<ち> つらい症状・病名


#チェーンストークス呼吸

Cheyne-Stokes呼吸 Cheyne-Stokes respiration
⇒呼吸が浅くなったり深くなったりする状態が周期的に繰り返されたり、無呼吸相が規則的に反復する呼吸様式。
浅い呼吸から、呼吸の深さと呼吸数を増加させ、そして消失と不規則な周期性呼吸を15~20秒ごとに繰り返す。

この呼吸は新生児では正常であるが、肺や、脳・心臓又は腎疾患で死亡する際に見られる。



#チアノーゼ     cyanosis                           
=皮膚や粘膜が青紫色にみえる状態。

日本語では[紫色]と表現されるが、むしろ、藍、青、紫、暗赤色の中間のような色である。
⇒体表層毛細管中の血液の還元ヘモグロビン量が100ml中5g以上、すなわち酸素不飽和度が6.5vol%以上となった場合に出現する

◎チアノーゼは耳朶、鼻尖、頬、指爪、口唇、指趾などのよく見られる。小児では号泣したとくに強くなる。

●チアノーゼを起こす要因:呼吸器疾患と心疾患がほとんど。

肺での酸素摂取が障害されたとき:
・肺気腫
・肺線維症
・肺動脈狭窄
・無気肺
・気管気管支の通過障害
・高度の腹部膨隆  

静脈血の動脈血への混入:
 Fallot四徴症

末梢毛細血管における鬱血:
・右心不全
・末梢循環不全
・腫瘍による大静脈圧迫

異常ヘモグロビンが血中に増加:
その他:肝硬変


【漢方薬】(#チアノーゼ)

■大黄附子湯
■蘇合香丸(顔面・口唇のチアノーゼ)
■当帰四逆加呉茱萸生姜湯
■木防已湯


  

チクングニア熱 chikungunya
=チクングニアウイルスの感染で発症する。
「チクングニアとは、タンザニアのマコンデ高原の人々の言葉で「反り返るもの」という意味。デング熱や黄熱と同様に、ネッタイシマカによって運ばれる。オションニョンウイルスとともにアルボウイルスに属し。デング熱に似た病気を引き起こす。治療法はない。
◎1953年、タンガニーカで流行したウイルス性熱病。デング熱に似ているが頭痛を伴わない。


#チック tics
(参照→「不随意運動」「トゥレット症候群」)
⇒本来は自分の意思で動かす筋肉が、まばたきをしたり、口を歪めたり、クンクンのどを鳴らしたり、うなずき運動・拍手をしたり、あたまを振るなどのように、勝手に動く状態。

1つ1つなら単なるくせとして見過ごせそうだが、同時期的に複数の仕草を繰り返すことで目立ち、外見的には落ち着きのない子に見える。錐体外路系統の疾患とされている。

◎よく見られる動作。

〇目の動作:

*まばたきが多い。
*くるくる回す
*左右に寄せる。

〇鼻の動作:

*くんくん鳴らす。
*よく鼻をすする。

〇口の動作:

*口を曲げる・
*とんがらす。
*咳払いが多い。
*ウー、ハッなど大声を出す。
*思わず汚い言葉を使う。
*指をしゃぶる。
〇首の動作:首をよく振る。
〇腕の動作:しきりに動かす。
    

 

■10歳、女の子。(平田一成・神奈川県立こども医療センター部長)
「5歳の頃から、目をパチパチさせる、“ウーウー”など大きな声を出す。ピョンピョンはねる、などチック症状が続いています。小児科で精神安定剤をもらっていますが、あまり良いように思えません。私がまるでノイローゼに罹ったように、イライラしています。どんなふうに相手をしてやればいいのか、教えて下さい。
 ◆チックはなぜ起こるのですか?
「チックは子供のノイローゼの現れ、ストレスへの注意信号と考える人が多いのです。脳や神経に何らかの障害があるのが原因と言う人もいます。しかし、私の経験からはそうしたものは少数です。チックの子と家族、特に母親にはかなり性格上の共通点があります。
それは、子供が完全主義、つまり何でもちゃんと出来ないと気が済まない、そして子供と同じように母親も完全主義で似ていることが多いようです。」
  ◆父親の存在は?
「夫婦が気持ちを合わせて子育てしている家庭に、チックはほとんどありません。多くの家庭では、父親に比べると、はるかに母親の方が接触が多く、子供の対する許容度が少なくなりがちです。母親は子供への責任を1人で負ってしまうのです。」
◆母親の態度から?
「親は自分が子供の時の状況と我が子の状況とを、知らず知らずのうちに比べています。子供をわがままとか勉強嫌いとか見ている場合も、“自分はこん なにわがままじゃなかった。勉強もした”と、自分との比較の中で、自分の価値観を押しつけることが多いのです。それが子供の心に負担をかけ、チックを起こす元になります。」
◆チックを治すには?   
「軽い症状では、大きくなれば自然に治ります。しかし、このケースでは、お母さんが精神的な治療を受けるべきでしょう。お子さんが薬をもらっているだけのようですね。具体的には、子供に詳しい精神科の病院へ行くことをお勧めします。精神科がつらければ、児童相談所でも良いでしょう。」
◆母親に治療が必要とは意外な気もしますが?
「もちろん、子供への治療は必要で、神経質にならないようにいろいろと指導いたします。でも、私たち子供の精神科医は、特別な病気は別として、子供の患者が来たら、少なくとも母親も治療の対象ではないか、と考えることにしています。こんな言い方だと母親を悪者にするみたいですが、治療する医師は母親の苦しさを共感し、“お母さん大変ですね”という思いで迎えるようにしています。」
◆治療効果?
「母親の生きる姿勢が変わることによって、子供のチックも治っていきます。医師との対話の中で、自分の本質がよく見えてくると、ものの感じ方に変化が生まれます。“この子をかわいがっていたのに、実際はどうだっただろう。そこかに憎しみが無かっただろうか”と、いろいろな思いが正直に出るので、それを医師が支えながら良い方向を探ればいいでしょう」《朝日新聞》

【色彩療法】
<1>すみれ色
<2>赤紫色
<3>オレンジ色
  

【宝石療法】
マラカイト

【漢方薬】(#チック)
■甘麦大棗湯
■当帰芍薬散
■抑肝散+厚朴+芍薬
■抑肝散加陳皮半夏




致死性家族性不眠病
プリオン病
「この病を発症すると、思うように眠れなくなる。血圧が上がり脈が速まって過活動状態になる。やがて歩行や体のバランスを失い、極度の消耗状態になり、死亡する。肉体と精神のオーバーヒート状態になる。
その原因は最近になって分かった。それはプリオンというタンパク質の構造が異常になり、眠りを司る脳の中枢を侵すことだった。
18世紀の「スクレイピー」20世紀の「クールー」1980年代からの「BSE」など、いずれもプリオンタンパク質の異常が原因だ。細菌でもウイルスでもない、生き物ではないタンパク質の異常が感染で広がる。常識外れの発見は当初、異端視された。しかし提唱者がノーベル賞を受賞して初めて正統性を得るようになった」(ダニエル・T・マックス著「眠れない一族」紀伊國屋書店)


#血の道症
=婦人故なく憎寒し、壮熱あり、頭痛眩暈し、心下支結し、嘔吐悪心あり支体酸軟し、或いは痺し、鬱々として人に対するを悪み、或いは頻々と欠伸する者。

<1>婦人に起きる病態で、月経、妊娠、出産、産褥、更年期などの生理的現象や、流産、人工妊娠中絶、避妊手術などの異常生理によって発病し、器質的変化は見あたらないが、精神・神経症状が現れるのが特徴です。
<2>更年期より広い概念です。
<3>症状:
*顔面紅潮
*のぼせ
*手足の熱感・ほてり
*体がカーッとする
*心悸亢進
*心臓が締め付けられる感じ
*めまい
*耳鳴り
*血圧の変動

【民間療法】
アケビ
イヌタデ
イノコズチ

【鍼灸】
「三焦と言うのは、乳糜管と小腸と心臓の関係をいうので、ここが滞ると血の道などという病気が起こるのです。」《沢田流聞書鍼灸眞髄》
  

【漢方薬】(血の道症)
■茵蔯蒿湯     
■烏梅丸
■温経湯
■温胆湯
■黄連解毒湯
■黄連湯
■加味帰脾湯
■加味逍遥散
■甘麦大棗湯
■帰脾湯
■芎帰調血飲
■桂枝加竜骨牡蠣湯
■桂枝茯苓丸
■香蘇散
■黒帰脾湯
■柴胡加竜骨牡蛎湯
■柴胡桂枝乾姜湯
■柴胡桂枝湯
■三黄瀉心湯
■三物黄芩湯
■七物降下湯
■四逆散
■四物湯
■小柴胡湯
■逍遥散
■真武湯
■清心蓮子飲
■川芎茶調散
■竹茹温胆湯
■通導散
■桃核承気湯
■当帰芍薬散
■二仙湯(更年期高血圧)
■女神散
■半夏厚朴湯
■防風通聖散
■養心湯
■抑肝散
■抑肝散加陳皮半夏
■苓桂朮甘湯


#知覚異常
(参照→「異痛症」)
⇒痛感、温度感覚、触覚あるいは深部感覚などの感度に異常を生じた状態で、知覚神経およびその伝導路のいずれかに障害をきたしたもので、知覚過敏・知覚鈍麻および知覚消失などの状態がある。
一般に触覚の異常をいうが、温度覚・痛覚などに分けて考える必要がある。(薬学大辞典p348)

【漢方薬】(知覚異常)
■越婢加朮湯
■九味檳榔湯
■桂枝加黄蓍湯
■桂枝加葛根湯    
■桂枝湯
■桂麻各半湯


知覚鈍麻 hypesthesia
=知覚減退
【漢方薬】
■桂麻各半湯



知覚麻痺
=知覚鈍麻 hypesthesia=知覚減退

【漢方薬】(マヒ感覚)
■黄蓍桂枝五物湯
■桂姜棗草黄辛附湯
■桂枝去芍薬加附子湯
■桂枝加附子湯
■桂芍知母湯
■四物湯
■十全大補湯
■桃核承気湯(実証、のぼせ、足冷、下腹部痛)
■当帰芍薬散(貧血、冷え性、疲れやすい、月経不順、神経症状)
■二陳湯
■白虎湯
■附子湯
■防已黄蓍湯(色白、冷え症、多汗、小便不利)
■補中益気湯(四肢冷える、食欲不振、だるい)
■薏苡附子散
■六君子湯(胃弱、胃内停水、心下痞、浮腫)
■苓桂味甘湯




知能の発達不良
【漢方薬】
■六味丸

 


蓄膿症(ちくのうしょう)
=上顎同炎 inflammation of the maxillary sinus

■蓄膿症とはどんな症状をいうのでしょうか?
「目の上にある前頭洞、内側にある篩骨蜂巣(シコツホウソウ)、その下にある上顎洞という3つの空洞は「副鼻腔」と呼ばれています。鼻から出る粘膜は、副鼻腔から鼻の穴につながる細い管を通って分泌されます。この粘液が副鼻腔に溜まって膿んだ状態を、副鼻腔炎と言います。これが蓄膿症のことです。

粘膜が溜まる原因は何なのですか?
「鼻の粘膜は1日約1リットルも出て、のどに流れ込んでいます。普段は全く気になりませんが、細菌やウイルス性の風邪などに罹ると、鼻の中が炎症を起こして腫れ、ときには粘膜にキノコ状のポリープが出来、粘膜の流れが妨げられ、溜まりやすくなるのです。」喜多村健・自治医大教授1996.5.26《朝日新聞》

■「ヤミック法」
「最近、少し変わった蓄膿症の治療法が研究されている。2つのゴム風船で鼻腔の入り口とノドへ抜ける出口をふさぎ、鼻腔につながっている副鼻腔に溜まったうみを押し出す。その後で炎症のある部分に管から薬を送り込むというものだ。ロシアの医師らが開発した方法で「ヤミック法」という。
この治療に使う風船と細い管を組み合わせた器具は、もともとはコンピューター断層撮影(CT)など十分な医療機器のないロシアの地方の大学病院で、副鼻腔の容積を量る為に考え出されたものだ。この治療法は日本ではまだ試験中の段階だが、実際に使っている関西医科大の大久保伸夫講師は「最近増えている軽症の蓄膿症には非常によく効く」と評価している。
蓄膿症を予防するには、風邪を引くなどして鼻炎が起きたときに、完全に治すことが重要だ。しかしアレルギー性の鼻炎から蓄膿症になる人が最近は増えている。阪大医学部の川嵜良明講師は「アレルギー性の鼻炎から起きる蓄膿症は治りが悪く、治っても再発することがある。今後も患者が増え続けるとすれば、何とかしなければならない」と話す。1996.12.18《朝日新聞》

■マクロライド投与有効
「50歳代、男性。3年ほど前に風邪を引き、それがもとで今は慢性鼻炎と慢性蓄膿症にかかっています。通院していますが良くなりません。抗生物質は1ヶ月ほど使ったことがあります。(大阪府。N男)
顔面の骨の中には副鼻腔と呼ばれる空洞が片側に4つずつ計8つあり、それぞれが鼻腔につながっています。上顎洞はその代表的な空洞で、頬骨のところにあり、約15‹の容量があります。
これら計8つの空洞がどんな働きをしているのはよく分かっておりません。
風邪を引いたとき、鼻腔の中に繁殖した細菌が空洞内へ侵入して炎症を起こしますと空洞内でウミ(膿)が産出され、鼻腔へ鼻汁として排出されます。これが副鼻腔炎、俗に蓄膿症と言われる疾患です。
急性期では、抗生物質などの使用でたいてい治りますが、慢性化すると治りにくくなります。抗生物質の使用を1ヶ月ほどで止められたとのことですが、長期使用による副作用を考慮された上でのことと思われます。
悪性化も考えられる年齢ですので、X線検査やその他の精密検査を受けられた上で、手術を受けられるのも1つの選択です。ですが、最近、同じ様な抗生物質でマクロライドという薬品の長期投与が大変有効との報告もあります。まずはこの療法を、一般的な処置と併せて根気よく受けられ、その結果で手術を考えられても遅くはないと思います。」

■注射器でたまった液を抜く
「69歳代、男性、40年くらい前に蓄膿症の手術をしました。4年ほど前に風邪で内科を受診した時に、頬が腫れていたので、耳鼻科の受診を勧められました。そこでは、手術をするように言われましたが、切らずにすます方法はありませんか?
一般に蓄膿症とは、副鼻腔炎のことです。副鼻腔とは、鼻腔(鼻の穴から奥の空間)と管で通じ、骨に囲まれた4つの空洞で、頬・目と目の間・額・鼻腔の奥にあります。
副鼻腔炎は、鼻水・鼻づまり・頭痛などの症状が起こり、急性の場合は抗生物質を飲んだり、鼻に直接、薬を塗ったりすれば、たいてい治ります。しかし、悪い条件が重なると慢性化し、どんな治療も効果なく、根治手術をせざるを得なくなります。
手術後、早くて数年、遅くて4~50年たってから、頬が腫れ、傷み、歯痛、激しいときには目が突出してくることがあります。これを『術後製副鼻腔嚢胞』といい、何らかの原因で手術の後が袋状になり、液体がたまったものと考えられています。
治療には、腫れてくる度に、たまった液体を注射器で抜き取る方法、内視鏡を使って手術する方法、根治手術と同じ方法で摘出する方法があります。」
 

【民間療法】
○オオジシバリ・オオバコ・オナモミ・コブシ・タニシ・タムシバ・ドクダミ・ネギ。
○[オオバコヨモギ]
○[オオバコドクダミコブシ]

【鍼灸】
「“腎臓と脾臓を治せば蓄膿症なども治って了います。鼻は脾に属し、脾臓は鼻のもとです。又肌肉にも属しているので、肥厚性鼻炎なども脾の不調和から起こるのです。脾が悪いと治りません。[足の三里]も鼻に効く要穴です。      

もし三里で効かぬ時は[上巨虚]をすえれば、きっと鼻が良くなります。”
治療しつつ先生はこんなに云われる。鼻は肺に属するというのは素霊の説であるが、そういう場合の鼻は鼻加答児とか風邪の場合の鼻汁の出るのを指すので、蓄膿症とか肥厚性鼻炎などになると肌肉の病気であるから脾の属するのだというのが先生の説である。ついでながら、先生は鼻のつまるという患者に足の三里や上巨虚へ鍼していられた。鍼をして後、鼻の穴がスーッと通って気持ちよくなったと云って驚く患者を多数見かけた。」《沢田流聞書鍼灸眞髄》

【漢方薬】(#蓄膿症)
■ 温経湯
■黄蓍建中湯
■葛根加朮附湯
■葛根湯
■葛根湯加川芎辛夷(頭痛、発熱、鼻づまり)
■葛根湯加川芎辛夷桔梗石膏
■桂枝加黄蓍湯(腰から上に汗)
■桂枝加朮附湯(四肢疼痛、麻痺)
■桂枝茯苓丸
■荊芥連翹湯(化膿しやすく、手足の裏に汗、つまって苦しい)
■荊防敗毒散加減
■桂姜棗草黄辛附湯
■柴胡桂枝乾姜湯
■四逆散
■十全大補湯
■小柴胡湯
■小柴胡湯葛根湯加川芎辛夷
■小柴胡湯桔梗石膏(体質改善に半年以上)
■小柴胡湯苓桂朮甘湯桔梗
■消風散(粘稠な鼻水・血が混じることもある)
■辛夷散    
■清上防風湯
■大柴胡湯桔梗石膏
■大柴胡湯苓桂朮甘湯桔梗
■葶藶大棗瀉肺湯
■当帰芍薬散(兼用)
■桃核承気湯(兼用)
■排膿散    
■排膿散及湯(黄色い膿汁が出る)
■排膿湯
■伯州散(長引く、だらだら膿汁が出る)
■麦門冬湯石膏
■半夏瀉心湯(胸元がつかえる、下痢、腹鳴、吐き気)
■半夏白朮天麻湯
■鼻淵丸【中成薬】
■白朮附子湯    
■防風通聖散
■補中益気湯加減
■麻黄加朮湯
■麻黄細辛附子湯
■麻黄湯
■苓桂朮甘湯(鼻汁がノドへ落ちる)
■苓桂朮甘湯桔梗
■麗沢通気湯
  

