<と> つらい症状・病名



Dubin-Johnson症候群
⇒若年より始まる慢性黄疸。
    家族性に発病。


#DV(ドメスティック・バイオレンス)
■ささいな理由
「女性が夫や恋人ら親しい関係の男性から受ける暴力『ドメスティック・バイオレンス(DV)』。様々な分野で解決への取り組みが活発になってきた。
「夫婦の内輪もめ」という言葉が使われる日本では、DVは表に出にくい。大阪のグループ「フェミニストカウンセリング堺」が体験者らに行ったインタビューは、その実態を浮き彫りにしている。
<私が何かいった拍子に、腰の辺りを殴り「今、お前が言ったことに対して、オレがどんなショックを受けたかといったら、こんな程度や」とかいう。パニック状態になる>
<顔の形が変わるほど蹴られた。氷で冷やして、頭がガンガンするので頭痛薬を飲んで寝た。病院に行ったと分かったら、また何をされるかと夫が怖かった>
 身体的な暴力だけでなく、ひどい言葉を投げかける精神的暴力、性的暴力など、DVはいろいろな形で現れ、「ささいなこと」がきっかけとおう点で共通している。
同時に行ったアンケートでは、暴力をふるう男性は、「30、40歳代、フルタイムの仕事を持ち、社会的地位もある」という人が大半だった。妻達は、夫たちを「自分に自信がなく、体面を気にする」と見ていた。「男らしさを強調して自分を支えている」と分析されている。
ワークショップを始めるのは、大阪の「メンズセンター」。「男の非暴力ワークショップ」という講習内容の開発を進めてきた。暴力無しで暮らす方法を学び、豊かな環状表現を回復するのが狙いだ。この手法はアメリカの一部の州で行われ、効果をあげているという。
担当する「男のための非暴力研究会」メンバーの中村正・立命館大助教授によると、アメリカでは「(暴力をふるった)男性らは怒りの感情を正しく表すことが出来ず、ゆがんだ形で表現する、というパターンがあった」と話す。
ワークショップは昨秋から大阪や東京で試験的に実施。「参加してからは暴力をふるわなくなった男性もいます」(中村さん)
「日本DV防止・情報センター」神戸市は、「ドメスティック・バイオレンスへの視点」朱鷺書房を出版した。




#トゥレット症候群
◎チックが持続する疾患。
「 チック」=まばたき・顔しかめ・咳払いなどが自分の意思に関係なく現れる。
約120年前にこの病気を発見したフランス人医師にちなんで名付けられた。6~8才頃の発症が多く、首振りまばたき叫び声舌打ちなど複数のチックが1年以上続くのが特徴。
原因は不明だが、幼少期に脳内神経伝達物質のドーパミンが通常より早く減り始めることが原因との説がある。少ないドーパミンを受け取ろうと脳が過敏になり、チックを引き起こすと見られている。20歳前半までに成人並の値で落ち着くため、症状が消える人も多い。

■誤解しないで
「突然叫び声を上げたり顔しかめるチック症状が特徴の神経疾患『トゥレット症候群』の患者・家族らが、このほど「NPO法人日本トゥレット協会」(東京)を設立した。幼少期の脳神経系の異常が原因と見られている。「厳しく育てすぎたからでは?」と親が周囲から責められることも少なくない。同協会はシンポジュウムなどを通じて、「正しい知識を広め誤解や偏見を無くしていきたい」としている。
 同協会は全国の患者・家族から相談を受け、定期的に家族会を開催。専門医や学校関係者らとも連携し、症状や原因を説明した冊子を作製するなど、病気への理解を深める活動を勧めている。
患者はチックに加え、落ち着きが無く物事に集中できない「注意欠陥多動性障害(ADHD)」や、玄関の鍵を繰り返し確認しないと気が済まないといった異常なこだわりが特徴の「強迫性障害」などを併発するケースも多い。症状は本人の意思と関係なくでるが、「わざとやっている」と誤解され、不登校や退職に追い込まれることもある。
推定患者数は約12万人。日常生活に支障が出る場合には、薬物治療も行う。ただ、専門医は国内に「10人前後」と極めて少ないのが実情だ。
米国では、すでに1970年代に同様の協会が設立され、欧州、カナダにも協会がある。高木道人会長は「患者の多くが家庭や学校、職場などで困難に直面している。社会問題としてとらえてもらいたい」と語る。
約2000人の診断経験を持つ瀬川小児神経学クリニック(東京)の瀬川昌也院長は「育て方が悪い」といった誤解をなくすためにも、蒼球に国レベルで周知や研究を進めるべきだ」と話している。2003.10.1《日本経済新聞》




#トキソプラズマ症 
   toxoplasma
⇒全身のリンパ節腫張を伴う感染症。

経口感染。
ネコが固有宿主。

症状
伝染性単核様症状
全身のリンパ節腫張、特に頚部リンパ節腫張。硬く、癒着せず、軽度の圧痛あり。
化膿しない。
発疹・心筋炎・心膜炎・肝炎・脳炎・肺炎など多彩な症状
網脈絡膜炎

◎検査:
リンパ節穿刺液をマウス腹腔内接種して原虫を検出する。
Sabin-Feldman反応(色素試験)
間接血球凝集反応
ラテックス凝集反応

■増殖
「大阪大学微生物病研究所の永宗喜三郎助教授と米ワシントン大学などは、妊婦が感染すると流産したり胎児に脳障害が起きる寄生虫のトキソプラズマが、植物ホルモンの濃度を手掛かりに増殖しているのを突き止めた。
植物ホルモンの濃度が高まると、寄生した動物の細胞を破壊して別の細胞に侵入し増えていた。 成果は2008年1/10のネイチャーに掲載。

「トキソプラズマ」

は原虫という単細胞生物で、ほ乳類や鳥類の多くに感染する、世界の人口の約1/3が感染者と推定されている。
永宗助教授らは、原虫が植物ホルモンとして知られる『アブンジン酸』を作っており、寄生した細胞内で原虫の数が増えるとアブンジンの濃度も上がることを突き止めた。原虫が細胞を破壊して外に飛び出す食前には濃度が通常の4倍になっていた。
フルリドンという薬剤を使ってアブンジン酸の働きを抑えると、濃度が低くなり原虫は増殖できず休眠状態になった。
トキソプラズマをマウスに感染させる実験では、そのままでは1ヶ月で8割が死亡したが、フルリドンを同時に投与すると8割が生き残った。
トキソプラズマ感染の主な原因は、ネコとの接触や十分加熱していない食肉の摂取。
健康なら免疫機能が働いて重症化しないが、妊娠中に感染すると胎児に影響が出るほか、免疫力が弱いエイズ患者などに脳炎などを引き起こす。」2008/1/10





 #とげ抜き
=トゲが刺さって抜けない。
【民間療法】
●ニシキギ[衛矛]~種子の黒焼き末を酒で服用すれば著効あり。

【漢方薬】
■伯州散



とじこもる
=閉じこもる

■閉じこもる若者
「20年間も家に閉じこもって、一歩も外に出ない娘(A子、40)のことで、母親が相談にきた。家族以外の人とは顔を合わさず、話しもしないという。昼夜逆転の生活を送り、夜中、二階の部屋で音楽を聴いたり、本を読んだり、キッチンで何か作って食べたりしている。風呂にあまり入らず、部屋の中も片づいていないという。母親にあれこれ指示して欲しい物を買ってこさせるなど、まるで召使いのように使っている。家を訪れてドア越しに話をしたところ、どうやら精神病ではなさそうである。
A子は幼少児期からおとなしくて、素直で良い子であった。小学生こ頃から人見知りをして、なかなか友達が出来なかった。風邪を引きやすく出席率は良くなかったものの、成績は良く先生からもかわいがられた。中学生の頃からは少し元気になり、欠席することもなくなったが、皆の仲間には入れず、1人で読書することが多くなった。高校生の時は集団生活になじめず、人間関係に敏感となった。不安感が強く、頭痛、めまい等を訴えたが、何とか卒業して大学に入った。
大学では大人数の講義には出席出来なかったが、友人に誘われて文芸サークルに入った。文章を書くのは得意だったので、文集発行には協力した。2年の時、やさしくしてくれていた男の子から彼女の文集に対して、意外にも手厳しい批評をされショックを受け、それがきっかけで家に閉じこもるようになった。
最近、若者の閉じこもりに関する相談は多い。1、2年ならともかく、5年、10年に及ぶ例もある。男も女もである。人生の旅立つにつまずいたり、傷ついたり、大人になるのを回避(成熟拒否)したりしているうちに、社会へ飛び立つ力を失ってしまい、社会的子宮(家族)の中に逃げ込んでしまったのである。
子供返り(退行)した若者は小児的万能感をもって、親に依存する。家族も飛翔力を失った子供をそのまま仕方なく、やさしく受け入れている。家族もお互いが、傷つくのを恐れるあまし、当たらず触らずの接し方をしていることが多い。
相談に来た家族には「かわいい子には旅をさせろ、ということもある」などとアドバイスするが、子供に対する態度をなかなか変えようとはしない。やさしい家族の精神病理である。自分たちのやさしさが閉じこもりの原因になっていることに気づいていないのだ。
こうしたケースの治療としては、同じ様な悩みを抱かえる人が集まる家族教室に出席してもらい、自らの悩みを打ち明ける(カタルシス)とともに、他の家族の話を聞かせる。こうして家族相互の学習をしていくうちの自分たちの「やさしさの病理」に気づいていくのである。A子の母親も一生懸命、勉強中である。(榎本稔)1999.2.8《日本経済新聞》


#とびひ
⇒伝染性膿痂疹の一つで、水疱性膿痂疹のこと

【漢方薬】
■桂枝加黄蓍湯

【民間療法】
<1>アカザ・ウサギ・サラシナショウマ・ジャガイモ・ドクダミ・ニワトコ・ハチ。


どもり
=吃音(キツオン)
■周囲がゆっくり聞き話す配慮を
「吃音の始まりは偶然や癖だったりして、はっきりとした境目が有りません。話すというのは声帯や筋肉など発声器官の複雑な協調運動です。2歳半から4歳ぐらいの言葉の発達の急な時期に、自分が今持っているしゃべる力より、質的にも量的にも多くのことを表現しようとすると、この協調運動がうまくゆかなくなります。パンをパパンと繰り返したり、言葉がもつれたりします。
 学校に入る前ぐらいの時期だと、親が言葉遣いのことで少し手綱を緩めて上げるだけで解決することも珍しく有りません。言葉の面で脳が成熟するには12歳ぐらいかかります。そのころまでは、子供自身がちょうどいいしゃべり方を見つけながら、新しい言葉を覚えることが同時進行していくのです。
【対応の仕方】

本人が言えるまでちゃんと待ってあげてから、後から「そうだね」と復唱してあげればいいのです。往々にして、大人は注意する形で言い直してしまいます。失敗をチェックされる子供はお手本から外れたらいけないという規制を与えられ、試すことが出来なくなります。声の出方ではなく、内容の方をゆっくり聞いてあげることです。そして話し方はゆっくりめにします。子供の時期には繰り返すことの快感もあります。また、「あのー」「うんとね」など前置きの言葉を入れて、何と言うのか探しています。そうしたことが周囲に認められれば、正常な発達の中で自然に吃音を卒業していくと思います。親が心配していると、子供は敏感にそれをキャッチしてしまいます。       1996.6.23《朝日新聞》

【漢方薬】#どもり
■一物瓜蒂湯
■柴胡桂枝乾姜湯
■三黄瀉心湯
■小建中湯
■小柴胡湯
    




 ドキドキする
=参照「動悸」。


ドケルバン病 de Quervain病
⇒手関節の橈骨茎状突起の部で、短拇指伸筋と長拇指外転筋の腱鞘に炎症を起こしたものである。
中年の女性に多く、拇指の背屈、外転によって強い痛みを生じる。安静、局所麻酔剤とステロイドの注入が奏効する。難治例では腱鞘切開が行われる。
    (Minor Orthopedics kinpodp p264)

■痛みがまんせず手を休ませよう
「子供の頃から琴と三味線を続けており、人に教えています。早い曲を練習したところ、右手首の親指側が痛くなり、整形外科に行きました。ドケルバン病だそうです。3週間たち、少しよくなったので、軽く琴を練習したところ、また痛くなりました。普通に楽器をひいてもいいのでしょうか?

●手首の親指側が痛いそうです。
「手首の親指側には2本の腱が通るトンネルのような腱鞘があります。腱鞘が厚くなったり腱の表面に傷がついたりすると、腱の動きがスムーズにいかなることがあります。これが「狭窄性腱鞘炎」の中でも起こりやすいといわれるドケルバン病です。この症状を研究した人の名前からつけられました。
●どんな症状がでますか?
「炎症が起こるため、腫れたり、赤くなったり、熱をもったりします。親指を曲げたり、広げたりするときに痛みます、
●原因は何ですか?
「この方のように楽器をひく人、コンピューターのキーボードを長時間使って仕事をする人や、スポーツなど手を使う人で、とくに親指を使いすぎると起こります。また妊娠時や産後、更年期の女性がなりやすいので、ホルモンバランスの変化と関係がありそうです。ホルモンバランスが変わるとなぜ「腱鞘炎」を起こすのか、詳しい仕組みは分かっていません。
●診断は?
「親指ごとに手首を小指側に曲げてもらい、痛みが強くなるかどうかを調べます。悪性の骨の腫瘍などが無いことを確かめておきます。

●どのような治療になりますか?
「まず指を使わないようにすることです。湿布や炎症を抑える軟膏を塗り、痛みを和らげるようにします。小さい副木やテープで親指が動かないようにすることもあります。痛みがひどい場合には、炎症を起こしている場所にステロイドを注射することもあります。しばらく安静にしているうちにたいてい自然に治りますが、症状がひどくて、良くならない場合は腱鞘を切って広げる手術をします。
●治るのにどのくらい時間がかかりますか? 
「腱鞘は一度痛めてしまうと、治るのに数週間くらい、症状によっては数ヶ月以上かかります。
●指をまったく使わないのはむずかしいですね?
「激しい痛みが和らいできたら、少しずつ使っても大丈夫です。指をゆっくり曲げたり伸ばしたりしてみて、痛みの程度を調べて下さい。指を使う間だけ痛いなら、無理のない範囲で指を使って仕事をして結構です。痛みをがまんして続けるのはいけません。指を使った後も痛みが続くようなら控えてください。
(河井秀夫・星ヶ丘厚生年金整形外科部長)1998.11.22《朝日新聞》



#ドライアイ
■マッサージ・蒸しタオル効果
「東京歯科大市川病院(千葉)が、「目が重い」「ショボショボする」など目の疲れを訴えて来院する患者111人を調べた。その結果、疲れ目の原因は、近視や遠視、乱視によって物がぼやけて見える屈折異常が4割、残りの6割をドライアイが占めたという。
ドライアイは涙の量が減って目の表面が正常な状態を保てなくなった状態を言う。目が乾くと汚れた空気など外からの刺激を受けやすくなる。
同病院眼科教授の値防已黄蓍湯他一男さんは「ドライアイの人は全国に800万人以上と推定されるが、その大半が原因がよく分からない。ひどくなると、目に入ったゴミが出ていかなくなり、目の表面に無数の傷が出来たりすることもある。空気が乾燥する冬場には、疲れ目を訴える人が多い」と警告する。
ドライアイになったら、目の乾きを防ぐことが基本。そのためには「見えにくい状況を作らないこと」と指摘する。見えにくいと、凝視しようとして瞬きが減り。、目が乾きやすくなるためだ。
「部屋が暗すぎたり、照明の光が直接目に入ったり、悪い姿勢で本やテレビを見ることなどは、目に負担をかけることになる。パソコンを操作する場合、目を大きく開かなくても済むように、ディスプレーは目線が下向きになるように置くと良い」
また、目の乾きを感じた時は、目元を蒸してタオルで暖めたり、目の周囲を指でマッサージしたりすると効果的という。「目元を冷やすと気持ちいいと言う人は多いが、温める方法はあまり知られていない。5分間ぐらい蒸しタオルを乗せていると、涙の中の油層を分泌するマ0ボーム腺の詰まりが取れ、血行も良くなる。マッサージは、眉の下やコメカミ、目の下のくぼみなそを。気持ちがいいと感じる程度の強さで指圧するとよい」と坪田さん。
ドライアイの人が目薬を使う場合は、防腐剤の入っていないものの方が良い。一般に市販されているボトルに入った目薬には、すべて防腐剤が入っている。使い捨てタイプの目薬には、防腐剤は入っていない。
「ストレスや睡眠不足などでも、目を疲れさせ、乾燥させる要因になる。長時間ドライブしたり、テレビなどの画面を長時間見ていると、まばたきの回数が減少し、目の乾燥を招く」
■チェック:
◇目が疲れやすい。
◇焦点が合わなくなる。
◇目がショボショボする。
◇目がゴロゴロしたり異物感がある。
◇目ヤニ(粘液質で白い)が出る。
◇急に目が痛くなることがある。
◇理由もなく涙が出ることがある。
◇目が開けにくい。
◇急に目がかゆくなる。
◇目が重い。
◇10秒間、まばたきしないではいられない。
◇何となく目に不快感がある。
---------5つ以上当てはまれば:ドライアイの可能性があります。
■症状に応じた目薬
「目が乾いてコロコロする」「目が疲れやすい」といった症状を訴えるドライアイの人が急増している。国内では1600万~2200万人がこの症状に悩み、オフィスで働く人の3人に1人に達するとの報告もある。「コンピューター画面をよく見る人は1時間に5~10分は目を休めた方がよい」と下村嘉一・近畿大学医学部教授は指摘する。
●どのように診断するのですか?
「涙の質と量の異常によって引き起こされる角膜(黒目)と結膜(白目)の上皮障害をドライアイと呼びます。車のフロントガラスを角膜、雨を涙、瞬きをワイパーと仮定すると、ドライアイは雨がない状態でワイパーを動かして、ガラスに傷が付くのと似ています」
「涙の質は角膜を覆っている涙液層という層の壊れやすさで調べます。正常な人は瞬きをして涙で角膜の表面を潤すと、5秒以上、この層が壊れません。ドライアイの人は5秒以下で壊れ、角膜が露出して乾燥します」
「涙の量は分泌量と貯留量を調べます。分泌量は試験紙を目尻から垂らし、瞬きをした後、5分たって涙で濡れた部分の長さを調べます。長さが5mm以下だと異常です。貯留量は目尻から検査用綿糸を垂らして、瞬きをしてから15秒後に涙で変色した長さを調べます。10mm以下は異常です」

●目が乾く原因は?
「コンピューターの画像表示端末(VDT)作業者に患者が増えています。画面をじっと見ているときは瞬きの回数が減り、涙が乾きやすくなります。通常は1分間に20回くらい瞬きをしていますが、VDT作業をすると5回くらいに減ります。」
「エアコンが普及し、角膜や結膜の上の涙が乾燥しやすくなっているのも一因です。飛行機内やホテルの部屋は乾燥しやすく、目薬をさすなどして目が乾かないように気をつけることが大切です。コンタクトレンズを長期間試用している人は角膜などがキズつく可能性あるので、定期的に検査する必要があります。」
●治療法は?
「軽傷の人は目薬を1日5回程度、重症になると1時間おきにさします。それでも治らない場合には涙の出口(涙点)にシリコン製の微小なプラグ(栓)を入れて涙をせき止めたり、涙点を縫い合わせたりする外科的治療を行います。プラグの挿入は2~3分で、涙点の縫合は約10分で終わります。免疫の異常で起きるシェーグレン症候群や薬の副作用で起きるスティーブンス・ジョンソン症候群といった重要の場合は、自分の血液から血漿成分だけをとり脱して点眼する自己血清点眼や角膜移植、幹細胞移植などの治療法もあります」
●どんな目薬を使うのですか?
「軽症では・・・・・人工涙液とかヒアルロン酸入りの目薬を使います。
中程度の場合・・・ヒアルロン酸入り目薬と防腐剤なしの人工涙液、
重症になると・・・ヒアルロン酸。人工涙液ともに防腐剤の無いものを点眼します。市販の目薬の多くには防腐剤が入っています。健康な人では問題ありませんが、ドライアイの人が点眼すると、結膜や角膜がキズつくことがあります。」
●症状を和らげる方法は?
「コンピューターやテレビの画面は目より下に設置してください。上を向くとまぶたが上がって空気に触れる表面積が広くなり、涙が蒸発しやすくなります。部屋が乾燥しているときには、加湿器などで空気の乾燥を防ぐことも大切です。タバコの煙も良くないので、煙にあたらないように気をつけましょう。」
「プラスチックカバーで目の回りを密閉するドライアイ用のメガネをかけるのも選択肢の1つです。」2003.5.13《日本経済新聞》
■症状を改善
「2010年、慶應義塾大学医学部の樋口明弘助教、坪田一男教授らのグループは、目が乾燥して角膜や結膜が傷つく「ドライアイ」の症状改善に効果がある抗酸化成分を突き止めた。
成果はプロス・ワンに発表
研究グループは、生体内で酸化ストレスを消去する必須微量元素セレンの輸送を担うタンパク質「セレノプロテインP」に着目。涙腺を取り除いたドライアイのモデルラットにこのタンパク質を点眼で投与すると、角膜の障害の程度を6割ほど改善することができた。
またセレノプロテインPが涙腺から分泌されていることや、一部のドライアイ患者では涙に含まれるセレノプロテインP濃度が低下していることも分かった。
以前から、一般的な治療が無効な重症のドライアイ患者に対し、血清中の成分が症状改善に役立つことが知られていたが、どの成分が有効なのか不明だった。
ためしてガッテン
ムチンの分泌を促す目薬
目薬「ジクアホソル」と「レバミビド」がムチンを増やす
保険適用


 

トラコーマ trachoma
=「トラホーム」(→クラミジアによる感染症)
⇒伝染性の角結膜炎の一種。

chlamydia trachomatisを病原体とする伝染性結膜炎。

【漢方薬】
■葛根湯(陽実証、頭痛、発熱、無汗、項背のこわばり、脈浮緊・数)
■葛根黄芩黄連湯
■大黄硝石湯
■桃核承気湯(実証、のぼせ、足冷、下腹部痛)



トラウマ
①EMDRによるトラウマ治療      
 指を左右に動かして、眼球運動をさせる
 脳の画像が変化する
②認知行動療法:
過去が過去でなく、今とグチャグチャになっている
    



トリコモナス
  =トリコモナス膣炎。
⇒膣トリコモナス(trichomoas vaginalis)による感染。
症状は黄色(膿性)の泡沫状の多量の帯下が出る。外陰部がかゆく、灼熱感がある。

【漢方薬】
■竜胆瀉肝湯




トルサ・デ・ポアン 
   Torsade de Pointes
⇒重症の不整脈の代表的なもの。
◎心室性頻脈の一種で、ある特殊な形のものをこう呼ぶ。

すなわち、心電図上QRS波が特異な形状を示し、あたかもQRSはの軸がねじれたような形になり、QT間隔の延長が認められる。

◎近年、第Ⅰ群の抗不整脈薬の副作用として、大問題となった。


 

トリプレットリピート病
=遺伝性の神経変性疾患。
⇒一定の年齢に達すると重度の「痴呆症」などを起こす神経性の難病。

◎生命活動を担うタンパク質は遺伝子から合成される。この病気はタンパク質中の特定のアミノ酸の並びを記録する塩基配列の繰り返しが通常より長くなり、絡み合って細胞死を起こすために発症する。[ハンチントン病]や[脊髄小脳失調症]など10種類以上見つかっている。1998.3.12《日経産業新聞》



 登校拒否
■病気による不登校~薬で治す(→起立性調節障害)

登校拒否の漢方薬
■加味逍遙散
虚弱な体質の女子で、精神不安、憂うつ感などの精神神経症状があり、脈も腹も緊張が弱く、腹診上、軽度の胸脇苦満を認めるものを目標に用いる。血徴候あるいは月経異常が見られることが多い(漢方診療医典)
■桂枝加芍薬湯
虚弱な児童で反復性の臍疝痛や下痢、便秘がみられるものを目標に用いる。脈は弱く、腹部は膨満、腹直筋は拘攣して硬くツッパリ、棒を2本立てたようにみえる(漢方診療医典)
■桂枝加竜骨牡蛎湯
柴胡加竜骨牡蛎湯の証に似て便秘せず、腹部膨満、胸脇苦満が無いのが目標。体力はあまりなく、疲れやすいものに用いる(漢方診療医典)
■柴胡加竜骨牡蛎湯
体質的には実証で胸脇苦満、心下部の抵抗がある。臍上に動悸を認め、心悸亢進、不眠、煩悶、憂うつ感、神経過敏、集中力低下などの精神神経症状がみられる。脈は緊張強く、、便秘の傾向がある、小児の場合は胸脇苦満はくすぐったがるNAA医が多い。(漢方診療医典)
■柴胡桂枝湯
やや虚証のもので、自汗の傾向があり、胸脇苦満とともに上腹部の緊張を認める者に用いる。(漢方診療医典)
■釣藤散
朝の頭痛、頭重を目標に用いる、腹部は軟弱で腹筋の緊張は強くない(漢方診療医典)
■桃核承気湯
思春期後期になると女子では下焦の血症状を呈するものがある。体力があり右、のぼせ、不安、興奮などの精神神経症状、便秘のある場合に用いる。左下腹部には抵抗・圧痛を認める(漢方診療医典)
■補中益気湯
虚証で体力衰え、元気がなく、SHよくよく不振、全身倦怠、無気力などを認める(漢方診療医典)
■抑肝散
怒りっぽく、神経過敏であることを目標に用いる。この場合、四肢や腹部の筋肉が突っ張って、引きつれるようになり、これを抑制するのが抑肝散である。腹部では腹直筋が緊張している。抑肝散より虚証の者には陳皮、半夏を加える。この場合服直筋の緊張は弱く、腹部大動脈の拍動を触れる(漢方診療医典)





凍傷 とうしょう
⇒寒冷のために血管内の血流が停止し、冷凍組織の血管床は凝集した細胞塊や血栓で閉塞され、表皮と真皮の分離、皮下組織の融解なんかにまで発展する疾患。  

<1>耳たぶ・鼻の先端・頬などに鬱血・水疱・潰瘍・ビラン・腫れを生じ、かゆみを伴う。
<2>入浴で悪化する。
<3>初冬~終冬に多く、気温4~5℃で日差10℃以上の時期に頻発。
<4>学童期に多い。(KINPODO Dermatology P143)

【漢方薬】#とうしょう
■温経湯
■乾姜附子湯
■桂枝茯苓丸
■三黄瀉心湯
■三物黄芩湯
■四逆散
■梔子豉湯
■小柴胡湯
■通脉四逆湯
■桃核承気湯
■当帰四逆湯
■当帰四逆加呉茱萸生姜湯
■当帰芍薬散)
■茯苓甘草湯


凍瘡 =「#しもやけ」
寒冷による血行障害で起きる。
◎手・足・耳介などに生じやすく、紫青色を呈し、腫脹したり、滲出性紅斑をみる。

【漢方処方】
■当帰四逆加呉茱萸生姜湯(手足厥冷<紫色>、腹激痛、胸中煩満、冷汗、頭痛(冷)、腰痛)
■当帰四逆湯



凍瘡状狼瘡 chilblain lupus
=DLEのⅠ亜型。難治。    

〇中年女性に多い。
〇指趾背・尖・外足縁、耳朶などに、冬期増悪する高度の角化性紅斑で、中央陥凹して厚い鱗屑を有し、ときに潰瘍化する。
〇凍瘡(しもやけ)の既往が多い。

◎検査:
*抗核抗体(speckled型)
*蛍光抗体による抗核抗体検査には、
①shaggy型

②homogenous型

③speckled型

④nuclear型があり、それぞれ抗DNA、抗核蛋白、抗可溶核蛋白、抗核小体抗体とされ、患者血清を稀釈していき、最高稀釈倍数を抗核抗体価として定量する。
*RA因子
*血沈亢進
*γ-グロブリン:高値
*血漿粘稠度:上昇

【漢方薬】#凍瘡状狼瘡
■当帰四逆加呉茱萸生姜湯


#盗汗(とうかん)
⇒睡眠中に全身に流れる様な汗をかくこと。
《漢方療法》
<1>陰虚・血虚の盗汗:[当帰六黄湯]四物湯知母・黄柏]
<2>陰虚・血虚・気虚の盗汗:[当帰六黄湯人参・白朮・黄蓍]
<3>腎火が動ずる盗汗:[正気湯]
<4>脾湿が盛んな盗汗:[四製白朮散]
<5>肝が熱を持つ盗汗:[竜胆散]
<6>眠くて目をつぶると汗が出る:[小柴胡湯]
<7<小児の盗汗:涼膈散で胸中の相火を瀉出し、次に三黄元で心火を消す。
<8>盗汗止まざる者:

「九味清脾湯地骨皮・鼈甲・椒目」
「当帰六黄湯地骨皮・防風・桂枝・黒姜・椒目」

◎黄蓍の配合された処方がよく用いられる《大塚敬節》

【漢方薬】とうかん
■黄蓍桂枝五物湯
■黄蓍建中湯
■加味帰脾湯
■甘草乾姜湯
■帰脾湯
■桂枝加黄蓍湯
■桂枝加竜骨牡蠣湯
■五苓散
■柴胡桂枝乾姜湯
■柴胡桂枝湯
■酸棗仁湯
■滋陰降火湯
■滋陰至宝湯
■四製白朮散(盗汗を治す)
■十全大補湯
■参蓍湯(盗汗を治す)
■参帰要子(心腋の盗汗が治らないとき)
■正気湯(隣火を下げ盗汗を止める)
■走馬湯
■陳艾湯
■当帰地黄湯(盗汗・気血)
■当帰六黄湯(陰虚・血虚の盗汗)
■二陳湯
■人参養栄湯
■白虎湯
■不換金正気散
■茯苓甘草湯
■茯苓四逆湯
■茯苓補心湯[2](七情が欝結して出る)
■防已黄蓍湯
■補中益気湯(胃腸虚弱、病後、疲れやすい)
■牡蛎散(盗汗・自汗)
■竜胆散(肝熱盗汗)
■六味丸



橈骨神経麻痺 
Saturday night palsy
⇒恋人を腕枕して眠ると神経麻痺を起こすシビレで、橈骨神経の障害です。橈骨神経は頸椎から鎖骨の下を通り、腋窩(エキカ)を通過して、上腕骨の外側をぐるっと回って、外側から、前腕の筋肉(伸筋)にいきます。(→しびれ)
又、橈骨神経は手の甲の皮膚感覚を伝える神経です。

◎症状:

①手の甲がシビレます。手のひらは正常です。
②感覚の障害より、筋肉の麻痺が多い。
③手首を反らす筋肉がうまく動かないため、指を曲げる筋肉は麻痺していないのに、ものをうまく握れない。
④感覚の麻痺は、親指と人差し指の付け根を延長して出来る、手の甲の三角形の小さな部分だけに起きるのが特徴です。

 
 

塔腮腫(とうさいしゅ) 
⇒痄腮(ささい)=腮腫=流行性耳下腺炎のこと。

【漢方処方】
■藿香正気散
■葛根湯(陽実証、頭痛、発熱、無汗、項背のこわばり、脈浮緊・数) 
■加味消毒飲
■銀翹散
■荊防敗毒散
■柴胡桂枝乾姜湯(胸脇満、小便不利、口唇乾燥、頭汗、盗汗、)
■三黄瀉心湯(精神不安、顔面紅潮、吐血衂血<鮮紅色>、心下痞、胃部膨満停滞感、便秘、脈有力)
■清胃散加・石膏(腮頬・歯牙・口唇がともに腫れて出血)
■大柴胡湯(実証、筋肉質、胸脇苦満、心下部緊張、便秘)
■托裏消毒飲

 

透析アミロイド症
⇒「人工透析の期間が長くなるにつれて、患者の体内にβー2ーマイクログロブリンという物質が溜まってくる。これがアミロイドを作り、神経や関節などに沈着して関節炎や麻痺などを起こす。透析期間が10年前後の患者の2~3割に症状が出るとされるが、数年で発症する人もいる。1996.2.25《朝日新聞》」

■長期の透析で指に痛み
「一昔前、腎不全が進行して血液透析を受けなければならないことを患者に告げると、すぐにでも命を取られるような反応が返ってきた。現在、血液透析を受けている患者数は約18万人で、もっとも長い人は32年間もこの治療を受けている。腎不全になる原因疾患では糖尿病が一番多く、透析を導入した平均年齢は60歳を超えるようになっている。
ただ、週3回、1回4時間の治療を受けなければならず、患者にとって大きな負担になる。また、血液透析療法は生体の腎機能の一部しか代行できないため、治療が長期にわたると様々な合併症が起こる。
透析歴15年のHさんも、右の人差し指と中指に痛みが出ると言って受診された。Mさんも外来にこられた際に長年の治療のしんどさを自分の指をこすりながら話していた。長期間の透析療法によって起きる手根管症候群であると、症状から診断出来た。
この病気は手首のところにアミロイドというタンパク質がたまって神経を圧迫することにより、人差し指・中指・親指などに痛みが出る。手首のところで電気刺激を与え、電気が神経を伝わる速さが低下していれば、手根管症候群と確定診断される。
この病気は手術が必要になる」



痘瘡 とうそう
=天然痘のこと。 (→天然痘)

治痘用薬の法
<1>気を調えるには:[木香][陳皮][青皮][香附子]
<2>気を補うには:[人参][黄蓍][茯苓][甘草]
<3>血を補うには:[当帰][川芎][芍薬][地黄]
<4>血を活かし血を涼すには:[生地黄][紅花][紫草][牡丹皮]
<5>表熱を発散するには:[升麻][柴胡][乾葛][紫蘇葉][前胡][葱白][生姜]
<6>裏熱を消すには:[黄連][黄柏][山梔子][犀角][羚羊角]
<7>表寒には:[黄蓍][桂枝][生姜][川芎][防風]
<8>裏寒には:[乾姜][肉桂][附子][木香][肉豆蔲]
<9>小便利するには:[猪苓][沢瀉][木通][滑石][車前子]
<10>大便利するには:[枳殻][枳実][大黄][玄明粉]
<11>咽痛には:[玄参][桔梗][連翹][牛蒡子][梔子][甘草][薄荷]
<12>嘔吐には:[藿香][砂仁]
<13>胃寒には:[丁香][木香]
<14>驚搐には:[白殭蚕蚕][天麻][朱砂][茯神]
<15>咳嗽には:[麦門冬][括楼仁][桑白皮][杏仁][五味子]
<16>風熱には:[蝉退][白芷]
<17>泄瀉には:[訶子][肉豆蔲]
<18>腰疼には:[牛膝][杜仲][延胡索]
<19>頭痛には:[川芎][藁本][蔓荊子]
<20>痰を清すには:[半夏][天南星][貝母][石膏]
<21>渇を止める:[乾葛][五味子][麦門冬][括楼根]
<22>食を消すには:[山楂子][麦芽][神麹][草果]
<23>腹脹るには:[厚朴][蒼朮][大腹皮]
<24>班を快くするには:[紫草][防風][荊芥][升麻]
<25>痘を起こすには:[鹿茸][穿山甲]
  

