<な> つらい症状・病名


ナイアシン欠乏症niacin deficiency
◎舌が牛肉状になり、腫脹し平滑となる。

 

ナルコレプシーnarcolepsy
=「睡眠発作」。ナルコはギリシャ語で「麻痺」、レプシーは「発作」を意味している。
○過眠症」の一種。
○睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠があります。ナルコレプシーでは正常な人と違って、ノンレム睡眠から入眠するのではなく、いきなりレム睡眠に入ります。このためレム睡眠時にみられる金縛り(睡眠麻痺)や幻覚がしばしば現れます。

◎特徴:
家系性があり、
笑った時や緊張した時に脱力発作を起こす、
日中眠くて仕方がない
寝言を伴う。
その他:

・寝入りばなに恐ろしい夢を見る。
・全身が金縛りにあう

■不意の睡魔、病気とわかって
「不眠の苦しみの訴えがある一方で、過眠の悩みも深刻だ。『ナルコレプシー』という病気にかかると、昼間に居眠りをしてしまう。
首都圏の大学2年生、A君(22)。中学2年でその症状が出始めてから7年になる。最初は「日中の強い眠気」だった。授業中、ふと気付くと、ノートの文字がミミズのようになっている。級友に起こしてもらって、数秒後にはまた寝てしまう。「もっとまじめにやれ」「怠けるな」ーー教師や親の言葉が胸を刺す。「さぼってるつもりはないのに・・・」。成績がどんどん下がった。
 高校では新たな症状が出た。楽しくて大笑いしたりすると全身の力が抜ける「情動脱力発作」。自宅前で倒れ、家族に運び込まれたこともある。寝入りばなに怖い“夢”を見る。「入眠時幻覚」も加わった。
 大学受験では、受けた3校とも試験中に眠ってしまい失敗。浪人中に「おかしい」と思って病院をいくつも回り、ようやく自分の症状がナルコレプシーによるものと判明。「もやもやが晴れたようでうれしかった」と振り返る。
2年前から神経研究所晴和病院(東京都新宿区)で薬物療法を受け、症状は軽減したが、今でも生活が不規則になると眠気に襲われる。「症状がいつ出るか・・・」。そんな不安で、どうしても消極的になってしまいう。
ナルコレプシーの発病率は日本人の約600人に1人。10代で発病するケースが多い。A君は比較的速く治療を受けるようになったが、周囲から「怠け者」とみられる為、受診せず、放置したままになちがちという。
東京都内の自営業、B酸(68)のように、50年以上も病名が分からず、先月、ようやく同病院に通院し始めた人もいる。居眠りで失敗を繰り返すうちに、自信を失い、内向的であきらめやすい性格になっていく・・・。1996.7.11《日本経済新聞》」

■日中に強い睡魔に襲われる
「夜、十分に寝ているつもりなのに日中に眠気に襲われたり、眠ったりする・・・・・これがほぼ毎日繰り返す過眠症。なかでも、試験中にでも眠り込んでしまう事もあるナルコレプシーは10代の人に多い。40年以上この病気に取り組んできた財団法人神経研究所の本多祐理事長は「適切な対応をすればナルコレプシーは治る。偏見を捨ててこの病気を理解することが治療の第一歩」と言う。

●他人から「たるんでいるから眠いのだ」と言われるように、過眠症は不眠症ほどには知られていません。
「昼に強い眠気を催す病気の中には、睡眠以外の理由で夜眠れないことからくるものがあります。睡眠時無呼吸症候群や、周期性四肢運動障害などがそうです」
「睡眠の内容が原因となる過眠症には、ほぼ毎日眠気に襲われる特発性過眠症や、過眠状態が時々現れ1週間ほど続き、その後は無症状になる反復性過眠症などがあります。ナルコレプシーも過眠症のグループに入ります」

●「ナルコレプシーは食事中や電話中など時と場所を選ばずに睡魔に襲われます。
「日中の短時間の過剰眠りの繰り返しが大きな特徴です。もう1つの特徴は情動脱力発作。うれしくなったり大笑いした時など喜怒哀楽んも感情が高まると、ろれつが回らなくなったり、体の姿勢が保てなくなる状態が数秒~数分間みられることです」
「私たちの調査ではナルコレプシーの有病者率は1万人に16~18人。日本には20万人ほどの潜在患者がいる計算ですが、治療を受けている人は数千人でしょう。」
「10代の若者、特に14~16歳の患者が多い。ちょうど高校受験期で睡眠不足が重なっていることがあるのでしょう。この年齢は昼夜に関係なく寝たり起きたりを繰り返す子供型(多相性睡眠)から、昼は活動して夜眠るという成人型(単相性睡眠)への移行期でもあり、ホルモンバランスによって子供型に戻ることが背景にあるのかもしれません。年齢が高い患者さんもいますが、50歳を過ぎるとまず発症しません」
●原因は何でしょう?
「私たちは1984年に、ナルコレプシー患者ではヒト白血球抗原型(HLA)のあるタイプが陽性であることを見つけています。つまり遺伝的素因が関わっている可能性があるのです。遺伝的要因を持っていても病気になるとは限りません。睡眠不足などストレスが加わって発症します。これは一卵性双生児の研究からも裏付けられています。
「4年ほど前、脳で分泌されている食欲調節タンパク質である『オレキシン』が関与しているのではないかという結果が発表されました。マウスなどの動物実験ではオレキシン遺伝子に変異が起きているというものですが、人間では証明されていません。」
「治療ではまず、生活指導を徹底し、睡眠日誌などをつけたり、夜しっかり寝るという習慣をつけます。一部の抗ウツ薬を飲むと情動脱力発作が止まり、しかもナルコレプシーで見られる睡眠麻痺(かなしばり)などが改善します。短時間の昼寝も効果があります。夜は睡眠導入薬や精神安定約で眠りがとれるようにします。昼間の眠気は薬を上手に使って抑え、生活を支えます」
「大切なのは病気を理解することです。日中寝るからと家庭や職場で“ダメ人間”の烙印を押したりするのはいけません。ナルコレプシーは治る病気ですから、社会が支えれば治療が進みます」 2003.1.7《日本経済新聞》