【臨床例】  
◎慢性の上顎洞蓄膿症(38歳、女性)
<1>主訴[数日前より右顔面がひどく痛み、食事することも出来ない、夜も眠れない]     
<2>「診察すると、右上顎の中央が、拇指頭大に腫れ、少し発赤し、軽く撫でても痛みが激しい。右鼻腔は閉塞し、右肩の凝り強く、時に悪寒があり、脈浮でやや数。体温は37.8℃。」
<3>「そこで葛根湯+薏苡仁10.0を与えたところ、その夜の明け方から急に顔が軽くなって、ぐっすり眠り、起床と同時に、多量の膿がのどの方へ出た。つづいて5日間飲むと、患部の新しい炎症は消え去り、疼痛が無くなった。」《大塚敬節》

◎前額洞蓄膿症(27歳、男性)
<1>「1年ほど前から頭が重く、鼻がつまり、のどの方へ鼻汁が流れる葉になったので、某大学で見てもらったところ、前額洞蓄膿だから手術しなければ治らないと言われた。その上、10ヶ月ほど前からシンマシンも出るようになった。」
<2>「脈を見ると浮大で、腹診すると下に鉛筆の芯のように硬いものをふれ、しかもそれを指頭で圧すと痛む。これは葛根湯を用いる目標である。そこで、葛根湯辛夷・撲樕各3.0を与えた。撲樕を加えた理由は、《腹証奇覧翼》に桂枝土骨皮という処方があり、土骨皮=撲樕にヒントを得て、毒を消し排膿を促し、かねてジンマシンを治すというねらいである。
さてこれを服用してから、1ヶ月目に次のような来信があった。“過日(10/16)は御診察をいたただき、大変ありがとうございました。おかげをもちまして、日毎に快方へ向かい、昨今はすこぶる爽快で、仕事の能率が上がり、感謝いたしております。” (10/20)服用開始、1日3回。(10/21)ちょっと下痢する。(10/25)足首に靴下が当たる部分と腰のベルト部分のかゆみが無くなる。(10/27)口の中へ下りる膿が減ってくる。(10/30) 鼻汁がちょっと多く出る。(11/2)酒を呑んだが今までのように頭が痛くならない。(11/4)夕方、背中からお尻にかけて一面にジンマシンが、今までに無いくらいひどく出る。翌朝はひいていた。(11/5)前日よりは軽いが同じようにジンマシンが出て、翌朝はひいていた。(11/18)鼻の外観が変わっているのに気づく。服用前の写真とよく比べてみると鼻の付け根から少し下った部分の腫れが退いているのが良く分かる。
(11/14)頭の重いという感じが無くなった。口の中へ下りる膿が非常に少ない。鼻汁が服用前より多く出るようになった。従前はかんで出るより  咽へどんどん下りていました。咽喉は若干楽になったようですが、まだ痰がひっかかっているような感じで、声の出にくいときがある。以上のような次第でありますので、先回同様格別のご配慮を賜りたく存じます”
<3>そこで1ヶ月分の薬を送ったところ、(12/18)に次のような連絡があった。       “2回目のお薬をいただいてからの経過は次の通りであります。だんだん咽喉が楽になってきました。風邪気味のせいか、頭が痛いのですが、服用前のようにドンと重く、ときどきしびれるというのではありません。睡眠不足の朝のような感じであります。従来は甘い物にはほとんど食気がなく、まれに食べても、胃に異常感を起こすことさえありましたが、最近は甘い物が美味しいと感じるようになりました。それかといって、たくさん食べるようなことは致してません。疲労しなくなりました。従来は毎日何か栄養剤を飲んでおりましても、帰宅すると、ぐったりして元気がありませんでしたが、最近は全然栄養剤を飲まなくても疲労感がありません。ジンマシンはその後、全く出なくなりました”
<4>この患者は、その後1ヶ月ほど服用すると、自覚的に全快したように思われたので、手術をしなければいけないと言われた大学病院へ行って診察を受けたところ、レントゲン写真で調べても、すっかり全治していたので、その医師は驚いていたとのことである。《大塚敬節-症候による漢方治療の実際p60~61》

◎慢性副鼻洞炎(34歳、女性)
<1>「3日前から右の顔が痛くなり、鼻の右側が腫れてきた。昨夜は一睡も出来ないほど痛んだ。」
<2>みると、右の上顎洞とおぼしい当たりが発赤し灼熱感があり、指頭で軽く按じても痛む。悪寒があり、脈浮大数で体温は38.2℃。食事をするため、口を動かしてもひどく痛むので、今朝、牛乳を呑んだだけであるという。右の肩から首にかけてひどく凝る。腹診すると腹筋は左右ともやや緊張していて、臍上の圧痛点をふれる。
<3>私はこれに葛根湯桔梗・薏苡仁・石膏を与えた。桔梗と薏苡仁は排膿を目的とし、石膏は消炎と鎮静を目的にしたのである。すると、たった1日 分の服用で、その夜は劇痛もなく眠れた。3日目の朝、顔を洗っていると、大量の臭気のある膿が鼻汁とともに、どっと出た。そして患部の腫脹も圧痛も軽くなり、7日もたたないうちに、自覚的な苦痛は全くなくなった。  《大塚敬節》


乳離れを早めたい
【芳香療法】
・ペパーミント油で冷湿布する。


乳房が大きくなる
■男性の乳房異常発達
「40歳の男性ですが、胃潰瘍の薬(H2ブロッカー)をしばらく飲んでいたら、最近乳房が大きくなってきたことに気づきました。心配無いでしょうか?
「薬の副作用で男性の乳房が大きくなることはまれではない。このような乳房の発達は、生理的にも、新生児期や思春期の男の子にはよく観察されるし、男性更年期の症状としても知られている。また、女性化乳房を引き起こす別の原因としては、女性ホルモンの増加や、男性ホルモンと女性ホルモンの相対比率に異常をきたすさまざまな病気の部分症状としてもみられる。
これらの病気の中には
<1>睾丸・副腎・下垂体・松果体などの腫瘍、  

<2>肺・肝・腎ガン、
<3>肝臓病、
<4>糖尿病、
<5>甲状腺機能亢進症などがあり、治療を急ぐべき病気もあるので、はじめから薬の副作用と決めつけず、正しい診断を求めることが大事だ。

#「女性化乳房を引き起こすことが知られている薬としては、
<1>H2ブロッカーのほかに、
<2>ホルモン製剤あるいはその拮抗薬、
<3>ジキタリス、    
<4>ACE阻害剤、
<5>カルシウム拮抗剤、
<6>抗真菌剤、
<7>抗精神病薬、    
<8>抗テンカン薬、
<9>抗ガン剤、
<10>抗結核薬など、様々な薬がある。   
多くは使用を中止すれば乳房の大きさも縮小するが、元に戻らない場合には外科的に摘出することも考えられる。「正しい治療と薬の情報」誌編集委員・別府宏圀1996.11.16《日本経済新聞》




乳房が脹って痛む
【芳香療法】
・ペパーミント油で冷湿布する。
【漢方薬】
■加味逍遥散


搐搦(ちくじゃく)
   ⇒四肢が曲がること。




窒息(ちっそく) asphyxia
(sphyxia=パルス)
=大気中の酸素濃度が低いか、あるいは換気・外呼吸・内呼吸が阻害されて起きる酸素の欠乏。

【漢方薬】
■甘草湯(急迫)
■桃核承気湯(実証、のぼせ、足冷、下腹部痛)

 

膣トリコモナス症
=粘膜に寄生するトリコモナス(原虫)が膣粘膜への刺激、抵抗力の低下によって発症する。性行為を通じて男子泌尿器にも感染する。


 

#膣炎(ちつえん) vaginitis
⇒膣の炎症。帯下・疼痛・痛み・出血が主訴。

女性が、おりものや陰部のかゆみを訴える疾患には、
カンジダのような真菌。
トリコモナスのような原虫。
細菌が原因、
女性ホルモンの減少による萎縮性(老人性)のものがある。     

外陰部も同時に炎症を起こすことが多く、陰膣炎と呼ばれることもある。

■膣カンジダ症
「28歳の女性。今春から、陰部にかゆみが起きて、おりもののようなものが出ました。婦人科で診てもらったら、膣カンジダ症と診断されました。性感染症かどうか分からず、主人も診察を受けるかどうか迷っています。医師は治りにくい病気だが心配いらないと言いますが、まだ完治せず、ほかに影響がないか心配です。(東京・E)
「カンジダ属と呼ばれる真菌、つまりカビの一種が膣や外陰に感染すると、炎症を起こし、おりものやかゆみが出ます。症状は原虫や細菌などが原因の膣炎とよく似ていますが、多少、かゆみが強いのが特徴です。しかし、自分ではカンジダかどうか判断するのは困難で、医師の診断が必要です」

〇他の膣炎と、きちんと区別する必要が有るのでしょうか?
「もちろんです。治療法が違います。真菌なら抗真菌剤が必要だし、細菌なら抗生剤を用います。使い方を間違えると、治りません。医療機関ではまず、膣内の液などを取って顕微鏡で見たり、培養したりして、原因を調べます。早ければその場で分かることもありますが、普通は2、3日で結果が出ます。
〇カンジダが原因の膣炎は多いのでしょうか?
「そもそも、カンジダというのは、口の中や消化管にも存在する、ごくありふれた真菌です。健康な女性の膣や外陰部に存在しても不思議ではなく、実際に妊娠していない女性からは約15%、妊婦では20~30%からこの真菌が検出された、というデータがあります。存在そのものが問題なのではなく、過剰に増えてしまうことが、炎症につながるようです。抗生剤の服用後にはカンジダが増殖しやすくなりますが、ほとんどが何故増殖するか、はっきり分かっていません」
〇性感染症を心配されているようですが?
「性交が原因で、カンジダによる炎症を起こす人は全体の数%にすぎません。膣カンジダ症に罹った人の大部分が、性感染症とは関係ないと考えるのが自然だと思います。ご主人も、必ずしも診察を受ける必要はないと思います。ただ、女性が何度も再発するような場合は、ご主人から感染していることも考えられます。また、まれに糖尿病の持病がある男性は、自分自身も炎症を起こすことがあります。心配のある人は、受診をお勧めします。
〇治療法はどんなものがあるのでしょうか?
「カンジダを殺すことが最も大事です。膣内に抗真菌剤の膣錠を入れて治します。毎日続けて10日~2週間、治療します。また、1週に1回まとめて治療する方法もあります。通常は、炎症が起きている外陰部にも抗真菌剤のクリームを1日数回塗る治療を併用します。
〇長引いているようですが?
「膣内のカンジダを殺しても直腸などに存在していることもあり、それが膣内に移って増え始めるケースがたまにあります。根気よく治療を続けなければなりません」
〇他の部位への影響はどうでしょう?
「細菌感染の場合ですと、子宮内や腹腔内に感染が広がって重大な疾患を引き起こすことがあるので気を付けなけれなりませんが、カンジダの場合は全身性疾患に広がることは、まずありません。他の部位への影響はあまり心配することは有りません」久保田武美・順天堂大助教授 1996.11.17《朝日新聞》
■イスラエルのバイリンソン医療センターの報告
「妊婦の細菌性膣炎に対してヨーグルトを膣内に注入したところ、殺菌力のある酢酸をしみ込ませたタンポンを用いた対照群に比べて有効であったという。

[PH4.5]のヨーグルトは正常な膣と同じ状態であることから、それが生理学的な細菌叢を再び造り出すのに役だったのではないかというのである。」
(井上勝六著「成人病を防ぐ現代人の食事学」参照)
【芳香療法】
<1>ラベンダー
<2>没薬
<3>ティトリ

【漢方薬】(かんじだ)
■五苓散
■土瓜根散
■腸癰湯
■竜胆瀉肝湯(疼痛、膣トリコモナス) 



膣直腸瘻(ちつちょくちょうろう) vaginorectal fistula
⇒直腸と膣のあいだに内瘻を形成している状態。

【漢方薬】
■五苓散
■四物湯
■大黄牡丹皮湯
■補中益気湯


中国ハーブ腎症
   ⇒(参照:薬物→「木通」)


虫垂炎(ちゅうすいえん) 
appendicitis
*急性のものは、食あたりに似て、腹全体が痛んで、嘔吐を伴うこともある。
*右下腹に疼痛が現れるのは、多く場合、数時間たってからである。
*多くは熱が出るが、出ないこともある。
*大便は便秘することもあり、下痢することもあるが、下痢するものには、重篤なときがある。
*痛みの激しいときは、腹壁が硬くなり、右の下肢を伸ばすことができなくなる。
虫垂炎でも疼痛が臍下に現れたり、右下腹にくることもある。
虫垂部の化膿がひどくなって、この部分が破れて、限局性の腹膜炎を起こしたり、ひどいときには汎発性の腹膜炎を続発する。
急性症が一応軽快して、慢性に移行することもある。

⇒虫垂は盲腸下端内側に連なる青虫様の管腔臓器である。この虫垂に限局した炎症をいい、急性と慢性がある。
<1>急性虫垂炎:原因不明
1.虫垂は炎症によって肥大腫脹、粘膜の潰瘍形成さらに腔内に膿液をもつようになる。
2.重篤になると、粘膜潰瘍が深部も侵し、壁は壊疽を起こし、穿孔性虫垂炎から広汎性腹膜炎に進展する場合がある。
3.虫垂の破壊が起こることなく周囲の臓器と癒着し、膿瘍を形成する場合もある(盲腸周囲膿瘍)。

【症状】
イ.胃部疼痛
ロ.悪心・嘔吐をもって始まり
ハ.右腸骨窩の自発痛・圧痛が著しくなる
ニ.右下腹部を圧迫すれば、腹壁筋が収縮し、いわゆる、筋性防御によって、さらに、緊張する。
ホ.発熱、頻脈がみられること

<2>慢性虫垂炎
急性症の経過後、周囲臓器と虫垂の癒着、膿瘍を形成し、慢性の炎症性障害あるいは、軽度の通過障害(回盲部)を潰す場合と、当初から慢性の経過をとる場合とがある。

■こどもの場合
慢性の虫垂炎の3大症状は
<1>嘔吐、
<2>腹痛、
<3>発熱

ですが、嘔吐もそんなに激しくなく痛みもさほど強くないことが多いので、カゼだろうなんて簡単に考えられてしまうことがしばしばあるのです。熱も37.5 ℃前後で大したことは有りません。ただ、注目すべき症状が2つあって、         

<1>「食欲が相当落ちている」、
<2>「遊ぼうとしない」というのが特徴的です。
  1991.12.19(山田真・小児科医)《朝日新聞》

■「天気がいい日には虫垂炎が多い」安保徹・新潟大学医学部教授。
   1997.5.27《日本経済新聞》」


【鍼灸】
「盲腸炎頓挫の名穴。盲腸炎の場合には、気海穴へ二三十壮すえる。すると盲腸部の痛みが消散すること妙である」《沢田流聞書鍼灸眞髄》

【漢方薬】(もうちょう)
■烏頭桂枝湯
■温経湯
■黄芩湯
■黄連湯
■枳実芍薬散
■桂枝加芍薬大黄湯
■桂枝加芍薬湯
軽症に用いる。腹部が一体に膨満し、腹痛は右側下部に限局しているが、脈が緩で、全身状態の良い者に用いる。慢性の者にも用いる(漢方診療医典)
■桂枝加大黄湯
■桂枝茯苓丸
亜急性のもので、慢性の者にも用いる機会がある。一般状態は軽く、熱も無く、腹痛は軽く、右下腹部に鈍痛と圧痛があるものに用いる。これに苡仁10.0を加えてもよい。(漢方診療医典)
■五淋散
■柴胡桂枝湯
虫垂炎の初期で、腹痛がまだ右下腹に限局する前で、腹壁が一体に緊張しているものに用いる。(漢方診療医典)
■三物備急丸
■真武湯
第2次世界大戦の末期から敗戦後の数年間は本方を用いる虫垂炎が多かった。本方は腹痛が激しくて、下痢があり、粘液を下し、体温が高いのに、悪寒、足冷、脈微数などの状があって、一般状態が重篤な者に用いる。かって某医院に入院していたこじれた虫垂炎の患者に、本方を用いて、著効を得たことがあった。この患者は腹痛、腹満が止まず、体温は39℃を超し、全身からは強い発汗があり、しかも悪寒、手足の煩熱、口乾を訴え、脈弱であったので、本方を用いた(漢方診療医典)
■大烏頭煎
■大黄附子湯
■大黄牡丹皮湯
30年あまり前には、本方を用いてよい虫垂炎が多かったが、この頃は本方を用いる患者をあまり診ない。外科的に処置する患者が多くなったせいかもしれない。
虫垂炎には下痢を禁忌とする場合が多く、この処方には大黄と芒硝が入っていて瀉下作用があるので、その使用量は慎重でなければならない。
この処方を用いる目標は、脈が遅緊であること、腫瘍が限局的で、周囲に腹膜刺激症状が無く、一般状態も良好な場合は、本方を用いて、便通をつけてやるとよい。
もし脈が大数または細数あるいは微弱であるよなときには、用いてはならない。この処方を飲んだために、腹痛が増したり、不快感を訴えるようであれば、処方を変えるがよい。(漢方診療医典)
■大建中湯
病気がやや長引き、亜急性期に入った者で、疼痛が強く、ガスのために、腹部が膨満し、腸の蠕動が亢進し、脈沈遅弱、または脈沈遅弦のものに用いる。
また限局性の腹膜炎を起こしているときやダグラス窩膿瘍のあるものに用いる。これで大量の膿が大便とともに排泄されて頓挫的に良くなった例がある(漢方診療医典)
■大柴胡湯
■腸癰湯[1]
■腸癰湯[2]
■通導散
■桃核承気湯
■当帰建中湯
■当帰四逆加呉茱萸生姜湯
■当帰四逆湯
■当帰芍薬散
■茯苓四逆湯
■薏苡附子敗醤散(急に脱症状を現す者)
これにも附子が配合されているが、これは初期に用いることはなく、日数を経過し、しかも炎症症状は軽く栄養が悪く、皮膚が枯燥し、患部は限局して化膿の傾向がみられ、腹壁は軟弱で、熱性症状のみられないものに用いる(漢方診療医典)
■薏苡附子敗醤散黄蓍
■闌尾化瘀湯
■闌尾清解湯
■闌尾清化湯

