<て> つらい症状・病名


【病状て】

Debré-deToni-Fanconi症候群
⇒腎尿細管障害症の1つ。常染色体劣性遺伝。
◎病因:近位尿細管の再吸収障害。
◎病状:
・発育障害
・食欲不振
・嘔吐
・便秘
・多飲
・多尿
・くる病
・小人症


DIC
=広汎性血管内凝固

disseminated interavascular coagulation
(全身性血管内凝固)
⇒凝固活性物質の血管内侵入により、全身の細小血管に血栓が出来た状態。
  

【漢方薬】(全身性血管内凝固)
■血府逐瘀湯
■独参湯


DMRV

(縁取り空腔を伴う遠位型ミオパチー)
=国内患者数400人
体内で「シアル酸」がうまく作れない。
国立精神・神経医療研究センターはシアル酸を合成する遺伝子を変異させ、DMRVの症状を持つマウスの作製に成功。




Dubin-Johnson症候群
⇒先天性ビリルビン代謝異常の1つ。
青年期(20才)に発症することが多い。男子に多い(3:1)
◎血中ビリルビンは直接型を示し、時に尿中にもビリルビンを定性的に認める。
◎特徴:
肝細胞に限局して黄褐色の色素顆粒を含み、そのため肝臓の色調は黒色調を呈する。

◎症状:
黄疸:慢性黄疸で予後は良好。
黄疸以外無症状。

 

Duhring疱疹状皮膚炎
⇒発熱・かゆみ等の前駆症を伴い、突然全身各所に小形の水疱を多発する。
◎水疱は紅斑上に好んで環状の配列をとり、更に紅斑(特に環状紅斑)・丘疹・ジンマシン・痂皮・ビランなどを混じる。
◎自覚的に強いかゆみがある。
◎慢性に経過するが全身状態は侵されない。




T細胞リンパ腫
■細胞の異常増殖
「九州大学と東北大学は、細胞が異常増殖してガン細胞などになる仕組みを解明した。未成熟な細胞が成熟した細胞に変わるときに働くタンパク質に異常があると細胞が増え続けて、卵巣ガンや乳ガン・リンパ腫などになると考えられている。
九州大学の中山敬一強雨RAHA未成熟な細胞がある程度増えると働き出す「Fbw7」と呼ぶタンパク質が、細胞増殖のアクセル役を果たす「c-Myc」と呼ぶタンパク質を壊して細胞増殖を止めることを突き止めた。
遺伝子組み換え技術を使って「Fbw7」を作れなくしたマウスを使って、免疫細胞であるTリンパ球の働きを調べた。マウスの胸腺では未成熟なリンパ球が一定数増えると細胞分裂が止まってTリンパ球が出来るが、遺伝子組み換えマウスでは細胞分裂が止まらず増殖し続け、ガンの一種であるT細胞リンパ腫を発病した。8匹の内半数は20週で死んだ。2006.2.8《産業》



TEN(Lyell症候群)
=中毒性表皮壊死症。



TSS(Toxic Shock Syndrome)
=「毒素性ショック症候群」
■院内感染
「三重県多度町の精神病院「多度病院」で、インフルエンザを発症していた男性の入院患者(59)がmはつねつなどの症状が回復した後に腰腿が急変、呼吸不全のため一般病院に運ばれた。
昨年4月中旬のことだ。
患者から毒素を出すタイプのMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)が検出され、『TSS』と診断された。TSSは、MRSAなどの菌から出た毒素が、全身に回ってショック症状を起こす『毒素性ショック症候群』。死ぬことも多い。患者は、インフルエンザとMRSAの複合感染によるTSSに陥ったが、抗生物質で救命された。
「TSS」と聞いた桑名保健所長の長坂祐二さん(44)は「やはり」と思った。「あの集団院内感染の“真犯人”も、TSSである可能性が強まった。こらからの院内感染対策は、『複合感染』を頭に入れないといけない」と確信した。
昨年1月~2月にかけて、多度病院の入院患者19人が死亡した。動保健所の調査で、「19人中12人がインフルエンザで死んだ疑いがある」と判定されたが、それにしては▽死者が多い、▽症状回復後に容体が急変したヒトが目立つ、▽30、40歳代の若い世代もいる--------という疑問が残されていた。
長坂さんはたまたま医学雑誌でTSSがこれらの疑問点に結びつくことを知った。TSSを疑って3、4月、MRSAの疫学調査を行った。
過去の記録から、死者19人のうち5人がMRSAに感染していたと判明。改めて病院の患者、職員全員の保菌の有無と菌の解析をすると、採取されたMRSAの多くは毒素を出すタイプだった。この調査のさなか、同病院の男性患者がTSSを発症し、傍証になると判断した。
これらの結果から、保健所は「死亡原因の一部にはある程度TSSの関与があった」とする報告書を8月にまとめた。
TSSの集団発症を指摘したのは、日本では初めてだった。
「学問的にはデータ不足で推測もある。だが全国の病院で、今後の院内感染対策に生かすことが大切」と長坂さんは言う。
この疫学調査で、多度病院では患者の10%からMRSAが検出されたが、他の病院より特に多くはない。抵抗力の落ちた患者が長期入院する精神病院や老人病院・老人ホームなどの長期滞在型施設でも、MRSAは蔓延している。報告書は、どこでも、インフルエンザの集団感染がTSSを招く恐れがあることを警告している。
国立感染症研究所の谷口清洲・感染症対策計画室長じゃ「インフルエンザにTSSが合併することはあまり知られていないが、危機管理の対策として、日頃MRSA保菌者を把握、インフルエンザ発症時には注して治療すべきだ」と話す。
■抗生物質が効かない
「1999年、三重県多度町の精神病院で入院患者19人がインフルエンザなどで亡くなった。桑名保健所は、19人のうち複数の患者が、抗生物質が効かないMRSAとインフルエンザの複合感染でショック死する『毒素性ショック症候群(TSS)』で死んだ可能性が高いと報告した。
インフルエンザの集団感染で、TSSによる複数の死者の可能性が報告されたのは、国内で初めてだった。
調査によると、インフルエンザによる発熱などの症状が一旦回復したにも関わらず5日後に突然死した例や、朝食後に突然倒れて死んだ例、部屋でショック状態で倒れているのが見つかった例、2回吐いた直後に呼吸不全になった例など、容体が急変した例が目立った。
患者の中には30~40歳代の比較的若い人もいたこと、インフルエンザで重症だった13人中7人からMRSAが検出されたこと。死者のうち5人が過去にMRSAに感染していたことなどから、患者、職員全員の感染の有無と菌の解析をしたところ、採取されたMRSAの多くは毒素を出すタイプだった。
TSSは、手術後の傷に感染したMRSAなどの細菌から出た毒素が全身を駆けめぐり、ショック症状を起こす症候群。日本では98年に6人が亡くなっている。」(東嶋和子著「死因事典p266~」講談社)




T逆転
⇒T波は心室内興奮の回復過程(再分極)を示す。
◎逆転は虚血を反映している状態を示す。

以下の疾患がある。
①心筋梗塞
②心筋炎
③肥大型心筋症
④キニジン投与


T細胞リンパ腫
■新薬
「2008年、米製薬会社バーデュー・ファーマグループの「ムンディファーマ」が、リンパ腫治療薬の候補物質『フォロデシン塩酸塩』(一般名)の治験を始める。
血液ガンの一種「T細胞リンパ腫」の飲み薬。6月にオーファンドラッグの指定を受けた。



テタニー
=手足の指に屈曲した拘縮をおこす症状である。四肢の遠位の筋肉が強い拘縮をおこすことによる。重症になると、全身の筋肉にも拘縮がおこる。
⇒神経や筋肉の興奮性が高まって起こるケイレン様症状。
◎原因:

①副甲状腺機能低下その他による血清カルシウム低下
②過呼吸による著明なアルカローシスに伴う血清カルシウムイオンの低下

■テタニーの原因
・副甲状腺機能低下症
・ビタミンD欠乏症
・過換気症候群
・原発性アルドステロン症などでおこる。
低カルシウム血症、低マグネシウム血症を伴うことが多い。


低カルシウム血症とは、血中のカルシウムが少なくなる
ことであるが、血中のカルシウムが少なくなると、
神経繊維が興奮しやすくなる。
つまり、
低カルシウム血症になり、
神経繊維が興奮しやすくなることから、
筋肉の強い拘縮がおこり
テタニーが発症すると考えられる。




テネスムス 
tenesmus
=「しぶり腹」
⇒腹痛があって、頻繁に便意をもよおすのに、ほとんど便が出なかったり、排便があってもわずかしかない場合をいう。
◎下部大腸に強い炎症があると、排便後少量の内容物によっても便意を催すようになり、頻回の排便により便所から出られなく状態をいう。
◎炎症が大腸や直腸の近くに起きたときによくみられる。
◎炎症の刺激で肛門括約筋がケイレンし、便が出にくくなるため。


 

デュピュイトラン拘縮 Dupuytren拘縮
(参照→糖尿病)
⇒手掌腱膜が肥厚収縮し指の屈曲拘縮を起こすもので、40歳以降の弾性に多く、男女比は[7:1]くらいである。
環指に多く、ときに小指も罹患する。
環指基部から手掌にかけて皮下に小結節を生じ、進展すると索状物として触れるようになる。(Minor Orthpedics by KINPODP p266)

●どのような病気なのでしょうか?
「手のひら~指の付け根に、シコリが出来て痛みも伴います。シコリは大きくなり、指の付け根の関節が曲がり、やがて指の指の真ん中の関節も曲がり始めます。症状が進むと、指を伸ばして手を広げることが出来なくなる人もいます。薬指か小指から始まり、中指や人差し指に広がることが多いようです。
大抵、両手に起こります。
又、手ほどひどくはありませんが、足の裏にも同じ様な症状が出る人もいます。
●症状は急にひどくなるのですか?
「数年から十数年にかけてゆっくりと進行します。初期には痛みがひどくなければ気付かない人もいます。
●どんな人がなりやすいのですか?
「40歳代でこの病気になる方もいますが、大抵は60歳代以降で発病します。患者さんの男女比は[7:1]で、男性が女性よりなりやすいようです。
手を使う職業の人がなりやすい、といったことはありません。
●なぜ指が曲がるのですか?
「手のひらの皮膚のすぐ下には、手掌腱膜と呼ばれる薄い膜があります。これが厚く太くなり、縮んで引きつれたようになるからです。調べると、普通はここにはない細胞の種類が見つかりますので、これが関係している可能性はありますが、なぜ厚くなるかという原因は分かっていません。
●治療薬はないのでしょうか?
「痛みを和らげる為消炎鎮痛剤などを使う場合もありますが、残念ながら、病気の進行を止めるよい薬はありません。痛みがひどくなったり、指の曲げ伸ばしが不自由になったりして、生活に差し支えがあるようでしたら、手術という方法があります。整形外科の医師と相談されてはいかがでしょう。
●どんな手術になりますか?
「厚くなった手掌腱膜を取り除きます。部分麻酔or全身麻酔して、腕を止血してよく見えるようにして手術をします。ルーペで見ながら、神経を傷つけない様に注意深く手掌腱膜を取り除きます。1週間程度の入院が必要です。
●デュピュイトラン拘縮:
「フランスの外科医デュピュイトラン(1777~1835)
白人に多く、日本人ではまれと言われてきたが、日本でも老人ホームなどで自覚症状があまりない軽症の人は多いという報告もある」1998.4.26《朝日新聞》



デルマドローム
=内臓悪性腫瘍が存在する時に現れる皮膚の症状である(デルマトーム[皮膚知覚帯)] とは違う)。 
胃癌、肺癌といった頻度の高い悪性腫瘍でよく出る。
以下に有名なデルマドロームを列挙する。
☆皮膚筋炎・・・手の赤み(関節・爪の周囲)、顔などに左右対称にでる。
→乳ガン・肺癌・大腸ガン子宮体ガン・卵巣ガン・胃癌などを合併していることが多い。
☆後天性魚鱗癬
☆悪性黒色表皮腫
☆レーザー・トレラ徴候:極短時間に脂漏性角化症が急速に多発すること。
☆Sweet病
☆水疱性類天疱瘡
☆汎発性帯状疱疹
☆難治性皮膚掻痒症
☆後天性多毛症
☆紅皮症
☆壊死性遊走性紅斑




テンカン(癲癇)epilepsy
=発作的に起こる脳の律動異常に基づく、意識障害とケイレンを主徴とする疾患群。
⇒全身の緊張性および間代性ケイレンと意識障害を症状とする。いわゆるてんかん発作を繰り返す傾向のあるものの総称。
「脳の神経細胞は互いに調和を保ちながら電気信号を発して活動している。ところが、出生児の低酸素や病気、外傷などで障害を受けると、その部分にある神経細胞が一斉に電気信号を発するようになり電気ショックを起こすようになる。そのためケイレンや意識障害などの症状が出るのがテンカン」

【分類】:
特発性テンカン

<1>全汎性テンカン:
①大発作(grand-mal)=強直-間代発作(tonic-clonic seizure)
②ミオクロニー発作(myoclonic seizure)
③欠伸発作(ansence)
④小発作(peti-mal)=脱力発作(atoic seizure)

<2>部分テンカン:
①皮質テンカン(cortical epilepsy):
(ア)焦点運動発作(focal motor seizure)
(イ)ジャクソン型発作(Jacsonian seizure)
(ウ)感覚運動発作(sensory motor seizure)
(エ)特殊感覚発作(special sensory seizure):
   嗅覚・視覚・聴覚・味覚などに異常が出る。
②側頭葉テンカン(temporal lobe epilepsy):
(ア)精神運動発作(psychomotor seizure):
  消化管症状から始まることが多い。
  凝視・舌打ち。
  四肢の無目的運動:(手をポケットに入れたり)
  (耳を掻いたり)(人につかまったりする)
(イ)精神知覚発作(psychosensory seizure):
   錯覚・幻覚        
    

症候性テンカン
<1>遺伝性代謝性疾患:
①核酸代謝異常:レッシュ-ナイハン症候群
②アミノ酸代謝異常:
  フェニルケトン尿症
  ホモシスチン尿症
  アルギノコハク酸血症
  高ブロリン血症
  高リジン血症
  楓糖尿病
  メチオニン吸収不全症
③糖質代謝異常:
   糖尿病(Ⅰ型・Ⅲ型)
   ガラクトース血症
   果糖不耐症
   特発性低血糖
④脂質代謝異常:
   黒内障性白痴
   白質異栄養症
   ゴーシェ病
   ニーマン-ピック病
   ムコ多糖症
⑤無機質代謝異常:
   ウィルソン病
⑥ビリルビン代謝異常:クリグラ-ナジャル症候群
⑦リポタンパク異常症:βリポ蛋白欠損症

<2>発育期の障害:
*結節性硬化症
*スタージウェーバー病
*母体の感染(風疹・ウイルス感染・トキソプラズマ)
*薬物使用
*放射線

<3>周産期の障害:
*難産などによる低酸素血症
*脳挫傷
*脳梗塞

<4>乳幼児期の低酸素血症:

<5>頭部外傷:
   外傷後数ヶ月から数年後に発症。

<6>中枢神経系感染症:
   脳脊髄膜炎

<7>脳腫瘍:

