<へ> つらい症状・病名

【病状へ】

 

ページェット-シュレッテル症候群
=「Paget-Schroetter syndrome」
⇒激しい運動の後、腋静脈内に血栓が形成することによって、胸郭出口症候群に似た状態が起こること。
◎症状:
☆肩及び上腕部に疼痛
☆浮腫
☆皮膚の変色。



   


ペスト
■プレリードッグ
「厚生労働省は2002年10/18、ペットして人気が高いプレリードッグの輸入を禁止することを決めた。寄生するノミによってペストなどを媒介する危険性が米国で指摘されているため。政令を11月中にも改正、来春から実施したい考え。感染症対策のため輸入を禁止する動物はサルに次ぎ2種類目。」2002.10.19《日本経済新聞》


ベーチェット病 Behçet's Disease
=病名はトルコの皮膚科医ベーチェットが最初に報告したことに由来する。患者は日本、中国、イラン、サウジアラビア、イスラエル、トルコなどシルクロード沿いの国々に多く、欧米では極めて少ない。国内の患者は推定約20000人。
◎好発年齢:20才代に発症する者が多い、男性に多い。
◎好発時期:特になし。
◎病因:不明

◎症状:皮膚・口腔・外陰部・眼の4大症状とし、発熱・倦怠強く、寛解と再燃を繰り返す。

<1>発疹:
①部位:口腔・陰部粘膜に初発する。
    口腔粘膜→皮膚→外陰部→眼と進行する。
    身体開口部に潰瘍を形成する。
②性状:

①口腔粘膜にアフタが出来る(再発性アフタ性潰瘍)
②結節性紅斑(赤いしこりのある皮疹)
③外陰部に小潰瘍が出来る。(陰部潰瘍)
④目の虹彩毛様体炎(ブドウ膜炎)

<2>関節痛

<3>急性腹症・

<4>潰瘍性大腸炎・

<5>毛包炎・

<6>特殊な症状:

①精神神経症状・
②弁不全。

◎血液像:特になし
◎検査項目:
・CRP:陽性             
・A/G比:低下
・血沈:促進。
・虹彩炎・ブドウ膜炎の有無
・皮膚生検
・抗核抗体:(ー)
・リウマトイド因子:(ー)

■効果的な薬登場、副作用に注意 1997.8.10《朝日新聞》
「27歳の女性。1年前、口の中に白い潰瘍が出来、陰部にも痛みを感じました。潰瘍はその後も繰り返し出来、なかなか治りません。病院では「ベーチェット病の疑い」と診断され、出産をきっかけに重症化する可能性もあると言われました。この病気で失明する人もいると聞き、心配しています。」(広畑俊成・帝京大医学部助教授にお聞きししました)
<1>いろんな症状があるようですね。
 主な症状は、以下の4つです。
①口の中に繰り返してきて痛みを伴う潰瘍
②ニキビが化膿したような発疹や、赤みを帯びた皮膚の盛り上がりなどの「皮膚症状」
③目が赤く腫れたり視野が急に霧に襲われたようになったりする「眼症状」
④外陰部の潰瘍
⑤これらの「主症状」の他に、関節や血管、腸管、神経の炎症、男性の場合は副睾丸炎など様々な「副症状」が知られています。
<2>複数の症状が同時に現れるのですか?
「そういう場合もありますが、むしろ、口の中に潰瘍が出来始めて数年の内にいろいろな症状が出そろうことが多いようです。4つの主症状がすべてある人を『完全型』、それ以外のケースは、出現する症状に応じて『不全型』や『疑い』と診断します。
<3>相談の方は、口の中に繰り返し潰瘍が出来、陰部も痛むようです。
「皮膚や目など他の症状も出ていないかどうか病院で調べてもらってください。特に皮膚症状の場合は、発症しても見過ごしやすいからです。足などに直径1cm~3cmの赤く盛り上がった紅斑が出来るケースがよく見られます。『虫さされかな』と気にとめない方もいるようです。
<4>原因は何ですか?
「ベーチェット病の患者さんには、[HLA-B51]という白血球の型が多いので遺伝的な要因が大きいと言われています。しかし、まだはっきりした原因は解明されていません。これまでの研究では、患者さんの体内で免疫に関係があるTリンパ球や白血球が異常に活性化されやすいことが分かっています。このため、皮膚にちょっと傷がついてもすぐに化膿したり、抜歯後に口の中の潰瘍が誘発されるなど外界からの刺激や細菌などにとても過敏に反応してしまいます。
<5>最近は効果的な薬が登場したので、大部分の患者さんにとって失明の心配はなくなりました。痛風の発作を予防する「コルヒチン」は白血球の機能を抑えるためベーチェット病の治療薬としても有効なことが分かり、1980年ごろからよく使われています。錠剤を1日1~2回服用します。ただし、一時的に精子の数が減ったり、下痢やこむらがえりなどの副作用があるので、眼症状を繰り返す人や症状の強い人に限っています。
<6>別の薬もあるのですか?
「眼の症状には、10年ほど前から、Tリンパ球の機能を抑える免疫抑制剤「シクロスポリンA」の内服薬が使われるようになりました。発作の予防にとても有効です。ただし、この薬も長期間使用すると腎障害を起こすので注意が必要です。」
<7>女性の患者さんは出産のときが心配ですね?
「確かに、出産や外科手術などのストレスをきっかけに症状が悪化することがあります。この場合、炎症を抑える副腎皮質ステロイドの短期的な内服または注射で症状が悪化するのを抑えることも出来ます。ぜひ専門家に相談してみて下さい。日常生活では、食事の後すぐ歯を磨いたり、口の中 をよくゆすいだりすれば細菌の繁殖を押さえ、口の中の潰瘍の発生を防ぐ のに役立ちます。」
■男性で目立つ重症型
「Cさんは48歳の働き盛りの男性。25歳のとき口内炎がよく出来たという。35歳で両眼にブドウ膜炎を起こしたこともあり、最近、目の前に霧がかかったような状態が再発したため、相談に来られた。
口内炎を繰り返した頃から、陰嚢部に潰瘍が出来、皮膚の毛包の発疹を塗り薬で治していたと言う。
Cさんの病気は再発性口内炎・ブドウ膜炎・皮疹・陰部潰瘍の4つの症状から診断出来る。
この病気は約60年前にトルコの皮膚科医によって提唱されたベーチェット病だ。皮膚症状が繰り返し起こる軽症型一般的だが、問題はブドウ膜炎や虹彩毛様体炎といった眼の病変である。重症では視力を著しく損なうことになる。さらの関節炎や副睾丸炎・潰瘍性大腸炎などの消化器病変、中枢神経障害などを伴う重症型もある。
最初にトルコで見つけられたことで分かるように世界的に見て地中海沿岸・中央アジア・東アジアへとシルクロードに沿った帯状の地域で有病率が高い。我が国の発症率は最も高い。北米大陸の50万人に1人に対し、日本は1万人に1人である。シルクロード地域では他地域より重症例が多く、病態が異なっていると言われている。日本での分布は北高南低で北海道・東北で高く、吸収で低い。遺伝的な素因に何らかの外因、例えばある種の口腔内最近やウイルスが加わるためとの説もあるが不明な点もある。
72年から全国規模の調査が3回行われ、患者数が増加していることが分かった。特に20歳後半から40歳にかけて発生する度合いが高い。女性で激増していたが男性でも増えてきた。一般には軽症型が多いが、男性で重症型が目立つ。
この病気は重症化や再発の化膿性があり、シクロスポリンなど新しい免疫抑制剤による長期的な治療が功を奏しているが、その選択には慎重さがいる。幸いCさんの眼の症状は、ステロイドの点眼などで改善した。患者さんの喜びもさることながら、相談された当方もホットした」(西沢良記・大阪市立大学医学部教授)1999.12.27《日本経済新聞》
■失明の恐怖
「目覚めると、どこか違和感があった。「あれっ。右目が見えない」。1984年8月の朝、当時、函館大学の教授だった横浜市金沢区のEさん(53)は、あわてて洗面所の鏡を覗いた。見える方の左目をこらしてみると、右目が真っ赤に充血していた。
「最近忙しかったし、疲れのせいかな」。近所の眼科で目に注射を打ってもらい、1、2週間で視力は回復した。だが、ほっとしたのもつかの間、同じ症状が繰り返す。12月、紹介されていった北大病院で、「ベーチェット病の疑いがあります。あと1度でも炎症が起きれば失明することも覚悟しておいてください」と告げられた。頭の中が真っ白になった。
ベーチェット病は、原因不明で、目の症状、口内炎、皮膚症状、外陰部潰瘍のの4つの主症状を始め、関節炎や神経症状など、人によって全身に様々な症状が出る。
37年に初めて報告したトルコ人医師の名前がつけられたが、中東から東アジアにかけた地域にだけ見られることから『シルクロード病』とも言われる。」
日本では、72年に難病の特定疾患に指定され、推定患者数は約18000人。発症率は男女で男女で変わらず、目の症状が重いのは男性に多い。
診断名を告げられたEさんは、自分の父親もこの病気で失明していたので、ショックに輪をかけた。
ベーチェット病は遺伝する病気ではない。家族内での発症は2、3%、それも多くは兄弟間で、親子での発症例はきわめてまれだ。
ベーチェット病の平均発病率は35.7歳。
Eさんは服薬治療を続けながら、寝付かれない日を送った。朝目覚めては、「今日はまだ見えている」と喜んだ。発病から15年あまり経て、「もう一度」の目の炎症は起きていない。一時0.1未満まで落ちた視力は、0.7ぐらいまで戻った。
■年代、時期で変わる病状
「ベーチェット病は、人によって全身に様々な症状が出るため、一言で「こんな病気」と説明するのが難しい。さらに症状は、不定期に出たり引っ込んだりを繰り返す。そのため、職場で“怠け者病”と誤解されることも多い。
前週末までは何ともなかったのに、今週は皮膚の腫れと発熱に、人知れず苦しんでいることもある。でも翌週はケロッとなおっているので、見た目では分からない。病気を知っている人でさえ、「何ださぼっていたのか」と思われる。」
■強い副作用伴う治療薬
「ベーチェット病に使われる薬は、強い副作用のあるものがほとんど。病気との闘いは、いかに薬とつきあっていくか、でもある。
東京近郊に住むA子さん(34)は、結婚後まもなくベーチェット病を発病した。たびたび激しい頭痛や発熱に悩まされていたきち診断がついて薬を飲むようになって、病状は落ち着いていた。
「そろそろ子供がほしいのですが」A子さんが主治医に相談したのは、治療をはじめて1年あまりたった頃。体調の良い日々が続いていた。子供を持つことは結婚以来の、夫婦そろっての希望だった。
妊娠への影響を考え、慎重に薬の量を減らしていった。だが、約2ヶ月で焼くが半分頃になった時に再び、高熱で身動きさえ出来なくなり入院。「せっかく薬を減らしてがんばってきたのだから」と。2週間後、やや落ち着いたところで退院したが、数日で再び悪化した。
中枢神経に症状が出る「神経ベーチェット病」の疑いがあると診断され、ステロイドの大量療法を受けることになり、当面、妊娠どころの話ではなくなった。
ベーチェット病の治療にまず使われるのは、コルヒチンという痛風薬だ。目の炎症発作を抑える働きがあるが、血液障害のほか、男性では不妊の原因となる精子の減少や、女性では妊娠への影響が指摘されている。
コルヒチン以外でよく使われれるの免疫抑制剤のシクロシポリンやステロイドにしても、それぞれ肝臓・腎臓や骨への影響など、強い副作用を伴う薬だ。」


【処方名-50音順】(ぺーじぇっとびょう)
■ 温清飲
黄連解毒湯と四物湯の合方で、ベーチャット病の第一選択処方。黄連解毒湯には、抗炎症、解熱、鎮静の作用があり、四物湯には、血行を良くし、血を補う作用がある。皮膚枯燥の傾向があり、やや慢性化した粘膜の潰瘍、炎症に用いられる(漢方診療医典)

■黄連解毒湯
粘膜症状の急性期で熱感や疼痛の強いものに用いる(漢方診療医典)

■黄連解毒湯+山豆根

■甘草湯
口腔粘膜潰瘍にゆっくりとうがいしながら用いる(漢方診療医典)

■十全大補湯
比較的体力の低下した者で、温清飲を用いると胃腸障害がみられるものに用いる。四君子湯と四物湯を含む処方である(漢方診療医典)

■清熱補血湯《証治準縄》
貧血性で体力衰え、皮膚枯燥して血熱があり、口腔に潰瘍、びらんがあり、疼痛の甚だしい者に用いる(漢方診療医典)

■洗肝明目湯《万病回春》

■竜胆瀉肝湯
ベーチェット病で外陰部潰瘍のある者に用いられる。眼症状に対してはコルヒチンが第一選択である。(漢方診療医典)

■凉膈散《和剤局方》



ヘバーデン結節
■1996.6.2《朝日新聞》
「約200年前、英国の医師ヘバーデンが初めて報告しました。かっては珍しい病気でしたが、最近は日本でも患者が増えています。
[病状]
1.指先の、爪に近い方の関節(俗に第一関節)が変形して、指が動かしにくくなったり、痛んだりする病気です。第一関節は2つの骨で出来ていますが、指先に近い側の骨の根元の背が異常に出っ張ってきます。見た目には関節の背にこぶが出来て、関節が少し内側に曲がった格好になります。レントゲン写真を撮ると、骨の出っ張りが見える他、関節の隙間が狭くなったり、関節を形成する軟骨が破壊されていたりする様子が分かります。
2.[リウマチ]は全身の関節に変化が起きることが有りますが、ヘバーデン結節は手の指の第一関節だけに起きます。

3.ヘバーデン結節は痛みが強く、指を動かすのもつらいのですが、ある時期になると、こんどは痛みが無くなるのが特徴です。


#ヘビに噛まれた
(参照→薬物:「マムシ」「ヤマカガシ」)
■毒吸い出し、特徴を医師へ
「毒のないヘビは人を見れば逃げることが多い。逃げないヘビは毒蛇かも知れないので、近づかない。山歩きのときなどは、くるぶしの上まである靴や、手袋をする。こうした用心がヘビの被害を未然に防ぐ。
日本蛇族学術研究所の所長、鳥羽通久さんは、研究中のハブに噛まれたことがある。「ハブに麻酔はしたんですが、効きの悪いのがいて、うっかり」。マムシやハブに噛まれると、局所に強烈な痛みが走り、すぐに腫れてくる。
鳥羽さんによると、マムシによる被害は年間約1000件、死者も数人出る。南西諸島にいるハブの被害は年間2~300件。
毒蛇に噛まれたら、まず、応急手当。指先などの場合、口で毒を吸い出す。血の味がするだけで毒とは分からないが、少しでも体に回る毒を減らす。
「傷口を刃物で切って吸い出す、という人もいますが、そこまでしなくても大丈夫」。作家胃すると、傷口からばい菌が入って治りが悪くなったるするので勧めないという。
そして少しでも早く病院に行き、蛇毒を中和する血清を注射する。たつえ夜でもその日のうちに病院に行った方がい。体を激しく動かすと循環が促されて毒のまわりも早まるので、車に乗せてもらうなど、安静な状態での移動が望ましい
日本にいる主な毒蛇は3種類。マムシは茶色で銭形模様があり、太くて短い。ヤカマガシは1m前後。関東では黄色や赤・黒などが交じったマダラ模様。関西ではやや地味で模様は薄く、緑・灰・チャなどの色が多い。カエルをエサにするので水田に多い。ハブは大きなもので体長2mにもなる。
ヘビの種類が分からなかったら、どんな色、形のヘビだった、どんな場所で噛まれたか、などを医師に伝えよう。
加納六郎・東京医科歯科大名誉教授(医動物学)には苦い思い出がある。14年前、愛知県の医師から、ヘビに噛まれた子供に血清治療しても改善しない、と連絡を受けた。「マムシ血清を打ったらしいのですが、噛んだのはヤマカガシだった、出血性の毒があります。連絡は噛まれて4日目で、その子は脳内出血で亡くなりました」
[ポイント]
激しい痛みがあれば、噛んだのは毒蛇と考える。
傷口から毒を吸い出し、病院へ。
マムシの血清は、救命救急センターや大きな病院にはだいたいある。血清の有無を電話で確かめると良い」1999.5.30《朝日新聞》


#ヘマトクリット減少
⇒血球と血漿の容積比。
◎正常値:(男)40.2~51.5% (女)33.6~44.6%
◎貧血の程度に応じて減少する。


#ヘモグロビン減少
◎正常値:
◎減少:貧血、肝硬変、白血病、悪性腫瘍
◎薬剤による溶血性貧血にチェックに役立つ。


#ヘモクロマトーシス  hemochromatosis
(参照→血色素沈着症(ヘモクロマトーシス)
⇒代謝異常により鉄が過剰に吸収されて、肝臓、骨髄などの網内系細胞にヘモジデリンが沈着する病気。

◎症状:

①肝腫大
②糖尿病
③皮膚に色素が沈着


#ヘミバリスムス hemiballism
⇒不随意運動の1つ。
筋緊張亢進および腱反射亢進を認める。血管性障害によるものが多い。
◎症状:
・物を投げつける
・蹴ったりする


ペラグラ
=ニコチン酸欠乏症候群。ビタミンP、ニコチン酸アミドが欠乏。
⇒多く対称的・時に片側の紅斑が皮膚の露出部に現れる(春先が多い)。
発疹・色素沈着・瘢痕形成をみる。

◎病因:タンパク欠乏食で起こり、日光(紫外線)照射で発現する。

◎症状:
自覚症状:
・激烈な腸障害(下痢)
・口腔の疼痛(皮膚炎・口腔粘膜炎症)
・頭痛・不眠
・食欲不振とともに始まる。

その他の症状:
・重症口内炎
・萎縮性舌炎
・多彩な神経障害
・神経痛・神経炎
・ケイレン
・知覚障害・麻痺
・自律神経・栄養神経・精神障害
・ 痴呆

◎検査所見:
・しばしば胃無酸症を伴う。
・赤痢・鉤虫症・マラリアと合併することがある。



ペルオキシソーム形成異常症
■ペルオキシソーム
「京都大学の三木邦夫教授問い竹田一旗講師、九州大学の藤木幸夫教授らば脂肪酸の分解や有害物質の無害化などに関わる細胞内小器官『ペルオキシソーム』への物質輸送で中心的な役割を果たすタンパク質の構造を解析した。
ペルオキシソームは、細胞質で合成されたタンパク質が内部に運び込まれて働くことが知られている。
その輸送には[Pex14p]というタンパク質が関わっているが、詳しい分子構造などは未解明だった。
研究チームはPex14pの機能的に重要で、結晶になりやすい部分を探すなど工夫し、結晶を作ることに成功した。SPring-8を使ってX線解析し、立体構造を明らかにした。アミノ酸のらせん構造が3本あることなどが分かったという。
研究はラットの遺伝子を元に解析したが、人間でも同様の仕組みが働いているという。
ペルオキシソームへの輸送システムに異常が生じると、「ペルオキシソーム形成異常症」などの難病を起こす。2009.1.5



ヘルニア hernia 
ヘルニア(hernia)とは、体内の臓器などが、本来あるべき部位から脱出した状態を指す。体腔内の裂隙に迷入したものを内ヘルニア、体腔外に逸脱したものを外ヘルニアと呼ぶ。腹部の内臓に多くみられ、例えば腹壁ヘルニアは、腹壁に生じた裂け目から腹部の内臓が腹膜に包まれたまま腹腔外に脱出するものである。

一般的に多いヘルニアは、鼠径ヘルニア(脱腸)、臍ヘルニア(でべそ)、椎間板ヘルニアなどである。
脳ヘルニア - 頭蓋内腫瘍などの占拠性病変などにより、脳が圧排され偏位した状態
頸椎ヘルニア
椎間板ヘルニア - 椎間板の一部が線維輪を破り突出した状態
横隔膜ヘルニア

