ケイレン(痙攣)convulsion
=四肢の筋肉の異常・発作的な収縮をいう。強力な不随性収縮あるいは随意筋の連続的収縮。
◎ケイレンの分類:
ケイレン(convulsion): (参照→テンカン)
①中枢神経系細胞の異常な興奮によるもの。
②例えば-----「てんかん」発作
スパズム(spasm):
①単一の末梢神経の刺激的な興奮によるもの。
②例えば------「顔面けいれん」
有痛性痙攣(cramp):
①骨格筋のケイレンで痛みを伴うもの。
②例えば------「こむら返り」
◎ケイレンの原因となる遺伝性代謝異常
核酸代謝異常:レッシュ-ナイハン症候群
アミノ酸代謝異常:
・フェニルケトン尿症
・ホモシスチン尿症
・アルギノコハク酸血症
・高ブロリン血症
・高リジン血症
・楓糖尿病
・メチオニン吸収不全症
糖質代謝異常:
・糖尿病(Ⅰ型・Ⅲ型)
・ガラクトース血症
・果糖不耐症
・特発性低血糖
脂質代謝異常:
・黒内障性白痴
・白質異栄養症
・ゴーシェ病
・ニーマン-ピック病
・ムコ多糖症
無機質代謝異常:ウィルソン病
ビリルビン代謝異常:クリグラ-ナジャル症候群
リポタンパク異常症:βリポ蛋白欠損症
◎ケイレンの種類:
▽中枢性痙攣
▽間代性痙攣
▽協調性痙攣
▽てんかん性痙攣:意識喪失を伴う痙攣
▽熱性痙攣:乳幼児に高熱を伴って起きる
▽ヒステリー性痙攣
▽顔面痙攣
▽産褥痙攣
▽点頭痙攣
▽特発性痙攣
▽テタニー痙攣
▽強直性痙攣
▽尿毒症性痙攣
【宝石療法】(ケイレン)
<1>[真珠]
<2>レースめのう------筋肉の緊張、ケイレンを和らげる。
【栄養療法】(ケイレン)
<1>マグネシウムビタミンB6の点滴。
<2>マグネシウムの筋注。
<3>アスパラギン酸マグネシウムのカプセルを服用。
【芳香療法】(ケイレン)
<1>平滑筋のケイレンを和らげる精油を使って温湿布orマッサージ(ソフトに)する。
[ベルガモット][カミルレ][クラリセージ][フェンネル][ジュニパー][ラベンダー][マージョラム][ローズマリー]
【民間療法】(ケイレン)
<1>カノコソウ。
<2>ウスバサイシン・サフラン・シャクヤク・チョウセンアサガオ・トリカブト・ハシリドコロ・ハトムギ・ボタン・モモ・ヨモギ。
【漢方薬】(ケイレン)
■葛根湯
■甘草湯
■九味檳榔湯
■柴胡加竜骨牡蛎湯
■芍薬甘草湯
■真武湯
■桃核承気湯
◎原因解明
「秋田大学医学部の稲垣暢也教授、山田勝也助手らは、脳が血液不足に陥ったときに起きるケイレンに、深く関わっている生体物質を突き止めた。神経細胞で情報伝達するタンパク質でこれが正常に働かないと、神経の興奮した状態が続くという。
このタンパク質は、神経細胞を興奮させるカリウムイオンを出したり入れたりする門の役割を果たす。このタンパク質ができないように改変したネズミを作り、酸素の薄い場所に置くと、すぐに激しい全身ケイレンを起こした。正常なネズミには変化がなかった。
血液が運んだ酸素によって、このタンパク質は細胞内にあるカリウムを外に出すように働き、神経細胞の興奮を抑制しているが、酸素が不足すると、カリウムを放出できず、ケイレンを引き起こす事が分かった。興奮状態が続くと、神経細胞が壊れてしまうという。
このタンパク質を正常に働く方法が分かれば、脳が虚血状態になった時に起きるケイレンを抑えられる」2001.5.28《日経産業新聞》
ケイレン性咳嗽
【漢方薬】
■甘草湯(炎症<軽>、ケイレン性)
■桂枝加厚朴杏仁湯(虚弱、喘鳴、自汗、咳嗽)
■芍薬甘草湯(ケイレンする、疼痛)
■麦門冬湯
ケイレン性疼痛
◎突然又は発作的にくる刺し込むような腹部の痛み⇒疝痛。
◎疝痛の【民間療法】
<1>ゴシュユ・ヨモギ。
<2>アケビ・カノコソウ・ショウブ・スギ・ツリガネニンジン・トクサ・ナンテン・ノキシノブ・ハス・ハマゴウ・ヒオウギ・ヘチマ・マタタビ・ミヤマシキミ・ヤブコウジ・ヤマノイモ。
【漢方薬】
■甘草湯(炎症<軽>、ケイレン性)
ケイレン性便秘
【漢方薬】
■桂枝加芍薬湯
■芍薬甘草湯
■小建中湯
ケロイドcheloid
⇒皮膚面より隆起し結節状で硬く、特有の紅色を呈するもの。
◎体質的あるいは遺伝性因子が関係するもので、外傷、手術創や火傷後の皮膚に生じる。
【漢方薬】
■越婢加朮湯
ゲップ
=噫気⇒俗におくびという。
◎原因:
<1>食事などで一緒に呑み込んだ空気が、胃の上方に位置する「胃底」に溜まったガスが、一定量になると、噴門が開いて口から出たもの。食後に出ることが多い。胃酸とはほとんど無関係。
<2>肝臓に負担がかかった時。
■大きすぎるゲップ。
「ゲップは胃に溜まった空気が食道を通して逆流する現象です。胃には普段から、ある程度の空気が溜まっていますが、食道と胃とのつなぎ目に下食道括約筋という筋肉があり、食道に空気を逆流しにくくしています。ところが、胃のなかの空気が増えて内圧が高まると、この筋肉がゆるんで、食道の方に空気が漏れ、ゲップが出ます。
病的なゲップには、
<1>食道括約筋の締まりがもともと悪い場合。この度合いがひどくなると、空気と一緒に胃酸も食道に逆流し、食道の粘膜を傷つけてしまうことがあります。
これは『逆流性食道炎』と呼ばれるもので、
▲胸やけを伴う場合には、この可能性が考えられます。また、
▲胃が張ったり、痛みがあったりしてゲップが出る人は、胃炎・胃潰瘍の可能性が有ります。この場合には、胃に空気があまり溜まっていなくても、胃に不快感を感じてゲップが出やすくなります。
<2>ヘリコバクター・ピロリという細菌が胃炎・胃潰瘍の原因として注目されていますが、この細菌に感染すると、ゲップが多く出るとの報告もあります。
<3>さらに、いつもゲップが出るような場合は、食事以外でも空気を呑み込んでしまう『空気嚥下症』が考えられます。こちらは精神的ストレスなどが原因で、頻度としては少ないのですが、若い人に多い傾向が有ります
<4>胃下垂・胃アトニーなど、胃の筋肉の緊張が弱くなった人でも、ゲップが出やすくなることがあります。(大阪大学医学部講師:篠村恭久)
1996.4.28《朝日新聞》」
【漢方薬】(ゲップ)
■甘麦大棗湯
■枳殻散
■袪痰丸
■匀気丸
■小調中湯
■星半湯
■旋覆代赭湯
■二陳湯
■破欝丹
■六君子湯
■六君子湯沈香
■六君子湯沈香・厚朴・蘇葉
けが
■微弱電流が
「傷口に発生する微弱な電場に周囲の細胞が集まり、治癒が早まる仕組みを、秋田大学、英アバディーン大学の研究チームが解明し、2006年7/27のネイチャーに掲載。
電場が発生すると細胞が動く仕組みを秋田大学の佐々木雅彦教授と鈴木聡教授らが調べた。皮膚の角質細胞などに電流を流すと、細胞を内側から押す力のあるリン脂質が片側に偏ってできた。このリン脂質を作ることが出来ない細胞は、電柱をながしても傷の回復は鈍く、リン脂質を分解する酵素が無くなると傷の回復は早くなった。
一般に、皮膚を傷つけると1平方㌢㍍当たり4~8マイクロアンペア程度の微弱な電流が流れる。これまでも電流によって周囲の細胞が傷口に向かって移動するとう報告はあった。」
■顔のゆがみを人工骨で
「東京大学医学部付属病院とバイオベンチャーのネクスト21(東京文京区)は2007年8/8、病気や事故による顔のゆがみや変形を治すために人工骨を埋め込む治療法を開発した。2010年の臨床応用を目指す。
骨の成分を粉末状の『リン酸カルシウム』で患部にピッタリの人工骨を作製。2006年~2007年までに18歳~54歳の患者10人の顔や頭に移植した、受け込んだ人工骨は元の骨になじんでシッカリ定着しており、現在まで経過は順調という。
人工骨は、印刷技術を応用してリン酸カルシウムをまんべんなく積み重ねて、多糖類の液体を液体を加えて圧迫して作る。誤差は0.1mm以内でフルオーダーで作る。
【宝石療法】
<1>アイ・アゲート-----ケガから守る。
形成不全性母斑
(参照→「ホクロ」)
軽度外傷性脳損傷(MTBI)
mild traumatic brain injury
高次脳機能障害者画像検査所見陰性例のうち軽度外傷性脳損傷(MTBI)と考えられる症例
中島八十一(なかじま やそいち)(国立障害者リハビリテーションセンター学院長) 厚労省HPより
3,178 例のデータである。この中で画像所見は陰性であったが症状は高次脳機能障害診断基準に合致すると診断された者、
すなわち画像陰性例は 54 例であり、総数に対する比率は 1.7%であった。この中で主治医の診断等により確認できた外傷性脳損傷(TBI)を原因疾患とする者は43症例で総数の1.4%
であった。
画像所見陰性と診断された外傷性脳損傷raumatic brain injury(TBI)の 43 例について分析した。この 43 例の中で、受傷時に昏睡を認めた症例が
3 例(7.0%)、認めなかった症例が 25 例(58.1%)、不明・記載なしが 15 例(34.9%)であった。受傷時の意識障害については、認めた症例が23
例(53.5%)、認めなかった症例が 4 例(9.3%)、不明・記載なしが 16 例(37.2%)であった。
MTBI の症例
この 25 例の中から昏睡の有無、意識障害の有無及びその期間から MTBI の操作的定義に該当する症例を抽出した。その際に昏睡の有無が不明となっている症例は除外された。また意識障害の有無が不明となっている
10 症例が除外された。さらに昏睡が無く、意識障害も無い症例については、記載項目にはないが操作的定義にある見当識障害やその他の神経学的徴候があった可能性は否定できないことからMTBIの可能性有りとして数に加えた(ただし、そのような症例は障害尺度が
6 または 7 と障害の程度は軽かった)。その結果、残りの15例すべてがMTBIの可能性がある症例であった。これはTBI画像陰性例43例の34.9%であり、これは総数
3178 例の 0.5%であった(表 1)。
この 15 例の属性について、性別は男性 8 例、女性 7 例であった。年齢分布は 10 歳代 3例、20 歳代 3 例、30 歳代 4 例、40
歳代 1 例、50 歳代 3 例、70 歳以上 1 例であった。受傷時の昏睡はいずれもなし。意識障害の有無については有 12 例、無 3 例であった。意識障害が有るとした者のうち、その期間が分かっている者は
5 例で 1 分から 2.5 時間にわたっていた。障害尺度は 3 が 1 例、4 が 2 例、5 が 3 例、6 が 6 例、7 が 3 例であった
WHOは受傷時の意識障害の概念についてはアメリカ・リハビリテーション医学会(ACRM)の定義(1993年)を継承して、意識喪失がなくとも頭がボーッとするといった、いわゆる意識の変容と呼ばれる精神状態に陥った場合でもMTBIが起こるとしました。
さらにWHOは受傷後30分の意識障害の重症度をGIasgow Coma Scale Score(GCS)で13点から15点と定めました(表2)。なお、外傷性脳損傷はGCSにより軽度、中等度、重度に分類されます。そして頭部外傷の転帰はグラスゴー転帰尺度で評価されます。
WHOの診断基準
TBIとは,外部から物理的な力が作用して頭部に機械的なエネルギーが負荷された結果起きた急性の脳損傷である。
第一要件)受傷後に混迷または見当識陣害、30分以内の意織喪失、24時間未満の外傷後健忘症、またはこれら以外の短時間の神経学的異常、たとえば局所徴侯、痙攣、外科的治療を必要としない頭蓋内痍患等が少なくともひとつ存在することである。
第二要件)外傷後30分後ないしは後刻医療機関受診時のGCSの評価が13点から15点に該当することである。
(除外項目)
1.薬、アルコール、処方薬
2.他の外傷または他の外傷の治療(たとえば全身外傷,顔面外傷,挿管)
3.心的外傷,言語の障壁,同時に存在する疾病
4.穿孔性性頭蓋脳外傷
・軽度外傷性脳損傷 mildTBI:GCS13~15
・中等度外傷性脳損傷 moderateTBI:GCS9~12
・重度外傷性脳損傷 severe TBI:GCS3~8
WHO報告によれば外傷性脳損傷(以下TBI)の10万人当たりの発生頻度は150人~300人となります。
TBIの全世界の罷患者数は毎年1000万人にのぼります。
その内MTBIはTBIの9割を占めます。MTBIはほとんどが数カ月から1年で回復しますがMTBIの1割前後の患者は回復することがなく残念ながら一生、後遺障害に苦しんでしまいます。
頸管カタル
【漢方薬】
■桂枝茯苓丸
■小建中湯
■大黄牡丹皮湯
■当帰芍薬散
■苓姜朮甘湯
頸肩腕症候群(けいけんわんしょうこうぐん) cervical syndrome(英)、
shoulder-arm-neck syndrome(米)
⇒頸腕症候群。頸肩腕障害。
◎頸、肩、腕から手指に及ぶ疼痛・麻痺・循環障害など神経血管の症状。
◎主に頸部の椎間板障害、変形性脊椎症などから起こる。
【漢方薬】
■葛根加朮附湯(実証、身体の麻痺、疼痛、分泌、化膿)
■羗活勝湿湯
■九味羗活湯
■桂枝加葛根湯(虚証、自汗、項背がこる)
■荊防敗毒散
■蠲痺湯
■朮附湯
■小活絡丹
■小続命湯
■疎経活血湯(下腹部瘀血、しびれ、四肢疼痛<遊走性>、水毒)
■程氏蠲痺湯
■当帰芍薬散(貧血、冷え性、疲れやすい、月経不順、神経症状)
■独活寄生湯
■二朮湯(五十肩)
■防風湯
■麻杏薏甘湯(夕方に悪化)
■薏苡仁湯(腫脹・熱感・疼痛)
頸項の硬直感 (→項軟)
⇒「頸」=首の前。
「項」=首の後ろ。
◎頸項のつっぱる症はみな湿に属する。
【漢方薬】
■回首散(頭項がまわらず、筋がつっぱる)
■羗活勝湿湯(首が突っ張ってまわらない)
■九味檳榔湯(息切れ、胸苦しい、ふくらはぎの緊張、腹が張る・脹痛)
■椒附散(腎気が上に攻搏して項背がまわらない)
■升麻葛根湯(時気温疫、頭痛発熱、無汗、目痛、鼻乾燥、口渇口乾、身体疼痛、胃中熱、脈浮)
■木瓜煎(筋がはって首がまわらない)
頸性精髄麻痺
=「原発性側索硬化症」
⇒幼少期に発症し、指趾の痙性麻痺を主症状とする遺伝性疾患。
◎家族性強直性対麻痺ともいわれる。
頸椎後縦靱帯骨化症
■(宮崎和躬・天理よろづ相談所病院整形外科部長)
「61歳の女性。4年前に首が回りにくくなり、「頸椎後縦靱帯骨化症」と診断されました。原因も治療法も分からず不安です。悪化させない方法はありますか?(広島K)
<1>どんな病気ですか?
「頸椎というのは首の骨のことです。7個の骨で出来ていて、その中に脊柱管という穴が開いています。穴の中には、脊髄という神経の束と、骨と骨をつなぐスジが通っています。これが骨のように硬くなる病気を頸椎後縦靱帯骨化症といいます。
後縦靱帯が骨化すると、脊柱管が狭くなり、骨化したスジが脊髄を圧迫するようになります。神経が圧迫されるので、様々な障害が起こって来ます。普通は40歳代以上の人にみられる病気です。比較的最近になって分かった病気で、日本では1960年に最初の症例が報告されています。
<2>具体的にどのような症状がでるのでしょうか?
「肩や首が凝ったり、痛くなったり、指の先が少ししびれたりする程度の患者さんがほとんどです。Kさんの場合にも首や肩の痛みを訴えられていますね。Hさんのように、骨化があっても自覚症状がない人もかなりいます。
ただ、骨化が進んで神経が強く圧迫されるようになると、手が動かなくなったり、歩けなくなったり、尿がうまく出なくなるなどの障害が出てきます。
<3>原因は分かっていないのですか?
「いまのところ分かりませんが、糖尿病と何らかの関係があるのではないかと考えられています。私たちの病院で150人の患者さんを調べた結果、77%に糖尿病か、糖尿病に近い症状がみられました。
しかし、糖尿病の人がこの病気になりやすいのか、この病気の人が糖尿病になりやすいのかがはっきりせず、糖尿病が確かに関係していると言い切れません。女性より男性に多い傾向がみられますが、この理由も不明です。
<4>治療法は?
「自覚症状がない場合には特に治療に必要はありません。症状でが出ても、肩が凝ったり手が少ししびれたりする程度でしたら、痛み止めを塗ったり、ビタミン剤などを飲むだけで十分です。神経の圧迫を和らげる為に、病院で首を軽く引っ張ってもらうのも良いでしょう。いずれにしろ軽症の場合は、手術の必要はありません。
もちろん、手や足がマヒして動かなくなる重症の場合には手術が必要になりますが、そういう人は多くありません。私たちの病院では、過去25年間に1312人の患者さんを診察しましたが、手術をしたのは287人で、全体の20%でした。
厚生省は難病に指定しています」。1991.12.8《朝日新聞》
頸椎症
(参照→しびれ)
【頸椎症性神経根症】
脊髄から出て肩や腕に行く神経が圧迫されて起きます
首や肩に痛みがある
手の指のシビレ
【頸椎症性脊髄症】
脊髄が圧迫を受けて起こります
箸がうまく使えない
うまく書けない
美容室で頭を後ろにそらしたら頸のマヒが強くなる
歩行や排尿が困難
⇒「頸椎症」とは、頸椎の骨の老化現象で、脊髄や神経根の通る孔が狭くなり、脊髄や神経根に触れて症状が出ます。頸椎症で一番多いのが、第六神経根の刺激症状です。第六神経根は、親指・人差し指・前腕橈側を支配しています。
◎親指と人指し指がしびれたら…頸椎症を疑いましょう。さらに進行すると、
<1>足先からはじまるしびれと同時に、足が硬直し前に踏み出しにくくなる。
<2>階段を降りるときに不自由を感じるようになる
<3>箸がうまく持てなくなる。
<4>尿意を感じてトイレに行っても、排尿開始に時間がかかたり、勢いよく排尿しなくなります。
<5>射精に時間がかかるようになります
◎中年の男性で、手がしびれる場合…最も多いのが、「頸椎症」です。
■中高年に広がる
「中高年になると慢性的な頭痛・肩こり・指先のシビレなどに悩む人が増える。このうちのかなりの症状が、首の骨が変形する頸椎症という病気に起因することはあまり知られていない。
●骨が変形、神経圧迫
40歳になったばかりの会社員のAさんは、左手の指先に不快なシビレを何度も感じるようになった。近くの整形外科にかかったところ、医者に手と腕を触診され、意外にも“首のレントゲンをとりましょう”と言われた。首の周辺を数回撮影し、待つこと数分。X線写真をちらりと見た医師はすぐさま“頸椎症ですね”と告げた。
頸椎症は首の硬い骨の間でクッションの役目をしている椎間板やその周りの硬い骨が変形を起こし、近くを通る神経を圧迫する病気。Aさんの場合は上から5番目と6番目の骨の間にある椎間板の左側がつぶれ、この椎間板の横を通って左腕に伸びる神経を圧迫していたのがシビレの原因だった
東京女子医科大学の伊藤達雄教授(整形外科)は“来院する患者のうち最も多いのがこうしたパターン”という。首の骨は5番目と6番目の間が一番良く動くので、椎間板への負担がそれだけ重くなる。ところが椎間板を損傷しても首自体が痛むことはないので、首の病気と気づきにくい。
頸椎症は交通事故などで起きる場合もあるが、椎間板などの変形のほとんどは加齢に伴ってしだいに進行する。だれでも年を取ると避けられない運命であり、伊藤教授は“60歳以上の70%がこの病気を持っており、そのうち半分の人には具体的な症状があるはず”と推定する。
腫瘍などが頭痛を引き起こす可能性はあるが、X線写真で骨の損傷の具合が分かり、磁気共鳴画像装置(MRI)を使えば具体的にどの神経が圧迫されているかが診断できるという。国立国際医療センターの近藤達也教授(脳神経外科)は“頭痛を訴えて来院する患者の8割~9割は、腫瘍ではなく頸椎症が原因”という。
●首を反らすのは禁物
頸椎症の悪化を防ぐには、首を安静に保つのが一番だ。首を後ろに反らすと神経をさらに圧迫するので、激しい運動は要注意。首が反ってしまううつ伏せ寝は禁物で、高めの枕に代えるなどして仰向けに寝る。医学的な治療法としては首の牽引、患部の加温、むち打ち症の治療にも使われるカラーの装着などがあり、ガマンできない痛みには鎮痛薬を用いる。
●歩行や排尿に障害も
症状がひどくなると“自律神経失調症』のような症状”(近藤教授)を来たし、痛みが体のあちこちに広がる患者もいる。脊髄に圧迫が及ぶと、ボタンをはめるなどの細かい手指の動作が困難になり、歩行障害、排尿障害が起きる。高齢の場合、痴呆症と見分けがつかない場合が多い。
こうした場合の治療は、全身麻酔による外科手術に頼らざるを得ない。壊れた椎間板を除去して代わりに腰骨から取った軟骨をはめ込んだり、変形した硬い骨を削ったりする。神経が通るのに十分な空間が骨の間に出来ると、症状は驚くほど軽くなるという。
Aさんはその後、会社の診療所で牽引治療を始めて小康を得ている。東京女子医大の伊藤教授は「しつこい頭痛がするからと言って市販薬に頼ったり、肩こりでいきなり整体治療をしたりすると、症状の悪化を招きかねない。心当たりのある人は必ず病院で検査してほしい」と話している。
頚椎症の症状----[軽度の場合]
*肩こり
*手足の指のシビレ
*頭・背中の痛み
*骨がこすれ合う音がする
症状----[重度の場合]
*歩行や排尿に障害
*箸がうまく使えない
*階段を下りるのが怖くなる。
「頸椎症の簡単な自己診断法」
10秒テスト:
両手を前方に挙げて肩の高さに保ち、10秒間に手のひらを何回開閉できるか? 頸椎症に罹ると腕の筋肉の制御がままならなくなる。
25回以上---------正常
20~24回-------軽度の頸椎症の疑い
19回以下---------重度の頸椎症の疑い
片足ジャンプ:
3回続けてスムーズに出来れば正常。
1999.5.31《日本経済新聞》
■はり治療など効果なし
「50歳代、男性。8年ほど前から、肩胛骨、肩から腕、場合によっては手首の近くまで、痛みやシビレがあり、ひどい時には、顔がゆがむほど痛みます。病院で、頸椎のゆがみが神経を刺激する頸椎症と診断され、牽引や神経ブロック、カイロプラクティック、はり治療などを試みましたが、効果はありませんでした。
頸椎症には、頸部の脊髄全体が圧迫されて著しい麻痺を起こす脊髄症と、あなたのように特定の神経の痛みを起こす神経根症とがあります。
『神経根症』は頸椎の椎間板の水分が、年齢とともに減少して狭く不安定になり、そこに骨棘という余分な骨ができ、神経根が圧迫、刺激されて痛みます。
刺激され、炎症を起こした神経根は膨らんで太くなりよけいに圧迫されやすく成ります。そして、痛みの増強、局所の筋肉の緊張、循環障害といった悪循環が生じます。
治療はそれぞれの要素素へ対応が必要です。痛みと炎症に対する抗炎症・鎮痛剤、筋肉弛緩剤、局所循環改善薬を投与します。
頸椎牽引は狭くなった椎間板を広げることは出来ませんが、緊張した筋肉をほぐすのに、ストレッチ体操とともに有用です。限定された筋肉の痛みには、局所ブロックも効果があります。
これらの治療で治まらない時には、頸部の交感神経への星状神経節ブロックを5~10回行います。最近では、非侵襲性で痛くないレーザー光線照射も同様の効果があることが分かってきました。」(圓尾宗司・兵庫医科大学教授)
頸部椎間板障害
⇒頸椎(骨)を支えている椎間板や、椎間板を支えている靱帯疲労し、破損した椎間板が靱帯を突き破り、神経組織を圧迫して起きる障害。
頸椎椎間板ヘルニア
頸椎後縦靱帯骨化症
◎症状:
<1>第6頸髄神経根の刺激症状---親指と人差し指のシビレで始まる
<2>第7頸髄神経根の刺激症状---中指がシビレます。
<3>第8頸髄神経根の刺激症状---小指と薬指がシビレます。
<4>症状が進行すると、腕・指の力が入らなくなる。
<5>ときには、筋肉が痩せていく。
<6>左右どちらかの手のシビレが多いのですが、破損が脊椎管の中央にあるときには、足のシビレと強ばりで始まることがあります。
◎診断:頭を後ろにそらすと、症状が強くなります。
◎注意:カイロプラクティックや整体で治療を受けて、四肢麻痺に陥る原因がこれです。
頸椎椎間板変性症
■首・肩・ひじの激痛
「57歳の男性。3年前から右首筋から肩・ひじと痛くなり、「頸椎椎間板変性症」と診断されました。」
●どのような病気ですか?
