<は> つらい症状・病名


【病状は】


Banti症候群(Banti's disease)
=「肝腫脹性脾腫」

=「バンチ病」=「バンティ症候群」
⇒イタリアの病理学者G.Bantiが発見。
◎好中球が減少する。


Budd-Chiari症候群
=本来は、肝静脈閉塞による静脈血流出障害のため、肝鬱血、門脈圧亢進症をきたす症候群であるが、その後、下大静脈の閉塞によるものも含めて広義に用いられている。
肝静脈3主幹あるいは、肝部下大静脈の閉塞(or狭窄)、もしくはこの両者の併存によって腹水、下腿浮腫胸腹壁の上行性皮下静脈怒張、門脈圧亢進症を示す疾患をいう。
 下腿浮腫、下肢静脈瘤、下肢皮膚色素沈着・潰瘍、胸腹壁上行性皮下静脈怒張は下大静脈の欝滞を示す症状です。

◎主要症状:
腹水
下腿浮腫、下肢静脈瘤
胸腹壁の上行性皮下静脈怒張
門脈圧亢進症状としての食道静脈瘤、脾腫、貧血。

◎診断上参考になる検査所見:
血液検査:1つ以上の有形成分の減少。
(骨髄像で幼若細胞の相対的増加を伴うことが多い)
肝機能検査:正常から高度異常まで肝障害の進行度合いによって、各種存在する。
X線検査・内視鏡検査:しばしば上部消化管の静脈瘤を認める。
超音波検査:肝腫大、脾腫大を認める。
肝静脈、下大静脈の閉塞が見られることあり。
腹部CT・MRI:肝腫大、脾腫大を認め、下大動脈の閉塞が見られることあり。
肝静脈カテーテル法:
下大静脈、肝静脈の閉塞を認める。
下大静脈圧は上昇。
肝静脈圧、閉塞肝静脈も測定可能例では上昇する。
下大静脈造影:
肝静脈閉塞、肝部下大静脈の閉塞や狭窄を認める。
下大静脈閉塞の形態は右心房、下大静脈よりの挟撃造影によって診断され、膜様閉塞から広範な閉塞まで各種存在する。
また同時に上行腰静脈、奇静脈、半奇静脈など側副血行路が造影されることが多い。
肝静脈造影:
造影可能であれば、著明な肝静脈相互間吻合を認めることがある。
逆行性門脈造影:造影可能であれば、門脈は良好。
「門脈造影」:門脈本幹は開存している。
「門脈圧測定」:圧亢進を認める。
「腹腔鏡」:鬱血性肝腫大を認める。
「肝生検」:
「剖検」:

◎診断:
腹水、下肢浮腫、腹壁静脈怒張、門脈圧亢進症(静脈瘤・脾腫・貧血)のうち2項目以上があり、肝静脈カテーテル法、下大静脈造影、剖検により、肝静脈、肝部下大静脈の閉塞や狭窄を証明すれば、確信例です。


Hartnup病
⇒腎尿細管障害症の1つ。常染色体劣性遺伝。
◎病因:腎尿細管および腸管のアミノ酸転送障害。
◎症状:
 皮膚のペラグラ様発疹
 小脳性運動失調(一過性)

 

Hunter病
⇒ムコ多糖症Ⅱ型。
性染色体性劣性遺伝。
◎症状:
*難聴
*角膜混濁はない。

Hurler病
⇒ムコ多糖症Ⅰ型。
常染色体劣性遺伝。
◎症状:
*特有の顔貌
*小人症
*亀背
*骨格変形
*難聴
*肝脾腫
*へルニア
*精神薄弱
*角膜混濁あり。
      
 

Paget's disease
=「パジェット病」=「ページェット病」
  英国の外科医Sir James Pagetが発見。
■陰部の皮膚ガン
皮膚ガンの中には陰部に生じるものもある。60歳代後半以降に多い『パジェット病』(Paget's disease)だ。
東京都内の会社員Aさんは右足の付け根から陰嚢のあたりを「かゆいな」と感じたのは、98年初夏だった。
元来が汗かき。身長173cmに対し、体重80kg。せり出したおなかが視界を遮る。「アセモと思いこんで見もしなかった」。そのうち、かゆみは収まり、忘れてしまった。
再びかゆみを感じだしたのが、昨年末。見れば2cm四方が黒っぽくなり、焦げ茶、赤、紫とまだら模様になっている。「これはいかん」と、いつも健康診断に訪れている病院の皮膚科を受診。「湿疹」と診断。処方された軟膏を塗ると良くなった。
ところが、11月に再び元の状態に戻り、薬を変えても改善しない。「ふつうの皮膚炎とは違う」と疑いだした医師の薦めで12月に病変組織を調べる生検を受けた。結果は、『外陰部パジェット』。
この病気の患者を数多く診察している虎ノ門病院を(東京港区)を紹介され、そこで皮膚科部長の大原国章さん(52)に、皮膚ガンであることを知らされた。
パジェット病は、体臭の元であるアポクリン汗腺の多い皮膚に出来る。日本では男性が女性の2倍ほど多く、女性の方が多い欧米と異なっている。原因は不明だが、男女ともに性器を中心に発生、脇の下も含めて同時に多発することもある。
症状は、かゆみや、ムズムズする違和感から始まり、湿疹のような赤い斑点が出る。ギラギラしたり、盛り上がることは無い。
普段、気づきにくい部分であるため、男性なら『インキンタムシ』、女性なら『カンジダ症』と間違えやすい。「羞恥心から市販の湿疹や水虫の薬を塗り、ようやく医師に診せても、診断つかずに時間が経ってしまいがち」と大原さん。
長年にわたって放置すると、赤みは定着し、部分的に色が白く抜けたり逆に黒づんでいたり、ただれたりもする。ただ、進行が比較的ゆっくりであるため、転移する前に手術できれば、予後は良好だ。
パジェット病の場合、色彩的に病巣と健康な皮膚の境界がはっきりしないため、手術では周囲を広く切り取って皮膚を張り替えることが基本です。
手術によって性生活に支障が出ることはまれです。




Parkinson症候群
    (参照→「運動障害」)
⇒パーキンソン病(振戦麻痺)と類似した病的状態。
◎脳血管障害・医薬品の副作用などによって起きる特有の症状。

◎症状:筋固縮、運動減少、異常姿勢、振戦などの錐体外路症状。
<1>運動障害:
<2>筋硬直
<3>前屈姿勢
<4>知能障害は無いが、過敏・抑うつ・上機嫌・不安・憎悪を示す。
<5>内分泌・自律神経症状:
<6>眼症状
<7>精神症状
 

■パーキンソン症候群 parkinsonism
以下のものがある
・パーキンソン病 Parkinson disease
・症候性パーキンソニズム
・脳血管障害性パーキンソニズム
・薬剤性パーキンソニズム
・中毒性パーキンソニズム

【パーキンソン病】Parkinson disease
(概念)
中脳黒質の変性を主病変とする変性疾患である。 黒質から線条体へ投射されるドーパミン作動性ニューロンの変性によって、錐体外路系の機能不全が生じる。
(病因)
原因はいまだ不明である。家族性は乏しく、孤発例が多い。
なんらかの原因によって黒質線条体路においてドーパミン代謝に関与する酵素(チロシン水酸化酵素・ドーパミン脱 炭酸酵素など)の活性が低下する。 特に黒質から線条体へ投射されるドーパミン作動性ニューロンの変性によって、錐体外路系の機能不全が生じる。

(病態生理)
本症における症状の最大の特徴は、運動亢進ならびに運動低下が同時に生じることである。 この場合、運動亢進とは固縮および振戦であり、運動低下とは無動症および運動緩徐である。
①安静時振戦
パーキンソン病における固縮では、主動筋と拮抗筋に対して同時に運動ニューロンからのインパルスが増 大している。
②筋固縮 rigidity
屈筋も伸筋も筋トーヌスが亢進した状態であり、錐体外路障害の症状である。
③無動
④姿勢反射障害

(症状)
症状には左右差があるのが通常である。
<1>安静時振戦 resting tremor
特に安静時に限って振戦が見られる所見であり、企図運動時には振戦が治まる。協同筋および拮抗筋の交互の収縮によるもの。

<2>無動 akinesia
<3>仮面様顔貌 mask like countenance
<4>歯車様固縮,鉛管様固縮
<5>歩行異常:
①すくみ運動 freezing phenomenon
②ひきずり歩行,パーキンソン歩行 shuffling gait
錐体外路障害で筋強剛が見られるときの歩行異常である。

*立位で前屈姿勢を取り、

*歩行に際して第1歩を踏み出すことが困難で、

*足が床に凍り付いたようになる (frozen gait)。

*いったん歩き始めると歩幅は小さく(小刻み歩行)、*加速歩行である。
③.協同運動の低下により、歩行時に arm swing が減弱する
<6>姿勢反射の低下
<7>自動運動障害
例えば、歩行中の上肢の振りがなくなる。
<8>眉間反射,Myerson徴候
眉間を指などで叩くと,1対1にまばたき反射を引き起こし、減弱しない。

<9>自律神経症状
便秘・脂漏性顔貌・起立性低血圧などの自律神経症状も生じる。

(病理所見)
①黒質の色素含有細胞が脱落する
これによって黒質の黒色が希薄化して褐色を呈する。
②Lewy細胞
エオジン好性の好酸性封入体である。本症に特徴的ではあるが特異的とはいえず、高齢者の脳に見られることもある。


【パーキンソン治療】
(薬物療法)
パーキンソン病は大脳基底核におけるドーパミンの不足に起因するが、ドーパミンは血液脳関門を通過しない。 そこでドーパミンの前駆体で血液脳関門を通過しうるものが治療薬として利用される。


(外科療法)
視床に対する定位脳手術を行なう・・・・淡蒼球破壊術

【症候性パーキンソニズム】
(概念)
症状がパーキンソン病に類似するが原因が明らかなもの。



【脳血管障害性パーキンソニズム】 arteriosclerotic parkinsonism】
(概念)
大脳基底核を中心とする部位に脳梗塞が多発することによってパーキンソン病類似の症状を呈するものである。

(原因):

Binswanger型白質脳症,皮質下動脈硬化性脳症

(症状)
・Parkinson病類似の症状を呈するが、強制把握や口とがらし反射などの前頭葉徴候・仮性球麻痺・錐体路症状などを 高頻度に合併する点が特徴である。
・Parkinson病と比較して本症では歩行障害が前景に出るが、典型的な安静時振戦はみられず、L-ドーパはほとんど 効果を示さない。症状は左右差が少ない。



【薬剤性パーキンソニズム 】drug-induced parkinsonism】
(概念)
抗精神病薬・血圧降下薬・MPTPなどの投与によって発症する錐体外路症状である。 両側性の症状で急速に悪化するが投与を中止すれば軽減するなどの特徴がある。
(原因)

(病態生理)
①ドーパミンD2受容体遮断
②コリン受容体への作用・・・薬物のコリン受容体への作用だけでは錐体外路症状は生じないが、ドーパミン受容体の遮断が持続するとコリン系にも作用を及ぼす。

(症状)・・・

・無動・筋固縮・振戦を三徴とする。




(治療)
原因薬剤の投与を中止し、抗コリン薬のビペリデン biperiden やアマンタジンなどで対処する

抗コリン薬が奏効するのは、黒質線条体経路においてドーパミンとアセチルコリンが相互に関係をもっているからであると考えられている。すなわち、ドーパミンは通常、シナプス後の黒質線条体系のコリン神経からのアセチルコリンの遊離を遮断し、アセチルコリンの活動性を抑制する作用をもっている。ドーパミン受容体が抗精神病薬などの薬剤によって遮断されるとアセチルコリンの活動性は増強されることになる。ここでアセチルコリン受容体を遮断することでアセチルコリンの過剰な活動を抑えるのである。



中毒性パーキンソニズム
概念

種類
マンガン中毒性パーキンソニズム
一酸化炭素中毒性パーキンソニズム
■治療薬
「エーザイが開発中の「E2007」は、筑波研究所で物質を発見し、英国ロンドンの研究所で薬として使えるかどうか研究。
『AMPA受容体』と呼ばれる神経細胞の興奮に関わるタンパク質に先回りして取り付き、興奮の原因となるグルタミン酸が結びつくのを阻害する。之によって神経障害が起きるのを防ぐ。1日1回の服用でOK。」200611/29
■Sept4
「木下専・京都大学助教授らは、パーキンソン病で脳の神経が死滅するのを抑制し神経伝達物質の放出を促しているタンパク質が減少し、発症の引き金になっていることをマウス実験で確認した。米専門誌ニューロンに2007年2/16掲載、
パーキンソン病はドーパミン(神経伝達物質)を脳内で作る細胞の働きが弱まっている。パーキンソン病を発症したマウスは、『Sept4』というタンパク質を完全に失うと症状が重症化したり、進行が進んでいた。同時にα・シヌクレインというタンパクが沈着し、神経細胞が死にやすくなっていた。」
■ヒトES細胞
「聖マリアンナ医科大学の千葉俊明助手は2007年3/13、横浜市で開催中の日本再生医療学会でヒト胚性幹細胞(ES細胞)と使ってパーキンソン病の症状を改善する動物実験に成功したと発表。千葉助手がコロラド州立大学に在籍していた時の成果。
研究グループはヒトES細胞に特殊なタンパク質を加えながら培養する独自技術でドーパミン細胞を効率よく作製、薬剤で左脳のドーパミン細胞だけを死滅させたラットの脳に注射器で移植した」
■コムタン
「2007年4月発売予定の治療薬。ノバルティスファーマから。コムタンはパーキンソン病の治療に使う『L-ドーパ』と併用する。L-ドーパは脳内でドーパミンとなりパーキンソン病の症状を改善する。しかし、L-ドーパは脳に届く前に[DDC]や[COMT]と呼ぶ2種類の酵素に分解されるため、効き目が続かない欠点がある。
コムタンはCOMTの働きを抑えて、L-ドーパの働きを持続させる。
■セプチン
「体が不自由になる難病、パーキンソン病発症に特定のタンパク質が関わっていることを突き止めた。アルツハイマーやガン・不妊症でも関与が疑われる。これを15年以上追跡してきたのが京都大学生命科学系キャリアパス形成ユニットの講師、木下専。
ヒトで10数種類あるとされるセプチンのほとんどが本来、分裂に関わるのに、なぜか分裂を終えた脳に多く見つかる。それもアルツハイマーの病巣や神経など気になるところばかり。
オスのマウスでセプチンの1つである『セプチン4』ができないようにしたら、子供を作れなくなった。
通常は精子の尾の根元にはなっている極小のリングが無くなっていた。これを失うと鞭毛が折れ曲がり、精子が動けないことが不妊の原因だった。セプチン4がリングを形作っていたのだ。
そしてパーキンソン病になったマウスでは、セプチンが無いと症状が一段と重くなった・
男性が原因の不妊症、パーキンソン病、アルツハイマー、ガン・・・セプチンが関係すると見られる病気が次々と浮かんだ。」
■カメラで脳内を撮影 参照→「プロテアーゼ」
「奈良先端科学技術大学院大学と近畿大学の研究チームは、マウスなどの頭の中にカメラを埋め込んで、脳の活動を生きたまま観察できる装置を開発した。
開発したカメラは2mm×1cm、微少な発光ダイオードと視覚センサーを組み合わせたもので、脳が活動状態を画像に濃淡で描き出す。
脳が活動すると出てくる『プロテアーゼ』という酵素を蛍光液で光らせて撮影する。
マウスの頭にカメラを埋め込み、脳を興奮させてプロテアーゼを出す薬剤を注射したところ、記憶を司る「海馬」が光る様子を観察できた。2008/1/30
■遺伝子を調べる
パーキンソン病の95%以上は家族や親戚に患者がいない『弧発例』。親から受け継いだ遺伝子変異のために発症する『家族性』の患者は5%に満たない。
これまでに発見された家族性パーキンソン病の関連遺伝子は[LRRK2][SNCA][SNCA重複][parkin][PINK1][DJ-1][ATP13A2]の7つ。
グーグル共同創業者のセルゲイ・プリン社長が、自らのブログにパーキンソンの発病リスクを高める遺伝子を持っていることを公表した。LRRL2遺伝子に「G2019S」と呼ばれる変異がある事分かった。LRRK2が作るタンパク質を構成するアミノ酸のうち、2019番目が通常のグリシン(G)ではなくセリン(S)になっていた。
(優性遺伝)=片親の遺伝子変異で発病する
[LRRK2]
[SNCA]・・40代から50代で発症。日本での報告無し
[SNCA重複]
(劣性遺伝)=老臣の遺伝子変異がそろって発病する
[parkin]・・日本人に多く。20代で発症
          [PINK1]・・主に30代で発症。日本人100名推定
          [DJ-1]
          [ATP13A2]
■弧発性
「東京大学の辻省次教授らはパーキンソン病患者の9割以上を占める「弧発性パーキンソン病」に関係する遺伝子を突き止めた。遺伝性の代謝異常症の原因遺伝子の変異が関係していた。
親から受け継いだ遺伝子変異が原因で発症する「家族性パーキンソン病」は現任遺伝子が見つかりつつあるが、家族とは関係のない弧発性の原因は分かっていなかった。
1000人以上のパーキンソン病患者と健常者の遺伝子を比べたところ、弧発性パーキンソン病患者の1割に「GBA遺伝子」の変異が見られ、変異がない人と比べて罹患率が26倍高かった。
GBA遺伝子の変異がある患者は、病気の発症が6年ほど速かった。
GBA遺伝子は、先天性代謝異常症のゴーシェ病の原因遺伝子として知られており、脂質代謝に関与している。
■イースト菌
「2009年、米国の国立衛生研究所などは、パーキンソン病などの病気で、神経細胞を防御する働きのある物質を突き止めた。イースト菌を使った実験で、パーキンソン病で蓄積する物質から細胞を守る働きがあることを確かめた。
研究チームは、イースト菌を使った実験で、「サイクリックペプチド」と呼ぶペプチドをたくさん作る細胞では、パーキンソン病の患者で神経細胞に蓄積する『αシヌクレイン』と呼ぶ物質が減少することを突き止めた。
同様の現象は、パーキンソンのモデル動物の神経細胞でも見られるという。サイクリックペプチドが細胞を防御してパーキンソン病から守っている可能性がある。
■遺伝子治療
「2009年、米ミシガン州のウエストブルームフィールド病院など8つの病院で、パーキンソン病患者に遺伝子治療を始める。
神経の興奮を抑えるように働く「GABA」を脳内でたくさん作れるような遺伝子を、運動に作用する脳の部位に入れる。




バージャー病 
=「閉塞性血栓血管炎」 thrombangitis obliterans。

 


特発性壊疽 spontaneous gangrene.
⇒動脈内膜層の炎症性変化。血栓の形成、次いでこれが器質化をきたし閉塞する病変。
◎血管全層炎であって、通常四肢主幹動脈を侵す。下肢の動脈に多い。
◎青壮年男子に多く、我が国での四肢慢性動脈閉塞症の2/3を占める。

【症状】

*25~45歳の男子を侵し、女子・老人はまれ。
*下肢片側性に倦怠感・冷感・蒼白化あり、
*次いで間欠性跛行を生ずる。
*患肢末端に疼痛が反復、完全血管閉塞では疼痛の為横臥出来ない。
*患肢末端にチアノーゼ・紅斑・小出血をきたし、やがて壊死に陥り回復しない。New Minor Dermatology by KenichiUyeno P123
喫煙との関連がある(喫煙厳禁)。   

【処方名-五十音順】
■当帰芍薬散
 

■遺伝子治療
「バイオベンチャーのディナベック(茨城県つくば市)が開発した遺伝子治療用のベクター(運び役)を使った臨床試験が九州大学で始まる。脚の動脈が詰まった患者に血管を作り出す遺伝子を注入して血流の改善をねらう。
厚生労働省の構成科学審議会科学技術部会が2005年10/12に開いた会合で、九大病院の前原喜彦教授らが申請した研究計画を了承した。
臨床試験は閉塞性動脈硬化症とバージャー病の患者12人が対象。血管を作り出す『線維芽細胞増殖因子(FGF-2)』の遺伝子をベクターに組み込み、患部付近20~30個所に注射する。
使用するベクターはディナベックが開発し基本特許を持つ。センダイウイルスをを利用している。」




ハイパーカプニア  hypercapnia
=「炭酸過剰血症」
⇒動脈血CO2分圧が正常値(35~45mmHg)以上になった場合。
◎pHは低下し、低酸素血症を伴う事が多い。
◎症状:①集中力の低下
    ②頭痛
    ③意識障害
    ④精神神経障害


パイロニー病
⇒陰茎にコリコリしたしこりが出来、勃起すると、其の部分がひきつるようになって曲がる病気。形成性陰茎硬化症ともいう。上側に曲がる例が多く、ひどいときには90度以上も曲がり性交が不能になる。
40歳以上になって発症し、徐々に進行する場合が多い。
【原因】:陰茎には表皮と海綿体の間に白膜という膜があります。伸び縮みする弾性繊維と硬い膠原線維の組み合わせで出来ていて、ある程度伸びると止まる構造になっています。この膠原線維が増えてしこりになるのです。原因は不明 
【治療法】:手術は2種類あります。軽い場合は、しこりがある裏側の白膜を一部切除して短く逆側に曲げるようにして真っ直ぐにします。症状が進んでいればしこりを切除します。しずれも2時間ぐらいの手術で1週間~10日間の入院が必要です。
       
【鑑別】
<1>陰茎腫瘍=皮膚表面に病変が出る。
 パイロニー=しこりは皮膚の下にあり、外から見た感じは全く正常。
<2>陰茎湾曲症=先天的に白膜の長さが違うのが原因で、いろんな方向に曲がります。
(高松赤十字病院泌尿器科副部長・川西泰夫)1996.7.14《朝日新聞》





パーキンソン
    (参照→「運動障害」「脊髄小脳変性症」「Parkinson症候群」)
=中脳の黒質、大脳の基底核(被殻・淡蒼球)の病変によって惹起された特異な神経症状を持つ疾患を、振戦麻痺あるいはパーキンソン病という。この疾患と同様の症状を呈するものをパーキンソン症候群という。
⇒間脳性の症候群で、錐体外路症候を主徴とする

【症状】:
<1>パーキンソン病の顔貌は、能面様で、顔面筋は硬直し、運動少なく、意識は明瞭であるのに、表情がなくなる。これを仮面様顔貌(mask-like face)という。
<2>又、皮膚の皮脂腺の分泌が多いために、脂ぎった光沢を帯びており、これを膏顔(salve face)という。

☆臨床像
・振戦(tremor)
・筋強剛(rigidity)
・寡動(akinesia)
・共同運動の欠如
・自律神経症状(vagetative sumptoms)

☆臨床症状
・運動障害:
・筋硬直
・歯車様硬直(cogwheel rigidity)
・無動性現象
・偽カタレプシー(pseudocatalepsia)
・交代性振戦
・丸薬まるめ運動(pull-rolling tremor)
・筋硬直から:
・筋疼痛(長期静座不能akathisia)
・随意運動障害
・自発性協同運動及び感情表現の抑制
・仮面状顔貌(mask-like face)
・書字障害
・単調言語
・同語反復症
・前屈姿勢:
・小歩性痙性歩行
・突進症状(pulsion syndrome):
・前方突進症状
・側方突進症状
・知能障害はないが、以下の症状を呈する
・過敏
・抑うつ
・上機嫌
・不安
・憎悪
・内分泌・自律神経障害の症状
・流涎
・多汗
・膏顔
・BMRの低下
・肥満または痩せ
・血糖異常
・月経異常
・性欲の変化
・眼症状
・輻輳不全
・Stellway症状
・伊東症状(中心暗点・視野の狭窄)
・注視発作(oculogyric crise)
・精神症状:
・精神緩慢(bradyphremia)
・精神神経不関症(mental torpor)・・・知能は侵されない。
 

◎<ヤールの分類>で5段階に分けられる。
<1>振戦:手の震え。手をひざの上に置くなど安静にしたときに起きるのが 特徴。
<2>寡動:体の動きが遅くなって、少なくなる。歩くときに手の振りが小さくな ります。(パーキンソンに必ず出る症状)
<3>筋固縮:筋肉が硬くなって、他人が手を動かすと、カクカクと歯車のような 抵抗を示す。(パーキンソンに必ず出る症状)
<4>姿勢保持の障害:体を傾けるとその方向に倒れそうになったり、歩き出した りする症状。 
   

◎治療薬[L-ドーパ]
を毎日のように飲み続けると、人によっては数年で薬効期間が短くなってし まったり、また、5~6年経過すると、勝手に体が踊り出す『舞踏病』と呼ば れるような不随意運動とか、幻覚などの強い副作用を起こすこともある。
   
■非麦角系のドーパミンD2受容体刺激剤=「塩酸タリペキソール」
    「パーキンソン治療剤は患者によって効く度合いが著しく違う為、幅広い薬剤の     品揃えが求められている。
      パーキンソン病治療の主流は現在。LーDOPAと呼ばれる薬剤を投与する     方法だが、長期にわたって投与を続けると、効果が持続する時間が短くなって     くる問題がある。塩酸タリペキソール(ドミン錠・日本ベーリンガー)は作用の仕組     みが違う為、LーDOPAを長期間投与した患者も有効だと言う。
 パーキンソン病は脳の一部、中脳の黒質と呼ばれるドーパミン神経細胞が変     性してしまう病気。1996.6.19《日経産業新聞》」
   ■原因遺伝子は4番染色体
    「体のふるえや筋肉のこわばりなどを起こす難病のパーキンソン病で、原因にな     る遺伝子が23対ある染色体の「4番染色体」にあるらしいことを米国とイタ     リアの共同チームが突き止めた。今後、遺伝子自体あ見つかれば、病気のメカ     ニズムを解明し、治療の戦略を立てることが出来そうだ。米科学誌「サイエン     ス」の15日号に掲載される。
 米国立保健研究所(NIH)とイタリア・ナポリ第二大学の共同研究チーム      は、592人のうち60人がパーキンソン病にかかったイタリアの家系に注目し、     遺伝子の場所を探した。その結果、4番染色体の特定場所だけが、発症に関係     していることが分かったという。父母双方から受け継いだ遺伝子の一方に不都     合がある発症の恐れが大きくなる優性遺伝だった。
 パーキンソン病は1000人に1人程度が患うが、高齢者の発症率は100人に1     人程度になる。神経細胞が変化して起きる病気では、高齢者の発症率2~3%     といわれるアルツハイマー病に次いで多い。大部分は非遺伝性だが、一部遺伝     性のものがあるのではないかと考えられていた。
  金沢一郎・東京大教授(神経内科)の話し
     「病気の解明と治療の出発点になる。遺伝子を見つけ、なぜ神経細胞が死ぬの     かを明らかにすることで、遺伝性でないパーキンソン病との関係を解明するこ     とが、今後の課題だ。」1996.11.15《朝日新聞》
   ■遺伝性パーキンソン病----原因遺伝子を発見-----
    「脳神経の難病である遺伝性パーキンソン病の原因遺伝子を、清水信義・慶応大     学医学部教授と水野美邦・順天堂大学医学部教授らが突き止め、9日発行の英     科学誌「ネイチャー」に発表した。
遺伝性パーキンソン病は20歳代から発症する特徴があり、日本では約12万     人いるパーキンソン病患者の5%程度が遺伝性とみられる。手の震え・歩行障     害といった症状は遺伝性のない通常のパーキンソン病と同じ。
今回特定したのは劣性遺伝の型の遺伝子で、第六染色体の端に位置する遺伝     子に欠損が見つかった。優性遺伝子の原因遺伝子はすでに見つかっている。
発見した遺伝子からは「パーキン」と名付けたタンパク質が作られるが、遺     伝子に欠損があるとパーキンが正常に作られなくなり、発病すると推測してい     る。1998.4.9《日本経済新聞》
   ■神経細胞の成熟促す
    「東京医科歯科大学の田賀哲也教授らの研究チームは、脳内の未熟な神経細胞が、     情報伝達の手助けをする細胞に成熟するのを促す手法を開発した。この手法を     応用して患者の脳内に成熟細胞を移植できれば、パーキンソン病など神経伝達     の障害がもとで起きる脳神経の病気全般の治療に道を開く可能性があるとい      う。
財団法人がん研究会の宮園浩平・生化学部長らとの共同研究。成果は16日     付けの米科学誌サイエンスに掲載された。
研究チームは未熟な神経細胞が成熟するには、特定の2つの刺激を同時に受     ける必要があることを発見。これまで細胞は1つの刺激で成熟が進むと考えら     れており、学会の常識を覆す画期的な成果だという。
成熟細胞が骨の成長を促す『BMP2』と受精卵が子宮に着床するために必要     な『LIF』という2種類の生理活性物質であることを突き止めた。
未熟な神経細胞にこれらを与えると、成熟細胞に変わることを確かめた。      1999.4.16《日本経済新聞》
   ■胎児細胞移植--------高齢者に無効
    「パーキンソン病の治療に胎児の脳細胞を移植する手術は効果が限定的であるこ     とが、本格的な臨床試験で初めて明らかになった。米国立衛生研究所が発表し     た。症状が軽くなったのは60歳以下の患者に限られ、原因不明の副作用もあ     ったという。80年代以降広がってきた同手術に疑問を投げかける結果になっ     た。
胎児の脳細胞をパーキンソン病患者の脳に移植すると、減少した神経伝達物     質を増やせると考えられている。臨床試験は重い症状の患者40人を対象に、     半数に移植移植手術を実施し、残る半数には実際には脳細胞を移植しない偽の     手術を実施した。患者には1年経過するまで、どちらの手術をしたか明らかに     せず、効果を調べた。
その結果、移植手術を受けた患者のうち60歳未満の9人は、運動能力が顕     著に改善した。しかし日常生活の行動が元に戻ることななかった。一方、60      歳以上の患者や偽の手術を受けた患者では症状の改善がみられなかった。
パーキンソン病に対する胎児の脳細胞移植は、初期には高い治療効果がある     と報告されたが、これまで厳密な臨床試験を実施していなかったため、心理的     な効果にすぎないとの見方もあった。19994.23《日経産業新聞》
■遺伝性パーキンソン病
「東京都臨床医学総合研究所の田中啓二部長らは、遺伝性のパーキンソン病の発症メカニズムを解明した。パーキンソン病は筋肉がふるえたり動作が硬直したりする神経性の難病で、日本では1000人に1人が罹る。遺伝性の患者は少数だが、今回の研究を発展させれば、患者数の多い普通のパーキンソン病の解明や効果的な治療法の開発に手がかりが得られそうだ。
解明したのは遺伝性パーキンソン病の一種『若年性パーキンソニズム(AR-JP)』の発症機構。
田中部長らは1998年にこの病気の原因となる遺伝子を発見。今回、この遺伝子が作る酵素『パーキン』が働かないと、背イG体内の余分なタンパク質が正常に分解されずに神経細胞が死滅、パーキンソン病が発症することを突き止めた。
不要なタンパク質にユビキノンというタンパク質が結合すると、タンパク質分解酵素がユビキノンを目印に不要タンパク質を分解する。パーキンはタンパク質にユビキノンを結合させる働きがあるという。」2000.6.27《日経産業新聞》
■微弱電流で
「パーキンソン病の運動症状などを、微弱電流を流すことで改善することを東京大学の山本義春教授(教育生理学)、郭伸助教授(神経内科学)らの研究チームが実験で確認し2005年8月号の米神経学会誌に発表。
強さがでたらめな微弱電流で脳を刺激すると、神経の電気信号が微弱電流で強められる『確率共鳴』という現象が起き、低下していた脳の情報処理機能が改善されたと見ている。
脳の薬が効かない症状も改善した。体への負担が少ない治療法として実用化を期待できる。
実験では、症状が重いパーキンソン病などの患者15人の耳の後ろと額に電極をつけ、微弱電流を額の方向へ流して、姿勢の制御に関わる前庭神を24時間刺激し続けた。その間、体に装着したセンサーで体の動きと心拍を記録した。
患者は動作が鈍かったり、動作を始めるとなかなか止まらないなどの運動症状があるが、電気刺激を受けている間はこうした運動症状が改善することが分かった。
さらにパソコン画面に特定の図形が表示されたらボタンを押すテストで、表示からボタンを押すまでの時間が、
刺激を与えなかった患者・・・・0.6~0.65秒
刺激を与えた患者・・・・・・・・・・平均0.05秒早くなった。
多系統萎縮症(MSA)という神経疾患の患者の場合、運動症状に加えて、内臓の働きを調節する自律神経に障害があるため心拍のパターンに異常が認められたが、電流で制御している間は健常者のパターンを示した。
山本教授は「刺激の仕方を調節することで、さらに効果を高められるだろう。前庭神経は脳内でウツに関係している神経にも影響を及ぼすことが知られているので、ウツも改善できるかもしれない」2005.8.28《日経》
■ヒトES細胞から
「理化学研究所の発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹グループディレクターらは、国産のヒト胚性幹細胞から脳神経細胞を作ることに成功した。年内にも神経性の難病であるパーキンソン病と同じような書状をもつサルに移植して治療効果を確認する。
研究チームはヒトES細胞を培養、脳で情報伝達を担う『ドーパミン』という物質を分泌する神経細胞を作った。ドーパミンを分泌する細胞が失われて運動障害が起きるパーキンソン病の治療に使える可能性がある。」
■候補物質
「慶応大学の研究チームはパーキンソン病など神経変性疾患の治療薬候補物質を開発した。
神経変性疾患の特徴である細胞の自滅(アポトーシス)を防ぐ効果があり、臨床試験を目指す。
開発したのはペプチド化合物の1つで『BAXIP』と名付けた細胞死を促すタンパク質の働きを阻害する。動物実験で確認。」2005.10.25《産業》
■ピロロキノリンキノン(PQQ)
「東京農工大学とベンチャー企業のアルティザイム・インターナショナルは2006年4/11、「ピロロキノリンキノン(PQQ)」と呼ぶ生理活性物質に、パーキンソン病の原因となる物質の凝集を防ぐ効果があることを確認したと発表。
パーキンソン病は脳で神経細胞が死んでドーパミンという神経伝達物質が作られなくなる病気。脳の出す指令がうまく伝わらなくなり、スムーズに運動できなくなる。
神経細胞にある『α-シヌクレイン』という一定の構造を持たないタンパク質が凝集して線維物質になることで起きるとされる。
様々な野菜に含まれ、新しいビタミンとして注目されるPQQとα-シヌクレインを混ぜて、どのくらい凝集を抑えられるか調べた。その結果、混ぜたものは混ぜなかったものに比べて凝集を1/10以下に抑えた。“PQQがα-シヌムレイと複合体を作ることで、凝集を防いでいるのではんばいか?”(早出広司・東京農工大教授)
■RBDが関連
「米メイヨークリニックの研究者らは、RBD(レム睡眠行動障害)おいう病気の患者がパーキンソン病などの退行性脳障害になりやすいという報告をまとめた。
11年間の追跡調査で、患者の2/3がパーキンソン病やレヴィー小体認知症にかかっていた。」20066/21《産業》
■遺伝子治療
「遺伝子治療をサルの実験で実証。2006年7/19の日本神経科学大会で発表。
パーキンソン病は神経細胞が死滅して発症し、手のふるえや筋肉の硬直などが起こる。患者の脳を死後に解剖して調べると、『カルビンディン』というタンパク質を作る神経細胞だけが死滅をのがれていたため、カルビンディンを作り出す遺伝子をサルの右脳だけに導入した。薬剤でパーキンソン病の発症を促したところ、左脳に支配される右半身では症状が表れた。右脳が支配する左半身では症状が見られなかった。
カルビンディンは細胞内のカルシウム濃度を調節する。脳の神経細胞の一部にはもともと備わっているが、その比率は数%程度。カルビンディンを作る神経細胞だけが死滅をのがれる詳しい仕組みは不明だが、細胞のカルシウム濃度は多すぎても少なすぎても細胞の死滅につながるため、調節機能を持たせることで死滅を予防できた可能性があるという。
東京都神経科学総合研究所の高田昌彦副参事研究員らと自然科学研究機構・生理学研究所の成果。」
【栄養療法】
<1>トマト
「トマトを添加したエサを与えたマウスの方が、パーキンソン病発症の目安である神経伝達物質ドーパミンの減少率が少なかった。トマトに含まれるリコピンの作用と見られている。」2000.4.5《日経産業新聞》
  【色彩療法】
    <1>レモン色
    <2>黄色
    <3>オレンジ色
  【処方名-五十音順】
    小承気湯芍薬甘草湯《大塚敬節》
    真武湯
    抑肝散(動悸、ふるえ、麻痺)
    抑肝散加陳皮半夏(四肢痿弱、立ちくらみ)
   ■抑肝散使い治療
    「62歳、元教師。50歳半ばから緊張すると右手が震えるようになり、文字が書     きづらくなりました。パーキンソン病との診断を受け、初めは薬がよく効きま     した。しかし次第に効き目が落ち、今は薬の種類も量も増え、何もするきにな     らず将来を悲観しております。」
    「パーキンソン病の原因はドーパミンという神経伝達物質の減少によるとされて     いる。几帳面な性格で長く神経を張りつめて仕事をし続けてきた人に多い傾向     がある。筋肉の固縮や振戦、寡動など中核症状のほか質問者は「怒りっぽくな     った」「万事にイライラする」「いろいろ考え眠れない」「ボケたような感じが     する」など種々の症状を訴えている。
こうした症状は漢方では「肝」の機能異常と考え治療することが多い。もっ     ともよく用いられる漢方薬は抑肝散で「肝」の緊張を抑える。中核症状にはド     ーパミンの補充療法が適しているが、周辺の種々の症状には漢方治療が優れて     いる。
一般には抑肝散に筋肉の緊張の調節や運動障害の調節のため芍薬や厚朴を加     えることが多い。気力・体力の衰えが目立つ場合は、抑肝散加陳皮半夏湯を用     いたり、補中益気湯や新陳代謝を盛んにする附子を含む真武湯なども用いられ     る。(花輪寿彦)1999.2.8《日本経済新聞》
■サルのES細胞で成功
「様々な細胞に成長する能力を持つ胚性幹細胞(ES細胞)を使って、神経性の難病であるパーキンソン病を治療する動物実験に横浜市立大学や自治医科大学などが共同で成功した。2003年5/15から横浜市で開く日本神経学会で発表する。
サルのES細胞から作った神経細胞を、パーキンソン病の症状を示す別のサルの脳に移植したところ、症状の改善が見られた。」2003.5.15《日本経済新聞》
■パーキンソン病
「脳内の神経伝達物質「ドーパミン」を作る神経細胞が減少し、体をスムーズに動かせなくなる病気がパーキンソン病。ゆっくりと進行し、手が震えたり、体の動きが遅くなり、歩き始めの一歩が踏み出せなくなったりする。60歳前後で発症するケースが多い。2002年後の調査では1000人に1人が発症している。
主な薬はドーパミンを補う「L-ドーパ」と「ドーパミンアゴニスト」の2タイプ。
「L-ドーパ」は効果が高いが、使い続けると効果の持続時間が短くなり、体が勝手に動いたりする副作用が出ることがある。最近はふるえなどを抑える効果劣るが長期間使えるアゴニストを増す服用し、徐々にL-ドーパを増やすケースが多い。
病気で不足する脳内の神経伝達物質[ドーパミン]の代わりに神経の受容体を刺激し、体の動きを良くするタイプの「ドーパミンアゴニスト」。トップシェアは1999年発売の『カバサール』(ファイザー)。ゆっくり効き、1日1回の服用で済む。
2004年には「ビ・シフロール」

   ■全国パーキンソン病友の会 03-5273-8561東京都新宿区西早稲田2-2-8




 パスツレラ症
■イヌに噛まれる
「犬に噛まれたり、ネコに引っかかれたりしてキズの周囲が腫れる『パスツレラ症』。知らないうちに呼吸器から感染し、気管支炎などを発症することがある。荒島康友・日本大学医学部助手(臨床検査医学)は、“糖尿病や肝障害などが持病の人は重症化し死亡することもある。ペットに触れる際には十分気をつけて”と語る。
イヌの75%、ネコの100%近くが口の中にパスツレラ・ムルトシダという菌を持っています。イヌやネコには症状が現れませんが、人が噛まれて傷を負うと、そこから感染し、周囲が大きく腫れたり、痛みが生じます。口や鼻などの呼吸器からも感染して、ノドがイガイガしたり風邪に似た症状を引き起こします。さらに気管支炎や肺炎になる方もいます。
外傷性・・・・・・・・約4割
呼吸器から・・・4割強
とりわけ要注意なのが、糖尿病やアルコール性肝障害・ガンなどの基礎疾患(持病)がある方です。元気な人では病変は傷口付近で留まりますが、持病あると症状が重くなって死亡することもあります。
糖尿病のお年寄りが野良猫に手首を噛まれ手がグローブのように腫れあがり、治療に数ヶ月かかった。
また、壊疽した部分から感染して亡くなった事例。
過去に結核を経験した人や、膠原病など自己免疫疾患がある人も要注意です。
パスツレラ症は感染症法の対象外なので医師や獣医師の報告義務が無く、公的な統計がありません。
ひっかきキズが気になる方は→皮膚科
のどにイガイガ感がある方は→呼吸器科へ
必ず医師に“ペットを飼っている”と告げ、詳しい飼育状況をメモしておく。治療はペニシリン系やセフェム系の抗生物質が有効。通常は1週間ぐらいで良くなります。
予防するには、
・ペットを寝室に入れない
・ペットと一緒に寝たりしない
・食べ物の口移しはしない。
・ペットに触れた後は手洗いやうがいをする。
・糞便をきちんと始末する。」





 バセドウ病 exophthalmic goitre
=バセドー病
⇒バセドウおよびグレーブスによって発見されたためにグレーブス病とも呼ばれ    る。
     甲状腺の機能が亢進し、甲状腺ホルモン(サイロキシン・トリヨードサイロニ    ン)の生成分泌が異常に増加した状態で、甲状腺ホルモン作用が強く現れる。
   ◎症状: <1>甲状腺腫脹(腺腫)
        <2>眼球突出
        <3>頻脈
        <4>その他(心悸亢進・異常心電図・不安・手指振顫・易発汗性・羸痩)