①食道裂孔ヘルニア - 胃が横隔膜の食道裂孔を通じ、縦隔側へと脱出した状態
②Bochdalek孔ヘルニア
③Morgagni孔ヘルニア
④外傷性横隔膜ヘルニア
内ヘルニア
腹壁ヘルニア - 腹膜で包まれた臓器が腹壁外へと脱出した状態
臍ヘルニア - 俗に言う出べそ。
鼠径ヘルニア - 俗に言う脱腸。
①外鼠径ヘルニア
②内鼠径ヘルニア
③大腿ヘルニア
閉鎖孔ヘルニア

⇒腹部内臓が腹壁腹膜に包まれたまま、脱出する疾患。
(参照→腰椎椎間板ヘルニア)

【種類】
<1>臨床上から
1.還納性ヘルニア
2.不還納性ヘルニア
3.篏頓ヘルニア

<2>位置・部位から
1.内腹ヘルニア
イ.横隔膜ヘルニア
ロ.網膜嚢ヘルニア
ハ.十二指腸空腸ヘルニア
ニ.十二指腸空腸ヘルニア
ホ.盲腸後陥凹ヘルニア
ヘ.S状結腸間陥凹ヘルニア
2.外腹ヘルニア
イ.鼠径ヘルニア
ロ.股ヘルニア
ハ.閉鎖孔ヘルニア
ニ.座骨孔ヘルニア
ホ.会陰ヘルニア
ヘ.腰ヘルニア
ト.臍ヘルニア
チ.腹壁ヘルニア

臨床症状はヘルニア腫瘤で、自覚症状はないことが多い。しかし、ヘルニア門で、ヘルニア内容が絞扼され、血行障害より壊死するような篏頓ヘルニアもあるので、ヘルニアが発見されたときは速やかに還納し、脱腸帯を装着する。

■手術簡単に
「4ヶ月の男児Aちゃん。母親がおむつの交換時、右ももの付け根(鼠径部)が左に比べ膨らんでいるのに気づいた。触れるとグルッとした感じがあったが、膨らみ自体はなくなった。やはり4ヶ月のBちゃんも同様に鼠径部の膨らみがあり、こちらはコリッとしていて触ってもなくならなかった。
どちらも鼠径ヘルニア(=脱腸)を疑わせる。初めの例はヘルニアの典型例だが、後の例は「精系水瘤」と呼ばれる(女児では女性水瘤)。鼠径ヘルニア、水瘤はいずれも本来なら閉じるべき腹膜の膨らみの中へ腸が脱出したり、水が溜まることにより発症する。
乳幼期に鼠径部の腫れを示す疾患には、

①ヘルニア、②水瘤、③リンパ節炎、④停留睾丸などがある。

消失しない膨らみの場合、[鼠径ヘルニア篏頓](篏頓=カントン、脱出した臓器の血行障害を伴う)と区別する必要がある。しかし、水瘤、リンパ節炎、女児では卵巣卵管滑脱(ヘルニアの袋に卵管卵巣が付いている)との区別は簡単ではない。     
篏頓したままにすれば脱出した臓器は、血行障害の結果壊死する。安全な麻酔、手術が出来るならば、篏頓の危険を心配しながら自然治癒を待つより、予定をたてて手術する方が安全である。現在では小児専門病院ならばそれが可能となっている。
手術は気管内麻酔で行い、成人の鼠径ヘルニアの手術に比べ、極めて短時間で終了する。手術創もケロイド状になることはなく、手術後半年位で、ほとんど分からなくなる。入院日数も短く、日帰り手術を行っている病院もある。(本名敏郎・国立小児病院外科医長)1998.2.2《日本経済新聞》

■手術ミスで死亡
「神奈川県茅ヶ崎市の男性(当時60)が、ヘルニアの手術後に死亡したのは、医師の手術ミスが原因として訴えた訴訟で、横浜地裁は慰謝料など計4300万円の支払いを命じた。」2000.9.6《日本経済新聞》

【色彩療法】
<1>レモン色
<2>黄色
<3>藍色

【処方名-50音順】 (へるにあ)
■桂枝加芍薬湯
還納性ヘルニアで、しばしば腫瘤状となり、時々腹が張って腹痛を訴える者に用いてよい。やせ型の老人によく奏功する(漢方診療医典)

行気香蘇散
古名疝気といわれていたものの症で、胃腸の不安定によりガスが停滞し、大小便の通利が悪く、ヘルニアを起こし、腹部疝痛を起こすものに、この方がよいことがある(漢方診療医典)

■五苓散

■三和散
古名疝気といわれていたものの症で、胃腸の不安定によりガスが停滞し、大小便の通利が悪く、ヘルニアを起こし、腹部疝痛を起こすものに、この方がよいことがある(漢方診療医典)

■柴胡桂枝湯
心下部と腹部全体が緊張しヘルニアを起こして時々腹痛を訴える者に本方を長期にわたって連用し、体質が改善されるとヘルニアも治ることがある(漢方診療医典)

■ 小建中湯
小児の腺病性虚弱体質で、胃腸が弱く、疲労しやすく、痩せてしばしばヘルニアを起こすものは、本方を長期にわたええ服用し、体質が改善されるとヘルニアがなおる(漢方診療医典)

■大黄牡丹皮湯
便秘して腹圧が高まるごとにヘルニアを起こすものには、この処方を専用し、便通の調整をはかる(漢方診療医典)

■大建中湯
胃腸が弱く、弛緩下垂して、腹部軟弱で篏頓を疑うほど激しい腹痛が起こり、あるいは腸の逆蠕動を認め、脈が遅くて弱く、手足や腹中が冷えるものによい(漢方診療医典)

■暖肝煎

■調栄活絡湯(椎間板)

■当帰四逆加呉茱萸生姜湯

■当帰四逆湯

■天台烏薬散(鼠蹊・股)

■半夏厚朴湯

■防風通聖散
便秘して腹圧が高まるごとにヘルニアを起こすものには、この処方を専用し、便通の調整をはかる(漢方診療医典)

■補中益気湯



ヘルペス herpes
(参照→「Bウイルス」「性器ヘルペス」)
=[#疱疹(ほうしん)]
ヘルペスウイルスは中心小体(Anglo-Saxonsはcoreと称す)をもつDNAウイルスである。核酸は二本鎖が線状に配列して、 162個のカプソメアが20面体構造を形成する。いずれのウイルスも細胞膜由来のエンペロープで囲まれている。このウイルスは潜在的に慢性感染していて、再活性化する可能性をもっている。神経根に潜伏するのが単純ヘルペスウイルス(HSV)と水痘帯状ほう疹ウイルス(VZV)で、血液中のリンパ球にはEpstein-Barrウイルス(EBV)とサイトメガロウイルス(CMV)が潜在する。

★感染
ヘルペスの感染はヒトに固有で、直接的な接触により伝播する。Herpes simplexウイルスには2つの型があり、HSV-1は大半が口腔と結膜の病変の原因となり、HSV-2は性器ヘルペスを起こす。この分け方は図式的であり、HSV-1が性器ヘルペスを作ることもある。HSV-1の初感染で最も重要なことは、一生における感染の時期がふつう性行為で移るHSV-2より早期に見られることである。熱帯地方では、Herpes simplexウイルスにより、大人にヘルペスが再発する(漏出ヘルペスと呼ばれる)ことは奇妙なことでない。さもなければヘルペスの初感染ということになる。欧州では無症候の症例が90%を越える。症状を呈する希な型に多形型があるが、殆どいつも良性である。かつては未熟児に致死性の敗血症型が時おり見られた。熱帯の特に黒アフリカでは、明らかなヘルペス初感染が致死性の全身型となって、異例の頻度で見られるが、これは例外的である。
熱帯地方ではヘルペスの初感染は、生後3ヵ月から6才(3ヵ月までは母体からの抗体で保護される)に起こる。ヘルペスは幾つかの要因で、しばしば感染が促進される。栄養不良、栄養障害性の発育不良、クワシォルコール、或いは幼児に普通に見られる麻疹(Dakar で入院した麻疹患者の14%に生じる)や他にジフテリア、百日咳が挙げられる。

★症候:
通常型:乳幼児や麻疹の回復期によく見られる。熱発(38-39℃くらい)の繰り返し、嚥下障害、摂食拒絶で気付かれる。歯肉炎や口内炎が特徴的で、歯肉には発赤が生じ、充血して、時おり潰瘍を形成する。頬粘膜、口蓋、舌が水疱性病変(水疱内には透明な液体を貯留し、時おり花房状に集ぞくする)の主体をなし、次いで極めて急速にびらんを形成する。これらの病変は3-5日間で拡大し、その後落ち着いて、10日ほどで瘢痕化する。重感染を起こすことがあり、これより長期間持続することがある。この歯肉口内炎は有痛性で、摂食障害を引き起こして、既に麻疹により衰弱している小児を栄養不良や重度の脱水に陥らせる。
熱発や所属リンパ節の腫大、時には口唇周囲皮膚のヘルペスを併発する。
 
再発型ヘルペス:ストレスに曝された者、感染症患者、或いは細胞性免疫不全の者に出現する。最も多いのは、初感染部の領域に水疱が突発することで、皮膚粘膜部やしばしば口唇-口腔部、性器のヘルペスに見られる。自覚症状に現われるものに、焼灼感、掻痒感、疼痛があり、軽快するまでに数日を要す。これが繰り返し起こることが、患者の苦痛を増長する。
臨床で見られる型:ヘルペス性アンギーナや初発性性器ヘルペスは希である。初発性眼ヘルペスでは急性結膜炎を引き起こし、線状または星状の角膜炎から極希に多環状の角膜潰瘍を生じる。頻繁に再発し、瘢痕や角膜の白斑から最終的に視力を失うことがしばしばある。眼ヘルペスは単発か、口腔ヘルペスを併発する。新生児のヘルペスは、母体からの抗体が少ないほど重症化する。これは晩発型の母体からの初感染(産道感染)または発育不良(経皮、経粘膜感染)に因る。重篤な感染症候群で発病し、皮膚と粘膜に病変を作る。速やかに治療に入れば軽快するが、感染症候群が悪化すれば、内蔵病変を生じる。肝炎が最も多いが、髄膜炎、脳炎、肺炎も起こす。このような型をとると、常に死亡するか重大な後遺症を見る。

★診断:
病変部の採取して細胞診断するのは簡便で迅速だが、非特異的な風船状の細胞が認められるのみである。
組織培養を48時間行なえばウイルスが分離出来、数週間あけて抗体価を比較すると、有為に上昇している(初感染の時のみ有益)。

★鑑別:
ヘルペス性の歯肉口角炎はアフタ(Behcet病など)、
Vincent口内炎、
開口部外胚皮膚症、
Stevens-Johnson症候群、
ウイルス性口内炎(コクサッキーウイルス)、
ベジェルまたは梅毒の粘膜斑、
ビタミン欠乏性口唇炎との鑑別が必要である。

★治療:
5-iodo-2-desoxyuridine (Iduviran*)は角膜病変に有効である。2時間毎に点眼しなければならない。口腔と内蔵の病変には用いられない。aciclovir (Zovirax*)は今日ヘルペス感染症の第一治療薬である。眼部病変には点眼薬が用いられるが、口唇-口腔や性器の病変や深部病変には全身投与が行なわれる。特に脳炎には確診が得られていなくても施行せねばならず、その効果を注視する。薬用量は10mg/kg/8hr で、最近の適応では静注で10日間とする。逆に皮膚粘膜ヘルペスでは、処方は1g/dayを分4-5で5日間連続とする。全身投与が基本である。抗生剤で重感染を予防し、乳児には点滴で栄養補給と輸液を行なう
EPSTEIN-BARRウイルス感染症
「1964年にM.A.Epstein により同定され、この同僚らがBurkitt リンフォーマの細胞を培養し始めて、Epstein-barrウイルス(EBV)は伝染性単核球症の病原体と解った。このウイルスはある種のリンパ球を標的とし、 Burkittリンフォーマ(第7部・第2章)や未分化の上咽頭癌(第7部・第9章)の他、多数の疾病を引き起こす(表3-1)。
その他のヘルペスウイルス症
「熱帯地方では、水痘は重症型では、天然痘との鑑別が問題となった。これについては次章で述べる。サイトメガロウイルスの初感染は非常に多いが、その大部分は不顕性例で見過ごされる。時おり多少長引く熱性症候群の原因となるが、自然寛解する。実際にはサイトメガロウイルスは日和見感染して、肺炎、肝炎、網膜炎、白血球減少性の熱発を起こし、免疫不全の者、取り分け後天性免疫不全症候群(SIDA、第5部・第8章を見よ)では全身に播種する。B型ヘルペスウイルスはサルのヘルペスウイルスで、アカゲザルに水疱性口内炎を引き起こすが、感染したサルに噛まれた者に、サルヘルペスが発症した例が幾つかある。噛傷部位に水疱が生じることがあるが、主体となる症候は、全身症状の変化と髄膜-脳脊髄炎症状である。予後は良好である。

⇒皮膚に小水疱or小膿疱が集族する状態。
集合性小疱疹を特徴とする急性炎症性皮膚疾患。
◎種類:
単純ヘルペス(herpes simplex):
<1>100~180nmの正二十面体をしたDNAウイルスによって起こる感染症で不顕性感染が多い。
<2>単純ヘルペスウイルスherpes simplex virusはその抗原性によって1型と2型に分けられる。 

1型は非性器感染を、
2型は性器感染をおこす。その臨床像は多様で感染は初感染と再発型がある。
<3>成人の大多数はこのウイルスに対する抗体を保有しており、新生児も母親由来の抗体をもっているが次第に減少する。
<4>初感染後ウイルスは知覚神経節内に潜伏感染をし、宿主が精神的揺を受けたり、日光に過度に曝されてしばしば口唇に再発する。
(1)1型による病原性として
イ.アフタ性口内炎
ロ.ヘルペス性湿疹
ハ.角結膜炎
ニ.脳炎
ホ.口唇ヘルペス
(2)2型による病原性(性交によって感染する)
イ.男性は:陰茎
ロ.女性は:子宮頸部、陰唇、膣、会陰部に水疱性潰瘍性の病変を作る性器ヘルペスのほか、性器ヘルペスの妊婦から産道感染し新生児ヘルペスとなる。(薬学大辞典p342)
帯状疱疹がある。(参照→「帯状疱疹」)

◎ヘルペスウイルス:
DNAウイルスのうち大きいグループに属し、多くの動物から分離される。
ヌクレカプシドの直径は約100mmで、162個のアプソメアからなり、分子量が約108ダルトンの2本鎖DNAからなる単一分子の核酸を有し、感染した細胞内の核内で成熟する。
ヒトヘルペスウイルスには[1]~[6]のタイプがある。
■経過
「昨夜、8時前に、ウナクリン4粒とプログリン2包飲みました。11時過ぎに急に痛みやつまりが軽くなりました。今朝は、少し良くなっている感じで、喉や耳のゴロゴロが小さくなってます。やっぱり効果あったのだと思いますが、これだけでは弱い感じです。今より、葛根湯とハマクロンとゴレイサンとプログリンを飲みます。これが、昔飲んでいた処方です。どの程度よくなるか?
昔の処方を飲んで、30分も過ぎたころから痛みが少し軽くなったようです。まだゴロゴロがありますが、昨日に比べて小さいです。今朝と比べるとほんの少しだけ小さくなった感じです。あの頃のことを少しずつ思いだしました。ゴレイサンとリョウケがどういうわけか痛みをすくなくしてくれる働きを助けると思っていたような記憶があります。ゴレイサンのほうはよく覚えています。リョウケははっきりとは思いださないけど、入っていたような気がします。リョウケは心臓どきどきの薬だから違うのかな?触媒の働きではなく、軽い痛みの時はゴレイサンだけでも少なくなったのを記憶しています。その時にどうしてかなー?なんて考えたら、ヘルペスは水と反応して痛みを増すみたいだと思っていたのを思いだしました。皮膚に出たヘルペスに水を当てるとよくなくて広がるし、脅威を増すという記憶も残っています。それで、ヘルペスと水は深い関わりがあると、その時に信じていたのを思いだしました。それで、ゴレイサンを飲んで試してみたら、飲むと痛みがいつも軽くなって(他の薬も飲みます)いくのが確実なのに気がついたんですよね。それで、ゴレイサンを飲みだしたんだと思いだしました。
■臨床試験へ
「バイオベンチャーのアリジェン(東京)は米国で2003年からヘルペス治療薬の臨床試験を始める。従来の治療薬と作用の仕組みが異なり、効き目は遙かに高い。
ヘルペス薬「ARYS-01」は腹部などに疱瘡が出来、強い痛みを伴う帯状ヘルペスの治療に使う外用剤。唇のまわりに疱瘡などが出来る単純ヘルペスの治療薬は多いが、帯状ヘルペスに有効な薬は少ない。
2002.11.14《日経産業新聞》
■薬剤耐性・・・・・
「ヘルペスウイルス治療薬は免疫が低下する臓器移植患者らに広く使われているが、長期間使用すると耐性が生じ効かなくなる問題があった。その変異したウイルスを遺伝子検査で検出する技術を三菱化学ビーシーエルが開発した。
ヘルペスウイルスは広く人体に分布しているが、通常の状態では重い疾病を引き起こすケースは少ない。ただ免疫力が低下してくると、ヘルペスウイルスの一種であるサイトロメガロウイルスなどが間質性肺炎を発症させるケースが多いという。
免疫抑制剤を使用する臓器移植患者やエイズウイルス(HIV)感染患者らの間では、抗ヘルペス薬「ガンシクロビル」等が普及している。しかし数ヶ月使用すると、ウイルスに耐性が出来、治療薬が効かなくなるケースがある。このため肺炎の症状が重くなることもあり、別の治療薬に切り替えるなど、早期の対応が必要だった。
同社は耐性ウイルスが持つ遺伝子の塩基配列のうち、リン酸化酵素の働きを持つ部分が変異することに着目。患者の血清などに含まれるウイルスの遺伝子を「PCR法」で増幅した上で、リン酸化酵素の部分の塩基配列を改正。医師に耐性の有無を判断する有効な指標として示す。」2003.6.4《日経産業新聞》
■感染の仕組み解明
「荒瀬尚・大阪大学教授らは、単純ヘルペスウイルスが、人の細胞に侵入する仕組みを突き止めた。成果は2008年3/21の米科学誌セルに掲載。
単純ヘルペスウイルスは性器や口唇・角膜などに感染する。希に脳炎を起こすことがある。治療薬はあるが、いったん症状がおさまってもウイルスはtガ以内に潜伏し続け、体力が低下すると再発する。
荒瀬教授らはウイルス表面の感染に関係している2つの糖タンパク質のうち[gB]というタイプを詳しく調べ、人の細胞表面にあるPILRという受容体タンパク質に結合するのを解明した。[PILR]には、体に備わっている免疫システムが誤って自分自身を攻撃しないように抑える働きがある。
ウイルスと細胞のそれぞれ表面にあるタンパク質が結合、外敵を攻撃する免疫システムをうまく避けながらウイルスが細胞内に入り込んでいた。」
■強毒ヘルペス
「ヘルペスウイルスのうち、病原性が強い変異株が高率で相撲部屋の力士から検出されていた。1989年~1994年相撲部屋でヘルペスが流行。うち1人は脳炎で死亡していた。
国立感染症研究所エイズ研究センターの柳壹夫博士らが、東京にある8つの相撲部屋の力士について調査。ヘルペスと診断された39人のうち、21人の日本人力士からウイルスが採取されていた。そのウイルスのDNAを調べたところ、17人は柳博士らが以前発見し、『Bgk1』と名づけた変異株で、全国平均の約4倍の出現率だった。
重症だった7人すべてがBgK1株で、統計学的解析の結果、他の株より病原性が高いことが分かった。」200810/6


【芳香療法】
<1>ベルガモット
<2>ユーカリ
<3>ティートリ
<4>ベルガモット4滴ティートリ2滴(2型ヘルペス)

【宝石療法】
<1>[真珠]

