<き> つらい症状・病名




Q熱 (きゅうねつ)

→参照「オーム病」
■鶏卵から病原体
「民間の研究所が東京都内で販売される鶏卵400個を検査、うち23個(5.8%)からインフルエンザに似た症状を引き起こす『Q熱』の病原体を検出していたことが2003年、9/16、分かった。Q熱は2週間程度で自然に治り死亡例はまれだが、厚生労働省は「専門家の意見を聞いて必要な措置を講じたい」としている。
 検査したのは人獣共通感染予防医学研究所(富山県)。DNAを増幅する検査法(PCR法)で病原体「コクシエラ菌」を検出・さらに陽性となった卵黄をマウスに問うよしたところ、血液からも同じ菌の遺伝子を検出、感染力を確認した。」《日本経済新聞》

■発熱・疲労感
「ペットや家畜にすむ細菌が人の呼吸器から感染し、高熱を発するのが[Q熱]。多くは抗生物質で治るが、微熱が数ヶ月も続いたり、慢性的な疲労感やウツの原因になったりする。
1935年、オーストラリアの畜産従事者に高熱を伴う病気が集団発生し、当時は原因がわからなかったので、『不明熱(Querry Fever)』と呼ばれました。その後、コクシエラ・バーネッティという細菌が原因とわかり、Q熱の名がそのまま定着した
日本でも1988年、海外留学帰りの医学生の発症を機に研究が進みました。
原因菌は家畜のほかイヌ10%、ネコ15%、野良猫40%が保菌している。

感染動物が妊娠・分娩するとき、胎盤や羊水に菌が大量に含まれ、糞尿にも排泄されます。それらが乾燥して塵に混じって空気中にただよい、人が吸い込むと感染する。欧州では生乳を飲んで感染した事例もあります。

特徴的な症状は、急性と慢性に大別される。
●急性・・・1~2週間の潜伏期をへて[発熱]や[頭痛]などインフルエンザに似た症状を示します。特に高齢者は感染を引き金にして[肺炎]になって死亡することもあります。
●慢性化すると・・・[微熱]が数ヶ月も続き、[肝炎]や「心臓内膜の炎症]を伴います。

症状は多様であるためQ熱の診断を難しくしています。
1999年施行の感染症法で届け出義務が課せられ、多い年で50件弱の報告がされています。
また、肺炎やぜんそく、たばこを吸う人に多い慢性気道感染症の一部はQ熱が引き金となります。
治療には、テトラサイクリンやニューキノロン、マクロライド系の抗生物質を使います。


QRS幅の増大
⇒QRS幅(時間)は心室内興奮伝播時間を示す。
◎この増大は心室性不整脈(期外収縮、頻脈)に伴って現れる。



QTの延長
⇒QT間隔は電気的心室収縮時間に相当し、ほぼ心室の収縮期に一致する。
◎低カルシウム血症(Ca<7mg/Œ)でみられる。


ギオン管症候群

⇒尺骨神経が圧迫されて起きる。尺骨神経の走行するときに通る2カ所のトンネルの1つが、ギオン管です。
◎症状:「肘部管症候群」に似ている。
①シビレ筋肉の痩せが特徴。
②シビレがないのに、指がうまく伸ばせない。
③顔を洗うときに水が漏れる。


ギックリ腰
■デスクワーカー要注意
「重いものを持ち上げようとした瞬間に腰に突然、激痛が走るのがギックリ腰。イスから立ち上がる、顔を洗うといった日常の何気ない動作も引き金になる。特に1日中、パソコンなどに向かって仕事をする人は、腰の筋肉が弱るので注意が必要だ。
会社員のKさんは顔を洗っていて、曲げていた腰を伸ばした瞬間、声も出せないほどの痛みを感じた。痛みの激しさや突発性などから“魔女の一撃”と呼ばれるぎくり腰の典型例だ。同じ姿勢を長時間続けた後に急に体を動かすと、起こりやすい。
ギックリ腰とは、腰にある椎間関節の捻挫を主に指す。同じ姿勢を続けると腰に偏った負荷がかかり、腰の周囲にある腹筋や背筋が疲れる。この状態で急に、それまでと違う向きの力が加わると、疲れていた筋肉がその力を支えきれずに断裂、関節部が損傷を受ける。
重いものを持ち上げたり、体を常に動かしている仕事だと、意外にギックリ腰になりにくい。腰を支える筋肉が日常的に鍛えられているためだ。
同じ姿勢を続けると、筋肉が疲労し硬直してくる。そのため急に今までと違う動作をすると、それがキッカケになってギックリ腰を起こす。
足にシビレが残らない限り、一過性のギックリ腰とみてよいが、椎間板ヘルニアや腰・背骨の骨折が原因の場合もある。骨に出できた悪性腫瘍が見つかった例もある。」
痛みを抑える治療では「神経ブロック」が普及しつつある。麻酔薬を注射し、痛みの伝達経路を遮断する。2002.10.29《日本経済新聞》

●ギックリ腰(2つのタイプ)。
<1>椎間板タイプ
(特徴)
1.腰から踵・膝の後ろの方へ痛みが走る。
2.動けないことが多い。
(治療)
1.ハリで著効することがある。
2.患部を温める

<2>出血タイプ
(特徴)
1.かかと(踵)の方は痛まない。
2.動ける場合が多い。
3.時間・日数がたつと痛む場所が下がってくる。
(治療)
1.先ず、出血を止めることにポイントがある。患部を冷やし、冷湿布する。
2.風呂は避けた方がよい。
3.出血が止まってから、患部を温める。

【漢方療法】(ギックリ腰)
■葛根湯

■芎帰膠艾湯

■桂枝茯苓丸-

■五積散

■調栄活絡湯 

■如神散

■八味地黄丸

■立安散

 

瘧疾治療の順序

①十神湯(葛根湯)

②九味清脾湯(小柴胡湯)

③柴胡桂枝乾姜湯

④補中益気湯

⑤理中湯(六君子湯)

⑥十全大補湯◎此方は小柴胡湯の変方で、熱瘧に主要の剤である。胆熱を清解し、胃中腐敗の汚物を洗滌し、脾を清浄ならしめる意味で清脾湯と名付ける。所謂寒瘧は柴胡桂枝乾姜湯の主るもので、此方は熱瘧によい。 此方は瘧を発して3~5日の間に用いることが多く、瘧疾ばかりでなく、他の熱性病で、心下痞鞕甚だしく、熱盛にして小柴胡湯類では如何ともし難きものによい。

「草果」=食を消し、積を化し、瘧を截る。

「青皮」=肝を瀉し、気を破り、痰を消す。

「厚朴=中を寛げ、滞を化し、湿を去り、満を散ず。

 

 



キャッスルマン病
■リウマチ薬応用
「中外製薬は慢性関節リウマチ治療薬として開発中の「MRA」について、有効な治療薬がまだない、炎症系の難病のキャッスルマン病向けに臨床試験を開始した。
キャッスルマン病はリンパ節が腫れ、慢性的な炎症反応が出る病気で、食欲不振・倦怠感・体重の減少・発熱などを伴う。IL6が体内に過剰に出来ることが関係していると見られる。1999までの10年間に国内で報告された患者数は558人。」2001.2.19《日経産業新聞》
■抗体医薬
国産初の抗体医薬は大阪大学の岸本忠三教授らが開発した「IL-6抗体」で、中外製薬がキャッスルマン病向けに実用化している。2006
■アクテムラ
「中外製薬はリンパ節が腫れ、食欲不振や発疹などを引き起こすキャッスルマン病の治療薬「アクテムラ」の適応追加を厚生労働省に申請した。
新たな適応症は[関節リウマチ]と小児の関節リウマチの一種である[全身型若年性特発性関節炎]
キャッスルマン病は体内で生理活性物質「インターロイキン6(IL-6)」が大量に作られることで発症する。アクテムラはIL-6の作用を阻害する働きがある。追加申請した2つの適応症にもIL-6が深く関係している。2006.5/5《産業》



ギランバレー症候群

Guillain-Barr‘ syndrome
=「感染後多発性神経炎」(参照→多発性神経炎)
<1>ウイルス感染が治った後で起こる、末梢神経障害で、一種のアレルギーと考えられている。

全身の末梢神経が障害されるものに2種類あります。
①神経細胞そのものが病気になり、その突起の軸索が障害されるもの
・薬物中毒(抗ガン剤・断酒薬)
②軸索を被っている髄鞘が病気になる----ギランバレー。

<2>軸索を被う髄鞘がアレルギー反応で障害される疾患。

<3>ほとんどの例で、発症する数日前に発熱がある。
熱が下がって、何となく手足にしびれを感じ、急速に全身の力が抜けたらギランバレーを疑いましょう。 

<4>感冒や下痢の後1~2週間たって、
①手足のしびれ
②左右下肢の脱力
③筋力の低下
④感覚鈍麻。
⑤歩行困難
⑥嚥下障害

■1997.8.24《朝日新聞》
「78歳の女性。今年1月、顔面や手足が突然マヒし、歩行困難になって入院、「ギランバレー症候群」と診断されました。約1ヶ月後に退院しましたが、いまも足にマヒが残り、リハビリを続けています。回復するかどうか、この先、心配でなりません。」
<1>いきなり発病するようですが、どんな病気ですか?
“急性の末梢神経の炎症です。多くの場合、風邪や下痢などの症状があった後、1週間から10日くらいして突然、足が動きにくくなるなど運動麻痺が起こるのが特徴です。麻痺は通常足から始まり、だんだん手や顔面などにも現れるようになります。目が動かない、言葉がしゃべりづらい、真っ直ぐ歩けないなどの症状が出ることもあります”
“一過性の病気で1~3週間で症状はピークを迎え、その後はだんだん軽くなります。再発もほとんどありません。ただし、重症だと手足に機能障害が残る例があり、リハビリが必要になります。”
<2>原因は分かっているのですか?
“感染症などが引き金となって生じた免疫反応が、自分自身の神経を攻撃してしまう自己免疫疾患と考えられています。食中毒の原因になるカンピロバクターや肺炎を起こすマイコプラズマなどとの関連が報告されていますが、実際に細菌やウイルスが見つかることはむしろ少ないです。”
“どんなメカニズムで起こるのかまだ分からないことも多い病気です。しかしここ数年、神経細胞の膜に存在する糖脂質を抗原とみなして特異的に反応する[抗ガングリオシド抗体]が関係していることなど、分子レベルでの解明がどんどん進んでいます”

<3>診断する方法は?
(1)電機生理的に神経伝導速度を測定
(2)筋電図で神経障害の程度を調べる
(3)髄液の検査
以上の検査と症状、その経過を総合的に見て診断します。最近、自分の組織を攻撃する抗体(自己抗体)そのものを検出する診断法も開発され、病気をかなり早期に診断することが可能になりました。

<4>どんな治療法がありますか?
①血漿交換:自己抗体を効果的に除去する免疫吸着法。1日置きに5~6回行う。
②免疫グロブリンの静脈注射:
体重1kg当たり2gの免疫グロブリンを5回に分けて投与します。まだ治験中で実施している病院は多くありませんが、これまでのところ大変よい結果が報告されています。

<5>軽いマヒでも治療は必要ですか?
“入院した時は軽症のように見えても病状が急速に進行し、呼吸筋が麻痺して呼吸不全に陥るような重症例もまれにあるので速やかな対応が必要です。また、治療の遅れは回復の遅れにつながり、機能障害を残すことにもなるので注意しなければなりません。”
(楠進・東大医学部助手)

 

#ギランバレー(脊髄炎)の漢方薬
■桂枝加苓朮附湯
八味丸は、消化器の弱い人には用いることができないことがあり、下痢、食欲不振、嘔吐、腹痛などを訴える者に用いる(漢方診療医典)

■十全大補湯
本方は発病後、日数を経過して、気血両虚の患者に(漢方診療医典)

■八味丸
脊髄炎で、歩行不能のものが、これで治った例が報告されており、筆者もこれで著効を得たことがある。効果があるときは1~2ヵ月で好転の兆候がある(漢方診療医典)




ギャンブル依存症
=かけ事依存症   

■仲間と癒す
「お金が目当てではないのにパチンコ・マージャン・競馬などギャンブルを止められず苦しんでいる人々がいる。一部の精神科医はこうした人々を『ギャンブル依存症』と呼ぶ。どこからが依存症なのか、線引きは難しい。ただ、家庭生活や仕事を犠牲にしても強迫的にギャンブルを続けるのは間違いなく“病気”なのだという。
「16歳の時、初めてパチンコに行った。ギャンブルではなくただのゲームと思っていた」と、神奈川県の主婦、大沢貴子さん(仮名)は振り返る。結婚後も休日や夕食後は夫婦そろってパチンコ店へ通った。「単に暇つぶしだった」。
 28歳の時に自分で小料理屋を始めた。閉店後の帰り道、深夜のゲーム喫茶に寄りポーカーゲームをやるのが習慣になった。30歳を過ぎてからは「昼はパチンコ、夜はポーカー」と急速にのめり込んでいく。カネを握りしめスリルと興奮ぬ震えながら台に向かった。自分の給料やサラ金からの借金で「2000万はつぎ込んだ」。
30歳代後半、「病気だ」という家族に促され精神病院に何回か入院したが、精神状態が安定し退院すると再びパチンコ店通いが始まった。
やめたくてもやめられない。膨らむ借金、家族への罪悪感---。「世の中にこんな人間はいらない」と、涙を流しながら、体はポーカーゲーム機に向かった。そんなとき、「ギャンブル依存症」という言葉に出会った。「ああ、自分のことだ」と実感した。
依存症に関するセミナーに参加したことがきっかけで、大沢さんらギャンブル依存症者5人が自助グループ「GA(ギャンブラーズ・アノニマス)」を東京 で設立したのは89年。GAメンバーの参加条件は「ギャンブルをやめたいという願望をもっていることだけ」。全員匿名のミーティングで各自が体験や考えを話し、他人の話しには聞き役に徹するのが原則だ。仲間と話し、「子供がいない生活がむなしかった」「一人で店の後片づけをするのが寂しかった」などと自分の気持ちを整理するなかで、次第にギャンブルへの執着が薄れていった。自分の弱いところを含めてさらけ出すうちに「自分も生きている価値があるかもしれない」と感じるようになった。GAに加わってから1年、大沢さんはパチンコともポーカーゲームとも無縁の生活を取り戻した。
 たった5人から始まった日本のGAは今、各地のギャンブル依存症者の手によって大阪、名古屋、北九州など全国7ヶ所に広がっている」
   1996.11.25《日本経済新聞》
   

■治療、家族の協力必要
「妻が夫(G男38)のギャンブル依存症のことで相談に来た。G男は父親がパチンコ好きで、幼いときに時々パチンコ店に連れていかれた。学生時代はマージャンが好きで、かなりの腕前だった。大学中退後、父親の紹介で就職し、初めは精を出して働いた。しかし上肢や仲間との人間関係がうまくゆかず、ストレスが溜まっていったようだ。
そんな時、友人に誘われパチンコ店に行った。運良く数万円勝ことが出来たのが病みつきとなった。パチンコ台の前に坐って「チーン、ジャラジャラ」という音を聞くと、イライラや深いな感情もたちまち消し飛んで、気持も開放され心が癒されるのだった。負けが込んでも「いつか必ず大当たりが出る」と思って、足繁く通うようになった。
 出勤前にパチンコ店に行くので遅刻が多くなった。昼休みにも出掛け、夕方はパチンコ店に直行し閉店までやる。当然、給料では足りなくなり、友人や会社から借金し、サラ金にも手を出し、あっという間に300万円の借金が出来た。驚いた妻は自分の両親に話して借金して返済し、もう絶対にパチンコはしないと夫に約束させた。
ところが、一月も経たないうちにG男はパチンコ店に行き、また200万円の借金を作ってしまった。ついに朝から夜までパチンコ店に入りびたりとなり、会社も辞めさせられた。妻は工面して返済し、夫に誓約書を書かせた。仕方なく妻が働きに出たがG男のパチンコ通いは止まらず、借金を重ねた。妻は離婚を考えている。
パチンコ・マージャン・競馬などのギャンブルにのめり込むと、様々な不都合が生じる。借金が出来、家族関係に軋轢(あつれき)が生じ、職場でも信頼を失うことになる。分かっていても止められないのが病気である。
パチンコ依存症は一般に、物静かで無口で目立たない。自己主張は乏しく、消極的な性格である。友人は少なく、他人と付き合うことに気を使い。些細なことで傷ついたり、気配りで自分が疲れてしまい。程良い人間関係がつくれない傾向がある。半面、負けず嫌いで、強い自尊心を持ち、他人からの干渉を嫌う。心は強い空虚感に被われ、イライラし、不安を感じ、葛藤している。治療の際の注意として、自らの置かれた事態を認識させるため、借金は家族が安易に肩代わりするのではなく、少しずつでも自分で返済させるのが大事だ。家族も心理的に巻き込まれていることが多いので、家族全体が治療・回復に協力し、治療グループや自助グループに参加し、回復した仲間と出会うことが有効である。(榎本稔・榎本クリニック院長)1999.3.15《日本経済新聞》

■大当たりで「脳内モルヒネ」
「東京理科大諏訪短大の篠原菊紀講師(39)らの研究チームは、パチンコと「β-エンドルフィン」と呼ばれる脳内物質の関係を調べている。
β-エンドルフィンは「脳内モルヒネ」という意味で、釣りや温泉など好きなことをすれば分泌されることが知られている。体をリラックスさせほっとする感覚を与える一方、無くなるとイライラするなど、体が分泌を欲する習慣性がある。
これまでの研究で、パチンコの大当たりが出ると、β-エンドルフィンが多く分泌されることや、頻繁にパチンコする人ほど量が多くなることが分かっており、パチンコ依存症に陥るメカニズム解明の足掛かりとして注目されている。
実験ではパチンコ経験が異なる男性6人に、パチンコを打ってもらい、安静時や大当たり時など計6回血液を採取した。その結果、大当たり時のβ-エンドルフィンの平均値は安静時の約1.5倍に増えた。また、最も頻繁にパチンコする男性の場合、1.9倍になるという結果も出た。篠原さんは「β-エンドルフィンの習慣性がパチンコへの依存を形成する可能性がある」と話す。
今回の研究は、依存症を未然に防ぐ上でも役だっているという。篠原さんはパチンコにのめり込み授業に出なくなった学生へのカウンセリングにもあたっている。脳内物質の作用を説明し、パチンコの確率論や収支計算の仕方を教えると、学生は自分のパチンコ熱を客観的に見るようになり、授業に戻るという。「人は何かにのめり込む動物。(そのメカニズムが分かれば)パチンコに限らず、いい形でつきあうことが出来るはず」と篠原さんは話している。
一方、遠藤嗜癖問題相談室(東京都渋谷区)ではギャンブル依存のほか、役部うち損や過食・拒食症など様々な嗜癖に関する相談に乗っている。パチンコ依存に関する相談は約10年前から目立ち始め、今でも年間10人前後が相談に訪れる。
遠藤優子室長によると、ギャンブル依存症は不況や対人関係のストレスなどの現実から逃避し「酔い」を求めることが習慣化する病気という。アルコールや薬物依存と同じ精神疾患とされ、米国では診断基準も確立している。だが、日本では「病気という認識が薄いのが実情」だ。
北欧などでは、公営ギャンブルの売り上げの数%をギャンブル依存の研究や治療にあてるシステムが確率しているという。」1999/11/2《日本経済新聞》



きこえない
=「聞き取りにくい」「聞こえない」
■ホルモン
「米ロチェスター大学の研究者らは、血液中のアルドステロンというホルモンの量が老化による聴力の低下に関係していることを突き止めた。アルドステロンは副腎で作られるホルモンの1種で、神経伝達に必要なカリウムとナトリウムの量を調節する働きがある。
58歳~84歳の男女47人に聴力テストを実施し、血液中のホルモン量を測定した。耳が遠い人は正常な聴力の人に比べてアルドステロン量が半分だった。
ただし、アルドステロンの減少が聴力低下の原因か結果なのかは、まだ不明。」2006.2.15《産業》

【漢方薬】(聞こえない)
■一物瓜蒂湯
■益腎散-(精気のない耳聾)
■黄竜散-(風呂に入って水が耳に入って、膿が出る者)
■甘遂散[3]--(耳聾を治す)
■九味羗活湯
■銀翹散
■杞菊地黄丸
■薑蝎散--(腎虚による耳聾)
■桂香散--(風虚耳聾を治す)
■五苓散陳皮・枳殻・紫蘇・生姜(湿の耳聾)
■滋陰地黄湯--(色欲におぼれ右耳聾・大病後の耳聾)
■地黄湯--(腎経熱で右耳が聞こえず、いつも心中安らかでなく、耳鳴りがして疼痛する者。)
■焼腎散-(腎虚耳聾)
■四物湯知母(塩酒炒)・黄柏(塩酒炒)・菖蒲・遠志
 (長引く下痢or大病後の風邪で耳鳴り・耳聾)
■磁石羊腎丸-(諸般の耳聾)    
■消風散--(口渇、内熱、分泌物多い、かゆみ<極甚>、あせも、ジンマシン、頑固な皮膚病)    
■腎気丸磁石・破故紙・菟絲子・黄柏(虚証の耳聾)
■清神散----(風気が耳を塞いで、二重に聞こえる者)
■清聡化痰丸-(肝胃に弱さからくる耳聾)
■聡耳湯--(耳が良く聞こえず、又は二重に聞こえる者)
■塞耳丹------(気が塞ぎ、つんぼの者)
■通神散[3]-(耳聾を治す)
■透耳筒------(腎気が弱く耳鳴りする)
■透鉄関法---(耳聾を治す)
■人参黄蓍湯知母(塩水炒)・黄柏(塩水炒)
  …(精気がない耳聾)
■蒲黄膏------(耳が突然聞こえない)
■補骨脂丸---(精気のない耳聾)
■補中益気湯---(食欲不振、熱物を好む、口中に白沫、眼勢無力、自汗盗汗、言語に力なし、臍辺動悸、腹部軟弱、疲労)
■竜胆瀉肝湯---・(実証、皮膚浅黒い、手掌湿潤、くすぐったがり、下焦の疼痛・腫脹、小便黄赤、脈緊)
■竜胆湯-(忿怒が胆火をおこし耳聾になる者)
■竜脳膏[3]--(耳が突然聞こえない)
■凉膈散大黄(酒炒)倍量(雨水が耳に入り腫痛)
■六味丸遠志・菖蒲・黄柏(塩水炒)・知母(塩水炒)
  …(腎虚の耳聾)

【臨床例】
☆耳㿉の例
「京師郊外、西岡の僧、良山和尚なるものあり。年七十餘。その耳㿉(=ジカイ、うまれつきのor聞き取れない程度の耳聾)なるものは数年。嘗て《吉益東洞》先生の論、百疾は一毒に於いて生ずると云うを聞きて深くその理に服す。因って来たりて診治を求む。
先生之を診す。心胸微煩し、上気殊に甚だし。桂苓朮甘湯及び芎黄散を作りて之を服すこと数月にして、いまだその効を見ず。乃ち謝して罷む。居ること数日、復謁して曰く。
「先生を謝してよりこのかた頗る通聴を得る。意うに上焦の毒邪頗る盡きるや」と。
先生之を診して曰く、「未だしなり。試みに再び湯液を服すれば、服び聴すること能わざるべし。然(しこ)うして後、更に能く聴することを得る。その毒真に盡くるなり」と。因って復た前方を服すること数月。果たして先生の言の如し。《建珠録》




木村病
■リンパ腫の診断
「私どもの病棟には多数のガン専門医が昼夜を分かたず診察に励んでいる。中でも女医のO先生は、其の優しさから同性の患者にも人気が高い。7年ほど前のことになるが、O先生の受け持ち患者に25歳のNさんがいた。某電気会社に勤めているNさんは、首の左横に数年前から成長するこぶし大のシコリがあった。近くの先生に診てもらうと、ガンの疑いが強いので入院して化学療法をすべきだとのことであった。
その後、私どもに紹介され精密検査のために入院。病理組織診断だけでなく一般検査所見、組織破砕片表面解析結果などもすべてを綜合し、各担当者が集まって長時間検討した結果、『木村病』という良性腫瘍の最終診断が下された。この病気は一般的な教科書には記載が全くないことの他、症例の少なさもあって診断が難しいだけでなく、治療法が定型化されていない。
木村氏病は悪性リンパ腫に非常に類似しているが、ガンではない。末梢血に好酸球と免疫グロブリンE(IgE)と呼ばれる免疫タンパクが増加し、組織標本中にも好酸球が増加することを特徴とする良性の病変とされている。O先生はNさんの病態から抗ガン剤の必要性はないと強く主張した。そこで医局会で長時間かけて討論し、抗ガン剤の選択は避けてステロイド療法を行うことになった。
治療開始後、シコリは最初はかなり縮小し、その後に硬化して固定、同時にIgEの増加傾向は完全に停止した。3ヶ月ほどの治療の後に退院、通院観察の運びとなった。5年後のある日、Nさんは母親と一緒に外来受診。「結婚してもいいですか?」と尋ねられたので、「いいですよ」と返事して置いた。そして無事結婚。現在は元気良く会社に勤めており、O先生はその経過の順調さに満足している。
数ある血液悪性疾患のなかでも悪性リンパ腫の診断は非常に難しく、血液のガンを専門とする病理医の経験と勘が非常に重要になる。患者のQOL(生命・生活の質)が問題とされる現在、その判断は専門家と患者、家族の合意でもって向上させたいものである。(大阪市立大学医学部教授・巽典之)1998.2.2《日本経済新聞》


気鬱(きうつ)
⇒ストレスなどが原因で、イライラして怒りっぽい、胸苦しく、脇腹が痛んだり、 食欲不振・月経不順などの症状を現す。

(漢方薬)(気うつ)

<1>気鬱には

■「交感丹」

■「木香匀気散」

■「木香調気散」

■「上下分消導気湯」を使い

<2>気鬱に腫脹を兼ねたときには

■「流気飲子」

■「木香流気飲」

■「沈香降気湯」

■「五皮飲」
■「加味逍遥散」(顔面紅潮、四肢倦怠、疲労、発熱盗汗、口乾、嗜臥不眠、手掌煩熱、不定期な熱感、月経異常、処女及び寡婦の気欝)
■「香蘇散」------(気鬱、頭痛頭重、肩こり、胸中痞、心下痞塞、吐き気、腹痛、脈沈)
■「交感丹」------(諸気が欝結し、公私間のことがうまくいかず、七情が傷み食欲なく、顔色が黄色い)
■「降気湯」--(気鬱に)
■「柴朴湯」--(咳嗽、喘鳴、呼吸困難、喘息に常服)
■「滋陰降火湯」---・(皮膚浅黒い、痰<痰稠>、乾咳、乾性ラ音、発熱無汗、便秘、陰虚火動)
■「上下分消導気湯」・・(いつも煩悩する人の常備薬)
■「参蘇飲」------(頭痛発熱、無汗、食欲不振、悪心嘔吐、胃部膨満感、脈沈数)   
■「神秘湯」------(呼吸困難、痰少ない、気鬱、胸脇苦満<軽>)
■「大柴胡湯」-(実証、筋肉質、胸脇苦満、心下部緊張、便秘)
■「釣藤散」
■「当帰芍薬散」---・(貧血、冷え性、疲れやすい、月経不順、神経症状)
■「二陳湯」
■「女神散」
■「半夏厚朴湯」
■「苓甘姜味辛夏湯」





気管支炎 bronchitis      
=気管支(bronchus)の炎症。
⇒気管支炎には、ウイルスなどによる急性気管支炎と慢性気管支炎とがありますが、急性気管支炎から慢性気管支炎に移行するものもあり、最初から慢性のかたちをとるものもあります。
慢性気管支炎が長引くと、気管支拡張症・腐敗性気管支炎・肺気腫・気管支結核 など、治りにくい病気を引き起こしてきます。
慢性気管支炎には、熱が無く、咳と痰ですが、病態が進行すると呼吸困難を起こ すことになります。

【芳香療法】
<1>ガーリック
<2>シダーウッド
<3>乳香
<4>ジュニパー
<5>没薬
<6>ローズマリー
  
【民間療法】
<1>フキ。
<2>アカネ・アマチャズル・アミガサユリ・イカリソウ・ウスバサイシン・オキ ナグサ・オニユリ・カニ・カラシナ・キキョウ・シオン・シソ・ジャノヒゲ ・ショウガ・セネガ・タニシ・チクセツニンジン・ツリガネニンジン・ニワ トリ・ネギ・ネムノキ・ノビル・ハハコグサ・ヒオウギ・ヒトツバ・マンネ ンタケ・モモ・ヤツデ・ヤブコウジ・ヨシ・ワサビ・ワレモコウ。

【漢方療法】 (気管支炎)
<1>繁用処方:
■「華蓋散」:胃腸が弱い乳幼児。
■「小柴胡湯」:微熱、口が粘つき、咳止まらず、食欲なし。
■「小青竜湯」:ゼイゼイ、アワのような痰が出る。
■「麻黄湯」:乳幼児が風邪をひいて、気管支炎を起こし、ゼイゼイと喘鳴する。
■「麻杏甘石湯」:乳幼児。喘鳴ひどく、呼吸が苦しい。
<2>参考処方:
■茵蔯蒿湯
■越脾加半夏湯
■加減葳蕤湯
■葛根湯+桔梗石膏
■甘草乾姜湯
■甘草湯:(発作)
■桔梗湯:(化膿性)
■杏蘇散    
■銀翹散
■桂枝加厚朴杏仁湯:(咳嗽、喘鳴、自汗、胸満)
■桂枝去芍薬加皀莢湯
■荊防敗毒散    
■控涎丹
■五虎湯:(気管支喘息、呼吸困難、小児喘息)
■柴陥湯
■柴胡陥胸湯
■柴胡桂枝乾姜湯
■柴胡桂枝湯
■柴胡清肝湯
■柴朴湯
■滋陰降火湯
■滋陰至宝湯:(慢性)
■止嗽散:(発作)
■沙参麦門冬湯
■瀉白散    
■十味咳嗽
■小青竜湯加桔梗石膏(咳嗽、炎症)
■小柴胡湯葦茎湯・(化膿性)
■小柴胡湯桔梗石膏(炎症、食欲不振)
■小柴胡湯麻杏甘石湯
■小陥胸湯   
■四逆散
■参蘇飲
■神秘湯
■清燥救肺湯
■清肺湯
■旋覆代赭湯
■桑菊飲
■桑杏湯
■疏風利水湯
■大柴胡湯
■大青竜湯
■竹茹温胆湯
■二陳湯
■肺癰湯
■麦門冬湯
■半夏厚朴湯
■茯苓飲合半夏厚朴湯
■防風通聖散
■麻黄細辛附子湯
■麻黄甘草湯:(発作)
■麻杏甘石湯小青竜湯    
■射干麻黄湯    
■苓甘姜味辛湯
■苓甘姜味辛夏仁湯

【臨床例】
☆25歳、女性。
「妊娠8ヶ月、呼吸困難がひどい。明け方ゼイゼイ・ヒュウヒュウ鳴って息が苦しく、肩で息をする」
「冷たい風やフトンを乾したりすると必ず呼吸困難になる」「妊娠咳によく効く麦門冬湯を与えた。これを飲むこと4ヶ月、呼吸困難も 起きずに無事出産。その後、ジンマシンになり、西洋薬を飲むとかゆいという。加味逍遥散を服用して良くなった。」
(寺師睦宗著「成人病の漢方療法」p50)


 
気管支拡張症
⇒朝にタンが多く、タンをコップにとると3層に分かれる。
◎症状:
感染を伴わないものは、無症状。
セキ:起床後・体位変換後に咳。
タン:多量で発作的。
口臭:悪臭。
喀血
胸部陥没:患部側の胸膈
チアノーゼ:ときに
太鼓バチ指
Pierre Marie肥大性肺性骨関節症を伴う。
   

◎検査:(気管支炎)
既往歴
胸部X線
タンにより「肺結核」「肺化膿症」との鑑別。
気管支造影
CT有効


■清肺湯などが効果
「60歳、女性。数年前カゼの後、痰とセキがなかなか治まらず、いったんは抗生物質で治ったのですが、昨年から血痰と膿のような痰が出るようになり、痰が粘って出にくく、ひどくせき込むようになりました。気管支拡張症とのこと。いつも抗生物質を服用しているので胃腸の調子もよくありません。
気管支拡張症は様々な原因で気管支炎を繰り返し、気管支が拡張して粘膜に細菌感染を起こしやすくなり、血痰や咳込みの出る病気である。漢方では肺に熱のある状態ととらえ、肺熱を冷ます意味の清肺湯がまず試みられる。血痰が出るときは清肺湯の構成生薬から五味子・杏仁・貝母などを抜き、芍薬・地黄・紫・竹茹・阿膠といった止血作用のある生薬を加える。これを紅痰加減方と呼ぶ。清肺湯は血痰や膿性の痰を減らし、抗菌作用があるので、抗生物質の減量。廃薬が期待できる。また、胃腸への負担が少なく長期使用に適している。副作用の心配は極めて少ない。
その他、桔梗湯、排膿散、などに排膿・抗炎症作用があるので用いられる。特にのどの痛みや、声のかすれ、痰に血が混じるという症状には百合固金湯なども使われる(花輪寿彦・北里研究所)1999.5.24《日本経済新聞》
  

【漢方薬】(気管支炎)
■桔梗湯------(咳嗽、喀痰、舌苔微黄)
■橘皮枳実生姜湯
■帰地二陳湯    
■杏蘇散
■桂枝去芍薬加皀莢湯
■五虎湯
■柴胡桂枝乾姜湯
■三子養親湯
■滋陰降火湯
■滋陰至宝湯
■沙参麦門冬湯
■小柴胡湯
■小青竜湯
■生脈散
■辛夷清肺湯
■清燥救肺湯
■清肺湯
■旋覆代赭湯    
■桑杏湯
■大柴胡湯
■定喘湯    
■麦味地黄丸   
■麦門冬湯
■百合固金湯    
■補肺湯   
■麻杏甘石湯
■麻杏薏甘湯
■苓甘姜味辛夏仁湯




気管支喘息   bronchial asthma   
(参照→喘息)
◎チェックしましょう。

→アレルギー性肉芽腫性血管炎
⇒息を吐き出すのが困難で、ヒューヒュー、ゼイゼイと呼う。
◎可逆的な機能的気管・気管支収縮をきたす疾患。

◎種類:特定のアレルゲンがあるかどうかで

外因性喘息
内因性喘息

◎発作時の症状:
①呼気性呼吸困難
②喘鳴
③顔面蒼白。冷や汗
④チアノーゼ・頻脈
 

◎発作性の呼吸困難と乾性ラ音が特徴です。

◎好酸球の増加を認める。
<1>アトピー型・感染型・混合型。
<2>症状:
1.喘鳴を伴う発作性呼吸困難(呼気性):
   夜間・早朝に起こることが多い。
2.乾性ラ音
3.呼気延長。
4.重症では起座呼吸になる。
  

【臨床検査】(気管支喘息)
<1>喀痰中に(好酸球、クルシュマン螺旋体、シャルコ・ライデン結晶)を認める。
<2>アセチルコリン、ヒスタミンの吸入試験で気道狭窄症状。
<3>特異的IgE抗体の検索。
<4>「心臓性喘息」「肺気腫」「肺水腫」との鑑別が必要。
  

【注意】(気管支喘息)
<1>β遮断剤は、気管支を収縮させるので使わない方が安全です。

【西洋薬】
「セレタイド」(グラクソ)

◎気管支喘息を引き起こす有害因子
<1>イソシアネート類
<2>ホスゲン
<3>クロム
<4>コバルト
<5>プラチナ
<6>樹脂・綿・木材の粉塵。
<7>花粉・キノコの胞子
<8>アラビヤゴム
<9>鱗屑
<10>真菌(アスペルギルス)。

◎鑑別が必要な疾患:(気管支喘息)
・心臓喘息
・尿毒性喘息
・ヒステリー性喘息
・気管支炎
  

【時間医学】
「夜間から明け方にかけて喘息が悪化することは、以前から良く知られていました。気管支は12時~17時に大きく開きますが、夜~明け方にかけては縮小していくきます。その時気道の閉塞が起きてしまいます。
さらに、血中のコルチゾール値は、喘息発作とよく相関します。薬としてのステロイド(コルチゾル)は、なにしろ喘息の特効薬なのですから。コルチゾルは、普通朝に高くなりますが、このリズムが喘息患者では乱れていて、朝、血中コルチゾルが高くないのです。
自律神経の障害も喘息の一因です。アレルギーを示すヒスタミンの値も、喘息患者では午前4時に高くなるのです。喘息では、気管支粘膜が朝方に過度に反応して、粘膜からの分泌が過度になると言われています。」
(田村康二著「魔の時刻の不思議」より)
  

【漢方療法】(気管支喘息)
<1>発作時の漢方処方:
■甘草湯------(頓服)        
■麻黄甘草湯
■麻杏甘石湯---・(乾咳、口渇)

<2>体質改善の漢方処方:
■黄蓍建中湯
■帰地二陳湯
■桂枝加厚朴杏仁湯
■五虎湯
■柴陥湯
■柴胡桂枝乾姜湯
■柴朴湯------(間歇期)    
■三子養親湯
■四逆散
■芍薬甘草湯---・(ケイレンする、疼痛)
■小建中湯-
■小柴胡湯+桂枝茯苓丸    
■小柴胡湯+半夏厚朴湯
■小柴胡湯+通導散+防風通聖散    
■小青竜湯+石膏
■小青竜湯+麻杏甘石湯
■沈香降気湯
■神秘湯
■清肺湯
■喘四君子湯
■蘇子降気湯---(呼吸困難・湿性ラ音)
■大柴胡湯---(実証、筋肉質、胸脇苦満、心下部緊張、便秘)
■大柴胡湯+半夏厚朴湯
■竹茹温胆湯-
■当帰四逆加呉茱萸生姜湯
■人参蛤蚧散
■人参湯
■麦門冬湯
■八味地黄丸   
■半夏厚朴湯
■茯苓飲合半夏厚朴湯(悪心嘔吐、気鬱不安、胃内停水)
■平胃散-(太陰病、心下痞塞、腹部膨満、食後腹鳴)
■防風通聖散
■麻黄細辛附子湯(悪寒が強く、のどが痛い、脈沈)   
■麻黄湯-(頭痛、発熱、悪寒、身体疼痛、関節がいたい)
■礞石滾痰丸
■木防已湯--(起座呼吸)
■六君子湯---(気管支喘息の間歇期)    

