<の>つらい症状


ノイローゼ=「神経症」
⇒一般に、身体的に何ら異常がないのに、精神的原因によって精神や身体にいろいろな症状が現れるのを、ノイローゼといいます。即ち、

*家庭の不和・職場でのいざこざ・失恋・仕事の失敗などの精神的な悩み、やショック、或いは生まれつきの素質などが原因で起こり、

「体の不調」、「精神不安」、「イライラ」、「ゆうつつ感」、「恐怖感」、「強迫観念」などの症状が現れます。

又、自分が病気であるという病感を強く意識するのも「精神病」とは異なる特徴といえます。

一方、「神経衰弱」ということばがよく使われますが、これはノイローゼの一類型であり、精神的肉体的過労の後に起こる一時的な症状、例えば、〇頭が重い、〇目が疲れる、〇肩がこる、〇イライラする、〇眠れないなどの症状をいいます。これらは、安静と休養さえとればほとんど治ってしまうものです。

◎もともとの性格に加えて、強烈なストレスや葛藤があり、精神的に不安定な状態になるもの。

◎ノイローゼは、昔は神経症と言われていた。これは自分が病気であるという意識が強く、身体や精神の障害を訴えるが、検査では何ら身体にも脳にも病的変化がみとめられないものとされている。しかし、漢方的診断をすれば身体に異常を認める。(寺師睦宗著「成人病の漢方療法」p198~199参照)

◎種類:
1.不安神経症anxiety neurosis
2.心気症hypochondria(sis)
3.強迫神経症obsessional neurosis
4.神経質nervositäT
5.恐怖症=強迫感動obsessive affect=病的恐怖Phobie

◎原因:
まずこれに罹りやすい一種の素質があり、

その上、幼児期から現在に至る(以下のような)生活環境の影響をうけてゆがんだ性格(意志薄弱な、自己中心的な、憂鬱的な、非協力的な性格)がつくられる:たとえば
①甘やかされて育ったり、
②反対に厳しすぎる家庭に育ったり、

それに以下の直接的原因が働いて起きる。
①家庭の不和
②対人関係のもつれ
③肉親の死
④失恋
⑤事業の失敗
⑥試験の不合格

◎症状:(ノイローゼ)
・肩こり

・身体のゆれる感じ

・頭痛

・頭重

・注意散漫

・手足のしびれ感

・動悸

・のどがふさがる感じ

・のぼせ

・胸の圧迫感

・不眠

・めまい

・目が疲れる

・物忘れ

【処方名】(ノイローゼ)
■茵蔯蒿湯
■烏梅丸
■温経湯
■温清飲
■黄土湯
■黄連阿膠湯
■黄連解毒湯
■黄連湯
■加味逍遥散
■乾姜黄芩黄連人参湯
■甘草瀉心湯
■橘皮枳実生姜湯
■九味檳榔湯
■桂枝加竜骨牡蠣湯
■桂枝茯苓丸
■香蘇散
■柴胡加竜骨牡蛎湯
■柴胡桂枝乾姜湯
■柴胡桂枝湯
■柴芍竜牡湯
■柴朴湯
■三黄瀉心湯
■三物黄芩湯
■梔子乾姜湯
■梔子厚朴湯
■梔子豉湯
■磁朱丸
■炙甘草湯
■十全大補湯
■朱砂安神丸
■小建中湯
■小柴胡湯
■逍遥散
■参蘇飲
■清心蓮子飲
■大柴胡湯
■釣藤散
■桃核承気湯
■当帰芍薬散
■二陳湯
■女神散
■八味地黄丸
■半夏厚朴湯
■茯苓飲
■茯苓飲合半夏厚朴湯
■補中益気湯
■奔豚湯
■礞石滾痰丸
■抑肝散
■抑肝散加陳皮半夏
■苓姜朮甘湯
■苓桂朮甘湯
■苓桂味甘湯
■六味丸

【民間療法】(ノイローゼ)
<1>イカリソウ・イチイ・ウド・オオバコ・カノコソウ・シソ・・ドクダミ・トチュウ・ナツメ・ニンジン・ハマスゲ・マンネンタケ・ユキノシタ・ヨモギ・ローヤルゼリー。
<2>[ニンニクイナゴ]

【臨床例】
☆罵詈憂志を治す
「京師の士人某の妻、善く憂恚(恚=イ、いかる)す。甚だしいときは罵詈口に絶えず。此の如きものは十有餘年、某醫之を治して其の效なし。更に《吉益東洞》先生を迎え、診治を求む。
先生之を診す。心胸煩悶し、口舌乾燥し、水を飲まんことを欲す。石膏黄連甘草湯をつくりて之を飲むこと数月。諸證皆除く。前醫之を聞き、その效を嫉みみて士人に曰く、「婦人久しく石膏を服すときは、子種絶す。余之を為すこと能わざるには非ず。その不仁を悪めばなり」と。士人もまたその言に因りて大いに之を憾(うら)む。
先生答えて曰く、「夫れ、不仁の孕と、不孕と、固より人事の及ぶところには非ざるなり。況んや乃ち葛根石屑、何んぞ能く之を制すや。且つ彼は、積年、已に然れるの疾において、なお之を治すること能わず其のいまだ然らずを知るや」と。士人嘆服して去る。明る年その妻始めて娠す。」《建珠録》

☆42歳、男性。
「心身ともに疲れてノイローゼ気味となり、憂鬱となってガンバリがきかないと言う設計士。
頭痛と肩こりがあり、胃腸が弱くて、少し変わったものを食べるとずぐ下痢をする。便通は1日1回あるが、小水は近く、夏でも夜2~3回いくとのこと。冷え性である。
体格は痩せ型で栄養顔色ともにまあまあの程度。脈はやや遅い。腹診すると、臍上で動悸をふれ、臍下丹田に力がない。臍上で動悸をふれる者には、フケの出る者が負いが、この患者も良く出るという。
腹証により、桂枝加竜骨牡蛎湯を与える。これを90日分服用すると、胃腸が回復し、頭痛、肩こりがとれ、動悸も弱くなり、それにつれて憂鬱さが解消し、全身にファイトがみなぎって、仕事に精が出るようになった。フケもとれて、所為雨水の近いのも遠のき、普通になった。」(寺師睦宗著「成人病の漢方療法」p202~p203)



のどが痛い
=のどが腫れる
(参照→「プール熱」)
◎口を使った性行為による性風俗業が増え、淋病の病原菌が女性ののどの奥に定着していることが多くなった。

【宝石療法】
琥珀


【処方名】(ノドが痛い)
■一字散[1](急喉痺・纒喉風・咽喉閉塞・水穀不下・関牙緊急・人事不省)

■加味四物湯[7](喉痺・喉痛・喉瘡)

■王鑰匙(急喉閉・纒喉風)

■金鎖匙(急喉閉・纒喉風)

■鶏内全散(喉閉・単蛾・蛾)

■解毒雄黄元(喉閉・口噤)

■牛黄凉膈元(咽喉腫痛・口舌生瘡・頬の赤腫)

■七宝散(喉閉・単蛾・蛾)

■吹喉散(咽喉腫閉塞)

■青竜胆(咽喉閉塞・腫痛、単蛾・蛾)

■清涼散(咽喉腫痛)

■奪命散[2](急喉閉)

■胆礬散(咽喉痺・腫塞)

■二仙散[1](急喉閉・纒喉風の危急)

■白礬散(急喉閉・纒喉風)

■巴豆烟ハズエン(喉閉の危急を治す)

■備急丹(咽喉閉)

■竜脳膏[2](喉痺腫痛)

■竜脳破毒散(急・慢・喉閉と腫塞不通)


ノドが渇く
■砂糖入り飲料水の飲み過ぎ
「通信会社に勤めるGさん(36)は、毎日暑い中、清涼飲料のペットボトルを1日に何本も飲みながら電気工事に駆け回っていたら、ある日意識を失った。駆け込まれた病院で検査したところ、血糖値は血液1デシリットル(デシ=1/10)当たり800mgと、正常値の数倍だった。それで昏睡が起きたと診断された。
最近はペットボトルの清涼飲料をがぶがぶ飲んでいる若者をよく見かける。適度の水分補給には役立つものの、砂糖入りの飲料を大量に飲むと血糖値が上昇し、血液が濃くなってノドが渇く。そこでまた飲むという繰り返しになる。
水分のみ摂れば尿になるだけだが、砂糖入りの飲料を大量に飲むと血糖値が上がり糖尿病と同じ状態になることがある。ひどい場合はGさんのように昏睡を起こす。
夏場はノドが渇くことが多い。たいていは生地現象で水分を補給せよという体のシグナルだが、病気のためにノドが渇く人もいる。
(1)糖尿病で高血糖の人は会議中に何度も飲み物をお代わりしてはトイレに中座する。
(2)尿崩症だと脳や腎臓の異常でノドが渇き、1日に何リットルもの水を飲んで尿として排泄する。
(3)心因性多飲という一種のノイローゼでノドが渇き水を飲む人もいる。」(檜垣實男・愛媛大学医学部教授)2002.7.16《日本経済新聞》


のどがつまる感じ
=のどの異物感
・異物感=漢方でいう「梅核気」のこと。
・のどがふさがる感じ=のどの閉塞感。「膈噎」
◎呑み込もうとしても飲み込めず、吐き出そうとしても吐き出せないのに、詰まっている感覚は現実にあるもの。患者は喉頭ガンを疑って検査に行ったりする。

◎チェックしましょう:《螺王人》
①のどがつまる感じがするときに、その原因が冠動脈にあることがある。
②食べ物などをのみ込みにくい。→重症筋無力症

■のどのガン-「風邪では」と見逃しやすい!
「『咽喉』の「咽」も「喉」も「のど」を意味するが、医学上では『咽喉』と『喉頭』ははっきり区別される。咽頭は鼻腔の奥から食道の最上部を含み、上・中・下に分けれる。咽頭は気道が食道と気管に枝分かれした気管の最上部をいう。    ガンもこれらもどこに発生するかによって4分類される。
「のどのガン」の特徴は「症状が出やすいが、見逃されやすいこと」と、山根秀雄・大阪市立大学医学部耳鼻咽喉科助教授は言う。
●代表的な症状は、
〈1〉「上咽頭ガン」が

*鼻づまりと、
*片方の耳の閉塞感。腫瘍が鼻腔や耳管を閉塞するためだ。

<2>「中咽頭ガン」と<3>「下咽頭ガン」は

のどが
*いがらっぽい、
*痛い、
*のどに何かあるような、などの違和感。

<4>「喉頭ガン」では

*しわがれ声(嗄声)、
*せき、
*のどの違和感。

声に異常が出るのは、喉頭に声帯があるためで、腫瘍が声帯外に出来ると、初期では声の異常はなく、のどの違和感だけの場合もある。
「いずれも風邪の症状と似ている為、見逃されやすいわけだ。素人で見分けられる違いは、症状が長く続くかどうか?風邪によるのどの炎症は1~2週間で治るのが普通だからだ。それが3~4週間以上続くようだと要注意となる。
「のどのガン」はいずれも男性がかかりやすい。特に『喉頭ガン』は男性が女性の5~10倍かかり、喫煙者に多い。
 治療に移ろう。「のどのガン」は扁平上皮ガンということもあって、放射線が良く効く。初期の喉頭ガンは放射線だけで完治した例もある。根治にはやはり手術治療が基本になるが、上咽頭は頭の骨につながっており、上咽頭ガンの切除手術はかなり難しい。原発病巣には放射線治療を行い、首などへの転移に対しては、切開手術されることが多い。
 中咽頭、下咽頭ガンの手術は首の付け根の部分を切開して、首の皮膚をめくりあげる形で行われ、ガン細胞が浸潤した部分がすべて摘出される。発見が遅れ、ガンが進行すればするほど、器官が広範囲に切除されることになり、胸や背中の筋肉を使ったその再建術を含めると10数時間に及ぶ大手術になることもある。
 喉頭ガンは咽頭ガンに比べると、発見が早いことが多く、早期ガンには放射線照射とレーザーによる病巣切除が行われ、進行ガンでは、喉頭全体が切開、摘出されることもある。このときは声帯がなくなり、肉声を失う。それを補うには、食道発声・人工咽頭といったリハビリが必要になる。

 ---多いリンパ腺への転移------
抗ガン剤による化学治療はガンの縮小には効果があるが、完治はのぞめない。副作用もあり、手術が出来ない進行ガンを中心に、補助治療として用いられる。ガン発見から5年生存率は、過去の統計上、最も高いのが喉頭ガンで、上咽頭、中咽頭、下咽頭の順に低くなっている。

「のどのガン」は首のリンパ腺に転移しやすい。転移すると、リンパ腺が腫れるので、指で触れると分かる。その場所は両耳の真下の首に縦に走る2本の硬い筋肉(胸鎖乳突筋)の前付近。風邪や扁桃炎でも腫れることがあるが、やはり3~4週間以上、腫れが引かないときは、専門医に診てもらうべきだ。
咽頭ガンの50~80%はこのリンパ腺への転移後に見つかっている。1996.12.2《毎日新聞》

■まず禁煙
「耳に出来るガン(悪性腫瘍)は、皮膚ガンを除くとほとんどない。しかし耳鼻咽喉科領域全体に範囲を広げると、中・壮年期では喉頭ガンや咽頭癌など、のどのガンが増えている。
このうち喉頭ガンや咽頭ガンなど、のどのガンが増えている。このうち喉頭ガン、特に声帯付近に出来る声帯ガンは、初期から声に異常が出るので早く見つかりやすい。転移も少なく、治療成績は良好である。しかし声帯より上や下に出来るガンは進行した状態で見つかることが多く、喉頭全部を切り取らなければならないこともある。
咽頭ガンも、ある程度病巣が広がらないと、のどの異常感やものを呑み込みにくいなどの症状が現れてこない。このため手術の適応となるケースが多いが、移植の技術が進んでおり、咽頭を摘出しても日常生活に支障が出る事は少ない。
のどのガンに深く関わっているのが喫煙だ。疫学調査でも1日20本のタバコを30年以上吸い続けている人は、咽頭ガンや喉頭ガンの発生率が著しく高いことが証明されている。したがって、「のどのガンを予防したかったら、何を於いても禁煙すること」(深谷卓・関東逓信病院耳鼻咽喉科部長)
アルコールでも危険因子で、日本酒1日2合を30年以上続けるとガンにかかりやすくなる。アルコールを適量にとどめることも、のどの健康には欠かせない。1999.1.17《日本経済新聞》