この病名は、首の脊椎である頸椎の椎間板の隙間が狭くなっていることを表していますが、症状の出方は様々です。脊髄が圧迫され、手足のマヒが起きると、『頸髄症』といわれます。脊髄から分かれた神経が圧迫されて、腕の痛みやシビレのほか、筋力が低下したり、筋肉が痩せたりすれば『神経根症』と呼ばれます。
●原因は?
年を取ると、例えば40歳ぐらいになれば、誰しもそれなりの変化が頸椎にみられるようになります。それでも症状のない人はいくらでもいます。こういう場合は放っておいてもかまいません。
●他の病気も考えられますか?
胸郭出口症候群でも指がシビレたり腕が重苦しくなったりします。鎖骨と肋骨の間の細い隙間を通る神経が締め付けられるのです。神経系統に異常がないのに、首筋が痛い、後頭部が痛い、目がかすむなどの症状が出る病気もあります。この場合は首の周りの症状が中心で、腕の痛みはほとんどありません。細菌の感染による脊椎の化膿や腫瘍が圧迫の原因になることもあります。
●症状が似ていても、原因はいろいろあるのですね。
そもそも頸椎椎間板変性症という病名は、非常に曖昧でほとんど使われていません。背骨が年を取ったと言っているだけで、患者さんの訴えている症状との関連を語っていないからです。痛みやシビレは神経がどういう状態におかれ、その症状を引き起こしているかを表現する病名の方が治療にも直結し、親切です。
●診断が難しそうですが?
まず、本当に神経系の異常で、心の問題がないかどうか調べます。訴えをよく聞き、知覚の障害、筋肉の状態、手足が泥状に動くかなどを診て、異常が起きている場所を推測します。そして、MRIなどで原因を確定します。
●心理的な場合もあるのですか?
神経系統に異常が見つからなければ、心因性の疑いがあります。私たちは外来で、心理的な影響を探る簡易テストをしています。」2000.6.18《朝日新聞》
頸部に湿疹
■治頭瘡一方(化膿傾向、熱感発赤、水泡滲出物、舌苔黄)
頸部の腫瘍
【漢方薬】
■柴胡清肝湯
■小建中湯
頸部リンパ腺炎
【漢方薬】
■黄蓍建中湯
■黄連阿膠湯
■甘草乾姜湯
■荊芥連翹湯
■玄参牡貝湯
■昆布消癧湯(慢性)
■柴胡桂枝乾姜湯
■小建中湯
■小柴胡湯
■小柴胡湯加桔梗石膏(食欲不振、高熱、口渇、咽痛、胸脇苦満)
■真武湯
■大黄牡丹皮湯
■当帰建中湯
◎夏枯草30g煎服。
◎「夏枯草30g・玄参30g・生牡蠣60g」煎服。
◎両面針(慢性)
頸部リンパ腺結核
【漢方薬】
■黄蓍建中湯
■黄連阿膠湯
■甘草乾姜湯
■玄参牡貝湯
■柴胡桂枝乾姜湯
■小建中湯
■小柴胡湯
■真武湯
■大黄牡丹皮湯
■当帰建中湯
■淋巴腺結核方
頸部リンパ腺腫(癭瘤)
【漢方薬】
■海藻玉壺湯
■柴胡清肝湯
■散腫潰堅湯《万病回春》
痙縮
■ボツリヌス
「米系製薬のアラガン(東京港区)はA型ボツリヌス毒素を利用した注射剤「ボトックス」の適応拡大を進める。現在は顔面やまぶたのケイレン、首が曲がったまま動かなくなる疾患の治療に使われているが、手首や手の筋肉が硬直して動かなくなる痙縮という疾患などにも応用を目指す。
痙縮は主に脳卒中の後遺症として起こり、症状が悪化すると着替えなどにも支障を来す。2003.5.13《日経産業新聞》
痙病
=熱性病の進展過程で筋肉が痙攣性に収縮し、背が強ばり反り返る。歯を食いしばり、口をつぐんで開かない等の症状で、例えば破傷風、各種の脳膜炎、尿毒症、子癇等にこの症あり。
◎痙の異名を「(シ)」と云う。
【漢方薬】
■葛根湯
■桂枝加括楼根
■小続命湯
■如聖飲《傷寒六書》
■参帰養栄湯《万病回春》
■大承気湯《金匱要略》
■難治防風当帰散《玉機微義》
経閉(けいへい)
=不月=経停とも言う。
【漢方薬】
■活血湯
■加味帰脾湯《薛立斎十六種》
■加味逍遥散《薛立斎十六種》
■帰脾湯
■桂枝茯苓丸
■香蘇散
■三物黄芩湯
■四物調経湯《万病回春》
■大黄牡丹皮湯
■通経湯《万病回春》
■通経調気湯《万病回春》
■当帰芍薬散
■牡丹皮湯《万病回春》
■補中益気湯
鶏眼
=うおの目
⇒皮膚表面の角質層が部分的に厚くなったもの。皮膚の小部分に圧迫が繰り返し加わって生じる。
■烏梅膏
◎鴉胆子油の塗布
瘈瘲(けいしょう)
=ヒキツケ。
瘈=筋肉の拘急のこと。瘲=筋の弛緩すること。
憩室
◎腸の憩室:
<1>十二指腸憩室:
・中年以後に多い。
・下行脚内側Vater乳頭周辺に好発。
<2>小腸憩室:空腸に
<3>Meckel憩室:
・卵黄管の遺残による。
・回盲部より30cm~140cm口側。
<4>結腸憩室
傾眠症
(参照→ナルコレプシー)
=昼間に強い眠気を感じて、たびたび居眠りをする状態を「傾眠症」や「過眠症」と言います。
◎原因:
反復性混迷(エンドゼピン混迷)
肝臓病などの代謝性疾患
ナルコレプシー
周期性傾眠症:
①数日から2週間程度の傾眠状態を繰り返し、その期間以外は全く正常。
②傾眠状態では、食事や排泄する時以外はほとんど眠って過ごす。
③その間の自分の言動は思い出せないことが多く、場合によっては食欲が異常に高まる。
④思春期に始まり成人になると自然に治る場合が多い。
■反復性混迷
「60歳の男性。8年ほど前から、朦朧として返事も出来ないような意識障害の発作が約1ヶ月おきにあり、数時間~2日間ほど続きます。ときどき神経を興奮させる薬を飲んでいます。休日は寝ていることが多く、食事をしながら居眠りをすることもあります。この間、脂肪肝の診断も受けています(静岡・T)
●この方の原因はどれでしょう?
「反復性混迷の可能性があります。この病気は数年前にイタリアのルガレシ教授らによて発見され、別名『エンドゼピン混迷』と呼ばれます。脳の中には、精神安定薬のベンゾジアゼピンと結合して精神活動を抑制させる信号を出す受容体があります。[エンドゼピン4]という体内物質もあるのですが、これも同じ受容体に結合します。エンドゼピン4が何らかの理由で異常に発生するため意識障害をもたらすと考えられています。
●症状は?
「食後に発作が起きることが多く、2時間から長い場合は5日間ほど続きます。
①疲労感
②しゃべりにくさ
③足元のふらつき、などの前兆が見られます。発作が始まると眠気のためにその場で倒れ込んでしまうこともあります。呼び掛けると目を覚ますことが多いが、またすぐに眠り込む。ときには昏睡状態に陥って、幾ら刺激しても目を覚まさない場合もあります。発作は自然に回復します。発作中のことは何も覚えていませんし、睡眠中と違い、夢を見ることもありません。発作の無い時期は全く正常です。
●この病気は多いのですか?
「18歳~67歳までの約20人しか症例報告がありません。男性にやや多い。これから解明すべき病気です。
●診断や治療法は?
「血液や尿、脳波の検査を受けても異常は見られない。診断の決め手は発作中に血液や髄液のエンドゼピン4が増加すること。この方も、一度、検査を受けた方がいいでしょう。ベンゾジアゼピンの受容体にエンドゼピン4が結合するのを防ぐ「フルマゼニル」という薬を注射すると、意識は回復します。ただ、効果は数時間と短く、実用的ではありません。リタリンなどの精神刺激薬を使うことになります。
●脂肪肝と関係があるのですか?
「大人に見られる脂肪肝では意識障害を起こすことは考えられません。ただ、肥満症になっているのであれば、夜眠っている間に無呼吸状態に陥って睡眠が妨げられて、昼間、頻繁に居眠りをすることがあります。また、軽い肝障害であれば、門脈大循環短絡も疑われます。本来、肝臓で解毒されるべき様々な中毒物質が門脈系から肝臓を通らず、そのまま大静脈を経て脳内に入り、精神活動に影響を与えます。この方は、幻覚を見たり、突然訳の分からない言動をするなどの異常行動はないようなので、肝臓が原因とは考えにくい。
●ナルコレプシーの症状は?
「昼間に耐え難いほど眠くなる睡眠発作や、感情が急激に変化したときに力がまったく入らなくなる脱力発作が起こるのが特徴です。寝入りばなに恐ろしい夢を見る、全身が金縛りにあうなどの症状が伴うこともある。日本では600人に1人の割合でこの病気に罹っています。睡眠発作はせいぜい2時間程度で、不定期に起こるので、この方の症状は当てはまりません。(片山宗一・総合南東北病院神経疾患研究所長)1998.11.15《朝日新聞》
螢疹
=出血性発疹。
毛が抜ける
【漢方薬】
■金珠緑雲油(髪が生える)
■桂枝加竜骨牡蠣湯
■五苓散
■三聖膏(髪の毛が抜ける)
■小建中湯
■滋栄散(毛髪を育て、抜け毛を防ぐ)
■生禿烏雲油(髪を生やす)
■大柴胡湯(実証、筋肉質、胸脇苦満、心下部緊張、便秘)
■二仙丸(毛髪の脱落)
■通竅活血湯
毛じらみ
=「性行為感染症」の1つ。
■じわり増加(兵庫県内で調査)
「兵庫県皮膚科学会が1987年から始めた県内の皮膚病患者の継続調査で、毛じらみ患者が増えていることが分かった。毛じらみは体長約1mmの昆虫。性感染症(STD)の一種で、激しいかゆみが特徴だ。陰毛同士の接触で移るため、コンドームでは防げない。
◎ガソリンで何回も洗う。
劇症肝炎 fulminant hepatitis
《急性肝萎縮症・急性黄色肝萎縮症》
⇒急激に肝不全になり、10日以内に肝性昏睡で死亡することが多い。
◎診断基準:
<1>肝炎のうち症状発現後8週間以内に高度の肝機能障害に基づいて肝性昏睡Ⅱ度以上の脳症を来たし、
<2>プロトロンビン時間------40%以下
<3>急性型------発病後10日以内に脳症が発現。
急性型の中に数日以内で死亡する電撃型がある。
亜急性型--それ以降に発現。予後不良。
[原因]
<1>ウイルス性肝炎の激症型・
<2>薬剤性肝障害(砒素・リン・麻酔薬の一部・抗神経剤)によるアレルギ ー
<3>毒キノコ・有毒魚介類。
<4>ウイルソン病。
■抗ガン剤「テガフール・ウラシル」(商品名ユーエフティ)の服用で3人が激症 肝炎で死亡。
「投与開始から障害が出るまでの期間は1~5ヶ月で、ほとんどが1~2ヶ月の間に発症した。昨年6月に死亡した胃ガンの女性のケースでは、早い段階で胃の大半を切除する手術を受けた後、再発防止の為に投与が始まったが、26日目から発熱や倦怠感が見られ、その後、投与を中止したものの、約1ヶ月後に激症肝炎で死亡した。 1995.4.29日経。
フルオロウラシル系抗ガン剤には、このほかにも重症腸炎・骨髄抑制などの重い副作用が報告されている。(厚生省発表)
◎大青葉
◎熊胆0.3~0.6gを茵蔯蒿の煎じ湯で冲服。
劇症溶連菌感染症
=「人喰いバクテリア」とも呼ばれる。
◎1993年に報告されたばかりの細菌感染症。
◎感染して発症すると、筋肉や脂肪を短時間で浸食して、死に至らしめる(高率)。
感染経路やメカニズムは不明。
◎症状:
発熱、のどの痛み、筋肉痛など初期症状は風邪に似ている。
◎溶連菌とは:
=「溶血性レンサ球菌」のこと。
レンサ球菌のなかでβ型溶血能β-tipe hemolysisを持つものの総称。
溶血性レンサ球菌は、細胞膜中に群特異性を示すC多糖体を持っており、血清学的性状から13種類(A~O)のタイプに分類されている。
ヒトの感染症から分離されるタイプの90%以上がA型である。
A型は、さらに菌体の構成タンパク質の特異性(MおよびT)によって、50種類以上のタイプに分けられる。
◎A型レンサ球菌は、どこにでもいるバクテリアで、小児の風邪の50~60%の原因になっている。そして普通なら、ペニシリンで簡単に消失するはずのものが、何らかの原因で劇症タイプに突然変異する。しかも突然変異したA型レンサ球菌と普通のタイプの遺伝子構造は全く同じである。
A型レンサ球菌は、M1~M3型のタイプがあり、全部で80種類ぐらいある。M3型A群レンサ球菌の発生が異常に増えた年と人食いバクテリアの発症数とが比例している。
■人喰いバクテリアの復活
「1994年、「ヒト食いバクテリア」で世界中が大騒ぎになった。英国のある町で、たちの悪い化膿連鎖球菌による患者が6人出たことがメディアの注意を引き、そのパニックが世界に伝染した。この病気はすでに各地で頻発、その町に限った流行ではなかった。
化膿連鎖球菌は皮膚のおでき・咽頭炎・産褥熱・敗血症など化膿性の病気と、感染後に起こるリウマチ熱や腎炎の原因となる。
一般に『溶連菌』とか『A型溶血性連鎖球菌』と呼ばれる菌とほぼ同じものだ。抗菌剤が普及する以前は重要な死亡原因の1つとして恐れられていたが、過去半世紀に激減していた。それは抗菌剤治療に加えて、栄養・衛生状態の改善・菌の毒力低下などのためであった。
ところが、このところ形勢が逆転しつつある。消えたはずのリウマチ熱が、米国各地で豊かな中産階級の間に集団発生。また全身症状を伴う強力な侵襲力(破壊力)を伴った感染症が多発した。
敗血症に伴って血圧低下・ショック・発疹・表皮剥離などが起こる新しい病気も見つかった。これは『連鎖球菌性毒素ショック症候群』と呼ばれている。「スーパー抗原」という特殊な毒素によって免疫にかかわる細胞が異常に活性化され、無制御状態になったために起こる中毒症状である。致命率が30%にもなる。
この菌に感染し発病すると、1人/10人は壊死性筋膜炎になり、皮下組織と筋膜が猛烈な速さで破壊される。「ヒトを食った」と言われる由縁である。
この症状はすでに紀元前5世紀、ヒポクラテス著「流行病」に、丹毒(この菌によって起こる急性炎症性皮膚疾患)に併発する病気として記載されている。 すでに大昔からヒトを食っていたのだ。
発病した場合、広範囲の切開手術が必要となる場合が多い。時間との勝負である。躊躇している時間がないことも多い。先ほどまで元気だった人が死んだとか、死なないまでも片足を切断されたという、平和な日本では想像も及ばないことが起こる。抗菌剤の投与は絶対に必要ではあるが、治ることを保証する十分条件ではない。(吉川昌之介・日本歯科大学教授)1997.9.21《日本経済新聞》
■激症溶連菌(人喰いバクテリア)
「欧米で『人喰いバクテリア』と恐れられた激症溶連菌感染症が1病院で1年半に5人も見つかった。
新潟市民病院救命救急センターの広瀬保夫医師らによると、
<1>95年9月に「手が腫れて痛い」と受診した女性(65)が数時間後にショックを起こし、皮膚が広範囲に壊死し助からなかった。
<2>昨年6月、男性(54)、「足が痛い」と受診。同様に亡くなった。
感染症の原因はA群菌とされているが、女性はG群、男性はC群だった。
<3>昨年11月、今年1月、2月には30代の女性計3人がA群菌のために亡くなっている。1997.3.30《朝日新聞》
■妊婦の死亡例相次ぐ
「細菌が筋肉にとりつき、数日のうちに命を奪う「人食いバクテリア症」に関する厚生省研究班の調査で、妊婦が罹ると発病から1日以内に死亡する例が相次いでいることが分かった。これまでに14人が確認されており、そのうち命が助かったのは1人だけだ。通常より進行が極端に速いため治療が間に合わない。専門家は「症状に早く気が付くことが重要だ。臨床医に十分知ってもらいたい」と話す。
●進行速く発病1日(24時間)で
一般に「人食いバクテリア症」と呼ばれる劇症型溶血性連鎖球菌感染症は、脚などの筋肉が急に腫れ、数時間~数日のうちにどんどん腐っていく病気。
死亡した妊婦は全員が経産婦で、30週頃までは順調だった。症状は共通しており、38℃を超える熱、吐き気や下痢を訴え、陣痛が急に起きる。胎児の心音も異常になり、胎内で死亡するすることもある。
この菌はどこにでもいる菌で、感染しても、たいていはノドが腫れる程度で済む。研究班メンバーで旭中央病院(千葉県)の宇田川秀雄・産婦人科部長は、妊娠末期の子宮は血液が大量に流れ込んでいるため、菌の生育が速く、通常型よりも急激な症状を起こしているのではないかと言う。人によって、なぜ劇症化するのか、まだ分かっていない。
渡辺治雄・国立感染症研究班細菌部長は「抗生物質が良く効くので、早めに診断できれば、治療が間に合う。臨床現場の医師が、発熱や嘔吐、筋肉痛などの症状を見過ごさない注意が必要だ。」1999.7.15《朝日新聞》
■複合感染で死亡率90%
「『人喰いバクテリア』とも呼ばれる劇症型のA型レンサ球菌(GAS)は、インフルエンザウイルスと同時に感染すると死亡率が一死に上がることが、大阪大歯学部の川端重忠・助教授(微生物学)らのマウスによる実験で分かった。劇症化の原因解明の手がかりになると見られ、29日から札幌市で開かれる日本細菌学会で発表する。
血圧異常
⇒血圧blood pressure
■睡眠中も血圧に大きな変動
「米国の研究チームは睡眠中の人間の血圧がこれまで考えられてきたよりも大きく変動しているとのデータをまとめた。血圧が予想外に大きく変化すると、心臓発作や脳内出血など循環器系の障害が発生する危険性も高まるため、血圧の高い人たちは投薬などによる血圧コントロールが睡眠時にも必要と研究チームは指摘している。
健康な240人を対症に10分ごとに20時間続けて血圧を調べた結果、日中の活動時と同じか、もしくはそれ以上の血圧変化が睡眠時に見られたという。これまで一般的に、血圧は睡眠により一定水準まで下がり、眠っている間に大きな変化はないと考えられてきた。」2000.3.15《日経産業新聞》
【漢方薬】
■苓桂朮甘湯(小便不利、めまい、)
血圧低下
【漢方薬】
■九味檳榔湯(最低血圧が低下)
血瘀(けつお)
【漢方薬】
■芎帰調血飲(血瘀気血両虚)
■桂枝茯苓丸(下焦の)
血瘕
=婦人の八瘕の一にして、腰痛あり。黄骨の下に積気ありて硬くして石の如く、小腹苦痛し、背より腰腹に達し、陰部に攣引し、月経不順となり不妊症を起こす。
血汗
<1>胆が熱を受けると妄行して血汗となる。:[定命散]
<2>病気しない人が、汗を出して小物を汚し、甚だしいときは赤く染まるのを血汗or紅汗といい:[黄蓍建中湯]
<3>産婦が笑いすぎて赤い汗を出す:[葎草汁方]
◎「血汗病」
=傷寒に頭痛・発熱し、口が乾いて口鼻から血が出て、耳が聞こえなくなり、筋骨が痛い症。《医宗金鑑》
処方:[犀角地黄湯小柴胡湯]
【漢方薬】
■黄蓍建中湯
■定命散
■葎草汁方
血管運動神経性浮腫
【漢方薬】
■柴陥湯
血管腫
■就職活動---容赦ない言葉
「岐阜医療技術短大(岐阜県関市)の助教授として看護学を教える藤井輝明さん(40)は、新しいクラスを受け持つと、自分の「顔」の説明から始める。
「看護学生とはいっても、こんな顔を見るのは恐らく初めて。どう接したら良いか分からないのが正直なところでしょう。世の中にはいろんな病気で苦しんでいる人がおり、私のような、血管腫を持つ人間もいることを、将来医療に携わる学生たちに知って欲しい」
そう話す藤井さんの顔は、右の上下のまぶたを中心に周りの皮膚が盛り上がり、特にこめかみのあたりには、コブのような塊が目立つ。
「手術を受ける前は、上唇が顎の先に届くほど、今よりも顔が倍以上腫れ上がっていました。これでも、以前の姿を知っている人からは“随分きれいになったね”と言われます」
皮膚の血管が異常に増えたり広がったりして出来る血管腫は、いわゆる「赤あざ」と呼ばれる平面的なものや、子供のうちに自然に消えるものなど、種類や程度も様々。藤井さんのは海綿状各血管腫といい、色だけではなく、皮膚の盛り上がりを伴うタイプだ。
東京で病院事務職の父と保健婦の母の下で育った。幼児の頃から、右の頬に赤みがあった。小学2年生になる時、小中高一貫の私立校の編入試験を受けて転校した。おっとりした校風で、誰も顔のことを触れなかった。
「自分ではあまり記憶がないのですが、1年生の時にいじめに遭って、親が気を使って転校させたのではないかと思います」初めて社会の激しい視線にたじろいだのは、大学卒業を前にした就職活動だった。
「うちがサービス業だとわかってるの?」「あなたに窓口の仕事は無理」。採用担当者の容赦のない言葉が心に刺さった。
症状の方も、中学の半ば頃から、徐々に進んでいた。ほおが腫れ、時には眠れないほど痛んだ。大学病院など何カ所も受診した。
どの医師も手術が必要という見方は同じ。だが時期は「早いほうが良い」。「成長期が過ぎるまで様子を見る」と。分かれた。結局、手術はしないまま、大学の頃には、右の顔半分が倍ぐらいに膨れるほど血管腫は大きくなっていた。
そんな折り、偶然出かけた医療講演会での形成外科医との出会いが、運命を変える。「私の病院で事務の仕事をしながら治療をしては」という勧めに決断した。就職の翌日から治療を開始。複雑に神経の絡まる血管を丹念に取り除く最初の手術は、出血もすさまじく、10時間に及んだ。
1年間で計3回の手術を受けながら、病院職員として働く中、患者の気持ちを癒せる仕事をしたいと考えるようになった。そして看護大学と大学院の修士、博士課程と学び、3年前から教壇に立っている。
「当時精一杯の治療をしていただいたと感謝しています。ただ、目に見える傷は治せても、患者の心の傷は、もっと大きい。そんな思いを伝える“語り部”になりたい」
血管浮腫
◎副作用としてでる。
セタプリル
血気痛
=月経痛。
血虚
⇒血中の[好中球][カルシウム]が減少した状態。
◎主薬:血を補うには、当帰・生地を主薬とすべし《万病回春》
血狂
=瘀血が原因で精神異常を来す病気。
【処方名-五十音順】
■三黄瀉心湯辰砂
■四物湯桂枝・乾姜・紅花・大黄
■治血狂一方
■桃核承気湯
血枯(けっこ)
⇒胸と肋骨が痛み、食欲なく、発作を起こすと生臭い匂いがし、鼻水が出、唾血して四肢が冷たく、ときどきめまいし、大小便に血が混じる病気で、年少の時に脱血し、酔ったときに房事に入り、気が竭き肝が傷ついて起きる。
【漢方処方】
■烏賊骨丸
血鼓(けっこ)
=腹が脹満して腹皮に赤脉<鬱血静脈のこと>の走るもの。
【処方名-五十音順】
■分消湯《万病回春》
血蠱(けっこ)
⇒癥瘕のひどい症。腹中が石の様に固い症。
【処方名-五十音順】
■醋煮三稜丸(血蠱)
■山稜煎元(婦人の血積・血塊・血蠱を治す)
■桃奴散(血蠱と痰血が停積して経水が通じない)
■桃仁煎(婦人の血蠱・血瘕・血積・月経不順を治す)
■斑玄丸(鬼胎が妖魔にまよわされ癥瘕と同じとき)
■抱甕丸(血蠱と婦人の鬼胎の毒ある症)
■万病丸(処女が月経がなく、臍下が固く詰まって大きな盃or升ぐらいになり、寒熱で痩せ、肉瘕になろうとする時
血行不良
⇒血行障害・血液の循環障害
■バレー選手に手首の血行障害。
「調査方法は、0℃の冷水に10秒間手をつけ、10分後に手の表面温度がどの程度回復しているかを、サーモグラフィで測定。手の表面温度は、33.4℃が普通。36人中22人が中指・人さし指で元の温度に戻らなかった。関西医大新谷雅司内科講師」
1995.4.28朝日新聞。
【色彩療法】
<1>赤色
【宝石療法】
<1>ブラッドストーン-----血行を促進し、出血を止める。
<2>モスアゲート(緑)----血を解毒する。
<3>モスアゲート(赤)----血を清める。
<4>ツリーアゲート-------熱と毒を減じる。
<5>ブルームアゲート-----血管の強化。
【処方名-五十音順】
■桂枝茯苓丸
■五積散
■人参湯
■人参養胃湯
■理中湯
血色素沈着症(ヘモクロマトーシス)
(hemochromatosis)
■マグネシウム不足が一因に
「京都大学の木村美恵子助教授らは、鉄分が肝臓などに沈着する病気、血色素沈着症にマグネシウムの摂取不足が関与していることを突き止めた。動物実験により鉄を余分に与えただけでは大して沈着が起きず、マグネシウムの欠乏下では肝臓に鉄が過剰に蓄積することを確認した。
マグネシウム不足が鉄の代謝に影響を及ぼしたとみられ、微量元素の適度な摂取の重要性を示す実験結果といえる。
実験ではラットを用い、えさのマグネシウムと鉄の量を調整して比較した。
マグネシウムがゼロで、鉄分を適量よりも余計に含むえさを与えた場合、肝臓1g当たりに平均で232マイクログラム(1マイクログラムは百万分の1)の鉄が沈着した。これは、適量のマグネシウムと多めの鉄を含むえさを与えた場合の沈着量の約1.4倍だった。
マグネシウムがゼロ、鉄が適量の場合では同178マイクログラムで、マグネシウム・鉄ともに適量のネズミ群の約1.3倍だった。」1995.9.14《日経産業新聞》
血腫 hematoma
⇒出血によって一カ所に相当量の血液が溜まっているもの。
【処方名-五十音順】
■芎帰調血飲
■芎帰調血飲第一加減
■血府逐瘀湯
■大黄䗪虫丸
■治打撲一方
■桃核承気湯(実証、のぼせ、足冷、下腹部痛)
■桃紅四物湯
■闌尾清解湯
血症(けっしょう)
⇒(1)上使:防風。
中使:連翹・黄連。
下使:地楡。
(2)血結の諸薬には必ず醋湯を使う。
血小板減少症
【処方名-五十音順】
■活血扶正湯
特発性血小板減少性紫斑病に、いろいろ試みても効のないときに(漢方診療医典)
■芎帰膠艾湯
止血の目的で用いる。芎帰膠艾湯が特発性血小板減少性紫斑病に有効であったという報告がある(漢方診療医典)
■桂枝加附子湯
単純性のもので、数ヶ月、経鼻の出血がつづき、手足が冷え、倦怠感のあるものに用いて効を得たことがある(漢方診療医典)
■柴胡桂枝湯