【漢方薬】
■異功散《万病回春》
■温中益気湯《活幼心法》
■快班散《医学入門》
■化毒湯《寿世保元》
■加味四聖散《医学入門》
■加味紫草飲《医学入門》
■加味敗毒散《万病回春》
■加味保元湯《万病回春》
■起死回生散《寿世保元》
■解毒防風湯《保命歌括》
■牛蒡子飲《万病回春》
■三黄熟艾湯《医学入門》
■山梔仁湯《医学入門》
■紫草木香湯《医学入門》
■紫草木通湯《医学入門》
■手捻散《万病回春》
■消毒飲《和剤局方》
■消毒活血湯《活幼心法》
■如聖湯《医学入門》
■升麻葛根湯《万病回春》
■神功散《万病回春》
■参蓍透肌散《古今方彙》
■参蓍鹿茸湯《活幼心法》
■参麦清補湯《活幼心法》
■清金参《寿世保元》
■清解参《活幼心法》
■千金内托散《活幼心法》
■蘇解参《活幼心法》
■疎気散《医学入門》
■鼠粘湯《医学入門》
■調解散《医学入門》
■調元化毒《活幼心法》
■二参湯《医学入門》
■通明散《寿世保元》
■透肌散《医学入門》
■内托散《万病回春》
■麦門冬飲《寿世保元》
■保元湯《博愛心監》
■補中益気湯《万病回春》
■万金散《医学入門》
■木香散《万病回春》
■連翹散《医学入門》
  

【臨床例】
☆痘を治す
「京師界街の儒生、曽内紀の男、生れて三歳。痘前に大熱し、喉乾き、口燥き、物ありて臍下より、上りて已に心胸を衝くときは則ち咬呀し、喘渇して悶苦、勝せず。痘も亦、灰色にして光無し。衆醫皆謝して去る。《吉益東洞》先生紫圓をつくりて之を飲む。厠に坐しての後、忽ち紅澤を発して諸證頓に退く。」《建珠録》

 


痘疔
=天然痘によって発する癰。

痘癰
=天然痘より発する癰。


洞性徐脈 sinus bradycardia
     (参照→不整脈)
=「洞徐脈」
⇒洞調律で心拍数が1分間に60以下の場合。
◎高齢者や運動選手にしばしば見られる。
◎原因:①粘液水腫
    ②低体温
    ③頭蓋内圧亢進
    ④高度の黄疸
    ⑤ジギタリスの投与
    ⑥β遮断剤の投与。

洞性不整脈 sinus arrhymia
     (参照→不整脈)
呼吸と共に起こる多少の不整脈。
吸気時早く、呼気時に遅くなる。

洞不全症候群 sick sinus syndrome:   (SSS)
     (参照→不整脈)
著明な洞徐脈
洞房ブロック、洞休止(洞結節が刺激を生成しない)
徐脈頻脈症候群


 

洞房ブロック
⇒興奮伝導障害で、洞結節からの刺激が心房に伝わらない。そのため、心拍数が1回欠ける。

◎原因:①ジギタリス中毒
    ②抗不整脈剤の中毒。

 

#疼痛(とうつう)
=痛み。→「ペインクリニック」
⇒生体組織の損傷あるいは損傷の可能性のある侵害刺激が個体に起こす感覚。

◎種類:①体性痛
    ②内臓痛

◎主薬:《万病回春》
①諸痛、上に在るは風に属す、羗活・桔梗・桂枝・威霊仙を主薬とし、
②下に在るは湿に属す、牛膝・木通・防已・黄柏を主薬とすべし
③諸痛を止むるには、乳香・没薬を主薬とすべし

■痛み強める物質解明
「体の中で痛みを感じるとき、生理活性物質の一種、『プロスタグランジンⅠ』が痛みを増強させる役割を果たしていることが京都大医学部の成宮周教授(薬理学)らの動物実験で分かった。14日付けの英科学誌ネイチャーに発表された。
プロスタグランジン(PG)が痛みの増強や、炎症、発熱などに関係していることはこれまで分かっていた。しかし、PGは化学構造の違いによってD・E・F・Iなどに区別され、それぞれ違った機能を果たしていると考えられている。成宮教授らは、遺伝子を操作してPGの中でもPGⅠと結びつく受容体がないネズミを作った。
実験ではネズミの腹部に酢酸を注射して痛みを起こさせた。普通のネズミは30分間に約40回、身をよじるという痛みへの反応を見せたが、PGⅠ受容体がないネズミでは身をよじる回数が約10回に減った。鎮痛薬を与えても同様に約10回だった。
成宮教授は、PGⅠ受容体が無くなったことで痛みはゼロにはならなかったが。PGⅠによる痛みの増強効果は抑えられたとみている。
成宮教授は「PGⅠの働きだけを抑える薬が出来れば副作用が少ない鎮痛薬になる可能性がある」と話している。1997.8.22《朝日新聞》
■鎮痛剤
「米系製薬大手のファイザー製薬の中央研究所(愛知県武豊町)は新しい鎮痛剤の化合物を開発した。従来の鎮痛剤では治療が難しかった糖尿病に伴う慢性疼痛などに使える。
開発した鎮痛剤はオピオイド系と呼ばれるモルヒネに似た鎮痛剤の一種。オピオイド系の鎮痛剤が細胞に作用する時に細胞側の入り口にあたる受容体のうち、カッパと呼ぶ受容体にのみ作用する。
依存性や幻覚などに関係する他の受容体には作用しないため、こうした副作用がなく鎮痛効果だけ期待できるとしている。
糖尿病に伴う慢性疼痛やリウマチ、さらに慢性疼痛の中でも治療が難しいとされる神経損傷(ニューロパチー)に伴う痛みも対象。」2000.12.1《日経産業新聞》
■痛みの感じ方を左右するタンパク質
「2001年、米ワシントン大学の研究グループは、脳内にあるグルタミン酸と結合する受容体と呼ばれるタンパク質の一部が過剰に出来ると、慢性的な痛みを鋭く感じる様になることをマウスの実験で確かめた。
グルタミン酸受容体の一部が過剰に生産されると、記憶力や学習能力が高まることが、之までの研究で分かっていた。研究グループは遺伝子組み換え技術を駆使して、この部分が過剰に出来るマウスを作り出した。このマウスの傷みに対する反応を調べたところ、一過性の痛みに対しては普通のマウスと変わらなかったが、慢性の痛みには大きく反応したという。成果は米科学誌「ネイチャー・ニューロサイエンス」2月号で発表した」2001.2.8《日経産業新聞》
■炎症による過敏症を解明
「米マサチューセッツ総合病院の研究グループは、関節炎などにかかったときに、痛みや熱などに敏感になる過敏症の原因タンパク質を突きとめた。
過敏症との肝経が分かったのは、細胞表面にあって、外部からの物質を受け取る「受容体」というタンパク質の一種『TRPV1』。
この受容体は、トウガラシの辛み成分でもあるカプサイシンを受け取って、別の化学信号に変える働きがある。調べたところ、過敏症の患者が炎症を起こすと、感覚神経にある『P38』というタンパク質の働きが高まり、TRPV1の量を20倍にも増やすことを発見した。P38の働きを抑える物質が見つかれば、過敏症の有効な薬になる。2002.10.2《日経産業新聞》
■痛みに関係する遺伝子
カナダのトロント大学などの研究グループは、痛みの知覚に関係している遺伝子を発見した。この遺伝子がないとマウスは痛みに対する感受性が無くなるという。末期ガンなどで多くの病院で痛みをコントロールする技術の開発につながると期待される。
痛みに応じて体内で増えるペプチドにジノルフィンがある。ジノルフィンは痛みを抑える働きがあると見られる。研究グループはジノルフィンを抑制する「DREAM」という遺伝子を持たないマウスを調べたところ、このマウスは体内にジノルフィンが増え、炎症に基づく痛みや神経痛など様々な痛みを感じなかった。 2002.3.14《日経産業新聞》
■治療薬
「英系製薬のアストラゼネカは11/30、英本社が仏医薬品開発会社のナイコックスと疼痛・炎症治療薬について日本で独占的に開発できる契約を締結したと発表した。これまで日本で非独占の開発契約だったが、海外で臨床試験が進むなど実用化に近づいたため。
痛みを強める物質の生成に関与している酵素『COX』の働きを阻害し、一酸化窒素を含むため消化管の障害などの副作用が少ない「一酸化窒素供与型COX阻害成分」を含む製品が契約の対象。
具体的には疼痛治療用の鎮痛・抗炎症剤として開発中のADZ3582(化合物名)など。ADZ3582は欧州や米国などでは、少数の患者に対して効果を確かめる第二相臨床試験を薦めている。日本では健康な人に投与して、安全性を確かめる第一相臨床試験を実施している。2002.10.1《日経産業新聞》
■「COXー2阻害剤」
「米系製薬のファルマシアと山之内製薬は2002.12/19、慢性関節リウマチや変形性関節症の治療に使う消炎鎮痛剤「セレコキシブ」の承認を厚生労働省に申請したと発表。消化管などへの副作用が少ないタイプで、欧米では消炎鎮痛剤で最有力製品となっている。
既存の抗炎症剤は消化管などの粘膜保護に関与するCOXー1という酵素の働きまで阻害していた。
米国ではファルマシアが化合物を発見。1999年に発売した。現在は85ヶ国以上で承認されている。
COXー2阻害剤は「ロフェコキシブ」を万有が申請予定。2002.12.20《日経産業新聞》
■副作用少ない鎮痛剤
「メルシャンの関連会社、昭和薬品化工(東京中央区)は、7/9、医療用医薬品の鎮痛。解熱薬「カロナール錠300」と同細粒%」を発売する。成分のアセトアミフェンが脳内で痛みに関与するシクロオキシゲナーゼ3(COX-3)を特異的に阻害する。消化器や腎機能への副作用が少なく、頭痛や神経痛、ガンの痛みに。2003.7.8《日経産業新聞》
■遺伝子特定
「東京医科歯科大学の田邊勉教授らは、ガンや神経痛など、神経が傷ついて起こる“痛み”に関係する遺伝子8個を特定した。これらの遺伝子から出来るタンパク質の働きを阻害する数種類の化合物を使い、動物実験で鎮痛効果を確認した。
モルヒネでも十分に効果が出ない痛みを抑えられる可能性がある。
痛みを引き起こす仕組みを遺伝子レベルまでさかのぼって調べた。痛みに関係するタンパク質『N型』カルシウムチャンネルによって変動する遺伝子を調べた。
正常なマウスと痛みを感じないようにしたマウスを使い、大脳皮質・延髄など痛みに関係する6個所で遺伝子を解析した。その結果、神経性の痛みに関わる8個の遺伝子を特定した。
さらに、それぞれの遺伝子が作る酵素や受容体の働きを阻害する化合物数種類について実験した。マウスの片方の足の神経を縛って圧迫し、痛みを再現して化合物を注射。縛った方の足の痛みを抑えていることを確認できた。
同様に熱による痛みも抑制した。
ガンの痛みには、炎症性のものと、ガン組織が神経を圧迫して起きる神経性のものがある。モルヒネは神経伝達物質を阻害して炎症性の痛みを抑えるが、神経性の痛みに対して無効。
今回実験した化合物について田邊教授は「詳しい仕組みは不明だが、痛みの遺伝子が関係する酵素や受容体を阻害して神経性の痛みを抑えることが確認できた」という。
痛みの研究が進む米国では、N型のカルシウムチャンネルタンパク質の働きを阻害する薬が開発されたが、吐き気・めまいなどの副作用が強く、使用が限定されている。2005.10.24《産業》

■脳磁気刺激で
「2009年、大阪大学、日本大学、北海道大学、福島県立医科大学、浜松医科大学、近畿大学、産業医科大学など7大学は、脳卒中や神経損傷などの後遺症である慢性の激しい痛みを軽減する新しい治療法の臨床研究を始める。
頭の外から脳を磁気で毎日刺激して、薬では抑えられない激痛を和らげる。
脳卒中や脊髄損傷、帯状疱疹、手や足の切断後に感じる激しい痛みやシビレは、投薬や神経ブロックなどの通常の治療法では効果が出ないことが多い。阪大の斎藤洋一准教授らは、大脳で運動を司る領域の特定個所を磁気発生装置で刺激すると痛みが軽くなることを確認。10分刺激すると痛みは3時間軽減でき、重い副作用も無いという。
臨床研究は、患者70人に対して2週間、毎日刺激を与えて効果が持続するかどうかなどを調べる。」

【西洋医学】
<1>ケイレン性疼痛に:
Buscopan 8T 分4。
<2>炎症性疼痛に:
1.Voltaren 3T 分3。
2.Voltaren Sup 25~50mg 頓用。





ヘロインによる鎮痛
鎮痛のためにダィアモルフィン( diamorphine, heroin、ヘロイン)を使う場合、鼻腔内にスプレーで噴霧して投与しても、筋注と同じくらいの効果があるそうです。小児から 10 歳代の少年の骨折患者に対する、臨床試験が行われ、筋注した場合はやや即効性に勝るようですが、投与 30 分後の鎮痛効果は同じだそうです。


(1)麻薬性鎮痛薬と麻薬拮抗薬
麻薬性鎮痛薬の作用:中枢のオピオイドμ受容体に作用する。
中脳の中脳水道灰白質を促進し延髄の大縫線核を促進し、脊髄後角の痛覚伝導神経を抑制する。また巨大細胞網様核、傍巨大細胞網様核を促進して、脊髄後角の痛角伝導神経を抑制する。また直接通角伝導神経を抑制する。
鎮痛作用のほかに、延髄の咳中枢の抑制のよる鎮咳作用、延髄の呼吸中枢抑制による呼吸抑制作用、延髄のCTZ興奮による催吐作用、中脳の動脈神経
起始核を刺激して縮瞳作用がある。 
精神依存、身体依存、禁断症状の慢性中毒がある

<1>天然アヘンアルカロイド
①モルヒネ

②コデイン…鎮咳作用が強い。鎮咳薬。

<2>合成アヘンアルカロイド

…モルヒネより早く代謝される、作用時間は短い。内蔵痛に用いられる。(ぺチジン)(メぺリジン)

①ぺチジン

②メぺリジン

③メサドン…依存性がモルヒネより低い。

<3>麻薬拮抗性鎮痛薬

①ナロルフィン②ペンタゾシン③塩酸ブプレノルフィン

<4>麻薬拮抗薬

①ナロキソン…オピオイド受容体との親和性は高いがそれ自身は鎮痛作用を持たない。モルヒネの急性中毒患者に有効。

 




麻薬性鎮痛薬
効 果:激しい痛みの緩和
副作用:呼吸機能低下、身体的・精神的依存症、痙攣発作
主な麻薬性鎮痛薬の例:デキストロモラミド、ジアモルヒネ(ヘロイン)、モルヒネ、ペチジン、デキストロプロポキシフェン、メタドン、ペンタゾシン、および関連物質、(コデイン、デキストロメトルファン、ジヒドロコデイン、ジフェノキシレート、フォルコジンは使用可)

 

 

脳幹網様体

(登山で落下)   1980年7月18日。
パキスタンのカラコルム山脈に登山中の日本人2人が、氷の崖に落ち骨折などの重傷を負ったが、奇跡的に助かった。
Aさんは足を骨折していたにもかかわらず救助されるまでの7日間、まったく痛みを感じなかったという。
しかし、救助された直後Aさんは「明日ヘリコプターが来る」と聞いた途端に、骨折部分が突然痛み出したという。
ちなみにAさんは痛みのため、翌朝まで一睡もできなかったらしい。
何故Aさんは7日間も骨折の痛みを感じなかったのだろうか?
原因は、脳幹網様体による痛みの情報カットと、β-エンドルフィンによる痛みを抑える機能の活性化にあった事が判明した。
ヒトは何かに集中することによって痛みに対しての反応が鈍る。
人間の体では嫌なことでも楽しいことでも、何かに夢中になると強いストレスが発生し脳に警告反応が起きる。
それがとくに生命の危機にかかわる状況の場合、脳のある機関が作用し生命を維持するために意識を集中させるのだ。
それらの状況を管理しているのが脳幹網様体。
これは体の温覚、触覚、痛み、冷覚、眠気、聴覚、食欲、筋力、などの様々な情報を分類して大脳皮質に伝えるコントロールルームである。
とくに生命に危険が及びかねない場合は、脳幹網様体の生き残るシステムがより強力に働くのである。
Aさんの場合、危機的状況のため「痛み」を伝える優先順位が下がったと言える。
次に、モルヒネのやく6.5倍の鎮痛作用を持つβ-エンドルフィンと呼ばれる脳内麻薬がAさんの脳に分泌されたこと。
そして救助されて安全が確保されたと脳が判断して、脳幹網様体の分類レベルを初期値に戻したことと、β-エンドルフィンの分泌が止まったことにより、激痛と晴れて邂逅できた……ということである(笑)
ちなみに、痛みを感じない原因にもうひとつゲートコントロール理論というのがある。
例えば、あなたは手をどこかにぶつけて痛くした時に、そこをさすったら痛みが消えたという経験はないだろうか?
痛みの信号は脊髄を通るが、脊髄には痛み以外にも様々な感覚が通っている。
そしてそこには、痛みを伝えるXゲートと、痛み以外の感覚を伝えるYゲートがあるらしい。
その2種類のゲートが脳に伝える痛みの量をコントロールしているというのだ。
つまり、ぶつけて「痛いっ」と思って、さすると「あ、皮膚に触れるモノを感じる」って事で、どんどんさすると痛覚信号の量よりも触覚信号の量が勝ってしまい、一定の量しか通れない信号通路は触覚信号で埋まってしまい、脳へ痛覚信号が行かなくなるのだ。
ふーむ。なるほど。

 

癌性疼痛に対する治療について。
A. 内服治療
1. 鎮痛薬について
 鎮痛薬は末梢作用の非オピオイド鎮痛薬と、中枢神経系のオピオイド受容体に作用するオピオイド鎮痛薬とに分類される。オピオイド鎮痛薬は効力の点から弱オピオイドと強オピオイドの2つに分けられる。また作用機序の点からアゴニスト(モルヒネ作用の薬)と、部分的アゴニストやアゴニスト/アンタゴニスト(両者とも拮抗的鎮痛薬と呼ばれることが多い)にも分けられる。

1)非オピオイド鎮痛薬軽度の強さの痛みに用いる。アスピリンやアセトアミノフェンなどに代表される局所作用の薬で、非ステロイド系消炎鎮痛薬もこの群に属している。非オピオイドは、局所のプロスタグランジン産生を抑制することによって鎮痛をもたらすと考えられている。骨転移巣にはプロスタグランジン産生が多いため、非オピオイドは特に骨転移巣に対する効果があり、強い骨転移痛の治療にモルヒネと併用するとよい効果が得られる。多くの非オピオイドは、解熱作用や抗炎症性作用をもつ。他に、インドメタシン、ナプロキセンなどがある。

2)弱オピオイド鎮痛薬コデインを代表薬とし、軽度ないし中等度の強さの痛みに用いる。モルヒネを用いる前にブプレノルフィンが用いられることが多い。ブプレノルフィンには有効限界(celling effect; 一定量以上に増量したとき効果が増強しなくなること)があり、強い痛みに対応しきれないことがある。他にリン酸コデインなどがある。

3)強オピオイド鎮痛薬中等度ないし高度の強さの痛みに対して他の鎮痛薬が十分な効果を上げないときに用いる薬で、患者の予後が短いと予測しているときにだけ用いる薬ではない。強オピオイドは、モルヒネを代表薬とする。
 

部分的アゴニスト
部分的アゴニストとは、オピオイド受容体に結合したとき、モルヒネより小さい薬理活性を引き起こす
オピオイド鎮痛薬である。代表的な部分的アゴニストであるブプレノルフィンは、固有活性がモルヒネより
小さいのに、オピオイド受容体との親和性がモルヒネより大きい。そのため、オピオイド受容体に結合する。
結果として、全体的な鎮痛効果が小さくなる。

◆アゴニスト/アンタゴニスト
 アゴニスト/アンタゴニストとは、モルヒネ作用とともにモルヒネ作用に拮抗する作用をもつ鎮痛薬である。代表的な薬は「ペンタゾシン」である。ペンタゾシンのモルヒネ拮抗作用は、ナロキソンに比べると小さいので、アゴニストと併用したときその作用をすべて消失させるわけではないが、アゴニストとの併用は臨床的に無意味である。


2. 鎮痛薬治療の長所と基本方針
 鎮痛薬投与は、痛みの訴えに対する最初の治療法であり、薬以外の治療法が効果を上げないときに再用いられる方法である。鎮痛薬の投与は、どの科の医者にとっても短期間で習熟でき、しかも高率に有効で、再発した痛みにも対応できる。その実施には多額の費用を必要としない。
 基本的には、鎮痛効果をいつも維持して痛みの再発を防止し、同時に薬の副作用を回避しなければならない。そのため以下の方針を守る。

1)なるべく簡便な経路で投与する。経口投与を基本とし、それが不可能なときには直腸内に投与し、それも不可能なときに、初めて注射をする。
2)投与量を個々患者の必要度にあわせて決める。除痛に至適な投与量とは、少なくとも5時間にわたり痛みを除去する量である。少量で投与を開始し、効果と副作用を観察しながら次第に増量する。
3)時間を決めて規則ただしく投与する。頓用方法とは痛みの訴えを待って投与する方法。痛みのない状態を維持する。
4)ある薬が効果不十分なら、効力が明確に強い薬に切り替わる。(下図参照)
5)モルヒネ投与の要否は、痛みの強さによって決める。予想される生存期間の長短で決めてはならない。
6)副作用を確実に防止する対策を併用する。
7)適応があるときには鎮痛補助薬(抗不安薬、抗うつ薬など)を併用する。
8)個々の処方はなるべく単純化する。2つ異常の薬を配合した処方では増量するときに、不必要成分まで増量され、副作用増加につながる。


3、モルヒネについて
「モルヒネ」はopioids の1つである。opioids は主として鎮痛薬として用いられているが、他の多くの薬理学的効果も併せ持っている。opioids は数種の密接に関連する受容体に作用し、三群の神経ペプチド(enkephalins、endorphins、dynorphins)の幾つかの性質を共通して持っている。

【opioids 受容体】
CNS においては、μ、κ、δと命名されている主要な3種類のopioids 受容体が存在している。さらにこれら受容体のそれぞれに2つの subtype が存在する。鎮痛にはμ受容体(大部分は脊髄上部 )とκ受容体(主として脊髄内)の刺激が関与すると考えられている。

・「μ受容体」
モルヒネのμ受容体に対する親和性は、δおょびκ受容体に対する親和性の約10倍で、モルヒネおよび他のモルヒネ様アヘン類作動薬は主としてμ受容体との相互作用によって鎮痛作用を生じるとされている。その他、μ受容体刺激によって呼吸抑制、縮瞳、胃腸運動の減少および幸福感(多幸感)が生じる。
・μ1(高親和性):脊髄上部作用性の鎮痛効果に関与するとされる。
・μ2(低親和性):その他の作用の中で呼吸抑制や胃腸作用に関与するとされる。

・「κ受容体」
μ作動薬耐性の動物で減弱されない主として脊髄作用による鎮痛作用を生じる。縮瞳や呼吸抑制はμ作動薬によるものよりも弱い。κ作動薬は、多幸感でなく、不快な 精神異常感(見当識の喪失感や離人感)を起こす。

・「δ受容体」
血液‐脳関門を通過できる選択的作動薬がないので、人におけるδopioids 受容体の刺激効果は明らかでない。
μ、δおよびκ受容体は別個の分子構造体であるが、3つの型のopioids 受容体の全ては、いくつかの特徴を共通して持っている。これら全ての受容体は、CNS および筋層間神経叢の両者においてシナプス伝達を主として抑制的に制御することによってその機能を発揮する。受容体の存在部位は一様でないがしばしばシナプス上部神経末端に認められ、そこで作用して興奮性神経伝達物質の遊離を減少させる。

【薬理学的性質】

上記のように、モルヒネはμ受容体に作動薬として働き、CNS 及び腸管に対する主な作用を発現する。しかしまた、δ及びκ受容体に対しても多少の親和性を持つ。その効果は著しく多様性であり、鎮痛、傾眠、情緒変調、呼吸抑制、消化管運動減弱、吐気、嘔吐及び内分泌と自律神経系の変化が含まれる。 

《中枢神経系》
モルヒネ様薬物は、鎮痛、傾眠、情緒変調および精神混濁を発現する。
<1>鎮痛
(特徴)意識の消失なしに鎮痛作用が起こる。
鎮痛の作用は比較的選択的で、他の種類の感覚は鈍麻しない。
侵害受容性疼痛には有効であるが、神経障害性疼痛には通常効き難い。
(機序)いくつかのCNS 部位(脊髄および脊髄上部)において痛み刺激に対する反応を鈍らせる。
 


<2>情緒変調
opioids 様ペプチドによって青斑の活性は抑制される。青斑はノルアドレナリン作動性ニューロンおよび高濃度のopioids 受容体の両方を含有し、警告、混乱、恐怖および不安の感情に重要な役割を演じているとされている。
※opioids が多幸感、静穏および他の気分変化を起こす機序は完全には明らかにされていない。

<3>体温
opioids は視床下部性温熱調節機構の平衡点を変化させ、体温は通常軽度に低下する。しかし長期間の大量投与では体温は上昇する。

<4>内分泌
神経内分泌に及ぽす効果としては、モルヒネが視床下部に作用してGnRHおよびCRHの遊離を抑制し、LH、FSH、ACTH、βエンドルフィンの血中濃度を低下させる。血中のPRL およびGH 濃度は上昇する。これはおそらくこれらのホルモン分泌に対するドパミン・ョ抑制が減弱したことによる。
κ作動薬はADH の分泌を抑制し利尿を起こすが、μopioids 作動薬投与は、人において抗利尿効果を示す傾向がある。

《呼吸》
(作用)呼吸抑制。
・意識レベルの低下を起こさせるよりも少ない用量でも呼吸抑制が起こる。
・モルヒネ中毒で死ぬのはほとんどいつも呼吸停止によるものである。
・治療量のモルヒネは呼吸活性のすべての相(呼吸数、毎分呼吸量および1回呼吸量)を抑制し、そしてまた不規則な呼吸や周期性変動呼吸を起こす。
(機序)脳幹呼吸中枢のCO2に対する反応性を低下させることによる。
呼吸リズムを調節する橋および延髄中枢をも抑制。
※高濃度のopioids 受容体が、延髄領域に発見されている。(μ2)

《悪心および嘔吐効果》
モルヒネ様薬物によって起こる悪心、嘔吐は不快な副作用であり、延髄の最後野にあるchemoreceptor
trigger zone(CTZ)の直接刺激によって起こる。モルヒネ投与後でも決して嘔吐しない人もいるし、投与すればその都度嘔吐する人もある。
 
《心血管系》
(作用)・仰臥位をとっている患者に治療量を投与しても血圧や心拍数および心律動に大きな影響はみられない。
・末梢血管の拡張、末梢血管抵抗の減少および圧受容体反射の抑制が起こる。
→仰臥位患者が頭高位をとると、起立性低血圧とか失神を起こす。
(機序)末梢動静脈の拡張にはいくつかの機序が関与していて、ヒスタミン遊離が時には低血圧に大きな役割を演じている。

《胃腸管》
作用は主として腸管のμおよびδopioids 受容体を介して発現する。
・胃 
(作用)・通常塩酸の分泌を減少させる。
※しかし時として刺激症状が出現し、塩酸分泌を増強する。   
・比較的低用量のモルヒネは胃運動を滅少させる。
→胃内容排泄時間が延長する。(食道逆流の可能性の増加)
・胃前庭部および十二指腸上部の緊張も増加させる。
・小腸
(作用)・胆管、膵臓および腸管分泌を減少(小腸での食物の消化遅延)
・非駆出型の律動性分節性収縮の振幅は普通増加する。
・静止時の緊張は増大し、周期的な痙縮が起こる。   
・駆出型の収縮は著明に滅少する。
※腸内容の通過が遅延するので水はより完全に吸収され腸管分泌は減少する。
→腸内容の粘稠度を増加させる。
・大腸
(作用)・駆出性の蠕動波の減少あるいは消失。
・緊張は増強して痙縮に至る。
→内容物の通過は遅延し、便の脱水が起こり、便の前進が障害される。
・非駆出型の律動的収縮の振幅は通常強められる。
・肛門括約筋の緊張が増大し、直腸膨満に対する反射性弛緩反応が減弱する。
・胆道
(作用)Oddi 括約筋を収縮。
→総胆管内圧が短時間のうちに10倍以上に上昇し、効果は2時間以上持続する。
※モルヒネ投与患者にしばしぱ見られる血漿アミラーゼおよびリパーゼ値上昇の原因となる。

《皮膚》
(作用)皮下血管を拡張し、皮膚を紅潮させる。
(機序)一部はヒスタミン遊離による。
※全身投与後、時にみられる発汗やある種の掻痒感はこのためである。

《瞳孔》
(作用)縮瞳。
※縮瞳作用に対してある程度の耐性が生じるが、opioids の循環血液中濃度が高値である嗜癖者では縮瞳が持続している。
(機序)縮瞳は動眼神経核の自律神経部に対する興奮作用に由来する。

【耐性、身体依存および乱用傾向】
すべてのopioids 薬物は繰り返して用いることにより耐性と身体的依存が生じる。この薬物依存形成の可能性は、これら薬物を臨床的に使用するときの大きな制限の一つとなっている。
毎日の反復投与によって、治療効果に対するある程度の耐性が生じ、ある程度の身体依存も同じように生じてくる。その強さは、適用した医薬品の種類、適用頻度や用量で変わる。薬物依存に発展する危険は存在している。



【吸収、分布、運命および排泄】

(吸収)
一般的にopioids は胃腸管から容易に吸収される。モルヒネを含むほとんどのopioids では、非経腸的投与よりも経口投与のほうがその効果ははるかに弱い。しかし、もし肝における初回通過代謝やクリアランスの変動が補正されるならぱ、モルヒネの経口投与によっても十分な痛みの寛解を得ることが可能である。また静脈内投与するとその作用は速効性である.