■過眠症
「米スタンフォード大学の睡眠研究所は米国西海岸の睡眠研究所の拠点で、多くの日本人研究者が活躍している。夢を見るレム睡眠の発見者の1人であるウイリアム・デメント教授が創設した。
この研究所では特殊なイヌを何匹も飼っている。血統はドーベルマンで見かけはとても大きくて精悍だが、大好きな半生タイプのドッグフードを与えると大喜びして興奮し、途端にバッタリ倒れる。
この脱力発作はナルコレプシーと呼ばれる病気に特有の症状だ。この病気は過眠症の一種で、十分に寝ているつもりなのに、日中、強烈な眠気に襲われる。
10代で発症する場合が多く、1000人に1~2人程度の頻度でみられる。
デメント教授は約30年前に遺伝性ナルコレプシーの犬を発見した。それ以来ずっと交配を続け、今もその子孫をスタンフォード大学で飼育している。1999年、弟子のエマニエル・ミニョー所長と西野清治副所長がついに、この犬の病気の原因が『ヒポクレチン』(別名:オレキシン)というホルモンの受容体の異常であることを突き止めた。
ほぼ同時にテキサス大学の柳沢正史教授は新しい脳内ホルモンとして見つけた「オレキシン」の遺伝子を欠くマウスが、同じような脱呂発作を起こすことを見つけた。
その後、世界中でナルコレプシーについて研究が急速に進み、翌年には西野博士らが、人間の場合もこのホルモンが作られにくくなることが病気の原因であると証明した。人の場合、このホルモンや受容体の遺伝子に異常が無いことも解明。現在では、これらのホルモン生産が後天的に低下して、この病気が発症すると考えられている。(裏出良博・大阪バイオサイエンス研究所第二研究部長)2004.2.15《日本経済新聞》

■SNP
「ナルコレプシーの発症に関わる塩基配列の個人差を徳永勝士・東京大学教授らのチームが発見した。成果は2008年9/29のネイチャー・ジェネチクスに掲載。
患者222人と健常者389人を対象に、SNPを調べた。その結果、脂肪酸代謝に関わる遺伝子とアセチルコリンの生成に関わる遺伝子の間にある塩基配列に見つかった。
ナルコレプシーと関係のある遺伝的要因は複数有るとされており、これまでにも白血病の型(HLA)が知られている。」



内耳炎tabyrinthitis
【処方名-】
■真武湯
■苓桂味甘湯

 

内出血internal hemorrhage
【処方名】
■治打撲一方(打撲、打ち身)
■雲南白薬 


 

内傷(ないしょう)
=飲食過度、身心過労等のために衰弱して怠惰になり、臥するを嗜み、四肢は無力になり、手足の中心に熱を訴え、時々頭痛し、言語懶弱に食欲不振、消化不良を起こす状態をいう《古今方彙》。
<1>内傷病は始め熱を持つ:[補中益気湯][益胃升陽湯][参朮調中湯][凝神散][当帰補血湯][三補朮枳丸]
<2>それが、変わって寒症になる:[神聖復気湯][白朮附子湯][草豆蔲丸][守中金丸]

【処方名】(内傷)
■雲林潤身丸(痩せてひ弱になり、気短で食欲なし)

■加味六君子湯《寿世保元》

■還元丹(内傷の虚弱を治す、五臓を和らげ、百病を消滅させ、精髄を充実させ、元気を出させ、肥らせる)

■九仙王道糕(精をつけ、元気を扶養し、食欲を増進させる)

■砂糖元(脾胃を調養する)

■七味白朮散《医方考》

■守中金元(内傷病に脾胃が冷えて腹中が疼痛し、または腹が鳴り、食欲不振の者)

■助元丹(脾胃を保養し、食欲を増進させる、老人に良い)

■升陽益胃湯《内外傷弁惑論》

■升陽順気湯《内外傷弁惑論》

■升陽補気湯《内外傷弁惑論》

■沈香温胃丸(脾胃が冷え心腹が疼痛する)

■参蓍湯《万病回春》

■参朮調元膏(元気を出させ、脾胃を壮健に、食欲を増進させ、肌を柔げる)
■参朮調中湯《内外傷弁惑論》

■参苓白朮丸(病気が治った後、元気がない)

■参苓白朮散《寿世保元》(脾胃の虚弱、食べなくても吐く、大病後に)

■瑞蓮丸(脾胃が弱り、食欲なく、or下痢)

■正気補虚湯《医学入門》

■蒼朮膏(食当たりして食べられず、湿腫が出、四肢に力無く、酒色にすぎ、労役に疲労して骨熱があり、痰火が起きるなど)

■雙和散《和剤局方》

■太和丸(脾胃の虚弱、食欲なく、痩せ、顔色黄色くしなびる)

■調中益気湯《脾胃論》

■天真元(脾胃が弱り、食欲不振、津液が枯れ、痩せる)

■当帰補血湯[2](過度の労役などで、顔・目が赤く、熱があって、脈は洪大・虚で押すと無くなる(=血虚発熱症)を治す。

■白朮膏(脾胃が弱く、食べものがまずく、or吐く)

