療報酬加算が認められる。そのため、消毒液を置き、患者を粘着マ     ットを置いた部屋に集めて、感染対策とする病院が多い。
しかし、同病院は病室に消毒液を置かなかった。石鹸を使った手洗いで十分     効果があるからだが、消毒液でないと加算は認められない。粘着マットも効果     がないことを調査で調べた上で、使っていない。
「転院患者を調べると、病院側が気づかなくても、MRSAが検出されることが     多い。一部の人の隔離という考えでは太刀打ち出来ず、患者ケアの質を守るた     めに、対策を見直すべき」と際端さんは警告している。
■手洗いより感染防げる?
「多くの病院がもらっている国の院内感染対策費を、最も対策が進んだ病院がもらえない。そんな奇妙なことが起こっている。
東京都中央区の聖路加国際病院(520床)は原則個室で洗面台があり、紙タオルと液体石鹸が常備されている。医師らは患者に触れる前後、必ず手を洗う。
同病院には、全国でも珍しい院内感染対策の専門ナースである柴田清・感染管理婦長がいる。吉川恵一・内科医長(感染症)は約4年前まで米穀ベス・イスラエル病院の感染症専門医だった。「院内感染は主に医療従事者を介して怒ります。防ぐには確実な手洗いがベスト」と2人。感染予防の総本山、米疾病対策センター(CDC)のガイドラインや1991年に厚生省健康政策局指導課長が出した通達も「石鹸と流水による手洗い」を強調している。
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の横行で、国としても院内感染対策が急務になった。厚生省は関係学会の要望を受けて96年4月、病院に対策を求める代わり、入院患者1人1日5点(\50)の保険加算を実施したが、聖路加国際病院は97年夏、都から「国の基準違反」として加算金全額を返還させられた。
対策の基準とは、「感染対策委員会の設置」などの他、「各病室の入り口にMRSAに効く速乾性消毒薬を設置する」この消毒薬はアルコール溶液で、手にすり込んで使うタイプ。病院の手洗いの設備が不十分なための策で、柴田さんらは、手洗いで出来るなら条件を満たすと考えていた。しかし、国が求めたのは「消毒薬」だった。
多くの病院は競って消毒薬を置いた。加算金は年に200億円(厚生省保険局医療課)にもなる。が、聖路加国際病院は「層毒薬は、壁や老化を変色させ、美観を損ね、目に入ったり、火災につながったり安全上も問題がある。手荒れも少なくない」と設置せず、年800万円もの収入源をあきらめた。
消毒薬は、医療関係者が患者に接するたびに、見舞客も入室前に、手や指の消毒に使う建前になっている。しかし、活用されているかどうか、効果の有無などは問われない。「予防対策の保険点数がついたこと自体が画期的なことだし、手の消毒をした方がいいのは確か」と、推進した学会幹部の医師の説明もあまりはっきりしなかっった。」1999.11.14《朝日新聞》
■点滴の栓
「病院では点滴台を引っ張って歩いている患者をよく見かける。栄養剤や薬を直接、血管に送り込む点滴は効率がよい。しかし、怖いのは細菌感染だ。点滴バックの中身はすべて無菌になっている。
「ところが、多くの病院で普通に使っている器材で細菌混入の危険性があります。」と静岡県の県西部浜松医療センターの矢野邦夫・感染症科長は警告する。
点滴の管の途中には、たいてい何個かの三方活栓がついている。点滴の「本管」と「支管」をつなぐ分岐点の栓である。
肩の静脈から栄養剤を入れたり、腕の静脈から抗ガン剤や抗生物質を入れたりする場合、点滴の管の中は1日中、あるいはかなり長時間つながれている。この管を使って、別の薬を短時間だけ入れるときに、三方活栓のうち、普通は閉めてある「支管」の栓を開けて薬を入れる。
その時に菌が入る。「栓の周囲にくっついている菌、空中の菌、手や器具からの菌などです」と矢野さん。
米国では1970年代から問題になり、最初は針を刺すタイプ、次は針を使わないタイプの閉鎖注入システムが普及し、三方活栓はほとんど使われなくなった。米疾病対策疾病センター(CDC)は96年の「血管内器具の感染予防ガイドライン」で、sんぽう活栓内の液を培養すると、45~50%細菌が出る、と公表している。
浜松医療センターは昨年11月から三方活栓を止め、米国で主流の閉鎖注入システムを導入した。ピタッと閉じた圧縮ゴム製の栓の中心に切れ目が入っている。プラスチックの細い管の先をグッと押し込むと開き、抜くと菌も通さない。約200回は使えるという。
矢野さんが専門誌の先月号に発表した論文によると、菌が確認できた敗血症は昨年1月~5月までで26件あったのが、採用後の今年1月~5月は13件と半減した。カナダのトロント小児病院は95年、このシステムの採用により、骨髄移植での敗血症発生率が11%から4%に減った、と報告している。
日本では国立小児病院など数十病院が集中治療施設(ICU)や一部病棟で採用している。病院全体で切り替えたのは97年夏に東京の榊原記念病院が初めてで、浜松医療センターが2番目だった。
「日本の感染対策は米国に比べ30年は遅れています」と矢野さんは指摘する。1999.11.21《朝日新聞》
■強い抗生物質、使用慎重に
「60歳代の腎臓病患者から、他の抗生物質が効かない緑膿菌を検出しました。『メロペネム』を使いたいのですが?」「患者はどんな状態ですか?」