(分布と運命)
治療濃度のモルヒネが血漿中に存在する時、その約1/3はタンパク質と結合している。モルヒネそれ自身が組織中に残存することはなく、最終投与の24時間後には組織含有量は非常に少量となる。モルヒネの主要な作用部位はCNS であるけれども、ごく少量のみがかなり遅い速度で血液‐脳関門を通過するにすぎない。
モルヒネ代謝の主な経路はグルクロン酸との抱合であり、活性および不活性の代謝物が産生される。
モルヒネ‐6‐グルクロニドはモルヒネより活性が強い。
(排泄)
未変化体で排泄されるモルヒネは非常に少なく、主としてモルヒネ‐3‐グルクロニドとして糸球体ろ過によって排泄される。全排泄量の90%は最初の日に排泄される。

【副作用と急性毒性について】
モルヒネおよび関連opioids は、呼吸抑制、悪心、嘔吐、めまい、精神昏迷、不快感、掻痒、便秘、
胆道内圧上昇、尿閉、および低血圧、まれにせん妄などの副作用をもつ。また、鎮痛作用喪失後、
痛みに対する感受性の亢進がある。
臨床的使用における投与量過多などによって起こり、opioids 中毒を強く示唆するものとして昏睡、
帽針頭大(ピンポイント)の瞳孔、呼吸抑制があげられる。


【モルヒネの臨床用途】
・経口モルヒネの投与の実際
・モルヒネ製剤(末、錠、水溶液)を用いる場合
投与開始量は5~10・/回、4時間ごと。ただし、他のオピオイド鎮痛薬、たとえばブプレノルフィン(レペタン)の継続投与が効果不十分な場合にモルヒネに切り替えるときには、ブプレノルフィンの1日投与量(・数)を100倍した値を6等分して、モルヒネ投与開始1回量(・数)とする。
投与を始めたら、鎮痛効果と副作用を観察して投与量を増減する。
・投与の翌日、痛みが消えて眠気があれば50%減とする。
・痛みが残っていれば増量する。もし軽度の眠気があれば減量せずに投与を続けると、数日で 眠気が消失するので、それから増量を試みる。
・増量は、原則として10→l5→20→30→40→60→80・/回の順序で行う。増量のつど痛みが 軽減し、痛みが消失する投与量に達することができる。この量は、80%以上の患者で5`30・/回、ときに200・/回以上となる。3~4回の増量で全く効果がなければ、モルヒネが奏効しない痛みの可能性があるので、痛みの性状について再検討する。
・便秘や嘔気などの副作用対策を行う。
・1日に必要なモルヒネ量が求められたら、徐放錠に切り替えてもよい。

・硫酸モルヒネ徐放錠(MSコンチン錠)を用いる場合
・塩酸モルヒネ製剤を用いて上記のように1日分の必要投与量を求め、それを2分割してl2時間ごとの徐放錠投与に切り替えるのが一般的な使用法である。l2時間ごとより4時間ごとの投与の方が初期の投与量調整に時間がかからないためである。徐放錠を用いてモルヒネ投与を開始するには、投与開始量を10~20・/回としてl2時間ごとに投与し、塩酸モルヒネの時と同様に、20→30→40→60→80・/回と増量していく。少数の患者では、8時間ごとの方が12時間ごとより副作用が少ないことがあるが、4時間ごとや6時間ごとの投与は徐放錠の特性を活用した投与法ではない。
・徐放錠を噛んだり、割ったり、水に溶かしたりすると、徐放機構がなくなり、危険な副作用発生につながる。・塩酸モルヒネの場合と同じ副作用対策が必要である。

●塩酸モルヒネの非経口投与法
直腸内投与
・経口投与と同量を4時間ごとに投与する。坐剤(各病院薬局で調製)がなければ、経口投与量を少量の水に溶いて注腸するとよい。
注射
・皮下注射が原則であるが、状況によっては静脈内注射とする。経口投与量のl/2またはl/3量を4時間ごとに注射するが、反復穿刺はさけ、安定した血中濃度を得るには持続皮下注入法や静脈内点滴を行う。

・硬膜外または髄腔内注入法
急性痛の治療にすぐれた方法であるが、持続性の癌疼痛の治療における役割には議論があり、適応があることは少ない。

B. 放射線治療
癌性疼痛の発生機序はさまざまであるが、放射線治療による除痛効果は組織型、治療部位を問わず高く、かつ非侵襲的治療法であることより手術法や種々の薬剤の発達した現在も第1選択される治療法である場合が少なくない。放射線治療による除痛効果は照射期間中の比較的早期より現われ、薬剤による除痛と異なり依存性はなく、治療後も効果が持続する。さらに生存期間の延長が期待できることなどは、他の治療法にない優れた点である。 
放射線治療の立場から見た癌性疼痛のコントロールは、通常の放射線治療と同様に根治的治療と姑息的治療の二つに大別することができる。根治的治療は腫瘍の治癒を目的とし、治療することが疼痛除去につながるものであり末期癌患者の疼痛対策とは異なる。姑息的治療とは、治療することが困難な場合に延命を目的として行う治療である。この中には疼痛軽減のみを目的とする対症的治療が多く含まれるが、厳密な意味で両者を区別することはできない。

C. 神経ブロック治療
癌性疼痛の治療は、WHOが示しているように、予防、根治的療法と同じウェイトで評価されるべき不可欠の第3の治療分野である。内服治療で効果が認められない場合に行われる。
麻酔科が主な鎮痛手段とする神経ブロックは、その適応として痛みの性質、痛みの範囲、痛み初めから治療開始までの期間などの条件を桙スさねばならない。神経ブロックの成績を上げるためにはこのことが不可欠である。神経ブロック療法は激痛の治療に適しており、その特徴は除痛の完全さと速効性にある。そして、内服療法、放射線療法、手術療法、心理学的アプローチなどに一段と生彩を添え活力を加えるものである。

 癌患者は、外科系各科で手術療法を行い組織診断が確認されたあと、断端部再発または転移癌の疼痛を含めた治療の必要が生じた例が最も多い。このような例には、癌の進行状態を十分意識しながら原因療法とともに痛みの性質にしたがって、鎮痛法を選択する。このとき、激痛は上腹部痛を含めて神経ブロックの良い適応となる。当初、癌は発見されておらず、頭痛・顔面痛や肩の痛みなどの慢性痛の新患として外部より紹介される例、急性痛として初診来院する例には、進行癌や末期癌の患者が当然含まれる。しかし、軽度の持続する鈍痛や痛みが明確でないものがあり患者・医師ともに対応が遅れることがある。

 また、硫酸モルヒネは作用時間が長く、強い痛みにも用量依存的に作用する優れた鎮痛薬である。しかし、硫酸モルヒネで不十分な部分の痛みコントロールとして局所麻酔薬による末梢神経ブロックがある。
 
癌性疼痛に用いられる、主な神経ブロックには次のようなものがある。

1.腹腔神経叢アルコールブロック(主として内臓神経ブロック)
2.クモ膜下腔フェノールブロック
3.腰部交感神経節アルコールまたはフェノールブロック
4.ガッセル神経節アルコールブロック

 これらのうち、日本人癌死亡の6割を占める腹腔内の悪性腫瘍の痛みには、腹腔神経叢アルコールブロックがきわめて大切である。以下、腹腔神経叢アルコールブロック(内臓神経ブロック)について述べる。
 上腹部内臓痛を伝える神経線維は、大内臓神経に含まれる。胃・胆嚢・膵臓・肝臓・小腸・上行結腸・横行結腸・脾臓からの痛覚線維は腹腔神経叢・上腸間膜動脈神経叢を介し内臓神経・交感神経幹・白交通枝をとおり後根から中枢へと伝達される。したがって内臓神経をブロックすることにより上腹部内臓由来の痛みが除去される。椎体・横隔膜脚・腹大動脈で形成されるコンパートメント内に薬液を注入し、ここを走る内臓神経をブロックする。内臓神経ブロックには、局所麻酔下に経皮的に背側から行う背部接近法と、開腹手術時に行う前方接近法(術中法)がある。用いる薬剤はアルコールである。

考察
 今回の症例では、2回目の入院当初から腫瘍による痛みが生じていたため、MSコンチン(硫酸モルヒネ徐放錠)を5/17入院日から20・内服した。翌日から痛みは治まったが、5/21に 副作用の便秘が続くため内服を中止した。5/23に痛みのためにソセゴン(・群弱オピオイド)(#1)を投与するも効果がないため、すぐにMSコンチン10・を投与すると痛みは消失した。これはWHO方式癌疼痛治療法に従っている。pain controlのためMSコンチンを5/25から
20・、5/30から30・に増量した。6月中は、安静時の痛みはなく、睡眠も良くとれていた。7/2から腫瘍による痛みが増強したので、50・に投与量を増加した。7/8から欠食のため直腸内投与を開始し、7/13から投与量を減らした。この理由として、7/12から急激な血圧低下とそれに続いて尿量の減少がみられ、さらに肝機能の低下により、MSコンチンの代謝排泄能の低下で血中濃度が上昇することによって起こる副作用の呼吸抑制を防ぐ目的が考えられる。メナミン坐薬(#2)は、プロピオン酸誘導体系抗炎症薬で非オピオイド鎮痛薬(・群)に含まれるが、腹痛がひどくないときに補助的に用いられていた。

副作用は、初回の投与時に便秘、眠気が顕著にみられた。便秘に対しては、ラキソベロン(#3)の併用で予防していたが、副作用が増強して消化管が痙縮した場合は、ブスコパン(#4)で鎮痙して対処していた。また、浣腸は補助手段として行った。ナウゼリン(#5)、プリンペラン(#6)は、副作用である悪心、嘔吐を防止する併用薬として初めから投与されており、これは表を参照してもわかるように効果があった。MSコンチンを増量することで安静時の除痛と睡眠が得られている。総括的に、pain controlはうまくいっていたといえる。

(#1)ソセゴン(ペンタゾシン)
薬理作用:麻薬拮抗性鎮痛剤。オピオイド受容体κ、σに対してアゴニスト、μに対してはアンタゴニストとされている。したがって、鎮痛、鎮静はモルヒネ等に似るが、依存性は少ない。鎮痛効果はモルヒネ10・に本剤30・が匹敵する。
(#2)メナミン坐薬(ケトプロフェン)
薬理作用:プロピオン酸誘導体系抗炎症薬で非ピリン系、非ステロイド系の抗炎症解熱鎮痛薬 である。プロスタグランジン生合成阻害、抗ブラジキニン、白血球遊走阻止、タンパク熱変性抑制により効果を現わす。 

(#3)ラキソベロン(ピコスルファートナトリウム)
薬理作用:胃、小腸では作用せず、大腸の蠕動運動亢進作用と大腸の水分吸収抑制作用の2つの緩下作用を示す。

(#4)ブスコパン(ブチルスコポラ~ン)
薬理作用:アトロピン類似の副交感神経遮断作用による消化管の鎮痙作用。

(#5)ナウゼリン(ドンペリドン)
薬理作用:抗ドパミン作用により中枢性にCTZに作用し、強い鎮吐効果を示す。
また、消化管における末梢性のドパミン受容体に作用し、胃運動を促進し、
胃排出能を正常化するとともに、胃十二指腸協調運動を促進する。また下部食道括約筋圧を高め胃内容の逆流を防ぐ。また、コリン作動性の胃運動ニューロンに作用して胃運動を促進する。

(#6)プリンペラン(メトクロプラミド)
薬理作用:抗ドパミン作用とコリン様作用を有し、特にドパミンD2受容体の拮抗剤として中枢性鎮吐作用を示すと共に、末梢性の抗ドパミン作動性作用として胃及び小腸上部の運動促進作用を発揮する。また、節後コリン作動性神経終末からアセチルコリン放出を増し、消化管平滑筋のアセチルコリン受容体の感度を増強させることから、本剤の消化管運動機能への作用の一部は、このコリン様作用に起因している可能性がある。

■がんの痛みに
「“モルヒネを使用するのはガンの末期”という間違った“常識”。「モルヒネを使用する時期は、末期かどうかはなく、痛みの程度によって決めるべきだ」と大阪府立成人病センターの担当者(目黒則男・泌尿器科医長)はカタル。
世界保健機関(WHO)の薬物依存専門委員会委員の鈴木勉・星薬科大学教授は「痛みを放っておけば、痛みを感じる神経が過敏になり、鎮痛薬の効果が悪くなるため、より多くの鎮痛薬が必要になる」とカタル。
WHOは1986年に、『がん疼痛治療法』をまとめている。しかし、厚生労働省は終末医療に携わる医師に対するアンケール結果は、
「WHO方式を知っている」
「WHO方式をよく知っている」
「WHO方式をアル程度知っている」
を合わせた合計は42.7%だった。
副作用について説明できる医師も(41.7%)で、半数以上の医師はモルヒネに対する十分な知識を持っていなかった。
【WHO方式のがん疼痛治療法】
がんの強さを3段階に分け、
・弱い痛みの第1段階では・・・・非ステロイド性抗炎症薬
・中程度の痛みには・・・・弱麻薬を非ステロイド性抗炎症薬に追加
・強い痛みには・・・・モルヒネ・オキシコドンなどの強麻薬を追加。
・以上の薬が効かないときには・・・・鎮痛補助薬を併用。
守るべき原則には
①患者維持。管理しやすい投与法を優先的に選択
②副作用などが新たな苦痛にならないように予防する
③~⑤











 糖原病
   =筋酵素欠損症。
   ◎7タイプある:






 糖尿病  
 (参照→

「インスリン受容体異常症」「Prader-Wailli症候群」「インスリン」「Ⅰ型糖尿病」「GI値」「アディポネクチン」

 

■血糖と血圧制御で合併症予防
「糖尿病はインスリンの出が悪かったり、働きが悪いために高血糖になり、糖が尿に出る病気です。現在の糖尿病患者は約700万人で今では国民病と言われる時代になりました。
糖尿病は大別すると、免疫の異常でインスリンが全く分泌されないⅠ型と、食べ過ぎ、運動不足、肥満、体質が原因のⅡ型がありますが、95%以上がⅡ型です。
我が国の生活環境は、食習慣を含め、糖尿病になりにくいものでした。しかし戦後、車の発達や食生活の変化などで、あまり運動せず、食べ過ぎることが多くなり、糖尿病になる人が増加しました。現在では40歳以上の7人に1人が糖尿病患者かその予備軍です。
糖尿病にかかりやすいタイプは、家族に糖尿病患者がいる人、和食よりも洋食が好きな人、運動不足、肥満、内臓脂肪の多い人、高血圧、高脂血症の人ですが、大きな赤ちゃんを出産した人も気をつけなければなりません。

Ⅱ型糖尿病は、血糖値が高くても無症状なので放置されやすく、合併症が起きて初めて糖尿病と分かるケースが多いようです。ノドが渇く、多尿、多食といった症状の他に足にシビレ、傷が治りにくい、おできが出来やすい、皮膚かゆい--------こういったことがあれば、必ず医師の診断を受けて欲しいと思います。

糖尿病の予防には運動と食事が大切です。運動すると、筋肉や肝臓など大事な臓器で燃えて使われるブドウ糖の運び屋を増やします。さらにコレステロールや中性脂肪を減らし、善玉コレステロールを増やし、血圧を安定させます。
運動には色々ありますが、過激な運動よりも緩やかな、例えば、歩くことを毎日30分、朝夕継続することです。食事は穀物類を多く摂り、脂肪の多いものや甘いものは減らし、アルコール類は控えめにする。

糖尿病の大きな問題は。5年、10年、あるいは20年先に起きてくる合併症です。
目の網膜症、腎臓の腎症、神経障害の3つが糖尿病の3大合併症です。糖尿病により腎臓が悪くなり、新たに透析しなければならない患者は年間10000人以上います。後天性の失明の第1の原因は糖尿病性の網膜症です。心筋梗塞、脳梗塞も起こしやすくなります。
合併症を予防するには血糖と血圧をコントロールすることです。朝食前の血糖値は120~110以下に保ちます。正常な人の1ヶ月の血糖値の平均値を示すヘモグロビンA1cは5.7%以下ですが、患者は6.5%以下を目指します。A1cの値を、例えば8.5%から7.5%のように1ポイント下げることで合併症の1/4が減ります。
糖尿病は肥満を防ぎ、血糖値、血圧、コレステロールをコントロールすれば健康な人と同じくらい、あるいはそれ以上に活躍できますし、平均寿命以上に生きることも可能です。」
   

糖尿病⇒糖代謝異常の疾患の一つ。
「糖尿病は血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が慢性的に高くなる病気である。血糖制御ホルモンのインスリンの分泌が悪いという遺伝的素因に、過食や運動不足などの環境要因が加わって発症する。しかも厄介なことに、今の日本では普通に生活していても、誰もが糖尿病になる可能性がある。
20000年前までの人類は常に飢えと闘っていた。今、狩で獲物を得ても明日はどうなるか分からない。そうした時代には、食糧から得た栄養素を筋肉などの末梢組織ですぐに消費するのではなく、内臓に脂肪として蓄えて於く必要があった。
そして脂肪を必要に応じて燃やし、寒さが厳しければ熱に変えて凍死を防いだり、新しい獲物を見つけた時に、それらを捕らえるために走るエネルギーに変えたりした。つまり栄養素を脂肪として内臓に蓄えやすい体質は飢えへの適応であり、生き延びるための条件でもあった。この体質は遺伝的に現代の私たちに受け継がれている。
ところが今の日本は飽食の時代で、獲物や果実を探し回らなくても食料は簡単に手に入る。真冬でも屋内は暖房が効いているので、自ら熱を出す必要もない。ちょっとした移動にも車を使い、エネルギーを使う機会が減っている。そのために脂肪がたまりすぎる。
内臓に脂肪がたまりすぎると2つの困った事が起きる。
血糖値を一定範囲にコントロールするために、膵臓から分泌されているインスリンの働きを悪くすることだ。その結果、ブドウ糖の処理がうまくいかなくなり、糖尿病を引き起こす。
 脂肪の蓄積は動脈硬化症を発症、進行させることである。そして、糖尿病 と動脈硬化症は相互に手をつなぎ促進し合いながら、ついには心筋梗塞や脳卒中といった致命的は合併症を引き起こすようになります。

■日本人の大半に素因
「糖尿病は遺伝的素因と食事・運動などの生活習慣が組み合わさって発症する。比較的若年者に多く病状の進行が早いⅠ型や中年以降の人に多く見られる進行がゆっくりしているⅡ型の他、妊娠時・他の病気に伴って発病するタイプに大別できる。日本では糖尿病の95%以上はⅡ型と言われている。
血中の糖分を調整しているのは、膵臓のβ細胞から出るインスリンというホルモンである。Ⅱ型糖尿病ではβ細胞の機能はほぼ正常だが、相対的にこのホルモンの作用が不足している。
これは、血糖に対してインスリンの量が不足しているか、あるいは量は十分でも効果が弱いためである。
インスリンの効果が弱い糖尿病はインスリン抵抗性と呼ばれ、近年注目されている。元々日本人には少ないと見られていたのだが、細菌は案外多いことが分かってきたからである。
『インスリン抵抗性糖尿病』に関連するものとして知られている。元々日本人には少ないと見られていたのだが、細菌は案外多いことが分かってきたからである。
インスリン抵抗性糖尿病に関連するものとして知られているのが[PPARr遺伝子]である。PPARrは体内で脂肪蓄積に関与しているタンパク質である。PPARrの遺伝子に変異があると脂肪を蓄積する働きが十分でなくなり、糖尿病になりにくくなると見られている。
米国の調査では、白人の約20%はPPARr遺伝子に変異があるという。調べられた範囲では、日本人でこの遺伝子に変異がある人は4%前後なので、ほとんどの人がインスリン抵抗性ということになる。言い換えれば、糖尿病の素因を持っていることになる。
又、10月に開かれた米国人類遺伝学会では、メキシコ系米国人を対象にした研究で人の二番目の染色体にある[カルパイン10]と呼ばれる遺伝子が、糖尿病の発症に関連しているとの発表があった。
これ以外にも、糖尿病の関連遺伝子はいくつかあるが、いずれも確証はない。糖尿病は1つの遺伝子によって発症するものではないので、解明は一筋縄ではいかない。
糖尿病に関連した遺伝子をみると、その働きは体内で糖を使い余分な糖は脂肪細胞に蓄積させることにある。人類は発祥以来ずっと食べ物が乏しい飢餓状態にあった。たまに食に恵まれるとたらふく食って余った分を体内にためた。こうしたことを繰り返すうちに、余った糖を脂肪細胞に蓄積するようになった。これらの遺伝子は乏しい糖を効率よく使う「倹約遺伝子」として機能しているのだ。
40年近く前に提唱されたこの仮説が、今も新鮮に見える。脂肪分の多い飽食・過食の時代になり、倹約遺伝子の能力を上回る糖が体に入ってきている。糖尿病はまさに文明病だ。遺伝的素因が予想以上に多い日本人は、特に注意しなければならない」(中村雅美)1999.11.22《日本経済新聞》

◎糖尿スコア
・口が乾く  

・お茶をよく飲む
・疲れやすい  

・顔色が悪い
・よくジュースを飲む。  

・体力がない
・口がカラカラになる  

シャツが匂う
・食事をすると体が軽くなる   

頭がボーッとする            

・食事の前がしんどい    

目がくしゃくしゃする
・手がふるえる  

尿検査で糖が多い           

・足に力が入らない  

食欲が旺盛
・果物が大好き  

脇腹が重苦しい
・目がかすむ  

野菜が嫌い
・体がかゆい  

食べると頭がハッキリする
・小便が泡立つ  

しびれる
・小便がにおう   

腰が痛い
尿量が多い  

頑固な肩こり
・イライラする    

頭が重い
▽以上の項目に当てはまる数が:
  [13~20項目の人は]----習慣見直す。
 [21項目以上の人は]------検査。

 

【糖尿病の症状】
<1>のどの渇きが激しい。渇きが止まらない。
<2>お茶又は水をよく飲む。
<3>排尿の量・回数が多い。
<4>いくら食べてもすぐおなかがすく。
<5>食後、眠くなる。
<6>食べても痩せる。
<7>全身がだるく、疲れやすい。
<8>下半身(特に陰部)がかゆい。
<9>目がかすむ。
<10>足がつる(ケイレンしやすい)
<11>物覚えが悪い
<12>集中できない。
<13>尿に糖が出る。但し
(イ)高齢者の場合に、糖尿病にかかっていても尿に糖が出ない場合がある。
(ロ)糖が出ても糖尿病でない場合がある。
  ex妊婦、                    胃手術の直後、                激しい運動をした後。
<14>手を裏返して見よう。
「4本の指につながる腱にそって、手のひらの組織が厚くなっいる。ひどくなると、指が引っ張られるような感じになる。--------この 段階まで来てしまったら、手術を受ける必要があるかもしれない。ビタミンEが大量に必要だ。
まれに、ビタミンEを大量に摂ると血圧が上がる人がいるので、念のために血圧をモニターする必要がある。耐糖性検査を早急に受けることも必要だ。専門的には「デュピュイトラン拘縮」と呼ばれる。この部分の組織の肥厚症は、糖代謝異常のサインの1つである。
<15>中年太りで、後頭部~うなじにかけて、繰り返し湿疹・毛嚢炎が出来る。

 

糖尿病の【臨床検査】
<1>尿糖検査:血糖が[170]を超えると尿にもれる。
<2>血糖値(Gluco)--:110mg/Œ以下
<3>ブドウ糖負荷試験(GTT)=OGTT
<4>血中インスリン値(IRI):17μU/‹以下が正常
<5>グリコヘモグロビン(HbA1c ):4.3~5.8%が正常。
<6>血中フルクトサミン検査(FrAm)----:2.25~2.95mmol/が正常

 

★ 過去1~2週間の平均血糖値の高低を反映する血糖コントロールの指標。

フルクトサミン

はアルブミンやグロブリンなどの蛋白が糖化を起こし、安定なケトアミンとなった糖化蛋白である。
 その約60~80%は糖化アルブミン(グリコアルブミン)に由来するため、フルクトサミンとグリコアルブミンとはほぼ同じ動態を示す。
 グルコースと血清蛋白の非酵素的結合によって生成した糖化蛋白は、それが代謝されて除かれるまで血中に残存する。このため血中フルクトサミン量は血清蛋白量が一定であれば過去1~2週間の平均血糖値の高低を反映する。この期間はフルクトサミンの主体となるアルブミンの生理的半減期を反映したものと考えることができる。
 なお、血清蛋白量の影響を受け、血清フルクトサミン値と総蛋白あるいはアルブミンとの間に正の相関が認められる。低蛋白血症を呈する病態ではフルクトサミンも低値を示す。

グリコヘモグロビン(HbA1c)

は過去1~2カ月の平均血糖値を反映するのに対して、フルクトサミンはより近い過去一定期間の血糖コントロール状態を把握するのに有用である。またHbA1c異常低値で発見されることが多いヘモグロビン異常症でも、グリコヘモグロビンに代わり過去の血糖値の指標として有用である。

(透析患者における検査の意義)
慢性腎不全患者においては、グリコヘモグロビン値は高尿素窒素血症に伴って生じるカルバミル化ヘモグロビンの存在により見掛け上高値を示すことが知られている。
これに対してフルクトサミンは血清尿素窒素やクレアチニンとは相関せず、尿中に蛋白が失われないかぎり、腎不全の影響は小さいとされる。
ただし、透析前後の測定値の比較では透析後に有意な増加を示すとされ、溢水・脱水状態の影響を受ける。
またCAPD患者で低値となり、低蛋白血症が関与すると考えられている。これらの要因はフルクトサミン値を総蛋白あるいはアルブミン量で補正すると除くことができる。 

#Cーペプチド検査(CPIR):(血中)1.0~3.5ng/‹が正常

#尿ケトン体検査:(ー)が正常

グリコアルブミン(GA): 基準値(11.4~15.6%)

①過去1~2週間の血糖コントロール指標となる糖化蛋白。共存物質や低蛋白血症の影響をフルクトサミンより受けにくい。

②グリコアルブミン(GA)はグルコースとアルブミンが非酵素的に結合して生成される代表的な糖化蛋白である。

③アルブミンの生理的半減期が約17日であることから、血中のグリコアルブミン量は過去1~2週間の平均血糖値を反映する。グリコヘモグロビン(HbA1c)が過去1~2カ月間の平均血糖値を反映するのに対し、より短期間の血糖変動の指標としてGAは開発された。

④日常臨床上しばしば認められるヘモグロビン異常症(HbA1cの異常低値で発見されることが多い)ではHbA1cに代わる血糖コントロール指標としてGAは有用である。

⑤臨床的意義はフルクトサミンとほぼ同様であるが、血清中の共存物質(ビリルビンなど)の影響をフルクトサミンよりも受けにくく、測定対象となる糖化蛋白が特定されるため血糖コントロール指標としての信頼性はより高いとされている。

⑥また、特に透析患者においては、糖尿病性腎症合併患者の血糖コントロール指標としてフルクトサミンやHbA1cよりも意義が認められる。すなわち、GAは蛋白の糖化度を総量ではなく%で算出するため、フルクトサミンよりも低蛋白血症の影響を受けにくい。
 具体的には、フルクトサミンは血中アルブミン濃度3~4g/dl以下で低値傾向を示すのに比して、グリコアルブミンは 1.5g/dlのレベルまで測定可能とされている。またHbA1cと比較しても、腎不全に伴う高窒素血症で生ずるカルバミル化Hb(みかけ上高値をとる)の影響をGAは受けない利点を持つ。
 なお、グリコアルブミンの測定法にはHPLC法の他にEIA法が確立されているが、現在では測定キットは販売されていない。

「糖尿病診断薬にはグリコアルブミンのほかに、糖がついたヘモグロビンの変化で測定する手法などがある。糖化ヘモグロビン(グリコヘモグロビン)は病状の変化を見るのは約2ヶ月ごとだが、グリコヘモグロビンは2週間単位で病状を診断できる。このためこまかな病状診断で効果的な治療が可能だが、専用装置が必要で、あまり普及していなかった。
オリエンタル酵母工業は短時間で病状を把握できる糖尿病診断薬で、病院などの汎用の検査装置で測定できるタイプを開発した。血中タンパク質であるアルブミンに糖が結合したグリコアルブミンで測定する型の診断薬。従来の同タイプは専用装置が必要だった。」2002.6.14《日経産業新聞》
平成13年10月29日付け「保医発第258号」厚生労働省保険局医療課長通知で検査に保険適用が認められた。グリコアルブミンは、HPLC(2カラム)又はHPLC(1カラム)-発色法、アフィニティークロマトグラフィー・免疫比濁法によるグリコアルブミン測定装置を用いて測定した場合、EIA法又は酵素法により測定した場合に所定点数を算定する。

 

1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)
= 尿糖レベルが高いほど血中濃度が低下する糖尿病の指標。
血糖コントロールの良好さを鋭敏に反映する。
1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)は、1973年にヒト体内の存在が発見されたポリオール(グルコース誘導体の一種)である。
1,5-AGは、食物として経口的に摂取され、健常人の血中ではほぼ一定した濃度に保たれている。尿糖排泄時に容易に尿中に失われるとともに、血中濃度も速やかに低下するため、糖尿病患者では著しい低値を示す。また、血糖コントロール状態の悪化時に急速に減少し、良好な血糖状態の持続により一定の割合で回復する。1,5-AGは短期間の血糖状態も反映し、軽度高血糖領域でもよく変動することから、より厳格な血糖コントロールや糖尿病の治療効果判定などにおいて有用な指標である。
1,5-AGは血糖コントロールの増悪をおよそ一日のタイムラグで反映し、その変動幅はHbA1cやフルクトサミンより大きく、また1g/日位の尿糖レベルでも低下するといわれている。血糖の変動が少ない症例ではHbA1cとほぼ相関するが、急性増悪や回復期にある症例ではよい指標となる。
なお、保険請求上1,5-AGとHbA1cの組み合わせは原則的には認められているが、月一回を越えない程度が望ましい。高値側での臨床的意義は少ないがデキストリン投与により高値を招くことがあるので注意を要する。

 

■脂肪を削減
「東京大学先端科学技術研究センターの研究グループは、筋肉にたまっった余分な脂肪を減らす体内の機構を発見した。
この機構を活性化させる物質をネズミに与えると、高脂肪食を食べても太りにくくなる。
生活習慣病の糖尿病は摂りすぎた脂肪が体内に蓄積し、血糖値を下げるインスリンの効きを悪くすることが一因で起こる。
研究グループは筋肉細胞などの核にある『PPARδ受容体』と呼ぶ機能不明のタンパク質に注目。特殊な物質でこのタンパク質を刺激すると、細胞の中に溜まった脂肪が燃えて、インスリンの働きが改善することを確かめた。
ネズミに体重が60%増える量の高脂肪食を食べさせても、この物質を与えると30%に抑えられた。食欲が落ちたり運動量が増えたワケではなく、熱を生み出す基礎代謝が活発になっていた。
通常食のネズミに与えても体重減少の効果はなく、やせ薬としての効果はなかった。」2003.12.26《日本経済新聞》

 

■過血糖の早期発見が重要
「北米に住むアメリカ先住民のピマインディアンは、糖尿病が典型的な生活習慣病であることを示す有名な例である。世界保健機関(WHO)の調査では米国に住んでいるピマインディアンの糖尿病有病率は約65%。一方、メキシコに住むピマインディアンではゼロ(0%)に近い。
この差はどこからきているのだろうか?
遺伝的には同じだから、環境・生活習慣の違いによると考えられる。おそらく脂肪の多い食事などが大きく影響していると想像出来る。
ここで言う有病率には糖尿病を発症している人と糖尿病にはなっていないが食後の血糖値が健常者より高い人たちが含まれる。後者はIGT(耐糖能異常)と呼ばれ、糖尿病に移行しやすい予備軍である。
日本人の有病率はどうだろうか?いくつかの調査から、ほぼ25%と見られている。先のWHOの調査に当てはめると、中の上のグループに入る。
97年に厚生省がまとめた糖尿病調査によると、日本の糖尿病患者数は約690万人。糖尿病の可能性を否定できない予備軍まで含めると1370万人に上ると推定されている。しかし、患者のうち治療を受けている人は300万人ほど。後は予備軍とともに、きちんとした診断や治療を受けていないという。
糖尿病が怖いのは体に様々な悪影響を及ぼすからだ。典型的なものとして網膜症・腎障害・神経障害の3大合併症があげられる。
これらを防ぐには、糖尿病患者の治療だけでなく、その予備軍への対策も重要になる。予備軍すなわちIGTの人のうち2~3%が糖尿病に移行すると言われる。最近では4~5%になると言うから、今から10年後には糖尿病患者数は1000~1200万人にもなってしまう。
もう一つ、山形大学医学部の富永真琴教授たちのグループが山形県舟形町で行った調査では、IGTは糖尿病と同じように動脈硬化性疾患による死亡の危険因子になることが示唆されている。その意味でも、予備軍群対策が大切なわけだ。

IGTで必ず見られるのは、食後の過血糖である。IGTの人は血糖を分解するインスリンの分泌が遅れ、食後に一時的に血糖値が高くなる。
高血糖状態は膵臓のインスリン部本筆能力を低下させたり、遺伝的素因であるインスリン抵抗性を高めたりしてさらに血糖値を上げる。
食後の過血糖はしばらくすると治まるが、一時的とはいえ、こうしたことが繰り返されると血糖値を巡る悪循環に陥り、最後に糖尿病に至る。だから、糖尿病予備軍対策としてIGTの早期発見と食生活や運動などによるIGTの改善が第一に上がっている。」1999.11.15《日本経済新聞》
   

      
糖尿病と活性酸素
<1>ある一定の量の活性酸素(・OH)は、ランゲンルハンス島のβ細胞のインスリン分泌を促進させるが、過剰になると傷害を与える。

<2>アロキサンをマウスに与えると糖尿病を作ることが出来る訳は?
アロキサンが生体内で酸化還元されるときに 活性酸素が生成し、これから過酸化水素、さらに(・OH)が出来る。これが発症させる。

<3>高血糖による酸化的ストレスが合併症を引き起こす。
高血糖状態になると、糖がタンパク質に結合した糖化タンパク質が出来やすくなります。この糖化タンパク質からが出来、これから金属の存在下でさらに(・OH)が生成して酸化的ストレス状態を作りだします。しかも糖は消去酵素であるSODに結合して、その活性を阻害するためにの量がさらに増えて酸化的ストレス状態は、一層強くなります。このように、活性酸素が原因となってひとたび高血糖状態が作り出されると、細胞全体が酸化的ストレス状態の方向へ向かい、いろいろの合併症を引き起こします。(永田親義著「活性酸素の話」参照)
   

■予備軍含め7人に1人 1998.3.19《日本経済新聞》
「糖尿病の治療をしているか治療が必要な成人男女は、全国で690万人いると推計されることが18日、厚生省の糖尿病に関する初めての全国調査(速報分)で明らかになった。糖尿病になる可能性がある「予備軍」を合わせると1370万人に達し、成人の7人に1人に相当する。
調査は昨年11月の国民栄養調査に回答した20歳以上の男女のうち、血液検査などを行った5883人を対象に分析し、全国の値そ推計した。
それによると「糖尿病が強く疑われる」(赤血球中のヘモグロビンに糖が付着している割合が6.1%以上)のは、全国に690万人いると推計。また、「可能性を否定できない」(同5.6~6.0%)は680万人だった。「強く疑われる」人は早急に治療を始めるひつようがあり、「可能性を否定できない」人は定期的に検診を受けるべきだという。

     
●半数以上治療受けず
「糖尿病には、膵臓から分泌されるホルモン「インスリン」の量が少なくなって起こる『インスリン依存型』と体の細胞がインスリンに反応しなくなって起こる『非インスリン依存型』とがある。

依存型は主に小児期に発症する遺伝的なものだが、糖尿病全体のわずか(1%)。大半は非依存型で、カロリーの取りすぎと運動不足が原因とされ、肥満との関連は密接だ。
「厚生省が1997年11月に実施した「糖尿病実態調査」によると、1997年に失明した人16000人のうちの10000人が糖尿病性の網膜症・白内障・緑内障が原因であり、血液透析が必要になった30000人のうち10000人は糖尿病性腎症が原因だった。糖尿病による壊疽のために足の指を切断した人の数も急増している。
   

■老化が早まる糖尿病患者
「糖尿病が恐ろしいのは体が糖を利用出来ないからのみではない。糖尿病患者は老化が早まるのである。老化の特徴である白内障・動脈硬化などが若いうちに起こり、残念ながら寿命も短くなる。
ではなぜこんなことが起こるのだろう。1970年代に米国ロックフェラー大学のセラミ教授は、糖尿病患者の血液のヘモグロビンに異常なのが増えているという報告に注目した。これはA1cと呼ばれるヘモグロビンの一種で、 よく調べると、これは普通のヘモグロビンに糖がついたものであった。セラミ は糖尿病患者は血中のブドウ糖の量が多く、この為ヘモグロビンに糖がついて しまうのではないかと考えた。ところが、糖は単にヘモグロビンに付くだけで なく、我々の体を構成する多くのタンパク質にくっついてしまう。付くだけな らまだましだが、これは次第に変化し、糖化最終生成物と呼ばれるものになる。これは英語でadvanced glycosy lation endproductsとよばれ、この頭文字をとってAGEと呼ばれている。AGEが出来ると、こらは他のタンパク質と結合し、褐色の物質に変化してしまう。こうなると皮膚や血管も弾力を失い老化の症状を呈して来るのだ。
実際、「白内障」のときの目の水晶体にはAGEが出来、にごっているし、正常の水晶体をブドウ糖の溶液に入れておくと次第にAGEが出来てにごってくる。また動脈硬化のときは文字通り血管壁が硬くなって弾力を失うのであるが、動脈壁をとりかこむコラーゲンはブドウ糖液と一緒にしておくと次第にAGEが出来、お互いにくっつきあい硬くなっていくことが示された。→エラスチン
  そこで人々は、我々の体が自然に老化するのも体のタンパク質やDNAなどが糖化し、次第に機能を発揮出来なくなるからだと考えるようになった。特に体の細胞で出来る有害な活性酸素を分解するSODという酵素が糖化して 機能しなくなるのも大きな老化の原因とされる。
 

このように糖尿病の研究が老化そのものの研究に発展したのであるが、では糖尿病の際なぜ動脈硬化が起こりやすいのだろうか。現在の考えは血管壁のAGEに脂質タンパクがつき、壁内に脂質が溜まっていくこと、又、血小板も別のAGEにつき、ここから血管壁の細胞を増殖させる因子を出し、これにより血管が肥厚するというものである。
 よく頭の疲れをとるにはブドウ糖が一番良い、だからコーヒーに多量の砂糖を入れて飲むのがよいなどという話しがテレビで紹介されたりする。若い頃ならともかく、異常に血糖を上げることは危険きわまりない。
 脳はたしかにブドウ糖しかエネルギー源として用いられないが、必要な時は体のどこからでもとって脳の機能を維持する。動物実験などのデータのみで体全体のバランスを考えない説を信じるととんでもないことになる。(高田明和・浜松医科大学)1992《日本経済新聞》