紫斑病にこの処方がよく効くのを知ったのは数年前のことである。
ある日東京の某大学病院に入院している少年がすでに、半年近くなるのに、全然軽快しないので、漢方の薬がほしいというので、診察した。主訴は発作的にくる腹痛で、血尿がでる。下腿には広範囲にわたって溢血斑がみられ、健康な皮膚はいくらも残っていない、私はこの患者に柴胡桂枝湯を用いた。金匱要略に“柴胡桂枝湯は心腹卒中痛の者を治す”とあるのによったのである。ところが驚いたことに、朝と正午に、この薬を飲んだだけで、下腿の溢血斑あ夕方には全部消えた。腹痛もそれきり起こらなくなり、血尿も出なくなった。しかし尿中のタンパクは2ヵ月あまり陽性が続いた。この患者は6ヵ月の服用で治療を中止したが、その後3年あまりになるが発病していない。
この経験によって、一婦人の血小板減少性紫斑病に、本方を用いてみた。この患者は別に、腹痛を訴えるワケではなく、衂血、口腔内の出血、皮膚の溢血などが主訴であったが、やはりよく効いた。
紫斑病には、止血の目的で、帰膠艾湯、黄連解毒湯、温清飲、黄土湯などを用いたことがあるが、柴胡桂枝湯ほそよく効いたものはなかった。(漢方診療医典)
■小建中湯
小児にみられる紫斑病で、病気が長引いて衰弱し、疲労の甚だしいときには、小建中湯を用いる。金匱要略の虚労篇んい“虚労、裏急、悸して衂し、腹中痛み、夢に失精し、四肢疼痛し、手足煩熱し、咽乾き、口燥くは小建中湯之を主る”の条文がありこれによって、紫斑病で衂血を常習とするものに、これを用いて著効を得た。
帰蓍建中湯は、小建中湯よりも、さらに貧血、衰弱度のはげしいものに用いる(漢方診療医典)
血小板無力症
thrombathenia
⇒血小板が正常(増加)であるのに、出血時間が延長・血餅退縮能は低下・ADPによる血小板の凝集能が低下している、先天性の出血性素因。
【処方名-五十音順】
■芎帰膠艾湯
■加味帰脾湯
■帰脾湯
■犀角地黄湯
■補中益気湯
血清コリンエステラーゼ異常症
=「サクサメトニウム過敏症」
⇒先天代謝異常の1つ。常染色体性(E1座位)
◎病因:血清コリンエステラーゼの異常による。
◎症状:
コリンエステラーゼ型筋弛緩剤投与で、遷延性の無呼吸を起こす。
血清病
serum sickness
◎好発年齢:特になし。
◎好発時期:特になし。
◎症状:
<1>発疹:
①部位:全身(顔面少ない)
注射部位にまず現れることが多い。
②性状:麻疹様・猩紅熱様・風疹様・蕁麻疹様など。
③発疹の出現時間:
初回注射---早い場合は2日後、遅ければ2週間後。
再注射-------1時間以内。
<2>発熱、関節痛、掻痒感
<3>浮腫
<4>重篤なときは、ショック症状。
◎血液像:
白血球:減少
◎検査項目:
血液:白血球数・像
タンパク尿
異好抗体試験陽性
皮膚反応
【処方名-五十音順】
■茵蔯蒿湯
血泄
⇒労働が過ぎると陽絡脈が傷ついて血が外にあふれて鼻血を出し、陰絡脈が傷つくと血が大小便から出る(=血泄という)。
血栓症 thrombosis
(参照→「瘀血」)
◎血管を詰まらせる血液の凝塊を血栓と呼んでいる。
◎血液性状の変化などにより血管内で血液が凝固すると血栓thrombueを生じる状態をいう。
◎症状が異なる(血栓が起きた場所で)
「脳血栓及び脳塞栓」→意識障碍、神経マヒ
動脈硬化によって細くなった頚部の動脈にできた血栓が血管壁から剥がれて血流に乗って脳に行き、脳血管を詰まらせる。
「一過性脳虚血発作」→一過性の可逆的な意識障碍や神経マヒ。
「肺血栓塞栓症」→血痰、胸痛、突然死。
下肢の深部静脈には血栓が起きやすく、この静脈血栓が剥がれて血流に乗って肺に至り肺血管を詰まらせるのが肺血栓肺塞栓症。
「心筋梗塞」→胸痛、ショック、不整脈、突然死。
「心房内血栓」
心臓弁膜症や心房細動などで心臓の中に血液が欝滞して血栓ができる。
「腸管膜血栓」→腹痛、血便。
ガンや重症感染症では、場所を選ばず全身の血管内に多数の微小血栓が出来ることがある(=播種性血管内凝固症候群)
「下肢動静脈血栓」→疼痛、組織壊死、浮腫。
◎血液循環障害:
血栓症:
血管内または心臓内に凝血が形成されるもの。
塞栓症(embolism):
血管内の異常な物理的な塊が発生場所から流れて他臓器の小さな血管に陥入した状態。
血管内の塊を塞栓(embolus)と呼ぶ。
塞栓の発生源として最も多いのが血栓(thromrus)
梗塞症(ingfarction):
塞栓症の結果、組織に限局性壊死がおこれば梗塞(infarct)を生じる。
梗塞の発生した病態を梗塞症という。
◎血液中に糖分や脂肪が多いと、それらが赤血球の表面にくついて、赤血球が硬くなり、毛細血管の7mmの間隙を通過出来なくなったり、血栓が出来やすくなる。
■白い血栓と赤い血栓
「血栓には大きく分けて“動脈に出来る血栓”と“静脈に出来る血栓”とがある。動脈系の血栓では、血小板の関与が大きい。動脈に出来た血栓を取り出して見ると。血栓の大部分は白色をしていることが多い。これを『白色血栓』という。
<1>『白色血栓』
「白色血栓を顕微鏡で調べてみると、フィブリンに絡まった血小板の凝集が主体になっていることが分かる。動脈内の血流は速く、血小板にゆがみを生じやすく、血小板は凝集しやすくなり、塊を作る。そこへ血液凝固反応が続いて起こり血栓が出来上がる。最初に血小板の凝集を起こす引き金になるのは、血管内皮細胞が傷ついて変性・剥離し、その露出した内皮細胞へ血小板がくっつき、そこが芽になって血小板の凝集が起きる。そして血液凝固からフィブリンの折出が起こって血栓が成長していく。
剥離した血管内皮細胞の数が少なく、内皮細胞の脱落面積が少ない時には、血栓の成長も限られ、やがて血栓の表面は血管内皮細胞で再び覆われて血管は修復される。
ところが、血管内皮細胞の脱落面積が大きいほど、そしてフィブリン溶解能が低いほど血栓の成長は大きく、完全に血管内腔をふさぐ閉塞性血栓へと発展する。
心筋梗塞・脳梗塞においては、動脈硬化が血管内皮細胞の変性・剥離の原因になっている。
<2>『赤色血栓』
「静脈系の血栓は、血小板の関与は少なく、血液凝固の関与が大きい。したがって、静脈系血栓では、血小板凝集による白色部分は見られず、全体に赤い色がしている。血流の遅い静脈では血流による血小板のゆがみは少なく、血小板凝集より血液凝固の法が血栓の形成に大きく関与している。
血管内の血液凝固は、いろいろな仕組みで制御されており、その制御システムが先天的に働かない体質を出血性素因という。
血管内で血液凝固が始まっても、血流が速いと血流に洗い流されて血液凝固が進みにくいが、血流が遅いと血液凝固が進みやすい。静脈では血液凝固が血栓痙性に大きく関与している。静脈系血栓の代表的なものに、下肢の深部静脈血栓症がある。」
【処方名-五十音順】
■桂枝茯苓丸
■当帰芍薬湯
◎緊急時にすぐ検査
「シスメックスは1/23、脳梗塞や心筋梗塞など緊急状態にある患者の血栓症の検査が現場で即座に出来る「全自動血液凝固測定装置CA-550」を発売したと発表した。従来の血液凝固測定装置に、血液中で血栓が分解されていることを示すFDPの有無を測る機能や、FDPが血栓によることを示すD-Dダイマーを調べる機能を付加した。
新製品は54cm×48.7cm×47cmと比較的小型で、夜間用の緊急治療室などにも設置が可能。価格は780万円。
また、悪性腫瘍、感染症などから発症して全身の血管に微細な血栓が起きるDIC症状の診断など難しい検査にも対応する。」2002.1.24《日経産業新聞》
◎イヌイットと血栓
「グリーンランドの原住民イヌイットには、虚血性心疾患がきわめて稀であることが知られている。たとえば、グリーンランドのンし海岸の北極圏にあるウマナク地方には約1400人の住民がいたが、1963年~1967年の4年間でわずか3例の動脈硬化性心疾患が登録されているのみである。しかも、その3例を詳しく調べると、1例はリウマチ性心臓疾患であり、他の2例は78歳の不整脈で2回の診療記録であった。
コレステロール(脂質の構成成分の1つであり、細胞膜の重要な構成成分でもあり、また、性ホルモンや副腎皮質ホルモンなどの原料の1つ)が高いと動脈硬化性虚血性心臓疾患にかかりやすいという事実が知られていたので、グリーンランドに暮らすイヌイットの血中脂質は、どのような状態であるかが興味を引いた。
そこで、1970年にウマナク地方の住民130人(男61人、女69人)について血中の脂質の分析が行われ、北欧デンマークの血中脂質との比較が行われた。その結果、イヌイットのLDLコレステロール・中性脂肪(脂肪酸とグリセリンが結合したもので、脂肪の構成物の1つ)・プレベータリポタンパク(脂質と蛋白の複合体であるリポタンパクのうち、血清の電気英同文咳でベータ分画の前に位置するもの)は、いずれもデンマーク人に比べて著しく低い値を示した。
一方、HDLコレステロールは高い値だった。LDL値は低くHDLが高い場合には、虚血性心臓疾患になりにくいという一般的に受け入れられている説と一致した。
さらに、脂質を構成する脂肪酸についてしらべると、デンマーク人に比べてイヌイットのアラキドン酸の血中含量はきわめて低く、その代わりにエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)の血中含量は高いことが分かった。
これらの差は人種的遺伝的な違いによるものなのか?、あるいは食習慣の違いによるものなのか?が問題になった画、デンマークに居住してデンマーク人と同じ食事をしているイヌイット25人について調べると、その人たちの血中脂質はデンマーク人のものと差がなかった。
それでは、イヌイットが日常摂っている食事はどのようなものであろうか?この研究調査の対象になったイヌイットの大部分は猟師あるいは漁師とその家族である。摂取する食物は主としてアザラシ・クジラなどの海洋哺乳類と若干の魚である。穀類や野菜類を食する機会は極めて少ない。
」 (青木延雄著「血栓の話」p46~)
■超音波で破壊
「帝京大学の丸山一雄教授、東京薬科大学の根岸洋一講師らは、脳梗塞や心筋梗塞の新しい治療法を開発した。
新手法は胎児のエコー診断や消化器系のガン診断などに使う超音波を応用した。リン脂質膜に超音波を跳ね返すガスを閉じこめ、これを微小な泡にして血管に注射する。泡の表面には血栓にくっつく性質を持つアミノ酸分子をつけてある。
超音波を当てて跳ね返りの違いから血栓の位置を確認。さらに治療用の超音波を送って泡を破壊させ、その勢いで血栓を壊す。防衛医科大学の菊池眞教授らのウサギを使った実験で人工的に作った血栓を治療できた。
カテーテルを使った治療法に比べ装置の価格を1/10に出来る」200512/19《経済》
血栓性静脈炎
thrombophlebitisラ
=静脈炎Phlebitis
⇒静脈壁の炎症が起こってから、血栓を形成したもの。
◎症状:徐々に下肢に疼痛が発現する。
皮下に血栓を触れることがある。
下肢・骨盤静脈に多い。
◎骨髄炎、産褥熱に続発することがある。
敗血症になることがある。
◎種類:
原因不明の「原発性血栓性静脈炎」と、
二次性血栓性静脈炎がある。二次性には、 ①下腹部手術後の手術後静脈炎・
②外傷による外傷性静脈炎・
③分娩後静脈炎などがある。
◎[静脈血栓症venous thrombosis]とは区別する。
【処方名-五十音順】
■桂枝茯苓丸
■血府逐瘀湯
■当帰四逆湯
■疎経活血湯
血疝
=黄瓜のようで、小腹の両脇・横骨の両端の約絞のなかにあって、俗称便雍という。
(原因:房事の労苦)
【処方名-五十音順】
■[玉燭散]
■[桃核承気湯]
■[後元通気散]
■[神聖代鍼散]
血痰・
=血痰が出る
【処方名-五十音順】
■桔梗湯
■炙甘草湯
■清燥救肺湯
血脹
=小便多く、大便黒く、痛悶喘悪するを治す。名づけて血脹と曰う。
【処方名-五十音順】
■人参芎帰湯《医門法律》
血糖値が高い
◎血糖値を増加する因子:
*糖質負荷
*ホルモン分泌のアンバランス:
*インスリン分泌不全
*甲状腺ホルモン
*副腎皮質ホルモン
*副腎髄質ホルモン
*下垂体ホルモン
*グルカゴンの異常分泌
◎血糖値160mg/Œ以上になる病気には、以下のものがあります。
*糖尿病
*甲状腺機能亢進症
*脳下垂体機能亢進症
*副腎機能亢進症
*感染症
*肝疾患:ICDH,G6PD活性低下
*冠動脈疾患
*多発性硬化症
*悪性腫瘍-------食後に高血糖
*関節炎
*敗血症
*脳炎
*脳膜炎
*やけど
◎血糖値から心臓血管の危険度判定。
「英ケンブリッジ大学の研究チームは、心臓の血管の詰まり具合を予測するのに血糖値が深く関与していることを疫学調査で突き止めた。
45歳~75歳までの4662人の成人を対象に調査。血糖値と心臓血管の詰まり具合の関係を調べたところ、血圧と血液中のコレステロールの関係に似ていることが分かった。
血糖値を0.1%~0.2%低下できれば、糖尿病や糖代謝機能の低下による死亡率を5~10%低下させることができるという。」2001.1.10《日経産業新聞》
■涙から血糖値
「三林浩二・東京医科歯科大学教授らは血糖値を涙で測定するセンサーを開発した。軟らかい高分子フィルムで作る。目に入れて涙に含まれるブドウ糖を検出する。
開発したセンサーはブドウ糖と反応する酵素を利用し、酵素が消費する酸素の濃度を検出する。
ウサギの目で実験。大きさ5mm×2cmのセンサーを開発し、まぶたの裏に挿入。ブドウ糖を含む水を飲ませると血糖理が上昇するが、涙に含まれるブドウ糖も血糖値が上昇してから数分遅れて同様に増えることを確認した。」2006.5/22《産業》
■採血しないで測定
「山田幸生・電気通信大学・北海道大学・関西学院大学・松下電工などの研究チームは、針を刺して採血しなくても血糖値を測定できる技術を開発した。近赤外光を腕に当てる手法なので、1日に何回でもチェックできる。課題だった誤差を抑えることにもメドが付いた。
近赤外光は波長1300~1700ナノ㍍の光。糖分のグルコースはこの波長の光を吸収する性質があるため、前腕部に光を当てて、体内から戻ってくる反射を検出し吸収度合いを調べることでグルコース含有量を割り出す。
血液1デシ㍑あたり20mgの範囲内に誤差を縮めた。」200611/24《日経》
■血糖値の測定
「キッコーマンが血糖値の測定のための酵素を開発した。
その酵素は『変異型フルクトシルペプチドオキシダーゼ』(FPOX)。熱に対する安定性がこれまでの酵素より約80倍高い。開発した酵素はHbA1c酵素測定法と呼ばれる簡便な測定法で使う。」
血糖値が低い
◎血糖値60mg/Œ以下になる病気には、以下のものがあります。
*高インスリン血症
*インスリノーマ
*膵臓外腫瘍-------肝ガンなど
*副腎機能低下症
*脳下垂体機能低下症
*肝疾患
*アジソン病
*胃腸疾患---------消化性潰瘍
*グリコーゲン貯蔵症
*本態性小児低血糖症
【宝石療法】
<1>模樹めのう--------血糖値を上げる
血熱
◎血熱を治するに3等の別あり《勿誤薬室方函口訣》
<1>頭疼、面赤、耳鳴、歯痛の者:「小柴胡湯石膏」
<2>血気刺痛、心下に衝逆し、嘔吐する者:「小柴胡湯紅花」
<3>五心煩熱、日哺、瘧の如く寒熱を発する者:「小柴胡湯鮮地黄」
血痺
=身体痺し、皮膚習々(やわらぎのびる)を覚ゆる者。
血風
=婦人産後の眩暈。
【処方名-五十音順】
■大芎藭散《医学入門》
血分腫
血分種(月経が停止して浮腫を来した状態)
⇒産後、又は生理が不順で、浮腫のあるもの。
◎血分腫とは王永甫が《恵済方》に云う、婦人経滞化為水、流走、四肢悉腫満、名曰血分証、與水腫相似、医不能審輙水腫治之誤也ト、是なり。
◎案ずるに、水気篇に云う。「経水前に断ち、後病む、名付けて血分と曰う」と此れ難治と為す。「先ず水を病み、後に経水断つ、名付けて水分と曰う」と。此病治し易し。何を以ての故か、水を去ればその経自ずから下るなり。是れ後世血分腫の原づく所なり。《雑病翼方》
◎血分腫というのは、瘀血からきた水腫をさしている《大塚敬節》
【処方名-五十音順】
■桂枝茯苓丸
■桂枝茯苓丸車前子・茅根
弁膜症の患者で、瘀血の徴候のあるものに用いる。
19歳お未婚の婦人で、兼ねて弁膜症があったが、たいした愁訴もなく、医療を受けていなかったところ、それまで順調であった月経が2ヵ月ほど閉止し、そのためが全身に浮腫が現れ、動悸、めまいを訴えるようになったという。腹診してみると、下腹に抵抗と圧痛があり、瘀血に腹証を認めたので、桂枝茯苓丸車前子茅根を与えたところ、1ヵ月もたたないうちに月経が通じ、諸症状が消失した。車前子・茅根各3.0を加えたのは、尿利を良くして、浮腫を去るためであった。浅田宗伯に勿誤薬室方函口訣に桂枝茯苓丸の項に“車前子、茅根を加えて血分種(月経が停止して浮腫を来した状態)
【漢方処方】
■治婦人経水云々方《本事後集》
血分症
⇒経脈が運行せず、血が化して水となり、四肢が腫れ浮腫する症。
【処方名-五十音順】
■桂苓湯
血尿 hematuria
(参照→「尿潜血」「尿血」「膿尿」)
◎チェックしましょう:「壊血病」
⇒正常でも尿中に1日約106個の赤血球が排泄される。
◎尿沈渣検査で強拡大して、1視野に赤血球1個程度以上の赤血球が存在する場合を血尿という。
◎腎臓~尿道に至る尿路系のすべての部位から出血で赤血球が尿中に出現し、尿は赤褐色~暗黒褐色の色調を示す(肉眼的血尿)。
◎鑑別:
*赤血球尿(=血尿)
*ヘモグロビン尿(溶血が原因)
*ミオグロビン尿(横紋筋融解に伴う)
*ポルフィリン尿
*薬剤による着色尿(サルファ剤・リファンピシリン)
◎血尿の原因:
腎臓疾患
*腎炎
*腎盂炎
*腎結核
*腎結石
*腎腫瘍
*IgA腎炎
*特発性腎出血
ウイルソン病 (参照→ウイルソン病)
その他:*打撲、
*薬物中毒
■自覚ナシに突然は要注意
「連夜の深酒の翌朝、トイレに起きた男性(53)は驚いた。おしっこが真っ赤なのだ。出始めから終わりまで、まるでワインのようだ。体調の異常は無かったので、おかしいと思いながら、病院に向かった。
尿の中に含まれる細胞を調べる「尿細胞診」で、ガン細胞が見つかった。超音波診断の結果、膀胱に小指大の大きさのガン。麻酔して尿道から器具を入れ、ガンを削り取る手術を受け、成功した。
治療した聖路加国際病院(東京都中央区)泌尿器科の福井準之助部長は「自覚症状がないのに突然、血尿が出るケースは要注意。膀胱や前立腺、腎臓などのガンが心配です」と話す。一度しか血尿が出ないこともある。この男性も3、4年前に1度だけ血尿が出たが、診察を受けなかった。
排尿時の痛み、残尿感、頻尿といった自覚症状があれば、尿道や膀胱、腎臓、前立腺なその炎症を疑う。結石のこともあるが、これは、ときに吐き気まで伴う激しい痛みがある。極まれに結核のことも。
子供の血尿でも、稀ではあるが、ガンを含めた腫瘍に気を付けたいというのは、子供の腎臓疾患に詳しい北里大の酒井糾名誉教授。
ただ、最も多いのは体質によるものという。「鼻血が出やすい子がいるように、発熱すると血尿が出る子がいます。あわてず、経過を見て、止まらないようなら精密検査をします」と酒井さん。感染症による尿路の炎症なら抗生物質で治る。
一口に血尿といっても、ワイン色・焦げ茶色・やや色が濃い程度と色は様々。疲労時や水分の摂取量が少ないときも尿の色が濃くなるが、血尿との見分け方は“濁り”。「濁りがひどいなら血尿ですからすぐに泌尿器科医へ、尿細胞診や超音波診断は開業医でも受けられます」と福井さん。
このほか、顕微鏡でのぞいて初めて分かる「顕微鏡的血尿」もある。こちらは健康診断などの検査でチェック出来る。
尿の色は、だいたいの出血部を教えてくれる。出始めの尿が赤いのは膀胱の出口、最後に絞り出した時に赤くなるのは尿道や前立腺と考えられる」1999.627《朝日新聞》
■無症候性血尿は猪苓湯を長期に
「16歳の息子が高校入学の健康診断で、尿の潜血反応が陽性と言われました。再検査で無症候性血尿と診断されました。今は治療の必要はないが、[IgA腎症]の疑いがあるので、定期的な検査と腎臓の組織検査(腎生検)を受けた方がよい、と言われました。」
「質問者が同封した検査所見によると、血清IgA値が正常で、腎機能を示す数値はすべて正常、尿タンパクも陰性である。尿の種々の所見などからIgA腎 症の可能性は少ないと思われる。遊走腎も否定されており、腎生検については現時点ではあまり必要性を認めない。ただ、不変もしくは自然軽快する場合と、慢性腎炎の一種となる場合があるから定期的なチェックは必要である。
無症候性血尿には猪苓湯が最もよく用いられる。顕微鏡的血尿ではなく、はっきりと血尿や赤褐色の尿になる場合は四物湯を併用すると良い。
現代医学的には無症状であっても、「何となくだるい」「長時間立っていると腰が重くなる」といった症状がある場合は、猪苓湯と補中益気湯を併用したり、補気建中湯などが考慮される。効果の発現には時間のかかる場合が多い(花輪寿彦)1999.2.15《日本経済新聞》
【処方名-五十音順】
■温清飲
■黄土湯
■黄連阿膠湯
■黄連解毒湯
■帰脾湯
■芎帰膠艾湯
■姜蜜湯
■桂枝茯苓丸
■琥珀散
■五淋散
■三黄瀉心湯
■四物湯
■小薊飲子
■清腸湯
■清熱滋陰湯
■大黄硝石湯
■大黄附子湯
■大黄牡丹皮湯
■調胃承気湯
■猪苓湯
■猪苓湯合四物湯
■桃核承気湯
■当帰建中湯
■当帰散
■当帰四逆加呉茱萸生姜湯
■八味地黄丸
■髪灰丸
■髪灰散
■茯苓調血湯
■立効散[1]
■竜胆瀉肝湯
■六味丸
■鹿角膠丸
【臨床例】
☆58歳、男性。
「3日前より血尿があり、排尿の初めに出て、痛みも痒みもない。患者は20年前にも血尿があって、東大泌尿器科に診てもらったと言う。
食事は野菜を主にして、肉類は制限しているが、香辛料は摂っている。酒は夜コップ1杯でタバコは20/1日。便通は1日1回で、小水は近く、日中7~8回、夜1回ある。お茶ずきである。
体格は中等度で、栄養は良好だが、顔色は良くない。腹診すると臍下丹田に力がない、いわゆるへそ下不仁の腹証を呈する。
それで血尿によく効く猪苓湯合四物湯を与える。30日分飲むと血尿は止まった。その後、予防のために50日分ほど服用する。血尿はそれから一度もない。」(寺師睦宗著「成人病の漢方療法」p168)
血便
hematochezia, blood stool
=(下血)
⇒血液が肛門から出るもので、肉眼で確認出来る出血。
《漢方療法》
☆便が先に出て、血があとから出る(=遠血):[黄土湯]
☆血が先に出て、便があとから出る(=近血):[赤小豆当帰散]
☆鮮血を下血:口中和し、脈細、小便長く、手足冷の者は虚寒に属する。
①[理中湯黄土]
②下血多き者:[黄土湯]
☆大便下血:[理中湯木香・当帰各等分]
◎大便が排泄される前に鮮紅色の出血。《出血性大腸炎》=大便下血。
◎血痔=痔出血のこと。
<イ>大便の後に下血し、腹痛しない=「湿毒下血」
処方[黄連湯]
<ロ>大便後に下血し、痛む者=「熱毒下血」
処方[芍薬黄連湯]
<ハ>水があふれ出るように出血=「腸下血」
処方[香殻丸][涼血地黄湯][当帰和血湯][升陽除湿和湯][加味香連丸][升麻神胃湯][益智和中湯]
◎風痢のこと《三因極一病証方論》
【処方名-五十音順】
■胃風湯
■茵蔯蒿湯
■黄土湯(先に便が出、あとから出血)
■黄芩湯
■黄連解毒湯
■槐黄丸(腸風・臓毒・痔瘻・便血)
■槐黄湯(腸風・臓毒)
■槐花散(胃腸が脹って下血)
■加減四物湯(血便・腸風)
■加味四物湯
■枳殻散(臓毒)
■芎帰丸(腸風・臓毒が長引く)
■芎帰膠艾湯(貧血、めまい<起立性>、腹直筋<左>攣急、四肢煩熱、下血子宮出血、腹部軟弱無力)
■玉屑丸(腸風・臓毒が長い)
■解毒湯(臓毒)
■結陰丹(血便を治す)
■香殻丸(飽食による腸、諸痔瘻)
■香附散(腸風)
■厚朴煎(血便と下血)
■犀角地黄湯
■三黄瀉心湯(精神不安、顔面紅潮、吐血衂血<鮮紅色>、心下痞、胃部膨満停滞感、便秘、脈有力)
■三物黄芩湯(手足煩熱、貧血ぎみ、虚熱倦怠感、心胸苦悶、口渇口乾、腹部軟弱、舌無苔、舌質紅)
■絲瓜散(腸風・臓毒・痔瘻・脱肛)
■止血散(腸風が糞前にあるのは肝・腎の血で、糞後にあるのは心・肺の血である)
■四物湯(貧血、皮膚枯燥、動悸<上>、神経症状、腹部軟弱、脈沈弱)
■芍薬黄連湯(大便から出血し、腹痛する)
■升陽除湿和湯(腸下血で出血し、腹痛する)
■升陽補胃湯(腸下血が射出され、色が黒紫で腰痛がひどい)
■酒蒸黄連丸(酒毒で熱を出し、肛門まで熱いとき)
■清臓湯(血便の主治剤)
■清栄槐花散(風腸臓毒)
■赤小豆当帰散(先に血が出、あとから便が出る)
■剪紅元(腸風・臓毒、下血が止まらない)
■断紅元(腸風)
■大黄黄連瀉心湯
■地楡散(長い間下血する)
■猪苓湯(発熱、口渇、小便不利、排尿痛・頻数、血尿、心煩不眠)
■猪苓湯合四物湯
■当帰建中湯
■当帰芍薬湯
■当帰四逆湯
■当帰承気湯(熱い血便)
■当帰和血散(腸風射血と湿毒下血)