大阪府堺市の市立病院。内科医長の藤本卓司さん(41)は昨年夏、同僚の内科医から、強い抗生物質の使用許可を求められた。この患者は腹膜炎を起こし、別の抗生物質を使ったが、効果なし。藤本さんはOKを出した結果、患者は回復した。
藤本さんは月の数回、こんなやりとりをする。
緑膿菌やMRSAなど、多くの抗生物質が効かない耐性菌は、院内感染の原因になる。藤本さんは院内の感染制御チーム(ICT)の一員として、耐性菌を生む「抗生物質の乱用」を防ぐための監視役だ。
堺病院では耐性菌に効くメロペネムやMRSA除菌用の『ムピロシン軟膏』など4種類の抗生物質を「連絡薬剤」として、使用をする際は藤本さんに相談しなければならない。いずらも広範囲の菌に効いたり、代役の無い切り札的な薬だが、使いすぎると耐性菌を生みだしやすい。
強い抗生物質が頻繁に使われた結果、耐性の無い菌が死滅し、耐性菌だけが増殖した。院内感染を防ぐには、耐性菌を生む強い薬を温存する必要がある。それには広範囲用の薬ではなく、患者ごとに菌を特定し、効く範囲の狭い薬を使うべきだ。
「しかし、抗生物質や細菌検査に疎い臨床医は少なくない」と藤本さんは、冊子を作って配布して院内で検出される菌の傾向や病気別に適した抗生物質を解説。「グラム染色」という最近の鑑別法も医師自ら行うことを勧めている・
グラム染色は、献体に色素液を塗って顕微鏡で見ると、色や形などから菌の種類が推定できる検査。10分ほどで適切な抗生物質を選ぶことができる。
ICTの定例会では薬剤師が、毎月の注射用抗生物質の使用量を種類。病棟別に報告、点検する。80年代に普及した第3世代セフェム系と呼ばれている強い薬の使用量が急増した病棟があると、使い方が適切か、医師に説明を求めることもある。
ICTの活動で、堺病院は、第3世代セフェム系の使用量が93年当時の約6割まど減る一方、効く範囲が狭くてあまり使われていなかったペニシリン系などの古い薬の使用量が10倍近くに増えた。
「本来、薬の処方は主治医の裁量だが、連絡薬剤の導入などで、抗生物質を慎重に使う意識が浸透しつつある」と藤本さん。
■セラチア菌
「大阪府堺市協和町の特定医療法人同仁会の「耳原総合病院」で今年5月から7月にかけて、腸内細菌の一種、セラチア菌に入院患者計15人が感染し、このうち60~90歳代の入院患者計7人が死亡していたと3日午前、同病院が発表した。」
■プチダ菌
「愛知県豊橋市の市立豊橋市民病院で、入院患者5人が6月中旬、プチダ菌などの院内感染し、女性1人が敗血症で死亡していた。
滅菌処理していない使用済み注射器を再使用していたため。
プチダ菌は、流し台や排水口などの湿った場所に生存する。病原性は弱く、健康な人が感染しても影響がないが、重い疾患や免疫力の低下している人は発熱や尿路感染症をまれに起こす。」
■手が問題
「院内感染で大切なのは足下より手元の除菌だった。午前9時過ぎ、静岡県西部浜松医療センターのナースセンターでは、職員がぞうきんと洗剤を手にとってカルテを収めた1000冊あまりのファイルを一斉に拭き始める。病室では看護師がドアノブなどを丁寧に拭いて回る。
「病院内の掃除はまず床というのが常識だが、それでは院内感染は防げない」、感染経路は手についた菌が傷口や医療器具から体内に入るケースが大半。「手で触れるところを調べて除菌を徹底すべきだ」
院内感染対策を徹底している病院は日本ではまだ一握り。ネックになっているのが専門家不足。日本感染症学会など関連学会が認定する院内感染対策の専門医は3658人に達するが、通常業務と兼任がほとんど。日本看護協会が認定する感染管理認定看護師は100人あまりで、9000強の病院数に及ばない。米国では250床に1人の専任看護師が配置されている。
患者自身が“良い病院”を見分けるには、
①病室入り口の消毒液がきちんと使われているかどうか
②外科医に手術後の院内感染率を聞くことが可能かどうか
③抗生物質の使用に制限を設けているかどうかをチェックする。2003.6.2《日本経済新聞》
■薬剤耐性菌
「理化学研究所の花岡文雄主任研究員らは、院内感染を起こす細菌などの生死を握る2種類のタンパク質が結合する時の構造を立体的に捕らえることに成功した。解明した構造を手がかりにタンパク質の結合を妨げる物質を見つけることが出来れば、院内感染を起こす薬剤耐性菌に効く新たな抗菌剤の開発に道が開ける。
細菌は染色体にあるゲノムの他に、薬剤耐性遺伝子などを含むプラスミドと呼ぶ遺伝情報を細胞質に持っている。研究グループはゲノムやプラスミドの遺伝情報を正しく機能させ、細菌の生命維持にとって不可欠な2種類のタンパク質を大腸菌から取りだした。
タンパク質が結合した状態と単独の状態で結晶化して、大型放射光施設Spring-8で立体構造を解析した。その結果、「トキシン」というタンパク質が単独の状態では遺伝情報を担うRNA(リボ核酸)を切断する機能を持ち、トキシンが「アンチトキシン」というタンパク質と結合すると構造変化が起きて、RNAを切断できなくなることが分かった。
タンパク質同士の結合を妨げることができれば、菌が生きていくための情報を持っているRNAが切断され、菌は死滅する。2005.8/19付けの米科学誌「モレシュラーセル」に掲載。
■セレウス菌
自治医科大学付属病院で発生。洗濯機の1台からセレウス菌が見つかる。
芽胞を作ったセレウス菌は100℃でも死なない。
口から飲んでも血液中に入らない。





 (いん)
⇒以下の意義があります。
おし、声が出ないこと。
「邪陰に入れば則ちす」《素問》
痛みが激しいこと。

 (いんあ)
⇒おし。