■加齢で増える・・・・ミトコンドリアが関係
「加齢とともに糖尿病患者が増える。そのメカニズムの一端を理解できる研究結果が発表された。米エール大学のシュルマン教授の研究チームが米科学誌サイエンスに掲載。それによると、ミトコンドリアが加齢によって機能低下し糖尿病を発症するという。
ミトコンドリアはエネルギー源であるグルコースを燃やして細胞に必要なエネルギーを生み出している発電所のような働きをしている。研究チームは太っていない健康は高齢者(平均年齢70歳の男女)16人と健康な若年者(同27歳)13人で、糖代謝とミトコンドリアの機能との挿管を比較検討した。磁気共鳴装置(NMR)を用いて調べた結果、若年者に比べて高齢者のミトコンドリアのエネルギー生産効率が60%に低下していた。ミトコンドリアの機能が低下すると、グルコースからのエネルギー変換が不十分になり、よりエネルギー効率の高い脂肪への蓄積が始まる。
高齢者の肝臓では脂肪蓄積が若年者の225%
高齢者の筋肉では脂肪蓄積が若年者の145%
に達していた。研究チームはこの脂肪蓄積が高齢者の糖尿病の発症の引き金になっていると考えている」2003.6.22《日本経済新聞》
   

■「食べてるのにやせる」は要注意
 「42歳の夫は2年前、血糖値が高いと言われました。会社のラグビー部を止めた頃です。今の血糖値は正常値を少し超える程度で、食事は1日約4000カロリーです。栄養講習で食べ過ぎと言われましたが、175cm、65kgで、2年前より7kg減りました。食事を減らすと、もっとやせてしまうのでは、と心配です。

●血糖値が高いと、糖尿病と考えていいのでしょうか?
「高血糖を起こす病気で、一番多いのは糖尿病です。それ以外にも甲状腺が異常に働くバセドー病など、他のホルモンの病気でも、血糖値が上がることがあります。
●1日4000kcalは、食べ過ぎですか?
「身長175cm なら、理想体重は67.4kgです。事務仕事をしている成人男子なら理想体重1kg 当たり1日30kg kcalが適切なので、この方は、2022kcal食べればいいことになります。その倍も食べているのですから、明らかに食べ過ぎです。
●今でも体重は減っており、食事を減らすと、やせるのでは、と心配です。
「食べているのにやせるのは、正常ではありません。いくら食べても糖が身に付かず、どんどん尿に漏れている状態です。実は、体重減少と大食いは糖尿病の症状の1つです。
やせるのを防ぐために、もっと食べる、というのは自殺行為です。ますますインシュリンの働きが悪くなります。はっきりした症状が無いまま、ある日突然、「昏睡」や「失明」につながる網膜症を起こすという悲劇にもなりかねません。
●血糖値を改善するには、どんなことに気をつければいいですか?
「まず、高血糖の原因は何なのか、病院で十分検査してもらう事が必要です。糖尿病と決めつけず、他の病気が無いかも、じっくり診てもらいましょう。糖尿病でも軽いうちなら、食事に気を配るだけで、血糖値が正常に戻る人はたくさんいます。適量の食事で、栄養のバランスの良い内容にすることが大切です。

●運動をすれば、血糖値は下がる訳ですね?
「運動で使うカロリーは思ったほど多くありません。運動したから食事を増やしていい、と考えがちですが、それでは逆効果です。あくまで運動は、血糖値を上げにくい体にする手段で主役は食事のコントロールです。
   

■αーグルコシダーゼ阻害剤(食後過血糖改善薬):
「白パン1枚はうまさを味わい、黒パン1枚は健康を食べる」という格言(ヨーロッパ)を無視して、精製したものを食べるようになった文明人は糖尿病などの成人病に冒されるようになった。食物繊維の効用が見直されて、糖尿病の食事療法でもその積極的な摂取が望ましいといわれる。しかし、高繊維食摂取を実践している人は少ない。
そんな現状にあって、先年、インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)の治療に、α-グルコシダーゼ阻害剤という治療薬が加わった。この薬は腸管での炭水化物の消化・吸収を遅らせて血糖値の上昇を抑制するというものである。
多糖類である炭水化物は、小腸微絨毛上に存在しているα-グルコシダーゼの働きによって、ブドウ糖(単糖)に分解されて吸収される。このα-グルコシダーゼの活性を阻害する薬が、新しい糖尿病の治療薬(放線菌の培液養中から発見された)という訳だが、これは最終的には糖の吸収を抑制するのではなく遅延させて、一時的に糖との結合をブロックするというのが作用機序である。」井上勝六著「成人病を防ぐ現代人の食事学」より


薬品名:
[グルコバイ(バイエル)=商品名アカルボース]
[ベイスン(タケダ)=商品名ボグリボース]
注意:
<1>食前に飲みましょう。
食物中にあるデンプンや蔗糖などの非吸収性の糖類を吸収可能な単 糖類に変える作用を持った酵素の一群がαーグルコシダーゼです。食事療法でカロリー摂取を控えたのと同じ効果が得られる。
<2>使ってはいけない人。
        (イ)インスリン依存型糖尿病。
        (ロ)重症のケトーシス。
        (ハ)重症感染症。
        (ニ)ジアスターゼなどの、炭水化物消化酵素を服用している人。
 副作用:
<1>消化吸収されなかった糖類が大腸に送られ、そこで発酵して、以下のような 副作用が起きる。
        (イ)腹部膨満感
        (ロ)下痢
        (ハ)おならが出やすい。(56%)
      <2>それ以外の副作用には
        (イ)かゆみ、発疹。
        (ロ)肝機能異常。
        「糖尿病薬αーグルコシダーゼ阻害剤を服用していた患者2人が激症肝炎を起こして死亡していたことが4日、厚生省の調査で明らかになった。この薬は「商品名:アカルボース(グルコバイ)」で、93年2月の発売以降、副作用と見られる肝機能障害が57例報告され、うち2人が激症肝炎で死亡したという。また、同じ作用を持つ「商品名:ボグリボース(ベイスン)」も94年の発売以降、20例の肝機能障害が報告された。」1998.3.5《日本経済新聞》
   
■超速効インスリン
「40歳代のAさんは、糖尿病のためインスリンを手放せない。食事の30分前にインスリンを自分で注射する。しかし、この30分がくせ者。急な仕事が入り、予定通りに食事が摂れない心配があるからだ。
インスリンを注射した後に空腹のままでいると、血糖が下がりすぎ、意識を失う場合もある。幸い倒れたことはないが、軽い低血糖で何度か冷や汗をかいた。
こんなAさんに、待望の薬が開発された。注射すると、すぐに効き始める「超速効型インスリン」。食卓についてから注射しても大丈夫だ。
糖尿病は、血液中の糖分をエネルギーに変えて血糖を下げるホルモンのインスリンが分泌されなかったり、働きが悪かったりするため、高血糖になる病気。
超速効型インスリンは、急速に発達した遺伝子組み換え技術によって可能になった。インスリンは、多数のアミノ酸が連なった分子で出来ているが、アミノ酸の配列の一部を入れ替えることで、インスリンの吸収、分解を速くする。    
インスリンは、ペン型の注射器で腹部や太もも、腕に皮下注射するタイプが主流だが、点鼻薬や吸入薬が、米国で臨床試験段階にある。これなら、注射より手軽に使用できる。

    
■砂糖は1日10gが理想>
「糖尿病を治療しているSさんは「同じカロリーなら砂糖でもごはんでも食べれば同じでしょう」と不思議そうな表情で言う。
Sさんはお菓子や果物も控えめにし、唯一の楽しみのコーヒーを1日4杯に我慢している。彼女の計算では、コーヒー1杯に2個の角砂糖を入れると砂糖は[7.4g]、30kcalで、1日4回だと120kcalとなる。ごはん1杯 が1600kcal だから3/4杯に相当する。この分のご飯を食べなければ食事療法のつじつまが合うはずである。ところが、主治医は砂糖を減らせと言う。
砂糖の食品としての特徴は高エネルギーで消化・吸収が非常に良いことと、甘さがあることである。
こんな実験が有る。総摂取量の16%を砂糖でとる糖尿病患者群を1%しかとらない群と比較すると、同じカロリーを食べていても食後の[コレステロール]や[血糖]が高くなっていたという。これは動脈硬化の危険因子を増やすことを意味している。
ちなみに、我が国での砂糖類の摂取は1日の80gと欧米の120gよりは少ないもののかなりの量である。砂糖は1g=4kcalなどで日本人は320kcalを砂糖で摂っていることになる。これは1日の総摂取量の16%に相当する。
「それならどれくらいなら理想ですか?」とSさんはいう。実は1日10g程度である。砂糖類そのものを直接に食べなくても、ケーキ1個orアイスクリーム1カップで15g、ソフトドリンクなら1本で20gと知らない間に食べているので、10gは相当に難しい注文だ。
Sさんの場合、コーヒーの砂糖だけでも30gも摂っているので、主治医の注意となった次第だ。

   
◎生活習慣を改善----食事療法・運動療法-----
「肝臓を巨大な工場兼倉庫と考えると(人間の肝臓の仕事を現在の生産設備で補うには東京都全体の面積が必要となる)、肝臓は食事で摂取した栄養素を加工し、余分なものは保存、さらに需要に応じて出荷している。この制御コンピューターがインスリンだ。糖尿病ではコンピューターの調子が悪いうえに、糖質・脂質・タンパク質が多く運ばれてくると、出荷要請がないのに、次々に糖分を出荷してしまう。」
そこで生産調整が必要になる。そのために入庫量を減らし、不足する原料を確保する食事療法が必要になる。
その上で、コンピューターの修理に取りかかる。すなわち運動療法です。歩行習慣が糖尿病を予防し、改善することが解明されている。
インスリンは全身の細胞にブドウ糖を取り込ませる。インスリンが細胞膜受け皿と結合するとシグナルが細胞内に伝わり、細胞の中にある『糖の運び屋(糖輸送担体)』が細胞膜に顔を出し血中のブドウ糖を取り込む。歩行による筋肉の伸び縮みは糖輸送担体の動きを良くする。従って、糖尿病患者でも歩行習慣を身に付けると、糖輸送担体がわずかなインスリンを効率よく利用して筋肉に糖を取り込む結果、血糖値が下がる。



 
■活性酸素
「糖尿病は死亡原因の第10位であるが、死亡率の高い脳卒中や心筋梗塞の危険因子にもなる。糖尿病腎症は人工透析、糖尿病網膜症は失明の原因の第1位になっている。 (参照→「糖尿病性網膜症」)
1997年に国民栄養調査に合わせて実施された糖尿病の実態調査の結果、糖尿病が強く疑われる人は全国で680万人、糖尿病の可能性を否定できない人は1370万人で、合計すると国民の約16%が罹患していることになる。
糖尿病にはⅠ型とⅡ型がある。Ⅰ型はウイルス感染や毒物などの物質により膵臓のインスリンを分泌する細胞が破壊され、インスリンを補給しないと生命が危険にさらされる。Ⅱ型は遺伝と関連があり、肥満や運動不足、過食が引き金となって発病するが、インスリンを補わなくても生命は脅かされない。
わが国の糖尿病患者の95%はⅡ型である。糖尿病には食事療法が必要である。昔は糖分の多い食事は絶対摂ってはいけないとされていたが、現在ではカロリーの制限と適切な栄養のバランスがとれるなら何を食べても良いことになっている。
最近、京都大学の清野裕教授と豊国伸哉助教授のグループはⅡ型糖尿病モデルラットを使って、活性酸素による細胞障害が糖尿病の発症に関係あることを解明した。このラットは加齢と共に膵臓でインスリンを造っている細胞が傷つき糖尿病になる。病変と平行して活性酸素による細胞傷害の指標となる[HNA]と[810HdG]という物質が膵臓で検出されることを突き止めた。この障害はショ糖を与えると強くなり、血糖を低下させる薬を与えると減少する。」(糸川嘉則)2000.1.17《日本経済新聞》
■13、14年後に黄信号
「糖尿病の合併症である心筋梗塞や脳梗塞などは、糖尿病の診断から13、4年後に起こることが多く、死因の約1/3を占める------。和歌山県立医科大学の中川貴之医師らが、1月の日本成人病学会で、こんな調査結果を発表した。
調査では、同大学での受診歴があるが通院を中断している患者に調査票を発そう、4割弱の478人かあ解糖を得た。
生存者は331人。平均年齢は66歳で、糖尿病と診断されてからの期間は平均で19年。心筋梗塞を起こした人は、10.7%(診断後平均14年)、脳血管障害は6.3%(同13年)、網膜症になって眼底への光凝固法を受けた人は32.3%(同15年)だった。
死亡したのは147人で、平均死亡年齢は70歳。死因は、心筋梗塞など心血管系29.4%、脳梗塞など脳血管系6.7%。肺炎12.6%、ガン28.6%だった。中川医師は「糖尿病が増える中で、死につながる危険性が高い心臓や脳の血管障害の予防がますます重要になると思う」と話している。2000.2.6《朝日新聞》
■膜タンパク遺伝子の異常で糖尿病
「細胞の核の膜を構成するタンパク質の遺伝子の異常が糖尿病の原因であるかもしれない。英レスター大学の研究グループは体脂肪の分布が不均等になり、糖尿病などを引き起こす部分的脂肪異栄養症の原因がLMNA遺伝子の突然変異であることを発見した。
この遺伝子の変異は拡張型心筋症の原因でもあるが、今回、見つかった遺伝子の変異は拡張型心筋症の変異部分とは別の部分で起きていることを米ベスイスラエル・ディーコネス医療センターのグループが突き止めた。これらの研究からLMNA遺伝子の特定部分の異常が糖尿病の原因である可能性があるという。この研究は米科学雑誌「ネイチャー・ジェネティクス」2月号に報告された。2000.2.7《日経産業新聞》
■不安定型糖尿病----食事量の管理が大切
「Oさんは56歳の女性。7年前、生理痛のため近くの病院を受診した折りに、糖尿病とわかり即日入院した。飲み薬では治療が難しく、インスリンを注射し、通院することになった。ところが、深夜に低血糖による発作が頻繁に起きた。そこでインスリン量を減らしたが、今度は著しい高血糖になったため、不安定型糖尿病として調べることになった。
『不安定型糖尿病は』はインスリン治療が行われるようになって間もない1934年に初めて報告された。血糖値が高くなったり低くなったり激しく変動するため、日常生活に支障をきたす場合を不安定型と呼ぶようになった。原因はよく分かっていないが、精神的なものと身体的なものがある。
インスリンの重要な働きは血糖を筋肉や肝臓に取り込み、肝臓から糖の放出を抑えることである。インスリンの分泌が適切でなければ血糖値は不安定になる。インスリン治療の場合も需要と供給のバランスが崩れれば同様のことが起きる。
摂取した食物の消化や吸収が糖尿病による自律神経障害で遅れたり、運動療法の時間や程度の違いによっても血糖値は不安定になる。
Oさんの場合は食事の量が不規則であった。食事量をコントロールし、インスリン注射を毎食前の3回と睡眠前に行うようにするとうまく管理できるようになった。インスリン量は以前の半分になり、低血糖も無くなり、快適な日常生活を送れるようになった。本人はしきりに不思議がっていたが、管理がうまく行かなかった時に比べて、インスリンの需要が激減することは良くあることである。インスリン治療にあたっては患者によって異なるインスリンの使用量や注射回数を最適化することが重要である。
インスリン量は減ったが、「毎日、4回も注射するのは大変なんですよ」とはOさんは言い分。もっともな意見である。糖尿病の飲み薬もずいぶんと発達してきている。実験的には経口のインスリン製剤が試されており、Oさんに喜んでもらえる日がやがて来るのではないかと期待している。(西沢良記)2000.2.14《日本経済新聞》
■遺伝子工学
「英アバディーン大学医療科学研究所の研究チームは遺伝子工学を使って糖尿病を治療する技術の開発にメドを漬けた。インスリンを生成する機能を持った人間の細胞を体外で培養した後、インスリンの生成器官である膵臓に移植することで患者の膵臓を「修復」させる。
インスリンは糖類を分解するのに必要なタンパク質・糖尿病はインスリンを生成する遺伝子が失われている。同研究所は陰吹林を生成する遺伝子を注入した二元の細胞の培養に成果を上げており、これを患者に移植することによって、薄な割れた機能を回復できると見ている。2000.3.22《日経産業新聞》
■親指が溶けた
「テレビの時代劇の撮影で、足袋をはいた足で石を蹴ったら、治らずに化膿してきたんですよ。切ってもらおうと外科へ行ったら、内科に回されて即入院。血糖値は300以上。糖尿病でした。親指は1/3ほど溶けて無くなっていました。
ショックでした。大学でフェンシングの日本一。俳優になってから、ウイスキーを毎日1本空け、朝からステーキを食べるような生活でしたが、健康には自信があったんです。健康保険証を使ったのはこのときが初めてだったんです。
1ヶ月半入院。最初はインスリン注射を打ち、食事の指導も。
1日、1400kcalの食事。あれは一種のお仕置きでした。1ヶ月の禁固刑をくらったみたいな気分。退院する時、医者から「どうせ、また戻ってくるんでしょう」と言われ、逆になにくそと思いました。酒はきっぱり止め、食事も量を減らしました。それ以来、薬も飲まずに血糖をしっかり管理してきました。
妻も心臓病なので、食事は2人で1人前、腹6分目。量が少ないからゆっくり良くかんで食べる。急ぐとすぐになくなっちゃうから。自分の体は自分で守るものですよ。」
■膵臓細胞を人工増殖
「群馬大学生体調節研究所の小島至教授の研究チームはラットを使って糖尿病と関係が深い酵素であるインスリンを分泌する膵臓の細胞を人工的に増殖させる技術を開発した。インスリンを分泌する細胞を増殖させる働きを持った物質などを、ラットから取り出した膵臓に与えると、この細胞が増殖することが確認できた。
小島教授らはベーター細胞をすりつぶして、この細胞を増やすベータセルリンという物質を発見した。この物質は小腸などにも存在する。
膵臓の90%を摘出したラットでは、血糖値を下げることが難しくなるが、このラットにベータセルリンを与えると、普通のラットよりも血液中の血糖値の上昇が抑えられた。膵臓を摘出したラットではベータセルリンの投与を止めた後も、血液中のインスリンの濃度は高い値を示しており、血糖値の上昇を持続的に抑えていることが分かった。
このことからベータセルリンがラットの体内に残ったわずかなベータ細胞を増殖させてインスリンの分泌を促していることが確認できた。
小島教授はこの物質が、膵臓の基になる幹細胞からベータ細胞への分化を選択的に誘導している可能性があるとみている。
ベータセルリンを投与したラットの膵臓の組織を採取してその切片を観察した結果、膵臓の中に新しいベータ細胞が出来ていることも確認できた。」2000.9.12《日経産業新聞》
■糖尿病にかかりやすい遺伝子
「オーストラリアのウォーター・アンド・エライザホール医学研究所のグループは、生理活性物質のインターロイキン12(IL-12)の遺伝子の一部に異常があると、血糖値を下げる働きがあるホルモンのインスリンが膵臓で作れなくなるⅠ型糖尿病にかかりやすいことを突き止めた。」2001.2.1《日経産業新聞》
■食後血糖値を検査
健康診断などでは空腹時の血糖値を測って診断の目安にしているが、早期発見には食後の血糖値検査が重要との考えが広がってきた。
都内に住むAさん(40)は、肥満気味なことを除けば健康には自信があった。会社定期検診でも空腹時の血糖値は118mg/dlで、WHOなどの基準値である126mg/dl以下だった。ところが、人間ドックで食事から2時間後の血糖値を測ったところ、205mg/dlあり、「初期の糖尿病」と診断された。
糖尿病の原因はは膵臓で分泌されるホルモンの一種、インスリンの分泌量が少ないか、効き目が悪いかのどちらか。分泌量が少ない人は食事で増えた血中のブドウ糖を吸収できず、食後血糖値が高くなる。インスリンの効き目が悪い人は血中の糖を吸収しようとして多量のインスリンが分泌され、効き目がさらに低下するという悪循環に陥る。
糖尿病のこうした初期症状を見極めるには食後の血糖値検査が重要になる。ブドウ糖液を飲んで2時間後の血糖値を測る『OGTT2時間値』を診断基準にする病院も増えてきた。
血糖値は1日の間で大きく変化し、健康な人でも空腹時は70~110mg/dlなのが、食後は100~140mg/dlに上昇する。そして、肥満や遺伝など糖尿病の危険因子が多い人ほど、食後の血糖値が高くなる傾向がハッキリしてきたからで、以下のような糖尿病になりやすい人は食後血糖値を測る必要がある。
①血縁者に糖尿病の人がいる。
②20歳代に比べ体重が10%以上増えた。
③車が足代わりで、運動不足ぎみ。
④(ケーキなどの)砂糖や脂肪を好んで食べる
⑤ストレスの多い生活をしている。
⑥アルコールをよく飲む。
■脂肪燃焼をじゃまする
「タンパク質受託製造ベンチャーのプロテイン・エクスプレス(千葉県銚子市)は大阪大学の岡本光弘教授と共同で、体内での脂肪細胞の燃焼を妨げたり、血液中の糖濃度が下がるのを阻害している酵素を特定した。
特定したのは、タンパク質リン酸化酵素の一種で、『S1K2』と名付けた。脂肪細胞と酸素が反応して水と二酸化炭素に分解する、いわゆる「燃焼」と呼ばれる反応を促す遺伝子の働きを阻害する。これとは別に、血液中にある糖が脂肪細胞に取り込まれるのを妨げる作用もある。
糖尿病や肥満症を起こしているマウスと通常のマウスで、脳や肝臓など各器官の細胞を取り出し、それぞれ、S1K2がDNAから生成する際にできるmRNA(伝令リボ核酸)の量を調べた。その結果、糖尿病や肥満症のマウスの方が、脂肪細胞内のmRNAが多いことを確認した。
S1K2の生産を抑えれば、脂肪細胞の燃焼が進むとともに、血液中の糖を脂肪細胞により多く取り込んで血糖を下げると考えられる。」2003.6.12《日経産業新聞》
■予備軍
「空腹時の血糖は正常だが、食後の血糖値が異常に高くなるタイプ。インスリンの量は過剰だが、効きが悪く、空回りしている状態。欧州やアジアでの大規模調査の結果、予備軍段階でも動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳卒中の危険性が倍増することが分かった。2003年8月に厚労省が発表した調査では、予備軍は880万人に増加。以下の危険因子があれば食物繊維を増やし、脂肪を減らし、1日30分以上の運動を取り入れる必要性が増加する。
1.親兄弟に糖尿病患者がいる→2.8倍リスク増加
2.肥満している→脂肪細胞がインスリンの働きを悪くする物質を分泌する。
3.運動不足→血液中の糖が筋肉に取り込めない。
4.加齢→筋肉が劣え、糖の取り込みが悪くなる。
5.妊娠→胎盤のホルモンがインスリンの働きを悪くする。2003.9.9《日本経済新聞》
■グルタミン酸
「膵臓のα細胞から分泌されるグルタミン酸(アミノ酸の一種)が血糖値を上げるホルモンの分泌を抑える仕組みを森山芳則・岡山大教授(生化学)が解明した。森山教授らは膵島にあるα細胞から、血糖値を上げるホルモン『グルカゴン』と、神経伝達物質であるアミノ酸『グルタミン酸』が一緒に分泌されることを解明。その働きを分析した結果、グルタミン酸はα細胞の表面にある特定のタンパク質に結合し、グルカゴンの分泌を阻害する事がラットやヒトの細胞を使った実験で確認した。
グルカゴンは肝臓に達してグリコーゲンの分解を促し、血糖値を上げる。分泌されたグルカゴンが肝臓で働いて血糖値が上がる前に、α細胞からさらにグルカゴンが分泌され続けると血糖値が上がりすぎる恐れがあるため、グルタミン酸がそれを抑える“フィードバック”の役目を果たすと見られている」2004.4.7《日本経済新聞》
■受動喫煙で
「米カリフォルニア大学などの研究グループは、受動喫煙が糖尿病の前兆である体内糖分のグルコースの利用障害を引き起こすリスクが高まることを突き止めた。
受動喫煙が糖尿病にかかる危険性を指摘したのは初めて。
約4600人の男女を以下の4グループに分けて調べた。
①喫煙者
②以前喫煙していたが今は禁煙した
③喫煙しないが受動喫煙にさらされている
④喫煙せず受動喫煙にもさらされていない。
血糖を減少させるインスリンが作れなくなるグルコースの利用障害になった人の割合を調べた。その結果、
①・・・22%
②・・・14%
③・・・17%
2006.4.12《産業》」
■薬効100時間の投与技術
「物質・材料研究機構などは血中に薬を徐々に放出することで効き目を長時間保てる薬剤投与技術を開発した。数十ナノ㍍の微粒子(アパタイト)に薬を付着させて投与すると100時間かけて薬を分離し、薬効が持続する。
動物実験で確認。c型肝炎や糖尿病・貧血の治療に応用できる。2004.3.30《日経産業新聞》
■膵島移植
「血糖値を調節するホルモンであるインスリンがつくれないため発作や合併症を起こしている重症の糖尿病患者に、他人の膵臓の膵島(ランゲルハンス島)細胞を移植して治療する臓器移植の一種で、日本では2004年に京都大学が初めて実施した。
心停止者などの膵臓から膵島細胞を分離し、患者の門脈に注入して血液中にインスリンが分泌されるようにする。移植後はインスリン注射が不要になるが、移植された細胞は患者にとって異物であるため、患者の免疫細胞が攻撃する。このため、免疫抑制薬を継続服用しなければならない。
2006年5/25、東京大学と国立病院機構・千葉東病院は拒絶反応が起こらなくなる手法を考案し、日本組織培養学会で発表した。
まず耳に含まれる軟骨細胞を採取し、再生医療ベンチャーのセルシード(東京新宿区)が開発した特殊な樹脂を強いた皿の上で培養した。この樹脂を使えば軟骨細胞が成長した後で、温度を変えるだけでシート状のまま簡単に剥がせるようになる。作製した軟骨細胞シートを10枚以上重ね、移植する膵臓細胞(膵島細胞)を挟み込む。すると軟骨細胞からコラーゲンが分泌され、膵島細胞の周囲を取り巻き、直径が200ナノ㍍以上の物質は膵島細胞内部に出入りできない。
このシートを糖尿病患者などに移植すると、酸素や栄養素は入り込めるため、膵島細胞は生き続けられる。患者の免疫細胞はコラーゲンによって排除され膵島細胞を攻撃できないので、拒絶反応は起こらないとみている。膵島細胞から分泌されるインスリンなどのホルモンはコラーゲンの間を通過して血液に達するため、血糖値を調節できる。」2006.5.24《産業》
■膵島移植・・・新技術
「横浜市立大学院の谷口英樹教授はマウス実験で、人工の膵島を細胞培養で作製し、効果を確認した。作製法はまずマウスの膵臓にあるインスリンを分泌する細胞や血管のもととなる細胞などを専用装置に入れる。装置は宇宙飛行士が前後左右などに回転させる訓練機器を小型にしたような構造で、2つの軸で回転する。回転の遠心力で重力を相殺するように細胞の入った容器を動かすことで、膵島を大量に培養することに成功した。」
■膵島移植・・・効果
「広島大学の檜山英三教授は、分離した膵島細胞が移植時に弱くなるのは体内で過酸化作用を受けるのが原因の1つと考え、抗酸化作用を持つ薬剤を使う手法を開発。この薬剤に移植前の膵島細胞を浸すとともに、その物質を移植の前後に患者にも投与する。
ラット実験で、生着率が従来の約2倍に当たる6割強に達した。2匹分必要だった膵島細胞も1匹分ですんだ。」
「京都大学の岩田博夫教授らは、移植用の膵島を薄い膜で覆い、移植直後の炎症や血液が固まる現象を和らげる技術を開発した。膜は脂質とポリエチレングリコールの複合体で、、悪評面には血栓を溶かすウロキナーゼという薬剤を付着させた。
試験管内実験では血液が固まる現象を抑える効果を確認した。現在の膵島移植法にそのまま利用できる。膵島移植では移植した細胞が異物と見なされ攻撃される拒絶反応も起こる。細胞を覆う膜は「拒絶反応を防ぐ役割も持っており、免疫抑制剤の使用量低減にもつながる」と見られる。
■GLP-1 (glucagon-like peptide-1)
「新しい糖尿病治療薬として注目されている[グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)]と呼ぶタンパク質が脳内でのインスリンの伝達を正常化し、アルツハイマー病特有の「プラーク」(粘着性の不溶性物質)の形成も改善するかどうかのテストを北アイルランドのアルスター大学のクリスチャン・フルシャー博士とスコットランドのダンディ大学のカルム・サザーランソ博士が始めた。
http://www.ulster.ac.uk/
◎副腎皮質刺激ホルモン
「糖尿病は副腎皮質刺激ホルモンの過剰によって起こる場合がある。脳下垂体の副腎皮質刺激ホルモンにより副腎皮質ホルモンから分泌されるコルチコイドが体内の栄養素からブドウ糖を作り出す殻である。インスリン注射は糖尿病患者の血糖値を一時的に低下させるが、ある種の糖尿病の抜本的治療には、患者の脳下垂体や副腎を除去することがある。」(杉晴夫著「ストレスとなんだろう」p105)
■膵臓細胞お異常が
「膵臓のベーター細胞内でタンパク質の分解に異常があると、糖尿病になりやすくなることを、順天堂大学の綿田祐孝准教授と藤谷与士夫准教授のチームがマウス実験で突き止めた。
成果は2008年10/9のセル・メタボリズムに掲載
血糖値が高い状態が続く糖尿病は、放っておくと、血管に悪影響を与え、神経障害や心筋梗塞などを引き起こす。
研究チームはベーター細胞内にたまった余分なタンパク質を分解する働きに注目し、遺伝子操作で分解能力がほとんど無いマウスを作製した。そのマウスに高脂肪食を与え続けたところ、糖尿病を発症した。同じ食内容でも正常マウスでは問題がなかった」
■抗菌性の血管新生
「森下竜一・大阪大学教授とバイオベンチャーのアンジェスMGは、細菌の増殖を阻む抗菌し江がある血管新生を促す物質を見つけた。
血管内皮の細胞を増やす働きがある物質をいくつか調べたところ、新たに30個のペプチドがつながってできた『AG-30』を見つけた。血管内皮細胞を増殖させたり、線維芽細胞と一緒に培養すると管状の形態を作る機能を促進させる性質がある。
AG-30は抗菌物質によくある構造をしている。大腸菌や腸納金、黄色ブドウ球菌への有効性が高かった。」
■体の大きさを調節する遺伝子
「2009年、東京大学の宮崎徹教授らのグループは、体の大きさを調節している遺伝子「DEDD」が糖尿病を引き起こす原因にもなることをマウス実験で確認した。
DEDD遺伝子が働かないようにしたマウスに糖分を与えたところ、血糖値が2時間経過しても下がらないなどの異常が見られた。しらべると、すい臓のインスリンを分泌する細胞医が正常の半分ぐらいだった。
また、インスリン分泌に関する酵素の活性化との関係を調べると正常の半分ぐらいしか酵素が働かず、インスリンが効率よく分泌されていないことも分かったという。

手術

糖尿病を手術で治すバイパス治療
胃を 2012年11/12 
アメリカ:手術を受けた8割で改善

重症化・・・ 小腸を短くする


血管バイパス手術
静脈の一部切り取り動脈をバイパス
静脈の弁を除く
手術で歩ける


【色彩療法】
    <1>レモン色
    <2>緑色
    <3>黄色
    <4>赤紫色
【宝石療法】
    <1>[ダイヤモンド]
    <2>[エメラルド]
【針灸】関門穴
【民間療法】(五十音順)
○アカマツ・アカヤジオウ・アズキ・イタドリ・イチイ・ウツボグサ・エビスグサ・カキドウシ・カタツムリ・カボチャ・キカラスウリ・キササゲ・クコ・クサスギカズラ・クズ・クワ・サルトリイバラ・ジャノヒゲ・ダイコン・ダイコンソウ・タラノキ・チャ・トウモロコシ・ドクダミ・ナスビ・ナルコユリ・ニシキギ・ネナシカズラ・ハス・ハトムギ・ヒトツバ・フジバカマ・ホオノキ・メギ。
○[アズキカボチャコンブ]
○「カイアポイモ」⇒インスリン抵抗性を改善する。
○「バナバ」⇒インスリンと同じような作用を持ちインスリンを節約できる。
○「桑の葉」⇒糖の吸収を抑え、食後の高血糖を予防する。
  
【西洋薬】
インスリン注入器具:
注射ではなく、簡単に使用できる器具を、デンマーク系のノボノルディスクが発売。2000.6.22《日経産業新聞》
「アクトス」(武田)
「インスリン抵抗性改善薬と呼ばれるタイプ。血中のインスリン濃度を増加させずに血糖を低下させる作用がある。日本人の9割以上を占める2型糖尿病の原因の1つは細胞がインスリンの働きに対して抵抗を持ってしまうことで、血液中のブドウ糖濃度が高くなる。」2000.7.13《日経産業新聞》
「この薬は、塩酸ピオグリタゾン(商品名:アクトス)で、血糖値を下げるホルモン、インスリンの働きを良くする作用があり、昨年11月に発売された。その後、約1ヶ月間服用した60歳代の女性ら5人に、心不全の発症や悪化が見られた。厚生省は、今回のピオグリタゾンの副作用について、「臨床試験では認められなかった」としている。これに対し、医薬品を評価する「医薬ビジランスセンター」代表理事の浜六郎医師は、「心臓への悪影響は、動物実験や臨床試験で示されていた」と疑問視する。国内の臨床試験で服用した患者に、心筋梗塞や動悸がみられ、「重い有害事象」として報告されていた上、米国での臨床試験でも心不全が現れていたからだ。
それが、なぜ「市販前には副作用は分からなかった」ことになるのか?
臨床試験の担当医師が、心筋梗塞などの症状について「患者には以前から動脈硬化があったと考えられ、薬と関連がない」と判定し、試験全体の責任者もこれを支持したためだ。
「アバンディア」(グラクソ)
「ランタス」(アベンティス)・・・1回の注射で24時間効く。
「ビルダグリプチン(一般名)」ノバルティス
「血糖値に関係する消化管ホルモンを分解する酵素の働きを抑えて血糖値を下げる。

