<も>つらい症状


【病状も】

 MODY

(maturity-onset diabetes of youth)
=「若年者糖尿病の成熟発現」
■若年発症型の糖尿病
「40歳のF子さん。19歳の時に糖尿病と診断された。これまで周囲の何人もの人に「糖尿だとインスリン注射しなくてもいいの」などと聞かれたことがあったが、実際には時々病院通いをするくらいですみ、自分でも意外と思うぐらい元気に暮らしてきた。
 糖尿病は若年発症型と成人発症型に区分され、前者はインスリン依存性で、インスリン治療をしないと生命が危機になるタイプ。後者はしばしば肥満を伴い、近親者に糖尿病がよく見られる。若年型はウイルスなどによる膵臓のインスリン産生細胞の破壊とそれに続く自己免疫過程によるとされ、成人型は遺伝形質に過食や運動不足などの環境要因が加わることによるとされている。遺伝性は後者に強い。
  F子さんの場合、若年で発症しているのみインスリン治療をせずに21年間も異変がなく、若年型に特有の抗体も見つからず、肥満はないもののどちらかと言えば成人型になる。このようなどっちつかずの糖尿病を「若年で見られる成人発症型」といい、専門家の間ではアルファベットの頭をとって『MODY』(モディ)という。
 このモディは常染色体優性遺伝であり、7番目の染色体にあるグルコキナーゼという酵素の遺伝子の突然変異が原因の一つであることが最近分かった。膵臓でこの酵素の働きが悪いために糖尿病になる。人種によって頻度が異なり、我が国では糖尿病患者の0.1%と少なく、軽症であることが特徴だ。(大阪大学医学部助教授・西沢良記)1997.2.1《日本経済新聞》


モートン病
■ハイヒールを履く時間は短く
「48歳の女性。歩くとき、両足ともに、3番目と4番目の指の付け根裏に電流が走ったような痛みがあります。あまりに痛いので病院に行ったところ「モートン病」と診断されました。痛み場所に注射をしましたが、効果はありませんでした。」
●耳慣れない病気ですが?
足指の付け根から足の甲にかけて5本の中足骨という骨があります。これに挟まれた神経が麻痺し、しびれたり、痛くなったりする病気で、米国の医師の名前から名付けられました。『モートン(モルトン)神経腫』とも呼ばれます。3番目と4番目の指の間が最も多く、ついで2番目と3番目の間に見られます。女性に多い病気です。
●原因は何ですか?
神経麻痺の原因はいろいろありますが、モートン病の場合は、神経が長い期間、圧迫されたり締め付けられたりして起これります。こぶ(神経腫)が出来ることもあります。体には、神経が痛めつけられやすい場所がいくつかあります。aたとえば、骨で出来たトンネルのような部分や、骨と靱帯の狭い隙間などで、足の指の付け根はその1つです。
似た病気に足首で起こる『足根管症候群』、手首で起こる『手根管症候群』があります。
●どのように起こるのですか?
足の指に通じる神経は、中足骨の間をつなぐ靱帯の下を通っています。歩くときに蹴り出すと、この神経が引っ張られて靱帯に当たり、摩擦を起こします。つま先の窮屈な靴を長時間履くと、これが繰り返されて、神経にこぶが出来るのです。両足に出来る場合も片足だけの場合もあります。3番目と4番目の間に多いのは、神経が2方向からきて合わさっているため、自由に動きにくいことなどが理由です。
●靴に関係あるのですね
特にハイヒールを履く女性に大痿病です。
(木下光雄・大阪医科大学助教授)2000.4.23《朝日新聞》


モヤモヤ病
=「WILLIS動脈輪閉塞症」

=「脳底動脈閉塞症」
⇒日本人に多い疾患。脳底部異常血管網を示す疾患。
<1>脳血管撮影が診断に不可欠。
<2>症状:(小児)
(イ)片麻痺、単麻痺、感覚異常、不随意運動、頭痛、ケイレンが反復的発作的に出現。
(ロ)知能低下
(ハ)固定神経症状
(ホ)病側が左右交代して現れることがある。
<3>原因:不明。
特別な基礎疾患(動脈硬化、髄膜炎、腫瘍、Down症候群、Recklinghausen病、外傷、放射線照射・・・)は見られない。
<4>発症年齢:2つのピークがある。
(イ)0~9歳:虚血性脳血管障害を呈することが多い。
(ロ)30~39歳。-出血性脳血管障害を呈することが多い。