■桃核承気湯(実証、のぼせ、足冷、下腹部痛)
■腸風黒散(腸風・臓毒)
■人参敗毒散
■白頭翁湯
■柏葉湯(腸風)
■平胃散(排便の前に、鮮紅色の出血がある、出血性大腸炎)
■平胃散枳殻・槐花・当帰・烏梅(飲食で傷ついて)
■平胃地楡湯(血便を治す)
■人参湯
■補中益気湯
■益智和中湯(腸下血の色が黒紫で、腹痛・悪寒する)
■楡砂湯(血便・血陰)
■理中湯牛肉《方読便覧》
■涼血地黄湯(腸で出血)
連殻丸(内腸から出血、脈絡に詰まった者)
●乱髪霜
【民間療法】
<1>ケイトウ。
<2>トクサ。
<3>ハス。
<4>ヨモギ。
<5>アカマツ・イチジク・ウメ・ガマ・キランソウ・クチナシ・シカ・スギナ・スッポン・ナンテン・ネギ・ハチク・ビョウヤナギ・ムクゲ・ワレモコウ
血崩
=「病名」。崩漏の1つ。崩中ともいう。
婦人の陰道より大量の出血があるもの。
⇒月経が錯乱して、粘土のように流れる症。
<1>まず五霊脂末1銭を温酒に混ぜて飲む。五霊脂末は行血・止血の性質を兼ねているので、服用した後続けて五積散に防風・荊芥を加えて醋を少し入れ1~2貼煎じて飲み、再び五霊脂散を使う。
<2>激しい悲しみの為に崩漏になった・・・[備金散][四製香附丸]
<3>月経のあるとき房事を行って経血が暴下・・・[温経湯]
<4>湿と熱が下に圧迫して崩漏になり、色は赤黒く腐った匂いがする・・・[解毒四物湯][涼血地黄湯][固経丸]
<5>憂鬱又は幸せだった女が不幸になって崩漏・・・[開欝四物湯]
<6>胃気が落ちて経水が暴下する・・・[升陽調経湯][益胃升陽湯][升陽除湿湯][柴胡調経湯]
<7>急な血崩・・・・[白芷湯百草霜末]
<8>甚だしい血崩・・・棕櫚灰or狗頭骨灰or五霊脂を半分生で半分炒って粉末にしたものを合わせて酒に混ぜて飲んだ後、四物湯黄芩・黄連・人参・黄蓍・香附子・乾姜を調合する。
<9>婦人が40才を越えて悲哀に陥り崩漏:先ず黄連解毒湯を使い、次に三和湯で調合したものを使う。
<10>処女が男をほしがって血崩:[四物湯柴胡・黄芩]or加味逍遥散を加えて使う。
<11>血崩に冷えがある・・・[伏竜肝散][丁香艾湯]
<12>血崩に熱がある・・・・[涼血四物湯][解毒四物湯]
<13>血崩で普通・・・・[当帰芍薬湯][奇効四物湯][煮附丸]
<14>崩漏が多くめまいがして昏倒・・・[生地連湯][全生活血湯]
◎主薬:婦人の血崩には、蒲黄(炒)を主薬にしべし《万病回春》
【処方名-五十音順】
■温経湯[2](月経のあるときに房事を行い、衝脈・任脈を損傷し暴下)
■温清飲
■益胃升陽湯(血塊がひっきりなしにあふれる者)
■開欝四物湯(幸せ・裕福だった者が、急に不幸・貧困になって血崩)
■奇効四物湯(一般)
■解毒四物湯(色赤黒く腐った匂い、腹痛)
■四製香附丸(激しい悲しみで血崩)
■固経丸(経水過多)
■五積散荊芥・防風・醋少々。
■五霊脂散
■柴胡調経湯(脾胃が弱い・血崩が止まらない)
■升陽除湿湯(脾胃が弱い)
■升陽調経湯(内傷により血が止まらない者)
■全生活血湯(月のものがあまりひどくて、意識不明になる)
■丁香膠艾湯(崩漏が止まらず、おりものが出て下腹部が凍った様)
■当帰芍薬湯(経漏が止まらず、気が弱く困憊した者)
■如聖散[2](血崩一般)
■伏竜肝散(衝脈・任脈の弱いとき、腹痛)
■立効散[3](血崩一般)
■領金散
■涼血地黄湯[1](血崩で腎水の陰が弱まったとき)
◎阿膠
血友病
⇒凝固第Ⅷ因子または第Ⅸ因子が欠乏しているため、凝固遅延が起こる出血性疾患である。
◎劣性伴性遺伝疾患で男性のみに現れる。
【処方名-五十音順】
■犀角地黄湯
■薏苡附子敗醤散
血痢
=混血性下痢、赤痢。
血淋
=膿血ある淋病。
「血淋」:小便が出ず、ときどき血が出て痛む。熱があると発し、激しいと尿血し、熱がこもって陰茎が痛む。
【処方名-五十音順】
■益元散(気淋、神経性の尿意頻数、神経性尿道炎)
■桃核承気湯
■補中益気湯(酒淋)
■八味地黄丸
■六味丸
■「金黄湯」(小便に出血あり、尿道が痛む)
■「小薊飲子」(下焦は結熱し尿血と淋痛)
「四物湯知母・黄柏・沢瀉・赤茯苓」
血瀝痛
【処方名-五十音順】
■桂枝茯苓丸
■桃核承気湯(血瀝腰痛=性器出血があって腰痛)
血流が悪い
■針灸で
「東京都老人総合研究所は、針灸治療で脳の血流が改善する仕組みを動物実験で解明した。
同研究所の内田さえ主任研究員らは、ラットにハリや灸を施術し、脳の血流がどのように変化するかを調べた。
◆鍼・・・ほおにハリを打ち1分後に調べたところ、脳の血流は1~2割増えた。ハリを打つ部位を手や足に変えてもほぼ同様の結果になった。
◆灸・・・灸をして30秒後に、脳の血流が約1~2割改善した。
◆脊髄につながる顔や手足の神経を途中で遮断したラットを使って、同じ実験をすると、血流の改善は見られなかった。
◆血流が増えたラットを調べたところ、大脳皮質から分泌される『アセチルコリン』が針や灸の刺激で約2倍に増えていた。アセチルコリンには血流を増やす働きがある。内田主任研究員は「手足や顔への刺激による興奮が神経を伝わって脳内の別の神経に伝わり、アセチルコリンの分泌を促した」と語る。
針灸治療では、脳卒中の伴う言語障害の症状が改善する事例も報告されるなど、脳の血流改善に効果があると言われている」2005.10.10《日経》
■P2X4
「血管内には種々のホルモンや生理活性物質が流れている。血管の調節は、こうした化学的な作用ですべて起こるとこれまで考えられていた。
血管の内側にある細胞に、血液の流れの強さを感知して血管を広げる働きがあることを、東京大学の安藤穣二教授と山本希美子講師らのグループが発見、米医学誌ネイチャーネディシンの2005年12月号に掲載。
血流によって細胞をこする摩擦力が強まると、血管が広がり血圧を下げているのが分かった。
実験では、内皮細胞にある遺伝子『P2X4』の欠けたマウスを作った。その結果、細胞が血流の刺激を感知しなくなり、血管を広げる働きを持つ一酸化窒素の量が減少し、血圧が上昇した。P2X4は細胞内にカルシウムイオンを取り込むことで、血流からの刺激を細胞内部に伝えていた。
血管の内皮細胞に摩擦を起こすと一酸化窒素量が増え、血栓が形成されるのを防ぐタンパク質が出来ることは分かっていたが、その詳しいメカニズムは不明だった。安藤教授は「P2X4の数や働きを高める薬剤ができれば、動脈硬化などの予防や改善に役立つ」と語る。2005.12,5《日経》
■血管内皮細胞から
「血液が流れることで、血管内皮細胞から[トロンボモジュリン]や[プロスタサイクリン]が生成される。これらは血小板の活性を抑えることで血流を改善する。
運動することで活性が上がる。運動を始めるとすぐにトロンボモジュリンが作られ、30分後にプロスタサイクリンが作られる」
流体としての性質 (血液粘度計)
流体はその性質から、流れの剪断応力(τ) と剪断速度(γ)が比例するニュートン流体と、それ以外の非ニュートン流体に大別され、非ニュートン流体には、ダイラタント流体やカッソン流体などがあります。
血液は、ニュートン流体とカッソン流体の両方の性質があることが分かりました。
抗凝固剤を入れたかどうかで結果に明らかな違いが有りました。
男性と女性では、女性の方が血液の粘度が低いことも分かりました。それは赤血球の量が少ないためでした。
山本秀樹・関西大学環境都市工学部教授
剪断応力
(せんだんおうりょく、英語:shear stress)とは、物体内部のある面の平行方向に、すべらせるように作用する応力のことである。物体内部の面積Aのある面に平行方向の剪断力T
が作用している時、Aに作用する平均的な剪断応力τ はτ = T / Aで表される。
結核 tuberculosis
=漢方医学で、皮膚の下に塊を生じて果中の核の如きをいう。いくつも連なりて生ずるを瘰癧といい、ひとつ生ずるを結核という。
⇒凝りが表分に浮き出たのが『癭瘤』と成り、皮内の下に在るのが『結核』なり《古今方彙》
◎主薬:結核には、夏枯草を主薬とすべし《万病回春》
【処方名-五十音順】
■人参養栄湯(乾燥性結核症)
■加味四七湯《万病回春》
■解欝導痰湯《寿世保元》
■結核一方《寿世保元》
■消腫潰堅湯《万病回春》
■消毒散《万病回春》
■消風化痰湯《万病回春》
■内消散《万病回春》
◎せきやタンが2週間以上続いたら、要注意。
◎臨床的特徴:
<1>発熱:発熱時に悪寒はあるが戦慄はしない。
微熱--------肺結核
弛張熱----栗粒結核、髄膜炎
<2>白血球数:不変~中等度増加
<3>まれに類白血病反応(栗粒結核)
◎検査:ツベルクリン反応
胸部X線検査
結核菌検査(喀痰・胃液)
タンの結核菌の多少はGaffky号数(1号~10号)で表す。
◎治療:リファンプシン・イソニアジドなど4つの薬を同時に投与する。
「結核の薬は10種類あるのですが、ある程度の病巣になると、それぞれの薬剤に抵抗性のある菌が少しづつ含まれています。1種類しか薬を飲んでいないと、しばらくして耐性菌が増えて再発するので、4酒類の薬を組み合わせて服用する。結核は通常の気管支炎を違い2週間で菌が無くなることはありません。そのため初めの2ヶ月は4種類の薬を、その後は3種類の薬を服用します。半年間は薬を飲み続けないと、再発する可能性が残ります。
ヒドラジッドとリファンピシンという2種類の治療薬に抵抗性がある菌を多剤耐性菌と呼んでいます。」
結核性関節炎
⇒倦怠・羸痩・盗汗・微熱などとともに徐々に始まり、機能障害をきたす。
他の部分に結核があることもないこともある。
◎股関節に好発する。
脊椎は発見が遅れるので要注意。
◎検査:赤沈
CRP
関節・胸部X線像
関節液結核菌
【処方名-五十音順】
■薏苡仁湯
■六味丸
結核性痔瘻
【処方名-五十音順】
■荊芥連翹湯
結核性脊椎炎
=「脊椎カリエス」
結核の既往や家族歴の存在、
慢性で疼痛が次第に増悪
ツベルクリン反応が陽性
赤血球沈降速度の促進を認める
結核性腹膜炎
ラPeritonnitis
⇒慢性腹膜炎の一種。
一般に青壮年・女子に多い。徐々に発病する。
◎症状:
*微熱
*食欲不振
*腹部膨隆、圧痛(+)
*腹痛(軽度)
*嘔吐(時に)
*便秘or下痢
*鼓脹
*腹水(滲出型の場合)
【処方名-五十音順】
■黄蓍建中湯
■黄蓍湯《仁斎直指方》
■桂枝加芍薬湯
■厚朴七物湯
■柴胡桂枝乾姜湯
■消疳飲
■小建中湯
■真武湯
■四逆散
■梔子厚朴湯
■大黄䗪虫丸
■抵当湯
■当帰建中湯
結核性リンパ節炎
tuberculous lymphadennitis
⇒慢性炎症によるリンパ節腫張の代表的疾患。
◎頚部リンパ節に好発し、腺塊形成する。
◎発熱・局所の熱感を伴わない(悪性腫瘍によるリンパ節腫張との区別が大切)
◎チェック:既往歴
胸部X線
ツベルクリン反応
結胸(けっきょう)
◎《傷寒論》に“病が陽に発して、しかも反って之を下すと熱が入って結胸になる”と述べているところをみても、古人が結胸と呼んだものの中には、肋膜炎・肝炎・胆嚢炎・横隔膜下膿瘍などが含まれていると思う、《大塚敬節》
⇒胸がいっぱいで痛む症。
◎傷寒で脈が浮緊のときに下すと、必ず結胸になる。
【鑑別】臓結:
臓結は結胸に似ているが、全部下した後に、邪気が中に入って陽と共に結合して固まったものが胸にあると結胸になり、陰と共に結合して固まって臓にあると臓結になる。
【処方名-五十音順】
■海蛤散(血結胸で堪えられない痛み)
■活竜散(陽毒結胸)
■桔梗枳殻湯(通治剤)
■枳朮湯(心下が大きく、何か丸いものがある)
■桂枝人参湯(支結)
■玄胡索散[2](婦人の血結で心腹が痛む)
■柴陥湯(熱実結胸と水結痰結)
■柴梗湯(胸膈の満悶・痞痛)
■柴陳湯(痰熱で胸膈の痞満)
■三物白散(寒実結胸)
■小陥胸湯(小結胸に)
■穿結散(大実・大満・気塞不通)
■大陥胸丸(熱実結胸に)
■大陥胸湯(大結胸に)
■抵当湯(結胸・譫語・血)
■破結丹(陰陽毒の結胸)
■半夏茯苓湯(水が心下に溜まって水結胸になり、痞満して頭汗出る)
結節性紅斑
(EN) erythema nodosum
⇒発熱・関節痛のあとに発疹し、再び(同時に)発熱する。下腿伸側に左右対側性に、豌豆大~鳩卵大の潮紅と局所熱感を伴う皮下結節~硬結を生じ、圧痛・自発痛がある。思春期女子に多い。
◎チェック→「サルコイドーシス」
◎好発年齢:20~30才の女性に多い。
◎好発時期:春秋に多い。
◎症状:
<1>発疹:
①部位:両側下腿、時に前腕伸側
②性状:エンドウ豆大、小鶏卵大の結節。
表皮境界不鮮明
淡紅色、鮮紅色
圧痛あり。
数日から数週で吸収を始める
③発疹の出現時間:
前駆症状に次いで発疹を生じる
<2>発熱・頭痛を伴うが、全身症状は軽微。
◎血液像:特になし。
◎検査項目:
結核と関係のあることがある。
【処方名-五十音順】
■痿証方
■越婢加朮湯
■桂枝茯苓丸大黄
■三妙散
■四妙散
■防已黄蓍湯麻黄
結節性多発動脈炎
(PN) polyarteritis nodosa
◎診断基準(厚生省系統的脈管障害研究班、1990)
<1>主要症候:
(1)発熱(38℃以上、4週間以上持続)
(2)体重減少(6ヶ月以内、6kg以上)
(3)関節-----多発関節痛。
(4)筋-------多発筋痛、筋力低下。
(5)循環系---高血圧。
(6)腎-------急速進行性腎炎。
(7)中枢神経-脳出血、脳梗塞。
(8)末梢神経-多発単神経炎。
(9)心-------虚血性心疾患、心包炎。
(10)肺------胸膜炎、肺出血、間質性肺炎。
(11)消化管--出血、梗塞。
(12)皮膚----皮下結節、紫斑、潰瘍、壊疽。
<2>組織所見:
筋型動脈の壊死性動脈炎の存在。
<3>血管造影所見:
腹部大動脈分枝の多発小動脈瘤。
<4>参考となる検査所見:
(1)白血球増加---1万/μ以上
(2)血小板増加---40万/μ以上
(3)血沈亢進
(4)CRP-------陽性
<5>除外項目:
(1)アレルギー性肉芽腫性血管炎。
(2)Wegener肉芽腫症
(3)過敏性血管炎。
(4)膠原病(SLE、RA)
(5)川崎病。
結節性動脈周囲炎
◎好発年齢:男性の方が女性の3倍。
◎好発時期:不明。
◎症状:
<1>発疹:
①部位:広汎に起こる(指・趾・顔面)
②性状:多彩。猩紅熱様紅斑、ジンマシン、皮下結節、水疱(10%)。
③発疹の出現時間:不定。
<2>多彩:原因不明の発熱、高血圧、腎疾患、貧血、筋痛。
腹部症状、呼吸器症状、神経炎症状
◎血液像:
貧血:中等度
白血球:増加
好中球:増加
左方移動
◎検査項目:
血液像
皮膚・皮下組織、筋の生検
結合組織炎
■薏苡仁湯
結腸炎
=大腸炎colitis
■温脾湯 ■藿香正気散
結毒
=第二期、第三期の陳旧性の梅毒。
第3期梅毒である《大塚敬節》
【処方名-五十音順】
■大黄牡丹皮湯
結膜炎
=結膜炎の原因は、ウイルス、細菌、クラミジア、アレルギー物理化学的刺激などである。ウイルスのよるものと花粉症によるアレルギー腥結膜炎が最も多い。
(症状)
異物感、目脂、羞明、流涙、眼痛、痒感、瞼結膜の充血、腫脹などである。
(流行性角結膜炎)
は俗に「ハヤリメ」と称し、昔はこれを「天行赤眼」または「疫眼」と呼んでいた。(漢方診療医典)
【芳香療法】
<1>精油類は使用不可。どんなに希釈しても精油は刺激を与え、障害さえも起こします。
<2>カミルレ・セイヨウニワトコ・コゴメグサの浸剤で洗眼。
<3>バラ水
<4>ヤグルマギク水
【処方名-五十音順】
■茵蔯蒿湯
■越脾湯
■越婢加朮湯
結膜炎で眼瞼のびらん、腫脹、充血、疼痛、分泌物や流涙のあるおのは風水の証で「面目黄腫」「汗大いに泄(もれ)る」などの証に該当するものとして本方を用いる、脈は多くは沈んで小便は少ない。外見がいかにも汚く不潔に見える(漢方診療医典)
■葛根湯
(陽実証、頭痛、発熱、無汗、項背のこわばり、脈浮緊・数)
■葛根湯+川芎+大黄
これは原因の如何にあかわらず、太陽部位における炎症、充血を発散解毒する意味で、結膜炎の初期実証のものに一般的に用いられる。症状の激しいものはさらに黄3.0g、石膏6.0gを加えて急性症状の緩解するまで続ける(漢方診療医典)
■葛根黄芩黄連湯
■桂枝加葛根湯
■桂枝茯苓丸
■五苓散
■柴胡桂枝湯
■三黄瀉心湯
■謝導人大黄湯
=(大黄、黄芩、芍薬、甘草、細辛)
外台秘要方の処方で眼疾に良く使われる。急性慢性を通じて、腫脹痒痛のあるものを下どこう攻下する。(漢方診療医典)
■小建中湯
■梔子柏皮湯
■小青竜湯(咳嗽、喘、鼻水、)
心下に水飲があって、その上方または表に溢れ出て、結膜に炎症、充血を起こし、流涙がはなはだしく、脈は多く浮の傾向がある。飲の証の1つ。アレルギー性結膜炎に最もよく用いられる(漢方診療医典)
■清上防風湯
結膜炎で炎症、充血があり、上気して顔色が赤く、皮膚は浅黒く、面疱(=にきび)や顔面に発疹などのあるものに本方によい(漢方診療医典)
■大柴胡湯(実証、筋肉質、胸脇苦満、心下部緊張、便秘)
■桃核承気湯(実証、のぼせ、足冷、下腹部痛)
■当帰竜薈丸
■白朮附子湯
■白虎加桂枝湯
■防風通聖散
■麻黄附子細辛湯
これは虚弱体質、冷え症で陰虚証の者に起こった結膜炎で、症状はそれほど激しくないが、なかなか治りにくい。脈は沈んで弱い、アレルギー性結膜炎によく用いられる(漢方診療医典)
■明朗飲加減
苓桂朮甘湯に車前子、細辛、黄連を加えたもので、結膜炎の慢性証におおく用いられる。羞明、発赤、流涙があり、脈は沈んで心下部に振水音を認めることがある。一方、動悸、眩暈などあるものによく奏功する。便秘の時は芎黄散を兼用する(漢方診療医典)
■竜胆瀉肝湯(目が充血、怒りっぽい、)
■苓桂朮甘湯(水分代謝が悪い、
結膜出血
【処方名-五十音順】
■三黄瀉心湯
■桃核承気湯(実証、のぼせ、足冷、下腹部痛)
結陽
⇒四肢に腫が出来る症。
【処方名-五十音順】
■犀角湯
欠勤症
■自尊心傷つき無気力に
「23歳のA氏はある会社の新入社員。入社して半年ほどは、特に支障もなく仕事に励んでいたが、その年の9月頃から、訳もなく断続的に欠勤するようになり、他科からの紹介で精神科を受診した。
A氏は、好青年といった印象で、話も要領を得ていた。欠勤の理由を尋ねると「吐き気がしたもで」「頭が痛かったから」と体の不調を訴える。ところが、身体的な検査をそても問題はない。それなのに会社を休んでいることについては、「体の具合が悪い」と訴えることに終始して、それ以上に話が深まらない。
最近、A氏のように入社して早い時期に欠勤しがちになる青年が増えている。彼らには、スチューデント・アパシーと呼ばれている学生の無力症と同様の心性がみられる。完全主義的で、几帳面であると同時に、どことなく弱々しいところがある。現実を避けようとする傾向が強く、しばしば自分だけの世界にこもってしまう。また、欠勤が続いても、周囲の困惑をよそに、本人はそれほど悩んでいるようには見えないことが多い。
彼らの心の奥には、自信のなさが垣間見られる。彼らの多くは、学業に秀でることや、周囲が期待しているような「良い子」として振る舞うことによって、不安定な自分を支えてきた。ところが、社会という現実に直面すると、そうした支えがそれほど薬に立たないことに気付かざるを得ない。そこで、一挙に自信をなくし、現実から身を引いてしまうのである。
問題の核心は、自尊心の傷つきにある、一見、尊大に見えるその振る舞いも、自尊心の傷つきの裏返しと考えられる。ここでいう自尊心とは「何はともあれ自分で良いのだ、それだけで尊いのだ」とおのずから感じられる心のありさまである。これは健康な自己愛と言ってもよい。精神分析では、こうした 健康な自己愛は乳幼児期にはぐくまれると言われる。
そのような彼らに対しての最もまずい対応は、自信のなさを非難することである。そんなことをしたら、かろうじて保たれている自尊心が一挙に損なわれてしまうだろう。職場の事情もあろうが、まずは休養させて、次ぎに適切な医療機関、相談機関に応援を求めて欲しい。
精神分析を応用した精神療法を通して、A氏の心の葛藤が明らかになってきた。幼少期の父親の不在と母親への密着が主な原因だった。薬物療法も併用し、半年ほどで出社可能となったが、治療を終えるには約2年を要した。 (賀陽濟・北山研究所顧問)1997.9.22《日本経済新聞》
欠伸発作(けっしんほっさ)
=「小発作」ともいう。
⇒テンカン発作の1つで、瞬間的に意識を失い、数秒から10数秒で終わり、それ までやっていたことを再び始めるが、発作中のことは覚えていない。
月経異常
menstrual disorder(月経障害)
⇒月経周期の長さ・出血持続時間・出血量などが、正常月経の範囲外のものをすべて含む。たとえば、
<1>無月経
<2>頻発過多月経
<3>希発過少月経
<4>無排卵性月経
<5>月経前緊張症
<6>月経困難症
【処方名-五十音順】
■茵蔯蒿湯
■温経湯(遅れる、早すぎる)
■加味逍遥散
■桂枝茯苓丸
■琥珀散
■五積散
■滋陰至宝湯
■正気天香湯
■四物湯
■疎経活血湯
■大黄牡丹皮湯
■大承気湯
■腸癰湯
■猪苓湯合四物湯
■抵当湯
■通導散
桃核承気湯
■当帰飲子
■当帰芍薬湯(月経が遅れる
■女神散
■附子理中湯
■防已黄蓍湯
■防風通聖散
■竜胆瀉肝湯
月経過少
=過少月経hypomenprrhea
=希発月経opsomennorrhea
⇒月経量の異常に少ないもの。月経持続日数が極端に短い(2日以内)のを過短月経という。
【処方名-五十音順】
■月季酒
■四物湯
■当帰芍薬湯(月経寡少)
■凌霄花散
■六味丸
◎牛膝(子宮収縮・鎮痛作用)
◎肉桂(月経時の冷痛)
月経過多症
hypermenorrhoea
⇒月経周期は正常だが、出血量が多量のもの。通常、頻発月経と合併し、月経過多として現れる。
【処方名-五十音順】
■温経湯
■温清飲
■芎帰膠艾湯(貧血、めまい<起立性>、腹直筋<左>攣急、四肢煩熱、下血
■補中益気湯(食欲不振、熱物を好む、口中に白沫、眼勢無力、自汗盗汗、言語に力なし、臍辺動悸、腹部軟弱、疲労)
■桃核承気湯
■当帰建中湯
■当帰芍薬湯
■補中益気湯
月経困難 dysmenorrhea
’(参照→「ペインクリニック」)
⇒月経時に、異常に強い疼痛・全身障害により、起きあがれない・仕事が出来ないもの。疾患名でなく症状。
【処方名-五十音順】
■安中散
■茵蔯五苓散
■温経湯
■温清飲
■膈下逐瘀湯
■加味逍遥散
■桂枝茯苓丸
■血府遂瘀湯
■柴胡疏肝湯
■四逆散
■少腹逐瘀湯
■逍遥散
■大黄牡丹皮湯
■桃核承気湯
■当帰建中湯
■当帰四逆湯
■当帰芍薬散
■桃紅四物湯
■女神散
■良附丸
月経前後の発熱
【処方名-五十音順】
■五積散
月経前緊張症
premenstrual tension
=月経前症候群premenstrual syndrome=(黄体期症候群)
⇒月経前の7~10日間に以下の様な症状が出現する症候群をいう。
<1>肉体的:体液の滞留(浮腫)・乳房の過敏・体重増加・腹部のむくみ・頭痛・ 吐き気
<2>感情的:イライラ・不安・焦燥感・抑鬱的・涙もろくなる・集中力の喪失・ 一部の女性は狂暴になったり、劇的な人格の変化をしめします。
【芳香療法】
<1>フェンネル
<2>体液の滞留に:
[ゼラニウム油ローズマリ油]を使ってリンパ液の排液マッサージ
<3>抑鬱といらだち:マッサージと沐浴
ベルガモット
カミルレ
バラ
【処方名-五十音順】
■加味逍遥散
■柴胡桂枝湯
■四逆散
■小柴胡湯
■小柴胡湯桂枝茯苓丸
■逍遥散
■桃核承気湯
●γーリノレン酸
月経周期が一定しない
◎排卵の仕組み
「卵子を包む卵胞が卵胞刺激ホルモンの働きで成熟し(卵胞期)、次に黄体ホルモンの分泌が急に増え、こらが引き金になって排卵が起きます。排卵後の卵胞は黄体になり、黄体ホルモンを出します(黄体期)。卵子は受精しないと死滅し、黄体も白体になって消えます。この繰り返しが卵巣周期です。
黄体ホルモンには体温を上げる働きもあり、排卵後の黄体期には基礎体温が低温期から高温期に変わります。
◎月経周期との関係
「月経周期は子宮内膜の周期的な変化で、卵胞期には卵胞ホルモンの働きで発達して分厚くなり(増殖期)、排卵後は黄体ホルモンが働いて受精卵が着床しやすい状態になります(分泌期)。受精しないと内膜がはがれ、血液と一緒に排出されます。これが月経で、平均的な周期は28日です。受精して妊娠すると卵胞が妊娠黄体になり、月経・排卵が止まります。
周期が28日だと、月経から排卵まで(卵胞期)と、排卵から次の月経まで(黄体期)がそれぞれほぼ14日です。
周期が40日の場合も黄体期はほぼ14日と変わりませんが、卵胞期が約20日と普通より長くなります。つまり、卵胞が育つ期間が長いのです。これで卵子が老化するわけでなく、染色体に異常が起きる心配は有りません。染色体の異常が原因の[ダウン症候群]は、卵胞期の長さに関係なく、高齢になると頻度が増えるのです。
◎月経周期はどの程度なら正常か?