■のどの不快・不安
「48歳主婦。最近ささいなことでのどに何かが詰まったような不快感があり、胸が苦しく、左腕もしびれます。このまま呼吸が止まるのではないかと不安に思い、今年になって3回も夜間、救急車で病院に行きました。狭心症の疑いで検査も受けましたが、内科・耳鼻科とも「異常なし」との診断でした。漢方によい薬はないでしょうか?
質問者からの手紙は便箋5枚にわたるもので、上記はその要約である。丁寧な字で自分の症状や経過を詳細に記し、さらに「受験を控えた息子がバイクの事故を起こしてから症状が出始めた」「夫の転勤が重なり、気苦労が絶えなかった」「万が一具合が悪くなった時の連絡先などを持ち歩いている」などと、事細かに書いてあった。
このような症状は多分にその人の性格を表しており、「予期不安」(命にかかわる病気になったらどうしようという不安にかられること)と言われるものである。耳鼻科で「咽喉頭異常感症」という病名がつくことが多い。このタイプはストレスに身体が敏感に反応して種々の症状が起きやすい。
漢方の古典には、こうした症状には半夏厚朴湯という処方がよいと書かれててある。特に質問者のように狭心症に似たのどから胸にかけての不快感や腕のしびれを伴い、西洋医学的な諸検査に異常が見られない場合は極めてよく効く。(花輪寿彦・北里研究所東洋医学総合研究所所長)1998.3.16《日本経済新聞》

【民間療法】
○[ヒオオギ山豆根](腫れてつまるとき)
○ホウセンカの種子。
○急すれば「象牙」末を服する《勿誤薬室方函口訣》
○「橘皮」:黒焼き。

【処方名】(ノドがつまる)
■救急療気噎方
■半夏厚朴湯
■茯苓飲合半夏厚朴湯
■苓桂朮甘湯
■羚羊角湯[1]《外台秘要方》
 
【臨床例】
☆65歳、男性。
「主訴はのどのふさがる思いと不安感。のどのふさがる思いは10数年間苦しみ、東京の著明な病院でいろいろ診てもらったが、さっぱり良くならない。また、どこの耳鼻科専門医も、のどは異常がないと言う。
患者は家の中にいると安心であるが、一寸でも旅行に出かけると不安でたまらないと訴える。よく頸から背中へかけて凝る。食事は何でもとり、便通は秘結しがちで、小水は近い。
中肉中背で脈は細い。腹診すると心下部(みぞおち)に痞硬を認める。のどにつまった感じと不安感を気の欝滞と考え、半夏厚朴湯+大黄を与えた。本方を30日分服用すると、10年来の咽喉のふさがる思いがウソのようにとれ、不安感もなくなった。」(寺師睦宗著「成人病の漢方療法」p202)


のどに骨が刺さる
【処方名】
■大承気湯
■治骨硬一方《萩野台洲》

    


のどの奥が白い(白喉)
【処方名】
■梗白散
■柴陥湯
■神仙活命湯
■走馬湯
■大陥胸湯
■麻杏甘石湯(乾咳、喘息)
■養陰清肺湯

【民間療法】
<1>ニンニク
<2>クサノオウ・クマツズラ・クルミ・トンボ。


のどの奥から白い塊
■気になるときはうがい
「29歳、女性。のどの奥に白っぽいものが分泌されているようです。ある程度たまると小さな塊が口の中に落ちてきます。以前診てもらったら、鼻汁のようなものと言われ、うがい薬をもらいました。小学生の時に扁桃を切除しています。かんけいがあるのでしょうか?口臭が気になり、耳掻きで取り出しています。」

●どういう症状なのですか?
専門的には『膿栓のうせん』と呼ばれます。のどの奥にたまった細菌やウイルスの死骸が固まったものです。ノドの左右にある扁桃には直径3~4mmほどの腺勦という穴がいくつも開いています。この穴にたまったものが、ある日、ころんと口の奥に落ちてくるのです。

●病気と関係があるのですか?
のどの奥にたまっている様子を鏡で見て、腫瘍ではないかと不安に思うヒトもいますが、そうではありません。膿栓は慢性扁桃炎に伴って多く診られます。細菌やウイルスによる炎症が続いたままになる状態で、軽ければ自覚はありません。扁桃は通常でも細菌と戦っており、膿が出きっているのですが、慢性扁桃炎になるとその量が増え、穴の周囲が腫れて溜まるのです。

●この方は扁桃を切除しているそうですが?
そうですね。扁桃炎とは言えないかもしれません。扁桃を取ると代わりになるリンパ組織が周囲に発達してきます。その部分に同様の炎症が起き、くぼんだ部分に膿が溜まっているのではないでしょうか?
●治療は可能ですか?
炎症が慢性化するとなかなか治りにくいのです。ただし、白い塊が落ちてくるだけで、発熱など他の症状が無ければ、それほど心配はありません。気になるヒトは、うがいでノドを清潔に保つことが一番です。水かうがい薬で4回以上の伺いを1日に3度ほどすれば細菌の増殖を防げるはずです。
●抗生物質は使わないのですか?
炎症がひどくなった場合は抗生剤を吸入して抑えますが、あまり使いすぎると菌が薬に抵抗性を持ってしまうので、良くありません。注意が要ります。
●ほかにどんな病気の原因になるのですか?
年に何回も発熱を繰り返す方もいて、扁桃切除手術の対象になります。そのままにしておくと、腎臓の機能が低下する『IgA腎症』や、手のひらや足の裏に湿疹が出来る『掌蹠膿疱症』という病気を引き起こす恐れもあるのです。扁桃炎との関係ははっきり分かっていませんが、切除で症状が改善することが知られています。

●手術でどれくらいの範囲を切るのですか?
以前は炎症のひどい部分を切っていました。今は全部取るのが普通です。この方も、扁桃炎で部分切除を受けたのだとすれば、周囲に炎症が残っているのかもしれません。すべてを取り除いても、感染を防ぐ機能に大きな問題はありません。
●耳掻きで取っているそうですが?
周囲を刺激し、却って炎症を大きくする恐れがあります。止めた方がいいでしょう。どうしても取りたいのなら、耳鼻咽喉科で洗浄液を使ってきれいにしてもらう方法もあります。
●口臭も気にされています。
よほどたくさんついていない限り、口臭に結びつく訳ではありません。慢性扁桃炎で口臭がある方もいますが、たいていは胃炎など他の病気が原因です。200.2.13《朝日新聞》


のぼせ
=「逆上」
⇒気が上衝したときに現れる症状の一つ。

■中華レストラン症候群 chinese restaurant syndrome
「MSGとしても知られるグルタミン酸ナトリウムは、中国料理の成分として成分としては別に不思議なものではないが、胸痛やのぼせ、顔が風船のように膨らんだ感じを引き起こす場合がある。この作用はMSGの摂取量によっても違うし、人によっても大幅に違う。MSGはジフテリア菌の仲間のグルタミクム菌から作られている。
「A Field Guide to Germs by Wayne Biddle]春日倫子訳p129.

【処方名】(のぼせ)
■茵蔯五苓散(黄疸)

■温経湯

■温清飲

■黄解丸《湯本救真》

■黄連解毒湯

■加味帰脾湯

■加味逍遥散

■帰脾湯

■救逆湯

■桂枝加黄蓍湯

■桂枝加葛根湯   

■桂枝加竜骨牡蠣湯

■桂枝去芍薬加蜀漆龍骨牡蠣湯

■桂枝湯

■桂枝茯苓丸

■血府遂瘀湯

■柴胡加竜骨牡蛎湯

■柴胡桂枝乾姜湯

■柴胡桂枝湯

■三黄瀉心湯

■酸棗仁湯

■滋陰降火湯

■滋陰至宝湯

■七物降下湯

■逍遥散

■青蒿鼈甲湯

■清骨湯

■清肺湯

■蘇子降気湯  

■鎮肝熄風湯

■知柏地黄丸

■釣藤散

■通導散

■天麻釣藤飲

■桃核承気湯

■桃紅四物湯

■当帰四逆加呉茱萸生姜湯

■二仙湯

■女神散

■麦門冬湯

■麻黄湯

■苓桂五味甘草湯

【民間療法】(のぼせ)
<1>キジ・クワ・シオン・ドクダミ・ニワトリ・ハマゴウ・ヘチマ。


脳溢血(のういっけつ)
【処方名】
■黄連解毒湯(充血、精神不安、煩悶、小便赤色、不眠、心下部痞満、心悸亢進、顔面赤い、脈有力)

■三黄瀉心湯(精神不安、顔面紅潮、吐血衂血<鮮紅色>、心下痞、胃部膨満停滞感、便秘、脈有力)

■四物湯(貧血、皮膚枯燥、動悸<臍上>、神経症状、腹部軟弱、脈沈弱)

■大柴胡湯(実証、筋肉質、胸脇苦満、心下部緊張、便秘)

■二陳湯(胃内停水、心下部不快感、めまい、心悸亢進、発熱<不定期>、脈沈弦細)

■防風通聖散(赤ら顔、便秘、尿濃い、腹部緊満、腹部膨満感、舌苔黄厚膩、舌質紅)

 


脳溢血後遺症
【鍼灸】
「脳溢血後の半身不随に、筋縮穴(第9椎の下)」《沢田流聞書鍼灸眞髄》

【処方名】
■黄連解毒湯
■桂枝加朮附湯
■続命湯






脳炎 Encephalitis
⇒流行性脳炎と続発性脳炎に分かれる。流行性脳炎は、嗜眠性脳炎と日本脳炎などに分かれる。続発性脳炎は、インフルエンザ・麻疹・百日咳・腸チフスなどの影響で発症する。

【処方名-】
■葛根湯(陽実証、頭痛、発熱、無汗、項背のこわばり、脈浮緊・数)

■桂枝加葛根湯(虚証、自汗、項背がこる)    

■蒿芩清胆湯

■走馬湯

■大承気湯

■通脉四逆加猪胆汁湯

■桃核承気湯(実証、のぼせ、足冷、下腹部痛)

■白虎加桂枝湯

■白虎湯

■白虎加人参湯(高熱、煩渇、大便硬、尿利頻数)

■風引湯
    

脳下垂体の機能低下
【処方名】
■真武湯


脳血管障害
<1>脳梗塞:
*脳血栓症
*脳塞栓症

<2>頭蓋内出血:
*脳出血
*くも膜下出血

<3>一過性脳虚血(TIA):(診断基準)
(イ)局所神経徴候は1時間以内に消失する事が多く、24時間以内に完全に消失する。
(ロ)発作の起こりかた:急速起きる。多くは2~3分以内。
(ハ)症候:

(1)内頸動脈系のTIA:
(a)以下の症候が身体の半側に現れる。
・運動障害
・感覚障害
・一眼視力消失
・失語
(b)発作回数少なく、発作ごとの症候は同じ。
(c)脳梗塞を起こしやすい。

(2)椎骨脳底動脈系のTIA:
(a)多彩な症候が、半側・両側に現れる。
(b)以下の脳神経症候が現れる・
・復視
・めまい
・嚥下障害
・両側視力消失
・半盲

(c)発作回数多く、発作ごとに症候が変動する。
(d)脳梗塞を起こすことは少ない。

<4>高血圧性脳症
(イ)症候:
・頭痛(一過性)
・悪心
・嘔吐
・視力障害
・意識障害
・ケイレン
・眼底での乳頭浮腫

(ロ)原因:
(1)急激な血圧上昇、拡張期血圧の上昇が多い。
(2)急性子宮体腎炎では、中等度の高血圧でも起きる。
(3)子癇

<5>原因不明の発作

<6>その他:脳動脈硬化症

【処方名】(脳血管障害)
■四君子湯(脳血管障害後の養生に
■疎経活血湯(脳血管障害後遺症
■釣藤散
■通導散
■半夏白朮天麻湯
■麻黄湯
■抑肝散(手足のしびれ、半身不随、動悸)
■六君子湯(脳血管障害後の養生に


脳血管性痴呆
=脳血管障害、つまり脳卒中の結果として起こる老年期に多い痴呆症。

(特徴)

①一部の知的機能は低下しても残っている知的機能があり、例えば、記憶障害が目立っても判断力は比較的よく残っていることがある。
②かなり末期まで、自分が病気であることを自覚している。
③人格が比較的よく保たれている。
④痴呆の進行は段階的に進む。



脳血栓
=脳動脈の内腔が狭くなって、血流量が減少して、脳組織が酸素・栄養不足から変性壊死し、機能が消失した状態をいう。

◎病因:以下の疾患から発症する。
✩脳動脈硬化症・
✩動脈の壊死・
✩嚢状動脈瘤破裂
✩血栓性血小板減少性紫斑病・
✩髄膜血管性梅毒
✩梅毒性動脈内膜炎
✩結節性動脈周囲炎
✩低血圧
✩外傷
✩periartelitis nodosa

◎症状:
前駆症状として、
脳動脈硬化による症状(めまい・記憶力低下・痴呆)
一過性脳虚血発作transientischemic attackが先行する。
発作は睡眠中・起床直後に発症する。
意識障害は軽い。
頸動脈系の障害では一側性で、片麻痺・片側の感覚異常・半盲・失語症がみられ、脳底動脈の血栓では両側性で、脳神経症状、小脳・脳幹部症状が加わる。予後は、脳出血より良好。

 

【時間医学】
「脳血栓は、血圧の変化よりは、血液が血管ないで固まりやすくなることに関係します。血液は朝方に固まりやすく、しかも一旦固まった血液を溶かす働きも朝方には低下していることが分かっています。」(田村康二著「魔の時刻の不思議」より)

 

【処方名】
■冠心Ⅱ号方
■三黄瀉心湯
■小活絡丹
■大柴胡湯
■補陽還五湯



脳疽
=項部に出来る癰。対口に同じ。

【処方名】
■神授衛生湯《医宗金鑑》
■追風通気湯《万病回春》


脳梗塞  cerebral infarction
⇒脳動脈の内腔がつまって、そこから先へ血液が流れない病気。
◎脳の血流障害によって、脳に不可逆的変化がおこること。
◎脳梗塞によって、脳組織が死滅・崩壊し、無構造の軟らかい物質となった病理的所見を、『脳軟化』という。 