ものもらい
=「麦粒腫」
【鍼灸】「二間穴」《沢田流聞書鍼灸眞髄》

【処方名-五十音順】

■蛇床子散
■排膿散
■排膿散及湯




妄想
◎老いー激しい性的願望が妄想にー
「年をとっても、異性との触れあいを求める気持ちが減るわけではない。長い人生では、学習に仕事に打ち込みたくなる時期、ふたつが重なり合う時期がある。異性を求めても、青年期、中年期、初老期、そして老年期はそれぞれに質的な差があるようだ。
私は有料老人ホームで相談にあたる以前、特別養護老人ホームに巡回診療に携わったことがあるが、そのころはあまり老人の性的願望に気がつかなかった。当時の特別養護老人ホームに個室はなく、プライバシーを奪われている限り、異性との接触欲求もひとつの形を取り得なかったのだろうか。マンションや個室にすむ老人の精神相談を受けるようになって、老人の性的願望の激しさに驚いたものである。
 もっとも、以前からヨーロッパの老人の性的願望については知っていた、ドイツの大衆新聞を開くと、かなり年配の男女がパートナーを求める小さな広告が延々と載っている。また70歳や80歳の女性から、若いときに、あるいはつい最近まで、自分がいかに男性に愛されていたか、執拗に聞かされることもあった。その直接的な性的表現に、文化の差を強く意識させられた
 屈折はしているが、日本の老人の性的願望にも激しいものがある。そう思うようになったのは、80年代になってからのこと。
例えば、隣家の物音が気になって寝付かれない、窓の外からおなかのなかをいじる電波が入ってくるといった訴えを聞いていると、多くは性的な妄想に突き当たる。隣家のひとり暮らしの男性を訪ねて、毎夜、女性がきている。明け方まで、ベッドのきしむ音やあえぐ声が響いて眠られない。わざわざ私に聞こえるように、ベッドを私の寝室側に置いている。
あるいは、最近、子宮腫瘍の手術をしてもらった医者が、若い女性とセックスをしている。2人のからみあう声が私のベッドの下や、壁の間から聞こえてくる。胸がドキドキし、頭がさえてきて、眠られない。毎夜のことなので、どうしていいか分からない。
 同じように、72歳の女性は訴える。寝ていると、腰から股にかけてピリピリしてくる。何か熱い物のようなものが送られてくるのか、体と布団がふれている部分から熱くなってくる。それが強いと、肩がこった時のように、しこりになって、日中も残っている。毎夜のように、天井の裏で男女が抱き合っている。男性が誰か、分かっているけど、今は言いたくない。声や音、電波や熱線だけでなく、においの体験も少なくない。布団に横になると、畳の間から、色々なにおいが流れてくると訴える女性もいる。何日も洗わないで着ている下着のにおい・ポマードの匂い、もっときつい匂いもある、という。
 こんな性的体験を何と呼べばいいのだろうか。嫉妬や被害妄想とも言いかねる。恋愛妄想とも言えない。妄想にあまり振り回されず、それと共に生活しているようなところがある。被害的に見えて、性愛への願望が巧みに投影されている。いずれも高齢の女性の訴えだが、身構えながら愛を求める日本の女性の心性をよく表している。 (野田正彰・京都造形芸術大学教授)

【処方名-五十音順】(もうそう)
■三黄瀉心湯
■桃核承気湯



毛孔性紅色粃糠疹
⇒白いフケのような皮膚片(鱗屑)が付着した直径2~3mmの赤い丘疹が毛孔に出来て、下ろし金状の皮疹が手指の背に見られる病気。
◎手のひらや足の裏は厚くなり、黄色みを帯びて、ロウ細工のような光沢を生じる。


毛瘡(もうそう)
=「かみそりまけ」
⇒硬い毛の生えている部位に、ブドウ球菌が感染して炎症を起こす毛嚢炎で、口ひげ、顎ひげの部位に起こったものをいう。



毛髪脱落
【処方名-五十音順】
■人参養栄湯


蒙古斑
■蒙古斑が多すぎる
「生後4ヶ月の娘ですが、蒙古斑のある範囲が広く、おしり、背中、肩、手の甲、ひざなどにあります。これはアザでしょうか?消えなければどのような治療法があるのでしょうか?(広島県・H子)」
いわゆる青あざが体の広い範囲を占めている状態で、ご心配のことと思います。(林田道昭)
これは、皮膚の真皮内色素細胞の著しい増殖で起こります。