   ◎甲状腺ホルモン過剰の結果
        <1>基礎代謝率(BMR)の上昇
        <2>血中タンパク結合ヨードの増量
        <3>トリオソルプ値増加
        <4>ヨード摂取率の増大
        などが見られる。(薬学大辞典p427)
   ◎動悸・息切れを訴え、脈拍数も多くなる。神経過敏になって不安感が伴い臍部の    動悸がひどく亢進し、手を当てるまでもなく、波のように打つ動悸が見える《大    塚敬節》
   ■安心して出産を
    「甲状腺ホルモンが過剰に作られるバセドウ病は、男性より女性の方が患者の割     合が高く、特に20代、30代の女性に多い。赤ちゃんを産むときに心配はない     のか?「妊娠しにくい」「薬で子供に障害が出る」といった誤解が、いまだに     消えない。
甲状腺専門の伊藤病院(東京都渋谷区)で最近、バセドウ病患者のための教     室が開かれた。会場には若い女性が多く、妊娠している人の姿も見られた。「治     療を始めて間もないのですが、いつになったら安心して子供が産めますか?」    「子供もバセドウ病にかかるって本当ですか?」といった質問が飛び交った。
講師役の百渓尚子・内科部長は「医学が進み、バセドウ病の人も甲状腺ホル     モンが正常に保たれていれば、妊娠出産での問題が意外と少ないことが分かっ     た。だが、出産時に生命が危険にさらされやすいとか、バセドウ病の薬は胎児     に毒だとか、昔の考え方が今だに消えない。患者が、必要もない不安に陥りが     ちだ」と話す。
バセドウ病や、その治療で使われる薬によって生まれてくる子の知能や体に     障害が残るという見方には、はっきりした医学的根拠はない。
バセドウ病は血液中に甲状腺を刺激する抗体が出来る自己免疫疾患で、ホル     モンが過剰に作られる。この抗体は胎盤を通って、胎児の甲状腺も刺激する。
抗体の濃度が非常に高い母親の赤ちゃんは、出生後、一時的にホルモン過剰     になることがある。しかしこれも、その間だけ母親と同じ薬で治療することが     出来る、という。胎盤を通って胎児の甲状腺を刺激した抗体は、早晩消える。
妊娠中に飲んだ薬の一部は、胎盤を通って胎児の体に入る。ただ、患者が薬     を正しく使えば、妊娠し、出産できるということは定説になってきている。
バセドウ病は妊娠の初期に悪くなりやすいと言われる。実はこれは妊娠を維     持するために胎盤から出るホルモンが、甲状腺を刺激することがあるためだ、     病気が悪化しているのではない。
「妊娠が進むと、薬が入らなくなる人もいる。胎児といっても母胎にとっては『異     物』なので、異物を排除する免疫機能が弱まるためだ」と百渓さん。
一旦良くなった症状は、出産後、反動で一時的に悪化することがある点には     注意が必要だ。
妊娠初期には甲状腺ホルモンが高いままだと、流産を招くことがある。バセ     ドウ病であることを知らずに妊娠し、治療をしていない場合などだ。家族にバ     セドウ病や橋本病の人がいて妊娠を考えている人は、簡単な検査を受けておく     とよい。流産を経験した人も、念のため検査すると、バセドウ病が原因だった     と分かることがある。
神奈川県に住む33歳の女性は、昨年、長女を出産後に自分がバセドウ病と     わかった。母親も同じ病気だ。友人には病気を告げているが、遺伝だと思われ     るのが嫌で、夫の実家には話していない。「今は娘が同じ病気にならないか心     配です」と言う。
対馬敏夫・東京女子医大教授(内科)は「確かにバセドウ病になりやすい体質     は遺伝することもあるだろう。しかし遺伝だけで発病するわけではない」と話     す。バセドウ病は幼いうちに発病することは、ごくまれだ。
「私の母親が橋本病、おじ、おばの3人がバセドウ病だが、私はならなかっ     た。遺伝するがとうかは予測がつかず、病気自体、命にかかわるものでもない。     あまり心配しないように」と対馬さんは話している。1999.1.24《朝日新聞》
■社会活動の制限、ほとんどない
「27歳の妹が2年ほど前から、だるい・汗をかく・脈が不規則などの症状を訴え、先日、バセドウ病と診断されました。病院では、まず薬、結果によって手術と言われました。妹は自衛官で、激しい訓練があるので心配です。運動や食事など中止することはありますか?完治するものでしょうか?」
●どんな病気ですか?
免疫系に狂いが生じた結果、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されます。代謝が激しくなり、安静にしていても全力で走っているような状態になります。このため、やせたり、疲れやすくなったり、発汗や生理不順が起きたりします。目が出るのが特徴ですが、日本人では眼科治療をする人は少ないですね。
●どんな人がかかあるのでよう?
思春期以降の若い女性に多く、女性患者は男性患者の10倍ぐらいで、お産や流産の後で発病することも多い。200人に1人がかかると言われ、ブッシュ前大統領夫妻がなったのも有名ですね。
●薬で治りますか?
日本では飲み薬で甲状腺ホルモン合成を抑えるのが主流で、開始から約2ヶ月でホルモンはほぼ正常に戻ります。しかし、この時点で薬をやめると,再発する事が多い。2年間、薬を減らしながら飲んで、少量でホルモンが正常に保たれ、甲状腺が小さくなれば、薬をやめることを考えます。そこで止められる人は1/3以下ですが、少量の薬でコントロールされていれば、直ちにほかの治療法に変える必要はないでしょう。
●手術はどんなものですか?
甲状腺の一部を取り除きます。残す量が多いと完全な治療が出来ず、少ないと機能が低下しますが、熟練した外科医が行えば、安全な手術です。
●他に治療法はありますか?
放射性ヨードの飲み薬を使うアイソトープ治療があります。放射線で甲状腺の細胞を減らすので、効果は確実です。米国では全体の7割ぐらいが最初の選択としていますが、日本では3割以下です。飲む量が少なければ外来で、多ければ入院する必要があります。ただ、日本ではアイソトープ治療をやっている病院が限られています。発ガンや遺伝的影響は亡いとされており、もっと積極的に放射性ヨードを使うことを考えてもいい。ただ、将来出産の予定がある人や子供は第一選択枝ではないでしょう。
●激しい運動は大丈夫ですか?
休んで安静にする必要はありません。ホルモンが高い時期は運動や過労は避けるべきでしょう。薬による治療をうけているときでも、ホルモンが正常になれば運動を制限する必要はありません。しかし、筋肉が減ってしまっているので注意が必要です。
●食事で注意することは?
コンブなどに多く含まれるヨードとの関係が昔から指摘され、ノリやワカメ、コンブの出汁にまで気を遣う人がいますが、その必要はありません。ヨード含量が特に多い健康食品を積極的に摂るよいうなことはしない方がいいでしょいう。
●完治しますか?
いずれの治療も後で再発する事があります。逆に何年かして甲状腺ホルモンが不足することもあり、治療後も定期検査は必要です。放射性ヨード治療のあとは特にホルモン不足が起こりやすいのですが、飲み薬で安全に補えます。
再発を自分で知る方法に脈拍があります。安静時でも大人で1分間に90回以上あったら要注意。駅の階段を上がって息苦しくなるのも怪しい。
検査がいらなくなるという意味での完治は難しいけれど、治療で比較的容易にコントロールでき、社会活動が制限されることもほとんどない病気であることを強調しておきたい。」(三橋知明・東京大学付属病院)2000.3.12《朝日新聞》
■20~40歳代女性に多い
「Aさんは46歳の主婦で、健康だったため病院に行ったことが無かった。4月はじめに階段を上っていると急にふらつき数秒間、失神状態になった。驚いて近くの病院を訪ねたところ、高血圧と不整脈と言われ、来院された。このときの血圧は(196:92)と高く、脈拍数は毎分110であった。
頸部にある甲状腺が腫れて、少し目が出ていたため、内分泌検査をしたところ、バセドー病と診断された。
バセドー病はドイツ学派の病名で、米国ではグレーブス病と言われる。日本での患者数はおよそ1000人に1人とされる。男性1に対し女性3~4と女性に多い。この病気は昔から知られているが、その正体ははっきりしない。免疫に関する[CTLA-4]という遺伝子や環境因子により免疫の制御機構が壊れて、甲状腺ホルモンの分泌を刺激する受容体というタンパク質に対する抗体が生じ、このホルモンが過剰に分泌される病気と考えられている。
症状としては高血圧、不整脈、発汗、筋力低下、イライラ感などがある。Aさんにも同様の症状が見られ、不整脈とともに一時的に血圧が上昇して、脳に送られる血液が不足し、失神したと思われる。
不整脈と脈が速いために心臓が肥大して、心不全状態になっていることがある。また不整脈のために脳塞栓になり、発作することも予想される。Aさんは精密検査の結果、このような病気ではなかった。
バセドー病の治療は
①甲状腺ホルモン合成阻害剤の投与
②放射性ヨードによる甲状腺細胞の破壊
③手術
の3つがある。薬物投与が一般的だが、副作用が生じる場合や効果がない場合は放射性ヨードが手術を行う。
特に甲状腺が大きく腫れている時は再発しやすい。さらに、この病気を十分に治療しないまま感染したり妊娠したりして強いストレスが加わると、39℃を超える発熱や下痢・嘔吐・意識障害などの陥り、生命の危機を招く『甲状腺クリーゼ』を起こす恐れもある」(西沢良記・大阪市立大学医学部教授)2000.7.3《日本経済新聞》
■骨を壊す細胞が活発化
「Oさんは32歳の会社員だが、骨粗鬆症が心配と相談にこられた。こんな若い女性が訪ねてくるのは珍しいが、実は理由がある。Oさんは22歳の時にバセドー病にかかり、治療を受けていた。内服薬だけでバセドー病は完治したが、最近、雑誌でバセドー病になった人は骨粗鬆症になりやすいという記事を読み、ビックリしたという訳である。
バセドー病は甲状腺ホルモンが過剰に分泌する病気で、しばしば骨量が著しく減少する。実際、わが国の調査でも、バセドウー病にかかった人の腰椎の骨量を同性同年齢の健常者と比べると、約10%も低下していたことが分かった。これは甲状腺ホルモンを過剰投与した動物実験でも立証されている。
バセドー病の人は活動的な人が多いので、一見、骨粗鬆症とは関係なさそうに見える。ところが、甲状腺ホルモンは骨を造る細胞に作用して、骨を破壊する細胞の働きを強くする。これにより、骨が壊れて血液中にカルシウムが流れ出し、尿へのカルシウム排泄量が増加するとともに、小腸でのカルシウム吸収量が減少する。
内服薬で治療すると甲状腺機能は数ヶ月で正常になるが、骨の代謝が正常に戻るには、約1年かかる。骨量はバセドー病が完治すれば回復するが、閉経後の婦人では十分回復しないことが多い。
米国では65歳以上の女性を対象にした調査では、バセドー病にかかってた人が大腿骨頸部を骨折する危険度は、かかったことがない人に比べて2.4倍も高いことが知られている。この意味では骨粗鬆症になる危険があると言われても仕方がない。
慢性甲状腺炎の内服薬治療による骨粗鬆症の危険性は、治療薬の内服量が過剰に成らない限る骨には影響しない。Oさんの場合は念のために骨量を確認した」(西沢良記・大阪市立大学医学部第二内科教授)2000/9.25《日本経済新聞》
  【処方名-五十音順】
    烏梅丸
 茵蒿湯
 越婢加朮湯
 加味逍遥散
    甘草瀉心湯
    救逆湯
    九味檳榔湯
    桂枝加竜骨牡蠣湯
    桂枝甘草竜骨牡蛎湯半夏厚朴湯
    柴胡加竜骨牡蛎湯
    柴胡桂枝乾姜湯
    酸棗仁湯
    炙甘草湯
    梔子甘草湯
    通導散
    当帰芍薬散
    半夏厚朴湯
    白虎加人参湯
    苓姜朮甘湯
    苓桂朮甘湯   
    六味丸

■診断薬
「エクルーシス試薬TRAb」ロシュ・・・
バセドウ病になると血中に増えるタンパク質を測定する。既存の診断薬では3~4時間必要だったのが、27分で結果が分かる


 バーター症候群
■血中のカリウム濃度低下
「Mさんは37歳の主婦で自分は病気知らずの元気者と信じていたという。ところが、自転車で買い物に行った帰りに突然、呼吸が苦しくなり全身がシビレ、胸の痛みに襲われた。心臓が止まるのではないがと思うほどドキドキしたという。
近所の病院を受信し、心電図などの検査から狭心症と診断され、治療を受けるようになった。しかし、その後も胸痛とシビレ感がしばしばあったため、当科に来院された。
血液検査で血液のカリウム濃度を測ったところ、、正常値の半分以下で低下リウム血症が認められた。握力は両手とも10kgぐらいで普通の人の1/3になり、イスに自力で座っていることも出来ないくらいに筋肉が衰えていた。
ただちに入院して検査したところ、高血圧や浮腫はなかった。しかし、血液がアルカリ性になるアルカローシスや腎臓で作られるレニンというタンパク質分解酵素の活性と腎臓の尿細管に作用してンマトリウムを再吸収する働きがあるアルドステロンというホルモンの値が高くなっていた。診断結果はバーター症候群だった。
この症候群は血圧を維持する気功であるレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系の亢進と血管の血圧を上昇させる反応に障害があり、尿大寒でナトリウムを再吸収する家庭に障害が出る疾患である。
原因はまだハッキリしていないが、尿細管ではナトリウムが再吸収されないため、それ以降の尿細管でナトリウムとカリウムの交換が盛んになり、血液中のカリウムの尿への流出が増加すると考えられている。
この病気は比較的まれで1年間に100万人当たり1人程度の発症しかない。女性にやや多く、生後から50歳くらいまでの広い年齢層で見られる。根本的治療法はなく、カリウムを十分に補給することが基本になる。低下リウム血症を改善できれば症状は起こらない。
利尿剤や下剤の乱用、慢性の下痢や嘔吐でもMさんのような症状が起こることがあり、医学的には『偽性バーター症候群』とも称されている。」(西沢良記・大阪市立大学医学部教授)2000.7.31《日本経済新聞》




バチ指
   clubbed finger
   ⇒肝内外の短絡のみならず、肺内の短絡形成による。
   ◎チアノーゼを伴うことが多い。
   ◎原因疾患:
     鬱血性心不全
     肺ガン
     潰瘍性大腸炎
     肝硬変




 パニック障害
(参照→広場恐怖症)
   ◎「不安障害」の1つ。パニック障害は100人に約3人の割合で見られる病気で、    その中心的な症状は「パニック発作」です。
「パニック(panic)の語源は、ギリシャ神話に登場する牧羊神の“パン(pan”だと言われています。パンは川や森を支配し、ヒツジなど様々な家畜の守護神として古代ギリシャで崇拝されていました。彼は上半身が人の姿で、髭に覆われた顔とヤギのような耳と角をもち、下半身はヤギの身体にひづめのついた短い足を持っていました。
パンは普段は陽気で、歌を愛し人間にも友好的で、しばしば洞窟の中や木陰でうたた寝をしていました。しかし、眠りを妨げられるとパンは怒り狂って、髪を逆立て恐ろしい叫び声を上げるのです。この叫び声が、あまりに異様ですさまじいものだったので、それを効いた人間も家畜も恐怖のあまり、みな死んでしまったと伝えられています。ここから、突然の激しい恐怖を「パニック」と呼ぶようになりました。」
◎パニック状態とは、
「大震災に襲われるなどの緊急状態においては、驚愕反応が見られることがあります。「驚愕反応」とは、いわゆる“腰が抜けた”状態で、目がすわって顔は真っ青になり、筋肉はこわばって手足が動かなくなり、冷や汗が出ます。全身がケイレンしたり、短い叫び声を上げることもあります。このような身體状態は、恐怖が激しければ多少の個人差はあっても、誰もが経験することです。
このように、激しい恐怖感と驚愕反応が突然に、しかも同時に起きる状態を『パニック状態』と呼んでいます。パニック状態は、経験した大部分の人が感じる“正常な恐怖”によって起こるもので、何も異常なものではありません。」
   ◎[パニック発作]とは、
     ある限定した時間内に[激しい恐怖感]や[不安感]とともに、
     次のような症状のうち4つ以上が突然出現し、10分以内にピークに達する      状態です。
●心臓がドキドキする
      ●冷や汗をかく
      ●身体や手足のふるえ
      ●呼吸が速くなる、息苦しい
      ●息がつまる
      ●胸の痛み
      ●吐き気、腹部のいやな感じ
      ●めまい、頭が軽くなる、ふらつき
      ●非現実感、自分が自分でない感じ
      ●常軌を逸する、狂うと言う心配
      ●死ぬのではないかと恐れる
      ●シビレやうずき感
      ●寒け、またはほてり
    「パニック障害では、このパニック発作が不意に誘因もなく始まり、強烈な発作    のため立っていることが出来ず、救急車で病院にかつぎ込まれたりする事もあり    ますが、発作のピークを過ぎれば1分~1時間ほどで症状は潮が引くように消え、    病院で検査を受けても身体的な異常は何も認められません。しかし、多くの場合、    発作は1回だけでなく、その後も繰り返し起こります。
     パニック発作の中心症状は激しい不安で、呼吸困難やふるえなど身体の異常を    感じて二次的に引き起こされる不安はもちろんのこと、体の底から起こってくる    ような理由のない不安が特徴です。患者さんの言葉を借りれば“じっとしていら    れない”“言いようがない”“追いかけられる”ような不安です。このような原    発的な不安とともにパニック発作を一度経験した患者さんは、また恐ろしい発作    が襲ってくるのではないかという「予期不安」と呼ばれる強い不安を持ち続ける    (貝谷久宣著「脳内不安物質」講談社p35~)
   パニック障害の定義:米国精神医学会(DSM-Ⅳ)
    予期しない「パニック発作」が繰り返し起こる。
          「パニック発作」の診断基準:米国精神医学会のDSM-Ⅳ分類
     <1>強い恐怖や不快感を覚え、
     <2>以下のうち4つ以上が突然現れ、10分以内にその症状が最も強くなる者。
      ▽胸がドキドキし、心拍数が増える
      ▽汗が出る
      ▽身震いや震えがある
      ▽息切れや息苦しさ
      ▽窒息感
      ▽胸の痛みや不快感
      ▽吐き気や腹部の不快感
      ▽めまい感やふらつき感、頭が軽くなる感じ、気が遠くなる感じ。
      ▽現実でない感じ、自分が自分自身でない感じ(離人症状)
      ▽自分をコントロール出来なくなるのでは、気が変になるのではという恐怖。
      ▽死ぬことへの恐怖。
      ▽感覚の麻痺、疼く感覚。
      ▽体が冷たい、熱い感じがある。
    1回の発作後、もっと発作が起きるのではという「予期不安」などが少なくと     も1ヶ月以上続く。
発作は、薬や体の病気によるものではない。
広場恐怖を伴わないパニック障害の診断基準:DSM-Ⅳ
A:(1)と(2)を満たす。
(1)再発性で不意のパニック発作の出現
(2)少なくとも1回の発作後1ヶ月以上、以下の症状が1つ以上ある。
   (a)次の発作を心配する
(b)発作に関わることや、その結果を心配する。例えば、
取り乱してしまう
心臓発作が起こる
狂ってしまうのではないか
(c)発作と関係する行動の変化がある。
B:広場恐怖が存在しない。
C:パニック発作は物質による生理的作用ではなく(例:薬物乱用・服薬)、内科疾患によるものでもない(例:甲状腺機能亢進症。
D:パニック発作を、その他の精神障害、例えば社会恐怖・特定恐怖・強迫性障害、および分離不安障害では説明しにくい。
広場恐怖を伴うパニック障害の診断基準:DSM-Ⅳ
A:(1)と(2)を満たす。
(1)再発性で不意のパニック発作の出現
(2)少なくとも1回の発作後1ヶ月以上、以下の症状が1つ以上ある。
   (a)次の発作を心配する
(b)発作に関わることや、その結果を心配する。
(c)発作と関係する行動の変化がある。
B:広場恐怖が存在する。
C:パニック発作は物質による生理的作用ではなく(例:薬物乱用・服薬)、内科疾患によるものでもない(例:甲状腺機能亢進症。
D:パニック発作を、その他の精神障害、例えば社会恐怖・特定恐怖・強迫性障害、および分離不安障害では説明しにくい。
   ■薬物療法で症状は改善
    「35歳の主婦C子さんはある日車でスーパーに買い物に出かける途中、交差点     で信号待ちをしているときに、不意に動悸がして、汗が吹き出し、息苦しくな     った。今までにないことなのでたいへん不安になり、急いで車を路肩に寄せた     が、ますます息苦しくなり窒息死するのではないかと怖くなった。
  助けを求めようとしたが、体がふるえるばかりで声を出すことが出来なかっ     た。やむなく座席に伏してじっとしていたところ、しばらくして不安、恐怖は     やわらいだ、そのときは長い時間苦しかったように思えたが、後で考えてみる     と数分間のことであった。
      それ以後又同様のことが生じるのではないかと不安になり、1人でバスや地     下鉄に乗ることが出来なくなった。どうしても外出しなければならないときは     夫や友達に付き添ってもらうことにしたが、いつもそう出来るわけではないの     で、次第に自宅に閉じこもりがちになり、気分が滅入って憂鬱になった。
  これがパニック・ディスオーダーと呼ばれるものである。成人期の女性によ     く見られるが、もちろん男性いも起こる。「鬱病」とは一応、別の病気と考え     られてはいるが、うつ状態を伴う例やうつ状態に移行する例があり、鬱病との     関連性が注目されている。
  つい最近まではこの病気はもっぱら心理的要因によるものと考えられ、発症     状況の検討や無意識の葛藤の探求などの心理的療法が重要と考えられていた。     ところが、最近になって、何ら心理的要因が無くても起こりうることや、[ヨ     ヒンビン]や[乳酸ナトリウム]の投与により不安発作を誘発できることなどか     ら、生物学的要因が重視されるようになった。
  [アルプラゾラム]という精神安定薬や[イミプラミン]などの抗ウツ薬が良く     効くことも分かってきて、薬物療法の効果という観点からも鬱病との関連性が     注目されるようになった。パニック障害は決して性格の弱さや精神力の欠如か     ら生じるものではなく、身体的基盤のある病気であり、薬物を服用することに     よってかなり良く治るのである。
ただしこのことは、パニック障害が単に身体的現象にすぎないという意味で     はない。パニック発作も不安も人間の体験するものである以上、その人間の情     緒や生活への目配りも決しておろそかにしてはならない。さらに、発作にどう     いう態度を取るかによっても。症状が軽くなったり、重くなったりするのであ     る。
  これは決してまれな病気ではない。
     (成田善弘・椙山女学園大学人間関係学部教授)1997.8.4《日本経済新聞》
   ■不安取り除き、周囲も協力を。
   【事例】40才の男性。 (埼玉・T)
    「3年ほど前、突然、原因不明の動悸に襲われました。心電図の検査では異常は     有りませんでしたが、動悸を抑える為降圧剤・精神安定剤を服用しています。     会社で仕事をしていても胸のあたりが不快になし、しばしば早退します。いつ     も不安で一人で遠出したり出張したり出来ません。将来が不安です。」  
    「パニック障害という神経症で、約100人に1人の割合で発症すると推定されて     います。医師にもまだ十分に理解されておらず、悩みを抱えたままになってい     る人も多いようです。突然、激しい動悸・息苦しさ・めまいなどを起こすのが     特徴で、胸部の不快感・吐き気・発汗などの症状が出る場合もあります。ほと     んどの人は、何の前触れもなく発作がやってきます。こうした発作で患者は、     自分が今にも死んでしまうのではないか?という恐怖に襲われるのです。
原因ははっきりしていませんが、生理的な原因があると考えられており、一     般的な『不安』とは質的に異なります。例えば、「最近家族が死んだ」とか、     すぐにそれと思い当たる「心の負担」があったり「心臓などに疾患」があった     りして起きるような病気ではありません。
発作は、5分~20分ぐらい大半、長い人でも1時間くらいすれば治まりま     す。強い発作だけでなく、軽い緊張感や不安感を繰り返す場合もあります。発     作が起こったら、医者がいくら大丈夫だと説明しても、患者はなかなか安心し     ません。再び発作が起こるのではないかという心配が頭から離れなくなるのを     『予期不安』と呼んでいます。中には、「発作が起こって倒れたりしないか?」     と悩み、外出出来なくなってしまう人もいます。こうした症状は特に電車や買     い物など人混みを恐れるので『広場恐怖』と呼びます。
又、「渋滞に巻き込まれて自動車に長時間閉じ込められたり、トンネルの中     に入るのを怖がったりする閉所恐怖として現れることもあります」いずれも、     発作が起こった時にすぐに助けてもらえない状況を恐れる為の症状です。
治療には、家族の協力や理解も必要です。特に、広場恐怖は少しずつ外出の     時間や距離を長くするなどして慣らします。例えば買い物なら、出かける時は     誰かが一緒に行って帰宅は一人でさせるなど、普段の生活での取り組みが重要     になります。診療所や病院によっては、医師がこうした行動治療をする場合も     あります。治療期間はいちがいに言えませんが、長い人は10年以上かかるこ     ともあります。(精神神経科・田中診療所院長)
人間の脳には神経細胞の集まる核がある。東京国際大の高橋徹教授(精神医     学)によると、この一つで脳幹にある「青斑核」が刺激に敏感になる為との見     方が有力。青斑核の過剰反応を抑える神経組織が弱まる為という報告もある。     1996.8.11《朝日新聞》」
   ■突然襲う動悸や緊張
    「東京・練馬区のフリーター大崎賢蔵さん(33)は、95年夏、花火大会が終わっ     た多摩川の河川敷を友人と歩いていて急に疲れを感じ、その場に座り込んだ。
心臓がドキドキして、脂汗が出てきた。口と鼻がふさがれた感じで、息苦し     い。坐っていられなくなり、地面に横たわった。「このまま死ぬのかなあ」。     言いしれぬ恐怖が襲ってきた。
1時間半後にやっと立ち上がり、友人の肩を借りて自分の車へ。そのころは     発作も治まり。40分後には友人とレストランで普通に夕食を摂っていた。
以来、営業で自動車を運転中に同様の発作に襲われ、急いで車を止めて休ん     だり、発作がなくても、緊張感や不安感、ふらつきがあったりと、すっきりし     ない日が続いた。
内科・脳外科・耳鼻科・整形外科----などで診察・検査を受けたが、どこに     も異常なし・精神科では「自律神経失調症」と診断され、精神安定剤などを服     用したが、良くならなかった。
●自販機にすら行けず
    「こうした状態が2年続くと、今度は外出が怖くなった。一昨年夏に精神科に1     ヶ月半入院したが、発作や不安は消えない。その後は仕事も辞め、家でゴロゴ     ロするだけの生活になった。
外に出るのは、家から30m離れた自販機にタバコをまとめ買いに行くとき     だけ、それさえも、10m手前で怖くなり、引き返したことも何度かあった。     理髪店も怖くて行けず。髪は伸び放題。食欲はなく、体重も50kgから40kgに     減った。
そんな日が続いた昨年4月、新聞広告で知ったパニック傷害の本を出版社に     電話で注文して取り寄せ、読んでみて驚いた。「自分の症状にピッタリじゃな     いか」
著者は、貝谷久宣・なごやメンタルクリニック院長。不安障害の専門医らで     構成する「不安・抑鬱臨床研究会」を主宰し、患者会も作っている。
大崎さんは翌月、貝谷院長が理事長を務める東京・赤坂の赤坂クリニックに     同院長を訪ねた。「重症なパニック障害。薬であせらずに治していきましょう」。     やっと自分の病気を理解してくれる医師に出会えた。そう思えただけで、何か     晴れ晴れとした気持になった。
パニック障害(恐怖性障害)は、理由もなく突然、動悸や発汗、身震い、息     苦しさ、胸痛などの症状が現れる「パニック発作」を繰り返す病気だ。一度発     作が起きると、「また発作が起きるのでは」という「予期不安」に襲われる。     発作が起きたときに逃げることが出来ない状況(特急電車、高速道路での車の     運転、理髪店など)を避ける「広場恐怖」を伴う事が多い。
●大部分は薬が有効
    「貝谷院長は「パニック障害は死ぬ病気ではないが、慢性化すると患者のQOL(生     命・生活の質)が著しく損なわれる。しかし、薬をきちんと服用すれば、大部     分は発作や不安を抑えられるのです」と説明する。
大崎さんは、抗不安薬と抗うつ薬を毎食後に吹くよう、約1週間で発作も不     安も減り、気分が前向きになってきた。少しずつ外出も出来るようになり、昨     年秋から、自分を鍛えようと「武術ダンス」の練習に通い始め、来月にはアメ     リカで桜祭りの舞台に立つ予定だ。
大崎さんは「もっと早く、この病気に詳しいお医者さんに出会えていれば、     3年も苦しまずに済んだのに」と残念がる。
   ■広場恐怖
 「パニック障害の患者には、発作時に逃げることが出来ない場所を恐れる<広場     恐怖>を伴う人が多い。その場所は、電車・デパート・理髪店・スーパーのレ     ジなどで、重症になると、家から出られなくなってしまう。
「そんな患者には、薬物療法と併せて行動療法を行うと効果的」と語るのは、荒     木光・関西服し化学大社会福祉学部教授。「日本行動療法学会」の認定第1号     の行動療法士で、有資格者は現在、全国で26人いる。
 ●体験積んで、毎日記録
    「大阪市の主婦Aさん(42)は、8年ほど前、梅田の繁華街で尿意を催したがトイ     レが見つからず、突然、心臓がドキドキし、胃がむかついて冷や汗が出た。そ     れ以来、デパートなどの人混みや、停車駅の少ない特急電車が怖くなり、夫が     運転する車で外出する以外は、ほとんど家にこもりがちになった。
Aさんは96年6月新聞で知った同市福島区の南クリニックを受診した。荒     木教授は毎週月曜日、医師が不安障害の患者を診察した後、広場恐怖の克服の     ために、主に「現実脱感作法」と呼ばれる行動療法を指導している。
患者を励ましながら徐々に外出を促し、仮に発作が起こっても深刻な事態に     陥らないことを体験学習させる方法だ。
Aさんは荒木教授から病気や治療法について説明を受け、「治るも治らない     もあなた次第です。少しずつでいいから、なるべく外へ出掛け、毎日の行動の     記録をつけて下さい」と言われた。
まずデパートに挑戦。恐る恐るエスカレーターで9階まで行き、今度はエレ     ベーターで1階へ。怖かったが、込んでいなかったので無事成功した。「早く     家に帰りたい」と思いながら、1階売場を早足で1周し、すぐに自宅へ帰った。     デパート滞在時間は15分ほど。
それからは周3回、自分で課題を設けて外出し、周1回の診察時に日誌をみ     せて報告。荒木教授からはそのつど、「良くできましたね。もっと出来るよう     になります」と励まされた。
そのうち、長女を連れてデパートでの滞在時間を長くしたり、JR環状線を     1周したりと、少しずつ行動範囲を広げ、その年の9月には特急電車に乗れる     までになった。
 「ドキドキしながらでも、1つずつ出来るようになるのがうれしかった」とAさ     ん。その安心感は、夜1日の行動を日誌に書くことで自身につながった。今で     は軽い坑不安薬を呑みながらも、いぜんと同じように外出出来、「出掛けるの     が楽しくなって」と話すまでに回復した。
●自分で治す気概が必要
    「荒木教授が以前、パニック障害の患者41人に対し、薬物療法を指導したとこ     ろ、治療が終わった時点で。33人(80%)に有効という結果が出た。
細かく分析すると、改善度の高い群ほど日誌を記載している人が多く、逆に、     無効の8人は、行動療法の指導に従わなかった患者ばかりだった。
「欧米人に比べ、日本人は誰かに治してもらおうという傾向が強い気がする。自     分の病気は自分で治すという気概が必要です」
ただ、患者が無理強いされたと感じて行動したり、急に長距離・長時間の外     出に挑戦したりすると、恐怖感が強まってかえって悪化することもある。知識     と経験を持った専門家が、インフォームドコンセントを重視して指導を行うこ     とが大切だ。
   ■森田療法
     「パニック障害は、以前は『不安神経症』と呼ばれていた。これら様々神経症     (不安障害)に対し、古くから治療実績を上げてきた日本独特の精神療法が、     故森田正馬(まさたけ)・東京慈恵医大教授が1920年頃に創設した『森田療法』だ。
      同大第3病院(東京都狛江市)の中村敬・精神神経科医長は「行動を重視す     る点では行動療法と似ていますが、行動療法が不安をコントロールしようとす     るのに対し、森田療法が、不安は あるがままにしておきます」と説明す     る。
神経質な性格の人は、不安を「あってはならないもの」として排除しようと     するが、その姿勢が症状へのとらわれを強くし、かえって症状を増幅させる。
森田療法では、死の恐怖や不安は人間の自然な感情で、「生きたい」「自分     を向上させよう」という欲望の裏返しとみる。だから、不安を消そうとせずに、     形だけでも今やるべきことを行う(外相を整える)。その体験の積み重ねで、     症状へのとらわれが消えていくという。
●薬物療法は補助的
    「森田療法には入院と外来があるが、同大第3病院は、専門病棟(20床)があ     り、入院療法を行う全国でも数少ない施設だ。
      関東地方に住む大学2年生のAさん(21)は、一昨年秋、授業中の教室で急に     ドキドキし、息苦しくなって以来、時々パニック発作に襲われるようになった。     電車やエレベーターなどに乗れない広場恐怖もあり、昨年3月、同病院に入院     した。
入院森田療法は、1日中、フトンに横になって過ごす[臥褥(がじゅく)期(1週間)]、庭     の見学や木彫り作業を行う[軽作業期(1週間)]、他の患者たちと一緒に動物の     飼育や野菜作り、花壇の手入れなどを行う[作業期(1週間)]。職場や学校に復     帰する準備をしたり、病院から通勤・通学したりする[生活訓練期(1週間~1     ヶ月)]からなる。
入院患者の約7割は薬物療法を併せて行うが、、薬はあくまで補助的な位置     づけだ。
軽作業期からは、毎日の行動を日記につけ、医師がコメントを添える。Aさ     んの許可を得て、その一部を紹介すると-------。
  A 「夕食の時、軽い不安発作に襲われたが、表面上は落ち着いて食事を          続行できた」
       医師「これこそ、外相を整えるということ」
        A 「疲れやすい1日だった。けれども、木彫り作業を終えたし、卓球に          もちゃんと参加できた。不安発作は1回も起きなかった」
医師「これが大切。不安発作のあるなしではなく、やるべきことをちゃん          とやれたことで1日を評価しましょう」
●作業に没頭し「忘れる」
    「昨年12月に通院治療も終わったAさんは「作業に没頭していると、不安を忘     れる。そのことを体で理解できました。今でも時には軽い不安感に襲われるけ     れど、冷静に対処できます」
同病院のパニック障害の入院患者156人に対する森田療法による改善率は      77%。中村医長は「広場恐怖が強くて治りにくい患者は入院療法の方が適し     ていますが、外来だけで治る患者もいます」と語る。
民間団体もあり、同療法の自主学習を行う「生活の発見会03-3947-1011」は     全国約150ヶ所で毎月集まりを開いている。
海外では、中国で10年前に学会が出来、欧米ではガン患者の心理療法など     にも取り入れられている。
   ■専用の機器を使ってリラックス
       ●生体現象を自己制御
    「広島市民病院精神科では、4年前からパニック障害の治療に専用の機器を使っ     た「バイオフィードバック」という手法を取り入れている。記者も少しだけ体     験させてもらった。
イスにゆったりと座り、右手中指の先端に、皮膚温センサーを張り付ける。     目の前のモニター画面では皮膚温を表す棒線が、時間と共に左から右へゆっく     りと移動している。「では、画面を見ながら、皮膚温を上げてみて下さい」と、     同科臨床心理士の志和資郎主任技師。「よし」とばかりに、左手中指に意識を     集中させる。すると、思いとは裏腹に棒線がぐんぐんと下がってしまった。
「では、皮膚温を上げようと考えずに、ただ、ジッと棒線を見て下さい」とアド     バイスされ、その通りにすると、棒線は今度はゆっくりと上がっていった。
バイフィードバックは、人間が普通把握できない生体現象を、画像や音など     の外部情報に変換し、それを手掛かりに生体現象を自分でコントロールしよう     とする手法。
      同病院では、実際は皮膚温と同時に患者の額と肩に電極を付け、筋電図も画     面に表示する。皮膚温が高いほど、また筋電図の値が小さいほど、リラックス     の度合いは大きい。緊張すると逆の結果が出る。
佐々木高伸・精神科主任部長は「パニック障害は重症になると、外出出来な     いなどの広場恐怖が強まり、薬への依存傾向が現れる。薬物療法が基本とはい     え、出来れば薬を抜くことをゴールとしたい。そのためには、セルフコントロ     ールが大きな役割を持つ」と語る。
佐々木部長によると、不安発作や恐怖感は、駕籠の緊張状態が日常的に続い     ている方が起こりやすい。そこで患者がバイオフィードバック療法を繰り返す     うち、どうしたら体をリラックスさせられるかを、頭ではなく、体で会得する     ことが出来る。
記者の場合はアドバイスをもらったが、実際は「自分でその感覚をつかんで     もらうことが大切なので、何も言わないことが多い」(志和技師)
●自宅で自立訓練法実践
    「パニック障害で外出出来ない30歳代の主婦は、ある循環器科で坑不安薬を処     方され、大きな発作は消えた。しかし、軽い動悸やめまいは続き、1人で買い     物にも行けない。次第に不安・恐怖の症状が強くなり、薬も決められた量以上     に飲むなど、依存傾向が出てきた。
同病院は、薬物療法で発作を完全に抑えたうえで、バオフィードバック療法     を10回程度行い、自宅では「自律訓練法」を指導した。これは、「腕が重たい」    「足が温かい」といった言葉を心の中で繰り返し唱え、その通りの感覚を実際に     得ることで、リラックスした状態を身につける方法だ。
この主婦は、斯うした方法を覚えた後で行動療法を受けた結果、治療開始か     ら半年後には外出が可能になり、11ヶ月後には薬もいらなくなった。
ただし、バイフィードバック療法を本格的に行うには、数100万円以上の紫     金が必要になる。しかも現状では、それに見合うだけの保健点数が算定出来な     い。こうした理由から、医療機関になかなか普及していない。1999.3.26《読売     新聞》
   ■発作再発し、自身失いウツ病へ
 「むなしさが心の中で風船のように膨らんで、針で刺すと、パチンと弾けて気が     変になりそう。そんな感じでした」
東京都内の主婦Aさん(42)は昨年夏の気分をこう語る。
     初めてパニック発作が起きたのは1989年。都内の劇場で芝居を見ていて急に     息苦しくなり、「死ぬのでは」と。強い恐怖感に襲われた。救急車で病院に運     ばれたが、検査結果は異常なし。それからはスーパーや銀行へ行くのも怖くな     った。
幾つかの医療機関を“はしご”した後、翌年、大学病院の精神科で不安神経     症と診断された。薬を飲むと発作は起きなくなったが、その薬も、1年後には     飲むのを勝手に止めていた。
相変わらず小さな不安は消えず、電車に乗れないため、好きな旅行もあきら     めていた。「外で体を動かした方がいい」と始めたテニスに熱中し、毎日のよ     うにコートに足を運んでいた。
●9年ぶりの息苦しさ
    「昨年7月、コートでサーブを打った時、めまいがした。それから再び、息苦し     くなる発作やめまいに襲われるようになった。「また9年前の自分に戻ってし     まったの?」真っ暗なトンネルに入ってしまったような気がした。
それからは、あれほど好きだったテニスに熱中出来なくなった。プレーして     いても面白くなく、むなしい。家では食事を作るのもつまらなく、大好きだっ     たテレビドラマも見る気がしない。夜中に何度も目が醒め、胸騒ぎがして嫌な     気分になる。
帝京大市原病院(千葉県市原市)の竹内龍雄・精神神経科教授の診察を受け     たのは、9月のことだった。
竹内教授によると、パニック障害は慢性化すると、ウツ状態やウツ病を合併     することが多く、過去の例をみると、3割程度。合併の仕方には、              ①両方の症状が重なって現れる。
         ②次第にウツ病へ移行していく
         ③パニック障害の症状が消え、別の時期に独立したウツ病が現れる
などの型がある。
     Aさんの例は複雑だが、強いて分類すれば、広場恐怖を伴うパニック障害に、     ウツ状態が重なった①タイプ。「度重なるパニック発作に自信を失い、意気消     沈して2次的なウツ状態になってしまう。こういう例が一番多い」と説明する。
パニック障害はウツ病のほか、体のどこかが病気ではないかと常に心配にな     る『心気症』や、様々な出来事に過剰なまでに心配や不安を抱く『全般性不安     障害』を合併する例もある。
       ●強い坑ウツ薬で改善
    「Aさんは、毎食後の軽い坑ウツ薬、寝る前と朝に服用するベンゾジアゼピン系     坑不安薬を処方された。すると、診察日の翌朝から、息苦しさを伴う不安の方     は「ピタッ」と治まった。
ただ、まだ抑鬱状態が消えない。そこで次に処方されたのが、塩酸クロミプ     ラミンという三環系坑ウツ薬。夜だけ服用し、最初は1錠から始め、徐々に3     錠まで増やした。12月下旬頃から気持が前向きになり、テニスも楽しくなっ     てきた。今は事前に坑不安薬を飲めば電車にも乗れるまでに回復した。
このように、鬱病の合併例には効き目の強い坑ウツ薬を併用することが多い。     副作用がやや強いため、徐々に量を増やしていくことが大切だ。
竹内教授は「パニック障害に他の病気を合併すると、一般的に治りずらくな     る。ウツ症状が重い時は、行動療法もかえって逆効果。だからこそ、早い時期     に正しい診断を受け、薬で病の勢いを抑えることが重要です」と強調している。     
   ■規則正しい生活で
    「昭和大精神科の上島国利教授にパニック障害について聞きました。
      どんな病気ですか?
    「まず、強い恐怖感or不快感が起こり、その時に心臓がドキドキする、呼吸が     苦しくなる、めまいがするなどの症状が、突然に現れます。この症状は10分     以内にピークに達し、ほとんどは20分程度、長くても1時間で始まります。     この発作が繰り返し起こり、発作の後1ヶ月以上も、また発作が起こる心配を     することを、パニック障害と言います。
電車に乗れなくなったり、デパートなどの人混みに行けなくなったりする「広     場恐怖」を伴う事も少なくありません。
何か重大な病気ではないか、と心配になる人も多いようですが?
    「紛らわしい病気に、狭心症・心筋梗塞・甲状腺機能亢進・喘息発作などがあり、     こうした病気でないことを確認した上で、パニック障害と診断します。パニッ     ク障害が直接の引き金になって死ぬことはないので、その点は安心して下さい。
 どうしてそんな発作が起きるのでしょうか?
    「脳の『橋』と呼ばれる部分の背側にある『青斑核』という神経細胞の集まりが     異常興奮し、ノルアドレナリンという神経伝達物質が多く出る、というのが有     力な説です。セロトニンという神経伝達物質が関係しているという説もありま     すが、いずれにしても、この病気は今では、脳の中の生物的な反応が主な原因     で、従来、ノイローゼ(神経症)の際に問題とされた心の傷や性格などは主な     原因とは考えられていません。
治療法にはどんなものがありますか?
    「薬物療法が基本です。まず、副作用の少ないベンゾジアゼピン系坑不安薬を使     い、場合によっては、やや副作用が強い三環系坑ウツ薬も使います。広場恐怖     のある人には、行動療法も併用します。例えば電車に乗れない人には、「1駅     だけでもいいから乗る練習を」などと、団塊的に指導していくのです。
薬の依存性が心配で、服用をためらう患者もいるようですね。
    「確かに、坑不安薬には軽度の依存性があり、急に止めると不安感・手の震え・     発汗などの症状が出る「離脱症状」が出ることもあります。できれば、行動療     法なども合わせて様子を見ながら、徐々に薬の量を減らしていった方がいい。     しかし、医師の指導のもとで決められた量を飲み続けるなら問題はない、とい     う考えもあります。
欧米では、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という薬が治療       に使われているそうですが?
「この薬は副作用が少なく、専門医でなくても使いやすい点が長所です。日本で     も6月頃に発売される予定ですが、適応はうつ病と強迫性障害で、パニック障     害には保険適用されません。効果の方は、すでに日本で使われている坑ウツ薬     とあまりかわらないようです。
この病気を良く知らない医師も多いようですね。
    「私の所にも、正確な診断が受けられず、多くの医療機関や臨床の各科を転々と     してきた人は少なくありません。この病気は長引くと、広場恐怖がひどきなっ     たり、うつ病を併発したりして、患者のQOL(生命・生活の質)がきわめて     低下します。早い時期での正確な診断と治療が大切なだけに、医師への啓蒙は     大変重要な問題です。
患者が日頃心掛けた方が良いことを教えて下さい。
    「まずは規則正しい生活を送り、ストレスをなくすること。悪い方向に考えない     プラス思考も大事です。発作が起きた時でも、「絶対に死ぬ病気じゃない」「や     がて発作は消え、やり過ごせる」と思うことです。カフェインは発作を誘発す     るという報告があるので、コーヒーは飲み過ぎない方がいいでしょう。
   ■励まし合い自信回復
    「20年前からパニック障害に悩まされてきた愛知県半田市の主婦掘久仁子さん     (45)は、昨年5月、名古屋市で開かれた「アゴラ会」に初めて出席した。
アゴラ会は、なごやメンタルクリニックの貝谷宣院長のアドバイスで、会社     員大野恵美子さん(41)ら患者数人が96年10月に作ったパニック障害の患者      会。「アゴラ」は古代ギリシャ語の広場の意味で、パニック障害のため外出が     出来なくなる広場恐怖(アゴラフォピア)から取った。
会合で、掘さんは、大野さんから「同じ半田市に、家から一歩も出られない     人がいるんだけど、あなたの連絡先、教えてもいい?」と話しかけられた。そ     れが伊藤優子さん(35)と知り合うきっかけだった。
もともと過敏性腸症候群だった伊藤さんは、6年前に不安発作が出て以来、     広場恐怖のため会社も辞め、自宅近くのゴミ収集所にも行けない状態だった。
伊藤さんからその日の内に電話を受けた掘さんは、2週間後車で5分の伊藤     さん宅を訪れた。掘さんは、広場恐怖のため電車には乗れないが、自動車の運     転は怖くない。
「デパートでは、入り口近くより奥の方が息苦しく、上の階へ行くほど怖くなる。     患者でないと分からないそんあ悩みや苦労を、じっくりと語り合えた。初対面     なのに10年来の友達のような気がしました」。掘さんと伊藤さんは、こう振り     返る。
以来、2人は一緒に行動する。昨年6月末、伊藤さんは、掘さん運転の車で     貝谷院長のクリニックを初めて訪れた。その後、薬の効果もあって、徐々に良     くなっていった。
2人は、貝谷院長が同年9月に企画した「JR、地下鉄、バスに乗る会」への     参加を決めた。この会は、広場恐怖を克服するため、患者数人で励まし合いな     がら電車に乗る、グループでの行動療法だ。
      これに先立ち、堀さんは娘に付き添われ、20年ぶりに乗り物に乗った。伊     藤さんはこれを聞き、「私も頑張らなくちゃ」と発奮、母親と一緒に電車に乗     った。
2人とも“予行練習”を済まし、9月の「本番」では、JR、地下鉄、バスを     計30分余り、途中下車せずに乗ることが出来た。それからは2人だけで各駅     の電車に乗り、最初は手をつなぎ、次は隣の車両に離れてと、少しずつ練習を     重ねていった。
20年ぶりに温泉旅行
    「今では2人とも「混雑していなければ、長時間でも電車に乗れる自信はある」     と言えるまでになった。堀さんは先月、新幹線に乗って20年ぶりに夫婦で温     泉旅行に行ったほど。「会のみんなのおかげで、世界が広がりました」と喜ぶ。
アゴラ会は、年4回の会報発行や会合の開催、「乗る会」の実施など活動の     中心だが、2人のように、会で知り合った少人数で、励まし合って行動療法を     行う患者も少なくない。
会の窓口を務める大野さんは「難関をクリアした仲間の話をじかに聞いて、     “自分にも出来るはず”と思える。それが会のいいところです」と語り、「診     察後に、近くの喫茶店でみんなでお喋りするのも楽しいんですよ」と付け加え     る。
九州・中国地方にも支部
    「アゴラ会には九州支部や中国支部もある。また、東京に本部を置く「日本パニ     ック障害の会」連絡先・林田春次広報委員長(03-3890-7900)には、熊本支部     もある。関西方面では、「なかま」という患者会が活動している。
孤独になりがちなパニック障害の患者にとって、患者会は、専門医の存在と     同じくらい大きな意味を持つようだ。
■無理解が患者苦しめる
「千葉県八日市場市の主婦Aさん(46)は、15年来のパニック障害患者。今でも突然、動悸・めまいなどのパニック発作が起き、電車にも乗れない。
めまいに襲われてうずくまっていると、夫は「めまいが何だ。それで死ぬのか」。働くことも出来ないAさんに、夫は「自分1人で働いて大変」「会社でもいろいろお前の(病気の)ことを言われる」と責め、慰めの言葉もない。
Aさんは「だれも好きでこんな病気になったわけじゃないのに」「理解されない病気って本当につらい」とつづっている。
パニック発作が原因で仕事を辞め、婚約が破棄になった兵庫県の女性Bさん(28)は、親から「婚約破棄して近所に顔向けできん」「薬に頼りすぎ。みんな自分で頑張ってるんやから」「やろうと思えば何でも出来る。気しだいや」などと言われ、一時は“死”も考えたという。
これに対し、神奈川県の主婦は、最初は冷たかった夫が「8年でやっと理解してくれ、一緒に記事も読みました」。昨年秋から精神科に通い、今は発作が出なくなった。「治すには、自分自身のかんばりと、お医師さんお治療、そして何よりも周りの理解が必要」と強調する。
別の女性も、記事を見た実家の母から「こんな病気だったのね」と言われ、周囲の理解を「何よりの薬」と書いている。
心の病に苦しむ人に「がんばれ」「気持ちの持ちよう」などの言葉は禁句。本人の頑張りだけでは治らない場合もあるということを、家族など周囲の人が理解することが大切だ。
一方、「もっと精神面やストレスの問題も取り上げてほしかった」という声も寄せられた。
取材した中には、パニック発作をよく起こす人で、親子関係の問題など過去の心の傷を抱かえていたり、様々なストレスに悩まされていたりというケースが、いくつかあった。
Bさんもその1人だが、医師に丁寧なカウンセリングを受けたことで症状が改善され、両親も今は協力的になったという。
帝京大市原病院精神神経科の竹内龍雄教授は「つらい体験やストレスなど心理的・環境的な問題が、パニック障害の『発病』にどう影響するかは、まだ明らかになっていない。しかし、発病後に長引いたり重症化したりといった『経過』に与える影響は大きい」と語る。
ただ、パニック障害に似通った症状があっても、別の心の病の場合があり、竹内教授も「問い合わせのうち半数が、うつ病など別の病気と思われるものだった」と言う。やはり専門家に診てもらうことが必要だ。
「日本パニック障害の会」広報担当の林田春次さん(73)の自宅には、連載で紹介後、全国から連日電話が殺到、すでに500人以上に応対した。「電話口で泣き出す女性も結構いましてね。人知れず悩んでいる人がいかに多いか、改めて認識しました」と林口さん。この病気への国民の理解が、さらに広がることを個体したい。
◎具体例:
「Bさんは、建設会社の現場監督をしている27歳の男性で、工業高校を卒業して会社に勤めながら私立大学の夜間部を卒業しました。
始めての発作は大学4年の時、昼の仕事を終え地下鉄に乗って大学へいくつ中でした。突然訳もなく不安感に襲われ、心臓がドキドキして足がふるえだしましたが、我慢して大学にたどり着いたのです。この発作がでたのは会社の残業が続き、しかも就職試験で神経をすり減らしている時期でした。
この発作のあとで建設会社に就職が決まり、しばらくは何事もなく平穏な生活が続きましたが、25歳の時、また発作がやってきました。新しい建築現場で夜遅くまで仕事をし、車を運転して帰宅する途中のことでした。
インターチェンジから高速道路に入り加速を始めたところ、車のスピードがいつもより速く感じられ、急に恐怖感が湧いてきました。スピードを上げていくと高速道路沿いの照明灯が飛ぶように後ろに走り、クラクラとめまいがします、これは危険だ、スピードを落とさなければと速度計を見ると、時速65kmそこそこのスピードしか出ていません。
後続車が追いかけてくる、スピードを上げなければ、でも怖くてこれ以上スピードを上げられない! 頭が混乱し、恐怖感と共に心臓の響きが頭までドクンドクンと伝わり、顔が熱くなってきました。胸の圧迫感とともにハンドルを握る手は汗でべっとりし、下半身は麻痺したようになってアクセルを踏む足に力が入りません。
やっとの思いで路肩に車を持っていきノロノロと走りましたが、その間も、心臓の動悸と胸の圧迫感は消えませんでした。ようやく次のインターを出ると、会社に電話をして迎えに来てもらい、その日は、すぐ帰宅してぬるま湯に入ると神経が休まり寝ることが出来ました。
また発作が起きたのは、それから3日後で、建築資材を積んだトラックの助手席に乗り、ラッシュアワーの一般道を走っている時でした。信号で車が止まり、前後左右に車がきっしり詰まっているのを見て「これはマズイな」と思った瞬間、いきなり発作が襲い、「助けてくれ!」と叫びそうになりましたが、運転手に気が引けてぐっと我慢しました。すると、自分の魂がスッと抜けていくようで、急に現実感が薄れてきました。もう1人の自分が別なところにいて、心臓がドキドキしている自分を見つめているのです。信号が青になり車が動き出すと、動悸は少し治まり、気分も正常になってきました--------。
Bさんはそれまで自分を逆境に強く明るい努力家だと思っていましたが、このような経験をしてからは急に気が小さくなり、夜、家に1人で入りのが不安になり、またホラー映画やテレビは全く見ることが出来なくなりました。恐ろしい場面を見ると、また発作が起こるのではないかという恐れがあるからです。
それからBさんの発作は、時と場所を選ばず起こるようになりました。発作の恐怖のため運転することが出来なくなり、会社に事情を話して内金の仕事に変わりましたが、それでも発作は週に数回は起こりました。
慣れない仕事のせいか頭がテキパキと働かず、根気も以前のように続かなくなり、夕方になると疲れてグッタリしてしまいます。そして、自分はダメ人間だ、いまにクビになってしまうと職場でも家でもクヨクヨと考えるようになりました。朝、目が覚めても頭がすっきりせず、職場に行っても人と話すのがおっくうで、仕事でもプライベートの生活においても興味が全く湧きません。いつも意識の底に発作の不安があります。
とうとう職場の上司が見かねて、Bさんを病院につれていきました。そこで鬱病と診断され、1ヶ月の休養を命じられ、薬をもらいました。薬を飲み始めると気分が楽になりましたが、意識の底にある不安はとれません。それはまだ、発作が週に1回はあったからです。
これはどうもおかしいとBさんは思いました。そして書店で不安に関する本を探し回り、パニック障害という病気が自分の症状にピッタリだと知りました。そこで彼は、パニック障害の専門医がいるクリニックを訪れ診察を受けることにしたのです。
●診断
Bさんは、突然、地下鉄の中で発作症状を体験しました。この発作は動悸・体のふるえ・腹部不快感の3症状でしたからDSM-Ⅳのパニック発作の診断基準を満たすものではなく、不全発作、又は小発作ともいうべきものでした。これが前駆症状となり、その後、Bさんは本格的なパニック発作に見舞われました。
第1回目のパニック発作は、めまい・心悸亢進・発汗・胸部圧迫感の5つの症状があり、第2回目の発作では、心悸亢進・ふるえ・現実喪失・死の恐怖の4つの症状からなっていました。その後、予期不安が出てくると共に、恐ろしいテレビ番組は一切見ないと言った行動パターンの変化が見られました。
広場恐怖(乗り物恐怖症)が病気の表面を覆うようになると、Bさんの日常生活は大きな支障をきたすようになり、さらに、鬱状態が重なり、ついには休職に至った訳です。Bさんに対する診断は、広場恐怖を伴うパニック障害と鬱病です。
●治療経過
Bさんは、作用時間の長いベンゾジアゼピン系の抗不安薬tイミプラミンという抗鬱薬(1日量10mg)の投与を始めました。
3日もするとBさんの不安感は霧を払うようになくなりましたが、ひどく眠たがり、1日中ウトウトする日もありました。これは薬のせいで、前もって話しておけば不安に思うことはありません。また、パニック障害とともにある鬱病は、空になりかけたバッテリーを充電するように、十分な休養をとりゆっくりと治すことが必要であると指示しました。
意味プランの量を少しずつ増やし、1ヶ月後には1日量を75mgにしました。その頃になると発作は全く起こらず、気分が少し前向きになり、外出も出来るようになりましたが、まだ地下鉄に乗ったり車を運転したちする気にはなれません。Bさんのパニック発作・予期不安・うつ状態は薬物療法でかなり改善しましたが、乗り物恐怖症(広場恐怖)は残っています。そこで、行動療法を始めました。
行動重宝では、患者さんがドン《朝日新聞》場面でどのくらい不安を感じるかを評価するために、まず臨床心理士が患者さんの話を聞いて以下のような「不安階層表」を作って分析し、患者個々人に適した治療プログラムを組み立てます。
(段階) (不安状況)          (不安度)
1 1人で高速道路を運転する             100点
 2  助手を乗せて高速道路を運転する        90点
 3  一般道の渋滞やラッシュ時に1人で運転する     80点
 4  一般度婦の渋滞やラッシュ時に助手を乗せて運転する 70点
 5 空いた一般道を1人で運転する 60点
 6  空いた一般道を助手を乗せて運転する 50点
 7  地下鉄に同僚とともに乗る 40点
 8  地下鉄に1人で乗る 30点
 9  JRに乗る 20点
10  バスに乗る 10点
実際の治療プログラムはいろいろあり、基本的な方法は、不安階層表に基づいて2週間に1度の割合で、患者さんと約1時間の面談をし、不安を感じないでいられる態度や行動を患者さん自身が段階的に獲得できるようにすることです。
Bさんの乗り物恐怖症をちゅうしんとした不安階層表を分析した結果、行動療法として通常行われる『自立訓練法』よりも、α波を使う『光フィードバック療法』が適していることが分かりました。α波(毎秒8~12ヘルツ)は安静・閉眼時に後頭部を中心に増加する脳波で、リラックス状態を招きます。
最近考案された光フィードバック装置は、患者さんが特別な努力を払うことなしにα波の発生を助長します。これは特定の周波数を持つ光で点滅刺激をすると、その周波数と等しい脳波が出現するという生理的な機能を利用したものです。
Bさんは、まず好きな音楽をボデイソニックで聴きながら、自分のα波と同じ光の点滅刺激を受けます。15分~20分すると、モニターで心拍数・皮膚温度・α波の量を調べ、完全にリラックスしていることを確かめてから、不安階層表にある最も不安度の低い状況を思い浮かべます。
これがリラックスしたままで出来れば、日を替えて、次に不安度の高い状況をリラックスしたまま思い浮かべるようにします。このようにして、最も不安度の高い状況まで、すべての段階を1つひとつ体験しし不安の無いことを確かめていくと、乗り物恐怖症は無くなっていきます。
このよいうな治療の結果、Bさんは無事職場へ復帰しました。」(貝谷久宣著「脳内不安物質」)
■まだ残る医師の理解不足
1.急に、動悸が激しくなった。
2.息も苦しい。
3.どうしたんだろう?このまま死んでしまうんじゃないのか? 
4.わき上がる強い不安。他のことは考えられない。
5.何の前触れもなく発作に襲われるパニック障害。
6.外出することが恐怖になる。
「病院で「何も問題はない」「ただの過労」と言われ、適切な治療を受けられずに苦しみ続ける患者はまだ少なくない。
「大人になりきれない子どものようなもの。あなたのその性格を変えないと、一生治りませんね」
もう数年たつのに、東京都内のレストランで働くTさん(24)は、大病院の心理科で言われた言葉が忘れられない。
最初の発作は高校時代。電車の中で突然、息が出来なくなった。その際に受けた内科の診断は「特に異常はありません」。でも発作はおさまらない。心療内科医のもとに通って改善しなかった。
ようやく巡り会った専門医の診断は、脳の神経活動の異常が原因のパニック障害。いま、発作や不安を抑える薬を飲み、普通に生活を送る。
心と脳の働きは密接にかかわっている。「心理科なら専門分野のはずなのに、あの人(医師)は何も分かっていなかった」とTさんは振り返る。
発作が起こる詳しいメカニズムは分かっていない。脳の中で神経伝達物質が過剰に分泌されるという考えが有力だが、はっきしていない。
発作は普通、1時間ほどでおさまる。病院に着いたときには消えていることも多い。心電図などで調べても異常が見つからず、「問題は無い」との診断が繰り返される。発作の様子を訴える患者に、じっくり耳を傾け、的確に対応できる医師が少ない。
■環境も
「パニック障害になると動悸・発汗・ふるえ・息苦しさなどの自律神経症状が突然起こって「死ぬのではないか?」「精神的に変になってしまうのではないか?」という強い不安に襲われる。救急外来を受診する人も少なくない。
ただ、症状は10分ぐらいで頂点に達し、30分もすると治まってしまう。救急外来受診時には症状が消えていて、検査をしても異常が見つからない。だから、適切な治療を受けられないままになっている人も多い。発作の際の恐怖があまりにも強いので、外に出たり、人混みの中に入って出来なくなってしまう。
パニック障害にかかっている人は1~2%とされ、決して少なくない。キッカケとしては、精神的ストレスや肉体的疲労、カフェインを多く含む飲料の多飲などがあげられる。(大野裕・慶応義塾大学保健管理センター)2002.11.5《日本経済新聞》
■不安の悪循環
「パニック発作では、今にも死んでしまうのではないかと思うような強い恐怖感を体験する。恐怖があまりにも強いと、また起こるのではないかと心配になる。混雑した場所や電車を避けたり、外に出るのが不安になって閉じこもりがちになって『広場恐怖』と診断される。
そうすると皮肉なことに不安がますます強くなります。それは、危険に直面ししているのに自分自身がそれに対処できず、しかも、周りからサポートされないという判断から生まれる。
不安な状況を避けると一時的には楽になるが、それが本当に危険かどうか判断する材料が得られない。そのうえ、自分の力ではどうすることも出来なかったという無力感だけが残り、いざというときに周りから助けてもらえるかどうかも分からない。結局は、ハッキリしたことが分からないままの曖昧な状況が続く。そのためにますます不安が強まる。
【組み合わせ】
    