『ジペプチジルペプチターゼ阻害薬(DPP-4阻害薬)』と呼ばれる薬剤で、既存の血糖降下剤とは異なる作用の仕組みを持つ。2008/4発売」
★西洋薬・・・開発中
*大正製薬:
「血糖値を調整する糖尿病本来の治療薬の開発段階を2006年に第二相へ進める。インスリンの分泌を促す薬剤と、尿から体内への糖分の再吸収を防ぐ薬剤の2種類。
「TS-021」は体内でインスリン分泌の妨げにつながる「ジペプチジル・ペプチダーゼ-Ⅳ(DPP-Ⅳ)」を阻害し、インスリンを分泌させて血糖値を上げる。
「TS-033」は2型だけでなく1型も適応症とする。体内物質の「ナトリウム・グルコース供輸送体(SGLT)」を阻害。尿から体内へ糖分が再吸収されることを阻害し、血糖値の上昇を抑える。2005.7/15《産業》
*武田:
「ジペプチジル・ペプチダーゼⅣ(DPP-Ⅳ)」阻害薬と呼ばれる薬の開発・販売権を買い戻した。2005.7/15《産業》
■「ジャヌビア」
万有製薬は2007年内に臨床試験中の飲み薬『MK-0431』の承認申請する。「DPP4阻害剤」と呼ぶ新しいタイプの薬で、服用後に低血糖状態になりにくい。
人間は食事を摂ると消化管から『GLP-1』と呼ぶホルモンが分泌され、このホルモンが膵臓の細胞を刺激し、インスリンの分泌量が増える。
この薬は親会社の米メルクが開発。世界初のDPP4阻害薬で「ジャヌビア」の商品名で2006年10月に米国で発売した。20079/12産業
■DPP4阻害剤・・・シタグリプチン
「人間は食事を摂ると消化管から『インクレチン』と呼ぶホルモンが分泌され、このホルモンが膵臓の細胞に働きかける。膵臓からのインスリンの分泌量が増えて血液中の糖を取り込むとともに、グルカゴンと呼ぶホルモンの分泌量が減って肝臓での糖の生産量が減る。
2007年12/12、万有製薬と小野薬品工業が承認申請した薬はインクレチンを分解する「DPP4」と呼ぶ酵素の働きを妨げる。この薬を飲むと、食事をキッカケに体内へ糖を取り込むという自然な仕組みが活性化し、既存の糖尿病薬に比べて低血糖のリスクが少ない。」

【参考】

<1>食べると良い食品。
①かぼちゃ・あずき・エンドウ豆 ・タマネギ・スッポン・海藻・サンマ・サバ・イワシ・貝類・食物繊維が多いもの。
②「大豆・ニンジン」が血液中の過剰な糖分や脂肪分を取り去る特殊な細胞を活発にして体質を改善する。(農水省四国農業試験場)1996.12.28《日本経済新聞》
③「食物繊維の摂取不足」は7年後に糖尿病として現れる。
④『グリセミック指数』の低いもの 

<2>EPA
「非インスリン依存性糖尿病患者にEPAを投与した場合、血清脂質・アポタンパクが改善する」(第39回日本糖尿病学会)

<3>リノール酸に糖尿病予防効果
「米パデュー大学とペンシルベニア州立大学の研究チームは、肉やチーズに含まれるリノール酸の一種が糖尿病の予防効果を持つことを突き止めた。ネズミを使った実験で糖尿病の発症を抑えることが分かり、新型の治療薬とされるTZD並みの効果が期待出来るという。研究チームは人に投与した場合に副作用が無いかどうかなどを調べ、実用化を目指す。
 複合リノール酸(CLA)

と呼ぶ不飽和脂肪酸の一種で、運動不足など生活習慣から起こるインシュリン非依存性糖尿病に対して効果があることを突き止めた。肥満のネズミに約2週間投与したところ、糖尿病の症状が全く現れず、体脂肪も約10%減った。肉などに含まれる脂肪は糖尿病の原因になると考えられてきたが、「食品の成分が人体にとって良いか悪いか?、改めて検討が必要」と研究チームは話している。」1998.5.21《日経産業新聞》

<4>「糖尿は新型の栄養失調です」《螺王人》
だから、“食べないと治らない”

<5>低血糖を起こした時:
[砂糖]を飲んでも効かないので、常に[グルコース(単糖類)]を持ち歩くことが大切。

<6>機内食は予約の時に申し込めば、低カロリー食・減塩食・低コレステロール 食が可能。追加料金は不要。

<7>有効な運動は?
食後1時間の“腹ごなしの散歩”30分以上。

<8>ストレスを受ける

→アドレナリンの分泌が増える

→インスリンを抑制する。    

<9>日本人は、インスリンの分泌量が少ない民族である。
   

■脚切断・・・専門治療
「医療コンサルタントの米ミレニア・ウンド・マネジメント(カリフォルニア州)は、糖尿病などによる慢性創傷のの専門治療センター開設を支持する事業を本格展開する。練馬総合病院(東京練馬区)が、2003年10月から同社の治療プログラムを導入した。糖尿病患者が増える中で、国内でも脚の切断に追い込まれるケースが増えている。
練馬総合病院の創傷ケアセンターは糖尿病や閉塞性動脈疾患で発症する足部の潰瘍のほか、慢性の床ずれなどが対象。
ミレニア社は米で専門医と確立した治療プログラムを帝京。具体的には壊疽部分の切除や血管再生など症状に合わせた治療を施し、疾病を14週間管理する。米では7割以上が足部切断を回避できたという。米国では400以上の病院に創傷ケアセンターが設置され、症例データーベースも豊富。2003.10.5《日本経済新聞》

■ES細胞から膵臓組織
「東京大学の浅島誠教授らは、様々な組織に分化するマウスの胚性幹細胞(ES細胞)から膵臓組織を取り出すことに成功した。血糖値を下げるインスリンという酵素を分泌する。
浅島教授らはマウスのES細胞を、分化にかかわる『アクチビン』というタンパク質などと一緒に培養したところ、2週間後に約1ミリ大の膵臓組織に成長した。これまでES細胞から膵臓を形作る細胞は出来たが、組織全体を作ったのは初めて。」2005.9.19《日経》

【副作用】
◎高血糖を招く薬物:
*クマリン
*サイアザイド系利尿薬
*フェニトイン
*フェノチアジン
*プロベネシド
*麻薬性鎮痛薬

■糖尿病の教育入院
「糖尿病とうまくつきあって行くための食事や運動療法などを教える「教育入院」に患者が殺到している。2、3ヶ月待ちの病院も少なくないと言う。糖尿病は予備軍を含めると国民の1割を占める生活習慣病。きちんと自己管理出来れば怖い病気ではないが、出来ないと合併症により失明することもある。教育入院では自己管理のポイントを学ぶことが大切だ。1999.11.29《日本経済新聞》
東京都済生会中央病院の場合
6:00 起床
7:00~ 8:00    検尿
8:00~ 8:30    朝食
8:30~10:00    運動療法の体験学習
11:00~11:45    検尿
11:45~12:30    昼食(盛りつけ実践)
12:30~13:30    講義(調味料の使い方)
13:30~14:30    講義(糖尿病検査)
14:40~15:40    講義(神経障害)
15:40~16:20    学習ビデオ鑑賞
16:20~17:00    講義(合併症全般)
17:00~18:00    検尿
18:00~19:00    夕食
22:00         就寝」
   

■反栄養素
「米国の糖尿病学会が以前、菓子業界に「二軸エクストルーダー」という製造装置の使用を控えるよう要請したことがある。これで作ったスナック菓子は小麦粉のデンプンの膨化率が高く、従来の菓子に比べ消化吸収速度が速すぎるというのが理由であった。例えば、クッキーに比べてエクストルーダー製品のウエハースの消化速度は約2倍である。
  デンプンの消化吸収速度が速いとそれだけ血糖値の上昇が速くなる。これは糖尿病の予防・治療には具合が悪い。糖尿病患者のためにはデンプン消化阻害剤がわざわざ開発され、食前投与されているからである。
 デンプンの消化酵素として、前段で唾液・膵液のアミラーゼが働き、後段で小腸壁のグルコシダーゼが働く。これらの酵素の作用を抑えれば理屈上、デンプンの吸収を遅延させることが出来る。
  豆類の「レクチン」、茶類の「ポリフェノール」、穀類の「フィチン酸」は代表的なアミラーゼ阻害成分である。「ポリフェノール」はグルコシダーゼも強く阻害する。最近、グルコシダーゼは魚肉タンパク質の消化物によっても強く抑えられることが分かった。野菜・果物などにもこれらの消化酵素の働きを抑える成分がありそうだ。
 実際、筆者の研究室では100種類近い調理品を調べたところ、アミラーゼやグルコシダーゼの活性を抑えるものがいくつのあった。日常の飲食でも、これらのデンプン消化酵素には結構ブレーキがかかっている可能性がある。その結果、適当な消化吸収速度が実現していると考えたい。
一般に、栄養素の吸収利用を妨げたり、遅くさせたりする食物成分を『反栄養素』と呼んでいる。反栄養素の役割も注目されるようになってきた。アクセルだけでなくブレーキも備えて初めて健全な食事と言えるのだろう」(五明紀春・女子栄養大学教授)1997.8.11《日本経済新聞》
   

■新カプセル療法
「ラット実験で、膵島細胞をカプセルに入れて皮下移植し、拒絶反応が起こらない事を確認。
   

■糖尿病の原因遺伝子を発見
「米マサチューセッツ工科大学、フィンランドのヘルシンキ大学病院などの国際共同研究グループは、インシュリン非依存性糖尿病を引き起こしている遺伝子を発見。
  この遺伝子は第12染色体上にあり、[NIDDM2] と名付けた。          

[NIDDM2]は、若い人に発症例が多い別種類の糖尿病の原因となる [MODY3]遺伝子と同じ場所にあった。同一の遺伝子に別の変異が生 じ、異なったタイプの糖尿病を発症させていることが考えられという。1996.9.12《日経産業新聞》」

■タンパク工学から、治療薬『ヒューマログ』(参照→タンパク質)

■インスリン非依存型糖尿病に異なる仕組み
「糖尿病患者の9割以上を占めるインスリン非依存型糖尿病の原因に、従来と異なる新たな仕組みがあることを、東京大学の研究チームがマウスの実験で突き止め12日発行の「サイエンス」に発表した。
研究チームは同大大学院医学系研究科の門脇孝講師と江藤一弘医師ら。インスリン非依存型糖尿病は、血糖値を調節する働きのあるインスリンが膵臓の細胞から十分分泌されなかったり、分泌されても正常に機能しない結果、起こる。
血液中の糖分が増えると、膵臓の細胞に信号が入るインスリンを放出するが、門脇講師らは一連の信号伝達経路に別の「バイパス」があり、これが主要な働きをしていることをマウスを使って調べた。1999.2.12《日本経済新聞》

■飲み薬開発へ
「インスリンに代わる糖尿病治療薬となる可能性の高い物質を初めて発見したと、世界最大の製薬会社・米メルク社の研究チームが、7日発売の米科学誌サイエンスで発表する。新物質は、飲むとインスリンと同様に作用し、インスリンの作用を増幅する働きもある。
研究チームは50000種以上の物質を試験し、アフリカ・コンゴ共和国で採集されたカビの一種から新物質を見付けた。培養したハムスターの細胞を使って実験でインスリン同様の働きを確認。糖尿病にかからせたネズミを使って実験でも、経口投与後約4時間で血糖値が通常値近くまで低下した。
インスリンは飲んでも吸収されないため、注射しか方法がなかったが、新物質は飲むとそのまま体内に吸収される大きな特徴があるという。研究チームは今後、人体で同様の効果が得られるか、常用しても毒性がないかなどの試験を実施していくという。》

■カエルの胚細胞から膵臓
「東京大学の浅島誠教授らの研究グループは試験管の中でカエルの胚細胞から膵臓を作ることに成功した。胚は受精卵が成長して出来た若い細胞の塊。これまで同様にしてカエルの肝臓など13種類の組織・器官を作ってきたが、ホルモンを分泌する器官は初めて。糖尿病の新しい治療法の開発を前進させるヒントになりそうだ。
浅島教授らはアフリカツメガエルの胚から1000個程度の細胞塊を取り出し、ある種の化学物質を溶液に浸して、細胞を組織へと成長させる刺激を与えた。およそ4日間培養すると細胞塊は腸管を形成、その中に膵臓が出来た。この膵臓の細胞を詳しく調べたところ、血糖値を調節するインスリンなど2種類のホルモンを分泌していることが確認できた。
細胞から人工的に作り出した膵臓を糖尿病患者に移植すれば病気を根治できると考えられ、世界中で盛んに研究されている。」2000.6.24《日本経済新聞》

■人工皮膚でインスリン分泌
「遺伝子の導入によって、インスリンを分泌する人工皮膚を作り、膵臓の代役をさせることに、科学技術振興事業団の広島県組織再生プロジェクト研究チームが成功、30日に広島市で開かれた日本組織工学会で発表した。
研究チームは、人間のひふ(真皮)を作る線維芽細胞に、インスリンを作る遺伝子をレトロウイルスを運び役にして組み込んだ。これをゼリー状のコラーゲン(結合組織)に包み、表皮細胞とともに約5日間培養し、直径1.5cmの人工皮膚を作った。安全のため、病原性や増殖に関係する遺伝子部分を除いたウイルスを使った。
人工皮膚を調べたところ、インスリンが分泌されていることが確認された。」

■β3アドレナリン受容体
「山之内製薬は従来製品と異なる新しい機能を持った糖尿病治療薬「YM178」について、欧州で少数の患者を対象にした第二相臨床試験を開始した。血糖値抑制の他、肥満抑制の効果も期待されている。YM178は脂肪組織に多く存在す β3アドレナリン受容体という物質に働きかける糖尿病治療薬。脂肪を分解して血糖値を調整するインスリンが体内で効きやすくなる効果があるとされる。」2002.6.6《日経産業新聞》

■痛くない注射針
「医療用具国内最大手のテルモは、針先端の直径が0.20mmと世界で最も細い注射針を開発した。針を皮膚に刺したときの傷口を小さくすることで「チクッ」とする痛みをほとんど感じずにすむという」2002.12.16《日本経済新聞》

■痛くない血糖値測定
「東芝とシスメックスは血液を採取せずに血糖値を自己測定できる技術を開発した。体表に電極を当て微弱な電流を流すと、皮膚中の組織液が体表に吸い寄せられ、これを収集する。」2003.4.18《日経産業新聞》


◎糖代謝異常の疾患には、以下のものがあります。
糖尿病
糖原病(筋酵素欠損症)

<1>先天的糖原代謝の関連酵素が欠如している為に、糖原(グリコーゲン)が肝・腎・筋肉などに蓄積する病気。(→糖原病)

<2>糖原病には以下の種類があります。
          ①von Gierke病
          ②Pompe病
          ④Cori病

◎糖尿病と活性酸素:
「自己免疫反応やウイルス感染で起きるⅠ型糖尿病の場合、ベータ細胞中に活性酸素が過剰することが分かっています。また、アロキサンという化学物質をマウスに投与して糖尿病を作ることが出来ますが、この場合の発症メカニズムは、アロキサンが生体内で酸化還元される時に[Oー2」(スーパーオキシドアニオンラジカル)が生成し、これから過酸化水素、さらに[・OH](ヒドロキシラジカル)が出来、これが膵臓のβ細胞に傷害を与えてインスリンの分泌が無くなると考えられています。そして、この考えは[・OH]の消去剤を投与するとアロキサンによる糖尿病の発症が抑えられるという実験によって支持されています。
あるマウスの系統は非常に糖尿病になりやすくて、生後40週になると雌で90%、雄で40%と効率に発症しますが、SOD、カタラーゼなどの抗酸化活性は、雄に比べて膵臓で半分程度、ランゲルハンス島では数分の一程度と雌の方が低くなっています。これは雌では生来抗酸化酵素の仮性が福井ために、生後ずっと酸化的ストレス状態が続いて、40週目にはほとんどのマウスが発症するものと考えられています」(永田親義著「活性酸素の話」より)

■ブドウ糖の取り込み解明へ
「糖尿病の発症メカニズムの研究は急速に進歩している。血中のブドウ糖は筋肉などの組織に取り込まれ、そこでエネルギー源として消費される。この取り込みの仲立ちをしているのがインスリンだ。もし組織側に何らかの原因があってインスリンに対する反応性が悪いと、膵臓はそれを補うために通常より余計にインスリンを分泌する。
しかしその時期が長く続くと膵臓は疲弊し、今度はインスリン分泌が通常より低下する。ブドウ糖はますます組織に取り込まれにくくなり、血糖値が上昇する。これが糖尿病の発症進行の大まかなシナリオだ。発症には組織側のインスリンに対する反応性の悪さ(インスリン抵抗性)と、膵臓でのインスリン分泌不全が関係していることになる。
一方、組織がブドウ糖をどう取り込むかは不明な点が多いが、最近では次のように考えられている。インスリン受容体がアンテナのように張り巡らされている。インスリンがこの受容体に結合するとシグナルが伝わり、細胞内の糖の運び屋、つまり糖輸送担体が活発化し膜表面に移動する。そして糖輸送担体は血中のブドウ糖を取り込み、細胞内へ入れる。
では、インスリン抵抗性がある場合にはどんなことが考えられるか?
理論的には、インスリン受容体あるいは糖輸送担体が少ないこと、細胞内のシグナル伝達に関係があることなどが挙げられる。これらの中には動物実験で証明されているものもあるが、人の糖尿病での証明ということになると、もう少し時間が必要なようだ。
ところで、糖尿病発症メカニズムに関して昨年、ボストンのロナルド・カーン博士らのグループがアメリカ糖尿病学会で興味深い実験結果を報告している。博士らはマウスの遺伝子を操作し、インスリン受容体が発現しないようにした。インスリンの指令が伝わらないからブドウ糖は取り込まれず、当然ひどい糖尿病になると予想した。しかし、このマウスは糖尿病にならなかったというのである。
この実験から想像できることの1つは、組織はインスリンによらないでもブドウ糖を取り込めるのではないか?という可能性だ。マウスは常に走り回って いる動物で、博士たちのマウスも例外ではなかった。走り回ることで筋肉細胞は絶えず伸縮を繰り返し、この刺激がインスリンとは関係なく糖輸送担体の働きを良くしたとも考えられるのだ。
運動療法でインスリン抵抗性が改善した例では、糖輸送担体の動きが良くなることは人の糖尿病でも認められている。もし筋肉細胞への直接的な刺激で糖輸送担体の働きが良くなるのなら、この事実もうまく説明がつく。運動で消費されるカロリー数はもともと少ないことを考えると、糖尿病での運動療法の目的は糖輸送担体の働きを良くすることととも言え、カーン博士らの実験は、其の意味での運動療法の有用性を、ある程度科学的に証明したことになるのかも知れない。19991.16《日本経済新聞》

■肝臓で糖合成
「神戸大学医学系研究科の春日雅人教授らの研究チームは、肝臓が糖を合成する反応を調節する仕組みを動物実験で突き止めた。米医学誌ネイチャーメディシンに1/12発表。
研究チームはマウスの遺伝子を操作して、肝臓で「STAT-3」と呼ぶ遺伝子を作れなくした。このマウスの肝臓では乳酸やアミノ酸などから糖を作る反応が活発になった。遺伝子を再び操作して、STAT-3を作れるようにすると、症状は改善した。」2004.1.13《日本経済新聞》

十二指腸ホルモン異常で糖尿病
「京都大大学院研究科の清野祐教授(病理代謝栄養学)らは、中高年に多い、「インスリン非依存型糖尿病」の発症には、血糖値を下げるホルモンのインスリンを作る膵臓細胞だけではなく、十二指腸などから出る別のホルモンの障害もからみ可能性が高いことを突き止め、米国科学アカデミー紀要の発表した。
インスリン非依存型糖尿病は、肥満や過食が引き金になって、血糖値が慢性的に高まり、重症になると、糖尿病性網膜症や腎不全、神経症などの合併症を起こす。
血糖値を下げるのは、膵臓のβ細胞が作るインスリンで、患者はインスリンが分泌されにくくなる分泌障害や、筋肉、脂肪細胞、肝臓などにインスリンがきちんと働かない作用障害などで高血糖状態が進む。日本人は分泌障害が多い。
従来はβ細胞の障害が主な原因と見られていた。しかし、β細胞が高血糖状態を感知するのは通常、ブドウ糖が下部小腸で吸収される食後約1時間たってからなのに、健康人では食後上がり始めた血糖値がすぐ正常値に戻る。一方、糖尿病患者では血糖値が上がりっぱなしになることから、清野教授らは消化管もからんでいるとみて研究した。
消化管が分泌するいくつかの物質をラットに投与して、インスリン分泌との関係を調べた。すると、小腸の上にある十二指腸と上部の小腸から出るホルモン『GIP』が、小腸からのブドウ糖吸収に先駆けて分泌を促している可能性が高まり、次の実験をした。
β細胞の表面にあって、GIPを受け取るアンテナ役のタンパク質の遺伝子を壊したマウスを作って、ブドウ糖を投与したところ、すぐに高血糖状態が現れた。GIPは胃酸の分泌を押さえるホルモンとして数10年前に見つかっていたが、インスリン分泌との関連が実証されたのは初めて。十二指腸に食べ物が入ることがスイッチとなって、GIPが分泌される。
清野教授は「糖尿病の原因は複数あると思われてきたが、かなり実態が見えてきた。発生メカニズムの解明と治療法の開発につなげたい」と話していた。」

■見逃される『膵性糖尿病』
「膵臓ガンで膵臓を切除したり、慢性膵炎で組織が石灰化したりすると、糖尿病を合併しやすい。こうした患者に「血糖ばかり気にして、通り一遍の糖尿病治療を続けるなど、適切な治療が行われていない例が多いようだ」と、弘前大第三内科助教授の仲村光男さん(51)は指摘する。
青森県のDさん(56)は、20歳から毎日5合(0.9リットル)の日本酒を飲み、24歳頃から急性膵炎で何度も倒れ、病院に運ばれた。38歳で糖尿病、40歳で膵臓に石が見つかり、慢性膵炎と診断されながらも、腹部の痛みを、酒で紛らわしていた。
ところが、45歳で痛みがピタリと止んだ。医師もDさんも膵炎が治ったと思っていたが、大便の量が2倍になり、回数も1日2~3回に増えた。酒はやめていたが、翌年、心筋梗塞で弘前大病院に運ばれた際、糖分の消化吸収不良を伴う『膵性糖尿病』と診断された。
「膵臓」には、糖代謝を調節するインスリンなどのホルモンを分泌する「内分泌機能」と、強力な消化酵素を含む膵液を分泌し、脂肪やタンパク質などを分解する「外分泌機能」がある。
Dさんは両方の機能が働かなくなっていた。この場合、脂肪便と便量・回数の増加、体重減少、突然の低血糖などを起こし、死に至る場合もある。「食事や運動に気をつけていても、血糖の調節がうまくいかず、急激に痩せてくる。糖尿病と診断される人の1%程度はいるのでは?」と中村さんは推測する。
Dさんは、糖尿病と診断されていたため、インスリンの自己注射をしていたが、朝方に低血糖となり、救急車で運ばれることが何度かあった。63kgあった体重は、40kgに減少した。
治療は、インスリンに加え、外分泌機能を助ける消化酵素を大量に投与する。高血糖を下げるインスリンを使いながら、腸から糖の吸収を促し、低血糖になるのを防ぐ消化酵素を大量に補うことで、血糖調節をスムーズに行う。
Dさんの場合、通常の8倍の消化酵素を服用し、禁酒を続け、脂っこい食事を避けている。「便の量が前に戻って、低血糖も無くなりました」と喜ぶ。
中村さんが診察した弘前市の女性(69)は、他の病院で膵臓を摘出、糖尿病を併発し、低血糖のため搬送されてきた。「膵臓が無いことことさえ考慮せず、血糖だけを見て治療を続けた」結果だった。中村さんは「外分泌にも目を向ければ、膵性糖尿病の診断や治療は決して難しくないはずだが-----」と言う。
東京女子医大名誉教授で、膵臓病研究財団理事長の竹内正さん(70)は、「そもそも膵臓。肝臓など消化器の分野から、糖尿病を切り離して考えるのがおかしい」と言い切る。40数年前に日本消化器学会から日本糖尿病学会が独立したため、消化器全体を診られない内科医が増えてきた」と、竹内さあん。
医学会の“縦割り体制”が、膵性糖尿病患者を見逃してきたと言える。

■合併症の診断----感度5倍
「ユニチカは網膜症など糖尿病に伴う合併症を高い感度で診断する技術を開発した。合併症の原因物質である体内のソルビトールと呼ぶ分子にだけ反応する酵素を土壌中の細菌から発見、これを利用することで感度を従来の5倍に高めた。ソルビトールを低い濃度でも検出できるため、合併症の早期発見や予防に役立つ。」
網膜症・腎不全・神経障害といった糖尿病の合併症は、糖の一部であるソルビトールが細胞内に溜まる結果起こる。血中のグルコース(ブドウ糖)濃度が高くなる糖尿病患者の場合には、グルコースが変化して出来るソルビトールの量も多くなり合併症を引き起こす。」2000.7.6《日経産業新聞》

■原因遺伝子
「東京都臨床医学総合研究所とベルギーブリュッセル自由大学の研究グループが突き止めた。『SHIP2』という遺伝子には細胞が糖を取り込むのを妨害する働きがあるという。」

■ミトコンドリアDNAの個人差
「東京都老人総合研究所などのグループは、細胞内のミトコンドリアにあるDNA(デオキシリボ核酸)の個人差が、糖尿病のかかりやすさを左右していることを突き止めた。
遺伝情報を記録したDNAは大半が細胞核の染色体に納められているが、ごく一部はミトコンドリアという小器官に収められ、母から子へ受け継がれる。
グループは岐阜県の県立病院を受診した患者のミトコンドリアDNAの個人差を解析した。
ミトコンドリアDNAは日本人の場合、個人差によって大きく約10種類のグループ(ハプログループ)に分類できる。糖尿病患者1289人と健常者1617人を比べた。全体の約4%で見つかる『N9a』というグループの配列を持つ人は、それ以外の人と比べると、糖尿病にかかる人の割合が55%だった。また、女性に限定した場合、発症者の割合は27%に下がることがわかった。
逆に、全体の約6%で見つかる『F』というハプログループを持つ日本人では、発症率が通常の1.54倍に高まることがわかった。
成果は米人類遺伝学会誌に掲載。20071/17《産業》

■マーカー発見
「京都府立医科大学の吉川敏一教授が大阪商工会議所などの支援を受けて設立したベンチャー「バイオマーカーサイエンス」は、糖尿病が発症する前段階でリスクの度合いを予測できるバイオマーカーを発見した。太陽化学・京都府立医大と共同研究。
まず、大塚製薬が開発した2型糖尿病の自然発症型実験動物モデルの「OLETFラット」を使い、糖尿病の発症リスクがあった際に血中濃度が変動するタンパク質1080種類を抽出。そのうち、糖尿病の予防効果があるとされる水溶性食物繊維を摂取した場合に変動する14種類のタンパク質を絞り込んだ。
そこから、発症リスクがあると増え、水溶性食物繊維の摂取で軽減する2つのタンパク質を選び出した。2008/12/2
「アポリポタンパク質C2」
「修飾トラスサイレチン」
 

【漢方薬】      
■一貫煎
■益胃湯
■固本丸
■五苓散
■牛車腎気丸
■柴胡桂枝乾姜湯
■滋陰降火湯《万病回春》
■四君子湯
■炙甘草湯
■沙参麦門冬湯
■小建中湯
■小柴胡湯
■小承気湯
■清心蓮子飲
■銭氏白朮散
■増液湯
■大柴胡湯地黄
■竹葉石膏湯
■知柏地黄丸
■調胃承気湯
■猪苓湯
■抵当湯
■当帰芍薬散
■人参湯
■梅花湯
■麦門冬飲子
■麦門冬湯
■八味地黄丸
■白虎加人参湯
■白虎湯
■防風通聖散
■愈消散
■養胃湯
■六味丸
  

かくれ糖尿病
新発見
①毛細血管が破れる・・・・太い血管も傷つく
②空腹時の血糖値・・・食後の血糖値が急上昇すれば「隠れ糖尿病」
③運動と食事制限・・・血糖値を測るだけでOK。

*検査で正常でも糖尿病=かくれ糖尿病
*息苦しい、胸に大きな石を置かれた感覚・・・心筋梗塞の症状。今まで健康検査の所見で異常なし。その原因がかくれ糖尿病だった。
液体(ブドウ糖液)を飲んでから検査。2時間後、血糖値で糖尿病の前段階が分かる。空腹時の血糖値は正常値(140)の範囲内だが、空腹時にブドウ糖液を飲んでから2時間後の血糖値が糖尿病患者と同じレベル(200)
2時間後のインスリンの血中レベルは高いのに、
阻害物質がジャマする。脂肪細胞が阻害物質にあたる。ウエストが大きくなっている人は阻害物質が多い。

■診断ソフト
「医療検査機器大手のシスメックは、糖尿病の診断ソフトを開発した。『システム生物学』と使ってコンピューター上に再現。患者1人ひとりにあった適切な薬を選べる。
【システム生物学】
遺伝子や細胞の働きがそれぞれに影響しあう様子をコンピューターでシミュレーションするバイオ研究。
糖尿病は膵臓から分泌されるインスリンが不足したり、効かなくなったりして発症する。国内には約740万人の患者がいる。新ソフトは、肝臓や膵臓、筋肉など末梢組織で、糖分やインスリンが行き交う様子をシミュレーションする。過去の症例を詳しく解析し治療がうまくゆくコツを20種類以上の化学反応で示し、数式化した。
具体的には、患者ごとに血糖値やインスリン濃度など検査データを入力し、食べた糖分が肝臓に流れインスリンの作用で筋肉に取り込まれる様子などを系算する。
「膵臓でインスリンの分泌が少ない」
「肝臓で糖の取り込みが足りない」
「インスリンの効きが悪い」
などを判定。5種類の糖尿病治療薬から患者の症状にあった薬を自動的に選ぶ。
2008年から数十の医療機関と大規模研究を始める。
   

【インスリン抵抗性】
「東北薬科大学のチームは。糖尿病患者の体内で血糖を下げるインスリンが効きにくくなる状態が起こす仕組みの一端を解明した。『ガングリオシド』という糖脂質が関わっていることを突き止めた。
インスリンとは血中のブドウ糖を肝臓などの細胞へ取り込ませるホルモン。肥満で内臓脂肪がたまり、インスリンが効きにくくなる『インスリン抵抗性』が慢性的に続くと、重い2型糖尿病や動脈硬化につながるとされる。ただその発症メカニズムの詳細は不明。
東北薬科大学の井ノ口仁一教授らのチームは、マウスの脂肪組織をインスリン抵抗性の状態にしたとき、細胞膜の糖脂質の一種であるガングリオシドが増えることに着目。分析の結果、増えたガングリオシドが、細胞でブドウ糖を取り込むスイッチとして働く『インスリン受容体』を働かなくさせることを突き止めた。その結果、細胞がブドウ糖を取り込む能力を失うと結論づけた。
研究チームはすでにガングリオシドの生成を妨げる物質を作って、インスリン抵抗性を解消できることも明らかにしている。20078/15産業


 糖尿病検査
■血糖値の測定・・・5秒
「オムロンヘルスケアは2008年4/25、血糖自己測定器「プレシジョン エグシード」を発売。
指先から採取した血液を1滴、試薬チップに垂らし測定器にかけると5秒ほどで血糖値を測れる。米アボット・ラボラトリーズの製品を扱う
■いつでもOK
「キッコーマンは血糖値の測定に向く新型の酵素を開発した。熱にタイする安定性が従来の酵素より約80倍高い。酸化・乾燥にも強い。
糖尿病患者が血糖を計測する場合、糖の一種のグルコースを測るのが一般的だが、食事の影響を受けやすい。新しい酵素は別のタンパク質にくっついた糖を計測するため食事の影響がない
開発した酵素は『変異型フルクトシルペプチドオキシダーゼ』(FPOX)。ヘモグロビンA1c(HbA1c)酵素測定法と呼ばれる簡便な測定法で使える。
HbA1cは血中の糖成分であるグルコースがヘモグロビンとくっついたタンパク質。キッコーマンが開発した酵素はHbA1cが作り出す物質(分解産物)にだけくっつく性質がある。この酵素を生み出すカビの一種から酵素の設計図である遺伝子を取りだし、6個所を変異させて大腸菌のDNAに組み込んで酵素を生産。それを分析して熱に強い酵素を作り出す変異遺伝子を特定し、その遺伝子で新型酵素を作った。
できた新型酵素を50℃で加熱し、6つの変異遺伝子を使わずに作った酵素と性能を比較した。」2008/5/9



 糖尿病性壊疽→「壊疽」



 糖尿病性潰瘍
■糖尿病の合併症で起きる
「足の潰瘍の治療薬「イージーエフ」を韓国製薬大手の大熊製薬(ソウル)が開発。イージーエフは表示細胞成長因子と呼ばれるタンパク質『EGF』を使ったスプレータイプの医薬品。遺伝仕組み変えタンパク質の量産技術などバイオ技術を利用している」2002.10.9《日経産業新聞》

足の切断を防ぐ
「埼玉医科大学あ重度の糖尿病患者などの皮膚に出来る潰瘍の新しい治療法を開発した。糖尿病や足の動脈硬化・床ずれなどが原因で足や腰にできる重症の潰瘍を放っておくおと皮膚や筋肉組織が壊死する。
現在、日本国内にいる糖尿病患者(740万人)の1.4%が潰瘍を経験し、その2割が足や指を切断しなければならない。
市岡滋・埼玉医大助教授らが開発した新治療法は、まず患者の腰の当たりから骨髄液を採取して、ヤケドの治療
   




 糖尿病性ケトアシドーシス
⇒重症糖尿病で見られる。
◎アセトン、アセチ酢酸、β-オキシ酪酸の速やかな産生により
①ケトン血症と
②アシドーシスを呈する。
◎尿量増加、食欲不振、嘔吐で始まり、昏睡を起こす。


糖尿病性腎症
(糖尿病腎症)
=糖尿病の3大合併症
「糖尿病の3~4割の方が糖尿病性腎症になる。腎臓の毛細血管が傷つき濾過機能が低下し発症する。体内の塩分を排出しにくくなり血圧が上昇し、さらに腎臓に負担がかかり症状が悪化宇する。尿にタンパク質が出始めてから平均5~7年で人工透析が待っている。」
◎症状
①早期腎症期
・尿中にアルブミンが少量出るが、尿検査では陰性。
・腎臓の機能は正常。
・自覚症状がない。
②顕性腎症期
・尿タンパクが出る
・足などがむくむ。
・血圧も高くなる
③腎不全期・・・以下の症状がひどくなる
・貧血
・皮膚のかゆみ
・吐き気
・息切れ
・動悸
   