【処方名-50音順】
■葛根湯

■大柴胡湯

■天津感冒片【中成薬】
■八味地黄丸
  
【西洋薬】
「バルトレックス顆粒50%」
「英系製薬会社グラクソ・スミスクラインは9日、ヘルペス感染症治療薬の顆粒タイプを発売すると発表。先行販売している錠剤タイプ「バルトレックス錠500」に比べ、服用しやすい。ヘルペスが原因で帯状の水ぶくれが発生し、激しい痛みを伴う「帯状疱疹」に対する効果を見込む。」2002.7.10《日経産業新聞》
アシクロビルが著効し,単純ヘルペスウイルス(HSV)が起因ウイルスと考えられた再発性脳炎と再発性無菌性髄膜炎における臨床像の検討(会議録/症例報告)
橋口英志(産業医科大学 神経内科), 小野隆生, 赤松直樹, 橋本朋子, 辻貞俊, 庄司紘史
臨床神経学(0009-918X)39巻1号 Page256(1999.01)
発症9ヵ月の時点で広汎な進行性白質病変を認めるヘルペス脳炎の1例(会議録/症例報告)
光藤伸人(京都第一赤十字病院), 池上等, 辻井久, 吉岡博
脳と発達(0029-0831)31巻Suppl. PageS199(1999.05)
回復期にMRI上の白質病変が拡大した単純ヘルペス脳炎の1幼児例(会議録/症例報告)
奥野毅彦(天理よろづ相談所病院), 山中忠太郎
脳と発達(0029-0831)31巻Suppl. PageS198(1999.05)
眼部帯状ヘルペスに合併した動眼神経麻痺の2症例(原著論文/症例報告)
井上あい(国立相模原病院), 溝渕宗秀, 大野美季, 田中雄一郎, 日比野美治, 水村幸之助
臨床眼科(0370-5579)53巻5号 Page987-990(1999.05)
pemphigus herpetiformisの1例(会議録/症例報告)
勝見祥子(奈良県立医科大学), 村松勉, 白井利彦
日本皮膚科学会雑誌(0021-499X)109巻6号 Page932(1999.05)
性器,乳首,咽頭に同時感染した単純ヘルペス(会議録/症例報告)
吉田正己(近畿大学), 手塚正
日本皮膚科学会雑誌(0021-499X)109巻6号 Page936(1999.05)
単純ヘルペスの母児感染に続発したウイルス関連性血球貪食症候群(VAHS)の1例(会議録/症例報告)
田中太平(名古屋市立大学 小児科), 山田百合子, 幸脇正典, 後藤健之, 斉藤紀子, 五島明, 山口信行, 戸苅創, 和田義郎, 石川直
日本新生児学会雑誌(0029-0386)35巻2号 Page268(1999.06)
両側視床出血を伴った新生児ヘルペス髄膜脳炎の1例(会議録/症例報告)
鈴木啓文(長浜赤十字病院), 渡邊格子, 奥野昌彦, 橘地澄子, 田中和彦, 田宮寛
脳と発達(0029-0831)31巻Suppl. PageS198(1999.05)
角膜穿孔に対する全層角膜移植術の予後(原著論文/症例報告)
後藤広樹(東京医科大学 眼科), 熊倉重人, 園田靖, 村松隆次, 臼井正彦
臨床眼科(0370-5579)53巻5号 Page902-906(1999.05)
無症候性外陰ヘルペスから新生児経産道感染をきたした1例(会議録/症例報告)
滝澤基(山梨医科大学 産婦人科), 深田幸仁, 雨宮厚仁, 河野恵子, 安水洸彦, 星和彦
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報(0285-8096)35巻3号 Page386(1998.08)
帯状疱疹後神経痛に対するメキシレチンの効果(会議録/症例報告)
平岡治彦(埼玉県立小原循環器病センター), 石埼恵二, 後藤文夫
麻酔(0021-4892)48巻7号 Page803(1999.07)
帯状疱疹後神経痛に対するケタミン療法時のVASとCPTの変化(会議録/症例報告)
佐藤泰雄(東京大学 麻酔科), 岸田謙一, 清水敬樹, 井手康雄, 有田英子, 花岡一雄
麻酔(0021-4892)48巻7号 Page802-803(1999.07)
骨髄移植後にHHV-6感染症を生じた1例(会議録/症例報告)
大郷典子(神戸市立中央市民病院), 菅野優子, 藤井公男, 永井謙一
皮膚(0018-1390)41巻2号 Page297(1999.04)
鍼治療により帯状疱疹後神経痛の発症が回避できたと思われた1例(会議録/症例報告)
橋本恵美(明治鍼灸大学), 笹岡知子, 江川雅人, 山田伸之, 矢野忠, 藤井貴章, 山村義治
全日本鍼灸学会雑誌(0285-9955)49巻1号 Page246(1999.03)
気管支洗浄液より水痘帯状疱疹ウイルスDNAを検出し,気管支病変を伴った水痘肺炎の1例(原著論文/症例報告)
斎藤聖子(国立病院九州医療センター), 矢野敬文, 小柳徳明, 有川圭介, 古賀英之, 大泉耕太郎
感染症学雑誌(0387-5911)73巻4号 Page346-350(1999.04)
単純ヘルペスウイルス感染後の急性散在性脳脊髄炎(ADEM)と考えられる1例(会議録/症例報告)
伊藤忠彦(中通総合病院), 木川顕博, 矢野道広, 渡辺新, 赤羽仁三, 加賀谷肇, 河田泰
日本小児科学会雑誌(0001-6543)103巻5号 Page607(1999.05)
ヒトヘルペスウイルス6型感染により急性壊死性脳症を呈した1例(原著論文/症例報告/特集)
福田和由(八尾市立病院), 坂上義次, 中農昌子, 森本広之, 高瀬俊夫, 徳田由紀子, 益池正信
小児科臨床(0021-518X)52巻6号 Page979-984(1999.06)
目から学ぶ脳波 脳神経疾患と脳波 単純ヘルペス脳炎(図説/症例報告)
古和久典(鳥取大学 脳神経内科), 清水保孝, 伊原恵子, 中島健二
臨床脳波(0485-1447)41巻6号 Page379-384(1999.06)
過食及び脳幹部症状を主症状とした慢性進行性ヘルペス脳炎の1例(会議録/症例報告)
頼高朝子(東京都立駒込病院), 新井憲俊, 大田恵子, 岸田修二, 林秀明
臨床神経学(0009-918X)39巻2~3号 Page382(1999.02)
単純ヘルペスウイルス感染による脳幹脳炎と考えられた1例(会議録/症例報告)
田崎真也(長崎大学 第1内科), 古屋孝文, 神原千晶, 浜崎真二, 藤本武士, 中根俊成, 中尾洋子, 本村政勝, 調漸, 中村龍文, 他
臨床神経学(0009-918X)39巻4号 Page492(1999.04)
耳症状で発症したヘルペス脳炎の1症例(原著論文/症例報告)
山口太郎(東京医科大学八王子医療センター), 藤田博之, 萩原晃, 沖田光紀, 鈴木衞
日本耳鼻咽喉科感染症研究会会誌(0913-3976)17巻1号 Page149-152(1999.05)
特異な臨床像を示した単純ヘルペス脳炎(会議録/症例報告)
伊藤瑞規(中京病院(社保)), 中村友彦, 藤城健一郎, 陸重雄
臨床神経学(0009-918X)38巻12号 Page1097(1998.12)
疱疹状天疱瘡を有する症例の麻酔経験(会議録/症例報告)
渡部直人(日本大学医学部附属駿河台病院 麻酔科), 野村真己子, 飯田良司, 柏崎美保, 佐伯茂, 小川節郎, 鈴木太
麻酔(0021-4892)48巻5号 Page565(1999.05)
性器ヘルペス症状を伴わない成人HSV2型髄膜炎の1症例(会議録/症例報告)
伊藤隆(名古屋掖済会病院), 松尾幸治, 時々輪真由美, 安藤嘉朗, 竹内有子, 鷲見幸彦, 馬渕千之, 丹羽淳一
臨床神経学(0009-918X)38巻12号 Page1097(1998.12)
鍼灸治療により痛覚過敏の縮小が得られた帯状疱疹後神経痛の1症例(会議録/症例報告)
永田麻美(明治鍼灸大学), 福田文彦, 加藤麦, 竹田太郎, 廣正基, 矢野忠
全日本鍼灸学会雑誌(0285-9955)49巻1号 Page245(1999.03)
三叉神経領域の帯状疱疹痛及び帯状疱疹後神経痛に対する治療について(原著論文/症例報告)
三浦一恵(鶴見大学 歯 歯麻酔), 別部智司, 佐藤恭道, 関田俊介, 戸出一郎, 雨宮義弘
鶴見歯学(0385-020X)25巻2号 Page195-200(1999.05)
単純ヘルペスウイルスが発症に関与したと考えられる重症ギランバレー症候群の1例(会議録/症例報告)
今川篤子(昭和大学医学部附属藤が丘病院 神経内科), 村橋真, 西垣裕, 高橋丈二, 若山吉弘
臨床神経学(0009-918X)39巻2~3号 Page381(1999.02)
非血縁者間骨髄移植後に合併した治療抵抗性の単純ヘルペスウイルス感染症(原著論文/症例報告)
権藤久司(九州大学 第1内科)
無菌生物(0910-0903)29巻1号 Page45-46(1999.01)
再発性単純疱疹に続発した多型紅斑の1例(会議録/症例報告)
西原修美(国立岡山病院)
西日本皮膚科(0386-9784)61巻3号 Page412(1999.06)
多中心性Castlemann病のKaposi肉腫関連ヘルペスウイルス感染がみられた1例(英語)(原著論文/症例報告)
HayashiMitsutoshi(東京女子医科大学附属呼吸器センター), AoshibaKazutetsu, ShimadaMasahiko, IzawaYutaka, YasuiShuji, NagaiAtsushi
Internal Medicine(0918-2918)38巻3号 Page279-282(1999.03)
角膜ヘルペスを疑わせた角膜真菌症の1例(原著論文/症例報告)
高橋麻理子(四国中央病院), 坂口恭久, 内藤毅, 塩田洋, 深田君代
眼科(0016-4488)41巻5号 Page653-655(1999.05)
嚥下痛で発症したVZV感染症の1例(原著論文/症例報告)
桜井幹士(大阪医科大学 耳鼻咽喉科), 愛宕利英, 今中政支, 牧本一男, 竹中洋
日本耳鼻咽喉科感染症研究会会誌(0913-3976)17巻1号 Page158-159(1999.05)
9年間にわたり多発性潰瘍形成をくり返す性器ヘルペス症と考えられる1例(会議録/症例報告)
荒木真佐子(公立多良木病院), 三好潤也, 岩政仁, 小山秀樹, 片渕秀隆, 松浦講平, 岡村均, 稲生英俊
日本産科婦人科学会熊本地方部会雑誌(1341-5050)43号 Page91(1999.03)
リドカインクリームによる帯状疱疹後神経痛の治療経験(会議録/症例報告)
川嶋乃里子(札幌市立札幌病院), 及川欧, 藤木直人, 松本昭久, 黒沼博史
臨床神経学(0009-918X)38巻12号 Page1076(1998.12)
軽症で推移した疱疹状膿痂疹の1例(会議録/症例報告)
早川広樹(相模野病院(社会保険)), 中嶋弘, 根本玲子
日本皮膚科学会雑誌(0021-499X)109巻3号 Page525(1999.03)
妊娠後期に発症した疱疹状膿痂疹Impetigo herpetiformisの1例(会議録/症例報告)
谷和光(神戸市立中央市民病院), 服部奈緒, 中村公彦, 小松孝之, 塩谷雅英, 星野達二, 島田逸人, 池内正憲, 伊原由幸, 藤井公男, 他
産婦人科の進歩(0370-8446)51巻3号 Page295(1999.05)
妊娠のたびに発症した疱疹状膿痂疹例(会議録/症例報告)
宮下紋(京都府立医科大学), 小島奈緒子, 東弥生, 藤原葉一郎, 保田仁介, 山本宝, 本庄英雄
産婦人科の進歩(0370-8446)51巻3号 Page295(1999.05)
心停止を契機に帯状疱疹痛が軽減した1症例(原著論文/症例報告)
正木泰子(東京都立府中病院), 肥川義雄, 前田正博, 斎藤裕, 安田勝久, 松沢吉保
ペインクリニック(0388-4171)20巻4号 Page593-594(1999.06)
単純ヘルペスウイルス2型結膜炎の3症例(原著論文/症例報告)
松浦範子(横浜市立大学 眼科), 青木功喜, 内尾英一, 竹内聡, 伊藤典彦, 大野重昭
あたらしい眼科(0910-1810)16巻3号 Page375-377(1999.03)
急激な経過で肝不全に至った全身性ヘルペスウイルス感染症の1例(会議録/症例報告)
寺野和宏(東京慈恵会医科大学 小児科), 大坪主税, 小林正久, 内山浩志, 田原卓浩, 豊田茂, 前川喜平
Minophagen Medical Review(0388-4783)44巻1号 Page47-48(1999.01)
ヘルペスウイルス感染症  内科的ウイルス感染症の代表

●ヘルペスherpes (ラテン)とは小水疱・小膿疱の集簇した状態である疱疹(ホウシン)のことである。
●ヘルペスウイルスは、DNA ウイルスである。二本鎖DNAのゲノムと、正20面体のカプシド、宿主細胞核膜由来のエンベロープを持つ。(右図参照)

●人に病原性を示す代表的なものは5つあり、①単純ヘルペスウイルス、②水痘・帯状疱疹ウイルス、③EB ウイルス、④サイトメガロウイルス、⑤ヒトヘルペスウイルス6型がそれである。(→各論で述べる)

●ヘルペスウイルス科のウイルスのほとんどは、人体(宿主)に初感染の後、潜伏感染する。これは、いわば冬眠状態みたいなものである。やがて、潜伏感染したヘルペスウイルスは、宿主が免疫不全に陥ることで、再び目覚め(再活性化)病的状態を来す。これを回帰発症recurrenceという。(重要事項)
換言すると、初感染はウイルスを持っている宿主・環境からの外因性感染(水平感染・垂直感染)であり、回帰発症は自分自身の中からの内因性感染である。

具体例として、「水痘」と「帯状疱疹」の関係が挙げられる。この二つは、共にヘルペスウイルス科に属する水痘帯状疱疹ウイルスvaricella zoster virusによって生じる発疹性の疾患だが、同じウイルスによる違う時期に現れる病気の呼び名である。つまり、初感染で全身に水疱が出現するのが「水痘」(いわゆる水ぼうそう。好発時期は幼児・学童期)。そのウイルスの中で、神経節に潜伏して生体の老化・免疫低下によって回帰発症し、知覚神経に沿っての移動の後に知覚神経支配領域(皮膚デルマトームに相当)に多くの場合、片側性の有痛性水疱を形成したのが「帯状疱疹」

●いったん潜伏したヘルペスウイルスは、宿主と生涯を共にする。ところで、回帰発症により皮膚や粘膜に生じる病変部に存在するウイルスは宿主の免疫反応により排除されるが(つまり免疫反応がはたらく。これは免疫グロブリンの中でもIgG,IgMが血中で上昇することで観測される)、神経節に潜むウイルスゲノムは排除されない(免疫反応がはたらかない)。

●回帰発症を引き起こす「再活性化への刺激」には日光(とくに紫外線)、外傷、ストレス、疲労、月経、発熱、神経に対する外科的侵襲、免疫抑制剤(ステロイド・シクロスポリンなど)がある。

★一般にウイルス感染に伴い一過性の免疫不全をもたらす場合が少なくないが、ヘルペスウイルスの初感染においても一過性の免疫抑制が生じる。

★一部のヘルペスウイルスには発癌性がある。

 