<8>代謝障害:
*アルコール中毒(急性・慢性)
*低血糖(膵腫瘍、肝疾患)
*低カルシウム血症
*尿毒症
*水中毒

<9>血管障害:
*脳梗塞・脳出血
*脳動静脈奇形・脳動脈硬化症
*SLEなどの膠原病による血管炎。

<10>脳循環障害:
①脳血流障害:
*アダムス・ストーク症候群
*頚動脈洞過敏症候群
②脳内血管の収縮:
*高血圧性脳症
*子癇
③無酸素血症:
*窒息時
*高地における激動

<11>神経変性疾患:
*アルツハイマー病
*ピック病
*クロイツフェルド-ヤコブ病

<12>薬物中毒:

アトロピン、カンファー、カフェイン、インスリン、プロカイン、ACTH、副腎皮質ステロイド、三環系抗ウツ剤

■新たな原因遺伝子
「理化学研究所と福岡大学の研究グループは、ケイレンなどを引き起こすテンカンの原因となる新たな遺伝子を突き止めた。発見した遺伝子によって脳内の情報伝達に深く関与するタンパク質(ナトリウムチャンネル)に異常が生じ、神経が興奮しすぎて発作を招くという。原因遺伝子はたくさん存在し、患者に適した薬の開発につながる。
研究グループはテンカン患者19家系の血液を採取・解析し遺伝子を突き止めた。原因遺伝子は神経細胞のナトリウムチャンネルに変異を起こす。ナトリウムチャンネルは真ん中に穴があり、開閉して情報伝達物質であるナトリウムイオンの通過を制御している。イオンの通貨量が増えると高い興奮状態になると考えられている。
突然変異が起こると、穴が閉じるのが正常時より遅くなるのが分かった。この結果、ナトリウムイオンの通過量が多くなり、高い興奮と発作を引き起こす可能性が高いという。ただ、この変異だけで発症するのかどうかは不明。
テンカンは日本人の1~2%がかかる病気。患者の大半を占め発作のみが起きる「特発性」と運動障害や痴呆などを伴う「症候性」がある。これまでに、テンカンの原因遺伝子は20個以上見つかっている。このうち特発性に関する遺伝子は9個でいずれもナトリウムチャンネルなどイオンチャンネルと総称される部位にあった。原因遺伝子は100以上あると推定されている。」2001.5.22《日経産業新聞》
■原因遺伝子が同じ
「知能障害を伴うテンカンと比較的軽い特発性テンカンとが同じ遺伝子の障害に起因していることを、理化学研究所と国立療養所静岡神経医療センター・慶應義塾大学が共同で発見した。遺伝子の傷つき方が大きいと症状も重くなる。
研究グループは神経の情報伝達にかかわる「ナトリウムチャンネル」と呼ぶタンパク質の主要部位の遺伝子に着目。この遺伝子に「ミスセンス変異」と呼ぶ軽い障害が起きると『特発性テンカン』の発症につながることを2001年に発見していた。
研究グループは今回、治療が難しい重症のテンカン患者60人の遺伝子を分析。うち1人にチャンネルたんぱくを断片しか作れなくなる「ナンセンス変異」と呼ぶ重大な遺伝子障害が起こっていることを発見した。詳しく調べると、父母からそれぞれ受け継いだ遺伝子の片方だけが傷ついていることが分かった。体内のチャンネル数は健常者のおよそ半分と見られ、それだけでも情報伝達に支障を来すが、追い打ちを掛けるように、タンパクの断片が正常なチャンネルの働きを妨害することも細胞実験で確認」2004.3.19《日経産業新聞》

■子供が突然発作-----テンカンか?-------
「“どんな発作か様子を聞いても分からないことがある。そんな時、最近はホームビデオで撮影してもらい、発作の様子を直接見ることも出来るようになってきた。脳波を見ただけでは本当の鑑別診断が出来ないことがある”
東京慈恵会医科大の前川喜平教授(小児科)は、こう説明する。“本当は薬が不必要なのに、ずっと続けている人がいる。長年にわたって、規則的に服用するのは大変だし、ストレスの原因にもなる”と話す。
子供は突然、体をガタガタ震わせたり、意識がなくなったりして、テンカンに似た発作を起こすことがある。救急患者として運ばれるか、発作が収まってから小児科外来を受診するのが普通だが、その診察では脳波検査を頼りに、テンカンと診断されることが少なくないという。
“脳波の異常が、普通の人の20%に見られたという報告もある。テンカンかどうか、専門医によるしっかりした鑑別診断が重要だ”と前川さんは話す。
テンカンを疑う前に、テンカンと似た症状がある病気でないかどうか、よく調べておく必要がある。

●テンカンと区別がつけにくい病気
<1>乳幼児に多い病気:
①乳児良性発作性行動異常
②反射性無酸素性発作(蒼白型憤怒ケイレン):
  高熱や興奮したり、強く泣いたりして脳が低酸素状態になってヒキツケを起こすことがある。
③代謝異常:

(イ)低血糖症
(ロ)低カルシウム血症

④その他:脳が未熟なために動きが停止したり、瞬きを繰り返すチックのような動きをすることがある。
<2>学童期以降:
①失神発作
②偽性発作(ヒステリー発作)
③脳血管障害:
   特に「もやもや病」
④偏頭痛
⑤睡眠時異常行動
⑥不随意運動
⑦その他
 小児神経科医で横浜市保土ヶ谷保健所の三宅捷太所長は“血液、尿検査はもちろん、脳波以外にもコンピューター断層診断(CT)や磁気共鳴断層撮影(MRI)を組み合わせ、脳血管障害などが無いか?、糖尿病による低血糖がないか?、などきちんと把握しておく必要がある”と話す。
ケイレンやひきつけは、発作の様子を聞くことで鑑別診出来ることが多い。たびたび起きる発作が、最初から体全体を巻き込んでいるか?、顔や目の向きはどうか?体をかたく突っ張る動きを伴っていないか?など、体の動き方も大きな判断材料になる。
長野県立こども病院の平林伸一・神経科部長は“発作がどんな様子かを調べるのに、ホームビデオは有効な手段の1つ。とくにケイレン性の発作の場合はよく分かる。問診・脳波・画像の検査などと組み合わせて患者の状態を把握し、ときにはゆっくり時間をかけてでも、鑑別診断をすることが重要だ”と話す。
テンカンと診断されても多くは治療で治ったり、発作を抑えることが出来たりする。前川さんは“子供のテンカンは、ほぼ90%は抑えることが出来る。 そのうちの60%余りの人が薬をやめることが出来るようになる”を指摘する。
平林さんも“テンカンは慢性疾患だから、薬をしっかり飲み続けないといけないが、過大評価するのもよくない。テンカンは症状の集まりであって、その中のどのタイプなのかを突き止めることで、治療方針や治療の見通しが明らかになる”と話している。1998.4.12《朝日新聞》

■新型の抗テンカン薬、仏で承認。
「デンマークの大手バイオ企業のノボ・ノルディスクは米アボット・ラボラトリーズと共同でケイレンの抑制効果の高い抗テンカン薬を開発した。興奮の原因となる脳内の神経伝達物質の吸収を阻害する新しいタイプの薬で、このほどフランスで12歳以上のテンカン患者の発作治療に適用が認められた。
この新薬は神経細胞から別の神経細胞への刺激が伝わった直後に、γーアミノ酪酸という神経伝達物質を取り込んで起きる異常な興奮状態の鎮静に効果を発揮する。1996.6.26《日経産業新聞》」

◎「大脳-体壁反射」
漢方では昔から、病変が体内にあればその反応は体表に現れるという、『内臓ー体壁反射』の関連を長い臨床経験を通じて知っている。
 テンカンの場合は『内臓ー体壁反射』ではなく『大脳ー体壁反射』として体壁の表面たる腹筋にその反射症状が現れる。
  筋緊張の発現に重要な役割をしているのは、筋肉の中にある筋紡錘とう受容器である。筋紡錘の中央の膨大部に感覚神経線維がからみついて、筋肉が緊張すると、その刺激を脊髄に送る。すると脊髄にある運動神経細胞(γ細胞)が興奮して、その興奮を筋紡錘の両端部にある運動神経線維(γ線維)に伝える。と、その抑制作用によって筋肉は収縮し、もとの状態にかえる。脊髄にある運送神経細胞は、脳幹の網様体を介して、大脳皮質や小脳などの支配を受けている。このような巧妙な抑制作用によって、筋肉の緊張と収縮がうまく調節されている。
 いま、大脳皮質にある神経細胞のなかで、何らかの変化により、抑制シナプスが不足し、興奮シナプスだけが働けば、巧妙な抑制作用ができなくなり、異常な興奮反射だけが筋肉のどこかに現れることになる。その反射が『大脳ー体壁反射』として、腹筋に発現するという訳である。
 そこで、腹筋に発現した証拠(腹証)を的確につかみ、それに応ずる治療を行えば、不治といわれるテンカンも治るはずである。この腹証を診断することが、テンカン治療のポイントになる。」(寺師睦宗著「成人病の漢方療法」p215p~216)

◎発作の介助、「口にものを入れる」は間違い
「千葉県成田市に住む主婦(32)は、1歳になる長男がテンカンと診断され、検査と治療のため、2ヶ月入院した。「発作が続くかもしれない。何らかの障害が出るかもしれない」と思いは揺れたが、「掲載シリーズを読み、親である私たちがへこたれてはいられないと感じました」。
埼玉県白岡町の会社員の男性(64)は「治療法などハード面が中心で、行政施策などのソフト面が扱われなかったのが残念」と指摘する。ボランティア活動で様々な障害を持つ人たちと接するが、国公立のリハビリセンターなどは法的に身体障害しか利用できず、テンカン患者には門戸を閉ざしている「硬直化した行政の対応に不満を聞くことが多い」と、制度面の改革を訴えている。
さらに、テンカン発作が起きたときの対応の仕方を説明して欲しいという声も多かった。
「友人がテンカン発作を起こしたとき、ただオロオロするばかりだった」という埼玉県東松山市の大学生(21)はああ「救急車の中で手を握って無事を願うしか出来ず、自分の無力さを痛感。どう対処すればいいのか知ることでb容器への理解につながり、私でも力に鳴ることが出来るのでは----」とつづる。
そこで、発作の時の介助の仕方を、日本テンカン協会常勤理事の古山寿郎さんい聞いた。
古山さんによると、発作のタイプや程度によって異なるが、数秒~数十秒ほど意識がぼんやりして呼びかけに応じないような『欠伸発作』は、そのまま快復するまで見守ればいい。
また、意識が曇ったまま歩き回るような発作(複雑部分発作)は、無理に行動を制止せずに一定の距離を取って見守り、周囲に危険物などがあれば取り除いて回復を待つ。
大きなケイレン発作や急に倒れて意識を失っている場合、周囲の状況に応じ、本人の安全を確保することが最優先となる。
頭の下に柔らかいものを置き。襟元やベルトを緩め、眼鏡をはずすなどケガしないように気を付ける。激しく突っ張ったりケイレンしている間は、下顎に手を当てて上方に押し上げ、(気道を確保し)窒息や舌を噛むのを防ぐ。
同協会が今年3月にまとめた。「市民意識調査」では、発作時の対処法として「口にものをくわえさせる」を選んだ人が、複数回答で6割もいたが、古山さんは「間違った方法。逆に口の中を傷つけ、気道をふさいでしまう」と指摘する。
発作が数分以上続き、だんだんひどくなる場合は、救急車を呼んで病院へ運ぶ必要がある。
テンカン治療に詳しい神奈川リハビリテーション病院小児科部長の熊谷公明さんは、「ほとんどの場合、テンカン発作は数十秒から数分のうちに自然に止まり、命に関わることはない。まう冷静に」とし、「特に学校では、生徒のテンカン発作で、周りの生徒が動揺しないように先生の落ち着いた対応が重要だ」と放している。」
■手術
「テンカン患者の脳には発作を引き起こす異常な電気信号を発する部位がある。手術は磁気共鳴装置(MRI)などで、異常電気部位を突き止めて、切除・切れ目を入れて電気信号の悪影響を軽減させる。健康保険の適用がある。
最も効果が期待できるのが『側頭葉テンカン』。薬が効きにくく、動作を止めて虚空を見つめるなどの特徴的な発作がでる。このタイプは記憶を司る脳の『海馬』が萎縮して硬くなっていることが多い。手術では海馬の一部を切除するが、「海馬の異常が片側の脳に留まる等の条件がそろえば、8割の患者で発作が止まることがある」(清水弘之・東京都立神経病院部長)
ただ後遺症が出ることもある。日常生活に大きな影響が出るほどではないが、まれに視野の一部が失われることがある。記憶障害が残ると、人の名前が覚えにくいとか、数時間前の出来事が思い出せない。
従来のテンカン手術を改良した「海馬多切術」を清水部長らが2001年に開発した。海馬の表面に切れ目を入れて異常な電気信号のショックを和らげる手法。約50例実施し、効果は切除術と遜色なかった。
勢いよく倒れてしまうような重い発作が特徴の患者には『脳梁離断術』が施術される。脳の左右を電気信号が行き来する連絡路を切断し共鳴を妨げる。ケイレンは残るが、倒れる発作は90%抑えられる。」
■標的分子
「米アイオワ大学の研究チームは、脳の神経細胞の膜上にあって、脳内の酸性度を感知するセンサーとして働き、テンカン発作を抑える役割を果たしている標的分子を発見した。
チームは、脳内の神経細胞にある『ASIC1a』という分子を欠損させた「てんかんマウス」を調べたところ、正常のマウスと比べてひどい発作を起こした。発作時、二酸化炭素(CO2)を多く含んだ空気を吸わせると発作が治まるのが普通だが、この欠損マウスでは効果がなかった
発作を抑える役割をする神経細胞ではASIC1aが多く含まれていることも判明した。
■原因タンパク質
「2010年、自然科学研究機構・生理学研究所の深田正紀教授らのチームは、マウス実験で原因タンパク質の1つを突き止めた。
神経細胞同士のつなぎ目にあるタンパク質で、ヒトにも存在する。これまで知られていた原因タンパク質とは働きが異なる。
成果は米科学アカデミー紀要に発表
みつけた原因タンパク質は『LGI1』。家族性のテンカン患者では。このタンパク質を作る遺伝子の変異が多く見られる。
研究グループがLGI1を作れないマウスを作製したところ、脳の神経細胞同士の情報伝達が異常になり、テンカン発作が起こった。正常のマウスではLGI1はシナプスと呼ばれる神経細胞同士のつなぎ目で、他の2種類のタンパク質と複合体を作っていた。
テンカンの原因タンパク質は数十種類見つかっているが、多くは細胞内のカルシウム濃度を調節する別のタイプだった。

医薬品
「ラミクタール」
=小児テンカンで難治性の『レノックス・ガストー症候群』の適応する。

【芳香療法】
◎使用してはいけない精油:発作の引き金になる。
*セージ(Salvia oficinalis)
*ヒソップ(Hyssopus oficinalis)
*フェンネル(Foeniculum vulgare var.dulce)
*ワームウッド(Artemisia absimthium)
*ローズマリー

【食事療法】
<1>コンニャクは食べないようにしましょう。

【民間療法】
○オモト・カノコソウ・キジ・クマ・鴟頭・ユキノシタ。

【宝石療法】
    <1>[真珠]
    <2>[サファイヤ]
    <3>[ダイヤモンド]
  
【鍼灸】
[四神聰][前神聰][後神聰][癲癇][接骨][腰奇][尾窮骨][脊五穴][手心][承命][節紋][鬼哭]