◎症状:
脳血栓:「片側の手足がしびれる」
脳塞栓:「突然倒れ、意識を失う。右か左の手足が麻痺する(片麻痺)。口がうまくきけなくなる(失語症)」

◎その成因により、脳血栓と脳塞栓に分類される。
<1>脳血栓症cerebral thrombosis:(診断基準)
(イ)前駆症状として、一過性脳虚血発作(ex.ふらっとする)を認めることがある。
(ロ)発症の時間帯-----安静時が多い。
(ハ)頭痛の有無-------なし、あっても軽い。
(ニ)局所神経症状の進展---緩徐(数日以内が多い)
(ホ)意識障害の有無-------発症時にない、あっても軽い。
(ヘ)髄液-----------------清澄。
(ト)原因:アテローム硬化を伴う基礎疾患がある人に多い。
   (1)高血圧症
   (2)糖尿病
   (3)脂質代謝異常

<2>脳塞栓症:(診断基準)
(イ)局所神経徴候あるいは特定動脈流域の徴候が突発し、数分以内に完成する。
(ロ)発症の時間帯---------様々
(ハ)頭痛の有無-----------なし、あっても軽い。
(ニ)局所神経症状の進展---突発し、数分以内に完成する。
(ホ)意識障害の有無-------発症時にない、あっても軽い。
(ヘ)髄液-----------------清澄。時に出血性。
(ト)原因:心臓疾患がある人に多い。
  (1)不整脈
  (2)弁膜疾患
  (3)心筋梗塞
 〇最近、脾・腎・四肢・肺・腸・脳・網膜などに塞栓を起こしたことがある。

●心房細動による脳梗塞「心原性脳塞栓症」・・・長嶋監督
「血液の小さな塊が心臓内で出来、脳の血管が詰まる病気。脳梗塞は脳で起きた動脈硬化が原因で血管が詰まる脳血栓と、心臓で出来た血栓(血のかたまり)が脳に運ばれ血管をふさぐ脳塞栓の2つに分類されている。」

■副作用で6人死亡
「脳梗塞などの治療薬「塩酸チクロピジン(商品名パナルジン)」に死亡例を含む重い副作用が相次いでいるとして、厚生省は30日、第一製薬など製薬21社に対し、緊急安全情報を出して医療関係者に注意喚起を徹底するよう指示した。
指摘されている副作用は脳や消化器での出血や意識障害などを起こす『血栓性血小板減少性紫斑病』(TTP)95年から4年間で死亡6件を含む計22件が報告されている。ほとんどが服用開始から2ヶ月以内の発症という。
厚生省は海外の文献をもとに95年に注意喚起、96年9月、98年9月にも使用上の注意を改訂させたが、それ以降も11件(うち死亡2件)が報告されたため、改めて緊急安全性情報を出すことにした。」1999.7.1《日本経済新聞》

■飲み合わせ
「27歳男性。心臓手術の後、血液が固まって血栓が出来るのを防ぐワルファリンカリウムを服用していたが、妻が出産のため帰省し、納豆を週に4、5回食べたら、脳梗塞を興した。納豆のビタミンKが血液を固まりやすくしたらしい。ビタミンKを多く含むブロッコリー・ほうれん草や、いわゆる青汁などの大量摂取も要注意だ。」1999.11.28《朝日新聞》

■寝る前・就寝中の1杯の水は命を守る宝水
「体の半分以上が水で満たされている人間にとって、水分不足ほど怖いものはない。たとえば、脳梗塞や血圧の低下による立ちくらみ、全身の脱力感や熱中症などを起こすこともある。さて、血液の濃度は、日中に比べ就寝後にグングン増して、血液はドロドロになってしまう。統計でも脳梗塞の40%は就寝中に起きているという。水分不足に陥りやすい就寝中の体を守るには寝る前の1杯の水が効果的だ。あるいは枕元に水を用意しておくだけでもよい。これを昔の人は「宝水」と場づけていた。」(NHKためしてガッッテン)

■発症直後は薬物療法も
「最近、脳梗塞の発症後、すみやかに薬物療法を行うと、死亡や、身体マヒ、意識障害など後遺症を減らせることが分かり、注目されている。
脳梗塞は、血の塊(血栓)が脳の動脈に詰まり、脳に柴胡桂枝湯安堵や栄養が届かなくなって起きる。同じ脳卒中でも、血管が破れる脳出血・くも膜下出血には手術が可能なのに対し、決め手となる治療法がない。
アメリカでは95年に報告された薬物療法の研究が、この現状を変えた。脳梗塞の発症後3時間以内に、血栓を溶かす『t-PA』と呼ばれる薬剤を点滴すると、後遺症を残さずに社会復帰した患者は31%で、薬効のない偽薬を使う場合の20%に比べ、5割以上多かった。
米政府は96年、この薬を発の脳梗塞治療薬として承認。心筋梗塞を
「ハート」アタック」と呼ぶのと同様に、脳卒中を「ブレーンアタック」と名付け、「早期治療が重要」というキャンペーンが行われている。
しかし日本では、この薬は心筋梗塞の治療には認められているが、脳梗塞には未承認で、使用出来ない。ある専門家は「患者が手遅れになるのを見ているしかないこともある」と嘆く。
そこで国内でも、既存の別の薬による治療の試みが始まった。ウロキナーゼと呼ばれる血栓溶解剤を、カテーテルで患部に直接注入する方法だ。
関西地方の主婦(33)はあ、自宅で右の手足が突然動かなくなり、意識も混濁した。家族が救急車を呼び、国立循環器病センター(大阪府吹田市)へ。画像診断で右半身を司る左脳の血管が、血栓でふさがれている脳梗塞と分かった。
ただちに足の付け根の血管から、先端の直径0.2cmと極めて細いカテーテルをを入れ、脳に達したところでウロキナーゼを注入。1時間後に血栓は完全に溶けた。次第に手足のマヒや意識障害が回復し、主婦は1ヶ月五苓散に退院した。
同センターでは、発症から4時間以内に限り、この治療法を行っている。内科脳血管部門部長の峰松一夫さんによると、通常は8割ほどの患者に後遺症が残るのに対し、之までに治療を受けた患者9人のうち、この主婦を含む5人が後遺症無く退院した。」

■脳損傷防ぐタンパク質
「大阪大学などの研究チームは、脳梗塞によって脳組織が損傷を受けるのを防ぐタンパク質を見つけだした。このタンパク質は脳細胞の中にあり、梗塞で血管が詰まって細胞が酸素不足に陥った時に、細胞が死ぬのを防ぐ働きを備える。動物実験でタンパク質の機能を突き止めた段階だが、これを手がかりに、タンパク質の働きを強める薬剤を開発できれば、脳梗塞や痴呆症の治療に役立てられる。
脳のグリア細胞内に存在する『ORP150』というタンパク質。脳細胞には情報処理に当たる神経細胞と、それを支えるグリア細胞があるが、脳への血流が止まっても神経細胞はすぐに死ぬのにグリア細胞はなかなか死なないことに研究チームは注目した。
ORP150を通常より多く作り出すネズミで調べた結果、脳梗塞の時に損傷を受ける大きさが通常のネズミに比べ1/3と少なかった。人間の細胞を使った試験管内の実験でも同様の結果を得た。」2001.3.5《日本経済新聞》

■予兆
「“決して突然起きるものではない。相当前からサインが出ているが、代表的なのが昔の思い出が甦ってくること”どうして?
人類学者栗本慎一郎氏によると、直近の空間記憶を司る脳細胞に梗塞が起きると、長期の言語的記憶が強化されるという。
男性は右脳に梗塞が起きる確率が高く、左マヒが起きやすいという説があるが、もし右脳の「海馬」に「隠れ脳梗塞」が発症すると、左脳の記憶能力が活性化する。記憶は、脳のあちこちに分散保存されているからで、具体的には、昔の仲間や初恋の人が妙に懐かしかったりする。
栗本さん自身、小学校3年の時に「かわいい子」だと思ったのに傘を壊してしまった女性のことが「無性に気になりだして」、なんと、50年後だというのに家まで訪ねて行った。脳梗塞で倒れる前のことだった。
「このほか発症までの半年の間に、それまで気にしなかった多数のことを思い出した」と語る。
やはり脳梗塞で倒れた小渕恵三首相も「その直前に小沢一郎と昔の話をしたがっていたという」
次のサインは、コトバがなめらかに出てこなくなること。「早口でおしゃべりな私が、舌が軽くもつれ、言葉に詰まることがあった」
そして、もう1つは、心臓に痛みを感じたときだという。
こうした前兆が何回も起きて、ある一線を超すと表面化し一大事に至る。「脳梗塞は突然やってくるという医師がいるが、とんでもない考え方だと思う」
栗本氏はリハビリにも独自の「栗本理論」から、からくり箱を発明。鏡を斜めに立てた箱に、両手を差し込む。マヒのない右手とそれが映っている鏡を見ながら動かすと、さも両手が健康に動いているよに見える。同じ運動を、マヒのある箱の中の左手にさせようと意識する。これを繰り返すと、動かない左手が動いているように感じて、そのうち本当に動き出す。
神経回路を鍛えると代替機能が動き出すという。
「固まっていた左手がこのおかげで8割も回復した」という。

■超音波で
「東京慈恵会医科大学と日立製作所などは脳梗塞発症直後の治療効果を高める手法を開発した。血栓(血の塊)を溶かす薬物の働きを超音波照射で強めることで、治療効果を現在の3割から7割以上に高められる可能性がある。
日立メディコや国立循環器病センター、京都大学との共同研究。
新手法ではまずCTと超音波画像装置で血栓の位置を特定。血栓を溶かす脳梗塞治療薬としてすでに使われている『tPA』を投与するとともに、超音波の出力を高めて患部に集中照射する。
ウサギを使った実験では薬物だけでは17%、超音波と組み合わせた場合は77%の血栓が溶けた。
人間の場合、薬物だけでは3割程度だが、超音波装置を使えば7割~8割にまで高められる。」2006.4/14《日経》

■かくれ脳梗塞
「五十嵐一衛・千葉大学教授らのグループは、脳梗塞患者の血液中に毒性のある『アクロレイン』という物質が健康な人に比べて体内で増えていることをつく止めた。細胞を活性化するポリアミンという物質が、脳梗塞で脳の細胞などが壊れる事で血液中に滲みだし、アクロレインに姿を変えるという。
血流を邪魔する血の塊がとても小さいかくれ脳梗塞尾などの異常がある約60人の血液を調べたところ、約7割でアクロレインの濃度が高かった。」200610/9《日経》

■SNP
「九州大学などのチームは、日本人で脳梗塞の発症に関わる遺伝子を発見。動脈硬化と関連が疑われている遺伝子で、1人ひとりの塩基配列の違いで、脳梗塞の発症率が2.8倍に高くなることを突き止めた。
九大と東京大学医科学研究所との共同成果。2007年1/8ネイチャージャネチクス電子版に掲載。
福岡市周辺の脳梗塞患者と福岡県久山町の健常者をそれぞれ1026人を比べ、遺伝子の塩基配列のわずかな違いであるSNPを調べた。
その結果『プロテインキナーゼC(PKC)エータ』と様酵素の遺伝子に、脳梗塞患者に目立って多いSNPが見つかった。PKCエータは人の動脈硬化の病変部位に多く、症状が重いほど盛んに働いているという。
このSNPは塩基のA(アデニン)とG(グアニン)の組み合わせで[GG][GA][AA]の3タイプに分けられ、脳梗塞患者はAを持つ割合が健康な人に比べて1.7倍多かった。
久山町で改めて過去14年間の住民データを調査。[GG]タイプに比べて[AA]タイプの人は2.8倍も脳梗塞の発症率が高いことを就く止めた。塩基の1つがGからAに変わると活性が上がり、脳梗塞の危険を高めていると見られる」

■シビレ・脱力・・・・すぐ尿院へ
「脳梗塞に有効とされる血栓溶解剤のヒト組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)を使用できる時間が、発症後3時間以内と決められている。そのため、50歳を超えてメタボリックシンドロームの方は、突然、半身のシビレや力が抜けるなどの症状が出たら、迷わず救急車を呼ぼう。
脳梗塞の診断
・血液検査
・CT
・MRI・・・を使ってMRAと呼ぶ血管の画像を撮影。
・頸動脈と心臓を超音波で検査。

CT画像で黒い影があれば脳梗塞です。

MRAは脳で血液が流れている血管だけを映し出します。血管が詰まっている部分から先は映らないことが多いので梗塞を起こした部分が特定できます。

血液検査は血栓の断片である[Dダイマー]の値に注目します。心臓の中に血栓ができているとDダイマーの値が上がっています。
CT検査では、一般的に脳梗塞瘀を発症してから12時間ぐらい経過しないと分からないといわれています。大きな脳梗塞が進行している時は発症後3時間でも分かることがあります。髪の毛ほどの血管内で起きる小さな脳梗塞は発症から数時間では、CTだけでは分かりません。MRIで拡散強調画像を撮れば、小さな脳梗塞でも光って見えます。発症してから30分~数週間以内の新しい脳梗塞が死んで膨らんでいてそれが光って見える。
経食道エコーは、心臓・大動脈を詳しく調べる超音波検査法です。口から装置を入れて食道側から心臓などを調べ、左心房や大動脈にできやすい血栓を検出して脳塞栓症の予防に役立ちます」

■血液検査
「脳梗塞の発症リスクを血液から調べる検査キットの開発を、アミンンファーマ研究所(千葉市、2007年4月設立)が手がける。五十嵐社長は、3月まで千葉大学の教授だった。細胞を活性化するポリアミンという物質を研究する過程で、脳梗塞患者の血液を調べたところ、毒性のあるアクロレインという物質の血中濃度が健康な人に比べて高くなることが分かった。
アクロレインはポリアミンが血中に漏れ出し作られるという。
脳梗塞を発症すると、ポリアミンを分解するポリアミンオキシダーゼという酵素が増えて、アクロレイン量も増える。アクロレイン量を調べることで、自覚症状がほとんど無い『かくれ脳梗塞』の段階で発症リスクを割り出せる。」