ヘルペス脳炎
ヘルペス脳炎は、単純ヘルペスウイルス1型(herpes simplex virus type 1:HSV-1)あるいは2型(herpes simplex virus type 2:HSV-2)の初感染時または再活性化時に発症し、発症年齢(新生児、年長児、成人)によってその病態はかなり異なる。年長児から成人のヘルペス脳炎のほとんどの症例はHSV-1によるものであり、新生児のヘルペス脳炎においては、森島らの全国調査(1993)によりHSV-1とHSV-2の頻度はほぼ等しいことが報告されている。
 HSVが中枢神経系に移行する経路は、上気道感染から嗅神経を介してのルート、血行性ルート、感染した神経節からのルートの3通りが考えられている。新生児の場合は全脳炎のパターンをとることが多いが、年長児、成人においては、上記のルートを介して好発部位である大脳辺縁系にウイルスが到達し、病変を起こすとされている。
 抗ウイルス剤が開発されるまでの予後はきわめて不良で、小児のヘルペス脳炎の致命率は70~80%、成人のヘルペス脳炎においても30%の致命率であると報告されていた。抗ウイルス剤が開発されてからは致命率は10%程度に低下したものの、いまだ3分の1の症例においては重度の後遺症を残す重篤な疾患であることに変わりはない。
   疫 学
 HSVは世界的に広く浸透したウイルスで、感染様式はHSVによる皮疹や口唇ヘルペスを発症した患者の唾液との密接な接触、性器ヘルペスからの母子感染あるいは性的感染によると考えられている。
 HSV-1感染の好発年齢は2歳にピークがあり、6歳ぐらいまでに感染を受ける確率が高い。一方、HSV-2感染はsexually transmitted diseases(STD)としての性質を有し、15歳以下の小児における抗体保有率は1%以下である。感染を受ける年齢は20~30歳代が多く、Johnsonら(1989)によると、米国の若年成人における抗体保有率は20.2%であったと報告されている。発症に季節的な変動はないが、男女比ではやや男性の方が多く発症している。
 森島らの全国調査の結果から、我が国での小児における急性脳炎・脳症の発症数は約1,000~2,000例/年で、(厚生省予防接種研究班、AND調査)そのうちHSVによるものは約80~160例と推測されている。成人も含めると、森島、亀井、Kagiらの報告により、年間100万人当たり1人、計300~400例といわれている。Whitleyらによると米国での発症率は年間50万人当たり1人であるが、年齢分布においては、日本の方が10歳以下の発症率が高いようである。参考のために、筆者らが以前にまとめた急性脳炎・脳症を生じた例での原因となるヘルペス科ウイルスを示す
   病原体  
 HSVはヒトヘルペス科ウイルスα亜科に属する約152kbpの2本鎖DNAウイルスで、直径約150~200nmである。増殖サイクルが速い時期を経過した後に神経節で潜伏感染する性質を有する。皮膚、粘膜に感染したHSVは知覚神経の軸索輸送により神経節へと運ばれ、潜伏感染状態に入る。ウイルス粒子内では線状DNAとして存在し、細胞に取り込まれたあとは、環状構造をとる。再活性化時は前初期遺伝子(immediate early gene)、初期遺伝子(early gene)、後期遺伝子(late gene)の順に転写が進行し、rolling-circle型のDNA複製を行い、envelopeをかぶったウイルス粒子として細胞外へ放出される。
 HSVにはHSV-1とHSV-2が存在し、この2つのウイルス間のDNAの相同性は約50%である。制限酵素パターンやその他の分子生物学的手法、ならびに免疫学的手法を用いて区別が可能である。HSV-1は主に顔面に、HSV-2は主に外陰部に病巣を形成する。そのためHSV-1は三叉神経節領域、HSV-2は腰髄・仙髄神経節領域に潜伏感染することが多い。しかし、我が国においては欧米に比してHSV-1による性器ヘルペスの頻度が高く、新生児ヘルペスの原因ウイルスがHSV-1とHSV-2半々であることがそれを物語っている。ただし、性器ヘルペスの再発頻度としてはHSV-2の方が高頻度であるため、ウイルスの型別診断を行うことは重要である。
HSVの細胞への進入にはenvelopeに存在する糖蛋白glycoprotein D(gD)およびgBが関与していることが、Campadelli-Fiumeら(1988年)、Johnsonら(1990年)、Lee & Fullerら(1993年)によって報告されていた。その後、Montgomeryら(1996年)、Warnerら(1998年)の研究で、HSVの細胞進入に関与する蛋白はherpesvirus entry mediator (Hve)と命名され、この遺伝子産物はTNF/NGFファミリーに属し、現在HveA, -B, -C, -Dが見つかっている。
 また最近では、Chicago大学のRoizmanら、Alabama大学のWhitleyらのグループにより、HSV-1のγ34.5遺伝子が神経病原性に関与していることが報告され、この性質を用いてγ34.5欠損mutantを脳腫瘍の遺伝子治療に応用する報告がなされている。
   臨床症状
 潜伏期は2~12日(平均6日)である。新生児ヘルペス脳炎と小児期・成人のヘルペス脳炎ではその病態が異なる。その理由として、新生児ヘルペスの場合は産道で感染したHSVが血行性に全身に広がり、blood brain barrierを通過して中枢神経系に到達するが、年長児や成人の場合は血液からウイルスが検出されないことから、神経行性にウイルスが脳に進入し、好発部位である側頭葉、大脳辺縁系に病変を呈するため、と考えられている。小児期と年長児・成人の違いは、小児の場合はHSVの初感染に伴って発症することが多いのに比して、成人や年長児の場合はそのほとんどが再活性化によることである。
 新生児ヘルペス脳炎に関しては名古屋大学の森島らの詳細な報告がある。それによると、新生児ヘルペスは全身型、中枢神経型、表在型の大きく3つのカテゴリーに分類され、脳炎の症状を呈するのは全身型と中枢神経型である。頻度的には全身型が36%、中枢神経型が36%、表在型が28%、発症時期は、全身型が生後平均4.6日、中枢神経型が平均11.0日、表在型が平均6.0日とされている。母親の性器ヘルペスから産道感染することが最も多いが、ヘルペス病変を認めない場合も多く、家族、医療従事者を含めて、口唇ヘルペスやひょう疽も感染源となり得るため、新生児との接触には十分に注意が必要である。
 臨床症状は皮疹以外は非特異的で発熱、哺乳力低下、活気がないなどの症状から始まり、痙攣、肝機能異常、呼吸障害、出血傾向が認められるようになる。皮疹がない場合も多く、上記にあげる非特異的な症状をみた場合、いかに早く新生児ヘルペスを疑って治療を開始するかが予後を大きく左右する。
 年長児・成人のヘルペス脳炎はHSV-1の再活性化によるものが多く、HSV-2は主に脊髄炎や膜炎の形をとることが多い。急性期の症状としては、発熱、頭痛、嘔吐、髄膜刺激症状、意識障害、痙攣、記憶障害、言語障害、人格変化、幻視、異常行動、不随意運動、片麻痺、失調、脳神経症状など多彩で、すべてが揃うことは少なく、発熱と不随意運動のみという症例も経験している。中枢神経症状を認める患者を診た場合にはまずヘルペス脳炎を念頭に置いて、迅速診断・早期治療を心がける必要がある。抗ウイルス剤の開発により致命率は減少したものの、後遺症を残す症例も多く、いまだ重篤な疾患の一つであることと、抗ウイルス剤投与中止後の再燃には十分な注意が必要である。
 病原診断とは別に、検査所見として、まず髄液においては髄液圧は高く、髄液中の細胞数は軽度増加を認め、リンパ球・単球優位である。髄液タンパク量も発症1週目をピークに、100mg/dl程度の増加を認める場合が多い。髄液糖は通常正常範囲で、病初期には高値であることが少なからず存在する。
 血液検査では、新生児ヘルペスの場合肝機能異常、LDH増加を高頻度に認め、CRPなどの炎症反応は軽度~中等度陽性にとどまる。Disseminated intravascular coagulation(DIC)を合併することも多く、呼吸管理や血漿交換等NICU管理が必要となる。一方、成人ヘルペス脳炎では肝機能異常の頻度は低く、炎症所見を軽度認める程度で、中枢神経系の症状が主である。
 画像検査では、発症の極早期においてはびまん性の脳浮腫が認められる。その後側頭葉を中心としてCT上低吸収域あるいはmass effectを認め、出血巣が混在するようになる。予後不良の症例においては、その後低吸収域がさらに増加する。MRIはその進歩により、CTにくらべて早期診断に有用であると言われている。CTに比して、側頭葉底部や海馬領域など大脳辺縁系の所見がとらえやすいことがその理由と考えられ、片側性の側頭葉下部、島、海馬などの異常所見は強くヘルペス脳炎を疑う所見であると言われている。脳波所見では、非ヘルペス脳炎に比してperiodic lateralized epileptiform discharges:PLEDsの頻度が高い。
   病原診断
 髄液中のHSV DNAをPCR法で検出するのが最も迅速かつ有用である。ただし、抗ウイルス剤投与後はウイルス量が減少し、検出感度以下になるため、投与前あるいは投与初期の髄液で診断することが重要である。
 ウイルス分離は新生児ヘルペスの場合は陽性であることが多いが、年長児、成人のヘルペス脳炎でウイルスが分離されることはきわめて稀であり、PCR法による迅速診断が必須である。
髄液中のHSV抗体価は森島らによると、発症後10日から1カ月の間に1週間間隔で繰り返しELISA法で実施するのが適当であるとのことである。発症後時間が経過した症例や、抗ウイルス剤投与後時間が経過した症例などにおいては、有用な検査方法である。また、ペア血清で血清中のHSV IgGの有意な上昇、あるいは急性期のHSV IgM陽性も診断の一助となるが、陰性例も少なからず存在するため、必ずその他の方法を同時に行っておく必要がある。
   治療・予防
 ヘルペス脳炎を疑う場合、一刻も早く抗ウイルス剤の投与を開始すべきである。第1選択はacyclovirで、10mg/kgを一日3回緩徐に点滴静注する。最近では、投与量を15mg/kg~20mg/kg/回に増量した方が治療成績が良いとの報告、投与期間も従来の14日間より21日間の方が再燃の割合が少ない等の報告もみられ、今後の検討課題である。また、治療終了時には、必ずPCR法によるHSV DNAの陰性化を確かめることが重要である。
 Acyclovirの作用機序は、HSVの持つthymidine kinaseによりリン酸化されたacyclovirがウイルスのDNA鎖に取り込まれ、DNA鎖の伸長反応を止めることにより、ウイルス増殖を抑制することにある。ただし、腎機能が低下した患者においては血中濃度が高くなりすぎるため、クレアチニンクリアランスに応じて投与量の減量が必要である。発病初期に近い程効果が期待できるため、早期投与開始が望ましい。
第2選択剤はvidarabine(Ara-A)である。Acyclovirの効果が不十分な場合に投与を考慮する。その場合、acyclovirとの併用が奏効する場合もある。作用機序は、1)宿主細胞のthymidine kinaseにより3リン酸となり、ウイルスDNA polymeraseを阻害、2)ウイルス特異的リボヌクレオチドリダクターゼを阻害、3)非リン酸化体によるアデノシルホモシステイン水解酵素抑制、のいずれか、あるいはそれらの組み合わせによる。ヘルペス脳炎の場合の投与量として、基本的には1日15mg/kgを2時間以上かけて緩徐に点滴静注する。投与期間は10日間を1クールとする。副作用として白血球、血小板減少、肝機能異常に注意を要する。ペントスタチン製剤との併用により、腎不全、肝不全、神経毒性が発現するとの報告があり、併用は禁忌である。
 その他、γグロブリン製剤、抗痙攣剤、脳浮腫に対して副腎皮質ステロイド剤、浸透圧利尿剤、濃グリセリンなどが併用して用いられる。
   発生動向調査について
 ヘルペス脳炎は、4類感染症定点把握疾患である急性脳炎(日本脳炎を除く)を代表する重要な疾患である。急性脳炎(日本脳炎を除く)は全国約500の基幹定点より毎週報告されている。基幹定点は一週間(月曜日から日曜日)の患者発生状況等を4類感染症(定点把握対象)基幹患者定点報告票に記載し、翌週の月曜日に保健所に提供している。報告の基準は以下の通りである。
○診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ以下の3つの基準をすべて満たすもの
 ・発熱
 ・突然の意識障害
 ・以下の疾患の鑑別診断
  熱性痙攣や代謝性疾患、脳血管性疾患、脳腫瘍、外傷など
(炎症所見が明らかではないが同様の症状を呈する脳症も含まれる)
 また、原因となった病原体の検索が望ましく、判明した場合にはその名称についても併せて報告すること。
○上記の基準は必ずしも満たさないが、診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、病原体診断や血清学的診断によって当該疾患と診断されたもの
(国立感染症研究所感染症情報センター 多屋馨子)









閉経
⇒月経が出ない=血閉=月経不通。
◎ミトコンドリアが関与(参照→ミトコンドリア)

【色彩療法】
<1>緑色(閉経期障害)
<2>赤紫色(閉経期障害)

【漢方療法】
<1>胞脈がふさがって月経が出ない:
1)まず[三和散]・[玉燭散]で心火を降ろし、
2)次に[五補元]を使った後、
3)[衛生湯]で補脾養血する。

<2>気が上の肺に昇って月経がない:
痰を降下させると心気が下がって月経が来る。[通経湯]を使う。
<3>先腎の血閉に:補血・瀉火で治療する。
1)補血には[四物湯]、
2)瀉火には[玉燭散]。

<4>胃が弱く血が乾いてふさがった:
[補中益気湯川・生地黄・天花粉]

<5>産後出血で月経が来ない:[十全大補湯]

<6>湿痰が粘着して経がふさがって:[導痰湯川・当帰・黄連]

<7>処女が心労で血閉:[柏子仁丸][沢蘭湯]

<8>気血が盛実して経が塞がった:[万痛丸][血極膏]

◎主薬:婦人の経閉には、桃仁・紅花を主薬にすべし《万病回春》

【処方名-50音順】(へいけい)
■烏薬湯(婦人の血海疼痛を治す)

■衛生湯(補脾・養血して不通を治す)

■加味帰脾湯(肝脾が欝して月経不通)

■加味逍遥散(肝脾の欝怒で血が傷つき不通)

■帰脾湯(脾骨に欝火があって血が損耗して不通)  

■玉燭散(月経が凝滞して不通になり、になったとき)
■血極膏(気血が盛実して経が塞がって不通)

■桂枝茯苓丸

■紅花当帰散(処女の月経不順と血が積もって腰腹が痛む)

■香蘇散

■三神丸(処女の月経不順と腹痛)

■三物黄芩湯

■三和湯(熱結による血閉)

■十全大補湯(産後出血で月経が来ない)

■瑞金散(月経が運行せず血気が痛む)

■増味四物湯

■沢蘭湯(心労で月経がない)

■通経丸(処女の月経不順と血を治す)

■通経湯(月経が出ないのを治す)

■抵当湯

■桃核承気湯

■道経丸(月経が止まり腰・腹が痛むとき)

■柏子仁丸(心労で月経がない)

■牡丹皮湯(処女の経閉と咳嗽と発熱)

■万痛丸(月経が血してふさがり、臍と腸が痛むとき)

■六合湯(月経に塊があり疼痛を覚える)


閉塞性血栓血管炎(TAO)
=(Büerger病)
炎症性・非化膿性の血栓を伴う汎動静脈炎であるが、原因は不明。

【症状】: 
間欠性跛行をきたす。
*下肢に好発し疼痛する。
*20~40才の男性で、喫煙者に好発する。

主な症状:
①歩くとこむら返りが起こり、少し休むとまた歩ける。さらに歩くとまたケイレンする。
②夏より冬期になりやすい。
③指趾の虚血性変化が頻発する。
④進行ても壊疽を起こすことは稀。

◎検査:下肢の動脈造影が必要。



閉塞性動脈硬化症 (ASO)
=糖尿病の為に足の血管に血が通りにくくなるもの。末梢血管障害の一種の間欠性跛行は足の細い血管が詰まり、痛みやしびれで長期間歩けなくなる病気。創薬ベンチャーのアルファジェンは、東京都臨床医学総合研究所の芝崎太プロジェクトリーダーらが発見した、血管が新しくできる血管新生を阻害するタンパク質に着目。創薬に関して基本特許の実施許諾を取得し、このタンパク質を抑制するRNA干渉の人工RNAを開発した。抑制すれば複数の血管新生促進物質の働きが高まり、詰まった血管の替わりになる血管が成長しやすいという。
間欠性跛行の症状が自然と起こるラットに筋肉注射して効果を調べた。2週間後に新しい血管が出来ていることを確認した。
また、治療に使う人工RNAの一部をDNAに改変して安定性を高める技術に関して、開発者の西郷薫・東京大学教授から特許権の一部を譲り受けた。日本では特許が成立しており、欧米でも申請中。
同社は2006年7月に「RNAi」から社名変更した。

◎症状: 
間欠性跛行、特発性脱疽をきたす。
<1>下肢に好発。上肢にも見られる。
<2>50~70才の男性に好発する。

前兆として以下のような循環障害がある。
・足が冷たい
・足のかゆみ
・知覚異常

主な症状:
①歩くとこむら返りが起こり、少し休むとまた歩ける。さらに歩くとまたケイレンする。
②夏より冬期になりやすい。
③痛みのない時は、無症状。
④進行すると壊疽を起こす。

◎以下の疾患がある者に多い。
・動脈石灰化(85%)
・糖尿病(20%)
・高脂血症(40%)

◎他部分に動脈硬化症があったり、血管のクリーゼ(狭心症、腹部動脈のケイレン)があることが多い。

◎検査:
下肢の動脈造影が必要。

■閉塞性動脈硬化症:
「肝細胞増殖因子(HGF)が有効。大阪大学医学部・荻原俊男教授、森下竜一助手らの研究グループが確認」。1997.5.3《日本経済新聞》

■歩行に苦痛、死亡率高い
「Uさんは67歳の男性で、歩行困難のため受診した、少し歩くとふくらはぎが突っ張るが、立ち止まっているとすぐ治るという症状が56歳頃から出始めた。その後、腰痛が出て椎間板ヘルニアの手術を受けた。だが、歩行困難はひどくなり、100m歩いても苦痛を感じるようになったと言う。
診察時、脚の脈拍は微弱で、腕の血圧に対する脚の血圧の比が0.7であった。通常は脚の血圧の方が腕の血圧より2割ぐらい高いので、この血圧比が0.8から0.9以下だと脚の血行障害があると判断する。脚の動脈のレントゲン検査では、大腿動脈が半分いかに狭まり、動脈壁がただれていることが分かり、Uさんは閉塞性動脈硬化症と診断された。
この病気は動脈の血管の内側が脂質の沈着や繊維性結合組織の増殖で硬く狭くなり、血行障害を生じるもので、血管壁には潰瘍が出来ていたり石灰が沈着する。70年代からこの病気は増え始め、高齢化に伴って病変は重症になってきた。患者の大半が70歳以上で圧倒的に男性に多く、女性は1割程度である。当初は脚の冷えやシビレを感じる程度であるが、ふくらはぎが痛み、歩くのを止めると痛みが無くなる。さらに進むと、安静時でも脚が痛み、もっとひどくなると脚に潰瘍が出来る。
欧米のデータでは、5年で30%、10年で50%の患者が死亡するとされ、糖尿病がなければ15%の患者は症状が良くなるが15%は脚を切断しなければならなくなる。」(西沢良記・大阪市立大学医学部教授)2000.4.10《日本経済新聞》

■新しい毛細血管を作る
男性患者(67)の右ふくらはぎに、升目を描いたビニールシートを巻き、30カ所に次々と注射を打っていく。関西医科大学病院(大阪府守口市)で14日、糖尿病によって足の血管が詰まる閉塞性動脈硬化症(ASO)に対する治療法の臨床試験が始まった。男性自身の骨髄から分離した、血管の元になる細胞を筋肉に注射し、新しい毛細血管を作る試みだ。
男性は2年前、この病気で壊死が進んだ左足を膝の舌から切り離した。残る右足も病状が悪化したが、血管が細く手術できない。主治医に勧められたのが、この治療法だった。「新しい血管なんかほんまに出来るんかとだいぶ迷ったが、一がバチか、可能性に賭けてみよう」と決心した。
骨髄には、赤血球・白血球や血小板のもとになる造血幹細胞が含まれている。白血病を治療する骨髄移植は、この造血効果の応用だが、血管を作り出す幹細胞もある。同医大第二内科の松原弘明・助教授は「1週間後には血管ができはじめ、1ヶ月後には効果が確認できるだろう」と話す。
幹細胞が血管を新生することを明らかにしたのは、ASOなどの遺伝子治療で知られる米タフツ大のジェフリー・イズナー教授ら。胎児にしかないと考えられて いた『血管内皮前駆細胞』(血管を作る細胞に変化する前段階の細胞)が、白血球の一種の単核球にも存在することを1997年、米科学誌「サイエンス」に発表した。
研究はタフツ大の浅原孝之・助教授ら日本人研究者が中心となった。「同じASO患者でも血管細胞に障害があると、遺伝子治療が効かない場合があり、この細胞を治療に応用することを考えたんです」と、グループの一因だった室原豊明・久留米大医学部講師が語る。
単核球は骨髄に多く含まれている。これを患部に注射すれば血管の新生が期待できる。全身麻酔下で腰の骨から骨髄を採取するため、自身の細胞を使うので拒絶反応の心配はない。」

■血管新生治療
「大阪大学付属病院の遺伝子治療臨床研究審査委員会は、同病院で実施した脚の血管新生を促す遺伝子治療の安全性評価について、「治療3ヶ月後までに重篤な有害事象は認められない」とする結果をまとめた。
 阪大の荻原俊男教授の研究チームが、2001年~2002年にかけて治療した22例を評価した。同チームは、脚の結果が詰まる『閉塞性動脈硬化症』などの患者を対象に、毛管野新生を促すタンパク質の遺伝子を注射した。」2003.9.26《日経産業新聞》
■音波で
「東北大学の研究チームは、対外から特殊な音波を患部に照射し、新しい血管形成を促し血流を改善する手法を開発し、2007年10月から臨床試験を始めた。
尿路結石の破砕治療に使われる衝撃波を利用する。」



閉所恐怖症
◎恐怖症の1つ。
「Aさんは、小学校時代に3歳年上の兄とふざけて遊んでいるとき、布団にくるくる巻きにされる“布団蒸し”にあい、そのときの恐ろしさ、苦しさが頭に焼き付いて離れません。身動きできないことはもちろん、このまま窒息するのではないかという恐怖感に襲われたのです。
このときからAさんは、狭いところにいることを次第に恐れるようになりました。たとえば便所に入っても窓を開けるか、ドアを開けたまま用を足すようになりました。また、エレベーターに乗らなければならない高層ビルの展望台など、高い所へ行くことを嫌うようになりました。
彼は大学を卒業して銀行に就職し、都心の支店に配属されましたが、得意先に行くときも高層ビルにある顧客は出来るだけ避け、7、8階ぐらいなら階段を使いました。同僚と一緒に行くときは、ちょっとした口実を作って同僚だけ先にエレベーターに乗せ、自分は階段を駆け上がるのです。
Aさんは、その真面目さと努力の甲斐あって、出世コースとされる本店勤務になることを上司から聞かされたのですが、それ以来、彼は喜ぶどころか浮かぬ顔をする毎日になりました。そして、とうとう本店勤務になる前に銀行を辞めてしまったのです。」(貝谷久宣著「脳内不安物質」参照)


 癖塊(へきかい)
=胃癌の一症。


癖疾
=癖とは腹中の硬結。科(=小児科)。
胸肋に塊を生じる病。食物を消化しない病。

【漢方薬】
消癖湯《済世全書》
浄府湯《万病回春》
抑肝散扶脾湯《寿世保元》


澼嚢(へきのう)
◎《金匱要略》に朝食べたものを夕方に吐き、夕方に食べたものを翌朝吐き、食物がこなれないのを「胃反」と云うとあるが、胃反は朝食を夕方に吐くものである。