■苓甘姜味辛夏仁湯・(痰飲浮腫、顔色悪い、くしゃみ、せき、)
■苓姜朮甘湯
■六味丸

【臨床例】
☆34歳、女性。
「3年前から揮発剤を嗅ぐと気管支喘息が起き、いろいろな治療をやったが 治らないので、上京してきた薬剤師。
今まで現代医学ではエフェドリンをはじめネオフィリン・抗ヒスタミン剤 ・副腎皮質ホルモン剤を用い、漢方では小柴胡湯半夏厚朴湯、小青竜湯を 服薬したが、効かないと言う。それに麻黄剤を飲むと食欲が無くなると言う。
患者は肩が凝り、よくお茶や水を飲み、甘いものが好きである。便は胃腸薬を飲むため軟らかいが、小水は遠く量も少ない。冷え症である。
体格は痩せて、脈弱く、舌には苔があり、腹診すると軟弱無力である。
この患者は喘息発作を起こすと、泡のような痰を多く出し、鼻水が流れる ため、自分で小青竜湯と考えて服用したのであろうが、私は軟弱無力の 腹証・冷え症・麻黄で食欲が落ちるという3点に目をつけて、小青竜湯の裏 の処方である苓甘姜味辛夏仁湯を与えた。
これを30日服用すると、具合が良くなり、階段の昇り降りが楽になった。 その後、引き続いて60日飲むと、腹力がついてきて、喘息発作が起こらな くなった(寺師睦宗著「成人病の漢方療法」p59~60)。
☆40歳、男性。
「4歳の時から喘息が起こり、小学2~3年の頃、非常に苦しかったのを覚 えていると言う。毎年9月上旬から12月中旬にかけて発作が起こる。ただ し、24~28歳の4年間、鳥取県に転任したときには起こらなかった。
喘息に良いというものはほとんどやった。脱感作療法もやったが何ら効果 がなかった。との事。
中肉中背で、口渇があり、お茶や水をよく飲み、香辛料を好む。
腹診すると、胸脇苦満がある。そこで、小柴胡湯半夏厚朴湯を与えた。 4ヶ月ほど服用すると調子が良くなり、秋から冬にかけて1度も発作が起こ らなかった。(寺師睦宗著「成人病の漢方療法」p58~59)
■ペット
「男性のTさん(35)は朝方、しばしば呼吸が苦しくなり、近くの医療機関に駆け込むようになった。病名は気管支喘息と言われ驚いた。アレルギーもなく喘息持ちでもなかったのが、結婚した頃から咳が出だしたようだという。それまでの環境変化と大きく違っていたのが、奥さんが連れてきたイヌだった。
検査の結果、Tさんの血液はイヌの皮膚の成分に強く反応した。アレルギー反応によって起こる。気管支喘息の最も有効な治療法は、その原因を取り除くことだが、これが難しい。」2003.7.15《日本経済新聞》





気管支肺炎   bronchopneumonia
⇒肺炎の1つ。炎症の範囲が肺小葉にかぎられる。

◎症状:(気管支肺炎)
①倦怠感
②セキ:疼痛を伴う咳
③胸痛:しばしば広汎に痛む。
④タン:少ない。粘液性→膿性。
⑤その他:口唇ヘルペス
    傾眠
・子供:鼻カタル・頚部痛、強い呼吸困難。
  

【漢方薬】(気管支肺炎)
■柴胡陥胸湯
■十味咳嗽        
■小陥胸湯   
■小青竜湯---・・(咳嗽、喘、鼻水、)   
■麻杏甘石湯---・(乾咳、口渇、自汗)




気象病
■天気に合わせ
「このところ天気の変化がめまぐるしい。何となく体調がすぐれないという方 も多いのではないだろうか?
言うまでもなく、我々の身体は大気に包まれている。大気の状態は、温度・ 湿度・気圧・風など常に変化するので、身体は絶えず対応を迫られている。と ころがちょっと体調のバランスを崩していたりすると、身体はこの大気の 変化に対応しきれなくなる。
大気の変化は天気の変動と連動している。そこで天気によって体調を崩すこと になる。このような病的症状を一括して「気象病」という。
雨が降ると頭痛がしたり古傷が痛んだり、又晴れると喘息の発作が出たりする。 いずれも典型的な気象病だが、原因がよく分からない医者泣かせの病状である。 (東京学芸大学教育学部助教授・加賀美雅弘)1996.6.15《日本経済新聞》」


気虚
◎主薬:《万病回春》
*気を補うには、黄蓍・人参を主薬とすべし
*気を提(かかぐ)るには、升麻・桔梗を主薬とすべし
*気を順らすには、烏薬・香附を主薬とすべし


気胸(ききょう)
◎症状:
・胸痛:突然の胸痛(上背部・側胸部)
・呼吸困難
・セキ
・虚脱
・チアノーゼ
   

■自然気胸---若いスリムな男性ご注意。
「肺に突然穴があき、呼吸が苦しくなる病気である『自然気胸』の患者が増えて いる。痩せ型の若い男性の発症率が高いのが特徴だ。命に関わることは少ないが、日常生活への影響が大きく、有効な予防法がない。
都内の会社員のBさん(32)は、4年前、出張先のドイツのホテルで突然胸に激しい痛みを感じ病院へ駆け込んだ。レントゲン撮影したところ、右の肺が握り拳ぐらいに小さくつぶれているのが分かり、自然気胸と診断された。胸に細い管を差し肋骨と肺の間に溜まった空気を抜き出す治療を受け、1週間ほど入院した。その後は普通の生活を送っている。

原因:解明されていない。

発症:

①運動や咳など肺に負担をかけた時でなく、睡眠中や電車を待っている間に発症することが多い。
②痩せ形の10~20歳代の男性に多い。
      1997.10.13《日本経済新聞》
   

■胸腔鏡手術
「スポーツ選手の肺などの手術で、胸腔鏡を使って、競技に支障が出ないように傷口を数cmにとどめる方法が日本内視鏡外科学会で発表された。Jリーグのサッカー選手に気胸治療で肺の部分切除に使ったところ、1.5cmの傷口が計3カ所で済んだ。手術後4日で退院し、15日で合宿に参加、26日で試合に復帰したという。
胸腔鏡は直径1cmの金属の棒で、先端にカメラが付いている。同様の棒で、先端に患部を切り取ると同時に縫う自動縫合器が付いているものと、鉗子が付いているものを使い、大きな切除をせずに患部を確認して処置出来る。従来は脇の下を10cm~20cm切開したので胸筋や神経を傷つけやすく、痛みや違和感が出る可能性があった。
手術した関東労災病院の飯島京太医師(胸部外科)によると、1昨年から健康保険が使えるようになった、まだ、プロ選手の例は珍しいといい、「選手生命が絶たれると心配して手術を避ける人が多かったが、その危険も減ったと思う」と話している。1998.2.1《朝日新聞》

■肺に穴が開き縮む
「急に胸が痛み息苦しくなる・・・・。こんな症状が出たら気胸になった可能性が高い。
●気胸とは何ですか?
「肺に穴が開いて肺が縮む病気をすべて気胸と呼び、外因性と内因性とに分かれます。外因性は交通事故や外傷、骨折で肺が縮む場合です。」
「内因性は何の前兆もなく、突然穴が開く気胸で、続発性と原発性に分かれます。続発性は肺気腫や肺線維症などの病気に伴って肺に穴が開きます。原発性は原因が不明で穴が開く病気です。最近、肺表面の一部が風船のように膨らんで嚢胞ができ、それが敗れて肺に穴が開くことが分かってきました。
●患者が多いのは?
「一番多いのは原発性で、患者は20歳前後の男性がほとんどです。しかも身長が高くて胸が薄く、やせ形のヒトに多い。成長期に肺が上下に引っ張られて嚢胞ができ、それが破れて起きます。続発性では肺気腫や肺線維症のほか、結核でも起き、60~70歳代の高齢者が多い」
●症状は?
「一番多いのは胸痛。肺に穴が開いて縮む時に、締め付けられるような痛みを
感じます。痛みは1分~5分くらい続き、その後、息苦しくなります。肺が大きく縮むほど息苦しさは強くなり、長く続きます。狭心症の発作と間違えられることもあります。背中や肩に痛みを訴える場合もあります」
「女性では月経随伴気胸といって、生理中だけ気胸が起きる人がいます。生理の際、胸腔内で出血し、穴が開きます。9割以上は右胸に起きます。子宮内膜症とともに増えています。多く安中散30~40歳代です」
●診断方法は?
「胸部レントゲンから診断できます。嚢胞の場所や大きさをしらべるにはCT(コンピューター断層撮影装置)や胸腔造影をします。胸腔は肋骨で囲まれた肺や心臓を収める空間。その中に造影剤を入れて肺の表面を見ると、肺表面の凸凹の様子や嚢胞の数が分かります」
●手術方法は?
「全身麻酔で胸の2~3カ所に約1cmの穴を開け、その穴から胸腔鏡を入れ、嚢胞を切り取ります。手術は約1時間半。1週間以内に退院できます。肺の癒着が強いと胸腔鏡を使えず、開胸手術となることもあります」
「開胸手術は後々まで痛みが続き、傷跡が残るなどの問題がありますが、再発率は1~2%と低い。一方、胸腔鏡手術は傷跡が目立たず、痛みが無いなど利点がありますが、再発率は医療施設によってバラバラです。」
「手術は全体の20%ぐらいの方が嫌がります。そういう場合は、肺にチューブを通し、とりあえず肺を膨らませます。息の吸えるし、痛みも消えるので、いったん治ったようにみえます。しかしCT検査で多数の嚢胞が認められれば、再発しやすいので手術を勧めています」
●気を付けることは
「タバコは肺を壊すので吸わないこと。ストレスで起きることもあります。残業続きで体が疲れていたり、睡眠不足が続いた時などに嚢胞が破れることが多いので、要注意です」(栗原正利・玉川病院気胸センター長)2002.11.26《日本経済新聞》
■新治療法
「肺の一部に穴が開き、空気が漏れ出すと肺が縮んで呼吸困難を引き起こす。気胸という病気だが、重症だと手術しなければならない。最近では、再発率を抑えた内視鏡手術や従来では困難だった症例でも治療できるようになってきた。
肺は外部が薄い膜で覆われ、内部はスポンジのような構造になっている。吸い込んだ空気に含まれる酸素と体内の二酸化炭素とを交換する役割を担う。
結核など肺の病気や事故とは関係なく突然起こるのを自然気胸と呼び、10代後半~20代の長身・やせ形で、胸板の薄い男性に多い。
肺表面にブラと呼ばれる風船状の肺嚢胞ができ、これが破れると気胸になる。原因はハッキリしないが、体の急な成長に肺の成長が追いつかないためという説もある。
①内視鏡を使うカバーリング法
カバーリング法は、ブラを切除した肺の表面に、セルロースで出来た網を貼り付けて補強する方法で、胸や背中に小さな穴を2~3ヶ所開けて内視鏡を挿入し、ぶらや周辺部を切除し縫い合わせる。そのあと、患者の状況に応じて網の大きさを決めて肺の表面に貼り付ける。セルロースは安全性が高く、1ヵ月ぐらいで体に吸収される。肺表面が厚くなるので、ブラの再発が抑えられる。この手法は栗原正利・日産厚生会玉川病院呼吸器外科部長が考案した。
②また、空気が漏れる個所につながる気管支にシリコーン製の栓をして塞ぐ手術も開発されている。カテーテルを口から入れ、バルーンで気管支を数十秒塞ぐ。空気が漏れているところへシリコーン製の栓をつけて終わる手法で渡辺洋一・岡山赤十字病院呼吸器科内科部長が開発した。
  

【漢方薬】(気胸)
■橘皮竹茹湯
■厚朴麻黄湯
■茯苓杏仁甘草湯

 
 

気ちがい(きちがい)
血狂=瘀血が原因で精神異常を来す病気。

【漢方薬】
■三黄瀉心湯辰砂
■四物湯桂枝・乾姜
■四物湯桂枝・乾姜・紅花・大黄
■治血狂一方(産後の狂症)
■桃核承気湯
■桃核承気湯荊芥(月経なく狂状を発する)
■抵当丸
  

【臨床例】
☆狂疾に
「某生徒、読書苦学す。嘗て発憤(=発奮)するところあり、遂に机に倚りて、寝を廃すること七昼夜。已にして独語し妄笑す。前儒(=今まで指導した先生)を(テキ、悪口を言ってあばく)指して罵詈口に絶えず。久之して人はその狂疾を覚ゆ。
 《吉益東洞》先生之を診す。胸肋妨張し、臍上に動あり。上気して降ら ず。柴胡姜桂湯をつくりて之を飲む。時に紫圓を以て之を攻むること数日。全く正常に復す。」《建珠録》


気滞(きたい)
⇒気滞とは、気の流れが停滞することである。
症状は、

1.脹って苦しい。
2.痛む。

痛む場所は一定しない“遊走性の疼痛”
痛みのパターン~刺すような“刺痛”で、時間的に程度が変化する。


気痛(きつう)
⇒七情[喜・怒・憂・思・非・驚・恐]の鬱結・痰湿の阻滞・飲食労傷などで気が滞り疼痛する。

上焦では心臓・胸部、

中焦では腹部・季肋部に刺痛があり、

下焦では腰部が痛む。又、全身に痛みが動き、浮腫を伴うこともある。

◎人体の元気は臓腑の間を循環しているが、七情・飲食で痰鬱の状態になると、気痛を起こす。
初期には、辛温薬で開鬱・行気豁痰・消積させる
長期でこじれると、辛寒薬で静めながら根を切る。
<1>上焦に気が溜まって心・胸に疼痛が起きると、
1.枳橘湯
2.蒼莎丸
3.桔梗枳殻湯
<2>腹部・背が痛むとき、
1.神保元
2.撞気阿魏丸
3.木香破気参
<3>下焦に溜まって、腰痛を起こしたら、
1.蟠葱散
2.木香順気丸
3.木香檳榔丸
<4>気が外部に溜まり、全身の疼痛・浮腫。
1.三和散
2.五皮飲
3.流気飲子
4.木香流気飲
<5>気痛一般に
1.烏沈湯
2.神仙沈麝元
3.一粒金丹
4.復元通気散
5.小烏沈湯

【漢方薬】(気痛)
■一粒金丹---(気痛で話せなくなった)
■烏沈湯------(背・心腹の疼痛)
■枳橘湯------(気が停滞して胸痛)
■桔梗枳殻湯---(心胸部の疼痛)
■三和散------(全身の疼痛・浮腫)    
■小烏沈湯---(心腹の疼痛)
■神仙沈麝元---・(一切の堪えられない疼痛)
■神保元------(心膈痛・胸腹脇痛・腎気痛)
■清膈蒼沙丸---・(湿熱・鬱気を治して、止痛する)
■撞気阿魏元---・(一切の気痛を治す)
■幡葱散
■復元通気散---・(全身に痛みが走る)
■木香順気丸---・(腰痛・刺痛)    
■木香破気散---・(腹部・背の気痛)
■木香檳榔丸---・(湿熱が溜まって刺痛)    
■木香流気飲---・(あらゆる気痛と腫張)
■流気飲子---・・(腫張・浮腫・全身の痛み)


気疲れ
■原因物質見つけた
「精神的に疲労を感じたときに脳内で働く物質を京都大学の伏木亨教授と京都府立医科大学の花井一光教授らが動物実験で見つけた。
筋肉などの肉体疲労で生ずる物質とはまったく違う、いわば『気疲れ』の原因物質。長時間のデスクワークや精神的ストレスで疲労感を生じる仕組みの解明や回復薬の開発につながる可能性があるという。
この物質は人間や動物の脳にある[TGF-β]というタンパク質の一種。通常は不活性だが、何らかの原因で活性型に変化する。研究チームはストレスを与えたネズミの脳から[TGF-β]を抽出してbんせきするとともに、この物質をネズミに投与して観察したところ、活動量が目立って減少したという。
筋肉活動による「末梢性疲労」に対し、脳が疲れたと感じるのは「中枢性疲労」と呼ばれる。この疲労にはセロトニンという神経伝達物質も関与することが分かっており、「TGF-βとセロトニンとの関係を明らかにすることにより疲労を感じる仕組みを突き止めるのが今後の課題」と研究チームでは話している。1998.5.30《日本経済新聞》


気道過敏症
■仕組み解明
「2008年、理化学研究所は喘息患者などに多い、「気道過敏症」の引き金となる仕組みを動物実験で見つけた。特殊な構造を持つリンパ球の一種が原因だった。
病気の現任になるのは、リンパ球の一種『NKT細胞』のうちIL-17RBという構造を表面にもつ細胞。体内にアレルギー物質が入ると特殊なタンパク質ができ、IL-17RBと結合。気道の炎症などを引き大濾す。
IL-17RBの働きを妨げる抗体を投与すると、発症は抑えられた。
気道感染症はレイキやタバコの煙など様々な刺激に反応して気道が収縮しやすくなる病気。アレルギー性喘息患者のほとんどが寄贈過敏症と見られている。

 


気分が重い

【漢方薬】
■釣藤散-(頭痛、肩こり(強)、眼充血、気欝、心下痞塞、めまい、動悸、不眠、耳鳴り)
■抑肝散加陳皮半夏湯(怒りっぽい、鬱病、だるい)





気分腫

【漢方薬】(気分腫)
■五香散
■消水聖癒湯
■枳朮湯《金匱要略》
■導滞通経湯
■無礙丸
     


気分症
⇒気が水飲によって痞満し、腹が鳴って冷痺する症。 【漢方薬】
■桂朮湯------(気分の病を治す)


気分障害
■脳活動で客観診断
「気分の沈んだ状態が続き不眠など体の不調も生じるうつ病や、ウツ状態と躁状態を繰り返す双極性障害。うつ病は精神疾患の中で患者数が最も多く、発症率は20%に達すると言われている。双極性障害も統合失調症と同程度の1%。こうした気分障害の解明は遅れているが、研究者は様々な手法で病気に挑んでいる。
うつ病に罹ると抗ウツ薬をよく処方される。最初の抗ウツ薬はイミプラミンで1950年代に偶然見つかった。その後、研究が進んで、イミプラミンは神経伝達物質セロトニンの働きに関係するらしいことが判明した。この流れに沿って副作用の少ないタイプも開発された。
それでも効かない患者が約3割いる。「理由は不明」(吉川武男・理化学研究所脳科学総合研究センター)。このため「明確な発症の仕組みの解明と、それに基づいた新薬が求められている」(樋口輝彦・国立精神・神経センター国府台病院長)。ただ、根治につながる創薬研究をしたくても「その手がかりがない」のが現状だ。
何とか手がかりを得ようと2年前、うつ病や双極性障害を対象にした連鎖解析プロジェクト(JGIMD)が発足した。患者や家族のゲノム(全遺伝情報)を網羅的にしらべ、病気と関係する染色体領域を絞る。
「まだ30家系しか染色体の試料が集まっていない。これを150程度にまで増やし、2004年には解析に着手したい」とプロジェクトの中心となる吉川チームリーダーはいう。
樋口院長と昭和大学の山田光彦講師らは、ラットやマウスを使って治療薬などの対象となる遺伝子を洗い出す研究に取り組む。
様々な抗ウツ薬を投与したり、脳に電気刺激を与えて、働き方に変化が起きる遺伝子をDNA(デオキシリボ核酸)チップで検出する。見つけた遺伝子は創薬の手がかりになる可能性が高い。
双極性障害も詳しい原因は分かっていない。理研脳センターの加藤忠史チームリーダーらは、三物黄湯いぼ言う内で信号をやり取りするカルシウムが病気に関わるとされることから、それを制御する小器官ミトコンドリアに注目して異常をしらべている。こうしたミトコンドリアの働きは、これまで重要視されていなかった。しかし、ミトコンドリアDNAの個人差(SNP)が双極性障害にかかわるとの報告もでてきた。
気分障害で難しいのは診断だ。現在はもっぱら患者が訴える臨床症状から判断している。が、しかし、医師が見立てを誤って、「双極性障害をうつ病と誤診して抗ウツ薬を投与すると、障害を悪化させる恐れがある」(加藤)2002.11.27《日経産業新聞》




気痢(きり)
⇒大便に泡があって痛む。

【漢方薬】
■気痢丸------(大便泡状)
■牛乳湯
■茱連丸

 

 


気力がない

【漢方薬】(ない気力が)
■四君子湯
■十全大補湯
■小建中湯
■清心蓮子飲



気淋
=神経性尿意頻数症。神経性尿道炎。
⇒炎症が激しくて、尿意頻数、淋瀝などを起こしたのではなく、神経性に尿が出そうで出なく、気持の悪い者。《大塚敬節》

【漢方薬】(気淋
■清心蓮子飲
■益元散木香・檳榔・茴香
■沈香散木香・檳榔・茴香
■通秘散木香・檳榔・茴香



憶喪失⇒健忘症を参照。



記憶力
(参照→「オキシトシン」)
直感像素質者・・・一度見たものは何年経っても忘れない

⇒記憶に関する3つのタイプ
①瞬時記憶:頭頂葉から入った情報が側頭葉で記憶される。
②短期記憶:側頭葉に入った情報が帯状回を通って海馬に行き、それが乳頭体を経て再び帯状回に戻る。すなわち情動回路となって、情報が駆けめぐる。その間記憶は維持される。
③長期記憶:情動回路から視床下部を経て前頭葉に記憶されることで、長期間記憶は維持される。

◎シナプスとの結合が強固になることで、記憶される期間が延びる。シナプス(A)と何本かのシナプス(イ・ロ・ハ)とが情報を伝達している時、(イ)から(A)へ[アデノシン]が放出されると、イ=Aのように情報伝達が一本道になり強固なものとなる。

◎記憶物質:CREB(クレブ)
人間ではその存在は確認されていない。
ハエの実験では、1度の情報入力で、長期記憶出来る。

◎レム睡眠仮説:
レム睡眠中のシータ(θ)波のリズムが記憶を増強するとする。
θ波は、レム睡眠(浅い睡眠状態)中、海馬に現れる。
   

■幼児の失われた記憶機能が回復
「英国の王立子供健康研究所は、脳内で記憶の形成の働きを担う部位の『海馬』が傷ついても、幼児期ならば記憶機能を回復する可能性があるとする研究結果をまとめた。
幼児期に酸素欠乏症から海馬を損傷して記憶喪失しなった3人の子供を、大勢の子供と一緒に学校に通わせたところ、わずかながら会話や書き物などを覚えたという。従来、海馬を失った子供は特別の施設に通わせるなど普通の子供とは離して生活させていた。同研究所は幼児期ならば海馬の機能を補完するような働きが脳内に作られるのではないか?とみている。1997.7.24《日経産業新聞》
   

■朝食を食べると記憶力・習得能力が増す。
「デンマークの国立労働健康研究所のワイオン博士が10歳児を対象にした研究で明らかにした。1日の必要摂取量の約25%を朝食で摂取すると、計算能力・創造力が高まった。
メキシコで開催された“朝食とパフォーマンス”サミット(3日間)に栄養学・心理学・神経科学など世界中から門家が集まったが、朝食は記憶力・問題解決力・創造的思考力が向上し、教室での子供たちの活動を良くするためにも重要であるとの見解が一致した。又、朝食は青年や中高年の知的活動にも重要な効果があることが討議され、8~80歳の人々を対象にして、炭水化物を摂取すると、短い話を記憶して話す能力が高まるという研究も紹介された。
朝食をきちんと摂取すると、なぜ学習能力が高まるのか?、これまで炭水化物のグルコースが記憶力と脳の活動に何らかの影響を及ぼすとされており、朝食を抜くことで生じる短気記憶(10秒ほどしか保持出来ないような記憶)はグルコース摂取により回復することが明らかになっている。1996.5.16《健康産業新聞》」
   

■朝食と知的労働
「現代のサラリーマンにとっては知的労働が生命である。従って、筋肉労働を中心に研究されてきた過去の栄養学は転機を迎えている。最近の国民栄養調査によると、男性の朝食欠食の割合は20才代で約30%、高齢者を除く働き盛りの前年令で11%でいずれも急速に増えている。これは健康上も、知的労働の上でも心配なことである。
朝食による血糖の上昇が勤労者の知的活動を高めるという研究が最近多い。今年の米国臨床栄養学雑誌に食事と知的活動の特集が発表された。
従来のように栄養学者や学校の先生でなくて、心理学者が知的活動をを実測したものである。その中で、D・ベントンとP・Yパーカー博士は20才代の男女について、326kcal、タンパク質18、5g、脂質12、2gの朝食を与えた者(朝食摂取群)と欠食者(欠食群)をテストした。
空間記憶とは、犬やリンゴなど16種類の絵を編み目の上に置いて、20秒間眺めさせて後、絵を取り去る。そして、何秒で元の位置を網目上に書けるか、どれだけ誤ったかを調べる。単語想起とは15種類の日常名詞を2秒ごとに提示して直後に、出来るだけ速く多くの単語を書かせる。結果は朝食群が有意に優れた成績を示した。
「脳は血糖以外はエネルギーとして使えないので、食事の影響を受けやすい。他の臓器は欠食しても、脂肪を使える点で脳とは異なる。肝臓には約半日分の糖しか蓄えられないので、欠食すると脳への血糖が不足する。青壮年の約8割はスポーツをしていないこと、国民の就眠時間が年々遅くなっているのも朝食欠食の原因である。1998.12.7《日本経済新聞》

■記憶思い出す脳内信号を発見
「記憶を思い出すときに働く脳内の電気信号を、灯台医学部の宮下司教授らの研究チームが世界で初めて発見した。老化に伴って物忘れがひどくなるのは何故かといった、人間の記憶のメカニズム解明につながると期待される。
14日付の英科学誌「ネイチャー」で発表する。
右目で見た映像は大脳の左側に、左目の映像は右側に送られ、側頭葉で記憶されることは明らかになっている。だが、どのような仕組みで引き出されるかは分かっていない。
研究チームは、サルに2つの図形を記憶させた後で、片方の図形を見せ、もう一方の図形を思い出させる実験を行い、脳の神経細胞にどのような電気信号が流れるかを、微笑の電極を使って調べた。
実験の結果、サルに片方の図形を見せたとき、大脳の側頭葉から前頭葉に送られる信号にわずかに遅れて、前頭葉から側頭葉に向け、記憶の検索をコントロールする信号が発信されていることを確認した。前頭葉は脳の最も発達した部位で、嗜好の中枢と考えられているが、記憶の検索でも中心的役割を担うことが分かった。
宮下教授は「記憶検索のメカニズムを詳しく突き止め、老化現象の解明や痴呆の治療に役立てる道を探りたい」としている。

■特殊なタンパク質
「理化学研究所は、脳の一部に特殊なタンパク質が蓄積すると老化に伴う記憶障害が進みやすくなることを明らかにした。このタンパク質が増えると神経細胞同士がつなぐシナプスが減り、記憶機能が低下するという。タンパク質の働きを妨げる薬剤を惹起に使えばアルツハイマー病への進行を抑えられるかも。
アルツハイマー病研究チームの高島明彦チームリーダーらの成果で欧州の学会誌に発表。
記憶障害の原因となるのは『タウタンパク質』と呼ぶ物質にリン酸が過剰に結合したもの。このタンパク質を脳内に多く持つモデルマウスを作り、迷路状のプールを泳がせて記憶機能を調べた。高齢のマウスでは、通常のマウスより成績が悪く、記憶障害が促進されていた。
神経活動を観察し、記憶の維持などに重要な脳領域の活動が低いことを確認。シナプスが減少して神経活動が定価していることを突き止めた。」

■CREB
「2009年、東京農業大学の喜田聡教授らは、記憶が消えるときに脳内の特定の場所で遺伝子の働きを促すタンパク質の機能を突き止めた。
恐怖体験の後に記憶がいつまでも残るPTSD(心的外傷後ストレス障害)の原因に関係すると見られている。
記憶は思い出すと同時に一度不安定な状態となり、再び安定な状態にならない場合は徐々に記憶が消えていく。もう一度安定な状態になることを[記憶の固定化]と呼ぶ。ただ、これまで脳神経細胞での遺伝子の働きは分からなかった。
喜田教授らは、記憶が消える場合と再固定化される場合での、遺伝子の働きをマウスで調べた。記憶が消える場合は、記憶形成と関連があるといわれる遺伝子の働きを促す『CREB』というタンパク質が、脳の扁桃体と前頭前野と呼ぶ部分で働いていた。記憶が再固定化される場合は同じものが海馬と扁桃体で働いていた。
PTSDはこのCREBがうまく働かず記憶が消えないで残るため起きる可能性があり、扁桃体と前頭前野での働きを制御することで恐怖体験だけを消せる可能性がある。」

■左脳の一部で文法処理
「2009年、日本語や英語など言語の文法を専門に処理する領域が左脳の一部にあることを東京大学と東京女子医大、昭和大のチームが突き止めた。この領域を脳腫瘍で侵された患者は文法を頻繁に間違えた。
文法能力は脳の様々な領域が関わっていると考えられてきたが、一部の部位に集中している可能性が出てきた。
発見した領域は左脳で『左下前頭回』『左運動前野外側部』と呼ばれる2カ所。いずれかに脳腫瘍が見つかり機能が損なわれたと見られる患者11人の文法能力を分析した。具体的には、人が人を押しているイラストなどを見せながら、説明文が正しいかどうか回答してもらった。
説明を“○が□を押している”という能動文から“□が○に押されている”といった受動文にカエルと、解答が誤った割合が2割を超えた。“□を○が押している”と目的語と主語の順番を変えると誤答率は5割近くに達した。
調査結果から研究チームは腫瘍で傷んだ左脳の2カ所が文法能力を専門に担う領域と結論づけた。これ以外の場所に腫瘍ができた冠者では文法能力に変化はなかった。」
 
■薬で操る
「米ニューヨーク州にあるコールド・スプリングハーバー研究所の研究者は「記憶」を自在に操る薬の開発に挑んでいる。脳内の特殊なタンパク質『CREB』が、長期的な記憶を左右することを突き止め、これをきかっけに、CREBの働きを強めたり、弱めたりする物質をそれぞれ探索し、マウスを使った実験で機能を確認した。
記憶力を高める薬は、アルツハイマー病などの記憶障害の患者の役立つ。逆に、弱める薬は「阪神大震災のような大災害後に起きる心のキズを防ぐのに有効」と、研究者の1人、ジェリー・イン助教授は話す。次世代の脳機能調整薬になると脚光を浴びており、商品化を目指して、ベンチャー企業を設立した。
だが、「健康な人が記憶力を高めたり、記憶を消したりする薬ではない。使い方に気をつけなくては」と、治療目的以外への利用には、厳しくクギを差す」。

■海馬は増える 
脳細胞は加齢と共に減少するとされてきたが
一桁の計算問題・・・脳の活性が上がる。記憶の前に計算問題をすると良い
計算問題・本を読む
料理
イメージトレーニング・・・・川島東北大学教授
自分が観客で自分の演技を見ているイメージ(体操選手)
イメージと実際の演技とは、脳では同じことをしている
絵に描いてイメージ→暗くして音楽→ゆっくり動いて→実際のスピードで。



季節性情動障害
■冬のうつ病
季節性情動障害には、セロトニンの減少だけでなく、体内時計を司るホルモンである「メラトニン」の分泌異常が関わっている
冬に日照時間が短くなると、メラトニンの分泌のタイミングが遅れたり、過剰に分泌されるため、体内時計が狂って発症するとされる。

■季節性情動障害の診断基準
 DSM-5
<1>1年のうち特定の季節だけに発症する。
それを過ぎると症状が軽くなるor躁状態になる。

<2>社会的なストレスなど、季節以外の要因は関係していない。
<3>発症しているときは気持ちが落ち込む。
体がだるく疲れやすい。
(注)以上を満たす症状が直近の2年で2回起きた場合、季節性情動障害と診断する。




狂牛病
(参照→「狂鹿病」「ELISA法」)
=プリオン(ウイルスよりもさらに小さい異常型タンパク質)が原因。 
   

■人に感染。
「正式名称は『ウシ海綿状脳症』。英国で1986年に発見された。92年の37000頭をピークに、これまで約16万頭が感染。英国以外でも、欧州を中心に約400頭の感染が報告されている。
 人間の『クロイツフェルト・ヤコブ病』は、脳の病気で狂牛病と症状が似ている。「プリオン」というタンパク質が共通の病原物質とされるが、何が媒介するのかは不明。手足がしびれたり、記憶がなくなったりする症状が出た後、痴呆状態となり、発病すると2年以内に90%が死ぬ。年間に最高で約50人が死亡。感染から発病までの潜伏期間は5~15年。1996.3.27《朝日新聞》」
   

■狂牛病にビタミンEが効く?
「欧州にパニックを引き起こしている狂牛病(牛海綿状脳症)について、ドイツの研究グループが発病メカニズムの解明につながる発見をした。脳内にいくともの穴が開く狂牛病特有の症状は、『ミクログリア』という脳細胞の異常で起きることを突き止めたもので、この異常はビタミンEなど中和作用を持つ物質で食い止められそうだと言う。ドイツ・ゲッチンゲン大学の研究グループが28日発表の英科学誌「ネイチャー」に発表した。
牛の脳にスポンジ状の穴が開いた末に死亡する狂牛病や、人間の脳によく似た症状が現れるクロツフェルト・ヤコブ病(CJD)は、伝染性を持つ『プリオン』と呼ばれるタンパク質が病原体とみられているが、感染した脳に、なぜスポンジ状の穴が開くのかよく分かっていなかった。
研究グループは、正常ならば体内に侵入した細菌などを殺すミクログリア細胞が、病原体の働きで異常になり、神経細胞を壊す酸化化合物を作り出している可能性か高いことを明らかにした。
この酸化化合物の作用を抑制するビタミンEのような物質を脳内に注入出来れば、狂牛病やCJDの悪化を防止出来るかもしれないという。
狂牛病は、英政府が20日、人間に感染する可能性を認めてから、騒ぎが急拡大。1996.3.29《日本経済新聞》」
   

■タンパクが病原に変身
「体内にもともとあるピリオンタンパク質がプリオンに変身することが病気の引き金に成っている。牛の場合はこれが狂牛病であり、羊ではスクレイピー、人間では100万人に1人の割合で発生するコロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)だ。1996.3.31《日本経済新聞》」
   

■脳・腸食べるのは危険。
「94年から95年にかけて、英国で16歳~39歳という若い人10人がCJDを発病したことが分かった。」
「狂牛病のウシの全部が危ない訳ではない。ネズミに食べさせて試してみると、危ないのは脳・脊髄・脾臓・リンパ節・腸などで、筋肉・心臓・牛乳などは安全とされている。しかし、英国は89年に脳などを人・家畜の食物とするのを禁止する前には、脳は「肉」として扱われていた。
 ウシに感染して狂牛病を起こすのは細菌でもウイルスでもなくプリオンというタンパク質と見られている。これは熱・薬品に強く、ホルマリン漬けの脳標本でもネズミに食べさせれば発病する。料理の熱程度ではだめだ。医師など専門家は、タンパク変性剤や高温高圧の蒸気殺菌などで消毒している。1996.4.17     《朝日新聞》」


■遺伝子構造に共通性
「狂牛病の病原体とされる「プリオン」と、人間のクロツフェルト・ヤコブ病を引き起こすプリオンとが、遺伝的によく似た構造を持つことを英オックスフォード大学の研究グループが発見した。人間とウシの間には遺伝的な「種の壁」があり、病気の感染は起きにくいとされるが、この研究成果は狂牛病が種の壁を乗り越えて人間に感染し得ることを証明する有力な手掛かりになりそうだ。
 この発見はオッックスフォード大学のデビット・クラッカワー博士らによるもので、25日発売の英科学雑誌「ネイチャー」に公表する。
同博士らはウシと人間の双方について、病原プリオンの設計図といえる遺伝子をとらえ、両者の間に極めてよく似た構造があるのを突き止めた。このような類似構造が生じるのは、遺伝子が10000回突然変異を繰り返しても1回あるかないかという珍しさだと言う。
羊にも狂牛病とよく似た「スクレイピー」という病気があるが、羊の病原体遺伝子と人間の場合とは違いかなりの差があることが分かった。研究グループはスクレイピーは数百年前から見つかっているのに、人間への感染例が無い理由も、遺伝子構造の違いで説明出来る。 1996.4.25《日本経済新聞》」
   

■原因物質の構造解明
「狂牛病の原因物質とされるタンパク質「プリオン」の分子の3次元構造を、スイスのチューリッヒ連邦工科大学(ETH)の研究グループが解明したことが10日明らかになった。
狂牛病は、人間を含む生物がもともと体内に持っているプリオンのねじれ構造が、何らかの理由で異常を起こし、それが次々に他のプリオンに波及する事によって引き起こされると言われている。
プリオンが250数個のアミノ酸で出来ている事は既に解明されているが、どのようなねじれ方にかっているか分かっていなかった。今回解明されたのは、正常なプリオンのねじれ構造。異常プリオンについての分析は今後の課題とされる。1996.7.11《日本経済新聞》」

 

■ブタ・ニワトリも感染?
「英国の農業を揺るがした狂牛病(牛海綿状脳症)の感染が、ブタやニワトリなど他の家畜の間にも蔓延している可能性を指摘した研究結果が28日報告され、英国内に大きな懸念が広がっている。英政府は狂牛病に感染したと見られる国産牛の処理を1998年末までに終えたとしてきたが、新たな検査・防疫体制の検討を迫られそうだ。
報告したのは、ロンドン・聖メアリー病院のジョン・コリンジ博士の研究チーム。
<1>狂牛病は異なった種類の動物間でも肉食を通じて容易に感染する。
<2>感染しても発症せず、正常に見えるケースも多い
とし、「狂牛病で異種間の感染は起きにくい」「脳障害を起こして異常な行動をする牛の肉さえ食べなければ安全」といった“安全神話”を突き崩した。
英政府は98年末までに、40億ポンド(約8000億円)を投じ、狂牛病に感染した疑いのある260万頭の牛を解体したほか、英国産牛に出生証明を義務づけるなどの防疫体制を導入した。
しかし今回、すべての牛や他の家畜にも疑いの目を広げる必要が指摘されたことで、フランスをはじめ欧州域内で英国産の食肉一般に対する不安がさらに高まるのは必至だ。」
★厚生労働省医薬局長「医薬発第1069号」平成13年10月2日
「ウシ等由来物を原料として製造される医薬品、医療用具等の品質及び安全性確保の強化について」
「ウシ及びその他類縁反芻動物(以下「ウシ等」という)由来物を原料として製造される医薬品、医療用具、医薬部外品及び化粧品(以下「医薬品、医療用具等」という)については、欧州におけるウシ伝達性海綿状脳症(BSE)の発生動向を踏まえ、ウシ等に由来する原料(以下「ウシ等由来物」という)を用いて製造される医薬品、医療用具等に関し、平成12年12月12日付け医薬発第1226号厚生省医薬安全局長通知及び平成13年4月24日付け医薬発第438号厚生労働省医薬安全局長通知、平成13年9月19日医薬発令第997号医薬局長通知をもって、製造業者、輸入販売業者及び外国製造承認取得者の国内管理人(以下「製造業者等」という)において品質及び安全性確保対策を講ずるよう通知したところである。今般、国内でのBSE感染牛の発生が確定したことを踏まえ、ウシ等由来原料を使用する医薬品、医療用具等に対する一層の安全対策を強化するための予防的な措置として、これらの商人の取扱いについて次の通りする。なお、平成13年9月19日付け医薬発第997号医薬安全局長通知を廃止する。

1.局長通知の記の2に該当するウシ等由来原料を含む医薬品、医薬部外品、化粧品及び

 