■有効な抗体
「脳梗塞の治療薬の候補物質を岡山大学医学部の西堀正洋教授、就実大学薬学部の森秀治教授らのグループが発見した。
脳内で炎症反応を促進する物質の働きを中和する抗体で、動物実験では脳梗塞を起こした部分を10%までに小さくできたという。
候補物質はタンパク質の一種である『HMGB1』の働きを中和する効果を持つ。HMGB1は通常は細胞の核内でDNAと結合しているが、壊死を起こした細胞からは放出され、炎症促進作用を示す。
実験では、HMGB1の働きを中和する抗体を人工的に脳梗塞瘀を起こしたラットの静脈に注射した。
脳梗塞瘀の部分が大幅に縮小したうえに、体のマヒも改善できた。20077.23日経

■症状を緩和する物質
「大阪大学の工藤喬・准教授と宮崎大学の今泉和則教授らは、血管が詰まって起こる脳梗塞の症状を緩和する物質を新たに発見し、動物実験で効果を実証した。
発見したのは、細胞内でできた構造異常のタンパク質を修復する物質(分子シャペロン)を増やす化合物。BiPという代表的な分子シャペロンに関係する化合物(BIX)をマウスの脳内に投与しておくと、脳梗塞を起こしても詰まって機能が損なわれる部分を小さくできるのが分かった。BiPの量が増えて、梗塞でできる異常なタンパク質を修復していると見ている。
脳梗塞の症状緩和やマヒなどの後遺症の軽減や、糖尿病・心臓病などの治療の開発につながる」2007/12/3産業

■幹細胞
「“幹細胞が分化するのではなく、他の細胞の働きやすい環境をつくって回復を促すこともある”と国立循環器病センター研究所の田口明彦・脳循環研究室室長は語る。同研究所は骨髄から取りだした幹細胞を注射して脳梗塞を治療する研究をしている。個々では注射する幹細胞痔tqア医が脳神経になって治療が進んでいる訳ではないという。
体内には神経細胞を作る細胞がもともとあり、損傷部位を治せる。すでに死んだ部位はムリだが、死にかけているもののまだ生きている周辺部なら、栄養源となる江kつえきが届けば神経細胞を治せるという。
ただ治療にはタイミングがある。発症後7~10日後でないと効果が出ない。」

■心原性脳梗塞
「心臓にできた血栓が脳の血管をふさぐことで発症するのが心原性脳梗塞。脳梗塞全体の1/5を占め、重症のケースが多いのが特徴。
【治療法】
救急車で運ばれてきたらまず、コンピュータ断層撮影装置(CT)で脳の画像を撮ります。発症後3時間以内で脳の組織が一部死にかかっていてもその範囲が小さければ、血栓を溶かすヒト組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)という薬で治療します。脳の組織が広範囲に死にかかっている時には、tPAを使わない方がいいことになっています。
発症後6時間以内であれば、脳を冷やして保護する低体温療法を行うこともありますが、最近では発症後24時間以内であれば、エダラボンという薬で脳を保護する治療を行うのが普通。
(再生医療)
局所麻酔で腰の骨から骨髄を採取し、血管を作るもとになる細胞などを含む単核球を精製、患者の静脈内に注射で戻します。成冨博章・国立循環器病センター内科脳血管部門部長は“脳梗塞になると脳の神経細胞が死滅します。1週間~10日で神経細胞の元になる神経幹細胞が損傷部に集まり自力で神経細胞を再生する試みが始まります。しかし、損傷部の周りの血管が詰まったり痛んだりして、十分な血液を送ることができず、神経幹細胞は酸素や栄養不足に陥り、神経細胞を再生できません。そこで単核球を静脈内に送り込んで血管を再生させ、神経細胞をよみがえらせる”」2008/1/22日経

■リスクを判別
「千葉大学病院と千葉大発ベンチャーのアミンファーマ研究所は、脳梗塞が将来起きるかどうかの危険性を血液検査できる技術を開発。
血液中にある『アクロレイン』という物質を手掛かりに調べる。アクロレインは細胞などをキズつける働きがあり、脳梗塞患者の血液中には健康な人より多いことが知られている。2008年4月から臨床研究を始める」

■損傷を抑える微粒子
「筑波大学の長崎行雄教授らは、脳梗塞で脳の細胞に血液が届かない虚血による損傷を抑える技術を開発した。脳組織を傷つける活性酸素を取り除く物質をナノ粒子に入れて投与する。ラット実験で確認」」

■骨髄幹細胞で
「札幌医科大学神経再生医学講座の本望修特任教授は、2010年3月に行われた文部科学省「橋渡し研究推進プログラム」で発表した治療法は、骨髄由来の幹細胞を利用するもの。患者自身の腸骨(寬骨を構成する骨の1つ)から骨髄液を数十ccほど採取し、骨髄幹細胞を分離。これを2週間ほどかけて1億個まで増殖・培養させてから静脈注射により体内に投与する。投与された骨髄幹細胞は脳の梗塞部に届く。投与後数日以内で神経を活性化させる栄養作用が見られ、その後、血管新生と神経再生が順に起きる。

■ニューハンプシャー 22歳の女性に起こった

まさかの脳梗塞
スキーで転倒
「何かが頭の中で爆発したみたい」と訴える
言語障害・手足の麻痺
検査で白い陰が見つからなかった
動脈硬化も血栓も見つからなかった
脳梗塞ではない→偏頭痛と診断
脳の中の血管に異常が無かった

3日後、激しい頭痛
手が麻痺している

MRIで検査
大きな白い陰が見つかった。
脳梗塞になっていた
脳が壊死していた。血流が止まると10分で壊死する。脳内の圧力が上がり、さらに壊死させる。
右脳の半分が壊死
右脳の半分を摘出

原因は、尻もちが原因だった。首をひねり頸動脈に傷がついた。
首の血管が詰まった。
頸動脈が止まっても、それをカバーする血管があるのが普通。
この女性は、そのカバーができる血管がなかった。
その後、生物学者になった
  

【処方名】
■滌痰湯
■導痰湯
■補陽還五湯

【西洋薬】
■脳梗塞の後遺症治療薬「アニラセダム」発売中止2000.10.12《日本経済新聞》
■ラジカットで12人死亡
「厚生労働省は10/28、脳保護材『ラジカット』(一般名エダラボン)の投与患者のうち急性腎不全で12人が死亡したとして、発売元の三菱ウェルファーマに対し緊急安全性情報を出すように指示した。
ラジカットは2001年6月の旧三菱東京製薬が発売し、日本でしか承認を受けていない。」2002.10.29《日経産業新聞》
「ラジカットを投与された患者のうち、副作用で急性腎不全を引き起こし40人が死亡していたことが2/27、厚生労働省のまとめで分かった。
ラジカットは脳梗塞を起こして約2週間以内の患者に使われる」2003.2.28《日経産業新聞》
■血栓溶解剤(tPA)
[2005年10/11、厚生労働省は『tPA』の保険適用を認める通知を出した。脳梗塞発症後、早期に投与すれば約4割の患者が後遺症が無く社会復帰できるとされ、日本脳卒中学会が要望していた。
tPAは脳梗塞の原因となる血管に詰まった血栓(血の塊)を溶かす効果がある。今回適用が認められたのは
「グルトバ」(三菱ウエルファーマ)
「アクチバシン」(協和発酵)
すでに心筋梗塞の治療薬としては適用済みで、脳梗塞にまで適用範囲を広げた。
tPAは、発症から3時間以内の投与が有効である。2005.10.11《日経》

■脳梗塞のタイプ
 『ラクナ梗塞』(36.3%)
 『アテローム血栓性』(31.1%)
 『心原性脳塞栓』(20.4%)
 『一過性脳虚血発作』(6.5%)
 『その他』(5.7%)

■心原性に注意
「脳卒中になる人の約7割は脳の血管がつまって起きる脳梗塞だ、「朝起きたら手がしびれていたなど脳梗塞の疑いがある症状が出たら、出来るだけ早く病院を受診してほしい」と国立循環器センター内科脳血管部門の峰松一夫部長は語る。
 ●脳梗塞とはどんな病気?
「脳の血管が詰まって血液の流れが悪くなり、脳の組織が死滅する病気で、主に3つのタイプがあります。脳簿深いところにある直径1mm以下の細い血管が傷んで詰まるラクナ(水たまり)梗塞というタイプ。直径5~8mmの太い血管の中にコレステロールや脂肪がたまって動脈硬化が起こり、血の塊で血管がつまるアテローム(じゅく状硬化)血栓性梗塞。心臓の中にできた血の塊が脳に移って血管をふさぐ心原性脳梗塞症です」
「高血圧と関係が深いラクナは、血圧が高まり血管の壁が厚くなることで詰まります。病巣は小さく、半身がしびれたり、言葉がもつれるなど軽症のことが多い。ただ、小さなけっかんが多数詰まると痴呆などの症状が表れることもあります。アテロームは大きな血管が詰まるので、重症になる人が多い。高脂血症や糖尿病と関係が深い病気です。現在、日本女性の高コレステロール血症の頻度は米国の女性よりも高くなっており、10年後にはアテロームが増えるとみられています」
●心原性が最も重症だと聞きましたが?
「大きな血管の根元が詰まることが多く、失語症や視野障害などが起きることがあります。脳が腫れて正常な部分まで圧迫し、意識がかなり悪くなることもあります。病院に入院して1~2ヶ月間で約2割の方が亡くなられています。最近、心原性の原因として心房細動という不整脈が注目されています。心房細動の人とそうでない人を桑ベルト、心房細動の人の方が5倍くらい脳卒中を起こす確率が高いことが分かりました。80歳で脳梗塞になった人の1/3は心房細動で、その8割が心原性でした。
●脳梗塞の治療は?
「脳の血管に出来た血栓を出来るだけ早く溶かすことが重要です。血栓そのものはウロキナーゼという薬でも溶けますが、全身で出血する傾向が認められますので、大量投与はしない方がよいと言われています。米国ではtPAという薬が発症から3時間以内の治療に使われています。日本ではまだ臨床試験中です。傷ついた血管から出る活性酸素によって脳細胞の死滅が広がるのを抑えるには、エダラボンという抗酸化薬の一種も使います」
「アテロームでは出来るだけ早く、次の血栓が出来ないように治療します。血を固める血小板の機能を抑えるアスピリンなどの抗血小板薬を使います。心原性は脳の腫れを防ぐ薬を投与すると同時にワルファリンという抗凝固薬で心臓に血栓が出来ないように予防します」
●後遺症を減らすには?
「症状が安定したら、出来るだけ早くリハビリを始めることです。ただ、アテロームの人は症状が不安定なので。あわててリハビリすると再発の危険性が高まります。
●予防法は?
「脳卒中の症状について正しく理解している人は2割程度しかいません。体の半分の力が抜けるなどの症状が出たら、脳梗塞の可能性が大きい。脳梗塞の前兆として一過性脳虚血性発作というのがあります。発作がおきて24時間以内に症状がなくなるので病院に来ない人が多いのですが、いったん良くなっても原因は残っているので、早めに検査を受けてください」2003.6.3《日本経済新聞》

■重症化させる物質・・・「S100B」
「埼玉医科大学の森隆准教授のグループは、脳梗塞の重症化につながるタンパク質を特定した。
脳血管に血栓ができた際に、脳細胞からこのタンパク質が大量に作られ、症状を悪化させていた。
成果は2008年米科学誌「ストローク」に掲載。
重症化させることが分かったのは『S100B』というタンパク質。脳内に存在するグリア細胞の一種である[アストロサイト]から放出される。
マウス実験
S100Bを通常より多く作り出すように遺伝仕組み換えマウスを作製し、血栓を作って脳梗塞を起こした後の症状を調べた。その結果、脳梗塞を発症してから1、3、5、7日間経過したいずれでも、遺伝子組み換えマウスの脳梗塞を起こした範囲が、通常のマウスと比べて15~20%広くなり、マヒなどの症状も重くなった。
アストロサイトは普段は神経細胞が接続するのを手伝ったり、脳内の血流を調節したりしているとされる。脳梗塞が起きるとその周辺領域に積極的に集まり、神経細胞を修復しようとするが、「慢性的に集中的に存在すると、逆に神経細胞にダメージを与える」(森准教授)
脳梗塞が起きても、初めのうちは機能障害が無かった患者でも、発症後1週間~2週間で障害が出始め、脳内で梗塞領域が広がっていることは観察されていた。」



■黄砂が問題
2011年、黄砂が中国大陸から飛んでくると脳梗塞の発症リスクが高まることを九州大学の北園考成教授と国立環境研究所のグループが突き止めた。
脳の太い血管がつまって言語障害や手足のマヒを招く重症タイプに限ると、発症リスクは1.5倍になる。
   飲酒の習慣がある人は2.5倍のリスク
   喫煙の習慣を伴う人は、2倍のリスク
北園教授らは1999年6月~2009年3月、福岡県の基幹7病院に脳梗塞で運ばれた救急患者6352人について調査。気象庁のデータから黄砂の飛来した日との関係をつきあわせたところ、脳梗塞の急患は、前3日間に黄砂が観測されると7.5%増えた。
黄砂には直径4マイクロ㍍(1マイクロ=1/100万)ぐらいの微粒子が多く含まれ、肺の奥へ入り込む。黄砂に含まれる汚染物質や微生物によって過剰な免疫反応が起こり、血管の内側についた脂肪の塊がはがれて脳梗塞を引き起こすと考えられている。浮遊粒子状物質(SPM)と呼ぶ大気汚染物質の濃度が高くなるほど、発症リスクが上昇した。
北園教授は“動脈硬化が進んでいると発症しやすくなる。黄砂の日は外出を控えた方がよい”と語る。日本脳卒中学会で発表。
黄砂の健康影響については、京都大学のグループが「小児ぜんそく」の発作の危険性が高くなると報告。欧米でも心筋梗塞が増えると指摘。