    苓桂朮甘湯SQUALENE
    苓桂朮甘湯半夏厚朴湯SQUALENE
    苓桂朮甘湯抑肝散加陳皮半夏湯SQUALENE
  【処方名-五十音順】
    黄連阿膠湯
 加味帰脾湯
    帰脾湯
    交泰丸
    黒帰脾湯
    柴胡加竜骨牡蛎湯
    柴胡桂枝湯
    柴胡清肝湯
    柴朴湯
    酸棗仁湯
    四物湯
    天王補心丹 
    女神散
    茯苓飲合半夏厚朴湯
    養心湯
    苓桂朮甘湯
   原因についての仮説:
    ノルアドレナリンが何らかの原因で脳内に大量に放出されて起きるとする説:
①久留米大学医学部薬理学教室の田中正敏教授によれば、実験動物のラットの1匹に電気ショックをかけ、ショック状態を診て不安・恐怖状態になった別のラットの脳内アドレナリンの状態を調べてると、青斑核や視床下部でノルアドレナリンの活性が明らかに高まっていた。
②ヨヒンビンは脳内においてノルアドレナリン性神経細胞の受容体に作用してパニック発作を引き起こす。
セロトニンの放出が促進されて起きるとする説:
    コレシストキニンが関連するとする説:(参照→気質)
パニック発作を誘発する物質:(五十音順)
イソプロテノール(喘息薬)
エストロゲン(ピルに含有)
      カフェイン
コカイン
      炭酸ガス
      乳酸
ヒロポン
フェンフルラミン(食欲抑制剤)
プロゲステロン(皮下に埋め込む避妊薬)
β-カルボリン誘導体
メタークロロフェニールピペラジン(m-CPP)
ヨヒンビン
   治療:
     ベンゾジアゼピン系抗不安薬:
       ①特徴:即効性・依存性がある。
②種類:
     三環系抗鬱薬:
       ①特徴:効き目が遅い。依存性がない。
②種類:
 「イミプラミン」:乳酸に対する過敏性を緩和します。



 バベシア症
■マダニ
「動物衛生所は、まだにが媒介する病原体の繁殖を自分の体内で抑える仕組みを解明した。イヌなどの動物から吸った血を分解する酵素が、病原体が増えるのを抑えていた。
マダニは貧血や発熱などの症状を引き起こす『バベシア症』の原因となる原虫を媒介するが、中腸(十二指腸遠位部から下行結腸起始部まで)内でタンパク質を分解する『ロンギパイン』という酵素が原虫の増殖を抑えていた。
試験管に入れたバベシア原虫のロンギパインを加えると数日で死滅した。また、ロンギパインを持たないマダニがバベシア原虫を体内に取り込むと、体内で原虫が増殖してマダニの成長が遅れる事も確認した。
バベシア症は原虫が動物の赤血球に寄生して、赤血球が減少するために起こる。牛など家畜が発症することが多い。」




 バリックス varix
(参照→「静脈瘤」「下肢静脈瘤」「深部静脈血栓症」)
   ⇒「下肢静脈瘤」
   ◎できる仕組み。
     「静脈は、おもに筋肉の圧迫や胸腔内の陰圧を用いて、血液を心臓に環流して     いる。しかし、動脈と違って血流が緩慢で、停滞を起こしやすく、血流量の増     加による静脈内圧の上昇、弁の障害、静脈壁の損傷や血栓などにより逆流や乱     流を生じ、静脈瘤が出来る。
     <1>下肢静脈や骨盤内静脈では血栓形成によって生じ、血栓が剥がれて肺まで       到達すると、肺血管の血流を妨げ「肺塞栓症」となる。
     <2>肝硬変などにより門脈圧の亢進を生じると、側副血行として「食道静脈瘤」       や「痔核」を生じる。
  【処方名-五十音順】
    越婢加朮湯
    血府逐湯
    疎経活血湯
    大黄虫丸
    桃核承気湯




 バリント症候群
=脳の楔前部(けつぜんぶ)に障害がある人。
ここに障害があると、見ている物体は分かるが、それぞれの位置関係が分からない。
左手に持つカップと右手のスプーンは認識できても、カップにスプーンを入れてかき混ぜることができない。



 バルトリン腺炎 Bartholinitis
   ⇒大陰唇の下方Òが発赤腫脹し、膣の入り口は狭まられ、自発痛・触れると激痛・    歩行困難となる。
  【処方名-五十音順】
    帰脾湯
    大黄牡丹皮湯
    土瓜根散
    桃核承気湯
    補中益気湯
    苡附子敗醤散 
    竜胆瀉肝湯



 

バンコマイシン耐性腸球菌⇒(参照→「VRE」)
■広域感染のおそれ
「北九州市の小倉到津病院(小倉北区)で、ほとんどの抗生物質が効かないバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)が国内最多の計30人の患者から検出された問題で、同市は5日、1999年の同市立八幡病院(八幡東区)の入院患者6人から検出された同菌を遺伝子解析した結果、小倉到津病院の患者の菌と遺伝子的に一致する部分があった。と発表した。感染の起点はいずれの病院か不明だが、1医療施設内の院内感染にとどまらず、他の医療機関など広域に広がった広域感染である可能性がでてきた」2002.7.5《日本経済新聞》
■ナノ粒子で
「2009年、城武晃一・横浜市立大学准教授らは肺炎の治療で耐性菌の発生を防ぐ新しい技術を開発した。微粒子で耐性菌の細胞壁を壊して菌の発生を防ぐ。細菌などは細胞の外側に新しい細胞壁を作って成長していく。開発した微粒子は細胞壁面にからみつくように吸着し、細胞壁を作るのをジャマする。細胞壁が薄くなると内圧で壊れて菌は成長できない。
城武准教授は手術の細に使う接着剤の成分である『ポリシアノアクレート』や糖、多糖などから毛玉のような形状の微粒子を試作。
VREやメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、肺炎球菌などに投与する試験管内の実験では3時間後には菌が死んでしまう溶菌が始まった。既存の抗菌剤を投与した場合と同程度の効果があった。」



 ハンセン氏病
→「サリドマイド」
■潜伏期が長い
「2010年、ハンセン病は乳幼児期に感染して長い潜伏期の後に発症することを、国立感染症研究所ハンセン病研究センターのスズキ幸一室長らがチンパンジーで突き止めた。
このチンパンジーは三和化学研究所チンパンジーサンクチュアリ・宇土で暮らす推定32歳のメス「ハルナ」。アフリカ西部のシエラレオネで生まれで1980年に日本に輸入され、肝炎研究の実験に使われた。2000年に実験から解放され、余生を送っている。
昨年1月に顔が腫れてブツブツした結節ができ、ハンセン病の症状と疑ったサンクチュアリの獣医師、鵜殿俊史さんが皮膚を採取して同研究センターに検査を依頼し、ハンセン病と確認した。
昨年6月から1年間、治療薬をジュースに混ぜて投与され、完治した。



 ハンタウイルス hantaviruses
「ハンターウイルス」
=大きさは、1/20000mmの丸い形をしている。現在、効果的な治療法はない。
「ハツカネズミ・クマネズミ・ハタネズミによって媒介され、それらの糞・尿、唾液で汚染された空気をヒトが吸うと感染する。これらのウイルスのうち最初(1976年)に分離されたのは、朝鮮戦争中に連合軍に広がり、韓国出血熱という出血性の病気を起こし、米軍の2500人が感染しその10%前後が死亡した。韓国のハンガ(漢江)にちなんでハンターンウイルスと命名された。
◎タイプ:
<1>ハンター
<2>ソウル
<3>プーマラ
   ◎1993年5月。ナバホの若い女性が最初の被害者。その症状は、肺に体液が溢れ    て肺水腫になって、おぼれて死ぬ。すなわち、呼吸困難となる。ハンタウイルス    が肺で増殖して肺の血管から水があふれ出るので、レントゲン写真を見ると、肺    が真っ白になっている。
    「シカネズミが媒介する。エルニーニョ現象で大量の雨が降り、たくさんの樹木    に実がついて、それをエサにするシカネズミが大量発生し、その結果、普段なら    森の中にしかいないシカネズミが人家に入り込み、シカネズミを媒介とするハン    タウイルスが空気中に舞い上がり、それを人間が吸い込んで、人体へウイルスが    侵入することになった。」『ハンタウイルス肺症候群』
   ◎セスジネズミを媒介するのは、腎臓で増殖する。『腎症候性出血熱』
◎1996年、アルゼンチンで広がったウイルスは、人から人へ感染した。アンデスウイルスと呼ばれることになった。
◎1993年、アメリカ南西部フォーコーナーズ地域を中心に発生し53人の患者のうち32人が死亡した。致死率がハンターンウイルスの10倍以上もある、このウイルスは北米の森林のいたるところに生息するシロアシハツカネズミの体内を何年となく生き続け、ときどきヒトに感染するらしい。この病気はハンタウイルス肺症候群と呼ばれているが、アメリカでは1994年末までに99人の患者と51人の死亡が確認されている。」
■呼吸困難
「米疾病対策センター(CDC)の研究者らは、ネズミが媒介し、重症な場合には呼吸困難に陥って死亡する『ハンタウイルス感染症』が人間から人間へ直接感染した可能性のある最初の例がアルゼンチンで見つかった発表した。
今後さらに詳しく追跡調査する方針だが、最終的に感染が確認されれば、各国の厚生担当者や防疫関係者に大きな衝撃を与えそうだ。
CDCによれば、アルゼンチン南部の3つの町で昨年の9月~12月までにハンタウイルス感染症に罹り、11人が死亡した。 感染ルートを調べたところ、最初に感染した41才の男性に続いてその男性の母親や主治医、主治医の妻が感染、続いてこの妻を診察した遠隔地の医師らが次々と感染したことが判明した。最初の感染源はネズミが媒介したと見られるが、その後はネズミが関係した形跡は全くなく、人間を通じて感染が広まった可能性が強まったと推測した。<BR>米国では93年以来、162人がこのウイルスに感染、76人が死亡。日本でも70年代半ばから80年にかけて、全国の大学の実験施設の動物が汚染され、研究者が死亡するなど大きな問題になった。


 ハンター症候群
■韓国で遺伝子治療
「酵素の一種が不足して発症する。重症になると身長が著しく低くなったり、寿命が短くなったりする。
1996年に発足したパイロメット(ソウル)がソウル大の金善栄教授とが中心となって遺伝子里長の臨床試験を開始する。」2002.10.8《日経産業新聞》


 ハンチントン病 Huntington's disease
=舞踏病の一種。
   =遺伝性の神経変性疾患。(→トリプレットリピート病)
   ◎第四染色体にあるグルタミン酸というアミノ酸の塩基配列が発症のカギを握って    いる。通常はグルタミンの塩基配列が10~35回(平均17回)に留まっていが、37    回を超えると変異したタンパク質が作られて病気を起こす。そのため、神経細胞    に変異したタンパク質が凝集して細胞死(アポトーシス)を促すと考えられてい     る。
   ■治療法開発に道。
    「新潟大学脳研究所の辻省次教授らは、ハンチントン病や脊髄小脳失調症など脳     神経系の難病の治療法開発に道を開く手法を見いだした。病気の原因と考えら     れているタンパク質の異常を抑制する実験に成功した。動物実験で更に効果を     確認して治療法の開発に結びつける考えだ。
ハンチントン病などはある一定の年齢に達すると脳内の神経細胞が大量に死     んでしまい、痴呆などを引き起こす。[ポリグルタミン]というタンパク質が細     胞内にたくさん出来、これが酵素の働きで固まってしまうことが細胞死の原因     と考えられている。
辻教授はタンパク質が固まる異常が起きるのを防ぐため、酵素の働きを抑え     る薬(阻害剤)を作った。異常が起きるように遺伝子組み換えをした猿の腎臓細     胞にこの薬を投与したところ、30~60%の細胞が死なずに残ったという。
遺伝子の異常で起きる脳神経系の難病はこれまで約10種類見つかっており、     治療は対症療法しかなく致死率が高い。遺伝性があり、世代を経るにつれて発     症年齢が若年化する特徴もあるという。」 1998.2.7《日本経済新聞》
■仕組み解明
「新潟大学と筑波大学の共同チームは物事を認識する能力が低下したり、手足を思うように動かせなくなるハンンチントン病などの遺伝性の神経難病のメカニズムを解明した。神経細胞に異常なタンパク質が出来て、記憶などに維持に関係している遺伝子の働きを失わせることが分かった。マウスの細胞を使った実験で確認した。共同チームは遺伝子の働きを正常に戻す薬剤などが開発できれば、こうした難病を治療できるのではないかと期待している。
ハンチントン病は遺伝性疾患で、35~50歳で発病することが多い。日本では100万人に5~6人という珍しい病気だが、白人では10万人に4~10人の割合で発病する。脳内の神経細胞が死んで、重い痴呆症状などに悩む。これまで細胞が死滅するのは、細胞内に出来たポリグルタミンというタンパク質が酵素の働きで固まるためと考えられていた。
共同チームがマウスの神経細胞に出来たポリグルタミンの働きを調べたところ、細胞の核にあるデオキシリボ核酸(DNA)の情報を読みとって、タンパク質を作る転写因子の働きを阻害していることが分かった。これにより、細胞は生きるために必要なタンパク質を作ることが出来なくなり、死滅していた。
さらに、転写因子が働かない細胞に、外部から正常な転写因子を補ったところ、細胞死が防げたという。新潟大医学部の辻省次教授は「難病を治療できる可能性が見えた」と期待する。
患者の神経細胞に転写因子の遺伝子を注入したり、転写因子の働きを活発にする薬を開発したりすれば、病気を治せるかもしれないと言う。」2000.6.28《日本経済新聞》
   ■ハンチントン病の新人選手?
ハンチントン病(HD)は遺伝性の進行性脳疾患で、西側諸国では患者は何千人にも上、現在のところ効果的な治療法はない。HDはハンチントン遺伝子の変異が原因で、問題の変異ハンチントンタンパク質(Htt)は凝集を起こしやすい。Httの凝集とHDの発症には関連があるが、これがニューロンの消失の実質的原因かどうか、いまだに結論はでていない。
米国のノートルダム大学のCrislyn D'Souza-Schoreyたちが今回、アーファプチン 2 (arfaptin)というタンパク質によってHtt凝集が制御されるしくみを明らかにオた。つまりアーファプチン2はHDの発症に重要な役割を果たしている可能性があり、 HDの治療を行う上で効果的な標的になるかもしれない。
D'Souza-Schoreyたちは、培養細胞でアーファプチンを発現させると、Httタンパク質とアーファプチン2タンパク質を含んだ凝集物が形成されることを明らかにした。C末端を欠失させたアーファプチンを発現させても、完全長のアーファプチンと同じよ、な効果があった。これに対し、N末端をもたないアーファプチンの発現ではHtt凝集ェ実質的に減少したことから、これが臨床研究に大いに役立つことが証明された。まス著者たちは、HDのマウスモデルの脳では正常マウスに比べてアーファプチンレベルェ高いことにも気付いた。そのうえアーファプチン2は、罹患マウスの脳のHtt凝集物中に局在する。
それではアーファプチン2はどのようにしてHtt凝集を制御するのだろう。アーファプチン2は細胞骨格の再編成を調節することがこれまでに明らかになっているが、今のところ、Htt凝集に対するアーファプチンの作用は細胞骨格に対する作用とは無関係という証拠が得られている。著者たちは、別のモデルを支持するデータを他にも得ている。すなわちアーファプチン2は、プロテアソームを直接阻害することによって、 Httの凝集と分解のバランスを左右するらしい。

いずれにせよ、今回新たに見つかったアーファプチン2とHttとの関係は、HDと戦う有望な新治療戦略への道が開かれる。さらに生体内での検討が必要だろう。
(ネイチャー)February, 2001
■新たな原因
「米ジョンズホプキンス大学のグループは、ハンチントン病の原因遺伝子とは別の遺伝子の変異が同様の脳障害を引き起こす事を発見した。同じ症状をもたらす2つの仕組みを比較することで、脳細胞の一部だけが死滅する原因の理解が深まる。
ハンチントン病は4番染色体の遺伝子の変異で発病する。16番染色体のジャンクトフィリン3と呼ばれる遺伝子が変異しても、脳幹神経節の損傷や神経細胞の破壊など、同じ障害が起きるという」2002.10.23《日経産業新聞》
■発症の仕組を解明
「2007年3/19、大阪大学の永井義隆助手と戸田達史教授らは、ハンチントン病や脊髄小脳変性症など患者数が2万~3万人いるといわれる神経難病を発症する仕組みを突き止めた。
原因タンパク質がシート状に変形し、脳細胞を傷つけることが分かった。
ハンチントン病や脊髄小脳変性症は『ポリグルタミン』という異常タンパク質が脳にたまって発症する。研究チームは、異常なタンパク質がいつ毒性を持ち始めて脳細胞を傷つけるのか実験したところ、シート状に姿を変えた時点で毒性を持ち始めた。
異常タンパク質は、別のタンパク質の断片がつくと、シート状にならないことも発見。
同様のタンパク質の変性の仕組みはアルツハイマー病やパーキンソン病などでも共通している可能性が高いと見られている」
■関与タンパク質
「理化学研究所は、遺伝性の神経病「ハンチントン病」の発症に関わるタンパク質を見つけた。このタンパク質が遺伝子の異常でできるタンパク質の集合体に強く結合して、正常に働けなくなることで、病気の進行が促進されている可能性があるという。
モデル動物の実験から、タンパク質『NF-Y』はハンチントン病では少なくなるタンパク質の発現を促す役割を果たしていた。研究チームはタンパク質の集合体にNF-Vが結合してしまうためにハンチントン病では量が減ると見ている。
タンパク質の集合体が影響する→「遺伝性脊髄小脳変性症」




 パンヌス Pannus
    ⇒角膜輪部血管網から、血管が角膜表層に侵入して混濁を伴っている状態。
  【処方名-五十音順】
    真武湯
    桃核承気湯


 はたけ
   =顔面白癬
  【民間療法】
    ○生石膏

    

 吐き気
  =はき気
   ⇒吐き出すことではなく、吐きそうになること
   ◎吐き気がある時に、吐かせる方が良い場合と、そうでない場合とがある。
◎チェック:白血病
   ■酒と薬の吐き気ー仕組み違う
    「酒の飲み過ぎによる吐き気と薬の副作用による吐き気は、同じ気分がすぐれな     い状態でも、メカニズムが違うことを東京大学薬学部の松本則夫助教授らの研     究グループが見つけた。吐き気の仕組みはこれまでほとんど分かっておらず、     経験的に効く薬が使われている。
  研究では、「スンクス」というネズミの一種を使い、いろいろな環境で吐か     せてそのメカニズムを探った。
 吐き気を引き起こす副作用のある抗ガン剤の場合、細胞内に活性酸素が発生     し、神経伝達物質のセロトニンを分泌させ、内臓の神経を刺激して吐き気を催     す。 これに対し、アルコールを飲み過ぎたり、乗り物で揺られて催す吐き気     は、内臓神経を切ったり、セロトニンを阻害する薬を与えても改善せず、メカ     ニズムが違うことが分かった。1996.5.13《日本経済新聞》」
【民間療法】
    ○カラスビシャク・ダイダイ・ヨシ。
    ○酢(食用酢)
    ○何を与えても吐いて薬を受け付けない時は、何でも良いから、その人が平素好     きなものを食べさせて、そのすぐ後で薬を呑ませるとよく納まるものである。     《大塚敬節》
  【処方名-五十音順】
    呉茱萸湯
    小半夏加茯苓湯(胃切除後の)
    半夏瀉心湯(胸元がつかえる、下痢、腹鳴、吐き気)
    半夏白朮天麻湯
    茯苓飲合半夏厚朴湯
    六君子湯




 吐き下し
  =吐瀉
  【処方名-五十音順】
    呉茱萸湯(急性)
    五苓散(感冒性)


 吐く(はく)
   =嘔吐
   ⇒吐酸=酸水を吐き出すこと
呑酸=酸っぱい水が、胃から喉元まで持ち上がってきて、再び下がること。
   ■吐いたら虫垂炎の疑いも
     「赤ちゃんが何日も嘔吐を繰り返している時、先天性肥厚性幽門狭窄症を見落     とさないようにということを先週お話しました。この場合、毎日のように繰り     返して起こる嘔吐ですから慢性の嘔吐と言って良いでしょう。慢性の嘔吐は赤     ちゃんではよく見られますが、幼児期以降には少なくなります。幼児の場合、     遊んでいたと思ったら突然吐いたというよう急性の嘔吐が親を心配させます。     こんな場合1回吐いただけでケロッとして「お腹がすいた」などと言ってパク     パク食べ始めたりすることも多くこれは心配がありません。吐いた原因はよく     分からないことが多いのですが、別に病院へ連れていって原因を究明しなけれ     ばならないということもないのです。
 しかし、1回、あるいは、2、3回吐いたというだけでも、油断のならない     病気がひそんでいることがあります。子供を育てている人が養ってほしいのは、     そういう「めったにない緊急のケース」を見分ける目で、吐いたからといって     それだけでオタオタしてすぐ病院へ連れていくというようなことでは困りま      す。まず子供の様子をじっくり観察して下さい。
    例えば、子供の虫垂炎は見逃されやすい病気の一つです。こどもの場合、虫     垂炎の3大症状は<1>嘔吐、<2>腹痛、<3>発熱ですが、嘔吐もそんなに激しく     なく痛みもさほど強くないことが多いので、カゼんだろうなんて簡単に考えら     れてしまうことがしばしばあるのです。熱も37.5℃前後で大したことは有     りません。ただ、注目すべき症状が2つあって、    
       <1>「食欲が相当落ちている」、
       <2>「遊ぼうとしない」というのが特徴的です。
      少々お腹を痛がって少し吐いた。そして元気がなく、何も食べたがらないと     いうような時は虫垂炎かなと思って小児外科に詳しい病院へ行ってみる事でし     ょう。また垂直にジャンプしさせてみて、右下腹部が痛いと子供が言ったら虫     垂炎の可能性はかなり高いといえます。1991.12.19(山田真・小児科医)《朝日     新聞》
  【処方名-五十音順】
    茵五苓散
    陰陽湯(宿食で吐く)
    黄連湯
 呉茱萸湯
 五苓散
    柴胡桂枝湯
    四君子湯
    小柴胡湯
    小半夏加茯苓湯
    四物湯陳皮・黄・黄連・桃仁・桃花・麻子仁・甘草
    大黄甘草湯
    大建中湯
朮苓湯(水を吐く)
茱連丸(呑酸・吐酸)
    当帰四逆加呉茱萸生姜湯
蒼連湯(呑酸・吐酸)
    二陳湯
    半夏瀉心湯
    半夏白朮天麻湯
    茯苓飲
    茯苓飲合半夏厚朴湯
    平胃散
    補中益気湯



 はげ
   =禿頭
   ◎副作用で「ハゲ」になることがあります。(→脱毛症を見て下さい)
   ■育毛遺伝子の分離に成功
    「フィンランドのヘルシンキ大学の研究者を初めとした国際研究グループは30日、毛     髪の育成に係わる遺伝子の分離に成功したと発表した。髪の毛の薄い人の治療     に道を開く可能性があるという。
      同グループの代表を務めるケレ・ヘルシンキ大教授によると、この遺伝子は男女     ともに共通のX染色体の中に見られるもので、この遺伝子が異常だと汗腺が発     達せず、歯や髪の毛も正常に生えなくなるという。この遺伝子の存在は1970     年代から知られていたが、分離に成功していなかった。
      1996.7.31《日本経済新聞》」
   ■「飲む毛生え薬」米で近く認可。
    「米医薬品メーカー、メルク社が開発した『プロペシア』で、もとは前立腺肥大     症の症状緩和剤として使われていたが、服用者から毛が生えたという報告が相     次ぎ、FDAの諮問委員会が検討した。18~41歳の男性約1500人に投与。1      年間プロペシアを試用。使用前後を写真でチェックしたとところ48%に発毛     効果が認められた。FDAは近く認可する予定。1997.11.15《日本経済新聞》
  【芳香療法】
    ローズマリー
  【宝石療法】
    ルビー
  【処方名-五十音順】
    荊芥連翹湯
    桂枝加竜骨牡蠣湯
 五苓散
    小柴胡湯
    大柴胡湯
    通導散
    防風通聖散
    苓姜朮甘湯
【民間療法】
    ○カラスビシャク・クワ・ダイコン・タカサブロウ・ヒネショウガ・リンゴ。
    ○[アオギリ樹皮クワ根皮]

  【臨床例】
    ☆《井觀醫言》より
     「津田清蔵の姉は、幼少の頃から津山候につかえたが、年30才に至って油風     (禿頭病の一種)に罹った。諸治全く効が無く、頭髪が尽く抜けてしまったの      で、辞職を願い出たが、候はどうしても許されなかった。命じて髪を剃らし      めて尼をなし、なおも給仕せしめられた。
78年後に傷寒に罹って、余に診を請うた。高い熱が持続し、ひどく口が      渇いて、うわごとを言い続け、煩躁状態になって、少しも安眠せず、大便が      不通になり、小便は赤く渋っていたので、余は桃核承気湯を与えた。
黒便の臭気甚だしいのは日々57行づつあって、諸症が大いに退いた。す      ると続いて赤斑を全身に発したので、竹葉石膏湯に転じた。
すると赤斑が尽く消えて、精神もしっかりとして来たが、腹中が拘攣し、      午後になって発熱し、夜間殊に甚だしいので、大柴胡湯に転じた。通計40      余日で、全く平復した。
ところが、数ヶ月たつと頭髪が次第に生じて、3年後には全く常人と変わ      りなくなった。
思うに、高熱が出て頭部が薫蒸され、頭中に滞っていた毒邪が流動したと      ころへ、桃核承気湯や大柴胡湯等を多く用いたので、すっかり、その毒邪が      洗い流され、病が平癒するとともに、新しい血が沛然として生じた結果、毛      髪が再び増殖したものであろう。」《荒木正胤》
■移植で
「東京大学発のベンチャー「バイオマスター」(横浜市)は、マウスの毛根から採取した細胞を毛の生えていない別のマウスの皮膚に移植し、毛を生やす実験に成功した。
移植したのは毛乳頭細胞。毛髪の付け根の皮膚組織にあり、発毛を促す成分を分泌している。黒い毛のマウスから毛乳頭細胞を採取し、無毛のマウスであるヌードマウスの皮膚組織の中に特殊な注射器で移植したところ、4週間後には注射した部分から約8割の確率で毛が生えてきた。
毛乳頭細胞は体外で培養して増やすことが出来る。200612/22《日経》




 はしかmeasles
   =麻疹。
⇒麻疹ウイルスによる代表的な小児急性伝染性疾患。罹患すれば終生免疫となる。    ウイルスに罹患することによって、子供は衰弱し、細菌感染しやすくなります。    こうした二次感染、とくに胸部と耳の感染に要注意です。
   ■抗体低下、変異株
     「大阪府医師会予防接種センター(大阪市天王寺区)に1月下旬、米国の高校に     留学するという女子高校生が相談に来た。
「はしかは子供の時にかかったのですが」という彼女に、担当医師はこう説明     した。「米国では、かかったというだけでは信用してくれません」一般的には     予防接種を受けているか、血液検査ではしかの抗体があるという証明が必要で     す」
  ◇日米で患者数に差
      同センターでは昨年1年間に139人に予防接種証明書を発行したが、うち約     3/4が米国への留学生だった。
   予防接種制度に詳しい堺春美・東海大医学部助教授(小児科)によると、米     国では学校予防接種法によって、就学時に破傷風、はしかなどの予防接種をし     た証明を求められる。留学生も同じ扱いだ。
  米国でははしかがほぼ根絶状態だ。米疾病管理センターの資料によると、患     者数は1995年で301人にすぎない。
 一方、日本の患者数は約23000人(96年厚生省調べ)。予防接種法による接     種は1歳~7歳6ヶ月までの間に1回だが、2歳までに受けるのが標準的とさ     れている。厚生省によると、接種率は、94年で74.5%。米国では3歳までに89     %が接種を受けている。
 かっては、予防接種は1回でずっと効果が続くと見られていた。しか し、94     年春、大阪府内の中学校ではしかの流行があった際、府内の小児科医、川上勝     郎さんが調べたところ、31人の患者のうち22人が予防接種を受けていた。川     上さんは「昔は患者が多かったのでウイルスをもらう機会が多く、そのたびに     抗体が出来ていた。最近は患者が減ったため、予防接種で1度上がった抗体の     効果が下がる子がいる」と語る。
   ◇変化したアミノ酸
      米国でも予防接種の効果低下が問題になった。80年代末に患者が増えたた     め就学前などに実施して小学生以上のはしかを抑えている。
    ◇もう1つ新たな問題が起きている。
 はしかのウイルスは変異はほとんどないと考えられて来た。ワクチンも60     年代に開発されたものが現在も使われている。しかし、80年代後半から米国     でウイルスが変異しているという研究報告が出た。ウイルス表面のタンパク質     のアミノ酸が変化していた。大阪大微生物研究所の上田重晴教授も91年に日     本の子供から取ったウイルスから変異株を見つけた。1997.1.31《朝日新聞》
  【処方名-五十音順】
    黄連阿膠湯
    黄連解毒湯(小児の麻疹、衂血、煩躁)
    葛根湯
銀翹散
    桂枝加大黄湯
    桂麻各半湯(顔面赤い、発熱無汗、皮膚掻痒、便秘なし)
    柴苓湯(小児のはしかで下痢する
    四君子湯
    四物湯
    小柴胡湯
    升麻葛根湯
    走馬湯
    大柴胡湯
    大承気湯(
    大青竜湯
    竹葉石膏湯
    竹葉柳蒡湯
    調胃承気湯
    防風通聖散(小児のはしか、咳嗽、喘急)
    麻黄湯(頭痛、発熱、悪寒、身体疼痛、関節がいたい)
  【芳香療法】
    ◎精油バーナーを使って、以下の精油を、子供の部屋の中へ絶えず蒸散させる。
       <1>ユーカリ
<2>ティートリ
    ◎患者を薄布でとりまき、そこに繰り返しユーカリ油をスプレーする。
    ◎患者が4歳以上で、熱があれば以下の精油で体を数時間おきに拭ってやる。
<1>[ベルガモット2滴・カミルレ2滴]を1パイント(約0.568)のぬるま        湯に入れる。
【民間療法】
    <1>イセエビ。
    <2>ギョリュウヤナギ。
    <3>ムラサキ。
    <4>ウサギ・ウマ・キンカン・ゴボウ・ナシ。
■イソプリノシン
「脳に侵入したはしかのの変異ウイルスが神経細胞を破壊する『亜急性硬化性全脳症』を適応とした「イソプリノシン」(持田製薬)




 歯が痛い
【処方名-五十音順】
■黄連解毒湯
■黄連湯
■温風散(風邪による歯痛)
■加減甘露飲升麻(瘀血による歯痛)
■加減凉膈散
■葛根黄芩黄連湯
■葛根湯加石膏
■甘露飲
■甘草附子湯
■羗活附子湯(寒邪で頭・歯痛)
■桂枝五物湯
■香椒散(冷症歯痛)
■哭来笑去散(牙歯痛に特効)
■犀角地黄湯(血による歯痛)
■犀角升麻湯(歯根が痛み、膿汁が出て匂う)
■細辛散(寒邪で頭・歯痛)
■細辛湯(上片牙痛)
■殺虫丸(虫牙痛)
■瀉胃湯(牙痛)
■三黄瀉心湯
■滋陰清胃丸(陽明経血熱による上下の歯床の赤く腫れ痛む。)
■小建中湯(
■清胃散(胃熱で上下歯が痛み、冷を好み、熱を嫌う)
■塞耳薬(牙痛)
■大柴胡湯
■大承気湯
■調胃承気湯
■定痛散(虫牙の痛み)
■桃核承気湯(実証、のぼせ、足冷、下腹部痛)
■当帰建中湯
■当帰四逆加呉茱萸生姜湯
■当帰連翹飲(風に当たるとひどく痛み、口を開けると匂う者)
■二陳湯細辛・枳殻・生姜・大棗・烏梅(毒気が上攻して経絡に流注し、激しい疼痛)
■白芷湯(下片牙痛)
■白虎湯
■雄黄定痛膏(牙痛)
■凉膈散
■凉膈散知母・石膏・升麻(歯根が腫れて、口臭)
■立効散(冷たいもの・熱いもので、耐えられない疼痛)
■竜胆瀉肝湯(抜歯後の疼痛
■苓桂味甘湯




 歯が動く
   ⇒歯がグラグラ。
■歯の脱臼、処置早く
「T君は2歳の男の子。2時間前に階段を踏み外して転げ落ち、口から出血しているとのことで来院した。上顎右側の中切歯はほとんど抜け落ちそうにグラグラしており、反対側の左側中切歯はめり込んでしまい、歯の端が歯肉からわずかしか覗いておらず、かなり出血していた。両側の側切歯にも軽いグラグラが見られた。
レントゲン写真では歯根の破折(折れること)や歯槽骨の骨折は認められなかった。乳前歯の脱臼、埋入(めり込むこと)と診断し、両側の乳犬歯間をレジンで固定した。3週間後に固定をはずし、グラグラは落ち着いた。
歯の破折、脱臼の原因は、足元のしっかりしていない幼児の場合、道路でつまづいたり、滑り台、階段などでの転倒が多い。大きい子では自転車、鉄棒、スポーツなどでの転倒や交通事故など様々である。
乳歯の場合には破折よりは脱臼する婆が多く、永久歯では破折することが多いのが特徴である。もし、完全に脱臼して抜けてしまった場合には、時間があまり経過していなければ、つながる可能性が高いので、乾燥させないように、手近にある牛乳に浸したり、水に浸した脱脂綿などにくるんで、出来るだけ早く歯科に行ってほしい。
外傷を受けてからの時間が短ければ短いほど予後は良く、乳歯よりは、永久歯の方が予後は良い。顎の中にめり込んだ歯は、時間とともに出てくることが多い。しかし、外傷を受けた歯は、多くが歯髄(俗に言う神経)が壊死して歯髄処置を余儀なくされる。破折では歯根まで折れているときは、抜歯することが多いが、歯冠が折れた場合は折れた部位に応じて処置する」(金田一純子・国立小児病院歯科医長)1999.5.24《日本経済新聞》
  【処方名-五十音順】
    清胃湯(牙床が腫れて痛み、牙歯が揺れ動いて黒くただれて抜ける
    白牙散
    還少丹(歯根が動く)
    活散(風寒湿が脳を犯して痛み、歯根がゆっくり動く
    独活散[1](陽明風熱のために歯根が浮いて痛む)
    八味地黄丸
    六味丸


 

歯ぎしり
  【処方名-五十音順】  
■甘麦大棗湯
■解毒丸
■三黄解毒丸
■抑肝散

 

歯ぐきの病気
=歯茎
   ■ビタミン不足ではぐきの病気の可能性
    「米バファロー大学は酸化防止効果のあるビタミンの摂取が少なかったり、アル     コールを取りすぎると、歯茎の病気になる危険性が高まるという調査結果をま     とめた。
ビタミン類については20~90歳の9862人を調査した。この結果、
      ビタミンA・C、
      カロチン、
      植物中の色素の一種で動物の肝臓でビタミンAに変わるクリプトキサンチン
     が不足していると、歯茎の病気になる危険性が高かったという。この研究は米     公衆衛生局とサンスター社の資金援助を受けた。
また、同大学は歯茎に感染した病原菌は心臓病、肺病、糖尿病にも悪影響が     あることを突き止め、歯茎の健康の重要性を指摘している。1999.3.17《日経産     業新聞》


 

バネ指
   ■以前骨折した中指、動かすとコキンと音
    「最近、朝起きると左手の中指が硬直して、曲げたり伸ばしたりするとコキンと     いう音がします。以前、事故で骨折した指でもあります。(大阪府・T子)
「恐らく『バネ指』と思われます。これは手を握ると指が曲がったままになり、     伸そうとするとゴキッという雑音と共に、バネのように急に伸びるなどするも     ので、弾発指とも呼ばれます。
指を曲げる屈筋腱は指の手のひら側にあり、指の各関節の部分では腱がスム     ーズに動くように腱鞘というトンネルのような「さや」の中をくぐるように動     きます。
この腱鞘に炎症が起きるなどして、「さや」の中が厚くなり腱の通りが悪く     なると弾発現象が起きるので『狭窄性腱鞘炎』とも呼びます。腱鞘部分に硬い     塊が触れたり、押さえると痛いのが特徴です。
あなたの場合、以前の骨折の際、周辺に起きた出血や炎症が原因になったの     かもしれません。中年以降の女性の親指、中指、薬指などでよく見られます。
機械の油ぎれのような状態なので指関節の屈伸運動をゆっくり繰り返すか、     この部分に少量の麻酔薬とホルモン剤の4、5回の注射でたいていはよくなり     ます。どうしても治らないときには、狭くなった腱鞘を切り開くだけの簡単な     手術をします。最近では最小の負担ですむ皮下切開術も可能となりました。(圓     尾宗司・兵庫医科大学教授