出来る場所によって呼び方も変わります。

顔では『太田母斑』、臀部は『蒙古斑』、肩では『伊藤母斑』、その他の場所では『異所性蒙古斑』と呼ばれます。

一般には、出生直後または徐々に出現します。一部は4、5歳までに消失しますが、成人まで残る場合もあります。悪性化したりかゆみ・痛みなどを伴ったりすることはありません。
範囲が広かったり、目立ったりする場合は自然に消失するのを待つにではなく、積極的に治療を行うのが良いとされています。治療法には
レーザー療法
ドライアイス療法
手術療法などがあります。
中でもレーザー療法は約70%の有効率があり、第1選択肢に挙げられます。治療期間は2年以上かかります。回数を重ねるにつれ少しずつ色が薄くなり、跡を残すことは無いと言われています。
しかし、痛みを伴いますので、乳幼児の場合、全身麻酔が必要です。治療には協力が得られる年齢では、麻酔薬入りの軟膏やテープで痛みをとりながら行います。
ドライアイス療法は、有効性が十分でなく、色調にムラが出たり跡が残ったりします。手術療法は傷跡が残りますので最後の手段と考えて下さい。




網膜炎
【処方名-五十音順】(もうまくえん)
■葛根湯
■桂枝茯苓丸
■三黄瀉心湯
■桃核承気湯
■八味地黄丸
■六味丸 

◎網膜のキズ・・・再生
「理化学研究所と京都大学のチームは、一度傷つくと修復が難しい目の網膜で、光を感じる『視細胞』を効率よく再生する技術を開発した。
特定の酵素の働きを抑える化合物を投与すると、視細胞ができることを動物実験で確認した。目の機能が回復するか確認する必要はあるが、新しい治療法の開発に可能性
成果は2007年4/11のジャーナルオブ・ニュロサイエンスに掲載
細胞の増殖・分裂に関係するタンパク質『Wnt』に着目。ネズミから採取した網膜に加えたところ、視細胞が通常の20倍再生した。Wntが働くと、GSK3βという酵素の機能が抑えられる。




網膜色素変性
(参照→「見えにくい」「角膜再生」)
⇒目の奥にある網膜が次第に変性し、傷んでくる病気です。暗いと、ものが見づらくなる夜盲や、道の段差がわかりにくくなる視野狭窄の症状で気付くことが多い病気です。気付く年齢は早い人で10歳未満、遅い人で70歳代とまちまち。
病状はゆっくりと進行するのが、この病気の特徴です。 1996.3.3《朝日新聞》より」

■遺伝子治療
「米ペンシルベニア大学などの研究グループは、網膜の異常で起きる視覚障害に遺伝子治療が効果があることをマウスを使った動物実験で確認した。30000人に1人の割合で発生する網膜色素変性症のある特定の型(ベーターPDEという遺伝子の変異で視力を失う)に有効と見られ、近い将来、人に対する臨床試験を始められそうだという。1996.6.6《日経産業新聞》」
■網膜細胞分化
米ミシガン大学の研究グループは網膜上で光を感じる細胞の分化に関わるタンパク質を突き止めた。網膜は明るいところで光を感じる細胞と、暗いところで感じる細胞があるが、このうち暗いところで光を感じる細胞が今回のタンパク質の働きによって出来る。
『Nr1』というタンパク質の遺伝子を欠いたマウスを育てたところ、暗いところで光を感じる細胞が出来なかった。「DNAマイクロアレイ」という器具を使って、このマウスと通常のマウスを比較し、明るいところで光を感じる細胞を作るのに関わる遺伝子などを探している」2001.11.14《日経産業新聞》

■ES細胞から網膜細胞
「理化学研究所と京都大学のチームは、神経や臓器などあらゆる細胞に育つ胚性幹細胞から目の網膜の細胞を作ることに成功した。2005年8/2米国科学アカデミー紀要に掲載。
網膜で光を電気信号に変える視細胞を作った。まずマウスのES細胞を血清や増殖を促すタンパク質などで培養し、視細胞の元となる『神経網膜前駆細胞』を作製。次に同細胞をマウスの胎児の網膜細胞と一緒に培養したところ、ES細胞から育った細胞の14%が視細胞に変わった。
理研発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹グループディレクターと京都大学医学部付属病院の高橋政代助教授らが実験した。
網膜の病気が原因で失明するのは視細胞が変性していることが多い。視細胞はもろいので、研究チームは神経網膜前駆細胞を網膜の下に移植する方法を検討。ES細胞から2割弱の前駆細胞を作る技術を確立した。
実際にラットの新生児の目に移植し、1%に満たない率ではあるが、視細胞の再生に成功した」2005.8.2《産業》