■BSEに強いウシ開発
「飼育されているときからBSEの病状が出ていた初めてのケースだったかも知れない」・・・・
国内5頭目のBSE牛について、9月下旬に開かれた厚生労働省の専門家研究班の会合で委員から指摘があった。
8月に神奈川県伊勢原市の酪農家から見つかったBSE牛は立ち上がる事は出来なくなり、熱射病と股関節脱臼と診断された。だが解剖してみると、脱臼した痕跡はない。一般にBSEに感染した牛が発症すると神経症状を起こし、普通のように立っていられなくなると言われているため「実は発症していたのではないか?」という推測につながった。
これまで国内でBSEが確認出来たのは外見は健康で食肉用に処理された牛ばかりだった。BSE病原体といわれる異常プリオンが「どのくらいの量、体内のどこに蓄積すれば発症するのかなど発症メカニズムの解明の手がかりとなる」(東京大学の小野寺節教授)からだ。
プリオン研究はネズミなどを使って実験室で実施する段階から、農場で家畜を使って実験する段階へと進みつつある。10月1日には、農水省酸化の動物衛生研究所(つくば市)内に、日本で初めてプリオン研究を本格的に進める専門研究機関「プリオン病研究センター」が設立される。
新センターは国内で初めて数十頭の牛を無菌状態で飼育できる大規模隔離施設を持つ。異常プリオンをエサに混ぜたり、牛に注射するなど人工的に感染牛を造り、発症までの症状や体の組織変化などを観察・分析する。
研究者は当初4チーム17人。同様な施設をすでに持つ英国やスイスとの共同研究も進める予定。センター長に就任した品川森一・前帯広畜産大学教授は「BSEの発症メカニズムや感染源の解明には人為的に感染した牛を作る以外に方法はない」と、強調する。
新センターで開発が期待される技術の1つが生きたままの牛の感染検査だ。そのヒントとなる有望技術を昨年、イスラエルの研究グループが発表した。人間のプリオン病であるクロイツフェルト・ヤコブ病患者の尿に含まれる異常プリオン関連物質を検出、感染の有無を診断する方法だ。
この手法はBSEの検査にも使えると見られており、英国では牛の尿で検証が始まった。「牧場にいる牛の診断に使えれば、食肉処理場で感染牛がイツ飼っても同居牛を無差別に殺す必要が無くなる」(小野寺教授)
九州大学や福岡大学のグループはイスラエルのグループと同様、ヤコブ病患者の尿を使った診断法の開発を始めている。古川ひさ子・福岡大助手は「現状では尿から検出できるプリオンタンパク質が正常なのか?異常なのか?判定が難しい」と語る。
もう1つ日本独自の大規模研究として注目を集めているのが今年から始まったBSEに罹りにくい牛を見つけるプロジェクトだ。
国立精神・神経センターの金子清俊部長らが注目しているのは、人やヒツジにはプリオン病にかかりにくいプリオンタンパク質のアミノ酸配列が存在すること。牛にもそうした配列が存在しないかどうか、国内の牛の血液を調べている。2002.10.1《日経産業新聞》

 

■酵素で分解
「BSE(牛海綿状脳症、狂牛病)の原因となり、無害化処理が難しいタンパク質「異常プリオン」を分解する酵素を、鹿児島大の研究班「BSE対策プロジェクト」が発見した。
2002年11月に農業技術研究機構動物衛生研究所(茨城県つくば市)と明治製菓の研究グループが発見した酵素に続き国内2例目だが、さらに強い分解力を持っている。
岡達三・鹿児島大農学部教授(獣医学)は「130℃以上の高温など特殊な処理が必要だった食肉処理場の器具消毒や、肉骨粉の無害化に役立つ」と話している。
岡教授によると、抗生物質を作り出すことで知られる放線菌の一種が生産する酵素の溶液を、ヒツジと人間の異常プリオンに混ぜて37摂氏で30分間おくと、異常プリオンが検出されなくなった。動物衛生研究所が納豆菌の一種から発見した酵素は約40℃で1時間かかっていた。
プロジェクトは一昨年の10月、鹿児島大の5学部の研究者が始めた。酵素の発見には毛利資朗九州大大学院教授(実験動物学)と東京の微生物研究所が協力した。2003.3.16《日本経済新聞》

 

■カナダで
「カナダでBSEに感染した牛が見つかった問題で、カナダ政府の検査機関は7/3、「牛は5年前にアメリカから輸入された可能性がある」とする最終報告書を発表した。米農務省は取材に対し「根拠がない」と否定した。
カナダ食品調査局の報告書では、1998年の米国から妊娠中の牛25000頭が輸入されたが、その際に紛れ込んだ可能性があるという。カナダは19997年、BSE感染防止のため死亡した牛の部位をエサに使うことを禁じたが、
①輸入した牛はそれ以前に生まれている。
②輸入牛の7~8割はBSE感染牛と同じ黒毛のアンガス種 などを根拠にしている。
カナダのBSE感染牛は5月に牧畜が盛んなアルバー他州で発見された。その後の調査ではカナダ国内にほかの感染牛は見つからず、原因究明が行き詰まっていた。
カナダは日本などに対しカナダ産牛肉の早期の輸入解禁を求めているが、日本は慎重な姿勢を崩していない。亀井農相が来週カナダを訪問し、この問題を協議する予定。」2003.7.4《日本経済新聞》
   

■8頭目
「BSEの全頭検査で、茨城県の食肉処理場で2003年9/29に解体した肉牛がBSEに感染している疑いが判明。確認検査で陽性となったが、生後1歳11ヶ月と若く厚生労働省は「世界的にみてもこの年齢で発症が確認されたケースは無い」としている。同省は10/6に専門家会議を招集、確定診断する。
感染が確認されれば8頭目に当たる。BSEは潜伏期間が2~8年とされ、生後間もない時期に感染しても病原体のタンパク質「異常プリオン」が蓄積し、発症するのは2歳以上とされていた。農水省の検討チームは9/30、国内で見つかった7頭の感染牛の感染源などを分析、今後の3年間で感染牛は国内で30数頭発生すると予測。ただ異常プリオンが蓄積する前の生後30ヶ月未満に出荷される肉用牛は発見されにくく、検査で発見できる感染牛は15~20頭としていた。」2003.10.6《日本経済新聞》
 厚生労働省はこの肉牛(去勢牛)を「非定型BSE」を確定判断した。
   

■イタリアで新型BSE発見
「新型と見られる国内8例目のBSE感染牛と、病原体の異常プリオンの構造がよく似ている感染牛がイタリアで2頭見つかっていた。2003年ドイツで開かれた国際プリオン病会議でイタリアの研究者が発表していた。」2003.10.13《日本経済新聞》

■フランスで新型BSE
「異常プリオンが従来のタイプと異なるBSE感染牛がフランスで見つかっていたことが2003年1-・12明らかになった。日本やイタリアで最近発見された新型BSEの異常プリオンとも異なる構造を持つという。このほどドイツで開かれた国際プリオン病会議でフランスの研究者が発表した。同会議に出席した東京大学の小野寺節教授によると、新しいタイプの異常プリオンは2頭から検出。一般的なBSE検査法で調べたところ、立体構造が従来のBSEとはわずかに異なっていることが判明。日本の例と同様に、プリオンタンパク質の遺伝子に特別な変異は見あたらなかった。2003.10.22《日本経済新聞》

■異常プリオンの仕組み解明
「米カリフォルニア大学の研究者らはBSEの原因物質「異常プリオン」が増加する仕組みの一部を解明した。人工的に合成したプリオンを利用して異常プリオンが増える様子を詳しく調べたところ、補助物質によって正常なタンパク質が集まり、塊になることがわかった。
研究者らはプリンに多い『ペプチド反復』という構造に着目して人工プリオンを合成した。細胞中に異常プリオンがあると、細胞中にある分子がププチド反復を標的にして異常プリオンのまわりに人工プリオンを集めてきた。正常プリオンは異常プリオンに付着することで異常プリオンに変化することが分かっている。」2004.4.7《日経産業新聞》

■人為的発症実験
「2006年1/18、北海道立畜産試験場は、牛にBSEを人為的に発症させることに成功したと発表。
2004年2月以降、ホルスタインのメスの子牛14頭を対照に実験。異常プリオンを脳に0.1gずつ接種した。そのうち、3頭から首を振る・音に敏感に反応する・歩幅が定まらないなどの症状が2005年秋から出始めた。茨城県つくば市の動物衛生研究所で診断したところ、異常プリオンが検出された。」

■BSE対策ずさん
「2006年1/31、民主党の議員団が米カンザス州の大手食肉加工施設であるタイソン・フーズの視察で、処理中のウシの脊髄が周囲の肉に飛び散り、洗浄も不十分だったと指摘。特定危険部位(SRM)の除去がずさんと批判」

■医薬品
「医薬品19品目にアメリカ産牛の内臓や骨を原料としていることを、2006年2/1、川崎二郎厚生労働相が参院予算委員会で明らかにした。」

■PMCA
(Protein Misfolding Cyclic Amplification)
プリオンを試験管の中で短期間に何百万倍にも増殖させる技術。血液や尿なども検体でも利用できる。そのため、げんざいは死後に解剖してはじめて左右的判断ができるのが、生きたまま判定できる様になる。
PMCAはDNA診断などの大にDNAを増やす技術を応用したもので、2001年にソト・テキサス大学教授らがハムスターで成功した。
動物衛生研究所の実験では、プリオンを注射してから症状が出始める100日前後よりはやく、75日前後で血中の白血球から検出。尿からも感染直後と末期から検出できた。
その後、動物衛生研がマウスへ応用したが、ウシやヒトでは成功していない。

■プリオン
「プリオンは正常なタンパク質を分解する酵素では分解されにくく水にも溶けにくい。これが脳に沈着して神経組織を破壊するために病気になると考えられている。
体内のある正常なタンパク質が、将棋倒しのように次々に異常な立体構造を持つように変化するのがプリオン病。
しかし、異常な構造を保ちながらも酵素に分解されやすく水にも溶けるタイプのプリオンが存在することが分かってきた。」




狂犬病
■発症したら100%死亡
「ワクチンを打つことが大切。恐水病とも言われ、水を恐れる。イヌだけでなくネコ・マングーズ・アライグマなどからも感染する。
最後の日本人患者は、海外でネコに噛まれたのが原因だった。噛まれても、すぐにワクチンを打てば助かる。」




狂鹿病
■1500頭処分
「ヨーロッパで狂牛病パニックが深刻な問題になっているが、カナダ中部のサスカチワン州では、食肉用などに飼育されているヘラジカが狂牛病と同じタイプの病気にかかっている危険性があるとして、約1500頭がカナダ政府の命令で処分されていたことが分かった。
この病気は狂牛病と同様に、プリオンというタンパク質の異常が原因で起き、ヘラジカや鹿に感染することから“狂鹿病”とも呼ばれている。半年前に14頭がこの病気にかかっていたことが分かり、感染の疑いのあるヘラジカが殺された。
異常なプリオンによる病気はもともと羊に見られ。狂牛病は、羊の骨や肉を牛の飼料に混ぜたために起きたと言われているが、今回の感染経路は不明という。
ヘラジカはカナダの牧場で約54000頭が飼育されている。また、角を紛状にしたものが健康食品や薬用としてアジアなどで使われている。
カナダでは以前にも、動物園の鹿がこの病気にかかったことがあるが。野生のヘラジカや鹿では見つかっていない。」


期外収縮
⇒ある心拍が起こるべき時よりも早期に起こったもの。早期収縮ともいう。 
◎神経質な人に多い。
◎症状:心臓部にドキンとする感じ。
    空回りする感じ
    心臓の止まるような感じ

【漢方薬】(期外収縮)
■括楼薤白半夏湯
■桂枝加竜骨牡蠣湯
■炙甘草湯  
■小建中湯
■当帰芍薬散
■苓桂朮甘湯---・(水分代謝が悪くて起こる)




飢餓感

【漢方薬】

■甘麦大棗湯---・(飢餓感が強い)
 




寄生虫肝疾患
■病態・・・肝における寄生虫疾患
■検査
白血球分画・・・好酸球増加(急性期)
肝胆道系酵素・・・異常
日本住血吸虫症
肝蛭症
肝吸虫症
腹部超音波
免疫学的検査
便虫卵検査
肝生検




起座呼吸
⇒横になって足をのばすと、咳が出て呼吸が苦しいので、頭を壁や物にもたれかけて座っている状態。
座っていると呼吸が楽になる。

◎どんな時起きるか?
*気管支喘息
*うっ血性心不全

【漢方薬】
■神秘湯
■木防已湯




起立障害
◎分類:
<1>ミオパシー
① 腰椎の前弯(lumber lordosis)が目立つ。
②徐々に胸椎を含め脊柱全体が反り身になる。
③さらに、両足を広げて安定をとるようになる。
④膝に手をそえて体全体を支え挙げないと起立が困難になる。
⑤(Gowers徴候:陽性)

<2>小脳失調症
①安定したときの両足の間隔と症状の程度が一致する。
②両上肢は外転位をとる            

③(Romberg徴候:陰性)

<3> 末梢神経障害
①膝・踵関節の固定が不十分になり起立不能(下肢遠位筋が麻痺)
②両足の間隔を広げて起立する。(深部知覚神経障害・脊髄癆)
③(Romberg徴候:陽性)

<4>Parkinson病
①前屈姿勢
②突進現象(pulsion)

<5>脳血管障害による片麻痺:



起立性調節障害
⇒起立性めまい

◎「小児起立性調節障害」
-----病気による不登校----薬で治す。
「体調不良で学校へ行けない子供を、親や養護教諭が登校拒否だと思い悩んでいることが多い」と日本大名誉教授の大国真彦さん(小児科)が指摘している。

『小児起立性調節障害』は立ちくらみやめまいを起こしやすい、朝起きられず、朝食は食べたくなく午前中調子が悪い、頭痛・腹痛が多いなどの症状を訴える。
小学校高学年以上の3~4%がこうした体質で、其の一部が遅刻を重ねてだんだん登校しなくなる場合がある。
「いじめなど他の原因の登校拒否と違い、治療すれば80%は治る。不登校がひどくなる春先までにぜひ小児科医に相談を」と大国さん。
<1>朝、寝床で昇圧剤を、
<2>昼食前に[半夏白朮天麻湯]などを飲ませる。
週2~3日登校出来る子供なら1ヶ月前後で劇的に治るという。
  

【漢方薬】(起立性調節障害)
■真武湯
■沢瀉湯
■苓桂朮甘湯・(小便不利、めまい、)


起立性低血圧
(参照→立ちくらみ)
⇒急に立ち上がったり、長時間立ち続けていると、立ちくらみ・めまいなどの低血圧症状を訴えるもの。    
◎チェックしましょう:Shy-Drager症候群





喜笑
=「笑いが止まらない」
  

【漢方薬】(喜笑)
■黄蓍建中湯
■黄連解毒湯
■甘麦大棗湯



基礎体温が低い

【漢方薬】
■四物湯
■柴胡桂枝乾姜湯
■小陥胸湯
■十全大補湯
■真武湯
■当帰四逆加呉茱萸生姜湯
■当帰芍薬加附子湯   
■当帰芍薬散-




偽性副甲状腺機能低下症
=副甲状腺ホルモン(PTH)分泌は保たれているが、標的臓器のPTHに対する不応性により、低Ca血症、高P血症などの副甲状腺機能低下状態を呈する疾患の総称。
約半数にalbright's hereditary costeodystrophyと呼ばれる
*中手骨・中足骨の短縮、
*皮下骨腫、
*低身長、
*円形顔貌などの身体的特徴が認められる。
◎種類:Ⅰ型とⅡ型がある。


偽性偽性副甲状腺機能低下症
=副甲状腺機能が正常で、
以下のalbright's osteodystrophyの身体的特徴を呈する病態。
*中手骨・中足骨の短縮、
*皮下石灰化・骨化
*低身長、
*肥満
*円形顔貌などの身体的特徴が認められる。
  


喫煙
⇒喫煙という病気。
◎呼吸器ガンの目安
「ブリンクマン指数」

=タバコの本数(日)×年数
400以上=肺ガン・喉頭ガンの発生率が急変する。

 

■ニコチン少なくても
「最近、ニコチンやタールの含有量が少ないタバコを吸う人が増えている。「軽いから体にも安心」と思っている人が多いかも知れない。しかし、厚生省地域保健・健康増進栄養課の望月友美子専門官は「それは大きな間違い」と指摘する。軽いタバコでも、体がニコチンを欲して無意識に深く吸い込むことを“学習”するため、より多くニコチンが発生し、かつ吸収されやすくなることが分かっている。本数も増えがちになる。
煙の中の有害物質はニコチン以外にも200種類以上有り、その中には発ガン性のあるダイオキシンも含まれる。
喫煙で脂肪・罹患の危険性を高める事が分かっている病気としては、[肺ガン]が一番有名だ。それ以外にも[喉頭ガン]など他の様々なガンや[虚血性心疾患][脳血管障害][気管支喘息][不妊]など、挙げるときりがない。
これだけ健康に悪いことが分かっていても止められない人が多いのは、ニコチンには、コカインやモルヒネと同様の、強い依存性があるからだ。望月専門官は「特に若い人にこのことを知って欲しい」と強調する。
 
アルコールほどではないが、タバコも薬の効き目に影響する。ニコチン・一酸化炭素・タールなど多くの有害物質を日常的に取り込んでいる者は、以下の薬物の効果が落ちる。
(1)抗喘息剤(テオフィリン)
(2)狭心症治療薬
(3)血圧降下剤(β遮断剤・カルシウム拮抗剤)
(4)非ステロイド系抗炎症剤
(5)胃潰瘍薬(シメチジン)
(6)抗不安薬
(7)精神安定剤


  

亀胸亀背
=「亀胸」=俗に鳩胸と称し、胸骨突起する者。

【漢方薬】
■一物瓜蒂湯
■牛車腎気丸
■小陥胸湯    
■走馬湯
■大陥胸湯
■大陥胸丸
■大柴胡湯



亀頭炎

【漢方薬】
■土瓜根散




吃音(きつおん)
=どもり
■ほとんどが一過性
「ある相談機関で非常勤のカウンセラーをやっているかっての教え子から電話があった。「先生、大変!」。
自分の子供が吃音になってしまったというものであった。そこには日頃の冷静な彼女の姿はなく、とても慌てている様子だった。話を聞くと、3歳の長男が急に「あ、あ、あ、あのね」と最初の音が出なくて、スムーズに話が出来なくなったという。
「あなたがそういう相談を受けたらお母さんに何ていうの」と聞くと、「そおっとして様子をみましょうと言うと思いますが」という。「それでいいじゃないですか」という私の答えにはすぐには納得しないようだった。他人には冷静に、正しく対応できるのに我が子のことになると冷静さを失うことは父母や私どもにもよくあることである。
話すべきことが多くあるのにまだ流ちょうに話が出来ない。3歳前後には大なり小なり言葉がうまく出ないことがある。これは子供には意識されることはなく、一時的吃音とか生理的吃音を呼ばれている。ほとんどはいつの間にか消える一過性のものである。

この吃音が起きたときに一番大切なことは、
「ゆっくり話してごらん」と注意したり、
「ちゃんと話せるから大丈夫だよ」と励ましたりしないことである。
スムーズに言葉が出た時に「上手に話せたんじゃない」などと誉めるのも良くない。
吃音や話すことに子供の注意を向けさせ、緊張させるからである。そういうことをすると、ますます症状が重くなり長引くことにもなる。せいぜい最初の音が出ないときに、軽く「あ」と言い添えてやるくらいでいい。
そういうことに気を付ければ、ほとんどはウソのようにスムーズに話すようになる。が、
①半年以上も続いたり、
②頻繁になったり、
③体をひねり話すなど症状が重くなったら専門家(スピーチ・セラピスト)に相談すべきである。
吃音自体が悪いというのではない。ギリシャの雄弁家デモステネスは少年時代に吃音だったが、それを克服しようとして雄弁家になったし、吃音に負けじと演説上手な政治家になった人もいる。アドラーのいう補償作用のい成功した好例だが、吃音で苦しんでいる人も少なくない。初期の段階で対応を誤らずに、ゆとりを持って、暖かく楽しい会話が出来る雰囲気をつくることが大切である」(杉原一昭・筑波大学教授)1999.11.12《日本経済新聞》

■確立された治療法なし
「吃音は、たとえば「たまご」という言葉を発音するときに、「たたたたまご」と音を繰り返したり、「たぁーまご」と音を引き延ばしたり、「----たまご」と最初の言葉に詰まったりする、いわゆる<どもる>症状を言う。
発音しにくい言葉は「た行」や「さ行」など人それぞれ異なる。
大半の吃音は、3、4歳頃までに発生するが、小学校に入る頃までに半数以上が自然に治るとされる。
●親は治す努力やめて
親が子供の吃音を治そうとすればするほど、子供はそれを敏感に感じ取り「吃音はいけないこと。治さなきゃ」と思う。極端にゆっくり話す練習などで一時的には治ることもあるが、再発することも多い。その結果、子供はますます劣等感や恐れを抱いて悪循環になる。
昭和女子大大学院の内須川洸教授のアドバイスは、
<1>親が症状を取ろうとする努力を捨てること。
<2>「どもってもいいんだよ。言いたいことはどんどんしゃべりなさい」と、子供に吃音へのマイナス意識を抱かせないことだ。
<3>「完全には治らないかもしれませんが、これで悪化しないことが多い。」



吃逆
=シャックリのこと。
⇒声門閉鎖を伴った横隔膜の不随意収縮による吸気性異常音である。
頑固な場合には、

・脳底動脈血栓症

・動脈瘤

・胸部ガン

・頸部ガン

・腹部ガンなどを考える。
⇒主として横隔膜の強直性痙攣によって声門が突然開き、音を発する現象。

【漢方療法】
◎《金匱要略》に“噦して腹満すれば、その前後を視て、何れかの部が利せざるかを知って、之を利すれば即癒ゆ”という条文がある。噦は吃逆のことである。前後は、大小便のことで、大便が出ないか、小便が出ないか、そのどちらかを診断して、そのつまっている方を出してやれば治るという意味である。《大塚敬節》
  

【漢方薬】(シャックリ)
■黄連竹茹湯
■加減小柴胡湯
■加減茯苓半夏湯
■甘草乾姜湯
■甘草湯------(炎症<軽>、ケイレン性)
■乾姜附子湯
■橘皮湯
■橘皮枳実生姜湯
■橘皮竹茹湯
本方や橘皮湯はともに金匱要略に出ている。“吃逆の者は橘皮竹茹湯之を主る”“乾嘔、噦、もし手足厥する者は橘皮湯之を主る”とある。
有持桂里は、本方を推奨して、吃逆であれば、原因の如何を問わず、また脈と腹の様子如何にかかわらず、これを用いて効があるといい、症状の一段と激しいものには橘皮湯を用いるとあるが、このごろの橘皮には苦味の強い上等品が無く、陳皮で代用しているのでは、ほとんど効がない。古方薬品考によれば、橘皮は白膜を去ったものを用いるとあり、白膜とは皮の内側の俗に言う甘肌であり、これを除くと、苦味が強くなる。(漢方診療医典)
■呉茱萸湯---・・(神経性・手術後の)
吃逆といえば柿のへたを思い出すほどに、柿蒂は有名だが、吃逆には、この呉茱萸湯の1日分で治るものが意外に多い。(漢方診療医典)
呉茱萸湯で治る吃逆は、裏寒によるものであるから、手足が冷える、脈は沈遅である。食事をしないのに、腹ことに上腹部が張っている。ガスが溜まっているという感じである。このような症状があって、吃逆が頻発すれば、本方を用いる(漢方診療医典)
■滋陰降火湯
■柿蔕湯
民間では柿蒂だけを煎じてのむ傾向があり、これでも効くが、これに丁香と生姜を加えて用いる。この柿蒂湯は、呉茱萸湯や橘皮竹茹湯を用いても効のないものに用いて効く(漢方診療医典)
■十味小柴胡湯
■小青竜湯---(咳嗽、喘、鼻水、)
■小柴胡湯
■小承気湯
これは便秘があって、吃逆するものを治す処方。金匱要略には“噦して腹満すれば、その前後を視て、何れの部が利せざるかを知って、之を利すれば則ち愈ゆ”という条文があり、また“千金翼の小承気湯は、大便通ぜずして噦し、数々譫語する者を治す”とある。
小承気湯を用いる目標は腹満と便秘で、脈にも力がある場合である。
腹満、便秘があっても、腹水や腹膜炎の場合にくる吃逆には、本方を用いることは無いと考えて良い。小承気湯には厚朴が配剤されていて、この厚朴には、筋肉のケイレンや緊張を治する効があることを思うと興味がある。(漢方診療医典)
■小半夏湯
■小半夏加茯苓湯
■四逆湯
重症の赤痢で吃逆を発する者は、予後が良くない。本方を用いるとよい。
有持桂里は、大病中の吃逆に四逆湯多しと述べている。
加藤謙斎は、産後の吃逆は悪候なり、期門に灸し、四逆加人参湯によろしと述べている(漢方診療医典)
■生姜半夏湯
■生姜瀉心湯
■沈香降気湯
■旋覆代赭湯
■大黄甘草湯
■大柴胡湯
■大承気湯
■治吃逆一方
■調胃承気湯   
腹満は軽微で、便秘している者に用いる(漢方診療医典)
■丁香柿蒂湯-・(胃口虚寒・手足冷・脉沈細)
■麦門冬湯
■半夏瀉心湯(胸元がつかえる、下痢、腹鳴、吐き気)
■茯苓飲------(胃部の膨満感、振水音)
■補中益気湯---・(味なし、口中白沫)

【民間療法】
<1>カキのヘタ。
<2>ゴシュユ。
<3>ナタマメ。
<4>カラスビシャク・クマ・ショウガ・ハス・ハチク・ミカン・ヤマモモ・ヨモギ。
<5>蜂蜜と薄荷とを水に入れて服用する《済世薬室》

【組み合わせ】《螺王人》
<1>[炙甘草湯+苓桂朮甘湯]  



稀少月経

【漢方薬】

■四物湯




稀発月経 opsomenorrhea
=月経過少=過少月経
⇒月経周期が長く45日以上間隔があるのをいう。

【漢方薬】
■月季酒
■四物湯
■桃核承気湯
■防已黄蓍湯
■凌霄花散
■六味丸
 
◎牛膝(子宮収縮・鎮痛作用)
◎肉桂(月経時の冷痛)





機能性胃腸症 (Functional dyspepsia、FD)
【定義】機能性胃腸症(FD)の診断規準(Rome II criteria)

先行する12ヶ月のうち、少なくとも12週以上(連続している必要はない) 持続あるいは再発するdyspepsia症状(上腹部を中心とした腹痛と不快感)が存在し、 その症状を説明しうる器質的疾患を認めず、 排便によって症状が著明に改善したり、便の性状や頻度の変化と関連していないこと( Talley NJ et al. Gut 1999 45 Suppl 2: II37-42 )。

○ 内視鏡でも異常がない?でも調子は悪い…
機能性胃腸症(機能性胃腸障害、機能性ディスペプシア、Functional dyspepsia、FD)とは、例えば胃潰瘍や胃炎といったはっきりと目に見える病気がないのに(これを「器質的疾患がない」といいます)胃もたれ、吐き気、胸やけ、嘔吐などの症状が出る病気のことを言います。1990年ごろからアメリカの消化器病学会で提唱されるようになった比較的新しい概念です。

「NUD(non-ulcer dyspepsia)

=潰瘍のない胃腸障害」とも呼ばれていた時代もあり、以前は「神経性胃炎」「胃弱」「慢性胃炎」なんていわれていた状態のかなりがこれにあてはまるのではないかという話もあります

【症状】
□胃が痛い
□みぞおちのあたりが気持ち悪い
□食欲がない
□嘔吐
□吐き気
□胸やけ
□胃のあたりがはっている気がする
□少し食べるとすぐ満腹になる
□胃もたれ

といった症状です
安倍晋三前首相が入院して知られるようになりました。
ゼリア新薬工業とアステラス製薬が共同で開発する「Z-338」(開発番号)は、世界初の治療薬を目指している。胃の運動に作用する神経物質を分解する酵素の働きを抑え、消化器の運動機能低下を防ぐ。第三層(治験)2008/6/18

■慢性的な胃痛
「胃痛や胃もたれ感を訴えている人を内視鏡などで検査しても炎症や潰瘍・ガンなどの病変が見られない方を、従来は慢性胃炎と呼んでいました。
・胃痛などの症状はあるが、内視鏡などで病変が見られないもので、
・体重の減少や貧血・発熱などが無い
・ヘリコバクター・ピロリ菌が見つからないケースを機能性胃腸症と分類するようになりました。

【分類】
①食べたものがいつまでも胃の中に留まっているように感じる「胃もたれ感」が主症状のタイプ
②胃痛があり胃潰瘍に似た症状のタイプ
③上記のいずれとも違う非特異的タイプ。

【原因】
・ストレス
・胃の運動機能が低下
・内臓の知覚過敏




機能性出血
functional uterine bleeding
=器質的障害がないのに子宮から出血すること。
⇒視床下部~間脳・下垂体~卵巣系の機能失調による不正性器出血。
<1>何日も出血が続き、量は多くなったり少なくなったりします。
<2>ホルモンが乱れやすい思春期や更年期に多くみられる。

【漢方薬】

■当帰芍薬散(貧血、冷え性、疲れやすい、月経不順、神経症状)



偽膜性大腸炎
⇒大腸に起きる重篤な急性壊死性の炎症。

粘膜は壊死・脱落し、黄褐色-黄緑色-灰褐色のジフテリア様の偽膜でおおわれる。
◎突然の激しい下痢とショック。

◎原因:広域スペクトルの抗生物質投与により腸内細菌の変化が起こり、異常に増殖した耐性ブドウ球菌、Clostridiumが原因とされる。

 


客忤(きゃくご)
⇒<1>.小児が突然外からの刺激、たとえば、大きな物音・知らない人・見慣れない物を見て驚き怯え、顔色が青くなり・軽度のケイレン・水穀下痢・涎沫を吐すなど、驚癇のような症状をあらわすもの。
<2>.ガスなどの中毒でおきる急性病。

【漢方薬】

■芍薬甘草湯---・(ケイレンする、疼痛)

 

逆症
⇒房事がすぎて顔がやつれ心熱があって顔色が蒼白になり、大便に瘀血が混じって出る症。
又、鼻血が出て止まらず、脈の大きい症
小便に血が混じって出、肉脱となり脈が少ない症
吐血し胸がつまり、背は突っ張り、脈が弱く早い症。
大小便に血が混じり肉脱となる症も逆症です。

 

逆上感
⇒逆上とは気が下部から上へ昇ることで、のぼせのこと。
⇒逆上には[退熱清気湯][導気枳殻丸]を、
頂点に達したときには[滋陰降火湯便香附子・茯神・沈香]

【漢方薬】
■加味逍遥散---・(午後から)
■桂枝加竜骨牡蠣湯
■桂枝湯
■三黄瀉心湯
■退熱清気湯---・(逆上を治す)
■導気枳殻丸---・(逆上が高まり心胸に充満して疼痛を覚える症状)
■麦門冬湯



瘧疾(ぎゃくしつ)
=瘧(ぎゃく)おこり
=漢方の病名。俗に「オコリ」という、間歇熱のこと。
⇒間歇性の高熱・出汗・戦慄悪寒が特徴。ex.マラリア・腎盂炎など。

●気が虚すと昼に発する:

[六君子湯]

[補中益気湯+半夏+黄芩]

●血が虚すと夜に発する:

[麻黄黄芩湯]

[柴胡芎帰湯]

[柴胡四物湯]

[桃核承気湯]

◎主薬:
*瘧疾新なる者は宜しく截るべし、常山を主薬とすべし《万病回春》
*瘧疾久しき者は補うべし、白豆蔲を主薬とすべし《万病回春》

 

【漢方薬】(瘧疾)
■一補一発丹-(永い瘧疾による内傷に外感を呼び、ときどき発する瘧)
■烏頭七棗湯---・(労瘧・寒瘧)
■温白元
■黄甲丸------(瘧母が塊に)
■痎瘧飲《寿世保元》
■加減柴胡湯《寿世保元》
■加減十全大補湯《済世全書》
■加減清脾湯---・(すべての瘧)
■加味逍遥散《医貫》
■加味補中益気湯《寿世保元》
■果附湯-(脾寒の瘧疾、顔色青く寒くてふるえる)
■観音元--(瘴瘧)
■鬼哭丹---(痎瘧)
■芎帰鼈甲散《医学入門》
■羗活蒼朮湯-(感冒・嵐瘧で、寒熱瘧)
■駆邪湯------(すべての瘧・久瘧)
■九味清脾湯《厳氏済生方》
■経効瘧丹--(瘧母が癖を作って寒熱が止まらない)
■桂枝黄芩湯(寒熱がひどい、太陽・少陽・陽明の合病))
■桂枝羗活湯---・(太陽瘧で、自汗し頭項が痛む)
■桂枝芍薬湯---・(瘧の寒熱症)
■桂枝石膏湯---・(太陽と陽明の合病で、熱多く、寒少ない)
■交解散------(寒瘧)
■香薷湯《医方考》
■五積散生姜・葱白《寿世保元》
■五労元------(労瘧・瘴瘧)
■載瘧飲《医宗必読》
■載瘧飲子---・・(瘧が治らない)
■載瘧常山飲---・(瘧を載つ)
■載瘧如神散《済世全書》
■載瘧七宝飲---・(瘧を載つ)
■柴葛二朮湯《古今方彙》
■柴胡芎帰湯《万病回春》(夜に発する陰瘧、)
■柴胡桂姜湯---・(邪が半表半裏にあって寒熱往来)
■柴胡桂枝湯---・(少陽病で、寒熱往来する)
■柴胡四物湯---・(三陰の温瘧と、夜に発する症)
■柴胡知母湯---・(熱瘧:瘴瘧)
■柴陳湯------(痰瘧)
■柴平湯《医方考》
■散邪湯《万病回春》(風瘧がはじめて起きた)
■四獣飲------(七情の聚痰と五臓の気虚による瘧)
■四獣飲湯《易簡方》
■四将軍飲---・・(諸瘧が発して人事不省)
■正気湯《万病回春》(風瘧がはじめて起きた)
■十将軍丸---・・(久瘧・瘧母)
■十全大補湯《寿世保元》
■勝金丸------(一切の瘧)
■勝金丹------(すべての瘧)
■小柴胡湯四物湯青皮《医学正伝》
■小柴胡湯知母・石膏・桂枝《寿世保元》
■小柴胡湯柴胡・人参倍加川芎・葛根・陳皮・青皮・蒼朮《医学正伝》
■小清脾湯---・・(胃瘧)
■消癖元------(痎瘧が何年も続いて汗吐下が多く、栄衛を損ない、邪気が肋骨の間に潜伏して、癥瘕になり胸腹が痛む)
■常山飲《和剤局方》(労瘧)
■常山飲子《寿世保元》
■如聖飲《万病回春》
■七棗湯《医方考》
■七宝飲《医学正伝》
■七味清脾湯《三因極一病証方論》
■七味白朮散麦門冬・五味子《薛立斎十六種》
■地竜飲------(瘴瘧で、大熱があり、煩躁する)
■参帰鼈甲飲《万病回春》(老瘧で脇腹に塊、瘧母になった)
■参姜湯《薛立斎十六種》
■辰砂丸------(久瘧)
■神仙碧霞丹---・(一切の瘧)
■清脾飲------(食瘧)
■隻解飲子---・・(瘴瘧・寒瘧に特効)
■草果散------(寒瘧)
■草果平胃散---・(脾が虚し瘧)
■争功散------(熱瘧)
■対金飲子《医学入門》
■太無神朮散《医方考》
■断瘧如聖丸---・(一切の瘧)
■二解湯《医方考》
■人参截瘧飲《万病回春》(虚人の瘧を截ち、一切の瘧を治す)
■人参竹瀝飲《万病回春》
■人参養胃湯《和剤局方》
■白虎桂枝湯
■秘方清脾丸---・(3日に1回or10日に1回起こる)
■不二飲《万病回春》(すべての瘧)
■分利順元散《寿世保元》
■平陳湯------(食瘧)
■辟邪丹------(嵐瘧・鬼瘧)
■鼈甲飲子---・・(老瘧が腹中にあり、癥瘕が出来る)
■鼈甲丸------(痎瘧で瘧母がSる)
■保元截瘧飲《古今方彙》
■補中益気湯附子・乾姜《寿世保元》
■補中益気湯炮姜・附子《薛立斎十六種》
■麻黄黄芩湯---・(夜に発する瘧)
■麻黄桂枝湯《寿世保元》
■麻黄羗活湯《医方考》
■麻黄白朮湯---・(風瘧)
■雄朱丹
■養胃丹------(久瘧)
■竜虎湯------(熱瘧に火が起きて舌が乾き、唇が熱い)
■冷附湯------(瘧疾で痰が一杯で脾胃が弱く、胸膈間に停滞する)
■老瘧飲------(老瘧でになり、脇腹にある)
■老瘧丸------(痎瘧で、腹痛して瘧母になる)
■露薑飲------(痰瘧)
■露薑養胃湯---・(長くなった瘧疾が、35日ごとに発する)
■六和湯------(瘧が治らないとき)

◎常山(瘧に対する主薬)

 

瘧瘡
=瘧より発する癥瘕、又は癥を発して瘧状を呈する者。


脚弱(きゃくじゃく)
=脚気に同じ。

【漢方薬】
■越婢加朮湯
■芍薬甘草湯
■真武湯
■当帰芍薬散 
■八味地黄丸
■苓姜朮甘湯


 

脚ブロック
<1>右脚ブロック:
 右脚における興奮伝導障害によって起こる。
 器質的心疾患でみられる。
 特徴的な心電図を示す。
<2>左脚ブロック:
 心筋虚血、心筋症、心筋線維症などの重症心疾患に合併する。


 

脚攣急(きゃくれんきゅう)

【漢方薬】
■芍薬甘草湯---・(ケイレンする、疼痛)
■小陥胸湯

 

逆流性食道炎
(参照→「食欲不振」「胸やけ」「食道炎」)
=「消化性食道炎」「胃食道逆流症」   
⇒胃液の逆流により生じた食道下端部の発赤、ビラン性変化。
◎食道裂口ヘルニア・切除胃・十二指腸潰瘍などに合併して現れる。

◎症状:
①食後に胸焼けがする。
②重症になると、食道が狭くなって食物が通らなくなったり、「バレット食道」(食道が胃の細胞に類似したものになる)に進み、次いで食道ガンに進む場合もある。
☆セキが止まらない(1ヶ月ぐらい)
☆喘息様のセキがでる
☆背中が痛い(食道は心臓と背骨の間を通っている)
☆心臓の部位が痛む
☆食道と胃の間にある噴門が最初にやられる。(グレードA)
☆胸やけが毎日ある。
☆胸やけ+ノドにつかえる感じ+胃酸が上に上がってくる(バレット食道)

【予防】

①暴飲暴食を止めること、
②早食いを避ける、
③食べてすぐに横にならない

〇ビールと枝豆・・・ビールで胃酸を出し過ぎる。ビールをたくさん飲まない。
温度の変化に粘膜は弱い。少量なら良いが
〇「甘いもの」・・・あんこ・チョコレート(テオブロミンが噴門をゆるめる)
〇「油っこいもの」
〇「熱いもの」人肌より熱すぎるとダメ
〇「アルコール」噴門をゆるめ、胃酸を増やす
〇消化酵素は人肌で働く
〇唾液は弱アルカリ性(胃酸を弱める働きをする)