 


 馬牙疳
   =口内炎。


 馬刀瘰癧
   =脇の下に出来るルイレキの一種。
  【処方名-五十音順】
■内消散《万病回春》


 馬脾風(ばひふう)
=咽喉ジフテリヤ。

 

梅核気
=咽喉のあいだに障碍があって、吐いても出ず、呑み込んでも入らない、ちょうど    梅の実のようなものがかかっている症。食道狭窄。食道
  【処方名-五音順】
■茵蔯蒿湯
■加味四七湯[3]
■加味二陳湯[4]
■甘麦大棗湯
■柴胡加竜骨牡蛎湯
■柴朴湯
■四七湯
■内消散《万病回春》
■半夏厚朴湯
■苓桂朮甘湯


 

梅毒 syphilis
⇒Treponema pallidumの感染による慢性全身性感染症。
   ◎感染部位(外陰部)の硬性下疳、局所リンパ節を経て全身の組織に広がる肉芽腫性    炎症である。
   ◎種類:
     第1期梅毒:
         陰茎・陰唇の無痛性下疳。
         鼠径部のリンパ節腫張:無痛性
        診断は、暗視野法でのTreponemaの証明
  第2期梅毒:
        発疹とともに全身性にリンパ節腫張を認める。
        腫脹は無痛性で、個々のリンパ節は余り大きくない。
  【鍼灸】
     「背部8穴(附分、膏肓、(イキ)、騎竹馬)。以上8穴は検診の要穴でまた      治穴。このほか全体療法をやる。」《沢田流聞書鍼灸眞髄》
沢田流:附分=魄戸(ハッコ)に相当し
           =膈関穴。
           膏肓=神堂穴。

【漢方療法】
*黴毒の熱ある者を解す:小柴胡湯竜胆・胡黄連
*血燥して熱解し難き者:加味四物湯[2]《福井》
               防風通聖散

【注意】
熱ある者に、汞剤を与えてはいけない。
    血燥の者に、土茯苓は不可。
  【臨床例】
    ☆《建珠録》
     「一婦人、黴瘡を患う。差えての後、結喉(のどぼとけ)上に血腫を生じ、大き      さ梅子の如し。自ら以為く「若し、灸に腐潰するときは、呼吸漏洩す。恐ら      くは性命に至る」と。来たりて診治を求む。
《吉益東洞》先生乃って七寶丸をつくりて之を飲む。一剤。その腫移るも      のは寸許り。再服するに、天突に至る。三剤は則ち華蓋の上に至る。乃ち腐      潰して癒ゆ。」
    ☆《建珠録》
     「京師岩上の賈人某は、黴瘡を患う。差えての後、鼻梁懐陥して殆ど両頬と等      し。
《吉益東洞》先生七寶丸をつくりて之を飲む。その鼻反って腫脹し、平人      に三倍す。二剤を盡くすに及びて則ちやや縮収し、再び全鼻を見わす。」
    ☆梅毒後の骨節疼痛
     「一男子、黴瘡を患う。えての後、骨節疼痛して、忍ぶべからず。
《吉益東洞》先生之を診して、七寶丸をつくりて此を飲む。喘沫、流るる      が如く、歯縫より黒血出で、已えて牙歯動揺し遂に持って脱落す。その人之      を患い、何んともなく血止みて疾え、その歯復び生え、哺(=ホタン、歯で      かんで食べる)、前よりも健という。」《建珠録》



 肺LAM(肺リンパ脈管筋腫症)
    =lymphangioleiomyomatosis : LAM
■難病
異常な平滑筋様細胞(LAM細胞)が、肺を中心としてリンパ節、腎臓(血管筋脂肪腫)、などで増殖する稀な病気です。ほとんどは妊娠可能な女性に発症すると言われています。
1977年にCarrington(カリントン)らにより命名された疾患
肺で平滑筋様細胞(LAM細胞)が異常に増えて、肺が破壊され、空気の出し入れが悪くなり息切れする様になります。
症状は労作性呼吸困難、咳嗽、血痰、喘息様の喘鳴、などが多く。進行すると、安静にしていても呼吸困難を感じるようになります。気胸、乳糜胸水や腹水を合併することがあります。
種類には、単独で発生する場合(孤発性LAM;sporadic LAM)と、結節性硬化症という病気に伴って発生する場合(結節性硬化症に合併したLAM; TSC-LAM)の2種類があります。



 肺アスペルギルス症
(参照→「アスペルギルス症」)
   ⇒肺真菌症の一種。
   ◎種類:移行合併する。
     菌球形成型:
        特異なX線像:輪状影の中に類円形の菌塊影があり、壁との間に空気層               がある。
     組織侵襲型:熱・咳・血痰
     アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)
◎身の回りに普段からいるカビ
「免疫力が弱っているときに、アスペルギルス・フミガーツスが体内にはいると、プロテアーゼを分泌し、それが血管壁を破壊し、血中で増殖する。アスペルギルスは50℃まで増殖することが出来る。さらに血管を壊し出血させ、さらに血管中で血栓を作る。このカビは日常的に吸い込んでいる。発症するには免疫力の低下が条件となる。
ピラミッドや墳墓の中に入った人が死亡する原因になることが多い。ピラミッドの中などでミイラや死体を格納する部屋の壁には花崗岩が使われることが多い。花崗岩にはラドンが含まれているため、その部屋が長時間密閉されていると、花崗岩からラドンが漏れだし(ラドンは気体で空気より重い)濃縮される。
高濃度のラドンがある場所に長時間入っていると、ラドンから出るα線に被爆し、それがリンパ節に溜まるとリンパ球が減少し、免疫力が低下する。また、被爆により肺ガンなども誘発される。
ラドンは、ウラン→トリウム→ラジウム→ラドンと変化して出来る。」


 

肺痿
   =咳して寒熱し、脈数にして、濁唾涎沫を吐し、或いは口燥き盗汗あり、痰中に血    ある者。肺結核
    <1>肺熱:咳嗽あり、午後熱し、並びに声嘶する者を治す「人参養栄湯」
熱盛んな者---「秦芁扶羸湯」「知母茯苓湯」
         一等虚する者には「却労散」とする。
         腹満ある者-----「秦芁鼈甲散檳榔」
    <2>肺寒:
【処方名-五十音順】
■甘草乾姜湯
■却労散
■化仙方
■紫菀散
■生姜甘草湯
■四物湯
■知母茯苓湯
■人参平肺散
■人参養肺湯
■門冬清肺湯


 

肺鬱血pneumonedema
   ⇒僧帽弁膜症とくに狭窄、左心不全、大動脈弁閉鎖不全、心筋変性、肺気腫などを    引き起こす。
   ◎症状:
      呼吸困難
      セキ
      タン:粘稠性
      チアノーゼ:ときに起こる。
◎合併症:
      肺水腫、肺梗塞、就下性肺炎



 肺壊疽 
   necropneumonia
   ⇒腐敗臭の強い膿性痰を多量に喀出する。
   ◎肺化膿症=肺壊疽・肺膿瘍。
  【処方名-五十音順】
■葦茎湯
■桔梗白散
■桔梗湯(咳嗽、喀痰、舌苔微黄)
■排膿散
■排膿散及湯(部分的な化膿症)
■排膿湯
■葶藶大棗瀉肺湯
■麻杏甘石湯(口渇、咳嗽、喘息)
■麻杏薏甘湯(皮膚乾燥 



 肺炎   pneumonia
    (参照→「サルコイドーシス」「レジオネラ」「抗菌剤」)
   ⇒肺胞および肺間質に生じる炎症。
     1.細菌性肺炎
     2.ウイルス肺炎
     3.真菌性肺炎
     4.マイコプラズマ肺炎
     5.リッケチア肺炎
     6.Bedsonial pneumonia
  7.原虫性肺炎
   ◎肺炎でペニシリンを服用しても治らない時------「レジオネラ」を疑うこと。
   ■「口のお掃除」で肺炎予防
     「お年寄りの肺炎の大半は、口内細菌が気管に入る為らしい。“肺炎の原因と     なった菌と口内の細菌はかなり共通している。口内の細菌が何らかの拍子や睡     眠中に、唾液などと一緒に気管に入って繁殖すると肺炎になる”と東京都老人     医療センターの江崎行芳・剖検病理科部長。1996.2.18《朝日新聞》より」
   ■新種ワクチン
    「米シーダーズ・サイナイ医療センターの研究グループは米国内でペニシリン系     抗生物質が効かない肺炎患者が増加傾向にあり、この患者の治療に「多価抱合     型ワクチン」と呼ばれる新種のワクチンが有効であることを明らかにした。
多価抱合型ワクチンは、菌に特殊なタンパク質を付加した構造。1999.1.14《日     経産業新聞》
■急性肺障害に
「肺ガン治療薬「イレッサ」や、輸血などの副作用で起こる急性肺障害を抑制する新療法を、京都大学などが開発した。動物実験で効果を確認。
京大ウイルス研究所の淀井淳司教授と京大病院の中村肇助教授、バイオベンチャーのレドックス・バイオサイエンスなどが開発した。
生体内の『チオレドキシン』というタンパク質を静脈注射する。チオレドキシンは肝障害や糖尿病にも効果があることが動物実験で分かっているが、人間に投与する計画は初めて。
急性肺障害などは白血球の一種『好中球』が血管からもれて炎症を起こす。国内では合わせて年間5万人が発症し、約半数が死亡している。20062/27《日経》
■誤嚥性肺炎
食後の声がかすれる
話しながら食事をするとむせる
口腔ケアが悪いと成りやすい。
○肺炎になりやすい人
飲み込みにくい人がなりやすい。飲み込みの反応が遅れる人が多い。1秒の遅れでも、飲み込んだものが気道の方へ入ってしまう。
眠っているときに肺炎球菌が入りやすい。
歯磨きをするときに、歯だけでなく、歯茎も一緒に磨くことで、脳の血流が増加し脳の活性があがる。磨き方は、柔らかい歯ブラシで、左右に小刻みに、3~5分。やりすぎないように。
口の中の菌を減らす+脳の活性。
介護施設で肺炎の死亡率が半分になった。
■タンパク質
「細菌性肺炎の発症に深く関係しているタンパク質に、「インターロイキン22」(ILー22)が深く関係していることを、米ピッツバーグ大学医療センターが特定した。
肺炎にかかったマウスを使い、精製したIL-22を利用して実験。20082/16

【芳香療法】
    ◎以下の精油の1~3種類を、胸部と背部に30分おきにすり込む。
     熱があればマッサージは不可。
       ユーカリ
       ラベンダー
       ティートリ
       パイン
       カユプテ
       ニアウリ
    ◎熱がなくなったら、叩打法を取り入れた力強いマッサージをする。
   入れ歯の手入れ・・・肺炎
自分の歯に引っかける部分にバイ菌のかたまり
上あごに接する部分にバイ菌がびっしり
細菌がネバネバになる(オーラルバイオフィルム)・・・なかなか死なない。      入れ歯をこすって磨くのが効果的(20回こする)
  【色彩療法】
    <1>緑色
    <2>青色
    <3>赤紫色
    <4>緋色
    <5>紫色
  【漢方療法】
大葉性肺炎----竹茹温胆湯[2]《寿世保元》

【処方名-五十音順】
■葦茎湯
■茵蔯蒿湯     
■黄連阿膠湯
■黄連解毒湯
■加減凉膈散
■葛根湯桔梗石膏
■桔梗白散
■銀翹散
■控涎丹
■五虎湯
■柴陥湯竹茹
■柴胡桂枝乾姜湯
■柴胡桂枝湯
■柴梗半夏湯
■三黄石膏湯
■梔子甘草豉湯
■梔子豉湯
■梔子大黄湯
■炙甘草湯
■瀉白散
■舟車丸
■十棗湯
■小陥胸湯
■小青竜湯
■小柴胡湯加桔梗石膏
■参蘇飲
■真武湯
■桑菊飲
■大柴胡湯
■大承気湯
■大青竜湯
■竹茹温胆湯  
■竹葉石膏湯
■調胃承気湯
■桃核承気湯
■麦門冬湯
■白果定喘湯
■白虎湯
■白虎加人参湯(高熱、煩渇)
■茯苓四逆湯
■防風通聖散
■麻黄細辛附子湯
■麻黄湯
■麻杏甘石湯
■凉膈散
■苓甘姜味辛湯
■苓桂味甘湯

●■原因不明の肺炎
「中国の広東省政府は3/26、同省での原因不明の「非典型肺炎」感染者数が2003年2月末までに792人に達し、このうち31人が死亡したと発表した。これまで公表していた数字を大幅に上回っており、市民の間に動揺が広がっている。
感染者のうち省都である広州市の感染者は680人。このうち死者は24人に上った。
広東省で発生した非典型肺炎と、香港など世界各地で広がっている『重症急性呼吸器症候群(SARS)』と同一かどうかは確定していない。ただ香港当局は香港での肺炎流行について、感染して2月に香港のホテルに宿泊した広東省の医師が感染源との見方を強めている。
一方、香港政府は3/26、SARSと見られる肺炎を患い北京市内の病院で治療を受けていた患者8人のうち3人が同日までに死亡したと発表。2003.3.27《日本経済新聞》
■中国ー法定伝染病に
「中国衛生賞は2002年4/10、新型肺炎、重症急性呼吸器症候群(SARS=サーズ)を「法定伝染病」に指定したと発表した。北京市政府も同日、市内在住の外国人向け説明会で感染者の専門病院への転院や感染の疑いがある人の7日間の強制隔離などの措置を発表した。中国は昨年11月の広東省でのSARS発生から5ヶ月を経て、やっと本格的な対策に乗り出した。
中国の伝染病予防治療法に基づく伝染病指定に伴い、中国人・外国人を問わず感染者を強制的に隔離する。ただ、外国人の場合、治療のため本人が強く帰国を希望した場合は関係部局と相談できる。隔離は日本の感染症法に基づく強制入院にあたる。
法定伝染病指定に踏み切ったのは、中国での国際会議が相次いでキャンセルされるなど国家の威信にかかわる事態に発展したため。2003.4.11《日本経済新聞》
■中国、隠蔽
「中国政府が国内のSARSに関する被害実態を隠蔽していた疑いが強まっている。北京では国営病院の医師が複数の報道機関を通じて政府が感染患者数を過小に発表していると告発。広東省当局は外国人の発症例を知りながらその存在を隠していた。中国の不透明な対応に内外から批判が高まっている。
香港から北へ電車で1時間40分。広東省広州市は、香港のSARS騒ぎが嘘のように落ち着いている。目抜き通りでも感染防止マスクをつけている人を探す方が難しい。同省衛生局は「省内で新たな感染件数が低下傾向にあり、事態は収束に向かっている」と繰り返し強調。新聞やテレビは政府発表を市民にそのまま伝える。だが、2~3日の間に中国側の発表に疑問を投げかける出来事が相次いでいる。
きっかけは4/8の黄慶道・同省衛生局長の記者会見。黄氏はこの日、SARSに感染した2人のカナダ人が広州市内の病院を3月末に退院していたことや、省内で発症した米国人教師が香港に隣接する深の病院に入院中であることを初めて公表した。
深の病院に約1週間入院していたこの52歳の米国人男性は4/9、救急車で香港の病院へ運ばれる途中で死亡。4/10現在、この男性の6歳の息子は香港の病院に検査入院中という。
広東省は8日までは、在広州の外交関係者やWHOの専門家チームに「外国人感染者はいない」と伝えてきた。後手に回った黄氏の発表は事実に反する回答をしてきたことを露呈した。
香港の米商工会議所関係者は「被害拡大につながりかねない情報の統制や隠蔽に怒りを覚える」と、広東省の姿勢を強く非難する。
隠蔽疑惑は北京でも強まっている。北京市内の人民解放軍病院のベテラン医師が、米タイム誌なそ内外の外国報道機関に告発文書を電子メールで送っていたことが明らかになったからだ。
4/8付けのタイム誌によると、医師は市内の病院1カ所だけでも政府発表を大幅に上回る60人の感染者が入院したと指摘。「正確な数字を発表しないとより多くの死を招く」と、告発に踏み切った。
4/10に北京で記者会見した中国衛生省幹部はSARSと似た症状を訴えて治療を受けている患者が多いことを認めたが、外務省の劉建超副報道局長は同日「中国政府が発表した数字がすべて正しい」と反論した。
WHOのディビット・ヘイマン氏は4/7、米上院の諮問委員会で「中国政府が早い時期に支援を求めれば感染拡大は抑制できた」と報告した。2003.4.11《日本経済新聞》
■国際会議の延期相次ぐ
「SARSの影響で、アジアで予定されている国際会議が相次いで延期・中止されている。」2003.4.11《日本経済新聞》
■広東省の見解
「SARS被害が拡大している中国広東省の鐘南山・広州市呼吸病研究所長は4/11、「医学的にみればまだ抑え込んだとは言えない」と説明、「すでに国内で有効に抑え込んだ」とする中国衛生省の見解に異論を唱えた。
さらに同研究所で患者を診察してきた経験に触れ、「(発病後)急速に肺が白くなり硬化する。機械を使って酸素を送り込んでも呼吸が難しい」などと症状を紹介。病状悪化で免疫力がエイズ並みに低下するケースもあると述べた。」2003.4.12《日本経済新聞》
■対策
「中国の在留法人向けに現地病院の仲介などを請け負うウェルビー(東京中野区)は4/18、都内で重症急性呼吸器症候群(SARS)対策の説明会を開いた。国内企業80社などの担当者が参加し質問が相次いだ。
長崎大学熱帯医学研究所非常勤講師の大利昌久氏が講演。まず患者の肺のレントゲン写真などを使い発症から感染までを解説。ウェルビーが関わった事例も交え、投与した薬や処置を日時を追って具体的に解説。特殊マスクを数種類用意して解説。「通常の外科用マスクでは役に立たない」と指摘した。
参加者からは「SARS沈静化の判断基準はなにか?」「春休みで帰国中の駐在員の子息を授業に合わせ戻すべきか?」などの質問もあった。2003.4.21《日経産業新聞》
■中国情報隠し
「中国政府のSARS対策は北京でWHO(世界保健機関)に指摘されてようやく人民解放軍の病院を含めは患者や止瀉の実数をを公表した。胡錦涛国家主席、温家宝周桑を軸とする新指導部は今回の事態を教訓にあらゆる方面の透明性を確保しなければ、外資の逃避など経済面などにも深刻な影響を及ぼす。
北京でSARS感染者が見つかったのは3月1日。年に1回の通常国会に当たる全国人民代表大会(全人代)が5日に開幕する直前だった。北京市当局が感染者の存在を認めたのは全人代を経て新指導部が発足した後で、北京市衛生局が死者が出ていると発表したのは26日だった。4/3、張文康衛生相は記者会見で中国への渡航は「大臣の名にかけて安全だ」と宣言した。
日本政府は同日、SARSを「新感染症」として扱うことを決め、広東省、香港への渡航延期を勧告した。中国政府が「法定伝染病」に指定して本格的な対策に動いたのは1週間後の4/10だった。
北京市内の病院の医師によると、患者が複数板にもかかわらず病院当局が報告下のは「1人」だった。こうした情報隠しは結果的に内外の不振を増幅した。情報の隠蔽は、かえって感染の拡大を招いた。20034.21《日経産業新聞》
■検査法
「世界保健機関(WHO)はSARSの原因を鼻風邪などを引き起こすコロナウイルスの新種、『SARSウイルス』と断定しており、WHOは3つの検査方法の開発を急いでいる。開発中の検査法は
①抗体検査
②遺伝子検査(PCR検査)
③ウイルス分離
の3つ。いずれも確定診断をするため基準とはなっておらず、日本を含め世界各国の患者の渡航歴や症状から診断するしかないのが現状だ。」2003.4.24《日本経済新聞》
■人体外でも生存
「5/4付けのワシントン・ポストはWHOの研究報告として、新型肺炎、重症急性呼吸器症候群(SARS)の原因ウイルスが人体の外でも生存が可能であることが分かったと伝えた。
WHOによると、ドイツの研究ではSARSウイルスが常温で、プラスチックの表面で24時間生存していたことが分かった。これはSARSウイルスがテーブルの表面やドアの取っ手などを通じて感染する恐れがあることを示している。
また、香港の科学者がSARSウイルスを人間の便に混入させたところ、ウイルスは生後6ヶ月の赤ん坊の便で3時間、成人の通常の便で6時間、下利状態の便では4日間生存していたことが分かった。
日本の科学者がウイルスの生存と温度との関係を調査したところ、ウイルスは37℃(カ氏98.6度)以上で死滅する一方、0℃(カ氏32度)でも生存するので、冬季を乗り切る可能性がある。
ドイツの科学者の研究では、通常の洗浄剤ではSARSウイルスを殺せないことが確認されている」2003.5.5《日本経済新聞》
■SARSタンパク質
「SARSウイルスのタンパク質の構造を、ドイツの大学研究グループが解明し、5/13付けのサイエンスに発表した。このタンパク質の働きを抑える可能性がある物質も見つかっている。
グループはリューベック大学の研究者ら。コロナウイルスの増殖に関与する「プロテアーゼ」というタンパク質の立体構造を解明した。コロナウイルスの仲間であるSARSウイルス固有のプロテアーゼの立体構造モデルを作り、分析した。
風の治療薬として臨床試験している物質がSARSウイルス固有のプロテアーゼの作用を抑制する可能性があることが分かったという。」2003.514《日本経済新聞》
■日本に患者滞在
「2003年5月、SARSに感染した疑いがある台湾の医師が貸し切りバスのツアーで関西を旅行していた問題で、厚生労働省は5/17、台湾衛星署管理局からこの医師をSARS患者と確定したとの連絡を受けたと発表した。この医師を乗せたバス運転手は発熱などの症状を訴えて入院中。
台湾ではSARSでの死者が308人と急増中。この医師は来日前にSARS患者の治療に当たっていた。」2003.5.18《日本経済新聞》
   ■ネコに感染
「新型肺炎、重症急性呼吸器症候群(SARS)の原因ウイスルがネコやフェレット(イタチの仲間)など身近な動物に感染して広がることをオランダや香港の研究チームが突き止め2003年10/30のネイチャーで発表した。」
■ワクチン
「高齢者がインフルエンザなどに罹ると、肺炎を併発して重症化するケースが多い。肺炎を防ぐ肺炎球菌ワクチンは米国では約6割の高齢者が摂取する一般的なワクチン。日本でも万有製薬が1988年から販売を始めたが、その存在はほとんど知られていなかった。
2000年に解説した北海道瀬棚町医療センターの村上智彦所長は町役場や住民に働きかけて2001年に日本で初めて肺炎球菌ワクチンの公費補助に踏み切った。(接種料\5500のうち\2000を長が負担)。効果は劇的だった。2002年の老人医療費は前年比27%減。1991年のピーク時の半分。ぞれまで全国トップの老人医療費額は818位に下がった。」2005.8.26《産業》





 肺化膿症 suppurative diseases of the lung
   ⇒肺壊疽・肺膿瘍・慢性肺炎などの、肺実質の化膿性疾患だ慢性に経過するもの。
   ◎症状:原因疾患による「肺炎」「塞栓」「梗塞」「敗血症」「ガン」
     胸痛
     セキ:
     タン:多量。
         2層性或いは3層に分離する。
         悪臭あり。腐敗性は壊疽を意味する。
         肺組織小片を含む。
     発熱:悪寒戦慄

 

【処方名-五十音順】
■葦茎湯
■黄連解毒湯
■黄連解毒湯桔梗石膏
■肺癰湯
   




 肺ガン    lung cancer
(参照→「喫煙」)

◎初期症状から5年以内に死亡する率→約95%。
   自己診断リスト:以下の症状が2週間以上続く。
     早期肺ガンに見られる症状:
       ○せき(咳)が続き、咳止めを飲んでも治らない。
       ○空咳が続く。
       ○タンが溜まり、タンを吐き出すことがよくある。
       ○タンに血が混じる。
     頻度は少ないが、要注意な症状:
○最近、肋骨のあたりが、痛む。
       ○ワイシャツの首回りがきつくなった。(首が太くなった感じ)
       ○自分の電話の声が、聞き取りにくくなったと、言われる。
       ○最近、茶色のタンを吐いた。
       ○階段を上ると、以前より、息切れするようになった。
     進行ガンor他の疾患も考えられる症状:
       ○声がかすれて、なかなか治らない。
       ○顔半分だけに汗をかく。
       ○指先が太鼓のバチの様に膨らんできた。(バチ指)
       ○腕や肩が痛く、その痛みがだんだん強くなってきた。
       ○両手の爪がスプーンを伏せた形になってきた。
       ○鏡に映る、目が以前より細くなったようだ。
       ○最近、水を飲むとむせる。
   ◎種類:
     <1>腺ガン(45%)
       ①女性と男性の発ガン率の比は[6:1]で圧倒的に女性に多い。
       ②増殖速度は比較的遅いが、転移する可能性が大きい。
       ③肺の中でも末梢に出来やすく、悪性度は扁平上皮ガンよりも高い。
       ④粘膜の下に腫瘍が出来るのが特徴。
       ⑤抗ガン剤の効き目があまり期待できない。
     <2>扁平上皮ガン(15%)
       ①タバコが主な原因となって、中枢の太い気管支に発生しやすい。
       ②増殖速度はやや速く、転移は少ない。
       ③悪性度は比較的低い。
       ④気管支腔に露出した腫瘤と、腫瘤表面の壊死が特徴。
       ⑤抗ガン剤の効果は比較的良い。
     <3>小細胞(未分化)ガン(35%)
       ①喫煙などの外的因子によってなりやすい。
       ②太い気管支に発生しやすい。(扁平上皮ガンと同じ)
       ③増殖速度は肺ガンの中で最も速く、転移する可能性も高い。
       ④基底膜が壊れ、細胞内部に食い込んで出来る。
       ⑤リンパ節の腫れが特徴。
       ⑥抗ガン剤の効き目は最も高い。
       ⑦肺小細胞ガン:末梢血幹細胞移植が有効(参照→乳ガン)
     <4>大細胞ガン
   ◎発生部位から:
     肺門型:太い気管支に発生。
          扁平上皮ガン・小細胞ガンが多い。
     肺野型:末梢に発生。
          腺ガンが多い。
          自覚症状より遙かに早くX線写真で確認出来る。
   ◎特徴:
     肺ガンは転移が早い。
     肺ガンの細胞はグルタチオンを過剰に放出する。
■肺ガンと疑われる『ヒト・イヌ糸状虫症』
    「このイヌ糸状虫症はイヌの他、キツネ・オオカミ・コヨーテ・ネコ・ヒョウ・     トラ・アザラシなどの動物にも感染する。これらすべての動物の体内で親虫と     なり、肺動脈や右心室に棲むようになる。
 昔はイヌ糸状虫はヒトには全く感染しないと考えられていた。ところが、最     近では、ヒトにもかなり感染することが分かってきた。
 つまり、感染幼虫を持った「蚊」がヒトを吸血する際、フィラリアの幼虫は     1度はヒトの体内に侵入するが、ヒトは本来の固有宿主ではない為、すべて皮     下で死滅するものと思われていた。
      ところが、最近、ごく一部の幼虫はヒトの体内に移行し、ある程度まで発育     するものがあることが分かってきた。我が国に最初のヒト・イヌ糸状虫症の報     告は、1961年大阪大学第二外科の森下智博士によってなされた。52歳の女性     の左胸部皮下の腫瘤から喘虫体が摘出された。この虫はイヌ糸状虫に幼虫雄成     虫だった。
 一方、肺寄生例は僕の恩師、吉村祐之教授が、1969年、金沢市の42歳の男     性について報告している。患者は多数のイヌを飼っていた。ヒトの肺に寄生し     た場合は、レントゲン像上、コインのような、いわゆる銭形陰影を呈し、ほと     んど全例が肺ガンを疑われて摘出されている。藤田紘一郎著「ボンボン・マル     コスのイヌ」より。
   ■検診で「早期発見」できるか?
    「大阪府内の会社員(62)は昨年初め、肺ガン手術を受けた。手術は右肺のごく一     部を切り取るだけで済み、1ヶ月後に宿場復帰。その年の11月に定年を迎え、     現在は再就職して元気に働いている
ヘビースモーカーだったこともあり、肺ガンの検診の団体に入会していた。     年会費5万円を払いながら、胸部X腺写真、痰に含まれる細胞の検査に加え、     1993年からは螺旋状にX腺をあてて撮影するCTを年2回受けた。一昨年の     検診で、CT画像に小さな影が見つかり、精密検査の結果、直径約1cmのガ     ンの分かった。
 国が定めた肺ガン検診には胸部X腺写真と痰の検査が組み込まれている。が、     会社員を診断した医師は「X腺写真と痰の検査だけでは見過ごしてしまうとこ     ろだった」と螺旋CTの効果に関心する。
  米ミネソタ州のメイヨー病院は、X腺撮影と痰の検査による肺ガン検診の効     果について71年から比較試験をした。6年間、年に3度の検診を受ける「検     診群」と、年に1度の検診を勧められるだけの「対象群」をつくり、約4500     人ずつ無作為に振り分けて様子を見た。肺ガンによる死者は検診群で122人、     対照群で115人となり、86年に「検診の効果は確認出来ない」と報告した。
 一方、厚生省の研究班は、国内50市町村で肺ガンによって死亡した人と、     年代や性別が同じ生存者の間で集団検診の受診歴を比べた。その結果、死亡者     のうち、肺ガンと診断される前の1年間に受診した割合は45%で、生存者の     52%を下回っていた。これらの結果から、年1回の検診で、肺ガン死亡率下     げる効果が「ありそうだ」という結論を92年に発表した。
 現在の肺ガン検診に限界があることは多くの研究者が認める。痰の検査で見     つかるのは、肺ガン全体の3割ほどを占める。扁平上皮ガンがほとんどだ。X     腺写真で見つかるのは直径2cm前後のものがやっとだが、それでもすでに転     移している場合がある。国立がんセンター研究所の祖父江友孝・ガン発生情報     研究室長も「1cm前後の肺ガンは螺旋CTでなければ無理」と話す。しかし、     螺旋CTを試験的に導入した自治体のほとんどは、集団検診で再検査が必要と     された人の精密検査使っているのが現状だ。
  「早期発見・早期治療」の決め手として検診が重視されてきた。現在、老人     保健授業として市町村が実施している検診は胃・子宮・肺・乳・大腸の5つ。
このうちX腺写真による胃ガン検診は30年の歴史を持つ。しかし導入後の死     亡率の減少に大きな変化がないことや、比較試験で効果が確認されていないこ     と、機材が高価なことなどから、国際対ガン連合の会議で85年、「現時点では     日本以外の国に勧めることは出来ない」という厳しい評価を受けた。
 これに対し大阪府立成人病センターの大島明・調査部長は「受診率の高い地     区と低い地区とでは、胃ガンによる死亡率の減少に明らかな差がある。検診の     効果はほぼ確認出来る」という。期待するほど胃ガンによる死者が減らないの     は、13%前後という受診率の低さが原因と指摘する。
海外の方法と併用すれば高価が認められそうなのが乳ガン検診だ日本で採用     している視触診は医師の技量に頼るため、客観性が弱いという問題が指摘され     ている。米国では中高年を対象にした乳房X腺検査(マンモグラフィ)が主流     だ。
 宮城県で実施された50歳以上を対象にした検診で、視触診だけ受けた場合     の乳ガン発見率は0.12%だったが、視触診と乳房X腺の両方を受けた場合の     発見率は0.28%に向上した。大内憲明・東北大医学部講師(外科)は「放射線     の被爆は従来のX腺写真と同程度で、検診の利益がリスクを上回る。X腺併用     で費用は増えるが、より多くの患者を発見でき、1人の救命費用はかえって下     がる」と話す。
富永祐民・愛知県がんセンター研究所長(疫学)は「『肺ガン検診を受けてい     るから安心してタバコを吸えます』という人がいてがっかりしたことがある。     検診はガンを100%発見出来るものではなく、予防には禁煙が重要だ。限界を     知ったうえで受けてほしいし、検診する側もきちんとした説明が必要だ」と話     している。199612.8《朝日新聞》
■放射線の銅で治療。
    「米ロスアラモス国立研究所は、銅の放射性同位体を使って肺ガンを治療する手法を開     発、特許を取得した。この治療法はX線でも見つけられない小さな腫瘍を発見     して治療できるという。
      ポルフィリンという合成物質に、放射性の銅67を結合させた化合物を肺ガ     ン患者に投与する。ポルフィリンは肺ガンに集まり、ガン細胞に到達すると銅     67を切り離す。銅67が放つ放射線でガン細胞に損傷を与える仕組み。ガン細     胞を殺した後に銅は体内に残るが、無害だと言う。1996.6.18《日経産業新聞》」
   ■治療成績、種類で差。
    「65歳の男性が健康診断で撮った胸部レントゲン検査で右肺に直径2cm大の異     常な影があると言われて外来を訪れた。20歳代から45年間、1日20本のタバ     コを吸っていたという。胸部断層撮影、CT検査、気管支鏡検査などを行った     ところ、ガン細胞が検出され扁平上皮がんと診断した。他臓器への転移は見ら     れず、心臓、肺臓の機能や全身状態が良好であったため右肺の一部(上葉)を切     除し、2週間後に退院した。
  大気汚染と喫煙が肺ガンのリスク因子と考えられている。1日の喫煙本数に     喫煙年数をかけた『喫煙指数(シガレット指数、CI)』が400以上の場合にハ     イリスク(非喫煙者の5~25倍と言われている。1日20本を20年間吸うと「C     I」が400となる。この患者さんのCIは900となり、相当な危険があった訳     である。
 さて、肺ガンは初めは何の症状も起こさない。しかし気管支を圧迫すると、     局所的に気管支炎や肺炎を併発し、せきや痰が増加、血管を侵すと血痰を、肋     膜に浸潤すると胸痛などが加わる。 肺ガンの進行は病気によって分類され、     病気が早いと当然に治療後の経過が良い。また、肺ガンの種類によっても治療     成績に差が見られる。
①喫煙と関係深いとみられる『扁平上皮ガン』は肺ガンの1/3を占め、比        較的早くから症状を出すが、手術で切除すると再発しにくい。
②一方『腺ガン』は肺の周辺部に出来るため無症状に期間が長く、症状が 現れた時にはすでに転移を来していることが多い。
③そのほかに進行が速く最も質の悪い『小細胞ガン』などがある。
  患者さんのような小さな扁平上皮ガンの手術成績はきわめて良好で。100人     のうち85人以上が5年間生存しうる計算である。
  予防にはまず禁煙、それが出来なければ節煙。またCIが400以上で50歳     以上の人は毎年定期的に胸部レントゲン検査を行い、早期発見に努めることが     必要である。(木下博明・大阪市立大学医学教授)1997.2.22《日本経済新聞》
   ■血小板減少を防止する新物質
     「米カリフォルニア大学ロサンゼルス校などのグループは、抗ガン剤の副作用     で血が止まらなくなった患者に、新物質MGDFが有効なことを確認した。
 抗ガン剤を使った治療を受けている患者は血小板が大幅に減ることがあり、     歯茎や鼻からの大量出血が問題になる。抗ガン剤を投与している肺ガン患者に     MGDFを投与したところ、2週間後には血小板の数が正常値に戻った。MG     DFはホルモンに似たタンパク質の薬で、米アムジェン社が開発した。1997,2,19     《日経産業新聞》
■遺伝子治療でガン細胞縮小
「岡山大学医学部第一外科(田中紀章教授)が進めている国内初の肺ガンの遺伝子治療の臨床研究(治験)で、2人の患者(男性)ともガン細胞が縮小していることが分かり、19日、東京で開催中の日本遺伝子治療学会で、藤原俊義助手が発表した。副作用もなく経過は順調で、同科ではデータの分析を進め、安全性を確認する。
治験は、ガン細胞を自殺せせる働きを持つガン抑制遺伝子『P53』を、無毒化した風邪ウイルスに組み込み、患部に注射する方法で3月にスタート。月1回のペースで半年~1年続ける予定で、1例目の患者に4回、2例目の患者には3回投与した。
1例目は気管支の分岐部にガンがあり、事前に内視鏡で観察したところ、病巣は気管支をふさぐように出血で赤く腫れていたが、最初の治療から2日後に病巣がやや縮小。2週間後には出血が止まり、約1ヶ月後には腫れがほぼ引いた。
左肺の気管支にガンがある2例目の患者は、左肺の下半分がつぶれた状態だったが。治療から1、2ヶ月後にCT画像で比べたところ、気管支をふさいでいた病巣の一部が消え、空気の通り道が出来ていた。
1例目は血痰が出なくなり、2例目は咳が出なくなるなど自覚症状も改善。副作用は軽い発熱がある程度だった。」
■早期ガン95%消失
「放射線を立体的に照射し、ガンをねらい打ちする『定位放射線療法』と呼ばれる新手法が、早期の肺ガンに高い効果があることが、防衛大学の植松稔る香(放射線科)らのデータで分かり、19日、横浜市で開かれた日本放射線腫瘍学会で発表された。
手術に比べ体への負担が格段に小さく、「患者に優しい治療」として期待できそうだ。
この治療では、『リニアック』と呼ばれる放射線治療装置を、患者の背後から正面まで回転させながら照射する。ガン病巣を中心に、治療代の向きを変えて3回程度繰り返す。様々な角度から行うことから、『三次元照射』とも呼ばれている。
従来の放射線治療では正常組織へも照射が避けられなかったのに対し、放射線を病巣に集中させ、大量に照射できることが特徴。治療期間は約1週間。
同大は94年秋から、大きさが4cmまでの早期は胃ガンの患者43人に実施した結果、95%はあ病巣が消失した状態が続いた。
患者のうち、手術が可能だったのに放射線治療を希望した26人の場合、3年後の生存率は85%だった。この成績は手術と同等で、重い副作用は見られなかった。
植松講師は「手術に比べ患者の体の負担が、はるかに軽い。効果を厳密に見極めるには、手術した場合と比較する臨床試験が必要だが、新しい選択肢になる」と話している。
   ■手術後の抗ガン剤に延命効果なし。1997.11.20《朝日新聞》
■喫煙者のガンにビタミンE
「血液中のビタミンEの濃度が高いと、喫煙者が肺ガンになる危険が減る。米国立がん研究所のカレン・ウッドソン博士らはそんな報告を同研究所ジャーナルに発表した。
フィンランドの50~69歳の男性喫煙者約29000人を対象に調査。1日当たりビタミンEの一種αトコフェロール50mgと緑黄色野菜に含まれる色素βカロチン20mgを5~8年飲んだグループと、どちらも飲まないグループに分けて比べている。
それぞれグループに属する人たちの血液中のαトコフェロールの濃度を調べた。その結果、αトコフェロールの濃度が高い人は低い人より肺ガンになる危険率が19%低かった。とくに、60歳未満の人や喫煙期間が40年未満の短い人が、濃度の高まりと肺ガンの危険の低下との関係が強かった。ウッドソン博士らは、腫瘍形成初期に高濃度で存在すれば、肺ガンの進行をくい止めると身タイル。
ビタミンEやβカロチンは、ガンの引き金になる体内での酸化反応を抑える抗酸化作用がある。」1999.11.28《朝日新聞》
■手術前治療で病巣縮小
「1年ほど前から、風邪でもないのにセキやタンが続くのですが-----」
昨年4月、東京都内に済む自営業Nさんは(69)は、意を決して近所の診療所を訪れた。1日30本以上吸うヘビースモーカー。「もしや-----」との懸念があったが、案の定、タンから異常細胞が見つかった。紹介された東京医科大外科で気管支鏡検査を受けた桂枝加朮附湯か、肺ガンの中でも喫煙者に多く見られ、中心の太い気管支にできる『扁平上皮ガン』と診断された。
肺には、見つかった時すでに神効、転移しているケースが大半で、最も救命率の低いガンの1つだ。その中で、全体の3~4割を占める扁平上皮ガンは、胸のエックス線検査では見つかりにくいものの、咳や血痰などの症状が気になって受けた「喀痰検査」などから早期発見されることもある。
Nさんの場合、進行度は4段階のⅡ期と比較的早期だったが、右肺の入り口から奥に向かって気管支の表面を点々とガン細胞が5平方センチ以上の範囲で広がっていた。
肺ガン治療は病巣部だけでなくリンパ節、転移のおそれのある周辺組織を摘出するのが基本。そのため、とりわけ肺の入り口不禁に出来たガンでは、かなり大きく切除しなければならない。Nさんも通常なら右肺を全部摘出するしかない状態だった。
しかし、問題があった、Nさんは、やはり喫煙が原因とみられる慢性肺気腫を合併しており、呼吸機能が普通の人の6割足らずしかない。このうえ右肺を切除すれば、たとえガン病巣は摘出できたとしても、寝たきりの生活を余儀なくされる。
「こうしたケースには、『縮小手術』で対応するのが新たな流れ」と、同大外科の加藤治文教授は指摘する。片肺や5つに分かれた肺のブロック(肺葉)のいずれかを丸ごと切除しなければならない場合でも、手術前の治療で出来るだけ病巣を縮小させて、肺機能が温存できて、患者のQOL(生活の質)低下が防げる。
Nさんの場合、ガンの場所や形態から、手術前治療としてレーザー治療が適していると、同外科講師の斉藤誠さん(44)は判断。特殊な蛍光薬でガンを捕らえながら低出力レーザーで照射する方法で、正常細胞をほとんど傷つけない点も都合が良かった。
6月に入り、ノド周辺を局所麻酔して約1時間の照射をしたところ、入り口部のガンが消失。右下葉につながる気管支の一部と、その先の末梢部だけに縮小されたため。昨年12月に右肺の1/10にあたる右下葉の一部を切除した。
Nさんは、「新しい治療法なので不安だったが、階段の上り下りも支障なく、今ではカラオケも楽しんでいます」と喜ぶ。もちろんタバコも断った。
■禁煙20年でリスク減少
「タバコを吸う男性が肺ガンで死亡するリスクを、吸わない人並みに下げるには、20年間以上の禁煙が必要なことが、文部省の研究費による大規模な追跡調査(委員長=大野良之・名古屋大学医学部教授)で明らかになった。このリスクは1日に吸うタバコが20本を超えると急激に上昇することも判明。早めの禁煙の重要性が浮き彫りになった。10月4日から横浜市で開かれる日本癌学会で発表される。」
■気管支腔内照射を併用
「手術と同じような成績なら、胸を切らない治療法をお願いしたい」
肺ガン検診がきっかけで、右肺の気管支に早期の「扁平上皮ガン」が発見された新潟県の自営業Iさん(69)は、少し考えて、そう返事した。
■遺伝子治療-----5例中3例で効果
「岡山大医学部第1外科(田中紀章教授)が昨年3月に始めた国内初の肺ガンの遺伝子治療の臨床研究(治験)で、これまでに治療受けた患者5人のうち3人は病巣が一時的に縮小したり、破壊されたりしたことが29日分かった。
ガン細胞を自殺させる働きがある、癌抑制遺伝子『p53』を無害化した風邪ウイルスに組み込み、直接幹部に注射する方法で、抗ガン剤が効きにくい非小胞肺ガン(扁平上皮ガンなど)が対象。」
■ディーゼル微粒子(DEP)
「ディーゼル車の排ガスに含まれる微粒子(DEP)が原因と考えられる肺ガンの死者が、2020年頃には肺ガン死者総数の10%以上を占めるという推計結果を、結核研究所(東京・清瀬市)の岩井和郎顧問らが11日までにまとめた。」
■ディーゼル排ガス「発ガン性有する」
「環境庁のリスク評価検討会の作業部会(座長・内山巌雄国立公衆衛生院労働衛生学部長)は27日、「排ガスは発ガン性を有しているとみられる」とする報告草案をまとめた。」2000.6.28《日本経済新聞》
■酵素「CYP2A6」
「北海道大学薬学部の鎌滝哲也教授らのグループは、体内で薬物を分解する働きを持つ『CYP2A6』という酵素の働き具合で、喫煙と関連が深い肺ガンになるリスクがかなり変わることを報告した。
この酵素が、タバコの煙に含まれる『NNK』という物質を変化させ、発ガン性を持たせることに着目。この酵素の活性と、肺ガンのなりやすさとの「関係を」喫煙者について調べた。
肺ガン患者392人と、そうでない423人を対象に、この酵素の遺伝子を分析。遺伝子が完全に欠損し全く働かないヒトが肺ガンになる危険率は、酵素の活性が高い人の約1/5という結果が出た。」
■Ⅲ期の肺ガン
「21世紀まで生きられないかも知れない」東京都内の会社員Aさん(54)は、1998年12月、肺ガンと分かり、悲観的な思いにとらわれた。その3年前に心筋梗塞の発作を起こしていた。一命を取り留め、再発を防ぐために禁煙したが、今度は、定期検査をしていた循環器の医師が、肺ガンを見つけたのだった。
右肺上部に出来た約4cmのガンは、進行度が4段階のうちⅢ期前半。思いのほか進行していた。
「私たちの病院でも治療しますが、もし転院を望むなら紹介状を書きます」医師の説明に、抜き差しならない病状であることをひしひしと感じた。翌年1月、国立がんセンター中央病院(東京・築地)に転院した。
早期のⅠ、Ⅱ期は手術で完治も期待出来る。だが、Ⅲ期前半安中散、病巣が肺に限られているように見えて、実際には他の臓器にも転移していることが少なくない。そこで、抗ガン剤・放射線・手術を組み合わせる治療を行うことになった。
Aさんはまず、肺ガンによく使われるシスプラチンなど3種類の抗ガン剤投与と、放射線照射を同時に行う併用療法を受けた。右肺のガンを縮小させ、転移したリンパ節の微小なガンも叩く狙いだ。
吐き気・脱毛・悪寒・・・・。強い副作用に耐えたが、右肺のガン自体の縮小効果は低かった。それでも6月、右肺の上部2/3と、周囲のリンパ節の切除手術を受けた。麻酔が覚め、かたわらで介護する妻の顔を見て、「まだ生きていた」と胸をなで下ろした。
Ⅲ期前半の肺ガンに、手術前に抗ガン剤治療を行ったところ、5年生存率は36%で、手術だけの15%より高かった。とのアメリカの研究がある。
主治医で呼吸器外科医長の浅村尚生さん(43)は、「内科、外科、放射線科が連携して知恵を出し合い、治療効果を高める努力をする事が、ガン治療に求められています」と話す。
■早期ならレーザー
「山梨県の主婦Bさん(60)は血痰が出たことがキッカケで、胸の真ん中にある太い気管に肺ガンが見つかったのが1997年6月。その3ヶ月後に病巣を切除。だが、手術後の入院は約1ヶ月に及び、退院後も1週間は体調が悪く、寝込んだ。やっと平穏な生活の戻った2年半後の昨年4月、東京医大病院で「新たな肺ガンが見つかりました」と告げられた。
ガンは左右の肺に気管支が分岐する部分にあり、約1cmの早期ガン。転移ではなく、新たなガンだった。
「開胸せずにできるレーザー治療をしましょう」と主治医。「もう手術は受けたくない」と思っていたB子さんはすぐに承諾した。
この治療は、特殊な蛍光薬でガン組織を捕らえ、低出力レーザーを照射、活性酸素を発生させる。活性酸素は体内に侵入した細菌などを退治する働きがあり、ガン細胞も殺すのだ。
レーザー照射は、口から入れた気管支鏡を使って行う。ガン細胞をねらい打ち、体への負担は軽い。B子さんの治療は30分ほどで終わり、翌日には歩くことができ、約2週間で退院。現在も異常はない。
「タバコを吸わない私がなぜ?、と一時は落ち込んだ。でも、6人の孫の笑顔に励まされ、頑張ることができました」
治療対象は、ガンが気管支の内側の粘膜にとどまる0期かⅠ期の早期ガン。病巣は太い気管支周辺にあり、大きさが2cm以下など制約がある。
ガン組織に集まる蛍光薬の影響で光過敏症になるので、治療後約2週間は直射日光を浴びないようにすつ必要もある。
80年から実施している東京医大では、5年後の生存率が91%で、手術に劣らない。96年4月には保険適用も認められた。」
■術後の生存可能性
「愛知県がんセンター(名古屋市)は外科手術を受けた肺ガン患者が5年後に生存できるかどうかを約9割の精度で予測する手法を開発した。9/25に名古屋市で開く日本癌学会で発表する。」2003.9.12《日本経済新聞》
■女性ホルモン剤
「女性ホルモン剤が肺ガンのリスクを高めることが、厚生労働省研究班(主任検車・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)の大規模疫学調査で分かった。研究チームは今回の調査結果を肺ガン発症のメカニズム解明につなげたいとしている。
成果は2005年9/15、日本癌学会で発表。
研究班は喫煙経験がない40~69歳の女性45000人を8年~12年追跡調査した。このうち肺ガンになった153人を詳しく調べた結果、子宮筋腫などの手術を受けて人工的に閉経し、エストロゲンなどのホルモン剤を多用した人は、ホルモン剤を使用していない人に比べて、肺ガンにかかるリスクは2倍以上高いことが判明。
ただ、更年期障害などの治療でホルモン剤を使っていても、人工的に閉経していなければ、発症リスクは女性ホルモン剤を使っていない人とほとんど変わらなかった。
研究班は人工的に閉経した人に比べて、使用量が少なかったのが原因と見ている。また、初潮から閉経までの期間が長い人ほど発症リスクが高いことも分かった」
■悪性度判別チップ
「千葉大学などは、肺ガン診断用のDNAチップを開発した。リンパ節にまで転移しているかどうかという悪性度を判別する。8割強の精度で判別できた。」2005,12,1《産業》
■ガンから体を守るタンパク質
「筑波大学と科学技術振興機構は、ガンなどを引き起こすとされる活性酸素や有害物質から体を守る仕組みが働くようにするタンパク質の構造を明らかにした。また、この仕組みが肺ガン患者で強く働くことを発見した。
解明したのは活性酸素などに反応するセンサーの役割をするタンパク質『Keap1』と、体を守る遺伝子の精製を促進する転写因子『Nrr2』の結合部分の構造。
マウスのKeap1のうち、Nrr2と結合する部分の立体構造をX線結晶構造解析で分析したところ、六角形の環状構造をしていた。また、結合部分が六角形の閉環構造をしていることも明らかにした。
通常はKeap1とNrr2は結合しているが、Keap1が活性酸素などを見つけると分離。Nrr2は細胞の核の中に入り込み、体を守る遺伝子の生成を促す。
こうした家庭を制御してガンなどを呼ぼう・治療する研究につながる。
また、肺ガン患者の場合、Keap1ニNrr2と結合出来ないようになる変異が高い割合で生じていることも発見した。」2006.3.20《産業》
■呼気から
「米オクラホマ大学のチームは、呼気に含まれる分子を検知し、初期の肺ガンを診断する技術を開発した。赤外線の一種を使い検出する。
開発したのは、中赤外線せー座あーでガス状態の分子を検知する技術。ナノテクノロジーを駆使してレーザーの性能を上げ、ガン患者の呼気に含まれる[アセトアルデヒド]などの小分子のガスを検出する」
■新治療法
「自治医科大学の間野博行教授らのチームは、特定の遺伝子を原因とする肺ガンに有効な新治療法を開発、マウス実験で効果を確認した。この遺伝子が作る酵素の阻害剤を投与すると、1ヶ月後に肺癌が消失した。
成果は2008年11月のアカデミー紀要に掲載。
研究チームは2007年、『EML4-ALK』という遺伝子が、強力なガン化を促す酵素を作り出すことを突き止めていた。
肺ガン患者のうち、約5%がこの遺伝子を持つ。
マウスの卵細胞に「EML4-ALK」を注入する実験で、マウスは生後1~2週間で数百個の肺ガン腫瘍ができた。肺ガン発症後、酵素の阻害剤を1日1 回投与したマウスは約25日で腫瘍が消え、ガン細胞の消失した。1ヶ月後には、治療した10匹すべてが生き残った。」