■網膜再生
「京都大学付属病院・探索医療センターの高橋政代助教授らが、眼球の内側で光の信号を受け取る網膜の再生に取り組んでいる。
網膜の異常で失明すると、現在は治療法がない。網膜は中枢神経の1つで、一度失うと再生できないからだ。高橋助教授は2005年、理化学研究所の笹井芳樹グループディレクターらと、あらゆる細胞に成長できる胚性幹細胞(ES細胞)から網膜の中で光を電気信号に変換する「視細胞」を高い効率で作ることにマウスで成功。」

■人工網膜
「岡山大学と林原生物科学研究所の研究グループは、新タイプの人工網膜を試作した。光に反応する特殊な色素を組み込んだ軟らかい膜で、網膜に埋め込むだけで網膜色素変性症などの視力回復に役立つ可能性がある。
従来は電極を使うため外部電力が必要だった。
松尾岡山大学助教授らは、人工関節などに使われるポリエチレンのフィルムに、光に反応する「光電変換色素」を組み込み、膜状の人工網膜を作った。網膜の視細胞が死滅した網膜色素変性症と似た状態のニワトリの未熟な網膜を使って実験。人工網膜をくっつけて光りを当てると、網膜の他の細胞が反応した。
研究グループはラットの網膜の下に人工網膜を埋め込む手法を開発済み。2006.4.11《産業》
■既存薬で
「京都大学の大谷篤史助教授らは、遺伝子操作で網膜色素変性症を発症したマウスを使って実験。骨髄の幹細胞などが網膜に移動し分化していることを突き止めた。そこで、骨髄移植などに使う『GCSF』と、貧血治療などに使う『エリスロポエチン』という3種類の薬剤をマウスに投与した。
その結果、骨髄由来細胞の機能が高まり、網膜の保護作用も強まった。」




網膜出血
【処方名-五十音順】
■真武湯
■八味地黄丸
■六味丸


網膜上膜
■レーザ治療後視力低下
「50歳代、女性。両眼の網膜裂孔のため、2年前、網膜レーザー凝固手術を受けました。。最近、左目だけですが突然、黄色く見え、小さな文字が見えにくくなり真下。明るさも低下しています。もっと黄色くなったり、失明したりすることはないでしょうか?
これは網膜上膜という状態です。これには特発性と続発性があります。
特発性は加齢によって起こり、50歳以上の女性に多く見られます。網膜の上に薄い透明・半透明の膜が増殖します。膜が透明の場合は自覚症状が無いこともあります。視力への影響も小さく、発生もゆっくりであまり進行しません。
しかし、視力低下が進行したり、ものがゆがんで見える変視症が起こったりした場合、膜をはがす手術をすることがあります。自然に膜がはがれることは希ですが、あまり心配するような状態ではありません。
続発性のものは、網膜剥離の手術後や、あなたのように網膜裂孔のレーザー凝固後に起こりやすいのです。
通常安中散レーザー凝固後、1~6ヶ月で起こります。網膜中心部にしわが出来、症状は視力低下と変視症で、進行性です。視力低下が大きい場合は、膜をはがすための手術をする事になります。自然にはがれることは無いと思いますが、失明にまで至ることは無いと思います。」