「長短はさほど心配する必要はありませんが、周期が40日より長いと治療した方がいいと思われます。治療は、排卵の調節を卵胞の育ち方を超音波で確認しながら促す治療を行います。(昭和大学医学部教授・矢内原巧)1996.3.31《朝日新聞》より」
【芳香療法】
<1>バラ
【処方名-五十音順】
■四逆散
■四物湯(周期が延長
■桃核承気湯(過長月経)
■当帰芍薬湯(月経が遅れる)
月経代償性出血
【処方名-五十音順】
■黄芩湯
■三黄瀉心湯
月経痛
=「生理痛」
■子宮の違和感
「28歳の女性。生理の2週間ほど前、おそらく排卵期に、子宮に違和感を覚えるようになりました。軽い生理痛のようなものを感じる程度ですが、このまま様子を見ていていいのでしょうか?過去に出産を2回、中絶を1回経験しています。生理痛は中学生の頃から重く2、3日は寝付けないほど痛みます。」
●子宮に違和感を感じるようなことはあるのでしょうか?
女性ホルモンの影響で子宮が動くという報告はあります。でも、これは子宮内膜がほんの少し波を打つ程度の動きですので、痛みにつながるとは考えにくいと思います。違和感を感じている場所が本当に子宮なのかどうか、調べる必要があります。「子宮が痛い」と思っても、実際には別の場所に問題があることもあります。
●そもそも、子宮自体はあまり敏感ではないと言いますが?
手術の時、金属製の器具を使って子宮の入り口を挟んで固定することがありますが、麻酔は必要ありません。子宮の神経は鈍いのです。
●排卵と関係はありますか?
本当に排卵時期に違和感を感じているのかどうか、基礎体温を測る必要があります。普通は2週間ほどの低温期と、その後2週間ほどの高温期がみられます。低温期から高温期へ移る頃が排卵時期と推定されます。
●痛みを伴う子宮の病気にどんなものがありますか?
代表的なのは、この方も苦しんでおられる月経困難症です。この場合、『子宮内膜症』や『子宮腺筋症』を疑う必要があります。ただ、子宮内膜症や腺筋症の方が排卵期に痛みを感じるということは無いと思います。
●この方は、中絶で心にも傷を負った、ということを書いていますが?
中絶で精神的苦痛に悩む人は少なくありません。今でも苦しんでいるのであれば、それが何らかの形で清浄に出ることはあるかも知れません。ただ、肉体的な病気の心配はありません。やむを得ない中絶は女性の権利でもあり、自分を責めることはないのです。
●違和感は、生理痛が重いことと関係があるのでしょうか?
子宮に何らかの病気があれば、影響があるかも知れません。骨盤周囲の磁気共鳴断層撮影(MRI)などを受け、子宮の中に問題がないかどうか、調べることをおすすめします。
●検査でどんな病気が見つけられますか?
MRIで子宮内膜症、子宮腺筋症の有無などが分かります。また、子宮に造影剤を入れることで、内膜からキノコ状の形をしたものが出来る『子宮内膜ポリープ』などを見つけることが出来ます・内膜ポリープは月経時以外の不正出血などの症状を伴うことがあります。
●それぞれに対し、どんな治療を?
まず、何が原因かをしっかり診断する事が大切です。子宮内膜症や腺筋症であれば症状に応じて、女性ホルモンの働きを抑えて内膜などの増殖を妨げる薬物療法や、腹腔鏡などを使って増殖した内膜を取り除く外科的療法などをします。ポリープは、小さいものなら子宮に鉗子を入れて取り除きます。大きければ子宮鏡を使い、患部を見ながら電気メスで切除します。原因が見つからなければ心の問題を疑い、心療内科などに紹介する事があります。
●日常生活で何か気を付けることは?
適度な運動、栄養バランスの良い食事、十分な睡眠、リズムのある生活、気分転換などごく一般的なことで結構です。セックスも苦痛が無ければ、特に控える必要はありません。」1999/11/14《朝日新聞》
■月経になると下腹部が痛む
30歳代、主婦。数年前から、生理が来ると下腹部が動けなくなるほど痛むことがあります。生理が終わる頃から痛みも治まります。妊娠中は当然、生理もなくなり同時に痛みもありませんでした。今でも毎月、生理が近くなると不安でいっぱいです。
●子宮内膜症の疑い 検査を
お手紙からこれまでの経過を見ますと、子宮内膜症が一番疑われます。子宮内膜症は、子宮内膜が子宮内以外の場所で増殖する疾患です。
子宮や卵巣での程度は、手紙だけでは分からないのですが、内膜症は子宮周囲だけでなく、肺・骨髄・腹膜・腸管などでも見られます。内膜症は月経が終わると症状が軽快する特徴があります。
また、内膜症が起こっている部分に炎症があると、強い痛み、白血球の上昇などがあります。詳しくは腫瘍マーカー・MRI・CTなどの検査が必要です。
子宮内膜症であれば、治療は一般の内膜症と同じです。卵巣からのホルモン分泌を一時期止める偽閉経療法が主になります。通導散着などがひどいと手術が必要になる場合もあります。
子宮内膜症は、妊娠と共に軽快しますが、また、発症することもあります。
一度、発症すると仲良くつきあうつもりで痛みを和らげる対症療法と、ホルモン療法とをうまく組み合わせていくことが必要です。
長い間、苦しんでこられ、月経がくるのを不安になっておられるようですが、うまく痛みが緩和されるように早めに鎮痛剤を使用してください。」
【芳香療法】
<1>以下の、鎮痙作用のある精油を使って、腹部の上をごくソフトにマッサージします。
①マージョラム
②ラベンダー
③カミルレ
<2>人によっては、下背部の湿布・マッサージがより有効なこともあります。また、腹部と背部の両方にマッサージが必要な場合もあります。
【処方名-五十音順】
■温経湯
■雲南白薬
■膈下逐瘀湯
■桂枝茯苓丸
■五積散
■四逆散
■腸癰湯
■通導散
■当帰建中湯
■当帰芍薬加附子湯
■当帰湯
■女神散
■竜胆瀉肝湯
◎「烏薬・香附子・縮砂・木香」(月経前の疼痛
◎「烏薬・延胡索・沈香・当帰・肉桂」(月経後の疼痛)
◎延胡索
◎香附子
◎白芍
月経不順(げっけいふじゅん)
=「生理不順」
◎エストロゲン(estrogen卵胞ホルモン)
は主要な女性ホルモンで、主として卵巣で生産されますが、副腎皮質でも少量作られます。このホルモンは[生殖]の他に、体の様々なプロセスで必要なもので、その量は違いますが、男性と女性の双方の体内にあります。この欠乏は、色々な月経障害と生殖上の障害を起こします。
■原因はダイエット-----脂肪減りホルモンに影響 「10代の女性に生理不順が目立っている。それもダイエットなどで体重が減ったことがきっかけになることが多いという。日本産婦人学会の小委員会の調査では、この年代の女性の体重は9割以上が「正常」か、やせているにも関わらず、8割近くが「やせたい」願望を持っている。女性の体は思春期に脂肪がつき丸みを帯びる。最近の研究は、脂肪がホルモンの働きに影響すると指摘している。」
【芳香療法】
<1>月経がいつも異常に重い:
①サイプレス
②ゼラニウム
<2>月経不順:バラ
フェンネル
【民間療法】
<1>イノコズチ。
<2>サフラン。
<3>メハジキ。
<4>マンサク・ヨモギ。
<5>[クマツヅラアカネチガヤ]
【漢方療法】
《先哲医話》
経水不調、気滞、肥満し、畜血ある者。「逍遥散」「正気天香湯」に宜し。
産後、血上逆する者、「辰砂」最も効あり。
行経前に頭痛を患う者は痰飲に属す。桂枝、橘皮、乾姜などに宜し。
「更年期の月経不順」・・・[心丸][子丸][当帰散][加味四物湯]
【処方名-五十音順】
茵蒿湯
茵五苓散
烏薬湯(婦人の血海疼痛)
温経湯(不順一般)
衛生湯[2](無月経に補脾養血する)
加味帰脾湯(肝脾が欝し、月経不通)
加味逍遥散
加味四物湯
帰求破湯(月経の不通と、腹中に塊があり疼痛する)
帰脾湯
帰湯人参・黄蓍・白芍薬・香附子
帰調血飲
玉燭散(月経が凝滞して不通になりになった者)
桂枝加竜骨牡蠣湯
桂枝桃仁湯[2](臍のまわりが冷たく、腹痛、脈沈)
桂枝茯苓丸
下血湯
血極膏[1](月経不通)
血府遂湯
紅花当帰散(処女の月経不順、血による腹痛)
紅花当帰散
黒逍遥散
黒附丸
五積散
琥珀調経丸
心丸
柴胡桂枝乾姜湯
柴胡桂枝湯
三神丸
三物黄湯
三和湯(熱結による結閉)
子丸
地黄通経丸(血で臍下に塊が出来て痛む)
四逆散
四製香附丸
四物調経湯(月経が止まり、塊があり痛む)
四物湯
四物湯防風・白・荊芥。(月経紫色)
四物湯黄・黄連・香附子。(月経黒・黒紫色で、塊あり)
四物湯香附子・延胡索・枳殻・陳皮。(月経塊あり、色不変)
四物湯延胡索・苦練根・莪朮・香附子・桃仁・紅花・黄連:(月経時に腹痛)
四物湯莪朮・桃仁・牡丹皮・延胡索・紅花(酒焙):(処女の月経不順)
四物湯黄・黄連
四物湯莪朮・桃仁・延胡索・紅花(酒焙)
四物湯清熱調血湯延胡索・苦練根・莪朮・香附子・桃仁・紅花・黄連
四物湯清経四物湯柴胡・黄・黄連
四物湯通経四物湯黄蓍・陳皮・人参・升麻
七製香附丸
十全大補湯(産後出血で月経が来ない)
逍遥散
瑞金丸(月経が運行せず血気が痛む)
清経四物湯
清熱調血湯
千金調経湯
千金桃仁煎(血・血積・月経不順)
増味四物湯(血の疼痛)
大黄虫丸
沢蘭湯(心労による血閉)
通経丸(処女の月経不順と血)
通経湯(無月経)
通経四物湯(月経が遅れる)
通導散
抵当湯
桃核承気湯
当帰建中湯
当帰四逆湯
当帰散
当帰芍薬散
桃紅四物湯
導経丸(月経が止まり腰・腹痛)
導痰湯当帰・川・黄連(湿痰が粘着して経がふさがる)
土瓜根散
煮附丸(月経不順で臍腹が痛み、顔が黄色く、食欲減退)
二陳湯当帰・川(月経淡白、水が混じる)
二陳湯秦・防風・蒼朮(月経黄色い・小豆汁様)
女神散
柏子仁丸[2](心労で月経がない)
八物湯(月経淡白・気血が虚弱)
八物湯加減(月経のあった後に腹痛あり)
半夏瀉心湯
百子附帰丸
防已黄蓍湯
防已地黄湯
補中益気湯川・生地黄・天花粉(脾虚・血乾の無月経)
墨附丸
牡丹皮湯
無極丸(月経が止まり、血塊があって痛む)
六合湯(月経に塊があり、疼痛)
立効散[2](長年の積血により腹中がいつも疼痛)
苓姜朮甘湯
月経閉止=閉経
=血閉=月経不通=月経が出ない。
<1>胞脈がふさがって月経が出ない:
まず[三和散]・[玉燭散]で心火を降ろし、
次に[五補元]を使った後、[衛生湯]で補脾養血する。
<2>気が上の肺に昇って月経がない:痰を降下させると心気が下がって月経が来る。 [通経湯]を使う。
<3>先腎の血閉に:補血・瀉火で治療する。
補血には[四物湯]、瀉火には[玉燭散]。
<4>胃が弱く血が乾いてふさがった:[補中益気湯川・生地黄・天花粉]
<5>産後出血で月経が来ない:[十全大補湯]
<6>湿痰が粘着して経がふさがって:[導痰湯川・当帰・黄連]
<7>処女が心労で血閉:[柏子仁丸][沢蘭湯]
<8>気血が盛実して経が塞がった:[万痛丸][血極膏]
【処方名-五十音順】
烏薬湯(婦人の血海疼痛を治す)
衛生湯(補脾・養血して月経不通を治す)
加味帰脾湯(肝脾が欝して月経不通)
加味逍遥散(肝脾の欝怒で血が傷つき月経不通)
帰脾湯(脾骨に欝火があって血が損耗して不通)
玉燭散(月経が凝滞して不通になり、になったとき)
血極膏(気血が盛実して経が塞がって月経不通)
香蘇散
三物黄湯
三和湯(熱結による血閉)
十全大補湯(産後出血で月経が来ない)
瑞金散(月経が運行せず血気が痛む)
増味四物湯
沢蘭湯(心労で月経がない)
通経湯(月経が出ないのを治す)
道経丸(月経が止まり腰・腹が痛むとき)
柏子仁丸(心労で月経がない)
万痛丸(月経が血してふさがり、臍と腸が痛むとき)
六合湯(月経に塊があり疼痛を覚える)
月経量が少ない
【処方名-五十音順】
当帰芍薬散
女神散
六味丸
【芳香療法】
<1>以下の、通経作用がある精油を使ってマッサージor温湿布をします。
①クラリセージ
②没薬
③セージ
<2>症状が軽い人には、以下の精油も使えます。
①バジル
②ジュニパー
③フェンネル
④ローズマリー
下疳(げかん)
=男女の陰部に生じる伝染性に潰瘍にして花柳病である。かんそう(疳瘡)。
【処方名-五十音順】
四物湯柴胡・山梔子《薛立斎十六種》
小柴胡湯竜胆・黄連《薛立斎十六種》
小柴胡湯参朮帰《薛立斎十六種》
清肝滲湿湯《外科正宗》
清肝導滞湯《外科正宗》
清疳敗毒散《万病回春》
清心蓮子飲《和剤局方》
八正散《万病回春》
八物湯山梔子・柴胡《薛立斎十六種》
補中益気湯《薛立斎十六種》
本方竜胆瀉肝湯《蘭室秘蔵》
竜胆瀉肝湯《薛立斎十六種》
六味丸《薛立斎十六種》
下気
⇒下気は心に属する。
「癩病とか労の患者が万一気が下泄して止まらない症状は必ず死ぬ。これは 真気が渇絶し腸胃の理が閉塞するので穀気が腸胃の外に疎通できず腸胃の真 ん中から下泄するからである」。
下血 melena,ラmelana
⇒血液が肛門から出るもので、肉眼で確認出来る出血。
■出血性大腸炎に注意
「2歳の女の子Aちゃんは下血があり、出血性大腸炎を疑われて来院した。すっ かえり有名になった病原性大腸炎O157とベロ毒素の検出は今では数時間で可 能になっている。早速便を検査したが、本人からは菌も毒素も認められない。 一家で焼き肉料理をとったということで家族の検便をしたところ、5歳の姉か らO157とベロ毒素が検出された。幸いAちゃnは点滴のみで軽快し、3日後 に退院した。
O157はその強い毒性のためか、腸内の常在菌との折り合いが悪く、早期に 等から排出されてしまう。Aちゃんのように本人だけでは診断が付かず、周り の人達を調べて初めて分かることがある。
この菌は堺市の学校給食の事例で有名になったが、本来は乳幼児の病気で、 溶血性尿毒症への移行も年齢依存性で、乳幼児で10%、学童で2~4%と低 年齢層ほど重篤化する。今回も両親や姉は「そういえばお腹が痛かった」「便 がゆるかった」という程度の症状であった。
それでも最近、学童や年長者への発症が目立ってきているのは、この病気が 文明病の性格を帯びてきているとも考えられる。手を洗う、生ものをきちんと 料理するといった対応策はさし当たっての感染からの防御には役立つ。根本的 な解決策としては、保存料や人工着色料で腸内細菌を痛めつけないなど、現代 の食生活一般への反省が求められているのかもしれない。
実際、南米やアメリカでの疫学調査では、牛の放牧を行っている牧場の子供 に特に多いわけではなく、逆に経済的に豊かな階層の子供に重篤例が多く、清 潔度に逆比例して重症化するとの報告さえある。(香坂隆夫・国立小児病院腎 消化器科医長)1998.12.28《日本経済新聞》
【処方名-五十音順】
■温清飲
■黄土湯
■黄連解毒湯
■槐花散
■槐角丸
■三物黄芩湯
■四物湯
■猪苓湯合四物湯
■桃核承気湯(実証、のぼせ、足冷、下腹部痛)
■平胃散(太陰病、心下痞塞、腹部膨満、食後腹鳴)
■補中益気湯
下焦の血瘀
【処方名-五十音順】
■桂枝茯苓丸
■桃核承気湯
下痢(げり) diarrhea、diarrhoea
(参照→「泄瀉」「赤痢」「テネスムス」「急性下痢」「慢性下痢」「潰瘍性大腸炎」「クローン病」)
⇒下痢とは糞便内の水分量が多くなり、糞便が本来の固形状の形を失って、水様~粥状となった状態をいう。
◎下痢はいろいろ病気の一つの症状であり、腸の中の悪いものをはやく排泄してしまおうとする人体の防御反応ですから、薬で下痢を止めただけでは病気を治したことにはなりません。同時に原因疾患の治療を行わなければなりません。
ただし、下痢が続くと体内の水分不足を起こし、体力も消耗しますので、特に、小児・体力の衰弱した病人などは、先ず下痢を止めることを優先させます。
◎大小腸の機能は、内分泌系と神経系に影響されます。この2系統のどれかの働きを妨げる以下のものは、よく下痢を引き起こします。
<1>ショック
<2>恐怖
<3>不安
<4>長引くストレス
◎原因:
<1>腸内容の刺激
<2>腸管壁の器質的変化
<3>自律神経の失調
<4>腸壁を流れる血液成分の異常
◎分類:
<1>炎症性下痢
<2>伝染性下痢:
☆細菌の産生する毒素による下痢:
コレラ・クロストリジウム・腸炎ビブリオ・黄色ブドウ球菌
☆細菌が腸管粘膜に侵入し腸炎を起こす:
サルモネラ・赤痢・カンピロバクター
<3>中毒性下痢
<4>胃性下痢
<5>膵性下痢
<6>本態性下痢
<7>寄生虫性下痢
<8>神経性下痢
<9>内分泌性下痢
●感染性下痢:
<1>アメーバ赤痢
<2>毒素原性大腸菌
<3>病原性大腸菌
<4>赤痢
<5>コレラ
<6>カンピロバクタ腸炎
<7>ウイルス性腸炎
<8>C.diffielle腸炎
●平熱or微熱の下痢
<1>ウイルス性腸炎
<2>黄色ブドウ球菌食中毒
<3>ウェルシュ菌(クロストリジウム)食中毒
<4>腸炎ビブリオ
<5>毒性原性大腸菌による腸炎
●38℃以上に発熱する下痢で、便に好中球が認められないもの:
<1>ウイルス性腸炎
●便に白血球を認める下痢:
<1>病原性大腸菌による腸炎
<2>赤痢菌による腸炎
<3>サルモネラによる腸炎
<4>カンピロバクターによる腸炎
<5>赤痢アメーバによる腸炎
<6>偽膜性大腸炎
◎鑑別:
「急性腸炎」(下痢・腹痛・悪心・嘔吐)
「赤痢」(頻回の下痢・テネスムス・血便)
「虚血性大腸炎」(高齢・下痢・血便・腹痛) 「アレルギー性腸炎」特定の食品で常に下痢する。
■脱水に注意。1997.6.24《朝日新聞》
下痢は、大量の水分とカリウム、ナトリウムなどの電解質を急激に失う状態です。体重の5%に当たる水分が失われたら要注意、10%失われると死ぬこともあります。
水分補給はどのようにすれば良いのでしょうか?