  【栄養療法】
ビタミンB12
  
【処方名-五十音順】
■紫根牡蠣湯《黴癘新書》
■赤丸

【診断】
■ヘリカルCT。
    「これまでの肺ガン検診では、場所によっては病巣が3cm程度の大きさでない     と見つからず、発見出来ても手遅れの場合が多かった。国立ガンセンター病院     呼吸器科の金子昌弘医長によると、へりかるCTを使った肺ガン検診は、直径     1cm以下の小さな肺ガンも見つかるようになり、「東京から肺ガンをなくす会」     が始めた。約5000人を検査、これまでに20人に肺ガンが見つかり、17人は     直径2cm以下の早期ガンだった。
京都桂病院では3年前にヘリカルCTを導入、昨年1月から専門ドックを始 め、今年4月に本格的にスタートさせた。これまでに24人が利用、8mmの早     期肺ガンが見つかった受信者(70)もいる。この他、兵庫県予防医学協会(神戸     市灘区)や神奈川県予防医学協会などがヘリカルCを使った肺ガン検診に取り     組んでいる。1996.4.28《朝日新聞》」
■MRIにキセノンガス
「米系医療機器大手のGE横河メディカルシステム(東京都日野市)は磁気共鳴画像診断装置(MRI)を使って肺を画像化する技術を開発した。「キセノンガス」と呼ぶ人体に無害なガスを使う」003.4.15《日経産業新聞》
 ■コンピュータ断層撮影装置(CT)用ソフト
 「シーメンス旭メディテック(東京品川区)はCTで撮った大腸と肺の画像を詳しく分析するソフトを発売した。画像の立体化や回転が簡単。」2003.7.4《日経産業新聞》
■内視鏡で
オリンパスと渋谷潔・千葉大学講師らの研究グループは、早期の肺ガンを見つけることが出来る内視鏡を開発した。患部に特定の波長光を2つ当てると、ガンの病変部だけが周囲と違う色になって浮き上がる仕組み。2mm~3mmの小さな肺ガンでも発見可能。気管支の分岐部にできやすいガンの大半を発見できる」2006.4/28
■新しいマーカー[ICAM]
「米クリーブランド大学病院は、進行した肺ガンの生存率や治療効果の予測に使える新しいマーカーを発見した。体内の細胞間接着分子(ICAM)という物質の量を調べる。
ICAMの数値が低いほど化学療法の効果が高く、全体的な生存率も高いことが分かった。」20066/8《産業》
■原因遺伝子
「自治医科大学の間野博行教授らと科学技術振興機構は、肺ガンの新たな原因遺伝子を突き止めた。日本人肺ガン患者の1割に存在することが判明。
成果は2007年7/12のネイチャーに掲載
研究チームは、もっとも発生頻度が高い肺ガンである『肺線ガン』の患者(男性)からガン細胞を取り出し、ガン化の能力を持つ遺伝子を探した。細胞の骨格タンパク質を作る[EML4]と酵素を作る[ALK]が組み合わさってできるガン遺伝子『EML4-ALK』を発見した。
また、75名の肺ガン患者を対象に「EML4-ALK」があるかどうか調べた。そのうち5名(6.7%)で見つかった。
タンからこの遺伝子の有無を調べる検出法できわめて感度が高く、従来法に比べて早期発見しやすい。
これまでにも『EGFR』と呼ぶ遺伝子の変異が肺ガンの原因になることが分かり、治療薬「イレッサ」が開発された。
■治りにくい早期がん
「早期の肺ガン患者が外科手術を受けたときに、そのガンが治りにくいかどうか予測できる方法を東京医科大学のグループが開発した。
コンピューター断層撮影装置(CT)検診で、リンパ節や他の臓器への転移が無い早期ガンが見つかるようになり、手術で5年後の生きている確率は85%になった。しかし、早期ガンでも術後に再発や転移を起こして亡くなる患者が15%。
加藤治文・東京医科大学教授らのグループは、術後5年経過しても生存している患者と亡くなった患者のガン組織に含まれるタンパク質を質量分析した。その結果、亡くなった患者では、未分化のタンパク質が多く見られることが分かった。病理検査では見つからないような浸潤や転移の原因になっているとみられる。
日本肺癌学会が定める治療のガイドラインでは、早期がんでは抗がん剤治療を実施しないことになっている。加藤教授は“治りにくいと予測された患者には、早期でも抗がん剤で治療することで生存率を高められるだろう”と語る」200611/7《産業》
■リンパ節転移への確定診断
「2009年、オリンパスメディカルシステムズは肺ガンのリンパ節転移を確定診断するのに使う超音波内視鏡を発売」
■血液から検査・・・テロメスキャンF35
2011年、オンコリスバイオファーマ(ベンチャー)は2012年に岡山大学で生み出された遺伝子組み換えウイルス「テロメスキャンF35」を使い、血中に流れ出すガン細胞「CTC」を見つける検査事業を始める。
順天堂大学医学部の呼吸器内科と共同で、肺ガン患者の血液からテロメスキャンF35を使ってガン細胞を見つけられるどうかを調べる。
(テロメスキャンF35)
遺伝子を改変した生きたウイルス。染色体の端にある「テロメア」を伸長する「テロメアーゼ」を生産するガン細胞に感染してよく増殖する。
【西洋薬】
○ユーエフティ(大鵬薬品工業)
○タキソール(ブリストルマイヤーズ)
○シスプラチン:
ブリプラチン(ブリストルマイヤーズ)
ランダ(日本化薬)
○ビンデシン(塩野義製薬)
○ジェムザール(日本イーラーリー)
○マイトマイシン(協和発酵)
○ナベルビン(協和発酵)
「ナベルビンはマダガスカル島に自生していたニチニチソウという植物の茎や葉から抽出した成分を化学合成して製造するピンカアルカロイド系と言われる抗ガン剤の一種。ナベルビンは従来のピンカアルカロイド系の抗ガン剤につきものだあ、神経毒性により手脚のしびれなどの末梢神経障害の発生頻度が低いのが特徴。
肺ガンのうち小細胞肺ガンには抗ガン剤が効きやすいが、非小細胞肺ガンには抗ガン剤は効きにくく、外科手術が第一の選択肢だった。」2000.9,7《日経産業新聞》
○イレッサ(アストラゼネカ)
「上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤と呼ばれるタイプ。」2002.7.8《日経産業新聞》
「イレッサ(一般名・ゲフィチニブ)の副作用が問題になっているが、承認申請の準備をしていた2001年に「イレッサの投与によって肺障害が悪化する」という動物実験結果の発表が見送られていた。
この実験は東京女子医大の教授が中心となって行われた。意図的に肺線維症にさせたマウスにイレッサを投与したところ、投与しない場合に比べて症状が悪化したという。
イレッサは細胞の表面にある『上皮成長因子受容体(EGFR)』と呼ばれるタンパク質が増殖を促す信号を伝えないようにする作用がある。この作用でガン細胞の増殖を抑える効果が見込まれていたが、正常な細胞の増殖も抑える危険性が指摘されている。
この教授は「イレッサが肺胞上皮の修復に悪影響を与えた可能性がある。肺障害などの合併症を起こしている患者への投与慎重に行うべきである」などと判断。実験用にイレッサの提供を受けていたアストラゼネカに対して2001年10月、「実験結果を来年5月の米国の学会で発表する」と伝えたという。ところが、同社によると、教授に対して「詳細なデータの提示をしてほしい」と要求したところ、教授は「データは出せないので発表を取り下げる」と回答したという。2003.2.21《日本経済新聞》

○カルセド(住友製薬)
「肺ガン治療の抗生物質。これまでの発酵を利用して製造するタイプと異なり、化学合成によって作る。臨床試験では、非小細胞肺ガンの23.1%、小細胞肺ガンの75.8%で、ガンが50%異常縮小あるいは消失した。」2002.12.16《日本経済新聞》
■腺ガンが多発
「肺の奥に出来るガンで、喫煙との関連が比較的少ないとされてきた『腺ガン』でも、喫煙者は非喫煙者に比べて男性で2.8倍、女性で2倍罹りやすいことが、厚生労働省研究班の大規模追跡調査で明らかになった。
肺ガンのなかで腺ガンの占める割合は近年、世界的に増える傾向にあるが、アジアの状況を追跡調査したのは今回が初めて。研究班は“普及している低ニコチンたばこを吸う人は、ニコチン摂取量を増やそうと無意識に深く吸い込む傾向があり、原因の1つではないか”と話している。」2002.9.22《日本経済新聞》
■セキが1ヶ月続けば検査を
「セキや痰が続いて熱がなかなか下がらない・・・。「風邪だろう」と高をくくっていたら思わぬ病気にかかっていることもある。
●肺ガンは4つに分類できると聞きましたが?
「ガン細胞の形によって小細胞ガン・大細胞ガン・扁平上皮ガン・腺ガンの4つに分けられます。小細胞ガン以外の3つは非小細胞ガンと呼ばれます。小細胞ガンは全体の15~20%です。非小細胞ガンのうち扁平上皮ガンと腺ガンの割合は約20年前までは半々でしたが、最近では3対7ぐらいの割合で腺ガンが増えています。女性の肺ガンの3/4は腺ガンと言われます」
●腺ガンは喫煙と関係あるのですか?
「あまり関係ないと言われています。喫煙との関係が指摘されるのは小細胞ガンと扁平上皮ガンです。小細胞ガンは増殖が速くて早期に転移しますが、非小細胞ガンは広がりにくい」
●肺ガンは咳・痰などが主な症状なのですか?
「そうです。ただ、腺ガンでは無症状のことが多い。声がれの原因が肺ガンだったこともあります。喘息と言われて、気管にガンが見つかった例もあります。
●診断方法は?
「胸部レントゲンとコンピューター断層撮影装置(CT)検査が基本です。1日に吸うタバコの本数に喫煙年数をかけた喫煙指数が600を超える人はガンになるリスクが高いので、タンにガン細胞が含まれているか調べます。それでガンの可能性が高いときは、気管支鏡などを使って組織をしらべて診断を確定します」
●治療法は?
「小細胞ガンは他の臓器に転移がある伸展型では抗ガン剤を、片方の胚にガンンがとどまっているような限局型では放射線と抗ガン剤を併用するのが標準治療です。早期の場合、手術後に抗ガン剤を投与することがあります」
「非小細胞ガンは進行度によって5期にに分かれます。<0期>は上皮(吸い込んだ空気と接する胚の内側表面)の中にガンがあり、レーザーを使って治療することが多い。<Ⅰ期>は肺の中にガンがとどまっている段階で、<Ⅱ期>になるとリンパ節への転移が見られます。Ⅰ期とⅡ期は手術が基本ですが、手術が出来ないときは放射線療法になります」
「<Ⅲ期>の一部は手術が可能です。手術できない時は放射線と抗ガン剤を併用することがあります。非小細胞ガンは抗ガン剤の効果が弱いので、できれば手術をした方がよい。
<Ⅳ期>は頭や肝臓など他の臓器に転移している人で、抗ガン剤による治療が基本です。」(上野清伸・大阪府立成人病センター第4内科医長)2002.10.22《日本経済新聞》
■診療指針
「ガンの約2割を占め治療が特に困難とされる肺ガンについて、厚生労働省の研究班は8/2日までに、初の診療指針を作成した。指針は、肺ガンの大部分を占める『非小細胞肺ガン』で、ガンの摘出に加えて再発防止のために周辺のリンパ節すべてを切除する手術は“早期では、体調の改善や再発を少なくする上で推奨するだけの根拠がない”と指摘。これまで標準的とされた外科的治療法に、疑問を投げかけた。
ガン摘出後に「再発しないようように」と行われる放射線照射についても“かえって状態を悪化させるので行うべきではない”と警鐘を鳴らした。
研究班は、指針作成にあたり、国内外の約1000の研究文献を調査、肺ガン治療法の有効性や危険因子を検討した。
指針は「喫煙者が肺ガンになる危険率は非喫煙者の10~20倍高い」と警告。他人のタバコによる受動喫煙でも21~26%危険率が高まるとし、喫煙者や受動喫煙がある人は、ガン発見のための検査を受けることを考慮すべきだとした。
副作用による死者が多数出て問題になった肺ガン治療薬『イレッサ(ゲフィチニブ)』は一部症例で有効性が示されているが、生存期間を延ばす効果は証拠不十分とした。
研究斑主任研究者の藤村重文・東北厚生年金病院長は「従来の肺ガン治療は医者の信念だけで行ってきたものである。全国で同じレベルの医療を提供するため、指針を活用してほしい」と話している。2003.8.3《日本経済新聞》
■放射線療法・・・NHK200611/15生活ホットモーニング午前8:30~
・治療
・再発を防ぐ
・痛みを止める
「植松稔医師。三次元ピンポイント照射。治療後7年たっても創作活動している。早期の肺ガンでは80%の治療率。肺ガン以外には[前立腺ガン]にも有効。
尼崎市の結城さん。膝の痛み・・・原因不明。車いす生活に。エレベーターの振動で頭にまで痛む。肺ガンが骨転移したためだった。関西労災病院に入院。大谷雅俊医師(放射線)。癌が骨に転移すると、破骨細胞が活発に活動し始めるのが痛みの原因。激しい痛みが徐々に無くなった。その後、抗がん剤治療に、3ヵ月後には杖をついて歩けるようになった。・・・脳への転移が見つかる。脳への放射線療法を選ぶ。
日本放射線腫瘍学会http://www.jastro.jp/



■サイバーナイフⅡ
「2008年、米系医療機器の日本アキュレイは販売中の放射線治療システム『サイバーナイフⅡ』で、肺ガンなど体幹部の腫瘍に使える適用拡大の承認を取得した。従来は[脳腫瘍]など頭部に使用が限られていた。
適用拡大により、[肺ガン]や[肝臓ガン][膵臓ガン][前立腺ガン]などの治療が可能になった。
サイバーナイフは放射線を数回放射してガンを治療する医療機器。痛みが無く患者の身体負担が軽いため、外科手術の代替治療法として期待される。X線画像で照射位置を誘導する機能がついており、呼吸などで患部が動いたとしても自動で追尾し、ミリ単位で腫瘍部位を攻撃できる。
日本では1996年に頭部治療向けで承認を取得。」
■遺伝子「EML4 -ALK」
「2007年7月、間野博行・自治医科大学教授が肺ガンの新遺伝子『EML4 -ALK』を特定した。肺ガン患者の約5%が持つ遺伝子で、強力にガン化を促進する酵素を作り出す。
ネイチャーに発表された論文内容は反響を呼び、2007年秋、この分野で世界最先端の米ハーバード大学で講演を依頼された。
間野教授の武器は、微量のガン組織から本来は増えない細胞を異常に増殖させている遺伝子を見つける独自技術。ガン細胞で働いているすべての遺伝子を取りだして、1個ずつウイルスに組み込む。このウイルスを細胞に振りかけて感染させると、ガン遺伝子が入り込んだ細胞がガン化する。この細胞を分析すると原因遺伝子が分かる。
従来のDNAチップを使う解析手法では、100個程度の候補遺伝子に絞るのが限界だった。新技術では、すべての遺伝子について具体的な機能を均等に調べられる。途中で人為的な遺伝子変異が起きたり、特定の遺伝子が強く働いたりして分析が困難になるのを防ぐ工夫をした。「圧倒的な物量で“絨毯爆撃”を仕掛ける」。
抗ガン剤を使ってガン化した細胞を死滅させる手法には限界がある。
もう少し洗練された薬が必要だと・・・。慢性骨髄性白血病などの治療で細胞増殖を活性化する酵素の阻害剤が有効なことが分かっており、こうした活性を引き起こす遺伝子に注目した。2000年自治医大に「ゲノム機能研究部」を立ち上げ、遺伝子探しを始めた。
EML4 -ALKで肺ガンにしたマウスに、この遺伝子が作る酵素の阻害剤を与えると1ヶ月足らずでガンが死滅した。
米国と韓国で臨床試験が始まっている。
従来の治療薬は「EGFR」と呼ぶ遺伝子が原因の肺ガン以外には効果がない。新遺伝子は融合型遺伝子で、2種類の遺伝子がくっついてガン化能を持つ。白血病などでは2本の染色体がつながる「転座」が起きることがあり、染色体の接合部から数多くの融合型ガン遺伝子が発見された。
間野教授の発見で、未発見の融合型ガン遺伝子が多数存在する可能性が高まってきた。





 肺気腫 pneumonectasia
    ⇒肺の弾力性がなくなり、吸気はできるが、呼気が十分に出来ないため、肺の中     に空気が残り、肺が持続的に膨らんでいる状態。
    ◎40才以上の男子で、慢性の呼吸器感染・気管支喘息・長い喫煙歴をもつ者に     多発。
    ◎楽器吹奏など肺に荷重を与えることも誘引になる。
    ◎症状:せき・喀痰から、喘鳴・呼吸困難へとすすむ。
        タン:特徴的でない。
        呼吸困難:呼気性
    ◎1962年、肺気腫研究会の診断基準
     [A]びまん性肺気腫
      [Ⅰ]慢性肺気腫:
          病歴・
          自他覚症:
            口すぼめ呼吸
            気管短縮(輪状軟骨から胸骨柄上縁までの距離が2横指以下)
            慢性のHoover徴候(呼気時に両側季肋部が内方へ牽引)
            奇脈
            胸鎖乳突筋の活動性亢進
            肺胞呼吸音の減弱
            呼気初期crackle
          理学的検査・
          胸部X線写真上、
          肺気腫に特徴ある異常を示すことを前提として、
          以下の如く分類する。
highly suspected
(基準Ⅰ)
           スパイログラムのみならず、望ましい検査として肺気量、肺内ガ           ス分布、その他出来るだけ詳細な肺機能検査を行い、診断された           もの。
(基準Ⅱ)
           スパイログラムのみによる基準を満足するもの
                 (1秒率55%以下)
           MBC、MMF、気管支拡張剤による効果判定を参考にする。
        suspected
          上記の診断基準にはずれるもの。
          たとえば、(1秒率55%~70%)
        nuclassified
上記検査を施行しないか、あるいは出来なかったもので、肺気腫が          臨床的に疑えるもの。
[Ⅱ]慢性肺気腫肺線維症:
          別項の肺線維症の定義に該当し、且つ、上記の肺気腫所見のあるも          の。
      [Ⅲ]合併症としての肺気腫(合併肺気腫)
          結核・じん肺・その他に合併するもの。
[B]局所性肺気腫:
          肺嚢胞
          嚢胞性肺気腫
    ■レチノレン酸に改善効果。
     「米国立心臓・肺・血液研究所(NHLBI)は、ビタミンAの誘導体である『レ      チノイン酸』に肺気腫の改善効果があることを動物実験で確認した。
ラットに肺胞の組織を分解する酵素を与えて肺気腫を誘発させ、レチノイン      酸を投与したところ、正常な状態に肺が回復した。肺胞や気管支の組織を再      生する働きがあるとみている。米国では45才以上の長期喫煙者に相当する      約200万人が肺気腫を患い、年間に約1万人の患者が死んでいる。1997.6.12      《日経産業新聞》
    ■β-カロチン
     「肺をタバコの煙や他の刺激物にさらしている人は、たとえ肺ガンにならなく      ても、肺気腫を起こします。刺激され、傷つけられた肺組織は、日光を長時      間浴びすぎた時に見られるシワの寄った硬い皮膚のようになり、柔軟性を失      い、空気から酸素を得る能力を失う。
       喫煙者の血液中には、一酸化炭素があります。一酸化炭素中の酸素原子は、      空気中の酸素よりも反応性が高いため、赤血球のヘモグロビンと容易に結合して      しまい、ヘモグロビンの放出を阻止して、正常な酸素の働きを妨げる。従って、      体細胞に十分な酸素が行き渡らないことになる。
       又、呼吸によって生じる二酸化炭素の血液中レベルが2%以上になると、      酸素を吸収する赤血球の能力は、著しく低下します。視力・反射機能・その      他の生理学的測定値も酸素運搬能力に関連しています。
       1日1箱のタバコを吸うと血液中の二酸化炭素レベルは4%まで上がり、      2箱吸えば、7%に上昇します。二酸化炭素からは、容易にフリーラジカル      が出来てしまう。
       臨床栄養学会誌『J.Clin. Nutr.』で、フレッド・ゲイ、ジョージ・B・ブルバッファ      ー、ハネス・B・スターリンの3博士は、“タバコを吸わない人でも、1日に少なくと      も15mgのβカロチンが必要である”」
■息苦しい肺気腫
「78歳の男性。身長168cm、体重45kg。昔肺結核で胸郭形成術の手術をしました。10年ほど前から坂道を上ると動悸・息切れがします。1年中マスクをしないと、すぐに風邪をひきます。気管支炎をよく起こし入院すると酸素吸入が必要になります。肺気腫との診断をうけています。
質問者は息苦しい感じを“空気が肺に入っていかない感じ”“食事をするだけで息苦しくなり、頭から汗がたらたらと流れ落ちる”と述べている。また、“食べ過ぎると、お腹が太鼓のようにガスが張って苦しくなり、横にならなければいられない”“夕方になるといつも37℃台の微熱が出る”などつらい状態を書いている。体重減少が目立っており、消化器の機能も落ちている。
このような状態に最も良く使われる漢方薬は消化器・呼吸器を中心に全身の活力を補う補中益気湯である。また薬用人参・黄蓍などで全身の活力をつけ、呼吸機能を賦活する。もし咳が多ければこれに五味子や麦門冬などを加える。肺気腫による日常生活の制限を緩和するのに有効な漢方薬の種類は少ない。
もし胃腸が丈夫な方は八味地黄丸を、胃腸が弱い場合には真武湯などを併用するとさらに良い」(花輪樹彦)1999.6.7《日本経済新聞》
■手術で楽にならないか?
「60歳代の男性。駅の階段を一気に上がれない程度の肺気腫です。完治させることができないのでしょうか?
近年、肺における換気障害が原因で呼吸不全を引き起こす疾患として、慢性肺気腫が多く報告され、注目されています。
エラスターゼというタンパク分解酵素により、肺の組織が融解するために起こりますが、原因は単一ではなく、喫煙・加齢などのいくつかの因子が重なり合っています。男性に多いのも特徴です。
薬物療法の目的は、気管支の拡張もたらし、気道の炎症を改善させ、痰の排出を促すことにあります。
最近の欧米では、基本的に吸入薬から始め、最終的にはステロイドホルモン薬を使います。そのほか在宅酸素療法、運動療法と栄養管理を行います。
外科的には、胸腔鏡下レーザーによる焼却術や肺切除術が行われ、一定の効果があります。
しかし、喘息発作を繰り返す人や、感染症、心疾患のある人には、有害となる恐れがあるため、専門家と慎重に検討することが必要です。
大切なのは、家族・医師・薬剤師・ケースワーカーなどによる包括的なリハビリを行い、日常生活に支障のない状態を目指すことです。」
■発症のメカニズム
「大阪大学の谷口直之教授らのグループは、肺胞が破壊させて呼吸困難などを引き起こす「肺気腫」の発症メカニズムを、マウスの実験で解明した。
肺胞の壁の形成や分解を調節するタンパク質に付着している糖の一種が無くなるためという。ベイカガクアカデミー紀要に掲載。
肺の中には肺胞と呼ばれる小部屋が多数あり、二酸化炭素と酸素を交換している。肺胞を構成するコラーゲンは、そのままでは体内の分解酵素によって分解されてしまうが、健康な人は分解酵素の働きを妨げる別の酵素があり、バランスが保たれている。
このバランスを調整しているのが『TGF-8』というタンパク質で、受容体(タンパク質)に結合すると、分解酵素が増えすぎないように信号を送る。谷口教授らは受容体についている「コアフコース」という糖鎖を持たないマウスを作製し実験したところ、受容体がうまく結合出来なくなり、分解酵素が増えて肺胞が破壊されることを確認した。」2005.10.11《日経》
「糖鎖には様々なタイプがあり、人間の約10万種類以上あるとされるタンパク質の半数以上にくっついているとされている。また、いろいろな病気に関連しているとされているが、特定の糖鎖が病気の原因に直接関わっているのを明らかにしたのは世界で始めて。」
■喫煙が原因
・坂道を歩くと息が切れる
・急ぐと咳き込むようになった
・長い階段を上るときには一休みしないと苦しい
・汚いタンが増えた
などの症状が出るのは肺気腫の疑いがある。肺は肺胞と呼ぶ小さな空気の入った袋がブドウの房のようになっている。そこで、酸素と二酸化炭素を交換する。その肺胞がつぶれて風船が伸びきったような状態になり呼吸が出来なくなるのが肺気腫。
[息切れ][せき][タン][痩せる][ビール樽のような胸]の症状が現れたら症状が進行している証拠。
最大の原因は喫煙で受動喫煙も危険だ。それ以外では[体質][大気汚染][チリ][ホコリ][化学物質]などが関係する肺の生活習慣病だ。」
  【色彩療法】
    <1>レモン色
    <2>オレンジ色
    <3>黄色

【処方名-五十音順】
■越脾加半夏湯
■黄蓍建中湯
■帰地二陳湯
■橘皮枳実生姜湯
■桂枝加厚朴杏仁湯(虚弱、喘鳴、自汗、咳嗽)
■桂枝去芍薬加皀莢湯
■五虎湯(気管支喘息、呼吸困難、小児喘息)
■厚朴麻黄湯
■柴胡桂枝乾姜湯
■柴胡桂枝湯
■三子養親湯   
■滋陰至宝湯
■小建中湯
■小柴胡湯(胸脇苦満、往来寒熱、食食欲不振、舌白苔、微熱、神経質)
■小青竜湯(咳嗽、喘、鼻水、)
■参散
■沈香降気湯
■神秘湯(呼吸困難、痰少ない、気鬱、胸脇苦満<軽>)
■清肺湯
■蘇子降気湯
■大柴胡湯(実証、筋肉質、胸脇苦満、心下部緊張、便秘)
■竹葉石膏湯
■都気丸
■人参蛤蚧散
■人参胡桃湯
■人参湯
■麦門冬湯
■麦味地黄丸
■八味地黄丸
■半夏厚朴湯
■半夏瀉心湯(胸元がつかえる、下痢、腹鳴、吐き気)
■茯苓杏仁甘草湯
■保元湯
■補中益気湯
■補肺湯
■麻杏甘石湯
■苓甘姜味辛湯
■苓甘姜味辛夏仁湯(顔がむくむ、小便不利、咳で吐く)
■六味丸
    


 肺結核 pulmonary tuberculosis
   =「肺痿」
   ◎結核は殆どずべての臓器を侵すが、肺を侵すことが最も多い。
◎症状:無症状も多い。
      ①疲労倦怠
      ②頬の紅潮
      ③食欲不振
      ④頭痛
      ⑤盗汗
      ⑥発熱:微熱が多い
      ⑦タン:初期少量、のち膿性。
      ⑧肩こり
   ◎検査:
      X線検査
      赤沈
      結核菌の検査
      ツ反応
  【宝石療法】
    天然磁石

  【処方名-五十音順】
烏梅丸
 黄蓍建中湯
    黄連湯
    括楼薤白白酒湯
    乾姜黄黄連人参湯
    甘草乾姜湯
    帰地二陳湯
    荊芥連翹湯
    桂枝加厚朴杏仁湯(虚弱、喘鳴、自汗、咳嗽)
    桂枝去芍薬湯
    桂枝去芍薬加皀莢湯
    桂枝去芍薬加附子湯
    桂枝茯苓丸
    桂姜棗草黄辛附湯
    固本丸
    柴胡去半夏加括楼湯
    柴胡桂枝乾姜湯
    柴胡桂枝湯
    三物黄湯
    滋陰降火湯(増殖性)
    滋陰至宝湯
    四逆散
    四物湯
    梔子湯(身熱、胸中煩熱、心中懊、不眠、熱感)
    梔子大黄湯
    炙甘草湯
    瀉白散
 十全大補湯
    小建中湯
    生姜甘草湯
    小建中湯
 小柴胡湯
    小青竜湯
    生脈散
    真武湯
    清燥救肺湯
    清肺湯
    大柴胡湯
竹葉石膏湯
    通導散
 桃核承気湯
    当帰芍薬散
    人参蛤散
    人参湯
    人参養栄湯
    麦味地黄丸
    麦門冬湯
    半夏厚朴湯
    半夏瀉心湯
    茯苓飲
    茯苓杏仁甘草湯
    六君子湯
    苓甘姜味辛湯
    苓甘姜味辛夏仁湯
    苓甘姜味辛夏仁黄湯
    六味丸
  【臨床例】
    ☆《建珠録》
      「京師河原街の賈人、升屋傳兵衛の女、病む。衆醫皆以て労と為して方を      処するも亦效なし。羸痩日に甚だし、旦夕死せんとす。賈人もとより古方を      懼(おそ)る。然して已むを得ざるを以て来りて診治を求む。《吉益東洞》先      生既に往きて之を診る。その意の信ぜざるを知る。即ち謝して帰る。月を踰      えてその女死す。
その後二年、その妹も亦病む。賈人謁して曰く、「僕、初め五子あり、そ      の四子は皆已に亡ぶ。その病皆労なり。蓋し齢十七に及ぶときは、則ちそ      の春正月、必ず発す。秋八月に至りて必ず皆死す。嚮(さき)に先生診する      ところ此れその一なり。亦已に死す。而して今は季子(末の子)、年十七。亦      之を病む。夫れ僕、固より古方の奇效あるを知らざるには非ず、その多くは      峻薬を用うるを懼るなり。然して顧うに緩補の剤、之を救うも、一としてそ      の效あるを見ず。願わくば先生之をして、縦(たと)い死するも復悔ゆると      ころなし」と。
先生、為に之を診す。気力沈弱、四支憊惰し、寒熱往来し、咳嗽殊に甚だ      し、小青竜湯及び滾痰丸をつくりて雑進(交互に服用)す。その歳、八月に至      らず全く常に復す。」




 肺高血圧症
=心臓と肺をつなぐ肺動脈が過度に縮んで、血圧が上がる病気。肺に送り込む血液量が減るため[息切れ]や[胸痛]を起こす。原因が不明で肺動脈があがる場合は『原発性肺高血圧症』と呼ぶ。
■プロサイリン
「科研製薬は足の動脈硬化などの治療に使う「プロサイリン」を、効き目が持続するように改良し肺高血圧症にも使えるようにした。
プロサイリンは血管内で作られるプロスタグランジンという物質を補う働きをする。血管を広げて血圧を下げたり、血液が固まるのを防いだりする作用がある。20075/18




 肺梗塞
   ◎原因:
      下肢静脈の血栓がある(産後・術後)
      骨盤静脈に血栓がある(産後・術後)
      心臓内血栓:心臓衰弱時、僧帽弁疾患
      脂肪塞栓:骨折後など
   ◎症状:
      呼吸困難
      胸痛:側胸部
      タン:血性の。突然の血痰のち褐色タン。
      セキ
   ◎合併症:胸膜炎、肺炎、肺壊疽
■術後のケア
「兄はなぜ死ななければならなかったのでしょうか」。千葉県の主婦は、昨年秋に大腸ガンの手術後に亡くなった会社員の兄(当時53歳)のことを手紙で伝えて来た。
兄の手術はうまくいき、経過も良好。本人や家族がほっとしたのもつかの間、思わぬトラブルが起きた。手術の2日後、ベッドから起きあがり、歩く練習をしようとした時だ。
看護婦に支えられ、ゆっくり歩き出したが、数歩で息苦しくなった。ベッドに引き返そうとする間に意識を失い、床に倒れ込んだ。
身長175cm 、体重80kgを超える堂々とした体格。看護婦と、付き添っていた義姉でベッドに寝かせようとしても、持ち上がらない。まもなく呼吸・心拍とも止まった。
若い看護婦はパニック状態なのか、枕元のナースコールを押すだけで、手当が出来ない。
ナースステーションには、誰もおらず、別のフロアでようやく看護婦を見つけ、救命処置が始まった。心臓マッサージなどが行われたが、脳死状態に。腎機能が低下して体がむくみ、5日後に息を引き取った。
病院の説明では、手術中に足などの血管に出来た血の塊(血栓)が、肺の血管に流れて詰まり、肺梗塞を起こり、呼吸困難になったためだという。手術後、初めての歩行練習など体を動かす時に起きる場合がある。
肥満体形の人に起きやすく、欧米では比較的多い。手術などで長時間、体を動かさないと血栓が出来るとされ、欧米では、予防のため手術中に足をマッサージする装置を使用する病院も多いという。
担当医師は「日本人には非常に少ない」と言う一方で、「この病院でも過去に何例か起きている」とも説明した。
「それなら、なぜ対策を取らなかったのか」。遺族にやりきれなさが残った。
歩行練習の日は土曜日で、病棟には看護婦らスタッフが少なかった。「肺梗塞の危険がある、という説明は事前になかった。歩行練習を医師のいるところで行わず、なぜ経験の少ない若い看護婦しかいない時にしたのか」と義姉は話す。
主婦も「医師や看護婦も優しく親切なので、安心していた。スタッフのいない“魔の時間”があるとは思わなかった」と言う。
この看護婦は土下座して謝ったが、責任は看護婦にあるのだろうか。手術後の歩行練習に肺梗塞を起こしたものの。、素早い救命措置で事なきを得た例もある。そうした事態を想定し、迅速に対処できる態勢を取っていなかった病院の管理にこそ、問題があるのではないか。
この病院では、肺梗塞の恐れがあると思われる患者に血栓を防ぐ薬剤を使用するのに加え、あたら二肝火是認に手術中のマッサージを行う対策を始めた。
手術は、外科医の腕さえ良ければ成功するのではない。手術後の管理にまで目配りすることが重要なのに、日本の病院は不十分だ。」


 肺疾患

│ 疾患名 │ 症状 │ 参考 │ 検査 │
│肺炎 │発熱・チアノーゼ・│ │ X線検査、白血│
│ │錆色痰 │ │球増加 │
│間質性肺炎 │発熱・乾性咳・呼吸│両側肺にびまん│胸部X線所見 │
│ │困難・チアノーゼ・│性に出現。 │(肺野のびまん性│
│ │ │バチ指・ │陰影と下肺野の縮│
│ │Velcroラ音 │ │小) │
│ │ │ │ │
│肺ガン │咳・痰・血痰・胸痛│ │胸部X線検査、C│
│ │・呼吸困難・嗄声・│ │T、腫瘍マーカー│
│肺結核  │急速に進行するもの│ │X線検査、結核菌│
│ │に多い │ │検査 │
│気管支肺炎 │倦怠、胸痛 │口唇ヘルペス │痰検査 │
│ │湿性の時有響性ラ音│傾眠。譫妄 │ │
│ │[子供]鼻カタル頚部│ │ │
│ │痛、痰少。 │ │ │
│肺化膿症 │胸痛、咳 │悪寒戦慄 │痰・X線検査 │
│(肺膿瘍)(肺壊疽)│ │ │白血球数増加 │
│大葉性肺炎 │強い胸痛、咳、食欲│高熱、悪寒戦慄│白血球↑左方移動│
│(クループ肺炎) │不振、頭痛 │さび色痰 │X線検査 │
│ │ │ │痰細菌検査 │
│原発性異型肺炎 │疲労感 │呼吸正常 │寒冷凝集反応 │
│ │乾湿ラ音 │ │マイコプラズマ検│
│ │ │ │出 │
│肺気腫 │咳・喘鳴・呼吸困難│チアノーゼ │胸部X線 │
│ │(呼気性) │浮腫 │肺機能検査 │
│ │乾湿ラ音 │老人に多い。 │ │
│肺腫瘍 │初め自覚症状無し。│痰粘稠→膿性 │胸部X線 │
│ │刺激性咳、胸痛、 │リンパ節転移 │痰細胞診 │
│ │体重減少 │ │気管支鏡→生検 │
│肺線維症 │労作時息切れ │バチ指 │肺機能・拘束性障│
│(びまん性間質性│乾性咳 │肺ガンの合併率│害。拡散障害。 │
│肺炎) │Velcroラ音。 │が高い。 │低酸素血症 │
│ │ │ │血清LDH上昇 │
│塵肺 │咳・痰。 │バチ指 │ │
│ │後部陥没 │ │ │
│ │ │ │ │

      (吉利和編著「内科診断学」改訂7版金芳堂参照)


 肺腫瘍
   ◎

│ │  肺腫瘍 │ 肺結核 │
│セキ(咳) │乾性のことが多い。 │セキとタンが平行する │
│ │タンと平行しない。 │ │
│タン(痰) │血痰。腫瘍細胞の検出 │膿性痰、ときに喀血 │
│ │ │結核菌の検査 │
│胸痛 │頑固。持続性があることも │少ない。 │
│ │ │ │
│呼吸困難 │気管支閉塞・肺気腫で起こる│胸膜の広範囲の癒着で起│
│ │ │きる │
│X線検査 │孤立性の腫瘤影。八ッ頭状、│多様。 │
│ │ガン放射、浸潤影のこともあ│多くはS1.2、S6に見ら│
│ │る。 │れる。周囲に散布巣を伴│
│ │胸部CT、気管支造影が有用│うことが多い。 │



 肺真菌症
(参照→「アレルギー性気管支肺真菌症」)
   ◎肺に病原性のある真菌には以下のものがある:
     カンジダ
     アスペルギルス:(参照→肺アスペルギルス症)
放線菌
     クリプトコッカス
     ムコール
■セキやタン、長引けば
「Mさんは61歳の男性。2年前からセキ・タン、原因不明の熱が続き、内科で肺真菌症と診断された。抗真菌薬などで治療を受けていたが、5月に大量咯血。その後もコップ1杯程度の咯血が続いたため入院した。
胸部X線検査とCTを使った検査で、肺の左上に直径3cmの影が認められた。抗真菌薬で治療したにもかかわらず咯血が続くため、手術で肺の左上部を切除した。術後の経過は良く、2週間後に退院した。
肺は気管を通じて外界とつながっており、空気とともに吸い込まれる細菌やカビに常にさらされている。カビの仲間による病気で最も厄介なのが、肺真菌症である。
肺真菌症には
<1>肺結核で出来た空洞に菌が住み着いて塊をつくる菌球型、
<2>菌が散らばって肺炎のようになる侵襲型、
<3>アレルギー反応を起こすゼンソク型がある。
症状は咳やタン、原因不明の発熱などで真菌症に特別の症状はない。肺真菌症のショウジョ医右派肺ガンや結核とよく似ている。診断は胸部X線検査の異常を、CT検査、気管支鏡検査や血液検査で確定することが多い。
肺真菌症は高年齢者や糖尿病、ガンの治療後の抵抗力が低下した人に見られ、普段健康な人がかかることはまずない。」(木下博明・大阪市立大学医学教授)2000.7.24《日本経済新聞》




 肺水腫 pulmonary edema
   ⇒漏出性あるいは浸出液が、肺間質系、細胞内に広く浸潤した状態。
   ◎呼吸困難が主症状で、心臓喘息の一型である。予後は重症。
◎(原因)1.肺静脈の鬱血 
        2.毛細血管壁の透過性が異常に亢進
        3.胸膜浸出液を急速・大量に排除 
        4.血管神経性素因
        8.急性左室不全
          左心室が梗塞して起きる。
        6.毒ガス
        7.腎炎・肺炎
 ◎症状:
      呼吸困難:.強度の呼吸困難から坐位呼吸となる。(重篤な呼吸困難)
      タン:多量の泡状・漿液血性の痰。 苦悶感。
         薄い液状泡沫状、バラ色をなし蛋白多く高比重。
      セキ
      チアノーゼ
      ケイレン:昏睡状態になる。
  【処方名-五十音順】
    桔梗白散
    増損木防已湯
    大棗瀉肺湯   
    半夏厚朴湯
    木防已湯
    苡仁湯    
    苓甘姜味辛夏仁湯
【西洋医学】
<1>心不全による肺毛細管圧上昇によるもの:
(1)起座位:
静脈環流を減少させpre-loadを減らすため30~40度にベッドアップする。
(2)酸素投与:
低酸素症がさらに心不全を悪化させるため酸素投与が必要である。
ベンチュリマスク30~40%酸素投与でPao2を70mmHg以上に保つ。
(3)薬物治療:
処方1.Morphine Hydrochoride 1回5~10mg 皮下・静注
処方2.Lasix 1回40~80mg
Lunetoron 1回1~2mg
処方3.Millisiol 0.05~0.1g/kg/min
<2>心不全によらないもの:
処方1.ステロイド(Solu-Medrol)1回1000mg 静注



 肺性心 cor pulmonale(肺心症)
    (参照→慢性肺性心)
   ⇒肺に広範な病変があるため、肺動脈圧が高くなり、右心が拡張・肥大した状態(右    心不全)をいう。 
     ①肺塞栓(急性型)、肺気腫、回血管(慢性型)で見られる。
     ②チアノーゼを伴う心不全を起こす。
   ◎肺性心の定義:
     <1>1961年、WHOのExpert Committeeの定義:
      「肺の機能及び/又は構造を障害する疾患の結果起こった右室肥大を肺性心       とし、右室肥大の基準を病理的に右室流出路の心筋壁厚5mm以上とさだ       めた。」
     <2>1979年、NYHAの定義:
      「一次性に肺実質、肺血管、または肺内ガス交換を障害し、肺高血圧を来た       しうる病的プロセスがあり、右室拡大(拡張・肥大)または右心不全が起       こること。」
   ◎肺性心の診断基準:
    肺性心が確実:
      ①右心カテーテル検査:
          安静時、室内気吸入下の肺動脈平均圧(20mmHg以上)
      ②肺高血圧を来たし得る呼吸器疾患症例で、右心不全の既往がある。
    肺性心に疑いorほぼ確実:肺高血圧を来たし得る呼吸器疾患症例で、以下の     所見が見られたら肺性心の合併を疑うこと。
①聴診:肺動脈弁第2音の亢進
          肺動脈弁閉鎖不全による拡張期雑音
          吸気に大きくなる3音
      ②胸部X線写真像:
       (a)右下行肺動脈の最大径が16mm以上(20mm以上なら:確実)
       (b)肺門・胸郭指数が40%以上。
        (指数=脊椎棘突起上に引いた中心線から左右肺動脈の第1枝の外側縁         までの距離の和を、胸膈最大径で除した値を%表示したもの)
      ③心電図:右室肥大或いは右室異常。
       (a)V1、V3RのqRパターン
       (b)R/S5.6<1
       (c)右軸偏位:1100以上
(d)右脚ブロック
       (e)右側胸部誘導のST-T変化
      ④超音波:
       (a) P弁a波減弱・消失
       (b)右室拡張期dimension↑
       (c)中隔の肥厚
       (d) M弁の拡張早期のslope↓
       (e)RPEP/RVET↑
       (f) P弁の収縮期のnotch
      ⑤タリウム心筋シンチ:右室壁の描出
      ⑥動脈血ガス:PaO260Torr未満
   ◎肺性心の原因となる疾患:
    肺胞及び気道を一次性に障害する疾病:
      ①慢性気管支炎
      ②肺気腫
      ③肺線維症:結核
            じん肺症
            気管支拡張症
            放射線照射
      ④肺肉芽腫症及び浸潤:サルコイドーシス
                 皮膚筋炎
                 全身性エリテマトーデス
                 強皮症
      ⑤肺切除
      ⑥高空低酸素症
    胸郭運動を一次性に障害する疾病:
      ①脊椎後彎症およびその他の胸郭変形。
      ②胸郭形成術
      ③慢性の神経筋萎縮:ex.ポリオ
      ④肺胞性低換気を伴う肥満症。
    肺血管を一次性に障害する疾病:
      ①原発性肺高血圧症
      ②終節性多発性動脈炎
      ③縦隔腫瘍・動脈瘤・肉芽腫症などによる主肺動静脈の圧迫。
  【処方名-五十音順】
    帰地二陳湯
    人参蛤散