【漢方療法】
◎癲癇は昏倒するとき、異様な声を発し、覚めるときは泡を吹き、意識を戻した後、又前記のような症状を繰り返す。
 一方、[中風]・[中寒]・[中暑]・[尸厥]などで昏倒したときは、異様な声も無 く、意識を取り戻したときも口角に泡はなく、再発しない。
◎大人の癲癇を癲と謂い、小児の癲癇を癇と謂う。
[癇]=小児の悪症。驚風に3回罹ると癇になるという。
[癲]=異常な症状。正常とはほど遠く、とてつもないことをしゃべり、妄想と言葉に秩序がない。大人の悪症。
<1>人は先天的な癲癇の持ち主がいるがこれを胎病という。胎中にいると母体が何らかの原因で驚愕し気が逆上して降りず、そのとき生まれる子供がそうなる。(胎癇):[焼丹丸]
<2>身体に熱があり、脈が浮く症状:[妙香丸]
<3>身体が冷たく脈が沈む症状:[五生丸]
<4>太った人には:[追風袪痰丸][加味寿星元][引神帰舎丹]
<5>痩せた人には:[清心漓痰丸][竜脳安神丸]
<6>痰が心臓をふさぐとき:[金箔鎮心丸][控涎丸]
<7>痰がどんどん増えるとき:[甘遂散]
<8>吃驚して起きた癲癇:[驚気元][抱胆丸]
<9>怒りっぽくて起きた:[寧神導痰湯][当帰竜薈丸]
<10>心臓の虚損と気血の不足:[滋陰寧神湯][清心温胆湯][帰神丹]
<11>婦人には:[加味逍遥散][朱砂膏]
<12>五癇:
        ①肝邪による鶏癇、
        ②心邪による馬癇、
        ③脾邪による牛癇、
        ④肺邪による羊癇、
        ⑤腎邪による猪癇を治す
[竜脳安神丸][五癇丸][六珍丹][銭氏五色丸][育魂丹][丑宝丸][鶏頭丸][活虎丹][蝙蝠散][礬丹丸]
<13>癇疾が治ったあと、又再発したとき:[断癇丹]

【処方名-五十音順】
■育魂丹
■一物瓜蒂湯
■黄土湯
■黄連湯
■活虎丹
■乾姜附子湯
■甘草乾姜湯
■甘草湯[2]《腹証奇覧》:急迫を緩める。
■甘遂散
■甘麦大棗湯
■帰心丸
■驚気丸
■救逆湯
■金箔鎮心丸
■九味檳榔湯
■解語湯
■桂枝加大黄湯
■桂枝加竜骨牡蠣湯
■桂枝茯苓丸
■控涎丸
■五癇丸
■五生丸
■五苓散
■柴胡加竜骨牡蛎湯
■柴胡桂枝湯
■三黄瀉心湯
■三癇丹
■滋陰寧心湯
■四逆散
■鴟頭丸
■紫霜丸
■至宝丹
■小柴胡湯桂枝・芍薬
■小柴胡湯黄連解毒湯
■焼丹丸
■滌痰湯
■沈香天麻湯
■清心温胆湯
■清心漆痰丸
■銭氏五色丸
■蘇合香丸
■大黄黄連瀉心湯
■大柴胡湯
■断癇丹
■治肝虚内熱云々方《本草彙言》
■丑宝丸
■猪苓湯
■追風袪痰丸
■抵当湯
■定魄丸
■天麻釣藤飲
■桃核承気湯
■導痰湯
■白通加猪胆汁湯
■礬丹丸
■風引湯
■茯苓四逆湯
■蝙蝠散
■防風通聖散
■抱胆丸
■万病元
■礞石滾痰丸
■抑肝散
■竜脳安神丸
■苓桂朮甘湯
■六珍丹
  

【臨床例】
☆《建珠録》
 「京師室街の賈人、升屋徳右衛門の家僕、宇右衛門は年二十有餘。積年、癇癪を患う。一月に一発す。或は再発す。或いは発せず。然れども間三月なれば必ず発す。と。
《吉益東洞》先生之を診視す。胸腹微動し、胸下支満し、時ありて上衝す。乃って柴胡姜桂湯及び滾痰丸をつくりて之を飲ましめ時に梅肉散を以て之を 攻む。出入すること一歳ばかり、復び発せず。」

☆7歳、男子。
「生後1年8ヶ月でひきつけが始まった。聖路加病院で「単純性熱性痙攣」と診断された。
扁桃炎のあと、すぐにケイレンを起こし、今まで12回起きた。その後39℃の熱を出すという。慶応大学病院で診断したところ、脳波に少し異常ありとのことで、いまルミナールを服薬中との由。
患者は痩せ型の風邪を引きやすい体質で、寝汗をかき、のどが渇いてよく水を飲む。野菜より肉類を好み、酸っぱいものは嫌いという。秘結がちでコロコロした便が出て、小水は近い。
去年12月、食事中に左手で茶碗が持てない、変だと言う。それから1時間後にケイレンが起きたとの事である。
型どおり診察する。診察の途中、顔をよくしかめる。チック病もあるのではないかと考える。腹診すると、テンカン特有の腹証をしている。すなわち、胸脇苦満と腹直筋の緊張を認める。胸脇苦満は軽い。
腹証により、小柴胡湯加桂枝芍薬を与える。すると、便が毎日あるようになり、水を飲まなくなった。60日分飲むと、顔をしかめるチック病が治ってしまった。
漢方治療を初めて80日目、慶応大学病院で脳波をとると異常なしとの事。その後3年服用する。その間、1回もケイレンは起こらず、身体は丈夫になり、風邪をひかなくなった。」(寺師睦宗著「成人病の漢方療法」p219~p220)

■大脳全体を一度に観察
「日立メディコは微弱な近赤外光を頭皮に照射し、脳の活動状態を調べる光トポグラフィ装置「ETG-7000」を発売した。従来機は頭部の一部しか調べられなかったが、脳の血流などを観察するチャンネル数を5倍に増やし、大脳全体を一度に観察できるようにした。
テンカンの症状の原因となっている脳の部位の特定や、地方の検査などで脳の中で言語や運動・視覚・聴覚などにかかわる部位を調べるのに使う。」2002.8.23《日経産業新聞》









 デング熱   dengue
(参照→「チクングニア熱」)
⇒全身のリンパ節腫張を伴う感染症。
◎症状:
発熱:(二峰性)
頭痛、激烈な腰痛・筋肉痛、関節痛
発疹:
 2回目の発熱と同時に顔面・手足から始まって全身に拡大する。瘙痒感強い。
リンパ節腫痛:
 後頭部と肘部リンパ節の腫脹(無痛性)
白血球:減少
リンパ球:減少

◎検査:血清反応。
◎「一部の学者によると、『デング』はスワヒリ語のことばがスペイン語に入っもので、もともと人が霊魂に取り付かれたように見えるケイレンを表すのに使われたのだろうという。又、一説によると『デング』はやはりスペイン語であるが、「気取り」という意味で、この病気にかかって治療を受けていない患者が、すさまじい関節痛を和らげるために、小股に歩く様子を意地悪く表現した言葉だという。同じようにイギリス人はこれを「ダンディ熱」と名付けた。この病気が1780年にフィラデルフィアで発生したとき、当代随一のアメリカの医師(独立宣言にも署名している)ベンジャミン・ラッシュ博士は、これを「骨折熱」と命名した。なにしろ、本当に骨が折れたかと思われるように痛む病気だったのである。
  今日ではアメリカでデング熱が発生するのは、カリブ海の島々や中央・南アメリカ、アフリカ、或いは東南アジアなどのそれが風土病となっている地域から、旅行者が持ち帰った場合に限られている。こうした地域では、何十億もの人々が危険にさらされており、デング熱は昆虫媒介性の疾患としてはマラリアに次いで2番目に多い。
 デング熱の原因はアルボウイルスだが、主にネッタイシマカ(黄熱やウイルス性脳炎を媒介することもある)に刺されると感染する。この蚊は溜まり水の入った容器の中で好んで繁殖する、ごく普通の夏の害虫の一種である。この病気と蚊は、おそらく奴隷貿易やほかの商業活動とともにアフリカから渡ってきたと考えられる。テキサスとフロリダにしっかり定着しているが、概してアメリカ産のネッタイシマカは危険ではない。なぜなら、デングウイルスが勢力を広げるのに必要な、人口の密集した開拓地がここにはもはや無いからである。
 1922年には患者が100万人以上にのぼる流行が起こったが、デング熱の地方性の流行としては1986年にテキサス南部で起こったのが最期である。アメリカでは毎年確認される症例は10件あまりにすぎない。誰かが、海外でウイルスに感染して帰国したときに、ネッタイシマカがその感染者を刺して体内でウイルスを増やし、それから別の人を刺せば地域的発生はいつでも起こりうる。だが、だいたいにおいて現在デング熱が見られるのは、政府が蚊の駆除にまわす資金の余裕が無いか、全く関心が無いところに限られている。1994年には、ハイチから帰還した何千人ものアメリカ兵の間で散発的にデング熱が起こっており、大勢の人にウイルスが広がるのではないかと懸念されている。
 デング熱は突発的な40℃の発熱と吐き気・嘔吐・激しい頭痛を伴い、熱の中休みの24時間後に現れる発疹、そして回復期の長さなどで知られているが、致命的ではない。ほとんどの症例は軽く、治療法は輸液と安静である。ただし、この病気にはきわめて重症になる『デング出血熱』と呼ばれるタイプがあって、1950年代半ばにタイとフィリピンではじめて報告されて以来、発生件数が増えている。それは1958年から63年にかけてバンコクで10036人を襲い、694人を死亡させた。
  デング熱を起こすアルボウイルスには4つの型があり、そのうちの2つ以上に同時に感染すると、それこそ『激症のデング熱』になる。1981年に、ハバナはデング出血熱の流行に見舞われ、人口200万人のうち344000人が罹患して158人が死亡した。82年には、ニューデリーの560万人の人口の20%以上がこの病気に罹った。90年にはベネズエラで3100人の患者が発生し、73人が死亡した。おそらく、4つの型のウイルスはかって地理的に離れた地域にとじこもっていたのだが、感染した人々が世界を旅行するので混じり合ったのであろう。
  別のシマカ属の蚊ーーヒトスジシマカといい「アジアのトラ」と呼ばれる----------もデングウイルスを運ぶことが出来る。この蚊は1985年に日本の中古タイヤ---------お気に入りの繁殖場所--------の船荷にただ乗りして、テキサス州ヒューストンに到着し、いまでは少なくとも17の州に定着している。この攻撃的なトラは、いまのところアメリカではデングウイルスを運んでいる様子はないが、もう一つの危険なアルボウイルス、東部ウマ脳脊髄炎ウイルスがフロリダのタイヤ投棄周辺のヒトスジシマカから」発見されている。
     (A Field Guide to Germs by Wayne Biddle)春日倫子訳p133

■東南アジアなどで流行
「海外旅行で注意したい感染症には、飲食物などによってうつるコレラや赤痢、腸チフス、蚊が媒介するマラリアやデング熱などがある。厚生省の96年伝染病統計によると、赤痢は国内感染者が350人に対し、国外での感染者は倍以上の752人。日本では感染しないマラリアは51人の感染者が出た。
東南アジアや南米・オセアニアなどで今年特に流行しているのだデング熱だ。タイでは5月までに患者が3万人を超え、インドネシアの感染者数も3万人以上に達し、700人を越す死者が出ている。
デング熱は、ネッタイシマカという蚊を媒介にしてデングウイルスで感染する。潜伏期間は4~6日。39℃前後の高熱が2~7日続き、発疹・全身のだるさ・筋肉や関節の痛みなどが主な症状。
ほとんどが自然に回復するが、数%の感染者は血小板が減少して出血しやすくなったり(デング出血熱)、血圧が低下してショックを起こしたりする(デングショック症状群) 。ただ、適切な治療を受ければ命に関わることは少ない。
日本人渡航者の感染数は不明だが、国立感染症研究所の岡部信彦・感染症情報室長は「怖い病気ではないが、高熱が3日以上続いたり、鼻血や歯茎からの出血、血便があったら、ただちに受診すべきだ」とアドバイスする。
症状が現れたら、脱水予防に水分をたっぷり摂ること。
しかし、鎮痛・解熱剤を安易に使用することは戒めたい。アスピリン系の薬は、血小板の働きを弱める作用があり、出血しやすさを強める結果になることもある。
ネッタイシマカは昼間に動き回る。長袖を着るか、防虫スプレーや蚊取り線香で予防する事が必要。

■血小板減少
「長崎大学・熱帯医学研究所の斉藤麻里子研究員らは、熱帯性の感染症であるデング熱患者で血小板が減少するメカニズムを突き止めた。
デングウイルスは体内にはいると血液中で血小板に付着するため、ウイルスを抗原と認識した抗体が血小板と結合する。研究チームはフィリピンでデング熱やデング出血熱で入院した患者78人で免疫グロブリンGという抗体と結合した血小板を調べた。」
■1時間で判定
「長崎大学熱帯医学研究所の森田公一教授らと栄研化学は共同で、デング熱の診断技術を開発した。東南アジアを中心に2000万人の感染者がいるデング熱は、蚊に人が刺されて感染する。病原体のデングウイルスには4つの型があり、RNA(リボ核酸)が異なる。実際にデングウイルスを使って開発した技術をテストしたところ、4種類とも検出できた。新手法は高価な専用装置が不要なので途上国でも利用可能。」
■モデル
「デング熱には4つの型がある。タイのバンコクで過去20年間の流行記録を調べたら、、3つの型は同時に流行し、4番目の型だけが別の時期に流行するパターンがあることが分かった。
そこで、患者が夏に増え、冬に減る季節変動を反映した数理モデルを九州大学のグループが作った。」20069/6《産業》





 テンカン発作重積症
⇒テンカン発作(大発作多い)が短時間内に反復して出現する状態。
◎放置すると生命に危険。







 できもの
   ⇒「腫瘍」「出来物」
◎毒即ち是れ寒、寒を解して毒自ら化するを。火を清して毒愈(イヨイヨ)凝然たり。毒の化が必ず膿に由る、膿の来る必ず気血に由る。気血の化は必ず温に由るなり。豈(アニ)凉すべけんやと。この説、まさに「黄蓍建中湯」を用いる指針とすべし。《雑病翼方》

【処方名-五十音順】
■黄蓍建中湯
■三脘湯《伝家秘宝》
■排膿散及湯

【色彩療法】
    <1>オレンジ色  

【臨床例】
☆足肉茎の例
「京師丸田街、刀屋平八なるもの、壬午(みずのえうま)の秋、左足に疔を発す。瘍醫(=外科医)、之を治す。後更に肉莖を生じ、その状蛭の如し。刀を用いて截去す。痛むところ知ることなし。随いて截れば、随いて長ず。明くる年、別に復疔を発す。治するときは初の如く、爾後、歳を以て常となす。肉莖を生ずるもの凡そ五條。上下参差、垂れて脛上に並ぶ。衆醫、その故を知ることなし。薬を進めるも亦、皆效なし。
《吉益東洞》先生の曰く、「我れも亦、その因るところを知らず。然かれども其の之を治するに至りては、豈能わざらんか」と。因って之を診す。心胸微煩し、時ありて、水を飲まんと欲す。脚殊に濡弱。越婢加朮湯及び伯州散をつくりて之を飲む。時に梅肉散を以て之を攻めること数日、莖皆脱下して癒ゆ。」《建珠録》