【民間療法】
<1>ドジョウ。
<2>ウシハコベ・ゴボウ・ダイコン・ナスビ・ノブドウ・ハコベ・ボタン・モグラ・モッコク。


虫積
◎凡て腹痛み口中に清水を出す者は虫積なり。
【漢方薬】
追虫散《万病回春》



 中(ちゅうえつ)
⇒身熱・自汗・煩渇・引飲する。
【漢方薬】
■益元散(中暑で身熱し吐瀉し、腸と下痢赤白の症と、閉する症)
■黄連香薷散(中暑と熱渇を治す)
■玉露散(暑渇を治す)
■桂苓甘露飲(伏暑で煩渇し、引飲する)
■春沢湯(暑熱と燥渇と引飲に度がなく、水が入ればすぐ吐く)
■清肺生脈散(暑が肺を傷つけ咳喘・煩渇し気促する)
■醍醐湯(暑熱を解き煩渇を止める)
■濯熱散(暑熱と煩渇と、霍乱の後の渇に)
■竹葉石膏湯
■通苓散(傷暑・煩渇・下痢・尿渋を治す)
■人参白虎湯



中悪(ちゅうお)
=瓦斯中毒。
⇒胸腹部が突然激しい刺痛で気絶しそうになり、人中が黒味を帯びるもの。
◎中悪=飛尸鬼撃病=急性の流行性激症疾患。

【漢方薬】#ガス中毒
■芍薬甘草湯(ケイレンする、疼痛)
■走馬湯


中寒(ちゅうかん)
=漢方の病証名と中焦の虚寒を指す場合とがある。

◎主薬:中寒の陰症には、附子・乾姜を主薬とすべし《万病回春》
<1>寒邪にあてられて病む病気(病証名)。
寒邪が直接に三陰に感じて、卒然として昏迷して人事不省になり、口をつぐみ四肢が強直して拘急し、疼痛する症。
①急いで治さないと死ぬ。
②中寒になると口噤し、四肢が強直して、卒然として暈倒する。

<2>中焦の虚寒:
陽気が不足し、脾胃の機能が衰退することにより、腹痛して按ずるを喜び、寒をいやがり四肢が冷え、口がまずく、悪心し、食少なく便溏する。

◎先に、熱酒と姜汁をそれぞれ半杯づつ飲んで、次に以下の処方を使う。
【漢方薬】
■回陽救逆湯
■廻陽湯
■乾姜附子湯
■五積散《和剤局方》
■四逆湯《傷寒論》
■朮附湯
■葱熨法
■当帰四逆湯
■附子理中湯
■麻黄附子細辛湯
■理中湯《傷寒論》


 中間期出血⇒「生理外の出血」参照

中気
=中風のこと。
⇒中風は脈が浮き、身体が温かく痰涎が多い。
中気は脈が沈み、身体は冷たく、痰喘がない。
中風には中気薬で治療しても害は無いが、中気は中風薬で治療すると大変な目にあう。
だからまず[蘇合香元]と使って、次に[七気湯石菖蒲]を使う。
【漢方薬】
■木香順気散(中気の治療薬)
■八味順気散(中気の特効薬)

 

中耳炎  Otitis media
⇒中耳に細菌などが侵入して炎症を起こしたもので、急性と慢性とがあります。
中耳に炎症を起こしたもので、急性と慢性がある。化膿しない単純性のものは俗に「カラミミ」といっている。急性のものは、急性伝染病や鼻、咽頭の病気から続発するすることが多く、耳の中が痛み、耳鳴、難聴などを訴え、発熱、頭痛、食欲不振を伴う、小児は特に高熱を出す。鼓膜は赤く腫れ、穿孔性のものは破れて膿が出ると痛みはとれる。急性乳様突起炎を併発すると重態である。一時的に治ってしばしば再発し、慢性に移行しやすい。
ことに化膿性のものは鼓膜の穿孔部から絶えず膿汁が出てなかなか治らない。俗にこれを「耳ダレ」という。
漢方では一般に単純性も穿孔性も駆共通して治療することが多い。
◎種類:
<1>[急性中耳炎]
・かぜがその主な原因ですが、ほとんどが咽喉炎や鼻炎に伴って起こります。
【症状】
初期症状には耳の痛み・発熱があります。

子供の場合には高熱が出ます。急性期に完治しておかないと、慢性中耳炎になったり、脳膜炎などを起こすことがあります。

<2>[慢性中耳炎]
悪臭のする膿が絶えず出て治りにくくなり、耳が聞こえにくくなったり、難聴になったりすることがあります。

■中耳炎で聞き返す癖
「O君は4才。1月に風邪にかかった後、鼻水が続き、そのころから「えっ、えっ」と聞き返しが多くなった。テレビの音を自分で多きくし、遠くから名前を呼ばれても気づかないことがあるという。
両側の耳を診ると、正常では白色透明の鼓膜が暗赤色に混濁していた。聴力検査をすると軽い難聴で、鼓膜の動きを検査するティンパノグラムの波は平坦だった。これは痛くない中耳炎、すなわち『滲出性中耳炎』である。鼓膜の後の中耳腔に液が溜まり、鼓膜が振動しないため聞こえなくなる。
滲出性中耳炎は子供に非常に多く、3歳で2~3割が罹っている。大人も罹るが、耳がふさがって自分の声がこもり、聞こえが悪くなるため、気分が大変悪くなる。子供はこれらに症状を訴えないので、周囲の人が気づかないと、精神的にも影響が出て、内向的になったりする。
急性中耳炎に引き続いて起こることが多く、痛みが無くなったからと通院を勝手にやめてしまうと、滲出性になりやすい。原因はこのほか、風邪・鼻炎・副鼻腔炎・アデノイド扁桃肥大である。原因の病気が薬で治らなければ、浸出液を取り除くために鼓膜を麻酔して切開する。
治りにくい場合には鼓膜に小さな換気チューブを入れ、中気腔に液が溜まらないようにする。小さな子供では全身麻酔をして、顕微鏡を使用して入れる。アデノイド扁桃も併せて摘出することがある。
ごく少数だが、癒着性中耳炎、耳の奥に真珠のような塊が出来る真珠腫性中耳炎になることがあるので、きちんと治るまで治療を続ける必要がある。
(川城信子・国立小児病院耳鼻咽喉科医長)1998.2.16《日本経済新聞》
   

■耐性菌増え目立つ入院
「抗生物質が効きにくく、一旦治っても何度も再発する子供の急性中耳炎が増えている。風邪を引いたことがきっかけになって熱を出し、中耳炎になるケースがほとんどだが、薬を効かないため、重症化して入院する例も目立っている。肺炎を併発したり、まれには髄膜炎を起こしたりするケースもある。
この春、2歳になる仙台市在住のA子ちゃんは昨年9月、球に熱が出て、急性中耳炎になっていたことが分かった。近くの耳鼻咽喉科医院で鼓膜を切って膿を出してもらい、その後は落ち着いていたが、12月になって風邪をひき、発熱すると、中耳炎が再発している事が分かった。
鼓膜の切開を受け、抗生物質も飲んだが、今度は熱が下がらず、耳を痛がり、症状は悪くなる一方だった。耳鼻科医院から「ここでの治療には限界がある」と東北労災病院(仙台市)の耳鼻咽喉科を紹介され、10日間入院して抗生物質の点滴治療を受けた。
「中耳炎がこんなに治療に時間がかかり、入院までしなければならない病気とは思ってもいませんでした」とお母さんは振り返る。
東北労災病院の末武光子・第2耳鼻咽喉科部長によると、中耳炎単独か中耳炎と肺炎、」気管支炎などを合併して入院した子供の数が1994年は58人だったのが、95年は81人、96年135人、97年95人98年は6月までで97人と増加傾向が続いている。年齢的には2歳以下の乳幼児が約7割を占め、1歳以下と小さい子ほど重症の子が多く、合併症も出やすかった。
末武さんは「中耳炎はこれまで抗生物質が良く効いて治っていたため、外来で簡単に治る病気と認識されていた。それが通用しない例が目立ってきた」と話す。
砂川慶介・北里大学医学部教授(感染症学)も昨年まで勤務していた国立病院東京医療センター小児科で、1995年以前は中耳炎だけの入院例はほとんど無かったのが、その後、次第に入院する例が増えてきたという。96年は同科の入院で中耳炎は1.5%だったが、97年は6.0%に。退院してもまた入院を余儀なくされる例も目立つ。
こうしたケースの原因と見られるのが、中耳炎を起こす原因菌のなかに抗生物質が効きにくい耐性菌が増えてきていることだ。多くの種類の細菌に効くセフェム系などの抗生物質の開発が進み、細菌検査もせずに抗生物質を多用する医師が多いことなどが原因だと指摘されている。
急性中耳炎の原因菌としては[肺炎球菌]と[インフルエンザ菌]が代表的だ。94~97年の東北労災病院で急性中耳炎の治療を受けた6歳以下の患者の耳から検出された菌の分析によると、最も多く検出された肺炎球菌のなかで、耐性菌はゼロで、抗生物質が効く感受性菌が81%、残りがやや効きにくい中間型だった。しかし、95年に耐性菌が初めて検出されると。96年は耐性菌が29%、97年は25%になった。逆に感受性菌は96年以降。30%以下に減り、耐性菌や中間型が大半を占めるようになった。
88年に日本で初めて耐性菌による中耳炎の患者の例を報告した杉田麟也・杉田耳鼻咽喉科院長が周辺診療所の7歳以下の中耳炎患者624人から91年~97年の間に検出した菌を分析した結果でも、この6年で耐性菌が約2倍に上昇していた。
杉田さんによると、耐性菌による難治性の中耳炎の子供の両親や、祖父母が治りにくい蓄膿症になるケースも目立つようになっていると言う。大人に子供に比べて中耳炎にはなりにくいが、同じ耐性菌が大人の鼻腔に感染し、悪さをしているらしい。
「子供ばかりに目がいって、データは少ないが、大人でも耐性菌による肺炎も含めて、治りにくい中耳炎が増えてくる可能性がある」と話している。1999.1.31     《朝日新聞》
■治りにくい中耳炎
「帝京大学の紺野昌俊・名誉教授が代表を務める「肺炎球菌等による市中感染症研究会」は、各地の患者から検出された中耳炎の原因菌を調べたり、病院などにアンケートしたりして、適切な治療法の検討を続けている。1997年に出来たこの研究会には、全国48施設の医師や検査技師らが参加している。これまでの調査で、慎重な使用が求められる抗生物質を長期間処方し続けている耳鼻科医、子供の鼓膜の見方を良く知らない小児科医をいることが分かった。紺野さんは「医師が抗生物質を過信し、患者の微妙な変化を見なくなっているようだ」と話す。
こうした状況を改善するための医師への助言は3つ。
①抗生物質が効く場合は3日以内に効果が出る。出なければ、もう一度検討する。
②状態がおかしければ、翌日も治療に来るよう患者にきちんと説明する。
③小児科医と耳鼻科医の連携を強化する。
患者側にも問題はある。医師の処方を守らず、症状が良くなると薬を飲むのを止めてしまったり、服用回数を減らしたりする。「この約はいつまで飲んだらよいのか。もう一度診察を受けるべきか。患者から医師に問いかけることも必要だ」と紺野さん。
中耳炎の予防策として多くの医師の勧めるものに、鼻の洗浄治療がある。中耳炎など呼吸器感染症の原因菌は鼻腔に集中する。とくに、中耳炎になりやすい2歳以下の子供は1人で鼻がかめず、鼻汁がたまりがちなので、洗浄の効果は大きい。抗生物質の濫用による耐性菌の増加を防ぐことにもなる。
東北労災病院(仙台市)小児科の高柳玲子医長は昨年から耳鼻咽喉科の協力を得、市販の鼻汁吸引器を使い自宅で幼児の鼻汁を吸引し、洗浄する方法を親たちに教えている。
まず食塩20gと重曹5gを1の水に溶かして小さなスプレー容器に入れ、鼻の中に噴霧して鼻汁の粘り気を弱める。そのあとすぐ鼻の穴に鼻汁吸引器を密着させて吸引する。これを1日3回する

【漢方薬】
■黄蓍建中湯
■葛根加朮附湯
■葛根湯
初期に耳の中が痛み、悪寒、発熱、頭痛があり、脈は筆力があるときに用いられる。また肩こりを訴えたり、脳膜炎様の症状を呈するときにも用いられる。もし嘔吐を伴うときは、半夏5.0gをクワ、煩渇を訴える場合、穿孔性で排膿のあるものには桔梗3.0g、石膏5.0gを加える(漢方診療医典)
■葛根湯桔梗石膏
■荊芥連翹湯
小柴胡湯を用いる時期を過ぎ、なお耳痛を訴え、分泌物が多く、熱も続くものには本方に蝉退・蔓荊子各2.0gを加える。本方を長期服していると慢性に移行せずに治癒することが多い(漢方診療医典)
■桂枝加黄蓍湯
体質の虚弱な人で、慢性に移行し、薄い膿が長引き、なかなか治らないというものに長く内服させる。小児の場合にほんぽうがよい。虚の甚だしいものには帰蓍建中湯を用いる(漢方診療医典)
■桂枝加朮附湯
■柴胡桂枝湯
■柴胡桂枝乾姜湯
■柴胡清肝湯
■柴平湯
■十味敗毒湯
■小柴胡湯
発病後数日を経過して、悪寒、発熱があり口苦く、舌に白苔があり、耳痛、難聴、膿汁の出るものに用いる。熱が強くて煩悶、口渇を訴える者には、桔梗3.0g石膏5.0gを加える(漢方診療医典)
■大黄牡丹皮湯
■大柴胡湯(加桔梗石膏)
数日を経過したもので頭痛、悪寒があり、脈は沈んで力があり、腹部は膨満拘攣し、便秘の傾向がある陽実証の人に用いる。煩渇のあるものには石膏5.0gを加える(漢方診療医典)
■托裏消毒飲
慢性に移行して排膿の止まらないものに長期連用させる。虚証を呈しているものには千金内托散がよい(漢方診療医典)
■当帰芍薬散
■当帰竜薈丸
■排膿湯
■排膿散及湯
■伯州散
慢性化し排膿の続く場合には伯州散を兼用させる(漢方診療医典)
■防風通聖散
肥満壮実の体質のもので、腹部膨満充実し、便秘の傾向があって排膿が甚だしく長引き、食毒、水毒の多いものには本方を用いる(漢方診療医典)
■麻黄細辛附子湯
■蔓荊子散
慢性に移行したもので、上衝して内熱が続き、稀薄な膿汁が続き、しかも難聴や耳鳴りがあるものに用いて良いことがある。長期の服用が必要(漢方診療医典)
■竜胆瀉肝湯
■涼膈散石膏
大柴胡湯を用いる時期で、なお熱が続き、便秘して尿が赤く、煩渇が甚だしく、舌苔の著明なものに本方を用いる(漢方診療医典)
■苓桂朮甘湯
■苓桂味甘湯(苓桂五味甘草湯)
疼痛も少なく、熱もそれほどなく、薄い浸出液が多く、上気して、頭が重く、難聴、耳鳴りがあって尿量の少ないものに用いてよいことがある(漢方診療医典)

【民間療法】
<1>ユキノシタ。
<2>ドクダミ・ハコベ・ハマゴウ・マムシ・ムカデ・レンギョウ。


中暑(ちゅうしょ)
=暑熱の気候的変化に影響されて起こる潜在的疾患の増悪する場合であって陰証である。

《古今方彙》中喝に同じ。
・「注夏病」は、夏まけ。
・「霍乱」は、暑気にあてられて起こる吐瀉病。

⇒夏至日を過ぎた後、熱で病気になった症=「暑」という。(暑気あたり)
<1>暑病は:身熱・自汗・口渇・顔に垢がつくのが特徴。病勢は六厥が沈伏し、冷汗が自ら流れて悶絶し、昏冒して人事不省になる。
<2>中暑の病勢は:六厥が沈伏し、冷汗が自ら流れて悶絶し、昏冒して人事不省に成る。中暑=中。
<3>「伏暑」=背が冷え、顔に垢がつき、少し動いても熱が出、口が渇き、小便が出ると寒気がし、毛髪が立つ症。
<4>中暑で昏迷し、痰が壅塞して、人事不省になる:[至聖来復丹]
<5>中暑で人事不省:[皀莢(焼)・甘草(炒)]作末し毎2銭、温水で調下。
<6>中暑で精神が昏冒し、驚悸して妄言:[辰砂益元散]2銭を井水で調下。
<7>中暑が再び風に傷つくと搦して人事不省になる(=暴風):
[蘇合香元]を飲んで蘇生するのを待って、他薬を与える。◎主薬:中暑には、香・扁豆を主薬とすべし《万病回春》

【漢方薬】
■益元散(中暑で身熱・吐瀉・下痢赤白・閉)
■黄蓍湯(中で脈が虚弱)
■黄蓍人参湯(両脚が痿軟し、煩熱・嘔・自汗・頭痛)
■黄連香飲(中暑・熱渇)
■回生散《医学入門》
■加減正気散《万病回春》
■加減令湯《寿世保元》
■加減人参白虎湯《万病回春》
■加減理中湯《万病回春》
■加味四苓湯《万病回春》
■藿香正気散《万病回春》
■近製清暑益気湯《医学六要》
■九君子湯《医学入門》
■玉露散(暑渇を治す)
■駆暑益元湯《寿世保元》
■桂苓甘露飲(伏暑で煩渇し引飲)
■桂苓元(暑月に吐く)
■解暑三白散(水を飲みすぎて吐瀉)
■香飲
■香解毒湯《寿世保元》
■香湯(暑病と吐瀉)
■香朴飲子(傷暑で吐瀉・煩乱)
■五苓散《傷寒論》
■七味白朮湯《医方考》
■縮脾飲《和剤局方》(腹痛・吐く)
■十味香飲(暑を払い、胃を和らげ、気を補う)
■春沢湯(暑熱・煩渇・引飲、水が入ればすぐ吐く)
■小柴胡湯茯苓《万病回春》
■生脉散
■参帰益元湯《寿世保元》
■参飲(暑熱を払い、元気が出る。霍乱・吐瀉の予防に)
■清気飲(発熱して汗を多くかいて気力がなく、脈虚細遅)
■清暑益気湯(四肢困倦・精神短少・動作が鈍り、小便黄色く、大便が少なく、身熱・煩渇し、下痢・食欲不振、自汗する)
■消暑十全飲(傷暑と吐瀉)
■清肺生脈飲(暑が肺を傷つけ咳喘・煩渇・気促する)
■醍醐湯(暑熱を解き、煩渇を止める)
■大順散(暑月に煩渇、水を飲み過ぎ吐く)
■濯熱散(暑熱・煩渇)
■通苓散(傷暑・煩渇・下痢・尿渋)
■二香散《寿世保元》
■人参四逆湯《傷寒論》
■人参白虎湯《金匱要略》
■麦門冬湯《寿世保元》
■白虎加人参湯(煩渇、大便硬、多食、)
■附子理中湯《薛立斎十六種》
■補中益気湯香・白扁豆《万病回春》
■補中益気湯五味子・麦門冬《医学六要》
■補中益気湯柴胡・升麻黄柏(炒)・白芍薬《明医雑著附》
■六和湯《和剤局方》(暑で嘔吐・下痢・浮腫・瘧痢)