イ)ブドウ糖が2%の時、最も良く塩分などが吸収されます。WHOが決めている基準では、水に①ブドウ糖2%、②塩分0.3%、③カリウムを含んでいることです。
ロ)市販のスポーツドリンク類は、この基準に比べて塩分とカリウムが少なく、糖分が多すぎるので不適当です。(小池通夫・和歌山県立医大小児科教授)
ハ)下痢用おかゆの作り方
(1)ジャガイモ・ニンジン・タマネギなどの野菜を、皮を剥いた状態で1kgを、水1100ccに入れて煮る。
(2)煮崩れない程度に火が通ったら、この煮汁を400ccとり、水600ccを加える。
(3)米50ccをよく洗い、30分~1時間水侵し、ザルにとる。(2)のスープと合わせて沸騰するまでは強火、沸騰したら弱火にして、40分~50分くらい炊く。
(4)火を止めてしばらく蒸らし、塩3g(小さじ約1/2)を加える。
(樋口寿・大阪女子学園短大教授)
ニ)白がゆでは、ナトリウムやカリウムが足りません。
ホ)少しづつ与えて、吐かないようなら、ほしがるだけ与えましょう。
■大腸や回腸に病変も
「Aさん(24)は高校時代からよく下痢をしていた。最初は腹痛は無かったが、最近は、必ず下痢の前に下腹が痛み、粘液や血が混ざることもある。1日に何度もトイレに行き、微熱が出て体重が減ってきた。
大腸内視鏡検査と大腸レントゲン検査を受けた結果、潰瘍性大腸炎と診断された。
下痢は何らかの原因で小腸や大腸の水分吸収が悪くなったりすると起きる。胃腸が弱い人は食べ過ぎた時などに、ストレスに弱い人は職場が変わったりすると胃腸の調子が悪くなる。細菌やウイルスの一過性の感染や、腸の動きが活発になり過ぎたのが原因です。
しかし、下痢に粘液や血液が混じる場合は、大腸や回腸に病変があることが多い。10~30代に発症する粘血便を伴う病気としては、
回腸や盲腸を中心に腸が狭くなったり、
腸に潰瘍や穴ができるクローン病と、
直腸を中心に大腸粘膜に炎症を起こす潰瘍性大腸炎がある。
潰瘍性大腸炎は食生活の欧米化に伴い毎年10%ぐり増えている。治療はサルファ剤などの薬物療法が基本。重症や治りにくい時はステロイドや免疫抑制剤を使うこともある。それでも治らなかったり、緊急時には大腸を全部切除することもある。10年以上潰瘍性大腸炎を患っている人は大大腸ガンの発生率が高く、定期検査が必要。」2002.10.8《日本経済新聞》
◎絶食は腸を弱らせる。
「下痢すると絶食させる人がいますが、絶食すると腸の粘膜が痩せて、腸が弱 ってしまいます。傷ついた腸粘膜の修復には、十分な栄養が必要です。食べると一時的に下痢便の量が増えますが、本人が欲しがるなら、安心して食べさせて下さい。」
◎食べてはいけないものはありますか?
<1>WHOは、牛乳だけは絶対にいけないとしています。
<2>脂っこいものや甘すぎるものも良くありません。
例えば、ハンバーグやチョコレートなどは、避けるべきです。
<3>赤ちゃんなら、母乳はいつでも与えて良い。
◎下痢便のタイプ
<1>コレラ型:(米のとぎ汁のような白っぽい水のような便が大量に出る。1日15㍑でることもある。)
イ)腸炎ビブリオ。
ロ)ブドウ球菌による食中毒。
<2>赤痢型:(血便といつまでも便が出そうな感じが続き、トイレから離れられなくなる『しぶり腹』です。)
イ)O157:
(a)便全体に比べ、血の量が多く、臭いがきつい。
(b)おなかが痛いと訴えたら、まず、トイレで5分間ほど気張らせ、 便を観察します。1回出たら表情がすっきりして痛みが消えると 心配はいりません。O157なら痛みは治らず、おなかがしぶり、
いつまでもトイレを離れられません。
ロ)カンピロバクター
ハ)サルモネラ菌:
(a)「緑色のミートソース」の様な便。
(b)血は粒状で、臭いはあまりない。
<3>ウイルス感染型:(悪臭の無い、水の様な便)
◎下利便の色に注意
<1>血便--------------------O-157?
<2>米のとぎ汁-----------コレラ?
<3>緑色------メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)?
【芳香療法】
<1>ユーカリ:ウイルス感染の疑いがある時。
<2>カミルレ:食物アレルギー
<3>カミルレ・ラベンダー・ネロリ:恐怖・不安・ストレスで下痢。
<4>安息香・ジンジャー・フェンネル・ブラックパパー:下痢に伴う苦痛を緩和 します。
【色彩療法】
<1>黄色
<2>青緑色
<3>藍色
【民間療法】
<1>ウメ。
<2>オウレン。
<3>オキナグサ。
<4>キンミズヒキ。
<5>クズ。
<6>ケイトウ。
<7>ゲンノショウコ。
<8>センブリ。
<9>ダイコン。
<10>ビワ。
<11>ムクゲ。
<12>ヨモギ。
<13>イシミカワ・イワタバコ・オオバコ・カキ・カタツムリ・カニ・カラタチ ・キハダ・クララ・クリ・ゴシュユ・サクラ・ザクロ・サネカズラ・サル
トリイバラ・サンショウ・シャクヤク・ジャケツイバラ・ショウガ・シ ラン・スイカズラ・スギナ・スッポン・スベリヒユ・ソクズ・ソテツ・チ ョイウセンニンジン・ツチアケビ・ツユクサ・ツワブキ・トクサ・トチノ
キ・ナギナタコウジュ・ナズナ・ナタマメ・ナンテン・ニッケイ・ニラ・ ニワトリ・ニンニク・ネギ・ノビル・ハス・フナ・ヘクソカズラ・ホオノ キ・ボケ・ヤマモモ・ヨメナ・リンドウ・ワラビ・ワレモコウ・
■小腸切除後の下痢
「66歳の男性。15年前に結腸ガンとの診断を受け手術。7年前、癒着性の腸閉塞を起こし、また小腸を約50cm切除しました。以来、慢性的な下痢が続いており、体重が20kgも減りました。いつもみずおちがつかえた感じで、少し食べるとお腹がガスでパンパンに張ってきます。またお腹がゴロゴロいいます。
質問者は慎重168cm、体重が現在38kgとのことである。小腸切除をするとしばしば栄養や水分の吸収障害、腸の蠕動不穏などによる下痢・体重減少・腹痛などに長く悩まされることがある。
手術後の全身状態の改善に漢方薬が有効な例は少なくない。質問者の場合下痢や腸内異常発酵によるガス、みずおちのつかえを訴えている。こうした症状には断痢湯(=断利湯《備急千金要方》)という処方がまず薦められる。
この処方は黄連・半夏・茯苓・人参・附子など9種類の生薬からなり、江戸時代の漢方医学書には「痢病、諸薬、功を奏せず痢止み難き者にこの方を用いて験あり」などとあり、頑固で慢性的な下痢に有効であることが記されている。」
(花輪寿彦)1999.6.28《日本経済新聞》
【漢方療法】(日本漢方-古方派)
◎古い時代には下痢を下利と書き、また単に利とも呼んだ。また痢とも書く。《黄帝内経素問》には痢のことを腸澼または帯下と呼んでいる。後世になって痢のことを腸澼と呼んだり、帯下と呼んだりするのは、これに基づいたものである。このように古代では、単に下痢する疾患を利or腸澼ot帯下としたが、後世になって下痢する病気を大きく「痢疾」と「泄瀉」の2つに分けるようになった。
「痢疾」は粘液または粘血便を下して裏急後重のあるもの、例えば赤痢及び是に類する直腸炎などを指し、
「泄瀉」は下痢するけれども、裏急後重のないものを指している。
また徳川時代に“疫痢”と呼ばれた病気は、痢疾が流行性に伝染する場合をいったもので、今日で云うところの疫痢とは全く異なる。《大塚敬節》
①小腸性の下痢
水分が多く、便の量が多い。
「半夏瀉心湯、「真武湯」
回数は1、2回から3、4回ですむ。
②大腸性の下痢
1回の便の量は少ない。
芍薬や大黄の配剤された処方が良い。
回数が多い。
たびたび便意を催すが、快通せず、俗に云う“しぶり腹”になる。裏急後重がある。
便に粘液・膿・血液などが 混じる。
(1)太陽病の下痢 [葛根湯][桂枝湯]
(2)少陽病の下痢 [黄芩湯][大柴胡湯] [生姜瀉心湯][五苓散]
(3)陽明病の下痢 [大承気湯][調胃承気湯] [猪苓湯]
(4)太陰病の下痢 [理中丸][赤石脂禹余粮湯]
(5)少陰病の下痢 [真武湯][桃花湯] [白頭翁湯]
(6)厥陰病の下痢[四逆湯][呉茱萸湯] [通脈四逆湯]
◎熱症:■「黄連湯茯苓」
◎熱利虚証を治す:
■「乾姜黄連黄芩人参湯」
■「白頭翁湯」
■「参連湯」
◎挟熱下利を治す:
■「桂枝人参湯」
■「黄芩湯」
■「連理湯」
◎寒熱錯雑の下利を治す:
■「正観湯」《外台秘要方》
■「断利湯」《備急千金要方》
■「烏梅丸」《傷寒論》
◎積滞利を治す:
■「桂枝加大黄湯」
■「温脾湯」
◎裏寒下利:
「世医病を治するに但、熱は寒治を以てし、寒は熱治を以てするを知るのみ。此を外にし総べて講ぜざるなり。もし臍以下、皮寒に、腹脹を見れば、寒熱固結に似たる有るも、まことに胃中虚寒の候なり。或いは腸鳴泄を見れば、特に胃に寒有るのみに非ず、且つ寒を2腸に移すなり」《雑病翼方》
■調中湯《和剤局方》
■当帰厚朴湯《仁斎直指方》
■高良姜湯《奇効良方》
■理中湯《仁斎直指方》
■良姜湯《奇効良方》---腹痛あり。
◎下利吐利:
虚証、四肢が冷える-----人参湯
実証---------------------黄連湯茯苓《済世薬室》
◎下痢、薬を受け食を受けざる者を治す:《本朝経験》
「半夏、茯苓、芍薬、大黄、桂枝、姜5片」水煎。按ずるに桂枝加芍薬大黄湯の証にして嘔する者、此を用いて大いに験あり《雑病翼方》
◎下痢の治療にさいして、その下痢が虚痢でああるか実痢であるかを知る必要がある。《大塚敬節》
実痢:
<1>下痢というほど便は下らず、ただ裏急後重がひどくて粘液や粘血を下すもの。
<2>粘液が出ても、いつまでも後重があって、便意が残る。
<3>下痢すると反って気持が良い。
<4>■[大柴胡湯][芍薬湯][大黄牡丹皮湯][大承気湯]
虚痢:
<1>便所に行くと、ぼっちり1滴だけ粘液または粘血が出ると、それで後重が減ずるのは実痢ではなくて、虚痢である。
<2>下痢すると、気持が良くならないばかりか、反って疲れる。
<3>■[人参湯][桂枝人参湯][真武湯][啓脾湯][四逆湯][胃風湯]
虚実中間痢:
■[甘草瀉心湯]
【漢方療法】(中国漢方)
<1>“寒泄の下痢”
⇒悪寒・腹痛・腹鳴・腹満がある水様性・無形の下痢便。鴨の糞みたいな(ペチャペチャの)便。
■[五苓散][四柱散][春沢湯][治中湯][附子温中湯][附子理中湯[2]][平胃散理中湯][理中湯][六柱散]
<2>“虚泄の下痢”
⇒気虚による下痢。食後すぐに下痢する。腹痛はないことが多い。疲労で胃腸機能が衰え、消化されずにおこる下痢。
■[加味四君子湯][五苓散]
■[四君子湯木香・縮砂・蓮肉・陳糯米]作末し砂糖水で調服。(困倦無力で食べるとすぐ吐き、腹痛は軽い)
■[升陽除湿湯[2]][参苓白朮散][参苓蓮朮散][銭氏異功散][銭氏白朮散][養元散]
<3>“暑泄の下痢”
⇒夏の暑さに負けて起こる下痢。口渇・胸悶・尿赤色で、水が吹き出すような暴瀉便である。
■[益元散][香飲][香湯][柴苓湯][苓湯][升麻葛根湯] [清暑益気湯][清暑六和湯]
<4>“洞泄の下痢”or“湿泄の下痢”
⇒寒湿を受けて、脾の消化・運化機能が低下し、水穀を消化できずに起こる下痢。水様便。水だけ降り、腹痛しない。
■[胃風湯][胃苓湯][胃苓湯+草豆蔲][衛生湯[1]][麹芎丸][五苓散][五苓散羗活・草豆蔲][三白湯][瀉湿湯][万全丸][万病五苓散]
<5>“風泄”
⇒風邪が胃腸に入ると大便にならず下痢する。
■[胃風湯(下痢で、便に清血を帯びる)]
■[桂枝麻黄湯(風邪で萎縮)
<6>“火泄”
⇒口が乾き冷たいものを好み、痛みと瀉が交互に繰り返す。
■[黄連香薷飲白芍薬・梔子(炒)]
■[四苓散木通・滑石・黄・梔子]
■[万病四苓散]
<7>“滑泄”
■[八柱散(昼夜を問わず下痢し、胃腸が虚滑して止まらず、脈細沈)]
■[禹余粮丸][固腸丸][実腸散]
■[補中益気湯白芍薬・訶子・肉豆蔲(下痢が止まらない)]
■[万全丸(大腸が滑泄し、小便から精が出てくる)][木香散]
<8>“滑泄”=“水穀痢”
⇒米穀が消化されず排泄される症。泄の症勢は、食べないと止まるが、だが食べると又下痢する。
■ [加減木香散](主治剤)[蒼朮防風湯][八仙糕][防風芍薬湯]
<9>“痰泄”
⇒または下りまたは下らず、或いは多く或いは少なく。
■[海青丸][二陳湯乾葛・白朮・神麹][万病二陳湯][六君子湯]
<10>“食積泄”
⇒下痢で腹痛がひどく、出ると腹痛が少し治り、匂いが卵の腐ったような症。
■[枳朮丸(数日食べなかったあと下痢するとき)
■[香砂平胃散-枳実白朮・白茯苓(腹痛激しく、下痢すると痛みが減る)]
■[平胃散香附子・縮砂・草果・山楂子・麦芽]
<11>“酒泄”
■[香茸丸(飲食と酒で身体を壊し骨だけ残り、食べられず、酒だけ飲んで長年治らない)]
■[平胃散丁香・縮砂・乾葛・麦芽・神麹」作末して、空腹時に、米飲で2銭服用。(飲酒したらよけいに悪くなる)]
■[理中湯生姜(酒で身体を壊し、朝方必ず下痢する)]
<12>“脾泄”
⇒四肢と全身が重く、中脘を害し、顔色が黄色くなる症。
■薬物名:蒼朮・白朮・厚朴・木香・乾姜・肉豆蔲(生)。
■[香砂理中湯][呉茱萸湯(腎虚からくる)][固中丸][山麹朮丸]
■ [調中健脾丸(長年の)]
<13>“腎泄”=“晨泄シンセツ”
⇒毎日五更に1回づつ下痢する。
■[五味子散]
<14>“脾腎泄”
⇒毎五更初に洞泄して、諸薬の効なき症。
■ [四神丸][二神丸]
<15>“暴泄”
⇒太陽が太陰に伝わって起こる。
■[漿水散][朝真丹]
<16>“久泄”
⇒厥陰経が動ずると下痢が止まらず、脈遅、手足がしびれ、鼻水と唾から血膿みが出る
■薬物名:破故紙・肉豆蔲・山薬。
[桂枝麻黄湯][四神丸補中益気湯][麻黄升麻湯]
【処方名-五十音順】
■胃風湯《和剤局方》
下痢がながく続いて、患者が衰弱している場合に用いるので、真武湯証との区別がむずかしいこともあるが、本方は炎症が直腸にあって、粘血便を出し、裏急後重の気味がある者に応じる。
本方は残存性の炎症が腸管の下部にあって、下痢の止まない者にもちいるので、裏急後重は決して強いものではない。また下痢するときには、腹痛を訴え、大便が肛門に激突して音をたててピチピチと飛び散るのも、本方を用いる目標である。
直腸潰瘍に用いてよく、これで全治したものもある(漢方診療医典)
■胃苓湯
■茵蔯五苓散
■烏梅丸
■温経湯
■衛生湯[1]
■益黄散[2]
■黄芩湯[1-3]
■黄連解毒湯[1]
■黄連香薷飲四苓散白芍・梔子]
■黄連湯
■海青丸[1]
■訶子散[3-2]
■葛根湯
発病の初期で、悪寒、発熱があって下痢し、裏急後重があり、脈浮数にして力のある者に用いる(漢方診療医典)
■葛根黄芩黄連湯
■藿香正気散
■加減木香散
■加味四君子湯[3]
■甘草瀉心湯
■甘露消毒丹
■麹芎丸
■麹朮元
■枳実導滞丸
■枳朮丸
■牛遍丸《津田玄仙》
■桂枝加葛根湯
■桂枝加芍薬大黄湯
下痢の回数は多いが、1回の量は少なく、腹痛と裏急後重があって、たえず便意を催す者に用いる。多くは左腹部の腹壁は緊張して、圧痛があり、あるいはS状部に索状物を触れることがある(漢方診療医典)
■桂枝加芍薬湯
■桂枝加竜骨牡蠣湯
■桂枝人参湯
傷寒論では協熱下痢に、本方を用いている。桂枝人参湯が理中湯に桂皮を加えたものであるから、理中湯を用いるような下痢で、表熱を帯びた者を目標とする。急性腸炎の初期で、下痢もあり、熱もあるものに用いるので、葛根湯証との鑑別が必要である。葛根湯証では、脈が浮数で力があり、裏急後重を伴うけれども、桂枝人参湯では脈弱でやや緊を帯びることがあるが、下痢に、裏急後重を伴うことはない。(漢方診療医典)
■桂苓甘露飲[1-2]
■啓脾湯
■香薑散
■香茸丸
■香砂平胃散枳実白朮・白茯]
■香砂六君子湯
■香薷飲
■香薷散異功散白芍・車前子・陳米100粒、烏薬1、燈心1]
■香蘇散
■厚朴枳実湯
■厚朴三物湯
■呉茱萸湯[3]
■五積散
■五苓散
乳幼児の急性腸炎に用いる場合が多い。口渇を訴えて、水や茶をよくのむのに、尿の出が少なく、水瀉様に下痢するものを目標とする。
腹痛や嘔吐を伴う者にもちいてよい(漢方診療医典)
■五苓散羗活・草豆蔲]
■固中丸
■固腸丸[1][2]
■五味子散[2]
■柴平湯《東醫寶鑑》
■柴苓湯《本朝経験》
■山楂麹朮丸
■三神丸[2]
■三白湯
■三物黄芩湯
■滋陰至宝湯[1]
■四逆散
■四君子湯
■四君子湯木香・縮砂・蓮肉・陳糯米]
■四神丸[1-1][1-2][1-3]
■四柱散
■四物湯
■四苓散木通・滑石・黄芩・梔子
■実腸散[1][2][3]
■炙甘草湯
■芍薬湯
■瀉湿湯
■酒蒸黄連丸
■朮附湯
■薷苓湯
■薷苓湯白芍・車前子]
■小建中湯
■小青竜湯
■除湿健脾湯
■漿水散
■逍遥散
■升麻葛根湯
■升陽除湿湯[2]
■真人養臓湯
■真武湯
1日に2,3回~4,5回くらいの下痢で、それが長く続いて治らない者に用いる。
この処方の適する下痢は、腹痛を伴うことはあっても、軽く、裏急後重を呈することはマレである。
まれに大便を失禁することがある。
大便は水様のもの、泡沫状のもの、粘液や血液を混ずるものなどいろいろ。
腹部は軟弱無力で、振水音を証明することがあり、ガスがたまる傾向がある。
脈は沈弱、遅大弱のものが多く、足が冷える、疲れやすく、血色もすぐれず、舌は湿っていて、苔の無いものが多い。
下痢していても、食欲にはあまり変化も無いものが多いが、下痢を恐れて、食を減じているものがある(漢方診療医典)
■参蘇飲
■参苓白朮散
啓脾湯と参苓白朮散の2方は同じような下痢に用いる。下痢が長引き、栄養が衰え、皮膚に光沢がなく、枯燥し、貧血の傾向のあるものに用いる。この場合、裏急後重は無く、腹痛はあっても軽微である。真武湯を与えて、効の無いものに、此方で治るものがある(漢方診療医典)
■参苓蓮朮散
■正観湯《外台秘要方》
■清暑益気湯
■清六丸
■燥湿湯
■蒼朮防風湯
■大黄黄連瀉心湯
■大柴胡湯
下痢のある患者で胸脇苦満、心下痞硬、悪心、嘔吐、口渇などある者に用いる。多くは腹痛と裏急後重があり、舌には褐色または黄色の苔がつき、脈には力があるものを目標とする。葛根湯を用いて悪寒がとれて後に本方をもちいることが多い(漢方診療医典)
☆60余歳、女性、
「痢疾患い、嘔吐下利日に数十行、後重甚だしく、元気頗る疲れる。医慢に治を施して益々劇し。余、大柴胡湯を与えてこれを下す。両日、熱大いに減ずと雖も、膿血止まず、飲食進まず、精神疲労す。因って断利湯《備急千金要方》を与え、赤石脂丸を兼用す。後膿血止み、逆を発し、小便不利す。橘皮竹茹湯を与えて逆を治し、真武湯を与えて癒える。その子息も亦噤口痢を患い。ほとんど危篤なり。余、断利湯を与え、兼ねるに香連湯を以て治するを得たり。《橘窓書影》
■大承気湯
☆「京師麩屋街の賈人某は、天行痢(流行性の下痢)を患う。一醫之をす。度数頗る減ずと雖も、尚臭穢を下すこと日に一再行、飲食味無し。身體は羸痩し、四肢に力なし。その年月に至りては益々甚だし。衆醫效なし。《吉益東洞》先生之を診し、大承気湯をつくりて之を飲む。数日にして全く治す。」《建珠録》
☆天行下痢の例
「京師麩屋街の賈人、近江屋嘉兵衛の男、年十有三。天行痢を患う。裏急後重し、心腹刺痛して噤口三日、苦楚(=苦痛)し、呻吟し四肢席を撲つ。諸委效なし。
《吉益東洞》先生之を診す。大承気湯をつくりて之を飲ましむ。毎貼の重さ十二銭。少焉(わずかな時間が経過する)ありて蒸振し、熱煩し、快利傾けるが如く、即ち癒ゆ。」《建珠録》
■断利湯《備急千金要方》
甘草瀉心湯の証で、陰位に陥って下痢の止まない者に用いる。
いろいろの薬を用いて効のないときにもちいて効をとることがある(漢方診療医典)
■朝真丹
■調中健脾丸
■治中湯縮砂
■猪臓丸
■猪苓湯
■痛瀉要方
■通苓散[1]
■桃核承気湯
■当帰芍薬散
■当帰四逆加呉茱萸生姜湯
■二神丸
■二陳湯乾葛・白朮・神麹]
■人参湯
■人参養栄湯
■白頭翁湯
■八仙糕
■八味地黄丸
■八柱散
■麦門冬湯
■半夏瀉心湯
☆心下痞硬。腹鳴、下痢を目標にして用いるが、悪心、嘔吐を伴うもにに用いてよい。腹痛を伴うこともあるが、はげしい痛みでは無い。下痢は裏急後重を伴うことはなく、サッと下る。下痢の回数の多いときは甘草瀉心湯を用い、噫気を伴うときは生姜瀉心湯とする(漢方診療医典)
☆慢性のものでも、体力、気力ともに、まだ衰えず、心下痞硬、腹中雷鳴、下痢のある者に用いる。血色のよいやや肥満した婦人で、沢庵を食べたり牛肉を食べると、すぐに下痢がはじまるものに、心下痞硬、腹中雷鳴、下痢を目標にしてこの方を用いる(漢方診療医典)
■七味白朮散
■白虎加桂枝湯
■附子人参湯
■附子理中湯[2]
■平胃散
■平胃散香附子・縮砂・草果・山子・麦芽]
■平胃散丁香・縮砂・乾葛・麦芽・神麹」
■平胃散理中湯
■防已茯苓湯
■防風芍薬湯
■補中益気湯
■補中益気湯白芍・訶子・肉豆蔲]
■麻黄升麻湯《医学入門》
■万全丸《東醫寶鑑》
■万病五苓散《東醫寶鑑》
■万病四苓散《東醫寶鑑》
■万病二陳湯《東醫寶鑑》
■木香散[1]《東醫寶鑑》
■木香散[5]《東醫寶鑑》
■養元散《東醫寶鑑》
■六君子湯
■理中湯
胃腸の弱い人が、腹を冷やしたり、冷たいものを飲んだりして、下痢する者によい。腹痛、嘔吐を伴う者によい。脈は沈遅または遅弱のものが多く、冷え症で、口渇はなく、舌は湿っている。下痢しても裏急後重は無い。乳幼児に多くみられる(漢方診療医典)
■理中湯赤茯・厚朴
■理中湯生姜
■蓼朮健脾丸《東醫寶鑑》
■六一散《劉河間》
■六神湯《東醫寶鑑》
■六柱散《東醫寶鑑》
■六味丸《小児薬証直訣》
【臨床例】
☆天行痢
「京師麩屋街の賈人某は、天行痢(流行性の下痢)を患う。一醫之をす。度数頗る減ずと雖も、尚臭穢を下すこと日に一再行、飲食味無し。身體は羸痩し、四肢に力なし。その年月に至りては益々甚だし。衆醫效なし。《吉益東洞》先生之を診し、大承気湯をつくりて之を飲む。数日にして全く治す。」《建珠録》
下痢後の身体疼痛
■桂枝湯
下痢と便秘を繰り返す
◎小腸でほとんどの栄養や水分の一部が吸収された残りカスが大腸へ送られる。大 腸で水分とミネラルが吸収されてだんだん固まり、直腸へたどり着くころに、固
い便になる。
食物が口から入って直腸へ着くまで、約12時間かかる。
◎便の中の水分量が80%以上になると=下痢便。
◎便の成分:
<1>水分(約70%)
<2>消化・吸収されなかった残りカス。
<3>腸管の中でさかんに繁殖している細菌(乾燥成分の約9%)。
<4>胃腸からの分泌物。
<5>白血球。
<6>腸壁から脱落した細胞。
【処方名-五十音順】
■四逆散(裏急後重・手足の冷え)
■半夏瀉心湯(胸元がつかえる、下痢、腹鳴、吐き気)
厥証(けつしょう)
=漢方の病証名。以下の種類がある。
<1>突然に昏倒し人事不省になり、漸次覚醒する病証。
<2>四肢寒冷の意味。
<3>癃証の重いものをさす。
#幻肢痛(げんしつう)
=事故や病気で手足を欠損または神経が断絶して感覚がなくなった患者が、失った四肢に対して痛みを覚える症状を「幻肢痛」といいます
リハビリ法(鏡療法)
#幻想 (げんそう)
■三黄瀉心湯
#肩背強急
(肩背酸痛)
【処方名-50音順】
■豁痰湯《万病回春》
■加味逍遥散
■桂枝茯苓丸
■香蘇散
■柴陥湯
■柴胡桂枝乾姜湯
■柴胡桂枝湯
■三黄瀉心湯
■参合湯《万病回春》
■参蘇飲
■七物降下湯
■十棗湯
■大柴胡湯
■釣藤散
■桃核承気湯
■通気防風湯《内外傷弁惑論》
■堤肩参《寿世保元》
■当帰芍薬湯
■当帰湯(肩から背への放散痛)
■半夏白朮天麻湯
■防風通聖散
■六君子湯
■竜胆瀉肝湯
■苓桂朮甘湯
肩関節周囲炎
【処方名-50音順】
■烏頭湯
■烏豆湯
■葛根加朮附湯(実証、身体の麻痺、疼痛、分泌、化膿)
■桂枝加朮附湯(四肢疼痛、麻痺)
■蠲痺湯
■朮附湯
■小活絡丹
■身痛逐瘀湯
■疎経活血湯(下腹部瘀血、しびれ、四肢疼痛<遊走性>、水毒)
■程氏蠲痺湯
■独活寄生湯
■二朮湯
■防風湯
■薏苡仁湯
肩胛骨の酸痛(→肩背強急)
【鍼灸】
「臑兪穴は、肩胛関節炎の名穴。」《沢田流聞書鍼灸眞髄》
【処方名-50音順】
■柴胡加竜骨牡蠣湯
■釣藤散
哯乳(けんにゅう)
=嘔なく乳を吐く。
倦怠感(けんたいかん)lassitude
⇒全身の精神的活力の減退ないし喪失を意味する。