☆《井觀醫言》より
「ずっと以前のことである。会津の荘司某の母は、右の鎖骨の下と左の乳房の上下とに、塊りが突起した。その大きさは、小形の瓶の如きものと杯位のものであった。
局部の皮膚は淡紅色になり、これを押してみるとあたかも脂肪性の瘤に様な感じがした。時々痛みが起こって、堪えかねるようなこともあり、全身に微かな浮腫を現し、喘息のようなゼイゼイした咳が出た。手や足が疼き痛んだので、越婢加朮湯や桂芍知母湯などを与えること、凡そ30日ばかりであったが、全然効果がなく、そのうちに肋骨弓下にも亦1塊を生じた。痰喘、浮腫が日に甚だしくなって、遂に斃れるまで、その塊は消散しなかった。
余もそれがどういう性質のものか判らなかった。記録しておいて後日の参考にし、併せて博雅の士に問いただしたいと思う。《荒木正胤》

☆30余才女性。
「左の乳房の横(身体の中央寄り)に縦3cm横2cm大の赤く腫れて盛り上がった出来物があり、本人は色白で水肥りタイプ。これに、Squalene十味 敗毒湯黄連解毒湯カルシウムを与え、3ヶ月後に消失。なお夫のほうにも同じ様な場所に同様のできものがあり、同じように治った。聞くと、ある 薬局でドクダミを勧められ、家族で飲んでから、発病したとのこと。」《螺王人》


 でべそ
■自然治癒多い
「生まれて3ヶ月のMちゃん。へその緒がとれてから、おへそが膨れだし。段々     と大ききなってきたといって、外来を受診した。母親によると、泣くと大きく     膨れるとが、泣きやむと戻るという。
「ヘルニア」という、赤ちゃんに見られる「でべそ」である。ヘソの組織の弱     い部分から腸管が腹膜や皮膚をかぶった状態で脱出してきて膨れる状態であ      る。円柱型・球型など、形も様々である。
3ヶ月~4ヶ月頃になると赤ちゃんのお腹の力が強くなり、泣いたときの膨     らみは大きくなる。5cmほどの大きさになることもある。しかし、多くの赤ち     ゃんは自然治癒する。自然治癒率は1歳までで80%、2歳までで90%と言     われている。
「ヘルニア」では、出てきた腸が詰まってしまい血行障害を起こす『篏頓』と     いう状態に陥ることがある。しかし、これは極めて稀であり、多くの場合には     自然治癒を期待して経過観察される。
以前の家庭医学書には、絆創膏を貼ったり、コインを絆創膏で張り付けたり     して腸管が脱出しないようにすることが書かれていた。
しかし、自然治癒率に差はなく、逆に絆創膏かぶれを起こす恐れがあること     から、最近は行われなくなった。
自然治癒しなかった場合、あるいは治癒後に皮膚にたるみが残った場合に、     美容的観点から手術が行われることがある。手術は比較的簡単で、短期間の入     院で済む。赤ちゃんの間に手術が行われることもあるが、必ずしも急いで手術     する必要はない。(田中潔・国立小児病院外科)199811.30《日本経済新聞》



 手足が温かい
  【処方名-五十音順】
■黄連解毒湯
■清暑益気湯
■調胃承気湯


 

手足が痛い
  =手足の疼痛
   ◎四肢痛をもたらす疾患:


│ビタミンB欠乏症
│旋毛虫症
│急性感染症
│閉塞性血栓血管炎 │
│閉塞性動脈硬化症 │
│Raynaud病 │
│肢端紅痛症 │
│血栓性静脈炎 │
│その他 │糖尿病・尿毒症・悪性貧血・脊椎疾患・脊髄疾患・脳疾患・薬物中毒など。

【処方名-五十音順】
■越婢加朮湯
■加味帰脾湯
■桂枝加黄蓍湯
■桂枝加竜骨牡蠣湯
■桂芍知母湯
■小建中湯(手足拘急)
■升麻葛根湯
■真武湯
■疎経活血湯<遊走性>、水毒)
■八味地黄丸
■苓姜朮甘湯(腰脚の冷えがひどい、小便不利)




 手足がしびれる
=手足のしびれ  (→痺=ヒ)(→しびれ)
◎原因には:
<1>一過性脳虚血発作
一時的に脳の一部の血液が欠乏した為に、手足のマヒ・しびれ・言語障害・歩くとよろける、といった症状が起きた状態。症状は普通1日以内に消える。1996.3.10《朝日新聞》。
<2>椎骨脳底動脈の循環不全:
首をちょっと上げたときや、寝たり起きたりしていた姿勢から立ち上がった時には、頭の中にあった血液が急速に下へ落ちそうになります。そのままだと瞬間的に貧血が起きて支障があるので、頭のうしろ1/3に血液を送る椎骨脳底動脈が縮んで、それを食い止めています。ところが椎骨脳底動脈は、動脈硬化が進むと太さは変わらないで壁が厚くなる傾向が強く、ゴム管が土管に変わった様になります。判定には、しびれ・手に力が入らないといった症状に加えて、めまいがあるなら、ずばり椎骨脳底動脈循環不全と診断できます。1996.3.10《朝日新聞》より。
<3>変形性頸椎症
<4>脳梗塞
<5>むち打ち
<6>カルシウム不足
<7>外傷等がある。
<8>中年の男性で、手がしびれる場合…最も多いのが、「頸椎症」です。

【処方名-五十音順】
■痿証方
■温経湯
■温清飲
■黄蓍桂枝五物湯
■加味八仙湯
■芎帰膠艾湯
■羗活勝湿湯
■桂芍知母湯
■荊防敗毒散
■蠲痺湯    
■行湿流気飲
■五痺湯
■五物湯
■三妙散
■三痺湯
■七物降下湯
■四物湯
■朮附湯
■逍遥散
■升麻湯
■川芎茯苓湯
■増味五痺湯(風寒湿が合わさって麻痺・不仁)
■疎経活血湯(痛んでシビレ・遊走性の痛み)
■鎮肝熄風湯(シビレ・運動障害・ふるえ)
■天麻釣藤飲(シビレ・ふるえ)
■当帰四逆湯
■当帰湯
■当帰芍薬散(貧血・冷え性)
■桃紅四物湯
■独活寄生湯(遊走性のシビレと痛み)
■二朮湯(痛んでシビレ・運動障害)
■八珍湯
■茯苓湯(痛痺で四肢が疼痛し、ひかかって浮腫)
■附子湯
■補肝湯(シビレ・ケイレン)
■防風湯(行痺が走注する) 
■薏苡仁湯(痛んでシビレ)
■抑肝散(シビレ・筋肉のケイレン・チック・ふるえ)
■羚羊角湯(筋痺で肢節が痛む)


手足がだるい
  【処方名-五十音順】
■九味檳榔湯
■五苓散
■柴胡桂枝乾姜湯
■滋陰降火湯
■小建中湯
■小柴胡湯
■参蘇飲
■人参湯(手足の脱力感)
■八味地黄丸
■半夏白朮天麻湯




 手足がふにゃふにゃ(手足痿弱)
    (→しびれ)
【処方名-五十音順】
■四君子湯



 手足がふるえる
   手足のふるえ
【処方名-五十音順】
■七物降下湯(顔色悪い、しびれ、ひきつり、のぼせ、めまい、耳鳴り)
■釣藤散
■当帰飲子(手がふるえる
■抑肝散
■苓桂朮甘湯(小便不利、めまい、)


 

手足から汗が出る
   (参照→「手掌多汗症」)
⇒津液が胃腑から外にしみ出たもの。
(1)熱がある:陽明病・・大柴胡湯
(2)一般に・・・・・・・芩・連・柏・神剤
(3)その他・・・・・・・八物湯半夏・茯苓・白附子。
(4)脚の汗・・・「白礬・乾葛各5銭」作末し、水3椀で沸騰させ、毎日洗って包帯をしておく。

【処方名-五十音順】
■大柴胡湯(熱があって)
■八物湯半夏・茯苓・白附子
■大承気湯(陽明病、腹部膨満<充実>、便秘、悪寒ナシ、汗出潮熱、裏急後重、口渇、舌苔黒・乾燥、脈沈実)


 

手足が冷たい・手足の冷え
=手足厥冷

【処方名-五十音順】
■甘草湯(炎症<軽>、ケイレン性)
■帰脾湯
■九味檳榔湯(息切れ、胸苦しい、ふくらはぎの緊張、腹が張る・脹痛)
■五積散
■呉茱萸湯
■柴胡桂枝乾姜湯(手足冷えやすい
■滋陰降火湯
■四逆散
■四物湯(貧血、皮膚枯燥、動悸<臍上>、神経症状、腹部軟弱、脈沈弱)
■十全大補湯
■小半夏加茯苓湯
■真武湯
■疎経活血湯(下腹部瘀血、しびれ、四肢疼痛<遊走性>、水毒)
■大建中湯
■大承気湯
■釣藤散
■当帰飲子(虚証、貧血、皮膚枯燥、掻痒)
■当帰建中湯(貧血、食欲不振、虚弱体質、腹痛、腰痛<牽引痛>、)
■当帰芍薬散(貧血、冷え性、疲れやすい、月経不順、神経症状)
■人参湯
■人参養栄湯
■半夏白朮天麻湯
■茯苓飲(上腹部がつかえ苦しい、胃部振水音、舌苔白潤)
■附子人参湯(厥冷、下痢、硬直)
■六君子湯(胃弱、胃内停水、貧血)
■苓甘姜味辛夏仁湯(痰飲浮腫、顔色悪い、くしゃみ、せき、)
■苓桂朮甘湯(小便不利、めまい、)

【宝石療法】
    <1>[ルビー]


 手足搐搦
◎主薬:防風・羗活《万病回春》

 

手足の裏が湿潤・手足に汗
■柴胡清肝湯(べとついた汗)
■四逆散(冷や汗)
■竜胆瀉肝湯

 


手足の腫れ
■柴苓湯(食欲不振、尿利減少、口渇、浮腫、胸脇苦満)


手足のほてり(手足煩熱)
手足がほてる

■茵蔯五苓散
■三物黄芩湯
■四物湯
■炙甘草湯
■小建中湯
■八味地黄丸
■六味丸

【宝石療法】
    <1>[ムーンストーン]

 


手足の麻痺

■越婢加朮湯
■黄蓍桂枝五物湯
■桂枝加朮附湯(四肢疼痛、麻痺)
■桂麻各半湯(顔面赤い、発熱無汗、皮膚掻痒、便秘なし)
■柴胡加竜骨牡蛎湯
■四逆散
■四物湯(貧血、皮膚枯燥、動悸<上>、神経症状、腹部軟弱、脈沈弱)
■芍薬甘草附子湯(冷痛、ケイレン痛)
■十全大補湯
■消風散
■真武湯
■疎経活血湯(下腹部瘀血、しびれ、四肢疼痛<遊走性>、水毒)
■大柴胡湯(実証、筋肉質、胸脇苦満、心下部緊張、便秘)
■八味地黄丸
■防已黄蓍湯(上半身、足がむくむ)
■防風通聖散


手足口病
⇒発疹を伴う感染症。
<1>コクサッキーA16型では、合併症はまれ。
<2>エンテロウイルス71型では、無菌性髄膜炎や脳炎をみることがある。
◎好発年齢:1~3才が多い。
◎好発時期:春秋に多いが、冬に流行することもある。
◎症状:
発疹:
①部位:手足末端に好発。
    ときには、肘・膝関節、顔or臀部に出る。
②性状:

(ア)手掌・足底・指趾間に水疱形成(数mm径)
(イ)手背・足背などでは丘疹(米粒大)
(ウ)口腔内の粘膜疹、水疱を形成する。
③発疹の出現:発熱と同時に出現。

発熱:必発ではない。
咽頭痛

◎血液像:特になし。
◎検査項目:ウイルス分離
      ウイルス抗体価測定

■男児1人死亡
「夏場を中心に乳幼児の間に流行する「手足口病」に昨年秋、北海道で男児1人が罹り、急性脳炎を併発して死亡していたことが、厚生省が12日にまとめた昨年の全国調査結果で分かった。
これまで、手足口病絡みの国内の死者は、確認されただけで93年の1人、97年の3人と合わせて計5人となった。
軽い病気とみられがちの手足口病だが、同省は「流行期には、うがい・手洗いなど日常の予防を心掛けてほしい」と注意を呼び掛けている。
「手足口病は、エンテロウイルス71型などにより、手足と口に水疱性の発疹が出て、発熱を伴う感染症で、有効な治療法はない。国内では60年代後半から患者が目立つようになったが、通常は1週間ほどで回復する。
しかし、脳炎や急性麻痺などを併発する重症例もあり、昨年のケースでは、     生後10ヶ月の男児が9月20日に手足口病を発症、5日後に容体が急変して     急性脳炎で死亡した。
急性心筋炎で一時的に心停止状態になるなどの重症例も、別に4件あった。     
   ■カルテ開示
「大阪市城東区で配送の仕事をする上田さん(42)は、97年8月の家族旅行中、1歳3ヶ月の三男が、キャンプ場近くの小児科で「手足口病」と診断された。帰宅後に高熱が出て、未明から午後にかけて3つの医療機関にかかった末、息を引き取った。
死因は「急性脳症」。上田さんと妻の和江さん(41)は「あんなに元気だった子がなぜ?」という疑問がどうしてもぬぐえず、医学書などを調べていくうち、こんな文章を目にした。
「アスピリンがウイルス性の病気の子供に使われた場合、ライ症候群という急性脳症の一種を引き起こすことがある」。熱が出た未明、最初に診察を受けたA病院からもらった解熱の坐薬が、ひょっとしたら---------。
上田さんは、A病院だけでなく、診察を受けたすべての医療機関のカルテが欲しいと思った。

上田さんは昨年、A病院以外の3医療機関の医師に頼み込み、すべての記録のコピーを入手。A病院には、カルテを改竄されないように裁判所の証拠保全 の手続きをとり、9月にコピーを入手した。
その記録を見ると、もらった坐薬はアスピリンではなかった。97年は、大阪で他にも2人、手足口病で亡くなっており、軽い病気という従来の認識を覆 している。上田さんはこの誤解が解けた後、A病院を訪れ、院長に事情を説明、院長もその心情に理解を示してくれた。

  【処方名-五十音順】
■桂麻各半湯
■桂枝湯麻黄湯


 

手がふるえる
=甲状腺ホルモンの異常からも。
■意思に反して手が動く
「パーキンソン病は手足のふるえに始まり、体の自由が利かなくなる神経性の難病だ。体のふるえに悩む人には気になる病気だが、実際に症状を訴える患者の大半は『本態性振顫』という別の病気であることが多い。原因不明の震えという意味だ。
症状は様々だが、手の指や頭・声が意思に反して一定の頻度で震えるのが特徴。安静時に震えるパーキンソン病に対して、本態性振顫は動作や一手に姿勢を取ろうとした時にふるえが出る。
40代以降に多く、国内には200万人の患者がいると推定」2000.6.17《日本経済新聞》