脳充血
【処方名】
■救逆湯
■三黄瀉心湯
■大承気湯
■桃核承気湯(実証、のぼせ、足冷、下腹部痛)
■麦門冬湯
■苓桂味甘湯


脳室周囲白質軟化症
■未熟児の多い病気で、脳内の血流が悪くなって、運動障害が起きる病気。1000g前後で生まれた子の5%程度が発症する。原因不明で根本的な治療法はない。


脳出血 encephalorrhagia
=脳内出血
⇒脳血管の破裂により、脳実質が圧迫・浸潤・破壊されて発症する。
◎中年以降の男性に多い。
◎起こる場所は、大脳の視床、内包と呼ばれる部分。内包には、大脳から脊髄に下る運動神経線維と皮膚から大脳へ伝える知覚神経線維が通っている。

◎症状:「頭痛・気分が悪くなる・吐き気を催す・意識がだんだん薄れる」

<1>激しい頭痛・悪心・嘔吐・ケイレンから始まり、運動障害・知覚障害・失禁・言語障害・視力障害を起こしながら意識障害を起こす。

<2>脳の片側の内包付近に出血が起きると、身体の反対側の運動神経と知覚神経がやられ、手足の運動麻痺以外に、舌のろれつが回らなくなり、顔も歪んでくる。これが半身不随の実体。

◎疲労が蓄積されると体の機能が低下してコレステロールが合成されにくくなり、脳出血につながる危険性が増大する。

頭蓋内出血の1つ。
<1>脳出血:(診断基準)
(イ)活動時の発症が多い。
(ロ)しばしば頭痛がある。(脳梗塞との違い)
(ハ)局所神経徴候----急速に進展する。多くは数時間以内。
(ニ)しばしば意識障害をきたし、急速に昏睡に陥ることがある。
(ホ)原因:高血圧症の既往があり、発症時には血圧が著しく上昇していることが多い。
(ヘ)血性髄液:[CT]で脳内に血腫による高吸収域を認める。
小出血では頭痛、意識障害もなく、髄液も清澄なので、要注意。
<2>くも膜下出血:(診断基準)
(イ)突発する。
(ロ)激しい頭痛で、気、嘔吐を伴うことが多い。
(ハ)髄膜刺激症状:(+)
*項部硬直
*Kerning徴候
(ニ)意識障害をきたすことがあるが、一過性が多い。
(ホ)血性髄液:脳血管撮影で脳動脈瘤、脳動脈奇形などを認める。
(ヘ)網膜前出血:[CT]で髄液槽に出血による高吸収域を認める。

【処方名】
■一物瓜蒂湯
■黄連阿膠湯
■還魂湯
■乾姜附子湯
■甘麦大棗湯
■救逆湯
■桂枝甘草竜骨牡蛎湯
■候氏黒散
■柴胡加竜骨牡蛎湯
■三黄瀉心湯
■真武湯
■千金三黄湯
■走馬湯
■続命湯
■大黄牡丹皮湯
■大柴胡湯(実証、筋肉質、胸脇苦満、心下部緊張、便秘)
■桃核承気湯(実証、のぼせ、足冷、下腹部痛)
■麦門冬湯
■八味地黄丸
■白虎加人参湯(煩渇、多飲、尿利頻数)
■白通加猪胆汁湯
■風引湯
■茯苓四逆湯
■附子瀉心湯
■防已地黄湯
■防風通聖散
■抑肝散加陳皮半夏
■苓甘姜味辛夏仁湯(浮腫、小便不利、手足が冷える)
■苓桂味甘湯
■六味丸(腎陰虚、のぼせ、熱感



脳出血の後遺症
■半身麻痺、当初は歩行断念
「1分間で歩ける距離は数m。4点を支える金属製の杖をつき、ゆっくり前へ進む。「外を歩くのは本当に気持ちがいい。脳出血で倒れ、もう歩くのは無理といわれ、自分でもそう思っていたのに----」
社会学者で、上智大名誉教授のTさん(81)は、1995年12月、東京都内の自宅で倒れた。近所の救急病院に運ばれ、10日後に民間病院に転院。さらに約1ヶ月後、後遺症で左半身に麻痺が残り、リハビリを受けるため、都立病院に転院した。
4ヶ月の入院中、関節の動く範囲を広げる訓練や、歩く訓練も始めた。動く方の右手足を使って、車いすを操作する方法も覚え、自分で起きたり、立ったりするじとは出来るようになった。医師は「運動する力は失われたけれど、言葉や認識能力は完全に残りました。仕事も出来ます」と言われ、喜んだ。
しかし、独りで日常生活が遅れるまでには快復しなかった。96年5月、関東地方のリハビリ専門病院に入院。
理学療法士の指導を受け、平行棒につかまりながら歩く訓練をする日々。なんとか歩けるようになった矢先に、脳内出血の後遺症で左足が内側に反り返る「内反」が強くなった。
医師は「外を歩くのは無理。訓練室内がせいぜい」と諭し、前からつけている矯正力の弱いプラスチック製の装具のまま、リハビリを続けた。だが、満足に歩けるようにはならない。「医師が言うんだから」と、半ばあきらめかけていた。
4ヶ月後に退院したが、リハビリが専門の元東大教授、上田敏さん(68)との手紙のやりとりを通じ、茨城県の病院へ入院を勧められ、さらに入院した。
Tさんを診察した、当時のリハビリ医、大川弥生さん(45)は、「必ず歩けるようになる」と確信した。内反は、すねから足首の部分を固定する金属性の支柱がついた「短下肢装具」という矯正用の靴をつければ問題なく、4点を支える特性の杖を使えば良いと考えた。
だが、Tさんは「歩けません」の一点張り。「今までの病院で歩けないと思いこまされていた。内反がなぜ起こるのか、どんな訓練がいいのか、まったく説明がありませんでしたから」Tさんんと大川さんの歩けるまでの“格闘”が始まった。

【処方名】
■救逆湯
■牛車腎気丸
■三黄瀉心湯
■真武湯
■続命湯
■大柴胡湯(実証、筋肉質、胸脇苦満、心下部緊張、便秘)
■大防風湯(立って歩けない
■八味地黄丸
■防已黄蓍湯(上半身、足がむくむ)
■抑肝散(手足のしびれ・ふるえ・麻痺、興奮しやすい)




脳腫瘍 cerebral tumor

【処方名】(のうしゅよう)

■呉茱萸湯

■排膿散

 

「自己診断リスト」

:以下の症状が2週間以上続く。
早期脳腫瘍に見られる症状:
○朝、寝床から出ると頭痛する。
○吐き気がないのに、嘔吐した。

進行しているor他の疾患も考えられる症状:
○最近、身近な人から、“性格が変わった”と言われる。
○頭痛が、1時間から、長いときは午前中一杯続く。
○手足がシビレた感じがする。
○よく、めまいする。
○ふらつくことがある。
○細かい手作業が出来なくなった。
○よく計算ミスをするようになった。
○熱さ、冷たさ、痛みの感覚が鈍くなった。
○人の話すことがすぐ理解出来ない。
○最近、物忘れがひどくなった。
○耳鳴りが続く、
○テレビの音が聞こえにくくなった。
○突然、母乳が出てきた(男性)。
○自分がどこにいるか分からなくなることがある。
○声がかすれ気味で、言葉がうまく出ない。

■末梢血幹細胞移植が有効(参照→乳ガン)

■脳の2種類の細胞分化のスイッチ
「脳にある2種類の細胞が1つの細胞から分化するときに「スイッチ」として働く遺伝子を、東京大遺伝子実験施設の研究グループ(堀田凱樹教授)が見つけた。研究に使ったショウジョウバエは遺伝子の構造や働きが高等生物と似ており、将来は人間の悪性脳腫瘍の診断や治療に役立つ可能性もある。
脳には、情報を伝える1000億の神経細胞(ニューロン)と、それを支援するグリア細胞がある。2つの細胞はもともと一種類の前駆細胞から分かれて出来るが、どんな遺伝子が分化にかかわっているか、よく分かっていなかった。
 研究グループは、ショウジョウバエの神経系の細胞の様々な遺伝子に突然変異を起こして、神経細胞がどのように変化するか観察した。
その結果、「gcm」という遺伝子がニューロンとグリア細胞を分けるスイッチらしいことが分かった。実際、gcm遺伝子を抑えると前駆細胞の大半はニューロンになり、逆に働かせるとほとんどがグリア細胞になったと言う。1996.5.20 《朝日新聞》」

■悪性度の指標
「千葉大学の研究グループは悪性度の高い脳腫瘍の患者の血中で増えるタンパク質を発見した。このタンパク質は脳腫瘍の組織中でも増えており、量が多いほど生存期間が短かった。
脳にある神経細胞の一種、グリア細胞がガンになった『グリオーマ』は脳腫瘍の中で最も多く、年間約3000人が発症する。良性の場合は手術で取り除けることが多い。だが、半数以上が悪性で、その場合は放射線療法や抗がん剤を併用する。
研究グループはグリオーマ患者94人、脳以外の病気で亡くなった10人の脳組織を質量分析装置などで調べた結果、悪性度の高いガン組織ほど量が増えるタンパク質が19種類あった。さらに患者の血液中のタンパク質を調べたところ、『カテプシンD』と呼ぶタンパク質が悪性度の高い脳腫瘍患者ほど量が増えていることが判明。
これまでは良性か悪性化の判定には、手術で組織を採取して調べていた。」2005.9.26《産業》

■関連遺伝子
「千葉大学の室山優子助手などの国際研究グループは、異常増殖すると脳腫瘍の原因になる神経系の細胞に関係する突き止めた。脳腫瘍の診断や治療につながると見ている。研究グループが突き止めたのは、神経細胞に栄養を供給しているアストロサイトと呼ばれる細胞などにある遺伝子『SCL』。
この遺伝子が未成熟な神経幹細胞をアストロサイトに変化するように指示していることを突き止めた。
SCLを持たないマウスの脊髄を調べたところ、アストロサイトが大幅に減少していた。逆にこの遺伝子の働きが強くなるようにすると、鶏卵の胚のアストロサイトが増えることが明らかになった。
アストロサイトは神経系の細胞の中では最も数が多く、脳腫瘍の3割はアストロサイトの異常が原因とされている。」2005.11.18《産業》

■拡大する原因
「米バンダービルド大学の研究グループは悪性の脳腫瘍が広がったり、他の臓器に転移する原因になる遺伝子を見つけた。
『CXCR4』と呼ぶタンパク質の遺伝子が活発に働くと、ガン細胞が移動しやすくなり、脳腫瘍が広がる。逆にこの遺伝子の働きを抑えると、ガン細胞は移動しにくくなった。
研究グループは神経細胞の一種であるグリア細胞がガン化して出来る神経膠腫の細胞をから発見。
CXCR4は白血球にあるタンパク質で、外敵と戦う体の免疫反応が起きたときに白血球の移動を促している」2006.1/12


■レーザーで加熱・死滅
「東海大学医学部の松前光紀助教授と厚見秀樹助手らは脳腫瘍の新しい治療技術を開発した。レーザーで腫瘍部分だけを加熱、細胞死を引き起こす。患者にかける負担が少なく、腫瘍を正確に死滅させることが出来るという。癌が脳に転移した患者を対象に、今夏にも治療を始める。
レーザー医療機器メーカーのニーク(東京。世田谷)と協力して半導体レーザー発振器と温度制御装置、時期共鳴画像装置(MRI)を組み合わせた。」2002.2.20《日経産業新聞》
■放射線で
「東京大学の藤堂具紀講師らは、悪性腫瘍の一種に対して強い放射線が有効であることを突き止めた。従来は、放射線は脳に悪影響を及ぼすとされていた。
ところが、線量を3から5倍に増やしたところ、約15%だった5年生存率が最大で約50%にまで向上した。成果は2005年11月の英医学誌ランセット・オンコロジーに掲載。
悪性脳腫瘍のうち、悪性グリオーマの患者を対象に硬化を調べた。悪性グリオーマは1969年以降、治療成績が向上しておらず、ガンの中でも最も治療しにくいタイプとされている。
手術で腫瘍を出来るだけ取り除いた後に従来の3~5割多い80~90グレイの線量で放射線治療を実施した90例では、悪性度が最も高い患者らの2年生存率は約38%、2番目に悪性度が高い患者らの生存率は約51%になった。
従来の60グレイではどちらも15%以下だった。2005.11.8《産業》」
■術前の画像診断と手術支援システム
「東京女子医大では、術前に各種の陽電子放射断層撮影装置(PET)や磁気共鳴画像装置(MRI)で腫瘍の位置や広がりを把握、言語機能や運動機能に関わる領域の分布を調べるMRIで、正確な「脳機能の地図」を作る。これにより、どの方向からメスを入れればよいかなどを決める。これらの画像をコンピューターに入力し、手術中、実際の手術場面とともに映し出す。「手術用ナビゲーター」装置だ。
■内頸動脈から薬剤
国立がんセンター東病院の研究グループは、脳腫瘍のモデルラットを使った実験で、静脈注射に代わる薬剤投与法の有効性を確認した。
脳腫瘍へ栄養を運ぶ内頸動脈から投与する。
投与量を大幅に減らすことが可能になり、脳腫瘍の遺伝子治療の研究が進むかもしれない。ガン細胞に「ルシフェラーゼ」という蛍光物質の発現を担う遺伝子組み込みラットの脳に移植した。ルシフェラーゼを働かせなくする遺伝子阻害物質を内頸動脈に投与して、効果を確かめた。
静脈注射する方法に比べて効率が約1000倍アップした。約1/9の投与量で同じ効果が引き出せる。