中湿
=湿気にあたって病む。
◎主薬:中湿には、蒼朮・白朮を主薬とすべし《万病回春》

【漢方薬】
■藿香正気散《万病回春》
■加味五苓散《医学正伝》
■羗活勝湿湯《内外傷弁惑論》
■五積散《済世全書》
■除湿羗活湯《内外傷弁惑論》
■除湿湯《医学入門》
■滲湿湯《万病回春》
■腎着湯《備急千金要方》
■独活寄生湯《和剤局方》
■二陳湯《万病回春》
■不換金正気散《医方考》
■茯苓滲湿湯《医学正伝》
■茯苓湯《医学正伝》
■平胃散《医方考》
■防已黄蓍湯《金匱要略》


中心性奬液性網脈絡膜症
=黄斑部の限局性奬液性網膜剥離であり、30~40歳代の男性の片側に好発する。
その本態は、網膜色素上皮層に血液網膜関門の機能が破綻し脈絡膜由来の漿液が網膜下に貯留して限局性に網膜剥離を起こしたものである。
通常6ヵ月以内に自然治癒することが多い。
(誘因)
ストレス、過労、睡眠不足

(症状)
*中心暗点
*変視症
*小視症
*軽度視力低下
*軽度遠視

【漢方薬】
■桂枝茯苓丸
婦人などで月経異常を伴い、腹部に血を認め、経過の長引くものによい。小柴胡湯や大柴胡湯と合方してもよい。
30歳のバーのマダムで、シッカリした体格である、1年前から視力障害を訴え、眼科では白内障と中心性網膜炎といわれた。有名な眼科専門医を歴訪したが、どこでも失明不治を宣告されてしまった。頭痛、肩こりがひどく、月経時に特にひどい。人工流産を数回繰り返したことがある、下腹部臍傍に瘀血症状が顕著である。桂枝茯苓丸を10日分服用すると、肩こりや頭痛、首筋のこりがウソのようにとれ、20日後には少し視力が回復し、1ヵ月後にはピンポンができるようになった。2ヶ月後には新聞が読めるようになり、4ヶ月後には左右とも視力0.9まで回復し、主治医はまさしく漢方による奇跡的治癒と言った(漢方診療医典)
■小柴胡湯
体質改善の意味で長期に服用させる(漢方診療医典)
■大柴胡湯
やや実証の頑健な体質の人で、便秘がちで胸脇苦満のいちじるしい者に(漢方診療医典)
■桃核承気湯
■当帰芍薬散



中心性視神経萎縮
【漢方薬】
■苓桂朮甘湯(小便不利、めまい、)


中心性網膜炎 central retinitis
⇒網膜黄斑に円形の水腫を生じる疾患。40才代の男性に多い。
【漢方薬】
■杞菊地黄丸
■知柏地黄丸


中枢神経の疾患
◎中枢神経の感染症では、以下のような症状が見られる。
発熱
頭痛
髄膜刺激症状:○項部硬直、○Kerning徴候、○Brudijinski徴候
脳圧亢進症状:○悪心、〇嘔吐
ケイレン
意識障害
脳神経麻痺
   

◎種類
髄膜炎:
〇化膿性髄膜炎:(一般細菌)
〇細菌性髄膜炎:(肺炎球菌・インフルエンザ菌・髄膜炎菌・グラム陰性菌)
〇結核性髄膜炎:
〇真菌性髄膜炎
〇ウイルス性髄膜炎
脳膿瘍
日本脳炎
単純ヘルペス脳炎

【漢方薬】
■呉茱萸湯


#中枢性尿崩症
=抗利尿ホルモンであるバソプレッシンの欠乏により、尿濃縮力障害をきたし、口渇、多飲、多尿をきたしている状態。

◎種類:
①原発性:

(a)遺伝性----新生児期~乳幼児期に発症する極めてまれな疾患。
(b)特発性

②続発性

◎診断基準:1989年、厚生省定疾患間脳下垂体機能障害調査研究班
主症候:
①口渇および多飲
②多尿:尿量は1日3000‹以上。小児においては1日3000‹/‰体表面積以上。
検査所見:
①低張尿:[尿浸透圧/血漿透圧比]<1
尿糖・尿タンパク-:性
血清クレアチニン値:正常
血清カリウム値-:正常
血清カルシウム値:正常

②負荷試験:バソプレッシン負荷試験
      飲水制限試験
      高張食塩負荷試験
      血漿バソプレシン値



中足骨痛    (参照→しびれ)
⇒関節や腱から発生するガングリオンと呼ばれる袋が、神経を圧迫して起きる病気。

◎症状:①足の人差し指と中指の間の部分or付け根の部分が痛む。
       

#中毒 poisoning, intoxication
◎応急処置:
*洗濯用洗剤を誤って飲んだ時:生卵or活性炭を入れた牛乳を飲ませる。
*毒性植物の中毒:
胃の中の毒性物質を排出するために、自分で吐を起こし、そして液体をたくさん飲んで胃の中を洗浄する。
胃洗浄に使うもの:
 ①0.05~1%の過マンガン酸カリウム溶液or
 ②0.5%のチオ硫酸ナトリウム溶液or
 ③0.1%のタンニン溶液
洗浄後、解毒剤を飲む。「500ccの水に、大さじ1~3杯の活性炭と2杯の酸化マグネシウムを溶かして飲む。」
30分後に胃の洗浄を繰り返す。
必要に応じ、浣腸or下剤を使う。   

《パム》は、運動神経の麻痺に有効。パムは、リン酸化アセチルコリンエス テラーゼのリン酸基に近づき、パム自らがリン酸化されてリン酸化パムになる。そうすると、アセチルコリンエステラーゼからはリン酸基が離れて、その活性を回復する。ただし、サリンで5時間・ソマンで2分・タブンで数秒の余裕しかない。(Quark 6 JUN '95 NO.156)」

■有機リン中毒
「家庭用の農薬で多く使われているのが有機リン化合物。安価で効き目が強い。だが最近は慢性中毒が指摘されている。海外では使用が禁止されている国も多い。

#有機リン農薬の中毒症状
頭痛
肩こり
めまい
倦怠感
農薬を吸った直後に症状が出るとは限らない。気づかずに吸入し続けで慢性中毒に成ることもある。
2005年3月、厚生労働省の研究班(主任研究者:石川哲北里大学名名誉教授)は、農薬に使う有機リン化合物は神経や免疫・内分泌にも障害をもたらし、特に小児の吸入は将来に重大な問題を引き起こす可能性があると結論づけた。
人体が有害物質を取り込むのは約8割が肺からの吸入、食物からは1割に満たないとの研究報告もある。散布の方法を誤れば中毒のおそれがある。
健康被害は農薬の使用者だけに限らない。農薬がまかれた近所に住む住民に被害が出ることもある。高層マンションの上階で使用された農薬が風に乗って飛散することもある。
農家が使用する場合に比べ、ガーデニングでは農薬の使用がずさんになりやすい。しかも、農薬を使わずにガーデニングを楽しむのは難しい。

【芳香療法】
◎非常に危険な精油:ビターアーモンド(シアン化合物を含有)
◎長期間使うと危険な精油:アニス(常習癖を生じる)
◎精油を経口投与すること:大部分の精油が当てはまる。
◎中毒の危険性がある精油:カンファー
             マグワート
             ペニロイヤル
             サッサフロス
             ツーヤ
             ウインターグリーン
             ワームウッド
◎注意が必要な精油:セージ
          タイム
【宝石療法】
<1>[ルビー]

【民間療法】
<1>ナスのへた
<2>ギンナン(酒の中毒)
<3>クチナシ(キノコ・魚)
<4>ツワブキ(フグ・かつお)
<5>ヒマシ油
<6>ナンテンの生葉(吐剤)
<7>クロマメ甘草
  

【漢方療法】 #中毒に用いる漢方処方
<1>100物の毒を消す-[甘豆湯][万病解毒丹]
<2>水毒を消す-[消水毒飲子]

【漢方薬】#中毒
■黄連解毒湯
■甘草湯(急迫症状)
■甘草粉蜜湯
■呉茱萸湯(薬物中毒)
■至宝丹
■薺湯《古今方彙》
■大黄黄連瀉心湯(ふぐ)
■如意丹
■麻黄加朮湯(ガス中毒)
  



中毒性表皮壊死症=「Lyell症候群」
(TEN)Toxic Epidermal necrosis
⇒皮膚の大部分が広範囲に及ぶ紅斑となり、2度の熱傷と同程度の水疱を伴う。

◎発熱と共に急激に発症する。
◎しばしば、口腔粘膜や結膜にもビランを生じる。指頭による摩擦を加えると表皮剥離するのが特徴である。
◎非常に重篤で、死に至ることもある。
◎副作用で発症:
①ペニシリン系の抗生物質
②セフェム系の抗生物質
③抗テンカン薬
④非ステロイド性抗炎症薬





中皮腫
=アスベスト(石綿)を吸い込むことで胸膜や腹膜にできるガンの一種。吸引から発症までの平均潜伏期間は38年。平均発症確認年齢は61歳だった。

■血液で検査
「血液で診断するキットを、順天堂大学の樋野興夫教授(病理学)と㈱免疫生物研究所(群馬県)が2005年7/15開発。中皮腫が出すタンパク質だけと結合する抗体を利用した手法。
ラットの腎臓ガンで活発に働く遺伝子『Erc』を発見。Erc遺伝子が作るタンパク質の量は、ガンの進行に応じて2~5倍に増えることを突き止めた。
ErcI遺伝子とタンパク質は、人でも胸膜や腹膜などの中皮に通常あることが分かり、中皮腫になると増えると判断。このタンパク質にと奇異的に結合する独自の抗体を開発。患者から摘出した組織を染色検査したところ、病変部が正確に染まり、診断に有効なことを確認。」

■治療薬「アリムタ(一般名)」
「2006年6/26、日本イーライリリー(神戸市)は、アスベスト(石綿)の吸引が主な原因で発症するガンの一種、中皮腫の治療薬「ペメトレキセド(一般名:アリムタ)」の製造販売承認を厚生労働省に申請した。
ペメトレキセドはガン細胞が生存するのに必要な酵素の働きをおさえ、肺を包む胸膜の表面に出来るガンである『悪性胸膜中皮腫』を治療する。
他の抗がん剤との併用で効果を発揮する。
中皮腫患者に見られる胸に痛みや呼吸困難などの症状も大きく改善したという。すでに70ヶ国以上で承認済み。」
■ERC
「中皮腫を発症すると、血中で増えるタンパク質がERC」
■カーボンナノチューブ
「2008年5/20、未来の新素材として研究開発が進むカーボンナノチューブについて、人が吸い込むとアスベストと同じように、肺に中皮腫を引き起こす可能性があるとする調査結果を「ネイチャー・ナノテクノロジー」電子版が発表。
マウス実験で、細長い螺旋構造を持つカーボンアノチューブを与えられると、細長い構造の石綿繊維を投与した場合と同様の症状が出現。
同じカーボンナノチューブでも、短い構造では症状が出なかった。
調査を担当した英アバディーン大学のアンソニー・シートン名誉教授は「製造・使用・処分の各段階で適切なステップを踏み、人が吸い込まないように」安全対策を講じる必要があると指摘している。




中風(ちゅうふう)
=「脳卒中」。
(1)外感風邪の病症:脈が浮き、身体が温かく痰喘が多い。(→中気)
(2)病名:卒中=卒中風に同じ。(→卒中)

⇒脳出血によって、半身または腕・足など身体の一部がマヒして感覚がなくなり、自由が効かなくなる病。
◎中風、脈浮なるは吉・滑は痰気を兼ねる。それ或いは沈滑に風に風を以て治すること勿れ。或いは浮或いは沈、而して微、危うきを扶け、痰を治す。風は未だ疎かにすべからず。浮遅の者は吉。急疾の者はす。《万病回春》
◎中風は痰涎多く身温かし。中気は涎なく、身冷なり《古今方彙》
◎大体において、湿が痰を生み、痰が熱を生み、熱が風を生む《丹渓心法》
肝木の風で卒中するのではなく、又、外が風で卒中するのでもなく、その原因は調息の失調で心火が暴盛し、腎水が衰虚して制することが出来ず陰が虚し、陽の実で熱気が怫欝し、心神が昏冒になり、筋骨が使えなくなって卒倒して意識がないのは、主に五志(喜・怒・思・悲・驚)の過極なため起因するもので、五志の過極は、また熱が起こる。    

◎主薬:卒(にわか)に倒れ語らざるには、須べからく、牙皀、細辛を用いて関を開くを主と為すべし《万病回春》
  

【種類】《備急千金要方》
<1>偏枯(ヘンコ):血気が偏虚して半身不随になり、肌肉がやせて骨間が疼痛する、半身不随になり、肌肉の一部分が使えなく疼痛し、言語は変わらず、知慧も乱れない。      
<2>風(フウヒ):体に疼痛はないが四肢は動かない。
<3>風懿(フウイ):昏暗で人の見分けもつかない。急に昏迷してひっくりかえり舌が強ばってかくかくと音がする。
<4>風痺(フウヒ)

【種類】《万病回春》
<1>真中風:
<2>類中風
「中風は真中風あり、類中風の分ちあり。真中風は中たる時に卒倒す。皆体 気の虚弱に因って栄衛調を失し、或いは喜怒憂思悲驚恐、或いは酒色、労力に傷たる。以て真気耗散し、理蜜ならず。風邪虚に乗じて入る。乃ちその中ることなり。腑に中たり、臓に中たり、血脈に中たり、気虚・血虚の不同あり。因って治法も亦異なることあり。大抵腑に中たる者は治すべし。臓に中たる者は医し難し。不治の証あり。
凡そ口開き、手撒(ひろ)がり、眼合し、遺尿し、沫を吐き、直視し、喉鼾睡の如く、肉脱し、筋骨痛み、髪直ち、頭を揺り、上(じょうざん)(上目づかい)し、面赤くして粧えるが如く、汗綴りて珠の如く、痰喘声を作すは皆治せざるなり。若し動止に筋痛むは、是れ血、筋を滋すことなき故に痛む。筋枯と曰う。」

【治療法】
発作を起こして意識不明:
<1>(熱タイプ)
[症状]
突然卒倒し昏迷する。歯を強くかみしめ、両手は握りしめ、顔面紅潮して息が荒く、喉(ノド)に痰の音がして、舌質<紅>、舌苔<黄膩>、脈弦滑数。

[治療]:
①まず、至宝丹(0.6g)or安宮牛黄丸1粒を水に溶かして口or鼻から流し込む。
②続いて、痰が多い者には:「羚羊角釣藤湯菖蒲・天竺黄・胆南星・竹瀝・川貝母」

③高熱がある者には:「三黄瀉心湯竜胆瀉肝湯加減」
④四肢がケイレンする者には:[全蝎]・[白殭蚕]・[蜈蚣]を使い、
⑤舌が乾燥し、津液が少なく、舌質紅、脈弦細の者には:[生地黄]・[芍 薬]・[亀板]を使う。⑥鍼治療:[人中][合谷]

<2>(寒タイプ)
[症状]:
昏迷卒倒し、口を堅く閉じて手を握りしめ、顔面は蒼白、口唇は紫色、口からよだれを垂らし、四肢は冷たく、舌苔<白滑膩>、脈沈滑。

[治療]:
①まず、蘇合香丸を毎日1~2粒、水で溶かして流し込む。
②続いて[滌痰湯天麻・欝金・白附子]
③鍼治療:[人中][合谷]
発病後、正気が邪気に勝てず、突然虚脱状態に陥り:

[症状]:
意識不明、目は閉じたり開いたりし、鼻息は微弱、大小便失禁、汗が出て四肢が冷たい。脈は微細~無脈。

[治療]:
①「参附湯」を大量に煎じて口から流し込む。
②灸:[関元][気海]
③陽気が戻り、虚脱状態から脱したら、顔色は赤みが戻る。
④足が冷たく、胸苦しいときには地黄飲子をベースに使い:
(1)ノドに痰があれば:「遠志・菖蒲」
(2)精神不安があれば:「竜骨・牡蛎」
(3)補陰に必要があれば:「亀板・阿膠」
◎軽い中風:

[症状]:
意識ははっきりしている。四肢にしびれ、言語障害、半身不随、顔面がゆがみ、大小便が困難or失禁、舌が歪んだり・ふるえ・萎縮する。
[治療]:
①「鎮肝熄風湯」をベースにして、症状により加減する。
②舌苔が厚膩、痰が多いとき:「二陳湯」or「導痰湯」。
③イライラして不眠、舌質紅の者は:上の3処方に「黄連・山梔子・遠志・酸棗仁」。
④症状が落ち着いてからは、「杞菊地黄丸」を続服させる。

◎中風の後遺症:
[症状]:
①言語障害、半身不随が残っている:「補陽還五湯」をベースに、「菖蒲・遠志」。
②四肢が軟弱無力のときは:「健歩虎潜丸」。
③顔面の歪み、筋肉の麻痺、運動障害があれば:「大活絡丸」「小活絡丸」を使う。
  