▼胸やけ(胃酸が出過ぎ)と胃もたれ(胃酸が少ない)は正反対の症状
      
■酒は禁物、食後に横にならないで。
「29歳の女性。1年半ほど前から月に一度ほど、あごから胃の辺りにかけて発作のような激痛が襲います。痛むときは1時間ぐらい動けません。胃液食道に流れ込む逆流性食道炎だと診断されました。ここ2ヶ月は薬で痛みを抑えていますが、あの痛みが再びやってくるかと思うと怖くてたまりません。(東京・M)」
◆そんなに痛いものですか?
「胃液には塩酸が含まれており、強い酸性を示しています。これが中性の食道に逆流するのです。もしも塩酸を飲んだら、と考えてみて下さい。焼けるような痛みが想像出来るでしょう。だから普通は、食道の下の方にある下部食道括約筋が逆流させないようにしています。食べ物が来たときに胃への出口を開け、通過すると閉じるのです。
◆原因は?
「食道裂孔ヘルニアが原因の6~7割を占めています。横隔膜を境に上に食道、下に胃があるのが普通なのに、胃の一部が食道側つまり横隔膜の上にはみ出して、括約筋を働けなくします。残りは、もともと括約筋の弱い人や、胃の手術などで弱まった人たちです。はっきりとした統計はありませんが、逆流性食道炎は増えているようです。症状のない人は患者さんの数倍に上るかもしれません。
◆胃液に触れると、食道はどうなるのですか?
「酸や消化酵素の働きで、食道の粘膜が傷みます。やがて粘膜の上皮が、次に下層がはがれ落ち、潰瘍になってしまう。さらに進行すると、患部の周囲が盛り上がって食道が狭まることもあります。
◆診断法を教えて下さい
「X線検査でバリウムが逆流する様子が見えます。内視鏡の検査も有効です。診断が難しい時には、括約筋の力を調べる食道内圧検査や、胃液の逆流を確認する酸性度検査をします。「狭心症」のせいで歯やあご・食道が痛むことがあるので、高齢者の場合には特に注意して診断しなければなりません。「食道ガン」でも、逆流性食道炎と似た不快感や食べ物の通過障害を感じることがあるため、組織検査が必要な場合もあります。
◆薬で痛みを抑えているそうです
<1>食道の粘膜が傷んでいない軽症なら一般的な制酸剤が効きます。牛乳や水を飲んで胃の酸を薄める応急措置も可能でしょう。
<2>症状が重い人には胃の酸性度を低めるH2受容体拮抗剤を飲んでもらいます。
又、より効き目の強いプロトンポンプ阻害剤も出てきました。酸の分泌を促す酵素(プロトンポンプ)の働きを抑えるのです。
H2受容体拮抗剤とプロトンポンプ阻害は酸を中和するとともに潰瘍を治すので、胃・十二指腸潰瘍に治療にも使います。食道が狭まっている時は風船のような拡張器で広げます。
◆再発しませんか?
「日常生活で心がけて欲しいことがあります。まず、
<1>正しい位置から胃を動かさないように、食後30分ぐらいは横にならないこと。
<2>症状が重い場合は、眠るときにも上半身をいくぶん起こした格好で寝ると良い。
<3>太るとおなかの圧力が上がり、胃の位置も変わりやすいことも忘ないでください。
<4>酒は胃の働きを鈍くするので止めましょう。
        1997.1.26《朝日新聞》

■PPI(プロトンポンプ・インヒビター)が有効
「逆流性食道炎は薬物治療で良くなるが、再発もしやすい。H2ブロッカーの服用を続けても半数以上が再発する。これに対し、PPIを飲み続けると9割は再発しないことが明らかになった。」
スウェーデンのアストラ社が発売:「オメプラゾール」

■食べ過ぎず、腹部圧迫避けて
「75歳の女性。ひどい胸焼けに悩まされ、病院で逆流性食道炎と言われました。飲み薬で症状を抑えていますが、最近、この薬は長期間飲み続けない方がよい、という話を耳にしました。このまま服用を続けてもよいものでしょうか?」
●ひどい胸焼けが、最初の自覚症状だったそうです。
胸やけを訴えて来院される患者さんのうち、逆流性食道炎と診断される人は4割ほどです、内視鏡では食道の中をのぞくと、ただれた部分が見つかり、診断の決め手になります。
●ただれはどうやって出来るのですか?
強い酸性の胃液が、食道内に逆流して、食道の粘膜に炎症を起こします。焼けるような胸の不快感を訴える日尾が多いのですが、一方で、重症なのにほとんど自覚症状が無い人もいます。
●胃液が逆流する原因は?
食道と胃の間には「下部食道括約部」があり、普段は収縮して胃の内容物が逆流するのを防いでいます。逆流性食道炎の場合、逆流が起きる原因の65%がこの括約部の突然のゆるみです。実はこれはゲップ(空気)が出るのと同じメカニズムなんです。食べ過ぎや飲み過ぎで胃が膨張した状態が続くと、空気の代わりに胃液が逆流しやすくなるわけです。
●他にも原因がありますか?
コルセットで腹部を圧迫したり、前かがみの姿勢になったりすると、胃の中の圧力が上昇し、発症の引き金になります。また、下部食道括約部の筋肉の働きそのものが弱いために発症する人もいます。
●治療はどうしますか?
薬を使って胃の中の酸性レベルを低く抑えることが、治療の基本です。手術によって食道と胃の接合部の締まりを良くする方法もありますが、ほとんどの場合は飲み薬で治療しています。
●飲み薬を続けることが出来るか心配されていますが?
おそらく、処方されている薬は、遺産の分泌を抑える働きが強いプロトンポンプ阻害剤でしょう。日本では、副作用の心配から、服用できる期間が制限されています。逆流性食道炎の治療に用いる場合には、連続した服用は8週間までとされています。
●切れ目無く飲み続けることはできないのですか?
プロトンポンプ阻害剤の服用を中止すると、症状が再燃するする事がありますが、現状ではmいったん服用を止め、間隔を置いてから服用することになります。ただし、こうした制約を設けていない国もあります。欧米の治療実績から、長期間投与しても安全であることが分かってきたため、最近は国内の専門家の間でも、極めて重症な患者には長期の投与を認めるべきだ、という意見が多くなって来ています。
●普段の生活では、どんな工夫が必要ですか?
食べ過ぎや炭酸飲料の飲み過ぎ出、胃を膨らませすぎないようにすることが大切です。脂肪分の多い食べものやチョコレート・アルコールなどは、下部食道括約部の機能を低下させる働きがあるので、覚えておいてください。
また、床に落とした物を拾う時のように、急激に前かがみになる動作も、出来るだけ避けます。ほとんどの場合、胃液の逆流は食後3時間以内の集中しています。食べてすぐネルと、胃の中に食物が長時間とどまって、逆流が起きやすくなります。・お酒を飲み、たくさん食べた上ですぐ横になるのは、逆流を起こす条件をわざわざ揃えるようなものですから、気を付けてください。」(岩切勝彦・日本医科大学講師)1999.10.31《朝日新聞》

【漢方薬】(逆流性食道炎)
■安中散
■四逆散
■四逆散+黄連解毒湯(逆流性)
■茯苓飲
■茯苓飲合半夏厚朴湯(吐き気が強い)






瘧母
=長時間の瘧のために起こる脾腫で脇下のシコリを生じるもの。
【漢方薬】
■参帰鼈甲飲《万病回春》

 

九気
⇒<1>膈気
<2>風気
<3>寒気
<4>熱気
<5>憂気
<6>喜気
<7>驚気
<8>怒気
<9>山嵐瘴気=体内に積聚が出来て円盤のようになり、心腹を痛み、症状が悪化すると死んでしまう症状。
      

【漢方薬】

[正気天香湯]

[神仙九気湯]

 


九虫
⇒すべての虫は、みな飲食と調和出来ず、又は魚・野菜・等の食べ過ぎによる。そしてあらゆる奇怪な形象の病症が現れるが、その種類は九種類。
<1>伏虫:長さ4寸。
<2>蛔虫:長さ1尺、心臓を喰らい、殺人する。
<3>白虫:長さ1寸:
<4>肉虫
<5>肺虫:咳き込ませる。
<6>胃虫:嘔吐を催させる。
<7>弱虫or膈虫
<8>赤虫
<9>蟯虫



急驚風(きゅうきょうふう)
=小児のひきつけのこと。 瘂科=小児科。
⇒急に、高熱を発し眼が紅く、昏迷してひきつけ、角弓反張し、両眼は上視し、歯を食いしばり、口から白沫を出し、ゴロゴロと痰声がある症。小児に多い。流行性脳膜炎・脳炎などに当たる。

◎《小児薬証直訣》
「急驚風は内に鬱熱あり、外に風邪をさしはさみ、心家熱を受けて積みて驚す。其の症、牙関緊急壮熱涎潮・鼠視・反張・搐搦・擅動・唇口眉眼・引する也」

【漢方薬】
■温警丸------(急驚の虚症を治す)
■開関散------(驚風で口の開かない症)
■加味敗毒散《万病回春》
■芎活湯
■急驚風一方《済世全書》
■金箔鎮心丸---(驚風を治し、心を鎮める)
■駆風散------(肝風で驚を発する症、胎風症)
■小驚元------(驚風を治す)
■参朮茯苓湯《薛立斎十六種》
■截風丸------(驚風の痰を治す)
■銭氏安神丸---(急驚風と心の熱で驚く)
■大驚元------(驚風を治し、心熱と夜泣きを治す)
■大青膏------(急驚風を治す)
■鎮肝丸------(急驚風の熱を治す)
■鎮驚丸------(急驚風)
■鎮心丸------(急驚風を治し、心を和らげる)
■南極寿星湯《寿世保元》
■寧心膏------(小児の精神を安定させる)
■防風温胆湯---(驚風の痰をなくし、気を和らげる)
■保幼化風丹---(驚風の四症と八候を治し、風痰の驚熱を治す)
■利驚丸------(急驚で熱を出し、顔が赤く、口気が熱し、大小便が赤黄色い症)
■抑肝散《小児薬証直訣》
■六君子湯《寿世保元》
■六君子湯+柴胡+釣藤鈎+木香+当帰《薛立斎十六種》
■六神湯《三因極一病証方論》
■霊神膏-
■凉驚丸------(急驚風を治す)


急性アルコール中毒
■意識の薄れや窒息に注意
「10月のある金曜日、福岡市消防局の救急隊員は急性アルコール中毒患者が出たとの通報で、歓楽街の中州へ向かった。店に一歩踏み入れたとたん、「救急隊員3名様ご到着」という威勢の良い店員のかけ声。座敷に案内されると拍手で迎えられ、搬送の時は「記念に」と写真を撮られる始末だった。
患者は20代の女性。上座に仰向けに寝かされていたが、顔は青白く、脈拍は速く、呼びかけにも反応しないほどだった。
「救急隊が到着したときに、周りが平気で盛り上がっているというのは、珍しくないんです」と、同消防局西消防署救急隊の星川英一さん。
逆に、重症でもないのに呼ばれる例も目立つ。去年、急性アルコール中毒で搬送された福岡市全体で700人。これに対して、救急出動はしたものの緊急度が低いとして運ばれなかった人も715人いた。
福岡大救急救命センターの岡本育医師は、粗暴になるなど、酔い方が普段と明らかに違うときは、何らかの保護が必要だとしたうえで、緊急度の高い場合をいくつか挙げる。
酔った人はイスから落ちたり転んだりしがちだが、このとき頭を強く打っても周囲が気づかないことがある。「転んだ後の方が意識が薄れて見えるときは、要注意です」
忘年会シーズン、道で寝てしまうのも怖い。寒さへの反応が鈍くなっているため目が覚めず、体温がどんどん下がる。寝ている人を見かけたら声をかけ、意識がなければすぐに救急車を呼ぶべきだという。
もう一つ、吐いた物が喉に詰まると、窒息死の危険が高い。酔った人を寝かせるときは横向きに、仰向けは厳禁だ。
「運び込まれるケースの多くが、この3つです。ほかに、ひどい泥酔だと呼吸が浅くなり、命に関わることもありますが」と岡本さん。
星川さんたち救急隊員は脈拍や瞳孔などを確認して、緊急で無いと判断すると、周りに介抱を頼んで現場を去る。酔っぱらいを置いて行かれて、迷惑そうな顔をする人も多い。「お酒を飲むときは、最後まできちんと面倒をみてくれる仲間と一緒に。なにより、ほどほどを守ることですね」199812.13《朝日新聞》



急性胃炎 acute gastritis
⇒急性胃カタル

【漢方薬】
■黄連湯
胃痛、胃部の圧重感、食欲不振、悪心、嘔吐を訴え、舌に厚い白苔を生じ、口臭のある者に用いる、腹診するに、腹部全体が緊張し、特に上腹部に抵抗が強くて、この部に圧痛があるものを目標とする(漢方診療医典)
■呉茱萸湯
■生姜瀉心湯
半夏瀉心湯証に似ていて、食べたもんおの臭気をおびた噫気の出るものを目標とする(漢方診療医典)
■大柴胡湯
平素頑丈な人が、暴飲暴食、アルコールの過飲などによって、悪心、嘔吐、腹痛を起こし、胸脇苦満、上腹部の膨満、便秘を訴えるものに用いる。舌には乾燥した、褐色の苔をつくることが多い(漢方診療医典)
■当帰湯
■半夏瀉心湯
黄連湯の証に似て、胃痛がないか、または軽微で悪心、嘔吐、食欲不振、下痢があり、腹中雷鳴、心下痞硬を目標にして用いる。だから、本方は胃炎に腸炎をかねたものによい(漢方診療医典)
■備急円
■不換金正気散
平素から胃腸が弱くて、食あたりを起こしやすい人が、過食したり、不消化物をたべたために、胃部の不快感、悪心、嘔吐を訴えるものに用いる。心下部には抵抗が少なく、膨満の傾向のあるものを目標とする(漢方診療医典)
■平胃散
軽症のものに用いる。食物が胃に停滞し、食欲がなく、腹がはり、食後に腹が鳴って下痢するものによい。(漢方診療医典)


急性胃腸炎

【漢方薬】

■茵蔯五苓散
■黄連解毒湯
■黄連湯
■桂枝加葛根湯   
■五苓散
■柴陥湯
■柴苓湯
■小半夏加茯苓湯
■大柴胡湯
■調胃承気湯
■人参湯


急性化膿性リンパ節炎 
⇒リンパ節腫張のなかで最も頻度が高い。
◎症状:発熱
    白血球数増加
    CRP陽性
◎抗生物質によく反応し、予後が良好。


急性肝炎
⇒急性肝炎には、
<1>A型肝炎(経口感染)、
<2>B型肝炎(非経口感染)、
<3>C型肝炎(非経口感染)、
<4>D型肝炎(非経口感染)、
<5>E型肝炎(経口感染)、
<6>アルコール性肝炎がある。

◎安静が一番。
安静とは、静かにしてバタバタ動き回らないことではありません。
安静とは、食後すぐにベッドに横になって手足を伸ばし、リラックスすることです。イスに座って足を投げだしてテレビを見ることではありません。

【漢方薬】
■茵蔯蒿湯
■茵蔯五苓散
■黄連解毒湯
■柴胡桂枝湯
■大柴胡湯
■防風通聖散


急性間欠性ポルフィリア
⇒ポルフィリン代謝異常症の1つ。常染色体性優性遺伝。
薬剤で誘発される。
◎症状:
腹部症状
神経症状
循環器症状
光線過敏症なし。



急性冠症候群(ACS)
○心臓の筋肉に酸素や栄養を送り込む冠動脈に血栓ができて血液の流れが悪くなり、急性心筋梗塞や不安定狭心症などの疾患を引き起こす。脂質が溜まって血管が狭くなったり、硬化したりすると発症リスクが高まる。薬剤投与とステントを使う治療法がある。

■治療薬
「エーザイは治療薬「E3555(開発番号)」を2010年をメドに第三相治験に着手する。E3555は血液を凝固させる働きがある「トロンビン」に作用し、固まりにくくする。血管の平価句菌の増殖を抑え、血管内部が細くなることも防ぐ。2008/7/25
 



急性感染症
=急性伝染病
◎現在は再び、感染症の時代に入りました。従来の抗生物質では手も足も出ない感染症が増えてきます。
◎感染源を体内からいかに早く排泄できるかが、治療効果の正否を決めます。
◎出血を止める。

【漢方薬】
■黄連解毒湯
■四逆散


急性気管支炎
    (参照→肺疾患)
◎症状:
・咳
・胸痛
・上気道炎を伴うことが多い。
・ときに軽い発熱。
・痰:少量、粘液性。のちに粘膿性で多量となる。

◎検査:
打診:多くは陰性
聴診:乾性ラ音。後に中・大水泡音。
   肺組織に及ぶと有響性ラ音。




急性上気道炎

【漢方薬】

■小青竜湯---(咳嗽、喘、鼻水、)



急性腎炎
■咽頭炎招く
「G君は小学校3年生。咽頭痛と発熱があり、その3週間後に急にむくみが出て、尿量が減り体重も増えたため来院した。こうした症状の場合、大抵は急性腎炎である。
急性腎炎は、溶血性連鎖球菌という病原性の強い菌が原因で生じ、感染後しばらくして起こる抗体産生が引き金となって、腎炎を発症する。
溶血性連鎖球菌は他に「猩紅熱」や「リウマチ熱」の原因ともなり、小児科領域では最も恐れられていた細菌の1つだ。幸いにもこの菌にはペニシリンが効くので、これらの疾患は近年めっきり減少した。日本では感染症に対して比較的安易に抗生物質の投与が行われ、医療費の高騰や耐性菌の出現などの弊害が指摘されているが、引き続き生じる病気を予防している面もある。
G君の場合、発熱と咽頭痛の症状がインフルエンザと同じであるため、溶血性連鎖球菌感染症とは気づかれず、抗生物質の投与が行われなかったため、急性腎炎へ移行したとも考えられる。

よく似た症状には、慢性腎炎の一種である「IgA腎症」の急性増悪がある。これは発熱、感染などが誘因となって、血尿や浮腫などを生じ、しばしば急性腎炎と間違われる。
予後に関しては、慢性腎炎の方が悪い。急性腎炎は治ればおしまいであるが、慢性腎炎、特にタンパク尿を伴っている場合には、息の長い観察と治療が必要である。ただし、小児は、慢性腎炎と診断されても、薬などによく反応し、完全に治癒する事も多い。G君は急性腎炎で2週間ほどの安静と食事制限の後、尿のタンパクも消失し、元気に退院した(香坂隆夫・国立小児病院腎消化器科)1999.3.15《日本経済新聞》

■タンパク質
「2010年、米シンシナティ小児病院の研究チームは、急性腎障害の治療に役立つタンパク質の機能を発見した。マウス実験で、マクロファージと呼ばれる白血球の一種が作用する免疫システムの中でこのタンパク質を作用させると傷ついた腎臓組織が再生した。
新たな機能を発見したのは「Wnt7b」と呼ばれるタンパク質。マウスの体内でWnt7bが作られて、マクロファージとくっつくと、傷ついた腎臓の組織が再生したという。従来、Wnt7bは発生初期の受精卵のときに腎臓を形成するはたらきがあることが分かっていた。
Wnt7bをうまく体内で作ることができれば、「急性腎障害の治療に役立つ可能性がある」と説明している。

【漢方薬】
■越婢加朮湯(浮腫、タンパク尿。扁桃炎による腎炎)
■柴陥湯
■柴苓湯
■小青竜湯+石膏
■清心蓮子飲
■大柴胡湯
■猪苓湯
■防風通聖散

 

急性腎不全
■肝細胞増殖因子(HGF)が有効
「住友製薬総合研究所は、肝臓の再生に重要な物質である肝細胞増殖因子(HGF)が腎臓組織の障害抑制に有効なことを確認した。グリセロールを投与した急性腎不全ネズミにHGFを与えたところ、腎臓組織の障害が軽減したほか、生存率が大幅に高まった。グリセロールによる急性腎不全モデルで効果のある物質は珍しい。
 実験は、グリセロールを1回与えて急性腎不全にしたネズミと、グリセロールを1回与えた上でHGFを時間をおいて6回与えたネズミとで2週間後の生存を比較した。投与量はグリセロールが体重1kg当たり10ccで、HGFは1回当たり250マイクログラム。1997.6.24《日経産業新聞》

■早期診断
「宮崎大学の池田正浩準教授らは、急性腎不全を早期に診断できる技術を開発した。開発した技術は尿中に含まれるタンパクプ質『アクアポリン-1 』の量を調べて診断する。
アクアポリン-1 は、腎臓の近位尿細管と呼ばれる部分に多く存在するタンパク質。近位尿細管は急性腎不全によって障害を受けやすい。
池田準教授らは急性腎不全にかかったアットの尿中に含まれるアクアポリン-1を調べた。その結果、急性腎不全に罹ってから6時間後にはアクアポリン-1の含有量は半分になり、4日後には30%にまで減少することが分かった。
新技術を使うことで、動物で6時間、ヒトでも1日程度で診断できる。
急性腎不全は入院患者の5%、集中治療室(ICU)で治療を受ける患者の30~50%に見られ、死亡率は4割を超える。発症率や死亡率は30年あまり変化がない。迅速な診断技術が無いことが死亡率の高い原因の1つ。
これまではクレアチニンで調べていたが、急性腎不全を発症し腎臓の機能が50%以上低下しないと検出できなかった」

■仕組み解明
2012年、米ハーバード大学の根来秀行客員教授らは死亡率の高い急性腎不全の発症のメカニズムの一端を解明した。
腎臓の尿細管にある細胞のタンパク質が過剰に働いていた。
急性腎不全では、尿細管の上皮細胞上にある「Gタンパク質」の働きが盛んだった。
同タンパク質は細胞同士の接着や細胞死に関わるが、健康な大人ではほとんど作用しない。動物細胞を使った実験では、急性腎不全のさいに体内の過酸化水素の働きを強めてしまい、尿細管の上皮細胞がバラバラになって腎臓の機能が落ちた。
Gタンパク質を作れないようにしたマウスは、急性腎不全にならなかった。



急性膵炎
   =急性膵臓炎
◎症状:

*上腹部激痛、 背部・左肩に放散痛。
*チアノーゼ、ショック。
*頻脈
*上腹部に圧痛(自発痛よる軽い)
*膵部に抵抗を触れる。
*重症で筋性防御(+)、膵臓壊死。
*多臓器障害(multiple organ failure:MOF)を呈する。

◎原因:

アルコール、
脂肪食
胆石が誘因

◎検査:

*白血球増加
*核左方移動
*尿中・血中アミラーゼ値の上昇
*一過性の高血糖・糖尿・タンパク尿・線溶系の亢進
*肝機能検査で種々の異常所見
*血清電解質の異常(Caの低下は重症のマーク)

◎診断基準:1990年、厚生省特定疾患難治性膵炎疾患調査研究班。
上腹部に急性腹痛発作と圧痛がある。
血中・尿中あるいは腹水中に、膵酵素の上昇がある。
膵酵素は、膵特異性の高いもの(P-amylaseなど)を測定することが望ましい。
画像で膵に急性膵炎に伴う異常がある。
異常所見:膵腫大、膵内部のエコーレベルorCT値の変化、膵周囲浸出液、胸水、腹水など。
診断:
①上記3項目中2項目以上を満たし、他の膵疾患および急性腹症を除外したものを急性膵炎とする。
②慢性膵炎の急性発症は急性膵炎に含める。
③手術または剖検で確認したものは、その旨を付記する。
膵に浮腫(急性浮腫性膵炎)、硬結、出血、脂肪壊死(壊死性・出血性膵炎)を認める。

◎どんな病気ですか?   
「膵臓炎で炎症が急激に進む病気で、ひどいと膵臓の組織が壊死を起こし、命に関わります。
 膵液は膵臓でつくられ、十二指腸で腸液と混ざり合って活性化し、タンパク質や脂肪を分解する強い消化液になります。膵臓から十二指腸への膵液の出口は弁のような構造になっていて、腸液が逆流するのを防いでいる。ところが何らかの原因で、この出口から腸液などが膵臓内へ逆流し、膵臓の中で膵液を活性化すると膵臓自身もタンパク質で出来ているので、自分を消化して強い炎症となる。
急性膵炎は軽症の場合、食事やアルコールを控えると、2、3日で痛みが軽くなるが、中等度、重症では痛みが長引き、膵臓酵素を膵臓自体を融解するのみならず、全身に回って肺や腎臓の働きを低下させ、生命の危険が高くなる。

◎原因:
<1>飲酒---40%。
<2>胆石---20~30%。
<3>ウイルス感染。
<4>高脂血症。
<5>原因不明。

◎症状:

突然に起きるみそおちの痛みで、痛み方は鈍痛から激痛まで様々だ。痛みが強い時には、仰向けに寝ると一層強くなるため、背中を丸め、膝を抱えて横になる急性膵炎独特の姿勢をとる。
<1>激烈な腹痛:心部・背部へ放散する。
<2>悪心・嘔吐。
<3>皮膚の着色斑。


【臨床検査】
<1>血清・尿中アミラーゼ:(↑↑)
<2>血清トリプシン・リパーゼ:(↑)
<3>好中球:(↑)
<4>BUN:(↑)
<5>Ht:(↑)
<6>クレアチニン:(↑)
<7>GOT・GPT・ALP・γーGTP:(↑)

◎膵臓の疾患には
<1>急性膵炎
<2>慢性膵炎
<3>膵ガン
<4>insulinoma
<5>glucagonoma
<6>Zolliger-Ellison症候群。

 

■高脂血症と関連。飲酒厳禁。
「Mさんは会社でも酒豪で名を馳せる43歳の男性。悪心・嘔吐を伴う突然の上腹部痛を覚え、病院に駆け込んだ。
腹痛は次第に強まり数時間後にピークに達した。痛みは背中にまで広がった。腹痛はヘソの上部で強く、前かがみの姿勢になると軽減する。37.2℃の微熱はあったが、下痢はなかった。
直ちに入院となり、絶食・安静にし、輸液などの治療が施された。検査で血液中のアミラーゼ、リパーゼなどの膵酵素の上昇が確認された。急性膵炎である。症状は4日目から改善し、1週間目にはウソのように本人は元気になった。
「急性膵炎の原因としては長年のアルコール多飲がある。ときには1~2回の多飲によっても発症することがあるが、Mさんの場合は明らかに前者といえる。欧米、特にイギリスなどでは急性膵炎の75~90%はアルコールや胆石が原因であるが、わが国ではアルコール性が38%、胆石が19%とやや異なる。
一旦退院したMさんだが、問題はこの後だった。Mさんの検査で血液中の中性脂肪の検査値が2021と高い値を示し、この高脂血症が膵炎と関連するのだはないかと、疑われたためである。絶食時の血中中性脂肪は通常は150以下であり、600を超えると高カイロミクロン血症といわれ、食事由来の血液中脂肪の増加と考えられている。アルコールはさらに中性脂肪を増やす最大の原因だ。
このような型の高脂血症では『発疹性黄色腫』『耐糖能低下』『高尿酸血症』などともに急性膵炎がみられるため。膵炎の再発予防のためにもその高脂血症の治療が必要になる。イワシ油(エイコサペンタエン酸)の効果も知られているが、アルコールの厳禁、低脂肪食など食生活の大改革が第一である。
入院中より覚悟はしていたMさんだが、あるいはアルコール以外の原因が見つかるのではと期待して来院されたのだろうか。「やっぱりお酒が原因ですか」と、心なしか落胆の色が隠せなかった。(西沢良記・大阪市立大学医学部助教授)1998.12.7《日本経済新聞》

■救命率アップ
「千葉市のAさん(67)は昨年5月、自宅でテレビを見ているうちに突然腹痛に襲われ、のたうち回った。「鉄の輪を腹にはめられ、締め付けられた感じ」だった。寝室で休み、トイレに行こうと立ち上がったところ、ひっくり返って、妻(60)に支えられた。
救急車で市内の川崎製鉄千葉病院に運ばれ、窮せ膵炎と診断された。昏睡や呼吸困難の症状もあり、集中治療室(ICU)へ。重症急性膵炎で、緊急の処置が必要とされ、2日後、設備の整った千葉大病院に転院した。
急性膵炎は、膵臓から出る膵酵素が、何らかの原因で膵臓自体を溶かしてしまう病気。みぞおち周辺から背中へかけて激しい痛みが特徴で、「内臓のヤケド」とも呼ばれる。発症率は、男性が女性の2倍もあり、酒の飲み過ぎが現員となる例が4割近い。重症になると、多臓器不全や呼吸困難などで約3割の人が亡くなる。
厚生省研究班の98年調査によると、年間の発症者は全国で約20000人。うち重症者が約5000人と推定され、10年前の1500人に比べ、大幅に増加している。
重症になると、ケイレンや呼吸困難を引き起こす物質が血液によって全身に運ばれる。この汚れた血液をきれいにする血液浄化法の中で、最も効果を挙げているのがCHDFだ。
過去5年間。千葉大病院でこの方法を行った重症急性膵炎の患者30人(うち男性26人)のうち28人、実に93%が一命を取り留めた。痒の血液浄化法を行う全国の施設の中でも、極めて高い救命率を誇る。千葉大救急部長の平沢博之さん(59)は、「感染予防のため、腸壁を強くする食物繊維を入れるなど独自の処置もしている」と胸を張る。
96年の厚生省研究班の調査では、全国の重症患者の死亡率は27%と、88年の30%と比べて、救命率向上に兆しが見られる。大きな病院での血液浄化法の普及に加え、87年に研究班が行ってた急性膵炎の判定基準が広く使われるようになったからだ。これは、急性膵炎の重症度を、ショック症状、呼吸困難、発熱、白血球数増加などの因子を点数化し、判定しする。Aさんもこの基準で重症と判定された。
重症膵炎の治療例が多い東京女子医大消化器病センター助教授の白鳥敬子さん(50)は、「点数化することで、どの状態の人にどんな治療を行うかの明確な指針ができた」と評価。同センタ0では、血液浄化法のほか、カテーテルを挿入し、膵臓に直接抗酵素薬を注入する「動注療法」も行うなど、救命率向上の工夫をしている。
一時は、最悪の事態も考え、病室に親類まで読んだAさんだが、10カ月の入院を経て、今月18日退院した。「本当に命拾いしました。今後は家族のためにも、食事に気をつけて長生きしたい」と話している。

【漢方薬】
■茵蔯五苓散
■桂枝人参湯
■大柴胡湯


急性大腸炎
【漢方薬】
■葛根湯
■桂枝人参湯
■柴胡桂枝湯
■大柴胡湯
■調胃承気湯
■桃核承気湯


急性腸炎
○下痢が主な徴候であるが、炎症が小腸に限局しているときには下痢しないこともある。また腹痛、腹部の雷鳴を訴えることもあり、結腸に炎症があるときは、疝痛様に疼痛があり、直腸が犯されると、裏急後重がみられる。
重症では、数日で、ひどく衰弱し。小児や老人では、重症に陥りやすい。

【漢方薬】
■胃苓湯
五苓散と平胃散の合方で、五苓散の証に似て、腹が張り、ガスが多くたまる者によい。(漢方診療医典)
■藿香正気散
夏の寝冷え、または寒冷なものにあたって、下痢、腹痛、嘔吐するものによい(漢方診療医典)
■甘草瀉心湯
心下痞硬。腹鳴、下痢を目標にして用いるが、悪心、嘔吐を伴うもに用いてよい。腹痛を伴うこともあるが、はげしい痛みでは無い。下痢は裏急後重を伴うことはなく、サッと下る。下痢の回数の多いときは甘草瀉心湯を用い、噫気を伴うときは生姜瀉心湯とする(漢方診療医典)
■黄芩湯
■葛根湯
発病の初期で、悪寒、発熱があって下痢し、裏急後重があり、脈浮数にして力のある者に用いる(漢方診療医典)
■桂枝加芍薬大黄湯
下痢の回数は多いが、1回の量は少なく、腹痛と裏急後重があって、たえず便意を催す者に用いる。多くは左腹部の腹壁は緊張して、圧痛があり、あるいはS状部に索状物を触れることがある(漢方診療医典)
■桂枝湯
■桂枝人参湯
傷寒論では協熱下痢に、本方を用いている。桂枝人参湯が理中湯に桂皮を加えたものであるから、理中湯を用いるような下痢で、表熱を帯びた者を目標とする。急性腸炎の初期で、下痢もあり、熱もあるものに用いるので、葛根湯証との鑑別が必要である。葛根湯証では、脈が浮数で力があり、裏急後重を伴うけれども、桂枝人参湯では脈弱でやや緊を帯びることがあるが、下痢に、裏急後重を伴うことはない。(漢方診療医典)
■呉茱萸湯
■五苓散
乳幼児の急性腸炎に用いる場合が多い。口渇を訴えて、水や茶をよくのむのに、尿の出が少なく、水瀉様に下痢するものを目標とする。
腹痛や嘔吐を伴う者にもちいてよい(漢方診療医典)
■四逆湯
はげしい急性の吐瀉病で、大量の水分が、上下に出て、急に水分が失われたために、手足は冷たくなり、手足の筋肉がひきつれ、脈は微弱となり、重篤な症状を呈した者に用いる。
幼児、老人などにみられることが多い。また下痢に、激しい、ひきつれるような、絞るような腹痛を伴うころがある(漢方診療医典)
■芍薬湯
桂枝加芍薬大黄湯証にて、腹部の膨満感が強くて、口渇があり、食欲が無く、熱も高く、粘血便が出るものに用いる。赤痢様の下痢によい(漢方診療医典)
■生姜瀉心湯
心下痞硬。腹鳴、下痢を目標にして用いるが、悪心、嘔吐を伴うもにに用いてよい。腹痛を伴うこともあるが、はげしい痛みでは無い。下痢は裏急後重を伴うことはなく、サッと下る。下痢の回数の多いときは甘草瀉心湯を用い、噫気を伴うときは生姜瀉心湯とする(漢方診療医典)
■ 銭氏白朮散
平素から胃腸の弱い幼児にみられる水瀉性の下痢に用いる。嘔吐を兼ねる、ものにも、発熱のある者に用いてよい(漢方診療医典)
■大黄牡丹皮湯
■大柴胡湯
下痢のある患者で胸脇苦満、心下痞硬、悪心、嘔吐、口渇などある者に用いる。多くは腹痛と裏急後重があり、舌には褐色または黄色の苔がつき、脈には力があるものを目標とする。葛根湯を用いて悪寒がとれて後に本方をもちいることが多い(漢方診療医典)
■猪苓湯
■半夏瀉心湯
心下痞硬。腹鳴、下痢を目標にして用いるが、悪心、嘔吐を伴うもにに用いてよい。腹痛を伴うこともあるが、はげしい痛みでは無い。下痢は裏急後重を伴うことはなく、サッと下る。下痢の回数の多いときは甘草瀉心湯を用い、噫気を伴うときは生姜瀉心湯とする(漢方診療医典)
■理中湯
胃腸の弱い人が、腹を冷やしたり、冷たいものを飲んだりして、下痢する者によい。腹痛、嘔吐を伴う者によい。脈は沈遅または遅弱のものが多く、冷え症で、口渇はなく、舌は湿っている。下痢しても裏急後重は無い。乳幼児に多くみられる(漢方診療医典)


急性虫垂炎
⇒虫垂は盲腸下端内側に連なる青虫様の管腔臓器である。この虫垂に限局した炎症をいい、急性と慢性がある。
<1>急性虫垂炎:原因不明。“快晴の日に急性虫垂炎の患者が多い”
1.虫垂は炎症によって肥大腫脹、粘膜の潰瘍形成さらに腔内に膿液をもつようになる。
2.重篤になると、粘膜潰瘍が深部も侵し、壁は壊疽を起こし、穿孔性虫垂炎から公汎性腹膜炎に進展する場合がある。
3.虫垂の破壊が起こることなく周囲の臓器と癒着し、膿瘍を形成する場合もある(盲腸周囲膿瘍)。

◎症状:
イ.胃部疼痛
ロ.悪心・嘔吐をもって始まり
ハ.右腸骨の自発痛・圧痛が著しくなる
ニ.右下腹部を圧迫すれば、腹壁筋が収縮し、いわゆる、筋性防御によって、さらに、緊張する。
ホ.発熱、頻脈がみられることもある
ヘ.白血球の増多がみられる。

■進行速い
「12歳の女の子。前日来、胃からおへその周りを痛がっていたが、今度は右の下腹部痛を訴え始めた。微熱と吐き気、さらに吐も。病院でおなか診察され、血液、レントゲン、超音波検査を受け、急性虫垂炎と診断された。その日のうちに、腫れた虫垂を切除され、7日目に抜糸して退院した。
もう1人は5歳の男の子。10日前に一度吐したが、その後は変わりなかった。ところが急に吐き気と腹痛を訴え始めた。右の下腹部を痛がるようになって、歩けなくなった。血液、レントゲン検査に加え、超音波検査を受けた。おなかにウミが溜まっていることが分かり、入院・手術となった。虫垂は赤く腫れ上がり、穴があいて虫垂の周りにクリーム色のウミが溜まっていた。虫垂は切り取られ、ウミを外へ出すための管をおなかに入れた。手術後18日目に管を抜いて退院した。
急性虫垂炎は、微熱と吐き気、嘔吐を伴うことが多く、痛みはヘソノ周囲から右下腹部に移行することが多い。幼児の虫垂炎は進行が速く、虫垂に穴があいてから診断されることが多い。幼児は症状をうまく伝えることが出来ない。正確な診断のためには、患児の状態についての情報・腹部の診察・血液検査と画像診断が重要である、
最近、超音波検査が虫垂炎の診断に有用とされている。腫れた虫垂が映る場合もあり、虫垂炎のための腹水や膿瘍が表れることもある。超音波検査はレントゲン検査と違って繰り返し出来る。急性虫垂炎の正確な診断は難しい場合もあるが、超音波検査を加えた総合的な師団によって、不必要な開腹手術を避けることが可能ある」1999.5.31《日本経済新聞》

【漢方薬】(急性虫垂炎)
■黄芩湯
■黄連湯
■大黄牡丹皮湯

 


急性吐瀉病
【漢方薬】
■呉茱萸湯

 

急性熱病
=急性熱性病
【漢方薬】
■桂麻各半湯-
■小柴胡湯
■調胃承気湯---・(急性伝染病


急性脳炎
■手足口病で急性脳炎を起こし死亡。(参照→「手足口病」)


急性脳症
(参照→「インフルエンザ脳症」)
⇒急に発症する中枢神経障害。
◎症状:
発熱・下痢
嘔吐に続いて突然のケイレン・高熱・意識障害などが現れる。
重症になると昏睡状態に陥る。

■インフルエンザと相関
「昨冬大流行したインフルエンザに罹った子供のうち、74人が原因不明の急性脳症を起こし、うち11人が死亡していたことが、国立感染症研究所が22日までにまとめた調査結果で明らかになった。厚生省研究班の全国調査でも、インフルエンザの流行期に原因不明の脳症が多発していることが新たに判明し、専門家は「インフルエンザと子供の脳症の相関関係が明確になった」と指摘している。今年の冬も中国・北京周辺では、重症化して脳症を引き起こしやすいタイプのインフルエンザが広まっており、同省は「手洗い、うがいなど日常の予防に努めてほしい」と呼び掛けている。
国立感染症研究所の調査は全国約60カ所の地方衛生研究所を通じて行われた。それによると2年前の冬は19人の子供が脳症を発症していたことが確認されたが、昨冬は一気にその4倍近くの74人に急増した。
昨冬は、幼稚園児から高校生までのインフルエンザ患者が1275000人に上る過去10年間で最大の流行だったことから、インフルエンザが流行する仏は、脳症を発症する子供が多いことが裏付けられた。
今回の調査では、把握できない患者も多く、昨冬の脳症による実際の死亡者は100~200人に達しているとの推計もある。身体に麻痺などの後遺症が残るケースも多いという。」
「一方、子供の急性脳症や症状の似ている『ライ症候群』について、厚生省の研究班でも82年から全国約1400カ所の国公立病院、小児病院を対象に調査を進めてきた。それによると、インフルエンザが流行した94年1月と95年1月の急性脳症の報告数は計20人に上り、一桁の報告数だった他の月に比べ突出。ライ症候群もインフルエンザ流行期に多発している事が判明した。」
この研究班はもともと、米国で80年代に解熱・鎮痛剤の『アスピリン』を飲んだ子供がライ症候群を発症する危険性が警告されたことから、しかし、90年代に入り、アスピリンが小児向け医薬品にほとんど使用されなくなってからも、急性脳症やライ症候群の報告が続き、インフルエンザが脳症やライ症候群を引き起こす可能性が注目されるようになった。」