 肺積
   =五臓積聚の1つ。右側腹部にあり、背痛を伴う。《漢方用語大辞典》
  【処方名-五十音順】
息賁丸
息賁湯《医学入門》



 肺線維症 pulmonary fibrosis   
   =「びまん性間質性肺炎」。
    原因不明のものを「特発性間質性肺炎(IIP)」と呼ぶ。
⇒肺胞と肺胞の間の部分に線維素(コラーゲン)が沈着して壁が厚くなる病気です。    間質性肺炎の慢性型とも呼ばれます。
   ◎肺は、基底膜という薄い膜を介して肺胞と血管が接し、吸い込んだ空気中の酸素    と血液中の二酸化炭素を交換しています。この膜に炎症などで線維素が溜まり、    厚くなると酸素と二酸化炭素のガス交換がスムーズにいかなくなります。
      ①肺活量の著しい減少
      ②肺の拡散能力の低下
      ③動脈血中の酸素不足
◎原因:<1>薬の副作用:
          インターフェロン小柴胡湯
       <2>膠原病・サルコイドーシスなどの全身性疾患の部分症状として。
       <3>過敏性肺炎(小鳥から)が慢性化して
       <4>アレルギー
       <5>不明=「特発性肺線維症(特発性間質性肺炎)」
   ◎症状:
      セキ:乾性の咳。
      タン:
      息切れ:運動すると息苦しい
      呼吸困難:病状の進行速度、急・慢性の病型に一致する。
      バチ指:ときに
   ◎検査:
肺機能・拘束性障害
      拡散障害
      低酸素血症
      血清LDH上昇
   ◎診断:レントゲン写真
         (参照→エックス線立体撮影)
       肺ガンとの合併に注意。  
  【処方名-五十音順】
    補肺湯


 肺尖カタル
  【処方名-五十音順】
    荊芥連翹湯




 肺塞栓
=「肺血栓塞栓症」
   ◎原因:
      既往の心不全
      手術を最近行ったことがある。
      下肢の血栓性静脈炎がある
   ◎症状:
      突然死:大きな塞栓は1~2時間で死亡。
      胸痛:肺動脈から起こる痛み。
      呼吸困難
      恐怖感
      チアノーゼ
      脈拍:細頻
■空の長旅、座りっぱなしは体に毒
「関西空港で昨年、70歳代の女性が欧州旅行を終え、旅客機から降りたとたん、呼吸困難になり意識を失った。空港の対岸にある大阪府立先週救命救急センターに運ばれて検査したところ、肺の血管に血の塊が詰まった肺塞栓症とわかり入院。約1ヶ月後に退院した。
長い間、狭い座席に座っていると、脚の静脈に血液が滞り、小さな血の塊が出来ることがある。水分が不足すると、より血が固まりやすい。太っている人、脱水状態にある人、ピルの服用者は危険性が高い。
同センターの横田順一朗所長によると、この女性は約10時間の飛行中、エコノミークラスに座りっぱなしだった。トイレをガマンするため、お茶なども飲まなかったという。
旅客機の狭い座席に長時間座っていると急に呼吸困難になる症状は『エコノミークラス症候群』と呼ばれる。これは、欧米で報告されているが、日本ではまだ少ない。横田さんは「長い時間、飛行機に乗るときは、十分に水分を摂るほか、ときどき立ったり歩いたりしましょう」と忠告している」1999.6.27 《朝日新聞》
■ガン切除、10日後に
「すごくラッキーですよ。早く発見されましたから」今年4月、大阪府東大阪市の主婦川村賀代子さん(58)は、夫の会社員幸男さん(当時58)の検査結果について医師からこう説明され、胸をなで下ろした。
弁の色が黒っぽいのが気になり、胃の内視鏡検査を受けた。2年前に患った胃潰瘍の再発かと思ったが、胃ではなく、十二指腸にガンが見つかった。「早期の発見」という判断で、本人にも告知された。
翌月、手術が行われ、医師は「手術は成功です。ガンは取り切れました」と説明した。
手術後の回復は順調だった。点滴などのチューブがはずれた9日後には、「早く仕事に戻りたい。明日からばっとり歩く練習や」と笑顔でVサインを作って見せるはしゃぎぶり。
賀代子さんも「もう大丈夫」と、確信を深めた。
その翌日の早朝、ベッドから下り、病棟でソロリソロリ歩く練習を始めた。手術後初めて口にした朝食も。「こんなにおいしいとは思わんかった」と、残さず食べた。
異変は朝食後、再び歩こうとした時に起きた。
「ウーン、おかしい」と、ベッド脇の椅子に座り込んでうずくまる。気分が悪いのかと賀代子さんが洗面器を差し出すと、「そんなんと違う。胸や」といって胸を押さえた。ナースコールで看護婦を呼んだ。
「とにかく苦しい。座薬を入れて」。幸男さんが訴えると、看護婦は薬を取りに行った。賀代子さんが胸や背中をさすっても、楽になる様子はない。
薬を持ってきた看護婦は血圧計を取りに走った。
その間にも、幸男さんはみるみる脂汗を浮かべ、うめき声をあげる。「頭の中が真っ白になる!」と叫び、顔をゆがめた。
「ただごとではない」と感じた賀代子さんは、長男を呼ぶため院内の公衆電話に走った。
病室に駆け戻ると、夫はベッドに横たえられていた。今まであれほど苦しんだのに、目を閉じて身じろぎ一つしない。唇が少し紫色になっている。医師が「川村さん!」と大声で呼びかけても、返事はなかった。
「このまま氏ぬんやないか」
賀代子さんは背筋が冷たくなった。蘇生措置をしても、幸男さんは息を吹き返さず、約4時間後、死亡が宣告された。
死因は、「肺塞栓症」。
医師は、胸部のX線写真を示しながら、血液が固まって出来る血栓が肺動脈に詰まり、肺が酸素を取り込めなくなった、と説明した。
「手術は成功だったはずやのに、あんなに元気だった人が、何でこんことに----」賀代子さんは呆然とするばかりだった。
「手術後の肺塞栓症が増えている。命に関わる手術の合併症だが、欧米では常識とされる予防などの対策が、国内ではほとんど行われていない。「手術後の患者は危険な状態に置かれている」と警告する専門家もいる。」
■医師側に薄い予防意識
「なぜ夫は死ななくてはならなかったのだろう。大阪府東大阪市の川村賀代子さん(58)は、幸男さんを5月に無くした後、弁護士に相談した。
幸男さんは、十二指腸ガンの手術を受けた10日後、病院でベッドから下りて歩こうとした時、急に苦しみ出した。数分で呼吸・心拍ともに止まり、手当のかいもなかった。
手術後の経過は順調だっただけに、割り切れなさが残った。死因の肺塞栓症は足などの静脈に出来た血栓(血の塊)が、肺に運ばれ肺の動脈が詰まる疾患。肺が酸素を取り込めなくなり、命に関わる。手術後に起きることが多きのは、手術中や手術後、安静にしている間に血栓が出来、体を動かした時などに肺動脈に運ばれるからだ。
だが、賀代子さんは「そんなことが起きるなんて、一言も聞いていません。ガンで亡くなるならともなく、こんな訳の分からないことで命を落とすとは------」と訴える。
相談を受けた弁護士は、「裁判を起こすのは難しいが、納得できない気持ちは当然です」と、病院に説明を求める手紙を書き、賀代子さんは執刀医と面談することになった。
家庭医学書で調べたところ、肺塞栓症は、肥満の人や、長時間ベッドで寝たままの人に起きやすいと、あった。幸男さんは慎重153cm、体重70kgで、かなり太めの体形だった。
「予測できなかったんですか?」
賀代子さんが尋ねると、下手欄の執刀医は「多くの手術をしているが、このような経験は初めて」と説明した。
肺塞栓症は欧米に多く、手術中や手術後、足のマッサージ機や薬剤で血栓を防ぐ措置が広く行われている。「米国では予防措置をせずに発症して死亡した場合、医師は賠償責任を問われる場合がある」と三重大第一内科教授の中野赳さんは言う。
これに比べ、日本では予防策を取っている医療機関は極めて少ない。幸男さんも、そうした措置は受けていなかった。
医療側の認識も希薄だ。幸男さんが苦しみだした時、手術後初めての食事の直後だったこともあってか、駆けつけた看護婦は、「食べ過ぎかもしれませんね」「血圧をはかりましょう」などと言い、肺塞栓症を疑った対処をした様子はなかった。
賀代子さんは、「看護婦が早く気づいていたら、助かったのではないか」と疑問をぶつけた。「それでも助からなかったと思います」と医師は答えた。
予防には、手術後なるべき早く歩行訓練をするなど早期リハビリが大切、という専門家もいる。だが幸男さんは、点滴チューブが照れて初めて歩行練習するまでの10日間、ほとんど体を動かしていなかった。
賀代子さんは「こんなことが起きると説明があれば、もっと早く体を動かすことも出来た」と、あきらめきれない。
執刀医は「普段患者に肺塞栓症の説明はしていないし、特には予防もしていない。これはどの病院でも同じだと思う」としながらも、「今後、血 栓予防のマッサージなど対策を考えないといけない」と話している。
■「多発」と認識改める必要
「通常、肺塞栓症の予防はしていないし、事前には患者にも説明していない。どの病院も事情は同じだと思う」
十二指腸ガンの手術後、肺塞栓症を興し急死した大阪府東大阪市の川村幸男さん(当時61)のケースについて、主治医は、こう述べた。
日本ではこの疾患が少ないとされ、医療関係者の間でも関心が低かったからだ、しかし、最近、我が国でも多発していることが分かってきた。
肺塞栓症は、足の静脈に出来た血の塊(血栓)が、肺に運ばれ肺動脈が詰まり、酸素を取り込めなくなる。手術後に起きることが多いのは、次のような理由による。
「エコノミークラス症候群」
足の静脈の血液は、筋肉の働きで心臓に戻るが、手術中や手術後の安静時はこの動きが止まって血液が流れにくくなり、血栓が出来やすい。飛行機内で長時間ジッと座っているだけでも起きる人もあり、座席の狭い「エコノミークラス症候群」とも呼ばれる。
腹腔鏡手術
 腹部を大きく切らずに行う腹腔鏡手術では、空気を注入して腹部を膨らませるが、この操作も静脈を圧迫して血流が悪くなり、血栓が出来やすいと言う指摘もある。
肥満の人や、
高齢者らに多く発症する。
ガン患者も血液が固まりやすくなっているため、比較的多いという。
東京医科歯科大第一外科教授の岩井武尚さん(57)は「肺塞栓症は増えている。食生活の洋風かによる肥満の増加、急速な高齢化、腹腔鏡手術の普及などが原因」と指摘する。
米国では、年に数万人が肺塞栓症で死亡すると推定されている。三重大第一内科教授の中の赳さんによると、この疾患で死亡する割合は、欧米で入院患者1000人当たり3~5人に対し、日本は2.6人。決して少ないとは言えない。
厚生省の人口動態統計でも、86年から10年間で、この疾患による死亡は2.9倍に増えた。岩胃酸は「現在、突然死の中でも最も問題なのが肺塞栓症ではないか」と話す。
発症すると、呼吸困難・胸痛などの症状が表れる。米国の研究では、発症後の死亡率が、正しく診断・治療した場合に8%、これに対し、診断がつかない場合は32%と、4倍にのぼった。日本でも肺塞栓症と気づかず、適切な治療がなされていないことは少なくないと見られる。
予防には、手術中に弾力性のあるストッキングをはいたり、機械で足をマッサージすることが有効とされる。また、肥満など危険の高い患者には、あらかじめ血液を固まりにくくする薬剤を使用する。
手術後も長い間、寝たきりでいると、気仙が大きくなる恐れがあり、なるべく早く歩行訓練を始める方が良いとされる。
世界保健機構(WHO)も予防の指針を指しており、欧米では普及している。だが、日本では予防を実施している病院は極めて少ない。血液凝固を防ぐ薬剤の保険適用が認められていないといった事情もある。
岩胃酸は「日本に肺塞栓症は少ない、という認識を変える必要がある。手術の歳、患者にも説明した方が良いのではないか」と話している。
■25歳、足の骨折治療中
「千葉県野田市の会社員田口正広さんは95年8月、海水浴場で転倒、右足に激痛が走った。検査で足首の骨折と分かったが、帰宅した後も痛みが引かず、翌日、入院した。
患部を固定し、足先から引っ張る牽引治療を受けた。ベッドで寝たまま過ごし、5日目に固定具がはずれた。
ところが、翌日午後に見舞った母親の幸代さん(52)は、酸素マスクをつけた息子の姿に驚いた。その日の早朝にトイレで突然、呼吸困難になったという。胸苦しく、脂汗が噴き出した。
「のどまでしか息が吸えない、これで僕は終わりかと思った」と正広さん。幸代さんと話す時も、酸素マスクをはずさず苦しそうだった。
「そんな大変なことが起きたのに、病因はなぜ私に連絡しないのか」。幸代さんは不審を抱き、医師に原因を尋ねたが、「心電図・X線とも異常がありません。何が原因と言われても-------」と、要領を得ない。
容体が急変したのはその2日後。病室でのうなり声に気づいた看護婦が駆けつけると、正広さんは既に意識がなかった。呼吸・心拍が止まり、まもなく死亡。25歳の若さだった。
「足の骨折で入院したのに、なぜ死ななくてはいけないの?」。幸代さんは、病院の責任を明らかにするために提訴した。
原告側は「死因は肺塞栓症で肺が昨日しなくなったため。亡くなる2日前の呼吸困難発作は、その前兆だったのに、血中の差案そのウドを調べるなど必要な検査をせず、見落とした。適切に診断していれば救命できた」としている。
肺塞栓症は、血栓が肺動脈に詰まって酸素を取り込めなくなる。正広さんは身長171cm体重115kgの体格。肥満体型の人は発症しやすい。
一方、病院側は「骨折治療中に肺塞栓症が起きることは少ない。死因は心不全で、過失はない」と反論する。
だが、骨折治療中に肺塞栓症で死亡したケースの報告は、いくつかある。例えば交通事故で足を骨折した中部地方の男性(当時21歳)は、足を牽引する治療後、リハビリ中に心臓が停止、急死した。
これを医学雑誌で発表した医師は「骨折で足の血管の壁が傷ついて血栓ができ、肺塞栓症を起こしたと考えられる。骨折といえども突然死につながる」と指摘。「骨折後の呼吸困難が起きたら、肺塞栓症を念頭に診療する必要がある」と話す。
だが、正広さんが亡くなる2日前、呼吸困難に陥った際、担当医が肺塞栓症を疑った形跡はない。カルテの記載も「早朝より呼吸苦。心電図異常なし。過呼吸(症候群)か」となっている。この過呼吸症候群は、主に精神的な下人で起きる呼吸困難の症状を言う。
正広さんの死因などについては判決を待たなくてはならないが、呼吸困難の債の診療が適切だったとは言い難い。
被告側の院長は「骨折、肥満などがあれば、肺塞栓を疑うのが基本だが、正広さんの骨折は軽症だった事情があった」としつつ、「診療には反省すべき点もある」と語る。医療現場は、予防・治療のあり方を再検討すべきではないか」
■手術後の突然死
「手術の後、順調に回復しているように見える患者を襲い、突然死をもたらす肺塞栓症。足などの静脈に出来た血栓が肺に運ばれ、肺動脈が詰まって起きる。欧米に比べて対策が遅れていた日本でも、予防などに力を入れる医療機関が少しずつ増えている。
手術中に血栓が起きるのは、足の筋肉の動きが止まって血流が悪くなるためだ。川崎市立川崎病院は、手術の際、弾力のある包帯を足に巻いたり、空気の圧縮によって足をマッサージする機械を使い、血栓が出来ないよう工夫している。
対策は、『肥満体形』や『腹腔鏡手術』など、発症の危険性の高い患者。腹腔鏡手術では、腹部に炭酸ガスを注入して膨らませるため、静脈を圧迫して血流が滞り、血栓が出来やすいと言われるからだ。
それでも血栓が出来てしまった場合に、肺に血栓が運ばれるのを防ぐため、傘の骨のような形をしたフィルターを腹部の静脈に入れる処置も、必要に応じて行う。
外科医長の掛札敏祐さんは「肺塞栓症は死亡率が高く、最も警戒すべき合併症の1つ。予防はとても重要」と話す。
東京医科歯科大は、こうした予防措置に加え、発症した場合を想定した治療の手順を定めている。呼吸や心拍が止まったら、直ちに心臓マッサージ・酸素吸入といった蘇生措置を行うと共に、血栓溶解剤を注射。昨日を失った肺に代わる「人工肺」を装着する。
『経皮的心肺補助装置』と呼ばれ、足の付け根の動脈と静脈に管を入れ、動脈から取った血液に酸素を補給、静脈に戻す。実際にこの装置で救命できたケースもあった。
今年1月に改築された国立がんセンター中央病院は、手術直後の患者を一括してケアする「術後管理病棟」を設置した。一般の病棟より医師、看護婦を増やし、不測に事態に備える。手術後、初めて歩いたりする時に発症しやすいため,看護婦がついて歩行訓練する。肺塞栓症を興しながら、迅速な手当で事なきを得た患者もあった。
この病気を研究する専門医のグループも作られた。94年に内科・外科・放射線科・病理科の医師らでスタートした「肺塞栓症研究会」(代表世話人=杉本恒明・関東中央病院長)。
現在は全国60余りの医長期間の医師が参加、毎年、診断や治療などの研究発表会を開き、診療のれえべるアップを図る。共同研究で新しい治療法の確立を目指す一方、一般の医師への啓発も重視している。
欧米では、血栓の予防薬が広く使われている《賀川玄悦》、日本ではまだ保険で認められていない。国内でも今春、血栓予防薬の臨床試験が始まり、注目される。
研究会の世話人を務める三重大第一内科教授の中野赳さんは「肺塞栓症は日本でも増えているが、予防などに取り組む医療機関は非常に少ない。医療関係者や患者は、この疾患について理解を深めることが大切」と訴えている。
■対応訓練を    
「埼玉県の公務員M子さん(30)は、94年1月、50歳の母が、くも膜は出血で倒れ、手術を受けた。「手術は、この上なくうまくいきました」と自信に満ちた表情の医師。母も手術後10日くらいから元気を取り戻し、家族も「退院したら、温泉に行こう」と喜んでいた。
ところが、手術の約1ヶ月後、歩いてトイレに行き、用を済ませた途端に「胸が苦しい。気持ち悪い」と訴えた。ヘルパーに支えられ、病室に戻った後、顔色が悪くなった急変。数時間後に亡くなった。
死因は、血栓(血の塊)が肺動脈に詰まり、酸素を取り込めなくなる肺塞栓症。「あんなに元気だったのに------」。家族の疑問に、医師は「なぜそんなことが起きたが分からない」と言うばかりだった。
その5日前、母は「胸が苦しい」と訴えていた。X線検査では異常なかったが、肺塞栓症の診断に必要な検査はなかった。医師は「脳の手術後なので、安静に」と指示した。
「連載で『手術で安静にしている間に血栓が出来やすい』とあり、医師の指示で体を動かさなかったのが良くなかったのでは?、予防措置をしていたら、胸の苦しさを前兆と捕らえて治療していたら、と残念でなりません」とM子さんは言う。
栃木県足利市の川野辺文子さん(53)は94年10月、長男伸行さんに22歳で先立たれた。
伸行さんは友人たちとバスケットボールをしている間に腕を骨折、手術を受けた。その翌日、「息が苦しい」と訴えたが、医師は「心理的なもので、入院で環境が変わったせい」と、酸素吸入をしただけだった。
2週間後に退院、リハビリを始めた直後、再び呼吸困難になり、救急車で病院へ。酸素吸入で落ち着き、帰宅した。
しかし、その翌日、またも呼吸困難で倒れ、1週間後に亡くなった。死因は「呼吸不全」と説明されただけだった。
離婚し、息子、娘の3人で暮らしていた。「お母さんは僕が守るからね」と頼もしいことを行っていた息子を薄なった傷は深い。「この5年間、あの子がなぜ死ななくてはならなかったのか、考えない日はありません」
■静脈にフィルター
「米系医療用具大手のJ&Jは、肺塞栓用の再発予防する器具「トラピーズ下大静脈フィルターセット」を2002.9/2に発売する。足などの静脈内に出来た血栓が肺動脈につまらないように、下腹部にある下大静脈の中でフィルターで血栓を濾し取る。
とらえた血栓は血流で溶けるか、検診時に熔解剤を投与して下大静脈がつまらなくする」2002.8.23《日経産業新聞》
■解説
「長時間飛行機やバスに乗ってから、急に立ち上がると息切れがしたり気分が悪くなり死を招くこともあるのが肺血栓塞栓症。
●どんな病気ですか?
肺の動脈に血の塊(血栓)がつまり、そこから先の部分に血液が流れなくなり、肺本来の機能が障害され、心臓に負担がかかる病気です。飛行機の狭い座席に同じ姿勢で座り続けると、足の静脈は自然に血栓が出来てしまいます。目的地に到着して歩き出した瞬間に血栓がはがれ、血流に乗って体内を移動、肺にきて動脈をつまらせます。「エコノミー症候群」とも言われていますが、ビジネスクラスもまた、長時間バすや列車に乗っていても起きます。
●症状?
突然、息苦しくなり、心臓がドキドキしたり、胸が痛くなったりします。
●診断?
急性の肺血栓塞栓症は状態がパッと変わるので診断が難しい。息苦しさや胸の痛みはレントゲン写真で映らないうぃ、症状が軽いと心電図にも異常が現れない。そのため“気のせい”と言われたり、心筋梗塞や気管支炎などと間違われることもあります。
●治療法?
症状が出たら約1週間ヘパリンという薬を注射して、血が固まらないようにします(抗凝固療法)。その後、ワーファリンという飲み薬に替えて血栓が出来ないように予防します。肺動脈の血栓はウロキナーゼやtPA(組織プラスミノーゲン活性化因子)という薬で溶かします。軽症の場合は抗凝固療法だけでもOKですが、症状が重いときは血栓を溶かす必要があります。それでもうまく行かないときは、カテーテルで血栓を細かく砕く場合もあります。
●慢性型では?
慢性の肺血栓塞栓症は血管壁に付着した古い血栓が、肺動脈壁に取り込まれて器質化血栓というものになります。心臓の右側部分(右室)の負担が大きくなり、心臓肥大(右室肥大)や肺高血圧という病態が出来てきます。そうなると少し動いても息切れを感じるようになります。
■予防薬・・・エノキサパリンナトリウム(一般名)
「骨折などで菓子の外科手術を受けた患者などに血栓塞栓症が起きるのを抑える抗血液凝固阻止剤「クレキサン」(一般名:エノキサパリンナトリウム)を発売。新製品は深部静脈で発生した血栓が肺動脈に入り込んで、肺血管を閉塞するために起きる肺血栓塞栓症などの発症を抑える薬剤。
股関節骨折手術・股関節や膝関節の全置換手術を実施した患者を対象に投与する。12時間ごとに1日2回、皮下注射。





 肺脹
   =「肺脹症」
     咳して上気し、煩躁して喘じ、脈浮なる者。肺気腫。
   ⇒咳をしながら上気し、煩躁し肺脹になった症は発汗するとすぐ治る。
   ◎肺脹:咳嗽多、喀痰粘稠にして利し難く、呼吸促迫し、喘息と似たり。
   <1>咳をしながら上気し、肺脹して喘になると、目が腫れて脈浮大のとき:  処方:[越婢湯半夏湯]
  【処方名-五十音順】
    越婢湯
    越婢加半夏湯
    小青竜湯
    沈香四磨湯
神秘湯杏仁
    四物湯
麻杏甘石湯檳榔・牽牛子・大黄



 肺動脈高血圧症
■一酸化炭素で治療
「米ピッツバーク大学などのグループは、中毒の原因となる『一酸化炭素』が肺の病気の治療に有効なことを突き止めた。肺動脈高血圧症という心臓麻痺につながる病気で、中毒を起こさない程度の低濃度の一酸化炭素を毎日吸えば効果があるという。
肺動脈高血圧症のマウスに毎日低濃度の一酸化炭素を吸わせたところ、血圧が正常に戻るなど症状が改善した。
この病気は肺動脈の筋肉細胞が異常の増殖して狭窄を引き起こす。このとき内皮細胞が出す一酸化窒素(NO)があると、一酸化炭素が異常な筋肉細胞のみアポトーシスさせるという。」20069/20





 肺膿瘍 pulmonary abscess
    (参照→肺化膿症)
   ⇒悪臭のない、純膿性の痰を喀出し、悪寒・戦慄を伴うことが多い。
  【処方名-五十音順】
葦茎湯
 桔梗湯
    桔梗白散
    大棗瀉肺湯
    排膿散及湯
    排膿湯
    麻杏甘湯
    

 肺非定型抗酸菌症
   =非定型抗酸菌とは、結核菌と癩菌以外の種々の抗酸菌の総称で、これらの菌の感    染で発病する疾患を『非定型抗酸菌症』と呼び、99%が肺感染症とされる。
   ◎1985年の国立療養所非定型抗酸菌共同研究班による診断基準。
    [Ⅰ]X線像で新たに、空洞を含む病巣。又は乾酪性病変と思われる病巣が出現し      た場合
1ヶ月以内に、3日間の喀痰培養検査を行って、同一菌種の病原性抗酸菌       を2回以上証明する。or
毎月1回の培養検査で、3ヶ月以内に2回以上同一菌種の病原性抗酸菌を       証明する。
     【診断】
       ①X線像での新しい病巣(空洞or乾酪性病変と思われる病巣)の出現と
②上記のorの排菌が同時に観察出来た場合は感染症と考える。
       ③排菌量(分離培地上の集落数)は100集落以下でもよい。
[Ⅱ]すでに硬化巣中空洞・硬化壁空洞、又は排菌源と考えられる気管支拡張症な      ど既存病巣のある場合。
6ヶ月以内に、月1回の月例喀痰培養検査で、3回以上、同一菌種の病原       性抗酸菌を証明する。
上記の3回以上の排菌の中で、少なくとも1回以上は100集落以上の排       菌であることを示す必要がある。
また、上記の排菌は、臨床症状の変化(X線像の変化・発熱・喀血・血痰       ・咳嗽・喀痰量の増加)と関連すること。
◎病原性抗酸菌とは、
      ① Mycobacterium kansasii
② M.szulge
③ M.scrofulaceum
      ④ M.avium-intracellulare
⑤ M.foryuitum
      ⑥ M.chelonei
     及び以下の抗酸菌
M.xenopi
M.simiac
M.shimoidei
M.nonchromogenicum



 肺風瘡
  【処方名-五十音順】
    清肺飲子
    升麻湯
    白竜丸


 肺門リンパ腺炎
  【処方名-五十音順】
    柴胡清肝湯


 肺癰(はいよう)
   =肺癰は肺の化膿症にして肺壊疽・肺膿瘍・肺結核を含む腐敗性化膿性気管支炎等    の総称。肺痿は肺結核のことで、肺に熱を持ったもので虚したもの。
     咽乾き、口中燥き渇せず、その膿痰を盆水中に吐かしむるに、沈むものは肺癰    にして、浮くものは本症に非ずと。肺膿瘍。
◎問うて曰く、大棗湯・桔梗湯・桔梗白散、同じく肺癰を治してその方を異にするは何ぞや。為則答えて曰く、桔梗を用ふるの証は、濁唾。腥臭久久にして膿を吐するものなり。を用ふるの証は、浮腫・淸涕。咳逆・喘鳴のものなり。故にその見証に因って方を処し、病名に絆がるるところとなさず、」
   ◎“胸痛、唾、腥臭、膿血を吐する者を以て肺癰と為す”《重校薬徴》
   ◎肺に癰傷を生じて膿血を咳吐する病証。肺膿瘍・気管支拡張症などにあらわれる。    発熱・悪寒・喘息・咳嗽・両脇痞満・咽喉乾燥などを伴う。中府穴付近の肌肉が    腫れ、粥状の膿血・腥臭の濃痰を吐出する。
    初起の者:四味の苡仁湯、甘草乾姜湯《先哲医話》
    葦茎湯(先ず瀉白散を与え、下を得て後に葦茎湯を与える。《勿誤薬室方函口訣》)
   ◎主薬:肺癰、肺痿には、苡仁を主薬とすべし《万病回春》
  【処方名-五十音順】
    桔梗湯《厳氏済生方》
    桔梗湯一方《世医得効方》
    桔梗白散
    紫散《医学入門》
    紫根牡蠣湯《黴癘新書》
    小青竜湯
    参蓍補肺湯《医学入門》
    参朮補脾湯《医学入門》
    参蘇飲
排膿散及湯
    苡散《万病回春》
  【臨床例】
    ☆《井觀醫言》より
     「病状が肺癰の如くで、実は肺癰でない者は、よろしくその証を審かにして治      を施さなければならない。
阿州藩の某は、咳嗽があって痰を吐き、発熱して脈は数し、胸膈部が隠然      として痛んだ。固まった痰の中には血を交えて、吐く息は臭気が鼻をうった。      数人の医者は肺癰であると診断して、これを治療すること1ヶ月余りで、色      々と薬を用いたけれども、一つとして効かなかった。
来って診を余《尾台榕堂》に請うたので、これを診ると、痰の様子は膿の      ようであるけれども膿ではなかった。一般にいう痰である。この人は平生      から酒を多く飲み、酒を以て生命の綱とし、美食が度を過ぎていた。そこで、      鬱熱が蒸し返しているところへ、季節の変化に感じて、遂にこの症をなした      ものと思われた。
そこで大青竜湯桔梗を与え、毎夜大柴胡湯芒硝を用いた。下痢数行で      あったが、その色と臭気は全く異常で、近づくことが出来ない有様であった。      14、5日の後、排膿散及湯に転じ、南呂丸を兼用した。
薬を服すること10余日で、咳嗽や身熱も次第に減じ、胸痛や吐痰も止み、      前剤を用いること2ヶ月余りで、全くもとに服すた。」《荒木正胤》
(=オウ、大水のさま)
    ☆《井觀醫言》より
     「雑貨屋某は、年40余才で肺癰を患った。23の医者を経てから後、余の治療      を乞うた。咳嗽があって胸痛し、呼吸は荒く、膿を吐き、脈は浮数で食は進      まず、熱は甚だしくはなかったが、咽喉や口中が乾いて渇し、既に1ヶ月余      りを経ていた。
しかし、元気は甚だしく衰えていなかったので、余は病人に諭して言った。      意を決して服薬せよと。先づ排膿散及湯を与えること3日で、第4日目に至      って、これを中止して桔梗白散8分を与えた。臭い膿を吐くこと2回、臭気      の甚だしい白色の大便を下すこと10余行であった。
苦患は大いに減退したが、身体の疲労が甚だしくなってきたので、その翌      日から再び排膿散及湯を与えた。67日の後にまた桔梗白散を与えて快吐下      をとった。すると諸症は吐下にしたがって退いたので、それから後は排膿散      及湯を与えること1ヶ月余で、苦しみは日々に退き、元気も次第に回復して、      諸症は洗うようによくなった。」《荒木正胤》
☆《井觀醫言》より
     「雑貨屋弁次郎の妻は、ハシカに罹ってから肺癰になり、種々の手当をしたが      全く効が無かった。余《尾台榕堂》の治を乞うたので、これを診すると、蒸      すような熱があって悪寒し、脈は数で、汗が出で、口唇は乾き、気息には穢      臭があった。咳が出て、胸が痛み、米粥のような膿を吐いた。飲食に味が全      くなく、身体は痩せ衰えていた。
余は家人に諭していった。軟弱な身体で、この危険な病に罹ったのである      から、平淡ない加減の薬を服用していたのでは、生命の方が先に無くなる。      それよりも、早期に峻剤を使用して、病の鉾先をくじく手段を摂った方がよ      いであろうと。家人もこれを承諾したので、先づ余は桔梗白散3分を投じて、      快吐下をとった。すると病勢お大半は除くことが出来たが、咳嗽がなお止ま      ず、元気が大いに脱した。熱があって胸腹部が引きつれた痛んだので、四逆      散桔梗貝母を与えた。すると膿が次第になくなって、熱も段々と退き、1      ヶ月余りで全治することが出来た。」《荒木正胤》





 背痛 backache
  【芳香療法】
    <1>急性の痛み:ブラックペパー
            ジンジャー
    <2>ラベンダー
      マージョラム
      ローズマリー
  【処方名-五十音順】
    葛根湯
    桂枝加葛根湯    
    柴胡桂枝湯
    小建中湯
    赤丸
    当帰建中湯
【西洋医学】
◎胸や背の筋痛:(消炎鎮痛剤+筋弛緩剤)
[Pontal 750~1500mg+Trancopal 3T]分3。


 排尿異常paruria
  =排尿障害(=痛みを伴う排尿)
  【処方名-五十音順】
    五淋散(膀胱熱あり、小便淋瀝、排尿困難、血尿)
    五苓散(妊娠中の排尿障害、表熱裏水


 排尿回数が多い
   =頻尿(thamuria) (参照→頻尿症pollakisuria)
⇒「尿意頻数 frequency of urination」
     健康者の1昼夜の排尿回数は5~6回で、多くても10回ぐらいで、夜間排尿     は、0~1回です。これより多いのが頻尿です。
  ■なぜ、トイレが近くなるのですか?
    「おしっことは、腎臓で血液を濾過した後に残った老廃物である。成人男性では     約1.5リットル、成人女性では約1.2リットルの量を1日に5~6回に分けて排出する     といわれている。
 おしっこをする理由は、主に血液中の不用になったものを排出するためと、     体内の水分量を一定に保つため。水分を多くとると、当然、体内の余分な水分     を排出する必要があり、おしっこの量が多くなって、トイレが近くなる。
      東邦大学医学部泌尿器科の永尾光一医師が説明してくれる。
    「頻尿---------つまりトイレが近くなる原因は、大きく2つに分けることができま     す。おしっこの量が多くなって起きる頻尿と、おしっこの出し方に問題があっ     て起きる頻尿です。おしっこの量が多くなる頻尿には、 水分の取りすぎ、尿     崩症などの病気、そして、利尿作用のあるものを飲んだり食べたりしたものな     どがあります。
 人間の腎臓は、糸球体というところで、1日に190~200リットルの血液を濾過     し、その99%を、尿細管というところで再吸収している。この尿細管で再吸     収されなかった水分が、おしっことなり、その量は、いろんなホルモン類の働     きで調節されている。
 その代表的なホルモンの1つが、抗利尿ホルモン(ADH)といわれるもので、     尿細管内での水分の再吸収を促進する働きをしている。「水分を多くとると、     おしっこが多くなるのは、この抗利尿ホルモンの分泌が抑制されるためです。     尿崩症というのは、この抗利尿が欠乏し、どんどんおしっこを作って、頻尿に     なる病気です。お酒やお茶などを飲むとおしっこが近くなるのは、抗利尿ホル     モンと逆の働きをする利尿作用のある成分を含んでいる為。とくにお酒の場合     は、アルコールに利尿作用があり、おしっこを出しすぎてしまい、水分を多く     とっているのもかからず、脱水状態になることもあります」(永尾医師)
 お酒を飲んだ後、のどが渇いて水を飲みたくなるのは、アルコールの利尿作     用が、おしっこを出しすぎてしまう為である。
 おしっこの出し方に問題があって起きる頻尿には、<1>膀胱炎・尿道炎・前     立腺炎・膀胱機能不全などの病気が原因のものや、<2>老化によるもの、<3>精     神的な緊張などが原因になるものなどがあります。
「膀胱炎・前立腺炎などの場合は、その炎症の刺激が、脊髄にある膀胱中枢に     伝わり、あたかも尿意をもよおしているように感じて、頻尿になるんです。膀     胱機能不全は、膀胱が神経的に正常に機能しなくなり、頻尿になる病気です。     年をとった人の場合は、血液の循環や膀胱の膜の弾力性が悪くなり、やはり、     トイレが近くなります」(永尾医師)
 人間が尿意を感じるのは、おしっこが膀胱に溜まって膀胱の膜を伸ばし、そ     の信号を膀胱中枢に伝えるため。おしっこが150~200ccになると、尿意を感 じるようになり、400ccになると、膀胱が張った状態となり、500ccで我慢の     限界に達し、脂汗が出てくる状態になると言われています。
  他に、試験前などの緊張した時や、身体が冷えたときにも、トイレが近くな     る。これも、おしっこの出し方に問題があって起きる頻尿の1つである。
「緊張したときは、神経が過敏になり、膀胱中枢が膀胱の僅かな変化も敏感に     感じてしまうために、おしっこがしたくなるのです。身体が冷えたときは、体     温低下で血管が収縮し、膀胱の血液の流れが悪くなるので、再吸収される水分     量が減り、おしっこが多くなると共に、膀胱の変化を敏感に感じて、尿意をも     よおしてしまうのです」(永尾医師) QuaokNO176 p136より。
  【処方名-五十音順】
    桂枝加竜骨牡蠣湯
    桂枝人参湯   
牛車腎気丸
    五淋散
    四逆散
    小薊飲子
    小建中湯
    逍遥散
    清心蓮子飲
    猪苓湯合四物湯
    当帰芍薬加附子湯
    八正散
    分清飲
    竜胆瀉肝湯
    六味丸


排尿回数減少oligakisuria


 排尿困難dysuria
排尿の意志があって、直ちに開始され、太い尿線で勢いよく途絶えることなく短時間(一般には30秒以内)に終了します。このような円滑な尿排出が障害され、排尿開始まで時間を要し、排尿に時間がかかる状態
排尿困難とは尿が出にくいことをいいます。これは尿が腎臓でできているのに尿が勢いよく出なかったり、ポトポトと切れが悪かったり、尿がしたいのに出ない状態をいい、尿がまったく腎臓でできない無尿や乏尿とはちがいます。
排尿困難とは、一般的に『排尿される尿の出が弱い』『排尿するまでに時間がかかる(尿を出したくてもなかなか出ない)』『排尿の時間が長くなった(正常な場合は20秒以内)』『尿が分かれる(尿の線が2本線を描く)』『排尿途中で尿が途切れる』『尿漏れ』などがあります。


  【処方名-五十音順】
    茵五苓散
    牛車腎気丸
    五淋散
    小薊飲子
    腎石一方
  猪苓湯
    猪苓湯合四物湯
    程氏分清飲
    二金排石湯
    乳糜尿湯
    排石湯
    八味地黄丸
    分清飲
    泌尿系結石基本方
    輸尿管結石方
    竜胆瀉肝湯(小便淋瀝、小便黄赤)
    苓姜朮甘湯(腰脚がひどく冷える)



 排尿痛urodynia
   ⇒排尿時に灼熱感・疼痛
  【処方名-五十音順】
  黄連解毒湯
    甘草湯(疼痛)
    五淋散(膀胱熱あり、小便淋瀝、排尿困難、血尿)
    四物湯(排尿後に疼痛)
    瀉心導赤散
    小薊飲子
    逍遥散
    清心蓮子飲
  猪苓湯
    猪苓湯合四物湯
    導赤散
    八正散
    八味地黄丸
    補中益気湯(灼熱感・疼痛
    泌尿系滑石基本方
    竜胆瀉肝湯(小便淋濁、小便黄赤、尿路感染症)
    苓姜朮甘湯(尿意頻数、腰冷ひどい)
    六一散
    六味丸



 敗血症 sepsis, septicemia
   ⇒連鎖球菌などの病原菌が体内のいっての病巣(敗血病巣)から絶えず血中に送り出    され、全身的な感染を起こした状態。
   ◎重症感染症だが、特異な症状がない。
   ◎症状:
      発熱
      白血球が増加
      発疹:黄色ブドウ球菌--膿疱
         緑膿菌---------------出血を伴う小水疱。腋や肛門周辺では壊死性潰瘍                 を形成。
         髄膜炎菌------------四肢・体幹の不整形有痛性血斑。短時間で出現し進                 行する。
         淋菌------------------紅斑、出血斑が膿疱に推移する。
   ■緑膿菌のようにありふれた菌でも、抗ガン剤などの投与などで免疫力が弱ってい    る場合は、血管に侵入して重い感染症を引き起こしたものが敗血症で、血液を調    べても菌が見つからない場合が多いため診断が難しく、手遅れになることも少な    くない。1997.5.7 《朝日新聞》
    学術映画で撮影に成功。「敗血症 その発症過程と治療」桜映画社。
   ■細菌に感染して、症状が全身に及んだ状態を敗血症と言う。細菌そのものが血液    中に無くても、細菌から出る毒素野それに影響された体の種々の物質(これらを    サイトカインという)が全身に回って肝臓や腎臓、肺など重要な臓器がおかされ    て重い症状を引き起こす。
例えば、肺だと強い呼吸困難、腎臓だと腎不全などが起きる。病原性大腸菌O    -157で有名になった溶血性尿毒症症候群(HUS)は敗血症では無いが、赤血    球が壊されたり腎臓が障害を受けたりする。これはO-157が出すベロ毒素とい    う毒素のせいである。
院内感染を引き起こすメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)でも、単な    る腸炎かと思っていたら、あっという間に脱水を伴い、ショック状態になること    がある。肺の状態が急激に悪化し、肝臓や膵臓、腎臓までやられることもある。
肺炎でもないのに、肺が悪くなり、呼吸困難が強くなっていく成人呼吸窮迫症    候群(ARDS)という状態に陥ることも多い。このような合併症を起こすとい    ずれも死亡率が高い。
“ごく簡単な手術だ”と勧められて気軽に手術を受けて手術自体は成功したが、    MRSAによる腸炎を起こし、その後敗血症からARDSになる例もある。腹部    の手術後に胃酸を抑える薬『H2ブロッカー』を使うと、感染はよけいに起こり    やすく、重症になりやすい。(浜六郎・医薬ビジライセンスセンター所長)1998.1.19《朝日    新聞》
■検査薬
「2009年、ロシュ・ダイアグノティスは敗血症の検査薬を発売、
血液に含まれるカルシウム調節ホルモンの前駆体『プロカルシトニン』の濃度を調べる。
プロカルシトニンは健康な人の血液からは検出されないが、細菌感染で敗血症を発症した患者では濃度が上昇する」
  【処方名-五十音順】
 黄連解毒湯
    清瘟敗毒散
    清営湯     
    白虎湯



 




 白衣高血圧症
   ◎医師の診断能力への不信感と治療に対する恐怖感からくる《螺王人》
   ■血圧は自宅で測るべき
     「高血圧治療は、診療所よりも家庭での血圧測定値を重視して貴滅べきという     研究が、「アメリカン・ジャーナル・オブ・ハイパーテンション」に報告された。
自宅で測定すると血圧が低いのに、診療所に入ると緊張し、血圧が上昇する     という“白衣高血圧症”が存在し、正常と高血圧との狭間にいる人は治療を必     要としない場合があると指摘する。
米国ブロッサイス病院のギリレ・チャッテリア博士らは、軽症から中等度の     本体製高血圧患者1710人に自宅で繰り返し血圧測定を行わせ、診療所で測定     した結果と比較した。結果、治療前における血圧測定値の平均は、診療所では     収縮期166・拡張期101であったのに、家庭では収縮期153・拡張期93だった。
  調査は、18歳~75歳、冠動脈疾患の危険因子を少なくとも2つ以上持って     いる患者に対して行った。1997.4.9《化学工業日報新聞》


 白淫(はくいん)
   ⇒思念が無窮で、所願は実らず、腎茎中が痛み、痛みが極まるとかゆくなり、ある    いは前陰が垂れ下がって縮まらず、又、ちょうど精液のような白物が小便と一緒    に出ること。
  【処方名-五十音順】
    金箔丸(白淫と夢泄に有効)
    清心蓮子飲
    瀉心湯
    珍珠粉丸(夢泄と滑精に)
    白竜丸[1](虚労・滑泄・白淫・腎損)


 白血球が減少
   =「白血球減少症」leukopenia
   ⇒顆粒球が2000を割ると減少していると判断。500以下になると「無顆粒球症」    と判定される。 (参照→無顆粒球症)
   ◎顆粒球の減少を引き起こす疾患:
     感染症:
        ウイルス感染:インフルエンザ・麻疹・水痘・風疹
        細菌性感染:腸チフス・赤痢・ブルセラ
        リケッチア症:発疹チフス
        原虫疾患:マラリア・カラアザール
     造血障害:
        血液疾患:白血病・リンパ腫・骨髄腫・巨赤芽球性貧血
        骨髄障害:薬剤・放射線
     脾機能亢進症
     膠原病:
        全身性エリテマトーデス
        Felty症候群
     先天性疾患:「周期性好中球減少症」
     血液透析
  【処方名-五十音順】
    双料参茸丸【中成薬】
   ◎田七
   ◎党参
   ◎人参
◎白朮


 白血球が増加hyperleukocytosis
   ◎白血球の増加を起こす疾患:
     反応性白血球増加症 reactive leukocytosis
  <1>好中球増加症
       <2>好酸球増加症
       <3>単球増加症
       <4>リンパ球増加症
     類白血病反応 leukemoid reaction
     白血病 leukemia

│ │反応性白血球増加症│ 類白血病反応 │白血病 │
│白血球数 │ 1万~3万 │ >3万 │わずか~著増加│
│細胞の種類 │好中球・好酸球・ │好中球・リンパ│幼若球(芽球) │
│ │単球・リンパ球 │球、幼若率(異│(異型性あり)│
│ │ │型性少ない) │成熟球(CML) │
│血小板数 │ 正常 │ 正常 │ 減少 │
│貧血の有無 │  なし~軽度 │ なし~著明 │ 著明が多い │
│出血傾向 │ なし │ なし │ あり │
│赤芽球が末梢│ なし │ ありうる │ ありうる │
│に出現 │ │ │ │
│白血球アルカリフォ│ 正常~増加 │ 増加 │ CMLで著減少 │
│スファターゼ │ │ │ │
│骨髄-有核細│  正常 │正常~増加 │ 増加 │
│胞数 │ │ │ │
│骨髄-核の左│ 軽度 │ 高度 │高度 │
│方移動 │ │ │ │