網膜剥離(もうまくはくり)
【類似疾患】原田病。

■アトピー性皮膚炎が誘発
「アトピー性皮膚炎に伴う網膜剥離が年毎に増えていることが、樋田哲夫杏林大医学部教授(眼科)らの初の全国調査で分かった。
 まぶたがかゆい為、患者が繰り返し目を叩くのが最大の誘因らしい。
アトピー性皮膚炎で、視野が欠けたり視力が落ちたときは、網膜剥離を疑い、早めに診断を受けることが必要だ。樋田教授らは1994年秋に、全国の大学病院など45の眼科を対象に郵送で調査し、95年春までに寄せられた32ヶ所の解答をまとめた。アトピー性皮膚炎に伴う網膜剥離は計348人、417眼あった。合計の手術数は89年の42件から年々増加し、93年には132件に達していた。
 患者は男性が女性の約2倍で、平均年齢が22歳。10代後半から20代初めにピークがあり、通常の網膜剥離に比べ若年者に多かった。網膜剥離全体の手術に占めるアトピー性皮膚炎の比率は、全国平均で2.3%だが、東京の4.7%から九州の0.3%まで地域ごとのばらつきが目立った。判明した中では、約80%の患者がかゆさに我慢出来ず、目の周りを叩いたり、強くこすったりしたことを認めていた。網膜の後部よりも前方に大きな裂け目の裂孔が出来ているケースが大半で、打撃が繰り返されたのが誘因との見方を裏付けた。
 また、皮膚炎が重いほど網膜剥離も重症になる傾向が見られた。95%で手術が成功したが、5%は失明などの重い視力障害が残った。1996.3.10《日本経済新聞》より」
■予防
「受験勉強中の18歳の息子が白いノートに黒い物が写ると言います。眼科で診察を受けると、近視が強いため網膜に異常があると言われました。将来、網膜剥離症になる可能性もあるので、予防の意味から手術を受けるように勧められました。この手術には危険はないのでしょうか?
<1>網膜剥離とは何ですか?
「眼球の内側の光を感じる神経がある部分が網膜で、その外側に色素上皮があります。網膜が色素上皮からはがれた状態になるのが網膜剥離です。はがれた部分は光を感じなくなります。普通は網膜の周辺部で剥離が起き、中心部は見えますから、すぐに失明する訳ではありません。剥離が中心部に及んでくると視力に支障が出ます。
<2>質問された方はどうでしょう?
「網膜剥離にはなっていない段階なので、それほど心配する状態ではないと思います。詳しく検査していないと分かりませんが、網膜に格子状変性とか円孔や弁状裂孔が起きていると考えられます。
<3>円孔とか弁状裂孔というのは?
「網膜が一部薄くなったのが格子状変性、網膜に丸く穴が開くのが円孔、網膜の切れ目が出来、引っ張られるように破れるのが弁状裂孔です。格子状変性があると、そこから円孔や弁状裂孔が起きやすくなります。これらの変化は眼底検査を受ければ分かります。
<4>自覚症状はありますか?
「格子状変性や円孔は自覚症状があまり出ません。弁状裂孔や網膜剥離が出来ると色素が外に出てきて動き回るので、蚊が飛んでいるように黒い点のような物が動いて見えることがあります。ただ、このような『飛蚊症』の多くは硝子体が変化して起きる生理的なもので、心配する病気ではありません。網膜が原因になるのは飛蚊症の極一部です。
<5>近視とは関係がありますか?
「格子状変性は成人で視力が正常な人の5%ぐらいに起きていて、珍しい物ではありません。近視の場合はこの率が2~3倍になります。円孔や弁状裂孔も近視の人に多い傾向があります。その理由ははっきりしませんが、近視は眼球が前後に長くなって起きるので、網膜が薄く変性しやすくなるのではないかと言う見方があります。
<6>網膜剥離との関係は?
「網膜剥離が起きやすい年齢には、20代と、50~60代の2つのピークがあります。若い人では円孔から、高齢者の場合は弁状裂孔から網膜剥離になりやすい傾向があります。円孔や弁状裂孔があっても、すべての人が網膜剥離になるわけではありませんが、裂孔などの状態によっては、剥離を予防するために手術をおすすめします。
<7>予防手術とは?
「光凝固と呼ばれる方法で、目の中に細いレーザーの光を当て、網膜と色素上皮に一種のやけどを起こさせてくっつけます。網膜は透明なのでレーザー光を吸収しませんが、色素上皮は黒褐色なので、光を吸収して発熱し、網膜に癒着します。弁状裂孔などを取り囲むようにレーザーの光を当て、網膜を癒着させこれ以上はがれないようにします。
角膜側からレーザーを当てるので、外来で、10~30分で終わります。焼いたところは視覚がなくなりますが、たいていは視野の周辺部なので、生活にほとんど支障はありません。
手術後の生活も日常通りでかまいませんが、網膜は手術後1ヶ月ぐらい罹ってゆっくりと癒着しますから、ボクシングやサッカーなど、目に強い衝撃を与えるスポーツは控えて下さい。(大路正人・大阪大医学部助手)1997.11.16《朝日新聞》
■早期発見
「目の硝子体はゼリー状の物質で構成されている。加齢と共に液状になり網膜剥離や網膜裂傷お原因となる。液状になった段階で早期発見できれば、シリコーン注入などで治療も可能になる。
国立国際医療センター研究所の山本健二副所長らは横浜栄共済病院と共同で『量子ドット』と呼ばれる蛍光微粒子を使って開発した。量子ドットは半導体を構成する原子が数百個集まった直径数ナノ㍍以下の粒子。電子を捕まえて制御したり、高効率に発光したりする能力があり、紫外線を当てると蛍光を発する
使った量子ドットはカドミウムセレンという物質を微粒子にし、表面処理して水に溶けるようにした。直径約7ナノ㍍。硝子体の液状化した部分に集まる性質があり、光を当てると赤色の蛍光を発する。目に注射して使用する。
目の検査ではスリットランプという特殊な顕微鏡を使うことが多い。ただ、光の屈折具合から判別するので、初期段階の微妙は変化を見落とすことが多い。」2006年6/28《産業》