■アスピリン配合--------15才未満の服用禁止
「インフルエンザに罹った子供が意識障害やケイレンなどの急性脳症を発症するケースが問題となっている中、厚生省は24日、解熱・鎮痛作用のある「アスピリン」配合の市販用風邪薬と解熱・鎮痛薬について、15歳未満の子供の服用を禁ずることに決めた。大人と小児併用の市販薬約230品目の適用対象から、15歳未満を除外するようメーカーに指示する。
同省の研究班がまとめた国内の調査結果では、アスピリンと急性脳症の一種のライ症候群の因果関係は解明されなかったが、米国小児科学会が7月、「ほぼ間違いなく因果関係がある」との報告を出したため、同省は一層の注意喚起が必要と判断した。医療機関用の医薬品も、治療上必要な場合を除き、小児への投与が原則禁止になる。
■ライ症候群---------強力な解熱剤避けたい
「子供がインフルエンザや水疱瘡(みずぼうそう)になり、熱が下がってそろそろ治って来たかなと思う頃に、突然、意識がおかしくなり、ケイレンを起こしたり昏睡し、肝臓の働きも悪くなって死亡することの多い病気である。約35年前にオーストラリアのライという学者が報告した。
アメリカでは、解熱剤のアスピリンに疑いが持たれて調査を実施した。ライ症候群の子はアスピリンを使った子の割合が圧倒的に多かった。アスピリンを使った子はアセトアミノフェンという緩やかな解熱剤を使った子よりも16倍程度もライ症候群に罹りやすいことが分かった。アメリカではアスピリンを徹底的に使わないようにした結果、ライ症候群はほとんど発生しなくなった。
一方、日本でも以前から100人を超えるライ症候群が毎年発生していると推定されている。最近厚生省は「アスピリンの使用とは無関係にインフルエンザ感染それ自体か、あるいは不明の因子が加わることによって発症することがあるように考えられる」として、原因不明のまま研究を終了した。
しかし、この解釈は大変疑問。日本ではアスピリンはもともと使われず代わりにアスピリンよりも強力な解熱剤を使っている。欧米では子供には使わない強力な非ステロイド抗炎症剤だ。自衛のためには、日本のライ症候群の原因として最も疑わしい強力な解熱剤は使わない方が賢明だ。(浜六郎・医薬ビジランスセンター所長)1999.1.11《日本経済新聞》

■ライ症候群、米で激減
「子供が激しい吐き気やケイレンなどを起こし、死に至ることもあるライ症候群が米国で激減していたという調査結果を米疾病対策センター(CDC)がまとめた。インフルエンザや水疱瘡にかかった子供に解熱剤のアスピリンなどサリチル酸系の薬を使うとライ症候群になりやすいと警告されているが、この関係が指摘された後の1981年から減っていて警告を裏付けた。
全米からCDCに報告された18歳未満の症例を集計した。80調査年度(79年12月~80年11月)には555人の報告があったが、85年度には約100人に下がり、87年度以降は年間36人以下、94~97年度には年間2人以下となった。この間、82年に米医務総監が警告を出し、86年からはアスピリンを含む薬に警告文が載るようになった。
この結果、米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに発表された。日本でも、厚生省が注意を呼びかけてきたが、昨年12月には医薬品等安全性情報で再度注意している」1999.6.20《朝日新聞》

■予後悪い急性脳症
「乳幼児期には急激な発熱に伴って、全身ケイレンや意識障害といった症状を示すことが多い。このような症状の疾患としては『熱性ケイレン』『ウイルス性髄膜炎』『細菌性髄膜炎』『急性脳症』『ライ症候群』などが知られている。この中で熱性ケイレンは、1~3歳の幼児期に多く、高い熱に引き続き全身ケイレンが起きる。ただ、ケイレンは長く続けず一過性なので心配無いことが多い。
しかし、意識障害が長く続いたり、ケイレンが止まりにくかったり、高い熱が続くようなときは、入院が必要で検査をして診断する必要がある。検査としては血液検査や脊髄液を採取して細胞の数やタンパク質の量を調べる髄液検査、コンピューター断層幸恵医装置(CT)や磁気共鳴装置(MRI)を使った検査などが行われる。
このような検査により髄膜や神経の炎症が証明されれが、髄膜炎または脳炎と診断される。しかし、はっきりとした症状が無く脳の圧力が高くなっているときは急性脳症と診断されることが多い。急性脳症は乳幼児期に多く、様々なウイルス感染が引き金になって起きる。インフルエンザウイルスによって起きることも多く、インフルエンザ脳症とも呼ばれる。
治療として抗ウイルス剤や抗ケイレン薬、輸液、脳圧を下げる治療などが行われるが、後遺症を残すことも多く予後が悪い。ときにはライ症候群と言って肝臓の脂肪変性などを伴う重篤な例も盛られる。
予防法としてはワクチン接種のほか、うがいや手洗いを心掛けることが大切である。風邪の症状に続いて、ケイレンや意識障害が起きるときは早めに病院を訪れた方が懸命である」(二瓶健次・国立小児病院神経科)1999.12.27《日本経済新聞》

■解熱剤飲んだ後、急変
「やはり、あの薬だったか」。
長野県の鉄工所経営、田口誠さん(32)は、証拠保全でカルテを入手し、薬剤名の記載に釘付けになった。
昨年3月8日の早朝。長女茉那ちゃん(3)は「こわいよう」と、うなされ目を覚ました。熱を計ると39.5℃。小児科で「風邪です」と言われ、解熱剤のシロップなどいを渡された。
帰宅して解熱剤を飲ませ、しばらく眠った。午後には熱は38℃台に下がり、少し楽になったのか、団子を食べた。
ところがその夜、就寝中、けいれんを起こし、全身が強直。白目をむき、体温は41℃を越えた。再び小児科に駆け込んだ。
件連は30分以上続き、ケイレン止めの座薬を使った。だが、呼びかけても、手をつきだし、父親を捜すような身振り。意識がはっきりしていないように見えた。
「見えていないんですか?」
田口さんが尋ねると、医師は「大丈夫です」と答えた。
「家で様子を見てください。何かあれば電話をください。」
医師の言葉で帰宅した。
翌朝、茉那ちゃんは。嘔吐を繰り返すのに、目を覚まさない。救急車を呼び、救急病院に運んだ。脳のCT検査で異常が分かり、大学病院に転送、「急性脳症、非常に危険な状態」と言われた。
「そばにいたのに、なぜ気付かなかったのか?」「昨夜、なぜ小児科から家につれて帰ってしまったのか?」後悔で、涙があふれ出た。
さらに県立の小児科専門病院に移り、脳の快復を促す低体温療法を開始。一命を取り留めたが、意識ははっきり戻らない。
現在、自宅で療養し、リハビリに取り組むが、寝返りを打てず、ほとんど声が出ない。母親の真理子さん(28)は「せめて普通の赤ちゃんのように、泣くことが出来たら」と話す。
田口さんは、鉄加工の腕を生かし、娘のためにも、障害者の値はビリ用具を制作する仕事を始めようと考えている。
同じ体験を持つインフルエンザ・脳症親の会「小さないのち」に入り、昨年12月、大阪で開かれたシンポジュウムに参加。大阪赤十字病院小児科医師、山本英彦さんの講演を聴いた。
「インフルエンザによる脳症が問題になっているのは日本だけ。解熱効果の高いメフェナム酸やジクロフェナクナトリウムなど、強力な解熱剤を使っているのも日本しかない。脳症との関連が考えられ、使わない方がよい」。山本さんの話が、耳にこびりついた。
その直後、小児科での診察に疑問を感じて入手したカルテで、茉那ちゃんに使われたのが、メフェナム酸(商品名:ポンタール)と分かった。広く使われる薬剤の1つだ。
108家族が参加する親の回メンバーのほとんども、何らかの解熱剤を使用していたことを知った。
「医師が出した薬だから--------。悪さをするとあ、思わなかった」田口さんは唇をかむ。
これらの薬とインフルエンザ脳症の関連について、昨年暮れ、新たなデータが厚生省研究班の調査でまとまった。」


急性脳症候群 (acute brain syndrome)
=「急性器質性脳症候群」(acute organic brain syndrome)
⇒今まで精神的に正常な人に突然現れる重篤な精神症状で、頭部外傷、感染症、内因性あるいは外因性中毒、栄養欠乏などの際に現れる。
譫妄、錯視状態、時間・場所の見当識障害、注意力散漫、情動不安、及び興奮など多くの症状を特徴とする。


急性白血病
⇒正常骨髄細胞が未分化な段階での腫瘍性増殖である。
◎診断のポイント
・疲労、発熱及び出血を含む症状の期間が短いこと
・血球減少または汎血球減少
・骨髄中の20%を超える芽球
・末梢血中の芽球が90%。

◎症状及び徴候
・大半の患者・・・数日~数週間健康がすぐれない。
・歯肉出血、鼻出血、または月経過多を伴い、出血が皮膚と粘膜の表面に起こる。(血小板減少が多い)
・感染の危険性は
好中球数が500/μ㍑以下に低下すると危険性が高くなる。
病原体はグラム陰性菌と真菌が多い。
・一般的な症状には[蜂窩炎][肺炎][肛門周囲感染]

◎診断基準:
<1>自覚症状:
貧血症状
出血傾向
発熱
<2>身体所見:
リンパ節腫脹
脾腫
肝腫大
出血斑
皮疹
<3>末梢血所見:
(イ)正色素性貧血と血小板減少がほぼ全例に認められる。
(ロ)白血球数---増加するとは限らない。
 約40%の患者で、10000以下。
(ハ)芽球の出現を認める。
<4>骨髄所見:
hypercellularを呈し、異型性のある幼若細胞(=芽球)が30%以上認められると急性白血病の診断が確定する。

 

◎分類:FAB分類によって病型診断を行う。
<1>リンパ性:ペルオキシダーゼ陽性芽球--3%以下。
[L1]:小型の芽球が主体。
[L2]:大型の芽球が主体。
[L3]:Burkitt型白血病。
<2>骨髄性:ペルオキシダーゼ陽性芽球-3%以上。
[M1]成熟傾向のない急性骨髄芽球性白血病
[M2]成熟傾向のある急性骨髄芽球性白血病
[M3]急性前骨髄球性白血病
[M4]急性骨髄単球性白血病
[M5]急性単球性白血病(未熟型・成熟型)
[M6]赤白血病
[M7]急性巨核芽球性白血病


急性骨髄性白血病
=骨髄で白血球や赤血球・血小板などに育つ『牙球』という細胞がガン化して増殖する病気。異常な白血病細胞が骨髄に増え続け、体内に1兆個以上も存在するようになる。正常な赤血球や白血球・血小板がうまく出来ず、感染症にかかりやすくなる。またひどい貧血や出血などの症状が現れる。
毎年日本で5000人が発症し、男女比は無い。
急性骨髄性白血病は8つのタイプに分類される。その中で治療成績がもっと良いのが急性前骨髄性白血病。ビタミンAに似た薬を使う治療法が開発されたので、60%以上の患者が5年以上生存できるようになった。

■マイロターグ
「米系ワイスは2005年9/21、骨髄性白血病(AML)の治療薬「マイロターグ(一般名:ゲムツズマブオゾガマイシン)」を発売した。病気の細胞に結びつく「抗体」と、抗がん剤を1つにしたような抗体医薬品。
マイクロターグは米テキサス州の土壌から見つかったガンに効果の高い抗生物質「カリケアマイシン」が中核成分。ただカリケアマイシンは正常な細胞も傷つける
同社は主に白血病の細胞表面にだけ存在する「CD33」に結びつく抗体を遺伝子組み換え技術で作り出した。「リンカー」とよぶ接続技術でカリケアマイシンと抗体を結びつける。マイロターグは血液中では安定しているが、白血病の細胞表面に結合すると、カリケアマイシンの部分を細胞内に送り込んで治療効果を発揮する。米国では2000年に発売済み。

■再発の肝細胞が
「急性骨髄性白血病は血液や骨髄に異常な白血病細胞が増え、正常な免疫機能が作れなくなる病気。通常は抗ガン剤や骨髄移植で治療するが、しばらくして再発することが多い。
理化学研究所などは、再発の原因を突き止めた。抗ガン剤などを利用して増殖力の強い白血病細胞を一時的に殺しても、抵抗力の強い「白血病幹細胞」が生き残り、再び白血病細胞を作り出すという。成果は2007年10/21つけのネイチャー・バイオテクノロジーに掲載。
理研のヒト疾患モデル研究ユニットの石川文彦ユニットリーダーらは、まず、人間の白血病肝細胞をマウスに投与することで、マウスの体に人間の白血病を再現することに成功した。そこでこのマウスに抗ガン剤を投与したところ、白血細胞は大部分が死滅したが、骨髄と骨組織の境界に存在する白血病幹細胞7~8割が生き残ったという。



急性放射線症候群

(acute radiation syndrome)
⇒全身線量として1グレー以上のイオン化放射線に暴露することによる症候群。





急性鼻炎

【漢方薬】
■小青竜湯---・・(咳嗽、喘、鼻水、)



急性腹症
⇒突然腹痛を主訴として発病し、しばしば嘔吐・腹部膨満などを伴い、緊急処置とし開腹手術を必要とするもの、orこれと鑑別を必要とする疾患群。

◎主な急性腹症に
<1>急性虫垂炎(疝痛~持続痛)
<2>潰瘍穿孔(心部に突発性・激痛)
<3>イレウス(腹部全体が激痛、間欠的~持続的)
<4>急性胆嚢炎(右肩に放散痛、疝痛~持続痛)
<5>急性膵炎(背部・左肩に放散痛、持続的・激痛)
<6>腸間膜動脈血栓症(突発性・激痛)
<7>卵巣嚢種茎捻転(突発性・激痛)
<8>子宮外妊娠破裂(突発性・激痛)
     (金芳堂ー内科診断学p172) 

【漢方薬】
■芍薬甘草湯---・(ケイレンする、疼痛)


急性腹膜炎
⇒以下の疾患を原因として急激に発病する。
☆胃十二指腸潰瘍の穿孔
☆虫垂炎
☆胆嚢炎
☆膵炎、付属器炎
☆腸閉塞、腸チフス
☆外傷

◎症状:
*激烈な腹痛(持続的)
*激しい嘔吐(初期より)
*糞便及びガスの排出停止
*ショックに陥り、浅い呼吸。
*脈拍:頻数微弱
*悪寒戦慄を伴う
*体温上昇
*腹壁硬く緊張し圧痛著明
*筋性防御
*麻痺性イレウスを起こし鼓脹する
*肝濁音の消失
*脱水症状(ヒポクラテス顔貌)

◎検査:
白血球増加



急性膀胱炎
【漢方薬】
■五苓散
■清心蓮子飲---・(膀胱炎・尿道炎)
■猪苓湯
■八味地黄丸


急速進行性腎炎症候群

(RPGN)
■急激に悪化する腎炎
「尿に異常が見つかってから数週間~数ヶ月で腎不全にまで進んでしまう急速進行性腎炎症候群(RPGN)が最近、中高年で目立ってきている。死亡する率も高い。最初の症状が倦怠感や発熱など一般的で診断しにくいことから、厚生省の研究班はこのほど、早期診断用の指針案を作るとともに、注意を促している。
RPGNは、血尿や蛋白尿などの異常が出て数ヶ月内に腎不全になってしまう腎炎の総称。研究班の小山哲夫・筑波大学臨床医学系教授によると、ここ10年、学会での症例報告が増える傾向にあるという。ただ、研究班は全国の腎臓病の専門病院にどんな症例があるかを尋ねるアンケートをし、回答のあった715件を分析した。
発病の平均年齢は61歳だった。自己抗体が関係した腎炎、血管炎、感染症などが発病の引き金になっていた。また、日の合併症があると死亡率が高まることも分かった。」20006.25《朝日新聞》


急迫症状
◎建中湯類は急迫性の症状のある者に、よく用いられる《大塚敬節》

【漢方薬】
■黄蓍建中湯
■甘草湯
■当帰建中湯


吸収不良症候群  malabsorption syndrome
=糖・タンパク・脂質・ビタミン・電解質・水などのいずれか又は複数の栄養素の腸管における消化吸収障害によって種々の臨床症状を引き起こす疾患の総称。
<1>軽症ではこれといった臨床症状を示さない。
<2>消化吸収障害を疑う時は、糞便中の脂肪量を測定する。
<3>糞便の脂肪量が増大していれば、D-キシリロース吸収試験を行う。
①正常な場合→膵およぼ胆に対する検査
②異常な場合→本態性、症候性の鑑別。


◎診断:(厚生省特定疾患諸家吸収障害調査研究班)
下痢、脂肪便、体重減少、羸痩、貧血、無力倦怠感、腹部膨満感、浮腫、消化管出血、などの症状がみられることが多い。
[脂肪便]=常食(50g前後/日)摂取下で糞便塗沫ズダンⅢ染色で脂肪滴がみられる。

血清タンパク濃度、アルブミン濃度、総コレステロール値、および血清鉄などの栄養指標の低下を示すことが多い。
①血清タンパク濃度6.0g/Œ以下あるいは血清総コレステロール120mg/Œ以下は、-----------低栄養状態の指標となる。
②消化吸収障害が軽度な場合には、総コレステロール値の低下が見られないことがある。

消化吸収試験で異常がある。試験には以下のものがある。
(a)糞便中脂肪
①ズダンⅢ染色法
②糞便中脂肪の化学的定量:1日糞便中に脂肪が6g以上のときは、異常と判定する。
(b)D-キシロース吸収試験:5時間尿中排泄率の正常値
 ①25g排泄率---------20~32%
 ②5g排泄率-----------30%以上。
(c)57Co-ビタミンB12吸収試験
(d)胆汁酸負荷試験
(e)膵外分泌機能試験(PFD):膵機能による消化障害の判定。
 6時間尿中排泄率-----70%以上が正常
(f)乳糖負荷試験:投与前値に対し20mg/Œ以上血糖上昇が正常。

【副作用】
◎吸収不良を招く薬物:
インドメタシン
カナマイシン
クロルテトラサイクリン
ネオマイシン
フェニンジオン
メトトレキサート
p-アミノサリチル酸



嗅覚喪失
【漢方薬】
■香蘇散
■白虎加人参湯





球後視神経炎 
   retrobullbar neuritis
⇒中心視力の低下と盲点中心暗点(ラケット状)をあらわし、眼球運動の際に疼痛がある。     
片眼だけのときは、視神経の眼窩部の炎症。両眼のときは視交叉に病変がある。
【漢方薬】
■杞菊地黄丸




休息痢(きゅうそくり)
⇒下痢と便秘が交互に起こり、長期間治らない。
⇒痢痰が発作したり、止んだりする症。

【漢方薬】(下痢と便秘が交互に)
■加味養臓湯
■訶黎勒丸[2]---・(休息痢で百薬効なきとき)
■三根飲------(長引くとき)    
■神効丸------(膿血が止まらないとき)
■参苓白朮散    
■当帰四逆湯
■八物湯
■八物湯陳皮・阿膠珠・黄連・黄芩
   (気血が弱くなる者)
■補中益気湯


 

久瀉
◎主薬:久瀉には、訶子・肉豆蔲を主薬とすべし。或いは柴胡・升麻を加え、下疳の気を升提すればその瀉自ら止む《万病回春》


久痢(きゅうり)    
⇒痢疾はすでに治ったが、まだ完全に治りきらない、衰弱。

【漢方薬】(久痢)
■加減益気湯---・(久痢で衰弱したとき)
■固腸丸を「芍薬(炒)・白朮(炒)・甘草(炙)・陳皮・茯苓」の煎湯で飲む。
■実腸散
■真人養臓湯
■赤石脂禹余粮湯    
■樗根皮散
■万全丸
■木香散------(久痢・血痢)
■理中湯------(久痢で止まらない)

     
灸後の煩躁
【漢方薬】
■桂枝去芍薬加蜀漆龍骨牡蠣湯
■柴胡加竜骨牡蛎湯

 

巨赤芽球貧血   megaloblastic anemia  (MDS)
=ビタミン不足による貧血。
ビタミンのうちB12と葉酸はどちらも血球が出来る特に細胞を増やすのに必要です。長く欠乏が続くと貧血になります。どちらの貧血でも、やはり凡ての血球が減ります。骨髄の中の赤芽球は、細胞分裂がうまくゆかないので大きくなり、『巨赤芽球』と呼びます。この赤芽球から出来た赤血球もまた大型です。赤芽球の成熟がうまくゆかず、赤血球になる前に壊れてしまうものも多くあります    (無効造血)。

同じ様な変化は白血球や血小板の方にも現れます。其の結果、この貧血[巨赤芽球貧血]では大きい赤血球をもち、白血球や血小板も減った『汎血球減少症』を伴う貧血になります。この他、細胞増殖の異常がいろいろなところに現れ、『舌がつるつる』になったり、『見事な白髪』になるなどの他、神経系にも異常が現れ、ひどいときには『精神異常』の症状も出て、長い間、原因不明のまま精神科へ入院させられていた人もいます。
この巨赤芽球貧血の原因はビタミンB12と葉酸のどちらかの不足です。ビタミンB12 は胃から吸収されますが、その場合に胃液の中に内因子と呼ばれるB12 の吸収に必要な液性因子があります。この内因子を壊す抗体が出来たり、又は手術で胃を全部摘出した後にはB12が足りなくなります。もっともこの場合でも、肝臓には体内で使う2年分くらいの貯蔵があるために、手術をして2年くらいたってから貧血が現れるのです。内因子抗体に由って起こるB12欠乏による貧血を「悪性貧血」といいます。(三浦恭定著「血液と健康」参照)

⇒赤血球の前駆細胞である赤芽球の核酸合成障害により骨髄像で特徴的な巨赤芽球の出現を見る貧血を総称する。
(1)核酸合成障害は赤血球系のみならず、顆粒球系、血小板系のみ及ぶ。
(2)細胞核の成熟は遅れるが細胞質は成熟し、いわゆる[核-細胞質]の成熟解離が見られる。
(3)血球の多くは成熟することなく崩壊し無効造血となる。

◎骨髄に巨赤芽球と呼ばれる特異な大球性の赤芽球が出現する貧血で、「ビタミンB12」または「葉酸」欠乏により発生する。

【症状】(巨赤芽球性貧血)

①貧血
②舌の乳頭萎縮と痛み
③下肢末端のしびれ感。
④下肢深部の知覚鈍麻。

◎診断基準:
<1>自覚症状:
 *貧血症状
 *味覚異常
 *舌疼痛
 *食思不振
<2>身体所見:
 *若年者の白髪
 *Hunter舌炎(舌は平坦で牛肉様赤色)
 *亜急性連合脊髄変性(知覚障害、運動失調)
<3>末梢血所見:
(イ)大球性高色素性貧血----MCV・MCH高値、MCHC正常。
(ロ)白血球数・血小板数減少。
(ハ)汎血球減少を呈することが多い。
(ニ)過分葉好中球がみられる。
<4>骨髄像:
(イ)赤芽球系細胞の過形成を示し、巨赤芽球を高率に認める。
(ロ)giant metamyelocyteや過分葉巨核球も認められる。
<5>一般検査:
(イ)間接ビリルビン値上昇
(ロ)LDHが著しく増加(LDH1>LDH2)
(ハ)血清ムラミダーゼ上昇。
<6>フェロカイネティクスで無効造血パターンを示す。
<7>悪性貧血に対する特殊検査:
(イ)血清ビタミンB12が低値----(100pg/‹ 以下)
(ロ)葉酸が低値--------------------(3.0ng/‹以下)
(ハ)抗胃壁抗体・抗内因子抗体-----陽性。
(ニ)ビタミンB12吸収試験(Shilling test)--陽性。


胸郭出口症候群
⇒上肢の神経は、第五頸髄で第一胸髄の脊髄から分岐して、各神経根となり、脊椎椎間孔というトンネルから脊椎管の外へ出ます。その後各神経根はネットワークを形成しながら腕、手へいきます。
腋の下を通過するまでに、筋肉や鎖骨と肋骨の間などたいへん狭いところを、腕に行く血管と一緒に通過します。女性などで「なで肩」の人は、この通路が特に狭く、神経・血管が圧迫されたものが、胸郭出口症候群です。

◎症状:手指のシビレ
*重たいものを持ったり、腕を上に挙げるとシビレが強くなる。
*シビレの範囲----手指全体or
         手指と前腕の小指側(尺側)

◎診断:橈骨動脈の脈を見ながら腕全体を横から上へ挙げます。同時に頸を挙げた腕の方向に向け、指先を見るようにします。大きく息を吸って、吸った状態で息を止めます。シビレが強くなり、動脈の脈が止まるようでしたら、この病気です。



胸膈膨悶
◎主薬:胸膈膨悶には、桔梗・枳殻を主薬とすべし《万病回春》


胸脇苦満(きょうきょうくまん)
⇒胸から脇(季肋下)にかけて充満した状態があり、押さえると抵抗と圧痛を訴える状態。柴胡剤を用いる重要な目標です。
同義語には---[脇胸支満<霊枢経脈>][胸脇満<素問刺熱論>]があります。

【胸脇】とは、前胸部と両腋下の肋骨部をいいます。
次の症状があれば、胸脇苦満と判断出来ます。
<1>帯を締めると、息苦しい。
<2>ベルトを締めると、胸苦しい。
<3>ネクタイをきっちり締めたくない。
<4>一度にたくさん食べられない。すぐに空腹になり、つまみ食いする。

◎《大塚敬節》
“胸脇苦満というのは、柴胡を主薬とする大柴胡湯・小柴胡湯・柴胡加竜骨牡蛎湯などを用いる目標で、患者を仰臥せしめて、両足を伸ばして診察する。季肋下に抵抗を証明し、強く圧すると痛みを訴え、息苦しさを覚える。この際医師は指頭を胸腔内に押し込むようなつもりで、季肋下から圧上する。もし指頭が胸腔内に入るようなら、胸脇苦満は無いのである”

【漢方薬】(胸脇苦悶)
■一貫煎
■加味逍遥散
■柴陥湯
■柴胡加竜骨牡蛎湯
■柴胡陥胸湯   
■柴胡桂枝乾姜湯
■柴胡桂枝湯
■柴胡疏肝湯
■柴平湯
■左金丸   
■四逆散
■十棗湯   
■十味敗毒湯
■小柴胡湯
■小柴胡湯加桔梗石膏
■逍遥散
■神秘湯
■清胰湯    
■大陥胸湯   
■大柴胡湯
■良附丸    


胸脇部の疼痛

【漢方薬】
■四逆散


胸水(きょうすい)hydrothorax
⇒腔水症の一種で、胸膜腔内に漿液性液体が溜まった状態。
【漢方薬】(胸水)
■越脾湯
■控涎丹    
■十棗湯
■小青竜湯---・・(咳嗽、喘、鼻水、)
■小青竜湯桔梗石膏(鼻水、炎症)    
■増損木防已湯
■大陥胸湯
■葶藶大棗瀉肺湯   
■木防已湯---・・(顔色が黒ずんでいる




胸腺リンパ体質 status thymicolymphaticus
⇒胸腺体質 status thymicus

【漢方薬】

■荊芥連翹湯---・(皮膚浅黒い、筋肉やせ型、腹筋<心下部>拘攣、くすぐったがり、手掌に脂汗、脈緊)


胸痛(きょうつう) chest pain   (→脇痛)
(あばらのいたみ)=胸膜炎
⇒胸部に起こる疼痛ないし不快感をいう。

■病気の重さに比例せず。1997.7.7《日本経済新聞》
「Aさんは54歳の会社員。ある朝、胸の痛みのため目覚めたが、4~5分間で消失した。その後駅の階段を急いで上がった時に胸痛を覚えたが1~2分で消失した。2ヶ月後には洗面、室内歩行の際に胸痛発作が起きるようになった。不安狭心症と診断され、救急入院。心臓を養う冠動脈の造影検査で、冠動脈が数カ所で狭くなっていたことが分かり、大動脈冠動脈バイパス手術が行われた。
胸痛には、放置すると数時間以内に急変、死亡につながるものから数時間の検査の遅れや対症療法でも予後が変わらないものまで様々である。
(1)危険なもの:
(a)心筋梗塞:
冠動脈が狭くなって心筋が酸素不足に陥る[狭心症]は安静によって5分以内に軽快するが、酸素供給が完全に遮断される心筋梗塞の胸痛は30分以上も続く。冷や汗、吐き気、嘔吐なども伴う。
(b)不安定狭心症
(c)解離性大動脈瘤
(d)肺梗塞
(2)危険でないもの:消化器、筋肉、神経に由来する胸痛。
(a)食道炎
(b)胆石
(c)筋肉痛
(d)肋間神経痛
(3)病気の軽重と胸痛の強さ・頻度は必ずしも相関しない。確かに心筋梗塞は強い痛みを起こすが、高齢者や糖尿病の患者では胸部の不快感程度であったり、他の症状にまぎれることもある。
逆に命にかかわらなくても、心臓神経症では頻繁に胸部圧迫感を、肋 間神経痛は耐えがたい胸痛を伴うことがある。
(木下博明・大阪市立大学医学部教授)

【民間療法】
<1>ウツギ。
<2>ウマ。
<3>イタチ・カキ・キキョウ・ヤマモモ。

【漢方薬】(胸痛)
■葦茎湯
■烏梅丸
■括楼薤白白酒湯
■甘草乾姜湯
■甘草湯------(炎症<軽>、ケイレン性)
■橘皮枳実生姜湯
■枳実薤白桂枝湯
■血府逐瘀湯   
■桂枝加黄蓍湯---(胸中痛)
■桂枝加厚朴杏仁湯・(虚弱、喘鳴、自汗、咳嗽)
■五積散------(瘀血による胸膈部の疼痛)
■柴陥湯    
■柴胡陥胸湯
■柴胡枳桔湯   
■柴胡桂枝湯
■小陥胸湯
■小柴胡湯石膏
■失笑散
■十棗湯
■清燥救肺湯   
■清肺湯
■大柴胡湯
■大陥胸湯      
■大黄甘草湯---・(便秘、嘔吐)        
■大黄附子湯
■丹参飲
■桃核承気湯---(実証、のぼせ、足冷、下腹部痛)
■当帰四逆加呉茱萸生姜湯
■人参湯
■肺癰湯
■茯苓飲------(上腹部がつかえ苦しい、胃部振水音、舌苔白潤)
■麻杏甘石湯---・(咳嗽、乾咳、口渇)
■木防已湯
■薏苡附子散

 

胸中苦悶
⇒胸内苦悶 anxiety of the breast
【漢方薬】
■半夏厚朴湯

 

胸中煩悸
【漢方薬】
■小建中湯(虚寒、腹皮攣急、腹痛、胸中煩悸、口内乾燥、手足拘急、手足煩熱、疲労倦怠、小便頻数、盗汗、甘い物好き)


胸中煩躁
【漢方薬】
■桂枝加黄蓍湯(腰から上に汗、自汗盗汗<黄汗>、精神不安、下肢冷感、頭痛発熱悪風、胸中煩躁・疼痛、悪瘡、脈浮虚)


胸中煩熱
【漢方薬】
■黄連湯
■竹茹温胆湯(胸中鬱熱)

 

胸中煩満
【漢方薬】
■当帰四逆加呉茱萸生姜湯(手足厥冷<紫色>、腹激痛、胸中煩満、冷汗、頭痛(冷)、腰痛)

 

胸痞(きょうひ)
⇒胸がいっぱいで痛まない症=痞。結胸よりも軽症。
☆胸がいっぱいで痛む症=結胸。    

【漢方薬】
■黄連消痞丸(心下痞がとれない)
■加味陥胸湯(熱痞で胸膈が痛む)
■瓜蔞実丸(胸痞痛で背までつっぱり、喘息がひどい)
■桔梗枳殻湯(痞気で胸が脹満する)
■枳実清痞丸(心下が弱って痞となり、右関脈ののろい者)
■枳実理中元(寒実痞満を治す)
■橘皮枳朮丸(消化不良の痞)    
■解欝和中湯(痞満で熱があり、安眠出来ない)
■香砂養胃湯(陰伏陽蓄によって発生し痞)
■柴梗半夏湯(痰熱による胸痞・脇痛)    
■二陳湯山楂子・神麹・麦芽(消化不良の痞)
■人参湯
■平補枳朮丸(食後の心下痞を治し、痰を除去して脾を壮健にする)

 

 

胸痺 (キョウヒ)
(むねのうちしびれ)

=気胸。肺気腫・胸膜炎・心臓病などの症。
[胸痺]=胸がつまったように痛み。謂ふところの胸痺は、胸郭痞塞なり。《薬徴》
○胸痺して胸滿上気し、喘息欬唾すれば則ち枳実薤白桂枝湯之れを主る。胸痺して心下痞硬すれば則ち人参湯之れを主る。《薬徴》
=胸痺というのは、胸の痛みが背にまで抜けて、胸が塞がったようで、呼吸促迫、呼吸困難等を伴う病気である。《大塚敬節》

⇒胸痛、呼吸困難、咳嗽などを訴える症候群。
◎《骨空論》に曰く、衝脈の病為る、気逆裏急す。凡そ衝脈不足して血燥する故に鳩尾下痞満す。或いは気、胸中に上逆し、腹皮背に貼るが如く、為に心懸痛する者、之を胸痺という。《先哲医話》

【漢方薬】(胸痺)
■枳実薤白桂枝湯
■括蔞湯
■括蔞枳実湯
■茯苓杏仁甘草湯
■千金当帰湯
■外台増損理中丸
■薏苡附子散《金匱要略》胸痺急劇の症を治す


胸部打撲
【漢方薬】
■橘皮枳実生姜湯



胸部不快感
【漢方薬】
■香蘇散(胸の中心部の痞塞感)
■厚朴大黄湯

 

胸膜炎
    pleurisy
⇒胸膜の炎症。結核・腫瘍から来ることが多い。

◎種類:
●結核性胸膜炎
[症状]:

1.深呼吸・咳嗽時に側胸痛(特殊の刺痛)・咳嗽・頻脈
2.多量の浸出液が貯留すれば呼吸困難
3.発熱・全身倦怠・皮膚蒼白・羸痩
4.重症では、著明なチアノーゼ

●化膿性胸膜炎(膿胸)
[症状]:病初より高熱、頭痛
    激しい胸痛、咳嗽、
    全身倦怠感、
    2.7~10日後には膿液が貯留する

●ガン性胸膜炎
<1>びまん性中皮腫
[症状]:初期には無症状
  胸痛・咳嗽・胸内苦悶・反回神経麻痺
<2>転移性胸膜腫瘍
[症状]:高度の呼吸困難と胸痛
   血性浸出液が急激に貯留する

【漢方薬】(胸膜炎)
■柴陥湯
■柴胡桂枝乾姜湯
■柴胡桂枝湯

【民間療法】
<1>アキグミ・イタドリ・オオバコ・クマヤナギ・コオニタビラコ・ジャノヒゲ・モッコク。

【西洋医学】
疼痛に:
 Pontal 750~1500mg 分3。
セキの激しいとき:
 Codeine Phosohate 3T 分3。(極量1回100mg 1日300mg)




胸満(きょうまん)

【漢方薬】(胸満)

■桂枝加厚朴杏仁湯
■呉茱萸湯
■柴胡加竜骨牡蠣湯
■当帰四逆加呉茱萸生姜湯
■茯苓飲(上腹部がつかえ苦しい、胃部振水音、舌苔白潤)
■麻黄湯(頭痛、発熱、悪寒、身体疼痛、関節がいたい)


脇下微結
【漢方薬】
■柴胡桂枝乾姜湯(脇下の重圧感)

 

脇痛(きょうつう)     
=側胸部の痛みを云う。
⇒肝火が盛んで木気の実症。肝が熱で欝すると必ず脇痛する。

◎脇痛の種類

<1>気鬱脇痛
[当帰竜薈丸]

[小柴胡湯黄連・牡蠣・枳殻]
[小柴胡湯川芎・芍薬・青皮]
[枳殻煮散][沈香降気散][枳殻散][桂枝湯][木通散][復元通気散][神保元][小竜薈丸]   

<2>死血脇痛=悪血が肝に溜まり、さわると激しい疼痛。瘀血は必ず肝経に帰る。
[小柴胡湯四物湯桃仁・紅花・乳香][桃核承気湯][復元活血湯]
<3>痰飲脇痛
<4>食積脇痛
<5>風湿脇痛     
<6>乾脇痛=脇下の一点がいつも痛む。
[八物湯木香・青皮・桂心]

◎主薬:脇痛には、白芥子・青皮を主薬にすべし《万病回春》

【漢方薬】(脇痛)
■活血湯《万病回春》
■瓜呂枳実湯《万病回春》
■桂枝湯[3](ビックリして肝を傷つけ、脇骨の中が疼痛)
■枳芎散(左脇痛)
■枳殻散[3](刺痛)
■枳殻散を「生姜・青皮・葱白」煎じ湯で調下(右脇痛)
■枳殻煮丸(悲哀が肝を傷つけ、両脇が疼痛、又七情が肝を傷つけ両腋両脇とも痛む)
■枳実丸(男の肝気不足と両脇の疼痛)
■芎夏湯(風寒脇痛)
■脇痛一方《済世全書》
■香砂平胃散《万病回春》
■柴胡芎帰湯《万病回春》
■四物湯(貧血、皮膚枯燥、動悸<臍上>、神経症状、腹部軟弱、脈沈弱)
■芍薬湯(婦人の冷え症と脇痛)
■十棗湯(咳嗽で脇肋が痛む)
■小柴胡湯川芎・青皮・草竜胆(左脇痛)   
■小柴胡湯川芎・芍薬・青皮(怒りっぽい人の脇痛)
■小柴胡湯川芎・当帰・白芍薬・蒼朮・青皮・桂心(脇痛で、手足だるく、安眠できない)
■小竜薈丸(肝火が盛んで脇痛)
■沈香降気散(気滞による脇肋の刺痛と、胸膈の痞塞)
■神保元(膀胱気による脇下痛、右脇痛)
■推気散《済世全書》(右脇痛)
■疎肝湯《万病回春》
■調中順気丸(気滞し、飲が積もって脇下が脹痛)
■当帰竜薈丸(寒熱を発し、脇痛で積塊がある) 
■二陳湯《万病回春》
■八物湯木香・青皮・桂心(気が弱い人の脇痛)
■復元活血湯(打撲脇痛)
■平肝流気飲《万病回春》
■補中益気湯《万病回春》
■木通散(脇肋の苦痛)
■抑肝散(左脇腹の拘攣)
■六味丸料柴胡・当帰《薛立斎十六種》

◎ビタミンB6不足。
「左右の肋骨が胸骨につながる場所(とくに左側)を押してみると痛みがある?痛い所は複数あるのしても、3本目から6本目の肋骨と胸骨の結合部が一番痛い?こうした痛みは、男性よりも女性に多い。これも又ビタミンB6が不足しているサインだ。
     (J.ライト博士「新・栄養療法」参照)


脇満
【漢方薬】
■芎帰調血飲(脇肋脹満)



狭隅角緑内障
⇒隅角の狭い眼に起こった緑内障。
◎隅角の閉塞による場合
隅角は解放しているが、線維柱帯より奥に房水流出抵抗がある場合。


狭心症 
  angina pectoris (胸の痛みの意)
(参照→「胃食道逆流症」)
=心臓部に起こる胸痛発作を特徴とする症候群をいう。(参照→真心痛)
⇒冠動脈硬化症などで冠状動脈の狭窄によって起こる心筋虚血(酸素不足)によって冠状動脈がケイレンを起こす。40才以上の男子に多い。
⇒心筋に栄養と酸素を供給している冠状動脈の発作的血流障害によって起こる前胸部疼痛・絞扼感・圧迫感を主訴とする症候群をいう。

◎症状:以下の特徴的な症状が起きる前の段階では、しょっちゅう左の肩が凝ったり、肋間神経痛と診断されたり、左の背中・肩胛骨が凝り、酸痛が起きたり、食物や錠剤が呑み込みにくい(軽い嚥下困難)、カレーや鍋物を食べると人一倍顔に汗がかく、などの症状が起きることが多い。

<1>突然、心臓のあたりが締め付けられるような、引き裂かれるような、するどい痛みが起こり、これが左の肩、左手内側に放散する。
「胸の前側が焼きごてを押しつけられたように激しく痛むとき→心筋梗塞」
(a)頸部の痛みや背中の痛みとして感じることもある。
(b)痛みの性質:絞扼感・圧迫感・灼熱感・重圧感・息苦しさのことあり。
(c)誘因:食事・興奮・寒冷が多く。安静時や睡眠時の起こることもある。
(d)痛みの持続:30秒~30分。通常15分以内。
(e)緩解:亜硝酸剤舌下にて5分以内に緩解。