手首自傷症候群
⇒リスト・カッティング・シンドローム。
◎手首の内側のところをカミソリやナイフで横に切る。皮膚に細かい線がつく程度ですむ場合もあれば、動脈を切って一命にかかわるような場合もある。繰り返し切ると手首のところが瘢痕化してしてしまう。
◎若い女性に多いが、ときには中年の女性にも見られる。
◎Aさん、30代後半。
 「生きていてもすべてがぼんやりしていてむなしい」と訴えて受診した。
彼女には夫にいつもそばに居てくれるように要求し、「むなしい、むなしい」と訴え、しだいに混乱してきて、夫をたたいたり物をぶつけたりする。
そういうときのAさんは、日頃の表情の乏しいおとなしい印象からは想像もつかないほど大荒れに荒れる。
本当は夫にやさしくしてもらいたいし、自分もやさしくなりたいと思ってい     るのに、どういうものか夫を叩くことになってしまうことになってしまうという。
そのAさんがあるとき、夫を叩くのはいけないと思ってその代わりに自分の手首を切った。自分など生きていても仕方のない人間だと思って切ったと言い     つつ、傷口が開いたままの手首を前に突き出した。
 Aさんはこどもの頃、アルコール依存症の父親から殴られたり物をぶつけら     れたりしてきた。この記憶ははじめは断片的にしか浮かんでこなかったが、次     第に感情を伴って回想されるようになった。
 それを聞いていると、Aさんが夫に対して今していることは、実はかって父     親から自分が被害者として受けた経験を、今度は加害者となって夫に対して繰     り返しているようにも思われた。
Aさんは夫に対して、いつも自分のそばにいて、何でも言う通りにしてほし     いと思っている。つまりある意味で自分の手足のようであってほしいと思って     いる。Aさんの心の中では夫は自分の一部なのである。その一部(手足)が自分     の思うように動かないといって夫を叩く。ある意味で自分を叩いていることに     なる。夫を叩くことと自分の手首を切ることが、彼女の中では何の疑問もなく     つながっている。
      手首を切る女性たちにとって、手首は自己でありながら自己でないものにな     っている。つまり半分が、外部対象化している。そしてときには無意識の中で     父親や夫の代理物になっている。彼女たちは手首を切ることで、実は夫や父親     とかかわり、闘っているのである。」1997.4.28《日本経済新聞》

■矛盾する自己悩む女性
「東京・池袋駅前にある私のクリニックは夜遅くまで診療しており、若い女性の相談が多い。最近、リストカット(手首自傷)や摂食障害(拒食・過食・嘔吐)の悩みを訴える人が目立つようになった。
B子(25)は、頭重感・集中力困難・人間関係がうまくいかないなどの訴えで     来所した。左手首内側に絆創膏を貼っており、剥がしてみると、横方向にカミ     ソリの傷跡が10筋ほどみられた。職場の同僚やボーイフレンドと些細なこと     でトラブルを起こし、ストレスがたまって、無意識のうちにリストカットして     しまうという。
手首を切るときは痛みも感じないが、赤い血を見てハッ我に返り、ホッとし     た気分になり、自分が傷つけば、何となく許されるような気がすると言う。そ     の時の状況を尋ねても「よく覚えていない」という。毎週来院するたびに、深     い傷跡が今度はタテ方向に2本、3本と増えて、次は左手首外側、さらに右大     腿部に。手首自傷症候群である。
B子は地方都市の旧家の1人娘として育ち、母親に厳しく躾けられた。父親     は実直な銀行員でB子をかわいがった。B子は母との間で葛藤を感じ、大卒後     上京した。コンピューター関係の会社にあこがれて就職した。しかし、雑用ば     かりさせられ、次第に不満がたまっていった。
そんなとき、何人かの男性が近づいてきた。その中の1人、社長の息子に心     がひかれ、1年後には結婚を約束したが、開いての両親に反対され破談となっ     た。退社したB子は人を信じられなくなり、自己嫌悪から死にたいと思ったが、     家族や周囲の人に迷惑がかかると思って死ねなかった。リストカットするよう     になったのはその頃。その後は数人の男性と出会ったが、結婚する自信はなく、     情緒不安定となり、リストカットを繰り返している。
国連国際婦人年(1975年)以降、女性の行動・心理は20余年の間に際だっ     た変貌を遂げている。女性の高学齢化、社会進出、男女の共同参加が強調され     女性を鼓舞している。
しかし、結婚をめぐる選択などをきっかけに、昔ながらの女性像に直面する。     自立志向と伝統的な女性らしさという、矛盾する自己像のせめぎ合いと、人間     関係の緊張の高まりが様々な異常行動の背景にある。幼い頃から育てられた「つ     つましさ」、理念としての「男女平等」、現実社会で経験する「惨めさ」に折     り合いをつけるという、大変難しい人生の課題である。
60年代に米国でリストカットが大流行した。日本では70年代にも流行し     たが、今は死までには至らない、スリルを楽しむような嗜虐的な遊びと化して、     若い女性に拡がっているようである。(榎本稔)1999.2.15《日本経済新聞》





 手のあれ
  =手荒れ、手があれる。
  【処方名-五十音順】
■麻杏薏甘湯(乾燥性)




 手のひらが痩せる
  【臨床例】
☆痿病を治した例
「一賈人、面色紫潤、掌中の肉脱し、四肢痒痛す。衆醫皆以て癩疾となして方を所するに亦皆效なし。
《吉益東洞》先生之を診す。胸肋妨張し、、心下痞鞕す。小柴胡湯及び梅肉散をつくりて、雑進(2つ以上の薬方を交互に服用させること)することすること数十日。掌肉は故に復し、紫潤始めて退く。」《建珠録》


 低カリウム血症
(参照→「バーター症候群」)
   =「低K血症」
   ◎心電図:
      <1>T波の減高に伴ってU波の増大、STの低下などが見られる。
      <2>期外収縮が見られる。


 低カルシウム血症
   =「低Ca血症」
   ◎心電図:
    <1>QT延長が著明。QTのうち、とくにST部分の延長が著しい。
      <2>多くは他の電解質異常、高K血症、低K血症などを伴うので、その異常       が同時に出現することが多い。


 低ナトリウム血症
=低ナトリウム血症は、体内のナトリウム量は変わらないのに水分量が過剰に増えて起きる病気。肝硬変や心不全の患者は尿量を減らすホルモンの働きが強くなり、発症しやすい。
症状は、人格変化・錯乱などの神経症状を引き起こし、重度になると筋肉のケイレンを引き起こし、死に至るケースもある。
入院患者で発症することが多く、米国では入院患者の4%で発症しているとされる。
【西洋医学】
(1)生理食塩水またはLactec500‹
(イ)低張性脱水の場合、不足Na量は以下の式で推定する。
不足Na量=(140-血清Na濃度)mEq/×体重×0.6
(ロ)高度の低ナトリウム結晶(110mEq/以下)で精神・神経症状のある場合は等張または高張(3%)食塩水にLasixを併用する。
(2)飲水制限 1日1000‹(食事を含めて)
■治療薬・・・米で承認
「アステラス製薬はFDA(米食品医薬品局)から低ナトリウム血症治療薬『バプリゾール』(一般名:コニバプタン)の承認を所得した。世界初の治療薬。
米国では年間約3000万人以上とされる入院患者の約4%が低ナトリウム血症を発症しているとされる。
低ナトリウム血症は体内の総ナトリウム量に比べて、総体液量が過剰になる疾患。人格変化・錯乱などの神経症状が現れ、重度の場合は生命に危険がある。」2006.1/5《産業》
■サムスカ(一般名:トルバプタン)
「2009年、大塚製薬。5/19、FDAから承認取得。バソプレシン(抗利尿ホルモン)が腎臓内の受容体に結合するのをジャマし、働きを抑制する作用がある。尿から血中へ水を再吸収する量を減らし、水を体外へ排出する、
一般的な利尿薬がナトリウムも排泄するのに対し、水のみを排泄する。
心不全や肝硬変の患者が低ナトリウム血症を発症すると症状が悪化しやすい。」






 低血圧症 hypotonia low blood pressure
   (血圧降下)
⇒めまいと気絶を起こしやすい。
   ■夏になるとゲンナリ。
     「朝の寝起きが悪く、午前中はトンと調子が出ない。疲れやすい。食欲がなく、     胃腸の調子もすぐれない。頭痛がして、めまいも起きやすい。 つらくて医師     を訪れても一通りの検査で「低血圧です。命に別状ありません」と親切にして     くれないーーこんな不満を持っている低血圧の人が多いようだ。そこで、症状     を軽くするヒントを中心に「低血圧」を追ってゆく。
「夏場が、低血圧の人には特に大変のようです」と、低血圧を研究する筒井末     春・東邦大教授(心療内科)が言った。高血圧に寒さが大敵なのと逆で、暑いと     末端血管がゆるみ、血液が滞って血圧を下げるという。普通(本態性)の低血圧     はもともと末端の血液循環が悪いのだが、これが暑さで加速される。「毎年、     夏だけ来る患者さんも目立ちますね」
      夏場に一番つらい自覚症状は「食べられない」ことだと筒井産は言う。食欲     がなく、食事がまずい、食べてももたれる。これに「だるくて体を動かすのが     難儀」という症状が加わるから、まさにひどい夏バテだ。『夏は死んでいます』     という言う人もいます。
  夏はこうなるものと長年あきらめて過ごし、とっくに医師にかかる気を無く     した低血圧患者も多かろう。だが筒井さんは「新薬が6年ほどの間に2つ出て、     人によりますがかなり効くケースも出ています」と、リズミック(メチル硫酸アメジ     ニウム)と、メトリジン(塩酸ミドドリン)をあげた。
      従来の薬より作用時間が長く、日1~2回の服用で済む。胃を悪くする副作     用がほとんどないので連用しやすい。ーー筒井さんの解説だ。
  もっとも万人に効く訳ではない。長沢紘一。日本医大教授(多摩永山病院・     内科)は「新薬でも、訴えが非常に多い患者は効きが悪い」印象という。1996.8.19     《朝日新聞》」
   ■中高年の立ちくらみ
     「中高年から低血圧や立ちくらみが始まる例が、最近増えたという。平野誠一     郎・医師は北里大での研究結果から、「一度検査を」と勧める。成人病や常用     薬が原因の場合も多いようだ。
 中高年の立ちくらみは、夜のトイレなどで倒れると、頭を打つ、骨折などに     直結する。「そっと上体を起こし、いったん座って3つまで数をかぞえた後、     そろそろ立ち上がるクセを」と永田勝太郎・浜松医大講師が注意した。
 立ちくらみは普通の低血圧でも出るが、立つと血圧が下がる起立性低血圧の     主症状だ。だから高血圧でも起立性低血圧の人がいる。永田さんによると治療     がやっかいだそうだ。
 [糖尿病]や[動脈硬化]などの成人病も、低血圧や立ちくらみの原因になる。     特に糖尿病は血圧維持が不安定になって、顕著な起立性低血圧を起こす場合が     あると平野さんが言った。
 中高年の低血圧や起立性低血圧では、薬剤に注意が欠かせない。[降圧剤]は     血圧を下げるが、起立性低血圧も引き起こしやすい。まれに糖尿病のインシュ     リンも血圧を下げる。
 意外と知られていないのが狭心症の[ニトログリセリン系]。ときに強いめま     いが来るから、寝て使用するよう平野さんが勧めた。長時間効く改良薬ほど、     めまい発生の時間も延びる。[精神安定剤]など抗精神薬も血圧を下げることが     ある。平野さんは、低血圧で神経がいらだつからと、勝手に大量に飲まないよ     うに注意した。
      薬の副作用には医師が気を配ってほしいが、「まだ医師に低血圧や起立性低     血圧を軽視する傾向がある」と永田さんらは残念がる。
 さて、類似症状に『食後低血圧』がある。三食後は1時間ほど20~30mm     水銀も下がる人、ボーっとする、動きたくないなど日常に差しつかえる人がい     ると平野さんは言う。食後に本当にドタッと倒れた重症例を永田さんが挙げた。     食後は横になるのが一番。筒井末春・東邦大教授によると茶やコーヒーなどカ     フェインが多少効くという。
 『運動後低血圧』も意外に多いと平野さんが注意を喚起している。激しく運     動した後、めまい・吐き気・頭痛などが出る。運動で一時上昇した血圧が徐々     に戻り、運動中断で下がりすぎるらしい。マラソン選手のゴール直後の失神も     これが多という。電車が見えて駅のかなり手前から全力疾走したら、30分も     気持ち悪かったなどはたぶんこの一種だ。気付かぬ人が多いとのこと。1996.11.4     《朝日新聞》
   ■長寿説、中高年に疑問
     「低血圧は、高血圧と違って長寿だとずっと言われてきた。だが最近の統計で     はそうも言えない。中高年では注意が必要だ。
 寿命に響く諸要因を研究する塚本宏・明治生命厚生事業団理事長は「1992      年までは低血圧長寿説のデータだけでしたが、ごく最近、疑問を呈する調査が     出はじめました」と言う。
 上島弘嗣・滋賀医大教授らが、約1万人を14年間追った。大規模調査を昨     年まとめた、これでも死亡危険度が低血圧層で少し高い結果が出た。生命保険     の加入者調査でも同様の傾向がある。
 しかし低血圧なら、高い血圧で血管など臓器が傷つかないので長寿になるは     ずだと、木川田隆一・北里大名誉教授ら研究者は一致して言う。この説を裏付     ける研究も非常に多い。
 では、理論と統計の差は何から来たか。
      統計では、調査開始時に血圧を測った。その後に加齢で血圧が上昇した人も     いただろう。「実際、若い頃低血圧で、中高年では高血圧になる患者はかなり     多い」と、平野誠一郎・医師が解説。測定後に高血圧に変わった人は、脳卒中     も心臓発作も危険が増す。
 一方、「検査の血圧は正確か」も問題になりつつある。自動的に血圧を24     時間測る器具が最近出て、1日の血圧変動が意外に大きく、検査の値ともずれ     ると分かってきたからだ。今井潤・東北大講師らが40歳以上の約1000人     を24時血圧計で測り、5年間追跡調査した。すると低血圧の人の死亡危険度     は、高血圧と同じくらい大きいと出た。明白に「低血圧は要注意」といえる数     値という。血管の病気の死亡率でさらに明白な差が出たことから、今井さんは     「低血圧だと脳や心臓の血管が詰まりやすいようだ」と仮説を立てている。
実際には、降圧剤での血圧の下げが怖いという。検査時に血圧が高くても、緊     張でドキドキした結果のことがよくある。こんな患者に降圧剤を与えると、血     圧が下がる夜明けなどに血管が詰まりやすい。24時間血圧計の普及が望まれ     るが、「家庭でたびたび血圧を測るといい」と今井さんは勧めている。
 ほかに、動脈硬化が響くと今井さんは言う。「理論的にも、動脈硬化が進む     と最小血圧が下がります」と木川田さんが指摘した。40歳以上の低血圧は、     こんな諸要因も用心して、偏食などに気をつけよう。
  1996.11.18《朝日新聞》
   ■鍼灸で自律神経刺激
     「鍼灸は腰痛など筋肉骨格系の治療で知られるが、西条一止・筑波技術短大教     授は「鍼灸の特色は、自律神経を上手に刺激し、活力が出る体に導くこと」と     指摘した。だから低血圧治療に向いていると言う。
実際、低血圧など不定愁訴を訴えて鍼灸に通う患者が増えている。また、経     験の長い首藤傳明・鍼灸師も鍼灸専門誌『日本の医道』450号で低血圧の症     状を列記し「鍼灸の適応症が並んでいる」と鍼灸師向けに解説している。
  低血圧患者の通院のきっかけは古典的な筋肉痛が多いと池田政一・鍼灸師が     言った。低血圧だと体力に余裕がなくなくて筋肉痛が治りにくく、通院が長く     なる。「そのうち体が快調になり、健康管理の通院に変わるんです」と小川卓     良(東京・西新宿)鍼灸師が補足した。
  鍼灸で効果が上がる仕組みも分かってきた。西条さんらは、座位で息を吐く     最中に鍼(ハリ)を浅く刺すと自律神経が働き出すと実験で確かめた。これで体が     活性化し、だるい・疲れるなどの症状が鎮まる。深く刺すとこの反応はない。     経験からも首藤さんらが、細い鍼(ハリ)を浅くさすのが大切と言った。「低血     圧の人は、強い鍼だと疲れます」1996.11.25《朝日新聞》
  【芳香療法】
    <1>ローズマリー
    <2>ブラックペパー
    <3>ペパーミント
    以上で無効の時にヒソップ、セージを考える。
  【色彩療法】
    <1>レモン色
    <2>緋色
    <3>赤紫色
  【漢方療法】
■呉茱萸湯
■牛車腎気丸(下半身の浮腫、腎炎、糖尿病、体力低下、疲れやすい、排尿異常、口渇、しびれ)
■十全大補湯
■小建中湯
■小柴胡湯当帰芍薬散
■小柴胡湯苓桂朮甘湯
■真武湯
疲労しやすく、手足が冷え、立ちくらみがあって、腹にも脈にも力のないものに用いる。また慢性の下痢があったり、下痢しやすいものにもちいてよい(漢方診療医典)
■当帰建中湯(貧血、食欲不振、虚弱体質、腹痛、腰痛<牽引痛>、)
■当帰芍薬散(貧血、冷え性、疲れやすい、月経不順、神経症状)
■八味地黄丸
■半夏白朮天麻湯
胃下垂症、胃アトニー症などがあって、疲れやすく、食後はだるくて眠くなり、足が冷え、めまい、頭痛、悪心などのあるものによい。(漢方診療医典)
■茯苓甘草湯
■補中益気湯(立ちくらみ、食欲不振、)
■木防已湯
■苓桂甘棗湯
■苓桂朮甘湯(胃内停水、めまい、動悸、)
■苓桂味甘湯
■六味丸