■白朮附子湯[2](内傷が変じて寒中症になった者

■白朮和胃丸(内傷が長引き、食欲なく、臓腑が詰まり、溏泄する)

■白朮和胃湯《医学正伝》

■白雪糕(ハクセツコウ)(内傷を治し、脾胃を保養する)

■秘伝三仙糕(脾胃が虚弱し、食欲がない)

■茯苓造化糕(脾胃が虚弱し、食欲がない)

■補胃湯《寿世保元》

■補気湯《明医雑著附》

■補血湯《明医雑著附》

■補真膏

■補中益気湯《内外傷弁惑論》

■門冬清肺飲《内外傷弁惑論》

■養脾湯《古今方彙》

■六君子湯《医学入門》


内傷発斑
【処方名】
■黄蓍建中湯

 

内障(ないしょう) (→外障)
⇒イ.眼球の内部の疾患。そこひの類。内障は瞳の中の昏暗した症で、傍目には何ともないように見え、涙も流れない。
ロ.内障は肝の病である。
ハ.内障の種類(23種類)
1.円瞖2.氷瞖3.渋瞖4.散瞖5.滑瞖6.横開瞖7.浮瞖8.沈瞖9.偃月瞖10.棗花瞖11.黄心瞖12.黒花瞖13.胎患14.五風変15.雷頭風16.驚振17.緑風18.烏風19.黒風20.青風21.肝虚雀目22.高風雀目23.肝虚目暗。

【処方名】(内障)
■益陰腎気丸(色欲で腎精の弱った者)

■加減駐景元(肝腎とも弱く、黒花が出、暗く又腎障が出来るとき)

■還晴丸(高風雀目で内障)

■空青元(白点が黒水下にある)

■蛤粉丸(雀目)

■五退散[2](内障)
■杞苓丸(腎虚による目の昏暗と内障)

■滋陰地黄丸[2](貧血・心労・腎弱・昏目・瞳孔散大)

■滋腎明目湯(血少・心労・眼病)

■瀉肝散(烏風の昏暗)

■生熟地黄丸(血虚眼昏)

■駐景元(肝腎とも弱く、黒花が出、暗く又腎障が出来るとき)
■沖和養胃湯(脾胃の虚弱、内障)

■墜丸(内障・有を治す)

■通肝散(氷=肝臓病)

■当帰湯[5](肝腎と瞳子の補強薬)

■撥雲退晴丸(内障に常服)

■八味還晴散(内障諸般の障昏花)

■風疳丸(小児の肝疳雀目)

■補肝散[1](肝風内障で痛がゆく、一物が二物に見える)

■補肝散[2](黒目に白点ある者)

■補腎丸[2](腎虚による目の弱さ、内障)

■補腎元(黒目に白点ある者)

■本事方羊肝元(内障・青盲)

■密蒙花散(十六種の内障で、長年昏暗の者)

■明目壮水丸(肝腎が不足し、眼目が昏暗、常に黒花が見え、冷涙が出る)

■羊肝元(眼目の諸疾患と障・青盲)

■養肝丸(眼が暗く、目やに・涙が出、婦人の血虚による眼疾患)

■羚羊角丸(緑風の内障昏花)

■羚羊角散(緑風の内障昏花)

 

内臓下垂(ないぞうかすい)
【処方名】
■大建中湯
■補中益気湯


内軟骨腫
(参照→「骨の腫瘍」)
■程度が軽ければ手術は不要
「70才女性。右手を戸に挟んでレントゲン検査を受けたのがきっかけで、右手小指に内軟骨腫が見つかりました。今まで自覚症状もなく驚きました。悪性腫瘍との関係はどうなのでしょうか?。できれば手術をしないで済ませたいのですが。生活上で気を付けることはありますか?(奈良・Y)
●どんな病気ですか?
主に手足の指の骨に出来る良性の腫瘍で、本来は硬い骨で出来ている骨髄で軟骨組織が増殖し、その部分が軟骨に置き換わった状態です。指が全体的に膨らむこともあります。レントゲン写真を撮ると、骨の内部の様子が他と違って見えます。軟骨が膨らみ、骨の外側を筒状に間込んでいる骨皮質が薄くなっていることが分かります。このため、骨にヒビが入って腫れたり、骨折したりしやすくなり、ひどいと、握手も出来ないほど骨がもろくなる人もいます。骨の良性腫瘍の中では、外骨腫に次いで2番目に多く見られる病気で、指先には出来にくいのが特徴です。
●原因は何ですか?
胎児のときに最初に出来る骨は全部軟骨で、そこから次第に硬い骨が出来ていきます。一部が軟骨のまま残り、それが成長し従って大きくなることによって、内軟骨腫が起きるのではないかと考えられていますが、証明されている訳ではありません。この病気で受診する患者は10代~30代までの若い人が多い。高齢になってから見つかるのは、若い頃に内軟骨腫が出来ていながら症状が無く、相談者のように別の理由でレントゲン検査をしたようなケースです。
●良性といっても、腫瘍と聞くと心配になりますが?
腫瘍という言葉に不安を覚えるかもしれませんが、中高年になってから進行することはありません。ほとんどの人は手や足の1カ所だけに出来、悪性の腫瘍に変化する可能性はありません。注意しなければいけないのは、大腿骨など指以外の部分に出来る多発性の内軟骨腫です。これは将来悪性の軟骨肉腫になりやすく、区別して考える必要があります。
●手術を受けなければならないのでしょうか?
手術をするのは、内軟骨腫があるために骨折やヒビが繰り返し起こり、生活が不自由になる場合に限られます。進行しない病気なので、相談の方のよういに程度が軽く、偶然見つかった様な場合は手術はしなくていい。骨折やヒビで受診した人は、3ヶ月から6ヶ月に1回、ヒビが入るなどの変化がないか経過を見る。問題なければ無理に手術を受ける必要はありません。ヒビが痛むだけなら、アルミの板を包帯で固定していれば3~4週間で治ります。
●手術となるとどんなことをするのですか?
骨折を治してから手術をします。手の甲側から軟骨を掻き出し、代わりに骨と同じカルシウムとリンの化合物で出来た人工骨で空洞を埋めます。粒状の人工骨は、1ヶ月ほどでその周囲に骨が出来てつながり、3~6ヶ月で完全に固まります。以前は骨盤から骨を取って移植する手術が主流でしたが、人工骨なら骨盤を傷つけなくても済み、機能的にも良好なので、最近はこちらが一般的です。」(吉川秀樹・大阪大学教授)1999.11.28《朝日新聞》