<2>顔面は蒼白となり、冷や汗が流れ、
<3>嘔吐したり、
<4>生あくびが出たりする。

◎発作の誘因:(狭心症)
<1>過度の運動をした時----運動時狭心症
<2>タバコを喫った時-------煙草狭心症
<3>興奮緊張したとき-------神経性狭心症
車の運転中なども起きやすい。興奮すると交感神経からノリアドレナリンが分泌される。これが血液中の血小板の活動を活性化させ、血液を固まらせやすくする。血液の粘度が上がることで発症する。
<4>過度の飲食
<5>寒冷な外気に触れて
<6>睡眠時-----------------安静狭心症
冠動脈がケイレンして起きる。

◎夜中から朝にかけて発症しやすい。
「異型狭心症は明け方、午前4時~6時の間に発症しやすいことが、欧米や日本の医学の結果からも明らかになっています。
その原因の1つに、自律神経の交代があげられます。私たちが眠っている間は、体を休めるために迷走神経(副交感神経)という自律神経が活発に働いています。」
(田村康二著「病気の時刻表」参照)

◎検査:(狭心症)
運動負荷心電図
24時間連続記録心電図
核医学的検査:心筋シンチグラム
心臓カテーテル検査:冠動脈造影検査。

◎種類:

労作性狭心症:
①一過性、安静で速やかに消失する。
②前胸部及び胸骨下の圧迫感。
③誘因:労作・喫煙・興奮・食後・寒冷曝露時・精神的ストレス。
④発作:30秒~15分。
⑤発熱:なし。
⑥ニトログリセリン・亜硝酸アミルが有効。

自発性狭心症(安静狭心症):異型狭心症
①安静時・夜間・早朝に発作。
②発作:15~30分。
発作時の心電図はSTの上昇を示す。
③発熱:なし。

不安定狭心症:
(American Heart Association Grading Committee 1975年)の分類
狭心症の発作が増悪し、安静時にも出現し急性心筋梗塞に移行する率の高い狭心症を「不安定狭心症」と名付けている。
<1>new angina of effort--(新規労作狭心症)
①recent onset---(最近3~4週間以内に初めて起こった)
②recurrence of prior angina---------(6ヶ月以上前の労作狭心症の再発)
<2>changing pattern of effort angina---(症状に変化を生じた狭心症)
<3>new angina at rest---(新しく起こった安静狭心症)

 

◎カルシウム拮抗剤:
「心臓の血管のケイレンを鎮め、血管を拡張させる[カルシウム拮抗剤]は一時的には良いが、長く使うと心臓に負担をかけることが最近分かってきた。」

■予防
「狭心症の予防と長期的な進行防止のためには、その原因である血管の壁の傷、血管の緊張とケイレン、心臓の筋肉の酸素不足などをおきにくくする必要がある。運動のしすぎや慢性的ストレスは血圧を高め血管を傷つける。喫煙は血管をいつも緊張状態にして慢性的酸素不足を招く。そこで
①喫煙している人はまず禁煙する。
②高血圧、糖尿病、肥満、高コレステリール血症の人はカロリー制限と適度な運動を進める。
③ストレスをためない。
④十分な睡眠をとる。
⑤アルコールを控える。」1997.10.6《日本経済新聞》

■睡眠関連物質との関係
「狭心症患者の場合、心臓動脈内で睡眠の誘導に関連する酵素が増えることを、滋賀医科大学と大阪バイオサイエス研究所の研究グループが突き止めた。この酵素を指標にすれば、これまで難しかった狭心症や心筋梗塞などの早期診断が出来そうだという。実用化の可能性があることから、マルハが科学技術振興事業団の助成を受けてこの成果をもとの診断薬の開発に乗り出すことも内定した。
この酵素は睡眠誘発物質を作る『プロスタグランジンD合成酵素』。普段は胸の痛みなどがない狭心症患者で、冠動脈内の血液中に同酵素がどれくらいあるか調べた結果、動脈硬化によって血管が狭まっている部分を血液が通過すると酵素量が約3割増加していた。血管の正常な人ではこの酵素の量に変化はなかった。
動脈硬化部分に多い理由は不明だが、この酵素は①睡眠誘発物質の合成のほかに②血小板の凝集の阻害にも関与している。
狭心症など虚血性心疾患は最初は自覚症状がなく、病状を診断する簡便な方法が確立していない。1998.2.21《日本経済新聞》

■ニトログリセリン:赤血球の酸素放出を増加させる。 (用語→ニトログリセリン) 

■重症狭心症にレーザー治療
「重症狭心症患者の心治療法TMLR(レーザーによる心筋血管新生術)が今年、日本に導入される。胸を開け、血液不足の心筋の外側からレーザーを照射、直径1mmほどの穴を2~30個貫通させる。出血するが穴はすぐに閉じ、心臓内の血液が心筋に入るうえ、新しい血管が心筋内に広がって、狭心症が改善する。
 トカゲなどの心筋は心臓内の血液を直接吸い込むことから、発想は約20年前からあった。1980年代に高出力の二酸化炭素レーザーが開発されて実用化された。心筋が完全に死んでおらず、風船つきカテーテルを使う経皮的冠動脈形成術(PTCA)ができない場合や、バイパス手術だけでは回復できない時に効果を発揮する。欧米各国で2000人に応用、75%は有効だったという。
  レーザーを輸入するイマトロン・ジャパン社の委託により、東京女子医大、国立循環器病センターなど10数病院が臨床試験を始める。1997.1.5《朝日新聞》

■ストレスも引き金
「証券会社の部長であるSさんは52歳の働き盛り。昨今の経済情勢のこともあり、ストレスの多い日々を送っていた。仕事途中、前胸部全体に圧迫感を伴う痛みに襲われ、一瞬「死ぬのではないか?」という不安感を感じた。痛みは数秒で、2、3分後には完全に消失した。若い頃、柔道4段でならした猛者のSさんも、あわてて来院となった次第。
症状からも検査からも安定労作狭心症と診断され、薬物治療と生活指導が開始された。一般に、日常生活での注意点としては、コレステロールや食塩の制限、アルコールの制限、禁煙などと共にストレスの除去がある。
激務で休養が取れなかったり、仕事上のトラブルによる多忙など精神的なストレスは狭心症の引き金となりうる。血液型のA型行動パターンと言われるものがあり、この種の人には狭心症が発症しやすいとされている。
このパターンというのは職業上のことを他の何よりも優先し、精力的で誠実、努力家で競争心が強く、性急な性格で時間にいつも追われているといった行動様式である。
実はSさんは医学的にもっと問題を持っていた。中等度の肥満で、いわゆるビール腹といわれる中年太りである。このようなタイプの肥満は同時に高血圧・高脂血症・耐糖異常(糖尿病)が隠れていることが多く、『シンドロームX』とか『死の四重奏』などと恐ろしげな医学用語が用いられている。
これはインスリンが作用しにくくなるという病態が基礎にあり、食事の量が増えると内臓脂肪が溜まりやすく、血圧や血液中の脂肪が増加するようになる。
結果として、知らず知らずのうちに動脈硬化が進み、狭心症や心筋梗塞を招く一因になる。ご多分に漏れずSさんには高血圧と高中性脂肪血症、軽度の糖尿病が見つかった。
「最近は運動もせずに食べて飲んでいたから」とSさんの弁解に、横にいた奥さんが、思わず言った。「もっと家のことを手伝ってくれればいいのよ」(西沢良記・大阪市立大学医学部教授)1999.5.10《日本経済新聞》

■手術・麻酔無し
「20005年11月から、東北大学の下川宏明教授は手術も麻酔もいらない狭心症の新たな治療法の臨床研究に乗り出す。尿路結石の破砕治療などで使う衝撃波を利用して、心臓の周りに新しい血管を作らせ、血液の流れを改善する。同大医学分倫理委員会がこのほど承認した。
狭心症の患者20人を2グループに分け、衝撃波治療の有効性を確認する。狭心症で血流が悪くなった部分を20~40個所選んで、衝撃波をそれぞれ200回当てる。1日おきに3回繰り返し、1回の治療時間は2時間。
衝撃波によって血管を作るタンパク質が血管壁の細胞から分泌され、新しい血管ができて血流が良くなる。」

■音波で治療
「狭心症患者の心臓に音波を当てる治療法を東北大学病院循環器内科の下川宏明教授らが開発した。
体外から音波の衝撃を当てて、血管を形成する物質を活発にする。メスで胸を切り開く手術が不要で副作用もない。先進医療として2008年国に申請する。
尿路結石の破砕治療に使われる衝撃波の出力を1/10に弱めて使う。衝撃波を当てると、血管の新生を促すタンパク質や一酸化窒素(NO)が増えて血管や血液が増加する。効果が現れるのは衝撃波の焦点が合う1cm四方だけで、他の部分に影響はない。
患者約10名に応用した。照射は週3回。衝撃波を当てる部位は多い患者で40カ所。1カ所に最高200回当てた。数ヶ月後には当てた部位の血流が回復して症状が改善し、ニトログリセリンの服用が5回から1回へなった。
衝撃波は尿路結石の治療だけでなく、スポーツ医学として[骨折]や[関節炎]の治療に応用されている。
ただ血管新生を促すと悪影響が出る[ガン]や場所と超音波で調べにくい[肺気腫]には利用できない。

【ハーブ】(狭心症)
「セイヨウサンザシ」(Hawthon)サンザシ属(Crataegus)の各種
「アンゼリカ」(Angelica,Angelica archangelica)及び、その他のニンジン類縁(セリ科)(Crrot family)ハーブ
★カルシウムチャンネル遮断剤は標準的な狭心症薬の1つです。アンゼリカはこのチャンネル遮断剤と極めてよく似た作用を持つ15の化合物を含有しています。
★同様の化合物を持った植物・・・ニンジン類縁(セリ科)の植物
「ニンジン」(carrots)
「セロリ」(celery)
「フェンネル」(fennel)
「パセリ」(parsley)
「パースニップ」(parsnips)
「ビルベリー」(Bilberry,Vaccinium myrtillus)及びその果実類
★ビルベリーはコレステロール低下作用があるアントシアニンを含有しています。このハーブはまた、血管を開き、血圧を下げる血管拡張薬の1つです。また、アントシアニンは心臓発作を誘発する血栓形成の予防に役立ちます。
★アントシアニンを含有する植物・・・以下の果実。
「ブラックベリー」(blackberry)
「ブラックチョークベリー」(black chokeberry)
「ボイセンベリー」(boysenberry)
「ブラックカラント」(black currants)
「ブルーベリー」(blueberries)
「チェリー」(cherry)
「クランベリー」(cranberries)
「アカブドウ」(grape)
「アカラズベリー」(red raspberries)
「ニンニク」(Garlic,Allium sativum)及びタマネギ(Onion,A.cepa)
コレステロールと血圧を下げ、心臓発作を誘発する血栓の形成を防止することで心臓病に役立ちます。毎日ニンニク1片を食べるとコレステロールを9%ほど低下させます。コレステロールが1%低下すれば心臓発作を2%低下させます。そのため1日1片のニンニクは心臓発作の危険率を18%ほど下げます。
「ショウガ」(Ginger,Zingiber officinale)
心臓発作の予防に有効(ポール シューリック著《Common Spice and Wonder Drug》)
イスラエルの心臓病クリニックでは、1日に小さじ1/2杯のショウガを推奨しています。
ショウガはコレステロールに起因する障害に対し、血管を保護する抗酸化剤を含んでいると思われる。
ジギタリスと同様に、心臓筋肉組織の強化を増進する。
「ケーラ」(Khella,Ammi majus)
1951年、心臓への血流を増加する化合物“ケーリン(khellin)”が狭心症に有 効(New England Journal of Medicine)
1日当たりわずか30mgのケーリン(Khellin)で役立ちますが、標準化されたケーラ抽出物(典型的には12%)を1日に250~300mg用いることを推奨しています。
「クズ」(Kudxu,Pueraria lobata)
1日にクズ根の抽出物10~15g、71人に4~22週、投与。29人が著効、20人が有効、22人が無効。
クズ抽出物は血流を増し、血圧を下げて、冠状動脈を拡張します。心拍リズムを安定化させます。
「スベリヒユ」(Purslane,Portulaca oleracea)
抗酸化物はフリーラジカル(身体中の高反応酸素分子)によって起こる細胞損傷を保護する物質です。スベリヒユは抗酸化物が豊富に含んでいます。
心臓病の予防に役立つオメガ-3脂肪酸(omega-3 fatty acid)の供給源です。
「ヤナギ」(Willow)ヤナギ属(Salix)の各種。
ヤナギ樹皮はハーブアスピリンです。毎日1~2カップのヤナギ樹皮ティを摂取すれば、心臓発作に推薦される低アスピリン処方と同じ量をになります。
「メマツヨイグサ」(Evening primrose,Oenothera biennis)
メマツヨイグサはコレステロールと血圧を一緒に下げる化合物であるγ-リノレン酸(GLA,gamma-linolenic acid)の優れた補給源です。
GLAはまた、抗血栓作用も持っています。
アマ種子と併用がおすすめ。
「アマ」(Flax,Linum usitatissimim)
アマ種子は、心臓保護作用を持つとされるα-リノレン酸(alpha-linolenic acid) を多量に含有しています。
「イチュアンラビッジ」(Sichuan lovage,ligusticum chuanxiog)
心臓発作を誘発する血栓の形成を予防する。
アンゼリカの化合物と同じものを含む。

 

【民間療法】(狭心症)
<1>ニワトリ。
<2>ウナギ・ドクダミ。

【栄養療法】
葉酸が心臓発作に関連(参照→葉酸)

【漢方療法】(狭心症)
<1>繁用処方:
■括楼薤白半夏湯:発作の激しい場合。喘鳴、呼吸困難、心臓部の痛みと訴える。
■括楼枳実湯:身体のしまった感じと。ネバイ痰で胸が詰まり胸痛する。タバコ狭心症。
本方は、タバコのみの慢性気管支炎に用いられることがあり、それにヒントを得て、喀痰が胸に塞がって、胸痛、呼吸困難を訴え、言語の出にくいのを目標にして、狭心症様の発作のあるものに用いる(漢方診療医典)
■桂枝生姜枳実湯:急にさしこむ痛みがある。
■柴胡加竜骨牡蛎湯:がっちりタイプ。神経性狭心症。 狭心症や心筋梗塞の発作時に用いるのではなく、平素服用することで、発作を予防する効がある。神経過敏で、精神感動によって発作を起こすもので、心下部が膨満し、臍上で動悸が亢進し、不眠、煩悶の状あるものに用いる。(漢方診療医典)
■梔子豉湯:急に胸がつまり、激しく痛む
■梔子甘草豉湯:急に胸がつまり、激しく痛む
■当帰湯:
血色すぐれない冷え性。胸が締め付けられる痛み。痛みが背中・肩に放散。
真性の狭心症より、仮性の狭心症によく効く。本方は、千金方にでていて、心腹絞痛、諸虚の冷気、満痛を治すとあって、腹から胸に差し込むように痛み、その痛みが、胸、背、腕などに放散するものおにもよく、冷え症で、特に上腹部、胸、背などに冷気を覚えるものによい。(漢方診療医典)
<2>参考処方:
■烏頭赤石脂丸
■括楼薤白白酒湯
飲みにくいので、少しづつ冷服するとよい。真性狭心症で、胸背痛、喘鳴、呼吸困難のものに用いるが、発作時にも飲んでよい。飲めないときは、発作が治まってかあ飲むようにする。(漢方診療医典)
■括楼湯
括楼薤白白酒湯が飲みにくくて、おさまらないもの。または括楼薤白白酒湯を飲んで、かえって病勢が激発するものによい。痛みが胸から背に抜けて、呼吸促迫の甚だしいものを目標にする(漢方診療医典)
■冠心Ⅱ号方
■九痛丸   
■桂枝加竜骨牡蠣湯
■血府逐瘀湯
■赤丸
■柴胡加竜骨牡蛎湯黄連1.5g・葛根5.0《漢方診療医典》
■半夏厚朴湯
これも仮性の狭心症に用いる。一老人、1日数回、左胸部に差し込む痛みがあり、医師は狭心症として治療しているが、治らないというので当帰湯を用いたが効が無く、ある事件で、ひどく、心配してから、この発作が起こるようになっったというのにヒントを得て、半夏厚朴湯を用いたところ速効を得た(漢方診療医典)
■失笑散
■炙甘草湯
■蘇合香丸    
■大陥胸湯
■丹参飲   
■人参湯
■八味地黄丸
■木防已湯



狂躁症(狂躁状態)

【漢方薬】
■黄連阿膠湯
■黄連解毒湯(充血、精神不安、煩悶、小便赤色、不眠、心下部痞満、心悸亢進、顔面赤い、脈有力)
■甘麦大棗湯(あくびが多い、腹直筋攣急、神経興奮、不眠、狂躁、ケイレン)
■清瘟敗毒散
■通導散(顔面赤色、頭痛頭重、肩こり、腹直筋拘攣、爪<暗赤色>、下腹部膨満、便秘、動悸、脈細実) 
■抵当湯
■桃核承気湯(実証、のぼせ、足冷、下腹部痛)
■防已地黄湯

 

狂乱(きょうらん)

【漢方薬】
■柴胡加竜骨牡蠣湯


 

強精

【漢方薬】
■延年益寿不老丹
■延令固本丸    
■海馬補腎丸【中成薬】
■瓊玉膏    
■固真飲子
■地黄元    
■人参固本丸
■斑竜丸
    




強直性脊椎炎(AS)ankylosing spondylitis
ankylosing=硬直
spondy=脊柱
-itis=炎症
強直(きょうちょく、ankylosis、anchylosis)とは関節部の骨および軟骨の変形や癒着が原因でおこる関節可動域制限のことである。硬直は筋肉が硬くなること   

⇒脊椎の炎症性強直を主徴とする遺伝的素因のある疾患。
◎10~20才の男性に多い。
 初発症状は腰痛・坐骨神経痛です。

◎診断:決め手になるのは、仙腸関節のX線所見。
HLA-B27との相関は良く知られている:陽性率が高い(90%以上)。
ラセーグ(Lasègue)徴候は陰性。

【ハーブ】(強直性脊椎炎)
■「ショウガ」(Ginger,Zingiber officinale)
1.ショウガはタンパク質を化学的に分解する能力を持つ特殊なタンパク質分解酵素(proteolytic enzyme)であるジンギバイン(zingibain)を含有しています。
2.タンパク分解酵素には抗炎症作用があります。
3.タンパク分解酵素にはジンギバインの他に数種が含まれ、自己免疫病を制御する能力があります。
4.生ショウガ(ginger)中に2%含まれるジンギバインがパイナップル中のブロメライン(bromelain)あるいはパパイヤ中のパパイン(papain)と同様に強力な酵素です。しかもショウガのタンパク分解酵素はパパイヤより約180倍も多く含んでいます。
5.抗炎症作用があります。インド及びスカンジナビアの研究ではショウガ<及び近縁のターメリック(tuemeric)>の仲間は関節炎の治療に有用であることを示しています。
6.ショウガは12種類以上の抗酸化物を含有、炎症の原因の1つになるフリーラジカルを中和します。
7.ショウガは非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs,nonsteroidal anti-inflammatory         drugs)であり、、強直性脊椎炎に対して有効なだけでなく、アスピリンや他のNSAIDsのように胃に負担を与えません。

■「パイナプル」(Pineapple,Ananas comosus)
ブロメラインというタンパク質分解酵素を含有。マーレー(Murray)博士は1日当たり400~600mgのプロメラインを空腹時に3分服することを推奨しています。

★タンパク質分解酵素を含有するもの
「パイナップル」(Pineapple)
「パンノキ」(breadfruit)
「ショウガ」(ginger)
「キウィフルーツ」(kiwifruit)
「パパイヤ」(papaya)
「イチジク」(figs)
「トウモロコシ」(Corn,Zea mays)
微粉末状のコーンスターチ(cornstaech)である熱帯用タルカムパウダーを皮膚炎や擦り傷に振りかけると有効でした。
「ピッグウィード」(Pigweed)ヒユ属(Amaranthus)の各種
ピッグウィードはカルシウムの補給源として最良の植物です。また、必須ミネラルを含有しています。

★カルシウムなどミネラルを含有するもの:
「シロザ」(lamb's-quarters)
「スティンギングネットル」
「ソラマメ」
「クレソン」
「カンゾウ」
「マジョラム」
「セイヴォリー」
「ムラサキツメクサ」の苗条(若芽など)
「タイム」
「ハクサイ」
「バジル」
「チャイ」
「セロリ」の種子
「セイヨウタンポポ」
「スベリヒユ」

 

●「ソコロの秘伝薬」
「Socorro Guera及びその夫Ceserは、東部ペルーに住んでいます。Socorroはアマゾンの薬草医です。彼女は自らのリウマチ治療薬であるremedio para       reumatismo(レメディオ パラ レウマティスモ)を誇らしげに見せました。その主要な成分はハーブのドラゴンブラッド、イチジク乳液、ショウガ、ポートワイン及びラム酒です。ショウガ及びイチジク乳液はリウマチ関節炎の炎症及び強直性関節炎に有用なタンパク質分解酵素を含んでいます。ドラゴンブラッド及びポートワインについては、それらはともにオリゴマープロシアニジン(OPCs,oligometic procyanicins)として知られている大量の化合物を含んでいます。このOPCsは抗酸化物であり、体内細胞に損害を与えるフリーラジカルを消去します。
彼女のレシピにパイナップルジュースを加えました。



強迫神経症 
  obsessional neurosis
⇒神経症の1つ。
1.赤面恐怖erythrophobia
2.不潔恐怖mysophobia~むやみに手を洗う。
3.高所恐怖claustophobia
4.広場恐怖agoraphobiaのほかに、
5.ガス栓・水道栓の閉め忘れや、戸締まり。消灯などを気にして、何度もしつっこく確認する。


強迫性障害
◎診断基準:DSM-Ⅳ
A:強迫観念または強迫行為のどちらかが存在する。
以下の(1)と(2)と(3)と(4)によって定義される強迫観念
(1)反復的、持続的な思考・衝動、または心像で、障害の一時期には、不適切なものとして経験され、強い不安や苦痛を引き起こすことがある。
(2)その思考・衝動又は心像は、現実生活の問題に対する過剰な心配ではない。
(3)患者は、この思考・衝動又は心像を無視したり抑制したり、または他の思考や行為によって中和しようとする。。
(4)患者は、その強迫的な思考・衝動又は心像が(外部から強制されたものではなく)自分自身の心の産物であると認識している。
以下に記した(1)と(2)によって定義された強迫行為
(1)反復的行動(例:手を洗うこと)、または心の中の行為(例:祈ること)であり、、患者は強迫観念に反応して、それを行うよう駆り立てられていると感じている。
(2)その行動や心の中の行為は、苦痛を予防したり、緩和したり、何か恐ろしい状況を避けることを目的としている。しかし、この行動や心の中の行為は、現実的関連をもっていないし、明らかに過剰である。
B:患者は、その強迫観念又は強迫行為が過剰である、または不合理であると認識したことがある(注:これは子供には適用されない)
C:強迫観念または強迫行為は、強い苦痛を生じ、時間を浪費させ(1日1時間以上かかる)、または患者の正常な生活習慣、職業(or学業)機能、又は日常の社会的活動、他社との人間関係を明らかに損なっている。
D:他の障害が存在している場合、強迫観念または強迫行為の内容がそれに限定されていない(例えば、
摂食障害が存在する場合の食物へのとらわれ、
抜毛癖が存在している場合の抜け毛、
心気症が存在している場合の重篤な病気にかかっているというとらわれ、 性嗜好異常が存在している場合の性的な衝動または空想へのとらわれ、
または鬱病が存在している場合の罪悪感の反復思考)。
E:その障害は、物質(例:乱用薬物・投薬)、又は一般身体疾患の直接的な生理学的作用によるものではない。
(ほとんどの期間、その強迫観念および強迫行為が過剰であり、又は不合理であることを認識していない患者もいることに注意)

◎「強迫性障害」とは:
「自分の意思に反して、現実とは無関係で無意味な考えが繰り返し頭に浮かび、その考えを払いのけようとしても。自分では払いのけられない強迫観念に悩む症状で、たとえば次のようなものです。
B子さんは、25歳になる大学院生ですが、朝、顔を洗うと決まって「母の死」という言葉が頭に浮かんできます。父親が早く亡くなり、郷里にいる母親は東京で学ぶ一人っ子のB子さんのために病院の事務員をして懸命に働いています。母親には、いつまでも元気で長生きしたほしいと思っているのに、洗顔の度に正反対の考えが浮かんできて、B子さんはそれを頭から払いのけることが出来ないのです。
さらに、顔を洗うのを止めれば「母の死」が現実に起こるという強い不安もあって、この考えが浮かぶと彼女はバカげた行動と思いながら、またはじめから洗顔し直すのです。結局、B子さんはお昼近くまで洗面所から離れられず、しばしば午前中のゼミに出席できなくなり、日常生活も困難になっています。
このように、多くの強迫性障害の患者さんは強迫観念の出現の仕方よりも、強迫観念の内容そのものに不安を持ちます。患者さん本人が自分の考えや行動が、不合理ではあるが自分自身の考えであり、外部から強制されたものではないことが分かっているからです。このような批判力が無い場合は、別に精神病を考えなければなりません。」(貝谷久宣著「脳内不安物質」参照)

◎どんなものがあるか?
「疑惑症」:
「自分の行為に間違いはなかったかという強迫観念に悩むもので、強迫性障害の中で最も多い。
「詮索症」:
「ある事柄の原因や理由などを徹底的に調べ上げないと気の済まないもの。」
「計算症」:
「目に触れるものはすべて数えないと気が済まない」
■強迫的防衛--------外界への恐怖が怒りに----
「最近精神科を訪れる青年期の患者には、広義の強迫的性格を持つ者が多い。まじめで完全主義的で、自分流の秩序を大事にし、物事を白か黒で割り切ろうとする。知的なものを重視し、生の感情にふれることをなるべく避け、人間関係においても比較的距離を取るといった性格である。ある意味では現代社会が要請している性格ともいえる。
こういう青年たちは、兄弟の数が少ないこともあって、幼児期には親に特別大事にされ、家庭の中では王子様のような扱いを受けて、自己愛を十分満たしてもらっている。つまり彼が彼であるだけで(とりたてて何かを達成しなくても)特別の愛情や称賛を受けて育っている。
 彼らは学童期に入ってもこの幼児期の特別扱いとそれによる万能感をなんとか維持しようとする。それには学校で良い成績をとることが一番良い。良い成績をとっている限りは家庭での王子様扱いが続く。彼らの多くはまじめで頭が良いのでこれに成功する。
  しかし、青年期に入るとさすがにそうはいかなくなる。身体的にも社会文化的にも大きな変化が生じる。他者が自己と同じで1人の個人であることが否応なく分かり、その他者と自己を比較し競争しなければならなくなる。
 そこで認められるには、自分が自分であるだけではダメで、何事かを達成する必要がある。ときには自己が他者に劣っていることを認めなければならない。つまり今までの自己愛的で万能的な自己像を断念し、現実に立脚した自己像を構築しなければならなくなる。青年期とはそういうつらい心の仕事をしなければならない時期なのである。
強迫的な青年にはこれがなかなか受け入れられない。彼らは万能感を維持するために強迫的防衛を一層強化する。
①強迫症者は自己の感情や衝動を、      
②摂食障害者は自己の身体を、
③家庭内暴力の青年は最も身近な対象である母親をそれぞれコントロールしようとする。
 しかし、有限の存在である人間はすべてをコントロールすることは出来ない。それがあらわになるとき、彼らは「怖い」という感情を持つ。この「怖い」という表現は、昨今の青年たちがよく口にする「むかつく」という表現と対になっている。
  強迫的防衛によってかろうじて守られていた彼らの自己愛が現実に直面することで脅かされると、彼らは自己を脅かす外界の対象に怒りを感じ「むかつく」。そしてその怒りは一部外界に投影されて、外界が怖くなるのである。
 今まで述べてきた青年の暴力や自傷行為は、実はこういう状態に陥った青年のあがきとも言える。またそうみなすことで、苦闘する青年へのいくばくかの共感と、援助の手がかりが生じるのである。(成田善弘・椙山女学園大学人間関係学部教授)1997.7.28《日本経済新聞》

■心の奥底に「万能感」
「B君はもともと几帳面で完全主義的な性格であったが、大学受験のための勉強に没頭するうちにますます完全主義的になり、何をするにもいちいち確認しないと気が済まないようになった。例えば、漢字が正しく書けているかどうか?、句読点の位置はこれでよいか?など気になって、本を読むのに1時間以上かかってしまう。
そのうちに、電灯のスイッチ、ガス栓、玄関のカギなどをきちんと締めたかどうかが気になりだし、何回も見直したり締め直したりするようになった。とくに玄関のカギを何回もガチャガチャさせるので、隣人から苦情を言われるようにさえなった。見かねた家族が“そのくらいにしたら”と声をかけたりすると、B君はひどく興奮し、怒り、時には声をかけた家族を殴ったりする。
 そして、確認の最中に気が散ると又初めからやり直さなければならないから、自分が確認している間は家族は声を出さず動かないいてでくれと要求する。そんなことは出来ないと言おうものなら、B君の興奮や乱暴がますますひどくなる。B君だけでなく家族も困り果ててしまった。
 これは強迫性障害の『確認強迫』の例である。強迫障害には他にも、例えば、電車の吊革やバスの座席などが不潔な気がして、それに触れると長時間手を洗わないではいられなくなる『不潔恐怖』『洗浄強迫』の例や、自分でも思ってもみないおかしな考え、例えば、「性的なあやまちを将来犯す」とか「人に危害を加えてしまったのではないか」といった観念が繰り返し心に浮かんでしまう強迫観念の例などがある。患者は一方でこんなことは必要ないと分かっているにもかかわらず、どうしても止められず苦しみのである。
 こういう強迫性障害を持つ青年が昨今増えていると言われている。彼らは自分の感情や外界の対照を意のままにコントロールし、世界に彼ら特有の秩序を強制しようとする。人間にはすべてをコントロールすることなど不可能であるのに、彼らは心の奥底でそれが出来るはずだという万能感を持っている。
 彼らの症状はその万能感を実現しようとする空しい努力なのである。それが出来ないことが露わになると、彼らは怒り、絶望し、対象を無理矢理振り回そうとする。時にはそれが暴力という形をとって、周囲を驚かせる。家庭内暴力や拒食・過食や自傷行為なども、こういう強迫的コントロールとその破綻として理解することが出来る。
 強迫的コントロールが破綻し、自分が万能でないことに直面せざるを得なくなると、『うつ状態』が生じる。強迫と欝(ウツ)は実は近縁の、つながりのある病態なのである。(成田善弘・椙山女学園大学人間関係学部教授)          1997.7.14《日本経済新聞》
■手を洗うのが止められない
「何度、手を洗っても気が済まないといったテーマにした本が反響を呼んでいる。著者はアメリカの国立精神衛生研究所の精神科医、ジュディアス・ラパポートさん。同じ悩みを持つ京都府向日市の中村苑子さん(48)が、妹の木島由里子さん(48)とともに訳した。
 「強迫性障害」とは、汚れがいつまでも気になったり、買い物をしてお金を払っていないのではないか、といった不安が頭から離れなかったりして、日常生活に支障をきたすほどになる症状をいう。自分でもおかしいと分かっていながら、止められないのが特徴だ。
アメリカの国内の調査では、約2%の人がこの症状で苦しんでいると推測されている。ラパポート医師の仮説では、脳の基底核の障害が原因とみられ、抗ウツ薬と行動療法が人によって効果があったと報告されている。 1996.8.8《朝日新聞》」

医学的なアドバイスとして最も多かったのは、『森田療法』。「不快な感情をあるがままに受け入れ、日常すべきことを目的本位に実践するなかで克服する」のを基本に、お互いの苦しみを語り合ったりしながら、立ち直りへの道を探り出していきます。最近では海外でも広く注目されているほどで、『地獄をみたが、この療法で良くなった』男性(58)や、「子供の日常生活が楽になった」という女性の声もありました。
貴重なアドバイスの数々。主婦は「克服した方の話しに励まされた。療法も参考に」と感謝しています。
■強迫性障害は病気です
「“戸締まりや火元が気になって外出出来ない”“汚れが気になって手を洗ってばかり”といた症状の『強迫性障害』の治療薬が、今月初めて認可された。ところがこの病気については「性格上の問題で、病気ではない」という社会の思い込みも根強く、患者や家族が孤立して悩む例が多かった。適切な投薬を受けるためにも、病気についての正しい認識を、と医療関係者などが呼び掛けている。
九州大学医学部付属病院の行動療法研究室が昨年8月に開設した強迫性障害のホームページには、月に1400件ものアクセスがある。病気についての問い合わせのメールも多い。「この障害について、これほど多くのヒトが情報を求めているのには驚いた」と同研究室。
強迫性障害の症状は、繰り返ししつこく頭に浮かんでくる不安や不快な考えなどの強迫観念と、そうした不安などを取り除くために行う強迫行為があり、「通常はこの2つが共に現れることが多い」(中嶋照夫・仏教大学教授)
例えば、自分や他人を傷つけてしまう、
火事や強盗など恐ろしいことが起きる、
便やばい菌など汚いものへの過剰な心配、
物事の順序への過度のこだわりなどが心から消えない。
そのため、必要以上に戸締まりや、火元の確認をしたり、手洗いや入浴、歯磨きを過度に繰り返したり、数や道順、物の位置などこだわって、日常生活にも影響が出る。
はっきりした原因は分かっていないが、「最近は脳の機能障害による病気と考えられるようになってきた」と中嶋さん。アメリカでは、患者数は人口に2 ~3%に上ると報告されている。
問題は「病気」という認識が、患者本人や家族にもほとんどないこと。「神経質」「変人」「親の育て方が悪い」など、性格や家庭環境のせいにされてしまうことが多い。アメリカ国立精神衛生研究所の小児科主任ジュディ・ラパポートさんがこの病気について一般向けに書いた「手を洗うのが止められない(晶文社)」を翻訳した中村苑子さんの元には、この病気で苦しんだ本人や家族からの「家族は対応の仕方も分からずオロオロするばかりだった」などの訴えがたくさん届いている。
これまでは、強迫観念が起こる状況にわざと直面させて慣れさせ、強迫行為を自分でコントロール出来るようにする行動療法や、坑ウツ剤を転用した薬物療法などが有効な治療法と言われる。今度認可されたSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、脳の中の神経伝達物質セロトニンの活性を促進する働きがあり、より大きな効果が期待される。
通常は行動療法と薬物療法の併用が多く「70~80%のヒトがほぼ治る」(中嶋さん)と言われている。

■ものに触れるのが怖い
「34歳の男性。4年ほど前から、ものに触れるのが怖くなりました。ドアの取ってや電車の吊革などは特に恐怖です。触れると20分間は手を洗い続けないと気が済みません。外に出づらく、会社を休むこともあります。どうしたらいいでしょうか?
これは病気なんですか?
そうです。神経症の一種で、強迫性障害と呼ばれています。ものに触れるのを恐れ、触ったら洗浄を繰り返すのは典型ですね。思春期や青年期に男女ほぼ同率で発止します。キッカケはちょっとしたことなのですが、それが分からない場合もあります。
相談者の場合は?
本人は4年前、失恋したと聞きました。本当は好きなのに、じらせるためにわざと嫌いでもあるかのような振りをして断ったといいます。その欺瞞性や悔やみが大きなストレスになったのでしょう。
仕事が原因の強迫性障害の例はありますか?
あるコンピューター会社の開発担当者は、期待された商品開発で外国に先を越され、上司に激しくなじられました。手を洗い続けるようになったのは翌日からです。
中小企業を切り盛りする40代の2代目が同じ症状に陥ったのは、80代の父親にいつも叱られ、経営権を譲ってもらえないストレスが原因でした。
強迫性障害は手を洗う形で現れるのですか?
8割はそうです。同じ行動を繰り返すのが特徴です。ほかに納得がいくまで玄関をまたいだり、服を着替えたりする例があります。赤ん坊を殺そうと思うなど自分の観念に脅えることもあります。
強迫性障害は先進国の都市部を中心に増えています。清潔重視のうえストレスも強いという事情もあるのでしょう。米国の調査では、罹ったことのある人の比率は全人口の2.5%に達します。
治療出来ますか?
研究が進んでいるので、悲観することはありません。今の治療は、あえて嫌なものに触らせ、慣らしていく行動療法が一般的です。薬物療法では、脳内のホルモンのセロトニンの効果を持続する薬剤(SSRI)が有効とされます。ほかにも各種の治療法があります。」(精神科医・町沢静夫)1999.7.10《朝日新聞》
◎具体例:
「Mさんは27歳の主婦です。地方の女子大を出て地元でOLをしていましたが、1年前に結婚して東京に住んでいます。電気会社の研究所に勤める夫の帰宅は午前零時過ぎのことが多く、1人で家にいる日が続いていました。週末に夫と買い物や食事に出るのが、唯一の楽しみでした。
東京に移って3ヶ月も経つと孤独感から、実家の母親にしばしば電話をかけるようになりましたが、ある日の電話で、小さい頃からMさんをかわいがってくれた近くに住む老婆が亡くなったこと、母が葬式を手伝い火葬場までついていったことを知りました。
この話を聞いた時Mさんは、何故か火葬場の火で焼かれる老婆の姿を想像し、急に胸がムカムカして息苦しくなってきましtが。それ以来何かあると、フッとその老婆の顔が浮かんできて、深い暗黒の闇に向かって背を丸めて1人で歩み去る老婆の後ろ姿を考えてしまうのです。しかも、こんな変なことを考えてはいけないと思えば思うほど老婆の姿が現れるのです。
そんなことが続いたある朝、起きて歯を磨いている時、ふと老婆のことを考えてしまいました。すると、この考えをもったまま歯を磨き終わると、自分のみに何か不吉なことが起きるのではないという不安が沸き上がり、不安を吹き払うために、Mさんは歯を磨きなおしました。老婆の姿が頭に浮かばなくなるまで、何回でも⇒を磨き直すのです。このようなことが次第にエスカレートして、Mさんは朝20回も30回も歯を磨き直し、夫が出勤した後も歯磨きが続くようになりました。
一事が万事で、このパターンがMさんのすべての行動に拡大していきました。とうとう、老婆の姿から死を考える強迫観念と自分の身に不幸が起こるのではないかという恐怖に束縛されて、彼女の日常生活は全く自由がきかなくなってしまいました。外出するのも家事をするのも強迫観念に縛られてほとんど不能になり、食事といえば、夫が買ってくる冷凍食品やインスタント料理、ファーストフードだけになってしまいました。Mさんは、こんなバカげた考えや行動をしなくても済むようになりたいと、夫と共に神経科を受診しました。
●診断
Mさんは、現実の状況とは関係なしに繰り返し老婆の姿や死を思い描きます。これは自分の意思に反して自動的に出現してくる心像で、考える本人自身も不愉快に感じていることから、強迫性障害に定義されている「強迫観念」だということが出来ます。彼女は、この強迫観念を自分で不合理な考えであること、そのために生活に大きな支障がでていることを自覚しています。
次にMさんは、この強迫観念を持ったまま行動すると自分の身に不吉なことが起きるという「恐怖症」に左右されています。そのため、強迫観念なしで行動の完遂を目指す繰り返し行動、すなわち「強迫行為」があります。Mさんに対しては、強迫性障害という診断が最も適切です。
●治療経過
現在、日本で使用可能な強迫性障害の特効薬はクロミプラミンです。この薬はもともと、鬱病の薬として使用されていましたが、強迫性障害に効果があることが20年近く前に見つかりました。クロミプラミンは、セロトニンがシナプスで再吸収されるのを阻害し、いつまでもセロトニン性神経伝達が活発になるように作用することによって、強迫性障害に特有の自動的な繰り返し思考を弱めると考えられています。
Mさんにはクロミプラミンと共に、スルピリドという、前頭葉のドーパミン性神経伝達を遮断し、「こだわり」を減らす効果を持つ薬を投与しました。強迫性障害に使用されるその他の薬物は、もちろんベンゾジアゼピン系の抗不安薬です。Mさんの不安は、メイラックスというベンゾジアゼピン系抗不安薬を服用し始めてからずいぶん軽くなりました。
しかし、強迫性障害の薬物療法は、パニック障害の薬物療法と比べると、それほど際だった効果はありません。強迫観念と強迫行動はかなり減少しますが、強迫症状の苦痛は並大抵のものではないので、患者さんは薬を服用しても、しばらくは苦痛がやわらいだとは自覚しません。薬の効果が現れるのは、薬物療法を開始して1~2ヶ月経ってからです。
強迫性障害の治療のメインは、むしろ行動療法であると言って良いでしょう。薬物療法は行動療法をやりやすくするための手段と考えても良いくらいです。
Mさんには、日常生活における行動療法的な課題を、毎週新しく与えることにしました。
第1週は、毎朝、何が何でも夫の朝食を作ることです。朝食といってもコーヒーを入れるだけのことですが、彼女にとって大変な努力を要することでした。しかし、これが出来るようになると、Mさんの夫に対する後ろめたさは減少し、気分的に明るくなってきました。次の週に与えた課題は、毎日1回外出して生活必需品を最低1つかってkることでした。彼女は歩いて3分もかからないコンビニへ出かけ、お菓子や果物を買ってきました。
このよいうな行動療法の効果は、課題を遂行している間は患者さんが強迫症状にとらわれないことです。強迫症状にとらわれない時間を増やしていくことが、最も良い知慮医右方の1つであると考えられます。それは課題を遂行していると、強迫観念の神経回路を使うことが少なくなり、その神経回路を強化しない方向に働くからです。
次の週に与えた課題は、毎日掃除機を使って家中の部屋をきれいにすることでした。Mさんの強迫行動は神垣やお化粧などの身繕い行為の最中に生じることがほとんどだったので、洗面やお化粧をする前にパジャマ姿のままで掃除をするように指示しました。この課題がこなせると行動に弾みがつき、Mさんはだんだんスムーズに動けるようになっていきました。
このような治療により4ヶ月後には、Mさんはパートの仕事に出かけるほどに回復しました。」(貝谷久宣著「脳内不安物質」参照)