●糖尿病が原因の腎臓病が急増。
「糖尿病患者の増大に伴い、糖尿病が原因で腎臓の機能が低下する『糖尿病性腎症』が急増している。慢性腎不全で人工透析を受け始める人の内、此の病気の人が占める割合も増え続け、今では3割を超えている。
 糖尿病と腎臓病という「異分野」の医療のはざまで、医師側の連携がうまく取れていない場合もあって、早期に見つける検査法がありながら、発見は遅れがちだ。
新潟大学付属病院で6月から人工透析を受けている男性(43)は30歳の時、職場の健康診断の尿検査で糖が出て糖尿病と診断された。地元で通院していたが、5年ほど前に糖尿病性の網膜症に罹り、病院を訪れたところ、今度は尿から、腎機能の低下を示すタンパクも見つかった。合併症の一つである糖尿病性腎症が、すでに進行していた。「合併症を気にかけるようになったのは、目が悪くなってから。それまで腎症のことは、ほとんど知らなかった」と男性は言う。今は仕事をしながら、週3回の透析を受けている。
糖尿病で血糖値が高くなると、血圧が上がったり、血管が硬くなったりする。さらに糖が腎臓の組織の中にまで入り込み、そこのタンパクと結びついたりして、組織そのものを変質させてしまう。こうして腎臓は、体内の老廃物をうまく濾過できなくなってしまう。これが『糖尿病性腎症』だ。遺伝的な要因も指摘されているが、長く糖尿病を患っている人の4割近くが発症すると言われている。
糖尿病と腎臓病とで専門が分かれている為、現実には診断や治療にあたる医療側の体制が、必ずしもうまく組めていない。早期に見つけて、治療を始めるケースが増えれば、進行も食い止めやすくなるのだが・・・」と新潟大学医学部の荒川正昭教授(腎臓内科)
(アルブミン)・・・早い段階で見つけるには、尿にわずかに含まれる『アルブミン』というタンパクの量を測る。血液中の水分を保持したりしている物質で、健康な人の尿にはほとんど含まれていないが、腎機能が落ちると、尿に漏れ出す量が増える。
  1日に30mg以上が排泄されるようだと、腎症に進む可能性が高い。300mgを越えれば腎症だ。
ところが、滋賀医大の吉川隆一教授(内科学)によると、職場の健康診断などでは普通、尿にタンパクが含まれているかどうかは調べても、微量のアルブミンまでは測らない。
 「タンパクが出るのは症状がかなり進んだ段階で、それから治療するのでは本当は遅い。糖尿病の人は、年に一度は尿中のアルブミンの量を調べて欲しい」と吉川教授。1996.7.7《朝日新聞》」
   


■血糖管理で発症防げる
「Dさんは56歳の公務員で中年になって糖尿病といわれ、すでに10年以上になる。最近、タンパク尿を指摘された。
糖尿病患者にタンパク尿が認められることは18世紀ごろから知られていたが、糖尿病に特異病変があるとは考えられていなかった。腎臓の糸球体に病変があることが分かったのは1936年で、キンメルチールとウイルソン博士が発見した。


■初の治療薬
「2006年4月、ニューロタンが認められた。ニューロタンはアンジオテンシン受容体拮抗薬と呼ぶ高血圧治療薬。腎症になると、体内の老廃物や余分な水分を濾し取る腎臓の糸球体内部の血圧が上昇、尿タンパクが出てきて腎機能の低下を招く。ニューロタンは糸球体から血液を送り出す輸出細動脈を拡張させ、糸球体内の血圧を下げてくれる。
糸球体が損傷したときに限り尿の中に漏れ出すタンパク質『微量アルブミン尿検査』が有効になる。この検査は糖尿病患者を対象に、糖尿病性腎症を見つける目的で保険適応に成っている。3ヵ月に1回検査を受けることが出来る。」

八味地黄丸
「糖尿病の3大合併症が糖尿病性腎症、網膜症、末梢神経障害です。糖尿病性腎症の初期にはあまり症状が出ません。しかし、血糖値のコントロールができないと、血液透析や腎臓移植を受けないとならなくなります。
質問者はクレアチニンが3.6mg、血中の尿素窒素が52mgです。腎機能が既に正常の1/10以下なので慎重な治療が必要です。
まず、血圧を正常に保つ。
タンパク質を制限するするなど一般的な腎不全に対する治療を医師の指導の下に守ってください。
漢方治療としては「温脾湯」「桂枝茯苓丸」「八味地黄丸」などが腎機能低下の防止に役立つとされています。
生薬では「大黄」「丹参」「薬用人参」「緑茶」などに慢性腎不全患者の血液透析導入までの期間を延長させる効果が認められています。
特に糖尿病性腎症においては八味地黄丸のなかの「山茱萸」に有効成分が見つかり、注目されています(花輪壽彦・北里大学東洋医学総合研究所所長)09/9/6




糖尿病性掻痒症
  【漢方薬】
■八味地黄丸
■六味丸



糖尿病性網膜症

■糖尿病で血管障害が進むと、血中の[プロレニン値]が上昇する。

■糖尿病になると細胞内にある酵素「プロテインキナーゼC」の働きが活発になり、網膜症や腎疾患などの合併症を引き起こす。(参照→プロテインキナーゼC)

サリドマイドが有効。
   

■失明防止に役立つタンパク
「米ノースウエスタン大学の研究グループは、目の血管形成を防ぐ働きをするPEDFというタンパク質が、失明を防ぐ治療に役立つことを動物実験で突き止めた。糖尿病が進行して網膜の血管が細くなり失明に至る糖尿病性網膜症の治療に利用できることが期待される。
研究グループによると、PEDFの生産量は網膜にある酸素の量で調節されているという。」2001.2.22《日経産業新聞》

■傷ついたタンパク質
「糖尿病が進むと、活性酸素によって血管のタンパク質の一部が酸化されて傷つき、動脈硬化や網膜症などの合併症が起きやすくなる。タンパク質が傷ついている程度が分かれば、病気の進行度が測れる。
北里大学の小寺義男講師らは、酸化してきずついたタンパク質を検出する化学物質を開発した。組織や血液から抽出したタンパク質と化学物質を反応させた後、磁石の微粒子と混ぜると、傷ついたタンパク質だけを集めることが出来る。
人工的に傷つけたアンジオテンシンというタンパク質を心臓に含まれる様々なタンパク質と混ぜて検出を試みた。その結果、傷ついたアンジオテンシンの量を測定することが出来た。」2005.12.16《産業》




統合運動障害
⇒運動能力や臭覚の低下や、新しい状況下で過剰にストレスに影響されて過敏症になるか又は感受性低下を引き起こし、他人に接触されることを嫌がる。
【栄養療法】
DHA   


統合失調症
=以前は「精神分裂病」と呼ばれていた。
「妄想や幻覚などが症状に出る精神疾患で、患者数は全国で約73万人。慢性的な病気で、長期間の治療が必要になる。治療には現在でも古いタイプの向精神薬を使っている医師も少なくない。」
■副作用で1人死亡
「厚生労働省は11/7、統合失調症(精神分裂病)の治療薬「セロクエル(一般名:フマル酸クエチアピン)の製造元のアストラルゼネカ(大阪市)に対し、医療機関に注意換気するための緊急安全性情報を出すよう指示した。投与患者のうち13人に高血糖や糖尿病性昏睡などの副作用が出て、うち1人が死亡しているため。
同社は糖尿病の患者や既往歴のある人に投与しないことや、投与中は血糖値の測定を十分にすることなどを記した緊急安全性情報を発光。
セロクエルは2001/2月に発売され、外部に対して良好な関係がとれないなど、従来の治療薬では効果が得にくかった統合失調症の陰性症状に効果があるほか、副作用が少ない特徴があるハズだった。
厚生労働省は「副作用が日本人に多い糖尿病だったことを重視した」2002/11/8《日経産業新聞》
■糖尿病患者へ投与禁止
「セロクエルには血糖値を下げるインスリンの分泌を阻害する作用もあり、厚生労働省は「服用で血糖値を急激に悪化させる恐れがある」としている。6月に死亡した50台の男性は、当初糖尿病の疑いがなかったが、セロクエルの投与から約8ヶ月経過した頃から清涼飲料を1.5リットルボトルで命日数本飲むようになり、血糖値が急上昇。その後意識障害を起こしたため投与を中止したが、2日後に死亡した。2002.11.8《日本経済新聞》
■発症促す遺伝子
「産業医科大学の研究グループは、統合失調症の発症しやすさの関与する可能性のある遺伝子の微妙な個人差(一塩基多型(SNP)」を突き止めた。
同大の新開隆弘助手らは、神経細胞を傷つける作用が指摘されている一酸化窒素に注目。215人の患者と182人の健康な人で一酸化窒素を合成する遺伝子に違いがあるかどうかをしらべた。
この遺伝子の特定部分の一塩基が患者ではチミン(T)である割合が高く、健康な人ではシトシン(C)が多いことが分かった。
研究グループは、この個人差が遺伝子機能に何らかの影響を及ぼして統合失調症の発症の危険性を高める恐れがあると推測している。
統合失調症は人口の1%にみられ、幻覚などの陽性症状と、意欲や思考力の低下などの陰性症状を伴う。2002.11.19《日経産業新聞》
■病因
「幻覚や妄想などに加え、意欲や思考力の低下を伴う統合失調症。発症率は人口の約1%と患者数が多い。入院患者は日本だけで20万人に達する。
明確な原因は分かっていないが、一卵性双生児が共に発症する危険性が二卵性より高いことから、遺伝要因が関与することは確かとされる。
統合失調症の発症に関する仮説に基づいて、疑わしい遺伝子やタンパク質を選び、患者と健康な人を比較研究する「相関研究」という手法が盛ん。
仮説・・・「神経発達障害説」
何らかの原因で脳の発達がうまくいかず、それが病気を引き起こすという仮説。10代後半の思春期以降から20代までに発症するケースが多いことが裏付け。新潟大学脳研究所の郡波宏之教授らは、脳の発達に不可欠なEGFという栄養因子の注目し、この仮説に沿った相関研究をしている。
産業医科大学の新開隆弘助手らは一酸化窒素に注目している。
仮説・・・「神経伝達異常説」
脳の発達障害ではなく神経伝達系の異常が原因と考える。患者の脳内で神経伝達物質の一種であるドーパミンが過剰に働いていることが根拠。
筑波大学の有波忠雄助教授らは神経細胞同士の連結部(シナプス)でドーパミンと結合するD2という受容体タンパク質に着目。
西川徹・東京医科歯科大学教授は病気のネズミで神経伝達にかかわるグルタミン酸受容体が抑えられているのに着目。2002.11.25《日経産業新聞》
■病因遺伝子の照準
「連鎖解析をきっかけに見つかった初めての関連遺伝子になるかも知れない」。アイスランドのデコード・ジェネティクス社などのグループが今夏に発表した。連鎖解析とは特徴的な塩基配列の繰り返しなどを手がかりに、患者が共有する確率の高い染色体の領域を探る研究だ。
アイスランドの人口は約28万人で、他の国に比べて遺伝的に均質性が高い。デコード社は、統合失調症が多発する33家系から110人を選び出して連鎖解析を実施。8番染色体の特定領域を見つけだした。2002.11.26《日経産業新聞》

■聴覚機能が低下
「東京大学の笠井清登助手と加藤進昌教授らは、統合失調症患者に特有な脳の機能低下を突き止めた。健康な人に比べて音声の変化を聞き分けて反応する脳活動に違いが認められた。
被験者に「あ」を続けて聞かせながら突然、音を「お」に変えたときなどの脳活動の様子を監察した。
健常者では音声の変化に反応した特徴的な現象「ミスマッチ陰性電位」を検出できる。ところが統合失調症患者ではこれが30~40%も減衰していた。思考力などを司る前頭葉の前部、聴覚や言語理解などに関わる側頭葉の特定部位でこうした機能低下が目立ったという。
「ピッ、ピッ」という単純な音や「あ」という特定音声の長短の変化に対しては大きな違いがなかった。患者は音声の違いを聞き分ける機能に異常がある可能性があるとみている。」2003,.3.3《日経産業新聞》
■遺伝子発見
「米マサチュセッツ工科大学(MIT)の利根川進教授、宮川剛主任研究員らの研究チームは幻覚や思考力低下を引き起こす統合失調症の発症に関連する遺伝子を発見。
研究チームは神経細胞の成長などを司る酵素『カリシニューリン』の遺伝子を破壊したマウスを作った。このマウスは落ち着きが無く、動き回ったり、些細なことに気をとられるなど統合失調症ににた症状を示した。
統合失調症患者と家族の協力を受け、410の家族でこの遺伝子を詳しく分析したところ、この遺伝子で特定の型を持つ人は発症のリスクが高いことが分かった。」2003.7.1《日経産業新聞》
   
■近赤外光
「東京都精神医学総合研究所の榛葉俊一副参事研究員らは、脳の働きを近赤外光で調べ、診断への応用を目指している。たとえば、「0」から「9」までの数字をでたらめに並べてもらうと、健康な人では脳の前部の働きが高まるのに対し、患者ではこうした変化がほとんど無い」2003.9.1《日本経済新聞》

■判定装置
日本大学医学部の小島卓也教授らの研究グループは、統合失調症かどうかを判定する診断装置を開発した。約10分で結果が出て、診断精度は70%。医師の診断を補助する装置として実用化を目指す。
統合失調症では通常、精神科の医師が患者を面接し、幻聴や妄想などの症状をもとに診断している。診断のガイドラインはあるものの、医師の裁量で診断内容が左右される。
統合失調者と健常者を調べたところ、患者の72%を正しく判定した。健常者を患者と間違える割合は20%だった。
統合失調症は中枢神経の発達異常で思春期に発症することが多く、志向や行動・感情などを1つの目的にそってまとめていく能力が徐々に低下し、幻覚や幻聴・妄想などに悩まされることもある。世界で100人に1人が罹っているとされる。2006.3.22《産業》
■SNP
「国立精神・神経センターの功力浩部長らは遺伝子の僅かな個人差であるSNP(一塩基多型)を調べ、統合失調症患者に多いSNPを突き止めた。患者の脳ではドーパミンという神経伝達物質が過剰になるが、ドーパミン分解に関わるタンパク質『COMT』の遺伝子の働き良くないタイプのSNPが多かった。こうした患者の前頭葉や側頭葉は神経構造の異常が大きく、病気の症状が重くなることが分かった。
名古屋大学の尾崎紀夫教授らは統合失調症で別のSNPを見つけた。神経の接続部分シナプスの形成に異常が多いのに着目。神経線維を伸ばす働きのある『DISC1』という遺伝子に健常者と患者の違いが多かった。患者は神経線維が伸びにくいタイプが多く、シナプスの形成が不十分になりやすいという。
神戸大学の白河治・助教授らは、うつ病などもとで自殺した人の脳と、精神疾患以外の病気などで亡くなった人の脳を比べ、自殺者で働きの量が2倍以上多い遺伝子を9個発見。うち『14-3-3』という遺伝子のSNPが特に関係している可能性があるという。」2006.5/1《日経》
■副作用を予測
「筑波大学のグループは、統合失調症の治療薬を飲み続けると出てくる副作用をあらかじめ予測する遺伝子診断技術を開発した。3種類の遺伝子にあるSNP(一塩基多型)を調べて判定する。大規模臨床を進め、数年後の実用化を目指す。
統合失調症の治療薬[ハロペリドール]など旧タイプの向精神病薬を使い続けると、舌や口がひとりでにモグモグ動いたり、手や足がよじれたりする『遅発性ジスキネジア』と呼ばれる副作用が投薬開始から数年で出てくる。
ただ、この副作用が出る患者は約3割ぐらい。筑波大の有波忠雄教授らは300人の患者を対象に遺伝子の個人差と副作用の関係を調べた。その結果、脳内物質ドーパミンのD2受容体と連携して働く『HSPG2』『KCNB2』『GABRG3』という3つの遺伝子にある個人差が副作用の発症と関連していることを突き止めた。」200610/17《産業》
■関与4遺伝子を発見
「理化学研究所は、
日本人の統合失調症の発症に関与する4種類の遺伝子を突き止めた。これまでドーパミンやグルタミン酸などの神経伝達に関わる遺伝子が発症に関与すると指摘されていたが、新しく見つかった遺伝子は異なる働きをしているという。
理研脳科学総合研究センタの山田和男研究員、吉川武男チームリーダーらのグループは、米国人で統合失調症との関連で見いだされたカルシュニューリンというタンパク質に着目。この働きに関係する14種類の遺伝子について、日本人の統合失調症患者の124家系を対象に解析した。
その結果、カルシニューリンの元になるタンパク質を作る『ppp3CC』と呼ぶ遺伝子と、遺伝子の転写に関する『EGR1』『EGR2』『EGR3』に変異があると、統合失調症になりやすいことがわかった。」
■原因遺伝子
「理化学研究所などは、幻覚や妄想を引き起こす統合失調症の新たな原因遺伝子を見つけた。新遺伝子はDHA(ドコサヘキサエン酸)などの不飽和脂肪酸と結合するタンパク質を合成する。遺伝子の塩基配列の一部の違いによって胎児期に脳内の不飽和脂肪団のバランスが悪くなる場合あり、発症につながるとみている。
理研の分子精神科学研究チームの吉川武男チームリーダー、渡辺明子嘱託研究員らの成果。米科学誌に掲載。
音の刺激を与えると統合失調症と似た筋反射を示すマウスの遺伝子を解析、原因遺伝子を特定した。この遺伝子の塩基配列に含まれる個人差によって、タンパク質とDHAなどとの結合の強さが変わるという。
このため、一部の人では、神経細胞の正常な発達に影響が出ると見ている。亡くなった統合失調症患者の脳を調べたところ、原因遺伝子が正常な人より多く存在した。脳の成長期に不飽和脂肪酸が足りず、成人になってから遺伝子を増やして不足を補おうとしていることが原因と考えられている。」2007/11/14産業
■DNAに異常
「患者では1番と15番の染色体で特定領域のDNA塩基配列が欠失していることが2つの大規模調査で分かった。成果は2008年7/31のネイチャー電子版で発表。」
■原因遺伝子・・・特定
「患者と健康な人の全遺伝情報(ゲノム)を比較したところ、第二番染色体にある遺伝子に変異が見られた。
英カーディフ大学を中心とする研究チームは、英国人や日本人などの約16700名を対象に、ゲノム解析によって遺伝子の塩基配列を調べた。すべての患者で『ZNF804A』と呼ぶ遺伝子の塩基の一部が、健常人と異なっていた。
統合失調症は妄想や幻覚・認知障害などを起こす精神疾患で、しゃっしょういの8割が遺伝的要因とされている。」2008/8/11
■3つのタンパク質
「2008年、米ジョンズホプキンズ大学のチームは、統合失調症に関わると至れる3つのタンパク質の関連性を突き止めた。
3つのタンパク質のうち2つが一緒に働くことによって、『PCM1』を呼び寄せることが、正常な脳神経システムの発達に重要なことが分かった。
マウス実験で、2つのタンパク質が一緒に働かないようにしたところ、PCM1の量が減少し、記憶や思考を司る部分が正常に成長しなかった。」
■脳内に異常
「2008年9/11、幻覚や妄想が起きる統合失調症では、脳内に未熟な神経細胞が存在することを、藤田保健衛生大学の宮川剛教授らが動物実験で突き止めた。
統合失調症はこれまで行動や会話などの外見的な変化しか分からなかったが、脳内から明確な異常亜見つかったのは初めて。
統合失調症の状態にしたマウスを調べたところ、脳の海馬にある『歯状回』で異常が見つかった。歯状回にできた神経細胞は、うまく成長しなかったり活動が弱くなっていた。」
「脳に未成熟神経細胞」
神経細胞に多い酵素の一種を遺伝子操作で失わせたマウスが、統合失調症と似た症状を示すことを解明。このマウスの歯状回では、新しく生まれた神経細胞が成熟しないままになることが分かった。また、細胞の形や活動性が貧弱なほか、成熟細胞に特徴的な分子『カルビンジン』も減少していた。
統合失調症の患者が死亡後脳を分析すると、20人のうち18人でカルビンジンが目立って少なかったという。
【西洋薬】
「エビリファイ」大塚製薬
神経伝達物質であるドーパミンの受容体に作用する。陽性症状では伝達を抑制する一方、陰性症状では刺激を抑えて改善する
世界中で2200億円
・2007年6/27、12mgに増量。



動気(どうき)
⇒ちくちくと痛んで腹の中で動き、走る症。

【漢方薬】(#どうき)
■甘季根湯(動気にあっ発汗し、気が上衝して心臓のはじに止まっている)
■桂枝湯桂枝(臍の下の奔豚が心を刺す)
■柴胡桂枝湯(傷寒の動気が築痛する)
■大橘皮湯(動気に誤って発汗して心が煩悶し、骨が痛く、目がまわり、食物を吐く)
■防風白朮牡蛎湯(動気に誤って発汗して、血管が震え、筋肉がピクピクする症)


動悸(どうき) palmus
=ドキドキする (参照→「心房細動」「大動脈弁狭窄症」)
⇒心悸亢進 tachysystole

◎何病によらず、、動悸の激しいものは大抵は虚証であるから、強い発汗剤・下剤    などで攻めてはならない。《大塚敬節》

◎動悸を目標にして用いる薬物:《大塚敬節》
「地黄」「黄連」「茯苓」「龍骨牡蠣」「桂枝甘草」

“為則按ずるに、人参・黄連・茯苓の3味は、その功大同にして小異なり。
「人参」は心下痞硬して悸するを治するなり。
「黄連」は心中煩して悸するを治するなり。
「茯苓」は肉瞤筋愓(筋肉がピクピクと痙攣すること)して悸するなり”

 

◎バセドウー病や肺結核で心悸亢進を訴える者に、レントゲンをかけたり、灸をすえたりすると、反って動悸がひどくなったり、発熱したり、喀血したりして不安状態となり、安眠できなくなるものがある。漢方では、火熱による刺激によって病勢の増悪するのを火逆と呼んでいる。火逆による心悸亢進には「救逆湯」や「桂枝加竜骨牡蛎湯」を用いる。《大塚敬節》
臍部が石のように硬くて動悸の激しい者
予後が良くないものがある。臍部で動悸が亢進し、これを指頭で按圧してみると硬い塊がぐんぐん突き上がってくる感じがあり、強く押すと痛みに堪えがたいと言う、こんな患者は慢性病で衰弱している場合に見られるもので、漢方では脾虚の証だといっている。肺結核患者でこんな症状が現れると死期が近いと思わねばならない。こんな患者で下痢でも添えば尚更のことである。またこんな患者が数日間、便秘していることがあるが、下剤をうっかり用いると下痢が止まらなくなって、死期を早めることがある。
しかし、痩せた老人で、臍部が握り拳の様に硬くて、この部で動悸のしている者があり、他に苦しむところが無ければ、これは危篤の症ではない。八味丸、滋陰降火湯などの地黄剤の適応証である。《大塚敬節》

■神経症的な不安
「A子は21歳のOL。出勤する電車の中で息苦しくなり、動悸やめまいを覚えるようになった。内科を訪れて精密検査を受けたが、全く異常がない。しかし症状はその後ひどくなり、とうとう出社出来なくなってしまった。彼女は再び内科を受診した。そこで心理的な問題と言われ、私を紹介された。
面接の中でA子は、自分につらい症状があるにも関わらず、私を気遣って“私の話を聞いて、先生はお疲れになりませんか?”と何度も尋ねる。このような過度の気遣いが、彼女の特徴である。彼女は相手の気持ちを敏感に読みとり、相手の思惑に沿って振る舞おうとするのである。
A子のこうした性格は、一般的には望ましいものであろう。実際に彼女は多くの人たちから好感をもたれやすい。しかし、気遣いに無理があるので、気遣われた相手がかえって疲れてしまうということも多々あった。
また、彼女は人の頼み事にいやと言えず、ついつい背負い込んでいた。例えば、会社でも上司から頼まれた仕事をことごとく引き受けていた。最初のうちは家に仕事を持ち帰り、なんとかこなしていたが、それにも限度がある。結局、ある仕事をやりきれず、上司に注意された。出勤する途中で息苦しさを覚えたのは、その直後のことである。
A子の過度の気遣いは幼児期の体験とつながりがあった。母親は持病のため寝込みがちであったが、A子は自分が素直で良い子でなければ母親になにか悪いこと(病気の悪化、あるいは死)が起こるのではないか?と強く思いこんでいたのである。
そこには神経症的な不安と、心の中で想ったことがすぐに実現してしまうという錯覚がある。その不安と錯覚が強かったために、彼女は母親を過度に気遣い、さらに他人のことも過度に気遣う性格になっていったのである。
現代社会がいかにドライになったとはいえ、過度の気遣いから頼まれたらイヤと言えない性格は、日本人には少なくないであろう。それは確かに美点でもある。しかし、その背景に神経症的な強い不安がある場合には、A子のようなマイナスの面が目立ってくる。
A子にとって大切なことは、出来ないものは出来ない。と言えるようになることである。しかし、彼女にとってこれはなかなか難しい。もし出来ないと言ったら、相手の機嫌を損ね、何か悪いことが起こるのではないか、とひどく不安になってしまうからである。
A子の治療は、少量の抗不安薬と精神療法によって2年間ほどで終結した。過度に気遣ってかえって人間関係を損なう人の心には、神経症的な不安が潜んでいることが多い。」(賀陽濟・北山研究所顧問)1997.10.20《日本経済新聞》

■心拍数を減らし長生きしよう。
(名古屋大学医学部第一内科・林博史講師)に聞きました。
<1>心拍数と寿命は反比例の関係にある。
①心臓が拍動する周期[1回の収縮・拡張に要する時間]は、体重の(1/4)に比例する。
 体重と生理現象との関係で、「アロメトリー式」と呼ばれる。

・ハツカネズミ 30.0kg    600回/1分間
・ネコ     1.8kg     200回/1分間
・ゾウ      3000.0kg    20回/1分間
・人間      50.0kg     90回/1分間
・人間     100.0kg     75回/1分間

③“体重・心拍数によって、細胞の寿命や分裂回数もほぼ決まってきます”。       1日=24時間という物理的時間とは別に、動物は種によってテンポの異なる生物時間を生きていることになる。
人間の寿命を大体80年として拍動周期で割り、日常の活動を考慮すると、“人の一生の心拍数はざっと15億回~20億回になる”と言う。つまりこれだけ心臓が拍動すれば寿命は終わると、林さんは考える。

④1回の拍動で使うエネルギー=「1ジュール」
1)動物や個体差に関係なく一定。
2)心拍数が減るとともに代謝のサイクルが長くなる。すると時間当たりのエネルギー消費が少なくなり、寿命を延ばす要因になる。この関連から、体重が軽くなると寿命が短くなる。
3)ただし、「体重が重い」と「肥満」とは別の話。
健康的でバランスがとれていなければいけない。太りすぎはかえって心臓に負担をかけるので、マイナス要因になる。

⑤どうすれば心拍数を減らせるか?
1)速く歩く、ジョギングなどのトレーニングが基本。
普段、何の運動もしていない人は少し体を動かすだけで心拍数が上がり、運動を止めてもなかなか元に戻らない。
2)仕事などのストレスを晴らすために、飲酒するのは生命を削ることになる。 1997.6.8.《朝日新聞》」

【民間療法】
○アキグミ・鶏卵・ダイコンソウ・ツユクサ・チャ・ハチミツ・ヤマゴボウ。

【漢方薬】#どうき
■安中散
■温胆湯
■黄連解毒湯
■帰脾湯
■芎帰調血飲
■救逆湯
■九味檳榔湯(息切れ、胸苦しい、ふくらはぎの緊張、腹が張る・脹痛)
■桂枝加苓朮湯(動悸、四肢疼痛、こわばり、尿量減少、体力低下)
■桂枝加竜骨牡蠣湯
■桂枝甘草湯(傷寒の症が重いと両手で胃と胸をだきかかえてふるえる)
■桂枝人参湯(心下部で)
■交泰丸
■五苓散(臍下で動悸)
■柴胡加竜骨牡蛎湯
■柴胡桂枝乾姜湯(臍上動悸)
■柴芍竜牡湯
■柴朴湯(咳嗽、喘鳴、呼吸困難、喘息に常服)
■三黄瀉心湯
■三物黄芩湯
■酸棗仁湯
■四物湯(臍上動悸)
■炙甘草湯
■磁朱丸
■朱砂安神丸
■小建中湯
■小柴胡湯(心下で動悸)
■清心蓮子飲
■釣藤散
■通導散
■天王補心丹
■陶氏升陽散火湯(撮空症を治す。精神が昏冒し空中をまさぐる)
■当帰芍薬散(貧血、冷え性、疲れやすい、月経不順、神経症状)
■当帰芍薬加附子湯
■二甲復脈湯
■二陳湯
■女神散(動悸、不安、イライラ、憂鬱、肩こり、頭痛、めまい、)
■人参養栄湯
■半夏厚朴湯
■茯苓飲(上腹部がつかえ苦しい、胃部振水音、舌苔白潤)
■茯苓桂甘湯(臍の下がピクピク動き、奔豚症になろうとする)
■附子人参湯
■補中益気湯(臍で動悸、胃腸虚弱、疲れやすい、食事がまずい)
■礞石滾痰丸
■木防已湯(呼吸困難、心下痞堅、尿量減少)
■抑肝散(左腹部の大動脈が動悸)  
■抑肝散加陳皮半夏湯(臍の左から鳩尾にかけて動悸
■苓姜朮甘湯(心下動悸、腰冷がひどく、排尿困難、排尿痛、尿意頻数)
■苓桂朮甘湯(めまい、小便不利、人混みがダメ)

【西洋医学】
(1)Inderal 30~60mg 分3。
(2)Tenormin 50mg 分1。




動作がにぶい
⇒動作が緩慢

【漢方薬】
■八味地黄丸


#動脈硬化症     arteriosclerosis
(参照→「生活習慣病」) ためしガッテン20121/25
しわ。骨が折れやすい。筋肉かたく
コラーゲン+糖=老化物質になる
コラーゲンが糖化されると黒く硬くなる
もとに↓もどす方法
線維芽細胞(大工)はストレッチすることで活性化
有酸素運動でNOが増える
ストレッチは血管の壁を修復


筋肉の硬さ コラーゲンが増えると歯ごたえが出る
血管年齢を若返らせるストレッチ
からだの柔軟性と動脈硬化が関連していた。

肺を若返るストレッチ
昭和大学・本間郁夫 胸郭を動かす呼吸筋を和らげる

脊柱起立筋  吸う筋肉
         臂を上へ揚げる  吐く筋肉

脳の活動が呼吸のリズムで動いている
⇒動脈壁が限局的に肥厚増殖し、ここに脂質やカルシウム塩が沈着し血管壁の弾性線維が硬壊されて、血管の弾力性が消失した状態。

○動脈硬化症はいろいろの一般症状のほかに、硬化の起こっている患部の位置によって、それぞれ違った症状が起きる。
・冠状動脈の硬化は・・・心臓性喘息、狭心症、心筋梗塞などの原因となり
・腎臓の動脈に硬化が起これば・・・腎硬化症が起こり
・下肢の動脈に硬化がくると・・・間欠性跛行症となり、
・腸の血管に硬化がくると・・・動脈硬化製間欠性腹痛を起こす様になる(漢方診療医典)

◎病理学的に次の3種に分類される。
1.粥状硬化症 stherosclerosis=アテローマ(粥腫)が動脈壁に出来る。
2.中膜硬化症 madial sclerosis=上下肢の中等大動脈が石灰化。
3.細動脈硬化症 arteriolosclerosis=全身の細動脈におこる。

(臨床)
1.冠状動脈硬化症:狭心症・心筋梗塞の原因。
2.脳動脈硬化症:一過性脳虚血・脳梗塞・脳出血の原因。
3.腎動脈硬化症:動脈硬化性萎縮腎 
(参照→用語:HDLコレステロール)

「動脈硬化」とは、

動脈の壁が厚くなり、脂肪が沈着し、弾力性がなくなって硬くなった状態で、脳・心臓・腎臓に起こりやすい。脳の動脈に硬化が起きると脳卒中を誘発し、心臓に起きると心筋梗塞を起こしやすく、腎臓に起きると尿毒症になる危険性がある。
血中を流れるLDLコレステロールを食べたマクロファージが、肥大して死亡する結果、動脈壁は増大する。
マクロファージは酸化していないコレステロールは食べない。すなわち、動脈硬化は『活性酸素』の問題。酸化させないことが問題の解決となる。

◎悪化させるもの:

①脂肪のとりすぎ
②高血圧
③喫煙:-は血中酸化を促進させる。
④ホルモン異常
⑤精神的ストレス
⑥血管壁の障害
⑦遺伝的素因

【原因】その原因としては、 (参照→クラミジアによる感染症)
<1>脂肪や糖分の摂取過多、
<2>高血圧、
<3>ホルモンの異常、
<4>精神的ストレス、
<5>血管壁の障害
<6>間接喫煙などがあります。
(進行度合い平均20%アップ)
<7>[アポリポたんぱくa]
     
【症状】
動脈硬化の症状は内臓の血管の侵され方によって違い、
<1>脳動脈硬化=物忘れ・めまい・頭痛・手足のしびれ・舌のもつ れなどの症状を呈し、「脳血栓」や「脳出血」を起こす。
 物忘れしやすい・ぼける。
 めまい・のぼせ・頭重
 肩こり
 舌のもつれ
 手足のしびれ
<2>冠状動脈硬化=心臓部の圧迫感や痛み・むくみ・動悸・息切れなどの症状で、「狭心症」や「心筋梗塞」を起こす。
 心臓部の圧迫感・締め付けられる感覚
 動悸・息切れ
<3>腎動脈硬化=尿の異常、夜間尿の増加があり、尿毒症を起こす。
 排尿異常
 夜間多尿
 むくみ
<4>大動脈硬化の症状:①心臓部にうずくような痛み
<5>下肢動脈硬化の症状=「間歇性跛行」
 「間歇性跛行」=少し歩くと痛みを覚え、しばらく坐って休むと、また歩ける。そして又少し行くと歩けなくなる状態。
<6>末梢動脈硬化:
 手足の冷感、
 歩行時の痛みなどがあり、
 軽快に歩けなくなります。

◎動脈硬化が進むと最低血圧が下がります。(参照→低血圧)

◎女性よりも男性に多く、高血圧者に多い。又、急性伝染病や、梅毒・リウマチ・アルコール・ニコチン・カフェインなどの中毒と関係が深く、体質は多血質・卒中体質に多く、老化現象の一つの現れとされています。
    (水野.米田共著「家庭の民間薬・漢方薬」ヨリ)

 