内反股
   ◎チェック:「くる病」

那須・ハコラ病
=痴呆症の一種。
■原因の遺伝子変異解明
「30代ごろに発症して骨折を伴う、進行性の痴呆症『那須・ハコラ病』の遺伝子異常を、国立精神・神経センター(東京都小平市)などの研究グループが突きとめた。免疫系の遺伝子の異常が原因だった。米神経学会誌10月号に発表した。
この病気は1970年代の初め、信州大学教授だった故那須毅博士とフィンランドのハコラ博士が別々に発見。両博士が交流、病態を研究して病名が確立した。痴呆症の一種で、骨と脳を同時に侵す。若い頃から骨がもろくなって手足が骨折しやすい。最初の患者も整形外科で長く治療。患者が亡くなってから那須博士が病理解剖して見つけた。
研究グループは、那須・ハコラ病患者の遺伝子のうち、免疫系のナチュラルキラー細胞(NK細胞)の活性化に作用する重要遺伝子『DAP12』を調べた。この遺伝子は、日本人患者6人のうち1が正常だったが、5人は突然変異を起こしていた。変異は2種類あった。
フィンランドの最近の研究でもDAP12の遺伝子欠損が報告されている。両国で同一遺伝子異常が原因だったが、変異の内容は異なり、遺伝的に別の系統であることがハッキリした。2002.10.6《日本経済新聞》



夏に悪化する
【処方名】
■三物黄芩湯
■消風散


 
夏バテ
◎原因:
①血中の好中球が減少する。(季節的変動)
②血中のカルシウムが減少。
③ビタミンB1不足

■甘いジュースの飲み過ぎは夏バテのもと
「いつもと同じ量の食事に加え、缶ジュース5本を3日間のみ、血液の変化を調べると、血中のビタミンB1の量が半分以下に減少していた。
ジュースの糖分はかなり多く、これを分解するには大量のビタミンB1が必要になる。ジュースを飲む実験でビタミンB1が減少したのはこのためだ。水溶性のビタミンB1は毎日の食事から摂らなければならないが、甘い飲み物で食欲がなくなれば当然不足する。ビタミンB1が不足すると体がだるくなり、集中力がなくなってくる。いわゆる夏バテの状態だ。
飲み過ぎはもとろん、食事前のジュースはなるべく止めておきたい。また、甘いものを多く摂る人は努めてビタミンB1を含む食品を食べるようにしよう。

[ビタミンB1が豊富な食品]
ウナギ・ナッツ類・ごま・のり・豚肉・エノキタケ」(NHKためしてガッテン)

■栄養とり気力維持を 1997.7.28《日本経済新聞》
<1>うつ気味の患者多く
「何もやる気が起きないし、体を動かすのもおっくううだ」。夏場になるとこう訴える患者が増える。と内科医の石川恭三・杏林大学医学部教授は話す。夏バテの典型的な症状だ。しかし意外なことに、同教授は“夏バテの患者にはうつ気味の人が多いようだ”と指摘する。
「年で体が弱ってきた」「どこか体がおかしいんじゃないか?」などという思い込みに加え、「夏だから疲れても仕方がない」とのマイナス思考が夏バテを引き起こすという。涼しい夏でも調子が狂う人もいる。検査して大した所見がなくても疲労感を口にする患者はことのほか多い。
石川教授は“何か良いことがあれば、それを強調するプラス思考をするように”と患者に説くようにしている。ひとえに夏バテといっても、症状は様々。例えば、食欲はあるが、眠れないという場合、「眠れなくて困る」とこぼすのではなく、「食欲があるから助かる」といった具合に考えれば良いとアドバイスする。
東邦大学医学部の豊川祐之教授も“生き方に自身を持っている前向きな人は夏バテしない”と説明する。夏バテを予防するためには、一時的な体の不調をあまり深刻に考えないほうがよさそうだ。
とはいえ、気力を保つにも体力は不可欠。夏は新陳代謝が活発になる。水分だけでなく、ビタミンやミネラルもどんどん失われ、エネルギー消費も増える。食欲がないからといって食事をおろそかにしていると、代謝に見合う栄養が足りなくなる。
食事は栄養のバランスを考え、特にタンパク質とビタミン類に気を配ること。“タンパク質は胃に負担をかけず、消化も良い乳製品や卵、脂肪分の少ない肉や魚・トウフなど、ビタミン類は疲労回復に効き目があるB1を含んだ豚肉やレバー、ライ麦パンなどを意識してとるようにしたい”と石川教授。      夏の風物時、ウナギも格好の栄養源だ。