澼嚢は4、5日から2、3日して吐くものである。軽いものは10日も15日も経って吐くこともある。またひどい時は、2、3日も吐き続けることもある。しかし治療の点では、胃反も澼嚢も々である。
ただ、澼嚢には腹痛があり、胃反には腹痛がない。
この澼嚢の腹痛は、たいてい安中散でよいが、患者がひどく痩せて、痛の強い時には甘草粉蜜湯が良い。《和田東郭》

【漢方薬】(へきのう)
■安中散
■甘草粉蜜湯



ヘソのただれ
【漢方薬】
■和口散《浅田家方》



扁桃炎 Tonsillitis
⇒1.腺性扁桃炎(高熱・嚥下痛・関節痛)
 2.口蓋扁桃炎(発赤・腫脹・白斑) 

■のどの奥から白い塊
「29歳、女性。のどの奥に白っぽいものが分泌されているようです。ある程度たまると小さな塊が口の中に落ちてきます。以前診てもらったら、鼻汁のようなものと言われ、うがい薬をもらいました。小学生の時に扁桃を切除しています。かんけいがあるのでしょうか?口臭が気になり、耳掻きで取り出しています。」
●どういう症状なのですか?
専門的な詞では『膿栓』と呼ばれます。のどの奥にたまった最近やウイルスに死骸が固まったものです。ノドの左右にある扁桃には直径3~4mmほどの腺勦という穴がいくつも開いています。この穴にたまったものが、ある日、ころんと口の奥に落ちてくるのです。
●病気と関係があるのですか?
のどの奥にたまっている様子を鏡で見て、腫瘍ではないかと不安に思うヒトもいますが、そうではありません。膿栓は慢性扁桃炎に伴って多く診られます。最近やウイルスによる炎症が続いたままになる状態で、軽ければ自覚はありません。扁桃は通常でも細菌と戦っており、膿が出きっているのですが、慢性扁桃炎になるとその量が増え、穴の周囲が腫れて溜まるのです。
●この方は扁桃を切除しているそうですが?
そうですね。扁桃炎とは言えないかもしれません。扁桃を取り除くと代わりになるリンパ組織が周囲に発達してきます。その部分に同様の炎症が起き、くぼんだ部分に膿が溜まっているのではないでしょうか?
●治療は可能ですか?
炎症が慢性化するとなかなか治りにくいのです。ただし、白い塊が落ちてくるだけで、発熱など他の症状が無ければ、それほど心配はありません。気になるヒトは、うがいでノドを清潔に保つことが一番です。水かうがい薬で4回以上の伺いを1日に3度ほどすれば細菌の増殖を防げるはずです。
●抗生物質は使わないのですか?
炎症がひどくなった場合は抗生剤を吸入して抑えますが、あまり使いすぎると菌が薬に抵抗性を持ってしまうので、良くありません。注意が要ります。
●ほかにどんな病気の原因になるのですか?
年に何回も発熱を繰り返す方もいて、扁桃切除手術の対象になります。そのままにしておくと、腎臓の機能が低下する『IgA腎症』や、手のひらや足の裏に湿疹が出来る『掌蹠膿疱症』という病気を引き起こす恐れもあるのです。扁桃炎との関係ははっきり分かっていませんが、切除で症状が改善することが知られています。
●手術でどれくらいの範囲を切るのですか?
以前は炎症のひどい部分を切っていました。居間は全部取るのが普通です。この方も、扁桃炎で部分切除を受けたのだとすれば、周囲に炎症が残っているのかもしれません。すべてを取り除いても、感染を防ぐ機能に大きな問題はありません。
●耳掻きで取っているそうですが?
周囲を刺激し、却って炎症を大きくする恐れがあります。止めた方がいいでしょう。どうしても取りたいのなら、耳鼻咽喉科で洗浄液を使ってきれいにしてもらう方法もあります。
●口臭も気にされています。
よほどたくさんついていない限り、口臭に結びつく訳ではありません。慢性扁桃炎で口臭がある方もいますが、たいていは胃炎など他の病気が原因です。200.2.13《朝日新聞》

■扁桃に白い食べかす
「20代、女性。ノドの扁桃に食べカスのような白いモノが詰まり、時々痛くて涙が出ます。お箸でつついて出していますが、奥に入って採れなくなることもあります。」
呼吸の度に空気が出入りし、日に何回となく食物が通る咽頭(ノド)の周囲には、それを取り囲むように扁桃が配置されています。咽頭の上部、鼻の奥にある咽頭扁桃(アデノイド)、その両側にある耳管扁桃、咽頭の両側にある口蓋扁桃、咽頭の突き当たりの両側にある咽頭側索、舌の奥にある舌扁桃です。
単に扁桃というと、口蓋扁桃のことを指します。これは、3~4歳頃から肥大し、10歳頃から次第に小さくなるのが普通です。しかし、急性扁桃炎を繰り返すが、体質などで、成人しても肥大のまま残ることがあります。
扁桃の表面には、ナイブへ弓形に入り込んだ陰と呼ばれるへこみがあります。このへこみには、はげ落ちた上皮や炎症性細胞、最近、食物のかすなどがたまり、白っぽく斑点のように見えます。
斑点は自然に脱落することもありますので、そのままにしておいてください。箸でつつくのは危険です。痛むときには陰洗浄、ルゴール塗布など耳鼻科医の治療を受け、うがいを励行してください。」

【芳香療法】
<1>タイム
<2>ラベンダー
<3>安息香

【栄養療法】
<1>ガーリック
<2>ビタミンC

【漢方薬】(へんとうえん)
■越婢加朮湯

■越脾加朮湯+半夏厚朴湯

■葛根湯(陽実証、頭痛、発熱、無汗、項背のこわばり、脈浮緊・数)

■葛根湯+桔梗石膏

■桔梗湯(咳嗽、喀痰、舌苔微黄)

■銀翹散

■荊芥連翹湯

■桂枝二麻黄一湯

■柴胡清肝湯

■梔子豉湯(身熱、胸中煩熱、心中懊、不眠、熱感)

■四物湯(虚証)

■炙甘草湯(飲食不能、虚弱者)

■小柴胡湯(胸脇苦満、往来寒熱、食食欲不振、舌白苔、微熱、神経質)

■小柴胡湯加桔梗石膏(食欲不振、高熱、口渇、咽痛、胸脇苦満)

■升麻葛根湯

■桑菊飲

■大柴胡湯(実証、筋肉質、胸脇苦満、心下部緊張、便秘)

■天津感冒片

■排膿散及湯(部分的な化膿症)

■排膿湯

■半夏苦酒湯

■半夏厚朴湯

■半夏散及湯

■ 防風通聖散

■養陰清肺湯

■凉膈散


扁桃周囲炎
【漢方薬】
■荊芥連翹湯
■柴胡清肝湯
■小柴胡湯加桔梗石膏


扁桃腫瘍 tonsillar abscess
【漢方薬】
■炙甘草湯
■小柴胡湯
■排膿散
■半夏苦酒湯
■麻黄升麻湯


扁桃肥大
【漢方薬】
■柴胡桂枝乾姜湯
■四逆散
■小建中湯
■小柴胡湯
■大柴胡湯


扁桃膿瘍
⇒扁桃周囲に膿瘍を形成。

【芳香療法】
<1>タイム
<2>レモン
<3>ジンジャー

【漢方薬】(へんとうのうよう)
■葛根湯(加桔梗石膏)
■小柴胡湯加桔梗石膏(食欲不振、高熱、口渇、咽痛、胸脇苦満)


扁平コンジローム
【漢方薬】
■紫根牡蠣湯《黴癘新書》
    

扁平苔癬
⇒四肢の外側、外陰部、口唇、口腔粘膜に生じる、紫紅色で、表面がてかてかした感じの、わずかに盛り上がった扁平な発疹。
◎原因:薬物の副作用。




片頭痛(へんずつう) MIGRAINE
(参照→「頭痛」)
=しばしば家族性に現れる血管性頭痛の周期性発作の症候群。

①まず疲労やあくび、むくみ、感覚過敏などの前触れがあり

②その後、ギザギザの光が見える(閃輝暗点)や半身のしびれが生じ、やがて頭痛が始まる。

③激しい頭痛に加え吐き気が起こり、ニオイや光に敏感になる。

④このような症状が4時間~72時間続き、治療しなくても、一定時間の経過で、回復する。

【症状】:
①通常側頭部及び片側性に始まり、

②焦燥感・悪心・嘔吐・便秘or下痢を伴うのが普通で、

③また羞明を伴うことが多い。

④ズキズキ・ズキンズキン・ドクドク・ガンガン痛む。

【分類】:
(前兆を伴う片頭痛

(migraine with aura)
<1>診断基準:1988年、国際頭痛学会。
A.次のBを満たす発作が2回以上ある。
B.次の4項目のうち3項目を満たす。
1.一過性の前兆があり、脳皮質あるいは脳幹の局所神経症状と考えられる。

2.前兆は4分以上にわたり進展し、2種類以上の前兆が連続して生じてもよい。

3.前兆は60分以上持続することはない。2種類以上の前兆の組合わさるときは、その分持続時間が延長する。
4.頭痛は前兆後60分以内に生ずる(前兆より以前あるいは同時でもよい)

C.次のうち1項目を満たす。
1.臨床的に器質的疾患による頭痛を否定しうる。
2.臨床的に器質的疾患が疑われても検査により否定できる。
3.器質的疾患が存在していても、経過より片頭痛との関係が否定できる。

<2>前兆症状:
①閃輝性暗点(視野がぼんやりとして周辺部に光輝くジグザグ線が見える)が特徴的。
②羞明や暗転のみ。
③脱力、感覚障害、構音障害、失語、めまい、耳鳴などが起きることがある。

<3>前兆は頭痛期になると消失するのが普通。
原則的に、発作間欠期には全く異常がない。

(前兆を伴わない片頭痛

(migraine without aure):
前兆なしに突然に出現する偏頭痛------普通はこのタイプ。
A.次のB~Dを満たす発作が5回以上ある。
B.頭痛発作が4~72時間持続する。
C.次のうち、少なくとも2項目を満たす。
1.片側性頭痛
2.拍動性
3.中等~強度の痛み(日常生活が妨げられる)
4.階段の昇降など日常的な動作により頭痛が増悪する。

D.発作中、次のうち1項目を満たす。
1.悪心あるいは嘔吐
2.光過敏あるいは音過敏

E.次のうち1項目を満たす。
1.臨床的に器質的疾患による頭痛を否定しうる。
2.臨床的に器質的疾患が疑われても検査により否定できる。
3.器質的疾患が存在しても、経過より片頭痛との関係が否定できる。

■片頭痛の正体は「セロトニン」
「頭の片側がズキンズキンと痛む片頭痛は、肩こりがひどくない時にも起きる。片頭痛を起こしている人の脳の血流を調べると、痛みが起きている部分の血液量が増えている。そして、その時の血液には、『セロトニン』という物質が大量に含まれている。このセロトニンは、傷口から出る血液を凝固させる物質。これが何らかの原因で血管に紛れ込むと血管を収縮させた後、必要以上に膨張させてしまうため、神経が引っ張られて痛みのだ。片頭痛が脈を打つのと同じリズムで「ズキズキ」と痛むのは、送られてくる血液で各巻がさらに太くなるからだ。また片頭痛の場合は、痛む前にものが見えにくくなったり、視界の中心部に白い光が見えることもある。」(NHKためしてガッテン)

■原因突き止め予防を
「頭の片側が突然、激しい痛みに襲われる片頭痛に悩む人が増えている。慢性的なストレスや生活リズムの乱れが原因であることが多い。片頭痛は時間がたてば治り、大事には至らないため、ついガマンしてしまい勝ちだ。ただ、脳卒中やくも膜下出血など命取りになりかねないタイプの頭痛と混同しやすく、専門医は「自分で判断せず、病院に足を運ぶことが大切」と勧めている。
東京都内の保険会社に勤める30代のOL、Aさんも片頭痛に悩んでいる1人。激しい頭痛が起きるのは決まって仕事を終えた夕方。ストレスから開放されたとき突然襲ってくる。休息すれば痛みは治まるものの“痛みがひどくて食事も全く出来ないときがある”という。
●30代の女性に多く
「片頭痛はAさんのように緊張から開放された時に起きるケースが多い。症状の特徴は

痛みが発作的に生じる。
多くは頭の片側でズキンズキンと響く。
数時間~3日間ほど続いたあと自然に治まる。
嘔吐・無気力・脱力感を伴う。

-----などが挙がられる。
痛みの強さは日常生活に支障が出るほど激しく、米国では片頭痛による欠勤などで年間約2兆円の経済的な損失が生じているとする統計があるほどだ。
日本にはどれくらい患者がいるのか、片頭痛に詳しい北里大学医学部の坂井文彦教授らは97年に国内の患者数を推計するためアンケート調査を実施した。4000人の一般人を対象に頭痛の有無を聞いたところ、片頭痛とみられた人は全体の8.4%になった。この結果を日本の総人口に当てはめると、国内の患者数は600~840万人に達する。女性が男性の約3倍に上り、特に30代の女性は5人に1人が片頭痛で悩んでいた。

●脳内「血管説」が有力
「坂井教授は“生活のリズムが狂ったりストレスを受けやすい現代社会では片頭痛が起こりやすい環境になっている”と話す。特に日本人の場合は嫁姑や育児など人間関係の悩みが引き金になる場合が多いという。
痛みが起こる仕組みも長年の研究から次第に明らかになってきた。最も有力なのは脳内の血管が広がって脳細胞を圧迫する「血管説」だ。血液を固める血小板が作るセロトニンというホルモンがあり、血管を収縮させる働きを持つ。このホルモンはストレスを感じると緊張した状態では血管内にたくさん放出されているものの、ストレスから開放されると急激に減少する。この変化が片頭痛の引き金になるという。
こうした研究成果を生かした予防・治療法も生まれている。
予防法の1つは、片頭痛がどんな状況で起きたかを日記に付けておき、原因を突き止めるというもの。空腹やイライラ、めまいなど予兆を知り、それを避ければ予防できる。
また効果的な治療薬としては、セロトニンの分泌をコントロールする薬で欧米では市販されている。ただ、厚生省が認可していないため国内では購入出来ず、海外へ出掛けていって買ってくる人も増えているという。
1999.4.19《日本経済新聞》

■かえって症状こじらす例も
「片頭痛を抑えるには、いろいろな薬が使われる。広く飲まれるのが、市販の鎮痛薬。病院では、片頭痛を引き起こす血管の拡張を抑える薬が使われる。どちらも頭痛が起こる度に飲んで痛みを和らげる薬だ。ところが、こうした薬がかえって頭痛をこじらせることもある。片頭痛以外の頭痛も含め、薬の使い方には注意が必要だ。薬を飲んでも頭痛が治まらなかった人が薬を止めると頭痛の回数が減った例もある。
「薬を飲まない日は1日もないが治らない」「早く即効性のある特効薬が開発されないものか」「我慢して薬の量を減らすことが出来ました」----。
全国慢性頭痛友の会の解放には、薬についての声が多く寄せられている。
頭痛には、種類や程度に酔って様々な薬が使われる。中でも片頭痛は薬が治療の中心になっている。
鎮痛薬は、痛みの信号を脳に伝わりにくくし、痛みの原因となる炎症を抑える働きもある。市販され、最も広く使われている頭痛薬だ。
これに対し、医師の処方で使う薬の代表が血管の拡張を抑えるエルゴタミン製剤。片頭痛は血管が広がり周囲に炎症が起こるため、原因を断って痛みを抑える訳だ。ただし、吐き気の副作用を伴う場合もあり、狭心症など心臓に病気を持つ人には使えない。
頭痛の人の多くは医師にかからず、市販薬で済ませていると言われる。寺元神経内科クリニック(名古屋市)の寺元純院長は「軽い片頭痛で市販の鎮痛薬が効くのならそれで十分。容量さえ守れば安全性も高い」。それでも痛みが取れないなら、医師にエルゴタミン製剤を処方してもらって使うことが多い。
エルゴタミン製剤は飲み方にコツが要る。頭痛が始まってからでは痛みが取れにくいので、「目がチカチカする」などの前兆が現れる人はその時点で飲む。前兆がない人は痛み始めたらすぐに飲むことだ。
欧米では、頭痛が起こってからでも効果があるトリブタン系の薬が使われる。日本でも今春以降に使える見通しだが、今のところ注射薬のみの承認で、痛む度に病院などに掛かる必要がある。
鎮痛薬やエルゴタミン製剤の注意点は、薬をだらだらと飲み続けると、痛みに敏感になったり血管が反応しやすくなったりして却って頭痛が起こしやすくなることだ。
市立豊中病院(大阪府)では、毎朝頭痛が起こる度に鎮痛薬を飲んでいた片頭痛や緊張型頭痛の8人に対し、ある日から薬を完全に止めさせた。すると、1週間以内に毎朝の頭痛が消えたという。
高瀬靖・主任医長(神経内科)は「鎮痛薬で頭痛が起こっていることを知らないまま悪循環に陥っている人は多いはず。鎮痛薬は月に10日までにとどめるべきだ」それでも頭痛に悩むなら、予防薬など頭痛を起こしにくくする治療をした方が良いという。
毎日飲んで炎症を抑える予防医薬は人や症状によって効く薬も違ってくるが、国内で保険で使える薬は少ない。昨年には血管を安定させる働きがある塩酸ロメリジンが初めて保険を適用できるようになり、薬の選択肢が広がった。
頭痛を起こしにくい食生活を長く続けることでも、圧程度、頭痛の元を断てる。鳥取大学の下村登規大・助教授(臨床検査医学)は、血液検査などをもとに、1人ひとりの患者に合った食事を指導する治療を考案した。
片頭痛は、細胞の中でエネルギーを作るミトコンドリアの機能低下やマグネシウムの減少などと関連あるらしい。下村助教授は、これらを回復させるなどの働きのあるビタミンB群、C、E、Aマグネシウムを多く含む食品を食べるように指導した。9割の人が早くて2、3週後から症状が改善し、その後、頭痛の回数の減るなどの効果が現れたという。
下村助教授は、一般的な心がけとして、ほうれん草などの緑黄色野菜を1日300g以上食べ、大豆製品や牛乳を多く摂るように勧める、ただし、薬に比べて根気が必要で、鳥取大では、効果が出るまで最低3ヶ月は経過をみる。」20000.2.6《朝日新聞》
■日本人の800万人
「“頭がズキズキ痛んで仕事や家事が手につかない・・・”。片頭痛に悩む日本人は800万人以上と推定されている。
●片頭痛にはどんな種類があるのですか?
「国際頭痛学会の分類では前兆があるタイプと前兆がないタイプに分かれます。前兆があるタイプでは、ギザギザの光が見えてから15分以内にズキズキする頭痛や、吐き気・嘔吐などの症状が出ます。
前兆がないタイプでは、頭痛が4時間~72時間続きます。階段の昇降などで症状がひどくなります。光や音に敏感になったり、嘔吐したりします。
前兆のないタイプの方が、あるタイプより約5倍多い。片方の頭が傷むことが多いのですが、両方痛くなることもあります。4時間以上の痛みが週に3回くる人もいれば、週に1回の人もいます。2~3ヶ月に1回しか痛まない人もいて、人によって様々です。
●どれくらいの人が?
北里大学の坂井文彦教授らの調査では、片頭痛にかかっている人は成人の8.4%(約840万人)とみられています。このうち定期的に医師の診察を受けているのは2割以下です。女性の方が男性より3~5倍多く、30~40歳代の女性で顕著です。
●原因は?
「生まれつき頭の血管が広がりやすい体質の人が、片頭痛になりやすいと言われています。夏に暑いところを長時間歩いたり、長湯をしたり、アルコールを飲んだりすると、片頭痛の人は頭皮の血管が広がり頭が痛くなります。血管が広がると、そこに分布している神経が引っ張られて痛みが生じると言われています。」
「脳の血管にある血小板が壊れてセロトニンという物質が血液中に出てくると、血管が収縮し、その後、セロトニンが血管から尿中に排出されて、今度は血管が広がるという説が有力です。妊娠すると、片頭痛がなくなり、出産後に再び頭痛が出てくるので、女性ホルモンも関係しているとされます。
●どういうときに?
「寝不足は良くないのですが、逆に寝過ぎもよくない。日曜だからといって正午近くまで寝ていると頭が痛くなってきます。デパートなど人混みに出かけたり、週末に緊張が解けたりしたときに発症する人もいます」
●治療薬は?
「セロトニンと同じような働きをするスマトリプタンやゾルミトリプタン、エレトリプタンという薬があります。セロトニンは心臓などに作用するので、むやみに投与すると危険なのですが、トリプタン系の薬は頭皮の血管だけに働きので安全です。頭痛が起きたときに早めに飲んでもらいます。
●予防には?
「頭痛がくる前に塩酸ロメリジンという薬を朝晩の2回飲んでもらいます。」2003.6.24《日本経済新聞》
■治療薬
「片頭痛が起こるメカニズムは神経伝達物質であるセロトニンが関わっているとされている。ストレスなどが引き金になってセロトニンが放出されると、頭蓋内外の血管が収縮する。続いてセロトニンを減らす酵素が放出されセロトニン量が一気に減少する。すると今度は血管が過度に拡張し、血管壁に浮腫や炎症が生じ頭痛を引き起こす。
血管にはセロトニンと結合する受容体と呼ぶ部分がある。セロトニン量が少ない頭痛時は結合しているものが少なく、これが原因で血管が拡張している。イミグランはセロトニンの代わりに受容体に結合、拡張した血管を元の状態に戻して症状を改善する。
セロトニン受容体にはいくつかの種類があり、イミグランは頭蓋内外の血管に多く存在するタイプに受容体に特異的に作用するのが特徴だ。
それ以外の治療薬は、
○「ゾーミッグ」:アストラゼネカ、承認申請中
○「マクサルト」:漫遊製薬、P3準備中
○「レルパクス」:ファイザー製薬、P3準備中。2000.5.18《日経産業新聞》
「アマージ」GSKが2008年承認を取得
神経物質セロトニンの発生を抑えて血管を縮めることで症状を改善