■新薬「テモダール」
「脳腫瘍のうち最も多いのが『神経膠腫』(グリオーマ)と呼ばれる悪性腫瘍で、全体で3割を占める。外科手術で除去するのが基本。取り切れない腫瘍は放射線と抗ガン剤を併用する補助療法で対応するが、再発の場合は抗ガン剤を使う化学療法が中心になる。
化学療法に使われるニトロソウレア系(BUNU)などの薬剤の効果は不十分であった。2006年に承認されたのがテモダール
埼玉医科大学国際医療センター病院長の松谷雅生教授が分析した治験データによると、1年生存率と2年生存率は
放射線療法とBUNUの併用・・・46%(1年)、20%(2年)
放射線とテモダールの併用・・・61.1%(1年)、26.5%(2年)
米国ではテモダールが標準治療になっている ■診断薬
「ガンの診断と治療で世界的に有名な米テキサス大学M・D・アンダーソンがんセンター(MDA)とアイリスオーヤマは、脳腫瘍の発見率を8割にUPさせる画像検診用薬剤の共同研究・開発で合意した。
2007年8月にアイリスが仙台市内に開設するガン検診施設で。
開発するのはPETやCTの画像検診で主に脳腫瘍などの微細なガン発見の精度を高める診断用薬剤。脳内の神経伝達に関わるセロトニンが主に脳腫瘍などのガン細胞に取り込まれやすい点に着目。セロトニンを体内で合成する酵素に反応して画像化する。
ブドウ糖を利用した薬剤は脳内のガンを画像化しにくく、脳腫瘍の発見率は50%程度。これを80%に高めるのが目標。


■ホウ素と中性子線で
「筑波大学病院の松村明教授が開発を進めるDDS(薬物伝送システム)はホウ素を使う。ガン細胞にだけ集まったホウ素に体外から中性子線を当てるとアルファ線と呼ぶ別の放射線が発生する。これが転移したり、体の深い部分できたガンを叩く仕組みだ。
京都大学と協力して中性子線を出す加速器の開発に成功。ホウ素を使うDDS剤は大阪大学や学習院大学と開発を進めている。」



脳症
【処方名】
■柴胡加竜骨牡蛎湯
■調胃承気湯


脳震盪(脳しんとう)   
頭部に衝撃を受けた直後に起こる、一過性の神経機能麻痺である。
一般的なものは数分で治るが、外傷性のものもある。
名前の「震盪」とは、激しく揺れ動かすという意味である。
脳しんとうは、外から受けた衝撃で脳が揺さぶられて脳の機能が一時的に低下する。
アメフト
ラグビー・・激しいタックル
柔道・・・投げ技でタタミに叩きつけられる
サッカー・・・ヘッディングで
ボクシング
ボールが当たった
設備にぶつかった
頭をぶつけなくても、肩や首におきた強い衝撃が脳に伝わって
などが原因で起きる
○「急性硬膜下血腫」脳の血管が切れて血が溜まる
○脳へのダメージが、中高年以降に影響がでることもある。
○未成年者は症状の回復に時間がかかる傾向にある
○自覚症状
・意識喪失
・めまい
・ケイレン
・集中できない
・何があったか思い出せない
・頭痛
・吐き気
・力が出ない
・霧の中にいる感覚
・混乱している

○チェック
今いる場所は?
最近の対戦相手は?
両手を腰に当て、目を閉じて立つ(利き足を前に、つま先をつける)
脳神経外科へ


脳水腫 hydrocephalus
〇1.小児の慢性脳水腫(水頭症):
=脳室内皮細胞の炎症・第4脳室正中孔の閉 鎖・両親の梅毒・トキソプラズマ胎内感染などが原因。多くは知能の発育が不完全。

〇2.成人の慢性脳水腫:
=漿液性脳室髄膜炎が原因。症状は頭痛・めまい・運動障害・視力障害など。

【処方名-】
■黄土湯
■五苓散
■走馬湯
■八味地黄丸
■茯苓四逆湯


脳性片麻痺
=「半身不随」
⇒脳障害に由来する半側の麻痺。


脳性麻痺cerebral palsy(CP)
(参照→「レット症候群」)
=疾患名ではなく、病態名。脳性麻痺症候群(CP症候群)。
「受胎から新生児期までの間に、種々の原因で脳に非進行性の病変を起こし、その結果、永久的に四肢及び躯幹筋の痙直、麻痺、不随運動、運動失調などを生じた病態を指す」

◎分類:
<1>アテトーゼ:
「基底核に障害を受けるもので、不随運動を起こす」
「症状は、感情が高まると増加し、睡眠時は消失する」

<2>失調症候群:
「小脳とその伝導路に障害を受けるもので、筋力低下などを起こす」
「がに股歩行」が特徴。

<3>痙性症候群:
「上位運動ニューロンが障害を受けるもので、片麻痺、対麻痺、四肢麻痺、両麻痺などを引き起こす。」
「はさみ足歩行」と「つま先歩き」が特徴。

<4>混合型:
強直+アテトーゼ


脳塞栓 cerebral embolism
    (参照→脳梗塞)
◎病因:
①動脈硬化性orリウマチ性心疾患に続発する心房細動の結果、心臓内に出来た血栓が剥離し、血流にのって脳に至り、脳血管を閉塞する。
②心臓外科手術後
③細菌性心内膜炎のイボ・なども原因となる。

◎若年者に多く、左側の中大脳動脈起始部およびその主要分枝に好発する。

(脳血栓)に比べると、
1.若年者に多い 
2.前駆症状を欠くことが多い 
3.急激に起こる 
4.ケイレンが多い 
5.原因疾患として心臓疾患をもっていることが多い。

◎診断基準:
(イ)局所神経徴候あるいは特定動脈流域の徴候が突発し、数分以内に完成する。
(ロ)発症の時間帯---------様々
(ハ)頭痛の有無-----------なし、あっても軽い。
(ニ)局所神経症状の進展---突発し、数分以内に完成する。
(ホ)意識障害の有無-------発症時にない、あっても軽い。
(ヘ)髄液-----------------清澄。時に出血性。
(ト)原因:心臓疾患がある人に多い。
  (1)不整脈
  (2)弁膜疾患
  (3)心筋梗塞
(チ)最近、脾・腎・四肢・肺・腸・脳・網膜などに塞栓を起こしたことがある。

【処方名】(のうそうせん)
■冠心Ⅱ号方
■滌痰湯
■続命湯
■大柴胡湯
■導痰湯
■八味地黄丸
■補陽還五湯



脳卒中 cerebral apoplexy
=脳の血管が詰まったり破れたりして起こる脳血管障害の総称。日本人の死因の12.3%(2005年度)を占め、ガン・心臓病に次いで3番目。半身麻痺や言語障害などの後遺症で要介護になることが多い。

血管障害には[脳梗塞][くも膜下出血][脳出血]の3つに大きく分けられます。脳梗塞は血管が血栓などでつまったり、極端に狭くなって血液が流れなくなる。
くも膜下出血は動脈に出来た瘤や動脈瘤が破れて、脳の表面の軟膜と、その外を覆うくも膜という薄い膜の間に出血する。
脳出血は動脈硬化でもろくなった脳の血管が破れて出血する。

⇒脳の急激な血液障害によって起こる脳症状。すなわち突然に、意識消失し、片麻痺・言語障害を合併する症候群を総称する。原因により、以下のように分類される。

◎分類:
<1>脳出血:脳の細動脈が破れて出血する。(脳溢血ともいう)
<2>脳血栓:脳の血管がだんだん狭くなって閉塞する。
脳血管の細動脈の硬化によって起こる。老人に多い。
<3>脳塞栓:脳の血管が血液のかたまりで突然ふさがる。
脳の血管に異常はなく、心臓や血管の中に血液の塊が出来て、これがはがれて脳の末梢血管にひっかかって起きる。
★脳軟化(脳血栓と脳塞栓)
<4>クモ膜下出血
<5>一過性脳虚血発作
<6>高血圧性脳症

■タバコ
「を1日21本以上吸っている男性は、脳卒中の死亡率が吸わない人の約4倍になる。」滋賀医大・上島弘嗣教授の調査。
◎沖縄県の脳卒中死亡率は、全国平均の半分。(病状→長寿)

■1991,12.19《朝日新聞》
「足を踏みしめると、血圧が急上昇する。脚筋の緊張にともなう反射で、中高年ほど上昇度が激しい。これを知らない人が多く、実はヒヤヒヤしいる。
 例えば、仕事に追われて、健康の為に運動する時間がないからと、駅や歩道橋の階段を2段づ、大股で上がったりする。1段より強く踏みしめるから、血圧上昇もぐんと大きくなる。
 階段下では最大血圧160mmHgだったのが、階段を登り切って210mgということなど、そう珍しくない。間が悪ければ、この瞬間に脳卒中を起こす危険がある。血圧上昇は運動のせいでなく、「踏みしめの反射」と覚えて欲しい。山歩きも同様だ。
 荷物を持ち上げようとしても、筋肉の緊張で血圧が上がる。重い荷物だと、腰の負担を軽くしようと腹に力が入って、なお血圧上昇を促す。筋力づくりのウエートトレーニングは、血圧上昇に注意を怠ってはならない。
 もう一つ、血圧上昇の警戒因子が「過度の精神的緊張」である。ゴルフ場の脳卒中は、パットのとき起きやすいと言われる。わずかな距離にあるホールを狙うから、力いっぱいボールを打つよりエネルギーはずっと少ないのに、精神的緊張が大きい為だ。
 スコアがあれば、健康のためのレクリエーションと言っても、こだわってしまうのが人情。点数や勝敗が目的となりやすい「試合」は、中高年には好ましくないとさえ言われる。応援のため大声で叫んだり、気合いをかけてどなっても、意外なほど血圧が上がるころがある。
 スポーツ中は、精神的緊張によって交感神経が興奮し、末端から出るノルアドレナリンが血管を収縮させる。さらに副腎髄質から分泌される多量のアドレナリンの作用が加わる。安静時よりも50~60、血圧が上がる人は少なくない。個人差もあるから、自分はどのくらいの上昇度か、一度測っておくと良い。(小野三嗣・東京慈恵医大客員教授・スポーツ医学)

■再発
「脳梗塞などの脳卒中を発症した患者の約半数が10年以内に再び脳卒中を起こすことが、九州大学の調査で判明。日本人の再発率は英国などより高い傾向が見られるという。
九大の清原裕講師、大学院生の泰淳氏らは、1961~93年までの間に脳卒中を発症した410人を対象に、詳しく追跡調査した。」2005.8.22《日経》

■神経再生うながす
「岡山大学の阿部康二教授らは、脳卒中によって脳の一部にできた空洞部分の再生を促す新素材を開発した。神経細胞を呼び込む物質をしみ込ませたスポンジ状の材料で、動物実験で再生の足場として利用できることを確認した。
これまで組織が抜け落ちた空洞には神経細胞が定着せず、再生が難しかった。
脳卒中では脳の血管詰まって神経細胞が死ぬ。この部分に空洞ができる。新素材は脳卒中が起きてから時間が経過した慢性期の症状改善に役立てたいとする。
開発した素材は、シリカとゼラチンを組み合わせたスポンジ状の材質に、神経細胞を呼び込む『bFGF』などのタンパク質をしみ込ませた。
マウスの脳で実験した。脳の表面の欠損部に新素材をはめ込んだ。2ヵ月後に観察すると脳と足場の境界まで新しい組織が再生していた。血管も入り込み、まわりの神経細胞がネットワークを作るための腕を伸ばしていた。足場を埋め込まないと、空洞の周りで脳の形がゆがみ、損傷が進んでいた。
神経細胞には再生する力があることが最近分かってきたが、定着する足場がない欠損部には細胞を移植しても散らばってしまい、再生しにくかった。今後、神経細胞をあらかじめ土台に埋め込むなどの改良を進める。」2006.3.13《産業》

■脳卒中後の細胞異常増殖
2010年、京都大学の金子周司教授や白川久志助教らのチームは、脳卒中などで脳細胞が異常に増殖する仕組みの一端を解明。
脳卒中などの脳血管疾患になると、脳細胞の一種「アストロサイト」が異常増殖して、神経細胞の成長がジャマされ、リハビリの効果が落ちることがある。
研究チームは血液凝固に関わるタンパク質「トロンビン」をアストロサイトに加えると、信号伝あたうにかかわる細胞表面のタンパク質「TRPC3」が増え、それによりアストロサイトが増えることを見つけた。
マウスの脳にトロンビンを注入する実験ではTRPC3やアストロサイトが増えることを確認した。10/5産業

【民間療法】
○クワ・ゴボウ・コンブ

【漢方療法】
<1>繁用処方:
■黄連解毒湯:発作直後に与えてもよい。
充血を去り、出血を止め、興奮を鎮める。
■桂枝加苓朮附湯:手足のしびれ、麻痺。
■桂枝加苓朮附湯強神湯
■柴胡加竜骨牡蛎湯
■三黄瀉心湯:充血を去り、出血を止め、興奮を抑える。
便通がつくようにする
冷服する。
■続命湯:発作後、意識はあるが運動障害、言語障害、知覚障害がある。
■大柴胡湯:がっちりした肥満型。半身麻痺が残っている人。
■大柴胡湯+桂枝茯苓丸
■大柴胡湯+桃核承気湯
■釣藤散
■当帰芍薬散
■八味地黄丸
■防風通聖散:半身不随にも。
■抑肝散:発作後に、怒りっぽく、イライラする人に。