 白血病 leukemia
    (参照→「慢性骨髄性白血病」「慢性リンパ性白血病」「骨髄異形性症候群」「電     磁波」「フコキサチン」)
=白血病は血液のがんです。血液は赤血球、白血球と血小板の3種の血球と、これらが浮遊している液体である血漿より成っています。血球は骨の中にある骨髄の中で作られます。白血病は正確には血液のがんではなく、血球のがんです。血球を作る細胞すなわち造血幹細胞が骨髄の中でがん化して無制限に自律性の増殖をする病気です。
   ⇒造血器の悪性腫瘍であり、血液中に幼弱性の白血球芽細胞が異常に増加する疾患。
   自己診断リスト:以下の症状が2週間以上続く。
     早期白血病に見られる症状:
       ○膨満感を覚えるようになった。
       ○首筋や脇の下に、グリグリしたシコリがある。
       ○最近、貧血気味になった。
       ○最近、動悸するようになった。
       ○少し動いても、息切れするようになった。
       ○微熱が続く、ときどき高熱も出る。
       ○気づかないうちに青アザが出来ていた。
       ○歯を磨くと、歯茎からかなり出血する。
     頻度は少ないが、要注意な症状:
       ○性器から出血する。
       ○胸(胸骨)を軽く叩いても、響くように痛む。
   ◎種類:
「急性と慢性に大別される。急性・慢性ともガンになる細胞の種類によって骨髄性とリンパ性に分けられる。国内では急性と慢性の割合は(4:1)。急性白血病のうち骨髄性とリンパ性の割合は成人では(4:1)、小児では逆に(1:4)になっている。このほかにも、ウイルスが下人となり日本などに特徴的に見られる成人T細胞白血病などがある。」
     <1>急性白血病
     <2>成人T細胞白血病(ATL) :(参照→ヒトT細胞白血病)
     <3>慢性骨髄性白血病(CMPD)
<4>慢性リンパ性白血病(CLL)

│ │ 急性白血病 │ 慢性白血病 │
│リンパ性 │Tリンパ球性白血病 │慢性リンパ球性白血病 │
│ │Bリンパ球性白血病 │形質細胞性白血病 │
│ │null cellリンパ球性白血病│(多発性骨髄腫の白血病化)│
│ │ │hairy cell leukemia │
│非リンパ性 │骨髄芽球性白血病 │慢性骨髄性白血病 │
│ │前骨髄球性白血病 │慢性骨髄単球性白血病 │
│ │単球性白血病 │ │
│ │骨髄単球性白血病 │ │
│ │赤白血病 │ │
│ │巨核球性白血病 │ │
◎病態分類・・・・急性・慢性の別は、病気の持続期間に関係がない。
◎臨床所見(急性白血病)
最近では白血病も早期に診断される傾向にあり、早期発見すれば当然症状も軽度であり、治療効果もより高くなります。息切れ、動悸、倦怠感、顔面蒼白などの貧血症状や発熱や出血症状をみます。これらの症状は急性骨髄性白血病の方が急性リンパ性白血病よりも著明です。出血症状は初期は血小板減少による点状出血斑が主体ですが、播種性血管内凝固症(DIC)が重なると著明な出血をみるようになります。DICは急性前骨髄球性白血病に高率に合併し、白血病細胞中の粗大顆粒中にある組織因子により凝固が亢進して、消耗性凝固障害が起こると共に、白血病細胞内にある線溶活性物質により強い線溶亢進を伴い、重症の出血症状を呈します。化学療法を施行しますと細胞崩壊により、DICがさらに悪化するという悪循環になります。
診断までの期間が遅れるほど、白血球数は増加し、脾腫、肝腫、リンパ節腫大等の臓器浸潤をみます。皮膚浸潤や歯肉腫脹や痔核(肛門部の浸潤)なども見られます。白血病細胞が脳髄膜に浸潤して、頭痛などの髄膜刺激症状を呈することもあります。急性リンパ性白血病に多く、完全寛解に到達したら、その時点では脳髄膜に白血病は見られなくても、放置しておけば、この部から再発してくることが多いため、抗がん薬を髄腔内に注入して、中枢神経系白血病の発症予防対策をすることが絶対必要です。 (愛知県がんセンター 病院長 大野竜三、小牧市民病院血液内科 市橋卓司 )
◎検査(急性白血病):
「発病から診断までの期間が長ければ長いほど白血球は増加しますが、初期ではむしろ減少しています。骨髄は白血病細胞で充満した過形成状態にあります。また、白血病細胞の崩壊により尿酸やLDH が増加し、単球系白血病では血清・尿中のリゾチームが増加します。 」
   ◎原因遺伝子:[ab1]
◎原因・・・紫外線
皮膚が黒いと紫外線のダメージが真皮にまで及ばない
   ■カロリー制限で白血病になりにくく
    「放射線を浴びても食事のカロリーを減らせば骨髄性白血病になる割合が1/3程     度に低くなることを、科学技術庁放射線医学総合研究所の吉田和子・主任研究     官(生物影響研究部)らがマウスを使った実験で確認した。カロリーを制限する     と、造血幹細胞が増殖する頻度が減ることが知られている。実験の結果もこの     仕組みに関連しているとみられ、グループはさらに研究を続けることにしてい     る。
吉田さんによると、欧米で化学物質などによるガンの発生がカロリー制限で     減ったという動物実験の報告は多いが、放射線によるガンの実験は少ない。ま     た、どれも人間ではまれな胸腺リンパ腫だった。そこで、吉田さんらは、人間     が放射線を強く浴びると発症する骨髄性白血病を選び、カロリー制限で発症率     がどう変化するかをマウスを使って研究した。
生後6週間のマウスを3つのグループに分け、マウスで最も骨髄性白血病が     起きやすい被爆線量で3グレイのX線をいずれも10週目に1回照射した。
A群:には6週目から週に95kŽの食事を与え、照射後はマウスの理想と考         えられる25~27gになるようにカロリーを制限した。        B群:には6週目から65kŽに制限し、照射後もA群同様に体重を管理した。
      これらと比較する対照群:には、95kŽを与え続けた。この群は体重が40g     近くまで太った。
カロリーは、トウモロコシのデンプンとブドウ糖で差をつけ、タンパク質や     ミネラルはほぼ同量にした。A・B群とも照射後の食事は60~95kŽとなり、     平均は75kŽだった。
  発病したマウスは、最初からカロリーを制限したB群が最も少なく、76匹     のうち6匹(7.9%)。照射後から体重を管理したA群は131匹中14匹(10.7%)     だった。これに対し、何もしなかった対象群は163匹のうち37匹(22.7%)が     発病した。発病時期の平均は、対象群が350日頃、B群は700日前後、A群で     は450日すぎ。平均生存日数も、対照群の675日より、A群は約100日、B群     は約40日それぞれ長くなった。
この実験結果をそのまま人間にあてはめることが出来ないが、吉田さんは“ 人間もカロリー制限で造血幹細胞が減るので、骨髄性白血病も減少する可能性     が考えられる。被爆事故時に発病の危険性を減らすのに負うよう出来るかもし     れない”と話している。1997.8.6《朝日新聞》
   ■造血幹細胞1個で増殖
     「赤血球や白血球などを作る骨髄の造血幹細胞がたった1個残っていれば、や     がて体全体の血液を賄えるまで細胞が増えることを示す実験に筑波大学の中内     啓光教授らの研究グループが成功した。12日発行の米科学誌「サイエンス」     で発表する。
      白血病などの治療に必要な骨髄移植を実施しやすくする可能性を秘めた実験     結果として注目される。研究グループはネズミから造血幹細胞を1個だけ取り     出し、放射線照射残りの骨髄細胞をすべて殺した後に注射で戻した。その結果、     41匹中9匹で骨髄が回復、注射しなければ2週間で死亡するとこを1年以上     生存しているという。
      骨髄移植は提供者不足が深刻な問題だが、胎盤などの中に含まれるわずかな     数の造血幹細胞を保存、必要に応じて増やすことが出来れば白血病などの患者     への骨髄移植がより容易になることも期待出来る。1996.7.12《日本経済新聞》」
   ■チェルノブイリ事故ーギリシャに影響
     「1986.4月のチェルノブイリ原発事故で大量の放射性降下物が降ったギリシャ     では、母親の胎内で被爆した子供の生後1年未満の白血病発病率が通常の2.6     倍になっており、事故の影響と考えられるとの調査結果を、米ハーバードがん     予防センターのD・トリコポウロス葉長谷らの研究グループが25日発表の英     科学誌ネイチャーに発表した。1996.7.25《日本経済新聞》」
   ■白血病細胞の増殖抑制ーリボザイム合成ー
     「白血病の発症に関連した分子を切断する「分子のはさみ」の作製に、埼玉県     立がんセンター研究所のグループが成功、白血病細胞の増殖を抑えられること     を確認した。この「はさみ」は核酸の仲間の「リボザイム」を人工的に設計し     合成したもので、白血病の原因遺伝子が持つ情報の伝達を封じて病気を治す試     み。リボザイムは副作用の少ない次世代の医薬品として実用化が期待されてい     る。
      研究グループは、急性骨髄性白血病の一部が、[AML1]と[MTG8]と呼     ぶ2つの遺伝子がくっついた融合遺伝子が一因となって引き起こされているこ     とを見つけ、この融合遺伝子の働きを封じることにより白血病を治療すること     をめざしている。1996.8.26《日経産業新聞》」
   ■白血病フリーダイヤル
     「全国骨髄バンク推進連絡協議会は8日、白血病など血液疾患患者と家族の相     談に電話で応じる「白血病フリーダイヤル」を設置すると発表した。
      今月13日から毎週土曜日の午前10時~午後4時まで、元患者やその家族、     医療情報に詳しいボランティアらが最新医療や経済問題、心の問題などについ     て相談に答える。
  また、毎月第二土曜日には血液専門医も相談員に加わる。
     電話フリーダイヤル(0120ー892106)1996.7.9《日本経済新聞》」
   ■白血病治療に帯血移植。
     「白血病などの重大なけち液疾患は白血球、赤血球など血液の成分を作る造血     幹細胞にガンなどの異常が起こる病気。造血幹細胞を多く含む骨髄を移植する     治療法が一般的だ。骨髄移植は抗ガン剤などでガン細胞を殺した後、正常な骨     髄を人体に注入するが、白血球の型(HLA)を合わせる必要があるために慢性     的にドナーが不足している。
      一方、帯血移植は帯血から採取した造血幹細胞の保存数を増やせば、白     血球の型を合わせやすい。また、帯血は若い血液のため、移植後の拒絶反応     が出にくいと言う。(伊東浩一)1997.5.28《日経産業新聞》
■あせりは禁物
     「T君は中学1年生のとき、足腰の痛み、体のだるさ、発熱、首のリンパ腺の     腫れなどの症状が現れ、近くの病院を受診した。血液検査で白血球数が1マイクロ     リットル当たり70000と正常の10倍に増加し、貧血と血小板数の低下も認められ     た。T君は直ちに私たちの病院に転院した。典型的な急性リンパ性白血病だっ     た。
日本では毎年平均800人の子供が白血病になる。T君が発症した急性リンパ     性白血病は、そのうち3/4を占める。この病気は最近の治療法を用いれば、薬     だけで約70%が完治する(一部の患者では放射線療法も加える)。残りの30     %にも骨髄移植などのさらに強力な治療法がある。決して不治の病ではない。
しかし、治療は長く厳しい。通常6ヶ月~1年の入院治療とその後の外来治     療を行い、治療終了までには2年~3年を要する。そのため、治療においては     病気を治すとともに、心に傷を残さないことが重要である。
入院中の子供たちを支える大きな柱の1つが病院内に設置された学校であ      る。入院中も学校に通えることで、子供たちは疎外感や勉強が遅れることへの     あせりを減らすことが出来る。また、家庭や復帰した学校では子供たちを以前     と同じように扱うことも重要である。
治療終了後はもとより外来治療中であっても、注意すべき要点さえ守れば、     子供たちの生活にはほとんど制限はない。必要以上に保護することは決して良     い結果をもたらさない。(熊谷昌明・国立小児病院血液腫瘍科)1998.3.30《日     本経済新聞》
   ■骨髄移植の道広がる
    「Rちゃんは生後2ヶ月で急性リンパ性白血病のため入院した。血液中の白血球     数は正常値の数10倍まで増加し、腎不全を合併していた。治療が奏功し、1      ヶ月後には白血病細胞のほとんどが消失した。しかし詳細な検査の結果、Rチ     ャンの白血病は通常の治療ではほとんど完治出来ない病型であることが分かっ     た。
そこで家族の白血病の型(HLA)を調べたが、兄弟とは適合せず、HLAの     特徴を示す6つの要素(6座)のうち5座が一致していた母親をドナー(提供     者)として骨髄移植(造血幹細胞移植)を行った。Rちゃんは1歳5ヶ月の現     在。元気である。
健康なドナーからの骨髄移植は、難治性の白血病の他にも、再生不良性貧血、     免疫不全症、一部の代謝異常症などの治療法として大きな成果を上げている。
当初は、HLA型が完全に一致した兄弟姉妹(同胞)こ骨髄を用いて造血幹     細胞移植が行われてきた。しsかし、近年、少子化が進んだわが国ではHLA     型の一致した同胞ドナーが得られるほうが稀になった。
一方で、免疫抑制剤を含めた移植技術の進歩によって同胞以外のドナーから     の移植が可能になった。今回のような
       HLA型の一部不一致を含めた血縁者の骨髄、
       末梢血中の造血幹細胞、
       非血縁ボランティアの骨髄、
       赤ちゃんのへその緒と胎盤から得られる帯血、などである。
      この中で帯血移植はドナーの負担がないこと、凍結された帯血は必要な     ときにいつでも使える特徴がある。すでに世界で1000例を超える帯血移植     が行われており、わが国でも昨年健康保険の適用になった。(熊谷昌明・国立     小児病院血液腫瘍科)1999.4.26《日本経済新聞》
   ■白血病ウイルスの受容体を発見
    「オレゴン保健大学は、人間の細胞から白血病ウイルスの受容体を発見、分離に     成功した。細胞表面に露出しており、エイズウイルスなど他のウイルスもこの     受容体を利用して細胞に感染している可能性が高いという。受容体を上から覆     うような薬剤を開発できれば、ウイルス感染を効果的に防止出来るとみている。
研究グループは人間の細胞からウイルス受容体を分離。これを人間に感染力     のある白血病ウイルスと、人間には感染しないマウス白血病ウイルスと反応さ     せたところ、両タイプとも需要対せ接着した。従来なは、ウイルスがそれぞれ     独自の受容体を利用して細胞に感染すると考えられていた。」1999.2.8《日経産     業新聞》
■副作用強いが、「回復率」向上
「血液のガン」とも呼ばれる白血病にかかる人は、国内で年に6000~8000人と言われる。30歳未満の若者では、ガンによる死亡の中で最も多い。だが、最近は治療法の進歩によって、治る割合がかなり上がっている。薬を使った化学療法、骨髄移植、そして、帯血移植のような治療法も出てきた。
白血病では、血液の成分を作る細胞がガンになる。他のがんと同様似、遺伝子に何らかの異変が起こって、正常な血液の成分が作れなくなる。急性と寒性に大別され、急性の場合、もし治療しないでいると症状が出て数週間~数ヶ月で死亡する。
11年前の春先、群馬県に住む高校1年生だったA子は、貧血のような症状で気持ちが悪くなり、病院に運ばれた。検査の結果、2日後に群馬県済生会前橋病院に入院した。病名が告げられたのは入院してから数日後。急性リンパ性白血病だった。
自覚症状は前からあった。足の切り傷の血が止まらない。鼻血が出た時は、水道のようにドッと血がほとばしった。血を止める血小板が、ほとんど作れなくなるからだ。吐き気も毎日あり、学校では保健室で過ごすことが増えていた。
病院では、薬を使った化学療法が始まった。抗ガン剤で病気の細胞を全部殺すことが目標だ。正常な細胞もかなり死ぬので副作用が強い。免疫系の細胞もなくなるので、病原体に感染する危険が高まる。このため、日本ではほとんどの患者が無菌室で治療する。感染を避けるため、家族との面会も限られる。
「つらかったのは孤独」とA子さんは振り返る。朝、回診に訪れる主治医の宮脇修一さんのスリッパのパタパタという音だけが楽しみだった。間近で人と会話できるからだ。
副作用もきつい。髪は、ただそこにおいてあったかの様に「とれた」。吐き気も強く、毎日バケツを抱えていた。抗真菌薬の飲み薬も「説明できないほどすごく変な味で、苦しかった」という。
化学療法は、最初は1ヶ月ほど入院する。多剤併用といって複数の薬を組み合わせる方法が最近は主流になった。副作用を抑えなあら効果も高めていくねらいだ。最近は吐き気を抑える薬が普及し、嘔吐感はある程度軽くなった。ただ、白血病に対しては強い薬をギリギリまで多く使うので、現在でも、患者は副作用に苦しむ。
こうして顕微鏡で診ても白血病の細胞が見あたらなくなれば、これを寛解という。強力な化学療法と感染を防ぐ工夫によって寛解率は向上しており、急性の白血病の場合、7~8割に達している。
しかし寛解は完治したことを意味しない。白血病の細胞が、見えない程度に減っただけで、無くなった訳ではないからだ。徹底的に病気の細胞をたたくため、化学療法を数回繰り返す。この間、3~4ヶ月ほど。
その後は1年ほどかけて、通院しながら薬の量を減らして化学療法を続ける。
A子さんは1回目の化学療法で緩解した。一度生えた髪が何回目かの化学療法で一時的だが再びなくなった時はつらかった。それでも治療の合間を縫ってカツラをつけて通学した。
欠席は増えたが、留年せずに高校を卒業。東京で1人暮らしをしながら短大に通い、就職した。病気だからといって特別扱いしない人とも巡り会えた。今は結婚したアルバイトもこなしている。
宮脇さんは「彼女はもう心配ない」という。普通、5年間を病気なしで過ごせれば治ったといえる。治療を終えれば赤ちゃんを産むことも出来る。急性の白血病で、誰もがA子さんのようなコースをたどれるわけではない。薬が効きにくい人もいるし、再発する人も多い。そうした人に対しては、最近、骨髄移植が盛んになってきている。骨髄バンクも生また」1999.10.24《朝日新聞》
■子供にも多い白血病
「骨の外側(皮質)は堅いけれど、中は薄いスポンジ上の骨で囲まれた無数の小部屋に分かれる。そして赤く見える中身が骨髄だ。こうした構造のため骨は軽く、折れにくい。頭からつま先に至る骨の中から骨髄を掻き出すと、その重さは大人で薬2kgで肝臓より重い。
骨髄では毎日、休むことなく細胞が分裂して、赤血球・血小板・白血球など血液中の細胞を産み出している。体中で最も細胞分裂が盛んな臓器だ。原発事故などで体全体に放射線を浴びると骨髄の細胞分裂が止まり、白血球がゼロ近くまで減って生命を維持するのが困難になる。
子供の骨髄はどこも赤くて血液を造っているが、大人になると、頭や背骨、肋骨などの扁平な骨やちいさな骨に限られる。手足の名阿魏骨ではほとんど造られなくなり、。黄色い脂肪細胞で埋められる。
骨髄の代表的な病気は、血液のガンと言われる白血病である。ガンは遺伝子の変化が蓄積して起こるから、高齢者ほど多い。だが、白血病は例外で。子供にも多い。子供の白血病ははっきりした原因が分からず、「骨が痛む」ことで見つかることが多い。成人の白血病と種類が異なり、抗ガン剤で70%は治る。
子供のガンは骨髄や骨に転移するものが多く、「足が痛い、骨が腫れる」といった症状で分かることが多い。また、骨の皮質に出来るガンは、骨が盛んに分裂する10歳代に多い。子供の主な骨のガンは骨肉腫とユーイング肉腫である。2つとも抗ガン剤が効くので、小児科医と整形外科医が協力して治療に当たる(垣松由紀子・国立小児病院血液科医長)2000.4.3《日本経済新聞》
■「K-1]元王者、急死
「格闘技の「K-1」の人気選手アンディ・フグ氏が24日、急性前骨髄球性白血病のため東京都文京区の病院で死去した。」2000.8.25《日本経済新聞》
■超低周波電磁波
「1999年から当時の科学技術庁が3年計画で始めた、電磁波と小児白血病の関係を調べる国内初の全国規模の疫学調査で、高圧電線や一部の家電製品から出る超低周波電磁波が多い環境で暮らす子供は、白血病の発症率が2倍以上になることが、国立環境研究所と国立がんセンターなどが実施した全国調査の中間解析で明らかになった。
調査対象は15歳以下の子供で、健康な約700人と白血病患者約350人の子供部屋の電磁波を1週間測定。さらに家電製品の使用状況、部屋から屋外の送電線までの距離、、家庭全体の電磁波の強さの平均値などを加え統計処理した。
その結果、低周波電磁波が日常生活の平均値0.1マイクロ(マイクロ=1/100万)テスラ以下を上回る0.4マイクロテスラ以上になると、発症率が倍増する事が分かった。電磁波には高圧送電線やパソコンンなどの家電製品から出る超低周波と、携帯電話や電子レンジなどから出る高周波がある。
また、子供の脳腫瘍との関連も解析中です。」2002.8.24《日本経済新聞》
■ガン化した白血球除去
「東京大学の矢沢徳仁講師らのグループは、ガン化した白血球を除去する新しい抗体を作った。動物実験で効果を確認。抗がん剤などの化学療法より副作用の少ない白血病の治療法につなげる。米国で2年後の臨床を目指す。
新しい抗体は白血球の一種のB細胞にある『CD19』というタンパク質にくっつく性質を持つ。子供の急性白血病では、ガン化する細胞の7~8割がB細胞と言われている。
「リウマチ」の原因も同様にB細胞が多いと考えられている。この抗体を目印にしてマクロファージという免疫細胞がB細胞を除去する。
人のCD19を組み込んだ白血病マウスを使い実験。新開発の抗体を投与したところ、ガン化した細胞が消えて、10匹中9匹が7週間生存した。
抗体を投与しなかったマウスは10匹すべてが3週間以内に死んだ。
これまで成熟したB細胞に抗体をつける研究はあったが、ガン化しやすい未熟な細胞は除去できなかった。新しい抗体がくっつくCD19は、未熟なB細胞・成熟したB細胞の両方の表面にあり、B細胞を効率よく除去できる。
成果は米科学アカデミー紀要に掲載。2005.10.24《産業》
■抗体医薬
「白血病などで骨髄移植をする場合、白血球の型(HLA)を一致させることが不可欠。ただ、兄弟や親子以外ではHLAを一致させても、まれに免疫異常が起きる、その割合は約10%。『移植片対宿主病(GVHD)』と呼ばれ、免疫細胞の一種であるT細胞が皮膚や肝臓などを破壊し、重症の場合は死に至る。
東京大学医科学研究所の森本幾夫教授とバイオベンチャーのワイズセラピューティックス(東京渋谷区)は、抗体医薬を開発し動物実験で有効性を確認した。グループはT細胞やガン細胞の表面にある『CD26』という分子に着目。遺伝子組み換え技術を使って、T細胞の機能を抑える「ヒト化CD26抗体」を開発した。
免絵異常を起こさせた実験マウスに投与して、その効果を調べた。免絵異常マウスは九週目で全身の毛が抜けて痩せ、関節に炎症が起きたが、CD26抗体を投与したマウスではこのような症状は出なかった。
現在、。サルを使って腎臓や肝臓への毒性試験を行っている。
同様の免疫異常の仕組みで発症するとされる「クローン病」にも有効と見ている。
【抗体医薬】
免疫の仕組みである抗体を利用した医薬品。抗体はタンパク質の一種で、病原体などを異物と認識して攻撃する。感染症やガン・リウマチなど自己免疫疾患などに効果が期待されている。
国産初の抗体医薬は大阪大学の岸本忠三教授らが開発した「IL-6抗体」で、中外製薬がキャッスルマン病向けに実用化している。2006.4.20《産業》
■白血球数が増加
「白血球は骨髄の中で作られ血液中に流れ出てきます。体内を循環しながら組織の中に入り、細菌など外界から侵入してくる異物を殺菌したり処理する働きがあります。感染症などを防いでいます。一般的には白血球数の基準値は、血液1マイクロ㍑あたり4000~9000です。
白血球数が増加する原因には、感染症、外傷、やけど、手術、心筋梗塞などがあり、喫煙、運動後、妊娠、薬物使用などでも増えることがあります。、
白血病でも白血球数が増えますが、この場合、顕微鏡で調べると、正常の白血球ではなく、白血病細胞という一種のがん細胞が血液中で増えています。」
■骨髄移植
「神田善伸・東京大学講師らは、白血病患者に対する新たな移植治療を開発した。抗ガン剤を活用してHLAが完全に一致していなくても拒絶反応が起きにくくした。
移植は正常な血液が作られなくなった患者の異常血液を壊してからドナーの正常な造血細胞と入れ替える。この斉にHLAが一致しないと移植した免疫細胞が、患者の体を攻撃し、拒絶反応が起きる。
このため移植はHLAが完全に一致することが基本。だが、兄弟姉妹でも4人に1人の割合でしか完全に一致しない。
神田講師らは欧米で白血病治療に使用している抗ガン剤「アレムツズマブ」を免疫細胞の活動を抑える薬として使用。抗原の不一致が2個以上になっても移植できるようになった
■ガン細胞のバリアーを破る
「バイオベンチャーのシンバイオ製薬(東京都港区)はガン細胞を保護する物質の働きを抑えてがんを殺す治療薬の開発を目指す。まず国内で白血病の特効薬が効かなくなった患者向けに2013年の承認申請を目指す。
この新薬候補物質は前田浩・祟城大学薬学部教授が創製。このほどシンバイオ製薬が研究開発・製造・販売権を取得。
ガン細胞は『ヘムオキシゲナーゼ』(HO-1)と呼ぶ酵素がバリアーとなる物質を作り出し、細胞を殺す作用がある活性酸素の攻撃から身を守っている。候補物質はHO-1の働きを阻害し、ガン細胞を活性酸素の攻撃にさらして殺す。正常細胞はHO-1とは異なる酵素で活性酸素を抑えており、ガン細胞だけを集中的に叩ける。
候補物質は水になじみやすく注射剤にしやすい加工をした。試験管内実験で、白血病治療薬「グリベック」が効かないガン細胞の増殖を抑えることができた
20079/3
■30分で把握
「産業技術総合研究所のグループは、白血病に関係している遺伝子を増幅し、その際に発生する副産物の量で判定する。
研究グループが注目した遺伝子は、白血病患者で多く発現している『WT1』という遺伝子。患者の血液を採取し、その中に含まれるWT1が作るメッセンジャーRNAをLAMP法と呼ばれる手法で増幅した。
その際に副産物としてできる『ピロリン酸マグネシウム』の濃度を分光高度計で測った。転写が盛んなときには副産物が多く液が濁り、症状が悪化している。」
  【色彩療法】
    <1>赤色
    <2>レモン色
    <3>赤紫色
    <4>藍色
   ■525ナノ㍍の緑色光が最も有効。(参照→光線療法)
  【処方名-五十音順】
  加味帰脾湯紫根
加味帰脾湯は、出血の傾向、貧血、疲労倦怠、脾腫、肝肥大などを目標にしてもちいる。また紫根は、悪性腫瘍に用いて、ときに効果のみるべきものがあるので、これを加える1日量10g。(漢方診療医典)
  帰脾湯
31歳の婦人で、某大学病院で、白血病と診断され、あと半年の余命であろうと家族の者に告げられたという患者に、脾腫、肝肥大、貧血、出血性の傾向を目標に、帰脾湯を与えたところ、1ヶ月後には、脾腫半減し、肝は触れなくなり、出血はやみ、3ヶ月後には、血色も良くなり、会社に勤めるようになった(漢方診療医典)
  十全大補湯
ヒ素の静注
米国の報告によれば、骨髄移植などによって再発をまぬがれなかった急性前骨髄性白血病患者に少量の三酸化砒素を静注したところ高率で、症状の消失をみたという(漢方診療医典)




 白喉(はくこう)
   ⇒咽喉の激しい疼痛と、扁桃に白点ができ、急速に広がって乳(灰)白色の皮膜に     なる。
  【処方名-五十音順】
    桔梗白散
    神仙活命湯
    走馬湯
    大陥胸湯
    麻杏甘石湯(喘息、熱感、自汗)
    養陰清肺湯


 白癬 tinea
   ⇒白癬菌による皮膚や皮膚付属組織の疾患。
    白癬ringwormは真菌類の感染によって生じます。
  【芳香療法】
    ◎以下の精油をクリームに入れて、1日4回塗布する。
       没薬
       ラベンダー
    ◎頭皮の白癬:
       ①上のクリームで感染を収まったら、ローズマリー油を稀釈しないで少量        をすり込む。
       ②ローズマリー水でマッサージする。
  【処方名-五十音順】
    三物黄湯
    小青竜湯
    消風散(ジクジク又は水泡、かゆみ激しい)
    当帰芍薬散
 防風通聖散
    麻杏甘湯(乾燥し、一部分が湿潤)


 白濁症
   =小便白濁する病。膀胱炎。

 白帯(はくたい)
   ⇒白帯下 leukorrhea
  【芳香療法】
    ◎以下の精油を一旦湧かして血温にまでさましたお湯に、1/2~1%入れて膣洗     浄する。
       ベルガモット
       ラベンダー
       没薬
  【処方名-五十音順】
    加味逍遥散
    四物湯
蒼柏樗皮丸(肥った人の白帯)
    八味地黄丸


 白内障 cataracta
    (参照→「ウイルソン病」「アトピー性白内障」)
=「白そこひ」
   ⇒水晶体タンパク質の変性によって、水晶体(lens)が混濁した状態をいう。
正常だと瞳孔が黒く見えるが、白内障では灰色or白色になる。
   ◎自覚症状:①視力障害
         ②片眼性の複視
         ③近視
   ■「後発白内障」
    「目のレンズに当たる水晶体が濁る「白内障」の治療として、水晶体の中の濁っ     た部分を取り出して眼内レンズを入れる手術が普及している。ただ、手術から     数年たつと、水晶体の上皮細胞の一部が増殖して再び見えにくくなる「後発白     内障」という合併症が3割近くの患者で起こるという。後発白内障が起きた場     合は、レーザー治療で治すが、患者によってはその治療で[網膜剥離]が起きる     危険もある。1996.4.26《朝日新聞》」
   ■100歳女性、白内障手術成功
    「両目の白内障手術を吹田市民病院で受けて成功、23日に退院する」1998.5.23     《日本経済新聞》
   ■白内障の術後に左目の視力低下
    「50歳代主婦。2年前に白内障の手術を受けました。左右とも、もともと近視が     強く手術の後少し良くなったので喜んでいましたが。後になってまた元に戻っ     たため、レーザー光線を受けました。左は最初、よく見えたのですが、最近は     ものがゆがんで見え、視力も落ちました。(兵庫県・T子)」
    「白内障の手術の後でレーザー光線を受けられたのは、白内障の手術のときに、     水晶体の濁った部分を吸引して除くのですが、後から水晶体の袋(水晶体嚢)が     濁って後発白内障になるからです。
これでは視力を損なうため、レーザー光線で見るのに必要な穴を開けます。     これは眼球に対するダメージが最小で安全なものです。
そこで左目で見るとゆがんで見えるとのことですが、この症状が現れるのは     網膜の中央の黄斑部に凸凹が起こっているからです。
これは白内障手術やレーザー光線治療とは関係なく、強度近視のために黄斑     部変性が起こったものと思われます。
強度近視は、眼球の奥行き(眼軸長)が伸びるため、眼底の網膜が引き伸ばさ     れ、網膜中央の黄斑部がダメージを受けるのです。これは長い期間に徐々に起     こるもので、残念ながら良い治療法はありません。
■アトピー性皮膚炎などに併発
「目の水晶体が白く濁って見えにくくなるのが白内障。もっとも多いのが老人性白内障。なかでも糖尿病の人は年をとると白内障になりやすい。アトピー性皮膚炎でまぶたに炎症がある人も白内障を合併する例が多い。目を打ったりの中が傷つくと外傷性の白内障になります。このほか、先天性やステロイド薬の大量使用によって発症したり、目の中で炎症が続くと起こる併発性などがあります。
水晶体の中心部が濁ってくるのが核白内障、
周囲から濁るのが皮質白内障です。
白内障になるとかすんで見づらくなるだけでなく、メガネの度数も変わってきます。核白内障の人は近視になりやすく、皮質白内障は遠視気味になる傾向が多い。
赤ん坊の時は水晶体のタンパク質は水に溶けて柔らかいのですが、年をとるにつれて不溶性に変わり、真ん中で固まって濁ってきます。これが核白内障が起きるメカニズムです。
皮質白内障は水晶体の上皮細胞が傷んできて水が内部に入り、水晶体が膨らむ。すると規則正しく並んでいた水晶体の組織にひずみが生じ、光るが散乱して濁った様に見えるのです。
白内障に効く目薬は無いに等しい。ただ手術をすればよく見えるようになる人が多い。白内障の手術は片目で¥12万程度。」2003.4.15《日本経済新聞》
■投薬、効果なし
「国内で一般的に使われている白内障治療薬の効果について、十分か科学的根拠がないとする調査結果を厚生労働省の研究班がまとめた。水晶体に代えて人工の眼内レンズを入れる手術が確かな有効性を確認できるとして、これを推奨する初の診療指針を作成した。
研究班は白内障の進行を抑えるために使う点眼薬やの内服薬に関する過去の様々な臨床試験データを検討。この結果、信頼できる試験がほとんどなく、投薬効果を裏付ける確かな根拠が無いことが判明。
眼内レンズに置き換える手術は95%以上の患者で視力が0.5を超えるまでに回復することから、指針では主要な治療として位置づけた。」2003.6.25《日本経済新聞》
 ■遺伝性白内障
「大阪大学大学院生命機能研究科の長田重一教授らは、目の水晶体(レンズ)に存在する特殊な酵素が、遺伝性の白内障の発症に関係していることを突き止めた。酵素を作る遺伝子を持たないマウスで実験したところ、水晶体が曇るという白内障の症状が現れた。酵素を目に点眼するとという新しい治療法の開発につながる可能性があるという。
長田教授らは、マウスの実験で水晶体に『DLAD』という酵素が多く存在することを発見した。阪大グループはマウスの遺伝子を操作し、DLADを作る遺伝子を持たないマウスと正常なマウスを比較した。
通常の細胞はDNA(デオキシリボ核酸)があるが、水晶体を構成する繊維細胞にはない。水晶体の周囲にある上皮細胞が繊維細胞になる過程で、DNAが分解される。水晶体酵素を作る遺伝子のないマウスは、繊維細胞内にDNAが残ったままで、水晶体を白くに濁らせていた。
長田教授によると、水晶体の酵素が、繊維細胞内のDNAを破壊し、水晶体の透明性を保っているという。」2003.8.28《日経産業新聞》
■「核白内障」
「Aさん(43)は、読書が趣味だが、最近、細かい文字を見ると、ダブッて見にくく感じる用になった。また、運転中に信号灯が3つに見えることもある。
近くの眼科では近視が強いことと、軽い白内障以外には問題がなかった。しかし、三重にみえることが多くなったので、大阪大学の付属病院の受診、精密検査の結果、右眼の水晶体の中央部が少しにごっており、近視が強くなっていることが分かった。
最近導入された不正乱視を測る装置(波面センサー)で詳しく検査すると、右眼の水晶体の不正乱視が増加して像が三重に分離することが分かった。
  【色彩療法】
    <1>レモン色
    <2>赤紫色
  【漢方療法】  
    ◎内障に気虚、血虚の分あり。
       <1>血虚の者:①「腎気明目湯」
              ②一等重き者:「十全大補湯沈香・白豆・附子」
       <2>気虚の者:①「益気聡明湯」
②一等重き者:医王湯防風・蔓荊子・白豆」
    ◎内障の硬翳、乳汁翳の二証あり。
 【処方名-五十音順】
葛根湯
初発の時、肩こりや項背の強ばりを訴える者に用いる。川2.0g大黄0.5~1.0gを加えて用いたほうがよい(漢方診療医典)
   杞菊地黄丸
柴胡加竜骨牡蛎湯
筋骨質のもので、神経過敏となり、胸脇苦満、動悸、不眠などがあるときに本方を用いる(漢方診療医典)
三黄瀉心湯
顔面充血としてのぼせ、頭痛を伴い、便秘がちな人に用いる(漢方診療医典)
滋腎明目湯
本方は、労神腎虚、血少なく眼痛、昏暗を治す。心身極度に疲労し、あるいは久病で衰弱し、腎気精力衰亡し、貧血の結果視力にわかに衰えた者に用いて効がある。
糖尿病性、老人性の白内障にもよく使われる。素問に眼は血を得て能く視るとあり、本方は四物湯をもって血を増し人参をもって元気を養い、その他の薬味よく頭目を清め滞気を散ずる(漢方診療医典)
   磁朱丸
助陽和血湯
老人や虚弱な体質の人で、発表攻下の剤を用いられないときは、本方に六味丸や八味丸を兼用させる。糖尿病によるものや老人性のものによく使われる(漢方診療医典)
   大柴胡湯
   桃核承気湯
   当帰芍薬散
虚証で、貧血、冷え症、全身倦怠、頭痛、耳なり、視力障害を訴えるものによい(漢方診療医典)
   八味丸
糖尿病性のもの、老人性のものによく使われる。(漢方診療医典)
茯苓飲
心下に停水のある胃下垂症、胃アトニー症の人は、本方をもって胃内の停水を去り、内障の緩解することがある。人参湯を用いてよいこともある(漢方診療医典)
防風通聖散
体質強壮で肥満者、腹部膨満して食毒や水毒があり、便秘のものに本方がよい。便通のぐあいで大黄、芒硝を加減する(漢方診療医典)
補肝散
虚証に用いられる。痛みもカユミもなく、飛蚊症や多視症などあるものによい。長期服用を必要とする(漢方診療医典)
   補中益気湯
苓桂朮甘湯
弛緩性体質で、胃内停水、めまい、動悸などを伴うものに、車前子3.0gを加える。便秘のものには芎黄散を兼用する(漢方診療医典)
   六味丸
■眼内レンズ
「日本アルコンは、白内障の手術で、白濁した水晶体の代わりに目に挿入する眼内レンズ「アクリソワ・ナチュラル・シングルピース」を発売。レンズの材料を工夫し、網膜を傷める有害な紫外線と近視外光を吸収・低減する機能をもたせた。
レンズは小さく折りたたむことができる。眼球に小さな穴を開け、たたんだレンズを挿入。眼球の内部で広げる」


 白髪
  【処方名-五十音順】
    一酔不老丹(養血・黒髪)
    加味蒼朮膏(常服すれば、精満・気盛・髪黒・歯が更生する)
還元秋石丸
    却老烏鬚健陽丹
    経験烏髪酒
    七仙丹(心腎を補い、美顔・髪黒)
四物坎丸
    神仙烏雲丹
    中山還童酒(若返り)
    張天師草還丹
    坪金丹



 白斑(はくはん) vitiligo
    (参照→「原田病」「尋常性白斑」)
   =白癜=白癜風=白
■紫外線照射
「皮膚から色素の一部が抜ける「尋常性白斑(しろなまず)」は痛み・かゆみはほとんど無いが、顔や首・手など他人の目に触れやすいところに現れる。
自治医科大学大宮医療センターでは紫外線を最新装置で当てることで治療している。白くなった部分に色が戻り、目の周りの白斑などは周囲と区別できないまでに回復。大宮医療センターの出光俊郎・助教授(皮膚科)は「紫外線が表皮に働いて、メラノサイトという色素細胞を活性化させた結果」と説明する。
白斑は白なまずともいわれ、100人に1人の割合で出現。
【種類】
全身に左右対称に白斑が現れる「汎発型」・・・老若男女
体の片側だけ神経に沿って現れる「分節型」・・小学生に多い。
発症する原因は不明で、予防法も無い。体内の免疫機構を担うリンパ球がメラノサイトを間違って攻撃するのが原因と考えられている。紫外線はリンパ球に作用してリンパ球の攻撃を抑え、メラノサイトの活性を取り戻すと見られていて、汎発型に有効な治療法だ。
使用する紫外線は、波長が長いAと短いBがある。最新装置で使う紫外線は狭い領域のBという意味の『ナローバンドUVB』。波長311ナノ㍍前後の紫外線だけを使う。「日焼けしにくく有害な紫外線をカットしている」(出光助教授)
従来の治療法『PUVA療法』は、光の感受性を高める薬剤を飲んだり塗布した後に、波長の長い紫外線を照射していた。しかし、日光に当たるとヤケドする危険があり、顔や衣服で覆いにくい部分も治療が難しかった。ナローバンドUVBは、薬を使わず紫外線だけでOK。
治療は個人差があるが、週に1~2回。1回5分間程度照射する。早い人は数回で効果が出る。治療を受けた患者の6~7割に顕著な効果がある。
部位別では顔・背中・腹などは色が出やすい。手の指などは効き目が悪い。汎発型は再発しやすいため、紫外線治療でも完治は難しい。
一方、分節型は「紫外線治療をしても効果があまり期待できない」と順天堂大学の須賀康講師は語る。このため表皮を移植する治療方法が一般的。正常な皮膚に針の着いていない注射器を皮膚に当てて吸引し、あらかじめ水疱を作っておく。白斑の部分をレーザーなどで取り除いてから、水疱の皮膚を移植する手法.2005.9.6《日経》
  【宝石療法】
    サファイア
  【処方名-五十音順】
    蒼耳散
    追風散
    三黄散

 白沃(はくよう)
   =白帯下のこと。

 白爛(はくらん)
   =舌に白胎(白苔)ありて、糜爛するもの。

 白痢(はくり)
   ⇒気に属し、大腸に起き、湿熱の根本。泄痢変じて白膿となって、したたり落ちる    のは脾を温めねばならないし、脾を温めて治らないと腎を温める。 腎は骨髄を    主管し、白膿は骨髄の異名である。
    病勢は顔色が黒い。
    [使用薬物]破故紙・当帰・木香・乾姜・肉桂。
   
  【処方名-五十音順】
    温六丸
    水煮木香元(白痢・淡紅痢)
    瀉白安胃飲


  

 麦粒腫hordeolum
=「ものもらい」=「めばちこ」
   ⇒主として黄色ブドウ球菌の感染による。
  【処方名-五十音順】
■葛根湯
■桂枝茯苓丸
■十味敗毒湯
■調胃承気湯
■当帰芍薬散


 

橋本病
   ⇒症状:①甲状腺が硬く腫れる。
②以下の甲状腺機能低下症の症状が現れる。
          全身倦怠
    体重増加
     便秘
          寒がり
          皮膚の乾燥・皮膚が荒れる
          生理不順
          記憶力低下
          種々の不定愁訴
       ③更年期障害として見過ごされることもある。
       ④コレステロール値が上昇する。---コレステロール合成阻害剤を服用して                       も低下しにくい。
   ◎日本人に多い。
   ◎40~50歳の女性に多い。
   ◎治療:甲状腺ホルモン剤を、少量より必要量まで徐々に増やしていく代償療法。
   ■「難病」イメージ、一人歩き
    「体を守る免疫機構が、自分の甲状腺を攻撃して起きる甲状腺の機能異常が橋本     病とバセドウ病だ。良く耳にする病気だが、実像があまり知られていない。薬     で日常生活が支障無く送れるようになるにもかかわらず、いまだに難病のイメ     ージが強い橋本病について、成長や発育に欠かせない甲状腺ホルモンが不足す     る病気として知られているが、実際にはホルモンの不足が見られる人は1割に     も満たない。
盛岡市にある栗原甲状腺クリニックの栗原英夫名誉院長は橋本病の女性から    「しゅうとめ(姑)が気にするので、大した病気でないという診断書を書いて欲し     い」と頼まれたことがある。幾つかの自治体で橋本病は特定疾患、いわゆる難     病に指定され、医療費の補助が出る。この女性は姑から「医療費が出るほど難     病なのか」と思われてしまったという。
栗原さんは「橋本病と診断される人のうち、実際に甲状腺ホルモンが不足す     る人はわずか。仮に不足した場合でも、1粒10円、患者負担にすれば1粒2      ~3円の薬を1日1~2錠飲んでいれば何と云うことはない。それなのに必要     以上に難病視されて、苦しむ人もいる」と話す。
橋本病は厚生省の特定疾患の特定疾患研究の対象となったことがあり、医師     の間でもいまだに難病のイメージが強い。生命保険の加入を2、3年待たせる     保険会社もあるという。
橋本病はのどぼとけのすぐ下にあり、新陳代謝を盛んにし、成長や発育にも     欠かせない甲状腺ホルモンをつくる組織だ。
橋本病では甲状腺の組織に慢性の炎症が起き、一部の人にホルモンの不足が     起きる・むくみや寒がり、気力の低下、便秘などが主な症状だ。
1912年に九州大の橋本策(はかる)博士が報告したことから、この名が付いた。慢性     甲状腺炎とも呼ばれる。
橋本病の患者は甲状腺が腫れていることが多いが、中にはほとんど腫れない     人もいる。甲状腺にあるタンパクい対する抗体が陽性で、バセドウ病ではな場     合に、この診断名がつく。バセドウ病はホルモンが過剰になる病気だ。
岡村建・九州大医療技術短大教授(内科)は「20年前に、ある町の40才以上     の検診で調べたところ、陽性者は女性の15%、男性の8%いた。一般に抗体     陽性者は女性で10人に1人といわれる」と話す。
重要なのは、橋本病と診断された人のうち、大部分の人にはホルモンの不足     が見られず、体には何の支障もないということだ。
ホルモンが正常な場合について、岡村さんは「甲状腺の腫れが大きい人、超     音波で見て炎症が強い人、ホルモン不足を起こしやすい高齢者は年1回、それ     以外の人は数年に1回検査を受ければよい」という。あとは甲状腺が急激に、     しかも周りから見て分かるほど腫れてきたときに、病院へ行けばすむという。
「甲状腺ホルモンが不足している場合はどうしたらいいのか?そもそも不足は一     時的に起こることもある。橋本病の人がヨードを含む海藻を大量に取り続けた     場合などだ。
「これは健康食品などで、根コンブを大量に食べ続けた場合で、それを止めるだ     けで、まず治ってしまう。通常の食事の範囲の海藻を控える必要はない」と神     戸市にある甲状腺専門病院、隈病院の深田修治・内科部長は話す。
甲状腺の炎症が強まってホルモンが貯蔵庫から漏れ出し、その後一時的な低     下が起きることもある。これは産後の多い。貯蔵庫から漏れているときにはホ     ルモンが過剰になるため、間違ってバセドウ病の薬が出され、ホルモンを一層     不足させることもある。
不足が持続的と見極めがつけば、甲状腺ホルモンと同じ成分の薬を飲む。一     度に3ヶ月分の処方は可能だ。患者にあった量が決まれば、年に1回検査を受     ければ良く、専門医の間には、処方延長を求める声が強い。
東大付属病院の三橋知明・医師(内科)は「橋本病に当てはまる人は非常に多     く、病気と云うより、ひとつの状態と呼ぶ方がふさわしい。一部の人は薬を必     要とするが、自分の体で作っているものを補うものだから、特殊な薬ではない。     生きている限り毎日とる食事のようなものと思ってほしい」と話している。      1999.1.10《朝日新聞》