◎治療:SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が有効。

【漢方薬】(強迫性障害)
■柴胡加竜骨牡蛎湯
■柴胡桂枝湯




強皮症 systemic scleroderma(硬皮症)
=「全身性硬化症」⇒膠原病の1つ。 

⇒膠原病の1つ。レイノー症状→膠原線維の硬化→組織の萎縮と変化する。   

◎症状:
<1>ソーセージ様指
<2>心筋繊維症
<3>肺繊維症
<4>レイノー現象
<5>筋炎

◎顔や手の皮膚に弾力性がなくなり、固く厚くなる。

◎皮膚以外に、関節、筋肉、消化管、肺、心臓、腎臓などにも障害が起きる。

【漢方薬】(強皮症)
■加味逍遙散+四物湯
種々の精神神経症状のある者に長期間服用させるということがある(漢方診療医典)
■桂枝加朮附湯
虚証で、レイノー症状、四肢関節の疼痛、腫脹、筋肉痛のある者に用いる(漢方診療医典)
■桂枝茯苓丸
瘀血によるもので、下腹部の抵抗圧痛を訴え、体力のある者に本方がよい。薏苡仁10.0gを加えるとよい(漢方診療医典)
■十全大補湯
体力が低下し、疲労倦怠、食欲不振、手足の冷え、貧血などがみられる者に用いる(漢方診療医典)
■当帰四逆加呉茱萸生姜湯
冷え症でレイノー症状があるものに用い、冷えの強い者には+加工ブシ。(漢方診療医典)
■当帰芍薬湯
■人参養栄湯
■薏苡附子敗醤散
慢性陰証となった者には本方がよい。本方はイボや指掌角皮症などの皮膚病などに用いられるが、限局性強皮症にもちいてよいことがある(漢方診療医典)
■六味丸
■神仙太乙膏(外用)

 

協熱利(きょうねつり)
⇒裏寒に表熱を兼ねて起こる泄瀉。
  【処方名-五十音順】()
■桂枝人参湯



 恐怖症(きょうふしょう)    
(参照→パニック障害)
=強迫感動obsessive affect=病的恐怖Phobie
⇒神経症の1つ。
1.対人恐怖Anthropophobie:
 「顔が赤くなるのではないかと気にして、人前に出られない。」
2.不潔恐怖Mysophobie:
  「手の汚れを気にして、何度も手を洗う。」
3.疾病恐怖Nosophobie
4.密閉恐怖Klaustrophobie
5.尖鋭恐怖Aichmophobue
6.高所恐怖Akroohobie
     などがある。
⇒強迫観念が、ある特定の対象に対する恐怖として現れる。
    <1>対人恐怖Anthropophobie
    <2>赤面恐怖。
    <3>広場恐怖。
    <4>閉所恐怖。
    <5>先端恐怖。
    <6>高所恐怖。
    <7>疾病恐怖。
    <8>不潔恐怖。
    <9>洗浄強迫。
    <10>外人恐怖。
    <11>自己臭恐怖。
    <12>自己視線恐怖。
    <13>女性恐怖。
◎「正常な恐怖」
「恐怖を表す英語のfearは「思いがけない危険」を意味する古い英語のfaerに由来し、それは「驚き(fright)」をも意味しています。つまり、恐怖の対象となる危険は具体的・現実的で、はっきり認識できるものであり、そこには驚きの要素が含まれています」
◎病的な恐怖=「恐怖症」
「アメリカ精神医学会の“精神疾患の分類と診断の手引き(DSM-Ⅳ)”では、病的な恐怖として『単一恐怖』と『社会恐怖』をあげています。」
単一恐怖:(日本では『特定恐怖』と呼んでいる)
「特定恐怖は、ある特定の物や状況を意味もなく恐れ、それらに出会うことを極力避けることです。恐怖の対象になるものは、ヘビやクモなど嫌いな動物や恐ろしいと感じた場所、あるいはとがった刃物や血など実に様々ですが、特定恐怖は何かの時に、これらの1つで激しい恐怖を体験し、それをきっかけに始まります。
しかし、特定恐怖に罹っても、患者さんは他の不安症ほど日常生活に支障を来すことはありません」
①閉所恐怖
②高所恐怖
③尖端恐怖
④ヘビ恐怖
⑤血液恐怖
社会恐怖:
「社会恐怖の特徴は、人前で恥をかいたり、きまりが悪い思いをすることをひどく恐れ、人が集まる場所にいることを努めて避けようとすることです。集まりに出かけても人前で顔が赤くなる、自分の意見をうまくはなせない。それを周りの人は注目して笑っているのではないかといった不安から、しばしば何も出来なくなってしまいます。はたから診れば上手に振る舞っていても、本人は全く自信がもてず、この次は失敗して必ず大恥をかくだろうと考えてしまうからです。
社会恐怖は15~20歳に発症することが多く、放置しておくと人生の後半までずっと続き、その間に鬱病やアルコール中毒になる人も多いようです。」
①対人恐怖
②赤面恐怖
③視線恐怖
◎恐怖症の特徴:
恐怖が長期間にわたって続き、一過性ではない。
「小さいときに恐ろしかったことでも、普通は成長するとともに弱くなるものなのですが、恐怖症ではむしろ強まっていきます。」
強い恐れや苦痛に抗しきれず、行動面でおそれや苦痛の原因となる特定の場所・物・状況を意識的に避けることです。
このおそれが客観的にみて不合理で無意味であるあることに、本人も気づいていること。
「このため、恥ずかしくて誰にも打ち明けられない」
この恐怖のために。時には日常生活や社会生活に適応出来なくなったり、強迫行動をとることです。
【宝石療法】
    [マデイラ・シトリン]
 

【処方名-五十音順】        
■五積散
■柴胡加竜骨牡蛎湯
■柴胡桂枝湯
■半夏厚朴湯
■抑肝散

■10分
高所恐怖症などで起きる恐怖感を克服する方法
恐怖曲線・・・必ず10分ぐらいでゼロに近づく
 画板にタテに恐怖度、ヨコに時間を書く。
 恐怖を感じた時を点数にして画板に書き入れる。2分ごとに、書き入れる。そうすると、画板上にグラフができる。その線は必ず徐々に下がっていくのが眼で確認できる。そうすると、恐怖心が消える。
東大・熊野宏明。准教授
エクスポージャーという手法(NHKためしてガッテン)
■恐怖遺伝子
「怖さを感じるのは脳の扁桃体と呼ばれる神経細胞と密接な関わりがある。その機能が低下すると怖がる反応が低下する。『恐怖遺伝子』の存在も知られていた。しかし、どの遺伝子の働きがどのように脳神経の機能を変えて怖さを左右するかは長い間、ナゾだった。
遺伝子解析技術が急速に発展し解明が進み始めた。マウスは人間と共に共通した遺伝子を多く持つため、怖さの研究によく使われる。ある遺伝子が特定の組織内で働かないようにしたノックアウトマウスが役立っている。
藤田保健衛生大学の宮川剛教授は、さまざまな実験施設でマウスの行動を調べている。たとえばある高さのところに十字路を作り、一部を壁付にする。怖さを感じない通路を平気で進む。明るい箱と暗い箱を並べた別の施設では、恐がりではないマウスが明るい箱に入る。
約100系統のノックアウトマウスで実験し、怖さと関係の深い遺伝子が明らかになってきた。1つは神経細胞の成長などを司る酵素『カルシニューリン』の遺伝子。この遺伝子が働かないノックアウトマウスでは扁桃体の働きが強まり、こわがりになるという。
もう1つの遺伝子『αCAMKⅡ』の働きを止めたノックアウトマウスの脳も調べた。すると2000種類以上の遺伝子の働きに変化が起き、脳は未成熟な状態だった。扁桃体の活動も低下し、マウスは“怖い者知らず”を通り越して凶暴になり、同じカゴの兄弟を1年以内にすべて殺してしまった。
これらの遺伝子は[統合失調症]や[うつ病]の発症にも関係している。
抗うつ剤の中には、兄弟殺しのマウスと似た遺伝子の働きの異常をもたらし、攻撃性を強める恐れがあるものもあるという。」




 驚疳(きょうかん)
   =攣性疾患。

 

驚癇(きょうかん)
⇒急驚風の発作のこと。急驚風は発病が急で、高熱を出し眼が赤く、昏迷してひきつけ、角弓反張し、両眼は上視し、歯を堅く食いしばり、口から白沫を出し、ゴロゴロと痰声がある証で、小児に良く見られる。
  【処方名-五十音順】
■甘連湯
■甘連石湯
■桂枝加葛根湯
■犀角湯
■七味白朮湯
■人参枯桃湯


 驚悸(きょうき)
⇒驚とは心が安らかでない症状で、悸とは心がおびえることである。
悸という症状は心が跳動する症状である。
非常に驚いて心悸亢進したり、心悸亢進して驚き易くなったり、恐れて不安になったりする病証。

<1>思慮が過ぎ、大いにびっくりして起こった
       1.清心補血湯
       2.辰砂妙香散
<2>気血が無くなると
       1.養心湯
<3>少し起きては、少し止まるのは、痰のせい
  「二陳湯枳実・麦門冬・竹茹・黄連・梔子・人参・白朮・当帰・烏梅・薑3、棗1」 水煎し、竹瀝3匙、朱砂末3分を入れ服用。
<4>補血し安静にすべきとき
       1.静神丹
       2.寧志元
       3.養血安神湯
       4.朱砂膏
<5>気鬱を伴う驚悸
       1.交感丹
       2.加味四七湯
  

【処方名-五十音順】
■加味温胆湯(心と胆が事物にふれると驚き、痰涎と気が相まって起こる)
■加味帰脾湯
■加味定志丸(痰で苦しみ、心膈が驚悸)
■加味四七湯(心気が欝滞)
■帰脾湯
■三黄瀉心湯
■酸棗仁湯
■朱砂安神丸(驚かされて血虚になった)
■朱砂膏(驚いて熱を出し、人事不省・昏迷)
■辰砂妙香散(・恍惚・恐怖・憂鬱・喜怒不常・虚煩・不眠)
■静心丹(憂愁・思慮で心が傷み、いつもビクビクして不安)
■清心補血湯(心配・気苦労で精神が弱り、めまい・気短・驚悸)         

■鎮心丹(心虚驚悸)
■寧志元(心血が欠乏し、おびえる)
■養血安神湯(驚悸)
■養心湯(憂愁・思慮で気を病み、気苦労で疲れ。不眠・驚悸)
■抑肝散




 驚狂
⇒驚によって狂を起こすもので、驚乱狂躁の状態となる。

【処方名-五十音順】
■甘草湯
■甘麦大棗湯
■防風通聖散

 

驚風(きょうふう)
    (→急驚風)(→慢驚風)
   =小児搦症。
  【処方名-五十音順】
■九竜控涎散---・・(驚風で目を仰視する=天吊驚風)
■釣藤飲------・(天吊)
■釣藤膏------・(驚風内釣症)


 蟯虫(ぎょうちゅう)
■手を清潔に
  「30歳代、男性。大便をした時に、モヤシぐらいの大きさの物が加味につきました。気にするせいか、校門おところがムズムズします。今時、回虫がいるのでしょうか?それとも、腸のどこかに異常があるのでしょうか?
寄生虫の感染者が著しく減少したのは事実ですが、食生活の変化、生鮮食品の流通機構の発達などで感染要因が酔うようかし、寄生される人間の免疫力も低下したため、徐々に感染率は高くなっています。
あなたの場合は、回虫ではなく、蟯虫によるものでしょう。蟯虫が盲腸に寄生し、大腸、直腸を下降、肛門から這い出して起きる蟯虫症という病気です。症状は軽く、就寝時に肛門の周りの皮膚や粘膜がかゆくなる程度です。幼児・学童期に増加しますが、その後、減少し、30~40歳にまた増加します。
蟯虫のメスは1cm前後の細長い虫で、オスはメスの1/3くらいです。メスは肛門の周りに卵を産み付けます。卵は下着に付着し、寝具や床などで数時間して成熟卵になります。成熟卵が手指やツメの間に付着し、そこから口に運ばれる自家感染が主ですが、チリやホコリに付着した卵による家族内感染の可能性もあります。
この病気は再発しやすいため、用便後の手洗い、パジャマ・下着・シーツの交換を行い、できれば、朝のシャワーで肛門周囲を洗浄すると効果的です。卵は高熱や乾燥に弱く、予防の際のポイントになります。
診断は、起床時に市販の蟯虫用粘着セロハン膜を肛門の周囲に押しつけ、顕微鏡で調べて行いますが、2、3回でやっと分かることもあります。念のため、腸の検査もかねて内科で診察を受けて下さい。
  

【処方名-五十音順】
■三昧鷓胡菜湯・・・これを連続して使用するとともに、食酢でたびたび浣腸する
■大黄牡丹皮湯
■桃核承気湯(実証、のぼせ、足冷、下腹部痛)
■雄黄燻・・・雄黄20.0もぐさ20.0をよく混ぜて紙に包んで7条とし、米糊で封じて線香のようにし、1日に1条ずつ火鉢にあてて患者の肛門に煙を当てる。ゴマ油を肛門に塗っておくとよい。
  【色彩療法】
    <1>黄色
    <2>青色

 

虚血性心疾患
◎1979年、ISFC/WHOの専門委員会による分類。
一次性心停止
狭心症
 ①労作狭心症
  (a)新規狭心症(初発狭心症):

      発症1ヶ月以内のもの。
  (b)安定狭心症:

     発症後1ヶ月以上経過したもの。
  (c)増悪狭心症:

     同程度の労作で、頻度・程度や持続時間が増悪する。
 ②安静狭心症(自発性狭心症)
心筋梗塞
虚血性心疾患による心不全
不整脈

 

■大豆タンパクが予防
「FDA(米国食品医薬品局)は昨年10月下旬、大豆タンパクを一定量以上含んだ食品に“大豆タンパクには虚血性心疾患の危険を減らす作用がある”ことを表示することを認めた。
対象になる食品には大豆から分離したタンパクを使った製品や豆腐などが含まれる。昨年11月から、米国では“1日に大豆タンパク25gを含む飽和脂肪酸とコレステロールの少ない食事を摂ると、心臓病にかかる危険性が低くなる。この食品には大豆タンパクが○○g含まれている”と表示された食品が店頭に並んでいる。
大豆に動脈硬化を防止する働きがあることは知られていた。日本人は豆腐や納豆、ミソなどの大豆加工食品を昔からよく食べていたから、このことをあまり意識する必要はなかった。しかし、食生活が肉類や揚げ物・炒め物などが主体になるにつれ、心臓病になる危険性が欧米並に高まった。
心臓病の中でも怖いのが虚血性心疾患。心臓に酸素や栄養を送る冠動脈が細くなり、血液が心臓に届かなくなる病気だ。日本では年間約72000人が虚血性心疾患で亡くなっている。米国ではその10倍が死亡しており、死因の第一位になっている。
近年の臨床から、牛乳や肉類よりも大豆タンパクをとる方が血液中の総コレステロール値うあ低比重リポたんぱく(いわゆる悪玉コレステロール)値を下げることが出来ることが分かったという。大豆タンパクは肉類と違って、飽和脂肪酸やコレステロールが非常に少ない。
ポイントは、1日に25gの大豆タンパクを摂る必要があること。FDAはこの値の1/4(6.25g)以上含んだ食品に表示できると定めている。
25gというと豆腐でいえば、1.5~2丁に相当する。豆腐や納豆・豆類の好きな人は毎日この程度食べているから、それほど気にする必要はない。ただ、肉類主体の欧風食生活の人は、大豆加工食品を意識して摂取した方が良い。」2000.5.15《日本経済新聞》
■虚血に関する免疫細胞
「米ジョンズホプキンス大学の研究グループは、臓器に血液が流れなくなり腎臓移植などの失敗の原因となる虚血に、免疫細胞の異常な働きが関わることを突き止めた。
この細胞は「CD4」と呼ばれ、通常は抗体の生産を調節し体内に侵入してきた微生物などを攻撃する役割がある。心臓発作などの虚血性疾患の研究に弾みをつける成果だ。
マウスを虚血状態にし腎不全を起こさせる実験で、CD4の無いマウスは通常のマウスに比べ腎臓の損傷が約4割も少なかった。このマウスにCD4を導入すると、損傷がひどくなった。」2001.1114《日経産業新聞》



 虚血性脳障害
■100%酸素
「米ユタ州南西部医療センターは、現在、出産時などに低酸素虚血性脳障害に陥った乳幼児などに対して行われている100%濃度の酸素治療が、かえって症状を悪化させている可能性があることをマウス実験で照明した。
実験では、脳障害のあるマウスに対して、100%濃度の酸素と部屋の空気と同じ21%濃度の酸素を与えた。3日後、脳性マヒが前者でひどくなった。解剖すると、前者は後者よりも、神経を包んでいる鞘のタンパク質であるミエリンが損傷していたり、脳内のグリア細胞が小さくなっていた。」2008/7/3



 虚弱
   =虚弱児 (虚弱体質)
   ◎主薬:下元の虚弱には、牛膝・木瓜を主薬とすべし《万病回春》
  【処方名-五十音順】
    黄蓍建中湯(衰弱)
滲出性体質の幼児に用いて体質を改善する効がある。飲んでいると、筋肉のしまりが良くなり、風邪を引かなくなります(漢方診療医典)
    桂枝加黄蓍湯(かぜ)
 桂枝湯
 啓脾湯
    五積散(虚弱の感冒)
五苓散
ストルフルスによく効くので、滲出性体質のものに用いる機会がある(漢方診療医典)
    柴胡桂枝湯(虚弱体質)
神経関節炎体質のものに用いる。この処方の服用で頭痛、腹痛、四肢痛が治るばかりでなく、喘息、リウマチ熱などにも罹りにくくなる(漢方診療医典)
柴胡清肝散
本方は小柴胡湯と同じく、胸腺リンパ体質の改善とくに扁桃炎、滲出性中耳炎を繰り返すものに用いられる(漢方診療医典)
    小建中湯(虚弱児の体質改善)
      胃腸系の虚弱体質に用いられる(漢方診療医典)
小柴胡湯
胸腺リンパ体質の小児で、扁桃やリンパ節が肥大しているものに用い、体質を改善する効がある(漢方診療医典)
    大芎黄湯
滲出性体質の幼児にはよく湿疹ができる、俗に胎毒と呼ばれているものである。この処方がよい(漢方診療医典)
 当帰建中湯(虚弱体質、栄養不良状態)
    半夏白朮天麻湯
(激しい頭痛・めまい、嘔吐吐き気、足冷、心下痞満、肩こり、背中突っ張る、腹部軟弱)
本方はOD(起立性調節障害)に頻用される(漢方診療医典)
   補中益気湯(虚弱児の体質改善)
麻杏甘石湯
滲出性体質の幼児で風邪を引くと喘鳴が続き、喘息性気管支炎の状になるものによい。とくに本方は小柴胡湯と併用して長期連用すると呼吸器系統の虚弱気体質が改善される(漢方診療医典)
    六君子湯
      (胃弱、元気がない、疲れやすい、食欲なし、食べると腹が張る、舌苔白滑、       乾嘔、痰飲)
胃腸が弱く、食欲不振で血色がすぐれず、気力に乏しいものに用いる(漢方診療医典)
【民間療法】
    <1>マムシ。
    <2>アカネ・イナゴ・ウツボグサ・カキドウシ・カタツムリ・カマキリ・フキ・     メハジキ。
    <3>[オオバコスイカズラ]
    <4>[ドクダミゲンノショウコ]



 虚証
◎凡そ滋補滋陰に用ゆる薬方中に[陳皮][木香][半夏][砂仁]など無くば、薬気を達    する能わず。此の理尤も欠くべからず。
     古人、黄蓍建中湯に半夏を加えるは此の理なり。《先哲医話》
  【処方名-五十音順】
    安中散
    黄蓍建中湯
    桂枝加葛根湯    
    桂枝湯
    炙甘草湯
    潤腸湯
    真武湯
    清暑益気湯
    大建中湯
    当帰飲子
    当帰湯
    補中益気湯
    抑肝散



 虚脱(きょだつ)
  【処方名-五十音順】
 呉茱萸湯
    四逆加人参湯
    通脉四逆加猪胆汁湯



 虚煩(きょはん)
   =虚しているにも拘わらず反応が強く症状が誇大されるもの。元気が衰弱して煩を    覚えるもの。腹内空虚にして不眠煩悶に虚状あるもの。器質的変化なく煩する者。    《古今方彙》
    <1>虚煩というのは心胸の煩擾(擾=ジョウ、乱れる)のことをいう。
    <2>心が虚すと煩し、また肝・腎が虚すと心は煩する。
    <3>大体において金は肝の虚をうち、土が腎の虚をうち、木は脾の虚をうつので     煩になる。
    <4>虚煩に自利し、手足が冷える:[既済湯]
    <5>虚煩:[橘皮湯][人参竹葉湯][淡竹茹湯]
   ◎主薬:
     虚煩には、竹葉・石膏を主薬とすべし《万病回春》
     虚煩には、竹茹を主薬とすべし《万病回春》
  【処方名-五十音順】
    烏梅湯(傷寒が治った後、虚煩・寝られない・懊)
    遠志湯《古今方彙》
    加味温胆湯《万病回春》
    既済湯[2](霍乱の後、虚煩し、手足の冷える症)
    既済湯[4](霍乱後の虚煩と不眠)
橘皮湯[5](虚煩を治す。
    辰砂益元散(傷寒に熱が残って、虚煩・狂言・譫語)    
    辰砂五苓散(傷寒に発熱し、狂言・譫語・虚煩)
    辰砂妙香散(・恍惚・恐怖・憂鬱・喜怒不常・虚煩・不眠)
    参胡三白湯(霍乱後の煩熱、口渇)
淡竹茹湯(心が虚し、煩悶する者を治す)
    竹葉石膏湯《万病回春》
    人参竹葉湯(虚煩を治す)

 虚風 
   =人を傷つける邪気、慢脾風の別名。
  【処方名-五十音順】
    白朮散《宣明論》



 虚痢(きょり)
  【処方名-五十音順】
    訶子皮散(赤白痢で脱肛、虚寒痢の脱肛)
    加味香連丸(虚痢と久痢)
    四物湯人参・白朮・地楡・樗根皮
    真人養臓湯    
    大断下丸(久痢の五虚で衰弱し、危篤なとき)
    調中理気湯(虚痢と気弱な者)


 虚労(きょろう)
   ⇒虚損労傷の略。過労のため肉体が衰弱し、精神の困憊せる状態をいう。
    ストレス・働き過ぎ・過飲過食・SEX・病後の失調で陰陽・気血・臓腑の機能    低下を起こしたもの。
   ⇒<1>虚とは:皮毛・肌肉・筋脈・骨髄・気血・津液が不足したこと。
    <2>虚労の症状:①飲食が減少、
            ②精神が混迷、
            ③遺精・夢泄、
      ④腰・背・胸・脇・筋・骨が突っ張って痛い、
            ⑤自汗、
            ⑥痰が起こる、
            ⑦咳嗽など。
    <3>
        ①皮が虚すと---熱があり。
        ②脈が虚すと---驚愕する。
        ③肉が虚すと---身体が重い。
        ④筋が虚すと---燥急になり。
        ⑤骨が虚すと---痛み。
        ⑥髄が虚すと---四肢がだるい。
        ⑦腸が虚すと---下痢。      
        ⑧三陽が充実し、三陰が虚すと---汗が出ない。
        ⑨三陰が充実し、三陽が虚すと---汗が出て止まらない。
    <4>虚による不足があって、栄と衛が共に涸渇すると:              1.五労と七傷が起きる。       
        2.骨が蒸発し、潮熱する。
        3.腰骨が拘急し、百節が疼痛する。
        4.寝汗をかき、
        5.いつも驚して、
        6.咽喉が乾き、唇が熱く。
   7.横になりたがり、気力なく、痩せる。
        8.咳嗽が出、痰が多く、血絲を吐き、       
9.寒・熱が往来して食欲がない。
       10.熱薬を飲むと煩躁して上衝し、寒薬を飲むと胸膈が詰まって腹が痛む。
<5>陰虚・陽虚・陰陽両虚 (→陰虚)(→陽虚)
陰虚=血の虚。
       陽虚=気の虚。
       陰陽両虚=気血が不足。
<6>心虚・肝虚・脾虚・肺虚・腎虚(腎陰虚・腎陽虚)
       1.肝虚:
          ①顔色悪く、目がかすむ。
          ②処方[滋補養栄丸][帰茸丸][洪振丹][黒元][四物湯][和湯]
             [補肝丸]
       2.脾虚:
          ①痩せ、食欲なし。
          ②処方[天真元][還元丹][橘皮煎元][烏朮丸][潤腎丸][大山芋元]              [参朮調元膏][参苓白朮丸][九仙王道]
       3.肺虚:
          ①咳をし、痰が多く、唾血する。
          ②処方[人参膏][人参黄蓍散][独参湯][団参飲子][保和湯]
       4.腎虚:<左>=腎、<右>=命門
   ①腎の虚
            =[六味丸][太極丸][陰煉秋石丸][八味補腎丸][冷補丸]
             [腎気丸][三一腎気丸][延年益寿不老丹][無比山薬元]
             [補腎養脾丸]
          ②命門の虚
            =[八味地黄丸][加減八味丸][小菟絲子元][三味安腎丸]
             [九味安腎丸][小安腎丸][加減内固丹][秋石五精丸]
             [増益帰茸元]
   ③腎・命門ともに虚した症。             
            =[玄兎固本丸][班竜丸][陰陽煉秋石丹][茸珠元]
    <7>通治薬:(五十音順)
        [益寿固真丸] 
        [黄蓍益損湯]
        [黄蓍鼈甲散]
        [瓊玉膏]
        [玄珠耘苗丹]
        [五補元]
        [十四味建中湯]
        [小建中湯]
        [秦鼈甲散]
        [沈香鼈甲散]
        [神仙既済丹]
        [神仙巨勝子元]
        [神仙不老丸]
        [瑞蓮元]
        [千金延寿丹]
        [当帰膏]
        [二神交済丹]
        [補天大造丸]
        [無比山薬元]
  【処方名-五十音順】
        異類有情丸
        陰分生陽湯
        陰陽煉秋石丹
        衛生湯
        益寿固真丹
      黄蓍建中湯
        黄蓍十補湯
        黄蓍損湯
        黄蓍甲散《和剤局方》
        膃肭補天丸
        花蕊石散
        楽令建中湯《和剤局方》
        加減補中益気湯《寿世保元》
        加味帰脾湯《薛立斎十六種》
        加味虎潜丸
        加味十全大補湯
        加味逍遥散《医方考》
        橘皮煎元
        帰脾湯丹参・牡丹皮・麦門冬・生地黄《医宗必読》
        桂枝加竜骨牡蠣湯
        玄珠耘苗丹
        固真飲子
        五補丸
        三仙丹
        三才丸
        酸棗仁湯《証治準縄》
        炙甘草湯
        滋陰降火湯《万病回春》
        滋陰地黄湯《済世全書》
        滋陰至宝湯《万病回春》
        滋陰大補丸
        滋血百補丸
        地骨皮枳殻散《医類元戎》
        十全大補湯《済世全書》
        十灰散
        十四味建中湯
        消化丸
        小建中湯
        逍遙散《和剤局方》
        逍遙散牡丹皮・苡仁・蘭葉《医宗必読》
        潤肺膏
        参香散    
     神仙既済丹
        神仙巨勝子元
        神仙不老丸
        新増拯陰理労湯《医宗必読》
        新増拯陽理労湯《医宗必読》
        秦扶羸湯《医学入門》
        秦甲散《衛生宝鑑》
        参苓白朮散《万病回春》
        沈香百補丸
        清骨散《証治準縄》
     清神甘露丸
        清肺飲子《万病回春》
        清離滋坎湯《万病回春》
        瑞蓮丸
        是済補丸
        千金延寿丹
        増損楽令湯
        雙和湯《和剤局方》
        大五補丸
        大建中湯
        太上保真湯《済世全書》
        太平丸
        天地煎
        当帰膏
        当帰生姜羊肉湯
        独参湯
        二至丸
        二神交済丹
        廿四味蓮心飲《朱丹渓》
        人参散《普済本事方》
        人参自己ぴ散《衛生宝鑑》
        人参養栄湯《和剤局方》
        寧肺湯《楊氏家蔵方》
        麦煎散《医方考》
        白鳳膏
        八味地黄丸    
        八物湯
        茯苓補心湯《三因極一病証方論》
        茯苓補心湯《婦人大全良方》
        分消湯《万病回春》
        補益養栄湯
        補髄膏
        補髄丹
        補精膏
        補中益気湯《済世全書》
        補中益気湯五味子・苡仁・乾姜・肉桂《医宗必読》
        保真湯
        保和湯    
     無比山薬元
        凉肺湯《医宗必読》
        鹿茸大補湯
        和中湯《万病回春》

   【鍼灸穴】:[大赫][中封]


 拒食症  
   (→「摂食障害」「不食症」)
   ■嫌われる---拒食と過食を繰り返す。
    「人付き合いに苦痛を感じる「回避性人格障害」と診断された女性は、医学的な     因果関係は明瞭になっていないが、「拒食症」「過食症」を併発するケースが     多いとの専門家の指摘がある。愛知県から上京、都内の国立大学に通う坂井理     沙さん(仮名22才)も、そんな一人だ。
      高校一年の秋、同じクラスにとてもスリムな女生徒がいて、うらやましかっ     た。当時の坂井さんは身長153cm・体重47kgだった。自分では46.5kgが理想     だと信じ込んでいたので、ダイエットに取り組むことにした。この「500g」の     減量がすべての発端となった。
 朝食は普通だが、昼はご飯をお茶碗に半分以下と野菜だけで、夜は菓子パン     1つ。しだいに体力が落ち、風邪が治らなくなる。体温も血圧も正常からはず     れていく。体重が40kgを切った。
「やばいな---」と思ったが、物に取り付かれたようにダイエットを続けた。自分     でもなぜか分からなかった。翌年、反動で過食が始まり、拒食と過食を交互に     繰り返すようになった。自分ではもはや食欲をコントロール出来ず、そのうち、     過食一方になり、体重は増え続けた。2年生になると、「太っていると嫌われ     る」と思いこみ、人と会うのが嫌になる。クラスメートとも口をきかなくなっ     た。学校だけは通ったが、仲間との距離は開くばかりだった。
      一浪して大学に入学した。浪人時代は目標もはっきりしていたせいもあり、     過食症が治ったかに見えたが、大学合格後は、またぶりかえした。体重を増や     さない為に高校3年の冬に覚えた「食べて吐く」ことが日常の行動になった。     1ヶ月に7kgも体重を減らした。
 入学後につき合い始めたボーイフレンドの存在も大きくのしかかっていた。    「太ったら嫌われる」という想いから彼の前では食べ物を一切口にせず、後で食     べてすっかり吐くことを繰り返した。一度に食べる量は、菓子パン10個・カ     ップ麺2個・スナック菓子2袋といった調子で、それが日に2~3回。生理が     止まり、その年の秋には体重が34kgまで落ちた。太っていると言われるこ     とが気がかりで、友人の前でも食事が取れなくなり、自分でも心身ともに危機     感が募った。そのころの写真を見ても、とても自分とは思えない。
  「このへんで治さないと、社会に出ていけない」。笑わなくなった自分に、そう     言い聞かせる。大学2年生の秋、すがるような思いで精神科医のもとへ、自分     ではもうどうにもならないところまで来ていた。 1996.4.18《日本経済新聞》」
   ■どんな料理も会話なしでは
    「なんでこんなにおいしく無いんだろう」-----。茨城県つくば市に住むA子さん     (27)は夕食の箸を休め、ふと思った。親元を離れて暮らすようになって半年ほ     どたった頃のことだ。
  A子さんは高校の家庭科教師。自分で調理するのは決しておっくうではない。     むしろ初めての一人暮らしがうれしくて、あれこれ材料を買い込み、様々な料     理に挑戦した。
     なのに、出来上がった食事がおいしくない。「『会話がない』ことが原因だ     と気付いたのは、少したってからでした」。せっかく時間をかけて作った食事     も、黙々と口に運べばあっという間に片づいてしまう。一生懸命作っても、誰     も、おいしいともまずいとも言ってくれない。
 教師になる前は東京・丸の内の大手商社に勤務していた。バブル期のOLの     楽しみと言えばファッション、旅行、そしてグルメ。A子さんもおいしい店が     あると聞けば女性の同僚たちと、たった1時間の昼食のために神田までタクシ     ーを飛ばしたこともある。
「でもこっちに来て、その楽しみも減りました」。職場には同世代の女性教師も 少なく、せっかく長い夏休みに一緒に旅行できる人も、気楽にグチをこぼせる 相手も少なくなった。ある日、食事を作る気もせず、疲れた体を引きずるよう に入ったのは、教師仲間ときたことのあっや定食店「やのじ」だ。
「人って、誰かに話しをしたい時、食事を終わってもなかなか席を立とうとしな いんですよ」。店主の谷島静子さん(49)は言う。A子さんもそうだった。半円     形のカウンターは10人ほど座れば満席だ。近くには筑波大学や官庁、企業の     研究所が建ち並び、客は男性の単身赴任者が多く、店は午後9時ごろまで込み     合う。
  でも、ここには団らんがある。彼らは食事中、隣の席になった人とよく話す。     食べ終わっても、セルフサービスのお茶をちびちびやりながら話し込むのもし     ばしばだ。カウンターに座る全員が、同じ話題で盛り上がることもある。
  カウンターの内側で谷島さんも輪に加わる。彼女のイスはどこでも向けるよ     うに、座席部分が回転する。初めての客も参加しやすいように声をかけるのも、     谷島さんの重要な役目だ。
A子さんも、こんなことがあった。隣の2人組の男性と会話が弾み、男性た     ちが先に帰ってから、しばらくたって食事代を払って出ようとすると「さっき     の人たちが払ってくれたわよ」心が少しほぐれた瞬間だった。
  これから、一人暮らしや結婚を経験するだろう生徒たちを前に、A子さんは     教壇に立って言う。「食事は絶対に会話が必要です」。それは、栄養素の働き     や調理実習を教えることと同じくらい重要なことだと感じている。1997.1.16《日     本経済新聞》
■時間かけ、心の奥の問題解決を
    「27歳女性。事務職員をしているとき、人事異動をきっかけにものが食べられ     なくなりました。やせて生理が止まり、婦人科でホルモン注射を受けましたが、     治りません。別の大学病院の内科で拒食症と言われました。いま体重41kg     で、生理は在りません。どうしたら元通り食事が出来る様になりますか?
●拒食症の悩みはよく聞きますが?
「体に異常がないのに食べられずにやせてくる拒食症。1日中食べずにいられな     い過食症。この2つの症状は正反対ですが、根は同じと考えられ、ひっくるめ     て摂食障害と呼ばれます。拒食症が1、2年すると過食症に変わるという例も     多いのです。
●原因は?
    「拒食症は心に何かの問題を抱かえこんだ為に体に症状が出るいわゆる心身症で     す。成長して社会に出るとき、何らかの問題を抱かえてしまって自己を見失う。     大人としては適応できないので自分を子供の姿に適応しようとするのが拒食症     です。本人は全くそういう自覚がないんです。
      高校生の年代を中心とした若い女性に拒食症は多く、しつけの厳しい家庭環     境、几帳面、完全主義、いわゆる「手のかからない子」などに多い傾向が強い。     同じ高校生でも成績のいい子が集まる学校で目立ちます。
      きっかけは、学校でのいじめ、家庭問題、恋愛、友達付き合いなどいろいろ     な人間関係が引き金になるようです。小児の糖尿病の厳しい食事療法がきっか     けになることもあります。
●どんな症状が現れるのですか?
    「ダイエットをしていると、食べるとお腹が痛い、食欲がないなどの理由でほと     んど食事をとらず、標準体重よりも15~20%以上やせます。体重が急に1     0kg以上減った場合も当てはまります。このため生理が止まります。又、自     分の痩せた体がちょうどいいと思うなど、体に対するイメージが普通と違って     きます。本人はどこも具合の悪いところはないと感じているのも特徴です。
元の体重の9割以上にならないと、普通、生理は戻りません。婦人科でホル     モン注射をしてもらっても、あまり効果はありません。しかし、ホルモン補充     をする事は、若い人の成長を正常にするために必要と考えられています。
●治療法は?
    「拒食症の奥には心の問題が潜んでいます。心に対する治療が出来る心療内科や     精神神経科を受診すべきです。その上で、2週間~1ヶ月に1戒、医師、臨床     心理の専門家(カウンセラー)らによる「身の上相談」的なカウンセリングを受     けます。同じ様な悩みを抱いている人たちが作っている会合に出かけるのもい     いでしょう。体重が32、3kgを切るようになると命にもかかわるので、高カ     ロリー点滴などの救急治療が必要です。
基本は「自分」をもう一度作り直すことなのです。そのために、
       ①家族関係を修復し、当人をサポート出来るようにする家族療法
       ②「赤ちゃん状態」から再出発する再養育療法
       ③きちんと食べさせる練習をする行動療法
      などの様々な療法が在ります。いずれも5~10年という長期間の治療機関     が必要です。(鈴木裕也・社会保険埼玉中央病院長)1998.1.25《朝日新聞》
■食欲促す脳内物質発見
    「筑波大学の基礎医学系の桜井武講師と米テキサス大学の柳沢正史教授らの研究     グループは、食欲を促進する作用を持つ脳内物質を発見した。脳の一部から分     泌されるごく小さなタンパク質で、この物質が大脳に働きかけて「食べたい」     という感情を引き起こすと言う。
発見したのは『オレキシン』という呼ばれるタンパク質。脳と体の情報交換     を担う視床下部という脳の一部から分泌される。33個のアミノ酸が連なった     構造で、脳内の特定の神経細胞に結合して空腹信号を伝える働きを持つ。
ネズミの脳にオレキシンを与えると、4時間以内に普通のネズミの6~10     倍のエサを食べるようになった。一方、ネズミを2日間絶食させると、脳内の     オレキシンの分泌量が急増した。
オレキシンが結合する神経回路は、脳内で感情や運動を司っている部分につ     ながっていると言う。桜井講師は「オレキシンは食欲を引き出す感情を制御し     ている可能性が高い」と推定している。
食欲を制御する物質として、これまでにもいくつかの物質が知られるが、い     ずれも人間が感じる様な高次の食欲感情を支配するには至らず、食欲の制御は     難しいとされている。1998.3.23《日本経済新聞》
   ■職場の悩み重なり
    「東京都内の医療機関に勤める前橋めぐみさん(仮名、29)が、職場での悩みなど     が重なり何も食べられなくなったのは95年7月頃だった。何か食べようとす     ると吐き気さえしてくる。「体にまで変調をきたすとは」。精神的は苦痛から     来たとしか思えない拒食症状にどうしていいか分からなくなった。朝にコーヒ     ーを飲んだ後は全く食欲が湧かない。昼食時になると空腹どころか気分が悪く     なるほどだった。
前橋さんは前年の冬からこの医療機関に助手として勤務し始めたが、院長は     仕事に厳しい人だった。「今度の受診の予約はどうされますか、ではなく、ど     う致しますかじゃないか」「患者にはそんな親しげに接する必要はないだろう」。     人数の少ない職場だけに、時には自分1人だけが集中的に注意を受けることも     ある。
どんな小さなミスでも見逃されることがなく、「監視されているのでは」と     さえ思えてきた。溜まる不満をその場で忘れようと努めたが、「なんで自分ば     かりが」と、鬱屈がたまっていた。
そのころ、つき合っていた男性から容姿のことを悪く言われたのも苦痛に拍     車をかけた。幼い頃から「かわいらしくて出来がいい」と妹と何かにつけて比     較され、自分は人より劣っているのでは、と考えがちだった。こうしたことが     重なり「自分はものを食べる価値もないほどの人間なのでは」と、今まで以上     に自分を強く否定するようになっていた。
しかし、周りにはこんな悩みを理解してくれる人はいなかった。むしろ、人     から相談を受ける方だった前橋さんが悩んでいると、「めぐみらしくないよ」     などと言うだけだった。
本来それほど頼りにならないはずの自分に相談を持ちかける友人なんて、自     分の気持ちを分かってくれる訳がないと考え、孤独感が強まるだけだった。
拒食で悩み始めて以降、ストレスに悩む女性を取り上げた雑誌の特集がよく     目に付くようになった。そこで挙げられている女性の例はじぶんと似通ってい     る。テストをやると、何度も「仮面うつ病の疑いがある」などという結果が出     た。皮膚病で通っていた病院から紹介状をもらい、都内の心療内科を訪ねた。
診断結果は自律神経失調症だった。やはり公私両面にわたる強いストレスが     自分の体に変調をきたしていたようだ。投薬で症状は改善するというが、通院     をはじめたからには早く治したい。「投薬だけでは治療は前に進まないのでは」    「それなら、自分が今いやだと思っていることを書いてきて下さい」。以後、毎     回リポート用紙に自分の思いを書きつづる「診療」が始まった。1998.3.27《日     本経済新聞》
   ■「子供に戻りたい」願望強く
    「最近では、拒食症とダイエットとの関連は重視されなくなり、根底にあるのは    「子供時代の体形にの戻りたい」という願望だという見方が広まっている。30     年近く拒食症の患者を診てきた社会保険埼玉中央病院の鈴木裕也院長は「拒食     症は大人になるための壁に突き当たった思春期の女性が子供時代に戻ろうとし     ている体の反応だ」
拒食症の患者の大多数を占めるのは、成績が良く、厳しいしつけを受けてい     る「良い子」。思春期に人間関係や進路などに悩み、そのまま大人の道を歩む     ことに不安を感じることがある。こんなストレスに陥ったとき、社会から一時     的に身を引こうとする防御反応が現れる。本人はダイエットのつもりでいるが、     実は子供時代に変身させようとしている訳だ。実際、生理がなくなった時点で、     減り続けていた体重は安定する。「やせ細った体は、自分で逃げ込んだ居心地     のいい安全な場所だ」と鈴木院長は解説する。1998.3.30《日本経済新聞》
   ■拒食によるやせ 危険
    「小学校6年生のA子ちゃんは3ヶ月で体重が7kg も減ってしまった。体の不     調を訴えることはないのだが、食事量が。極端に減り表情が乏しくなった。た     だ、体力もなくフラフラしながらも、体育の授業やジョギングは欠かさず行っ     ていたという。通常急激に痩せた場合は器質的な病気を見逃してはならないが、     最近基礎疾患の無い「やせ」が小児科領域でも増えている。A子ちゃんもその     1人で、神経性食思不振症、精神的葛藤が極度の体重減少という形で表れたの     だった。
以前は若い女性の病気と言われていたが、近年その低年齢化がみられ問題と     なっている。子供の場合、急激なやせからくるホルモンバランスの崩れは成長     や成熟に大きな打撃となりかねない。甲状腺ホルモンの低下はほぼ全例にみら     れ、さらに我々の経験例の半数以上で成長ホルモンの分泌にも障害があった。     この結果成長は停止し、思春期に起こるべき骨密度の増加も妨げられる。
栄養状態が改善したあとでも回復には自汗がかかるし、時機を失すると強い     骨が一生作れなくなる可能性もある。
A子ちゃんの場合は、心療内科的治療が必要だが、このように明らかな病気     ではなくてもヤセ願望の蔓延はその予備軍を大量に生産しているといえる。た     とえば都内のある女子校では身長の学年平均は全国平均より高いのに体重はは     るかに下回っており、この傾向は最近強まっているという。そのような状態で     ストレスが加われば、容易に拒食になりかねない。大人も子供も外見を気にし     すぎ、しかも理想のイメージがゆがんではいないだろうか?健康な体の認識と     感謝を再確認すべきだと感じる。(堀川玲子・国立小児科病院内分泌代謝科)     1999.1.25《日本経済新聞》
   ■親の責任
「カウンセラーのアドバイスを母親は神妙に聞いていた。「学校で給食をきちんと食べたのか?、との質問は心理的に追いつめてしまう。絶対止めてほしい」
「決して○×○×しなさいといった命令調にならないように」
中学生の娘は拒食症で体重はわずかに30kg。母親の意識改革が急がれた。それというのも、カウンセラーに来たとき母親は「思い当たる節がない」と訴えたが、娘との個別面談の結果、原因は母親の過干渉に行き着いたのだった。
「有名私立中学に通わせたい」という母親の勝手な願望と思いこみから、無理矢理塾に通わされた。小さい頃から「あれはダメ、これもダメ」と口うるさかった。
「今でも母がいると、イライラするんです」と漏らした娘のストレスが摂食障害という形になって表れたのだった。
母親は定期的にカウンセラーの元に足を運んでアドバイスを受ける。そして塾通いや習い事を止めさせたが、母親の方も、娘の変わり様に疲れ果て、「もう一緒に住みたくない」と思うようになっていた。
拒食症や過食症の多くが、程度の差こそあれ、思春期の女性の1%に発症するといわれている。その原因のほとんどがダイエットの失敗と人間関係のつまづきにある。」2003.2.28 《日本経済新聞》