◎倦怠感を来す原因:
低血圧
筋組織の機能的・化学的変化:重症筋無力症
細胞外液の脱水状態:
・Addison病
・多量の発汗
・頻回の下痢・嘔吐
・食塩制限
・利尿剤の服用
高K血症:
・熱傷
・広汎な組織の損傷・破壊
・尿毒症
低K血症:副腎機能亢進症
・腎疾患の一種
・周期性四肢麻痺
・栄養障害
・頻回の下痢・嘔吐
低Ca血症:原発性及び続発性副甲状腺機能低下症
低血糖症:慢性膵炎
・膵腫瘍
・副腎皮質機能低下症
基礎代謝低下:粘液水腫
その他:肝疾患
・かぜ症候群
・貧血
慢性疲労症候群
【処方名-50音順】
■桂枝加黄蓍湯
■三物黄芩湯
■補中益気湯
■抑肝散(全身の倦怠感、神経質、しびれ、ふるえ)
■抑肝散加陳皮半夏湯(全身の倦怠感、疲れやすい、鬱病)
■苓姜朮甘湯(全身の倦怠、腰脚がひどく冷える)
腱鞘炎
(参照→ドケルバン病)
【針灸】外関・手三里・曲池
腱反射の異常
■九味檳榔湯
腱膜瘤 bunions
⇒足の親指の関節が変形して痛む病気。
原因:足に合わない靴をはくこと。
【芳香療法】
<1>カミルレ・メリッサ:関節の炎症し。
<2>ラベンダー・マージョラム:止痛に。
#健康診断
=一定のやり方で体とその機能を調べること。
【視診】inspection
いろいろな道具を使って体表ないし体内を視ること。
【触診】palpation
体表を手で触って感じること。
【聴診】ausculation
体の音を聞くこと。
【打診】percussion
体表を軽く叩いてその反響音を聞く
【バイタルサインの測定】
体温・脈拍・呼吸速度・血圧の測定
◎健康の定義:
肉体的に健康(physical)
精神的に健康(mental)
魂の健康(spiritual):生きている意味や生き甲斐の追究
■ばらつく「基準値」---受診者の混乱招く
「人間ドックや健康診断で血液検査や尿検査をすると、隠れた病気が見つけられると一般には考えられている。しかし、健康か病気かの目安となる「基準値」は病院によってばらつきがあることが最近分かってきた。受診する病院を変えると「異常」のはずが「正常」だったということが実際に起きている。みかけの患者がむやみに増えたり受診者が混乱ぢたりしては困る、と全国で基準値を統一する動きが出ている。
九州出身のAさん、地元の病院で人間ドックを受診したところ、血中の総コレステロールの値が高く、心臓発作の恐れがあるとして薬をもらった。ところがすぐに転勤した東京で再検査したところ、今度は正常。Aさんは訳が分からず首をかしげるばかりだった。
一方、北海道出身のBさんは東京で受けた人間ドックで、肝機能障害が起きると血中で活性が上がるGPTという物質の値が正常値を超えていると言われた。故郷に戻って休養した方が良いとのアドバイスを受けて北海道に戻る。ところが地元で再検査すると「異常なし。東京に戻ってもよい」という結果。Bさんは「一体健康なのか、違うのか」と悩んだという。
いずれの場合も転勤や里帰りで体調が格段に良くなった訳ではない。正常、異常を見極める基準値が病院ごとに異なるため、同じ数値でも判定が覆ってしまったのである。
「こんな状況とは知らなかった」三井記念病院(東京・千代田区)の清瀬闊名誉顧問は日本人間ドック学会の活動の一環で、全国81施設を対象にどのような基準値を採用しているかを調査したところ、ほとんどの検査項目でバラツキがあったと嘆く。
例えば、Aさんが引っかかった血中コレステロール。これ以上多いと健康とは言えないという基準値では、回答のあった76施設の間で血液1Œ当たり[219mg]~[250mg]と大きな隔たりがあった。仮に検査値が[230]の人は、基準値に[219]を採用する施設では異常、基準値[250]の施設では正常と判断されてしまう。
心電図やX線写真など人間の目で判定するものならまだしも、具体的な数字のとらえ方が施設によって異なるのは“もともとこうした基準値は施設が独自に作製することが多い”(清瀬闊名誉顧問)からだ。その施設に通う人々の診断結果や論文をもとに基準値を決めているのが現状だ。さらに試薬を納入する業者や検査方法の違いなども基準値に「個性」が出る一因になっている。
牧田総合病院付属健診センター(東京・太田)の笹典雄院長らが全国の約220万人の人間ドック・総合検診の成績をまとめたところ、異常なしと判定された人の割合はわずか17%。これだけ少ないのは判定基準の違いで不健康と判定された人がいることも一因とみられている。
日本人間ドック学会では全国の施設の基準値をまとめようと提案している。検査の精度も向上し、全国どこの施設でも一定の基準値を設けたほうが、混乱を防げるとの理由からだ。年齢や性別によって基準値に幅を持たせる必要があるとの意見もあり、どのように見直すかは今後の課題という。
「正常」とされる基準値のばらつき
■「基準内で安心」は禁物
「健康診断の後、「検査値はどれも基準の範囲内です」という結果を受け取っても100%安心してはいけない。表に現れない病気のシグナルが隠れていることがあるからだ。それを知るためには医師とよく話し合って適切なアドバイスを得ること。また、自分の検査値の履歴を知り、常に気をつけるのも効果的だ。一病息災よりも「無病息災」。高齢社会の中で、長く元気で生きる第一歩はやはり一人一人の心がけだ。
「健診では検査値の基準範囲に収まっているかどうかが大切なことはもちろんだが、それ以前に個人が自分なりの基準値や基準範囲を知り、その変動に気をつけることが大切」と日本総合健診医学会会長でPL東京健康管理センターの田政紀所長は話す。
同健康管理センタ-では健診を受け取ると、検査データを記録した健診成績通知書と一緒に「個人のプロファイル」というユニークなシートを渡してくれる。ここには中性脂肪や総コレステロール、肝機能をみるγ-
GTPなど18項目について、健診を受けた人自身のこれまでの検査結果をもとに作った個人の検査値変動域が記されている。
今回の検査データがこの変動範囲内にあるかどうかを見る。これがその人の体の状態を的確に知る指標という訳だ。個人の変動域からはずれた検査値が出た時、それがたとえ基準範囲内であっても、健康への注意信号ととらえるのだ。
●隠れる注意信号
「現在の検査の基準値は、ある人数の集団の平均的な値から一定の範囲を算定している。このため、人によってはこれが必ずしも当てはまらないケースもある。普段の体の状態は1人1人異なるから、「個人の健康の物差しといえるものを持つと、病気の前兆を見つけやすい」と田村所長。
成人病が生活習慣病と呼ばれるようになっておよそ2年。高血圧症、糖尿病、高脂血症、脳血管疾患、心疾患などは、食習慣や運動の有無といったライフスタイルが引き金になる。
厚生省の96年患者調査によると、病院や診療所で受診した患者数は高血圧症が約749万人。続いて歯が約571万人。糖尿病薬218万人、心疾患薬204万人。脳血管疾患薬173万人。生活習慣病が上位を占め、本格的な生活習慣病時代に入るこれからは、さらに増えると予測されている。
実際、97年11月に厚生省が行った糖尿病実態調査では、糖尿病が強く疑われる人は約690万人。これに予備軍とも言える刀如意右病の可能性を否定できない日地を加えると、1370万人にもなる。
糖尿病が専門の河盛隆造順天堂大学教授は、この糖尿病の可能性を否定できない人の頸動脈の厚さを測定しているが、こうした人の中には糖尿病と同じように頸動脈の硬化が伸展していることが分かった。「健診データーがそれほど異常ではないと言われても安心してはいけない。その裏には注意信号が隠れている」と河盛教授。
また、循環器が専門の中村治雄・三越厚生事業団常務理事は「血液中のコレステロール値をみると、基準範囲の中にあるものの徐々に値が高くなっている人が増えている」と話す。今後はこうした病気の予備軍の対策が重要と強調する。
生活習慣病は10年、20年を経て発症する。隠れていた病気が突然顔を出すのだ。それだけに、たとえ検査値は正常であっても健診データの変化から病気の予兆をとらえることが大切になる。年をとって発症の危険が増したときではなく、若いうちから注意することだ。
生活習慣病の原因は単純ではないから、何が悪いのかをきちんと知り、1人1人がそれへの対策を進めるのが発症を防ぐ最短の道になる。
●データ活用は不十分
「健康を維持する条件としては65年に米国カリフォリニア大学のブレスロウ教授が提唱した7つの週間や、日本で言われる5つの「あ」が知られている。
[7つの週間]
①喫煙しない
②飲酒を全くしないか適度にする
③定期的な運動を欠かさない
④肥満にならない
⑤十分な睡眠をとる
⑥朝食を欠かさない
⑦間食を余りしない
[5つの「あ」]
①アルコールを避ける
②油(脂)分の摂取を少なくする
③甘い物を極力避ける
④あせらずゆっくり食べる
⑤足で歩く
しかし、これらは極当然のことをばかり。必要なのは、このうちどれが自分にとって必要なことなのかを、医師の助言を受けながら確認し、自分なりの健康メニューを作ることだ。
PL東京健康管理センターの田所所長は「その際はその人のQOL(クオリティー/オブ・ライフ=生活の質)を重視することが肝心」という。酒を断ったために楽しみが減り、かえってストレスが高まっては逆効果もあるということもあるからだ。その人のライフスタイルにあってメニューをというのだ。
日本ほど検査技術が高く、また多くの検査が行われている国は少ない。順天堂大学の河盛り教授は「現在はそのデータが十分活用されていない」と指摘する。その時々の検査データに一喜一憂するのではなく、継続して健診し、その検査値を自分の財産として健康維持に使うのが何よりだ。(中村雅美)1999.2.7 《日本経済新聞》
■健康を維持する-----10分の運動で効果------
「健康作りの運動は小分けにしても効果がある------。
欧米でこんな研究成果が報告されている。これまで、効果的な運動は20~30分間継続するのが「常識」だったが、わずか10分間の運動を何度かすれば、その総時間を続けた時と同じ体力アップにつながるという。
米国スポーツ医学会発酵の雑誌「スポーツと運動の医科学」の1998年1月号に、英国での研究報告が掲載された。運動と縁遠かった40歳代女性が対象。週に5日のウオーキングを「1日30分間継続」と「1日10分間を3回」の両グループで比較。10週間後、健康の目安となる最大酸素摂取量の増加、皮下脂肪の減少にほとんど差がなかった。90年には米国でも、50歳前後の男性に関する同様の研究報告がされ、中年世代に効果が認められた。
効果があるのは推定最高心拍数(220から自分の年齢を差し引いた数)の70%を超える運動。ややきついと感じ、息が弾まず、人によっては少し汗をかく程度だ。
日本ウオーキング学会会長で健康科学専攻の宮下充正・東洋英和女学院大教授は「心拍数を上げるのに1、2分かかるが、朝、昼休み、夕方に10数分間なら、忙しいサラリーマンや主婦にも出来るはず。これで体を動かすすばらしさを実感し、健康作りへの第一歩にしてほしい」と言っている。1999.5.1《朝日新聞》
■標準化を討議
「日本臨床検査標準協議会(JCCLS)は国内外の臨床検査の標準化の現状と課題を討議する「JCCLS学術集会」を8/23、東京都内で開催する。総合テーマは「グローバルハーモナイゼーション」。関係省庁・団体からの代表がシンポジュウムに参加する。開催場所は順天堂大学10号館。参加無料。問い合わせは03-3669-9110」2003.6.27《日経産業新聞》
健忘
amnesia (健忘症)
⇒記憶障害の1つ。自分がしたことを忘れる症状。
1.逆行健忘retrograde Amnesie
2.前向健忘anterograde Amnesie
3.コルサコフ症候群
■心因性健忘症--------人間関係のストレスが原因------
「脳の組織に突然過去の記憶が全くなくなったり、部分的に空白になる「心因性健忘症」という病がある。精神的なものが原因で職場や家庭、学校での人間関係によるストレスの積み重ねが関与していると考えられている。「催眠療法」で治療に好成績をあげている中島節夫・北里大医学精神科助教授に、臨床の実際などを語ってもらった。
●再生機能の不調で記憶は以下の3つの要素から成り立っています。
①新しい情報を知覚し、脳裏に刻み込む「記銘」
②記銘したものを心の中に持ち続ける「保持」
③保持されたものを再び意識の上に浮かび上がらせる「追想」or「想起」
健忘症はそのうち「追想」の障害で起こる。そして忘れる範囲によって、自分がどこの誰であるか分からない、出生から以降のすべてを忘れてしまう「全健忘(全生活史健忘)」と、部分的に忘れる「部分健忘」がある。
●「器質性」との鑑別が大切
心因性健忘症はめったに見られない疾患ではある。健忘症の多くは脳血管障害や脳腫瘍、老人性痴呆など脳に器質的病変があって起こる「器質性健忘症」だ、器質性健忘には、アルコールや一酸化炭素、薬物中毒に伴うケースも含まれる。従って診断ではCTなど様々な検査で、これらの器質性健忘症ではないことを確認しなければならない。
●心因性健忘症の症例
<1>女子高生。
妹が気の強い性格、姉妹関係で押され気味だった。ある日、妹の持ち物を使わせてほしいと頼んだところ、断られ意識を失って倒れた。この失神時以前の記憶を喪失。自分の名前も周囲に教えられ、そうだと思うがしっくししない。催眠療法で記憶が戻り、催眠中に中学時代の同級生数人の名前をあげ、「いじめ」にあっていたことも告げた。
<2>男性会社員。
職場で配置換えとなり、慣れない仕事に気苦労が多く、同僚ともうまくいかなかった。ある日突然、出社後から3日間の記憶がなくなり、気が付いた時には某駅ホームに立っていた。催眠療法で3日間の空白がすべて埋まった。電車であちことを旅行していた。
●心因性健忘症にかかりやすい性格
①柔軟な思考に乏しいステレオタイプ型(紋切り型)
②ストレスがあっても外に出さず、感情を押し殺す。
③情緒が未成熟で子供っぽい。
●心因性健忘症の治療
<1>麻酔分析療法(麻酔面接):
静脈に麻酔薬をゆっくりゆっくり注射、眠らせない程度に意識レベルを下げ、質問を繰り返して記憶を呼び戻す方法。
<2>催眠療法(催眠面接):
①麻酔薬の代わりに暗示をかけて催眠状態にし、記憶を甦らせる。
②「年齢退行法」といって、催眠状態に入ったら、時計の針を逆戻りさせる形で質問し、徐々に過去へ遡って記憶を引っぱり出す。
③そして、「催眠から醒めた後も覚えていますよ」と後催眠暗示をかけておく。
催眠にかからない人もいるが、かかった場合には麻酔分析療法よりも治療成績は良い。1998.3.19《毎日新聞》
【漢方療法】(健忘症)
=物忘れ。心力を尽くして思考しても思い出せない。心脾2経に関係する。
◎健忘症は精神の短少な人、又は痰のある人に多い。
<1>が長引き、健忘になるのは心脾2経に血が少なく、神が欠けはじめた為であり、[引神帰舎丹]を主治剤とし、
<2>引魄が不足したとき:[定志丸][関心散]
<3>老人の場合:[加減固本丸]
◎主薬:健忘には、遠志・石菖蒲を主薬とすべし《万病回春》
【処方名-五十音順】(健忘症)
■引神帰舎丹(心臓の風気と健忘)
■開心散(健忘症)
■加減固本丸(老人の昏忘・中風後の健忘症)
■加減補心湯《寿世保元》
■加味帰脾湯
■加味寿星丸(痰が詰まり、健忘・恍惚・手足がだるい)
■加味茯苓湯《世医得効方》(痰の為に昏迷し、健忘)
■括樓枳実湯《万病回春》
■帰脾湯《古今方彙》
■桂枝加竜骨牡蠣湯
■健忘一方《寿世保元》
■孔子大聖枕中方(聡明にする)
■降心丹(心腎の不足と健忘)
■牛車腎気丸
■酸棗仁湯
■十全大補湯《寿世保元》
■朱子読書丸(健忘症)
■壮元丸(・不眠症・健忘・読書の辛苦。続けると記憶力が良くなる)
■聡明湯(長服すれば毎日1000語覚えられる)
■竹茹温胆湯
■釣藤散
■定志丸[2](心気の不足と健忘、神魂の不安と驚悸・恐怯・悪夢)
■抵当湯
■桃核承気湯(実証、のぼせ、足冷、下腹部痛)
■天王補心丹
■人参養栄湯
■柏子養心丸
■茯苓杏仁甘草湯
■八味地黄丸
■養心湯
■六味丸(腎陰虚、口渇、舌乾燥、多尿、小便不利、下腹部軟弱・無力、疲労倦怠、憔悴、羸痩)
◎猿頭霜
懸飲(けんいん)
=四飲の1つ。飲邪が胸脇に停留する病のこと。
【処方名-五十音順】
十棗湯
懸癰(けんよう)
=会陰部位にできる癰を指し海底癰ともいう。上顎部位に出来る癰を指すこともあり。
【処方名-五十音順】
還元保真湯《外科正宗》
滋陰九宝湯《外科正宗》
滋陰八物湯《外科正宗》
十全大補湯
托裏消毒飲
内消沃雪湯
八珍湯
補中益気湯
懸雍垂(けんようすい)
【処方名-五十音順】
塩礬散(懸雍が垂れ、咽喉を妨げる)
玄参散(懸雍腫を治す)
吹喉散(懸雍が下に垂れ、腫痛、一切の咽喉疾患)
硼砂散[2]
繭唇(けんしん)
=漢方の病名の1つ。
⇒初期は口唇部に豆粒大の硬結が現れ、徐々に増大し、皮膚が白くなりシワが出来る。形は蚕繭or花が開いた様で、潰えて破れた後、時に血水を流し、疼痛がある。潰瘍の皮膚の表面は高低があり、常に痂皮で被われている。
後期は口乾咽燥し、身体が消痩する。
◎悪性のものは唇ガンの類である。
【処方名-五十音順】
甘露飲
原因不明の発熱 (FUO)
fever of unknown origin
⇒発熱がある期間続いても診断がつかないもの。
38.3℃(101™)を超える発熱が3週間以上続き、この間に1週間の入院検査をしても診断がつかない場合をFUOとしている。
【処方名-五十音順】
桂枝湯
抑肝散
原因不明の腹痛
【処方名-五十音順】
小建中湯
原虫による感染症
(参照→寄生虫)(参照→リケッチア)
=原虫とは動物と植物との中間に位置する単細胞の動物群の総称。
◎主な感染症とその病原体:
①アメーバ赤痢(赤痢アメーバ)
感染経路--------:不衛生な飲料水・食物からの経口感染
②マラリア(マラリア原虫)
感染経路--------:カなどの昆虫。
③先天性トキソプラズマ症(トキソプラズマ)
感染経路--------:妊婦から胎児への母子感染。
④人畜共通感染症(トキソプラズマ)
感染経路--------:ペット・野生動物との接触。
⑤膣トリコモナス症(トリコモナス)
感染経路---------:膣粘膜への刺激、抵抗力の低下。
⑥アフリカ睡眠病(トリパノソーマ)
感染経路---------:ハエ(ツェツェバエ)。
特効薬がない。
■クリプトスポリジウム。
「水道水に混入し、激しい下痢などを引き起こす原虫『クリプトスポリジウム』 による感染症を予防するため、厚生省は専門家に浄水処理の改善策などを検討してもらうことを決めた。今年6月、埼玉県で数千人が感染したとみられる国内最大規模のクリプトスポリジウムによる集団感染事件が発生。町の浄水場などから原虫が検出された為水道水が感染源がったことが分かった。厚生省は緊急に検討会を設置することを決め、12日に第一回の会合を開く、
クリプトスポリジウムは直径4~6ミクロンの原虫で、ネコ・ウシなどに寄生し人間に感染すると腸内で繁殖し激しい下痢や腹痛を引き起こす。普通の人だと1~2週間で自然に治るが、免疫力が極端に低下している人には致命的になると言われる。
国内でも過去に感染例が報告されているが、今年6月上旬、埼玉県入間群越生町のほぼ全域で数千人が集団感染した。県の調査で水道水や浄水場の沈殿池の水計6検体からクリプトスポリジウムが検出され、国内で初めて、水道水が感染源と特定された。
厚生省は、クリプトスポリジウムが水道水の塩素処理だけでは死滅しないことから、抜本的な水道対策が必要と判断した。1996.8.10《朝日新聞》」
■輸血男性に寄生原虫
「潰瘍による出血で輸血を受けた神戸市の男性が、赤血球に寄生する『バーベシア・マイクロティ』に感染していたことが2日、神戸大医学部の斎藤あつ子助教授(寄生虫学)の研究で明らかになった。同助教授によると、この原虫の人間への感染例は、国内では初めてだという。
日本赤十字社(東京)で、感染原因を調べているが、斎藤助教授は「もともと感染したいた疑いもゼロではないが、検出した人らは渡航歴もなく、輸血による感染の可能性は高い」と話している。
バーベシア・マイクロティはネズミなどの赤血球に寄生することが多いが、人間への感染は北米以外ではまれ。高熱などの症状が出るケースがるが、治療を受ければほぼ完治する。この男性も回復している。
斎藤助教授によると、男性は昨年12月、胃潰瘍で神戸市の病因に入院した際、兵庫県赤十字血液センターの血液約2000ccを輸血された。輸血の血液は8人分だったが、保存されていた赤血球サンプルを調べたところ、1人分から遺伝しが同じ型のバーベシア・マイクロティを検出した。
発熱や貧血などの症状が特徴だが、発症の確率は低い。男性は輸血後に、高熱や赤血球がつぶれる溶血性貧血症状を訴えていた。
日赤血液事業部は「輸血感染の可能性は高い。今後、詳しい原因の特定を急ぐとともに、献血の際の問診の強化を図るなどの対策を取る」としている」1999.7.2《日本経済新聞》
原発性アルドステロン症
=コーン症候群
「通常、一側性の副腎皮質球状帯腺腫が原因だが、ごくまれに副腎ガンや過形成が原因となる。コーン症候群は小児副腎ガンまたは副腎過形成の症状の一部ともなる。
小児の場合、バーター症候群にによる低カリウム症およびアルドステロン過剰症には高血圧はないので、コーン症候群と鑑別できる。」
⇒副腎皮質球状層のアルドステロン分泌過剰によって、高血圧、低カリウム血症、アルカローシスを示す。副腎に腫瘍が出来る
原発性異型肺炎
◎症状:
セキ:激しい
上気道炎症
疲労感
タン:少量、粘稠、膿性orサビ色。小児は少ない。
◎診断:
罹患部に一致して軽度濁音
乾湿ラ音:軽度
◎検査:
寒冷凝集反応
マイコプラズマ検出
補体結合反応
原発性硬化性胆管炎(PSC)
■病態・・・・原因不明の疾患で比較的太い胆管にびまん性狭窄を引き起こす病態。
■検査
アルカリホスファターゼ・・・基準値の2倍以上
ERCP
大腸内視鏡・・・潰瘍性大腸炎を合併することが多い
ビリルビン
原発性シャント高ビリルビン血症
⇒先天性ビリルビン代謝異常の1つ。
20才前後で発症。
◎症状:
黄疸
脾腫
球状赤血球
網赤血球が増加
貧血(軽度)
原発性腎性アシドーシス
⇒腎尿細管障害症の1つ。常染色体性優性遺伝。
◎病因:血液と尿細管との間にH+の濃度勾配をつくることが出来ない。
◎症状:
脱水
くる病
腎石灰化
アシドーシス
原発性胆汁性肝硬変(PBC)
primary biliary cirrhosis
=PBCは自己免疫疾患であり、特徴的な初期病変は中等大の小葉間胆道・隔壁胆管にみられる慢性非化膿性破壊性胆管炎(CNSDC)である。
①中年以降の女性に好発し、皮膚掻痒症で初発することが多い。
②黄疸は出現後消退することなく漸増し、多くは門脈圧亢進症状をきたす。
③皮膚掻痒感、黄疸など肝障害に基づく自覚症状を欠く場合があり、無症候性(asymptomatic)PBCと呼び、無症候のまま数年経過する場合がある。
◎診断基準:1987年、厚生省特定疾患難治性肝炎調査研究班
機能検査所見:黄疸の有無に拘わらず、以下の所見
①血沈の促進
②血清中の胆道系酵素(ALPなど)の上昇
③総コレステロール上昇
④IgMの中等度以上の上昇
⑤抗糸粒体抗体(AMA):高頻度に陽性で、高力価を示す。
組織学的所見:
①初期感組織は中等大小葉間胆管ないし隔壁胆管に慢性非化膿性破壊性胆管炎(Choonic non-supperative destructive
cholangitis:CNSDC)の所見を認める。
②連続切片による検索で診断率は向上する。
合併症:以下の自己免疫疾患を合併することがある。
①慢性甲状腺炎
②慢性関節リウマチ
③Sjögren症候群
■『原発性胆汁性肝硬変』
「56歳の女性。健康診断の結果、原発性胆汁性肝硬変であることが分かりました。いまのところ健康状態は良いのですが、気にすれば疲労感や痒みがあるような気もします。できるだけ症状が出ないようにしたいと思っていますが、食事を含めどのような生活をすればよいか教えて下さい。登山、ハイキングがすきですが、続けてよいでしょうか?病気の進行の見通しも教えて下さい。
<1>一般の肝硬変とは違うのですか?