【漢方薬】

■一物瓜蒂湯
■一粒金丹(一切の諸風)
■烏梅肉に南星・細辛末を混ぜ、中指に付けて歯をこする。(人事不省)
■烏薬順気散(一切の風疾、・歴節風)
■烏竜丹(口眼が喎斜し、手足に力無く、引っ張るような感じがして、言 語不渋
■開関散(目が暗く・奥歯をかみしめる)
■加減除湿湯(中風で右半身不随)
■加減潤燥湯(左の半身不随)
■加減導痰湯(中風で痰が多く、言葉が出なく、熱あり)
■加減排風湯(手足が不自由)
■加味十全大補湯
■加味四君子湯(右半身不遂)
■加味四物湯(左半身不遂)
■加味順気参(気鬱、肩膊麻痛)
■加味青州白元子(中風の壅塞・喎斜・)
■加味大補湯(左右の)
■蝎麝白元子(中風の痰涎壅塞)
■活命定志丸(昏冒)
■換骨丹(中風の喎斜・・暗風・風癇)
■活愈風湯(言語が不自由・精神が昏冒・痩せて偏枯・肥って不遂)
■風至宝丹(昏冒と風熱を兼ねる)
■風除湿湯(右の半身不随)
■風導痰湯(中風、中気)
■去風丹(諸風、・大風・破傷風)
■禦風丹(中風の口眼喎斜・半身不随・神昏・語渋)
■気散(中風、気虚不随)
■金生虎骨散(偏枯)
■駆風豁痰湯(口眼喎斜、手足頑固麻)
■解語丸(話し方が正しくない)
■牽正散(喎斜)
■牛黄金虎丹(人事不省・体が硬直・よだれ・いびき)
■牛黄清心元(救急時に)
■牛黄定志丸(昏冒)
■五輪湯(中風の諸病)
■五輪湯秦・桃仁・紅花(左)
■五輪湯牛膝・木瓜・苡仁(右)
■五輪湯遠志・菖蒲・括楼仁・麦門冬・枳実(舌強ばり、言語不能)
■五輪湯白・白蚕(口眼喎斜)
■五輪湯括楼仁・枳実(痰涎熾盛)
■五輪湯烏薬・白蚕・薄桂(肢体頑麻)
■五輪湯乳香・没薬・肉桂(筋骨疼痛)
■五輪湯白・蔓荊子・藁本(頭目眩暈、頭痛)
■五輪湯皀角・木香(手足拘攣)
■犀角升麻湯(鼻・額・唇・頬車・髪際が疼痛)
■三黄瀉心湯(精神不安、顔面紅潮、吐血衂血<鮮紅色>、心下痞、胃部膨満停滞感、便秘、脈有力)
■三化湯(中風で九竅閉じて唇緩く、舌強ばる)
■三生飲(卒中風に痰塞、昏倒して人事不省、脈沈、熱なし)
■三生飲+人参湯(人事不省、口眼喎斜)
■三物備急丸
■地黄飲子(足が不自由・言語不自由)
■滋潤湯(中風臓に在りて大便閉結する)
■四白丹(昏冒)
■四物湯釣藤鈎・姜汁・竹瀝(血虚で左手足不仁)
■資寿解語湯(言語不自由)
■七気湯(加石菖蒲)
■至宝丹(卒中が急で喋られなくなり、人事不省・精神が昏冒)
■十味散(中風にて血弱、臂痛連り、及び筋骨挙動困難)
■正舌散(言語不自由)
■小省風湯(卒中風、口噤、口眼喎斜、マヒ)
■小続命湯(人事不省・喎斜・・で麻木)
■小通聖散(風熱・頭痛・咽疼・頬腫)
■滌痰湯(中風で痰が心竅を迷塞し、舌がまわらない)
■上池飲(一切の中風、左、右、半身不随、口眼喎斜)
■青州白元子(中風の痰涎壅塞・喎斜・、婦人の血風、小児の驚風)
■省風清痰転舌湯(口眼喎斜、舌強ばり、言い難きを治す)
■省風湯(人事不省・熱なし)
■舒筋保安散(・筋脈が拘攣・疼痛)
■如程飲(口眼喎斜)
■秦升麻湯(口眼喎斜)
■沈香半夏湯(中風の痰が盛んなとき)
■参蘇飲(口眼喎斜、半身不遂)
■腎瀝湯(言語が不自由・口眼喎斜・耳が聞こえない)
■清気宣風散(風熱)
■清神解語湯(言語不自由・人事不省)
■清熱導痰湯(中風で痰涎壅盛、言語不能、牙関緊急、面赤く、身熱)
■清痰順気湯(口眼喎斜)
■清陽湯(口眼喎斜)
■星附散(手足がだらりとなる)
■摂生飲(人事不省・熱なし)
■川芎石膏散(風熱、中風でしゃべらない)
■角散(痰塞)
■増減烏薬順気飲(七気が原因)
■疎風順気湯(半身不随)
■疎風湯(手足が不自由)
■蘇青元(気を和かにし風痰をなくす)
■続命煮散(風虚・自汗)
■蘇合香元
■大黄黄連瀉心湯
■大三五七散(八風五痺)
■大省風湯(痰涎壅盛、口眼喎斜)
■大秦湯(大小便が不通・手足が不自由・しゃべられない)
■大防風湯(風を去り、気を順らし血を活かす)
■奪命散(小児驚風で危急)
■鼻通散(人事不省)
■導痰湯(中風に痰が盛んで言語が渋く、眩暈する)
■通関散(人事不省)
■通頂散(人事不省)
■定風餅子(再発防止に)
■鉄弾元(中風の喎斜・・涎潮・語渋・筋攣・骨痛
■天仙膏(口眼喎斜)
■天台散(・疼痛)
■天麻丸(中風で熱あり)
■転舌膏(話せない)
■導痰湯(痰飲で語渋り、頭目眩暈)
■透氷丹(大小便の秘渋、痰涎の壅塞、風、熱あり)
■独参湯(卒中に)
■二参丹(健忘)
■二陳湯(風盛痰壅)
■人参活散(中風、痰が盛んで煩熱)
■人参順気湯(中風で気が苦しく、喎斜・・言語が渋く・疼痛)
■人参敗毒散(風が腑に中り、手足拘急、悪風寒する)
■貝母括楼湯(肥満して、口眼喎斜、マヒ)
■排風湯(狂言妄語、精神錯乱)
■巴豆丸(痰が詰まり、死にそう)
■巴豆薫法 (口噤し人事不省)
■八珍湯釣藤鈎・姜汁・竹瀝(気血ともに虚、左右の手足不仁)
■八宝回春湯(虚症の中風)
■八味順気散(中風にて正気は虚し、痰涎壅盛する)
■秘伝順気散(中風の喎斜・)
■不換金丹(口眼喎斜)
■復正湯(風が経絡に中り、口眼喎斜)
■辟選錠子(一切の諸風9
■防風通聖散(風熱、中風でしゃべらない)
■補中益気湯(労役過度で)
■補中益気湯黄蓍秦・防風・天麻・半夏・竹瀝・姜汁(口眼喎斜語渋、四肢不随)
■補中益気湯秦・防風・釣藤鈎・竹瀝(鼻塞、二便閉)
■補中益気湯防風・活・天麻・半夏・天南星・木香(左右)
■補中益気湯石菖蒲・竹瀝(語言蹇渋)
■補中益気湯生姜・黄連(炒)・活・防風・荊芥・竹瀝・姜汁:(口眼喎斜)
■補中益気湯肉桂・芍薬・防風(脾胃不足で、)
■補中益気湯附子(炮)・木香・活・防風・烏薬・麦門冬:(中風で面目十指ともにマヒ)
■補中益気湯神麹・麦芽・乾葛・沢瀉:(善く飲み、舌本強硬、語言不自由)
■補中益気湯半夏・茯苓八味地黄丸(吐痰、頭暈し肢体マヒ)
■補中益気湯六味丸(生まれつき虚弱)
■万金湯(虚症の中風)
■万宝回春湯(一切の虚風、胃弱、疼痛)
■木香保命丹(通治薬)
■愈風湯(一切の風証を治す)
■養栄湯(風、血脈に中り、四肢挙がらず、口言う能わず、人事不省)
■抑肝散加陳皮半夏(イライラ、めまい、不安感、左腹部で動悸、腹部軟弱・無力、疲れやすい、肩こり)
■理気風散(喎斜)
■六君子湯葛根()・山梔子・神麹(肥えてよく飲み、舌本硬直、肢体不遂、口眼喎斜)
■六君子湯釣藤鈎・姜汁・竹瀝(気虚して左手足不仁)
■竜星丹(風熱が遮断、痰涎が盛んで昏冒・眩暈)


【民間療法】
<1>アカマツ。
<2>カイコ。
<3>クワ。
<4>ダイコン。
<5>ハマボウフウ。
<6>メナモミ。
<7>アオツヅラフジ・イチイ・イノコズチ・イワタバコ・ウド・オケラ・オトギリソウ・オナモミ・オモト・カイコ・カキ・クガイソウ・クロマメ・サル・シカ・ソテツ・ツルドクダミ・トウキ・ナンテン・ニシキギ・バショウ・ホオノキ・ヨモギ。

【臨床例】
☆中風
「勢州、白子の久住庄右衛門は枕に伏して三年ばかり。その疾たるや、口眼喎斜し、四肢遂せず居常、涎を唾し、語言通じ難し。
《吉益東洞》先生之を診す。桂枝湯をつくり朮附各3両を加えて之を飲む。時に平水丸を以て雑進(交互に服用)す。出入りすること半歳ばかり、全く常に復す。」《建珠録》

中風の予防
【漢方療法】
・薛預防の理
・羗活愈風湯[1]

【民間療法】
・どくだみをお茶代わりに飲む。
【運動】
・ひざの関節を回す運動。
・初めは両足のひざを、外回り20回、内回り20回ぐらいからはじめ、徐々に回数を増やす。50回以上出来るようになったら、片足づつ同じ運動を行う。


中満(ちゅうまん)
   =腹部の脹満の症状をいう。気が内に停滞して胸腹脹満することをさす。
   ◎主薬:中を寛くするには、砂仁・枳殻を主薬とすべし《万病回春》



肘内障(ちゅうないしょう)
■脱臼に似た症状
「4歳になるB君を連れて買い物に行ったお母さん。B君はどうしても買いたいものが見つかったようで駄々をこねはじめて。お母さんはB君の手を引っ張って他の売場に行こうとした。その途端、B君は泣きだし、上肢全体がだらりと伸ばした位置で動かなくなった。手を上げさせようとすると痛がるので、お母さんは肩が脱臼したと思い、病院へ連れていった。
整形外科の先生ははなしを聞いてB君の様子を見ると即座に“肘内障です”と言い、肘(ひじ)の部分を押すようにして曲げると、B君は間もなく肘を曲げたり手を挙げたりすることが出来るようになった。
前腕は橈骨と尺骨という2つの骨からなっている。このうち橈骨の肘に近い部分(橈骨頭)は輪状靱帯という靱帯によって押さえられているが、5、6歳頃まではこの靱帯の支えが弱いため、手を引っ張ると橈骨頭があたかも帽子を脱ぐように輪状靱帯から抜けてしまう。こてが肘内障である。
子供のてを強く引っ張ったり、手を持って子供をぶら下げた時などに起こる。上肢をだらんとしてしまうため、肩が外れたと思われる事が多い。後遺症は残らないし、クセになるようなこともない。
子供の場合、骨自体の強度に比べ、関節を形成している袋や周囲の靱帯の法が強く、強い圧力がかかった場合にはむしろ骨節になりやすい。
中学生以降になると、肩や肘の脱臼が発生するようになるが、小学生以下ではまず起こらないと言っても良い。肘内障は本当の意味での脱臼ではないが、5、6歳までに見られる脱臼に似た唯一の症状である。(坂巻豊教・国立小児病院整形外科医長)1999.4.19《日本経済新聞》


肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)
⇒肘を曲げることで、尺骨神経が圧迫されて起きる障害です。
尺骨神経の障害には、これ以外に「ギオン管症候群」があります。

◎症状:

①最初は、小指と薬指の、手のひらの小指側(尺側)のシビレで始まる。
②寝て起きたときに、しびれている。
③小指、薬指がうまく伸びない。
④顔を洗うときに水が漏れる。
⑤箸がうまく使えない。

◎対策:

①頬杖をつくのを止める。---尺骨神経がさらに引き延ばされて、神経の圧迫がひどくなるので。
②寝ている間にシビレる時---マットレスを替えてみる。


 

注夏
◎「注夏病は、春の末夏の初に遇いて便ち頭疼し、脚酸なるを覚え、神思困倦し、飲食減少し、四肢消痩軟弱にして力乏し。《玉案》

◎注夏病は陰に属す。血虚し元気不足するなり。夏の初め、春の末に頭疼み、眼花し、腿酸み、脚軟、食少なく躰弱く、五心煩熱、口苦舌乾、先進困倦無力、好んで睡り、胸膈不利、形は虚怯の如く、脉数にして無力、是れ注夏と名づく。《寿世保元》

【漢方薬】
■参帰益元湯《寿世保元》


(ちょう)
<1>多くは頭・顔・四肢に生じる。
<2>頭・顔に生じるものは・・・初期に栗粒の様な疱があり、根が深くて堅く、或いはシビレorかゆく、或いは始めかゆく後に痛み、周囲がそこだけ腫れて灼熱し、ひどくなったものは悪寒発熱などの全身症状を伴い、その上容易に走黄(=病毒が経脈から心に入り、心煩・嘔吐・意識不明・等を引き起こす)する。
<3>手足に生じるものは・・・多くは紅腫するが、顕著な瘡疱はない。
もし紅絲が広がると、紅絲疔(リンパ管炎)という。《中国ー漢方医学概論》
  

【鍼灸】
「手三里、養老」《沢田流聞書鍼灸眞髄》
「手三里。一度に20壮~50壮すえる。1日2~3回すえる。すえていると痛みと腫れがとれて来る。寒気がとれる。だが化膿しかけたものでは早く化膿して治る。まだ化膿していないものなら化膿せずに腫れが引いて治る。」
「養老。手のくるぶしの上の溝。これに灸すると一層早く治る。癰の場合は是非しえねばならぬ」

【漢方薬】
■十味敗毒湯(過敏性体質、神経質、胸脇苦満、発熱悪寒、化膿・)

 

疔瘡
=が蜂織炎を伴った場合で劇症である。発生部位及び症状で、例えば[面疔][指疔][足疔][爛疔][紅絲疔][疫疔]と呼ぶ。

◎主薬:疔瘡には、白礬を主薬とすべし《万病回春》
  

◎本間棗軒《瘍科秘録》
「疔は素問に高梁の変は、足に大丁を生ずと見えて、丁の字が古文である。に従うのは後世のことである。隋・唐の頃までは、皆丁の字を用いた。元明の頃から疔の字を用いる。単に疔と称し、或いは疔腫、或いは疔瘡と云う。《諸病源候論》は、初め起こる時、突如として丁蓋のようであるから、これを丁瘡と謂うと説明している。
この病は至って険症で、旦夕の間に死生が分かれる。また顔面に生じて、容貌が奇異に変じ、瘡色も色々に変わるものであるから、先賢はその形状によって種々の名称をつけた。単元方は10種を分ち、孫思は13種を分ち、李東垣は23種を分ち、申啓玄は34種を分けた。近世になってからは、名称がますます多い。しかし実際は1病であって、こんなに種類の多いものではない。
疔と癰とは本は1毒であるけてども、その出来るところが違うので、軽重を異にし、症候も同じでない。例えば梅毒でも、1毒ではあるが、下疳と便毒(横痃)とは症候を異にし、軽重が同じでないようなものである。癰が頭にできれば疔の症候を現し、疔が背に出来れば癰の症候となる。」

【漢方薬】(疔瘡)
■化疔内消散《外科正宗》
■追疔奪命湯《万病回春》
■疔毒復生湯《外科正宗》
■人参敗毒散
■防風通聖散


 疔毒
   =疔腫。

疔毒走黄
=漢方の病名。
⇒疔毒が急速に四方に散り内陥し、血分に入り意識不明などの症状が現れ、局部の    腫勢が瀰漫するものをいう。
多くは熱毒が極めて盛ん、或いは早期治療を誤り、或いは圧迫して傷つけ、或いは早く切開しすぎて邪毒が拡散して生じる。

【漢方薬】
■疔毒復生湯《外科正宗》



徴候 sign
=医者が診たり測ったり出来る客観的な変化。(→「症状」)
 たとえば:「出血「嘔吐」「発熱」「発疹」「ケイレン」



腸アトニー
=「腸弛緩」
⇒腸管壁の緊張が低下または消失している状態。


腸カタル intestinal catarrh
⇒腸粘膜の炎症により、腹中雷鳴・腹痛・不快感・下痢などを起こすもの。腸炎を見てください。

【漢方薬】
■胃苓湯(消化不良、尿利減少、腹痛、浮腫、口渇)
■黄芩湯
■黄連湯
■葛根湯(陽実証、頭痛、発熱、無汗、項背のこわばり、脈浮緊・数)
■桂枝加芍薬湯(腹直筋拘攣、裏急後重<軽>、腹痛、腹部膨満<虚満>)
■呉茱萸湯
■五苓散
■柴胡桂枝湯
■四逆散
■小建中湯
■真武湯
■大柴胡湯
■猪苓湯
■当帰建中湯
■人参湯
■半夏瀉心湯

【民間療法】
<1>ワレモコウ。
<2>オウレン・カラスビシャク・ゲンノショウコ・シャクヤク・ショウガ・ソテツ・ダイコン・チョウセンニンジン・ナンテン・ハス・ムクゲ。



腸炎
◎「enteritis」=主として小腸の炎症に対して使われる。
【漢方薬】
■黄湯
■黄連湯
■葛根湯
■葛根黄黄連湯
■乾姜黄黄連人参湯
■甘草瀉心湯
■桂枝加大黄湯
■桂枝加芍薬湯
■桂枝人参湯
■厚朴七物湯
■呉茱萸湯
■五苓散
■四逆散
■小建中湯
■生姜瀉心湯
■真武湯
■大陥胸湯
■大柴胡湯
■猪苓湯
■通脉四逆湯
■当帰四逆湯
■人参湯
■白通湯
■防風通聖散
■六物黄湯