10代足の動脈硬化
足の血圧をチェック:下腹部の大動脈の流れ
 
 腕の血圧<足の血圧(通常)
 腕の血圧<足の血圧(異常)
はかり方 
 両手・両足首を一緒に測定(専用機器)
0.9以下で動脈硬化の可能性あり。

足が冷たい・しびれる
左右の足の温度
爪の生え方が左右異なる
歩くとふくらはぎが痛む
安静時の足の疼痛の冠動脈硬化--------倍増

若い男性心臓病にご用心
「心臓の筋肉に栄養を与える冠動脈の動脈硬化がこの13年間に、日本人の若い男性の間で急速に進んでいることが、厚生省研究班の病理解剖症例の分析結果でわかり、主任研究者の由谷親夫・国立循環器病センター臨床検査部長が24日、大阪府豊中市で開催中のアジア太平洋動脈硬化学会で発表する。
食事の欧米化でコレステロール値が上がったのが原因とみられ、由谷部長は“狭心症や心筋梗塞が急増する恐れがある”と警告している。
調べた症例は1991~95年の間に同センター、筑波大、宮崎医大など6施設の医師が病理解剖した39歳以下の1253例。冠動脈と全身に血液を送る大動脈について、全血管面積に占める動脈硬化部分の割合を算出、同様の方法で調べた前回の研究班のデータ(78~82年、2320例)と比較した。
その結果、大動脈はほとんど変わらなかったのに対し、冠動脈は男性で動脈硬化部分が前回より10歳代で約2.0倍、20歳代で約1.7倍、30歳代で約1.3倍に広がっていた。しかも、20歳代・30歳代では前回と比べ、硬化部分が隆起した進行性病変が多かった。
女性の冠動脈の変化は男性ほど顕著ではなかった。
     

■ダイヤ粒子で
「血管内をダイヤモンドの粒子が高速回転することで、血管内のつまりを除去する医療用具を、心筋梗塞や動脈硬化の治療と用具として4月から保険適用になった。
管状のステンレス軸に、ダイアモンド粒子(1.25mm~2.5mm)をくっつけ、毎分15万~18万回転しながら血管内を進む。硬くなった石灰質を砕く。弾性のある組織はダイヤモンドに抵抗して跳ね返るため、傷つかない。
血管の狭窄を広げるために、先端の合金部分が風船状に広がる『バルーンカテーテル』があるが、ゼリー状の軟らかい血栓以外は取り除きにくかった。」1998.5.1《日経産業新聞》
   
■早期発見:頸動脈の厚さ測る
「「死の四重奏」。米国の医師カプランが提唱した言葉である。[肥満][高血糖][高血圧][高脂血]の4つがそろうと動脈硬化の危険度が高まり、ひいては脳や心臓の血管に障害が起き、悪くすると死に至ると言うのだ。近年はこれに[喫煙]を加えて『死の五重奏』とも言われる。同様の状態を指す言葉として、シンドロームXや内臓脂肪肥満症候群がある。
順天堂大学医学部の河盛隆造教授は、わかりやすいように死の四重奏の構成員をバッド・コンパニオンズ(悪い仲間たち)と名付けている。肥満や高血糖などはそれぞれ生活習慣病である。ひとつひとつの病気がその症状をはっきり現さなくても、4つが互いに“共闘”して体を悪い方向にもっていくというのだ。
例えば、よく言われるように肥満は糖尿病の引き金になる。同時に高脂血症をもたらすことになり、これが糖代謝異常を導いて血糖値を高める。高血糖や高脂血症は高血圧を引き起こすのである。悪循環をもたらす文字通りの悪い仲間たちなのである。
肥満から高血糖・高脂血症への道の中でも最も打撃を受けるのが血管である。これによって動脈硬化症が発症し、進行する。血管のダメージを継続して測定し、適切な措置をとればこの危険は避けられる。
河盛教授は超音波を使って頸動脈の壁の厚さを測り、動脈硬化症の発症を早期に見つけている。少し難しい言葉になるが、超音波診断によって頸動脈内膜中膜複合体肥満度(IMC)の変化を見るのだ。内膜は血管の一番内側にある膜で、中膜はその外側にある。IMCは内膜と中膜の厚さの合計値で、熱くなった分だけ血管の弾力性が落ち、動脈硬化が進んでいると考えて良い。
この値は年齢と共に高くなっていくが、健常人では1.1mmを超えることはほとんど無い。ところが、糖尿病の人では40歳代で1.1mmを超え、年齢と共にさらに厚くなっていく。平均すれば、健常人より15~20年も早く動脈硬化になっていると言う。
問題は糖尿病を発症していないその予備軍の人たちだ。測ってみると糖尿病の患者とほぼ同じようにIMCが厚くなっていくという。体の中に“悪い仲間たち”を抱えていると、病気の人と同様な変化が現れているのである。病気の症状が出ないといっても、死の四重奏は静かに始まっている。
といっても怖れることはない。IMCなどを手が苅る苓桂朮甘湯に悪い仲間の有無を知り、早期に適切な対応をとればよい。それには「5つの“あ”が大切」と河盛教授は言う。「アルコール」「甘いもの」「油もの」を出来るだけ避け、、「あせらずゆっくり食べる」。そして「足で歩く」ことである。(中村雅美)1999.12.20《日本経済新聞》
■初期病変を抑える薬剤
「米ハーバード大学医学部などの研究グループは、『エンドスタチン』と『TNP470』という薬剤が、動脈硬化を引き起こす血管内の[プラーク]と呼ばれる病巣の成長を抑えることを突き止めた。プラークは血管の内皮が厚くなったもので、ひどくなると、血管が詰まって心臓病になる。これらの薬剤はプラークの成長を妨げる効果がある。
米国人の食事を模擬したエサをネズミに与え、血管成長を妨げる『エンドスタチン』と『TNP-470』を投与した。その結果、エンドスタチンを投与したネズミのプラーク成長量は未処理のネズミの14%、TNP-470の場合は同30%に抑えられた。1999.4.8《日経産業新聞》
■病変の悪化物質発見
「東京医科歯科大学難治疾患研究所の吉田雅幸助手らの研究チームは、初期の動脈硬化の病変を悪化させる2種類の生理活性物質を発見した。これらの物質の作用で血管の内壁に白血球が次々とくっつき、血管の内径を狭める。ここにコレステロールなどが作用して、動脈硬化が進むとみている。白血球の接着を妨げる事が出来れば、動脈硬化を治療できる薬剤の開発につながる可能性が高い。
マサチューセッツ総合病院とハーバード大学との共同成果で、22日付の英科学誌「ネイチャー」に掲載された。
実験では、あらかじめ白血球がくっつきやすいように処理した血管の内皮細胞を「単球」と呼ぶ白血球の一種と反応させた。その際『MCP1』と『インターロイキン8(IL8)』と呼ぶ2種類の生理活性物質を加えた時のみ、内皮細胞と単球がくっついたという。単球が生理活性物質の刺激を受けて、接着能力を獲得したとみている。
この接着作用を阻止できれば、動脈硬化の進行を食い止められる。ただ生理活性物質そのものの働きを妨げてしまうと、動脈硬化は防げても免疫力は落ちるなど様々な副作用が出る難点がある。研究グループは、接着奇効の解明を進め、単球の接着能力のみを奪う薬剤の開発を目指す考え。1999.4.22《日経産業新聞》
■抗体投与で
「太い動脈の硬化は血管内膜層の慢性炎症によって、血管壁内に生じるアテロームプラークと呼ばれる隆起によって起きる。白血球の一種、単球細胞が血管の内膜層に侵入、酸化したLDLコレステロールを溜め込んだ状態で集積しプラークとなる。このとき単球細胞は炎症の原因となる「HMGB1タンパク質」を過剰につくる。
2009年、岡山大学大学院の西堀正洋教授らのグループは、HMGB1タンパク質を抗原とする抗体を投与してHMGB1タンパク質の作用を中和しようとするもの。
遺伝的に動脈硬化になりやすいマウスに高脂肪食を与えて実験した。
週に2回、抗体を静脈に注射したマウスは8週間後には、抗体を与えないマウスに比べ、プラークの形成が60%少なかった。
実験は就実大学の森秀治教授、オーストラリアのベイカー研究所のアレキサンダー・ボビック教授らと共同で実施。2009/11/20産業

【検査装置】
■脈波測定
「日本コーリンが発売する動脈硬化検査装置「フォルム」は、体の2カ所で脈波を計測。2カ所での脈波の違いによって動脈硬化の進行状況を検査する。造影剤を血管に注入するなど、大がかりだった従来の手法に比べて、手間と計測時間が大幅に減る。
生産は三協精機、ミノルタに委託。2002.10.9《日経産業新聞》
(脈波は人体の動脈の伸縮の度合いを示す)
■血管年齢、計測
「ユニチカは、指に赤外線を照射して簡単に血管の硬化度合いを測れる検査機の販売を始めた。わずか18秒で測定でき、硬化の度合いを基準にした「血管年齢」も表示する。60万円。
検査機は赤外線を指に照射して一定時間に血管中を通過する赤血球内のヘモグロビンの量を測定する。5000人分のデータを蓄積してあり、相対的な血管年齢を評価する。2分間測定すると自律神経失調症などの関与する自律神経機能の簡易評価もできる。」2002.12.25《日本経済新聞》
■痛み無く診断
「東北大学院工学研究科の金井浩教授らと松下電器産業は共同で、動脈硬化の悪性度を超音波で診断する装置を開発した。造影剤などが不要で痛みもない。患部が裂けやすい火動かを色の違いで画面に表示するため、心筋梗塞の危険性を予測できる。
動脈硬化が比較的太い血管で起こると、コレステロールなどの刺激がもとで血管の内壁に粥種と呼ぶ塊ができている。これが破裂すると血栓が出来、血管につまって心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こす。
そのため細胞の塊の大きさの他、破れやすさを把握することが梗塞の起きる可能性を予測するのに重要となる。開発した超音波診断装置は血管壁の厚さの変化を0.2マイクロ㍍の高い解像度でとらえる、」2003.7.11《日本経済新聞》
■関連タンパク質・・・肝臓で生産
「筑波大学の範江林助教授を中心とする日米共同研究グループは、動脈硬化に関係するタンパク質が肝臓で作られていることを突き止めた。
動脈硬化になりやすいウサギ31匹と正常なウサギ107匹を使って、軽度~重度の動脈硬化を発症させ調べた。体内で動脈硬化に関係があるとされるC反応性タンパク質の分布や生産状況を調べた結果、このタンパク質は肝臓で生産され動脈硬化が起きている場所に集まることが判明。
患者12人の分析でも同様の結果が得られた。
心筋梗塞尾になりやすい患者の2割に、高血圧や糖尿病・高脂血症などの危険因子が無く、未知の危険因子の存在が考えられていた。C反応タンパク質の濃度は動脈硬化の患者の血中で高いことから、その危険因子の候補と考えられている。」2005.9.26《産業》
■30分で測定
「東京大学疾患生命工学センターの宮崎徹教授らは、血液検査のみで動脈硬化を正確に診断できる手法を確立した。
開発したのは動脈硬化になると血液中に増える『AIM』という物質を検出する診断キット。免疫を担う抗体で、血中の微量物質を検出する『ELISA』という手法を使う。1mlの血液からほぼ正確に診断できるという。
血液検査で指標とされているコレステロール値では正確な動脈硬化の評価はできない。診断はMRIや血管造影法などの画像検査と組み合わせて診断している。動脈硬化はマクロファージという細胞が血管内のコレステロールを取り込み、血管壁に付着することで起きる。コレステロールを食べたマクロファージはAIMを分泌し血管壁への沈着を助ける。宮崎教授らは今後、AIMがどのように働いているのか詳しく調べる」
■早期診断
「2010年、東京大学の長野哲雄教授と花岡健二郎香豉らは、動脈硬化を想起に診断する方法を開発した。血管の内側についたコレステロールにくっつく造影剤を考案。MRIでみると白く映る。
研究チームは、ガドリウムという金属を含んだ造影剤に、コレステロールの塊に結合する分子をつなげた。静脈から造影剤を注射すると、血管の内側にコレステロールがたまっている部分に集まる。 マウス実験で確認。」

【食事療法】
◎カロリーは摂りすぎると、ゴミになる。
◎原因:動物性脂肪の摂取過多
    運動不足
◎血管も1つの臓器である。
◎悪玉コレステロールが少ししか高くなくても、中性脂肪値が高いと、動脈硬化は急激に進行する。

■防ぐ食品
<1>「黒豆・ゴボウ・栗・大根」

に動脈硬化の原因となるヒドロキシエイコサテトラエン酸が、体内に発生するのを妨げる働きがある
<2>「昆布・コンニャク・里芋」

に血栓を形成するトロンボキサンの生成を抑える働きがある。(農水省四国農業試験場)1996.12.28《日本経済新聞》
<3>ポリフェノールが防ぐ。赤ワイン・お茶に多く含有する。
  

【色彩療法】
    <1>レモン色
    <2>紫色
    <3>赤紫色
【民間療法】
<1>アカマツ。
<2>クワ。
<3>アカザ・エビスグサ・エンジュ・オナモミ・カイコ・カキ・ギシギシ・クコ・玄米・ゴマ・コンブ・シイタケ・ドクダミ・トチュウ・ナルコユリ・ニンニク・根コブ・ネズミモチ・ヒマワリ・ベニバナ・ホウセンカ・メナモミ・ヤマゴボウ・ヤマモモ・ヨモギ。

【漢方療法】#どうみゃくこうか
<1>繁用処方:
柴胡加竜骨牡蛎湯

・長く服用すると、肝と腎の機能が調整されてコレステロールがとれ、全身状態が改善される。

・神経質の患者で動悸と胸部の圧迫感をおぼえて安眠せずず、胸脇苦満、心下痞満、便秘のあるものに用いる(漢方診療医典)

三黄瀉心湯

・赤ら顔で不眠不安を訴え、イライラしている人。便秘する。

・三黄瀉心湯や黄連解毒湯は、脳動脈硬化のある患者で、逆上の気味があり、顔面充血しやすく、気分が落ちつかず、めまい、耳なり、不眠などのあるものに用いる(漢方診療医典)

大柴胡湯

この処方を長く服用すると、肝と腎の新陳代謝機能が調整されてコレステロールが取れ、かつ、血液もきれいになり、また、不純物をよく大便中に排泄するので、全身状態が改善されて、頭重・肩こり・心臓部の圧迫感・息切れなどがなくなり、血圧が安定してくる。

釣藤散

・早朝に頭痛、気分がすぐれない、物忘れする。

・脳動脈硬化症の徴候がある者。

・脳動脈の硬化があって、早朝、目が覚める頃に頭痛があり、あるいは気分が重くてふさぎ、クビ、肩などのこりを訴えるものによい。(漢方診療医典)

当帰芍薬散

腎機能を調整する薬物と汚れた血液を浄化する薬物が中心で出来ています

八味地黄丸

・腎機能を調整して、血液循環をスムーズにさせる。 ・腎硬化症で、倦怠、疲労感がひどく、夜間の多尿、腰痛、下肢の脱力痿弱感のあるものに用いる。また、間欠性跛行症にも用いる。(漢方診療医典)

防風通聖散

・血液のよごれを浄化する薬物が配合されているので、コレステロールがとれ、血液循環が改善される。・体力旺盛で肥満し、ことに腹部膨満し、肩こり、頭痛、便秘などのあるものによい(漢方診療医典)

<2>参考処方:#どうみゃくこうか
■加味逍遥散
■九味檳榔湯
■桂枝茯苓丸
■牛車腎気丸
■七物降下湯
■十全大補湯
体力、気力ともに衰え、血色すぐれず皮膚に光沢なく、枯燥の状があり、動作ものうく、記憶力が衰え、俗に言う「もうろく」の状に用いる(漢方診療医典)
■四物湯
■炙甘草湯
本方は動悸の亢進と脈の結滞とを目標にして用いるが、血管滋潤を与えて、血流を調整する効があるので、冠動脈硬化のある者に適する(漢方診療医典)
■潤腸湯
■小建中湯
■通導散
■桃核承気湯
■桃核承気湯大柴胡湯
肥満型で、胸脇苦満、少腹急結の状があって、便秘するものによい。ことに婦人に適する。(漢方診療医典)
■麦門冬湯
■木防已湯
冠動脈の硬化があって、息切れ、動悸を訴え、胸部に圧迫感を覚えるものに用いる。腹診上、心下痞堅があるのを普通とするが、この腹証が著明でないものにも用いて良い。
木防已湯に紫蘇子5.0、桑白皮3.0生姜0.5を加えたものを増損木防已湯といい、喘鳴、呼吸促迫のあるものによい(漢方診療医典)
■苓甘姜味辛夏仁湯
■六味丸

 

〇血管の老化度、指で測定
「心電計大手のフクダ電子は30秒程度で血管の老化度を測定できる簡易検査装置を開発した。実年齢との差から心臓病や脳卒中などを引き起こす動脈硬化を早期に発見できる。
新製品「ダイナパルス」は指先をセンサーにあて、末梢血管中のヘモグロビン濃度などを赤外線で測定する。脈の振幅から血管の柔らかさや詰まり具合を把握、統計値から血管老化度を算出する。医療機関向けに発売する。\75万円」

■動脈硬化検査装置「フォルム」
「日本コーリン(愛知県小牧市)が世界で初めて開発、1999年末から日本で売り出した。脳卒中や心筋梗塞の原因となる動脈硬化を短時間で診断できる。腕や足首に巻き付ける圧力センサーを使い、血管の閉塞度と硬さを表す2つの指標を計測。従来なら血管造影など大がかりな作業が必要な動脈硬化診断を約5分で出来る。」2002.1.29《日経産業新聞》
「上腕だけで脈派を測定し、血管の状況を調べる方法を採用。大きさは病院で使われている血圧計ぐらい。日本コーリンは自宅用の検査装置を利用者にタイしてリースし、サービス料得る仕組み」2002.8.20《日経産業新聞》

〇骨髄移植で血管形成
「関西医大第二内科は14日、患者から採取した骨髄を足の筋肉に移植し、新しい血管の生成を促す閉塞性動脈硬化症の治療を実施する。骨髄中に含まれる、血管のもとになる幹細胞を利用した再生医療で、新しいタイプの医療として注目される。
患者は大阪府の男性(66)。糖尿病のため足の血管が詰まり、3年前に左足を切断し、右足もこのままでは切断を免れない状態だという。
同科の松原弘明助教授によると、骨髄には白血球などになる造血細胞のほかに、血管を作る細胞が1%程度含まれることが最近の研究で分かった。治療は患者の腰の骨から採取した骨髄500mlを遠心分離器で濃縮。詰まった足の血管の周辺に約10cc注射する。
治療は2時間程度で終了。約1ヶ月後に血管造影などで効果を評価する。学内の倫理委員会で今年1月に承認された。
松原助教授は「当面5人実施し、高度先進医療としての保険適用を目指す。将来は狭心症の治療にも応用したい」と話している。2000.7.14《日本経済新聞》

■遺伝子---ガンの増殖抑制
「東京大学の永井良三教授と新藤隆行助手らは、動脈硬化や心肥大・ガンによる血管新生などに広く関係している遺伝子を発見した。
研究グループが発見した遺伝子は、両親から1つずつ受け継ぐ「KLF5」。米医学誌ネイチャーメディシン発表した。
動脈硬化は血管が傷つき修復する際に炎症が起きて血管の壁が厚くなり、内側が狭まり発症する。遺伝子操作で一方のKLF5しか働かないマウスを作ったところ、血管を傷つけても動脈硬化にならなかった。このマウスは心肥大を起こす物質を注入してもほとんどけんかが無かった。
ガン細胞を移植したマウスは通常、細胞の周囲に栄養を供給するするための血管が新しくできるが、遺伝子を操作したマウスは血管がほとんど新生されず、ガン細胞増殖が抑えられたという。
KLF5が1つしか無くても寿命に変化はないという。
研究グループは、白血病治療薬として実用化に向け臨床試験中の薬剤「Am80」が、KLF5の活性を抑えることも突き止めた。2002.7.9《日経産業新聞》

〇熱で血管拡張
「2008年、荒井恒憲慶応大学教授らのチームは、動脈硬化で狭くなった血管を温めて狭くなった血管を広げる治療法を開発した。
網状の金属で広げるステント治療と同等以上の効果がある。
開発した手法は「レーザー熱バルーン」法。血管内を通す細い管であるカテーテルの先にバルーンをつけ、そこに造影剤と生理食塩水を半々にした溶液を流し込み、網状の金属管を通してレーザーを照射、熱に変える。60℃ぐらいになると、血管成分のコラーゲン線維が柔らかくなり、血管が押し広げられる仕組み。
温める時間は10秒程度で「血流も一瞬しか止めないので、血管壁も傷つかない」(荒井教授)という。
かかる圧力は2気圧程度で、バルーン法より低い。
ウサギ・イヌ・ブタで実験したところ、2~3ヶ月後に再狭窄した比率は、バルーン法より10%ほど低く、ステント治療が困難な下肢血管治療でも使えることが分かった。」

■点滴だけ?
三番町ごきげんクリニック
キレート剤を点滴   
不要なミネラルを体外へ排出する「キレーション療法」
20回で1セット 1回\20000



動脈瘤
(参照→「大動脈瘤」「解離性大動脈瘤」)
■切らずに治療
「工業技術院大阪工業技術研究所は電圧を加えることによって先端部分を自由に曲げられる太さ0.8mmの極細チューブを開発した。医療用カテーテルの先端に取り付け、内視鏡手術などの利用するねらい。、三重大学と共同でイヌを使って実験し、動脈瘤の治療に使えることを確かめた。」2000.3.15《日経産業新聞》



動揺病=「乗物酔い」
⇒乗り物の動揺によって生じる症候群。
◎症状:

「あくび」、「吐気」、「唾液分泌亢進」、「嘔吐」、「めまい」、「発汗」、「脈拍減弱」、「血圧下降」。

 

凍死
異常環境での死
「全身が極度の寒さにさらされ、体温調節機能の限界を超えると体温が下がり初め、しもやけ・凍傷が出来て、凍死に至る。健康な人は防寒用の衣服などを着ていれば、マイナス60℃でも長時間耐えることが出来、凍死することはないという。
それでも、日本でも凍死は年間400人前後。大部分は山での遭難や事故だが、最近は痴呆症の高齢者が徘徊して凍死した例や、泥酔者が最低気温6℃の雨の夜に、公園のベンチで熟睡して凍死した例もある。

*雪の上や濡れたベンチ、コンクリートの上など、体温を奪うものの上に寝ていると凍死しやすい。また、体や服が濡れていると蒸発によって体熱が放散される。

*5℃でも、水中に全身が浸かっていると、数時間で死ぬという。

* 疲れても体温調節機能が乱れる。冬山の遭難では、疲労も凍死の引き金となる。1902年1月、八甲田山で青森歩兵第五連隊第二大隊210人のうち199人が凍死した「八甲田山死の行軍」は有名だ。
*凍死した死体は美しいと俗に言われるのは、低温では死体の皮膚の酸素透過性が高まり、ヘモゴロビンと酸度の結合が離れにくくなるので、血液が赤いままで、ピンクの死斑が表れるからだ。しかし凍死体は服を脱ぎ捨てて裸で発見されたり、男性ではズボンのファスナーを開けて死んでいる場合もあるというから、美しいばかりではない。
これは、アドレナリンの酸化物による一種の幻覚、体温調節中枢の興奮で代謝が高まって異常な暑さを感じるためとも言われる。(死因事典p233~)


禿頭(とくず)=#はげ
【漢方薬】
■桂枝加竜骨牡蠣湯
■五苓散
■柴胡加竜骨牡蛎湯
■小柴胡湯
■大柴胡湯
■通導散
■防風通聖散
■苓姜朮甘湯


 瘡(とくそう)
  【漢方薬】
    防風通聖散《万病回春》
    補気瀉栄湯《宝鑑》


床ずれ
   =褥瘡(ジョクソウ)
■誤り多い「常識」
「大阪府堺市、阪和泉北病院の美濃良夫副院長は、最近発行された看護雑誌に「間違いだらけの褥瘡治療」という研究を発表した。こらまで常識のようにされてきた「傷を乾燥させ、清潔な状態に保つ」「患部をマッサージする」といった治療法が、かえって床ずれを悪化させていることを厳しく指摘している。
 床ずれが出来ると、皮膚の表面からはひどい状態に見えなくても、内部で骨の周辺の組織が傷ついている場合がある。患部のマッサージはこの損傷をさらに進め、炎症を悪化させるという。
 それ以上に大きな「常識」の間違いは「傷を乾燥させる」点だ。床ずれの傷からかさぶたや壊死した組織を取り除いた後は、傷から染み出す体液を乾燥させず湿潤なままにした方が、傷を治す細胞の増殖を助け回復も早くなることが、最近の研究で分かってきた。床ずれをシート状の被覆材で密封、内部を湿った状態に保つ『ドレッシング』と呼ばれる方法が急速に広まっており、被覆材を張ったまま入浴も出来る。欧米ではすでに治療の主流になっている。   1996.6.16《朝日新聞》」

アルギニン
「スイス・ノバルティスグループのノバルティスニュートリション(東京港区)は、医療機関や高齢者施設向けに栄養食品『アイソカル・プラスEX』を発売した。
床ずれの予防に役立つとされるアミノ酸の一種「アルギニン」などを配合。2006年10/18
■成長因子
「科研製薬は『bFGF』と呼ぶ成長因子。床ずれなどの治療薬として発売済み。2006年度中に[糖尿病による皮膚の潰瘍]治療薬の臨床試験の最終段階に入る。[歯周病]や骨折治療剤も順次、次の開発段階に入る。
bFGFは『塩基性線維芽細胞成長因子』の略称で、体の中に広く分布して細胞や血管を作るのを促す。床ずれやヤケドによる皮膚潰瘍を治療する薬剤として「フィブラートスプレー」を2001年に発売。
【成長因子】=細胞の成長を促すタンパク質の総称。
☆細胞を増やして血管を作る働きのあるものを線維芽細胞成長因子(FGF)という。このほかに、
☆体や器官の表面を覆う上皮など、様々な細胞を増殖させる上皮成長因子(EGF)
☆血小板などから放出される血小板由来成長因子(PDGF)
☆神経細胞の成長を促す神経成長因子(NGF)
などがある。
■ばんそうこう
2011年、大人用紙おむつメーカー「リブドゥコーポレーション」はスリーエムヘルスケアと組んでドラッグストアで販売できる「床ずれ用絆創膏」を発売。
サイズは4タイプ
一般用医療機器



 吐逆 regurgitatin
⇒未消化の食物が悪心を伴うことなく、口内へ逆流する現象。
通常不快感・苦痛を伴うことはなく、食直後に見られる。





 吐血(とけつ)
hematemesis
⇒食道・胃などの消化管から出血すること。
<1>暗赤色
<2>泡がない
<3>喀出物に食物残渣・・あり。
<4>胃液のために酸性
  

◎吐血を引き起こす疾患:
胃・十二指腸潰瘍
食道静脈瘤:肝硬変の所見が見られる。
急性胃粘膜病変(acute gastric mucosal:AGML)


【漢方療法】
⇒血を吐くとき音がない=「吐血」。
血を吐くとき音が出る=「嘔血」。

<1>胃から血を嘔吐する:[犀角地黄湯][小建中湯黄連]
<2>過労又は食べ過ぎからくる吐血は、胃中が煩悶して堪えきれずに、数斗~1石ぐらい吐き出す:[理中湯川芎・乾葛]
<3>飲酒のあと毒熱が胃の中に溜まったのが、他の食べ物を吐いた時に一緒に出      る、1合~1升まで吐く。:[葛黄丸]
<4>濁った血を吐く:[三黄瀉心湯生地黄][茯苓補心湯][人参救肺散]
<5>赤黒いく塊がある血を吐く:[四物湯黄連解毒湯]
<6>吐いた後、胸が塞がっている:[桃核承気湯]
<7>火が血について経絡を錯乱させる:[四物湯山梔子・童便・姜汁]
<8>目が赤く熱があって昏迷し、胸腹が痛む:[桃核承気湯][抵当丸][犀角地黄湯梔子・茅根・藕節]
<9>辛い物や熱い物を食べ過ぎて肺・胃を傷つけ吐血する=肺疽という。[大飲子]
<10>出血過多で昏迷不省のとき:生地黄汁3~5片を汁に絞って飲ませる。また生を囓って汁を飲み込み、鼻孔をすせぐと効く。

 

◎主薬:
暴に吐血するには、大黄・桃仁を主薬とすべし《万病回春》
久しく吐血するには、当帰・川芎を主薬とすべし《万病回春》

【漢方薬】
■一和湯《済世全書》
■茵蔯蒿湯
■黄芩湯
■黄土湯
■黄連阿膠湯
■黄連解毒湯
■葛黄丸(飲酒過多で熱が積もり死に至るとき)
■花蕊石散(過労で吐血、五臓が崩壊してあふれ出るとき)
■加減四物湯《医学入門》
■加味芎湯《三因極一病証方論》
■加味犀角地黄湯《万病回春》
■甘草乾姜湯
■甘草瀉心湯
■帰脾湯
■芎帰膠艾湯
■藕汁散(吐血・衂血)
■狗胆丸(連日止まらない)
■黒神散(吐血が口鼻から)
■五神湯(婦人の吐血)
■犀角地黄湯
■三黄瀉心湯(熱がひどくて吐血量が多い)
■三物黄芩湯
■滋陰降火湯《万病回春》
■止血紛
■地黄丸料麦門冬・五味子《薛立斎十六種》
■梔子豉湯(身熱、胸中煩熱、心中懊、不眠、熱感)
■四君子湯
■四生丸(吐血・衂血)
■四物湯山梔子・童便・姜汁(火が血について経絡を錯乱させる吐血)
■七生湯(血が口鼻からあふれ出し、諸薬の効果がないとき)
■側柏散(吐血・衂血)
■十全大補湯麦門冬・五味子・山茱萸・山薬《薛立斎十六種》
■十灰散
■生姜半夏湯
■蚌霜散(酒食過多・房事過多で口鼻から出血)
■真武湯
■清火滋陰湯《万病回春》
■清火涼血湯《済世全書》
■清熱解毒湯(吐血・衂血の主治剤)
■清肺湯《万病回春》
■是斉白朮散(傷胃の吐血)
■大黄黄連瀉心湯
■大飲子(肺疽の吐血)
■天門冬湯(思慮傷心で吐血・衂血)
■桃仁承気湯《寿世保元》(実証、のぼせ、足冷、下腹部痛)
■当帰四逆湯
■二黄補血湯《医学入門》
■ 人参救肺散(過労吐血)
■人参湯
■麦門冬飲《明医雑著附》
■柏葉湯
■八味地黄丸
■必勝散《和剤局方》
■枇杷葉散《医学入門》
■補中益気湯《薛立斎十六種》
■茯苓補心湯(労心吐血)
■本方犀角地黄湯《古今方彙》
■理中湯《三因極一病証方論》
■涼血地黄湯《寿世保元》
■蓮心散(労心吐血)

【民間療法】
<1>ニラ。
<2>ハス。
<3>アカネ・アカヤジオウ・アザミ・イチジク・ウコン・エンジュ・オトギリソウ・オミナエシ・カキ(柿)・ガマ・カラスウリ・キンミズヒキ・クサスギカズラ・クズ・クチナシ・クロマメ・コノテガシワ・ザクロ・サフラン・サラシナショウマ・シカ・ジャノヒゲ・シラン・チガヤ・ビヨウヤナギ・ボタン・ミョ ウガ・モグラ・ヨモギ・ワレモコウ。
【宝石療法】
    <1>[真珠]

【臨床例】
☆《建珠録》
「京師烏街の賈人、泉屋伊兵衛は年二十有餘、積年、吐血を患う。大抵は毎旬必ず一動す。丙午(ひのえうま)の秋大いに吐す。吐已りての後則ち気息頓に絶つ。衆醫を迎えて之を救うも皆以為(おもえら)く「為すべからざるなり」と。是において家人は還泣して葬事を謀る。
先生適々至り亦是をせしむ。則ちいまだ定死せざるものに似たり。因って(=コウ、線維の細かい綿)を鼻間に著すれば、なお蠕蠕として動ず。乃ちその腹を按ずるに微かに動ずるあり、蓋し気いまだ蓋きざるなり。急に三黄瀉心湯をつくりて之を飲むこと毎貼、重さ十五銭。須臾に腹中雷鳴し、下利数十行、即ち寤(=ゴ、さ)める。出入二十日ばかり。全く故に復す。爾後十餘歳、復び発せず。」


 吐瀉
=吐き下し
<1>暑毒が腸胃に入ると腹痛・悪心・嘔吐・下痢する。

【漢方薬】
■桂苓元(暑月に冷湿に傷ついて吐く)
■解暑三白散(暑熱水を飲み過ぎて吐瀉)
■香湯(暑病と吐瀉)
■香朴飲子(傷暑で吐瀉し、煩乱する者)
■呉茱萸湯(急性)
■五苓散(感冒性)
■縮脾飲(暑月に冷えて腹痛し吐く)
■消暑十全飲(傷暑と吐瀉を治す)
■大順散(暑月に煩渇し、水を飲みすぎて腸胃が冷湿して吐く)
■人参湯(太陰病、虚寒証、唾液がよく出る、胃内停水、心下痞、胃部膨満感、手足厥冷)
■六和湯(暑で嘔吐・下痢・浮腫・瘧痢を治す)


 吐乳
■乳児嘔吐、胃腸病かも?
「Kちゃんは3200gで生まれた元気な赤ちゃん。ミルクの飲み具合は順調だったが、生後2~3週目から嘔吐が始まり、次第に授乳のたびに吐くようになった。嘔吐が噴水のようになり、体重もあまり増えなかった。このため病院を受診したところ、上腹部にしこりを触れ、肥厚性幽門狭窄症と診断された。
 赤ちゃんの嘔吐はよく見られるもので問題のないことがほとんどだが、単にゲップが上手に出せないだけでなく、肥厚性幽門狭窄症をはじめとして胃潰瘍、食道・十二指腸狭窄症、胃食道逆流症などとともに、まれには腸回転異常症など緊急を要する病気の場合がある。
注意すべき症状としては、
①授乳後しばらくしてから吐く、
②吐瀉物に胆汁が混じっている、
③吐瀉物に出血や褐色のかす状のものがある時です。
ゲップがうまくない場合には胃がねじれているもとも多い。ミルクの1回量を減らすとともに回数を増やして、ゲップを十分に出す(場合によっては授乳 する前、授乳中にも)ことが大切だ。1997.6.30《日本経済新聞》

■肥厚性幽門狭窄症
「生後3ヶ月の男児。ミルクを飲んだ後、嘔吐するようになり、噴水のようにはき出すようになった。この症状は肥厚性幽門狭窄症と呼ばれるもので、幽門部(胃の出口部分)を輪状に取り巻く筋肉が肥厚して、胃から十二指腸へのミルクの通過がジャマされる。
男の子に多く、その理由は不明。
吐くものはミルクと胃液で胆汁は含まないが、コーヒー色の血液が混じることがある。」

【漢方療法】
<1>実:小半夏加茯苓湯大黄甘草湯
<2>虚:治吐乳一方、霊砂丸
<3>下利すれば:胃苓湯
        銭氏白朮散丁香
<4>熱があれば:刪繁浄府湯
<5>処方に加える:麝香

【漢方薬】
■茵蔯五苓散
■五苓散
■橘皮竹茹湯
■四君子湯
■旋覆代赭湯


吐糞症
【漢方薬】
■一物瓜蒂湯
■大黄甘草湯(嘔吐、便秘)