   ◎紅参
 【民間療法】
▼紅花:蒸して乾燥した花(2g)に熱湯を注ぎ冷まして、1日1回服用。
▼サフラン:(10本)を入れて約90ccの熱湯を注ぎ、冷めたら、上澄みを一気に飲む。ただし、1日1回に限る。
▼ゲンノショウコハブ茶:各10g。600ccの水で煎じ、お茶がわりに。
▼芍薬の根(10g)カンゾウ(1g):水360cc(2合)で煎じて服用。
▼クコの実or干した根皮:10g、600ccを300ccに煎じて、1日3回。食間に。
▼シソ酒:青シソ・赤シソを水洗し、水分をふき取り、短冊に切って、シソの5倍量のホワイトリカーに浸ける。密閉し冷暗所に3ヶ保存。

○イカリソウ・ウコギ・キュウリ・キンモクセイ・クコ・クワ・毛ニンジン・サフラン・サンシュユ・ダイコンソウ・タラノキ・チョウセンニンジン・トウモロコシ・ナルコユリ・ニワトリ・ニンニク・ハマナス・ヒルガオ・ベニバナ・ローヤルゼリー。
    ○[ゲンノショウコハブ茶]
    ○[シャクヤクカンゾウ]
    ○[サンショウ桂皮チョウジ]


 低血糖(ていけっとう)
=「低血糖症htpoglycemia」
「血中ブドウ糖濃度の異常な減少で、振顫・冷汗・立毛・低体温・頭痛を生じ、錯乱、幻覚、奇怪な行動を伴い、最後には痙攣、昏睡を起こす。」
「小児の場合、正期産児で血糖値が40mg/dl未満(2.2mmol/L未満)、あるいは早産児で0mg/dl未満(1.7mmol/L未満)を低血糖という。」
「低血糖は通常、出生時にグリコーゲン貯蔵の不足や、高インスリン血症による二次的要因で起きる。グリコーゲン貯蔵は極低出生体重児(VLBW)において不足しているので、これらの児はもし体外からのブドウ糖の継続的供給がなけれな低血糖となり易い。グリコーゲン貯蔵の胎盤機能が不全のため子宮内栄養不良であった新生児(SFD児)でも枯渇する。低酸素を伴う周生期仮死に耐えて生存したとしても、グリコーゲン貯蓄は嫌気的解糖で迅速に消費されてしまう。グリコーゲン欠乏の新生児は生後数日以内は、いかなる時も、低血糖になる可能性がある。特にほ乳間隔が長かったり哺乳力が弱かったりする場合である。」(メルクマニュアル)
◎種類:
空腹時低血糖:
「空腹時に起きる低血糖で、小腸内のブドウ糖が吸収された後に見られる。インスリノーマ・グリコーゲン蓄積病・飢餓・吸収不良症候群・下垂体機能低下症・副腎不全などで起きる。」」
ケトン性低血糖:
ロイシン性低血糖
高インスリン血症による低血糖
混合性低血糖
反応性低血糖
◎突発的な暴力的行為の原因
「ビタミンやミネラルが極端に少ない食事が続くと、すぐに血糖値が上昇します。それを元に戻すために膵臓からインスリンが放出されるのですが、この量が多すぎて、やがて血糖値が下がりすぎる状態になる。
下がりすぎた血糖値を元に戻すために、今度はアドレナリンが放出される。これによってインスリンの放出が抑えられるが、同時に交感神経が興奮し、血管が収縮して血圧が上がり、筋肉が緊張する。さらに、脳がアドレナリンによって興奮し、緊張と恐怖の中におかれることになる。その結果、暴力的行為に走るキッカケが出来る。」
   ■心臓や血管に負担
「人はブドウ糖をエネルギー源にして活動するので、血液中には一定の濃度のブドウ糖がいつも必要だ。血液1Œ中に含まれるブドウ糖の(mg数)を血糖値という。普通、長時間食べなくても60未満にはならず、大量の糖分をとっても160を超えない。
血糖値が高すぎる状態を高血糖、低すぎる状態を低血糖というどちらも体には不都合で、極端な場合には人事不省に陥る。だから体はわずかな血糖値の上下を敏感に感知して調節している。
糖尿病でも高血糖は食後の血糖値が220以下ならあまり問題がないが、低血糖は60をきったら要注意。患者がインスリンや血糖を下げる薬を使って、震えたりドキドキし、額や手に汗が出ることがある。これは下がりすぎでアドレナリンが出たことによる危険信号だ。
こうなると血圧が上がって心臓や血管に負担がかかるので、1回1回重大な影響があると考えるべきだ。低血糖に気づいたらすぐに甘いものを補給しなければならない。
300以上と極端な高血糖が続いていた人は、血糖値を急いで下げると正常値でも低血糖の症状が出ることがある。
一般の人でも空腹をしばらく辛抱していると、空腹を感じなくなるのは低血糖を感知して出てくるアドレナリンのため。(浜六郎)1997.7.14《日本経済新聞》
■砂糖の過剰摂取が低血糖を起こす
「脳の栄養補給にはグルコース(ブドウ糖)が必要である。グルコースの主な供給源は食べ物の中の糖質(炭水化物)だが、近年、日本人は若者を中心に糖質離れが進んでいる。このままでは“脳の栄養失調”が問題化しそうだ。
  (参照→「砂糖」)
グルコースの手っ取り早い供給源としては、砂糖が挙げられる。ご飯やパンなどの主食はグルコース源だが、これらの成分である糖質は消化吸収に時間がかかる。その点、グルコースとフルクトース(果糖)とで出来ている砂糖は、即効性が期待できる。
今から20年ほど前に、米国で砂糖が犯罪の誘因になっているのではないか?ということが話題になった。殺人犯が甘いお菓子を“常食”にしていたことから、弁護団が「砂糖をたくさん使った菓子が精神耗弱の原因」と主張したのである。
これは裁判で退けられたが、その後FDA(食品医薬品局)が3年間をかけて調査し、1986年に砂糖と健康に関する報告をまとめた。この中で砂糖は人の異常行動などの直接的に重大な影響を及ぼさないと述べている。
ただ、これで砂糖の功罪についての論争が終わった訳ではない。その後も論争は続いている。日本でもそうで、近年増加している校内暴力や少年犯罪との関連を重視する声は依然として根強い。
代表的なものとして、岩手大学名誉教授の大沢博さんの声を紹介しよう。
心理学が専門で、長い間カウンセラーを務めていた大沢さんは人間の心と栄養の関係に注目し「荒れる少年」の原因の1つに砂糖をあげる。砂糖の摂りすぎが心の健康を壊していると言うのだ。
特に気にかけているのは、低血糖だ。砂糖を大量に摂ると低血糖状態になる。砂糖摂取によって血糖値が急に上がるため、インスリンが分泌されて、血糖値が低下するのだ。砂糖を反復して摂取すると、低血糖が常態化するというわけだ。低血糖になるとイライラがつのり、頭痛がして疲労感が広がる。「異常な行動にもつながるのではないか」という。
もちろん、大沢さんも脳の栄養としてグルコースの重要性を否定はしない。しかし、たくさんの砂糖をいつも摂っていると、悪影響が表れやすいと指摘する。
ご飯を食べることが少なく、砂糖の多い飲料やスナック菓子などが食べ物の主役になっている若者の食生活に警鐘を鳴らしているのだ。(中村雅美)2000.6.12《日本経済新聞》
  【色彩療法】
    <1>レモン色
    <2>すみれ色
  【宝石療法】
模樹めのう
【副作用】
◎低血糖を招く薬物:
アスピリン
スルホンアミド
バルビツール酸誘導体
フェナセチン
フェニルブタゾン
β遮断薬
モノアミンオキダーゼ阻害薬




 低酸症(ていさんしょう)
    人参湯(太陰病、虚寒証、唾液がよく出る、胃内停水、心下痞、胃部膨
        満感、手足厥冷)



 低酸素 hypoxia
(hypo-=下)
=高地での動脈圧のPo2の低下により組織が酸素不足になった時、貧血時の血液中のヘモグロビンの機能低下、あるいは心疾患での組織への02運搬が組織要求量より不十分な時、シアン化物の中毒のとき組織がO2を正しく使えない時に起きる。

 


 低酸素脳症
■臍帯血を投与
2014年、大阪市立大学などは、出生時に仮死状態になるなどして脳性マヒを起こす「低酸素性虚血性脳症」の新生児に、臍の緒に含まれる自分の臍帯血を投与して脳障害の改善を図る臨床研究を11月から始める。
臍帯血は脳の炎症を抑え、幹細胞が神経や血管の細胞になったり、神経の再生を促進する。



 低体温症
   直腸温度・・・35℃以下で・・低体温症
直腸温度・・・28℃以下で・・昏睡
■20℃を切ると死亡率88%
「寒気にさらされたりして体温が下がり、時に死亡することがあるのが低体温症。冬山の遭難など以外にも、東京・大阪などの大都市や、夏にも起こることがある。
低体温症とは、体の中心部の温度(深部体温)が35℃以下に低下した状態を指します(偶発性低体温症)。これが原因で死に至った場合を『凍死』と呼びます。
心臓手術などで人為的に患者の体温を下げる場合は含まれません。
★原因
・冬山での遭難
・雨の日に酔って公園で寝てしまい、強い風に吹かれて熱が奪われ、低体温症になる。(発生数:東京>大阪>北海道)
・暖房のない部屋で脳梗塞を起こし発見された場合。
・海や湖でおぼれた場合。
人間には本来、体温が35℃以下にならないようにする仕組みがありまる。寒いときに震えるのは体温が上げようとするためです。しかし、意識がなくなるくらい泥酔すると、この防御反応がうまく働かずに、周りの温度まで下がります。
★治療
▲脈がある場合(心臓が止まっていない)・・・復温という体温を回復する方法
○保温法
・寒い場所から暖かい場所に移動
・湿った衣類を乾燥した衣類に替える
・毛布や寝袋で包む
○体表面加温法
・電気毛布で包む
・赤外線ヒーター・ウォームマットで温める
・温水につける
○体腔内加温法
・42℃~36℃の加湿した酸素吸入
・43℃に加熱した輸液
・胃・結腸・胸腔・腹腔へ温水を注入する
・人工透析・持続的血液濾過などで血液を浄化する
・人工心肺
▲脈がない場合(心臓が止まっている)・・・蘇生
○徐細動器
・徐細動を3度まで行い、心臓の動きが再開しないときには、30℃まで体温を上げてから、再度、徐細動する。2005.9.27《日経》」

低体温
ためしてガッテン 2010.2/3
冷え症対策が逆効果にも

平均37℃
  35℃台になることで、問題発生

先に身体が冷えるのは?(室温を下げると)
男性VS女性    → 女性
北海道VS沖縄   → 北海道
痩せたVS太った人 → 太った人

○わずかの体温低下(1℃~2℃)で影響:
手術中・・・体温をチェック(麻酔で下がり始める)
36℃まで低下、→対策を始める
意外な合併症につながる。肺炎などの感染症に3倍。
リンパ球・・・37℃では活発
       35℃ではダウン
血小板の機能が低下する
体温が下がった時に・・・突然死した人の数が増える
室内でも凍死の可能性・・・冷たい空気を吸うことで、低体温に→心電図に異常(ポックリ波)→心室細動が起きることが知られている。
○冷え症じゃないのに低体温
冷え症=2種類
    ①タイプ 熱くなれないタイプ。熱自体が足りない人。→厚着は無意味。
      室内でもしもやけ(室温27℃)、体温は35.1℃
便秘とか風邪にかかりやすかった。
タンパク質の多い食事が有効。
総カロリーの40%以上をタンパク質・1週間続ける。
②タイプ
指先や足先の感覚がなくなる。体温は36.6℃

低体温=
  熱を下げないようにしているのは、手足を冷やして、身体の中心部を温めている。(皮膚温と深部温)
◇熱不足の原因  
極端なダイエット
筋力不足・・・7割を占めている
甲状腺ホルモン不足で冷え症

③タイプ 熱を逃がしてタイプ
   温かいのに低体温
1.5℃
膀胱炎を繰り返す
       冷えが原因・・・自覚が無かった。手がポッカポッカ。
末梢の血管が収縮しないので、(交感神経機能が低下)深部温が上がらない
血管が硬くなると・・・低体温が多くなる。寒さを感じなくなる(放熱しているため)。

海女の体温は、海水中でも
<1>体を動かす・・・20分の運動。皮膚の血管を締めて体温を維持する
<2>寒さにあたる・・・1枚薄着する
冷たい海水に顔(そのまま)をつける

血管が締まりにくくなる場所:足から(老化は足から)

体温のはかり方
電子体温計では10分間測る



 低体重児
■手あて
2012年、未熟な状態で生まれた赤ちゃんが採血の痛みなどの不快な刺激を受ける際、全身を両手で包み込むケアをされると、脳内の血流が増えるリスクを抑えられるとの研究結果を近畿大学の医学部付属病院の本田憲胤理学療法士が発表。
出生児2500g未満の場合、低出生体重児と呼ばれ、脳血流の増加は、脳容積低下の危険性や発達障害との関連が指摘されている。
“低出生体重児を両手で包むのが新生児集中治療室での標準ケアになってほしい”と語る。
本田氏は、睡眠中の低出生体重児10人のかかとをボールペンの先で軽く突き、脳血流の変化を測定。脳内の前頭前野と感覚運動領域の血流が平常時の約10倍に増えた。
一方、同じ刺激を与えても両手で包み込むと平常時の半分以下に抑えられた。
心地よい刺激が影響したとみている。