【民間療法】
<1>アカメガシワ・ウメ・オウレン・キハダ・サクラ・サラシナショウマ・スイカズラ・ツルドクダミ・トウゴマ・トロロアオイ・ニンニク・ヒキオコシ・ビワ・メギ。


腸炎ビブリオ
(参照→「ビブリオ・ブルニフィカス」)
⇒海水中に存在する。海産の魚介類から食中毒を起こす原因となる菌。
6~10月に集中的に発生し、10時間の潜伏期間を経て、発熱・下痢・腹痛を引き起こす。症状は比較的軽い。

■菌の主流変わる
「減少傾向にあった腸炎ビブリオによる食中毒が近年急増している。時期を合わせるように検出される菌の血清型が別のタイプに変化しており、厚生省は26日までに、食品衛生調査会(厚相の諮問機関)の特別部会の中に「対策分科会」を設け、急増や変化の原因究明と予防対策の検討に乗り出すことに決めた。
厚生省によると、1990年代に入り、食中毒の菌の繁殖を防ぐ冷蔵技術の進歩などで、腸炎ビブリオは減少傾向になり、食中毒は92年には発生係数99件、患者数2845人と最も少なくなったが、翌年からは原因がはっきりしないが、件数、患者数とも増加に転じた。
96年には292件、97年には568件、6786人となり、今年は10月までの速報値で737件発生し、患者数は11669人と急増ぶりが目立っている。
腸炎ビブリオの菌のタイプは血清型の組み合わせにより約75種類ある。日本では95年まで『O4K8』が主流だったが、96年からは米国や東南アジアなどに多い、『O3K6』に変化。」1998.12.27《日本経済新聞》



腸管狭窄
→イレウス
腸管に狭窄があっても、腸の内容物が円滑に通過できる間は、特別の症状を呈することはないが、通過が妨げられると、便秘が起きる。
また、狭窄の丈夫で蠕動の亢進がみられ、ガスのために鼓腸が起こり、下痢を来すこともある。
狭窄が高度になると、嘔吐が起こり、また腹痛、腹鳴、振水音を聞くようになる。
この狭窄は、腸管内に腫瘍ができた場合、腸の癒着および隣接器官からの圧迫によっても起こる。
イレウスは腸の一部が閉塞して腸の内容物が通過できないっものをいい、多くは手術の適応症であるが、漢方治療で回復することもある。

【漢方薬】
■桂枝加芍薬湯
■小建中湯
小建中湯と桂枝加芍薬湯の2方はともに腸の狭窄のために、腹満、腹痛を訴えているときに用いるが、患者が疲労し、症状に急迫な面が強いときには小建中湯がよい。大便が快通しない場合でも、これで大便が出るようになる(漢方診療医典)
■小建中湯+大建中湯
開腹手術後の癒着などのために起こった狭窄に用いる機会が多く、腸の蠕動亢進と腹痛、便秘を主訴とするものに用いる。このような患者に、大黄などが入った下剤を用いると、腹痛がひどくなり、大便はかえって快通しなくなる。大塚敬節はこの処方を中建中湯と命名して、癒着による通過障害の患者に用いて、しばしば著効を得ている、
又この処方は、癒着のために一時的にイレウスを起こしたものににも効がある(漢方診療医典)
蠕動不穏にも用いる
■真武湯
腸の狭窄があって、下痢、腹痛、蠕動亢進のあるものに用いている。
慢性腹膜炎または腸結核が治った後で狭窄を起こしたものに用いる例がある(漢方診療医典)
■旋覆花代赭石湯
狭窄のために、蠕動は亢進するが、腹痛は無いか、あっても軽微で、噫気、嘔吐などを訴え、便秘の傾向のある者に用いる(漢方診療医典)
■大建中湯(慢性)
腸の狭窄のために痙攣性の腸管収縮を来たし、腸壁上に腸係蹄が膨出したり、没入する者に用いる。疼痛の部位は移動し、下腹から上腹部に向かう傾向にある。
本方は、痙攣性のイレウスで、腹痛の甚だしいものにも効がある。金匱要略に“心胸中、大いに寒え、痛み、吐して飲食する能はず、、腹中の寒、上衝し、皮起こり出てあらわれて頭足あり、上下痛んで触れ近づくべからずは大建中湯之を主る”とある。そこで、この処方を用いる患者は、蠕動が亢進し、腹痛が甚だしく、しかも腹が冷えているときに嘔吐をもよおすことを知る(漢方診療医典)
蠕動不穏にも用いる
■当帰四逆加呉茱萸生姜湯
古人が「疝」とよんだ腹痛に用いる機会があるが、この「疝」という病気には、腸の癒着による狭窄が含まれている。そこで、種々の治療に頑強に抵抗して治らない狭窄による腹痛に用いる(漢方診療医典)
■半夏瀉心湯
本方は心下痞硬、腹中雷鳴、下痢または嘔吐のあるものを目標に用いるが、細野史朗氏は本方を用いて、イレウスを治したと報告している(漢方診療医典)


腸管癒着
⇒手術後、虫垂炎、胆嚢炎や腹膜炎の治癒後に起こる。
【漢方薬】
■大建中湯
■天台烏薬散
■桃核承気湯



腸結核
【漢方薬】
■温脾湯
■桂枝加芍薬湯
■啓脾湯
■四神丸
■真人養臓湯
■真武湯
■痛瀉要方
■薏苡附子敗醤散


腸痔
   =直腸脱。肛門周囲炎。

腸重積
■空気圧でなおす
「Sちゃんは10ヶ月。2~3日前から風邪のような症状があったが、夜中に急にむずかるようになった。すやすや眠っていたかと思うと苦しそうにギャーと泣き、又うとうとするという繰り返しで来院した。
診察し始めてしばらくすると九に泣き始めた。かなり甲高い声で、いかにも苦しげであることがすぐ分かる。便を見てみると少し赤いものが出ている程度だったが、念のために浣腸をすると、イチゴゼリーのような血便が認められた。おなかを触れるとコリッとした瘤があり腸重積と診断した。腸重積という病気は、腸が折れ曲がって重なり合う。発見が遅れるとその部分への血液がとだえ、壊死してしまうこともある。大人で言えば『腸捻転』のような強烈な痛みということになるだろう。
また、一度、腸重積した所は、腸の蠕動運動という自然の働きによって、だんだん重なりが深くなっていく。こうなると手術が必要になるので、早めの受診が重要である。子供の泣き方がいつもと異なっていたら腸重積を疑ってもよい。
発症から1日以内なら肛門から空気を入れて、腸の重なり合っている所を元に戻す。「非観血的整復」という方法が出来る。Sちゃんの場合も腸重積を起こしているところを見極め、空気圧をかけた。完全に整復されると、青白い顔がパッと紅色を呈し、泣きやんでおっぱいを欲しがるまでになった。
さらに奥の方に重積が残っている可能性や再発の危険性があるため、整復後に1晩病院に泊まってもらうこともある。Sちゃんの場合はそのまま帰宅し、翌日来院したが、すっかり元気になっていた。(本名俊郎・国立小児病院外科部長)1997.8.11《日本経済新聞》


腸出血
【漢方薬】
■芎帰膠艾湯
■三黄瀉心湯
■猪苓湯
■桃核承気湯
■当帰建中湯
■人参湯


腸疝痛
=腸ケイレン
⇒管腔臓器の閉塞が起こると平滑筋の攣縮により間欠的に強い痛みが起きるのを疝痛という。
【漢方薬】
■桂枝加芍薬大黄湯(腹満感ある)
■五積散
■芍薬甘草湯(ケイレンする、疼痛)
■芍薬甘草附子湯(冷痛)
■赤丸
■大建中湯   
■当帰四逆加呉茱萸生姜湯
■当帰生姜羊肉湯
■附子粳米湯


腸の蠕動運動亢進
【漢方薬】
■大建中湯(蠕動運動が外から確認出来る)

 

#腸閉塞症 intestinal obstruction
→イレウス
【漢方薬】
■烏頭湯
■烏頭桂枝湯
■九痛丸
■三物備急丸
■芍薬甘草湯(ケイレンする、疼痛)
■大烏頭煎
■大陥胸湯
■大建中湯
■大柴胡湯(実証、筋肉質、胸脇苦満、心下部緊張、便秘)
■桃核承気湯(実証、のぼせ、足冷、下腹部痛)

 

■誤診
「東京都葛飾区の東部地域病院で腸閉塞の5歳の男児が死亡した医療事故で、同病院は6/27、事故調査報告書を公表した。鈴木謙三院長は、重症の腸閉塞の診察経験がなかった当直医がX線写真の兆候を見落としたことを明らかにし「誤診だった」と過失を認め、謝罪した。報告書によると死亡した男児は3/9午前5時に来院。当直の医師(32)の治療を受け帰宅したが、午前7時半ごろ再来院。当直医はX線検査などを行い、「麻痺性腸閉塞の疑い」などで入院を指示。引き継いだ日勤の医師の診察を受けないまま、男児は容体が急変し午後4時過ぎに死亡した。
行政解剖の結果、死因は麻痺性より重く、腸がねじれて命に関わる絞扼性腸閉塞と判明した。腹部X線について「絞扼性を含む閉塞性腸閉塞を考えさせるもの」と指摘。「より重症な例を念頭に置き、外科医に相談するなど慎重な対応が必要だった」と結論づけた。
この当直医は、小児科の認定医資格を持つ8年目の医師だが、絞扼性腸閉塞の患者を診察した経験はなかった。
当直医から日勤医師への引き継ぎも、男児についてはカルテやX線写真ナシで口頭のみというずさんなものだった。」2003.6.28《日本経済新聞》
■腹痛・吐き気
「子供の頃から便秘がちだった。数日前から少しお腹が張り、便・オナラが少なくなっていた。朝食後、急にヘソの周りが痛くなり、数回続けて吐いた。波を打つような腹痛が止むと、昼前から持続的な激痛に襲われ冷や汗も流れ、ガマンしきれず救急車で運ばれた。
腸閉塞は腸が何らかの原因でつまり、腹痛・腹部膨満・吐き気や嘔吐がでて、排便や排ガスが止まる状態だ。ガンや外からの締め付け、圧迫、ねじれなどで腸が詰まる場合と、腸自体の運動が低下して腸の中身が流れない場合がある。
腸が詰まる原因には、腸の中で物がつまったり、腸同士の癒着や変形がある。最近は大腸ガンによる閉塞も多い。
腸が締め付けられた場合、締め付けられた腸に血液が流れなくなると6時間ほどで腐って来る。絞扼性イレウスと呼ぶが嘔吐や冷や汗、腹痛も持続的な激痛になる。」



腸覃(ちょうたん)
⇒寒気が大腸に入って胃気が相搏ってつまり、覃となって、長くなったっら肉が出来、始めは卵ぐらいのが子を孕んだように大きくなり、押すと固く・移動し、月経が下りながら小さくなったり大きくなったりするが、こらは気病で血病ではない。

【漢方薬】
■晞露丸(腸覃病で悪血が癥瘕になって痛む)
■二陳湯香附子(醋炒)・三稜(醋炒)・莪朮(醋炒)・鼈甲(醋炒)

 

腸チフス
typhoid fever
⇒腸チフス菌Salmonella typhiが感染して起こる急性感染症で、腸壁リンパ節に病変をおこすと共に菌血症によって全身性の疾患を起こす。
ヒトへの感染は汚染された飲食物による経口感染で口から侵入した菌は小腸に達した後、腸リンパ管に侵入、更に血中に入り40℃くらいの発熱がみられれ、さらに肝臓・脾臓・骨髄などに病変を作る。すなわちバラ疹や脾腫などが見られる。重症例では下痢が激しくなり白血球が減少し合併症として腸出血がきられることがある。(薬学大辞典p356)
◎腸チフスでは体温上昇の割には脈拍数が少ない。
◎腸チフスでは舌上の乳頭が萎縮して表面が平滑となり、蒼白な光沢を放つ。しばしば発赤を起こして疼痛を訴える(Hunterの舌炎)
◎好発年齢:成人。
◎好発時期:特になし。

◎症状:頭痛、便秘、咳、鼻血、脾腫、徐脈。階段状に上昇する発熱、次いで稽留熱。白血球減少、好酸球消失。
<1>発疹:
①部位:胸部・腹部に発症。背部・顔面・四肢には見られない。
②性状:バラ疹(10~20%に認められる) 皮膚よりやや隆起し、新旧混在する
③発疹の出現:発熱後1週間で発疹する。
<2>悪寒、熱感、頭痛。
<3>熱は、階段状上昇。
<4>脾腫。
<5>舌苔:厚
<6>徐脈

◎血液像:
白血球:減少
好中球:減少
好酸球:消失
リンパ球:やや増加

◎検査項目:
血液:白血球数・像
チフス菌の検出:第1週----血液
       第2週----尿・便
Widal反応(第2週後)

【漢方薬】
■越脾湯
■黄連阿膠湯
■四逆湯
■炙甘草湯
■小柴胡湯
■大柴胡湯
■大承気湯
■大青竜湯
■調胃承気湯
■桃核承気湯
■当帰四逆湯
■当帰四逆加呉茱萸生姜湯
■白虎湯
■白虎加桂枝湯
■白虎加人参湯(激しい口渇、口舌乾燥、尿利頻数、大便硬、煩躁)
■麻黄湯(頭痛、発熱、悪寒、身体疼痛、関節がいたい)

〇「A Field Guide to Germs by Wayne Biddle]春日倫子訳p130~
「腸チフスをあらわすティフォイドという言葉は「恍惚状態」という意味で、治療を受けていない腸チフス患者の精神状態を示している。原因菌のサルモネラ・ティフィには50種以上の菌株があって、いずれもヒトの消化器系にしか住み着かない。この病気は現在のアメリカではめずらしくなっているが、病名だけは我々アメリカ人の共通言語のなかに深く定着している。というのは、メアリー・マローンという、自分は一度も発病したことがないのに、チフスを広く伝播した料理女が「チフス・メアリー」として名を残したからである。
 腸チフスは不衛生な環境で起こりやすい病気であり、普通は汚染された食物と飲み水から罹る。従って、よく混同されがちな『発疹チフス』と同じように、腸チフスは常に戦争や貧困のために清潔な環境や衛生設備が損なわれた時に現れやすい。ボーア戦争の間、腸チフスで死亡したイギリス兵は13000人(戦死者は8000人と対照的に)にのぼり、他に64000人が早期に帰還させられた。米西戦争では、アメリカ軍の20%が腸チフスにかかり、1500人以上が死亡した。第一次世界大戦のころには、感染者の糞便がはたす役割が理解されるようになり、軍隊もきれいな水とトイレットペーパーが補給された為患者の発生は激減した。この時期には、アメリカの都市や町では腸チフスがよく起こって、ピッツバーグやニューヨーク州トロイではとりわけ死亡率が高かった。
「チフス・メアリー」の一件で知れ渡ったように、腸チフス菌には宿主に発病させることなく長期間寄生しながら、他の人々に感染して典型的な症状を起こさせる能力がある。このために腸チフスの予防はむずかしいのである。メアリー・マローンはティーンエージャーのときにアイルランドからアメリカに渡ってきて、裕福な家庭の料理人として雇われた。1906年から7年にかけて、衛生設備技師でもあるジョージ・ソーパーという疫学者がニューヨーク州オイスターベイにある家の持ち主に雇われ、前年の夏にその家を借りた金持ち一家で腸チフスが発生した原因を調査するっことになった。ソーパーははっきりしている水源を検査したが、病原体は見つからなかった。最期に彼はマローンと面会して、その就労記録から7つの別々に起こった腸チフスと彼女の雇用期間が一致していることを発見した。ソーパーがその証拠をメアリーに突きつけたところ、彼女は大型フォークを振り回して食ってかかった。そもそも、当の本人はすばらしく健康だったのだ。ソーパーはやがてニューヨーク市の公衆衛生局の役人に、メアリーを逮捕するように勧告した。またしてもフォークを振り回すメアリーとの激しい一幕のすえ、市警はようやく逮捕にこぎつけ、検査と治療のためにメアリーを隔離した。
新聞王ハーストの新聞はただちに、市の公衆衛生の役人がつけた、「チフス・メアリー」という仮名を使って、センセーショナルな記事を書き立てた。メアリーはノース・ブラザー島の病院のバンガローで2年暮らした後、1910年に法律上やむをえず釈放されることになった。よその家庭の料理人という商売をしないという条件がついていたが、彼女はさっそく偽名を使ってホテルやレストランで常勤の仕事を見つけた。メアリーの感染源としての足跡は皮肉なことに、1915年にスローン婦人科病院で終わった。というのは、そこで20人の腸チフス患者が発生し、彼女が厨房で働いていたせだとされたのである。メアリーは再びノース・ブラザー島に閉じこめられていたが、1932年に激しい卒中を起こしてブロンクス病院に転送され、入院したまま67年後に肺炎で死亡した。合計すると、彼女が直接関係ありとされた腸チフス患者は、少なくとも53人にのぼり、そのうち3人は生命を奪わ れたのだった。
■女医のチフス饅頭殺人事件
「神戸市の女医・菊子(39歳)は1939年4月、カルカン饅頭50個を大丸で買った。トイレで、注射器を使ってチフス菌を饅頭に注入した。翌日、教護県明石市の病院副院長S(37歳)宅に、大丸から菓子箱が届く。Sは弟と饅頭2個を食べ、残りを妹が勤め先の小学校へ持って行った。妹を含む教師10人がチフスにかかって入院。Sは危篤になり、弟は5月に亡くなった。
まもなく、神戸市の細菌研究所に勤めていたことがあり、かってSと同棲していた菊子が捕まった。菊子は市民病院に在職中、医学生だったSと知り合った。彼をい博士にするため自分が働こうと、郷里に帰って開業し、6年間せっせと送金していた。しかし、Sは博士号をとるや、結婚の約束を反故にしたのだ。」(死因事典p215~)