<2>胃腸には酢が有効
昭和大学医学部の中山貞男教授は“酢の物をとったり、5倍ほどに薄めた酢を飲んだりして胃腸の調子を整えよう”と酢の効用を説く。空腹時にお酒を飲んだりストレスを受けたりすると、胃の粘膜が出血するが、事前に酢を飲むと出血が抑えれることをネズミの実験で確かめた。酢の適度な刺激が胃腸の粘膜の分泌を促進するという。
夏はついつい夜更かししがちで、睡眠不足に陥りやすい。寝苦しいために眠りも浅く、体力が十分に回復しない。睡眠不足が長く続くと体力を著しく消耗する。単なるゴロ寝では、体の疲れは取れても、きつい仕事やストレスからくるぐったりした精神的な疲れは癒せない。

<3>肉体的疲れに転換
“日中の過ごし方が寝不足につながる”とみる石川教授は、ウォーキングやストレッチ体操のような適度な運動を勧める。軽い汗を積極的に流して血液の循環を良くすれば、グッタリとした疲れは爽やかな肉体的な疲れに変わり、ぐっすりと眠れるようになる言う。
夏バテ予防対策を講じても症状が現れ、それがいつまでたっても回復しない場合には病気を疑ってみつ必要がある。

〇夏バテに似て紛らわしい症状を示す病気に
①糖尿病
②肝炎
③結核
④慢性腎炎などがある。

■基礎体力を整える
「暑くて食欲がない、だるい・疲れがとれない・・・いわゆる夏バテである。夏バテは暑さだけが原因でなく、普段の健康状態にも大きく左右される。健康は栄養・運動・休養の3本柱から成り立っており、この3つのうち、1つでも崩れると暑さに負けてしまう。栄養バランスの取れた食生活を送り、基礎体力を整えるのが大切になる。

では、次の8つの質問に答えてもらいたい。4つ以上当てはまるなら夏バテに要注意。
A:朝食を取らない。 
B:ビール・清涼飲料水など冷たい水分を多く取る。 
C:昼食にそうめん・ざるそばなどあっさりしたものばかり食べる。
D:かき氷・シューベットなど冷たいお菓子を好んで食べる
E:食事の量が少ない。 
F:よく眠れない日が多い。 
G:慢性的に運動不足。 
H:冷房の効いている所にいることが多い。 
夏は体温調節のため、皮下脂肪が薄くなるはずなのに、最近では逆に太って体調を崩す人もいる。1995.8.22《朝日新聞》」

■ビタミンB1補充を
「夏バテはビタミンB1不足が原因という。B1はでんぷんや糖質の代謝をスムーズにする働きがある。不足すると糖質の代謝がうまくいかなくり、運動で筋肉中に溜まる疲労物質が増えて疲れやすくなる。しかし、麺類や甘い飲み物ばかりとっても、B1が補充出来ない。それどころか、体の中にあるわずかなB1も代謝のために使ってしまうので、二重の損になる。
(B1を多量に含んでいる食品)には
A:小麦胚芽
B:豚肉 
C:ごま 
D:ウナギ 
E:ロースハム 
F:胚芽米
などがある。

胚芽パンのチーズトーストはB1を効果的に補充する朝食向きの料理。
胚芽パンにハムととけるチーズ、その上に白ゴマ(螺王人は黒ゴマを推奨)、あればパプリカとパセリも乗せてオーブントースターへ。このトーストに、ビタミンC補給のためのフルーツサラダ、野菜スープなどをプラスすれば最高の組み合わせに。

①朝、時間がない人には牛乳とトマトを。
②ポイントは白いパンよりも全粒粉や胚芽パンを食べること。
1995.8.25《朝日新聞》

■ウナギでB1補給
「ビタミンB1たっぷりのおかずを紹介しよう。土用の丑の日にウナギを食べると夏バテしないというのは理にかなっている。ウナギには多量のB1が含まれているほか、良質のタンパク質・ビタミンA・B2も多く、夏にぴったりの食品だ。

ウナギの料理を紹介する。
<ウナギとチンゲンサイの卵とじ>
<材料>蒲焼きウナギ・2串
   チンゲンサイ・・1把
   鶏卵・・・・・・4個
   だし汁・・・・・1カップ
   しょうゆ・・・・大さじ21/2
   みりん・・・・・大2
<作り方>A:ウナギは3cm角、

チンゲンサイは3cmの長さに切る。
B:鍋に出し汁と醤油とみりんを沸騰させ、まずチンゲンサイを、次にウナギを入れ、少し煮る。 
C:Bを割ほぐした卵でとじる。
このほか、そうめんにウナギの蒲焼きという組み合わせもおいしい。
B1などのビタミンを食物から取らないで、栄養ドリンクや薬で補おうとする人がいる。或程度の効果はあるそうだが、きちんと食品から取らないと、食物繊維が不足したり、栄養素のバランスが悪くなることもある。あくまでも、栄養は食物から、が基本になる。」 1995.8.29《朝日新聞》