■治療薬の効果的服用法
「英製薬大手のグラクソ・ウェルカムは、片頭痛治療薬のスマトリプタンの効果が、片頭痛がひどくなった時に飲むよりも、少し痛いときに飲んだ方が効果が高く、長い時間痛みを抑えられることを疫学的に明らかにした。118人の片頭痛患者の臨床試験で確かめた。
症状が軽い打ちにスマトリプタンを100mg飲んだグループは2時間で約7割が改善した。これに対し、症状がひどくなってから飲んだグループでは、4割弱にとどまった。
スマトリプタンは「イミグラン」の商品名で同社が商品化している。日本では注射剤が使われており、錠剤は承認申請中だ。点鼻薬も開発しているという。」2000.9.18《日経産業新聞》

【芳香療法】
<1>ラベンダー油ペパーミント油各等量で、冷湿布。
<2>マージョラムの温湿布を首の後ろへあてる。

【食事療法】
◎片頭痛の引き金になる食品:
・チーズ
・チョコレート
・赤ワイン
その他の食品をチェックしましょう。

◎コーヒー5杯分(カフェイン500mg)以上飲むことで和らぐ。
「片頭痛の原因は脳の血管が拡張する刺激で痛み物質(ブラジキニン・ヒスタミンなど)が組織中に放出されることで起きるが、カフェインが拡張した血管を収縮させるので片頭痛が軽くなる」
【色彩療法】
<1>紫色
<2>緋色

【西洋薬】
「イミグラン」:100ヶ国で発売。
「イミグラン注3」(一般名はコハク酸スマトリプタン):
「グラクソ・ウェルカムが発売。片頭痛のほかに、年に1~2回、毎日ほぼ決まった時間に頭痛が1~2ヶ月続いて起きる群発頭痛への適応も日本で初めて取得した。
注射剤であるため内服薬より効果が早い。第三相臨床試験の結果、片頭痛は投与45分後に73.7%、群発頭痛は30分後に73.3%の有効率を示した。
片頭痛は月に1~2回、多い場合には週に2~3回の割合で発作的に強い頭痛が起こり、吐き気を伴う。
片頭痛や群発頭痛は、頭蓋内外の血管が異常拡張して炎症が生じた結果起こるとされている。イミグランは神経伝達物質の『5HT(セロトニン)』受容体に小夜言うして拡張した血管を収縮させて炎症を抑える。」2000.4.21《日経産業新聞》
「イミグラン錠50」トリプタン系
「イミグラン点鼻薬」

【漢方薬】
■葛根湯
■括楼桂枝湯
■犀元
■桂枝加葛根湯   
■桂枝加桂湯
桂枝湯
桂枝人参湯
桂枝茯苓丸
厚朴三物湯
呉茱萸湯
五苓散
柴胡桂枝湯
柴胡桂枝乾姜湯
三黄瀉心湯
四逆散
四物湯
十棗湯
小建中湯
小柴胡湯
小青竜湯
小半夏湯
川芎散[3]
川芎茶調散
続命湯
大柴胡湯
大承気湯
大青竜湯
調胃承気湯
釣藤散
桃核承気湯
当帰四逆加呉茱萸生姜湯
当帰四逆湯
当帰芍薬散
二陳湯+川・白・防風・荊芥・薄荷・升麻
二陳湯+四物湯+防風・荊芥・薄荷・細辛・蔓荊子・柴胡・酒
八味地黄丸
半夏白朮天麻湯
白虎加桂枝湯
白虎湯
麻黄細辛附子湯
麻黄湯
苓桂朮甘湯

【臨床例】
◎42歳、女性
「色白・中肉中背。若い時から頭痛の持病があり、最近は特にひどくなり、月経のあとが特に悪い。頭痛は毎日ある訳ではなく、1ヶ月に1~2回起こる。
 頭痛の様子は、右か左の偏頭痛として現れる。右側にきた時が激しく、このときは必ず吐く。この頭痛と嘔吐は2日間激しく続き、一切の飲食物を受け付けない。床についたままで、その後の数日間は胃の調子が悪く食べられない。ところが、左側にきた時は頭痛も軽く、吐くこともない。頭痛するときは、痛む側の肩が凝る。
大便は1日1行あり、月経も順調。腹診すると、胸脇苦満はなく、心下がやや痞硬している。私(大塚)はこれに半夏白朮天麻湯を与えた。なぜ呉茱萸湯を与えなかったかと言うと、《目黒道琢・餐英館療治雑話》や《和田東郭》の口訣に、呉茱萸湯は腹の左より差し込んで吐く者には効があり、右から差し込む者には効が無いとあったことを思いだし、この患者は右から差し込む場合に吐くので、呉茱萸湯証ではあるまいと考えたからである。
ところがこれを飲むと、心下部がひどく膨満し、肩がこり、1日に5回も大便が出るようになった。こんな日が3日ほど続き、大便は1日に2行くらいになったが、胸が詰まって苦しく、腹鳴がひどくなった。
そこで、心下痞硬・腹中雷鳴・下痢を目標にして半夏瀉心湯を与えた。とこ ろが、これを飲むと、激しい頭痛と嘔吐が起こって床についてしまった。
患者はこんどの薬より前の薬が良いと言う。けれども、私は考えた。この患者は“裏の寒飲”があるのに、半夏、黄連、黄芩などの冷薬を用いて、更に寒陰に寒を加えたので、症状が悪化したのではあるまいか?。半夏白朮天麻湯にも半夏、黄柏のような冷薬が入っている。これはいけない。“裏の寒”を暖める必要があるのではないか?。そう考えた私(大塚)は、温薬である呉茱萸を主薬とした呉茱萸湯を用いた。これを飲むと、頸部が凝りそうになってきても、すぐ良くなり、頭痛を起こさなくなった。続けて3週間、これを飲んで多年の片頭痛もあとを絶った。《大塚敬節-症候による漢方治療の実際p3~4》

◎45歳、男性、色黒やせ型。
「かって中心性網膜炎・腎臓炎・虫垂炎などに罹ったことがある。主訴は1週間に1回ぐらいの割合で起きる偏頭痛で、この頭痛は数年前に胃を悪くしてからずっと続いていると言う。この頭痛はいつも右側に起こり、悪心があって食欲減退する。しかし吐いたことは無く、また床につくほど激しく痛んだこともない。大便は1日1行あり、脈はやや沈。血圧(120-80)。腹診すると、胃部に振水音があり、腹壁に弾力がない。
このような場合に用いる処方としては、五苓散・半夏白朮天麻湯・川芎茶調散・呉茱萸湯などがある。五苓散を用いるとすれば当然[口渇]と[尿利の減少]がなければならない。しかしこの患者にはそれがない。また、川芎茶調散は頭痛の薬として有名であるが、私(大塚)はこれを胃の弱い人に用いて失敗したことがあるので、この患者には使いたくないと考えた。呉茱萸湯の片頭痛は、頭痛が激しくて煩躁状態もあり、よく嘔吐を伴うのであるが、この患者は頭痛が軽く煩躁も嘔吐もないので、一応おあずけにして、胃が弱くて、胃部に振水音があって、頭痛がするというのを目標にして、半夏白朮天麻湯を用いた。1週間分を飲んでも大した変化がない。3週間分を飲み終わった頃、悪心と食欲不振を訴えるようになり、胸がつかえて、噫気が出て、ときどき水のようなツバが出ると言う。しかし頭痛は遠のいたと言うので、又前方を1週間分与えた。ところがこれを飲んでいるうちに、また頭痛が起こり、寒いと言う。そこで呉茱萸湯に転方した。
  これはすばらしく効いた。たった1日分飲んだだけで胸がすっきりし食が進み、気分が軽くなり、まったく頭痛がないと言う。引き続き3週間分呉茱萸を与え、これで、すっかり頭痛を忘れた。
 この患者には最初から呉茱萸湯を与えるべきであった。半夏白朮天麻湯と呉茱萸湯との鑑別はそう簡単ではない。
  呉茱萸湯は飲みにく薬であるが、病症に良く合致すれば、決して飲みにくいものではない。《大塚敬節-症候による漢方治療の実際p5~6》

◎68歳、女性。
     「ここ数年来左の片頭痛に悩まされていた。胃下垂があって痩せている。食欲     がなく、不眠症に苦しみ、冷え性で、夜4回くらい小便に起きる。右の肩こり     がひどく、左のこめかみのところの静脈が太く腫れると激しい片頭痛が起こり、     吐き気を伴って苦しむ。毎日鎮痛の頓服を話すことが出来ないとのこと。
  腹部軟弱で、左臍傍に動機が著しく、圧痛があり、心下部拍水音が著明で     ある。私(矢数)は呉茱萸湯を第一に考えたが、使い慣れた、飲みよものを先に     ということで五苓散qお与えてみた。血圧は(155-95)であった。10日分服用     後、再来の時は肩こりは半減し、片頭痛は軽微となり、頓服の必要が全くなく     なった。。食欲良好、血圧も(140-75)に下降し、非常に気分が良くなったと言     う。さらに10日分の続服によってほとんど軽快廃薬した。《矢数道明-漢方の     臨床第4巻12号》
◎38歳、女性。
     「10年前から片頭痛が始まった。4年前に一度某病院の治療で非常に良くな     ったことがある。一昨年は電気治療をうけて一時軽くなったが、その後効果が     なくなった。昨年の3月から今年の9月まで、いろんな治療をしてみたが、1     年半の間、毎日グレランを飲んで痛みを紛らしていた。右の眉間~こめかみ~     右半分に拡がる痛みに悩ませる。
      栄養は普通。顔色は蒼白。小便は普通で口渇もない。首から上に発汗する。     脈は弱く、舌に白苔がり、腹をみると両臍傍及び下腹部に抵抗と圧痛があって、     駆血剤を投与したいぐらいである。月経に異常はなく子供は3人ある。カル     テに桂枝茯苓丸料と書いたのを改めて五苓散を与えた。
7日分を服用して再来の時、語るところによれば、初診の日に午後から服薬     を開始したところ、身体が非常に暖まって、その晩がぐっすりとよく眠れた。     翌日、目が覚めてみると、頭がとても軽くなり、片頭痛がきれいにとれてしま     ったとのことである。その後、1ヶ月になるが、未だ痛みを訴えないでいる」     《矢数道明-漢方の臨床第4巻12号》


 片麻痺
   =半身不随


 偏枯
   =「偏古」半身不随、半身麻痺。
   ◎中風癒ゆる後、語言行動定めて常の如く能わず:「六君子湯麦門冬3銭、乾桑    葉1銭、竹瀝2蛤蜊殻」、最も妙なり。
   ◎偏枯症、樹木の一枝を枯去するが如し、而して津液周行灌漑する能わず、宜しく    「六君子湯竹瀝」等の法にて之を治すべし。《医学従衆》
   ◎「六味丸桑寄生・五加皮・牛膝・杜仲」虎骨膠で丸剤。朝5銭黄酒で送下する。    《雑病翼方》



 偏痛(へんつう)
   =偏頭痛。

 偏墜(へんつい)
   ⇒陰嚢ヘルニア、睾丸炎のこと。
  【漢方薬】
    行気香蘇散《万病回春》



 変形関節症
(参照→「変形性膝関節症」「変形性股関節症」)
=ひざやまたなどの関節で、軟骨部分がすり減って、関節の内側が変形する病気。関節の老化により起こる病気で、抗炎症剤で痛みを抑え、悪化すれば手術するケースが一般的。




 変形性股関節症   
◎初診時年齢と股関節の疾患名
│初診時年齢 │ 疾患名 │
│ 0~2(歳) │先天性股関節脱臼 │
│ 2~5 │一過性滑膜炎、結核性関節炎 │
│ 5~10 │ペルテス病、一過性滑膜炎 │
│10~20 │大腿骨頭すべり症 │
│20~50 │変形性股関節症(二次性) │
│50~100 │変形性股関節症(一次性) │
(J.C,Adams 1981)Minor Orthopedics p269
■人工関節の手術
「千葉県西東町の主婦宇田川玉井さん(63)は、左の股関節の痛みが激しくなった8年前、千葉大病院を受診。薬での治療を続けたが、少し歩くのも大変になり、96年に人工関節手術を受けた。人工関節の手術は、傷んだ関節の骨を取り除いて金属やプラスチック製の関節に替える。股関節ならば、骨盤側に臼の形の人工のくぼみを、太ももの骨には人工骨頭を差し込むように取り付ける。宇田川さんは長年、腰をかばった歩き方をしていたせいか、右ひざの痛みもひどく、その後、右ヒザも、人工関節に替えた。イスを使えば日常生活に問題はなく、バスに乗って買い物にも出かけられる。ひどい痛みで苦しんでいたのがウソのように快適だ。
2000年度に全国で行われた人工関節手術は、股関節が23000件、膝関節が32000件あまり。
年60件実施している千葉大整形外科教授の守屋秀繁さんは「骨とゆるみなく接合させるといった熟練した技術が必要であり、手術件数による基準は、全体的には、手術の質が確保され患者の利益につながる」と話す。
■人工股関節・・・日本人向け
「米系医療機器販売会社の日本ストライカー(東京渋谷区)は、日本人の正座などの大きな動きにも対応する人工股関節を開発。ゆるみのげんにんになるセメントを使わず、可動部分の設計も変更。米ベイラー医科大学のフィルップ・ノーブル教授らと共同で開発
米ベイラー医科大gk合うのフィリップ。ノーブル教授らと共同で、セメントレス人工股関節「セメントピラー GB HAシステム」を開発。日本人特有の骨盤形状や生活様式を255人のサンプルで解析。約70万円20042/12


 変形性関節症
■皮膚の状態
「化粧品会社の技術指導部で活躍するAさん(46)は、1年ほど前から指の先端の関節(遠位指節間関節)の腫れと痛みが出てきた。主にズキズキする痛みだが、時々針で刺されたようにチクチクする痛みを感じることもあった。
近頃では、指の先端が節くれ立ってきて、曲がったままで伸びなくなっている。仕事柄、手を見せなければならないのに、しなやかさが無くなりごつごつした感じになっている。
Aさんの病気は変形性関節症で、ヘバーデン結節とも呼ばれる。40才以上の女性に多く発症する。初めの頃は腫れや痛みに加えて、関節部が赤くなることもある。腫れている関節の周囲が透き通り内部に液を溜めているように見える。これは粘液嚢腫と呼ばれ実際に内部にジェリー様の液体をためている。一般的に1~2年で痛みはなくなるが、変形が残り節くれだつ。
関節リウマチの場合は指の真ん中の関節(近位指節間関節)が腫れて痛くなり、手首や膝の関節、全身の関節にも痛みが走る。」
■軟骨を回復
軟骨には血管も神経も無い。
体の組織が壊れた場合、出血した部分を血管を通じて送られた成分で組織を再生します。ところが、軟骨には血管が無いので治りにくい。
越智光夫・広島大学病院長が1996年に世界で初めて培養軟骨の再生治療を実施。2004年5月~2007年3月にかけて愛知県蒲群市の再生医療ベンチャー「ジャパンティッシュエンジアニリング」が臨床試験をした、広島大学・北海道大学・東京医科歯科大学・三菱名古屋病院・島根大学などで計30例の治験を実施し、90%以上が良くなった。その方法は、
まず体重のかからない部分から軟骨を採取。
次に、酵素で処理して細胞をバラバラにする。
顔のシワ取りなどに使っている「アテロコラーゲン」の中で3週間ほど培養。
ゲルを欠損部の形に合わせておく。すると軟骨のような組織ができる。それを欠損部に移植して骨膜で蓋をして縫いつける。全体重をかけて歩けるようになるには6週間ぐらい必要です。 2008/1/29日経
■軟骨が減る原因物質
「2010年、東京大学医学部付属病院の川口浩准教授らは、関節の軟骨がすり減る「変形性関節症」の原因となるタンパク質を突き止めた。関節に負荷がかかるとタンパク質が働いて軟骨の組織を壊していた。
成果は5/24ネイチャー・メディシン(電子版)に掲載
関節に負荷を与えて変形性関節症を起こしたマウスを調べたところ、軟骨の組織に成長期の骨の形成などにかかわる『HIF2A』というタンパク質が多く見つかった。
HIF2Aの量を減らしたマウスを作製し、関節に負荷を与えても軟骨組織の破壊が抑えられた。
人工関節の手術で摘出された人間の関節を調べたところ、軟骨が減った場所にはHIF2Aが多かった。
骨が成長するにはHIF2Aの働きで軟骨が一旦壊されて骨に置き換わるが、川口准教授は“本来は骨に置き換わらないはずの軟骨でHIF2Aが働いてしまい、変形性関節症になる”とみている。



変形性膝関節症
⇒老人に多い、股・膝・肘などの関節痛で、炎症ではなく、退行性病変、使いすぎ症状です。通常は多発性に起こります。 

◎関節に慢性の退行性変化と増殖性変化とが同時に起こって関節が変形する。
「加齢や激しいスポーツなどで、衝撃を吸収するクッションの役割を持った膝関節の軟骨がすり減ってきます。そうすると、関節部分の骨表面から摩耗物質が出てきます。そして関節内に散らばり滑膜を刺激します。その摩耗物質を取り除こうと滑膜が分解酵素(カプテシンD・酸性ホスファターゼ・中性ポロテオグリカナーゼ・コラゲナーゼetc.)を出します。ところが、この分解酵素が滑膜にも刺激を与えて炎症を引き起こし、痛みを生じたり、やがて腫れたり、熱を持ったり、水が溜まったりします。そしてこの分解酵素は正常な軟骨までも分解しようとします。この悪循環に陥ったのが変形性関節症なのです」

◎特徴:
・X線で軟骨萎縮のため関節裂隙狭小化、
・関節軸の偏位、
・骨刺形成などの変形。

◎症状:

①疼痛
②可動域制限
③関節液貯留
   

◎治療法:
日常生活での注意:重い物を持たない

運動療法:
「まず理解していただきたいことがあります。ひざや指の関節の軟骨がすり減って痛みを伴うこの病気は、高齢者にはよくあるものですが、年を取る       と必ずなる訳ではない、ということです。とはいえ、どこの国でも高齢化       が進み、確実に増えてくることが予測されています。
いくつかの一般的な治療法のなかでも、運動は重要です。不適切な運動       は症状を悪化させますが、自転車をこぐなどの運動は、膝の軟骨の細胞を       刺激し、新しい軟骨がつくられて症状を良くなります。ですから、症状が       悪くても運動はやってほしいのです。」(ジェーソン・セオドサキス・アリゾナ大助教       授)

温熱療法:
 「リハビリテーション加賀八幡温泉病院」

減量療法:
<1>体重を3kg落とすだけで、ひざへの負担は18kg減ります。
<2>カロリー計算、体重を毎日記録する習慣をつける。
<3>朝、食欲抑制剤を飲む。
<4>朝食と昼食には低カロリー・高栄養スープを飲む。
<5>筋肉を痩せさせないために、歩数計をつけて歩く。
<6>一般的な治療法を併用する。

関節注射・手術
栄養補助剤:

「さて、グルコサミンやコンドロイチンという物質を含んだ栄養補助剤についてお話します。これらについては、アメリカで非常によく使われ、研究成果も出ています。
グルコサミンは、グルコースとゲルタミンから出来ている物質で、体内でも作られます。薬ではありませんが、軟骨の生成の早さに影響を与えます。1日1000~2000mg摂れば、2、3ヶ月で効果が出て、うまく膝が動くようになります。
コンドロイチンは、関節の軟骨を作っているものの一部です。体の中で作られますが、関節炎になるとこの生成が追いつかず、結局軟骨の量が減ってしまいます。ですから栄養補助剤で補給することが大切です。
この2つの効果に関しては、いろんな医学的な証拠が出ています。痛みを和らげ機能を改善するということも分かっているのです。」(ジェーソン・セオドサキス・アリゾナ大助教授)

■診断:(参照→エックス線立体撮影)
■動かさぬと組織委縮
壁を手で伝い歩く
「千葉県四街道市のT子さん(78)は、昨年2月の朝、ベッドから一歩を踏み出そうとして、左膝に劇痛が走った。
「壁を手で伝う様な感じで、ようやく動けましたが、前の部屋まで移るのも辛い。トイレへの距離を短くしようと、一種の住む息子に頼み、ベッドを部屋の入り 口にまでずらしました」
60歳代後半から脚が痛くて、引きずって歩いていた。「年を考えれば、無理もない」とあまり気にせずに、中国へ語学留学に2回も出掛けた。「兄が戦死した中国の地に立ちたい。そのためには中国語が話せなくては-----」との思いからだった。
膝は、一般的に「皿」と呼ばれている膝蓋骨、上の大腿骨、下の脛骨という3つの骨からなり、これらが互いに接している部分が関節と呼ばれる。
膝を動かしているのは、太ももの前側にある大腿四頭筋と後ろ側の膝屈筋。靱帯や腱は動きの調整役をし、大腿骨と脛骨の間の半月板という軟骨が、膝にかかる衝撃を吸収、関節が滑らかに動くようにしている。
 3つの骨の先端はそれぞれ関節軟骨という薄い組織で覆われ、骨同士がすり減るのを防ぐクッションの役目をしている。体質にもよるが、関節軟骨が、年を取るに従って摩耗し、関節に炎症を起こし、痛みが出る。これが変形性膝関症だ。
「膝痛に悩む中高年の大半は、変形性膝関節症。整形外科の外来を訪れる患者の半数以上はこれに該当します」と黒澤教授。最初は、立ち上がろうとして膝がこわばる感じや、膝を曲げる時の痛みから始まる。女性は40~50歳代、男性は60歳代から症状が出ることが多い。

変形性膝関節症は、大別して、一次性と二次性に分かれる。
「一次性は、はっきりとした原因がないのに痛みが出て、中高年に多いことから、加齢による軟骨や骨の組織の変性が原因と見られます。男性の4~5倍と女性に多いことから、性ホルモンも関係していると考えられています」と説明する。
周囲の筋肉を鍛える
「二次性は、若いときに膝や周囲の骨を折ったり、靱帯損傷をしたりしたことが原因で、関節内に徐々に変形が起き、年を経て症状が出る。
膝の痛みが問題なのは、動かすと痛いからじっとしていることで、周囲の組織が弱くなり、委縮していくことだ。痛みを除きながら、膝の機能を悪化させ     ないように自己管理をすることが治療の基本になる。
黒澤教授の指導を受け、寺林さんはこの1年間、床に仰向けになって片脚を     上げるなど、膝の周囲の筋肉を鍛える運動を1日も欠かした事がない。
「再び中国に育子とを目標に続けたところ、以前に比べ、とても楽になりました」。     ただ、歩いて10分の距離にある商店には行けても、それ以上は難しい。手術     は勧められているが、もう少し運動を続けて様子をみるつもりだ。
腰痛と異なり、中高年の膝の痛みには思い病気が隠れている心配は少ないが、     黒澤教授は「初めは、痛みが何によるものか専門家に正しく診断してもらう必     要があります。その上でうまく膝痛とつき合い、進行させないようにするのが     大切です」と話している。
   ■体重減と適度な運動
    「膝関節は、体の中で最も強く力がかかる関節だ。歩くときは強い力でこすれ、     階段を上り下りするときは、膝には、体重の2~3倍もの力がかかる。こうし     た強い衝撃に耐えるため、骨と骨の間に半月板と呼ばれるクッションがあり、     すり合わせを良くするために骨の表面は、厚さ4mmほどの滑らかな関節軟     骨で覆われている。
「この表面は、ゆで卵のようにツルツルしてます。年を取ると、表面がザラつき、     軟骨が削られ、すり合わせが悪くなる。これが変形性膝関節症で、症状に応じ     て治療法を決めます」と、埼玉県の防衛医大整形外科の富士川恭輔教授は説明     する。
「階段の上り下りや長時間歩くと膝が痛くなる」と、同科に診察に訪れる40、     50歳代の人が多い。富士川教授は「痛みがあると運動量が減り、このため、     筋肉が委縮、体重が増加、膝関節にかかる負担が大きくなり、さらに痛くなる。     この悪循環をどう断ち切るかが大切」と語る。
体重を落とし、筋力を強化する体操などの基礎療法で、大半の人が痛みから     解放される。少し進行すると、消炎鎮痛剤や患部を温める物理療法の行う。
最近注目されているのが、ヒアルロン酸と呼ばれる薬を膝関節内に注射する     治療法だ。ヒアルロン酸は、もともと関節内にある物質で、関節の滑りをよく     し、損傷した関節軟骨を修復する働きがある。
「従来のステロイド剤は頻繁に使うと、骨や軟骨に悪影響を与える可能性があり     ますが、ヒアルロン酸は副作用も合併症もほとんどありません。ただ、すぐ効     かず、通常、1週間に1度注射し、5~10週間続けます」
手術なしで8割回復
    「治療を根気よく続けると、8割の人は、痛みを感じない程度に回復するが、関     節の変形が高度で、痛みの強い人手術が検討される。
もともとO脚の人や肥満の人は、変形性膝関節症になりやすい。体重が内側     に偏り、軟骨や骨の変形が進みやすく、さらにO脚が強くなるからだ。
このO脚変形を矯正するのが、脛骨高位骨切り術と呼ばれる手術だ。O脚の     原因の脛骨の内側への曲がりを直すため、脛骨の上の部分を三角形に切り取り、     上下の切断面を合わせてX脚にして、体重を外則にかかるようにして痛みを     取る。
東京都豊島区の能千代子さん(68)は、近所の医院で県警性膝関節症と診断さ     れてから5年目にあたる96年に右膝、翌年に左膝の手術を同医大で受けた。     鍼やマッサージに通っていたが、若いときになかったO脚が目立ち始め、痛み     もひどくなったためだ。
「前向きな性格でしたが、手術前はどうしても気持が痛みのある膝にいきがちで     した。膝の痛みが消えた今は、ますます好奇心旺盛。5月には中国の桂林、そ     の後はヨーロッパへの観光もしたいと思っています」
手術には、脛骨高位骨切り術のほか、変形がびどい場合に膝関節に金属など     で出来た人工関節を入れる、人工関節置換術もよく行われる。
「命にかかわる状態ではないので、患者さんはそうしても手術を先延ばしにしが     ちですが、今はこれらの手術の成功率は95%。高齢の方に多い手術ですが、     重度の合併症状がない限り、年齢制限はありません。むしろ麻酔に耐えられる     かどうかで決まります。車椅子で来院した患者さんが手術後に旅行を楽しむこ     とは少なくありません」と、富士川教授は語っている。
■筋肉訓練で痛み軽減
 「東京都葛飾区の鈴木久子さん(74)が「正座ができなくなった」と気づいたのは、95年の夏。接骨院に通ったりしていたが、2年後に膝の痛みまで出たため、近所の整形外科を受診したところ、関節軟骨がすり減る『変形性膝関節症』と診断された。
痛み止めの注射やリハビリなどで少しずつ痛みは改善したが、医師の勧める毎日の通院は、バスに乗って出かけなければならず、負担になることは見えていた。
「自分で直す方法は無いのかしら」。ちょうどそのころ、運動療法を紹介する順天堂大の黒澤尚教授の著書を読み、さっそく同大整形外科を訪ねた。
「変形性関節症は、いったん起こると、通常は少しずつ進行します。根治できるものではないので、大なり小なりうまくつき合わなければならず、その点は糖尿病や高血圧と同じです」との説明を受けた。
特に、膝の痛みを避けようと動かさないことで曲げ伸ばしができない拘縮が生じ、拘縮によって痛みが増すので、いっそう動かさなくなる。という悪循環に陥る。しかし、関節軟骨や骨が変形しても、膝を動かす大腿四頭筋や膝屈筋が十分強ければ、痛みは和らぐし、機能にもそれほど障害はありません。
黒澤教授が勧めているのが、①筋肉訓練、②ストレッチ、③ウォーキングなどの過重訓練--------の運動療法だ。「筋肉訓練は、痛みを減らすことと、症状を進行させないことが目的です。ストレッチの方は拘縮を和らげると同時に関節の新陳代謝を促進します。この2つは、痛みがあっても始めるべきです」
黒澤教授が鈴木さんの膝の状態を診たところ、進行度合いは、「軽度から中程度」だっった。鈴木さんには、一切薬の処方はせず、膝を深く曲げ伸ばしするストレッチと、「脚あげ大体操」「横あげ体操」「ボールを両膝ではさむ体操」の組み合わせ実践するよう指導した。
「もともと膝の曲げ伸ばしができないのですから、ストレッチだけでも大変なはず。こうした人はまず風呂の中で浴槽につかまりながら膝を深く曲げたり伸ばしたりするといいです」と黒澤教授。暖かい湯の中では痛みが和らぐので、動きがしやすくなるからだ。「1週間やるだけでも、変わってきます」
鈴木さんは、こうしたストレッチや運動を半年間続けたところ、正座もできるようになった。現在、午前6時半からのラジオ体操に荷重体操であるウォーキングもたっぷり30分間はしており、「脚あげ体操」などの3種類も毎日きちんと繰り返している。「膝の調子は70点ぐらい。これだけはずっと止めずに続けたい」と鈴木さんはいう」
運動に無理は禁物
もっとも、運動が効果的だからと言って、無理をするのは禁物だ。「痛いのに“ウォーキングはいいから”と続けるのは、悪化のもと。少し待って、痛くない状態に戻ってから始めればいい」と黒澤教授は助言する。
ウォーキングや脚上げ運動で面白みがないという人には水泳や水中歩行がよい。水中では体重が軽くなるため関節にかかる重みは軽減される一方、水の抵抗が強いために筋肉をよく使うからだ。「変形性膝関節症は自己管理が必要な病気。医師に全面的に頼らず、体を動かし続けることが大事」と話している。
   ■橋本三四郎・米スクリプス研究所主任研究員に、中村洋・日本医科大講師が聞きまし    た。
      ◇変形性関節症とは?(中村)
    「60歳を過ぎるとかなり多くなり、特に女性でおおくなる病気です。正常な関     節は骨と骨の間にすき間があり、そこに軟骨があるのですが、変形性関節症で     は軟骨がすり減ってしまい、炎症を起こして痛みが出ます。(橋本)」
      ◇軟骨がすり減る原因として、軟骨細胞の「生き」が悪くなって死んでしま       うから、ということを研究されてますね。
「軟骨は特別な組織で、神経も血管もなく、軟骨細胞の入れ替わりも非常に少な     い。70%が水で、その間に軟骨細胞があります。これが軟骨の強度を守るコ     ラーゲンなどを作っているのです。
細胞の生きが悪くなってコラーゲンなどを作る能力が無くなり、最終的に死     んでしまえば、軟骨を修復するもとが無くなります。変形性関節症ではこの点     が問題になると考えています。」
      ◇軟骨細胞にグルコサミン・コンドロイチンといった物質を作る能力が無く       なるのだ変形性関節症の原因のようですが、臨床研究の結果はどうです        か?
「今年2月に開かれた全米整形外科学会で利用補助剤のグルコサミン・コンドロ     イチンの効果について話し合われ、その有用性が発表されました。また、その     他の国々の研究でも、関節症の痛みの改善などに効果があったと報告されてい     ます。」
◇グルコサミンやコンドロイチンは軟骨細胞を元気づけ、死にかけた軟骨組       織を復活させると考えていいのですか?
「そうです」
      ◇しかし、これだけ飲んでいれば変形性関節症が治るとは思えません。セオ       ドサキスさん(米アリゾナ大助教授)は補助剤の利用も含めて9つのステッ       プを提案されていますが、他のステップを説明してもらえますか?
「1つは適度の運動で、非常に有効です。食事でも、炎症の原因になる活性酸素     をブロックする抗酸化物質、ビタミンAなどを摂ることが大事です。
また、過度のダイエットはいけません。体重をコントロールすることも、膝     の治療としては大切です。」
■人工膝関節
「老化現象だから仕方ない」といってあきらめることが多いのが、膝の痛み。痛み止めの注射を続けても慢性化すると薬では効かなくなる。そんな人たちの間で人工膝関節を埋め込む人が少しずつ増えている。東京医科歯科大学の宗田大医師は「人工膝関節を埋め込めば、痛みもなくなり楽しい老後を過ごせるようになる」とその効用を説く。
「1人でトイレに行けなくなるのがイヤだった」東京世田谷区に住むOさんは15年前から膝の痛みに苦しんできたが「自分で歩き続けたい」と、思い切って手術を受けた。
●1人で階段を上り下り
胃までは階段の上り下りも1人で出来るようになり「半年前には今の自分が想像出来なかった」と話す。
人工膝関節を入れる対象は主に変形性膝関節炎と慢性関節リウマチの2つ。
2000.7.31《日本経済新聞》
■磁石で軟骨再生
「京都大学や奈良県立医科大学などの共同チームは磁石を利用して関節の軟骨を再生する動物実験に成功した。患部に埋め込んだ磁石の反射力で骨同士の密着を防ぎ、患者自身に備わる体の再生能力を引き出す。
実験はウサギの大腿骨の端と膝の皿の表面にある軟骨をはあし、それぞれの骨に直径1mm、長さ3mmの磁石を3mm間隔で埋め込んだ。2つの骨(大腿骨と膝蓋骨)は磁石の作用で反発する。
13例で試みた結果、約1ヶ月後にはすべてのウサギに軟骨組織が出来た。磁石の反発で骨の間にすき間が出来、骨髄細胞が軟骨の細胞に変わりやすくなったため。比較のため磁石以外の物質を埋め込んだ4例では1例しか軟骨組織が出来なかった。」2003.5.12《日本経済新聞》
■新手術法
「年を取ってすり減った軟骨を手術で再生。横浜市立大学の腰野富久名誉教授らは、ひざ軟骨の摩耗などにより強い痛みを引き起こす変形性膝関節症の治療効果の高い手術法を開発した。器具を使って関節の変形を矯正すると、1~2年で軟骨細胞が自然に再生するという。
「“すりへった軟骨は元に戻らない”というのがこれまでの常識だったが、今回の成果で軟骨にも再生能力がもともとあることが分かった」と教授は話している。2003.9.15《日本経済新聞》
■注射剤
「ヒアルロン酸にリンカーと呼ぶ化学物質を加えた注射剤を生化学工業が開発。リンカーが液体の中にバラバラに存在しているヒアルロン酸の分子同士を接着し「架橋ヒアルロン酸」になる。
  【漢方薬】
越脾加朮湯(炎症あり)
変形性膝関節症の多くは、防已黄蓍湯または防已黄蓍湯麻黄で良くなるが、まれにこれらでよくならないものがある。この場合に越婢加朮湯が効くことがある。場合によっては防已黄蓍湯をこの処方に合方して用いてよい(漢方診療医典)
桂枝加朮附湯
冷え症の者や、冷えると症状が悪化するものなど附子剤の適応症があれば使える処方(漢方診療医典)
桂芍知母湯
桂麻各半湯
五積散
朮附湯
小活絡丹
疎経活血湯
大柴胡湯
体格・体力ともに充実した人で胸脇苦満が強く、便秘があり、舌はやや乾燥し白苔~黄苔を認める。頭重、不眠、めまい、耳なり、高血圧を伴うことが多い(漢方診療医典)
大防風湯(変形性膝関節症
独活寄生湯
八味地黄丸
防已黄蓍湯(熱感・炎症がない)
この処方で腫脹、疼痛ともに去って、起居動作が自由にできるようになるものが多い。まれにこの処方に麻黄を加えた方がよい場合がある。
多くは1ヵ月くらいの服薬で効が現れる。私の義母は80歳のときにこの病気で歩けなくなり、難渋したが、防已黄蓍湯麻黄の服薬2ヵ月あまりで全治した。その5年後、無理してまた膝が痛んだが、1ヵ月ほどの服薬で全治した。関節水腫を起こしているような場合でも、これの内服で水が取れる。(漢方診療医典)
麻杏甘湯(炎症あり、夕方悪化)
苡仁湯(炎症あり、腫脹・熱感、疼痛)
   ■名医
O脚だったのが、人工膝関節の手術
浜松市聖隷三方原病院の小堀眞医師・・・1時間の手術でOK
金属と金属の間にプラスチックのクッション
他の病院で治らない、大腿骨内窩骨壊死
膝の中は無菌状態
脛骨のそれそれを切って整形、部品に合うように。





 変形性脊椎症 spondylosis deformans
   =本来、臨床的な診断名ではない。
    病理解剖的にX線像で椎体の骨棘や骨堤形成、椎間板の狭小化を認める。
   ◎50才以上の男性に多い、炎症ではなく、消耗性疾患である。
◎特徴:
      朝起きたては痛くて動きづらいが、動いていると楽になり、夕方になって疲      れてくると又痛み出す。
  【漢方薬】
    八味地黄丸


 変蒸熱
   =初生児にして、時々故なく発熱し、臍悸し、或いは吐乳する者。

 便が硬い
  【漢方薬】
    炙甘草湯

 便が黒い
  【漢方薬】
  茵蒿湯
    桂枝茯苓丸
    桃核承気湯(実証、のぼせ、足冷、下腹部痛)

 便がスッキリ出ない
  【漢方薬】
 茵蒿湯
    桂枝加芍薬大黄湯(便が切れぎれ、細い)
    四逆散(排便してもあとに残る、便が細い・きれぎれ)


 便がもれる
   ■吉川宣輝・国立大阪病院外科部長に聞く。1997.6.1.《朝日新聞》
     ☆便がもれるという悩みは多いのですか?
「60歳を超えるようになると、どうしても肛門のしまりが悪くなってきます。    女性の方が多いのですが、これはお産を経験すると肛門をリング状に取り巻いて    いる括約筋がゆるむからです。
 程度は歩いていても便がポタポタ落ちるほどひどいものから、下着がちょっと    汚れる程度まで様々です。
☆直腸脱というのは?
   「排便時に腸が肛門から5~10cm出る現象です。便がもれますし、痛みも相当あ    ります。」