播種性血管内凝固症候群
=ガンや重症感染症では、場所を選ばず全身の血管内に多数の微小血栓が出来ることがある


 破傷風(Te)tetanus
(参照→「クロストリジウム」)
   ⇒破傷風菌(学名:クロストリジウム・テタニ)が創傷より侵入して、産生した外    毒素の作用による痙攣性疾患。
「放出する毒素が危険なのだが、多少飲み込んでも危険はない。土壌中の胞子は、昔から言われている錆びた古いクギによる深い刺し傷だけでなく、何らかの破片によるちょとした切り傷など、そんな傷口からでも体内に入り込み、傷ついた組織から栄養を吸収して活性化する。この毒素は神経系にはいって脊髄に達し、筋肉の収縮やけいれんを起こす。治療を受けていない患者は痙笑という恐ろしいような笑顔で容貌が一変する。」
   ◎破傷風毒素:
       ①テタヌス毒素。テタヌスとは、強直の意味。
       ②クロストリジウム属の嫌気性菌が産生するタンパク質毒素。
       ③仲間にはボツリヌス毒素がある。共に分子量約15万で、分子量約5万        の軽鎖と10万の重鎖とから成る。
       ④軽鎖と重鎖とはシステインを介して結合している。
        重鎖が、神経細胞の膜と結合し、毒素分子の細胞内への侵入を起こす。        そして最終的に、軽鎖が毒性を発現する仕組み。
  (川合述史著「一寸の虫にも十分の毒」講談社p206~より)
   ◎症状:
       手足が突っ張り
       からだがのけぞるような姿勢をとる。
       意識に異常がないので、末期の患者の苦痛は激しい。

【漢方療法】
◎主薬:破傷風には、南星・防風を主薬とすべし《万病回春》
   ☆その初、項背強ばり、或いは言語蹇渋、寒慄する者は治すべし。葛根湯。続命湯    の類に宜し。無患子、虎杖茎2味煎服亦効あり。もし角弓反張すれば則ち多く難    なり。《先哲医話》
    <1>発汗過多が原因でになった者は体が熱く、足が冷えて首が堅く、頭が揺れ      て口を閉じ、背が返って張る(=太陽)
       角弓反張になった場合:[三聖散]で吐かせ、再び汗下を兼ねる。
[当然全蝎散][大蜈蚣散]
    <2>手足が肘と膝を牽引して引っ張る(=陽明)
    <3>片方の手足が搦する(=少陽)
    <4>表にあれば:熱を発散。[防風湯][活防風湯][小続命湯][九味活湯]
    <5>半表半裏にあれば:[活防風湯]
    <6>中に入った:[小黄湯][大黄湯][左竜丸]
    <7>体に熱があり、咳嗽し、痰が出て脈が滑数(=痰火):[瓜枳実湯]
    <8>風が盛ん:[五烏丸]
    <9>風痰がある:[玉真散][烏蛇散]
    <10>手足の戦掉に:[朱砂指甲散]
    <11>血が昏悶したとき:[烏鴉散]
    <12>瘡がになりかける:[急風散][防風散]
    <13>瘡がに変わった:[防風通聖散]
    <14>亡血が多くてに変わった:[当帰地黄散]
  

【処方名-五十音順】
■一字散・・・・・・(急性破傷風)
■烏鴉散・・・・・・(血が見えて昏悶する者)
■烏蛇散・・・・・・(破傷風で痰が盛んな者)
■葛根湯
■括石湯《医学入門》
■瓜蔞枳実湯・・・・(痰巳火を治す)
■括楼桂枝湯
■急風散・・・・・・(新・久すべての瘡が伝変して破傷風になった)
■羗麻湯・・・・・・(半表半裏にあって汗をかかない)
■羗活湯《活法機要》
■羗活防風湯《活法機要》・・・・(初期に)
■玉真散・・・・・・(口を閉じて体が硬直する破傷風)
■桂枝加葛根湯・・・(虚証、自汗、項背がこる)
■香膠散・・・・・・(口を閉じて体が硬直する)
■五積散
■左竜丸・・・・・・(中に入って症を発し、目が直視、大小便が秘渋)
■朱砂指甲散・・・・(破傷風で手足がふるえて止まらない)
■参帰養栄湯・・・・(風痰瘖・陰瘖)
■小芎黄湯・・・・・(中に入り、表に熱がある)
■水調膏・・・・・・(発熱し、紅腫が出たとき)
■全蝎散・・・・・・(破傷風による口噤、肢体が反って張り、つかの間に死ぬような者を治す)
■大芎黄湯《活法機要》・・・・・(中に入って小便が赤く、自汗が止まらない)
■大承気湯
■代蜈蚣散・・・・・(搐搦して反って張る者)
■退風散・・・・・・(破傷風で人事不省)
■当帰地黄散・・・・(亡血過多が原因で破傷風になった)
■二烏丸・・・・・・(角弓反張になって牙関の緊急な者)
■白朮湯・・・・・・(大汗が止まらず、筋が突っ張って搐搦)
■白朮防風湯・・・・(発汗がおおく、自汗が止まらない)
■防風通聖散1両荊芥穂・大黄各2銭を加えて煮詰めた液に、「全蝎末・羗活末各1銭」を調製して食べる
■防風湯・・・・・・(破傷風が表にあって、中まで入らないとき)
■防風当帰散・・・・(発汗過多が原因でになる者)
■養血当帰地黄湯《玉機微義》
    (=シ、筋が硬直して柔和でないこと)
  (痙=ケイ、口を閉じて弓なりに反って張ること)

 

抜歯odontectomy
  【色彩療法】
    <1>紫色(抜歯前)
    <2>青緑色(抜歯後)
    <3>藍色(抜歯後)


 発育不良maldevelopment
  【処方名-五十音順】
    小建中湯
    六味丸


 発汗異常acatastasia hidropoiesis
    全身発汗:
      <1>正常人でも、気温上昇時、運動時、睡眠時にみられる。
<2>突然に悪心や嘔吐を起こすと、正常人でも冷汗を出す。
      <3>全身発汗を起こす病的状態:
         発熱
         全身衰弱
         激痛(腎疝痛、胆疝痛)
         甲状腺機能亢進症
         妊娠
         閉経期(皮膚の発赤を伴う)
         末梢循環虚脱(心不全のある時期)
         呼吸困難
         手術、重篤疾患の回復期
<4>全身発汗が減少する場合:
         脳循環障害
         粘液水腫
         糖尿病
嘔吐を頻回に繰り返す
         下痢
         アトロピン系薬物の使用
         強皮症
         無汗症anhidrosis
    局所の発汗:
     <1>精神的緊張状態で、手掌・足底・腋の発汗がみられる。
      <2>局所の発汗を起こす病的状態:
         くる病:頭部が多い
         縦隔腫瘍:交感神経の刺激で一側性(顔面・頭部・体幹部)
         大動脈瘤:交感神経の刺激で一側性(顔面・頭部・体幹部)
         慢性関節リウマチ:活動期には手・足が発汗。
         片麻痺:罹患部に発汗
         神経筋異常:罹患部に発汗
      <3>局所の発汗が減少する場合:
         頚部交感神経障害(Horner症候群など):上肢に。
  【処方名-五十音順】
    黄蓍六一湯《寿世保元》
    汗証一方《済世全書》
    蓍附湯《厳氏済生方》
    十全大補湯《寿世保元》
    十全大補湯参蓍倍加、附子(便)《医宗金鑑》
    参蓍湯《万病回春》
    大補黄蓍湯《寿世保元》
    当帰地黄湯《万病回春》
    当帰六黄湯《太平聖恵方》
    二廿湯《医学入門》
    白朮散《宣明論》
    白竜湯《万病回春》
    茯苓補心湯、《朝日新聞》
    補中益気湯《寿世保元》
    補中益気湯桂枝・麻黄根・浮小麦・附子(炮)《医学正伝》


 発狂
   ⇒発狂とは熱毒が胃にありながら、心に入って神を昏迷させ、言語と行動が急速し    て妄言・妄笑し、高い所へ昇って歌を唄い、着物を脱ぎ捨て、逃げ去り塀を飛び    越え、食べもせず寝もせず、わめきまわる症。
     大きく吐き下さないと治らない症。
    <1>表裏が共に熱を発する:[三黄石膏湯]
    <2>熱が盛ん:[大承気湯黄連]
    <3>狂言・譫語する:[辰砂五苓散]
    <4>陽毒発狂:[陽毒升麻湯][陽毒梔子湯]
    <5>発狂に:[妙香丸][三白飲][活竜湯][破棺湯][水潰法][火劫法]
   ◎主薬:発狂して大便実するには、大黄・芒硝を主薬とすべし《万病回春》
  【処方名-五十音順】
    一物瓜蒂湯
    烏梅丸
    活竜湯(陽毒発狂)
    救逆湯
    桂枝甘草竜骨牡蛎湯
    柴胡枳殻湯(妊婦が傷寒で発熱し、口渇、腹部脹満して便が詰まり、は          わごとを言って、発狂する)
    三黄瀉心湯(精神不安)
    三黄石膏湯(表裏ともに熱)
    三白飲(熱がひどく、狂走する)
    辰砂五苓散(狂言・譫語)
    水漬法
    大黄黄連瀉心湯
    大承気湯
    大承気湯黄連
    通導散
    桃核承気湯(実証、のぼせ、足冷、下腹部痛)
    破棺湯(傷寒熱病で発狂、言語不定・人事不省)
    白虎湯
    抵当湯
    妙香丸
    陽毒梔子湯(陽毒発狂)
    陽毒升麻湯(陽毒発狂)


 発声困難olophonia
  【処方名-五十音順】
    葛根湯(陽実証、頭痛、発熱、無汗、項背のこわばり、脈浮緊・数)
    甘草湯(疼痛、急迫)
    炙甘草湯
    半夏苦酒湯
    麻黄細辛附子湯(悪寒が強く、のどが痛い、脈沈)
   


 発熱 fever
   (参照→「高熱」「原因不明の発熱」「小児の発熱」)
   ◎類型:
     弛張熱(remittent fever):
        <1>体温の日差が1℃以上。
        <2>最も低い体温でも平熱に戻っていないもの。
        <3>以下の疾患などに見られる。:急性ウイルス性呼吸器感染症
                       マイコプラズマ肺炎
                       細菌性肺炎
                       膿瘍
                       敗血症
     間欠熱(intermittent fever):
        <1>高熱期と無熱期が交互に現れる。
        <2>以下の疾患などに見られる。:マラリア
                       回帰熱
     稽留熱(continued fever):
    <1>日差が1℃以上。
        <2>以下の疾患などに見られる。:腸チフス
                       大葉性肺炎
     Charcot熱:
        胆道感染症に見られる間欠熱。
     Pel-Ebstein熱:
        <1>3~10日間弛張熱が続き、次いで3~10日の平熱期に入り、発          熱期と平熱期を交互に不規則に繰り返す。
   <2>ホジキン病の経過中にみられる。
   ◎発熱を引き起こす疾患:
     細菌感染症:
       <1>症状:悪寒戦慄。
       <2>臨床的特徴:
          白血球増加、好中球増加、核左方移動、中毒性顆粒。
         感染臓器により特有の臓器症状
          抗生物質で解熱する
       <3>検査:①細菌培養
            ②赤沈
            ③画像診断
     結核:
     真菌感染症:
     ウイルス感染症:
        二峰性発熱や発疹を伴うことが多い。
        白血球数:不変~減少
        リンパ球:相対的に増加
     膠原病
     悪性腫瘍
     薬剤熱:
        起こしやすい薬剤:抗生物質、抗結核薬、降圧薬、麻酔薬、
                 鎮静薬、抗甲状腺薬
     その他:
        血液疾患(白血病、悪性リンパ腫、顆粒減少症、溶血性貧血)
        組織壊死(肺梗塞、脾梗塞、心筋梗塞、外傷)
        代謝疾患(痛風、偽痛風)
        腸疾患(Crohn病、潰瘍性大腸炎、偽膜性腸炎)
        サルコイドーシス
        貧血性発熱(anemic fever)
   ◎発熱を伴う感染症:(五十音順)
        Gianoti病
        エンテロウイルス感染症
        細菌性心内膜炎
        猩紅熱
        水痘(水ぼうそう)
        炭疸病
        腸チフス
        ツツガムシ病
        手足口病
        デング熱
        伝染性紅斑
        伝染性単球症
        突発性発疹
        敗血症
        はしか(麻疹)
        風疹
   ■脳が感知
    「風邪の時に熱が出るのは、脳の奥の視床下部にある体温調節中枢の神経細胞が    「体温を上げろ」と体に指示するからだ。と言っても、風邪のウイルスが脳に潜     り込み、体温を上げるスイッチをじかに押している訳ではない。あなたの脳は     一体、あなたが風邪を引いたことをどのようにして知るのか?
“ウイルスなどの病原体に出会った免疫細胞は、体を守る為に各種の生理活     性物質を出します。このうちのいくつかが体温調節中枢の神経細胞に作用する     ので体温が上がるのです”と東京医科歯科大の広川勝教授は説明する。
これだと体温は上がりっぱなしになりそうだが、実際には、42℃を越える     高熱が出ることはまずない。九州大の堀哲朗教授(生理学)は“あまりに高い熱     は体に有害ですから、免疫細胞は発熱を抑える物質も出します。其の結果、風     邪のウイルスに対処するのにちょうどいい熱を保てるのです”と話す。
発熱だけではない、感染症に罹ったとき、食欲不振や眠気などと言った様々     な肉体的変化が現れるのは、免疫系が脳に働きかけるからだ。では、免疫系は     意図的に脳へ情報を送っているのだろうか?
“各種の生理活性物質は、免疫細胞たちが会話を交わすための『言語』のよ     いうなものです。病原体がくると免疫細胞同士の会話が活発になるので、この     『言語』が脳にまで聞こえるようになるのです”と広川さん。免疫細胞がやり     取りする生理活性物質がたまたま脳にも作用して肉体的な変化が現れるに過ぎ     ないというわけだ。
多くの専門家はこれとは対照的に、免疫系は目的を持って脳に働き掛けてい     るとみる。国立精神・神経センター神経研究所の田平武部長(神経内科学)は“     発熱や食欲不振、眠気に襲われると、生き物の活動量は健康なときより減りま     す。例えば、食欲が無ければわざわざエサを探し回らない。病原体と戦いやす     い環境を整えたいとも目的から、免疫系は脳に働きかけて体を安静な状態に保     つと考えられるのです”と説明する。
どちらの見方が真実に近いのかは分からない。ただ、免疫系が脳に働きかけ     たり、逆に脳が免疫系に働きかけたりと、体のいろいろな機能が手を結んで調     和を保っているからこそ人間は生きていける」1998.3.29《朝日新聞》
■ピリン
「アスピリンはピリン系解熱鎮痛剤か、それとも非ピリン系か?
先日、この欄でアスピリンの1世紀を紹介したが、問い合わせの中にアスピリンはピリン系と信じている方が少なくなく、この誤解はずいぶん広まっているようだ。
アスピリンの「ピリン」のスペルは[PIRIN]、一方、ピリン系は[PYRINE]で、横文字でみれば明らかに違う。ところがカタカナにするとどちらも「ピリン」となるから、一般の人が同種と思うのはむしろ自然なことだ。誤解の原因はまずここにある。
どちらも解熱鎮痛剤に違いないが、化学的にも薬理的にも全く異なっている。サリチル酸系に分類されるアスピリンはおだやかな解熱・鎮痛・抗炎症作用、さらに血液が固まるのを防ぐ作用があり、副作用は胃腸障害などだ。
ピリン系(ピラゾロン系)は強い解熱・鎮痛の効果がすぐに出てくる。しかし、切れ味が良いだけ副作用も多く、ショック・発疹などアレルギーが起こりやすい。この中にはアミノピリン、アンチピリン、スルピリンなどがあり、ピリン系と呼ばれる。
このピリン系は、現在は、医師の処方薬になっている」
■副作用で2人死亡
「ロキソニン(商品名)」:一般名「ロキソプロフェントナトリウム」
「死亡したのは、風邪による発熱などで同剤を服用した30代の女性と、50代の男性。女性は昨年7月から服用を始め、12日後に止めたが、27日後、医師が黄疸を確認。その後、激症肝炎と診断され、78日後に死亡した。男性は、98年9月、急性肝不全で死亡。2000.5.27《日本経済新聞》
  【芳香療法】
    ◎体温を下げる精油:①ベルガモット
              ②ユーカリ
              ③ラベンダー
              ④メリッサ
              ⑤ペパーミント
  【色彩療法】
    <1>緑色(原因不明)
    <2>青色(原因不明)
    <3>赤紫色(原因不明)
    <4>紫色(原因不明)  
  【漢方療法】
   ◎漢方でいう“熱”
     近代医学で熱があるかないかを診断するには体温計によるが、漢方医学で熱と     いう場合は、必ずしも体温の上昇を意味しない。
例えば、体温が39℃以上に達していても、脈が沈んで遅く、顔が蒼く、悪     寒を訴え、手足が冷え、舌が湿り、尿が清澄であれば、これを“寒”とする。
“熱”は新陳代謝の亢進を意味し、“寒”は新陳代謝の沈衰を意味する。
     《大塚敬節》
   ◎主薬:
     心火を瀉すには、黄連を主薬とすべし《万病回春》
     肺火を瀉すには、黄を主薬とすべし《万病回春》
     脾火を瀉すには、芍薬を主薬とすべし《万病回春》
     胃火を瀉すには、石膏を主薬とすべし《万病回春》
     肝火を瀉すには、柴胡を主薬とすべし《万病回春》
     腎火を瀉すには、知母を主薬とすべし《万病回春》
     膀胱の火を瀉すには、黄柏を主薬とすべし《万病回春》
     小腸の火を瀉すには、木通を主薬とすべし《万病回春》
     屈曲の火を瀉すには、梔子を主薬とすべし《万病回春》
     無根の火を瀉すには、玄参を主薬とすべし《万病回春》
  【処方名-五十音順】
    阿膠鶏子黄湯
    安宮牛黄丸
  茵蒿湯
    茵五苓散
    益胃湯(回復期)
    黄湯
    黄竜湯
    黄連阿膠湯
  黄連解毒湯
    牛黄清心丸
    加減復脈湯(発熱疾患の後期・衰弱)
    加減逍遙散《寿世保元》
    葛根黄黄連湯
  葛根湯
  加味帰脾湯(夕暮れから発熱憂鬱微熱)
  加味逍遥散
    九味活湯《万病回春》
    桂枝加葛根湯(虚証、自汗、項背がこる)    
    桂枝加厚朴杏仁湯(虚弱、喘鳴、自汗、咳嗽)
    桂枝加芍薬湯
    桂枝加竜骨牡蠣湯
    桂枝湯(表虚証)
    桂枝人参湯
    桂芍知母湯
    桂麻各半湯(熱多寒少、顔面赤い、発熱無汗、皮膚掻痒、便秘なし)
    五蒸散《医学入門》
    犀角地黄湯
    柴胡飲子《宣明論》
    柴胡桂枝乾姜湯(抗生物質を使用しても下がらない熱
    柴胡桂枝湯
    柴苓湯《世医得効方》
    左帰丸(回復期)
    三物黄湯
    滋陰降火湯《万病回春》(午後から夜半にかけて)
    梔子柏皮湯(身黄、発熱、腹満なし)
    紫雪丹
    四物湯(痩せて水分が少ない人=陰虚の発熱)
    四物湯《万病回春》
    瀉陰火升陽湯《脾胃論》
沙参麦門冬湯
    十全大補湯(午後から日暮れにかけて発熱)
    十味敗毒湯(過敏性体質)
    朱砂安神丸
    潤腸丸
    小柴胡湯(胸脇苦満、往来寒熱)
    小柴胡湯山梔子・黄連・知母・地骨皮《万病回春》
    小青竜湯(咳嗽、喘、鼻水、)
    升陽散火湯《寿世保元》
    生脈散
    新加黄竜湯
    参蘇飲
    清瘟敗毒散
    清営湯
    青蒿鼈甲湯
    清骨散
    清暑益気湯《万病回春》
    清心蓮子飲《寿世保元》
    川茶調散(頭痛、鼻づまり、声重い、体痛)
    増液承気湯(高熱・脱水)
    増液湯
    大承気湯
    大陥胸湯
    大定風珠(発熱疾患の後期・ケイレン)
    大補陰丸
    竹葉石膏湯
    調胃承気湯(諸薬で効かない熱病)
    桃核承気湯(実証、のぼせ、足冷、下腹部痛)
    当帰飲《万病回春》
    当帰承気湯《玉機微義》
    当帰補血湯《内外傷弁惑論》
    人参柴胡散《衛生宝鑑》
    人参散
    麦門冬湯
    白虎湯
    茯苓補心湯《易簡方》
  防風通聖散
    補中益気湯《万病回春》
    麻黄湯
    石滾痰丸
    抑肝散(原因不明の発熱)
    凉膈散
    羚羊角釣藤湯
    六一散
    六味丸
【西洋医学】
(1)次のいずれかを用いる。
Voltaren Sup 25mg
Indacin Sup 25mg
Loxonin 1~2T
(2)上記で効果が不十分な場合。
Venopyrin 900mg  ゆっくり静注
Capisten 50mg 筋注。
(3)非ステロイド剤の使用がアスピリン喘息・アレルギーその他で不可能な場合
Metilon 0.25~0.5g 皮下または筋注。
Amipylo 2T、or、Saridon 1~2T、or、Sedes G 1g、or、Butylon 1g。
(4)非ステロイド剤で無効の時
Predonine 10kara 30mg 経口または筋注。



 発達障害
発達障害

視線が合わない



トレーニング方法
シンプル・・・ほめること。
どうやってほめるか?
NHK2016/06/22 8時~
ほめて伸ばす!子どもの発達障害
栗原  
平井幹男小児科医

①すぐほめる・・・正解するといいことがあると
めちゃめちゃほめる先生に出会って、変わり、脳科学者になった人も。
② できるように手助けする
指さしなどで手助け。成功体験をふやす

③主導権を子どもに渡さない
ほめて主導する
大人の意見にすなおに従うようにさせる



ABA 応用行動分析
ABAにもいろいろなものがある

口行動+褒める=行動が増える  秒単位で(瞬間に)褒める
褒めたときに、子どもの顔色をチェック
積極的に、速く、褒める。
失敗させない。
手助けをしても、褒める

マイナスの言葉使わない
できたら→ほめる

おはなしができる(目的)
(分解)
尾は暗視の内容を分解
単語が増える
お話が出来る
名前と音が一致しているかをテスト
バナナをちょうだい?
バナナがわかっていないと思っていた親はびっくり。

動作をまねる
物の名前が分かる

応用)位置の概念
→かたづけ

小学生くらい・・・・お手伝い→ほめる(ありがとう)
少し運動を取り入れる(一緒に)
あせらない。

親の課題
時間の確保
モチベーションの維持

人生は短距離走ではなく、マラソンだ。
    





 発背(はつぱい)
   =背部に発したる癰腫。
   ◎主薬:発背には、槐花を主薬とすべし《万病回春》
  【処方名-五十音順】
内消沃雪湯《外科正宗》

 発斑
   ◎主薬:発斑には、玄参・升麻を主薬とすべし。《万病回春》


 発毛異常
   (参照→体毛)
   ◎種類:
     多毛症
稀毛症


 肌荒れ
  【処方名-五十音順】
  温清飲
    腸癰湯(、皮膚乾燥、脈数)
    桃核承気湯(のぼせ、足冷、下腹部痛)
    人参養栄湯(皮膚枯燥)
    麻杏甘湯(皮膚枯燥、)

 鼻の病気(鼻病)
  【処方名-五十音順】
    禦寒湯《蘭室秘蔵》
    荊芥連翹湯《万病回春》
    清血四物湯《万病回春》
    通気湯《医学入門》
    通竅湯《万病回春》
    鼻病一方《類案》
    補中益気湯麦門冬・山梔子《薛立斎十六種》
    麗沢通気散《蘭室秘蔵》

 鼻が乾く(鼻乾)
  【処方名-五十音順】
    滋陰降火湯
    升麻葛根湯


 鼻が黄色い
  【処方名-五十音順】
    越婢加朮湯(先端が黄色い)


 鼻が出る
   =「鼻淵」
     鼻渕=鼻淵=肥厚性鼻炎、鼻筍を伴う上顎竇蓄膿症の類。
  【漢方療法】
   <1>濁った鼻が止まらない:[黄連通聖散][防風湯][蒼耳散][荊芥連翹湯]
   <2>吹のような鼻がたれる:
      [川椒散]
      [二陳湯川・当帰・細辛・白・防風・活・桔梗・薄荷・生姜]
      [細辛膏]
   ◎《津田玄仙》は“鼻淵は鼻中より濁涕を出して止まず、淵水の流れて断たざるが    如し、故に鼻淵と曰う。また脳漏と名く”といい、これには荊芥連翹湯or防風    通聖散黄連・白に薄荷(倍量)にして用いる。しかしこれらは腹部軟弱、下痢    傾向のある者には用いない。《大塚敬節》
 【処方名-五十音順】
    黄連通聖散(鼻渕症を治す)
    細辛膏(鼻が詰まり、鼻水が止まらない)
    川椒散(鼻を治す)
    蒼耳散(鼻渕)
    防風湯(鼻渕でにごった鼻がたれ、止まらない)
    防風通聖散
  【臨床例】
    ☆《井觀醫言》より
     「笠間候の側室桂林院は、年50余で鼻淵を患うこと半年、色々の手当もその      効がなく、臭い鼻水と濃い鼻汁とをポタポタと出て止まなかった。あたかも      脳漏の如くで、頭痛がして何か物をかぶったようで、精神も鬱冒として暗く、      手臂が麻痺して、時々痛み、特に腕部の痛みがひどかった。
脈は沈微で数であった。自ら云われるには、こ数年来、始終腹の中が引      き連れ、それが胸肋に連って痛んで止まず、その痛みは殆ど堪えられぬ有様      で、或いは白帯下を多く下し、小便が淋瀝にて渋り痛み、或いは下腹部が膨      満して小便が近くなり、それが夜間には殊に甚だしく、大便は23日に1行      であるという。    
       その腹を診ると、臍の左傍に1条の太い筋が拘急していた、それが肋骨下      に入り、下は脚の血海穴のところに至っていた。そして下にもまた塊物が      あってそれが臍の左の大筋と堅く相交じっているのであった。
そこで余《尾台榕堂》は葛根加朮附湯に七宝丸を兼用し、腹痛が起こった      時には当帰四逆加呉茱萸生姜湯に転じ、白帯下が多く下って小便が淋瀝する      場合には大黄牡丹皮湯を兼用して4月から8月まで治療を続けた。
       それからは次第に悪臭のある濃い鼻汁の出るのは止まり、冬10月に至っ      て諸症が全く治するに至った。ただ鼻梁骨のところが微しく陥下するのみで      あった。」《荒木正胤》


 鼻が光っている
  【処方名-五十音順】
    九味檳榔湯(先端部に光沢)


 鼻たけ(はなたけ)rhinopolypus
   ⇒(鼻痔)
  【処方名-五十音順】 
    瓜礬散(鼻痔を治す)
    辛夷膏
    白黄散(鼻・肉・鼻痔)
  防風通聖散
    防風通聖散三稜・海草末


 鼻出血rhinorrhagia
=「鼻血」「衂血」
   ◎原因となる疾患:
      鼻炎
      高血圧
      赤血球増加症
      腸チフス
      出血性素因
  【処方名-五十音順】
帰脾湯
しばしば衂血を繰り返し、甚だしく貧血をきたし、顔面、亢進まで蒼白となり、食欲不振、栄養不足となった者。白血病、悪性貧血などに起こる衂血に本方がよい(漢方診療医典)
帰膠艾湯
婦人の代償性衂血や常習衂血のために貧血をきたし、冷え症で虚証のものに用いる(漢方診療医典)
荊芥連翹湯
慢性肥厚性鼻炎、副鼻腔炎、鼻茸などに起こる衂血には升麻0.5g牡丹皮2.0g(漢方診療医典)
桂枝去芍薬加蜀漆龍骨牡蠣湯
桂枝茯苓丸
月経障害による代償性衂血に最もしばしば本方が用いられる。実証で瘀血が多く、症状が激しく便秘しているものには桃核承気湯がよい(漢方診療医典)
三黄知母湯
三黄瀉心湯を用いる場合で、病状が一層激しいものに本方を用いる。すなわち、三黄瀉心湯知母3.0g、石膏10.0g甘草1.5g(漢方診療医典)
小建中湯
体質の虚弱なもので、貧血して疲れやすく、動悸を覚え、脈腹ともに虚している者によい。壊血病、紫斑病などの衂血に本方の症が多い。(漢方診療医典)
麻黄湯
流行性感冒、その他の血清病で熱が甚だしく、発汗なく鼻血が出るものに本方を用いて発汗させると衂血が止まる(漢方診療医典)

 鼻づまり
    (参照→脳漏)
   ⇒(鼻閉)「鼻塞」
  【鍼灸】
     「足三里に灸すると、鼻の塞がったのが通り、鼻の穴の乾くのが治り、眼がハ      ッキリし、頭痛が治る。鼻の病の要穴。」《沢田流聞書鍼灸眞髄》
「会」「風門」「肺兪」
  【漢方療法】
    <1>ひどい詰まり:[禦塞湯][澄茄丸]
    <2>詰まって匂いが嗅げない:[麗沢通気湯][温肺湯][温衛湯][菖蒲散]
    <3>鼻の中に硬い物がある[南星飲]
   ◎主薬:鼻塞がり、声重きには、防風・荊芥を主薬とすべし《万病回春》
【処方名-五十音順】
    温衛湯(鼻が効かず、眼中に湯火があって、陰冷で足がしびれる)
    温肺湯(香臭を嗅げない9
    葛根湯加川辛夷(実証、項背こわばる)
    加味八脈湯《勿誤薬室方函》
    禦塞湯(ひどい鼻づまり)
    竅散(匂いを嗅げない)
    桂枝湯(表虚証、自汗、悪寒悪風、頭痛発熱、乾嘔、脈浮弱)
    香蘇散(気鬱、頭痛頭重、肩こり、胸中痞、心下痞塞、吐き気、腹痛、        脈沈)
    小青竜湯(咳嗽、喘、鼻水、)
    菖蒲散(鼻がつまり、息が出来ない)
    辛夷清肺湯(鼻づまり、鼻汁<膿性>、口渇、舌苔黄、舌質紅乾燥)
    辛夷散
    参蘇飲(頭痛発熱、無汗、食欲不振、悪心嘔吐、胃部膨満感、脈沈数)
    川茶調散(頭痛、鼻づまり、声重い、体痛)
    蒼耳散
    通竅湯(鼻がつまり、声が重く、香臭が嗅げない)
    南星飲(風邪が脳に入って冷え、鼻が詰まる)
    澄茄丸(鼻が詰まって通らない)
    撥餅(鼻が詰まって濁った水が流れる)
    鼻不聞香臭方
    補中益気湯
    麻黄湯:
      ☆乳児の鼻閉に良く効く。しかし用量に注意しないと、ひどく発汗して、虚       脱状態となることがある《大塚敬節》
    射干麻黄湯
      ☆香臭をきかず、余症無き者《福井楓亭》
麗沢通気湯(肺に風熱があって匂いを嗅げない)
  

 鼻の頭が赤い
   =酒渣鼻。
 【処方名-五十音順】
    硫黄散(外用する)
 温清飲
  黄連解毒湯
    三黄瀉心湯
    梔子仁丸
    清血四物湯梔子仁丸
    清上防風湯
    腸癰湯(腹痛<圧痛>、便秘なし、舌苔黄、舌質紅、、皮膚乾燥、脈数)
    通導散
    白竜丸(酒渣鼻と肺風瘡、黒紫になる)
  防風通聖散


 鼻水(はなみず)pituita
   =「鼻汁」
【処方名-五十音順】   
    桂枝湯(表虚証、自汗、悪寒悪風、頭痛発熱、乾嘔、脈浮弱)
    小青竜湯(咳嗽、喘、鼻水、
    参蘇飲(頭痛発熱、無汗、食欲不振、悪心嘔吐、胃部膨満感、脈沈数)
    麻黄湯(頭痛、発熱、悪寒、身体疼痛、関節がいたい)
    苓甘姜味辛夏仁湯(手足が冷える、咳嗽、浮腫)


 鼻ポリープ
 ◎主薬:鼻に瘡を生ずるには、黄を主薬とすべし《万病回春》
 【処方名-五十音順】
    越婢加朮湯
    黄湯(鼻孔が乾き、瘡が出来て痛む)
    瀉白散片(酒炒)・柏子・桔梗・薄荷(鼻瘡)
    洗肺散(鼻の中の生瘡を治す)


 話が出来ない→「対話が出来ない」


 馬脾風
   初起---------麻杏甘石湯檳榔牽牛子将軍
   風痰壅盛----- 治小児風痰云々方《本草彙言》


 腹が張る(はらがはる)⇒腹部膨満感



 原田病
   ⇒20~30歳代に最初に罹ることが多く、男女差はあまりない。
   【症状】
    急激な視力低下。水滴が溜まったように見える・ゆがんだように見える・色が     変わって見えることもあります。症状は両目に出る場合がほとんどです。      問診すると、目の症状が出る1週間ぐらい前に、風邪のような症状で頭痛・吐     き気・耳鳴りに悩まされたという人が非常に多いのが特徴。
虹彩の炎症・眼底の網膜剥離・脈絡膜の炎症が見つかるので、原田病はブドウ     膜炎の一種です。(虹彩と脈絡膜を合わせてブドウ膜といいます。)
   【診断】
    蛍光眼底撮影で、丸い網膜剥離があることを確かめます。脈絡膜の炎症で網膜     の下に水が溜まり、其の部分だけが浮き上がっている状態です。
    聴力障害・髄膜炎を併発していることが多いので、聴力や精髄の検査も実施し     ます。
原田病は自分の色素細胞を免疫系が攻撃する、自己免疫疾患と考えられていま     す。この為、ブドウ膜に限らず、色素細胞が多い耳石・髄膜・皮膚・毛髪も攻     撃対象になります。皮膚に白斑が出来たり、白髪になったり、脱毛することも     あります。
   【治療】副腎ホルモンを、早期に大量に使うことに尽きる。
     (杉村光子・東京女子医大助手)1996.5.5《朝日新聞》」




 煩渇(はんかつ)
  【処方名-五十音順】  
    茵五苓散(黄疸、発熱、腹壁軟弱、胃内停水、煩渇、脈浮)
  益元散(中暑で身熱し吐瀉し、腸と下痢赤白の症と、閉する症)
  越婢加朮湯
    黄連香散(中暑と熱渇を治す)
  黄連解毒湯
    加減苓湯(霍乱後の熱渇)
    玉露散(暑渇を治す)
    桂苓甘露飲(伏暑で煩渇し、引飲する)
    桂苓白朮散(中暑による霍乱、吐瀉、煩渇)
  五苓散       
    柴苓湯(食欲不振、尿利減少、口渇、浮腫、胸脇苦満)
    止渇湯(霍乱後の熱渇)
    春沢湯(暑熱と燥渇と引飲に度がなく、水が入ればすぐ吐く)
    椒豆散(霍乱・吐瀉の後、薬・水が入らない者)
    清心蓮子飲
    清暑益気湯
    清肺生脈散(暑が肺を傷つけ咳喘・煩渇し気促する)
    醍醐湯(暑熱を解き煩渇を止める)
    濯熱散(暑熱と煩渇と、霍乱の後の渇に)
    竹葉石膏湯
    通苓散(傷暑・煩渇・下痢・尿渋を治す)
    人参白虎湯
    麦門冬湯[4](霍乱後の煩渇)
    白虎加人参湯(激しい煩渇
    木防已湯
    六味丸


 煩驚
○「煩」は心煩。「驚」は驚悸のこと。神経過敏の状態を指す。
  【処方名-五十音順】
    桂枝加竜骨牡蠣湯
    柴胡加竜骨牡蛎湯


 煩躁(はんそう)
    煩=火+頁。頁(けつ)は儀礼のときの姿。
わずらわしい。
    躁=佐和久(さわく)、あわただしい、さわぐ、てあらい。
  【漢方療法】
    「煩」=(イ)心中が懊して吐きたくなる症。
        (ロ)軽に属する。
        (ハ)気から発する。
          肺は皮毛を主管するので気に熱があると煩する。
        (ニ)梔子で肺を潤す。
    「躁」=(イ)手が震えながら、足を動かす症で、立っても座っても不安な症。
        (ロ)重に属する。
        (ハ)血から発する。
          腎は津液を主管するので血に熱があると躁する。
        (ニ)豆で腎を潤す。
   ◎煩躁という症は気が火に従って上昇する症である。《丹渓心法》
(辞典)
胸中の熱と不安を煩といい。手足をばたつかせることを躁という。普通は、煩によって躁をもたらすので煩躁という。
①湿熱病の邪熱が裏に入って、高熱・口渇・胸中煩悶・手足をばたつかせるのは、陽明の実熱。
②煩熱・口渇があって、躁の無いものを煩渇という。
③外感病で汗吐下ののち、なお熱があり、胸中煩熱・熟睡できないものは、虚火内擾で、虚煩といい、虚熱証に属する
④煩して身冷・手足が無意識に動き。心身が共に疲労し、口が乾いても水をとりたがらない、脈細弱は、躁煩という。
【処方名-五十音順】
    黄連鶏子湯(少陰病で、煩躁して横にもなれない)
    甘草乾姜湯
    甘草湯
    桂枝加黄蓍湯
    桂枝加竜骨牡蠣湯
  呉茱萸湯
    柴胡加竜骨牡蛎湯
    三黄瀉心湯
    三物黄湯
    酸棗仁湯
    梔子厚朴湯(傷寒で下痢後に心煩し、腹が脹って寝ても起きても気分が          悪い)
    梔子湯(心中が懊する)
    芍薬甘草湯(煩躁し脚が攣急する)
    清心蓮子飲
    大承気湯
    竹茹温胆湯
    当帰四逆加呉茱萸生姜湯
    二陳湯
    白虎加人参湯



 煩熱(はんねつ)
   ⇒全身や手足or局所がほてって暑苦しいもの。
  【処方名-五十音順】
  温経湯
  黄連解毒湯
  加味逍遥散
    帰膠艾湯
    三物黄湯
    梔子湯
    炙甘草湯
    小建中湯
  猪苓湯
    桃核承気湯
    麦門冬湯
    白虎加人参湯

 煩悶
  【処方名-五十音順】 
    桂枝湯
    柴胡加竜骨牡蛎湯
    酸棗仁湯
    滋陰降火湯
    炙甘草湯

 煩乱
   ⇒煩乱には「桂枝」を用いるべからず。《済陰綱目》


 反復性混迷⇒「傾眠症」参照


 反芻症 rumination merycism
    ⇒胃の運動神経異常の1つ。男子に多く、胃の噴門の閉鎖不全が原因。
  【処方名-五十音順】
    柴朴湯
    四逆散
    小柴胡湯
    小柴胡湯橘皮枳実生姜湯
    茯苓飲
    茯苓飲合半夏厚朴湯


 半月板損傷
半月板・・・・膝の内側にある小さな軟骨
直径4cm幅1cm
膝の内側と外側にそれぞれ1枚ある。
■58歳の会社員です。膝関節が痛く、半月板損傷と診断されました。
「半月板は膝関節の大腿骨と脛骨の間にある軟骨です。膝関節が伸びすぎないようにする役目などを果たしています。半月板は加齢とともに変化するものなので、ある程度年を取れば損傷を起こします。
若い頃、柔道をしていて体力に自身があるFさん(75)は、階段で膝をひねって転びました。痛くて歩くのに困りました。手術でも改善の期待はあまりもてないと医師に言われ針灸治療をしました。
1~2週間に1回治療を受けに来院し、あとは膝のおさらの周囲にある膝眼穴などに、皮膚を直接焼かない関節灸を自宅で毎日すえるように指導しました。5ヶ月後には歩行が楽になり、その後は転ぶ前と同じくらいに痛みが緩和されました」(石野尚吾・北里研究所東京医学針灸部長)2002/7/9《日本経済新聞》
   ■軟骨再生
京都大学の田畑泰彦教授と黒坂昌弘・神戸大学教授らは、ひざの半月板の損傷の新しい治療法を開発した。血液中の血小板を使って軟骨を再生する、
患者から採った血液で作った高濃度の血小板を、ゼリー状のゼラチンに染み込ませ、ひざから患部に注入する。このゼラチンは体内でゆっくり分解されるため、約2週間かけて血小板が少しづつしみ出てゆく。
血小板には骨や軟骨を増やすタンパク質がたくさん含まれており、歯科医療では顎や歯ぐきの骨を強くするためにすでに使われている。
ゼラチンは止血剤として利用されているもので、安全性に問題はない。
動物実験では半月板損傷したウサギのひざに直径約8mmの穴を開け、血小板を染み込ませたゼリー状物質を内視鏡で患部に貼り付けた。約1ヶ月で軟骨が再生して半月板が修復、治療の有効性が確認できた20078/27日経
■滑膜幹細胞で再生
東京医科歯科大学の関矢一郎教授
2014年8月から臨床
壊れた半月板を縫い合わせる縫合手術をするときに滑膜幹細胞を取り出し、約2週間培養して約5000万個にまで細胞を増やしてから膝に戻す。
■牛のコラーゲンを使う
大阪大学の中田研教授
2015年10月から臨床
失われた半月板に牛の皮膚から作られたコラーゲンを移植して回復する。





 半身不随hemiparalysis
   ⇒片麻痺 hemiplegia =偏=半側麻痺。
■足に電極、10年ぶりに歩けた
「交通事故で10年前から下半身不随が続いていた男性にコンピューター・チップと電極を埋め込んで足を動かすことに、欧州の7企業・研究所のチームが成功。20日に欧州連語(EU)本部で成果が発表された。
この男性はフランス人のマルク・メルジェさん(39)で、足の筋肉と神経に15個の電極を、また信号を送るコンピューター・チップを腹部に埋め込む手術を受けた。メルジュさんは「まさか歩けるようになるとは思わなかった。多くの人が。この装置を必要としている」と喜びを語った。
同チームによると、これまでも、電極を皮膚の表面に張り付け、歩行器を使って歩けるようにするシステムはあったが、筋肉や神経を直接刺激する手法の成功は初めてという。この装置では、外部からコンピューター制御する必要があるが、最終的には、患者が杖に突いた操作ボタンを自分で押しながら、調整出来る装置の開発を目指している」
  【漢方療法】
   <1>予防:愈風湯・天麻丸各1~2丸。[加減防風通聖散]
   <2>左半身の不随:[四物湯]
   <3>右半身の不随:[四君子湯]
   <4>痰が盛ん:[二陳湯][導痰湯]兼用する。
   <5>気血の両虚で、痰がある:[八物湯南星・半夏・枳実・竹瀝・姜汁]
  【処方名-五十音順】
    一物瓜蒂湯
    黄蓍桂枝五物湯
    桂枝加葛根湯(虚証、自汗、項背がこる)    
    桂枝加朮附湯(四肢疼痛、麻痺)
    桂枝加竜骨牡蠣湯
    桂枝加附子湯
    桂枝加苓朮附湯
    桂芍知母湯
    柴胡加竜骨牡蛎湯
    四逆散
    四君子湯
  十全大補湯
    小柴胡湯
    小青竜湯
    小青竜石膏湯
    小続命湯
    真武湯
    走馬湯
    続命湯
    疎経活血湯
    大黄黄連瀉心湯
    大柴胡湯
    鎮肝熄風湯
    通導散
    抵当湯
    桃核承気湯
    当帰芍薬散
    白朮附子湯
    補中益気湯
    補陽還五湯
    抑肝散(脳出血の後遺症、ふるえ、しびれ、)
    六君子湯(心下痞、体重減少、胃弱)
    苓甘姜味辛夏仁湯(手足が冷える、浮腫)
苓桂味甘湯
 
 斑疹(はんしん)
  【漢方療法】 
     斑:色点だけがあり顆粒のないもの。
     疹:小さな顆粒が浮上するもの。
   <1>発斑:胃熱が手少陰の火を助け、手太陰が肺に入ると紅点が皮毛の間に班と同       じように現れる。[白虎湯][瀉心湯][調胃承気湯]
   <2>陽毒発斑:[人参白虎湯][三黄石膏湯][消班青黛飲]
   <3>温毒発斑:[黒膏][葛根橘皮湯][玄参升麻湯]
   <4>熱毒発斑:[化斑湯][猪胆鶏子湯][犀角玄参湯]
   <5>班がひどく破爛する:[芒硝猪胆汁]
  【処方名-五十音順】
葛根橘皮湯(冬温の発斑)
黒膏(温毒発斑)
    化斑湯(陽毒・温毒・熱毒発斑)
    玄参升麻湯(傷寒発斑、煩躁、咽喉閉痛)
    犀角升麻湯(熱毒発斑、時行発斑)
    梔子大青湯(妊婦の傷寒、発斑が黒い色に変じる症)
消班青黛飲(陽毒・熱毒で錦紋のような発斑が出る)
    升麻葛根湯
    人参白虎湯
    猪胆鶏子湯(熱毒発斑、時行発斑)





 汎下垂体機能低下症panhypopituiitarism
   =下垂体の欠如や障害による全下垂体機能減退症。
    その完全型では生殖機能の欠如や甲状腺や副腎機能不全症をきたす。発育不全     症、第2次性徴の退行、性欲の喪失、体重減少、疲労性、徐脈、低血圧、鬱病、     その他多くの症状が起こる。
    悪液質が著明なときは、hypaphysialまたはpituitary cachexia、Simmond's deisease     (シモンズ病)と呼ばれる。
   ⇒下垂体前葉ホルモンの分泌が一様に低下するもの。
    下垂体はその75%異常が破壊されない限り、機能低下を来さない。
   ◎原因:
      手術による摘除
      腫瘍
      血管傷害(分娩による大出血)
      非特異的肉芽腫
      特異的肉芽腫(結核・梅毒)
      特発性
   ◎症状:徐々に現れる。
      易疲労性
      脱力
      嗜眠傾向
      肉体的精神的不活発
      寒冷に対し敏感
      発汗減少する
      貧血
      全身の色素が脱失する
      腋毛・恥毛は脱落する
      性器が高度に萎縮する
      月経不順・無月経
      老人性顔貌
      粘液水腫---なることは少ない。
   ◎検査:
     低値を示す:血中ACTH
血中コルチゾール
           尿17-OHCS
17-KS




 汎発性血管内血液凝固症候群(DIC)
   ⇒血液凝固異常、その他種々の病態を呈する疾患群の総称。
   ◎種々の疾患が原因で血液凝固が亢進して、末梢血管に微小血栓が広範囲に生じる。    そして更に、線溶能の亢進が起こり出血し始める。


 晩盲(ばんもう)
   =「晩盲眼」
   ⇒鳥目のこと。