<2>参考処方:  
■一物瓜蒂湯
■一粒金丹(一切の諸風)
■烏梅肉に南星・細辛末を混ぜ、中指に付けて歯をこする。(人事不省)
■烏薬順気散(一切の風疾、・歴節風)
■烏竜丹(口眼が喎斜し、手足に力無く、引っ張るような感じがして、言語不渋
■開関散(目が暗く・奥歯をかみしめる)
■加減潤燥湯(左の半身不随)
■加減導痰湯(中風で痰が多く、言葉が出なく、熱あり)
■加減排風湯(手足が不自由)
■加味青州白元子(中風の壅塞・喎斜・)
■加味大補湯(左右の)
■蝎麝白元子(中風の痰涎壅塞)
■活命定志丸(昏冒)
■換骨丹(中風の喎斜・・暗風・風癇)
■活愈風湯(言語が不自由・精神が昏冒・痩せて偏枯・肥って不遂)
■袪風至宝丹(昏冒と風熱を兼ねる)
■袪風除湿湯(右の半身不随)
■袪風丹(諸風、・大風・破傷風)
■禦風丹(中風の口眼喎斜・半身不随・神昏・語渋)
■気散(中風、気虚不随)
■金生虎骨散(偏枯)
■解語丸(話し方が正しくない)
■牽正散(喎斜)
■牛黄金虎丹(人事不省・体が硬直・よだれ・いびき)
■牛黄清心元(救急時に)
■牛黄定志丸(昏冒)
■犀角升麻湯(鼻・額・唇・頬車・髪際が疼痛)
■三生飲(卒中風に痰塞、昏倒して人事不省、脈沈、熱なし)
■三物備急丸
■地黄飲子(足が不自由・言語不自由)
■四白丹(昏冒)
■資寿解語湯(言語不自由)
■七気湯(加石菖蒲)
■至宝丹(卒中が急で喋られなくなり、人事不省・精神が昏冒)
■青州白元子(中風の痰涎壅塞・喎斜・、婦人の血風、小児の驚風)
■正舌散(言語不自由)
■小続命湯(人事不省・喎斜・・で麻木)
■小通聖散(風熱・頭痛・咽疼・頬腫)
■滌痰湯(中風で痰が心竅を迷塞し、舌がまわらない)
■省風湯(人事不省・熱なし)
■舒筋保安散(・筋脈が拘攣・疼痛)
■秦升麻湯(口眼喎斜)
■沈香半夏湯(中風の痰が盛んなとき)
■腎瀝湯(言語が不自由・口眼喎斜・耳が聞こえない)
■清気宣風散(風熱)
■清神解語湯(言語不自由・人事不省)
■清痰順気湯(口眼喎斜)
■清陽湯(口眼喎斜)
■星附散(手足がだらりとなる)
■摂生飲(人事不省・熱なし)
■川石膏散(風熱、中風でしゃべらない)
■角散(痰塞)
■疎風順気湯(半身不随)
■疎風湯(手足が不自由)
■蘇青元(気を和かにし風痰をなくす)
■続命煮散(風虚・自汗)
■蘇合香元
■大黄黄連瀉心湯
■大秦湯(大小便が不通・手足が不自由・しゃべられない)
■奪命散(小児驚風で危急)
■鼻通散(人事不省)
■導痰湯(中風に痰が盛んで言語が渋く、眩暈する)
■通関散(人事不省)
■通頂散(人事不省)
■定風餅子(再発防止に)
■鉄弾元(中風の喎斜・・涎潮・語渋・筋攣・骨痛
■天仙膏(口眼喎斜)
■天台散(・疼痛)
■天麻丸(中風で熱あり)
■転舌膏(話せない)
■透氷丹(大小便の秘渋、痰涎の壅塞、風、熱あり)
■二参丹(健忘)
■人参活散(中風、痰が盛んで煩熱)
■人参順気湯(中風で気が苦しく、喎斜・・言語が渋く・疼痛)
■巴豆丸(痰が詰まり、死にそう)
■巴豆薫法 (口噤し人事不省)
■八宝回春湯(虚症の中風)
■八味順気散
■秘伝順気散(中風の喎斜・)
■不換金丹(口眼喎斜)
■辟選錠子(一切の諸風)
■防風通聖散(風熱、中風でしゃべらない)
■万金湯(虚症の中風)
■木香保命丹(通治薬)
■理気袪風散(喎斜)
■竜星丹(風熱が遮断、痰涎が盛んで昏冒・眩暈)



脳卒中の後遺症
◎脳卒中発作のあとに残る症状。
✩半身不随の運動麻痺
✩言語障害:言葉がしゃべれない
      舌がもつれる
✩知覚障害:麻痺した側の手足の感覚がおかしい
     しびれる
✩痛む----激痛の場合に「stereo-taxic除痛術」あり。
✩知能低下:物忘れ
      計算が出来ない
✩精神障害:無気力になる
     物事に感動しやすくなる。

脳卒中後遺症に磁気刺激治療
10年後でも 磁気刺激治療
上肢のみ。腕が1本でも開く患者のみ。手と腕は脳の表面に
NHK2010/3/14 18:30
あぼ先生 「安保雅博」 正常な側の脳がマヒ側をジャマしている。
慈恵会医大
鳥取県倉吉市 清水病院
自分の親だったら?と考える
失語症にもチャレンジ・・・ほとんどが左脳でしゃべっているが、右脳に磁気を当てた患者が2年後、8割回復。


■DBS(脳深部刺激)
電極を体内に埋め込む手法。

■tEIC(経頭蓋細胞外インピーダンス制御)
東京大学大学院情報理工学系研究科の眞谿歩准教授。
頭に電極を2つ取り付ける。電極には負の電気抵抗を作り出す小型の電子回路につながれ、この働きで頭皮付近の神経細胞の抵抗値を上下できる。
これによって脳内の電流をコントロールする。
パーキンソン病に応用。


■脳神経再生の遺伝子
「一度傷つくと再生しないとされていた脳の中枢神経が、『bc12』と呼ばれるガン遺伝子によって再生されることを、ノーベル医学生理学賞受賞者の利根川進マサチューセッツ工科大教授らがマウスを使った実験で突き止めた。
 中枢神経は人間の活動で重要な働きをしており、解明が進めば脳障害の治療に大きく役立つと期待される。利根川教授は「この遺伝子を体内に注入する遺伝子治療などで、脳に障害がある新生児や脳卒中の後遺症治療、神経変性疾患などを治療できる道が開ける」と話しており、研究成果は30日付けの英科学誌ネイチャーに発表された。
 利根川教授によると、研究グループは受精後の日数が異なるマウスの胎児の網膜と脳の一部をそれぞれ取り出し、互いに接触させた状態で培養した。網膜と脳の神経細胞は通常はつながっているが実験では切断された。
 実験の結果、受精後間もない胎児は網膜の神経細胞の軸索の部分が再生したが、受精後かなり日数が経過し生まれる直前の胎児は再生せず、成長のある段階を境に再生しなくなることを確認。再生しなくなる時期は、bc12が作るタパク質の量が極端に減る時期とほぼ一致することを発見した。
 一方、bc12遺伝子が作るタンパク質の量が成長しても減らないよう遺伝子を操作したマウスで実験したところ、成長の過程に関係なく中枢神経の細胞は生、この遺伝子が再生に関与していることが分かった、という。
  bc12遺伝子は異常が起きるとある種のガンを起こすなど、細胞の増殖・分化に関係する幅広い働きをすることで最近注目されていた。1997.1.30《日本経済新聞》

■脳卒中後遺症の薬に副作用。
「脳卒中などの後遺症の治療に使われる脳循環代謝改善薬は、副作用がきちんと評価されず、重い副作用が見過ごされているという調査を、大阪府八尾市立病院の橋本健太郎・内科医長ら大阪の医師グループがまとめた。「医学中央雑誌」所載の副作用報告論文30文献(9薬剤分)と、臨床試験(治験)時の論文を比較して分かったという。
調査によると、
<1>[シンナリジン]:
治験論文では「副作用なし」と記されているのに、副作用報告論文では薬による発疹や神経症状などの重い副作用が報告されていた。
<2>[塩酸ビフェメラン]:
治験の途中で急性腹症で死亡例があるのに、その後に発表された治験結果報告論文は「胸焼け」「胃部不快感」など副作用は「軽微」と報告していた。
橋本さんは「患者の多くが高齢者でもあり、厳密に監視する必要がある」と述べている。1997.3.16《朝日新聞》

■後遺症で手足に痛み
「大阪大学のグループは、脳卒中や脊髄損傷などの後遺症で起きる顔や手足の痛みを、脳への磁気刺激によってやわらげる新療法を開発。阪大医学部付属病院で臨床研究を始めた。
従来は、脳や脊髄に電気刺激を加える手法が実用化されているが、頭などに電極を埋め込む手術が必要だった。今回開発した手法は手術の必要がない。
治療対象は『求心路遮断痛』と呼ばれる症状で、顔や手足にヤケド(火傷)の後のような痛みが起こる。脳卒中患者の約2%で発症するほか、脊髄損傷や手足の切断後にも起こる。
阪大医学系研究科の斎藤洋一講師らが開発した手法は、
まず磁気共鳴装置(MRI)で脳を撮影し、
大脳で運動を司る「一次運動野」の該当部分に狙いを定め、
磁気発生装置で毎秒5~10回の反復的な磁気刺激を約30分間加える。
30人以上の患者に実施した結果、約半分の患者で、痛みを3割ぐらい軽減できた。2006.3.22《産業》

【処方名】
■続命湯
■補陽還五湯


【臨床例】
☆49歳、男性。
「脳出血の軽い発作があって、4ヶ月ほどたち、いまでは運動障害や麻痺はない。ただ頭痛と肩こりを訴える、体格のよい患者に大柴胡湯を与えたところ、10日後には、頭痛も肩こりも軽くなった。この患者は色が浅黒く、肥満した体格で、胸脇苦満があり、脈は浮大で力があり、大便が快通しないので、この     方を用いた。」《大塚敬節》



脳動脈硬化 cerebral arteriosclerosis
⇒脳動脈ば弾性を失い、肥厚・硬化した状態。脂質の代謝障害によるアテローム硬化が多い。

【処方名】
■半夏白朮天麻湯


■性急な手術、危険大きい
「脳の動脈に出来た膨らみを脳動脈瘤という。動脈の3つの層のうち、最も厚い中膜という筋肉層が欠けたところが動脈の枝分かれ部分にあると、圧力で徐々に外側に押されて膨らみ、最悪の場合破裂して脳卒中の一種、クモ膜下出血を起こす。
日本人は年間13000人がクモ膜下出血で死亡する(全脳卒中死亡の1/10)。人工10万人あたり40歳代で5~10人、60歳代だと20人程度。一見健康な人のうち、磁気共鳴装置(MRI)検査で約2%~7%に脳動脈瘤が発見される。発見された人は、計算上、年間0.1%~1%程度にクモ膜下出血を起こす。
脳動脈瘤を発見したら原則として手術を勧める脳外科医は多い。しかし「脳ドックは安全か」の著書、山口研一郎によれば、手術自体で死亡が1%程度まで生じうるし、脳梗塞で半身不随などが発生する確率が5%~10数%あるという。しゅじゅつの危険の方が大きいくらいだ。
このため手術は、放置すれば極めて危険の高い場合(急速に脳動脈瘤が増大したり、クモ膜下出血の前兆の小出血がある場合)に限るべきだとする脳外科医も少なくない。
ストレスを減らして十分な睡眠をとる。太っている人は減量に努め、血圧が高い人は適切な血圧に下げるようにする。これで脳動脈瘤の進行はかなり止まるはずだ。(浜六郎)」1999.7.5《日本経済新聞》
■脳ドック
「脳の状態をチェックする目的で、主として磁気共鳴画像装置(MRI)によって検査・診断する。1988年に日本で始められ、97年の時点で、他の国では実施されていない。
脳ドックの主な目的は3つ。
くも膜下出血つながる脳動脈瘤や脳動静脈奇形(いわゆるモヤモヤ病)の発見
小さな梗塞や詰まりそうな血管を見つけること。
脳血管障害による痴呆やその可能性の早期発見。
MRIの解像度は高いので極めて小さな変化が発見される。健康そうに見える人でも、脳ドックでは、見方によっては8割に何らかの異常が見つかるほどだ。
小さな脳梗塞や大きな脳梗塞の予兆が発見されても、脳梗塞の予防効果や治療効果のはっきりしている薬は今のところ無いのが現状だ。
痴呆症が発見されても現状では有効な薬はない。
検診は予防や治療に結びつく病気が早期発見されて初めて意味がある。脳ドックは検査の感度が高すぎて、異常と言えない変化が発見され、利用者の混乱を招いている面がある。(浜六郎)」1999.7.12《日本経済新聞》



脳底動脈硬化症 atherosclerosis of basilar artery
⇒脳に血液を送っている動脈(=内頸動脈・脳底動脈)
「内頸動脈」=大脳の大部分を潅流する。         「脳底動脈」=両側の椎骨動脈は合併して脳底動脈となり、脳幹・小脳・後頭葉へと潅流する。アテローム硬化を起こしやすい。
脳底動脈硬化症は、老人によく見られる。

【処方名】
■温胆湯
■柴胡加竜骨牡蛎湯
■滌痰湯
■大柴胡湯
■竹茹温胆湯
■釣藤散
■通竅活血湯
■導痰湯 
■半夏白朮天麻湯



脳底動脈閉塞症
=ウイリス動脈輪閉塞症(参照→モヤモヤ病)



脳底部動脈瘤aneurysm of the brain base
⇒脳の動脈瘤は、事実上脳底部のWillis環に限局して発生する事が多く、脳内や脳弓面には少ない。
     



脳軟化softening of the brain
   (参照→脳梗塞)    
=脳軟化は、脳卒中を引き起こす疾患の1つで、脳動脈が閉塞しその灌流領域に虚血が起こり、その結果組織が死んで、溶けて空洞化したもの。
脳動脈の閉塞は脳血栓と脳塞栓によって引き起こされる。脳血栓は脳のアテローム硬化により、血管壁に血液成分が膠着し、血栓をなって動脈内腔をしてしまうもので、アテローム硬化は、高血圧症・糖尿病・血中コレステロールや中性脂肪の増加などの脂質代謝異常によって起きることが多い。
⇒脳血栓や脳梗塞が起こると、それから先の脳の組織が栄養障害に陥り、脳の組織がブヨブヨに軟らかくなる。

【処方名】
■大柴胡湯


脳の充血
【処方名】
■麦門冬湯



脳膜炎
=髄膜炎=脳脊髄膜炎

【処方名】
■黄連阿膠湯
■葛根湯
■甘草乾姜湯
■桂枝加葛根湯    
■犀角地黄湯
■三黄瀉心湯
■清営湯  
■清瘟敗毒散
■走馬湯
■大承気湯
■桃核承気湯
■白虎加桂枝湯
■白虎加人参湯
■風引湯
■茯苓四逆湯


脳漏(のうろう)
=前頭葉蓄膿症。
⇒「脳漏というのは鼻の病気ではない。頭脳中に膿が出来、鼻から下ってくるのである。それでいんいんと頭痛がして、涙に混じって膿が出る。

鼻淵と言うのも、これと同じ原因で起こる。鼻淵の人は、他の病気を患っている時は治っているものである。鼻淵と脳漏の差は軽重だけである。
 元来感冒などからくることが多く、酒客に多い。軽症のものは、悪臭ばかりで膿気が無い。風をひいた時に起こり、その証が去ると良くなる。処方は葛根湯、五物解毒湯などに辛夷を加えると効がある」《原南陽》