【処方名-五十音順】(もうまくはくり)
■小建中湯
■真武湯
■八味地黄丸
■六味丸


網脈絡膜炎
⇒目の網膜に炎症が起こり、視力障害を起こす。
■トキソプラズマ
「フランスにおける調査結果によれば、トキソプラズマの先天性感染児のほぼ3/4、特に妊娠後期に感染を受けた場合には、90%以上の子で出生児には異常は認められない。しかし、これら一見正常であった先天性感染児のほとんどが思春期頃までに網脈絡膜炎を発症した。」藤田紘一郎著「ボンボン・マルコスのイヌ」より。


盲腸炎 Typhlitis
【鍼灸】
「気海、腎兪、太谿」《沢田流聞書鍼灸眞髄》
「猛烈なる痛みを頓挫せしむるには気海1穴の30壮~50壮すえる。それで痛みが即座に止む。」
「根治には腎兪、太谿を主とし、全体療法をやる」
  

【処方名-五十音順】(もうまくえん)
■烏頭桂枝湯
■温経湯
■黄芩湯
■黄連湯
■枳実芍薬散
■桂枝加芍薬湯
■桂枝加大黄湯
■桂枝茯苓丸
■柴胡桂枝湯
■三物備急丸
■大烏頭煎
■大黄附子湯
■大黄牡丹皮湯
■大建中湯
■大柴胡湯
■腸癰湯
■桃核承気湯
■当帰建中湯
■当帰四逆加呉茱萸生姜湯
■当帰四逆湯
■当帰芍薬散
■茯苓四逆湯
■薏苡附子敗醤散
■闌尾化瘀湯
■闌尾清解湯
■闌尾清化湯



毛様体炎
【処方名-五十音順】
■白虎加人参湯  


朦朧感(もうろう感)
【臨床例】
☆31歳、主婦。
「主訴は頸から肩にかけての凝りと頭にかすみがかかっているようにボーッといていて痛いと言う。夫が今までの経過を語った。
5/1、母の看病のため岡山へ行き、5/17日に母はガンで亡くなった。そのショックで、妻は5/30日に死んだ胎児を流産した。そのためかどうか分からないが、千葉の自宅で7月始め脳膜炎症状を起こして倒れた。2日後千葉大学病院へ自動車で1時間ゆられて連れて行き、1時間待たされて診察を受けた。脳波をとると、テンカン症状があると言われ、ここでは詳しい検査が出来ないからと、国立東京第二病院へ入院するように進められた。第二病院に3ヶ月間入院して、ありとあらゆる検査を受けたが、原因は不明ということであった。病院では、ただ鎮静剤と新薬を与えるのみで、妻はテンカン発作はないが、頭が痛い、頭に霞がかかっているみたいだと訴え、さっぱり良くならない。
そこで、ここにいても一向に治る見込みがないと考え、思い切って9/27に退院し、その足で当院を訪れた。診察室に入ってきた患者をみると、怒ったよいうな顔して目がすわっている---これは新薬を飲み過ぎているなぁ---と考えながら、いろいろ笑わせようと努めるが、ムッとしている。
患者は小柄のタイプで、顔色にツヤがない。食事は野菜より肉類を多く摂り、甘いもの辛いもの、どちらも好きだという。昔からお茶好きであった由。胃腸は強く、足腰は冷えるタチ。便通は3~5日に1回で、小水は遠い。生理は順調で、子供は2人ある。
脈は弱く、舌には少し白苔がついている。腹診すると、軽い胸脇苦満と腹直筋の緊張があり、上で動悸の亢進を認める。
これは「癇による気の病」と診断し、腹証から抑肝散加大黄を投与した。本方を37日間服用すると。頭痛と霞ががっている頭の朦朧状態がとれ、肩こりはもちろん、顔色もツヤが出てきて、すっかり良くなった。」(寺師睦宗著「成人病の漢方療法」p203~p204)
  