■鉄分も多いレバー
「夏バテに加え、貧血気味の若い女性にぴったりのおかずは<ニンニクの芽とレバーの炒め物>。鶏レバーにはミネラルも多い。ニンニクの芽はニンニクの匂いがかすかにして食欲増進になる。
<材料>ニンニクの芽・・・・250g
   鶏レバー・・・・・・300g
   (下味は醤油大さじ1・酒大1)
   サラダ油・・・・・・大さじ21/2
   あわせ調味料・・・・醤油大1・酒大1・塩少々
<作り方>A:レバーは独特の匂いを取る為に、皮などをきれいに取り去り水で洗い、約15分間下味をつける。 
B:フランパンに油を熱し、レバーをある程度炒めてからニンニクの芽(5cm大)を入れ、さらに炒める。 
C:合わせ調味料を全体に絡めて出来上がり。
鶏レバーはビタミンAも豊富に含んでいる。Aは不足すると視覚機能と皮膚粘膜の異常をきたす。クーラーの風に当たりすぎて、のどの粘膜が痛くなって夏カゼを引きやすいという人にもおすすめ。」  1995.8.30《朝日新聞》


【民間療法】
○ウメ・キク・キハダ・コナギ・センブリ・ナギナタコウジュ・ヒキオコシ・ユキノシタ。
  

【漢方療法】  
⇒夏至日を過ぎた後、熱で病気になった症=暑という。
暑病は:身熱・自汗・口渇・顔に垢がつくのが特徴。
中暑の病勢は:六厥が沈伏し、冷汗が自ら流れて悶絶し、昏冒して人事不省に成る。

【処方名】(夏バテ)
■黄蓍湯(中で脈が虚弱)

■黄蓍人参湯(両脚が痿軟し、煩熱・嘔・自汗・頭痛)

■五苓散

■三物黄芩湯

■梔子豉湯(身熱、胸中煩熱、心中懊、不眠、熱感)

■四君子湯

■十味香薷飲(暑を払い、胃を和らげ、気を補う)

■小建中湯

■生脈散

■参飲(暑熱を払い、元気が出る。霍乱・吐瀉の予防に)

■清気飲(発熱して汗を多くかいて気力がなく、脈虚細遅)

■清暑益気湯

■八味地黄丸(腎陽虚、胃腸正常

■補中益気湯(食欲不振、味がない、多汗症)

■苓姜朮甘湯(だるい、小便不利、悪寒、腰以下重い・冷える)
■六一散

■六味丸(腎陰虚、胃腸正常、尿が濃い、大便硬)
 

夏痩せ (夏バテ)
【処方名】
■清暑益気湯
■補中益気湯


涙が止まらない
=「なみだが出やすい」「流涙症」
⇒腎が液を主管し、肝に入ると涙となる。
老人は胆汁が足りないので、泣いても涙が出ず、笑うとかえって涙が出る。これは火が盛んで水が無いからで、だから胆が熱すると涙が流れる。

【処方名】
■越婢加朮湯
■苓桂朮甘湯(なみだが出やすい)

 

なみだ目(涙目)
【処方名】
■越婢加朮湯(なみだが出やすい)
■小青竜湯(涙が出やすい
■苓桂朮甘湯(めまい、動悸)



涙もろい(なみだもろい)
=なみだが出るときはは副交感神経が興奮している。そのため、リラックス効果が高い
◎涙の多いもの=流涙(epiphora)という。
◎わずかなことで感情が動揺し涙もろいとき⇒「脳血管障害」とチェックしましょう。

【処方名】
■甘麦大棗湯


鉛中毒plumbism
⇒ポルフィリン代謝異常症の1つ。
◎症状:
・腹痛
・神経・筋症状
・脳炎
・溶血性貧血



癱瘓(なんたん)
=脊髄麻痺。半身不随。
⇒五軟(頭軟・項軟・手足軟・肌肉軟・口軟)のこと。発育不良・知恵遅れを伴うことが多い。
とは担のことで、筋脈に力がなく担然に四肢が上がられないこと。
とは渙(あきらか)なことで、血気が散漫して渙然に使えない。
◎主薬:左は血虚に属す。帰を主薬とする《万病回春》
右は気虚に属す、参朮を主薬をする《万病回春》

【処方名】(なんたん)
■加減潤燥湯

■加味大補湯

■換骨丹

■袪風除湿湯

 

■十全大補湯

■舒筋保安散

■四物湯(貧血、皮膚枯燥、動悸<臍上>、神経症状、腹部軟

弱、脈沈弱)

■星附散

■全生虎骨散

■疎風順気散

■天台散

■秘方

■六君子湯

■独活寄生湯

 

軟骨腫
(参照→「骨の腫瘍」)


軟便
【処方名】(なんべん)
■茵蔯五苓散(軟便・水様便)

■帰脾湯(軟便・水様便)

■桂枝人参湯

■啓脾湯(胃腸虚弱、痩せて顔色悪い、消化不良、下痢)

■五積散

■柴胡桂枝乾姜湯

■三仁湯(泥状便)

■酸棗仁湯

■四神丸(水様便・不消化便)

■真人養臓湯(泥状便・水様便)

■真武湯(泥状便・水様便)

■参苓白朮散(軟便・水様便・不消化便)

■清暑益気湯

■半夏瀉心湯(胸元がつかえる、下痢、腹鳴、吐き気)

■附子人参湯


難産dystocia
(分娩を助ける)
◎麻黄含まれるエフェドリンに催生の効あり《大塚敬節》
◎主薬:婦人の難産には、帰を主薬とすべし《万病回春》

■出産の苦痛を軽減するホルモン
「米イリノイ大の研究グループは、ネズミと豚を使った実験で、リラキシンと呼ばれる卵巣ホルモンの一種に子宮を柔らかくして出産をスムーズに進める作用があることを突き止めた。人間の子宮の培養細胞でも同様の効果が得られたことから、出産時の苦痛を軽減できる産婦人科用の新薬として期待出来ると見ている。
『リラキシン』は。妊娠後期になると血中濃度が高まり、子宮頸部と呼ばれる子宮の出口に当たる部分に働いて、胎児が通過しやすいよう組織を軟化させる。乳腺を発達させ、授乳に備える効果もあるという。」1998.11.8《日経産業新聞》