腸捻転 (ちょうねんてん)
■澤田流
この日45歳くらいの紳士来たり、自分の子が腸捻転で危篤であったのを澤田先生に救っていただいたとて其の模様を話した。
「私の子供は6つですが、この頃の夜私と一緒に寝ていると、突然に腹が痛いイタイといって悶(もだ)くので、どれといって手を当てようとすると痛いと言って手をハネ除けて了(しま)うのです。何でも痛みは臍の右の処にあって、急に痛み出すのでの、そこで薬を作ってやったが皆吐いて了った。
それからは一夜中、吐いたり下したり小便が出たりして苦しみ、その果(はて)は眼から上が黒い色になって了いました。すぐとかかりつけの小松という小児科の博士を呼びました。ところが腹を見て手もつけないうちから顔色を変え、これはいかんというのです。そこで、立合の医師を呼んでくれというので呼んで、その博士に診て貰った処が、これは腸捻転だから手術せねばいかんというのです。そして急いで帰って看護婦を連れてきて手術をするとて帰りました。
医師が帰ると私方ではすぐ澤田先生の処へ走らせました。先生はすぐ来てくれ、眼の上の色の黒いのを見て、「うん、よし、腎だ」とうなずかれ、腹をちょっと触って見てから、うつ伏せにして命門へ灸をすえ、腰に手を当てて気合をかけられ、もうこれで治ったといわれた。
子供はどう感じたか、「とうちゃん、もうなおったよ」といいました。そこで仰向けにして見た処が、只今まで手をつけることもできなかった処がスッカリ痛みがとれて手がつけられる。不思議だと思いました。
先生が帰られると間もなく大便が出たいというから便器をあててやると、大便も小便も沢山出て、腹が軟らかになりました。
そのうちに小松さんは2人の博士と看護婦をつれて手術の用意をして自動車で来て下さり、さて手術しようというので、腹をおさえて見たが、少しも痛まない。腸捻転が何処かへ行って了って無いのです。これはおかしい、そんな筈はない・・・と首をかしげて考えていたが、まさか、手術するわけにもゆかぬので、その儘引き返して了い、今に至るまで合点がゆかぬとそれが問題になっているのです。その医者達には、澤田先生がなほして下すったことを少しも話さぬので不思議でならんのです」
この述懐を聞きつつ、
先生は無造作に、
「そういう場合には命門をひらくより他ないのです」といわれた。
この話のついでにねも命門というのは副腎のことで、難経などに右を命門といい、左を腎とあるのは間違いだと言われた。





#腸癰 (ちょうよう)
=はらわたの出来物(素問)。大腸に癰を生じて、大便に膿血を出す。
⇒腹内の可能性病変の総称。特に虫垂炎を指すことあり。

◎“腹痛或いは少腹腫痞して痛み便膿血なる者、或いは腹拘満して痛み、膿臍孔より出ずる者は腸癰と為す”《重校薬徴》

【漢方薬】
■子仁湯《外科枢要》
■活血散湯《外科正宗》
■紫根牡蠣湯《黴癘新書》
■大黄湯《外科枢要》
■腸癰一方《寿世保元》
■内消沃雪湯《寿世保元》
■排膿散《外科正宗》
■牡丹皮散《外科正宗》

【臨床例】
☆《井觀醫言》より
「会津藩の小林平格の妻は、発熱して腹が痛み、脈は浮数、小便が少し赤くて量が少なく、大便は45日も通じなかった。佐藤某を延いて診を乞うたところ、某はこれに五苓散を与えた。89日の間これを服したが、苦痛は依然として元のままであった。
たまたま余の門人の河村謙益が立ち寄ったので、主人は彼に診を乞うた。謙益は診し終わって熟思していった。此は腸癰で、五苓散を用いる症ではないと。
しかし病家では半信半疑だあったので、謙益は言った。若し余の言が疑わしいならば、試みに自分の師匠の診断を乞われたならば、必ずその実を得ることが出来るであろうと。
翌日余の診を請うて来たので、往って診ると、病人には腹満と引きつれて痛む症があり、わずかに側臥して仰臥することが全然出来なかった。腹中が時々鳴動し、小便が近くなって渋り、大便は5、6日に僅かに少しばかりで、舌上には微黒の胎があり、口は乾いて渇し食事の量は日々に減退するばかりであるという。病家は謙益の診察したことを秘密にして、余に診断を問うた。余は言ったこれは腸癰である。しかし、惜しいかな、治療は既に手遅れになっていると。
病家では始めて余の門人の謙益の診断に敬服した。そこで余は大黄牡丹皮湯を与えた。その夜、大便に膿と穢物を下すこと数行で、腹中が大いに和らぎ、病人は始めて床上に平臥することが出来た。翌朝は舌上の黒胎が去り、食事がやや進んだ。そして自分で起きて厠に行けるようになった。
病人は薬効の速かなのを喜んだ。穢物を下ることが凡そ30余日であった。それからは当帰芍薬散に転方して、腹中は大いに和らいで、2ヶ月余りを経て平復した。」《荒木正胤》

☆《井觀醫言》より
「武州多摩群中神村の中野芳兵衛は江戸に上る途中、腹が少し痛むのを覚えた。夜になると痛みが益々甚だしくなったので、自分では昼食にとった魚肉に中毒したものと思って、一医の診察を乞うた。
その医者もまた食傷によるものと診断して下剤を与えて、10余行の下痢をとった。然るに、痛みが少しも減じないので、これは元からあった疝気が起こったものであると考えて、その手当をした。
56日たったが、痛みが止まなかったので、終に余の診を請うた。余《尾台榕堂》がこれを診ると、悪寒発熱し、脈は浮ならず、沈ならずで数し、下腹は引きつれて痛み、時々鳴動した。余はこれは腸癰であるといった。病人も傍人も半信半疑であった。しかし苦痛に堪えられなかったので、病人は切りに治療を乞うた。
そこで、余は言った。腸癰は難症であると。しかも、このように誤治を経ているから、余が処方しても、よく奏効するや否や保障し難いと。固く請うて止まなかったので、大黄牡丹皮湯消黄薏苡仁を与えた。
すると次の日に始めて、膠の汁ような膿を下し、その臭気は近づくことが出来ないようであったから、衆人も皆歎じ服した。しかし腹痛は依然として止まず、大便は日に10余行であったが、膿汁はそれ程多くはなかった。そこで伯州散を兼用すると、膿汁が日々多く下るようになり、腹痛も次第に減退した。
前方を用いること30余日で、膿や穢物もまた次第に減じた。しかし飲食は進まず、疲労と衰弱は日々に甚だしくなり、微熱が出て胸は痛み、口舌は乾燥し、寝汗が出るようになったので、柴胡桂枝乾姜湯を与えた。これを与えること10余日すると、突然に悪寒を発し、咳嗽、胸痛が日々甚だしくなって、脈もまた数して来た。そして呼吸する息は甚だしく臭気を発するようになった。
そこで余は言った。とうとう肺癰を併発したと。よって大青竜湯桔梗を与えた。病人も傍人も皆恐れ驚いた。継いで膿汁を吐くことも甚だしくなった。56日を経ると、発熱と咳嗽は少し減ったが、背中に徹するような胸痛が忍び難くなった。よって排膿散及湯に転方し、大柴胡湯を兼用し、毎夜七宝丸3分を服せしめた。
羸痩が日々に加わったが、膿汁は次第に減少した。なおも前方を用いると30余日で、膿は全く止み、前後2ヶ月余りで治癒することが出来た。
思うに、腸癰、肺癰は世間では皆難症であると云っている。この人などは、初めに誤治をして体力が頗る衰えていたところへ。2病が併発したのであるから、万死に一生もないところであった。然かも偶然にも全治することを得たのは真に幸いというべきである。」《荒木正胤》



痴呆症   dementia
(参照→「老人性痴呆症」「那須・ハコラ病」)
⇒痴呆の定義:「一度獲得された知的機能が病気のために高度に低下した状態。」

◎痴呆を起こす疾患:

脳血管性痴呆とアルツハイマー病が主なもの。
脳血管性痴呆(多発性脳硬化症)
変性疾患:
*Alzheimer型老年期痴呆
*Parkinson-痴呆混合型Parkinson病
*進行性核上性麻痺
*Huntington舞踏病
慢性ウイルス性疾患:
*Creutzfeldt-Jakob病:(参照→クロイツフェルト・ヤコブ病)
*Gerstman-Straussler-Shienker症候群
*亜急性硬化性脳症
*進行性多巣性白質脳症
代謝性疾患:
  *成人型粘液水腫
  *慢性アルコール中毒
  *Wernicke-Korsakoff症候群
  *Wilson病
  *肝性脳症
  *リピドーシス(黒内障性白痴・・)
その他:
  *正常水頭症
  *多発性硬化症
   
◎痴呆を引き起こす有害因子(五十音順)
<1>一酸化炭素
<2>エタノール
       <3>水銀、鉛
       <4>タリウム

■#痴呆症用薬-------効果なし--------<1>~<5>
<1>アバン(イデベノン)
<2>エレン(塩酸インデロキサジン)
<3>アルナート(塩酸ビフェメラン)
<4>セレポート(塩酸ビフェメラン)
<5>ヘキストール(プロペントフィリン)
<6>サアミオン(ニセルゴリン)
「脳梗塞や脳出血などの後遺症の治療薬で、老人性痴呆症に広く使われている5種類の脳代謝改善剤について、再評価試験を行ったところ、4種類の薬が「効果が認められない」結果になったことが17日明らかになった。」1998.4.18《朝日新聞》

■聖マリアンナ大学学長・長谷川和夫氏に聞きました。
【症状】(ちほう)

①代名詞が多くなる。-----「あのぅ」「それ」
②一日中、探し物が多くなる。
③つい先ほどのことを忘れる。
④道にまよう。
⑤物を取られ妄想。
「10年以上介護にあたっていた人に、ある日、\5000札が見あたらない。そこで痴呆患者が介護者に“あなたが取ったんじゃない?”と言った。介護者は“長年お世話している私が何で取ったりするの”と悲しくなって涙を流すと、痴呆患者は、悪いことをして涙を流していると思い込んだ。------

では、どうすれば良かったのだろうか?
“それは困りましたね。私のバッグの中も、あなたのバッグの中も一緒に探しましょう”と相手と同じ立場になって行動する。
相手に理屈で説明してもダメ。

#【介護の要点】
人格を尊重する。
相手のペースに合わせる。
受容的態度で臨む。
不可解な行動も受け止める---

-相手の理屈に合わないことを指摘して説明してもダメ。相手の話に合わせること。例えば、自分の家にいながら、“うちへ帰りたい”といったら、“もうすぐ夕食時だから、食べてから帰ったら”。食べているうちに帰ることは忘れている。それを“ここはあなたの家でしょう”“ほら表札のそうでしょう”などと説明しても、相手は理解出来ていない。

感情交流を大切にする。
身体的接触が効果的。
情報は簡単に伝える。特に1度に1つのことを伝えることが大切。
例えば、“こっちの洗面所に来て、歯を磨きなさい”はダメで、“こっちに来て下さい”と言って、来るまで待つ、来てから“さあ、歯を磨きましょう”というふうに。

相手の理解出来る言葉を使う。
残された機能に働きかける。
介護は一人きりでしないこと。
急激な環境変化はよくない。
    

【予防】7ヶ条
①血圧のコントロール。:-血管の老化を防ぎ脳血管性痴呆を予防する。
脳血管性痴呆は。最初高血圧から→動脈硬化→高脂血症→糖尿病→脳卒中→痴呆へと進むことが多い。
②食事のとり方。
③適度な運動。---背筋をのばし、歩幅を1倍半にする。
④明るい気持で生き生きすごす。
⑤体のコンディションを良好に。:特に、転倒→骨折しないように。
⑥頭を使う習慣。:書くこと、特に、短歌や和歌が最高。
⑦興味と好奇心を持つライフスタイル。
(NHK主催の健康講座より)

回想療法
「高齢者の昔の記憶を呼び起こす『回想(レミニッセンス)』に結びつけて、感情の活性化や心理的安定、痴呆・ウツ症状の改善などを目指す療法で、1960年代から欧米で行われている。
[回想に用いるもの]:
  愛読書
  好きな映画
  思いでの品(スクラップ・アルバム・ビデオなど)
楽器の演奏
「過去をもう一度生きる体験」
   

〇自前の歯が健康に直結
「例えば、オリンピック陸上男子100mで金メダリストのカール・ルイス、100mの前世界記録保持者のリロイ・バレル両選手は、ともに器具を使い歯並びを整えていた。歯の微妙な噛み合わせの修正が大きな力を出させ、好記録に結びつくからだという。また、上下の歯の間に挟まった髪の毛1本を誰もが異物と感じることが出来るのは、歯と顎の骨の間にある歯根膜という感覚センサーのおかげだ。その理由を上田実・名古屋大医学部教授(口腔外科)は「モグラやネズミでいえばヒゲに相当する感覚器。歯が抜けると鋭敏な神経からの信号が脳に入らなくなり、ボケてくるのでは」と説明する。
「上田教授の共同研究者である愛知県厚生連海南老年科の河野和彦部長は、残っている自分の歯の本数と脳の萎縮度の関係に注目した。同病院と名古屋大口腔外科が共同で、アルツハイマー型痴呆(AD)患者36人、脳血管性痴呆患者39人、健康な高齢者78人(いずれも平均年齢70才後半)を調べた結果、残存歯数は、ADが平均3本、脳血管痴呆が6本、健康老人が9本と、AD患者は健康唐人に比べて明らかに少なかった。
「さらに、合計153人全員の頭部をCT(コンピューター断層撮影)画像で比べると、残存歯数が少ないほど、脳側室という脳内のすき間が広く脳の萎縮が進んでおり、AD患者は健康老人より平均約15%ほど脳が縮んでいることも分かった。

■卵黄コリンが有効。
「卵黄コリンは消化吸収されて、脳内物質のアセチルコリンを作る。老人性痴呆症ではアセチルコリン濃度が極端に低下してしまうので、卵黄コリンの補給は有効と考えられる。
 アセチルコリン系を破壊した「痴呆ラット」を使った池田久男先生(高知医科大学)の記憶学習能力の回復実験を紹介しよう。
 小さな休憩台を沈めた水槽の中でラットを泳がせる。ラットは試行錯誤を重ねて休憩台にたどり着く時間がだんだん短くなる。このとき、「痴呆ラット」は普通のラットよりも時間がかかるが、卵黄コリンとビタミンB12を同時に投与すると、脳内アセチルコリンが増加して到達時間が短縮した。卵黄コリンによって記憶学習能力が回復した訳である。
 目下、アルツハイマー病患者への卵黄コリン投与試験が進んでいる。すでに精神機能の改善徴候が認められた症例もあり、詳しい臨床試験が待たれる。(五明紀春・女子栄養大学教授)1997.7.14《日経産業新聞》

■言語性知能は70歳で頂点。
「運動や感覚機能・生理機能は年齢とともに確実に衰えて行くが、年齢とともに上昇していく機能もある。例えば知的な統合能力は年齢とともに上昇する。結晶性知能(経験を生かして課題を解決する知能)もそうだ。言語性知能も年齢とともに上昇し、70歳前後でピークに達する。20歳の若者と80歳の老人が言語知能ではほぼ同じレベルにあると言われている。
「円熟した人格」という表現があるが、「円熟度」も年齢と共に増す。円熟度は人間関係の調整能力や怒りを抑えられるか、忍耐強く事の成り行きを見守ることが出来るかなどによって測れる。1996.7.27《日本経済新聞》    

■仮性痴呆症なのに
「治療で良くなる「仮性痴呆」も痴呆と混同され、多くが治療のまま放置されているようだ。1年前から物忘れが目立つようになった74歳の男性。妻が相談に来た。最近急に夫のボケが進んだようで、夜中、支離滅裂なことを言い、勝手に家から出ていこうとする。「ここ1ヶ月私を眠らせてくれません。もう限界です」という。
しかし、よく聞くと男性は、内科・眼科の他、整形外科・泌尿器科にもかかっており、かなりの量の薬を飲んでいる。相談を受けた医師は、多剤服用による薬の副作用で仮性痴呆の「夜間譫妄」が出現したと判断。まず、精神科の専門医を受診し、薬の調整をするように進めた。
他に、痴呆と間違えやすい病気には、老年期ウツ病・幻覚妄想・ヒステリーなどがあるが、薬物治療で良くなると言う。「急にボケが進んだ」と思われる場合、こうした病気が重なっている場合が多いそうだ。1996.8.14《朝日新聞》」

■塩分と脂肪減らし予防
「高齢化社会の進行につれて痴呆の増加が心配されている。20年後には日本では痴呆老人が200万人になると厚生省が推定した。老年期痴呆の約60%は 脳血管障害であり、脳血管が詰まる脳梗塞や血管が破れる脳出血で脳が破壊される。このほか、脳細胞が死んでゆくアルツハイマー病が約25%を占める。
脳血管性の痴呆を防ぐには、その原因となる高血圧と動脈硬化にならないよいうに食事の面で普段から心がけるのが一番である。高血圧には減塩が最も効果的。外食や調理済み食品に頼る普通のサラリーマンは、塩分摂取量が厚生省が定める1日10gを超えやすい。麺類の汁などはなるべく飲まないようにしたい。調理済み食品も塩分含有量の表示を見て、食塩の少ないものを選ぶことが肝心だ。
動脈硬化の引き金となるのは脂肪の摂りすぎ。しかし、大豆や胚芽、魚油に多い多価不飽和脂肪酸は動脈硬化を防ぐ働きがある。また、オリーブ油、豚指などに含まれる一価の不飽和脂肪酸も良い。
脳を傷つける活性酸素を防ぐビタミンEとCは必ず必要量を摂ること。Eは胚芽米や精白度の低いパンに多い。Cの多い野菜と果物は毎日欠かかさないようにする。
単身赴任にサラリーマンが陥りがちな不規則な食事や栄養のバランスに低下は脳には良くない。脳は他の臓器と違って低血糖に弱いのである。孤独な老人の欠食や抗糖尿病薬の誤用で起こる低血糖も痴呆の進行を促進する。(香川靖雄・女史栄養大学大学院教授)1998.5.18《日本経済新聞》

■脳の神経細胞----成人でも再生
「人間の脳神経細胞は大人になるとともに減少し再生しないという、これまでの常識を覆す研究成果が相次いでいる。米国とスウェーデンの研究チームは成人の脳でも神経細胞が新たに作られていることを初めて確認した。大阪大学では一人前の神経細胞に成長する前の細胞が成人の脳にあることを発見、試験管内で神経細胞に育てるのに成功した。1998.11.7《日本経済新聞》