 便血
   =大便中に血液の混じっているもの《古今方彙》
  【漢方薬】
    胃風湯《古今方彙》
    加味解毒湯《寿世保元》
    加味四君子湯《三因極一病証方論》
    滋陰清臓湯《済世全書》
    升陽除湿和血湯《医学入門》
清臓湯《万病回春》
    人参敗毒散《寿世保元》
    柏葉湯《万病回春》
    八宝湯《寿世保元》
    便毒一方《済世全書》
    補中益気湯《寿世保元》
    補中益気湯呉茱萸・黄連《薛立斎十六種》


 便失禁
排便機能外来:「指扇病院」味村俊樹医師。



 便毒(べんどく)
   =横痃、よこわれ。
   ⇒各種の性病に伴う鼠径リンパ腺の腫脹をさす。
   ◎左側に出来るものを「魚口」、右側に出来るものを「便毒」という説あり。
   ◎主薬:便毒には、穿山甲・木子を主薬とすべし《万病回春》
       魚口瘡には、牛膝・穿山甲を主薬とすべし《万病回春》
       便毒潰えて破る即ち魚口瘡なり《万病回春》
  【漢方薬】
    神異散《寿世保元》
    神奇散《万病回春》
    追毒散《寿世保元》
    竜胆瀉肝湯《済世全書》
追毒散《寿世保元》



 便秘(べんぴ)constipation
■チェック:
以下の項目を病院でチェックしてもらってください。
<1>水分・食物の摂り方。
<2>表面上分からない心不全や甲状腺機能障害。
<3>血液中の電解質や亜鉛の値。
<4>脳梗塞の有無。
<5>薬の一時停止で様子を見る。」
【漢方療法】
   ◎便が太いか細いか?
<1>太い・硬い・量少ない ──────────── 補中益気湯

【解説】
       浣腸・下剤を使った場合も大きな便で、肛門が痛む。
       下剤を連用していると、軟便から下痢便になり、さ
       らに服用していると、なだれ状に排便して、あとは
       スッキリすることが多い。

                     ┌─>最初硬くて---小建中湯
<2>細い---こまぎれ--コロコロ便─┤ あと下痢便
│ (先硬後溏)
└─>しぶり腹-----加味逍遥散
裏急後重
   ◎食物繊維が有効(参照→食物繊維)
   ◎大黄の入った下剤がよく効いていたのに、ふとしたことで同じ処方を用いても、    便秘することがある。こんな時にその処方に蜀椒を2.0ほど入れて気持ちよく通    ずることがある。《大塚敬節》
   ◎大柴胡湯・大承気湯などの大黄の入った薬方を用いて通じをつける際には、空腹    時に冷たいものを呑み、人参湯・四逆湯・真武湯などを下痢を止める目的で用い    るときは、温かいものを呑んだ方が良い。《大塚敬節》
   ◎大黄不適の便秘
      加味逍遥散
      神効湯
  【芳香療法】
    ◎以下の精油で腹部をマッサージする。
       マージョラム
       ローズマリー
       マージョラムローズマリーブラックペパー
マージョラムローズマリーフェンネル
    ◎毎日、フェンネルティーを飲む。
  【色彩療法】
    <1>レモン色
    <2>黄色
    <3>オレンジ色
  ◇腸力を回復させる運動 (腸力UP)
    5つの生活習慣
①朝起きると、すぐコップ1杯の水を飲む(2㍑/日)
②朝食、・・・納豆とキムチ (発酵食品)腸内細菌タップリ
③犬の散歩・・・歩く時間を確保 ・・・・朝晩1時間
(腹筋の力がUPすることが大切)
④腹部をマッサージ(手のひらでのの字を書く)
   便はマッサージをしないとほとんど動いていない
⑤リラックスすること
(手法)ストレッチ、アロマ、ペット、笑うこと・・・
腸の運動は自律神経でコントロールされている。
☆朝のニコニコゆっくり歯磨き・・・ゆっくり歯ブラシを動かす。
そのまま、腰をゆっくり動かす
  【漢方薬】
    茵蒿湯
    禹功散(寒疝を治す)
    温脾湯
    黄蓍湯[3](黄蓍・陳皮)
    乙字湯
    廻生神膏(牡蛎・乾姜)
    開結枳実丸(黒丑、皀角・旋覆花、枳実・白朮・半夏・南星・・白          礬・大黄・青皮・木香)
    活血潤燥丸(杏仁・枳穀・麻子仁・陳皮・阿膠・防風・皀角仁)
 加味帰脾湯
    加味逍遥散
(慢性便秘)婦人の患者で、大便が快通せず、大黄剤を用いると、少量でも腹痛を起こして下痢する者がある。このような患者に、本方を用いる、大便が快通することがある(漢方診療医典)
    乾姜黄黄連人参湯
    甘遂散[2]
    宜積丸
    橘杏丸(橘皮・杏仁)
    帰調血飲
    散
    九味檳榔湯
    桂枝加芍薬大黄湯(常習性)
(常習便秘)腹部では下部が膨満し、腹直筋も緊張しているが、大柴胡湯を用いる場合のような弾力が無く、脈にも力の無い患者の便秘に用いる(漢方診療医典)
    桂枝大黄湯
    桂枝茯苓丸
    解毒丸[1]
    更衣丸(朱砂・蘆薈)
    厚朴湯(白朮、厚朴、陳皮・甘草、半夏、枳実、生姜、大棗)
    香白元(白元子・青木香)
    膠密湯(葱白・阿膠)
    五仁丸(桃仁 杏仁 柏子仁 松子仁 郁李仁 陳皮)
    柴胡加竜骨牡蛎湯
    柴芍六君子湯
(常習便秘)六君子湯を用いるような虚証の患者で、胃腸が弱く、食欲不振、食後の腹痛、倦怠感などを訴える患者で、便秘するものに用いる(漢方診療医典)
    三一承気湯(嘔吐による大便の秘結、上から噎膈・反胃となる)
    三黄解毒丸
    三黄瀉心湯
(常習便秘)本方は興奮を鎮め、充血を去り、炎症を消し、出血を治する効があるので、のぼせ、興奮、不眠、不安などの傾向があって、便秘するものによい。これを丸剤として、三黄丸と名づけて販売しているものもある。
神経症、高血圧症、更年期障害、脳充血、脳出血などの患者で、便秘するものに用いる機会がある。(漢方診療医典)
    三花神祐丸(一切の水湿の腫と、脹満を治す)
    三散(脚気が心を衝いて症憫し、大小便が渋滞する)
    三将軍元(脚気が心臓を衝いて大小便不通)
    三仁粥(老人・虚弱者の便秘に)
    三物備急丸
    三和散(気滞と便秘)
    滋陰降火湯
    紫円
    七宣丸(熱が胃腸にとまって大便が詰まる)
    四生丸(一切の積熱を治す)
    四磨湯(気滞と便秘)
    炙甘草湯(老人・虚弱者)
    車狗散(大小便の不通)
    沈丸(津液がなくなり便秘)
    十棗湯
    舟車丸(湿熱の盛んなとき)
    舟車神祐丸(一切の水湿が大きくなった者)
    潤腸丸[1](便秘で、七・八日間も便がない老人。コロコロ便)
    潤腸丸[2](便秘)
    潤腸湯[1](老人・虚弱者の便秘、陰虚の便秘)
(常習便秘)これも緩和な下剤で、湿潤の効があるので、体液が欠乏して皮膚、粘膜に乾燥の傾向のある者を目標にする。
老人の常習便秘には、本方の応ずるものが多い(漢方診療医典)
潤腸湯[2](大便の秘渋)
    潤麻丸(血燥と便秘)
    小建中湯大建中湯
(常習便秘)腸管の癒着、狭窄などのために、便秘している患者には、大黄などの下剤の入ったものを与えると、ひどく腹が痛んで、便意をしきりに催すにかかわらず、大便の快通しないことが多い。
本方は腹壁が薄く、腹に弾力がなく、脈も弱く、冷え症で、血色もすぐれないものを目標とする。腹直筋は緊張していることもあり、緊張せずに、軟弱であるものもある(漢方診療医典)
    小柴胡湯
(常習便秘)乳幼児は便秘を訴えることは稀であるが、もし便秘を訴えるようであれば、胸脇苦満の有無にかかわらず、本方を用いてもるとよい。これで自然便が出るようになるばかりでなく、食も進み、血色も良くなり、元気になる(漢方診療医典)
小承気湯
(常習便秘)実証の患者に用いる処方で、頑丈な体質で臍を中心にして、腹が全般的に膨満して弾力があり、脈にも力があって、便秘するものに用いる。(漢方診療医典)
    小角元(老人の風秘)
    小麻仁丸(血燥と便秘)
    神効湯
(常習便秘)古人が「疝」と呼んだ病気による便秘に用いる。疝による便秘には、大黄剤の適しないものが多く、本方で快便の出る者がある。
本方を用いる目標は、冷え症で、のぼせ症で、腹が張って、よく腹鳴がする。背や肩がこる。大便が出そうで出ない、ときに軽い腹痛がある。このような症状があって、慢性の便秘に苦しむものによい(漢方診療医典)
    神芒導水丸(二陽の熱の繁病症を治す)
    参仁丸(気塞のために便秘)
    清湯
    宣毒丸(湿熱が下がるときと、二便を通利させる)
    全真丸(三焦の癰寒、大小便の不通、浮腫の脹満)
    旋覆代赭湯
    角元(風邪による大便秘渋)
    増液湯
    捜風丸(風熱と大小便の結滞の症)
    捜風潤腸丸(三焦の不和による胸腹の痞痛、便秘)
    疎風順気元(大小便の不通、風秘、気秘、老人の便秘)
    疎風潤腸丸(風熱が欝滞して大便が詰まる)
    蘇麻粥(通便に)
大黄飲子(熱があって大便の通じない者)
    大黄甘草湯(便秘、嘔吐<食即吐>、急迫症、胃痛)
(常習便秘)これを常習便秘に用いる時には、大黄甘草丸とした方が便利。小承気湯や大承気湯のような腹満が無く、便秘もあまり強度でないものに用いる(漢方診療医典)
    大黄牽牛散(大便の秘結)
    大黄牡丹皮湯
    大黄附子湯
    大陥胸湯
    大柴胡湯(実証、筋肉質、胸脇苦満、心下部緊張、便秘)
(常習便秘)肥満体質で、筋肉のしまりがよく、胸脇苦満、心下痞硬があって便秘する者に用いる。胆のう炎、胆石症、肝炎などに伴う便秘には、本方の応ずるものが多い。また本態性高血圧や肥満症の患者にみられる便秘にも、本方の適応症が多い(漢方診療医典)
    大承気湯
(常習便秘)小承気湯よりも一段と腹満も強くて、腹力のあるものを目標とする(漢方診療医典)
    大麻仁丸(婦人の大便不通)
    治頭瘡一方
調胃承気湯
(常習便秘)これを常習便秘に用いる時には、調胃承気丸とした方が便利。小承気湯や大承気湯のような腹満が無く、便秘もあまり強度でないものに用いる(漢方診療医典)
    丁香散(大小便の不通)
    釣藤散
    通膈丸(湿熱が下がるときと、二便を通利させる)
    通神散(婦人の便秘)
    通導散
    通幽湯(幽門が通じなくて大便が出ない)
    提盆散(大便の不通)
    鉄脚丸(大小便の不通)
    貼臍膏(大小便の不通)
    転倒散(大小便の不通)
    桃核承気湯(実証、のぼせ、足冷、下腹部痛)
(常習便秘)婦人の常習便秘に用いてよい場合がある。この処方を用いる患者は、血の腹証としての少腹急結があり、月経異常を伴い、肩こり、頭痛、のぼせなどを訴えるものが多い。
筋肉のしまりのよい婦人で便秘し、月経不順、月経困難などのある者に、本方を用いる証が多い。(漢方診療医典)
    倒掲散(大小便の不通)
    当帰潤燥湯(血燥と便秘)
    導水丸(一切の湿営・欝滞を治し、気血を宣通する)
    二仁元(老人・虚弱者の風秘)
    人参養栄湯
    人参利膈丸(噎膈による大便の燥結)
    八味地黄丸
    半夏瀉心湯(胸元がつかえる、下痢、腹鳴、吐き気)
    半硫丸(老人の痰結と大便秘渋)
    備急円
    脾積元(食欲なく腹が張り、酸っぱいものが上がり、便秘)
    脾約丸(小便少なく、大便が出ない)
    茯苓飲(便秘又は下痢、腹部の膨満感)
    防風通聖散(大便熱閉)
    麻子仁丸(大便硬、コロコロ便)
(常習便秘)緩和な下剤であるから、老人、体力の弱い人、大病後の人の便秘に用いる。便秘していて、尿の回数も、量も多いのを目標にする。(漢方診療医典)
    木香順気丸(湿熱を治し、大小便を通す)
    養営承気湯
    凉膈散
    竜胆瀉肝湯
    霊宝丹(大便の不通)
    六麻湯(大便不通)
    和血潤腸湯(大便の燥結・不通)

「腸」は、食物の成分を判断し、膵臓などの臓器から消化液を分泌させ、栄養を適切に消化・吸収し、有害物質が侵入すると、腸壁から必要成分を分泌させて毒素を体外へ排出させ、免疫機構(腸管免疫)の最前線として生体防衛の働きをしています。腸の健康は体全体の健康を大きく左右します。健康長寿の鍵は腸にありといえます。いくら良い栄養素・健康食品を摂取しても、腸が健全な働きをしてくれないと効果は半減します。

 腸内には300種類、百兆個もの腸内細菌が棲みついていますが、有用菌(善玉菌)、有害菌(悪玉菌)、日和見菌(体調が悪くなったり、免疫力が低下すると有害菌に変身)があり、これら腸内細菌の構成割合(バランス)が重要です。有用菌の減少は健康を崩します。細菌のバランスは、便秘、食物繊維の摂取不足、体調や食事の摂取内容により大きく変動します。ビフィズス菌などの補給も善玉菌を増やすには重要なことです。

 便秘は、有害物質の排泄を遅らせ、腸内に有害物質を溜め込んでいることになります。腸内での免疫機能も低下し、肝臓へ毒素を多く運ぶことになり、血液も汚染され、肌荒れ、食欲不振、腹痛、不快感、鼓腸などの障害や大腸ガンの発生率も高くなります。

 便秘の原因は、食生活での食物繊維の摂取不足、ビタミン・ミネラル不足、ストレス、運動不足などが原因となったり、病的には、慢性腸炎、腸閉塞、ガンなどで内腔が狭くなって起こる「器質性」と、腸の蠕動運動が弱かったり、強かったり、肛門括約筋の働きが悪かったり、大腸の機能異常などで起こる「機能性」便秘などがあります。

 食物繊維の働きは、有害物質の吸収阻害、糞便量を増やし食物の通過時間を短縮し早くし便秘と大腸憩室の解消、ブドウ糖吸収遅延作用で、インシュリンの過剰分泌を抑え血糖値を低下させ糖尿病の予防・改善、虚血性疾患、肥満の抑制、血中コレステロールの濃度を正常化し、高脂血症や動脈硬化の抑制・予防、過剰食塩を排除し高血圧の抑制作用、大腸ガンの抑制、胆汁酸結石の抑制など、非常に多くの重要な働きがあります。

■口や鼻から吐く息(呼気)を測定して便秘の症状を診断する研究が進んでいる。東京・新宿区の国立健康・栄養研究所で開いた日本呼気病態生化学研究会で、昭和薬科大学の田代真一教授らのグループが、これまでの研究成果を発表した。
午後7時に起床し、規則正しく排便をしている女性の呼気を調べると、食後4~5時間で水素濃度が高くなる。水素濃度が1日中で最も低い時間帯が正午だった。快便の人と便秘気味の人の間でこの時間帯の水素濃度を比べると、明らかな差が出る。そこから、便秘のぐあいを定量化するメドを付けた。

ためしてガッテン 便秘が劇的に改善

頑固な便秘が治った

逆効果になっていた。

マンタとコバンザメ
コバンザメはマンタの腸の中に入る。隠れ家にしている

ジャコウネコ
ある者を食べたときにでる糞が・・・コーヒー豆に(コピ・ルアク)として加工されている
走っていると脇腹が痛む・・・原因は?
映像・・・ガスが原因。腸を膨張させて痛みとなる。

頑固な便秘に!! (普通じゃない)
トイレから出ると汗びっしょり
朝が来なかったりいいのに
大腸ガンかも?

腸の働きを活発にする薬も無効。→心療内科へ

専門病院 

強烈な残便感

食物繊維・・・逆効果

普通の便秘・・・1週間以上
カプセルを3日間飲んで。4日後の状態を見る (3カプセル=60個のリング)大腸の入り口に残っていた。
4個;21個 普通の便秘の人の腸はノロノロ。
腸は自由に動ける部分が多い。

スーパー便秘
    カプセルの個数はゼロ
毎日、トイレで30分以上かけて出していた。強烈な残便感。
大腸の蠕動運動は正常。でも残便感はなぜ?
高知大学・味村教授。
小麦粉をお尻から大腸に入れる。
スーパー便秘の人は、小麦粉がスムースに出ない。腸にポケットができている。直腸に直腸瘤ができている。
骨盤底筋がリラックスすることが必要。それによって便が出やすくなる。
骨盤底筋がガチガチだと便が出ない。出口が開かないのが、慢性便秘の1/3。
治す方法
神山先生
風船
風船を直腸の中で膨らませ、骨盤底筋をゆるめるコツを覚える。
バイオフィードバック療法
骨盤底筋をゆるめる成功体験
もともとはシッポを振る筋肉


①骨盤底筋協調運動障害
④ 直腸瘤(ポケットができる)・・・手術でポケットができないようにする。
  トイレの回数が多くなる

排便の仕方
姿勢:
かかとを挙げる。前屈み。  直腸肛門角がヒリがる
肩はリラックス

効果があった食べ物
2007年 便秘を防ぐ食物
①ごはん
理由:便に水分を多く含ませればいい。大腸まで水分を運んでくれる
250gのご飯を食べている人は便秘の人が少なかった

落下腸

大腸内視鏡検査で分かってきた

横行結腸は背中に固定されているのが正常

立ち上がった時に下腹が出る(腸が下がる)


改善させるマッサージ
    1腸を押し上げるマッサージ
仰向け
腰下に枕
へその上まで腸をあげるイメージでマッサージ

    2.S状結腸 
       ヘソの下を両手でつつく

    3.姿勢
       背筋を伸ばす
横隔膜が上がる





 
 便秘と下痢を繰り返す
  【漢方薬】
    四逆散
    半夏瀉心湯
    

 扁平足
2012。6/20ためしてガッテン
へんぺい足
土踏まずの割合で決める
時間(2時間立ち続け)で変わる。
26個の骨が靱帯でつないでいる

足の内側が腫れる。くるぶしが痛む
足が腫れてだるい。すぐに治らない。歩くのが遅くなった
土踏まずにタコができた。 内踝のはれが要注意
後脛骨筋腱がすこしづつ断裂してゆく。
アキレス腱の次に働く



危険なタイプ・・・・脱臼、骨のアーチが無くなり、靱帯がゆるんでこつが下がる
      扁平足・・・・子供では問題なし
           大人で問題
足を地面につけると扁平で無くなる(かくれ扁平)
はきものが原因・・・靴底がやわらかい方がベスト。
               指先が動いて上向かないとアーチができない
               はだしが一番

土踏まずの有無だけではない
 
運動能力とは?
敏捷性・・・関係なし
      50m走・・・扁平>普通
    
  
  橋本たけし・慶応大

小田敦史・ 弘前
足の指の筋力・・・扁平>普通

予防:中敷きを入れる
         足の指先で立つ運動