【処方名】(なんざん)
■越婢加朮湯
■芎帰膠艾湯
■芎帰湯
■五積散
■当帰散《金匱要略》
■麻黄湯
■抑肝散加芍薬


難聴(なんちょう)hypacusis
(→突発性難聴)(→老人性難聴)(→めまい)
○難聴はその原因となった病気の場所によって様々である。外耳性のものは耳垢の塞栓や異物なそによって起こり、中耳性のものは中耳炎によって起こる。内耳性のものは梅毒や結核が原因で酵素の難聴が起こる。また耳硬化症や聴神経炎もこの部類に屬し、老人の難聴は聴神経の萎縮によるものである。

◎チェックしましょう:「ムコ多糖症」「大動脈症候群」

◎難聴を引き起こす疾患:(50音順)
・アデノイド
・外耳道疾患
・耳管中耳カタル・中耳炎・中毒性内耳炎
・耳硬化症
・聴神経腫瘍
・梅毒
・メニエール氏病
・老人性難聴

◎種類:
<1>老人性難聴:
イ)耳鳴りを伴うことが多い。
ロ)内耳~聴神経までが傷んでいる。
ハ)65歳以上の1/2が罹っている。
ニ)感音声難聴である。
ホ)動脈硬化・脳血管障害・糖尿病などがあるとひどくなる。
ヘ)補聴器は耳鳴りを抑える効果がある。
ト)現代医療では治せない。        

<2>伝音性難聴:
イ)外耳~中耳までの異常が原因。
ロ)中耳炎などの疾患から起きる。
ハ)現代医療で治せる。

◎分類: 《漢方治療の実際》
中耳性難聴と内耳性難聴:
「中耳性難聴」:外耳・中耳・迷路窓・耳管などの障害によって起きる
「内耳性難聴」:迷路または後迷路に障害があって起きる。
《張景岳》
「火閉」: 逆上からくる難聴。脳充血・高血圧症・血の道症などでみられる。
[三黄瀉心湯][黄連解毒湯][防風通聖散]
「虚閉」:過労や老衰、病後からくる難聴。
[八味丸][滋腎通耳湯]
「竅閉」:外耳道が外傷・フルンケル・耳垢などで塞がって起きる
「邪閉」:中耳炎などに見られる。
[葛根湯][小柴胡湯][苓桂五味甘草湯]
「気閉」:気の欝滞からくる難聴。
[小柴胡湯香蘇散]

■難聴とは?
「耳の聞こえが悪くなる症状を「難聴」という。年を取るにつれて、高い音から次第に聞きづらくなる『老人性難聴』が一般的だが、先天的なものや、突然大きな音を聞いたり、病気やケガをしたことが原因になるもの、精神的なストレスやショックで起きるものなどがある。
 人間が音を聞く仕組みは次のようなものだ。音は空気の波として空中を伝わって来る。これが耳たぶで集められ、耳の穴から外耳道を通って鼓膜を振動させると、内側の3つの小さな骨(耳小骨)が振動を満たしているリンパ液に波をたてる。この波がカタツムリのよな形をした「蝸牛」を通り抜けるうちに、その中にある有毛細胞を刺激し、そこで起きた電気信号が神経を通じて脳に伝わって音を感じる。
 

難聴のうち、耳小骨までの部分の異常で起きるものを『伝音性難聴』、内耳より後の過程で起きるものを『感音性難聴』という。大阪労災病院(堺市)の奥村新一・耳鼻咽喉科部長は「伝音性難聴は手術で治る場合や、補聴器を使って聴力を回復出来る場合が多い。しかし、感音性の難聴には、音を感じる細胞が ダメになるものや、原因がよく分からないものも多く、完治は難しいのが現状です」と話す。1996.11《朝日新聞》
     
■検査ー正確を期すなら「骨導聴力」も
「ピー」というかすかな音が聞こえたら、手元のボタンを押す。健康診断でおなじみの聴力検査の光景だ。
 音は空気の振動として、鼓膜、中膜、中耳。内耳へとつぎつぎに伝わっていく。振動は内耳で電気信号に変えられ、聴神経を経て脳に達する。ルートのどこかに異常があれば、音がよく聞こえなくなる。
 検査で使われるのは125ヘルツ(1フルツ=1秒間に1回振動)の低音から8000ヘルツの高音まで、7段階。1975年に国際的に統一された。健康診断などでは検査の効率を上げる為、普通は1000ヘルツと4000ヘルツも2つだけを調べている。
 慶応義塾大医学部の井上泰宏講師(耳鼻咽喉科)によると、年をとると高音が聞き取りにくくなることが多い。内耳に異常で難聴やめまいなどが起きる『メニエール病』は、逆に低音から聴力が落ちる。
だが、こうした通常の検査だけでは、異常箇所の特定は難しい。正確な診断には耳の後ろの骨に振動を加え、音を感じるかどうかを調べる「骨導聴力検査」が不可欠だ。
骨の振動は鼓膜や中耳を通さず、直接、内耳に伝わる。骨導聴力が正常なのに音が聞き取りにくければ、鼓膜や中耳に異常があるーーなどと原因が絞りこめる。
「ただ音が聞こえるのと言葉が聞き取れるのは別の問題。この点を良く理解してほしい」と井上さん。言葉は高低さまざまな音が混じり合っている為、高音の聴力だけが落ちても、正しく聞こえなくなる。補聴器は不必要な音まで増幅してしまうこともあり、井上さんは「聴力が落ちている人にはゆっくり話しかけることが大切だ」と話す。1996.11.17《朝日新聞》