【処方名-五十音順】(もうろう感)
■酸棗仁湯
■八味地黄丸
■六味丸





木欝(もくうつ)
=胃腸障害のために神経衰弱症状を発すること。
【処方名-五十音順】
■逍遙散


木腎(もくじん)
⇒1.腫れて痛まないもの。
「卵腫痛まざる者、これ湿也。また木腎と名づく」《育嬰秘訣》
2.睾丸が腫れて痛い。

【処方名-五十音順】
■活腎丸(痛まない木腎)
■川練散(外腎が腫大で、麻木・痛硬の木腎を治す)

木舌(もくぜつ)
=舌の強ばる症。《大塚敬節》  
【処方名-五十音順】
■黄連解毒湯


目翳(もくえい)=目の角膜に白斑を生じる。


目眩(もくげん)
=「めまい」

【処方名-五十音順】
■茵蔯五苓散
■黄芩湯
■黄連解毒湯
■帰脾湯
■桂枝加竜骨牡蠣湯
■三黄瀉心湯
■小建中湯
■小半夏加茯苓湯
■桃核承気湯
■当帰芍薬散
■白虎湯
■六君子湯


物忘れ

■ストレスが原因
「R子さんは結婚後、専業主婦として4人の子供を育て上げた。夫の死後、長男夫婦と暮らしていたが、長男が海外へ転勤となったのを機に、個室で寝起きするが台所や風呂・トイレなどが共同のケアつきマンションに入ることにした。
彼女にとって個室は快適だったが、共同生活は初めての体験なので毎日が緊張の連続だった。新しい洗濯機は機能が複雑でなかなか覚えられない。使い方を何回も隣人に聞いてうるさがられ、時々洗濯物を取り忘れたりしてひんしゅくを買った。また、自分が失敗をして皆さんにご迷惑をかけないようにと気にし過ぎて、かえって食事時間を忘れることもあった。
最近も、女学校時代の友人と会う約束をしたのをつい忘れ、友人から確認の電話がかかってきて、びっくり我に返った。物忘れがひどくなったのは、ボケてきたからではないかと思い込むようになった。そして、ある日、とうとう大失敗をしてしまった。トイレに入った後、水を流すのを忘れ、他の住人から苦 情が出る始末となった。
近年、高齢化社会の到来により痴呆老人の処遇が社会問題となっている。マスコミが盛んに取り扱うせいか、「ボケるのではないか?」ということが老後の不安のトップに上がられる事が多い。私たちも正常老化である「物忘れ」をボケの前兆と心配する「アルツハイマー・ノイローゼ」のような高齢者に会う機会が増えている。
私たちは記憶と加齢の関係についての正しい知識や記憶力の維持向上を啓蒙するため、高齢者のための記憶力改善プロジェクトを作成した。(下仲順子・東京都老人綜合研究所心理学部門研究部長)1998.2.2《日本経済新聞》


門脈圧亢進症 portal hypertension
⇒門脈を経て肝静脈に下大静脈に流入するまでの間で狭窄・閉塞を来して門脈圧が異常に上昇した状態。

「門脈」は膵臓や腸から肝臓につながる血管で、血液を心臓に戻す静脈だ。肝臓の病気などが原因で門脈の血行に異常が起き、門脈の血圧が高くなるのが門脈圧亢進症。肝臓を通れなくなった血液は門脈から異常な経路を通り、心臓へ戻るようになる。その結果、食道や胃の血管に瘤のような「静脈瘤」ができる。静脈瘤から多量に出血すると、最悪の場合、死に至る。
◎原因:

*肝硬変や肝炎などの肝臓病と自己免疫異常。
*肝硬変
*特発性門脈圧亢進症(Banti病)
*Budd-Chiari症候群
*肝静脈閉鎖

◎症状:
・下血
・食道静脈瘤・腹壁静脈怒張などの側副血行路の形成
・吐血
・脾腫
・腹水が溜まる
・脾機能亢進に伴う血小板・白血球・貧血など。