特発性間質性肺炎
(IIP)idiopathic interstitial pneumonia
=原因不明の肺線維症。(参照→「肺線維症」)
◎1980年の厚生省特定疾患「肺線維症」調査研究班による診断基準。
[Ⅰ]主要症状及び理学所見
乾性咳。
息切れ(Hugh-jonesⅡ度以上)
バチ状の指。----普段から見慣れている必要がある。
特異なラ音(fine crakle or Velcroラ音)
Velcroラ音も普段から聞き慣れている必要がある。Valcloラ音は、細かい、密度の濃い吸気終末 crackleであるが、crackleは呼気にも聴取されることがあり、呼気に聴取されることが多いほど、予後が悪いとされる。
[Ⅱ]胸部X線所見:診断に必須の検査です。
陰影の分布:(びまん性、下肺野>上肺野、辺縁性分布)
陰影の性状:粒状
      雲絮状(絮=ジョ、わた)
      粒状小輪状(網状)
      多発輪状
肺野の縮小:横隔膜挙上
下肺野の縮小
「近年はCT所見(high resolution)が、有力な武器になっています。」

[Ⅲ]肺機能検査所見
肺気量の減少:(%VC、%DLCO/Vaの低下)
肺拡張能力の低下:(%DLCO、 %DLCO/Vaの低下)       
低酸素血症:(Pao2の低下、A-aDo2の開大)
[Ⅳ]血液・免疫学的所見
赤沈促進
LDH:上昇
RAテスト:陽
[Ⅴ]病理学的検査所見:解剖検査
          肺生検
特発性間質性肺炎に一致する病理像。

◎診断の判定:
[Ⅰ]確実な場合:上記の[Ⅱ]を含む3項目以上。
            上記[Ⅱ][Ⅴ]を満たすもの。
[Ⅱ]疑わしい場合:上記[Ⅱ]を含む2項目を満たすもの。
[Ⅲ]除外規定:以下の疾患を除く。
じん肺
肺結核
慢性気管支炎
びまん性汎細気管支炎
肺炎
肺ガン
サルコイドーシス
膠原病----この診断基準では、膠原病の62.3%が含有される。
過敏性肺臓炎:-こ

の診断基準では、過敏性肺臓炎の87.0%が含有さ                れる。
       放射線肺臓炎
       薬剤誘起性肺臓炎



 特発性血小板減少性紫斑病
   (ITP)
   =出血性紫斑病=ウエルホーフ[紫斑]病 Werhof disease
   ⇒抹梢血管の血小板が減少する。患者の皮膚に出血斑・点状出血、歯肉出血、鼻出    血・月経量の増加・期間の延長がみられる。
   「血小板が減って皮下出血のアザが出来やすくなる紫斑病には、いろんな原因     があります。最も多いのは特発性血小板減少性紫斑病で、英語の頭文字をとっ     て(ITP)と呼ばれています。特発性とは、特別な原因が見つからないとの     意味です。ITPは大人にも子供にも起こり、6ヶ月以内で治るのを急性、そ     れ以上続くと慢性と呼びます。子供では、ウイルス感染症の後で急性ITPに     なる例が大部分です。血小板が減って紫斑を生じる先天的な病気に、[ウィル     コット・アルドリッチ症候群]や[ベルナール・スーリエ症候群]があります。     これらは普通2才までに分かりますが、軽い症状なら4才くらいまで気づかな     いこともあります。他に[白血病]などで血小板が減ることもあります。
      ITPの症状は、あざが出来やすく、鼻や歯茎からの出血も止まりにくくな     る。ひどくなると、血尿・血便・吐血・頭の中の出血が起こり、時には命にか     かわります。
      血小板は健康人で、1立方mm中に15万~40万個。10万以下でITPと     診断される。慢性ITPの治療には、副腎皮質ホルモンと免疫グロブリンがあ     ります。又脾臓の摘出手術をすることもあります。(赤塚順一 東京慈恵会医     大ー小児科教授)1995.5.7《朝日新聞》」より」
  【漢方薬】
烏頭桂枝湯
    犀角地黄湯
    柴胡桂枝乾姜湯
    疎経活血湯
    小建中湯
    血府逐湯
    当帰補血湯
    補中益気湯


 特発性三叉神経痛
■治験参加者募集
「三叉神経痛とは、会話・食事・洗顔・歯磨きなどによって誘発され、三叉神経支配領域に出現する突発性、短時間性(数秒から2分程度)、反復性の鋭い痛みを有する疾患で、突然、激痛が完全に消失し、数ヶ月から数年の間、発作が出ない状態が続きます。」



 特発性心筋症
   ⇒主病変が心筋にあり、非炎症性で[弁膜症][高血圧症][動脈硬化症][先天性心疾    患][肺性心]などが認められない、原因不明のものをいう。
   ◎1970年、国際心臓学会による定義
    定義=原因不明の心筋疾患
    但し以下の疾患は特定心筋疾患(specjfic heart muscle disease)    二次性心筋疾患(secondary myocardial disease)として別に扱う。
       (a)産褥心、アルコール性心疾患、原発性心内膜線維弾性症
(b)心筋炎(原因の不明なものand不明なものを含む)
       (c)神経-筋疾患に伴う心筋疾患。
     (d)結合識病に伴う心筋疾患。
       (e)栄養性心疾患(ex.脚気心)
       (f)代謝性疾患に伴う心筋疾患:Pompe病
                     ヘモクロマトーシス
                     Hurler症候群
                     Hunter症候群
       (g)その他:アミロイドーシス
             サルコイドーシス
    除外規定:
     特発性心筋症の診断にあたっては、以下の疾患による心筋異常を除外しなけれ     ばならない。
①リウマチ性心疾患
       ②心奇形
       ③高血圧性心疾患
       ④虚血性心疾患
       ⑤内分泌性心疾患
       ⑥肺性心
       ⑦貧血
   



 特発性食道破裂
■嘔吐の直後の激痛
「数日前より胸やけがするAさんは、学生時代の友人と久しぶりに会食して飲み過ぎた。数回繰り返し、吐いた後、左胸に激痛が走った。痛みは背中にもあり、呼吸も出来ないほど痛む。自宅に戻ってからも痛みがとれないので病院へ。
発病の経緯を詳しく聞いた医師は、食道に穴が開いている可能性があるから胸部レントゲンを撮影した。
医学でいう「特発性」とは、原因不明のことだが、特発性食お堂破裂は嘔吐の直後に起きることが多い。嘔吐による食道内圧の急激な上昇が原因と考えられ、胸部側にある食道で胃に近い場所の左側の壁が線状に裂ける。
食お堂の内容物が左の胸に流れ込み炎症を引き起こす。時間と共に炎症は増悪し、膿胸へと進む。(行岡哲男・東京医科大学教授)2006/7/18《日経》





 特発性脱疽
   ⇒四肢の動静脈に炎症が起こり、そこに血栓が出来て内腔を塞ぎ、血液が流れなく    なって、その末梢組織が壊死に陥った状態。
◎原因:はっきりした原因がない。
       自然に発生、多くはバージャー病による。


特発性門脈亢進症
  =脾腫、門脈圧亢進症状(静脈瘤出血、腹壁静脈怒張)、貧血のうち2項目以上が    あり、検査により食道・胃静脈瘤と門脈圧亢進が証明されたとき本症と診断する。
ただし、門脈圧亢進を伴う肝硬変症など原因疾患を除外する。
   ◎食道静脈瘤または脾腫を認める中年女性では本症を念頭におく必要がある。わが    国の統計では男女比は[1:3]で女性に多く、平均年齢は42歳。
   



 突然死
(参照→「大動脈弁狭窄症」「肺塞栓症」)
「突然死とは、転倒などによる外傷が原因でないのに体に変調を来し、24時間以内に急死するもの。年間100人前後いるとされる。その8割以上が心臓のトラブルと言われる。
死因不明の病死などを調べる東京都監察医務院が2002年2月、スポーツ中に突然死した人の死因を調べたところ、病歴がなかったり、「自分は健康と確信」していた事例が半数にのぼった。
突然死が怖いのは予防が極めて難しいことだ。中高年になると、心臓に酸素を送る冠動脈の硬化が知らない間に進んでいることがある。こうした隠れた病的状態は、会社で受ける健康診断では発見されにくい。
運動中は、不整脈の原因となりうるアドレナリンが、平静時より多く分泌される。
Jリーグの柏レイソルなどトップアスリートをサポートする平岩貴久医師は、突然死の予防には「心拍数を自分で測る習慣をつけるべきだ」と指摘する。そこで参考になる心拍数は、「1分当たり最大心拍数×0.65」。最大心拍数=(220-年齢)なので、
50歳なら・・・110 =(220-50)×0.65
40歳なら・・・117 =(220-40)×0.65
が心臓に負担をかけない目安の心拍数になる。
また、運動から遠ざかっている人は「週に2~3回、45分程度歩いて、うっすら汗をかく程度の運動が望ましい」
普段は歩くのもおっくうがる人が、早朝ゴルフの前夜に深酒し、睡眠不足のままティーグラウンドに立つなどもってのほか。しかも準備運動無しとくれば“突然死志願者”と言われても仕方ない。
そこで、準備運動をする場合の鉄則は、心臓への負担を避けるため、体の先端部から動かし始めること。つまり、つま先・かかとのストレッチを行い→ひざ→太もも→上半身へ、と移る。「最低でも20分以上かけてほしい」(平岩医師)。体の隅々まで血が通えば、危険な血圧の急上昇を抑え、万一のリスクを減らすことが出来る。最も大切なことは運動中に「苦しくなったら運動を止めること」。胸の痛みなどを感じたら、潔く“撤退”すること。
   ⇒マグネシウム不足が主原因。
   ◎マグネシウム(Mg)とカルシウム(Ca):
      <1>Mg=血管を緩める。
        Ca=血管を縮める。
      <2>マグネシウム不足が続くと、相対的にカルシウムが多くなり、血管を縮       める作用が強くなり、動脈攣縮を引き起こす。動脈攣縮は冠動脈で起こり       やすく、それが心停止につながる。
   ◎マグネシウムは汗から体外へ排出されやすい。
   ◎マグネシウムは、食事で摂取しなければならない。
      <1>肉中心の食生活は、Mgが不足する。
      <2>野菜キライは要注意----------
         マグネシウムはクロロフィルの無機質イオンであるから、野菜は重要         なマグネシウム供給源です。
      <3>無農薬野菜と農薬入りの野菜では、30%の差がある。
      <4>カット野菜は、50%ダウン。
   ◎ストレスで、血中のマグネシウム量は(30~40%/1ヶ月)ダウンする。
◎睡眠不足は、マグネシウムが激減する。
◎マグネシウムを摂取するには:①マメ類
                  ②ゴマ
                  ③ワカメ
   ④野菜
                  ⑤さかな
                  ⑥シイタケ
   ◎マグネシウム不足の症状:
      ①動悸する
      ⑤手がふるえる
時間医学:
 「月曜日と木曜日に集中している」(田村康二著「病気の時刻表」p24)
   ■青少年に多い心臓性の突然死
    「5歳~19歳の突然死の7割以上が心臓性の突然死であることが、大阪府成人     病センターなどの調査で分かった。1995年1年間に大阪府内で死亡したこの     年齢の人を調べたところ、突然死した38人のうち28人が心臓性、次いで気     管支喘息が4人だったという。
調査をまとめた同センターの北田実男・循環器健診第三科部長によると、心     臓性突然死の原因別では、肥大型心筋症など心臓にもともと基礎疾患があった     ひとは17人で最も多く、基礎疾患は認められなかった者の心臓麻痺などで死     亡した人は11人だった。
また、死亡した際の体調や行動を詳しく調べた結果、基礎心疾患のあった     17人のうち11人は普段通りの生活をしていたが、呼吸器感染症に罹ってい     た人と風邪や睡眠不足などで体調が良くなかった人がそれぞれ2人いた。残り     の6人は部活動などの運動中だった。1997.8.10《朝日新聞》
   ■ゴルフのプレー中----1年に28人-----
    「ゴルフのプレー中に突然死した人が年平均で[28.7人]に上り、そのうち中     高年で心臓病などの持病のある人が半数以上を占めていることが、東京都監察     医務院の調査で分かった。28日開かれた東京都衛生局学会で報告したもので、     ゴルフ中の突然死の実態の全国的な報告は珍しいという。
調査は84年~96年までの13年間に全国でゴルフの最中に突然死した人を     対象に、健康状態、死因などを調べたもの。
調査対象期間中に突然死した人は373人(うち女性4人)で、年齢別では     40歳代が19.3%、50歳代が33.5%、60歳代が29.0%と、圧倒的に中高     年に多かった。
また持病があり何らかの治療を受けていた人が243人(65.1%)に上り、     死因は心臓や血管にかかわる病気が全体の85.5%を占めた。代表的な持病(複     数回答)は心臓と血管にかかわるもの43.6%、高血圧28.5%、糖尿病11.7%     など。
同院は「突然死を予防するには、通常の健康診断に加え、運動時の脈拍や血   圧などをチェックすることが必要だ」と呼びかけている。1998.5.29《日本経済     新聞》
   ■高齢者は入浴に注意-----高齢者は、42℃以上の入浴を避けること。
     体の水分が失われる:
       53%→50%と3%に水分が不足し、それが血栓を作る原因となる。
さらに、高齢者はのどの渇きを自覚しにくいので、入浴の前後に、スポー       ツドリンクなどを飲んで予防しましょう。
入浴で血管が広がり、血圧低下を引き起こします。そのために意識がはっき      ししない・夢ごごちでおぼれることがある。
経験者は“大変気持が良くなった”“居眠りと同じ感覚”と表現している。
     42℃を境いにして、血栓を作る成分が増加し、血栓を溶かす成分が減少す      る。
     皮膚の温度が上昇し、それが脳へ影響して、意識障害を引き起こし、おぼれ      る。
   ■4月と終末に多発
    「4月は突然死にご用心------。心筋梗塞や脳卒中などが原因で発症から24時間     以内に亡くなる突然死は、1年のうちで4月に発生する危険性が最も高いこと     が、勤労者20万人を対象にした実態調査で分かった。
川村孝・京大保健管理センター所長らのグループが、東京で開催中の日本医     学総会で3日なでに発表した。
曜日別では日曜、土曜の順で終末に多く、仕事中の急死は2割以下。冬場に     突然死が増えて季節要因に左右される高齢者と比べ、働き盛りの世代では社会     的な生活環境の影響が大きいと言えそうだ。
川村所長らは、愛知県内の10の事業所に勤務する男女を、87年から7年     間調査した。交通事故などを除いた内因性の病気で突然死した人は、約20万     人中64人で、年間発生率は人口10万人あたり19人となった。1999.4.4.《日     本経済新聞》
■ゴルフ中の突然死
「ゴルフのプレー中に急性心不全などで突然に亡くなる死亡事故は、昼食後に高い頻度で起きていることが分かった。早起きして遠方のゴルフ場に急ぎ、昼食にアルコールを飲み、休憩もそこそこにラウンドする“日本流ゴルフ”が影響しているようだ。健康のためゴルフをする人は少なくないが、プレーの仕方には注意が必要だ。
遺体解剖などをする東京都監察医病院(東京都豊島区)のグループが、このほど、1984年~96年までの間に全国で起きたゴルフ中の突然死373件について死因や年齢が分かる252件は時間帯も分析した。
その結果、突然死した人の98.9%が男性。年齢別では50代が33.5%で最も多く、60代(29%)、40代(19.3%)の順。死因は急性心不全や心筋梗塞などの「心・血管系疾患」が85.5%で、脳出血など「脳血管系疾患」が12.9%、健康状態との関係では、高血圧などの既往症のある疾患群が65.1%で、健康群25.2%だった。
この調査で注目されるのは、突然死の発生時間。午後2時台が16.26%と最も多く、以下午後1時台(14.7%)、午前11時台(13.1%)、午後0時台(10.7%)、午前10時台(10.7%)、午後3時台(10.3%)の順。
また、疾患群と健康群に分けると、健康群では午後1、2時台に各21.7%ずつ起きており、昼食後の2時間が“魔の時間帯”であるのが分かった。
背景には日本流プレー
この背景について、順天堂大学浦安病院・健康スポーツ診療科講師の坂本静男さん(スポーツ医学内科系)は、日本流ゴルフを挙げる。
「朝早く起き睡眠不足で遠くのゴルフ場へ行き、せかされながらプレー。その最中にタバコを吸い、消費カロリーを超えた食事やアルコールを取ることが多い。これでは、自分では健康と思っていても、高血圧や高脂血症といった狭心症や心筋梗塞の危険因子を持つ人には良くない」
特に、アルコールを飲んでいると、脈が速くなり脱水傾向に陥りやすいため、血液が濃くなる。そうすると、例えば、心臓の筋肉に血液を送る冠状動脈に血栓が出来やすくなり、心筋梗塞を招く恐れもある。
プレー中の突然死を防ぐには、十分な準備運動をした上で、アルコールも控え、水分補給をすることが大切だ。自覚症状がなくとも、高血圧や高脂血症の傾向のある人は特に注意が必要がだと坂本さんは指摘する。
調査をまとめた同医務院検査課主任の熊谷哲雄さんは「ゴルフは危険なスポーツではないが、運動負荷をかける試験をすると、健康者でも不整脈が誘発される報告もある。どの程度の運動がいいのか専門家からアドバイスを受けることも必要」と話している。」





 突発性難聴
  (参照→「痛みが激しい」「難聴」「ペインクリニク」)
   ⇒<1>炎症などによる急性難聴疾患を除外したものを総称する。
    <2>原因ははっきりせず不明である。
    <3>特徴:発病の日時、状況をはっきり記憶していることが多い。
    <4>耳鳴り、耳の閉塞感、めまいなどが主な症状。
    <5>40歳代の発病が多い。男女差はない。
    <6>糖尿病、白血病、梅毒などが隠れていたり、それらの合併症として、発病す     ることが多い。
■忙しい人はご用心
「ある日突然、耳が聞こえにくくなる突発性難聴の患者と健康な人の生活習慣や食習慣を比べたところ、睡眠時間が短いことや朝食を食べないことなどが、突発性難聴になる危険度を高めている-------------こんな傾向が厚生省の急性高度難聴調査研究班の調査でわかった。
1996年10月~97年8月までに研究班員が所属する医療機関を受診して突発性難聴と診断された患者164人と、年齢・性・居住地が似通った健康な24910人を対象に、生活習慣や食習慣をアンケートし、突発性難聴の危険因子を分析した。
それによると、睡眠時間が7時間未満の人は7~8時間の人に比べ4.34倍、朝食を食べない人は食べる人に比べ2.73倍、日本茶を毎日飲まない人は飲む日とに比べ1.76倍、それぞれ突発性難聴になる危険度が高かった。
研究班のとりまとめをした中島務・名古屋大教授(耳鼻咽喉科)は「お茶との因果関係は不明だが、忙しい生活が危険因子だとは言えるので注意を」としている。」1999.6.6《朝日新聞》
■休息と早めの治療
「急に耳鳴りがし、耳が聞こえなくなる。そんな症状で、原因がはっきりしないのを『突発性難聴』と呼ぶ。片方の耳だけで起きることが多く、日常生活での支障も小さいため、受診が遅れることもしばしばだ。専門医は「脳の重い病気でないことを確認し、治る可能性を高めるためにも治療開始は早いほどいい」と助言する。原因については、内耳の毛細血管の変異説が注目されている。
発症した瞬間に気づく人もいるが、朝起きたときからおかしいと思うケースが最も多い。9割は耳鳴りが伴う。2、3割はめまいもある。
厚生省の基準では、突発性難聴とは突然起きた高度の感音難聴(内耳より奥に原因がある難聴)で、原因不明のものを意味する。ほとんどは片耳だけで起こる。あとで反対の耳に出るとか一度治った耳に再発することは珍しい。過労や寝不足、カゼの後などの発症が目立ち、ストレスと関係がありそうだ。
“急に起こる難聴にも怖いものがある”と急性高度難聴に関する調査研究班の前反張・神崎仁・慶応大学医学部教授(耳鼻咽喉科)は警告する。
<1>脳腫瘍の一種の聴神経腫瘍と
<2>高齢者の脳幹部で起こる脳梗塞は
命に関わる。MRI(磁気共鳴断層撮影)検査などで、これらの病気でないことを確認するのが何よりも重要だ。
両耳で起こる難聴も困る。神崎さんが初めて報告した『ステロイド依存性感音難聴』は免疫異常がからんでいる。3~40代の女性に多い。ステロイド剤で良くなるが、止めると悪化する。
片耳の難聴でも、原因がハッキリしているものもある。『外リンパ瘻』は気圧や外傷によって中耳と内耳の膜が破れるもので、強く鼻をかんだりして起こることもある。外科手術で治すことが出来る。意外に多いのは、おたふく風邪による難聴。おはふく風邪の主症状がないため、見逃されやすい。
これらの原因のハッキリしているものを除いた『突発性難聴』は「約1/3は治り、1/3は軽くなるが、1/3は治らない」(神崎さん)。めまいや聴力低下の激しい人、高齢者、治療開始が遅かった人が治りにくい。
片耳が聞こえなくなることで、支障が無いわけではない。方向感覚が悪くなったり雑音の多い場所での声が聞き取りにくくなったりする。
「仕事を休んで、早く治療を始めるほど治る確立が高くなる」と神崎産。休養と、ステロイド剤、循環改善剤、ビタミン剤などの薬物治療をする。しかし、これらの薬が効いている証拠はない。自然治癒が主で、薬はそれを促進すると考えられている。
突発性難聴の原因にはウイルス説もあるが、循環障害の可能性が大きそうだ。内耳の血管が動脈硬化やケイレンで細くなり、血液の塊が詰まるのではないかという。塊が溶けたり、流れたりすれば回復する。
森満保・宮崎医科大学長(耳鼻咽喉科)たのグループは、別タイプの循環障害説を出している。
1973年、森満さんは患者の脳血管撮影をしようとした。本番前の過敏性テストとしてごく少量のヨード系造影剤を静脈注射したら、すぐに患者の症状が軽くなった。治療薬になると考えた森満さんらは500人以上に注射し、発症2週間以内なら6割が治ると報告している。この造影剤[ウログラフィン(一般名:ミドトリゾ酸ナトリウムメグルミン)]は欧米ではすでに治療薬として使われているが、日本では保険で使える薬にはなっていない。
森満さんは、動物実験も含めてなぜ効くのかを追究した。医学雑誌「ミクロスコピア」に発表した論文によると、マイナスの電気を帯びている内耳の毛細血管の内皮細胞が電気を失うと難聴が起こる。ウログラフィンはマイナス電気の膜を作るので回復するが、自汗が経つと障害が固定し、効きにくくなる。
坂田英治・埼玉医科大学名誉教授(平衡神経科)は、耳鳴り治療法の鼓膜へのステロイド注射法で対処している。3週間以内なら6割の突発性難聴がほぼ治る。それより遅れると、耳鳴りが治っても難聴は残る可能性が高い。2000.7.16《朝日新聞》
  【漢方薬】
    香蘇散
 五苓散
    三黄瀉心湯
    小柴胡湯香蘇散
    大柴胡湯
    八味地黄丸
    竜胆瀉肝湯

    ◎葛根
    ●仙人村の霊芝
    ●サメ軟骨
    ●ハマクロン
●秘方21
    ●黒01《螺王人》
    ●鯉末《螺王人》



 突発性浮腫
  【漢方薬】
    九味檳榔湯(息切れ、胸苦しい、ふくらはぎの緊張、腹が張る・脹痛)


突発性発疹
=「3日熱発疹」
◎好発年齢:1才未満の乳児。
◎好発時期:特になし。
◎症状:
発疹
<1>部位:体幹に始まる。四肢・顔面には少ない。
            発病当初に、小出血斑(+)。
<2>性状:麻疹様。
            落屑(ー)。色素沈着なし。
<3>発疹の出現:発熱が起こり、解熱後発疹が現れ、48時間で消失する。
発熱:
       <1>高熱、約3日間にわたって稽留する高熱。
       <2>他覚所見の少ない突然の発熱。
       <3>4日目に分利的に解熱する。
     全身倦怠
     口蓋頬の内疹、軽度のカタル  

■特定難しいウイルス
「大阪羽曳野市の会社員梅原享豪さん(28)の長男、ハヤテちゃんは、1歳の誕生日を目前にした昨年4月3日。37.5℃の熱を出した。前日から熱っぽかったが、食欲もあり、ハイハイをして元気な様子。母親の左保子さん(28)は「いつものカゼか、突発性発疹」と思っていた。突発性発疹は熱が下がってから発疹が出る小児の病気で、長女(6)が以前罹ったことがあった。
ところが、夕方になると、ハヤテちゃんはぐったりとして、熱は39℃に。むずがるのをあやしていると、突然激しくケイレンした。全身がみるみる真っ青になり、口をパクパクさせた。
驚いて救急車を呼び、近くの病院へ。けいれん止めの座薬を使ったが、意識がはっきりしないため、別の総合病院へ転送された。再びケイレンを起こし、集中治療室に入った。嘔吐・下痢も起こした。
翌朝、容体は急速に悪化した。「脳が腫れ、危険な状態」と言われ、高度な設備が整った公立病院へ。医師は「急性壊死性脳症」。生死に関わります」と告げた。
処置が早かったためか、一命を取り留めたが、意識は戻らない。「植物状態。重度の障害が残ります」という医師の言葉をよく飲み込めなかった。
左保子さんは「私たちが涙を見せたら、ハヤテはもっとつらい」と思い、毎日笑顔で語りかけ、手をさすり続けた。やがて左手がピクリと動きだし、望みをつないだ。
栄養を花からのチューブでとっていた。早く食べられるようにと、ハヤテちゃんの口にプリンを運んだ。3ヶ月でチューブがはずれた。語りかけると、笑顔を見せるまでになった。
「健康な子なら当たり前のことでも、ちょっとしたことが出来るたびに、我が家はお祭り騒ぎ。いろいろなことに感謝できることが、この病気で得したことです」と左保子さん。
わが子を襲ったのは何だったのだろうか?インフルエンザの流行期はすぎていた。「医者泣かせのウイルス。あっという間に進行して、予想できない」と医師はいった。
検査でもウイルスは特定できなかった。医師は「突発性発疹ウイルスのほか、B型インフルエンザの可能性も考えられる」と説明した。
大阪赤十字病院小児科医師の山本英彦さんによると、脳症を起こすウイルスは、インフルエンザウイルスの他にも、突発性発疹・風疹・麻疹・手足口病や、普通の風邪の原因であるアデノウイルスのこともある。
中でも比較的多いのは突発性発疹で、発病は季節を問わない。インフルエンザの流行シーズンが終わっても、安心とは言い切れない。
高熱・ケイレンが共通した症状。熱が出た時に脳症に進むかどうかの予測は、医師でも難しい。発症したら、早くケイレンを止めるなどの治療を受ける必要がある。
山本さんは「ぐったりしている、飲まない、食べないなど普段と違う症状に注意することが大切」と話している。

【漢方薬】
■防風通聖散




鳥インフルエンザ
◎2種類の突起
「インフルエンザウイルスの表面には、取りや人間などの細胞にくっつく役割を持つ『ヘマグルチニン(H)』と、細胞内で増やしたウイルスを細胞外に押し出す『ノイラミダーゼ(N)』という2種類の突起がある、
Hは15種類、N歯9種類あり、その組み合わせによって、どんな動物が感染するかが決まる。アジアに蔓延するH5N1は毒性が強い。これまでヒトで流行した報告がないので免疫を持っている人はいないので、一端広がり始めると被害は一気に拡大すると思われる。
2005年夏からロシアを初めヨーロッパでも鳥インフルエンザが発生。いずれもH5N1型だった。
ヒトからヒトに感染するウイルスは、鳥と鳥の間での感染が終息した後に起こる可能性がある。1918年に大流行したスペイン風邪は、鳥インフルエンザが変異したウイルスが原因で4000万人が死亡した。このスペイン風邪のウイルスは鳥への感染性は持っていなかった。」

■耐性ウイルス
「ベトナムで2005年2月に見つかった高病原性鳥インフルエンザ(H5N1型)患者から、強力なインフルエンザ治療薬『タミフル』に耐性を持つウイルスが検出されたことが、東京大学医科学研究所の河岡義裕教授らの研究でわかった。“特効薬”とされるタミフルへの耐性が見つかったのは初めて。
河岡教授は「今のところ耐性ウイルスが世界中に広まる可能性はほとんど無いが、慎重な監視が重要」と話している。
成果はネイチャーに掲載。
H5N1型はアジアを中心に流行。患者死亡率が60%と高い。2005.10.15《日経》

■耐性ウイルス・・・死者から
「高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1)に感染して死亡したベトナムの患者2人から、抗ウイルス薬タミフルへの耐性を持つウイルスが検出されたことが2005年12/22分かった。耐性ウイルスによる死亡は初めてとみられている。ベトナムや米国の研究チームが12/22付けの米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに発表した。
耐性ウイルスが見つかったのは13歳と18歳の少女。いずれも1月に入院、タミフルによる治療を受けたが、それぞれ8日目と20日目に死亡」

■変異が
「鳥類に感染するインフルエンザが鳥インフルエンザ。1997年に香港で人にも感染するH5N1型が見つかった。人が感染すると、通常のインフルエンザのように「高熱」「せき」「全身のだるさ」や「呼吸不全」を発症する。
鳥から人への感染は簡単には起きないが、通常のインフルエンザのように人から人へ感染して世界的な大流行が起きる可能性がある。
専門家が中止するのは鳥での感染拡大。今年の夏ロシア・カザフスタン・ルーマニア・トルコなどで新たな感染が見つかった。ベトナムではすでに41人が死亡。」2005.10.17《日経》

■タミフルで死亡
「2005年11/17,FDA(米食品医薬品局)は、鳥インフルエンザの治療薬として期待されている抗ウイルス剤「タミフル」の副作用で2000年以降日本で12人の子供が死んだ疑いがあると発表。
欧米を含め他の国では死亡例がない。
米メディアによると、内訳は自殺1人、突然死4人、心停止4人など。
また、服用後に異常行動などの精神症状が出た事例が32例あり、このうち31例が日本で起きた。2005.11.18《日経》

■肺の奥で増殖
「東京医科学研究所の河岡義裕教授らは、世界で100人以上が死亡している高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)が人間の鼻やノドでなく肺の奥深くで増殖することを突き止め2006年3/23のネイチャーに発表。
H5N1型はアジアを発端に中東・欧州・アフリカなどで鳥への感染が拡大している。人間が感染すると思慕言う率は60%と非常に高いが、人から人への感染が疑われる事例は少なく、その理由が分からなかった。
河岡教授らはインフルエンザウイルス感染に関係のあるタンパク質(受容体)に着目して調べた。毎年冬に流行するインフルエンザウイルスは鼻やノドの細胞にあるタンパク質を好んで増えるのに対し、H5N1型は肺の奥深い部分にある肺胞上皮細胞にタンパク質にとりついて増殖することが分かった。
感染者が咳やくしゃみに因ってウイルスをまき散らす可能性が小さく、ひとから人へ感染しにくい理由と考えられる。
また、H5N1型に感染すると、鼻がグズグズするなどのインフルエンザの症状が出ないまま、重い肺炎になることが多い。」





ど忘れ
■仕組み研究
「分かっているはずなのに、どうしても人の名前が出てこない。「ど忘れ」の仕組みを次々明らかにしている東京大学医学部の大脳研究グループの宮下保司教授。
9/26付けの米国の科学誌「ニューロン」に新たな研究成果を発表した。一旦しまい込んだものの、なかなか思い出せない記憶。これを引き出そうとするときに、活発に働くのが前頭葉の下の部分。
「ここがメタ記憶。側頭葉の新皮質にしまった記憶の“在庫”を引き出そうとする、在庫管理の役割を果たしているんです」
磁気共鳴が像装置(MRI)を使った人間の実験で、この場所をほぼ突き止めたのが半年前。
2年前には、サルの実験で、記憶するときと、記憶を引き出すときのプロセスに違いがあることを明らかにした。情報を大脳に書き込む際にかかるのは0.01秒。意図的に思い出そうとするとき、情報を読み出すのにかかるのは0.3秒。似たような情報が近くにあったりするので、引き出すのに、それだけ手間がかかり、ど忘れも起こる。」2002.10.7《日本経済新聞》


呑酸(#どんさん)
(参照→「胸やけ」)
=酸味が胸へ刺し出て口へは出ないもの、胸やけ。《古今方彙》
胃酸過多症。げっぷ。
◎主薬:呑酸には、「蒼朮」・「神麹」を主薬とすべし《万病回春》
   
<1>牙歯がうく:[麹朮丸]
<2>ただ水を吐く:[朮苓湯]
<3>黄臭または醋臭を吐き出して心臓を不安に:[四味茱連湯][九味茱連丸][清痰丸]
<4>朝は食欲があるが、夕方になると吐き出す:[四物湯陳皮・黄芩・黄連・桃仁・麻子仁・甘草]
<5>呑酸で大便が詰まる:[透膈湯]
<6>呑酸で大便は出る:[参萸丸]

【漢方薬】どんさん
■安中散
■黄連清化丸(呑酸)
■加味平胃散《医方考》
■麹朮丸
■九味茱連丸(欝積の呑酸)
■香蘇散
■香砂平胃散《万病回春》
■呉茱萸湯
■左金丸
■四味茱連湯(痰火が血を帯びて呑酸になる)
■茱連丸[2](呑酸・吐酸)
■参萸丸(呑酸下痢)
■沈香降気湯《和剤局方》
■清欝二陳湯《万病回春》
■清痰丸(呑酸と嘈雑)
■増味二陳湯(呑酸)
■蒼連丸(呑酸と吐酸を治す)
■蒼連湯《万病回春》(呑酸・吐酸)
■丁香半夏湯《和剤局方》
■透膈湯《医学入門》(中の気滞・噫気・呑酸・嘔逆・痰涎)
■茯苓飲合半夏厚朴湯(悪心嘔吐、気鬱不安、胃内停水)
■平胃散(太陰病、心下痞塞、腹部膨満、食後腹鳴)
■平肝順気保中丸(脾胃の伏火が鬱積して痰が生じ、嘔吐・呑酸・雑)
■補中益気湯茯苓・半夏《薛立斎十六種》
■保和丸
■六君子湯《薛立斎十六種》
■六君子湯炮姜・木香《薛立斎十六種》


頓嗽(とんそう)
=小児の百日咳。

◎頓嗽の治法は、余、近頃
①橘皮竹茹半夏蘇子を用い、
②日久しく羸痩甚だしき者には:麦門冬湯五味子桑白皮
③兼用には、その勢甚だしきときは:勝聖散  
④日久しく咳止まざるは:参華煉
にて大抵効を収む。《橘窓書影》

【漢方薬】 ■射干麻黄湯