◎「この説雑駁なれども上顎洞蓄膿症に葛根湯を用いるは卓見なり、原氏は辛夷と称するも余は桔梗石膏or桔梗苡仁を以て優れりとなす」《湯本求真》

◎「余の同村の医師、故岡村直枝氏はかって余に、次のような話をした。岡村氏は前に脳漏を病み、数種の方剤を飲んだが効なく、近隣及び京都の諸大家にも治を乞うたが治らなかった。こんな風で3年間も苦しんだ末、ある日、《金匱要略》の水気の桂姜棗草黄辛附湯の条を読んで、大いに発明するところがあり、脳漏という病気は、太陽経の欝熱が原因である。この方主治は脳漏ではないけれども、同じく太陽経の病気を治す方剤であるから、効くかもしれないと考え、1服飲んだ所、鼻梁と額の上のこわばった感じが急に取れ気持ちが良くなった。2日飲んだ所、臭い膿の出る感じが減じ、3、4日の服用で奇効を奏した。このようにして4、5日の連服で病の大半は治し、16、7日で数年の痼疾が洗うように治ってしまった。そこでますます古書の精実さを信じ、このような妙方が自分の机の上にあるのを知らずして、却って遠くの名医の門戸を叩くのははずかしいことではないか?と悟り、その後は、脳漏には必ずこの方を用い、数剤も飲まない内にいつも効があった。脳漏の一病は緩急軽重ともに、この一方で足りると、私はこの話を聞いて、数人の試みたが、果たして、多服を用いずに奇効を奏した」《和漢医林新誌》第21号・前田文良氏。



膿痂疹(のうかしん)
⇒化膿球菌によって表皮内に化膿性病変を生じたもの。


膿胸(のうきょう)
=「化膿性胸膜炎」

(原因)

①肺連鎖球菌
②連鎖球菌
③ブドウ球菌
④結核菌
⑤急性肺炎や肺化膿症に合併して
⑥結核性空洞が胸膜腔に破れて膿が胸膜腔に貯留して起きる。

◎症状:
・発熱:高熱
・セキ:
・胸痛:胸壁の浮腫・圧痛。

【処方名】(のうきょう)
■葦茎湯
■小陥胸湯
■小柴胡湯


膿血痢(のうけつり)
【処方名】
■黄芩芍薬湯(下痢に膿血が混じり、身体に熱があり、腹痛)

■黄連阿膠湯[3](熱毒下痢が膿血で腐った肉汁のようなとき)

■解毒金花散(熱毒膿血)

■芍薬湯(主治薬)

■芍薬柏皮丸(湿熱悪痢で膿血)

■赤石脂丸(下痢・膿血・腹痛)

■人蓼散(酒毒で熱あり、下痢・膿血・腹痛が治らない)

■大黄湯[2](熱痢に膿血が稠枯して、日夜下痢し続ける)

■地楡散[2](熱毒・膿血)

■導気湯(下痢・膿血)

■導滞湯(下痢・膿血・腹痛)


膿耳(のうじ)
⇒風邪が耳に入り腫痛し、朝夕膿汁がでる症。

【処方名】
■荊芥連翹湯(両耳の腫痛)
■紅綿散(膿耳の膿汁を去る)
■犀角飲子(風熱による、耳聾・腫痛・膿水を治す)
■吹耳散(腎経風熱による耳の膿汁)
■鼠粘子湯(耳の中が腫れて桜桃のようになり、疼痛激しい)
■抵聖散(耳の中に膿が出来、治りにくい者)
■東垣鼠粘子湯(耳の中が痛み、瘡が出来る)
■白竜散(耳の中が急に痛む)
■明礬散(内経に熱があり膿汁が溜まる者)


膿尿 pyuria
⇒尿中に1日約2~3×106個の白血球が排泄されている。

◎沈渣の顕微鏡的検索(強拡大)で、1視野に1~3個以上の白血球が、尿中に存在する場合に膿尿という。

◎分類:
<感染性>:
①尿中に一般細菌(-):
・ツ反応・結核菌・血尿(+)

・「尿路結核」

<2>尿中に一般細菌(+):
①発熱・悪寒・戦慄・側腹部痛・
白血球円柱・血液培養(+)

「腎盂腎炎」「腎腫瘍」
②頻尿・排尿痛・排尿終期膿尿á「膀胱炎」
③排尿初期膿尿・排尿痛á「尿道炎」
④排尿痛・有痛性前立腺腫張á「前立腺炎」

<非感染性>:
「間質性腎炎」:鎮痛剤
        低カリウム血症
        高カルシウム血症
        鉛中毒
        放射線 



膿皮症
⇒ブドウ球菌、連鎖球菌などの化膿菌の感染による皮膚疾患。


膿瘍 nlcus abscess
⇒化膿性炎症が組織内に限局性に現れたもので、組織が菌の毒素や炎症性の循環障害によって破壊・融解され、膿を満たした腔を形成する。

◎真皮又は皮下に膿の貯留したもの。波動を触れる。

【芳香療法】精油で温湿布:

・ベルガモット
・カミルレ
・ラベンダー
・チィートリ

【色彩療法】
<1>緑色
<2>藍色
<3>オレンジ色
<4>黄色
<5>青色(熱があるとき)

【処方名】(のうよう)
■越婢加朮湯

■黄蓍建中湯(疲れやすい、四肢冷、食欲不振、自汗、不定期熱、脈細弱、貧血、腹痛)

■葛根湯(陽実証、頭痛、発熱、無汗、項背のこわばり、脈浮緊・数)

■桔梗湯(咳嗽、喀痰、舌苔微黄)
  下腹部痛、月経不順、、子宮出血)

■控涎丹(寒冷による)
柴胡桂枝乾姜湯(胸脇満、臍上動悸、往来寒熱、小便不利、口唇乾燥、頭汗、腹部軟弱、脈微細数)

■梔子大黄湯(肺)
小柴胡湯(胸脇苦満、往来寒熱、食食欲不振、舌白苔、微熱、神経質)

■大黄牡丹皮湯(実証、下腹部腫瘤<堅塊>、下腹部疼痛・腫脹、自汗、便秘、脈緊遅)

■大建中湯(裏虚証、腹部軟弱無力、腹痛<激痛>、腸の蠕動亢進、手足冷、脈遅弱)

■桃核承気湯(実証、のぼせ、足冷、下腹部痛)

■排膿散及湯(部分的な化膿症)

■補中益気湯(食欲不振、熱物を好む、口中に白沫、眼勢無力、自汗盗汗、言語に力なし、臍辺動悸、腹部軟弱、疲労)

■闌尾清解湯(肝)


嚢虫症(のうちゅうしょう)
⇒中南米や東南アジアで猛威を振るっている、寄生虫の幼虫が脳などを侵して神経症状を起こす病気。
原因になるのはサナダムシの一種の有鉤条虫(カギサナダ)の幼虫。
嚢虫症はカギサナダの卵が体内に肺って場合に起こる。通常、カギサナダはブタの筋肉や臓器に入り込んだ幼虫が、その肉を食べた人間に寄生して腸内で成虫になる。成虫は腸内にいるだけだが、人間の排泄物の中にある卵が手に着くなどして卵の形で体内に入り込む。卵は体内で幼虫になる。幼虫は筋肉などに入り込む性質があり、人間の場合は血管を通って脳に寄生して、「脳嚢虫症」を引き起こす。痙攣や運動障害など脳腫瘍に似た症状を起こし、死亡する場合もある。
抗原を使った迅速有効な診断法を、岐阜大医学部寄生虫学教室の伊藤亮・助教授が開発した。1997.9.19《朝日新聞》



嚢胞性腎疾患
腎臓にできる嚢胞性疾患として、以下にあげたものがよく知られています。そのほか、比較的まれな疾患として常染色体劣性嚢胞腎症や,多房性腎嚢胞,多嚢性異型性腎,海綿腎,フォン・ヒッペル・リンドウ病などが腎にできる嚢胞性の疾患としてあげられます。

1.常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)
遺伝性嚢胞性疾患としてあげられます。常染色体優性多発性嚢胞腎は原因遺伝子として第16番染色体短腕にPKD1が、第4染色体長腕にPKD2の存在が知られています。これらの遺伝子異常により両側の腎臓全体に大小無数の嚢胞が発生し、進行性の腎不全となります。腎以外にも肝臓や膵臓にも嚢胞が発生します。
 早い年齢では10歳前後で腎不全になりますが、患者全体としては65~69歳で約50%の患者が腎不全になります。透析導入される平均年齢は52~55歳です。

2.単純性腎嚢胞
単純性腎嚢胞は加齢によりその頻度が増加します。超音波スクリーニングでは60歳代で20%、70歳代で30%にみられます。大きさは数mmから10cmを超えるものまであり、悪性が否定できたら基本的には無治療で経過観察します。

3.後天性嚢胞性腎疾患(ACDK)
後天性嚢胞性腎疾患は腎不全で透析治療中にその萎縮した腎臓に数mm~数cmの嚢胞が多発します。透析期間が長いほど合併が多く、悪性腫瘍との関連が問題となっています。上にあげたように腎臓の嚢胞といってもさまぎまですが、とくに透析患者に発生する後天性嚢胞性腎疾患(ACDK)ついて解説します。

●後天性嚢胞性腎疾患(ACDK)はどんな症状が出るのですか?
後天性嚢胞性腎疾患(ACDK)は、透析歴が長くなるほどその頻度は増加し、透析3年以上で80%前後、透析10年以上で90%以上に発生します。

ACDKはほとんどの場合、無症状です。 しかし、まれに嚢胞内に出血することがあり血尿が出ることがあります。ときに、出血が起こると急激な腰背部痛が起こり、嚢胞内出血であれば保存的に治療可能であるが、嚢胞壁を穿破し後腹膜出血となるとショックに陥ることもあり、迅速なCTでの画像診断を行い、腎摘出が必要となることがあります。また、嚢胞内感染から痛みや発熱が現れる場合もあります。


嚢胞性線維症(CF)
cystic fibrosis
=「嚢胞性膵線維症」
⇒主として白人の小児に見られる遺伝性疾患。

◎全外分泌の機能障害を示すが、病変を示す臓器は膵で、粘液による閉塞のため膵管・腺房は拡張し、進行すれば膵実質の萎縮、間質の線維化をきたし、膵機能不全に陥る。

◎気道・肝臓・脾臓・小腸・汗腺を侵す分泌上皮の遺伝性疾患。原因は遺伝的な突然変異の結果、塩素イオンのトランスポータータンパク質が原形質膜を通過して多くの上皮細胞に運ばれるためである。
変異は様々な器官の正常機能を濃厚な粘液の分泌によって管を閉塞させることでより障害をもたらす。

■吸入型抗生物質
2013年、スイス製薬大手のノバルティスファーマは吸入型の抗生物質「トービイ」を発売
国内患者が15人の難病「嚢胞性線維症」の治療薬。
有効成分はトブラマイシン
嚢胞性線維症は遺伝性疾患で、新生児や乳児期に発症する。外分泌腺が機能不全を起こし粘性の分泌物が出て、肺や膵臓の詰まって呼吸器疾患や消化器疾患を引き起こす。



嚢癰(のうよう)
=陰嚢に出来る癰を指し、腎嚢癰ともいう。
陰嚢が腫れる病気

【処方名】
■五積散
■清肝滲湿湯《外科正宗》
■滋陰内托散《外科正宗》
■小柴胡湯+桔梗石膏
■四物湯
■十全大補湯
■竜胆瀉肝湯


喉に魚骨が刺さる
【処方名】
■玉屑無憂散(骨子などが咽喉につかえて降りない)
■大承気湯

 


乗り物酔い
⇒前庭迷路からの刺激と目からの刺激によって起きる。
<1>迷路が感じる揺れの加速度や周期がその人の限界を越えると、胃や腸などの内蔵、心臓や血管などの循環系をコントロールしている自律神 経系が変調をきたして、めまいや吐き気が起きる。

■動揺病
「東京厚生年金病院の耳鼻咽喉科では中高年の受診者が増えている。乗り物酔いは『動揺病』とも呼ばれる。なぜ起きるのか原因はよく分かっていない。
<感覚混乱説>
車や電車に乗ったときに、加速度やゆれから、視覚と内耳からくる情報が混乱を起こすと考える。
同病院の医師正則部長の説
まず、①目で見て脳に入った位置情報と、内耳などで感じた加速度や傾きなどの情報にズレが生じる。次に、②このズレが脳の中で過去の経験と照らし合わされる。未経験だと不安や不快と判断する大脳辺縁系に伝わり反応する。その下にある視床下部や下垂体からストレスホルモンが分泌されてアドレナリンなどの異常分泌を促す。
その結果、③第3段階として自律神経の活動が不安定になる。冷や汗が出て、短時間で血圧が下がったりするほか、生ツバ・生あくびも頻発するようになり、最終的には頭痛や嘔吐といった症状が出てくる。
小学生~中学生ぐらいまでが乗り物酔いになりやすいとされるのは、未経験の体の動きを「異常」ととらえられやすく、第2段階で不快と感じるため。大人になると経験が増えて様々な体の動きに慣れてくるのでズレはキャンセルされることが多く酔いにくくなる。
最近、中高年で乗り物酔いを訴える人の中に、[うつ病]や[メニエール病]の初期症状の人がいることが分かってきた。
強いストレスをかかえると、大脳辺縁系が敏感になると、“普段は感じないわずかな揺れなどのズレを異常と検知し、発症過程の第2段階ですぐに不快と感じて乗り物酔いと同じ症状になって現れるのではないか?”(石井部長)
第1段階の対策
第1段階のズレをなくすには、「遠くをボーッと見る」。耳の三半規管で感じる頭の位置情報と目に入る情報のズレが少なくなる。日本大学医学部の平柳要准教授は“カーブでは曲がる方向に体も一緒に曲げる。目線と体の向きを一緒にするとよい”と話す。
第2段階の対策
経験を増やすこと。怖がらずにいろいろな乗り物にみることも大切。
酔い止め薬を使うのも選択肢。2009/7/5日経

【処方名】(のりものよい)
■小半夏加茯苓湯
■苓桂朮甘湯(めまい、頭痛、身体の動揺感)