 低タンパク血症 hypoproteinemia
   ⇒栄養不良・ネフローゼ・肝臓障害などで、アルブミンの減少によることが多い。    (参照→用語:「総蛋白」「低タンパク血症」)
   ◎血清中の総タンパクの60%~70%がアルブミンで占められているので、低ア    ルブミン血症として現れることが多い。低アルブミン血症の原因には、その合成    能力の低下か、消費の亢進によって起きることが多い。
<1>アルブミン合成能力が低下する原因。
      ①消化不良や栄養失調
      ②アルブミンのほとんどは肝細胞で合成される。重症の急性肝炎や肝硬変な       ど。
     <2>肝臓でのアルブミン合成が正常であっても、アルブミン消費の亢進があると      低タンパク血症を生じる。
      ①体外への漏出:
        1)ネフローゼ----------尿中に漏れる。
        2)蛋白漏出性胃腸症----消化液に
        3)熱傷----------------皮膚からの浸出液に
      ②体内でのタンパク異化亢進
        1)重症感染症
        2)発熱
        3)甲状腺機能亢進症
        4)悪性腫瘍
      ③体内でのアルブミンの分布異常(組織液中に漏れる)
        1)多量の胸水・腹水。
        2)全身浮腫
        3)日焼け
<3>高タンパク血症の原因。
      ①骨髄腫
      ②多クローン性に免疫グロブリン(IgG)が増加する場合。
        1)肝障害
        2)膠原病
        3)慢性感染症
        4)悪性腫瘍
       この際には同時にアルブミンの低下することが多く、高タンパク血症を呈       することはまれです。 
     

 加味帰脾湯
    帰脾湯
    四君子湯
    補中益気湯

 

低タンパク性浮腫
    真武湯
    六君子湯

 

低フォスファターゼ症
   =先天代謝異常の1つ。常染色体性劣性遺伝。
   ⇒アルカリ・フォスファターゼ値が低い。
   ◎病因:機序不明
   ◎症状:
      骨成長障害
      青色強膜
      くる病様変化
      病的骨折
       
 

低リン血症
■新薬
2013年、ゼリア新薬工業は腎臓からリンが体外に過剰に排出されることなどで起きる「低リン血症」の新薬の製造販売承認を取得した。
製品名は「ホスリボン配合顆粒」
患者は1日に体重1kg当たり20~40mgの粒を飲む。
50kgの患者の場合・・・1~2gを摂取する。
低リン血症が長期に続くと骨の成長に支障が出る。骨の変形や低身長、筋力低下などの症状が出てくる。
国内患者数は3500~7000人と推定。


 

鄭声(ていせい)
   ⇒鄭重で頻煩なことで、同じことを何回も繰り返し話す症。
    鄭声は虚症で、実症になると譫語する。
   ◎小さい声で、同じ事を繰り返し繰り返し言う、うわごとで、危篤の病人にみられ    る。《大塚敬節》



聤耳(ていじ)=耳だれ


 停留睾丸
   =停留精巣
   ⇒睾丸が腹腔内に溜まって、陰嚢内に達していないこと。
   ◎男子不妊症の原因になる。
   ◎悪性腫瘍発症の素地となる。
   ■ホルモン注射し、3歳まで待つ
    「7ヶ月の男児。出生時の体重は4800g。保健所の健診で、睾丸がおなかの中に     ある『停留精巣』と診断され、1歳までに陰嚢に下りてこなければ手術を、と     言われました。いつ手術をすればいいか?、子供でも大丈夫なのか心配です。
●停留精巣とは、どんな状態なのですか?
      精巣は胎児の時に、腹腔内の腎臓のそばで作られます。陰嚢と精巣は精巣導     滞というヒモのような組織でつながっており、成長するにつれてこのヒモが縮     むので、精巣は脚の付け根の鼠径部を通り、陰嚢に向かって下降します。普通     は、出産が近づいた妊娠35週前に陰嚢内に入りますが、出生時に入っていな     いことがあります。これを停留精巣といいます。生まれた時点でこのような状     態は男児の1割弱で見られます。未熟児では3割、という報告もあります。な     ぜ下りてこないかは、はっきり分かっていません。
●待っていれば下りてきますか?
      多くの場合、生後3、4ヶ月で自然に下りて来ますが、個人差があり、1歳     ぐらいになって下りてくる子も結構います。1歳を過ぎても下りてこなければ     治療が必要ですが、手術はもう少し待ちます。私たちは3歳頃になってからす     ることにしています。
●なぜ待つのですか?
体が小さいと麻酔が難しく、手術自体もやりにくいからです。一刻を争う病     気ではないので、手術によるリスクが一番少ない時期を選びます。昔は小学校     に入学するまで待っていましたが、3歳を過ぎても精巣が上がったままでは、     精子のもとになる細胞が減るなどの異常が起きることが分かってきましたか      ら、この年齢で手術をすることが多くなりました。
●手術は非強い温経湯なのでしょうか?
      陰嚢内と比べ、腹腔や鼠径部は体温が高いので、精子を作れません。長期間     停留していると、精巣の正常な発達が妨げられますし、悪性腫瘍が出来る確率     も高くなると言われています。
●手術以外に治療法は?
精巣や精巣導滞に働く性腺刺激ホルモンを使う治療法があります。これは1     歳頃から始められます。(大阪大学医学部講師・松宮清美)1998.2.1《朝日新聞》



 鉄過剰症
=余分な鉄が排出されずに体内で異常蓄積する病気。鉄は肝臓や心臓・膵臓に蓄積しやすく、放置すれば[肝硬変][肝ガン][心不全]につながる。
鉄は赤血球と結びついて存在する。赤血球は120日前後で分解後、排出されるが、一定量以上はこうした処理ができず肝臓などにたまってしまう。
体内の鉄量の指標であるタンパク質のフェリチン値を測定。
【原因】
・遺伝性・・・日本人に少ない
・排出能力を超える赤血球を輸血した場合
■輸血
「過去に何度か輸血経験があって、手先や全身に赤褐色の色素沈着が見られ、膵臓機能が悪い・肝臓機能が悪い・不整脈がある・・・などの症状が出てきたら『鉄過剰症』の疑いがある。
骨髄の病気に罹る高齢者が増えており、その治療に輸血を利用することが多く、注意が必要になる」
■飲み薬
「スイス系のノバルティスファーマは2008年度に血液ガンの一種を引き起こす恐れがある鉄過剰症の治療薬「エクジェイド」を日本市場に投入する。従来の薬は長時間の点滴が必要だった。
エクジェイドは「鉄キレート剤」と呼ばれる種類で、体内から鉄分を排泄する薬。液状で1日1回、水に溶かして飲む。体内に吸収されると心臓や肝臓などに蓄積した余分な鉄分と強力に結合する。結合した鉄は最終的に尿や便として排泄。
主に難治性の貧血で輸血を受けている患者に用いる。
ヒトには鉄分を接触的に体外へ排泄する機能が無い。
輸血を続けると血液中の鉄分が体内に過剰に溜まり、[肝不全]や[心不全]を引き起こす恐れがある。



 鉄欠乏性貧血 (IDA) (iron deficiency anemia)
   ⇒低色素性小球性貧血の1つ。
     「ヘモグロビンの分子の真ん中には鉄が1分子入って居ます。従って鉄が足り     なくなればヘモグロビンの量も減ります。骨髄の中瀬は小さい出来損ないの赤     芽球が出来、それから出来る赤血球も小型で、色の薄い赤血球になります。こ     れが鉄欠乏性貧血です、
 <1>成人男子の体内----3~4gの鉄分→7割が赤血球にある。
      <2>1gのヘモグロビン=3.4mgの鉄分が含まれている
 <3>赤血球は約120日の寿命。→1日約21mgの鉄が代謝される。
      <4>鉄が体外へ排出されるのは、垢(アカ)・消化管の粘膜上皮の脱落・髪の毛・       爪・尿などからわずか1mgだけ失われる。残りは体内で再利用される。
      <5>食物中からは、10%だけが吸収される。
       →1日10mgの鉄を食供物から摂取すればバランスがとれる。
「体の酸素不足=鉄欠乏性貧血」
「赤血球は肺から取り入れた酸素を体中に運ぶ大切な役目を果たす。酸素を抱いて運ぶのは赤血球中の鉄。何らかの原因で鉄が不足すると、酸素が体中に行き渡らなくなる。その状態が『鉄欠乏性貧血』。一番多いタイプだが、改善は可能。
 ●血液中の鉄を取り出す
血液から鉄を取り出す段取りは、①血液2000ccをバーナーで加熱し水分を蒸発させ、タンパク質なども燃やす。②サビ色の灰が出来る。③特殊な薬品を加える。④アンモニアで中和させる。⑤沈殿物が出来る、それを加熱して粉末にする(2000ccの血液が2gの粉末になる)。⑥粉末を高温で加熱する。⑦米粒ほどの黒い固まりが出来る(0.3g)。
2000ccの血液から採りだした300mgの黒い固まりは確かに鉄だった(磁石にくっつく)。成人1人分の血液中にはおよそ2500mgの鉄が存在している。たった2.5gだが、これが不足すると全身に酸素が十分に行き渡らなくなる。水と血液とで酸素の溶け込む量を比較すると、
[水1000ccに溶ける酸素]=[3‹]
[血液1000ccに溶ける酸素]=[200‹]
同じ1000cc中に溶ける酸素の量は、ケタ違い。それは血液中の鉄で出来たヘモグロビンが、酸素と結びつきやすい性質を持っているから。また、健康な赤血球は中央がへこんだきれいな円盤形をしているが、鉄が不足すると形が崩れ、数も減る。」(NHKためしてガッテン)
隠れ貧血
「体内の鉄の量は血液中に[2500mg]、肝臓に[1500mg]、全身の細胞に[500mg]含まれ合計[4500mg]。そして新陳代謝などで1日に失う鉄分量は[1.5mg]。
食事から摂った12mgのうち、鉄分として吸収されるのは1.5mgほど。つまり、必要量12mgで1日に自然に失われる鉄分が最低限補給される。補給が十分でないと、肝臓や全身の差相棒に貯蓄された鉄分が使われる。これが『隠れ貧血』。不足が続くと貯蓄が底をつき、血液中の鉄分までが使われ身体のバランスが崩れてしまう。」(NHKためしてガッテン)
   体内の鉄分:
     「鉄分は胃液中の胃酸によって二価の鉄に還元され十二指腸などから吸収され     ます。吸収された鉄分は腸管上皮細胞の中でアポフェリチンというタンパク質     と結合して『フェリチン』となります。また、必要に応じて血漿中のトランス     フェリンというタンパク質と結合します。
      トランスフェリンは鉄を運ぶ乗り物のように鉄というお客を胃腸の停留所で     乗せ、骨髄で降ろすという事を繰り返しています。そして骨髄に運ばれた鉄は     次に赤芽球に取り込まれ、さらにヘモグロビンに組み込まれます。
      これ以外の余分の鉄は骨髄の中の支持組織、とくにマクロファージに取り込     まれ、貯蔵されます。貯蔵鉄には可溶性のフェリチンと不溶性のヘモジデリン     があります。フェリチンの一部は血漿中にも出てくるので、それを測って貯蔵     鉄の指標とすることが出来ます。」
   ◎(1)病期:    Ⅰ期 Ⅱ期   Ⅲ期     Ⅳ期
    潜在性    早期   進行期
(2)血色素:   正常 正常 (8~12g/Œ) (4~8g/Œ)
(3)赤血球指数: 正常 正常 MCV¯ MCV¯
MCH¯ MCH¯
MCHC® MCHC¯
(4)血清鉄:(鉄欠乏がなくても炎症により低下する)
          正常   低下 低下 低下
    (5)総鉄結合能:  上昇 上昇 上昇
    (6鉄飽和率: 低下傾向 <15% <15% <15%
(7)血清フェリチン:(体内貯蔵鉄の量と比例する)
            (炎症があると高値となる)
(男) <30ng/‹ <20ng/‹ <20ng/‹ <20ng/‹
(女) <15ng/‹ <10ng/‹ <10ng/‹ <10ng/‹
(8)骨髄可染鉄: 減少 減少 欠如 欠如
    (9)貧血症状:  (-) (-) (±) (+)
    (10)身体所見: (-) (-) (+) (+)

   ◎低色素性貧血(MCV<80、MCHC<30)の鑑別:
            鉄欠乏性貧血  二次性貧血  鉄芽球性貧血
    (1)血清鉄 低下      低下      上昇
    (2)総鉄結合能 上昇 正常~低下 正常~低下
    (3)フェリチン   低下 正常~上昇 上昇
◎鉄欠乏性貧血の原因:
      <1>幼児期:①未熟児
            ②食事摂取不良
      <2>思春期:急速な成長あるいは月経開始に伴う鉄需要の増大。
      <3>成人:病的出血----①消化管出血、性器出血、ガンをチェック。
           妊娠、出産、授乳。
           月経異常
           摂食障害
      <4>高齢者:食事摂取不良
            病的出血
鉄鍋は貧血を救うか?
「実験で鉄鍋から料理に意外に多くの鉄分が溶け出すことが実証されている。その鉄は本当に貧血に効果があるのか?
貧血の回復に重要な香蘇散とは、その鉄分が吸収されやすいことである。他の食品の鉄分と吸収率を比較してみよう。
以下の4種類の鉄分を貧血のネズミにそれぞれ4週間、毎日与えると、
①ほうれん草の鉄分
②きな粉の鉄分
③レバーの鉄分
④鉄瓶で湧かしたお湯の鉄分
赤血球が最も増加したのは、鉄瓶で湧かしたお湯の鉄分であった。4週間後には赤血球は健康なネズミにほぼ並ぶ量に増えている。鉄鍋からとり鉄分は貧血の回復に効果があったことがわかった。
別の実験では、みそ汁やビーフシチュウ・お茶を鉄鍋で作った場合、料理に含まれる鉄分は鉄鍋を使わない場合に比べて、1.5倍にプラスされた。しかも、その鉄分は吸収されやすく、生のほうれん草に換算して178g分=つまり、鉄鍋の鉄は吸収率バツグン。これを使わない手はない。
●鉄鍋の鉄が吸収されやすいのは、鉄鍋の鉄が純鉄なので、食品のように消化のプロセスを経て、鉄分をわざわざ取り出す必要がないからです。ただ以下のような注意が必要です。
①揚げ物などの油料理には鉄は溶け出さない。
②シチューなどの長時間煮込む料理ほど、鉄はたくさん溶け出す。
③酢やケツアップなど、酸性の調味料を使うと鉄はたくさん溶け出す。
④防さび加工がしてある鉄は溶け出さない。
(NHKためしてガッテン)
  【処方名-五十音順】
    四物湯
    人参湯    



 鉄芽球性貧血 
   sideroblastic anemia
(参照→鉄欠乏性貧血)
   =鉄欠乏を示さない低色素性貧血。
    管状鉄芽球が特徴的に増加する。
   ◎症状:
      貧血
黄疸(軽度)
   ◎検査:
      末梢血:低色素性と正色素性の赤血球が存在する
      骨髄:赤芽球(↑)
         管状鉄芽球(↑)
         ヘモジデリン(↑)
      血清鉄(↑)
      鉄飽和率(↑)
      フェリチン(↑)
      関節ビリルビン(↑)
      無効造血:血症鉄消失率が増加
           赤血球鉄利用率が低下
      メモクロマトーシス:色素沈着
                肝障害
                糖尿病
    ◎種類:
      先天性:
          男性に多い。
          末梢血:赤血球プロトポルフィリン(↓)
              コプロポルフィリン(正常~増加)
      後天性:
          中年~老年に多い。
          末梢血:赤血球プロトポルフィリン(↑)
      ビリドキシン反応性貧血:
          男性に多い。
          末梢血:赤血球プロトポルフィリン(↓)
              大赤血球の出現がありうる。
         