■進行性難聴を引き起こす遺伝子
「イスラエルのテルアビブ大学と米ワシントン大学の共同チームは、40歳以上の大人に発症しやすい『進行性難聴』を引き起こす遺伝子を突き止めた。突然変異を起こした遺伝子が原因とみられ、人間が一定の年齢に達すると、この遺伝子が働いて難聴が進む。遺伝子の働きが詳しく分かれば治療法の開発につながるという。
この遺伝子は『DFNA15』と名付けられ、染色体上では先天性難聴を引き起こす遺伝子のすぐ近くにある。正常な部分と突然変異を起こした部分が対になっており、患者が18歳前後までは正常な遺伝子の働きで聴力を維持できるが、年齢を経ると突然変異を起こした遺伝子の働きが優勢になるという。1998.3.25.     《日経産業新聞》

■鼓室硬化症
「電気通信大学の小池卓二助教授らは、鼓膜の奥の骨が固まって難聴になる病気『鼓室硬化症』の冠者を手術している最中でも聴力の回復具合を判断できる装置を開発した。
鼓室硬化症は、鼓膜の奥の耳小骨という部分の周囲にカルシウムが沈着するなどの理由で動かなくなり、鼓膜の振動を聴覚神経に伝えられなくなる。」2005.10.13《産業》

■蝸牛で
「2009年、東北薬科大学の井ノ口仁一教授らは、聴覚を担う耳の蝸牛で重要な働きをする生体分子を見つけた。
細胞の成長や増殖などに重要な糖脂質の一種ガングリオシドに注目。マウスの遺伝子操作でガングリオシドを生み出す酵素を作れなくしたうえ、耳の機能を実験で分析した。
マウスは、聴力が働き出す生後14日ですでに両力が低下し、生後17日までに完全に聴覚機能が無くあった。蝸牛の構造を調べたところ、コルチ器だけが損傷し、平衡感覚だけを損傷し、平衡感覚を担う「三半規管」などは正常だった。

【処方名-】(なんちょう)
■牛車腎気丸
八味地黄丸適応者よりさらに排尿障害、歩行障害。腰痛を伴う場合にも牛車腎気丸が適している。(漢方診療医典)

■三黄瀉心湯
のぼせ気味で顔面紅潮し。不安、興奮し、心下部の痞えをおぼえ、気分の落ち着かぬというものに。実証で脈に力があり、便秘の傾向がある(漢方診療医典)

■柴胡加竜骨牡蛎湯
大柴胡湯と小柴胡湯の中間程度の胸脇苦満があって、心下部に抵抗を触れ痞満し、臍上または臍傍に動悸を認め、腹部大動脈の亢進による神経症状があり、病気を気にし、のぼせ、不眠、煩悶の状あるものに。
48歳の婦人、毎年秋にカゼを引き。かぜをひくと長引き、咳嗽が続く。その結果いつも難聴をきたし、なかなか治らず、耳なりも起こりいつも不快でイライラし、不眠に苦しみという。顔貌に元気なく、心下部にやや抵抗があり、特に右側に胸脇苦満を認め、圧痛を訴える。臍上と臍傍に動悸を触れる。大黄として与えたところ、10kアカンの服用で諸症状が好転し、難聴もきれいに治った(漢方診療医典)
(漢方診療医典)

■鷓胡菜湯
小児で回虫のために難聴をきたすことがある。これは駆虫剤によってよくなることがある(漢方診療医典)

■小柴胡湯
かぜで熱があった後、あるいは咳嗽などが続いて難聴を起こしたとき、あるいは中耳炎後の難聴やアデノイドに伴うものなどにはこの証がある。多くの場合胸脇苦満を認め、心下部肝臓のあたりが硬く張っているので、この部のうつ熱うぃ冷ますと良くなるものである。うつ熱が激しく口渇があるものに石膏7.0g(漢方診療医典)

■消風散(聴力が低下し聞こえない)

■大建中湯

■大柴胡湯
(実証、筋肉質、胸脇苦満、心下部緊張、便秘)
陽実証で体質の強壮なもお、肋骨弓下部および心下部が痞硬して、胸脇苦満の著しいものに本方を用いる。便秘の傾向のあるものによい。
原因の如何にかかわらず、心下部の痞硬が緩解するときは難聴も自然と軽快するものである(漢方診療医典)

■通竅活血湯

■八味地黄丸
老人性感音性難聴に用いられている。腎虚、腹証ではとくに臍下不仁を目標に用いられる(漢方診療医典)

■防風通聖散
肥満壮実の体質の人で、便秘の傾向があり食毒、水族のあるものによい。梅毒による難聴にももちいいられる(漢方診療医典)
■蔓荊子散
老人や婦人などの血燥からきた難聴で、上部に熱がうっ滞し耳鳴・難聴を訴え、あるいは膿汁の出るものに用いてよいことがる。慢性中耳炎後に起こり、長引いた者によいことがある(漢方診療医典)

■竜胆瀉肝湯(湿熱、目が赤い、)

■苓桂朮甘湯(小便不利、めまい、)

■苓桂味甘湯
本方の条文に“その面翕然として酔状の如く、ときにまた冒す”とある。これはのぼせて顔がボッと熱気を帯び、酒に酔ったように呆然とし耳が詰まったようであるというものに用いる処方(漢方診療医典)

■六味丸
八味丸適応者より冷感が少なく、比較的若年者には六味丸が適している(漢方診療医典)






 
 癱瘓 なんたん→「たんたん」