  【芳香療法】
    <1>ベルガモット
<2>ベルガモットラベンダー
<3>ベルガモットゼラニウム
  【処方名-五十音順】
    谷霊丸
    小柴胡湯(神経性)
    参蘇飲(神経性不食症)
    大承気湯
    抑肝扶脾散


 魚睛(ぎょせい)
   =うおのめ。魚の目。


 魚鱗癬 ichthyosis, fish-skin disease
   ⇒遺伝性角化症の1つ。皮膚の表面が乾燥して、角質層が魚のウロコ状になる。
   ◎種類:尋常性魚鱗癬・
       先天性魚鱗癬・
       先天性魚鱗癬様・
       紅皮症・
       後天性魚鱗癬がある。
  【処方名-五十音順】
    神仙太乙膏
    大黄虫丸


 切り傷
  【色彩療法】
    <1>藍色
    <2>青緑色
    <3>緑色
    <4>赤紫色
■縫合は危険
「切り傷や擦過傷などの傷口は、すぐに洗浄して縫うのが基本だが、大規模災害ではこの常識が通用しない。2003年末のインド洋大津波では津波に巻き込まれて負傷し、不適切な縫合でキズを化膿させた被災者が多数報告された。大阪府立千里救命救急センターの甲斐達朗所長は「6~8時間以上経過したキズは細菌などが増殖しており、縫うとかえって危険」と訴える。
日本政府の国際緊急援助隊医療チームに加わり、発生1週間後から約3週間、チーム全体で延べ約3600人を治療しました。1/3が外傷やねんざ、骨折などの外科疾患で、うち46%が切り傷や擦り傷を悪化させた化膿創でした。
津波による死者の多くは水死ですが、漂流物などとの接触による外傷も多く、土などで汚れたキズは細菌が繁殖し、膿みやすくなります。化膿創で大半を占めたのが、キズを縫った後に生じた二次感染でした。
キズを受けた直後でしたら生理食塩水などで洗って縫うのが基本です。しかし6~8時間以上経過すると細菌などが増殖し可能が始まります。そうなってから縫うと菌を封じ込めることになり、逆効果です。
時間が経ったキズの適切な治療法は、まず大量の生理食塩水などで異物を洗い流します。生理食塩水が足りないときは、止血だけをおこなうこともあります。少なくとも3~5日は傷口が開いたままにしておき、抗生物質で化膿を防ぎます。キズが汚れている間は洗浄を繰り返し、キレイになってから縫合します。」2005.8.23《日経》








 金瘡
   =金瘡は切り傷、杖瘡は杖で打った瘡、折傷は打撲損傷のこと。
  【処方名-五十音順】
    四物湯
    十全大補湯
    退血止痛散
    通導散《万病回春》
    当帰鬚散《医学入門》
    独参湯
    八珍湯
    復元活血湯《医学入門》
    補中益気湯

 金属アレルギー
◎症状:
   皮膚の湿疹
掌蹠膿疱症
ツメの変形
◎最近、増えている
「イオン化した金属にタンパク質がくっつき、それが蓄積すると、体内の免疫機構が異物と認識してアレルギー反応を引き起こす。
金属を身につけると汗で金属が溶けて、無機の金属は金属イオンと電子に分かれ、金属イオンが体内に取り込まれる。また、虫歯などで口中に2種類以上の金属を埋め込むと、金属の間で電流が流れ、その結果、金属イオンと電子分かれて、口中が乾電池のようになり、ますます金属が溶けだし、体内に吸収される。
口中での反応は『マクロガルバニー電池作用腐食』と呼ばれている。
そして一定量を超えると、異物と認識してアレルギー反応を引き起こす。
口中では、1960~1970年代に多量に使われた水銀アマルガムがイオン化されやすいため(現在は使われていない)、20年以上経て、アレルギー反応を引き起こす事例が出てきている。
対策は、口中の金属をチタンに変える。チタンはイオン化しても酸素と結びついて対外に容易に排出される。また、セラミックでもよい。
汗をかいたら、すぐにシャワーで汗を洗い流す。」



 近視  
   ■DHA添加で「視力改善」
    「魚の脂肪に含まれ「頭の働きを良くする」と言われているドコサヘキサエン酸     (DHA)を加えたパンが、視力の改善に役立つ可能性があるという調査結果を     農水省食品総合研究所と千葉県横芝町の食品会社「スゴウ」がまとめた。9月     に開かれる日本脂質栄養学会で発表する。
 同町の小学校3校(児童1000人)の給食に1994秋から週1回、DHAを       300mg加えた菓子パンを導入。視力1.0未満の児童は1994年春に22%いたが、     導入後の95年度は19%に減った。そこで昨年、眼科医の協力で、4~22歳     の近視の27人に毎日1個づつ1ヶ月食べ続けてもらってところ、40%にあた     る11人の視力が0.2以上あがったという。1997.8.10《朝日新聞》
   ■視力矯正RK手術------医師側に賠償命令-------
    「近視や乱視が手術で治る」という角膜放射状切開(RK)手術を受けた青森県     十和田市の会社経営者(46)が「手術で乱視が進んだ」などとして、大阪市淀川     区のRK手術専門医院「岩井眼科」(廃院)の執刀医らに、約1000万円の損害     賠償を求めた訴訟の判決が22日、岡山地裁であり、小沢一郎裁判長は「手術     の危険性を説明せずに手術した結果、後遺症が発症した精神的苦痛は計り知れ     ない」として、医師側に300万円の支払いを命じた。
原告側によると、RK手術をめぐる損害賠償請求訴訟の判決は初めてという。
同病院で手術を受けた大阪などの47人も、総額約5億円の賠償を求め大阪     地裁に提訴している。
判決によると、会社経営者は岡山県内に住んでいた91年9月、同病院で手     術を受けたが、直後からまぶしさが残るなどの症状を覚え、乱視も悪化した。
同裁判長は「RK手術は視力が改善される症例がある」としながらも「後遺症     や合併症を発症する危険性がある」と指摘した上、「医師は手術を適正に行っ     たが、手術の成功の見通しや危険性に就いて説明しなかったため損害賠償の責     任がある」とした。1998.4.23《日本経済新聞》
   ■矯正手術
    「米食品医薬品局(FDA)は9日、角膜に半月状の薄い透明樹脂を埋め込む近視     矯正の新たな治療法を認可すると発表した。視力矯正法には、眼鏡やコンタク     トレンズの外、レーザーで角膜を削ったり切開する治療法があるが、FDAが     レーザー以外の矯正手術を認可するのは初めて。レーザー治療に比べ安全性や     効果の面で優れているとの見方があり、近視患者の多い日本でも関係者の関心     が高まりそうだ。
認可されたのは、米医療器具メーカーが開発した「インタックス」。薄さ      0.3mm前後の半月状の2つのアクリル樹脂で、局所麻酔を使って角膜表面に     埋め込み、レンズの屈折率を調節する。手術時間は15分程度。1999.4.10《日     本経済新聞》
■矯正手術-----レーザー認可
「米国のプロゴルファー、タイガーウッズがレーザーによる近視矯正手術を受けてから、一般の関心が高まり、手術の知名度が上がっている。日本でも今年、厚生省が近視矯正手術用のエキシマレーザーの製造を承認しており、この手術が増加しそうだ。
レーザーによる近視矯正手術は2種類ある。
1つは『PRK』と呼ばれる。Photorefractive keratectomyの略だ。眼球を覆い、レンズの役割をしている角膜の表面をレーザーで薄く削る。近視の人の目は光線を異常に大きく屈折させてしまうので、網膜に焦点が合わず像がぼやけてしまう。角膜の中心部を削って薄くし屈折を弱くすると、網膜の位置に焦点が戻り、近視が矯正される。
木下茂・京都府立医科大学教授によると、国内で1980年代になされたPRKの臨床試験で、0.7の目標視力に8割の人が達した。「手術がうまくいって喜んでいる人が大勢いる。十分な検査と説明を受け、手術に適していることを確かめて受けることが大切だ」と話す。
角膜表面は神経が多いので、手術数日は痛みがある。視力安定までに数ヶ月かかる人もいる。
そんな負担を減らすため、PRKに改良を加えた『LASIK(レーシック)』が生まれた。Laser in situ keratomileusisの略だ。まず、角膜表面を薄く途中まで剥いで、その下の層をレーザーで削り取り、表面の薄い膜でふたをする。角膜の厚さは個人差が大きいが、もし0.55mmの人なら、内側を約0.15mmまで削り取ることができる。術後の痛みは減り、視力の回復も早い。米国ではこちらが主流(約90%)だ。
角膜を削るマイクロケラトーマという機械は、日本ではLASIK用には承認されていない。LASIKの時には、医師の自己責任で行うことになる。一般に近視は病気とは認められていないため。手術に対して保険はきかない。1つの目の手術で20~30万円ほどかかる。
日本眼学会は6月、PRKとLASIKと含めた近視矯正手術の指針を作った。
指針は、手術を受けられる視力の範囲、受け手は行けない人、手術の出来る専門医、インフォームド・コンセント(十分な説明に基づく同意)、装置を置く手術場所の衛生管理、長期にわたる経過観察などについて記載している。
近視の矯正は基本的にめがね、コンタクトですべきで、それらの装用が難しい時に手術を考える。例えば、左右の視力差が大きく眼鏡で矯正しにくい場合だ。
目の状態が手術に適しているか見極めることも重要だ。角膜が変形する円錐角膜や眼圧が高くなる緑内障などの病気がある場合は、手術すると病気を悪化させる恐れがある。近視が強すぎる場合も、角膜表面を削る量が増え、薄くなりすぎるので危険だ。」2000.6.25《朝日新聞》
■矯正手術
「日本眼科学会はガイドラインで①20歳未満の人②視力が安定していない③白内障の患者には矯正手術を勧めないことを記載している。
・40代以降で老眼が入ってくると、目の調節能力が落ちてくるので、近視を矯正すると逆に生活が不便になることがある。遠くが見えるようになっても手元が全く見えなくなることもある。
・人によっては手術後に、光の周りがぼんやりする『ハロ』と呼ぶ現象が起きることがある。
・目が乾くドライアイになる人もいる。
・視力が回復しても暗いところで違和感を感じる人もいる。
■レーシック
「神戸クリニック」30万前後。山ちゃんが体験。
  【色彩療法】
    <1>レモン色
    <2>黄色
    <3>オレンジ色
    <4>赤色
【栄養療法】
ブルーベリー
DHA
カシス
  【漢方療法】
    定志丸茯苓
   

 筋萎縮
  【処方名-五十音順】
    桂芍知母湯


 筋萎縮側索硬化症 (ALS)
(参照→「カルニチン」「ダイニン」)
   ◎類似疾患:(参照→「足なえ病」)
■意思伝達装置
    「日立製作所は25日、筋力が次第に衰えていく難病のALS(筋萎縮側索硬化症)     患者向けの意思伝達装置「伝の心」を開発した。
患者の顔面など筋肉が動く部分に永久磁石を張り、本体の磁気センサーを磁     石から数cmの位置に近づけて使う。顔の筋肉でパソコン入力が出来る。
      価格は50万円。ALS患者には自治体の日常生活用具給付事業の一環で50      万円を限度に購入補助が下りるため、患者は実質的には費用を負担せずにす      む。」 1997.8.26《日本経済新聞》
   ■過労避け適度な運動を
    「家族(60歳代、女性)が筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断されました。治療方     や薬は無いそうですが、どのようなことに気をつけて病気に向かっていけばい     いでしょうか?(兵庫県・S男)
「筋萎縮性側索硬化症の原因は不明ですが、細胞内のカルシウムイオン濃度の上     昇で神経細胞死が起こるという説が有力です。40~50歳の男性に多く、発     症から数年で徐々に筋萎縮や筋力の低下が進み、筋肉の痙攣が起こります。
治療で大切なのは、過労を避けながら日常生活をとして適度な運動をするこ     とです。ベッドで寝てばかりでは筋力が低下します。肺感染による肺炎や風邪、     また、誤ってものを呑み込まないように注意することも大切です。
現在は、グルタミン酸や神経成長因子を調節する因子の開発、遺伝子挿入な     どの最新の治療に期待が持たれています。
これまでは、発病してから3年の命と説明だれていましたが、今では10~     20年といった長期生存例もあります。ことに、若いときに発病した女性ほど     長くなる傾向があります。
呼吸不全を最も注意しなければなりませんので、肺活量の低下があれば要注     意です。
この病気に罹っている天才的な宇宙物理学者ホーキング博士も有意義な毎日     を送っておられます。よい手本ですから、気管切開や呼吸器の装着など呼吸麻     痺に対する装置をとることも含めて、家族と協力して頑張ることです。
大学病院の神経内科で受診されるようお勧めします。(林正也)1999.2.21《読     売新聞》
   ■脳波信号伝達装置
    「脳波を使って電気製品のスイッチを押したり、看護婦などに意思を伝達する装     置が開発された。開発したのは「テクノスジャパン(姫路市)0792-88-0995」
     \180000~
■脊髄タンパク質に異常
「全身の筋肉に脳の指令を伝える脊髄内の経路が死滅し、筋肉が動かせなくなる原因不明の難病、ALSの患者に共通してみられるタンパク質の異常を東京都精神医学総合研究所のグループが突き止めた。
突き止めたのは長谷川成人チームリーダーと新井哲明主任研究員ら。グループはALS患者5人の死後に脊髄の提供を受け、成分を詳しく分析。その結果、遺伝情報の発現に関わる『TDP-43』というタンパク質が異常にリン酸化して蓄積しているのが全員で確認できた。正常な脊髄にはこうしたタンパク質の異常は存在しない。ALS患者には、『前頭側頭型認知症』(FTD)と呼ばれる異常行動を伴う認知症を併発することがある。
FTD患者の死後の脳を調べたところ、やはりTDP-43の異常が見つかった。」200612/5《産業》
■タンパクの作用を解明
「体が次第に動かなくなる神経の難病『筋萎縮性側索硬化症(ALS)』で、運動神経を死なせてしまうタンパク質の作用を解明することに、東京大学のグループが成功した。
このタンパク質の働きを阻害する物質も見つけている。
一條秀憲・東京大学教授らは、ヒトのALSの原因とされる遺伝子の変異があるマウスを使って実験した。細胞内で、変異遺伝子を作り出す異常タンパク質に『ダーリン1』と呼ぶ別のタンパク質が結びつくと、運動神経が死ぬように働く酵素が活性化されることが分かった。
ダーリン1は細胞内の小器官にとって重要で、異常タンパク質とくっつくと本来の働きを出来なくなってしまっていた。今回の発見で、異常タンパク質とダーリン1がくっつくのを阻止することが出来れば、運動神経の死滅が防げる。」2008/6/2



 筋炎
  Myositis
 ⇒通常単に筋炎と言えば、急性化膿性筋炎myositis purulenta acutaを刺す。黄色ブ    ドウ球菌によるものが大部分です。
  【処方名-五十音順】
    越脾加朮湯   
 葛根湯(陽実証、頭痛、発熱、無汗、項背のこわばり、脈浮緊・数)
    桂枝茯苓丸
    大黄牡丹皮湯
    桃核承気湯(実証、のぼせ、足冷、下腹部痛)
    排膿散及湯(部分的な化膿症)
    白虎加桂枝湯
    白朮附子
    防已黄蓍湯(上半身、足がむくむ)
    苡仁湯


 筋筋膜症 
   fibrositis
   ⇒中年以後に発症。
全身に多発したり、頸椎・腰椎・肩・手首に限局したりする。
痛みは軽い。
進行すれば強直を起こす。
痛みは朝軽く、運動で消失し、夕方増強する。

 筋骨痿弱
  【処方名-五十音順】
    六味丸(腎陰虚、口渇、舌乾燥、多尿、小便不利、下腹部軟弱・無力、        疲労倦怠、憔悴、羸痩)


 筋疝(きんせん)   
=陰茎が腫脹し、or破れて膿が出て痛み、極に達するとかゆく、いつもぶら下が    って、白いものが小便に着いて出る。   
   (原因:房事の労傷)
    処方[瀉心湯][加減柴苓湯][清心蓮子飲][竜胆瀉肝湯]


 筋ジストロフィー
   ⇒遺伝性の筋の変性疾患。筋肉細胞が徐々に壊れて脂肪細胞に置き換わり、筋肉の    機能が失われる難病。
     筋力の低下と萎縮を特徴とする。進行性で、子供の頃に発症し、20歳代にな    ると呼吸や心臓の機能にも異常が出てきて死に至る。
原因遺伝子の違いからタイプが分かれる。
■治療に月経血を利用
「国立成育医療センター研究所の梅沢明弘・生殖医療研究部長らのグループは、細胞治療技術を使い、筋ジストロフィーの治療につながる基礎実験に成功した。
女性の子宮内膜の細胞から筋肉組織を作り、欠損するとこの病気になるタンパク質をマウスの中で作り出した。患者への負担や倫理的問題が起きない技術。
研究グループはまず、女性ボランティアに提供してもらった月経血を培養。この血液中には子宮内膜の組織が混ざっており、分化の機能を備えた間質細胞も含まれる。この中から薬12%の比率で骨格筋の細胞を分化、成長させた。
筋ジストロフィーは、遺伝子異常によって筋肉の細胞膜にあるジストロフィンというタンパク質が作られないために発症する。生まれつきジストロフィンが作れないマウス免疫不全のモデルマウスの筋肉に、培養した筋肉細胞を注射した。すると注射した細胞とマウスに元々ある筋肉細胞が融合し、マウスの筋肉細胞から正常なジストロフィンが分泌されるようになった。」20071/24《産業》
■ES細胞で
「遺伝子操作した胚性幹細胞(ES細胞)を注射して、筋肉の機能を一部回復させた。と米テキサス大学のチームが、2008/1/20付けのネイチャーメディシン電子版に掲載。
筋ジストロフィーのマウスを、あらゆる細胞に分化する能力を持つES細胞の移植で治療したのは初めて。
筋ジストロフィーのうち冠者数の多いディシェンヌ型は、筋細胞の形を保つタンパク質「ジストロフィン」が遺伝子変異のため作られず、筋力の低下や筋萎縮が起きる。
■筋肉破壊抑制
「2009年、大阪バイオサイエンス研究所の裏出良博研究部長と大阪大学の毛利育子順境移住らは、
筋ジストロフィーのモデルマウスに薬物を投与して、筋肉が壊れるのを防ぐ実験に成功した。
デュエンヌ型は筋肉細胞の構造を維持するジストロフィンの遺伝子に異常があることが分かっている。
デュエンヌ型患者の壊れかけた筋肉では炎症やアレルギーなどに関連する物質『プロスタグランジンD2』がたくさん作られ、炎症を悪化させていることから、プロスタグランジンD2を合成する酵素の働きをジャマする薬物を5日間与えた。その結果、体内のプロスタグランジンD2両が減少し、壊れた筋肉の体積が半分になり、マウスの筋力も3割以上増加した。」



 筋肉痛
   =筋肉疼痛   
運動すると筋肉が太くなる。筋肉に水分が入り込むため。筋肉痛は修復時に起きる
激しい運動(ラグビー)・・・直後に筋肉痛。
山を降りる時・・・翌日以降に筋肉痛。運動した方が楽になる。
  【処方名-五十音順】
 葛根湯(陽実証、頭痛、発熱、無汗、項背のこわばり、脈浮緊・数)
 葛根加朮附湯(実証、身体の麻痺、疼痛、分泌、化膿)
    甘草附子湯
    九味檳榔湯
    桂枝附子湯
    桂枝加朮附湯(四肢疼痛、麻痺)    
桂枝加芍薬生姜人参湯
    桂枝加附子湯
    桂枝湯
    五積散(顔面貧血性、上半身熱感、下半身冷感、腰・下腹部の冷痛・攣        急、頭痛身痛)
    芍薬甘草湯
    独活寄生湯
    八味地黄丸(腎陽虚、口渇、尿利減少or増加、腰痛、下腹部軟弱・無力、          (下)腹直筋拘攣、舌湿潤無苔
    白朮附子湯
    麻黄湯
    麻杏甘湯(リウマチ、朝のこわばり)
  【芳香療法】
    <1>カミルレ
    <2>ラベンダー
    <3>マージョラム
    <4>ローズマリー
【民間療法】
    <1>アロエ・オオツズラフジ・オトギリソウ・シャクヤク・スギ・セキショウ。

 筋肉軟弱
  【処方名-五十音順】
    安中散
    大防風湯(栄養失調で筋力がない)
 人参湯(筋肉弛緩
    防已黄蓍湯

 筋肉リウマチ 
muscular rheumatism
   =結合組織炎症候群 fibrositis syndrome
   ⇒筋の自発痛・圧痛・腫脹と、ある程度の運動制限。
 ⇒筋肉の腫脹と疼痛を主徴とし、筋肉リウマチと呼ばれていた疾患は、真にリウマ    チによるものか否かについて疑問がもたれるようになり、本症は独立疾患ではな    く単なる症候群と考えられるようになってきた。
     英米では結合組織炎症候群と呼んででいる。主要症状は筋の自発痛・圧痛・腫    脹と、ある程度の運動制限である。
(参照→筋肉痛)
  【処方名-五十音順】
    葛根加朮附湯
    桂枝加黄蓍湯
    芍薬甘草湯
    小青竜湯
    真武湯
    麻杏甘湯


 筋肉攣縮(筋肉のひきつり)
   ⇒筋肉のケイレン・萎縮・緊張。
    筋肉は膜の脱分極により収縮する。すなわち、単一刺激による一過性で、伝導性    の脱分極によって得られる収縮を攣縮または単収縮twitchという。この収縮は、    支配神経の刺激のみならず、筋肉への直接電気刺激でも起こすことが出来る。(薬    学大辞典p582)
   ⇒筋肉のケイレン・萎縮・緊張。筋肉がピクピクする。
   <1>動気が左にある時に発汗すると、筋がふるえ、肉がピクピクする。
   <2>汗が多いと血を傷つけ、血が虚すると筋を養うことが出来ず、筋は急して四肢    と百骸がふるえる。
  【処方名-五十音順】
    温清飲
    加減蒼朮石膏知母湯(緊張・ケイレン・こり・熱感)
    括楼桂枝湯
    甘草湯(ケイレン)
    甘麦大棗湯(ケイレン)
    帰膠艾湯(ひきつり)    
    桂枝加附子湯
    桂枝附子湯
    柴胡加竜骨牡蛎湯
    柴胡桂枝湯
    四逆散
    四物湯
    四物湯地黄人参・半夏・茯苓・甘草五霊脂生姜・烏梅
    七物降下湯
    芍薬甘草湯(ケイレン)     
    芍薬甘草附子湯(ケイレン・寒冷)
    十棗湯
    小建中湯(虚寒、甘いもの好き、口乾、くすぐったがり、手足煩熱、小          便頻数、疲れやすい、脈浮弦)    
    続命湯(しびれ)
    疎経活血湯(しびれ・ひきつり)   
 大柴胡湯(実証、筋肉質、胸脇苦満、心下部緊張、便秘)
    当帰飲子(筋肉がケイレン
    当帰建中湯(しびれ)
    当帰芍薬散(しびれ・ケイレン)
    桃紅四物湯(しびれ・ケイレン)
    八珍湯(しびれ・ひきつり)
    半夏厚朴湯(咽中異物感、気鬱不安、眼球光彩、胃内停水、胃腸虚弱、          尿利減少、疲労)    
    白虎加蒼朮湯(ケイレン・熱感・疼痛)    
補肝湯(ケイレン・しびれ) 
    抑肝散(ケイレン・ひきつり・ふるえ)

 筋病
   =筋の病気
  【鍼灸】
     「陽陵泉穴、筋病これを治す。上肢の悪い人にこの穴へ灸し鍼して即座に腕の      良くなった者もある。」《沢田流聞書鍼灸眞髄》


 筋膜性腰痛
  【処方名-五十音順】
    芍薬甘草湯


 筋無力症 
myasthenia.
   《重症筋無力症myasthenia gravis》
   ⇒20~40才の女性に多い。胸腺の異常が大多数の例にみられる。
■新タイプを発見
「英オックスフォード大学などの研究グループは、筋力が弱まったりマヒしたりする自己免疫疾患「筋無力症」の神タイプを発見した。この病気の患者の約2割は診断の目印とされてきた血中抗体を持たないが、目印になりうる別の抗体を持つことが分かった。この抗体は神経と筋肉細胞が接している場所に存在する膜タンパク質の働きを阻害する。新治療薬の開発や、より正確で迅速な診断に役立つことが期待される。
筋無力症は、神経が筋肉細胞につながっている部分で、刺激を伝える役割の神経伝達物質アセチルコリンの受容体が免疫系から誤った攻撃を受けることから発症する。
診断には血中に受容体を壊す働きを担う特定の抗体があるかどうかを調べる。このためこの特定の抗体を持たないタイプの患者は同症ではないと誤診される可能性があった。2001.3.7《日経産業新聞》
  【処方名-五十音順】
    小建中湯
    補中益気湯(食欲不振、熱物を好む、口中に白沫、眼勢無力、自汗盗汗、          言語に力なし、臍辺動悸、腹部軟弱、疲労)


 菌交代症
   ⇒抗生物質の使用で、その抗生物質に感受性を持つ細菌が減り、耐性をもつ細菌・    真菌などの増殖がみられ(菌交代)、新たな感染症に発展したもの。


 禁断症状
(参照→「離脱症候群」)

 噤口痢(きんこうり)
   =食欲なき下痢症にして最も恐るべきもん。下痢して口噤し、ひきつけるもの。 
   ⇒痢疾で食べ物を受け付けない症。
  【処方名-五十音順】
    一物瓜蒂湯
    烏梅丸
    掩臍法[1]エンサイホウ(熱をさます)
開噤湯    
乾姜黄連黄湯
    解噤丸    
    参連湯(噤口痢で胃口の熱がひどい)
    真武湯
    石蓮散
    倉廩湯(頭痛・手足が煩熱)
    納臍膏(重症)
半夏瀉心湯檳榔



緊張しない方法

 緊張しててもいいんです
有光教授:緊張があったほうがいい
心拍数が平常時の20ぐらいUPがベスト
30を越えると過緊張でダメ
筋肉が強ばる
過緊張を戻す方法
   ①体1:中尾教授 リラクゼーション法=筋弛緩法
血圧で考案された
アルファー波を拡大させる
おでこにシワを作るように眉を上げる(8秒)
元に戻す(2秒)
目をギュットをつむる(8秒)→戻す(2秒)
歯を食いしばる(8秒)
口を前へ突き出す
舌を出す
肩をすくめる)

②体2 有光教授  4・4・8呼吸法
リラックスできる姿勢
             手はダランとする
             鼻から4秒
             止める4秒
             口から息を吐く(8秒)

③脳から (元スイミング)
      自信高めるための笑顔づくり
1人になれる場所に行く
堂々とした姿勢(牛乳を飲む時のポーズ)で、自己暗示を掛ける
体、全体で「ヤッター」と言う
        
④脳→書き出す:
テストの前に
    思い出す限りの不安材料を書き出す(シカゴ大学)
とりあえず書き出す
自分に弱点を教えてくれる
信憑性の高い実験で確認
       
⑤マインドフルネス瞑想
      不安をが浮かんできたら。「雑念」「雑念」「雑念」と3回 唱える。
考えが浮かんできたら→「グッバイ」と唱える





 緊張型頭痛
(参照→「頭痛」)
   ◎種類
    <1>急性緊張型頭痛(episodic tension-type headache)
  <2>慢性緊張型頭痛(chronic tension-type headache)
◎頻度の高い頭痛。
   ◎発症要因:
      (1)近視、遠視、乱視などの視力障害。
      (2)歯牙交合不全
      (3)頸椎不全
■緊張型頭痛は「肩こり」が原因
「頭が締めつけられたり、重くなり、ジンジン・ズーン・グー・ギューと痛くなる緊張型頭痛は、頭の筋肉が凝るから痛むものだ。
同じ姿勢で仕事を続けた後や、疲労したときに頭痛が起きる人の多くが、この筋緊張型頭痛だあ。特徴は頭が重く、締めつけ《螺王人》れるように痛み、なかには、頭から肩にかけての部分に疲れを感じる人もいる。その原因はズバリ肩こり。
クビの後ろから方、背中を包むように広がる筋肉を僧帽筋といい、ここが凝ると頭を包む筋肉にまで痛みが広がっていくのである。このタイプの頭痛を治すには、まず肩こりの解消が必要だ。ゆっくりお風呂で温めたり、マッサージなどで血行を良くしてあげよう」(NHKためしてガッテン)
■大人の22%が
「頭痛の中には片頭痛など命に関わらないが、慢性的で生活に支障を来すことが多い機能性頭痛と総称される頭痛がある。日本では3000万人が悩んでいると言われる。日本医科大学脳神経外科の喜多村孝幸助教授は「軽い運動を続けるなどちょっとした心がけで克服できるものもある。自分の頭痛がどのタイプか見極めて最適な治療をすることが大切」という。
くも膜下出血など明確な原因がある器質性頭痛は医師と相談することが多いのですが、慢性の頭痛はひどくない限り軽視しがちです。
「こうした機能性頭痛の中で多いのが緊張型頭痛です。大人の約22%が悩んでいます。主な原因は肉体的・精神的なストレスです。細菌ではパソコンで前屈みの姿勢を続けることが原因になることが多い。パソコンを使う人の約70%は、程度の差こそあれ頭痛に襲われていると言われます」
「生活習慣を改善し、ストレスを除くようにすれば防げます。対人関係や仕事上の悩みといった精神的なストレスは自分だけでは解決できませんが、悪い姿勢や肩こり・首のコリを治すことは一人でも出来ます。こうした肉体的なストレスを除去するだけで、緊張型頭痛の70~80%は予防できるとみています」
「2分ほど首を回すストレッチ体操をしたり、肩を上下させるのがいい。これを1時間に1度行うことを目安にしてください。職場ではやりにくいという女性の場合、手洗いに行った際でもよいでしょう。頭痛がひどい時は湿布薬などを使い、頭痛薬はその後です」
●新5000円札に採用された樋口一葉は、ひどい頭痛に悩まされていましたようですが?
「片頭痛でしょう。これは女性に多く、家族で悩んでいる人も見られます。片頭痛は生活習慣を変えるだけでは直りません。医師に相談すべきでしょう。片頭痛では、約40%の方にキラキラした光が見えるといった前兆があります。頭痛がひどい場合仕事や勉学に差し支えます。米国では片頭痛によって失われる労働時間を換算すると年間130億ドルにもなるという試算もあります。月に数回襲われる人が大半ですから、その周期に合わせて薬を服用します」
●片目がえぐられるような痛みが伴う群発頭痛もありますが?
「じっとしていられずにのたうち回る、と言われるほどの痛みが襲ってきます。原因はハッキリしていませんが、目の後ろの動脈が腫れることによって起きることが多い。これを抑える酸素吸入が頭痛の発作時に有効です」2002.9.17《日本経済新聞》




 緊張しやすい
  【宝石療法】
    <1>クリソコラ--------神経の緊張を鎮める。
  【処方名-五十音順】
    柴胡加竜骨牡蛎湯
    四逆散


 筋肉疲労
■mRNAで判定
「2008年、DNAチップ研究所は血液中に含まれる遺伝子の変化から筋肉疲労を判定する検査手法を開発した。
運動する前後の血液を元にDNAチップを使って白血球のメッセンジャーRNA(mRNA)の量を測定する。mRNAはDNAの遺伝情報を伝える役割を担っており、特定のmRNAがどの程度発現するかで、運動後の疲労度合いを把握できるとみている。
被験者に自転車型の運動器具を4時間こがせ、血液を解析したところ、運動後に約3000種類のmRNAの量が変化することが分かった。そのうち、変化の度合いが大きい200種類を選び、あらかじめ設定した基準値と解析結果を比較し筋肉疲労の有無を客観的に判定する。」