【漢方薬】
■加味帰脾湯・・・(不眠、思慮過度、貧血、微熱)
■芎帰調血飲・・・(めまい、ドキドキ、耳鳴り)    
■左帰丸
■当帰芍薬散
■八味地黄丸・・・(夜間頻尿、下腹部軟弱、胃腸正常)
■防已地黄湯

■学習能力高める「ルビスコリン」
「京都大学食糧科学研究所の吉川正明教授は植物性タンパク質を分解して、脳の働きを高めるペプチドを作ることに成功した。マウスに食べさせたところ、学習能力が3倍程度良くなった。
開発したペプチドは6個のアミノ酸が結合してできた「ルビスコリン」。植物の光合成に関係した酵素タンパク質のルビスコを分解して作った。脳の中で働くホルモンに似た生理活性を持ち、神経細胞表面のタンパク質(受容体)と結合する性質があるという。
マウスに体重1kg当たり0.1gのルビスコリンを食べさせて実験した。マウスは夜行性で暗い方に行こうとする習性があるが、暗い部屋に行ったときに電気刺激が流れる実験箱を使い、次の実験で何秒間暗い部屋に行かずにいるかで学習効果を測定した。
ルビスコリンを与えたマウスは与えなかったマウスに比べ、平均で3倍の時間明るい部屋にとどまる学習効果がみられた。
体内で働いているペプチドは分解されやすく、そのまま食べてもほとんど機能しない。ルビスコリンのようにペプチドが傾向摂取しても機能するのは珍しい」2001.11.5《日経産業新聞》




腸瘕(ちょうか)
   ⇒腹中の硬結。
【漢方薬】

■温白元
■金露元
■荊蓬煎元
■万病元


 結
   =腹中の凝結物。


調経
【漢方薬】
■烏薬湯《医学入門》
■加減五積散《万病回春》
■加減四物湯《寿世保元》
■膠四物湯《医学入門》
■紅花当帰散《寿世保元》
■滋血湯《医学入門》
■四物湯《和剤局方》
■小温経湯《医学入門》
■逍遙散《寿世保元》
■千金調経湯《万病回春》
■桑皮散《医学入門》
■大温経湯《医学入門》
■大散《医学入門》
■大補経湯《万病回春》
■調気養血湯《万病回春》
■桃仁散《医学入門》
■八珍湯《医方考》


#潮熱(ちょうねつ)
⇒ちょうど、潮水が来る時間が決まっているように、1日1回づつ、熱を発するが、一定の時間に発する症。もし、1日3~5回発する症は、潮熱とは言わない。
<1>潮熱という症は、時に熱があってその時を忘れない熱をいう。
「寒熱」という症は、寒が止まると熱を発し、発するといつでも熱のある症。
<2>潮熱に:[既済湯][橘皮湯][人参竹葉湯][痰竹茹湯]
<3>気虚で汗があって潮熱:[補中益気湯]
<4>気虚で汗がない潮熱:[人参清肌散]
<5>血虚で汗がない潮熱:[人参栄養湯]
<6>気血両虚で汗がない潮熱:[茯苓補心湯][加減逍遥散]
<7>血虚し、夜に潮熱:[四物二連湯]
   
【漢方薬】#ちょうねつ
■滋陰降火湯
■加減逍遥散(子、午の潮熱を治す)
■四物二連湯(夜の潮熱を治す)
■参蘇飲
■大承気湯
■人参養栄湯
■補中益気湯(胃腸虚弱)
■六味丸


#長寿
■長生きには魚・大豆・海藻
「日本食は心臓病などの危険を減らす可能性が高いことが、今年3月に家森幸男・京大大学院教授らがブラジルで行った調査で確認された。
 対象はブラジルの内陸部に住む日系二、三世。肉食が中心で、心筋梗塞・糖尿病が多く、日本よりも約17年平均寿命が短い。家森教授らは約400人を検診し、高血圧・肥満などの問題を抱えた約100人を選んだ。この人たちに普通の食事に加えて
<1>魚油に多く含まれる脂肪酸のドコサヘキサエン酸(DHA) 
<2>大豆成分のイソフラボン
<3>わかめ      
<4>こうした成分が含まれないにせもの食品をそれぞれ加えたグループに分け、10週間食べてもらった。その結果、『DHA』は血圧を、『わかめ』はコレステロール値を、『イソフラボン』は骨の指標をそれぞれ改善した。1996.6.23《朝日新聞》」

■長寿の秘密?「おろしそば」
「ソバの大根おろしをかけて食べる「おろしソバ」。知る人ぞ知る福井名物で、地元には毎日欠かさないというそば好きも多い。どちからといえば粗食の部類だが、このような食べ物が、ガンの発生を抑え、長寿をもたらすとの新説が、日下幸則・福井医科大学教授(環境保健学)らの調査で浮かび上がってきた。
福井県の男性の平均寿命は76.84歳で長野県に次ぐ全国第2位。女性も、82.36歳で全国12位とかなりの上位。
その秘訣を探る為に、日下教授や県栄養士会(清水瑠美子会長)のメンバーらが、厚生省の委託を受けて「長寿社会における健康要因の抽出と、その応用に関する研究」として栄養調査などを進めて来た。93年度から3年間にわたるこの研究の一環として、昨年11月下旬、同県内に住む96歳~103歳の元気なお年寄り36人(男性12人、女性24人)の食生活などについての聞き取り調査が実施された。
その結果、長寿者の大半が白米や野菜の煮物などを好み、特にナス・カボチャ・ソバ・柿・ダイコンなどを日頃からよく食べていることが分かった。
これらの食物の、異常細胞の増殖に対する働きを県衛生研究所で調べたところ、いずれも発ガン抑制効果があり、中でもソバとダイコンの効果が高いことが分かった。1996.7.1《朝日新聞》」

■タンパク質摂取量が多い
 長寿番付1位:男性が長野県(女性は4位)
        女性が沖縄県(男性は2位)
平均寿命と県民所得にはかなりはっきりした統計的相関がある。豊かな国ほど長生きである。ところが、沖縄の県民所得は全国最低、長野県も中間ぐらい。
[沖縄の長寿食]
<1>豚肉料理:
  全国の肉消費量(1人1日:平均75g)
  沖縄の〃〃〃 (〃〃〃 : 95g)
  脳卒中が全国平均の半分。
<2>低塩分食
  全国の塩分摂取量(1人1日:平均13g)
  沖縄の〃〃〃   (〃〃〃 : 10g)
<3>老人の冬季労働・・・1年中体を動かす。
<4>昆布、シイタケ、黒砂糖、高タンパクの沖縄豆腐の多食。
[長野県]
漬け物好きで、塩分摂取量も全国屈指。冬季労働もゼロに近い。
リンゴ産地の青森県と似ている(青森県は全国一の短命県)
1918年の調査で、17種類の昆虫を常食。昆虫は高タンパク食。

 

■沖縄長寿者
「沖縄は、移民県と呼ばれるほど、多くの移民者を出している。移住先で沖縄出     身者の寿命はどう変化するのだろうか。
ハワイでは日系人は、中国系とともに長寿の代表として知られている。「白人は60~70歳で亡くなるのが普通。88歳以上で亡くなるのはほとんどが日系人と中国系です」
実際、80年代にアメリカ老化研究所のリード博士らが行った寿命調査では、ハワイ日系人の平均寿命は女性84.39歳、男性77.54歳で、すでに現在の日本の平均寿命より長かった。
京都大学大学院の家森幸男教授は世界保健機構(WHO)の協力で、15年にわたり世界60ヶ所に上る長寿地域と短命地域で、住民の健康調査を実施してきた。その結果、実に興味深い結果が得られた。
95年、ハワイ島で、70歳以上の沖縄県出身者230人を対象に、健康調査を行ったところ、3人の百寿者(100歳を超える長寿者)がいた。人口比にすると長寿県沖縄の15倍にも上がる数値だった。


■緑茶:
「お茶を飲む量が多い人ほど長寿の傾向がある」という調査データが示された。お茶の産地である静岡・福岡・京都・埼玉の各府県でそれぞれ実施された疫学調査により、お茶を多く飲む人はガンの発症率や死亡率が全国平均より低いことが示された。
例えば、埼玉県がんセンター研究所が80年代後半から進めている1万人規模の調査では「1日にお茶を10杯以上飲む人は」「3杯以下しか飲まない人」に比べて、ガンにかかるねんれいが男性で3.2歳、女性で7.2歳といった結果が出た。ガンに罹る立も約40%低かった。」2000.6.17《日本経済新聞》
■長寿遺伝子
「ヒトと同じ長寿遺伝子を持つ酵母の実験で、カロリー制限で『Sir2』という長寿遺伝子の活性が上昇することが確認されている。
赤ワインに含まれるレスベラトール(ポリフェノールの一種)もSir2を活性化する。ただ、ヒトに換算すると1日に何本も必要になる。

【漢方薬】
■接命丹
■小接命薫臍秘方(根元を壮健にし、形態を保護して古病を除去する)
■長生延寿丹

〇モーツァルト
「死は(厳密にとれば生の本当の最終目標なのですから、ぼくはこの数年来、この人間の真実で最上の友人ととても仲良しになってしまったので、死の姿を少しも恐ろしいと思わないどころか、むしろ大いに心を安め慰めてくれるものと考えているくらいです」(吉田秀和編訳:モーツァルトの手紙「講談社学術文庫」)

■くよくよしない
「イヤな思いでだけを忘れて楽しい出来事だけを覚えていられたらどんなに幸せだろう。昔のことなどにくよくよ悩まないことが長生きの秘訣とは良く聞く話だ。記憶と長生きとはどんな関係があるのだろうか?
脳の中で記憶を司っているのが海馬と呼ばれる部分だ。脳の神経細胞は長い間、大人になったら増殖しないと考えられてきたが、成長した後も新たに成長し続けていることが分かった。
海馬では増えた神経細胞はどのような役割をしているのか?
専門家の間では「新たな記憶を獲得するのが役目で、だから海馬には神経幹細胞が多いのだ」と単純に考えられていた。
ところが米プリンストン大学のグループの最新研究では、増えた神経細胞は新しい記憶を蓄積するよりも、むしろ古い不必要な記憶を消すのに一役買っている可能性を示している。
研究グループはアルツハイマー病の発症メカニズムを解明するため原因遺伝子の1つである「プレセニリン遺伝子」の働きを研究していた。遺伝子操作によってこの遺伝子を破壊してアルツハイマー病のように記憶を保てないようにしたマウスを作った。マウスは遺伝子破壊により、海馬で神経細胞を新たに再生させる力が衰えていた。
マウスの行動を詳細に観察した結果、意外にもイヤな記憶を忘れるメカニズムに関して重要な発見をした。このマウスは電流が床に流れていて不快な箱の中で飼育されていた。電流のない別の飼育箱に移しても、以前の箱でのイヤな記憶が忘れられず、新しい箱になかなか入ろうとしなかったのだ。遺伝子操作をしていないマウスで同様の実験をすると、すぐに新しい飼育箱に慣れた。
実験結果から、動物が新しい環境に適応するためには古い記憶を消すことが需要らしいことが分かった。つまり、記憶を司る海馬では、新たに誕生した神経細胞によって新しい記憶を一時的に蓄積して、過去の記憶のうち消すべき記憶を選別しているらしいのだ。
我々が夜、夢を見ているときには脳内でこの選別作業が行われているらしい。脳波の測定実験では夢を見ているときに海馬で特殊な脳波が観察される。
100歳まで生きた長寿者といわれる長生きのスーパーエリートはくよくよ考えない楽天的な性格の人が多い。
マウスの実験から、くよくよ考えない長寿の人たちは脳の中でどんどん神経細胞を再生させてイヤなことを忘れているのかもしれない。(白澤卓二・東京都老人総合研究所研究室長)2002.11.24《日本経済新聞》

#長寿遺伝子 (sir2遺伝子)
をONにする:カロリーを抑える(栄養は必要)ことで寿命を延ばす
腹6分目~7分目でONになる。
適正体重=(身長×身長×22)
×基礎代謝基準値(21.5~27)
×1.3~1.9=適正カロリー
赤ワイン・ピーナッツ・タマネギに共通する・・・皮にレスベラトール
ピーナッツの渋皮のポリフェノール
ケルセチン(タマネギの外の皮)

肉と魚を1日おきに
朝食をシッカリ、1日3食
最後にごはん(炭水化物)を食べる(血糖値が上がりものは最後に)
②運動・・・AMPKという遺伝子は運動でスイッチONになる。
激しい運動は必要ない




#脹満(ちょうまん)
⇒脹という症は、みな臓腑の外にあるもので、臓腑をぬけて胸脇から外に出て皮膚を膨らませるので脹という。
◎濁気は寒で、寒が上焦にあると水穀の精微な気が運行せず、欝血して脹満となる    =満シンマン。[木香順気湯][呉茱萸湯][沈香交泰丸]
   

【7種の脹満】
<1>穀脹:[鶏矢醴散][大異香散]
<2>水脹:[防已椒丸][木香散][椒元]
<3>気脹:[三和湯][分心気飲][気鍼元][金蟾散]
<4>血脹:[人参帰湯][散血消腫湯][桃奴丸]
<5>熱脹:[七物厚朴湯][枳殻散][中満分消丸]
<6>寒脹:[中満分消湯][温胃湯][順気木香湯][厚朴橘皮煎]
<7>蠱脹:[消蠱湯][消脹飲子][諸蠱保命丹]

 

◎主薬:脹満には、大腹皮・厚朴を主薬とすべし《万病回春》
【漢方薬】
■郁李仁湯
■已椒藶黄丸
■温胃湯(胃気が冷え、脹満して飲食が消化しない)
■外敷膏(腹脹が固く石のようになった、外用)
■外敷神膏(積聚・脹満に外用)
■気鍼元(気脹)
■枳殻散(熱脹)
■金蟾散(気脹)
■行湿補気養血湯
■鶏矢醴散(穀脹で朝食べたら夕方には食べられない、気脹・水脹・蠱脹)
■広朮潰堅湯(中満・腹脹で中に積聚があって石のように固く、大小便が渋い者)
■厚朴橘皮煎(冷えて腹が脹満し、喘息する)
■呉茱萸湯[7](濁気が上にあって脹が出来、又、陰がおこって寒が出来 て腹がいっぱいで脹になった)
■柴胡厚朴湯
■済生紫蘇子湯(心配事・思慮が脾・肺を傷つけ、心腹が脹満し喘促して胸が一杯で腸が鳴り、大小便が不利で、脈が虚で渋い)
■散血消腫湯(血脹、煩躁する)
■三和湯(気脹、大小便が不利)
■四香散(脾気・血気・血蠱・水蠱・石蠱で腫脹が激しい)
■四聖丸(小児の心腹が虚脹)
■四妙枳殻丸(気血が溜まり、脹満・積聚を治す)
■七物厚朴湯(熱脹)
■ 順気木香湯(寒脹で心腹が痛み、顔が黄色く、気が憔悴し、又、下痢する症)
■消蠱湯(気によって蠱脹。腹がふくれ、四肢・面に浮腫がない)
■消脹飲子(蠱脹・単腹脹)
■消脹元(気を快し、脹をなくし、食欲を増進させる。)
■諸蠱保命丹(蜘蛛蠱脹を治す)
■沈香交泰丸(濁気が上にあって脹になった)
■沈香散(腹脹・気喘で、立っても座ってもいられない症)
■壮原湯
■大異香散(穀脹・気脹を治す)
■大正気散(風・寒・湿・暑に当たって脹満)
■治脹満主方
■治婦人癥瘕塊痛
■中満分消丸(中満・鼓脹・気脹・水脹)
■中満分消湯(中満と寒脹による大小便の不通)
■桃奴丸(月経不順による脹満)
■撞関飲子(脹満を治す)
■人参芎帰湯(瘀血が溜まって脹満)
■半夏厚朴湯[2](脹満の通治薬)
■蓽澄茄元(痞満・脹満・穀脹・気脹)
■分消湯(中満で鼓脹)
■防已椒丸(水脹)
■木香散(水脹)
■木香順気湯(満)
■木香消脹元(腸満を治す)
■木香檳榔丸(三焦を疎導し大小便を通利させ、湿痰の溜まった症を降ろ、脹満がおのずと消えるのに最も効あり)
■木香分気丸(脾胃が和らがず、腹・脇がふくれて痰嗽・喘急し、消化不良になる)


#直腸炎
【漢方薬】
■四逆散
■猪苓湯
■桃核承気湯
■白頭翁湯



直腸ガン
⇒(直腸癌)普通、肛門とS状結腸の中間に起こり、出血と痛みがある。痔核と間違うことがある。  

■コーヒー
「コーヒーを1日3杯以上飲む人は飲まない人に比べて直腸ガンになりにくい、という調査結果を愛知県がんセンター研究所疫学部の井上真奈美研究員らがまとめた。
コーヒーとガンの関係は濃くないの疫学的調査で“直腸ガンを増やす”という報告がある一方、欧米ではガンを“増やす”と“減らす”という両方の報告もあり見方が分かれている。今回、井上さんは、コーヒーを飲む人から喫煙などを統計的に補正して取り除き、コーヒー独自の影響が分かるようにした。 調査は同センター病院にきた40歳以上のガン患者1706人(うち直腸ガン266人)と、ガンでない21028人に書いてもらった生活習慣調査票をもとに分析した。
その結果、コーヒーを滅多に飲まないと答えた人がガンになる率を[1]とした場合、「1日3杯以上飲む」と答えた人が直腸ガンになる率は[0.4]と半分以下になっていた。1997.9.7《朝日新聞》

【漢方薬】(直腸がん)
■ 胃風湯
下痢し、血便を下し、裏急後重のあるものに用いる(漢方診療医典)
■黄土湯
■潤腸湯
便秘し、大便に血液の付着するものに用いる。大黄は適宜加減する(漢方診療医典)
■小建中湯
■紫根牡蛎湯
本方は悪性腫瘍に用いて、とこいに奏功する。このさい紫根は上等品を大量に用いるとよい(漢方診療医典)
■赤小豆当帰湯
■桃花湯



直腸潰瘍
【漢方薬】
■黄土湯
■黄連阿膠湯
■桂枝加芍薬湯
■四逆散
■小建中湯
■赤小豆当帰散
■猪苓湯
■排膿散
■白頭翁湯

 


直腸膣漏

【漢方薬】
■五苓散
■大黄牡丹皮湯