           


 天然痘
■種痘
天然痘の克服に挑んだ1人が秋月藩(福岡県朝倉市)の藩医である緒方春朔。今でいう予防接種である「人痘種痘」に成功し普及に努めた。
人痘種痘は患者のかさぶたを接種する。
天然痘は発症は一度きりだが、命を失いかねない。
春朔よりも先に人痘種痘に挑んだ医者もいたが、感染を恐れて広まらなかった。
春朔は清の医書を参考に、かさぶたをすりつぶしてどこ氏の金属管で鼻から吸わせる方法を研究した。
1789年冬、天然痘が流行。翌年2月、大庄屋の天野甚左衛門の強い申し出を受けて甚左衛門の2児に施した。2児は数日後に熱を出したが、容体は軽かった。6年間で1000人の子供に接種した。《種痘必順辨》を著した。

   ■生物兵器テロ対策に有用
    「米化学アカデミーは「15日、世界保健機構(WHO)が廃棄処分を決議してい     る天然痘ウイルスについて、保存しておけば、生物兵器テロに悪用された場合     の予防ワクチン開発などに役立つとする報告書をまとめた。
伝染力の強さで知られる天然痘は1967年にWHOが撲滅作戦に乗り出して     から患者数が激減、1980年に根絶宣言が出された。その後、世界各地の研究     所のウイルスは処分され、米ジョージア州のアトランタとロシア・モスクワの     研究施設だけが残されたウイルスを研究用に保管してきた。
今回の報告書は事実上の廃棄中止を米政府に勧告するもの。クリントン米大     統領は科学アカデミーの勧告を重視すると明言してきている上、ロシアも廃棄     には反対とされ、ロシアも廃棄には反対され、今年6/30に地上から姿を消す     ことになっていたウイルスの処分は再び再び先送りされる可能性が強まってき     た。
米科学アカデミーがワクチン開発の意義を強調した背景には、財政難で官吏     が不十分とされるロシアの研究施設から、すでにウイルスが外部へ持ち出され     ているのではという懸念がある。今年1月にはイスラエルが天然痘ウイルスを     ひそかに保管しているとの報道もあった。WHOは今年5月の総会で廃棄処分     を最終的に決定する方針だったが、米露両国が反対した場合、紛糾するのは必     至とみられる。
  【臨床例】
    ☆《建珠録》
      「京師木屋街の伊賀屋久右衛門の家婢(お手伝い)、痘を患う。布根稠蜜にし      て起発快よらず。煩熱し、痒渇し少しも安きことなし。已にして瘡は黒陥      し復た潤色なし。衆醫皆以て必ず死すとなす。
《吉益東洞》先生之を診す。紫圓をつくりて之を飲む。下利数十行。翌      早盡く紅活し、諸證皆退く。」《建珠録》
    ☆天然痘
      「先生の令子、千之助。四歳にして痘を患う。證侯は甚だ急なり。紫圓をつ      くりて之を飲ましむ。頗るその效を奏すと雖も、病勢轉迫し、卒に救うべか      らざるに至る。
後、数年、その妹四歳も亦、痘を患う。瘡、概して密。色も亦紫黒、呀      咬し、喘鳴して悶苦勝せず。《吉益東洞》先生亦紫圓をつくりて之を飲まし      む。是において族人某は、諭して曰く「嚮者(以前に)、或いは先生を(そ      しり)て曰く、東洞の方を処するや、内外を論ぜず、諸疾、必ず之を下す。      是を以て、竟にその子を殺す。而して今亦之を下す。如し不諱(死ぬ)のこと      あるときは、不慈の譏りなきことを得んや」と。
《吉益東洞》先生の曰く「方證相對して、その毒盛んなるものは死すは是      れその命たなり。豈、毀誉に拘りて、吾が操を変ぜんか」と。益々之を飲ま      せて休まず。諸證皆退き全く癒ゆ。」《建珠録》
   ■ネズミ
「ネズミに感染する天然痘ウイルスの一種がヘビに感染していたことを、岡田典弘・東京工業大学教授が発見した。ヒトに感染する天然痘は1980年に撲滅宣言が出されたが、岡田教授は別の動物にウイルスが潜んでいる可能性があると見ている。2007年7/10の米科学誌アカデミー紀要電子版に発表。
アフリカに生息するネズミに感染した天然痘ウイルスのDNAを解析。同じ地域に生息する毒蛇のDNA配列が紛れ込んでいることを突き止めた。この配列を調べたところ、毒蛇がかってウイルスに感染したことが分かった






 天疱瘡(てんぽうそう)
⇒発疹によって形成された皮膚病変の1つ。
◎全身に大型の水疱と難治性のビランが多数生じる。
◎抗上皮細胞間抗体による自己免疫疾患と考えられている。


 点頭てんかん(てんとうてんかん)
=「West症候群」
⇒点頭とは、うなずくこと。筋肉(胸鎖乳突筋)ケイレンによって点頭運動が起こるので名付けられた。
◎4~5ヶ月から、2~3年の幼児に多い。
◎ほとんどの例で精神・運動発達障害がみられる。



 転移性肝ガン
■病態・・・他臓器で発生したガンの血行性で間に転移したガン。
■検査
肝胆道系酵素・・・種々のパターン
腫瘍マーカー・・・原発現で異なる
腹部超音波
CT





 転筋(てんきん)
=腓腸筋痙攣。こむら返り。からすなえ。
■桂枝加附子湯
■四物湯(霍乱後の)
■四物湯黄芩(酒炙)・蒼朮・南星(霍乱後の転筋)
■芍薬甘草湯
■平胃散(太陰病、心下痞塞、腹部膨満、食後腹鳴)
■平胃散木瓜(吐瀉、脇痛、脈がゆるい、霍乱後の転筋)
■木瓜湯(吐瀉の後、転筋が止まらない)


 

転脬(てんほう)
=転胞(てんぽう)
=妊娠、産褥時の排尿障碍。妊娠して小便通ぜざるを曰う。
⇒臍下が急に痛み、小便が不通になる。
<1>無理に小便をがまんするとか、      
<2>小便がしたいのに疾走するとか、
<3>又は飽食して小便を我慢するとか、
<4>又は食後に馬に乗るとか、
<5>又は小便を我慢して入房すると、水気が上逆して気が脬を切迫すると、屈して伸張出来ない症などから起こるもので、脬が落ちると即死する。婦人に多い。

【処方名-五十音順】
■掩臍法[2]
■滑石散[1](転胞で小便が出ない)
■三合湯
■参朮飲(妊婦が転脬で小便が不通)
■葱白湯[3](小腹が脹って小便不通になり、気が上衝して心臓を刺して悶絶して死ぬ思いをする)
■冬葵散
■二石散(転脬になり8~9日たっても小便が出ない)
■八味地黄丸
■蒲黄散(転脬で小便不通)
■補中益気湯(胃腸虚弱、だるい、口中白沫)


 癲狂(てんきょう)
=癲と狂は精神錯乱の疾病である。癲は抑鬱状態となって現れ、これは虚証に属する。痰気欝結、あるいは心脾両虚によって生じる。狂は興奮状態となって現れ、是は実証に属する。陽気が亢ぶりすぎ、心神外越によって生じる。《古今方彙》
「癲」=異常な症状。正常とはほど遠く、とてつもないことをしゃべり、妄想と言葉に秩序がない。
「 狂」=狂って踊ることだが、軽いと妄自尊大となり、歌や踊りを好み、悪化すると衣類を脱ぎ、塀によじのぼり、もっと激しくなると、髪を振り乱して大声を上げ水火を恐れず、殺人まで犯す。

◎陽虚・陰実は癲癇となり、陰虚・陽実は狂う。又、陽が勝と狂って踊り大声を出し、陰が勝と癲するが、癲は混沌として人事不省に陥る。

◎狂は妄言・妄走し、癲は昏倒不省する。
<1>火が起こり癲狂になった:[当帰承気湯][三黄瀉心湯][黄連瀉心湯][牛黄瀉心湯]
<2>痰火が鬱塞して癲狂になった:[牛黄清心丸][清心漓痰丸]
<3>風痰が心臓を昏迷させ癲狂になった。:[鉄分散][欝金丸][通泄散]
<4>驚愕して喪心・亡魂・失魄して癲狂:[鎮心丹][抱胆丸][葉氏雄朱丸][一酔膏]
<5>神経を過度に使って癲狂:[辰砂寧志丸][寧志化痰湯][養血清心湯][牛車肉]
<6>癲狂で不眠:[寧志膏][辰砂散]

◎主薬:
癲は心に属す、当帰を主薬とすべし《万病回春》
狂は肝に属す、黄連を主薬とすべし《万病回春》

【処方名-五十音順】
■一酔膏(心恚シンイ・癲狂)

■欝金丸(心配しすぎから)

■温白元

■黄連瀉心湯麻(狂疾)

■加減鎮心丹(気血の不足、心神虚損)

■加味駆風豁痰湯《寿世保元》

■加味逍遥散《世医得効方》

■甘麦大棗湯《金匱要略》

■牛車肉(失神・癲狂)

■牛黄瀉心湯(癲癇・心経の邪熱・狂乱・精神不快)

■三合復明湯《古今方彙》

■滋陰寧神湯《医学入門》

■将軍湯《寿世保元》

■升陽順気湯(忿怒で肝・思慮が脾・悲哀が肺を悪くし、各経絡に火が動いて元気をなくし、食欲がない)

■辰砂散(癲狂・狂言・妄想・不眠)

■辰砂寧志丸(心身の過労。驚悸・怔忡・夢寐で不安、いつも誰かが追っかけてくる感じ)

■清心化痰湯《済世全書》

■大承気湯

■鎮心丹(癲狂・亡魂・失魄・顔色が青い)

■鉄分散(癲狂・歌笑・裸体症・水火を恐れない)

■通泄散(発作が止まらないとき)

■当帰承気湯[3](陽狂・奔走・罵倒する)

■寧志化痰湯(発作を初めて起こしたとき)

■茯神湯《証治準縄》

■防風通聖散(実証、精神錯乱・分裂)

■養血清心湯(神経を過度に使って癲狂)

■葉氏雄朱丸(驚愕と心配のあまり失神・狂乱奔走)

 

纒喉風(てんこうふう)
=ジフテリヤ
■一字散    

■解毒雄黄元

■如聖勝金錠

■二仙散

■白礬散(纒喉風・急喉閉)

■氷梅散

■仏手散[1](特効)

■雄黄散(危急を治す)


伝屍労
   =肺結核。

 

伝染性紅斑
=「リンゴ病」
⇒発疹を伴う感染症。
<1>ヒトパルボウイルスB19の感染症。
<2>妊婦への感染
<3>妊娠前・中期における流産・死亡の原因となる。
◎好発年齢:年長児(4~5才)。
◎好発時期:特にない。
◎症状:

*両頬に鼻根部から対称的に蝶が羽を広げた様な紅斑が特徴的。

*四肢・肩・臀部にも紅斑が出現。

*はじめ小丘疹状、次いで拡大し環状・地図状となる。
<1>発疹:
①部位:主として顔面、特に頬部に蝶翼状の発疹。
②性状:蕁麻疹様紅斑で癒合する。
    落屑・色素沈着なし。
    麻疹様紅斑を呈することあり。
③発疹の出現:
微熱(ときに無熱)とともに発疹する。
新旧の発疹が10日ぐらい続く。

<2>全身症状はほとんどない。
発熱・リンパ節腫張。結膜炎などのカタル症状はない。
◎血液像:
      白血球:減少
      好中球:増加
      好酸球:増加
      リンパ球:増加
      形質細胞:ときに増加。
◎検査項目:
血中の白血球数・像


 

伝染性単核症 infectious mmonucleosis
=「伝染性単球増加症」=「パイフェル病」
⇒EBウイルス(エブスタン・パーウイルス)の感染によって生じる疾患。
⇒発熱と全身のリンパ節(腺)が腫れる。腺熱ともいう。又は日向熱・土佐熱・徳島熱などとも呼ばれる。青年期に好発する。
◎悪寒・発熱、頭痛、つづいて吐。
◎時に膿栓を付着する。
◎臨床症状:
発熱
咽頭痛・咽頭発赤と偽膜形成
脾腫
肝機能障害
白血球増加
リンパ球増加、異型リンパ球出現
リンパ節腫張:
 頚部リンパ節(ときに全身のリンパ節)腫脹。
 全身のリンパ節腫脹を認める。腫脹は一般に無痛性である。
発疹:
   10~40%に発疹がみられる。
◎検査:
     抗EBV抗体:VCA-IgM高値
     Paul-Bunnell反応

【処方名-五十音順】
■小柴胡湯


 伝染性軟属腫⇒「水イボ」を参照

 

伝染病
=感染症の中でも人への伝染力の強いものをいう。「法定伝染病」「届出伝染病」がある。

◎法定伝染病:患者の隔離、家屋の消毒が義務付けられる。
〇腸チフス:

不衛生な飲食物からの経口感染。
潜伏期間(1~2週間)
症状:頭痛、食欲不振、全身倦怠感ののち、急に発熱する。

〇パラチフス:

不衛生な飲食物からの経口感染。
症状:腸チフスより軽い。

〇発疹チフス:

シラミの指した傷口から経皮感染。(病原体:リケッチア)
潜伏期間(5~15日)
症状:頭痛、全身倦怠感とともに発熱し、全身に発疹する。

〇赤痢:

不衛生な飲食物、生ものからの経口感染。
 (病原体:赤痢菌or赤痢アメーバ)
潜伏期間(1~4日)
症状:発熱、下痢、頭痛。

〇コレラ:

不衛生な飲食物からの経口感染。(病原体:コレラ菌)

〇ジフテリア:保菌者の咳・くしゃみからの飛沫感染。小児に多い。
   (病原体:ジフテリア菌)
症状:のどの腫れ・痛み、全身倦怠。
重症になると呼吸困難、意識障害などを起こし死に至る。

〇猩紅熱
〇天然痘
〇ペスト
〇流行性脳脊髄膜炎
〇日本脳炎



 癜風(でんぷう)pityriasis versicolor
=「なまず」 (参照→白なまず)
⇒Malassezia furfurを原因菌とする表在性皮膚真菌症。
   ◎青壮年の上半身に、米粒大~爪甲大の粃糠様鱗屑を伴った淡褐色斑。
   ◎自覚症状はほとんどない。

【漢方療法】
   ◎主薬:癜風には、密陀僧を主薬とすべし《万病回春》
   ◎紫癜と白癜がある。
     紫癜=皮肉が変色して赤くなったもの。
     白癜=皮肉が変色して白いもの。(癧瘍風ともいう)
白(ハクテツ)=だんだん色が白くなって、癬と同じく、ただ瘡のない症。
           (テツ、つづる)
  【処方名-五十音順】
■加味逍遥散
■袪風敗毒散《寿世保元》
■三黄散(白癜風)
■散治紫癜風方
■如聖膏(紫癜・白癜)
■蒼耳散(紫癜・白癜、疥・斑、甲錯の汁出に)
■治赤白汗斑方
■追風散(白癜風を治す)
■別減何首烏散(紫癜・白癜、白(ハクテツ)、癮疹、疥癬)


 臀癰
   =臀部の腫癰のこと。
  【処方名-五十音順】
■黄蓍内托散《外科正宗》
■活血散瘀湯《外科正宗》
■十全大補湯《万病回春》
■等膿散《外科正宗》
■内托羗活湯《寿世保元》
■補中益気湯
■六味丸