「この病気は特殊型肝硬変と呼ばれ、B型肝炎やC型肝炎のようなウイルス性の肝硬変とは異なります。ウイスキーやアルコールが原因の場合は、肝細胞の組織が破壊されるのに対して、この病気では胆管の先の方が破壊されて胆汁の流れが悪くなり、肝臓が腫れます。また肝硬変という名前がついていますが、まだ肝硬変まで至らない初期のころまで含まれます。」
<2>原因は?
「くわしい原因は分かっていませんが、免疫の異常に関係した病気だと考えられています。中年以降の女性に多く、患者の80~85%を占めています。昔は欧米人に多くみられる病気だったのですが、最近は検診や人間ドックの普及で日本でも見つかる例が多くなりました。また胆石症など胆道に関係した病気を手術した後、胆道が狭くなった為、肝臓の機能が悪くなる場合には[二次性胆汁性肝硬変]と呼んで区別しています。」
<3>はっきりした自覚症状がないようですが?
「自覚症状のない人と、皮膚のかゆみや黄疸が出る人に分けられます。症状のない人は一般に肝硬変まで病気が進行していないと考えられます。原発性胆汁性肝硬変が日本でも多く発見され始めたのは最近のことなので、くわしくは分かっていません。しかし新潟大学の病院は全国でもこの病気の患者さんが多く、過去に200例ほど診ています。その中で、受診から5年以上、私たちが経過を診ているのは90人で、10%弱の人が症状がでないままです。10年以上も症状が出ない人もいます。」
<4>症状が出るようになるには何年ぐらいかかりますか?
「病気にかかった後どれくらいたって病院に来たかもによりますが、私たちが診ている90人の例では平均4年半です。短い人は1年、長い人は8年です。」
<5>治療法は?
「この病気では肝臓に銅が蓄積されるので、銅を尿中に排泄する作用ある慢性関節リウマチ治療薬(Dーペニシラミン)やステロイドなどの免疫抑制剤が使われます。しかし、その効果はあまりはっきりしません。
また最近では、クマの胆に含まれるウルソデオキシコール酸という胆汁酸の一種や、痛風の薬に使われていたコルヒチンという薬が、かゆみや、胆道系酵素が増えるのを抑えると注目されています。これらの薬は病気があまり進行していない初期の方に効果があります。さらに腸から肝臓へ来る血管・門脈の血圧が高い人には、不整脈の薬で血圧を下げる働きもあるβーブロッカーを使う場合もあります。」
<6>食事で気を付けることは?
「黄疸などが出ていないので、普通の食事で良いと思います。しかし、中には症状が出なくても胆汁酸が流れにくくなっている人もいます。その場合には、脂肪の吸収が普通の人より落ちるので、なるべく脂肪の多い食事を連続して摂らないようにしましょう。さらに胆汁酸が出ない場合はビタミンA・Dなどの脂溶性ビタミンの吸収も悪くなるので、ひどい場合は注射で補います。」
<7>登山・ハイキングは?
「症状に出ていなくても『静脈瘤』という腫れ物が出ていることがありますので、この有無を内視鏡で確認してもらい、無い場合にはハイキング程度なら大丈夫でしょう。また静脈瘤が出ていても家事や仕事を普通に行うなら問題ありません。」(上村朝輝・新潟大学助教授)
1991.12.15《朝日新聞》
原発性蛋白漏出性腸症
=血漿タンパクが腸粘膜から異常に大量に漏出し、低タンパク血症を呈している状態を指す症候群。原発性と続発性がある。
①「原発性」----原因不明のリンパ管拡張を伴うタンパク漏出性腸症。
②「続発性」----炎症性腸疾患、悪性潰瘍など明らかな疾患に見られるタンパク漏出性腸症。
◎1977年、厚生省特定疾患特発性腸管障害調査研究班の診断基準
[A]必須の基準:
低タンパク血症が認められること。:
①131I-PVP、51Cr-アルブミンなど放射性同位元素を用いた検査によって、その原因が腸からのタンパク漏出増加によることが証明されることが望ましい。
②ただし、続発性蛋白漏出性腸症は除外される。
③腸からのタンパク漏出性機序によらずに起こる体タンパク血症は含まれない。
以下のうち①②は特に重要です。
①リンパ造影法によって、胸管-腸リンパ管系の形成不全、閉塞、拡張、蛇行、又は造影剤の腹腔内への逸脱などの所見が認められる。
②生検によって、組織学的に小腸粘膜または粘膜下組織にリンパ管拡張の所見が認められる。
③血漿131I-アルブミンによる血漿アルブミン半減期の短縮が認められる。
④低アルブミン血症、低γ-グロブリン血症あるいは免疫グロブリン(IgG、IgA、IgM)の低下が認められる。
⑤末梢血リンパ球数が減少する。
⑥X線検査により、空腸粘膜ひだの肥厚と粗大像または分泌過多像など所見が認められる。
⑦下肢リンパ管の形成不全が認められる。
⑧腹腔鏡検査により、小腸漿膜、腸管膜リンパ管拡張、あるいは乳糜性腹水などが認められる。
⑨小腸内視鏡検査により、いわゆる散布性白斑や白色絨毛などの所見が認められる。
原発性低燐血症性くる病
⇒腎尿細管障害症の1つ。伴体性優性遺伝。
多くは生後1年以降に発症。
◎病因:不明。
◎症状:
小児:くる病
成人:骨軟化症
原発性肺高血圧症
=本来、原因不明の肺高血圧症に対する臨床診断名。
◎症状:
肺小動脈に閉塞性病変を来たし、肺動脈圧が上昇する。
息切れ:労作時。
セキ:
胸痛
易疲労感
失神
◎検査:
第2肺動脈音亢進
第4音
心雑音
肝腫大
◎1978年、厚生省特定疾患「原発性肺高血圧症」調査研究班の診断基準
[A]肺動脈性(or前毛細管性)肺高血圧(and/or)、これに基づく右室肥大を示唆する症状や所見の確認。
主要症状および臨床所見:
①息切れ
②疲れやすい感じ
③労作時の胸骨後部痛(肺高血圧痛)や失神。
④胸骨左縁(または肋骨弓下)の収縮期性拍動。
⑤聴診上、第2肺動脈音の亢進
第4音の聴取
肺動脈弁口部の拡張期性雑音及び
三尖弁口部の収縮期逆流性雑音
検査所見:
①胸部X線像で肺動脈本幹部の拡大、末梢肺血管陰影の細小化
②心電図で右室肥大所見
③肺機能検査で正常or軽度の拘束性換気障害
(動脈血O2飽和度はほぼ正常)
④右心カテーテル検査で
(イ)肺動脈圧の上昇(中間圧25mmHg以上)
(ロ)肺動脈楔入圧(左心房圧)は正常(12mmHg以下)
⑤頸静脈波でa波の増大。
[B]原発性を推定するための手順:
原発性肺高血圧症においては、ときに血沈亢進
γ-グロブリン値の上昇
免疫反応の異常を認める。
まれに関節炎
Raynaud現象
脾腫などをみることもある。
又、心肺の一次性または先天性疾患が認められず、且つ、肝硬変の存在も認められない上で、次の組織像のあるもの。
組織所見:以下の特徴を具えた肺血管病変。
①中膜の筋性肥大
②求心性の内膜線維化
③壊死性動脈縁
④pixi form lesion
除外すべき病態:以下の病態は、肺高血圧ひいては右室肥大、慢性肺性心を招来し得るので、除外する。
①気道及び肺胞の空気通過を一次性に障害する疾患:
・慢性気管支炎
・気管支喘息
・肺気腫
・各種の肺線維症ないし肺臓炎
・肺肉芽腫症:サルコイドーシス
ベリリオーシス
ヒスチオサイトーシス
結核
・膠原病
・肺感染症
・悪性腫瘍
・肺胞微石症
・先天性嚢胞性疾患
・肺切除後
・高度のハイポキシア:高山病
・その他
上気道の慢性閉塞性疾患
②胸膈運動を一次性に障害する疾患:
・脊柱後側彎症
・胸膈成形術後
・胸膜ベンチ
・慢性の神経筋疾患:ポリオ
・肺胞低換気を伴う肥満症
・特発性肺胞低換気症
③肺血管床を一次性に障害する疾患:
・肺血栓症
・肺塞栓症
・膠原病
・各種の動脈炎
・住血吸虫症
・鎌状細胞貧血
・縦隔疾患による肺血管床の圧迫
・肺静脈閉塞症(pulmonary veno-occlusive disease)
④左心系を一次性に障害する疾患:
・各種弁膜症(特に、僧帽弁狭窄症)
・左心不全
⑤先天性心疾患:
・心房中膈欠損症
・心室中膈欠損症
・動脈管開存症
[C]診断:
確実例:との半数以上、andの条件を満たすもの。
疑い例:上記で、の検査が行われていないもの。
■保険適用
「厚生省は、難病『原発性肺高血圧症』の治療薬プロスタサイクリン注射液に対する医療保険適用を決めた。
この病気は、肺の血管が細くなって血液が通りにくくなり、呼吸困難や心不全を引き起こす。原因不明で、肺移植がほとんど唯一の有効な治療法と考えられていた。
1990年代、人間の体内で作られる情報伝達物質プロスタサイクリンを、体につけた小さなポンプから24時間点滴し続ける治療で症状が大幅に改善することが分かった。FAD(米食品医薬品局)が95年に治療薬として承認している。
国内では、国立循環器センター(吹田市)などが試験的にこの治療を実施。同センターでは、治療を受けて退院した患者が10人に上る。現在、在宅で点滴を続けており、職場復帰した人や膏肓に入学した人もいる。同センターの宮武邦夫・内科心臓部門部長は「この薬の効果は大きい。原発性肺高血圧症は重い病気だが、希望を持って治療を受けてほしい」と話している。1999.5.16《朝日新聞》
眩暈(げんうん)
=めまい。脳の充血による。
血毒または水毒によること多きを以てこれを駆逐すれば癒ゆ。
瘀血からくるものを血暈といい、水毒がら来るものを水暈という。
原因に4あり、外邪、七情、腎虚、血虚これなり。
⇒風暈・熱暈・痰暈・気暈・虚暈・湿暈がある。
◎主薬:眩運には、川芎・天麻を主薬とすべし《万病回春》
【処方名-五十音順】
加味四君子湯《万病回春》
加味四物湯《万病回春》
加味逍遥散
加味二陳湯《万病回春》
芎帰膠艾湯(起立性)
芎帰湯《和剤局方》
芎竅散(頭風・眩暈を治し、兼ねて肝虚暈を治す)
芎朮湯(冒雨中湿で頭が重く、鼻閉・めまいを治す
芎帰調血飲
玉液湯(気鬱・生涎・めまい・動悸)
荊黄湯[1](風熱眩暈)
桂芍知母湯
桂枝加竜骨牡蠣湯
桂枝茯苓丸
香橘飲(気虚のめまい)
香蘇散
五苓散
呉茱萸湯
柴胡桂枝乾姜湯(胸脇満、小便不利、口唇乾燥、頭汗、盗汗、)
柴胡加竜骨牡蛎湯
三黄瀉心湯
滋陰健脾湯《万病回春》
滋陰脾湯(仕事をするとき気が散って落ち着かず、めまいする)
十全大補湯《和剤局方》
十棗湯
小半夏加茯苓湯(眩暈、嘔吐、)
小建中湯
真武湯
参附湯《世医得効方》
清暈化痰湯《万病回春》(痰暈)
清火化痰湯《済世全書》
清神栄養湯(目や頭をすっきりさせる
清痰徐眩湯《寿世保元》
清陽徐眩湯《寿世保元》
川芎丸(頭・目をすっきりさせ、めまいを止める
川芎散[1]《普済本事方》(風症の眩暈)
川芎散[2](頭や目が晴れない者
大建中湯
大黄黄連瀉心湯
大黄散(瘧暈で堪えられない)
大柴胡湯(実証、筋肉質、胸脇苦満、心下部緊張、便秘)
沢瀉湯[1](天井がまわる)
釣藤散《普済本事方》
天麻半夏湯(風痰で眩暈し、吐きたい)
桃核承気湯(実証、のぼせ、足冷、下腹部痛)
当帰芍薬散(貧血、冷え性、疲れやすい、月経不順、神経症状)
二陳湯人参・黄蓍・当帰・天麻・白附子・白蚕・黄蓍・生姜《証治準縄》
人参前胡湯(風痰でめまい)
八味地黄丸《薛立斎十六種》
半夏厚朴湯
半夏白朮天麻湯《脾胃論》
白朮附子湯
白附子丸(風痰の眩暈・頭痛)
防風散(目や頭をすっきりさせる
防風通聖散《宣明論》
補虚飲(気欝・よだれ・熱・動悸・めまい)
補中益気湯《万病回春》
補中益気湯地黄丸料《薛立斎十六種》
補中益気湯麦門冬・五味子《薛立斎十六種》
沃雪湯[1](めまい・精神不快・のどが乾き・鼻が詰まる者
苓姜朮甘湯(腰脚の冷えが強く、排尿困難)
幻覚
◎副作用:ケルロング
元気がない
◎主薬:内にて元気を傷るには、黄蓍・人参・甘草を主薬とすべし《万病回春》
【処方名-五十音順】
茵四逆湯
温脾湯
黄蓍建中湯
黄竜湯
帰脾湯
固本丸
再造散(横になりたい・冷え・食欲がない)
四逆湯
四君子湯
十全大補湯
小柴胡湯
参散
参蘇飲(頭痛発熱、無汗、食欲不振、悪心嘔吐、胃部膨満感、脈沈数)
参苓白朮丸(病気が治った後で、元気がない)
真武湯(横になりたい・だるい)
清心蓮子飲
大建中湯
釣藤散
当帰湯
当帰補血湯
独活寄生湯
女神散
麦門冬湯
八珍湯
半夏白朮天麻湯
茯苓飲
防已黄蓍湯(色白、汗かき、だるい)
保元湯
補中益気湯
補肺湯
補陽還五湯
抑肝散
抑肝散加陳皮半夏
六君子湯(胃液分泌過多、胃下垂、胃弱、労嗽、乾嘔)
限局性回腸炎
⇒《クローン病》
限局性腹膜炎
【処方名-五十音順】
桂枝加芍薬湯
言語が不明瞭
⇒「言語がはっきりしない」も含む。
【処方名-五十音順】
益気丸(真気は弱く、脈細く、言葉が聞き取りにくい)
加味固本丸(なめらかにしゃべられない)
四君子湯
腎瀝湯(口眼斜し、はっきり喋られない)
人参黄蓍湯(真気は弱く、脈細く、言葉が聞き取りにくい)
補中益気湯(食欲不振、熱物を好む、口中に白沫、眼勢無力、自汗盗汗、言語に力なし、臍辺動悸、腹部軟弱、疲労)
言語障害
◎成人の言語障害は以下の4つに分けられます。
<1>失語症:聞く、話す、読む、書くことに障害。
<2>失構音:聞く、読む、書くは出来るが、話すことが出来ない。
<3>構音障害:少しは話せるが障害がある。
<4>音声障害:声の質に問題がある。
◎主薬:語言蹇渋には、須く石菖蒲・竹瀝を用いて主とすべし。《万病回春》
■72歳の女性。
「昨夏からしゃべりづらくなりました。ろれつが回らず、言葉に抑揚がなく、 声の出も悪くなって、いまはとても聞き取りにくい状態です。医師の診断では脳に異常はないとのことで、治療は受けていません。放っておいていいのでしょうか?
森寿子・藤本耳鼻咽喉科クリニック言語聴覚室長に聞きました。
“この方は、ろれつが回らず、言葉の抑揚もないけれど、まったくしゃべられない訳ではないので、構音障害の可能性が考えられます。”
●どんな原因が考えられますか?
“構音とは、舌や唇など口腔内の器官を使って母音、子音といった言語音を作り出すことです。構音そのものは、大脳皮質から出された信号が脳内を通り、延髄を経由して口腔の筋肉に伝わることで行われます。構音障害は唇、口蓋などの形に異常があったり、幼児の場合には知能や聴力の異常、あるいは発育の遅れなどでも起きますが、成人では、この信号伝達の経路上の障害で起きることが一般的です。これを特に『運動性構音障害』といいます。この原因としては腫瘍などによる神経の圧迫、脳血管障害などが考えられます。他にパーキンソン病、ジストニアといった病気の初期に起きることもあります。”
●どうやって診断しますか?
“診断には医学検査と神経心理学的検査の2種類の検査が必要です。医学検査ではコンピューター断層撮影(CT)や磁気共鳴断層撮影装置(MRI)などで脳を調べますが、」発症して間もないと、こうした検査では異常が見つからない場合もあります。神経心理学的検査は知能や言語能力、視覚によって得た情報を脳内で処理する能力を調べ、それによって右脳、左脳の機能を調べる方法で、知能、構音、音声などの異常が分かります。神経内科医や言語療法士のいる病院を受診するといいでしょう。医学検査と神経心理的検査の両方の結果を突き合わせれば原因が分かると思います。”
●どんな治療法がありますか?
“原因の疾患が分かれば、医師の指示で投薬などの治療を試みてください。言語能力を回復したり維持したりするためには、訓練が必要です。運動性構音障害の場合、言語療法士のもとで呼吸法や発声、構音の訓練をします。練習は単音節から始まり、単語、短文、会話文へと続けていきます。半年から1年間、週1~2回は通院し、自宅でも訓練してください。病気の原因によっては訓練してもしゃべられなくなることもあります。その場合にはキーボードで文字を打ち込むと音声が出る「トーキングエイド」といった器具を利用することがあります。”
言語療法士:失語症などの言語障害者が言語能力を回復するための訓練を指導する。厚生省が国家資格化することを検討中。日本言語療法士協会によると全国に約3000人の言語療法士がいる。0429-95-3100
1997.8.31《朝日新聞》
■右脳が言語処理を代替
「米ワシントン大学のグループは、脳梗塞によって言葉の能力に関係する左脳の部分に障害が出ると、右脳がそれを補うことを発見した。言語能力を回復するための効果的なリハビリや薬物治療の開発につながる成果という。
左脳に障害を受けた脳梗塞患者を対象に、「チンバ」から「チンパンジー」を導き出すなど、最初の3文字から単語を連想する実験をしたところ、右脳が活発に働くのを機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)で確認した。こうした訓練を繰り返すと、脳をあまり使わずに答えられるようにもなった。米国では年間75万人が脳梗塞にかかる。左脳が障害を受けた失語症の患者は約100万人と推定されている。2002.10.2《日経産業新聞》
【漢方療法】
◎言語蹇渋に虚実の別あり。 《勿誤薬室方函口訣》
<1>実する者:痰迷心竅なり。「続命湯」「滾痰丸」の類を用いるべし。甚だ しき者は吐剤を与える。
<2>虚する者:解語湯《永類鈴方》。
解語湯《永類鈴方》の一等重き者:「神仙解語丹」
<3>内熱有る者は:
①《本草彙言》の一方。
②犀角一味。
【処方名-五十音順】
続命湯
救逆湯
白虎加人参湯(口のまわりがマヒ、感冒・発熱後の)
補陽還五湯
●DHA
●αー4000
言語に力がない
【処方名-五十音順】
平胃散(下痢、四肢重だるい)
補中益気湯(食欲不振、熱物を好む、口中に白沫、眼勢無力、自汗盗汗、言語に力なし、臍辺動悸、腹部軟弱、疲労)
減酸症
【処方名-五十音順】
安中散
烏梅丸
括楼薤白白酒湯
枳実梔子湯
柴胡桂枝湯(胸脇苦満<軽>、心下支結、腹直筋緊張、発熱・微悪寒、頭痛・頭重、心部痞、下腹部疼痛、脈浮弱)
梔子湯
梔子乾姜湯
小柴胡湯(胸脇苦満、往来寒熱、食食欲不振、舌白苔、微熱、神経質)
生姜瀉心湯
人参湯(太陰病、虚寒証、唾液がよく出る、胃内停水、心下痞、胃部膨満感、手足厥冷)
附子人参湯(四肢厥冷、下痢)
●クエン酸
痃癖(げんぺき)
⇒項背強ばり腹筋拘攣するもの。
【処方名-五十音順】
温白元(積聚・・黄疸・鼓脹、九種の心痛、癲狂、五種の淋疾)
延年護命丹(三十六種の積と二十四種の気と血と積と蠱積を治す)
寛中丸(七、八、五積、六聚、痃癖、気塊と胸腹が脹って痛い症
金露元(腹内の一切の積聚とで痛む症を治す)
荊蓬煎元(と冷・熱の積聚を治し、痰癖を治し、宿食を消化させる)
四逆散
桃渓気宝丸(積聚・で腹脇に盆状のものをかかえて痩せる)
秘方化滞丸(一切の気と積を治す)
万応丸(一切の積を散らし、一切の気をなくし、気蠱
万病元(七種の癖塊、八種の痞病、五種の癲癇、十種の忤、七種の飛尸、十二種の蠱毒、五種の黄疸、瘧疾、十種の水病、八種の大風、十二種の湿痺)